第9回薬剤耐性(AMR)に関する小委員会

健康・生活衛生局 感染症対策部 感染症対策課

日時

令和6年10月16日(水)10:00~12:00

場所

厚生労働省 共用第6会議室(3階)

議題

(1)5類感染症に分類されている薬剤耐性菌感染症について(案)
 1 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症の届出基準
 2 ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症の届出基準
 3 カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)感染症の届出基準
 4 薬剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症の全数化
(2) サーベイランス体制の構築に関する検討(案)
 1 薬剤耐性非結核性抗酸菌
 2 薬剤耐性ピロリ菌
(3)抗微生物薬適正使用の手引きの改訂について(案)

議事

 
○亀谷感染症対策課課長補佐 ただいまから、第9回「厚生科学審議会感染症部会薬剤耐性(AMR)に関する小委員会」を開催します。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず御出席いただき誠にありがとうございます。
 本日、議事進行を務めさせていただきます感染症対策部感染症対策課の亀谷と申します。よろしくお願いいたします。
 初めに、7月より、当課エイズ対策推進室長・結核対策推進室長に就任しました佐野より御挨拶申し上げます。佐野室長、よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 私、7月1日付でエイズ対策推進室・結核対策推進室の室長に着任しております。よろしくお願いいたします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 本日の議事は公開となります。傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
 本日はウェブ会議で開催することとしております。まず、ウェブ会議を開催するに当たり、会議の進め方について御連絡させていただきます。
 御発言される場合はまず、挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載していただき、委員長から御指名されてから御発言をお願いいたします。
 なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。
 会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
 続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。
 今回より、日本薬剤師会の川名委員、板橋中央総合病院の坂本委員、日本医師会の笹本委員、日本看護協会の松本委員が新たに委員として御参加いただくこととなりました。
 御出席の委員につきましては、通信の確認も踏まえて、委員のお名前をこちらから申し上げますので、一言お返事をいただければと思います。
 五十音順に申し上げます。
 浅井委員。
○浅井委員 浅井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 荒川委員。
○荒川委員 おはようございます。荒川でございます。よろしくお願いいたします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 大曲委員。
○大曲委員 大曲です。よろしくお願いいたします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 川名委員。
○川名委員 日本薬剤師会常務理事の川名です。どうぞよろしくお願いいたします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 坂本委員。
○坂本委員 坂本です。よろしくお願いします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 笹本委員。
○笹本委員 笹本でございます。よろしくお願いいたします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 北原委員。
○北原委員 日本病院薬剤師会の北原です。よろしくお願いいたします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 島田委員。
○島田委員 感染研、島田です。よろしくお願いいたします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 四宮委員。
○四宮委員 四宮です。どうぞよろしくお願いします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 白井委員。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 菅井委員。
○菅井委員 感染研の菅井です。よろしくお願いいたします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 関谷委員。
○関谷委員 農林水産省の関谷と申します。よろしくお願いいたします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 高野委員。
○高野委員 高野八百子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 館田委員。
○館田委員 館田です。よろしくお願いします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 松本委員。
○松本委員 日本看護協会の松本です。よろしくお願いいたします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 三崎委員。
○三崎委員 三崎です。どうぞよろしくお願いいたします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 八木委員。
○八木委員 八木哲也です。よろしくお願いいたします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 山野委員。
○山野委員 製薬工業協会の山野です。よろしくお願いします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 ありがとうございました。
 なお、伊藤委員からは御欠席の御連絡を頂戴しております。
 また、本日は、参考人としまして、国立感染症研究所ハンセン病研究センターより阿戸様、同じく、国立感染症研究所薬剤耐性研究センターより梶原様、矢原様、京都橘大学より中村様、国立感染症研究所細菌第二部より林原様の御参加をいただいております。
 以上、現在、薬剤耐性(AMR)に関する小委員会委員19名のうち18名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令に基づき、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
 それでは、議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。
 配付させていただいた資料は、議事次第及び委員名簿、座席図、概要資料、資料1-1~1-4、資料2-1と2-2、資料3ですね。参考資料が1-1~1-5になります。不備等がございましたら、事務局にお申出ください。
 それでは、ここからの進行は大曲委員長にお願いしたいと思います。大曲先生、よろしくお願いします。
○大曲委員長 ありがとうございます。それでは、本日はよろしくお願いいたします。
 各委員に事前に資料を配付されていまして説明もいただいているところでありますけれども、事務局から、今回のAMR小委員会の趣旨について、まずは御紹介いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 よろしくお願いいたします。資料の投映をさせていただきます。
 こちら、本委員会の概要資料として事務局側で用意したものでございます。
 次お願いします。
 今回のAMR小委員会については、薬剤耐性(AMR)アクションプラン(2023-2027)の目標2の戦略2.1に記載されておりますとおり、五類感染症に指定された薬剤耐性菌感染症や薬剤耐性が問題となる感染症に関して、必要に応じた届出基準等の見直し、また、薬剤耐性緑膿菌感染症の全数把握の必要性及び妥当性の検討ということが記されております。
 次お願いします。
 本日は各論的な内容も含みますので、五類感染症における薬剤耐性感染症のオーバービューを示したものになります。左側がWHOのPriority Pathogens Listでして、赤字で示したところが五類感染症に指定されているものになります。
 次お願いいたします。
 本日の議題でございます。まずは、議題1としまして、アクションプラン戦略2.1に基づいた検討事項とさせていただいております。議題2としまして、サーベイランス体制の構築に関する検討を挙げさせていただいております。また、議題3には、昨年11月に改訂しました抗微生物薬適正使用の手引きの改訂について挙げさせていただいております。
 以上となります。
○大曲委員長 ありがとうございます。ということで、今、画面に出ていますように、本日3つ議題があります。先生方、よろしくお願いいたします。
 早速始めていきたいと思います。最初のところ、議題1ですけれども、事務局からその概要と、あと、議題1の中のまずはMRSAのところに関して資料の御説明をお願いします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 ありがとうございます。では、資料1-1、MRSAに入らせていただきます。
 次のスライドお願いいたします。
 MRSA感染症は現在、定点把握疾患となっております。現行の判定基準でございますが、表の上段にありますCLSI、EUCASTと比べて、現在の発生動向調査の判定基準が異なっているという状況でございます。
 次のスライドお願いします。
 事務局としては、届出基準の変更を提案させていただきます。アクションプラン目標2戦略2.1に基づきまして、CLSIやEUCAST等の国際基準と統一するため、MRSA感染症の届出基準を以下のとおりとしてはどうか。すなわち、MPIPCのディスク拡散法の届出基準を削除、CFXのディスク拡散法と微量液体希釈法の届出基準を追加するということを提案させていただきたいと思います。
 なお、届出基準にCFXを追加することで、MRSA感染症の患者数は現行の1~2%程度増加することが見込まれております。なので、現場の御負担は少ないものと考えております。
 事務局からは以上でございます。
