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- 2024年10月3日 令和6年度第7回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録
2024年10月3日 令和6年度第7回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録
日時
令和6年10月3日(木)14:30~17:00
厚生労働省専用第21会議室
(東京都千代田区霞が関1ー2ー2)
議題
(1)テーマごとの検討①(ドラッグロスや供給不足などの医薬品等へのアクセスの課題に対応した安全かつ迅速な承認制度の確立)について
(2)テーマごとの検討③(国民からの信頼性確保に向けた体外診断用医薬品・医療機器の規制の見直し)について
(3)テーマごとの検討④(少子高齢化やデジタル化の進展等に対応した薬局・医薬品販売制度の見直し)について
(4)その他の項目について
(2)テーマごとの検討③(国民からの信頼性確保に向けた体外診断用医薬品・医療機器の規制の見直し)について
(3)テーマごとの検討④(少子高齢化やデジタル化の進展等に対応した薬局・医薬品販売制度の見直し)について
(4)その他の項目について
議事
○重元総務課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「令和6年度第7回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変御多用のところ、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
はじめに、事務局から連絡事項を申し上げます。本日は、会議室における対面形式とオンライン形式を併用して本部会を進めさせていただきます。本部会につきましては、公開とさせていただきますが、一般の方の会場への入場を制限し、報道機関の方のみの入場とさせていただいております。会議の議事録は後日公開をいたします。また、YouTubeでの同時配信も行っております。
厚生労働省全体の取組といたしまして審議会等のペーパーレス化を進めております。本日はペーパーレスでの開催とさせていただきますので、資料は御手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作などで御不明点等がございましたら適宜事務局がサポートいたしますのでよろしくお願いいたします。
続きまして、資料の確認です。議事次第にお示しの通り、資料1から4及び参考資料がございます。Web参加の委員におかれましては、事前にこれらの資料をメールにて送付しております。過不足がございましたら御連絡いただければと思います。
最後に、審議中の御意見、御質問の方法についてお知らせいたします。まず、会場にお越しになって御参加いただいている委員におかれましては、挙手をしていただき、部会長から指名されましたら、卓上のマイクをオンにして御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたらマイクをオフにしていただきますようお願いいたします。また、オンラインで御参加いただいている委員におかれましては、御発言をしない間はミュートにしていただきますようお願いいたします。御発言の際はZoomの挙手ボタンを押していただき、その後、部会長から順に発言者を指名しますので、マイクをオンにして御発言をお願いいたします。また、御発言が終わりましたらミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、カメラについては、常時オンにしていただきますようお願いします。
続きまして、本日の委員の出欠状況ですが、小口委員、小野委員、山本委員は所用により御欠席との連絡を頂いております。
それでは、冒頭のカメラ等撮影はここまでとさせていただきます。それでは、以降の議事進行を福井部会長にお願いいたします。
○福井部会長 それでは、本日も活発な御議論を是非、よろしくお願いしたいと思います。本日の議題1に入りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
○中井医薬品審査管理課長 医薬品審査管理課長でございます。
資料1、テーマ①(ドラッグロスや供給不足などの医薬品等へのアクセスの課題に対応した安全かつ迅速な承認制度の確立)についてということで説明させていただきます。2ページをご覧ください。(1)小児用医薬品のドラッグロス解消に向けた制度的対応ということで、背景と主な意見をまとめさせていただいております。これについては、次のページに検討の方向性ということでまとめておりますので、そちらを中心に説明させていただきたいと思います。
まず、小児用医薬品開発の計画策定の努力義務化ということで、小児用医薬品の開発計画を策定することを努力義務化してはどうかということを御提案申し上げます。また、小児用医薬品の開発の計画については再審査期間がありますけれども、現行10年というような設定がありますが、それについて小児用医薬品を開発した場合に、延長の余地を与えるために12年にしてはどうかという提案です。
右のほうですが、特定用途医薬品に係る制度の見直しです。小児用医薬品等の開発の支援を行う特定用途医薬品指定制度について、現状、用量追加や剤形追加ということを想定しておりますけれども、新有効成分についても対象にすることとしてはどうかということです。併せて、再審査期間についても、現行4年から6年ということになっておりますけれども、それについて申請区分に応じて再審査期間が設定されるよう見直すこととしてはどうかという提案です。
4ページ、医療上の必要性の高い医薬品等への早期アクセスの確保ということですが、5ページの後段の部分に、検討の方向性としてまとめております。条件付き早期承認制度について、欧米と同様に、取消し規定を設けた上で、その臨床的有用性が合理的予測可能な場合に、承認に値する制度を設けることとしてはどうかということでまとめています。これについては、後ほど資料を使って、もう少し詳細に説明させていただきたいと思います。
併せて、拡大治験の運用改善ということで、米国のsingle patient INDを参考に、拡大治験の運用改善を検討することとしてはどうかということです。具体的には2つございますが、まず現行のコホート型の拡大治験の手続の簡素化です。例としましては、症例報告、モニタリング、治験薬概要書などの簡素化ということを検討するというものです。もう一つは、既に治験届で提出されている医薬品について、患者一人を対象とする場合には特に簡略な手続による拡大治験を実施できる運用について検討してはどうかという提案です。
次のページは、条件付き早期承認制度についての変更のイメージということです。通常の承認制度が検証的臨床試験の後に「承認」ということですけれども、条件付き承認制度については、承認後に有効性・安全性の確認し、確認できない場合は、承認取り消しできるということにしてはどうかということです。
7ページに、現行の制度との比較があります。現行の制度の趣旨ですけれども、十分な人数を対象とする臨床試験の実施が困難である場合という条件があるものにつきまして、医薬品等を早期に使用するベネフィットが、有効性が確認されていないリスクを上回るものに承認を与えるということにしてはどうか。また、追加的データの内容によっては承認を取り消すことができることにしてはどうかということであります。臨床的有用性が合理的に予測可能とした場合に承認を与えるという制度にしてはどうかという提案であります。
次に、8ページは、リアルワールドデータ(RWD)を利活用した薬事申請対応の充実・強化です。9ページに、その検討の方向性(案)をまとめております。リアルワールドデータ(RWD)による承認申請が可能であることの明確化ということで、現状の法律には、薬事申請のときには「臨床試験の試験成績に関する資料その他の資料」を添付するということになっているわけですが、それについて臨床試験の試験成績を添付することが前提にならないように、医薬品の品質、有効性・安全性に関する資料というような一般的な規定に改正してはどうか。併せて、具体的な資料の構成については、省令で定めることとして、リアルワールドデータ(RWD)による申請が可能であることを明確化してはどうかという提案です。
それから、リアルワールドデータ(RWD)の信頼性に関する基準の新設ということで、これまでも信頼性の確保について、通知により留意点を示してきたということですが、それについては、その推進を図る観点から、国際的な議論も踏まえ、引続き、信頼性の確保に向けた取組を進めることとしてはどうかという提案です。
(4)医薬品等の供給不足を踏まえたアクセス改善に向けた制度の見直しということで、10ページです。その1つ目として、海外代替品等の迅速な導入の仕組みという提案です。下のほうの検討の方向性ですが、我が国において、供給逼迫による医療上の著しい影響が生じる場合に、海外で流通している代替品について、その承認審査及び調査を優先かつ迅速に行うことができる規定を新設してはどうか。併せて、そういった品目については、対象品目をウェブサイト等から公示することにして、海外で流通している医薬品の包装のまま国内で流通できるよう、一定期間の外国語表示を認める特例を規定してはどうかという提案です。
次のページですが、②製造方法等の中リスクの変更カテゴリの追加等です。検討の方向性ですけれども、一部変更のうち、品質に与える影響が大きくないものについては、一定期間、例えば40日程度ということですけれども、その期間内に迅速に承認するというような規定を設けてはどうかということです。併せて、軽微変更のうち、品質に与える影響が少ないものについては、軽微変更届に替えて、1年に1回、その内容を厚生労働省に報告することでよいという制度を設けてはどうか。併せて、そのような報告については、何らかの手数料を設定してはどうかという提案です。
12ページは、日本薬局方に対する対応についてですけれども、14ページに、その検討の方向性があります。最初のポツですが、医薬品の品質は日本薬局方であることに変わりはないということを大前提としまして、その日本薬局方が適切に利用されるように、海外の薬局方で使用されている規格との整合性や調和を進めるということとしてはどうかということです。同時に、最新の知見を用いた医薬品の輸入等に支障が発生しないよう、必要に応じた改訂も迅速に行えるように、柔軟に運用していくこととしてはどうかということです。
それから、製造販売業者につきましては日本薬局方の国際整合性確保のために、基準作成・改訂作業に積極的に協力する必要があるということも入れてはどうかということです。併せて、制度的な対応として、現行の日本薬局方への適合は原則ということですけれども、日本薬局方収載成分が日本薬局方と異なる規格であったとしても、安定供給上の対応を含め、科学的に妥当な理由がある場合には、個別に承認できる余地を与えてはどうかということで、具体的には次のポツですが、薬機法第56条第1号の「日本薬局方に収められている医薬品であって、その性状又は品質が、日本薬局方で定める基準に適合しないもの」についての販売を禁止している現行規定を見直してはどうかということです。また、日本薬局方の表示義務についても、個別承認を受けているもの以外については、対象外としてはどうかということです。
15ページは、(5)医薬品製造業における許可制度の見直しということで、17ページの検討の方向性についてです。1つ目として、製造所の登録制度の拡大ということで、生物由来製品や放射性医薬品等の保管のみを行う製造所について、他の製造所と同様に登録制としてはどうか。また、海外製造所については、認定制ではなく、登録制としてはどうか。それから、こういったことを導入するのに合わせて、承認書における製造方法において、保管のみを行う海外製造所については、記載を不要としてはどうか。ただ、通常、製品の移動に係る記録は、GMP上適切に記録・保管が必要であることも記載しております。
また、製造管理者の要件の見直しということですが、製造所における製造管理者について、総括製造販売責任者の現行の規定と同様に、薬剤師を置くことが著しく困難であると認められる場合については、薬剤師以外の技術者をもって代えることができることとしてはどうか。その具体的な要件については、製薬業界の現状を把握することを含め、引き続き検討を進めるという提案です。
19ページ、省令等の改正により対応可能な製薬業界からの要望への検討事項ということで、ここにまとめております。詳細な説明は省略させていただきますけれども、こういったものを含め、制度改正ではなくて対応するということも検討させていただきたいというように考えています。
○高江医療機器審査管理課長 続きまして、(7)再生医療等製品の特性を踏まえた治療アクセスの改善につきまして、医療機器審査管理課長から御説明いたします。20ページの背景・課題は従前と同様です。これまでの御意見としては、救済制度や医療行為としての安全確保等との整合性を整理すべきであると。また、一様に使っていいものではなく、きちんと要件を慎重にすべきだと。また、これがあるがために、製造管理の工程が甘くならないような制度設計にすべきだというような御意見を頂いているところです。
この御意見を踏まえまして、21ページの検討の方向性です。まず、1つ目は、自家細胞を用いた再生医療等製品につきましては、製品の安全性が確保されていることを大前提としまして、患者の求めに応じたものであること、含量が規格外であることにより効能・効果が低下することに比して疾患の重篤性とか患者の状態から治療を受ける機会の損失などの影響が多大であること、医師が有用性を認めた提供であることから、この一定の要件をきちんと満たす場合に限っては、いわゆる規格外品の販売・授与等を許容してはどうかと考えております。また、これは治療に用いられるものですので、市販品と同様に、製造販売後安全管理等が適切に行われるべきです。
3つ目のポツですが、製品の安全性が確保されているという大前提があり、その上で、医師が有用と認めた提供であること等の一定の要件を満たすということですので、適正に使用される再生医療等製品として、医薬品副作用被害救済制度の対象となると考えております。また、規格外品であったとしましても、製品自体は薬事承認を受けており、当該内容の承認に従って用いるということを考えますと、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」における「再生医療等技術」から薬機法の再生医療等製品が除かれている現行の棲み分けを変更するものではないというように考えております。テーマ①の説明は以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの事務局の説明について、御意見、御質問等があれば発言をお願いしたいと思います。項目が多いですので、できましたら、順番にやっていきたいと思います。最初に、(1)小児用医薬品のドラッグロス解消に向けた制度的対応のところで、3ページについての御説明がございましたが、いかがでしょうか。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。まず、3ページの検討の方向性ですけれども、小児用医薬品の開発が進むように、まずは努力義務とするということには異論がありません。
その上で、「ただし、小児に関する需要がない又は充足している場合は例外としてはどうか」との方向性が示されていますけれども、逆に、学会などから小児の開発が強く要望されている場合は、開発が進むような制度的な対応が必要だと考えます。
もう1点、これは質問ですが、再審査期間について10年が設定されていて、今後、「上限を12年に引き上げてはどうか」と書いていますが、12年に引き上げることによる開発の影響について、可能であれば、業界関係者からその受け止めをお聞きしたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。中濱委員、どうぞ。
○中濱委員 森委員、御質問どうもありがとうございます。再審査期間の延長に関して、業界側からということで御回答させていただきます。再審査期間に関しましては、2年延長の余地ができたということは、業界としても国内への投資に積極的になれるという観点で、非常に有り難いと考えております。以上でございます。
○福井部会長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。それでは、(2)医療上の必要性の高い医薬品等への早期アクセスの確保のところで、特に5ページについての御説明がございましたが、この内容について、いかがでしょうか。森委員、どうぞ。
○森委員 方向性に関して異論はありません。少し事務局に教えていただきたいのですが、7ページに、緊急承認制度が出ているのですけれども、今回、有効性が合理的に予測可能で、安全性が許容可能ということになっていますが、緊急承認では、有効性が推定、予測できる、安全性が確認となっているのです。この違いが少し、よく分からなかったので、教えていただければと思います。以上です。
○中井医薬品審査管理課長 医薬品審査管理課長でございます。この緊急承認は、有効性が推定、安全性確認ということになってございますけれども、もともと、この条件付き承認制度というのは、有効性も安全性も確認ということでございます。その前提に立ちますと、今回、臨床的に有用性が合理的に予測可能ということでありますので、有効性と安全性のリスクバランスを含めて、しっかり確認をするということになるのだというように理解しております。
○福井部会長 よろしいでしょうか。6ページと7ページのイメージの図を含めまして、いかがでしょうか。よろしいですか。それではリアルワールド。ごめんなさい、北澤委員。
○北澤委員 はい、よろしいですか。
○福井部会長 はい、どうぞ。よろしくお願いします。
○北澤委員 北澤です。2番の条件付き承認のところなのですけれども、臨床的有用性が合理的に予測可能で、安全性は許容可能というように書いてあるのですけれども、そもそも探索的臨床試験の段階では、治験に参加する患者さんの数も少ないので、特に頻度の低い副作用については、この段階では分からないということがあろうかと思います。
特にワクチンに関しては、承認後、大勢の健康な人に使われることになると思いますので、安全性の確認という、市販後のところですね、そこについては、できるだけしっかりと、かつ、情報公開を迅速にやってもらいたいと思っています。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。その方向で検討していただくということで、よろしいですか。
○中井医薬品審査管理課長 承知いたしました。その方向で検討させていただきます。
○福井部会長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、(3)リアルワールドデータ(RWD)を利活用した薬事申請対応の充実強化で、特に9ページについての説明がございました。リアルワールドデータを活用するということで。花井委員、どうぞ。
○花井委員 ありがとうございます。花井です。少し分かりにくいのは、現行でも、その他資料とされていて、極端な場合は公知承認というのがございますよね。そうすると、その水準で考えれば、当然この、その他の資料でリアルワールドデータを読み込めてしかるべきだとは思うのですが、より一般的な規定に改正するとなると、何か法益的変化があるのかということを一応、確認しておきたいということです。それから、これはまだ、そんなに決まっていないのかもしれませんが、リアルワールドデータでいうと、一義的にはレジストリーのようなものが想定されるのですけれども、問題なのは、やはりモニタリング監査の話で、データ信頼性というと、その辺がGCPにおいては、かなり決まっているわけですけれども、どの程度、データ信頼性というところを求める所存なのかというのは、今のところお考えがあれば教えていただきたいと思います。以上です。
○中井医薬品審査管理課長 医薬品審査管理課長でございます。まず、これは一般的な規定ということでありますけれども、その後、省令に関して、詳細な規定を設けていきたいというように思っております。これがどれぐらい影響するのか、なかなか予測し難い面はありますけれども、いずれにせよ、明確にそういうリアルワールドデータを使って申請も可能だということを位置付けるということであります。
それから、信頼性確保についてどの程度かということでありますが、これについては、今までも考え方というのを示してきたわけでありますけれども、それについて、もう少し何らかの形の基準を作っていきたいということで考えております。
ただ、目的に応じて信頼性の求められる質が変わってくると思いますので、その辺はできる限り記載する、又は審査報告書なり何なりで書いていって、前例をどんどん作っていくことも含めまして検討していきたいというように思っております。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。北澤委員、どうぞ。
○北澤委員 私の質問も信頼性のところで、先ほど大体、回答していただいたと思うのですけれども、そもそも医薬品の申請に使えるリアルワールドデータとは何なのか、この制度部会の場では、突っ込んだ議論が余りなかったのではないかと思います。使って良いリアルワールドデータとは何なのかについて、もう少し明確にしてもらいたいと思っております。お願いします。
○中井医薬品審査管理課長 リアルワールドデータについてでは、いろいろなものがあるかというように思っております。それも従来、北澤委員から御指摘いただいていましたけれども、RCTに取って替わるかどうかということの御指摘がありましたけれども、特にそういうことを今考えているわけではありませんで、補足的なデータとしては、十分使えるものもあるだろうというように思っております。
実際、レジストリーなど、そういったもののデータで、そういう補足的なデータで承認した事例もあるということでありますので、具体的に今回のリアルワールドデータは、どこまでかということを今、明確に申し上げるわけには、なかなかできない状態ではありますけれども、そういう活用が進むようにということで、こういったことを検討したいということであります。
○福井部会長 よろしいでしょうか。ペニシリンはRCTが行われていないはずです。あまりにも効果があったものですから、そのままリアルワールドデータに基づいて世界中で使われるようになったという歴史的な事例もございます。ほかには、いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは10ページに行きましょうか。(4)医薬品等の供給不足を踏まえたアクセス改善に向けた制度の見直しについてで、①海外代替品等の迅速な導入の仕組みについては、いかがでしょうか。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。1点確認で、海外で流通している医薬品の包装のままということは、海外で売られているものをそのまま持ってくるという理解でよろしいですか。
○中井医薬品審査管理課長 いろいろな状況があるかと思うのですけれども、よくあるのは、添付文書の作成が間に合わないなど、そういったこともありますし、あとシールを付けたりなど、いろいろな対応を行う場合もありますが、全く間に合わない場合については海外のものをそのままである場合や、なるべく分かりやすいようにということで、何らかの紙を付けるなど、いろいろなことを考えたいと思いますけれども、そういったものを組み合わせて対応していくということを考えております。
○森委員 ありがとうございます。国民が必要な医薬品にアクセスできることは重要で、この仕組みの導入に関して異論はありません。また、ご提案のとおり、あくまでも既承認医薬品の供給逼迫により医療上の著しい影響が生じる場合に限定すべきと考えています。
その上で、本来であれば、このような制度に頼る事態に陥ってはならないと思いますし、それが基本だと考えています。海外流通品は、包装もそうですけれども、例えば剤形であったり、錠剤の大きさも当然異なってくると思いますので、現場としても、きちんと患者さんには説明したいと思いますけれども、やはり、そこは国のほうからも、安全・安心だということを、そのときにはきちんと周知してもらいたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。山口委員、どうぞ。
○山口委員 この提案には賛成ですけれども、こういったことが認められるようになったということを国民のほとんどの方は御存じないと思うのですよね。ですので、もしこれが実現するときにはきちんと、こういう理由で海外のものをそのまま使うのだということをしっかりと多くの方に理解してもらえるような周知の仕方ということを同時に考えていただきたいと思います。それがどれぐらいの期間なのかといったことを英語で書いてあったりするなど、より分かりやすいように、こういうような工夫をしていますよというようなことも含めて、是非そこは丁寧に知らせていただきたいと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかには、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、同じくアクセス改善に向けた制度の見直しの中の②製造方法等の中リスクの変更カテゴリの追加等については、いかがでしょうか。11ページの検討の方向性についてです。中島委員、どうぞ。
○中島委員 東京都の中島です。中等度の変更事項につきまして、一定期間内に迅速に承認するとありますけれども、もし都道府県のGNP調査にも影響が出る場合には、各県の体制状況も考慮して制度化していただきたいと思います。
また製造方法等に係る軽微変更の報告につきましても、もし知事承認も対象に入るということでしたら、事前に調整をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○福井部会長 よろしいでしょうか。そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、同じくアクセス改善に向けた制度の見直しの中で、③日本薬局方に関する対応についてですが、特に14ページの検討の方向性について説明がありました。いかがでしょうか。本間委員、どうぞ。
