第199回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和6年11月20日(水) 10:00~12:00

場所

厚生労働省 専用第14会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階)

議事

議事内容
○守島部会長 皆様方、おはようございます。
 ただいまより、第199回「雇用保険部会」を開催いたしたいと思います。
 出欠状況ですけれども、労働者代表の奥委員が、今日は所用のため欠席と伺っております。
 また、労働者委員の千葉委員が所用のため、途中で退席される御予定でございます。
 山田職業安定局長につきましては、別の公務のため御欠席となっております。
 それでは、頭撮りは、これぐらいに、ありがとうございます。大丈夫ですかね。
(報道関係者退室)
○守島部会長 それでは、議事に入りたいと思います。
 まず、雇用保険制度についてでございます。資料の1と2を使っていきます。
 本日の議題として、まず、最初に雇用保険制度なのですけれども、それでは、まず、資料の1と2について、事務局より御説明をお願いいたします。
○鈴木調査官 事務局から資料1に沿って、説明をさせていただきます。
 今回から、来年度、令和7年度の失業等給付、育児休業等給付及び雇用保険二事業の保険料率について、どのような設定をするかという御議論をいただきたいと考えてございます。
 本日、資料1から3までお示しさせていただきますが、まず、資料1「雇用保険制度の主要指標」ということで、全給付に関する足元の状況について取りまとめたデータをお配りさせていただいております。
 最初に、失業等給付及び雇用保険二事業の部分に関しまして、説明をさせていただきたいと思いますので、資料1及び資料2に沿いまして御説明をさせていただきます。
 まず、資料1、主要指標に関するものでございます。資料1の2ページをお開きください。
 まず「現在の雇用情勢について」でございます。
 現在の雇用情勢は、求人が底堅く推移しており、緩やかに持ち直している状況でございます。
 直近2024年9月ですが、有効求人倍率は1.24倍、完全失業率は2.4%となっているところでございます。
 続きまして、2ページ「雇用保険被保険者数の推移」でございます。
 以後、左側が年度別で、直近の令和5年度から10年さかのぼった平成26年度までの表、右側が月別ということで、主に直近、右下の令和6年度の4月から9月の上半期の部分について、御覧いただければと思ってございます。
 まず、長期的な推移でございますけれども、左側の年度別を見ていただきますと、一般被保険者、65歳未満の被保険者の方ですが、こちらについては、過去10年で、おおむね1%前後の増減ということで、約4100万人という状況でございます。
 65歳以上の被保険者である高年齢被保険者につきましては、中長期的に高齢化もございますので、増加傾向という状況で、直近で345万人程度。
 3番目、4番目の短期雇用特例被保険者及び日雇い労働被保険者につきましては、中長期的に減少傾向となってございます。
 右側、令和6年度上半期の状況につきましても、こうした傾向に特に大きな変化はございません。
 続きまして3ページ「基本手当の受給資格決定件数の推移」でございます。
 受給資格決定件数、年度別に見ますと、過去10年で長期的には、平成26年度の156万人から137万人ということで減少傾向にございます。
 過去5年、コロナ前後で見ますと、コロナ後、一旦令和2年に150万まで上がっておりますが、直近では137万ということで、コロナ前の令和元年度とほぼ同程度という水準でございます。
 月別に見ましても、令和6年度上半期は、ほぼ横ばい、ないし微減といった状況でございます。
 4ページ「基本手当の受給者実人員の推移」でございます。
 こちらも過去10年で見ますと、平成26年46万7000人から、直近では42万3000人という状況でございます。
 一方、令和4年から令和5年を見ますと、増加傾向となってございます。
 また、右側の月別、令和6年度上半期の部分を見ていただきましても、前年同月比と比べまして、増加傾向ということでございますので、受給者実人員につきましては、直近ではやや増加傾向が見られるという状況でございます。
 続きまして、5ページ「基本手当の主要指標の推移」でございます。
 直近117万人が初回受給者実人員、平均受給日数108.3日、平均受給日額が5,175円ということで、トータルの総支給額は令和5年度で6500億強という状況となってございます。
 こちらは、10年前とほぼ同程度でございますが、コロナ前の令和元年と比べますと、増加しているという状況でございます。
 続きまして、6ページ「個別延長給付(特例延長給付)の支給状況」です。
 こちらは、激甚災害等の場合において、60日間所定給付日数を延長する等の特例延長給付関連のデータでございます。
 左側の年度別を見ていただきますと、令和2年度から令和4年度にかけて、注3にございますとおり、コロナ禍における臨時特例法に基づく特例延長給付の実績が含まれておりますので、この間は、多少大きな数値となっておりますが、直近令和5年度は76件という状況でございます。
 右側の令和6年上半期を見ていただきますと、昨年度よりも増加傾向にございますが、こちらは、能登地震の特例の影響でございます。
 7ページ「高年齢求職者給付金の支給状況」でございます。
 冒頭、高年齢被保険者が増加傾向ということを御説明させていただきましたが、それと同様の流れとなっておりまして増加傾向、直近では令和5年度39万人、支給金額が890億強という状況でございます。
 令和6年度上半期につきましても、同様の増加傾向を示しているという状況でございます。
 8ページ、特例一時金、こちらは、短期雇用特例被保険者、季節的雇用をされている方々の特例一時金でございますが、冒頭御説明をさせていただきました被保険者数の推移と同様、一貫して減少傾向を示しているという状況でございます。
