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第33回肝炎対策推進協議会 議事録
健康・生活衛生局がん・疾病対策課肝炎対策推進室
日時
令和6年10月11日(金)10:00~12:00
場所
航空会館ビジネスフォーラム
( 東京都港区新橋1−18−1 航空会館地下1階B101号室)
出席者
- 委員
- 秋山 実(健康保険組合連合会理事)
- 出田 妙子(薬害肝炎原告団)
- 及川 綾子(薬害肝炎原告団)
- 及川 勝(全国中小企業団体中央会常務理事)
- 考藤 達哉(国立研究開発法人国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター長、肝炎情報センター長)
- 小池 和彦(公立学校共済組合関東中央病院長)
- 郡山 千早(鹿児島大学大学院医歯学域医学系医歯学総合研究科疫学・予防医学教授)
- 坂上 博(読売新聞調査研究本部主任研究員)
- 坂本 泰三(公益社団法人日本医師会常任理事)
- 鹿野 さゆり(全国B型肝炎訴訟東京原告団)
- 竹原 徹郎(大阪大学大学院医学系研究科教授)
- 辰巳 創史(全国B型肝炎訴訟大阪原告団)
- 中島 由紀子(日本肝臓病患者団体協議会)
- 新沼 かつら(日本労働組合総連合会労働条件・中小地域対策局長)
- 西垣 明子(長野県健康福祉部衛生技監兼木曽保健福祉事務所所長)
- 日浅 陽一(愛媛大学大学院医学系研究科教授)
- 村松 正道(公益財団法人神戸医療産業都市推進機構先端医療研究センター感染症制御研究部長)
- 山﨑 喜彦(日本肝臓病患者団体協議会)
- 山下 輝夫(兵庫県保健医療部長)
- 是永 匡紹(国立研究開発法人国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター肝炎情報センター肝疾患研修室長)
議題
(1)令和7年度肝炎対策予算概算要求について
(2)肝炎医療コーディネーターについて(及川綾子委員)
(3)肝炎ウイルス検査受検及び受診等に関する研究報告について(是永参考人)
(4)その他
(2)肝炎医療コーディネーターについて(及川綾子委員)
(3)肝炎ウイルス検査受検及び受診等に関する研究報告について(是永参考人)
(4)その他
議事
- 議事内容
- ○安田肝炎対策推進室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第33回「肝炎対策推進協議会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
私、厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課肝炎対策推進室長の安田と申します。冒頭の議事進行を担当させていただきます。
本日の協議会は、委員の皆様におかれましては、対面とオンラインを併用したハイブリッド形式で開催させていただきます。また、傍聴される方やメディアの方に対してはYouTube配信をさせていただきます。
本日は、ウェブ上で御参加される方もいらっしゃることから、接続状況により画像・音声が乱れる場合がございますので、あらかじめ御承知おきいただきますようお願い申し上げます。
それでは、開会に当たりまして健康・生活衛生局長の大坪から御挨拶をさせていただきます。
○大坪健康・生活衛生局長 御紹介いただきました厚生労働省健康・生活衛生局長の大坪でございます。
今日も多くの皆様に御出席をいただきまして、また多くの方に対面でもこの場に御参画をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、事務局のほうから、まず令和7年度の肝炎対策の予算の、今、要求をしております概要につきまして御報告をさせていただきます。その後に、本日は、及川綾子委員より肝炎医療コーディネーターについて御報告をいただくこととしております。また、是永参考人からは政策研究の現在の御報告をいただくこととしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
また、長きにわたりまして、小池会長におかれましては、肝炎対策の座長を引き継いでいただきまして御指導いただきましたことに感謝を申し上げます。小池会長以下、及川綾子委員、また鹿野さゆり委員、後藤千代美委員、中島由紀子委員、村松正道委員におかれましては、本日のこの協議会が委員として御参画をいただく最後と承知しております。長きにわたります御指導、御尽力にこの場をおかりして心からお礼を申し上げます。ありがとうございます。
では早速、本日も皆様方から忌憚のない御意見、御立場からの御意見をいただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○安田肝炎対策推進室長 ありがとうございました。
会議の進行に当たり、委員の皆様にお願いがございます。会議中、マイクはオフにしていただきますようお願いします。また、御発言を希望される方におかれましては挙手、あるいはオンラインでの参加の場合は、ZOOMの画面下にリアクションのボタンがありますので、そこをクリックしていただきまして、挙手ボタンを選択いただきますようお願いします。その後、会長より指名されましたら、マイクをオンにしていただきまして御発言をお願いいたします。また、御発言の際にはお名前を名乗っていただきまして、できればゆっくりお話しいただければと思います。
また、より多くの委員の方々から御発言いただきたいと思いますので、できれば簡潔に御発言いただければ幸いでございます。操作などの御質問がある場合は事務局までお問合せいただければと思います。
続きまして、委員の出席状況について申し上げます。
伊藤悦郎委員におかれましては、6月5日付で退任されまして、後任に秋山実委員が着任されております。また、清古愛弓委員におかれましては、8月23日付で退任され、後任に西垣明子委員が着任されています。また、今村英仁委員におかれましては、8月23日付で退任され、後任に坂本泰三委員が着任されております。
また、本日は後藤委員から御欠席の御連絡をいただいておりまして、20名のうち19名の委員に御出席いただいております。また、本日、参考人として国立研究開発法人国際医療研究センター肝炎情報センターの是永匡紹先生に御出席をいただいております。
本日、定足数に達しておりますので、本日の会議は成立いたしますことを御報告いたします。
次に、事務局でも異動がございましたので、紹介いたします。
まず、健康・生活衛生局がん・疾病対策課長の鶴田でございます。
また、改めまして、私、肝炎対策推進室長の安田でございます。
以下、がん・疾病対策課肝炎対策推進室の担当職員が本日出席させていただいております。
続きまして、本日の資料について確認させていただきます。まず、議事次第、委員名簿、座席表、配付資料一覧、それぞれ一枚もの4枚。それに、資料番号を振っております資料1から資料4まで。特に資料4については、枝番を振っておりまして、資料4-1、4-2、4-3となっております。そのほかに参考資料として、参考資料1から参考資料7まで配付させていただいております。不備等ございましたらお申しつけいただければと思います。
よろしいでしょうか。
また、この後議事に入らせていただきますが、ここまでのところで、接続状況の不具合や操作方法等で御質問ございましたら、併せてお申しつけいただければと思います。
よろしいでしょうか。
では、以後の議事進行につきましては小池会長によろしくお願いしたいと思います。
○小池会長 会長の小池でございます。皆様、本日はよろしくお願いいたします。
それでは早速議事に入らせていただきます。本日の協議会では、事務局より令和7年度肝炎対策予算概算要求について御説明をいただきます。また、及川委員より肝炎医療コーディネーターについて御発表、是永参考人より研究成果の御発表をいただくこととしております。また、参考資料として、9月に開催された全国B型肝炎訴訟原告団、弁護団と大臣の定期協議に係る議事録がございます。
それではまず、議題(1)令和7年度肝炎対策予算概算要求について、これは事務局のほうから資料の御説明をお願いしたいと思います。
○安田肝炎対策推進室長 事務局です。改めまして、安田から説明をいたします。
資料1を御覧いただきたいと思います。「基本的な考え方」のところに記しておりますが、肝炎対策につきましては、肝炎対策基本指針に基づきまして、肝硬変、肝がんへの移行者を減らすことを目標として5つの柱で推進をしておりまして、これに基づきまして、令和7年度概算要求において総額173億円を計上しております。
まず1つ目の柱として、「肝疾患治療の促進」ということでございます。肝炎治療の医療費助成、あるいは肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業、合わせて82億円となっております。昨年度より減額となっております点につきましては、C型肝炎について、根治薬であるインターフェロンフリー薬によりましてウイルス排除が可能となっていると、こういったことも背景として患者数が減少しているということもありまして、実態に応じた必要な予算額を確保してまいりたいと考えております。
2つ目として、「肝炎ウイルス検査と重症化予防の推進」、これで39億円、3つ目の柱として、「地域における肝疾患診療連携体制の強化」、これにつきましては5億円、4つ目として、「国民に対する正しい知識の普及」、これにつきましては2億円、最後の5つ目として、「研究の推進」ということで、こちら、45億円となっております。
令和7年度概算要求についての御報告は以上となります。
○小池会長 どうもありがとうございました。ただいまの件に関しまして御意見、御質問をお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
現段階で要求ということですね。研究の推進が7億増えるというわけではなくて、これはそういう要求をしているという理解でよろしいですかね。
○安田肝炎対策推進室長 事務局です。そのとおりでございます。
あと、会長、すみません、会場で中島委員から挙手ありますので、御指名お願いします。
○小池会長 中島委員、失礼しました。どうぞ発言ください。
○中島委員 ありがとうございます。資料1の令和7年度肝炎対策予算概算要求の概要の5.研究の推進について発言いたします。申し遅れました。日肝協、中島と申します。よろしくお願いいたします。
WHOは2030年までにウイルス性肝炎を撲滅するとの戦略を全会一致で採択し、世界中で肝炎を抑制するための政策を積極的に実施する必要があると宣言いたしました。その目標の達成には、とりわけB型肝炎を根治できる画期的な治療薬は欠かせないと考えます。その薬の到来を、日本のみならず、世界中のB型肝炎患者が待っています。
参考資料5の肝炎研究事業でも、多くの先生方が様々な研究に取り組んでおられ、成果を上げるためには十分な研究予算が必要です。令和7年度こそは要求額の45億円の予算を確保し、肝炎研究事業において大きな成果を上げていただきたいと思います。45億円の予算を確保するための具体的な方策をお聞かせください。
以上です。
○小池会長 ありがとうございました。それでは、事務局のほうからお願いいたします。
○安田肝炎対策推進室長 事務局です。
御意見、御指摘ありがとうございました。先ほど会長からも少し御指摘いただきましたが、資料1の5の「研究の推進」、45億円の後ろ、括弧書きのところ、これは今年度の予算額になっておりまして、約7億円の増額で、ただ、これは厚労省として要求をしているという段階のものです。これは年末にかけて、政府として、あるいは財政当局と調整をして最終的な予算になるということなのですけれども、厚労省としては増額で要求をして、これを何とか政府内の調整、あるいは財政当局の調整において、その必要性を十分に訴えた上で額として確保していきたいと考えているところでございます。
○小池会長 ありがとうございます。
○中島委員 ありがとうございました。
○小池会長 ほかにどなたかから御質問、あるいは御意見がございましたら。会場にいらっしゃる方の挙手が、私の画面からは見えません。今のところ会場からは大丈夫ですか。
○安田肝炎対策推進室長 はい。
○小池会長 ウェブ参加の委員から挙手は、今のところないようですね。よろしゅうございますか。
それでは、次の議題に移りたいと思います。議題(2)肝炎医療コーディネーターについて、及川綾子委員から御発表いただきます。資料2を御覧ください。では、及川委員、よろしくお願いいたします。
○及川(綾)委員 よろしくお願いいたします。患者肝炎コーディネーターとして、患者の思いをお話ししたいと思います。薬害肝炎全国原告団、NPO法人東京肝臓友の会の及川綾子と申します。
目次です。最初に、肝炎医療コーディネーターの養成・活用の一部改正についてお知らせいたします。今日の参考資料にも入ってございますが、令和5年2月に、都道府県知事宛てに出された通知です。拠点病院をはじめとした医療関係者や肝炎患者等の意見を聞いて、都道府県の実情に応じたものに工夫されたいと書かれております。
また、患者コーディネーターの役割への理解として、患者会会員等においては、肝炎患者やその家族の経験や思いに共感して、当事者の視点で橋渡し役になることが期待されるとあり、患者やその家族等の話を直接聞く機会を設けることなども積極的に検討されたいとあります。
