第168回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和6年10月9日(水)15:00~17:00

場所

対面及びオンラインにより開催
会場:厚生労働省共用第21会議室(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館17階)

出席者

会場

公益代表委員
髙田礼子(分科会長)

労働者代表委員
使用者代表委員
 
(五十音順、敬称略)
事務局

オンライン

公益代表委員
 
労働者代表委員
使用者代表委員
  


(五十音順、敬称略)

議題

(1)第14次労働災害防止計画1年目の実施状況について
(2)その他

議事

議事内容
○髙田分科会長 定刻となりましたので、ただいまから「第168回労働政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。
 本日の出欠状況は、砂金委員、新屋敷委員、中嶋委員、袈裟丸委員、小澤委員が御欠席です。
 本日は、対面及びオンラインの併用により開催することとしておりますので、お含みおきください。カメラ撮影等についてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。それでは、事務局からオンラインによるZoomの操作方法等について、説明をお願いいたします。
○計画課長 計画課長の佐藤でございます。Zoomの操作方法等の御説明をさせていただきたいと思います。ハウリング防止のため、御発言されないときにはマイクをオフに設定をお願いします。また、オンライン参加の先生方につきましては、御発言される場合には、御発言がある旨をチャットに書き込んでいただき、分科会長から指名されましたら、マイクをオンに設定した上で、氏名をおっしゃっていただいて御発言ください。
このほかに、進行中、通信トラブル等の不具合がありましたら、チャットに書き込み、若しくは事務局へメール等にて御連絡をお願いします。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 それでは、議事に入ります。議題(1)「第14次労働災害防止計画1年目の実施状況について」です。それでは、事務局から資料について御説明をお願いいたします。
○主任中央労働衛生専門官 それでは事務局、船井から資料1を御説明いたします。1枚めくっていただくと、第14次防の概要があります。これは前々回も出させていただいた資料です。14次防は、8つの重点対策に基づいてそれぞれ指標を掲げて、その達成に向けて取組を行っているわけです。前回、①と⑤を除く各重点に関する指標の数値について、調査の結果がまとまったということで、数値のみを御報告させていただいておりました。今回は、その数値に至るまでの計画期間中の取組、その数値の要因分析、それを踏まえた今後の取組をまとめて御説明させていただきます。
 なお、①と⑤については目標数値を立てていないわけですが、何もやっていないというわけではありませんので、この間の取組、今後の取組についても、併せて御紹介させていただくという趣旨です。
 2ページを御覧ください。早速ですが、前回数値を出していなかった部分です。自発的に安全衛生対策に取り組むための意識啓発というところです。
 3ページと4ページに、これまでの取組と今後の主な対応ということで書いております。主なこれまでの取組ですが、安全衛生対策に取り組む事業者が社会的に評価される環境整備に関する取組と、あとは災害分析の機能の強化、分析結果の効果的な周知に分けて、書いております。
 まず、社会的に評価されるための環境整備としては、これは既存の制度ですが、「安全衛生優良企業の公表制度」、健康経営度調査の項目に、転倒災害の関係が項目追加されたので、そういったものを周知するということです。
 あと、「SAFEコンソーシアム」事業を展開しておりますが、こういったものを活用してシンポジウムを開催したり、加盟している方の安全衛生対策の取組を、専用のWebサイトを作ってそこで周知することによって、全体の底上げを図ろうということもやっております。
あと、中災防さんにおいて、国立大学等と連携しまして、学生向けの安全衛生教育もやっております。これを補助事業化して、恒常的にできないかというようなことも調整しているところです。
 労働者死傷病報告については、分科会でも御議論いただきましたとおり、電子申請の原則義務化を来年の1月に控えており、これができるように、円滑にいくように準備を進めているところです。
 4ページの今後の取組についても、今申し上げたようなことをしっかりやっていくということに加えまして、新たな調査研究として、業務発注時の安全衛生活動の実施に係る要件定義、安全衛生をちゃんとやっている所に発注するのだとか、そういったような取組がどういう形でやられているのか、そのようなところを調査したり、金融機関が融資をする際に、安全衛生対策についてどう評価しているのかということ、対策をしっかりやっていることによる効果、対策をやらなかったことによる損失、こういったものを見える化をして周知していこうといったところも、取組を進めているところです。
 続いて、5ページ以降は、前回も数字を出させていただいたところです。まず、5ページの2.は、行動災害の関係です。こちらにあるように、前回数値を5ページのように出させていただきました。今回は、7ページと8ページを見ていただくと分かるように、7ページに、2023年度の取組を書いております。2023年度は、新たな対策の企画立案の関係としては、主に本省ベースでいろいろな補助事業を使った研究をやったり、安全衛生の教育ツールの開発、若しくは研究所などと連携をして、転倒災害防止に関する研究をやっておられる研究者とのネットワークの構築にも取り組んでおります。
 あと、アウトプット指標に掲げる事項を推進するための具体的な取組ということで、こちらは主に労働局や監督署が実際にやっている取組、本省でも補助金なども持っておりますので、そういったものの運営などについても書かせていただいております。
 労働局においては、小売業、介護施設関係の方々を集めた協議会などもやっておりますので、そういった所を通じて、対策を議論していただいたり、好事例を吸い上げて共有させていただく等の取組を行っております。あと、災害を発生させた事業場に対する再発防止指導、産保センターと連携をしながら、いろいろな取組を進めているところです。
 その結果、前々回御説明させていただいたような数字になっているということで、8ページについて御説明させていただきますと、まず、アウトプット指標の1つ目です。転倒災害対策に取り組む事業場の割合を50%以上にするということでしたが、こちらはハードとソフトの両面からの対策に取り組むということで、割合は15%ということになっていて、目標まではちょっと開きがあるところです。その要因分析を右側にまとめていますが、ハードの対策、作業環境の改善に取り組んでいる事業場は、目標を大きく超える78%でした。一方で、ソフト面の対策に取り組んでいる事業場の割合は15.6%ということで、低調でして、こちらが足を引っ張って、両方やっている割合は15%になってしまっています。
 ソフト対策に取り組んでいない理由を聞いたところ、「取り組み方が分からない」、若しくは「他の経営課題と比べて優先順位が低い」、これが3割ぐらいを占めているという状況でした。
 2つ目の指標は教育の関係です。正社員以外の労働者への教育関係です。目標は8割のところ、4割前後ということになっています。右側に要因分析を書いております。実施率が低い状況になっていて、その要因としては、以前に開催して中間整理を行った「転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会」においても指摘されていたとおり、人手不足、三次産業、サービス産業の業界の特徴でもある顧客優先の習慣といったものが影響して、災害防止に取り組む必要性の認識が十分に高くないといったことが、要因として挙げられるのではないかと分析しております。
 アウトカム指標ですが、1個目にある転倒の年齢層別の年千人率です。前回に数値を御説明させていただいたとおりですが、男女とも、70代後半以上で増加が見られる層もあるのですが、過去は余りなかった、高年齢者も含め、身体機能が低下した方々が慣れない仕事に就労するような機会が増えている。これまでは若い人がやっていたことを、人手不足でそうもいかないので、高年齢の方がやるといったようなことが想定されます。そういった状況が増えているということも、災害発生率の押し上げ要因になっているのではないかと分析しております。
 あと、平均の休業見込み日数については、48.5日ということで、目標の40日には届いておりませんし、ちょっと増えてしまっているという状況でした。右側の下のほうに書いてありますが、48.5という数字を出すに当たっては、死亡災害についても一定の係数を掛けてカウントしているわけですが、1件起きると影響が大きいです。そういう影響が大きい死亡災害の中に、例えば重機を運転していて、重機ごと転倒したといったようなケースも含まれていて、これはかなり数があります。そういったものも影響して、日数が増えてしまっている可能性があります。このため、そういった死亡災害を除きますと、41.3日ということで、前年よりちょっと減っているという状況になっています。このため、死亡を一律に除くのがいいのかという議論もありますけれども、いわゆるここで言っている対策に直結するような災害ではないものも含んでしまっているということもあるので、引き続きいろいろな切り口でデータを検証していく必要があるのではないかと思っております。
 10ページは、これを踏まえた今後の対策を書いております。ソフト面の転倒災害対策に取り組む事業場の割合を増やすための取組ということで、「取り組み方が分からない」という所が3割ぐらいあったということを受けて、そういう事業場向けに、ソフト面の対策の方法について、リーフレットなども準備して、しっかりと周知していくということが重要ではないかと思っております。
 あと、スポ庁さんなども含めて、関係省庁とも連携しながら、取組、意識啓発を図っていくこと、あとは行動災害による災害が発生した場合の損失、災害防止に取り組む効果といったものを見える化して周知していくということで、意識も変わってくるのではないかと考えております。
 教育の部分ですが、今申し上げましたように、損失と効果をしっかりと見える化するということ、あとは安全衛生教育のツールとしての動画も公開予定ですので、そういったものの利用勧奨、介護施設向けの動画も今後開発する予定としております。未熟練の高年齢労働者の転倒災害も非常に対策は重要でして、「エイジフレンドリーガイドライン」のポイントをリーフレットにまとめて作成し、配布して、取組を進めていくということです。これに加え、高年齢労働者の労働災害止の更なる推進に向けた検討もやっております。
 続いて11ページです。これは前回出させていただいたもので、腰痛の関係です。こちらについても、12ページに対策を書いておりまして、その下に要因分析を書いております。
 対策の細かい話は省略させていただきますが、三次産業を対象としたいろいろな事業を展開して、腰痛予防のための取組をしっかりやっているということです。労働局においても、先ほど説明した協議会などを活用しながらやっているところです。