 続きまして、9ページ、日雇労働者求職者給付、こちらも同様でございまして、被保険者数の減少傾向と同様、支給金額等につきましても、一貫して減少しているという傾向が見て取れるところでございます。
 続きまして、10ページ「再就職手当の支給状況」でございます。
 こちらの再就職手当は、所定給付日数3分の1以上残して、安定的就業を1年超えの雇用見込みについた場合に、支給残日数の60%に基本手当額を乗じた一時金を支給するというものでございますが、直近では、10年前と同様の水準であります39万人の方が受給されております。
 支給金額は1600億強というところでございます。
 足元は、若干増加傾向という状況でございます。
 続きまして、11ページ、就業促進定着手当、再就職後6か月間定着した場合に、離職前賃金から低下した賃金の6か月分を支給するというものでございます。
 こちらの最新の令和5年の数値は9.4万人という状況でございます。減少傾向ではありますが、一定程度の利用がなされているという状況でございます。
 以上が基本手当等関係でございますが、12ページからは、教育訓練給付に係る支給状況でございます。
 資格の難易度等に応じて、教育訓練給付には、一般教育訓練給付、特定一般教育訓練給付及び専門実践教育訓練給付という3つの類型がございます。
 まず、受講費用の20%を助成します一般教育訓練給付でございます。
 こちらにつきましては、平成26年度から12万人から令和5年度7万6000人ということで、減少傾向となってございます。
 こちらは、後に御説明させていただきます、特定一般ないし専門実践が近年創設されてございますので、そちらのほうに一定程度流れている影響かなと考えてございます。
 真ん中以下の特定一般教育訓練給付でございます。こちらは、受講費用の最大50%を給付するものでございますが、令和元年10月施行以降、徐々に伸びてきていて、最新の令和5年度では3,670件という状況でございます。
 おめくりいただきまして、13ページ、専門実践教育訓練給付、こちらは、受講費用の最大80%を助成するものでございます。
 こちらは、平成27年4月に創設されまして、以後、一貫して増加傾向を示しておりまして、令和5年におきましては、3万6000人強という利用者数となってございます。
 14ページ「教育訓練支援給付金の状況」でございます。
 専門実践教育訓練給付、こちらは大体教育訓練期間が長い、1年以上の場合が多いという状況でございますが、失業給付の所定給付を超えて、引き続き専門実践教育訓練給付を受けている方につきまして、暫定的に基本手当日額の一定割合を引き続き継続して支給するというものでございます。
 平成27年度の専門実践創設当初から暫定措置として講じられてきておりますが、増加傾向でありまして、令和5年度は3,832件という状況となってございます。
 続きまして、15ページ、高年齢雇用継続給付、こちらは、60歳到達時点の賃金低下分の一定割合を給付するというものでございます。
 現状は、低下後の賃金の15%を給付しているものでございますが、令和7年4月以降は、15%から10%に引き下げての給付ということになります。
 こちらにつきましては、微減傾向ということでございまして、直近令和5年度では17万人の方が受給をされているという状況でございます。
 続きまして、16ページ、介護休業給付でございます。
 介護休業をした場合に、一定の割合を給付するというものでございますが、こちらは、一貫して増加傾向で、直近の令和5年度の受給者数は3万4000人、給付総額は約86億という状況となってございます。
 続きまして、17ページ、こちらは介護休業給付の月別でございますが、右下の令和6年上半期の部分、4月から9月の部分を見ていただきますと、先ほどの長期的な増加傾向と同様、この上半期も増加傾向を示しているところでございます。
 続きまして、18ページ「育児休業給付の支給状況」でございます。
 こちらは、一貫して増加傾向、特に男性の伸び率が高いという状況でございまして、最新の令和5年度は、初回受給者数が合計53万人という状況でございます。
 給付総額は、約7500億という状況となってございます。
 19ページ、こちらは月別、令和6年上半期の部分を見ていただければと思いますけれども、令和6年4月以降につきましても、これまでの増加傾向というものは変わっていない状況となってございます。
 20ページ、出生時育児休業給付金、いわゆる産後パパ育休の際の給付でございますが、こちらは制度施行後、令和5年5月以降、受給者数は、やや増加傾向ということとなっておりまして、直近令和6年9月では、5,495名の方が受給されているという状況でございます。
 続きまして、21ページ、求職者支援制度関係のデータでございます。
 まず、求職者支援訓練でございます。
 こちらは、有効求人倍率と逆相関の傾向を示しているところでございます。
 上の求職者支援訓練の制度創設から受講者数というところを見ていただきますと、制度創設の5万758人というところから、令和3年度は、2万人程度まで減少してきているというところでございましたが、令和4年度以降、雇用保険被保険者も受講ができるような制度見直しを行いまして、令和4年、令和5年とやや増加している状況でございます。
 ただ、直近の求職者支援訓練の受講者数という真ん中を見ていただきますと、昨年の令和5年11月以降、前年同月比で、やや減少傾向というところが、足元では見て取れるという状況でございます。
 続きまして、22ページ、職業訓練受講給付金、こちらは、求職者支援制度の中で、一定の収入要件及び資産要件を満たした方について、訓練受講中、月10万円の給付を行うというものでございます。
 制度創設時から減少傾向でございまして、直近で令和5年度は1万人強の方が受給されているという状況。
 また、月別で見ますと、令和4年度の欄ですが、令和4年1月以降、ここ1、2年は減少傾向が続いているという状況でございます。