この点につきまして、第31回肝炎対策推進協議会におきまして、米澤元委員が発表されました。本日はこの米澤委員の発表を受けまして、患者肝炎コーディネーターの思いをお話しさせていただきたいと思います。これは東京都の肝炎医療コーディネーター養成研修会で、医療者の研修会の中でお話をしている内容でございます。また、薬害肝炎全国原告団が行っています薬害の再発防止の講義とは異なるということを御承知いただければと思います。
自己紹介です。私の現在行っている活動は、薬害肝炎原告団として、厚労省の偏見・差別の研究班の研究分担者でもあります。それから、日本肝臓病患者団体協議会や全国B型肝炎訴訟原告団の方たちとともに、よりよいウイルス肝炎対策を進める活動もしております。また、いろいろな大学で薬害防止の事業も行っております。それから、NPO法人東京肝臓友の会では電話相談のお手伝いもしております。
私は小さいときから夢だった小学校の教師をしておりましたが、C型肝炎の治療のため入退院を繰り返す日々が続いて、常勤の仕事は辞めざるを得ませんでした。7回のインターフェロン治療でようやく2012年にウイルス排除、現在は年3回の経過観察通院中です。治療の副作用で罹患したバセドウ病やシェーグレン症候群はいまだに治療中です。患者コーディネーターの資格を取ろうとしたのは、長い闘病生活の間で、患者の悩みや思いに共感してくれる人がそばにいてほしいと強く思ったからです。
私は、患者として、東京在住ですので、東京都の肝炎対策医療コーディネーターを取りました。そして、通院している病院が千葉県にありますので、千葉県の肝炎医療コーディネーターの資格も取らせていただきました。C型肝炎患者として,ウイルス性肝炎患者として、少しでも患者の役に立てればという思いがあります。
私の闘病生活についてお話しします。私は、1987年に双子を出産しました。男の子と女の子の双子です。いざ出産となるとかなりの難産で、最初に産声を上げたのは男の子のほう。ここまでは順調でした。第二子の女の子は仮死状態で産まれました。私は苦しい出産の中、この子はもうだめなのかしら、どうなっちゃうのかしらと不安でいっぱいでした。
娘のことを心配しながら、私は出産後の出血と闘っていました。いわゆる弛緩出血です。後に知りましたが、このときの出血量は3600ミリリットル、大出血です。もうろうとした私の耳に担当医の言葉が聞こえてきました。「だめだ、もうどうしようもない。出血が止まらない」。今思い出しても怖いです。心底、死ぬかもしれないと思いました。
このときに止血剤としてフィブリノゲンを使用されていたことは知らされていません。私のように、フィブリノゲンが原因で肝炎になった患者は1万人以上いると言われています。しかし、感染原因が特定されるC型肝炎患者はほんの一部です。感染原因も感染時期も明確ではないC型肝炎患者がほとんどで、90万人から130万人いると推定されています。
さて、私は、大出血後、長い間意識を失っていたようです。気づいたときには夫がそばにいて、娘が何とか助かったと聞いて安堵した覚えがあります。2週間入院して、退院の際、主治医から、かなりの量の輸血をしたので肝炎になるかもしれません。皮膚が黄色くなったり白目が黄色くなったりしたら黄疸ですので、すぐに病院に来てくださいと説明がありました。
聞いたときは、「肝炎?」とか、「黄疸?」とか、私には全くなじみのない言葉で、さほど重大なことだとは思いませんでした。子供2人を連れて帰り、家族4人の生活がやっと始まったのもつかの間、退院して数日もしないうちに発熱し、強い倦怠感に襲われました。体がだるく、ベッドから起き上がることすらもできません。こんなことは生まれて初めてです。言われていた黄疸が出てきました。すぐに受診すると、肝臓が悪くなっています、急性肝炎です、すぐ入院してくださいと言われました。どうなっちゃうんだろう、「急性肝炎? 入院?」、不安を覚えました。
入院中につらかったのは、産まれたばかりの2人の子供に母乳をあげられなかったことです。主治医からは、薬を投与しているので母乳は控えてくださいと言われてしまったのです。回りのお母さんたちは皆母乳を飲ませているので、子供たちに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。あげられない母乳でお乳が張るので、自分で絞って捨てていました。こんなに切ないことはありません。一旦退院となっても、検査で肝機能値が悪化するとまた入院でした。その繰り返しの日々が続きました。子供たちは母親がまたいなくなることを雰囲気で知ると、2人でわんわん泣き出していました。その顔が忘れられません。
入退院を何度か繰り返していると主治医から、慢性肝炎になってますねと言われました。今のところ抜本的な治療法はない、しばらく様子を見ましょうということでした。今後どうなるのですかと尋ねると、10年、20年と長い時間をかけて、慢性肝炎から肝硬変へと進んでいきます、やがては肝がんになることもありますとの説明でした。「慢性? 治らない?」、将来的には肝がんになるかもしれない病気なんだと、とてもショックでした。
出産をきっかけに一時辞めた先生の仕事は、出産後に落ち着いたら復職するつもりでした。しかし、肝炎に感染して治療を始めれば仕事を休まざるを得ません。できるのは非常勤講師まででした。結局、教育の現場に正式に復帰することはかないませんでした。
私の治療歴です。インターフェロンの治療を繰り返しました。1回目は1989年。このときはまだインターフェロン治療が承認されておらず、治験の治療でした。2回目は1992年、3回目の治療は1994年、2か月入院して、週3回の治療を半年続けるというものでした。その頃、インターフェロンでウイルス排除ができた方はほとんどいなかったのですが、治療すれば、もしかしたら治るかもしれない、治る可能性が低くても治療してみようと思ったのです。
入院中もつらいのですが、退院後の通院による治療もきつかったです。インターフェロンは、もともと抗がん剤として開発されたと聞いています。副作用は想像以上のものでした。大学病院までは片道2時間のところにありました。午前中にインターフェロンを打って、帰るときに既に副作用が出始めています。帰りの電車でじわじわっと悪寒が強くなって、節々が痛み始めて高熱が出ていました。ようやく家に着けば這うようにベッドにたどり着き、体を横たえるしかありませんでした。副作用との闘いだけの日々が続きました。結局、3回の治療とも効果はありませんでした。3回の入院病室は大部屋でした。消化器内科の病棟です。同じ病室には重度の肝硬変の患者さんがいて、ある晩、その患者さんが大量の血を吐きました。肝硬変から来る食道静脈瘤の破裂です。その患者さんは別室に運ばれて、その後戻ってきませんでした。亡くなられたのです。自分もああなるんだと思うと、死ぬということがこのとき初めて現実味を持って迫ってきました。
当時の私はまだ30代で、まだ死んでも死に切れません。何とかこの病気を治したいと思いました。同病室の肝硬変の患者さんが亡くなるという経験は、入院のたびにしました。そのたびに死への恐怖は増していきました。
その頃、私の病状は肝機能値が上昇し、血小板値が次第に下がり、脾臓の肥大化を指摘されるようになりました。体はいつもだるく、頻繁に足がつります。肝硬変に移行しているのではないかと不安になってきたのもこの頃です。感染したのが1987年、主治医の言っていた言葉を思い出します。10年、20年と長い年月をかけて肝硬変へと進んでいく、その20年が経過しようとしていました。
先生から、いい治療法があるからと勧められ、4回目の治療、2007年です。インターフェロンとリバビリンの併用治療でした。主治医によれば、リバビリンでインターフェロンの効果は高まるが、副作用は今までよりも強いかもしれないとのことでした。3週間入院して、退院後は週1回のペースで72週間、1年半の治療でした。この4回目の治療は地獄でした。自覚症状を挙げてみます。発熱、下痢、不眠、咳、発疹、めまい、頭痛、関節痛、吐き気、舌のしびれ、味覚障害、食欲減退、脱毛、貧血。これらを抑えるためにまた新たな薬が処方されました。対症薬だけで十数種類の薬を飲んでいました。それくらい、副作用がひどかったです。
かつらをつけなければいけないほどの脱毛もかなりのストレスでした。メンタル面にも副作用が出始めました。十分に寝ることができず、うつ症状が出始めました。あれこれ出口のない考えに苦しめられました。全てを投げ捨てて逃げ出したい。でも、逃げられない。自分がいなくなればと頭の中で悪いほうへ、悪いほうへと考えが進んでいきました。一人で泣きながら夜道をさまよったことも何度もありました。3回目までの治療に耐えた私ですが、4回目の治療では、もう治療はやめたいと思いました。自分から中断しなかったのは、死にたくなかったからです。
それでも、治療開始から28週目、初めてウイルスが陰性化しました。しかし、日を追うごとに副作用が強くなっていきました。体重は7キロ減り、手足が頻繁につります。口はこわばり、うまくしゃべれません。全身の痙攣で動けなくなり、とうとう救急車で病院に運ばれました。
64週目、72週目まであと8週間というところでした。治療中断、ドクターストップです。治療を中断した途端にウイルスは陽性化しました。せっかく初めてウイルスが陰性化したのに。私は半狂乱になりました。
5回目の治療でも、一旦ウイルスは陰性化しましたが、バセドウ病を発症し、また治療ストップです。治療を中断するとウイルスは陽性化してしまうことを繰り返しているうちに、自暴自棄になってきました。どうせ治らない、治療だけの毎日ごろごろしている生活で、ただ怠けていると思われているのがとても嫌でした。普通に仕事や子育てをしている方がとてもうらやましかったです。この頃、ブログで同じ治療をしている仲間のことを知りました。同じ治療で苦しんでいる方、私と同様に何度治療しても治らない方、肝がんで苦しんでいる方、つらいのは私一人ではないということを知りました。仲間がいるということがこれほど生きる支えになるとは思っていませんでした。こうして私は治療の意欲を再び取り戻しました。
6回目の治療もだめでしたが、その頃、C型肝炎の治療薬はたくさん開発されつつあるということを患者会からの情報で知りました。最後の7回目の治療は、インターフェロン、リバビリンに加えて、シメプレビルという抗ウイルス薬の併用の治療でした。この治療では、治療開始早々にウイルスが陰性化し、ようやくウイルスを完全に排除できました。
診察のたびに、またウイルスが陽性化してしまうのではないかとびくびくでした。治療終了後から半年後の診察で、主治医から、今度こそ完全にウイルス排除できましたね、頑張りましたねと言われました。私は泣きながら、先生に何度も頭を下げました。
廊下へ出ると、いつも励ましてくださっている看護師さんがいて、看護師さんの目にも涙が浮かんでいました。治ったということを一緒に喜んでくれる人が家族以外にもいるということがとてもありがたくて、うれしかったです。
25年間の本当に長い、つらい治療でした。15回以上に及ぶ入院、7回のインターフェロンの治療では600以上のインターフェロンも注射してしまいました。バセドウ病やシェーグレン症候群という肝臓以外の病気も併発してしまいました。治療費も大変で、貯金を食いつぶしました。大好きだった先生の仕事も失いました。子育ても何もできなかったです。でも、私はこうして生きています。肝炎患者は私よりもっともっと大変な思いをされている方がたくさんいます。
長い闘病生活の中で、治療が続けられた理由はたくさんあります。同病室の肝硬変の患者さんの死と、自分が治療していないと病状が進んでしまうのではないかという死への恐怖感、それから、主治医が信頼できる先生だったこと、いつも私の治療を一緒に親身に考えてくれていました。それから、看護師さんの励まし、また、家族の支援がなければ治療は続けられません。そして、患者仲間との出会いは治療への意欲を取り戻すことができました。患者会からの情報提供もありがたかったです。国の医療費助成やウイルスを排除する治療薬が開発されたことも治療が前向きになれた理由です。
次に、C型肝炎患者の悩みについてお話しします。C型肝炎はウイルスが排除できるようになりましたが、SVR後の悩みがあります。ウイルスを排除しても、線維化が進んだり、肝がん発症を繰り返す患者が私の回りにもたくさんいます。また、肝外病変といって、肝臓病以外の病気を併発してしまう患者がいます。私もその一人です。C型肝炎は治るのに、と言われますが、大変ストレスです。それから、C型肝炎ウイルスを排除しても、抗体が陽性になることから、健康診断や術前検診の結果を受けて、ウイルス再燃の誤解をしてしまう患者が少なくありません。患者自身も自分で知っておくべき知識だとは思いますが、肝臓専門医以外の医療関係者からの指摘が少なくありません。患者さんは慌てて電話をかけてこられるのです。C型肝炎ウイルス抗体は、ウイルスが排除されても陽性になるということを医療者の皆さんに知っておいていただきたいと思います。
次に、偏見・差別についてお話しします。主治医から初めてC型肝炎が感染症であるということを聞いたときに、私は言いようのない不安を覚えました。人に感染させたくないというのはもちろんですけれども、偏見の目で見られたくないと強く思いました。感染症という言葉がとっても重いです。それを聞いたとき、家族に感染していないかどうか、すぐに検査しました。もちろん家族は感染しておりませんでしたが、出血したときの処理には大変に気を使いました。
