第182回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和6年9月19日(木)9:57~11:37

場所

全国都市会館 大ホール

議題

  1. 1.医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージの骨子案について(報告)
  2. 2.令和7年度予算概算要求(保険局関係)について(報告)
  3. 3.令和5年度医療費の動向について(報告)
  4. 4.NDBの第三者提供手数料の改正について(報告)

議事

議事内容
○姫野課長 それでは、定刻前ではありますけれども、おそろいになりましたので、ただいまより第182回「医療保険部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。
 まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、内堀委員、河野委員、原委員、横本委員より御欠席の御連絡をいただいております。
 また、本日の会議は傍聴希望者向けにYouTubeにおいてライブ配信を行っております。
 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。カメラの方は退席をお願いいたします。
 それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず、欠席される委員の代わりに御出席なさる方についてお諮り申し上げます。内堀委員の代理として根本和代参考人、原委員の代理といたしまして池田俊明参考人、横本委員の代理として井上隆参考人の出席につきまして、御承認いただければと思いますけれども、いかがでございましょう。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
 なお、井上参考人より途中退席の御連絡をいただいているところでございます。
 それでは、早速議事のほうに入ってまいりたいと思います。
 まず、医政局より御説明のほうをお願いいたします。
○高宮参事官 医政局の医療提供体制改革担当の参事官でございます。
 資料1を用いまして、議題1の医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージの骨子案について御報告いたします。8月30日に厚生労働大臣から医師偏在是正に向けた対策パッケージの骨子案を公表しておりますので、本日はその内容の報告ということになります。この骨子案については具体的な内容というより、まだ検討項目などを示すものとなっております。本日いただいた御意見も踏まえて、年末に向けて関係する審議会、それから、医政局の検討会などで検討を進めていきたいと考えています。
 本日の資料は9月5日に社会保障審議会の医療部会でも報告をしたものになります。資料の枚数が多くなっていますので、ポイントを絞って説明をいたします。
 最初に医師偏在の現状についてのデータなど、それから、これまでの取組の資料をおつけしています。
 3ページ、まず、医師数の年次推移、医師数の全体としては増加をしているということです。
 4ページ、日本の人口の推移ですが、人口減は既に始まっているということです。
 その中で5ページ、令和2年度に医師の需給の推計を行っております。2029年頃、あるいは2032年頃に需要と供給が均衡するという推計を行っています。
 6ページから医師の地域偏在についてになります。医師偏在指標、人口当たりの医師数を基本にして一定の仮定を置いて算定式をつくって、全国の医師偏在の状況を示す指標に基づいて医師偏在是正の対策の取組を進めているということです。都道府県別の医師偏在指標、青色の都道府県が下位3分の1になる医師少数県となっております。
 7ページから二次医療圏別に医師偏在指標を見たものになります。こちらも青色が下位3分の1の医師少数区域ということになります。これが9ページまで続いております。
 資料を飛んでいただいて、13ページが診療科別の状況になります。診療科別医師数の推移、実人数です。一番上のグラフが内科になっています。内科の医師が最も多くて増加傾向にある。次は紫色の外科が多いということです。
 14ページ、平成20年を1とした場合の推移を見たものになります。それぞれの診療科で平成20年から増加をしているということですが、一番下のグラフ、紫色ですが外科については横ばいとなっているという状況です。
 15ページが診療科別の時間外休日労働時間数になります。外科、産婦人科、脳神経外科などで時間が多くなっているということです。
 18ページまで飛んでいただいて、医師確保対策に関するこれまでの取組の全体像になります。左上の医師養成課程における取組として大学医学部での地域枠、特定の地域診療科で診療を行うことを条件とした選抜枠の設定ですとか、臨床研修において都道府県別に臨床研修医の募集定員の上限数を設定する。それから、専門研修について都道府県別・診療科別の専攻医の採用上限数を設定するということで医師養成課程の取組を進めております。
 また、右側、各都道府県の取組として、各都道府県において医師確保計画を策定いただいています。先ほどの医師偏在指標によって医師偏在の状況を把握して、この計画期間の終了時点で確保すべき目標医師数を設定いただく、この目標医師数に向かって具体的な施策、左側と同じような大学と連携した地域枠の設定ですとか、それから、地域医療対策協議会、都道府県、あるいは大学、都道府県医師会などで構成をされる協議会で医師の確保対策の方針、要請ですとか派遣調整などについて協議をいただくという取組を行っています。また、一番下の医師の働き方改革も併せて進めているということです。
 これらの取組を行っているところですが、その状況として25ページ、医師養成課程を通じた取組などによる状況になります。35歳未満の医療施設従事医師数の推移です。下のほうのグラフを見ていただくと、青色の医師少数都道府県の35歳未満の若手の医師数は医師多数都道府県と比較して増加をしているという状況です。若手の医師については地域偏在が縮小してきているという状況になります。
 26ページは若手医師に限らず全体で見たものになります。こちらも医師少数都道府県の医師数の伸び率が医師多数の都道府県よりは大きいという状況になっていますが、若手医師の伸び率の差と比較すると小さくなっているという状況になります。
 35ページ、都道府県の医師確保計画を通じた取組の目標の達成状況をまとめたものになります。下のほうの真ん中ぐらい、医師少数県における目標として第7次医師確保計画、これは2023年度までの取組ですが、この終了時までにこの計画開始時の医師偏在指標の下位3分の1基準値に達することを目標としていました。この医師少数県は16県ありましたが、目標達成したところが6県、その下の医師少数区域については105区域で目標を達成したのが43区域ということで、残りの区域ではまだそこまでいっていないという状況になっています。
 このような中で36ページ以降、対策パッケージの骨子案になります。
 まず、37ページは全世代型社会保障構築の改革工程、昨年12月に閣議決定をしたものです。こちらにも医師偏在対策が掲げられています。医師養成課程における取組を進める。それから、医師少数区域で勤務した医師を認定する制度、管理者となる医療機関を拡大することの検討を進めるですとか、下のポツの医学部の臨時定員、経済的インセンティブ、それから、外来医師多数区域の都道府県知事の権限強化をはじめとする規制的手法の在り方を検討とされていました。
 38ページは今年の6月の骨太の方針2024になります。こちらも医師偏在是正に関して、医師確保計画を深化させる、医師養成課程の地域枠の活用、大学病院からの医師派遣、総合的な診療能力を有する医師の育成、リカレント教育などで必要な人材を確保するための取組、それから、経済的インセンティブによる偏在是正、あと、医師少数区域などでの勤務経験を求める管理者要件の拡大などの規制的手法を組み合わせた取組など、総合的な対策のパッケージを2024年末までに策定することとされています。
 39ページが8月30日に厚生労働大臣から公表された近未来健康活躍社会戦略になります。その中で、医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージの骨子案を公表しています。内容は下のほうの表になります。
 ①医師確保計画の深化として、人口や医療アクセス状況などを踏まえて、都道府県における医師偏在の是正プランの策定、それから、国における重点的な支援対象区域の選定ということ。
 ②医師の確保・育成として、医師少数区域などで従事する医師を増やすという観点の取組を記載しています。その一番上の四角ですが、医師少数区域などでの勤務経験を求める管理者要件の拡大、外来医師多数区域の都道府県知事の権限強化、保険医制度における取扱いなどの規制的手法を検討する。その下の四角で臨床研修の広域連携プログラムの制度化、それから、その次の四角が中堅以降医師などの総合的な診療能力等に係るリカレント教育の予算要求、それから、医学部の臨時定員地域枠の医師少数県への振替の検討。
 ③実効的な医師配置については、医療介護総合確保基金などによる重点的な支援区域の医療機関や処遇改善のための経済的なインセンティブ、それから、その区域への医師派遣を行う中核的な病院への支援、全国的なマッチング機能支援などを検討する。一番下の四角は、都道府県、それから、大学病院との連携パートナーシップの協定について検討するということを掲げています。
