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第58回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録
健康・生活衛生局 感染症対策部予防接種課
日時
令和6年9月19日(木) 10:00~
場所
WEB会議にて開催
(厚生労働省共用第8会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)
(厚生労働省共用第8会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)
議題
- (1)新型コロナウイルスワクチンの接種について
- (2)その他
議事
- 議事内容
- ○溝口予防接種課課長補佐 それでは、定刻になりましたので、第58回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」を開催いたします。
本日は、御多忙のところ、委員、参考人の方々に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日の議事は、公開、頭撮り可としております。また、前回と同様、議事の様子はユーチューブで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。なお、事務局で用意しているユーチューブ撮影用以外のカメラ撮りにつきましては、議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては、御理解と御協力のほど、よろしくお願いいたします。
また、傍聴される方におかれましては、「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
続きまして、分科会の委員に改選がございましたので、御報告申し上げます。
合田幸広委員が本年8月13日に本分科会を退任され、新たに本間正充委員が8月14日に就任されておりますので、御報告申し上げます。
本間委員におかれましては、よろしくお願いいたします。
○本間委員 国立衛研の本間です。よろしくお願いします。
○溝口予防接種課課長補佐 ありがとうございました。
続きまして、本日の出欠状況について、御報告を申し上げます。
本日は、伊藤定勉委員、清元委員、白井委員、福島委員より御欠席の連絡をいただいております。
現在、委員17名のうち13名に御出席をいただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定によりまして、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
続きまして、資料の確認でございます。本分科会の資料は、あらかじめ送付させていただいた電子ファイルで閲覧する方式で実施いたします。
番号01の議事次第及び委員名簿から番号06の利益相反関係書類までを用意してございます。
資料の不足等、御不明な点がございましたら、事務局までお申し出ください。
なお、申し訳ございませんが、冒頭のカメラの頭撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力のほど、お願いいたします。
(カメラ退室)
○溝口予防接種課課長補佐 それでは、ここからの進行につきましては、脇田分科会長にお願いいたします。
○脇田分科会長 承知しました。皆様、おはようございます。今日も予防接種・ワクチン分科会をよろしくお願いいたします。
まず、事務局のほうから、審議参加に関する遵守事項等についての報告をお願いします。
○溝口予防接種課課長補佐 事務局でございます。
本日の審議参加の取扱いについて、御報告いたします。
本日御出席いただいている委員、参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づきまして、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取り状況、薬事承認等の申請書類への関与について申告をいただきました。
各委員、参考人からの申告内容につきましては、番号06の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
本日は、中野委員より、第一三共株式会社、モデルナジャパン株式会社、Meiji Seikaファルマ株式会社から50万円を超えて500万円以下の受取りについて申告をいただいておりますので、議題(1)の新型コロナワクチンの審議の際、「意見を述べることはできますが、議決に加わることができない」に該当いたします。
また、本日の議題(1)で調査審議されるワクチンにつきましては、中野委員が新型コロナワクチンに関する申請書類作成関与者の取扱いに該当するため、それぞれのワクチンの審議または議決が行われている間は「退室」に該当いたします。
なお、そのほかの委員、参考人で「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいませんでした。
各委員、参考人におかれましては、毎回繰り返しのお願いで大変恐縮ではございますが、講演料等の受取りにつきまして、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますよう、お願いを申し上げます。
事務局からの報告は以上でございます。
○脇田分科会長 御報告ありがとうございました。
今、御報告があったとおり、本日は、中野委員が新型コロナワクチンに関する申請資料作成関与者の取扱いとなりますので「退室」に該当いたしますが、この分科会の審議参加規程第5条第2項で、当分科会が特に必要と認めた場合には、出席をし、意見を述べることができるとなっております。
中野委員は、臨床及び研究を通じまして、ワクチンに大変造詣が深い医師及び研究者でありますので、この規程に基づきまして、専門家及び公平な立場から本分科会の審議に加わって意見を述べていただきたいと考えますが、よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○脇田分科会長 皆様、ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から了承が得られたということで、本日はそのように取扱いをしたいと思います。
では、議題に入ってまいります。議事次第を御覧ください。
今日は議題が1つ「新型コロナワクチンの接種について」ということであります。
これもこれまで議論をしてきたところですけれども、今日は、事務局から資料の1が提出されておりますので、事務局から説明をしていただきます。よろしくお願いします。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。
それでは、資料1に沿って御説明させていただきます。
2ページでございます。
「【1】新型コロナワクチンの接種について」が議題でございます。
内容につきまして(1)「令和5年度秋冬の臨時接種の評価について」、(2)として本日の論点であります「①令和6年度の定期接種で使用するワクチンと実施期間について」、
「②初回接種と追加接種の区別について」、 また「③まとめ」としております。
おめくりいただきまして、4ページでございます。
こちらは、オミクロンXBB対応1価ワクチンの有効性について、このページからしばらく記載しておりますけれども、4ページは国内における入院予防効果の知見でございまして、1月の基本方針部会の資料でございます。入院予防効果は44.7%と報告されております。
また、5ページは2月の本分科会の資料の再掲でございますが、オランダの報告において、60歳以上のXBB対応1価ワクチンの入院予防効果が70%、ICU入室予防効果は73%であったと報告されております。