 以上が資料1、雇用保険制度の主要指標に関する御説明でございました。
 続きまして、資料2財政運営、失業等給付及び雇用保険二事業についての資料でございます。
 まず、2ページ目でございます。
 雇用保険では、失業等給付、育児休業給付、雇用保険二事業を実施しており、これらを区分経理しているところでございます。なお、この図にございます真ん中の育児休業給付につきましては、先般、成立いたしました子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律に基づきまして、令和7年度から子ども・子育て支援特別会計に移管されることとなっております。
 保険料負担につきましては、失業等給付、育児休業給付は労働者、事業主の折半、雇用保険二事業は、事業主のみという状況となってございます。
 国庫負担につきましては、失業等給付及び育児休業給付は、それぞれ一定の国庫負担が入ってございますが、雇用保険二事業については、国庫負担なしという財政構造となってございます。
 続きまして、3ページ、失業等給付に係る雇用保険料、国庫負担、受給者実人員及び積立金の推移ということでございまして、まず、受給者実人員ということで、青の横線グラフを見ていただければと思いますが、近年では、大体40万台を推移しておりまして、直近、令和6年度は42万人程度を見込んでいるところでございます。
 続いて、雇用保険料率、グラフで赤の横線でございますが、紆余曲折ありながら推移を繰り返してきておりまして、直近では0.8%という状況。
 国庫負担率につきましては、直近では40分の1という状況でございます。
 縦の棒グラフが積立金残高を示してございます。平成27年度は6.4兆円の過去最高の積立金の残高がございましたが、その後、減少を示し、コロナ禍におきましては、補正による繰入れ、令和3年度に1.7兆円、令和4年度に0.7兆円の繰入れを行いまして、何とか底割れを防いでいる状況でございまして、その後、回復傾向ということで、令和6年度は、2.2兆円強の積立金残高が見込まれているという状況でございます。
 続きまして、4ページ目、雇用保険二事業に関するグラフでございます。
 二事業の保険料率につきましては、直近0.35%という状況となってございます。
 安定資金残高の縦グラフでございますが、令和元年に1.5兆円強ございましたが、コロナ禍においての支出が多額に及んだ影響があり、令和2年度には、それまで積み立ててきた安定資金残高が底をつき、それでは足りず、失業等給付の積立金から、令和2年度から令和4年度で累計2.9兆円の借入れを行っているという状況でございまして、安定資金残高は、この間、枯渇してゼロという状況となっているところでございます。
 以上のグラフを数値化しているものが、ページ5、ページ6でございます。
 まず、ページ5、こちらは、失業等給付関係の収支状況を令和2年度以降につきまして、お示しさせていただいているものでございます。
 こちらは、直近令和5年度、先般秋に決算が固まりましたが、その数値が令和5年度収入は1.6兆円となっておりまして、支出が1.34兆円と、差引剰余が2717億という状況でございます。
 また、令和5年度につきましては、先ほど申し上げた令和2年から令和4年度に2.9兆円、二事業のほうに積立金から貸し出していたものにつきまして、令和5年度は、二事業のほうに剰余金3212億円が生じましたので、その全額返還がなされ、積立金残高は、令和5年度トータルで2兆円強という状況となっているところでございます。
 一方、一番真ん中に雇用安定事業費への貸出しという部分ございますが、昨年度3212億円の返済がございましたので、残り2.5兆円強あるところでございます。この返還をどうするかというところにつきましては、今後論点となってくるという状況でございます。
 6ページ、二事業の収支状況でございます。
 こちらは、令和2年度から令和4年度にかけまして、かなりの支出、令和2年度は4兆円強、令和3年度は3兆円強、令和4年度は1.4兆円という支出がございました。
 こちらにつきまして、令和2年度、それまで積み立ててきた雇用安定資金を取り崩し、また、積立金から借入れを行うなどして、やりくりをしてきたところでございます。
 また、一般会計からも、コロナ禍において、特例法に基づきまして、令和2年度には7000億弱、令和3年度には5000億強と、4年度には1,000億強が充当されているという状況でございます。
 令和5年度、コロナ後、初めて剰余金が3212億円生じましたが、こちらにつきましては、昨年度の当部会における御議論も踏まえまして、全額失業等給付のほうに返還をしたということでございまして、本年度以降どうするかという点について御議論いただきたいということでございます。
 7ページ「雇用保険料率の弾力条項について」の資料でございます。
 こちらは、失業等給付の保険料率、一定の場合については、引下げを行うことができるというものでございます。
 現状の保険料率は1,000分の8、労使折半ということとなってございますが、財政状況に照らして、一定の要件を満たす場合には、雇用保険料率を大臣が変更可能ということとなってございます。
 端的に申し上げますと、単年度の失業等給付の支出が、単年度の収支及びそれまでの積立金の額にどの程度バランスしているかというものを、こちらの式で見るものでございますが、分母の支出に対しまして、分子の収支ないしそれまでの積立金のたまりが、2を超えているという状況である場合には、保険料率を1,000分の4まで引き下げることができることとなってございます。
 こちらは、直近、最新の令和5年度決算額に基づきまして計算をいたしますと、2.23ということになってございますので、制度上は保険料率を1,000分の4まで引き下げることが可能という状況となってございます。
 続きまして、8ページ、こちらは、二事業の弾力条項でございます。
 こちらも同様に、原則の1,000分の3.5という保険料率になってございますが、財政状況に照らして一定の要件を満たす場合には、この保険料率を引き下げることができることとなってございます。
