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第47回労働政策審議会人材開発分科会 議事録
人材開発総務担当参事官室
日時
令和6年7月30日(火)13:30~15:30
場所
会場:中央合同庁舎5号館 省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館)
議題
- (1) 職業能力開発促進法施行規則及び職業能力開発促進法第四十七条第一項に規定する指定試験機関の指定に関する省令の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
- (2) 職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
- (3) 教育訓練給付制度の指定対象講座の拡充について
- (4) 2023年度の実績評価及び2024年度の目標設定について
- (5) 出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律について(報告)
- (6)その他
議事
- 議事内容
- ○武石分科会長 定刻となりました。ただいまから「第47回労働政策審議会人材開発分科会」を開催いたします。本日、本分科会はオンライン併用での開催といたします。
本日の出欠状況ですが、労働者代表の篠原委員が御欠席です。また、公益代表の石﨑委員、使用者代表の美野川委員は所用により途中退席される予定です。
議事に先立ちまして、配布しております委員名簿のとおり、本開催より使用者代表委員として瀬田委員が新たに就任されましたので御挨拶をお願いします。
○瀬田委員 中小企業団体中央会理事、全日本印刷工業組合連合会の会長をしております瀬田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○武石分科会長 よろしくお願いいたします。それから、事務局に人事異動がありましたので紹介をさせていただきます。掘井人材開発統括官、溝口人材開発総務担当参事官、今野若年者・キャリア形成支援担当参事官、大塚訓練企画室長、稲田特別支援室長、永島企業内人材開発支援室長です。よろしくお願いいたします。代表して掘井人材開発統括官より御挨拶をお願いいたします。
○掘井人材開発統括官 改めまして7月5日付けで人材開発統括官を拝命いたしました掘井でございます。本人材開発分科会の委員の皆様方におかれましては、日頃より厚生労働行政あるいは人材開発行政に多大な御理解と御協力を頂いておりますことを、改めて冒頭、お礼を申し上げたいと思います。
人材開発行政の重要性というのは、私もこれまで別の局からも拝見をいたしまして、特に最近、人への投資などで注目を浴びることの多い行政だと考えておりました。社会や雇用状況の変化などが、大きく見られはじめているようなこの状況の中におきまして、時代のニーズに対応した人材開発の必要性や、あるいは多様な個人の方々のニーズに対応した能力開発の機会の必要性、こういったことは今後、益々重要になってくると考えております。
人材開発分科会の委員の皆様方のそれぞれのお立場におきまして、この重要な課題に様々な御意見を引き続きいただきますよう、お願いを申し上げたいと思います。本日もたくさんの議題がありますが、どうぞよろしくお願いいたします。簡単ではありますが私からの御挨拶とさせていただきます。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは議事に入ります。議題1「職業能力開発促進法施行規則及び職業能力開発促進法第四十七条第一項に規定する指定試験機関の指定に関する省令の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」です。内容について、能力評価担当参事官より資料の御説明をお願いします。
○安達能力評価担当参事官 能力評価参事官の安達でございます。議題1について説明いたします。本日はよろしくお願いします。まず、議題1ですが、これは具体的に言いますと、林業を技能検定に追加をすることに伴う関係規定の整備になります。諮問文等については資料1-1に付けておりますが、具体の内容につきまして、資料1-2のパワーポイントに沿って御説明をいたします。
まず概要です。「林業」ですが、木を育て伐採をするということで、育林及び素材生産を行う業務に従事をする職種です。また、育林作業、素材生産作業を適切にするに当たり、必要な技能を対象とし、複数等級(1級、2級、3級)及び基礎級による試験を実施するところです。試験業務です。民間の指定試験機関として、一般社団法人林業技能向上センターに行っていただくことを想定しております。
この職種新設の背景です。林業職種ですが、自然環境の中で作業をする中で、気象、地形などの状況に応じた適切な作業を行うとともに、現場に潜む危険を察知する必要があり、また、作業の実施に当たって、チェーンソーの機械や刃物を使用する場合が多い中で、正確かつ安全に作業を行う必要があることから、高度な技能や専門性が求められるところです。また、今回、こういう形で検定を創設することによって、林業従事者の技能の向上が見込まれることはもとより、こうした公証制度の導入に伴い林業従事者の就業環境の整備及び社会的・経済的地位の向上、さらには安全性の向上による労働災害の減少に寄与することが期待されるものです。
令和6年3月に林業技能向上センターからの申請を受理し、本年3月に専門調査委員会から「職種新設・指定試験機関の指定は適当」という御意見を頂いたところです。
今後のスケジュールです。今回、妥当ということで認めていただければ、本年9月に公布、同日施行を予定しているところです。2つ目の○に書いてありますが、省令の施行後、指定試験機関から提出される試験に係る試験科目及び範囲、試験業務規程等について、技能実習において実施される講習との整合性が図られているかをしっかり確認・審査の上、認定させていただくことにしております。また、今後のスケジュールですが、第1回の試験は、来年の1月に学科、実技試験は2月から3月に試験をすることを想定しております。私からの説明は以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対する御質問、御意見がございましたら、こちらで参加されている方は挙手、オンライン参加の方はズーム機能の「リアクション」から「手を挙げる」マークを押していただき、指名されてからマイクをオンにして御発言をお願いします。いかがでしょうか。では、冨髙委員、小林委員の順でお願いします。冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員 技能検定の林業職種の新設は、広く林業従事者にとっては安全性の向上による労働災害の減少に寄与するものだとは理解しておりますが、技能検定が新設された背景には、技能実習制度における外国人労働者の受入れに向けた環境整備の一環なのだろうと認識しております。技能実習の評価試験等も議論されていたと思いますが、林業職種の追加に当たって、安全衛生等に関して、また様々、上乗せ基準等も検討されているとも伺っておりますので、この技能検定の試験内容にも、上乗せ基準等の内容がしっかりと反映されるべきだと考えているところです。皆様御承知のとおり、林業については、とりわけ労災の発生率が高いということですので、そういった技能実習の講習との整合性、上乗せの部分も含めて、きちんと試験内容を精査していただき、安全衛生に資するものになるように是非、御検討をお願いしたいと思います。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。では、小林委員、お願いします。
