第63回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録|厚生労働省

健康・生活衛生局 感染症対策部予防接種課

日時

令和6年10月10日(木)10:00~12:00

場所

WEB会議にて開催
(厚生労働省 共用第6会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

  1. (1)予防接種基本計画について
  2. (2)医療等情報の二次利用に係る現状と今後の対応方針について
  3. (3)その他

議事

議事内容
○溝口予防接種課課長補佐 お待たせしました。それでは、定刻となりましたので、第63回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会」を開催いたします。
 本日は御多忙のところ、委員の方々には御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の議事は、公開・頭撮り可となっております。
 また、前回同様、議事の様子につきましては、YouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
 なお、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラ撮りにつきましては、議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 また、傍聴される方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 なお、会議冒頭の頭撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
 次に、本日の出欠状況について御報告を申し上げます。
 本日は、磯部委員と坂元委員より欠席の御連絡をいただいております。
 また、白井委員からは30分ほど遅れて出席するとの御連絡をいただいております。
 現在、委員12名のうち、9名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定によりまして、本日の会議は成立したことを御報告申し上げます。
 続きまして、資料確認でございます。
 本部会の資料につきましては、あらかじめ送付させていただいております電子ファイルで閲覧する方式で実施いたします。
 番号01の議事次第及び委員名簿から番号08の利益相反関係書類までを用意しております。
 資料の不足、御不明な点等がございましたら、事務局までお申し出ください。
 なお、申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 それでは、ここからの進行につきましては、脇田部会長にお願いいたします。
○脇田部会長 皆様、おはようございます。
 今日も基本方針部会をよろしくお願いいたします。
 まず、事務局から審議参加に関する遵守事項についての御説明をお願いいたします。
○溝口予防接種課課長補佐 事務局でございます。
 本日の審議参加の取扱いについて、御報告を申し上げます。
 本日御出席の委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づきまして、薬事承認等の申請資料への関与・ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況について申告をいただきました。
 委員からの申告内容につきましては、番号08の利益相反関係を御確認いただければと思います。
 なお、本日の議事内容に関しまして「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する委員の先生はいらっしゃいませんので、御報告を申し上げます。
 また、毎回のお願いで恐縮でございますが、委員の先生方におかれましては、講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も確認していただくことにより、正しい内容を申告いただきますよう、お願い申し上げます。
 事務局からの報告は以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入ってまいりたいと思います。
 議事次第を御覧ください。
 今日は議題が2件ございます。1件目、予防接種基本計画について。そして、2件目が医療情報の二次利用の関係でございます。
 まず1件目の議題に入ってまいります。こちらは先月から議論をしているところでありますけれども、予防接種基本計画の見直しであります。
 今日は、この見直しの論点であるワクチンの研究開発と、それから、ワクチンの安定供給について、研究開発及び生産・流通部会での議論を御報告いただいて、さらに予防接種基本計画改定のポイント案ということで事務局にまとめていただいていますので、そちらについて議論をしていければと思っております。
 まず最初の資料です。こちらは「ワクチンの研究開発について」でございます。
 事務局から資料1-1について御説明をお願いいたします。
○眞中予防接種課課長補佐 事務局でございます。
 資料1-1をお手元に御用意ください。
 先ほど脇田部会長から御説明いただきましたが、先月行われました第36回の研究開発及び生産・流通部会で御議論いただいた内容の御報告となります。
 2ページ目を御覧ください。
 こちらは御議論いただいた内容のまとめとなっておりますが、まずワクチンの研究開発について、現状と課題といたしまして、平成26年につくられました基本計画においては、ワクチン・ギャップの解消と国内外の感染症対策に必要なワクチンを世界に先駆けて開発をするということを目指して、基本計画本体に開発優先度の高いワクチンを書き込むとともに、ワクチン開発企業に対して開発要請を行い、ワクチン・ギャップの解消というのは一定程度成果が得られたと考えております。
 そして、状況の変化として、ワクチン開発・生産体制強化戦略に基づき、パンデミック等脅威となり得る感染症については、重点感染症として暫定リストの整理を行い、それに基づき開発を支援すべきワクチンの指定というのが行われております。
 一方、予防接種施策の基本的な理念は、予防接種で防げる疾病はワクチンで防ぐということを踏まえて、現に我が国に存在し、公衆衛生上必要性の高い疾病に対するワクチンについて、定期接種化も見据えた研究開発の推進が必要であると考えております。
 下の段に行っていただきまして、記載に係る考え方といたしまして、開発優先度の高いワクチンについては、基本計画には開発優先度の高いワクチンに対する考え方や選定目的等を記載し、ワクチンリストにつきましては企業における開発状況や臨床、医療のニーズ及び定期化を目指すというところで、疾病負荷の情報等を踏まえてワクチンを見直すこととし、また、状況の変化に柔軟に対応できるように、基本計画本体ではなくて別途部長通知等でワクチンリストを作成する。
 開発企業へのインセンティブとして、定期接種化に関する検討の迅速化を図るために、薬事承認前から必要な情報の収集、整理を行い、薬事承認後、速やかに感染研に対してファクトシートの作成依頼ができるよう検討することや早期実用化支援として薬事上の対応を検討するとされております。
 2つ目の○ですが、実際にリストのつくり方の進め方としては、前回と同様に、まず予防接種推進専門協議会に対しパイプラインリストの詳細や、後ほど御紹介させていただきますが、選定評価項目というのをお示しし、まず臨床において優先順位をつけていただき、そして、流通部会の中で総合的に評価してワクチンを選定することといたします。
 なお、重点感染症に対するワクチンにつきましては、ワクチン・診断薬・治療薬と併せてワクチン戦略に基づく議論の中で引き続き対応することといたします。
 続きまして、3ページを御覧ください。
 こちらが前回流通部会で御議論いただいた内容になります。そちらを御紹介させていただければと思います。
 5ページ目を御覧ください。
 先生方は何度も見ている資料と思いますが、基本計画はこちらの8項の項立てとなっておりまして、赤枠で囲ってあります第5のところに本日御報告させていただくワクチンの研究開発と安定供給に係る部分が記載されております。
 6ページ目を御覧ください。
 昨年3月のワクチン分科会において、事務局案の主な論点につきましてはそれぞれの部会において議論を深めることと決まりまして、赤枠のところですが、研究開発とワクチンの安定供給については流通部会のほうで議論をしてまいりました。
 7ページ目を御覧ください。
 こちらは現行の基本計画の第5章の記載を抜粋しております。二の開発優先度の高いワクチンのところの2段落目に、開発優先度の高いワクチンは、MRワクチンを含む混合ワクチン、DPT-IPVワクチンを含む混合ワクチン、改良されたインフルエンザワクチン、ノロウイルスワクチン、RSウイルスワクチン及び帯状疱疹ワクチンということが記載されております。
 続きまして、9ページ目を御覧ください。
 検討の経緯につきまして、前回の流通部会までに、今までワクチン開発について3回議論していただいておりまして、まず令和元年11月の基本方針部会でいただいた御意見といたしましては、薬事承認のときに評価される項目と定期接種化のときに評価される項目で違うものがあり、特に疾病負荷など、新たに承認後にデータを取らなくてはいけないような状況が生じ、疾病負荷となるとNDB等大規模な研究をしなければいけないこともあり、薬事承認後からデータ取得に際して2~3年を要する場合があるという御意見をいただいております。
 令和元年12月の流通部会では、業界団体をお呼びしてヒアリングをしておりまして、業界団体からは開発優先度の高いワクチンとなるための基準や企業のメリットを明確にしてほしいといった御意見をいただいております。また、委員からは、定期接種化に必要なデータというのは国際的にも明らかであり、ワクチンがカバーする疾病負荷、有効性、安全性、費用対効果であり、こういったデータが不十分なまま、ワクチンの定期接種化を検討するワクチン小委に上がってきても議論が十分にできないこともあるので、特に開発優先度の高いワクチンについては早い段階から検討すべきという御意見をいただいており、また、昨年5月の流通部会でも、開発優先度の高いワクチンの認定基準を明確にして対応することが望ましいということや、開発優先度の高いワクチンは見直すべきであり、どのように情報収集するか取りまとめるべきだといった御意見をいただいております。
 10ページ目を御覧ください。
 こちらが前回開発要請した開発優先度の高いワクチンの主な開発状況となっておりまして、下の表を御覧いただければと思うのですが、一番下のノロウイルスワクチン以外は、いずれかのメーカーによって製造販売承認または薬事承認申請中となっております。
 11ページ目を御覧ください。
 当初の目的であったワクチン・ギャップについては、一定程度解消されていると考えております。
 続きまして、13ページ目を御覧ください。
 こちらは、重点感染症という考え方が出てきまして、感染症法における感染症と定期接種、重点感染症の関係性を表に表したものとなります。表の見方といたしましては、一番大きな枠に感染症法上の1類から5類の感染症を上から記載しておりまして、真ん中の黄色の枠の中が予防接種法上の定期接種の対象感染症、右の緑が重点感染症を表しております。黄色の網かけが開発優先度の高いワクチンの対象感染症で、緑色の網かけが重点感染症に対するワクチンの対象感染症、赤色の網かけが両ワクチンの対象感染症となっておりまして、開発優先度の高いワクチンと重点感染症に対するワクチンというのは一定程度すみ分けがなされている状況というのが見てとれるかと思います。
 14ページ目を御覧ください。
 こちらは開発優先度の高いワクチンと重点感染症に対するワクチンを整理させていただいております。
 まず、開発優先度の高いワクチンにつきましては、感染者の発生及びまん延防止のために、医療ニーズや疾病負荷を踏まえて、疫学情報を基に新たなワクチン開発の推進を図るという目標がございまして、その目的といたしましては、現に我が国に存在する疾病に対し、定期接種化を目指した公衆衛生上必要なワクチン開発と考えております。ワクチンの性質といたしましては、公衆衛生上必要な新たな疾病に対応したワクチンや、既存の定期接種化されたワクチンであっても、改良されたものや混合ワクチンを含みまして、指定されたワクチンについては定期接種化に向けた議論が必要であると考えております。
