2024年8月8日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第55回) 議事録
日時
令和6年8月8日(木)10:30~12:00
場所
中央労働委員会 労働委員会会館 講堂
出席者
今村主査、酒井構成員、土井構成員、土橋構成員、宮崎構成員、安井構成員
議事
- 議事内容
- ○事務局
ただいまから「第55回独立行政法人評価に関する有識者会議労働WG」を開催いたします。事務局の政策立案・評価担当参事官室の富田です。よろしくお願いいたします。着座にて失礼いたします。
構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、また暑い中、お集まりいただきありがとうございます。今回の会議は対面参加とオンライン参加を組み合わせたハイブリッド形式となっております。オンライン参加の構成員の方への御連絡となりますが、会議中は御自身が御発言をされる場合以外は、マイクをオフにして音声ミュート状態にしていただくようお願いいたします。また、質疑応答などの際に御発言の希望がある場合には、WEBEXの「挙手」アイコンをクリックいただくか、チャット機能を使って発言の希望がある旨を事務局宛てに御連絡ください。事務局にて発言の希望を確認した後、発言者を主査が指名しますので、主査から指名を受けましたらミュートを解除して御発言ください。御発言が終わりましたら、再度マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。
本WGの出席状況について御報告いたします。本WGは今村主査、酒井構成員、土橋構成員、宮崎構成員、安井構成員が会場での御参加、土井構成員がオンラインでの御参加となっております。梅崎構成員、関口構成員、西岡構成員、三宅構成員が欠席となっております。
続きまして、本日の資料について御説明いたします。本日の資料に関しましては、お手元のタブレットに収納してありますので、そちらで御確認ください。オンライン参加の構成員の方におかれましては、お手元に事前にお送りしている会議資料を御準備ください。本日は、資料1、資料2、参考資料が1~6となっております。資料の不足等がございましたら、事務局宛てに御連絡ください。
それでは今村先生、議事の進行をお願いいたします。
○今村主査
朝からお暑い中、……昨日は埼玉を中心に大変な雷雨がありましたが、御参集いただきましてありがとうございます。今回は、「勤労者退職金共済機構」につきまして、「令和5年度業務実績評価」に係る意見聴取を行うこととなっております。法人から各評価項目における評定の根拠について重点的に説明しますので、評価の内容を中心に皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。本日の会議は、おおむね1時間半を予定していますので、円滑な議事運営に御協力くださいますよう、よろしくお願いいたします。早速、議事に入ります。
まず、「勤労者退職金共済機構」の「令和5年度業務実績評価」について、御議論いただきたいと思います。はじめに、法人から簡潔に御説明いただき、説明が終わってから、質疑応答という流れで進めていきます。それでは、説明をお願いいたします。
○勤労者退職金共済機構総務部長
勤労者退職金共済機構総務部長の曽我と申します。よろしくお願いいたします。私のほうから、先生がおっしゃられた令和5年度の事業実績等について御説明いたします。着座にて御説明させていただきます。資料2-1に沿って説明させていただきます。まず、1ページの4の業務概要を御覧ください。既に御案内と思いますが、軽く触れさせていただきます。大きくは2つあり、(1)中小企業退職金共済制度です。その中には、一般の中小企業の退職金共済とあと特定業種退職金共済制度ということで、建設業、清酒製造業、林業についてです。また、(2)の勤労者財産形成促進制度については、勤労者財産形成持家融資制度を行っています。あと、ここに記載はありませんが、雇用促進融資事業というものもやっております。
2ページを御覧ください。業務実績の評価項目一欄です。右から2列目の自己評価の列を御覧ください。大体がBになっていまして、Aが3つです。各事項については、これから追って御説明します。
3ページを御覧ください。退職金共済事業(資産の運用)ということで、評価項目1-1の自己評価はAといたしました。こちらについては、第5期の中期目標につきまして、第4期から変更して、中退共、建退共、清退共、林退共それぞれに、第4期では資産運用を分けて記載していましたが、それをまとめて冒頭に記載しています。重要度「高」、困難度「高」としており、こちらは従前、ベンチマークに基づく定量的指標ということで評価していましたが、今回からプロセス評価に指標を変更したものです。
4ページを御覧ください。指標の達成状況です。左側の目標を御覧いただくと、1の資産の運用ということで、退職金支給に必要な流動性を確保しつつ、中期的に退職金共済事業の運営に必要な利回りを最低限のリスクで確保することということで、指標としては資産運用委員会が作成する資産運用に関する評価報告書において、運用実績を踏まえて年間を通じて、3ページの(3)運用の目標達成に向けた取組、(4)スチュワードシップ責任に関する取組の対応が、適切に実施されたとの評価を受けること。また、令和5年度については実績値として、評価委員会の報告書において対応が適切に実施されたとの評価を受けています。達成度は、達成とさせていただいております。
Ⅲの評定の根拠の下の部分を御覧ください。資産の運用ということで、令和5年度は引き続き分散投資と長期的投資の観点から運用受託機関のパフォーマンス管理に継続的に取り組んだほか、金融経済環境の大きな変化に直面したことによる、基本ポートフォリオの有効性、変更の必要性の検証に取り組んだ。また、サステナビリティを重視した運用の観点からは、近年活発化させているスチュワードシップ活動に加えて、責任投資方針を策定、公表した上で、PRI署名を実現した。その後も引き続き、体制整備に取り組んでいるとしています。
次のページからは参考事項として付けていますので、8ページを御覧ください。評価項目1-2の退職金共済事業(一般の中小企業退職金共済事業について)です。自己評価をBとしています。ここでは(3)中退共システム再構築ということで、重要度「高」、困難度「高」としています。2026年(令和8年)度に新システム運用開始を目指し、2025年(令和7年)末までに手続のオンライン化を実現することを目標としています。
9ページを御覧ください。Ⅱの指標の達成状況です。(1)加入促進対策の効果的実施の指標については、中期目標期間中に新たに加入する被共済者数を165万人以上とすることとし、令和5年度の目標は36万人以上としています。令和5年度の実績値は360,877人で、達成度は100.2%となっています。
(2)サービスの向上についてです。指標は、退職金請求について、受付日から18業務日以内に退職金を全数支給することということで、100%の達成となっています。(3)中退共システム再構築は、重要度「高」、困難度「高」の部分です。指標としては、一般の中小企業退職金共済事業における中退共システムについて、令和8年度に新システムの運用を開始することを目指し、設計・開発の着実な進捗管理を行うとともに、想定外の事態にも適切に対応することです。令和5年度については、設計・開発の着実な進捗管理を行って順調に進捗させた。想定外の事態にも適切に対応したとしています。