 こちらも、先ほどの失業当給付と類似の考え方で式を設定しておりますが、これが1.5を超える場合には、保険料引下げが可能という状況となってございます。
 令和5年度決算に基づいて計算をいたしますと、0.35という状況でございます。
 先ほど御説明させていただいたとおり、コロナ禍において、雇用調整助成金の多額の支出ということもございまして、安定資金残高が枯渇しているという状況でもございますので、引き続き、この弾力倍率について、二事業は、低い水準となっているところでございます。
 9ページ「失業等給付に係る保険料率の推移」でございます。
 これまでも、失業等給付に係る保険料率につきましては、弾力条項を用いまして原則の保険料率を上げ下げしてきたところでございます。
 傾向としては、基本的には、弾力条項を発動した場合には、下限に張り付くか上限に張り付くといったことが多い傾向にございますが、例えば、昭和54年度、平成4年度を見ていただきますと、上限下限の間で刻んでいるという例もございます。こうした例も踏まえつつ、来年度の保険料率をどのように設定すべきかを御議論いただければということでございます。
 10ページ目、こちらにつきましては、積立金から二事業への貸出しに関するものを図示した資料でございます。
 雇用保険制度の安定的な財政運営を確保するため、コロナ禍における臨時特例法では、以下の措置を講じているということでサマライズしてございますが、まず、四角の箱の中は雇用保険制度ということでお考えいただければと思いますが、まず①として、求職者給付等に要する費用についてということで、特例的に一般会計から令和4年度まで、合計累計2.5兆円が積立金のほうに繰り入れられているという状況でございます。
 他方、二事業につきましても、②としまして、新型コロナ対応休業支援金、雇用調整助成金等に要する費用の一部として、一般会計から繰り入れるということがなされております。
 こちらは、令和2年度から令和4年度まで、累計約1.6兆円が繰り入れられているという状況でございます。
 また、臨時特例法では③ということで、積立金から育児休業給付資金にも貸し出すことができるという規定がございますが、こちらにつきましては、実績はございません。
 一方、④、積立金から雇用安定事業に要する経費を貸し出すことができるということ、この規定に基づきまして、令和2年度1.4兆円、令和3年度1.4兆円、令和4年度0.06兆円ということで、累計2.9兆円が貸し出された状況となっているところでございます。
 こちらの取扱いにつきましては、3つほどポツを記載させていただいております。
 まず1つ目、この積立金からの借入金の返還には、雇用保険二事業の収支の剰余を活用することとなってございます。ただし、毎年剰余額の2分の1の範囲内で雇用安定資金への積立てが可能ということとなってございます。
 こちらは、昨年度の令和5年度分につきましては、剰余金を全額積立金のほうに返還をしたという状況でございます。
 この1つ目のポツですが、こちらは毎年の返済のスピードをいかにするかという観点の論点でございます。
 次、2ポツ目、3ポツ目でございます。
 雇用保険財政や雇用保険二事業の実施の状況等を勘案して、厚生労働大臣が財務大臣に協議して、返済必要額から一定額の控除、返済免除をすることが可能と、これが令和6年度までを目途に、雇用保険財政等を踏まえ、控除の在り方を検討ということとされているところでございます。
 こちらの論点は、貸し出された返済総額2.9兆円をどうするかという論点がございます。
 したがいまして、毎年の返還額をどうするかという論点と、返済総額をどうするかという2つの論点があるといったところを御認識いただき、御議論いただければと考えてございます。
 11ページ目は、雇用保険法の一部改正法、令和4年度の附則におきまして、先ほど申し上げた令和6年度までを目途に、控除の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとするといったこと。
 また、昨年、令和5年12月の財務大臣、厚労大臣の大臣折衝事項におきましては、令和5年度の二事業の剰余金につきましては、全額繰り入れることとし、控除の在り方それ自体につきましては、上記の法律の附則に基づいて、引き続き検討するというところとなっているところでございます。
 12ページ、本年1月の雇用保険部会報告の抜粋でございますが、本論点につきましては、真ん中の○にございます。
 雇用保険二事業による失業等給付の積立金からの繰入額に係る控除の在り方については、令和4年雇用保険法改正法附則第9条第3項の規定に基づき、引き続き検討すべきであると記載されている上、使用者代表委員からは、今後の控除の在り方の検討に当たって、有事の際に適切な対応ができないおそれがあることから、雇用保険二事業の財政再建に向けた道筋を早急に明確化することが不可欠であるとの意見。雇用調整助成金の特例措置が、新型コロナウイルス感染症の拡大の際の失業予防に一定の機能を果たしたことを踏まえ、その費用の全額を事業主のみが拠出する保険料で賄われている雇用保険二事業で負担することが妥当なのか等の観点から、返還の在り方の議論を行うべきであるとの意見。雇用安定資金へ積立金から繰り入れられた金額には、失業当等給付に充てるために、一般会計から繰り入れたものも含まれていることを広く関係者間で共有すべきであるとの意見があったと記載されている一方、労働者代表委員からは、労働者が拠出した保険料が含まれる積立金からの繰入額は、積立金の推移などにかかわらず、最優先で補填されるべきであるとの意見があったと、こういう記載がされているところでございます。
 以上が、失業等給付及び雇用保険二事業に関する来年度の保険料率を検討するに当たってのデータ、制度の概要等についての資料及び説明でございました。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見があったらお伺いしたいと思います。