私の回りでも、C型肝炎ということで離婚させられたり、孫を抱かせてもらえなかったり、村八分になった方がおられます。私自身も、肝炎であることを知られたくなくて、家族とごく親しい友人にしか感染の事実を告げておりませんでした。治療中に薬局で薬剤師さんに薬を渡される際に、「肝炎?」とか、「インターフェロンの副作用?」とか、そういう言葉を言われると、とっても嫌でした。誰かに聞かれてしまっているのではないかという、自意識過剰なのかもしれないですけれども、それが肝炎患者のデリケートな心ではないかなあと思っています。
学校の講師をしている際に肝炎のことを打ち明けたときに、とても嫌な顔をされました。生徒にうつるとまずい、肝炎ということが保護者に分かるとまずいと言われました。感染についての正しい知識が社会に広まってほしいと思いますし、患者の切ない心を理解して、少しでも知っていただけたらと思います。正しい知識を知っていただくことはもちろん第一だと思いますが、それだけでウイルス肝炎患者への偏見・差別がなくなるとは思いません。言葉かけ一つで、振る舞い方一つで、患者の心は傷つくからです。
国の法律、肝炎対策基本法に基づいて、2年半前に肝炎対策基本指針が改定されました。その指針には、人権の尊重のところで、肝炎患者等への偏見や差別を解消するために、人権教育の重要性について記載されています。僣越ですが、私は偏見・差別の研究班の分担研究者でもあります。ウイルス肝炎、ウイルス肝炎患者のことを理解していただこうと、偏見・差別の研究班のホームページが立ち上がりましたので御紹介させてください。
この研究班は、国立病院機構長崎医療センター名誉院長の八橋先生が代表者で、そのほかに肝臓専門医、感染症の専門医、法律の専門家、そして米澤さんや梁井さんという肝炎患者も分担研究者です。この後発表される是永先生も分担研究者のお一人です。
ホームページはこのようになっています。この研究班のアンケート調査で分かったのは、偏見・差別の起きる場所として一番多かったのが医療機関だったということです。患者が医療機関で多くの偏見・差別を感じているということです。この事実をもとにこのホームページができ上がりました。肝炎の理解度クイズと偏見・差別の相談事例が主になっています。僣越ながら、理解度クイズの一部を御紹介します。
「C型肝炎患者と一緒に鍋料理を食べたときに感染する確率は?」というような問題が出ています。これはもちろん1番のゼロですね。B型肝炎も同様です。私自身も、治っていなかったときに友人と鍋がつつけませんでした。こうした患者自身の行為も誤解を招く原因だと思いますが、正しい知識は皆さんに知っていただきたいと思います。
次に、こんなクイズです。「C型肝炎患者さんを刺した蚊が、次にあなたを刺しました。あなたがC型肝炎に感染する確率はどれくらいですか?」。これは結構分からない人が多くて、ゼロでないと答える医療学生さん、医者の卵の学生さんが多かったです。これももちろんゼロですね。B型肝炎も一緒です。
このような理解度クイズがたくさん出ております。また、患者からの相談事例も出ています。それから、最近では、感染についての啓発動画もでき上がりましたので、宣伝になりますが、随時追加しておりますので、御訪問いただけたらと思います。肝炎患者がどのような思いでいるか、少しでも医療者の皆さんや社会に知っていただけたらと思います。
患者の視点でのC型肝炎患者の課題。1つ目は、インターフェロンの副作用のトラウマで、二度と治療はしたくないと思っている患者が結構いらっしゃいます。2つ目は、以前、肝機能値がさほど高くなくて、医者から様子見と言われて専門医に行かなかった患者がいます。C型肝炎は飲み薬で簡単にウイルス排除ができるということを知らない患者がまだ結構残っているのです。どうぞ治療につなげてあげていただきたい、私たちのような患者も利用していただきたいと思います。
3つ目に、SVR後に経過観察を怠り、知らない間に重症化してしまう患者がいるということです。C型肝炎はいい治療薬でウイルス排除ができるようになりましたが、いまだに肝がんの原因として一番多いのがC型肝炎です。経過観察の必要性をぜひ伝えてほしいですし、私たちも伝えたいと思います。
最後に、患者が肝炎医療コーディネーターの皆様に望むことを挙げさせていただきます。コーディネーターの存在をぜひ患者に知らせていただきたいです。助成制度や、よい薬があることを知らせてあげてほしいです。そして、患者が気軽に相談できる存在であってほしいです。患者は、基本、一人ぼっちです。ぜひ患者と医者の懸け橋になっていただけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
長いこと御清聴ありがとうございました。失礼いたします。
○小池会長 及川さん、どうもありがとうございました。C型肝炎患者コーディネーターでもある及川さんが患者として非常につらい治療を続けてこられたこと、そして、そのつらい治療を続けられた理由の一つが患者さん仲間との交流であるというお話をいただきました。また、治療がうまくいくようになってもやはり世の中の偏見や差別には苦しめられているということもお話しいただきました。委員の方から何か御質問や御意見ございましたらお願いいたします。
どうぞ、出田委員、お願いします。
○出田委員 薬害肝炎原告団の出田でございます。
及川委員、御自身の壮絶な体験を踏まえた貴重な御報告ありがとうございました。及川さんのおっしゃるように、私たち患者は、感染症であり慢性疾患を抱えて本当に孤独な闘病生活を送っております。そして、たとえSVR後になったとしても、医療機関での定期検査が必要な現状です。おっしゃるように、多くの患者が肝炎医療コーディネーターの支援を待っておりますけれども、せっかく資格を取られても十分に活躍ができていない現状があります。また、養成数の差など地域間格差も生じていることを考えると、好事例に学ぶなど、肝炎医療コーディネーターが活躍できる具体的な手だてを早急に講じていただきたいと思います。
以上です。よろしくお願いいたします。
○小池会長 ありがとうございます。事務局から。
○安田肝炎対策推進室長 事務局、安田です。
御意見ありがとうございました。我々も同じような問題意識を持っております。まさに今、研究班の中でもそういった研究をしていただいておりますので、そういったもの、あるいはその成果物なども見ながら我々としても政策を進めていきたいと思っております。
以上になります。
○出田委員 ありがとうございました。
○小池会長 ほかに御意見。
○安田肝炎対策推進室長 会長、すみません。こちら、日浅委員から挙手があります。
○小池会長 日浅委員、どうぞお願いいたします。
○日浅委員 愛媛大学の日浅です。
本当にすばらしいお話をいただきましてありがとうございます。幾つか、私自身も身につまされたといいますか、ちょっと考えないといけないなと深刻に思いました。1つは、今現在、肝臓専門医がやっていますフォローアップ、その中でもしっかりと、一度治療として治った患者さんは抗体陽性が持続するということをもう一度きっちりと啓発しないといけないということを強く思いました。
また、歯科での差別、それから内科も含めまして医療機関で偏見・差別が最も多いというのは深刻なことでありまして、医療従事者に対してより啓発の場が必要だということを強く感じたところであります。本当にいろいろ情報をいただきましてありがとうございました。
○小池会長 日浅委員、どうもありがとうございました。ほかに。
○安田肝炎対策推進室長 すみません。こちら、坂上委員から挙手があります。
○小池会長 どうぞ、坂上委員。
○坂上委員 読売新聞の坂上です。
御講演ありがとうございました。肝炎ウイルス治療の大変さ、胸に刺さりました。同じような御苦労される方をできるだけ少なくしなければいけないと固く思いました。また、協議会の委員、これまでお疲れさまでした。
偏見・差別のところでお聞きしたいのですけれども、及川委員は以前より少しは理解が進んでいると感じられていますでしょうか。それともあまり進歩してないと思われていますでしょうか。それを踏まえて、国や都道府県、医療機関に対してどのような取組を望まれますか。
○及川(綾)委員 私の個人的な感覚でよろしいですかね。
○小池会長 はい、よろしいかと思います。
○及川(綾)委員 小池先生、すみません。あまり変わっていないと思います。世間の意識ですね。私の回りでは、知っている方ばかり、肝炎患者ばかりですので、ただ、全く知らない一般の友達とお話ししていても、やはり人ごとですので、自分がいつ感染症になるか分からないという、その危機感が全くないなあということを実感しています。私たち薬害肝炎原告団に日本肝臓病患者団体協議会、あと全国B型肝炎訴訟原告団さんと一緒に、偏見・差別の取組を一生懸命やっているところでございます。正しい知識の啓発というのが本当に大前提にあると思うのですが、それだけでなくなるものではないよねと、人権教育という部分についても目を向けなくてはいけないのではないかということを、厚労省さんと一緒に、研究班を含めまして取り組んでいる最中というお答えでよろしいでしょうか。つけ足しありましたら、委員の方、お願いいたします。
すみません。小池先生、私が仕切ってしまいました。
○小池会長 及川委員ありがとうございます。今、医学部の講義では必ずB型肝炎のことを取り上げることになっていますね。偏見を持たないということがいかに大事かということ、私も大学教授時代はその講義を毎年やっておりましたけれども、その辺がまず医学生に理解されて、そしてそれを世の中にまた広めていけたらいいなと思っています。ほかに御意見、御質問。
○安田肝炎対策推進室長 会長、すみません。日浅委員から。
○小池会長 どうぞ。
○日浅委員 我々の大学でも、患者講義とか、比較的早い段階で、医師になるそういう人たちに、看護学科でも実はやっているのですけれども、看護師、医師になる方々にそういう情報を伝えて、患者さんの思い、心、そういうことを理解していただく。それを通じて、いろんな病気で偏見があると思いますけれども、それに対して考える機会をつくるというようなことは貴重なことだと思います。
ただ、今度、医師、看護師になった後も、一部の医師だけに限らず、その病院全体、パラメディカルの方々も含めた啓発の機会というのがもっと要るのかなというのをちょっと痛感いたしました。
以上です。
○小池会長 ありがとうございます。ほかに。
○安田肝炎対策推進室長 及川委員から。
○小池会長 どうぞ。
○及川(勝)委員 中小企業団体中央会の及川でございます。
中小企業も、健康であることが経済活動、特に中小企業の活動に大変重要だということは、コロナの中で大変実感をしたところです。経営者として従業員の健康管理というのは、まさに今一番重要だと認識しております。中小企業の従業員にいろんな情報を提供するときに、最近、インターネット、あるいはオンラインの動画配信、いつでも見られるということで大変有効なのですが、他方で、人権ということも今日出ましたけれども、SNSで、意見だとか中傷ですとか、いろんな情報が混在しています。ホームページでいろいろ検索することは便利なのですけれども、他方で不正確なことが、特に医療の関係で不正確な情報がありますと大変影響が大きいのだと思います。
日本の事業者の99.7%が中小企業で、ここで働いている方が約7割を占めますので、そういったことで、しっかりネット上での正しい配信がどうしたらきちんとアクセスできるかとか、ここは信頼性があるのだということで今後行っていきますと、大変正しい情報、そして人権も一緒に進むと思われています。
やはりポイントになりますのは、コーディネーターの育成を含めて、従業員教育、あるいは医療に対する研修、そういうことが、地道なことが持続的にしっかり行われているということが積み重なって効果が目に見えるようになってくるのだと感じているところでございます。
以上です。
○小池会長 ありがとうございます。事務局から何かございますか。
○安田肝炎対策推進室長 事務局です。
及川委員、ありがとうございました。まさに最後触れていただいたように、地道な取組を進めていくことで正しい知識なりが普及されていくことになるかと思いますので、引き続き今の取組を緩めずに進めていきたいと思います。
○小池会長 ほかに御意見、あるいはおっしゃっておきたいことがございましたら、この機会にいかがでしょうか。
私から、個人的なことを話すと、及川綾子さんがおっしゃった1989年というのはHCVが発見されたときで、当時、東大の外来をやりながら、自分が診ている患者から毎月のように肝がんが見つかるという悲惨な状況だったことを思い出しました。当時、抗ウイルス治療はまだ確立されておらず、私のところは飯野四郎先生がいらしたので、non-A、non-B肝炎の治験ということでインターフェロン治療がやられておりましたけれども、奏功率はとても低い。そして、肝がんの治療法も、ラジオ波はまだなく、肝予備能がいい人はオペをするけれども、それ以外の人では肝動脈塞栓術がようやく使えるようになったぐらいで、本当に悲惨な状況だったこと。その後、ゆっくりとではありましたけれども、何とかやや克服に近づいているということです。これ以降も、まだやることがたくさん残っておりますけれども、これまでの歴史を本当に思い起こさせていただく大変すばらしい御講演だったと思います。
山下委員、どうぞ。
○山下委員 ありがとうございます、先生。それからまた、貴重な講演ありがとうございました。
