第166回先進医療技術審査部会 議事録

日時

令和6年10月10日(木)16:00~18:00

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア「8F」(オンライン)

出席者

竹内座長、天野構成員、一家構成員、伊藤構成員、今井構成員、上村構成員、岡田構成員、掛江構成員、木村構成員、真田構成員、戸高構成員、蓮沼構成員、飛田構成員、平川構成員、平田構成員、松山座長代理、山本構成員、黒瀨構成員、久慈技術専門委員

事務局
  • 医政局研究開発政策課長
  • 医政局研究開発政策課 治験推進室長
  • 医政局研究開発政策課 課長補佐
  • 医政局研究開発政策課 治験推進室長補佐
  • 保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
  • 医薬局医薬品審査管理課 審査調整官

議題

  1. 新規申請技術の評価結果について
  2. 協力医療機関の追加について
  3. 先進医療の取下げについて
  4. 申請医療機関からの報告について
  5. その他

議事

議事内容
○竹内座長
 それでは時間になりましたので、これから「第166回先進医療技術審査部会」を始めます。御多忙の折、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日はオンラインでの開催となります。
 まず初めに、今回、先進医療技術審査部会構成員につきまして、改選が行われ、新たに4名の先生方が構成員として任命されました。お一人ずつ御紹介させていただきます。事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局でございます。令和6年10月に、新たに4名の先生方が構成員として任命されました。お一人ずつ御紹介いたしますので、一言ずつ御挨拶を頂ければ幸いに存じます。
 まず、京都府立医科大学より、今井浩二郎構成員でございます。
○今井構成員
 今井浩二郎です。よろしくお願いします。私は今、臨床研究推進センターに所属しており、普段、臨床試験の支援を主に担当しております。分野としては、眼科・再生医療ということで、登録をさせていただいているかと思います。どうぞよろしくお願いします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 続きまして、大阪大学より、岡田潔構成員でございます。
○岡田構成員
 大阪大学の岡田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私は大阪大学で、産学連携推進を担当する部署で仕事をさせていただいており、医療としましては、整形外科と再生医療を専門とさせていただいておりますので、そちらの知識をいかしながら、先進医療の推進に貢献させていただければと思っております。何卒、よろしくお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 続きまして、堺市立病院機構より、木村正構成員でございます。
○木村構成員
 堺市立病院機構理事長の木村正と申します。専門は、産科学婦人科学でございまして、この3月まで、大阪大学で産科学婦人科学講座の教授をさせていただいておりました。また、日本産科婦人科学会の理事長を歴任いたしまして、現在、同学会の監事、産科監事をしております。このようなことから、産科学・婦人科学・生殖医学を含めて、そのような領域の担当をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 続きまして、北里大学より、蓮沼智子構成員でございます。
○蓮沼構成員
 初めまして、蓮沼と申します。臨床薬理の専門家の立場として、参加させていただきます。もともとはリウマチ専門家、リウマチ膠原病が専門なのですが、現在、臨床研究センターのほうで治験と臨床研究に多く携わらせていただいております。よろしくお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 どうぞよろしくお願いいたします。続きまして、本日の構成員の出席情況ですが、後藤構成員と坂井構成員より御欠席の連絡を頂いております。また、本日は技術専門委員として久慈直昭委員に御出席いただいております。どうもありがとうございます。
 本日は20名の構成員のうち、18名の構成員にお集まりいただいていることから、定足数を満たしており、本会議は成立していることを申し添えます。
 次に会議を進めるに当たりまして、座長代理の選出をお願いいたします。それでは、竹内座長、お願いいたします。
○竹内座長
 ありがとうございます。それでは、座長代理の選出に入りたいと思います。「先進医療会議」開催要綱の「3組織」の(5)におきまして、「座長は、各構成員の中から座長代理を指名する」という記載がございます。私からはこれまでの専門性、経歴等をお考えしまして、松山構成員に座長代理をお願いしたらどうかと考えていますが、松山構成員、いかがでしょうか、よろしくお願いしたいと思いますが。
○松山構成員
 ありがとうございます。竹内座長よりの御指名ということでございまして、非常に不肖の身ではございますが、お引き受けさせていただきます。医療の適切な推進に向けまして、今後とも精進いたしますので、皆様方のお力添えも頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
○竹内座長
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、松山構成員、座長代理をお務めいただきたいと思います。
 それでは、配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐 
 傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 続きまして、配布資料及び本日の審査案件につきまして、確認いたします。議事次第から、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続きまして、「新規申請技術の評価結果について」は資料1-1~資料1-5、「協力医療機関の追加について」は資料2-1~資料2-2、「先進医療の取下げについて」は資料3、「申請医療機関からの報告について」は資料4-1~資料5-2、会議資料の最終ページは「43ページ」となります。お手元の資料に乱丁、落丁等がございましたら、事務局までお知らせください。