また、6ページは、7月の基本方針部会の資料の再掲でございますけれども、米国のデータにおいて、18歳以上でXBB対応1価ワクチンの入院の予防効果が62%といった報告がございます。
また、7ページも米国の報告でございますが、65歳以上において、XBB対応1価ワクチンの入院予防効果が、接種後7から59日後で54%、60から119日後で50%であったという報告でございます。こちらも基本方針部会の7月の資料の再掲でございます。
また、8ページは、新しい資料でございますけれども、こちらは米国の報告でございまして、XBB対応1価ワクチンの接種の入院に対する予防効果が接種4週間後で66.8%、10週間後で57.1%、死亡予防効果は、少ない死亡者数に基づくデータであるものの、接種4週間後で72%、10週間後で61.4%であったという報告でございます。
9ページと10ページは、審議会における新型コロナワクチンの副反応疑い報告の状況を踏まえた評価でございます。
9ページは、1つ目の表にありますとおり、ファイザー社1価ワクチン、オミクロン株XBB1.5対応ワクチンの12歳以上の、医療機関や製造販売業者からの副反応疑い報告の報告頻度等を掲載しております。
審議会におきましては、新型コロナワクチンについて、これらのワクチンのそれぞれの経時的な副反応の報告状況を評価しておりまして、最新の報告状況を踏まえても、その安全性において重大な懸念は認められないと評価されております。
10ページが、上からモデルナ社、武田社、第一三共社のワクチンの医療機関と製造販売業者からの副反応疑い報告の報告頻度でございます。
こちらにつきましても、その安全性において重大な懸念は認められないと評価されているところでございます。
10ページの一番下のところに、最新の審議会、7月29日の合同部会の議論のまとめを記載しております。
主な検討項目として、死亡や心筋炎、心膜炎、小児及び乳幼児へのワクチン接種後の状況、オミクロン株対応ワクチン、新型コロナワクチン接種後に診断されたIgA腎症について、また、ワクチン安全性に関する我が国の論文報告といった、これら各項目に係る検討も含め、ワクチンの安全性に係る新たな懸念は認められず、現時点において、ワクチン接種によるベネフィットがリスクを上回ると考えられ、引き続き国内外の情報を収集するというまとめとなっております。
11ページが、ここまで御説明してきたことのまとめとして、小括を入れております。
13ページに進みます。
こちら以降、令和6年度以降の接種についてでございますけれども、13ページは、11月の本分科会において了承された事項でございます。
下部の赤枠のところでございますが、令和6年度以降の接種プログラムについては、接種の目的は重症化予防を目的に、新型コロナ感染症予防接種法上のB類疾病とし、法に基づく定期接種として実施する。
また、接種の対象者は65歳以上の高齢者等の重症化リスクの高い方、接種のタイミングは年1回の接種として、時点は秋冬、用いるワクチンについては、毎年選択ということが了承されております。
14ページは、新型コロナワクチンの定期接種への導入に係る具体的な規定について、本年2月の本分科会で御議論いただいた事項でございます。
この際、下の赤枠の部分は今後の検討となっておりまして、まず上部「用いるワクチンについて」のところでありますけれども、こちらについては、秋冬の接種に向けて、用いるワクチンに含むウイルスの抗原の選択については、最新のWHOの推奨する抗原組成を用いることを基本としてはどうかということ。
また、選択肢の確保の観点から様々なモダリティーのワクチンについても、開発状況に応じて用いてはどうかということ。
また3点目に、今後の具体的な検討については、インフルエンザワクチンにおけるワクチン株の検討と同様、研究開発及び生産・流通部会において行うこととしてはどうかということを御議論いただきました。
また、その他の検討事項及び今後の進め方についてでございますが、ワクチンの初回・追加接種の取扱いについては、今後、薬事における検討状況等を踏まえ、今後、改めて本分科会に報告等を行うこととしたいということとなっております。
15ページが、本年5月29日の生産・流通部会の下に設けました、季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会の議論の結果でございます。
小委員会決定事項でございますけれども、令和6年度の定期接種において使用するワクチンの抗原構成については、WHOの推奨と同様に、JN.1系統及びその下位系統等へのより高い中和抗体を誘導する抗原を含むこととし、その一例としては、1価のJN.1系統が考えられると決定したところでございます。
16ページは「国内の新型コロナウイルスの系統別発生動向」でございまして、国立感染症研究所によりますと、国内において、JN.1系統の下位系統であるKP.3系統とその下位系統が主流となっているという現状でございます。
17ページが「JN.1系統に対応したワクチンの開発状況」でございます。
現時点で5社のワクチンが、JN.1系統対応1価ワクチンについて、薬事承認を取得しております。
このうち、ファイザー社、モデルナ社、第一三共社、武田薬品工業社の4社については、令和5年度までの臨時接種で既に使用したワクチンにおけるJN.1系統への対応でございます。
また、Meiji Seikaファルマ社のワクチンについては、令和5年度は、従来株ワクチンについて薬事承認を取得していましたが供給されておらず、臨時接種では使用しておりません。
今年度秋からJN.1系統対応に係る承認事項一部変更を取得したワクチンが供給される見通しでございます。
新たに供給されるMeiji Seikaファルマのワクチンにつきましては、次のページ以降に、薬事審査における有効性、安全性のデータを記載しております。
18ページでございます。
Meiji Seikaファルマ社のJN.1対応1価ワクチンの追加接種の有効性のデータでございます。
PMDAに提出された審査報告書の資料でございますけれども、Meiji Seikaファルマ社の説明の部分でございますけれども、データとしましては、本剤、Meiji Seikaファルマ社ワクチンの2価のオミクロン対応BA.4-5対応と起源株の2価ワクチンの追加免疫に係る国内第III相試験では、治験薬接種28日後のオミクロン株BA.5系統に対する中和抗体の幾何平均及び抗体反応率を主要評価項目としまして、結果としてコミナティの2価ワクチンに対する本剤の2価ワクチンの非劣性が検証されたところでございます。
この試験において、オミクロン株BA.4-5系統に対する免疫原性に加えて、起源株またはオミクロン株XBB1.5系統に対する免疫原性も評価されておりまして、いずれの株または系統に対しても、本剤の2価ワクチンの接種により中和抗体価の上昇が確認されました。
また、非臨床試験において、本剤の変異株対応ワクチンが対応するそれぞれの臨床株に対して免疫原性を示すことを確認しております。
詳細は次の19ページにデータを掲載しておりますけれども、本剤の1価JN.1ワクチンが、JN.1系統をはじめ、現在の流行株を含む、オミクロン株の様々な亜系統、KP.3系統を含むに対する中和抗体を誘導したというデータでございます。
ページ下部のPMDAの判断でございますけれども、本剤の1価JN.1ワクチンの接種によって、SARS-CoV-2による感染症に対する有効性が期待できるとされております。
20ページが、Meiji Seikaファルマ社JN.1系統対応1価ワクチンの追加接種の安全性でございます。
こちらも審査報告書のデータでございますけれども、データとしましては、左側、Meiji Seikaファルマ社の説明の部分でございますけれども、臨床試験での安全性プロファイルとしまして、右の表にありますとおり、本剤の2価、起源株とBA.4-5対応のワクチンを用いた臨床試験における有害事象の発現状況は、本剤群とファイザー社のコミナティ群の間で大きな差異は認められなかったということでございます。
