2024年10月2日 令和6年度第1回中央職業能力開発促進協議会議事録

人材開発統括官付訓練企画室

日時

令和6年10月2日(水) 10:00~

場所

中央合同庁舎第5号館 専用第21会議室

議題

  1. (1)令和5年度第2回地域職業能力開発促進協議会における協議状況について
  2. (2)令和5年度公的職業訓練の実績
  3. (3)教育訓練給付制度における地域のニーズの把握について
  4. (4)今後の人材ニーズに関する関係省庁からの報告
  5. (5)令和7年度全国職業訓練実施計画の策定方針
  6. (6)その他

議事

○藤村座長 定刻になりましたので、ただいまから「令和6年度第1回中央職業能力開発促進協議会」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日の協議会は、対面形式・オンライン形式を組み合わせて開催いたします。また、傍聴を希望される方々には全て公開としております。本協議会冒頭の撮影を御希望の場合は、人材開発統括官からの開会挨拶までとさせていただきます。
 まずは、構成員の交代がありましたので、御紹介をさせていただきます。今回から全国中小企業団体中央会より渡辺隆一労働政策部長、全国専修学校各種学校総連合会より河原成紀副会長、一般社団法人日本人材紹介事業協会より早川拓事務局長代理に御参加いただくことになっております。各構成員の皆様、どうぞよろしくお願いをいたします。
 本日は、山脇構成員の代理として日本労働組合総連合会労働法制局の三浦様に御出席いただいております。なお、堀構成員は、所用により11時までの御出席と伺っております。
 政府からは厚生労働省に加えまして、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省が出席、オブザーバーとして5団体に出席いただいております。
 なお、事務局においても、人事異動により、堀井人材開発統括官、高橋大臣官房審議官(人材開発、外国人雇用、都道府県労働局担当)、今野人材開発統括官付参事官(若年者・キャリア形成支援担当)、大塚人材開発統括官付訓練企画室長、稲田人材開発統括官付特別支援室長が新たに着任をしております。それでは、まず始めに堀井人材開発統括官から御挨拶をお願いいたします。
○堀井人材開発統括官 今年の7月の人事異動で、人材開発統括官を拝命いたしました堀井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。本日は中央職業能力開発促進協議会に御参加をいただきまして誠にありがとうございます。また、日頃より人材開発行政の推進に当たりましては多大なる御理解、御協力を賜っておりますことを冒頭にお礼を申し上げたいと思います。
本協議会につきましては、皆様方御案内のとおり、令和4年10月に法定をされました地域職業能力開発促進協議会に合わせてリニューアルをしたところでして、今回で3年度目を迎えているところでございます。昨年度につきましては、各地域におきます職業能力開発促進行政が一層効果的になるようにということで、各都道府県の地域協議会におきまして新たな取組を開始したところでございます。具体的には、ワーキンググループによる訓練効果の検証、そして訓練カリキュラムの改善促進策の検討、また公的職業訓練に加えまして、教育訓練給付制度における講座指定の拡大に向けた地域の訓練ニーズ等の把握、このような取組を行っているところでございます。
 本日の協議会におきましては、地域協議会における議論の内容につきまして、ほかの地域においても参考になるような事例を御紹介する。そういったことに加えまして、昨年度の公的職業訓練の実績及びその分析など、訓練現場の意見に対する対応などを御報告します。それらを踏まえて、来年度の職業訓練実施計画の策定に向けた方針につきまして御議論をいただくこととさせていただいております。また、関係省庁の御出席もいただいておりますので、リスキリングの取組についても御報告を頂く予定としているところでございます。
 本日の協議内容につきましては、各都道府県の地域協議会に対しても情報提供することとしておりまして、中央と地域の協議会の緊密な連携を図るということで、地域における職業能力開発、これが一層進んでいくような形につなげていきたいと考えております。
なお、1点御報告させていただきたい点があるのですが、既に御案内の方も多いと思いますが、先月の9月9日になりますが、ワールドスキルズインターナショナルの総会におきまして、2028年の技能五輪国際大会の開催地が日本の愛知県ということが決定をされました。こちらも21年ぶりに日本で開催されることになるという2028年の大会に向けまして、これから盛り上げていきたいと考えております。世界各地から選手の皆様、そして応援される方々ということで、日本、愛知県に来日されることになりますので、こういう方々に最高の体験を提供できるように、また、日本のものづくりに携わっておられる方々、若い方々を中心として関係する方々、そういった方々にもすばらしい体験を提供できるようにということで、これから具体的に2028年に向けて愛知県、そして中央職業能力開発協会、関係機関と連携してしっかりと準備を進めていきたいと考えております。是非、皆様方の御協力もお願いしたいと思います。
最後になりましたが、皆様の御見識の幅広い御意見を今日の協議会で出していただくことを期待いたしまして、簡単ではございますが、私からの御挨拶とさせていただきたいと思います。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○藤村座長 どうもありがとうございました。それでは、議題に入る前に、本日の注意事項につきまして事務局より説明がございます。
○渡邉人材開発統括官付訓練企画室長補佐 事務局から事務連絡をさせていただきます。報道関係者の方々の撮影はここまでとなりますので、よろしくお願いいたします。構成員の皆様におかれましては、御発言を希望される場合は、会場内の方は挙手で、オンライン参加の方はZoomの「手を挙げる」機能により意思表示をいただき、座長から指名された後に、会場内の方はお手元のマイクのボタンを押してから御発言をお願いいたします。また、オンライン参加の方におかれては、Zoom接続、音声等に問題が生じたとき、事前送付しましたマニュアルに沿って、その旨をチャット機能かメール又は電話で御連絡をお願いします。
○藤村座長 それでは、議題に入りたいと思います。議題1の「令和5年度第2回地域職業能力開発促進協議会における協議状況について」、事務局から説明をお願いいたします。
○大塚人材開発統括官付訓練企画室長 御説明申し上げます。まず資料1ですが、通しページ1になります。令和5年度第2回地域職業能力開発促進協議会【概要】と題しております。こちらは、昨年度の第2回の開催状況をまとめたものになります。令和6年の2月から3月にかけて、全都道府県にて開催しております。主に協議内容は大きく3つございました。①令和6年度地域職業訓練実施計画の策定、②公的職業訓練効果検証ワーキンググループにおける効果検証、③その他、ということでございます。それぞれについて、これから別添の資料で御説明したいと思います。
 2ページの別添1になります。こちらは、地域協議会における訓練の実施状況や企業の進出状況などに関する意見と、それへの対応、そして現在までの取組状況をまとめたものです。そのうち、好事例と思われるものを5つ取り上げております。今日はそのうちの3つを御説明したいと思います。
 最初は群馬についてです。こちらは、求職者支援訓練の基礎コースに関して、これまでの利用実績を踏まえると計画数が適当かどうかという御意見、また、デジタル人材の質・量とも不足しているという御意見を受けての対応と取組状況になります。資料の中ほどに移りますが、これを受けて、実態を踏まえた計画策定とデジタル分野のコース割合を増やすこと、またデジタル分野以外でも基礎的なITリテラシーの獲得を念頭に置いた訓練コースを設定して、受講勧奨を行うこととなりました。資料の右側に移りまして、取組状況としては、基礎コースの計画数を実態に沿ったものにするとともに、デジタル系の計画数を増加させ、デジタル分野以外でもデジタルリテラシーを高めるカリキュラムを含むコースの設定がなされて、今年度の訓練が行われている状況になります。
 次は、山梨の事例になります。令和6年度の在職者訓練の計画数を昨年度の実績値の倍以上に拡充したことに関するやり取りがございました。資料の中ほどですが、定員割れしている訓練は廃止して、好評な訓練は継続、そしてデジタル人材関連のコースに加えて、山梨県が進める「キャリアアップユニバーシティ」構想に関連した新たなコースを増加させる方針であることの説明がなされました。山梨キャリアアップユニバーシティ構想とは、山梨県が進めているものでして、厚労使が協働して地域の在職者をスキルアップする、それによって生産性の向上と企業収益向上を図り、結果として賃上げにつなげることを目的とした各種取組のことでございます。資料の右側に移りまして、キャリアアップユニバーシティ構想の趣旨を踏まえた在職者訓練をこれまで10件実施しているところであります。また、在職者訓練の全般について申込手続のオンライン化がなされたと伺っております。
 3番目の事例としては滋賀です。①として、県北部でのコース設定がなくなることへの対応に関して、②として、人材確保が課題であることから、女性や高齢者向けの訓練の拡充を求めることに関しての御意見を受けての対応になります。中ほどに移りますが、これを受けて、①については訓練施設の設置状況を踏まえつつ、eラーニングによる訓練での対応、②については、幅広い方への訓練に関する周知広報と母子や母子家庭の母にフレンドリーなコース設定を計画に反映することとなりました。右側に移りまして、取組状況としては、①として、情報系のeラーニングコースを県全域対象に開講することとなりました。②として、SNSの活用や様々な機会を捉えた周知を行うとともに、母親に配慮したコースや、母子家庭の母等に優先枠を設定した訓練を設けていただいております。
