第169回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和6年10月15日(火)14:00~16:00

場所

対面及びオンラインにより開催
会場:AP虎ノ門(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

出席者

会場

公益代表委員
労働者代表委員
 
使用者代表委員

(五十音順、敬称略)
事務局

オンライン

公益代表委員
 
労働者代表委員
使用者代表委員

(五十音順、敬称略)
 

議題

(1)高年齢労働者の労働災害防止対策について(その2)
(2)治療と仕事の両立支援対策について(その2)
(3)その他

議事

議事内容

○髙田分科会長 定刻となりましたので、ただいまから「第169回労働政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。本日の出欠状況についてですが、熊﨑委員、袈裟丸委員、山口委員、矢内委員が御欠席しております。また砂金委員が遅れて参加の見込みとなっております。本日は対面及びオンラインの併用により開催することとしておりますので、お含みおきください。カメラ撮影等についてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。それでは事務局からオンラインによるZoomの操作方法等について、説明をお願いいたします。
○計画課長 計画課長の佐藤です。Zoomの操作方法等の御説明をさせていただきます。本日はハウリング防止のため、発言されないときにはマイクをオフに設定をお願いします。またオンライン参加の委員の皆様方につきまして、発言される場合には御発言がある旨をチャットに書き込んでいただき、分科会長から指名されましたら、マイクをオンに設定の上、氏名をおっしゃっていただき御発言をお願いします。このほかに進行中、通信トラブル等の不具合がございましたらチャットへの書き込み、又は事務局へメールにて御連絡をお願いできればと思います。以上です。
○髙田分科会長 それでは、議事に入ります。議題(1)「高年齢労働者の労働災害防止対策について(その2)」になります。それでは事務局から資料について御説明をお願いいたします。
○安全課長 それでは安全課長の安井から御説明申し上げます。1ページめくっていただいて、まず「高年齢労働者をめぐる現状について」です。3ページ目を見ていただきますと、人口動態の変化や高年齢者の健康状態の向上等を背景に、雇用者に占める50歳以上の割合は41.4%、60歳以上の労働者の割合は18.7%まで上昇しており、一貫して上昇を続けています。
 また右側の図ですけれども、死傷病報告、死傷者数(休業4日以上)に占める50歳以上の労働者の割合については55.7%、60歳以上の高年齢労働者の割合は29.3%ということで、こちらも上昇を続けているわけですが、雇用者に占める割合よりは、死傷者数に占める割合のほうが高いということですので、災害の発生率が高いということが示唆されるわけです。
 続いて4ページですが、こちらは9月13日に閣議決定された、高齢社会対策大綱の内容です。こちらについては、政府としての考え方が示されているところですので、関係のあるところを御説明します。
 まず第1の目的及びその基本的考え方における記載ですけれども、我が国の高齢化率は年々上昇しているということで、また労働力不足や経済規模の縮小等の影響が懸念されるとともに、それに伴って65歳以上の就業者数は、20年連続で前年を上回って過去最高となっており、就業意欲の高まりも見られる。年齢にかかわらず、それぞれの意欲や能力に応じて、経済社会における様々な活動に参画する多様な機会を確保し、その能力を十分に発揮できる環境を作っていく重要性が高まっている。そういった指摘があります。
 それに伴い、長寿化による高齢期の長期化が進む中で、加齢による身体機能・認知機能の変化、これは実際には低下ですが、個々人によって様々であり、その程度にもグラデーションがあって、外からは判断しづらい面があるということで、高年齢期をひとくくりで捉えるのではなくて、それぞれの置かれた状況や生活のニーズについて、解像度を上げて実態を把握して、その実態に応じた活動ができる環境整備、社会システムの構築が求められるということになっています。
 安全衛生の記載については、高齢期の特性を踏まえ、柔軟な働き方や健康・安全への配慮、デジタルを活用した負担軽減等の取組を進めるということで、その際フレイル・ロコモ対策の視点や、安全管理システムの開発といったテクノロジーの活用等に留意する。こういった記載があります。こちらをベースにして、今回の検討も進めていくということです。
 5ページが性別・年齢層別の労働災害発生率で、これは休業4日以上の死傷年千人率です。見ていただくと分かりますが、年齢が増えるにしたがって、千人率が上昇していく傾向があります。男女ともに、50歳を超えてくると全年齢平均の千人率を上回って、年齢が高くなることに応じて、千人率が大きく上昇していく傾向があることが見て取れます。このように、労働災害発生率というのは、年齢に依存しているということです。
 続いて6ページです。こちらは先ほどの上昇にどういった災害が関連しているかということですけれども、まず左側の墜落・転落については、女性の平均が0.17というところですが、これがピークになりますと、0.4ぐらいまでに上昇します。また男性は0.53が平均ですが、ピークでは1を超えるということですので、倍ぐらいに増えるということが分かっています。
 また転倒については更にはっきりしていて、女性は0.79、0.8ぐらいが平均のところ、3近いというところですので、2.5倍ぐらい増えるということです。また男性は0.48、0.5ぐらいのところが、1.5ぐらいになりますので、こちらも3倍ぐらいの増加を示すということで、こういったデータが先ほどの全体の千人率の増加を押し上げているというところです。
 続いて7ページです。こちらは年齢別の身体機能の状況です。先ほどの高年齢大綱にもありましたが、個人によってばらつきが多いということは大前提として、より平均的に見てみると、例えば右上に図47というのがありますが、これは閉眼片足立ちということですが、紫色の1、それから濃い紫の2というのが、身体的なバランスがよくない、ハイリスクグループということですけれども、全年齢の平均が17.4のところ、50歳未満であると10.1ですので、それよりも良好ということですが、50歳代になってきますと、これが24.3に増えて、60歳以上になると38.5ということですので、このような形で身体的な機能がだんだん低下してくるということが分かります。
 続いて次のページですが、こちらは年齢層別の労働災害による休業見込日数ということで、こちらは災害の重篤度を表していると御理解いただければと思います。一番下に黒色の3か月以上というのがありますけれども、こちらが年齢とともにだんだん上昇してきて、70歳以上になると2割を占めるということがお分かりになると思います。それ以外の2か月以上、1か月以上についても、年齢が増えるにしたがって増加をしていくということです。
 こちらは身体機能低下、あるいは身体の頑健さ、転んだときの骨の折れやすさであるとか、関節の固さによって関節の障害になりやすい、そういった2つの要因があると推定されるところです。
 9ページですが、こちらは産業別、年齢別の労働者割合の年別推移です。見ていただきますと、全ての業種において人数・割合ともに経年で増加をしていて、割合が増加しているということですので、従来は例えば50歳以上、60歳以上の方が就いていなかったような仕事に、50歳以上、60歳以上の方が就かなければならないような状況というのも、想定されるということです。
 こういった背景を踏まえまして、加齢による身体機能の低下による労働災害のリスクの増加というところです。ケースが3つぐらい並んでいますけれども、例えばケース③で申しますと、蛍光灯の交換をするために脚立を用いて作業をしていたということですが、このような作業を60歳以上の方が行うというのは、従来は余りなかったのではないかと思います。またケース②も、商品の陳列作業はそれなりに重労働ですけれども、こういった作業に70代の女性が従事している。そういった状況で、個人によってばらつきはありますけれども、もともと持っている業務に起因する労働災害リスク、脚立に登るようなリスクに、加齢とともに進む身体機能や身体の頑健さの低下による労働災害が付加されて、先ほどの労働災害の発生率の上昇につながっていると考えています。
 続いて労働災害防止対策の現状について、御説明します。12ページです。まず高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン、エイジフレンドリーガイドラインと申し上げていますが、こちらの実施状況について御説明します。まず60歳以上の高年齢労働者が業務に従事している事業所というのは、既に77.7%、実に8割近い事業場に60歳以上の方が働いているという形です。
