2022年8月22日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 プログラム医療機器調査会 議事録

日時

令和4年8月22日(月)18:00~

場所

新橋8E会議室(8階)

出席者

出席委員(11名)五十音順

 (注)◎座長 ○座長代理
 
 他参考人1名
 

欠席委員(3名)五十音順

行政機関出席者
  •  八神敦雄(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  中山智紀(医療機器審査管理課長)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長・執行役員(再生医療製品・ワクチン等審査部門担当))
  •  山本晴子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構医務管理監)
  •  高橋未明(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員(機器審査等部門担当)) 他

議事

○医療機器審査管理課長 それでは、定刻より少し早いですけれども、委員の皆様おそろいだということですので、「薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会プログラム医療機器調査会」を開催いたしたいと思います。
 私は、医療機器審査管理課長の中山と申します。本年の6月28日付で関野の後任として着任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
 委員の先生方におかれましては、御多用の中御出席くださいまして、ありがとうございます。
 委員の先生方の御退任とか御就任の話を最初にさせていただきます。
 初めに、蓜島由二委員と橋本省委員が御退任されたことを御報告いたします。
 これに伴いまして、新たに公益社団法人日本医師会常任理事の宮川政昭先生、国立医薬品食品衛生研究所医療機器部部長の山本栄一先生、そして、公益社団法人日本薬剤師会副会長の渡邊大記先生に、委員として御就任いただいているところでございます。
 3人の先生方、一言御挨拶いただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○宮川委員 日本医師会の宮川でございます。この医療機器・体外診断薬部会そのものに入っておりましたので、内容に関しては存じ上げておりますけれども、改めて、よろしくお願い申し上げます。
○山本委員 初めまして、国立衛研医療機器部の山本栄一と申します。蓜島の後任です。本日、WEB参加の予定でしたが、急遽、こちらに参りました。多くの方に御迷惑をおかけいたしました。申し訳ありませんでした。今後ともよろしくお願いいたします。
 以上です。
○渡邊委員 お世話になります。日本薬剤師会の渡邊です。今回よりお世話になります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○医療機器審査管理課長 よろしくお願いいたします。
 本日、委員の出欠状況について御報告いたします。
 現時点で、調査会委員14名のうち11名の御出席をいただいておりますので、薬事・食品衛生審議会令に基づきました定足数を満たしてございますことを御報告いたします。
 なお、4名の委員におかれましては、WEBシステムにて出席いただいております。
 次に、事務局の異動について御報告させていただきます。
 厚生労働省医薬・生活衛生局長として八神敦雄が6月28日付で就任しております。
 また、医薬品医療機器総合機構では、4月1日付で、審査センター長に鈴木洋史、医療機器審査第二部長に矢花直幸、体外診断薬審査室長に福田英理子が着任しております。
 また、6月28日付でPMDA審査マネジメント部長に清原宏眞が着任しているところであります。
 今、在籍しております鈴木センター長から一言お願いいたします。
○審査センター長 御紹介いただきました鈴木でございます。よろしくお願い申し上げます。
○医療機器審査管理課長 次に矢花部長お願いします。
○医療機器審査第二部長 審査第二部長の矢花です。どうぞよろしくお願いします。
○医療機器審査管理課長 次に、福田室長。
○体外診断薬審査室長 体外診断薬審査室長の福田と申します。よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 清原は欠席ですね。
 次に移らせていただきますけれども、本日の審議に参考人としてお越しいただいている先生を御紹介いたします。
 議題1ですけれども、稲田英一先生にWEBにて御参加いただいております。よろしくお願いいたします。
○稲田参考人 稲田です。よろしくお願いします。
○医療機器審査管理課長 よろしくお願いいたします。
 次に、議事に入る前に、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告させていただきます。
 薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。
 今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。
 委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいておりまして、御負担をおかけいたしますけれども、引き続き御理解・御協力賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 次に、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて、事務局より説明いたします。
○事務局 事務局でございます。
 本日の議題の公開・非公開の取扱いについて説明いたします。
 平成13年1月23日付の薬事・食品衛生審議会決議に基づき、本日予定している全ての議題について、医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容等が含まれるため、非公開といたします。
 それでは、続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。
 会場の皆様のお手元には、資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表を紙でお配りしております。
 また、WEBにて御参加されている委員の先生方におかれましては、事前にお配りした資料1~4をお手元に御用意ください。
 タブレットの操作について御不明点等がございましたら、お近くの事務局員までお声がけいただければと思います。
 次に、WEB会議で御参加される委員の先生方へ注意事項を説明いたします。審議中は、マイクミュート、通信環境等支障がない限りカメラオンでお願いいたします。御発言の際は、画面右下の顔のマークのアイコンをクリックして、手のマークを押して挙手いただき、座長から指名された後に、マイクミュートを解除し、お名前をおっしゃっていただいた後に、御発言いただきますようお願いいたします。また、接続トラブルが発生した場合は、チャット欄を御利用いただくか、事前にお送りしました事務局連絡先まで一報いただければと思います。
 次に、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業について御報告させていただきます。
 資料4「競合品目・競合企業リスト一覧」をお開きください。WEBにて御参加されている皆様は、共有画面を御覧ください。
 1ページ目の「ロボット麻酔ソフトウェア」ですが、競合品目・競合企業は該当がございませんでした。なお、「ロボット麻酔ソフトウェア」は審査の過程において販売名を変更しており、本日は「ロボット麻酔用シリンジポンプ制御ソフトウェア」として御審議いただきます。
 委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、議題1について、薬事分科会審議参加規程第12条「審議不参加の基準」に該当する委員は佐久間委員となっております。
 本条項においては「委員が申告対象期間中に審議品目の製造販売業者からの寄附金・契約金等の受取の実績があり、それぞれの個別企業からの受取額が、年度当たり500万円を超える年度がある場合は、当該審議品目についての審議叉は議決が行われている間、分科会等の審議会場から退室する」とされております。一方で、特例を規定する第16条におきまして「当該委員の発言が特に必要であると分科会等が認めたときは、当該委員は出席し、意見を述べることができる」となっております。
 また、薬事分科会審議参加規程第13条に基づく、議決に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。
 以上でございます。
医療機器審査管理課長 事務局からは以上でございます。
 以降の進行につきましては、荒井座長、よろしくお願いいたします。
○荒井座長 よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入らせて頂きますが、まず初めに、議題1の審議に当たりましては、今、御説明いただきましたように、佐久間先生が12条の審議不参加の基準に該当されるということです。しかしながら、私は実はこの項目については、佐久間先生のご見識をぜひ伺いたいと考えております。つきましては、この場で御了承がいただければ、この16条の特例に該当するということで、会議には御出席いただき、御意見も述べていただく、ただし、最後の議決には御参加いただかないという形ではいかがかと考えております、いかがでしょうか。
(首肯する委員あり)
○荒井座長 ありがとうございます。
 それでは、佐久間委員にはこのまま会議に参加していただき、必要に応じて御意見をいただくことにしたいと思います。よろしくお願いします。