 次に別添2、通しの3ページです。こちらは地域協議会の下に設けられたワーキンググループにて行われた効果検証の実施状況をまとめたものです。効果検証の対象分野と、対象とした県の数、そして選定した理由の例をページの上段に記載しております。本日は、説明は省略したいと思います。
 ページ下段に、効果検証に当たっての意見を幾つか挙げさせていただきました。例えば下から2番目の○については、人材確保が難しい中で、介護分野の資格を持っている方には専門職として働いてもらう一方で、事業所として業務を細分化して、例えば介護ロボットの導入など、別のやり方で対応するなどして業務を効率化し、負担軽減をする方法もあるだろう。事業主、事業所に対するこのようなヒアリングの際には、人材確保や定着につながるようなことを検討しているかについても聞き取りの項目に入れてはどうかと、そのような御意見になります。
 また、一番下の○では、デジタルリテラシーが重要なのはIT分野だけではなく、事務分野でリテラシーを高めれば企業全体のDX化が進むと考えられること。この点を意識したコース設定や検証に意義があるといった御意見を頂戴しております。
 続いて別添3で、4ページです。別添4まで続くこの資料は、地域協議会の連携事例と題しておりますけれども、協議会関係者が連携した事例であるとか、協議会が関係したイベントを取り上げさせていただきました。
 まず、別添3の大分局の例になります。こちらは、連携のきっかけの2つ目のポツにあるように、県と労働局が調整をして、協議会本体の運営は労働局が主担当になり、ワーキンググループは県が主担当となって運営することになりました。結果として、最終的に地域の訓練の設定をうまく行うことができたといった内容になります。資料の右上の連携による効果ですが、役割を明確化したことで効率的な運営になったこと、特にワーキンググループにて活発な意見が出たことでヒアリング項目が充実したこと、また、ヒアリングの結果を訓練計画に反映させることができたことが挙げられております。
 訓練計画への反映については左下に移ります。デジタル分野の訓練について、入門的な内容は求職者支援訓練として比較的短期間の訓練で主に担い、比較的高度な内容は委託訓練を5か月から1年間かけて行うといった差別化をしてコース設定するといった形で反映されました。実際の実施状況としては、一番下にあるように今のところ順調と聞いております。また、右にあるように今回取り入れた差別化の効果については、次年度、令和7年度のワーキンググループで検証することで調整済みと伺っております。
 次に別添4になります。こちらは訓練関係のイベントを行った長崎の事例になります。取組のきっかけとしては、ハローワーク利用者が減るのに伴って訓練の申込みも減少し、結果として訓練が実施できない施設が増えてきたこと。また他方で、求人は増加傾向にあるものの、訓練成果を生かせるような求人内容になっていないことが背景になっています。そこで、右側にあるように、訓練受講生になり得る幅広い年齢層に対して職業訓練についての情報を発信すること。また、事業主に対しては、職業訓練の認知度が低いことから、訓練の種類や身につけることのできる技能を知ってもらう場を作ること。これらを目的にイベントが開催されました。
結果は左下のとおり、数字だけ見ますと約200名に御参加いただいたイベントとなりました。右側にありますように次年度、令和6年度に当たりますが効果検証を行うことと、更に効果的な場を設けることについて期待すると、そういったやり取りが昨年度、第2回目の地域協議会でなされたと伺っております。資料に関する説明は以上になります。
 本日このような地域協議会での議論の状況や成果などをお示ししましたが、我々事務局といたしましては、現在、各地域で行われている訓練の評価や訓練の設定を、数字的なエビデンスを更に活用して実施していただくような取組を進めていきたいと考えております。具体的には、ハローワークで蓄積するデータからどのような分析ができるかを我々のほうから示したり、また、そのためのシステムの扱い方を具体的に示したり、そのようなことを想定しております。このような取組を通じて、様々なデータに基づく分析を地域で議論いただき、訓練の設定に効果的に活用できるような流れを作っていくことを目指したいと思っております。今日は事務局として、今考えていることを御紹介させていただきました。私の説明は以上になります。
○藤村座長 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。三浦さん、どうぞ。
○三浦様 御説明ありがとうございます。中央協議会の役割の1つが、各地域協議会の好事例や改善促進策を他の地域でも水平展開し活用していくことだと考えています。別添3で、大分県において協議会とワーキンググループの事務主体を分担し、双方の役割の明確化による効果的な運営につながったとの報告がされています。こちらを事務局においても検証していただき、好事例と判断できるのであれば、他の地域でも同様の取組を進めていただくことを検討していただければと思います。以上です。
○藤村座長 ありがとうございました。事務局から何かありますか。
○大塚人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。大分の例も含めまして、全国の取組を通しで見た中で、好事例と思われるものについては積極的に参照していただくような形で全国展開したいと思っています。以上になります。
○藤村座長 そのほか、ございますでしょうか。河島さん、どうぞ。
○河島構成員 ありがとうございます。京都府の河島でございます。いつもお世話になっておりましてありがとうございます。今、最後のところで、室長から、今後、データ、エビデンス等々を提供しながら、具体的にその地域での議論にも生かしていっていただく、そういう工夫をしていきたいということで大変有り難い話かなと思います。特に地域レベルで話をしていますと、それぞれ出身母体の方々がいらっしゃいまして、どうしてもエモーショナルな、あるいは肌感覚的な議論に終始する場合が実際上よくございまして、しっかりとしたエビデンスに基づく議論が必要かなと、常々、自分の所も含めて思っていましたので、非常に的を得た対応をしていただけるのかなと思ったところです。
 少し京都府の地域促進協議会のお話もさせていただきますと、かねてより話がありますように、今回も出ていますデジタル人材の育成といった部分がとかくフォーカスされやすいですけれども、一方で同じような分類でいきますと、ものづくりの部分でのエンジニア育成が非常に重要で、京都府でもCADやCAM、あるいはFAシステムといった部分での訓練などに注力しているところですけれども、なかなか人が集まっていただけない。協議会の中の話では、訓練生にとって出口のイメージができないといったお話であるとか、あるいはハローワークの訓練窓口で、DXも同様ですけれども、かなり専門的な知識あるいは汎用性のある知識が非常に求められていて、そういった部分を幅広く求職者の方に御案内するだけの力量を身に付けていただく、いわゆる窓口職員の人材育成が非常に求められているということで、何からできるか分かりませんけれども、地域においても、しっかり努力をしていこうという話で会議としては終わっています。
 それから、他県の例で、別添4、5ページで御紹介していただいている長崎局の例ですが、実は京都府でも何年か前に労働局とこういった取組をさせていただきました。ただ、残念ながら周知不足といったところがございまして、多くの方に関心を寄せていただけなかったところが1つ課題ではございました。実は今年の8月に京都府単体で、いわゆる「学びフェスタ」という形で、年齢層は子供から大人まで、場合によっては親子体験ができるような取組を実施しました。ここには京都の職業訓練校にも参画してもらって、訓練をする先に何があるのか、あるいは、どういった仕事があるのかといったところまでイメージしてもらうような、しかしながら、まずは楽しんでいただこうというところから入っていく、少し遊び心のあるイベントをさせていただきまして、実は5,000人ほどの方に集まっていただいたところです。ただ、残念ながら、なかなか予算的に厳しいものがございますので、次年度から難しいなと。是非、こういった労働局などの予算とうまく連携しながら、次年度も開催できればと、長崎の取組を見ながら思った次第です。感想でございます。以上です。
○藤村座長 ありがとうございました。ただいまの河島さんからの御意見について、事務局として何かございますか。
○大塚人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。まず、出口のイメージがなかなかできないことについては、そもそも職業訓練自体の周知というかイメージを、事業所の方はお持ちになっていないということもあろうかと思います。今回、長崎の例でありますように、事業主も呼んで実際に訓練をした後に、仕上がり像という言葉遣いがいいかどうか分かりませんけれども、どういう仕上がり像になるかということも主眼に、今回、イベントを開催したと聞いています。
 また、そのページの右下にありますように、参加者の声として子供連れでも楽しく体験できたといったことで、今回、子供連れの方がどれぐらいいるか聞いてみたのです。実際、カウントしていなかったのですが、こういう取組も、将来を担う方々にこういうイメージを持ってもらうのは非常に大事ですから、今後は子連れの方がどれぐらい参加したのかも含めて把握して、今後に生かす取組もしていきたいと考えています。以上になります。
○藤村座長 ありがとうございます。
