- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会) >
- 2024年9月11日 中央社会保険医療協議会 総会 第594回議事録
2024年9月11日 中央社会保険医療協議会 総会 第594回議事録
日時
場所
出席者
- 構成員等
-
- 小塩隆士会長
- 飯塚敏晃委員
- 笠木映里委員
- 永瀬伸子委員
- 本田文子委員
- 安川文朗委員
- 鳥潟美夏子委員
- 松本真人委員
- 佐保昌一委員
- 髙町晃司委員
- 奥田好秀委員
- 鈴木順三委員
- 長島公之委員
- 茂松茂人委員
- 江澤和彦委員
- 池端幸彦委員
- 太田圭洋委員
- 林正純委員
- 森昌平委員
- 木澤晃代専門委員
- 上田克彦専門委員
- 田村文誉専門委員
- 事務局
-
- 鹿沼保険局長
- 林医療課長
- 木下医療技術評価推進室長
- 米田保険医療企画調査室長
- 清原薬剤管理官
- 和田歯科医療管理官 他
議題
- 費用対効果評価評価専門組織からの報告について
- 臨床検査の保険適用について
- 最近の医療費の動向について
- 最適使用推進ガイドラインについて(報告)
- 公知申請とされた適応外薬の保険適用について
- 先進医療会議からの報告について
- DPC対象病院の退出に係る報告について
- 保険医が投与することができる注射薬について
- 令和6年能登半島地震による被災に伴う被災地特例措置の今後の取り扱いについて(案)
議事
- 議事内容
○小塩会長
おはようございます。ただいまより、第594回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は末松委員、岡本委員が御欠席です。
それでは、早速、議事に入らせていただきます。
初めに「費用対効果評価専門組織からの報告について」を議題といたします。
本日は費用対効果評価専門組織の田倉委員長、福田参考人にお越しいただいておりますので、田倉委員長より御説明をお願いいたします。
○田倉委員長
費用対効果評価専門組織委員長の田倉です。よろしくお願いいたします。
中医協総-1-1の資料を御覧ください。
「医薬品・医療機器等の費用対効果評価案について」ですが、マンジャロ皮下注について費用対効果評価案を策定いたしましたので、御報告いたします。
なお、当面の間は、専門組織での検討状況についても資料に記載しております。
2ページ目を御覧ください。
対象品目は、マンジャロ皮下注です。
効能または効果は、2型糖尿病となっております。
上段に費用対効果評価専門組織で決定した費用対効果評価案を記載しております。
下段に補足として、分析対象集団のICERの区分も記載しております。
3ページ目からは、参考として、マンジャロ皮下注の費用対効果評価案策定に関わる主な検討事項を記載しております。
本品目についての御説明は以上となります。
○小塩会長
ありがとうございます。
引き続き、事務局より御説明をお願いいたします。
○木下医療技術評価推進室長
事務局、医療技術評価推進室長でございます。
事務局からパキロビッドの費用対効果評価に係る取扱いについてということで、総-1-2の資料を用いて御説明いたします。
まず、経緯についてでございますが、1つ目の○、パキロビッドにつきましては、昨年3月に本中医協総会におきまして、費用対効果評価の対象品目として、H1としていただいているところでございます。
2つ目の○でございますが、先月8月23日の費用対効果評価専門組織におきまして、製造販売業者から提出されました分析データ等及び公的分析結果について検討を行っていただいたところでございます。
まず、製造販売業者からは、評価対象技術及び比較対象技術の第3相試験の間接比較により、評価対象技術が比較対象技術に対して入院及び死亡の減少について、追加的有用性を有すると評価しております。
しかしながら、公的分析におきましては、製造販売業者の評価の根拠となる臨床試験は、デルタ株流行以前にワクチン未接種者を対象として行われたものであり、分析枠組みの分析対象集団と合致していないことから、追加的有用性に関する最終的な判断は、オミクロン株流行時期のワクチン接種環境下における、評価対象技術の有用性を検討したPANORAMIC試験の結果を参照した上で検討することが推奨されるとされております。
以上を踏まえまして、3つ目の○にございますように、専門組織における結論といたしましては、オミクロン株流行下での本薬剤の有用性について、PANORAMIC試験の結果を踏まえて検討するため、一定期間分析を中断することが妥当。
