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第14回職場適応援助者の育成・確保に関する作業部会(議事録)
日時
令和6年10月23日(水)10:00~12:00
場所
オンラインによる開催(厚生労働省職業安定局第1会議室)
議事
○北里地域就労支援室室長補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまから「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会第14回職場適応援助者の育成・確保に関する作業部会」を開催します。私は4月に障害者雇用対策課地域就労支援室に異動してきました北里と申します。どうぞよろしくお願いいたします。皆様方におかれましては、お忙しいところ御参集いただきまして誠にありがとうございます。
本日の作業部会は、こちらの会場とZOOMを使ったオンラインで開催します。開催に当たりまして、簡単ではありますがオンラインについて操作方法のポイントを御説明させていただきます。作業部会の進行中は皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言をされる際はサービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックし、主査の許可があった後にマイクをオンにして、聴覚・視覚障害者の方々への情報保障という観点から、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。会議進行中、トラブルがありましたら、事前にメールでお送りしています電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。通信遮断等が生じた場合には一時休憩とさせていただくこともありますので、御容赦くださいますようお願いいたします。なお、本作業部会は、御希望の方に傍聴いただいていますので、あらかじめ御了承願えますようお願いいたします。
それでは、議事に先立ちまして、事務局である障害者雇用対策課に人事異動がありましたので御紹介します。
○安蒜地域就労支援室室長 4月1日付けで地域就労支援室長に就任しました安蒜です。どうぞよろしくお願いいたします。
○北里地域就労支援室室長補佐 続きまして、資料の確認です。本日の資料は、議事次第、資料1、参考資料、この3点となります。お手元にございますか。
それでは、議事に入らせていただきます。以後の進行は、小川主査にお願いしたいと思います。小川主査、よろしくお願いいたします。
○小川主査 小川です。本日もよろしくお願いいたします。本日の議題は、(1)ジョブコーチなどの障害者就労を支える人材の資格化に向けた検討について、(2)その他となっています。この2つの議題について、本日、取り扱っていきます。それでは、早速、議題(1)について事務局から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○安蒜地域就労支援室室長 地域就労支援室長の安蒜です。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、本年度第1回の作業部会となりますので、まず振り返りとして、これまでの検討経緯を御説明させていただきます。お手元の資料1の中表紙の1ページを御覧ください。これまでの作業部会では、親検討会での検討も含めまして、人材育成体系の見直し、具体的には基礎的研修の創設や研修体系の階層化などの方向性を議論してきました。一連の検討は雇用と福祉の連携促進の観点から進めてきまして、その端緒は次のページとなります。
令和元年の障害者雇用促進法の改正、その際の附帯決議となっています。そして、その決議を踏まえまして、厚生労働省にプロジェクトチームを設置し、そこで両者、雇用と福祉が一丸となった就労支援に係る専門人材の育成・確保を推進するといった人材育成の方針が取りまとめられています。
次のページを御覧ください。こちらは雇用と福祉の連携検討会、親検討会の開催状況をまとめたものです。会議は7回にわたって開催していまして、令和3年6月4日に報告書を取りまとめています。
報告書の内容は次のページとなりますが、検討会では3つのワーキンググループを設けて議論を行っています。そして、そのうちの第2WGで、障害者就労を支える人材の育成・確保の方針が整理されています。具体的には、その下の3点、「雇用と福祉の両分野の基本的な知識等を分野横断的に付与する基礎的な研修を確立する」、「専門人材の高度化に向けた階層的な研修制度を創設する」、「専門人材の社会的認知度の向上や社会的・経済的地位の向上等による専門人材の確保を図る」といった方針が整理されています。
そして、次のページが報告書を踏まえた具体的な対応となります。まず1つ目の対応として、基礎的研修を創設することとしています。こちらは現在、令和7年度中の開始に向けた準備を進めています。
2つ目の対応として、基礎的研修の受講後に、ジョブコーチやナカポツセンターなどの専門研修を受講する流れに、研修を階層化することとしています。併せて、スーパーバイズなどを行う上級ジョブコーチを設けることとしています。こちらも現在、令和7年度中の開始に向けて準備を進めています。
3つ目の対応が、今年度の作業部会で御議論いただく障害者就労支援人材の資格に関するものとなります。
それでは、次のページを御覧ください。こちらは報告書の別紙となります。研修の流れをまとめたものです。赤字で記載している部分が基礎的研修となります。こちらは障害者就労支援に携わる幅広い皆様が受講した後に、それぞれの専門研修を受講する流れとなります。専門研修は、左がナカポツセンターを対象としたもので3階層、真ん中がジョブコーチを対象としたもので2階層、こちらは新たに上級ジョブコーチの研修を追加しています。そして、その右がJEEDの専門研修とサービス管理責任者の研修となっています。
それでは、次のページを御覧ください。こちらは、これまでの作業部会の開催状況です。令和4年4月から13回にわたって構成員の皆様に御議論いただいており、令和4年度と令和5年度に報告書を取りまとめていただいています。
その内容は次のページです。令和4年の報告書では、基礎的研修の創設に伴うジョブコーチ養成研修のモデルカリキュラムの見直し、上級ジョブコーチの人材像と業務範囲の整理、ジョブコーチに関する助成措置の見直しなどを整理していただいています。そして、5年度では、ジョブコーチ支援の活性化に向けた対応方策、上級ジョブコーチ養成研修のモデルカリキュラム作成、障害者就労支援人材の資格化の課題整理などをまとめていただいています。そして、以上がこれまでの検討経緯となります。
次のページを御覧ください。6年度の作業部会の検討事項として、ジョブコーチなどの障害者就労を支える人材の資格化の検討について御説明します。
次のページを御覧ください。こちらは、これまでの検討会、作業部会での指摘となります。まず検討会では、障害者就労を支える人材の育成・確保に向け、障害者就労に携わる専門人材の社会的認知度の向上、社会的・経済的地位の向上が求められる。就労支援に携わる人材の何らかの資格化が急務との指摘がなされています。そして、作業部会において、資格化の人物像は、ジョブコーチの職務より広くして、「障害者就労支援に関して専門性を有する人材」としてはどうかということ。また、業界団体が設立され、そこで能力評価試験の実績が積み上げられていくことで、資格化に向けた対応が前進するのではないかということ。そして、令和6年度の作業部会で資格の対象となる人物像を検討するといった方向性が取りまとめられています。
次のページを御覧ください。こちらは国家資格の運営に関する行政改革の方針となります。まず、上段は、昭和58年の臨時行政調査会の第五次答申となります。こちらで、試験事務の民間団体への委譲を進めるという方針が定められています。その下は、平成17年に閣議決定された行政改革の重要方針となります。技能検定制度、これは厚生労働省が職業能力開発促進法に基づいて運営している国家検定制度ですが、その新設の職種については、民間の指定試験機関において行うことを原則とするという方針が定められています。そして、以上の規定によって、国家資格の運営は、原則として民間団体が行うこととされています。
次のページですが、厚生労働省が運営する主な国家資格の実施機関となります。上段が技能検定で、後段がその他の資格となります。
次のページを御覧ください。こちらは障害者就労支援人材の資格化の効果・目的をまとめたものとなります。まず1つ目は、ステイタスとして障害者就労支援人材の認知度、プレゼンスを向上させて、人材確保につなげるということです。2つ目は、スキルアップ、キャリアプランニングツールとして、障害者就労支援人材の円滑な人材育成、キャリアプランニングにつなげるということです。具体的には、研修と検定を組み合わせて、手厚くスキルアップできるようにすること、また、資格取得を目標に、キャリアプランニングできるようにすることとなります。3つ目は、技術、技能を評価する「ものさし」として、障害者就労支援人材の円滑な勤務評価、処遇改善につなげるということです。具体的には、企業による資格取得の勤務評価への活用を推進して、賃上げなどの処遇改善につなげるということになります。以上を通じて、障害者就労支援の体制を強化して、障害者雇用を推進するということが目的となります。
次のページを御覧ください。こちらは資格構築の主なプロセスをまとめたもので、5つに分けて整理しています。ステップ1は、資格の対象となる労働者の勤務年数などを検討して、資格の技能レベルを決定する工程となります。ステップ2は、資格の対象となる技能の範囲を整理する。具体的には、対象となる労働者の職務を整理する工程となります。そして、ステップ3は、職務を一連の作業に整理し、個々の作業に求められる技能、知識を整理する。いわゆる職務分析の工程となります。ステップ4は、以上で整理した職務、作業、技能、知識をもとに、試験基準(試験科目など)を作成する工程となります。ステップ5は、試験基準に基づいて、試験問題、採点基準などを作成する工程となります。
次のページを御覧ください。ここからは、これまでの御議論を踏まえました事務局案について御説明します。今年度の作業部会では、こちらの事務局案を御議論いただきたいと考えています。
具体的な提案は次のページとなります。まず1点目は、資格の対象となる技能の範囲に関する提案となります。資格は、障害者就労支援に関する総合的な技能・知識を検定する資格、例えば障害者就労支援士検定といった名称の資格としてはどうかとの提案となります。こちらは、昨年度の作業部会でお示しいただいた方向性を踏まえたものとしています。
次に2点目は、技能レベルに関する提案となります。具体的には、中級レベルの資格を創設し、将来的に上級レベル、初級レベルの創設を検討してはどうかとの提案となります。資格創設の目的は、先ほど申しましたとおり、ステイタスとして障害者就労支援人材の認知度やプレゼンスを高めることとなりますので、より多くの方に受検していただくことと、資格の信用度を高めることが重要となります。初級レベルの資格には、間口を広くして受検しやすくするというメリットがあって、上級レベルの資格には信用度を高くするというメリットがあります。中級レベルの資格は、その双方のバランスを踏まえ、その相互を見据えたものとなります。
次に3点目です。こちらは試験基準に関する提案となります。試験基準は、障害者就労支援分野の横断的な知識・スキルの習得を目的に科目を整理した基礎的研修のカリキュラム、シラバスを参考に作成してはどうかとの提案となります。先ほど御説明しましたとおり、資格創設のプロセスは資格の対象となる人材の職務分析を行って、それを踏まえて試験科目を整理していく流れになります。本資格の合格者の人物像は、障害者就労支援に関する総合的な技能・知識を持つ人材となりますので、障害者就労支援分野全般の知識を学ぶものとして整理された基礎的研修のカリキュラム、それらと対象となる技能の範囲が共通しているものと考えています。このため、それらをベースに御議論いただいてはどうかとの提案となります。
次の4点目は、ロードマップに関する提案となります。資格創設のロードマップは、まず、業界団体が運営する民間検定を創設し、民間検定が安定的に運営できるようになった段階で、国家資格への移行を検討することとしてはどうかとの提案となります。先ほど、国家資格の運営は民間団体が行うことが原則であると御説明しましたが、こちらは、それを踏まえたものとなります。
次は、厚生労働省がモデル試験基準に準拠して行う検定を、基礎的研修の受講を免除する検定として指定する仕組みを設けてはどうかという提案になります。こちらは後ほど御説明をさせていただきますが、受検のインセンティブに関するものとなります。