 その中で、エイジフレンドリーガイドラインを知っているというのは23.1%で、「高年齢労働者に対する労働災害防止対策に取り組んでいる」というのは19.3%です。この19.3%を100%として、その内容を聞いているわけですけれども、「身体機能の低下による労働災害の発生リスクに関するリスクアセスメントの実施」をしているのは29.4%、3割ぐらいしかないということで、また「身体機能の低下を補う設備・装置の導入」についても約25%、4分の1ぐらいしかないということですので、これは19.3%×29.4と、そういう形になりますので、取組についてはまだ進んでいない現状があります。
 高年齢労働者の労働災害防止対策に取り組んでいない理由というのを、下に聞いていますけれども、一番多いのが「自社の60歳以上の高年齢労働者は健康である」ということで、これは先ほどの高年齢者大綱にもありましたが、身体機能低下というのは個人によるばらつきもありますが、外から見て分からないということですので、事業者から見て特に対策は必要ないのではないかと思われているのが、48.1%というところです。こういったところが大きな課題となって、なかなか前に進んでいないという状況であると考えています。
 13ページですが、こちらはエイジフレンドリーガイドラインの概要です。簡単に説明しますと、まず1つ目が安全衛生管理体制の確立で、経営トップによる方針表明と対策、体制整備に加えて、高年齢労働者の労働災害の防止のためのリスクアセスメントということで、高年齢労働者の身体機能低下による労働災害の発生リスクについて、ヒヤリハット事例や災害事例、そういったものを洗い出すなどの方法によって、優先順位を付けて対策を実施するということがあります。
 対策の内容については、2の職場環境の改善というところについては、いわゆるハード面の改善とソフト面の改善があります。また、3の高年齢労働者の健康や体力の状況の把握というところですけれども、こちらは体力の状況の把握については、そういう体力の測定というのもできるということになっています。
 また4は、高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応ということで、例えば労働時間の短縮や深夜業の回数の減少、あるいは安全と健康の面で適合する業務をマッチングさせるようにする、そういったことが掲げられています。最後が安全衛生教育ということです。このような形で、エイジフレンドリーガイドラインというのが定められているところです。
 14ページは、労働安全衛生法の高年齢労働者関係の規定です。こちらは第六十二条にありますけれども、中高年労働者等の労働災害を防止するために、心身の条件に応じた適正な配置を行うということを、努力義務として定めています。それ以外の規定はないというところです。
 最後ですが、本日御議論いただきたい論点について御説明します。16ページです。こちらはまず、高年齢労働者の労働災害の考え方というところですけれども、先ほど御説明したとおり、災害発生率の高い高年齢労働者の就業者の割合が増加していることによって、高年齢労働者の労働災害が増加しているというのが現状です。
 それに伴って、現在の安衛法の第六十二条では、措置として中高年労働者に対する適切な配置のみが、努力義務として規定されているわけです。しかしながら高年齢労働者については、先ほどのエイジフレンドリーガイドラインに書いてあるような、職場環境あるいは作業の改善等の取組を実施して、年齢にかかわらず活躍できる環境を促していく必要がありますので、現状の第六十二条の措置内容の範囲を広げることが適当ではないかということです。
 これを踏まえ、現状のエイジフレンドリーガイドラインにおいて求められているような対応を、企業の努力義務とした上で、現状まだ特に根拠のないガイドラインである、エイジフレンドリーガイドラインを法律上の根拠を与えることで、その内容の適切かつ有効な実施を図ることが適当ではないかと考えているところです。私の説明は以上です。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございました。資料1の16ページに、高年齢労働者の労働災害防止対策の論点が示されております。本件につきまして、質問、意見等のある方は、会場の委員につきましては挙手を、オンライン参加の委員につきましては御発言がある旨をチャットに書き込みをお願いいたします。まず、会場から、山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 ありがとうございます。労働側の山脇でございます。まず、これまでの議論や、前回の分科会で示された14次防の効果検証の結果などを踏まえ、資料を丁寧に取りまとめていただいた事務局の皆さんに、感謝申し上げたいと思います。論点に記載のある、安衛法第六十二条を拡充するということと、現行のエイジフレンドリーガイドラインに根拠条文を設けた上で、法令上の指針を別途示すことについては、この間、労働側が求めてきた内容とおおむね合致するものと認識しています。
 その上で、3点ほど要望を申し上げたいと思います。まず1点目は、法第六十二条に関してです。7月の分科会でも発言したように、労働側としては、現行の努力義務を義務規定化することも選択肢と考えますが、仮に引き続き努力義務とするのであれば、その措置内容については、より幅広く条文に書き込むよう御検討いただきたいと思います。
 2点目は、エイジフレンドリーガイドラインの法令上の指針化についてです。現行の事業者に求められる取組が基本的には指針化・法制化されるものと理解をしていますが、単純に事業者に求められる取組を、そのまま指針化するだけでは不十分な点もあるのではないかと思っています。例えば、リスクアセスメントについて、現行のガイドラインでは、災害事例やヒヤリハット事例などにより労働災害発生リスクの洗い出しを行い、当該リスクの高さを考慮して防止措置の優先順位を検討するとされています。一方で、資料にも示されているとおり、年齢を追うごとに労働者個人間の身体機能の低下度合が大きくなるということ、あるいは業種や業態によって身体機能の低下に違いが出てくるということを踏まえると、労働者個人ごとにリスク評価を行うことが望ましい対応であると考えます。もともと記載がある災害事例、ヒヤリハット事例の労働災害発生リスクの洗い出し等に加えて、個人ごとのリスク評価を行うことが望ましいということも含めて、指針に記載いただくことを検討いただきたいと思います。
 なお、法を整備することによって、高年齢労働者がむしろ働きづらくなるようなことがあってはならないと考えますので、その点を留意して御検討いただきたいと思います。
 最後です。高年齢労働者が健康で働き続けることが可能な職場環境の整備に向けては、今回の法整備とは別に、これまでの取組の継続・進化に加え、身体機能の低下を補うための機器の導入等、周辺環境の整備も重要であると考えます。この点については、引き続き取組を推進していただくことを、改めて要請したいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。続きまして、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。高年齢労働者が一層安心して働ける環境を整えることは重要な経営課題だと思っています。経団連といたしましても、今年1月に「経営労働政策特別委員会報告」という春季労使交渉のスタンスペーパーの中で、エイジフレンドリーガイドラインを参考にハード・ソフト両面からの安全衛生対策の実施を企業へ呼び掛けています。少し古いのですが、2020年には、ノーリフトケアを導入した介護施設の腰痛予防対策や小売業の転倒防止対策の事例を御紹介するなど、取組を進めてまいりました。
 しかしながら、16ページの論点の努力義務については、将来的に義務化する道を開きかねない、あるいはその可能性があるということも含めて考えますと、事業者にとって決して軽々に扱えるテーマではありません。仮に、エイジフレンドリーガイドラインの認知度が高まらないといった理由だけで努力義務化するということになれば、法令に基づかないガイドラインを全て法制化する議論につながりかねず、適切とは思えません。企業の努力義務化については、安全文化が十分に根付いてない第三次産業の事業場、特に中小・零細企業の事業場を含め、全ての現場がついていけるかなど、慎重な検討が必要と考えます。
 まず、検討にあたり、委員共通の理解を深めるためにお伺いします。9ページに、全ての業種において高年齢労働者が増加しているという記載がありますが、御紹介いただいた5つの業種以外の全ての業種で労災がどのような形で発生しているかなど、必要十分な情報を御提供頂きたいと思います。