(4)確実な退職金の支給に向けた取組についてですが、指標は2つあります。上のほうは、請求権が発生した年度における退職者数に対する当該年度から3年経過後の未請求者数の比率を毎年度2.0%以下にすることです。下のほうは、金額の割合を毎年度0.5%以下とするという指標を掲げています。令和5年度については、上の欄の人数については102%達成ということで、金額については79%達成となっています。
次の11ページを御覧ください。Ⅲの評定の根拠です。まず、加入促進対策の効果的実施です。未加入事業所を対象としたオンライン説明会、無料相談申出事業所に対する事業所訪問活動の実施など、個別事業主に対する加入勧奨等や関係団体等での各種会議などで、制度内容や加入手続等の説明を行うなど、引き続き積極的・効率的に加入促進活動を行ったことに加えて、広報媒体を総合的に組み合わせて、加入目標数を上回ることができたとしています。
○勤労者退職金共済機構総務部長
13ページを御覧いただきたいと思います。評価項目1-3、建設業退職金共済事業についてですが、こちらは自己評価をBとしております。第4期からの変更点として、(2)サービスの向上の一番上の○ですが、電子申請方式について、一層の利用促進を図ることということで目標を掲げております。
14ページ、Ⅲの指標の達成状況です。(1)加入促進対策の効果的実施ということで、指標については、令和5年度の目標が9万9千人以上ということで、新たに加入する被共済者数の目標を掲げておりまして実績についても106.3%の達成となっております。
(2)サービスの向上ということで、指標については上下2つに掲げておりますけれども下のほうを御紹介いたします。中期目標期間中に電子申請による掛金の原資となる退職金ポイントの額を掛金収入額の30%以上とすること、令和5年度の目標を6%以上としております。令和5年度の実績は4.97%ということで、達成度83.3%となっております。
(3)確実な退職金の支給に向けた取組ということで、指標については上の欄です。住所が把握できた全ての長期未更新者へ、未更新期間3年経過時点及びその後一定期間経過時点に、手帳更新、退職金請求等の手続を要請することで、達成度100%としております。
次のページ、15ページを御覧ください。Ⅲの評定の根拠ですけれども、こちらについては加入促進対策の効果的実施ということで、これまでの取組に加えて、新たな取組としては国土交通省主催の説明会において、加入勧奨の依頼を行ったことなどによって前年度を超える加入数を上げたとしております。サービスの向上については、退職金ポイントの掛金納付率については目標達成に至らなかったけれども、関係者から、電子申請に対する使い勝手、課題などの聞き取りを行い、システムの改善を図るとともに、更なる普及拡大に向けた取組としまして、「金融機関プッシュ型」等の枠組みを定め、各所に合わせたアプローチを柔軟に行ったところです。
17ページ、評価項目1-4の清酒製造業退職金共済事業です。前回からの目標に関する大きな変更点はありませんので着実にやっておりまして、自己評価をBとしております。次のページの指標達成状況を御覧いただきますと、令和5年度の達成度は全て100%を上回っているところです。
次の項目1-5は、林業退職金共済事業です。こちらは自己評価をAとしております。中期目標の内容としては、(1)累積欠損金の処理ということで、重要度「高」、困難度「高」としております。22ページ、Ⅱの指標の達成状況の(1)累積欠損金の処理ということで、指標としては中期目標期間の最終年度に、解消計画に定める当該年度の累積欠損金の金額を達成することで、令和5年度については、剰余金の水準が解消計画を大幅に上回ったこと、また累積欠損金を解消したことで、達成とさせていただいております。(2)加入促進対策の効果的実施です。加入促進について、新規の加入数は令和5年度が1500人以上という目標を掲げており、実績値としては103.3%の達成です。
次のページを御覧ください。Ⅲの評定の根拠ですが、累積欠損金の処理の所に理由として、累積欠損金を解消した直接の要因は内外株価上昇などによる運用収入を確保できたことですけれども、①資産の合同運用、②継続的な経費削減、③予定運用利回りの引下げ、④業界等関係者とともに実施してきた加入促進活動といった、これまでの一連の施策の効果が結実したものであると考えております。その下の加入促進の効果的実施ということで、理由としては収集の対策に取組んでおります。
26ページ、評価項目1-6の財産形成促進事業についてです。中期目標については、前回と余り大きな変化もなく、自己評価をBとしております。27ページは指標の達成状況です。令和5年度の達成度は100%以上となっており、着実に実施しているところです。
28ページを御覧ください。評価項目1-7の雇用促進融資事業です。新規の融資は既にしておりませんので、坦々と今ある債権の回収を行っているところです。自己評価についてはBとさせていただいております。
次のページ、項目2-1の業務運営の効率化に関する事項ということで掲げております。自己評価はBです。30ページに、指標の達成状況があります。4の業務の電子化に関する取組ということで、先ほども触れさせていただきましたけれども指標については、一般の中小企業退職金共済事業における中退共システムについて、2026年度に新システム運用を開始することを目指してやっております。令和5年度は、着実にやっているところです。
次は別の項目になりますが、33ページ、項目3-1の財務内容の改善に関する事項です。こちらは自己評価をAとさせていただいており、Ⅲの評定の根拠ですが、累積欠損金の着実な解消ということで、先ほども御紹介させていただきましたけれども、林退共の累積欠損金を解消したことは、これまでの①~④についての取組の効果が結実したものでないかと考えております。
次のページ、34ページですが、項目4-1のその他の業務運営に関する重要事項ということで掲げております。中期目標の内容としては、ガバナンスの徹底等を掲げており、自己評価はBです。次のページに評定の根拠を示しております。
35ページを御覧ください。Ⅲの評定の根拠の内部統制の強化ですが、機構は将来の退職金給付の貴重な原資を国民から託されていることを念頭に置き、引き続き、毎月の理事会において各種施策・計画の進捗状況等をモニタリングしてPDCAサイクルを適切に機能させるとともに、監事による監査や、独法通則法改正に伴うガバナンス体制強化のために設置した各委員会の有識者委員による助言などの外部モニタリングなどに基づき、有効な内部統制を図っているところです。
次に37ページ、評価項目5-1です。予算、収支計画及び資金計画・短期借入金の限度額・重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、その計画・剰余金の使途・積立金の処分に関する事項です。目標がないため、計画より記述で、第6から第9まで掲げております。計画どおり着実に進めているところで、自己評価をBとさせていただいております。