次のページを御覧ください。こちらは検定のイメージをまとめたものとなります。ただいま申し上げたとおり、業界団体が民間検定として運営し、厚生労働省がモデル試験基準に準拠して行う検定として指定します。それらにより、基礎的研修の受講を免除します。合格者の人物像が障害者雇用及び就労支援に関する総合的な知識、技能を持つ者、具体的には中級レベルの障害者就労支援人材としています。
受検資格は、障害者就労支援の実務経験3年以上の者又は職場適応援助者養成研修(ジョブコーチ養成研修)を終了し、障害者就労支援に従事している者としています。試験内容は学科試験としています。その下は試験科目のイメージとなりますが、ただいま申し上げたとおり、基礎的研修の科目としています。
そして、以上の検定を、下段に記載していますような幅広い障害者就労支援機関で勤務する方々が受検すること、各機関が合格者を採用したり、検定取得を処遇に反映させたりすることを通じて、右側に赤字で記載していますが、障害者就労支援の総合的な技能・知識を持つ人材の育成、障害者就労支援分野の認知度・プレゼンスの向上、障害者就労支援人材の質・量の確保・障害者雇用の推進という目的につなげるイメージとしています。そして、業界団体が試験問題の作成や試験実施などの運営を行い、創設のロードマップは、先ほど申しましたとおり、中級レベルの創設後、上級、初級の創設を検討する流れとしています。
次のページを御覧ください。こちらは検定と研修の関係を整理したものとなります。先ほど申しましたとおり、今後、研修は基礎的研修を受講した後に、ジョブコーチやナカポツなどの専門研修を受ける流れに階層化されます。それぞれのレベル感としては、基礎的研修が「基礎レベル」、専門研修の下の部分が「中級レベル」、その上の部分が「上級レベル」となります。そこに、中級レベルの検定を追加して、厚生労働省が指定検定として指定することにより、合格者の基礎的研修の受講を免除します。これによって、基礎的研修とジョブコーチなどの専門研修を受講してから検定を受検する流れ、また、基礎的研修を受講してから検定を受検し、その後、専門研修を受講する流れを作ります。それによって、現在、研修のみとなっている人材育成のルートを、検定を加えた複線に多様化させて、検定と研修を相互に受検、受講しながら階層的にスキルアップする流れを作ります。それを効率的な人材育成、人材確保につなげるイメージとしています。そして、厚生労働省指定検定のインセンティブは下段に赤字で記載しています。厚生労働省による検定水準の保証と基礎的研修の受講免除としています。
次のページを御覧ください。こちらは資格創設のロードマップとなります。まず、左側の上段ですが、今年度は作業部会で今後の方向性を取りまとめます。具体的には、このロードマップと、厚生労働省指定検定のモデル試験基準(応募資格、試験科目など)の作成を行います。そして、次年度以降は、右側の業界団体設立の流れとなります。関係者の皆様に御尽力を頂きながら業界団体を設立していただいて、体制、経理的、技術的基礎を整備していただきます。
その流れと並行して、厚生労働省は指定検定のモデル問題作成を行います。モデル問題作成委員会の設置と、問題作成、プレ実施、問題水準検証などを行います。その後、指定検定の指定を行って、業界団体に対してモデル問題の提供、問題作成の技術的助言などを行います。
そして、それを受けた業界団体は、民間検定の創設準備を行います。モデル問題を参考にした試験問題の作成と、試験実施体制の整備を行います。以上によって、民間検定が実施されることになりますので、それを継続して実施していただいて、国家資格の移行目安となる受検実績を積み重ねて、問題の水準をばらつきなく作成するノウハウなどを確立していただきます。その後、民間検定が安定的に運営できるようになった段階で、民間資格の国家資格の移行を検討することとなります。以上が資格創設のロードマップとなります。
次のページを御覧ください。このページ以降は、検定のモデル試験科目となります。こちらは先ほど申しましたとおり、基礎的研修のカリキュラム、シラバスをベースに整理しています。こちらについては、本日の作業部会ではなく、次回の作業部会で御議論いただきたいと考えています。以上が資料の説明となります。
本日の作業部会では、資料の19ページまでを御議論いただきまして、20ページ以降は次回の作業部会で御議論いただきたいと考えています。そして、3回目の作業部会では、報告書案をお示しして御議論いただきたいと考えています。私からは以上です。
○小川主査 ありがとうございました。それでは、質疑応答に入っていきたいと思います。ただいま御説明いただいた事務局からの提案について、御意見や御質問がありましたら「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、私が指名した後、お名前を名乗ってから御発言いただくようにお願いいたします。内容がちょっと広範囲ですけれども、先ほど安蒜室長が整理されたように、まずは19ページまでの資料に焦点を当てて質疑応答していただきたいと思います。
それでは、いかがでしょうか。若尾構成員、お願いいたします。
○若尾構成員 ジョブコーチ・ネットワークの若尾です。よろしくお願いいたします。1点、確認なのですけれども、16ページの(技能レベル)というふうに書かれている欄で、「中級レベルの資格を創設し、将来的に、上級レベル、初級レベルの創設を検討してはどうか」というようになっております。技能検定に関しては、複数級というか、等級が設定されるということが前提にはなっているのですが、お示しいただいている資格創設のロードマップの時系列で見ていったときに、この上級レベル、初級レベルの創設を検討していくというタイミングなのですけれども、これは令和7年度以降の厚生労働省指定検定の指定というところぐらいに進めていくことになるのか、もうちょっと手前のほうで議論しながら作り出しをしていくのかというところを、すみません、事前のヒアリングの中でも聞けなかったのですが、これはどういうふうに整理したらよいかということを質問させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○小川主査 それでは、厚生労働省のほうからお願いいたします。
○安蒜地域就労支援室室長 御質問をありがとうございます。今回、新たな資格は中級レベルの単一等級の資格としております。複数等級を設けて、検定を階層化することには段階的なスキルアップを可能とするメリットがあると考えております。その一方で、ジョブコーチの養成研修等の中級レベルの専門研修より低い初級レベルの検定を創設すると、その検定の取得・合格のみで満足してしまい、中級レベルの専門研修を受けない方が一定数生じるおそれがあり、階層的に専門人材を育成していくという流れを阻害するおそれがあるので、まず、今回は「中級レベル」の検定を創設することとしております。
そして、上級レベルについては、受検者数が少なくなることが想定されます。国家資格の運営は収支を含めて民間団体に委ねることになりますので、受検料収入で試験業務の支出を賄う採算がとれるようにしないと、資格を創設することができません。上級レベルの資格は採算が合わなくなるおそれがあると考えています。このため、まずは中級レベルを創設して、受検者数や、専門研修の受講者数に与える状況を踏まえた上で、初級と上級のレベルを創設してはどうかと考えております。その時期は中級レベルが創設されて実際に運営が始まった後に、検討することになると考えております。
○小川主査 若尾構成員、よろしいでしょうか。
○若尾構成員 ありがとうございました。
○小川主査 そのほかはいかがでしょうか。木村構成員、どうぞ。
○木村構成員 木村です。お世話になります。私のほうから質問させていただきたいのは、19ページのロードマップの中に業界団体の設立ということが示されているのですが、今、現時点で、どういった方々が絡むような業界団体を、国のほうではイメージされているのかというのを教えていただければ有り難いと思っています。以上です。
○小川主査 事務局からお願いいたします。
○安蒜地域就労支援室室長 御質問ありがとうございます。今回の新たな資格は、障害者就労支援分野の広範な資格として考えております。このため、それを運営する団体も、障害者就労支援分野の関係者の皆様が広範に参画した業界団体を考えております。現在、障害者就労支援分野には、そういった業界団体がありませんので、これから関係者の皆様に創設していただきたいと考えております。
○小川主査 木村構成員、いかがでしょうか。
○木村構成員 ありがとうございます。
○小川主査 そのほか、いかがでしょうか。今の点で私からも1つ、すみません。今の木村構成員の関連で、私が1つ確認したいことがあるのですが、少々お待ちください。障害者就労支援と言ったときに、障害者雇用をする企業、これも障害者就労支援の範ちゅうに含まれるという理解でよろしいでしょうか。これは事務局への質問ですけれども、障害者就労支援の業界団体を設立する構成要素として、広範囲な障害者就労支援に関わる組織といったような御説明があったと思うのですけれども、障害者雇用に取り組む企業側、これについては、その範囲に含まれるかどうかの確認をさせていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○西澤障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の西澤です。基本的に運営は民間団体自体なので、国のほうで、これとあれがなきゃいけないというところまでは決められないのですけれども、我々の期待としては、もちろん今、支援をされているジョブコーチもありますし、関係サービスの団体ももちろんありますし、やはり企業というのも非常に大事なアクターですので、何らかの形で障害者雇用に関わる企業も関わってくると、団体として、かなり幅も広がりますし、安定した運営につながるのではないかと思っております。
○小川主査 分かりました。ありがとうございます。それでは、JEEDからお願いいたします。
○市川構成員 JEEDの市川です。聞こえていますでしょうか。
○小川主査 大丈夫です。
○市川構成員 17ページのところになります。まず、受検資格のところなのですけれども、2段目に「職場適応援助者養成研修を修了し」と書いております。下段の勤務機関に勤めておられる方が受検するという想定であると、職場適応援助者養成研修を修了しているということが前提になると、極めて限られた層の方々になってしまうのではないかと思います。
もう1点、資格化については、技能検定のモデルにお話されていたと思いますけれども、そうなると、やはり試験内容については、学科試験だけではなくて実技試験も必要なのではないかと私は思います。以上です。
○小川主査 2点について、事務局のほうからお願いできますでしょうか。
○安蒜地域就労支援室室長 御質問ありがとうございます。受検資格については、新たな資格を中級レベルの障害者就労支援人材の資格と考えておりますので、障害者就労支援の実務経験3年以上の方を原則と考えております。並べて書いておりますが、これは「又は」になります。3年以上の方、又はジョブコーチの養成研修を終了して現在も従事されている方ということになります。そして、ジョブコーチの養成研修は、講義と演習を組み合わせた長い時間の研修になりますので、それを体系的に研修を受けることによって、実務経験に相当する技能が習得されたと見なし、実務経験期間を短縮することにしております。この要件を設けて、できる限り多くの方に受検していただきたいと考えております。
そして、試験内容なのですけれども、新たな検定は学科試験のみによって行うことを考えております。そして、御指摘いただきましたとおり、技能検定は学科試験と実技試験により行われ、3福祉士などの福祉係の多くの資格は学科試験のみにより行われています。先ほど少しお話させていただいたとおり、国家資格の運営は、民間団体に収支を含めて委ねることになりますので、検定料収入で試験業務の支出を賄う採算がとれるようにしなければ、資格を創設することができません。
そして、実技試験の実施には、どうしても多くのマンパワーが必要になりますので、その分、受検料を高く設定しなければならなくなります。そうなると、受検者の確保や採算の確保を難しくするおそれがあります。このため、まずは新たな検定を学科試験により行い、その後、受検者数や、この資格自体の社会的な評価などを踏まえながら、必要がある場合は実技試験を追加していくという流れがよいのではないかと思っております。そして、ご指摘のとおり、技能検定を行う場合は、学科試験と実技試験を実施することが必須となりますので、国家資格として技能検定の職種を追加する場合には、学科試験の追加が必要になります。このため、その時点で、検討する必要があると考えております。