 ここまでの事務局の説明につきまして、何か御質問、御意見等、よろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、議題に入らせていただきます。本日は、先ほど御説明がありましたように、議題1が審議事項で、議題2が報告事項となっております。
 議題1に入らせていただきます。医療機器「ロボット麻酔用シリンジポンプ制御ソフトウェア」の高度管理医療機器、管理医療機器または管理医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来成績または特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否について始めさせていただきます。
 先ほど御紹介いただきましたように、本議題につきましては、参考人として、稲田英一先生に御出席いただいております。
 それでは、事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題1について、事務局より説明いたします。
 まず、資料1-2のファイルをお開きください。
 1ページ目を御覧いただければと思います。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に関しては、部会の御意見をいただいて、新たに一般的名称を新設することとなります。今回「ロボット麻酔用シリンジポンプ制御ソフトウェア」に対応して、申請を予定する一般的名称は「全身麻酔用医薬品投与制御プログラム」でございます。
 定義は「全身麻酔における適切な麻酔レベルの維持を支援するため、患者の生体情報、薬物動態モデル等から麻酔薬等の投与量や流量等を演算し、投与する輸液ポンプを制御、監視する医療機器プログラム。当該プログラムを記録した記録媒体を含む場合もある。」としております。
 本品は、クラスIII、高度管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定は不要と考えております。
 一般的名称の新設に関する御説明は以上となります。
 次に、審議品目及び審査の概要につきまして、総合機構から御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より説明いたします。本審査に当たり、東京都立病院機構東京都立東部地域病院病院長稲田英一先生、埼玉医科大学国際医療センター麻酔科教授北村晶先生、国際医療福祉大学副学長外寿美夫先生の3名の専門委員から御意見を賜りました。
 それでは、審査報告書を用いて、審査の概要を説明いたします。以降、審査報告書「本体下」「中央」に記載の「緑色のページ番号」、及び「左」に記載の「行番号」を用いて説明いたします。審査報告書は資料1-1でございます。
 初めに、本品の概要を御説明します。資料1-1の「審査報告書」7ページを御覧ください。緑のページ番号です。
 本品、「ロボット麻酔用シリンジポンプ制御ソフトウェア」は、静脈麻酔薬で全身麻酔を行う手術において、麻酔科医の監視の下、鎮静薬として「プロポフォール」、鎮痛薬として「レミフェンタニル」及び筋弛緩薬として「ロクロニウム」の投与量を決定し、シリンジポンプを制御するプログラム医療機器であり、汎用コンピュータにインストールして使用されます。
 審査報告書8ページ、図1を御覧ください。本品の自動制御は、麻酔科医が鎮静の度合いを確認する目的で、鎮静モニタにより測定される患者のBIS値、筋弛緩の度合いを確認する目的で、筋弛緩モニタにより測定されるTOF Count、及び投与量をフィードバックし、BIS値及びTOF Countが一定になるようにプロポフォール、レミフェンタニル及びロクロニウムの投与速度を決定するクローズドループシステムにより実現します。
 9ページ「表1」及び「表2」を御覧ください。本品と併用して使用する生体情報モニタとシリンジポンプは既に承認されており、臨床で使用している製品です。
 続いて、「表3」から「表5」までを御覧ください。本品は、先発医薬品として承認されているプロポフォール「1%ディプリバン注キット」、レミフェンタニル「アルチバ静注用2mg」、ロクロニウム「エスラックス静注25mg/5ml」の添付文書に記載されている「用法・用量」の範囲内で制御します。
 11ページ、159行目「(1)プロポフォールの目標効果部位濃度の算出原理」を御覧ください。BIS値とプロポフォールの効果部位濃度の関係は、図3のような曲線が描けます。プロポフォールの投与制御は、この曲線に対し、患者のBIS値と予測効果部位濃度を〇秒ごとに更新し、BIS値が〇になるように目標効果部位濃度を算出し、投与量を制御します。
 同じページ、169行目を御覧ください。「(2)レミフェンタニルの目標効果部位濃度の算出原理」を説明いたします。プロポフォールとレミフェンタニルには相乗作用があることが知られています。図4は、BIS値が〇となるプロポフォールの目標効果部位濃度とレミフェンタニルの予測効果部位濃度の関係を示した曲線です。レミフェンタニルの投与制御は、目標効果部位濃度をこの曲線の中立点の偏差が〇となるポイントに定め、投与量を制御します。
 12ページ181行目「(3)ロクロニウムの目標効果部位濃度の算出原理」を御覧ください。ロクロニウムの投与制御は、一度消失したTOF Countが再度〇となった際の予測効果部位濃度を目標効果部位濃度として投与制御を開始し、その後、TOF Countが〇になるように投与量を制御します。
 次に、開発の経緯について御説明します。13ページ201行目を御覧ください。本邦では、麻酔科医の人数に対し、全身麻酔で行う手術の数が多く、年々上昇傾向にあることが報告されています。そのため、麻酔科医は長時間労働を強いられており、麻酔科医の働き方に関する課題が指摘されています。本品は、麻酔科医が従来行っている麻酔管理の一部を模擬し、麻酔科医の負担軽減を目的に開発されました。
 なお、外国における承認及び許可はございません。
 非臨床試験成績について御説明します。14ページ233行目を御覧ください。安全性に関する資料として、ソフトウェアライフサイクルプロセス及びユーザビリティエンジニアリングの医療機器への適用に関する資料が提出されました。その下、245行目を御覧ください。本品の性能に関する資料として、自動制御を行う際に必要な一連の計算及び動作に関する試験成績書が提出されました。
 総合機構は、申請者に対し2点指摘しました。253行目を御覧ください。1点目は、患者のBIS値とTOF Countをフィードバックせず、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇試験成績書を提出すること。2点目は、本品を安全に使用するために備えている機能の説明と、その機能の評価資料を提出すること、です。
 それに対し申請者から、1点目につきましては、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇当該機能を削除する旨回答されました。また、2点目につきましては、アラーム機能と医薬品の用法・用量を遵守するための制御機能について、性能及び安全性に関する規格に設定するとともに評価資料を提出することが回答されました。
 総合機構は、提出された資料から、非臨床試験について、特段の問題はないと判断しました。
 続いて、臨床試験成績について御説明します。18ページ表6を御覧ください。本品の有効性及び安全性を評価するため、多施設・共同無作為化・単盲検・並行群間比較・非劣性検証試験が実施されました。
 この試験は、プロポフォール、レミフェンタニル及びロクロニウムを使用し、全身麻酔を受ける20歳以上の患者を対象として、全静脈麻酔を適切に管理可能な麻酔科医による本品使用群「本品群」と、従来どおりの麻酔管理を行う群「対照群」、この2群を1:1に割りつけ、計123例、本品群63例、対照群60例の患者が登録されました。
 22ページ403行目を御覧ください。主要評価項目として、皮膚切開から縫合終了までの時間、以降この時間を「手術時間」と呼びますが、この手術時間に「鎮静」、「鎮痛」及び「筋弛緩」の効果がいずれも適切に維持された時間の割合が比較され、本品群が87.1%、対照群が65.19%で、本品群の対照群に対する非劣性が示されました。
 表11の副次評価項目を御覧ください。1~5までの項目では、手術時間に「鎮静」「鎮痛」「筋弛緩」「鎮静と鎮痛」「鎮静と筋弛緩」の組み合わせにおいて、効果が適切に維持された時間の割合、6では、手術時間にBIS値が目標範囲内に維持された時間の割合が比較され、全ての項目で本品群の対照群に対する非劣性が示されました。また、覚醒について確認するため筋弛緩拮抗薬投与からTOF比が0.9以上に回復するまでの時間とプロポフォールの投与終了から医師が患者の名前を呼んで開眼するまでの時間が設定され、両群とも同様の結果が示されました。
 ここで、「適切な鎮静効果」「適切な鎮痛効果」「適切な筋弛緩効果」について御説明します。ページをお戻りいただき、19ページ表7を御覧ください。主要評価項目、副次評価項目で設定された「適切な鎮静効果」とは、BIS値が35以上55以下であり、BIS値の信頼性が低下している場合は、麻酔科医が鎮静効果を判断しています。「適切な鎮痛効果」とは、表に示したとおり急激な収縮期血圧と心拍数の上昇が生じていない状態、「適切な筋弛緩効果」とは、中程度の筋弛緩状態としてTOF Countが1の状態を定義しています。
 続いて、23ページ、412行目を御覧ください。安全性に関しては、本品との因果関係が否定できない有害事象は、本品群で3例、対照群で2例であり、いずれも非重篤でした。また、国内臨床試験中の本品に関する不具合の報告はありませんでした。
 25ページ、425行目を御覧ください。審査の概要について御説明します。審査における主な論点は5点です。