中断の期間については、PANORAMIC試験における他の患者集団において、患者の登録終了から結果が出るまでの期間が約1年間であったことから、1年程度が妥当となっております。
以上の経緯を受けまして、本総会における今後の方針といたしまして、以下のとおり整理しているところでございます。
本薬剤の追加的有用性を評価するに当たり、現時点のデータのみでは不十分であること、オミクロン株流行下での評価を行ったPANORAMIC試験が現在データ解析中であることから、同試験の結果が出るまでの間、分析中断とする。
分析中断の期間は最大で1年間とする。なお、データの集積に係る状況について、国立保健医療科学院及び公的分析班は、必要に応じて専門組織に報告する。
必要なデータが集まった時点で速やかに分析を行い、その結果を、中医協総会に報告すると整理させていただいております。
事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
長島委員、お願いいたします。
○長島委員
ありがとうございます。
資料総-1-2、パキロビッドに関してコメントいたします。
専門組織の御指摘のとおり、オミクロン株流行下での本薬剤の有効性について検討することは、意味のあることと理解いたします。
そして、公的分析において、PANORAMIC試験の結果を踏まえた分析をお願いいたします。臨床使用が開始された後のデータを用いて、再評価を行っていくことについて、どれぐらいの頻度で行っていくのかなど、今回の事例も踏まえて、検討を続けていくことがよいと考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
私からも資料の総-1のパキロビッドの取扱いについて、コメントをさせていただきます。
本件は、2ページ目にあります、ルールに基づく対応ということですので、分析を中断することはやむを得ないと思いますが、対象品目に指定されてから既に1年半経過しております。企業側及び公的分析側が、おのおの現在得られているデータで分析を試みたということと理解をしておりますが、もう少し早く調査、対応をしていただきたいということはお伝えしたいと思います。
また、ウイルスの変異や、医療現場で使用実態が変化していく中で、その対応ということで、やむを得ない面もあるかもしれませんが、1年間中断した後に改めて分析する場合、トータルで考えますと、3年程度かかるのではないかと推測いたしますので、これについても可能な限りスピード感を持った評価をお願いしたいと思います。
今後については、ある程度領域ごとにパターン化するなど、分析作業の効率化ということも必要ではないかと感じております。
また、比較対照薬のラゲブリオにつきましては、既に費用対効果評価が終了し、標準治療と比較して追加的な有用性が認められず、費用が増加するということで薬価が引き下げられたと承知しております。
そうした薬と比較すること自体がどうなのかという気持ちも若干ございます。公的分析班や専門組織の御判断があろうと思いますが、PANORAMIC試験の結果を踏まえまして、しっかりと評価のほうをお願いしたいと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
ほかには御質問等ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
田倉委員長、福田参考人、どうもありがとうございました。
○田倉委員長
失礼します。
○小塩会長
続きまして「臨床検査の保険適用について」を議題といたします。
本日は、保健医療材料等専門組織の小澤委員長にお越しいただいておりますので、小澤委員長より御説明をお願いいたします。
○小澤委員長
小澤でございます。
それでは、説明をいたします。
中医協総-2の資料を御覧ください。
今回の臨床検査の保険適用は、E3の1件です。
2ページ目を御覧ください。
販売名は、エクルーシス試薬 HCV Duo。
測定項目は、HCV抗体・HCVコア蛋白同時検出定性です。
測定方法はECLIA法(定性)です。
4ページ目の製品概要を御覧ください。
本品は、血清または血漿中のC型肝炎ウイルスコア蛋白質(HCVコア抗原)及びC型肝炎ウイルス抗体(抗HCV抗体)の検出(C型肝炎ウイルス感染の診断の補助)を行う体外診断用医薬品です。
2ページにお戻りください。
保険点数につきましては、D013肝炎ウイルス関連検査 5 HCV抗体定性・定量102点を参考点数としております。