以上ですが、38ページの後に、縦置きの追加参考資料を付けさせていただいております。最後に、PDFで「中小企業退職金共済事業ホームページのアクセス解析について」を御覧いただきたいと思います。中期目標からは外れておりますけれども、これまで御指摘のあった事項で、アクセス解析結果です。このような形で、今後の業務にいかしていきたいと思っております。以上です。ありがとうございました。
○今村主査
ありがとうございました。それでは、令和5年度の実績評価について御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。
○安井構成員
日本総研の安井でございます。御説明いただきましてありがとうございました。大きく2点の質問がございます。1点目は、資産運用に関してなのですが、4ページ目の所で、令和5年度は、適切なプロセス、適切な取組をなされたので目標を達成されたと理解しております。他方、今年度についてはつい先日、株価が大きく下落して円高にも振れたりして大変な状況だったのかなと存じます。今年度も、資産運用の基本方針、リスクシナリオ等による検証に取り組まれたと思うのですが、今回の株価の急落、円高というのは想定されていたのでしょうか。また、それを踏まえつつ、今回どのように対応されたのか、まず1点目として、お伺いできればと思います。
○勤労者退職金共済機構理事(松田)
資産運用担当理事の松田でございます。御質問の中で、株価の急落、あるいは為替のボラティリティの高まりということですが、まず説明の中で、基本ポートフォリオの見直し作業に取り組んできたというようなことも中で説明しております。その中で、従来立てていた金融経済の前提条件が変わってきたということを踏まえまして、昨年度1年間、資産運用委員会で何度も議論しました。実際のポートフォリオ変更の着手は、今年度の第2回、6月の資産運用委員会でもって決を出した後で、7月1日に内容を公表するという手続を取ってきたわけですが、その中で前提としていた条件が変更されたという認識変更を行っています。インフレの動向及び金融政策の動向が変わることを起点にして変更いたしました。その中に当然、水準の変化というのも各マーケットごとにあるのですが、ボラティリティについても、これはリスク量という形の中で盛り込んでおります。という中で、このタイミングで、この程度の値幅で為替、あるいは株価が動くというような予想は立てておりませんが、リスク量という算定の中で、我々のほうで見込んでいるというものです。
次に、このような急変が起こった際にどのような対応をしたかという点でございます。これは私どもの運用機関としての受託者責任というか、注意義務として、どのような中のリスク管理体制を敷いているかということになるかと思います。その点では一昨日、資産運用部の中で、私どものレポートラインとして、資産運用の、いわゆる収益を獲得するほうの陣営と、リスク管理を中心に見る陣営と、言ってみればオフェンス、ディフェンスの2つのレポーティングがあります。その中で、運用リスク管理役という者から、足元の相場の急変を受けた資産の損益状況という形で、ラフな計算で、どの程度のインパクトが各勘定ごとにあるかという速報が上がってきまして、それを組織のトップである理事長ほかに展開するような形で適時、適切なリスク管理が行われていると考えております。
○安井構成員
ありがとうございました。そのリスク量で把握ということですけれども、資産運用の基本方針には、リスクシナリオ等による検証を行うと書いてあるのですけれども、そういったリスクシナリオとして、今回の株価急落とか円高は、特に把握されていなかったということでしょうか。また、今回起きた結果、どの程度の影響があるのかということを試算されたということですが、機動的にポートフォリオのリバランスはされてはいないということでしょうか。
○勤労者退職金共済機構理事(松田)
1つ目の質問については、そのとおりでございます。このタイミングで、この程度の相場変動が来るというような形での、リスクシナリオ運営に基づくリスク管理はやってはおりません。
それから、2つ目ですが、中長期的なリターンを標榜して運営しておりますので、私どもは、短期的な相場のボラティリティーに対応した動きはかけておりません。以上です。
○安井構成員
分かりました。ありがとうございました。
2点目は、最後に追加していただいた資料で、中退共のホームページのアクセス解析ということを出していただいておりますが、我々4年前ぐらいから、ホームページのアクセス数などを指標として出している以上、アクセス解析をしたらどうですかとずっと言ってきたところ、ようやくこのタイミングでアクセス解析をしていただきました。これによって、この資料を見る限りですが、どういった方が訪問されているのか、またホームページの改編によって、どれだけアクセスが増えたかということが非常によく分析できたと思います。今後は、こういった情報を利用されて、どのようにホームページのアクセス解析をされていくのか。そして、中退共のホームページのアクセス数ということですが、他方で、中退共以外のWebサイトを見ていますと、まだ古いままですので、これについても今後、変えていかれる予定があるのかということを教えていただければと思います。
○勤労者退職金共済機構理事(松本)
御指摘ありがとうございます。まず、2点のお尋ねがあったと存じます。1点目の今回の分析と当面の対応はこうであるとして、今後どういう方針かという点についてでございます。まず、私どもはホームページを通じての周知というところも重要ですし、また理事長も別途、この後お話申し上げるように、SNSを通じて、直接ダイレクトに届けて、その反応を得るという方向にも力を入れていきたいと思っています。
また一方で、諸々のデータに基づいて、どの業種や、どの企業規模、どの地域が未だ普及率が高くないかといった情報をもとに営業活動を強化していこうとしておりまして、どれかに偏るわけでもなく、いずれの方向にも、できる限り効率的・効果的にアクセスしていきたいというのが大方針でございます。その1つの方策として、このWebの改編と、必要な分析は継続的に考えてまいりたいと思っております、というのが1点目です。
それから、2点目の中退共以外のWebについての御指摘でございます。今お答え申し上げたことに、これも若干通ずるのですが、中退共の場合は、規模は中小ですけれども業種地域を問わず、お客様に広くいろいろなルートでお知らせするということであるのですが、それ以外の共済に関しては、特に清酒と林業、建設もそうですが、業界業種が特定されております。まず、清酒と林業に関して言えば、清酒は許可事業ですし、林業も民営と公営とがあります。林業に関して言えば、公営、つまり林野庁の発注という部分が相当の割合を占めているということもあって、どの事業者を押さえればいいかというのは概ね分かっているわけです。現状においても、清酒も林業もそういった発注側の林野庁とか、また国税庁であるとか、酒造組合中央会といった業界団体との連携により、どこに、どんな業者がおられて、どれだけ共済に入ってくださっているかというのを概ね把握しておりまして、未加入の方にはピンポイントにアクセスするといった試みを、令和5年度以降に強めているところです。どちらかというと、こちらはWebでのアクセスというよりも、そういった個別の勧奨が大事だと思っていることから、こういったWebの改修が後回しになっております。