また、特定有害事象の多くが軽度または中等症の有害事象でありまして、主な局所の特定有害事象は注射部位の圧痛や注射部位疼痛、また、全身の特定有害事象としては、倦怠感であったということでございます。
局所の特定有害事象の発現の時期の中央値は、本剤群では1日、コミナティ群でも1日であり、また、そういった事象の持続期間は本剤群で4日、コミナティ群で4日であったということでございます。
また、全身の特定有害事象の発言時期も本剤群で2日、コミナティ群で2日であり、持続期間は本剤群で2日、コミナティ群で2日であったというデータがございます。
特定外の有害事象については、多くが軽症または中等症の有害事象であり、重篤な有害事象は認められなかったと審査報告書には記載されております。
また、年齢別の有害事象につきましては、高齢者の例数が非常に限られていたことから比較は困難であるが、明確な差異は認められなかったということ。
また、長期の安全性について、1価起源株ワクチンを用いた、国内第III相試験において、治験薬180日後までに認められた重篤な有害事象は本剤群で5件、コミナティ群で5件であり、いずれも転帰は回復で発現した全ての重篤な事象については、治験薬との関連は否定されたということでございます。
こちらを踏まえまして、PMDAの判断というところでございますが、この臨床試験において、本剤の2価ワクチンの追加免疫に係る安全性はコミナティの2価ワクチンと大きな差異は認められておらず、本剤の1価ワクチンの初回承認時に検討した臨床試験に認められた安全性プロファイルとも、おおむね同様と考えられております。
また、18歳以上に対する本剤2価ワクチンの安全性は、許容可能と考えられるとされております。
また、本剤の1価JN.1系統ワクチンは、1価起源株ワクチンを改変したワクチンであり、1回起源株ワクチンや2価BA.4-5と起源株対応のワクチンの臨床試験で認められた安全性プロファイルを踏まえると、1価JN.1ワクチンの追加免疫に係る安全性は許容可能と考えられるとの申請者の説明は受入れ可能であるとまとめられております。
21ページは、国立感染症研究所における評価でございまして、KP.3系統に対するJN.1系統対応ワクチンの有効性でございます。
現在、我が国で大多数を占めているJN.1系統の下位系統であるKP.3.1系統に対するJN.1系統対応ワクチンの有効性について、国立感染症研究所による評価では、JN.1ワクチンは、XBB1.5ワクチンと比較して、JN.1系統と同様、KP.3系統に対しても、より強く免疫を誘導し、効果の向上が期待できると考えられるとされております。
23ページ以降が、初回接種と追加接種の区別についてでございます。
23ページが、令和5年度まで実施していた臨時接種の接種状況でございまして、65歳以上の高齢者においては、初回接種、すなわち2回目接種を終了した方の割合が90%を超えております。
24ページは、民間検査機関での検査用検体の残余血液を用いた新型コロナウイルスの抗体保有割合実態調査の結果でございます。5月の感染症部会の資料でございますけれども、感染またはワクチンで得られる抗S抗体の保有割合は97%と報告されております。
25ページに、各年齢層の抗体保有割合が掲載されておりますけれども、60から69歳で96.8%、70から79歳で98.4%、80歳以上で98.9%と報告されております。
26ページが「新型コロナワクチンの初回接種・追加接種に係る記載整備について」でございまして、JN.1系統対応1価ワクチンの用法・用量については、医薬品審査管理課から示された薬事審査の方針を踏まえて、各社において、初回接種、追加接種を区別せず、追加免疫を主体とした用法・用量に添付文書の記載が整備されているところでございます。
また、27ページは、諸外国の最新の新型コロナワクチン接種プログラムにおける初回・追加接種の扱いと接種の推奨状況でございます。
欧米5か国における最新の成人に対する接種プログラムにおいては、各国ともに初回接種と追加接種を区別しない接種の方法が基本となっております。
29ページがまとめでございます。
経緯と現状ですが、まず「令和5年度秋冬の臨時接種の評価について」でございます。
令和5年度秋の臨時接種に使用したXBB1.5系統対応ワクチンについて、有効性については、国内外の複数の報告において、入院や集中治療等の重症化を予防する効果が示されております。
また、安全性については、現時点で新たな懸念は認められないと評価されております。
また「論点1 令和6年度の定期接種で使用するワクチンと実施期間について」ですが、令和6年度秋冬の定期接種で使用するワクチンの抗原については、第2回製造株について検討する小委員会において、JN.1系統及びその下位系統へのより高い中和抗体を誘導する抗原を含むこととされました。
新型コロナウイルスの変異株については、我が国においては、JN.1系統の下位系統であるKP.3系統とその下位系統が主流となっております。
また、ファイザー社、モデルナ社、第一三共社、Meiji Seikaファルマ社、武田薬品工業社のJN.1系統対応1価ワクチンについて、薬事上、有効性・安全性等の評価がなされ、薬事承認一部変更に係る申請が承認されました。
また、国立感染症研究所の評価において、JN.1系統対応ワクチンは、KP.3系統に対し、従来のワクチンより有効性の向上が期待されるとされました。
論点2の「初回・追加接種の取扱いについて」ですが、令和5年度までの臨時接種において、65歳以上における初回接種の接種率が93%であることに加え、令和6年3月時点の抗体保有割合実態調査において、60歳以上では抗S抗体が95%以上陽性であり、定期接種の対象者の多くは新型コロナウイルス感染症に対して、免疫を保有していると考えられます。
また、5社の新型コロナワクチンについても、添付文書の用法及び用量が、追加接種を主体とする記載に整備されております。
また、諸外国の接種プログラムにおいても、初回接種と追加接種を区別しない接種方法が基本となっております。
30ページがまとめの事務局案でございます。
今年度以降の定期接種に係る各論点について、以下のとおりと規定してはどうかと考えております。
論点1の「使用するワクチンと実施期間について」は、ファイザー社、モデルナ社、第一三共社、Meiji Seikaファルマ社、武田薬品工業社のJN.1系統対応1価ワクチンを今年度の定期接種に位置づけるということ。
また、今年度の定期接種の実施期間は、各ワクチンの開発・供給の状況も踏まえ、10月1日から翌年3月31日とするということ。
また、今後の定期接種についても、実施期間は10月1日から3月31日を基本とし、最新のWHOの推奨等を踏まえて選択した抗原構成のワクチンを使用するということ。ただし、ワクチンの開発状況等が大きく異なった場合には、実施期間について改めて検討するということを考えております。
また、論点2の「初回・追加接種の取扱いについて」は、初回接種と追加接種の区分を設けず、1回接種とすることとしてはどうかと考えております。
具体的な規定の内容につきましては、以下の表の内容でございます。
事務局からは以上です。
○脇田分科会長 御説明ありがとうございました。
これまでも議論してまいりましたけれども、令和5年までの臨時接種から、今年度から定期接種に移行するということで、これまでの臨時接種の評価、安全性・有効性についての情報をまとめていただき、さらに定期接種に移行するに当たっての論点ということで整理をしていただきました。
これから委員の先生方から御意見を伺うわけですけれども、まずは、その定期接種に使用するワクチンと、その実施の期間について、30ページのまとめの2のところにまとめていただいていますけれども、論点1「使用するワクチンと実施期間について」、それから論点2として、これまで臨時接種では初回接種、追加接種ということで進めてきたわけですけれども、今後定期接種に移行すると、1回のみの接種になるということで、その取扱いについての整理をするということであります。