行政を預かっている者として、リスクコミュニケーションって本当に難しいなあといつも思っております。それで、いろいろな研修会とか勉強会、これはやはり都市部に結構偏ることが多いので、先ほど事務局も言われていたように、地道な運動をするということになりますと、やはり少し郡部といいますか、中山間地域でもしっかりと草の根的に教育すべきだなと思っておりまして、本県兵庫県におきましては結構今年度も地方に出向いていただいて、それぞれの住民に、小さな集団ですけれども、しっかりと教育するということをさせていただいています。それはやはり、結構若い人がSNSとかを通じて情報は取れるのですけれども、高齢になりますとなかなかそういう情報が行き渡りませんので、そういうこともやはり今後全国的にしっかりと郡部と都市部のその地域の格差ということも意識したリスクコミュニケーションのあり方というのは必要かなあと思っております。
以上です。
○小池会長 どうもありがとうございます。ほかに御意見ございませんでしたら。
○安田肝炎対策推進室長 会長、すみません。こちらの坂本委員が挙手されております。
○小池会長 どうぞ、坂本委員。
○坂本委員 医師会の坂本です。
及川委員、ありがとうございました。私の1例目の肝炎の患者さんは、幸いインターフェロンで寛解したのでございますけれども、私が医学部時代はnon-A、non-Bの時代でございまして、その後でいろいろな経験をして、及川委員の御意見、御苦労がよく分かります。正確な情報を感染症も含め、医師会を通して国民の皆さんと医師会員に対しても、専門外の先生方に対しても周知していく必要を感じております。
さらに、検診もかなり普及しましたが、肝炎に関しては、オプションとか、費用がかかるという検診がありますので、その辺も含めまして、地域差、あるいは市町によって差が出るという検診は少し問題かなと思いますので、その辺も医師会として課題としていきたいと思います。
さらに、先ほど御指摘の肝炎コーディネーター周知の問題ですけれども、病院、診療所に肝炎コーディネーターの存在と、患者さん御相談くださいねという広報をしていく必要があると思っております。埋もれている患者さんを、非常にいい薬が出てきましたので、その辺も医師会として広報していきたいと思います。よろしくお願いします。
○小池会長 坂本委員、どうもありがとうございました。
それでは、お時間も大分たちましたので、次の議題に移りたいと思います。議題の(3)肝炎ウイルス検査受検及び受診等に関する研究報告について、国立国際医療研究センター肝炎情報センターの是永匡紹参考人から御発表いただきます。資料3を御覧ください。是永先生、よろしくお願いいたします。
○是永参考人 よろしくお願いします。声、聞こえていますでしょうか。
○小池会長 私は聞こえております。
○安田肝炎対策推進室長 聞こえております。
○是永参考人 こちらで共有してよろしいでしょうか。
○安田肝炎対策推進室長 はい、大丈夫です。
○是永参考人 ではさせていただきます。
今日はこのような貴重な時間をいただきましたこと、どうもありがとうございます。また、私の不手際で、この資料が遅れましたことをまずお詫びしますし、皆様に大変御迷惑をかけました。それと、肝炎対策室のほうもいろいろ御尽力いただいたことに最初に御礼申し上げたいと思います。
それでは、今日は陽性者の受診状況ということがテーマだったので、それについてうちの研究班からのお話をさせていただければと思います。
今日お伝えしたいことはこのサマリーで、配付資料にもありますが、まず、肝炎ウイルス検診、もしくは肝炎ウイルス検査、自治体主導で行われている肝炎ウイルス検査の陽性者の受診状況というのに対してやっていることを説明したいということと、よく電子カルテ等でアラートシステムを用いて陽性者を肝臓専門医に紹介しましょうという取組が十何年、うちの班でもこの推進協議会で御説明しているところですが、それについて、特に一つの科に特化したお話をさせていただければと思います。
それでは、まず一番最初の地方公共団体が実施主体である肝炎ウイルス検査の陽性者の受診状況ということについてお話しさせていただければと思います。これは前回、25回の推進協議会で職域の肝炎ウイルス検査の陽性者をレセプトで追いかけたというのを発表させていただいたのですが、検査結果が主で、医師が説明するものでなくて、多くは検査結果だけになりますので、それが受診したかどうかというのを医療記録から見ると2割程度、25%しか受診していなかったということになります。
さらに、行ってくださいねというのをすることによって、それで大体6割から7割の人が行って治療に結ぶというのがあるのですけれども、こういう陽性者がどれだけ受診したかというデータがあまりないということになります。実際ここで働く世代といえども肝臓がんが2名いましたので、やはり検査を受けて必ず受診させるということが、ファーストステップですけれども、そこが重要となります。
ほかのがん検診というのは、例えば要精検率というのは大体5%から2%前後と言われますし、精検受診率、要するに要精密と言われた人が病院に行った割合というのは、このように公表されています。肝炎ウイルス検査で言うと、この要精検率というのは陽性率になって、この令和2年の報告からすると0.53、0.23ですので、ものすごく陽性者が少ない。だから、陽性率が低いということになりますので、着実に結びつけたいところなのですが、先ほど言ったように、この受診状況というのがいまいち分かっていないということになります。受検に関してはこのように検査数も出ますし、受療に関しては治療費助成の交付数でやりますので、まず、フォローアップと言いながら、この受診状況というのをこの研究班では重要視しているということになります。
これは私たちの前に相崎先生たちがやっていたものですけれども、なぜこの受診状況がはっきりしないのかというのは、感染症の陽性率ですので、高度な個人情報ということになります。そこで同意を取ってナンバリングしてというのをやっていたのですけれども、なかなかこれが全国には広まらない。ここに書いてあるとおり、患者さんの状態をいろいろ配慮してやっていたのですけれども、このように同意する人も少ないし、同意していた人に郵送してもなかなか返信しない、さらに、送ることにもかなり時間を要するということになります。
そこで、全国比べていくと、例えば大阪のように、後に専門医が受診したことを自治体に伝えるということはありますし、当然ここには、このように受診確認をしますよということを受検するときに同意を取っているということになります。このような方法でやって、50%、60%の受診確認をしている。それでも4割の人が分からないというのが分かっています。なかなかこういう取組しているところは少ないのですけれども、大阪はこのフォローアップ事業始まる前からしているという形になります。
千葉県でも同様に、私は千葉県の感染対策委員ですので、このようなアンケートをすることによって、受診確認率は、今5割。千葉県自体は、6割にいこうとしている目標なのですけれども、それでもまだまだ未受診の方、分からない方、未確認の方というのは増えています。これの課題というのは、多くの自治体の方が調査票を送付して返信する。返信しない人に何回か電話するということですけれども、かなりこれは労力を取られているということで、途中でやめてしまう、続けられない方もいらっしゃるということになります。
改めて昨年、このような肝炎ウイルス検診を、肝がん検診とは言えないのですけれども、がん予防ということで厚生労働省も明示させていただきました。こういった意味では、当然、個人情報、自治体の負担軽減、できるだけ簡便なシステムをこうやって、より受診確認している人がどれだけいるかというのを出していくことが重要ということになると思います。
背景が長かったのですけれども、それで、どこか自治体と一緒にやってくれないかということになって、川崎市は私がこの研究を始めた10年前から参画していただいて、ここで社会実証できないかということになります。
ちなみに、川崎市というのは大体1万件もやっています。陽性率もほぼ全国平均の状況なのですけれども、見て分かるように、陽性者数というのはかなり減っているということなので、最初はこれだけ人数が多いと受診確認するのは大変だと言っていたのですが、だんだん少なくなってくると、やはり受診確認をつなげたいという気持ちがどんどんわいてきたということで、我々と一緒にやれるようになったということになります。
当初は、このように同意を取って、陽性判明者に精密検査の助成とか、治療費助成がありますよというのをやった後、行きましたか、行ってませんかというのを送付して、また返信なかった人に電話する。これは陽性と分かって1年から1年半かけてやるのですが、見て分かるように、この返信率、分かった率というのがどんどん下がってくるということになります。先ほど言ったように、返信率が低下。架電はするけど、電話してもなかなか今電話を取ってくれないということになって、せっかく検査を受けた陽性者さんが受診したかどうかというのが、川崎市も分からないという状況でございます。
そこで、当然、こういう陽性者、受診したかどうか確認しますよという同意書はしっかり書いているのですけれども、工夫としては、返信しない、コロナ禍もちょうどあったせいもありますけれども、外に出られないところがあったので、QRコードをひっつけて、さらに、よく胃がん検診だろうが大腸がん検診でもそうですけれども、陽性者が出てきた医療機関に紹介したのか、紹介した先から返信があったのかというのを調査する。これによって、陽性者がどれだけ受診したかが分かるのではないかと。
もちろん、感染者の中には高齢者がいて、QRコードは難しいのではないのかと思って、当時はこのような形だったのですけれども、どんどんQRコードも浸透していったせいか、かなりこの時点で負担が軽減になるということになります。
さらに、架電した、陽性が見つかった医療機関に電話して、このように、受診しているのか、その方は継続しているのかというのを、患者さん、今このように同意を取っているので、医者が連携してこのような受診確認をすることによって、先ほどの、10%、20%しか分からなかった陽性者の受診状況というのが把握できたという流れになります。
これが一番の解決点なのですけれども、電話しても、患者さん、なかなか難しい。医療機関も、フォローアップ事業って何なのというところも少しあったと思いますが、この医療機関に電話するということによって、よりこういう事業、今までやっている国の対策というのも、検査委託医療機関のほうが分かっていただいたということになって連携が深まったというのが川崎市から出ています。
このように、分からなかった緑のところがどんどん少なくなっているのが分かりますし、実際は専門医にちゃんと受診していたという割合が6割から7割、B型肝炎であることになりますし、C型肝炎も、6割分からなかったところが8割。それでも問題だと言われれば、こちらの灰色は、普通の専門医でないところに行っているという形になるわけですが、多くは受診しているということが分かっていただけたかと思います。
この方法を展開して、なかなかQRコードを取っていただくことは難しいのですが、委託医療機関と連携する機関は増えていて、受診をどれだけしているかというのが8割とか6割分かってくる北海道のA市もありますし、千葉県の一市でも、当初は、患者さんに連絡しても、それはちょっとつらいのではないのかという話もあったのですけれども、それを医療機関と連携することによって7割受診している。これで受診していない人どうするかというのが次の対策に向かうと思いますし、私たちの人力であれですけれども、こういうことをいろんな会議ですることによって、いろんな県で、この川崎市の取組を紹介してほしいという御意見があって、さらに全国に広がることを期待しているという形になります。
これが最初のお話になります。
2つ目は病院内の肝炎ウイルス陽性者の受診促進ということをお伝えしたいと思います。先ほどお話あったように、医療機関で肝炎ウイルス検査というのは、当然、術前、入院時には行われていて、それも毎回行われているのが実情なのですが、治療費助成、B型肝炎、C型肝炎の経口剤を飲んだ人の陽性を発見した契機というのをアンケート調査でお伺いすると、これは7県なのですけれども、やはり5割ぐらいが医療機関で見つかったと回答しているということになります。
もちろんそれは病院に来ていただいて、電子カルテ、アラートのシステムで陽性者に紹介して有用だというのは、我々はこうして水平展開しているというのですけれども、やはり反応しないお医者さんがいる。これは全部山梨県の井上先生から出していただいたデータですが、電子カルテができないときというのは、医療安全部が、これは医の質をちゃんとしましょうということでいろんな委員会で、陽性者数、対応することによってしっかり対応できる。かなり強制的で、当たり前なことですけれども、こういうことをやることもありますし、電子カルテを入れるところというのは、小さな病院になるとなかなかアラートシステムまではいかないということになります。もちろん、マンパワーで陽性者対策をしていないということはあるのですけれども、そこには肝炎医療コーディネーターとか検査技師さんの活躍があるということなので、いろんなことでやって、電子カルテだけでなくて、いろんな力が必要だということになりますが、なかなかどうしてもできないというところがあると思います。
そこで、今、地域によって、対策を取ってくださいと、肝炎基本指針に書いてありますように、医療機関でもまず、どこを急いでやらなければいけないのかということになります。これも拠点病院の調査になりますけれども、C型肝炎のことで大変恐縮ですけれども、C型肝炎の抗体検査数というと、産婦人科は若い人があるので出てくるのですけれども、実際陽性率となると、整形外科、眼科。消化器外科はどちらかというと担がん患者さんが多いというところがあるのでなかなか治療に結びつかないのですけれども、眼科、整形外科というのは、今からそれを治して、さらに元気になろうという人が多いという科でもあります。
