第1回新たな地域医療構想において精神医療を位置付ける場合の課題等に関する検討プロジェクトチーム 議事録

○日時

令和6年11月6日(水)15:00~17:00

○場所

航空会館ビジネスフォーラム B101
(東京都港区新橋1-18-1)

○議事

 
○淺野地域医療計画課課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第1回「新たな地域医療構想において精神医療を位置付ける場合の課題等に関する検討プロジェクトチーム」を開会いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席くださいまして、誠にありがとうございます。座長選出までの間、進行を務めさせていただきます。医政局地域医療計画課の淺野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、対面及びオンラインによる開催とさせていただいております。
 オンラインでの参加に係る留意事項につきましては、事前に送付しております「オンライン参加の留意事項について」を御覧ください。
 議事に入ります前に、本来であれば、構成員の皆様方の御紹介と事務局の紹介をさせていただくところでございますが、時間の関係上、座席表及び構成員名簿の配付をもって御紹介に代えさせていただきます。
 また、オブザーバーとして、総務省自治財政局準公営企業室の八矢準公営企業室長、文部科学省高等教育局医学教育課の堀岡企画官に御出席をいただいております。
 それでは、開催に先立ちまして、事務局を代表して、森光医政局長より御挨拶を申し上げます。
○森光医政局長 医政局長の森光でございます。
 本日はお忙しい中御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 また、構成員の皆様には、平素より医療行政及び障害保健医療福祉行政の推進に御尽力をいただきまして、重ねて御礼を申し上げます。
 現在、医政局においては、2040年頃を見据えまして、医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上の人口の増大、また、現役世代の減少に対応できるよう、入院のみならず外来、在宅及び医療・介護連携等を含めた地域の医療提供体制全体の地域医療構想として検討することを目的として、新たな地域医療構想に関する検討会を開催しているところでございます。この検討会におきましては、現行の地域医療構想において病床機能報告や将来の病床数の必要量の推計の対象となっていない、本日この会議の対象となります精神医療につきまして、新たな地域医療構想において対象に位置づける場合の課題等に関する検討を行うべきではないかといった論点が出されているところでございます。
 精神医療については、従来、精神保健福祉法や同法に基づく良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針、これらによって精神障害者の退院促進及び地域移行・地域生活支援、精神科病院における病床の適正化及び機能分化等の施策を推進してきたと聞いております。こうした中、このプロジェクトチームにおいては、これまでの精神医療に関する施策を踏まえまして、新たな地域医療構想において精神医療を位置づける場合の課題等について具体的な検討を行うべく、医政局と障害保健福祉部の合同で開催をすることになったものでございます。
 構成員の皆様には、それぞれの御専門のお立場から忌憚のない御意見を賜りたく考えております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○淺野地域医療計画課課長補佐 続きまして、議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。
 事前に、議事次第、構成員名簿、省庁関係出席者名簿のほか、資料1、資料2、参考資料を配付いたしましたので、お手元に御準備いただきますようお願いいたします。
 なお、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまででお願いいたします。
 それでは、議事に移ります。
 議題1「プロジェクトチームの開催、座長の選任等について」御説明させていただきます。
 資料1の開催要綱を御覧ください。
 まず、本プロジェクトチームの開催に当たっての背景、検討事項等について御説明いたします。本プロジェクトチームにつきましては、9月30日に開催されました第9回「新たな地域医療構想等に関する検討会」における議論も踏まえ、開催することとしたものでございます。
 では、開催要綱に基づきまして、背景等について御説明させていただきます。
 まず、1の背景でございます。新たな地域医療構想につきましては、2040年頃を見据え、医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上人口の増大や現役世代の減少に対応できるよう、病院のみならず、かかりつけ医機能や在宅医療、医療・介護連携等を含め、地域の医療提供体制全体の地域医療構想として検討しているところでございます。
 一方、精神医療につきましては、精神障害者の退院促進及び地域移行・地域生活支援、精神科病院における病床の適正化及び機能分化等の施策を推進してきたところでございます。
 こうした中、現行の地域医療構想におきましては精神病床に関する将来の病床数の必要量の推計や病床機能報告は行われていないところ、これまでの精神医療に関する施策を踏まえ、新たな地域医療構想において精神医療を位置づける場合の課題等について具体的な検討を行うため、本プロジェクトチームを開催するものでございます。
 次に、2の検討事項でございます。検討事項は2点ございまして、1つ目が新たな地域医療構想において精神医療を位置づける場合の課題について、2点目がその他ということになります。
 3の構成員及び4の運営につきましては、記載のとおりでございます。
 別紙につきましては、本プロジェクトチームの構成員名簿として掲載させていただいておりますので、御確認をお願いいたします。
 それでは、本プロジェクトチームの座長でございますけれども、開催要綱に基づきまして、構成員の互選により選出することといたします。
 どなたか御推薦を頂戴できればと存じますが、いかがでしょうか。
 江澤構成員、お願いいたします。
○江澤構成員 新たな地域医療構想等に関する検討会におきましても座長代理をしておられます尾形構成員を推薦したいと思いますが、いかがでしょうか。
○淺野地域医療計画課課長補佐 ありがとうございます。
 ただいま江澤構成員より尾形構成員を推薦いただきましたので、尾形構成員に座長をお願いするということで、皆様、御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○淺野地域医療計画課課長補佐 ありがとうございます。
 それでは、本プロジェクトチームの座長は尾形構成員にお願いをしたいと思います。
 尾形構成員におかれましては、座長席のほうにお移りいただきまして、以後の議事運営をお願いしたいと思います。
(尾形構成員、座長席へ移動)
○淺野地域医療計画課課長補佐 それでは、尾形座長、よろしくお願いいたします。