 1点目は、本品の臨床的意義です。本邦において麻酔科医が不足している状況は、先ほど「開発の経緯」で述べました。26ページ439行目を御覧ください。本品は麻酔科医の監視の下で使用されることから、麻酔科医の労働時間の短縮は見込めません。一方で、静脈麻酔手術において麻酔科医が行う様々な管理項目のうち、BIS値及びTOF Countのモニタリング、シリンジポンプの操作等の一部の作業を本品が担うことで、麻酔科医の作業を補助することは可能と考えます。また、ヒューマンエラーの発生は、人が介在する操作では不可避な事象です。本品が麻酔科医の作業を補助することで、人が介在する作業が減少し、これらに伴いヒューマンエラーの発生リスクの軽減が期待できると考えます。これらから、総合機構は、麻酔科医の作業を補助し、負担を軽減する位置づけとして、本品の臨床的意義はあると判断しました。
 2点目、本品の有効性について御説明します。26ページ、454行目を御覧ください。手術中の麻酔管理は、患者の意識が消失するまでの段階である「導入段階」、患者の麻酔状態を維持する段階である「維持段階」及び手術後に患者が覚醒する段階である「覚醒段階」に分けて考えられます。本品の有効性の評価においても、この3つの段階に分けて評価されました。
 27ページ、490行目を御覧ください。「導入段階」の麻酔管理の適切性は、「麻酔開始から皮膚切開までの時間」と、「適切に鎮静、鎮痛及び筋弛緩が維持された時間の割合」により評価され、「維持段階」は、国内臨床試験の主要評価項目及び副次評価項目の1から6までにより評価され、「覚醒段階」は、副次評価項目の7及び8により評価された結果、特段の問題はないと判断しました。
 3点目、安全性について御説明します。29ページ、558行目を御覧ください。
 国内臨床試験において、先ほど述べましたとおり、本品との因果関係が否定でない重篤な有害事象及び本品の不具合の報告はありませんでした。一方、国内臨床試験における本品の術式は限定的であること、本品群における手術時間が比較的短時間で終了できる手術が多かったこと、ASA-PSが3の患者が2例のみであったことを踏まえますと、当該試験において、実臨床における安全性情報が十分に収集できているとは言えないと考えます。したがって、使用成績調査において、製造販売後も引き続き有害事象及び不具合の発現状況を情報収集し、リスク低減措置へつなげる必要があると判断しました。
 また、本品で管理が困難になる等の問題が発生した際に、速やかに麻酔科医が手動でシリンジポンプの操作へ移行できることが重要です。そのためには、麻酔科医が本品の動作原理、使用方法、トラブル時の対応方法等を熟知する必要があると考え、使用に関するトレーニング等適正使用指針の策定が必要と判断しました。
 4点目、併用する医薬品について御説明します。30ページ598行目を御覧ください。さきに本品の概要で述べたとおり、本品は先発医薬品として承認されているプロポフォール、レミフェンタニル、ロクロニウムの用法・用量の範囲内で投与量を制御します。したがって、先発品と同一の一般名、剤形、成分・含量、効能・効果及び用法・用量のジェネリック医薬品も併用可能と判断しました。
 5点目、適応対象について説明いたします。32ページ642行目を御覧ください。申請時は、国内臨床試験で除外したASA-PS分類が4以上の患者、低体温療法で手術を行う患者、心臓血管外科の手術を行う患者、手術中に神経ブロックを行う患者、妊娠中及び授乳中の患者を含め、プロポフォール、レミフェンタニル及びロクロニウムの適応患者であれば本品の対象患者として申請されました。総合機構は、通常の麻酔管理と異なるASA-PS分類が4以上の患者、低体温療法で手術を行う患者、心臓血管外科の手術を行う患者及び妊娠中の患者を本品の対象患者から除外することが妥当と判断しました。
 最後に、使用成績評価について御説明します。34ページ706行目を御覧ください。先に安全性の評価で述べた理由から、使用成績評価については必要と判断しました。
 使用成績評価においては、国内臨床試験において登録が2名のみであったASA-PSが3の患者の有害事象を重点評価項目とし、ASA-PSが3の患者の有害事象を収集できると考えられる症例数が設定され、総合機構がこの計画について了承しました。
 36ページ、794行目を御覧ください。
 以上を踏まえ、総合機構が、794行目に記載の使用目的とし、801行目に記載の承認条件を付した上で承認して差し支えないとの結論に達し、本プログラム医療機器調査会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。また、使用成績評価の指定は必要と判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
 総合機構からの説明は以上です。御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○荒井座長 ありがとうございました。
 今は、WEBの先生方も音声聞こえておりますでしょうか。
 議論のときに、音声の関係で聞こえないのは一番問題なので、多少時間が遅れることがあっても、きちんとお聞き取りいただける環境で行いたいと思いますので、もし、その辺不都合がございましたら、遠慮なくおっしゃってください。
 それでは、審議に入らせていただきます。
 まず初めに、本議題の参考人として、稲田英一先生に臨床的なお立場からの御説明をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○稲田参考人 稲田でございます。
 では、本品の医療における位置づけと期待について述べさせていただきます。
 クローズドループ制御システムを用いた麻酔薬の自動制御については、過去半世紀以上にわたって検討されてまいりました。現在は、ロボット麻酔、Robotic anesthesiaについて海外でも関心が高まっており、その将来性が期待されているところです。申請品のようなソフトウェアの利用が現実性を持つようになったのは、薬物やテクノロジーの進歩によるものです。全身麻酔時には、患者を鎮静し、意識を取り、術中覚醒を防ぐために静脈麻酔薬や吸入麻酔薬が使用されます。鎮痛や侵害刺激に対する血行動態変動などの反射を抑制するために、麻酔薬に加えてオピオイドや神経ブロックなどが使用されます。気管挿管や術中の筋弛緩のためには、筋弛緩薬が用いられます。
 本品では、現在、広く用いられている調節性のよい静脈麻酔薬であるプロポフォール、鎮痛薬として超短時間作用性のレミフェンタニル、筋弛緩薬としてロクロニウムの投与をクローズドループで制御します。通常は麻酔科医がモニタリングでその効果を判定し、シリンジポンプを操作したり、ボーラス投与をするなどをしています。
 効果判定の指標として用いられるのが、鎮静度を測定するためのBISモニタや筋弛緩の効果を判定するロクロニウム筋弛緩モニタリングTOFです。鎮痛に関しては、患者の意識がないために、有効な判定法がなく、一般的には、外科的侵襲に対する血圧や心拍数の反応などを看視しながら薬物の調整を行っています。
 本品は、これらの通常用いられている薬物を、通常用いられているモニタからのデータを指標に、現在も用いられている薬物動態Pk/Pdのモデルに従って調整するソフトウェアです。本システムは、既存のモデルやモニタや投与機器を最大限に活用しているものと考えることができます。
 麻酔科医のこれらの薬物の調整は、数分から5分単位であるというのに対して、本システムではより短時間、実際には〇秒ごとという短時間のうちに薬物投与の調整が可能になっています。治験で設定されたBISやTOFなどの目標値は、臨床的に妥当性があるものであり、本品は手動に比べて制御性に関して非劣性、むしろ精度が高いことが示され、本システムの有効性が示されていると考えます。
 クローズドループを用いた麻酔薬、筋弛緩投与が備えるべき3つの要件がございます。第1は、患者にとって安全であるということです。本システムには、システム機能不全が起きた場合や、手術や患者の状態変化による危機的な状況が発生した場合に、手動に切り替えが可能な機構が備わっています。第2は、麻酔科医がその目標値を信頼し、予想でき、理解できることですが、本品はさきに述べたように、既存のテクノロジーや薬物を活用したものであり、システムの作動は容易に理解することができます。
第3は、マルチタスクをこなす麻酔科医の臨床的負担を軽減し、自動化できないより重要なタスクに集中できるということです。麻酔科医は、本品で制御される薬物投与のほかに、手術や患者の状態、モニタデータに応じた人工呼吸器の調節、輸液量や輸血の判断、電解質管理、体温管理、血液凝固管理など全身管理や、術後鎮痛や術後管理に関する外科医との相談など、マルチタスクをこなしています。本品を使用することにより、麻酔科医が比較的単純な作業から解放され、患者の状態に即したきめ細かな管理により注力できると期待できます。
 本品には幾つかの限界があります。薬物が持つ副作用は、副反応は、投与制御法が改善しても、これは減少することはあっても不可避です。初期設定や薬物の取り違え、薬物投与の誤りなど、ヒューマンエラーも起こり得ます。本品を用いても十分な効果が得られない場合や過量投与を疑われるのを発見し、修正するのは麻酔科医の役割です。そのため、本品を用いて麻酔管理をする者は、麻酔管理をする十分な経験と能力を持つと同時に、本システムの制御に精通している必要があります。これが操作上の要件として求められるものと考えます。また、麻酔中には、術後鎮痛のために、アセトアミノフェンやフェンタニルなど、ほかの麻酔オピオイドを投与したり、術後鎮静のためにデクスメデトミジンなどが投与されることがあります。治験では検討されていないので、使用成績調査においては、今後の検討が必要と考えます。
 また、治験は、主として全身状態が良好な患者が、侵襲度が高くない、比較的短時間の手術を受ける場合を対象として行われました。今後は、その患者や術式の応用範囲を広げ、それでも本品が、先に述べた3つの(通信不良)申し訳ありませんでした。
○事務局 稲田先生、申し訳ございません。最後の治験は、主として全身状態の辺りから最後、もう一度お願いできますでしょうか。
○稲田参考人 分かりました。
 治験は、主として全身状態が良好な患者が、侵襲度が高くない手術を受ける場合を対象として行われました。今後は、その患者や術式の応用範囲を広げ、それでも本品が先に述べたような3つの要素を満たすことを示すための使用後調査が必要であると考えます。
