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第36回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会 議事録
健康・生活衛生局感染症対策部予防接種課
日時
令和6年9月25日(水) 13:00~15:00
場所
Web会議
厚生労働省 仮設第4会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
議題
- (1)ワクチンの研究開発及び安定供給について(予防接種基本計画)
- (2)その他
議事
- 議事内容
- ○福澤ワクチン開発専門官 ただいまより「第36回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会」を開催いたします。本日は御多忙のところ御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。
本日の議事は公開です。議事の様子はYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。なお、事務局で用意しているYouTube用以外のカメラ撮りは、議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々は御理解、御協力のほど、よろしくお願いいたします。また、傍聴の方は、傍聴に関しての留意事項の遵守をお願いいたします。冒頭の頭撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
本日は、対面とWeb会議のハイブリッドで開催いたします。まず、Web会議を開催するに当たり、会議の進め方を御連絡いたします。Web会議から御参加していただいている委員の皆様は、カメラオンへの切替えをお願いいたします。御発言される場合は、Web会議システムの挙手機能などを用いて委員長から御指名を受けてから、お名前をおっしゃっていただいた上で、御発言をお願いいたします。会議の途中で、長時間音声が聞こえない等のトラブルがございましたら、あらかじめ御連絡しております番号まで御電話を頂ければと思います。
続きまして、委員の出欠状況について御連絡いたします。本日は、坂元委員から御欠席との連絡を受けております。また、福島委員より途中退席となる旨、御連絡を頂いております。現在8名の委員の方にWebで御出席を頂いており、委員10名のうち9名に御参加いただいておりますので、定足数を満たしており、厚生科学審議会の規程により、本会議が成立していることを御報告いたします。
申し訳ございませんが、冒頭の頭撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
それでは、議事に先立ちまして、本部会の資料について御説明させていただきます。本部会の資料につきましては、通信負荷の軽減の観点から、基本的に画面には投映いたしませんので、傍聴されている方々を含めまして、Webサイトに掲載しております資料をお手元に御用意ください。それでは、ここからの進行は伊藤部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○伊藤部会長 皆様、御出席ありがとうございます。それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項について、報告をお願いいたします。
○福澤ワクチン開発専門官 審議参加の取扱いについて、御報告いたします。本日御出席いただきました委員及び参考人から予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づきまして、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、申請資料への関与について御申告を頂きました。各委員からの申告内容につきましては、利益相反関係書類を御確認いただければと思います。本日の議事内容につきましては、個別に調査審議される品目はございませんので、議事への不参加に該当する方はおりません。以上でございます。
○伊藤部会長 それでは、早速議事に入らせていただきます。本日の議題は「ワクチンの研究開発及び安定供給について(予防接種基本計画)」となります。まずは、研究開発について、事務局の資料の説明をお願いいたします。
○眞中予防接種課課長補佐 事務局です。資料1-1を御準備ください。まず、予防接種基本計画について御説明いたします。2ページ目は、予防接種基本計画の概要となります。基本計画は第1~第8の構成となっており、第5に予防接種の研究開発の推進及びワクチン供給の確保に関する施策を推進するための基本的事項が記載されております。
3ページ目は、昨年3月に実施されたワクチン分科会の資料となります。こちらの分科会での決定された事項として、予防接種基本方針部会、副反応検討部会、研究開発及び生産・流通部会において、これら基本計画における個別事項の具体的な議論を進め、深めることが決定されております。主な論点の赤囲みの所、基本計画第5の研究開発とワクチンの安定供給については、研究開発及び生産・流通部会で議論を深めることとなっております。
4ページ目は、予防接種基本計画の見直し等に係るこれまでの経緯を示したものです。予防接種基本計画は、平成26年に策定され、5年ごとに見直すこととされており、令和元年8月から見直しに向けた議論を行ってまいりましたが、その後、新型コロナウイルス感染症への対応等のため議論が中断しておりました。基本計画の第5の見直しとして、下の表の赤枠で囲んであるとおり、3回、令和元年に2回、昨年に1回行われております。資料1-1の説明は以上です。
続いて、資料1-2を御用意ください。ワクチンの研究開発について御説明いたします。2ページ目を御覧ください。本日、御議論いただきたい内容として、まず、ワクチンの研究開発について本部会における検討の経緯等について御説明し、その後、重点感染症に対するワクチンと開発優先度の高いワクチンについて整理をしております。最後に、予防接種基本計画における記載内容等について御議論いただければと考えております。
まず、本部会における検討の経緯等について、4ページ目は、令和元年11月に基本方針部会で議論されたワクチンの研究開発について議論をされた背景と現状、検討の論点です。右側の検討の論点として、まず、ワクチンの研究開発を促進するとともに、国内で開発や製造する体制を確保するため、ワクチンの研究開発に対する取組についてどのように考えるかといった論点、定期接種化に関する検討の迅速化を図るためどのような取組が可能かといった論点について御議論を頂いております。
5ページ目、こちらも令和元年12月に行われた生産・流通部会での現状と論点、検討と論点のペーパーです。検討、論点事項として、開発優先度の高いワクチンの実用化を一層促進するためにどのような取組が有効か、特に、定期接種化の予見可能性についての向上や検討の迅速化のためにどのような取組が考えられるかといったこと、開発優先度の高いワクチンの開発のインセンティブについてどのようなことが考えられるかといったことについて論点出しをし、御議論を頂いております。
