第167回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和6年9月27日(金)10:00~12:00

場所

対面及びオンラインにより開催
会場:厚生労働省共用第22-24会議室(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館18階)

出席者

会場

公益代表委員
髙田礼子(分科会長)
労働者代表委員
使用者代表委員

(五十音順、敬称略)

事務局

オンライン

公益代表委員
労働者代表委員
使用者代表委員

(五十音順、敬称略)

議題

  1. (1)化学物質のリスクアセスメントの的確な実施に向けた制度改善について
  2. (2)その他

議事

議事内容

○髙田分科会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第167回労働政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。
 本日の出欠状況は、労働者側の袈裟丸委員、中村委員、使用者側の大下委員が御欠席しております。また、矢内委員が所用のため、遅れて御参加と承っております。本日は対面及びオンラインの併用により開催することとしておりますので、お含みおきください。カメラ撮影等についてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

○計画課長 計画課長の佐藤です。まず、会議が始まる前に、本日、安全衛生部長の井内は所用のため、欠席させていただいておりますことをお知らせいたします。よろしくお願いいたします。

○髙田分科会長 それでは、続いて、事務局からオンラインによるZoomの操作方法等について説明をお願いいたします。

○計画課長 引き続き、佐藤からお知らせいたします。定例ですが、Zoomの操作方法について御説明いたします。本日は、ハウリング防止のため、御発言されないときにはマイクをオフに設定をお願いしたいと思います。また、オンライン参加の委員の先生方については、御発言される場合には、御発言がある旨をチャットに書き込み、髙田分科会長から指名されましたら、マイクをオンに設定の上、氏名をおっしゃってから御発言をお願いします。このほか、進行中、通信トラブル等の不具合がありましたら、チャットへの書き込み、又は事務局へメール等にて御連絡を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。以上です。

○髙田分科会長 それでは、議事に入ります。議題(1)「化学物質のリスクアセスメントの的確な実施に向けた制度改善について」です。それでは、事務局から資料について説明をお願いいたします。