○本間委員 ありがとうございます。この薬局方の整合性に関しては、このタイトルにありますように、医薬品の供給不足を踏まえたということで、現在は、医薬品の供給が不足している場合に、海外からの原薬を使う場合、日本薬局方との不整合というのがあります。そのために、この14ページに記載されているような検討の方向性というのは、非常にいいアイディアだと思いますし、非常に柔軟性のある対応であると思います。
ただし、最終的には13ページの最後のほうにありますけれども、やはり日米欧の3極で、共通の制度を作っていくことが最終的な目的だと思いますので、かなり専門家の科学的な議論が最終的には重要ではないかと思っていますけれども、緊急対応ということであれば、こういったフレキシブルな対応が重要ではないかと考えています。
○福井部会長 よろしいですか。いかがでしょうか。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。まず、科学的に妥当な理由がある場合ということは当然のことだと考えます。その上で、国際整合性、今お話がありましたけれども、その確保に向けた対応も非常に重要で、前提としては日本薬局方が適切に利用されることだと考えます。以上です。
○福井部会長 ほかには、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、(5)医薬品製造業における許可制度の見直しで、検討の方向性として、17ページについて説明を頂きました。山口委員、どうぞ。
○山口委員 17ページの製造管理者の要件の見直しの所で、これまで結構、この辺については意見の対立があったのではないかと思うのです。やはり、なり手がいないと、今でも供給不安定なところに、製造がまた不安定になるのは困ることではないかと思っています。製造管理者というのは、もちろん薬学知識は必要だと思うのですが、やはり役割からしますと、マネジメント能力やガバナンスといったことが必要であり問われてくるのではないかと思いますので、そういったことは製造経験の中で培われていくものかなと思います。今回、こういった提案が出てきて継続、「引き続き検討を進める」と書いてあるので、事務局にお聞きしたいのですが、薬剤師免許が必要だということで、なり手がいないので薬剤師免許のある人を管理者として引っ張ってくると。こういったことによって、過去にマイナスのことが起きているのではないかと思うのですが、どういった問題点が起きているのかを明確にお聞かせいただくことで、今後の引き続きの私たちが考える糧にしたいと思うのですが、何かそういったことを教えていただけますでしょうか。
○中井医薬品審査管理課長 御指摘ありがとうございました。現時点で、無理矢理に薬剤師を引っ張ってきてということが実際にどれぐらいあるのかは、私も把握しておりません。ただ、ちょっと今は記憶が定かではないのですが、研究班の報告で、かなり逼迫しているというデータがあったということです。それについて何らかの問題があったかどうかということについてまでは把握しておりません。
○山口委員 でも、逼迫しているという現状は明らかにあるということですよね。ということは、何らかの対策を講じていかないといけないということだと思いますので、また引き続き議論できればと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。川上委員、どうぞ。
○川上委員 Webから失礼いたします。同じ17ページの製造管理者の要件の見直しについてです。総責の現行の規定と同様にしてはどうかという事務局の御提案だと理解しました。総責の現行の規定を作ったときに、どういう議論とか、対応が取られたかを考えると、具体的には、令和3年2月24日の安全対策課長の通知で、「総責として薬剤師以外の技術者を置く場合の取扱い等について」が発出されています。その中においては、例えば改正の趣旨として、この制度部会の取りまとめとして、医薬品製造販売などの許可等業者による法令違反を防ぐため、法令遵守、そのための体制整備の必要な措置、必要な能力、経験を有する責任者、管理者等の選任等の義務を明確化すべきとされたと。それと併せて、総責の責務を果たすことが可能な薬剤師が確保できない場合に限り例外規定を設けると、議論されてきた経緯があります。さらに、製造販売業者の遵守事項として、薬剤師以外の技術者を置く場合の措置を適切に実施することとして、総責の補佐薬剤師を置くこと。それから、候補者の育成計画として、キャリアパスの確立、総責が参加する会議への同席、それから品質管理、それから製造販売後安全管理に関する研修等の作成実施ということがやはり書かれていたと思います。
前回の法改正で、総責の規定をこのように変えた後、実際に医薬品の製造販売業者において、品質とか製造のことを含めて、きちんとした医薬品の提供体制が取られてきたかどうか。その中で、やむを得ず薬剤師以外の方を置いた場合の体制とか、実際はどうだったのかということが十分に検証されているか、その実態はどうかということを、まず厚労省の側として把握できているのかどうかをお尋ねしたいのです。それで問題がないというのであれば、今回の提案の方向性のスタート点に立てると思うのですが、前回の振り返りがないことには、この要件の見直しが提示されても、これが果たして良いのかどうかは判断がしにくいです。さらに、「具体的な要件は製薬業界の現状を把握することを含め引き続き検討」とありますが、今後に現状を把握していては駄目で、既に把握していなければいけないと思うのですけれども、この辺りについてもお尋ねしたいと思います。以上です。
○福井部会長 いかがでしょうか。
○野村医薬安全対策課長 医薬安全対策課です。先生が御指摘の例外規定ですが、今のところ手元にそういった実態の結果は持っておりませんので、産業界の御協力を頂きながら、早急に実態を把握した上で、また適宜御報告をさせていただきたいと思います。
○川上委員 分かりました。ありがとうございます。やはり、それがないと、この議論がなかなか集約しないように思うので、是非そういったデータや実態を拝見したいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。森委員、どうぞ。
○森委員 私も川上委員同様、令和3年2月24日付医薬安全対策課長通知の発出後、どうなったかということをきちんと把握をしてから次の議論に進めるべきと考えます。以上です。
○福井部会長 茂松委員、どうぞ。
○茂松委員 この問題は、数年前からずっと出てきている問題ではないかと思うのです。製薬業界にお尋ねしたいのですが、こういう問題があると分かってきている中で、薬剤師さんのリクルートとか、十分に職責を果たせるような薬剤師さんの養成、そういうことにどのように取り組んでこられたのかということと、また、社内での薬剤師さんの異動についての検討の有無などをお聞きしたいと思います。
○中濱委員 御質問いただきましてありがとうございます。製薬会社としても、業界としましても、薬剤師が必須のポジションであることをきちんと把握して、育てることに取り組んできておりますが、実態としては、会社によって、薬剤師がきちんと配置できていないという実態があるのは現状です。まず、先ほどお話があった総責に関してですが、除外規定後も、基本的には薬剤師であることが最善で、例外規定を利用している企業は多くはないと把握しています。具体的な数字に関しては、後ほど当局としっかり資料を作らせていただきたいと思いますが、予期しない退職等があった場合には、例外規定を利用している会社は幾つかありまして、後継の育成にも取り組んでいると認識しております。
一方、製造管理者に関しては、正直申し上げますと、製薬会社そのものに対して、特に工場への薬剤師資格を持っている方の応募は非常に厳しい状況です。私どもでも、大学等で製薬会社についての説明等を行ってリクルートにも努力はしているのですが、それが実態になかなか追い付かない状況です。特に薬剤師資格を持っている方は、より臨床に近い現場で働きたい方が多いという傾向がありまして、工場での勤務を希望される方は少ない状況です。
加えて、製造管理者というのは、製造所の構造管理、あるいは製造工程に従ってきちんと製品が造れたか、それから、製造所に勤めている従業員の教育、そして法令遵守という幅広い責任があります。そういった教育には、10年、15年という期間が掛かるのが現状です。そういった意味では、もちろん求められている中で薬剤師をきちんと育てていかなければならないのは製薬会社の義務と思っておりますので、本当にここが追い付いていない状況は大変申し訳ないとは思っております。一方で、品質問題、安定供給の問題が起きている中で、薬剤師というだけで実務経験がない方が製造管理者に任命されているという現状を踏まえますと、どうしてものときは、例外規定を作っていただけると、それはガバナンスを緩めるというのではなく、むしろ製薬会社としてきちんと適切な者を任命してしっかりと責任を果たしていきたいという意思でもありまして、そういった意味でも検討いただければと思っております。以上でございます。
○茂松委員 「本来は薬剤師さんに」というのは、原則、薬剤師さんにしてもらうべきということが基本だと思うのですが、やはりそういう取組は、もう何年も前からあるわけです。
○中濱委員 はい。
○茂松委員 そういう取組をしっかりやって、薬剤師が期待される職場にしていくこととか、興味を持ってもらうことをやっていかないと、いつまでたっても改善されないことになってしまって、もう薬剤師さんは必要ないよなんていうことになると思うのです。ですから、しっかりと業界としても取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○中濱委員 かしこまりました。どうもありがとうございます。
○福井部会長 ありがとうございます。このテーマの議論になると、必ず長い時間を取ってなかなか結論が出ません。現状についてのデータをもう少し分かりやすく説明していただけないかと思います。重要な仕事ですので、インセンティブを付けるといった、何か現実的なやり方も考えていただければと思います。また議論を続けていただければ。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 事務方にお調べいただけるのであれば、1点お願いがございます。薬剤師の教育は6年制になって大分変わってきているものと承知しています。以前は、薬学を学んだ方は、ほぼ確実に薬剤師資格を取られたのだろうと思いますが、教育の仕組みが変わってからは、必ずしも皆さん資格を取られないのではないかと思います。その辺がよく分からないのですが、そうすると例えば、薬学を学んで研究をやりたい方は、むしろ資格を取らず、現場で臨床に携わりたい方は資格を取ってというような形になっているとすると、なかなかメーカーさんが人を取りにくいというのも理解できるところです。今、申し上げたのは、推測なので、もしもそういうことが本当に起きているのだとすれば、薬剤師の縛りを掛ければ将来の安定性が見込めないことになりますので、データがあるようでしたらお示しいただけると有り難いです。以上です。よろしくお願いします。
○福井部会長 ありがとうございます。三澤委員、どうぞ。
○三澤委員 今の佐藤委員の御質問、事務局で調べていただいたらいいのですが、基本的なところだけ、私は薬学部の大学教員ですのでお答えさせていただきます。薬学部には、6年制の「薬学科」と、あと4年制のほうは、我々の所は「薬科学科」と言いますが、2つの学科があります。4年制のほうは薬剤師の免許は取れません。数は全国的にはかなり少ない数です。圧倒的に6年制の薬学部薬学科の学生さんが多いのですが、その人たちは、基本的には、もうほぼ全員が薬剤師の免許を取ろうとします。ただ、国家試験で合格しない場合も出てきますので、一般的に言いますと、6年制の薬学部で、現役の6年制の学生さんたちが試験を受けて大体85%ぐらいが試験に受かるという状況です。その学生さんたちの就職状況は、基本的には病院とか薬局の薬剤師さんになるというイメージかと思いますが、大学によってそれぞれ違います。ちなみに私の所、慶應大学の薬学部に関しては、ほぼ半分の学生さんは薬剤師の免許を使わない仕事に就こうとします。それは製薬会社であったり、飲料、食品の会社であったり化学の会社であったりと、いわゆる製造業の会社に入ることが多いです。製薬会社も、たくさんの人が応募して就職活動をしていくのですが、最近の傾向としては、なかなか薬剤師さんを余り取っていただけないという実態があるところを我々は危惧をしていまして、中濱委員がおっしゃるようなことがあるのならば、薬学部の薬剤師をもっと採用するように、会社としても方針を改めていただきたいというのが私の正直なところです。卵なのか鶏なのかみたいな議論になりますが、「人がいない、いない」とおっしゃっているのは、それはちょっと採用している人が少ないのではないかというのが私の考えです。
○福井部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。それでは事務局、少しこの点についての議論を続ける機会を是非、お願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
○中濱委員 すみません。
○福井部会長 中濱委員、どうぞ。
○中濱委員 いろいろ御指摘いただき、ありがとうございました。今日の頂いた意見を踏まえ、議論に資するような資料を、当局と協力して産業界としても準備させていただければと思っております。
○福井部会長 是非、よろしくお願いします。ちなみに、病院の立場から言いますと、病院に勤めてくれる薬剤師さんが少なくて、薬局や病院外で働く薬剤師さんが多くて、雇用が非常に難しくなっています。すみません、愚痴です。
それでは、次のテーマに移りたいと思います。(6)省令等の改正により対応可能な製薬業界からの要望への検討事項で、19ページについて説明をしていただきましたが、申請手続の合理化です。これについてはよろしいですか。中島委員、どうぞ。
○中島委員 東京都の中島です。一番上の枠の申請手続の合理化の2つ目のポツの所で、医薬品の製造業等の許可申請書に管理者の居住地の記載を不要にするとありますが、ここは、許可等、あとは監視業務にも支障が生じますので、記載は必要と考えております。
製造業や販売業の管理者は、その製造や営業所を適切に管理することが求められておりまして、必要なときにすぐに現地に行けるのかどうか、居住地も含めて我々は判断をしております。また、製造販売業では、「総責がその業務を行う事務所」で許可を取得することとなっておりますので、実際にその事務所で業務を行うことができるのかといった観点で総責の居住地についても確認をしております。そのため、管理者の居住地については、従来どおり申請書に記載していただきたいと考えております。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。
○中井医薬品審査管理課長 これについては、まだ業界から御要望を頂いた段階ですので、これから詳細を詰めさせていただきたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。次に、(7)再生医療等製品の特性を踏まえた治療アクセスの改善についてです。主な意見として、20ページの下の所と、21ページの検討の方向性についての説明を頂きました。山口委員、どうぞ。
○山口委員 21ページの検討の方向性の1つ目のポツですが、一定の要件を満たす場合に限り、販売・授与等を許容することとしてはどうかと書いてあります。これは、ヒアリングのときに、今は授与しかないと、販売はしていないということだったと思うのですが、もしこれ販売を認めることになれば、一定の要件というのはどういったことを指すのか。ここに書いてある以上は、一定の要件ということが明確になっているのかなと思ったのですが、その辺りはいかがなのでしょうか。
○高江医療機器審査管理課長 医療機器審査管理課長です。今、山口委員の御指摘の部分については、そこまで、まだ販売とその授与の条件を分けるかどうかという詳細までは決まっていないのが状況です。
ただ、現時点では「授与等」なのですが、今回、御提案に当たって、わざわざ販売を抜いた形で、「授与のみ」という形で御提案したほうがいいのか、「販売・授与」は、薬機法上、大体セットで動いているものですので、どちらがいいのかというところの判断をして、今回、「販売・授与等」という形での提案にさせていただいております。具体的に販売の例があるということで書いているものではございません。
○山口委員 ヒアリングのときのお話を伺っていると、良心的に、やはり患者さんにマイナスになってはいけないということで授与されているというお話だったので、ここで販売ということが出てくると、何かちょっと違う段階に行くところがあったらどうなのかなと思いましたので、その辺りの懸念はないのかなと、少し危惧して質問をしました。
○高江医療機器審査管理課長 今のところ、現実に販売を念頭に何か、検討しているというものではないです。
法的に、販売と授与は、薬機法上、一体的に文言として書かれていますので、そういった意味で、先ほど申し上げましたとおり、併せて出しているということです。
○福井部会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。中濱委員、どうぞ。
○中濱委員 すみません、前のスライドに戻ってしまって大変申し訳ないのですが、スライドの19ページでコメントさせていただければと思います。医薬品業界からの要望を取り上げていただき、個々の課題の解決の道筋もお示しいただいておりますこと、どうもありがとうございます。このほか、法律レベルの改正には至りませんが、ドラッグロスや供給不足などの医薬品等へのアクセスの課題解決に関して、3点ほど御提案を申し上げたいと思います。
まず1点目は、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する、いわゆるGCP省令についてです。現在、ICHのE6で医薬品の臨床試験実施基準(ガイドライン)が議論されているところと存じます。このガイドラインは、国内実装時に、リスクプロポーショナルアプローチなど、新しい考え方を積極的に導入するなど、国際調和を意識したGCPイノベーションを是非、お願いします。
2点目は、今回、国際整合性及び安定供給への取組を鑑み、制度の拡充を図る区分適合性調査については、調査に要する標準的処理期間についても、GMP適合性調査に要する期間との整合性を御検討いただきたいと存じます。併せて、基準確認証の新規、一変承認申請時の利活用の検討も、やはり検討していただきたいと存じます。また、GMP適合性調査結果について、外国製造業者に対しても調査結果を正確に理解いただく、理解を促すよう、日本語だけでなく、英語の併記も検討していただきたいと思います。
最後に、グローバルなサプライチェーンの中で重要な役割を担う欧州連合、EUと締結されているGMPに関する相互承認規定「MRA」についても、血漿分画製剤等の、現在対象となっていない医薬品への拡充等についても御検討いただきたくお願い申し上げます。以上です。
○福井部会長 ちょっと項目が多いのですが、配慮していただくということでよろしいでしょうか。
○中井医薬品審査管理課長 いずれにせよ、検討させていただきたいと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。先ほどの再生医療等製品のところも含めて、全体像として、また何か、思い付いた点なり、よろしいですか。三澤委員、どうぞ。
○三澤委員 7ページの薬事承認制度の比較で、条件付き承認の改正について、私は大変すばらしいというか、賛成です。提案のとおりでいいと思います。
ただ、ちょっとお伺いしたいのは、「追加データの内容によっては承認を取り消すことができるもの」とするところです。これを付けることで、条件付き承認を今後していくということだと思うのですが、承認の取消しというのは、どこが、どのように判断をするのか。また、承認が取り消された場合は、もう既に承認された医薬品として一定期間使った後だと思いますが、撤退するときの手続、実際に患者さんに薬が使われている状況で、これが承認の取消しになったときに、どのような手続で、どのようなことになっていくのかというイメージが、まだ余り、私としては持てないので、ちょっとその辺を教えていただきたいと思います。これからの議論なので検討していくということでしょうか。いずれにしても制度を変えようとするわけですから、ある程度、その方向性がないといけないと思いますので教えていただきたいと思います。
○中井医薬品審査管理課長 ありがとうございます。これについては、例えば再生医療製品であれば、期限、条件付き承認制度というのもありますし、いろいろな制度があります。それと一緒かどうか、まだ分かりませんが、いずれにせよ、承認を取り消すということになるのであれば、何らかの議論を行った上で、PMDAの審査も踏まえた上で、審議会で議論するのかを含めて、今後検討することになると思っております。
○福井部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、議題2に入りたいと思います。(国民からの信頼性確保に向けた対外診断用医薬品・医療機器の規制の見直し)についてです。事務局から説明をお願いします。
○高江医療機器審査管理課長 医療機器審査管理課長です。資料2、テーマ③について御説明申し上げます。2ページ、今までの背景・課題と御議論いただきたい事項として、これより(1)から(4)について御説明いたします。
まず、(1)体外診断用医薬品の特性を踏まえた制度の見直しです。こちらは制度改正の検討の方向性です。4ページを御覧ください。全部で4点挙げております。1つ目は、新型コロナのように変異の多いウイルス等を検出する体診につきまして、市販後の性能担保に必要となる措置が可能となるよう製販業者による情報収集・評価・報告といった規定を設けるとともに、市販後の性能が担保されない場合には承認を取り消すという、医薬品の再評価と同様の制度を導入してはどうかと考えております。2つ目は、臨床検体を用いた性能試験におけるデータにつきまして、更なる信頼性を確保するということで、現在は基準が明確に定められておりませんが、これを定めてはどうかということです。3つ目としては、国際整合の観点も踏まえ、医薬品ですので、現状は副作用報告制度になっておりますが、医療機器と同様の不具合報告制度へ移行することとしてはどうかということです。4つ目として、製造販売承認前試験ですが、現在はPMDAで個別に審査が行われており、その中で製造管理や品質管理もきちんと担保されているということから、この承認前試験を不要としてはどうかという提案です。
続きまして、(2)医療機器の登録認証業務の撤退時のルールの整備など、登録認証制度の安定的な運用に向けた制度の見直しです。これまで御議論いただきました背景等から、6ページの一番下ですが、「検討の方向性として、登録認証機関の調査能力の維持向上及び均一化を図るという目的で、登録認証機関が行う実地調査へのPMDAの同行(立会検査)を、法律上明確化してはどうかと考えております。また、2つ目として、登録認証制度の安定的な運用及び医療機器の供給の継続という観点から、登録認証機関が休廃止時における届出の期限や、また第三者への事業承継時における登録認証機関の地位の承継その他必要な規定について、法令上明確化してはどうかと考えております。
続きまして、(3)SaMD等の実用化促進に向けた運用面の改善です。9ページの一番下に、検討の方向性(案)を2つ記載しております。現在、SaMDの実用化促進策として通知に基づき、「プログラム医療機器(SaMD)に係る優先的な審査等の試行的実施」としておりますが、これにつきまして、SaMDと同様の機能を有する医療機器(SiMD)についても、引き続き、今回は試行的運用を継続するということとして、法制化についてはこれらの運用の成果も踏まえて、改めて検討するということでどうかと考えております。
2つ目ですが、クラスⅡに分類されるSaMDについては臨床試験や臨床性能評価を要さない等、一定の要件を満たす場合には、審査期間の短縮が可能となるような審査の手続の迅速化を図ってはどうかと考えております。
最後の4つ目です。12ページ、(4)製造管理者要件等の見直しです。こちらは体外診断用医薬品についてです。14ページを御覧ください。こちらの検討の方向性は2つあります。1つ目の生物由来製品の保管のみを行う製造所における製造管理者の要件は、体診だけではなく医療機器ですが、こちらは合理的な規制の観点から、保管のみを行う生物由来製品の製造所における製造管理者要件につきまして、従前は医師と細菌学的知識を有する者になっておりましたが、それに加えて、大学等で化学、生物学、農学、獣医学、薬学、医学、歯学等に関する専門課程を修了した者を追加することとしてはどうかと考えております。
2つ目の体外用診断用医薬品に係る総括製造販売責任者及び製造管理者の要件です。体外診断用医薬品の定義の見直しにつきましては、体外診断用医薬品は薬機法上医薬品として定義されているものの、体外診断用医薬品の製造販売業及び製造業につきましては、その特性及び従前の規制措置の状況等を踏まえ、平成25年の法改正において医薬品と分けて医療機器と同じ章において規定されているところです。製造販売業と製造業は異なり、医薬品として販売業の規制が行われているという実態がありますので、引き続き、この定義の見直し自体は検討を進めることとしてはどうかとしております。また、この総括製造販売責任者と製造管理者の要件ですが、人の身体に直接使用されないといった品目の特性や製造販売及び製造管理に必要な基礎知識を考慮することも必要ではないかという意見も踏まえ、薬剤師を置くことか著しく困難であると認められる場合には、従来の薬剤師に加え、時限的に、大学で化学、生物学、農学、獣医学、薬学、医学、歯学等に関する専門課程を修了した者をもって行わせることを追加してはどうかということを考えております。
それぞれの共通ですが、一番下の所です。保管のみを扱う生物由来製品に係る製造管理者、体診の総責と製造管理者のいずれにおきましても、その具体的な要件については、引き続き検討を進めさせていただくことを考えております。資料2の説明は以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、こちらにつきましても順番に御意見を伺えればと思います。2ページの下半分に説明された4つの項目がリストアップされております。まず、市販後の継続的な性能確保や不具合報告制度の構築など、体外診断用医薬品の特性を踏まえた制度の見直しについてです。主として、4ページの説明をしていただきましたが、この点につきまして、何か御意見、御質問はいかがでしょうか。よろしいですか。久芳委員、どうぞ。