○岡田職業安定局総務課訓練受講支援室長 訓練受講支援室長の岡田です。ハローワークの訓練部門職員の知識向上が重要だというコメントがございました。我々としても、マッチングの質を高める上で、ハローワーク職員の知識向上については非常に重要だと考えています。マッチングについては、企業とのマッチング、適切な訓練コースを紹介する訓練とのマッチングがございますが、特にデジタル分野の知識については、ハローワーク職員の知識がまだ不足しているといった声もございます。職員、相談員に対するデジタル分野の研修や、実際に訓練機関でどういう訓練をやっているか、そういったものを見る見学会や意見交換会を積極的に行うようにしているところです。また、それ以外でも、企業訪問をして企業の現場を拝見させていただく取組も実施しているところです。そうした様々な取組を通じまして、職員の知識向上を図っています。以上です。
○藤村座長 ありがとうございます。ハローワーク職員の訓練は、私が所属しています労働政策研究・研修機構でやっていますので、十分に御意見を生かしていきたいと思います。そのほか、ございませんでしょうか。よろしいですか。では、次に議題2に移りたいと思います。「令和5年度公的職業訓練の実績」について、事務局から説明をお願いいたします。
○大塚人材開発統括官付訓練企画室長 御説明申し上げます。資料2-1になります。通しページの6ページになります。今般、令和5年度の公的職業訓練の実施状況についてまとめました。この全体については、これに続く資料2-2として本協議会に御提出させていただいています。資料2-1、資料2-2のいずれも速報値になりますので、今後、数字の変動の可能性があることを御承知おきいただければと思います。本日は、この全体版のうち、離職者向けの実績を抜き出して整理した資料2-1について御説明申し上げます。
 表題に、「ハロートレーニング(離職者向け)の令和5年度実績」とございます。改めて申し上げますと、ハロートレーニングとは公的職業訓練のことでありまして、公共職業訓練と求職者支援訓練のことを指しています。公共職業訓練は都道府県が施設内で行うもの、また、都道府県が委託をして行うもの、そして高齢・障害・求職者雇用支援機構において実施するものがございます。
 1枚目については、今、御説明した訓練のうち、離職された方向けのものを全て足し合わせたものになります。括弧内の数字は前年度からの増減です。ここの数字で大きな動きがあったもので、今回は4桁の数字があるものについて御説明いたします。
 まず、「IT分野」とその下の「営業・販売・事務分野」の2つにつきましては、一方で数字を大きく減らし、もう一方で大きく増やしていることが分かると思います。これは資料の一番下の※に記載したとおり、令和4年度に「IT分野」に含んでいた情報ビジネス科の位置づけを見直しまして、「営業・販売・事務分野」に含めたことによるものです。IT分野の訓練は全てデジタル分野の訓練に含めることを意図して行ったものであり、結果として数字の出入りが生じています。
 次に、「介護・医療・福祉分野」です。ここは比較的多くのコース数を設けているものの、設定したコースを満たすほどには受講者が集まらず、令和4年度から数字を落としています。
 次は、「デザイン分野」です。5番目の議題の際にも御説明しますが、応募者が非常に多い訓練分野であることから、これに対応するためにコース数を増やして受講者数が増えたものになります。参考として、表の一番下に「デジタル分野」の訓練実績を計上しました。閣議決定などを踏まえて人材育成に力を入れている分野で、受講者数は令和4年度より3,000人以上伸ばしているところです。
 次のページ以降は、公的職業訓練を委託訓練、求職者支援訓練、都道府県の施設内訓練、そして高齢・障害・求職者雇用支援機構にて実施する訓練にばらしたものです。そのうち、1枚目の委託訓練と求職者支援訓練について御説明申し上げます。「応募倍率」や「就職率」の列について、それぞれ高かったものの上位3つを赤に、低かったものを緑に色付けしています。委託訓練について応募倍率が高かったものは、上から旅行・観光分野、デザイン分野、理容・美容関連分野でした。これらのうち、コース数が多くて、かつ就職率が低いのはデザイン分野でした。次に、委託訓練について応募倍率が低かったものは、上から介護・医療・福祉分野、製造分野、建設関連分野でした。これらのうち、介護・医療・福祉分野は就職率が比較的高く、また、建設分野は比較的低くなっていました。右の求職者支援訓練について応募倍率が高かったのはデザイン分野と建設関連分野、理容・美容関連分野でした。このうち、理容・美容関連分野は就職率が比較的高く出ていました。応募倍率が低かったのは、介護・医療・福祉分野と農業分野、旅行・観光関係分野でした。このうち、コース数の多かった介護・医療・福祉分野については、委託訓練と同様に就職率が比較的高くなっていました。就職率が比較的低かったのは、農業分野、旅行・観光分野、その他分野でしたが、これはコース数そのものが少ないので全体と比較してのコメントは控えたいと思っています。私からの説明は以上になります。
○藤村座長 ありがとうございました。ただいまの議題2に関する説明につきまして、御意見、御質問をお願いいたします。三浦さん、どうぞ。
○三浦様 資料2-1、通しページの7ページから8ページに制度別の実施状況が記載されていますけれども、就職率を見ますと、施設内訓練やJEEDが行う職業訓練の実績に対して、民間に委託している職業訓練の就職率が著しく低い分野、例えば旅行・観光分野、建設関連分野などが散見されます。分野によって地域ごとの求人状況なども異なるとは思いますが、就職率にこれだけ差があるということは訓練の質の違いによるものが影響しているのではないかと考えます。現行の受託要件の中で、政府として訓練機関の質の担保に取り組んでいただいているものとは承知していますが、訓練の質を確保・向上させるために、受託要件そのものの見直しを含め、検討する必要があるのではないかと考えます。以上です。
○藤村座長 今の点、いかがでしょうか。
○大塚人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。例えば委託訓練につきましては、平成16年度から委託費の支給方法に関して、就職率に応じたインセンティブを設けて、就職率の向上をこれまで図っているところでございます。また、平成20年度からは、このインセンティブにおける就職の要件を4か月以上の雇用期間として、より安定的な雇用への就職を目指しているところです。そのほか、委託先機関の選定要件として、サービスガイドライン研修を修了した者が在籍していることを要件とすること。また、就職率が2回連続で35%を下回った場合は、原則として委託の対象としないなど、質の担保を図っているところです。これによりまして、平成15年度に52.5%だった委託訓練の就職率は、令和5年度の速報値で73.6%となっています。求職者支援訓練についても、就職率に応じたインセンティブの設定であるとか、サービスガイドライン研修の修了者が在籍していることを要件とすること。また、就職率に関しても要件を設けることで質の担保を図っているところです。ただ、一方で、就職率が低い訓練があることも事実です。なかなか上げられない訓練があるというのも事実でございます。
 この就職率が低いことについては、訓練の質はもちろんのこと、例えば訓練の中身に応じた訓練受講生の状況であるとか、また、その訓練に関連した職業に就く際のそれぞれの産業、業種の需給状況など諸々の要因が絡まったものであるとも考えています。訓練の質の向上はもちろんですけれども、様々な要因が背景にあることも念頭に置きながら分析を行い、それぞれの対応を進めてまいりたいと思っています。
○藤村座長 ありがとうございます。三浦さん、よろしいですか。そのほか、いかがでしょうか。渡辺さん、どうぞ。
○渡辺構成員 ありがとうございます。今の資料について意見を少し申し述べたいと思います。私どもにて、今年7月1日時点で、約4万の中小企業者に向けて労働関係の調査を実施したところです。その中では、人材確保のために利用する、募集と採用ルートを複数回答で調査したところ、「公共職業安定所からの紹介」が一番多く、回答率は75%近くあったところです。この数値は、2番目に回答が多かった「就職情報サイトへの求人情報の掲載」の41.5%と比べて30%以上高く、ハローワークからの紹介を人材確保の手段として重要視して用いている結果が出ています。そのような意味から、今回、資料にありました公的職業訓練についても恐らくかなり重要視しているし、ニーズも高いものと思っていますので、ますます期待させていただきたいと思っているところです。
 その上で、資料の御説明にありましたとおり、ハロートレーニングについては一部の分野で就職率が低い状況ですが、人材不足に悩む中小企業にとって、ようやく確保できた人材が早期離職してもらっては大きな痛手となりますので、就職率の向上とともに、定着も意識しながら、企業とミスマッチにならないような取組を、是非、進めていただければと思っています。
 また、資料としてはこの後の話になってくるかと思いますが、来年度の職業訓練実施計画策定の方針案も資料として出されているかと思います。こちらでデジタル分野への重点化が必要ということで、予算拡充の要求とともに実施計画も策定されているかと思いますけれども、今の資料2-1、通しページの7ページ、こちらの公的職業訓練の制度別、分野別訓練の実施状況では、一番下に参考として「デジタル分野」が記載されていますけれども、就職率は68.0%であり、同じページの緑色で塗られた下位3分野と同レベルと言っていい状況かと思っています。単にコース数を増やすだけでは就職率が低迷するおそれもあることから、量だけでなく、質の確保といった点も意識しながら取組を進めていただければと思っているところです。以上です。
○藤村座長 ありがとうございます。事務局から何かございますか。
