第28回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録

健康・生活衛生局 感染症対策部予防接種課

日時

令和6年11月21日(木) 13:00~15:00

場所

WEB会議にて開催
(厚生労働省 専用第21会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

(1)小児におけるRSウイルス感染症の予防について
(2)その他

議事

議事内容
○夏木ワクチン対策専門官 それでは、定刻になりましたので、第28回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会」を開催します。本日は御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
 本日の議事は公開・頭撮り可としております。また、前回同様、議事の様子はYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
 なお、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラ撮りは、議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。
 また、傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
 開催に先立ちまして、事務局に人事異動がございましたので、御紹介申し上げます。令和6年9月9日より、小塩予防接種課長補佐が着任しております。
 次に、本日の委員の出欠状況です。
 現在、委員8名のうち2名欠席でございますが、厚生科学審議会令第7条の規程を満たしているので、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
 また、本日は参考人として、岡田賢司福岡看護大学客員教授に御出席いただいております。
 本委員会の資料は、あらかじめ送付させていただいた電子ファイル及びお手元の配付資料で閲覧する方式で実施いたします。番号01の議事次第及び委員名簿から番号05の利益相反関係書類までを用意しております。資料の不足等、御不明な点等がありましたら事務局までお申し出ください。
 本日は頭撮りの申し出はありませんでしたので、このまま進めさせていただきます。
(カメラ退室)
○夏木ワクチン対策専門官 それでは、ここからの進行は鈴木委員長にお願いいたします。
○鈴木委員長 ありがとうございます。それでは、委員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、事務局から審議参加に関する遵守事項等について報告をお願いいたします。
○夏木ワクチン対策専門官 審議参加の取扱いについて御報告いたします。
 本日御出席いただきました委員・参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、薬事承認等の申請資料への関与、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況について申告をいただきました。各委員及び参考人からの申告内容については、番号05、利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
 なお、本日は議事内容に関して、「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいませんので、御報告申し上げます。
 各委員・参考人におかれましては、繰り返しのお願いとなり大変恐縮ですが、講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますよう、お願い申し上げます。
 事務局からは以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 それでは、本日の議事に入ることにいたします。本日の議題は1点、「小児におけるRSウイルス感染症の予防について」となっておりますので、事務局から資料の説明をよろしくお願いいたします。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。
 それでは、資料1に沿って御説明させていただきます。
 4ページをおめくりください。こちらがRSウイルスワクチン等に係るこれまでの経緯でございます。一番下でありますけれども、9月4日に第27回ワクチン評価小委員会にて、母子免疫ワクチン・抗体製剤の企業ヒアリングを実施いたしました。こちらにおいて、乳幼児におけるRSウイルスの予防について、疾病負荷や母子免疫ワクチン及び抗体製剤の有効性については一定の知見があるとされました。一方、ワクチン等の安全性については国内の知見が限定的であり、企業による安全性情報の収集が予定されていることから、引き続き国内の安全性に係る知見を収集し、ワクチン等の評価に必要な情報が一定程度集積した段階でファクトシートの作成に進むこととされました。