元に戻りますと、だからといって、機構の窓口としてのWebがこういう状態であるということはいいとは思っておりませんので、後回しになったということを言い訳にしつつ、こちらも中退共に合わせて、どのような改修をするのかというのは検討している最中でございます。
○安井構成員
どうもありがとうございます。費用対効果の面から、まず中退共から始められたということもあるのかなと思います。もう少し早くアクセス解析をしていただいていれば、もっと前の段階から、数年前から加入者を増やすことができたかなと思うのですが、そこら辺は、申し上げたように費用対効果というか、また予算の面からも、去年のタイミングでないと取り掛かることができなかったということなのでしょうか。
○勤労者退職金共済機構理事(松本)
コロナの下で、どういう営業方針でいくかという点も含めて、いろいろ優先順位を付けた結果、数年前には着手しなかったという点は事実でございます。また、最近のアクセス解析をこの時期にやったということに関して言えば、言わば改修前と改修後の効果を把握するのにちょうどいいタイミングであったということもあって、結果としても、それがよく分かるような分析になっているということもあって、今後の対応としては、常にこういった御指摘の視点は忘れずに取り組んでまいりたいと思います。
○安井構成員
どうもありがとうございます。ホームページのアクセス数について、指標から外れてしまいましたが、今後、利用可能であれば、また入れていただくとか、御検討いただければと思います。以上になります。
○今村主査
ありがとうございます。いかがでしょうか。どうぞ、お願いします。
○宮崎構成員
御説明ありがとうございます。12ページの未請求の推移なのですが、以前も伺ったことがあるかもしれません。基本的なところで恐縮ですが、この図表で見ますと、毎年未請求の一定の割合を周知御案内していただいて請求いただいた方で、期末には一定の人数が請求されているかと思うのですが、期初になると、また元に戻って増えてくるのは、3年経過した人の未請求割合を一定割合減らすということですから、自動的に1年たつと、また増えることが原因なのかどうかということをお教えいただければと思います。
あと、請求していただいて減っているという認識ですが、そもそもの立て付けをよく理解できていなくて恐縮ですが、これは未請求のまま長期間、そこだまりのような状況になると、何か請求時効みたいなものになって権利を失ってしまうものなのかどうかというのを教えていただければと思いました。
逆に、中小企業の方がどんどん転職されていくと、本人の希望で、次の勤務先の掛け金や勤務を通算して、退職したからといって、すぐに貰いたいわけではないという方もいると理解しているのですが、そういう方は、今度は未請求の金額の中から抜いていらっしゃるのかどうかという、3点について教えていただければと思います。
○勤労者退職金共済機構理事(松本)
松本です。今の3点についてお答え申し上げます。まず、1点目ですが、年度が改まるごとに、また期初の人数が元に戻っているという件に関しては、これは押さえているお客様の群れが、新年度で次の群れに移るので、違う群れの方の初期値がきているということです。言い換えれば、例えば令和2年度の退職者で、期初は6,653人だったのが、期末には5,038人になったという、この方々の群れは、その後、更に減り続けているというのが1点目です。
2点目ですが、法令上は5年間の時効が設定されておりますが、これは未請求の方が請求されてくれば、お支払いしております。それまで請求をされなかった理由はお尋ねしますが、それは今後の対策のためということもあり、理由はお尋ねしますが、基本的にはお支払いしております。お尋ねは、時効規定として5年間の時効規定があります。ありますが、援用せずにお支払いしているという答えです。
3点目ですが、正に、中小企業退職金共済のメリットといいますか、本来の思想として、企業が変わっても通算しての退職金形成ができるというところが、いわば、売りでありますので、企業が変わっても、契約されている企業である以上は、転職されてきた方についても掛け金を掛けていただければ、それが継続して通算されて最後にお支払いするという構造です。ただ、通算する間隔については、一定の制約があり、3年間です。3年間を超えると、一旦、精算をお願いしますが、3年以内であれば、本人が希望すればですが、通算することができます。そういうこともあり、この未請求事案も、3年経過後の値を設定されています。お尋ねにもありましたが、通算された方も未請求事案の分子から減ります。お支払いした方、通算の手続を取った方、いずれも分子が減ります。その結果として件数で0.5%、金額で2.0%以下とするというのが目標値です。
○宮崎構成員
御説明ありがとうございます。非常によく分かりました。何で、3年超えたところから、この請求を強化しているのかということも意味がよく分かりました。ありがとうございます。
○今村主査
ありがとうございます。御質問は、いかがでしょうか。オンラインの先生も、もしあればよろしくお願いいたします。土橋先生、お願いします。
○土橋構成員
御説明ありがとうございます。いわゆる一人親方の方にも入ってもらおうということで、説明会でお話をして加入数が増えたことが書いてありました。私も、この制度自体がよく分かっていないのですが、いわゆる個人事業者でも特定業種の場合は入れるのでしょうか。個人事業者は、いろいろ問題にはなっておりますので、こういった仕組みが使えることは、いろいろサポートにはなるかと思うので、かつ、入れることを知らないために入らない方も多いのではないかと思いますので、関係のところには広報を進めることは是非、続けていただければと思います。最初は特定業種だけなのかということと、もう1つは、関連の所には今後、もう少し広報を進めていく予定がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
○勤労者退職金共済機構理事(松本)
まず、中小企業退職金(中退共)については、雇用労働者というところで線を引いております。一方で、お見込みのとおり、特退共については、いわば業界、業種の退職金であることということと、もともと期間雇用者、短期間の期間雇用者も、その積立てができるように手帳方式を取っていることとの、いわば制度の建て付けも、また趣旨も若干違っているところもあり、お見込みのとおり、一人事業主も御加入いただけるようになっております。
実績はどうかという話はさておき、退職金の対象になり得る制度になっていることもあり、業界が限られてもいるので、そういう意味で、周知の宛先も散漫にはなりませんから、そういった一人事業主でも加入可能だという点は、正に周知広報を継続的にしてまいりたいと思います。御指摘のとおりだと思います。
○土橋構成員
ありがとうございます。もう少し広い業種であったほうがいいかとは思いますが、それは、この話とは違うと思いますので、是非、周知をよろしくお願いいたします。
○今村主査
ありがとうございます。いかがでしょうか。土橋先生。すみません、失礼いたしました。土井先生、お手を挙げておられますね。
○土井構成員