 続きまして、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競業企業について、事務局から事前に確認させていただいております。今回、整理番号142の技術、徳島大学病院からの新規申請に関して、山本構成員より御報告がございましたが、50万円以上500万円未満でしたので、議事の取りまとめのみ加わることができません。また、当該技術について、岡田構成員からも御報告がございましたが、50万円以下でしたので、当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。
 続きまして、告示番号21の技術、慶應義塾大学病院からの報告に関して、竹内座長、木村構成員、平田構成員から御報告がありましたが、50万円以下でしたので、当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いいたします。
 それでは、該当なしということで承知いたしました。
 また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出書類等を「タブレット資料」と御案内いたします。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ、若しくはタブレット資料の何ページと、あらかじめ御発言いただけますと議事の進行上助かります。
 本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をお掛けいたします。御発言いただく際には、初めにお名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜御活用ください。以上でございます。
 それでは、以降の議事進行につきましては、竹内座長にお願いいたします。
○竹内座長
 ありがとうございます。それでは、これから議事に入りたいと思います。まず新規申請技術の評価結果について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐 
 御説明します。資料1-1の1ページを御覧ください。先進医療Bとして、新規に御評価いただく技術は、整理番号142「着床前胚異数性検査」です。申請医療機関は徳島大学病院です。
 審査担当構成員は、主担当が竹内座長、副担当が上村構成員及び掛江構成員。技術専門委員が久慈委員となっています。
 それでは、資料1-5の17ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より御説明します。まず1番目の実施責任者の要件ですが、診療科は産婦人科、産科、婦人科又は女性診療科であることが必要。資格は、日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医であり、かつ日本生殖医学会認定生殖医療専門医であることが必要。当該診療科の経験年数が5年以上が必要。当該技術の経験年数が5年以上が必要。当該技術の経験年数が1年以上が必要。当該技術の経験症例数は、下記の⑴、⑵うちいずれか1つを満たすとなっており、⑴実施者として5例以上、若しくは術者として3例以上かつ助手として2例以上、⑵術者として3例以上で合計15個以上の胚盤胞の取扱い経験となっています。
 Ⅱの医療機関の要件ですが、診療科は産婦人科、産科、婦人科又は女性診療科が必要。実施診療科の医師数は、上記の日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医が1名以上配置されていることが必要。他診療科の医師数は不要。その他の医療従事者の配置は、胚を扱うことができる技術者が必要。病床数は不要。看護配置は不要。当直体制は不要。緊急手術の実施体制は不要。院内検査の24時間実施体制は不要。他の医療機関との連携体制は、自施設にて急変時等を含めた対応ができない場合は、ほかの医療機関と連携体制が必要。医療機器の保守管理体制は必要。倫理委員会による審査体制は、倫理委員会が設置されており、必要な場合に事前に開催されることが必要。医療安全管理委員会の設置は必要。医療機関としての当該技術の実施症例数は、5例以上又は15個以上の胚盤胞の取扱い経験が必要。その他として、必要に応じて自施設又は連携施設において遺伝カウンセリングが実施できる体制が必要となっています。
 Ⅲ.その他の要件として、頻回の実績報告は不要となっています。以上です。なお、本議題の審議に際し、竹内座長におかれましては事前に評価を行っていただきますので、進行を松山座長代理にお願いいたします。
○松山座長代理 
 ありがとうございます。それでは、今、事務局に御説明していただきましたこれら要件について、先生方から御意見等はありませんか。よろしいでしょうか。
 それでは、特段、御意見はないということで、様式第9号についてはお認めするということにします。
 次に技術の概要と実施体制の評価について、主担当の竹内座長より御説明を頂ければと思います。お願いいたします。
○竹内座長 
 ありがとうございます。皆様方の資料1-4を御覧ください。こちらが医療技術の概要が簡単に示されたものです。こちらの技術は胚盤胞の栄養外胚葉細胞を5~10個、生検して、その染色体数的異常の判定を行い、日本産婦人科学会が定めたA、Bと判定された数的異常を認めない胚を優先的に移植する。これによって着床率・妊娠率の向上と流産率の低下を期待した、そういう技術です。実際に下のほうにそのPGT-Aと呼ばれる検査の概要が書いています。こちらのほうは検体前処理をした後、スキャン及び画像解析により染色体の数的異常等を解析し、その解析結果を報告し、これに基づいて判定委員会が日本産婦人科学会のA、B、C、Dの中でA、B判定をした胚を優先的に胚移植する。そういう技術です。
 私の評価は、資料1-2の4ページ目です。まず先ほどの実施体制の評価については、ここにありますように実施責任医師等の体制は「適」、実施医療機関の体制は「適」、医療技術の有用性等については「適」と判断させていただきました。コメント欄にありますように、申請医療機関である徳島大学病院に加えて、協力医療機関は東京都、大阪府、大分県にある学会認定PGT-A実施施設でした。このうち2施設には、認定遺伝カウンセラーが配置されていますが、1施設についてはその配置がありませんでした。しかし、遺伝専門医である医師並びに臨床心理士を配置して、相談に対応しているということを照会で確認させていただきました。なお、学会は、認定遺伝カウンセラーが本邦で極めて少ないという状況を勘案し、PGT-A普及の観点から、認定施設条件にこの「認定遺伝カウンセラーの配置」を求めていないということの回答を、申請医療機関から頂戴しています。医療技術については、複数回の移植不成功や流産例を経験した症例を対象として、このPGT-A検査を実施し、着床率が高まるとされる胚診断指針A、あるいはBと認定された胚を移植する技術で、基本的には有用性が期待されるものと考えました。以上です。
○松山座長代理 