 重点感染症に対するワクチンにつきましては、パンデミック発生時にMCMの利用可能性を確保するという目標がございますので、その目的といたしましては、パンデミック等脅威となり得る疾病への対応を目指したワクチン開発となると考えております。また、パンデミック対応ですので、平時は市場性がないことがございますので、例えばプル型のインセンティブ等政策的な対応を要するという性質もあると考えております。
 15ページ目を御覧ください。
 こちらは、先ほどの議論から出てきました開発優先度の高いワクチンの選定評価項目を整理しております。開発優先度の高いワクチンは、定期接種化を目指すというところで、定期接種化を検討するこの基本方針部会やワクチン評価小委員会で評価する項目である疾病負荷の大きさ、国民の免疫保有状況、ワクチンの有効性、安全性、費用対効果に加え、従来から議論していただいているその他項目といたしまして、混合ワクチンなどの利便性が向上するものや接種対象者の侵襲性・簡便性の改善、新規モダリティーのワクチン、日本と同程度の公衆衛生水準の国外において予防接種プログラムとして位置づけられているものというのを評価項目として整理しております。
 続きまして、17ページ目を御覧ください。
 こちらは、第36回の流通部会でいただいた主な御意見をまとめております。
 まず1つ目のポツですが、基本計画本体に開発優先度の高いワクチンを書き込むのではなく、別途リストを作成するというのは賛成であるが、企業の立場に立ったときには、このワクチンリストがころころ変わってしまって、信頼をなくすといったミスコミュニケーションが起きないようにルールをつくったらどうかという御意見をいただいております。事務局の回答といたしましては、基本計画本体と計画に基づく通知においても重要性は変わらないと考えており、また、今回提示させていただいた対応案というのも業界団体との意見交換を踏まえて示しておりますが、引き続き丁寧に意見交換をしながら進めさせていただく旨を回答しております。
 2つ目といたしましては、重点感染症と開発優先度の高いワクチンの両方の対象となっている季節性インフルエンザとRSウイルスについてはどうなるのかといった御質問をいただきました。事務局の回答といたしましては、本年7月末にWHOから病原体優先順位づけ報告書が公表されておりまして、今後、重点感染症のリストの見直しの議論が行われるところでございまして、開発優先度の高いワクチンというのは、現に我が国に存在し、疾病負荷が高い感染症を対象とするため、今後の見直しの中で議論するということになります。また、重点感染症の議論については流通部会のほうでも御報告させていただく旨を回答しております。
 以降は参考資料となりますので、必要に応じて御覧いただければと思います。
 資料1-1の説明は以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、次に資料1-2を先に説明していただいて、後ほどまとめて質疑ということにしたいと思っております。
 それでは、事務局から引き続き資料1-2の説明をお願いいたします。
○福澤ワクチン開発専門官 事務局でございます。
 資料1-2をお手元に御用意いただければと思います。
 こちらも研究開発、生産・流通部会からの報告で、ワクチンの安定供給についての資料となっております。
 2ページ目を御覧ください。
 こちらは部会で議論いただいた結果としてのスライドをまとめさせていただいております。
 まず上の現状でございますけれども、1点目として、現行の基本計画の内容について、現行の計画では生産体制・流通体制についての記載の中で、パンデミック時に供給不足のおそれがあるワクチンについての国内での生産体制・流通体制の整備に関する話であるとか、一時的な需給逼迫時の国とワクチンメーカーとの間での生産調整や情報提供といったことによるワクチンの安定供給に向けた取組といった記載がなされているところでございます。
 2点目は研究開発、生産・流通部会でのこれまでの議論ですけれども、そういった需給逼迫時の生産上のトラブルなどによる供給不足の影響を最小化するという目的で、国家検定の制度・運用の見直しを通じまして、ワクチンの流通在庫量を増大するという取組が進められているところでございます。
 また、3点目としては、実際の厚生労働省での対応状況でございますけれども、需給逼迫時におきましては、関係する各社を仲介して生産の調整を行うとともに、供給見込み量を通知・事務連絡で周知するといった運用を行っております。
 また、※のなお書きで書いておりますけれども、ワクチンを含む医療用医薬品全般につきましては、供給不安が生じるおそれがあると判明した場合には、製造メーカーのほうから厚生労働省に報告を行うという通知上の運用が行われていまして、また、それを法律上位置づけたかどうかという検討が別途進められているところでございます。
 下の基本計画の記載に関する考え方でございます。現行の記載は需給逼迫時にそれが生じた際の取組についてのみ記載されているところでございますけれども、それに加えまして、1点目としては、そういった需給逼迫に対する平時からの備えとして、先ほどの流通在庫量の増大についての記載を追加したらどうかということ。2点目として、需給逼迫時の国からの情報提供などの役割分担について平時から明確化するようなことによって、需給逼迫時に早急に対応できるようにということで、安定供給に関する指針を作成してはどうかということで御議論いただきまして、そちらを追記するという方向でまとめてございます。
 なお、安定供給に関する指針につきましては、需給逼迫時の対応が通知・事務連絡による運用ということで、それのフィードバックが行いやすいように、こちらの指針についても通知などで周知するという形として、具体的な内容につきましては引き続き生産・流通部会のほうで検討したいということでまとめさせていただいております。
 ページをおめくりいただきまして、先ほどの研究開発と同様に、基本計画の記載と部会での検討の経緯、あとは主な議論について御紹介させていただきたいと思います。
 ページをおめくりいただきまして、5ページ目からは先ほどと同じように基本計画の主な内容と、6ページ目が部会で検討することになった経緯のスライド、7ページ目が安定供給に関する基本計画の現行の記載について掲載させていただいておりまして、主には一番下の段落の一時的なワクチンの需給逼迫時の対応についてのところをメインで御検討いただいてきているところでございます。
 ページをおめくりいただきまして、9ページ目が研究開発、生産・流通部会での審議の状況でございまして、主には国家検定の見直しに関しての法律的な対応、また、運用の見直しについての話と、それを踏まえた流通在庫量の増大の話といったことが令和元年から2年にかけて検討されたところでございます。
 10ページ目のほうが国家検定の制度・運用の見直しの具体的な内容でございまして、試験項目の見直しであるとか、あとは結果が出た後の検定合格印というものを印字しなければならなかったといったところの廃止であるとか、そういった運用改善を行ってきておりまして、下のほうにございますけれども、製剤化から出荷までの間、国家検定を経るということで時間を要していたところのリードタイムを見直し後には短縮できているという状況になってございます。
 11ページ目ですけれども、こちらの国家検定の期間が短縮するということを踏まえまして、ワクチンメーカーさんの御協力もいただいた上で、期間が短縮した分、市場に流通できる期間が長くなるということで、その分を流通在庫量を増大させるということに費やしていただきまして、何かしら生産上の支障などが生じた場合には、その在庫量でもって流通に支障がないようにということで取組を進めさせていただいております。こちらについては一定の合意形成ができているという状況でございます。
 11ページ目が既存の基本計画に書いてあります企業間の調整のことについて事例を図示させていただいたものでございますけれども、製造が停止してから在庫が枯渇して供給が停止するまでの間であるとか、供給が再開してからも一定程度限定的な出荷をせざるを得ないという状況になるというところであるとか、また、それが解除された後には、そういった供給が停止したりした間に未接種者で接種ができなかった方へどうフォローしていったらいいかといったことについて、適宜供給の見込み量も含めて通知・事務連絡で周知するという対応をさせていただいてきているところでございます。
 また、真ん中の枠、点線で囲んでございますけれども、こちらはジェネリックのほうでの安定供給の問題がありましたときに、公正取引委員会から示されている見解でございますけれども、こういった供給不足が生じた場合に、行政機関が関係する企業に供給依頼を行うといったことについては独占禁止法上問題とされないということでございますとか、あとは、製造メーカーの間でも、そういった緊急時であれば生産量の調整を行うということ自体は独禁法上問題とはされないのですけれども、ただ、必要な範囲を超えてしまうということになると、独占禁止法上の問題とされるおそれがあるという見解が示されています。
 どういった範囲が必要な範囲なのかということを製造メーカーのほうで判断するということは難しいであろうということで、下のほうの論点として、複数メーカーが供給するワクチンについては、引き続き厚生労働省のほうで企業の仲介を行っていくという取扱いにしたいということで御議論いただいたところでございまして、また、そういった供給不足のおそれが生じた段階から速やかに対応するために、先ほど御説明しました指針を整備することとしてはどうかという御議論をいただいたところでございます。
 ページをおめくりいただきまして、14ページ目が9月の部会のほうでの主な議論を御紹介させていただいております。在庫が枯渇したときに、ワクチンについては増産というものがすぐにできないのではないかという御指摘であるとか、また、需給が逼迫したときには、マスコミが報道するということによって、それを踏まえて医療機関などが行動してしまうということになるので、それに関しては正しい情報をすぐに周知するといったところに重きを置いたほうがいいのではないような御意見をいただきました。
 これに関しまして、事務局からは、御指摘のとおり、ワクチンは生物学的な手法を用いて製造するということで、すぐに増産することは難しいということで、それを踏まえまして、流通在庫量を増加するという取組であるとか、また、複数社が供給するワクチンについては出荷の前倒しの調整などを行わせていただいているということであるとか、あとは安定供給に関する指針を発出する際には、先ほど御説明した流通在庫量の増大などの取組についても盛り込んで、製造上の問題があってもすぐに在庫が枯渇することがないというようなことも含めて、医療機関などに対しては冷静に対応していただけるようにという形で示していきたいと御回答しているところでございます。
 以降は参考資料としてつけさせていただいております。
 資料の説明は以上でございます。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。
 資料1-1のほうではワクチンの研究開発、1-2では安定供給についての御説明がございました。
 それでは、この説明に対しまして、委員の先生方から御意見、御質問があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、まず中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。
 大変詳細な御説明をありがとうございます。
 現在の予防接種基本計画は2013年の予防接種法改正に基づいて作成されたものと理解しています。そして、2013年の予防接種法改正では、諸外国とのワクチン・ギャップを解消するというのが一つの大きな目標でありました。今日のおまとめいただいた内容を聞いておりましても、かなり海外の水準に近づいて、かなりというか大分肩を並べたと申し上げていいと思いますけれども、これは本当に関係の皆様方の御努力のたまものと考えております。