○尾形座長 御指名によりまして座長を引き受けさせていただきます尾形でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 非常に長い名前のプロジェクトチームで、しかし、検討期間は非常に短く、タイトなスケジュールが予定されているようですので、ぜひ皆様の御協力によって、実りある議論を効率的に行いたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは早速、議事に入りたいと思いますが、その前に、開催要綱では、団体を代表して御参加いただいている構成員の方が欠席の際に代わりに出席される方につきましては、事前に事務局を通じて座長の了解を得ること、及び、当日の会合において承認を得ることにより、参考人として参加し発言をいただくことを認めることとしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○尾形座長 特に異議はないようですので、そのように取り扱わせていただきます。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日の議題は、議題2「新たな地域医療構想において精神医療を位置付ける場合の課題等について」でございます。
 まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○高宮大臣官房参事官 医療提供体制改革担当の参事官です。
 資料2を用いまして説明をいたします。
 資料を1ページめくっていただいて、最初に本プロジェクトチームの開催について、地域医療構想の検討状況ですとか、あるいは精神医療を取り巻く状況、これまでの施策について説明をした上で、2番目に新たな地域医療構想に精神医療を位置づける場合の課題等について検討いただきたいことについて説明をさせていただきます。
 最初に4ページになります。現行の地域医療構想の概要です。一番上に書いていますが、地域医療構想については、中長期的な人口構造、地域の医療ニーズの質・量の変化を見据えて、医療機関の機能分化・連携を進め、良質かつ適切な医療を効率的に提供できる体制の確保を目的とするものです。
 具体的に取り組んでいる内容、1から4まで4つ記載をしています。1つ目は都道府県において、各構想区域における2025年の医療需要と病床数の必要量を医療機能ごとに推計するということです。ただし、先ほどから説明がありましたが、現行の地域医療構想ではこの病床の対象は一般病床と療養病床となっており、精神病床は対象となっていないということです。
 2で各医療機関から都道府県に対し、現在の病床機能と今後の方向性などを病床機能報告により報告いただく。
 3でその報告も踏まえて各構想区域に設置された地域医療構想調整会議において、病床の機能分化・連携に向けた協議を実施する。
 4で都道府県は地域医療介護総合確保基金を活用して、医療機関の機能分化・連携を支援する。さらに、自主的な取組だけでは進まない場合には、医療法に定められる都道府県の権限の行使を含めた役割を発揮するということで、地域医療構想の実現を図るという取組になります。
 5ページが現行の地域医療構想の今の進捗ということで、病床機能報告の直近の状況になります。一番左が2015年の病床機能報告です。病床機能報告が始まったときになります。2015年は合計125.1万床報告をいただいています。これが直近の病床機能報告では2023年時点で合計119.3万床。その2023年時点に2025年の見込みも報告をいただいています。2025年の見込みとしては合計119.0万床。一番右側、地域医療構想で2025年の病床の必要量を推計した必要病床数になります。これが合計119.1万床ですので、2023年度の病床機能報告で2025年の必要量の推計とほぼ同じ水準になっているというのが現在の状況になります。
 6ページが現行の地域医療構想、これは2025年に向けた取組となっています。2025年に近づいてきているので、その後の新たな地域医療構想の検討を進めているところです。右上に新たな地域医療構想等に関する検討会と書いています。こちらの検討会で今、検討を進めているところです。
 上のほうの四角に書いていますが、新たな地域医療構想については、2040年頃を見据えて、医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上人口の増大などに対応できるよう、病院のみならず、かかりつけ医機能や在宅医療、医療・介護連携などを含め、地域の医療提供体制全体の地域医療構想として検討を進めているところです。
 主な検討事項、様々な検討を行っていますが、2040年頃を見据えた地域の類型ごとの医療提供体制のモデル、具体的な内容はまた来年度以降、ガイドラインで検討することとしています。それから、病床の機能分化・連携のさらなる推進の取組、その下の○で地域における入院・外来・在宅などを含めた医療提供体制の議論を行っているところです。これらの議論を行っている中で、精神病床を新たな地域医療構想に位置づける場合の課題も検討することとされたところになります。
 7ページ、新たな地域医療構想の基本的な方向性、その検討会のほうで議論しているものになります。左側の現行の地域医療構想、病床の機能分化・連携が中心の取組を今行っていますが、これを右側の新たな地域医療構想では、入院だけでなくて外来・在宅医療、介護との連携などを含む医療提供体制全体の課題解決を図るための地域医療構想にしていこうということです。
 基本的な方向性を3つその下に書いています。地域の患者・要介護者を支えられる地域全体を俯瞰した構想としていく。それから2つ目が、医療機関機能に着目した医療提供体制の構築を進めていく。これまでは病床に着目をしていたものを、医療機関機能、病院単位の機能に着目した取組ということを検討、議論をしています。3つ目が、限られたマンパワーにおけるより効率的な医療提供の実現ということを基本的な方向性として議論しているところです。
 8ページから近年の精神保健医療福祉の経緯、取組の資料をおつけしています。平成16年の精神保健福祉本部で策定された精神保健医療福祉の改革ビジョン、入院医療中心から地域生活中心という理念が示されて、様々な施策が行われてきています。
 9ページ、平成26年の良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針を踏まえて、長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会において、多職種の活用を中心とした精神病床の機能分化、地域移行の推進というような方向性が示されているところです。
 それから、10ページ、平成29年のこれからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会において、精神障害者の一層の地域移行を進めるための地域づくりを推進する観点から、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を目指すということが新たな理念として示されて、取組を進めているところです。
 11ページ、医療法の医療計画においても精神疾患の医療体制を位置づけています。第8次医療計画のポイントとしては、左下にあります精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築、あるいは多様な精神疾患に対応できる医療体制の構築を、医療計画のほうでも進めているところです。
 12ページ、精神疾患を有する患者数になります。令和2年度には614.8万人の患者数になっています。