○大塚人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。デジタル分野に関してはどんどん人材育成を図らなければいけないという、閣議決定をはじめとした目標、使命の達成がございますけれども、今いただいたような御意見も頂戴しながら、よく数字を見ながら、必要な対策を進めていきたいと思っています。抽象的になりますが以上です。
○藤村座長 ありがとうございます。中小企業はやはりハローワーク経由で人材確保というところが大きいですね。だからこそ、ハローワークにはしっかり頑張ってほしいというお話かと思います。そのほか、ございますでしょうか。平田さん、どうぞ。
○平田構成員 ありがとうございます。スライド7ページにある訓練の実施状況についてですが、応募倍率と就職率が気になるところです。応募倍率が低くても就職率が良いものに介護があります。毎年の数値に一喜一憂してもしようがないとおもいますけれども、職業の魅力や働きがいといったものを伝えていくことも大事だと思っています。そういうことも考えると、職業安定行政との連携も必要なのかなと思っていますので、一言、意見として申し上げておきたいと思います。
○藤村座長 ありがとうございます。そのほか、ございますでしょうか。よろしいですか。では、議題2は終わりまして、議題3に移りたいと思います。「教育訓練給付制度における地域のニーズの把握について」、事務局から説明をお願いいたします。
○今野人材開発統括官付参事官(若年者・キャリア形成支援担当) 資料3について、御説明申し上げます。本件、「教育訓練給付制度における地域のニーズの把握について」ということで、こちらは前回の中央協議会で新たに議題として取り上げられたものです。本日はその後の取組について進捗を報告させていただきます。
 55ページを御覧ください。こちらはこの取組、仕組みの全体像です。教育訓練給付についてはもう御案内かと思いますが、労働者が主体的に教育訓練を受講して修了した、その際、条件を満たせばその費用の一部を支給するという制度です。対象となるのは、内容に関する基準、あるいは就職に役立つかといったその効果に関する基準などを満たしたものとして、厚生労働大臣が指定した講座等です。
 リスキリングの促進ということを背景にしまして、在職者の方に自発的なスキルアップを目指していただくためにも、この教育訓練給付制度の活用を促しているところですが、その際、重要となるのは、そもそも求められている講座がきちんとあるのだろうかということです。この55ページの中段左側にありますように、地域協議会については自治体や労使双方の団体に加えまして、教育訓練実施者などの関係者にお集まりいただいているものです。そういったことを踏まえて、こちらを活用させていただき、地域で求められている訓練ニーズは何だろうか、あるいはそのニーズが高い分野について、指定を受けている講座というのは十分にあるだろうか、講座はやっているのですが、指定は受けていないというだけであれば、ではこの制度の活用を促してはどうかといったことについて、御議論を頂いているところです。
 それ以降、今年2月から3月に掛けまして、実際に全都道府県で地域協議会が開催されています。この講座拡大の取組についても御議論を頂いているところです。その議論の内容ですが、57ページ以下で、協議会でいただいた主な意見や、それを受けた労働局の対応方針、具体的な取組を紹介しているところなのですが、今回は56ページを使いまして、総括的に整理をさせていただいていますので、こちらで御紹介を申し上げたいと思います。
 まず、地域協議会でいただいた主な御意見としては、中段以下にありますが、訓練ニーズがどういった分野で実際高いのか、指定講座を拡大していくべきはどこなのかというような御議論です。例えば、デジタルや介護福祉、輸送・運輸といった全国的にも人手不足が指摘されているような分野のほか、その後、地域によっては語学、あるいはドローンの免許、こちらは農業用を念頭に置いているようですが、そういったものについてのニーズが指摘されているというところです。また、2つ目としては、そもそもこの制度が知られていない、周知が必要だという声もかなり多くの都道府県で御指摘を頂いているというものです。また、その他としては、指定を受けるためには、当然、申請が必要となるのですが、手続が大変そうなので二の足を踏んでしまうといったような指摘もあったところです。このような声を受けまして、各労働局において、地元の訓練実施機関や教育機関、あるいは自治体の関係部署を訪問するなどして、指定申請の勧奨を行っているというものです。
 加えまして、途中を飛ばしますが、60ページを御覧ください。本省の取組について、こちらでまとめさせていただいています。例えば大学であれば文部科学省、ドローンでしたら国土交通省など、各業を所管します省庁の協力を頂きまして、全国の関係者に対して一斉に申請の勧奨を行う。あるいは、左側の中段にありますが、説明会の場に厚労省が出張っていきまして、制度の紹介をするといったような取組をしているところです。
 また、先ほども御紹介しましたとおり、そもそも制度が知られていない、あるいは申請が難しいのではないかという声があることも踏まえまして、右側ですが、制度の概要や手続のイメージをなるべく親しみやすい形で紹介する動画を作成しまして、ホームページのほか、SNSで集中的に広報するといった取組を行っているところです。
 以上が、この資料に記載されている内容の説明です。本件について、今後の流れについて口頭で少し御紹介させていただきたいと思います。教育訓練給付制度の講座指定は、年に2回行っています。直近ですと、この10月から約1か月間、申請の受付期間を設けまして、先ほど申し上げた基準の適合を審査させていただいて、来年4月に指定されるという流れです。このため、私どもとしては、ここまで御説明した各種の働きかけの結果として、今月、申請が出てきて、来年度からより地域のニーズに即した講座の充実が図られるということを期待しているところです。その結果については、また、まとまり次第、この場で御報告を申し上げたいと考えています。私からの説明は以上です。
○藤村座長 どうもありがとうございます。ただいまの御説明について、御意見、御質問をお願いいたします。
○北村構成員 一般社団法人 全国産業人能力開発団体連合会の北村です。よろしくお願いします。今の御説明のとおり、様々な教育訓練制度、今回も60ページのほうで御説明いただきましたショート動画が出るなど、大変な試みだと思いますが、私どもの団体も含めて、ホームページにバナーで貼れて、各所に飛んでいけるなど、そこから手続がすぐにできるなど、そんな大きなプラットフォームを作っていただいて、PRができるなど、そんな方法が、是非、これからも必要だと思いますことと、御覧のとおりここにもありますが、SNS等を使ってという周知もかなりヒットしていくと思いますので、そこにやはりいかにバナーを貼っておくなど、リンクを貼っておいて周知ができるかというような工夫を、是非、私どもの団体も御利用いただきながら工夫ができていければと思った次第です。是非、よろしくお願いします。以上です。
○藤村座長 ありがとうございます。いかがですか。
○今野人材開発統括官付参事官(若年者・キャリア形成支援担当) 御指摘ありがとうございます。使っていただくためには、まず知っていただくということが必要ですので、そのための取組は私どもも引き続き力を入れていきます。御協力お願いいたします。
○藤村座長 そのほかにありませんか。この教育訓練給付制度というのは、働く人たちが自分で自らの能力を開発していく、それに掛かる費用を補助しようということで、なかなかいい制度だと思います。これをしっかり使っていただいて、いわゆる学び直しというところで、成果が上がっていけばいいと思っています。
 ほかにないようですので、次に議題の4にいきたいと思います。「今後の人材ニーズに関する関係省庁からの報告」について、まず事務局から説明を頂き、その後、文部科学省、経済産業省からそれぞれ御報告を頂きまして、意見交換をしたいと思います。どうぞ。
○大塚人材開発統括官付訓練企画室長 事務局です。61ページ、資料4-1です。国としても、公的職業訓練、教育訓練給付制度などを含みますリスキリング関連施策の効果的な促進のためには、関係省庁とも連携して取組を行うことが重要であると考えています。このため、中央職業能力開発促進協議会においても、令和4年度の初回からリカレント教育関連省庁に御出席いただきまして、各種取組について御紹介いただいているところです。また、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、合同でリカレント教育の推進に係る関係省庁連絡会議を年2回開催しているところです。その際、各省の取組やその課題等について共有し、施策間の有機的な連携を図っています。
 このように関係省庁において様々な観点でリスキリング、リカレント教育関係の支援策が充実してきている一方で、企業や労働者個人からは、全体像が捉えづらく、自分がどの施策を利用できているのかが分からないといったような御指摘もあります。こうしたことも踏まえまして、関係省庁と連携しまして、資料4-1の「リスキリング関係の主な施策一覧」を作成して、先月のリカレント教育の推進に関する関係省庁連絡会議の場で、公表したところです。各省庁の主なリスキリング施策を企業、労働者個人などを支援の対象者ごとに整理して一覧化しています。
 また、一覧の下部には、誰でも利用可能なリスキリング、リカレント教育関係の情報提供サイトのQRコードを掲載しています。この一覧を積極的に御活用いただくことを期待しています。この一覧は、今後もリカレント教育の推進に係る関係省庁連絡会議の場などを活用して更新していく予定です。一覧の赤枠で囲った施策については、この後、文部科学省様、経済産業省様より、それぞれ御説明いただく予定です。私の説明は以上です。