 竹内座長、ありがとうございました。それでは、続きまして久慈技術専門委員より、実施体制の評価について御評価をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○久慈技術専門委員 
 実施体制の評価については、実施責任医師の体制は「適」、実施医療機関の体制は「適」、医療技術の有用性等は「適」としています。
 竹内先生が詳細に説明してくださったのですが、この研究は多分、2年前にも同様の研究があると思いますが、この研究のそれと違うところは、解析が前のときには次世代シークエンサーだったと思いますが、今回はDNAチップでやっているということが違うところだと思います。あと、コメントとして書かせていただきましたが、PGT-Aという技術は確かに流産を少なくすることが最終目的ではあるのですが、不妊症の医師の立場からもっと本質的なところを言うと、反復着床不全、あるいは習慣流産というものが、一体その胚のほうの原因なのか、それとも子宮や母体のほうの原因なのかということを見分けるための検査という意義がある。それが多分、最大だと思います。将来的な話になりますが、この技術というのはやはりある程度、認可された施設で広く行っていただいて、不用な、例えば胚に異常があるのに、子宮側の検査をしたりということが、できるだけ少なくなるようにしておいたほうが、保健行政上も、患者さんの身体的な負担としても、よろしいと思いますので、是非、認めていただきたい技術だと思います。
 本当はBではなくて、Aのほうがいいというのは、これは個人的な意見です。以上です。
○松山座長代理 
 久慈先生、ありがとうございました。非常に御丁寧な説明、よく分かりました。それでは、続きまして、副担当の掛江構成員より、倫理的観点からの評価について、御評価をお願いいたします。
○掛江構成員 
 ありがとうございます。倫理的な観点から拝見しまして、まず説明文書に関しては、当方からの質問及びコメントに対して、適切に御対応いただきましたことを確認しましたので「適」とさせていただきました。
 また、補償についてですが、本件PGT-Aにおいて患者様御本人に健康被害というものは想定されていないために補償がないということについて、説明文書、計画書に明確に記載はなかったのですが、そういった考えから本件においては補償を設定していないということを確認させていただきましたので、その旨、丁寧な記載をお願いしたところ、追記していただきました。補償がないことについて、適切に記載されているということで「適」とさせていただきました。
 また、患者の相談等の窓口の設置についても、きちんと設置されていることを確認しましたので、本件、倫理的な観点からは特段、問題はないかと考えます。以上です。
○松山座長代理 
 掛江構成員、ありがとうございました。それでは、続きまして、副担当の上村構成員より、試験実施計画書等の評価について、御評価をお願いいたします。
○上村構成員 
 ありがとうございます。上村です。本研究は、ここまでお話がありましたように、胚移植実施集団におけるPGT-Aの有効性と安全性の評価を行う単群の臨床試験になっています。主要評価項目としては、妊娠12週時の継続妊娠率となっています。こちらの試験については単群試験となりますので、有効性に関して厳密な評価というものについては、限界はあると考えていますが、今回、閾値として提示しています42%という数字は、悉皆的なデータであるARTデータから得られたものであるということ。そして、非常に信頼性が高いデータであるということが想定されるということ。そして、年齢の分布をそろえるために、重み付けによって年齢分布をそろえた上で算出した帰無仮説であるということを踏まえ、本試験よりPGT-Aに対する一定の評価は可能だと考えています。
 なお、先ほど構成員からも御発言がありましたが、2年前も同様の試験デザイン取られていまして、閾値に関しては同じものが設定されています。
 また、本研究に参加される対象者は既に複数回の移植不成功や流産死の経験をしていて、対照群を設定した臨床試験は実施可能性の観点からも難しいことが想定されるかと思います。
 また、計画書に関しては、元のものに関して中止基準が記載されていないなど、幾つか指摘させていただきましたが、そちらについて適切に対応いただきました。また、効安の効果安全性委員についても、もともと実施施設の先生方のみを選定されていたのですけれども、しっかりと独立性を担保できるような委員に再度、御検討いただいています。以上をもちまして全て「適」と判定させていただきました。以上です。
○松山座長代理 
 ありがとうございました。それでは、ここまでのところで御質問、御意見等がありましたらお願いしたいのですが、いかがでしょうか。それでは木村構成員、お願いいたします。
○木村構成員 
 よろしいでしょうか、木村です。これは統計的に御確認を頂ければと思いますが、この試験計画書の13ページで(3)胚移植という所があります。胚移植周期の調整うんぬんというのは、これは各施設でやっているとおりにしたらいいということで、1胚移植という所も全く問題はないと思いますが、一番最終行の所でこの胚移植を行った場合には、以降、採卵は行わず、胚移植を行わない場合は、引き続き、採卵を行うことを許容するとあります。その一番最後の所で、A胚及びB胚が得られなければ、再度、採卵を行うことができるという記載があります。それで、ただこの症例数の根拠、今度15ページに移りますが、15ページの一番下の所でこのPGT-A実施集団におけるA胚又はB胚が得られる患者1人当たりの確率は、特別臨床研究の中間報告から40%と推定されるということで、153例の胚移植集団をリクルートするためには、383人がこの実施集団としてあらかじめ確保して、そしてこれだけの人数を確保したら153人に胚移植ができるだろうという予測を立てておられると判断したのですが、ただ、実際にこの中間報告の論文では確かに60%の人は採卵できない。PGT-Aを行っても採卵できないか、あるいはA胚又はB胚が取れないという方々なのですが、この方々が何回、採卵をしても結局、最後までそのA胚、B胚が取れない方々なのかどうかということが、もともとの論文でも余りはっきり書かれていないわけです。何回やっても構わない、とにかくA胚、B胚が取れるまで何回もやるということになりますと、この153例をリクルートするために383人もあらかじめリクルートしてしまいますと、実際に胚移植をする集団がものすごく多くなってしまわないかなと、ちょっとそういう心配があります。