私から御説明いたします内容は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。特に御質問等ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
小澤委員長、どうもありがとうございました。
○小澤委員長
ありがとうございました。
○小塩会長
続きまして「最近の医療費の動向について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○鈴木調査課長
調査課長でございます。
総-3でございます。「令和5年度の医療費の動向について」という資料につきまして、御説明をさせていただきます。
こちらの資料の性質といたしましては、今月3日に公表させていただきました令和5年度の医療費の動向について、幾つかの視点からその要因、背景等を御説明させていただくものという形になってございます。
1ページを御覧ください。
医療費の伸び全体で見ますと、下の表を見ていただきますと、令和5年度単年度でプラス2.9%。
一番右の括弧の中、コロナ後、要はコロナの直前、令和元年度の医療費と5年度の医療費を比べた場合の1年当たりの平均伸び率を見ますと2.1%、こちらは、元年度と5年度の医療費を比べていますので、4年分の1年当たりの医療費の伸びということになりますけれども、2.1%という形になってございます。
令和3年度、4年度と若干高い伸び率でしたけれども、令和5年度は2%台、コロナ前と平均しても2%台という形になっておるところになっております。
下のほう、診療種類別で見ましても、全てプラスとなっておりますけれども、令和5年度単年度の伸びでいきますと、調剤が5.4%と、ほかと比べてやや高い。
そして、コロナ前からの平均で見ますと、あまり差はないですけれども、強いて言えば、入院外の伸びがやや高めという形になってございます。
2ページでございます。
医療費を受診延べ日数と1日当たり医療費に分けたものとなっております。
下に棒グラフがございますけれども、こちらは、左側がコロナ前の3年間、右側がコロナ後の4年間というものの平均伸び率を比較したものになっております。コロナ前の伸びとコロナ後の伸びを比較したものと御理解いただければと思います。
医療費全体で見ますと、コロナ後の平均で受診延べ日数がマイナス0.4%、このオレンジ色のものですけれども、1日当たり医療費はプラス2.5%という形で、左の棒グラフと右の棒グラフを見ていただくと、コロナ前とかなり近い水準になっているというところ。
受診延べ日数は、コロナ直後に、令和2年度ですけれども大きく下がってから回復、一方で、1日当たり医療費はコロナ直後に増加しまして、以降は小さめの伸びという形になっておりましたけれども、令和5年度までのトータルで見れば、かなり似通った伸び率の姿になっているという形になってございます。
3ページでございます。
こちらから診療種類別に動きを見ていくものになっております。
まず、入院でございますけれども、コロナ後の平均で医療費はプラス1.4%、内訳としては、受診延べ日数がマイナス1.4%、1日当たり医療費がプラス2.8%という形になっております。
受診延べ日数は、令和4年度までマイナスの伸びでありましたけれども、令和5年度になってプラス2.3%ということでプラスに転じておりまして、ただ、それを合わせましても平均でマイナス1.4%ということで、まだ少しコロナ前よりも低い水準。
一方で、1日当たり医療費の伸びは、若干高いのですけれども、日数が減っているというものも合わせて、医療費の伸びとしては若干コロナ前よりも低いという姿になっております。
4ページでございます。
こちらの日数が減少という、入院の受診延べ日数について、さらに分解したものが4ページでございます。
ここでは、医療機関がどういう状態になっているかという観点から、1施設当たりの新規入院件数、あと、平均在院日数、要はこれを掛け算したものが日数ということになるわけですけれども、それと1日当たり医療費という形で分解したものになってございます。
下のグラフを見ていただきますと、こちらは、令和元年度を100、要はコロナ直前を100という場合の数字を見たものになっておりますが、赤いラインが1施設当たりの新規入院件数という形になっております。
こちらを見ていただくと、令和2年度に5%近く新規入院件数が落ち込んだ後に、ゆっくりと回復傾向にあって、令和5年度が少しぐっと回復して、ちょうどコロナ前の水準に戻った形、100.5とありますけれども、そういう形になっている。