まずは、定期接種において使用するワクチンと実施期間について、ワクチンは、今、御提案いただいたとおりなのですけれども、実施期間は10月1日から来年の3月31日というところになるということです。
それから、抗原についても、現在の流行状況が、KP.3系統とその下位系統が主流というところで、その系統に対する有効性のあるJN.1系統対応のワクチンを使用してはどうかということでありました。
それでは、まず、論点1のほうから、委員の先生方から御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、順番に御意見をいただきます。
まず、坂元委員、お願いします。
○坂元委員 どうも御説明ありがとうございました。川崎市の坂元でございます。
1点、厚生労働省のほうにお伺いしたい点は、その実施期間が10月1日から翌年3月31日までを基本とすると書かれております。
たしか6月の自治体宛ての説明会のときは、この実施期間に関しては、自治体の判断によりというような御説明があったかと思います。なぜかといいますと、多くの市町村は、このコロナワクチンと同時に、インフルエンザワクチンの接種を開始するということで、同じB類で、対象年齢も同じということで、そこでお伺いしたいのは、仮に市町村がインフルエンザワクチンを来年の1月31日までとして、それに合わせて、コロナワクチンの接種も1月31日までと、市町村がそのように市町村の判断で決めてよろしいかということを、御確認いたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
後ほどまとめて事務局からレスポンスいただくということにしたいと思いますので、まずは、委員の先生方から御意見を伺っていきます。
伊藤澄信委員、お願いします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
今回、特例臨時接種では使われていなかったコスタイベというワクチンが使われる形になっていますが、レプリコン、mRNAワクチンというのは、アルファウイルスのレプリカーゼ、複製ユニットを使ったレプリコンプラットフォームを使ったベクターワクチンだと理解しています。
生きたウイルスを使った生ワクチンではありません。次世代のmRNAワクチンとか、自己増殖RNAテクノロジーという言葉が一人歩きしておりますが、接種局所の細胞の中で、このmRNAが増えることはあっても、レプリカーゼのないところで、mRNAが増えることはないはずで、呼気や汗に出てくることはないはずなのですが、誤解が拡散しているようです。その点について、厚生労働省の見解を再度確認したいと思います。
組換えタンパクワクチンを除いて4つのmRNA技術を使うワクチンのうち、コスタイベも、それから第一三共のダイチロナもコミナティとの比較試験がされておりますが、基本的には抗体価の上昇の程度や安全性に大きな違いがない。後発品と同じと理解していますが、その理解でよいかも確認させていただきたいと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
次に、笹本委員、お願いします。
○笹本委員 日本医師会の笹本でございます。
論点1について発言させていただきます。
30ページでは、定期接種の実施期間は10月1日から翌年3月31日までとなっております。今まで新型コロナウイルス感染症は冬に多く見られました。参考資料の32ページを見ますと、コロナの報告数は、これまで冬が多かったのですが、今年は冬と夏との報告者数がほぼ同程度になっています。入院患者は、冬よりもむしろ夏のほうが多くなっております。コロナウイルスは、もともと夏風邪の原因のウイルスの1つだったことを考えると、今後は夏に多く発生する可能性が十分にあります。今後、定期接種の期間を見直す可能性があるのかどうか、お聞きしたいと思います。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
次に、中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。
質問を1点させていただきます。まず、質問の前に、今日お示しいただいた今回の定期B類接種で使用するワクチンと実施期間につきまして、詳細な御説明をありがとうございます。
使用するワクチンにつきましても、初めて使用するレプリコンワクチンに関しましては、有効性と安全性に関して詳細に御説明いただいたことと、あとはJN.1系統のワクチンに期待できる効果というのも十分に御説明いただいたと考えております。
また、実施期間につきましても、来年の3月31日までと、省令によって定めるという期間をお示しいただいたことにも、当方からは、異論はございません。
そこで御質問なのですけれども、使用するワクチンがJN.1系統及びその下位系統へのより高い中和抗体価を誘導する抗原を含有するワクチンということでございます。
現在、5つのワクチンともJN.1系統の中和抗体価を十分高く誘導するワクチンということで使用可能ということだと思いますが、3月31日の実施期間までに、同様にJN.1系統及びその下位系統への中和抗体価を誘導するワクチンが薬事承認なり使用できる状況に国内でなったときには、追加でさらに使えるワクチンも増える可能性もあるのかどうか、実質的にはなかなか薬事承認の手続その他を考えると、3月までというのは、正直そんなに可能性は高くはないと思うのですが、一応確認させていただければと思います。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
先生、今、今後はJN.1系統のものが使われるということですから、それはJN.1系統の下位系統の、さらに下位系統のKP.3とか、そういったもののワクチンができた場合にという、そういう意味ですか。
○中野委員 そうです。KP.2、KP.3を含めてJN.1の下位系統も含めてという質問でございます。
○脇田分科会長 分かりました。ありがとうございます。
そのほかは、いかがですか。
それでは、私のほうからは、今回、新たなワクチン、コスタイベも追加されるということですが、今後もワクチンの有効性・安全性のモニタリングということは非常に重要でありますので、今回データを示していただいた、前回も示していただいているわけですけれども、国内のデータの収集、有効性、VERSUS studyというもののデータが示されていて、国内でも入院予防効果がしっかり示されたということは、非常に重要だと思っています。
ですので、今後も、定期接種になった以降も、こういった有効性の評価というものを続けていただけるかということを確認しておきたいと思います。
もちろん副作用の調査に関しては、これまでどおり調査が行われると理解をしていますということです。
それから、中野先生からも少し意見がございましたけれども、それから、笹本先生からも、今回夏の流行もかなりあって、入院者数については、冬よりも夏のほうが多かったというところがあるので、流行状況については、しっかりと今後もモニタリングをして、それから流行株についてもモニタリングして、この定期接種の在り方というのは、今後も検討をしていただきたいということは、意見として言っておきたいと思います。
それでは、特に追加の御意見、御質問がなければ、この段階で事務局からレスポンスをいただければと思います。
よろしくお願いします。
○鈴野予防接種対策推進官 事務局でございます。
まず、坂元委員から御質問いただきました実施期間ですけれども、委員から御指摘があったとおり、省令では令和6年10月1日から来年3月31日までと定めさせていただきたいと考えておりますが、その範囲内で、具体的に実際の実施期間をどう定めるかは、各自治体で御検討いただき、決定いただければよいと考えております。
残りの御質問については、別の事務局の者から答えさせていただきます。