○小川主査 よろしいでしょうか。受検資格の所で、まず確認させていただきたいのは、障害者就労支援の実務経験3年以上の者、又は職場適応援助者養成研修を修了し、障害者就労支援に従事している者で、対象としては想定する人材像が中級レベルということですので、全く実務経験なしで試験を受ける方は基本的には想定していないということです。3年以上の者というハードルを付けつつ、かつ、幅広い人材が研修を受けられるようにということで、職場適応援助者養成研修を修了して、障害者就労支援に従事している者については3年以上の実務経験というハードルとは別のルートをつくろうという考え方で、この2つが「or」ということで整理されております。市川構成員、いかがでしょうか。
○市川構成員 実技試験のことなのですが、これは技能検定の枠組みを想定した場合ですが、国家資格への移行の前段階については、実技試験はなくても大丈夫ということなのでしょうか。それから、先ほど社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士の3つの資格について、違う資格ですが、これについても社会福祉士の資格については、いろいろな見直しがされて今は認定社会福祉士というものができて、そこで実技もきちんと見るというようになってきたと思います。そういう流れも含めて、実技の部分は、必要があれば今後という含みを、実技も視野に入れての含みがあるということでいいのでしょうか。
○小川主査 事務局、よろしいですか。
○安蒜地域就労支援室室長 御質問ありがとうございます。御指摘のとおりで考えています。まず、スタート段階では学科試験で始めて、その後、実技試験も行ったほうが社会的な評価が高いというような状況が生じた場合には、実技試験の追加を考えたいと思っております。
それから、御指摘いただいた社会福祉士の2階に当たる認定福祉士の実技を研修でやられているというお話なのですが、この検定も研修と一体的に体系化する中で、追加することとしております。研修を段階的に、基礎的研修を受けて、ジョブコーチの研修を受けて、その後この検定を受けて、その後に上級ジョブコーチの研修を受けるような階層的なスキルアップの流れをつくりたいと考えております。その中で実技の充実も図っていきたいと思っております。
○小川主査 市川構成員、よろしいでしょうか。御質問の実技の件に関しては、この領域は極めて実践的な領域ですので、実際の技能について評価をするという視点は非常に重要であると考えますが、そのほかの資格の成立過程を考えますと、やはり、まず専門性について領域として、項目として整理すること。それを客観的に評価可能なように言語化して、しかも、エビデンスをベースにして言語化した知識の問題として構成すること。それらを経て、実際の行動レベル、動作レベルで、どういったスキルが必要なのかということについて、更に様々な領域に共通する技能を抽出して、それを客観的に評価するというレベルが必要であると考えております。
現状の就労支援の領域ですと、まず、スタートラインで考えますと、実技の技能検定の必要性は視野に入れつつ知識のレベルで、きちんと知識・技能を評価するという段階を進めることが必要なのかと、私は考えているところです。井口構成員、どうぞ。
○井口構成員 JEEDの井口です。資料の16ページの技能レベルについてですが、事務局案への意見というよりは、今後の検討課題として発言をさせていただきます。中級レベルという設定が、まだまだ曖昧というか、私もなかなかイメージがつかないところがあります。将来、初級レベルをつくるのであれば、初級と中級の違いというものが、試験基準として範囲が同じだとされていますので、そこの範囲が同じでレベルを変えるというのは、どうするのだろうなというのが疑問に思うところです。
これから階層的な研修の内容を確立しいながら試験問題を考えていくことになると思いますが、そう簡単な話しではないと思います。以上です。
○小川主査 事務局、何かコメントはありますか。
○安蒜地域就労支援室室長 御指摘ありがとうございます。御指摘のとおり、どのように差を付けて問題を作っていくかというのは本当に難しい問題だと思っております。そして、技能検定の場合は、1級から3級、上級、中級、初級を作るときに、それぞれの対象となる労働者の経験年数を基に、その人が行える職務を整理をして、知識や技能を科目化していく流れとしています。なかなか難しいことだと思いますが、実際に検討する段階になりましたら、皆様のお知恵を借りながら、しっかり整理をしていきたいと思います。
○小川主査 青野構成員、どうぞ。
○青野構成員 トーマツチャレンジドの青野です。私からは2点あります。まず1点目は、今御議論いただいていた17、18ページで、就労支援士になっていく方々の参画を、より広い層からとっていただいたということで非常に感謝しております。この就労支援士(仮称)が、どのように社会で活躍していくのかをイメージしながらお聞きしていたのですが、イメージが違ったら御指摘いただきたいのですが、個人的には、逆T字型のようなイメージで、幅広く、障害のある方との協働や活躍推進のところで、専門知識を発揮いただける方に幅広く参画を頂いて、中にはジョブコーチ的な要素で専門性を、より逆T字型のように発揮していく方がいたり、企業の中での実装や協働に向けた調整の所で更に力を発揮するとか、一定の専門知識がある方にたくさん集まってきていただいて、その中で個別に得意な所で更に力を発揮していくような形になっていくのかということを考えていました。
そうしたときに、ジョブコーチの資格と、この資格がどう違うのか。ごめんなさい、ジョブコーチは資格ではなくて養成研修の修了生の方と、この資格を持っている方がどう差別化されていくのかも考えないといけないのかと思ってお話を聞いていました。恐らく、この就労支援士というのは、私は一種のプランニングができる人のようになっていくといいのかと思いました。それは、障害のある方の雇用を促進して、活躍を推進して、具体的に協働、一緒に働くことに向けた施策を立案できて企業に還元できていくというような人材になっていくと、企業側としてはとてもニーズがあって、どうやってその企画を作っていったらいいのか、雇用を促進していけばいいのかと悩んでいる企業はたくさんありますので、そこにリーチしていけるのかと思いました。
それぞれの専門性のところで有機的に人をつなげて、社会に実装していけるような資格になっていくと非常にニーズもありますし、企業としても頼りがいがあるのかと思いながら、お話を聞いていたところです。したがって、次回以降の議論になっていくと思うのですが、資格試験の内容の中には、共生社会づくりや協働に向けたアクセシビリティーやインクルージョンに関する知識を問う問題なども入れていっていただくといいと思っています。
それから、木村構成員やほかの方からも出たのですが、業界団体の所で、もう1点あります。業界団体の運営に向けては、いろいろな仕事が出てくると思うのですが、こういった仕事も是非、障害者優先調達法などを活用いただいて、障害がある方が働いている組織等に仕事を出していっていただくということが実現すると有り難いと思っております。以上です。
○小川主査 ありがとうございました。多くが御意見であったと思いますが、何かコメントはありますか。
○安蒜地域就労支援室室長 御意見ありがとうございます。御指摘のとおり、障害者就労支援の知識を体系的に学んで、知識や技能を持った方をたくさん増やしていくことは意義があることだと思っています。この資格を、できる限り多くの方に受検していただいて、普及させていきたいと思っています。
そして、ジョブコーチとの関係は御指摘のとおりなのですが、新たな資格の対象となる方は、障害者就労支援員に関する総合的な技能・技術を持つ方で、ジョブコーチはその総合的な技能・技術に加えて、職場適応援助などの企業支援に対する専門能力を持った方になります。今回の全体の人材育成体系の見直しは、階層化、多様化させて、段階的に人材育成を進めていって、全体を手厚くする、強化するということが目的ですので、できる限り多くの方が、ジョブコーチと検定の双方のステイタスを取得して、障害者就労支援に取り組む流れをつくりたいと考えております。
そして、インクルージョンの話、どこにどういう問題を入れていただくという話は、次回また詳しく御議論いただきたいと思っているのですが、重要な視点だと思いますので、しっかり御議論いただきたいと思います。それから、優先調達の話も重要な話だと思いますので、しっかり検討していきたいと思います。
○青野構成員 ありがとうございます。
○小川主査 若尾構成員、お願いします。
○若尾構成員 ジョブコーチ・ネットワークの若尾です。意見としてお聞きいただければと思います。この作業部会の中間とりまとめでお書きいただいているように、ジョブコーチ支援の理念や支援方法・技術を持つ人材を中核として、幅広く、専門性を有する人材を確保・育成していくことが狙いであったと考えております。そういった中では、17ページにお書きいただいている受検資格の所ですが、障害者就労支援の実務経験3年以上の者、それから職場適応援助者養成研修修了者が、現に就労支援に従事している者というように、実務を重く見ていただいたことについては、私としては非常に評価をしております。
併せて、実務という観点から、研修の体系と資格の体系が分離していかないようにしていただきたいということを、思いとして持っております。そういった意味では、私の所も、就業生活支援センター、ジョブコーチの配置、障害福祉サービス、就労移行支援事業所、定着支援事業を運営しているのですが、これが全く切り離されてしまうような資格にはしてほしくないという思いです。それから、できれば活躍できるフィールドを増やしていくことが、この資格化に連動していただけると有り難いと思っています。
そういった意味では、18ページの下の欄に、厚生労働省が検定として行うということの中の「インセンティブ」と書かれている所に、かなり難しいとは思うのですが、できれば、必置要件であるとか、資格を取った方の配置については、例えば障害福祉サービスは加算要件の対象になるとか、今後は多分、ジョブコーチの養成に関しても上級研修が始まりますので、そういった上級研修を受けられた方と、この資格化との比較ができるようにしていくことも、併せてお願いできたらと思っております。すみません、意見です。以上です。
○小川主査 意見として承ることでよろしいですか。何かコメントはありますか。
○安蒜地域就労支援室室長 御意見ありがとうございます。御指摘のとおり、この検定と研修が全く別の物になってしまっては意味がありませんので、研修と検定を相互に受検、受講しながら段階的にスキルアップするという流れをつくっていきたいと思っています。
先ほど申しましたとおり、基礎的研修を受けた後にジョブコーチの養成研修を受けて、その後、新たな検定を受検し、その後、上級ジョブコーチの研修を受講するというような流れをしっかりとつくっていきたいと思っています。
そして、インセンティブに関してですが、報酬加算については、査定官庁などとの調整があるので、この場でお約束することはできないのですが、検討はしていきたいと考えております。
○小川主査 青野構成員、どうぞ。
○青野構成員 トーマツチャレンジドの青野です。今の資格と、実際の技能が分離していかないようにということなのですが、その点においても私は、社会実装の中で使われていくことが非常に大事だと思っています。就労支援士に求められることが、先ほど、プランニングができる方とお伝えしたと思うのですが、まとめていただいている資料の12ページを拝見して、ファイナンシャル・プランニング、ファイナンシャル・プランナーと書いてあると思うのです。このファイナンシャル・プランナーのことをイメージすると、すごくニーズがあって、皆さんが相談をして、家計などに対する非常に有用なアドバイスを頂いて、社会実装で使われているということなのだと思うのです。
今、障害者活躍推進の分脈で申し上げると、まだ日本の50%の企業が障害者雇用率すら達成ができていないという実態があり、加えて一方で、先進企業は今、アクセシビリティー推進やインクルージョン推進に向けて、更に協働に向けてどういった施策を打っていけばいいのかを議論していたりします。追い付いていない所と攻めの部分で、もっとやっていこうという所に、プランニングができたりアドバイスをできる人材を、ジョブコーチを含めて3年以上の実務経験があって、一定の知識のある方が、そういった資格を持って有識者として企業と連携していくことが実っていくと、実装の中でスキルが確かめられていきますので、資格と実態のスキルが分離していくということがないのではないかと思っています。以上です。
○小川主査 ありがとうございます。よろしいですか。
○安蒜地域就労支援室室長 ありがとうございます。御指摘のとおりだと思います。プランニングの話は、正にそのとおりで、新たな資格の中でもプランニングの技能を持っていることを検定することになると思います。また、専門的にプランニングをしたり企業支援を行っていくのはジョブコーチの皆様になりますので、検定を取った後に、前でもいいのですが、検定と合わせてジョブコーチの養成研修を受講し、その技術を磨いていただく、身に付けていただきたいと考えています。双方のステイタスを取りながら、より手厚い能力、技能を高めていっていただくというような流れをつくりたいと考えております。