 その辺りを最初の特別臨床研究もこの主任研究者と同じ方がファーストオーサーになっておられますので、その辺りをもう一度御確認いただいて。要はリクルート集団、この研究の特徴というか難しいところは、リクルート集団と実際に検討する集団の数が大分違うというところであって、その違う根拠が60%はA胚、B胚が取れない、採卵自体できないという事実が既存であるのですが、これは何回、採卵をやっても取れなかったのか、あるいは1回の採卵当たりでこうなっていたのかということは確認をしておいたほうが最終的に、例えば383人をリクルートしてしまって、250人が胚移植しましたということになると、先進医療Bとしてそれでいいのかなということも踏まえて、検討なされたほうがいいかと思います。内容としては、私は全然、問題ないと思っていますが、その点を一度、御確認いただいたほうがいいのではないかなと思いました。私からは以上です。
○松山座長代理 
 ありがとうございます。久慈先生、いかがでしょうか。
○久慈技術専門委員 
 久慈から発言させていただきます。木村先生のおっしゃったことは、確かにそのとおりであるとは思います。考えられることとしては、150例に達したところで、一度、中間報告をするなど、あるいはその有意差を決定したところで、また上申するなどということを加えてもいいのかなと思いました。以上です。
○松山座長代理 
 ありがとうございます。それでは、この点、プロトコルに関わりますので、上村先生からも御意見を伺いたいのですが、どうでしょうか。
○上村構成員 
 ありがとうございます。今、コメントを頂きましたとおり、153例を見込んで症例数を設定していますが、この153例というところが重要な人数ですので、そこに達するまで症例を登録していくというような書きぶりが適切かと思いますので、そのように修正をお願いしたいと思います。
○松山座長代理 
 ありがとうございます。この点に関しましては、竹内座長に後ほど取りまとめをしていただこうと思います。それでは、天野構成員、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。
○天野構成員 
 御説明ありがとうございました。1点、大変細かいことで恐縮なのですが、技術専門委員の先生からの御指摘で、冒頭で「本申請は、申請としては問題ないと思いますが、既に5年以上前から繰り返し行われていた研究であり、流産率は低下するが最終的な生産率には有意差が出にくいことは、諸外国の報告などでも明らかで、研究として新しい知見は出てくる可能性は低いと思います」という御指摘がありました。
 一方で、非公開のタブレット文書の130ページになりますが、患者説明文書では研究の目的及び意義の部分で、「PGT-Aが流産予防、妊娠率の向上に有益な技術であるかを検証することを目的として、本研究を開始する」というような記載がありました。この説明文書の記載のままで、現状のそういった専門の先生からの御見解と相反するところはないか、あるいは何らかの補記が必要ではないかということについて、質問させてください。以上です。
○松山座長代理 
 ありがとうございます。倫理的な観点からも重要だと思います。まず、久慈先生から御意見いただきたいのですが、いかがでしょうか。
○久慈技術専門委員 
 御指摘ありがとうございます。誤解を招くような書きぶりを私がしてしまったのかもしれませんが、全体としては多分、私が書いたような非常に新しい知見が出てくるということは、考えにくいとは思います。それは申請書にも書いてあると思いますが、ただ、日本人でその新しい方法論を使って検証するということに関しては、それなりの価値があると思います。それをもって、また保険化に向けて議論を進めていくことはできるのではないかと考えました。以上です。
○松山座長代理 
 天野先生、よろしいでしょうか。
○天野構成員 
 分かりました。ありがとうございます。
○木村構成員 
 私からも追加でよろしいでしょうか。
○松山座長代理 
 お願いいたします。
○木村構成員 
 木村です。久慈先生に今おっしゃっていただいたとおりなのですが、妊娠率に関して有意差が出ないというのは、ある程度若い方に1回目、最初の妊娠のトライのときからPGT-Aをやったときに、その妊娠数が、RCTで1回目に最初の妊娠をトライするときに、PGT-Aをやった分とやらない分では、妊娠差がないというような論文がほとんどなのです。ですので、今回の条件とはちょっと違うことも御理解いただければと、今回はもう既に2回トライをして、IVFがうまくいっていない方々ですので、その方々が累積妊娠率から見ていきますと、1回目、2回目、3回目と確実に妊娠率が落ちてきています。その方々が対象であるということを御理解いただきたいと思います。私はそういう感覚で見ていました。以上です。
○松山座長代理 
 天野構成員、よろしいでしょうか。
○天野構成員 
 承知しました。ありがとうございました。
○松山座長代理 
 ありがとうございます。今井構成員、お願いいたします。
○今井構成員 
 今回、頂いているタブレット資料の8ページに期待される適応症、効能及び効果という所があって、その効能・効果なのですが、これは本法の実施によって流産率は低下するということと、体外受精、胚移植の臨床成績の向上が期待できると挙げていただいています。同様の記載はタブレット資料23ページの様式第5の所の先進医療の概要にも、そういった形で一番下の効果の所に書かれているのですが、ただ、これはあくまでもPGT-A療法としての記載になるのかなと思われました。
 資料の4ページの所の倫理委員会の構成を見ますと、これはヒト指針の構成の委員会ですので、そうするとまだ新しい検査薬、そういったもの自体の評価をしている試験ではないのかなと思いました。結局、この先生方が挙げられているポンチ絵では技術には検査キットの性能評価ということを挙げておられますので、何と言いますか、PGT-A療法としての効能・効果というよりは、あくまでもこの先進医療のタイトルである着床前胚異数性検査、その検査に対しての効能・効果を記載すべきところではないかなと考えました。いかがでしょうか。
○松山座長代理 
 ありがとうございます。この点は法令解釈などになるかと思いますが、事務局からコメントを頂ければ、いかがでしょう。要はPGT-Aのどんな技術だというPGT-Aとしてのアウトプットという形で考えていくのか、今回に関してはアレイでやっているのか、以前、大阪大学を通したものはシークエンサーで行っているので、技術的な評価という切り口にするのかというのが大きなファクターなのかなと思います。書きぶりとして、技術としてということであれば、恐らくポンチ図の中のPGT-Aというよりは、技術としてしっかりと異数性を評価できるという形の記載になるのかなというコメントではないかと私は理解したのですが、今井先生、そのような御理解でよろしいでしょうか。
○今井構成員 