○小林委員 御指名ありがとうございます。林業の人材不足については極めて深刻だと。取り分け、次代を担う若い世代の確保は待ったなしという、こういう状況だと認識をしております。技能検定の職種の追加によって、資料の御説明も頂きましたように、就業環境の整備、労働災害の防止、さらには処遇の引上げ、こういったものが期待されるとともに、既に先ほど冨髙委員からもお話がございましたが、特定技能の対象分野になっている中で、技能実習について、運用のところが今、対応しなければならないということで、今回のこの追加、林業が追加されることで外国人雇用についても一定前進するものと思っています。林業の振興を通じて、適切な伐採が定期的になされるなど、国土の多くを占める森林が保全されていくことで、災害、土砂崩れだとかそういった災害、洪水の緩和、水資源をしっかりと貯水をする、こういった多岐な効果が見込まれると言われているわけです。
他方で、私ども全建総連には、木造建築に携わる事業者、職人、技能者が多くいますが、建築材料としての国産材が思うように入手ができないと、こういう声がこの間聞かれてございます。これは、林業がなかなかニーズのとおりの、ニーズに合う流通に対応し切れない、結果として、これだけたくさんの森林資源のある日本にもかかわらず、供給が安定している外国産材を選択する、こういう事業者が非常に多いというのが私たち組合員の状況です。一方で、組合員からは、同時に国産材が適正な価格で安定して供給されるのであれば、もちろん国産材、それも地域の材を使って建築をしたいのだと、こういう声も併せて聞いているところです。
林業が追い付いていないというよりも、木材という面で言えば、切出しと植林のサイクルが追い付いていないのが現状かと思います。森林という生活の安全をも支える豊富な資源を活用し切れていないのが現状と言っていいかもしれません。厚生労働省においては、林業が若い方にも安全で魅力ある産業に育つ、こういった観点とともに、林業の振興によって適切な森林保全を通じた防災、それから木材といった資源活用など、森林の多面的な機能を発揮するという観点も踏まえて、関係省庁と連携しながら、林業の振興を見据えた林業職種の技能検定の取組、これを進めていただければと思っております。以上でございます。
○武石分科会長 ありがとうございます。まとめて御意見等をお伺いした後、事務局からお答えいただきたいと思います。風神委員から挙手になっていますので、風神委員、お願いします。
○風神委員 2点コメントです。1点目として、最近できた業界資格からの格上げのようですので、既存の労働者が閉め出されていくですとか、取得の手間など、負の影響がないような運用がなされるといいという感想を持ちました。
2点目として、背景の所に、社会的・経済的地位の向上ということがありますが、この技能を取得することによって、それが、雇われるときですとか、林業の仕事を依頼する企業さんのほうから価値ある者と認められて、実際に資格を持っていると高い賃金が支払われるようなことがなされるように運用されていくといいと思いました。コメントです。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかに、この件に関して御意見、御質問ある方いらっしゃいますでしょうか。よろしいですか。では御要望が多かったと思いますが、事務局からお願いします。
○安達能力評価担当参事官 ありがとうございます。まず、冨髙委員から御指摘いただいた、外国人の技能実習等との関係で、上乗せの告示等々との議論も踏まえてということで、今回、実は今後のスケジュールの所にも明記をさせていただきましたが、そういったそちらの議論との整合性も取りつつ、しっかりと対応していきたいと思っております。
また、冨髙委員及び小林委員から御指摘のあった労災との関係ですが、御案内のとおり、林業というのは労災が多い職種として知られておりますが、その大きな要因の1つは、伐採時に労災が起こるケースが多い。これが、伐採に係る技能がなかなか標準化されていないがために現場で労働災害が起こるケースが多いという部分については、これは実は、専門調査委員会での議論でもそういう議論があり、今回、技能検定ということで、そういう技能を客観的に評価するという検定の導入に伴いまして、そういう適正な技能が全国に広がることにより、これは外国人のみならず、日本人における労災も減っていくことを期待したいと思っております。
また、林業の振興に関する議論も頂いたところです。おっしゃるとおり、担い手が今、非常に、これは外国人のみならず日本人の担い手が非常に不足していて、それがために、おっしゃるとおり、国土保全等の関係でも、国産材の利用がなかなか進まないことも含めた課題が起こっていることになっております。これは、林業に係る資格というのが今までなかなかなくて、これを、労働災害の防止というところもそうなのですが、林業に係る客観的な技能というのを、今回、等級制で認定しますので、この等級に伴って一定の処遇につながるような、そういうキャリアラダーを作っていくところも含めて、林業における地位向上、そういったものも図っていくことが重要ではないかと考えており、専門調査会の場には、実は林野庁の方もオブザーバーで出ていただいたのですが、そういう所管省庁とも連携をしながら、林業の振興という部分につなげていただくような形で運用できればと考えております。頂いた意見については、林野庁にもしっかりと伝えてまいりたいと思います。ありがとうございます。
○武石分科会長 ありがとうございました。御意見等頂いた委員の皆様、よろしいでしょうか。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。特に御質問、御意見がないようであれば、この案件はこれまでとさせていただきます。議題1「職業能力開発促進法施行規則及び職業能力開発促進法第四十七条第一項に規定する指定試験機関の指定に関する省令の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」は、本分科会として「おおむね妥当」と認める旨を労働政策審議会会長宛てに御報告申し上げたいと思います。御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
(異議なし)
○武石分科会長 特に御異議がないようですので、それでは、事務局から報告文(案)の共有をお願いします。
(報告文(案)の配布と共にZoomにおいて画面共有)
○武石分科会長 共有された報告文(案)により、労働政策審議会会長宛て報告することとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただくことといたします。この議題については以上とさせていただきます。
次に、議題2「職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」です。内容について、訓練企画室長より資料の御説明をお願いします。
○大塚訓練企画室長 それでは、資料2-2に沿いまして、普通課程の普通職業訓練の訓練基準等の見直しに伴います、職業能力開発法施行規則の一部を改正する省令案について御説明します。職業能力開発促進法に基づく普通職業訓練などは、職業訓練課程ごとに教科、訓練時間等に対して厚生労働省で定めます基準、これを訓練基準と申しますが、この基準に従うものとされております。
このうち、普通課程の普通職業訓練につきましては、職業能力開発法施行規則に定める訓練基準によって行われるものを標準とすることとされております。能開法施行規則に規定する自動者整備科及び自動車車体整備科の職業訓練につきましては、都道府県の職業能力開発校にて実施しております。その訓練基準につきましては、当該、職業能力開発校が国土交通省が定める自動車整備士技能検定規則に基づいて、国土交通大臣から自動車整備士養成施設の指定を受け、訓練受講者が訓練修了後に自動車整備士の受験資格を得ることができますよう、「整備士規則」に則して定めているところです。