 13ページは、そのうち入院患者数になります。精神疾患を有する入院患者数は28.8万人、疾患別では統合失調症などが最も多いが、減少傾向となっています。
 14ページは年齢別です。年齢別には入院患者のうち65歳以上が18.5万人、64%を占めるということです。
 15ページは外来患者になります。精神疾患を有する外来患者数は、令和2年度に約586.1万人、疾患別では気分障害などが多くなっています。
 年齢別が16ページで、入院患者と比べると65歳未満の患者の割合が多くなっています。
 17ページ、精神病床を有する病院の数、それから精神科を主たる診療科とする診療所の数を左側、右側は精神病床数の推移になります。
 18ページで、先ほどの本検討プロジェクトチームの開催要綱にもございましたとおり、9月30日の検討会において、この検討プロジェクトチームを開催するということを報告しています。
 下のほうのスケジュールです。一番下のスケジュールで、本日、それから11月にこのプロジェクトチームで議論をいただいた上で、その後の新たな地域医療構想等に関する検討会のほうにその検討結果を報告するというようなスケジュールを想定しております。
 19ページからが今度、精神医療を位置づける場合の課題等についての資料になります。
 20ページが、まず上のほうが精神医療を取り巻く環境として、精神病床は令和2年において32.4万床、総入院患者数は28.8万人、入院患者の疾患別では統合失調症などが最も多いが、減少傾向である。平均在院日数が減少し、病床利用率も低下をしてきている。1年以上の長期入院患者については約17万人で、1年以上入院する新たな長期入院患者は毎年約3.5万人、長期入院患者では精神病床における高齢化が進展をしているということです。
 外来患者については586.1万人で、疾患別では気分障害などが多くなっている。入院患者と比べて65歳未満の患者の割合が多い。
 その下の○です。精神疾患を有する患者について、気分障害、発達障害、認知症、身体合併症を有する患者の増加など、疾病構造が変化をしているということです。
 2040年頃を見据えた課題を下に記載しています。今後、2040年頃を見据えると、精神病床における高齢化の進展等に伴い、入院患者数の減少、病床利用率の低下がさらに見込まれるところ、精神病床の適正化を進め、効率的な精神医療提供体制を確保する必要がある。
 また、入院患者像や疾病構造の変化が見込まれており、急性期、回復期といった精神入院医療の機能を強化するため、精神病床の機能分化・連携、精神医療以外の一般医療との連携体制の強化、精神科病院の構造改革を進める必要がある。
 さらに、精神医療全体の疾病構造の変化などにより、精神科外来患者が増加傾向にあることを踏まえ、一般医療との連携体制の強化、外来・在宅医療提供体制の整備がこれまで以上に重視される。
 このほか、精神疾患の医療提供体制について、入院医療中心から地域生活中心へという理念を掲げ、多職種・多機関の有機的な連携体制の構築を重要なものとして進めてきているところ、将来を見据えたさらなる地域移行に向けた取組を推進するため、精神医療と一般医療を併せた医療提供体制全体の議論を進めていく必要がある。
 その後の21ページ、それから次の22ページ、こちらで本検討プロジェクトチームで検討いただきたい事項をまとめています。まず21ページで、新たな地域医療構想における精神医療の位置づけです。新たな地域医療構想においては、2040年頃を見据えて、85歳以上人口の増大などに対応できるよう、入院だけでなく、外来・在宅医療、介護連携などを含む医療提供体制全体の地域医療構想として、医療機関の役割分担を明確化し、地域完結型の医療・介護提供体制を構築するよう検討を進めている。具体的には、地域の医療提供体制全体の新たな地域医療構想として、病床だけでなく医療機関機能に着目した医療提供体制の構築を進める。それから、二次医療圏を基本とする構想区域や調整会議の在り方を見直すなどの検討を行っており、地域の医療提供体制全体という中には、精神医療も含めて考えることが自然ではないか。
 また2つ目で、精神保健医療福祉において、入院医療中心から地域生活中心へという理念に基づき取組を進める中で、精神医療を取り巻く環境と2040年を見据えた課題を踏まえると、新たな地域医療構想において精神医療を位置づけることにより、以下のような意義が考えられるのではないかとして、その下に4つ整理をしています。1つ目は、地域医療構想の対象に精神医療を追加することにより、一般医療も含めた地域の関係者が入った協議において、精神病床等の適正化・機能分化の方向性が明確化される。具体的かつ実効的な取組の推進が期待されるのではないか。
 2つ目は、2040年頃の精神病床数の必要量の推計により、中長期的な精神医療需要に基づいて、計画的かつ効率的に精神病床等の適正化・機能分化を進めることができるのではないか。また、病床機能報告の対象に精神病床を追加し、現在と将来の病床機能、診療実績等を見える化することにより、精神病床等の適正化・機能分化に向けたデータに基づく協議・検討が可能となるのではないか。
 3つ目は、精神医療に関する地域医療構想調整会議の開催、それから、一般医療に関する調整会議への精神医療関係者の参画によって、精神病床等の適正化・機能分化、それから精神科にかかる外来医療提供体制の確保、在宅医療提供体制の確保、身体合併症患者への対応等における精神医療と一般医療の連携などの推進が期待されるのではないか。
 一番下が地域医療構想の実現に向けた財政支援、都道府県知事の権限行使により、精神病床等の適正化・機能分化を推進することが可能となるのではないかとしています。
 最後に、22ページ、新たな地域医療構想において精神医療を位置づける場合の課題として、法律改正を要する以下の内容について、どのように考えるか。その前のページとも重複する部分がありますが、5つ並べています。1つ目は、精神病床も将来の病床数の必要量を定める。2つ目が、精神病床も病床機能報告として報告を求める。3つ目が、精神医療も構想区域・協議の場を設定する。4つ目が、精神医療も都道府県知事の権限の対象とする。5つ目が、新たな地域医療構想で検討中の医療機関機能や外来・在宅医療等の対象化などについても、精神科の医療機関、精神医療も対象とする。
 その下、一番下の○ですが、これらの具体的な内容、例えば必要病床数の推計方法、それから精神病床の機能区分の在り方、病床機能報告の報告事項、精神医療の構想区域・協議の場の範囲・参加者、あとは精神科医療機関の医療機関機能などについては、法改正後の施行に向けて、必要な関係者でより具体的に議論した上で定めることが必要であり、精神医療に関する施行には十分な期間を設けることが必要ではないかとしています。
 これらの括弧書きで書いているような具体的な内容、制度改正後にガイドラインなどで検討する中で関係者を集めて具体的に議論をしていってはどうかということになります。
 資料の説明は以上になります。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、皆様から御意見、御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。
 櫻木構成員、どうぞ。
○櫻木構成員 日本精神科病院協会の櫻木です。