 40ページは9月5日に厚生労働省の医師偏在対策推進本部を開催しています。その中で主な論点を示しています。
 ①の医師確保計画の実効性に関しては、都道府県が医師偏在是正に主体的に取り組み、国が都道府県をサポートする仕組みを検討する。
 ②の医師の確保・養成については、医学生、若手医師の地域への理解意識を涵養する。それから、先ほどの大臣プランと同様に、臨床研修の広域連携プログラム、それから、医師少数区域などでの勤務経験を求める管理者要件の医療機関の拡大の検討、その次が、外来医師多数区域において、新規開業希望者に対して医療機能の提供の要請をするという現行の仕組みをより実行力のあるものとするなどの規制的手法について検討をする、その次が保険医制度の中でどのような方策が考えられるか検討をする。その次については、より一層の対応が必要な診療科の医師についてインセンティブを高める方策の検討、その次はリカレント教育の推進、その次が医師養成課程や診療報酬を通じた対策についても医師偏在是正の観点から検討する。
 ③の実効的な医師配置については、重点的な支援対象区域における開業・承継の支援、経済的インセンティブを含めて医師の勤務意欲につながる方策についての検討、その次は医師派遣を行う病院への支援、あるいは全国的なマッチング機能の支援の検討です。
 ④は実施に向けてということで、①から③の取組を推進していく上で、規制的手法はもとより、経済的インセンティブとしてどのような対応が必要か、国や地方のほか、保険者等からの協力を得るなど、あらゆる方策を検討すべきではないか。一番下、①から③の取組を国、地方、医療関係者、保険者などがどのように協力して実施していくべきかという今後の検討の主な課題を示しております。
 具体的な内容につきましては今後、年末に向けて検討を進めたいと考えています。医政局のほうでは、41ページ、新たな地域医療構想などに関する検討会において、医師養成課程以外の医師偏在対策に関する事項を検討事項として検討を進めていく。
 それから、医師養成課程を通じた医師偏在対策については、42ページの医師養成課程を通じた医師偏在対策の検討会で検討を進めていくこととしています。また、医療保険に関連する事項も大臣プランには盛り込まれていますので、こちらについては医療保険部会などで検討いただきたいと考えています。
 資料の説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、報告事項ではございますけれども、御意見等がございましたら挙手にてお願いいたします。それから、オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせいただければ幸いでございます。
 では、横尾委員、よろしくお願いします。
○横尾委員 久々にリアルでの参加のような気がします。説明ありがとうございました。大変膨大なバックデータがあった上で、また、全国を網羅しながら医師の確保ということに大いに腐心いただいていることに心から敬意を表したいと思っています。
 私はたまたま佐賀県から出かけての参加でございますが、県の医師確保に関する会議にも出ていますので、改めて両方の情報を聞いたことで感じたことを申し上げたいと思っています。
 例えば8ページを御覧いただくと、各都道府県別、特に九州エリアの部分が出ているのです。佐賀県の身近な例で申し上げますと、東部の医療圏はブルーになっているのです。中部は黄色、どうしてこうなるかというと、東部の鳥栖エリアの人たちは川1本を隔てた久留米市に大きな第三次医療の病院が2つありますので、そこにアクセスされますから、たまたまそういう状況になっており、必ずしも鳥栖エリア内に同様の大きな医療機関が多くなかったりします。また、県全体を見ていくと県庁所在地である佐賀市を中心に医師の方々が多く開業されている状況がありますので、そちらのエリアの医師の数が増えるということになったりしています。
 単純に全国、北海道から沖縄まで、離島から山岳地帯から海浜の地帯、工業地帯、過密地帯などがありますけれども、同一のルールでなかなかサーベイをかけて評価するのはなかなか難しいのではないかなと感じるところです。ですから、今後の具体的な対策を考えるに当たっては、多分都道府県別に厚生労働省も御覧いただいて、助言もいただいていると思うのですけれども、それぞれの事情をよく踏まえた上で、より有効な手だてが考案できるように、ぜひそういった促しもしていただいたらいいかなと思います。
 国の基準がありますので、「この数値を超えると過密エリアです」、「こっちより少ないと医師の数が過疎エリアです」というような評価に今現在なっていると思うのです。けれども、人々はどう動くかといいますと、そんなものは全然関係なく動かれていまして、よいお医者様がいらっしゃる、有効な医療機関があると聞けば、どんなに距離があっても人は出かけて行きます。これはエリア別に、医療機関を二次医療圏で分けていますけれども、使う方、通院される方はそれに関係なくバウンダリーを越えて移動して医療機関に行かれますので、どうしてもそうなっていきます。そういった昔とは違う交通事情、アクセスが可能になってきたモバイル社会ということも踏まえて、ぜひそういったことも加味しながら、ユーザーがいろいろなところにいらっしゃって、多角的に動かれるということをぜひ御認識いただいて、今後、助言等をお願いしたいと思います。
 また、医師を育てていただいている各医科大学や医学部等におかれましてもいろいろな工夫をされたり、県枠の医師確保ということをされているのですけれども、必ずしも芳しくない数字が出ている例も実は個別に聞いたことがあります。いろいろなほかの都道府県の事例を踏まえながら工夫されているのですけれども、何より重要なのは、今日は簡単な説明なので省かれたかもしれませんが、医学部等における医学生の方々への医師という職業、医師という役割の尊さ、貴重さ、そして、大きなミッションを担う人材であるということを懇切丁寧に御指導いただくことがとても大切だと思っています。
 歴史上、世界の人も知っている人物の例で言うとシュバイツアー博士とかいらっしゃいます。単純にモチベーションだけ考えたら、あんな遠いアフリカの地域に行く必要は多分ないだろうと思うのですが、出会ったこと、出会った問題に自分がミッションを感じて行かれているのです。マザー・テレサさんもそうでして、そこで目の前の人を助けることに専念し、日々真摯に永年努められたらノーベル賞になったりされているのです。そういう偉大なお二人のように、経済的なモチベーションのみならず、人として生きる上で、人として人生を全うするときに、こんな尊い価値があるのだということも教えていただきたいです。
 また、期間限定で地域医療に貢献いただくこともあると思いますが、それがいかに重要で、いかに地域の方が熱い思いで期待を込めて待ってらっしゃるかということをぜひお伝えいただいて、若い医学生の方や医師の若手の方が行かれる機会が増えると思うのですけれども、ぜひよいエンカレッジ、勇気づけをしていただいて、そういったことが進むようになっていけば、この医師確保に関する動きももっと改善するのかなと期待しておりますので、ぜひそういったことの御考慮もよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、途中で御退席とお伺いしておりますので、井上参考人、よろしくお願いいたします。途中で退席ということでございますので、本議題以外についても御発言いただいて構いませんので、よろしくお願いいたします。
○井上参考人 この議題につきましては、前回、私は医療部会でも議論に参加をさせていただきました。1点、資料40ページの論点の④のところで、経済的インセンティブにつきまして保険者等からの協力を得ることという記載がございます。これについて、具体的な内容はまだまだこれから検討ということだとは思いますけれども、私ども保険料を支払っている企業の立場からいたしますと、現在の職域保険という仕組みや、その趣旨を踏まえますと、そちらのほうにまで拡大されて保険料ということであれば、極めて強い違和感を持つところでございます。
 経済的インセンティブが必要ということであれば、まずは既存の地域医療介護総合確保基金を活用すべきだと思います。医師の偏在対策、言い換えれば、国民の健康を最低限維持するという責務は一義的には国、あるいは自治体にあると考えます。また、実効性のある医師偏在対策とするためには、経済的インセンティブというよりは、一番重要なのは医師に社会的責務を認識していただいて、皆さんに貢献していただくということかと思います。それでも足りない場合には、ある程度の規制的な手法も重要になってくるのではないかなと思います。
 また、この人口減少地域の社会的インフラをどうやって維持していくかということについては、医療以外にも同様の問題は起こっているわけでございまして、卑近な例でいきますと、例えば水道のコストをどうやって負担していくのか、あるいは弁護士がいない地域はどのように弁護士業界で対応しているのかとか、そういった他の対応との比較も踏まえて検討していただきたいと思います。