○大曲委員長 ありがとうございます。ということで、MRSAに関する届出基準の変更というところであります。端的には米国、欧州の方法と合わせてはどうかということでございますが、委員の先生方、これに関していかがでしょうか。御意見ございましたら、まず挙手をいただければと思います。
 よろしいですかね。こちらに関しては確かにシンプルな話かと思いました。それでは、こちらに関しては特段の御意見はなしということで、先へ進んでまいります。
 議題2の2番目でありますが、PRSPの届出基準について議論していきたいと思います。では、事務局から資料の説明をお願いします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 事務局から御説明を差し上げます。定点把握疾患となっているペニシリン耐性肺炎球菌感染症でございます。
 次お願いします。
 現状としまして、感染症発生動向調査におきましては届出数の減少を認めております。しかし、現状2にお示ししますように、肺炎は依然として高齢者の死亡原因の上位を占めておりまして、その中でも肺炎球菌は肺炎の原因菌の1位であるという状況でございます。
 次のスライドお願いします。
 こちらも、届出基準を国際基準に合わせてはどうかという趣旨の御提案でございます。右の微量液体希釈法でございますが、国際基準でありますCLSI、EUCASTが髄膜炎と髄膜炎以外でMICが異なっている状況であるのに対し、JANIS又は感染症発生動向調査におきましては、これが同じであるという状況でございます。
 次のスライドお願いします。
 事務局としてはこちらを提案させていただきたいと思います。アクションプラン目標2戦略2.1に基づきまして、CLSIやEUCAST等の国際基準と統一するため、PRSP感染症の届出基準を以下のとおりとしてはどうか。すなわち、無菌検体以外(喀痰等)から検出された場合、MIC8以上もしくは4以上に変更してはどうかという御提案をさせていただきたいと思います。8以上というものがCLSI、4以上がEUCASTに基づくものでございます。
 届出基準を変更した場合、全体として届出数は40~50%程度に減少することが予測されており、現場の皆様の御負担は増えないものと考えております。
 事務局からは以上でございます。
○大曲委員長 ありがとうございます。PRSPの届出基準に関してというところであります。趣旨としては、先ほどのMRSAのところと基本的にはロジックとして同じというところでありますが、こちらに対して、委員の先生方、御意見いかがでしょうか。挙手いただければと思います。
 菅井先生、お願いします。
○菅井委員 基本的に変えたほうがよいかと思いますけれども、その点について、もし皆さん御同意いただけるのであれば、先ほどお示しされたように、無菌検体以外について4か8かということがあると思うのですね。感染研の細菌第一部で髄膜炎のサーベイランスをしていますけれども、それで8とした場合、小児の場合で、非髄膜炎というのが0%になってしまって、成人の場合でも0.4%ということで、実質8にするとほぼ0ということになってしまいます。だから、そうすると、8とした場合には、基本的には多分無菌検体以外出てこなくて、無菌検体だけを見るような形になってしまうので、無菌検体以外も一応サーベイランスとして見ていこうというのであれば、8より4のほうがいいのかなというのが我々のほうでの検討で出た答えということです。
 以上、御参考までにお知らせいたします。
○大曲委員長 菅井先生、ありがとうございます。確かに8か4かというところに関して議論必要ですが、菅井先生から事実としてお示しいただいたとおりです。この点も含めまして先生方から御意見いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 山野先生、お願いします。
○山野委員 ありがとうございます。4か8かという点なのですけれども、8のほうはCLSIのほうで耐性という定義ですが、4もintermediateとCLSIで定義されています。したがって、感性という意味では2ということにCLSIもEUCASTもなっています。非感性という視点で見れば、4ということで、CLSIもEUCASTも同じレベルになってくるのかなと思いますので、菅井先生の御意見も踏まえて4とするということも良いのではないかと思いました。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。ほか、委員の先生方、いかがでしょうか。
 八木先生、お願いします。
○八木委員 日本の検査室は、基準としてはやはりCLSIの基準に沿うということが結構多いと思うのですけれども、先ほど山野先生が言われたような形で、非感性というか、そのようなものをnon-susceptibleなものを拾うのだという意味合いが分かっていれば、4でもいいかなというような気はいたします。ただ、日本はEUCASTとCLSI、どっちに従っているかとなると、検査室はどちらかというとCLSIのほうを向いていると思いますので、そういった意味で、CLSIは8だと示されると、それから、耐性の要するに肺炎球菌という形に、読み方にすると少し不正確なところあるかもしれないというか、基準を4にするとちょっと違和感があるかもしれないとは思うのですけれども、意味合いとしては4を基準にするということでもいいのではないかと、自分も菅井先生のお話を聞いて思いました。
○大曲委員長 ありがとうございます。そのほか、委員の先生方いかがでしょうか。
 よろしいですかね。それでは、PRSPに関しては基本的には、事務局からの提案に関しては、先生方としては御賛同いただけるということと、あとは、どこで切るかというところに関しては、4か8かの御議論いただきましたけれども、委員の先生方複数から4というところで御意見いただいたということで、委員会としてはそのような意見だったということにしていきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、早速先に進めてまいりたいと思います。議題1の3番ですね。CREの届出基準でありますが、こちらも事務局から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 カルバペネム耐性腸内細菌目細菌感染症、CREについて御説明を差し上げます。
 次のスライドお願いします。
 こちらも届出基準設定の変更についてのお諮りでございます。現在のところ、メロペネムの基準と、あるいはイミペネム、セフメタゾールを用いた、いわゆるイミペネム基準というものの2つが届出基準となっているという状況でございます。CRE感染症が五類感染症に指定された2014年当時に関してですが、国内に多いCPEの検出にはイミペネム基準よりもメロペネムが望ましいという知見は得られていたものの、薬剤感受性試験においてメロペネムを測定していない医療機関が多数あったと認識しております。その結果、イミペネムでの基準も併記する必要があったものと承知しております。
 次お願いします。
 しかし、やはりイミペネム基準のみを満たす症例に関しましては、こちらの表にもありますように、公衆衛生上最も問題となるカルバペネマーゼ遺伝子陽性株(CgPE)による感染症症例がほとんど含まれていない、多剤耐性株による感染症症例に関しても同様であるということが分かっております。
 他方、メロペネム基準を満たす症例に関しましては、CPEによる感染症症例、多剤耐性株による感染症症例、いずれも3分の2程度は拾うことができるというデータが出ております。
 次お願いいたします。
 このような状況を鑑みまして、事務局から以下提案させていただければと思います。
 すなわち、イミペネム及びセフメタゾール基準を削除しまして、メロペネム基準のみとしてはどうかということをお諮りさせていただきます。メロペネム基準のみとした場合、年間の届出患者数500~600例程度と推計しております。このうちCPEは300例、6割程度と推測されます。
 こうすることで、国内外で問題となっている真のCREというべきカルバペネマーゼを産生するCREの疫学及び臨床像を把握しやすくなるということが挙げられると思います。
 事務局からの御説明は以上でございます。
○大曲委員長 ありがとうございます。ということで、CREの届出基準に関して、確かに10年前の議論のときには、当時の時代性もありましたので、今のような基準になっているわけですが、状況が変わったということでの御提案でございますが、先生方、御意見いかがでしょうか。
 よろしいですかね。やはりCPEが拾えるというのは非常に重要ですし、10年前の議論も覚えていますけれども、やむを得ず、イミペネムとセフメタゾールの基準も加えたという議論だったと私も記憶しておりますので。
 中村先生、お願いします。
○中村参考人 すみません。オブザーバーで参加させてもらっている中村です。
 ちょっと気になるのは、今の現状の基準でそのままメロペネムのみにしていくのか、それとも、例えばメロペネムに関して、EUCASTなんかは低いMICでスクリーニングするようなことになって、どの機種も結構下のほうまで測れるようになってはきているのですけれども、現状のアップしたところで、取りあえず、今の現状のメロペネムの2以上というのをまずは届出としていこうという形なのでしょうかね。その辺は今回から外すだけになるのか、それともそういう、今後数値まで議論していくのかというのは、実際その辺はどうなのでしょうか。
○大曲委員長 ありがとうございます。確かにその点そうですよね。私も個人的にはちょっと気にしていたところであります。
 山野委員、お願いします。
○山野委員 ありがとうございます。この前の案件もCLSI基準を参考にしながら提案していただいているので、本件についてもCLSI基準についてみた場合についてコメントさせていただきます。、CLSIの場合はメロペネム耐性は4以上です。2はintermediateという形になってきます。CREはカルバペネム耐性という定義になるので、CLSI基準では4となります。ここも2なのか4なのかというところは少し考慮の余地はあるのかなと思いました。ただ、現状の日本のものでは真のCRE以外のものも引っかかってくるところがありますので、現状説明というのを含めてコメントさせていただきました。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。そのほか委員の先生方、いかがでしょうか。
 菅井先生、お願いします。
○菅井委員 今のお二人の先生の御発言に追加させていただきますと、最初に御発言になられた中村先生に関係することですけれども、我々が2019年、2020年で実施した日本全国でのナショナルサーベイランスで、カルバペネム低感受性ですね。メロペネムのMICが0.25以上ということで、根こそぎ集めてきた株で、実際に感染症法と照らし合わせて見たときに、メロペネムで基準であっても13%が引っかかってこないというのが現実としてあります。その点はだから今後も考えなくてはいけないことではあるのですけれども、同時に、そういった株と実際の病原性ですね。アウトカムとの関係というのはまだきちっと評価されていないところがありますので、取りあえず、私が考えるところでは、今回、イミペネム基準を外して、今後数値をどのようにしていくかということは、病原性との兼ね合いもあるし、それから、臨床検査技師の先生方のほうでのパネルの普及具合というか、実際にどの程度の方がそれが分かるのかということも勘案して、臨床微生物学会とかとよく相談しながら決めていくのがいいのではないかというのが私の意見です。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。そのほか、先生方いかがでしょうか。