 丁寧な御説明をありがとうございます。このプロジェクトチームのタスクについての確認ですけれども、今お話しになった21ページから22ページにかけてのいろいろな課題が出てきています。地域医療構想を考える上では、機能区分ごとの将来の病床数の必要量であるとか、あるいは病床機能報告制度であるとか、あるいは構想区域をどういうふうに定めて協議の場を設定するとか、あるいは今回新たな法で言うと、医療機関機能とか在宅・外来を対象にしていくということですけれども、このプロジェクトチームのタスクとしては、今お示しになったような内容をどう取り扱っていくかというところがタスクであって、一番下にありますけれども、具体的な内容ですね。どういうふうに機能区分をしていくかとか、あるいは病床機能の報告についてどういう内容を求めていくか、あるいは構想区域をどういうふうに設定するか、協議の場、それから新しいところで言うと医療機関機能をどういうふうにしていくかということに関しては、このプロジェクトチームのタスクというよりは、今後、何らかの形で検討していく、あるいはこのチームがずっと存続をして、その中で検討していくのか。その辺のことがちょっと聞き取れなかったので、その辺の御説明をいただけたらと思います。
○尾形座長 これは御質問ですので、事務局、お願いいたします。
○高宮大臣官房参事官 御質問ありがとうございます。
 この検討プロジェクトチームのタスクとしては、新たな地域医療構想に精神医療を位置づけた場合、どのような意義が考えられるかなどをまず議論いただきたいと考えています。その上で、精神医療を位置づける場合には、新たな地域医療構想の検討会のほうにそのような検討結果を報告して、それで制度改正を行った上で、その制度改正後に、先生が先ほどおっしゃったような精神病床の機能区分だとか、あるいは必要病床数をどう推計するかだとか、精神科医療機関の医療機関機能はどのような機能を考えるかですとか、そのような具体的な議論については制度改正後にまた改めて検討したいと。その際、具体的な議論をするに当たっては、恐らく関係者がまたほかの精神医療に関するような関係者、ほかの方ももう少し集めて意見をいただきながら検討したほうがいいと思いますので、その際はまた改めて検討の場を考えたいと考えております。
○尾形座長 櫻木構成員、よろしいでしょうか。
○櫻木構成員 はい。了解です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 家保構成員、どうぞ。
○家保構成員 全国衛生部長会長の家保です。
 7ページにございますように、現行の地域医療構想から新たな地域医療構想へ、一般病床の機能分化・連携から、入院医療だけでなく、外来とか介護とか幅広く地域で見守るというふうに構想の考え方が変わったときには、やはり当然、精神の分野についても併せて地域で議論するということは必要と思っております。特に後期高齢者が増えてまいりますと、身体疾病を持った方の認知症、逆に長期に入院されている精神疾患を持っている方々の身体合併症が増えますと、従来の精神科医療機関、それ以外の医療機関というふうに区別しておりますと、どうしても患者さんにとっては残念な結果になってまいります。身体疾患を担う医療機関と精神疾患を担う医療機関がいかに連携していくのかということを各地域で考えることは必要ですので、ぜひとも進めていただきたいと思います。
 また、あわせて、外来患者が先ほどのお話ですと気分障害を始めかなり増えてきております。各県の地域医療計画が今年度まとまりましたが、幾つかのところでは精神科の外来で1か月待ちというような記載があるのが数県ありました。精神科医療機関の偏在という問題もございますので、一般の身体科のかかりつけ医さんがいかにそういう気分障害なり幅広い外来受診の精神科を担うのかということを意識したような構想にしていかないと大変かなと思います。
 特にかかりつけ医機能の公表制度が来年4月から始まりまして、それを踏まえて地域医療構想よりも多分都市部だともう少し細かい区分でどうあるべきかという議論をすることが進むと思います。かかりつけ医機能の40疾病の中には3項目、精神科関係があったと思いますので、それも踏まえてどうするのかという議論を早い段階から考えていくことが大事かと思いますので、ぜひともその点も留意していただきたいなと思います。
 それから、1点、多分精神科の領域の先生方は急性期、回復期、慢性期、入院期間によっての区分とか、地域精神医療推進機能とか地域連携拠点機能とか幾つか、精神科の領域では分かるのだと思いますけれども、身体科の先生方にはちょっと馴染みのないところがありますので、その点を上手に精神科以外の先生方、また患者さんなどにも理解できるような点をぜひとも意識しながら、こういう検討を進めていただきたいと思います。あくまでも患者さん、国民、それから幅広い医療関係者が協働してやっていかないと、精神科疾患の患者さんにも地域包括ケアというのが進まないので、ぜひともその点を意識しながら取り組んでいただければ、都道府県の立場としてはありがたいと思っています。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 何点かコメントいただきましたが、何か事務局のほうでありますか。
○高宮大臣官房参事官 御指摘ありがとうございます。
 家保構成員がおっしゃったような身体科の一般医療と精神医療の連携は重要だと考えていますので、これまでも医療計画の中でやられているような内容もございますが、またこの新たな地域医療構想の議論をする中でも、そのような連携が進むような形での検討を考えていきたいと思っています。
○尾形座長 よろしいでしょうか。
 それでは、オンラインで御参加の北村構成員、どうぞ。
○北村構成員 公的病院精神科協会の北村といいます。
 公精協といいますが、公精協は自治体立病院と国立病院とJA厚生連などで2018年にできた若い団体なのですが、現在、会員病院が135で、単科は50ぐらいで、残りは総合病院なので、総合病院の精神病床という観点で一言お話をしたい。
 今回の御説明でも、身体合併症という言葉が1回出てきましたが、実際にどのように診るかということについての議論がちょっと足りないように思いますし、一般の全体の地域医療構想においても、精神科のことにおいても、総合病院の精神科というのが抜け落ちがちなので、一言言わせていただきます。
 資料もございますので、私の提供した資料についてはまた御覧になっていただければいいと思うのですが、これですね。今さら言うまでもなく、総合病院の精神病床では、身体合併症を有する患者をはじめとした、身体と精神の両方からアプローチが必要な精神医療の中でも結構難しい病態の治療とか対応をしていて、ですから、地域の精神医療提供体制において非常に重要な役割を果たしているといえます。
 次のページをお願いします。総合病院精神医学会がずっと毎年いろいろ調査をしておりまして、その結果によりますと、2002年に比べて20年間で約85%に有床の精神病床が減っているということがあります。
 その理由は、3ページ目と4ページ目にあるのですが、収益のことと人員のことが挙げられておりますが、その点についてはここで話すことではないので、一応御参考ください。
 地域医療構想に精神医療を位置づけるに当たっては、やはり有床の総合病院というか、総合病院精神科の病床が重要であることは明らかだと思いますので、地域医療における総合病院の精神病床の整備が必要だということをこのプロジェクトチームで共有したいと思います。
