- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 厚生科学審議会 (危機対応医薬品等に関する小委員会) >
- 2024年9月30日 第5回危機対応医薬品等に関する小委員会・第1回重点感染症作業班(合同開催) 議事録
2024年9月30日 第5回危機対応医薬品等に関する小委員会・第1回重点感染症作業班(合同開催) 議事録
健康・生活衛生局感染症対策課パンデミック対策推進室
日時
令和6年9月30日(月)16:00~18:00
場所
Web開催
事務局:厚生労働省共用9会議室
事務局:厚生労働省共用9会議室
議題
(1)感染症対策上の必要性の高い医薬品の承認申請について
(2)重点感染症リストの見直しについて
(2)重点感染症リストの見直しについて
議事
- 議事内容
- ○佐野室長 それでは、ただいまから「厚生科学審議会感染症部会第5回危機対応医薬品等に関する小委員会・第1回重点感染症作業班(合同開催)」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず御出席いただき、誠にありがとうございます。
私、本日議事進行を務めさせていただきます、健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課の佐野と申します。よろしくお願い申し上げます。
傍聴の方々におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
なお、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては御理解と御協力のほどお願いいたします。
本日はウェブ会議での開催となりますので、御発言の際は挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載していただき、委員長の指名の後に御発言ください。
なお、ウェブ会議ですので、タイムラグが生じるかと存じますが、御了承願います。
会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
続きまして、委員の紹介をさせていただきます。
通信の確認も踏まえて、お名前を申し上げますので、一言お返事をいただければと思います。
五十音順に、危機対応医薬品等に関する小委員会委員。岩本愛吉委員。
○岩本委員 岩本です。よろしくお願いいたします。
○佐野室長 よろしくお願いいたします。
大曲貴夫委員。
○大曲委員 大曲です。よろしくお願いします。
○佐野室長 よろしくお願いいたします。
加藤康幸委員。
○加藤委員 加藤です。よろしくお願いいたします。
○佐野室長 よろしくお願いいたします。
齋藤智也委員。
○齋藤委員長 齋藤です。よろしくお願いします。
○佐野室長 よろしくお願いいたします。
鹿野真弓委員。
○鹿野委員 鹿野でございます。よろしくお願いいたします。
○佐野室長 よろしくお願いいたします。
中野貴司委員。
○中野委員 中野です。よろしくお願いします。
○佐野室長 よろしくお願いいたします。
濵口道成委員。
○濵口委員 濵口です。よろしくお願いします。
○佐野室長 よろしくお願いいたします。
宮川政昭委員。
○日本医師会事務局 日本医師会事務局です。申し訳ございません。宮川常任理事のほうがちょっと到着が遅れておりまして。
○佐野室長 承知いたしました。そういたしましたら、宮川委員におかれましては遅れての参加という形にさせていただきます。
○日本医師会事務局 お手数をおかけします。
○佐野室長 ありがとうございます。
横野恵委員。
○横野委員 横野です。よろしくお願いいたします。
○佐野室長 よろしくお願いいたします。
四柳宏委員。
○四柳委員 四柳でございます。よろしくお願いします。
○佐野室長 よろしくお願いいたします。
重点感染症作業班委員。三﨑貴子委員。
○三﨑委員 三﨑です。どうぞよろしくお願いいたします。
○佐野室長 よろしくお願いいたします。
森川茂委員。
○森川委員 森川です。よろしくお願いします。
○佐野室長 よろしくお願いいたします。
なお、長谷川委員、福島委員からは御欠席の連絡を受けております。
本日は、委員14名のうち、現在11名が御出席となっておりますので、厚生科学審議会の規定により、本日の会議は成立していることを御報告いたします。
冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
それでは、議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。
資料は、議事次第、委員名簿、資料1、資料2、参考資料1、参考資料2になります。不備等がございましたら事務局にお申し出ください。
それでは、ここからの進行は齋藤委員長にお願いいたします。
○齋藤委員長 本日もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと思います。ちょうど今、宮川委員も御出席されているようですので、よろしくお願いいたします。
○宮川委員 遅くなり、すみません。
○齋藤委員長 では、資料1につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○佐野室長 事務局でございます。
資料1をお手元に御用意ください。こちらは「感染症対策上の必要性の高い医薬品の承認申請について」という資料でございます。まずは背景について御説明をさせていただきます。上のボックスの1つ目の丸を御覧ください。「重点感染症に対して、危機対応医薬品等(MCM)を確保することは重要である」。2つ目の丸といたしまして、「発生は稀だが一定の頻度がある輸入感染症、その他希少感染症(自然発生をする生物テロ関連病原体/毒素によるものを含む)等の重点感染症に対しましては、感染様式や疾病伝播の傾向から直ちに特例承認制度等を適用する必要性はない医薬品であっても、感染対策上の必要性や公衆衛生危機管理の観点から早期の承認につなげるための手順を整備する必要がある」という背景となっております。
それでは、下の図の御説明に参らせていただければと思います。左側に書いてある通常承認につきましては、一般的に企業等から申請がPMDAに上がってきて、最終的にはそちらのほうで審査を受けて承認されるという流れになっております。そういった一方で、今回感染対策上の必要性の高い医薬品の場合、こちらは中央承認になりますが、どういったスキームで我々としては考えていきたいと思っているかと申しますと、赤で囲まれているボックスの1を御覧ください。厚生労働省(感染症対策部)におきまして、まずは感染対策上必要性の高い医薬品について検討し、厚生科学審議会感染症部会危機対応医薬品等に関する小委員会(以下、MCM小委員会)で審議を行う。
2としまして、厚生科学審議会(MCM小委員会)において了承が得られた場合、厚生労働省(医薬局医薬品審査管理課)に対して、早期の承認の要望を行う。
3といたしまして、厚生労働省(医薬局医薬品審査管理課)にて要望受理を決定し、医薬品医療機器総合機構に対して通知するという形のスキームを考えております。こちらをまとめたものが右側の図となっております。
次のページを御覧ください。こちらは参考として載せておりますが、感染対策上の必要性の高い医薬品に該当する医薬品の条件と医薬品の承認申請、審査及び調査において留意される点について列挙させていただいております。
まず、該当する医薬品につきましては、下に書いてある4つの条件、いずれの条件も満たす品目であると考えております。1つ目といたしまして、重点感染症に対する医薬品その他の感染対策上の必要性の高い医薬品であること。2つ目といたしまして、国内で発生が極めて少なくまれ又は発生していない等の理由で、国内の医療環境下における患者を対象とした有効性に関する比較試験臨床試験の実施が困難であること。3つ目といたしまして、その用途に関し、外国(本邦と同等の水準にあると認められる承認の制度又はこれに相当する制度を有している国をいう。)において、販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列することが認められている医薬品であること。4つ目といたしまして、申請者が、外国の承認申請において提出した資料(CTD第2部~第5部相当資料)を提出することが可能であることとなっております。