○化学物質対策課長 化学物質対策課長の土井です。資料1を御覧ください。(1)化学物質のリスクアセスメントの的確な実施に向けた制度改善についてです。初めに、労働安全衛生法における化学物質規制についてです。ここでは、規制の全体像をお示ししております。
 上段の破線部分ですが、労働安全衛生法においては、①化学物質の危険有害性情報についてラベル表示の義務、それから、②SDS交付等による通知の義務、③リスクアセスメントの義務、④ばく露低減措置の義務が事業者に課されています。その下段の絵ですが、左側のメーカーで作成されたラベル・SDSが、右側のユーザーに渡っていくこととなります。ユーザーにおいては、SDS等で得た情報を基にリスクアセスメントやばく露低減措置を講じていただくという仕組みとなっております。赤い矢印のとおり、化学物質規制体系の抜本的見直しにより、令和8年4月には、今申し上げた①~④の対象物質が約2,900に拡大することとなっております。こうした措置により、リスクアセスメントを的確に実施し、必要な措置を講じることが、一層重要になっている状況です。
 3ページは、制度改善に向けた検討の経緯です。今申し上げたとおり、自律的に化学物質管理を行う仕組みへの転換により、化学物質の危険有害性情報を確実に伝達し、その情報に基づきリスクアセスメントを的確に実施することが一層重要となっている中、生じてきた課題というものがございます。ここで2点ほど掲げております。
 1点目は、化学物質の危険有害性等の情報の的確な通知等に関する課題です。リスクアセスメントの実施には、化学物質の危険有害性情報を入手することが前提となりますので、SDS交付による有害性情報の通知について、より確実に、速やかに行うことが必要となっております。また、リスクアセスメントを的確に実施するためには、SDSの通知事項の内容の充実が必要となっております。
 それから、営業秘密に関してです。「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告書」は自律的な化学物質管理への転換について御提言を頂いた報告書ですが、この報告書において、SDSに記載する化学物質の成分及びその含有量が営業上の秘密に当たる場合は、その旨をSDSに明記し、記載を省略することを御提言いただいており、この提言に対応することが必要となっています。
 2点目は、ばく露状況の的確な把握に関する課題です。リスクアセスメントを的確に実施し、ばく露を最小限とするためには、化学物質のばく露の程度を的確に把握することが必要となっております。そのため個人ばく露測定の精度の担保が重要になっているということです。こうした課題を解決するために、化学物質管理に係る専門家検討会において、それぞれの課題について検討を行い、令和5年11月、令和6年8月にそれぞれ報告を取りまとめたところです。
 4ページは、今申し上げた専門家検討会の概要です。この検討会は化学物質の自律的管理を円滑に運用するために開催されているもので、右側に参集者を記載しておりますが、学識経験者、業界団体の代表者、化学物質の専門家にお集まりいただき、御検討いただいているところです。
 5ページです。こちらは、化学物質管理に係る専門家検討会の中間取りまとめのポイントを1枚にまとめたものです。詳しくは、次ページ以降で御説明したいと思っております。ポイントとしては、青い四角で囲っているところです。大きく2点、危険有害性情報の通知関係と個人ばく露測定の精度の担保関係です。
 1の危険有害性情報の通知関係は、現行の危険有害性情報の通知制度の運用改善として、危険有害性情報の通知義務に罰則を設けるべきこと、それから、通知事項の変更時において、譲渡・提供先への努力義務を義務化すべきこと、そして、危険有害性の通知事項のうち、必須事項について厚生労働省で定めるべきとの御提言を頂いております。
 また、2の営業秘密に関する部分ですが、重篤な健康障害を生じる有害性クラスに該当する場合や、特定の有害性クラスであって区分1に該当する場合は、非開示の対象とすべきではないこととされており、譲渡・提供者の義務として非開示が認められる物質のみについて、成分の通知義務が免除されることとされています。そして、非開示の場合には、営業秘密であることを通知して、代替名、その他の情報を譲渡・提供先に通知しなければならないこと、さらには、非開示とした成分名及び通知した代替名、その他の情報を記録し、当該通知から5年間保存しなければならないことを御提言いただいております。
 さらに、営業秘密とした成分の開示に関して、医師や産業医が開示を求めた場合に開示すること、労働基準監督官が求めた場合に開示することを義務付けることが御提言されております。個人ばく露測定精度の担保関係ですが、個人ばく露測定について、作業環境測定と同様に、測定の精度を担保するため資格者による個人ばく露測定を義務付ける仕組みを設けることを検討すべきと御提言いただいています。
 6ページは、本日、御議論いただきたい事項を整理したものです。大きく6点あります。1.SDS交付等による危険有害性情報の通知制度の履行確保について。2.SDS等による危険有害性の通知事項について。3.営業秘密保持のためにSDS等で代替名表示が認められる対象について。4.その場合の譲渡・提供先の義務について。5.同じく、その場合の医療上の緊急事態及び産業保健上で必要な場合等の情報開示について。6.個人ばく露測定の精度の担保のための仕組みについてということです。
 順番に御説明いたします。7ページの論点1、SDSの交付等による危険有害性情報の通知制度の履行確保についてです。論点としては、新たな化学物質規制が施行され、対象となる化学物質が増加する中で、化学物質のリスクアセスメント等の的確な実施のため、SDS等により通知される危険有害性情報の重要性が増している。SDS等による危険有害性情報の通知制度の履行確保についてどう考えるか。中間取りまとめのポイントに沿って対応することでよいかです。
 中間取りまとめのポイントは2点あり、1点目は、現在、化学物質の譲渡・提供者に対して、SDSの交付等による危険性又は有害性情報等の通知が義務付けられておりますが、SDS交付を徹底するため、SDSの交付等による危険性又は有害性等の情報通知義務に罰則を設けることです。
 2点目は、SDS等の通知事項を変更した場合、変更された通知事項を迅速かつ確実に伝えるため、変更された通知事項の速やかな通知の努力義務について義務規定とすることです。
 その下に※が付いておりますが、この論点1と次に御説明する論点2について、施行まで5年程度の周知期間をおいて、その間、通知の電子化・標準化の推進のため、国が一定の支援を行うとされております。この部分については、SDSがメーカーからユーザーに渡るのに時間を要しているとの御指摘があり、その原因として、電子化が進んでいないことが挙げられたため、国でSDSの電子化・標準化を進めるとされたものです。以上が論点1となります。
 続いて8ページ、論点2はSDS等による危険有害性の通知事項についてです。論点としては、化学物質を取り扱う事業者等がリスクアセスメントを的確に実施し、その結果に基づく措置を適正に実施するため、SDS等の通知事項の充実についてどう考えるか。中間取りまとめのポイントに沿って対応することでよいかです。中間取りまとめのポイントですが、化学物質の譲渡・提供者がSDSで通知しなければならない事項は、ここに示されているとおり、安衛法第57条の2、安衛則第34条の2の4で規定されております。リスクアセスメントを適切に実施するために、通知の内容について拡充してはどうかというものです。
 中間取りまとめでは、必須とする事項と望ましい事項に分けて御提言を頂いており、必須とする事項については4点ございます。1点目は、CAS番号等の成分名を特定できる一般的な番号を追加してはどうかということです。これは化学物質の名称に番号やカンマがたくさん付されており分かり難いということで、CAS番号等の成分名を特定できる番号を記載することにより、検索等でユーザーが簡単に化学物質を特定して情報を得やすくすることを狙ったものです。
 2点目は、含有する成分ごとに適用される法令等となっております。特別規則適用物質であること、リスクアセスメント対象物質であること等を記載することにより、ユーザーが法規制情報を正しく的確に把握できるようにするものです。
 3点目は、皮膚等障害化学物質、特別規則に基づく不浸透性の保護具等の使用義務物質については、適当でない保護手袋の材料(ネガティブリスト)となっております。ここで適当でない保護手袋(ネガティブリスト)とした理由ですが、保護手袋については、化学物質の成分や作業内容、作業方法、作業時間によって大きく異なります。化学物質の譲渡・提供者が提供先の作業内容を必ずしも把握していないという状況があり、ものによっては譲渡した化学物質を混合して使用する場合もあるという中で、推奨すべき保護手袋の記載を仮に義務化した場合には、譲渡・提供者は使用者が化学物質をどのように使っているか分からないので、最も過酷な状況で使用されることを想定せざるを得ないということで、実際の作業に関わらず、性能が高く、高価な保護手袋を記載することになってしまうことも考えられます。そのような場合、ユーザー側の負担も大きく合理的ではないことからネガティブリストを記載することとされたものです。
 4点目は、呼吸用保護具を使用する場合に選択すべき呼吸用保護具の種類、防毒用の場合には、成分に応じて使用すべき吸収缶の種類となっております。これらが必須とする事項として提言されたものです。
 9ページは、記載することが望ましい事項ということで御提言いただいております。5点ほどあり、1点目が想定される用途及び当該用途における使用上の注意について、使用上の制限を重点に記載するということです。これについては、例えば、火の近くで使用禁止にする、換気しないと使用してはいけないいった禁止事項を明確にするという趣旨で、(1)物理的危険性を有する物質については、爆発限界や引火点、(2)急性の健康影響を有する物質については、換気等のばく露低減措置や作業内容に応じた保護具の使用が必要であるという注記を記載することが望ましいと御提言を頂いております。
 2点目は、人体に及ぼす作用に、労働基準法施行規則第35条及び別表1の2で定める業務上の疾病の対象物質である場合は、その旨を記載することとされております。労働基準法施行規則の別表においては、例えば、アミン系樹脂硬化剤等にさらされる業務による皮膚疾患等、化学物質の名称と疾病名称が記載されており、これを記載することが望ましいという御提言を頂いたものです。
 3点目は、流出その他の事故が発生した場合において講ずべき措置として、(1)救急隊員が到着する前に行うべき応急措置。(2)医師が治療方針を決定する際の問い合わせ先を記載することが望ましいとされております。問い合わせ先としては、日本中毒情報センターが望ましいとされており、日本中毒情報センターにあらかじめSDSやSDSの担当者の連絡先を登録すれば、医師からの照会に対して日本中毒情報センターから情報が得られるものとなります。
 4点目からは、貯蔵又は取扱い上の注意における保護手袋についてです。(1)最終的に消費される段階の製品については、推奨する保護手袋の材料(ポジティブリスト)。(2)保護手袋の「厚さ」については、①作業内容や作業時間によって必要な耐透過レベルを決定し、厚さを選択することを明示、②標準的な使用方法に基づいて必要な耐透過性レベルが特定できる場合は、当該耐透過性レベル及び保護手袋の厚さ・材料を明示するとされており、これは保護手袋の製品名でもよいとされております。
 先ほどご説明した必須とする事項で、保護手袋については適当でない保護手袋の材料(ネガティブリスト)としておりましたが、こちらについては、最終的に消費される段階の製品における記載ということでポジティブリストとしております。最終的に消費される段階においては、そのまま使用する製品や使用時の組成が分かる製品としており、この段階になれば、ユーザーの使用状況について、ある程度の想定が可能になることから、推奨する保護手袋として記載することが望ましいとされたものです。
 最後の5点目ですが、貯蔵又は取扱い上の注意における呼吸用保護具について、ガス・蒸気とミスト状の液体等の粒子状物質が混在する作業を行うことが想定される場合、防じん機能及び防毒機能を有するろ過式呼吸用保護具等を使用する必要があるということで、こうした特定の使用状況が想定される場合に、注意事項を明記するとなっております。以上が論点2です。
 続いて10ページ目、論点3は、営業秘密の保持のため、SDS等で代替名表示等が認められる対象についてです。この論点3~論点5までが営業秘密に関するものです。論点としては、国際連合が策定したGHS改訂9版では企業の営業秘密情報の保護を保証すべきとされており、営業秘密情報の保護に関する原則や考慮事項等が示され、EU等の諸外国では既に対応が進んでいるという状況の中、一方で、安衛法第57条の2第1項第2号では、SDSに記載する事項として「成分及びその含有量」が規定されており、成分を通知しないことは認められていません。こうした中で、国際的な動向も踏まえ、リスクアセスメントの実施に支障のない範囲として、営業秘密として成分名を代替名表示等にできる化学物質の有害性の範囲及び含有量の表示方法等についてどう考えるか、中間取りまとめのポイントに沿って対応することでよいかというものです。
 冒頭に申し上げたとおり化学物質の規制が自律的管理に移行し、対象となる化学物質が令和8年4月には約2,900に拡大するという中にあって、化学物質の成分と含有量を全て公開することが不利益になる場合があるということで、検討を進めたものです。
 中間取りまとめのポイントですが、国際的な動向を踏まえて、GHSの考え方に基づいてリスクアセスメントの実施に支障がないなど、SDS交付制度の趣旨を損なわない範囲において代替名等の通知を認めるとして、具体的な方策を2点掲げております。
 1点目は、成分名は、重篤な健康障害を生じる有害性クラスに該当する場合や特定の有害性クラスであって区分1に該当する場合等を除いて、営業秘密に該当する場合は非開示の対象とすることです。ここで、中間取りまとめで御提言された具体的な内容が23ページに記載されておりますので御覧ください。
 23ページには大きく2つあり、1つ目が発がん性や呼吸器感作性等の有害性クラスに着目した非開示の範囲、2つ目は混合物の有害性区分や法令に着目した非開示の範囲であり、これらを満たすことが必要と御提言を頂いております。1つ目では4点の御提言を頂いており、1点目は生殖細胞変異原性、発がん性又は生殖毒性の有害性を有するものについては、有害性区分にかかわらず、成分名の非開示の対象とすべきではないことです。2点目は、呼吸器感作性、皮膚感作性又は誤えん有害性を有するものについて、成分名の非開示の対象とすべきではないことです。2点目に掲げる有害性については、全て区分1しかないものとなっております。
 3点目は、皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性、特定標的臓器毒性(単回ばく露)又は特定標的臓器毒性(反復ばく露)を有するものについては、区分1に該当する場合は成分名の非開示の対象とすべきではないこと、4点目は、急性毒性を有するものについて成分単体として区分1~3に該当する物質は成分名の非開示の対象とすべきではないとされております。
 そして、右側の2の1点目として、含有量がGHSの濃度限界以上の場合は、混合物の有害性の区分に影響し、リスクアセスメントの実施に支障のない範囲とはいえないことから成分名の非開示の対象とすべきではないとされています。有害性区分が付くものについては非開示の対象外となります。
 2点目は法令で個別に対応が義務付けられている特化則等の特別規制の適用対象物質、皮膚等障害化学物質に該当する物質、濃度基準値が設定される物質については、成分名の非開示の対象とすべきではないとされています。
これら非開示とすべきでないものを除いて非開示が認められるということになります。説明してきたとおり、営業秘密の対象については、発がん性区分が付くようなものは除かれるということとなります。
 10ページに戻ります。中間取りまとめのポイントの2点目ですが、含有量は非開示の対象とせず、成分名の非開示対象の物質の含有量は安衛則第34条の2の6に規定された10%刻みの表示を原則とすると御提言を頂いております。含有量については、昨年3月にこの分科会でも御議論を頂き、安衛則第34条の2の6において10%刻みが認められているところで、これを踏襲するものとなっております。以上が論点3です。
 論点4に移ります。11ページ目、論点4は、営業秘密の保持のため、SDS等で代替名表示をする場合の譲渡・提供者の義務等についてです。論点としては、SDS等の通知について、営業秘密に該当する化学物質の代替名表示等を認める場合、化学物質の譲渡・提供者に対する法令上の義務についてどう考えるか、中間取りまとめのポイントに沿って対応することでよいかです。
 中間取りまとめのポイントは5点あり、1点目は、営業秘密による非開示とする場合、営業秘密であることを通知することです。営業秘密が設定されていることを明確化するものとなっております。
 2点目は、一定の条件として、先ほど御説明した23ページの部分に従って非開示が認められる物質のみについて成分の通知が免除されることです。
 3点目は、成分の通知義務が免除された場合に、代替名その他の情報を譲渡・提供者に通知しなければならないことです。(注1)のその他の情報というのは、有害性区分等の危険有害性情報です。
 4点目は、成分名を非開示とし、代替名その他の情報を通知した場合に、通知者は非開示とした成分名及び通知した代替名その他の情報を記録し、当該通知から5年間保存しなければならないことです。ここで(注2)を御覧ください。安衛則第577条の2第5項では、リスクアセスメント対象物の健康診断の結果の保存期間が定められておりますが、がん原性物質については30年間、その他の物質については5年間の保存となっております。保存義務については、この規定を踏まえて、産業保健上の理由による営業秘密情報の開示請求に応じられるよう、5年間の記録保存を義務付ける趣旨となっております。先ほど御説明したとおり、法令で30年間の健康診断結果の記録の保存が義務付けられている特別管理物質、がん原性物質は、営業秘密による非開示の対象とならないということを踏まえて設定されたものです。
 最後、5点目は、厚生労働大臣は、代替名その他の情報の内容を決定するために必要な指針を公表することとなっております。代替名の設定は非常に複雑なものですので、これを厚生労働大臣の指針として定めて公表するということとしております。以上が論点4です。
 続いて12ページ、論点5は営業秘密の保持のため、SDS等で代替名表示をした場合の医療上の緊急事態及び産業保健上で必要な場合等の情報開示についてです。論点としては、情報開示に関して、①医師が診断及び治療のために必要であるとして代替名等を通知した化学物質の成分名の開示を求めた場合、②産業医が労働者の健康管理のために必要であるとして同様に成分名の開示を求めた場合、そして3番目で、③営業秘密情報が適切に設定されているかを確認するため、労働基準監督機関による確認が必要な場合の情報開示についてどう考えるか、中間取りまとめのポイントに沿って対応することでよいかです。
 中間取りまとめのポイントですが、1点目は医師の開示を求めた場合です。医師が診断及び治療のために必要であるとして代替名等を通知した化学物質の成分名の開示を求めた場合に、直ちに開示することを義務付けることとされております。
 2点目は、産業医が開示を求めた場合です。産業医が労働者の健康管理のために必要であるとして、代替名等を通知した化学物質の成分名の開示を求めた場合に、秘密保持を条件に速やかに開示することを義務付けるとされております。
 3点目が、労働基準監督機関に関する事項です。労働基準監督機関から求められた場合に報告等に応じる義務を課すこと、そして、営業秘密によって成分名の非開示を行った化学物質の譲渡・提供を行い、当該情報の記録・保存をしている事業者が事業を廃止しようとするとき、労働基準監督署長に営業秘密の記録を提出することを義務付けることが御提言されております。以上が論点5です。
 次のページの論点6は個人ばく露測定の精度の担保のための仕組みについてです。論点としては、労働者のばく露の程度が濃度基準値以下であることを確認するための個人ばく露測定やリスクアセスメントのための個人ばく露測定については、ばく露の程度が濃度基準値を超えるおそれのある場合や、工学的対策等によるばく露の低減が困難な場合に、適切な呼吸用保護具の選択のため等に行われるものですが、個人ばく露測定の制度の担保についてどう考えるか、中間取りまとめのポイントに沿って対応することでよいかです。
 中間取りまとめのポイントですが、(1)第三管理区分作業場等においては、法令上、個人ばく露測定を行うことを事業者に義務付けていることから、法令改正により個人ばく露測定を資格者に行わせることを事業者に新たに義務付けることが適当であると御提言を頂いております。この(1)については、本年2月に開催された本分科会においてご議論いただき、法令上、個人ばく露測定を義務付けられているものについて、作業環境測定士であって一定の研修を受けた者等が個人ばく露測定を行うように義務付けたところで、令和8年10月に施行予定となっております。
 (2)は、個人ばく露測定が義務付けられていない確認測定や、リスクアセスメントのための個人ばく露測定について、その精度を担保する仕組みが必要であるということ、また、今後、必要な法令の整備によって、作業環境測定と同様に、資格者による個人ばく露測定を義務付ける仕組みを設けることを検討すべきであると御提言を頂いております。
 (3)は、資格者の要件として、ただ今御説明した(1)と(2)で共通の要件とすることとされております。これについては30ページ目を御覧ください。
 30ページ目に中間取りまとめの抜粋を示しております。先ほど、既に御議論いただき措置されている部分があると申し上げましたが、下の図の青い網掛け部分、左の②環境改善が困難な第三管理区分作業場や、④の金属アーク溶接等作業を継続的に行う屋内作業場については、既に措置をしている状況です。
 未措置の部分は、ここで言うと③と⑤になります。この部分について対応が必要となっているということであり、作業環境測定と同様の仕組み設けてはでどうかと御提言を頂いたところです。14ページ以降は中間取りまとめの概要となっているので説明は省略したいと思います。私からの説明は以上です。よろしくお願い申し上げます。