○藤村座長 ありがとうございます。では、続いて文部科学省から説明をお願いいたします。
○文部科学省総合教育政策局生涯学習推進課長(中安) 文部科学省です。通し番号の資料63ページを御覧ください。当省でリカレント教育、リスキリング等、社会人の学び直しの総合的な充実ということに向けて、概算要求で出させていただいている内容を記載しています。オレンジの枠の①の所が、先ほど言及いただきましたリカレント教育エコシステムということで、大学向けに取ろうとしている予算です。大きく分けて2つのことをやろうとしています。1つは、地方の大学と自治体、あるいはそういったところと連携していただいて、地方の経営者の方々に対するリスキリングプログラムを提供していくということ。2つ目が、最先端のということで、基本的には大企業等が想定されますが、大企業と日本のその分野のトップの大学といったような所が連携をして、そういった所の方々へのリスキリングの機会を提供していく。そういったことを考えていきたいと思っています。特に後者については、なかなか大学任せ、産業界任せというところでは、マッチングが進みにくいところもありますので、いろいろな方の協力、各省庁様や我々の委託先等の協力を得ながら、国としてリスキリングをしていくべき分野を特定しながら進めていきたいと思っています。
 それから、②の所ですが、こちらは専門学校向けです。こちらも学校の卒業者の方々が、就職時の卒業後即時のところまで含めて、きちっとしたリカレント、リスキリングにつながっていくような形の取組を、教育分野ごとにプログラムのモデルを作っていくということです。
 それから、下のリカレント教育推進のための学習基盤の整備という所は、こちらについては大学等のリカレント、リスキリングに関する機会について、「マナパス」というWebサイト、ポータルサイトにおいて提供しているということです。こちらのAPI連携など、サーバーで進められるような部分で拡充をしたいと思っています。
 それから、通し番号で66ページをお願いいたします。今ほど申し上げました大学における取組です。左側は、こちらは神戸市様にかなり力を入れていただいて、書いてある所では地元の神戸大学、甲南大学、それから関西国際大学等ですが、それぞれの大学と連携しながらリカレント教育の教育プログラムを提供するという取組を進めていっていただいているということです、右側が、どちらかというと最先端のほうということになりますが、東京理科大におけるDXの取組、あるいは東京大学における「ゲノムスクール」の取組、こういった取組を支援していくということを予算でできればと思っています。
 それから、70ページをお願いいたします。「職業実践力育成プログラム」、我々「BP」と呼ばせていただいていますが、こちらは先ほど厚労省様からの御説明にもありました、文科省と連携していただいて、文科大臣が一定の要件を満たす実践的、専門的なプログラムを認定させていただいて、そちらについて厚生労働省様の教育訓練給付制度とも連携し、社会人の学び直しを推進するということで、現在397課程があります。
 それから73ページをお願いいたします。こちらは専修学校、専門学校です。学校教育の枠組みの中では、社会人の受入れが多い学校種になっていまして、ただ昔はもっと多かったのですが、専修学校全体で見ると7.3%、専門学校では7%ぐらいという状況になっています。
 74ページですが、社会人という定義を仮に専門学校における大卒者等が占める割合ということで見ると、失業率が下がって求人倍率が上がると、専門学校における学び直しに来る人がきれいに相関して下がってしまうということがあります。今、人手不足で求人倍率は高い状況は続くと思いますが、そうした中で、社会で求められるリカレント、リスキリングというものをどう施策として構築していくかということは、重要課題だなと考えています。
 78ページをお願いいたします。こちらは職業実践専門課程ということで、先ほどの大学向けのものがBPということでしたが、専門学校向けが「職業実践専門課程」ということで、文科大臣認定をさせていただいていまして、こちらについても教育訓練給付金との連携を図っていただいて、各種講座の御指定を頂いているということです。
 最後に80ページですが、学校教育法の一部を改正する法律が、前の通常国会で通していただいています。職業教育の要請が高まっていることを踏まえて、専修学校における教育の充実を図るということです。幾つか項目がありますが、リスキリング、リカレントにつながるところでは③ですが、専攻科を置くことができるという形にして、専門学校は2年や3年の学びの所が多いですから、そこに1年、2年の専攻科を置いて、さらに学びを追加する。そうしたものに対して、いろいろ今後議論が必要なこともありますが、例えば就学支援制度の対象にすることや、大学編入学試験の付与ということも今後検討がなされていくという状況です。また、⑤ですが、自己点検評価の強化、第三者評価の努力義務化ということを書かせていただいて、情報公開ということを専門学校、専修学校の関係者の方々と連携しながら進めていきたいと思っています。以上です。
○藤村座長 どうもありがとうございました。続きまして、経済産業省、お願いいたします。
○経済産業省商務情報政策局情報技術利用促進課長補佐(中野) 経済産業省の中野と申します。本日はよろしくお願いいたします。当省から、まずはデジタルスキル向上のための様々な教育コンテンツ等々、民間事業者様と連携しながら取り組んでいるのですが、そちらのほうは厚生労働省の施策と内容等も連携させていただきながらやっているところです。本日は、その中で生成AIがデジタル人材にどう影響を与えるかというところの検討会と、もう1つはそういったデジタル人材の学び続けるエコシステムの取組を検討していただいたところですので、その2点について御紹介させていただきます。
 資料の88ページを御覧ください。昨年も生成AIの発展に伴って、DX人材に与える影響というところを検討会で取りまとめました。その中で、右のほうになるのですが、今年はよりDXを推進する人材にフォーカスした形で取りまとめています。真ん中の(1)、今の現在地ということで、どのようになっているかと言いますと、昨年度は22%ぐらいが生成AIを社内活用、あるいは検討しているという状況だったのですが、今年は87%に上る企業の方々が活用、あるいは検討を進めているということで、非常に利用の進展が進んでいます。
その中で、左の(2)ですが、その生成AIを利活用している状況の課題と解決策、こちらのほうを様々な企業のヒアリング、あるいは専門家の方の御意見を頂いた中で、4つの部分をまとめているのですが、生成AIへの理解不足と向き合い方、経営層の姿勢、あとは人材とスキルへの影響、データの整備といったところが浮き彫りになっています。
 理解不足という所は、生成AIをまず導入するということが目的になってしまうのではなくて、従業員がこういうAIを活用すると新しいことができるのではないか、こういう改善が見込めるのではないかという向き合い方の課題が出ているということ。次の経営層の姿勢ということで、こちらはまず経営層の方々が方針を定めないと動かないということもありますので、AIをみくびらずにうまく活用して、新しい取組を進めること、それが働く従業員等々のモチベーションアップにもなるのではないかというところです。3つ目の推進人材とスキル、ここは1つの大きなポイントです。生成AIでスキルに与える影響も大きいです。ただ、一番重要なポイントは学び続けるということで、AIをうまく活用するというところが非常に重要になってくるということになります。4つ目のデータの整備です。こちらは生成AIを活用するベースとなるものがデータなのですが、そのデータの整備をどのようにしていくのかということでまとめています。
右のほうの(3)ですが、こちらがそれぞれDXを推進する人材、ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト等々あるのですが、そちらの与える影響とどのように対応していくべきかという点をまとめました。すごく単純化して申し上げますと、生成AIが作ったもの、あるいはそういった部分を、最後は人間が評価しないといけないというところもありますということで、仮説を立てて検証する力ということと同時に、評価、選択する、ここは最後、人でないとなかなかまだ難しいということで、AIをうまく活用して作業量的なところはやらせながら、よりDXを進める人材は、高度な部分、あるいは設計の部分、こちらのほうにシフトしていくということが非常に重要になるという話でまとめています。それに関連して、それぞれの対応する施策ということで、次のページでデジタルスキル標準の改訂も行っています。
 ちょっとお時間もあれなので、飛ばさせていただいて、デジタルスキル標準は、DXを推進する人材像と、そのスキルを定めているというもので、それが90ページ、91ページのような体系で進めることにしています。
 もう1つ、92ページですが、そうしたデジタル、あるいはDXを進めるときの企業の指針たるべきデジタルガバナンス・コード2.0というものを、この度、改正しまして、ここの真ん中の3-2にあるように、「デジタル人材の育成・確保」ということを明確に1つ切り出して、項目として立てて推進するということを行いました。
 次の93ページ、94ページについては、昨年、この会議でも御紹介させていただきましたが、AIが出現したときに、まずどのような対応をして人材育成を図るべきか、人材への影響はどうなっていくのかというものを進めていたものです。
 もう1つが、95ページからですが、デジタル人材育成エコシステムというものの検討を進めていくということを始めています。96ページですが、ここに書かれているように、自民党のデジタル人材育成PT等々の方々からも、御提言を頂戴しています。真ん中のマーカーのある所なのですが、スキルの標準、つまり基準と人材育成、それと評価するという部分の3つの要素に基づいて、デジタルの人材育成を図っていくことが必要ではないか。それに関して、IPA(情報処理推進機構)が中核となって担うべきではないかということを踏まえて、そうしたスキルアップの取組を進めることで、リスキリング市場の発展を果たすべきではないかという御提言を頂戴しています。