○青野構成員 ありがとうございます。
○小川主査 國﨑構成員、どうぞ。
○國﨑構成員 事業の中で職場適応援助者をしております國﨑と申します。よろしくお願いいたします。
今、お話がありましたように、実際の現場と、この資格や体系的な研修が乖離しないというか、連動してということをおっしゃっていただいて本当に望ましいと思っています。その点では、今頂いている資料の18ページが、もう少し絵として、できればそもそも、この資格化は人材確保からきています。かつ、今、絶対的に足りていないのが職場適応援助者だと、現場サイドでは思っています。
というのは、今、青野構成員からもお話があったのですが、要は、中小で、まだゼロ人で雇用が全くできていない企業の支援ということで、今年度からスタートした相談援助事業を、福岡で今実施しています。現実的にお話をすると、プランニングでどうこうなる話では全くなくて、そもそもその法人の人材不足であったり、それから支援ということすら分からない。もっと言うと、今対応している所は、開口一番、身体の障害の方でしたら雇いますということで、障害自体について知識が全く届いていないのです。やはり、ハローワークさんが丁寧に御指導されていたと言いつつも、実態としては自社の人材不足を補う部分と、日々の運営に注力すると、障害者雇用に対しての向き合い方が、どうしても難しいと感じていらっしゃるのだというのは日々感じています。
その点で言うと、この資格化と、階層化した研修というのは非常に望ましいことですし、このことが実際の小さな企業でも、障害者雇用が進むときに必ず力になると思っているのですけれども、この後の流れを見ますと、どうも、この資格化が実際に進むことに関しては、まだまだ時間が掛かりそうだという印象を受けています。ですので、まずは18ページの所で、もっと職場適応援助者が増えていくようにリンクすれば、それだけが全てではないのですが、現実的に中小を支えていく小さな企業が、今から始めていくときには現場で手厚く支援することが非常に大事だと思っていますので、やはりここが増えるようなイメージ図にしていただきたいというのが1つです。
また、資格化ができるまで、この間の研修を受けていくまでには、まだ相当数の時間がある中で、雇用率が年度ごとに上がっていく企業もありますので、この途中の間を、もう少し職場適応援助がもっと動くような活性化案を、厚生労働省でも何かお示しいただけたらと思っております。以上です。
○小川主査 ありがとうございました。事務局から何かありますか。
○安蒜地域就労支援室室長 御意見ありがとうございます。御指摘のとおりで、研修と検定を組み合わせて階層的、かつ段階的にスキルアップできるような流れをつくっていくことが大切だと思っています。先ほども申しましたが、それぞれが別々に分離してしまっては意味がありませんので、基礎的研修を受けて、ジョブコーチの養成の研修を受けて、その後、この検定を受験する流れと、更にその後、上級の研修を受ける流れをしっかりつくっていきたいと思います。その流れの中で、この検定が普及し、受講者が増えていけば、その前段階の研修を受ける方も増えていくことになりますので、そういった流れで全体的に検定と研修を受講する方を増やしていって、体制全体を厚く強化していきたいと考えています。
ただいま申し上げたようなイメージが、この図ですと少し分かりづらいかもしれませんので、次回の委員会のときには、ジョブコーチと新しい検定の両方のステイタスをいかして、キャリアアップしていくようなイメージ図のようなものを準備して、お示ししたいと思います。
○小川主査 そのほか、いかがでしょうか。景山構成員、どうぞ。
○景山構成員 東海化成の景山です。中小企業、小規模企業の立場から一言、感想を述べさせていただきます。実は、経済産業省の中小企業庁のホームページにも、こういった障害者雇用ということではページを割いており、そこを見ますと、ジョブコーチという言葉がとてもスタンダードに出てくる。そういった中で、この次の検定のときに、どういった名称の資格になるのかなというのが非常に気になるところです。今、障害者雇用を私ども中小がやっておりますと、支援機関との共通言語として、ジョブコーチというものが一定程度、きちんと力を得てきているなというのを実感しているのですが、この養成研修と検定が別物にならないようにというのは、とても大事なところです。その検定が、最終的にきちんと職場適応援助者と絡み合っていけるというか、要するに、厚労省が2002年に職場適応援助事業を開始されて20何年取り組んできた事業にきちんと寄り合っていくというイメージを私は持ちたいのですが、そこが別物にならないのかという危惧がとても大きいです。となれば、やはり、もう少し議論を深めていけたらいいなとも思っていますし、中小や小規模企業は、当然やはり当事者なのですが、まだまだ障害者雇用は他人ごとと思っている節もあります。ですから、達成もしていないという現状があると思うのですが、中小、小規模も、どれだけ自社で取り組んでいけるように持っていかないことには、やはり本当の障害者雇用は成り立たないと私は思っています。
この検定を受けた方、あるいは上級に向かっていかれるような支援者が、企業を自立させるために、そういった事実であり、知識であり、御経験を存分に発揮していただけるような位置付けというか、そこにこそステイタスがあるという、そういう検定になっていくといいなと思っております。
企業側でいえば、検定を受けることが自社の障害者雇用を強くする一定のキャリアパスに組み込めるような検定であると、より有効で、本当に中身のある検定になるのではないかなと思っております。以上です。
○小川主査 ありがとうございました。
○安蒜地域就労支援室室長 御質問、御意見ありがとうございます。ジョブコーチと新たな資格の関係は、新たな資格は障害者就労支援に関して総合的な技能、知識を持った人材で、ジョブコーチは、それらの総合的な知識に加えて、職場適応援助や企業支援等に対する専門的な能力を持った方となります。双方とも、障害者就労支援分野の中核的な人材となりますので、できる限り多くの皆様が双方のステイタスを持って障害者就労支援に取り組む流れを作りたいと考えております。
そして、この新たな資格は、就労支援機関で働いている方だけではなく企業の中で実際に障害者就労支援に携わっている方たちにも取得していただきたいと思っています。そして、それらの方に知識を持っていただくことは意義のあることだと思いますし、さらに、その資格を持った方々を企業の中で処遇をしていただく、賃上げ等につなげていただく流れができるとよいと思っております。この資格ができたときには、それらも含めて、しっかりと意義を企業の皆様に伝えていきたいと考えております。
○小川主査 課長、どうぞ。
○西澤障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の西澤です。今、國崎構成員と景山構成員から、足元の雇用率の引き上げや、やはり足元でもできていない中小企業が多いとか、そういう支援の話がありました。正に、それは動いている世界ですので、この資格の話は民間団体に試験をしていただいて立ち上がっているというところがありますので、ある程度の時間が掛かりますが、もちろん先ほどハローワークの話がありましたが、ハローワークでも、できるだけ取り組めるようにしていますし、相談援助助成金を含め前回の制度改正で作った中小企業を念頭に置いた支援の拡充等もしております。人材ということでは、まず、来年度から基礎的研修を始めなければいけないということもありますので、当然、足元でやらないといけないことをやりつつ、こういうことも検討している状況なので。どちらもというところもちろんあるのですが、そこは少し分けて考えていく必要があるかなと思っています。
○小川主査 そのほか、いかがですか。おおむね、意見が出ましたか。
では、私も発言させていただいてよろしいでしょうか。全体として、この資格について前向きに取り組んでいくという御意見を頂いたように思います。それで、幾つかの角度で、今後の課題についても御指摘いただきました。やはり、この議論のスタートは、安蒜室長に、これまでの経過の所で整理いただいたように、1つの起点は第2WGのところで、障害者雇用や就労支援の人材の質が課題として挙げられて、そこのためには少し、この業界全体のステイタス、プレゼンス、そこで従事する人たちの専門性の明確化といったことも必要であろうということで、資格というキーワードが出てきたことを記憶しています。
もう1つの議論としては、この職場適応援助者の人材の育成確保に関する作業部会では、これまでジョブコーチに焦点を当てて議論してきましたので、そのジョブコーチ、特に上級ジョブコーチということも明確に階層化されたので、そういった人たちが資格を持てるといいのではないかという議論の流れもあったように記憶しています。
そういう2つの視点があるわけですが、もう1つ、今日の議論の中で、階層化された研修体系とのつながりといったことについての課題感も頂きました。人材像として今回、資格として、まずは中級というところを出させていただいていると思いますが、研修体系では基礎、職場適応援助者養成研修、上級という3階層化になっているわけです。資格化で、この先の仕事で課題になってくるなと何となく思うのが、やはり、この業界にジョブコーチが必要、それから、プランニングができるような、きちんとスキルを持った人が必要だと。やはり、ここを確保するためには裾野のほうも広げなければいけないだろうと。全体に、やはり障害者福祉に従事する方たちも、だんだん狭まっているのが現状ですし、大学で教えていても、そういった領域を目指す人たちが減っています。労働人口も減少していく中で、どうやって、この障害者雇用や就労支援に様々な角度からでもいいので関わる人たちを増やすのか、そこを増やさないと、いきなり中級あるいはプランニング、問題解決、この力を持った人を育成することは難しいだろうと。恐らく、そんな幅広い議論の中で、基礎的研修や養成研修という人材育成の研修の階層化もなされたのだと思います。
この資格という、今後の労働マップで、業界団体と問題育成、問題基準を作っていくわけですが、実務のことを少し、社会福祉士や精神保健福祉士、介護福祉士などの大学での養成する学科にいますと、やはり試験を実施していくということはなかなか大変な作業だなと。問題を作って、それが公的に認められる客観的な基準をもったもので試験をしていく、そこを作り込んでいくというのは容易ではないなということ。これは一つ、この資格に向けての私たちが抱えている重要な課題であると思います。そこについては、恐らく基礎的なレベルからきちんと問題を作って、受けていただいて、一定の合格率を出すことの経験を重ねていくことも必要であろうというように思います。
ただ、基礎だけではなく、プランニングや職場での調整、こうしたジョブコーチに求められるスキルを持っている人材をターゲットにしようと。それから、その評価として、知識レベルではなくて技能をきちんと評価できることも重要ではないかという御意見も頂いているところなので。どうやって、そのレベルに到達したらいいのかということについては、また次のステップで議論しながら、どこが、中級のレベルとして一番最初に資格ということで作り上げていくことができるのかということについて、更に議論を継続していくというか、作業をしながら、そこについては大体、まずは目指す資格の中級レベルは、このレベルであろうということを見定めていくことが必要なのかなと、私は感じているところです。
非常に重要な、実際に現場で必要とされている人材像はこういった人材像だと。それと、裾野が必要だということ。実際に機能するような資格の問題づくり、それを安定的に長期運営できるような組織体制づくりも、全部合わせながら、今後この資格化について仕事を進めていかなければならないので、皆様から頂いた御意見は、どれも重要で、もっともなのですが、実際に実務を進めていく中で更に、まずは整然とさせたファーストステップの資格像を私たちの中で見出していくことが必要なのかなと感じました。感想めいた発言で適切だったか、どうなのかとは思いますが、私としては、全体としてそのような印象、考えを持ちました。何か、今の私の意見に対してでも結構ですが。最後に、もう少し時間がありそうですので、何か御意見はございますか。よろしいですか。
それでは、ほかに御意見がないようですので、基本的には、今回、提示した案をベースに、次の会では、この19ページ以降の課題について検討していくことで、皆さんの合意を頂いたということにさせていただきたいと思います。
それでは、最後に議題2「その他」として、事務局から何かございますか。
○安蒜地域就労支援室室長 特段ございません。