 それから、身体合併症治療ばかりではなく、これからは一般救急と精神科救急の連携が非常に重要になると考えられまして、それは自殺関連行動ばかりではなく、やはり認知症を含めて地域での不適応とか興奮された高齢者の方が近年非常に増加しております。高齢者の精神症状を診るときには、まずは体のほうを検査するというのが大前提ですので、これまでの精神科救急、単科の精神科病院だけでやるというのはかなり無理があると思います。ですから、地域医療構想を考えるに当たっては、単科の精神科病院、それから有床の総合病院、それから精神科クリニックというようなものの役割を明確にして、各地域で議論すればいいのではないかなと思います。
 あといろいろ言いたいことはありますが、取りあえずこれだけにします。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。
 ほかはいかがでしょうか。
 小阪構成員、どうぞ。
○小阪構成員 ありがとうございます。日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の小阪です。当事者の立場から言葉を紡ぎたいと思います。
 まずもって、「私たちに関することは私たち抜きに決めないでください」という価値観に基づいて、こうした場にも当事者の構成員を配置していただくようにしていただいて、ありがとうございます。新たな地域医療構想において、精神医療を位置づけるという方向性にはおおむね賛成の意見です。ただし、2点ほど留意点があります。
 1点目は、精神科医療の現状を加味して、単純に精神科病床の需要と供給だけを見て、構想区域ごとにコントロールを図るのではなく、おのおのの精神科病院の質というものを鑑みたものになるように設計いただきたいというものになります。精神科入院医療の約半数が非同意入院という状況等を、単純に他科と精神科医療の病床を同一化することはできません。精神科医療の実情は極めて複雑です。よりよい精神科医療を提供しようと日々努力なさっている病院とそうでない病院の病床を同一に見るべきではないということです。これは地域医療構想において精神医療を位置づける上で、ぜひとも当事者の私たちからはお願いしておきたい事項になります。
 精神科医療の質という言葉を当事者の私たちが申し上げると、いささか強い言葉のような気がするので、ユーザーの満足度と置き換えてもよいのですが、精神科医療に対するユーザーの満足度というものは、当事者同士でいろいろな方たちの実情に触れると、残念ながら非常に低いものであると推計しています。誤解なきように申し添えますが、私は良質で適切な精神科医療にはとても感謝をしている立場です。
 例えばで恐縮なのですが、櫻木先生は御謙遜されて、「私は平均的な精神科医です」と折に触れておっしゃってくださいますが、それは、私はいい意味で違うと思っています。私が櫻木先生の診療を受けたことがないのにそうしたことを申し上げるのは、決定的な要素があるからです。私たち受け手の立場から見たときに欠かせない良い精神科医の要素としては、「しっかりと患者さんなりに表現される言葉や思いを受け止めて、治療について一緒に考える姿勢を持ってほしい」というものになります。精神科医療を提供するに当たって一番重要な観点は、患者さんの言葉だと思うのです。櫻木先生は、私たちの言葉や思いを真摯に受け止め、また、一緒に考えて言葉を紡いでくださる姿勢を常に見せてくださっていますが、地域の精神科医の方たちが皆そういう姿勢で私たちと向き合ってくださっているわけではありません。むしろそうした方は少数派だと思っています。
 精神科医療の質、ユーザーの満足度が一定のラインに達するための方策の一つとして、新たな地域医療構想において精神科医療を位置づける際には、よりよい精神科医療を提供しようと日々努力なさっている病院の病床と、そうでない病院の病床を区別する新たな指標を設けるべきということを強く申し上げたいと思います。
 2点目は、地域医療構想において精神科医療を位置づけるということを踏まえて、さらにその先を見据えていってほしいということなのですが、精神科医療が抱えている諸問題の解決に結びつくように、よりよい精神科医療を提供しようとしている精神科病院をバックアップする観点を持って、そうした政策にもつなげていってほしいというものになります。
 具体的には、地域の構想区域ごとに適正な病床数になっていくようにしたときに、精神科の病床数には余剰分があるので、人的資源が創出されると思うのですが、創出された人的資源を削減するのではなく、精神科医療の診療報酬や人員配置基準等を見直し、今よりも看護師等の方たちの配置等を増やして、手厚い精神科医療を提供できるようなことに結びつけてほしいというものになります。そうしたよりよい精神科医療を提供しようとしている精神科病院をバックアップする観点の先に、例えば精神科医療で私たちがゼロを求めている身体的拘束等をはじめとする行動制限がなくなっていく未来を国民に示していただき、私たちが精神科医療を必要とするときに、いざというとき安心して頼りにできる精神科医療となるように皆で知恵を出し合い、協力し合っていきたいと思っています。
 ありがとうございます。
○尾形座長 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。
 ほかはいかがでしょうか。
 吉川構成員、どうぞ。
○吉川構成員 日本精神科看護協会の吉川でございます。看護者の立場から少し意見と感想も含めて述べさせていただきたいと思います。
 今回の議論をまず考えたときに、資料の8ページ、9ページ辺りに精神保健医療福祉の改革ビジョンということで、当初は精神医療の課題に精神医療の特色を踏まえた、精神科の独自の施策を展開して、それによってここまで進んできたところがあると思います。ただ、最近ではかなり精神医療のニーズも変化してきていますし、精神科医療看護に求められる役割も変化してきていますので、今後の時代を考えますと、我々看護者としても新たな地域医療構想に書かれているような入院医療だけではなく、外来・在宅医療、介護、今回福祉も入ると思われますけれども、そういった連携を含む地域完結型医療の構築というものを精神科医療・看護も基本として考えていくことが非常に大事ではないかなと思っています。
 その上で、先ほど北村構成員もおっしゃいましたけれども、精神科看護で今非常に課題になっていますのは、長期入院患者さんの高齢化に伴う身体ケアというもの。非常に今、看護の中でも比重が高くなってきています。精神科病院・病棟の中での身体ケアを行う機能がなかなか整っていないというところがあります。これは人員的にもそうですし、例えば設備であるとか機器の面を考えましても、さらに高齢化が進んでいったときに、本当に看護の対象となる方々に必要な医療・看護が提供できるのかというところは、我々看護職としても非常に大きな不安を抱えていますので、今回の示されている中にも、一般医療と精神医療を一緒に考える場を持つであるとか、そういった体制をつくるということが書かれていますので、そこはかなり我々看護者としても期待をしているところです。
 それともう一つは、精神科看護もこの10年ぐらいで、かなり地域で役割を発揮するようになりましたので、今回も入院医療だけではなくて、外来・在宅、地域を含めて医療提供体制を考えていくということですので、そこに関してもぜひ進めていただけるように期待をしてるところです。
 以上になります。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
吉川構成員、どうぞ。