さて、国交省では、自動車技術の進化に対応するために、1級自動車整備士(総合)をはじめとした電子制御の内容を含む資格を設定するなど、自動車整備士の資格体系や養成課程を令和4年に見直しました。そこで、これに合わせて、職業能力開発校が自動車整備士養成施設の指定を引き続いて受けることができるようにするなどを目的に、能開法施行規則について所要の改正を行うことを考えております。以上が改正の理由になります。
続いて、改正の内容を申し上げます。まず①普通課程の普通職業訓練の訓練基準です。こちらは、自動車整備科及び自動車車体整備科につきまして、国交省の省令改正に伴って、引き続き自動車整備士養成施設の指定を受けられますように、能開法施行規則に規定する「教科」と「訓練時間」をそれぞれ見直すというのが主な内容となっております。
②職業訓練指導員試験の受験資格及び試験免除です。こちらは、能開校の訓練指導員についてのものになります。自動車整備科や自動車車体整備科の訓練指導員になろうとする方について、その方が整備士免許を持っていれば、現行の能開法施行規則の規定によりまして、指導員になるための試験が免除されております。この度の整備士制度の見直しに伴いまして、整備士資格の名前が今後変更されますので、施行規則で定める試験の免除を受けられる資格保有者について、新しい資格の名称を追加しようとするものになります。
施行日につきましては、改正案をお認めいただいた際には、資料中段にありますように、①が改正内容を踏まえた整備士を養成するための期間を踏まえまして、令和7年4月1日を目指します。そして②は、国交省の改正省令の施行時期と合わせまして、新しい名前の整備士が世に出ることとなります令和9年1月1日を予定しております。私の説明は以上になります。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対する御質問、御意見がございましたら、先ほどと同様に、挙手をしていただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いします。いかがでしょうか。御意見等ございませんでしょうか。よろしいですか。特に御質問等がないということであれば、この案件はこれまでとさせていただきます。
議題2「職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」は、本分科会として「妥当」と認める旨を労働政策審議会会長宛てに御報告申し上げたいと思います。御意見等ございますでしょうか。
(異議なし)
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局から報告文案の共有をお願いします。
(報告文(案)の配布とともにZoomにおいて画面共有)
○武石分科会長 共有された報告文(案)により、労働政策審議会会長宛て報告することとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただくこととし、この議題についてはここまでといたします。
次に、議題3「教育訓練給付制度の指定対象講座の拡充について」です。内容について、若年者・キャリア形成支援担当参事官より資料の御説明をお願いします。
○今野若年者・キャリア形成支援担当参事官 若年者・キャリア形成支援担当の今野と申します。よろしくお願いいたします。私からは、資料3について説明申し上げます。1ページです。今回、教育訓練給付制度の指定対象の講座の拡充について、検討を行ってまいりたいと考えております。検討の対象としたいものに関しては、1ページの下にあります検討対象のとおりです。1つ目が、職業能力評価制度の検定の合格を目指す講座です。2つ目が、資格取得に必要な最短の期間を3年としている業務独占資格等について、これを4年制の大学などで学ぶことが近時増えておりますので、そのような4年制の大学等の養成課程を対象に加えてはどうかというものです。3つ目は、日本国内で外国の大学院の修士(MBA)の取得を目標とする課程について、対象に加えてはどうかというものです。それぞれ、順次説明申し上げます。
2ページを御覧ください。1つ目の論点は、職業能力評価制度の検定の合格を目指す講座です。職業能力評価制度については、下段の左側の1.にありますように、その概要については技能検定と認定社内検定に加えて、真ん中に赤線で囲まれている「団体等検定」が、今般創設されたところです。この「団体等検定」については、同じページのリード文の1つ目の○にありますように、外部労働市場に一定の通用力があるものを対象とする企業横断的な評価の仕組みです。このため、2つ目の○にありますように、検定に合格された方に対しては、企業内において適切な処遇が実施されるなど、労働者の方々の社会的評価の向上が期待できる仕組みであると考えており、その活用促進を図っていきたいと考えるところです。
このため、矢印の後にありますが、「団体等検定」の合格を目標とする講座については、特に労働者の速やかな再就職、早期のキャリア形成に資する教育訓練として評価できるものであれば、今後「特定一般教育訓練」の対象として認めるという整理にしてはどうかと考えているところです。
論点の2つ目です。3ページを御覧ください。資格取得に必要な最短の期間が3年である業務独占資格等に係る4年制の大学等の養成課程です。リード文にありますように、現行、業務独占資格等に係る養成課程については、資格取得に必要な最短期間を修業年限とするもののみを指定の対象としているところです。このため、例えば看護師であれば、必要な最短期間は3年ですが、その3年を超える養成施設、例えば4年制の看護系大学がこれに当たります。このような4年制の看護系大学は給付の対象とはしていないものです。
一方で、下段の右側、2.の対象となる主な資格を御覧ください。例えば看護師であれば、直近10年において、3年制の施設数が555から557と、ほぼ横ばいであるのに対して、4年制については218から306ということで、増え方が顕著です。このような4年制の大学の養成課程が増加しつつあるという近年の情勢の変化を踏まえ、そういった課程についても指定の対象とすることとしてはどうかと考えるものです。
この場合、論点となることが想定されるのが、矢印の後の2つ目の段落にもあります。これまで、最短期間3年間通っていて3年分の給付を受けていた人がいるのに対して、4年制の養成課程に行ったら4年分もらえるのかというところです。これについては、4年制の養成施設に通う場合であっても、受けることのできる給付については3年の場合と同額を上限とするというキャップをはめることにしたいと考えております。このような運用上の工夫を行うことにより、受給者間の受益の公平を図ることを考えてはどうかと検討するものです。
続いて3つ目の論点は、日本国内で外国の大学院のMBAの取得を目標とする課程です。リード文1つ目の○にあります、現在、MBA等の修士号については、専門職大学院の類型として指定の対象としているところです。一方で、2つ目の○です。近年、オンライン受講等の環境が整ってきたなどの事情もあり、日本国内で外国の大学院のMBAを取得可能な講座が運営されつつあるところです。しかしながら、外国の大学院については、学校教育法に基づく専門職大学院には当たらないということになりますので、現状、教育訓練給付の対象とはしていないところです。しかしながら、先ほど申し上げましたように、受講の環境が整ってきたといったような情勢の変化もありますので、これを踏まえて矢印の後ですが、日本国内の訓練実施者が、国内居住者を対象に外国の大学院と連携して提供するMBAの取得を目標とする課程については、今回指定の対象として加えてはどうかと考えるものです。ただし、あらゆる外国の大学院が提供するMBA修士プログラムを対象とするというものではなく、矢印の後の2つ目の段落にもありますように、一定の質が担保されていることを要件としてはどうかと考えております。
この質の担保については、下段の真ん中に2.として、MBAの国際的認証、あるいは国家的認証を紹介しております。これらの認証を取得していること、又は右側にあります3.の世界大学のランキングで、相当程度上位にあるといったことを条件に認めることとしてはどうかと考えております。