 供給問題に関しましては、ワクチンはどうしても他の医薬品と違って生ものであるというか、そういった点もあって難しいところはあるとは思いますが、こちらは引き続き幾つかの課題を示していただきましたので、ぜひ継続して安定供給にも努めていただきたいと思っています。
 私の意見は1点、RSウイルスに関してです。RSウイルスワクチンにつきましては、開発優先度の高いワクチンということで前回のリストにも掲載されていました。そして、ここのところ、結構大きな動きがあって、高齢者のワクチンもございますけれども、母子免疫用のワクチンとか、あと、今日の資料1-1にも書いていただきましたが、抗体製剤とかも出てきております。しかも、諸外国では、こういったものが予防という手段で、ワクチンも抗体製剤も健康な子供たちも含めて広く使われるということにG7諸国でもなりつつあります。
 我が国の保健医療制度とか予防接種法に基づく定期接種というのはすばらしい制度だと思いますけれども、そこから離れた保健医療ですね。例えば任意接種のワクチンとか、あと、自費診療とでも申しましょうか。そういったものだと、有効で安全な手段でもやはり必要な方々にうまく届かないという医療手段が時に出てまいります。
 今回、ワクチン評価に関する小委員会では、このRSウイルスに関してはかなり早期から取り組んでいただいておりますので、そういった制度上の海外との違いはあるものの、やはり必要なものは使えるという方向性で進めるようにということを恐らく御検討いただいているものと理解しておりますけれども、引き続きどうかよろしくお願いいたします。
 私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、次に宮入委員、お願いします。
○宮入委員 ありがとうございます。
 事務局から提示いただいた研究開発や安定供給に関する今後の計画案について、賛同いたします。また、中野先生が今おっしゃっていた任意接種に関しても、非常に同感のところがあります。
 私からは2点ありまして、一点は、研究開発の中に接種経路や方法といったことについても少し開発の一部に組み込んでいただいて検討いただけないか。具体的に言いますと、我が国の不活化ワクチンは基本は皮下注となっておりまして、最近では筋注の製剤も大分増えてきておりますが、まだ皮下注のものがあって、国際的には筋注になっていますが、現場で筋注してしまったために誤接種に該当するというような事象が起こっておりますので、ここもひとつ御検討いただければと思っています。
 2点目は、供給不安に関しては、どうしても定期接種に関しては期限内に打つということが一つの目標になって、そのための囲い込み等が発生していることもあるかと思います。原則安定供給されていて問題ないというメッセージを発信するのも一つではありますが、いざとなったときには期限に関しても柔軟性を持って対応できるというような前例等を示していただいて、皆さんに安心して冷静に接種を進めていただけるのではないかと思いますので、そのような提案をさせていただきます。
 以上です。
○ありがとうございました。
 続いて、鈴木基先生、お願いします。
○鈴木委員 鈴木です。
 資料の御説明ありがとうございました。
 最初に、資料について気になったところが何か所かありましたので、指摘をしておきたいと思います。
 資料1-1の11ページです。WHOの推奨接種と各国の比較ですけれども、WHはBCGワクチンについて全ての国に対して推奨しているわけではなくて、結核の蔓延国に対して推奨していると。これが日本以外の国では定期接種になっていない理由でもありますので、まずそこは誤解がないようにしていただきたいと思います。
 それは細かい指摘ですが、その上で私から2つ意見を申し上げたいと思います。
 1つ目ですけれども、資料1-1の2ページ目、下の枠の1つ目の○の3ポツ目です。定期接種化に関する検討の迅速化を図るため、薬事承認前から必要な情報の収集や整理を開始し、薬事承認後速やかにファクトシートの作成依頼ができるように検討するとあります。これは、まさに我々ファクトシートを作成する側においても非常に重要なところであると考えております。ただ、これはぜひ実効性のあるものにしていく必要があると思っておりまして、開発中のワクチンを定期接種プログラムに将来的に入れるに際して必要となるエビデンスをあらかじめしっかりと検討しておいて、それこそ基本方針部会なのか、あるいはワクチン評価小委員会か分かりませんけれども、こういった審議会の場として必要なエビデンス、それをエビデンスギャップとしてしっかりとアカデミア側に対して提示した上で、研究者に対して積極的な研究をするように促していく仕組みをつくっていく必要があるのではないかと考えます。それが1つ目の意見です。
 2つ目ですが、重点感染症に関するワクチンについてです。こちらは厚生科学審議会のほうで感染症部会の危機対応医薬品等に関する小委員会があると思いますけれども、そこで公衆衛生危機管理の観点から、早期承認のための手順を整備する必要があるという観点で議論されていると理解をしています。それはもちろん必要ですけれども、それで早期承認されたワクチンを実際にいざパンデミックが発生した際に接種プログラムに導入、接続するときに、ここが律速段階になってしまっては元も子もないわけで、ではどうやって速やかに国の接種プログラムに早期承認されたワクチンを組み込んでいくのか。ここのところ、実際に今回の新型コロナパンデミックでは、まさに予防接種・ワクチン分科会がしっかりその役割を果たしたのではないかなと認識しておりますが、それを一旦しっかり振り返った上で、次のパンデミックに向けて、いかにして早期に新しくできたワクチンを接種プログラムに導入するか、その仕組みもしっかりと整備しておく必要があるのではないかと考えます。
 私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続いて、笹本委員、お願いします。
○笹本委員 日本医師会の笹本でございます。
 詳細な説明をありがとうございました。
 少し細かいことになるのですが、現在、HPVワクチンのキャッチアップ接種の終了が本年度末までと接種できる期間が間近に迫っていることから、全国の医師会で啓発活動等を行いまして、ワクチン接種が進んでいる現状でございます。今回、製薬会社より限定出荷の通知が出され、新規の購入ができにくい状況となっております。医療機関と国民に積極的に呼びかけている中で、接種を希望する方が遅滞なくその機会を得られるよう、国から十分かつ滞りない供給、采配となりますよう、要請をお願いするところでございます。
 そこで質問でございますが、資料1-2の11ページの図、ワクチンの安定供給に関する検討経緯(3)のところでは、現在それがどのような段階に相当し、また、それに対してどのような対応が行われているか、お教えいただければと思います。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。途中からの参加で失礼いたします。
 資料1-1の15ページなのですけれども、これはお願いというか質問になりますが、開発優先度の高いワクチンの選定評価項目の中に費用対効果を入れていただいておりますけれども、これは多分疾病に罹患したときの医療費との費用対効果として、小児や高齢者がワクチンの接種の対象者となることが多いと思うのですけれども、社会経済的に考えて、疾病に罹患したときの生産年齢の方々が治療中の休業であるとか入院など就労に影響するものがあったときに、どのような費用対効果をワクチンに付加できるかというようなことの御検討もいただければありがたいと思っています。
 あとは、今でも小児のワクチンが普及したことによって、医療従事者の負担というか、かなりの小児科の先生たちの夜勤であるとか、そこが軽減されたということを聞いておりますので、そういった意味で、医療従事者の負担への軽減といった効果もワクチンにはあるのではないかと思いますので、そのような視点も費用対効果というか、その他になるかもしれませんけれども、入れていただけると、ワクチンを導入する検討に資するのではないかと思いましたので、よろしくお願いします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、伊藤澄信部員、お願いいたします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 研究開発、生産・流通部会を担当させていただいております。今、事務局から御説明していただいたとおりの議論がされ、様々な御意見をいただいております。ワクチンの開発として基本計画に書かれていた内容を、今回、重点感染症とのすみ分けもあって、定期接種化するものを前提にしたワクチンにすることと同時に、企業に対するメリットをどうするのかとか、mRNAとか新しいモダリティーがたくさん出ておりますので、具体的な疾患領域は基本計画の中ではなくて外に出していくという方向性が、皆様方に提示させていただいていると思っています。
 生産・流通に関しても、今、HPVワクチンの問題が発生していますが、対応策として、一つは、国家検定の制度運用をもう少し円滑にしていただいて、供給量を増やすことにつながる方策とか、それから、同時に議論していたのが、見える化を問題なくできるようにする。要するにワクチンの流通を見える化することによって偏在をなくすということができるのではないか。見える化するときに公正取引委員会、独禁法の問題が発生しないように調整していただいた結果が今回提示されていると思っています。
 もう一点は、今後、基本方針部会の先生方も含めて承知していただいた上でどうするのがいいのかということではありますが、ワクチンは次々に新しいものが開発されていますが、これが一番いいとなると、1社に会社が限られてしまいますので、どうしても流通の問題が発生します。今後、バイオシミラーも含めて、1社に依存しない方法を構造的に考えたほうがいいのではないかと思っております。これに関してはどちらかというと研究開発・生産流通部会というよりも基本方針部会のマターなので、いつか機会を設けて、1社ではない複数社のワクチン利用が可能になるように考えていただくようにお願いできればいいなと思っております。これはどちらかというと質問というより意見です。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 そのほかいかがですか。取りあえず大丈夫ですか。
 では、私のほうからも意見として2つありますけれども、まずワクチン・ギャップが前回と比べてほとんど解消できてきているというのは、まさにそのとおりだと思いますが、表を見ても唯一懸念されるのはおたふくワクチンということでありますので、おたふくかぜワクチンの開発をぜひ進めていただきたいということは申し上げておきたいと思います。
 それが研究開発のところで、これは重点感染症ではかなり議論をされて、それで開発が今進められているというところだと思います。そちらのほうはSCARDAができたり、様々な研究開発を支援することが今されていると思います。そのときの議論でも申し上げたのですけれども、やはり重点感染症だけではなくて、日頃からこういった蔓延している感染症に対するワクチンの研究開発があってこそ重点感染症に対するワクチンの開発も進むということですので、こちらで研究開発を進めるということが取り上げられることは非常に有意義なことだろうと思っています。
 一方で、重点感染症の開発のほうでSCARDAがあったり、様々企業のほうにも研究の予算配分がされるということなのですけれども、そちらの優先順位をつけていく中で、優先度が高いワクチンの開発に関しては何らかの推進のインセンティブというものがメリットという言葉もありましたけれども、そういうものが得られるのかというところ、どのようなお考えがあるかということを確認しておきたいと思います。
 必ずしもワクチンの開発だけではなくて、先ほど宮入先生からは接種方法や接種経路の研究開発、そして、鈴木先生からもワクチンのエビデンスギャップを埋めるような研究が必要であるといった様々な検討課題があると思います。それから、伊藤先生からは1社だけではない仕組みをつくっていくということですから、様々な研究開発を企業だけではなくてアカデミアに対しても推進していく必要があると思いますので、ぜひそういった研究開発を支援する仕組み、メリット、インセンティブといったものを考えていただければと思いました。