○小川主査 それでは、本日予定されておりました議題は、以上で終了とさせていただきます。連絡事項として、事務局から何かございますか。
○北里地域就労支援室室長補佐 次回の作業部会は、12月18日(水)15時からの開催を予定しており、引き続き、資格化について御議論いただく予定としております。事務局からは以上です。
○小川主査 それでは、本日の作業部会は、これで終了とさせていただきます。ありがとうございました。
本日の作業部会は、こちらの会場とZOOMを使ったオンラインで開催します。開催に当たりまして、簡単ではありますがオンラインについて操作方法のポイントを御説明させていただきます。作業部会の進行中は皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言をされる際はサービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックし、主査の許可があった後にマイクをオンにして、聴覚・視覚障害者の方々への情報保障という観点から、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。会議進行中、トラブルがありましたら、事前にメールでお送りしています電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。通信遮断等が生じた場合には一時休憩とさせていただくこともありますので、御容赦くださいますようお願いいたします。なお、本作業部会は、御希望の方に傍聴いただいていますので、あらかじめ御了承願えますようお願いいたします。
それでは、議事に先立ちまして、事務局である障害者雇用対策課に人事異動がありましたので御紹介します。
○安蒜地域就労支援室室長 4月1日付けで地域就労支援室長に就任しました安蒜です。どうぞよろしくお願いいたします。
○北里地域就労支援室室長補佐 続きまして、資料の確認です。本日の資料は、議事次第、資料1、参考資料、この3点となります。お手元にございますか。
それでは、議事に入らせていただきます。以後の進行は、小川主査にお願いしたいと思います。小川主査、よろしくお願いいたします。
○小川主査 小川です。本日もよろしくお願いいたします。本日の議題は、(1)ジョブコーチなどの障害者就労を支える人材の資格化に向けた検討について、(2)その他となっています。この2つの議題について、本日、取り扱っていきます。それでは、早速、議題(1)について事務局から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○安蒜地域就労支援室室長 地域就労支援室長の安蒜です。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、本年度第1回の作業部会となりますので、まず振り返りとして、これまでの検討経緯を御説明させていただきます。お手元の資料1の中表紙の1ページを御覧ください。これまでの作業部会では、親検討会での検討も含めまして、人材育成体系の見直し、具体的には基礎的研修の創設や研修体系の階層化などの方向性を議論してきました。一連の検討は雇用と福祉の連携促進の観点から進めてきまして、その端緒は次のページとなります。
令和元年の障害者雇用促進法の改正、その際の附帯決議となっています。そして、その決議を踏まえまして、厚生労働省にプロジェクトチームを設置し、そこで両者、雇用と福祉が一丸となった就労支援に係る専門人材の育成・確保を推進するといった人材育成の方針が取りまとめられています。
次のページを御覧ください。こちらは雇用と福祉の連携検討会、親検討会の開催状況をまとめたものです。会議は7回にわたって開催していまして、令和3年6月4日に報告書を取りまとめています。
報告書の内容は次のページとなりますが、検討会では3つのワーキンググループを設けて議論を行っています。そして、そのうちの第2WGで、障害者就労を支える人材の育成・確保の方針が整理されています。具体的には、その下の3点、「雇用と福祉の両分野の基本的な知識等を分野横断的に付与する基礎的な研修を確立する」、「専門人材の高度化に向けた階層的な研修制度を創設する」、「専門人材の社会的認知度の向上や社会的・経済的地位の向上等による専門人材の確保を図る」といった方針が整理されています。
そして、次のページが報告書を踏まえた具体的な対応となります。まず1つ目の対応として、基礎的研修を創設することとしています。こちらは現在、令和7年度中の開始に向けた準備を進めています。
2つ目の対応として、基礎的研修の受講後に、ジョブコーチやナカポツセンターなどの専門研修を受講する流れに、研修を階層化することとしています。併せて、スーパーバイズなどを行う上級ジョブコーチを設けることとしています。こちらも現在、令和7年度中の開始に向けて準備を進めています。
3つ目の対応が、今年度の作業部会で御議論いただく障害者就労支援人材の資格に関するものとなります。
それでは、次のページを御覧ください。こちらは報告書の別紙となります。研修の流れをまとめたものです。赤字で記載している部分が基礎的研修となります。こちらは障害者就労支援に携わる幅広い皆様が受講した後に、それぞれの専門研修を受講する流れとなります。専門研修は、左がナカポツセンターを対象としたもので3階層、真ん中がジョブコーチを対象としたもので2階層、こちらは新たに上級ジョブコーチの研修を追加しています。そして、その右がJEEDの専門研修とサービス管理責任者の研修となっています。
それでは、次のページを御覧ください。こちらは、これまでの作業部会の開催状況です。令和4年4月から13回にわたって構成員の皆様に御議論いただいており、令和4年度と令和5年度に報告書を取りまとめていただいています。
その内容は次のページです。令和4年の報告書では、基礎的研修の創設に伴うジョブコーチ養成研修のモデルカリキュラムの見直し、上級ジョブコーチの人材像と業務範囲の整理、ジョブコーチに関する助成措置の見直しなどを整理していただいています。そして、5年度では、ジョブコーチ支援の活性化に向けた対応方策、上級ジョブコーチ養成研修のモデルカリキュラム作成、障害者就労支援人材の資格化の課題整理などをまとめていただいています。そして、以上がこれまでの検討経緯となります。
次のページを御覧ください。6年度の作業部会の検討事項として、ジョブコーチなどの障害者就労を支える人材の資格化の検討について御説明します。
次のページを御覧ください。こちらは、これまでの検討会、作業部会での指摘となります。まず検討会では、障害者就労を支える人材の育成・確保に向け、障害者就労に携わる専門人材の社会的認知度の向上、社会的・経済的地位の向上が求められる。就労支援に携わる人材の何らかの資格化が急務との指摘がなされています。そして、作業部会において、資格化の人物像は、ジョブコーチの職務より広くして、「障害者就労支援に関して専門性を有する人材」としてはどうかということ。また、業界団体が設立され、そこで能力評価試験の実績が積み上げられていくことで、資格化に向けた対応が前進するのではないかということ。そして、令和6年度の作業部会で資格の対象となる人物像を検討するといった方向性が取りまとめられています。
次のページを御覧ください。こちらは国家資格の運営に関する行政改革の方針となります。まず、上段は、昭和58年の臨時行政調査会の第五次答申となります。こちらで、試験事務の民間団体への委譲を進めるという方針が定められています。その下は、平成17年に閣議決定された行政改革の重要方針となります。技能検定制度、これは厚生労働省が職業能力開発促進法に基づいて運営している国家検定制度ですが、その新設の職種については、民間の指定試験機関において行うことを原則とするという方針が定められています。そして、以上の規定によって、国家資格の運営は、原則として民間団体が行うこととされています。
次のページですが、厚生労働省が運営する主な国家資格の実施機関となります。上段が技能検定で、後段がその他の資格となります。
次のページを御覧ください。こちらは障害者就労支援人材の資格化の効果・目的をまとめたものとなります。まず1つ目は、ステイタスとして障害者就労支援人材の認知度、プレゼンスを向上させて、人材確保につなげるということです。2つ目は、スキルアップ、キャリアプランニングツールとして、障害者就労支援人材の円滑な人材育成、キャリアプランニングにつなげるということです。具体的には、研修と検定を組み合わせて、手厚くスキルアップできるようにすること、また、資格取得を目標に、キャリアプランニングできるようにすることとなります。3つ目は、技術、技能を評価する「ものさし」として、障害者就労支援人材の円滑な勤務評価、処遇改善につなげるということです。具体的には、企業による資格取得の勤務評価への活用を推進して、賃上げなどの処遇改善につなげるということになります。以上を通じて、障害者就労支援の体制を強化して、障害者雇用を推進するということが目的となります。
次のページを御覧ください。こちらは資格構築の主なプロセスをまとめたもので、5つに分けて整理しています。ステップ1は、資格の対象となる労働者の勤務年数などを検討して、資格の技能レベルを決定する工程となります。ステップ2は、資格の対象となる技能の範囲を整理する。具体的には、対象となる労働者の職務を整理する工程となります。そして、ステップ3は、職務を一連の作業に整理し、個々の作業に求められる技能、知識を整理する。いわゆる職務分析の工程となります。ステップ4は、以上で整理した職務、作業、技能、知識をもとに、試験基準(試験科目など)を作成する工程となります。ステップ5は、試験基準に基づいて、試験問題、採点基準などを作成する工程となります。
次のページを御覧ください。ここからは、これまでの御議論を踏まえました事務局案について御説明します。今年度の作業部会では、こちらの事務局案を御議論いただきたいと考えています。
具体的な提案は次のページとなります。まず1点目は、資格の対象となる技能の範囲に関する提案となります。資格は、障害者就労支援に関する総合的な技能・知識を検定する資格、例えば障害者就労支援士検定といった名称の資格としてはどうかとの提案となります。こちらは、昨年度の作業部会でお示しいただいた方向性を踏まえたものとしています。
次に2点目は、技能レベルに関する提案となります。具体的には、中級レベルの資格を創設し、将来的に上級レベル、初級レベルの創設を検討してはどうかとの提案となります。資格創設の目的は、先ほど申しましたとおり、ステイタスとして障害者就労支援人材の認知度やプレゼンスを高めることとなりますので、より多くの方に受検していただくことと、資格の信用度を高めることが重要となります。初級レベルの資格には、間口を広くして受検しやすくするというメリットがあって、上級レベルの資格には信用度を高くするというメリットがあります。中級レベルの資格は、その双方のバランスを踏まえ、その相互を見据えたものとなります。
次に3点目です。こちらは試験基準に関する提案となります。試験基準は、障害者就労支援分野の横断的な知識・スキルの習得を目的に科目を整理した基礎的研修のカリキュラム、シラバスを参考に作成してはどうかとの提案となります。先ほど御説明しましたとおり、資格創設のプロセスは資格の対象となる人材の職務分析を行って、それを踏まえて試験科目を整理していく流れになります。本資格の合格者の人物像は、障害者就労支援に関する総合的な技能・知識を持つ人材となりますので、障害者就労支援分野全般の知識を学ぶものとして整理された基礎的研修のカリキュラム、それらと対象となる技能の範囲が共通しているものと考えています。このため、それらをベースに御議論いただいてはどうかとの提案となります。
次の4点目は、ロードマップに関する提案となります。資格創設のロードマップは、まず、業界団体が運営する民間検定を創設し、民間検定が安定的に運営できるようになった段階で、国家資格への移行を検討することとしてはどうかとの提案となります。先ほど、国家資格の運営は民間団体が行うことが原則であると御説明しましたが、こちらは、それを踏まえたものとなります。
次は、厚生労働省がモデル試験基準に準拠して行う検定を、基礎的研修の受講を免除する検定として指定する仕組みを設けてはどうかという提案になります。こちらは後ほど御説明をさせていただきますが、受検のインセンティブに関するものとなります。
次のページを御覧ください。こちらは検定のイメージをまとめたものとなります。ただいま申し上げたとおり、業界団体が民間検定として運営し、厚生労働省がモデル試験基準に準拠して行う検定として指定します。それらにより、基礎的研修の受講を免除します。合格者の人物像が障害者雇用及び就労支援に関する総合的な知識、技能を持つ者、具体的には中級レベルの障害者就労支援人材としています。