 5ページ目が、RSウイルス感染症の予防に関する論点でございます。今回は前回に引き続きまして、赤枠で囲っております乳幼児における技術的な論点で御議論いただきたいと考えております
 6ページが、第27回ワクチン評価小委員会でいただいた委員の御意見の要約でございます。委員からいただいた御意見といたしましては、母子免疫ワクチン、抗体製剤ともに乳幼児のRSウイルス感染症の予防について有効性に関する知見が得られていると考えられるという御意見。
 また、ワクチンの安全性について、先行して接種を開始した米国のデータからは早産等の妊娠経過への明らかな影響はなく、安全性についてのデータが蓄積されつつあるといった御意見。
 また、国内では妊娠24週から接種が承認されているが、米国で妊婦への接種が承認されている妊娠32~36週と異なる点は、安全性を評価する上で留意する必要があり、米国以外での安全性情報が必要である。
 さらに、検討の上で有効性と安全性のバランスを見ていく必要があるといった御意見をいただいているところでございます。
 了承された方針といたしましては、下線部でございますけれども、ワクチン等の安全性については、諸外国における議論や、国内知見が限定的であること、また、企業によると、安全性情報の収集が計画されていることから、引き続き、可能な限り国内の知見を確認するとされたところでございます。
 母子免疫ワクチンと抗体製剤の安全性情報について、8ページ以降、記載しております。
 8ページですが、第104回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)における評価でございます。
 ファイザー社の組換えRSウイルスワクチンの副反応疑い報告の状況について評価されておりまして、令和6年4月から令和6年6月30日までの医療機関への納入数量から推定した接種可能延べ人数2801回において、製造販売業者からの報告は1件であり、その1件は重篤例として、症状名は「帝王切開」と報告されており、転帰は不明であったということでございます。
 上記の報告状況を踏まえ、審議会において安全性に関する懸念は示されなかったところでございます。
 9ページですが、こちら、ファイザー社から提出された資料でございまして、母子免疫RSワクチンの市販後の安全性評価の、市販直後調査第2回中間報告でございます。
 以下の表のとおり、5月31日から9月30日までに報告されました母子免疫ワクチンで言いますと、推定1万5767例接種におけるデータでございますけれども、例えば妊婦、産褥及び周産期の状態としましては、左側の下部でございますけれども、前期破水が1例、早産が1例、妊娠37週未満の前期破水の1例が重篤例と報告され、また、児においては、早産児が2例、低出生体重児が1例報告されておりまして、ファイザー社の見解として、本中間報告対象期間中に収集された副反応の集積状況からは、新たな安全性の懸念は認められていないと報告されております。
 また、10ページが、RSウイルスに対する抗体製剤の市販後の安全性評価について、サノフィ/アストラゼネカ社から提供された資料でございます。
 こちらは2024年5月から9月21日まで、本剤投与推定が5646回接種において、以下の表のとおり副反応が収集されておりまして、サノフィ/アストラゼネカ社の見解として、本剤の安全性に係る新たな懸念は認めていないということでございます。
 11ページ目でございます。こちらは米国におけるRSウイルス母子免疫ワクチンの安全性評価でございまして、2024年10月23日、ACIPの議論でございます。
 上段、VSDにおける評価のところでございますけれども、VSDを用いて背景因子を調整した上で、接種群と非接種群を比較された分析が出ておりまして、非接種群に対する接種群の早産の相対リスクは0.90、SGA、すなわち週数に比して体重が小さいことの相対リスクは1.03であり、母子免疫ワクチンの接種は早産やSGAのリスクと関連しないということが評価されました。
 また、ページ下部、ACIPワーキンググループの見解でございますけれども、こういった上段のVSDにおける評価等も踏まえまして、妊娠高血圧症候群の潜在的リスクに関する説明は、早産とは切り離すべきと認識されているということでございます。
 具体的には、妊娠高血圧症候群に関する承認後のデータは乏しい。
 また、次のページでお伝えしますけれども、2973例の妊婦を対象とした研究の二次解析において、RSVワクチンと妊娠高血圧症候群の関連を認めた論文があるということでございます。
 また、一部の委員は、妊娠32~36週の妊婦への情報提供において、早産の潜在的リスクに関する説明を弱めるか、含める必要がないと認識されているということ。