○久芳委員 ありがとうございます。こちらについては、体外診断用医薬品の特性を踏まえて、例えば医療機器と同様に不具合報告制度に移行しようといった点など、国際整合の観点からも検討して提案していただいていると理解しておりますので、産業界の立場でも、これらの提案について賛同するものです。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいですか。4ページ、4つの項目が挙げられていますが、1つ1つ御意見は伺えませんが、全体として何か、ほかに御意見はございましたらお願いします。よろしいですか。
それでは、2番目の医療機器の登録認証業務の撤退時のルールの整備など、登録認証制度の安定的な運用に向けた制度の見直しについてです。6ページの特に検討の方向性としましては、2つの項目についての説明がありました。いかがでしょうか。登録認証機関が行う実地調査へのPMDAの同行を法令上明確化してはどうかという項目も入っています。いかがでしょうか。よろしいですか。久芳委員、どうぞ。
○久芳委員 この2つの項目、いずれも賛同するものです。上のPMDAの立会いについて、目的も合わせて明確にしていただく方向ということで、ありがとうございます。実際に、運用に移るに当たってはその目的に合った内容になるように、引き続き御指導いただければ有り難いと思っております。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかには、いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、9ページの(3)SaMD等の実用化促進に向けた運用面の改善、背景・課題の所、検討の方向性についての御説明がありました。いかがでしょうか。改めて検討するというのが、最後の文書になっております。この方向で検討していただくということで、よろしいでしょうか。久芳委員、どうぞ。
○久芳委員 ありがとうございます。確認ですが、まず、上のSaMDの優先的な審査の話ですが、これについて、SaMDと同様の機能を有する医療機器も対象にすると示していただいていますが、言葉として、SaMDと同様の機能を有する医療機器というのは少し分かりにくいという印象を持っております。先ほどの御説明からも、今、指定要件を示して試行的に運用している制度の、その指定要件に合致するものについては、SaMDではない医療機器も採用の対象にするという内容だと理解しましたので、その「SaMDではなくても」というところが分かるように、読めるようにしていただけると有り難いと感じました。それが1点です。
それから、その下の項目については、これもSaMDについてということで審査期間の短縮も検討していただけるということを示していただいておりますが、同じように、一定の要件を満たす場合には、SaMD以外についても期間の短縮が可能というケースもあるのだろうと思いますので、そういったところも併せて検討していただけると有り難いと思います。以上です。
○福井部会長 事務局、よろしいですか。
○高江医療機器審査管理課長 医療機器審査管理課長です。御指摘ありがとうございます。今回、この形に検討の方向性をしたのは、今までの御意見の中で、Software as a Medical Deviceだけではなく、Software in a Medical Device、従来型のそのものについては、同様の機能を有するにあっても、その制度が掛からないというのはどうなのかという御指摘を踏まえて、こういう形にしているところです。いわゆる、SiMD以外の全ての医療機器に、これを一遍に広げられるかどうかは、そこは議論があるところかと思います。その2つ目のポツに関しましても、当然SiMDも、ここは視野に入れようと思いますが、一定の要件を満たして審査を迅速化するというのは、今までも医療機器を業界の皆様方との協働計画の中でやっておりますので、そういった場を通じて、引き続き一緒に検討をさせていただければと思っております。
○福井部会長 よろしくお願いします。ほかには、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、検討の4つ目の製造管理者要件等の見直しです。主として、14ページの検討の方向性について説明していただきました。いかがでしょうか。何か御意見、御質問があればお願いします。村島委員、オンラインでどうぞ。
○村島委員 村島です。今後、拡大していく「専門課程を修了した者等」の所ですが、これは体外検査薬ですので、臨床検査技師が、一番親和性の高い存在なのかなと思います。臨床検査技師となると、この医学、歯学等に関する専門課程を修了した者という中に入るのでしょうか。
○福井部会長 いかがでしょうか。
○高江医療機器審査管理課長 医学、歯学「等」に入ると理解しております。
○村島委員 分かりました。臨床検査技師の学問としての歴史は浅いので、昔は薬剤師さんがということだったとは思うのですが、最近は臨床検査分野にも新しい人材が育っていると思いますので、質問いたしました。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかには、いかがでしょうか。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。14ページの体外診断用医薬品に係る総括製造販売責任者及び製造管理者要件の所ですが、検討の方向性に、定義の見直しについて入れていただきありがとうございました。引き続き、検討を進めることとしていただきたいと思っております。その次に関しては、先ほどの議論にもありましたが、現状を踏まえて調査した上で検討していただくということで、お願いしたいと思います。以上です。
○福井部会長 はい。その方向でお願いいたします。ほかには、いかがでしょうか。川上委員、どうぞ。
○川上委員 ありがとうございます。川上です。森先生が今お話されたところと同じですが、まず1つ目の定義の見直しについても関係するのですが、次の所にも人の身体に直接使用されないといった品目の特性の記載があります。一方で、薬機法上の医薬品の定義は「疾病の診断、治療、予防に用いるもの」なので、人の身体に直接使用しなくても、それは疾病には大きな影響を与えるものですので、定義が変わったとしても、医薬品で行われていたのと同じように、きちんとした管理がされていってほしいと思います。
それと、下の総責や製造責任者の要件については先ほども議論がありましたが、その内容も見て、こちらも併せて議論していっていただけるとよろしいかと思った次第です。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。久芳委員、どうぞ。
○久芳委員 ありがとうございます。産業界の立場でも、定義の見直しを論点として明確に示していただいたということで、引き続き我々の意見もお伝えしていきたいと考えております。
それから、同じく管理者要件の見直しについても、引き続き具体的な要件を検討していくといったことを示していただいておりますので、これについても、我々からも是非意見をお伝えしたいと考えております。よろしくお願いいたします。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、次の議題3、4に入りたいと思います。議題3と議題4は、まとめて事務局から説明をお願いいたします。
○大原薬事企画官 医薬局総務課でございます。まず、資料3です。議題3ですが、テーマ④です。本日は、テーマ④(少子高齢化やデジタル化の進展等に対応した薬局・医薬品販売制度の見直し)の中の(薬局の機能等)という所と、(調剤業務の一部外部委託)について、お話させていただければと思っております。資料の2ページです。こちらは初出ですので細かめに説明させていただきます。薬局薬剤師については、平成27年に厚生労働省で作成した「患者のための薬局ビジョン」において、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の推進、対物業務中心の業務から対人中心の業務へのシフトを図って、医療機関等との地域連携等の実現を目指しているところです。これに際して、患者さんが自身に適した薬局を主体的に選択できるように、現状、健康サポート薬局の届出制度、それから認定薬局、いわゆる地域連携薬局、専門医療機関連携薬局ですが、この認定薬局制度において、一定の機能を有する薬局について表示又は名称を使用できる制度が導入されています。
しかしながら、特に健康サポート薬局、地域連携薬局については、在宅対応を含むかかりつけ薬剤師・薬局としての機能を持つことを要件としているなど、共通している部分もありますので、地域の中での位置付けや違いが分かりにくく、利用者にとってのメリットが不明確であって、十分に活用されていないといった指摘もあります。
こうした状況を踏まえて、健康サポート薬局、認定薬局について、患者さん等が利用する薬局、それから医療関係者が連携する薬局を選定する際に有用な制度となるように、その機能や地域における役割・位置付けを「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」において、改めて整理・明確化するための議論を行いました。このとりまとめを、令和6年9月末に行いましたので、そちらの状況も含めて本日、報告させていただきたいと思っています。
3ページは、検討会のまとめの概要です。検討会においては、先ほど申し上げたとおり、地域における薬局の役割・機能というところが議論されました。上半分の背景については同じですので、省略させていただきます。下段部分ですが、薬局が地域での医療資源を有効に活用する観点から、薬局間の連携等によって地域・拠点で必要な機能を確保していくことが必要であるとされ、薬局に必要な機能について、個々の薬局に必要なもの、本来は個々の薬局で持っていることが望ましいものの、少なくとも薬局間の連携等によって地域・拠点で確保すべきものといったところが整理されたところです。
その上で、それぞれの認定薬局等が持つべき議論というのが整理されました。4ページです。まず、地域連携薬局の役割・機能ですが、地域連携薬局については、これまでも他機関との連携の下でかかりつけ機能を発揮していただいて、在宅対応等に取り組むこととなっているところです。地域において果たす機能に着目すると、地域連携薬局については、在宅対応などに対応できる機能を持つ薬局として位置付けて、具体的には、個々の薬局に必要な機能に加えて、ここに記載してあるように、在宅対応の実施に加えて、地域の薬局が対応できない場合に、それらの薬局と連携して対応すること、また、医療用麻薬調剤の対応、ターミナルケアを受ける患者の対応や無菌製剤処理、医療機関等との情報共有といった役割を果たすというところが整理されました。
これらの機能のうち、ターミナルケアを受ける患者さんへの対応や無菌製剤処理については、全ての地域連携薬局に必須とする機能ではないものの、地域の実状等を踏まえて必要な体制を確保することが重要とされています。地域連携薬局がこれらの機能を担って、地域で求められる役割を果たすことができるように、この制度についても見直すことが必要という検討会でのとりまとめがなされています。
5ページは、健康サポート薬局についてです。上段ですが、健康サポート薬局は、個々の薬局に必要な機能を前提として、地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援する機能を有する薬局で、地域包括ケアシステムの中で、多職種と連携して、地域住民の健康の維持・増進に関する課題を発掘し、関係機関等と連携しながら創意工夫して当該課題の解決に導くといった地域住民の相談役の一つとしての役割を果たすことが期待されています。
健康サポート薬局についても、必要な役割・機能を明確化して、その上で利用するメリットについての周知が必要であるとされています。
下段ですが、その対応として、機能の明確化に当たって明示が必要なこととして、現状も含めてですけれども、処方箋のない方も含めて、地域住民の健康の保持増進に関する相談を幅広く受け入れて、自治体等と連携しながら必要な機関につなげられる機能が必要となるということで、相談には薬局だけで解決できないものも含まれると考えられますので、地域の自治体を含む関係者と連携しながら、こういった適切な機関につないでいくことが求められるというところです。
健康サポート薬局が求められる役割を果たすために実施すべき対応として、下に書かせていただいていますが、「健康・介護相談対応等」ということで、地域の行政、各団体、機関等と連携して対応すること、それから「地域住民向けの健康サポートの取組の実施」については、積極的に地域の行政や薬局、関係機関と連携するというところを改めて整理いたしました。
その際、健康サポート薬局が提供するサービスについては、その質や安全の確保に努めるべきであり、現行の健康サポート薬局の制度が届出制度であるということもあって、健康サポート機能、健康サポートに関する取組の質を継続的に確保するための仕組みとして認定制度などを法令に規定することが必要であるというところでまとめられています。
また、厚生労働省や都道府県等の行政機関は、健康サポート薬局の役割・機能を明示して、住民、関係機関、関係団体等に周知・広報を図ることが必要ということです。また、健康サポート薬局自ら、及び地域の薬剤師会等と連携を取りながら、積極的に情報を発信していくべきとされているところです。まとめると、健康サポート薬局について、地域住民が必要な機能を有する薬局を主体的に選択できるように、名称独占について法令上明確にすることが必要であるということも言われています。
6ページです。これらのとりまとめを踏まえての制度の見直しですが、今回、見合う機能に着目して、地域連携薬局の位置付けが整理されたところですので、それを反映するための所要の規定の見直しを行いたいというのが1つ目です。2つ目ですが、健康サポート薬局については、取組の質を継続的に確保するため、現状の届出制度を認定制度という形で導入するということ、加えて、健康サポート薬局を法令に規定して、名称独占とすることで、地域住民が必要な機能を有する薬局を主体的に選択できるということが期待されているところです。(1)については以上で、7ページ以降に参考資料を付けていますが、説明は省略させていただきます。
11ページの(2)調剤業務の一部外部委託の制度化について説明いたします。背景・課題については、以前も説明しておりますが、改めて説明いたします。薬局薬剤師の業務は処方箋への対応が中心ですが、処方箋受付時以外の対人業務、セルフケア・セルフメディケーションの支援といった健康サポート業務の充実が求められています。限られた医療資源・時間の中で、薬局薬剤師の対人業務を充実させるために、医療安全が確保されることを前提として、対物業務を効率化して対人業務に注力できる環境の整備が必要ということで、調剤業務の一部外部委託の制度化を挙げさせていただいております。
下の主な意見ですが、前回の議論において、1つ目として、一部外部委託の意義について、各種御意見を頂いたところです。こちらについては、各薬局において調剤に係る基本的な体制を整えておく必要があることは、変わりはありません。その上で、例えば、施設対応のように大量の一包化が依頼されたケースも含めて、地域において、より高度な機能を有する機器を有している近隣薬局と連携したほうが、精度高くかつ効率的に実施できて、その分の時間を服薬指導に割いていただくことも想定されていますので、地域において薬局間で連携するための手段の一つとして、こういった制度の整備をしておくことも重要であると考えています。また、一包化の外部委託を実施する際においては、安全性の担保、検証、業務を誤ったときの責任をはっきりしていただきたいという御意見を頂いています。
12ページです。こうした御意見を踏まえて、検討の方向性を記載しております。「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループとりまとめ」は13ページにありますが、このとりまとめを踏まえて、調剤業務の一部外部委託は、対物業務の効率化の手段の一つとして実施可能とすることとして、委託対象となる業務(一包化)や委託先について、このとりまとめを踏まえたものとして、法令上の対応をすることとしてはどうかというのが1つ目です。
その際、患者の安全確保のため、受託側の薬局及び委託側の薬局において必要な基準等を設定することとしてはどうかというのが2つ目です。3つ目ですが、調剤業務の一部外部委託を実施する場合において、受託側の薬局、委託側の薬局の開設者及び管理者、管理薬剤師に係る義務や責任を法令で規定するとともに、法令上の薬剤師の義務について、受委託を実施する場合の対応を整備することとしてはどうかという方向性を挙げています。(2)については以上です。
引き続き、議題の4関係の資料4「その他の項目について」も説明いたします。資料4の2ページを御覧ください。薬局機能情報提供制度についてです。中身については、以前、御説明したとおりですが、薬局開設の許可権者は、都道府県知事と保健所設置市市長等に分かれているというところがあります。一方で、薬局機能情報提供制度の報告先が、都道府県知事となっていますので、ここを許可権者に合わせてはどうかという話です。それから、医療機能情報提供制度と同様に、報告された内容を厚生労働大臣に報告する等の仕組みを入れてはどうかというのが2つ目です。
主な意見としては、薬局機能情報提供制度の報告先がどこになろうとも、地域住民や患者、行政等もこれまでどおり情報を使えることが重要ということで、県によっては薬局機能情報提供制度で定められている項目以外の独自項目を収集していることがあったり、許可権者が保健所設置市になった場合にも、都道府県と情報が共有されることが重要であるといった意見を頂いたところです。
また、2ポツ目ですが、報告先に合わせて公表の主体を薬局の許可権者にすることで、住民への公表を、より迅速に実施することが可能になるというところですけれども、一方で、区や市で新たな業務を担うことになるので、準備期間を設けていただきたいということです。それから、報告先公表主体が市・区となる場合に、知事のほかに市長・区長を加える必要があるといった御意見を頂いています。
これらを踏まえて、3ページの検討の方向性ですが、1つ目として薬局開設者による報告先は、許可権者と同一にしてはどうかというところです。都道府県等からの報告については、下に書かせていただいていますように、赤字で書いてあるような報告と助言の仕組みを設けてはどうかと考えています。頂いた御意見を踏まえて、保健所設置市市長・特別区区長から都道府県知事への矢印も入れさせていただいています。非常に複雑なルートになっているように見えますが、一番下のポツにありますように、医療機関等情報支援システム(G-MIS)により、薬局開設者の報告が閲覧することができるときは、この報告を行ったとみなすという規定を入れることで、ここの煩雑性は解消されると考えています。
関係法令は次ページにありますが、5ページです。次のテーマです。(2)処方箋等の保存期間に関するものです。こちらについては、現在、薬剤師法において、保存期間が3年となっている処方箋及び調剤録の保存期間を、医療機関等の診療録と合わせる形で、5年間保存としてはどうかという提案です。主な意見として、現状や電子化の情報等を踏まえながら、現場にとって過剰な負担が掛からないような対応をしていただきたいというところです。保存期間を延ばすことについては、おおむね好意的な御意見を頂いています。
6ページに検討の方向性を書かせていただいていますが、調剤済み処方箋、調剤録について、保存期間を5年に延長することとしてはどうかと書かせていただいています。一方で、下に経過措置を書かせていただいていますが、準備に過剰な負担が掛からないように経過措置を設けた上で、施行日を設定したいと考えています。事務局からの説明は以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、資料3から御意見、御質問を頂きたいと思います。最初に、薬局の機能等のあり方の見直しについてです。2ページの背景・課題と、3ページの地域における薬局の役割・機能の説明をして頂いて、4ページ、5ページの説明もして頂きました。6ページの検討の方向性がメインになると思いますが、御意見、御質問等を頂ければと思います。山口委員、どうぞ。
○山口委員 山口でございます。特に、健康サポート薬局についてなのですが、健康サポート薬局を作る検討会に、2015年に、森委員と御一緒に関わったのですけれども、公表されてから8年たっているにもかかわらず、健康サポート薬局を知っている人がまだ1割ぐらいということに、少々悲しい思いをしてきました。是非、法令に規定することが必要だということと、健康サポート薬局自らが、どういう薬局なのかということを利用している患者さんあるいは家族の方に伝えるということも、ほとんどそこが抜けていたのではないかと思いますので、6ページにありますように、届出から認定制度にすることによって、一歩進めていかないと何も変わらないのではないかと思っています。
少し事務局に確認したいのですが、今までは届出だったことで、具体的に健康サポート薬局が何をやっているかということの確認がほとんどできていなかったと思うのですけれども、これを認定制度にすることによって何をやっているかということのチェックというか、確認をすることができるようになるのかということです。もし、それができるのであれば、この制度部会で定期的に報告していただくということも可能なのか。変えることによって何が変わってきたのかということを是非、見えるようにしていただきたいのと、そうすることによって、きちんと積極的に言わなければいけないのだと、説明しなければいけないのだというように、健康サポート薬局の姿勢が変わることを期待したいと思いますので、そこをお尋ねしたいと思います。
○福井部会長 いかがでしょうか。
○大原薬事企画官 まず、届出制度から認定制度に変わることで、認定制度になりますと更新という形を取ることになろうかと思います。そういった際に、どういった取組がなされているかという確認はできるようになるかと思います。周知も含めてということで、行政としても、そういったところは把握したいと思っており、制度が変わる前においても対応しようかと思っています。健康サポート薬局については、理想的にはそれぞれの地域で課題を把握した上で、各薬局の創意工夫による取組というのが求められているところですので、実施状況は多種多様であるかと思うのですけれども、厚労省においても、こういった健康サポート薬局を調査することで、取組内容を情報収集や分類して好事例を横展開して、各健康サポート薬局が実施する内容をアピールできる材料をお示しできればと考えているところです。
○山口委員 せっかく作ったものを是非、活用できる形にしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○福井部会長 ありがとうございます。オンラインで伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 御説明ありがとうございます。まず、健康サポート薬局については、私も山口さんと同じで、2015年の「患者のための薬局ビジョン」のときに委員をしており、そのときも、確か何年間もこの議論をしているけれども、全然実態が伴っていないという話をして、更に9年後の今になって同じ話をするというのが大変残念です。
やはり、地域住民にとってのメリットが不明確、認知されていないかつ活用されていないという状況を、見て見ぬふりというか、現状を追認しているというか、そういった状態であることについて、もう少し問題意識を持っていただきたいと思います。
それに対して今後、制度設計を行うのであれば、きちんと質の評価というか、「患者のための薬局ビジョン」のときには、一元的・継続的な把握と、それに基づく薬学的管理という文言を入れたと思いますが、実際に本当に住民にとってメリットがある形で働いてくださっている薬剤師の方をちゃんと評価するというものでなければ意味がないので、健康サポート薬局とそれ以外の薬局の違いは、明確にこういうものがあって、こういう優良マークが付いている所を選べば確実にいいサービスが受けられますということが明確になるような認定にしていただきたいと思います。
ということは、厳正な評価をしていただく工夫が必要で、どの薬局もとにかく認定されるようになるということであれば、マークだけ作って中身が伴わないということになりかねないので、その点は留意いただきたいと思います。
あと、一旦認定すればいいという話ではなくて、定期的に評価をするような仕組みを入れてほしいと。なので、こういう要件を満たせば、「はい、認定」ということではなくて、その条件自体も時代に応じて、それから地域に応じて柔軟に見直していただきたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。オンラインで花井委員、どうぞ。
○花井委員 花井です。ありがとうございます。複数の委員が指摘しているように、健康サポート薬局について国民の認識が広がらないという問題があるということなのですが、1つには、例えば開業医の先生とか病院であれば、国民からしたらお店屋さんとは思っていません。どんなお医者さんがいるかとか、人を見ているというところがあって、薬局は性質上、同じ薬剤師が対応するということもないでしょうけれども、やはり人ではなくて単なる機能というだけでサービスとなると、なかなかこれが難しいというところもあります。
このテーマとは直接関係ないですが、薬局の皆さんにおかれましては、健康サポート薬局でどんな人がどのように皆さんにサービスしているかという、そういうことが見えるようなアピールをしていっていただいて、薬局薬剤師という人が国民に身近な存在になってほしいという願いがありますので、そこに力を入れていいかなと思います。重ねて、失礼な話ですが、やはり薬局はお店屋さん的な認識で、医療機関はちょっと違うと思うのです。そこのところの国民の意識を変えていってほしいという願いがありますので、その辺はお願いしたいと思います。