6ページ目は、先ほど御紹介した基本方針部会、生産・流通部会での主な御意見をまとめております。関係団体からは、開発優先度の高いワクチンとなるための基準や開発する企業メリットを明確にしてほしいといった御意見、薬事承認のときに評価される項目と定期接種化のときに評価される項目が違うものがあり、疾病負荷など新たに薬事承認後にデータを取らなければいけない状況が生じ、疾病負荷のデータとなると、ナショナルデータベース等、大規模な研究を実施しなければならない場合があり、データ取得に際し、薬事承認後から2、3年を要する場合があるといった御意見がありました。
委員からは、定期接種化に必要なデータというのは国際的にも明らかであり、そのワクチンがカバーする疾病負荷、有効性、安全性、費用対効果であると。これらのデータが不十分のままではワクチンの定期化を検討するワクチン評価に関する小委員会での議論が十分できないことがあるので、特に、開発優先度の高いワクチンについては、より早い段階から検討すべきといった御意見を頂いております。また、国が開発優先度が高いワクチンと指定するのであれば、必要なデータを提示し、提出を求めることも有効ではないかといった御意見を頂いております。
7ページ目は、昨年5月に実施された生産・流通部会での主な御意見です。昨年5月の流通部会では、有識者及び関係団体へヒアリングを実施しております。有識者・関係団体からの御意見としては、開発優先度の高いワクチンの認定基準を明確にして定期化の対応等の見直しが行われることが望ましい、社会からのニーズが高いワクチンにおいては迅速的な議論のプロセスを導入することもよいのではないかといった御意見を頂いております。また、部会委員からは、今後、開発優先度の高いワクチンは見直しをすべきであり、どのように情報収集するか、取りまとめるべきといった御意見を頂いております。
8ページ目は、平成25年に開発要請をした開発優先度の高いワクチンの2024年7月末時点での主な開発状況となっております。基本計画本体に、開発優先度の高いワクチンとして、下の太字になっているMRワクチンを含む混合ワクチン、DPT-IPVワクチンを含む混合ワクチン、経鼻投与ワクチン等の改良されたインフルエンザワクチン、ノロウイルスワクチン、RSウイルスワクチン、帯状疱疹ワクチンが記載されております。下の表は開発状況となり、一番下に記載しているノロウイルスワクチン以外は、いずれかの開発企業が販売若しくは承認申請中となっております。
9ページ目です。このような取組によって、ワクチン・ギャップというのはほぼ解消されている状況になっているというように考えております。10ページ目からは、重点感染症に対するワクチンと開発優先度の高いワクチンについて御説明いたします。
11ページ目は、重点感染症について御説明していますが、まず、赤い枠の所、公衆衛生危機管理において、危機への医療的な対抗手段となる重要性の高い医薬品や医療機器、ワクチン等を感染症危機対応医薬品等、通称MCMと申しますが、下の青枠の所、重点感染症とは、そのMCMの利用可能性を確保することが必要な感染症となっており、重点感染症については、まず、未知への感染症への対応を前提に、パンデミックやその他の公衆衛生危機に至る可能性のある感染症について、発生の予見可能性に基づき3つのグループに分類され、また、その他、公衆衛生危機の観点からAMRや希少疾病等の2つのグループ、計5つのグループに分類されております。
12ページ目は、令和4年7月の生産・流通部会において、重点感染症の暫定リストのGroup A及びBに含まれる感染症から、下にある1)~4)の観点を考慮し、下の表にある8つの感染症を選定しております。これらの選定に基づき、SCARDAにおいて開発支援等が行われているといった状況となっております。
13ページ目は、感染症法における感染症と定期接種、重点感染症の関係を表にまとめたものです。表の見方として、一番大きい枠の黄土色の所が感染症法上の感染症を記載しており、上から1類~5類となっております。真ん中のオレンジ色の枠の所が予防接種法上の定期接種対象の感染症となっており、括弧内にA類又はB類を表しております。一番右の緑色の枠のものが暫定リストの重点感染症となっており、括弧内のA~Dが重点感染症のグループを表しております。黄色の網掛けの感染症が開発優先度の高いワクチンの対象感染症、緑色の網掛けの感染症が重点感染症に対するワクチンの対象感染症、赤い網掛けが両ワクチンの対象感染症となっております。こうして整理すると、開発優先度の高いワクチンと重点感染症に対するワクチンの対象感染症とは一定程度すみ分けされているのが見て取れるかと思います。
14ページ目です。先ほどお示ししたとおり、生産・流通部会、感染症部会、健康危機管理部会の3つの合同検討会として、重点感染症の考え方や暫定リストの作成等を行ってまいりました。一方、課題として、重点感染症の判断基準の精緻化やインフルエンザの政府行動計画の見直しの議論の中でも、その対象が新型インフルエンザのみに限定されなくなってきており、その検討会の所掌範囲に影響を及ぼしていること、その議論の性質がより政策判断に係る事項となっていることから、厚生科学審議会における検討体制を確保する必要があるといった課題が生じてまいりました。
そこで、一番下の青枠のとおり、感染症部会の下に、危機対応医薬品等に関する小委員会(通称「MCM小委員会」)を設置し、そちらで議論をすることとなりました。
15ページ目は、そのMCMの利用可能性確保の全体像を示したものです。一番左側の重点感染症のリスク評価や指定、真ん中の基礎研究~研究開発、一般的に、重点感染症は、平時は市場性がないこともあるので、MCMのアクセスや供給についてといった、上流から下流までの全体の方向性について、MCMの本小委員会で検討を行っていくといったことが確認されております。
16ページ目です。一方で、予防接種基本計画における予防接種の基本的な理念について確認してみると、予防接種基本計画は予防接種法に基づき定められたもので、そちらに記載がある基本的理念については、予防接種・ワクチンで防げる疾病は予防することとし、新たなワクチン開発の目標として、感染症の発生及びまん延防止のため、医療ニーズ及び疾病負荷等を踏まえ、疫学情報を基に感染症対策に必要な新たなワクチンの研究開発の推進を図ると掲げられております。
17ページ目は、これらの状況を踏まえ、開発優先度の高いワクチンと重点感染症に対するワクチンの整理としてまとめたものです。黄色の枠内の開発優先度の高いワクチンについての目標としては、先ほどの基本計画にもあるとおり、感染症の発生及びまん延防止のため、疾病負荷等を踏まえ、そのワクチンの研究開発の推進を図ることとなっているので、その目的としては、現に我が国に存在する疾病に対し、定期化を目指した公衆衛生上必要なワクチンの開発と考えております。対象となる感染症としては、現に我が国に存在し、疾病負荷が高い感染症であって、ワクチンの性質として、公衆衛生上必要な新たな疾病に対応したワクチンのほかにも、既存の定期接種プログラムにあるワクチンの改良や混合ワクチンを含むものであり、また、その選定されたワクチンについては定期接種に向けた議論が必要となると考えております。