 中村参考人、お願いします。
○中村参考人 すみません。先ほどの菅井先生のことにちょっとプラスなのですけれども、日本臨床衛生検査技師会で、全国1500施設ぐらい、毎年サーベイランスをやっていまして、その結果からいくと、メロペネムはもちろんほぼほぼ測定しているのですけれども、コンボパネルと言いまして、同定と感受性を同時に測るパネルでは、低いところのMICは測れないという現状にあります。そのパネルを使っているところがかなり多いので、本来であれば下のほうまで測定したほうがいいとは思うのですけれども、実際の臨床現場ではなかなかそこまではいけていないのかなと思うのですね。
 逆に、例えばこういったところでそういう低いところの示唆を出すと、現場も、サイレントといいますか、なかなか見つけにくいようなそういうものが広がる前にそういう耐性菌を捕まえられる方向に検査がいくかもしれないので、そこも含めて何か、今回はなかなか難しいかもしれないですけれども、次の改正みたいなときにそういったものもちょっと見据えながら改正していただくと多分現場は、国が求めているサーベイランスに合わせようというわけではないのですけれども、検査をもう少し変えていけるというきっかけになるかもしれないです。
○大曲委員長 館田委員、よろしくお願いします。
○館田委員 館田です。
 僕も今の中村先生の意見に賛成です。メロペネム単一に変えていくというその方向性とともに、今回、この結果だけ見せてもらっていますけれども、例えばCRE、CPE、あるいは野生株におけるメロペネムの感受性分布、そのようなものを知らせながら、それぞれの施設、それぞれの検査技師の人たちが、こういう理由で今回、メロペネム、2という形になっているのだけれども、でも、実は1でも0.5でも、ある意味危険な菌、可能性があるわけですよね。それがそのときは1かもしれない、0.5かもしれないけれども、曝露されることによって上がるリスクだって当然あるわけですから、そういう意味で、僕はその背景というものもしっかりと伝える。この変えるときに、伝えながら、一応2ということにするかもしれないけれども、しかし、1でも0.5でもそういうリスクがあるのですよということを学習していただくような、そういうチャンスにするのがいいのではないかなと思いました。
○大曲委員長 ありがとうございます。先生方、いかがでしょうか。
 よろしいですかね。
 ありがとうございます。まとめの件は後で、もう一つ、緑膿菌の件を済ませてからにしたいと思います。それでは続けて議論のほうを進めてまいります。次は、議題1-4ですね。薬剤耐性緑膿菌、MDRP、こちらの全数化に関する提案がありますので、説明をよろしくお願いいたします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 薬剤耐性緑膿菌感染症、MDRPの御説明を差し上げます。
 次のスライドお願いします。
 MDRP感染症は現在、定点把握となっております。上にお示ししますのが国内の発生動向調査の現状と課題というところでございます。定点報告数の推移でございますが、2017年から2020年においては減少し切っている状態で、増減傾向がないという状況でございました。こちらに関しては、MDRP感染症の発生数が減少したため、その発生動向が定点では把握できていないのではないかというお声をいただいているのが現状でございます。
 次お願いします。
 こうした状況を踏まえまして、事務局案として以下のように提案をさせていただきます。すなわち、国内の薬剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症の発生動向を正確かつ迅速に把握し、その伝播を極力防止することを目的として、基幹定点で把握していますMDRP感染症を全数把握疾患としてはどうかということを提案させていただきます。
 参考までに、薬剤耐性アシネトバクター感染症に関しましても同様の理由で、10年前になりますが、2014年に定点から全数把握疾患に変更されたという経緯がございます。
 メリットとしましては、いわゆるアウトブレイク事例を適切に探知しやすくなることで、外部からの支援が入りやすくなるというメリットがあるかと考えております。また、リスクコミュニケーションの観点から国民の関心が得やすい可能性、自治体の感染拡大防止への関心を高めることができる可能性についても挙げさせていただきたいと思います。
 次お願いします。
 本日は、五類感染症という枠組みの中で、定点から全数へというお諮りでございますが、それに並行して、今後、留意課題を以下のように挙げさせていただいております。
 まず、「薬剤」耐性緑膿菌という名称でございますが、届出基準としては多剤耐性の基準となっております。これを一剤のみ耐性の緑膿菌を誤報告されてしまう可能性があるものと思料しております。つきましては、こちらを「多剤」耐性緑膿菌と名称変更することも留意すべき課題かと思っております。
 また、届出基準と国内で広く使用されているCLSIの基準が一致していないという状況、また、多剤耐性の定義は国によって異なることから、海外との比較が困難である現状があるということ。また、AMR対策アクションプランにおいては、成果指標においてカルバペネム耐性緑膿菌を対象としておりまして、これの整合性についても議論があるかと思っております。
 こうした留意すべき課題はありますが、一先ず事務局としては、MDRP感染症の定点把握から全数化について提案をさせていただきながら、こうした課題についても今後議論をさせていただきたいと思っております。
 事務局からの説明は以上でございます。
○大曲委員長 ありがとうございます。MDRPの全数報告化という御提案でございますけれども、委員の先生方、御意見いかがでしょうか。
 高野委員、よろしくお願いします。
○高野委員 全数把握になると確かに作業が増えることではあるりますが、もともと薬剤耐性緑膿菌というのは数が少ないですし、感染症を起こしたときというのはやはり治療に難渋するものですから、現場としても、これは報告するべきなのではないかと思っている人は多いと思うので、全数把握について賛成です。
○大曲委員長 ありがとうございます。では、山野委員、お願いします。
○山野委員 ありがとうございます。私は、全数把握のほうにいってしっかりと多剤耐性緑膿菌をサーベイするというのは必要だというところは思ってはいるのですけれども、このMDRの定義のところがやはり若干気になっておりましたので、そこについて少しコメントさせていただきます。
 日本の場合は、特定の薬剤という形でカルバペネムとキノロンと、アミノグリコシドの3種で多剤耐性と定義されていますけれども、海外の事例を見ますと、ペニシリン、セファロスポリン、カルバペネム、キノロン、アミノグリコシド、この5つのクラスの中から少なくとも3つの薬剤耐性のものをMDRと定義している場合が多くて、このMDRの頻度というのを海外と日本で比較する上でもなかなかこの違いというのは分かりにくいかという部分が気になっておりました。
 ただ、先ほどの資料にもございましたように、MDRというのは国によっても定義が若干違う部分がありまして、ややこしくなっております。最近、DTR、difficult-to-treat  resistanceというものも結構よく使われるようになっておりまして、カルバペネム、セフェム、キノロン、この3種の薬剤を中心に定義していくのが実際臨床でも有用ではないかという議論が進んでいるように思います。実際に臨床の先生方にとってどういうタイプの体制が本当に重要なのかということと、それに併せてどのような形でサーベイしていくのがいいのかというところの議論が本当はされるのがいいのではないかと思いましたので、コメントさせていただきました。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。定義そのものをどういう意味合いからしていくのか、特に臨床の観点からというところですね。という御意見だったと理解いたしました。なるほどと思って、臨床側の人間ですので、伺っておりました。
○山野委員 あと、その定義によって出現頻度も変わってくると思うので、全数把握にするために適当な分離数なのかどうなのかというところにも影響するのではないかなと思っております。
○大曲委員長 ありがとうございます。北原委員、お願いします。
○北原委員 ありがとうございます。今、山野先生がおっしゃられたところで私もちょっと気になっているのは、カルバペネム耐性という中でどの薬剤で見るのかというところです。先ほどのと若干違いますけれども、臨床現場とすればやはりメロペネムが使用頻度も高いですので、そういったところを考えると、このカルバペネムという書き方でいいのか、その辺りも、出されるときには、この薬剤で調べるのだというのはある程度出してもらったほうが臨床現場として分かりやすいのかというのが1点あります。
 あと、もう一つは、多剤耐性という名称のところですけれども、今回、全例を出すというところにおいて、しっかりと認識してもらうという意味で、あと、Multidrug-resistantというのを考えれば、「多剤耐性」という日本語にしたほうが明確かなとは思っております。その点には賛成したいと思っております。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。ほか、先生方、御意見いかがでしょうか。
 白井先生、お願いします。
○白井委員 白井です。
 次の議題に行く前にと思って、今までのMRSAとかPRSPとかCRE、MDRPもそうですけれども、この定義や届出基準を改訂していただくということについて、現状に即して実態把握が適切になるのではないかなと思っておりますけれども、五類感染症として、定点であったり、全数であったり、保健所に届けられるということになると思いますので、この変更点の説明ということを、現場の負担が余りないのではないかとおっしゃっていただいたのですけれども、変更の意義であるとか、保健所の担当者も理解できるような形での説明の文書を出していただくとか、また説明会をいただくとありがたいと思っています。やはりいろいろ医療機関から問合せが検査室から直接あることもありますし、その場合どのように適用したらいいのかということも、今現在でも少し迷ったりすることもありますので、その都度、衛生研究所のほうに御意見をいただいたりして、届出を受けたりもしているのですけれども、その点、全国の保健所に向けてはそのような対応をしていただくとありがたいと思います。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。確かにこれだけ、特に感受性試験に基づく判定ということになるとかなり複雑なのが現実だと思いますので、関わられる方がよく分かるような説明ということは僕も必要だと思って伺っておりました。そのほか、委員の先生方いかがでしょうか。
 よろしいですかね。ありがとうございます。ということで、議題1に関しては、4種の微生物に関して届出基準、あるいは定義等の変更ということで御議論いただきました。基本的には、根本的な提案事項4つありましたけれども、それに関しては特段の御異論はないと理解しております。