以上の3点の検討事項について、今後お認めいただけるということである場合、類型がどのように整理されるのかということが、次の5ページです。右側に、特定一般教育訓練給付があり、その中の講座指定要件に新たに④を創設いたします。冒頭紹介しました「団体等検定」については、この職業能力評価制度の検定合格を目指す講座という類型を新たに創設して、その中に位置付けることにしたいと考えております。それに対して、左側の専門実践教育訓練給付のうちの講座指定要件の①業務独占資格等の養成課程、③専門職大学院の中で、先ほど紹介しました看護師を例示しましたが、最短の養成期間3年について4年にするものを①の中で、また外国の大学院のMBAについては③でそれぞれ位置付けることにしてはどうかと考えております。看護師等については、現状でも業務独占資格として、MBAについては、学位授与主体の所在国を別にして、広く修士号という意味でいえば専門職大学院の課程の中でそれぞれ読めるところですが、そのような外延を変えることなく資格の取得方法の長期化あるいは多様化という実勢の変化を踏まえて、その外延の中で読めるような拡充を図ってはどうかと考えるものです。
以上を踏まえて、指定基準がどのように変更されるかが、次の6ページです。指定基準の見直しの(案)です。現状、教育訓練給付の指定基準については、告示によって措置されているところです。その改正の中身については、中段の1.改正の概要にあります。その中の1つ目の「団体等検定」については、先ほども紹介いたしましたように、新たな類型の創設によって、2つ目の業務独占資格等、3つ目の外国の大学院のMBAについては、それぞれ現行の類型の拡充によって措置されることになるのではないかと考えております。
最後にタイミングについては、下段の2.の施行です。本年10月から、指定講座の募集を開始し、来年4月からその受講ができるように改正してはどうかと考えております。私からの説明は以上です。
○武石分科会長 それでは、ただいまの御説明に対する御質問、御意見がありましたら、先ほどと同様に挙手をしていただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。田村委員、お願いいたします。
○田村委員 これまでも教育訓練に関しては、講座全体について、教育訓練の種類と、その目的にそれぞれが対応しているか、バランスが取れたものになっているか、検証、見直しをすべきであるという旨を発言してきたところではあります。検証、見直しは引き続きの課題として残されており、適切に対応をお願いしたいと思っております。
その上で、今般の指定対象の拡充について、意見を申し上げます。(検討1)の職業能力評価制度の検定の合格を目指す講座について、「団体等検定」は技能検定のように国家資格ではないことを踏まえれば、技能検定と同程度に速やかな再就職や早期のキャリア形成に資する教育訓練といえるかどうかが重要であり、検定ごとに個別にしっかりと判断をしていただくことが必要ではないかと考えております。
「団体等検定」のうち、技能検定と比べて遜色がないものに限って、特定一般教育訓練給付の対象とするようにしていただきたいと思っております。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。今回もまとめて御意見等を頂戴して、事務局から回答をお願いいたします。ほかにいかがでしょうか。平田委員、お願いいたします。
○平田委員 最初に質問をさせていただきます。資料の読み方について、スライドの6ページには、「団体等検定」を新たな類型として創設するとありますが、スライドの2ページは、「団体等検定」であれば全て対象とするのではなく、速やかな再就職や早期キャリア形成に資する教育訓練として評価できる講座に限定すると読めばいいのでしょうか。そこだけ教えていただければと思います。
○武石分科会長 ありがとうございます。では、御質問への回答をお願いいたします。
○今野若年者・キャリア形成支援担当参事官 今の平田委員の御質問に対するお答えと、田村委員から頂いた御指摘に対するお答えが、ほぼ重なるのかと思っております。「団体等検定」であれば、その合格を目指すものが必ず全て特定一般教育訓練の給付の対象になるかというと、そういったことをするという趣旨ではありません。あくまでも、特定一般教育訓練であれば、早期のキャリア形成、速やかな再就職に資するのだと、その趣旨にかなっているものなのだということで、それを満たすものに関して、初めて特定一般教育訓練給付の対象になるのだという考え方ですので、そこは個別の判断をするものであるということです。
○武石分科会長 平田委員、よろしいでしょうか。
○平田委員 分かりました。それでは、その上で意見を申しあげます。今の(検討1)については、「団体等検定」であれば全て対象なのかと誤解をしていたのですが、国として支援をするのにふさわしいと認識しております。これは、企業横断的な能力を評価する制度ということもあるため、きちんと支援していただきたいと思っております。
(検討2)の4年制の養成課程の対象化について。給付の上限は変えず行うということですので、4年制の養成課程が増えているという現実を踏まえて、対象とすることは適切だと考えております。
それから、(検討3)の海外の大学院の対象化について。ニーズがどの程度あるかについては自信がないところですが、制度創設当時から対象になっている専門職大学院と同等の教育内容や効果があるということを前提に、講座の対象とすることには異論はありません。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。「団体等検定」に関しては、個別に判断をしていくということですが、先ほど田村委員からも、その中身をしっかり見てほしいというご指摘がありました。ありがとうございました。
オンラインの委員の方で、勇上委員、風神委員、守島委員から手が挙がっていますので、今の順番でお願いします。勇上委員、お願いいたします。
○勇上委員 御指名ありがとうございます。今回の検討案について、方向性は異存はありません。ですが、一方で提案を見ると、やはり限られた予算の中で拡充を図るものだと思いますので、各委員がおっしゃっているとおり、検証や見直しをあらかじめ予定しておく必要があると思います。
特に、新しく対象になった「団体等検定」については、全てが自動的に認められる、対象になるわけではないという回答を頂きましたが、どういう分野で有用であるとか、あるいはほかの講座と比べてどういう結果になっているのかは、あらかじめ把握できるような仕組みを作っていただいて、不断の検証、見直しをかけることが必要だと思います。これまでも、そういったモニターはされていると思いますが、このような拡充に際しては特にそういった対応が必要になると感じますので、このような意見を申し上げます。以上です。
○武石分科会長 勇上委員、ありがとうございました。では、風神委員、お願いいたします。
○風神委員 私も、多くの皆さんが言及しております「団体等検定」についてなのですが、御説明の中で全て認定するわけではないということでしたが、資料に成長分野などについて、業界標準が確立していなくても検定の安定的な運営が見込まれればということは書いてあります。本来、検定というのは、その能力や技能などの見える化であると思っておりますので、標準が確立されていないと書かれておりますが、きちんと業界である程度認められていて、多くの人がその検定を持っていたら、どのような技能を持っているのかが分かるような、また今回の早期の就職などの条件などを満たしている講座を認定するというような、運用面に注意していただければと思いました。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは守島委員、お願いいたします。