 具体的に申し上げます。5業種以外の業種別、年齢層別の労災発生率。事業場規模別、年齢層別の労災発生率。業種別、年齢層別の度数率と強度率。御紹介のあった墜落・転落、転倒についての業種別、年齢層別の労災発生率。加えて、16ページに、現在のガイドラインについて法律上の根拠を与えるとの記載がありますので、ガイドラインが求める内容に取り組んだ事業場において労災発生状況がどのように変化したのか、こうしたデータについて、事務局にお尋ねしたいと思います。
 それから、先ほど山脇委員から御発言のあった内容について、私の考えを申し述べたいと思います。まず第六十二条についてですが、仮に義務化を議論するのであれば、適正な配置をしていないことを直接的な原因とする労災発生が、どのぐらい発生したかというエビデンスが必要だと考えます。
 次に、身体的機能の低下等について、労働者個々人のリスクアセスメントが望ましいということで、指針に位置付けてはどうかという御提案も頂いたところです。こちらについては、厚生労働省のリスクアセスメント指針によりますと、リスク即ち危険性・有害性の源というのは機械設備や作業であって、例えば労働者の疲労度などは、負傷・疾病の発生可能性や重篤度を高める付加的要因と位置付けられています。リスクアセスメント指針に従えば、身体機能の低下、健康や体力の状況は付加的要因として位置付けるべきものと考えられるところです。つまり、滑りやすい床や階段、患者をベッドから車椅子へ移動させる作業そのものが本来的な危険源であるため、リスクアセスメントの実施は、床や階段における転倒等の労災発生状況やヒヤリハットの事象に基づき対象を選定して行うことが基本だと、私は考えます。
 身体機能の低下に関するリスクアセスメントの実施は、これまでのリスクアセスメントの概念そのものを変える大きな話だと受け止めています。望ましいということであったとしても、概念そのものを変える議論になりますので、相当時間を掛けて慎重に検討する必要があると考えます。例えば、身体機能の低下に関するリスクアセスメントだけを行ったときに、ハイリスク者に対する配転を行うことで、雇用機会やキャリアに影響がないのか、あるいは、身体機能の低下に関するリスクアセスメントを行うだけで、労働災害の減少にどれほどつながるのかといったエビデンスベースの十分な議論が必要だと考えます。
 そういう意味では、望ましいということであるとは承知していますが、付加的要因と位置付けられている個々人の身体機能の低下に関するリスクアセスメントを推奨することについては、非常に慎重な検討が必要だと思いますし、御案内のとおり、現行のエイジフレンドリーガイドラインの中でも、こうした個別の健康状況や体力の状況の把握という項目は入っております。それぞれの企業・事業場、業種・業態、職場の実態に応じた対応を検討する中で、必要な措置を進めていくことを基本に考えていくべきだと改めて思うところです。私からは以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。一旦、ここで切らせていただいて、ただいまの山脇委員と鈴木委員の御発言につきまして、事務局からお願いいたします。
○安全課長 ありがとうございます。まず、山脇委員からの御指摘は大きく3点あったと思います。まず1点目の、第六十二条について、現行の努力義務を義務とすることも選択肢として考えられるが、それが難しい場合でも措置内容は広くするべきだという御指摘でした。現時点において、仮に義務化するということになりますと、先ほど鈴木委員からもありましたが、立法事実というのがかなり厳しく求められるということもありますし、また現在、エイジフレンドリーガイドラインに補助金が付いておりまして、義務化するとそういったものが使えなくなり、促進的な事業が使えなくなるという問題もあります。また義務付けるにしても、業種・業態に応じた柔軟な対策というものを適切な順番でやっていきませんと、例えば、高年齢労働者についてはなかなか対策を取るのが難しいので、我が社では雇わないという、そういった全く我々の意図とは反するような結果も生みかねませんので、現時点におきましては、努力義務が望ましいのではないかと考えているところです。また措置内容につきましては、論点にありますように、現状の適正配置のみならず、職場環境、作業の改善などをむしろ前面に出した形で、措置内容を広くすると考えているところです。
 2点目ですが、こちらについては身体機能に着目して、個人についても、望ましいという形で進めていくべきではないかという御指摘です。こちらは後ほどの鈴木委員の発言とも絡むところではありますが、現状のエイジフレンドリーガイドラインにおいても、個々人の体力を測定するということは既に盛り込まれておりまして、多くの事業場で、そういった身体機能の測定を行うことで労働災害の防止につながっているとおっしゃっている事業場もたくさんあり、一定の効果があることは間違いないのではないかと考えております。一方で、これを一律に全ての事業場、全ての業種・業態において必ずやるというような取組は、必ずしも適切ではないと考えているところです。それぞれの会社によって求められる身体機能の種類も違いますし、年齢構成なども異なりますので、我々としては、まずは職場環境の改善、全ての労働者に資するような形で進めた上で、適切な条件などが整っている事業場において行うべきである、そのように考えているところです。それは山脇委員もおっしゃっておられましたが、法整備によって働きづらくならないようにするということから申しても、特定の60歳以上の方だけ、そういう測定をするということ自体が働きづらくなるということにつながりかねないということもありますので、こちらについては、やる効果はあるわけですが、そのやり方については非常に慎重な検討が必要ではないかと考えているところです。
 また、身体機能の低下を補うような機器の導入、そういったものの環境整備については、先ほど申し上げましたとおり、職場環境の改善や、会社によってはそういった身体機能の増進の役に立つような機器、トレーニングのような機器を導入している会社もありますので、そういったことを促していくことはあり得るのではないかと考えているところでございます。
 続きまして、鈴木委員から幾つか御指摘がありましたが、まずは、努力義務を義務化にすることについては、先ほど申し上げましたとおり、現時点においては努力義務が適切であると考えております。
 また、ガイドラインをただ周知するという目的だけでは不十分だという御指摘ですが、こちらについては、先ほど来申し上げましたとおり、労働災害の発生率が高年齢労働者については高い、また身体機能が低下するということも、個人のばらつきがあるにせよ、一定の傾向として明らかですので、そちらに対する対応を適切に取るために、新たな法律の改正が必要であると考えております。
 また、幾つかの資料の追加について、まず災害発生の業種別、性別、年齢層別の千人率、それから度数率については次回の分科会でお示ししたいと思います。また年齢によって災害の発生率が大きく変動する事故の型、例えば墜落・転落や転倒、ぎっくり腰のようなもの、そういったものについてもお示しできるようにしたいと思います。また、ガイドラインに定められた措置を取り組んだ結果、どれぐらい災害が減ったのかということについても、現在、エイジフレンドリー補助金を受けて、改善を行った事業者に対してアンケート調査を行っておりますので、そちらの結果についても次回の分科会でお示ししたいと考えております。
 それから、リスクアセスメントにつきまして、リスクアセスメントというのは本来ハザード、危険、有害性に対して行うものであって、身体能力といったものについては付加的な要因であるという御指摘でした。それが望ましいものだとしても、そういったものを一律に求めていくのはどうかという御発言がございました。こちらについても、御指摘のとおり、リスクアセスメント指針については、そういった疲労、注意力などは付加的要因ですので、その付加的要因をどのように評価するかについては、それぞれの業種・業態、あるいは作業の内容に応じて決めるべきものですので、一律に身体機能による付加を要因としたリスクアセスメントを行うべきであるということを求めることは考えておりません。一義的にはハザード要因でもある、滑りやすい、段差があるなどの環境要因、あるいは過去にヒヤリハットで実際に転びかけたなどの情報を集めることでリスクアセスメントを行って、それを環境改善につなげるという現状のエイジフレンドリーガイドラインに書いてある内容を進めていくのが、現時点においては妥当だと考えているところでございます。以上です。
○髙田分科会長 山脇委員、鈴木委員、追加で何かありますか。現時点ではよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、宮内委員、お願いいたします。