 コメントするとすれば、CREのところに関して言いますと、MIC、要はどこで切るのかという議論がありましたけれども、先生方の御意見、僕が正しく理解していればなのですが、伺っていると、結局、イミペネムとセフメタゾールの基準を外して、メロペネムのみの基準にする、それは賛成であると。基準値をさらに下げるとなると、現実的に現場としてそれが測定できるような医療機器等が入っているかどうかという確認が必要であるし、現実には入っていないところも、使っていないところもそこそこあるのではなかろうかという御意見もありました。
 あと1点は、基準を例えば2なりにしたとしても、メロペネムが1とか、MICが1とか0.5でも、CPEという事例は実際あるわけでありまして、そこをやはり現場としては知っておく必要があり、その点のコミュニケーションは必要であるということが御意見であると僕としては理解いたしました。ですので、CREに関しては、イミペネムとセフメタゾールによる基準は、イミペネム一本にする。今のところは現行の基準で行う。ただし、御議論いただいたような課題はあるので、こちらに関しては、今後またデータ等も出てくると思いますので、検討する、あるいはコミュニケーションするといったところだと理解しました。という理解でよろしいですかね、先生方。
(首肯する委員あり)
○大曲委員長 ありがとうございます。あとは、薬剤耐性緑膿菌、MDRPに関しては。
 荒川先生、お願いします。
○荒川委員 荒川でございます。
 今までの皆さんの御意見、私も基本的には賛同します。それで、論議していかれる中で重要なことは、今回のサーベイランスはあくまでも特定の耐性菌による感染症患者の発生動向を長期にわたって把握していくということが目的ですので、しかも、できるだけ多くの医療機関に参加していただけるようにするためには、やはり基準は非常にシンプルにしていくということも大事かなと思うのですね。
 もう一方、臨床の現場の方々は、やはり治療するときに、どの抗菌薬を使って治療したほうがいいかとか、抗菌薬の選択の参考にするようなデータも恐らくすごく期待しておられると思いますが、その基準を設定するときに、あくまでもこれは患者さんの発生動向の把握をするためのサーベイランスという位置づけで、一貫性を持った、連続性のあるサーベイランスとしていかないと、CLSIが基準を変えたり、いろんな新しい薬ができたり、治療法が開発されたりとか、治療法がいろいろ変ると思いますけれども、それによってぶれるようなサーベイランスではやはり余りよくないと思うので、臨床的には抗菌薬の選択とか、治療方針を決定するためのデータのサーベイランスは別途、研究班とか、あるいは感染症学会とか、そちらでより詳しいサーベイランスを並行して進めていただくということが重要かと思うのですね。
 ですから、国のサーベイランスもあくまでも全国の全体の発生動向、特定の耐性菌による感染症患者さんの発生動向を長期にわたって見ていって、それが増えていくか減っているのか、そういうことを把握するためだと思うので、最初に申し上げましたように、できるだけ多くの医療機関が参加しやすいような分かりやすい報告基準とか判定基準にしていかれるのが重要かと個人的には思います。
 以上です。
○大曲委員長 荒川先生、ありがとうございます。四宮先生、よろしくお願いします。
○四宮委員 荒川先生のお話とも少し関連するのですが、今議論になっているのは、いわゆる患者サーベイランスで、患者発生数の動向調査だと思いますが、今回の資料のCREのところで、イミペネム基準ではCPEが全く検出されていないというデータのもとになった315株の病原体サーベイランスは地方衛生研究所でやっています。これは平成29年に厚労省から通知が出て、CREに関しては届出があると、地衛研に菌株を医療機関から搬入して、CPEの幾つかの遺伝子検査を行うということがされており、そのデータがあったので、イミペネム基準のCREではCPEは検出されていないということで、メロペネム基準に統一された思います。それで、薬剤耐性を示した菌を対象に、遺伝子検査で耐性遺伝子を同定する地衛研の詳細検査については、CREでは通知が出ているわけですが、今回、定点把握から全数把握に変わるほかの薬剤耐性菌で、病原体サーベイランス(遺伝子検査)を行う方向というのはあるのかどうかというのをお聞きしたいと思います。
○大曲委員長 ありがとうございます。この点は後で事務局から意見を伺いたいと思います。そのほか、先生方、御意見いかがでしょうか。
 よろしいですかね。
 では先に、多剤耐性緑膿菌の論点整理をさせていただくと、基本的には全数報告化は先生方賛成である。ただ、実際に今回の資料にも挙げてありますけれども、留意事項に関してはやはりかなり検討が必要である。そもそもの現在の基準から、例えば国際的には3薬剤といった定義もあったりするわけですし、あと名称というお話もありました。こちらに関しては、課題は課題として受け止めて、引き続き検討を続けていくということは、今日議論を伺っていても必要であると私も感じましたので、先生方の御意見としては、そのようであるということでまとめておきたいと思いますが、よろしいですかね。
(首肯する委員あり)
○大曲委員長 ありがとうございます。あとは、荒川先生の御指摘、本当にありがとうございました。今日の議論の中でも御指摘いただいたこと、やはり問題になったと思います。分かりやすくというのは非常に重要だと思いますし、そうしないと参加できないところも確かに出てくると思いますし、臨床的な意味合いというのは非常に我々も考えるところでありまして、届出基準という意味では、臨床的な意味合いをここは別の基準で持たせる必要があるのであれば、やはり別の学会等なりで対応していく必要があるだろうというのはなるほどと思って伺っておりました。
 あと1つ思ったのは、やはり欧米の動向というのは大変大事であるわけですが、動向調査の方針が、欧米が変わったから変わるというのだと結局動向調査のもともとの方針がぶれることにもなりかねないというのは確かにそのとおりだと思いまして、これはこうした調査を行う上でそもそも押さえておくべき点であると思って伺っておりました。
 あと、四宮先生から御質問もありましたけれども、これらの点に関して事務局から何か今御発言できる点、ありますでしょうか。
○亀谷感染症対策課課長補佐 事務局でございます。ありがとうございます。
 委員の皆様方におかれましては貴重なコメントをいただきまして、誠に感謝しております。発生動向をしっかり把握しておくことが目的ではございますが、やはり先生方からも御意見ありましたように、分かりやすい基準をしっかり設定しておくこと、また、現場が混乱しないようにきちんとコミュニケーションを取っていくこと、この重要性についていま一度認識をさせていただきます。
 MDRPを全数化することにつきまして、今おおむね御賛同いただいたものと承知をしております。四宮先生からも御意見をいただきましたけれども、全数化に伴って遺伝子検査を今後行っていくかどうかということにつきまして、CREのほかにも御指摘いただいた平成29年の通知におきましては、VRSAやVRE、MDRAといった、他の全数把握となっている感染症に関しても同様に記載されていると承知しております。MDRPが全数化になった後には、このMDRPもこうした病原体の中に含まれるということについても検討の余地はあるかと思いますので、引き続き検討していきたいと思っております。
 事務局からは以上でございます。
○大曲委員長 ありがとうございます。ということで、議題1に関してはこれまでとしたいと思います。
 それでは、議題2に移ってまいりたいと思います。議題2の資料2-1ですね。まずは非結核性抗酸菌のサーベイランス体制、こちらについて事務局から御説明をお願いします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 事務局でございます。
 薬剤耐性の非結核性抗酸菌症のサーベイランス体制の構築についての議論の頭出しをさせていただきたいと思います。
 次お願いいたします。
 サーベイランスの現状と課題でございますが、こちら、研究班ベースでございますけれども、肺NTM症の罹患率の推移を左にお示ししております。罹患率は上昇傾向を認めております。右にお示ししますのが国内のNTMの実態を把握するべく10年ぶりにAMED研究においてアンケート調査が行われておりまして、当課としても事務連絡を発出しているという状況でございます。
 しかし、NTMに関しては、病原体特異的なハードルがあるものと承知しております。抗酸菌のうち、病原体を有するものは30種類以上あるというところでございますが、医療機関では、全ての菌種を同定することは難しいという状況でございます。また、培養期間が、特に遅発育菌に関しては長いということ、また、無治療経過観察症例ですね。要するに感染症なのか保菌なのかというところの見分けが難しいというところ、またはマクロライド誘導耐性の確認のため、薬剤感受性試験に時間を要することなどが挙げられると思います。
 次のスライドお願いします。
 こうした状況を踏まえまして、肺NTM症の罹患率は増加しておりますが、全てのNTMを対象とするのは現実的ではないかもしれないと理解しており、菌種を絞ったサーベイランス体制の構築が今後必要となってくると考えております。
 事務局案としてこのように提案させていただきます。まずは、JANISでNTMの薬剤感受性情報の集計を行う方向で必要な議論を進めていってはどうかということを提案させていただきたいと思います。
 次お願いします。
 事務局案としては、JANIS上で年1回程度集計を行うべく必要な議論を進めていきたいと考えております。
 他案として、五類感染症の定点把握疾患に指定するというものが考えられます。こちらにつきましては、国民への理解を深めるという点におきましては重要かと思っておりますが、課題も、先ほど申し上げたように様々あるものと承知しております。全NTM症を対象とするのは困難を伴うという状況がありますので、まずは、どの菌種を集計するかということについて慎重に検討する必要があると思います。
 また、感染症であるのか保菌であるのかというところの判断が難しいという現状がございます。菌種同定につきましても、質量分析装置や遺伝子検査などが必要であるという状況でございます。また、定点把握疾患にするに当たって、定点医療機関の選定につきましても慎重な検討が必要と考えております。
 事務局として御説明は以上でございます。
○大曲委員長 ありがとうございます。最初に統計を示していただきましたけれども、アンケート調査で行われた数値を見ますと、どうも患者さん増えているようだというところであります。サーベイランスの体制を構築ということで御提案がされているわけですけれども、こちらに関して、委員の先生方、御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 館田先生、よろしくお願いします。
○館田委員 今説明いただいたように、NTM症で、特に肺NTM症の増加が、私たちの病院ですらたくさんたまってきて問題になっているわけで、それを国のサーベイランスとしてぜひしっかりと取り上げていってほしいなあと思います。