○守島委員 私は、(検討3)のMBAについて一言申し上げます。これに関しては、事前説明をお受けしたときにも少しお話を差し上げたのですが、日本国内の訓練実施者が国内居住者を対象に、外国の大学院と連携して提供する修士(MBA)を実際にやっている数というのは、現時点では極めて少ないと思うのです。かつ、比較的魅力的なイノベーションであるとか、そのような新しい分野をやっているMBAは余りカバーされていないので、国内の訓練実施者という、ある意味では縛りを付けておかないといろいろな問題が起こる可能性があるというのはよく分かるのですが、やはりこういう形で海外のMBAを取る方向を進めていくという目的から考えると、これは将来的で構わないのですが、日本国内の訓練実施者が連携してやっているという部分に関しては、少し緩和する、若しくは考え直すということをやっていっていただいたほうが、政策目的的にはいいのではないかという感じはいたします。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。ほかに御意見、御質問はありますか。よろしいでしょうか。運用面で、しっかり効果がある方向でやってほしいというのが、ざっくりした御意見であったかと思うのですが、事務局から何かあればお願いいたします。
○今野若年者・キャリア形成支援担当参事官 まず、勇上委員から頂きました御指摘について、雇用保険財政の下で行われるものである以上、効果検証は然るべく行うべしということについては、正にそのとおりかと我々も受け止めているところです。早期のキャリア形成や再就職といった一定の政策目的の下で行われるものですので、今回の拡充をお認めいただけるのであれば、今後運用を重ねていく中で、効果検証の方法についても不断に考えてまいりたいと考えております。
風神委員から御指摘を頂いた利用者数が見込まれるのであればということだけれども、そういうことではないでしょうというのは、我々もそのとおり考えているところです。特定一般教育訓練の趣旨、目的は当然ありますので、それにかなったものを認めて運用していくということではないかと考えております。
守島委員から御指摘を頂戴しました、将来的には国内の訓練施設設置者という縛りについては、雇用保険の下で行われる事業という制約から、まずはなるべく国内で再就職していただけるようにということで考えているところです。将来的に、その緩和が可能かどうかといったことも含めて、先々の課題としては考えたいと思っております。以上です。
○武石分科会長 ほかに御意見、御質問はありますか。よろしいでしょうか。御意見を頂いた勇上委員、風神委員、守島委員、よろしいですか。
○守島委員 はい、大丈夫です。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは、特に御意見はありませんか。教育訓練給付制度は、現状でも非常に効果的に使われている制度ではないかと思いますが、更に拡充をして効果的な制度になっていくようにお願いしたいと思います。特に御意見等がなければ、この案件はこれまでといたします。事務局におかれましては、本日の議論を踏まえて、諮問案の作成をお願いいたします。どうぞ、よろしくお願いいたします。
次に議題4、「2023年度の実績評価及び2024年度の目標設定について」です。内容について、人材開発総務担当参事官より、資料の御説明をお願いいたします。
○溝口人材開発総務担当参事官 それでは、資料4-1です。まず、2023年度、昨年度の実績評価と、本年度の目標の設定ということで、左側に項目が並んでいます。①から⑦までの項目において目標を設定し、実績評価を行っているところです。1つ右隣ですが、昨年度の実績です。括弧内が目標で、その上に乗っているのが実績ですが、ザッと御覧いただくとおおむね達成しているという状況です。更に右隣が本年度の目標ということで、括弧書きになっています。
個別に御説明いたします。資料4-2です。①の項目が、地域若者サポートステーションの就職等率です。こちらについては、昨年度の目標を達成しています。本年度の目標については、71.2%以上ということで、近年の実績を踏まえ、過去3年間の実績の平均値を踏まえて設定しています。
②が、わかものハローワーク等を利用して就職したフリーター等のうち、正社員として就職した者の割合で、こちらも昨年度の実績については目標を達成しています。本年度の目標については、68.4%以上ということで、こちらも近年の実績を踏まえ、過去3年間の実績の平均値を踏まえて設定しています。
③の項目が、就職支援ナビゲーターによる支援を受けて正社員就職した新規学校等卒業者等の数です。こちらも昨年度の実績については、ほぼ目標を達成しております。本年度の目標については、15万2,000人以上ということで、各都道府県労働局ごとに設定した目標の全国集計値ですが、2024年度卒業予定の学生数や、内定卒業者数等を踏まえたものです。なお書きで記載していますが、今後、学生数の減少が見込まれるとともに、就職活動に困難な課題を抱える学生に対する就職支援に重点化するということで、来年度より目標値を数から率に変更することを検討しているところです。
④の項目が、ジョブ・カード作成者数です。こちらも昨年度の実績については、目標を達成する見込みです。その下に、主な要因として書かせていただいていますが、拠点数が増加しているということが背景にあります。それもあって、本年度の目標については29.6万人ということで、過去3年間で最も高い実績を踏まえて設定しています。
⑤が、公共職業訓練の就職率です。昨年度の実績としては、施設内訓練は目標を達成していますが、委託訓練は未達成という見込みです。その原因として、まず状況として、昨年6月以降、有効求人倍率が減少傾向となっており、修了就職者数も伸び悩んだといったことで、その傾向が続いている状況です。そういったことで、目標を下回ると考えております。こういったこともあり、本年度は訓練効果を踏まえた訓練期間・訓練時間の見直しを実施したところです。また、就職率の改善に取り組んでいくために、訓練受講希望者に対する訓練実施機関への説明会等への参加の勧奨や、ハローワークの職員等による訓練コースを理解したあっせんが行われるような指導や、ハローワークでの担当者制によるきめ細かな支援についても徹底していくこととしています。
目標については、施設内訓練が82.5%、委託訓練が75%ということで、施設内訓練については高・障・求機構の中期目標の目標値をそのまま設定していますが、委託訓練については、昨年度は目標を達成できませんでしたけれども、近年の実績を踏まえたものとなるように2023年度の目標値と、過去5年の実績を踏まえて設定しています。
⑥が、求職者支援制度による職業訓練の雇用保険適用就職率です。昨年度の実績については、基礎コースは目標を達成、実践コースは未達成となる見込みです。要因については、先ほど説明した短期間・短時間訓練コースで就職率が通常訓練に比べて低いといったことがありましたので、本年度においてそこの見直しを実施したところです。また、労働局ごとにばらつきがありましたので、実績が低調な労働局に対するヒアリングや、好事例の横展開といったことで底上げを図っているところです。本年度の目標については、基礎コースが58%、実践コースが63%ということで、2023年度の目標値と過去5年の就職率実績を踏まえて設定しております。
最後の⑦ですが、技能検定試験合格者数です。昨年度の実績については、目標を達成しています。コロナの影響による入国制限の影響がほとんどなくなったことが背景にあります。そういったこともあって、本年度の目標については、昨年度を2万人上回る36万人ということで設定しております。説明は以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対する御質問、御意見がございましたら、先ほどと同様に挙手をしていただき、指名された方は、マイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。松浦委員、お願いいたします。