○宮内委員 閣議決定の中で、年齢にかかわらず、それぞれの意欲や能力に応じて経済社会において活動するいろいろな機会を確保しましょうと。なおかつ、内閣府の調査を見てみますと、60歳以上の高齢者の約7割が就労を希望しているということです。そのような中で、正に今後推進すべき話だと私は思っております。
 ただ一方、今日頂いた資料の中で、安全衛生を担保していくことが重要だということと、高齢者の災害が増えているということで、これに対する対策を立てるために、エイジフレンドリーガイドライン等を作って普及させている最中だと伺っております。資料の12ページにガイドラインの普及状態で、高年齢労働者の労働災害防止対策に取り組んでいない理由の中に、取り組み方が分からないとか、労働者の関心がない、必要性を感じないというような方々もいらっしゃるということが理解できました。
 医学的に考えても、ある一定の年齢にいけば当然高齢化でそれぞれの体の状況が起きるわけですから、そこをきちんと伝えて、いかに災害が起きないような予防をしていくことを普及させることが非常に重要だと思います。現状、こういったガイドラインが出ていて、もちろん普及させていると思いますし、エイジアクション100で細かいチェックリスト等も作られて普及をしている最中です。ただ、若干私が気になったのは、実は作業環境の面でいいますと、視環境、視覚の環境なのです。いろいろな情報の中で、目からの情報が非常に重要だということが、前から分かっております。目をつぶって真っ直ぐ歩いてといってもなかなか歩けないというようなことをよくいいますが、人間は活動をする中で目からの情報を非常に有効に活用している。
 その中で、特に高齢者は縮瞳が機能として非常に落ちることが分かっております。私も、縮瞳率をイリスコーダという機械で昔測りましたが、40歳を過ぎると縮瞳するのが難しくなるというようなデータもありました。そのような中で、手元の明るさだけではなくて、作業場全体の明るさをしっかり確保するということも必要だと思います。もちろん、事務所衛生基準規則などできちんとした基準はありますが、これは最低の値ですので、そのようなことを作業内容や工程別にきちんと洗い出しをして、予防対策をしていくという情報を是非入れていただくとよろしいのかと思いました。
 こういった必要な情報というのは、いろいろな関係団体と協力を頂いた上で、連携をして浸透させていく。その中で、本日お話があったガイドラインの努力義務を併せてやっていくことを、是非お願いしたいと思います。時間は掛かる話かもしれませんが、医学的な背景がありますから、ここはしっかりと推進をお願いできればと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、御発言を御希望の委員はいらっしゃいますか。七浦委員、お願いいたします。
○七浦委員 御指名ありがとうございます。また、非常に分かりやすく全体のバランス等を考慮した内容にしていただいているということは感じております。前回のこの席でも申し上げましたように、年齢の差だけではなくて、個人差がかなり見込まれるところです。そういう意味から、やはり全体のバランスを含めて御検討いただいているかと思っています。
 ただ、エイジフレンドリーガイドラインの普及状況を見ても、見た感じ元気だからというようなところで、まだまだ認識の違いがあって、これを実際にどのように皆さんに自覚していただくか、企業として自覚していただくかというところになってくると。ここが一番難しいところで、ここが安定して認知度が上がることによって、努力義務なども自然に成り立ってくるのではないかと思っています。この進め方は非常に難しいとは思いますが、いかに進めていくかということになるのだろうと思います。まずは、全体を年齢に縛られることなく御検討いただいて、そういう意味での幅広いエイジフレンドリーガイドラインができていくといいと感じております。以上です。少し感想を述べさせていただきました。
○髙田分科会長 ありがとうございました。続いて、小澤委員、お願いいたします。
○小澤委員 今の七浦委員と重なってしまうところがあるのですが、12ページの一番下での取り組んでいない理由で、「自社の60歳以上の高年齢労働者は健康である」という理由を言っているわけですが、ここが非常に気になるところです。もしかしたら、何か誤解されているのではないかと捉えてしまうのですが、例えば健康診断で特に問題ないからいいのだと捉えられていたら、大分誤解があると思っています。我々が求めているところは安全体力なので、もしかしたらそういうところに誤解があって、しかも48.1%と、約半分がこのように答えているので、やはりもっと違うのだとPRしていかなければいけないのかと思っている次第です。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。宮内委員、七浦委員、小澤委員からの御発言について、事務局から何かありますか。
○安全課長 御指摘ありがとうございます。まず、宮内委員からの視環境の関係ですが、こちらも多くの方から指摘を既に受けております。特に暗い所が高年齢労働者にとってはリスクが高いということは把握されております。高年齢者が多い所は、例えば明かりを増やすといった対応をしている事業場もありますし、そういった取組が必要であると認識しております。
 また、七浦委員からの御指摘で、実際は見た感じは元気なのですが身体機能が下がっているというところを、事業者の方に御理解していただくのは非常に難しい問題です。身体機能の測定というのは1つの手段ではあるわけですが、先ほど申し上げましたように、必ずしも身体機能の測定を全員にやっていただくことは現実的ではないですので、高年齢者というのは身体機能が低下していって、一定の対策が必要なのですよという必要性をどのように御理解していただくのかは、難しい問題です。いずれにしても、現在行われているような補助金などを使って、いわゆる促進的なアプローチで御理解を頂くようにしていきたいと考えているところです。
 小澤委員も同じ御指摘で、60歳以上は健康であるというのが48.1%もあるということで、ここでいう健康が単なる健康診断でOKであればいいということではないということです。小澤委員の業種・業態であれば、特に一定の体力がないと非常に危険な業種・業態ですので、そういった業種・業態に応じてどういった身体的機能が最低限必要なのかといったものについても、いかに周知啓発というか、事業者の方に御理解いただくかということについて、引き続き知恵を絞っていきたいと考えております。以上です。
○髙田分科会長 宮内委員、七浦委員、小澤委員、追加で何かありますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。かなりお待たせしておりますので、オンライン参加の委員について御指名いたします。まずは、出口委員、お願いいたします。
○出口委員 出口です。御説明ありがとうございます。私からは、確認及び要望をさせていただきます。現在の建設業労働災害防止協会(建災防)で、建設業における高年齢就労者の労働災害防止対策の在り方検討委員会が立ち上げられ、建設業界からも多数参加させていただいております。この検討会には、厚労省様も出席されております。建設業では、建災防から建設労務安全研究会(労研)が要請を受け、労研の会員各社に対して、高年齢就労者に対してどのような労働災害防止対策を講じているか、アンケート調査を実施する予定としております。その分析結果等のデータを厚労省様と建災防で共有していただき、今後の高年齢労働者に対する災害防止対策の検討材料としていただくよう、お願いいたします。
 これから、高齢化社会が待ったなしの状態となり、資料のグラフのとおり、70歳、75歳以上となっても働かなければならない社会的状況がある中で、高年齢労働者の安全と健康確保のために、事業者及び労働者に求められる取組をエイジフレンドリーガイドラインとしてまとめていただき公表、補助金等による取組、御支援を頂きありがとうございます。
 しかし、2020年3月に公表されて以降、既に4年が経過しておりますが、第14次防での最終目標値が50%以上、2023年の実績を見ますと19.3%と展開及び認識が普及しておらず、低迷している状態です。以前に、分科会にて実績値が低いのは、エイジフレンドリーガイドラインの周知方法が不足しているのではないかと確認させていただきました。それについては、エイジフレンドリーガイドラインの対象となる年齢の方に、また事業所に聞いても、ほとんどの方が「知らない」という回答が圧倒的に多く、知らないというよりも届いていないという状態でした。やはり、どこかに偏りがあり、もっと分かりやすい周知及び展開方法の改善を要望した次第です。しかし、この低迷する実績を改善する方法が、いきなり努力義務となる経緯が、周知展開としては万策尽きたというお考えなのでしょうか。この点について教えていただきますと、幸いです。