 そのときに、難しさが幾つかさっきありましたけれども、検査部なんかで見てみると、薬剤感受性の判定そのものがなかなか難しいですよね。トレーリング現象みたいな、糸引き現象というのですか、そういうのが、うちの検査部でも見ていますけれども、結構判断に悩むような株もあるというところがあるから、それはどこでどのように対応していくのかということと、もう一つは、これは臨床的にクラリスロマイシンのブレークポイントは8以下ですよね。だけど、実際には8からかなり分布は広い中で、本当に8で効くのか、4もどうなのか。本当に効くのは、僕はもうちょっとブレークポイントは低く設定しなければいけないなと思っていますけれども、そういったところも含めたような、臨床の先生方と一緒に考えられるようなデータになる、そういうサーベイランスになっていけばいいのではないかと思いました。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。そのほか、委員の先生方、いかがでしょうか。
 中村参考人、よろしくお願いします。
○中村参考人 また検査室の立場からお話しさせてもらいたいと思いますが、まず、(マイコバクテリウム)・アビウム/イントラセルラーレ(MAC)に関しては多くの施設で測定されている、もともとそもそも外注検査に出されているところが多いので、JANISで報告されている施設の中にどれぐらいの割合、実際本当にやっているところがあるのかなというのは少し気にはなります。アビウム・イントラセルラーレに関しては、試薬上問題ないのですけれども、それ以外の(マイコバクテリウム)アブセッサスとか、迅速発育菌と言われるもののNTMの薬剤感受性は、まだ今、正確に測定されているところが結構ないかと思うので、何か菌種を絞ってやるといったほうがまだ正確なデータをまず集められるのかなとは思ったりしますし、JANISでやることでいろんなものが見えてくるかもしれないですけれども、その辺が、例えばアブセッサスに関しても、MACのほうの薬剤感受性を実際にやって報告しているようなところもまだまだあって、要は、例えば迅速発育菌に使うような抗菌薬の結果を返せていないとか、そういうのもまだ実際に現場ではあると思うので、その辺も報告薬剤を見ることで現状把握できるかと思いますが、感染症として症例を集めるのは恐らくある程度できると思うのですけれども、薬剤感受性のデータに関しては、ちょっとそういったところも背景があって集計されるということを頭に入れながら数値を見たほうがいいような気がします。
○大曲委員長 ありがとうございます。荒川先生、よろしくお願いします。
○荒川委員 今、中村先生のおっしゃることも非常に重要だと思いますけれども、この肺NTM症、肺MAC症、こういうものは薬剤感受性試験がなくても、それによる肺感染症という事例であれば報告してもらうような少しシンプルな形にしていってもいいのではないかなと思いますね。一々薬剤感受性試験データをつけなければいけないとなると、おそらく多くの病院でハードルが高くなりますから、MACとかそういうのは耐性が多いということは分かるので、まず患者さんの発生数の実態がどうなっているのか、国として把握していく。より詳しい薬剤に対する感受性は、今日は参加しておりませんけれども、以前は、調査は結核研究所でやっていましたよね。ですから、結核研究所とか、感染研とか、そういうところに菌株を集めて、厚労省の事業ベースか、あるいは研究班ベースできちっと押さえていって正確なデータを集計していくというような、ここもサーベイランス事業と研究、あるいは国の事業と学会などの事業との切り分けとか連携も考えて進めていったほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。それでは、矢原参考人、よろしくお願いします。
○矢原参考人 JANIS事務局の立場から発言させていただきます。JANIS事務局として一番気になるのは、データをどのような方式で収集していくのかです。考え方としては2つあると思います。1つは、各JANIS参加病院から年1回データを収集する。その場合、病院の一般検査と抗酸菌の検査は基本的に別になっていますので、そして既存のJANISのシステム、一般細菌検査のデータを吸い上げる仕組みになっていますので、抗酸菌検査に関しては恐らくほとんどの病院が手入力していて、それが電子カルテに入っている。その手入力ベースで電子カルテに入ったデータを何らかの方法でJANISフォーマットに変換して、年1回JANISに報告していただくというような仕組みをつくる必要があるというのが一つの可能性です。その場合は、各病院の電子カルテからJANISフォーマットに変換する仕組みを各病院に実装していただく必要があります。それが果たして可能なのかどうかというのはよく考えなければいけない問題だと思います。
 もう一つの可能性は、抗酸菌検査が外注されていることが多いので、外注先の大手検査センターから厚労省と協定など結んでいただいて、年1回、全国データをJANISの事務局に提供していただく。その中に医療機関コードが入っていて、どのJANIS参加医療機関のどの抗酸菌外注データがどのようにそのファイルの中に入っているのかというのが分かる形で提供していただく。もしそれが可能であれば、事務局のほうでそのデータを処理して、医療機関ごとに分けて、各医療機関のデータとしてJANISデータ別にインポートしていくことは可能です。そのどちらの考え方で今後進めていくのかを議論していく必要があると思います。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。阿戸参考人、よろしくお願いします。
○阿戸参考人 いろいろと御意見をいただいておりますけれども、我々、こういったサーベイランス、それから薬剤耐性、あるいはゲノムの解析をずっと研究班ベースで行っておりまして、なかなか難しい、たくさんの困難な事象というのを把握しているところです。ちょうど2024年にアンケートベースのサーベイランスを行っておりますが、検査所ベースのデータを考えますと、恐らく罹患率は10万人当たり20を超えていると我々は考えているということです。
 それから、先ほど矢原先生からどういった方式でということがありましたが、我々も、精度管理の、正しいスタンダードな基準というものがはっきりしない、非結核性抗酸菌症の例えば菌種同定において内部精度管理を含めて行っているのは検査所・企業であると把握しておりまして、病院ベースは行っているところがあっても、実際に精度管理まで行っていると考えられるところはかなり少ないのではないかと考えておりまして、そういうところからも、事務局案として提出させていただいたような検査所からのデータというものを自動的に、先ほど矢原先生がおっしゃったような形で取り込むというのが現状では望ましいのではないかということを今のところ考えて提案した次第でございます。
 その際に、検査所といっても複数ありますので、できれば検査所協会等々を介してこういったサーベイランスに協力する、あるいはシステムの構築や精度管理というようなところも含めて、業界をできるだけすくい上げるような形にできればなと思っております。
 それからもう一点、薬剤耐性、あるいは薬剤感受性試験を含めるのはなかなか大変ではないかということもあるのですけれども、実際問題、我々のこの研究班の成果では、マクロライド耐性NTM症というのは薬剤耐性結核とほぼ同じぐらい予後が不良であり治療が困難であるということも、あるいは治療期間の延長ということもありますので、特にマクロライドというNTM症に関するキードラッグに対する薬剤耐性動向というのはできるだけ、JANISでの報告の形で、把握していきたいというのが研究班の考え方であります。
 それに当たっては、JANISの菌株リストがかなり古いものになって、多分、設定当時の分離頻度から挙げたのかもしれないのですけれども、そのリストに関しては、例えばMycobacterium scrofulaceumという菌が入っています。これは一時非常に検出が多かったのですけれども、水道水の塩素濃度をかなり上げるというような行政の変更があったときに、それぞれの先進国で一斉に下がったということがありまして、どうもコンタミネーションが関与しているのではないかということで、この菌は基本的にはもう除外してもいいというような例もありますので、このリストに関しては、また研究者、あるいはJANIS事務局等々と詰めて提案させていただきたいと思っている次第です。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。白井委員、よろしくお願いします。
○白井委員 白井です。
 NTMについては、そもそものサーベイランスではないと思うのですけれども、呼吸器学会とか抗酸菌学会の状況を、私、把握しているわけではございませんけれども、保健所の現場で考えると、結核の届出のときに鑑別診断でNTMということがあって、必要に応じては、鑑別診断がつくまでの間、結核としての届出をいただいて、あとは転症をしていただくという形になっているのですが、そのときに、事務局から他案で出された、五類にするといった場合に、それをまた丁寧にするかどうか分かりませんけれども、では五類に届けてください、薬剤耐性かどうか分かりませんけれどもという形になるのは何かシステムとしては難しいなと思いましたので、今、JANISのやり方でという御提案があった方向になるのではないかとは思うのですけれども、JANIS自体についても、参加している医療機関がどれだけ多いのかなということもありますし、これは原始的な質問というか感覚で申し訳ないのですが、結核にしても、NTMにしても、症状がそうかなと思っても、痰の検査をなかなか現場の医療機関の方がしていただけないということがあって、検体がうまく集まればいいかと思うのですけれども、本当に「痰の検査を症状があったらやってください」ということを医療機関の先生方にお願いしようかなと思っているのが保健所の現状ですので、サーベイランスがうまくいくにはやはりそこから始めないといけないかなと思いましたので、以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。では島田委員、よろしくお願いします。
○島田委員 ありがとうございます。私も、肺NTM症に詳しいわけではないので非常に恐縮なのですが、まず、JANISで把握するという方針には賛成ですが、私の不勉強だけなのかもしれませんけれども、現状、例えば臨床上の問題が何なのか、もしくは公衆衛生上の問題が何なのかというのが分からないところがあります。
 あと、事務局のほうの資料にもありましたけれども、対象疾患の設定、あと検査方法、対象とする菌の設定などもまだまだ難しいところがあるということでした。なので、JANISで集め始めるというのも非常に大事と思うのですが、研究班などで感染症法上の発生動向調査を一度始めてしまうとまずやめられないので、臨床的もしくは公衆衛生的な疾病負荷を明らかにした上で、発生動向調査にするのか、事業としてするのか、それとも研究ベースでしばらく見るのかというのは決めてもいいのではないかなと思いました。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。では坂本委員、よろしくお願いします。
○坂本委員 ありがとうございます。私もNTM感染症自体に詳しいわけではないのですが、サーベイランスを開始するとなった場合に、データを提出する、病院の立場でというところで意見を述べさせていただきます。