○吉原ワクチン情報分析専門官 引き続き、委員の先生方の御質問に回答させていただきます。
伊藤先生からいただきました、レプリコンワクチンが自己増幅するというような設計となっているところについて、これは、すなわち、例えば無限に増幅することはないのかであったりとか、また、他者に伝播するというようなことがないのかといったことの確認かと思います。
事務局といたしましては、まず、他者への伝播というところについても、このワクチンについて、他者に伝播するといった事象が生ずるとの科学的な知見はないと認識しております。
また、永久に増幅するのではないかといったことについても、レプリコンワクチンの体内における自己増幅は一時的なものであり、mRNA及びその抗原タンパク質が、一過性に発現した後は経時的に消失するということを非臨床試験で確認されているものと認識しております。
厚労省としましても、国民の皆様に対しましては、こういったことを可能な限り周知してまいりたいと考えております。
また、伊藤先生の2点目の御質問であります、安全性については、コミナティと比較されて評価されたのかということにつきましては、まさに事務局資料に入れておるとおりでもございますが、コミナティと比較して見ていると、これは、ほかのワクチンの臨床試験でも同様に、対象薬と比べられてきたという経緯かと思っております。
また、笹本先生からは、冬にもですが、夏にも流行しているのではないかといった御意見、それゆえに、1回でよいかどうかについて、同様の御意見につきましては、脇田先生からもいただいているところかと思います。
こちらにつきましては、令和5年度の本分科会の議論においては、オミクロンの重症度の低下ですとか、国民の免疫保有状況が高まっていること、また、ワクチンの重症化予防効果が1年以上、一定期間持続すること、また、費用対効果の結果に加えて、また、新型コロナウイルスの感染症は、秋冬に感染拡大が見られるといったことも考慮して、定期接種のスケジュールについては、年1回、接種のタイミングは秋冬としたところでございます。
御指摘のとおり、直近の1年では、令和5年度の冬のみならず、夏にも一定の感染拡大はあったところでございますが、そこの議論の前提、昨年の分科会の議論の前提と大きく異なる状況にはなっていないと認識しております。
脇田先生も御指摘いただきましたとおりでございまして、今後、昨年度の議論の前提から大きく異なるといったような状況となっていないかについては、疫学状況等を引き続き確認してまいりたいと考えております。
また、中野先生からは、3月までにほかのワクチン、例えばKP.3系統のワクチンが出た場合にはどうなるかということでございますが、WHOの推奨も、我が国の推奨も、JN.1系統及びその下位系統のワクチンも含めて推奨対象に入るものでございますから、まさにKP.3系統につきましても、そこに対応したワクチンというのが薬事承認された場合には、定期化について、この分科会で議論の対象となり得るものと考えております。
また、脇田先生からは、国内のデータを引き続き見ていくべき旨、御意見をいただきました。
こちらの長崎大学のVERSUS studyについては、厚生労働科学研究で実施しておるものでございまして、こちらは、今年度も実施されているものと認識しております。
引き続き、国内の治験を収集できますように努めてまいりたいと考えております。
事務局からは以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
流行状況ですけれども、やはり抗体保有率も、まだ、高年齢者層、50歳以上のところは、N抗体の保有率も上がってきているような状況で、ということは今後の流行状況というのが、そういった免疫の保有状況によって変わってくる可能性もあるということもありますから、引き続き、流行の状況というものをしっかりモニタリングしていく。
そして、季節性というところも、今後、どのように定着といいますか、変わってくるのか、そういったところもしっかり見ていく必要性はあると思います。
その上で大きな変化があれば、やはり定期接種の在り方というのは検討する必要があると感じています。
それでは、さらに追加の御意見、坂元委員から、まず、お願いします。
○坂元委員 伊藤先生の御質問と、それから、それに対する厚生労働省の回答、特にレプリコンのコスタイベに関して自己増幅という形で、非常にいろいろな懸念が示されているということは、我々市町村としても承知しておりますし、市町村のほうにもそのような懸念が示されているという事実はございます。
また、レプリコンを打った人の診察をしたくないという懸念も示されているということもございます。
ただ、ただいまの厚生労働省の説明によりますと、このような懸念は根拠がないということを踏まえて、仮にそういう事態が起こった場合に、医師がレプリコンを打ったという理由で、診察をしたくないということがあった場合に、医師法に定める正当な理由なく診察拒否したということに該当するかどうか、市町村として、そのように判断して構わないかということに対して、1つお聞きしたいと思います。
どのワクチンを打つかは、被接種者と医師との間の話し合いで自分がどのワクチンを受けたいと決める自由はあると思いますが、仮にそういうことが起こった場合には、そのように市町村としては対処して構わないかということに対して、1つお聞きしたいと思います。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
次に、本間委員、お願いします。
○本間委員 脇田先生、ありがとうございます。
私のほうからは、今までの議論と違った観点からお聞きしたいのですが、今回のワクチン接種の対象者が65歳以上となっていますが、仮に65歳以下の方に希望があった場合、どうするのか。
可能性としては非常に低いということですが、仮に感染が拡大して、一般の人がコロナの感染を心配するようになると、そういった人たちも接種したいという希望が出てくるのではないかと思います。
特に冬は、子供は受験シーズンにあたります。そうすると、親御さんたちが、インフルエンザの感染、コロナの感染が、受験に大きな影響を与えるということを考え、ワクチンを受けたいという希望者が出てくるのではないかと思います。
そういった場合、先ほどお話があった新しいワクチンであるコスタイベですが、これは小児や、低年齢の人たちにも使うことが推奨されるのかどうか、その辺をお聞きしたいのですが、よろしくお願いします。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
続きまして、森尾委員、お願いします。
○森尾委員 ありがとうございます。
伊藤委員、坂元委員と文脈は同じなのですけれども、多種類の選択肢ができたということは非常にすばらしいことだと思っております。
その中で、レプリコンワクチンに対する客観的なデータを分かり易くお示しする、メリット、デメリットを含めて分かっていること、分かっていないことをお示しすることが非常に重要だと思っております。
特に副反応の点ですと、今、400名のデータがありますが、やはり比較的まれな心筋炎・心筋症みたいな副反応もあり、これから、やはりデータを集めていかないといけないことはあるということは、しっかり、どういう形がいいか分からないのですけれども、述べておいたほうがいいのかなと、これは副反応検討部会長としての発言でもありますけれども、そのように思っております。
加えて、今、伊藤委員、坂元委員から、いろいろと巷で出ている疑問があるという指摘がありました。例えば、発現量は個人差があってオーバードーズになるとか、レプリカーゼに対する抗体がとか、いろいろなことが出ていると思うのです。そこら辺、やはり客観的な事実をまとめて御提示する、そして、全国の接種医が同様に科学的なデータに基づいて説明できるようなものを用意していただけるといいのかなと、個人的に思っております。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