 要因分析で取り組まない理由として、「自社の60歳以上の高年齢労働者は健康である」、「取り組み方がわからない」等ありました。労働者のみならず事業者自身も60歳を超えている方も増え、元気に仕事に従事しているにもかかわらず対象となるのか。エイジフレンドリーガイドラインはよく分からないし、私も高年齢対象になるのかと、当事者意識も非常に低いようです。60歳を過ぎると、元気でも運動機能が衰え、被災するリスクが高くなります。また、被災後のけがの程度や症状も、若い人よりも重度になるという当事者意識を認識していただく周知方法が必要となります。
 今後、努力義務と課すことで、措置内容の範囲を広げる、法律上の根拠を与えるということで、適切かつ有効な実施を図ることは否定するものではありません。しかし、もう少しガイドライン自体を扱いやすく、取り組みやすい周知方法や展開方法の見直しも含めて、慎重な議論と検討が必要であると考えております。
 これらの課題は、事業者並びに労働者の方々に理解を求め浸透させていく必要があり、時間が掛かると思います。実績が低迷している状況下で努力義務を課しても、形骸化となるおそれが強く、本末転倒となり兼ねません。大変な御苦労があると思いますが、今後更なるガイドラインの普及のために周知セミナー、関係機関や団体による個別コンサルティング、中小企業、事業者への各種支援等によって高年齢労働者が安心して安全に働ける職場の環境づくりをお願いいたします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。続いて、新屋敷委員、お願いいたします。
○新屋敷委員 直接は関係がないかもしれないのですが、今のお話を伺って、高年齢労働者の労働災害防止に当たって、司法上の話になってしまいますが、安全配慮義務との関係をどのように理解されているのかということについて、お伺いしたいと思いました。安全配慮義務については、御存じのとおり、カワヨシ事件最高裁判決などで、抽象的に労働者に対して使用者が安全配慮義務を負うというだけではなく、具体的な状況に応じて具体的な個別の労働者や仕事の状況に応じた個別的な安全配慮義務を負うということが、最高裁判決によって示されてきております。
 裁判例を見ますと、障害者の方や、いろいろな労働者の個人的な事情に応じて、安全配慮義務が最高裁判決を前提に展開していっていることが見て取れます。労安衛法の問題というのは、基本的には公法上の話ということについてはもちろん承知はしているのですが、基本的に使用者としては、恐らく高年齢労働者についても個別の具体的な状況に応じて、一定の安全配慮義務を負うということになると思います。そうしたときに、このエイジフレンドリーガイドラインがどんどん広がっていった場合に、その司法上の安全配慮義務との具体的な関係がどのようになるのかと疑問に思ったところです。
 各委員からも御指摘があるように、また今日御紹介いただいたように、高齢者の体力等が低減していく中で、一定の労災のリスクがあることは定型的に分かっていることですので、それをむやみに司法上の損害賠償請求などの問題にしないようにするためにも、私としてはエイジフレンドリーガイドラインなどの周知を通じて、具体的な内容を義務や努力義務にしろ、やるべきことにしろ、具体的に示しておいていただきたいと考えております。それは、結局は労災が起きにくい環境につながっていくことになりますし、どのようにしたら使用者においても事業主においても労災を防ぐことができるのか、また司法上の責任を追求されないようにするにはどうしたらいいかという情報提供を受けることになるかと思いますので、具体的にきちんと周知をしていっていただきたいと考えております。
 質問というか、感想というか、整理していただきたいのが、安全配慮義務と今議論されているエイジフレンドリーガイドライン、あとは措置内容範囲を広げるといったことについて、もう少ししっかり整理していただいたほうがよいのではないかと考えた次第です。長くなり恐縮ですが、私からは以上です。ありがとうございます。
○髙田分科会長 ありがとうございました。ただいまの出口委員と新屋敷委員の御発言について、事務局からお願いいたします。
○安全課長 御意見ありがとうございました。まず、出口委員の御指摘で、ガイドラインの認知率というか、知っている人が少ないのではないかという御指摘です。これと努力義務との関係についての御質問もあったところです。今回のものについては、先ほど鈴木委員からの御質問にもお答えしましたとおり、周知を図るために努力義務にするという趣旨ではなく、あくまで高年齢労働者の災害発生率が高いということ、また高年齢労働者が今後どんどん増えていくということを踏まえて、労働災害防止のために一定の措置を講じる必要があるということで、今回努力義務の措置範囲を広げるという趣旨です。
 その効果として、実効上の遂行として当然その周知率が高くなっていく必要はあり、今回の法令の改正を実効あるものとするためには、当然認知される必要がありますので、そちらについては引き続きあらゆる手段を通じて周知を図ってまいります。また、補助金などを使う、あるいは業界団体と連携していくということで周知を図ってまいりたいと考えているところです。
 それから新屋敷委員からは、安全配慮義務のお話が1つありました。こちらについては、判例等で抽象的な安全配慮義務ならず、個別具体的な安全配慮義務もあるという判例があるという御紹介を頂き、ありがとうございます。こちらについて、労働安全衛生法はあくまで公法上のもので定めますので、直接的にこの安全配慮義務に影響するようなものではないと考えております。安全配慮義務が課されるためには、当然危険予見性が必要であるという認識をしており、今回、ガイドラインあるいは指針などを定めることによって、個別具体的に危険予見性を分かりやすくするような効果も反射的効果としてはあろうかと思いますので、そういった具体的な手段が定められることによって、安全配慮義務の危険予見性がしやすくなるような効果が考えられるところです。
 いずれにしても、こちらは公法上ということで努力義務ではありますが、義務規定ということですので、我々としては罪刑法定主義に基づき適切な内容を労使の合意の範囲内できちんと定めて、そちらについて徹底を図ってまいりたいと考えるところです。以上です。
○髙田分科会長 出口委員、いかがでしょうか。追加で御発言はありますか。
○出口委員 出口です。御指名ありがとうございます。先ほど発言いたしましたように、決して否定するものではありません。ただ、非常に低迷しているこの実施率を考えますと、やはり慎重な議論と検討を行っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございました。新屋敷委員、いかがでしょうか。
○新屋敷委員 きれいにおまとめいただいて、そのように進めていただければと思います。ありがとうございます。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、オンライン参加の委員で御発言を御希望の委員はいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。そうしましたら、会場に戻りまして、そのほか会場で御発言を御希望の委員は、いらっしゃいますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。本議題については、委員の皆様から様々な御意見を頂きました。つきましては、事務局において資料修正や資料追加を御検討いただき、次回も引き続き御議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次は議題(2)「治療と仕事の両立支援対策について(その2)」になります。それでは、事務局から資料について御説明をお願いいたします。
○労働衛生課長 労働衛生課長の佐々木でございます。資料2をお開きください。「治療と仕事の両立支援対策について(その2)」ですけれども、前回、7月2日の第164回で御議論いただきまして、それを踏まえて資料を改めた所がございますので、御確認いただきたいと思います。
 2ページです。「検討の視点 ガイドラインによる取組の促進」です。まず現状・課題ですが、高齢者の就労の増加や医療技術の進歩等を背景として病気を抱える労働者が増加傾向にあることから、そのため病気になっても生き生きと働き続けることのできる環境整備のために、治療と仕事の両立支援の必要性が高まっています。
 この推進のために厚生労働省におきましては、各種様式例を盛り込んだガイドラインを策定して、周知啓発を図っているところですけれども、依然、その取組状況というのは十分ではないと捉えています。こうしたことから直近の令和6年3月、より簡便かつ迅速に手続きを進め支援につなげられるよう、「治療と仕事の両立支援カード」を開発したところです。その特徴については、また追って御説明したいと思いますけれども、このカードにより的確かつ迅速な支援に向けたものと承知しております。