それから、認定制度なのですが、認定制度になったことによって、これは喜ばしいことではあるのですけれども、では皆、認定してほしくなるかと。つまり、それによってすばらしい薬局となることによって、もちろんお金が儲かるとか、そういうことではなくて、一定程度それによって経営的にも何らかのいいことがあるというところがないと、むしろ認定を受けようとする薬局がいなくなるということを懸念しています。だから、それがどういうビジネスモデル、ビジネスモデルという言い方も余り良くないですが、経営の参考になることによって、どのように安定した経営ができるかということも重ねて訴えていかないと、手を挙げて一生懸命やろうと、汗をかこうという薬局は、ない可能性もありますので、その両方をお願いしたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。先に何か、事務局から、今の伊藤委員、花井委員の御意見についてコメントはございますか。
○大原薬事企画官 各種コメントをありがとうございます。健康サポート薬局ですが、健康サポート機能のみならず、薬局が地域に対して今後どういった形でアピールして活躍していただくかというところは非常に重要かと思いますので、私どもとしても、そういったところについてもサポートしていきたいと思っております。健康サポート薬局に限るところではないのですが、個々の薬局の機能がどういったところがあるかというのを、見える化を図って国民理解を進めていくというところも重要であると思いますので、周知広報活動や薬局機能情報提供制度の活用などを通じて、こういった薬局の機能についての周知、認知度の向上を国としても図っていきたいと考えているところです。ありがとうございました。
○福井部会長 ありがとうございます。森委員、どうぞ。
○森委員 先ほど、事務局から「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」のとりまとめの説明がありました。地域の薬局、認定薬局、健康サポート薬局のそれぞれの機能、在り方の方向性については、検討会のとりまとめに従って対応していくべきだと考えております。また、6ページの検討の方向性(案)に従って対応していくことに関しても異論はありませんが、1つ目の○の地域連携薬局についての※の記載が、とりまとめの内容を抜粋して記載したがために、趣旨が変わって読み取れるような気がいたします。在宅対応を行うのが地域連携薬局と読めてしまう感じがいたしますので、事務局におかれては、とりまとめの内容を十分に反映して、今後の検討を進めていただきたいと思っています。
一方、健康サポート薬局については異論はありません。ただ、認知される、機能が見えるようにすることが非常に重要だと思っています。先ほど、薬局がお店という話だったのですが、薬局は医療提供施設であると同時に、物販業になっているという特徴があって、ある意味では敷居が低くて気軽に相談ができる場所だと思います。そういう意味では、薬局のアクセス、特徴を今後生かしていくことが重要ではないかと思っています。
その上で、今後、検討を進める上での意見ですが、今、2040年に向けて様々な議論が進められています。1つは、人口構造が大きく変化し、それに伴って疾病構造、医療需要が変化すること、特に、地域差ということが大きく問題になってくるのではないかと思っています。新たな地域医療構想の検討が行われていますが、現在でも地域ごとに人口構造であったり医療提供体制、医療需要、薬局の状況等が異なっていて、行政が関与して地域の実態を把握した上で医薬品提供体制を今後整備していくべきではないかと考えております。
以前も発言させていただきましたが、医薬品の提供は、医療と切っても切れないもので、医療計画と整合が必要です。例えば、特に夜間、休日の対応は、医療計画とアンマッチになってしまっては、いくら体制を整備しても非効率になったり、機能が十分に果たせないことがあるのではないかと思います。そのため、2ページの下の主な意見の2つ目のポツにもあるとおり、地域の実情に合わせ、医療計画と整合を取った地域医薬品提供計画の策定が必要で、実効性があるものにするためには法律上の位置付けが不可欠だと考えております。これは、制度改正としても考えていただきたい、盛り込んでいただきたいことです。以上です。
○福井部会長 事務局、お願いいたします。
○大原薬事企画官 コメントありがとうございます。地域でどういった形かという部分については、医療法の中とか、医療計画の中で扱う部分もあります。薬機法でどこまで扱えるかという部分もありますが、基本的には医療の中で扱う部分については、関係部局である医政局とも相談しながら進めていく形になるかと思いますけれども、薬機法に規定できる範囲というところで、なかなか難しい部分もあるということは御承知おきいただければと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 産経新聞の佐藤です。事務局の検討の方向性については賛成しますというか、反対するものではないのですが、地域連携薬局を在宅対応を担う薬局として位置付けることはよいと思います。訪問薬剤が今後、重要な要素になっていくことには異論はありません。
御提案は、いろいろな薬局がそれぞれの機能を果たすという方向性で書かれているのですが、利用者にとっては混乱のあるところではないかと思いました。もともと地域連携薬局というのは、地域の薬局のハブとして機能してもらうのが狙いだったと思います。理想的には、そこに複数の薬剤師さんが在籍して、一般用医薬品も医療用医薬品も扱い、訪問薬剤もやるし、健康サポート薬局の機能も合わせ持つことで医療と介護の双方に目配りすることができて、介護保険の総合事業のような、自立支援もできるというのが私のイメージでした。
現実問題として、そこまで一足飛びにいかないし、理想は理想だけどなかなかそうはいかないので、その過程として、それぞれの薬局にそれぞれの機能を発揮してもらいますということなのかもしれません。利用者さん、患者さんが混乱しないように、そこは連携で乗り切っていくし、3ページの下のほうにある黄色の部分は、行政が関与して、面で整えていきますという趣旨だと思います。ですが、この「連携で」という「連携で」の部分は、具体的にはどのような仕掛けを考えていて、面としての機能を発揮していただけるのかというのをお聞きしたいです。私のイメージでは、もともと連携拠点薬局がハブとなって、全体の面の中心となって、こういうものを面として果たすというイメージだったのですが、そうではないのだったら、では連携をどうやって果たすのかをお示しください。
○大原薬事企画官 コメントありがとうございます。まず、地域連携薬局についてですが、これまでの要件等を含めても、各薬局がほかの機関との連携に軸足を置いた要件という形になっているところであって、実施する形としては、かかりつけ機能を果たして在宅等に取り組むという形になっています。今回、発揮すべき機能に軸足を置いて在宅という話が出ているのですが、それに当たっては当然、他機関との連携が付随してきます。そういった意味では、実質的に地域連携薬局のカバー範囲が大きく変わるものではないという前提は、まず御理解いただければと思います。
今後、理想的にどういった姿を目指していくのか、どういう形になるのかという部分ですが、御指摘いただいたように、全ての機能を有した薬局が地域にあることが理想というのは、御意見としてはあるかと思います。そういったトップレベルの薬局が存在する地域であれば、そういった薬局が活躍して担っていただければという部分はあります。一方で、地域の体制によっては、一薬局で全てを担うことが難しい面というのがあるかと思います。そうした場合には、各地域で、必要な機能を複数の薬局間で分担とか、輪番の中でやっていくことがあり得るという議論で、こういったところについては、地域の医療計画を踏まえて各自治体でも議論していただいて、どういった絵姿にしていくのかというのは、各地域の特色に合わせてやっていただくというのが基本ではあるかと思います。こういった理想的な絵姿については、今後とも関係団体も含めて、いろいろと議論を続けていきたいと考えているところです。不十分かもしれませんが、以上です。
○福井部会長 佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 ありがとうございます。ハブ機能を持つ薬局を作るために、薬剤師さんが、1か所の薬局に集まるというソフトの面でも、薬局の広さなど構造上のハードの面でも、なかなか理想に一足飛びにいかない、難しいだろうというのは理解するところです。後ほど調剤業務の一部外部委託についても、ちょっと似たようなことを申し上げようかと思っていますが、例えば、医療には地域医療連携推進法人のような仕組みがありますけれども、何らかの仕掛けを作らないと連携が機能しないと思いますので、そこをよろしくお願いしたいと思います。以上です。ありがとうございます。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、オンラインで伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 今、少し言及がありましたが、調剤の外部委託の話です。調剤業務の一部を外部委託することを、私としては是非、進めていただきたい立場で申し上げております。
先ほども、効率的にできる所に資源を一元化して、そこを利用する形で、地域の持続性を図るというような厚労省の方からの御説明がありました。まさに、そのような目的のために業務委託があるのだと思います。今、範囲が一包化の作業だけになっていますが、それが試験的な導入の最初だとしても、是非いろいろな形で拡大的に実施し、検討していただきたいです。
あと、同一の三次医療圏内の薬局に限るというのも、都道府県の県境にあるような街もありますので、そういう所も含めて柔軟に検討できるような仕組みを整えてほしいです。つまり、余りにも、がんじがらめにしすぎると、結局は使えなくて、外部委託は無理だというような結論に持ち込まれるという可能性を危惧しております。これまでの部会でも申してきたことですが、改めて申し上げたいと思います。すみません。失礼いたしました。
○福井部会長 ありがとうございます。三澤委員、どうぞ。
○三澤委員 健康サポート薬局について認定制度を導入するのは大賛成です。現状としては、3,100程度の数しかなくて、一方で地域連携が4,000程度ということで、長い歴史があり時間がたっている割には健康サポート薬局が浸透していない、うまく機能していないのは実際、その通りだと思います。
今回の認定制度は法律に位置付けるということですが、これがどういう効果を発揮するのか、私には分かりません。いろいろな意味で国がてこ入れしていこうということだと思いますが、1点だけ私がお願いしたいのは、健康サポート薬局に、てこ入れしていく以上、何らかの形でインセンティブを付けていただきたいと思います。
現状では、薬局というのは、調剤薬局という本来の名前ではない言い方をしている実態がありまして、処方箋を持っていないと入りにくい所、処方箋を持っている人だけが入れる所という感じになってしまっています。そうではなくて、処方箋がなくても健康サポートを受けられものになってもらいたい。
一方、森委員も花井委員もおっしゃっていますけれども、薬局はお店なので、物が動かないとお金が動かないというところがあるのです。健康サポート薬局については、認定制度になっても、処方箋のない人が入ってきて健康相談をしても、インセンティブがないのです。
別の薬局・薬剤師の会議でも、いろいろな人がいろいろと議論を、私も委員として出ていますけれども、薬剤師はこうあるべき、薬剤師としてこういうふうにしていきましょうという議論をしています。でも、そのような議論は薬剤師の集まりでやればいいことです。それは当然、医療人としてやるべきことですが、厚労省の審議会で話をしている以上は、制度であったり仕組みとして、そういうものが成り立つようなことを、こうやって良いことを進めていきましょうということに落とし込むべきだと思います。
そういう意味で、やはり、この認定制度にするのは一歩だと思います。この後、是非、何らかのインセンティブを健康サポート薬局に持たせる方向で考えていただきたい。そうなると、多くの薬局がその方向を向いてくると思います。よろしくお願いいたします。
○福井部会長 森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。先ほど事務局から、地域の中のことは、地域の中で医療等を含めて考えるようにというお話がありました。私もそのとおりだと思うのですが、では、それをどうやって実効性のあるものにするかというと、やはり、制度が支えるのです。
薬局も努力します。薬剤師会も努力します。でも、その努力だけでは決して進まない。やはり、それは制度として位置付けがあるからこそ進む、医療と整合性にあるものになる。2040年に向けて過疎化を含めて地域が大きく変わるときに、国民が必要な医療・医薬品にアクセスできるためには、やはり、制度としての位置付けが必要なので、それをお願いしたいと思います。
それから、インセンティブのことは余り言いたくありませんが、例えば、休日、夜間にしても、体制を構築する、維持することには一定の負担が掛かる。そうしたことをできるような体制にしていただきたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。冨田委員、どうぞ。
○冨田委員 ありがとうございます。先ほどの三澤先生と森先生のお話に乗じた話です。私は経営学やマーケティングを研究しているのですが、病院のマーケティングという言葉があっても、薬局のマーケティングという言葉は余りないのです。
なぜかというと、いろいろ要因があるかと思うのですが、薬局は、接点が少なかったり患者の滞在時間が短かったり、つまり自由度が少ないということもあるかと思います。ただ、薬剤師は薬に対する知識や情報と周辺的な知識や情報もあり、そうしたものを提供できるのが薬剤師の価値かと思います。それが可能になるのが健康サポート薬局であると思います。
一方で、先ほど小売という話もあったのですが、患者の中には薬だけ買って帰りたい患者もいれば、薬剤師といろいろ雑談しながら相談できる関係性を構築していきたいような患者もいるかと思います。ですので薬局も、そういった患者との関係性を構築できるような何か、いろいろなことができるという自由度があるのが健康サポート薬局にとって必要なことであって、それに対する何らかのメリットがあるということも同時に必要なことかと思っておりますので、是非、御検討のほど、よろしくお願いいたします。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、2番目の調剤業務の一部外部委託の制度化についてはいかがでしょうか。11ページ、それから、検討の方向性については12ページについて3項目を御説明いただきました。いかがでしょうか。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。調剤業務の一部外部委託ですが、例えば、真に患者のためになるのか、物に係る業務を効率化して人に対する業務の充実となるのか。その前提として、安全を確保して実施されるのかなど、実務も含めた懸念点は多々あると思います。だからこそ、この検討の方向性の案にもあるとおり、受託側、委託側とも、開設者及び管理薬剤師に係る義務や責任を明確化し、法律上で規定すべきだと考えます。そのほか、この検討の方向性のとおり、受託側、委託側の基準の設定も必ず行うべき事項だと考えます。
また、厚労科研の中で、一部外部委託を実施する際のガイドラインが策定されており、このガイドラインを尊重し、医薬品の安全・適正使用に影響が生じない法整備、制度面の対応をしっかりと行ってもらいたいと考えています。
一部外部委託を法制化する際には、地域への医薬品提供の確保が大前提でなければなりません。委託側の薬局は、調剤業務の一部外部委託を行うことで、自身の薬局における業務の機能の質や適切な医薬品の在庫品目、数量の減少などにより、地域住民にとって必要な薬局サービスの質的・量的機能の低下につながらないようにしなければならないと考えます。また、受託側の薬局は、薬局として必要な機能を提供できることが大前提であり、自薬局の患者に対する機能や責務を放棄することがあってはならないと考えます。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 ありがとうございます。調剤業務の一部外部委託については、12ページの検討の方向性自体は現時点での限定的なものですが、将来どうなっていくのか、よく見えないという点があり、懸念していることを申し上げたいと思います。
何度も発言しましたように、地方の集落でも医療用医薬品と一般用医薬品が届いて、同時に訪問薬剤なども提供されることが必要で、そのためには、どうしていくべきなのかを考えていく必要があると思っています。
対人と対物を分けた場合、対人に特化した薬局は、物販を手放した辺りで経営が難しくなって、最終的には在宅もできなくなり、地方の集落では、物は来るけれども在宅薬剤はないという事態になるのではないかと懸念しているところです。
今のところは、調剤業務の一部外部委託を部分的にトライアル的に進めていくということです。先ほど伊藤委員からは、範囲の拡大という御提案があったところですが、私は逆に、範囲は狭めるべきではないかと思っています。受託、委託は二次医療圏の中で行うことが適切ではないかと思います。先ほど、私は医療でいうところの連携推進法人みたいな仕組みを、と申し上げましたが、外部委託を行う場合には、調剤の外部委託を組んだネットワークの中で、例えば、委託する薬局は訪問の役割を果たしていただくなどの全体像が見えるデザインを、この先、考えていただければと思います。以上です。
○福井部会長 事務局、どうぞ。
○大原薬事企画官 コメントありがとうございます。まず、地域における薬剤の提供体制に影響が出てしまってはいけないというのは、正にそのとおりでございます。そういったところで、委託先の関係で範囲を限定しているという案を出させていただいております。
また、一包化の外部委託もそうなのですが、患者の同意を必要とするので、少なくとも各薬局において同意が得られなかった場合も含めると、一定の体制を整えていくことは当然必要となります。一方、先ほど少し説明したように施設対応のような形で、大量に一包化の依頼があったようなケースでは効率的にできる部分もありますので、患者さんの同意も含めて、しっかり進めていくことが大事だと思います。我々も頂いた御意見をしっかりと受け止めさせていただきたいと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、オンラインで川上委員、お願いします。
○川上委員 ありがとうございます。川上です。12ページの検討の方向性の2つ目です。必要な基準等を設定することに関して、「患者の安全確保のため」と記されています。もちろん、医療の安全性は必要なのですが、同時に、質向上につながるような基準があっても良いかと思います。
先ほど御説明いただきましたが、その前のスライドでも、「処方箋受付時以外の対人業務やセルフケア・セルフメディケーションの支援等」などがございました。また、「対人業務に注力できる環境の整備が必要」ということも、併せて、背景・課題の中に書かれています。
対物業務の効率化の手段という場合に、効率化を誤って、例えば、同じ業務を、より少ない薬剤師で実施できるみたいに捉えられてしまうと、ものは間違っていないけれども、本当の意味で目的とすることが達成されたかどうかは少し危ういように思います。ですから、安全性のみならず医療の質向上につながるような基準も検討できるかどうかということも、併せて御検討いただければと思います。以上です。
○福井部会長 事務局、お願いします。
○大原薬事企画官 コメントありがとうございます。厚労科研費等でガイドライン等の作成をさせていただいている所以外にも、現在、大阪で、特区の実証が行われているところです。この中においては、一連の流れの中でヒューマンエラーが生じ得る工程の洗い出しも含めた検証が行われていると伺っておりますので、施行に向けて、こうした点が基準等でどういうところに反映できるか検討させていただきたいと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。オンラインで北澤委員、お願いします。
○北澤委員 北澤です。今のところ、外部委託は一包化について行われているということですが、高齢者の施設などで大勢の方が一包化を必要とするような場合が想定されていると伺っております。
そもそも、どうして一包化をしなくてはならないのかというと、結局のところ、1人の患者にたくさんの薬が処方されていて、間違えないように一包化してくださっているということだと思います。
でも、薬剤師の対人業務とは本来、その人にそんなに多くの薬が必要なのか、ポリファーマシーの害はないのか、例えば、薬をもう少し減らしたり、飲むタイミングを変えたりできないのか、こういうことを考えて実行するのが、薬剤師にできる対人業務ではないでしょうか。
薬がたくさん処方されているから一包化しなければならず、外部委託するという話だと、たくさんの薬が処方されていること自体を見直すことなく、せめて患者がもう少し楽に服用できるようにするために一包化を外部委託する、というように感じられます。そうではなく、薬剤師は、患者一人ひとりの処方が、よりよくなるように、もっと頭を働かせてほしいと思います。日頃思っていることなので発言させていただきました。
○福井部会長 ありがとうございます。山口委員、どうぞ。
○山口委員 ありがとうございます。今、北澤委員がおっしゃったことは、私も本当にそうだと思います。以前から一包化の議論に参加していますが、患者にとってプラスになるのかというと、何がプラスになるのかというのは、今一、私は腑に落ちていないところがあります。
例えば、薬局に行って処方箋を出してもらって、通常なら1回で終わるところを、一包化することによって、そこで薬を渡してもらえないというようなことも生じてくる可能性があると思います。そうしたときに、委託した先からどのようなルートを介して患者の元に届くのかということもはっきりしていない状況だと思います。
先ほど、北澤委員がおっしゃったように、多分、高齢者の施設で大勢の方の一包化が想定されていると思うのですが、法令化した後、実際に一包化している所が、患者側の不利になっていないか、苦情が出ていないかとか、配送費はどうなっているのかについては、何も決まっていなかったと思いますので、そういうことの実態調査は是非。その後に、どれくらいの所が一包化を実際にすることになって、それが本当に長所、短所どういうことが出てきたのかということを是非、調査していただきたいと思っています。
○大原薬事企画官 コメントありがとうございます。現在行われている特区のお話も含めて、状況については、我々のほうでも収集したいと思っております。ありがとうございました。
○福井部会長 茂松委員、どうぞ。
○茂松委員 私は処方する側ですが、今のお話を聞いておりますと、処方する側が薬をむやみにたくさん出しているように捉えられるかと思いましたので発言させていただきます。
医療をする側からは患者さんのことを考えて適切な薬を出しているわけで、決してむやみに多剤を出しているわけではないのです。ただ、別の診療所で同じような薬が出ていることは、我々も患者さんに確認しているのですが、患者さんにとってはなかなか医師へ言えないところもあるので、そこを調整してもらうのは、薬剤師さんかなと思っております。だから、それだけ患者さんと接していただくことが非常に大事であろうかと思いますし、そういう薬剤師さんが必要ではないかと思っております。
我々は、とにかく患者さんの生活に合って、どういう薬を出して、一包化がいいのかどうかを考えて処方しているわけです。中には、いろいろな医療機関へ行かれる患者さんがおられますので、そこをどのような薬を処方されているのかをなかなか言わない人もおられる。それを薬剤師さんにうまく調整していただいたら、ポリファーマシー等の問題をクリアできるのかと思っております。
我々は何も、理由もなくたくさん出しているわけではなくて、本当に患者さんの状態を考えて、薬の打ち消し合うような出し方で薬を出したりなど、いろいろなことがあるわけで、その辺りをよく考えていただきたい。そのためには、薬剤師さんが患者さんといかに上手にしゃべっていただくかということが非常に大事で、我々の足らないところをカバーしていただく、我々にはそういう薬局が一番適していると思っております。
ただ、今後、2040年をにらんで高齢者の1人住まいや2人住まいが出てくるわけで、みんなが在宅等になると、そこに人材が要るわけです。そのときに、看護師さんを始め薬剤師さん、歯科医師さん、そして我々医師がそこへ行って、医療提供側が一致団結してその患者さんを診ていけるような体制を作らないといけない。
そのときに薬剤師さんが必要になってきますので、やはり今後、協力し合うことが非常に大事であろうと思っております。その中で、調剤に関しては外部委託はあるのかと思ったりもしています。ただ、我々は、薬局を信じて処方箋を出していますから、そこが外部委託で実際には調剤をしないことになると、信頼性の観点で少し心配な点があるかなというふうに思っております。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、時間のこともございますので、資料4に移りたいと思います。資料4には2つの項目がございます。最初の項目は薬局機能情報提供制度です。背景と主な意見を踏まえて、3ページの検討の方向性について御意見を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。これは、この方向でよろしいでしょうか。
それでは、処方箋等の保存期間について、5~6ページにかけての説明をしていただきました。最終的には、保存期間を5年に延長するという提案でございます。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。5年の延長に関しては異論ありません。ただ、以前も発言したのですが、例えば、調剤録の電子化にしても、標準的な調剤録をどうするかというのは、これから議論をするところですので、是非、施行日は十分に配慮いただいて、準備期間も取っていただいて施行していただくことをお約束していただきたいと思います。以上です。
○福井部会長 その方向で、事務局、どうぞ。