○髙田分科会長 御説明ありがとうございました。資料1に基づきまして論点が6つ挙がっていますけれども、ここからの議論につきましては論点を分けずに進めていきたいと思います。本件につきまして質問、意見等のある方は、会場の委員につきましては挙手を、オンライン参加の委員につきましては御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。まず、会場参加の委員で御発言がある方、挙手をお願いいたします。鈴木委員、お願いいたします。

○鈴木委員 御指名ありがとうございます。2点質問させていただきます。1点目です。12ページで、医師が診断や治療に必要であるとして成分名の開示を求めた場合、化学物質の譲渡・提供者が直ちに開示することを義務付ける旨の記載があります。事務局からご説明があったとおり、成分名の非開示を認める対象は、有害性が低い物質に限られると理解していますので、医療上の緊急措置を施すために開示が必要な場合が生じるのか、あまりイメージが湧かないところです。どのようなケースを想定してこちらの記載が盛り込まれたのか、事務局にお尋ねしたいと思います。
 2点目です。20ページの左側の箱の(1)に、通知の電子化及び標準化を推進すべきという記載があります。新たな化学物質規制に対応するためには、サプライチェーン全体を通じて危険有害性情報が迅速かつ確実に伝達されることが不可欠であり、通知の電子化・標準化はその前提になると思います。一刻も早い取組が求められる一方、私どもの会員企業からは、例えば2022年5月の改正法令の施行までは書面交付による通知が当たり前で、電子化はこれからの段階であるという声や、SDSのフォーマットが各社で異なるため、必要なデータを手作業で取り出さざるを得ないった声が多く届いていたます。このような現状を大きく変えていく必要がある中で、20ページの右側の箱の(3)に国が支援を行う旨の記載があります。私どもとして大きな期待を寄せていますので、現時点でどのようなものを想定しているのか、差し支えない範囲で事務局にお伺いしたいと思います。以上です。

○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか会場から、七浦委員、お願いいたします。

○七浦委員 御指名ありがとうございます。七浦です。最初の議論と比べると随分前進していろいろ工夫いただいているかなと思います。ただ、業界業種によっては、まだまだ化学物質の管理者のレベルがまちまちであろうと思うので、更に分かりやすく、どんな人でもリスクアセスメントが分かりやすく出来るような形で、あるいは、今御説明いただいたように、保護具の選定においてネガティブリストはもちろん大切であるし、適切な保護具を積極的に決めていけると良いと考えております。
 その中で御質問させていただきたいのは、8ページから9ページの論点2についてです。中間取りまとめにおいて、成分名を特定できる一般的な番号、適用される法令、保護手袋の材料(ネガティブリスト)、呼吸用保護具や吸収缶の種類に関する通知が必要とされたことは、本当に有り難い見直しであると思っています。当社においても、これらの情報をSDSからしっかりと読み取れることが大切ではあるのですが、まだまだ読み取れない部分がありますし、リスクアセスメントの実施は先ほども申しましたように、ばく露防止の検討に苦労した経験がありますので、この辺り、より分かりやすくしていただきたいと思っています。
 それから、鈴木委員からもお話がありましたように、20ページ、21ページの電子化のための5年をめどにした中小向けの国の支援、使い勝手の良い保護具あるいは手袋の開発等に対する国の支援について、この中身も含めてお聞きしたいし、この項目も含めて引き続きいろいろ工夫をしていただきたいと思っている。ありがとうございます。以上です。