続きまして、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 産経新聞の佐藤です。御説明ありがとうございました。
今、お話しがあった坂元先生、伊藤先生、森尾先生などと同じ文脈での発言で2つお願いがあります。
1つは、ここで方針が決まりますと、この後の接種事務は自治体に任されるわけですが、どのワクチンを打つかは、接種する方に分かるようにしていただきたいということです。混乱を回避するために必要だと思います。それが1点です。
2つ目は、リスクコミュニケーションの点からのお願いです。
一部のワクチンについて、様々な言説があります。先ほど伊藤先生の御質問と厚生労働省の回答を聞きまして、大変安心をしたところです。
一部の言説が、科学的な知見と異なるのであれば、その旨を広報することが必要だと考えます。事実と異なる言説が大きくなることは、科学的な蓋然性のある政策を進めることの障害になります。
リスクコミュニケーションについては、政府の役割だと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
次に、笹本委員、お願いします。
○笹本委員 ありがとうございます。日本医師会の笹本でございます。
追加でございますけれども、ただいまのMeiji Seikaファルマのコスタイベに関してですが、皆さん今、いろいろお話をしていただきましてありがとうございます。
このワクチンに関しましては、Meiji Seikaファルマは、薬事審議会で承認されてからも、国民に信頼をされるためには、新しい情報を公表する責任があると思います。
製薬メーカーへの指導、また、医療機関、国民に対する情報提供を要望するところでございますが、特に医療機関に対しましては、様々な専門的な疑問がありますので、それに対応する回答、情報提供、また、国民に対しましては、それぞれ分かりやすいような情報提供が必要だと思いますので、ぜひともお願いしたいという要望でございます。
よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
大体よろしいでしょうか。
また再びレプリコンワクチン、コスタイベに関する御意見、御質問等がありました。それは、まとめて、またお答えしていただくとして、本間委員から御指摘があった65歳未満の方が、任意で接種を希望された場合は、どのように接種ができるかというところが、御意見としてございました。というところですかね。
では、事務局からレスポンスをいただければと思います。よろしくお願いします。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。
まず、坂元先生からいただきました、レプリコンワクチンを接種した方に対する、例えば診療拒否といったことがあった場合には、行政上どういった対応が可能なのかということ。恐らく、応召義務に関することかと思いますけれども、御質問のとおり、もし、Meiji Seikaファルマ社のワクチンを接種したことを理由として診療を拒否することが応召義務違反となるかどうかにつきましては、医師法第19条第1項の規定によって、診療に従事する医師は、診察診療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならないこととはされておりますが、ある診療拒否に関して正当な事由があったと認められるか否かにつきましては、患者の様態に応じた緊急性等の様々な事情を勘案して、個別具体的に判断されるものでありますために、お尋ねになったような医療機関での対応が、応召義務違反となるか否かについて、一概にお答えすることは、なかなか困難というところではございます。
また、本間先生より60歳未満の方がもし希望した場合ということでございますが、今年度から定期接種でございますから、ワクチン自体は、定期接種対象者以外でも打てるように、一般に流通されているものでございます。
したがいまして、定期接種の対象外の方につきましても、医師等と御相談の上で、いわゆる任意接種と呼ばれますけれども、個別に接種されるということになるかとは思います。
また、森尾先生からは、やはり安全性のデータの収集が必要であるといったことの御意見をいただいたかと思います。おっしゃるとおりと思います。
また、接種医が見ることができるデータが必要、この辺りは、森尾先生からもございますし、例えば、佐藤先生、また、笹本先生からも、どちらも医療機関への情報提供も大事であるということと、また、国民への情報提供も大事であるということ、両面御指摘をいただいたかと思います。
まず、薬事上、企業というのは、RMP資材という形で、薬事当局と相談の上で、医療機関等に対して詳細な資材を提示しているかと思います。
我々、公衆衛生当局として定期接種を実施しているわけでございますので、やはり我々としては、国民に対してしっかりと判断に資するような情報提供は検討してまいりたいと考えております。
かつ、接種後のデータにつきましては、まさに森尾先生おっしゃったように、引き続き副反応疑いの状況等を見ていくということが重要かと考えております。
また、佐藤先生からは、何を打つかが接種者に分かるようにということをいただきましたけれども、これは、まさに大前提のところでございまして、しっかりと同意を取った上でワクチンを打つということは大前提でございますし、国も実施要領等でしっかりと同意を取得することを求めていることでございます。
また、リスクコミュニケーションにつきましても、まさにこれも繰り返しになりますけれども、国民の皆様に対して接種の判断に資するような情報提供、これはしっかりやってまいりたいと考えている次第でございます。
事務局からは以上です。
○前田予防接種課長 すみません、1点少し補足をさせていただければと思いますけれども、予防接種課長でございます。
医師法上の取扱いを、少し坂元委員から御質問がございまして、これは、今、お答えをしたところ、もちろん厚生労働省全体で、責任部局のほうにも確認して、一般的な回答として御用意させていただいたものでございます。
実際、そういったものが起こりますと、当然、責任のある医政局のほうで、そういったことを個別に議論をされることになりますけれども、その際、予防接種政策上どうであるかということであれば、当然、今、お答えをしている、あるいは先生方からいただいている御知見でございますとか、そういったファクトと、また、そういったものが医療機関の皆様あるいは国民の皆様に、どれぐらい御理解をいただいているかというところも重要でございますので、そういった事実の確認と周知というところ、こういう状態であるというファクトとして御提供した上で、最終的に御判断になるということでありますので、そういった形でしっかり事実関係あるいはその周知のところは、我々予防接種の担当としても進めていきたいと考えているところでございます。
補足で失礼いたしました。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
今、前田課長が言われたとおり、国民の皆さんが理解をしていただくということは非常に重要ですので、リスクコミュニケーション、これは各委員からも御意見があったとおり、しっかりと周知をしていただくということで、お願いしたいと思います。
いかがでしょうか、さらに御意見ございますか。
中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。
先ほどの本間委員からの御質問に事務局にお答えいただいた内容で、すみません、少しコメントをしておきたいと思います。