 はい、あと、更にタブレット資料の87ページなのですが、そこの所にこの試験の概要として、目的として、これは有益な技術であるかを検証するとあるのですが、ここはこの記載ぶりで恐らく通されるのかな、どうなのかなというところなのですが。ただ、それがその更に後ろの実際の研究計画1ページの所にきたときに、やはり研究の目的が、このPGT-Aの療法についての記載になっている。説明文書もそういうふうな記載になっているところがありまして、検査の性能を検査キットの性能を見ていくのか、やはりその療法として立てていくのか、そこのところは明確にしていくべきかなと理解しました。
○松山座長代理 
 了解しました。ありがとうございます。今回の配布資料の16ページに、薬事承認申請までのロードマップの所が若干変わる可能性があるということです。この部分に関しては、申請者に記載していただいているので、また調整をしていただくという形でいかがでしょうか。よろしいでしょうか。是非とも、その部分、今井構成員にもレビューしていただければ有り難いと思います。
○木村構成員 
 ちょっと私からもコメントさせていただいてよろしいですか、木村です。本件に関しては、この検査の正確性というか、検査キットそのものの性能を見ようと思えば、出生時、あるいは流産産物の染色体の異数性がどうだったかということまで見ないといけない検討になってしまいます。したがいまして、あくまでアウトカムは臨床的な妊娠継続率ということをアウトカムにしていまして、その検査キットそのものの正確性をということになりますと、ちょっと違う形になっているのかなという気もいたします。その辺りの切り分けを、事務局、あるいは先生方に最終的に決断していただければよろしいかと思いますが、あくまでこれは、この技術を使って胚の移植する順番を決めたことによって、妊娠率が向上するか、流産率が低下するかという、臨床的アウトカムで見ているところでの申請のように私は感じました。以上です。
○松山座長代理 
 木村先生、ありがとうございます。非常に頭が整理できて、クリアになりました。この部分に関しては、申請者の思いというか、方向性は非常に重要だと思いますので、事務局からまた問合せしていただいて、修正していただくということで、御提案をさせていただこうかと思います。今井先生、よろしいですか。
○今井構成員 
 どうもありがとうございました。
○松山座長代理 
 ありがとうございます。
 それでは1から16の総評について、主担当の竹内座長よりお願いいたします。
○竹内座長 
 ありがとうございます。本来、今まで頂戴しました様々な観点での評価から、総合評価は「適」と考えていましたが、ただいまの木村構成員からの御指摘、あるいは先ほどの目的と実態、臨床アウトカムとの整合性の問題などなどの御意見を頂きましたので、改めて申請医療機関に試験デザイン等についての、ただいまの照会事項に回答していただくということで、それらを待ってから条件付きの「適」とさせていただきたいと思います。実施条件、コメントはここに書いていますが、最終的に適切に回答を修正されたと書いていますが、ただいまの御意見を踏まえて、幾つかの新しい照会事項が挙がったということで、それらへの回答を踏まえて、条件付き「適」としたいと考えますが、よろしいでしょうか。
○松山座長代理 
 竹内座長、ありがとうございました。それでは、御討議をお願いします。今井先生、お願いいたします。
○今井構成員 
 もう一点、お伝えしたいことがあります。大きな論点ではなかったので先ほど述べなかったのですが、まとめていただく前にもう1つだけお願いしたいと思います。タブレット資料の14ページなのですが、既に実績のある症例数が35例ということで、ここの書きぶりが私はまだ慣れていないので、不確かかもしれないのですが、有効性が認められた事例が3例挙がっていて、ほか10例。有効性が認められなかった事例が、また3例挙がっていて、ほか9例。足し算すると、13足す12で25ということになるかと思いますが、ここがほかに何か挙がる症例があるのかどうか、気になりました。
○松山座長代理 
 ありがとうございます。その部分に関して、いかがでしょうか。もし何だったら申請者に問合せをするという形で、対応させていただこうと思いますが、よろしいですか。今この場で、御返答をするのも難しいかなと思いますので、申請者の先生方に実際に足し算しても35例ではないのだけれども、いかがですかという形で照会事項として投げさせていただこうと思います。今井先生、ありがとうございます。よろしいでしょうか。
○木村構成員 
 申し訳ありません。もう1つ、発言をさせていただいてよろしいでしょうか。
○松山座長代理 
 木村先生、お願いいたします。
○木村構成員 
 木村です。気になりましたのは、タブレット資料の18ページの所で患者負担についてということで、本研究に掛かる先進医療の費用は115,500円であると記載があります。それに対しまして、タブレット資料25ページでこの積算根拠の所で、人件費等の積算根拠の黒丸の4つ目、着床前受精卵染色体解析からレポート原案作成までの解析費用が、1サンプル当たり55,000円と記載されています。そうしますと、例えば受精卵が10個取れても、11万円でいいのかと、これは疑問に思いますので、この点も記載をして、患者さんにもきちっと説明をしておいて、1個当たりの値段がこうなのか、あるいは2個目からその値段が少し下がるのかなど、いろいろな価格設定のやり方があると思いますので、ここは単純にこう書かないほうがいいのではないかと、これも併せて研究者に問い合わせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○松山座長代理 
 ありがとうございます。患者負担に関しましては、非常に重要な観点ですので、この部分も積算根拠も含めまして、今、木村構成員からお伝えいただきましたことを照会事項とさせていただこうと思います。そのほか、先生方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。掛江構成員、お願いいたします。
○掛江構成員 
 申し訳ありません。今の点は、私が説明同意文書の確認をさせていただいた中で明確な記載はなかったのですが、金額についても、積算の根拠についても、説明文書に記載するのは難しい領域なのかと勝手に思ってしまいました。しかし、今の木村構成員の御指摘を伺いながら、この点をクリアに御説明いただいた後、説明文書にも記載していただいたほうがいいと思いましたが、その辺りは皆様、いかがお考えでしょうか。
○松山座長代理  
 ありがとうございます。今、掛江構成員からお伝えいただきましたが、照会事項の後に説明同意文書も、恐らく手を入れないといけないのではないか。そうすると、やはり説明同意というのはかなりクリティカルな部分なので、平場でもう1回、議論、あるいは皆さんで思案させていただいたほうがいいかなと考えました。ありがとうございます。
 そのほか、先生方、いかがでしょうか。今井構成員、お願いいたします。
○今井構成員 