○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、会場から御発言はございますでしょうか。そうしましたら、山脇委員、お願いいたします。

○山脇委員 ありがとうございます。労働側の山脇です。今回の見直しは、化学物質による労働者の健康障害防止に向けて、ばく露防止措置を適切に実施するための法整備であり、大変重要な取組と受け止めています。
 そうした中で1点、資料10ページの論点3に関して質問したいと思います。労働者側としては、営業秘密情報の保護を考慮するあまり、労働者の健康や安全等が脅かされるということはあってはならないと考えます。論点の中では、EU等の諸外国においては既に企業の営業秘密情報の保護に関する対応が進んでいるという記述がありますが、ここで記載のEU等の諸外国の営業秘密情報の規定はどのような内容なのか。また、中間取りまとめに示されている内容は、諸外国の規定と比べて、労働者保護の観点からどのような関係、位置取りになるのかお尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。

○髙田分科会長 ありがとうございます。一旦、ここまでで事務局から回答をお願いいたします。

○化学物質対策課長 御質問ありがとうございます。初めに、鈴木委員からの御指摘についてです。御指摘の1点目につきまして、営業秘密の対象が有害性が低い物質としているけれども、医師の開示に関して、低い物質にもかかわらず緊急時の措置を講じることについて、どのような場面を想定しているのかという御質問かと思います。
 御説明してきたとおり、営業秘密とするものにつきましては有害性の高い物質は除外していまして、一般的に営業秘密の物質が原因で緊急搬送されることは想定しにくいところですけれども、例えば何か化学物質に関する事故があって労働者がばく露した際に、労働者が病院に運び込まれた場合があるかと思います。その際に、医師がSDSに記載されている物質の有害性区分を見て、その区分と搬送者の症状から対応を判断することになるかと思いますが、通常は、SDSに記載されている物質から想定される症状と患者の症状は一致する場合がほとんどだと思いますけれども、想定されていない症状が現れている場合であって、そこに仮に営業秘密が含まれている場合につきましては、営業秘密の物質が原因である可能性も考え、医師が内容を確認したいということがあろうということで、そういう場合を想定しているところです。
 2点目ですが、SDSの迅速化ということで電子化を進めていくとされていますけれども、国の支援としてどういうものを想定しているのかということだったかと思います。専門家検討会におきましては、SDSの通知にはかなり時間がかかっているという御指摘もあり、その原因の1つとして、SDSの電子化・標準化が必要であると御指摘を頂いているところです。SDSの電子化・標準化の促進のために国が支援するということですけれども、現在考えているのは、SDSの電子化に当たって標準的な電子フォーマットについて国が作成するということ、それから、電子フォーマットを用いてSDSを活用していただくわけですが、活用の際にどうしてもシステムの導入や改修が企業において必要になってくる場合も生じてくるだろうということで、そうした場合についての事業者への支援を検討しているところです。こうした取組を通じてSDSの電子化・標準化を進めていきたいと考えています。
 七浦委員から御指摘がございました、リスクアセスメントについては、今回の制度改正も含めてより分かりやすい形で行っていくことが必要であることと、また、必須とすべき事項について追加するということで提言を頂いていますけれども、こちらもより分かりやすくしていただきたいということでした。
 リスクアセスメントの実施に必要な情報をSDSから入手していくという意味で、今回の制度改正においては、しっかりSDSが通知されるように罰則をもって担保したり、あるいは変更時について努力義務規定を義務規定に格上げしたり、さらには通知の内容について充実を図っていくということで、正にユーザーが適切にリスクアセスメントを実施できるように制度改善を検討しているところでございます。ユーザーにおいてしっかりリスクアセスメントができるように、また、その定着が図られるように行政としても最善を尽くしていきたいと考えています。
 山脇委員から、営業秘密の設定に関してEUの対応との違いということを御指摘いただいたかと思います。これにつきましては、資料でいきますと先ほど御説明しました23ページ目に、営業秘密とする非開示の範囲ということで御説明申し上げましたけれども、こちらの非開示の範囲が正にEUで規制されているものと合致しているということで、基本的にはEUと同様の規制を行っていくことをご提言いただいています。この規定がしっかり履行されるように行政としては進めていきたいと考えています。以上です。

○髙田分科会長 御説明ありがとうございました。鈴木委員、七浦委員、山脇委員、追加で御発言はございますでしょうか。鈴木委員、お願いいたします。

○鈴木委員 御回答ありがとうございます。緊急時の措置として想定されるケースがそれほど多くないと理解いたしましたが、先ほど山脇委員がおっしゃったように、営業秘密情報の保護への対応により労働者の健康が脅かされることがあってはならないと私も思います。万が一の場合の緊急事態への対応については、しっかりと周知徹底を図ることが必要だと改めて感じたところです。
 電子化・標準化につきましては、危険有害性のある化学物質は大企業だけでなく、中小・零細企業も取り扱いますので、サプライチェーン全体で実効性を高めていかなければならないと思います。ご回答のあった電子フォーマットの作成や、事業者のシステム改修への支援は重要な手当です。先ほど七浦委員からもお話しがありましたが、電子化・標準化の対応が図られるよう、是非、必要十分な支援をいただきますよう、私からも強くお願いしたいと思います。以上です。

○髙田分科会長 ありがとうございました。続きまして、山脇委員、お願いいたします。

○山脇委員 御回答ありがとうございます。改めて確認ですが、EU等以外の諸外国も比較していただく中で、労働者保護の観点を含めEUの諸制度が最も整備されているため、EUの制度を参照して作られたという認識で良いか教えていただければと思います。

○髙田分科会長 事務局、お願いいたします。

○化学物質対策課長 御質問ありがとうございます。御指摘のとおりでございまして、化学物質規制についてはEUが非常に厳しい規制をとっているということで、EUを参考に制度設計をしたということでございます。

○髙田分科会長 山脇委員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。続きまして、奈良委員、お願いいたします。その後、オンライン参加の委員について御指名いたします。

○奈良委員 労働側の奈良です。御説明ありがとうございます。意見と質問を述べさせていただきます。1つは、今回のSDSの通知の運用改善というのは労働者の健康を守る上で極めて重要な取組だと思っています。その上で相当数、化学物質は今後増えていくということになりますので、現場で使用するユーザー側の事業者への支援も是非、お願いをしたいと思っています。取り分け建設の現場などでは、中小零細の事業者も多数おりますので、そういったところに分かりやすい通知の在り方、先ほど標準化、電子化という御発言がありましたが、そういったことも含めて是非、お願いをしたいと思っています。
 それと、質問させていただきたいのは営業秘密の保持の関わりで、開示・非開示の基準が先ほど一定示されたわけですが、その非開示とする基準がきちんと守られているのかどうか、これが基本的には提供事業者側のモラルに任されるということでよいのか、どのような形でこの基準が守られているかどうかを担保していくのかということについて、お伺いをしたいと思います。
 それともう1点、非開示とされた情報について、5年間、事業者側で保管をするとされていますが、確かにリスクの低い化学物質であったとしても、使用条件によっては一定の年数を経た後で症例が出てくる、あるいは疫学的な知見が出てくるということも想定されるかと思います。そうした折に、民間事業者が情報保管をするということですと、言ってしまえば廃業や、この事業を廃止するといったような資本の側の判断で、情報保管が担保されなくなる可能性もあるわけです。もちろん、監督署に届け出ると規定はされていますが、こういった点を考えると、日本中毒センターのような第三者機関に一定の情報保管を委ねるといったような在り方も検討するべきではないのかなと思っています。以上、2点、質問させていただきます。