右側の重点感染症に対するワクチンの目標としては、パンデミック発生時に、その対抗手段となるMCMの利用可能性を確保することとされているので、目的としても、パンデミック等、脅威となり得る疾病への対応を目指したワクチン開発となっており、対象となる感染症も重点感染症の中から選定することを基本とし、パンデミック等、脅威となり得る感染症であり、ワクチンの性質としては、平時には市場性がないことも多くあり、例えば、プル型インセンティブ等の政策的な対応を要することがあると考えております。
18ページ目は、御参考として各社にヒアリングを行い、予防接種課で作成した2024年7月末時点での各ワクチン開発企業のパイプラインリストの概要となっております。表の見方としては、一番左にワクチンの対象疾病を示しており、その隣に対象年齢層を小児、成人、高齢者の区分で示しております。その隣の開発フェーズについては、海外フェーズ1から海外の承認取得や承認申請中までの各フェーズについて、それぞれ括弧の中に示している数字は開発を行っているパイプライン数を示しております。一番右も同じようにモダリティのパイプライン数となっており、19ページ目も同じように続きとなっております。
20ページ目は、開発優先度の高いワクチンとなるための基準を示すといった御意見、開発優先度として必要なデータを事務局から提示すべきではないかといった御意見を踏まえ、開発優先度の高いワクチンの選定評価項目(案)を作成いたしました。
開発優先度の高いワクチンは、定期接種化を目指したワクチンということなので、定期接種化を評価するための項目である疾病負荷の大きさ、国民の免疫保有状況、ワクチンの有効性・安全性、費用対効果をベースに、その他項目として、開発優先度の高いワクチンとして接種対象者の利便性が向上したワクチン、接種対象者の侵襲性・簡便性の改善、また、既存のモダリティと大きく異なる新規モダリティのワクチン、日本と同程度の公衆衛生水準にある国外において、予防接種プログラムとして位置付けられているワクチン等を選定項目(案)として掲げております。
22ページ目は予防接種基本計画における記載内容の検討です。まず、上の枠の現状・課題としては、基本計画において、ワクチン・ギャップの解消と国内外の感染症対策に必要なワクチンを世界に先駆けて開発することを目指し、基本計画本体に開発優先度の高いワクチンを書き込むとともに、ワクチン開発企業に対し開発要請を行い、ワクチン・ギャップの解消は一定の成果が得られたと考えております。以降の現状の変化として、ワクチン開発・生産体制強化戦略が閣議決定され、パンデミック等、脅威となり得る感染症については、重点感染症として暫定リストの整理を行い、それに基づき、開発を支援すべきワクチンの指定が行われております。一方で、我が国の予防接種施策の基本的な理念としては、我が国に存在し、公衆衛生上必要性の高いワクチンについても、定期接種化を見据えた研究開発の推進が必要であると考えております。
これらを踏まえ、基本計画の記載に係る考え方は、まず、1つ目の○の1ポツ目、基本計画には、現に我が国に存在する疾病に対し、疾病負荷の軽減が図れる等、定期接種化を目指した公衆衛生上必要性の高いワクチンを開発するなど、開発優先度の高いワクチンに対する考え方や選定項目等を記載してはどうかと考えております。また、ワクチンリストについては、企業における開発状況や医療ニーズ、定期接種化の検討に必要な疾病負荷の情報等を踏まえて、開発優先度の高いワクチンを見直すこととし、状況の変化に柔軟に対応できるようにワクチンリストは別途作成することとしてはどうかと考えております。
3つ目、開発企業へのインセンティブとして、定期接種化に関する検討の迅速化を図るため、薬事承認前から必要な情報の収集や整理を開始し、薬事承認後、速やかに感染研に対し、ファクトシートの作成依頼ができるよう検討すること、早期実用化支援として薬事上の対応を検討することとしてはどうかと考えております。
2つ目の○、開発優先度の高いワクチンの選定の進め方についてですが、まず、予防接種推進専門協議会に対し、パイプラインリストの詳細及び選定項目を示し、協議会における優先順位付け後に、今後の部会において総合的に評価し、開発優先度の高いワクチンを改めて選定し直してはどうかと考えております。
一番下の○、重点感染症に対するワクチンについては、引き続き診断薬・治療薬、ワクチンの3本セットで合わせてワクチン開発・生産体制強化戦略に基づく重点感染症見直しの中の議論で対応することとしてはどうかと考えております。資料1-2の御説明は以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございました。2014年に基本計画ができて、そのときに策定されたリストの混合ワクチン以下に記載されているワクチンはノロとおたふくを除いてうまくいっているのが今の状況だと思います。一方で、開発優先度の高いワクチンだけでなく、参考資料の25ページ、26ページにありますが、企業からは定期接種化への議論とか、基準やスピードとか、自分の所で疾病負荷の調査をするのが大変だからどうにかしろとか、最終的には経済的な分析で費用対効果分析をどうするのか、企業のメリットをどうにかしてほしいという話を今まで頂いていたと思っています。そういった状況下で、新型コロナの発生があって重点感染症というか、危機的な対応をするワクチンはどうにかしなければいけないという状況になって、それ以降の議論が止まっていたと思います。
そういった現状を踏まえて、重点感染症としての国際的な感染症に対するものと、公衆衛生上、定期接種が必要なワクチンについて、この段階で切り分ける。生産・流通部会では、公衆衛生上、必要なワクチンに特化する話になっていると思います。ただ、インフルエンザも含めてですが、mRNAとか新しいモダリティが出てきている中で、疾患だけを対象にして決めるのが難しい状況にもなってきていますから、基本計画の中に書き込むことから別表にして比較的柔軟に状況に応じて変えられるようにしたいというのが、事務局からの提案だろうと思います。
企業からの要望に応じて、例えば感染研のファクトシートの作成を、承認になってからではなく、事前に既に進められているものもありますし、改善はあると思っています。重点感染症でパンデミックになるものについてはこの部会にも感染症部会に参加されている方もいらっしゃると思いますが、そちらで検討することにするという提案だと思います。
もう1点は、今後、定期接種化というか、この部会で検討していくワクチンについては基準を決めた上で企業や感染症の専門家の意見を聴いた上で、最終的にこの部会で議論をすることにしたい。これは、2014年のときも同じ手法を取ったと認識しています。対象は、定期接種化を将来的に目指すワクチンについての評価だと思います。