受検資格は、障害者就労支援の実務経験3年以上の者又は職場適応援助者養成研修(ジョブコーチ養成研修)を終了し、障害者就労支援に従事している者としています。試験内容は学科試験としています。その下は試験科目のイメージとなりますが、ただいま申し上げたとおり、基礎的研修の科目としています。
そして、以上の検定を、下段に記載していますような幅広い障害者就労支援機関で勤務する方々が受検すること、各機関が合格者を採用したり、検定取得を処遇に反映させたりすることを通じて、右側に赤字で記載していますが、障害者就労支援の総合的な技能・知識を持つ人材の育成、障害者就労支援分野の認知度・プレゼンスの向上、障害者就労支援人材の質・量の確保・障害者雇用の推進という目的につなげるイメージとしています。そして、業界団体が試験問題の作成や試験実施などの運営を行い、創設のロードマップは、先ほど申しましたとおり、中級レベルの創設後、上級、初級の創設を検討する流れとしています。
次のページを御覧ください。こちらは検定と研修の関係を整理したものとなります。先ほど申しましたとおり、今後、研修は基礎的研修を受講した後に、ジョブコーチやナカポツなどの専門研修を受ける流れに階層化されます。それぞれのレベル感としては、基礎的研修が「基礎レベル」、専門研修の下の部分が「中級レベル」、その上の部分が「上級レベル」となります。そこに、中級レベルの検定を追加して、厚生労働省が指定検定として指定することにより、合格者の基礎的研修の受講を免除します。これによって、基礎的研修とジョブコーチなどの専門研修を受講してから検定を受検する流れ、また、基礎的研修を受講してから検定を受検し、その後、専門研修を受講する流れを作ります。それによって、現在、研修のみとなっている人材育成のルートを、検定を加えた複線に多様化させて、検定と研修を相互に受検、受講しながら階層的にスキルアップする流れを作ります。それを効率的な人材育成、人材確保につなげるイメージとしています。そして、厚生労働省指定検定のインセンティブは下段に赤字で記載しています。厚生労働省による検定水準の保証と基礎的研修の受講免除としています。
次のページを御覧ください。こちらは資格創設のロードマップとなります。まず、左側の上段ですが、今年度は作業部会で今後の方向性を取りまとめます。具体的には、このロードマップと、厚生労働省指定検定のモデル試験基準(応募資格、試験科目など)の作成を行います。そして、次年度以降は、右側の業界団体設立の流れとなります。関係者の皆様に御尽力を頂きながら業界団体を設立していただいて、体制、経理的、技術的基礎を整備していただきます。
その流れと並行して、厚生労働省は指定検定のモデル問題作成を行います。モデル問題作成委員会の設置と、問題作成、プレ実施、問題水準検証などを行います。その後、指定検定の指定を行って、業界団体に対してモデル問題の提供、問題作成の技術的助言などを行います。
そして、それを受けた業界団体は、民間検定の創設準備を行います。モデル問題を参考にした試験問題の作成と、試験実施体制の整備を行います。以上によって、民間検定が実施されることになりますので、それを継続して実施していただいて、国家資格の移行目安となる受検実績を積み重ねて、問題の水準をばらつきなく作成するノウハウなどを確立していただきます。その後、民間検定が安定的に運営できるようになった段階で、民間資格の国家資格の移行を検討することとなります。以上が資格創設のロードマップとなります。
次のページを御覧ください。このページ以降は、検定のモデル試験科目となります。こちらは先ほど申しましたとおり、基礎的研修のカリキュラム、シラバスをベースに整理しています。こちらについては、本日の作業部会ではなく、次回の作業部会で御議論いただきたいと考えています。以上が資料の説明となります。
本日の作業部会では、資料の19ページまでを御議論いただきまして、20ページ以降は次回の作業部会で御議論いただきたいと考えています。そして、3回目の作業部会では、報告書案をお示しして御議論いただきたいと考えています。私からは以上です。
○小川主査 ありがとうございました。それでは、質疑応答に入っていきたいと思います。ただいま御説明いただいた事務局からの提案について、御意見や御質問がありましたら「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、私が指名した後、お名前を名乗ってから御発言いただくようにお願いいたします。内容がちょっと広範囲ですけれども、先ほど安蒜室長が整理されたように、まずは19ページまでの資料に焦点を当てて質疑応答していただきたいと思います。
それでは、いかがでしょうか。若尾構成員、お願いいたします。
○若尾構成員 ジョブコーチ・ネットワークの若尾です。よろしくお願いいたします。1点、確認なのですけれども、16ページの(技能レベル)というふうに書かれている欄で、「中級レベルの資格を創設し、将来的に、上級レベル、初級レベルの創設を検討してはどうか」というようになっております。技能検定に関しては、複数級というか、等級が設定されるということが前提にはなっているのですが、お示しいただいている資格創設のロードマップの時系列で見ていったときに、この上級レベル、初級レベルの創設を検討していくというタイミングなのですけれども、これは令和7年度以降の厚生労働省指定検定の指定というところぐらいに進めていくことになるのか、もうちょっと手前のほうで議論しながら作り出しをしていくのかというところを、すみません、事前のヒアリングの中でも聞けなかったのですが、これはどういうふうに整理したらよいかということを質問させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○小川主査 それでは、厚生労働省のほうからお願いいたします。
○安蒜地域就労支援室室長 御質問をありがとうございます。今回、新たな資格は中級レベルの単一等級の資格としております。複数等級を設けて、検定を階層化することには段階的なスキルアップを可能とするメリットがあると考えております。その一方で、ジョブコーチの養成研修等の中級レベルの専門研修より低い初級レベルの検定を創設すると、その検定の取得・合格のみで満足してしまい、中級レベルの専門研修を受けない方が一定数生じるおそれがあり、階層的に専門人材を育成していくという流れを阻害するおそれがあるので、まず、今回は「中級レベル」の検定を創設することとしております。
そして、上級レベルについては、受検者数が少なくなることが想定されます。国家資格の運営は収支を含めて民間団体に委ねることになりますので、受検料収入で試験業務の支出を賄う採算がとれるようにしないと、資格を創設することができません。上級レベルの資格は採算が合わなくなるおそれがあると考えています。このため、まずは中級レベルを創設して、受検者数や、専門研修の受講者数に与える状況を踏まえた上で、初級と上級のレベルを創設してはどうかと考えております。その時期は中級レベルが創設されて実際に運営が始まった後に、検討することになると考えております。
○小川主査 若尾構成員、よろしいでしょうか。
○若尾構成員 ありがとうございました。
○小川主査 そのほかはいかがでしょうか。木村構成員、どうぞ。
○木村構成員 木村です。お世話になります。私のほうから質問させていただきたいのは、19ページのロードマップの中に業界団体の設立ということが示されているのですが、今、現時点で、どういった方々が絡むような業界団体を、国のほうではイメージされているのかというのを教えていただければ有り難いと思っています。以上です。
○小川主査 事務局からお願いいたします。
○安蒜地域就労支援室室長 御質問ありがとうございます。今回の新たな資格は、障害者就労支援分野の広範な資格として考えております。このため、それを運営する団体も、障害者就労支援分野の関係者の皆様が広範に参画した業界団体を考えております。現在、障害者就労支援分野には、そういった業界団体がありませんので、これから関係者の皆様に創設していただきたいと考えております。
○小川主査 木村構成員、いかがでしょうか。
○木村構成員 ありがとうございます。
○小川主査 そのほか、いかがでしょうか。今の点で私からも1つ、すみません。今の木村構成員の関連で、私が1つ確認したいことがあるのですが、少々お待ちください。障害者就労支援と言ったときに、障害者雇用をする企業、これも障害者就労支援の範ちゅうに含まれるという理解でよろしいでしょうか。これは事務局への質問ですけれども、障害者就労支援の業界団体を設立する構成要素として、広範囲な障害者就労支援に関わる組織といったような御説明があったと思うのですけれども、障害者雇用に取り組む企業側、これについては、その範囲に含まれるかどうかの確認をさせていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○西澤障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の西澤です。基本的に運営は民間団体自体なので、国のほうで、これとあれがなきゃいけないというところまでは決められないのですけれども、我々の期待としては、もちろん今、支援をされているジョブコーチもありますし、関係サービスの団体ももちろんありますし、やはり企業というのも非常に大事なアクターですので、何らかの形で障害者雇用に関わる企業も関わってくると、団体として、かなり幅も広がりますし、安定した運営につながるのではないかと思っております。
○小川主査 分かりました。ありがとうございます。それでは、JEEDからお願いいたします。
○市川構成員 JEEDの市川です。聞こえていますでしょうか。
○小川主査 大丈夫です。
○市川構成員 17ページのところになります。まず、受検資格のところなのですけれども、2段目に「職場適応援助者養成研修を修了し」と書いております。下段の勤務機関に勤めておられる方が受検するという想定であると、職場適応援助者養成研修を修了しているということが前提になると、極めて限られた層の方々になってしまうのではないかと思います。
もう1点、資格化については、技能検定のモデルにお話されていたと思いますけれども、そうなると、やはり試験内容については、学科試験だけではなくて実技試験も必要なのではないかと私は思います。以上です。
○小川主査 2点について、事務局のほうからお願いできますでしょうか。
○安蒜地域就労支援室室長 御質問ありがとうございます。受検資格については、新たな資格を中級レベルの障害者就労支援人材の資格と考えておりますので、障害者就労支援の実務経験3年以上の方を原則と考えております。並べて書いておりますが、これは「又は」になります。3年以上の方、又はジョブコーチの養成研修を終了して現在も従事されている方ということになります。そして、ジョブコーチの養成研修は、講義と演習を組み合わせた長い時間の研修になりますので、それを体系的に研修を受けることによって、実務経験に相当する技能が習得されたと見なし、実務経験期間を短縮することにしております。この要件を設けて、できる限り多くの方に受検していただきたいと考えております。
そして、試験内容なのですけれども、新たな検定は学科試験のみによって行うことを考えております。そして、御指摘いただきましたとおり、技能検定は学科試験と実技試験により行われ、3福祉士などの福祉係の多くの資格は学科試験のみにより行われています。先ほど少しお話させていただいたとおり、国家資格の運営は、民間団体に収支を含めて委ねることになりますので、検定料収入で試験業務の支出を賄う採算がとれるようにしなければ、資格を創設することができません。
そして、実技試験の実施には、どうしても多くのマンパワーが必要になりますので、その分、受検料を高く設定しなければならなくなります。そうなると、受検者の確保や採算の確保を難しくするおそれがあります。このため、まずは新たな検定を学科試験により行い、その後、受検者数や、この資格自体の社会的な評価などを踏まえながら、必要がある場合は実技試験を追加していくという流れがよいのではないかと思っております。そして、ご指摘のとおり、技能検定を行う場合は、学科試験と実技試験を実施することが必須となりますので、国家資格として技能検定の職種を追加する場合には、学科試験の追加が必要になります。このため、その時点で、検討する必要があると考えております。
○小川主査 よろしいでしょうか。受検資格の所で、まず確認させていただきたいのは、障害者就労支援の実務経験3年以上の者、又は職場適応援助者養成研修を修了し、障害者就労支援に従事している者で、対象としては想定する人材像が中級レベルということですので、全く実務経験なしで試験を受ける方は基本的には想定していないということです。3年以上の者というハードルを付けつつ、かつ、幅広い人材が研修を受けられるようにということで、職場適応援助者養成研修を修了して、障害者就労支援に従事している者については3年以上の実務経験というハードルとは別のルートをつくろうという考え方で、この2つが「or」ということで整理されております。市川構成員、いかがでしょうか。
