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中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第228回議事録(2024年11月6日)
日時
場所
出席者
- 構成員等
-
- 安川文朗部会長
- 笠木映里委員
- 本田文子委員
- 小塩隆士委員
- 鳥潟美夏子委員
- 松本真人委員
- 佐保昌一委員
- 奥田好秀委員
- 長島公之委員
- 江澤和彦委員
- 林正純委員
- 森昌平委員
- 藤原尚也専門委員
- 石牟禮武志専門委員
- 荒川隆治専門委員
- 事務局
-
- 鹿沼保険局長
- 林医療課長
- 木下医療技術評価推進室長
- 米田保険医療企画調査室長
- 清原薬剤管理官
- 和田歯科医療管理官 他
議題
- 令和7年度薬価改定について
議事
- 議事内容
○安川部会長
ただいまより、第228回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
本日は全委員が御出席でございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○安川部会長
それでは、議事に入らせていただきます。
今回は「令和7年度薬価改定について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
資料薬-1を御覧ください。
本日は、令和7年度薬価改定に向けて、薬価の下支えと医薬品の安定供給について御議論いただく予定としております。
2ページ目は、骨太の方針です。中ほどを御覧ください。
足元の医薬品の供給不安解消に取り組むとともに、医薬品の安定的な供給を基本としつつ、後発医薬品業界の理想的な姿を見据え、業界再編も視野に入れた構造改革を促進し、安定供給に係る法的枠組みを整備するとされております。
3ページを御覧ください。
令和6年度薬価制度改革の概要でございます。
今回は、右側の医薬品の安定供給の確保の話題となります。
4ページを御覧ください。
今回の検討課題となります。
おめくりいただき、まず、薬価の下支え制度について御説明いたします。
6ページを御覧ください。
基礎的医薬品についてです。医療上の位置づけが確立し、薬価基準に15年以上収載された品目であって、乖離率が全品目の平均乖離率以下であり、過去に不採算品再算定品目等の要件に該当した品目について、薬価を維持する制度でございます。
令和6年度薬価制度改革では、薬価収載からの期間を25年以上から15年以上に短縮しております。
7ページを御覧ください。
令和6年度の基礎的医薬品の実績となります。
8ページを御覧ください。
不採算品再算定についてでございます。
急激な原材料費の高騰や安定供給問題に対応するため、企業から希望のあった品目を対象に特例的に適用しております。
算定ルールに記載のとおり、薬価が著しく低額であるため、製造販売の継続が困難であるものについては、成分規格が同一の類似薬が全て該当する場合に限って対象としているところ、令和5年度、令和6年度の薬価改定においては、本規定を適用しておりません。ただし、令和6年度改定では、令和4年度薬価調査における全品目の平均乖離率の7.0%を超えるものは除外という乖離率要件を設けております。
9ページを御覧ください。
令和6年度の不採算品再算定の実績となります。
10ページを御覧ください。
このように不採算の特例を行ったことに対する影響分析として、日薬連において、令和6年度不採算品再算定が適用された品目の今年3月と8月の出荷状況を調べ、その変化について分析された結果となります。
上段の棒グラフが、令和6年度に不採算が適用された品目についての分析です。適用品目では、67.2%の品目が安定供給を続けることが可能となっております。
11ページを御覧ください。
こちらは、先ほどの棒グラフのうち、3月の時点で通常出荷できなかった品目がどのように変化をしたのかを示したものです。
供給量の増加等には時間がかかるものの、4割以上の品目で供給状況の改善あるいはやや改善が認められております。
12ページを御覧ください。
こちらは、安定確保会議で示された資料です。9月時点で19%の品目で限定出荷や供給停止が生じております。
限定出荷となる要因といたしまして、他社品の影響によるものが最多であったことが報告されております。
13ページを御覧ください。
上段右側の棒グラフを御覧ください。昨年12月から本年4月頃までは、おおむね25%前後の限定出荷、供給停止が認められておりましたが、直近9月の調査では約20%を下回ってきております。
また、薬価削除予定品目を除くと、限定出荷、供給停止は15%を下回るようになってきております。
14ページを御覧ください。
こちらも安定確保会議で示された資料となりますが、安定確保マネジメントシステムを構築し、安定供給に係る法的枠組みを整備することについて報告されております。