 また、CDCとFDAはVSDにおける妊娠高血圧症候群に対する解析を含め、母子免疫ワクチンの安全性を引き続きモニタリングする必要があるといったまとめとなっておりました。
 また、12ページが、先ほどお伝えいたしましたけれども、安全性に関する論文でございます。米国の2病院における後ろ向きコホート研究において、母子免疫ワクチン接種は早産のリスクには関連しなかったが、妊娠高血圧症候群のリスク増加に関連したという報告でございます。詳細は下の表のとおりでございます。
 また、13ページが、我が国のベースラインデータでございまして、早産、死産、低出生体重の発生率を見ているものでございます。我が国の人口動態統計によりますと、2021年から23年のこれらの発生率は、全出生のうち5.6~5.7%が早産、0.3%が死産、9.4~9.6%が低出生体重児であるとされております。
 15ページ以降がまとめでございます。
 15ページ、疾病負荷、免疫保有状況、有効性に関するまとめについては、更新しておりません。
 16ページ、安全性について、下線部分が今回追記した情報でございます。これらを踏まえまして、右側、論点でございますが、ワクチン及び抗体製剤について、臨床試験の知見のみならず、市販後の安全性の情報について、一定の情報が得られていると考えてよいか。
 また、我が国の早産等の周産期の事象に係るベースラインデータについて、今後安全性評価を行う上で、必要な情報が明らかになっていると考えてよいか。
 また、引き続き、審議会の評価、及び企業において計画されている市販直後調査・特定使用成績調査の情報の収集や、米国等の情報を収集し検討してはどうか。
 その他、安全性に関する知見について、どのような情報が必要と考えられるか。
 こういったことを論点としております。
 17ページが、事務局案でございます。
 乳幼児におけるRSウイルスの予防については、乳幼児での疾病負荷や、ワクチン及び抗体製剤の有効性については一定の知見が認められており、ワクチン等の安全性についても、国内外の知見が一定程度得られていると考えてよいかということ。
 また、ワクチンの評価に必要な知見が一定程度集積していると考えられる場合には、本日の御議論も踏まえ、疾病負荷、母子免疫ワクチン及び抗体製剤の有効性・安全性、費用対効果について、ファクトシートの作成を国立感染症研究所に依頼し、それを踏まえて再度議論を行うこととしてはどうか。
 また、ファクトシートの作成を依頼した後も、企業において計画されている市販直後調査及び特定使用成績調査の情報や、米国等の情報を収集し評価してはどうかと考えております。
 以上でございます。
○鈴木委員長 資料の御説明ありがとうございます。また、資料の取りまとめも、非常に詳細にまとめていただいて、ありがとうございました。
 先ほどありましたように、前回のこの小委員会での小児RSVワクチンに関する議論において、国内外の特に安全性に関する情報を踏まえて、今後議論を進めていきましょうという話になっていたかと思います。それを踏まえて、事務局のほうで実際に国内の副反応疑い報告、市販後調査のデータをまとめていただきました。また、この間に米国のACIP、それからSAGEでも、特に安全性に関する議論がされていたということもありますので、これらを踏まえて、今後、どのように議論、それからファクトシートの作成を含めて進めていくか、これについて委員の先生方から御意見いただきたいと思います。
 それでは、挙手あるいは直接発言いただいて結構です。よろしくお願いいたします。
 大藤先生、お願いします。
○大藤委員 国内外の安全性等に関して詳細な最新情報を教えていただいて、ありがとうございます。
 当初懸念されていた早産とかに関しては、さらに米国等での使用成績とかの情報を見て、そういった懸念はなさそうだということで、よかったと思っています。
 あと、新たに報告いただいたJAMAの論文については、私もこれを見てみたのですけれども、妊娠高血圧症候群に関してパーセンテージとかを見ると、接種前の情報もひょっとしたら含まれているのではないかというふうに思いました。なので、こちらに関しては、結果の解釈にはちょっと注意が必要だなというふうにも考えているところです。ただ、こういった論文のデータとかも1つのファクトとしてファクトシートに含めていただくという形になると思うので、そういった方向でファクトシートの作成に進めていただくことには異論ないところです。
 また、このデータが出たことで、諸外国でも妊娠高血圧症候群についてはどうなのかといった知見も続々と出てくるのではないかと思いますので、そういったところも含めてファクトシートの作成のほうに進めていただいたらと思っております。