○吉川構成員 すみません。もう一つだけありました。もう一つ思っているのが、今回、医療機関の機能であるとかそういった表現が出てくるのですが、我々専門職が考える機能というものが、必ずしも地域住民から見たときにはわかりにくい。そもそも、ここの精神科病院はどういう病院なんだろうとか、例えばどういう治療とかどういう役割機能が優れているのかがなかなか分かりにくい、見えにくいと思うのです。それは総合病院や身体科病院に比べると、やはり地域住民の方が精神科病院を評価するとまでは言わなくても、自分が今苦しんでいる、診てほしいと思っているとき、これはどういう病院がいいんだろう、どこに行けばいいんだろうというのがなかなか分かりにくいところがあると思いますので、この機能を考えるときに、地域住民の方からも分かりやすくするということも同時に考えていただければと思います。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、岩上構成員、どうぞ。
○岩上構成員 全国地域で暮らそうネットワークの岩上と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は結構長く精神の検討会におりまして、本後企画課長が精神の補佐だったときですから、平成23年からなのですね。その長きにわたりというのも変ですが、携わっていて、今回この地域医療構想に精神医療を位置づけるというのは大いに賛成したいと思っています。
 小阪構成員の話を借りれば、やはりトップランナーの精神科医療と、そこにもっとよくなりたいと思っている精神科医療、そして、まだ静観しているところがあり、なおかつ多少問題があるところがある。どうしても我が国では、多少問題があるところだけが報道されているので、非常にここで頑張っていらっしゃる方に日が当たらないというのはおかしな話だなと思っています。そういう意味では、地域医療構想に入ってしっかり国民の期待に応える精神科医療体制をつくっていただきたいと思います。
 ただ、古い話になりますけれども、日本は3万床しかない時代に、昭和29年になりますけれども、全国精神衛生実態調査を行って、130万人精神障害者がいて、35万床必要であるということを追い求めて、35万床をつくったわけですね。それにはかなり経済的なサポートがあっての35万床であると認識しています。つまり、今回この精神医療を位置づけるに当たっては、かなりそういった面の報酬上の評価をして、先ほど申し上げた2番目、3番目の精神科医療がよりよい方向に行きたいんだということをしっかり後押しできるようなことが必要であると思っています。それが1点目です。それは皆さん思っていらっしゃることだと思います。
 2点目は、医療計画を作成するに当たって、厚生労働省の精神障害にも対応した地域包括ケアシステム支援事業というのがありまして、私はそこの委員長をしているのですが、これはどういう事業かというと、各都道府県が、にも包括を推進していくためのサポートをするという事業なのです。藤井構成員と共に、医療計画を作成するに当たっても、しっかり精神医療の今後を見据えて、にも包括と連動させて計画を立ててもらいたいという話をここ数年してきています。ただ、いろいろ計画を立てるに当たって、家保構成員にもお話を伺いたいところですが、都道府県の担当者が御苦労されている現状があるということで、何を申し上げたいかというと、この精神障害にも対応した地域包括ケアシステムは、市町村を基盤として、都道府県が支援をするという体制をつくってきているので、かなり地域事情を把握しているという事業になってきていますので、地域医療構想を作成するに当たって、都道府県が精神科領域と一緒にやっていくというのは不慣れなこともあると思いますので、にも包括の取組みと連動させるような仕組みとして、都道府県のことも後押ししていただけるようなことをお願いしたいと思います。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。これも御意見として承りたいと思います。
 ほかはいかがでしょうか。
 藤井構成員、どうぞ。
○藤井構成員 国立精神・神経医療研究センターの藤井と申します。
 地域医療構想に精神も位置づけるということに関しては、ほかの構成員の皆様方もおっしゃっていたとおり、私もこれは大賛成でございます。特に外来や在宅医療に関しても今回対象化するという方向性で、精神科医療に関してもそのような方向性に持っていくということは非常に重要かなと考えています。
 先ほど来、にも包括の話が出てきていますけれども、地域のケア体制をしっかり位置づけるに当たっては、精神科の外来だったりとか在宅の医療が充実していることが重要ですけれども、病床がより適正化されるにしたがって、その需要はさらに増えていくというところもございますし、実際に外来での精神医療を必要としている方は、先ほど資料をお示しいただいたとおりどんどん増えている状況です。家保構成員もおっしゃっていましたけれども、初診待機の問題もかなり深刻になってきておりますので、地域の精神科医療をどのように考えていくかという辺りは、地域医療構想でしっかり検討していくべきだと思います。
 特に医療計画においても診療所の位置づけというのがほとんどされていない状況ですので、でも、実際には精神科の診療所の数は非常に増えていて、地域の医療にしっかり貢献している診療所と、なかなか課題の多い診療所も混在しているような状況で、どのように診療所の機能を考えて地域医療構想の中に位置づけるかというのは、かなり難しいテーマではあるのですけれども、しっかり考えていかなくてはいけないのかなと考えております。
 あとは北村構成員のほうから総合病院精神科のお話もありましたし、身体合併症の話は各構成員かなり重要なこととして位置づけて考えておられるようでしたけれども、やはり私も身体合併症に関しては、高齢化が進むにつれて増えることはあっても減ることはないと思いますので、身体合併症に関してのことを考えても、一般医療と同様に精神医療も地域医療構想に位置づけて検討していくべきだと思います。
 そのときに連携という言葉がたびたび出てくるのですけれども、連携はもちろん重要なのですが、連携だけだとなかなか難しいケースもあります。それは総合病院の有床の精神科が必要な理由の一つだと思うのですが、地域によっては一般の病院で精神科がないところに精神科病院から往診の対診のような形でバックアップ、サポートをするようなシステムをつくっているところもありますけれども、それでも対応が難しい身体合併症の方というのはいらっしゃって、そのような方に対応するのが総合病院の精神科の大きな役割になっていてます。総合病院精神科でなくては診られない方がどのぐらいいて、その需要が満たされているのかということも医療計画なり地域医療構想の中で考えていくというのは、これから必要なのではないかなと思っております。
 あと、介護との連携ということも出てきますけれども、これは厚労省のほうも当然御承知だと思いますが、精神に関しては障害福祉サービスと、あと行政、保健の分野との連携が非常に重要になってきますので、そことの連携も併せて考えていく必要があるかなと思います。