 以上です。
○荒井座長 稲田先生、ちょっと通信環境が悪く、繰り返して頂き申し訳ございません。ありがとうございました。
 それでは、委員の方々から御意見、御質問等、いかがでしょうか。
 梅津委員、どうぞ。
○梅津委員 梅津ですけれども、稲田先生に先にお尋ねしたいと思うことがございます。
 今、簡単な麻酔が対象とのことですが、全国でどのくらいの症例がこれに対応するとお考えですか。
○稲田参考人 恐らく、先人ということにかければ、半分ぐらいはこういった患者さん、ASAの1から2に相当すると考えられます。
○梅津委員 そうすると。
○稲田参考人 100万件近いと。
○梅津委員 先ほど、適応対象として除外するものが6つぐらい出てまいりましたね。これはそのうちのどのくらいの例がこれに対応するとお考えですか。
○稲田参考人 例えば心臓手術に関してですと、年間で恐らく4万件か5万件ぐらいだと思います。低体温法を使うのはほとんど心臓手術ですので、その辺はダブってきます。産婦人科、特に妊婦の場合には、これは脊髄くも膜下麻酔、腰椎麻酔をすることが多いので、これはもちろんそこから省かれていくということになりますので、実際に除外されるものはそれほどは、適応外になるものはそういったものに限られてくると思います。
○梅津委員 麻酔科医の作業をできるだけ軽くしたいという中で、重症例を扱うものこそ、なるべくこういう自動制御テクノロジーをうまく取り入れてやるべきなのではないかなと私は思うのですが、それでも麻酔科医はこういう簡単なところでも相当タスクが軽減されるとお考えなのでしょうか。
○稲田参考人 おっしゃるとおりです。実は海外では、心臓手術も含めてこういったクローズド制御を用いた方法は用いられています。今おっしゃるように、複雑なものほどこういったクローズドループを使ったほうが楽になることは確かですし、実は、その中ではいろいろな輸液管理とか、人工呼吸器の調整までもある程度含めたものも行われています。
 ただ、最初にお話ししましたように、圧倒的に、こういった比較的健康状態がいい患者さんが受ける手術が多いわけですから、そういった数という点では、応用範囲は非常に広いだろうと考えて、本品の有効性があるというように考えました。
 以上です。
○梅津委員 分かりました。ありがとうございました。
○荒井座長 そのほか、御意見いかがですか。
 幾つかポイントがあるので、今、梅津委員に御指摘いただきましたが、適応については最初の申請者からのものに対して、幾つかのものを外すということで、心臓手術、その他のものは外れた形に今なっているのですが、これは本当に妥当なのでしょうか。
 さきほど稲田参考人がおっしゃられたように、実際に使い出してみると、他のものにも使えるのではないかといった期待が、現場的には出てくるように感じます。まさに梅津委員が指摘された、「もっと難しいものにこのラインを使えないか」という発想が現場では出てくると思われます。しかし、そのデータを集めようとすれば、現在の制度上では適応外使用ですので、特定臨床研究として行なわなくてはならず、一気にハードルが上がってしまいますので、多分、今回の適応以外のところには現実的には使えるようにはならないと想定されます。そうすると、審議の過程において、確かに臨床試験のデータとしては不足なのですが、申請者から出てきた項目を幾つかぽんぽんと外してしまうのが、本当にこういった製品が世に出ていく上で適切かどうか、少し慎重に考えなければいけないのではないかなと、私も感じています。この辺、幾つかポイントがありますが、適応が絞られた点については、御意見いかがでしょうか。
 宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 今の御指摘あったように、適応をどうするのかということになりますと、非常に重症、それから、いろいろな循環状態、呼吸状態を含めてですけれども、ある程度管理しなければいけない確認的なことも含めて、重症な患者さんは、麻酔科医のテクニックが非常に重要で、このデータを今見ると、では、このシステムを使ったからと言って、麻酔量が減っているのか。薬物の用量が減っているのかといったら、減ってないわけです。つまり、麻酔科医はこういう患者さんをどう見ながらやっているのかというと、つまり、生体の反応を見て、ぎりぎりの薬液量を入れてやっているので、このデータとしてこの差が出てくるのです。そうすると、それが軽症であれば、薬液量も少なくて済む。いろいろなことも少なくて済むのですが、ある程度重症になっていったり、いろいろな複雑な手術になっていくと、手術時間も長くなり、そうすると、薬液量はかなり使わなければいけない。そうすると、そこは麻酔科医のテクニックの中で薬液を少なくしていくということで、今、差が出ているのだろうと。
 アメリカなどの場合を含めて、そういう意味では非常に地域が広いので、麻酔科医の修練の優れた人が地方にいないわけです。非常に都市に集中的に配置されているのがアメリカ等ですので、そうすると、そこに行ける患者さんに対しては当たり前ですけれども、ほかの人間も含めながら集中管理しているので、いろいろこういうシステムを使えるのですが、日本の場合ですと、そういう意味では麻酔科医が、経験が浅いとかそういう人も地方のいろいろな病院に配属されている。そういうところにおいては、こういう軽症というわけではないですが、当たり前の手術をするときにこのシステムがあるほうが非常に役に立つだろう。マルチタスクの中でいろいろなほかのところを見なければいけないというところに助けになるので、日本の中では重要で、より手術のグレードが高くなってくるとどうなのかというと、日本の場合にはある程度制約をしたほうがいいと私は思っているわけではなくて、この除外の項目はある程度妥当性があるのではないかな。心臓外科の手術を行うという形ですけれども、そのグレードがどうなのかというところになると非常に難しいかなと思いますけれども、グレードをここでちょっと否定するということはかなり難しい判断を迫られてくるので、そこの判定は、今、座長がおっしゃったように、非常に難しい文言の選択になるのではないかな。ただ、グレードの適応患者はそういうふうに選ばれるべきではないかなと。そういう意味では海外と日本では、また、少し事情も違うだろうと思います。
 以上です。
○荒井座長 ありがとうございます。
 稲田参考人、どうぞ。
○稲田参考人 本品が対象としているのは全静脈麻酔ということで、基本的には静脈麻酔薬を使ったものだけということで、例えば心臓手術ですと、心臓の保護作用、プレコンディショニング作用ということを思うと、吸入麻酔薬も併用して使われるということが多い。それから、いろいろな血管作動薬も非常にたくさん使いますので、血圧を上げたり下げたり、薬も使いますし、ペースメーカーも使ったり、いろいろなところが変わってきてしまうので、確かに、治験をするというハードルは非常に高いと思うのですが、現実的に何十万という患者さんを対象としたほうが、本当に年間5万件ぐらいしかない、そのうちのごく一部しか使えないものに関して、これを除外したことでそれほど不利益になることはないのではないかなと思いました。
 以上です。
○荒井座長 ありがとうございます。
 いきなり適応とかに入ってしまいましたけれども、いかがでしょうね。
 多分、イメージとして、先ほどの稲田参考人の御説明もありますし、今、宮川委員のお話もありましたが、どういう状況を想定すればよいのでしょう。要するに、都市部の麻酔医が結構いて大きい手術をやるような病院でこれが使われるのか、あるいは、宮川委員が言われたように、比較的地方というか、麻酔科医が少ないところで使うような形が一般的なのか。先ほど稲田参考人が言われたような、半分ぐらいは使われるのではないかということになってきますと、逆に言うと、地方という言葉は適切ではないかもしれませんが、そういった大病院ではない病院での麻酔管理に非常に恩恵が大きいのかなとも感じるのですが、稲田参考人、かなり都市部の大きい病院ではなくて、地方というか、中小の病院などで、麻酔科医の先生が多くないところでもかなり使われるのではないかとお考えでしょうか。
○稲田参考人 まず、この治験を始めたところは福井大学で、福井大学は非常に人が少なくて、一体どうやっていったらいいのだろうというところから始まったわけです。麻酔科医の不足はかなり地域差がありまして、比較的多い東京から、東北とかはかなり少ない。そういったところで麻酔科医の助けになればというのが一番の思いだと思います。
 ただ、先ほども述べましたように、安全性という点では、麻酔科医なしではこのシステムは動かないので、割合経験の浅い人たちの助けをするという点ではいいと思うのですが、麻酔科医がいないところで、地方で使うということは、これは危険だろうと思います。
 以上です。
○荒井座長 ありがとうございます。
 そのほかの委員、あるいは、繰り返しの発言でも結構です。
 清水委員、どうぞ。
○清水委員 清水です。2つほど教えてください。
 1つ目は、20ページ、403行目から始まる、4行目ですかね。主要評価項目と副次評価項目、それぞれ非劣性であることが示されているのですが、非劣性マージンはどういうふうに設定されておりますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 総合機構より回答いたします。
 非劣性マージン〇%を設定しております。
○清水委員 〇%の臨床的根拠はどういうふうになっておりますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 〇%の臨床的な根拠としましては、麻酔科医の麻酔を実施するときのばらつきがある程度あることから、〇%は許容できるという判断をしております。
○清水委員 ばらつきの多彩を基に〇%という基準を設定させたということですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○清水委員 ばらつきというと、例えば本品群あるいは対照群のところに標準変化が書いてあるのですが。