○大原薬事企画官 御指摘のとおりに対応させていただきたいと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。いつも検討していただく項目が非常に多くて恐縮ですが、毎回、非常に貴重な御意見を頂けているというふうに思います。もし、ほかに御意見がないようでしたら、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。最後に、事務局から連絡事項等はございますか。
○重元総務課長 次回の第8回制度部会の日程については、10月31日(木)に開催予定でございます。詳細については、事務局から御連絡を差し上げますのでよろしくお願いいたします。以上です。
○福井部会長 それでは、以上をもちまして、令和6年度第7回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会を閉会いたします。御協力、誠にありがとうございました。以上でございます。
はじめに、事務局から連絡事項を申し上げます。本日は、会議室における対面形式とオンライン形式を併用して本部会を進めさせていただきます。本部会につきましては、公開とさせていただきますが、一般の方の会場への入場を制限し、報道機関の方のみの入場とさせていただいております。会議の議事録は後日公開をいたします。また、YouTubeでの同時配信も行っております。
厚生労働省全体の取組といたしまして審議会等のペーパーレス化を進めております。本日はペーパーレスでの開催とさせていただきますので、資料は御手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作などで御不明点等がございましたら適宜事務局がサポートいたしますのでよろしくお願いいたします。
続きまして、資料の確認です。議事次第にお示しの通り、資料1から4及び参考資料がございます。Web参加の委員におかれましては、事前にこれらの資料をメールにて送付しております。過不足がございましたら御連絡いただければと思います。
最後に、審議中の御意見、御質問の方法についてお知らせいたします。まず、会場にお越しになって御参加いただいている委員におかれましては、挙手をしていただき、部会長から指名されましたら、卓上のマイクをオンにして御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたらマイクをオフにしていただきますようお願いいたします。また、オンラインで御参加いただいている委員におかれましては、御発言をしない間はミュートにしていただきますようお願いいたします。御発言の際はZoomの挙手ボタンを押していただき、その後、部会長から順に発言者を指名しますので、マイクをオンにして御発言をお願いいたします。また、御発言が終わりましたらミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、カメラについては、常時オンにしていただきますようお願いします。
続きまして、本日の委員の出欠状況ですが、小口委員、小野委員、山本委員は所用により御欠席との連絡を頂いております。
それでは、冒頭のカメラ等撮影はここまでとさせていただきます。それでは、以降の議事進行を福井部会長にお願いいたします。
○福井部会長 それでは、本日も活発な御議論を是非、よろしくお願いしたいと思います。本日の議題1に入りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
○中井医薬品審査管理課長 医薬品審査管理課長でございます。
資料1、テーマ①(ドラッグロスや供給不足などの医薬品等へのアクセスの課題に対応した安全かつ迅速な承認制度の確立)についてということで説明させていただきます。2ページをご覧ください。(1)小児用医薬品のドラッグロス解消に向けた制度的対応ということで、背景と主な意見をまとめさせていただいております。これについては、次のページに検討の方向性ということでまとめておりますので、そちらを中心に説明させていただきたいと思います。
まず、小児用医薬品開発の計画策定の努力義務化ということで、小児用医薬品の開発計画を策定することを努力義務化してはどうかということを御提案申し上げます。また、小児用医薬品の開発の計画については再審査期間がありますけれども、現行10年というような設定がありますが、それについて小児用医薬品を開発した場合に、延長の余地を与えるために12年にしてはどうかという提案です。
右のほうですが、特定用途医薬品に係る制度の見直しです。小児用医薬品等の開発の支援を行う特定用途医薬品指定制度について、現状、用量追加や剤形追加ということを想定しておりますけれども、新有効成分についても対象にすることとしてはどうかということです。併せて、再審査期間についても、現行4年から6年ということになっておりますけれども、それについて申請区分に応じて再審査期間が設定されるよう見直すこととしてはどうかという提案です。
4ページ、医療上の必要性の高い医薬品等への早期アクセスの確保ということですが、5ページの後段の部分に、検討の方向性としてまとめております。条件付き早期承認制度について、欧米と同様に、取消し規定を設けた上で、その臨床的有用性が合理的予測可能な場合に、承認に値する制度を設けることとしてはどうかということでまとめています。これについては、後ほど資料を使って、もう少し詳細に説明させていただきたいと思います。
併せて、拡大治験の運用改善ということで、米国のsingle patient INDを参考に、拡大治験の運用改善を検討することとしてはどうかということです。具体的には2つございますが、まず現行のコホート型の拡大治験の手続の簡素化です。例としましては、症例報告、モニタリング、治験薬概要書などの簡素化ということを検討するというものです。もう一つは、既に治験届で提出されている医薬品について、患者一人を対象とする場合には特に簡略な手続による拡大治験を実施できる運用について検討してはどうかという提案です。
次のページは、条件付き早期承認制度についての変更のイメージということです。通常の承認制度が検証的臨床試験の後に「承認」ということですけれども、条件付き承認制度については、承認後に有効性・安全性の確認し、確認できない場合は、承認取り消しできるということにしてはどうかということです。
7ページに、現行の制度との比較があります。現行の制度の趣旨ですけれども、十分な人数を対象とする臨床試験の実施が困難である場合という条件があるものにつきまして、医薬品等を早期に使用するベネフィットが、有効性が確認されていないリスクを上回るものに承認を与えるということにしてはどうか。また、追加的データの内容によっては承認を取り消すことができることにしてはどうかということであります。臨床的有用性が合理的に予測可能とした場合に承認を与えるという制度にしてはどうかという提案であります。
次に、8ページは、リアルワールドデータ(RWD)を利活用した薬事申請対応の充実・強化です。9ページに、その検討の方向性(案)をまとめております。リアルワールドデータ(RWD)による承認申請が可能であることの明確化ということで、現状の法律には、薬事申請のときには「臨床試験の試験成績に関する資料その他の資料」を添付するということになっているわけですが、それについて臨床試験の試験成績を添付することが前提にならないように、医薬品の品質、有効性・安全性に関する資料というような一般的な規定に改正してはどうか。併せて、具体的な資料の構成については、省令で定めることとして、リアルワールドデータ(RWD)による申請が可能であることを明確化してはどうかという提案です。
それから、リアルワールドデータ(RWD)の信頼性に関する基準の新設ということで、これまでも信頼性の確保について、通知により留意点を示してきたということですが、それについては、その推進を図る観点から、国際的な議論も踏まえ、引続き、信頼性の確保に向けた取組を進めることとしてはどうかという提案です。
(4)医薬品等の供給不足を踏まえたアクセス改善に向けた制度の見直しということで、10ページです。その1つ目として、海外代替品等の迅速な導入の仕組みという提案です。下のほうの検討の方向性ですが、我が国において、供給逼迫による医療上の著しい影響が生じる場合に、海外で流通している代替品について、その承認審査及び調査を優先かつ迅速に行うことができる規定を新設してはどうか。併せて、そういった品目については、対象品目をウェブサイト等から公示することにして、海外で流通している医薬品の包装のまま国内で流通できるよう、一定期間の外国語表示を認める特例を規定してはどうかという提案です。
次のページですが、②製造方法等の中リスクの変更カテゴリの追加等です。検討の方向性ですけれども、一部変更のうち、品質に与える影響が大きくないものについては、一定期間、例えば40日程度ということですけれども、その期間内に迅速に承認するというような規定を設けてはどうかということです。併せて、軽微変更のうち、品質に与える影響が少ないものについては、軽微変更届に替えて、1年に1回、その内容を厚生労働省に報告することでよいという制度を設けてはどうか。併せて、そのような報告については、何らかの手数料を設定してはどうかという提案です。
12ページは、日本薬局方に対する対応についてですけれども、14ページに、その検討の方向性があります。最初のポツですが、医薬品の品質は日本薬局方であることに変わりはないということを大前提としまして、その日本薬局方が適切に利用されるように、海外の薬局方で使用されている規格との整合性や調和を進めるということとしてはどうかということです。同時に、最新の知見を用いた医薬品の輸入等に支障が発生しないよう、必要に応じた改訂も迅速に行えるように、柔軟に運用していくこととしてはどうかということです。
それから、製造販売業者につきましては日本薬局方の国際整合性確保のために、基準作成・改訂作業に積極的に協力する必要があるということも入れてはどうかということです。併せて、制度的な対応として、現行の日本薬局方への適合は原則ということですけれども、日本薬局方収載成分が日本薬局方と異なる規格であったとしても、安定供給上の対応を含め、科学的に妥当な理由がある場合には、個別に承認できる余地を与えてはどうかということで、具体的には次のポツですが、薬機法第56条第1号の「日本薬局方に収められている医薬品であって、その性状又は品質が、日本薬局方で定める基準に適合しないもの」についての販売を禁止している現行規定を見直してはどうかということです。また、日本薬局方の表示義務についても、個別承認を受けているもの以外については、対象外としてはどうかということです。
15ページは、(5)医薬品製造業における許可制度の見直しということで、17ページの検討の方向性についてです。1つ目として、製造所の登録制度の拡大ということで、生物由来製品や放射性医薬品等の保管のみを行う製造所について、他の製造所と同様に登録制としてはどうか。また、海外製造所については、認定制ではなく、登録制としてはどうか。それから、こういったことを導入するのに合わせて、承認書における製造方法において、保管のみを行う海外製造所については、記載を不要としてはどうか。ただ、通常、製品の移動に係る記録は、GMP上適切に記録・保管が必要であることも記載しております。
また、製造管理者の要件の見直しということですが、製造所における製造管理者について、総括製造販売責任者の現行の規定と同様に、薬剤師を置くことが著しく困難であると認められる場合については、薬剤師以外の技術者をもって代えることができることとしてはどうか。その具体的な要件については、製薬業界の現状を把握することを含め、引き続き検討を進めるという提案です。
19ページ、省令等の改正により対応可能な製薬業界からの要望への検討事項ということで、ここにまとめております。詳細な説明は省略させていただきますけれども、こういったものを含め、制度改正ではなくて対応するということも検討させていただきたいというように考えています。
○高江医療機器審査管理課長 続きまして、(7)再生医療等製品の特性を踏まえた治療アクセスの改善につきまして、医療機器審査管理課長から御説明いたします。20ページの背景・課題は従前と同様です。これまでの御意見としては、救済制度や医療行為としての安全確保等との整合性を整理すべきであると。また、一様に使っていいものではなく、きちんと要件を慎重にすべきだと。また、これがあるがために、製造管理の工程が甘くならないような制度設計にすべきだというような御意見を頂いているところです。
この御意見を踏まえまして、21ページの検討の方向性です。まず、1つ目は、自家細胞を用いた再生医療等製品につきましては、製品の安全性が確保されていることを大前提としまして、患者の求めに応じたものであること、含量が規格外であることにより効能・効果が低下することに比して疾患の重篤性とか患者の状態から治療を受ける機会の損失などの影響が多大であること、医師が有用性を認めた提供であることから、この一定の要件をきちんと満たす場合に限っては、いわゆる規格外品の販売・授与等を許容してはどうかと考えております。また、これは治療に用いられるものですので、市販品と同様に、製造販売後安全管理等が適切に行われるべきです。
3つ目のポツですが、製品の安全性が確保されているという大前提があり、その上で、医師が有用と認めた提供であること等の一定の要件を満たすということですので、適正に使用される再生医療等製品として、医薬品副作用被害救済制度の対象となると考えております。また、規格外品であったとしましても、製品自体は薬事承認を受けており、当該内容の承認に従って用いるということを考えますと、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」における「再生医療等技術」から薬機法の再生医療等製品が除かれている現行の棲み分けを変更するものではないというように考えております。テーマ①の説明は以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの事務局の説明について、御意見、御質問等があれば発言をお願いしたいと思います。項目が多いですので、できましたら、順番にやっていきたいと思います。最初に、(1)小児用医薬品のドラッグロス解消に向けた制度的対応のところで、3ページについての御説明がございましたが、いかがでしょうか。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。まず、3ページの検討の方向性ですけれども、小児用医薬品の開発が進むように、まずは努力義務とするということには異論がありません。
その上で、「ただし、小児に関する需要がない又は充足している場合は例外としてはどうか」との方向性が示されていますけれども、逆に、学会などから小児の開発が強く要望されている場合は、開発が進むような制度的な対応が必要だと考えます。
もう1点、これは質問ですが、再審査期間について10年が設定されていて、今後、「上限を12年に引き上げてはどうか」と書いていますが、12年に引き上げることによる開発の影響について、可能であれば、業界関係者からその受け止めをお聞きしたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。中濱委員、どうぞ。
○中濱委員 森委員、御質問どうもありがとうございます。再審査期間の延長に関して、業界側からということで御回答させていただきます。再審査期間に関しましては、2年延長の余地ができたということは、業界としても国内への投資に積極的になれるという観点で、非常に有り難いと考えております。以上でございます。
○福井部会長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。それでは、(2)医療上の必要性の高い医薬品等への早期アクセスの確保のところで、特に5ページについての御説明がございましたが、この内容について、いかがでしょうか。森委員、どうぞ。
○森委員 方向性に関して異論はありません。少し事務局に教えていただきたいのですが、7ページに、緊急承認制度が出ているのですけれども、今回、有効性が合理的に予測可能で、安全性が許容可能ということになっていますが、緊急承認では、有効性が推定、予測できる、安全性が確認となっているのです。この違いが少し、よく分からなかったので、教えていただければと思います。以上です。
○中井医薬品審査管理課長 医薬品審査管理課長でございます。この緊急承認は、有効性が推定、安全性確認ということになってございますけれども、もともと、この条件付き承認制度というのは、有効性も安全性も確認ということでございます。その前提に立ちますと、今回、臨床的に有用性が合理的に予測可能ということでありますので、有効性と安全性のリスクバランスを含めて、しっかり確認をするということになるのだというように理解しております。
○福井部会長 よろしいでしょうか。6ページと7ページのイメージの図を含めまして、いかがでしょうか。よろしいですか。それではリアルワールド。ごめんなさい、北澤委員。
○北澤委員 はい、よろしいですか。
○福井部会長 はい、どうぞ。よろしくお願いします。
○北澤委員 北澤です。2番の条件付き承認のところなのですけれども、臨床的有用性が合理的に予測可能で、安全性は許容可能というように書いてあるのですけれども、そもそも探索的臨床試験の段階では、治験に参加する患者さんの数も少ないので、特に頻度の低い副作用については、この段階では分からないということがあろうかと思います。
特にワクチンに関しては、承認後、大勢の健康な人に使われることになると思いますので、安全性の確認という、市販後のところですね、そこについては、できるだけしっかりと、かつ、情報公開を迅速にやってもらいたいと思っています。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。その方向で検討していただくということで、よろしいですか。
○中井医薬品審査管理課長 承知いたしました。その方向で検討させていただきます。
○福井部会長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、(3)リアルワールドデータ(RWD)を利活用した薬事申請対応の充実強化で、特に9ページについての説明がございました。リアルワールドデータを活用するということで。花井委員、どうぞ。
○花井委員 ありがとうございます。花井です。少し分かりにくいのは、現行でも、その他資料とされていて、極端な場合は公知承認というのがございますよね。そうすると、その水準で考えれば、当然この、その他の資料でリアルワールドデータを読み込めてしかるべきだとは思うのですが、より一般的な規定に改正するとなると、何か法益的変化があるのかということを一応、確認しておきたいということです。それから、これはまだ、そんなに決まっていないのかもしれませんが、リアルワールドデータでいうと、一義的にはレジストリーのようなものが想定されるのですけれども、問題なのは、やはりモニタリング監査の話で、データ信頼性というと、その辺がGCPにおいては、かなり決まっているわけですけれども、どの程度、データ信頼性というところを求める所存なのかというのは、今のところお考えがあれば教えていただきたいと思います。以上です。
○中井医薬品審査管理課長 医薬品審査管理課長でございます。まず、これは一般的な規定ということでありますけれども、その後、省令に関して、詳細な規定を設けていきたいというように思っております。これがどれぐらい影響するのか、なかなか予測し難い面はありますけれども、いずれにせよ、明確にそういうリアルワールドデータを使って申請も可能だということを位置付けるということであります。
それから、信頼性確保についてどの程度かということでありますが、これについては、今までも考え方というのを示してきたわけでありますけれども、それについて、もう少し何らかの形の基準を作っていきたいということで考えております。
ただ、目的に応じて信頼性の求められる質が変わってくると思いますので、その辺はできる限り記載する、又は審査報告書なり何なりで書いていって、前例をどんどん作っていくことも含めまして検討していきたいというように思っております。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。北澤委員、どうぞ。
○北澤委員 私の質問も信頼性のところで、先ほど大体、回答していただいたと思うのですけれども、そもそも医薬品の申請に使えるリアルワールドデータとは何なのか、この制度部会の場では、突っ込んだ議論が余りなかったのではないかと思います。使って良いリアルワールドデータとは何なのかについて、もう少し明確にしてもらいたいと思っております。お願いします。
○中井医薬品審査管理課長 リアルワールドデータについてでは、いろいろなものがあるかというように思っております。それも従来、北澤委員から御指摘いただいていましたけれども、RCTに取って替わるかどうかということの御指摘がありましたけれども、特にそういうことを今考えているわけではありませんで、補足的なデータとしては、十分使えるものもあるだろうというように思っております。
実際、レジストリーなど、そういったもののデータで、そういう補足的なデータで承認した事例もあるということでありますので、具体的に今回のリアルワールドデータは、どこまでかということを今、明確に申し上げるわけには、なかなかできない状態ではありますけれども、そういう活用が進むようにということで、こういったことを検討したいということであります。
○福井部会長 よろしいでしょうか。ペニシリンはRCTが行われていないはずです。あまりにも効果があったものですから、そのままリアルワールドデータに基づいて世界中で使われるようになったという歴史的な事例もございます。ほかには、いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは10ページに行きましょうか。(4)医薬品等の供給不足を踏まえたアクセス改善に向けた制度の見直しについてで、①海外代替品等の迅速な導入の仕組みについては、いかがでしょうか。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。1点確認で、海外で流通している医薬品の包装のままということは、海外で売られているものをそのまま持ってくるという理解でよろしいですか。
○中井医薬品審査管理課長 いろいろな状況があるかと思うのですけれども、よくあるのは、添付文書の作成が間に合わないなど、そういったこともありますし、あとシールを付けたりなど、いろいろな対応を行う場合もありますが、全く間に合わない場合については海外のものをそのままである場合や、なるべく分かりやすいようにということで、何らかの紙を付けるなど、いろいろなことを考えたいと思いますけれども、そういったものを組み合わせて対応していくということを考えております。
○森委員 ありがとうございます。国民が必要な医薬品にアクセスできることは重要で、この仕組みの導入に関して異論はありません。また、ご提案のとおり、あくまでも既承認医薬品の供給逼迫により医療上の著しい影響が生じる場合に限定すべきと考えています。
その上で、本来であれば、このような制度に頼る事態に陥ってはならないと思いますし、それが基本だと考えています。海外流通品は、包装もそうですけれども、例えば剤形であったり、錠剤の大きさも当然異なってくると思いますので、現場としても、きちんと患者さんには説明したいと思いますけれども、やはり、そこは国のほうからも、安全・安心だということを、そのときにはきちんと周知してもらいたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。山口委員、どうぞ。
○山口委員 この提案には賛成ですけれども、こういったことが認められるようになったということを国民のほとんどの方は御存じないと思うのですよね。ですので、もしこれが実現するときにはきちんと、こういう理由で海外のものをそのまま使うのだということをしっかりと多くの方に理解してもらえるような周知の仕方ということを同時に考えていただきたいと思います。それがどれぐらいの期間なのかといったことを英語で書いてあったりするなど、より分かりやすいように、こういうような工夫をしていますよというようなことも含めて、是非そこは丁寧に知らせていただきたいと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかには、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、同じくアクセス改善に向けた制度の見直しの中の②製造方法等の中リスクの変更カテゴリの追加等については、いかがでしょうか。11ページの検討の方向性についてです。中島委員、どうぞ。
○中島委員 東京都の中島です。中等度の変更事項につきまして、一定期間内に迅速に承認するとありますけれども、もし都道府県のGNP調査にも影響が出る場合には、各県の体制状況も考慮して制度化していただきたいと思います。
また製造方法等に係る軽微変更の報告につきましても、もし知事承認も対象に入るということでしたら、事前に調整をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○福井部会長 よろしいでしょうか。そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、同じくアクセス改善に向けた制度の見直しの中で、③日本薬局方に関する対応についてですが、特に14ページの検討の方向性について説明がありました。いかがでしょうか。本間委員、どうぞ。
○本間委員 ありがとうございます。この薬局方の整合性に関しては、このタイトルにありますように、医薬品の供給不足を踏まえたということで、現在は、医薬品の供給が不足している場合に、海外からの原薬を使う場合、日本薬局方との不整合というのがあります。そのために、この14ページに記載されているような検討の方向性というのは、非常にいいアイディアだと思いますし、非常に柔軟性のある対応であると思います。
ただし、最終的には13ページの最後のほうにありますけれども、やはり日米欧の3極で、共通の制度を作っていくことが最終的な目的だと思いますので、かなり専門家の科学的な議論が最終的には重要ではないかと思っていますけれども、緊急対応ということであれば、こういったフレキシブルな対応が重要ではないかと考えています。