次の医薬品の承認申請、審査及び調査において留意される点につきましては、1ポツ目といたしまして、審査及び調査の実施に当たり、外国の承認申請において提出された資料に基づき、当該申請資料に係る説明内容を踏まえて審査及び調査を行うこと。2ポツ目といたしまして、審査及び調査の実施に当たり、一部の試験結果については、提出を求めない又は承認後の提出とすることで差し支えないこと。例えば、外国において、患者を対象とした有効性及び安全性に係るデータ提出を求められず、動物試験成績のみで承認され、その後も新たなデータが得られていない場合、患者を対象とした試験成績を提出する必要はないこと。3ポツ目、申請者は、外国承認後から本邦における承認申請までの間に、海外で得られた使用成績や公表文献に関して十分に情報収集を行い、日本人における有効性及び安全性の評価に必要な説明とともに適切に申請資料に反映すること。なお、CTDの構成は通常の医療用医薬品の構成に準拠し、第1部及び第2部は日本語にて作成することという形となっております。
事務局からの説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 御説明ありがとうございます。
それでは、事務局からの御説明を踏まえまして、委員の皆様から御意見があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。それでは、鹿野委員、お願いいたします。
○鹿野委員 ありがとうございます。
1点確認したいのですが、対象となる感染症対策上の必要性の高い医薬品というのは、このMCM小委員会で審議された場合は早期承認の要望を行うということですが、これは承認する前にまず企業が申請してこないといけないのですよね。企業に対して申請の指導を行うのか、あるいはもし申請されたら早期の承認をしてくださいという形になるのか、教えていただいてよろしいでしょうか。
○齋藤委員長 御質問ありがとうございます。
今の点、事務局から回答をお願いいたします。
○佐野室長 鹿野委員、御質問ありがとうございました。
恐らく2パターン考えられると思います。先生がおっしゃられますように、まずは承認申請を受けている場合は、恐らく我々のほうから審査を受けた後に、医薬品審査管理課のほうに要望が出るものと思います。
実際問題としてまだ承認申請されていないものについては、我々のほうと企業とコミュニケーションを取りながら、できる限りスムーズに流れていくような形にしていく形になるのかなと思っております。
私からは以上でございます。
○鹿野委員 ありがとうございます。
製薬企業の方から聞いている話ですと、厚生労働省からの指導というか、調整があってこれを申請するということになった場合に、どのような条件でどういう形で承認され得るのかということの条件を明確に示してもらえないと、特に海外に本社があるような外資系企業ですと、本社に非常に説明がしづらいと。そういうことになると、今は個別に相談という形になっているかと思うのですけれども、通知とか法的な書類の形である程度明確にされていないと、なかなかその辺の調整がうまくいかないと聞いていますので、可能な範囲で結構ですので、どういう条件の場合にどういうふうな対応で承認されるというもの。例示も含めてそういうのを示していただけるといいのかなと思いました。
以上です。
○齋藤委員長 今のコメントについて、事務局から何かございますでしょうか。
○佐野室長 ありがとうございます。
今、鹿野委員からいただきました点、非常に重要な点だと思っておりますので、我々としてもできる限り分かりやすい通知等を心がけさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
続いて、加藤委員、お願いいたします。
○加藤委員 加藤です。
現在の既存のスキームとして、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議というのが厚労省内にあると思います。抗マラリア薬の承認のときに経験しましたが、学会あるいは患者さんの団体がそこに要望を出して、検討会で必要性などを評価して、企業に開発要請を行うという流れがあります。今回このMCMの小委員会はその検討会の代わりになるような位置づけと考えればいいのでしょうか。こちらで評価したものをまた改めてそういった薬事のほうの検討会で諮られるのかというのがちょっと気になった点です。
あとは、やはり開発企業のインセンティブということで、例えばオーファンドラッグの指定制度とかもあるかと思いますので、そういう流れも使いつつ開発を促進するというような理解でよろしいのかというのを確認したいと思いました。
以上です。
○齋藤委員長 どうもありがとうございます。
それでは、事務局から今の2件の質問についてお答えをお願いできますでしょうか。
○佐野室長 ありがとうございます。