ありがとうございます。聞こえますでしょうか。細かい質問で恐縮ですが、9ページの所で、未請求者の方が減っているのですが、未請求の金額はなかなか減らないとなっているのは、もう少し退職金をもらえる方がまだ請求してくださらないということですが、これは今後、広報の仕方を変えるとか、何か対応を考えていらっしゃるのかというのを教えていただきたいのが1点目です。
2点目は、すみません。14ページの所なのですが、これも細かいことで恐縮ですが、サービスの向上というところで、電子申請を一所懸命増やしていただいているということで重要だと思うのですが、これもなかなか目標に達しない退職金ポイントを30%以上とするということで、なかなか目標に達するのが難しいようですが、これは何を要因と考えておられて、それに基づいて、今後どのように改善しようとしているのかを教えていただければと思います。以上2点です。よろしくお願いいたします。
○勤労者退職金共済機構理事(松本)
まず、1つ目のお尋ねについて私から、2つ目のお尋ねについては、大澤から御回答申し上げます。まず、1点目の12ページの関連です。この額の率を達成できなかった事情として、10ページを御覧いただきたいと思います。昨年度1年間の施策の対象となるお客さんの方々の塊において、高額未請求の方の割合が例年よりも高かったわけです。正にお見込みのとおり、件数や件数の率を減らせても、高額未請求の方が残れば残るほど総額において達成するのが難しい指標になります。つまり、ひとえに高額の権利を持っていらっしゃる方が請求してくださるかどうかが、このKPIの達成に非常に重要になるわけで、もう少し申し上げれば、そういった方々の意思次第というところもあります。
とは言え、私どもとしては、更にお尋ねがあったところですが、工夫として、昨年度後半から、また今年度も引き続きですが、特に高額の権利を有していらっしゃる方に対する通知の頻度を上げました。手元に届く手続勧奨の回数が増えることによって請求してくださる方が増えることを狙っており、一応、今年度の高額請求の割合は、通知の効果があったのかどうかは分かりませんが、事実として、高額者の割合が例年並みの11%でスタートすることができております。昨年度は13%からスタートしたところが、今年度は11%からのスタートになっています。つまり、一定の効果があったかもしれないと思っており、特にこういった高額の未請求の方への働き掛けを、これも効果・効率を見定めつつですが、工夫してまいりたいと考えております。1点目は以上です。
○勤労者退職金共済機構理事長代理
建設業担当の大澤です。それでは、2点目です。電子申請の関係の御質問がございました。電子申請については、3年前からしっかりと取り組んできているところですが、目標値に達成するための成果がまだ見えていないというところで、いろいろな工夫をしようと考えているところです。
まず、その要因ですが、一番大きいのはデジタル化で、あらゆることがそうだとは思いますが、紙の証紙でやっていることに慣れてしまっていると。私も関係者にいろいろとヒアリングをしているのですが、今、既存の流れの中で、特に困ったことがないということもあり、電子でやったほうがいいのは分かっているけれども、いろいろ関係者等に話をしていく中で、これまでの方法を取ってしまっているというところが大多数のお答えなのかなと思っております。
では具体的に、どのようなアプローチでやっているかを御説明します。16ページを御覧ください。16ページにあるように、現在は、電子を使っている方は大体5%弱ということですが、更に、どのようなアプローチで働き掛けるかということです。まず、1点目は、今年度からやっているのですが、金融機関プッシュ型と我々は呼んでいますが、これは地銀のほうに我々が働き掛けをしており、実際に証紙を買うときは各銀行に皆さんが行く、場合によっては予約を入れながら買いに行くわけです。大体、毎月買いに行き、窓口で並んだり、すぐに買えない場合もあると聞いていますけれども、銀行のほうも窓口業務をできるだけ少なくしたいということがあります。
そういったことで、ある意味、我々とWin-Winの関係であると思い、地銀にお話したところ、「当然、それは電子化しましょう」と。今では地域の中でもいろいろな企業にお声掛けをして、実は銀行業務そのもののDXを進めているということでお話が進んでおり、幾つかの地銀と、モデル的に窓口業務の中で電子を進めることをやってみようとか、あるいは、各支店に指示をしていただき、行員さんが回っている中でお勧めをするというようなことも、この4月から始まっております。そういった形で幾つか、もう既に電子化していただいた企業も出てきておりまして、こういった動きを続けたいと思います。
2点目は、これが一番効果的だと思っているのですが、発注者から推奨してもらうというやり方です。これは、発注業務の中で、現在は証紙と電子の両方できる形になっております。ただ、これまでどうしても証紙でやってきているので、やはり発注者も、そのような流れになっている所もあります。最近では、群馬県が「モデル工事をやりましょう」と言ってくださり、群馬県では2つの工事を出して、この工事とこの工事についてはできるだけ電子でやりましょうという声掛けをしていただくことも始まっております。こういった発注者のほうの御理解を得てやっていくというアプローチも始めております。
3点目は、地域企業のリーダーシップ型と名付けていますが、具体的には、先ほどの群馬県と、宮城県、沖縄県、この3県の支部の方に声を上げていただいており、電子を進めるようなモデル的な取組をやりましょうということで、地域のリーダーシップをとってくださる方がいらっしゃって進めております。
4点目は、大手企業です。大手企業は割と余力のある企業があります。やはり電子化の金額も実際に大手企業が取り組むと非常に大きいこともあり、大手企業の中には完全電子化をうたって実際にやられております。その中で、いろいろ使い勝手が悪いところ等を我々も聞いております。実は、現在のシステムの再構築では、こういったところの使い勝手が悪いとか、電子にしているが、このようなところがもう少し良くならないだろうか。ホームページの御質問もありましたが、やはり、建退共は電子を進めておりますので、ホームページそのものの改良も含めて使い勝手を良くしていくという方向で、現在は構築中です。来年の秋には、そういった新しいものでスタートしたいということで取り組んでおります。私からの説明は以上です。
○土井構成員
御説明ありがとうございます。理解できました。
○今村主佐
ありがとうございます。そのほかに御質問はありませんか。酒井構成員、お願いします。
○酒井構成員
私から些末な点ですが、資料26ページ以下の財産形成促進事業に関して細かい質問をさせていただきたいと思います。可能な範囲でお答えいただければと思います。27ページの指標の作成状況の中で、1の融資業務の実施として、審査期間は平均5業務日以下ということが目標として掲げられております。私は、この読み方が分かっていないのですが、ほかのところでも、こういった日数に関する目標値がありましたが、平均日数が5業務日を切っていれば、達成度100%とされているのですか。
○勤労者退職金共済機構理事(松本)
はい、平均で5.0日以下とすることが目標というのが、指標の意味です。
○酒井構成員
5を切っていれば、とにかく100%になるということですか。