 下段の対策の方向性ですけれども、治療と仕事の両立支援カードにつきましては活用が図られることが重要だと考えておりまして、企業に御理解いただくとともに、医療機関におきましても御理解を求め、必要な支援策を講じて推進すべきではないかと考えています。
 2つ目は、この支援カードが様式としてガイドラインに追加されたわけですけれども、このガイドラインそのものの普及に当たりまして、事業者に対しましては、この取組といったものが経営課題として位置付けられるよう、例えば人材確保や生産性向上、企業の成長にもつながるという理解を図るということと併せまして、具体的な取組事例を示していくべきではないか。また、中小企業に向けた周知を強化すべきではないかとしております。
 中小企業ですけれども、両立支援の専門家、いわゆる両立支援促進員ですが、この専門家が配置されている都道府県産業保健総合支援センターによる企業支援を更に充実していくべきではないかとしております。
 3ページ以降は、前回の審議会でもお示ししたものの再掲が主となっておりますので、ポイントをかい摘まんで御紹介いたします。3ページは、何らかの疾患で通院している就業者は増加傾向にありまして、2022年で40.6%となっています。
 4ページです。こちらは新しい資料になります。疾病を理由に退職した方の退職した時期を整理したものです。表の上から「診断確定時」、それから「診断から最初の治療まで」、治療開始前で退職された方を合わせて25.3%、全体の4人に1人となっています。もし、これに最初の治療中の31.2%を加えますと、過半を超えるということから、やはり両立支援の促進によりまして、治療を行いながらお仕事を続けていただくといった可能性が十分あるのではないかと推察されるところです。
 5ページです。こちらがガイドラインの概要です。この中の一番右下ですが、先ほど御説明しましたように、令和6年3月に治療と仕事の両立支援カードの様式を追加したところです。
 6ページです。その特徴の1つですが、従来からのスキームとの対比をお示ししたものです。従来からあるスキームは上段ですが、まず⓪と書いてありますが、労働者(患者)が両立支援の申出を企業に対して行っていただく。そうした上で、①勤務情報提供の支援を受けて、これを主治医に提出する。なぜならば、主治医のほうはこの職場の状況が分からないといったことから、その適切な意見書を記載する上でもこういった情報が必要だからです。こういった手順を踏んでいます。
 今般、新たに追加されたスキームということで両立支援カードを下段に書いておりますけれども、変わった所というのは、①提供支援のプロセスがないことです。右側のほうに枠で囲ってありますように、カード(勤務情報)の提出を、これは労働者自らが記入して行う。それに対して、主治医がその情報を基に意見書を書く。それをもって、企業側に提供して両立支援のプラン作成につなげていくというものです。これによって、要は、過程を1つスキップしているわけですけれども、より迅速な支援につなげられると考えております。ただ、あくまでもこれは企業と労働者間で意思の疎通が十分に図られて、齟齬がないといったことが求められるものです。
 7ページです。両立支援カードの2つ目のポイントです。先ほど説明を割愛しましたけれども、様式を工夫しておりまして、こちらは見開きなのですが、向かって左側は労働者本人が記載する欄となっています。こちらは作業の内容を、(1)身体上の負荷がある作業、(2)事故の可能性が高まる作業といった形で類型化したものをお示しして、該当する所に○をしていただくので、一目でどういったリスクのある作業に関わっているかというのが分かるような仕掛けになっています。これを基に、向かって右側は主治医が記載する欄ですが、それぞれの作業ごとに必要な配慮事項、例えば立位の時間の制限、作業時間や回数の制限などについてチェックボックス形式でチェックするということで、極めて簡便に明示できるような工夫をしています。以上によりまして、的確かつ迅速に支援につなげられるものと期待されます。
 8ページです。ガイドラインの認知度です。前回もお示ししたものですけれども、事業規模の小さい所はもとより、大きい所でも認知度というのはまだ十分ではないと言えるかと思います。周知が必要だと考えています。
 9ページです。両立支援の取組状況です。これも前回お示ししておりまして、取組があるとした所は約6割ですが、逆に言うと、4割は取組が行われていない、あるいは不明といった状況です。また、取組があるとされた所についても、右側の棒グラフに、個別の対応は多分にされているのでしょうけれども、休暇制度の整備や相談窓口等の明確化、いわゆる体制や仕組みの整備といった点では、まだ十分ではないのではないかと思われます。
 10ページです。中小企業を支援している産業保健総合支援センターの両立支援関係の取組の実績です。前回から少し修正を行って、それぞれ実績の件数を書いております。例えば上から2つ目の事業場への相談対応・訪問支援のうちの最初のポツ、専門的相談は2023年度実績が7,861件となっています。前年度が7,308件ですので増加している状況です。その他の項目についても、全般的に支援実績が上がっている状況です。
 11ページです。診療報酬の資料です。療養・就労両立支援指導料という形で医療機関において取組のインセンティブが付けられているところです。このうちの最下段に相談支援加算50点を設けていまして、1点が10円としますと、500円が医療機関の収入として算定されます。これは何かと申し上げますと、前回、御紹介した両立支援コーディネーターと主治医と企業産業医とのトライアングルの関係で、労働者に対して連携体制を構築しながら支えていくというものですけれども、両立支援コーディネーターの研修を終了した看護師等が患者に対して相談支援を行った場合に評価されるというものです。このようにいろいろな取組等を行っておりますけれども、本日お示しした資料の2ページ、対策の方向性に基づきまして御意見を頂戴できればと思います。私からは以上です。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございました。ただいまの御説明にありましたとおり、資料2ページに対策の方向性が示されております。本件につきまして御質問や御意見がある方は、会場の委員については挙手を、オンライン参加の委員は御発言がある旨をチャットに書き込みをお願いいたします。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 2ページ下段の対策の方向性に異論はございません。その上でコメントを申し上げたいと思います。3ページに記載がありますとおり、通院しながら働く方の割合が4割を超え、4人に1人が治療開始前に退職しているという現状を踏まえますと、治療と仕事の両立支援の推進は非常に重要な課題だと改めて受け止めております。
 経団連では、先ほど御紹介いたしました今年度の経営労働政策特別委員会報告の中で、働きやすさ向上の観点から、病気治療と仕事の両立支援制度の導入拡充を呼び掛けているところです。
 9ページの調査結果では、左側の円グラフの「治療と仕事を両立できるような取組がある」が58.8%、約6割となっています。取組が一定程度進みつつあるのではないかと思いますが、一方で、右側の取組ごとの割合を見ますと、治療と仕事を両立できる取組がある企業を100%としたときの数字であることを踏まえると、全体の取組割合としては、一番上の「通院や体調等の状況に合わせた配慮、措置の検討」で約5割、「両立支援に関する制度の整備」「相談窓口等の明確化」では約2割、「両立支援に関する体制の整備」「労働者、管理監督者等に対する意識啓発(研修等)」が約1割と、必ずしも高くない状況ではないかと思います。
 加えて、8ページのとおり、企業規模が小さくなるにつれてガイドラインの認知度は低下し、とりわけ50人未満の企業では、「内容等を含め知っている」割合が1割にも満たず、ガイドライン自体を知らない割合も半数を超えています。先ほど労働衛生課長から、さんぽセンターの支援内容を御紹介いただきました。大変重要な取組ですので、是非進めていただきたいと思いますが、一方で、中小・零細企業を中心になぜ普及が進まないのか、この点の十分な分析や検証も行っていただきたいと思います。
 最後に質問です。両立支援カードの利用者としては、労働者と企業担当者と主治医になるかと思いますが、それぞれの認知度のデータを取っているかどうかをお尋ねしたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほかはいかがでしょうか。七浦委員、お願いいたします。