○福井部会長 よろしいですか。いかがでしょうか。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。まず、科学的に妥当な理由がある場合ということは当然のことだと考えます。その上で、国際整合性、今お話がありましたけれども、その確保に向けた対応も非常に重要で、前提としては日本薬局方が適切に利用されることだと考えます。以上です。
○福井部会長 ほかには、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、(5)医薬品製造業における許可制度の見直しで、検討の方向性として、17ページについて説明を頂きました。山口委員、どうぞ。
○山口委員 17ページの製造管理者の要件の見直しの所で、これまで結構、この辺については意見の対立があったのではないかと思うのです。やはり、なり手がいないと、今でも供給不安定なところに、製造がまた不安定になるのは困ることではないかと思っています。製造管理者というのは、もちろん薬学知識は必要だと思うのですが、やはり役割からしますと、マネジメント能力やガバナンスといったことが必要であり問われてくるのではないかと思いますので、そういったことは製造経験の中で培われていくものかなと思います。今回、こういった提案が出てきて継続、「引き続き検討を進める」と書いてあるので、事務局にお聞きしたいのですが、薬剤師免許が必要だということで、なり手がいないので薬剤師免許のある人を管理者として引っ張ってくると。こういったことによって、過去にマイナスのことが起きているのではないかと思うのですが、どういった問題点が起きているのかを明確にお聞かせいただくことで、今後の引き続きの私たちが考える糧にしたいと思うのですが、何かそういったことを教えていただけますでしょうか。
○中井医薬品審査管理課長 御指摘ありがとうございました。現時点で、無理矢理に薬剤師を引っ張ってきてということが実際にどれぐらいあるのかは、私も把握しておりません。ただ、ちょっと今は記憶が定かではないのですが、研究班の報告で、かなり逼迫しているというデータがあったということです。それについて何らかの問題があったかどうかということについてまでは把握しておりません。
○山口委員 でも、逼迫しているという現状は明らかにあるということですよね。ということは、何らかの対策を講じていかないといけないということだと思いますので、また引き続き議論できればと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。川上委員、どうぞ。
○川上委員 Webから失礼いたします。同じ17ページの製造管理者の要件の見直しについてです。総責の現行の規定と同様にしてはどうかという事務局の御提案だと理解しました。総責の現行の規定を作ったときに、どういう議論とか、対応が取られたかを考えると、具体的には、令和3年2月24日の安全対策課長の通知で、「総責として薬剤師以外の技術者を置く場合の取扱い等について」が発出されています。その中においては、例えば改正の趣旨として、この制度部会の取りまとめとして、医薬品製造販売などの許可等業者による法令違反を防ぐため、法令遵守、そのための体制整備の必要な措置、必要な能力、経験を有する責任者、管理者等の選任等の義務を明確化すべきとされたと。それと併せて、総責の責務を果たすことが可能な薬剤師が確保できない場合に限り例外規定を設けると、議論されてきた経緯があります。さらに、製造販売業者の遵守事項として、薬剤師以外の技術者を置く場合の措置を適切に実施することとして、総責の補佐薬剤師を置くこと。それから、候補者の育成計画として、キャリアパスの確立、総責が参加する会議への同席、それから品質管理、それから製造販売後安全管理に関する研修等の作成実施ということがやはり書かれていたと思います。
前回の法改正で、総責の規定をこのように変えた後、実際に医薬品の製造販売業者において、品質とか製造のことを含めて、きちんとした医薬品の提供体制が取られてきたかどうか。その中で、やむを得ず薬剤師以外の方を置いた場合の体制とか、実際はどうだったのかということが十分に検証されているか、その実態はどうかということを、まず厚労省の側として把握できているのかどうかをお尋ねしたいのです。それで問題がないというのであれば、今回の提案の方向性のスタート点に立てると思うのですが、前回の振り返りがないことには、この要件の見直しが提示されても、これが果たして良いのかどうかは判断がしにくいです。さらに、「具体的な要件は製薬業界の現状を把握することを含め引き続き検討」とありますが、今後に現状を把握していては駄目で、既に把握していなければいけないと思うのですけれども、この辺りについてもお尋ねしたいと思います。以上です。
○福井部会長 いかがでしょうか。
○野村医薬安全対策課長 医薬安全対策課です。先生が御指摘の例外規定ですが、今のところ手元にそういった実態の結果は持っておりませんので、産業界の御協力を頂きながら、早急に実態を把握した上で、また適宜御報告をさせていただきたいと思います。
○川上委員 分かりました。ありがとうございます。やはり、それがないと、この議論がなかなか集約しないように思うので、是非そういったデータや実態を拝見したいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。森委員、どうぞ。
○森委員 私も川上委員同様、令和3年2月24日付医薬安全対策課長通知の発出後、どうなったかということをきちんと把握をしてから次の議論に進めるべきと考えます。以上です。
○福井部会長 茂松委員、どうぞ。
○茂松委員 この問題は、数年前からずっと出てきている問題ではないかと思うのです。製薬業界にお尋ねしたいのですが、こういう問題があると分かってきている中で、薬剤師さんのリクルートとか、十分に職責を果たせるような薬剤師さんの養成、そういうことにどのように取り組んでこられたのかということと、また、社内での薬剤師さんの異動についての検討の有無などをお聞きしたいと思います。
○中濱委員 御質問いただきましてありがとうございます。製薬会社としても、業界としましても、薬剤師が必須のポジションであることをきちんと把握して、育てることに取り組んできておりますが、実態としては、会社によって、薬剤師がきちんと配置できていないという実態があるのは現状です。まず、先ほどお話があった総責に関してですが、除外規定後も、基本的には薬剤師であることが最善で、例外規定を利用している企業は多くはないと把握しています。具体的な数字に関しては、後ほど当局としっかり資料を作らせていただきたいと思いますが、予期しない退職等があった場合には、例外規定を利用している会社は幾つかありまして、後継の育成にも取り組んでいると認識しております。
一方、製造管理者に関しては、正直申し上げますと、製薬会社そのものに対して、特に工場への薬剤師資格を持っている方の応募は非常に厳しい状況です。私どもでも、大学等で製薬会社についての説明等を行ってリクルートにも努力はしているのですが、それが実態になかなか追い付かない状況です。特に薬剤師資格を持っている方は、より臨床に近い現場で働きたい方が多いという傾向がありまして、工場での勤務を希望される方は少ない状況です。
加えて、製造管理者というのは、製造所の構造管理、あるいは製造工程に従ってきちんと製品が造れたか、それから、製造所に勤めている従業員の教育、そして法令遵守という幅広い責任があります。そういった教育には、10年、15年という期間が掛かるのが現状です。そういった意味では、もちろん求められている中で薬剤師をきちんと育てていかなければならないのは製薬会社の義務と思っておりますので、本当にここが追い付いていない状況は大変申し訳ないとは思っております。一方で、品質問題、安定供給の問題が起きている中で、薬剤師というだけで実務経験がない方が製造管理者に任命されているという現状を踏まえますと、どうしてものときは、例外規定を作っていただけると、それはガバナンスを緩めるというのではなく、むしろ製薬会社としてきちんと適切な者を任命してしっかりと責任を果たしていきたいという意思でもありまして、そういった意味でも検討いただければと思っております。以上でございます。
○茂松委員 「本来は薬剤師さんに」というのは、原則、薬剤師さんにしてもらうべきということが基本だと思うのですが、やはりそういう取組は、もう何年も前からあるわけです。
○中濱委員 はい。
○茂松委員 そういう取組をしっかりやって、薬剤師が期待される職場にしていくこととか、興味を持ってもらうことをやっていかないと、いつまでたっても改善されないことになってしまって、もう薬剤師さんは必要ないよなんていうことになると思うのです。ですから、しっかりと業界としても取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○中濱委員 かしこまりました。どうもありがとうございます。
○福井部会長 ありがとうございます。このテーマの議論になると、必ず長い時間を取ってなかなか結論が出ません。現状についてのデータをもう少し分かりやすく説明していただけないかと思います。重要な仕事ですので、インセンティブを付けるといった、何か現実的なやり方も考えていただければと思います。また議論を続けていただければ。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 事務方にお調べいただけるのであれば、1点お願いがございます。薬剤師の教育は6年制になって大分変わってきているものと承知しています。以前は、薬学を学んだ方は、ほぼ確実に薬剤師資格を取られたのだろうと思いますが、教育の仕組みが変わってからは、必ずしも皆さん資格を取られないのではないかと思います。その辺がよく分からないのですが、そうすると例えば、薬学を学んで研究をやりたい方は、むしろ資格を取らず、現場で臨床に携わりたい方は資格を取ってというような形になっているとすると、なかなかメーカーさんが人を取りにくいというのも理解できるところです。今、申し上げたのは、推測なので、もしもそういうことが本当に起きているのだとすれば、薬剤師の縛りを掛ければ将来の安定性が見込めないことになりますので、データがあるようでしたらお示しいただけると有り難いです。以上です。よろしくお願いします。
○福井部会長 ありがとうございます。三澤委員、どうぞ。
○三澤委員 今の佐藤委員の御質問、事務局で調べていただいたらいいのですが、基本的なところだけ、私は薬学部の大学教員ですのでお答えさせていただきます。薬学部には、6年制の「薬学科」と、あと4年制のほうは、我々の所は「薬科学科」と言いますが、2つの学科があります。4年制のほうは薬剤師の免許は取れません。数は全国的にはかなり少ない数です。圧倒的に6年制の薬学部薬学科の学生さんが多いのですが、その人たちは、基本的には、もうほぼ全員が薬剤師の免許を取ろうとします。ただ、国家試験で合格しない場合も出てきますので、一般的に言いますと、6年制の薬学部で、現役の6年制の学生さんたちが試験を受けて大体85%ぐらいが試験に受かるという状況です。その学生さんたちの就職状況は、基本的には病院とか薬局の薬剤師さんになるというイメージかと思いますが、大学によってそれぞれ違います。ちなみに私の所、慶應大学の薬学部に関しては、ほぼ半分の学生さんは薬剤師の免許を使わない仕事に就こうとします。それは製薬会社であったり、飲料、食品の会社であったり化学の会社であったりと、いわゆる製造業の会社に入ることが多いです。製薬会社も、たくさんの人が応募して就職活動をしていくのですが、最近の傾向としては、なかなか薬剤師さんを余り取っていただけないという実態があるところを我々は危惧をしていまして、中濱委員がおっしゃるようなことがあるのならば、薬学部の薬剤師をもっと採用するように、会社としても方針を改めていただきたいというのが私の正直なところです。卵なのか鶏なのかみたいな議論になりますが、「人がいない、いない」とおっしゃっているのは、それはちょっと採用している人が少ないのではないかというのが私の考えです。
○福井部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。それでは事務局、少しこの点についての議論を続ける機会を是非、お願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
○中濱委員 すみません。
○福井部会長 中濱委員、どうぞ。
○中濱委員 いろいろ御指摘いただき、ありがとうございました。今日の頂いた意見を踏まえ、議論に資するような資料を、当局と協力して産業界としても準備させていただければと思っております。
○福井部会長 是非、よろしくお願いします。ちなみに、病院の立場から言いますと、病院に勤めてくれる薬剤師さんが少なくて、薬局や病院外で働く薬剤師さんが多くて、雇用が非常に難しくなっています。すみません、愚痴です。
それでは、次のテーマに移りたいと思います。(6)省令等の改正により対応可能な製薬業界からの要望への検討事項で、19ページについて説明をしていただきましたが、申請手続の合理化です。これについてはよろしいですか。中島委員、どうぞ。
○中島委員 東京都の中島です。一番上の枠の申請手続の合理化の2つ目のポツの所で、医薬品の製造業等の許可申請書に管理者の居住地の記載を不要にするとありますが、ここは、許可等、あとは監視業務にも支障が生じますので、記載は必要と考えております。
製造業や販売業の管理者は、その製造や営業所を適切に管理することが求められておりまして、必要なときにすぐに現地に行けるのかどうか、居住地も含めて我々は判断をしております。また、製造販売業では、「総責がその業務を行う事務所」で許可を取得することとなっておりますので、実際にその事務所で業務を行うことができるのかといった観点で総責の居住地についても確認をしております。そのため、管理者の居住地については、従来どおり申請書に記載していただきたいと考えております。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。
○中井医薬品審査管理課長 これについては、まだ業界から御要望を頂いた段階ですので、これから詳細を詰めさせていただきたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。次に、(7)再生医療等製品の特性を踏まえた治療アクセスの改善についてです。主な意見として、20ページの下の所と、21ページの検討の方向性についての説明を頂きました。山口委員、どうぞ。
○山口委員 21ページの検討の方向性の1つ目のポツですが、一定の要件を満たす場合に限り、販売・授与等を許容することとしてはどうかと書いてあります。これは、ヒアリングのときに、今は授与しかないと、販売はしていないということだったと思うのですが、もしこれ販売を認めることになれば、一定の要件というのはどういったことを指すのか。ここに書いてある以上は、一定の要件ということが明確になっているのかなと思ったのですが、その辺りはいかがなのでしょうか。
○高江医療機器審査管理課長 医療機器審査管理課長です。今、山口委員の御指摘の部分については、そこまで、まだ販売とその授与の条件を分けるかどうかという詳細までは決まっていないのが状況です。
ただ、現時点では「授与等」なのですが、今回、御提案に当たって、わざわざ販売を抜いた形で、「授与のみ」という形で御提案したほうがいいのか、「販売・授与」は、薬機法上、大体セットで動いているものですので、どちらがいいのかというところの判断をして、今回、「販売・授与等」という形での提案にさせていただいております。具体的に販売の例があるということで書いているものではございません。
○山口委員 ヒアリングのときのお話を伺っていると、良心的に、やはり患者さんにマイナスになってはいけないということで授与されているというお話だったので、ここで販売ということが出てくると、何かちょっと違う段階に行くところがあったらどうなのかなと思いましたので、その辺りの懸念はないのかなと、少し危惧して質問をしました。
○高江医療機器審査管理課長 今のところ、現実に販売を念頭に何か、検討しているというものではないです。
法的に、販売と授与は、薬機法上、一体的に文言として書かれていますので、そういった意味で、先ほど申し上げましたとおり、併せて出しているということです。
○福井部会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。中濱委員、どうぞ。
○中濱委員 すみません、前のスライドに戻ってしまって大変申し訳ないのですが、スライドの19ページでコメントさせていただければと思います。医薬品業界からの要望を取り上げていただき、個々の課題の解決の道筋もお示しいただいておりますこと、どうもありがとうございます。このほか、法律レベルの改正には至りませんが、ドラッグロスや供給不足などの医薬品等へのアクセスの課題解決に関して、3点ほど御提案を申し上げたいと思います。
まず1点目は、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する、いわゆるGCP省令についてです。現在、ICHのE6で医薬品の臨床試験実施基準(ガイドライン)が議論されているところと存じます。このガイドラインは、国内実装時に、リスクプロポーショナルアプローチなど、新しい考え方を積極的に導入するなど、国際調和を意識したGCPイノベーションを是非、お願いします。
2点目は、今回、国際整合性及び安定供給への取組を鑑み、制度の拡充を図る区分適合性調査については、調査に要する標準的処理期間についても、GMP適合性調査に要する期間との整合性を御検討いただきたいと存じます。併せて、基準確認証の新規、一変承認申請時の利活用の検討も、やはり検討していただきたいと存じます。また、GMP適合性調査結果について、外国製造業者に対しても調査結果を正確に理解いただく、理解を促すよう、日本語だけでなく、英語の併記も検討していただきたいと思います。
最後に、グローバルなサプライチェーンの中で重要な役割を担う欧州連合、EUと締結されているGMPに関する相互承認規定「MRA」についても、血漿分画製剤等の、現在対象となっていない医薬品への拡充等についても御検討いただきたくお願い申し上げます。以上です。
○福井部会長 ちょっと項目が多いのですが、配慮していただくということでよろしいでしょうか。
○中井医薬品審査管理課長 いずれにせよ、検討させていただきたいと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。先ほどの再生医療等製品のところも含めて、全体像として、また何か、思い付いた点なり、よろしいですか。三澤委員、どうぞ。
○三澤委員 7ページの薬事承認制度の比較で、条件付き承認の改正について、私は大変すばらしいというか、賛成です。提案のとおりでいいと思います。
ただ、ちょっとお伺いしたいのは、「追加データの内容によっては承認を取り消すことができるもの」とするところです。これを付けることで、条件付き承認を今後していくということだと思うのですが、承認の取消しというのは、どこが、どのように判断をするのか。また、承認が取り消された場合は、もう既に承認された医薬品として一定期間使った後だと思いますが、撤退するときの手続、実際に患者さんに薬が使われている状況で、これが承認の取消しになったときに、どのような手続で、どのようなことになっていくのかというイメージが、まだ余り、私としては持てないので、ちょっとその辺を教えていただきたいと思います。これからの議論なので検討していくということでしょうか。いずれにしても制度を変えようとするわけですから、ある程度、その方向性がないといけないと思いますので教えていただきたいと思います。
○中井医薬品審査管理課長 ありがとうございます。これについては、例えば再生医療製品であれば、期限、条件付き承認制度というのもありますし、いろいろな制度があります。それと一緒かどうか、まだ分かりませんが、いずれにせよ、承認を取り消すということになるのであれば、何らかの議論を行った上で、PMDAの審査も踏まえた上で、審議会で議論するのかを含めて、今後検討することになると思っております。
○福井部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、議題2に入りたいと思います。(国民からの信頼性確保に向けた対外診断用医薬品・医療機器の規制の見直し)についてです。事務局から説明をお願いします。
○高江医療機器審査管理課長 医療機器審査管理課長です。資料2、テーマ③について御説明申し上げます。2ページ、今までの背景・課題と御議論いただきたい事項として、これより(1)から(4)について御説明いたします。
まず、(1)体外診断用医薬品の特性を踏まえた制度の見直しです。こちらは制度改正の検討の方向性です。4ページを御覧ください。全部で4点挙げております。1つ目は、新型コロナのように変異の多いウイルス等を検出する体診につきまして、市販後の性能担保に必要となる措置が可能となるよう製販業者による情報収集・評価・報告といった規定を設けるとともに、市販後の性能が担保されない場合には承認を取り消すという、医薬品の再評価と同様の制度を導入してはどうかと考えております。2つ目は、臨床検体を用いた性能試験におけるデータにつきまして、更なる信頼性を確保するということで、現在は基準が明確に定められておりませんが、これを定めてはどうかということです。3つ目としては、国際整合の観点も踏まえ、医薬品ですので、現状は副作用報告制度になっておりますが、医療機器と同様の不具合報告制度へ移行することとしてはどうかということです。4つ目として、製造販売承認前試験ですが、現在はPMDAで個別に審査が行われており、その中で製造管理や品質管理もきちんと担保されているということから、この承認前試験を不要としてはどうかという提案です。
続きまして、(2)医療機器の登録認証業務の撤退時のルールの整備など、登録認証制度の安定的な運用に向けた制度の見直しです。これまで御議論いただきました背景等から、6ページの一番下ですが、「検討の方向性として、登録認証機関の調査能力の維持向上及び均一化を図るという目的で、登録認証機関が行う実地調査へのPMDAの同行(立会検査)を、法律上明確化してはどうかと考えております。また、2つ目として、登録認証制度の安定的な運用及び医療機器の供給の継続という観点から、登録認証機関が休廃止時における届出の期限や、また第三者への事業承継時における登録認証機関の地位の承継その他必要な規定について、法令上明確化してはどうかと考えております。
続きまして、(3)SaMD等の実用化促進に向けた運用面の改善です。9ページの一番下に、検討の方向性(案)を2つ記載しております。現在、SaMDの実用化促進策として通知に基づき、「プログラム医療機器(SaMD)に係る優先的な審査等の試行的実施」としておりますが、これにつきまして、SaMDと同様の機能を有する医療機器(SiMD)についても、引き続き、今回は試行的運用を継続するということとして、法制化についてはこれらの運用の成果も踏まえて、改めて検討するということでどうかと考えております。
2つ目ですが、クラスⅡに分類されるSaMDについては臨床試験や臨床性能評価を要さない等、一定の要件を満たす場合には、審査期間の短縮が可能となるような審査の手続の迅速化を図ってはどうかと考えております。
最後の4つ目です。12ページ、(4)製造管理者要件等の見直しです。こちらは体外診断用医薬品についてです。14ページを御覧ください。こちらの検討の方向性は2つあります。1つ目の生物由来製品の保管のみを行う製造所における製造管理者の要件は、体診だけではなく医療機器ですが、こちらは合理的な規制の観点から、保管のみを行う生物由来製品の製造所における製造管理者要件につきまして、従前は医師と細菌学的知識を有する者になっておりましたが、それに加えて、大学等で化学、生物学、農学、獣医学、薬学、医学、歯学等に関する専門課程を修了した者を追加することとしてはどうかと考えております。
2つ目の体外用診断用医薬品に係る総括製造販売責任者及び製造管理者の要件です。体外診断用医薬品の定義の見直しにつきましては、体外診断用医薬品は薬機法上医薬品として定義されているものの、体外診断用医薬品の製造販売業及び製造業につきましては、その特性及び従前の規制措置の状況等を踏まえ、平成25年の法改正において医薬品と分けて医療機器と同じ章において規定されているところです。製造販売業と製造業は異なり、医薬品として販売業の規制が行われているという実態がありますので、引き続き、この定義の見直し自体は検討を進めることとしてはどうかとしております。また、この総括製造販売責任者と製造管理者の要件ですが、人の身体に直接使用されないといった品目の特性や製造販売及び製造管理に必要な基礎知識を考慮することも必要ではないかという意見も踏まえ、薬剤師を置くことか著しく困難であると認められる場合には、従来の薬剤師に加え、時限的に、大学で化学、生物学、農学、獣医学、薬学、医学、歯学等に関する専門課程を修了した者をもって行わせることを追加してはどうかということを考えております。
それぞれの共通ですが、一番下の所です。保管のみを扱う生物由来製品に係る製造管理者、体診の総責と製造管理者のいずれにおきましても、その具体的な要件については、引き続き検討を進めさせていただくことを考えております。資料2の説明は以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、こちらにつきましても順番に御意見を伺えればと思います。2ページの下半分に説明された4つの項目がリストアップされております。まず、市販後の継続的な性能確保や不具合報告制度の構築など、体外診断用医薬品の特性を踏まえた制度の見直しについてです。主として、4ページの説明をしていただきましたが、この点につきまして、何か御意見、御質問はいかがでしょうか。よろしいですか。久芳委員、どうぞ。
○久芳委員 ありがとうございます。こちらについては、体外診断用医薬品の特性を踏まえて、例えば医療機器と同様に不具合報告制度に移行しようといった点など、国際整合の観点からも検討して提案していただいていると理解しておりますので、産業界の立場でも、これらの提案について賛同するものです。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいですか。4ページ、4つの項目が挙げられていますが、1つ1つ御意見は伺えませんが、全体として何か、ほかに御意見はございましたらお願いします。よろしいですか。