 私のほうからは以上になります。
 それでは、取りあえずここまでで事務局のほうからまとめてレスポンスをいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○眞中予防接種課課長補佐 事務局でございます。
 様々な御意見、御質問をありがとうございました。
 まず、御質問について回答させていただきます。いただいた御意見につきましてはしっかり検討していきたいと思っております。
 御質問につきまして、まず脇田部会長から優先度のインセンティブについて御質問をいただきました。開発優先度の高いワクチンというのは定期接種化を目指すというところがありますので、市場性があるものになりますので、プル型のようなインセンティブは必要ないかと考えております。従って、なるべく早く市場に出るような薬事上の対応を検討するとか、そういったところでインセンティブというか開発支援等を行っていきたいと考えております。
○福澤ワクチン開発専門官 笹本先生から御質問いただいた現行のHPVの状態がどのようにあるのかというところですけれども、現状の状況としましては、先生にも御紹介いただいたとおりに医師会、あとは自治体のほうでもキャッチアップ接種の推進に御協力いただいた結果として、メーカーから聞いているところによりますと、9月の需要につきましては例年の5倍程度のHPVワクチンの需要になっていると伺っております。そのような状況で、供給の問題というよりかは需要の大幅な伸びがあったということで、供給が全てを満たすことができないような状況にもあるというような状況でございまして、この図で言いますと、現在メーカーも増産をしているのですけれども、厚生労働省からも積極的に働きかけをさせていただいて、かつ増産で製造ができた場合には、国家検定の併行検定であるとかそういった形で、下の図のほうの真ん中にありますけれども、製剤の自家試験と国家試験を並行して行うといったことによって、早期に供給ができるようにという取組をさせていただいている状況でございます。
○前田予防接種課課長 補足をさせていただいてよろしいでしょうか。予防接種課長でございます。
 今、それぞれ担当の課長補佐、専門官から申し上げさせていただきましたけれども、まず研究開発につきましては、今いただいた御意見を最終的に計画に入れる段階で十分勘案させていただきたいと思います。脇田先生がまとめてくださいましたけれども、特にパンデミックワクチン、それに対する開発のほうで、もちろんコロナ後ということもございますので注目されている中でございますが、これは最終的にはどういう形で開発について基本的な社会実装という形で守っていけるかというところ、これはパンデミックに備えて備蓄をしていくというのは一つの解決策ではありますけれども、特に我が国で一定の感染があるようなもの、コロナがまさにそういう形の経緯を取りましたけれども、そういう過程の中で存在した場合に、どういう形で定期接種という形に持っていくか。これは鈴木先生の御指摘にもございました、パンデミックの段階からそういったものを国民の皆さんに接種するというところのプロセスを明らかにしていくというところは重要なところでございますので、そういったところは踏まえていきたいと思ってございます。
 また、個別のワクチンに関しては様々御指摘をいただきまして、研究開発、社会導入、そして、安定供給、それぞれから御指摘を賜ったと思います。
 HPVに関しては、今、専門官から申し上げたとおりではありますけれども、かなり需給、特に需要のほうは8~9月で、大変医師会の皆さんの御協力もございまして、非常に需要が増えている状況の中で、当然オーダーが増えるというところがございまして、今、早期に需要に応えられるように、在庫としてはまだ余裕がある中で、必要なものを提供していくという観点でこの1日に企業のほうから出していただいたと聞いておりますから、どういう形で需要見込み、また、それを医療機関に提供するかという段階ですし、また、そういう状況であるというところを御説明がその都度必要であるというところがございますので、今回安定供給の中に込めさせていただいたところというのは、そういうことが起こった場合にどういう形を取るかというのをあらかじめ標準化された形でお示しすることの重要性が今回のHPVの話の中でも少しあるのかなと思っておりますので、そういったところでどういう流通状態にあるかということの透明性を高めていく、対応についても透明性を高めていくというところで重要性があるのかなと思っておりますし、個別のHPVに関しましては、供給状況が明らかになり次第、また国民の皆様、医療機関の皆様に適宜情報提供をしていきたいと考えてございます。
 長々申し訳ございません。以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、あまり時間がないところなのですけれども、さらにこれだけは確認しておきたいというところがあれば。
 中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。時間がないところ、申し訳ありません。
 ちょうど宮入委員と脇田部会長から筋注と皮下注のお話がございまして、とても大切なことだと思います。不活化ワクチンは両方の経路で接種できるワクチンができたのに、まだ日本では皮下注が多いです。これは恐らく接種部位も含めて考えていかなければならないことと思っています。
 これを予防接種基本計画で見ますと、第8のその他予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進に関する重要事項というところで、同時接種、接種間隔、接種時期及び接種部位ということが記載されています。その方向性、国と学会等の関係諸機関との意見交換も引き続き検討をお願いしたいということと、この中で接種間隔は大分国際標準に近づけていただきました。また、接種時期も百日咳含有ワクチンの4混、5混が2か月から可能になったということで、かなりしっかりできているところもあります。
 もう一つの同時接種なのですけれども、現在の同時接種の添付文書の記載は、医師が必要と認めた場合にはできる。予防接種実施要領の記載は、医師が特に必要と認めた場合に行うことができる。「特に」が一言ついています。このように、添付文書とか実施要領を見ると、同時接種というのがこの基本計画ができた頃は特殊なことのように扱われていたように思うのですが、現実ではそうではないようになってきていると思います。こういったことも今後の検討に含めていただければと思います。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。これは御意見ということでよろしいですかね。
 今、中野委員から御意見がございました第8のその他のところで検討する、進める必要があるのではないかということでありますが、もちろんエビデンスがかなりそろっていて、それを運用する際にどうするかというところはそういうところかもしれませんが、先ほど来あるように、ワクチン・ギャップの解消が進み、かなり日本で定期接種になったワクチンが欧米と同等程度になってきている中で、ただ、日本の予防接種施策を進めるために必要な研究開発のテーマというのは、単にワクチンを開発するだけではなくて様々な課題がありますから、そういったものも研究開発の中で課題を設定して進める体制が必要だと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思っています。
 それでは、研究開発と供給、流通の点に関しましては、今日委員の先生方から様々な御意見がありましたので、そういった意見も踏まえていただいて、引き続き整理を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、次に進ませていただきたいと思います。次は予防接種基本計画改定のポイント案ということですので、こちらは資料1-3について事務局から説明をお願いいたします。
○大島予防接種課課長補佐 予防接種課の大島です。
 資料としては1-3に従って説明をさせていただければと思います。
 予防接種基本計画の改定に向けましては、令和5年3月の予防接種・ワクチン分科会におきまして、コロナの影響により中断していた議論を再開する。そして、個別のテーマごとに基本方針部会、副反応検討部会、また、研究開発及び生産・流通部会において具体的な議論を行うというところで、議論を行わせていただいていたところでございます。
 個別のテーマごとの御議論につきまして、本日1-1、1-2の資料を基に報告させていただき、また、先ほどまで議論させていただいたというところでございますけれども、こちらで一通り議論が一巡したところでございますので、これまでの会議で出た論点、改定のポイントをまとめさせていただいたものがこちらの資料になっているところでございます。
 中身について御説明させていただければと思います。
 1ページ目でございます。
 1番目でございますけれども、制定時からの予防接種施策を取り巻く状況の変化というところでございます。この予防接種基本計画につきまして、前段の部分でかなりワクチン行政、予防接種行政を取り巻く状況についての記載がございますので、そういったところに盛り込むべき内容といったところをポイントとして挙げさせていただいたところでございます。
 1ポツ目でございます。先ほど来ワクチン・ギャップのお話がございました、計画制定時の最大の課題がワクチン・ギャップであったというところでございますけれども、先ほども報告させていただきましたとおり、我が国でも有効性・安全性を確認しつつ、着実に定期接種化が進められておりまして、ワクチン・ギャップが解消されつつあるということはファクトとして記載が必要だろうと思っているところでございます。
 また、2点目、コロナ禍の対応というところでございます。令和2年以降のいわゆるコロナ禍において、予防接種行政におきましても、mRNAワクチンが登場する、また、短時間での開発・承認を行った上で、幅広い層への速やかな接種が行われております。こうした経験ですとか、また、それに伴いまして、ワクチン開発・生産体制強化戦略ですとか、新型インフルエンザ等政府行動計画といった基本方針も改定されていったというのが状況としてはございます。
 また、直近の法改正事項でございますけれども、令和4年に予防接種法が改正されております。こちらは予防接種事務のデジタル化を中心とした内容でございますけれども、個人番号カードによる接種対象者の確認の仕組み、ないしは予防接種の実施状況。副反応疑い報告の匿名データベースの整備、また、NDB等への連結などの内容が整備されたところでございます。
 また、最後のポツでございますけれども、令和7年度から国立感染症研究所と国立国際医療研究センターが統合し、JIHSが発足予定というところでございます。新機構は、情報収集・分析・リスク評価機機能、研究・開発機能、臨床機能といった機能を有しておりますので、ワクチンに関してもそうした役割を主導的に果たすことが期待されているというところが状況の変化としては記載が必要だろうと考えているところでございます。
 めくっていただきまして、2枚目以降が基本計画の記載の方向性という内容でございます。こちらは基本的に種々これまで議論させていただいたような内容でございます。
 大きな柱としましては、予防接種のデジタル化の着実な推進という(1)の部分、また、(2)の科学的知見に基づいた予防接種施策の推進、(3)のコロナ禍での経験を踏まえた予防施策の推進という柱を立てさせていただいております。
 まず1番目の柱でございますけれども、接種記録の保存年限の延長という議論をさせていただきました。過去の接種記録が生涯にわたり接種可否の判断等にも影響を与える可能性があるということでございますので、今5年となっております保存年限を延長するという議論でございます。
 また、2ポツ目、3ポツ目の内容でございますけれども、デジタル化の取組を進めるというところでございます。デジタル化の取組を進めることは、市町村の事務だけではなくて、医療機関ですとか、また、接種を受けられる方自身の負担といいますか、書類作成ですとか、そういったところの接種事務の効率化や利便性の向上、接種率の迅速な把握等にもつながってくるような話になっているかと思います。そういったところを進めていくというところの記載でございます。また、予防接種のデジタル化によって収集される予防接種記録等の情報を活用し、予防接種データベースを構築し、NDB等と連結した解析を可能とするという情報連携の基盤整備というお話を盛り込ませていただければと考えているところでございます。