○七浦委員 七浦でございます。実務的なところのお話しというか、お尋ねさせていただきたいと思います。7ページの所で、治療と仕事の両立支援カード自体は、私の認識としては母性健康管理指導事項連絡カード、通称、母健連絡カードですけれども、これと同じような形で、事業者と主治医と本人という形のネットワークづくりというところなのかなと思うのですが、実際にこれは私が診療していたときもそうですけれども、会社がいいと言うのだったら、いいのではないのみたいなところで、就業制限も含めて、なかなか主治医の先生が御意見を出しにくい部分もあるのかなと思っております。母健連絡カードも休業が必要というところになると、これを診断書と替えて、会社としては対応しますけれども、ここの両立支援カードの中でも産業保健の立場で何か実際に本人さんとのつながり、職場から上がってくるような形になると、更に連携ができるのではないかと思ったりはしております。
 併せて、10ページのさんぽセンターさんの所になりますが、実際にはこの支援の幅が、研修された方がこういうコーディネーターとして相談支援加算というのもあるかとは思いますけれども、実際に個別のさんぽセンターさんで両立支援の相談に手が回らない状況が、今、現状として起こっているところになりますので、もう少し全体的な整備が必要になってくるのだろうと。どのような形で、よりネットワークづくりができるかというところに係ってくるような、現場の意見としてそのようなイメージでございます。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ただいまの鈴木委員と七浦委員の御発言について御回答をお願いいたします。
○労働衛生課長 鈴木委員から、中小規模の企業における認知度について分析と検討の要請がありましたので、これを引き続き取り組んでまいりたいと思います。
 また、実際のデータですが、医療機関でのデータ、企業のその取組のデータなどについては、実はコーディネーターの配置という形で取っている部分がありますので、これが1つ参考になろうかと思っております。次回、お示しできたらと思っております。
 七浦委員から御指摘がありました母健カードの例示を頂きましたけれども、正に関係性づくり、ネットワークを作るということが大事だと思います。今、申し上げましたけれども、支援コーディネーターの配置も1つの方策だと思っておりまして、先ほどのさんぽセンターの体制のことにも関連すると思いますけれども、現時点でさんぽセンターの拡充を、というのは予断を持って言えることではありませんけれども、例えば医療機関や企業、あるいはその他の支援機関にこのコーディネーターを配置するということで全体的なネットワークづくり、体制の底上げ的な向上につながるのではなかろうかと思っております。以上です。
○髙田分科会長 御回答ありがとうございました。鈴木委員と七浦委員、何か追加でございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。続いて、門﨑委員、お願いいたします。
○門﨑委員 御指名ありがとうございます。労働側の門﨑です。2ページのガイドラインによる取組の促進について、当面の対応として、対策の方向性に記載された内容を推進することは、何ら異論はありません。他方で、7月2日の第164回の分科会では、資料2-2の治療と仕事の両立支援をめぐる状況の論点整理において、治療と仕事のガイドラインの周知啓発を図るべきとされるとともに、治療と仕事の両立支援については、法令上の根拠がないことが課題として記載されたものと承知しています。
 この点について労働側から、法律上の根拠を設けるとともに、治療と仕事のガイドラインを法令化すべきと申し上げたところです。労働側と使用者側で見解が異なったことは理解していますが、その際の事務局からの回答では、ガイドラインに基づく取組を定着させるためには、法令に位置付ける、位置付けないということも含めて、広い意見を頂きたいということや、労使双方の意見を頂きながら、本分科会において合意形成をはかっていきたい旨の回答があったと承知しています。
 そのようなことから、本日示された対策の方向性において、当該論点が一切触れられていないことに違和感があります。法整備の在り方については、次回以降の分科会において、改めて取り扱っていただくよう要望したいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、会場からはございますか。宮内委員、お願いいたします。
○宮内委員 治療と仕事の両立支援の中で、今回、支援カードというのを具体的にお示しいただいて、大変、画期的な方法なのかなと思いました。具体的に何か提示していただいて、どのようにやっていったらいいのかということを労使共に考えていくことは重要だと思うのです。そういう中で、例えばなのですが、今、遠隔診療というものが、コロナがきっかけか分かりませんけれども進んでおります。これは検査や治療はもちろんできないのですが、ある一定の範囲の中では診療ができるということで、例えば、在職診療とでも言いますか、働きながらできる範囲ということを考えてみるというのも一つの手段かなと思うのです。
 国策の中でも、情報通信技術の活用ということがうたわれておりますので、そういう面でも、今後どのように組み込めるかということを考えてもらうといいと思います。勤務時間中になることなので、もちろん両者共に考えなければいけませんが、個人情報の問題等もあるので、職場の中でどの程度できるかというのは非常に難しいと思います。一方、恐らく医療側としても、こういった診療法というのは治療の効率化につながるということで、医師の働き方改革にもつながる話なのではないかなと思っています。また、遠隔地から診療ができるということで、転勤をしながらも続けることが可能になるかもしれませんし、いろいろな面でメリットも高いのではないかなと思っています。既に御検討いただいているかもしれませんが、是非お願いしたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。門﨑委員と宮内委員の御発言について、事務局からお願いいたします。
○労働衛生課長 門﨑委員から、前回の分科会資料で記載されていた法的な整理が今回はないではないかと、次回、改めて議論すべきだということで御要望を頂きました。今回は対策の方向性ということで、このガイドラインに基づく両立支援の取組を、いかに定着させていくかに力点を置いて整理したものです。前回の法制化についての御議論は、御案内のとおり、ガイドラインの普及促進を通じて事業者の取組を後押しすることが重要ではないかという御意見もありましたし、一方では、法令化し周知を進めるというのも選択肢であり、法令化を検討してほしいという両方の御意見があったと承知しておりますので、事務局としては、頂いた御意見を踏まえながら、極めて法技術的な観点もあるだろうと思っており、検討を深掘りしてまいりたいと思っております。もちろん、本日もこのような論点、観点もあるよということであれば御意見を頂き、次回どうするかという組立てを考えたいと思っております。
 それから、宮内委員から遠隔診療、いわゆるオンライン診療の御提案がありました。現在、国全体的にオンライン診療を、規制緩和的にいろいろ広げているという状況にあると承知しております。そういう中で、医療の現場が変わっていけばおのずから変わっていく部分もあるのかなとは思います。一方で、職場内での状況というのを、個人情報に配慮しながらどうやって把握していくべきかという課題もあり、職場を確認しながら実際的な意見書を付けていただくということが確かに大事だと思っています。そういった課題も職場環境の中ではあるかなと思いますので、今後の検討課題にさせていただきたいと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございました。門﨑委員と宮内委員、追加で御発言はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。奈良委員、お願いいたします。
○奈良委員 労働側の奈良です。大変重要な取組だと思います。1つは、治療と仕事を両立できる仕組みを強めていくということなのですけれども、先ほどどなたかからも指摘がありましたが、4ページを見ますと、そもそも最初の治療にたどり着く前に、4人に1人が職場を辞めているという実態があるわけで、要は自覚症状なり健診での所見なりが出たところで、きちんと2次検査なり治療に結び付けていく、その間のフォローをしてあげる仕組みが必要なのだろうと。やはり、休みが取りづらい職場状況というのが、取り分け中小零細の事業場にはあるのだと思います。
 どうしても無理をしてしまう、それでなくても子育てあるいは介護等、ほかにも有給休暇は取っておきたいというような、働く者にとっては切実な問題で、自分のことは後回しになってしまう状況があります。そこのところに、きちんと手の届くような施策、中小事業所を中心とした事業主への啓蒙活動等を丁寧に進めていただければと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、会場から御発言はございますか。山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 今ほどの奈良委員の指摘は、大変重要な点だと思います。法改正や、論点で示された内容をより深掘りすることで、治療と仕事の両立支援の定着に向け取り組んでいただたいと思います。