 同意書の話になりましたので、1点、確認させていただきたいのですが、頂いた資料の添付オの所に同意書の様式が付いているのですが、その中ほどです。本研究で得られた情報を医療機器などの開発に利用することについて、同意します、しませんとありますが、これで基本的に試薬キットということを添付形で説明されているので、医療機器の開発なのかというところが整合が取れてないのかなと思いましたので、その点も確認いただいたらと思いました。
○松山座長代理 
 ありがとうございます。試薬なのか機械なのか、バリデーションの部分があると思うので、これは多分、切り口だろうと思います。ただ、その部分は申請者の立ち位置というものを確認して、ファジーではなくてしっかりと理解いただけるように御記載いただくほうが、より適切かなと思いますので、今井先生の御質問、照会事項に関しても申請者に投げ掛けさせていただこうと思います。
 それでは、そのほかいかがでしょうか。かなり照会事項が増えてしまいました。大変申し訳ありません。ありがとうございます。そのほかに御意見はありませんか。
 議事の取りまとめに移りたいと思います。なお、本議題の取りまとめに際して、山本構成員におかれましては、利益相反の関係で御退席いただくことになります。御協力のほどお願いいたします。
 (山本構成員 退室)
○松山座長代理 
 ありがとうございます。御退席、確認できました。それでは、議事取りまとめに入らせていただこうと思います。結構、今回いろいろな闊達な御議論を頂いて、やはり照会事項でレスポンスを頂いて、かつ説明同意文書をもしかしたら修正しなければいけないということが出てきましたので、今回、この整理番号142に関しては、継続審議とさせていただきたいのですが、先生方、いかがでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、久慈技術専門委員におかれましては、以降は御退席いただいて結構です。本当にありがとうございました。本日は御多忙のところ、御出席いただきまして、伏して感謝を申し上げます。
○久慈技術専門委員 
 ありがとうございました。
(久慈技術専門委員 退室)
○松山座長代理 
 それでは、以降の審議については竹内座長に進行をお戻しします。よろしくお願いいたします。
○竹内座長 
 ありがとうございました。それでは、山本構成員にはお戻りいただくこととします。
(山本構成員 入室)
○竹内座長 
 お入りいただいたでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、続きまして先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐 
 資料2-1の19ページを御覧ください。告示番号38については1件、告示番号44については8件の協力医療機関の追加申請がありました。資料2-2の21ページ以降を御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件、様式第9号を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。
○竹内座長 
 よろしいでしょうか。御意見等はありますか。ないようですね。それでは、事務局で手続を進めていただきたいと思います。
 続いて先進医療Bの取下げについて、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐 
 資料3の25ページを御覧ください。先進医療の取下げとして、告示番号4の1件の申請がありました。取下げ理由としては、症例登録及び全症例の追跡期間が終了したため、当該先進医療を取り下げる。なお、総括報告書については、提出準備中であるとあります。以上について、特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。以上です。
○竹内座長 
 よろしいでしょうか。御意見がないようです。それでは、事務局のほうで手続を進めていただきたいと思います。
 続いて申請医療機関からの報告について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発政策課長補佐 
 資料4-1の26ページを御覧ください。慶應義塾大学病院から告示番号21、イマチニブ経口投与及びペムブロリズマブ静脈内投与療法の併用療法に関する御報告です。それでは、資料に沿って御説明させていただきます。
 「経緯の概要」として、2024年8月21日に慶應義塾大学病院にて、使用期限切れの試験薬を誤って被験者に投与される事案が発生しました。そのため、9月12日開催の第165回先進医療技術審査部会にて、第一報を報告したところです。なお、効果安全性評価委員会の審議結果が出るまで、当該施設では新規患者登録を停止しております。この度、同院より今回の事案に関する発生要因及び再発防止策に関して報告がありました。
 「医療機関からの報告の内容」としては、資料4-2の29ページを御覧ください。また、研究責任医師からの報告書も提出いただきましたので、タブレット資料2の1ページ目から入れております。資料4-2の28ページの説明図を基に説明させていただきます。上の図が本試験における試験薬の運用となっております。まず皮膚科が新規登録を治験薬管理室に連絡し、その後、医薬品保管業者に搬入依頼を掛け、治験薬管理室に治験薬が搬入されます。そしてサテライトファーマシーに、試験薬を移動・保管しておきます。医師が「実施可」の指示を行うと、試験薬は混合調整され、研究対象者に投与されるという流れになっております。
 下のほうの図が、今回の問題点となっております。8月8日に皮膚科から新規登録の連絡があり、同日搬入依頼を掛け、8月20日に試験薬が搬入されましたが、その日にサテライトファーマシーに移動させず、また、保管場所に関する情報共有も行われませんでした。試験薬管理部門における試験薬管理手順の不遵守及び試験薬管理手順の変更に関する調剤部門等の情報共有不足が挙げられます。また、調剤部門において、保管期限を大幅に超過した試験薬が未廃棄であったことと、試験薬の調剤時使用期限の確認漏れも問題点であったとなっています。
 資料4-2の35ページから、再発予防措置の記載があります。まず原因の1つ目とされているのが、試験薬の保存場所が二元化されていたこととなっております。35ページの末尾にあるとおり、再発予防措置として、今後、当院で扱う全ての試験薬は、治験薬管理室のみで一元的に管理することを原則とする。なお、試験の実施計画や試験薬の特性等により、やむを得ず治験薬管理室外で試験薬を管理する必要がある場合には、(1)あらかじめ当該試験薬の管理手順を明確に文書化し、治験薬管理室及び当該試験薬管理部署の責任者がこれを確認して承認すること、かつ(2)当該手順を両部門の全ての業務担当者が教育研修等により、確実に理解したことを両部門の責任者が確認することという、2つの条件を満たした場合のみに限ることとします。また、これらの遵守状況について薬剤部は、定期的に確認するとあります。