 あと、我が国のベースラインデータとして、早産等のベースラインのデータをお示しいただいたところですけれども、それに加えて、もし妊娠高血圧とかのパーセンテージのベースラインデータになるようなものとかもあれば、そういったところも示していただけると、またいいかなと思いました。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 最初に御意見やコメント、まとめていただきたいと思いますので、委員の先生方、そのほかいかがでしょうか。
 氏家先生、お願いします。
○氏家委員 ありがとうございます。
 事務局案の安全性の知見が一定程度得られているかというところですけれども、前回の議論から追加のデータを示していただいて、少なくとも米国で評価されている妊娠32週から36週にかけて、非常に豊富な安全性のデータが出てきて、その期間における安全性、特に懸念されていた早産に関するデータというのは、特段問題がないようであるというところがはっきりしてきたと思いますので、その点は非常によかったかなと思います。
 前回の審議会でも指摘させていただいたように、日本国内では24週からの承認がありますので、32週以前の接種については米国のデータのみでは評価できないというところが、1つリミテーションになるだろうと思います。
 また、日本国内のデータで1万6000人程度のデータがメーカーから示されていますけれども、こちらについては、市販直後調査で、全数調査でもありませんし、分母、比較対照がありませんので、あくまで参考程度ということになると思いますが、少なくても重大な臨床転帰となるような報告というのが非常にたくさん報告されているわけではないというところは、プラスの材料なのかなと思います。一方で、これから市販後調査で全数報告が出てくるということですから、事務局提案のように、これをしっかりと見ていくということは重要かと思います。
 ただ、同時に提案されているように、ファクトシートに進むということ自体は、欧米ではもう既に推奨されているところですし、RSVの小児の疾病負荷もかなり分かっているところも多いですので、作業に進んでいただきながらデータを収集していくということは望ましいことだろうと思います。特に、4か月で、推定ですが1万6000人近くの妊婦の方が接種を受けているというのは、3万円弱ぐらいするワクチンですので、それなりにニーズの大きいワクチンであるということの証左ではないかと思います。
 今年の出生数が年間70万人を切りそうというところで、4か月で1万6000人ですから、10%は行かないにしても、5%ぐらいの方は御自身で費用負担しながらワクチンを受けているというのが現状かと思いますので、安全性・有効性が確認されているワクチンを早期に広く接種できる体制の構築を目指した議論というものは、先に進めていくことが望ましいだろうと考えています。
 私から以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 原先生、よろしくお願いします。
○原委員 私も先生方と同じく、ある程度知見も集まってきているので、ファクトシートの作成のほうに少しずつ進んでいただければと思っているところです。
 市販後調査の報告がありまして、重篤なものは特に報告されていなく、また、新たな安全性の懸念は認められていないということで、第III相試験に比べてアラートがあるとか、そういうわけではないのだろうということは分かっているのですけれども、全数報告ではないということで、気をつけながら解釈していきたいなと思います。
 あともう一点、これは質問になって申し訳ないのですけれども、10枚目、抗体製剤のところについても副作用収集の状態がありましたけれども、抗体製剤の副作用としてRSウイルス感染症を重篤として数えるというのがどういう意味があるのかなと思ったのですけれども、この辺り、もし誰か御存じの方がいましたら教えていただければと思います。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 今、原先生が最後に問われたことですけれども、事務局あるいは何か情報をお持ちの先生がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。もし事務局のほうで答えられることがあれば、よろしくお願いいたします。
○吉原ワクチン情報分析専門官 御質問ありがとうございます。
 10ページでございますけれども、企業から把握している情報としましては、これはまさに何らかの事象があり、関連性を疑ったもので報告されたものでございまして、このRSウイルス感染の関連があると認められたというのは、何であれ、医師から集まってきた情報を掲載している。重篤とありますのは、恐らく何らか入院等の対応が必要だったものだと思うのですけれども、そういった広く収集した情報がここに載っているということでございます。ですので、因果関係が認められるといったものではないという趣旨でございます。
○原委員 承知しました。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 それでは、菅沼先生、お願いします。