○松浦委員 2点、意見を述べさせていただきます。まず1点目は、①の地域若者サポートステーションの就職率と、②のわかものハローワーク等を利用して就職したフリーター等のうち、正社員として就職した者の割合についてです。今年度の目標は、過去3年間の平均値を目標とするという御説明でしたが、2021年度は、コロナの影響を受けて実績が低かったと考えられますので、2021年度を除いて2022年度、2023年度の実績平均値を目標にしていただくなど、高めの目標を設定し積極的な取組を促すよう、御検討をお願いできればと思っております。
2点目については、⑤の公共職業訓練の就職率の所です。委託訓練については、ここ数年、目標が未達成ということで伺っております。委託訓練の就職率の改善に向けては、就職率が低い委託訓練実施機関に対して個別に助言や指導を行っていただくなど、訓練機関の質の向上に向けて引き続き取り組んでいただければと思います。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。御意見等をまとめて頂戴したいと思います。石原委員、お願いいたします。
○石原委員 石原でございます。事前の説明のときにもちょっと申し上げたのですが、私も同じで、3年間の平均で目標値を設定しますとかという形が、事業の目的とかから逆算したときに、今年度にあるべき姿なのかどうかということが非常に分かりづらい構造になっていて、この目標値が妥当なのか妥当ではないのかを私たちが判断することが、すごく難しいと思っているわけです。なので、行政の目標というのは、一つ一つ単年度になりやすいのはよく分かるのですが、目指すべき姿としてどういうものがあって、それは何年後ぐらいまでに達成したい、だから、今年はここまで行かなければならないのだという形の目標設定をしていただきたいと。
あと、これはしばらく前に、昨年度の目標に対する到達率がどうであったかということをお伺いしたときにも思って、そのときも発言させていただいたことではあるのですが、放っておいても達成するレベルの目標をセットされるのは、やはり違うのかなと。やはり、プラスアルファーで何かをすれば達成できるレベルの目標というものをセットしていただきたくて、それぞれの事業に、それなりの意味を込めて様々な事業が行われていると思うのですが、そうであれば、様々な外部環境で仕方がなかったというのは、そうですかと引き下がるのはなかなか難しくて、達成すべきところまでをどのような努力によって達成できたのかというところを明らかにしていただいた上で、それを今年度も続ければとか、それぞれの何かの努力ができればここまで行けるという目標設定を望みたいなと思っており、今年のものも、そのようなセットになるといいなと感じておりますということをお伝えしたいと思いました。以上です。
○武石分科会長 石原委員、ありがとうございます。ほかに御意見、御質問はございますか。平田委員、お願いいたします。
○平田委員 2つあります。②については、すでに御意見を頂いている皆様と同じ考えです。コロナ禍の影響は薄れているということであれば、目標の平均の取り方、すなわち、どの時期の平均を取って目標とするのかという点について検討してもいいのではないかと思っております。
それから、⑤離職者訓練の就職率について、要因分析として有効求人倍率の減少と、修了就職者の伸び悩みが指摘されていますけれども、これだけでは、施設内訓練が目標を達成している一方で、委託訓練が目標を達成していないことに対する分析、あるいは理由づけが不十分なのではないかと思っております。委託訓練の目標不達にはこういう理由があるのではないか、ということも深掘りしたほうがいいのではないかと思っております。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、幾つか御意見等がありましたので、事務局からお願いいたします。
○今野若年者・キャリア形成支援担当参事官 松浦委員からは、①の地域サポートステーション、②のわかものハローワークについて、平田委員からは、②のわかものハローワークについて、それぞれコロナの影響を考えて、目標の設定の在り方というのは変わるのではないかという趣旨で御意見を頂戴したかと思います。確かに、新型コロナの影響が実際に色濃く出ている場合は、例えば、その期間を除いて目標設定するといったことも一つ考え方としてはあるのかなというのは、我々も思っているところでした。そういうことで、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けがが2類相当であった期間が含まれているところが、実は令和2年度から令和4年度です。その間の実績値を見直しておりますと、今回、令和3年度が新型コロナの対象となったところですが、令和3年度の実績というのがサポステについては68.8%、わかハロについては63.5%。
これに対して、新型コロナ流行前の令和元年度がどうかと申しますと、サポステが67.0%でわかハロが64.6%でした。わかハロについては、令和元年度より令和3年度が1.1%低くて、一方でサポステについては、むしろ令和元年度より令和3年度のほうが1.8%高いという結果が出ていたところでして、コロナの影響のあった年、なかった年をどのように評価して外すのかというところが、少し判断が難しいかなと考えたところです。このため、取り方としては直近3年間の実績平均値という従前の目標設定と同じ方法で設定させていただいたという経緯があるということで、御理解いただければと考えています。
○武石分科会長 まず、コロナの影響に関しては、実際に数値を見るとそれほど影響はなかったのではないかというのが事務局の御回答でしたが、松浦委員、いかがでしょうか。
○松浦委員 ありがとうございます。追加で申し上げたいと思います。今、御説明いただきましたが、2021年度と現在を比べますと、雇用情勢が改善していることですとか、障害者雇用率の引上げによって企業の採用意欲が高まっていることなど、雇用を取り巻く環境というのは大きく変化しているのではないかと考えます。ほかの分科会では、こういった雇用環境の変化に合わせて柔軟に目標を設定している分科会もあると伺っており、そのようなことを踏まえますと、先ほどの基本的な考え方を踏まえつつも、次年度以降はより柔軟に目標設定を御検討いただいてもよろしいのではないかと思いますので、重ねてよろしくお願い申し上げます。
○武石分科会長 ありがとうございます。平田委員もコロナの件で御質問いただきましたが、いかがでしょうか。
○平田委員 ありがとうございました。説明はよく分かりました。どこまで書くか、あるいは口頭で説明するかというのはあると思いますが、今の御説明は合理的に聞こえましたので、そういうことをきちんと説明すればいいのではないかと思いました。ありがとうございました。
○武石分科会長 ありがとうございます。では、それ以外の御質問について、事務局からお願いいたします。
○大塚訓練企画室長 委託訓練についての御意見、御質問を2つ頂きました。松浦委員と平田委員より頂戴いたしましたので、併せて御説明いたします。委託訓練については、今般、目標が未達成となる見込みです。その原因については、先ほど平田委員よりお話いただきましたように、有効求人倍率の減少傾向ということも一つかと思っております。もう1つ原因の一つと考えておりますのが、訓練時間とか訓練期間の短い訓練というのをコロナ禍、令和3年2月頃から令和5年度、昨年度まで特例的に設定して実施してきております。その中で、極端に訓練時間なり訓練期間が短い訓練については、実績を見ますと就職率がかなり低く出ていたという結果があります。こういうこともあって、令和5年度の実績についても目標が未達成ではなかったかと分析しております。