 その結果として、アウトプット指標です。1個目は先ほど説明したので省略させていただきます。2個目のノーリフトケアの部分です。ノーリフトケアの割合は、2023年が初期値ということで53.7%となっています。これがいいのか悪いのかというのはあるのですが、一方、裏を返せば5割近くがやっていないわけなので、何でやらないのだろうというところが、今後の対策を考えていく上でポイントになってくると思います。ここは安全衛生調査では聞けていないので、今後、監督署を通じた再発防止対策の指導を腰痛を起こした事業場に対して行う際に、ノーリフトケアの状況なども聞きながら、何でやっていないのかということもしっかり把握して、分析していきたいと思っております。
 アウトカムとしての千人率ですが、こちらはちょっと増えてしまっています。これは社会福祉施設で働く側、サービス利用者ではなくてサービスを提供する側も高齢化が進んでいるので、この千人率が増加している、それも1つの要因ではないかと分析しております。
 13ページに対策を書いています。これは行動災害の所とかなり重複しております。当然、腰痛も行動災害なので、転倒と共通するような部分もあるということです。
 卸・小売の教育の部分は、ほとんど共通です。ノーリフトケア導入事業場の割合を増加するための対策の所で、これは先ほど申し上げましたように、導入していない理由をちゃんと把握して、対策に結び付けていこうというところがポイントです。あとは、協議会などを通じて引き続きしっかりやっていきたいというところです。社会福祉の高齢者対策については、同じような形を考えております。
 続いて、高年齢労働者の災害防止対策です。15ページに、これまでの取組と要因分析を書いております。「エイジフレンドリーガイドライン」に基づく取組を行う事業場の割合を50%以上にするということですが、2023年の数値は19.3%でした。こちらについては、取り組んでいない理由は聞けております。そちらを見てみると、「自社の60歳以上の労働者は健康である」が半数近い回答でした。「取り組み方が分からない」が3分の1ぐらいありました。アウトカム指標については、千人率に歯止めを掛けるということですが、まだそういう状況ではないということです。こちらは行動災害の所でも書きましたが、これまでやっていなかった仕事に、高年齢者も含めて身体機能の低下した労働者が不慣れなところに就業しているということも、率を推し上げている要因になっているのではないかということで推察しているところです。
 これを踏まえた対策を16ページに書いております。行動災害、転倒・動作の反動による災害が起きた場合の損失であるとか、対策に取り組む効果の見える化を、調査研究をしっかりやって、必要性を訴えていくこと。これは先ほど行動災害の所でも説明したとおりですが、高年齢労働者の対策についても重要だと思っております。
 あと、「エイジフレンドリーガイドライン」と、「エイジフレンドリー補助金」を一体的に周知していく。補助金を使って、しっかり取り組んでくださいということです。その他、「エイジフレンドリーガイドライン」のポイントをまとめたリーフレットを作って、その取組を周知していく。どうしても、「エイジフレンドリーガイドライン」はパッケージのガイドラインなので盛りだくさんなので、「必要性は分かるけれども、なかなか分かりにくい」というような声も聞こえてきますので、取り組みやすいような形での周知ということです。そういったところをいろいろなメディア、チャンネルを通じて周知していきたいと思っております。あと、行動災害の所でも出てきたとおり、未熟練の高年齢労働者の災害防止については、更なる対策の推進に向けた検討も行っているところです。
 続いて、外国人の関係です。18ページに、これまでの取組と要因分析を書いております。アウトプット指標については、母国語に翻訳された教材などを使って、分かりやすい災害防止の教育を行っている事業場の割合を、50%以上にするということです。こちらは49.9%ということで、ほぼ目標に近い数字となっております。ただ、裏を返せば半数以上が、分かりやすい方法での教育はやっていないということですので、やっていない理由は安全衛生調査で聞けておりませんでしたので、業界団体の協力も得ながら、その辺りの実態もちゃんと理由を把握して、対策に結び付けていきたいと考えております。
 あと、外国人労働者の死傷の年千人率を労働者全体の平均以下にするということですが、まだ少し開きがあるという状況です。外国人の労働者が、どういう場面で、どういう産業で災害に遭っているのかを見ると、製造業、建設業が多くなっております。それと経験期間が短い外国人の労働者が、災害に遭うケースが増えているということです。
 では、外国人労働者はどういう場面で働いているケースが多いのかを見ると、災害が多発している製造業、建設業における外国人労働者の割合というのが、労働者全体と比較して高くなっているという状況が分かっております。したがいまして、外国人が多い製造業、建設業において、災害も多く発生しているということが言えます。
 これを踏まえた対策は、経験が短い労働者も災害に遭っているということなので、言葉の壁は関係なく、危険というのを直感的に分かって、不安全な行動を抑制させるような安全表示の開発もやっておりますし、あと教育をやる上で効果的にやっていただくためには、諸外国においてもいろいろと他国の労働者を使って産業を運営しているところもあると思いますので、そういった諸外国における教育の関係の仕組みも調査研究して、いいところは取り入れていきたいということで、調査研究をやっております。
 あとは、先ほど申し上げた製造業とか建設業で外国人労働者が多くて、災害も起きているということですので、外国人労働者の災害の分析をしっかりやって、それを踏まえた対策をやっていく。その上では、業種、属性、国籍、在留資格といったことを踏まえた分析と対策を、きめ細やかにやっていく必要があるのかなと思っております。
 19ページです。⑤の個人事業者等対策です。こちらについては目標数字を立てておりませんが、これまでの取組と今後の対応を書かせていただいております。こちらについては、改めて説明するまでもなく、4月以降、また4月より少し前も最高裁判決を踏まえた関係の省令改正とか、そういったところも分科会で御議論いただいてきたところです。4月以降も6回にわたって、個人事業者検討会の報告書を踏まえた検討というのを重ねていただいてきたところです。今後はそれも踏まえて制度化に向けた議論というのも、引き続きこの分科会で行っていただくことで考えています。
 21ページです。業種別の対策です。その1つ目の陸上貨物運送事業につきましては、アウトプット指標として、中でも非常に多い「荷役災害における安全ガイドライン」に基づく取組を、45%以上の事業場でやっていただくということです。こちらについては59.8%で、目標は大きく上回っています。この間、主な取組の所にも書かせていただいておりますが、いろいろな荷役災害防止するための制度改正を行ってきました。そういったことを契機として陸上貨物運送事業者だけではなくて、陸上貨物運送事業者の方が物を運んで、そこで荷役作業をやるような荷主さんにおいても、対策の必要性をしっかり訴えてきたところがありまして、理解が進んだ結果ではないかと評価しております。その結果、アウトカムにつきましても、災害減少5%以上というところですが、その減少のラインに乗っている、それを上回るような形で減少しており、着実に進んでいるのではないかと評価しております。
 これを踏まえた対策としましては、22ページに書いておりますけれども、引き続き制度改正したものをしっかり全面施行を踏まえて周知徹底を図ると。それ以外にも、諸々のガイドラインがありますので、そういったガイドラインに基づく対策の徹底というのも指導してまいりたいと考えております。あと、関係団体等とも連携しながら陸運業者に対する支援もやっていきたいと考えております。
 それ以外にも、新たな対策の企画・立案として、フォークリフトの自律化、遠隔化に関する安全対策も検討する必要があると考えておりますし、先ほど御説明させていただいた個人事業者の安全衛生対策の議論においても、着荷主の場面での災害防止というのが論点の中にも入っていましたので、そういった議論も踏まえて、荷役の安全ガイドラインの見直しを行う必要があるのではないかという御指摘を頂きました。その点も踏まえて、荷主の事業者対策として今後の個人事業者の検討を踏まえて対応ということで、一番最後のポツの所を追加させていただいております。
 続きまして、24ページ、建設業対策です。アウトプット指標は、墜落・転落災害防止に関するリスクアセスメント取組割合85%以上にするということですが、こちらも2023年数値で85.4%で目標達成できている状況です。これは足場からの墜落・転落災害を中心にいろいろな制度改正をやってきまして、それを契機として建設業における安全対策に関する気運が高まって、墜落・転落災害についてもリスクアセスメントの取組をはじめ、安全対策が進んできたのではないかという評価をしております。その結果、目標である死亡災害15%減というところも、これを上回るような形で減少していまして、墜落・転落災害は死亡の中でも一番多くを占めていますので、ここがしっかり減ったということが、建設業全体の死亡災害減少につながっているのではないかということで評価しております。
 続きまして、27ページです。製造業の関係です。アウトプット指標につきましては、機械による「はさまれ・巻き込まれ」防止対策に取り組む製造業の事業場の割合を60%以上にするということですが、こちらは2023年、43.6%ということで、これまで目標には至っていない状況です。
 では、どういう規模の事業場で、どのような取組状況なのかというのを右側の要因分析の所に書いてありますが、労働者数500名超の事業場ですと、この取組割合は96%で非常に高くなっております。一方、50人未満の事業場だと、これはグッと下がって、35%と低調になっています。アウトカムの災害減少についても、これは増えてしまっているのですが、これも50人未満の事業場で、大体、災害全体の6割ぐらいが発生している状況にあります。したがいまして、取組が低調な小規模事業場で、多くの災害が発生しているという状況が窺えます。
したがいまして、対策はそこにポイントを絞ってやっていく必要がありまして、特に、小規模事業場における機械災害防止対策の推進のための取組ということで、実施率も低く災害も多い小規模事業場が機械のリスクアセスメントに取り組むことができるように、ツール作成等の支援をしっかりやっていくということで検討しております。
あとは、ユーザーさんがリスクアセスメントをやる上では、機械を製造したメーカーサイドでリスクアセスメントの結果の残留リスクというのを、ユーザー側に伝えていただくことが重要だと、それを使ってユーザーがリスクアセスメントをやるということが重要だと考えられますので、そういったリスクコミュニケーションがちゃんとなされるように周知・指導を徹底してまいりたいと思います。あと、災害リスクが高い食品加工用機械につきましても、これは小規模事業場でも非常に使われるケースが多いので、引き続き適切な取扱いの指導・周知というのもやっていきたいと考えております。