 また、中長期的には、省庁を挙げて集中化でありますとか、コンパクトシティでありますとか、そういう方向性についても省庁横断的に検討を進めていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員 この医師の偏在に関しては、医療部会で当会の考え方を詳細に説明させていただいておりますので、本部会ではポイントだけ発言させいただきます。この偏在に関しては、皆様方も御案内のとおり、一つの手法だけで解決できるというような簡単なものではないということで、本日の資料40ページにもありますように、様々な手法を用いて複合的に対応していかなければならないということで、今後、その内容に関して議論されるということだろうと思います。
 当会でもこれまで偏在対策に対しては様々な取組を行ってきたわけでございますが、今後もさらに一層主体的に取り組んで、地域医療の強化につなげていきたいと思っております。この医師の偏在対策に関しましては、解決しなければならない重要な課題であることは間違いないわけでございますが、医療提供体制が崩れて地域医療に影響を及ぼすような提案ということになりますと、いわゆる保険あってサービスなしということになるということをしっかり踏まえた上で、今後検討していただきたいと考えております。
 私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、根本参考人、よろしくお願いいたします。
○根本参考人 まず、医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージにつきましては、その検討に当たり、都道府県と意見交換の場を設けていただきました。御礼申し上げます。
 さて、医師の高齢化の進展や働き方改革の影響も懸念される中、医師の偏在につきましては都道府県間だけではなく、地域においても生じております。まさにオールジャパンの対策が必要な大きな課題だと考えております。全国知事会においても医師の地域偏在や診療科偏在の対策を要望してきたところであります。そうした中、厚労省としても総合的な対策パッケージの骨子案を検討しているものと認識をしております。
 実効性のある対策としていくためにも、専攻医募集定員に係るシーリングの厳格化など、従来の課題についても国と地方とでしっかりと取り組んでいくとともに、地方との協議の場を設け、地方の実情を十分に認識した上で対策を講じるよう、お願いいたします。
 併せて、都道府県の医師の確保、偏在是正対策に対して、地域医療介護総合確保基金の充実や弾力的な活用などを含む抜本的な財政支援の強化についても、御検討のほどよろしくお願いいたします。
 また、国民健康保険制度において都道府県が財政運営の責任主体となっておりますので、その立場での発言になります。40ページとなりますが、骨子案の主な論点の中で④の実現に向けてでございますけれども、経済的インセンティブによる偏在是正を進めるに当たっては、国や地方のほか、保険者等からの協力を得るなど、あらゆる方策を検討すべきとの記載がございます。具体的な検討は今後進められるとのことですけれども、検討内容は速やかに保険者に情報提供いただくとともに、保険者に何らかの協力を求めようとする場合には、あらかじめ丁寧に説明を行い、保険者の納得を得た上で検討を進めるべきだと考えております。
 私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、池田参考人、よろしくお願いします。
○池田参考人 ただいま御説明のございました医師偏在是正に向けた総合的なパッケージの骨子案につきまして、国民健康保険の運営に関わっている立場から一言申し上げたいと思います。ほとんどの国民から支持をされていると言っても過言ではない国民皆保険制度は、全ての国民がどこに住んでいても等しく同じ医療サービスを受けることができるということが大前提となっております。保険あってサービスなしといった地域は存在しないようにしなくてはならないものと考えております。
 したがって、医師の地域偏在や診療科偏在を是正し、医療提供体制を整えることは、国や地方だけでなく医療保険者の責務でもありまして、これらの関係者が協力して取り組んでいくべきものと考えております。とりわけ国民健康保険では、ほかの医療保険制度に加入をされていない全ての国民を対象とした地域保険であるということでございますので、中山間地域や離島など、医療機関が少ない地域に多くの被保険者が居住をしておりまして、医師をはじめとした医療介護サービス従事者の確保は、これまでも重要な課題となっております。
 このため、国保保険者におきましては、国保法に基づきまして国保直診施設を設置するなどして、住民の医療の確保に取り組んできておりますけれども、近年の人口減少や少子高齢化、過疎化の進行によりまして、医療関係者の確保が一層難しくなっているという状況がございます。それに加えて、一般の開業医が減ることで国保直診施設に過度な負担が生じているという状況もございます。
 このような厳しい状況を踏まえますと、従来の対策にとどまらない思い切った対策が必要であると考えておりまして、今回の総合的な取組につきましては、ぜひ進めていただきたいと考えているところでございます。
 本日お示しをいただいている資料では、具体的な内容まではまだ分からない状況でございますけれども、詳細が明らかになったところで改めて意見を述べさせていただきたいと思います。また、本対策を進めていく際には、国保直診施設や国保の保険者をはじめ、関係者への十分な説明と協議により、理解と納得を得て進めていただきますことを要望させていただきます。
 私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 6ページに県別の偏在が出ているのですが、これは御覧のとおり、地方部だけではなくて大都市周辺の県で大都市医療機関へのアクセシビリティーがあるがゆえに自らの県には少ないということが一部あります。7ページ以降の二次医療圏ごとで見ると、同一県内で非常に偏在があることもお分かりいただけると思います。例えば8ページの真ん中辺にある2401番のところから三重県なのですが、三重県などでも白と黄色と青が入り混じっています。東紀州などは一番厳しい状況にあるということでございます。
 実はさらに申し上げれば、同じ津市というところであっても偏在がありまして、津市内でも奈良県境まで我々のエリアなのですが、中山間地域では非常に医師の確保が難しくて、国保の診療所である家庭医療クリニックというのを津市は運営しておるのですが、そこでの医師確保には一般財源を投じているということであります。
 このように申し上げると、結局のところ、医師の偏在というのは非常に地域ごとに様々な対応が必要なのですが、それを地域に任せると、その財政負担たるや非常に地域に大きく片寄せされることが想定されます。もちろん具体的な方策などは地域医療計画など、各地域の実情に応じて二次医療圏ごとに決めていくというのは十分納得しておるのですが、それを実行する際に必要なお金というのは、基本的に医師偏在対策は国策としてやっていただきたいので、国費で基本的には対応していただくのが筋だろうと考えております。
 仮に地方費に頼る場合は、これは医政局にぜひテイクノートしておいていただきたいのですが、地方に頼るほうがいい場合があるという場合でも、地方財政措置が確実になされるよう、必ず医政局は総務省へのアプローチをなさっていただきたい。そうしないと、地財措置がなされないまま、自治体が単費でそれぞれ対応していくことになると、非常にこれは厳しいことになると思います。
 人材対策はもとより、さらに保険者としての対応ということまで論点として踏み込んでいただいていますが、被保険者の理解を得ることはなかなか簡単ではないですし、そもそも地方費に回っていくこと自体、自治体が対応すること自体がお金の面で非常に難しい、大変だということを申し上げておきたいと思います。
 かく申し上げた上で、基礎自治体としては地域の医療を確保するのは非常に大切なことでありますし、最優先で取り組んでいかなければいけない事柄でありますので、一生懸命地域で知恵を絞り対応していくことをしっかり申し上げた上で、それがスムーズに進むように十分に御配慮いただき、御検討を願えれば、仕組みが非常に難しいことはよく承知しておりますが、全面的に我々も協力しますので、財政的なところはしっかりと対応していただくよう、この際申し上げておきたいと思いました。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、島委員、よろしくお願いします。
○島委員 1点、30ページに示されております地域医療支援病院の管理者になるための地域医療研修の実効性というのはいかがなものかと思います。むしろ専門医を目指す医師は圧倒的に多く現状いるわけですので、地域医療支援病院、在宅療養支援病院、それから、僻地医療拠点病院などでの研修を一定期間行うことに加えて、来年から報告制度も始まります日本医師会が行っているかかりつけ医機能の研修を必須として、特定機能病院等の高度医療のみならず、日本全体の医療制度を俯瞰的に理解し、総合的な幅広い視野を持って専門医を目指していただきたいと思います。これを行うことによって医師の地域偏在・診療科の偏在を緩和し、適切な人材教育に資するものとしてはどうだろうかと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 医師偏在の是正というのは長年の課題であり、今日、お話を伺っていても大変難しい問題だと思っておりますが、基本的には外来医師多数地域の新規参入抑制と、医師少数地域の医師確保をセットで行う必要があると考えております。