 あともう一つ、小阪構成員のほうから質の話が出ましたので、その件に関してなのですが、医療の質、特に精神医療の質の評価に関しては、結構これまでも研究自体はされてきています。ただ、これが精神医療の質を表すのだという明確なインジケーター、指標に関しては、まだ確立されていない状況ではあります。ただ、自治体病院協議会のほうでは精神医療の質ということで指標を取っておられると思うのですけれども、幾つかの試みがあったりするので、今後のことを考えると、医療の質をどう評価するかというのは、地域医療構想の中で行うかどうかはともかくとして、考えていく必要があると思います。その際に、患者さんの満足度についての言及が小阪構成員からあったと思うのですが、これもすぐにそれを地域医療構想に反映するのは技術的になかなか厳しいと思うのですが、考え方の方向性としては、今、全世界的に患者さんからの報告による指標、Patient-Reported Indicatorというものが質の指標として位置づけられつつあって、私も参加していたOECDの医療の質のグループでも、患者さんが報告する医療の質に関して、どのような指標が適切なのかということをメンタルヘルスの分野でも検討して、実際に今、評価を始めているところですので、そのような世界の動きも視野に入れながら、今後、医療の質を考えていくというような方向性自体は目指すべきかなと思いました。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 江澤構成員、どうぞ。
○江澤構成員 ありがとうございます。
 まず、精神医療を地域医療構想に位置づけることにつきましては、異論なく賛成でございます。特に地域医療構想は医療提供体制についてかなり議論する場だと思いますけれども、これまでもたくさん意見が出ましたが、精神科医療機関同士の連携、それから、まだまだ一般医療機関との連携は必ずしも充実はしていないかなと思いますし、今後、高齢者の患者さんが増えるに当たって、身体合併症をどこでどう受け止めるか。これはこれまでの地域医療構想調整会議では議論していなかったことでございますので、これから精神医療が入るわけですから、当然といえば当然ですけれども、また、そういったところを多くの関係者と平場で議論するというのはこれまでなかったので、今後の調整会議には非常に期待をしております。
 また、一般医療と同様に、外来・在宅医療、介護に加えて、今、藤井構成員もおっしゃりましたけれども、障害福祉との連携。したがいまして、介護や障害福祉の行政担当者とか、あるいは事業所の関係者が一堂に会して調整会議に参加していくということも大変必要だと思いますし、また、以前から退院後1年以内の再入院が多いという問題もありますから、地域の受け皿との連携というのも極めて重要ではないかなと思っております。
 そういった中で、とはいえ、今の地域医療構想調整会議で精神医療の分野が活発に議論できるかというと、なかなか難しいと思います。したがって、やはり精神科の専門性であったり、先ほど御意見が出ました非同意入院が多いというほかの一般医療とは異なる特性もございますので、精神医療に関する協議の場というのは調整会議と別の場で必要ではないかなと思っております。そして、その協議の場が、調整会議と連動して、連携して運営するというものが大変重要ではないかなと思います。
 もう一点、一般医療も同様ですけれども、精神科の診療所あるいは病院の地域偏在はかなり大きいというふうに認識をしています。そういった中で、住民の方が不自由なく医療を享受できるということについて、どのように考えていくのかということは、恐らく一般医療よりもかなり構想区域はより弾力的に地域を検討した幅広いいろいろな選択肢が必要ではないかなと思うのが1点。それから、かなり地域の特性を生かしながらやっていかないと難しいのではないかなと思っていますので、そういったところはぜひお願いしたいと思います。
 そして、今後の議論になると思いますけれども、今、一般のほうでも検討しておりますが、病床機能の報告の名称であったり、その名称に基づいた役割機能というのは恐らくゼロから考えていく必要があると思いますので、その中でかなり、ここにもありますが、データに基づいた推計というのは極めて重要で、一般医療と同様に精神科の病床も今かなり利用率が低下をしてきています。そういった中で、どういうふうに将来の入院患者数の推計、あるいは受療率をどう考えていくのかというのは、またかなりデータに基づいて議論していく必要があると思います。
 それから、今回、一般のほうでもそうですけれども、病床機能の名称とか医療機関機能の名称は、まず前提は国民あるいは地域住民に分かりやすくするためというのが前提になっておりますから、精神医療においても、そういったところは同様かと思いますので、医療機関機能というのもまたこれから一から考えていく必要があるかと思います。
 最後に、以前、「にも包括」のときにはかなり最初の段階で、なぜ「にも」なのかということを私は何度も申し上げた記憶があります。地域包括ケアというのは、そもそも全ての地域住民に対しての地域包括ケアシステムであるのに、精神障害にもというのは非常に違和感を持っておりましたけれども、今回は「にも構想」ではなくてよかったなと思っております。何を申し上げたいかというと、あまり精神医療とかを特別視することなく、もちろん先ほど行った非同意入院とか大変深刻な状況もありますから、そういったデリケートな部分も踏まえながら、患者さんの立場になると、たまたま精神疾患になられているであろうし、そして高齢になって、普通の一般の患者さんと同様に身体合併症も併発するわけです。生活習慣病も出てきますから、そういった形で患者さんを、ある意味では複合的なニーズのある患者さんをどこでどういうふうに支えていくのかという視点が重要で、しっかりとそういった意味で幅広く、広い視野で議論していただければと思います。ありがとうございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、北村構成員、どうぞ。
○北村構成員 何回もすみません。
 数年前にかかりつけ医の先生が精神科医療に何を期待しているかという調査というか研究をしたことがありまして、その結果、僕が思う以上に非常に好意的というか、精神科医療と関わりたいとか、一緒に勉強会をしたいという意見が結構多かったのです。彼らは精神科医療が何をやっているかが分からないということもありますけれども、コメディカルスタッフが何をしているかとか、それから精神保健福祉の仕組みがどうなのかということにかなり興味があって、それは恐らく認知症関係で少しずつは分かってこられているみたいですけれども、一般の病院勤務医はあまり関心がないかもしれませんが、開業医の先生方が非常にそういうことに関心があるということを知って驚いたことがありまして、地域の勉強会とかをどんどん広げていこうかなと考えておるところですが、それが1点。
 それから、もう一点は、先ほど小阪構成員とか藤井構成員がおっしゃっていた医療の質です。臨床指標に関して、全自病で藤井先生がおっしゃったとおりいろいろやっていまして、精神科の臨床指標を考えるプロジェクトチームというのを今立ち上げたところなのですが、小阪構成員もおっしゃったとおり、やはり臨床指標をやるときはどうしてもストラクチャーに関する、要するに救急車を何台受け入れたとか、何とかの病気を何人入れたとかいうことにどうしてもなりがちなのですが、精神科で一番大切なのはプロセスだと思うのですけれども、プロセスをなかなか指標として表すのは難しいということで、諸外国でやられております患者の経験値を数値化するみたいなものがあります。要するに、患者が困ったときに看護師さんがすぐ話を聞いてくれたかとか、あなたの主治医の説明は満足いくものだったかどうかとか、そういうのがあるのです。これは一般科のものなのですけれども、オーストラリアの12項目ぐらいのものがあるので、当院ではそれを翻訳して、今年から早速、外来患者と入院患者にやってみました。我々としたら非常に自信満々でやったというか、5段階評価なのですけれども、かなりの率で満足できるになるかなと思ったら全然そんなことなくて、まあまあというところで6~7割はいきますけれども、入院患者の中で全く看護師さんが話を聞いてくれなかったとか、安全に関して守られていなかったみたいな結果も出まして、非常に反省しているところなのです。