 新たな対策の企画・立案の部分ですが、これは分科会でも先般御議論いただきましたけれども、検査・検定、あとは専門的知見を有する機関の活用や検査基準の明確化についても検討していますので、そういったものを通じて適切な機械に関する検査・検定を推進してまいりたいと考えております。
 続きまして、30ページ、林業の関係です。アウトプット指標につきましては、伐木作業の安全ガイドラインに基づく取組を行う事業場の割合を、50%以上にするということですが、こちらは92.7%で非常に高い割合になっています。林業は伐木による死亡災害が昔から多いわけですけれども、2020年に安全ガイドラインも改正して取組を強化したところです。それも踏まえて全国で研修等をやってきたので、この取組割合というのは非常に高くなっているのではないかと評価しております。
 一方で、アウトカム指標の死亡災害15%減ということなのですが、2023年は少し増えてしまっています。ただ、この増えている29人の中身を見てみますと、伐木中の災害、立木に激突されることによる死亡は25%減ということで、着実に減っています。したがいまして、この部分について見ると、アウトプット指標がしっかり効いていると言えるのではないか。ただ、林業全体で見ますと、そうではない災害というのもあって、増えてしまっているところがあると。車両系の木材伐出機械の転倒や転落といった災害も少し増えてしまっているので、そういったところも併せてやっていく必要があると考えております。
 31ページに対策です。伐木の安全ガイドラインに基づく措置については、これは今までやってきたことの効果が上がっているということですので、引き続き関係団体、関係省庁とも連携しながら取り組んでいこうということです。安全対策に関する研修も充実させながら、しっかりやっていこうということです。
 一方で、車両系木材伐出機械による災害防止につきましても、これも伐木対策を進めているようなチャンネルも使いながら、しっかり安全対策を周知していくということに加えて、林野庁さんとも協力して、車両系木材伐出機械の自律化や遠隔化に関する対策の検討にもしっかり関与していきたいと考えております。
 続きまして、33ページ、⑦の労働者の健康確保の過重労働対策です。アウトプット指標の1つ目は、23年の直近の数字は出ていないのですが、年休の取得率です。年休の取得率は、遡れば、2000年頃は5割を下回るような状況だったのですけれども、時季指定の義務化なども行われたこともありまして、着実に実施率は高まってきて、2022年の1年前の古い数字ですが、62.1%ということで過去最高の数字になっている状況です。
 2つ目のインターバル制度につきましては、目標15%のところ、まだ6%です。ただ、これは導入していない事業場について見ると、導入予定や検討が12%ぐらい、あとは、導入の予定はなくて、検討もしていない所が8割超えています。
 では、その理由を聞いてみますと、「超過勤務の機会が少なくて、その制度導入する必要性がない」という所が5割を超えている状況でした。
 アウトカム指標は、週労働時間が40時間以上の雇用者のうち、週60時間以上の方の割合を5%以下にするという部分ですが、こちらは8.4%でした。この数字は、ここ数年ほぼ横ばいの状況ですので、目標達成までは、まだもう少しということです。
 34ページ、今のようなことも踏まえた対策を書かせていただいております。これは過重労働による健康障害が発生しないようにするためには、33ページの「2023年度主な取組」に書いてありますように、そもそも、長時間労働自体をなくすということで、長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導の徹底とか、その際に、労働時間の適正化ガイドラインに基づく取組も周知・指導していくことが重要であると。ただ、長時間になってしまった場合も、しっかりと面接指導等をやっていただくことも重要だと思いますので、そういったところも併せて指導・周知しております。あと、インターバル制度を導入する中小企業に対する助成金活用とか、好事例、導入マニュアル、あとは努力義務になっているところもしっかり周知をしていこうということです。
そういったものに加えまして、過重労働が1つのきっかけとしてメンタルヘルスに至るということもありますので、メンタルヘルス対策としてやっている「こころの耳」を活用した取組、労働者からのいろいろな相談に対する対応というのもしっかりやっていきたいと考えております。
 産保センターにおきましても、産業医等の産業保健関係者に対しても、過重労働による健康障害防止対策を含んだ内容の研修もやっています。インターバル制度につきましても、ここに書いてある①②のような取組もしっかりやりながら周知していくということです。過労死等を繰り返し起こす事業場に対しては、過労死等防止計画を立ててやっていただくということで指導しているところです。
 続きまして、36ページです。メンタル対策です。メンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合、あとは、50人未満の小規模事業場におけるストレスチェックの実施割合、これはそれぞれ80ないしは50%ということで目標を立てておりますが、こちらはいずれも目標の達成に至っていない。ただ、両方とも微増はしています。こちらについては、メンタルヘルス対策に取り組む事業場については、要因分析の所にありますように実施していない理由を聞いています。その理由として、「該当する労働者がいない」と回答している割合が4割を超え、「専門スタッフがいない」「取り組み方がわからない」は、それぞれ3割前後です。
 「該当する労働者がいない」となぜそういうことが言えるのかというのは、それとも関係しますが、ストレスチェックの所に未実施の理由というのが上のメンタルヘルス対策と同様に、「該当する労働者がいない」「スタッフがいない」「取り組み方がわからない」ということなのですが、ストレスチェックの未実施の理由として「該当する労働者がいない」というのもちょっとふに落ちない部分があります。そのような取組は、まだまだというところではありますが、アウトカム指標を見ても、仕事で強い不安、悩み又はストレスがある労働者の割合を50%未満とするというところですが、こちらは82.7%で、まだ開きがあると。この82.7%というのも前年より増えてしまっています。その要因というのは、令和4年に企業のマニュアルが策定された際に、カスハラに関する項目が少し増えていて、その部分が増えている影響、要因になっているのではないかと評価しております。
 この取組につきましては、37ページの所にありますように、小規模事業場におけるメンタルヘルス対策を推進することが重要ということで、産保センターとか地産保における対応というのを充実・強化していくことを考えております。あとは、先ほどの過重労働の所でも出ましたけれども、「こころの耳」について、しっかり体制整備して、労働者からの相談等に対応していきたいと考えております。それと、3つ目のポツにありますように、ストレスチェック制度も含めたメンタルヘルス対策に関する検討も検討会においてやりまして、それも踏まえた対策の強化というのも図ってまいりたいと考えております。
 続きまして、38ページの産業保健活動の推進です。こちらは必要な産業保健サービスを提供している事業場の割合を8割以上にするということですが、データ、数値のとおり目標は達成できています。健診結果に基づく対応とか、メンタルヘルス対策、更には高年齢労働者への対策など、こういった部分への取組に関心を持つ企業さんが非常に増えているので、そういうところが影響しているのかと思っています。
 今後の取組ですが、引き続き、産業保健の取組を周知啓発して、更には、産保センター等で実施している支援事業もアピールして、取組をより一層進めていくようにしたいと思っております。
 続きまして、40ページ、化学物質の関係です。アウトプット指標としまして、ラベル・SDSの交付、リスクアセスメントの実施、それぞれ義務対象となっていないけれども、危険性又は有害性が把握されている物質について取り組んでいただいて、その割合を80%以上にするということです。こちらはいずれも、まだ目標達成には至っていません。ラベル表示については、なぜやっていないのかということを聞いておりまして、1つは、「義務対象となっていないため」が54.2%で一番多く、リスクアセスメントのほうは聞けていないので、やっていない理由をしっかり把握して対策を考えていく必要があると思っております。こういった調査の結果から、義務対象ではなくてもやらなければいけないという必要性が、十分理解が進んでいないのではないかと評価しています。
 アウトカム指標については、化学物質の関係は、災害の数値は単年で見るのではなくて5年のトータルで見ますので、2023年の542人がどうなのかと、1年の数字でどうこうという話ではないのですけれども、とは言え、前年を上回る数が発生してしまっていますので、どういう災害なのか、そういう分析については労働安全衛生総合研究所で進めていくということで書かせていただいております。
 41ページに対策が書いてありますが、これは化学物質の自律管理の関係ですけれども、諸々の制度改正が順次行われてきておりまして、大分環境も変わってきたと、そういったものもしっかり周知しながら定着していただくことが何よりも重要だと考えております。そのための取組をアウトプット指標に掲げる事項を推進するための具体的な取組ということで書かせていただいております。
 あとは、新たな対策の企画・立案の部分ですが、今後、今、申し上げました自律的管理制度が本格施行されておりますので、円滑な施行をしっかりやっていくとともに、対象物質の拡大もなされると、そういったことも踏まえて制度改善も検討していく必要があると考えております。
 43ページ、熱中症の関係です。熱中症の指標は、暑さ指数を把握して活用している事業場の割合を増やすということですが、2023年の54.7%が初期値になります。これが高いか低いか参考までに右側に要因分析で書かせていただいておりますが、2016年のときに行った調査では、屋外作業がある事業場の55.1%が暑さ指数を把握している、そのうちの58.2%が活用しているということなので、これを単純に掛け算すると、大体32%ぐらいになります。約3割の事業場が把握して活用しているということなので、このときに比べると、増えているのではないか。これをしっかり把握、活用している所を増やしていくことをやりたいということです。
 アウトカム指標ですが、これも化学物質と同じように5年間のトータルで見ていきます。5年間のトータルで見たときに、1個前の42ページにありますように、前回の1個前の災防期間のトータルの数字に比べて、28.9%の増加率未満とするということ。125を28.9%増にはしないと、それ以下にとどめるというのが目標になっているわけです。それをやって、単純計算すると、5で割った数字は、大体約32人になるので、この2023年の31人というのは、それは超えていないと、一応、抑制されている可能性はあると言えるのですが、ただ、31という数字は非常に多いですし、去年の夏は観測史上最も暑い夏で、死亡も起きている。過去10年で最も大きかったということなので、これはとても予断を許せる状況ではないと評価しています。