特例については令和5年度一杯で終わって、令和6年度の4月から極端に短い訓練期間や訓練時間の訓練というのは、そこまで極端に短いものではない形で見直して、恒久化ということで実施することとしておりますので、今年度の実績についてはフォローしていきたいと思っております。また、委託訓練についてなかなか目標を達成しづらいという実態を踏まえて、どういう背景がそこにあるのかということについては、個別の事例も踏まえながら、それに応じて制度の見直しなりを考えていきたいと思っております。私からの回答は以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。それから、石原委員から、そもそもの目標設定の考え方ということでの御意見を頂きましたので、御説明をお願いいたします。
○溝口人材開発総務担当参事官 総務参事官です。松浦委員と石原委員と平田委員より、それぞれ目標の設定の仕方とか、もうちょっと上乗せできないのかといったお話を頂きました。特に石原委員からは、達成できる目標ではなくて、プラスアルファーの設定が必要ではないかと、どのような努力をしたのかを明らかにするようにというお話を頂いております。今ほどの議論の中でもありましたとおり、この目標自体は個々に性質が違うものではありますが、雇用情勢とかの影響も受けるといったものも含まれております。そういったものをなるべく予見するとか、把握するといったことで目標のほうに反映していきたいと考えております。
あとは、今の目標設定の中でも、なるべくそういったものが捉えられて、原因というか効果的なものがあり得ると、目標を上乗せできるようなものがあり得るというところについては高めの設定をしているところですが、中間評価もありますので、それに向けてどういったものに取り組んできたのかといったことも含めて、皆様に御説明できるように引き続き準備を進めたいと考えております。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。石原委員、いかがでしょうか。
○石原委員 ありがとうございます。様々に工夫してくださっていると思いますので、各事業の成果というものを見据えたときに、より良い目標設定ができるといいなと思っております。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。それでは、貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございます。目標も人数だったり率だったり、これから率のほうにするという御提案もありました。いろいろ試行錯誤を重ねることにはなりますが、人材が開発されている状況というのをどう捉えていくかということで、大事な目標値だと思いますので、頂いた御意見を踏まえながら引き続き実績評価、目標設定についてより良い方向を目指していきたいと思います。頂いた御意見、事務局からの回答も踏まえて、当分科会として2023年度の実績評価及び2024年度の年度目標について、案のとおり了承したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○武石分科会長 ありがとうございます。では、今後の宿題も頂いたということで、今回、この案については御了承いただきました。それでは、この議題は以上とさせていただきます。
次に、議題5「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律について(報告)」です。内容について、海外人材育成担当参事官より資料の御説明をお願いいたします。
○堀海外人材育成担当参事官 海外人材育成担当参事官の堀です。先の通常国会において成立した入管法及び技能実習法の改正について御報告させていただきます。資料5-1を御覧ください。3ページに参考として添付している技能実習制度及び特定技能制度の見直しに関する政府の対応方針については、本年2月にこの人材開発分科会においても御報告をさせていただきました。この政府方針を踏まえ、3月15日に法案を提出し、衆参両院で御審議を頂き、6月14日に成立、21日に公布がされております。
1ページ、左側の青い箱が入管法の改正、右側の赤い箱が技能実習法の改正です。まず、入管法の改正では、現行の技能実習の在留資格を廃止し、新たに育成就労の在留資格を創設することとしております。また、特定技能について、1号特定技能外国人の支援を外部委託する場合の委託先を、登録支援機関に限るといった適正化を講じることとしております。
その他、不法就労助長罪の厳罰化、永住許可制度の適正化といった改正内容も盛り込まれております。
右側の赤い箱、技能実習法の改正について、まず法律名を「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」と改め、その目的を特定技能1号水準の技能を有する人材の育成と、当該分野における人材確保を目的とするものと改めております。また、政府において基本方針や分野別運用方針を策定することとしており、分野別運用方針において、各分野の受入れ見込数等を設定するとしております。
次に、2.の育成就労計画の認定制度についてですが、この認定に当たり、期間は3年以内であること、また、業務、技能、日本語能力その他の目標や内容、受入れ機関、送出機関に支払った費用額等が基準に適合することといった要件を設けることとしております。また、転籍の際にも新たな育成就労計画の認定を受けるものとし、①やむを得ない事情がある場合に加えて②一定の要件を満たす場合に本人意向の転籍を認めるものとしております。この要件については、(注5)に書いてあるとおり、具体的には、今後、主務省令で定めていくこととされております。
3.の関係機関の在り方については、監理団体を「監理支援機関」とし、独立性・中立性を確保するため、外部監査人の設置を義務化することとしております。また、外国人技能実習機構については、「外国人育成就労機構」に改組し、新たに、育成就労外国人の転籍支援や1号特定技能外国人に対する相談援助業務を行わせることとしております。
また、左側の下の箱、4.のその他として、現在、特定技能において、農業と漁業の分野において派遣形態が認められており、この季節性のある分野においては、派遣形態による育成就労の実施を認めることとしております。また、地域協議会を組織し、地域の実情を踏まえた取組について協議を行うこととされております。さらに、施行までに入国した技能実習生については一定の経過措置が設けられているところです。
以上が今回の改正後の主な内容となります。資料5-2、5-3は衆参の法務委員会にて附帯決議が付されておりますので御参照いただければと思います。本改正法については、一部を除き、公布の日から3年以内に施行することとされており、今後、新制度の施行に向けて、入管庁など関係省庁とも連携し、新たな会議体の設置や基本方針、分野別運用方針、政省令等の策定に取り組んでまいりたいと考えております。今後についても、これまで同様、節目節目でこの分科会にも御報告をさせていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○武石分科会長 ありがとうございました。ただいまの御説明に対する御質問や御意見がありましたら、先ほどと同様に挙手をしていただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。増田委員、お願いいたします。
○増田委員 資料5の御説明を頂きまして、技能実習法の改正について御意見を申し上げます。外国人材の受入れについては、当社では、1期生の頃から30年以上技能実習生を受け入れてきており、こういった経験も踏まえて今後の期待を申し上げたいと思います。
地元の埼玉県川口市では、製造業をはじめとして、多くの企業で外国人を受け入れております。今後の労働力の減少を考えると、更なる外国人の活躍は不可欠であると考えております。今回、新たに育成就労の仕組みの中で、外国人を労働者として受入れ、また、育成とともに長く日本で活躍できる制度となることは大いに歓迎して期待しているところです。同時に、外国人から選ばれ、長く生活、就労したいと思える国、企業となるよう、政府、自治体、企業が責任を持って取り組んでいかなければならないとも考えております。