 原因の2つ目としては、期限切れ試験薬の管理が不適切であったこととされております。36ページの末尾にあるとおり、再発予防措置として、⑴試験薬の使用期限チェック及び期限切れ試験薬の隔離・廃棄等に関するマニュアルを作成する。⑵上記マニュアルについて治験薬管理室所属員全員に教育研修を行い、治験薬管理室責任者がその理解度を確認する。また、マニュアルの遵守状況について、治験薬管理室責任者によるモニタリング体制を構築し、実行する。⑶上記2点による再発予防措置の実施状況について、当院医薬品安全管理責任者が確認を行う。⑷調剤担当者は、企業から無償提供される医療用医薬品を試験薬として調剤又は混合調製を行う場合には、薬品名、用法・用量のダブルチェックを行うことに加え、使用期限を確認し、その期限を処方箋に記載するとあります。
 再発予防措置の実行状況及び今後の予定も記載があります。原因の1つ目に関しては、現在、治験薬管理室が試験薬管理を担当している全ての試験を点検し、治験薬管理室外での試験薬保管が必須である試験はないことを確認した。これに伴い、試験薬は全て治験薬管理室内で保管・管理することに変更し、対応を完了した。なお、現在、治験薬管理室で取り扱っている治験薬・試験薬について、使用期限チェックを行い、全て適切に管理されていることを確認したとあります。
 原因の2つ目に関しては、試験薬の使用期限チェック及び期限切れ試験薬の隔離・廃棄等に関するマニュアル案の作成を開始し、治験薬管理室において最終案のレビューを実施した。当該マニュアルは、薬剤部管理職による確認及び承認を経て、薬剤部業務マニュアルとして制定する。また、治験薬管理室の所属員に対し、本マニュアルの教育研修を行い、周知徹底を図る。これに併せて、臨床研究推進センターが管理する治験使用薬・試験薬の管理手順を含む「治験等に係る医薬品管理手順書」の改訂を行うとあります。
 資料4-1の26ページに戻って、「4.今後の対応について」です。同院における再発防止策が適切かどうか、当該医療機関に確認・指摘すべき事項がないか、ご確認・ご議論いただきたく存じます。以上です。よろしくお願いいたします。
○竹内座長 
 ありがとうございました。かなり複雑な経過で、説明文書が長くなっております。ただいまの御説明について、何か御質問等はありますか。このような再発防止策を今回報告いただいたということで、病院長並びに臨床研究推進センター・臨床研究監理センター長のお名前で報告書が上がっております。いかがでしょうか。どうぞ岡田先生、よろしくお願いいたします。
○岡田構成員 
 大阪大学の岡田です。非常に細かい点になるのですけれども。この前の経過の報告の中で、タブレット資料の3ページに、試験薬提供者に、9か月経過したら試験薬の品質及び安全性・有効性の影響について見解を確認中であるという記載があったのです。ところが、その後、追加の第2報の中にその結果がどうであったかという記載がないような気がしたのです。まだ分かっていないのか、それとも試験薬提供者にも分からない結果だったのか、その点だけ確認させてください。
○竹内座長 
 事務局のほうでお答えいただけますか。
○医政局研究開発政策課長補佐 
 現在はまだ分かっていないということで、分かり次第、被験者に説明されるというように伺っております。
○岡田構成員 
 了解いたしました。また確認のほう、続報のほうを待たせていただきたいと思います。
○竹内座長 
 それ以外に何か御意見等はありますか。よろしいですか。それでは、ただいまの御報告のとおり進めていただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。では、この報告書を受け取ったという形で進めさせていただきます。
 続いて、協力医療機関からの報告について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐 
 資料5-1の39ページを御覧ください。神戸市立医療センター中央市民病院から、告示番号34、テネクテプラーゼ静脈内投与療法に関する御報告です。それでは、資料に沿って御説明させていただきます。
 「経緯の概要」として、2024年8月20日に、協力医療機関である神戸市立医療センター中央市民病院にて、16.25mgのテネクテプラーゼを投与するべきところ、誤って35mgの過量投与を被験者に行う事案が発生しました。そのため、9月12日開催の第165回先進医療技術審査部会にて、第一報を報告したところです。当該施設では新規患者登録を引き続き停止しています。この度、同院より今回の事案に関する発生要因及び再発防止策等に関して御報告がありました。医療機関からの報告については、資料5-2の41ページを御覧ください。
 「2.重大な不適合の概要」から説明いたします。8月20日に研究対象者が倒れ、当院に搬送されました。左中大脳動脈閉塞が確認され、再灌流療法が決定し、家族の同意を得て本試験に登録・割付を行いました。テネクテプラーゼ群に割り付け後、必要量16.25mgではなく、誤って35mgを投与しました。翌8月21日の朝、カルテ確認で過量投与が判明しましたが、頭部CT、MRIと診察で症候性頭蓋内出血は確認されておらず、9月2日の当院退院日までに出血性合併症を含めた、薬剤に起因する有害事象は発生していません。
 8月21日に家族に投与量の過誤について説明し、謝罪しました。研究対象者の症状は改善傾向ですが、失語症状があり、リハビリテーション継続のため、9月2日に他院へ転院されています。研究対象者への詳細な説明については、症状回復があり、外来通院可能となった時点で行います。なお、当該不適合発覚後、当院における新規症例登録を停止しております。
 「3.重大な不適合に関わる要因」として、テネクテプラーゼは、国内脳梗塞試験用に輸入された薬剤で、試験薬の箱内に英語添付文書が同封されており、その中には心筋梗塞に対する用量が記載されています。
 試験薬は、試験用の日本語換算表が、ビニール袋に同封された状態で当院に送付され、当該換算表を基に投与量を決定するように、国立循環器病研究センターの中央事務局から指導を受けておりましたが、今回の事例では当院医師が、試験薬の箱に同梱されている英語添付文書に基づいた用量調整を行ったため、過量投与となりました。
 また、試験薬の箱内には溶解液入り8mlプレフィルドシリンジも同封されており、同シリンジには心筋梗塞に対する用量の印字もされていることもあり、TNK最大用量5mlに合わせて、当院で添付した別シリンジを用いて投与することとしておりましたが、プレフィルドシリンジを誤使用したことも過量投与の要因と考えております。