○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局から回答をお願いいたします。

○化学物質対策課長 御質問ありがとうございます。意見と質問ということでした。1点目は、ユーザーへの支援も必要ではないかということでした。これについては現在でも、多様な取組をしていまして、例えば化学物質に関して業種別のマニュアルを策定していたり、中小企業事業場への訪問支援であったり、それから各種リーフレット等を作成したりというような支援を行っています。もちろん、まだまだ十分ではない点もあると思いますが、こうしたことを引き続き、更に強化して対応していきたいと考えています。
 それから、御質問ですが、1つ目の非開示とした場合の判断基準について、これは専門家検討会においては、非開示の判断については行政機関への届出等を求める必要はないというような御提言を頂いていまして、営業秘密として非開示にできる条件をしっかり設定をし、罰則を科してその条件の遵守を徹底していくということと、労働基準監督機関への情報開示について、罰則付きで義務付けて履行確保を図っていくということで、営業秘密の適切な設定を担保するということとしたものです。この仕組みを的確に運用することで営業秘密が適切に設定されていくものと考えています。
 それから、非開示とした場合の成分名の5年保存についてご指摘がありました。5年保存の考え方ですが、営業秘密として代替名表示ができる物質については、法令で30年間の健康診断結果の記録の保存が義務付けられているような物質については除くということにしています。専門家検討会においては、リスクアセスメント対象物質の健康診断結果の保存期間ががん原性物質については30年間、その他の物質は5年間と設定されていますが、これを踏まえて5年間が適当と御提言を頂いています。化学物質の知見は将来変わり得るということでしたが、将来、どの化学物質がどう変わるかというのは、なかなか断定は難しいという状況の中で、現在の科学的知見に基づいて、現在30年保存のような物質は除いているわけですから、合理的な範囲として、あるいはその保存に係る事業者の負担というものも勘案すると、5年ぐらいが適当な期間ではないかと我々としては考えているところです。
 それから、第三者への保管ということで、日本中毒情報センターのような所で保管してはどうかという御指摘も頂いたところですが、これについてはがん等の30年保存の化学物質について、全体としてどう考えていくのかということで、現在、内部においてもその在り方については検討しているところです。ここで結論としてどうかということは、なかなか申し上げにくいのですが、その辺りも含めて考えていきたいと思っています。

○髙田分科会長 ありがとうございました。奈良委員、よろしいでしょうか。そうしましたら、オンラインでかなりお待ちいただいていますので、オンライン参加の委員に移らせていただいて、その後、また会場に戻りたいと思います。それでは、宮内委員、御意見があるということなので、御発言をお願いいたします。

○宮内委員 御説明どうもありがとうございました。これはお願いごとだと考えていただいていいと思います。労働者の化学物質による健康障害防止を図るために、抜本的な見直しをする。具体的には令和8年4月から、化学物質対象物質を約2,900に拡大する予定ですということで、よりきめの細かい効率の良い健康障害防止を図るというお話を伺いました。そのために化学物質の正確な情報を、まず正しく伝えていくということは、これは確かに要なことであると思います。その情報をより精度よく、しかも効率よく伝えるということで、今回このSDSの見直しがあったということは非常に私は重要だと認識しています。特に先ほどお話があった、化学物質で何か健康障害が起きたときの診断や治療に、的確なリアルタイムで対応するための仕組み作りというのは非常に重要で、早急にこれはきちんとした法制化をしていただきたいということ。それから、保護具に関しても、正に的確な保護具をどういうふうにやっていくのか、使用して予防していくかということはすごく重要なことですから、是非今後、これについても推進をしていただきたいと思います。
 こういったものができた上で、今度は運用する形になったときに是非お願いしたいのは、行政のほうの立案、それから化学物質のメーカー、またはユーザーの方々の協力が非常に重要かと思っています。協力によって、私は推進が可能になると思います。14次防の中でも労働者の協力を得て、企業が自発的に安全衛生に取り組むことが重要ということがうたわれています。特に中小企業の事業所においては、これを啓発として大きく掲げていますから、是非、そういうことは考えて推進していくことが重要かなと思っています。
 それから、労働安全衛生規則の577条の2の10項の中でも、労働者からの意見を聴取する機会を設けるということが新たに加わっていますから、正にこういう中で保護具、社内の対応等を含めて、今後きめの細かい対策を本当に三位一体になって推進していただくことが重要かなと思いました。以上です。

○髙田分科会長 ありがとうございました。続きまして、佐々木委員、お願いいたします。

○佐々木委員 ありがとうございます。労働側の佐々木です。13ページ論点6の中間取りまとめのポイントにある通り、あるいは労働者・就業者保護の観点から資格者による個人ばく露測定を義務付けるべきであり、安衛法の条文に明文化をする形で対応いただきたいと思います。私からは以上です。

○髙田分科会長 ありがとうございました。ちょっと音声が少し途絶えていましたので、一部発言が聞き取れない部分がありましたので、議事録で確認いただければと思います。ありがとうございます。

○佐々木委員 よろしくお願いします。

○髙田分科会長 それでは、ここまでで、事務局からお願いいたします。

○化学物質対策課長 ありがとうございます。初めに宮内委員からの御指摘ですが、化学物質に関してSDS等の情報によって、化学物質の有害性等の情報を正しく効率よく伝えていくということは大変重要だということと、メーカー、ユーザーとの協力も重要だということ、また、きめ細かい対応も必要だというような御指摘と考えていますが、正にそのとおりで、今回このような形でSDSの内容を充実させて、しっかり通知していただくような制度を整えることによって、化学物質管理がより適切に行われ、また、リスクアセスメントも定着していくということを狙ったものですので、各種措置がしっかり定着して対策が講じられていくように、我々としては取組を進めていきたいと考えています。
 それから、佐々木委員からの御指摘ですが、こちらは個人ばく露測定に関しまして、資格者における措置について法令でしっかり位置付けて対応していただきたいということと理解していますが、我々としては作業環境測定と同様に労働安全衛生法や作業環境測定法に個人ばく露測定を位置付けて、的確な対応ができるようにしていきたいと考えています。以上です。

○髙田分科会長 ありがとうございます。宮内委員、佐々木委員、よろしいでしょうか。

○宮内委員 はい、特にありません。

○髙田分科会長 ありがとうございます。続きまして、砂金委員、お願いいたします。

○砂金委員 砂金です。資料全般を拝見しまして、今回の取組について情報等に関して例えば通知、電子化、その他秘密の保持、記録の保存といったような、いわゆる情報の取扱いに関する文言が多く資料の中に出ていると思いました。そういう場合には、情報を入力する側、出力する側、情報を管理する側、ユーザーといった使われる側の方がおられると思いますが、そういった場合に、国としてその情報の取扱い、特に、秘密といったような言葉も出ていたように、セキュリティというものの確保が求められると考えています。この種の取組を進めるに当たっては、実際の体制も含めた十分な検討を行っていただきたいと資料を拝見して思いました。以上です。よろしくお願いします。

○髙田分科会長 ありがとうございました。続きまして、出口委員、お願いいたします。

○出口委員 出口です。御説明ありがとうございます。SDS交付等を徹底するための通知義務に罰則を設けること、また、通知の努力義務を義務付けとする。これらについては、現状から改善するための措置だと考えていますので、異論はありません。私からは、これらに関する要望となります。過去の分科会においても、適正なSDSが交付されていないと、正しい情報が通知、伝達されず、正しいリスクアセスメントが実施できない等、幾度となく、SDSの交付率が低迷している時期から要望してきました。ようやく第14次防のアウトプット指標でラベル表示、SDS交付の義務対象外ですが、実績値が上昇してきました。しかし、義務対象となる物質については、前回、分科会の資料には記載がありませんでしたが、2023年実績は、ラベル表示を全ての製品に表示している事業所の割合を、該当する化学物質を製造又は譲渡・提供している事業所、61.1%を100として94.9%。SDSも同様に全ての製品に移行している事業所の割合が89.7%となり、義務対象の実績値も上昇しています。
 しかし、これらの高い実績値にもかかわらず、リスクアセスメントの実施状況は、依然として低迷しており、ラベル表示、SDS交付の高い実績値と建設現場の実態には乖離があると感じています。これらを見る限り、正しい情報が伝達されずに、適正なリスクアセスメントが実施できない状況ではないかと推察しています。
 要望としては、令和6年又は今後の労働安全衛生調査、実態調査の化学物質の項目でSDS交付時に追加となりました項目を、全て満たして交付しているかなどの調査項目を追加していただくようにお願いいたします。
 また、SDS交付等の通知義務に罰則を設ける、変更された通知事項を迅速かつ確実にするために、努力義務から義務規定もリスクアセスメントの的確な実施を促進するための改善となります。どこに問題が生じているのか分析をし、施行となるまでのこの約5年間の間に、これらの問題を解決して、今までのような後手後手の施策ではなく、国や厚労省様の手厚い御支援を頂きながら、通知の電子化・標準化を今後強く推進してまいります。施行の際には混乱なく全ての事業者が円滑にリスクアセスメントを実施し、健康障害防止対策を講じて、安全に作業を進められるようにお願いいたします。
 そして、論点2について確認です。資料1の8ページの※にあります特別規則適用物質や危険物、リスクアセスメント対象物質、皮膚等障害化学物質等、がん原性物質、濃度基準値設定物質、また妊娠中の女性を就かせてはならない業務の対象物質については、営業秘密などあり得ないことであり、※の部分については今回の法改正は労働者の健康と命を守ることを目的に制定されたものです。重篤な皮膚障害、がんを発生させることは国として当然避けなければならず、必ずSDS等を通知することを担保にすべきだと業界内では強い要望がありました。この点について、いかがでしょうか。
 また、CAS番号等、成分名、特定できるものは必要不可欠であり、皮膚等障害の透過レベルのマトリックス表やクリエイトシンプル等のツールでの検証ができません。また、保護手袋については、皮膚等障害の透過性レベルのマトリックスで検証しますと、作業時間や付着の程度が分かりませんので、メーカーとしては安全な手袋を選択せざるを得ないので、記載のとおりネガティブリストについては、各事業者がそれ以外のものを選択できるようにお願いいたします。保護具については、作業性や他のリスク、熱中症等も考慮していただきまして、素手や軍手、革手などは、不可などの表現も明記していただきたいと思います。以上、要望となります。