したがいまして、今後の取組としては、熱中症の関係は毎年キャンペーンを張っておりますし、新たな知見があれば、どんどん積極的に盛り込んで、現場の対策として進めていただくことでやっております。あとは、文字ばかりで、あれこれやってくれと言っても浸透しないので、非常に分かりやすいイラスト等も用いた簡便な周知啓発資料も作ってやっています。そういったものをしっかりやっていくことに加えて、やはり死亡災害が非常に増えてしまっていますので、来年度の夏に向けては熱中症を重篤化させない。簡単に言えば、死なせない対策をしっかりやっていく必要があるのではないかと考えております。もちろんクールワークキャンペーンも継続してやっていく中で、予防対策についてもしっかりアピールしていくのですが、まずは死なせない対策をやっていく必要があるということで考えております。以上、長くなりましたが、重要事項の1年目の実施状況についての説明でございました。以上です。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございました。8つの重点項目ごとの取組状況について御説明いただきました。本件について、質問や意見等のある方は、会場の委員については挙手を、オンライン参加の委員については御発言のある旨をチャットに書き込みをお願いいたします。
 まず、会場の委員で御発言はありますか。山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 連合の山脇です。御説明ありがとうございます。前回の実績に加えまして、今回のこれまでの取組あるいは要因分析、今後の対応ということを丁寧にお伝えいただきましてありがとうございました。結果として、何が課題なのかが明らかになったものというように思います。まず、よくできているものというと変ですが、幾つか、進捗があったものとして私が受け止めたものをお話申し上げたいと思います。
 例えば、業種別対策のうち、陸上貨物運送事業あるいは建設業のように、もう既に目標達成あるいは目標値に近く、かつ目標達成に向けて新規対策を含めて具体策が示されているということで一定の目標達成が見込めるもの、外国人労働者の労災防止対策あるいは化学物質による健康障害防止対策など、実績と目標の差を埋めるために、法改正などによって今後対策が進むことが見込まれるといったものがあって、一定の道筋というのでしょうか、そういうものが見えるものがあります。その一方で、足下の実績と目標値の乖離がかなり大きくて、かつその差を埋めるための十分な対策が示されたとまではいえない項目もあるのではないかというように思っております。これらについて実効的な更なる対策が必要ではないかと思っておりまして、具体的には2つあります。
 1つ目は、6ページからの重点項目②のうちの転倒対策と14ページからの重点項目③の高年齢労働者についてです。これらは高年齢労働者対策という点で共通しているというように思います。当面、アウトプット指標の実績と目標が大きく乖離しているということでありますし、かつアウトカム指標も、私自身は現時点で達成が見込まれる状況にはないというように思っております。資料10ページあるいは16ページのほうには、今後の主な対応のほうで追加的な対策を講じていただくということで書き込みはされているものの、まだ目標値を実現するための抜本的な対策が、示されているとまではいえないというように受け止めております。
 それぞれ、推進に向けた更なる検討を行うというように記載されておりますが、改めてこの14次防は、目標を掲げるだけではなくて、必達に向けて我々一丸となってやっていくということですので、適切な法整備を含めて更なる対策について検討をお願いしたいところです。
 もう一点目は、32ページからの重点項目⑦、労働者の健康確保対策のうちの過重労働対策についてです。特に、アウトプット指標の勤務間インターバル制度については、導入企業の割合を2025年度までに15%以上とするという指標に対して、現段階でかなり低い水準となっており、34ページには追加対策を含めて記載がされておりますが、到底ここに書いてある内容だけでは、この目標水準に到達できるようなレベルにはないものというように承知しております。こちらの項目は本分科会のみの所掌では解決できない問題かというように思いますけれども、例えば、勤務間インターバル制度の法令上の在り方を検討するということも含めて、他の分科会と連携した取組というのを強力に進めていただきたいというように思います。要望になります。よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、会場からはいかがでしょうか。山口委員、お願いいたします。
○山口委員 資料17ページ、重点項目④の多様な働き方への対応や、外国人労働者等の労働災害防止の推進について発言をさせていただきたいと思っております。アウトプット目標は達成に近い水準まできており、この間の関係者の努力には敬意を表したいというように思っております。その一方で、アウトカム目標の死傷年千人率は、目標と実際の乖離が小さいとはいえないと思っております。現行の対策に新たに方策を追加することも必要だというように考えております。
 18ページの今後の主な対応のほうには、業種(属性、国籍・在留資格等)に応じた指導等の実施を行う旨の記載があります。ここに記載のとおり、労災の増加率に業種や在留資格による違いが見受けられます。まずは、労災発生率が高い業界団体との連携の下、しっかりと原因分析を行った上で対策の強化に当たっていただきたいと思っておりますし、それとともに、外国人労働者に対する労働安全衛生の在り方についても、しっかりと検討を行っていただきたいというように思っております。
 私たち、指導を行う立場の労働基準監督官が年々減少しているというように認識しております。必要な監督指導を行うことができるかという懸念もありますので、改めて、適切な指導体制の構築に向けた検討もお願いしたいというように思っております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。続いて、中村委員、お願いいたします。
○中村委員 労働側委員の中村です。私のほうから、2点ほど意見なり要望なりを発言したいと思います。
 まず、1点目が、資料8ページのアウトカム目標の転倒による平均休業見込日数を、2027年までに40日以下とするという要因分析の中で、そのデータに重機ごと転倒したケース等も含まれているというようになっております。本項目で、対策を行う転倒災害とは、この重機が転倒した場合というのとはかなり原因が大きく異なるのではないかというように思っております。やはり、その実績の正確な把握のためにも、データの検証方法について少し検討をされてはいかがかなというように思いますので、お考えをお聞かせいただければと思います。
 もう1つが資料29ページにある林業労働災害防止対策についてです。アウトプット指標の伐木等作業の安全ガイドラインに基づく措置を実施する林業の事業場の割合を2027年までに50%以上というような目標に対して、2023年の実績が92.7%と、既に目標よりはるかに高い実績となっています。ただ、この間の死亡災害のケースを振り返ってみますと、ガイドラインの内容が、守られていないため災害が発生しているというケースが多いというように思っております。現場の感覚でいうと、ガイドラインに基づく措置がそこまで進んでいないのではないかというような思いでおります。労働安全衛生調査において、林業のサンプル数が少ないため、実態よりも数値が大きく現れているのではないかなということも要因の1つではあるのだというように思いますけれども。その辺について、お考えはいかがかなというように思っております。
 そして、アウトプット目標の伐木等作業の安全ガイドラインに基づく措置を実施する事業場の割合を増やすことは、アウトカム指標の死亡者数の減少にも資するというようにも考えます。やはり、アウトプット目標の実績を適切に把握できるような数値の取り方というのを検討してはいかがかなというように思っておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。一旦ここで切らせていただいて、山脇委員、山口委員、中村委員の御発言について、事務局から回答をお願いいたします。
○主任中央労働衛生専門官 御質問、御指摘ありがとうございます。私のほうから、お答えできる範囲で答えさせていただきます。個別の施策を持っている担当課のほうからも、もしかしたら追加があるかもしれないので、その点、御了承を頂ければと思います。
 まず、今後の道筋が見えているものとそうでないものがあり、そうでないものとして、具体的に、転倒と高年齢労働者対策の部分、これは共通する部分はあるのですけれども、今、書いてある部分だけでは十分ではないのではないか、抜本的な対策が示されていないのではないかといった御指摘があったと思います。この部分については1行しか書いていないのですが、例えば、10ページの一番下のポツにあるように、高年齢労働者の労働災害防止対策の更なる推進に向けた検討ということで、今日の時点では1行しか書いておりませんが、今後、どこかの段階で分科会においてもこの方向性についてまとめて御議論を頂く場面があるかと思いますので、その際に、中身については御審議を頂ければなというように思います。
 あとは、インターバル制度の部分は御要望として受け止めさせていただきますが、法令上の在り方も含めた更なる取組推進のための検討について、ほかの分科会との連携も含めてということでした。関係部署とも連絡を取りながら、より一層、取組が進むように頑張りたいと思います。
 続いて、山口委員からの御指摘です。まず、外国人対策について、業種や在留資格に着目した原因分析をしっかりやった上で対策を検討すべきではないかということですが、これは正に今回、要因分析をしたのもそういう着眼点で書かせていただいておりますので、御指摘を踏まえて、しっかり的を得た対策になるように頑張っていきたいと思っております。あとは、指導体制の構築に向けて、しっかりと体制整備をということでしたが、我々としても、なかなか我々だけでかなうわけではないのですが、指導に必要な体制がしっかり維持できるように、我々としても要求といいますか、頑張っていきたいなと思っております。
 中村委員からの御指摘です。まず1点目が、行動災害防止の部分で、重機ごと転倒という部分は御指摘について、重機ごとの転倒というのが、ここで言っているところのいわゆる行動災害、転倒災害というのと、対策がちょっと違うのではないかというのはそのとおりで、そういった懸念も含めて今回、重機ごと転倒したケースが多く含まれている死亡災害をごっそり除いた形で分析をしております。その結果の数値も一応参考数値としては出させていただいております。
 ただ、死亡災害の中には、いわゆる普通の転倒で、打ちどころが悪くて頭を打ってしまって亡くなってしまったという方も含まれておりますので、死亡ごと丸々抜くのはちょっと乱暴ではないかというお話もあるかと思います。したがって、今後、そのデータの検証についてはいろいろな切り口でやっていく必要があると考えております。