 ですから、今回の議論とはちょっと違うのかもしれませんが、患者の経験値を測定するということを研究して、それで精神科病院の質を評価するというのはいいと思いますし、日本病院会のQIプロジェクトが精神科病院に限らず患者の経験値の測定を始めています。トイレがきれいであるかどうかとかそういうことも含めてやっておりますので、やはり日本の医療もそういう時代なのかなと考えている次第です。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 小阪構成員、どうぞ。
○小阪構成員 ありがとうございます。日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の小阪です。
 藤井先生と北村先生、私が知らないことを教えてくださってありがとうございます。医療の立場の方から、医療の質について前向きな言葉をいただけて心強いなと思って、それだけではなくて、今日構成員の方が発言してくださることを聞いて、当事者としてお世辞を言うつもりは全くないのですけれども、未来はそんなに悪くないなという気持ちになれて、うれしいなということが1つです。
 2点、当事者の立場として参画しているのでお伝えしなければならないと思っていることがあります。1点目は、精神病床は余剰があるというふうにデータ上は示されていると思うのですけれども、一方で、入院調整が非常に難航する患者さんがいらっしゃるのですね。だから、その調整をしているときに本当に病床って余っているのかなと思うときがあって、単純に数字だけでははかれない患者さんにどう医療を届けるかという観点は欠かせないかなと思いました。
 それから、2点目は、このプロジェクトチームで議論すべきなのかどうかちょっと分からない中で申し上げるのですけれども。
 と思ったのですけれども、すみません。ど忘れしてしまったので、ここで終わります。
○尾形座長 よろしいですか。それでは、思い出されたらまた手を挙げてください。
 ほかはいかがでしょう。よろしいですか。
 それでは、私から、一委員として1点要望であります。このプロジェクトチームの趣旨は言うまでもなく、精神医療を新たな地域医療構想に位置づける場合の課題等を検討するということですけれども、改めて地域医療構想の基本的な考え方を考えてみると、やはり地域における様々な相違、差異、いわゆる地域差についてはある程度前提として考えていくということだと思います。構想区域ごとにそういった地域差を前提としていろいろ考えていこうということだと思うのですが、精神医療についても恐らくこういった地域差という視点は重要ではないかと思います。
 ところが、今日の資料1を拝見すると、日本全体のデータは示されているのですけれども、地域差に関するデータがほとんど出ていないのですが、やはり地域医療構想に位置づけるということを議論するのであれば、これではちょっと足りないのではないかという気がいたします。次回、そういった精神医療の地域差のデータをできる範囲で結構ですのでお示しいただければと思います。これは要望ということです。
 ほかはいかがでしょう。小阪構成員、思い出しましたか。
 今日は1回目ですので、どうぞ自由に幅広い観点から御発言いただければと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、ほかに特に御意見等はないようですので、本日の議論は以上とさせていただこうと思います。
 事務局におかれましては、本日いろいろ貴重な御意見を賜ったと思いますので、次回、今日の御意見を踏まえた議論をさらに深めることができるように資料等の準備をお願いしたいと思います。
 最後に、事務局のほうから何かございますか。どうぞ。
○淺野地域医療計画課課長補佐 最後に、野村障害保健福祉部長より皆様方に一言御挨拶させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○野村障害保健福祉部長 障害保健福祉部長の野村でございます。ちょっと国会関係用務等ございまして、遅れて参りまして、申し訳ありませんでした。
 本日、御多忙のところ、第1回「新たな地域医療構想において精神医療を位置付ける場合の課題等に関する検討プロジェクトチーム」に御出席をいただきまして、また、いろいろ御意見、御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。
 また、構成員の皆様方におかれましては、平素より医療行政や障害保健福祉行政の推進に御理解、御尽力を賜っておりますことに厚く御礼を申し上げたいと思います。
 この新たな地域医療構想でございますけれども、2040年頃を見据えて、今後の人口構造のさらに大きな変動などに対応するために、地域の医療体制全体を見ながら、どのようなことをこの地域医療構想に落とし込み、書き込んでいくべきだろうかということを念頭に、新たな地域医療構想に関する検討会を設置して、議論を深められているところでございます。そうした中で、精神医療でございますけれども、これまでも精神障害のある方の退院促進であるとか地域移行、地域生活支援でございますとか、精神科病院における病床の適正化、機能分化などの施策を推進してきたところでございます。
 その中で、先ほど議論の中でも出てきました精神障害にも対応した地域包括ケアということではあったのですけれども、ただ、今回はやはりこういった地域医療の在り方そのもの全体を見てどうしようかということが新たな地域医療構想として議論されているということでございますから、これまでの地域医療構想の中では、確かに精神病床に関する必要量の推計でございますとか、あるいはこういった機能報告といったものは、今までの医療構想の中で含まれていないところではございましたけれども、これまでの精神医療に関する施策なども踏まえながら、新たな地域医療構想の中で精神医療等を位置づけていく場合にはどういった課題があるのだろうかということで、今日事務局から資料を御説明申し上げて、構成員の皆様方からいろいろな御意見を賜ったところでございます。
 やはり地域の医療として、さらには関連する行政であったりとか介護、障害、福祉、その他もろもろとどのようなつながりを持って面をつくっていくのかということだと思いますので、こういった観点からも構成員の皆様方におかれましては、引き続き忌憚のない御意見を賜れれば幸いに存じますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
 今日はちょっと遅参してまいりましたが、おわびを申し上げて、私の御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○淺野地域医療計画課課長補佐 事務局より最後にお知らせをいたします。
 次回の検討会につきましては、詳細が決まり次第、御連絡をいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、本日の検討会は以上とさせていただきます。皆様、大変お忙しいところを長時間にわたり熱心な御議論をいただきまして、どうもありがとうございました。