1点目につきましては、御理解のほうが先生がおっしゃっていることとは少し違うのかなと思っておりまして、1点目としまして、あくまで未承認薬・適応外薬検討会議は開発の要望が上がってきて、それについての必要性を評価するという場だと認識しております。一方で、今回はあくまで、そもそも日本で患者さんがいなくて臨床試験ができないとか、そもそも患者さんが既にいないような感染症について、ある一部の臨床研究の省略を行って承認してよいかというところを御議論いただきたいという認識でございます。もちろん、未承認薬・適応外薬検討会議を経てくるものもあるとは思いますが、それ以外のスキームで来るものもあるという認識でございます。
2つ目につきましては、私のほうからちょっとお答えしづらいところになりますので、例えばオーファンのところですとか、そういったところの適応の可否につきましては、我々ももちろんある程度ちゃんとコミュニケーションを取りながらにはなりますが、医薬局のほうで適切に判断していただけるものと認識しております。
私からは以上でございます。
○齋藤委員長 どうもありがとうございます。
それでは、岩本委員、お願いします。
○岩本委員 岩本です。
僕の質問は今、出てきたこととちょっと関係すると思うのですけれども、この資料1を単純に読むと、該当する企業は外資系で、多分メガファーマだけだという感じがします。厚労省は感染症の全体に責任を持っているわけだから、日本の感染症対策の全体像がなくて、海外の企業のためのこういう希少疾患、あるいは重点感染症で規定した疾患だけの小さなメッセージだけぽーんとある委員会。しかも今回は今年度第1回ですし、日本の企業はどう思うのだろうかと懸念いたします。それが第1点です。
日本の企業、感染症の医薬品をつくる企業が減っているのは御存じのとおりですし、ワクチンも、コロナとインフル以外は昔からのはしかとか風しんとか、そういうワクチンしか作っていない。国内企業をどう育成するのかという視点まで全部この委員会に含めろとは言いませんが、要するに、感染症や対処方針の全体像が分からないままこういう議論をするのは非常に不本意だなと思っています。
感染症の全体像を示した上で、国内メーカーに対しても、日本はこういうふうに医薬品の開発をしていきたいというメッセージを出していただくことが非常に必要ではないかと思っています。長くなるので、これでやめます。
○齋藤委員長 岩本先生、どうもありがとうございます。
事務局から何かレスポンスはございますか。
○佐野室長 岩本先生、ありがとうございます。
先生が御指摘いただいた点は非常に重要な点だと思っております。ただ、実際現状として、どうしてもMCMに関わるような医薬品自体が日本企業ではなく、海外企業が開発しているもの、もしくは海外企業が海外で承認申請をして承認を得ているものが多いと思っております。我々としても日本の企業を何とか守り立てていかなければならないというところは重々承知しておりますので、その辺りは今後の課題として、例えばAMED等で何とか支援ができることはないかというところは模索していきたいなと思っているところでございます。
私からは以上でございます。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
それでは、鹿野委員、お願いいたします。
○鹿野委員 たびたびすみません。今の事務局の御説明で気になったのですけれども、先ほどの加藤委員の御質問に対する説明のときに、未承認薬検討会のように危機対応医薬品について臨床試験等がなくて承認してよいかを議論するというような御説明があったかと思うのですが、承認してよいかは、完全にPMDAなり医薬品審査管理課で対応される事項であって、これは早期の承認を要望するという議論をするということで。念のため確認をさせていただければと思います。
○佐野室長 すみません。鹿野委員、私が言い過ぎました。鹿野先生がおっしゃられるとおりの認識です。なので、我々はあくまでも早期に申請してほしいという要望を医薬のほうに上げていくという形になるかと思います。すみません。私の発言が間違えておりました。訂正させていただきます。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
それでは、そのほかの先生から御意見、追加でございますでしょうか。
特に御意見がなければ、本日御報告いただいた方向で対応を進めていただければと思います。