○医薬品医療機器総合機構 それらは先行研究がございまして、この先行研究の結果を基にそのばらつきから〇%を設定しております。
○清水委員 今回は、非劣性、むしろほとんどよくなっているものが大部分ですので、非劣性の検定でなくてもよかったと思うのですが、ここは非劣性で〇%ということで、まずは確実に安全性をタスクしようというような考え方なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。もともと麻酔科医よりよりよいものを目指していたわけではなくて、麻酔科医と同じことができるということを目指しておりましたので、非劣性の試験となっております。
○清水委員 分かりました。
 もう一点よろしいですか。
○荒井座長 どうぞ。
○清水委員 9ページの159行目辺りからある濃度の算出原理のところとなります。これは、さらに詳しく書いてあって、別紙のほうで見ますと、別紙の2-1、2-3に該当するところがあるのですが、例えば説明の中でも出てきましたが、〇秒ごとにデータを得るとか、〇点の点数を見るとか、〇〇〇〇関数を用いる。それから、双曲線を用いるとか、双曲線のところでは〇点あるいは〇秒ごと。さらには、もう一つ別の血中濃度。予測効果部位濃度の制御のところでもそういうマジックナンバーが出てくるのですが、これらについて、どのような根拠で妥当であるというふうに設定されているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 今、先生がお話しされているのは、添付資料の内容でしょうか。
○清水委員 はい。私が今申し上げた数値は、別紙2-3、2-4、2-5、2-6、2-7辺りに並んでいる数値となります。
○医薬品医療機器総合機構 すみません。下に緑のページ番号がついていますでしょうか。
○事務局 事務局です。皆さんのお手元のタブレットでは、205分の46ですね。
○清水委員 そうですね。205分の46から始まります。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 ここで用いている実数値、例えば、46ページ目ですけれども、〇〇〇〇〇というところの上に分子が〇になっていますが、これは〇〇〇〇curveのBIS軸の最低値を〇とした場合の式になります。〇〇〇〇curveのBIS値の最低の値が〇という値はどうやって決めたのかというと、麻酔科医の先生の経験値から〇と決めています。〇で制御できない患者さんについては、〇、〇と傾きを変えて制御します。この一つ一つの値は、麻酔科の先生が経験上決めたものであると説明を受けています。この先生が経験上決めた値の妥当性については、臨床試験を実施し、良い結果が出たということで、今回、承認して差し支えないのではないかと判断しております。
○清水委員 〇〇〇〇curve自身の例えば今おっしゃられたようなところが理屈にするという話はいいと思うのですけれども、データのサンプリングの間隔を例えば〇秒ごとに取られたということは、この〇秒間でデータがないわけですよね。一般的に信号処理の理論で言うと、音の信号を復元するために、そのデータの中にある最高周波数の2倍でサンプリングすれば音の信号がサンプリングできるという、サンプリング定義というのがあるのですけれども、それは完全に復元するための条件であって、必ずしも臨床的にはそれはオーバースペックである可能性もあると思いますので、それで臨床的な観点から多分〇秒ごとに決められたのだとは推測はしているのですけれども、本当にその〇秒以内にクリティカルなことが起こらないというようなことをどうやって確認されているのか。あるいは、先行研究でこういうデータがあるのでここを〇秒ごとにしましたとか、何かエビデンスがあるといいのかなと思って質問をいたしました。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 〇秒ごとというところに関して、〇秒がよかったのだというデータをもって〇秒に決めたわけではなかったかと思います。先ほど稲田先生からの説明があったとおり、臨床の中では、ある程度数分の単位で確認をしているとのことです。麻酔科医が見ている時間よりは短い間隔で制御しているということで受け入れられるのではないかと考えています。
 すみません、稲田先生、補足をお願いしてもよろしいでしょうか。
○稲田参考人 これはシリンジポンプ等からどれぐらいで信号が得られるかというその間隔ですが、恐らく〇秒程度か〇秒がマックスだと思います。臨床的に考えて、今、説明があったように、我々麻酔科医は、分単位で3分とか5分とかいう単位でこういった調整をする、あるいは、変化がなければ10分単位とか、もっと長い単位なので、〇秒という時間に関しては全く問題がなくて、逆に、非常に短いというように考えています。臨床的には問題がない設定と考えます。
○清水委員 分かりました。どうもありがとうございました。
○荒井座長 北澤委員が手を挙げておられます。
 北澤委員、どうぞ。
○北澤委員 北澤です。プログラムと直接関係ない、基本的なことで恐縮ですけれども、1点確認させていただきたく質問します。
 今の臨床試験のところですけれども、この試験は、無作為化・単盲検の並行群間比較非劣性試験ということで、恐らく麻酔科医は盲検ではないけれども、患者さんは盲検であったということではないかと思います。
 この試験のアウトカムは、適切に鎮静効果や鎮痛効果が得られている時間の割合とされていたのですけれども、そうすると、麻酔科医の側が、本品群を使っている群に対しては、何か適切だと判断する時間が長くなるというか、そういう意味でのバイアスが働かないかというのが少し気になりました。そこで、アウトカムを測っている人自身が盲検化されていたかどうかについて確認したいと思います。よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問どうもありがとうございます。
 鎮静に関しては、BIS値が35~55までの間ですけれども、BIS値の信頼性が低いときは医師が判断しているので、盲検はかかっておりません。副次評価項目でBIS値のみで効果を見ておりまして、BIS値だけを見た効果と適切な鎮静の効果の時間に大きな差がなかったので、鎮静に関しては客観的な評価ができていると考えております。
 鎮痛に関しては、急激なというのがどれだけ上がったかというのを規定しておりますので、盲検はかかっていませんけれども、客観的に評価できていると考えております。
 筋弛緩については、TOF Countが1ということで見ておりますので、ここも盲検はかかっておりませんけれども、適切な判断ができていると思っております。
 以上です。
○北澤委員 ありがとうございます。
 では、盲検はかかっていないけれども、麻酔科医によるバイアスはないと考えているという、そういう理解でよろしいわけですか。
○医薬品医療機器総合機構 麻酔科医によるバイアスは排除できていると考えております。
○北澤委員 ありがとうございました。
○荒井座長 よろしいですか。客観的に数値で判断しているということですから、麻酔科医自体が恣意的に判断できるものではないという御説明だと思います。
 そのほか、御指摘、御意見いかがでしょうか。
 どうぞ。
○山本委員 国立衛研の山本です。
 医療に関するところではないのですが、資料1-2の一般的名称の定義の2行目の「麻酔薬等の投与量や流量等」中の「流量等」の部分は「投与速度等」のほうが妥当ではないかと存じます。意見として申し上げます。
○荒井座長 定義のところの「流量」ではなくて、注入速度とかですかね。これはいかがでしょう。
○事務局 山本先生、どうもありがとうございます。
 御指摘いただいたように、「麻酔薬等の投与量や投与速度等」のほうが、定義としてふさわしいと思いますので、部会後にそのように修正して、告示させていただきたいと思います。
 どうもありがとうございます。
○荒井座長 御指摘ありがとうございます。
 そのほか、委員の方々から御意見いかがでしょうか。
 梅津委員、どうぞ。
○梅津委員 梅津です。
 こういう新しいものが出てくると、承認するときには承認条件というのが必ず出てまいります。そこでいつも思うのですけれども、これこれに関する講習の受講等で、それを関連学会が策定するとあるのですけれども、今回の場合、自動制御というのに慣れてしまうと、急にマニュアルをやれといったときに、一般的な話ですが、非常に戸惑うということが大変あると思うので、この場合は特にそこら辺の講習の内容をこの先フォローをしていただいて、これで本当に大丈夫だということを確認していただきたいと思います。
○荒井座長 どうぞ。
○プログラム医療機器審査室長 総合機構よりお答えいたします。御意見いただきまして、ありがとうございました。
 今、梅津委員から御説明いただきましたようなトラブルシュートの観点を含めまして、実際に製品をリリースしたときに問題なく使えることは必要だという認識を持っております。本品に関しては、日本麻酔科学会に協力していただきまして、適正使用指針を策定していただくことになっておりますが、その策定の過程には我々も参画いたしまして、今日、委員から御指摘のあったような点がきちんと含まれているかどうかというのを確認してまいりたいと思っております。
 ありがとうございます。
○荒井座長 私が追加すべきではないのかもしれませんが、今の梅津委員の御指摘は、実は、こういう機器の進歩において非常に重要なところだと思います。だんだんと時代が変わってくると当たり前になってくるものもありますが、術者の熟達度というか、例えば麻酔科に入った新しいお医者さんがいきなりこれを使うことに慣れてしまったら、これなしでやるということができなくなってしまう可能性があります。そこら辺のいわゆる基礎的な能力がきちんと定まるように、学会としては、ただ単にこの機械が安全に使えることだけではなく、たとえこの機械がなくても最低限こういうことはマニュアルでできるようにといった基盤を固めておいて、その上でこの機械を使うことで、ほかのことにより注力できるといった、そんな考え方も踏まえて御検討いただければいいかなと思います。