○勤労者退職金共済機構理事(松本)
ここについては、そうです。
○酒井構成員
はい、分かりました。そうすると、4.22日というのは。これまでと比べて短くなっているのでしょうか。もし、分かる資料等がありましたら教えていただきたいということです。
あと、私は財形持家転貸融資の仕組みが、まだ十分に分かっておらず、借入申込書を受理した日からというのが、若干ピンときていない部分があるのですが。単純にいうと、これは住宅ローンを申請して融資が確定するまでの日数と考えていいのですか。
○勤労者退職金共済機構理事(松本)
融資決定と融資実行とは、また間隔はありますが。
○酒井構成員
とにかく、審査が下りたということですよね。
○勤労者退職金共済機構理事(松本)
おっしゃるとおりです。
○酒井構成員
分かりました。それは、独立行政法人等の立場から考えると、民間と比べてどうなのかというところが重要なのかと思うのですが、それに関しても、民間では大体どれぐらいか、もし御存じでしたら教えてください。大体、民間と同じぐらいを達成しているのが望ましいのではないかと思うのですが。
もう1つ、これも私が分からないということだけからの質問ですが、2番の利用促進対策の効果的実施の所です。新規借入申込件数が令和5年度目標の380件以上に対して、実績値が456件と。機構は、達成度が100%に近いのが多くて、その見積りの精度がすごく高いと思われる中で、これは120%でかなり高いと読めたのですが、その要因は、下に書かれている理由ということになるのだと思いますが、その意味が少し分からなくて。「継続実施した子育て勤労者支援貸付金利引下げ特例措置等が、引き続き勤労者の利用促進に大きく寄与したことにより、目標件数を達成した」という意味が少し分かっていないので、もし、補足して御説明いただけたら有り難いのですが、よろしくお願いいたします。
○勤労者退職金共済機構理事(松本)
まず、実績値についてのお尋ねですが、令和3年度は4.08でした。令和4年度は3.91でしたので、それとの比較でいうと、5に近づいているという実態ではあります。というのが、まず客観的数値についてのお答えです。あと、民間での通常の申込から決定までの数値というのは、公表資料では見覚えがありませんので、公表されているかどうかも含めて、申し訳ありませんが承知しておりません。
それから、要因分析の点についてです。ここは私どもも、この(「寄与」という)書き方しかできないという意味で、この書き方にしております。つまり、このような特例措置があるから、たくさん申込が得られましたとは言えないと思います。因果関係が全く証明できないので、事実として、313件の子育てでの申込がありましたということを、いわば、これが理由とは言えないのですが、参考情報的にお伝えしているだけという苦しい表現です。
繰り返して申し上げれば、これがあるから申し込まれたとは思っていないし、因果関係は説明できないと思っています。さらに、もう少し進むと、正に、ここは急所を御指摘いただいたと思うのですが、今年度は、この申込件数なり融資決定件数は大きく下がると、今のところ予測しております。
もともと、民間の金融機関の住宅ローン、それから住宅金融支援機構のフラット35といったところと、要は変動金利の金利の低さ、又は超長期で固定という安定性、それぞれ特徴があるところ、こちらの財形持家転貸融資については、どちらも持ち合わせていないのです。5年間固定で5年ごとに見直しという商品です。ということもあり、商品の競争力の問題からいって、この件数に達するのは難しいのではないかと思いつつ、業務をしております。
○酒井構成員
分かりました。ありがとうございます。
○今村主佐
ありがとうございます。折角、一生懸命書いていらっしゃるので、質問しないと失礼かと思い、社会的スチュワードシップとか、その辺のところですが、主に、3ページの赤でいろいろと書いていらっしゃる所と、それに関して7ページのスチュワードシップ責任に係る取組で委託運用機関との関係等を書いていることと、34ページの人事運用、人材育成とのバランスで質問させていただきたいのですが、大変、素晴らしい世界的な流れにつながり、組織運用機関としての責任を展開し、全うしようとする御努力は素晴しいものだと思っております。
私もちょうど、この学期でCSRとSIの授業を終えたところなのですが、最近、Strategic CSRと言われるように、自らの社会的責任を果たしていることが、例えば、先ほど議論されたWebページ等でも公表したり、それから従業員の満足、あるいは顧客の満足、日本の昔の言葉でいえば「三方良し」みたいな関係がうまく連携して、はじめて中小企業をはじめとする退職金共済の意味が非常に大きく貢献すると思います。
そこで質問なのですが、このスチュワードシップに関するところで、専門家を入れて採用してという形で、外部からの人材を育成して、導入してと書いてあるので、その辺と、以前から、例えばコンピュータシステムは、機構は目効き人材、内部人材を養成して、内部の人材をコンピュータシステムに対応してトレーニングし、いろいろな危機的状況に対応したという、そのような過去の評価もあります。
こういった社会的責任に関する様々なスキルに関して、34ページに、人材の採用と、一言書いてありますが、この辺のトレーニングシステムというのが、単年度の評価でこのようなことを聞くのは余計な質問かもしれませんが、将来的に、このような目標が達成されるために、7ページの下にありますが、「中長期的なリターン向上」、「中長期的な企業価値の向上」ということで、Virtuous cycle(好循環)を中長期的に想定されていると思います。質問の意図は、背後にある組織や人材の対応が、この報告書の中には余り見えてこないのですが、その辺は、現在、どのように対応しておられるのか。それが1つ目です。
それから2つ目は、そういったステークホルダーに対する様々な説明の中で、これは以前から議論されていることですが、中小企業退職金共済のように、どのようなターゲットを考えるかというときの、以前からはスタートアップとか、新しく出てきている中小企業(SME)とか、もう1つは、中小企業はどんどん世代交代が起こっていますので、そういった投資問題等を受け継ぐケースがあります。そのような中小企業の経営者(オーナー)、そういったものに対する情勢変化というのですか、それに対してどう対応しているのかという、そういうところの調査等はしていらっしゃるのか。対応を考えていらっしゃるのか。それが2つ目です。
それから、Webページに何を載せるかという議論がありましたが、そういう所とうまくリンクさせると、マーケティング、ブランディングとして新たな加入先の活用になると思います。ただ、流れとしては、先ほどの株価の変動があるように、個人のリスク管理に流れとしては変換しつつあると思うのですが、そういう中でも、こういった中小企業をはじめとする退職金共済の安定的な運用と役割は依然としてすごく重要だと思いますので、その辺をどのように、社会的責任、スチュワードシップとか、そういったもののポジティブなイメージを使いながら新しいスタートアップ等で、経営者が世代交代したり中小企業の研修等にアピールしていくという、その流れを教えていただければと思います。1年単位の評価でこのようなことを聞くのは、大変、無理な注文かもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。以上、2つお願いします。