それでは、次の議事に入りたいと思います。資料2につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○佐野室長 事務局でございます。
資料2をお手元に御用意ください。こちらは「重点感染症リストの見直しについて」でございます。以下、資料について御説明させていただきます。
まず、1ポツ目を御覧ください。「ワクチン開発・生産体制強化戦略」に基づき、感染症危機対応医薬品等の利用可能性確保に関する検討会において、予見可能性に基づく重点感染症の分類が整理されるとともに、重点感染症の判断指標、重点感染症リスト(暫定案)が報告されております。この重点感染症リストは、日本国内外の感染症発生動向や公衆衛生危機管理に係る政策ニーズに対する情勢変化等に適切に対応する必要があり、客観的な判断基準を作成し、必要に応じて見直しを行っていくこととしております。
2つ目の丸になりますが、今般、WHOから新規抗菌薬が緊急に必要な薬剤耐性菌のリスト及び病原体優先順位付けの報告書が公開されております。国内では「新型インフルエンザ等政府行動計画」において、平時から重点感染症に対する感染症危機対応医薬品等の研究開発を推進し、活用に至る一連のエコシステムの構築を支援すること、第40回健康・医療戦略推進専門調査会において、第3期医療分野研究開発推進計画骨子が審議され、統合プロジェクトの再編により感染症プロジェクトが設置されることが示されております。
3ポツ目といたしまして、こうした状況を踏まえ、重点感染症作業班を設置し、今年度中に重点感染症リスト(及び重点感染症の該当性の判断基準)の見直しを行い、更新した重点感染症に対する感染症危機対応医薬品の利用可能性確保に関しての検討を進める。なお、重点感染症の対象となりうる疾患は多岐にわたり、専門性も高いため、疾患ごとの検討は作業班と各疾患の専門家や有識者からなる参考人で構成し、検討を行うとしております。
重点感染症作業班の先生方の案につきまして、下のほうに記載しております。
まず、国立国際医療研究センター病院副院長の大曲先生に班長を務めていただき、国立感染症研究所危機管理研究センター長の齋藤先生に副班長を務めていただくという形としております。
私からは以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
ただいまの御説明を踏まえまして、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。それでは、濵口委員、お願いいたします。
○濵口委員 濵口です。
今回見直しが行われることを歓迎しております。最近、20世紀からの歴史を見ても、ニパウイルスが1999年に同定されていますし、その後、SARS、MERSがあって、今度のコロナが4年前に出ています。パンデミックは、インフルエンザは別にしても、非常に頻度の高い形で現れてくるとともに、従来ターゲットにしていないような致死性のものとか、パンデミックなもの、を来すウイルスが出てきている状況を踏まえますと、なかなか対象を限定して予測していくこと、予測は不可能な状況もあると思うのです。ですから、柔軟に対象をしっかり把握して柔軟に決定していくようなシステムをぜひつくっていただきたいなと思います。
それから、病原体によっては求められる知見、事実技術は異なりますので、平時から幅広い疾患を対象にMCMの研究開発を進めておいて、ある種レディー・トゥー・ゴーの状態をしっかりつくるということ。危機が起きたときにいきなりゼロからスタートすることのないような体制をつくるにはどうしたらいいかということをもう少し議論していただきたいなと思っております。ちなみに、CEPIは25種類のウイルスファミリー全部を網羅的に分析しておりますので、やはりしっかりした視点が必要ではないかなと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
もう一点、対象疾患によっては、研究者が個人レベルで作業を進めているものがありまして、それとともに、対象疾患の発症例が国内でないものがあって、フェーズⅡ、フェーズⅢに入っていくのが大変難しい疾患もあります。だからといってそれをやめるのはリスクが高まりますので、作業を進めることは大事だと思うのですけれども、途中で研究が止まるを止めざるを得ない可能性も高いと思うのです。それを個人研究者に任せておくと、結局、データなりサンプルが散逸していくので、必要な情報やサンプルはある種バンク化して、長期にわたるサポート、維持管理ができるようなシステムを考えていく必要があるのではないかと思っております。そのこともちょっと議論していただくと大変助かります。