 梅津委員、そんなまとめ方でよろしいですか。
○梅津委員 それで結構です。
○荒井座長 ありがとうございます。
 そのほか、御意見いかがでしょうか。
 佐久間座長代理、どうぞ。
○佐久間座長代理 今の仕様のところですけれども、これはプログラム医療機器でして、通常使えるパーソナルコンピュータの上で使います。一方で、これは考えているプログラム医療機器とちょっと違っていて、ハードウェアは固定するわけですね。問題は、プログラム医療機器だとして、例えばオペレーティングシステムのアップデートとかそういうことについて、現場がやってしまうと危険だということがあると思っていて、このあたりは多分いわゆる製造業者がやるということが含まれていると思いますが、意外にそのあたりが製造業者は知っているけれども、現場がやってしまうということはないのかどうかということが気になったのですけれども、このような懸念はございますか。
 というのは、皆さんも経験されていると思いますけれども、アップデートすると急に動かなくなる、そういうことがありますね。これは一般的なプログラムとしては、そんなイメージのものだと思われてしまうのですけれども、このあたりは多分きちんとコントロールされていると思うのですが、そのあたりいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 どうもありがとうございます。
 本品をインストールする汎用コンピュータについては、まずインターネットに接続されない状態で使用されますので、使用者がOSをアップデートするということはできないことになっていて、製造業者、申請者のサービスの人間が病院に行って、PCの状態を整えることになっております。
○佐久間座長代理 そういう意味では、通常のプログラム医療機器として想定しているのと、ちょっと質が違う使い方をすることがあるので、そのあたりのところが徹底されるといいかなと思いました。
 それから、先ほどの適応のところですけれども、これは原理的に考えて、数学的なモデルを使っています。薬物動態のことを考えるときに、血行状態があって、血流に流れてものが移動して、それが各部位で作用するというモデル、私は専門ではないのですが、この分野で薬物動態モデルとして確立されたモデルを使われているのですけれども、先ほど除外した血行状態が不安定になる状態などにおいては、そのモデルが適応できなくなるという、そういうことを意味しているのかなと思ったのですが、そういう意味で今回、少し適応を外したというのはそういう観点で考えればいいと理解すればよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そのとおりだと思います。
○荒井座長 そこのところは、そういうことで企業側というか、むしろPMDA側が外しましょうというふうに意見を言われたのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 通常の麻酔管理と同一でない患者さんについては除外するという考え方で、ASA-PS分類が4、心臓血管外科、低体温療法、妊婦を除外させていただきました。
○荒井座長 梅津委員、どうぞ。
○梅津委員 そうすると、将来、こういうプログラム医療機器はどんどん発展するわけですね。そうすると、その発展をする環境をつくることに関しては、今、ここで決めてしまうということは、何か足かせになったりはしないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 これは、BIS値とTOF値で制御をするというのは、そのほかのパラメータを入れて、このプログラムが発展するというよりは、さらにいろいろなものを入れて違うものをつくっているというようなことで考えております。
○梅津委員 それは、発展系というか、また、何か臨床試験を組むためには、新しいテクノロジーを入れて、全然別のものとしてやるという、そういう理解でしょうか。
○医務管理監 コメントありがとうございます。医務管理監でございます。
 先ほどから御指摘いただいておりますように、これは、モニタリングしているものは、要は、生体情報としては2種類だけ取っておりまして、あとは全部モデルでつくっていますので、そういう意味で比較的安定した通常の患者さんではそのモデルが動きますけれども、そのモデルが適応できない場合には使えないということになりますし、あと、薬理的にも、例えば低体温になりますと、薬物動態自身も変わってくる可能性があるので、その意味でもやはりモデルが崩れてしまうという問題はございますので、そういう意味である程度使える状況は限定されるだろうということでございます。
 これを解決する方法としては、1つは、生体情報を、もっと違うデータを取って行うということと。あと、違う状況、例えば低体温時の薬物動態とか、そちらをもう少し精査して、そこで使えるようなモデルを預けるということとかですね。もう少し違うレベルでの技術を導入していただく必要があるのかなと考えております。
○梅津委員 技術立国日本としては、新しい技術が、承認された後に、逆にしぼまないような環境の構築を皆さんで配慮していただければいいのではないかと思います。
○荒井座長 ありがとうございます。
 冒頭でもちょっと発言しましたけれども、今、御説明いただいたような形で、多分、最後に梅津委員が言われたように、こういった変化の激しい領域のものに関して、何か承認という制度を一回通過してしまうと、その後に横に広げるためには大変な労力がかかるわけで、くれぐれもそこら辺については慎重に判断しなければならないと感じております。このことは冒頭にも発言しましたし、多分、梅津委員も同じようなお考えでの御質問かと思います。
 ただ、今の説明をいただきまして、私は納得できましたし、梅津委員もよろしいですかね。
○梅津委員 はい。納得しました。
○荒井座長 今、手を挙げていただいています。
 渡邊委員が先かと思いますが、どうぞ。
○渡邊委員 ありがとうございます。
 少し教えていただきたいのですが、表20の使用成績調査のところに、実施する施設が2施設と書かれているのですけれども、これは、2施設に絞っている理由が何かあるのでしょうか。臨床試験を実施した5施設の全てで実施しないのは、その5施設の実施成績に何か偏りがあることに起因しているのか等々のことがもしあるのであれば、お教えいただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 総合機構より回答いたします。御質問ありがとうございます。
 まず、2施設にしている理由ですけれども、今回のプログラムについては、保険適用等を考えていないということで、販売先を拡げるという意味ではスローなスタートになるだろうということを製造業者は考えているそうです。その中で、2施設ということが出てきたということを聞いています。
 この2施設ですけれども、臨床施設で実施された2施設ですので、使用成績評価の目的を考えますと、ほかの施設も入れて安全性の評価をするのが適切だと思っております。その点については、申請者に伝達したいと思っております。
 臨床試験の5施設について、有効性・安全性に隔たりがなかったかという点につきましては、5施設ほぼ同じような成績で、大きな隔たりはなかったと認識しております。
○渡邊委員 ありがとうございます。ぜひ、PMSの観点からも広げていただけたらと思います。
 もう一点だけすみません。実際の臨床成績で本品群の60例に使用されたケースは、プログラムにより完全に最後まで全ての症例で終了されているのでしょうか。途中から麻酔科医が手動で切り替えた事例等々はあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 1例手動に切り替えております。その1例は、ロクロニウムとレミフェンタニルの医薬品を逆に取り付けていたというミスが発覚したことから、1例手動で、有効性の評価からも除外しております。それ以外の59例については、自動制御を全て完遂しております。
○渡邊委員 ありがとうございます。
 セットを間違えているということは、多分、最初から使っていないのだと思いますけれども、それは間違えてセットすると、何らか開始時点でアラートが入るようになっているということなのですか。どの時点でどう気づいたというのはありますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 今回の臨床試験では、ロクロニウムを投与する前に、TOFの測定を開始しますけれども、TOFの刺激のときに患者さんが痛みの反応をしたというところで気づいたと聞いています。
○渡邊委員 ありがとうございます。
 また、今後の使っていく中でも安全性がさらに高まるようなエラーやアラートがかかるような仕組みがあるのであれば、それは期待したいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
○医薬品医療機器総合機構 どうもありがとうございます。
○荒井座長 横井委員、お願いいたします。
○横井委員 ありがとうございます。
 先ほど、ウィンドウズアップデートに関する御懸念の質問があったかと思うのですが、それに対してネットワークから分離した形で利用される、接続しない形で使われるというお話であったかなと思うので、そこはそれでよろしいのかなと思います。
 ただ、その点は、この添付文書の案を拝見する限り、そういう表現はちょっとないようですけれども、そういう表現は、ネットワークにつながないことみたいなことをお書きする必要性はないでしょうかというところです、御質問としては。ちなみに、システム構成イメージという添付文書(案)の1ページ目のところには、接続のところに「LAN」という言葉が書いてあって、これは恐らくここに限定したLANという意味なのでしょうけれども、ネットワーク上にあるようにも見えてしまう誤解が生じないだろうかという懸念がちょっとありました。いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 どうもありがとうございます。