 では、冨髙委員。
○冨髙委員 御説明ありがとうございました。
 雇用保険の財政運営の検討を始めるということですので、改めて、雇用保険制度の重要性について申し上げておきたいと思います。
 雇用保険制度は、労働者の生活及び雇用の安定、就職の促進など、政府の雇用政策を支える制度として非常に重要な役割を担っていると思いますし、その財政運営は、給付と財政の安定性のバランスを考慮しながら、適切な水準を保つことが求められると考えております。
 そのためには、十分な国庫負担を維持した上で、適切な保険料負担、そして、一般会計から繰入れる仕組み、こういったものを通じて、安定的な制度運営に必要な予算・財源を確保するということ、そのうえで雇用保険のセーフティネット機能を、さらに強化するということが重要だと考えております。
 今回、提示していただいた失業等給付の保険料率については、弾力条項の計算結果によると保険料率の引下げが可能という御説明をいただきましたが、この保険料率の検討に当たっては、将来にわたって、雇用保険財政が安定的に運営できるように、今後の推計も踏まえて、丁寧に議論を行うことが重要だと考えております。
 その上で、検討するに当たりましては、今般の法改正などによる財政運営の影響等も考慮する必要があると思っておりますし、保険料率の引下げ幅や、また、積立金から雇用保険二事業への貸出額の返還方法など、様々な試算を提示していただき、検討をする必要があると考えております。
 また、積立金から二事業への貸し出しについても御説明いただきました。従来から申し上げておりますけれども、コロナ禍における積立金からの二事業への累計2.9兆円の貸し出しについては、労働者が負担する保険料が含まれているため、最優先で保全されるべきであると考えていることを、改めて申し上げておきたいと思います。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 では、続きまして、オンラインの清田委員が手を挙げていらっしゃいます。
○清田委員 ありがとうございます。日商の清田でございます。
 私からは、二事業の失業等給付からの借入金について意見を申し上げます。
 かねてから申し上げていることの繰り返しになってしまいますが、二事業の借入れが発生した要因というのは、明確にコロナ禍における雇調金対応であり、当時の雇調金が、国家全体での緊急事態において、失業の抑制に果たした役割というものを踏まえますと、二事業ではなく、一般会計で措置するべきであったということは、繰り返し述べさせていただいているところでございます。
 他方で、既に二事業から拠出されているという現状を踏まえますと、失業等給付への一定程度の返済を行っていく必要性というのは理解しております。
 ただ、返済の検討に当たりましては、二事業の安定的な運営を担保するためにも、一部免除をし、現実的な返済額を検討していくべきだと考えております。
 一般会計が、失業等給付勘定にコロナ禍において投入されている中で、投入前後の失業等給付の収支や、失業率の推移などを見ましても、その大半が雇用調整助成金の原資となっているということが推察できる状況です。一般会計から失業等給付への投入額というものを目安に免除を検討することが妥当だと考えております。
 コストの増加に中小企業は悩んでおります。二事業を含む雇用保険の料率引き上げには、懸念が非常に強くございます。財政の早期健全化に取組、料率の引上げが可能な限り抑制されるような財政運営をお願いしたいと思います。
 最後に、今後こうした議論が起きないよう、国家の非常事態における雇用の維持、安定の支援の在り方、財政支援の在り方につきましては、平時からしっかりと検討を行うべきだと考えております。
 私からは以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに、どなたか。
 では、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 御説明ありがとうございました。
 これから議論を本格的に深めていくにあたり、今後の財政運営について基本的な考え方を、今日申し上げておきたいと思います。
 資料の2の6ページで示されているとおり、コロナ禍における雇用調整助成金の大幅な支出によって、失業等給付の積立金を経由した雇用保険二事業への借入額は、約2.9兆円に達しました。
 令和5年度雇用保険二事業の差引剰余を全額返済に回しても、依然として借入額は2.5兆円を超えており、財政は危機的な状況にあると認識しております。
 さらに足元では、能登半島地震への対応等で、令和7年度の雇調金の予算の要求額が98億円ということで、昨年の当初予算と比較しますと、46億円程度増加しています。今後の雇用情勢の悪化に備える観点からも、早期の財政健全化は不可欠であると考えています。
 このような危機的な現状を放置することは、平常時に段階的に積み立てておいて、必要に応じて使用できるという雇用安定資金の基本的な考え方を、長期にわたって放棄することと同義なのではないかと認識しております。関係者間で危機感を共有しながら議論を深めていくことが重要だと思っております。
 11月13日開催の財政審の分科会の資料においては、「失業等給付の積立金は、いまだコロナ禍からの回復段階にあり、また、コロナ対応での一般会計から累計2.5兆円の任意繰入れを行って間もない雇用保険財政の状況を踏まえれば、今後の失業等給付への対応力を高め、新たな一般会計からの任意繰入れに安易につながらないようにする必要がある」とされましたが、今般の巨額の繰入れにつきましては、コロナ禍において感染症対策として、国や地方自治体の要請によって多くの事業者が休業を余儀なくされる中で、失業予防策として、多くの特例措置を講じて雇調金を活用するために行われたものです。働き手と、その家族を含む多くの国民生活を守ることに大いに寄与したということに鑑みれば、事業主だけで拠出している雇用保険二事業で全額返済することは、適切ではないと考えております。