 ただ、労働者死傷病報告、休業災害の部分については、今時点では災害発生状況の所は分科会でも御議論を頂いたとおり、まだデータ化ができていない部分があり、そこら辺のデータ化の状況なども踏まえると、また分析のやり方というのも幅が出てくるかと思いますので、電子申請の原則義務化の動きなども踏まえて、不断に考えていきたいというように思っております。
 最後、同じく、中村委員からの林業の部分です。ガイドラインに基づく取組が9割以上ということで、高いのだけれども、なかなか死亡災害がゼロにはなっていないですし、死亡災害を見ると、ガイドラインを守っていないケースというのもあるのではないかということです。こちらも御指摘のとおりだと思います。調査母数自体が少ないというところはあるのですが、それよりもこの90数パーセントというのは、事業者としては対策をやっていると、ただ、事業者がやっている対策を、実際に作業をしている労働者の方が理解をして実践しているかというと、必ずしも、どうなのだろうというところもあります。
こういう部分については、今日お付けした資料の一番最後の45ページにありますが、別途、アウトプット指標とアウトカム指標の関係性については検証していこうということで、この方向で作業を進めております。したがって、実際これは死亡災害なので、なかなか聞きにくいという部分はあるのですが、亡くなった災害については聞けないのですが、対策をやっているというように事業場は言っているのだけれども、労働者はそこは十分周知されている、認識しているわけではなかったというような実態が明らかになってくれば、事業者の取組と労働者の受止めでギャップがあるというようなところも見えてくると。では、そのギャップをどうやって埋めようかみたいな対策も見えてくるのかなと思いますので、こういった検証の中で、そういった視点も漏らすことなくやっていきたいなというように思っております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。事務局、ほかはよろしいでしょうか。そうしましたら、今の回答につきまして追加で御発言はありますか。山脇委員と山口委員と中村委員はよろしいでしょうか。ありがとうございます。そのほか、会場で御発言を御希望の方。鈴木委員から順にお願いいたします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。45ページに今後の対応策として、3つの調査を実施することとされています。このようなフォローアップを進めていく中で、アウトカム指標の達成に向けて、追加的に確認すべきメルクマールや指標が出てくる可能性があると私も思います。先ほどの中村委員、それから前々回の佐々木委員の御発言とも重なる部分がありますが、本分科会での議論を前提として、参考となる指標があれば、積極的に検討し、フォローアップを行い、必要な対策を打っていく。このようなPDCAを回していくことが重要ではないかということを一言申し上げたいと思います。
 このほかに2点、発言させていただければと思います。1点目です。転倒災害については、先ほど山脇委員がおっしゃったように、高年齢労働者で多く発生をしています。また、女性の場合は重篤度が高くなるというデータがあり、14次防の中でも特に重要な課題、対策だと認識しているところです。
 本日、御紹介いただいた対策では効果が期待できないのではないかというような御指摘もありましたが、ソフト面とハード面の両面からの取組支援や効果の見える化、「エイジフレンドリーガイドライン」の周知、これらは大変重要ですので、しっかりと進めていく必要があると考えております。
 また、転倒災害は、転倒防止・腰痛予防対策の検討会でも議論がありましたように、小売業や社会福祉施設などでも多く発生しています。そのような産業では、安全文化というものが、総じて十分に確立されておらず、労災防止の体制が不十分なところも多いと認識しております。したがいまして、適切な法整備を含めて対策を検討をする場合には、実効性を確保できるかという観点も含めて、丁寧な議論が必要だと考えております。
 もう1点、勤務間インターバル制度のお話も出たところです。勤務間インターバル制度自体は過重労働防止対策のツールとして、普及に向けて一層の周知が必要だと思っております。その際、6%という未だ少ない導入率ではありますが、対象労働者や時間数、あるいは設定した時間を超えた場合の対応など、多様な制度運用がなされている実態にあると承知をしております。関係分科会と連携した検討を行うのであれば、そのような実態を十分に踏まえた議論が必要だと考えております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。続きまして、及川委員お願いいたします。
○及川委員 中央会の及川です。全体的に業種別の対策推進をそれぞれしていただいて、進捗をされているということで、大変評価をさせていただきたいと思います。他方、業種別でこれだけの取組をされていますので、是非データ連携をして、デジタル化をして、労災の予兆、原因発掘、効果的な対策はどういうことなのかというような是非、データをいかしていただければ、大変有難いと思っております。
 そしてそれぞれ、アウトプット指標、アウトカム指標がございますが、その指標の設定自体がどうなのかという、不断の検証も必要だと思います。これが上がった、下がったということも重要ですけれども、そもそもの設定がどうなのかということも重要だと思っています。
 少し確認的なことなのですが、22ページの物流の所ですけれども、荷主の対策を最後に1点、新たな政策に入れていただきましたことを大変有難いと思っております。これは発荷主だけではなくて、着荷主の問題もございますし、着荷主のほうもこれは具体的な実態を見ますと、卸市場については、倉庫の方がそういう役を実質担っている、あるいはショッピングセンターであれば、ショッピングセンターのビルの、商業ビルの管理者の方が、これを担っているということがあります。是非、実態に合わせて、着荷主と狭くとらわれずに、こういう方も着荷主に準ずるのではないかということで、実態に根差して対策を考えていただければと思います。
 また、製造業については小規模の所が遅れているという御指摘が、はっきり要因分析として出てまいりました。この中で、小規模の中でも食品系なのか、あるいは運輸、物流関係なのか、製造でもいろいろな所がありますので、そういったところも細かく、きめ細かく、今後、小規模の事業対策を進める上でも大変重要だと思っておりまして、引き続き取り組んでいただければと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そうしましたら、七浦委員お願いします。
○七浦委員 御指名ありがとうございます。また、多岐にわたる業種別の対策を分かりやすく、そして現状をお話、御説明を頂きましてありがとうございます。私からは3点少し実務的なところも含めて、少し細かい所になるかもしれませんが、4ページの2ポツ、3ポツの所に、安全衛生対策に取り組む費用対効果の件で御記載いただいておりますけれども、企業としての立場として、安全衛生対策は実施することにより、その工程や手順のやり方、あるいは位置や工具などを十分理解して作業負担の少ない、そして、やり易くて、間違いのない誰にでも出来る作業へと改善をしていく事であり、その対策を実施し続ければ、必ず見返りというか、総合的にプラスに転じる事だろうと言う事を実感しております。
 また、安全性を追求すれば、自ずと生産性も向上しますし、品質、それから、原価低減、人材育成等々、向上していくだろうと感じております。中小企業様では、なかなか発展していく事が難しい部分もありますは我々のノウハウを、色々な形でお伝えしていく事で少しずつ、安全で無駄のない作業に近づくのではないかと思います。この部分について、我々はしっかりと追求努力していきたいと思っています。
 また、7、8ページの辺りに、具体的な取組の中で転倒災害防止の点ですが、対象が中高年齢あるいは女性労働者とありますが、ここは最重要であるというのは十分認識しているが、最近では、若者の転倒災害等も意外と多く起こっており、若者の運動量が減ってきたかも影響しているのではないだろうか?と考えている。若年層からの対応も今後、10年、20年あるいはそれ以上を見据えて実践していく必要性があるのではないかと思っております。この辺りも含めて御検討をお願いする。実際に、作業者全世代誰もが安全に作業が出来る工程であるよう検討していかないといけないと感じております。
 また、22ページ、新たな対策の企画・立案に関する取組ということで、フォークリフト、それから、建設機械、クレーン、重機の自律化によって遠隔操作というのが出てきております。この際の安全性の仕組みや、機械は24時間動くということも含めると、安全点検や、実作業のレベルがどこまで出来ているのかという所を、しっかり現場として考えていかないといけないと認識している。この辺りについても、いろいろ御指導いただいたり、一緒に考えさせていただければと思っておりますので、また、よろしくお願いいたします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、山脇委員、お願いします。その次に、奈良委員お願いいたします。
○山脇委員 ありがとうございます。先ほどの鈴木委員の発言に、明らかに私の発言を誤解されている部分があったので、訂正させてもらいたいと思います。転倒あるいは高齢者のところについて、現行の対策では不足であるというような趣旨の発言があったと受け止められたようですが、決してそうではなくて、現行、追加対策をやってもらったということについて評価をしております。ただ、目標を達成するには、まだまださらなる追加の対策が必要ではないかという趣旨で発言をしておりますので、その点、明らかに誤解であるという点をフォロー、補足しておきたいと思います。特に、資料6ページを見ていただきたいと思うのですが、労働側としてアウトカム目標を設定する際にこだわったところで、結果としては千人率について27年度までにその増加に歯止めをかけるというところになりましたが、労働側としてはこれは引き下げるべきだということにこだわっておりました。にもかかわらず、高齢者を見ていただくと既に真っ赤であるという現状がありますので、これを反転させるためには、やはり抜本的な何らかの追加的対策が必要であるという旨を申し上げたかったことですので、そこについては誤解であるということを強く申し述べておきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。奈良委員、お願いします。
○奈良委員 御指名ありがとうございます。労働側の奈良です。私は重点項目ごとの取組状況で、24ページの建設業について若干意見を申し述べさせていただきます。23年の進捗状況を見ますと、アウトプット指標もアウトカム指標も見るべき進捗があるということで、要因分析として、制度改正等を契機として建設業における安全に対する機運が高まった、取組が進んだと御指摘があって、これは本当にそのとおりだと思っていまして、ここ数年政府省令等もあるいは規則等の改正等もあって、ある意味現場で対応に追われたというか、労働組合としても特別教育とか技能講習とかそういった取組を進めてきたところです。