現在、開発されているワクチンは、予防接種課がかなり丁寧に探してくれていて、参考の18ページ、19ページは現剤の開発途中のワクチンだろうと思います。これをベースにして外部の方々の意見を聴取した上で、最終的にこの部会で決めていきたいという話になっている思います。まず、皆さんから御意見、御質問を受けたいと思いますが、よろしいでしょうか。私が勝手にまとめてしまっていますが、大体、話を短くしないと質問も出てこないので。福島先生、どうぞ。
○福島委員 ありがとうございます。14時で途中退席させていただきますので早目に発言させていただきます。2014年の予防接種基本計画策定時、私も分科会や本部会の委員でありまして、10年経ちましてほとんどのワクチンが開発されたことを改めて感じています。この度、見直すに当たり、スライド22枚目の事務局からの御提案について、おおむね賛成いたします。
その上で幾つか意見を申し上げたいのですが、22枚目のスライドの下半分、考え方の○のポツの2つ目です。今回の見直しでは、予防接種基本計画本体に開発優先度の高いワクチンを書き込むのではなく、別途リストを作成という御提案であり、これには賛成いたします。そのほうが柔軟対応ができるのだろうと思うのですが、企業の立場になったときに、このワクチンリストがころころ変わりますと、梯子を外されたといった感覚になるかもしれません。そんなミスコミュニケーションが生じないように、一定のルールを作ってはどうかというのが提案でございます。
そのコミュニケーションというところでは、先ほど伊藤部会長が触れられた参考資料の25ページ目、26ページ目です。これまでの関係団体ヒアリングで要望が出てきた開発優先度の高いワクチンを開発する場合の支援について、可能なところはできるだけ御意見を拾ってはどうかと思いました。個人的にざっと見たところですと、例えばPMDAに専用の相談窓口を作るとか、国の研究費において開発優先度の高いワクチンが、現状、余り意識されていないので、そういうワクチンを対象にした研究費は、少し高い評価を付けるようにしてもらいたいということかと思います。こういうことは中央のほうで、ある程度道筋を作っていただければ対応できるのかと思いました。
22ページ目に戻っていただいて、下半分の考え方の○の2つ目、まず予防接種推進専門協議会による優先順位を付けていただくということで、確かに2014年もそういうようなスキームだったかなと理解していますけれども、私、この協議会に、たまたま今年の5月から公衆衛生学会の代表で参加していまして、本当に様々な学会の代表の先生が参加されています。その中で優先順位を付けるときに、全年齢対象で1位、2位など付けるのは結構難しいのではないかと思いますので、優先順位の付け方も事務局と協議会のトップの先生方で十分に協議いただければと思いました。以上が要望です。
1つ質問をさせていただきたいのですが、13枚目に開発優先度の高いワクチンと重点感染症に対するワクチンの対象感染症ということで、非常にきれいにまとめていただきましてありがとうございました。重点感染症という概念が出てきたときに、予防接種基本計画における開発優先度の高いワクチンと、どう違うのですかといった質問が相次いだと記憶しています。このようにきれいに色分けしていただきまして、確かに事務局がおっしゃったように一定程度すみ分けされているのが見て取れるのですが、今回の予防接種基本計画の見直しにおける開発優先度の高いワクチンで、ピンク色になっている季節性インフルエンザとRSウイルス感染症の扱いは、どういった方法を考えていらっしゃいますか。長々と話してしまいましたが、幾つか要望と質問が1点です。よろしくお願いいたします。
○眞中予防接種課課長補佐 事務局です。御要望及び御質問、ありがとうございます。まず、御要望に関する点について幾つかコメントさせていただきます。1つ目として、企業の立場に立つと梯子を外されるといったことで、ルールを作ったらどうかといったことで御要望いただいたかと思います。事務局といたしましては、基本計画本体と、計画に基づく通知において優先度の高いワクチンを示す場合でも、重要度は変わらないと考えています。また、これまで業界団体との意見交換を踏まえて対応案を示していただいていますが、引き続き、先生がおっしゃるとおり業界団体と丁寧に意見交換をしながら進めてまいりたいと考えています。また、優先順位の付け方についてもしっかりと検討してまいりたいと思います。
頂いた御質問ですが、RSウイルスと季節性インフルエンザの取扱いについてですが、こちらも選定評価項目(案)の中で示していますとおり、現に我が国に存在して疾病負荷が高いワクチンであって、また、その中で予防接種推進専門協議会の中で開発優先度が高いワクチンとして優先順位が上位に上がってくるのであれば、それらを踏まえながら検討を進めていくことになると思います。重点感染症のほうは暫定リストでなっていますが、ちょうど7月末に、WHOのほうから新たな重点感染症のポテンシャルリストが示されていますので、今後、そのWHOの新たなリストを踏まえて重点感染症の見直しの議論が行われるとも聞いています。最後、22ページ目に記載しているとおり重点感染症の議論についても、この生産・流通部会でしっかりと報告させていただきながら、検討を進めてまいりたいと考えています。ありがとうございます。
○伊藤部会長 ほかに御質問とかございますでしょうか。福島先生、協議会からリストをもらうときに、協議会の中で優先順位を付けてくるのですか。付けたほうがいいのですか。それとも、付けずにリストとしてもらった中で、この部会の中で例えば皆さんで議論して順位を決めたほうがいいとお考えですか。企業の人たちが順位を付けるとなると、利益相反の管理がなかなか大変かなと思ったりするのですが、どちらがスムーズだと先生はお考えですか。
○福島委員 ありがとうございます。協議会の一委員として分かる範囲で申し上げますと、この協議会には企業からの代表は入っておらず、基本的に学術団体としての学会からの選出で最大2名ずつ委員が参加しています。しかし、協議会の中で優先付けするにあたり、利益相反をどのように申告してどう管理するかというところも、もしかしたら実際問題として難しいかもしれません。また、専門協議会として優先順位を出す場合に、参加学会の名前とともに部会にリストを提出することになりますので、各学会の理事会に諮らないといけないと思います。そのときに、「こっちが1番じゃなくて、こっちが1番がいいんじゃないか」など、なかなか意見が集約できない場合、もしかしたら優先順位を付けるのが難しくなるかもしれませんね。その辺りは事務局が事前に御相談されているのかもしれませんが、私の分かる範囲でのお答えになります。
○伊藤部会長 ありがとうございます。この話をし始めると、いつもアメリカのACIPが顔を出すのです。ACIPは基本的に企業の人も入っていますし、アカデミアの人も入っています。利益相反管理という意味ではかなりぐじゃぐじゃな状況です。それに対して、この部会もそうですが、ヨーロッパはかなり厳格に利益相反管理をした上での議論をしています。そこはきちんとしないと対外的に難しい面があるだろうと思っていますので、優先順位を付けるのであれば何らかの形で利益相反管理をした上で出していただかないと。ここの部会もその優先順位に引っ張られるおそれがありますから、そういう意味できちんとしないといけないと思っています。ほかに何か御意見とかございますでしょうか。