 令和2年度における積立金から雇用保険二事業への約1.4兆円の繰入れは、これまで労使で積み立ててきた保険料を原資とする積立金から拠出されたことが明らかであることを踏まえて、適切な返済方法を検討することが必要です。他方、令和3年度、4年度の繰入れの約1.5兆円は、コロナ禍における失業予防策として、雇調金の特例措置に必要な費用を一般会計から臨時特例法等の定めの関係で形式的に積立金を経由して、雇用安定資金に算入されたものと承知しております。
 こうした事実に基づきながら、我が国全体の財政状況も踏まえた、雇用保険財政の早期健全化の道筋を明確にすべく、厚生労働省に対しては、財政当局との早期調整を強く要望したいと思っております。
 それから、今、申し上げた基本的な考え方は、ちょうど3年前の第161回の雇用保険部会で同趣旨のことを申し上げておりますので、御検討をよろしくお願いしたいと思っております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか。
 では、渡辺委員、お願いいたします。
○渡辺委員 ありがとうございます。
 失業等給付の弾力条項、発動できるような状況でございます。
 私としては、この弾力条項を適用して、保険料率の引下げの方向で検討、議論を進めていくべきではないかと思っているところです。
 なお、その際には、やはり安定的な運営が大事でございますので、料率を変化させたことによる、御説明の中でも上限下限に張り付いていない形での、過去に昭和50年とかにやったこともあるということでございますので、そのような料率を変化させたことによるシミュレーション、ある程度中長期的なものも踏まえた形での想定がないと、多分、どの料率が適切かとかいう議論ができないと思いますので、その辺の資料、参考となるものを次回以降提供いただければというのが1点。
 あとは、失業等給付の、積立金からの二事業の雇用安定資金の借入れの返済についてですけれども、こちらは、先ほど部会報告の中でもあった内容にも近いところかと思いますけれども、本来、コロナ対応は、国の緊急事態への対応として、一般財源で行うべきところを事業主負担の雇用安定資金で実施したといった面もあろうかと思います。
 その結果、コロナ拡大時の失業予防とか雇用維持に寄与した一方で、これまでの御説明のとおり、資金が枯渇した状況になっておりまして、その結果、失業等給付の積立金からの借入れが生じたと。
 そのような経緯を考えますと、雇用安定資金残高を、コロナ前の水準に回復させるためには、失業等給付への積立金の返済については、相当程度免除していただく必要があると考えております。
 また、この二事業の立て直しを図るためには、積立金の返済について可能かつ適正な範囲で免除をいただくことが必要と考えております。
 単年度剰余が出た場合、全額を返済に充てるのではなく、説明にもありました、2分の1は、そのまま安定資金に積み立てた上で、その半分を返済といった形で進めていくのが妥当ではないかと考えているところでございます。
 あと、制度の理解が十分でないかもしれませんが、この2分の1の返済比率は、毎年協議ということではなく、可能であるならば、シミュレーションを行う上でも、ある程度固定できたほうが、予測可能性が高まると思うので、可能であれば、毎年同じような返済の協議をするのではなく、ある程度固定ができるのであれば、そういった方法も模索していくことが、予見可能性があるような形での今後の議論ができるのではないかと考えております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに、どなたか御意見、御質問は、オンラインの方も大丈夫ですかね。
 では、お願いします。
○岡雇用保険課長 労使の皆様方から、貴重な御意見をありがとうございました。
 先ほど資料の説明でもございましたように、令和5年度の決算の数値を当てはめますと、失業等給付の保険料率については、弾力条項が発動できる状況にあるということでございます。
 しかしながら、雇用保険は、先ほど冨髙委員からも御指摘がありましたように、労働者の生活の安定、それから就職の促進のための重要な手段ということになりますので、安定的な運営というのが大事かと思います。
 確かに、今日の資料だけでは、料率を変更した場合にどうなるかというのが分からないということもございますので、次回、失業等給付、それから積立金への繰入れの話もございますので、二事業のほうも含めまして、料率、それから、返還を全額した場合あるいは2分の1は雇用安定資金のほうに残して、残りは積立金に繰り入れる場合、様々なパターンがあると思いますので、それぞれ変えるとどうなるかという資料を御準備して御議論いただきたいと思っております。
 また、積立金への繰入れでございますけれども、法律上、控除もできることになってございます。
 平田委員をはじめ、使用者側の皆様からも御意見がございましたように、コロナ禍という非常に国家の緊急事態の中で、雇調金が失業の予防に果たした役割というのは非常に大きいかったと思っております。
 本来であれば、全額一般会計でやるべきだったのではないかという御意見も、ごもっともなところではございます。
 一方で、冨髙委員から御意見がございましたように、積立金からの繰入れには、労使の皆様からの保険料が充てられているという側面もございます。
 そういったことも総合的に勘案して、皆様方からも御意見をいただきながら、当局のほうでは財務当局のほうに今後協議していく必要があると考えておりますので、引き続き、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
 それから、渡辺委員から積立金への繰入れについて毎年協議しなくてはいけないかという御質問をいただきました。
 これにつきまして、令和5年度決算については、昨年の厚労大臣と財務大臣の協議の結果、令和5年度の剰余については、全額繰り入れるという合意になったわけでございます。