 「4.重大な不適合に対する再発防止策」については、タブレット資料の3の1ページ目から写真が添付された別紙もありますので、そちらも併せて御覧ください。中央事務局からの「注意喚起!」ラベルを試験薬の箱に貼付することに加え、当院では以下の再発防止策の追加を検討いたしました。換算表を用いた調整を行う注意書きをビニール袋表面と内部の箱にも貼付する。体重と投与量を複数医師で確認しチェック表に記名する。換算表及び薬剤投与用の5mlシリンジを薬剤箱と一体化し、ビニール袋に同封する。院内プロトコルに加え、新たに作成したチェックリストを用いた運用とし、記録保管する。従来、中央事務局から同封で提供されていた換算表と調整用資料に注意事項を追記したものに差し替える。
 上記、再発防止策を含めまして、9月9日、当院特定臨床研究管理委員会は、再開可否について検討し、再発防止策を承認するとともに研究継続の妥当性を確認しました。特定臨床研究管理委員会は、研究代表機関から再開指示を受けた後という条件下で、症例登録を再開することを承認しました。また、重大な不適合の内容及び再発防止策を、研究責任医師から全研究分担医師に対して周知いたしました。
 「5.今後の予定」についてです。当院における症例登録再開につきましては、京都大学臨床研究審査委員会及びT-FLAVOR試験独立安全性委員会からの承認をうけ、研究代表機関である国立循環器病研究センターから再開指示が得られた後となります。症例登録再開までに当院の研究責任医師は、全ての研究分担医師に対して、今回修正した院内プロトコルとチェックリストを用いた運用を十分理解できるように教育研修実施を予定しております。
 また、資料5-1の39ページに戻ってください。「4.今後の対応について」です。同院における再発防止策が適切かどうか、当該医療機関に確認・指摘すべき事項がないか、ご確認・ご議論いただきたく存じます。以上です。よろしくお願いいたします。
○竹内座長 
 本件について御意見等はありますか。かなり具体的な分かりやすい写真資料も、タブレット資料のほうに加えていただき、再発防止策を御提示いただきました。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは御報告のとおり進めていただくようにお願いいたします。今井構成員、どうぞ御発言ください。
○今井構成員 
 聞き逃してしまったかもしれないのですが。当院、その施設での対応というのは、詳細に対応いただいているのは拝見しましたけれども、これは多施設研究と思われるのです。多施設における対応というのは、今後、どのようになっていくのかというのがあるのか、気になりました。
○竹内座長 
 事務局のほうで確認できますか。
○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐 
 事務局です。申請医療機関のほうからは各協力医療機関に、この旨の発生をお伝えした後、今後の再発防止策をお伝えしているとお聞きしております。
○今井構成員 
 分かりました。ありがとうございます。情報が共有されていて、対応も共有されているといいかなと思いました。
○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐 
 はい、そのとおりです。ありがとうございます。
○竹内座長 
 42ページの資料4で、中央事務局からの注意喚起も含めて、これは中央事務局対応ということかと判断しますが、今井先生、よろしいでしょうか。
○今井構成員 
 了解いたしました。
○竹内座長 
 全施設に同じような対応がなされるというように理解しております。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、報告のとおり進めていただければと思います。
 残りの議題は「その他」となっております。事務局から何かありますか。
○医政局研究開発政策課長補佐 
 事務局から御報告があります。タブレット資料4の1ページから御覧ください。こちらは本年6月の第162回部会において御審議いただいた、香川大学医学部附属病院から申請の子宮頸部内視鏡の評価表です。こちらの案件の審議の際に香川大学のCRBでの審議時間が20分であったことから、適切な審査が行われたか疑義が生じたものです。その後、事務局からCRBに問合せをいたしました。委員会からの回答としては、委員会開催前に技術専門委員と研究責任医師のやり取りの中で研究計画書の修正を行い、これらの評価表及び変更された研究計画書を確認した上で、委員会の審査が行われたということで、審査委員会の開催時間内のみの審査ではないという説明を頂きました。また、事務局から審議書類の提出も依頼しました。説明のとおりの事前審査が行われて議論されたこと、また、委員会規程や業務手順書にのっとり、適切な審議が行われたことを確認いたしました。本件について皆様から御意見がありましたら、御発言いただけますと幸いです。以上です。
○竹内座長 
 ありがとうございました。その後のフォローアップについて御報告を頂きました。何か御意見等はありますか。一家構成員から御指摘いただいたのですが、一家先生、いかがでしょうか。
○一家構成員 
 そのような御説明なら、分かりましたと言うことかなと思います。私がCRBの審査に疑問を持ったのは、この後、結局この研究計画がどう直ってくるのかというところだと思うのです。この場で多くの委員が指摘せざるを得ないような研究計画が出てきたという点に端を発しておりますので、今後、適切なものが出てくることを期待したいと思います。
○竹内座長 
 コメント、ありがとうございました。それ以外に何か御意見等はありますか。よろしいですか。今後どういう形になるかは分かりませんが、この形で事務局のほうで注意しながら、またフォローしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 本日の議題は以上です。構成員の皆様、全体を通して何か御意見、御質問等はありますか。よろしいですか。大変活発な御審議を頂きました。感謝申し上げます。ないようでしたら次回の日程について、事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐 
 次回は、令和6年11月20日の水曜日の開催とさせていただきます。時間は16~18時までの予定で、詳細については別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については作成次第、構成員の皆様に御確認をお願いし、その後公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○竹内座長 
 それでは、これをもちまして第166回先進医療技術審査部会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
(了)