ですので、この科の人たちとうまく連携して紹介させていただくというシステムをつくりたいということで、まず眼科にやってみました。いろんなことで、皆さん、講演会とかで、治りますよ、ちゃんと紹介してくださいと言うのですが、聞いてくれる先生は、会場に来てくれる先生はおるのですが、そういう講演会、研修会に来られない先生がおります。日本眼科医会という、眼科医の90%以上入っている医会があります。学会ではありません。クリニックの先生とかも多く入っている、1万5000人、肝臓学会より多いぐらいですけれども、そこにいろんな手を頼って連携して、肝炎対策というのを事業化、眼科医自身が肝炎対策をしますよということに賛同していただきました。
それによってまずやったのは、当然アンケート調査なのですけれども、よく知っている、知っていると答える人は、C型肝炎の治療薬、B型肝炎が経口剤だというのは既にもう2020年で75%から80%ぐらいが知っているという状況になっています。なので、消えますよだけではなかなか紹介してくれない。そこで、どういうものが眼科の先生として、眼科のスタッフで必要かというと、やはりこのような説明資材、どのように説明していくのか、もしくは簡便な紹介状が欲しいということが分かりました。
当然、今まで、eラーニングとかいろんな方法、先ほど言った講演会あるのですけれども、我々は研究班なので、やはり眼科医さんにうまく伝わってほしい。新しい手法として、眼科医の気持ちを考えるという方法から進めております。
そういうことを探していくと、既にこのようなフローチャートをつくって、眼科医だけでなくて、眼科医のコーディネーターですね。看護師さん、もしくは医療事務の方が退院時にこのようなことを教えるという形になります。これは佐賀県の一眼科の方法ですけれども、御覧のとおり、C型肝炎、まだ8%から6%このように見つかっているということになるのですが、紹介率が50%、こういうデータをずうっとやり続けていただいて、眼科の先生というより、スタッフが十分これに対応していただくということになります。
ただ、御覧のとおり、治療も行き届かないと先ほど言ったように、抗体陽性でウイルスがいない人もいらっしゃるし、治療済みもいるので、現在はもう20%程度に減っているということも併せて報告させていただきたいと思います。それによって、全て眼科の先生が、こういうのが欲しいというのを聞いて、C型肝炎のときにどのように結びつけますよ、かかりつけ医がいるとどうしますよ、かかりつけ医と相談してください、いなければ肝臓医専門医師もいますよと、当然、患者さんの意思を大切にして、できるだけ眼科のスタッフでもできるようなことです。
こちらは陽性者に渡すチラシになるわけですけれども、これも眼科スタッフからすると、点眼している人が多いと、ピンクにすると点眼しても見やすいということで、このような色にしたらいいのではないかというお話もさせていただいております。もちろん、これは逆に医師側から使ったような、陽性者で、どんどん肝臓がいたむかもしれないよというメッセージ性を出しているということになります。
これが簡便な紹介状で、C型肝炎プラスですよということだけでもいく。これも10都道府県でも使われているという状態になっています。これらの資材というのは日本眼科医会のホームページにもう掲載されています。眼科医の先生らが見られるような形を取っていて、ダウンロードしたり、資料をお送りしたりということもしております。なかなか使い方が分からないので、動画をやったり、ホームページに到達するような、小さな名刺入れのカード、こういうのをいろんな学会、日本眼科医会では配っていただいているということもありますし、いろんな企画を研究間でやって、動画をつくってホームページへ掲載していただいているし、もちろん、県眼科医会、研究班、いろんな方が混ざり合ってやっているということになります。
これにより、眼科の気持ち、眼科の先生が講演して、眼科の先生が肝炎対策を説明していく、我々、肝臓の専門医がするというよりは、眼科の先生自身が眼科スタッフに伝えるという形を取っていきたいと思っています。
さらに、眼科の先生、先ほど右側に映った先生は、コーディネーターを医療事務の方にすることによって、もしくはレンズ拭きとか、こういうのだったら、みんな患者さんも持ってくれるというのをつくっていただいて、紹介、今までほとんどなかったのが100%できるようになった。コーディネーターの活躍というのはあれですし、眼科の中のスタッフにコーディネーターをつくり、眼科の先生が主導するという形で成果を出して論文化しております。
当然、拠点病院でもコーディネーターを眼科に置くことによって紹介漏れが少なくなっているということはありますし、この報告をすることによって、御覧のとおり、これはまだ今論文投稿中ですが、非専門医のところにコーディネーターがこれだけ増えてきつつあるという状況があります。まだまだ拠点病院だけの話になりますけれども、いろんな科にコーディネーターをうまく配置して、その科の特色を知っている人たちによって紹介を進めるという方向性が出てきているのではないかと思いますし、北海道大学では、眼科、整形、泌尿器科ということでどんどんそういうところを広げていって受診対策をしている。当然電子カルテもあるのですけれども、それに加えてこういう形を取っているという形になります。
ただ、これを、眼科だけではないのですが、C型肝炎抗体陽性者で、例えば低力価でウイルスいない人、既に通院中、いろんな方が、たくさんたくさん検査をするのですけれども、なかなか初診の方というのはいないですし、もちろん拠点病院とかになると、大きな病院ですのでいろんな合併症の方もおられるということになります。それで、このピンク色というのが今まで通院歴がない高力価である、治療、通院、かかりつけ医がないとかいうところをやる率というのは、実は大きな病院ではどんどん最近減っている。陽性のうちの10%程度が治療対象者というのが分かっています。
一生懸命眼科に紹介しても、ほとんどこちらのC型肝炎の抗体の低力価ということになると、眼科の先生からも、紹介しても治療に結びつかないなどという意見も聞かれます。ですので、大きな病院以外ではどうか。先ほどの佐賀の眼科ではまだまだ20%いますので、そのほかの地域はどうかということで、クリニックにこのような、先ほどの資材を使っていくと、たった数か月でもC型肝炎の人はぽつぽつ見つかる。件数からすると2%ですから、群馬県のC型肝炎の抗体陽性率は明らかに高いということになります。宮城でも同じようにやって、やはり見つかる確率はどんどん高いということになります。北海道でも同じようにやっていることによって、25名中16名、通院中の人を除く16名が紹介につながったという報告があり、これはどんどん今先行して増やして、クリニックにかかった眼科陽性者を専門医へつなげる努力をずっと継続しているという形になります。
眼科のまとめは以上になるわけですが、まずは眼科、整形にしても、高齢者で、手術件数も多い。当然抗体陽性率も高いわけですけれども、今後、眼を治して、例えば腰痛治して、さらに生きようという患者さんなら、まだまだC型肝炎治療できる可能性があります。そこによって、今までの方法と違うのは、とにかく眼科の先生、非専門医の先生たちが肝炎対策の重要性を分かっていただいて、彼らがコーディネーター、自分のスタッフを増やしていく。そういうことで今後陽性者の紹介につながるかと思っております。今後はやはり成果ということで、もう一度眼科の先生にアンケートして、意識が変わったかどうかというのをやりますし、眼科自身の陽性者の紹介率というのを現在調査予定となっています。
以上となります。御清聴どうもありがとうございました。
○小池会長 是永先生、どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御発表に関して、御質問、あるいは御意見ございましたらお願いします。
○安田肝炎対策推進室長 会長、すみません。こちら、鹿野委員が挙手されております。
○小池会長 鹿野委員、どうぞ。
○鹿野委員 全国B型肝炎訴訟東京原告団の鹿野と申します。
是永先生、貴重な御発表ありがとうございました。是永先生からも、受検と受診との間にというお話もございましたが、各都道府県の検診数とか人口比の検診率を見てみますと、受検と受診に各都道府県で大きな乖離があるように思われます。また、死亡率も各都道府県で大きく乖離しています。受検率、受診率、死亡率も悪い都道府県というのはもう少し対策のギアを上げていただく必要があると考えております。
例えば陽性が判明しても受診につながらなければ検査自体が無意味になってしまいます。効果的な個別勧奨、受診勧奨の方法について改めて各自治体に情報提供を行うなど、これらを徹底するよう働きかけていただきたいと強く思っておりますが、改善に向けどのような策を講じられるのかお聞かせください。
以上です。
○是永参考人 御質問ありがとうございます。そのまま答えてよろしいですか。
○小池会長 どうぞ、是永参考人。
○是永参考人 御質問ありがとうございます。先ほど言ったように、まず受診確認ということがなかなか全自治体に、検査はたくさんやります、仰せのとおり、検査自身も全部無料の人の年齢制限があったりとかいろいろあるというのは当然おっしゃられるとおりであります。ただ、私たちがどう広めるか、当然研究班で私は各都道府県をずっと回って、県庁とかは行くというのはあるのですけれども、それ以外に、最近は、情報センター長の考藤先生もおられますし、肝炎室もおられるのですけれども、今、ブロック会議という形で、各自治体と一緒の会議を毎年やっています。そういうところでこのようなデータを出して、まず受診確認、検査をできるだけやってもらいましょうと。すごく検査をやっているところとかも僕も紹介していますし、こういう川崎市の取組というのも毎回やっていただくということが今僕のできることかなと思っております。
ただ、先ほど御説明したように、例えば愛知県、宮城県、広島県ではそういうことを、僕から通じて、川崎市にお話ししてください、地元に来てください、都道府県を越えてそういう取組というのがやっと今できかかっていると思いますので、少なくとも受診、検査した人、先ほど言ったように、病院に行かなければ検査が無駄だ、そういう考えというのがどちらかというと、陽性者が少なくなったこともあるのですけれども、取り組んでくれる自治体が増えているのも実際です。
お答えになっていないかもしれないですが、そういう形で進めていければと思っております。
○鹿野委員 ありがとうございます。
○小池会長 ありがとうございました。ほかに御質問、あるいは御意見ございましたらお願いします。
中島委員、どうぞ。
○中島委員 日肝協の中島と申します。
都道府県の受検者数には開きがあるのはもとより、各市町村、自治体の検査者にも大きな離れがあります。市町村の検診でいまだに肝炎検査を全く実施していないところも多々あります。肝炎対策の第一歩の知ることすらまだできていない方々もとても多くいらっしゃいます。私はコーディネーター活動として、肝炎検査を実施していない自治体の行政相談で、自治体の検診に肝炎検査を入れてほしいと要望しても、却下されました。必要ないと扱われました。県としては各市町村に任せると言われました。この状況の改善に向けてどのような策を講じられるのかお聞かせ願いたいです。
以上です。
○小池会長 是永参考人、あるいは事務局、いかがでしょうか。
○是永参考人 僕からはあくまで、どっちかというと事務局のお話になると思いますが、例えば千葉県でも、私が肝炎の感染対策委員になって8年になるのですけれども、やはり患者さんが各市町を回って検査をしてくださいとか言われますし、毎回、大体検査数というのをそういう公開される協議会で提示されています。ですので、そういうところに県とか、当然僕たちもそうなのですが、そこに行って、検査は当然、患者さんだけでなくて我々もお願いして、できていっているところもあります。できないところに関しては、今お願いしているのは、市町の要するに健康増進事業でやっている検査がどうしても努力義務に入っていて、特定健診と異なり努力義務で、地方自治体の市町の考え方につながっていますので、予算がないとか、既に老人保健法のときに健診で済ませたと言われる方は実際おられます。
そこでどうするかということで今考えているのは、都道府県が実施自治体の特定感染症検査事業というのがあります。それを委託医療機関、開業医さんとかの検査で受けていただく。その検査をやっていない、市町がやらないのであれば、県の予算とかを使って検査を広められないか、委託医療機関の先生にどんどん検査をお願いできないかということを千葉県では今お願いしているところになります。千葉県自身ではどこの検査が進んでいないというのは公開されています。普通にホームページに載っているぐらいですので、考えてくださいねというのをどんどんアピールしていくということは都道府県側の僕ら側も必要なのかなあと思っています。ただ、なかなか市町でやらないところに具体案と言われると、僕からはそれ以上の回答はちょっとないと思います。すみません。
○小池会長 ありがとうございます。事務局からはいかがですか。
○安田肝炎対策推進室長 事務局、安田です。
是永先生からも少しお話ありました。まず総論として、肝炎医療、あるいは治療につなげるであるとか、検査とかの均てん化を図っていくというのはもちろん重要な課題と我々も認識していますし、肝炎情報センターと連携しながら、是永先生がおっしゃっていただいたようなブロック会議などで、取組の共有であるとか展開であるとか、そういった取組をしているというのが1つ。