 令和6年度以降については、まだ、何も決まっていないという状況でございますので、先ほど申し上げましたように、この部会でいただいた御意見を踏まえて、厚労省のほうでは財務省のほうと折衝し、最終的には大臣協議ということにもなるわけですけれども、その中で令和6年度決算の余剰についてどうするのか、あるいはその後の返済の仕方についてもどうするか両方の決め方があると思います。
 先ほど、できるだけ固定したほうが、先の見通しも立ちやすいという御意見もございましたので、皆様方がそういう方向であれば、そういったことも踏まえて折衝していく必要があると考えてございます。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、資料の1と2については、以上とさせていただきたいと思います。
 事務局におかれましては、本日、委員からいただいた御意見を踏まえて対応をお願いします。
 続いて、資料3についてに移りたいと思います。まず、事務局より御説明をお願いいたします。
○鈴木調査官 資料3、こちらは、育児休業給付に関する論点でございます。資料に基づいて御説明をさせていただきます。
 まず、2ページ、雇用保険制度の体系図でございます。
 先般の法改正により、出生後休業支援給付及び育児時短就業給付というものが創設されましたので、育児休業給付と併せて、育児休業等給付となり、拡充された形となってございます。
 なお、注にございますとおり、この出生後休業支援給付及び育児時短就業給付は、雇用保険料ではなく、新たに創設される子ども・子育ての支援納付金を財源とすることとされているものでございます。
 3ページ目から5ページ目までにつきましては、育児休業給付、出生後休業支援給付、育児時短就業給付に関する制度概要資料でございまして、これまで幾度と資料として配付させていただいているものですので、割愛をさせていただきます。
 6ページを御覧ください。
 育児休業給付の保険料率を検討するに当たりまして、幾つかデータをお示しさせていただきたいと思います。
 まず、人口動態でございます。
 御案内のとおり、日本の人口というものは、近年、減少局面を迎えているということでございます。
 高齢化率は、将来的には39%の水準になると推定をされております。また、育児休業給付に関しては、一番下の14歳以下人口の部分が一番関連するかと思いますけれども、こちらにつきましても、今後、減少が見込まれているところでございます。
 7ページ、こちらは、出生数に限った推計と実績というものでございます。
 赤のラインが実績でございますが、2015年の100万人強から、直近2023年度につきましては72.7万人というところで、一貫して減少傾向となっているところでございます。
 以上が出生数の動向ですが、8ページ、育児休業の取得率・取得期間の状況でございます。
 出生数は減少傾向にございますが、育児休業取得率は上昇傾向ということでございます。
 女性につきましては、8割台で推移している一方、男性は女性に比べて低い水準ということではございますが、この1年で見ますと、17%から30%ということで、13%の増加ということで伸び率が大きくなっているところでございます。
 政府目標としましては、2025年50%、2030年85%とさせていただいておりますので、今後もこちらは伸びていくことが想定されているということでございます。
 取得期間につきましては、女性は9割以上が6か月以上である一方、男性につきましては、いまだ約4割が2週間未満というところでございますので、こちらの取得期間の長さというものも、男性につきましては、引き続き課題となっているところでございます。
 9ページが、出生数と育児休業給付の初回受給者数を比較したものでございますが、御説明したとおり、出生数につきましては、10年間で約30万弱減少している一方、育児休業給付の初回受給者数につきましては、10年前の平成26年度の27.4万人から、令和5年度は、ほぼ倍増の53.3万人ということで上昇している状況でございます。
 10ページ目、育児休業給付の受給者数が、このように増えてきているということもありまして、育児休業給付の給付額につきましても、近年、大きな伸びとなっているところでございます。
 直近、令和5年度におきましては、受給者数が約53万人に対して、給付額が7500億という状況となってございます。
 こちらの資料には、赤が女性、青が男性と性別も棒グラフに反映させておりますが、男性の部分につきまして上昇率が高いという状況でございます。
 11ページ「育児休業給付に係る雇用保険料率、国庫負担割合、支給額及び育児休業給付資金残高の推移」ということでございます。
 令和5年度までの収入額、支給額を見ていただきますと、支給額が増えてきている中で、徐々に収支差が縮まってきていたところでございました。
 育児休業給付の財政基盤の強化という課題を受けまして、令和6年度の雇用保険法改正では、国庫負担の本則復帰ということで、8分の1に戻すということ及び育児休業給付の保険料率につきましては、令和7年度から本則0.5としつつ、財政状況に応じて0.4%に据え置くことができるという内容の法改正を実施したところでございます。
 12ページ、育児休業給付勘定の収支状況というところでございます。
 直近の決算、令和5年度の部分を御覧いただければと思いますが、収入が8000億強、支出が7600億強ということで、差引剰余が400億ということとなってございます。
 引き続き黒字ではございますが、その黒字幅というものは、令和2年度からの推移を見ていただきますと、差引剰余の部分を見ていただきますと、徐々に減少してきているところでございます。
 令和6年度につきましては、先ほど申し上げました、国庫負担の本則復帰というものがなされますので、約1000億強の収入増が見込まれているところでございますが、足元では、取得者数の増に伴い支給が伸びているところでございますので、引き続き予断は許さない状況かと考えているところでございます。