皆さんから御意見がないようでしたら、今、事務局から提示されたような形で、今後、進めていくということでよろしいでしょうか。次のステップとして協議会のほうに、こういう条件、こういった資料の中で、今後、定期接種化を見据えた上で、より開発を急いだほうがいいワクチンについての情報提供、提言を頂く次のステップに入るということで、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
引き続き、次の議題に移らせていただきます。ワクチンの安定供給について、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○福澤ワクチン開発専門官 資料1-3を御覧ください。ワクチンの安定供給についての資料です。2ページ目ですが、本日の内容としましては、本部会において過去に安定供給について検討してきた経緯について一旦、振り返りをさせていただいた上で、その中で主に議論の対象となっていました予防接種事務のデジタル化の状況などについて御報告させていただいた上で、それを踏まえた対応について御議論いただきたいと考えています。
また、既に予防接種基本計画に記載されていますワクチン供給に関する企業間の調整についても、御議論いただきたいと考えています。その上で、基本計画における記載内容の全体について御検討いただきたいという流れで考えています。
3ページ目が、本部会でのワクチンの安定供給に関する検討経緯です。資料1-1でもありましたとおり令和元年から、基本方針部会から本部会で安定供給に関する事項について審議いただきたいということで検討を始めているところで、それと並行して国家検定の検討についても、御報告をしてきているところです。令和2年においては、国家検定に関する薬機法関係の法的な対応や制度・運用の見直しについての御報告をさせていただいた上で、その上でメーカー側でそれを受けて流通在庫量の増大等の取組などについて御報告をさせていただいたというところです。また、昨年度、予防接種基本計画の見直しについての議論を再開したというところで、関係団体からのヒアリングを実施させていただいたところです。
4ページ目が、ワクチンの安定供給に関する基本的な考えを図示したものですが、ワクチンの需要面の変動や、もう一方の災害などでの供給の減少など、そういった供給面でのリスクなどによって、基本計画の設定からこちらに示しているとおり、様々需給バランスが崩れたことによって、安定供給に支障が生じたという事態がこれまで続いてきているところです。
5ページ目が、令和2年度のときに御報告させていただきました国家検定の制度・運用の見直しの概要の図です。この際には、製剤化から出荷するまでの間、国家検定を通じて検定合格の印字などをした上で、最終製品として出荷するということで、かなり期間が長かったところですが、つきましては国家検定の試験項目の見直し、また運用の見直しということで検印の廃止など、そういったことで取組をさせていただいた結果、製剤化から国家試験の合格後の出荷といったところまでの期間を短縮するということで、見直しをさせていただいたということです。
6ページ目が、こちらは新しい資料ですが、今年度の医薬品医療機器制度部会での資料です。国家検定の制度運用の見直しは、引き続きメーカー側と協議しながら検討を進めているところです。現在、検討中の内容としては、現行の体制としてはワクチンメーカーから国家検定を実施する国立感染症研究所への申請については、第三者の立場として都道府県を介して申請や検定に係る試験品の採取などということを仲介して、行っているという状況です。こちらについては、都道府県の負担が大きいなど、また都道府県でそういった対応を実施するためのスケジュールの管理、そういったところに支障があるということですので、こちらについては右の見直し案に示しているとおり、メーカーから感染症研究所へ直接、申請や試験品の送付などを行えるような体制にしてはどうかということ。あと、その試験品の採取が適切に行われているのかということは、立入り検査などの実績がありますPMDA、医薬品医療機器総合機構で実施する体制としてはどうかということで、現在、見直しの検討が進められているという状況です。
続きまして、7ページ目ですが、今、御説明しました国家検定の期間の短縮というところを踏まえまして、令和2年に関係するワクチンのメーカー様で御検討いただいた結果、メーカー側が持っている在庫量及び卸業者で持っている在庫量を合わせた流通在庫量を平時から増量していただいて、そういう体制を組むことで何かしらその供給に支障が生じるような事態が生じた場合には、その在庫量をもって一定期間はその供給を維持するということができるような体制を組むということで、そのような形で一定の合意形成をさせていただいたというところです。そちらについては、基本方針部会に御議論を返すというような形で検討されていましたが、先ほど御説明がありましたとおり、新型コロナへの対応というところで、現状はまだそこまでは至っていないという状況です。
8ページ目は、昨年度に実施しました関係団体のヒアリングを通しての主な御意見を示させていただいています。主な御意見としては、企業側などでの製造などの短縮、そういったことを検討するに当たりましては、需要のバランスを確認する必要がある。そのためには、接種動向の把握が必要であり、予防接種事務のデジタル化において、予防接種の動向についてタイムリーに把握するデータベースの構築をお願いしたいというようなことが、主な御意見として示されているというところです。
また、本部会の委員からも、そういった全体の流通状況を把握することは、国が何らか関与をしていかなければいけないと、更に取組を進めていかなければいけないのではないかというようなことであるなど、また、新型コロナの際に構築したシステムについては、それが利用できたのではないかというような御意見や、またデジタルトランスフォーメーションの推進といったところについて、御意見いただいたところと認識しています。
続きまして、10ページ目です。予防接種事務のデジタル化における状況について、御報告させていただきたいと思います。こちらは今年の3月に予防接種基本方針部会で御説明させていただいている資料です。予防接種率の把握というものが、医療機関から自治体に、医療機関がその接種記録を登録して、それを踏まえて自治体で費用の支払いの審査を行うというのが基本的な予防接種事務をデジタル化したときの流れになりますが、そういったところで、その流れの中で把握できます全国の接種回数や接種率などといった情報については、費用の支払いの審査が確定して、情報が確定しましたら、国民や関係者が閲覧できるような公表方法について、現在、検討しているという状況です。
11ページ目です。こちらは本日の論点の1つ目ですが、予防接種事務のデジタル化を踏まえた対応ということで、安定供給に向けて企業で取り組んでいただいている生産性の向上といったことに関しては、需要を考慮する必要がありますので、予防接種の実施状況をタイムリーに把握する必要性というものが指摘されているところです。