 取説であるとか使用方法というところには記載があると聞いていますが、添付文書にも注意喚起するよう伝達いたします。ありがとうございました。
○横井委員 ありがとうございました。
○荒井座長 そうですね。ここのところは御指摘のとおりなので、御検討ください。
 そのほか。
 清水委員。
○清水委員 今の件に関連します。15ページの346行からサイバーセキュリティの確保についての説明が入りますが、348行目に、「外部との接続に係る使用状況を分析し、サイバーリスクの可能性が確認されたインターフェースについて云々」という文章があります。これは、外部接続されているということを前提に書かれている文章ではないかと最初思ったのですが、ここで言う「外部」は何を指しているのでしょうか。外部に接続してあっても、適切に管理されていれば、セキュリティが確保されていればいいと思うのですが、先ほどの説明は、それとちょっと矛盾するように聞こえましたので、確認のためにお伺いします。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 本品自体は、使用時に外部に接続するということはないのですけれども、OSのアップデート等は製造販売業者としてはするので、そこを指しているのかなと思っています。すみません。今、即答できない状況です。
○清水委員 ふだん使うときには、外部から完全に切り離された状態で使用して、業者が管理をするときに、外部と接続することがあるということですか。その先には、サイバーセキュリティに関する対策は十分しているということですか。
○医薬品医療機器総合機構 というふうに説明を受けているのですけれども、すみません、まだ詳細までは、今即答できない状況です。
○清水委員 いずれにしても、しっかりセキュリティが確保されていれば、問題ないかとは思いますが、確認をされておいたほうがいいかと思います。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 基本的にはインターネットに接続しないと聞いていますので、問題ないとは思っておりますが、「外部」というのが今何を指しているのかというところは確認します。
 ありがとうございます。
○荒井座長 お願いいたします。
 そのほか、御意見いかがでしょうか。
 宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 私がさっき言ったよね。今のインターネットにとにかく接続しない、手術室内の中でこれが入らないとおかしいので、それだけはしっかりと担保していただきたいと思います。
 それから、いろいろなことが分かっているのですけれども、私も体外循環でずっとやっていたので分かるのですけれども、一つ一つ別物であると考えていかないと対応ができなくなってしまう。つまり、それだけ体内の環境を含めて制御していくのは非常に難しい。透析のいろいろな制御装置にしても、その一つ一つが対象物であるべきで、それがその中で勝手に古くなって更新されていくということはあり得ない話なので、そういうふうに考えないと、生体のいろいろな情報はそれと絡み合っていて、それから、新たな情報が入ってくれば、それは別な真偽として取り扱わなければいけないというふうに理解していかなければいけないので、これはこれだけという形で取っていかないと、かえって、発展を阻害してしまうのではないかなと思いますので、ぜひ、そのような理解で行きたいなと私は考えております。
○荒井座長 ありがとうございます。
 そのほか、委員の方々御意見を。
 佐久間座長代理、どうぞ。
○佐久間座長代理 今の点伺っていて、今おっしゃったとおりで、生体の応答というのがかなり複雑だということがあるのですが、梅津先生がおっしゃっていたことを考えると、今回の使っているモデルに対して、これが適応できる範囲がここであると。一方でいろいろな知見が集まってきて、このモデルの例えば微修正によってこの部分は行けるというようなことが集まってくれば、これは適切にやっていくと。そういうときにどのぐらいの臨床的な評価をするかということは、多分、ゼロからやるときには少なくていくだろう。そんなようなことで、もし、やっていくことが必要なのかなと思いました。
 それから、先ほど梅津先生がおっしゃっていた使う側のリテラシーというか、そこの問題ですけれども、結局、自動制御のシステムは、自分が思ったとおり動いているかどうかというのが結構重要なポイントかなと思っていて、この使っているモデルがどういうもので、例えば〇〇〇〇〇関数は何なのかとか、使われる医療の立場から言えば、これがどういう応答を考えているのかといったようなこと。そういうことが入っていた形で使わないと、導入当初は混乱するのかなと思いますので、そのあたりを何かうまく導入のときに、技術だけでなくて、利用する側の技術というか、そういうところも併せていっていただくような形になるとうまくいくのかなと思いました。
 以上です。
○荒井座長 貴重な御意見ありがとうございます。
 多分、これはプログラム医療機器の調査会というものが始まって歴史が極めて浅いわけですが、今後、継続的に考えなければいけない重要なテーマだと思います。今の御指摘は大変ありがたいと思います。
 そのほか、委員の方々よろしいでしょうか。
 宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 一番最後にお話ししようかなと思ったのですけれども、「ロボット」という言葉を使うことが本当に適切なのかどうか。一般のそういう意味では名称というところから、「全身麻酔用医薬品投与制御プログラム」と書いてあって、これにはロボットをあえて使わなくても、何とか式でも何でもいいのですが、「麻酔用シリンジポンプ制御ソフトウェア」という形だけでもよろしいのかなと。
 今、推測するに、米国などで使っている言葉を少し転用すると、「ロボット」という言葉が少し出てくるのではないかなと推察はしているのですけれども、この「ロボット」という言葉を日本語に置き換えたときにちょっとおかしな感じになるのかなと思ったので、これはいかがかなと、提案させていただきました。
○荒井座長 ありがとうございます。
 私も、実はそれを最後に指摘させていただこうかと思っていました。これは、この調査会で議論してどうこうという話ではないかもしれませんが、一般的に日本の国民というか皆さんが、「ロボット」という言葉に対してどういう印象を持っているかですよね。ただ、これは今後すごく影響してくるであろう話で、調査会で検討するものが今後何でもかんでも「ロボット何々」とかになってしまう可能性もあるわけで、ちょっとそこのところの解釈をお示しいただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 総合機構より回答いたします。
 審査報告書15ページの295行目を御覧ください。審査の中でも、「ロボット」という単語を使うのは適切ではないのではないかという議論がございました。その中で、ロボットは人の代わりを代替するものという印象がやはり強いということと。一般にロボットというものが、センサーがあり、制御部分があり、駆動部があるものを差すことで、議論がありました。
 その中で、今回、「ロボット麻酔用シリンジポンプ制御ソフトウェア」という形で、少し長い名称に変えたことは、海外で麻酔管理をする自動制御については、Robotic anesthesiaということで複数論文が報告されていることもあって、本品はこのRobotic anesthesiaの範疇であるということから、「ロボット麻酔」という言葉を残すことを申請者が強く希望されたこともあって、今の段階で「ロボット麻酔」という言葉を残しています。ロボット麻酔を使うという意味で「用」という言葉を使った。実際に、何をやっているのか、本品自体はシリンジポンプを制御するソフトウェアですので、「シリンジポンプ制御ソフトウェア」を後ろにつけたという経緯がございます。
 Robot anesthesiaについて、稲田先生からも少し御意見をいただこうかと思います。
○宮川委員 それは直訳であれば問題ないのですが、そのまま入っていれば私たちは分かるのです。今、座長がおっしゃったのは、この言葉自体が独り歩きすると。それもこの調査会の責任の一つになってしまう。それが広く汎用されるというわけではないですけれども、それが通常のように使われてしまうと、この調査会でいろいろな理性的な議論をしていくことのやってきたことが違うことに取られてしまうということはいかばかりかなと思ったので、多分、私も発言したのですが、その横文字をそのまま、そういう論文がそのまま使われるのであれば、私たちは経験していることですので、ほかのところでもあります。しかしながら、これが単体として片仮名でこうやって書かれることが非常に問題だろうと思うので、提案しました。
○荒井座長 では、稲田参考人、この件に関して御発言いただけますか。
○稲田参考人 今、PMDAからも説明ありましたように、この用語に関しては議論がございました。ただ、海外でも、将来的にRobotic anesthesiaは将来につながる道だろうというような議論で、実際もう使われている言葉になります。
 それから、この治験をやる段階で、学会でもこういった名前でのセッションも設けられるということで、実際使うのは麻酔科医ですので、そこのところで大きな誤解は生まれないだろうというように思います。仮に、もし懸念があるとしたら、患者さんから同意書を取るときに、「今日はロボット麻酔用制御ソフトウェアを使います」こういった説明をしたときにどう思われるかというところがあるかとは思いますが、基本的には麻酔科医が使うものですので、それほど大きな混乱は起きないと思います。また、例えばロボット支援下手術、ダ・ヴィンチ手術といったときに、やっているのは人間であって、決してロボットではないので、こういったところをもっても、それほど神経質になる必要はないのではないかなというのが私の印象です。
 以上です。
○荒井座長 ありがとうございます。