 先日の医療部会でも申し上げたが、40ページに出ています論点につきましては、まだ具体的な内容が分からない中で、今後丁寧に議論する必要があると思っております。その前提で申し上げますが、医師偏在対策を進める上では、規制的手法だけでなく何らかの経済的インセンティブが必要なことはもちろん理解いたします。ただ、先ほども意見がございましたが、④の実施に向けての中で「保険者等からの協力を得る」という文言に大変引っかかりを覚えます。仮に保険料を保険給付以外の目的に使うということになった場合には、これは保険料を負担している被保険者、また、事業者に対する説明がつかないと思います。そういう面では、現時点においては、到底賛成できることではないと申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 医師偏在対策の関係、これからいろいろ議論があるかと思いますので、総論的に3点ばかり申し上げたいと思います。
 1点目は、言うまでもありませんけれども、医療保険から見たこの問題、あるいは対策というのは非常に重要だろうと思っております。医療保険の中で特に地域保険、あるいは協会けんぽというのは都道府県単位の保険料設定になっているわけですので、県内の医療資源の偏在がありますと、負担、保険料の面で不公平感というものが出てきますので、そういった面からもサービスの均てん化というのは重要ではないかと思います。
 特に今後の人口減少を考えますと、交通手段も含め、二次医療圏より下の日常生活圏レベルでのサービスの確保というのが、特に高齢者の場合は必要になってくると思います。この辺りになりますと、今日お示しいただいた医師偏在指数により見えてくる部分もありますけれども、もう少しきめ細かな面的といいましょうか、あるいは地理情報でいいますと、メッシュ単位で見ていく必要もあろうかと思います。そういった点で、この問題というのは最終的には国レベルだけではなくて、地域において検討すべき点が多いわけですけれども、面でのアクセスという点を今後考える必要があるのではないかと思います。
 2点目は、今回の論点のところを拝見しますと、規制とかインセンティブということがかなり出ておりますけれども、この問題は働き方の問題でもあります。私などは大学で教えておりますと、若い人たちの生きがい、あるいはやりがい、あるいは働きがいというのは急速に変化している面もあるわけですので、きっと医療界もそういった面があろうかと思います。今日の資料にも少し出ておりますけれども、生き方、あるいは働き方のモデルを提示していくという視点も必要なのではないかと思います。その点はリカレント教育も含めて一定のモデルを提示していくことが必要かと思います。
 3点目は少しつけ足しなのですけれども、医師以外のいろいろな人材はどうなのだろうという点もありまして、今回のテーマではないかもしれませんけれども、私などは大学で学生と一緒に令和4年の厚生労働白書、人材を特集しておりましたので、それなどを読んでおりまして、決してこの問題というのは医師には限らない、医療、あるいは福祉全体を通じた地域レベルでのマンパワーの確保という問題もあろうかと思いますので、希望としては社会保障人材確保の中の医師、あるいは医療人材の確保といったような点が必要ではないかと考えております。
 以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 私はこの分野はあまり専門ではないのですけれども、医師偏在について考えるのは、経済的インセンティブだけで動くかということで、経済以外のインセンティブをどう考えるかということが非常に重要ではないかと思うのです。
 地方とか僻地に行きたがらない理由としてはお子さんの教育という問題もあるし、文化的なニーズが満たせないとか、最新の情報や技術に触れられないという問題があると思います。リカレント教育もその一つかもしれませんが、例えば僻地とかに行った人に対する有給のリフレッシュ休暇、2週間とか3週間とか、そういうものができないかと思います。先ほどから何人かの方がおっしゃっていますが、働きがい・生きがいというものについて医学生についてちゃんと教えていくとか、あるいは理想的なモデルの提示、たとえば僻地などで素晴らしい活動をしている事例についての動画をつくって医学部の教育に入れるのはいかがでしょうか。お金だけで人は動かないと思うので、何が地方に移住するといった気持ちを高めていくか、そういうこともぜひこれから考えていただきたいと思います。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 医師の偏在問題は国民の安心な暮らしに大きな影響がありますので、今後のさらなる高齢化や人口移動の状況を見据えつつ、偏在是正に向けて実効性のある対策を打ち出すための真摯な議論が行われることを望みます。
 偏在是正を進める上でまず考えるべきは、医師が少ない地域で優先的に求められるのはどういう医療かということを明確にすることだと思います。さらに言えば、総合的な内科医療を行っていただける医師を増やして地域に適切に分散していただくことではないでしょうか。そのためにはある種の医師誘導策を導入せざるを得ないかと思います。一定のインセンティブを設けたりする等を前提とした上で、何らかの規制的な手法を採り入れるという方向で検討することもやむを得ないと考えます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 私どもも医療部会で発言をしておりますけれども、重ねて申し上げたいと思います。
 まず、医師の偏在に関しましては地域での是正ということだけではなくて、診療科目の偏在への対応も必要だと考えております。スライド16では、特に、美容外科に近年20代・30代の医師が占める割合が多いとございましたけれども、医療ニーズというものは今後の人口構造の変化などを踏まえますと、こういったものに限らないということであれば、こういった状況は是正が必要なのではないかと考えます。こうした状況に至っている要因が何なのかということについて、もし分析があれば教えていただきたいと思いますし、今後そういったことが必要ではないかと考えております。
 私どもとしては、かねてから地域の医師の偏在の是正に向けましては、医師数の目安を超える地域では保険医の登録を行わないこと、診療科の偏在是正に向けましては診療科別医師数の目安を超える診療科の新規開設申請に対して指定を行わないことなどを求めているところでございます。40ページの医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージの骨子案の論点では、規制的手法については具体的に書かれておりませんが、実効性のある対応を具体的に検討いただきたいと考えております。
 また、資料の中で地域医療介護総合確保基金など、これまでの対応や実績について記載をいただいておりますけれども、具体的にどの事業、どの政策がどのように効果があったのかということなども分析をされていれば、ぜひ教えていただきたいと思います。何が効いているのか、効いていないのかということも分かった上で対策を講じることが必要と考えております。
 経済的インセンティブについても言及されておりますけれども、その内容や効果というものは、まだ分からないところがございますし、提供体制の確保の責任を患者・被保険者に求めるということは、説明できないのではないかと考えております。給付と負担の関係性に基づく社会保険の原則からしても到底納得いくものではございませんので、規制的手法でしっかり対応を行っていただきたいと考えております。
 最後に、先ほど井上参考人もおっしゃっておりましたけれども、ほかの士業においても地域の偏在が課題になっておりまして、どのような対策を取られてきたかということは、参照していくべき課題ではないかと思っております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 2点ほど御質問がございました。診療科別の偏在の原因ということ、それから、基金の使い道、それから、効果はどうなっているのというクエスチョンでありますけれども、お答えできればよろしくお願いします。
○高宮参事官 医政局の医療提供体制改革担当の参事官です。
 1点目ですけれども、美容外科の20代・30代の医師の割合が増加をしているということで、その要因というか背景の調査があるかということでした。そのような調査というものはないのですが、こういうような美容に関するニーズの増加ですとか、あるいはこういうような美容外科に従事する医師や医療機関の生活環境、あるいは経済的な環境などを踏まえて、こういうような若手の医師が増えているのではないかというように考えています。この美容医療に関しては適切な実施に関する検討会というものを立ち上げて、どういうような状況にあるかというものを含めて今対応を検討しているということです。
 2点目ですが、これまでの医師偏在対策に関して、基金も含めてどういうような対策でどのような効果があったかということです。医療介護総合確保基金を活用して様々な支援を都道府県を通じて行っています。派遣元の医療機関に対する支援ですとか、医師不足地域での生活環境・勤務環境の改善の取組とかを行っています。あとは医師がローテーションをして都市部と田舎でキャリア形成をしていくというような取組も行っています。それぞれの対策の今の実施状況というものは調べてありますので、それはお示しできるのですが、それぞれの施策にどれくらい効果があったかというのは、複合して状況が変わってきているというものなので、示すのはなかなか難しいかなと思っています。
 いずれにしても、今後検討する上では、どういうような対策を今まで都道府県も含めて講じていて、どういうような状況にあるかというものを見ながら対応を検討したいと考えています。
 以上です。
○村上委員 ありがとうございました。
 後段のほうは、これが直接どれだけ効果があったかというのはなかなか難しいとは思うのですけれども、何らか検証できるところはあるかと思いますので、ぜひお願いします。また、医師が診療科をどのようにして選択するかということについては研究されているかと思いますので、そういったことも参考にしながら何かデータを示していただければと思いました。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございます。
 では、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 この問題は大変重要な問題でありますし、我が国が誇る国民皆保険制度を維持・発展させていくという大きな目的に当たりましては、医療サービスの質の深化・向上という観点では、この問題は避けて通れない極めて重要な課題だと認識しております。私どもとしても真摯に議論に参加させていただければと考えております。
 各委員からもコメントございましたが、特に経済的インセンティブについてという項目につきましては、私どもも同じ考えでございますので、改めて繰り返すことはありませんが、保険者としましては今最大の取組を行っております医療費適正化の観点と、中長期的にこの偏在対策をどう調和させていくのか、こうした観点をまず大きな前提として議論していただき、その上で、具体的な取組をまとめていっていただければと考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、ほかに御意見がなければ、本件についてはこれまでとしたいと存じます。
 本日いただきました意見も踏まえつつ、今後、医療保険部会においても議論を深めていければと存じます。
 次に、資料2に関しまして、総務課長のほうから御説明をお願いいたします。
○姫野課長 それでは、資料2を御覧ください。令和7年度予算概算要求、保険局関係の主な事項をまとめてございます。
 1ページ目、医療保険制度ごとの医療費国庫負担など10兆3517億円、これまでのトレンドを踏まえて要求しているところでございます。そのほか、国民健康保険への財政支援、被用者保険への財政支援についても前年度とほぼ同額を要求しているところでございます。
 そのほか、点線の囲みでございますけれども、物価高騰対策、賃上げ促進といった重要政策については事項要求ということで、予算編成過程で検討することにしてございます。また、薬価改定の対応につきましても予算編成過程での検討になってございます。
 続きまして、2ページ、医療分野におけるDXの推進ですが、①のマイナ保険証利用促進の取組、また、②の診療報酬改定DXの取組につきましては、足下の状況を見ながら今後対策を検討する必要がありますので、現時点では事項要求という形になってございます。
 そのほか、③の診療報酬DXの施設基準に関する部分、また、NDBデータの利活用促進、それから、国保総合システムの改修といったものについても所要の予算を計上しているところでございます。
 3ページ、予防・重症化・健康づくりにつきましては、国保の保険者努力支援制度におけるインセンティブの強化、また、高齢者の保健事業の推進、糖尿病性腎症の重症化予防事業などにつきましても前年度と同額、あるいは上回るような形で要求をしているところでございます。
 次のページは予防・健康づくりの続きでございますけれども、データヘルス計画に基づいたレセプト情報に基づく保健事業の推進ですとか、保険者協議会における取組、また、保険者の予防・健康・インセンティブの取組に対する支援につきましても前年度とほぼ同規模での要求をしてございます。
 最後のページになりますけれども、東京電力福島原発の避難指示区域における医療保険制度における特例を支えるための予算についても復興特会において計上する方向で要求をしているところでございます。
 私からの報告は以上となります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 これも報告事項でございますけれども、御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。
 では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 来年度についても被用者保険に対する財政支援を御要望いただきまして感謝を申し上げます。現役世代を取り巻く環境は一層厳しくなっておりますので、引き続き予算の確保並びに着実な実施をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 任委員、お願いいたします。
○任委員 資料2ページ目の医療分野におけるDXの推進の③にございます、診療報酬改定DX、施設基準の届出の電子化推進に関して1点お尋ねします。こちらに共通算定モジュールの開発等に合わせた施設基準等の届け出の電子化推進について記載されていますが、保険医療機関等の作業の軽減及び効率化のために、ぜひ進めていただきたいと思います。
 その上での質問ですが、令和7年度に実施予定の施設基準等の届け出の電子化推進とは、具体的にどのような内容・範囲を想定されているか、もう少し詳しく教えてくださいますようお願いします。と申しますのは、働き方改革の推進や人員確保の面でも看護職員の負担軽減が喫緊の課題となっており、特に記録に関する負担が大きい状況にあります。
 現在、褥瘡対策や認知症ケア加算など、看護ケアに関連して診療報酬上作成が必要な書類は加算ごとに様式が異なっており、算定のために複数の様式に繰り返し転記する作業等の負担が看護職員にとって課題となっています。このような重複入力や抽出、転記作業に関しては、DXの推進によってぜひ効率化を図るべきところです。例えば、看護ケアに係る情報を標準のテンプレートに一度入力することで、その情報がほかの加算を算定するための様式に自動的に反映されていくような仕組みを実現していただくなど、まさにDXの推進に資する対応を大いに期待しているところでございます。
 以上1点、よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 デジ庁マターではございますけれども、2ページの③のところでございます。
○姫野課長 総務課長でございます。参考資料1という詳細資料をつけてございます。そちらの7ページを御覧いただきますと、診療報酬改定DX、施設基準の届け出の電子化について、もう少し詳しいものが記載されてございます。ここの図の中にもありますように、これは保険医療機関から地方厚生局に届け出をしていただく際の仕組みを従来の紙の申請書から、オンライン上での請求を可能にするということが主眼になってございます。今御指摘いただきましたように、病院の中でのいろいろな書類の入力といったものの効率化というものも重要な課題かと認識してございますけれども、そういった御意見も踏まえながら、どういう対応ができるのかということは、引き続き検討していくべき課題かなと考えてございます。
 以上です。
○任委員 テンプレート化はとても重要なことと存じますので、現場の作業プロセスや負担の具体など、現在の実態と課題を十分に現場に聞き取っていただき、実効的なDX推進につなげていただくよう、ぜひお願いいたします。ありがとうございました。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますか。
 それでは、ほかに御意見がないようでございますので、資料3に関しまして、調査課長から説明をお願いいたします。
○鈴木課長 調査課長でございます。資料3について御説明をさせていただきます。
 令和5年度の医療費の動向についてということでして、この資料としては今月公表させていただきました令和5年度の医療費の動向につきまして、幾つかの視点からその要因等を御説明させていただくものでございます。
 1ページ、医療費の伸び全体で見ますと、下の表を見ていただきますと、令和5年度単年度でプラス2.9%という形、右側の括弧にありますコロナ後の平均4年間の伸び率ですけれども、そちらで見ますとプラス2.1%ということでして、コロナ後、大きく下がったり上がったりというのがありましたけれども、単年度で見ましてもコロナ後の平均で見ても2%台というような形の伸び、コロナ前の伸び、2%程度であったことが多かったわけですけれども、そういった水準になってきていると考えております。
 下のほうの診療種類別で見ましても、全てプラスではあるのですけれども、単年度の伸びで見ると調剤の伸びが若干高い。そして、コロナ前からの平均で見ますと、あまり差はないですけれども、強いて言いますと、入院外が少し高くて、入院の伸びが少し低いというような傾向になってございます。
 2ページ、医療費の伸びを受診延べ日数、要は延べ患者数のようなものですけれども、それと、1日当たり医療費、いわゆる単価に分解してみたものという形になってございます。下のグラフですけれども、左側がコロナ前の3年間の平均伸び率、右側のグラフがコロナ後の4年間の平均伸び率ということで、コロナ前とコロナ後を比較したものになってございます。後ほどのページでも同様のグラフが何度か出てまいりますのでよろしくお願いいたします。
 医療費全体で見ますと、コロナ後の平均でいきますと受診延べ日数はマイナス0.4%、そして、1日当たり医療費はプラス2.5%となっておりまして、左側のグラフとかなり近い水準になっていることがお分かりになられるかと思います。受診延べ日数はコロナ直後に大きく下がりましたけれども、それから回復という形、一方で、1日当たり医療費につきましてはコロナ直後に大きく増加して、以降は小さめの伸びという形になっておりますけれども、結果として令和5年度までのトータルで見れば、かなり通常の姿に戻っているという形になっております。
 3ページ目が入院医療費の動向でございます。コロナ後の平均でいきますと、医療費が平均でプラス1.4%、内訳としては受診延べ日数がマイナス1.4%、1日当たり医療費がプラス2.8%となってございます。受診延べ日数、令和4年度までは毎年マイナスの伸び、そして、令和5年度になってプラス2.3%とプラスに転じてはおるのですけれども、コロナ後で平均するとマイナス1.4%ということで、まだ少しコロナ前よりも低い水準というところ、一方で、1日当たり医療費の伸びはコロナ前と比べると少し高いのですけれども、これらを合わせた医療費としては、コロナ前よりも若干低い伸び率という形になってございます。
 4ページが入院の受診延べ日数について、さらに分解をしたものとなっております。ここでは特に医療施設がどういう状況になっているのかという観点で、1施設当たりの新規入院件数と平均在院日数を掛け算すると、1施設当たりの総日数になるわけですけれども、そういった形の分解、そして、1日当たり医療費という形の分解をしたものになってございます。
 下の折れ線グラフを見ていただきますと、これはコロナ直前の令和元年度を100とした場合の動きを見ております。赤い線が新規入院件数になっております。新規入院件数はコロナ後に5%近く落ち込んだ後で回復傾向にあるということ、特に令和5年度はかなり回復しまして、ちょうどコロナ前の水準くらいに戻ったという形になってございます。
 一方で、平均在院日数は青いラインですけれども、これはコロナと関係なく、従来から短縮傾向にあるということで、これはコロナ後も短縮傾向は変わっていないということ。そういった意味で新規入院件数はある程度戻ってきているのですけれども、入院した方の日数が短くなっている、総日数でいけば短くなっているという構造です。
 点線のところは別の統計による病床利用率を示させていただいています。こちらで見てもコロナ後の令和2年度にぐっと下がった後に、令和5年度で完全に戻っていないのですけれども、若干回復をしていることがお分かりいただけるかと思います。
 一方で、1日当たりの単価は緑色のラインですけれども、増加という形ですので、要は平均在院日数の短縮、1日当たり医療費の増加という構造になっているところでございます。ただ、単価のほうを見ていただくと、令和4年度から令和5年度で伸びが少し低いという形、ここら辺はコロナ特例がだんだんなくなっていくという影響もありますので、令和6年になって、また影響がどうなるかというのは、引き続き見ていく必要はあろうかと思っております。
 続きまして、5ページ、入院外の医療費ですけれども、入院外を見ますと、受診延べ日数の減もマイナス0.4%ということでコロナ前より若干小さい、そして、1日当たり医療費についてプラス2.9%ということでコロナ前よりも若干高いということで、こちらの両方の要因があってコロナ後の入院外医療費の伸びというのは、コロナ前よりも少し高い水準となっております。
 1日当たり医療費については、令和5年度はコロナ特例が縮小しているということもあって久々に減少に転じたところもありまして、令和5年度単年度の伸びでいきますと、入院外の伸びというのはそれほど高くない状況というなってございます。
 6ページは入院外の動きを年齢別で見たものになっております。左側が人口1人当たりの日数の伸び率、そして、右側が1日当たり医療費の伸びという形で、左が日数、右が単価ということで、左と右の両方を合わせたものが医療費の動きになると御理解いただければと思います。コロナ直後の令和2年度では全ての年齢層で日数が減少、特に子供を含む若い世代で大きく減少しておりましたけれども、その後、若い世代を中心に日数はかなり増加に転じてきておりまして、直近では特に20歳未満の層の伸びが高くなっているというところです。
 この背景、特に令和5年度でいきますと、インフルエンザであったりとか、コロナ以外の感染症等も多かったということが考えられます。この伸びはかなり高くなっておりまして、特にお子様の年齢層では令和2年度の減少を補ってさらに上昇というような水準になっているというところでございます。
 右側の1日当たり医療費につきましては、令和4年度まではどの年齢層も増加、特に令和3年度、4年度というのはコロナ特例の影響もあって、子供、現役世代といったところを中心に伸びが大きくなっておりましたけれども、令和5年度はコロナ特例が縮小していることもありまして、逆に1日当たり医療費は減少に転じているところでございます。
 続きまして、7ページ、入院外を診療所の側面から、主たる診療科別に見たものとなっております。ここでは動きがかなり顕著なものなど、内科、小児科、産婦人科、耳鼻咽喉科について折れ線グラフで示させていただいております。左側が1施設当たりの受診延べ日数、右側が1日当たり医療費ということで、いずれもコロナ直前の令和元年度を100としたときの動きを示させていただいております。こちらも左右を合わせると医療費の動きになると御理解いただければと思います。
 診療所の中で最も多い内科、こちらは灰色の線ですけれども、令和2年度で患者数が減少した後に回復ということ、令和5年度でほぼコロナ前の水準になったという形になります。単価は令和4年度まで増加した後、令和5年度では若干減少ということになっております。
 動きが特に大きかったのが小児科でして、こちらの赤色のラインです。小児科は令和2年度の患者数の減少が非常に大きかったのですけれども、その後の回復・増加の度合いもまた大きく、令和5年度の時点では113.4ということで、コロナ前の水準もかなり上回っている形になってございます。単価についても内科よりも高くなっておりますけれども、令和5年度ではかなり下がったものの、それでも126.9と高い水準になっているところでございます。
 耳鼻咽喉科が緑のラインで、どちらかといえば内科と近い動きをしております。患者数は令和2年度で大きく減少しておりましたけれども、特に令和5年度で患者数を大きく増加ということで、コロナ前の水準までほぼ戻ったという形です。単価は小児科ほどではないのですけれども、内科よりは高い伸びとなっております。
 この小児科とか耳鼻咽喉科等の令和5年度に大きく日数が延びた件については、先ほど述べさせていただきましたインフルエンザ等のコロナ以外の感染症の影響もあろうかと思います。
 最後に、青色の産婦人科の動きは若干特殊でございまして、令和4年度に単価が大きく上がっておりますけれども、こちらは不妊治療の保険適用の影響ということで単価が大きく上がりまして、日数も若干高くなっているという形になってございます。
 8ページは歯科医療費でございます。歯科医療費はコロナ直後に落ち込みまして、その後、回復傾向にあるというのは医科入院外とほぼ同様の動きというところでございますけれども、コロナ後の平均でいきますと日数がマイナス1.0%ということで、コロナ前の平均よりもまだ少し低い水準にあるという形になります。一方で、単価についてはコロナ前よりも少し高い伸びでプラス3.2%という形になってございます。
 この単価の伸びにつきましては9ページでございます。歯科についての単価の伸びですけれども、その背景としては歯科金属、よく使われる例えば金銀パラジウム合金等の価格上昇の影響を一定程度考慮する必要があるということがございます。厚生労働省で令和4年度から歯科医療費のNDBの集計を開始させていただきまして、令和5年度から、特に歯科用貴金属にかかる医療費が全体で幾らというところの集計も開始させていただきました。そちらの数値から分析をしますと、特に令和2年度から4年度で金銀パラジウム合金の価格が上昇した影響という形で、歯科金属に係る医療費がかなり増えている。特にこの表を見ていただきますと、令和2年度から4年度にかけて、かなり歯科貴金属医療費が増加しているのが見て取れるかと思います。こういったものも影響して単価が若干増えている部分があると御理解いただければと思います。
 10ページは調剤医療費でございます。調剤医療費についてはコロナ前と比較して受診延べ日数、こちらは処方せん枚数になるわけですけれども、そちらの伸びが少し高い。そして、特に令和5年度は処方せん枚数がプラス6.0%の伸びとなっておりまして、これはコロナ直後の令和2年度に落ち込んだ分を考えても、コロナ前と比べてかなり伸びているという形になっております。単価、処方せん1枚当たりの医療費につきましては令和2年度で大きく増加しましたけれども、その後はマイナス傾向ということで、コロナ後平均のトータルで見れば、コロナ前とほぼ同様の伸び率という形になってございます。
 11ページ、処方せん枚数の伸びが特に令和5年度で高いということで、こちらを幾つかの要因に分解したものになってございます。調剤につきましては、要は処方せんでございますので、医科の外来と一定程度リンクしているということで、まず、医科外来の日数がどういう動きをしているか、そして、医科外来の受診のうちお薬が出る割合、こちらは処方割合と記載してありますけれども、その割合、そして、最後に処方されているもののうち、院内処方ではなく院外処方となる割合、院外処方率、この3つの要素で処方せんの枚数の動きが決まると考えることができます。
 その中で、一番特徴的な動きになっているのが処方割合、要はお薬の出る割合でして、左側の折れ線グラフになってございます。コロナ後ですけれども、処方割合というのは低下傾向にありまして、つまりお薬の出る受診の割合が減ったという形になっております。例えばコロナの発生の初期についてはインフルエンザがなくなった等、症状に即時対応するためのお薬を処方するようなことが多いものが少し減ったというようなことが考えられます。
 一方で、逆に令和5年度は、例えばインフルエンザが増えましたとか、そういったこともあって呼吸器系疾患にかかる患者数が増加したことがありまして処方割合が増加、こういったものが処方せん枚数の伸びに大きく寄与しているものになっております。また、右側の折れ線グラフの院外処方率ですけれども、こちらはコロナ前からずっと伸び続けている傾向になってございます。
 最後に12ページ、調剤の単価につきまして、コロナ前とコロナ後でほぼ平均伸び率としては同様なのですけれども、特に令和5年度のマイナス0.5%につきましては、インフルエンザ治療薬であったり、コロナ治療薬であったりとかいったところのいわゆる抗ウイルス剤に分類される薬剤の影響が大きいということに留意する必要がありますので、そちらのほうを御説明させていただいている資料でございます。特にコロナ治療薬などは単価が高く、また、令和5年度はインフルエンザがかなり流行したということがあります。トータルで見れば単価はマイナス0.5%という水準なのですけれども、その中に含まれる抗ウイルス剤の薬剤の影響だけで、令和5年度の処方せん1枚当たり医療費はプラス1.9%押し上げられていると考えられます。
 これは逆に言いますと、もし、この抗ウイルス剤の増がなければ1枚当たり医療費はもう少し減少幅が大きかったというようなことがありますので、この単年度のマイナス0.5%というのを見る際には、ここにはインフルエンザ治療薬であったりコロナ治療薬といったものの増という分が含まれているというようなことも御理解いただければと思います。
 私からの説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、こちらも報告事項でございますけれども、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。
 では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 令和5年度概算医療費は対前年プラス2.9%ということで若干鈍化しているような傾向に見えるが、参考資料を拝見すると、被用者保険においては医療費全体の伸び率がプラス4.2%、1人当たり医療費も4.3%と、全体を上回る伸びになっております。また、健保連の集計調査においても5%程度の伸びが見込まれているという状況でございます。
 先ほど若干御説明がありましたけれども、中でも未就学者1人当たり医療費が対前年6.7%という大変高い伸びになっておりまして、近年この高い水準が続いているということもありますので、この点、伸びの要因や背景等について、さらなる分析を進めていただきたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 コロナ禍による受診抑制の時期が過ぎたということで、医療費の平均の伸び率がコロナ以前の数字に戻りつつあるということでございます。医療保険制度を今後も持続させていくためにも、医療費の伸びを抑えつつ、給付が成り行き任せにならないよう、医療費適正化の取組を進めることが重要だと考えます。
 昨年、健保連さんにおいて、効率的な医療を推進するため、コロナ禍の受診動向を検証されたと伺っております。今後の改革の参考とするためにも、コロナ禍での受診抑制によって、その後の患者の健康状態や病状が悪化するなどの変化があったのか、影響を調査・分析した上で議論を深めていただければと思います。よろしくお願いします。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 歯科医療費の動向が8ページに示されていますけれども、歯科の受診延べ日数の減少があることについて、今後も注視する必要があると考えています。これはコロナ禍からの受診控えがある一定程度戻りきっていないのか、または重症化予防項目の充実とともに定期的な受診の増加、その頻度の変化などによる影響なのか、また、そのほかの要因もあるのか、引き続き慎重に見極める必要があると考えておりますけれども、分析が進む中で原因が特定できるのであれば、後日で結構でございますので、お教えいただければと思います。
 また、歯科用貴金属医療費の寄与度が9ページに示されております。令和4年度までの歯科医師会の試算とは少し乖離がありますけれども、歯科用貴金属医療費の各月の歯科用貴金属算定頻度を加味した寄与度が経年的に示されたことはありがたいことであると思っておりますので、今後ともぜひともよろしくお願いをしたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 薬剤師会の渡邊です。1点だけ、先ほどの院外処方率等々の部分の御説明がありましたが、これに関しては今の医薬品の不安定供給の中で外来においては医師・歯科医師の先生方々と連携して、診療所にもお薬が入らない中、それを薬局と一緒になってどのように処方したら患者さんに必要な薬剤の手配がつくのかというようなことを大変な手間がかかってやっている状態であり、このような対応が率にもはね返っているという部分に関しては、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 では、ほかに御意見がなければ、続きまして、資料4に関しまして、医療介護連携政策課長から御説明のほうをお願いいたします。
○山田課長 医療介護連携政策課長です。
 NDBの第三者提供手数料の改正についての1ページ、第三者提供の手数料の経緯を記載しております。令和元年、第三者提供の法定化で制度を導入しております。令和2年に手数料を導入いたしまして、この際は作業に要した時間1時間当たり6,100円と設定させていただきました。令和3年、令和5年、それぞれ見直しまして、現在は作業に要した時間1時間当たり9,000円と設定しております。
 2ページには参照条文を書かせていただいております。高齢者の医療の確保に関する法律のほうで「厚生労働大臣は当該手数料を減額し、または免除することができる」と規定されております。一方、政令のほうでは一番下でありますけれども、手数料を免除するという規定はございますが、減額するという規定は設けられていなく、いわゆる空振りの状態になっているところであります。
 3ページ、今般の手数料の見直しの全体像でありまして、背景、課題、対応策と分かれております。
 背景でありますけれども、現行ではデータを媒体で提供するのが主流となっておりますが、本年秋からはクラウド環境上でのデータ提供を行いうことで、原則7日でNDBデータを利用し得る迅速提供を可能としたいと考えております。
 その際の課題でありますが、クラウド環境におけるNDB利用のニーズが高まると予想されますけれども、現在の手数料体系は媒体を前提としていますため、利用に応じたクラウド費用を回収することができません。見込み以上の申請があった場合にもクラウド環境の払い出し等に限界が生じないようにしたいと考えております。
 対応案でありますが、手数料の設定を見直し、実費に正確でクラウド利用等の増加に対応可能な料金体系とする。一方、公的機関や大学などの国民保健の向上に特に重要な役割を果たす者の利用を阻害しないため、手数料を減額する対象を新たに設定したいと思っております。その際、研究者個人の負担能力を加味した限度額も併せて導入したいと考えております。引き続き手数料全額の抑制全般についてはしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
 4ページは費用構造のイメージであります。第三者提供で講じるコストを案件ごとに生じるベース量、案件ごとに変動する調整業務量、抽出システム運用保守料、そして、HIC利用料、このように分類いたしまして、それぞれの額を積算して手数料を算出したいと考えております。
 具体的な額は5ページであります。手数料の額は次の①から⑤を合算した額、①が先ほどの黒い色ですがベース料であります。新規申出1件につき16万2100円です。②調整業務料でありますが、調整に要する時間1時間までごとに8,600円、③④が抽出運用保守料であります。抽出1時間ごとに5万8300円、1GBごとに2,300円、⑤がHICの利用料であります。スペックごと、また、オプションによって金額を設定させていただきたいと考えております。
 6ページが手数料のイメージであります。右側の軸が手数料の計算上の実績額であります。縦軸が手数料ということでありますが、減免の非対象者の場合は計算上の実績額がそのまま手数料となります。その中で、国民保健の向上のために特に重要な役割を果たす者としては0.5を乗じるということで半額ということであります。
 さらに研究者であります黄色い実線でありますけれども、一般的な研究補助の方は実績額が200万円を超えた額については0.1を乗じるということであります。まず、0.5を乗じておりますので半額の黄色い線が伸びていっております。ですから、100万円を超えた部分から0.1を乗じるということでありまして、一般的な研究補助では中規模案件を200万円程度で扱えるようにという設定になっております。中でも文部科学研究費で大多数を占めます基盤研究Cや若手研究の方々には、さらに低い限度額を設定させていただいておりまして、限度額が100万円を超えた額については0.05を乗じる。これももともと2分の1減額ですので、50万円を超えたところから0.05%ずつ増えていくという設定でございます。
 7ページはその一覧表であります。①から⑫まで書いてありますが、①から④は「現行でも免除、見直し後も免除」の類型であります。各省庁・自治体といった公的機関、厚労科研などの研究を行う者、また、それからの受託者は免除であります。⑤から⑫は一部負担をいただく方でありますが、例えば⑤文部科学科研費を充てて研究を行う者、現行では全額負担でありましたが秋以降は50%減額かつ限度額の対象となります。⑧でありますが国民保健の向上に密接な業務を行う者として厚労省令で定める法人というものは、今まで全額でありましたが50%減額とさせていただきたいと思います。①から⑪に当てはまらない方、⑫その他の者は今までも全額負担、今後も全額負担ということであります。
 先ほどの厚生労働省令で定める法人、50%減額になる法人を8ページに記載しております。実績に基づいて類型化しておりますが、国立高度専門医療研究センター、基盤研、国立大学法人、私立学校法に規定する学校法人、国病機構、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、また、その他厚労大臣が認める者という規定も置こうと考えております。その他厚労大臣が認める者の中では上記に記載されていない主体であっても、公益性などを見て減額対象とすることを考えております。
 9ページはそれに伴いますNDBのガイドラインの改正であります。二次利用ポータルを用いた申出手続開始への対応ですとか、手数料体系変更への対応を行ってまいりたいと考えております。
 説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、これもまた報告事項でございますけれども、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。
 それでは、前葉委員、よろしくお願いします。
○前葉委員 自治体について、当初の案で2分の1を負担するケースがあり得るということで、9月12日に全国市長会として、これは私どもとしては全額免除を続けていただきたいという意見を申し上げて、最終的には今日御説明いただいたように、公的機関・自治体として、7ページにございますように免除していただけることになったわけでございますが、この点について御理解いただいてありがとうございます。
 その上で確認のための質問ですが、NDBを自治体が利用するケースはどういうケースかというと、例えば市町村の場合は健康づくり計画などを自らつくるときに、国保の被保険者分、自分で分かっている部分だけでは市民全体の状況を把握する上でデータが不足しているのでNDBを使わせていただいているわけでございますが、高齢者医療確保法の16条の2の1号を読むと、国の他の行政機関及び地方自治体・地方公共団体については、適正な保健医療サービスの提供に資する施策の企画及び立案に関する調査についてと明記をしてございますので、自治体が使う場合は基本的にはここに当たるので、引き続き令和6年度秋以降も免除していただけると理解をさせていただいてよろしいのかどうか、この点、確認のための質問をさせていただきます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 この件はいかがでございましょう。
○山田課長 御指摘のとおり、基本的には医療費適正化など、本来目的ということなので、法律上の規定でそもそも手数料はゼロになります。それ以外であっても、少々外れるような政策目的であっても、今回このように手数料を整理させていただきましたので、自治体については手数料がゼロになるということになります。
○前葉委員 ありがとうございました。
○田辺部会長 それでは、中村委員、よろしくお願いいたします。
○中村委員 科研費などで研究を行う者に対する減額が導入されたということは大変ありがたいことで、特に基盤研究Cであるとか、若手研究のように文科省科研で大多数を占める研究者に対して非常に減額が行われることは大変ありがたいと思います。
 今までですと、非常にお金がかかるということで、非常に大きな研究室に属している方とか、そういう大先生の研究チームに入れる方しか実質的にこのデータを使うことが非常に困難な状況だったと思うのですが、この減額によって、かなり使用できる研究者が増えるのではないかと思います。
 先日の医療経済学会の研究大会でも若手のすばらしい研究発表がございまして、医療経済学の若手研究者が非常に増えていることを実感したわけですけれども、ただ、そうは申しましてもかなり高額であるため、もし可能であれば、より一層の減額をぜひともお願いしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、根本参考人、よろしくお願いいたします。
○根本参考人 本件に関しましては、全国知事会として地方公共団体による保健医療サービスの提供に資する施策の企画立案に向けた調査分析が円滑に行われるよう、手数料免除を継続することを求める意見書を9月5日に提出したところであります。結果的に全国知事会の意見を反映した改正案としていただきましたことにつきまして感謝を申し上げます。ありがとうございました。
 なお、制度の見直しの具体的内容につきましては、地方公共団体や関連団体等に分かりやすく丁寧な情報提供をいただくようにお願いいたします。
 私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、城守委員、よろしくお願いします。
○城守委員 今回、手数料の改正ということですが、NDBデータの迅速な提供がより可能になっていくということですので、大変有益な研究が期待できるのではないかなと思っております。先ほどから各委員のお話にもございましたように、今回手数料の改正では、場合によっては減額の対応も提案されておりますが、要件や費用の点において、それでもいろいろな阻害的な要因が発生するということもあろうかと思いますので、試行期間みたいなものも1回定められて様々なケースを見るということも一つの安定的な今後の運用に資するのではないかなと思いますので、御検討いただければと思います。
 私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 NDBの第三者提供手数料について、歯科の立場から少し要望させていただきます。日本歯科医師会内部の研究機構においても過去に何度かNDBを活用し、指数と医療費との関連や認知症との関連などを研究してきた経緯があり、NDBの活用の重要性については理解しており、データ提供には時間やそれなりに伴う人件費がかかることも承知をしております。医療DXが進展していく中で、NDBのみならず介護DBなど、様々なデータを活用し、健康寿命の延伸に資するエビデンスが求められているところです。
 歯科研究の研究はまだまだ少ない中で、小規模でトライしてみようと思う研究者にとって、コスト面での負担がますます大きくなることも予想されます。若手研究者への配慮もされ、様々な減免措置も取っていただいておりますけれども、先ほど中村委員も述べられましたように、さらに門戸を開くような取り組みやすい体系について、引き続き御検討をしていただきたく要望いたしたいと思います。よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、横尾委員、お願いいたします。
○横尾委員 簡単な質問ですけれども、例えばOECD諸国などは、こういった扱いについては同じような考え方なのか、仮に料金が発生するとしたら、今御指摘もありましたけれども、かなり高いのか安いのか、そういうのは分かりますか。
○田辺部会長 この点はいかがでございましょう。
○山田課長 公式なデータはなかなか取れないのですが、我々が知る限りでインターネット調査や研究者にお話を聞きますと、諸外国では数百万から1500万とか、それぐらいの額になっていることが多いと聞いております。今のNDBの利用料はかなりリーズナブルでありまして、今回クラウドの提供に合わせてそこから少し上がりますけれども、諸外国と比べて決して高額なものではございません。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、ほかに御意見等がないようでございますので、本日はこれまでとしたいと存じます。
 次回の開催日につきましては、追って事務局のほうより御連絡いたします。
 本日は御多忙の折、御参加いただきましてありがとうございました。それでは、これで閉会いたします。