あと、御案内のとおり、我々、データという形で数字も取っていますので、それを見れば、例えば初回精密検査費用助成の件数がここの県ではこれぐらい、あちらではこのぐらいというのは分かります。要は、ばらつきがある中で、例えば特に低いようなところ、件数が上がっていないようなところの自治体の事情をよく聞いてみるとか、その上で何か手段が講じられないかというのを考えてみるとか、そういったことは我々としてもできるところからやっていきたいと思っております。
あと、ブロック会議と似たような取組というと恐縮ですけれども、自治体と、そこの拠点病院とで、我々と肝炎情報センターが赴きまして、意見交換会というのも令和3年から始めておりますので、そうした中で、そのブロックではなくて、特定のその自治体に赴いて、そこでの取組状況、あるいはどういったことが課題になっているのかとか、そういったことも聞きながら、さらなる均てん化ということも取組に生かしていきたいと思っております。
以上になります。
○小池会長 ありがとうございます。
○中島委員 ありがとうございました。
○小池会長 それではほかに、是永参考人への御質問、御意見。
坂上委員、どうぞ。
○坂上委員 読売新聞の坂上です。
とても示唆に富む研究結果のご紹介、ありがとうございました。眼科医会様との連携について質問があります。非反応医師、反応されない医師がいるというのがちょっと私には理解できなかったのです。専門ではないお医者さんが、肝炎ウイルス感染の疑いがある患者さんの結果を見ても反応せず、それをスルーしているということなのでしょうか。それとも、ウイルス陽性の意味を理解しているけれど、自分は専門医でないので、誰かが何とかしてくれるだろうということで放置しているのでしょうか。そのような現実があるということを知って驚いてしまったのですが。
○是永参考人 御質問ありがとうございます。ちょっと私の言い方が悪かったのですが、アラートを見ても、点滅しているだけなので、まずそれが見えていないというところも実際あると思います。もちろん、例えば眼科だけでなくて、どこでもそうですけれども、手術で一日で退院ということになると、もちろんかかりつけ医がいることのほうがものすごく多いので、紹介するのではなくて、そちらの先生に受診させてくださいとお返事を書いて終わっているということも多いということになります。
なので、もちろん100%、アラート見て紹介というのがストレートだと思うのですけれども、やはりそこに関して医療教育で、先ほど言ったように、最初の研修医のところから、そういうアラートありますよというのはどこでも教えていくわけですけれども、そうはいっても、アラートがないという形で、僕たちはそれに対して付箋をつくったりして、ああしてくださいねというのをするわけですが、どうしても100%というわけにはいかないので、そのためにコーディネーターとかそういうのをつくって、それを補完しようというのが今の流れということになります。
私が10年前にこれを始めたら、電子カルテで全て解決するという方向性が最初に出たのですけれども、やはりなかなか難しいところもあるので、その補完策という形で今進めている。さらに陽性者の多いところに尽力かけたほうがいいのではないのかというお話になると思います。
○坂上委員 そうすると、眼科医の先生の中には、専門医とつながっている方はまあまあいらっしゃるのですね。、ただ一部には、専門医との連携がなく、「精密検査を、受けたほうがいいですよ」と強く勧めないでそのままというケースもあるというということでしょうか。
○是永参考人 はい。今日お見せはしていないのですけれども、アンケートを取ったときに、患者さんを不安にさせたくないという意見も結構あるのです。それはおかしいではないかと思われるかもしれないですけれども、専門外のことを伝えて患者さんがびっくりするというのも御意見としてありますし、もちろん専門医の場所が分からない。そういう意見が出たのであのようなリーフレットをつくって、これを使って患者さんに渡すだけでもいいので、まずやってくださいということから始めているという形になります。
○坂上委員 分かりました。ありがとうございます。
○小池会長 ほかはいかがでしょうか。
どうぞ、坂本委員。
○坂本委員 ありがとうございます。勉強になりました。
1つ気になるのは、拠点病院だけのデータが気になるのですけれども、拠点病院だけでなくて、公立・公的病院とか、将来的には診療所とかまで、データをお持ちなのか、そこまでは考えていないのかということと、2点目が、陽性率が出ておりますけれどもこのうちの、消化器外科から産婦人科までございますけれども、何%がつながり、取りあえずは本人に説明してつなげられたのか、つなげられていないのか、そのパーセントはございますかということ。
3点目は、リーフレットですけども、患者さんはかなり不安感をお持ちだと思うので、眼科の診療所で説明したときに、初めて説明される医師というのは、患者さんにとって非常に重要なキーパーソンになると思います。その辺も含めて、説明の仕方がちょっと間違うと、患者さんにとっては初めて聞く感染症という、非常に怖い印象を持たれたりするので、その辺に関してはどうなのか。
4点目は、申し訳ないですけれども、外科系は皆さん感染症の検査をやられるので、眼科、整形だけでなくて、外科系はとりあえず全部つなげるというのは難しいことなのでしょうか。
○小池会長 是永参考人、どうぞ。
○是永参考人 全部把握できているか、申し訳ないのですけれども、まず、どれぐらいつながっているかというところは、いろんなところに取組をやって、差があるのは現状だと思います。ただ、例えばコーディネーターを配置して、今日お出ししたデータになると、電子カルテ以外でコーディネーターとかをつけたり、もしくは医療安全部会とかそういうのをやるとほぼ100%。どうしても、病気があるとか、先に主診断のほうが治療優先されるということもあるので、僕らの専門医で診てしまうと、これを紹介していただいても治療に結びつくのはちょっと、今は治療の段階でないよという患者さんがいます。それを除けば、多くのそういうちゃんとやっているところは対応できている可能性が高いと思います。何%かというと、先ほど、全体で、ピンク色で10%が要対応という形になってしまうのがあったと思うのですね。なので、そうすると、その中で本当に紹介された人たちというのは8割ぐらいと集めたデータはなっています。
よその病院どうかということに関しては、山梨のデータの右側のスライドを見ていただけると分かるのですけれども、専門医療機関というところでどれだけ肝炎対策をしているかという、陽性者を紹介しているというのを、各主治医でなくて病院としてやっているというのは5割くらいというデータがございます。そのうち電子カルテでやっているのが25%というデータとなる。陽性者対策をしているというと、やはりコーディネーターということになるというデータで、残念ながら、100%やっているかというと、個別でやっていると、医師がやっているので、何人紹介したかどうかというのは分からないというデータになっています。
それで2つ目でよろしいですかね。拠点病院の紹介率、拠点以外の専門医療機関のデータと、そういうのを集めて、また、その専門医療のデータも、二次調査というか、3年たちましたので、どれぐらい広がっているかも今調査中という形になります。
あとは、患者さんの説明ということですけれども、リーフレットの使い方とか、どのように説明するかというのは、一応眼科医会には動画で説明しています。名刺サイズのやつにQRコードあったのは、それを見ると動画サイトに飛んで、こういう説明をしてくださいというのもつくって置いてあります。もちろん、それが全部広まって一人一人に伝わるかどうかというのは今後の対応としてとても重要だと思うのですけれども、まず基本的に簡単にこれだけはお伝えしてくださいと、先ほど言ったように、不安になることで、いろいろ知識を、間違ったことを言うというよりも、これだけは伝えてくれという動画を作成して置いているという形になります。
全て回答したことになりますでしょうか。
○小池会長 坂本委員、よろしゅうございますか。
○坂本委員 ありがとうございます。
○小池会長 ほか、御質問なければ、時間的にそろそろ次の議事に移りたいと思いますが、よろしゅうございますか。
では、是永参考人、どうもありがとうございました。
続きまして、議題(4)その他について、これは事務局のほうから資料の御説明をお願いしたいと思います。
○安田肝炎対策推進室長 事務局、安田です。
それでは、最後の議題について事務局から3点御報告いたします。資料、まず4-1を御覧ください。表紙の次、1ページでございます。肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業につきまして、令和5年度の実績を集計いたしましたので、ここで御報告いたします。令和5年度につきましては4406件と、前年度から165件増えておるという状況でございます。
2ページを御覧ください。先ほどの実績について都道府県別にまとめたものでございます。こちら、人口比などは加味せずに、単純に件数を積み上げた粗いものとなっております。ただ、都道府県ごとの実績にばらつきがあるのかなと思われます。我々としましては、どこの地域に患者さんが住まれていても、本事業の必要な方が助成を受けられるということが基本だと思いますので、引き続き、都道府県や指定医療機関の取組を支援してまいりたいと考えております。
3ページから、この4月からの助成制度の見直しの概要について、前回のこの場では案という形で御報告しておりましたけれども、今、4月から始まっておるということで、改めてポイントを御報告させていただければと思います。
3ページに助成対象、あるいは要件というものを書かせていただいておりますが、今回の見直しのポイントは、一番下のところになります高額療養費の限度額を超えた月が、これまでであれば、過去12か月、1年のうちに、3月目、3回目からこの助成の対象という形でやっておりましたが、この4月からはこれを見直しまして、過去どこまで遡れるかというのを24か月、過去2年まで遡れる、かつ、その中での2月目から助成を開始できるというような形に見直しを行ったところでございます。
4ページを御覧いただきたいと思います。真ん中のところ、「見直しにより期待される効果」で記しておりますけれども、まず、要件緩和によりまして助成を受けられる対象の方が広がるということが1つありますし、もう一つとして、「制度利用の促進と医療機関の負担軽減」と書いておりますけれども、これまで、3回目というカウントがありましたが、ここは2回目からということになりますので、医療機関においても対象者の方のリストアップであるとか事前の説明であるとか、そういったことが非常にやりやすくなるのではないかということで、負担軽減にもつながるということを考えております。
次に5ページを御覧いただきたいのですけれども、この助成制度を利用促進、利用につなげていくということで、改めて、今年度から予算事業として利用促進のための事業を行っております。具体的には、「取組(例)」に書いておりますような取組をしていただく拠点病院であるとか自治体であるとか、そういったところに対して財政的な支援を行っていくということを今取り組んでいるという状況でございます。
資料4-1については以上になります。
続きまして資料4-2について説明いたします。資料4-2、これは事務連絡になりますけれども、「長期収載品の選定療養における肝炎治療特別促進事業の助成対象について」ということで、これは肝炎室から発出している事務連絡になります。
中身についてですが、まさにこの10月1日から医療保険制度の改正がありまして、いわゆる長期収載品の処方について選定療養の仕組みが導入されております。このことに伴いまして、患者が長期収載品の処方を希望する場合には選定療養の対象となる可能性があり、現状において、B型肝炎慢性疾患に対する核酸アナログ製剤のバラクルード錠というものが対象医薬品とされておるところです。
長期収載品の選定療養におきましては、患者が負担する、いわゆる特別の料金というものがありまして、この部分については医療保険の保険給付の外になりますので、いわゆる肝炎治療特別促進事業、我々、医療費の助成をしている制度がありますけれども、この医療費助成制度の対象からも外れるということになります。患者さんの自己負担が増えるという形になりますので、本制度の趣旨、あるいは内容について周知するためにこういった事務連絡を発出し、都道府県を通じて、あるいは関係団体を通じて、医療機関、あるいは薬局に対して周知を図ってきているというような状況になります。
資料4-2については以上になります。
続いて資料4-3についてですが、「医療DXの推進に関する法整備に向けて検討が必要な事項」、いわゆる特定B型肝炎特別措置法の関係ということになります。この表紙の次、1ページを御覧いただきます。
この資料自体は第181回の社会保障審議会医療保険部会において提出・報告がなされた資料になりますが、今、政府として、あるいは厚労省としても取り組んでおります医療DXの推進ということで、法律による整備が必要なもの、これについての検討が必要な事項の全体像という資料になります。
特に本日報告したいのは、赤で囲んでおります1.の(2)というところです。もともと1.というのは、いろんな医療に関する情報について、ほかの医療機関であるとか、本人がこの情報を参考にできるように、プラットフォームを構築するということが進められております。その中で、PMH(Public Medical Hub)というシステムを構築することで、公費負担医療制度の資格情報などが連携できるようにするという取組を今進めておるところでございます。