おめくりいただきまして、次は、医薬品の安定供給ができる企業の考え方について御説明いたします。
16ページを御覧ください。
令和6年度薬価制度改革の骨子でございます。
青字で示したものは、既に試行的に導入された内容となっておりますが、赤字に示しました箇所につきましては、令和6年度早期に実施することとなっておりました。
17ページを御覧ください。
試行的に導入した企業評価の薬価算定上の取扱いについて示したものでございます。
18ページを御覧ください。
令和6年度薬価制度改革における企業の評価結果に基づく対応の実績となっております。
19ページを御覧ください。
赤枠は、令和6年度早期に公表することとされた評価指標となります。
下の青枠につきましては、既に試行導入された評価指標でございます。
20ページを御覧ください。
こちらは、既に実施済みの評価指標とその評価方法となります。
21ページを御覧ください。
安定供給が確保できる企業を可視化し、当該企業の品目を医療現場で選定しやすくするため、企業が公表すべき内容やその方法等を定めたガイドラインの内容であり、今年の3月29日に公表されたものでございます。
22ページを御覧ください。
先ほどのガイドラインを踏まえ、各社公表を行っております。
おめくりいただきまして、最後に関連部局の動きについて御説明をいたします。
24ページを御覧ください。
本年8月30日の近未来健康活躍社会戦略で公表されたものでございます。
後発医薬品の安定供給等を実現するために、産業構造改革が必要であるとされており、後発医薬品業界の理想的な姿として、四角の青色の枠組みでございますが、数量シェアや品目ともに多い企業は、シェアの拡大や生産性、収益性の向上により、総合商社型の企業への成長、または一定領域で他をリードする企業につきましては、自社の強みを生かした領域へ品目を集約し、生産性の確保できる適切な規模で安定供給を担うこと。
そして、成分ごとの過当競争を適正化し、安定供給を確保する必要性があることが挙げられております。
これらに向けて具体的な取組といたしまして、4つ「金融・財政措置」「独占禁止法との関係整理」「安定供給の法的枠組」「収益と投資の好循環を生み出す価格や流通の在り方」が挙げられております。
なお、参考資料の39~40ページに武見前厚生労働大臣からの要請内容についてもお示ししておりますので、適宜御参照いただければと思います。
おめくりいただきまして、25ページを御覧ください。
こちらは、先ほど説明いたしました安定供給のための法的枠組みについての資料でございます。
26ページを御覧ください。
収益と投資の好循環を生み出す価格や流通の在り方につきましては、企業評価や薬価の下支えについては、先ほど御説明いたしましたとおりでございますが、このほか、適正価格での流通を行うため、流通改善ガイドラインの改訂を行っております。
27ページを御覧ください。
流通改善ガイドラインの改訂に伴う新たな取組について示したものでございます。
28ページを御覧ください。
こちらは、薬価削除プロセスの簡素化について示したものでございます。
1ページ飛ばしていただきまして、30ページを御覧ください。
経緯は、これまで説明した内容の概要です。論点は4つ挙げております。
1つ目、令和6年度薬価制度改革で試行的導入されたた「後発品を製造販売する企業の評価指標及び評価方法」のうち、その後、公表された評価指標の活用についてどのように考えるか。また、その適用時期についてどのように考えるか。
2つ目、「後発品を製造販売する企業の評価指標及び評価方法」は安定供給が確保できる企業を可視化することを目的としていますが、この評価結果の公表をどのように考えるか。
3つ目、後発医薬品の安定供給等の実現を目指した産業構造改革の動きを踏まえ、少量多品目構造の見直しについて、例えば薬価の観点から対応すべき点を上記の評価指標に加えることをどのように考えるか。
4つ目、上記の経緯等を踏まえ、安定供給確保の必要性や物価上昇等への対応について、国民皆保険の持続性とのバランスを考慮しつつどのように考えるかでございます。
説明は以上となります。
○安川部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について、御意見、御質問がありましたらよろしくお願いいたします。
では、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
ありがとうございます。
30ページの論点に沿ってコメントいたします。
最初の論点、すなわち、公表された情報の活用につきましては、情報を可視化することで安定供給が期待できる企業や、その品目を医療現場で選定しやすくするという取組であり、後発品の供給が不安定な現下の状況を踏まえれば、そうした企業の取組を後発品の価値として薬価で評価することに大きな違和感はありません。
そこで、例えば、他の評価指標と同様、ポイントをつけることで薬価に反映することができないか、御検討をいただければと思います。