一方、現在、進行しています予防接種事務のデジタル化においては、医療機関と自治体との事務手続の過程で把握できる接種者数といったような情報について、それが閲覧できるような検討が行われているところです。こちらのデシタル化については、その開始日については、自治体での状況などを踏まえまして、令和8年の4月以降で行うという予定となっています。必要性が指摘されているようなデータが蓄積されるのは、それの開始がされてからまたしばらく、シーズンごとの変化なども考慮して、さらにそれから1年以上は必要かと考えているところです。
製造から出荷までのリードタイムに関わってきます国家検定については、現在も実施体制の合理化に向けた検討が進められているという状況です。こうした現状を踏まえまして、ワクチンの生産性の向上等については、こうしたデジタル化や国家検定の見直しの状況などを踏まえまして、またワクチンごとの特性や製造技術といった点も考慮する必要があるということを踏まえまして、予防接種基本計画の改定は本来であれば5年ごとというところもありますので、こちらについては次回の改定に向けて、引き続き対応策については検討していくということにしてはどうかという形で、御提案させていただいています。
また、こうした対応策の検討に当たりましては、令和元年度に基本方針部会から論点などが示されていたところですが、そこでは緊急時に増産するという観点が主になっていましたので、それに加えまして、本部会で検討してきたようなリスク回避、低減の観点といったものも含めるということにしてはどうかということで、整理させていただいています。
続きまして、ワクチンの供給に関する企業間の調整ですが、13ページ目が現行の基本計画の生産体制、流通体制に関して記載されている箇所です。こちらは下線を引いて示させていただいているとおり、感染症の流行時など、一時的にワクチン需給が逼迫した場合には、国などの関与が不可欠であって、国がワクチンの製造メーカーとワクチンの生産に関する調整を行って、前倒し出荷、在庫状況や出荷計画の情報提供を行うというようなことが、そのような形を通じて安定供給に努めるというようなことが記載されています。こちらの記載に関して、実際に複数社で供給するワクチンについて、供給の遅延などが生じた場合には、厚生労働省において関係各所の供給予定などを聴取するとともに、ワクチン全体の供給見込みなどを通知・事務連絡として、医療機関などの関係者に提示するといった運用を行っているところです。
14ページ目に、おおまかな流れの図を示していますが、製造の問題があってから供給が停止するまでには、先ほど御説明したような市場の在庫量など、それまで一定期間があるわけですが、その間に該当する企業から、そういう見込みがあるということの報告を受けまして、厚生労働省で先ほど言ったような関係者への聴取などを行った上で、供給見込みなどの通知を行っていきます。また、実際に供給が停止されてからも供給状況の情報の更新などをした上で、供給が再開されてからも再開後の取扱い、また、その後の限定出荷などといった対応の状況についても、逐次、通知・事務連絡でお知らせしているところです。
こちらの企業間の調整に関して、点線の枠囲みをさせていただいていますが、後発医薬品の安定供給の検討会でも、公正取引委員会から示されている内容ですが、行政機関がそういった供給依頼などの供給調整を行うことは、独占禁止法の問題とされない一方で、メーカー間で生産数の調整などを行う場合は、必要な範囲であれば独禁法違反とはならないのですが、必要な範囲を越えたという時点で独禁法の違反になるおそれがあるということにされていまして、こちらについては企業同士ということであれば、どこまでが必要な範囲かといったところを判断するのは難しいということだと理解しています。
そうしたことを踏まえまして論点ですが、複数社で供給するワクチンについては、既に基本計画にも記載していますが、独占禁止法の取扱いというところも踏まえまして、引き続き厚生労働省におきまして、関係企業の仲介などを行った上で、供給見込み等を通知・事務連絡で示すような取扱いを続けてきたと考えていまして、そのような取扱いでよいかということで論点とさせていただいています。
また、こうした取扱いを行う場合について、上記のような対応を経験したような企業であれば、そういうことはやりやすいとは思いますが、そうではない企業が急にそうした事態に直面した場合には、なかなか速やかな対応を取るということは難しいかと思いますので、そういった際に速やかに対応が取れるように、供給不足時の関係者の役割というものを平時から整理して、それを明確化するということが重要かと考えています。そういったことを記した指針、ガイダンスを整備することとしてはどうかということで、論点として挙げさせていただいています。
こちらの内容を踏まえまして、基本計画への記載内容について16ページ目ですが、現状の基本計画の記載は先ほども示していますが、パンデミック時に供給の不足のおそれのあるワクチンについての記載とともに、一時的な需給逼迫が生じた後の国とワクチンメーカーとの生産調整といったようなことでの安定供給の取組といったことが記載されている状況です。
こちらに対しまして、基本計画の改定の議論の中では生産上のトラブルなどで供給が不足するといった影響を最小化する目的で、国家検定の見直しなどを通じましてワクチンの流通在庫量を増大させるという取組を、メーカーの御協力を頂いた上で進めているところです。また、実際に需給の逼迫などが生じそうだいうことになりましたら、厚生労働省が仲介して、生産の調整を行い、また供給見込み量などを通知・事務連絡で周知するという運用を行っているところです。
なお、ワクチンを含む医療用医薬品については、先ほどちょっと触れました後発医薬品の安定供給の所で検討を行った結果、供給不足を生じるおそれが判明した際には、医薬品の製造メーカーから厚生労働省に報告を行うという運用が、医療用医薬品全般として行われているというところです。また、さらに現在、法律上に位置付けてはどうかという検討が進められているという状況ですので、そちらについては医薬品全般の扱いということで、予防接種の基本計画の範ちゅうからは一旦、観点としては除外させていただいているというところです。
下の基本計画の記載に関する考え方の案ですが、現行、需給逼迫が生じた際にどうするかという取組の記載がありますが、これに加えまして、1点目としては一時的な需給逼迫が生じるということに対する平時からの備えとして、流通在庫量の増大といった点について新たに記載してはどうかということ。2点目としては、需給逼迫時に安定供給を行うということに関しての指針を作成する。需給逼迫時の製造メーカーなどの供給関係者の役割の明確化などを平時から行って、指針として整備していくということについて、基本計画にも明記してはどうかということで、案とさせていただいています。