このPMHのシステムを使うことで、国であるとか自治体が実施しています医療費助成の資格情報について、マイナンバーカードを活用することで、その資格が医療機関のほうで確認できるようにするというような仕組みになっておりまして、今日の関係で申しますと、B型肝炎特別措置法に基づきまして、今、定期検査費などの支給を行っておりますが、これについて、受給者証というものを発行しまして、それを医療機関で見せていただくことでこの検査費が支給されるというような仕組みを取っております。
この受給者証について、マイナンバーカードにかえて、このPMHのシステムで資格を確認できる、受給者証を持っている人を確認できるようにしていくことに今取り組んでおりまして、今後、法整備も含めて対応を予定しているということでございますので、この機会に御報告させていただきました。
私からは以上になります。
○小池会長 事務局、どうもありがとうございました。ただいまの御説明に関して、御質問、御意見がございましたらよろしくお願いいたします。
山﨑委員、どうぞ。
○山﨑委員 失礼します。日肝協の山﨑です。
資料4-1の肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業について発言します。1ページで、平成30年度から令和5年度まで助成件数が報告されていますが、事業開始時には、助成見込み数を月に約7000件を見込んでいると伺いました。その見込み数をもとに助成率を計算しますと、平成30年度は途中からですので除きますが、令和元年度と2年度では約1%、令和3年度では約4%、令和4年度と5年度では約5%にとどまっておって、事業件数は助成見込み数と大きく乖離しており、患者への支援には結びついていません。この乖離の原因が分からなければ対策は打てません。
今年度、3ページにあるように、助成基準が緩和され、今後は少し助成件数が伸びることを期待していますが、助成件数が伸びない現状では事業として成功しているとは言えません。この事業の立案に問題はなかったのでしょうか。拠点病院を中心に多くの医療機関は事業の促進に向けて努力していますが、この条件を満たす患者は極めて少なく、医療機関も大変困っているとお聞きしております。助成件数と助成見込み数とが大きく乖離している原因は何にあると考えておられるのかお聞かせください。
また、当事業には、令和5年度の予算では、国が14億円、都道府県が14億円、計28億円が充てられていると伺っています。28億円のうち、令和5年度で実際に患者の助成だけに使われた決算額はいかほどであったのかを教えていただきたいと思います。
さらに、肝炎患者の多くは医原病であることから、年収370万円以下の要件をなくして、患者全員を対象とし、高額療養費の限度額を超えた月の縛りもなくしていただきたい。新制度が始まっても助成件数が伸びない場合は、今後どのように対応をなされようと考えるのかをお聞かせください。
最後に、新制度となった今年度の4月以降の各月ごとの助成件数を把握されている月まででよろしいですので、教えていただきたいと思います。
以上です。
○小池会長 ありがとうございました。それでは、事務局、よろしくお願いいたします。
○安田肝炎対策推進室長 事務局、安田です。
ありがとうございます。4点あったと理解しております。まず、実際の執行というか、見込みに比べてかなり低いのではないかという御指摘でございました。その原因は何かということにもつながると思いますが、これまでの制度自体が、対象者をいろいろな要件でやや複雑な制度となっていたということもありましたので、もちろん周知という面で足りなかったというところもあるでしょうし、医療機関のほうについても負担が大きかったというのはあると思いますので、これまでも原告団の方々からの意見なども踏まえて随時見直しをしてきているというような状況と理解しております。
まずは、この4月からかなりシンプルな制度になったという声も、自治体、あるいは医療機関のほうから聞こえてきておりますので、この変えた仕組みに基づいて、どの程度これから伸びていくのか、あるいはこの変えた制度を今後しっかりさらに普及していく、啓発していくということを、拠点病院、あるいは自治体とともに我々もやっていきたいと思っております。
あと、令和5年度の決算額ということでございます。これは、今、すみません、手元にございませんので、また後ほど御報告させていただければと思います。
3点目、さらなる緩和ということだと思います。年収要件の緩和であるとか、高額療養費の該当2回目ということのカウントの緩和であるとかいうことかと思いますが、これまでも年収要件についてなどは様々な御意見をいただいていたと思います。そういった御意見も踏まえてこれまでも随時見直しをしてきているというのが現状だと思いますので、まずはこの4月からの見直しを踏まえてどの程度普及するか、あるいはこの制度の使い勝手みたいなところが実際にどういった点が出てくるか、課題が出てくるかということもちょっと見させていただきたいなとは思います。
最後、まさに見直しをした4月以降の数字ということですけれども、すみません、まだ集計中ということで、本日御報告できるものは今手元にないという状況ですけれども、まさに今月、ブロック会議幾つか回っておりまして、そうした中で聞くところによると、拠点病院、あるいは自治体の御担当の方の感覚としては、やはり例年よりも伸びているということは聞いておりますので、また改めて集計ができましたらこの場でも御報告したいと思います。
以上になります。
○山﨑委員 ありがとうございました。今後、やはり肝炎患者の、特に重篤化した肝炎患者の多くは本当に医療の面でも、精神的、経済的にも大変苦しんでおります。やはり医原病であるということがほかの病気とは大きく違うことであるとこちらは思っていますので、この制度が重篤な肝炎患者に生きるように今後とも十分進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小池会長 ありがとうございます。あと、手を挙げていらっしゃる新沼委員。
○新沼委員 連合の新沼です。
資料4-2の長期収載品の助成対象についてのところですけれども、長期収載品の選定療養に関する見直しの議論に当たっては、連合から関係審議会において慎重な検討が必要とこれまで申し上げてきたところです。医療給付の割合は将来にわたり3割とするという2002年の健康保険法改正附則との関係や、経済的に医療品、医薬品へのアクセスが阻害されてしまうおそれもあるという課題もあると思っております。
ただ、10月から、この仕組みは導入されたということで、この肝炎治療特別促進事業に関してもこのように案内や、通知が発信されているようですけれども、患者の皆さんに、どのような支援が使えるのか使えないのか、丁寧に周知の対応をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○小池会長 ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
○安田肝炎対策推進室長 ありがとうございます。我々としても、患者さんの負担が増えるような制度改正となっておりますので、まさに現場の主治医なりからきちんと制度の趣旨なりを説明していただきたいということは、ブロック会議等を通じても説明しているというところでございますので、引き続きそのように取り組んでいきたいと思います。
○小池会長 ありがとうございます。それでは、出田委員、どうぞ。
ミュートのままのようですね。
○安田肝炎対策推進室長 すみません。こちらの辰巳委員、挙手されていますので、ちょっと先に。よろしいでしょうか。
○小池会長 承知しました。辰巳委員、よろしくお願いします。
○辰巳委員 失礼します。出田さんがつながりました。
○出田委員 聞こえますか。
○小池会長 大丈夫です。
○出田委員 すみません。4-1の2ページですけれども、このグラフを見ると、ほかの制度もそうですけれども、制度が始まって、年数がたてばたつほど都道府県の格差がやはり広がっているのではないかと思いますので、なぜ助成件数が増えないのかという原因を調べて、好事例の紹介など行って、均てん化に向けた対策をぜひ講じていただきたいと思います。
そこで、私は熊本市在住なのですけれども、熊本県の助成件数が令和5年度は204件と、人口比にしてはかなり伸びているのではないかと思います。熊本県の取組をちょっとお聞きしたのですけれども、これは拠点病院での助成件数がほとんどだということを聞いています。1回目の入院治療の段階で対象者を抽出して、制度の説明を行って、既に記録票も1回目のときにお渡しされているそうです。これは医師ではなくて、全て医事課の医療事務さんやメディカルソーシャルワーカーさん、そして記録票の手渡しは病棟の医療事務の方がやっていらっしゃるということで成果を上げていると聞いております。この取組はまだ熊大病院だけの取組だそうですけれども、ほかの熊本県の指定病院ではやはり医師がこのようなことを全部やっているので、なかなか行き届かないということを聞いておりますので、ぜひ熊本県の伸びた好事例を紹介して、ほかの都道府県でも伸びるようにしていただきたいなと思っております。
次に、この事業の利用促進状況と、ほかの制度ですね。肝炎ウイルス検診率や陽性者フォロー率、重症化予防事業の定期検診率には相関があるのではないかと主観的に感じております。明確にするために、次回の肝炎対策推進協議会で都道府県別に明らかにして、分かりやすく御報告願えたらと思います。
以上です。
○小池会長 ありがとうございます。事務局、いかがでしょう。
○安田肝炎対策推進室長 ありがとうございます。今、御紹介いただいたような好事例というのが、今お話のありましたブロック会議でもまさに取り上げられているという状況でして、まさに多職種連携できるような体制を構築することで助成件数が伸びるというか、取組が進んでいるということはたびたび取り上げられていますので、ブロック会議とかそういった場においてまさに広げていきたい、共有していきたいと思います。
あと、後段のデータのことについては、会長ともよく御相談して検討いたしますので、よろしくお願いいたします。
○出田委員 ありがとうございます。
○小池会長 ありがとうございました。それでは、日浅委員。
○日浅委員 日浅です。
先ほど熊本県の話もありましたけれども、実は愛媛県も人口比については結構件数が多いのですが、先ほど御指摘いただきましたように、内実を見ますと、県全体で上がっているというよりは、拠点病院が頑張っているというような状況があります。ブロック会議でもぜひお願いしたいところではあるのですけれども、意外と、都道府県の県立病院、この辺りがあまり熱心に取り組んでいただいておりません。大学病院が頑張っているというような実態がありまして、ぜひ都道府県のほうにも、県立病院ですね、そちらのほうにもっとこの制度の使用を促していただくような体制づくりをお願いしたいというのがあります。一度体制ができてしまいますと実はかなり円滑に進みますが、初めの体制をつくるというところがかなりハードルありまして、そこを病院としてしっかりやっていただくように努力していただくというところをもう少し促すというところが大事なのではないかなと思っているところです。ぜひ大学病院以外の病院にこれから進めていただくということの施策を、ちょっと背中を押す施策を考えていただけたらというところを感じております。
あともう一点だけ。質問なのですけれども、最後の資料で、今後のDXのあり方でちょっとお聞きしたいのですが、次世代医療基盤法が策定されまして、仮名の加工医療情報というのが使えるようになったときに、今現在の肝炎のいろんな助成制度であるとか、あるいはマイナンバーとくっつけたような形のパーソナルヘルスレコードをどのように扱われていくかということについての何か、先が見えたような、あるいは今後の展望みたいなところが分かっているところがありましたら御教示いただけたらと思います。
○小池会長 それでは、事務局お願いします。
○安田肝炎対策推進室長 事務局、安田です。ありがとうございます。
まさにおっしゃっていただいたように、拠点病院は、熱心なところは熱心なのですけれども、そのほかの病院にどう広めていくかという問題意識かと思います。今、資料4-1の説明の中でちょっと触れましたけれども、この利用促進のための改めて予算をつけて拠点病院なりの取組を財政支援していこうと今取り組んでおります。その中で、まさに拠点病院が地域のそれぞれの医療機関に出向いて、こういう体制を構築したらいいんだよとか、こういうマニュアルを整備したらいいんだよみたいなことを、まさに出前出張ではないのですけれども、そういった形で出向いてシステム構築していこうというような取組も挙がってきておりますので、そういったことで、県内、あるいは管内の他の医療機関に拠点病院の取組を広めていくための取組、これもまさに今、特定の自治体で行われますので、そのほかの自治体にもこういった取組をしてはどうかと、広げていくということが今後考えられるのかなあと思っております。
あと、2点目の医療DXの関係でございますけれども、例えばマイナンバーを使って、我々の助成事業で得られる情報、特に助成事業自体は都道府県、自治体でやっておりますので、都道府県が持つ情報をどう連携していくか、連結するのかどうかというところだと思います。実際にシステムとしては、マイナンバーを使ってやるであるとか、こういったプラットフォームを使ってやるというシステムはできつつあると思うのですけれども、実際、ほかの制度の中で、我々の助成制度で得られる情報が必要となるのかどうかというのは多分相手先の制度ごとによっていろいろあると思いますし、そこがまずあって、そういったニーズがあるのであれば、システム的にできるのかとか、そもそも出せるのかどうかという検討が進むのではないかと思います。