○髙田分科会長 ありがとうございました。ただいまの御発言につきまして、事務局からお願いいたします。少しお待ちください。

○化学物質対策課長 御質問等、ありがとうございます。最初に、砂金委員から御質問ありました、情報通知の電子化等に当たり、セキュリティの確保ということですけれども、専門家検討会におきましても、電子化に当たり、私的財産の保護が必要性に応じたレベルのセキュリティ対策が可能になるような仕様にするという御提言を頂いておりまして、我々としましてもセキュリティ対策は大変重要だと考えていますので、具体策について検討していきたいと考えております。
 それから、出口委員からたくさん御要望を頂いたところです。まず、ラベル・SDS等について、数値としては上がってきているけれども、リスクアセスメントの実施についてはなかなかその数値を踏まえたような高い実施率にはなっていないということで、正しい情報が適切に伝わっていないような状況が見られるのではないかということでした。私どもとしてもそこは同様の問題意識を持っておりまして、今回御議論いただいていますように、ラベル・SDSの情報が的確にユーザーに伝わって、それに基づいてリスクアセスメントがしっかりできるように制度の改正も含めて御提言を頂いたところですので、制度改正を行っていきながら、リスクアセスメントが定着するように進めていきたいと考えております。
 それから、皮膚等障害化学物質等について、含有成分等を書いていくような取組について進めていくべきだという御指摘を頂いたかと思います。これにつきましても、現在、御指摘のとおり必ずしも十分な記載ではないことは承知しておりまして、これらをしっかり記載していただくように、今回、含有される成分ごとに適用される法令を記載するという提言をいただいていますので、皮膚等障害化学物質等についても、しっかり記載していただくような対応を考えているところです。ユーザーがSDSを見て、化学物質の成分や有害性を認識して、これを踏まえて適切に対応できるように進めていきたいと考えております。
 そのほか、今回の法令改正の提言で対応できる部分とそうでない部分もありますけれども、ご指摘の建設現場の実情に応じて、現場の指導に当たっては丁寧に御説明をしているところですので、適切な化学物質管理が行われるように、引き続き現場の実情に応じて対応していきたいと考えております。
 それから調査に関して、令和6年の安全衛生調査では、もう既に内容が確定しているもので新たに調査項目を追加するのは難しいところですけれども、その後、今回新しく御提言いただいた必須とする事項について、その状況がどうなのかというのは、どういう対応が可能なのかも含めて、検討していきたいと思っております。以上です。

○髙田分科会長 ありがとうございます。ただいまの回答につきまして、砂金委員、よろしいでしょうか。

○砂金委員 ありがとうございました。承知しました。

○髙田分科会長 出口委員、いかがでしょうか。

○出口委員 ありがとうございました。それと1点追加でお願いしたいのですが、これらの根拠データとなっています労働安全衛生調査(実態調査)、その集計、推計方法を見ますと、産業・事業所規模ごとに、復元倍率を算出して集計した結果から構成比を算出されています。実際の有効回答率は、事業者の調査で55.7%、個人調査で45.3%となっています。これらの有効回答率をもう少し引き上げていただくように、調査をお願いいたします。以上です。

○髙田分科会長 調査についてはいかがでしょうか。

○化学物質対策課長 この調査の回答・回収率につきまして、私どものほうでどうこうできるいうとなかなか難しいのですけれども、調査を実施している部局に御指摘の点はお伝えしたいと考えております。

○髙田分科会長 出口委員、よろしいでしょうか。

○出口委員 はい、お願いします。

○髙田分科会長 ありがとうございます。続きまして、新屋敷委員、お願いいたします。

○新屋敷委員 ありがとうございます。スライドの7ページ、1つ前になるのですけれども、中間取りまとめのポイントの中で、SDS等の交付等を徹底するためと、SDS等の通知事項を変更した場合で、新しく罰則を設け、また努力義務を義務規定とするということですけれども、その2項の変更した場合というものが、どの範囲を指すのかというのを教えていただきたいと思いました。次のページに書かれている記載事項が増えるということだと思うのですけれども、記載事項のどの部分を変えた場合に、変更した場合ということになるのか、あるいはもう重要な部分が変わってきたら通知の義務を、57条の2の第1項の罰則が掛かってくるものに変わって、そもそも通知をやり直さないといけないことになるのか、結局は変更がどこまでの範囲を意味するのか、教えていただきたいのが1点。
 それとまた、変更の範囲について、もう既にこれまでの取組によって関係の方々に分かりやすい、この場合は変更したことになるので通知しなければいけないのか、それとも57条の2の第1項による通知を新たにしなければならないのか、これまでの取扱いによって、もう十分に関係する方に理解が行き届いているのかという点について、ちょっとお伺いしたいと思いました。私からは以上です。

○髙田分科会長 事務局から回答をお願いいたします。

○化学物質評価室長 化学物質評価室長の藤田です。御質問ありがとうございます。変更の場合というのはどのような範囲なのかという御質問と、その範囲が理解されているのかといった御質問であると思います。御質問にありましたように、8ページの現行の記載事項の所に現在記載するべき内容が書かれておりまして、名称や成分、その他含有量等があります。こちらの中身が変わった場合と、あと安衛則の通知で行う氏名や住所、電話番号等、これらの内容が変わった場合全てが変更というように規定されます。ただし、成分及びその他、その含有量という所は大幅に変わった場合は新しい製品であるというように解釈されることもあろうかと思いますが、これにつきましては今後義務規定化するに当たり、どの辺りからが変更なのかを検討いたしまして、それをお知らせするようなことを検討したいと思います。したがいまして、現在どの範囲が変更なのかというと、今書かれているものが変わったら変更ですということは決まっていますけれども、具体的にどの範囲までなのかはまだ決まっていないということです。以上です。

○髙田分科会長 ありがとうございます。新屋敷先生、いかがでしょうか。

○新屋敷委員 ありがとうございます。重ねてになって恐縮ですけれども、罰則が掛かる方に義務規定になっているかは重要な違いだと思いますので、その区別が関係の方々に分かりやすいものになるように、今お答えいただいたところを是非、徹底していただきたいと考えます。どうぞよろしくお願いいたします。

○髙田分科会長 ありがとうございました。続きまして、熊﨑委員、お願いいたします。

○熊﨑委員 熊﨑です、聞こえますでしょうか。

○髙田分科会長 聞こえております。

○熊﨑委員 ありがとうございます。御説明ありがとうございました。御説明を伺いまして、化学物質管理が有害性の観点に比して危険性の観点が少ない点を懸念しております。例えば9ページの物理的危険性を有する物質には爆発限界や引火点を記載するということが書かれていますけれども、これは対象物質が気体あるいは液体であることを前提としていて、固体についての情報はなくてよいのか、といった点があります。化学物質のリスクアセスメントにおいても、有害性によって労働者がリスクに晒される機会が非常に多いということは異論ございませんけれども、危険性が火災や爆発の原因となって死傷災害に至るリスクがありますので、危険性についても提供される情報を拡充いただくことを御検討いただきたいです。以上です。