また、その適用時期については、検討状況にもよると思いますが、後発品の産業構造改革を促すという意味でも、できるだけ早く実施すべきと考えます。
続いて、2つ目の論点、安定供給ができる企業の可視化については、医療現場での検討を分かりやすくするという意味でも、A区分~C区分にどの企業が該当するのかを公表するというのも検討に値すると考えます。
次に3つ目の論点です。
少量多品目生産となっている構造の見直しを図るため、薬価の観点から対応できる点を評価指標に加えてはどうかという提案ですが、少量多品目を一律に制限することについては違和感があります。
製品の種類によっては、少量多品目生産であっても、しっかりと安定供給を確保している企業については、評価されるべきという考え方もあると考えます。
そこで、単に少量多品目生産だけに注目するのではなく、例えば、少量多品目生産をした上で、単に収益が見込めなくなったとして、医療上の必要性があるにもかかわらず撤退するなど、医薬品メーカーとしての責任を果たしていないと評価できる項目と合せて検討すべきと考えます。
最後、4つ目の論点は、安定供給等への対応と国民皆保険の持続性のバランスということですが、医療保険財源に限りがあることからすれば、薬価上の対応についても、真に効果が見込めるもの・認められるものについて検討すべきと考えます。
そこで事務局に質問いたします。
10ページに不採算品再算定前後の分析がありますが、そもそも不採算品再算定は、赤字で供給できないから要望されているものであり、供給状況が改善できていない品目がまだある方が問題であると考えますが、改善できていない原因について教えてください。
改善できていない背景や状況を正確に把握できなければ、不採算品再算定のみでは改善できないということであり、薬価上の評価の効果が期待できません。
業界は対象品目の拡大を希望していると思いますが、この点をしっかりと説明していただき、議論することが出発点です。
その意味では、今後の業界ヒアリングにおいても、不採算品目再算定と供給改善にどの程度の因果関係があったのか、しっかりと御説明していただくことも重要と考えます。
また、医療上の必要性が高い品目については、優先的に対応するなど、メリハリをつけることも必要だと考えます。
私からは以上です。
○安川部会長
ありがとうございました。
今、長島委員から御質問が1つありました。改善できていないことの理由が明確にできるかという御質問と思いますが、事務局、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
○水谷医薬産業振興・医療情報企画課長
医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。
医薬品の供給の状況につきまして、13ページに、資料でお示しをしてございます。
限定出荷、出荷停止という状況、これまで主に約4分の1の品目数で推移をしてきてございましたが、足元、直近9月の状況では18.5%、5分の1を切る状態にまでなってきてございます。もちろん、これは薬価削除等の影響も考えられますので、大きなトレンドとして、これが続くかどうか見ていく必要があると思いますが、私どもとして、足元の供給状況の改善に向けて、引き続き努力を進めているところでございます。
医薬品の供給不安の状況につきましては、先ほど事務局からの御説明にもございましたとおり、医薬品の安定供給確保のマネジメントシステムをつくる、あるいは後発医薬品の産業構造を改革する、こうしたことに正面から取り組まなければ、本質的な改善にはつながらないと考えて取り組んでおります。
一方で、足元の状況を放置していいということではございませんので、私どもメーカーが漫然と限定出荷をしているのではないか、そうした問題意識も安定確保会議の中で提起されておりますので、限定出荷の解除が可能と考えられる蓋然性が高いところを中心に、私ども事務局のほうから個別にメーカーに問い合わせて、限定出荷の解除を促す、こうした取組をしているわけでございます。
そうした中で明らかになってきたこと、私どもがメーカーとお話をする中で、1つはメーカーとして、この限定出荷を解除するということに当たって、どうしても解除をすると、そのメーカーに対して注文が殺到する、そうすると、市場のニーズを全部受け止めることが難しい、そうしたことで、限定出荷を躊躇する、そうしたような理由を挙げられる企業が多いということがございました。
この点につきましては、私ども公正取引委員会とも調整をいたしまして、競争政策上の観点からも問題のない形で、言わば限定出荷をある程度、複数の企業が同時に解除するようなことができないか、そうした取組をやっていくということについて、安定確保会議の中でお示しをして、具体のスキームを、今、整理をしているところでございます。