 (2)科学的知見に基づいた予防接種施策の推進というところでございます。
 1ポツ目の内容につきましては、現行の基本計画にも記載がある内容でございますけれども、ワクチンの有効性・安全性及び費用対効果に関するデータについて可能な限り収集を行い、客観的で信頼性の高い最新の科学的知見に基づき、予防接種施策に関する評価及び検討を行うという基本的な考え方を挙げさせていただいております。
 先ほどNDBの話がございましたけれども、それを用いた評価というところで、有効性・安全性評価の観点で詳細な分析を行うというところでございます。こちらはNDBと連結した予防接種データベースを活用するなどということで、それに限らず、有効性・安全性評価の観点で様々分析をしていくというところでございます。
 また、3番目でございますけれども、安全性評価につきましては、接種者と非接種者における副反応疑いとして報告される疾患等の発生率の比較を、副反応疑い報告制度に基づく評価の追加的な指標として必要に応じて実施するなど、安全性評価に関する技術的検討を進めるという内容を記載させていただいています。
 JIHSにつきまして、JIHSが予防接種データベースの活用を踏まえたデータ分析や科学的知見の評価を充実するという記載を書かせていただいております。
 (3)コロナ禍での経験を踏まえた予防接種施策の推進という柱でございます。こちらにつきましては、1番目はリスコミですとか情報発信の推進というところでございます。国民が正しい知識を持った上で接種の判断を行えるよう、科学的に正確でない受け取り方がなされる情報への対応も含め、国民の理解の促進に資する情報発信を推進していくという内容を盛り込ませていただいています。
 また、救済の部分でございますけれども、予防接種救済制度につきまして、コロナ禍におきましても特別な対応等をさせていただいたところでございます。申請者増の際には体制の強化を図っていくというところで、迅速な救済に取り組んでいくというところでございます。
 (4)その他予防接種策の推進というところでございます。
 まず1点目は予防接種に要する費用の部分でございますけれども、費用につきまして、ワクチンに関する価格調査等の実施や国民及び関係者への情報提供を行い、接種費用の見える化、透明性の確保、接種費用の適正化を図っていくというところでございます。
 2ポツ目、3ポツ目につきましては、先ほどの1-1、1-2で議論させていただいた内容と重複するところでございますけれども、開発優先度の高いワクチンに対する考え方、選定目的等を計画上記載する。また、安定供給に関する指針の作成を行うといった先ほど議論させていただいた内容を盛り込ませていただいているところでございます。
 先ほども1-1、1-2に関連して、例えば最後のところでありました同時接種の問題ですとか、いろいろ御議論いただいたところでございますので、そういったものと、また、これからの議論というところも含めまして、計画のポイント案ですとか、その先、指針の改定案ですとか、そういったところの議論につなげさせていただければと考えているところでございます。
 事務局からの説明は以上になります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 今後この予防接種基本計画改定を具体化していくために、そのポイントとして事務局でまとめていただいたということで、前回の基本計画以降のコロナの流行の経緯であったり、あるいはこの基本方針部会での議論、先生方の御意見というものも踏まえてまとめていただいたものと承知しているところであります。
 さらに、先ほどもありましたけれども、研究開発のところは、今日もさらに研究開発と流通、安定供給のところですけれども、そこに関しては、今日の意見も踏まえていただいて少し修正、追加をしていただくということだと思いますが、先生方からさらに御意見、御質問等をいただいて、これをポイントの案としてまとめていただき、今後の具体化につなげるということでありますので、ぜひ御意見をいただきたいと思います。
 それでは、委員の先生方からお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 鈴木基先生、お願いします。
○鈴木委員 資料に挙げられている改定案のポイントですけれども、非常によく検討、整理していただいていると思います。ただ、ここに挙げられているのは、いずれも医療行政のデジタル化と研究開発、流通に関するもので、これはあくまでも手段であって目的ではないと理解します。
 私は今回の改定に際して、まず、これから5年、10年先の我が国を摂取政策をどのようにしたいのかという目的あるいはビジョンをしっかりと定めていく必要があるのではないかと思います。そうした観点から、多いのですけれども、4つほど意見を申し上げたいと思います。
 まず1つ目ですけれども、先ほど中野先生からもありましたが、2014年の基本計画というのはワクチン・ギャップの解消を目的として策定されたものである。実際に我が国は先進国であるにもかかわらず、WHOのEPI推奨リストにあるようなワクチンすら導入できていなかったという状況を何とか改善しようと策定されたものであったと理解しています。
 この10年間で、確かに事務局が言われるようにムンプス以外はおおむね導入できたという点では明確に成果があったと言うことはできますが、ただ、それも必ずしも平坦ではなかったと考えています。振り返れば、なぜムンプスワクチンはまだ導入できていないのか。あるいはHPVワクチンの9年間にわたる積極的推奨の差し控えも、なぜそういう事態になったのか。こういったことについてもしっかりと振り返って向き合い、検証をした上で、この基本計画の最初のところにも、過去10年間の振り返りについて、それを踏まえて、次に我々はこういったビジョンで行くのだということをしっかりと書き込んでいく必要があるのではないかと考えます。それが1つ目です。
 2つ目ですが、そうした観点でこれから先を考えたときに、現在の基本計画に掲げられています予防接種・ワクチンで防げる疾患は予防することというコンセプトですが、私はこれはこのままでいいのかどうかということを再検討しておく必要があるのではないかと考えます。
 国際的にはこの20年で多くの新しいワクチンが開発されてきて、現在ではパイプライン上に全体像を見渡すのも大変なぐらい非常に多くのワクチン候補が存在しているわけです。これが製品化されて承認されたら、全部それを定期接種に入れるのかといえば、当然そんなことはないわけです。全てのワクチンが公衆衛生上の価値が全部等しいわけではなくて、その価値というのは国や地域によっても異なっている。実際にそうしたコンセプトで、WHOは近年フルエバリュエーションのワクチンアセスメントといったコンセプトで、標準的な方法を使ってワクチンの公衆衛生上の価値を評価する。それに基づいて優先順位をつけるといった取組をしています。
 こうした昨今の国際的なワクチン開発、それから、その評価の流れを踏まえて、基本計画にあります予防接種・ワクチンで防げる疾病は予防することという言葉は、公衆衛生上の価値を評価した上でという枕詞、実際にその言葉はまた検討するとしても、そうしたコンセプトの下にこの概念を再検討、再定義していく必要があるのではないかと考えます。今のが2つ目です。
 3つ目ですけれども、ワクチン・ギャップの解消の次に目指すべきビジョンは何であるのかということです。これも国際的な動向を踏まえると、WHOが提唱していますImmunization Agenda 2030というのがありますが、その戦略の一つにライフコース予防接種というコンセプトがあります。これは、これまでワクチンというのは乳幼児向けというイメージが強かったわけですけれども、今では学童期から成人にかけて、例えばHPVワクチンであるとか、あるいは妊婦さんへのRSVワクチンとかGBSワクチン、高齢者に対してはPCBや帯状疱疹ワクチンなど、あらゆる年代でワクチン接種の機会が広がってきているわけです。特に我が国は少子高齢化が進んでいる現在において、従来はワクチンは子供のものであるというイメージがありましたけれども、人生を通して適切なタイミングで適切なワクチンを打っていくこと、それによって健康寿命を延ばしていく。それを実現していくというコンセプトに切り替えていく必要があるのではないかと思います。そうした観点からも、ぜひ次の基本計画においては、ワクチン・ギャップの解消からライフコース予防接種というコンセプトを盛り込んでいくべきではないかと考えます。今のが3つ目です。
 最後の4つ目ですけれども、次の基本計画に盛り込むべきもう一つの要素として、科学的根拠に基づく予防接種施策を盛り込むべきではないかと考えます。ワクチン・ギャップが生じた理由の一つに、科学的根拠に基づいた政策決定ができていなかったということが挙げられると思います。実際に今の挙げていただいた案の2のところに科学的知見に基づいて予防接種施策という言葉がありますけれども、ただ、ここに記載されているのはいずれもデータベースの整備の話だけだと見受けられます。
 私が言いたいのは、いかにしてエビデンスを政策に反映させるかという部分のところです。もちろん政策というのはエビデンスだけで決まるわけではないのですけれども、そうした観点から、エビデンスベースドというよりはエビデンスインフォームドデシジョンメイキングという形で、エビデンス及び科学的助言を踏まえた政策決定が必要になってくるわけです。
 では、実際この10年でそれができていたのかどうか。これは行政側だけではなくてアカデミア側の責任もあると思いますけれども、本当に予防接種政策に寄与する研究ができていたのか。それに基づいて、きちんと科学的根拠に基づく政策提言をできていたのかというのをしっかりと振り返っていく必要があります。
 また、国際的な観点からいっても、今の予防接種・ワクチン分科会、その傘下の委員会が国際的な流れにしっかりと乗っているのかどうか。国際的にはNational Immunization Technical Advisory Groups(NITAGs)というものが標準化される流れになってきています。果たしてそれに沿うことができているのか。そうした観点からも、次の基本計画においては、まずはエビデンスをつくり、そのつくり出されたエビデンスを政策に反映させていくのか。この課題に取り組むといった内容を盛り込むべきではないかと考えます。
 長くなりましたが、以上です。
○脇田部会長 鈴木先生、ありがとうございました。
 まずはテクニカルなことよりも哲学をはっきりせよといった御意見だったと思います。まさにそのとおりですので、その点は十分に事務局のほうにもお考えいただきたいと思います。
 それでは、次に行きます。白井先生、お願いします。
○白井委員 白井です。
 先ほど発言した内容に重なるところもあるのですけれども、予防接種基本計画改定のポイントの案のマル3の中に疾病負荷の軽減が図れる公衆衛生上必要性の高いワクチン開発を推進するなどということで、開発優先度の高いワクチンに対する考え方、選定目的等を計画上に記載する中の公衆衛生上必要性の高いといったことを考えたときに、感染対策だけではなく、やはり地域医療の維持であるとか救急体制であるとかということも考えられると思いますので、そういった意味の公衆衛生上必要性が高いという先ほどの議論として、鈴木先生からのお話もありましたけれども、そういった観点での公衆衛生上というのはどういう内容が含まれているかということを十分評価して選定目的の中にも入れていただきたいと思っています。
 ワクチン費用につきましても、疾病負荷の軽減になるか分かりませんけれども、今、市町村が定期予防接種の主体ではあるのですけれども、接種のオペレーション対策がかなり煩雑になってきていることもあって、市町村の負担というのもかなり大きいということも認識いただいていると思いますし、また、予防医療への観点を考えると、任意接種や2類も含め、どういった形で国民の方々に提供するかといったことも、定期接種だけではないなと思いますので、その点も改定のポイントの公衆衛生上必要性が高いという議論に含めていただきたいと思っています。