○勤労者退職金共済機構理事(松田)
御質問ありがとうございます。何より、私どもの取組に関する単年度の評価ということを掘り下げて、その背後のいろいろな考えが1つ1つの活動にそれぞれ連関しているのかということについての御質問かと拝聴いたしました。そのような観点から、少し広めに御説明させていただけたらと思います。
まず、昨年度の評価の中の2つの柱、1つは運用に関するプロセス評価、もう1つがこのスチュワードシップに関する取組ということで、そのオーバービューが7ページに記載されているわけです。この中で、昨年度やったことに加えて、今後の方針が右下にあります。ここの3行目に、責任投資活動報告書の作成ということで、我々のスチュワードシップ活動に関する総合的な情報発信力を強化しようということを、うたっておりました。
実際に、責任投資活動報告書と題するペーパーを6月25日にホームページ上で発表しております。昨年までは、これはスチュワードシップ活動状況の概要という形で、A4のword形式で年次報告していたものをバージョンアップというか、スコープを拡大しながらまとめた報告書なのですが、なぜ、そのようなことを申し上げるかというと、その中に、もう少し幅を広げて社会的責任に関するアプローチをかなりダイメンションを広げた形で、対外的に、もう一度、我々は頭の中で整理し直して、公表に至ったという、これまでの中期的な経緯があります。
まずは、投資ポートフォリオの中でそのようなものがどのように反映されているかとか、その資産運用の中でスチュワードシップ活動の中で何が行われているかというような話は説明してあります。更には機構自体の人材も含めた、あるいは教育カルチャーも含めたところで努力をしているかということにも、今の御質問の観点で触れております。専門性のある人間を外から雇い、昨年の場合は、特にPRIへの加盟、サイニング、これは単にサインをすることだけではなく、それに見合った内部の体制を、その人のリーダーシップを中心に立てていくところでやった部分はあります。
一方で、組織運営上でどのような取組をしたかというのも、実は、その報告書の中で1ページを割いて敷衍しているページがあります。いわゆるSDGsの17項目の中で、機構の様々な取組、これは中小企業の退職金共済制度がSDGsの17項目の中で、どれに該当するのだというマッピングをした上で、それが従業員の皆さんに対して、どのような形でつながって来ているのかということを、昨年度、外部から来た専門職の人間が2・3回に分けて、全従業員向けの講習会を開催いたしました。機構内の組織のカルチャー醸成のために活動することを実施いたしました。
また、今お話した責任投資活動報告書の当該ページに書いてあるのですが、組織としての環境への配慮ということで、省エネに向けたどのような取組を機構内でしているかについても、事例を列挙して説明しながら、対外的に情報発信をするというような新しい取組をStep by stepで、進化という言葉を使うのは若干おこがましい部分はありますが、私どもとしても自助努力をしているところです。
また、本当に運用に携わる専門的なスキルを持った人間を外からの人材に頼るというのは、どうしてもやむを得ない部分はあったわけですが、機構内で新卒で雇用された人たちの20年、30年のキャリア形成の中で、そのような専門性を付けさせるための人材スキルサポートということも、最近は機構内で検討し始めております。
2点目のステークホルダーに対して、なかんずく中小企業向け(SME向け)に、ということに関して申し上げると、なかなか体系的な所ではできていない。特に、資産運用の観点からは、私どもの資産運用の一丁目一番地のマンデートというのを重要視して考えながら、必要なリターンを最小限のリスクで獲得していくということで運営しておりますので、いわゆる、それ以外のことを併せて検討するというのは、マンデートとは、時にコンフリクトが起き得る概念である、あるいは、あったというのが事実だと思います。
そういった中で、御質問に関連する動きとして2つほど、お答えできると思います。1つは、スチュワードシップ活動の中の2本の柱として、1つは、各運用機関から報告を受けるという部分があるのですが、もう1つは、これはトップ面談と言っているのですが、資産運用事業会社を傘下に有する金融グループのトップ、リソース差配ができる方、ファイナンシャルグループの社長と、私どもの理事長が年に1回、トップ面談というものを実施しております。その中で一つ、よく話題になるのが、各ファイナンシャルグループのトップが、自社の事業、あるいは顧客社会との付き合いの中で、社会に対してどのような意識で活動しているのか、これを有識者の観点から、例えば森林事業に対して、CO2の吸収の観点から、どのような取組をしているか等のトピックもあります。毎回の面談で、梅森理事長から確認していただいたのが、正に、その中小企業で働く従業者の処遇改善、あるいは世代継承といった社会の問題に対して、金融トップとしてどのような考えを持っているかという意見交換がしばしば行われました。というような形で、機構としての関与の在り方というのが、一つ御紹介できるかなと思っております。
2点目は、これからということになるかと思いますが、先ほど申し上げたマンデートの観点から、余りオルタナティブ投資というのは、他の公的運用機関に対して私どもは、これまで余り取り組んできませんでした。そのような事情があってということで、それはそれで整合的だったとは思っているのですが。しかしながら、今般の政府による新しい資本主義のグランドデザイン及び、その実行計画、この中で主要な公的アセットオーナーにおける取組として運用対象資産の多様化の推進ということが改めて求められるような状況になっております。
そういったことを踏まえて、かつ、今後の金融情勢の変化に対応していくという観点からも、他のアセットオーナーにおける新たな投資の取組状況等を踏まえながら、我々にとって何が資産運用の目的及び目標に合致するかというようなことも併せて考え、何ができるかということを情報収集しながら検討していきたいと思っております。
その中で、今は余り特定化するようなコメントはできる状況にはないのですが、先ほどおっしゃられたような中小企業の事業承継にかかるような、例えば、事業承継ファンドですとか、そういったものは、この流れからすると、自ずとスタディする視野には入ってくるかなとは思っております。ただ、これはまだ先の話になります。以上の2点から、ややピックアップする形でお答えになっておればと思う次第です。
○今村主佐
非常に包括的でクリアな、将来を見通した、しっかりとした説明をありがとうございます。どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。もし、よろしければ、これで一旦、終了したいと思います。多種多様な貴重な御意見をありがとうございました。
それでは、続いて法人の監事及び理事長から、年度中期目標期間における目標の達成状況等を踏まえて、今後の法人の業務運営等についてコメンントを頂ければと思います。最初に法人の監事から、続いて法人の理事長よりお願いいたします。
○勤労者退職金共済機構監事(清水)