それから、メーカーの方とお話をしておりますと、どうしても増産をするということにつきましては、原材料の調達、ラインの確保、そうした観点からも、スピーディーな対応がなかなか難しいという側面もあると聞いてございます。
今回、薬価の下支えということで、令和6年度改定で不採算品再算定を特例的に適用していただきました。メーカーとしては、これは大変感謝をして、安定供給に向けてきちんと取組を進めていただいているものと思っております。
私ども事務局としては、メーカーに対して漫然と限定出荷を続けない、必要な量を増産する、そうしたことに向けて、私どもができる環境整備を進めながら、企業を叱咤激励して取組を進めているという状況でございます。
今、長島先生から御指摘いただいた要因、そういうことにつきまして、今、私は定性的なことを申し上げました。定量的なことを含めてどのような分析が可能かということ、今回お示ししたことが1つの分析ではあるのですが、その要因について、どういう定量的な分析が可能か、これは業界とも相談をしながら、また、業界のヒアリングをしていただく機会がございましたら、業界と連携して対応していきたいと考えております。
以上です。
○安川部会長
御説明ありがとうございました。
長島委員、どうぞ。
○長島委員
御説明ありがとうございました。
以前にも申し上げましたけれども、貴重で、限りある医療財源を投入する以上、薬価上の対応が真に効果あるものと考えられるもの、それが大前提でありますので、まず、現状、あるいは状況をしっかりと把握するとともに、業界あるいは企業がしっかりと具体的な説明を前向きに行うことが大前提であると考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○安川部会長
では、引き続き、御意見、御質問はございますか。
では、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
30ページの論点に沿ってコメントをさせていただきます。
まず、1つ目のポツについてです。本来、薬価収載をする以上、企業が医薬品の安定供給を実施することは当然の責務となりますが、企業の安定供給体制等の取組が進み、現場の供給不足や供給不安の解消につながるのであれば、速やかに評価指標の活用と適用を進め、品質が確保された後発品を安定できる企業を評価していくことは必要だと考えます。
また、後発医薬品の安定供給に関連する情報の公表等に関する評価指標については、医薬品の安定供給を企業に促す上で重要なものとなりますので、次期改定で適用すべきと考えます。
2つ目のポツについてですが、現状、企業数のみの公表となっていますが、現場が活用できる企業名を公表して可視化を進めていただきたいと思います。
ただし、現在でも医薬品全体で約20%の品目が出荷停止、出荷調整となるなど、安定供給に支障を来している後発医薬品も存在し、現場では、医薬品の確保に依然として大変苦労しています。
先ほど事務局からも、限定出荷を解除すると注文が集中するという話がありました。評価結果を公表する場合には、評価のよい企業に注文が殺到し、欠品等の混乱が生じることのないよう配慮をお願いします。
3つ目のポツについてですが、24ページ目に示されている、産業構造改革を進めていくという視点で、安定確保会議の取りまとめを踏まえて、評価指標に加えていくことは必要な対応と考えます。
評価指標の具体的内容や、その適用の時期等については、企業規模や取扱い品目により、評価の影響を受けることが考えられるので、各社の状況を把握した上で検討していくべきと考えます。
また、今回お示しいただいた取組を含む、行政の方向と業界が考えるビジョンがかみ合っていないとうまくいきません。業界として、しっかりとしたビジョンをお示しいただきたいと思います。
業界の意見を伺いながら、その意見を尊重して、しっかりと検討していきたいと思っていますので、厚生労働省の担当部局においては、ビジョンをお示しいただくよう関係業界に強く申入れをお願いいたします。
4つ目のポツについてですが、安定供給の確保、物価上昇への対応と国民皆保険制度の持続性のバランスは重要な視点です。
令和6年度薬価改定では、安定供給確保への対応として、9ページ目のとおり、不採算品再算定の特例措置が1,943品目という多くの品目に適用されました。
10ページ目に、不採算品再算定適用品目の供給状況に関する分析が示されており、不採算品再算定が適用された品目のほうが、適用を受けていない品目に比べて供給状況が改善した割合が高かったとの結果が出ていますが、中には悪化した品目もあります。4月から適用されたばかりで、不採算品再算定の適用の効果が本格的に見える形になるのは、これからだと思います。
引き続き関係業界には、不採算品再算定の適用の効果を、供給状況の改善という見える形で示していただけるよう取組を進めていただきたいと思います。
先ほど、長島委員からありましたけれども、この辺りについては、業界ヒアリング等でしっかりと示されることを期待いたします。
私からは以上です。
○安川部会長
ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。
では、松本委員、先にお願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
論点へ行く前に、今、長島委員、森委員からも言及がございましたけれども、不採算品再算定について、少しコメントをしたいと思います。
資料の11ページにいろいろ示されておりますけれども、2024年3月~8月の変化ということで、時期的に特例の影響が十分反映されていない可能性があるかもしれませんけれども、不採算品再算定が適用された品目のうち、改善した割合が41.8%にとどまり、横ばいもしくは悪化が、逆に言うと6割近くを占めているということでございます。
また、適用されていない品目のうち改善した割合でも、こちらは28%あり、適用品目との差がわずか10%であるということが分かります。
安定供給に支障を来す要因が様々あるということは十分理解しておりますが、少なくとも今回の結果を見ますと、不採算品再算定の特例によるポジティブな影響は限定的ではないかという印象を受けております。
特例措置を繰り返すことで、むしろ本則のルールがなし崩しになるという問題点を、我々の立場からは強調させていただきたいと思います。
また、これまでも申し上げてきましたが、令和6年度改定の議論の中で、不採算品再算定を受けたにもかかわらず、仕切価率を低下させた品目もございましたので、今回も仕切価の動向については注視をしていかなくてはならないと考えております。
それでは、30ページの論点に沿ってコメントいたします。
まず、1つ目の論点でございますが、令和6年度改定では、一部の指標のみを試行的に導入いたしましたが、以前から申し上げておりますとおり、全ての指標がそろって初めてバランスの取れた評価になると思いますので、情報が公開されているのであれば、評価指標をアップデートし、令和7年度薬価改定から適用すべきだと考えております。
2つ目の論点、評価結果の公表についてですが、安定供給を確保できる企業の可視化という目的を踏まえれば、当然、個別企業の評価結果を公表することが視野に入ってくるとは考えております。
ただ、公表には様々な方法があり、例えば、ポイントをフルオープンするパターン、あるいは該当する企業区分のみ公表等いろいろございます。
また、安定供給にどういった影響があるのか見極めることも必要ですので、ここは業界ヒアリングを踏まえながら丁寧に議論すべきだと考えております。
3つ目の少量多品目構造の見直しについてですが、産業構造改革の重要な視点であり、薬価の評価指標に加えることもあり得ると考えております。
一方で、24ページを見ますと、構造改革には5年程度かかるということでもございますので、総合商社型の企業と領域特化型の企業に収斂していくことも想定しつつ、まずはシミュレーションをした上で、少量多品目構造の見直しに係る指標の導入について、妥当性を判断すべきと考えます。
最後の論点ですが、幾分総論的になりますが、医療保険財政の持続可能性を回復する視点を重視し、改定ルールは粛々と運用するということが原則だと考えております。
私からは以上でございます。
○安川部会長
続いて、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
1つ目~3つ目の論点に関して、皆様もおっしゃっていたことでありますが、この評価指標は後発医薬品の安定供給に向けて取り組んでいる企業をバランスよく評価できる指標であると考えております。
そうした取組を行っている企業が適切に評価されるため、この指標のさらなる活用を検討していくべきだと考えております。
そのため、公表が待たれていた評価指標も可能な限り活用する方向で検討すべきと思います。
また、評価結果の公表についても、この評価指標は安定供給が確保できる企業を可視化し、そうした企業の品目を医療現場で選定しやすくなることを目的に導入したものであり、そうした目的に立ち返って検討を進めていくべきと思っております。
安定供給の問題は、少量多品目生産といった後発品産業の構造的課題に端を発するものであり、品目数の適正化につながる指標の追加についても、具体的な指標内容次第ではあるものの、前向きに検討していっていただきたいと考えております。
また、最後の論点ですが、皆様同様、不採算品再算定につきましては、令和6年度では、特例的な対応を行ったところ、適用された品目のほうが、適用を受けていない品目に比べて供給状況が改善した割合が高かったという説明をいただきましたが、私どもの認識としましては、適用されたものの改善がなされなかった品目数が多いという印象です。
そうした状況を踏まえ、今後の適用の在り方についても議論をしていけたらと考えております。
以上です。
○安川部会長
ありがとうございました。
では、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