ただ、これは法改正の対応が一段落するとどうなるのかという部分も懸念されるところでして、特別教育やその各種講習、資格取得講習等々は受けて終わり、資格を取って終わりということになってしまう。そうならないためにも、日常、普段の意識付け、安全への意識付けが求められるのだろうと。これは使用者にとっても労働者にとっても余り大きな負担にならない、それでいて日々の現場の中でしっかりと意識付けが進んでいくようなそういう安全衛生対策が求められているのだろうと思っています。そこのところは是非業界を挙げて議論もしていければと思います。
 それともう1つは、建設業は御案内のとおり、数次もの重層下請の構造もあります。安全経費の負担の問題というのは、やはりこの業界では大きな課題であると。それは昨今、きちんとその安全経費については適正額を請求していくそういう文化と言いますか、取組が業界を挙げて進められてきた状況もあります。こうした取組が一定、こういう指標にも現れているのかなと考えています。とは言え、直近の9月にまとめられた速報値などでは、建設業死亡災害も前年比で若干増加もしているところですので、改めて労働者が安全に働ける、安心して働けるそういう現場づくりを、これは業界を挙げて、私たち労働組合も役割を発揮してまいりたいと思っています。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。ここで一旦切らせていただいて、鈴木委員、及川委員、七浦委員、奈良委員からの御発言につきまして、事務局からお願いいたします。
○主任中央労働衛生専門官 御質問、御指摘ありがとうございました。事務局の船井から回答させていただきます。まず、鈴木委員から御指摘いただいた点ですが、中村委員からの御指摘とも関連してですが、林業を例に挙げていただきまして、追加の何らかのメルクマールが出てくる、追加でフォローすべきものが出てきたらしっかりやっていくべきということでした。こちらについてはおっしゃるとおりでして、中村委員からの御指摘の回答の中でも触れました、アウトプット指標、アウトカム指標の関連性の検証の中でも、そういうものが出てくればこちらの分科会のほうにもフィードバックさせていただいて、追加指標、補足指標みたいな感じで、フォローしていくことは十分考えられるのではないかと思っておりますので、またその際は御議論よろしくお願いいたします。
 あと転倒災害について、ハード、ソフトの取組、既存のものも、また2024年度から追加しているものを含めしっかりやるべきということで、それをしっかりやっていきたいと思います。
 あと今後の対策強化の検討に当たっては、中小においても、第三次産業においても、安全文化とか、これまでの蓄積が十分でない分野についても、しっかり実行性を持って取り組めるようなものに配慮すべきだという御指摘だったと思います。それもそのとおりだと思いますので、そこのフィージブルな対策をしっかりつくり上げていくということは、これは一般論になってしまいますが、重要だと思いますし、今後の検討に当たっても留意したいと思っております。
 あとインターバルにつきましても、関係分科会とも連携の上、いろいろな場面、条件があることも踏まえたきめ細やかな周知をということで受け止めさせていただいていますので、しっかりやっていきたいと思います。
 続きまして、及川委員からの御指摘です。データ連携をしていろいろなデータからも災害の予兆をということですが、確かに死傷病報告の電子申請義務化を通じたデータ化というのもやっていこうと思っておりますが、別のデータから災害の予兆をつかむというところまではまだなかなかできていないのですが、必要なデータをしっかり取って、必要な対策を打つのは我々としても常に心掛けております。この間、ITの技術とかAIとかもいろいろ進んでいますので、参考にできるところはしっかり参考にしながら、対策をアップグレードしていきたいと思います。
 あと、指標の設定自体がどうなのかというのがあるのではないかと。これは今の鈴木委員への回答をさせていただいたのと共通しますが、全く何にも意味がない指標ということではないのかなと、今回の資料を整理してて思いますが、ただ、足りてない部分が全くないのかというと、やはりそれもそうではないと。そういう中で、今後予定していますアウトプット指標、アウトカム指標の効果検証の中で、追加でフォローしていくべきものがあるのかないのか、そういうところも議論をしていきたいと思っております。
 あとは個人事業者対策での議論も踏まえた荷主対策のアップグレードをということです。着荷主というような言い方をしていますけれども、実際は、荷物を運んだ先の場所を管理する事業者のような言い方で、個人事業者の分科会での検討もやらせていただいておりましたので、そこは単なる名称だけではなくて、実態に沿った対策になるように検討したいと思っております。
 あと製造業の小規模事業者対策、これは業種とかも踏まえて、きめ細やかな対策をということでした。そのとおりだと思いますので、そういう視点を持って、しっかりやりたいと思います。
 七浦委員からの御指摘ですが、御意見、アドバイスのところも多かったと思いますが、まず、転倒災害のところで、中高年や女性だけではなくて、そうではない方の転倒もあるということでした。対策としては、どうしてもスポットライトが当たっているのは中高年とか女性ですが、そうした転倒災害全体の要因分析もしっかりやって、対策を考えていきたいと思います。
 あと遠隔操作の際の安全の関係も御指摘のとおり、遠隔したこに伴う問題などもあると思いますので、そういう視点も踏まえながら検討していきたいと思います。
山脇委員は御指摘というかコメントでした。
 最後、奈良委員からの御指摘でしたが、やはり省令改正も含めてしっかり対策がアップグレードすると、現場のやる気も引き締まって取組が継続するという面はあると思います。マンネリさせないようにしっかりやっていくと。必要な制度改正はやりますけれども、それ以外にもいろいろなキャンペーンとかいろいろなツールを用いて、その現場にカンフル剤みたいなものを入れながら、安全対策をやっていくことは重要だと思っておりますし、本省ベースのみならず、労働局、監督署でも常にそういう意識を持ってやらせていただいていますので、是非現場サイドでも御協力を頂ければと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。鈴木委員、及川委員、七浦委員、奈良委員、何か追加で御発言はございますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。
 そうしましたら大変お待たせしました。オンライン参加の委員の方を御指名させていただきたいと思います。まず、宮内委員、お願いいたします。
○宮内委員 先ほど、中村委員からもちょっと御発言がありましたが、少しダブってしまう内容かもしれません。御了承ください。まず、林業ということでお話があった30ページの所なのですが、アウトプットが安全ガイドラインで、それに対して良好な実施率でしたということなのですが、そのアウトカムがやはりついていかないというお話でした。労働者側と事業主等がリンクできていないところが1つあるかなと思いました。それは実は前回も言ったのですが、14次防の中で事業者と労働者の協力の下に実施するという、非常に大きな目標がありますから、そこを解決するような対策を考えるということは、非常に重要と思いました。
 それから、そのアウトカムの中の事故で伐木に関する直接の事故はそうないのですが、車両系木材の伐出機械等の転倒や転落があるということです。私はこれがもしかしたら、作業者の高齢化と関係しているかなと思って調べてたのですが、意外とそうでもなくて、林野庁主導でキャリアアップの支援があるということで、若い人たちの林業参入が増えているようです。そうすると、例えば経験が足りない、機械の操作について慣れてないなど、直接、伐木作業ということではないにしても、対策を考えていくことが重要と思いました。
 これはほかの業種についても言えるのかもしれないのですが、割と作業に関わるようなこういった事故は増えているのではないか。つまり人間の行動が安全に影響を及ぼしているようなことが、共通として問題なのかなと思っています。そういう面で言うと、人間工学の分野では、ヒューマンエラー対策などでPerformance Shaping Factorsという言い方をして、要因分析をして内的な要因、外的な要因など、非常に細かい分析をするようなツールが確立しています。そういうやり方も取り入れてみてはどうかなと思いました。また、その内的な要因の中では、体調管理や心理的な要因なども全部含まれていますから、伐木等作業の安全ガイドラインにおいても健康管理などの衛生面の教育や指導を入れてもらうことが重要かなと思いました。
 例えば、振動障害防止対策のガイドラインでは、健康づくり、体操によるコンディションづくりなど、細かい予防対策も確か入っていたと思いますから、是非、この安全ガイドラインの中にも、今後チャンスがありましたら、そういうことも含めて御指導いただけると対策が進むのではないかなと思いました。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。続きまして、矢内委員、御発言があるということなのでお願いいたします。
○矢内委員 矢内です。要因分析や今後の取組について、丁寧な御説明ありがとうございました。私からは3点、発言をさせていただきます。
 まず、1点目は重点項目の2番です。転倒災害防止や腰痛防止の部分です。大枠な話になりますが、サービス業や福祉施設での事故が多い背景もあるのですが、災害が起きてない施設もあるのではないかと思います。分析の中に好事例の視点を入れることも、効果的かと感じます。ノーリフトケアについては、今から分析を始めるということでしたが、補助具や補助ロボットなども、今後、急速に導入されるのではないかと思います。そういった好事例の分析や評価をすることも付け加えていただけると有り難いです。
 2点目は、7番の過重労働対策になります。過重労働対策のアウトカムで、60時間以上の雇用者の割合は横ばいがずっと続いているというところはもう少し深堀りをしていただけると良いと感じました。特に固定化しているという中では、業種や事業所規模などの影響についてや、また、一般の社員は36協定で守られていますので、固定化しているのは管理職の可能性もあります。そういった視点で少し深堀りして、次の対策に進めていけると良いと感じました。
 3点目は、化学物質による健康障害防止の部分です。現場に導入して1年以上経過しますが、化学物質管理者の責務、役割がすごく大きく、キーマンになると感じています。この方たちは、2日間の教育で資格を取れるわけですが、選任時の教育のみではなく、今後、継続的な教育へ移行して、情報や力量をアップデートしていく仕組みがないと、現場での活動の効果が上がらないと感じています。
 また、アクションや目標値が前面に出てしまうのですが、その大前提として教育の中に危険な化学物質は使わない、環境をまず整えるという上流の考え方を常に常にインプットしていく仕組みが必要と思います。私からは以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。続きまして、門﨑委員、御発言をお願いいたします。