また、安定供給に関する指針については、需給逼迫時の通知・事務連絡での運用からフィードバックが行いやすいように、こちらの指針についても通知等として周知することとしてはどうか。内容については別途検討してはどうかということで、考え方を示させていただいているところです。資料の説明は以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございました。説明内容なのですけれども、もともと2020年に、この委員会でも報告をさせていただいたと思っておりますが、流通関係のいろいろな調査をさせていただいて、やはり流通在庫を増やすためにはどうすればいいのかということに対して、事務処理期間を短縮していただいて、流通で持つ在庫を増やすしかよい解決方法がないのではないかということで、2020年に改善していただいたと思います。国家検定に関しては、都道府県の関与をなくす方向で事務処理期間を短縮して、現場、流通の在庫を増やし、医療機関に使用期限の比較的長いワクチンの供給ができるような体制を作っていただけていると思っています。
その後発品の不足の問題もあって、厚生労働省も公正取引委員会と十分話をした上だと思いますが、医薬品とか、特にワクチンは安全保障として重要な代物ですので、その調整を厚生労働省が調整する分には、公取上の問題が発生しないということで整理していただけたというのは、大変喜ばしいことだと思います。それ以外にも、在庫の偏在とかを見える化していかないと、さらなる調整が難しいと思っているのですが、一方で、DX化することによって、それができるような形になるという話をされたと思っています。まずは厚生労働省からの説明に対しての皆さんの御質問を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。
事務局からの提案だけで十分なのか、十分ではないのかというのは、なかなか難しいところだと思います。実際の医療現場では、例えば麻しんがはやったときに、看護学校でワクチンを大量に持って行かれると、現場で供給不安が発生するといった局所的な問題も発生しますし、この委員会でも、前回お願いしておりますが、ワクチンが足りないと言うと、一部、買占めのような話が出てくるので、そういったことがないように、例えば監視カメラのような形で医療機関に対する流通のコントロールを、もう少し精緻にしないと難しいのかなと思うところもありますが、現場の医療機関からは、反発も受けそうな所があるのですけれども、そういったことについて、日本医師会としてはどのようにお考えでしょうか。特に日本医師会は、ワクチンの流通に関しては現場の状況の報告制度を持っていると認識していますので、御意見を頂けると有り難いと思っておりますが、いかがでしょうか。
○笹本委員 日本医師会の笹本でございます。聞こえますでしょうか。
○伊藤部会長 大丈夫です。
○笹本委員 御指名いただきまして、ありがとうございます。御存じのように、現場のほうから、その時々の状況をお伝えいただいておりまして、また、その時々に応じて、国とも相談しながら情報を発信するようにして対応をさせていただいております。
今回、在庫がなくなった後の期間を短くするために、流通段階から増やしつつ、その時々に対応するという考えはすばらしいと思うのですが、現実に増産できるかどうかというのは、大変危惧しております。ジェネリックの問題のときには、なかなか増産がうまくいっていないために、やはり、いまだに供給量が戻っていないという現状がありますので、本当に在庫が枯渇する前に増産がうまくいくかどうか、また、それはワクチンの種類によってもかなり違うと思うので、国のほうでうまく把握してコントロールができるのかどうか、そこら辺が少し疑問ですので、是非、教えていただければと思います。
○福澤ワクチン開発専門官 笹本先生、御質問ありがとうございます。まず、御指摘のとおり、増産が難しいというのは重々承知しておりまして、特にワクチンとなりますと、生物的な面で製造することになりますので、その製造に掛かるリードタイムとしては、基本的にはすごく長いことになって、最近はmRNAなども出てきておりますけれども、まだまだ承認などされている品目もないという状況ですので、緊急時に増産するという観点だけでは、どうしても対応し切れない部分があると理解しております。メーカー側でも、そのような危機意識というものは持っていただいた上で、流通在庫量を増大するという取組を、まず進めさせていただいているというところかと思います。
また、国家検定につきましても、緊急時に増産というよりかは、国家検定に掛かる期間の短縮などが図れないかということを、医薬を担当する部署などと相談して、複数社で供給しているうちのもう片方で、出荷を予定しているものなどを前倒しできないのかといったような調整というのは、内々で進めさせていただいた上で、それを踏まえた供給量の見込みなどを通知するような取組をさせていただいている状況です。
○笹本委員 ありがとうございます。追加させていただいてもよろしいですか。
○伊藤部会長 どうぞ。
○笹本委員 今のお話はよく分かりました。そうしますと、供給が逼迫しているとマスコミなどがすぐに話をしますので、それに対して、正しい情報、それから、その時々の需要と供給の状況を正確に医療機関にお伝えするということ。また、国民に対しても情報を提供するということが大事ではないかと思いますので、そこら辺はやはり、重きを置いてやっていただいたほうがいいのではないかと思います。以上でございます。
○福澤ワクチン開発専門官 笹本先生、御意見ありがとうございます。今回、まず、こちらから事務局案として案を示させていただきました安定供給の指針というものを実際に出すということになりましたら、その際には都道府県なども通じて、あとは、指針の中身につきましては、先ほど言ったような流通在庫量の増大ということも盛り込ませていただいて、単純にその製造上の問題が起こったとかということで、すぐさまその供給が止まるという話ではないといったようなことも丁寧に説明できるような、それも踏まえて落ち着いて対応いただけるような形で、都道府県に指針など示すことになりましたら、その際は、そのような形で都道府県など通じて関係する国民やそういった所にもリスコミなどをさせていただきたいと考えております。
○伊藤部会長 本間先生、お待たせしました。よろしくお願いします。
○本間委員 国立衛研の本間です。専門ではないので場違いな質問かもしれませんが、資料8ページ目、コロナの安定供給に関する検討経緯ということで、部会の先生からの意見の2番目に、新型コロナのときには非常にワクチンが安定に供給されたということで、私としても、確かに新型コロナのときはワクチンはそれほど不足することはなかった、最初はあったかもしれませんけれども。そういったものを利用して、デジタル庁や厚労省がコントロールして、同様のシステムを拡充したらどうかということで意見が出ていますけれども、これはどのように答えていただけるのですか。
○福澤ワクチン開発専門官 御質問ありがとうございます。新型コロナのときの対応につきましては、国のほうで一括して買い上げを行った上で、それを必要とする都道府県などに必要と想定する量などを聞き取った上で、それを分配するシステムということでV-SYS、VRSといったシステムを構築して進めたところです。