一方で、青いラインが平均在院日数ですけれども、こちらは、令和元年度より手前を見ていただいても分かるとおり、コロナ前からずっと平均在院日数は短縮傾向にあるという形になっています。
ですので、新規入院件数は令和元年度と同じくらいの水準に戻ったのですけれども、平均在院日数が短くなっている関係で、総日数という意味でいけば、短くなっていると、そういう構造になってございます。
例えば、ほかの統計から見た病床利用率が点線でお示しさせていただいていますけれども、こちらで見てもコロナ後にぐっと下がった後に、令和5年度で回復はしているけれども、完全には戻っていないという構造がお分かりいただけるかと思います。
一方で、1日当たりの単価というのは、引き続き増加という形になっていて、全体的な構造としては、平均在院日数が短縮して、1日当たり医療費が増加するという構造になってございます。
ただ、単価のほう、緑色のラインですけれども、見ていただくと令和4年度から令和5年度の伸びが弱いというのは、コロナの特例がだんだんとなくなっているという部分がありまして、そういう意味でいきますと、5年度から6年度で、さらにそういった影響がありますので、この単価の伸びについても6年度になったとき、コロナの特例が、また、考え方が変わったときにどうなるかというのは、引き続き、きちんと見ていく必要があろうかと考えております。
5ページでございます。
入院外ですけれども、こちらを見ると、受診延べ日数の減というのは、マイナス0.4ということでコロナ前よりも若干小さい。そして、1日当たり医療費は、コロナ前よりも若干大きいプラス2.9ということで、両方の要因があってコロナ後の入院外医療費の伸びというのは、コロナ前にも少し高い水準という形になっています。
1日当たり医療費については、令和5年度はコロナ特例が縮小といった影響もあって、マイナス0.8ということで、久々に減少に転じたところもありまして、令和5年度単年度の伸びていうと、入院外の医療費の伸びというのは、あまり高くないという形になってございます。
6ページが、入院外の医療費の動きを年齢別で見たものでございます。
こちらは、左側が日数の伸び率、右側が1日当たり医療費の伸び率ということでして、左側と右側を合わせると、ちょうど医療費の伸び率になると御理解いただければと思います。
左側をまず見ていただくと、コロナ直後の令和2年度で、全ての年齢層で日数が大きく減りました。特に子供含む若い世代で大きく減りましたけれども、その後、若い世代を中心に日数はかなり増加へと転じてきていて、直近令和5年度で見ても、特に20歳未満のお子様の層の伸びが高くなっている。
この背景には、令和5年度で言えば、例えばインフルエンザ等のコロナ以外の感染症なども多かったということで、呼吸器系疾患等々が非常に多かったということで、こういったところが高くなっているということで、特にこういったお子様の年齢層では、令和2年度の減少を補って、さらに上がっているという状態になってございます。
右側の1日当たり医療費については、令和4年度までは、どの年齢層も増加をしていたのですけれども、ただ5年度は、3年度、4年度の伸びの原因の1つであるコロナの特例が、逆に5年度では縮小しているということもあって、逆に1日当たり医療費というのは、若い年齢層で特に減少しているという形になってございます。
7ページでございます。
入院外を医療施設、特に診療所の側面から主たる診療科別に、主なものを表示させていただいております。
こちらは、内科と小児科と産婦人科と耳鼻咽喉科を表示させていただいておりますけれども、同様に左側が1施設当たりの受診延べ日数、右側が1日当たり医療費と、こちらも令和元年度を100とした形の数値を示させていただいております。これも左と右を両方合わせると、医療費の動きになると御理解いただければと思います。
診療所の中で最も多い内科、灰色の線ですけれども、こちらは、令和2年度で患者数が減少した後に回復、左側の日数ですけれども、令和5年度では、ほぼコロナ前と同水準99.5まで戻ったという形。右側の単価でいきますと、令和4年度まで増加した後、令和5年度コロナ特例の縮小などで若干減少したという形。
動きが非常に大きかったのが、小児科、赤いラインでして、令和2年度に非常に患者数が減ったわけでございますけれども、その後、回復、増加の度合いも大きく、令和5年度では113.4ということで、コロナ前の水準をかなり上回っている形になっております。