○市川構成員 実技試験のことなのですが、これは技能検定の枠組みを想定した場合ですが、国家資格への移行の前段階については、実技試験はなくても大丈夫ということなのでしょうか。それから、先ほど社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士の3つの資格について、違う資格ですが、これについても社会福祉士の資格については、いろいろな見直しがされて今は認定社会福祉士というものができて、そこで実技もきちんと見るというようになってきたと思います。そういう流れも含めて、実技の部分は、必要があれば今後という含みを、実技も視野に入れての含みがあるということでいいのでしょうか。
○小川主査 事務局、よろしいですか。
○安蒜地域就労支援室室長 御質問ありがとうございます。御指摘のとおりで考えています。まず、スタート段階では学科試験で始めて、その後、実技試験も行ったほうが社会的な評価が高いというような状況が生じた場合には、実技試験の追加を考えたいと思っております。
それから、御指摘いただいた社会福祉士の2階に当たる認定福祉士の実技を研修でやられているというお話なのですが、この検定も研修と一体的に体系化する中で、追加することとしております。研修を段階的に、基礎的研修を受けて、ジョブコーチの研修を受けて、その後この検定を受けて、その後に上級ジョブコーチの研修を受けるような階層的なスキルアップの流れをつくりたいと考えております。その中で実技の充実も図っていきたいと思っております。
○小川主査 市川構成員、よろしいでしょうか。御質問の実技の件に関しては、この領域は極めて実践的な領域ですので、実際の技能について評価をするという視点は非常に重要であると考えますが、そのほかの資格の成立過程を考えますと、やはり、まず専門性について領域として、項目として整理すること。それを客観的に評価可能なように言語化して、しかも、エビデンスをベースにして言語化した知識の問題として構成すること。それらを経て、実際の行動レベル、動作レベルで、どういったスキルが必要なのかということについて、更に様々な領域に共通する技能を抽出して、それを客観的に評価するというレベルが必要であると考えております。
現状の就労支援の領域ですと、まず、スタートラインで考えますと、実技の技能検定の必要性は視野に入れつつ知識のレベルで、きちんと知識・技能を評価するという段階を進めることが必要なのかと、私は考えているところです。井口構成員、どうぞ。
○井口構成員 JEEDの井口です。資料の16ページの技能レベルについてですが、事務局案への意見というよりは、今後の検討課題として発言をさせていただきます。中級レベルという設定が、まだまだ曖昧というか、私もなかなかイメージがつかないところがあります。将来、初級レベルをつくるのであれば、初級と中級の違いというものが、試験基準として範囲が同じだとされていますので、そこの範囲が同じでレベルを変えるというのは、どうするのだろうなというのが疑問に思うところです。
これから階層的な研修の内容を確立しいながら試験問題を考えていくことになると思いますが、そう簡単な話しではないと思います。以上です。
○小川主査 事務局、何かコメントはありますか。
○安蒜地域就労支援室室長 御指摘ありがとうございます。御指摘のとおり、どのように差を付けて問題を作っていくかというのは本当に難しい問題だと思っております。そして、技能検定の場合は、1級から3級、上級、中級、初級を作るときに、それぞれの対象となる労働者の経験年数を基に、その人が行える職務を整理をして、知識や技能を科目化していく流れとしています。なかなか難しいことだと思いますが、実際に検討する段階になりましたら、皆様のお知恵を借りながら、しっかり整理をしていきたいと思います。
○小川主査 青野構成員、どうぞ。
○青野構成員 トーマツチャレンジドの青野です。私からは2点あります。まず1点目は、今御議論いただいていた17、18ページで、就労支援士になっていく方々の参画を、より広い層からとっていただいたということで非常に感謝しております。この就労支援士(仮称)が、どのように社会で活躍していくのかをイメージしながらお聞きしていたのですが、イメージが違ったら御指摘いただきたいのですが、個人的には、逆T字型のようなイメージで、幅広く、障害のある方との協働や活躍推進のところで、専門知識を発揮いただける方に幅広く参画を頂いて、中にはジョブコーチ的な要素で専門性を、より逆T字型のように発揮していく方がいたり、企業の中での実装や協働に向けた調整の所で更に力を発揮するとか、一定の専門知識がある方にたくさん集まってきていただいて、その中で個別に得意な所で更に力を発揮していくような形になっていくのかということを考えていました。
そうしたときに、ジョブコーチの資格と、この資格がどう違うのか。ごめんなさい、ジョブコーチは資格ではなくて養成研修の修了生の方と、この資格を持っている方がどう差別化されていくのかも考えないといけないのかと思ってお話を聞いていました。恐らく、この就労支援士というのは、私は一種のプランニングができる人のようになっていくといいのかと思いました。それは、障害のある方の雇用を促進して、活躍を推進して、具体的に協働、一緒に働くことに向けた施策を立案できて企業に還元できていくというような人材になっていくと、企業側としてはとてもニーズがあって、どうやってその企画を作っていったらいいのか、雇用を促進していけばいいのかと悩んでいる企業はたくさんありますので、そこにリーチしていけるのかと思いました。
それぞれの専門性のところで有機的に人をつなげて、社会に実装していけるような資格になっていくと非常にニーズもありますし、企業としても頼りがいがあるのかと思いながら、お話を聞いていたところです。したがって、次回以降の議論になっていくと思うのですが、資格試験の内容の中には、共生社会づくりや協働に向けたアクセシビリティーやインクルージョンに関する知識を問う問題なども入れていっていただくといいと思っています。
それから、木村構成員やほかの方からも出たのですが、業界団体の所で、もう1点あります。業界団体の運営に向けては、いろいろな仕事が出てくると思うのですが、こういった仕事も是非、障害者優先調達法などを活用いただいて、障害がある方が働いている組織等に仕事を出していっていただくということが実現すると有り難いと思っております。以上です。
○小川主査 ありがとうございました。多くが御意見であったと思いますが、何かコメントはありますか。
○安蒜地域就労支援室室長 御意見ありがとうございます。御指摘のとおり、障害者就労支援の知識を体系的に学んで、知識や技能を持った方をたくさん増やしていくことは意義があることだと思っています。この資格を、できる限り多くの方に受検していただいて、普及させていきたいと思っています。
そして、ジョブコーチとの関係は御指摘のとおりなのですが、新たな資格の対象となる方は、障害者就労支援員に関する総合的な技能・技術を持つ方で、ジョブコーチはその総合的な技能・技術に加えて、職場適応援助などの企業支援に対する専門能力を持った方になります。今回の全体の人材育成体系の見直しは、階層化、多様化させて、段階的に人材育成を進めていって、全体を手厚くする、強化するということが目的ですので、できる限り多くの方が、ジョブコーチと検定の双方のステイタスを取得して、障害者就労支援に取り組む流れをつくりたいと考えております。
そして、インクルージョンの話、どこにどういう問題を入れていただくという話は、次回また詳しく御議論いただきたいと思っているのですが、重要な視点だと思いますので、しっかり御議論いただきたいと思います。それから、優先調達の話も重要な話だと思いますので、しっかり検討していきたいと思います。
○青野構成員 ありがとうございます。
○小川主査 若尾構成員、お願いします。
○若尾構成員 ジョブコーチ・ネットワークの若尾です。意見としてお聞きいただければと思います。この作業部会の中間とりまとめでお書きいただいているように、ジョブコーチ支援の理念や支援方法・技術を持つ人材を中核として、幅広く、専門性を有する人材を確保・育成していくことが狙いであったと考えております。そういった中では、17ページにお書きいただいている受検資格の所ですが、障害者就労支援の実務経験3年以上の者、それから職場適応援助者養成研修修了者が、現に就労支援に従事している者というように、実務を重く見ていただいたことについては、私としては非常に評価をしております。
併せて、実務という観点から、研修の体系と資格の体系が分離していかないようにしていただきたいということを、思いとして持っております。そういった意味では、私の所も、就業生活支援センター、ジョブコーチの配置、障害福祉サービス、就労移行支援事業所、定着支援事業を運営しているのですが、これが全く切り離されてしまうような資格にはしてほしくないという思いです。それから、できれば活躍できるフィールドを増やしていくことが、この資格化に連動していただけると有り難いと思っています。
そういった意味では、18ページの下の欄に、厚生労働省が検定として行うということの中の「インセンティブ」と書かれている所に、かなり難しいとは思うのですが、できれば、必置要件であるとか、資格を取った方の配置については、例えば障害福祉サービスは加算要件の対象になるとか、今後は多分、ジョブコーチの養成に関しても上級研修が始まりますので、そういった上級研修を受けられた方と、この資格化との比較ができるようにしていくことも、併せてお願いできたらと思っております。すみません、意見です。以上です。
○小川主査 意見として承ることでよろしいですか。何かコメントはありますか。
○安蒜地域就労支援室室長 御意見ありがとうございます。御指摘のとおり、この検定と研修が全く別の物になってしまっては意味がありませんので、研修と検定を相互に受検、受講しながら段階的にスキルアップするという流れをつくっていきたいと思っています。
先ほど申しましたとおり、基礎的研修を受けた後にジョブコーチの養成研修を受けて、その後、新たな検定を受検し、その後、上級ジョブコーチの研修を受講するというような流れをしっかりとつくっていきたいと思っています。
そして、インセンティブに関してですが、報酬加算については、査定官庁などとの調整があるので、この場でお約束することはできないのですが、検討はしていきたいと考えております。
○小川主査 青野構成員、どうぞ。
○青野構成員 トーマツチャレンジドの青野です。今の資格と、実際の技能が分離していかないようにということなのですが、その点においても私は、社会実装の中で使われていくことが非常に大事だと思っています。就労支援士に求められることが、先ほど、プランニングができる方とお伝えしたと思うのですが、まとめていただいている資料の12ページを拝見して、ファイナンシャル・プランニング、ファイナンシャル・プランナーと書いてあると思うのです。このファイナンシャル・プランナーのことをイメージすると、すごくニーズがあって、皆さんが相談をして、家計などに対する非常に有用なアドバイスを頂いて、社会実装で使われているということなのだと思うのです。
今、障害者活躍推進の分脈で申し上げると、まだ日本の50%の企業が障害者雇用率すら達成ができていないという実態があり、加えて一方で、先進企業は今、アクセシビリティー推進やインクルージョン推進に向けて、更に協働に向けてどういった施策を打っていけばいいのかを議論していたりします。追い付いていない所と攻めの部分で、もっとやっていこうという所に、プランニングができたりアドバイスをできる人材を、ジョブコーチを含めて3年以上の実務経験があって、一定の知識のある方が、そういった資格を持って有識者として企業と連携していくことが実っていくと、実装の中でスキルが確かめられていきますので、資格と実態のスキルが分離していくということがないのではないかと思っています。以上です。
○小川主査 ありがとうございます。よろしいですか。
○安蒜地域就労支援室室長 ありがとうございます。御指摘のとおりだと思います。プランニングの話は、正にそのとおりで、新たな資格の中でもプランニングの技能を持っていることを検定することになると思います。また、専門的にプランニングをしたり企業支援を行っていくのはジョブコーチの皆様になりますので、検定を取った後に、前でもいいのですが、検定と合わせてジョブコーチの養成研修を受講し、その技術を磨いていただく、身に付けていただきたいと考えています。双方のステイタスを取りながら、より手厚い能力、技能を高めていっていただくというような流れをつくりたいと考えております。
○青野構成員 ありがとうございます。
○小川主査 國﨑構成員、どうぞ。
○國﨑構成員 事業の中で職場適応援助者をしております國﨑と申します。よろしくお願いいたします。