○菅沼委員 国内外から、報告の方法は違っていますけれども、実際使われてみて安全性に対する評価といったものも出てきています。特に、前回問題になったところで、基礎疾患のある方について、実際使ってみてどうなのかというところがあったかと思うのですが、米国の研究のほうでは、そういった方々も多く含んでいらっしゃる研究であって、それでこういった結果が出ているということでありますので、安全性という意味では一定の評価が得られているのではないかなと思っております。ですので、こういったところを踏まえると、事務局案にありましたけれども、一定の知見が集積されてファクトシートに進むという形でよろしいのではないかと考えております。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 森野先生、お願いします。
○森野委員 ありがとうございます。
 私も先生方の御意見に賛同いたします。1万5000人余りの方の国内の接種の状況を提示いただき、また米国VSDの検討ということで、情報としては少しずつ得られつつあるのではないかと思っております。
 一方で、日本国内においての接種の方の妊娠・出産の分布というのはなかなか得られにくい情報であるというところと、米国では32週以降の方の接種であるというところ。また、事務局案にも記載いただいていたように、米国等ということで、米国以外にも接種が最近始まった英国であったり、今度始まるオーストラリア等、その他の国々の情報等も並行しながら収集していくことが、またより慎重な体制となるのかなと思いました。
 併せて、市販後調査の結果を詳細に見せていただきました。お母様とお子さん、それぞれの側面から届けがある状況というのは、市販後調査も副反応疑い報告も同様の特徴があるところと思います。そういったときに、両方届けていただく場合ばかりではない状況、あるいは片方ということがありますので、その結果をフォローしていく際あるいは評価していく際には、拝見させていただく我々側として留意していく点になるのかなと感じているところです。
 また、そこに加えての追加調査というのも場合によっては必要であったり、あるいはお子さん側の御報告をいただく際に、接種された妊娠週数の情報等も出ていくと、現在の懸念点というのも評価して見ていくことができるのではないかなと思っております。
 以上です。ありがとうございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 まず、本日の議題といいますか、論点としてファクトシートの作成ということ自体については、まず異論はないのかなと理解いたしました。その上で、今後、特に小児に対するRSVワクチンに関する我々の求められている科学的な議論を、どういった論点について議論していかなくてはいけないのか。これについて議論していく必要があるのかと考えております。そうした観点からも御意見をいただければと思います。
 岡田先生、お願いします。
○岡田参考人 岡田です。
 もちろん委員の先生方の御意見に賛成ですけれども、1点、お願いがあります。17ページにありますように、費用対効果です。母子免疫ワクチンは、費用対効果が良好な価格を推計するとありますから、今後、ファクトシートを感染研につくっていただくときに、医療経済の先生方に、抗体製剤も今の価格では費用対効果が良好な価格とはとても言えませんから、費用対効果が良好な価格を同じように推計していただくことを依頼することはできるのでしょうか。
○鈴木委員長 ありがとうございます。私の見解ですけれども、できるといえばできると思いますけれども、それを実際にこの審議会の場で議論するのかどうかというところは、またちょっと切り分けて考えていく必要があるのかなと思います。もしよければ、事務局のほうからも一言コメントいただければと思います。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。
 まさに技術的観点として費用対効果分析、これはファイザー社であれ、抗体製剤であれ、検討を進める方針でございますので、抗体製剤も含めて、どういった分析が可能かは、感染研の先生、また費用対効果をされている厚労科研の先生と相談していきたいと思います。
 また、これは一般論でございますけれども、費用対効果分析においては、例えば抗体製剤、一定の薬価がハイリスク者に対してはついているところでございますが、いろいろな分析のバリエーションがありますので、一定の幅を持たせた分析でありますとか、逆に費用対効果が良好と言える価格を探す分析でありますとか、いろいろな方法があると思います。どういった方法が可能か、また先生方と御相談していきたいと思います。