30ページの論点の4つ目のポツについて意見を述べたいと思います。
患者、被保険者の立場から考えれば、医薬品の安定供給は重要ですので、必要に応じて物価上昇や経済情勢を勘案した対応の検討を求められると思います。
一方で、流通改善ガイドラインに沿った適正な取引を進めるなど、生産現場だけではなく、流通を含め、サプライチェーン全体の状況を踏まえながら進めていくことが必要だと思っております。
私からは以上です。
○安川部会長
ありがとうございました。
奥田委員、お手が挙がっております。奥田委員、よろしくお願いいたします。
○奥田委員
ありがとうございます。
今回の議案になっております、安定供給の重要性については、もう論をまたないところであり、当然であると思います。
資料の24ページ、後発医薬品の安定供給等を実現する産業構造改革に関連して申し上げたいと思います。
8月に開催されました業界ヒアリングでは、業界団体側から業界再編の具体的な姿について、調査研究のための研究会の立ち上げといったプレゼンもなされたところであります。
こういった業界自ら動きが出ておりますので、政府としても後押しをしていくことが必要ではないかと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
私からは以上です。
○安川部会長
ありがとうございました。
ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。
業界側のビジョンであるのは大事だということも議論に出ましたが、今日いろいろ出ました御意見に関連して、もし、専門委員のほうから御発言がありましたら、お願いできますか。
では、石牟禮専門委員、お願いいたします。
○石牟禮専門委員
専門委員の石牟禮でございます。
本日、委員の皆様方からいただきました御意見、あるいは事務局より回答されました内容につきまして、補足も兼ねてコメントをさせていただければと思います。
まず、2年連続で特例的に不採算品再算定を適用いただいたということにつきましては、改めて、私たち専門委員の立場としても感謝を申し上げたいと思っております。
不採算品再算定は、薬価改定全体から見て、一定の制約がある中で実施されておりまして、必ずしも各企業の希望どおりに薬価が引き上げられるものではないというのが実態と認識しておりますけれども、不採算品再算定が適用された品目におきましては、本日の資料の10ページにございますように、通常出荷を継続している品目が大半であるということ、それから再算定が、例えば原材料の調達ですとか、人材の確保など必要な投資への下支えになったものと考えております。
一方で、各委員からも御指摘がありましたように、供給に支障が生じる理由には、このグラフで悪化した例もあったことに関連しますが、例えば、先ほど水谷課長より御回答いただきましたような、他社品の影響によって増加した需要に対応しきれていない場合ですとか、やはり原材料の調達、これは世界レベルで起こっている取り合いの状況もございますので、そういった状況によって問題が生じているとか、製造におけるトラブルが、図らずも発生してしまう、品質面でのトラブルが発生してしまうといった形で、直接的に採算性に関わる理由ではないことがあったということも確認しております。
患者様をはじめ、医療現場の皆様方に御迷惑をおかけしておりますこと、大変申し訳なく存じますが、安定供給の確保に向けて企業としては、各社努めているところでございます。何とぞ御理解を賜りたくお願い申し上げます。
また、8月の意見陳述で業界代表からお示ししました、本日の資料のAppendixにもついておりますが、原価高騰等の状況、原材料の調達コストの上昇によって、さらに採算性が厳しいという状況の傾向は続いていると認識をしております。
例えば、増産要請に対応している低薬価品目等につきまして、限定的に中間年改定の実施いかんにかかわらず、投資を下支えしていただく措置も御検討いただければ幸いでございます。
なお、必ずしも不採算品再算定の適用品目を拡大したいということはございません。昨年の意見陳述におきましてもお示ししましたように、必要な品目に適切に対応していただきたいというのが業界の意見でございますので、その点につきましても御理解を賜れれば幸いでございます。
以上でございます。
○安川部会長
ありがとうございました。
何か追加で御質問、御意見等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。ほかに御質問等もないようでしたら、本件に係る質疑は、このあたりとしまして、今後、事務局において、本日いろいろ御提案等もありましたけれども、それを踏まえまして御対応をいただきますようにお願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の「薬価専門部会」は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。