それでは、2番目の医療機器の登録認証業務の撤退時のルールの整備など、登録認証制度の安定的な運用に向けた制度の見直しについてです。6ページの特に検討の方向性としましては、2つの項目についての説明がありました。いかがでしょうか。登録認証機関が行う実地調査へのPMDAの同行を法令上明確化してはどうかという項目も入っています。いかがでしょうか。よろしいですか。久芳委員、どうぞ。
○久芳委員 この2つの項目、いずれも賛同するものです。上のPMDAの立会いについて、目的も合わせて明確にしていただく方向ということで、ありがとうございます。実際に、運用に移るに当たってはその目的に合った内容になるように、引き続き御指導いただければ有り難いと思っております。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかには、いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、9ページの(3)SaMD等の実用化促進に向けた運用面の改善、背景・課題の所、検討の方向性についての御説明がありました。いかがでしょうか。改めて検討するというのが、最後の文書になっております。この方向で検討していただくということで、よろしいでしょうか。久芳委員、どうぞ。
○久芳委員 ありがとうございます。確認ですが、まず、上のSaMDの優先的な審査の話ですが、これについて、SaMDと同様の機能を有する医療機器も対象にすると示していただいていますが、言葉として、SaMDと同様の機能を有する医療機器というのは少し分かりにくいという印象を持っております。先ほどの御説明からも、今、指定要件を示して試行的に運用している制度の、その指定要件に合致するものについては、SaMDではない医療機器も採用の対象にするという内容だと理解しましたので、その「SaMDではなくても」というところが分かるように、読めるようにしていただけると有り難いと感じました。それが1点です。
それから、その下の項目については、これもSaMDについてということで審査期間の短縮も検討していただけるということを示していただいておりますが、同じように、一定の要件を満たす場合には、SaMD以外についても期間の短縮が可能というケースもあるのだろうと思いますので、そういったところも併せて検討していただけると有り難いと思います。以上です。
○福井部会長 事務局、よろしいですか。
○高江医療機器審査管理課長 医療機器審査管理課長です。御指摘ありがとうございます。今回、この形に検討の方向性をしたのは、今までの御意見の中で、Software as a Medical Deviceだけではなく、Software in a Medical Device、従来型のそのものについては、同様の機能を有するにあっても、その制度が掛からないというのはどうなのかという御指摘を踏まえて、こういう形にしているところです。いわゆる、SiMD以外の全ての医療機器に、これを一遍に広げられるかどうかは、そこは議論があるところかと思います。その2つ目のポツに関しましても、当然SiMDも、ここは視野に入れようと思いますが、一定の要件を満たして審査を迅速化するというのは、今までも医療機器を業界の皆様方との協働計画の中でやっておりますので、そういった場を通じて、引き続き一緒に検討をさせていただければと思っております。
○福井部会長 よろしくお願いします。ほかには、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、検討の4つ目の製造管理者要件等の見直しです。主として、14ページの検討の方向性について説明していただきました。いかがでしょうか。何か御意見、御質問があればお願いします。村島委員、オンラインでどうぞ。
○村島委員 村島です。今後、拡大していく「専門課程を修了した者等」の所ですが、これは体外検査薬ですので、臨床検査技師が、一番親和性の高い存在なのかなと思います。臨床検査技師となると、この医学、歯学等に関する専門課程を修了した者という中に入るのでしょうか。
○福井部会長 いかがでしょうか。
○高江医療機器審査管理課長 医学、歯学「等」に入ると理解しております。
○村島委員 分かりました。臨床検査技師の学問としての歴史は浅いので、昔は薬剤師さんがということだったとは思うのですが、最近は臨床検査分野にも新しい人材が育っていると思いますので、質問いたしました。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかには、いかがでしょうか。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。14ページの体外診断用医薬品に係る総括製造販売責任者及び製造管理者要件の所ですが、検討の方向性に、定義の見直しについて入れていただきありがとうございました。引き続き、検討を進めることとしていただきたいと思っております。その次に関しては、先ほどの議論にもありましたが、現状を踏まえて調査した上で検討していただくということで、お願いしたいと思います。以上です。
○福井部会長 はい。その方向でお願いいたします。ほかには、いかがでしょうか。川上委員、どうぞ。
○川上委員 ありがとうございます。川上です。森先生が今お話されたところと同じですが、まず1つ目の定義の見直しについても関係するのですが、次の所にも人の身体に直接使用されないといった品目の特性の記載があります。一方で、薬機法上の医薬品の定義は「疾病の診断、治療、予防に用いるもの」なので、人の身体に直接使用しなくても、それは疾病には大きな影響を与えるものですので、定義が変わったとしても、医薬品で行われていたのと同じように、きちんとした管理がされていってほしいと思います。
それと、下の総責や製造責任者の要件については先ほども議論がありましたが、その内容も見て、こちらも併せて議論していっていただけるとよろしいかと思った次第です。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。久芳委員、どうぞ。
○久芳委員 ありがとうございます。産業界の立場でも、定義の見直しを論点として明確に示していただいたということで、引き続き我々の意見もお伝えしていきたいと考えております。
それから、同じく管理者要件の見直しについても、引き続き具体的な要件を検討していくといったことを示していただいておりますので、これについても、我々からも是非意見をお伝えしたいと考えております。よろしくお願いいたします。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、次の議題3、4に入りたいと思います。議題3と議題4は、まとめて事務局から説明をお願いいたします。
○大原薬事企画官 医薬局総務課でございます。まず、資料3です。議題3ですが、テーマ④です。本日は、テーマ④(少子高齢化やデジタル化の進展等に対応した薬局・医薬品販売制度の見直し)の中の(薬局の機能等)という所と、(調剤業務の一部外部委託)について、お話させていただければと思っております。資料の2ページです。こちらは初出ですので細かめに説明させていただきます。薬局薬剤師については、平成27年に厚生労働省で作成した「患者のための薬局ビジョン」において、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の推進、対物業務中心の業務から対人中心の業務へのシフトを図って、医療機関等との地域連携等の実現を目指しているところです。これに際して、患者さんが自身に適した薬局を主体的に選択できるように、現状、健康サポート薬局の届出制度、それから認定薬局、いわゆる地域連携薬局、専門医療機関連携薬局ですが、この認定薬局制度において、一定の機能を有する薬局について表示又は名称を使用できる制度が導入されています。
しかしながら、特に健康サポート薬局、地域連携薬局については、在宅対応を含むかかりつけ薬剤師・薬局としての機能を持つことを要件としているなど、共通している部分もありますので、地域の中での位置付けや違いが分かりにくく、利用者にとってのメリットが不明確であって、十分に活用されていないといった指摘もあります。
こうした状況を踏まえて、健康サポート薬局、認定薬局について、患者さん等が利用する薬局、それから医療関係者が連携する薬局を選定する際に有用な制度となるように、その機能や地域における役割・位置付けを「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」において、改めて整理・明確化するための議論を行いました。このとりまとめを、令和6年9月末に行いましたので、そちらの状況も含めて本日、報告させていただきたいと思っています。
3ページは、検討会のまとめの概要です。検討会においては、先ほど申し上げたとおり、地域における薬局の役割・機能というところが議論されました。上半分の背景については同じですので、省略させていただきます。下段部分ですが、薬局が地域での医療資源を有効に活用する観点から、薬局間の連携等によって地域・拠点で必要な機能を確保していくことが必要であるとされ、薬局に必要な機能について、個々の薬局に必要なもの、本来は個々の薬局で持っていることが望ましいものの、少なくとも薬局間の連携等によって地域・拠点で確保すべきものといったところが整理されたところです。
その上で、それぞれの認定薬局等が持つべき議論というのが整理されました。4ページです。まず、地域連携薬局の役割・機能ですが、地域連携薬局については、これまでも他機関との連携の下でかかりつけ機能を発揮していただいて、在宅対応等に取り組むこととなっているところです。地域において果たす機能に着目すると、地域連携薬局については、在宅対応などに対応できる機能を持つ薬局として位置付けて、具体的には、個々の薬局に必要な機能に加えて、ここに記載してあるように、在宅対応の実施に加えて、地域の薬局が対応できない場合に、それらの薬局と連携して対応すること、また、医療用麻薬調剤の対応、ターミナルケアを受ける患者の対応や無菌製剤処理、医療機関等との情報共有といった役割を果たすというところが整理されました。
これらの機能のうち、ターミナルケアを受ける患者さんへの対応や無菌製剤処理については、全ての地域連携薬局に必須とする機能ではないものの、地域の実状等を踏まえて必要な体制を確保することが重要とされています。地域連携薬局がこれらの機能を担って、地域で求められる役割を果たすことができるように、この制度についても見直すことが必要という検討会でのとりまとめがなされています。
5ページは、健康サポート薬局についてです。上段ですが、健康サポート薬局は、個々の薬局に必要な機能を前提として、地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援する機能を有する薬局で、地域包括ケアシステムの中で、多職種と連携して、地域住民の健康の維持・増進に関する課題を発掘し、関係機関等と連携しながら創意工夫して当該課題の解決に導くといった地域住民の相談役の一つとしての役割を果たすことが期待されています。
健康サポート薬局についても、必要な役割・機能を明確化して、その上で利用するメリットについての周知が必要であるとされています。
下段ですが、その対応として、機能の明確化に当たって明示が必要なこととして、現状も含めてですけれども、処方箋のない方も含めて、地域住民の健康の保持増進に関する相談を幅広く受け入れて、自治体等と連携しながら必要な機関につなげられる機能が必要となるということで、相談には薬局だけで解決できないものも含まれると考えられますので、地域の自治体を含む関係者と連携しながら、こういった適切な機関につないでいくことが求められるというところです。
健康サポート薬局が求められる役割を果たすために実施すべき対応として、下に書かせていただいていますが、「健康・介護相談対応等」ということで、地域の行政、各団体、機関等と連携して対応すること、それから「地域住民向けの健康サポートの取組の実施」については、積極的に地域の行政や薬局、関係機関と連携するというところを改めて整理いたしました。
その際、健康サポート薬局が提供するサービスについては、その質や安全の確保に努めるべきであり、現行の健康サポート薬局の制度が届出制度であるということもあって、健康サポート機能、健康サポートに関する取組の質を継続的に確保するための仕組みとして認定制度などを法令に規定することが必要であるというところでまとめられています。
また、厚生労働省や都道府県等の行政機関は、健康サポート薬局の役割・機能を明示して、住民、関係機関、関係団体等に周知・広報を図ることが必要ということです。また、健康サポート薬局自ら、及び地域の薬剤師会等と連携を取りながら、積極的に情報を発信していくべきとされているところです。まとめると、健康サポート薬局について、地域住民が必要な機能を有する薬局を主体的に選択できるように、名称独占について法令上明確にすることが必要であるということも言われています。
6ページです。これらのとりまとめを踏まえての制度の見直しですが、今回、見合う機能に着目して、地域連携薬局の位置付けが整理されたところですので、それを反映するための所要の規定の見直しを行いたいというのが1つ目です。2つ目ですが、健康サポート薬局については、取組の質を継続的に確保するため、現状の届出制度を認定制度という形で導入するということ、加えて、健康サポート薬局を法令に規定して、名称独占とすることで、地域住民が必要な機能を有する薬局を主体的に選択できるということが期待されているところです。(1)については以上で、7ページ以降に参考資料を付けていますが、説明は省略させていただきます。
11ページの(2)調剤業務の一部外部委託の制度化について説明いたします。背景・課題については、以前も説明しておりますが、改めて説明いたします。薬局薬剤師の業務は処方箋への対応が中心ですが、処方箋受付時以外の対人業務、セルフケア・セルフメディケーションの支援といった健康サポート業務の充実が求められています。限られた医療資源・時間の中で、薬局薬剤師の対人業務を充実させるために、医療安全が確保されることを前提として、対物業務を効率化して対人業務に注力できる環境の整備が必要ということで、調剤業務の一部外部委託の制度化を挙げさせていただいております。
下の主な意見ですが、前回の議論において、1つ目として、一部外部委託の意義について、各種御意見を頂いたところです。こちらについては、各薬局において調剤に係る基本的な体制を整えておく必要があることは、変わりはありません。その上で、例えば、施設対応のように大量の一包化が依頼されたケースも含めて、地域において、より高度な機能を有する機器を有している近隣薬局と連携したほうが、精度高くかつ効率的に実施できて、その分の時間を服薬指導に割いていただくことも想定されていますので、地域において薬局間で連携するための手段の一つとして、こういった制度の整備をしておくことも重要であると考えています。また、一包化の外部委託を実施する際においては、安全性の担保、検証、業務を誤ったときの責任をはっきりしていただきたいという御意見を頂いています。
12ページです。こうした御意見を踏まえて、検討の方向性を記載しております。「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループとりまとめ」は13ページにありますが、このとりまとめを踏まえて、調剤業務の一部外部委託は、対物業務の効率化の手段の一つとして実施可能とすることとして、委託対象となる業務(一包化)や委託先について、このとりまとめを踏まえたものとして、法令上の対応をすることとしてはどうかというのが1つ目です。
その際、患者の安全確保のため、受託側の薬局及び委託側の薬局において必要な基準等を設定することとしてはどうかというのが2つ目です。3つ目ですが、調剤業務の一部外部委託を実施する場合において、受託側の薬局、委託側の薬局の開設者及び管理者、管理薬剤師に係る義務や責任を法令で規定するとともに、法令上の薬剤師の義務について、受委託を実施する場合の対応を整備することとしてはどうかという方向性を挙げています。(2)については以上です。
引き続き、議題の4関係の資料4「その他の項目について」も説明いたします。資料4の2ページを御覧ください。薬局機能情報提供制度についてです。中身については、以前、御説明したとおりですが、薬局開設の許可権者は、都道府県知事と保健所設置市市長等に分かれているというところがあります。一方で、薬局機能情報提供制度の報告先が、都道府県知事となっていますので、ここを許可権者に合わせてはどうかという話です。それから、医療機能情報提供制度と同様に、報告された内容を厚生労働大臣に報告する等の仕組みを入れてはどうかというのが2つ目です。
主な意見としては、薬局機能情報提供制度の報告先がどこになろうとも、地域住民や患者、行政等もこれまでどおり情報を使えることが重要ということで、県によっては薬局機能情報提供制度で定められている項目以外の独自項目を収集していることがあったり、許可権者が保健所設置市になった場合にも、都道府県と情報が共有されることが重要であるといった意見を頂いたところです。
また、2ポツ目ですが、報告先に合わせて公表の主体を薬局の許可権者にすることで、住民への公表を、より迅速に実施することが可能になるというところですけれども、一方で、区や市で新たな業務を担うことになるので、準備期間を設けていただきたいということです。それから、報告先公表主体が市・区となる場合に、知事のほかに市長・区長を加える必要があるといった御意見を頂いています。
これらを踏まえて、3ページの検討の方向性ですが、1つ目として薬局開設者による報告先は、許可権者と同一にしてはどうかというところです。都道府県等からの報告については、下に書かせていただいていますように、赤字で書いてあるような報告と助言の仕組みを設けてはどうかと考えています。頂いた御意見を踏まえて、保健所設置市市長・特別区区長から都道府県知事への矢印も入れさせていただいています。非常に複雑なルートになっているように見えますが、一番下のポツにありますように、医療機関等情報支援システム(G-MIS)により、薬局開設者の報告が閲覧することができるときは、この報告を行ったとみなすという規定を入れることで、ここの煩雑性は解消されると考えています。
関係法令は次ページにありますが、5ページです。次のテーマです。(2)処方箋等の保存期間に関するものです。こちらについては、現在、薬剤師法において、保存期間が3年となっている処方箋及び調剤録の保存期間を、医療機関等の診療録と合わせる形で、5年間保存としてはどうかという提案です。主な意見として、現状や電子化の情報等を踏まえながら、現場にとって過剰な負担が掛からないような対応をしていただきたいというところです。保存期間を延ばすことについては、おおむね好意的な御意見を頂いています。
6ページに検討の方向性を書かせていただいていますが、調剤済み処方箋、調剤録について、保存期間を5年に延長することとしてはどうかと書かせていただいています。一方で、下に経過措置を書かせていただいていますが、準備に過剰な負担が掛からないように経過措置を設けた上で、施行日を設定したいと考えています。事務局からの説明は以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、資料3から御意見、御質問を頂きたいと思います。最初に、薬局の機能等のあり方の見直しについてです。2ページの背景・課題と、3ページの地域における薬局の役割・機能の説明をして頂いて、4ページ、5ページの説明もして頂きました。6ページの検討の方向性がメインになると思いますが、御意見、御質問等を頂ければと思います。山口委員、どうぞ。
○山口委員 山口でございます。特に、健康サポート薬局についてなのですが、健康サポート薬局を作る検討会に、2015年に、森委員と御一緒に関わったのですけれども、公表されてから8年たっているにもかかわらず、健康サポート薬局を知っている人がまだ1割ぐらいということに、少々悲しい思いをしてきました。是非、法令に規定することが必要だということと、健康サポート薬局自らが、どういう薬局なのかということを利用している患者さんあるいは家族の方に伝えるということも、ほとんどそこが抜けていたのではないかと思いますので、6ページにありますように、届出から認定制度にすることによって、一歩進めていかないと何も変わらないのではないかと思っています。
少し事務局に確認したいのですが、今までは届出だったことで、具体的に健康サポート薬局が何をやっているかということの確認がほとんどできていなかったと思うのですけれども、これを認定制度にすることによって何をやっているかということのチェックというか、確認をすることができるようになるのかということです。もし、それができるのであれば、この制度部会で定期的に報告していただくということも可能なのか。変えることによって何が変わってきたのかということを是非、見えるようにしていただきたいのと、そうすることによって、きちんと積極的に言わなければいけないのだと、説明しなければいけないのだというように、健康サポート薬局の姿勢が変わることを期待したいと思いますので、そこをお尋ねしたいと思います。
○福井部会長 いかがでしょうか。
○大原薬事企画官 まず、届出制度から認定制度に変わることで、認定制度になりますと更新という形を取ることになろうかと思います。そういった際に、どういった取組がなされているかという確認はできるようになるかと思います。周知も含めてということで、行政としても、そういったところは把握したいと思っており、制度が変わる前においても対応しようかと思っています。健康サポート薬局については、理想的にはそれぞれの地域で課題を把握した上で、各薬局の創意工夫による取組というのが求められているところですので、実施状況は多種多様であるかと思うのですけれども、厚労省においても、こういった健康サポート薬局を調査することで、取組内容を情報収集や分類して好事例を横展開して、各健康サポート薬局が実施する内容をアピールできる材料をお示しできればと考えているところです。
○山口委員 せっかく作ったものを是非、活用できる形にしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○福井部会長 ありがとうございます。オンラインで伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 御説明ありがとうございます。まず、健康サポート薬局については、私も山口さんと同じで、2015年の「患者のための薬局ビジョン」のときに委員をしており、そのときも、確か何年間もこの議論をしているけれども、全然実態が伴っていないという話をして、更に9年後の今になって同じ話をするというのが大変残念です。
やはり、地域住民にとってのメリットが不明確、認知されていないかつ活用されていないという状況を、見て見ぬふりというか、現状を追認しているというか、そういった状態であることについて、もう少し問題意識を持っていただきたいと思います。
それに対して今後、制度設計を行うのであれば、きちんと質の評価というか、「患者のための薬局ビジョン」のときには、一元的・継続的な把握と、それに基づく薬学的管理という文言を入れたと思いますが、実際に本当に住民にとってメリットがある形で働いてくださっている薬剤師の方をちゃんと評価するというものでなければ意味がないので、健康サポート薬局とそれ以外の薬局の違いは、明確にこういうものがあって、こういう優良マークが付いている所を選べば確実にいいサービスが受けられますということが明確になるような認定にしていただきたいと思います。
ということは、厳正な評価をしていただく工夫が必要で、どの薬局もとにかく認定されるようになるということであれば、マークだけ作って中身が伴わないということになりかねないので、その点は留意いただきたいと思います。
あと、一旦認定すればいいという話ではなくて、定期的に評価をするような仕組みを入れてほしいと。なので、こういう要件を満たせば、「はい、認定」ということではなくて、その条件自体も時代に応じて、それから地域に応じて柔軟に見直していただきたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。オンラインで花井委員、どうぞ。
○花井委員 花井です。ありがとうございます。複数の委員が指摘しているように、健康サポート薬局について国民の認識が広がらないという問題があるということなのですが、1つには、例えば開業医の先生とか病院であれば、国民からしたらお店屋さんとは思っていません。どんなお医者さんがいるかとか、人を見ているというところがあって、薬局は性質上、同じ薬剤師が対応するということもないでしょうけれども、やはり人ではなくて単なる機能というだけでサービスとなると、なかなかこれが難しいというところもあります。
このテーマとは直接関係ないですが、薬局の皆さんにおかれましては、健康サポート薬局でどんな人がどのように皆さんにサービスしているかという、そういうことが見えるようなアピールをしていっていただいて、薬局薬剤師という人が国民に身近な存在になってほしいという願いがありますので、そこに力を入れていいかなと思います。重ねて、失礼な話ですが、やはり薬局はお店屋さん的な認識で、医療機関はちょっと違うと思うのです。そこのところの国民の意識を変えていってほしいという願いがありますので、その辺はお願いしたいと思います。
それから、認定制度なのですが、認定制度になったことによって、これは喜ばしいことではあるのですけれども、では皆、認定してほしくなるかと。つまり、それによってすばらしい薬局となることによって、もちろんお金が儲かるとか、そういうことではなくて、一定程度それによって経営的にも何らかのいいことがあるというところがないと、むしろ認定を受けようとする薬局がいなくなるということを懸念しています。だから、それがどういうビジネスモデル、ビジネスモデルという言い方も余り良くないですが、経営の参考になることによって、どのように安定した経営ができるかということも重ねて訴えていかないと、手を挙げて一生懸命やろうと、汗をかこうという薬局は、ない可能性もありますので、その両方をお願いしたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。先に何か、事務局から、今の伊藤委員、花井委員の御意見についてコメントはございますか。