 もう一点は、さんぽセンターの体制強化の観点から発言します。現在、別の検討会においても、地さんぽを含めた、さんぽセンターの機能強化の在り方を議論しています。取り分け中小企業においては、地さんぽに相談する機会が多いと考えます。中小企業のニーズに対し、希望するときにしっかりと相談を受けられるということが望ましい姿だと思いますので、人員体制の強化を含め是非、検討をお願いしたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。奈良委員と山脇委員の御発言について、お願いいたします。
○労働衛生課長 奈良委員から御指摘いただいた両立支援の仕組みは、正に4ページでお示ししている状況を見ますと、本当にしっかり取り組んでいただくための普及啓発は重要であるというのはごもっともですので、我々も具体的な実例などを踏まえて、その効果を含めて啓蒙活動をしてまいりたいと思っております。
 山脇委員から法改正の検討の御要望、それから、さんぽセンターの体制拡充の御要望がありました。前者については先ほどお答え申し上げたとおりですが、後者については、先達て中間とりまとめが行われたストレスチェック制度を含めたメンタルヘルス対策の検討会の中でも、小規模事業場にストレスチェックの義務を拡大してはどうか。その際に当たっては、さんぽセンターの体制の整備の拡充を図ってはどうかという指針のとりまとめが行われたところです。現時点では予断を持っては申し上げられませんが、こういった意見が取りまとめられたこと、本日の御議論でも頂いた御意見を踏まえて、行政として考えてまいりたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。奈良委員、山脇委員、いかがでしょうか。ありがとうございます。それでは、オンラインでお待たせしておりますので、先にオンライン参加の委員について御指名させていただきたいと思います。まず、出口委員、お願いいたします。
○出口委員 出口です。御指名ありがとうございます。対策の方向性に関しては、特に異論等はございません。1点確認させてください。簡便かつ迅速に手続を進め、支援につなげられるよう、「治療と仕事の両立支援カード」を開発していただいております。これからは、治療を行いながら仕事に従事される方がより増えていき、「治療と仕事の両立支援カード」を使われる方も増えていくと思われ重要な取組であると考えております。そこで、今後「治療と仕事の両立支援カード」の電子化等というのはあるのでしょうか。いろいろな変更等にも迅速に対応できて、様々なシステム構築に対応できると思うのですが、この点についてお考え等があれば、お聞かせいただきたいと思います。労働者死傷病報告も、来年1月から原則電子化となります。治療と仕事の両立に大変な思いをされている方の負担を少しでも軽くして、安心して仕事に従事していただけるようにお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。続いて、及川委員、お願いいたします。
○及川委員 及川です。ありがとうございます。検討の視点の所で、中小企業を中心に取組が低調であるという御指摘は、エビデンスを見てそのとおりだと思っています。したがって、今後の対策の方向については、中小企業に向けた周知を強化すべきではないかということで、取組の推進について方向性を打ち出していただいています。中小企業の事業者団体として、私ども中央会もしっかりこの点を踏まえて、真摯に取り組んでまいりたいと思います。中小企業は人手不足で、なおかつ新規に新しい人を採用できない中で、疾病を理由に退職すると大変困るという状況です。そういった中で、この認知度が低くて、なおかつ早期に辞める方が多いというのは、中小企業の経営自体を揺るがしかねないぐらい大変深刻な状況だと受け止めております。
 8ページですが、確かに中小企業の認知度というのは御指摘のとおりなのですが、ちょっと気になっているのは、真ん中の「聞いたことはあるが内容を知らない」というのが300人を超える所、あるいは100人を超える所もかなり高いということです。聞いたことはあるが内容が分からないとなると、9ページの円グラフのように取組がないというようになってしまうと思います。内容が分かってイメージができれば、治療と仕事の両立ができるような取組ができる、アクションとして、一歩を踏み出すということができると思います。
 今後の推進の仕方としては、サプライチェーン全体でこういったことに取り組んでいくということ、すなわち、中小企業の取引先は、ほとんど中堅・大企業になりますので、そういったところ全体で、「聞いたことはあるが内容を知らない」という内容の所を、どのような取組ができるかという観点で普及することが必要ではないかと思っております。9ページの右側にあるような事例が多く出てきますと、大変有り難いと思っていますし、特に中小企業にとっては、デジタルで活用できるということが大変有効だと思います。私ども中央会としても、引き続き中小企業への普及啓発あるいは取組について、推進してまいります。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。出口委員と及川委員の御発言について、事務局から回答をお願いいたします。
○労働衛生課長 出口委員から、カードの電子化はこれからあるのかという御質問を頂きました。これは検討課題とさせていただきたいと思っています。現在、医療側のほうで医療DXが進められていると承知しており、電子カルテとか、そういったものの基盤化といった状況も踏まえながら検討してまいりたいと思っております。
 及川委員からは、中小企業側としても取り組んでまいりたいという有り難いお言葉を頂きました。本当にありがとうございます。資料の8ページですが、御案内のとおり中小の規模の小さい所だけではなくて、向かって左側の列にありますように、内容等を含め知っているという数を全体的に積み増しできるように、行政側も普及啓発を進めてまいりたいと考えております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。出口委員、追加でございますか。
○出口委員 特にございません。ありがとうございます。
○髙田分科会長 ありがとうございます。及川委員、追加でございますか。
○及川委員 結構です。ありがとうございました。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、オンラインで御発言を御希望の委員はいらっしゃらないということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。では会場に戻りまして、お待たせいたしました。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 再び恐縮です。第164回に続いて、労働者委員から法改正の御指摘も頂いたところです。前回の繰り返しになりますが、両立支援は実施率がまだまだ低いことや、私傷病の問題であることも考慮しますと、法改正は慎重に検討しなければならないという立場を改めて申し上げます。次回以降、真摯に議論に対応してまいりたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか、会場で御発言を御希望の委員はいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。本議題についても、委員の皆様から様々な御意見を頂きました。本日の御意見を踏まえて、次回も引き続き御議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、ここまでの議題以外で何か御発言はございますか。奈良委員、お願いいたします。
○奈良委員 私事で大変恐縮なのですが、当組織の定期大会が今月ありまして、そこで役員を退任することになりました。つきましては、当分科会の委員についても、今回の会合参加が最後になります。議論の途中で交代をしてしまうということで、大変御迷惑をお掛けいたしますが、髙田分科会長をはじめ委員の皆さんの議論に、私自身も非常に学ばせていただきました。改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
○髙田分科会長 奈良委員、ありがとうございました。そのほか、何かございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。本日の議題は、全て終了いたしました。本日の分科会は、これにて終了いたします。本日もお忙しい中、ありがとうございました。