○髙田分科会長 ありがとうございました。続きまして、及川委員は御発言を御希望ということでよろしいでしょうか。お願いいたします。

○及川委員 ありがとうございます。及川です。ばく露状況の的確な把握について、作業環境測定士による測定の義務付けということになっていますが、作業環境測定士に限定されるのか確認をさせてください。というのは、地域の中小企業までこういう測定についてカバーリングしているかどうか、危惧したのでお伺いします。
 もう一点は、意見ですが、20ページの右の下に書いてありますように、施行までの5年間の周知期間に、国の一定の支援ということですが、是非今後、中小企業への支援についてしっかり明記をしていただきたいと思います。今後、物質が2,900に拡大されますし、論点の1~6を実現・執行するに当たって、中小企業・小規模事業者にはどうしても外部専門家の活用が不可欠、フォローが不可欠だと考えています。中小企業にとってのばく露の評価や意思決定、リスクの評価、低減措置、代替案はどうなるのか、代替案についても実施、予算諸々、いろいろ考えていく上で、人的資源の活用ということで、作業環境測定士の方が測定をしつつ、そうしたところも助言を頂けると思っておりますが、もう少し広く、例えば第1種の衛生管理者の方とか、場合によっては新たな保護具の管理者といった人材の強化が必要ではないかと考えております。是非、中小企業のためにも外部専門家の計画的な人材育成を進めていただくようお願い申し上げます。御質問と意見です。以上です。

○髙田分科会長 ただいまの御発言について、事務局から回答をお願いいたします。

○化学物質対策課長 御質問ありがとうございます。初めに、熊﨑先生から、危険性の観点について御発言があったかと思います。物理化学的危険性につきましては、SDSの通知事項の中に、物理的及び化学的性質という項目、あるいは安定性及び反応性のような項目があって、物理化学的な危険性についても記述することとされております。例えば、物理化学的危険性について可燃性や引火点等、18の項目について記載を求めておりますし、安定性・反応性についても衝撃・振動等、避けるべき条件等について記載を求めている状況です。今回の検討の中では、物理的・化学的危険性については先ほど先生から指摘があったような、物理的危険性を有する物質について、爆発限界や引火点等について記載するという御指摘も頂いておりますので、それらがしっかり記載されるように努めていきたいと思っております。その他の点も含めて物理的・化学的危険性についてどういう対応が可能なのか、現場の取組の実態や災害の発生状況も勘案して考えていければと考えております。
 それから、及川委員から御指摘がありました個人ばく露測定に関して、有資格者に行わせるということですけれども、既に義務化されている部分については作業環境測定士で一定の研修を行った者ということで措置しているところでして、その他、個人ばく露測定ができる資格者としては、ハイジニストについてもそれに類するものとして認めているところですので、これらと同様に対応していきたいと考えております。
 それから、中小企業への支援をしっかり行っていただきたい、また外部専門家の活用についても御検討いただきたいということでした。中小企業への支援につきまして、相談窓口を設けたり、専門家による指導を行っているところですし、更に今回の制度改正を踏まえて、どういう支援、外部専門家の育成が可能なのかについて考えていきたいと思っております。以上です。

○髙田分科会長 ありがとうございます。まず、熊﨑委員、よろしいでしょうか。

○熊﨑委員 はい、結構です。引き続き御検討のほど、よろしくお願いします。

○髙田分科会長 ありがとうございます。続きまして、及川委員、いかがでしょうか。

○及川委員 ハイジニストのところを少し失念しておりましたが、御説明で了解いたしました。ありがとうございます。

○髙田分科会長 ありがとうございます。続きまして、出口委員、再度御発言を御希望でよろしいでしょうか。

○出口委員 出口です。御指名ありがとうございます。論点3の営業秘密の保持のために代替名表示することに対して、特に異論はございません。ただ、営業秘密のために詳細名が記入されていない、また含有量が明確に記載されていない場合には、一般のエンドユーザーである中小企業主及び労働者等で化学物質の知識のない者には、当該物質に関して正しくリスクアセスメントは実施できません。これらについては実施できなくても、建設業現場の臨検等で法違反、是正勧告等にしていただかないように、その点を担保いただきたいです。
 論点3~5の営業秘密に関して、リスクアセスメントを的確に講じるために、必要な情報開示をお願いするとともに、また代替名表示を行うならば、義務として罰則を設けるのもよいのではないでしょうか。これについてお伺いします。
 そして論点6、個人ばく露測定の精度の担保のための仕組みについてですが、今回の法改正について、個人ばく露測定が重要な法改正であるということと、個人ばく露測定が専門家で行わなければならないことが、事業者の自律的管理展開の障害になっているのではないでしょうか。
 屋内作業においては、従来の作業環境測定でよいのではないかという意見もあり、現実的に作業環境測定士と同等の有資格者の測定には無理があります。また、全ての事業者が労働者等に対して、測定器具の種類や数量等が揃うかなど、疑問視もされているところです。建設業では日々、施工場所が頻繁に変わります。その都度個人ばく露量を測定するというのは非現実的であり、その精度を担保する仕組み、また今後必要な法令の整備によって、作業環境測定と同様に、有資格者による個人ばく露測定を義務付ける仕組みを設けることを検討していただくと同時に、より簡易な測定方法を確立するようにお願いいたします。
 建設業は、第3管理区分の作業場所等はほとんどないと思いますが、有資格者の要件等は十分に検討していただき、それぞれの業種に見合った配慮をお願いいたします。要望となります。

○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの御発言について、事務局から回答をお願いします。

○化学物質対策課長 御質問ありがとうございます。出口委員から3点ほど御意見等を頂きました。まず、営業秘密を設定したものについて、リスクアセスメントが正しく実施できないので対応してほしいというお話だったと思います。営業秘密に設定する化学物質はこれまで御説明してきたとおり、リスクアセスメントの実施に支障のない範囲ということで設定をするものです。ですので、この営業秘密を設定した物質について、リスクアセスメントが実施できないようなものは除かれていると御理解いただければと思います。
 それから代替名について、代替名表示をすることに関してより厳しく措置をするべきではないかという御指摘も頂いたかと思います。営業秘密として設定する場合については、対象について先ほど御説明したとおり、非常に厳しく設定しているところで、これは罰則付きにしてはどうかという御提言を頂いているところです。
 最後に個人ばく露測定についてですが、これについては個人ばく露測定を行うべき対象を新たに設定するというものではなくて、個人ばく露測定をする際に資格者がしっかりやっていただくような仕組みを整えるということですので、御理解いただければと思います。

○髙田分科会長 よろしいでしょうか。出口委員、いかがでしょうか。

○出口委員 ありがとうございます。より簡易な測定方法についてはいかがでしょうか。

○髙田分科会長 お願いいたします。

○化学物質対策課長 より簡易な測定方法の開発についてですが、我々としてはできるだけ事業者の負担にならないように進めていきたいと考えており、測定にはどういう方法があるのか、また、考えられるより簡易な方法はあるかについて、いろいろな意見を聞きながら対応できる部分については対応していきたいと考えています。

○髙田分科会長 ありがとうございます。出口委員、いかがでしょうか。

○出口委員 はい、ありがとうございました。

○髙田分科会長 それでは大変お待たせして申し訳ございません。山口委員、お願いします。

○山口委員 ありがとうございます、労働側の山口です。論点1、論点5につきまして、それぞれ義務規定の中で、罰則の在り方が記載されている点について2点確認したいと思います。
 1つ目が7ページの論点1です。SDSに対する義務違反には罰則を設けることが記載されている一方で、通知事項を変更した場合には義務規定のみで罰則を設けるか否かの記載はありません。先ほどの事務局の答弁の中で、変更の具体的な範囲についてはこれから検討を進めていくという答弁がある中で、変更に関して、罰則の有無はどう考えているか。また、仮に罰則を設けないとした場合に、どのように履行確保を行うかをお聞かせいただきたいです。
 2点目が12ページの論点5です。医師による診断・治療、産業医による健康管理、労基署に対する成分名開示に対する義務付けを行う旨の記載がありますが、これら①~③のケースは義務違反の場合における罰則が科されるか伺いたいと思います。取り分け①のケースにおいては、化学物質にばく露した労働者の診断や治療のために、医師から成分名の開示を求められた際の対応は、一刻を争う状況もあると考えます。労働者保護の観点から、確実に必要な情報の開示がなされる制度とすることが重要であり、履行確保のために罰則を科すことも選択肢になり得ると考えていますが、認識をお伺いできればと思います。以上です。よろしくお願いします。

○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか会場から、小澤委員、お願いします。

○小澤委員 ありがとうございます。ユーザー側としてですけれども、流出とか事故が発生した時に講ずべき応急の措置、いわゆる現場での一次措置なのですけれども、それがやはり被害の拡大とかに対して非常に重要になってくるものです。
 現行の法第57条の2においては、流出その他の事故が発生した場合において、講ずべき応急の措置をちゃんと記載しなさいと書いているのですけれども、9ページ目の中間取りまとめのポイントで、記載することが望ましいとする事項として、救急隊が到着する前に行うべき応急措置を記載することが望ましいという、何か格下げされたように読めてしまうのです。やはり応急の措置、現場での一次措置というのは非常に重要なので、望ましいというのはよくないのではないかと思ってしまうのですけれども、その辺はどう読めばいいのかというのを、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。以上です。