 このNTMの、特に肺の感染症が増加しているということの問題点に関しては、呼吸器内科の先生方をはじめ、ここ数年指摘されていることを耳にしております。恐らくこのサーベイランスを開始する理由の一つが、疾病負荷が増大していることをどうやって把握していくかというところがまずあったと思うのですけれども、それを明らかにしようとなりますと、検出されたNTMを臨床症状とひもづけて、実際に感染症を起こしている人がどのぐらい出ているのかというのは明らかにしなければならない。一方で、それは少し難しい部分がある。ではJANISでということになると、保菌と感染症の区別が困難であって、検出されている数自体は分かるけれども、疾病負荷とは必ずしもイコールではないと理解しております。その理解が正しいのであれば、そもそもこのサーベイランスを始めようとしている目的、何を明らかにしようとしているのかというところを明確にした上で、JANISで始めるにしても、仮に疾病負荷を明らかにしようとしているのであれば、それをどのように今後やっていくのかというところの検討がやはり必要ではないかなと思います。
 ちょっと分かりにくいことを言っているかもしれないのですけれども、要は、疾病負荷を明らかにしたいということであれば、患者さんの臨床的なデータといかにひもづけていくかというところの検討が将来的には必要だということの理解が正しいのであれば、それを今後継続的に検討していかなければならないのではないかと思いました。少し的外れであれば申し訳ありません。
○大曲委員長 ありがとうございます。では、高野委員、よろしくお願いします。
○高野委員 もし感染症法として届け出るということであれば、NTM全般というのはやはり難しいなと、現場にいる者としては思います。呼吸器以外の皮膚軟部組織感染症でしたら、比較的診断がわかりやすいというか、治療も必ずするので、届出しやすいのかと思いますまた、マイコバクテリウム・アブセッサスなど特定の菌種で医療機器に関連したデバイス感染など起こすことがまれにありますので、そういうところは把握もあるかと思いました。ただ、そうすると、肺NTMというところに今着目されているので、そことちょっと視点が違ってきてしまうのは気になるところです。
 もう一つ、例えば結核だったら、発生届を出すと保健所がフォローしてくださるので、発生届を出す意義が大きいと思います。外来治療で患者さんが抗結核薬を必ず内服するというところを保健所とともに見ていくことが医療機関としても安心できるところです。もしこの肺NTMを発生届として保健所に報告すると、結核と同様にフォローしてもらえるのだろうかと思うわけです。NTM症のほとんどの人が外来治療で、かつ複数の抗菌薬を結核よりも長い期間、年単位にわたって治療されるわけです。薬剤耐性菌対策のためには患者さんに必ず受けた処方を内服していただきたいわけですが、そのフォローを、医療機関だけではなくて、保健所もともにしていくのかなという期待があります。そういう体制も含めて検討が必要なのが感染症法に基づく発生届の提出なのかなと思いました。
○大曲委員長 ありがとうございます。そのほか御意見いかがでしょうか。
 阿戸参考人、よろしくお願いします。
○阿戸参考人 発言させていただきます。今、肺NTM症がサーベイランスは研究班で行っておりますけれども、実際にはここでは出てこないような例えば院内感染事例、しかもアウトブレイクと言っていいような事例もかなり把握されている。ただし、表には大きくは出ていないというようなこともありますし、先ほどほかの委員の先生方が言われたような肺外の、あるいは皮膚感染、あるいは軟部組織の感染症、または播種性のNTM症というような、なかなか難しい疾患もあります。
 こういったものもそれぞれどれを、感染症法で扱うというのか定義を将来的な議題にしなければいけないわけですけれども、このJANISで、さらに検査会社からのデータを中心に集めるということになりますと、検体採取元情報で、デバイスであるとか、膿瘍であるとか、喀痰であるとかいうような情報も同時に得ることができますので、まずはこのところから状況を把握して、一体どれぐらいの問題があるのかということも、同時に一番情報を獲得できるのではないかと思っております。
 なお、肺NTM症の症例情報の蓄積については、肺NTM症診断が困難であったり、あるいは治療を開始するのか開始しないのかという判断等もなかなか難しいというのもありまして、研究班で呼吸器専門病院を中心に、レジストリで今1000例以上の症例が登録されてそれを追いかけているというところもありますので、こういったデータが出てくれば、さらに疾病負荷なり、あるいは治療対象の的確性なりという状況も分かってくるのではないかと思っております。
 追加で発言いたしました。以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。そのほか御意見いかがでしょうか。
 よろしいですかね。
 ありがとうございます。議題2がもう一つ、題目がありますので、まずそちらを先に御議論をお願いしたいと思います。議題2の資料2-2ですね。こちらは薬剤耐性ピロリ菌のサーベイランス体制の構築というところであります。それでは、まず事務局から御説明をお願いします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 事務局から薬剤耐性ピロリ菌の御説明を差し上げます。
 次のスライドをお願いします。
 こちらも必要なサーベイランス体制の構築に向けての頭出しの議論をさせていただきたいという趣旨でございます。本邦では、ピロリ菌のクラリスロマイシン耐性率が一次除菌治療の成功の鍵となっているものですが、この耐性率につきましては、日本ヘリコバクター学会が2002年から数年ごとにこの感受性のサーベイランスを実施していただいておりますが、2002年から2005年に比べて、最後に行われました2018年、2020年の調査について右下にお示ししていますけれども、増加傾向であるという状況で、現在、クラリスロマイシン耐性率は30~40%まで上がってきているということが判明しております。
 次お願いします。
 こうした状況がありまして、国内の状況を正確に把握できるサーベイランス体制の構築の必要性についても今日議論をいただければと思っております。ピロリ菌の薬剤耐性サーベイランスを国として実施する体制を今後つくっていくとして、以下、事務局としては提案をさせていただきたいと思います。
 事務局案としては、こちらもJANISでピロリ菌の薬剤感受性情報を集計するという方向で、必要性含めて議論を進めていくということを検討しております。
 他案として、ピロリ菌感染症を五類(定点)の対象疾患とするということをここに記載しております。
 ピロリ菌に関しましては、まず、日常的にどのくらいの医療機関が継続的にこうした培養検査であるとか薬剤感受性検査を行っているかというのは不透明なところがありまして、数としても限られているものと認識しておりますが、こうした状況で継続的にデータを収集する体制が必要であるというハードルがまず挙げられると考えております。また、培養検査、薬剤感受性試験が実施されているのは、一次除菌に失敗した患者さんが多い可能性が考えられます。こうしたバイアスがかかっている状況でございますので、患者の除菌治療歴の情報も併せて収集するというハードルがあるかと考えております。また、微生物学的検査に関しても標準化がまだされていないと理解している状況です。
 次のスライドお願いします。
 事務局案としては、JANIS上でピロリ菌の薬剤感受性の集計を行うべく必要な議論について進めていければと思っております。
 他案として、五類感染症を以下に記載させていただいております。こちら、ピロリ菌感染症に対する様々な対策について、国民の皆様、医療従事者の方への普及啓発となるというメリットがあるかと思います。また、届出様式の変更で除菌治療歴の情報を収集できるというメリットもあるかと思っております。
 ただし、この動向把握のために、標本に代表性があるように、定点病院を慎重に選出する必要があり、医療現場と自治体に届出や集計の負担が大きく生じる可能性もあると考えております。また、ピロリ菌感染症を届出対象とする場合に、薬剤耐性の情報がどこまで付帯してくるか不透明な部分があるかと思います。
 共通の課題につきましては先ほど述べさせていただいたとおりですので、記載のとおりとさせていただきたいと思います。
 事務局として説明は以上でございます。
○大曲委員長 ありがとうございます。薬剤耐性のピロリ菌感染症サーベイランスをしていくということの必要性も含めた議論の頭出しということでございましたが、先生方、御意見いかがでしょうか。
 浅井先生、よろしくお願いします。
○浅井委員 私は医療関係者ではないので、お話を聞いていてちょっと感じたことをお話しさせていただきます。やはり五類感染症とかいうのは皆さんハードルが高いのではないかと。それで、現時点では実態把握ということを中心に努めていくという事務局案の考え方が、私も妥当なのかと思って聞いていました。
 それで、その間に幾つかお話出ていましたけれども、検査法であったり、感受性試験法だったり、そういうものも整備していって、ある程度統一されたもので実施していけるような体制づくりも併せてするというのが現時点では現実的な話かなと思って聞きました。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。そのほか委員の先生方から御意見いかがでしょうか。
 八木先生、お願いします。
○八木委員 名古屋大学の八木です。
 ピロリ菌の薬剤感受性の検査の結果をサーベイランスしていくということになると、その前段階としてピロリ菌の培養がされていなければいけないということになって、実際、胃十二指腸潰瘍とか様々なそういう胃腸疾患の方で、これはピロリ菌が関与しているであろうということでそういう除菌の治療がなされているときに、基本的に培養検査が全ての人にやられているわけではないと思いますし、ましてや薬剤感受性検査がルーチンでやられているとはやはり思わないのですね。ですので、先ほどのスライドにもあったように、かなりバイアスのかかったサーベイランスにそもそもなってしまう。
 要するに、ピロリ菌全体の母集団、人の胃腸の中にいるピロリ菌の母集団の薬剤感受性というものは全く分からないまま、何か定点のところでしっかりやられているところだけで、検査されたものだけをピックアップしてサーベイランスしていくという形に現時点ではならざるを得ないのではないかなという気がしますので、やはり様々な状況、検査がどのようにされているかということも含めて、国のサーベイランスとしてやっていくということであれば、どのような形でやるのが一番いいのかということも含めてまだまだ議論が必要なのではないかなという気が私はします。
○大曲委員長 ありがとうございます。白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。