 13ページから15ページにつきましては、細かい支給状況、先ほどの資料1の主要指標で御説明した内容と重複いたしますので、割愛をさせていただきます。
 16ページ、こちらが令和6年度の法改正により行った育児休業給付の財政基盤強化の内容でございます。
 真ん中の令和6年度改正内容の①、②の部分でございますが、まず、国庫負担割合を原則本則の8分の1に引き上げるということ。こちらにつきましては、令和6年度から実施しているということでございます。
 今回の御議論いただきたい部分は、②の部分でございます。この法改正におきまして、本則料率を令和7年度から0.5%に引き上げる改正を行うことをさせていただきましたが、実際の保険料率につきましては、保険財政の状況に応じて、弾力的に調整する仕組みを導入することとされたところでございます。
 こちらが、令和7年度4月1日施行ということで、こちらに基づきまして、来年度の保険料率をどうするかという御議論をいただく必要があるところでございます。
 この②の仕組みは、どういうものかというものでございますが、こちらは、図で言うと下のA、Bという部分、字では注3の部分でございます。
 「前年度(N年度)」と書かれております。こちらは、仮に直近のNを最新の決算値の令和5年度と当てはめて御説明をさせいただきますと、令和5年度の決算を踏まえた令和6年度の積立金残高見込みと、令和7年度の収入見込みの合計額が、令和7年度の支出の1.2倍を超える場合には、労政審の意見を聞いた上で、令和7年度の料率を0.4%とすることができることとするというものでございます。
 したがいまして、続く17ページでございますが、本則は、令和7年度から1,000分の5になるわけですけれども、安定的な財政が見込まれる場合には、1,000分の4に据え置くことができるという仕組みでございまして、こちらは、昨年度の決算額によって計算しますと、1.54ということで、法律上1.2を超える場合には、保険料率を1,000分の4とすることが可能となってございますので、引き続き、現状の保険料率を0.4%に据え置くことができる状況というものが、来年度も見込まれているという状況でございます。
 18ページ、こうした新しい保険料率の設定の仕組みを導入することを御了承いただきました際の雇用保険部会における指摘の御紹介でございます。
 真ん中の○でございますが、この仕組みの下で本部会において、実際の保険料率を弾力的に調整できるかを毎年度丁寧に確認すべきである。なお、本部会で上記の確認を行う際には、併せて、保険料が事業主や労働者に影響を与えるものであることも十分に認識しつつ、財政状況のみならず、人口や出生数、育児休業の取得率や期間、育児休業給付の支給実績等の育児休業給付の現状や見通しに基づいた丁寧な議論を行うべきという御指摘をいただいております。
 8のその他の後段、「また」以下でございますが、育児休業給付に係る財政基盤強化策を講じた上で、今後、将来において、育児休業給付の財政状況が安定的に推移することとなった場合においては、育児休業給付の財政状況、一般会計の財政状況等を踏まえ、今般の財政基盤強化策について、必要な見直しを行うこととすべきであると、こういった御指摘をいただいているところでございます。
 以上の点を踏まえまして、来年度の育児休業給付の保険料率について、御議論をいただければと考えてございます。
 事務局からは以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見があったらお伺いしたいと思います。どなたからでも、どうぞ。
 では、内藤委員、お願いします。
○内藤委員 御説明ありがとうございました。
 育児休業給付につきまして、給付の現状と、これまでの推移をお示しいただきました。育児休業給付は、今般の法改正によって、国庫負担割合を8分の1に戻すとともに、出生後休業支援給付及び育児時短就業給付が創設され、いずれも今後の育児休業給付の財政運営に影響があるものと理解をしています。
 現状の状況だけ見ますと、資料3の16ページに記載がありますとおり、保険料率の弾力的な仕組みの導入時に、「当面の保険料率は現行の0.4%に据え置きつつ」とされたことや、17ページの弾力条項の計算の結果、また、労働者への影響も考慮し、保険料率は0.4%に据え置くことが妥当だと思いますが、令和6年雇用保険部会の報告に記されたとおり、現状だけではなく、将来の見通しも踏まえた丁寧な議論が必要だと考えています。
 事務局におかれましては、創設された新たな給付の影響なども踏まえた、今後の育児休業給付の財政の試算を示していただくようにお願いしたいと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに、どなたか。
 では、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 育児休業給付については、現状において弾力倍率を計算すると1.54ということですが、ご説明のあった人口推計などを踏まえて、少し長めのスパンで見通しを示してもらえると議論がしやすいので、御検討をいただければと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに、どなたか。
 大丈夫ですかね。オンラインの方も大丈夫ですね。
 ありがとうございました。
 それでは、資料3につきましては、以上とさせていただきたいと思います。
 事務局におかれましては、本日委員からいただいた御意見を踏まえて対応をお願いします。
○岡雇用保険課長 育児休業給付につきましても、皆様方の御意見を踏まえまして、次回、シミュレーションのほうをお出ししたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○守島部会長 それでは、本日予定されている議題は以上ですので、本日の部会は、これで終了させていただきたいと思います。
 皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、どうもありがとうございました。