 ここは本当に難しいのですね。宮川委員も最後に触れられたように、私も最後にと思っていたのですが、Roboticsという言葉自体は、海外では日本よりもはるかにいろいろと使われており、さまざまな意味合いが含まれていますので、例えば、海外で販売するときにRobotという名前をつけても、向こうでは多分抵抗感はない。しかし、日本のこの調査会で承認するときに、「ロボット何々」というところでわざわざ「ロボット」という言葉を頭につける必要があるかについては、慎重に考えざるを得ないのではないかと感じる訳です。
○宮川委員 私もそのことを言いたかったので。つまり、海外へ出すときは、Roboticと書けばいいのですけれども、それが日本の中では誤解されるだろうと。特に一般の方に誤解されてしまう。こういう部会や調査会の中で話されることは当然、医学界の中でやるのは私たち論文を読んでいる人間としては、Roboticは当然の言葉だと。しかしながら、それが言葉として厚生労働省を経由して世の中に出ていくときに、どう取られるのかというのは、医療者として慎重に考えていかなければいけないというのが、私たちが患者さん相手に行動していくときに問われる言葉になるのではないかなと思って、一応御提案させていただいたということで、であるならば、さっき言ったように、欧文で入れるのか。欧文と同じような表現形式というか、発想の形式で入れるのが、私は正しいのではないかなと思います。
○荒井座長 横井委員、手を挙げていらしたかと思いますが、この件ではないですか。このロボットの件ですか。
○横井委員 私は違う意見です。
○荒井座長 それでは、ちょっとお待ちください。
 このことに関してどうしましょうね。今の宮川委員の意見にもあったように、一般に対する影響力ということを考えるときに、「ロボット」という言葉について少し慎重に考えてもいいのではないかなと私は感じますし、さあ、この大きなテーマをこの調査会で「えいやっ」と決めてしまうこともちょっと不安です。
 どうぞ、お願いいたします。
○医療機器審査管理課長 今、委員から御指摘のあった点、私も同じ気持ちを持ったところもありまして。ただ、その辺は、この一般的名称という、国が定める名前というところでは、そういった言葉がないような形という名称にしたのですけれども、販売名というのは、販売する側の希望みたいなところも一部あるというところもあるので、このような形になっているのかもしれませんが、今の御懸念はちょっと重大なことだと思いますので、基本的には、この「ロボット」という名称については、日本語のほかに何か代わる名前にできないかというような形で企業のほうとはしっかり相談した上で、最終結論を出していきたいと思います。
○宮川委員 そういう意味では、名詞を使うのか、形容詞を使うのか、それが何か頭につくのであれば、名詞の前につくのであれば、当然あるべき言葉が本当なのに、それが、名詞が、名詞がと使われると、それは日本人の場合には理解ができないと。つまり、国民側からしたらば理解できないだろうなと。ですから、先ほど言ったように、それを書くのであれば、本当の名前を書くべき。つまり、横文字でも、形容詞であるか何であるかは分かりませんけれども、書くべきことだろうと理解しています。
○荒井座長 ありがとうございます。
 宮川委員も、これは麻酔科の先生が御覧になるときに、Robotic anesthesiaという横文字が入っていても別に構わないけれども、「ロボット」という片仮名が独り歩きすることに関してはかなり慎重に考えなければいけないという御指摘で、課長からも御発言がありましたけれども、これはちょっと御検討いただくということで。
 参考人として御参加いただいております稲田先生、「ロボット」に関して今のような意見が出ましたので、また、少し御検討いただくことになろうかと思いますが、よろしいでしょうか。
○稲田参考人 はい。これは本当にみんなが少し懸念を持っているところではありますので。専門家の間では問題ないと思いますが、ただ、将来的には、いろいろなものを啓発していくということでも考えていいかと思っていました。
 以上です。
○荒井座長 ありがとうございます。
 横井委員、手を挙げていらっしゃいましたので、どうぞ御発言ください。
○横井委員 ありがとうございます。
 先ほど清水委員からあったと思いますが、サイバーリスクに関しての外部接続の件は、一応私なりの読んだ判断をちょっと補足させていただきます。
 外部との接続を前提にした分析をしておられるということなのですけれども、この外部との接続というのは、必ずしもインターネットとか、通常のネットワークとしての外部ということだけではなくて、このシステムでも、このソフトウェアが入っている汎用PCとその外側にある様々な接続機器が既にあるわけなので、その接続機器からの何らかの悪条件が入ったところに対してのリスク対策を行っているという意味ではないかなと理解いたしました。それが必ずしも合っているかどうかは分かりませんが、一般的に、私が関与している医療情報分野では、非常に小さなネットワークの中でも、外部からの脅威という言い方も時に使うことがありますので。
 以上でございます。
○荒井座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 205ページ分の52ページを御覧ください。申請資料の右上の別紙2のマル9というページになります。そこの3番目に、「外部通信機能」という項目がありまして、先ほど、即答できなかったのですけれども、本品は、外部通信機能として、外部モニタ、生体モニタと制御ポンプというところで通信を行っておりますので、これらを考慮してサイバーセキュリティに問題がないということを確認したということだと判断しております。
 ありがとうございました。
○荒井座長 清水委員、どうぞ。
○清水委員 外部シリンジポンプとか、外部モニタから、サイバーセキュリティの脅威が発生するというのはちょっと考えづらい面もあるのですが、具体的にどのようなことをして、何を脅威と御判断されているのか、何かデータをお持ちでしたら教えていただきたい。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 申請者からは、外部通信機能を考慮してサイバーセキュリティに問題がなかったという説明があって、具体的にまだ説明がないので、そこは確認いたします。
○清水委員 よろしくお願いいたします。
○荒井座長 ありがとうございます。
 そのほか、委員の方々、WEBで御参加の方々も含めて、御意見よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。大変有意義なディスカッションができたと思います。
 それでは、議決をさせていただきたいと思います。
(佐久間座長代理退室)
○荒井座長 一般的名称「全身麻酔用医薬品投与制御プログラム」を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないということで、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○荒井座長 ありがとうございました。
 名前に関しては、さらに検討いただきますけれども、一応申請の段階では、「ロボット麻酔用シリンジポンプ制御ソフトウェア」つきまして、本調査会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品として指定しないということで、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○荒井座長 ありがとうございます。
 使用成績評価は、期間を4年8か月として指定することでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○荒井座長 ありがとうございます。
 御異議がないようですので、このように議決させていただきます。
 また、「プログラム医療機器調査会設置要綱」の第5条第2項に基づき、この議決結果を医療機器・体外診断薬部会の議決とさせていただきます。
 本件は、部会及び分科会にて報告させていただきます。
 それでは、これで議題1を終了いたします。
 稲田先生、どうも長時間ありがとうございました。
○事務局 稲田先生、ありがとうございました。
 議題1、これで終了いたしますので、どうぞ御退室をお願いいたします。
○稲田参考人 勉強になりました。失礼します。
(稲田参考人退室)
○荒井座長 ありがとうございました。
 それでは、議題2に進ませていただきます。議題2は「調査会報告品目」です。では、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料2、横向きの資料を御覧ください。
 令和4年4月1日から令和4年6月末までの3か月間に承認された品目のうち、クラスIVのプログラム医療機器、臨床評価が必要なクラスIIIのプログラム医療機器など、本調査会への報告対象となっている品目の概要を記載しております。
 今回、臨床試験の試験成績に関する資料を添付されたプログラム医療機器として、お示ししている1品目が該当しております。
 こちらの報告品目については、事前送付をもって報告とさせていただき、詳細な説明は割愛させていただきます。
 御説明は以上となります。
○荒井座長 ありがとうございます。
 何か御意見、御質問等、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、これで議題2を終了させていただきます。
 そうしますと、本日の議題は以上ですけれども、事務局より連絡等ありますでしょうか。
○医療機器審査管理課長 委員の先生方におかれましては、本日はどうもありがとうございました。
 また、次回調査会につきましては、詳細につきまして、後日、メールにて御連絡させていただきたいと思います。
 連絡事項は以上です。
○荒井座長 ありがとうございます。
 それでは、これをもちまして、本日のプログラム医療機器調査会を閉会させていただきます。
 どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本調査会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。