○門﨑委員 御指名ありがとうございます。労働者代表、自治労の門﨑です。私からは資料35ページからの重点項目、7.の労働者の健康確保対策のメンタルヘルス対策について、発言したいと思います。ストレスなどがある労働者の割合を2027年までに50%未満とするアウトカム目標については、2022年、2023年の実績を踏まえると、その実現が非常に危ぶまれる状況にあると考えます。
 資料37ページの今後の対応においては、「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」の検討結果を踏まえた、メンタルヘルス対策の強化と記載があります。是非、現行制度の定着に向け、周知啓発、好事例の展開を図ることはもとより、アウトプット指標実現の観点から50人未満事業場におけるストレスチェックの義務化など、ストレスチェック制度の拡充を検討することに加え、ストレスチェック制度以外のメンタルヘルスの対策の拡充についても、しっかりと検討し、結論を得ていただくことを改めて確認し、お願いい申し上げます。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。ここで一旦、切らせていただいて、事務局から回答をお願いいたします。
○主任中央労働衛生専門官 御質問、御指摘ありがとうございました。事務局の船井から回答させていただきます。まず、宮内委員から御指摘がありました、先ほど来、出ています林業のアウトプット指標とアウトカム指標、そこの乖離と言いますか、そういった点ですが、御指摘のとおり、今回の重要事項は労働者の協力の下、事業者が実施する事項というものをアウトプット指標ということで書かせていただいています。その結果のアウトカムとしての災害発生等について、例えば事業者は何か対策をやっているといっても、労働者がそれを教育されていない、周知されていないなど、若しくは教育、周知されているのだけれども実践していないなど、そういったギャップはあり得るのではないかと思います。これは繰り返しになりますが、アウトプット指標、アウトカム指標の効果検証の議論の中でも、その点は指摘を頂いています。災害を発生させた事業場を通じて、被災者についてもそういったところを確認することによって、そこのギャップがどういうところに問題があるのかということも、見極めて対策につなげていきたいと思っています。
 31ページの御指摘だったと思いますが、車両系木材を伐出する機械の安全対策などを考えるときに、林業の現場では若い人が入ってくる、若年者雇用の促進の観点から、そういう機械化などもなされているのではないかということでしたが、そういった点もあるのかもしれません。この31ページの下から2つ目のポツで、関係機関と連携して、伐木の関係だけでなくて、車両系木材伐出機械の安全対策も進めていくということで、書かせていただいています。その安全対策を進めるに当たりましては、その機械の操作や教育の観点など、そういった点もきちんと含めた形でやっていく必要があるのかなと御指摘を踏まえて感じましたので、今後の対策の検討に当たって参考にさせていただきたいと思います。
 あと、災害分析や今後の安全関係の対策を進めていくには、安全の対策だけではなくて、周辺の健康管理や体調管理など、そういうところまでカバーをしてやると安全にも効果があるのではないかという御指摘でした。御指摘も踏まえて、今後の分析や対策の企画、立案に役立てさせていただきたいと思います。
 続きまして、矢内委員からの御指摘です。災害が起きたものの分析だけではなくて、起きていない三次産業や介護など、安全文化が定着していなくて取組が十分でないかもしれないところでも、何かうまくやっていて、起きていないところもあるのではないか、そういう好事例も分析すべきではないかという御指摘でした。頂いた御指摘も踏まえて、対策を見いだす際には、そういう視点でやらせていただきたいと思います。
 あと、過重労働対策について、60時間以上の労働者の割合という部分で、業種だけではなくて職種や社員のステータスも影響しているのではないかという御指摘でした。その辺りの深堀りが集めたデータからできないか、また、ちょっと関係部署とも相談しながら、検討させていただきたいと思います。
 化学物質関係の新たに創設された化学物質管理者の役割が大きいけれども、1回の教育だけでいいのか。継続的に化学物質に関する情報もインプットしていって、そのインプットに当たりましては、なるべくこの上流の対策でやっていくことが重要なのではないかという御指摘と受け止めています。資料の中で、化学物質対策の所で書かせていただきましたが、41ページの一番最後の所です。制度の本格施行等を踏まえて、制度改善の検討もやっていくという中で、今、頂いたような御指摘も踏まえながら検討させていただければと思います。
 最後、門﨑委員からの御指摘です。こちらについては、今後のメンタル対策の検討に当たりまして、ストレスチェック以外の対策もしっかりと、さらにストレスチェックについては50人未満の事業場にも義務化という御指摘だったと思います。御指摘も踏まえて、今後の検討に役立てさせていただきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。宮内委員、矢内委員、門﨑委員、何か追加で御発言はありませんか。
○宮内委員 ありません、結構です。
○髙田分科会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。そうしましたら、続きまして出口委員、御発言をお願いいたします。
○出口委員 出口です。御指名ありがとうございます。また、資料の取りまとめ、ありがとうございました。私からは大きく3項目について、確認と要望をさせていただきます。
 まず、①の自発的に安全衛生対策に取り組むための意識啓発の主な取組には、社会的に評価される環境整備、災害情報の分析強化、DXの推進とあります。実施状況の報告では、DXの推進が見当たらないのですが、これらについても重要な項目と認識していますので、何か具体的な取組や実績、評価等があれば教えていただけるでしょうか。確認です。
 要望としては、今後の話になるのですが、自発的に安全衛生対策に取り組むための意識啓発、事業者に自主的に取り組んでいただくために、労働安全衛生調査、実態調査など、事業所調査対象で回答していない事業場のデータなど、統計するというのはいかがでしょうか。これだけ有効回答率が低いというのは、自発的に安全衛生対策に取り組むための意識が低い。計画に対しての認識や取組が希薄であると言わざるを得ません。まずは要因分析をするためには、ターゲットとなる階層別の抽出をお願いします。事務局で既に分析されているようであれば、教えていただければ幸いです。
 今後、15次防からでも大企業、中小企業向けと、小規模、個人向けの企業別、これらに大きく分けて、計画を2段階に分けて、より取り組みやすい計画を策定するのはいかがでしょうか。今回の資料もそうなのですが、大企業、中小企業が持つ目標値、それと小規模、個人が持つ目標値は異なってくると思います。大企業はやはり牽引する役割もありますし、企業規模に合わせた分かりやすい計画を策定することによって、安全衛生対策でありながら、企業の成長にも有益な計画と連携すれば、事業者の取り組み方にも変化があると考えています。是非、15次防では、このような要望があったということで、御検討を頂くようお願いいたします。
 また、社会的に評価される環境整備でも、健康経営の取組、メリットなど、社会的評価としてはとても良いと考えますが、これらの社会的評価、メリットはどちらかと言えば、大企業、中小企業向けではないでしょうか。実際に小規模や個人事業者等では、自分たちに関わってくる意識、当事者意識が希薄です。目標達成のためにはターゲットが望む社会的評価、メリットに取り組むべきだと考えています。
資料4ページには、「中小規模事業場が有する課題は、安全衛生のみならず、経営面にも及ぶため、コンサルタント会等と意見交換を行い、企業価値の向上のために安全衛生対策のインセンティブを調査予定」とあります。これらの取組については、今後の主な対応となっていますが、できる限り早く、早急に実施していただきまして、事業者等が本当に望むインセンティブを行っていただき、有効な手段を講じることによって、労働者の安全衛生対策を強化し、誰もが安全に健康で働ける環境整備に取り組んでいただくようお願いいたします。
 2点目が、⑥の業種別の労働災害防止対策の推進、建設業についてです。資料の24ページに新たな対策の企画・立案に関する取組のポツの2つ目に、デジタル技術を活用した建設施工の自動化、遠隔化等に伴う安全確保を推進するため、国土交通省が設置する「建設機械施工の自動化・自律化協議会」において、「自動施工における安全ルール」の策定とあります。以前、分科会で私から車両系建設機械で接触防止等が具備されている機械について、誘導員等の配置義務を免除する等のルール変更の検討をお願いしていました。その後、どうなったのか、教えていただけるでしょうか。義務化などを増やす、課すばかりではなく、働き方改革による時短や働き手不足に悩む事業者や労働者の負担を軽減すべく、規制の緩和や廃止等の見直しも含め、厚労省様においては先頭に立って促進していただくようお願いいたします。
 最後に、⑧の化学物質による健康障害防止対策の推進についてです。前回の第167回にも発言した内容と同様のお願いとなりますが、労働安全衛生調査、実態調査で化学物質に関する調査項目の追加及び有効回答率を上げていただきたいという要望をしました。前回の分科会の発言後に、有効回答率を上げるのは難しい、実態調査がなくても実績を把握できればほかの方法でもよいかというコメントがあったように記憶しています。対面ではなく時間の関係上、深追いはしませんでしたが、是非、労働安全衛生調査、実態調査で実施していただき、14次防、2025年になるとは思いますが、アウトプット指標の根拠として、活用していただくようお願いいたします。
確認については、41ページにあるポツの5つ目に「化学物質の性状に関連の強い労働災害の分析結果を踏まえつつ、労働災害の発生が多い洗剤・洗浄剤や塗料、接着剤等を用いた作業に関するマニュアルの作成」とあります。これについて、どのようなものなのか、建設業ではもう既に建災防が作成しているマニュアル等があります。関連性はどうなるのか、また同ページの最後に「新たな対策、企画・立案に関する取組で、化学物質自律的管理制度の本格施行及び対象物質の拡大を踏まえた制度改善の検討」が記載されています。こちらの本格施行とありますが、この本格施行とは何を意味するのでしょうか。また、改善すべき問題点を、どこでどのように抽出されるのか、また、検討会等を立ち上げて協議されるのか確認いたします。
引き続き、事業者がラベル・SDSを作成する際に、参考となるモデルラベル・SDSを作成、公開だけではなく、厚労省様の御支援の下に電子化や、標準化等に注力、推進していただき、今後、見込まれるSDS交付を徹底するための通知義務に罰則を設けることなどの対応等によって目標が達成され、全ての事業者が円滑にリスクアセスメントを実施し、健康障害防止対策を講じて安全に作業を進められるようにお願いいたします。以上、要望と確認となります。 
○髙田分科会長 ありがとうございました。オンライン参加の委員で、ほかに御発言を御希望の委員はいらっしゃいますか。大下委員、お願いいたします。