 それも含めて、97ページにあるのですが、個人のデジタルスキル情報を可視化した人材の育成を図るべきということも含めまして、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画等々も含めまして、政府の方針として位置付けられています。
 それを踏まえて98ページを御覧ください。概念図です。目的としては、先ほどの報告書にあるように、生成AIだけではなく、様々な環境変化で変革のスピードが上がっていくという中で、企業の部分もあるのですが、個人が、一人一人が目標を持ってスキルアップを図るという仕組みを考えていくことが必要ですし、2ポツにあるように、その蓄積・可視化が評価されて、それが労働市場、つまりそれで評価される仕組みを考えるべきではないかということで、概念としては真ん中なのですが、まずスキルの可視化と蓄積を可能とする、個人のアカウントから見れるようにするということと、そういったものを試験、あるいは民間資格で評価するということを踏まえて、左下にあるのですが、民間事業者の方の教育コンテンツの充実というサイクルと、企業のほうもどういった人材を採るべきかというところ、あるいは育成していくべきかというところをスキルベースで見ていく。そういうことを踏まえて、個人が継続的に学んでスキルをアップさせていく、学び続けていくというような循環が生まれるのかということを、今、検討を始めているところです。
 次のページ以降の2枚に関しては、そういったところを海外の官民含めて、取組をしているということの参考例です。以上で御説明を終わります。
○藤村座長 ありがとうございました。ただいま説明いただきました点について、御質問、御意見をお願いしたいと思います。河島さん。
○河島構成員 前の会議でも少し申し上げたのですが、リカレント、リスキリングの取組に関して申しますと、京都府のほうで行労使、それから教育機関も含めて75の団体に入っていただいて、「リカレント教育推進機構」という、オール京都でこういった機運醸成、環境整備をしていこうという取組を進めさせていただいているところです。そういう観点から意見を述べさせていただきますと、非常にこのリカレント、リスキリングを進めていくということは心強いことだなと思っているところなのですが、1つは、やはり我々の地域でのアンケート調査などによっても、企業、それから働く方々、双方のリカレント、リスキリングに対する認識度というか、必要度合いという部分は、必要性を感じるという声が、まだ4割程度といった部分があります。当然、その中でも働く方、そうではない方、それから大企業、中小企業といった部分でも、ちょっと言葉が適切ではないかもしれませんが、格差みたいなものが見られてきています。
 特に最近、少し気になっているのは、中小企業の経営者の方々のリカレント、リスキリングに対する取組が、それ以外の大企業を含めた取組に比べて、少しスピードが遅くなっていると言いますか、徐々に格差が広がりつつあるのかなと思っています。我々も考えられることをいろいろやってはみるのですが、この辺は特に中小企業の経営者に向けて、このリカレント、リスキリングの重要性、こういった取組をすることが、人材確保ないしは人材の定着につながっていくことは間違いないと思っていますので、そこを、説得力を持って中小企業の皆さん方にしっかりとお伝えしていただく。もちろん我々もやるのですが、これは国としても取り組んでいただく部分で、どういったことをお考えなのかというのが1点、質問です。
 それから、文科省さん、経産省さんのほうにもいろいろお世話になっているのですが、やはりいろいろなこういう取組を自治体でやろうと思いますと、いろいろな部分でその情報提供、あるいは財源的な部分も含めて国のお力を借りれればなと思っているところです。繰り返しになりますが、特に京都府はいろいろな関係団体が参画して、自治体が中心になって進めさせていただいている、そういう推進体制があります。先ほど、予算的なお話、取組についてもお話いただきましたが、そういった積極的に取り組む自治体に対しての支援措置みたいなことが、もし何か次年度に向けてあるようでしたら、御教授賜れれば幸いかなと思います。以上です。
○藤村座長 ありがとうございます。今、2つ御質問がありましたが、いかがでしょうか。
○松瀬人材開発統括官付参事官(人材開発政策担当) まず1点目のとりわけ中小企業の経営者に対して何かできないかということですが、先ほど訓練企画室長が説明しました資料の61ページ、右肩に資料4-1と書かれているものです。先ほどの説明と重複しますが、右肩に第8回リカレント教育の推進に係る関係省庁会議ということで、本日、御出席の経産省様、文科省様等々と一緒にやっている会議で作ったものです。その中で、例えば下の段、個人の間接事業者経由という所の欄の右側です。四角囲みの下に経産省とありますが、中小企業大学校における経営者・経営幹部リスキリングという取組であったり、上のほうの企業の欄で、右の○の3つ目、これは厚生労働省、令和7年度新規として、中小企業リスキリング支援事業ということで、中小企業の人材育成等に関する専門的な助言・指導とありますが、これは経営層に対する相談にもなろうと考えています。なお、これについては、来年度は試行ということで、全国5か所について、地域の経営者団体等に委託をして、お願いしようという事業です。我々も特に中小企業の経営者層、何とかしなければいけないという問題意識を持っていまして、こういった事業をきっかけに少しでも意識啓発を図っていこうと考えているところです。
 その上で、企業の右側の上から2つ目の○ですが、これは従来からやっています生産性向上人材育成支援センターですが、中小企業の経営者の熱が高まってきて、経営戦略に伴う人材育成も必要だというところまで持ってきていただけましたら、その後、こういったセンターで人材育成に関する相談から必要な職業訓練まで、一気通貫で支援するということまでやっているところです。
 まず、経営者への対応については私からは今の御説明ということになります。
○藤村座長 もう1つの質問については、いかがでしょうか。
○大塚人材開発統括官付訓練企画室長 予算的な面については、後ほどまた御説明はしようと思っていますが、全くの新規の観点については、資料5-1の右側の説明になってしまうのですが、直接の都道府県に対する予算措置ということではありませんが、都道府県さんが委託して行う訓練について、委託費の上乗せなど、そういう形での予算措置は来年度行おうと考えています。とりあえず、こちらでの説明は以上にさせていただきます。
○藤村座長 後により詳しく説明があるということですが、そのほか何か御質問、御意見はありませんか。生成AI、あるいはAIというものをうまく使うと、労働時間の短縮になるのですね。とても楽になります。例えば、損害保険会社が今、相当、取り入れていますが、自動車事故の補償を幾らにするか、ここに生成AIが入っています。これまでたくさんの数の事故処理をやってきた、その写真などがたくさんありまして、それをAIに読み込ませる。新しい事故が発生して、その情報を入れると、これまでの経験からこれくらいの補償が適切ですということを出してくれる。その結果、何が起こっているかといいますと、以前は最終的な合意に至るまで、5回ぐらい、行ったり来たりしなければいけなかったのが、2、3回で最終的な合意に達することができている。相当、労働時間の短縮につながっている。そういうお話を伺っています。あるいは、このAIや生成AIというのは、仕事に生かすには、その仕事の進め方を知っている人がいないと駄目なのです。AIの専門家を連れてきて、はい、やってくださいでは、それはできない。ですから、今、企業の中にいる方がAIについて勉強して、外部の専門家も入れながらAIの導入を図っていくということが、一番効果的なやり方のようです。それもありまして、こういうリカレント教育の仕組みを使って、AIについて、既存の従業員の方が学ぶというのが、とても大事だと思っています。
 では、次の議題5です。「令和7年度全国職業訓練実施計画の策定方針」について、事務局から説明をお願いいたします。
○大塚人材開発統括官付訓練企画室長 御説明申し上げます。100ページの資料5-1からです。議題では「令和7年度全国訓練実施計画の策定方針」とありますが、まず予算面の御説明から入らせていただきます。こちらは、公的職業訓練に係る令和7年度概算要求の主なものについての資料になります。この100ページは、公的職業訓練を通じたデジタル推進人材の育成とデジタルリテラシー向上に関する予算要求を中心にまとめております。
 「2 事業の概要」の①については、デジタル分野の訓練コースの委託費等の上乗せを行うものです。こちらは今年度と同様の要求内容になっております。②は、デジタル分野のオンライン訓練を行うために、受講者にパソコンを貸与した際の経費負担を行おうとするものであり、これも今年度と同様の内容になります。いずれもこのページの一番下の※印にあるとおり、令和8年度末までの時限の措置になります。③については、高齢・障害・求職者雇用支援機構が行っている在職者を対象としたDX関連の生産性向上支援訓練の実施規模を拡充するものであり、今年度の9,000人規模から3,000人分上乗せして12,000人の規模にするものです。④はデジタル分野以外の訓練コースでも、訓練分野の特性を踏まえつつ必要なリテラシーを身に付けるような取組を進めるものになります。これについては、デジタルリテラシーの説明やデジタル技術の活用方法などについてまとめたリーフレットの配布、また、訓練分野の特性を踏まえたデジタルリテラシーを含むカリキュラムの設定を訓練の実施者に対して促す取組になりますので、予算を特別に計上することはしておりません。