右側の単価につきましても、内科よりも若干高くなっておりまして、5年度でかなり下がったのですけれども、それでも126.9という形で少し高い水準。
耳鼻咽喉科は、動きとしては内科と近い動きをしているのですけれども、患者数は、令和2年度でかなり大きく減少、その後、3年度、4年度と、まだ少し低い水準だったのですけれども、令和5年度で大きく日数が増えまして、コロナ前の水準まで戻ったという形。
右側の単価は、小児科ほどではないですけれども、内科よりは高い伸びとなっております。
こちらは、小児科とか耳鼻科とかの動きについては、先ほど申し上げた、例えば5年度でいけば、インフルエンザであったりとか、そういったコロナ以外の感染症も特に5年度は影響しているのではないかと考えております。
青色は産婦人科でございますけれども、こちらは少し特殊な動きでして、令和4年度に不妊治療が保険適用された影響で、日数も単価も4年度に少し伸びが高いという形になってございます。
8ページが歯科医療費でございます。
歯科医療費は、コロナ直後に落ち込みまして、その後、回復傾向にあるというのは、医科の入院外とほぼ同様でございますけれども、コロナ後の平均でいきますと、日数がマイナス1.0ということで、コロナ前の平均よりも、まだ少し低い水準にあるという形になってございます。
一方で単価については、3.2%ということで、少しコロナ前よりも高い伸びという形になってございます。
9ページでございます。
1日当たり医療費に関してですけれども、歯科については、その背景としまして歯科金属、特に一番使われる金銀パラジウム合金の価格の上昇の影響を考慮する必要があると考えておりまして、令和4年度からNDBを使って、こういった材料も集計ができるようになりましたので、そちらの影響を表したものが、この9ページの表という形になってございます。
この表を見ていただくと、医療費の伸びに占める歯科用貴金属の医療費が、医療費の伸びに占める寄与度をお示しさせていただいております。
こちらを見ていただきますと、令和2年度に、特に金属価格上昇した時期でございますけれども、金属医療費がかなり上がりまして、それで歯科医療費を1.4%程度押し上げたという形になっております。
3年度、4年度もプラスとなっておりまして、5年度は若干マイナスですけれども、この2年度から5年度までの伸び率、コロナ後の伸び率を全て平均すると、寄与として0.5%程度ということなので、この歯科用貴金属の医療費だけで、歯科医療費を平均的に言えば、0.5%程度押し上げているという形になってございます。
10ページでございます。
調剤医療費ですけれども、調剤医療費については、コロナ前と比較しまして、受診延べ日数、これは、調剤においては処方箋枚数ということですけれども、それの伸び率が少し高いという形になってございます。
特に令和5年度は、処方箋枚数がプラス6.0%ということで、コロナ直後の2年度に落ち込んだことを考えても、全般的に高い伸び率になったというところになります。
単価につきましては、令和2年度で大きく上昇したのですけれども、その後はマイナス傾向ということで、コロナ後平均のトータルで見れば、コロナ前とほぼ同様の伸び率になっているところでございます。
令和5年度に非常に高く伸びた処方箋枚数ですけれども、そちらを分解したのが11ページでございます。
調剤については、医科の外来とリンクしているところが大きいですので、処方箋枚数を、まず、医科の外来の日数の動き、これが②ですけれども、そして、受診のうち薬が出る割合、処方割合と書いてありますけれども、そちらが③、そして、そのうち院内処方ではなく院外処方となる割合、院外処方率④、こういった形で分解したものの表になっております。
この中で、特徴的な動きとなっているのが処方割合でして、こちらを表したのが左下の青い折れ線グラフになっております。
コロナ後しばらくは、処方割合というのが低下傾向にあったということで、これは、つまり薬の出る受診が減ったということになります。これは、例えば、コロナの初期に、症状にすぐに対応するための薬というのを、すぐに処方することが多いインフルエンザであるとか呼吸器系疾患、そういったものが減ったというのが原因なのかなと。
一方で、逆に令和5年度は、呼吸器系疾患が非常に増えたということで、逆に処方割合が増加ということで、こういった理由もあって、特に令和5年度は、処方箋枚数というのが増えた形になろうかと思います。
ちなみに、右下のグラフが院外処方率ですけれども、こちらは、コロナ前から引き続きずっと上昇傾向という形になってございます。