○鈴木委員長 ありがとうございます。まさに今、吉原さん御指摘のとおりで、最初に価格を設定してから費用対効果分析を行うこともあれば。ただ、今回は抗体製剤に関して、英国のJCVIに提示されたロンドン・スクールがやった解析においては、費用対効果の閾値を満たすためには、価格はこのようでなくてはならない。こういった方向での分析も実際にされてはいるので、日本の文脈において、どのような在り方がよいのかというのは、まさに今後議論すべきところかなと思っております。御指摘ありがとうございます。
 氏家先生、お願いします。
○氏家委員 ありがとうございます。
 具体的な内容というところで、まず、アブリスボに関して言えば、先ほど申し上げたように、接種のタイミングです。32週から36週に関しては安全性が確立しているというところと。もう一つ、添文にも書いてありますけれども、出産まで2週間以上の時間が経過していないと有効性が担保されないというところですね。母子免疫が有効になるのは、その後に発表された報告などによりますと、5週間以上あったほうが移行抗体は高くなるということが報告されているところで、2週間以上あれば有効性は担保されるわけですけれども、2週よりも3週、3週よりも4週という形で、5週間ぐらいあったほうが有効性は高くなるということがあります。
 ですので、薬機法の中で承認されている内容をあえて狭めるかどうかというのは1つの議論だと思いますけれども、適切な接種のタイミングがどこなのか。制度に落とし込んだときには、打てるけれども、標準的にはこの期間で接種を受けるみたいな形で推奨を出すような方法もありますので、そういった形でタイミングを評価しやすいような形でファクトシートを作成していただくのがいいのではないかなと思います。
 また、ワクチンと同時に、中和抗体製剤も一緒に作業していくということになると思いますので、先ほど岡田先生が指摘されたように、今は保険適用での価格しか日本国内にはないですが、保険でやるということは日本以外の国はほとんどやられていないので、自由診療の価格での設定だともう少し安い価格、これも前回指摘させていただきましたが、かなり安い価格でやっていますので、そういった価格設定を併せて評価する必要があるだろうと思います。
 併せて言えば、接種の適応ですね。ワクチンのほうが先に介入のポイントがありますので、ハイリスク児でなければ、ワクチンをお母さんが受けて生まれてきた子供というのは、中和抗体製剤の対象にならない。やってはいけないわけじゃないですけれども、推奨がないという状況になっているところが多いと思います。つまり、ワクチンと中和抗体製剤で、二重で予防するということは一般的には推奨されていない。ハイリスク者の場合は、日本で今、保険適用があるように併せて行うということが、アメリカですと考慮されると記載されていると理解しています。
 ですので、どっちの予防もできるのか、どういうふうにやるのが一番いいのか。ワクチンだけやった場合、中和抗体製剤だけやった場合、費用対効果を見た上で、介入点としては早いワクチン、そして受動免疫として得られる中和抗体製剤、そういった特徴が違うものですので、接種するタイミング、ワクチンを扱う診療科なんかも違ってきますので、一番良いプラクティス自体は基本方針部会で議論されることだと思いますが、客観的にどこが望ましいのかというところまでは、小委員会の中でも議論していく必要があるだろうと思います。
 さらに言えば、中和抗体製剤は半年というデータまでしかありませんので、これをいつまで、何回打つのかということも問題になってくると思います。2歳ぐらいまでにはほぼ100%の方がRSVに感染するとされていますけれども、小さければ小さいほど、かかったときにリスクが高いということになりますから、これが1回でいいのか、2回打てるのか。2回打てるとすれば誰でも打てるのか、ハイリスク者だけ打てるのかみたいな場合分けが必要になってくる可能性があるかなと思います。なので、場合分けが結構多いということを前提に検討を進めていく必要があるだろうと思います。
 もう一つだけつけ加えると、現在、国内で承認されていないワクチンでも、もう既に申請まで至っているようなものも、中和抗体製剤等であります。アメリカですと、もう1剤、ワクチンも中和抗体製剤も既に承認されているというような状況にありますから、これを情報収集する中で遅れて承認されるみたいなことも想定としては起こり得ると思いますので、遅れて出てくる同様の製剤について、このファクトシートに含めるのか含めないのかみたいなところについても整理しておくと、後で議論が複雑にならないのかなと思います。
 私からは以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。非常に重要な論点、我々が科学的に検討すべき論点について挙げていただいたと思います。
 最初に、接種のタイミングで、母子免疫ワクチンを妊娠第何週で接種するのか。先ほどたびたび指摘ありましたけれども、アメリカでは32~36週ですけれども、英国では28~36週、オーストラリアでは24~36週と、国によって推奨が異なっていますし、先日のWHOのSAGEでは28週以降の接種が推奨されたというふうに理解されています。ということで、日本の薬事承認は24~36となっていますけれども、そこのところをどのように推奨する形で狭めていく必要があるのかどうかについて、一定の科学的な根拠でもって判断していく必要があるということかと思います。