○大下委員 日商の大下です。⑦の労働者の健康確保対策の推進につきまして、過重労働対策とメンタルヘルスの部分、アウトプット指標とアウトカム指標の現状について記載がございます。まず、過重労働に関しては年休の取得は順調に増えている一方、インターバル制度の導入はなかなか進まず、またアウトカム指標は、なかなか成果が上がらない状況です。同様にメンタルヘルス対策に関しても、取組事業場の割合は一定程度増えている一方、ストレスがあるとする労働者の割合に変化がないという状況、つまりアウトカム指標の改善が中々見られないときに、アウトプット指標に対する取組が足りない、強化すべきだという画一的な考え方だけでよいのか、よく考えていく必要があるのではないかと思います。
なぜアウトプットに対する取組が進んでいるにもかかわらず、アウトカムの成果が上がらないのか。インターバル制度のような必要だと思われるアウトプット指標の改善が、なかなか進まない点には、何らかの背景があると思います。したがって、その改善のためにどういった取組が必要なのか、現在掲げているアウトプット指標が適切な指標なのかという点についても、しっかりと背景も考えながら取組を進める必要があると考えます。取組む方向性を間違ったまま何年も、時間だけが過ぎていくということを非常に懸念しておりますので、この点の再検討はこの分科会で、あるいは厚労省でも是非お願いしたいと思います。私からは以上です。ありがとうございます。
○髙田分科会長 ありがとうございました。オンライン参加の委員については以上になっておりますね。ありがとうございます。そうしましたら、出口委員と大下委員の御発言につきまして、事務局からお願いいたします。
○主任中央労働衛生専門官 御質問、御指摘、ありがとうございます。船井のほうから回答させていただきます。一部担当課のほうから回答することもありますので、御了承ください。出口委員からいろいろ、今後、将来的な課題に向けたアドバイス、御提案を頂きました。今、この全てについてどうするかはお答えできませんが、今後の検討に当たっても、課題として認識して取組の検討材料とさせていただければと思います。
 あと、自発的な取組のDXの推進ですけれども。DXを推進すること自体は国の取組ということで、書いている訳ではないのですが、電子申請の原則義務化とか、そういったことは役所自体のDXの推進でもありますし、電子申請を原則義務化して、何回か前の分科会でも、鈴木委員からも御指摘がありましたが、災害データについてはなるべくオープンな形で一般に公開してほしいと。それによって、事業場サイド又は関係団体サイドで、そういったデータを活用した対策、DXも進むのではないのかと思います。
 あと、安全衛生調査の未回答事業場、ここのデータを使って更なる掘り下げをやるとか、15次防の対策については、目標設定も含めて規模別にやるべきであるとか、そういった部分について、できる、できないは現時点では申し上げられませんが、今後の課題とさせていただければと思っています。
 あと、2点目の、建設業の建設機械の接触予防のため装置を設けた場合に、監視人配置を緩和することについての検討条件については、これは後ほど担当課のほうから回答します。
あと、3番目の、前回の分科会でも御指摘いただいたこの安全衛生調査で、追加の項目をということですが、安全衛生調査の項目を確定するスケジュールの関係とかもあって、直近のものに反映させることができるのかできないのか、できないのであれば次まで待つのがいいのか、別の方法でやるのがいいのか、そういったところも含めて、今、部内で調整をしています。
あと、41ページの関係の、今後の対策、取組に関しては、洗浄剤等のマニュアルがどういうものかという点も含めて、担当課のほうから回答します。
 続きまして、大下委員からの御指摘です。これは先ほど来、林業の所にも出ていたのですね。同じような観点だと思いますが、アウトプット指標とアウトカム指標の関係性に尽きると思います。このアウトプット指標として掲げているものが、アウトカムを達成するためにちゃんと効果のある指標になっているのかどうか、資料の一番最後に付けた検証のところで、また、別の課で議論していまして、その効果をしっかり確かめるための追加の調査なども予定しております。その結果も踏まえて、また、検証のための委員会での議論も踏まえて、また改めて分科会のほうで御報告して、指標を変えるのか、変えないけれども、追加の指標を作ってフォローしていくのか、そういった方向性も含めて御議論させていただければと思います。
いずれにしろ、今、14次防において、初めてこういう指標を導入したので、このまま何も変えずに5年間走ると決めているわけではなくて、まず、アウトプット指標、アウトカム指標もちゃんと検証して、必要なものがあれば、見直し、若しくは追加、補足していきながらやるということで、分科会で御議論いただいておりますので、その方向でしっかりやっていきたいと思います。私からは以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。続きまして、お願いいたします。
○安全課長 安全課長です。出口委員からありました、デジタル技術を活用した建設施工の自動化・自律化・遠隔化の安全確保の関係ですが、建設機械に限らず、フォークリフトであるとか、自動搬送機であるとか、クレーンとか、いろいろな所で自律あるいは遠隔化が進んでいます。その内容を見ると、自律といっても、実際は労働者が全く周りにいない場合に限っているとか、そういった形で安全担保を作っているものがほとんどで、御指摘にあったような、今のところ、自動接触装置の安全性だけで担保している事例はないと認識しております。そういったものにつきましては、いずれにせよ、自律した、あるいは、遠隔運転の安全確保の考え方を整理した上で、それぞれの機器の信頼性を把握した上で考えていくことになろうかと思います。例えばボイラーであれば、機能安全に適合した制御装置を有するボイラーの無人運転についての適用除外制度がありますが、こちらも個別のボイラーの制御装置の、きちんとした機能安全の認証を取っていただいた上で行っていますので、そういったことも含めて検討したいと思います。以上です。
○化学物質対策課長 続きまして化学物質対策課長です。出口委員から御指摘いただいた化学物質関係のマニュアルですが、建設業においては、現在6作業についてマニュアルを作成しておりますが、ここに記載の洗浄剤等のマニュアルについては、例えば洗剤・洗浄剤については、食料品やビルメンテナンス業で災害が多いということで、こうした業種を対象にしたマニュアルを作成する予定にしております。もちろん、建設業で作ったこの6作業も参考にしつつ作成を予定しております。
 それから、新たな対策の企画・立案に関する取組の中で、化学物質自律的管理制度の本格施行と書いてあるが、これはどういったことなのかということですが、これについては、化学物質管理が自律的管理に移行する際にたくさんの法令改正をしており、令和4、5、6年と順次施行してきた中令和6年4月で基本的に全て施行されたということで、これを本格施行としております。
 それから、制度改善についてどうなのかということでしたが、この自律的管理により、化学物質のSDS等の対象が2,900物質まで拡大することを踏まえて、前回の分科会で御議論いただいた内容についてこれまで検討を進めてきたところであり、前回の分科会で検討した事項のことを制度改善の検討ということで指しているものです。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。ただいまの回答につきまして、出口委員、何かございますでしょうか。
○出口委員 ⑥の業種別の労働災害対策の推進の件につきましては、私が分科会で発言してからも大分日時というか、月日がたちます。検討のほうも義務化等を課すばかりではなく、軽減等も並行して進めていただき、現状で労働者不足、時短で苦慮されている方は多いです。増やすばかりでなく、軽減するよう注力していただきたいと思います。
 また、先ほどの化学物質ですが、建災防のマニュアルと同様にということは、このマニュアルは建設業のみならず、ほかの業種に関しても実施すべきマニュアルと関連付けられるようなものとなるのでしょうか。この2点お伺いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局、お願いいたします。
○化学物質対策課長 化学物質に関してですけれども、先ほど申し上げたのは建災防で作った6作業についてのマニュアルを参考にして、新たなマニュアルを作成するということで、もちろんリスクアセスメントも含めて、労働災害の分析の結果、洗浄剤による災害が多いという結果を踏まえて、それに対応して事業者がどういった対応をすべきなのかをまとめたマニュアルを予定しております。
○髙田分科会長 続いてお願いいたします。
○安全課長 建設業に関しましては、先ほども申し上げましたけれども、そもそも信頼のおける安全装置が存在するかというところが前提になると思いますので、厚生労働省がそういう機械を開発しているわけではありませんので、そういう機械がまずあるかどうか、それがきちんと信頼性があるのかというところになりますので、厚生労働省が主導で何か作るわけではありませんので、そういった点は御理解いただければと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございます。出口委員、いかがでしょうか。
○出口委員 非常にお忙しいとは思いますが、進めていただくようにお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。大下委員は追加で御発言ございますでしょうか。
○大下委員 大丈夫です。是非よろしくお願いします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。会場に戻りまして、会場で追加で御発言ございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、第14次労働災害防止計画1年目の実施状況につきまして、委員の皆様から様々な御意見を頂きました。それらも踏まえながら、引き続き第14次労働災害防止計画に記載の安全衛生対策について、しっかり進めていただきたいと思います。また、労働災害防止計画の進捗に関しましては、従来より労働政策審議会、いわゆる本審におきまして、各分科会における目標の評価として、年1回程度、事務局から報告を行っていただいております。14次防においては、各重点項目に係るアウトプット指標、アウトカム指標の達成を目標にしているところですが、本日御報告させていただいた資料を基に、次回の労働政策審議会本審に御報告させていただくということで、皆様よろしければ、私に一任いただければ幸いですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(了承)
○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは、最後にここまでの議題以外で何か御発言はありますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。本日の議題は全て終了いたしました。本日の分科会はこれにて終了いたします。本日もお忙しい中、ありがとうございました。