 私も、ちょっと他案でいただいている五類感染症にするということについては現実的ではないのではないかなと思っていますし、このピロリ菌の薬剤感受性を知るのは耐性率が上がっているのではないかということなのですけれども、そもそも除菌が難しいのが困るということだと思うのですが、それは胃がんであったり十二指腸潰瘍であったり、いろいろな消化器の疾患の予防ということになると思うのですね。ピロリ菌対策ということが。だから、そういうピロリ菌の薬剤感受性サーベイランスを何のためにするかということをちょっと共有しないと、保健所は、こういう形でのサーベイランスについては今回余り関わる必要はないのではないかなとも思ったりします。ですから、ちょっとがん対策としての考え方であるとか、そういうことも検討していただく必要があるのではないかなとは思いました。
 また、ピロリ菌の感染というのはかなり環境要因も関係していると思いますし、食品の保存の状態から考えると、大分以前よりはというか、昭和の時代とかそういうことから見ると、国民のピロリ菌保菌率というのも下がってきているのではないかなと、その点も、はっきり分かりませんけれども、あるのではないかなと思いますので、そういった観点でも御検討いただければと思います。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。それでは、笹本委員、よろしくお願いします。
○笹本委員 日本医師会の笹本でございます。
 今回、急性感染症の定点の変更が今予定されていますので、今回このAMRに関しても、定点の先生方に詳しく情報提供していただきまして、できるだけ負担が増えないように、皆さんのほうから情報提供の必要性をお願いするとともに、御理解いただけるようにぜひともお願いしたいと思います。
 事務局の案に関しましては原則として賛成でございます。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。それでは島田委員、よろしくお願いします。
○島田委員 ありがとうございます。ピロリ菌は衛生状態がよくなれば、プリバランスも低くなると言われていて、実際、10代ではもう5%未満だったと思います。一方、60代以上では50%ぐらいだったかな。今後多分減っていくのだろうなあと、上下水道、もしくは非常に食品衛生などがきちんとしているような日本では恐らく減っていくのだろうなという中で、培養とか薬剤感受性などもそもそもされていないよねというようなものを果たしてサーベイランスの対象とすべきか、ちょっと私は疑問を感じるところではあります。
ピロリ菌の検査って、多分一番は検診の際の胃の内視鏡の検査などで、慢性胃炎っぽいねというときに、バイオプシーしてとか、もしくは呼気で検査されたりすると思うのですけれども、検査の機会は何でもいいのですけれども、その検査数を母数として、例えば一次除菌に失敗したものを分子として、それをどこかでプロキシとして見ていくというのでも全然ありなのかと思いました。JANISを使ってするまでもあるかなと、いうのが率直な意見です。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。では松本委員、よろしくお願いします。
○松本委員 ありがとうございます。私からは2点ございまして、1点につきましては、今回のピロリ菌につきましては、一次除菌後に陰性とならない場合もありますので、再検査をする必要があるのだというような、住民向け、感染された方向けのPRなども重要と思っております。
 全体的にJANISを使った集計ということにつきましてはよいかと思うのですけれども、そうなった場合に、住民の側に、今これ(薬剤耐性ピロリ菌や非結核性抗酸菌の問題)が重要であって、国として調べているのだということがなかなか分かりにくいという側面があるかと思います。今こういった問題が大きくなっているのだということにつきましては、何らかの還元なり、住民に対するリスクコミュニケーションを図っていただきたいと思いました。
 以上でございます。
○大曲委員長 ありがとうございます。そのほか御意見よろしいでしょうか。
 島田さん、もう一回ですかね。
○島田委員 すみません。言い忘れました。
 何となく、サーベイランスというよりも、これは検診なりピロリ菌を検査した側のクリニカルなマネジメントの中で、ちゃんと感受性やってくださいねとか、あと、こういう抗菌薬を使ってください、失敗したときはこういう抗菌薬のチョイスがありますよというような、そんなのでよくないかと、すみません、無知だからかもしれませんが、思ったところです。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。そのほか、先生方、御意見いかがでしょうか。
 よろしいですかね。
 ありがとうございます。議題に2点ありました。サーベイランス体制構築に関して、その方法、必要性も含めた議論の頭出しということで、多く御意見いただきましてありがとうございます。やはり共通したところとしては、目的・意義などというところは非常に私も重要だと思いましたし、技術的にハードルがかなりたくさんあるなということも非常によく分かりました。
 あとは、微生物として話が出てくるわけですが、ターゲットというのは動機はどうなのだという話もありました。確かにNTM症は医療関連感染としても非常に問題になっていますし、肺以外のところはどうなのだというところも確かに課題となってくるかと思います。今日本当に多くの非常に貴重な御意見をいただきましたので、こちらの事務局のほうで受け止めていただいて、引き続き御検討いただければと思っております。
 この時点で事務局から何か御発言ございますでしょうか。
○亀谷感染症対策課課長補佐 この2点に関しまして、委員の先生方から貴重なコメントをいただきましてありがとうございます。NTM症に関しては、確かに臨床現場では結核と並び疾病負荷が非常に大きい疾患であるとは思いますけれども、その疾病負荷が何なのかというところがまだ伝わり切っていないところがあるかもしれませんし、それもまだ分かっていないところもあると思います。なので、まず、その疾患そのものの集め方をどうするかというところも含めて、今、研究班ベースでやっていただいておりますけれども、こちらについても必要な支援を行っていきたいと考えております。
 感受性のことにつきましても、JANISで集めていくということについて今後議論していきたいと事務局案としては出させていただいていますが、矢原先生などから御指摘もいただきましたように、システムのところも含めまして様々議論があるところと思います。こちらにつきましても引き続き必要な議論をしていきつつ、リスクコミュニケーションというところも含めてしっかりやっていきたいと思っております。
 ピロリ菌に関しましては、JANISも含めてですが、まずサーベイランスの必要性というところで委員の先生方から様々御意見をいただいたところでして、まず五類に関してはハードルが高いというところで委員の先生方の意見が一致しているものと認識いたしておりまして、JANISに関してもそもそもサーベイランスをするべきかどうかというところから検討すべきと、おおむね先生方の御意見は一致しているものと理解しました。
 他方で、そもそもピロリ菌のところのリスクコミュニケーションといいますか、PRのところですね。サーベイランスに並行するといいますか、なぜピロリ菌が重要なのかというところも含めて、広報活動などになると思いますが、こうしたところも必要なことを行っていきたいと思っております。
 引き続き、この2点に関しまして先生方からまた御指導いただければと思っておりますので、よろしくお願いします。
 事務局から以上でございます。
○大曲委員長 ありがとうございました。今の御説明、先生方、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、議論続けてまいります。議題の3について、まずは事務局から御説明をよろしくお願いします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 事務局からでございます。こちら、最後のスライドとなりますので、引き続きお付き合いいただければと思います。
 抗微生物薬適正使用の手引きの改訂について、説明をさせていただければと思います。
 次のスライドお願いします。
 現在、第3版まで出ておりますけれども、昨年の11月に改訂がなされたところでございますが、第4版の改訂について頭出しをさせていただければと思っております。
 まずこちら、歯科領域でございますが、抗菌薬適正使用における現状と課題ということでスライドを作成しております。抗菌薬の使用量に関しましては、医科の10分の1に当たる量が歯科領域で使われているものでありますが、その中で内服抗菌薬が占める割合が、医科が90%以上であるのに対し、歯科領域では99%が内服抗菌薬であるという状況でありまして、棒グラフの右側、水色のところでございますが、こちらがペニシリン以外のβラクタム系抗菌薬になります。割合としては減ってきているものの、まだまだペニシリン以外のβラクタム系抗菌薬が半数以上を占めている状況で、その中でも第三世代セファロスポリンが大部分を占めている状況であると認識しております。
 この使用量調査からは現行のガイドラインに準じた処方に必ずしもなっていない状況があるものと推測されます。こうしたことから、国から適正使用の情報を発信することが必要であると考えております。
 次のスライドお願いします。
 まず、こうした状況もありまして、歯科領域編の創設を提案させていただきたいと思います。ほかには、入院編のところ、特にCREなどだと思いますが、エビデンスの蓄積が早くもなされてきたところもありますので、こちらの改訂についても検討させていただきたいと思います。
 また、3版改訂で入院編が追加されましたけれども、こちらのボリュームが少し大きいというお声もいただいているところでして、4版につきましては、特に本体のところだと思いますが、こちらのボリューム調整のところも含めてユーザーフレンドリーなものをつくっていくということに関しても、先生方から御意見をいただきながら、今後必要な改訂をしていきたいと事務局としては考えております。
 今後は、AMR小委員会の抗微生物薬適正使用、AMSに関する作業部会で実際の作業については進めさせていただくものと承知しておりますが、こちらについてはまた追って御連絡させていただきますけれども、本日は頭出しという形で、何を改訂すべきかというところも含めて御意見を頂戴したく思っております。
 事務局からは以上でございます。
○大曲委員長 ありがとうございます。ということで、手引きでありますけれども、改訂ということで御提案がございました。蓄積したエビデンス、特に病院の院内での感染症のほうに反映するということと、歯科領域についての追加ということで御提案いただいておりますが、先生方、御意見いかがでしょうか。
 川名先生、お願いします。
○川名委員 日本薬剤師会の川名です。
 従来、医科に比べて歯科診療所というのは院外処方箋の発行割合も低く、薬局との関わりも強いとは言えないものでしたが、昨今の経口抗菌薬の不足の影響で、院外処方が発行される状況も増えつつあります。そうしますと、薬局では入手可能な抗菌薬の中から使える抗菌薬を探して御提案するということになりますが、その際にはもう一つハードルがあって、歯科適用があるかということを考えなければなりません。手引きに歯科領域の抗菌薬の適正使用の考え方が追加されれば、歯科医の先生方の処方意図に沿い、かつ、適正な抗菌薬の御提案が薬局からもより速やかにできるようになると思います。歯科領域への追加については、薬剤師としても賛成です。ぜひお願いしたいと思います。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。委員の先生方いかがでしょうか。