 そのときに重要なのが、先ほど接種してから数週間時間がたたなければ抗体が産生されないし、児のほうにも移行しないという問題がある一方で、あまり早く打ってしまうと、今度はワクチン自体の有効期間が、現状で明確に効果があると言えるのがせいぜい半年程度ということを考えると、その辺りの一定のトレードオフもあろうかと思います。その辺も議論していく必要があるのかと考えております。少々、私のほうから。
 もう一つ、氏家先生から御指摘ありましたけれども、そもそも中和抗体製剤、ワクチンではないけれども、保険の枠組みでやるのかどうか。その辺も含めて、もし事務局として今、答えられることがあれば、よろしくお願いします。
○前田予防接種課長 すみません、予防接種課長です。
 この件、非常に重要な御指摘だと思っています。RSを議論する際に、前段でも、今日の説明の中でも申し上げましたけれども、制度的な課題、解決しなければいけないところが幾つかあろうかと思っております。これは母子免疫、抗体製剤、それぞれ現行の予防接種法の中でできることなのか、幾つか法改正を要するのかというところは整理しなければいけないところでございますので、この議論を開始する際に、まずは予防接種の世界の中で議論していただくというところでお願い申し上げたのは、予防接種制度の中で受入れが可能かというところで議論していきたいと思っておりますので、その前提で医学的知見というところについて御議論いただければ大変ありがたいと思っております。
 私からは以上でございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。そうですね。資料の中でも、あるいは以前も説明していただきましたが、そこのところ、この小委員会というよりは、基本方針部会等での論点になるのかなと理解しております。あくまでここでは、科学的・技術的な観点から、我々としてはこのようにあるべきだというように意見をまとめていくことが求められていると理解しております。
 既にたくさん御意見いただいておりますが、そのほかございますでしょうか。
 既にいろいろ意見いただいている中で、私も一委員ということで、ちょっとコメントさせていただきたいと思います。こちらの小委員会、たびたび申し上げておりますけれども、科学的・技術的な観点から、小児に対するRSV予防のプログラムをどのように決めていくのがよいのかについて意見していく必要があると考えています。
 その中で何を議論すべきかということで、1つ目は、既に氏家先生からも指摘ありましたけれども、母子免疫ワクチン、何週で接種するのがよいのかについて、これも科学的なエビデンスを収集して、我が国においてどのようなプログラムがよいのかというのを提案していく必要があると考えています。
 そして、2つ目として指摘しておきたいのが、早産のリスクについて、既に資料で詳しくまとめてもらっておりますけれども、これについてもしっかり科学的に議論していく必要があると考えています。今回、直接的にはファイザー社のワクチンが取り上げられることになるわけですけれども、御承知のように、それに先立って2つの母子免疫、RSVワクチンのトライアルが行われています。
 1つがノババックス社のトライアルで、こちらのほうはアウトカム、下気道感染症に対する有効性がFDAの基準を下回ったので承認には至らなかったと理解しています。もう一つがGSK社のトライアルで、こちらは24か国で実施されましたけれども、接種群で早産の発生率が高かった。特に低・中所得国でそれが観察されたということで、中止になったと理解しております。
 こうした背景があった上で、ファイザー社のトライアルでは、確かに早産のリスクは接種群で高くはなかったという結果ですけれども、サブグループ解析で見ると、南アフリカでは増加が確認されていて、アルゼンチンでも有意差はないものの増加傾向にあったといった結果であったと思います。こうした背景から、アメリカのACIPあるいは英国のJCVI、WHOのSAGEでは、このワクチンを導入することによって、本当に早産のリスクが高くなるのかならないのか。これに関して慎重に議論した上で、検討した上で推奨を決めていっていると理解しております。
 そうした観点から、我が国においてもしっかりと安全性に関する最新のデータを集めていくとともに、もし我が国において定期接種をした後に、安全性をどのようにモニタリングしていくのか、この在り方についても提案・提言していく必要があるかと思っています。
 3つ目として、もう一つ論点として挙げておきたいのですが、通年のプログラムにするのか、季節性のプログラムにするのかということも検討しておく必要があるのかなと考えています。御承知のように、温帯地域ではRSVは季節性の流行を繰り返しています。一方で、母子免疫ワクチンの効果の持続期間は、先ほども言いましたようにたかだか半年程度と言われていますし、抗体薬のほうはもう少し長いと言われていますけれども、それでも1年は厳しいだろう。