 国民というか住民の方々から、どうしてもワクチンの費用が高いということもありますと、開発する会社が限定され、独占的な利権があるのではないかというような懸念もかなり多くありますので、そういったところも払拭していただくような形が必要かと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、伊東亜矢子委員、お願いします。
○伊東委員 ありがとうございます。
 先ほど鈴木先生もおっしゃっておられた科学的根拠を持った施策を取っていくというのはそのとおりだと思うのとともに、それがちゃんと国民に周知されるということが非常に重要だなと思っていまして、基本計画のポイントにも挙げていただいている科学的に正確でない受け取り方がなされる情報への対処というところ、この辺りも非常に重要だと思っていまして、根拠に基づかない風評被害のようなものが生まれないように、ここは厚く書いていただいてもいいのかなと思ったところでございます。よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 取りあえず3人の委員の先生から御意見をいただきました。そのほかは取りあえず大丈夫でしょうか。
 では、ここで事務局のほうからレスポンスはございますか。
○前田予防接種課課長補佐 まず補佐か専門官からしゃべってもらおうかなと思ったら、技術的なところでは特に申し上げるところはないと。いただいた御意見は大変参考になりますということだと思っておりますし、私自身も拝聴いたしまして、特に鈴木先生から冒頭4つの指摘をいただきまして、皆様からそれに対する、逆に言いますと批判的な御意見はなく、先生方から反対の意見をいただくような内容ではないと認識してございますので、いただいた先生の御意見をベースに整理をさせていただいて、また、最終的には計画をどうしていくかというところは重要でございますが、文字そのものよりも、その中に突っ込めるものとしてどういうところがキーであるかというところを整理の上で文字に落としていく作業が非常に重要かと思っておりますので、そういった作業を進めていきたいと思ってございます。
 また、白井先生からかなり現行の予防接種法の外側も含めて御意見をいただいたかと思っております。一方で、国民の皆さんに一定の医薬品として何らかの減額なしで受けていただくということを考えた場合に、我が国の制度の中で最初に考えるべきは予防接種法に基づく定期接種であるというところがありますし、我々は予防接種法を所管している立場でございますので、そういったところの制度の磨き上げという観点でしっかり議論をしていきたいと思っておりますし、また、それをどういう形で、ギャップについてはかなり解消を進めてございますが、さらに今後のニーズに対してお答えをしていくかというところはまず一義的な対応だと思っておりますし、それに対してまたさらにそれをどう拡充していくかというところは法改正を含めた幅広い議論が必要になってくると思いますので、そういったところに留意して整理をしながら整理を進めさせていただければと思ってございます。
 伊東委員からもございました、どういう形で広報をしていくか、国民の理解を進めていくかというところは今回のコロナでも大きな課題でございましたので、少しポイントのほうにも入れさせていただきましたけれども、これは引き続き重要な点かと思いますので、これを加えてまた計画のポイントとさせていただければと思ってございます。
 私からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、さらに先生方からもし追加の御意見があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。取りあえずはよろしいですか。
 先ほど来、最初の資料の1-1、1-2でもありましたけれども、ワクチン・ギャップの解消というのが前回の一番大きな目標であったわけですけれども、それが解消されつつあるといったところは皆さん合意されるところ、事務局からもそういったまとめのあったところですから、次の基本計画ではこれから何を目的にしていくのかといったところで鈴木基委員から意見がございました。その点、非常に重要だと思いますので、ぜひこれからも議論をしていきたいと思います。
 それでは、特にさらなる御意見がなければ、今日の御意見も踏まえまして、計画案の具体化に進めていただければと思いますので、事務局におかれましてはよろしくお願いいたします。
 それでは、議題の(1)は以上となります。
 次に議題の(2)に進んでまいります。医療等情報の二次利用に係る現状と今後の対応方針について、こちらは資料2ですね。
 こちらは事務局から御説明をいただきます。よろしくお願いいたします。
○布施予防接種課課長補佐 予防接種課の布施でございます。
 資料2、医療等情報の二次利用に係る現状と今後の対応方針について御説明させていただきます。
 こちらの議題では、法整備等を念頭に置きまして、医療等情報の二次利用の現状と対応方針につきまして御説明させていただきます。後ほど資料中にも出てまいりますが、医療等情報の二次利用につきましては、医政局での医療等情報の二次利用に関するワーキンググループにおいて論点整理が行われてきておりまして、予防接種等関連情報につきましても、こちらの整理に基づきまして、今後の対応方針というところを本日お持ちしておりますので、御説明させていただき、皆様に議論をいただくものとなります。
 それでは、資料に入ります。
 まず、医療等情報の二次利用に係る現状というところでございます。
 3ページを御覧ください。
 昨年6月に取りまとめられました医療DXの推進に関する工程表及び規制改革実施計画におきましても、医療等情報の利活用につきましては、その制度や運用、情報連携基盤の構築等について検討していくこととされたところでございます。
 続きまして、4ページ目を御覧ください。
 今年6月に閣議決定されました骨太の方針の抜粋でございます。予防接種につきましては、青字で下線を引いておりますが、次の感染症危機に備えた予防接種のデジタル化等を進めまして、さらなるデジタル化を進めるということで記載あります他、下から5行目の部分です。医療・介護DXを推進し、医療の効果的・効率的な提供を進めるための必要な法整備を行うということで、ここでも法整備について言及がされているところでございます。
 続いて、5ページ目を御覧ください。
 今年8月末に公表いたしました、厚生労働省として推進していく近未来の政策方針をまとめた近未来健康活躍社会戦略の抜粋でございます。こちらにおきましても、医療・介護DXのさらなる推進という内容が盛り込まれておりまして、速やかに関係法令の整備を行うことということが記載されております。
 続きまして、6ページ目を御覧ください。
 こちらは、医療DXの工程表等における検討体制を構築することという記載を受けまして、医政局のほうで健康・医療・介護情報利活用検討会の下に医療等情報の二次医療に関するワーキンググループを設置しまして、昨年度から医療等情報の二次利用のさらなる促進のための議論を行っていただいております。そして、一定論点のほうを整理してきたということでございます。
 ここまでが全体の二次利用に係るところの現状というところでございますけれども、これまで整理をいただいた方針に基づきまして、今後の対応方針というところをこの後の資料にまとめさせていただいております。
 8ページ目を御覧ください。
 医療等情報の二次利用の推進に向けた対応方針につきましては、先ほどのワーキンググループのほうで論点整理をしていただいておりまして、こちらに基づき、対応方針をこちらのとおりまとめております。
 まず、我が国にはカルテ情報に関する悉皆性のあるデータベースがなく、患者のアウトカム情報について長期間の分析ができないといった現状がございます。そこで、今後の対応方針としまして、現在構築中の電子カルテ情報共有サービスで共有される電子カルテ情報についても二次利用を可能としてはどうかと考えております。
 続いて、データ利活用が進んでいる諸外国のほうでは、匿名化情報だけでなく、仮名化情報の利活用や連結解析が可能となっておりますが、我が国では匿名化情報の利活用を進めてきたところ、より研究利用で有用性の高い仮名化情報の利活用を進めるべきとの御指摘もいただいております。そこで、今後の対応方針としまして、公的データベースについても仮名化情報の利活用を可能とし、臨床情報等のデータとの連結解析を可能としてはどうかと考えております。
 最後に、公的データベースにつきましては、データを操作する環境に関して厳しい要件が求められていることや、様々なデータベースが分散して存在していることから、利用者の方はそれぞれ利用の申請等を行わなければならず、利用者の負担が多いという現状がございます。そこで、今後の対応方針としまして、研究者等がリモートアクセスをし、一元的かつ安全に利用解析を行うことができるクラウド上のVisiting環境の情報連携基盤というものを構築してはどうかと考えております。あわせて、公的データベースの申請受付、審査というところを一元的に行う体制の整備を行うという方向性も考えているところでございます。
 9ページ目を御覧ください。
 ただいま御説明させていただいた予防接種データベースも含めた公的データベース等の利活用の促進の方向性というものを表したイメージ図になります。
 続いて、10ページ目を御覧ください。
 ここでは、振り返りとしまして、一旦予防接種データベースに係る現状とこれまでの議論の経緯というところを御説明させていただきます。
 先ほどの基本計画の御説明の中にもありましたが、予防接種データベースにつきましては、匿名データベースとして令和8年度中の稼働を目指しまして、現在は令和7年度からの開発開始に向けた準備を進めているところでございます。また、これまでこちらの基本方針部会や副反応部会をはじめ、予防接種データベースについて、その方向性や予防接種データベースを活用した安全性の評価の方向性について等、御議論を行ってきていただいたところでございます。
 それでは、11ページ目を御覧ください。
 ここまでは全体的なお話をしてまいりましたけれども、これらの現状課題と対応方針に照らし合わせて、予防接種データベースでの方向性について御説明をさせていただきます。
 予防接種データベースでは、やはり研究利用の期待が大きいかメーカー情報の利用・提供を可能とすることが必要との御指摘であったり、諸外国のように仮名化情報で様々なデータで連結解析をできるようにするため、やはりこの予防接種データベースにおいても利用・提供に当たって審査を行い、厚労大臣及び利用者が遵守すべき保護措置等を定めた上で、仮名化情報の利用提供を可能としてはどうかと考えております。また、仮名化した予防接種関連情報と他の公的データベースや今回新たに構築する方向の電子カルテ情報データベース等の仮名化情報につきましても、連結解析を可能としてはどうかと考えております。
 12ページ目を御覧ください。
 仮名化情報の利用・提供の際の適切な保護措置及びデータベースの管理・運用方法等につきまして、御説明をさせていただきます。
 まず、データベースの管理につきましては、データ格納時にそれだけで本人の特定が可能となる氏名等の情報を削除するなどの措置を講ずるとともに、仮名化情報の取扱いに際し、個人情報保護法上求められる水準と同等の安全管理等の措置を予防接種法上に規定してはどうかと考えております。
 続いて、利用の場面・目的についてですが、相当の公益性がある場合に利用・提供を認めることとし、利用可能な場面としては仮名化情報が必要と認められる場合に限定し、匿名化情報によって研究目的が達成可能であることが明らかな場合等は、仮名化情報の提供を認めないこととしてはどうかと考えております。また、仮名化情報の利用・提供に際しましては、その利用目的・内容に応じまして、利用の必要性やリスクに関する審査を行ってはどうかと考えております。