以上でございます。
○齋藤委員長 濵口先生、大変貴重な御意見ありがとうございました。
続いて、岩本委員、お願いいたします。
○岩本委員 今、濱口先生のほうから発言があったものと基本的には同じなのですが、AMR対象薬を含めて、医薬品に関しては現在、非常に予算が少ない状態の中で、どこまで研究ができるというと、予算的には決して患者さんに投与したりするところまで行けない。そうすると、例えばPoCを確立しておくとか、その薬の状態によって、ここまではもうやってあるということが分かるシステムを国として作っていく、まさにバンクですね。そういう方向性というのはぜひ出していただきたいと思います。
研究者が意欲を持って、ここまでは研究できるというような方向性を示すことにもなるかと思いますし、AMRでも今まで全く知られていない新規のターゲットを探すような基礎研究をスティミュレートする意味もあると思いますので、ぜひともバンクのようなシステムをお願いしたいと思います。特許の問題とか、どういうふうにキープするのかなど、議論が必要ですけれども、そういうものを国として持つのだという方向性をまず御議論頂きたいと思っております。
以上です。
○齋藤委員長 御意見ありがとうございます。
続いて、四柳委員、お願いいたします。
○四柳委員 どうもありがとうございます。
齋藤先生、大曲先生が中心になって進められるということなので、すべての感染症に関する検討が進められるということだと思います。SCARDAがウイルス感染症に関して致死的なものをどうするかということを始められ、今回WHOがプライオリティーの高いBacterial Pathogensを出したということで、今回は細菌がリストアップされるわけですけれども、真菌が抜けているような気がして気になりました。クリプトコックス・ガッティ、カンジダ・アウリスのような病原性の高いようなものもあるということと、真菌の治療薬をつくるのには非常に難渋しますので、恐らく意識をしてリストに上げておく必要があるように思います。
これから分子標的薬など免疫に影響を及ぼす薬がますます進歩しますから、真菌を選んでいただければなと思って、あえてコメントだけさせていただきました。
以上です。
○齋藤委員長 貴重な御意見ありがとうございます。つい細菌、ウイルスに目が行きがちですけれども、真菌というのも重要なテーマかと思います。
そのほか、委員の先生方、いかがでしょうか。濵口委員、お願いいたします。
○濵口委員 もう一点お願いしたいことがございます。本日の中心的な議題から少し外れるのですが、コロナのこの4年間の経験を見てみますと、診断システムの進化というのは非常に重要な役割を占めていたなと思います。2020年ぐらいのときは毎朝テレビを見ると、PCR、PCRと唱えていましたが、結局、全体を見るとPCRはそんなにしっかりやっていなかったと思うのです。だけどけれど、開業医の先生方の外来レベルで感染しているかどうかというのがきちっと数分間で判断できるようになって、一気にいろんな対策が進んだように思うのです。
私が申し上げたいのは、今回のコロナの経験から、PCR検査だけに視点が行くのではなくて、クリニックで、あるいは患者個人で自ら検査できるような迅速簡便かつ低コスト。100円、200円、こういうレベルのものを開発できる力は日本に十分あると思いますので、そういう開発を進めるようにしていただきたいなと思っております。ワクチンも重要ですけれども、やはり診断薬、治療薬についても有事に備えた戦略的な取組というので、コストエフェクティブで正確な判断ができるものをどうやってつくっていくかということを御検討いただければと思います。すみません。よろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 どうもありがとうございます。
それでは、岩本委員、お願いいたします。