最後に12ページでございます。
調剤の単価についてですけれども、単価については、コロナ前とコロナ後で、ほぼ平均伸び率というのは同水準なのですけれども、ただ、特に令和5年度に関しては、インフルエンザ治療薬やコロナ治療薬など、いわゆる抗ウイルス剤に分類される薬剤の影響が含まれているということに留意する必要があるということで、こちらの表をつくらせていただいております。
特に、コロナ治療薬などは単価も高いですし、また、令和5年度はインフルエンザもかなり流行したということもあって、上の表を見ていただきますと、これらが含まれる抗ウイルス剤の薬剤費が増えた影響だけで、令和5年度の処方箋1枚当たり医療費をプラス1.9%押し上げている、薬剤費でいけば、プラス2.6%押し上げているということですので、逆に言うと、これがもしなければ、単価というのは、もっと下がっていたと考えることができるということですので、このインフルエンザであったり、コロナ治療薬であったりというのは、年によってかなり状況が変わってきますので、6年度以降を見通す際には、5年度には、こういったものが含まれているということを御留意いただく必要があるところが、この資料の趣旨でございます。
御説明としては以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、お願いいたします。
それでは、林委員、お願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
今、聞かせていただきまして、歯科医療費の動向、8ページでございますが、概算医療費は、コロナ前と比べれば回復しているように見えるのですけれども、受診延べ日数が、いまだに減少傾向にあります。
1日当たりの医療費は伸びておるのですけれども、この受診延べ日数の減少が、受診控えが原因となりますと、深刻な問題でございます。
口腔機能向上や歯科疾患の重症化予防の重要性が国民にしっかりと理解されてきておりまして、ニーズに応えていくべきと考えておりますが、そういった環境整備は、今後、重要と考えております。
引き続き、歯科医療現場の実態も踏まえまして、様々な視点から検討をいただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
今、事務局から調剤医療費の御説明をいただき、ありがとうございました。私どもの受け止めも事務局と同様となっております。患者動向は、徐々には回復しているのですが、新型コロナ感染症が流行した3年間の影響というのはとても大きく、資料総-3の10ページ目に記載されているとおり、令和元年から5年度の平均伸び率は1.8%にとどまっています。
令和5年度の調剤医療費全体の伸びは、確かにプラスとはなっているのですが、これは先ほど事務局からも御説明がありましたけれども、処方箋1枚当たりの薬剤料伸び率に対する新型コロナウイルス感染症などの抗ウイルス剤の寄与がプラスの2.6%ありました。
調剤医療費の動向として見てみると、処方箋1枚当たりは、前年比でマイナスの0.5%で、技術料がマイナス0.4、薬剤料マイナス0.6となり、技術料、薬剤料ともに下がっています。
特に薬剤料に関しては、抗ウイルス剤の寄与がなければ、もっと低かったところです。
これは、中間年改定が原因であると考えられます。さらに近年の物価高騰、それから人件費の高騰は、価格転嫁できない公定価格で経営している薬局、医療機関にとって、この影響は大変大きなものとなっています。
中間年改定については、今後、議論することになりますけれども、物価高騰や人件費高騰を含む4大臣合意後の環境の変化、それから、7年連続の薬価改定の影響などを踏まえて、中間年改定の実施については、慎重に検討する必要があると考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
どうもありがとうございます。
それでは、資料の総-3についてコメントいたします。
まず、令和5年度の医療費につきましては、診療報酬上の特例を含め、新型コロナの影響がかなり小さくなっている一方で、先ほど6ページにもありましたけれども、子供を中心に呼吸器系の疾患が増加したことが、医療費に反映されていると認識しております。
これは、令和6年度の診療報酬改定で想定したとおり、通常の医療の姿に戻っていると受け止めております。
また、入院のトレンドにつきましては、4ページを拝見しますと、青い線で示されております平均在院日数が、コロナ前から一貫して短縮する一方で、緑の線で示されております1日当たり医療費が伸びております。