 ということで、アメリカではRSVシーズン前の一定期間を接種期間として設定しておりますし、英国でも、先ほども少し言いましたが、数理モデルを用いた解析の結果、費用対効果に一番優れているのは季節性のプログラムであるという結果になっています。ただ、最終的には、プログラムに落とし込むに当たって運用コストを考えて通年プログラムを採用していると理解しております。そうした意味で、科学的な知見と行政的な実際の運用というのが乖離しているというのはあり得ることだと思いますが、少なくとも日本の文脈において、一定のエビデンスで、こっちのほうが科学的には望ましい。一方で、現場の運用を考えて、こっちにするといったことはあるかと思いますので、そこのところもしっかりと議論して詰めておく必要があるのかなと思っております。
 すみません、私のほうで一方的に意見を述べてしまいました。
 たくさん御意見がありまして、特に事務局から直ちに御提示いただくべきことはないかなと思いますが。
 ごめんなさい、原先生、お願いします。
○原委員 すみません、鈴木先生の御意見に賛同いたしますけれども、先生のお話の中でも、日本でのという言葉がたくさん出てきましたけれども、現行、日本で有効性・安全性を評価するに当たっては、どうしても市販後の調査とか研究班レベルでの話が基本になってきていると思います。今すぐ、このRSVに関してというわけではないのですけれども、国の中では医療DXがすごく進んでいて、予防接種の記録とかも電子化されたり、カルテも標準化されて電子化されていくという中で、この任意接種のワクチンというのがどこでも拾われないということが起これば、これからもずっと同じようなことが続いていくかなと思っています。
 そういったところもこの定期接種に関する議論をするこの委員会の中で、少し働きかけというか、そういったものを接種登録の中に定期接種と一緒に登録していくのか、それとも医療カルテ、電子カルテのほうに登録していくのか。そういったところも何か私たちから言えたらなと、ちょっと思いました。意見です。
○鈴木委員長 原先生、どうもありがとうございます。
 もしよければ、事務局のほうで、今のことも含めて、何かレスポンスいただくことがあれば、よろしくお願いします。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。原先生、ありがとうございます。
 御指摘、重く受け止めております。基本方針部会では、既に数度、御議論いただいたところでございますが、御把握のとおり、DXを進めている中でデータベースを構築して、安全性分析や有効性の分析ができるようにしていきたいと思っているところでございます。先生御指摘のように、例えば任意接種の状態が入ればいいのではないかということは、御指摘として理解いたすところでございます。任意接種の中にも、自治体が助成するパターンもあれば、完全に任意のパターンもありまして、それぞれデータベースに入れる難易度というのはかなり違うところでございますので、御指摘はよく理解しました上で、どこまでの対応が可能かというところを我々検討していきたいと思っております。御指摘ありがとうございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 このRSVのワクチン、国際的にも議論が進んでいるところで、かつ母子ワクチン、中和抗体製剤、さらに先ほど氏家先生が言われたように、さらに新しい製剤も出てくるという中で、物すごく複雑な変数を解いていかなければいけないという点で、なかなか大変だと思っているところです。引き続き、先生方、議論をよろしくお願いいたします。
 ということで、本日の議題自体のファクトシート作成には異論がないということで、すみません、一応確認ですが、よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○鈴木委員長 首肯いただいたと思います。それでは、その方向で進めるということでよろしくお願いします。
 事務局、そのほか何かございますでしょうか。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局からは追加ございません。ありがとうございます。
○鈴木委員長 それでは、委員の先生方、本日はどうもありがとうございました。
 事務局のほうに事務をお返しします。
○夏木ワクチン対策専門官 
 本日も活発な御議論いただきまして、ありがとうございました。
 次回開催につきましては、追って御連絡をさせていただきたいと思います。
 事務局からは以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
 皆様、どうもお疲れさまでした。