○岩本委員 濱口先生の意見に反対するのも何なのですが、1点申し上げたいのは、確かに抗原キットは非常に大事で、数分間でクリニックなり自宅で検査できるというのはいいのですけれども、一方で、特異度や感度が大事だということです。僕はHIVの迅速診断キットで陽性判定された方について確定診断してほしいという紹介を受け、結局偽陽性だったケースを都内のクリニックで4週続けて経験しました。僕は医科研に20年以上症例を診ていて、偽陽性というのは1例も経験したことがありませんでした。イムノクロマトグラフィーの抗原検査は、1%ぐらいの偽陽性率だといいます。4週連続で偽陽性例を紹介してきた企業は、世界でも大手の企業でしたので、来て貰って事情を話しました。もともとアフリカの現地での診断用に開発されたものだということでした。頻度が高いときには偽陽性がある程度あっても迅速性に意味がある。しかし、日本のように疾患頻度が低いときには偽陽性が問題になるということがあると思います。その辺りも、例えば先ほどのバンクができた場合、これはどのぐらいの感度、特異度を持つようなものだということをはっきりさせておくのは意味があるかもしれません。そういう点についてちょっとコメントしておきたかったので自分の経験を申し上げました。特に濱口先生に反対しているわけではありません。
○濵口委員 先生、同感です。
○岩本委員 よろしくお願いします。
○齋藤委員長 どうもありがとうございました。
そのほか。森川委員、お願いいたします。
○森川委員 現在の暫定の重点感染症リストのGroupDには「生物毒」というのが入っているのです。例えばヘビ毒とかです。今後それは見直しでどうなるのかというのは分からないのですが、例えばヘビ毒の抗毒素を国内のメーカーさんが一部つくっているのがあるのですけれども、どんどん撤退されてきているような状況で、例えばこういうのは、今の技術だと簡単にモノクロの遺伝子が取れて、ヒト型の組換え抗体によるイムノグロブリンというのがつくれる技術はあるのですが、これは予算がつかないと誰もやるようなことでなくて、こういうのをつくっておくと、馬に免疫してというようなことをしなくて済むので、そういうのもどこかに。AMEDのSCARDAとか、AMEDの新興・再興になるのか分からないですけれども、どこかそういう支援をしていただけるところがあると、やる人がいるのかなと思っております。
○齋藤委員長 重要な御指摘、どうもありがとうございます。
では、続いて大曲委員、お願いいたします。
○大曲委員 ありがとうございます。
私からは意見というよりは漠然としたコメントになるのですが、問題意識を持っているところだけ共有いたします。これをやること自体はもちろん賛成です。下敷きになるのは、今回WHOから出てきたブループリントだと思います。読んでおるのですが、僕なりの理解ですと、今までは蓋然性とか重大性という観点から優先性が高い病原体というものを選ぶというのが、どこの場でも重点感染症を選ぶときの選ぶ原則。少なくともそこは考慮していたことだと思うのですが、今回の文書を見ると、それだけでは見落としてしまうようなところです。彼らは暗闇の中のライトのような例えを出していましたけれども、要は、ライトに照らされないようなところはどう予測していくのだというようなことが書いてありまして、そういう観点でつくられたリストなのだということがすごく強調されていて、すごく感銘を受けています。それをそのまま取り入れるのか、我々は我々でもうちょっと考えてやっていくのかというところに関しては十分議論が要るだろうと思いました。
もう一点は、今日の先生方の御議論を伺っていて思ったのですが、これは結局、準備に直結してくる話なので、つまり、何をどこまで研究を進めておくのか、止めておいて、レディー・トゥー・ゴーにしておくのは何にしておくのか、止めておいたものを何に生かすのかということの議論といいますか、ある程度のアイデアがあって、それも踏まえて病原体が選ばれていくというところもあるのかなと思いまして、そういう意味では、どのような準備につながるのかということ自体の議論もある程度して、病原体なり疾病概念自体なりと両にらみでやっていく必要があるのかなと思いました。
これは自分で言いながらも簡単ではないなと思うのですが、そういう発想が要るのかなと思ったのと、そういう意味では未来予測といいますか、ホライズン・スキャニングという言葉がよく言われますけれども、そうした観点からも物を見ていく。そして逆引きで考える、バックキャストして考えるということも大事なのかなと思っておりましたので、問題意識だけ共有させていただきました。
以上です。
○齋藤委員長 どうもありがとうございます。
続いては中野委員、お願いいたします。
○中野委員 中野でございます。ありがとうございます。