一方で、平時の定期接種とか、あとは任意接種もありますけれども、そういったところで接種をしていくことになりますと、国のほうで全体の管理をするということは、どうしても難しいという面がありまして、供給する際には、製造メーカーから卸から医療機関へということになると、個々の契約の中で行われることになりますので、そこは国のほうで一括してシステムとして行っていくことは、どうしても限界があるというところかと考えております。ですので、同様のシステムの拡充というところで御意見を頂いているところではございますが、ただ、あくまでも定期接種の実施主体は法律上、市区町村という自治体の所になりますので、そこの契約とか、そういった事務がやりやすいような形ということで全体が統括できるような接種事務のデジタル化を進めさせていただいているところです。
○本間委員 ありがとうございます。よく分かりました。
○伊藤部会長 事務局の提案ではないのですけれども、やはり安定供給をするためには1社しか製造していないとか、国外でしか作っていなくて、輸入に頼っているというのは、余りいいことではないと、私個人としては思っています。基本計画の中に書き込めるのかよく分かりませんけれども、国内製造とか、複数社の製造といったことを盛り込めないのかなと個人的には思っているのですが、先生方、そういったことに対して何か御意見とか、それは今の現状から考えると難しい、書き込むべきではないとか、もし御意見があれば、頂けると有り難いと思っているのですが、いかがでしょうか。資料になくて、急に言い始めているので、いけないとは思いますが。信澤先生、どうぞ。
○信澤委員 今の伊藤先生の御提案は私も賛成で、やはり1社あるいは輸入だけに頼っているというのは、これからパンデミックはどういうものが起きるか分かりませんし、そういうことへの対応も含めて考えますと、非常に不安なところがあると思いますので、どういう書き方をするのかというのは難しいのかもしれませんけれども、供給を常にできる体制を作る方法の1つとして、製造メーカー1社に頼るとか、輸入に頼るのではなく、数社あるいは国内製造をできる限り可能にするとか、そういう内容というのは盛り込むことが必要ではないかという気がいたします。以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございます。前田課長、どうぞ。
○前田予防接種課長 ありがとうございます。今のお話は極めて重要でありまして、我々がどういう形で安定供給を図るかというところ、これはかなり悩ましいところがありまして、その1つが、やはり1社にお願いしている状態とか、あるいは寡占の状態とか、海外の場合は比較的に、逆に言いますと、海外の市場が大きかったりしますので、流通がある程度確保できるというケースもありますので、思いとしては国産ではありますが、海外生産のメリットもあるのかなと思っているところです。
他方、その一連のことから申し上げますと、どういう形で最終的に製品導入を目指して我々が支援をしていくかというところにもなりますので、これは例えば開発支援、先ほど項目としてお示ししましたけれども、そういった際にも、寡占状態あるいは独占状態といったところも、一つ勘案要素に入れるというのも、考え方だと思いますし、また、企業さんとの連携を国のほうでしっかり取らせていただくというところが今回の肝でありますので、同じ会社でも日本に入れていないケースもありますので、そういった所をしっかり入れられないかということも含めて、改めてそのサポートができるかというところも議論していきたいと思っております。
○伊藤部会長 ほかに何か御意見とか頂けないでしょうか。急に言ったので、事務局としても多分、対応が難しいというように思われているかもしれませんが、ただ、安定供給という枠の中で、そういうオプションについて抽象的かどうかは別にして、文章上の記載が何もないというのも、どうなのかと思っております。この最終案がまとまるまでには、少し時間があるかと思いますので、事務局にも少し考えていただければと思いますが、よろしいですか。ありがとうございます。
これで御意見がなければ、以上で、本日の予定していた議事は終了ということになりますが、あとは事務局にお返ししてよろしいでしょうか。
○前田予防接種課長 予防接種課長でございます。今日、安定供給と研究開発の御議論をしていただいていることを感謝を申し上げたいと思います。
幾つか重要なポイントもあったかと思います。まず、安定供給で言えば、伊藤部会長からも御指摘がございましたが、そういう形で、複数の納入元をどういう形で確保するかということは、極めて重要かと思っておりますし、また、見える化ということで、先ほど本間委員からも御指摘を頂きましたけれども、国でやりますと、割と見える化というところが、国で持っておりますので分かりやすいのですけれども、一方で、国がそういった情報を持たせていただく合理的な理由ということも問われるところがありますし、あと、特に流通においては医薬品・医療機器は、御案内のとおり、民間企業の力に依存するところも多くございますので、そういったバランスのところがあるかと思っております。
他方、1つ、加えさせていただければ、ここの流通部会の外側になってしまいますけれども、特に患者さんの情報、V-SYS、VRSでいけば、VRSのほうですけれども、国が両方を持つという中で、患者さんの情報を頂くというところについては、今後の有効性・安全性が接種後の評価につながるというところもありますので、これは御案内のとおり、予防接種法を改正させていただいて、国がそういった情報を持つことについての法的な位置付けも明確化させていただいたりといった試みも行っております。もちろん医薬品の中でそういった動きがあれば、予防接種もそれについていくという形になりますけれども、安定供給ともども予防接種に関係する法的なところも、引き続き進めていきたいと思っております。
研究に関しては、福島先生から冒頭で御発言を頂いて、問題提起を頂きましたので、あとは具体的な項目、中身を決める際に、また先生方の御意見を頂くことも多いと思います。また、中長期的に企業に安心していただけるような開発目標を定めるというのも、計画を定めてからということになりますので、その辺も引き続き御協力いただければと思っております。今日、余り話していなかったなと思いましたので、少しお時間を頂いてコメントをさせていただきました。ありがとうございます。
○福澤ワクチン開発専門官 御議論ありがとうございました。本日、大まかに予防接種基本計画の記載、考え方について御同意いただいたという理解でおります。こちらの内容で、基本方針部会のほうに一旦お返しさせていただいて、具体的な内容など検討を進めたいと考えております。
本日の予定した議事は以上となりまして、次回の開催につきましては、また追って御連絡させていただきたいと思います。事務局からは以上でございます。
○伊藤部会長 それでは、本日の第36回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会を終了いたします。本日は、どうもありがとうございました。