○大原薬事企画官 各種コメントをありがとうございます。健康サポート薬局ですが、健康サポート機能のみならず、薬局が地域に対して今後どういった形でアピールして活躍していただくかというところは非常に重要かと思いますので、私どもとしても、そういったところについてもサポートしていきたいと思っております。健康サポート薬局に限るところではないのですが、個々の薬局の機能がどういったところがあるかというのを、見える化を図って国民理解を進めていくというところも重要であると思いますので、周知広報活動や薬局機能情報提供制度の活用などを通じて、こういった薬局の機能についての周知、認知度の向上を国としても図っていきたいと考えているところです。ありがとうございました。
○福井部会長 ありがとうございます。森委員、どうぞ。
○森委員 先ほど、事務局から「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」のとりまとめの説明がありました。地域の薬局、認定薬局、健康サポート薬局のそれぞれの機能、在り方の方向性については、検討会のとりまとめに従って対応していくべきだと考えております。また、6ページの検討の方向性(案)に従って対応していくことに関しても異論はありませんが、1つ目の○の地域連携薬局についての※の記載が、とりまとめの内容を抜粋して記載したがために、趣旨が変わって読み取れるような気がいたします。在宅対応を行うのが地域連携薬局と読めてしまう感じがいたしますので、事務局におかれては、とりまとめの内容を十分に反映して、今後の検討を進めていただきたいと思っています。
一方、健康サポート薬局については異論はありません。ただ、認知される、機能が見えるようにすることが非常に重要だと思っています。先ほど、薬局がお店という話だったのですが、薬局は医療提供施設であると同時に、物販業になっているという特徴があって、ある意味では敷居が低くて気軽に相談ができる場所だと思います。そういう意味では、薬局のアクセス、特徴を今後生かしていくことが重要ではないかと思っています。
その上で、今後、検討を進める上での意見ですが、今、2040年に向けて様々な議論が進められています。1つは、人口構造が大きく変化し、それに伴って疾病構造、医療需要が変化すること、特に、地域差ということが大きく問題になってくるのではないかと思っています。新たな地域医療構想の検討が行われていますが、現在でも地域ごとに人口構造であったり医療提供体制、医療需要、薬局の状況等が異なっていて、行政が関与して地域の実態を把握した上で医薬品提供体制を今後整備していくべきではないかと考えております。
以前も発言させていただきましたが、医薬品の提供は、医療と切っても切れないもので、医療計画と整合が必要です。例えば、特に夜間、休日の対応は、医療計画とアンマッチになってしまっては、いくら体制を整備しても非効率になったり、機能が十分に果たせないことがあるのではないかと思います。そのため、2ページの下の主な意見の2つ目のポツにもあるとおり、地域の実情に合わせ、医療計画と整合を取った地域医薬品提供計画の策定が必要で、実効性があるものにするためには法律上の位置付けが不可欠だと考えております。これは、制度改正としても考えていただきたい、盛り込んでいただきたいことです。以上です。
○福井部会長 事務局、お願いいたします。
○大原薬事企画官 コメントありがとうございます。地域でどういった形かという部分については、医療法の中とか、医療計画の中で扱う部分もあります。薬機法でどこまで扱えるかという部分もありますが、基本的には医療の中で扱う部分については、関係部局である医政局とも相談しながら進めていく形になるかと思いますけれども、薬機法に規定できる範囲というところで、なかなか難しい部分もあるということは御承知おきいただければと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 産経新聞の佐藤です。事務局の検討の方向性については賛成しますというか、反対するものではないのですが、地域連携薬局を在宅対応を担う薬局として位置付けることはよいと思います。訪問薬剤が今後、重要な要素になっていくことには異論はありません。
御提案は、いろいろな薬局がそれぞれの機能を果たすという方向性で書かれているのですが、利用者にとっては混乱のあるところではないかと思いました。もともと地域連携薬局というのは、地域の薬局のハブとして機能してもらうのが狙いだったと思います。理想的には、そこに複数の薬剤師さんが在籍して、一般用医薬品も医療用医薬品も扱い、訪問薬剤もやるし、健康サポート薬局の機能も合わせ持つことで医療と介護の双方に目配りすることができて、介護保険の総合事業のような、自立支援もできるというのが私のイメージでした。
現実問題として、そこまで一足飛びにいかないし、理想は理想だけどなかなかそうはいかないので、その過程として、それぞれの薬局にそれぞれの機能を発揮してもらいますということなのかもしれません。利用者さん、患者さんが混乱しないように、そこは連携で乗り切っていくし、3ページの下のほうにある黄色の部分は、行政が関与して、面で整えていきますという趣旨だと思います。ですが、この「連携で」という「連携で」の部分は、具体的にはどのような仕掛けを考えていて、面としての機能を発揮していただけるのかというのをお聞きしたいです。私のイメージでは、もともと連携拠点薬局がハブとなって、全体の面の中心となって、こういうものを面として果たすというイメージだったのですが、そうではないのだったら、では連携をどうやって果たすのかをお示しください。
○大原薬事企画官 コメントありがとうございます。まず、地域連携薬局についてですが、これまでの要件等を含めても、各薬局がほかの機関との連携に軸足を置いた要件という形になっているところであって、実施する形としては、かかりつけ機能を果たして在宅等に取り組むという形になっています。今回、発揮すべき機能に軸足を置いて在宅という話が出ているのですが、それに当たっては当然、他機関との連携が付随してきます。そういった意味では、実質的に地域連携薬局のカバー範囲が大きく変わるものではないという前提は、まず御理解いただければと思います。
今後、理想的にどういった姿を目指していくのか、どういう形になるのかという部分ですが、御指摘いただいたように、全ての機能を有した薬局が地域にあることが理想というのは、御意見としてはあるかと思います。そういったトップレベルの薬局が存在する地域であれば、そういった薬局が活躍して担っていただければという部分はあります。一方で、地域の体制によっては、一薬局で全てを担うことが難しい面というのがあるかと思います。そうした場合には、各地域で、必要な機能を複数の薬局間で分担とか、輪番の中でやっていくことがあり得るという議論で、こういったところについては、地域の医療計画を踏まえて各自治体でも議論していただいて、どういった絵姿にしていくのかというのは、各地域の特色に合わせてやっていただくというのが基本ではあるかと思います。こういった理想的な絵姿については、今後とも関係団体も含めて、いろいろと議論を続けていきたいと考えているところです。不十分かもしれませんが、以上です。
○福井部会長 佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 ありがとうございます。ハブ機能を持つ薬局を作るために、薬剤師さんが、1か所の薬局に集まるというソフトの面でも、薬局の広さなど構造上のハードの面でも、なかなか理想に一足飛びにいかない、難しいだろうというのは理解するところです。後ほど調剤業務の一部外部委託についても、ちょっと似たようなことを申し上げようかと思っていますが、例えば、医療には地域医療連携推進法人のような仕組みがありますけれども、何らかの仕掛けを作らないと連携が機能しないと思いますので、そこをよろしくお願いしたいと思います。以上です。ありがとうございます。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、オンラインで伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 今、少し言及がありましたが、調剤の外部委託の話です。調剤業務の一部を外部委託することを、私としては是非、進めていただきたい立場で申し上げております。
先ほども、効率的にできる所に資源を一元化して、そこを利用する形で、地域の持続性を図るというような厚労省の方からの御説明がありました。まさに、そのような目的のために業務委託があるのだと思います。今、範囲が一包化の作業だけになっていますが、それが試験的な導入の最初だとしても、是非いろいろな形で拡大的に実施し、検討していただきたいです。
あと、同一の三次医療圏内の薬局に限るというのも、都道府県の県境にあるような街もありますので、そういう所も含めて柔軟に検討できるような仕組みを整えてほしいです。つまり、余りにも、がんじがらめにしすぎると、結局は使えなくて、外部委託は無理だというような結論に持ち込まれるという可能性を危惧しております。これまでの部会でも申してきたことですが、改めて申し上げたいと思います。すみません。失礼いたしました。
○福井部会長 ありがとうございます。三澤委員、どうぞ。
○三澤委員 健康サポート薬局について認定制度を導入するのは大賛成です。現状としては、3,100程度の数しかなくて、一方で地域連携が4,000程度ということで、長い歴史があり時間がたっている割には健康サポート薬局が浸透していない、うまく機能していないのは実際、その通りだと思います。
今回の認定制度は法律に位置付けるということですが、これがどういう効果を発揮するのか、私には分かりません。いろいろな意味で国がてこ入れしていこうということだと思いますが、1点だけ私がお願いしたいのは、健康サポート薬局に、てこ入れしていく以上、何らかの形でインセンティブを付けていただきたいと思います。
現状では、薬局というのは、調剤薬局という本来の名前ではない言い方をしている実態がありまして、処方箋を持っていないと入りにくい所、処方箋を持っている人だけが入れる所という感じになってしまっています。そうではなくて、処方箋がなくても健康サポートを受けられものになってもらいたい。
一方、森委員も花井委員もおっしゃっていますけれども、薬局はお店なので、物が動かないとお金が動かないというところがあるのです。健康サポート薬局については、認定制度になっても、処方箋のない人が入ってきて健康相談をしても、インセンティブがないのです。
別の薬局・薬剤師の会議でも、いろいろな人がいろいろと議論を、私も委員として出ていますけれども、薬剤師はこうあるべき、薬剤師としてこういうふうにしていきましょうという議論をしています。でも、そのような議論は薬剤師の集まりでやればいいことです。それは当然、医療人としてやるべきことですが、厚労省の審議会で話をしている以上は、制度であったり仕組みとして、そういうものが成り立つようなことを、こうやって良いことを進めていきましょうということに落とし込むべきだと思います。
そういう意味で、やはり、この認定制度にするのは一歩だと思います。この後、是非、何らかのインセンティブを健康サポート薬局に持たせる方向で考えていただきたい。そうなると、多くの薬局がその方向を向いてくると思います。よろしくお願いいたします。
○福井部会長 森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。先ほど事務局から、地域の中のことは、地域の中で医療等を含めて考えるようにというお話がありました。私もそのとおりだと思うのですが、では、それをどうやって実効性のあるものにするかというと、やはり、制度が支えるのです。
薬局も努力します。薬剤師会も努力します。でも、その努力だけでは決して進まない。やはり、それは制度として位置付けがあるからこそ進む、医療と整合性にあるものになる。2040年に向けて過疎化を含めて地域が大きく変わるときに、国民が必要な医療・医薬品にアクセスできるためには、やはり、制度としての位置付けが必要なので、それをお願いしたいと思います。
それから、インセンティブのことは余り言いたくありませんが、例えば、休日、夜間にしても、体制を構築する、維持することには一定の負担が掛かる。そうしたことをできるような体制にしていただきたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。冨田委員、どうぞ。
○冨田委員 ありがとうございます。先ほどの三澤先生と森先生のお話に乗じた話です。私は経営学やマーケティングを研究しているのですが、病院のマーケティングという言葉があっても、薬局のマーケティングという言葉は余りないのです。
なぜかというと、いろいろ要因があるかと思うのですが、薬局は、接点が少なかったり患者の滞在時間が短かったり、つまり自由度が少ないということもあるかと思います。ただ、薬剤師は薬に対する知識や情報と周辺的な知識や情報もあり、そうしたものを提供できるのが薬剤師の価値かと思います。それが可能になるのが健康サポート薬局であると思います。
一方で、先ほど小売という話もあったのですが、患者の中には薬だけ買って帰りたい患者もいれば、薬剤師といろいろ雑談しながら相談できる関係性を構築していきたいような患者もいるかと思います。ですので薬局も、そういった患者との関係性を構築できるような何か、いろいろなことができるという自由度があるのが健康サポート薬局にとって必要なことであって、それに対する何らかのメリットがあるということも同時に必要なことかと思っておりますので、是非、御検討のほど、よろしくお願いいたします。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、2番目の調剤業務の一部外部委託の制度化についてはいかがでしょうか。11ページ、それから、検討の方向性については12ページについて3項目を御説明いただきました。いかがでしょうか。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。調剤業務の一部外部委託ですが、例えば、真に患者のためになるのか、物に係る業務を効率化して人に対する業務の充実となるのか。その前提として、安全を確保して実施されるのかなど、実務も含めた懸念点は多々あると思います。だからこそ、この検討の方向性の案にもあるとおり、受託側、委託側とも、開設者及び管理薬剤師に係る義務や責任を明確化し、法律上で規定すべきだと考えます。そのほか、この検討の方向性のとおり、受託側、委託側の基準の設定も必ず行うべき事項だと考えます。
また、厚労科研の中で、一部外部委託を実施する際のガイドラインが策定されており、このガイドラインを尊重し、医薬品の安全・適正使用に影響が生じない法整備、制度面の対応をしっかりと行ってもらいたいと考えています。
一部外部委託を法制化する際には、地域への医薬品提供の確保が大前提でなければなりません。委託側の薬局は、調剤業務の一部外部委託を行うことで、自身の薬局における業務の機能の質や適切な医薬品の在庫品目、数量の減少などにより、地域住民にとって必要な薬局サービスの質的・量的機能の低下につながらないようにしなければならないと考えます。また、受託側の薬局は、薬局として必要な機能を提供できることが大前提であり、自薬局の患者に対する機能や責務を放棄することがあってはならないと考えます。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 ありがとうございます。調剤業務の一部外部委託については、12ページの検討の方向性自体は現時点での限定的なものですが、将来どうなっていくのか、よく見えないという点があり、懸念していることを申し上げたいと思います。
何度も発言しましたように、地方の集落でも医療用医薬品と一般用医薬品が届いて、同時に訪問薬剤なども提供されることが必要で、そのためには、どうしていくべきなのかを考えていく必要があると思っています。
対人と対物を分けた場合、対人に特化した薬局は、物販を手放した辺りで経営が難しくなって、最終的には在宅もできなくなり、地方の集落では、物は来るけれども在宅薬剤はないという事態になるのではないかと懸念しているところです。
今のところは、調剤業務の一部外部委託を部分的にトライアル的に進めていくということです。先ほど伊藤委員からは、範囲の拡大という御提案があったところですが、私は逆に、範囲は狭めるべきではないかと思っています。受託、委託は二次医療圏の中で行うことが適切ではないかと思います。先ほど、私は医療でいうところの連携推進法人みたいな仕組みを、と申し上げましたが、外部委託を行う場合には、調剤の外部委託を組んだネットワークの中で、例えば、委託する薬局は訪問の役割を果たしていただくなどの全体像が見えるデザインを、この先、考えていただければと思います。以上です。
○福井部会長 事務局、どうぞ。
○大原薬事企画官 コメントありがとうございます。まず、地域における薬剤の提供体制に影響が出てしまってはいけないというのは、正にそのとおりでございます。そういったところで、委託先の関係で範囲を限定しているという案を出させていただいております。
また、一包化の外部委託もそうなのですが、患者の同意を必要とするので、少なくとも各薬局において同意が得られなかった場合も含めると、一定の体制を整えていくことは当然必要となります。一方、先ほど少し説明したように施設対応のような形で、大量に一包化の依頼があったようなケースでは効率的にできる部分もありますので、患者さんの同意も含めて、しっかり進めていくことが大事だと思います。我々も頂いた御意見をしっかりと受け止めさせていただきたいと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、オンラインで川上委員、お願いします。
○川上委員 ありがとうございます。川上です。12ページの検討の方向性の2つ目です。必要な基準等を設定することに関して、「患者の安全確保のため」と記されています。もちろん、医療の安全性は必要なのですが、同時に、質向上につながるような基準があっても良いかと思います。
先ほど御説明いただきましたが、その前のスライドでも、「処方箋受付時以外の対人業務やセルフケア・セルフメディケーションの支援等」などがございました。また、「対人業務に注力できる環境の整備が必要」ということも、併せて、背景・課題の中に書かれています。
対物業務の効率化の手段という場合に、効率化を誤って、例えば、同じ業務を、より少ない薬剤師で実施できるみたいに捉えられてしまうと、ものは間違っていないけれども、本当の意味で目的とすることが達成されたかどうかは少し危ういように思います。ですから、安全性のみならず医療の質向上につながるような基準も検討できるかどうかということも、併せて御検討いただければと思います。以上です。
○福井部会長 事務局、お願いします。
○大原薬事企画官 コメントありがとうございます。厚労科研費等でガイドライン等の作成をさせていただいている所以外にも、現在、大阪で、特区の実証が行われているところです。この中においては、一連の流れの中でヒューマンエラーが生じ得る工程の洗い出しも含めた検証が行われていると伺っておりますので、施行に向けて、こうした点が基準等でどういうところに反映できるか検討させていただきたいと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。オンラインで北澤委員、お願いします。
○北澤委員 北澤です。今のところ、外部委託は一包化について行われているということですが、高齢者の施設などで大勢の方が一包化を必要とするような場合が想定されていると伺っております。
そもそも、どうして一包化をしなくてはならないのかというと、結局のところ、1人の患者にたくさんの薬が処方されていて、間違えないように一包化してくださっているということだと思います。
でも、薬剤師の対人業務とは本来、その人にそんなに多くの薬が必要なのか、ポリファーマシーの害はないのか、例えば、薬をもう少し減らしたり、飲むタイミングを変えたりできないのか、こういうことを考えて実行するのが、薬剤師にできる対人業務ではないでしょうか。
薬がたくさん処方されているから一包化しなければならず、外部委託するという話だと、たくさんの薬が処方されていること自体を見直すことなく、せめて患者がもう少し楽に服用できるようにするために一包化を外部委託する、というように感じられます。そうではなく、薬剤師は、患者一人ひとりの処方が、よりよくなるように、もっと頭を働かせてほしいと思います。日頃思っていることなので発言させていただきました。
○福井部会長 ありがとうございます。山口委員、どうぞ。
○山口委員 ありがとうございます。今、北澤委員がおっしゃったことは、私も本当にそうだと思います。以前から一包化の議論に参加していますが、患者にとってプラスになるのかというと、何がプラスになるのかというのは、今一、私は腑に落ちていないところがあります。
例えば、薬局に行って処方箋を出してもらって、通常なら1回で終わるところを、一包化することによって、そこで薬を渡してもらえないというようなことも生じてくる可能性があると思います。そうしたときに、委託した先からどのようなルートを介して患者の元に届くのかということもはっきりしていない状況だと思います。
先ほど、北澤委員がおっしゃったように、多分、高齢者の施設で大勢の方の一包化が想定されていると思うのですが、法令化した後、実際に一包化している所が、患者側の不利になっていないか、苦情が出ていないかとか、配送費はどうなっているのかについては、何も決まっていなかったと思いますので、そういうことの実態調査は是非。その後に、どれくらいの所が一包化を実際にすることになって、それが本当に長所、短所どういうことが出てきたのかということを是非、調査していただきたいと思っています。
○大原薬事企画官 コメントありがとうございます。現在行われている特区のお話も含めて、状況については、我々のほうでも収集したいと思っております。ありがとうございました。
○福井部会長 茂松委員、どうぞ。
○茂松委員 私は処方する側ですが、今のお話を聞いておりますと、処方する側が薬をむやみにたくさん出しているように捉えられるかと思いましたので発言させていただきます。
医療をする側からは患者さんのことを考えて適切な薬を出しているわけで、決してむやみに多剤を出しているわけではないのです。ただ、別の診療所で同じような薬が出ていることは、我々も患者さんに確認しているのですが、患者さんにとってはなかなか医師へ言えないところもあるので、そこを調整してもらうのは、薬剤師さんかなと思っております。だから、それだけ患者さんと接していただくことが非常に大事であろうかと思いますし、そういう薬剤師さんが必要ではないかと思っております。
我々は、とにかく患者さんの生活に合って、どういう薬を出して、一包化がいいのかどうかを考えて処方しているわけです。中には、いろいろな医療機関へ行かれる患者さんがおられますので、そこをどのような薬を処方されているのかをなかなか言わない人もおられる。それを薬剤師さんにうまく調整していただいたら、ポリファーマシー等の問題をクリアできるのかと思っております。
我々は何も、理由もなくたくさん出しているわけではなくて、本当に患者さんの状態を考えて、薬の打ち消し合うような出し方で薬を出したりなど、いろいろなことがあるわけで、その辺りをよく考えていただきたい。そのためには、薬剤師さんが患者さんといかに上手にしゃべっていただくかということが非常に大事で、我々の足らないところをカバーしていただく、我々にはそういう薬局が一番適していると思っております。
ただ、今後、2040年をにらんで高齢者の1人住まいや2人住まいが出てくるわけで、みんなが在宅等になると、そこに人材が要るわけです。そのときに、看護師さんを始め薬剤師さん、歯科医師さん、そして我々医師がそこへ行って、医療提供側が一致団結してその患者さんを診ていけるような体制を作らないといけない。
そのときに薬剤師さんが必要になってきますので、やはり今後、協力し合うことが非常に大事であろうと思っております。その中で、調剤に関しては外部委託はあるのかと思ったりもしています。ただ、我々は、薬局を信じて処方箋を出していますから、そこが外部委託で実際には調剤をしないことになると、信頼性の観点で少し心配な点があるかなというふうに思っております。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、時間のこともございますので、資料4に移りたいと思います。資料4には2つの項目がございます。最初の項目は薬局機能情報提供制度です。背景と主な意見を踏まえて、3ページの検討の方向性について御意見を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。これは、この方向でよろしいでしょうか。
それでは、処方箋等の保存期間について、5~6ページにかけての説明をしていただきました。最終的には、保存期間を5年に延長するという提案でございます。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。5年の延長に関しては異論ありません。ただ、以前も発言したのですが、例えば、調剤録の電子化にしても、標準的な調剤録をどうするかというのは、これから議論をするところですので、是非、施行日は十分に配慮いただいて、準備期間も取っていただいて施行していただくことをお約束していただきたいと思います。以上です。
○福井部会長 その方向で、事務局、どうぞ。
○大原薬事企画官 御指摘のとおりに対応させていただきたいと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。いつも検討していただく項目が非常に多くて恐縮ですが、毎回、非常に貴重な御意見を頂けているというふうに思います。もし、ほかに御意見がないようでしたら、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。最後に、事務局から連絡事項等はございますか。
○重元総務課長 次回の第8回制度部会の日程については、10月31日(木)に開催予定でございます。詳細については、事務局から御連絡を差し上げますのでよろしくお願いいたします。以上です。
○福井部会長 それでは、以上をもちまして、令和6年度第7回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会を閉会いたします。御協力、誠にありがとうございました。以上でございます。