 さらに、利用者の保護措置・利用環境につきましては、クラウド上の情報連携基盤を活用して、Visiting解析環境での利用を基本とし、ログの活用等によってデータの利用状況の監視・監督を行ってはどうかと考えております。また、匿名化情報同様、照合禁止規定等を設けるほか、不正利用の際の罰則等も求める方向でございます。その上で、匿名化情報より厳格な管理を担保するため、厚生労働大臣による利用者に対する措置要求の義務や、利用者に対する従業者の監督の義務、罰則等をさらに上乗せという形で設けてはどうかと考えております。
 13ページ目を御覧ください。
 情報連携基盤の構築と利用の申請・審査の体制の一元化についてでございますが、情報連携基盤の構築につきましては、その機能や要件、設計等につきましては、二次利用のワーキンググループとその下に設置します技術作業班において今後議論を進めていくことと聞いております。また、利用の審査の一元化につきましても今後検討を進められていくということですので、こちらにつきましては、引き続き当部会のほうでも状況を適宜御報告させていただければと存じます。
 最後に、今後のスケジュールでございますけれども、現在、各公的データベースの関係審議会におきまして同様に御議論いただいているところでありまして、早ければ来年の通常国会に医療DXの推進に関する法案として提出させていただきたく予定で進めさせていただいておりますので、当部会ではこちらの議論につきましては複数回ということではなく今回限りということにはなりますので、こちらで一定の御議論をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 説明については以上でございます。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。
 医療情報の二次利用に係る現状と今後の対応方針、特に公的データベースの利活用の際に、情報の連結に当たって仮名化情報で行うのか、匿名化情報で行うのかというようなところも一つの論点になったということと思いました。
 それでは、委員の先生方から御意見、御質問等があればお願いしたいと思います。
 では、まず宮入委員、お願いします。
○宮入委員 医療等情報の二次利用についての説明、ありがとうございます。
 1点確認ですが、この情報は例えば予防接種の政策などに関わるような場合には迅速に解析して行う必要があると思います。全ての利用者が同じように一元化されたシステムでこの情報を利用することになるのか、政策を決めるような予防接種室やJIHS、あるいはそれぞれの自治体においては、より簡便で迅速なアクセスが可能なのかということについて確認したいと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 こちらも皆さんの御意見を先に伺っていきたいと思いますので、後ほどレスポンスいただきたいと思います。
 では、次に伊藤澄信委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 今回のワクチンの接種の情報と診療情報等を結びつけて、それが利用できるということについてはもちろん賛成するのですが、実際にこういうことが行われる段階で、接種時のデータ入力が前提になるのだろうと思いますが、宮入先生がおっしゃるように、早急にデータを取るためには、例えばマイナンバーカードを使って接種券と合わせるという話になると、医療現場でとてつもなく作業が煩雑になるので困るという意見をいただいています。今日の議論ではないのかもしれませんが、この接種情報と診療情報の連携の話をした途端に現場のほうからはそういう意見が山のように出てくるので、今後改善をしていただきたいと思います。
 生後2か月でマイナンバーカードなんて発行されるのかとか、接種に当たっての接種券の発行とか、被接種者への周知の方法をどうするのかとか、様々なもっと前段階の話が出てきていますので、事務局におかれては、こういった話をするときに皆さんの理解を十分に得られるような情報にしていただきたいと思います。これは意見というよりお願いです。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 情報はデジタル化されるけれども、医療現場の作業がむしろデジタル化で煩雑化するみたいなところですね。ありがとうございます。
 次に白井委員、お願いします。
○白井委員 よろしくお願いします。
 9ページのイメージ図を見ながら考えたのですけれども、予防接種だけではなく、いろいろなデータベースが申請窓口、受付窓口を一本化して審査をしていただくということになっているのですが、予防接種にしても、難病とか小慢とか障害福祉とかについては、データは医療機関というよりも、予防接種、定期接種であれば自治体にあると思うのです。もちろん接種記録はカルテと別に医療機関にもあると思うのですけれども、保険医療のカルテと別に管理していらっしゃると思うのですけれども、その場合、どこからデータを提供できるかというのは、例えばある自治体に予防接種のデータが欲しいと申し出たときに、自治体が許可するわけではなくて、申請窓口まで行って審査会を経ていただいて提供するという形の手続になるのか、予防接種に限らず、自治体が持っているデータというのは、公開しているものであれば、公文書公開請求によって使用目的を問わなくても出せることになっているのです。そういうものとの整合性であるとか、審査を丁寧にしていただくことで、公文書請求とどちらを優先するというか、倫理的に考えて、やはりちゃんと連結してはいけないということも含めながら、そこまでを国のほうでやっていただけるのか。データベース化したところで、それぞれの自治体がどのような動きをするのかといったことがちょっと分かりにくいので、総論は賛成ですけれども、よく分からないなと思いましたので、各論のところでまた御議論いただいて整理していただきたいなと思います。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続いて、伊東亜矢子委員、お願いします。
○伊東委員 ありがとうございます。
 こちら、私も総論は賛成でございますが、法律上は匿名化情報は復元不能なまでに匿名化がされているもので、仮名化情報は復元は可能というところだと思うので、連結解析という目的からすれば仮名化を使いたいというのが研究目的には資するのかなと。安全管理はしっかりする前提で仮名化もちゃんと使っていっていいですよというメッセージにしてもいいのではないかなとは思っていて、そこで言いますと、資料の12ページの「利用可能な場面を『仮名化情報が必要と認められる場合』に限定し」という文言は、原則は匿名化で例外的に仮名化もオーケーよと読めるメッセージになるかなと思っていて、後段を見ますと、「匿名化情報により研究目的が達成可能であることが明らかな場合等」と言っているので、こちらを制限しているようにも見えるので、どちらかというと後段のようなメッセージの出方のほうがいいのかなと思っているので、この文章自体がどちらを推していくのかというのがもう少し出てもいいのかなと思いました。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に鈴木基委員、お願いいたします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
 この公的データベースの利活用の整備について、私も幾つかの審議会の委員として、あるいは感染研の研究者として関わらせていただいておりまして、本件に関しては厚労省は本気で取り組んでいるのだなという感じがひしひしと伝わっているところです。総論的に賛成ですし、予防接種データベースに限らず、ぜひ積極的に進めていくべきだと思っています。
 ただ、今日前半でも再三申し上げましたけれども、それをどう活用するのかというところも非常に重要です。単にアカデミア研究者がこれでたくさん論文が書けるぞというだけでは意味がないわけです。いかにしてアカデミアあるいは研究者がその時々の行政サイドのニーズを理解して、それに応える研究をしていくか。そこで出てきたエビデンスをどう政策に組み込んでいくのか。そこのところのステップ、仕組みをつくっていかなければ、データベースだけつくっても意味がないということになります。
 特に予防接種政策に関して考えれば、予防接種データベース、それから、ほかの公的データベースとリンクして、それをどう研究者が利活用し、それを政策に反映していくかを考えるときに、例えば今のまさにこの場のような審議会スタイルでそれが実現できるのかどうか。そうしたことも含めて、どのようにデータベースの整備から予防接種政策までをつなげていくのか。そうした観点も考えていき、仕組みをつくっていく必要があると考えます。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に笹本委員、お願いします。
○笹本委員 ありがとうございます。日本医師会の笹本でございます。
 細かいことになりますが、8ページですけれども、電子カルテ情報共有サービスの3情報6文書というのには、特に診療情報提供書や退院サマリーにも多数の個人情報が個人名を含めて含まれていますので、どのように対応するのか教えていただきたいと思います。
 また、医療情報を詳しく提供するということは、非常に少ない疾患、少ない検査、少ない治療薬ということで、匿名加工だけではなくて仮名加工の場合はかなり特定されやすいので、それに対してどう対応されるのかということ。
 それから、以前、別の審査では、専用の部屋で専用のPCを使うから安心だと言われたのですが、今回クラウド化になりますので、それに対するセキュリティーはどうされているのか。
 最後に成果物のことなのですが、成果物は営利目的にできないものということで、公表前審査を行って、それを公表されると思いますが、実際にそれを利用して営利目的に使われたかどうかという公表された後の評価というか、あるいは審査というか、そういう対策というのを考えられているのかどうか、論点を教えていただければと思います。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、ここまでで事務局のほうにレスポンスをいただければと思います。お願いします。
○岡特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官室室長補佐 医政局でございます。
 私のほうから、宮入先生、伊藤澄信先生、白井先生、伊東亜矢子先生について御説明をさせていただきます。鈴木基先生の御質問については予防接種課のほうから、笹本先生のほうは医政局の別の者からお答えをさせていただきます。
 まず、宮入委員の御質問についてでございます。自治体であったりJIHS、国が行う研究については迅速な提供が政策ニーズとして求められるということについての御質問をいただいておりました。
 予防接種法上でも、匿名化情報については相当の公益性がある場合の第三者に対する提供に加えて、厚生労働省内部での利用については別途すぐに行うことができるという規定が設けられているところでございます。なので、厚労省での利用についてはスピーディーに行うことができる。ただ一方で、JIHSであったり自治体、ほかの行政機関については、相当の公益性がある業務に関して、審査を経て提供するというスキームになっているところでございますけれども、今般、審査の一元化など、取組の刷新を行うに当たって、そうしたJIHS等の行政目的については公益性が求められるものであり、さらにスピーディーな対応を求められるということはある程度自明的なものだと思っておりますので、こういった場合においてスピーディーな対応ができるような審査体制というのを改めて我々のほうでも検討していきたいと思っており、これはほかの公的DBも含めてでございます。これについては、予防接種データベースの担当課とも引き続き連携して検討を深めてまいりたいと思っております。
 伊藤澄信委員から、マイナンバーといいますか、接種を行う際のこうしたデータの利活用についての現場の負担に対する払拭であったり、それに対する現場を含めた国民の理解を得ることについての必要性について御指摘をいただいたと受け止めさせていただいております。
 まずもって、この二次利用については、特にデータを利用するという点が、直接の当事者、患者さんであったり、国民、受診者さんに見えないという点もございますので、こういった仮名化情報の利用提供にとどまらず、二次利用を行うことそのものについての理解を得ることというのは必要だと考えております。