着座にて失礼いたします。監事の清水と申します。隣にいる熊谷監事と共に監査業務を行っております。当機構の令和5事業年度監査報告は、6月21日付けで理事長宛に報告いたしました。お手元の資料2-4「令和5事業年度監査報告」のとおりです。監査実施計画に基づき行いました業務監査については、役員及び職員から職務の執行状況について聴取するとともに、関係書類の閲覧、理事会、その他重要な会議への出席などを通じて、機構の意思決定過程や業務活動状況を監査いたしました。会計監査については、会計に関する帳簿や計算書類を閲覧するとともに会計部門から聴取を行い、当機構の会計監査人より監査結果の報告を受けました。
これらの監査結果として、当機構の業務は、法令等に従い適正に実施され、第5期中期計画に基づき策定した令和5事業年度計画の着実な達成に向けて効率的かつ効果的に実施されていると評価しております。また、内部統制に関すること、役員の不正行為、法令違反、事業報告書及び財務諸表等の内容について、いずれも適正に行われており、指摘すべき重大な事項は認められませんでした。
監査報告としては以上ですが、若干、意見を述べさせていただきます。機構では、大量の個人情報を保有し、業務を安全、確実、かつ効率的に実施していく上で情報セキュリティー対策は重要な課題です。機構のリスクマップの更新を行うとともに個人情報を取り扱う業務については、新たにCSA手法によるリスク管理表の作成に着手され、また、令和5年度に改定された政府機関等のサイバーセキュリティー対策のための統一基準に準拠し、機構におけるサイバーセキュリティーのための対策基準を迅速に改定されたことを確認しております。中期計画の重点化対象項目はもちろんのこと、その他の項目や課題についても、当機構が真摯に取り組んでいると評価しております。引き続き、法令を遵守し、効率的・効果的な事業運営に努めていただくとともに、PDCAを着実に実施して、更に効果的な取組が展開されていることを期待しております。私からは以上です。
○今村主査
ありがとうございます。では、引き続き法人の理事長からお願いいたします。
○勤労者退職金共済機構理事長
理事長を拝命しておる梅森でございます。本日は熱心に御審議いただきましてありがとうございました。頂いた御指摘、御意見は今後の業務運営に活かしてまいります。
さて、令和5事業年度を振り返ると、当機構の役職員がそれぞれの持ち場でしっかりと職責を果たしてきたことに加えて、金融環境も好転したこともあって、おかげ様で厚生労働省さんから提示された目標のほとんどを達成することができました。
以下、今後の業務運営の方針について申し上げます。まず、令和5事業年度に、未達に終わりました2つの目標、すなわち、中退共における金額ベースの未請求割合の引下げ、それから、建退共における電子申請割合の引上げ、これにつきましては、令和6事業年度も、それぞれの理事から御説明申し上げたとおり、努力と工夫を積み重ねてまいります。
次に、令和6事業年度の重要課題について申し上げます。本事業年度は、資産運用と中退共システムの再構築、これが新たな局面に入ったと認識しております。
まず、資産運用については、先ほど御質問を頂きましたが、金融環境の変化に対応して、この令和6年7月に基本ポートフォリオの変更を行いました。内容は、委託運用部分の国内債権のウエイトを引き上げる、そういうものが主たる内容でございます。
現在のポートフォリオは、最小のリスクで必要な運用収益を確保するという当機構の運用マンデートに即したものとなっていると考えております。足元の金融市場は、内外株式市場が乱高下するなど、ボラティリティを高めておりますが、私どもは長期投資家でして、足元の変動に右顧左眄することはありません。しかしながら、引き続き金融経済情勢を注視し、資産運用委員会への御報告、御相談、これを密にして、必要な場合には機能的に対応してまいります。
次に、中退共システムの再構築について申し上げます。再構築作業は現在、予定どおりテスト工程に入っております。皆様、御案内のとおりですが、システム構築は人が行うものであり、人が行うものである以上、バグが入り込む余地を完全には排除できません。バグを本番稼働前に検知し、必要な手当てを行うために、テスト工程は非常に重要であると考えておりまして、しっかりとテストを積み重ねてまいります。
そのほか、引き続きの重要課題として、今、監事からも御発言がありましたが、個人情報の厳正な管理があります。昨年もこの場で、特に紙ベースの個人情報管理を改善したいと申し上げました。こうした問題意識から、今、監事からも御紹介がありましたが、いわゆるCSA手法を導入して、個人情報管理に関係した一つ一つの事務ステップについて、付随するリスクの洗い出しと、そのリスクが十分に統制されているかどうかについてチェックさせました。大変な大作業で、まだ改善すべき点も残っておりますが、新たな気付きもあったと考えております。今後とも、個人情報管理の一層の厳正化に努めてまいりますし、そのCSA手法は厳正化につながるものだと私は確信しております。
そのほか、情報発信、広報機能の強化も重要な課題と考えております。これまで機構の情報発信は、対面あるいは紙ベースが中心となってきましたが、電子媒体の活用を図る必要があると考えております。そのため、遅まきながらではありますが、昨年度、従来から持っていたYouTubeに加えて、InstagramとXのアカウントを新規に取得し、配信を始めております。電子媒体の活用は、まだ緒に就いたばかりですが、職員には、閲覧した人をどのようにホームページに誘導していくか、そのためにはどうすればいいかと、そういう問題意識を持ってSNSのコンテンツを増やすように指示しております。また、昨年度のリニューアルによりホームページの機能が向上したことは先ほども説明申し上げたとおりですが、SNSの活用とホームページへの誘導が相まって情報発信機能が高まることを期待しています。私からは以上です。引き続き、よろしく御指導のほどをお願い申し上げます。
○今村主査
どうもありがとうございました。ただいまの監事、理事長の御発言内容について、御意見、御質問があれば、どうぞお願いいたします。よろしいですか。
それでは、ありがとうございました。以上で本ワーキンググループの議事を終了いたします。最後に事務局からお願いいたします。
○事務局
今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただいた、勤労者退職金共済機構の令和5年度の業務実績評価につきましては、この後、本ワーキンググループにおける御意見や、法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえて、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに公表いたします。決定したそれぞれの内容については、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上となります。
○今村主査
それでは、当ワーキンググループはこれで終了いたします。暑い中、また、長時間にわたり熱心な御議論を頂きましてありがとうございます。円滑な議事の運営に御議論いただいたこと、心から感謝申し上げます。どうもありがとうございました。どうもお疲れさまでした。