 館田先生、お願いします。
○館田委員 ありがとうございます。歯科領域が、現状はですよ、僕、余り知りませんでしたけれども、かなり医科領域との違いが、こんなに大きいということにびっくりしました。ということは、かなり多くの人が知らないですよね。特に学会なんかでもかなりシンポジウムとか組んでやっているわけですけれども、しかし、こんなに違うということを見て、これはやはり適正使用に関してさらに出していかないといけないなあと思います。この図を見るだけでも非常に大きいですから、一つのきっかけとして活動していかなければいけないと思いました。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。それでは、北原委員、よろしくお願いします。
○北原委員 ありがとうございます。歯科のほうは、今、館田先生もおっしゃられたみたいに、これは非常に重要だと思いますので、10%というのは全体としては医科に比べれば少ないわけですけれども、ここはしっかりと取り組んでいくというところは非常に賛成できる点だと思いました。
 あと、この手引きを今後どうしていくかというところで、少し厚労省に対してのお尋ね的なものもあるのですが、診療科として、医科の中でも適正化という面で今いろんな調査が行われていて、適正化が進んでいるところと、進みがちょっと遅いところがあると思うのですが、そこまで踏み込むのか、それとも手引きとしては出さずに、個別に、それこそ大曲先生のところのAMRCRCとかで活動していくのか、具体的には耳鼻科領域であるとかそういったところまで、少し進みが遅いとなれば、手引きとしても領域別に盛り込んでいくのか、その辺少しビジョン的なものがあれば教えていただければと思っています。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。その点は、一通り委員の先生方から御意見を伺ってから事務局にお尋ねしたいと思います。ほかの委員の先生方、いかがでしょうか。
 白井委員、よろしくお願いします。
○白井委員 白井です。
 歯科の領域についてもこのような手引きの改訂に入れていただくというのはすごくいいなと思うのですが、やはり国民の受療率の、医科を除いてということではなく、医科も含めてですが、受療率が高いのが歯科だと思うのですね。ということでは、歯科に国民の多くが罹っていることを考えると、その薬の影響というのはすごく大きいと思いますし、かなり使用範囲というのが限られてはくると思いますが、その中で適切なものを使用するということを推奨していただくような形にお願いしたいと思います。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。それでは、荒川委員、よろしくお願いします。
○荒川委員 歯科領域についてはよく分からないのですけれども、第三世代セファロスポリンがかなりの量使われているということですけれども、実際、歯科領域でこの第三世代をたくさん使うことが耐性菌の出現に対してどのぐらいバーデンになっているか、あるいは選択圧になっているのかというようなデータを私は余り見たことないのですけれども、実際、歯科治療のときに薬剤感受性試験をやったりするということはほとんどないような気がするのです。ですから、その辺のデータを何か研究班として集めて、検討していくのも重要かと思います。
 あと、実際、歯科領域での感染症が、レンサ球菌とか、あと嫌気性菌とか、そういうものが多いと思うのですけれども、第三世代セファロスポリンを使いますと、歯科領域の感染症を起こす菌ではなくて、腸内にいるグラム陰性菌ですね、大腸菌とかそういう菌が耐性化して、確かに医科の治療をする場合に影響を及ぼすということは十分想定されるので、その辺の評価を併せてやりながら進めていかれるのがいいかなという気がします。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。それでは関谷委員、お願いします。
○関谷委員 ありがとうございます。農林水産省動物医薬品検査所の関谷です。
 今まで余り歯科の分野については議論がされていなかったような印象を受けております。私の勉強不足かもしれないのですけれども、例えばこれまでの抗菌薬の使用サーベイランスとかに歯科における使用というのは含まれて調査がされていたのでしょうか。例えばJSACとかの枠組みでサーベイランスをされていると思いますけれども、その中に歯科領域というのは今までどのような形で入っていたのか、これは事務局の方かもしれないですけれども、教えていただければと思います。
○大曲委員長 ありがとうございます。では、質問事項として最後に事務局にお願いしたいと思います。そのほか、委員の先生方、いかがでしょうか。
 島田先生、よろしくお願いします。
○島田委員 すみません。基本的なアイデアというか、歯科にも適正使用をというアイデアは基本的に賛成です。一方で、先ほど薬剤師会の川名先生からもありましたが、院外処方も少なくて、院内で処方される人が多い中で、その卸から変えなければいけないというのは非常にハードルが高いのだろうなあと思います。
 なので、例えばそれをアドバイスする人、適正使用したいのだけどもどうすればいいという相談先、今後作業部会で議論されるとは思うのですけれども、治療に困る、もしくは自分が院内で使っている抗菌薬を変えるというときも何か相談先があるといいのだろうなと思いました。病院でも、医師と、例えば抗菌薬の適正チームが議論して、時々けんかして、結局変える、変えないがあったりしますけれども、相談先があるというのは非常に院内の人たちの強みだと思います。なので、院外というか、個人の歯科医療機関でもそういう仕組みがあればまた安心して適正使用に向かっていけるのかと思いました。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。確かに、開業されているところだと、営業に来られたMRさんが勧められたものをそのまま使っているみたいな話も結構聞きますので、先生のおっしゃるところはかなり根本的な大事なところではないかと思って伺っておりました。
 菅井委員、よろしくお願いします。
○菅井委員 先ほどの荒川先生からの御質問にちょっと関係するかもしれませんけれども、歯科領域でのサーベイランスということで言うと、4学会合同サーベイランスの中で、毎年ではないですけれども、歯科、外科領域ということでサーベイランスはされておられますので、そこである程度データはあるかと思います。
 一方で、私、もともと歯科医師ですので、違うことで恐縮ですけれども、歯科医師会等での講演をしていると、抗菌薬の適正使用ということは言われてはいるのですけれども、一般の開業医さんがなかなかそこまでフォローされていないというか、要するに、予防投薬のような形で、ちょっと抜歯をしたときに出しておきましょうかみたいな形で出しているケースが非常にまだ多くて、それも基準になるのは、その方々が学生時代に先輩から習った処方をそのまま続けているというところがあって、そういう第三世代が今でも残っているというのが多分実情かと思います。
 全国でも、CDCが数年前に一つのターゲットとして、今後は歯科領域だということを言っていたのを思い出しました。ということで、歯科領域については、まさにもうちょっとてこ入れが必要で、そういう教育も含めてだと思います。
 以上、ちょっと追加のコメントでした。
○大曲委員長 ありがとうございました。北原先生、よろしくお願いします。
○北原委員 ありがとうございます。もう一つは、入院編を分かりやすくするという点なのですけれども、それには賛成したいと思っております。ただ一方、今、プル型インセンティブの抗菌薬のところのどれを選定するかというところで、この抗菌薬適正使用の手引きに則った活動をしているかというのを製薬メーカーに課していたようなところがあったかと思いますので、その辺りはしっかりとした整合性を取りながら、改訂するに当たってはしなければいけないのかと思いますので、その点は注意が必要かなと思います。
 以上です。
○大曲委員長 ありがとうございます。そのほか、先生方、御意見いかがでしょうか。
 よろしいですかね。
 ありがとうございます。御議論を伺っておりますと、この議題の3番目に関して、御提案事項に関しては先生方としては御賛同いただいていると私としては認識しております。また幾つか質問事項がありました。関谷先生の御質問は、うちの部門でやっていることなので私から答えてしまいますと、抗菌薬の主にどの科で使われているかということも含めた調査をするという意味で、やはりNDBのデータが一番いいと思っていまして、そちらで調査をしております。そうしますと、ほぼ毎年全体の使用量のうち10%前後が歯科であるというところです。
 細かいことを言いますと、先ほど少しお話もありましたけれども、歯科の治療なのだが、現実にはかなり重症の患者さんを内科で治療しているとか、細かいところはありますが、全体には影響はしていないと思って見ております。というのがAMR臨床リファレンスセンターからの回答でございます。
 もう一点、北原先生から御質問ありましたけれども、この点も含めて事務局から御発言ございますでしょうか。
○亀谷感染症対策課課長補佐 事務局でございます。ありがとうございます。
 この点におきましても様々御意見いただいてありがとうございます。現在、歯科領域をスライド1枚使って特出ししておりますけれども、これに限らず、先ほど北原先生からも御指摘ありましたが、耳鼻科のところもそうですし、改訂に当たってどの領域を組み込むべきかというところも引き続き議論していきたいと思っております。CREにつきましては、御指摘のとおりでございますが、抗菌薬の確保支援事業におきまして、この手引きに則った適正使用の推進に関してお願いをしているという状況でございますから、これも現在のエビデンスに沿った形で適宜改訂が必要だと思います。
 歯科に限らず、幅広く、かつ、ユーザーフレンドリーな形で改訂を進めていければと思っています。現場の医療者の方に日常診療の中で手に取っていただきながら役立てていただきたいというのがそもそもの趣旨だと思いますので、そういったものを目指していきたいと思っております。
 事務局から以上でございます。
○大曲委員長 ありがとうございます。という御説明でよろしいでしょうか、委員の先生方。
 ありがとうございます。では、この件に関しましては、説明いただいたように、現実の具体的な作業に関しては、抗微生物薬の適正使用に関する作業部会がありますので、そちらのほうで議論をまずはしていただくということで事務局にはよろしくお願い申し上げます。
 それでは、3つの議題、これで議論は以上となります。司会は事務局にお返しいたします。
○亀谷感染症対策課課長補佐 ありがとうございました。本日の委員および参考人の先生方の御意見を踏まえまして、必要な議論も含めて進めさせていただきたいと思っております。また、次回につきましては、事務局より改めて御連絡させていただければと思います。
 時間になりましたので、本日、小委員会に関しましては終了とさせていただきたいと思います。本日は、お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございました。