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医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議(第15回)の議事録
日時
令和6年9月2日(月)18:00~20:00
場所
AP虎ノ門11F 会議室A
(東京都港区西新橋1-6-15(NS虎ノ門ビル))
(東京都港区西新橋1-6-15(NS虎ノ門ビル))
議題
- 医療用医薬品の安定供給について
- その他
議事
- 議事内容
- ○藤井医薬品産業・ベンチャー等支援政策室長 定刻となりましたので、ただいまから第15回「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」を開催させていただきます。
本日は、お忙しい中、御参集をいただき、誠にありがとうございます。
最初に、構成員の先生方の御出欠について報告いたします。本日11名の構成員が会場での御参加、また、川上構成員、関構成員、豊見構成員、平川構成員、本間構成員、松本構成員はオンラインでの参加となっており、構成員17名の皆様全員に御出席をいただいております。
また、本日は参考人として、日本製薬団体連合会安定確保委員会より、供給不安解消タスクフォースリーダーの國廣吉臣様と、制度対応検討プロジェクトリーダーの市原正人様にお越しいただいております。
報告は以上となります。
以降の議事運営につきましては、座長にお願いしたいと思います。清田座長、よろしくお願いいたします。
○清田座長 清田でございます。皆様、こんばんは。
それでは、まず事務局から資料の確認と、議事進行における留意点に関する御説明をお願いいたします。
○藤井医薬品産業・ベンチャー等支援政策室長 事務局でございます。
本日の会議資料を確認させていただきます。会場におられる構成員の皆様のお手元に議事次第、座席表のほか、資料1、資料2、参考資料1、2まで御準備しております。
資料の不足等がございましたらお知らせいただければと思います。
次に、議事に入る前に、本日の会議の進め方の留意点をお知らせいたします。
オンラインで参加の先生におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただき、御発言がある際には挙手機能でお知らせいただくとともに、チャット機能で発言を求める旨、お知らせを願います。
また、会場での参加の先生は、手を挙げるなどしてお知らせください。
御発言いただく際にはマイクを御利用いただき、御発言の最初にお名前をお知らせいただいた上で御発言ください。御発言が終わりましたら、マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
会議中、マイクの調子が悪くなるなど、ほかの出席者にとって聞きづらい状況が続く場合には、音声の代わりにメッセージで御意見等を御記入いただくことがあります。その際は、事務局または座長からお願いさせていただくことがございます。
その他、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので事務局まで御連絡をお願いいたします。
また、事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合には、事務局からメールで御連絡いたしますので御確認いただけますと幸いです。御理解、御協力のほどよろしくお願いいたします。
なお、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
○清田座長 それでは、議事に入りたいと思います。
本日の議題は、「1.医療用医薬品の安定供給について」「2.その他」となっております。
それでは、議題1に関して、事務局より御説明をお願いいたします。
○田中総括調整官 事務局でございます。
それでは、資料1を御準備いただけますでしょうか。
資料1、まず資料をおめくりいただきまして4ページ目から御説明させていただきます。
こちらは第13回の安定確保会議、5月に開催させていただいたものでございますけれども、そちらの資料でお示ししたマネジメントシステムの確立に関する論点から抜粋させていただいているものでございます。
こちらの資料の中で事務局のほうで青の太字をつけさせていただいた部分でございますけれども、大きくはまず2.の「参入時の安定供給確保」の部分でございまして、➀にございますとおり、「安定供給を担保するため、製薬企業に対し求めるべき事項を整理して一定の対応措置を講ずることを要請し、これを企業に遵守させるための枠組みを検討することとしてはどうか」。
さらに、具体的なその一定の対応措置の内容といたしまして➁のところにもございますとおり、「令和5年度に実施した厚労科研も参考にしつつ、例えば手順書等の整備や、製造委託者等の管理、一定の在庫や生産管理等に係る具体内容を検討することとしてはどうか」という論点をお示しさせていただいたところでございます。
さらに➂、続けてになりますけれども、「特に本会議で議論を重ねた安定供給責任者の設置についても、すべての企業に求めることとしてはどうか」ということを御議論いただいたところでございます。
1ページ進んでいただきまして、5ページのところでございます。
3.と4.のところで「需給状況の把握・調整」と、それから具体的な「供給不安解消策」についての論点をお示しさせていただいておりました。
3.の➀のところでございますけれども、本年4月から開始しております供給不安報告、それから供給状況報告、これを基に制度的な枠組みを検討することとしてはどうか。
さらに➁のところにございますとおり、「改正感染症法に基づくモニタリングを参考に、感染症関連治療薬以外も対象とするような制度的枠組みを検討することとしてはどうか」ということをお示しさせていただいたところでございます。
続きまして4.の部分でございますけれども、そういった供給不安、供給不足を把握する仕組みを整えた上で、実際にそういったことが発生した際の措置について、「感染症法に基づく生産促進要請や輸入要請も参考に、厚生労働省が、製薬企業に対して生産促進や輸入要請を行えるようにすることを検討することとしてはどうか」というような形で、具体的な内容について論点として御提示させていただいたところでございます。
今回の会議におきまして、以上、今、御報告申し上げたような論点を少し具体化する形で議論のたたき台をお示ししておりますので、この後、御議論いただければと思っております。
具体的な中身に移る前に、6ページ、7ページの部分でございます。
こちらは、前回マネジメントシステムについて御議論いただきました5月の会の先生方の御意見を事務局のほうで記載させていただいているものでございます。
「マネジメントシステム」につきましては6ページの冒頭にございますとおり、「製薬企業が、安定供給に対して何をすべきか・どういう体制を作るべきか」といったところに焦点を絞るべきではないかといった御意見ですとか、真ん中の<マネジメントシステム全般における対応>の部分で1つ目の●の最後の部分でございますけれども、「厚労省が進めている需給状況を把握、情報共有を進めていくことが重要」ですとか、そういった御意見をいただいているところでございます。
それから、特になのですけれども、5月の会議では多くの先生方から7ページに記載しておりますとおり「サプライチェーンの強靭化」、特に「必要性の高い医薬品のサプライチェーンの強靱化は、喫緊の問題」とした上で、マッピングの重要性ですとか、それから「安定確保医薬品リストの再検討が必要ではないか」といったような御意見をいただいたところでございます。
このサプライチェーンの強靭化につきましても、マネジメントシステムと並行して今後どういうふうに議論していくかというようなスケジュールのほうを今回の会議で事務局のほうから御提案させていただきたいと思っている次第でございます。
それでは、具体的な中身に入らせていただきます。9ページをお開きいただけますでしょうか。
こちらは、先ほど5月の会議で提示させていただきました論点を少し具体化する形で事務局のほうで整理した議論のたたき台でございます。
まず1つ目のお話といたしまして、一番左の青の部分、「製薬企業における安定供給確保に向けた体制整備」に関する論点でございます。
1つ目の●のところに記載しておりますとおり、「安定供給確保のため、製薬企業に対し、手順書等の整備や、一定の在庫や生産管理等を、法令上の遵守事項とすることとしてはどうか」。
そして、2つ目の●にございますとおり、そういった「安定供給確保措置の遵守を徹底するとともに、厚生労働省からの要請等への適切な対応を担保する観点から、安定供給責任者の設置については、法令上の義務とすることについては、どう考えるか」という論点を御提示させていただいております。
具体的な先生方の御議論のための参考資料といたしまして、10ページ以降にこの論点に関する関連の資料をつけさせていただいておりますが、例えば14ページをお開きいただけますでしょうか。少し触れさせていただきたいと思っております。
製薬企業、製造販売業者における責任者の設置という論点でございますので、現行、例えば薬機法上、置かれている三役、総責、品責、安責に関する整理の資料をつけさせていただいております。
こちらにつきましては、医薬局のほうで開催しております医薬品医療機器制度部会のほうで品質保証責任者、それから安全管理責任者について法律上の位置づけを与えることを検討してはどうかといったような内容が別途議論されているところでございますが、この総責、品責、安責、こういった既にある制度との関係をどう考えていくかといった内容も論点になっていくのではないかということで、関連の資料を14ページから18ページまでつけさせていただいているところでございます。
すみません、駆け足になって恐縮ですけれども、論点の9ページ目に戻っていただけますでしょうか。
1つ目のお話として、青の部分を御説明させていただきました。
続きまして、2つ目の内容といたしまして緑の右側の真ん中の部分について御説明させていただきます。
「供給不安の迅速な把握/報告徴収/協力要請」ということでございまして、1つ目の●にございますとおり、本年4月から開始しております供給不安報告・供給状況報告につきまして法令上に位置づけまして、その徹底を求めることとしてはどうかという論点でございます。
さらに、こちらは前回の5月の会議にも御提示させていただきましたが、現在でも製薬企業、卸の皆様に具体的に供給不安、供給情報報告が挙がってくれば、その代替薬の在庫の状況ですとか、そういった内容について報告徴収を求めさせていただいております。こういった内容も法令に位置づけることとしてはどうか。
さらに、そこで具体的に供給が厳しいということになれば、現在でも製薬企業、卸の皆様に出荷や増産のお話をさせていただいたり、医療機関、薬局の皆様に長期処方を控えていただくよう厚生労働省からお願いをしております。
こういった内容も協力要請ベースということになりますけれども、法令上に位置づけて一つの枠組みとしてはどうかということを論点として御提示させていただいております。
それから、最後の右下の部分で「安定確保医薬品の供給確保要請」でございます。
安定確保医薬品につきましては、本会議で令和3年に506成分が指定されておりますけれども、現状、法令上の位置づけはないところでございます。こちらにつきまして、安定確保医薬品を法令に位置づけて指定時、すなわち令和3年からの状況の変化を踏まえて必要な見直しを行うこととしてはどうか。
さらに2つ目の●の部分でございますけれども、「安定確保医薬品について、供給不足のおそれがある場合、法令上、感染症対策物資と同等の措置を講ずることができることとするとともに、サプライチェーン強靱化の観点から他に検討すべきことはないか」という論点を挙げさせていただいているところでございます。
こちらは少し中身について御説明をさせていただきたいと思っておりますので、26ページ以降をお開きいただけますでしょうか。
26ページでございますが、安定確保医薬品の概要の資料をつけさせていただいております。
先生方御承知のとおり、現在安定確保医薬品につきましては真ん中上側の四角の枠のところでございますけれども、「イ)対象疾患の重篤性」「ロ)代替薬・代替療法の有無」「ハ)多くの患者が服用していること」「ニ)製造の状況・サプライチェーン」、こういった4つの軸で御検討いただきまして、現在真ん中にございますとおり安定確保医薬品が506成分選ばれているという状況でございます。
その中で先ほど申し上げた4つの軸でA、B、Cという形に分けておりまして、Aが21成分、Bが29成分、Cが456成分という状況になってございます。
こちらの医薬品につきまして、現行安定確保医薬品に選ばれるとどうなるのかということを27ページのほうにまとめさせていただいてございます。
先ほど申し上げたとおり、法律上の位置づけはございませんで、こういった医薬品に選ばれると厚生労働省のほうで実施しております予算措置の対象になったり、それから薬価で若干の特例が置かれていたりというような状況になっているものをまとめさせていただいております。
続きまして、28ページでございます。
先ほど、感染症対策物資と同等の措置を検討してはどうかという論点のほうを御提示させていただきました。その具体的な中身になりますけれども、53条の16のところでございます。こちらの赤字の部分を読ませていただきますが、厚生労働大臣は、需給の状況その他の状況から合理的に判断して、その供給が不足する蓋然性が高いと認められる場合に、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある場合、生産業者に対して、感染症対策物資等の生産を促進するよう要請することができるという内容になっております。
こちらは若干省略しておりますが、その関係で生産業者に対して生産計画の変更を求めることができ、さらに第7項で、正当な理由がなくその指示に従わなかったときにはその旨を公表することができるという内容になっておりまして、法令上かなり強い規定になっているというふうに認識をしております。
その関連で、29ページのほうに財政上の措置ですとか、それから平時からのモニタリングの規定というのがついているというのが現在の感染症法の規定でございます。
こういった規定も参考に、安定確保医薬品は大変重要な医薬品になっておりますので、同様の措置を講じることを検討してはどうかという内容と、それから先ほど申し上げましたとおり、セファゾリンに代表されるように安定確保医薬品はサプライチェーン上、非常に確保、供給が難しい課題を抱える医薬品となってございます。そういった医薬品につきまして、現行のこの感染症法の規定をそのままトレースする形で安定供給は十分なのかということを御議論いただきたいという趣旨で、サプライチェーン強靭化の観点から検討すべきことはないかという内容を掲げさせていただいているところでございます。
以上が、先ほど9ページに挙げさせていただきました3つの内容に関する論点でございまして、続きまして今後の進め方についても先に御説明させていただきます。
31ページでございますが、「今後の議論の進め方」について、事務局から資料を御提示させていただいております。
マネジメントシステムの構築につきましては、本日9月2日の会議でさらに御議論いただきまして、今後複数回御議論を重ねていただきたいと思っております。また、供給ワーキングでも現在、議論が進んでおりますので、そういった内容も踏まえまして制度改正につながるような事項を先生方に御議論いただいて、そういったことが出てくれば関係審議会でさらに御議論いただくという形で事務局としては進めたいと思っているところでございます。
さらに、先ほど申し上げましたとおり、サプライチェーン強靭化の観点からの議論をしていくべきだという御意見を先生方から多々いただいてございます。安定確保医薬品の再選定の議論も含めて、今後同時並行で本会議にて御議論を進めていただきたいですし、さらにこの中で前回8月に扱いました後発医薬品の安定供給に関するお話ですとか、または先生方からこういったことも検討すべきだというお話が出てくれば受け止めつつ、議論を進めていきたいと考えている次第でございます。今後の議論の進め方につきましても、先生方から御意見をいただきたいと考えてございます。
すみません、駆け足になりましたが、資料1について私からの御説明は以上になります。ありがとうございます。
○清田座長 ありがとうございます。
そうしましたら、早速質疑応答に入らせていただきたいと思います。今、御説明にありましたように、ポイントはこのスライド9の「マネジメントシステムの構築について」という今までの議論を踏まえたまとめですね。これを掲げていただきましたけれども、これに対して御意見ですね。こうしたらいいのじゃないかとかですが、どうぞ。
○坂巻構成員 すみません、連絡がちゃんといっていなかったようで現地参加しています坂巻でございます。
資料の9ページだけでなく今の説明を通してなのですけれども、法令という言葉をずっと使われているのですが、これは具体的にどのような立てつけ、どの法律なのでしょうか、法令上に書き込むのでしょうか。そこをもう一度はっきりしていただく必要があるかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○清田座長 どうぞ、お答えください。
○田中総括調整官 事務局でございます。
まず、事務局のほうから今、御指摘いただきましたとおり、9ページにつきましては法令上の規定とすることとしてはどうかという内容を幾つか掲げさせていただいております。こちらの内容につきまして、製薬企業に義務を課すという形になってくるのであれば、当然法律に規定する必要が出てまいります。
ただ、具体的にどの法律に規定するかということにつきましては、例えば製造販売業者に対する規制という考え方で薬機法に規定すべきなのか、それとも医薬品の確保と医療の提供体制の確保という形で医療法に規定すべきなのかといった内容につきましては当方のほうでも検討させていただきたいと思っております。しかし、法制局等への相談も必要になってまいりますので、具体的に法令上の義務とすると、そういう手当が必要だという内容をいただけましたら、それは事務局のほうで具体的にどの法律に規定すべきかということを含めて検討を進めさせていただきたいと考えております。
○清田座長 どうぞ。
○坂巻構成員 資料の中で先ほど三役の資料があって、何かやはり薬機法改正を考えているのかなという印象を持ったわけなのですけれども、今のところ、どの法律かということについては具体的な案がないということなので、あまり議論のしようがないなという感じがするのですけれども。
例えば、薬機法の改正ということであれば、今の薬機法の第1章の理念との整合性ということも考えなければいけないのと、言うまでもなく薬機法においてその規制の対象となっている種類に関しては取りあえず医療機器や再生医療等製品は除くとしても、医薬品全てについて仮に対象とする。
具体的に言えば、薬機法の18条でしたか。薬機法なのかなと思って今日は薬機法を全部印刷して持ってきたのですけれども、18条には、医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造販売業者等の遵守事項と書いてあるわけです。そうすると、薬機法を変えるとすれば医薬品だけではなくて、この18条に対しては医薬部外品や化粧品も一緒に対象になっちゃうわけですよね。
さらには、医薬品ということについては言うまでもなく、これは第一種、第二種という言い方をしていますけれども、いわゆる一般用と医療用医薬品とが含まれる。一般用医薬品も対象にするのですか。あるいは、広く言えば外資系と内資系、あるいは漢方薬だとか、ワクチンだとか、血液製剤とか、そういったものも対象にしてはいけないわけです。
ですから、どの法律で規定するかということがないと、その具体的な議論がどうしても進まないような気がするのです。
今日は、そこはまだ検討中ということであまり深く突っ込む部分ではないですけれども、ちょっと気になる部分ではあります。この点については意見だけで、回答の必要はないです。
もう一つですけれども、今日の資料の中に私が申し上げたことで、そもそも安定供給と、逆の供給不足に関しての定義をちゃんとすべきではないかということを申し上げましたが、それが入っていないのです。
なぜそんなことを言わなければいけないのかというと、今、起きている問題に関しては、原因を分類した上で、その原因ごとの定義をある程度しないと、マネジメントシステムで対応するといっても具体的な対応策がつくれないと思うのです。例えば今、起きていることの主因というのはやはり品質、製造プロセスの問題だと私は思っています。これは今の薬機法の中でも対応できると思うのですね。
それから、大きな問題として資料の9ページの右下にあるサプライチェーンの問題、つまり原材料確保に関してその企業がどう取り組むのかということについては確かに今の法律の中で規定されていないけれども、もしかすると感染症法なり経済安保のほうで対応できるかもしれない。
これ以外の一番大きな問題というのは、例えばほかの企業が何かトラブルを起こして企業が供給量を増やせない。こういった供給量に対して、何らかの形で法律上対応できるのかどうか。あるいはもっと言えば、商業的理由で撤退する。これに関しては薬価削除の簡素化ということをルール化したわけですけれども、こういったものを法律で対応できますか。
また文句ばかり言っていると言われるから言わないほうがいいのかもしれないのだけれども、あとは厚労省がずっと信じている、信仰に近いですが、少量多品種、つまり品目数を減らす。こういったことも法律上で書き込めるのでしょうか。
後半、ちょっと言い過ぎている部分はありますけれども、そもそもの供給不足の原因に沿ったような定義をしないと、法律上なかなか明確な対応策が立てられないのではないかということを感じます。
もう一回言いますと、供給不足とか安定供給というのはマクロには定義できます。つまり、医療機関において、あるいは薬局において必要なものが手に入らなければマクロにおいては供給不足なのだけれども、個々の企業が安定供給しているという状況についてはどういう状況なのかということを法律で規定する場合には、そこは明確に原因と関連づけた上で定義をしないと、なかなか法律上の対応は難しいのではないかと思うんです。どの法律で書くかということは別にして、ここはきちんと議論したほうがいいかなと思っています。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○田中総括調整官 事務局でございます。御意見ありがとうございます。
今ほど坂巻先生からいただいた御質問についてなのですけれども、幾つか先生のお話の中で、原因を特定した上でそれぞれについて安定供給を定義し、具体的な対策が法律に書けるのか、書けないのかといったような御指摘をいただいたところでございます。
総論的にぴたっとした回答をさしあげることが難しくはなるのですけれども、例えば今、事務局のほうから御提示させていただいている内容につきましては、安定供給といたしまして概念として何かを定義しているわけではないのですけれども、企業様のほうで医薬品の供給が適切に行われるように、例えば今回供給状況報告というものを法令上の義務としてはどうかということを御提示させていただきましたが、例えばそういった限定出荷みたいな状況というのを極力起こさないようにする。起きてしまったときに、それに対して迅速に把握をして厚生労働省からの要請をすることができるようにするということで、1つは例えばですが、限定出荷が起こらないように企業様に適切な体制を整えていただく、もしくは厚生労働省としてもそういう体制を整えるという内容が今、御提示させていただいているマネジメントシステムの一つの内容になっております。
この中に、前回までも具体的にこちらとして論点のほうを御提示させていただいてはおりませんが、それぞれの企業様に供給量の提供を義務づけるといった内容は現在のところ盛り込ませていただいていない状況でございますので、少なくとも今、御提案させていただいている範囲の中で安定供給が一定の量の提供を企業様に義務づけるようなものというふうには理解はしておりません。今回の論点で御提示させていただいているとおり、体制整備の部分をマネジメントシステムとして御提示させていただいているというふうに理解をしております。
加えて、先生のほうから厳しい御指摘をいただいているというのは理解しておりますけれども、少量多品種のお話ですとか、そういった内容につきましては後発検討会のほうで既に関係団体さんのほうにも、もしくは関係の企業様のほうにも様々御対応いただいているところでございますが、業界再編のお話ですとか、それから前回まで8月にも御議論いただきました限定出荷を少しでも減らしていく取組ですとか、そういった内容で取り組ませていただいておりますので、その業界構造の問題、もしくはそれに派生して起こる限定出荷につきましてはそういった運用上の対応も含めて対応していきたいと考えてございます。
先生からいただいた、大きく体制の話と供給量の確保の話、それから業界構造の話につきましては、それぞれ対応するツールがございますので、今、御提案させていただいているマネジメントシステムにつきましては、その体制整備の部分を中心に御議論させていただいているというふうに理解をしております。
○清田座長 坂巻先生の御意見はごもっともだと思いますので、御意見を踏まえて今後進ませていただくということになろうかと思います。
川上先生からお手が挙がっています。
○川上構成員 ありがとうございます。川上です。
9ページに3つの観点が挙げられていまして、基本的な方向性として自身は妥当だと思っております。特に医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議がコロナ禍の中で立ち上がった際の経緯でも、セファゾリンを中心とした抗菌薬などのサプライチェーンの問題が大きく取り沙汰されておりましたので、そのことも含めて3つの方向性を出されたことは妥当かと思います。
その中の最初の安定供給確保に向けた体制整備の中で、安定供給責任者の設置が挙げられております。これ自身も必要だと思います。
その上で、安定供給の責任者は、現在の総責とは違った立場から責任や、役割を果たしていただきたいと思います。昨今の一部の企業の不祥事に端を発した、ジェネリックを中心とした医薬品の供給問題の中において、不祥事のあった企業においては安定供給を優先するあまりに品質や製造に不備があったという言い方をされたケースもあったかと記憶しておりますので、そういった法令上の位置づけは重要かと思います。
この内容を見ると、企業に負荷をかける部分もあると思う一方で、ドラッグラグ・ドラッグロスの問題があります。企業が日本における医薬品の開発や製造販売を避けるようになってしまっては本末転倒ですので、そういった負荷がかかる分、企業への支援もしっかりやっていただければと思う次第です。
それから、供給不安の迅速な把握などのところで、報告を法令に位置づけることもぜひ進めていただきたいと思うのですけれども、できればその議論の中で、現在ですと企業から受け付けた限定出荷や供給停止に関する情報を厚労省で一元的に把握したものをエクセルのファイルで日々、情報公開していただいていると思うのです。こういったやり方も、どこまで法令改正の枠組みの中に入れるのか。報告だけを法令の枠組みに入れて、その後の情報公開などは含まれなくなると我々は不安に思うので、受けた報告内容をどう生かすかというところも反映いただけると医療現場としてはありがたいと思う次第でございます。
以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
よろしいですか。
○田中総括調整官 事務局でございます。
御指摘を踏まえて整理させていただきたいと考えております。
○清田座長 ほかに御意見ございますか。
宮川先生、どうぞ。
○宮川構成員 宮川です。
ただいま川上先生からいろいろな御提案はあったのですけれども、例えばサプライチェーンの問題とか財政支援、特にサプライチェーンは国全体と考えなければいけないだろうと考えます。また別なところで議論としては少し深掘りしなければいけない部分はありますが、国が率先してやるべきところがある。
財政支援に関しては、財政支援をすれば企業は安定供給していただけるのでしょうか。この3年間、本来の限定出荷、あるいは私が前々からお話ししています意図的な限定出荷が行われてきています。どちらにしても長いですよね。3年かけてこれが改善していないのは何かということなのです。
つまり、現場からいろいろな報告が挙がったり、協力体制をつくったり、要請をしたりしても、元の企業が応えていないということがこの3年、4年という長い時間かかっているということではないでしょうか。厚労省はどうお考えなのかということがとても心配です。
サプライチェーンの問題とか、今、言ったようなところは、これは大きな面で考えていかなければいけない。原材料の問題も含めてですけれども、それは世界情勢の変化とかいろいろなことがあったから余計にひどくなったのかもしれませんが、もう一回繰り返しますけれども、財政支援を得たら企業が安定供給をしていただけるのかというところが一番の問題で、それが解決するのであれば国は速やかにすべきである。その方策を考えていただく必要がある。
つまり、供給量が確保できていないということが問題ではないですか。先ほどからお話ししているように、どの薬もないのです。偏在しているとかいろいろな話をしましたけれども、実際に偏在はない。つまり、今まで例えば2割くらい増しで余裕があったから、いろいろなところで急に欲しくなったときに、それが1割動いただけで不足感が少なかった。
ところが、今、生産量がぎりぎりになって、そこから欲しいと言われたら、余裕がない中で供給した側の量は減っていくわけです。だから、絶対量がないのだという考え方の中で考えていかなければいけない。そうであるならば、その供給量を増やしていくということに関してはどのように考えていくのか。
それが安定供給です。供給が安定することは何なのかというと、絶対的な供給量がきちんとあるという保証が安定供給になるわけじゃないですか。そこのところに対しての考察というか、方策というのをきちんと考えなければいけない。
だから、私は前々から意見していますけれども、マネジメントシステムの中には企業がどのように生産して、生産量があって、在庫があって、出荷されているのかということの3つがはっきり分かればいいのです。今、川上先生がおっしゃったいろいろなディスクロージャーがありますけれども、それがきちんと私たちに見えれば、これは大丈夫なのだな、焦らなくていいのだな、変に買いだめしないでいいのだな、そういうことも含めて分かるし、ぎりぎりの段階で発注しても大丈夫なのだ、卸に言ってもちゃんと届けてくれるのだということが分かるわけです。だから、最初の段階の企業の生産量、そして在庫量、出荷量、この3つがしっかりと厚労省も含めて把握できて、それをしっかり出していく。その中で、現場でどういうことが起こっているのですかということが分かれば、それを厚労省がピックアップしてしっかりとその中でマネジメントシステムができてくる。
そういう仕組みをつくらなければいけないので、事細かに現場がどうのこうのとか、そういう意味では現場の不足感がどうのこうのというよりは、現場は不足していなければ不足と言いませんので、それは後のことなのです。卵が先か鶏が先かと同じように、後先を逆にしないでいただきたい。
現場は薬があればよいのです。ないからないと言っているので、そこの原因をしっかりと厚労省が把握して、そして全てをディスクローズしていく。そういうことを考えないと、この安定供給不足は幾らたっても解消できない。
企業には、こうしてほしいのです、財政支援はこうやってしてほしいのですときちんと言ってほしい。いつもそうなのですけれども、企業はもぞもぞ言って言い訳ばかりずっとしてきたわけです。企業は企業論理もありますし、生きていかなければいけない。やはり利潤もなければいけない。
それには様々な問題があるということは、それは言っていいわけですから、企業も正直に言っていただいて、どのような支援が欲しいのかはっきり言っていただければ、それに対して国はこうなのですよという話に進んでいくのです。こんな言い方は申し訳ないですけれども、いつも企業の方々はかっこつけているのかどうか分かりませんが、そういうようなことの中で議論をぼかしてきたというところが私はあるのではなかろうかと思います。皆さんが正直に言っていただかないとこの問題は幾らたっても解決しないと思いますので、ぜひ厚労省は一歩も二歩も進んでいただいてこれを解決していただきたいと思っております。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
よろしいですか。
○田中総括調整官 事務局でございます。
厳しい点も含めて、御指摘ありがとうございます。まず先生の御指摘を受け止めて今後も議論を進めていきたいと考えております。先生が御指摘のとおり、厚生労働省として一定の予算を確保すれば問題が解決するとか、そういった内容で考えているわけではございません。今回のマネジメントシステムにつきましては、企業さんのほうの事前の対応として安定供給責任者を置いて、それで生産計画をつくるに当たって原材料調達の部局ですとか、販売を行っている市場分析の部局ですとか、そういったところを含めて安定供給を徹底してどういうふうに生産計画をつくっていくか。さらに、原材料の問題に対応できるように、例えばダブルソース化の検討をどういうふうに進めていただくかとか、そういったことを各企業で取り組んでいただけるように安定供給責任者の設置も含めた対応を御提示させていただいております。
さらに、先ほど申し上げたとおり、供給不安報告のような仕組みを法令上位置づけるとか、安定確保医薬品でサプライチェーン上の強靭化に対応するといった内容を御提示させていただきました。
それで、さらにそこに加えて、先生から御指摘いただいた内容につきましては、例えば前回5月の会でも先生のほうからディスクロージャー、要は情報開示の話が重要だというお話をいただいておりましたが、まさに今、供給ワーキングで進めているようなどういった情報をどういうふうに把握をしてそれを関係者で共有していくのかといった内容に関連する内容かと考えておりますので、供給ワーキングも現在議論が進んでいるところですけれども、そういったところでも先生の御指摘をどういうふうに受け止めていけるか、考えていきたいと思っております。
○宮川構成員 ありがとうございます。
そういう意味では、時間がない。実際に今、現場が困っているという状況があって、私たちはいろいろな薬が少なくなっている。抗生剤だけではなく、個別なことを言ってしまってはあれですけれども、キシロカインのようなもの、整形でも欲しい、皮膚科でも欲しい、となっており困窮しています。ほかのものもたくさんあります。
足元が今こうなって、国民が困っている状況をどのように速やかに救済していくというか、問題を解決するのかというと、大きな視野に立つことも必要ですけれども、局地戦も少し考えていただかなければいけない。やはり本当に根幹を考えていかなければいけない。法的なことも含めて考えていかなければいけない。これは用意周到な考え方でやっていく必要があります。
だから、時間があるところとないところをしっかり考えて、順番をどのように立てていくのか、戦略と戦術をどう分けていくのか。そういうことも含めて、これはみんなで考えなければいけないので、厚労省だけに云々ということではないと思います。そのあらすじをきちんと立てていただいて、あまり大きなところまで言うと非常に時間がかかってしまうところもあるので、それをどのように世の中に訴えていくのか。多くの報道の関係者もいますし、それがいろいろな議員の方を動かす、国を動かすということになるはずなので、何を目的にしてどのような形でみんなに知らしめていくのか、どのような時間が必要なのかということも厚労省が少し教えていただき、関係者にこういう計画でいくとか、その計画が無理なのか、無理でないのかということも含めて、しっかり示していただきたいと思っています。お願いいたします。
○清田座長 ありがとうございます。
この会も急がなければならないというので毎月開こうという話ですので、皆さんで頑張っていいものをつくっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
豊見先生からお手が挙がっています。どうぞ。
○豊見構成員 日本薬剤師会の豊見でございます。
私からは、法令上の遵守事項にしていくということについては同意したいと思います。その点で、実効性があるものにしていただくということが重要と思います。
情報がそろっただけでは、それでマネジメントということにはならないと思いますし、先ほどもお話があったように使用量を生産量が上回っているもの、それが分かることで解決されるものもありますけれども、そうではないものについてはその先でどういう対応をしていくかということが必要になってまいりますので、そういうところも含めて実効性がある体制整備をお願いしたいと思います。
また、安定供給責任者と総責の関係が今後重要になってくると思いますけれども、企業の中でガバナンスをしっかりと行っていただきたいということと、こういった状況になってくるとさらに総責については薬剤師がしっかりと務めていく必要がありますので、その点の重要性も高まっているのではないかと意見をさせていただきたいと思います。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
ほかに御意見がございますか。
どうぞ。
○梶山構成員 安定確保委員会でございます。
両先生から御指摘いただきましてありがとうございます。
まず、宮川先生から財政支援があればという御質問もいただきました。もちろんこれも大事なところかと思っていますが、まずその前に先ほど供給量というお話もいただきました。この供給量の原因となった部分は、財政ということ以外にもやはり坂巻先生からも御指摘いただきました品質の問題等がございます。いろいろな問題があります。そういうようなことに対して、企業並びに団体としてしっかりと対処していく承認書の自主点検、自己点検や供給状況調査をより正確にしていく、いろいろなことが相まって、まずこれをしっかりやらせていただくということが大事かと思っております。
それによって、プラスで非常に厳しい状況のところにつきましては財政的な支援等も御相談させていただく必要が当然出てくるかとは思うのですけれども、まず私どもとしてやるべきことをしっかりやる。その中で御指摘いただいております機能、各企業が果たすべき機能、これをしっかりと今回の議論を経て明確にし、それを各社が対応していく、遵守していくというようなこと、これが大事かなと思っています。ぜひ引き続きよろしくお願いいたします。
○清田座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○宮川構成員 宮川ですけれども、それは一番の元でしょう。品質管理ができないのは企業ではないじゃないですか。それをもともと言っているのですよ。そんなことを今さら言うこと自体、私は非常におかしいと思います。
そうじゃないですか。企業は、品質が悪いものを出すのですか。そうではないでしょう。不祥事を起こすということが当たり前なのですか。そうじゃないですよね。それは大前提です。医薬品企業として当たり前です。それを今さら取り組むなんておかしい話です。自主点検もずっとしてきたじゃないですか。それを今さら言うということは、私はちょっとおかしいと思います。その前提はもう分かっている。それをしっかりやってください。その上でという話を私はしているのです。もっと私は強く言おうかなと思ったのですけれども、そういうふうなことを言っても仕方ないなと、それをあえて私に今、発言させたということは、申し訳ないけれども、おかしいと思います。企業は、そこのところを考えてください。よろしくお願いします。
○清田座長 よろしくお願いいたします。
今日はキースライドが9なのです。それで、いろいろな法令化に向けてこれからやっていこうというような御提案が厚労省からあるわけですね。ただ、法令化自体は案外ハードルが高くて、これからいろいろ詰めていかなければならない。各部署と調整が必要だというふうに私は伺っています。
ただ、この3つの考え方ですね。具体性を欠くのだけれども、こういう方向でいいじゃないかというような皆さんのフィーリングですよね。これはよろしいかどうかを確認させていただきたいのです。これではいかん、この3つの柱ではちょっと足りんというような御意見があれば伺いたいのですが、おおむねこの3つは欠くことができない考え方ではないかと思いますし、これで皆さん御納得いただければ、これを個々に一つ一つ各方面とネゴをしていくわけですけれども、それで多少変えなければならない部分があるかもしれません。それは皆様と御相談していくことになるのではないかと思います。
ですから、今日はディテールを言ったら切りがないのですけれども、おおむねこのコンセプトでいいではないかという賛同をいただければ賛同していただきたいというのが私の立場からのお願いです。いかがでしょうか。
○原構成員 今お話があったように、私としてはこの3つでいいと思っていますし、法制化というのは非常に大きくて、罰則規定があるとか、ないとか、そういうことよりも、法制化するということが非常に重要だと位置づけております。
ただ、ここで安定供給責任者とか決めてしまったために、その人の責任でしょうと企業がならないように、最終的には取締役会の問題だと思っていますので、安定供給責任者や総責とかを踏まえて全員で話し合わないといけないと思うのです。急に生産計画に入れてくれと言ったときに総責が、そんなものはできないとか、わぁわぁしないように、最終的には取締役がちゃんと責任を取るのだというような位置づけにしておかないと、ちょっとそこは心配だなと思っていますので、そこのところはこれから先よろしくお願いいたします。
以上です。
○清田座長 当然、最終的に責任を取るのは社長さんだと思いますけれども、そこら辺まで文章化するかどうか、皆様と今後御相談ということになろうかと思います。
それから、量ですよね。品目数ばかり気にしていて、実際のクォンティティーでしょうか。これをやはり問題とすべきなのじゃないかと思いますけれども、それの把握は別のワーキングでやっていただいているようなので、そちらのほうの結論を待ちたいと思います。それでよろしいでしょうか。
御意見いかがですか。
どうぞ。
○蛭田構成員 蛭田でございます。
私も、この3つの柱ということに関しましては賛成で、非常によくできている、考えられていると思います。
ただ、この中で体制に関しまして、罰則等を検討するのであれば、その体制が整備されていることの評価についても是非セットで考えていただきたいと思います。罰則があるのであれば場合によってはインセンティブをどうするのかというようなことも考えていただければ充実してくるのではないかと思っております。
もう一つ、この供給不安報告と、要はワーキングでやっているのかもしれませんけれども、この判断基準が少し不明確なのではないかという気がしております。特に前々回の中でお話がありましたように、業界の調査で限定出荷していると回答したところについて改めて厚労省が問い直すと、では限定出荷はやめますというようなところが結構あったと聞いています。そういう点からも誰が見ても明らかな評価基準を設定する必要があるのではないでしょうか。
そのためには、先ほど宮川先生がおっしゃったようなディスクロージャーをどうするのかといったところも含めて御検討いただければいいかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○清田座長 ありがとうございます。
私の素朴な疑問で、田中さんなどにも聞いたのですけれども、どの時点の生産量、あるいは出荷量を基準として不足と定義するのか。これは坂巻先生とも関連するかもしれませんけれども、それはとても難しいですね。必要量というのはどんどん変化しますので、ですからそういう議論の定義づけみたいなものもどこかで検討する場所があれば検討していただければ、必要量も変化しますので。
坂巻先生、何かございますか。
○坂巻構成員 坂巻でございます。
また話をちゃぶ台返しみたいな形になると思うのですけれども、失礼ながらどんな駄目な製薬企業でも生産計画をつくっていない会社はまずないと思うのです。それで、生産計画をつくって、その生産計画どおりにつくっていれば一般的に安定供給なわけですよ。それを何らかの事情があって、例えばパンデミックで需要が増えたとかというのは、これは非常に重要な考慮すべき事情だけれども、今起きているのは他社がいろいろなトラブルを起こしてうちのところに注文が殺到して需要が増えている。
これに対して今、座長がおっしゃったように、そういった状況に対して供給を増やしていかなければいけないということに対して、これは法律で書き込めますか。私はどの法律を使うか分からないけれども、かなり難しいと思うのです。ここは、先ほどどなたか日薬の構成員の方から発言があって、実効性という言葉を使っていましたけれども、本当に原因ごとに考えたときに実効性のある対策ができるのかどうか。この議論に対してそもそも大丈夫なのかなということを感じる部分があります。
その前に、座長に対して大変な失礼なことを申し上げますけれども、そもそもこの会議体というのは何か厚労省が提案されたことに対して賛成、反対の議論をする場なのでしょうか、あるいは厚労省の提案に対して我々が賛成してお墨つきを与えるという場なのか、そもそものこの会議体の位置づけとしてやや疑問に感じるところがあります。
もっと失礼な言い方をすれば、厚労省がそう考えているのだったら、まあやってみなさい、検討してくださいということなのかなと思うのですけれども、そういう意味で私は賛成も反対も申し上げませんが。
○清田座長 私はどちら側でもありません。皆様の御意見をとにかくいただいて、いい方向に持っていければいいなと思っているだけでございますから、誤解のないようにお願いしたいと思います。
ほかに御意見ございますか。
どうぞ。
○三村構成員 三村でございます。
それでは一言だけということで、私は法令化というのは必要だと思っております。ただ、問題はどのような法令化であるか、どのような法律を使うのかにおいても相当中身が違ってくる。
ただ、思いましたのは、基本的に2020年、21年、22年に起こったこと、そしてそこにおいて厚労省は何度も通達をお出しになりました。あれだけ通達、通達、通達と出てきて、そしてその中でいろんなことを要請された。そして、その過程の中で多くの関係者は、もちろんメーカー、卸から医療機関、薬局まで含めてということでありますけれども、皆さんがよく協力されました。大変な状況の中で協力をされたと思います。
しかしながら、その中においてもなかなかうまくそれが徹底できなかったことも多くありました。
ただ、あのときの経験は大変重要であって、恐らくその経験から学んだことが多い。そこで、ある意味で皆さんの行動を一元化するための法令的なものがあればどんなに助かるかという話は何度も伺いました。ですから、恐らくどのような法令になるかにつきましては、あの3年間の経験を生かしていただく。そして、その中でどういう問題解決の方法があって、そのためには何が必要であったかということを整理していただければ、必要な要件というものが見えてくるのではないかと思っております。
ですから、どういう法令になるかということをゼロから考えると大変なのですけれども、あのときの経験から非常に学ぶものは多いかなと思いますので、それを前提として整理されて、そしてほかの部局とも相談していただければいいのではないかと思います。
それから、安定確保医薬品は経済安全保障の面からも本当に国家的に重要物資でありますので、ぜひそれは厚労省としてもきちんと法令化し位置づけるということでお願いしたいと思います。
以上です。
○清田座長 よろしいでしょうか。
松本先生からお手が挙がっています。
○松本構成員 ありがとうございます。
今までの議論を踏まえて、ここに示してあるような3つの柱というのは私も賛成ですし、ぜひこのまま進めていただければと思います。ただ、こちらに挙げられている案は企業側に対しての要請であったり、義務が生じる内容が中心ではないかと思います。しかし本来は企業側としても薬をつくり続けることで収益がきちんと上げられるのであれば、こういう要請を行ったり義務を課さなくても企業自体が積極的に製造を継続していただけるのではないかと思っております。
今、なぜ供給不足が深刻な問題になっているかといえば、幾らつくってもなかなか収益が上がらない。あるいは、つくっても赤字になるというような状況の中で、消極的にならざるを得ない部分もあるのではないかと思います。その上でさらに製造責任を課せられるとなると、じゃあもう撤退しようという企業が出てくる可能性もあり得ると思います。
そういう意味では、薬をつくることによって一定程度の収益が見込めるような仕組みは大切です。こうなるとどうしても薬価というところに辿り着いてしまうのですが、何らかの補助金も含めて、ちゃんと安定してつくり続けられるだけの経済的な支えということも必要になるのではないかと思いました。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
これはよろしいですか。
○田中総括調整官 御指摘ありがとうございます。
御指摘いただいた点を含め、検討してまいりたいと思います。こちらは今回マネジメントシステムということで御提案させていただいた内容でございますけれども、これで全ての施策が尽きるわけではございませんので、財政上の措置ですとか薬価について今この段階で事務局のほうから明示はできませんけれども、御指摘を含めてしっかりと回るような仕組みを考えてまいりたいと思っております。ありがとうございます。
○清田座長 ありがとうございます。
ほかによろしいでしょうか。
どうぞ。
○坂巻構成員 坂巻です。度々すみません。
3年前だったか、厚労科研の当時、経済課でしたけれども、主要国の安定供給の主に供給情報提供の仕組みについて調査させていただきました。それで、その結果に関しては時間がたってしまいましたけれども、ちょうど先週の『社会保険旬報』、あとは来週にまた後半のほうが出ますけれども、それで論文として発表させていただいております。
それで、調べたのは英米独仏と、それからカナダ、オーストラリア、それからEUという1地域と6か国なのですけれども、法律によって安定供給を義務づけている。明確に義務づけているかどうかはちょっと分からないですけれども、イギリスは法律の中で、日本で言うと薬機法に相当する法律で供給を義務づけています。
ただ、供給を義務づけていると言っても、ここは田中さんのほうがイギリスにいらっしゃったので詳しいかと思いますけれども、マストエンシュアで体制を整えることをマストエンシュアするという言葉で、安定供給そのものを義務づけているかというとちょっと解釈によって難しいと思うのですが、いずれにしても各国でそういった取組をしているところを考えれば、賛否を言う場ではないと先ほど申し上げましたが、法律で規定することはあり得るのだろうと思います。
ただ、一方で、繰り返しですけれども、やはり実効性を考えなければいけないですね。安定供給そのものを個々の企業に対して義務づけることが本当にできるのかどうか。つまり、今イギリスの話をしたように、安定供給、供給不足を起こさないように体制をきちんと取っておきなさい。そういった形の規定であればいいのだけれども、安定供給そのものを義務づけてしまうことは実際問題として企業であるとか、あるいは厚労省、自分自身に対して首を絞めると言ったら変ですが、できもしない実効性のないことを法律に書き込むということになりかねないので、そこはあえて申し上げますが、注意したほうがいいと思います。
そういうことが1つと、それから今日の議論の中でもう一つ、安定確保医薬品についてどうするかということがありました。これについても、私の意見を申し上げたいと思います。
安定確保医薬品に関しては、これも先ほど申し上げたように調査した国々の多くは安定確保医薬品という名称はともかくも、重要物資に関する規定をしている国が結構あります。それで、このことはまた実効性というところに関連するわけですけれども、安定確保医薬品というものを仮に定義したときに、これに対して何をするかなんです。これも調査した国に関しては、それらの重要物資、重要医薬品に関して安定供給を義務づけているわけではなくて、多くの国はこれらの重要物資に関する供給情報の提供を義務づける形を取っています。
ここをやはりきちんとしておかないと、例えば今、日本の安定確保医薬品のリスト、五百数品目あるわけですけれども、A、B、Cのカテゴリーは全部一緒にしてこれだけのカテゴリーがあるわけですが、具体的な品目を見たときに、先ほど来議論されているように企業の不祥事で供給不足になっていないものも結構あります。
例えば、代表的なものはウロキナーゼであったり、世界的に問題になっている麻酔薬のプロポフォールだとか、それからシクロスポリンだとか、こういったものは原料の確保が難しくなっている。こういうものに対して具体的にどういうふうな対応をするのでしょうか。それは恐らく企業に対しても情報収集をきちんと行って、逆に医療の現場に対して情報提供をきちんとする。
つまり、繰り返しですけれども、情報提供をきちんと行うということに関する義務づけはできたとしても、安定供給をしっかりしなさいとか、そのためにこんな対策も取っていますよという話になってしまうし、あまり実効性のない議論を積み重ねることになってしまうのではないか。ここは医療現場でない私が言うことではない話かもしれませんけれども、あまり実効性のないことを法律で明確にというか、事細かく規定してしまうと、かえって混乱を生じたり、あるいは実効性の伴わない法令の議論になってしまう危険性があるので、そこも注意したほうがいいと思います。
繰り返しですけれども、安定確保医薬品というものを仮に法律で何か位置づけるというのは、そのことがあったとしてもそれを位置づけた後にどう使うのか、どういう対応をするのかということについて、そこまできちんと考えた上で安定確保医薬品の法律、法令の盛り込み方は慎重に考えたほうがいいと思います。
以上でございます。今日は恐らくこれでおしまいだと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○水谷医薬産業振興・医療情報企画課長 どうもありがとうございます。
今日は様々な御議論をいただきまして、まず、安定供給そのものを義務づけるという点について。これは、ある意味企業にも、あるいは誰にとってもどうしようもない事情でそういうことが起きている場合もあるものですから、特に個々の企業の観点から見て安定供給そのものを義務づけるということは、私どもとしては現実的ではないと思っております。
そうした意味で、私どもが今回御提案しているマネジメントシステムの中では、個々の企業において安定供給確保に向けた体制を整備していただく。そうした基本的考え方で、9ページのこの青のところというのは各企業での体制整備ということをお願いしているわけであります。
一方で、そうした中で、では今度は実効性があるのか。企業としてやるべきことは当然として、それを法令上、位置づけることには我々は意味があると考えておりますが、まさにそれを実効性あるものとするために、そこは需給の状況を把握し、供給不安の解消策を取ることができる。ここの緑のところ、こうしたことを先ほど三村先生もおっしゃったとおり、過去3年間で我々は様々な通知、事務連絡等でお願いをさせていただいてきたことを、より法令に基づく形で実効性のある形にできないか。そうした観点から考えているわけでございます。
ただ、ではこうした仕組みを整備すれば供給不安が解消するのか。逆に言えば、こうした規定が整備されなければ供給不安が解消しないのかということではないと思っております。私どもとして、こうした体制を整備すること、枠組みを整備すること、これも必要でございますし、一方で足下の供給不安をそのまま置いておいていいわけではございませんので、前回の安定確保会議でも限定出荷になっているもの、そこの限定出荷を解除できないかということ、そうしたことについてさらに深掘りの調査をして、企業にそうしたことをやっていただくための枠組みを競争政策上の観点から問題ない形でどう対応していけるか。そうしたことも検討を進めてまいりますし、足下の対応は引き続き、これは医療現場、国民の皆様に御迷惑をおかけしておりますが、企業の御協力を得ながら進めていきたいと考えております。
それから、最後に赤字で書いた安定確保医薬品の仕組み、これは法令上位置づけるということ、坂巻先生がおっしゃったとおり、これは法令上、位置づけることに意味があるのではなくて、これとどのような作用法上の効果と結びつけていくのか、まさにそういうことが重要だと思っております。
今日御提示した論点の中では、この安定確保医薬品について、供給不足のおそれがある場合、法令上、感染症対策物資と同様の措置を講ずることができることとする。こうしたこととともに、サプライチェーン強靭化の観点から他に検討すべきことはないかという形で、まさにどういうような作用法上の規定とリンクさせることが適当かということ、そうした観点で論点をお示ししているものでございます。
ただ、ここで出てきているのは法令上の観点ということでございますし、私どもの整理させていただいた参考資料の中で、今ある安定確保医薬品も様々な効果と結びついているという状況でございますので、法令上の体系だけではなく、この安定確保医薬品というものを新しく見直す中で、またそれをどう活用していくかということ、これは様々な、それこそ薬価の仕組みの中でもこうしたものを援用されている部分もございますので、そうしたことも含めて御議論いただきたいと思っております。
そして、最後にこの枠組み、あるいは足下の供給不安云々ということについてだけではなくて、まさに薬価上の問題、あるいは少量多品目の構造を解消するための薬価削除の手続、そうしたこの会議でも御議論いただいて既にいろいろ打ってきている手がございます。そうしたことというのは、様々な環境整備の一環として大変重要なことだと思っておりますので、そこは引き続き手を打つとともに、またその進捗を確認しながらさらに御議論いただいて進めていきたいと考えております。
以上です。
○清田座長 ありがとうございました。
それでは、そろそろお時間でございますので、御意見がないようでしたらこれまでとさせていただきますが、事務局から御連絡はございますでしょうか。
○藤井医薬品産業・ベンチャー等支援政策室長 次回の日程等につきましては、詳細が決まり次第、改めてメール等にて御連絡をさせていただきます。
○清田座長 ありがとうございます。
それでは、これでお開きとさせていただきます。本当にお疲れさまでした。