 現行、ほかの公的DBも含めてですけれども、被保険者番号や氏名、生年月日などをIDとして使っているという状況でございますけれども、マイナンバーの活用であったり、あるいは現行やっている被保険者番号ないし氏名等を活用したデータの連結の手法、これらについて、二次利用そのものの意義も含めて、国民ないし現場の御理解を得られるように情報発信に努めてまいりたいと考えております。
 白井委員からデータのフローについての御質問をいただいていたところでございます。
 資料の30ページを御覧いただければと思います。最後のページです。
 予防接種事務のデジタル化についての将来像と書いておりますけれども、データベースについては、右側に厚生労働省が大きく囲んでいるデータベースとして保管するという形で別途区分けされておりまして、自治体のほうから予防接種記録・予診情報管理システムに登録されたデータというのが、そこから右側にたどっている矢印ですけれども、接種記録(匿名)と書いておりますけれども、匿名化したものを厚生労働省のほうで一元的にデータベースとして管理するということで、データの吸い上げを行っているところでございます。この段階で匿名化が行われているところでございますので、いわゆる自治体が保有しているデータ、名前づきのデータについての公文書請求とはまた別途、匿名化されているデータですので、こういった措置というのは現状不要となっておりまして、これを仮に仮名化するに際しても、氏名等の削除というのは先ほどの説明のとおり行った上でデータを格納するとしておりますので、仮名化されたないし氏名等が削除されたデータを管理するに当たっては、こうした公文書の請求というのは不要であると考えておりますし、そういった方向性で個人情報保護法等の法律の関係性の整備を行っていきたいと考えております。
 データフローに関しては、この30ページを御覧いただければと思っております。
 私から最後、伊東亜矢子先生から12ページの書きぶりについて御指摘いただいていたところでございます。おっしゃるとおりだと思っておりまして、この仮名化情報の利用を積極的に進めていきたいという意図が我々のほうでもございますので、ガイドラインなどで。運用上の周知をする際には、実際に利用者の利用場面で研究に使ってもらうような場面について、できるだけ後段の書きぶりといいますか、匿名化情報で研究目的が達成できる場合には匿名化情報の利用をお願いしますという形で、さらに真に仮名化情報の利用が必要と認められる場合については、仮名化情報の利用を行うことを可能とするといったように、これは例えばのものですけれども、今後のガイドライン等の検討に当たっての議論で、そういった形であまりこの仮名化情報の利用場面が限定されるような見え方がしないような形で運用面での検討を今後進めていければなと思っています。
 これは公的DB全体の議論でして、それぞれのデータベースに応じて情報の性質なども異なっておりますので、予防接種データベースについてはしかるべき将来の舞台で御議論を進めていくというふうに考えているところでございます。
 この書きぶりについては、法令上こういった書き方がなじむかという点で置いておりますけれども、運用上の工夫というのは別途検討するというところでございます。
 私のほうからは以上でございます。
○山崎特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官室室長補佐 では、笹本先生の御意見に先にお答えしたいと思います。
 4点あったかと思いますけれども、1つ目の3文書6情報、特に3文章については、診療情報提供書ですとか退院時サマリーに個人情報が含まれているというところがございまして、こちらは今の生成AIの技術を使ったとしても、なかなか確実な仮名化は難しいところかと認識しておりまして、そちらについては、今後、研究事業ですとかそういったところでどのように使っていくかということを検討してまいりたいと考えてございます。
 また、仮名化情報について、特に他の情報と連結することで特定のリスクが上がるものについてどのように対応するかということでございますが、提供するときに第三者提供委員会で審査をすることになりますけれども、それぞれのデータベースの特有の事情なども理解していらっしゃるような先生に審査をしていただくことによりまして、個人特定リスクと研究の有用性とのバランスをよく審査していただくこととしたいと考えてございます。
 また、専用の部屋で専用のパソコンでやるからいいのではないかという話も以前の媒体のときにはあったかと思いますけれども、こちらはデータを受領したり保存したりすることなく、セキュアなネットワークを使ってクラウド環境で解析をしていただくということを想定しておりますが、そこについては、定期的にログの監視ですとか、研究のデータがどのように使われたかということを監視することによって一定程度セキュリティを担保したいと考えておりますが、詳しい要件につきましては今後の検討とさせていただきたいと思います。
 最後、公表前審査の件でございますけれども、こちらは今は研究者が研究する取扱い場所に掲示することによって公表前審査を確実に行うこととしてございますけれども、現在、審査が終わった後に実際に営利目的だけで使われたかですとか、そういったところはなかなか審査をする仕組みというのがないものでございますので、そこもどういった審査、検証することがあり得るかということについては、またこちらも検討させていただきたいと思います。
○吉原ワクチン情報分析専門官 続きまして、予防接種課から回答させていただきます。
 鈴木先生から、国とアカデミアの先生方との連携、特に施策に資するような研究をどのようにアカデミアの先生に実施していただくのかということ、また、得られた研究成果を国はどのように活用していくのかという観点と理解いたしました。
 1点目のどのようにアカデミアの先生方に施策に資する研究をしていただくのかということにつきましては、まさに施策に資する研究をしていただく先生というのは、JIHSの先生というのはまさにその中心だと思いますし、また、厚生労働科学研究のような国からの研究費を用いて研究いただく先生といった先生だと思います。こういった先生方とは平時からコミュニケーションを取って、国としてのニーズというのはしっかり伝えていくということかと思います。
 また、得られた結果はどういった性質の結果か、予防接種の有効性に関するものか、安全性に関するものかによっても具体に違うと思いますけれども、得られた結果をどのように施策に活用するのか。例えば安全性情報であれば、どういった評価をどの場でするのかといったことについては、国としてしっかり検討してまいりたいと思います。重要な御指摘をありがとうございます。
○布施予防接種課課長補佐 補足ですみません。予防接種課の布施でございます。
 伊藤澄信委員より、医療機関等の負担とか、デジタル化を進めるに当たってやはりそういった現場の声がありますということがございましたので、この辺は本日の議論ではございませんで、一次利用というところにはなりますけれども、現在、先行実施ということで、一部の自治体において先行的に医療機関にも御協力をいただきながら始めているようなところもございまして、そういった先行実施の中で御意見だったり感想というところをお聞きしながら、そういった意見を汲み取って、きちんと今後の本格実施、8年度以降に向けて、一次利用というところにもきちんと工夫を反映させていきたいなと思います。
 また、これは医療機関だけではなく、国民、自治体等、皆様に向けてきちんと分かりやすいものをお伝えしていかなくてはいけませんので、そういったところは準備を進めてまいりたいと思いますので、こちらにつきましては、また一次利用という観点で当部会のほうでも適宜御報告をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして白井委員、お願いします。
○白井委員 確認で失礼します。
 御回答ありがとうございました。そうすると、各自治体のデータが欲しいというような研究者であり第三者がいらっしゃった場合には、国の申請窓口に一本化してデータをくださいということを申請するということになるのですね。自治体は窓口にならなくていいということでしょうか。
○脇田部会長 では、こちらについては事務局からお答え願えますか。
○岡特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官室室長補佐 医政局でございます。
 今般の予防接種データベースに関しては、厚生労働大臣が保有する国のデータベースとして、自治体の予防接種の受診記録を吸い上げたデータとして運用いたしますので、この厚生労働省が保有する予防接種データベース上は、それこそ個人の特定などを回避するために、どこの自治体で受けたかというような情報であったり、そういう地域の情報についてはある程度マスキングをしたような形での提供を行っていくというところではあります。ただ、地域性というのは非常に重要なものですので、ある程度地域性が特定できるような形を担保した上で国が保有しているそれぞれの自治体から収集したデータというのを、地域性も担保した上で利用提供可能とするといった枠組みとしてデータベースを運用しているところでございます。
 自治体の保有しているそれぞれのデータの取扱いについては、御説明をお願いいたします。
○布施予防接種課課長補佐 予防接種課です。
 データベースの第三者提供の前提としては、今申し上げたとおり、国のほうで行っていくことになりますので、各自治体にデータベースの利用申請が来るということはございません。
 あとは、予防接種の接種記録等は自治体での持ち物ということになりますので、このデータベースとは別の文脈において、先ほども開示請求といったお話がございましたけれども、そういったことについては、これまでやっていただいたとおりの運用として引き続いていくという部分となりますので、自治体さんのほうでデータベースのところの申請を受ける、提供するということはないということになります。
○岡特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官室室長補佐 失礼しました。
 補足をさせていただきますと、9ページ目の図でございますけれども、国のほうで情報連携基盤を構築するに当たって、利用申請もポータルサイトなどを想定しておりますけれども、簡便な形で国直轄で申請を受け付けることができるといった方向についても、併せて情報連携基盤の構築の中ないしは利用申請の一元化の中で検討しているところでございますので、こういった取組で利用者の方が利用しやすいような環境を構築していくことも我々は検討してまいりたいと考えております。
○白井委員 分かりました。ありがとうございました。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 そのほか、追加の御意見、御質問等があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 どうでしょうか。取りあえず大丈夫な感じですか。
 ありがとうございました。
 そうしましたら、こちらの議題の2番目、医療等情報の二次利用に係る現状と今後の対応方針ということで、御説明と意見交換、議論をさせていただきました。
 事務局におかれましては、今回いただいた意見についても留意をしていただいて検討を進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、全体を通して何か委員の先生方からございますか。大丈夫でしょうか。
 それでは、事務局のほうもそのほかに何かございますか。
○溝口予防接種課課長補佐 事務局でございます。
 特にございません。
○脇田部会長 それでは、議事は以上になりますので、事務局にお返ししたいと思います。
○溝口予防接種課課長補佐 事務局でございます。
 本日も活発な御意見、御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。
 次回の開催につきましては、追って御連絡をさせていただきます。
 事務局からは以上でございます。
○脇田部会長 それでは、今回の基本方針部会の議事は以上になります。
 今回も活発な御議論をありがとうございました。
 また次回もよろしくお願いいたします。
 それでは、失礼いたします。