現在の議題が重点感染症リストの見直しについてということなので、自分もその作業班に含めていただいているので、それに関して質問させてください。重点感染症リストの見直しですから、一番重視しなければならないのは、その病原体の起こす病原性というか、病毒性、病気の強さ。あと、疾病負担の重さ。そこを一番重視するというのが最も大切と考えております。それに加えて、感染症ですから、人の間で流行するには文化とか気候とか、あるいは宿主因子、人口集団がどのような年齢構成なのか。当然我が国とほかの国では違う因子もあるでしょう。
1点御質問を申し上げたいのですが、重点感染症リストの見直しに関しては、病原体とか疾病を一番重視するにしても、そこだけなのか、あるいは私が今、申し上げた我が国特有の文化とか風土とか、あるいは宿主因子、年齢層とかそういったものも加味するのか。現時点でどうお考えかをお教えいただければと思います。
以上です。
○齋藤委員長 どうもありがとうございます。
今、中野委員から御質問いただいた点について、事務局から何かございますでしょうか。
○佐野室長 中野委員、御質問ありがとうございました。
先生おっしゃるように、文化的なものとか日本における何かしらの特異的な条件というものを加味して検討していただく必要性はあるとは思っております。ただ、何でもかんでもこういった重点感染症に当たるものではないと思っていますので、例えば重篤性とか希少性とか、そういったものを総合的に勘案した上で、先生方にどういったものを入れていくかというところを御議論していただく必要性があるのかなと我々としては考えているところでございます。
事務局からは以上でございます。
○中野委員 ありがとうございます。
○齋藤委員長 よろしいでしょうか。
それでは、岩本委員、お願いいたします。
○岩本委員 先ほど森川先生に蛇毒の意見をいただきました。医師としても発言しておく必要があると思って手を挙げました。抗毒素の問題は、まさに明治時代に北里柴三郎が持ち帰った方法をいまだに日本はやっておるわけです。ウマの血清を使うわけですから、リスクが高いです。現在、生物学的製剤基準に掲載されているのは、マムシとかハブですけれども、今年はヤマカガシにかまれる人がいるという新聞報道がありました。ぜひ新しい技術で安全安心な医薬品を作ってほしいと思います。押村先生のヒト化マウス、ヒトの抗体をつくれるマウスもいるわけだし、安全な抗体薬はいろんな方法でつくれますので、ぜひとも安全で効果の高い抗体医薬をつくることを考えていただきたいと思います。
もう一点は、コロナで皆さん、マスクをしたり、予防活動に熱心だったので、コロナが終わってから、今、感染症が増えていますというのはテレビでよく報道されています。最近ですとマイコプラズマが非常に多いとか、ちょっと前だとRSVが多いとか、いろんな話が流れるのですが、特に子供達や高齢者にリスクの高い感染症については、もう少し厚労省が感染対策部を中心に国民に情報を流すべきだと思います。
死亡例やインフルエンザワクチンの対策を変換する基になった超過死亡等の情報は大事だと思います。新しく感染症危機管理統括庁やJIHSができて、どこから発信するかは厚労省で考えていただけばといいと思いますが、日頃から国民に感染症情報や国の考え方を発信していただいた上で、重点感染症等について方針が議論される、そういう方向性になるほうがいいのではないかと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 どうもありがとうございます。まさに感染症一般についての理解があって、その上でこの重点感染症というのはどういう位置づけで、そのために準備、努力をしていかなければいけないというところが理解されるというのは非常に重要なことだと思います。ありがとうございます。
そのほか、委員の先生、いかがでしょうか。こちらの見直しについて、そのほか御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、皆様、御意見ありがとうございました。
本日御報告いただいた方向で対応を進めていただければと思います。
ちょっと時間は早いですけれども、本日の議題は以上となります。
最後に事務局から連絡事項があれば、お願いいたします。
○佐野室長 本日は活発な御議論をいただき、大変ありがとうございました。
委員の先生方の御意見を踏まえ進めさせていただきたいと思います。
また、次回日程につきましては、事務局より改めて御連絡させていただきます。
本日はお忙しい中、誠にありがとうございました。