と申しますのは、もちろん任意接種で打てるわけでございますけれども、薬事承認事項がワクチンの種類によって、例えば、年齢幅が異なります。具体的には、先ほど本間委員も受験生が例えばという御質問があったので、私はレプリコンという話も出て、気になったのですが、レプリコンに関しては、現状で18歳以上が薬事承認の対象だと理解しておりますし、また、組換えタンパクワクチンは6歳から11歳は初回免疫のみという、このようにワクチンごとの差異が薬事承認事項に関しては、いろいろあるかと思います。本日は予防接種ワクチン分科会でございますから、主に定期接種B類の議論であるから、このような議論になっておりますが、任意接種として使う場合は、ほかにも注意事項が必要であるということは、国民の皆様、医療従事者の皆様には十分に御理解いただかないといけないと思っています。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、さらに論点1のところは、特段の追加の御意見がなければ、論点2として初回・追加接種の取扱いということで、現状の抗体保有率が、かなり60歳以上でS抗体が、95%以上は陽性であるようなこと。それから諸外国でも初回接種、それから追加接種は区別しないということが、おおむね基本となっているということがありまして、30ページの論点の2のところでは、定期接種においては、初回接種と追加接種の区分を設けずに1回の接種とするということ。それから、用いるワクチンと接種方法は、30ページの表に示されたとおりというところであります。
こちらについて、委員の先生方からの御意見、御質問等あれば、お願いしたいと思います。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
初回接種、追加接種を区別しないという考え方は、私はよろしいかと思います。ただ、ときたま質問が来るのが、コロナに感染してしまったけれども、どれぐらい期間を空けたらいいかという質問が我々市町村のほうに寄せられます。以前は、3か月以上ということが推奨でしたが、これは法的な決まりではなく、3か月以上空けることが好ましいという案内を、このコロナの予防接種の中ででも出したという経緯がありますが、それは、そのように今後も指導というか、そのような案内を与えても構わないかという質問でございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
続きまして、中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。
初回接種と追加接種、初回免疫と追加免疫ですか、我が国での流行のこれまでの状況とか接種状況を鑑みますと、1回の接種ということで実施することに何ら異論はございません。
それに関して1点御質問なのですが、接種記録というのは、どのように残るのでしょうか。と申しますのは、これまで特例臨時接種で行ってきたときは、接種記録というのは、かなり長い期間、しかも確実に正確な形で記録されていると思います。先ほど来、ワクチンの有効性と安全性の検討は持続してやっていくべきだと、委員からたくさんの御意見ありました。私もそのように思いますし、また、新しいタイプのレプリコンワクチンで、風評も含めていろいろなお話が出ているのは、mRNAワクチンという新しいモダリティーのワクチンに対する不安等も含めて、安全性に対して、いろいろな御心配があるから、このようないろいろなお話も出てくるのかなと思いますので、やはりそのためには、多数例で、実地使用下で、打った方と打たない方で長期的な予後も含めて、打った方に特に身体上の問題がないのか、有害事象はないのかという研究とかは非常に大切だと思いますので、接種記録がどのような見込みなのか、デジタルフォーメーション、予防接種の分野でも進めていただくという国の方針は承知いたしておりますので、お伺いしたいと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほか、いかがですか。
それでは、今、坂元先生、それから中野先生からの御質問について、事務局からレスポンスをいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。
感染後の期間という御質問かと思うのですけれども、御指摘のとおり、そういったことを、以前、手引等で空けることが望ましいということでございますけれども、現状、最新の添付文書を見ましても、特に感染してからどうであるといった規定はないところでございまして、国としては、そこに一定の規定は置かないことと考えております。
お答えになっておりますでしょうか。
また、続きまして、人が代わります。
○鈴野予防接種対策推進官 中野委員から御質問がありました接種記録の管理方法でございますが、現在、医療DXということで、予防接種もデジタル化に取り組んでおりまして、このスケジュールが、令和8年度以降の全国展開を目指して、今、システムをつくっているところでございます。これが稼働しますと、予防接種データベースにデータが格納され始めますので、それ以降は、そのデータが活用可能になりますけれども、それまでの間は、まだ扱えないということになります。
そうしますと、今年度、来年度の定期接種のデータにつきましては、これまでの他の定期接種と同様の扱いとして、各自治体において予防接種台帳等で管理いただくことになっておりまして、実際に各自治体では、健康管理システムと呼んでおりますけれども、そうした自治体のシステムの中で、接種記録が管理されることになります。したがいまして、仮に研究等でそのデータを使うということになれば、自治体の協力も得ながら、データが活用できるかというところを検討していくということになるかと思います。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
データベースの整備というのが、もう少し時間がかかるということですね。
それから、感染後どのぐらい空けて接種をしたらよいかというところに関しては、現状では、特にその期間は設定していないということの御回答でした。
ですので、自治体というか、医療機関で、そういったお問い合わせがあったときに対応するときには、個別に対応していただくということかと思いますが。
伊藤澄信委員、お願いします。
○伊藤(澄)委員 すみません、今の御質問なのですが、副反応検討部会に報告させていただいているコホート調査では、過去にワクチン接種をされている方の40%の方は、新型コロナウイルスに感染されても症状がありません。
そういう意味では、過去に感染したか、していないかの履歴は別にしても、実際、無症候性に感染されている方もいらっしゃいますので、次のワクチン接種の期間を感染歴から設定するのは、現実的には難しいのではないかと思います。情報提供です。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
論点1のところ、定期接種に使用するワクチン実施期間について、それから論点2のところ、初回・追加接種の取扱い、両方全般にわたってでも結構ですが、御意見があれば、お願いしたいと思います。
大体よろしいですか、まだ御発言をいただいいただいていない先生方も含めて。
それでは、さらなる御意見がないようであれば、そろそろまとめていきたいと思います。
30ページの事務局案、論点が2つ提示されております。論点1の「使用するワクチンと実施期間について」というところで、これはファイザー社、モデルナ社、第一三共社、Meiji Seikaファルマ社、そして武田社のJN.1系統対応1価ワクチンを、今年度の定期接種に位置づけるといたしまして、その実施期間においては、10月1日から翌年3月31日とするというところ。
それから、論点2の「初回・追加接種の取り扱いについて」のところですけれども、これは、初回接種と追加接種の区分は設けずに1回の接種とするということについて、了承したいと思いますが、皆様いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○脇田分科会長 ありがとうございました。
特に反対意見はないということですので、分科会として、この論点1、論点2ともに了承したいと思います。