○髙田分科会長 ありがとうございます。ただいまの御発言について、事務局からお願いいたします。

○化学物質対策課長 御質問ありがとうございます。初めに山口委員から、第57条の2の第2項の変更通知についての御質問を頂いたと思います。罰則に関してでした。今回、第57条の2第2項の変更通知について、努力義務を義務化するということと、第57条の2第1項について、義務規定のものを罰則付きにすると御提言を頂いています。
 第57条の2第1項について、譲渡・提供時の通知に罰則が科されるということになりますと、通知の適正化がより進んでいくということになるかと思います。そうすると通知の着実なルートが出来上がるということもありまして、変更時の通知についてそのルートを通じた対応が可能になりこれが進んでくるということで、変更時の通知の促進にもつながっていくのかなと考えています。
 それから、化学物質の譲渡・提供の実態を考えますと、最近では2か月程度で化学物質を販売・購入しているというケースも多いと聞いておりまして、その場合には通知事項に変更があった場合について、その時点から新しい通知が行われるということになります。これによって譲渡・提供先には変更されたSDSの情報によって、必要な対応が可能になってくるという実態も見られているところです。
 こうした業界の実態等も勘案しますと、変更通知を速やかに行っていくということは当然ですけれども、第57条の2第1項に罰則を科すということにより、変更時の通知の促進にも一定の効果があるのではないかと考えているところです。その意味で努力義務を義務に格上げして、しっかり行っていただくということと併せて、対応が進んでいくのではないかと考えています。
 それから、変更時の通知の範囲があまりはっきりしていないという御指摘を頂きましたけれども、それについては先ほど御説明したとおり、その範囲について通知等で明らかにしていきたいと考えていますし、通知の努力義務について義務化することによって、行政指導も的確にできるようになりますので、そのようにして履行を確保していきたいと思っています。
 それから、医師への開示に関して罰則を付けないということについて御質問を頂いたと思います。医師については、医師の守秘義務もあり、医師が患者の医療上の処置のために成分の開示を求めた場合には、その情報というのは医師から他に漏れることはないということで、企業にとっては営業秘密の開示を拒否することは考えにくいと考えています。また、仮に開示しないことによって健康被害が生じた場合があれば、損害賠償責任等の、責任が生じていくということもありますので、企業行動として開示を拒むということは考えにくいということで、罰則を付けなくても履行確保は可能ではないかと考えています。
 それから、小澤委員から御指摘があったと思います。救急隊員が到着する前に行うべき応急措置ですけれども、これについては既に法令によって応急措置は定められているところであり、その内容としては、現状通達において様々な措置について、望ましいことを記載しているところです。今回、応急措置として望ましい事項を追加するものですけれども、これは緊急対応が必要な応急措置について、化学物質の性状ですとか有害性によって多様であるということと、ばく露の状況によっても異なるということもあり、こうした多種多様な措置について、仮に必須事項として義務化した場合には、あらゆる場面を想定して記載しなければいけないということで、それは現実的ではないのではないかということもあって、望ましい措置として一定の想定の下に記載するということで整理しているというものです。

○髙田分科会長 よろしいでしょうか。そうしましたら、山口委員、追加で御発言ありましたらお願いします。

○山口委員 御回答ありがとうございます。制度の実効性の担保という観点であれば、義務違反の際の罰則というのは本来望ましい形でもあるのかなと思っていますので、運用の状態をしっかり見ながら、必要に応じての見直しの検討も頂きたいと思います。よろしくお願いします。

○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局、よろしいでしょうか。そうしましたら、小澤委員、いかがでしょうか。

○小澤委員 分かりました。

○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか会場から、七浦委員、お願いします。

○七浦委員 御指名ありがとうございます。皆様の本日の議論を聞かせていただいたり、厚労省様からの御回答を聞かせていただいたところ、化学物質を扱う現場としては、やはり適切で正確なSDSを取得し、それを元にしっかり対応がとれる事業者へと行動変容を促していく事が大切だと思っている。
 厚生労働省様におかれましては、現場に対する周知、広報、指導を徹底していただいて、危険有害性情報が正しく伝わるように、リスクアセスメントが正確に実施できるような環境を整えていただく必要性があると感じている。使用者側としては、やはり化学物質管理に対する正しい認識を持つ事が大切と思う。そういう意味では、弊社としましても関連機関と協力しながら、SDSの作成・解釈方法、さらには保護具の選定方法、健康診断に関する勉強会を開催して、国全体で新たな化学物質管理が普及、定着するよう、率先垂範して臨みたいと考えている。是非、御指導いただきながら実践できればと思っているので、よろしくお願いする。以上です。

○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、山脇委員、お願いします。

○山脇委員 労働側の山脇です。今、七浦委員から使用者側の取組について、大変心強い発言がありました。労働側としても労使をはじめ、関係者の皆様と一体となって取り組みを進めていきたいと思っているところです。併せて先ほど熊﨑委員から、危険性に関する大変重要な指摘があったと思いますので、事務局におかれましては、労働者保護の観点からしっかりと御検討を進めていただきたいと思います。
 また、先の話にはなりますが、法令が施行されるまでの間にも対応できることが多々あると思います。そのため、法施行までの間にできることについては最大限の取組をお願いしたいと思います。
 最後に、安全衛生調査の関係について改めて確認したいと思います。先ほどの回答は、令和6年度についてはもう設問内容が確定しているということだと思いますので、令和7年度以降は、先ほどの出口委員の指摘を踏まえ、あるべき調査項目はどういうものなのかという点をしっかりと検討いただき、必要な見直しに取り組んでいただきたいということを、改めてお願いしたいと思います。以上です。

○髙田分科会長 ありがとうございます。ただいまの御発言について、事務局から回答をお願いいたします。

○化学物質対策課長 ありがとうございます。七浦委員、山脇委員からリスクアセスメント、それから今回のSDS交付・通知について、しっかり対応していただきたいとのご発言だったと思います。我々としましては、今回御議論いただいた内容について、しっかり取組を進められるように、中小企業の支援も含めて適切に対応していきたいと考えています。
 それから、山脇委員からの御確認ですけれども、御指摘のとおり令和6年度については既に固まっているということでして、令和7年度以降についてはどのような調査項目が適当かどうかについて、改めて事務局の中でも精査して、必要な対応を行っていきたいと考えています。以上です。

○髙田分科会長 ありがとうございます。七浦委員、山脇委員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 御指名ありがとうございます。出口委員と山脇委員の御指摘には私も賛成です。SDSの正確な流通に向けてPDCAサイクルを回していく上で、個別の必須項目を記載して通知しているかを調査項目に含めていただく。このことにより、法令の実効性を高める効果、必須項目であることが伝わる効果があると思います。先ほど対応可能か検討したいというご回答がありましたが、是非前向きに御検討いただきたいと思います。以上です。

○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか御発言ありますでしょうか。そうしましたら、ただいまの鈴木委員からの御発言について、お願いいたします。

○化学物質対策課長 ありがとうございます。各委員から調査について、しかるべき項目を入れて行っていただきたいという御要望を頂いたところです。これについては、繰り返しになりますけれども、どういった項目が適当なのかについては、事務局のほうで精査をした上で、必要な項目が適切に盛り込まれるように、御指摘も踏まえて対応していきたいと考えています。以上です。

○計画課長 ちょっと補足させていただければと思います。安衛調査で我々も聞きたい項目は山ほどあるのですけれども、調査項目を多くすればするほど、今度は回収率が下がってしまうというジレンマがある中で、安衛調査で聞くべきものは何なのか、そこで聞けないものはどういった形でチェックをしていくかというのを含めて、全体で安衛調査だけに限らずどんな形で把握できるかも含めて考えていきたいと思っています。

○髙田分科会長 ありがとうございます。鈴木委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。そのほか会場あるいはオンライン参加の委員について追加で御発言ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは化学物質のリスクアセスメントの的確な実施に向けた制度改善について、概ね皆様の御了解が得られたと思いますので、この形で委員の皆様の御指摘も踏まえ、進めることにしたいと思います。
 ここまでの議題以外で、何か御発言はありますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。本日の議題は全て終了しました。本日の分科会はこれにて終了いたします。本日もお忙しい中、御参集いただき、ありがとうございました。