 そして右側に3として、「訓練コースの質・量の確保の取組」とあります。これはデジタル関係からは離れて、委託費の額の引上げに係る予算要求のことを書いております。公的職業訓練のうち、公共職業訓練(委託訓練)については、平成16年度から1人1月当たり5万円を単価として設定をしているところです。求職者支援訓練は平成23年度から同額の単価を設定して今までやってきておりました。ただ一方で、足元で物価などの上昇であるとか、人件費の上昇が急激に起きているというようなことで、その影響を受けて民間教育訓練機関の撤退によって訓練コースの数の減少という事態を生じさせないように、来年度の概算要求において、この物価上昇や人件費の上昇を考慮して、委託費などの単価引上げ、具体的には1人当たり月に3,000円になりますが、それを盛り込んでおります。
 101ページは、今年度から実施している試行事業の継続実施についてのものになります。正社員以外の労働者の能力開発機会が少ない実態を受け、そのような在職中の非正規雇用労働者に職業訓練を行うには、どのような日程で、どのような方法で行えばいいか、これを探るための事業を試行的に現在、行っているところですが、来年度も行うための予算要求になります。実施規模などは今年度と同様のものを考えております。
 ここから先は資料5-2になります。次年度、令和7年度の全国職業訓練実施計画の策定に向けた方針の案についての御説明になります。まず102ページです。左側に今年度の訓練実施計画にて挙げられている課題と実施方針を掲げ、右側にそれらに係る今年度の取組状況をまとめております。
 今年度の計画で課題としているものは4つあります。左側ですが、①として、応募倍率が低くて就職率が高い分野がある。具体的には「介護・医療・福祉分野」になります。そして課題2として、応募倍率が高くて就職率が低い分野、具体的には「IT分野」「デザイン分野」をターゲットとしております。③としては、委託訓練の計画数と実績が乖離していて、さらに令和4年度は受講者が減少しているもの。④として、デジタル人材が質・量ともに不足して、都市圏偏在があること。こういった4つの課題を設定しておりました。 これに対するそれぞれの実施方針は、資料の中ほどになりますが、今年度の計画に盛り込まれておりますので、ここでの説明は割愛いたします。
取組状況としては、課題①の委託訓練については、開講時期の柔軟化など、訓練受講者を増やす取組を進めていただくような配慮をお願いしております。また地域協議会のワーキンググループでの訓練効果の検証結果を共有したところです。各地域においては、これらを受けた取組を進めていただいているものと考えております。課題②については、先ほども御説明した予算措置による取組と、ハローワークの訓練の受講あっせんを行う職員の資質向上、そして受講希望者に対する訓練内容の理解促進などの取組を実施中です。課題③については、課題①のところで申し上げた委託訓練に対する取組、そして課題④については、デジタル分野の訓練コースに対する予算措置と、これも予算のところで御説明いたしましたが、受講者に対するデジタルリテラシーの向上に向けた取組を実施している状況となっております。
 次に、103ページと104ページに示したグラフを使って、令和5年度の実績も踏まえつつ、検討した令和7年度の訓練の実施方針の案について御説明いたします。103ページの左側に今年度計画に挙げている課題4つ、先ほど説明した4つがそのまま太枠で示されております。
 まず応募倍率が低く、就職率が高い「介護・医療・福祉分野」についてです。次のページのグラフを見ると、こちら左側に委託訓練、右側に求職者支援訓練の訓練分野ごとに、横軸に応募倍率、縦軸に就職率を取って、令和3年度からの推移を把握できるようにしたものです。矢印が赤いものが3つあります。この矢印の赤いものが年度計画に課題があるとして挙げた訓練分野であり、介護・医療・福祉分野は委託訓練、求職者支援訓練ともに左上のほうにプロットされています。まずこの分野について委託訓練を見ると、令和5年度の応募倍率は左に行っていますので、更に低下しており、そして就職率はほぼ横ばいです。求職者支援訓練、右側のグラフについて見ると、令和5年度の応募倍率は横ばい、就職率は向上といった結果でした。
 103ページに、この課題と実績に係る評価・分析として、真ん中に四角で囲っております。両訓練とも応募倍率は約70%であり、応募倍率の上昇に向け、引き続き改善の余地があると評価しております。就職率については比較的高水準で推移していると考えております。
 これを受けて、右側のAです。令和7年度の公的職業訓練の実施方針(案)ですが、こちらは今年度の計画に引き続き、訓練コースの内容や効果を踏まえた受講勧奨の強化が必要と考えております。委託訓練については、後ほど説明するDの措置も併せて実施していくといった方針で取組を進めていきたいと考えております。
 次の課題として、応募倍率が高くて就職率が低い「IT分野」と「デザイン分野」についてです。次のページのグラフを見ると、委託訓練のIT分野については、応募倍率と就職率がともに低下していることが分かると思います。デザイン分野については、応募倍率がかなり左に寄っていますので、著しく低下、また就職率は横ばいであったことが分かります。そして右側のグラフ、求職者支援訓練については、IT分野、デザイン分野とも、それぞれ矢印が左上に向いております。就職率が向上して、また応募倍率は低下しているといった状況にあります。
 ページを戻って、評価になります。応募倍率を見ると、特に委託訓練におけるデザイン分野について、高い応募倍率が大幅に解消・改善傾向にあると評価しております。また就職率については、就職率56~69%ということで、それぞれ上がっていったものの、引き続き改善の余地があると考えております。
 それに基づいて右側で、B、Cということで対処方針、実施方針を書きました。Bとして、今年度に引き続き、求人ニーズに即した効果的な訓練内容であるかどうかの検討を行うこと。またCの取組として、今年度に引き続き、就職率向上のため、受講希望者のニーズに沿った適切な訓練を勧奨できるように、ハローワークの実際に訓練のあっせんを行う窓口職員の知識の向上であるとか、また受講希望者に対して事前の説明会、見学会の機会確保を図ること。また訓練を終わった方の就職機会の拡大に資するように、訓練修了者歓迎求人などの確保を推進するなどの取組が必要と考えております。
 次に3つ目、委託訓練の計画数と実績に乖離があるということで、こちらは令和5年度も同様の傾向でしたが、これについてはDとして、令和6年度計画に引き続き、委託訓練の開講時期の柔軟化、また受講の申込締切日から受講開始日までの期間の短縮、そして効果的な周知広報など、受講者が申し込みやすいような、その他増加に向けた取組が必要と考えております。
 またEとして、就職率に加えて、訓練関連職種に就職した場合の処遇といった観点も踏まえた求職者の希望に応じた受講あっせんを強化するとあります。具体的には、ハローワークの訓練受講をあっせんする窓口において、単に特定の訓練コースについて就職率が高い低いというような御案内だけではなくて、例えば、その訓練を受けた後にその関連職種に就職して数年間働くと、大体これぐらいの水準の給与がもらえますというようなことも併せて案内をして、定着も念頭に置きつつ、ハローワークで受講あっせんを行うといった取組を強化していきたいと考えております。
 最後に、4つ目、デジタル人材が質・量とも不足、都市圏偏在が課題とあります。こちらについては、今年度と同様の取組を進めていきたいと思っております。予算措置も含めて、デジタル分野への重点化を進めて、一層の設定促進が必要と考えております。以上、来年度計画における訓練の実施方針について御説明いたしました。
○藤村座長 ただいまの御説明について、御意見、御質問をお願いいたします。三浦さん、どうぞ。
○三浦様 2点、意見を申し上げます。1点目は、101ページの非正規雇用労働者等が働きながら学びやすい職業訓練試行事業の実施についてです。労働者に対する能力開発機会が、本来、雇用形態にかかわらず、事業主の責任において確保されるべきと考えております。こちらの事業の目的にあるように、現状は正社員に比べて非正規雇用で働く者は能力開発機会が限定的です。そういった中で、非正規雇用労働者の能力開発機会を確保すべく、本試行事業は重要なものだと考えております。今年度の応募状況や訓練内容などの実績についても、しっかりと効果検証を行っていただき、2026年度以降の本格実施を見据えた取組を進めていただきたいと考えます。
 2点目は、103ページです。こちらに、委託訓練の計画数と実績の乖離について記載いただいております。御説明いただいたDとEの記載の取組も重要であるとは考えておりますが、議題2でも発言しましたとおり、やはり委託訓練の質に課題があるのではないかと考えております。繰り返しとなりますが、訓練の質の確保に向けて受託要件の見直しも検討いただければと思います。以上です。
○藤村座長 ありがとうございます。今のは御意見ということで、よろしいですか。そのほか、いかがでしょうか。清田さん、どうぞ。
○清田構成員 日本商工会議所の清田です。私からは、2点意見を申し上げます。1点は、中小企業のデジタル化の推進についてです。先日、ある中小企業の社長とお話をする機会があり、その際、社内でのデジタル化の進め方を聞いたところ、社長自身もデジタル化、DX化は必要と感じており、現場にデジタル化を進めるようお願いはするものの一向に進まなく、その理由として、従業員が何ができるのかが分かっていないという状況があったと聞きました。社長は自ら現場に入り込んで、1つずつのタスクを確認し、社長の言葉を借りると、点と点を結び付けるようなデジタル化を進めたと言っていました。例えば、PDFで来た納品書等について、今までは自分の所のシステムを見ながらマーカーで消し込みをしていたような作業を、CSVで送ってもらい、システム同士で消し込みが一瞬でできるようにしたり、今までは手でチェックしていた職場の環境、例えば空気が正常かどうかといったことも、QRコードを作ってそこから読み取ってスマホでグーグルドライブなどで入力していくことによって、後々の集計の手間を省くといった細かいことの積み重ねで、少しずつ効率化を図って時間をつくっていると言っていました。