事務局におかれましては、今日の議論で委員の先生方からたくさんの意見がありました。それを踏まえまして、定期接種の準備を進めていただければと思います。
10月1日からということですから、もうそれほど時間はないということですね。
それでは、本日の議題に関連した関係法令の改正について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○鈴野予防接種対策推進官 事務局でございます。
今ほどの論点について御了承いただきましたので、それを前提とした省令改正案について、諮問をさせていただきたいというものでございます。
資料については、資料2を御覧いただければと思います。
3枚目をおめくりいただきまして、右肩に「別紙1」と書いてある資料でございますが、こちらが省令改正案の要綱になります。
第一ということで、予防接種実施規則の一部を改正したいという内容でございます。
具体的には、新型コロナウイルスの定期の予防接種について、毎年10月1日から翌年3月31日までの間において、以下のいずれかの方法により行うものとするということで、接種の接種方法を定める内容になってございます。
その後(一)から(五)までございまして、こちらにつきましては、(一)はファイザーのワクチン、(二)はモデルナのワクチン、(三)が武田薬品工業のワクチン、(四)が第一三共のワクチン、(五)がMeiji Seikaファルマのワクチンということで、5つのワクチンの接種方法を定めたいということでございまして、いずれも1回筋肉内に注射をするということで、接種量はそれぞれのワクチンによって異なりますが、規定をさせていただきたいと考えております。
第二に、施行期日ということで、この内容について、令和6年10月1日から施行したいと考えております。
諮問の内容は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
今日の御議論の内容に基づいた省令の改正案ということで御説明いただきました。
それでは、皆様いかがでしょうか、何か御意見等ございますか。
特になければ、この諮問された原案どおりにお認めいただけますでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○脇田分科会長 特に御異論ないようですので、この分科会として了承したいと思います。ありがとうございました。
それでは、事務局におかれましては、必要な事務手続を進めていただきたいと思います。
笹本委員、手が挙がっていますけれども。
○笹本委員 すみません、その他のことになるかもしれないのですが、言葉の確認をさせていただきたいのですが、コスタイベは自己増幅するワクチンと承知しているのですが、一般的に自己増殖という言葉も使われていまして、自己増殖という言葉が、様々な不安あるいは誤解を与えている可能性もありますので、この言葉のことをしっかりと厚労省のほうからも、この場で確認をしていただいて、もう一度、皆様に説明ができれば、お願いしたいと思うのですが、よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
坂元委員も手が挙がっていますが。
○坂元委員 本日の議決の内容とは関係ないのですが、今回の2024年度のコロナワクチン接種に関しましては、国からワクチン代8,300円という補助をいただきまして、市町村としては非常にやりやすい状況にあるということを、まず、感謝申し上げたいと思います。そこで多くの市町村からは、来年度がどうなるのかということ、実は来年度の予算というのは、現在、ほとんどの市町村が、この秋に予算を議会に出して、議会から議決をいただくということをやっております。
つきましては、来年度がどのような補助が出るのか、出ないのかとか、その辺は補正予算との関係もありますので、速やかに厚生労働省のほうとしては議論をいただき、市町村のほうに、その旨御連絡をいただければ幸いと思います。これは、御回答は要りません。市町村からのお願いでございます。よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
坂元委員からは、新型コロナの定期接種に対する補助が来年どうなるかということを早めに知らせてほしいというお願いでありました。
その前の笹本委員からは、コスタイベ、こちらのワクチンがよく自己増殖RNAあるいは自己増幅RNAと言われますので、その言葉の意味、これらを明確に示してほしいということだったかと思いますが、事務局から、その点について何かございますでしょうか。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。
こちらは、正確な言葉としては増幅でございます。ですので、増幅が何かというと、かなり分子生物学的な用語ではございますけれども、目的のスパイクタンパク質を発現するmRNAを増幅、それを増やすということでございます。この辺りの言葉を正確に使っていきまして、おっしゃるとおりでございまして、増殖といったことで言うと、何かまるで生き物であるかのような誤解を与えるかもしれないという御指摘かと思いますので、そこは、これは別に生物ではありませんので、生ワクチンと異なりますから、そういった言葉遣いに気をつけていきたいと考えております。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
RNAが自己増幅、我々はRNAウイルスの研究をやっていますけれども、増幅とはあまり使わないですね、本来は、レプリケーションですから複製なのですけれども、それが無限大に複製していくというものではございませんので、限定的な自己複製というところが、我々としては適切なのかなとは思いますけれども、いずれもその言葉の意味、それをしっかりと示していく、増殖というと、あたかも無限大に増えていってしまうという捉え方がされる可能性もあると感じるところですね。
伊藤亜矢子委員。
○伊藤(亜)委員 最後に意見ということで、すみません。
今のお話も非常に重要だと思っていまして、先ほど来、応召義務のお話が出ていたかと思いますが、私としましては、コスタイベを打った人だから診療をしないというのは、これは応召義務違反と言うべきではないかと、そのことのみで診察をしないというのは、応召義務違反と言うべきではないかと考えていますが、医療機関で少し困られるだろうなと思うのが、誤解のもとに国民の皆さんがコスタイベを打った人から伝播するということがあるのではないかという誤解によって、そういう人が来る病院には行きたくないとか、そういったような誤解が生まれてしまうことによる診察の難しさというのはあろうかなと思うので、くれぐれもその辺りの科学的知見に基づく周知ということを徹底していただきたいと思って、意見でございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
伊藤委員からは、重ねて科学的な知見、これの広報といいますか、コミュニケーションをお願いしたいというところの御意見でありましたので、事務局には重ねてお願いをしたいと思います。
それでは、さらに何か御意見ございますか。
よろしいでしょうか。そうしましたら、今日は、論点1、論点2、そして、それに必要な政令の改正案をお認めいただいたということでありますので、事務局は、よろしくお願いいたします。
それでは、事務局にお返ししたいと思います。
○溝口予防接種課課長補佐 事務局でございます。
本日も活発な御意見、御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。
次回の開催につきましては、追って御連絡をさせていただきます。
事務局からは以上でございます。
○脇田分科会長 それでは、本日の会議をこれで終了したいと思います。
今日も活発な御議論をありがとうございました。また、次回、引き続きよろしくお願いします。