今、全体として、この制度の中で我々の助成事業で得られる情報をこういったツールを使って連携していきますという明確な方針があるわけではないという状況でございます。
○小池会長 ありがとうございます。辰巳委員、12時を過ぎたみたいなので、最後の質問ということで。
○辰巳委員 すみません。手短に。
私のほうも、資料4-3の医療DXのところについて3点ほど伺いたいのですけれども、電子カルテ情報を共有して、本人や、また医療機関等が閲覧できるようにして、電子カルテ情報の二次利用も可能にするということですけれども、肝炎患者としては、個人の医療情報の漏えいというのをやはり心配していまして、今もなお多くの肝炎患者が、先ほどから出ているように、差別等の不安に向き合っているという状況で、就職や、結婚や、いろんな状況で差別を経験しているという中で、医療DXによる医療情報の管理について、漏えい対策をどのようにするのかというのを聞かせていただきたいというのが1点と、もう一点は、共有された医療ビッグデータは、先ほどおっしゃっていたように、マイナンバーにひもづけられて管理されるということですけれども、先ほどの資料にあった長期収載品のジェネリックへの誘導のように、これらの医療ビッグデータが医療費の総額抑制のために利用されるのではないかと懸念しているところもあります。
医療DXの推進の目的の一つにはこのような医療費の総額抑制というのもあるのかどうかというところも、答えられるかどうかは別として聞かせていただきたいというのと、3点目は、情報連携にはこのマイナンバーカードを活用すると2ページ目でなっているのですけれども、保険証の廃止の問題とも共通すると思いますが、マイナンバーカード、医療費助成の際の受給者証に利用できる、予防接種等の接種券として利用できるということになっているのですけれども、逆に、マイナンバーカードがないと医療費助成が受けられないだとか予防接種が受けられないということになりかねないのではないかと懸念しています。
マイナンバーカードの取得自体は任意とされているのですけれども、事実上強制されることになりはしないかと、マイナンバーカードを取得していない方に不便をかけることはないようにしていただければと思います。というのが3点目です。
以上です。
○小池会長 事務局、お願いいたします。
○安田肝炎対策推進室長 ありがとうございます。まず、個人情報漏えいの観点からどのように情報管理するかというところですけれども、これまでも、マイナンバーのシステム構築の議論であるとか、あるいは今議論を行っています全国医療情報プラットフォームの構築の中でも当然そういったことは議論されていると思いますし、システムとしてどのようにセキュアな環境を構築していくのかというのは議論がなされていると思います。ただ、すみません、担当ではないので、具体的にこういった形でということはちょっと申し上げられないのですけれども、当然そのようなことは課題として持っていて検討もしているということだと思っております。
2つ目ですけれども、マイナンバーなりでひもづけた情報を、ビッグデータを使って医療費総額の抑制に利用するのではないかということかと思いますけれども、基本的にこの医療DXの推進というのは、適切な医療、あるいは医療の質の向上を図るというようなことを大きな目的として進めていますので、大上段に医療費総額の削減に向けてということではないと思っております。重複投与とかが解消されて、その分、医療費抑制につながるというのは結果として出てくることはあるかもしれませんけれども、そもそもの目的としては、医療の質の向上であるとか適切な医療の推進ということだと思っております。
3点目、マイナンバーカードの、健康保険証の義務化というか、それに基づいて健康保険証が廃止されるということと同じようなことが今回の検討の中の受給者証についても起きるのではないかという御懸念だと思っております。まだまさに検討の段階ですので、そこは御懸念がないような、あるいはそういったことで議論していきたい、検討していきたいと思っております。
○辰巳委員 ありがとうございます。
○小池会長 よろしゅうございますか。
○安田肝炎対策推進室長 すみません。会長、山﨑委員が。
○小池会長 どうぞ。
○山﨑委員 時間が大分あれですけれども、申し訳ない。日肝協の山﨑です。
ちょっと戻りますけれども、資料4-2の長期収載品の選定療養における肝炎事業特別促進事業の助成対象について発言します。私はB型肝炎の患者なのですが、バラクルードによって生かされている状況にあります。先日、薬局から電話がありまして、次からは薬代が3000円ほど高くなりますよというような丁寧な御連絡がありました。その意味が今回やっと分かりました。将来にわたる国民皆保険を守るために安価な後発医薬品を積極的に利用するという意図はよく理解できるのですが、私はかつて、強力ミノファーゲンCという薬を注射していました。このとき同じように注射を打っていても、ASTやALTの数値が上昇して、コントロールが困難になりました。おかしいなと思ってお医者さんのほうに尋ねてみたら、後発品を使ったということの返事でした。
再度先発の薬に戻すと、ASTやALTの数値は正常に戻った経験があって、実は私と同じような経験をした患者がたくさんいるのですね。その患者にとっては、この後発薬を使用することへの不安や抵抗は非常に強いです。既にこの不安や抵抗から、この制度変更を機に、バラクルードの後発品を使わずに、生活の質も、医療効果もやや高いということで、より薬価の高いベムリディの服薬に変更した患者も現れていますし、逆に医師のほうから、そのように紹介を受けて困惑している患者もおります。B型肝炎患者にとっては、バラクルードは命に関わる薬です。この制度変更によって後発品を使うことになった患者の状況を医師会や薬剤師会等と連携して注視し、被害が生じることのないようにリスク管理を徹底して行っていただきたいと思います。
また、この制度変更に関する相談が今、患者会に多く寄せられています。医師会や薬剤師会には早く連絡があったと思いますが、広く国民にもっと早く丁寧に周知の徹底を図るべきではなかったのかと思います。なぜこのような周知の状況になったのかをお聞かせください。さらに、今、後発品を処方されても、薬局にこの薬が提供できていない状況、つまり、ドラッグロスの状況が生じていると伺っています。後発品、先発品問わず、ドラッグロスがないように早急に対応を取っていただきたいと思います。
以上です。
○小池会長 ありがとうございます。事務局、よろしくお願いします。
○安田肝炎対策推進室長 事務局です。
1点目、今回の制度変更によって、患者さんの状況ということを注視していくべきだということだと思います。おっしゃるとおりだと思いますので、そのように努めたいと思います。
2点目、周知の状況ということですけれども、おっしゃるとおり、ちょっと遅いのではないかということであれば、それはお叱りだと思いますので受け止めさせていただきます。引き続き、周知については我々も努めていきたいと思います。
3点目、ドラッグロスの話についてですけれども、ちょっと部署が異なりますけれども、厚労省としてもそれは重大な問題、課題と捉えて取組を行っておりますので、そうした中でドラッグロスの問題も解消に向けて取組が進むと考えております。
すみません。ちょっと補足になりますけれども、今回、選定療養になるということでありますが、もちろん医師が必要と認めた場合には従来の保険給付のままですので、そういったことも併せて我々としても周知していきますし、主治医の方からもそういった御説明をしていただきたいとは思っております。
以上になります。
○山﨑委員 ありがとうございました。
○小池会長 ありがとうございました。よろしゅうございますかね。最後も大変重要な質問で。
山﨑委員、どうぞ。
○山﨑委員 すみません。本当に申し訳ないです。日肝協の山﨑です。
この審議会の中で話すような議題でないとは思うのですけれども、臓器移植のことについてちょっと発言したいと思いますので、よろしいでしょうか。
生体肝移植を受けることのできない重篤な肝炎患者にとって、脳死肝移植は最後の砦です。ところが、臓器移植の見送りが大変多く発生しているとの情報があり、極めて残念に思います。報道によると、昨年の1年間で脳死者からの臓器提供で延べ3706人の患者への移植手術が見送られ、うち509人は、移植施設の人員や病床が確保できない等、医療機関の受入体制が整わないことを理由に移植が見送られたとのことです。
海外では進んでいる臓器移植がなぜ日本では進まないのでしょうか。最後の砦として脳死移植を切望する患者を前に、どうしてこんなに多くの移植が見送られているのでしょうか。院内体制の不備から、助かる命が助からず、脳死後にも人の役に立とうとした方々の善意が踏みにじられることに対して怒りさえも感じます。移植現場で生じている様々な課題の反省の上に立ち、移植医療の円滑な実施に向け、特に医療体制の整備に関して十分な手だてを講じていただきたいと思います。
また、国民の臓器提供への推進についても十分に啓発を図り、臓器移植への協力者の増加に努めていただきたいと思います。多分、部署が異なるのだろうとは思います。肝炎対策推進協議会でこのような発言があったということをお伝え願えたらありがたいです。
以上です。
○小池会長 事務局、お願いします。
○大坪健康・生活衛生局長 すみません、一言。健康局長でございます。
今、御指摘の点につきましては、臓器移植委員会のほうで絶賛協議中でありまして、もう間もなく、年内中には結論を得ようと思っております。新聞等々で出ておりますのは、臓器の実施医療機関が受け入れられなかった理由についてということだけが殊更、読売新聞さんが書いてくださっているのでニュースになっておりますが、臓器移植が成立するためには、提供施設、あっせん機関、それから実施機関、この三者三様が十分発展していくことが必要だと思っておりますので、それぞれの課題について、今、精査をして審議いただいているところでございますので、どうぞ御期待くださいませ。
○山﨑委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○小池会長 よろしゅうございますか。
それでは、今回の協議会を最後に、及川綾子委員、鹿野委員、後藤委員、中島委員、村松委員、それと私も退任いたしますので、最後に、皆様から御挨拶をいただきたいと存じます。
まずは及川綾子委員からお願いいたします。
○及川(綾)委員 任期満了で務めさせていただきました。主治医が協議会委員のときがございまして、大変発言しにくかった思い出がございます。C型肝炎の体制問題で米澤委員と泣きながら吠えた思い出もございます。たくさん勉強させていただきました。ありがとうございました(拍手)。
○小池会長 ありがとうございました。続いて鹿野委員、お願いいたします。
○鹿野委員 2021年の第25回肝炎対策推進協議会から委員として参加させていただき、その間、基本指針の改定もあり、委員の皆様方の真摯な御意見が伺え、2期4年余りでしたが、意義深い貴重な経験になりました。今後も、厚労省の担当者の皆様をはじめ委員の先生方、そして患者3団体でさらに肝炎対策の推進を目指して邁進させていただきたいと願っております。どうぞよろしくお願いいたします。今までお世話になりました。ありがとうございます(拍手)。
○小池会長 ありがとうございました。では続きまして中島委員、お願いいたします。
○中島委員 日肝協の中島です。前回と今回の2回限りだったのですけれども、なかなかこういう機会に参加させていただくことがなくて、貴重な体験をさせていただきました。本当にありがとうございました(拍手)。
○小池会長 ありがとうございました。では、続きまして村松委員、お願いいたします。
○村松委員 国立感染症研究所の肝炎ウイルス担当部門の立場としてこの会議に参加させていただきました。私自身の異動ということもありまして、今回が最後になります。長らくどうもありがとうございました(拍手)。
○小池会長 ありがとうございました。最後に私から御挨拶を。
私、2016年の6月から協議会委員で、18年の6月から6年半ですかね、協議会の会長を務めさせていただきました。今回で任期満了ということで失礼したいと思います。今日のお話にもありましたとおり、抗ウイルス治療は大きく進歩してまいりましたが、まだまだ超えなければいけない壁がたくさんあるというのが実感でございます。我が国の肝炎対策がこれからもしっかりと継続し、さらに発展していくことを祈念して、御挨拶にかえさせていただきます。どうもありがとうございました(拍手)。
それでは、事務局から連絡事項等ございますでしょうか。お願いします。
○安田肝炎対策推進室長 事務局です。
本日は長時間にわたり御審議いただきましてありがとうございました。次回は国及び地方自治体の取組状況などについて御報告させていただきたいと考えております。日程については後日事務局にて調整の上御連絡をさせていただきます。
以上です。
○小池会長 ありがとうございました。それでは、閉会とさせていただきます。ちょっと延びてしまいましたが、本日はどうもありがとうございました。
照会先
健康・生活衛生局がん・疾病対策課肝炎対策推進室
室長補佐 清野
室長補佐 南
係長 舘 (内線2948)
(直通) 03(3595)2103
(代表) 03(5253)1111