 何が言いたいかというと、中小企業はデジタル化を進めたいと思った際、何ができるのかというところの把握がなかなか難しいのだろうと、改めて思いました。今回、予算措置の中で、JEEDさんが行っていらっしゃるような生産性向上支援訓練など、いわば現場に入り込んで改善いただいたり、支援を頂くことは極めて有効で、重要なのだろうと思います。
 また、先ほど中小企業はなかなか能力開発や人材育成が進んでいない、意識が低いということも頂きました。先ほどの社長も言っていたのですが、能力開発、育成をしたいと思って、従業員に「こういう勉強をして」と言っても、「社長、そんな時間どこにあるんですか」といつも言われてしまうと、学ぶ時間が作れないとおっしゃっていました。ただ、こういう形で少しずつデジタル化を進めて時間をつくったら、「ここ空いた時間あるじゃないか、展示会に行ってちょっといろいろ勉強してきなよ」とか、「この機械をうまく動かす業者さんがやっている研修会に行ってきなよ」というように、時間を割くことができるようになったと言っていました。ですので、デジタル化等をきっかけに、いかに時間を作って学ばせる時間を確保するかという両面が、このデジタル化には効果があるのだろうと思いました。それが1点です。
 もう1点は、現在、女性などでは、労働者の半分ぐらいが非正規雇用であり、101ページの予算の中には非正規雇用の方が学ぶ環境が少ないということもあろうかと思います。今後を考えていったときに、やはり非正規の方を含めたスキルアップをして、労働の付加価値を高めるような学びが重要なのだろうと思っております。そうした中でも、このハローワークが求職者に対してスキルアップを促すような相談体制、連携が今後非常に重要になってくるのだろうと思っております。
 先日、ハローワークの現状をお伺いする機会があり、ハローワーク全体としては求職者がこの10年ぐらいでだいぶ減ってきてしまっており、就職者が減っているとお聞きしました。一方で、高齢者の方やフリーター、障害者といった就職困難者の方の数は増えているという状況を伺う中で、ハローワーク全体を通じて、就職した方の約半数近くはそのような就職困難者が占めているということもお聞きしました。10年前から倍近くになっていると聞いています。既にいろいろやっていらっしゃるというお話を伺いましたが、であれば、ハローワークを通じた職業訓練をセットにした就職活動がより重要であり、ハローワークの相談体制を強化していくことが重要だろうと思っております。地域の特性もいろいろあろうかと思いますので、その地域の特性を踏まえながら、全体の講座メニューをどうしていくかということも検討していくことが重要だろうと思っております。私からは以上です。
○藤村座長 ありがとうございます。よろしいですか。オンライン参加の河原さん、お願いします。
○河原構成員 全専各連の河原です。「全国職業教育実施計画の策定に向けた方針」の所に、応募倍率が低く就職率が高い分野として、「介護・医療・福祉分野」がありますが、介護人材は、今後一層の社会の高齢化を見据えると、もっと必要になってくるはずですが、人材需給のバランスが非常に悪い分野です。それが、公的職業訓練の状況にも表れていると思います。介護分野の人材供給を強化するためにも、公的職業訓練事業がその一端を担えるような新しい切り口の取組、積極的にこの分野の受講をスカウトするような取組があるとよいと思います。既に実施されているかもしれませんが、例えば、ハローワークで介護事業者による説明会を高い頻度で実施するなど、人手不足を日頃痛感されている介護事業者の方であれば積極的に協力していただけるのではないかと思われます。
 それから、応募倍率が高く就職率が低い分野で「IT分野」がありますが、IT分野も慢性的に人手不足が指摘されている分野です。公的職業訓練では応募倍率は好調なのに就職率が悪いようです。訓練内容が実務に即しているかどうかの問題もあるでしょうが、こちらも既に実施されているかもしれませんが、IT企業と受講者の接触機会を設けるためIT企業の採用担当者を集めて採用希望者との面談会を訓練機関内で開催し、就職を促すという方法も検討してはどうかと思います。以上です。
○藤村座長 ありがとうございました。そのほか、御意見はありますか。よろしいですか。事務局から、今の御意見に対して何か反応はありますか。
○大塚人材開発統括官付訓練企画室長 事務局です。まず介護分野に関しては、正に御指摘のとおりであり、訓練の受講をあっせんいただくハローワークで、どういう仕事であるかということについて、介護事業者も集めていろいろ説明会を現在もやっているところです。その辺りは、地道にこの取組を引き続きやっていただきたいと思います。訓練実施者についても、例えばそちらに合わせて顔を出すなどをして、三者が協力をして介護労働力の確保を引き続き進めていければと思っております。それが1点目です。
 もう1つはIT分野です。応募倍率は高くて就職率が低い分野です。事業所におかれましては、IT人材はこれまでも今もそうですが、実務経験を重視するようなところがあります。一方で、初めてこちらの訓練を受けて知識なり初歩的な技能を身に付けた方々が訓練生ということで、その辺りのミスマッチはどうしても生じやすい部分はあろうかとは思います。そういう意味では、何回か出てきましたが、IT分野の訓練を受けた後にどのような形で技能が身に付いているかについては、事業主様にも理解していただきながら、先ほども申し上げましたように、訓練修了の方を歓迎する求人の確保をハローワークにも御協力いただきまして、就職率を高めるための取組を進めてまいりたいと考えております。私からは以上です。
○藤村座長 北村さん、どうぞ。
○北村構成員 今の100ページの訓練コースの質・量の確保ということで、1人当たりの単価を3,000円拡充いただいているということで、これを生かしながら是非周知をして、アップをしている所について広げていきたいと思い、大変感謝しております。ありがとうございます。
 一方で、別の分野ですが、専門実践であったり、特定の一般であったりと、給付制度も少し拡充をされていると、アップをされているということを認識しております。予算措置があると思いますが、是非、一般の訓練の据野の広い所も広げていきながら、できる限り拡充していくことをお願いできればと思っております。以上です。
○藤村座長 ありがとうございます。いろいろ物価も上がっていますし、最低賃金も昨日から新しい最低賃金が発効しているということで、それも含めて、やはりこういう部分での費用が更に上乗せされていくということが必要かと思います。そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。大体、意見は出尽したでしょうか。ありがとうございます。
 事務局は、本日頂きました御意見、あるいは、今後、各都道府県で開かれる地域職業能力開発促進協議会における議論も踏まえ、来年度の全国職業訓練実施計画について検討作業を進めていくよう、お願いをいたします。
 最後の議題になります。議題6は「その他」となっておりますが、事務局から何かありますか。
○大塚人材開発統括官付訓練企画室長 御説明申し上げます。参考資料7として、民間教育訓練実施機関から頂いた主な御意見・御要望と、それに対する回答をまとめたものを付けております。令和5年度下半期分のものになります。今後、厚労省のホームページに掲載予定としています。以上になります。
○藤村座長 ありがとうございます。この資料も含めまして、最後に、全体を通して何か御意見、御質問があればお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
○河原構成員 よろしいでしょうか。参考資料6の「教育訓練給付の概要」の所で、専門実践教育訓練給付の給付内容として、追加給付②と、特定一般教育訓練給付の追加給付が示されていますが、雇用保険等の一部改正をする法律による改正項目、改正事項で、2024年10月1日施行とされておりますが、この点について、今後どのようになるのか、厚生労働省から、事業主、事業者及びハローワークに対していつアナウンスが行われるのか、もしよろしければ教えてください。
○藤村座長 お願いいたします。
○今野人材開発統括官付参事官(若年者・キャリア形成支援担当) 174ページの※1にあるとおり、既に適用されておりますので、様々な機会を捉えて周知していくことになるかと思います。
○藤村座長 河原さん、よろしいですか。
○河原構成員 はい。もうスタートしておりますので。分かりました。
○藤村座長 そのほか、ございますか。よろしいですか。本日の議題は以上でございます。これをもちまして、令和6年度第1回中央職業能力開発促進協議会を終了いたします。では、事務局にお返しいたします。
○渡邉人材開発統括官付訓練企画室長補佐 藤村座長、ありがとうございました。また、御参加の皆様におかれては、長時間ありがとうございました。本日の御意見を踏まえて、全国職業訓練実施計画の策定作業を進めてまいります。本日の議事につきましては、構成員の皆様に確認した後、資料とともに厚生労働省のホームページで公開することとし、合わせて本日の資料と協議内容は地域で開催される協議会でも情報共有いたします。次回の開催については、来年2月頃を予定しており、別途、事務局から御連絡させていただきます。改めまして、本日はお忙しい中の御参加、どうもありがとうございました。