具体的な制度運用に関してはこれからと聞いておりますが、こうした趣旨が実現されるよう、現場の実態を丁寧に確認しながら設計していただきたいと思います。特に、育成の仕組みがしっかりと機能することが重要であると考えます。技能実習制度では3号まで5年の滞在が可能であったことに対して、育成就労では原則3年となり、特定技能の試験の不合格となった場合には1年の延長が認められると記載されております。育成により特定技能に接続し、長く活躍するための措置であることは理解しておりますが、故意に試験を不合格となって1年間延長するようなことは適切ではないと考えております。
また、労働者として受け入れる上で転籍が可能となることはやむを得ないことではありますが、賃金のみを目的に、安易に転籍を繰り返すことは、技能の蓄積を考えると好ましくはないと思いますので、この辺をしっかりとやっていただきたいと思います。
これらを踏まえると、企業側としても、これまでのように短期の受入れを繰り返すのではなく、長く就労したいと思えるようなエンゲージメントの向上も意識しながら取り組むことが必要ではないかと思います。政府でもこうした視点をお持ちいただき、自治体と企業の取組のご支援お願い申し上げます。以上です。
○武石分科会長 新しい制度への御期待ということで、ありがとうございました。ほかに、いかがでしょうか。平田委員、お願いいたします。
○平田委員 御説明ありがとうございました。この場で何度も申し上げていることですけれども、改正法ですが、技能実習制度を発展的に解消することを主眼としていると理解しております。単なる名前の掛け換えではなくて、人権保護などの適正化を図ることがまずもって重要だと考えております。
改正法の施行に向け、今後、省令等の整備を行うと思いますけれども、詳細な制度設計に当たっては、実際に外国人材を受け入れている民間事業者の意見を十分に踏まえ、現実的な内容にしていただきたいと思っております。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかに、御意見等はありますか、特にないでしょうか。今後のことについての御要望が多かったと思いますが、事務局から、お願いいたします。
○堀海外人材育成担当参事官 ありがとうございました。増田委員と平田委員から、それぞれ意見を頂きました。今回の見直しについては、正に、我が国における人手不足の深刻化も踏まえ、その一方で国際的な人材獲得競争も激化しておりますので、これまで技能実習制度は技能移転を通じた国際貢献を目的とする制度でしたが、今回、正面から人手不足対策ということで、人材確保と人材育成を目的とする制度とするということで、外国人にとっても人権侵害等のない、魅力ある制度を構築することで、選ばれる国になるということを目的として制度改正を行ったものです。
したがって、先ほど、増田委員からも御指摘がありましたけれども、例えば、受入機関があえて適切な教育、人材育成を行わない、日本語学習をさせないなどといったようなことであれば、それは育成就労計画に従った育成就労を行わせていないといったことになりますので、例えば、改善命令や計画の認定の取消しといったペナルティーを科すといったことも考えていく必要があると考えており、適切な人材育成が行われるようにしてまいりたいと思っております。
今後、政省令についても検討してまいりますが、その過程において、関係者の御意見も十分に踏まえて検討してまいりたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○武石分科会長 増田委員、平田委員、よろしいでしょうか、ありがとうございました。ほかに、いかがでしょうか、御意見はありますか、よろしいですか。特になければ、この案件はこれまでとさせていただきます。
次に、議題6「その他」です。内容について、人材開発総務担当参事官より資料の御説明をお願いいたします。
○溝口人材開発総務担当参事官 御説明いたします。資料6、経済財政運営と改革の基本方針2024、いわゆる骨太の方針の中で、人材開発分野に係る所を抜粋した資料を御用意しております。詳しくは御説明いたしませんが、1.(2)の三位一体の所で、全世代のリ・スキリングの推進、「団体等検定」制度の活用、真ん中辺りに外国人材の受入れ、さらに、その下にデジタル人材の育成、本日ありました地域若者サポートステーションの支援体制の強化といったものも記載されております。
次のページ、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画も骨太の方針と内容がかぶっている所がありますが、真ん中辺りにキャリアコンサルティングの取組といったところが記載されております。簡単ですが、以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に対する御質問や御意見がありましたら、先ほどと同様に挙手をしていただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか、岡野委員、お願いいたします。
○岡野委員 御発言の機会を頂きありがとうございます。今し方、御説明の中でも簡単に触れていただきましたが、2ページの新しい資本主義のグランドデザインの中のⅢ.の(3)リ・スキリングによる能力向上支援の部分です。私ども、以前から申し上げていたとおり、2つ目のポツで書いてある「企業経由の支援策についても、その中身を見直しつつ、必要なものについて充実させることを検討する」という部分で、一言、御意見を申し上げたいと思います。
以前から申し上げているとおり、企業の持続的成長については企業による主体的な人材育成が不可決であると考えております。雇用形態にかかわらず、全ての労働者に対して、企業の将来像やキャリアパスを示しながら、人材ビジョンに即した育成というのを進めていただくべきだと考えております。
そういった中で、企業は労働者に対して単なる能力開発の機会を提供するだけではなく、休暇制度などの導入による時間の確保、労働者が取得したスキルの適切な評価と処遇、更には意識の啓発の実施など、能力開発に取り組みたいと労働者が思える環境整備を図っていただくことが重要と考えております。学び直し促進ガイドラインの活用も含めて、個別の労使が自らの職場に適した形となるような議論を行い、全ての労働者が長期的な雇用の安定に資するスキル、キャリアの向上につながるような取組を引き続き政府としても御支援いただきたいと思います。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。ほかに、いかがでしょうか。岡野委員からの御意見に関して、事務局からお願いいたします。
○松瀬人材開発政策担当参事官 ガイドラインを担当しております政策担当参事官です。御指摘のとおり、企業内における労使協働での人材開発の取組は非常に重要であるという認識でおります。当分科会において、令和4年に御議論を頂きまして作った学び直しガイドラインを我々は積極的に推進しているところです。単なる能力開発機会の提供だけではなく、休暇制度の付与や適正な能力評価、といった総合的な取組があってこそ、企業内での人材開発は促進されると思っておりますので、引き続きガイドラインの普及啓発に取り組んでまいりたいと思います。また、これは労使の参画によって作成されたものですので、引き続き労使の皆様にも普及啓発の御協力を頂ければと思っております。引き続きよろしくお願いいたします。
○武石分科会長 岡野委員、よろしいでしょうか、ありがとうございました。ほかに、御意見や御質問はありますか、よろしいでしょうか。それでは、ほかに御意見がなければ、この案件は以上とさせていただきます。議題については以上となりますが、全体を通して、委員の皆様から何かありますか、よろしいでしょうか。特になければ、本日の議論は以上といたします。次回の開催日程については、決まり次第、事務局から御連絡をさせていただきます。
以上をもちまして、第47回労働政策審議会人材開発分科会を終了いたします。皆様、お疲れさまでした。ありがとうございました。