今、お話がありましたように、実際の現場と、この資格や体系的な研修が乖離しないというか、連動してということをおっしゃっていただいて本当に望ましいと思っています。その点では、今頂いている資料の18ページが、もう少し絵として、できればそもそも、この資格化は人材確保からきています。かつ、今、絶対的に足りていないのが職場適応援助者だと、現場サイドでは思っています。
というのは、今、青野構成員からもお話があったのですが、要は、中小で、まだゼロ人で雇用が全くできていない企業の支援ということで、今年度からスタートした相談援助事業を、福岡で今実施しています。現実的にお話をすると、プランニングでどうこうなる話では全くなくて、そもそもその法人の人材不足であったり、それから支援ということすら分からない。もっと言うと、今対応している所は、開口一番、身体の障害の方でしたら雇いますということで、障害自体について知識が全く届いていないのです。やはり、ハローワークさんが丁寧に御指導されていたと言いつつも、実態としては自社の人材不足を補う部分と、日々の運営に注力すると、障害者雇用に対しての向き合い方が、どうしても難しいと感じていらっしゃるのだというのは日々感じています。
その点で言うと、この資格化と、階層化した研修というのは非常に望ましいことですし、このことが実際の小さな企業でも、障害者雇用が進むときに必ず力になると思っているのですけれども、この後の流れを見ますと、どうも、この資格化が実際に進むことに関しては、まだまだ時間が掛かりそうだという印象を受けています。ですので、まずは18ページの所で、もっと職場適応援助者が増えていくようにリンクすれば、それだけが全てではないのですが、現実的に中小を支えていく小さな企業が、今から始めていくときには現場で手厚く支援することが非常に大事だと思っていますので、やはりここが増えるようなイメージ図にしていただきたいというのが1つです。
また、資格化ができるまで、この間の研修を受けていくまでには、まだ相当数の時間がある中で、雇用率が年度ごとに上がっていく企業もありますので、この途中の間を、もう少し職場適応援助がもっと動くような活性化案を、厚生労働省でも何かお示しいただけたらと思っております。以上です。
○小川主査 ありがとうございました。事務局から何かありますか。
○安蒜地域就労支援室室長 御意見ありがとうございます。御指摘のとおりで、研修と検定を組み合わせて階層的、かつ段階的にスキルアップできるような流れをつくっていくことが大切だと思っています。先ほども申しましたが、それぞれが別々に分離してしまっては意味がありませんので、基礎的研修を受けて、ジョブコーチの養成の研修を受けて、その後、この検定を受験する流れと、更にその後、上級の研修を受ける流れをしっかりつくっていきたいと思います。その流れの中で、この検定が普及し、受講者が増えていけば、その前段階の研修を受ける方も増えていくことになりますので、そういった流れで全体的に検定と研修を受講する方を増やしていって、体制全体を厚く強化していきたいと考えています。
ただいま申し上げたようなイメージが、この図ですと少し分かりづらいかもしれませんので、次回の委員会のときには、ジョブコーチと新しい検定の両方のステイタスをいかして、キャリアアップしていくようなイメージ図のようなものを準備して、お示ししたいと思います。
○小川主査 そのほか、いかがでしょうか。景山構成員、どうぞ。
○景山構成員 東海化成の景山です。中小企業、小規模企業の立場から一言、感想を述べさせていただきます。実は、経済産業省の中小企業庁のホームページにも、こういった障害者雇用ということではページを割いており、そこを見ますと、ジョブコーチという言葉がとてもスタンダードに出てくる。そういった中で、この次の検定のときに、どういった名称の資格になるのかなというのが非常に気になるところです。今、障害者雇用を私ども中小がやっておりますと、支援機関との共通言語として、ジョブコーチというものが一定程度、きちんと力を得てきているなというのを実感しているのですが、この養成研修と検定が別物にならないようにというのは、とても大事なところです。その検定が、最終的にきちんと職場適応援助者と絡み合っていけるというか、要するに、厚労省が2002年に職場適応援助事業を開始されて20何年取り組んできた事業にきちんと寄り合っていくというイメージを私は持ちたいのですが、そこが別物にならないのかという危惧がとても大きいです。となれば、やはり、もう少し議論を深めていけたらいいなとも思っていますし、中小や小規模企業は、当然やはり当事者なのですが、まだまだ障害者雇用は他人ごとと思っている節もあります。ですから、達成もしていないという現状があると思うのですが、中小、小規模も、どれだけ自社で取り組んでいけるように持っていかないことには、やはり本当の障害者雇用は成り立たないと私は思っています。
この検定を受けた方、あるいは上級に向かっていかれるような支援者が、企業を自立させるために、そういった事実であり、知識であり、御経験を存分に発揮していただけるような位置付けというか、そこにこそステイタスがあるという、そういう検定になっていくといいなと思っております。
企業側でいえば、検定を受けることが自社の障害者雇用を強くする一定のキャリアパスに組み込めるような検定であると、より有効で、本当に中身のある検定になるのではないかなと思っております。以上です。
○小川主査 ありがとうございました。
○安蒜地域就労支援室室長 御質問、御意見ありがとうございます。ジョブコーチと新たな資格の関係は、新たな資格は障害者就労支援に関して総合的な技能、知識を持った人材で、ジョブコーチは、それらの総合的な知識に加えて、職場適応援助や企業支援等に対する専門的な能力を持った方となります。双方とも、障害者就労支援分野の中核的な人材となりますので、できる限り多くの皆様が双方のステイタスを持って障害者就労支援に取り組む流れを作りたいと考えております。
そして、この新たな資格は、就労支援機関で働いている方だけではなく企業の中で実際に障害者就労支援に携わっている方たちにも取得していただきたいと思っています。そして、それらの方に知識を持っていただくことは意義のあることだと思いますし、さらに、その資格を持った方々を企業の中で処遇をしていただく、賃上げ等につなげていただく流れができるとよいと思っております。この資格ができたときには、それらも含めて、しっかりと意義を企業の皆様に伝えていきたいと考えております。
○小川主査 課長、どうぞ。
○西澤障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の西澤です。今、國崎構成員と景山構成員から、足元の雇用率の引き上げや、やはり足元でもできていない中小企業が多いとか、そういう支援の話がありました。正に、それは動いている世界ですので、この資格の話は民間団体に試験をしていただいて立ち上がっているというところがありますので、ある程度の時間が掛かりますが、もちろん先ほどハローワークの話がありましたが、ハローワークでも、できるだけ取り組めるようにしていますし、相談援助助成金を含め前回の制度改正で作った中小企業を念頭に置いた支援の拡充等もしております。人材ということでは、まず、来年度から基礎的研修を始めなければいけないということもありますので、当然、足元でやらないといけないことをやりつつ、こういうことも検討している状況なので。どちらもというところもちろんあるのですが、そこは少し分けて考えていく必要があるかなと思っています。
○小川主査 そのほか、いかがですか。おおむね、意見が出ましたか。
では、私も発言させていただいてよろしいでしょうか。全体として、この資格について前向きに取り組んでいくという御意見を頂いたように思います。それで、幾つかの角度で、今後の課題についても御指摘いただきました。やはり、この議論のスタートは、安蒜室長に、これまでの経過の所で整理いただいたように、1つの起点は第2WGのところで、障害者雇用や就労支援の人材の質が課題として挙げられて、そこのためには少し、この業界全体のステイタス、プレゼンス、そこで従事する人たちの専門性の明確化といったことも必要であろうということで、資格というキーワードが出てきたことを記憶しています。
もう1つの議論としては、この職場適応援助者の人材の育成確保に関する作業部会では、これまでジョブコーチに焦点を当てて議論してきましたので、そのジョブコーチ、特に上級ジョブコーチということも明確に階層化されたので、そういった人たちが資格を持てるといいのではないかという議論の流れもあったように記憶しています。
そういう2つの視点があるわけですが、もう1つ、今日の議論の中で、階層化された研修体系とのつながりといったことについての課題感も頂きました。人材像として今回、資格として、まずは中級というところを出させていただいていると思いますが、研修体系では基礎、職場適応援助者養成研修、上級という3階層化になっているわけです。資格化で、この先の仕事で課題になってくるなと何となく思うのが、やはり、この業界にジョブコーチが必要、それから、プランニングができるような、きちんとスキルを持った人が必要だと。やはり、ここを確保するためには裾野のほうも広げなければいけないだろうと。全体に、やはり障害者福祉に従事する方たちも、だんだん狭まっているのが現状ですし、大学で教えていても、そういった領域を目指す人たちが減っています。労働人口も減少していく中で、どうやって、この障害者雇用や就労支援に様々な角度からでもいいので関わる人たちを増やすのか、そこを増やさないと、いきなり中級あるいはプランニング、問題解決、この力を持った人を育成することは難しいだろうと。恐らく、そんな幅広い議論の中で、基礎的研修や養成研修という人材育成の研修の階層化もなされたのだと思います。
この資格という、今後の労働マップで、業界団体と問題育成、問題基準を作っていくわけですが、実務のことを少し、社会福祉士や精神保健福祉士、介護福祉士などの大学での養成する学科にいますと、やはり試験を実施していくということはなかなか大変な作業だなと。問題を作って、それが公的に認められる客観的な基準をもったもので試験をしていく、そこを作り込んでいくというのは容易ではないなということ。これは一つ、この資格に向けての私たちが抱えている重要な課題であると思います。そこについては、恐らく基礎的なレベルからきちんと問題を作って、受けていただいて、一定の合格率を出すことの経験を重ねていくことも必要であろうというように思います。
ただ、基礎だけではなく、プランニングや職場での調整、こうしたジョブコーチに求められるスキルを持っている人材をターゲットにしようと。それから、その評価として、知識レベルではなくて技能をきちんと評価できることも重要ではないかという御意見も頂いているところなので。どうやって、そのレベルに到達したらいいのかということについては、また次のステップで議論しながら、どこが、中級のレベルとして一番最初に資格ということで作り上げていくことができるのかということについて、更に議論を継続していくというか、作業をしながら、そこについては大体、まずは目指す資格の中級レベルは、このレベルであろうということを見定めていくことが必要なのかなと、私は感じているところです。
非常に重要な、実際に現場で必要とされている人材像はこういった人材像だと。それと、裾野が必要だということ。実際に機能するような資格の問題づくり、それを安定的に長期運営できるような組織体制づくりも、全部合わせながら、今後この資格化について仕事を進めていかなければならないので、皆様から頂いた御意見は、どれも重要で、もっともなのですが、実際に実務を進めていく中で更に、まずは整然とさせたファーストステップの資格像を私たちの中で見出していくことが必要なのかなと感じました。感想めいた発言で適切だったか、どうなのかとは思いますが、私としては、全体としてそのような印象、考えを持ちました。何か、今の私の意見に対してでも結構ですが。最後に、もう少し時間がありそうですので、何か御意見はございますか。よろしいですか。
それでは、ほかに御意見がないようですので、基本的には、今回、提示した案をベースに、次の会では、この19ページ以降の課題について検討していくことで、皆さんの合意を頂いたということにさせていただきたいと思います。
それでは、最後に議題2「その他」として、事務局から何かございますか。
○安蒜地域就労支援室室長 特段ございません。
○小川主査 それでは、本日予定されておりました議題は、以上で終了とさせていただきます。連絡事項として、事務局から何かございますか。
○北里地域就労支援室室長補佐 次回の作業部会は、12月18日(水)15時からの開催を予定しており、引き続き、資格化について御議論いただく予定としております。事務局からは以上です。
○小川主査 それでは、本日の作業部会は、これで終了とさせていただきます。ありがとうございました。