これは、医療資源投入量が少ない患者が、より早期に退院するようになってきていることの現れであれば、これは妥当な方向だと考えております。
一方で、資料総-3の参考1の11ページを拝見しますと、その中では、薬剤料が特に令和5年度は高い伸びを示しております。具体的には14.4%ですかね。
薬剤費に限ったことではありませんけれども、医療の高度化によって、1日当たり医療費が増加する側面も当然あると思います。
医療保険制度の持続可能性の観点からも外来も含めまして、今後、医療の高度化にどのように対応していくかということも重要な視点になると考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
大きく見た場合の解釈としては、先ほどの事務局の御説明のものと思いますが、中身を丁寧に見るなど、今後というのは、これからの課題かと思っております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかに御質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。ほかには御質問等ないようですので、本件に係る質疑は、このあたりとしたいと思います。
続きまして「最適使用推進ガイドラインについて(報告)」を議題といたします。本件は報告事項です。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
資料-4を御覧ください。
効能・効果の追加などの製造販売承認事項一部変更承認、以下、一変承認と申しますが、それに伴い、最適仕様推進ガイドラインの作成、改訂を行った場合は、保険適用上の留意事項を通知し、これらの内容を中医協総会に報告することとされております。
今般、表でお示しいたしました医薬品について、効能・効果の追加などの一変承認に伴い、最適使用推進ガイドラインを作成、改訂し、保険適用上の留意事項を通知いたしましたので報告いたします。
1ページ目の表、1品目目のヌーカラ皮下注について、今回追加となった効能・効果は、3つ目の○、下線でお示ししております、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎です。
一変承認日と同日付の8月28日に、最適仕様推進ガイドラインと保険適用上の留意事項の通知を発出しており、同日付適用としております。
2ページ目を御覧ください。
2ページ目の表、2品目目のキイトルーダ点滴静注100mgについて、今回追加となりました効能・効果は、上から3つ目の○、下線でお示ししております、非小細胞肺がんにおける術前・術後補助療法です。
こちらについても、一変承認日と同日付の8月28日に、最適仕様推進ガイドラインと保険適用上の留意事項の通知を発出しており、同日付適用としております。
総-4参考の1~2に、各品目の最適仕様推進ガイドライン、総-4参考3に、各品目の保険適用上の留意事項の内容をお示ししております。
説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑は、このあたりとしたいと思います。
続きまして「公知申請とされたい適応外薬の保険適用について」を議題といたします。本件も報告事項です。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
資料総-5を御覧ください。
有効性・安全性が公知であると確認されました適応外薬につきましては、保険適用を迅速に行う観点から、薬事審議会の事前評価が終了した段階で、薬事承認を待たず保険適用することとしております。
2に記載しておりますが、8月2日の医薬品第二部会におきまして、表でお示ししましたヒュミラ皮下注40mgについて事前評価が終了しております。
内容は、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎の適応追加でございます。
公知申請して差し支えないと判断しておりますので、同日付で保険適用としております。
説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑は、このあたりとしたいと思います。
続きまして「先進医療会議からの報告について」を議題といたします。本件も報告事項です。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○木下医療技術評価推進室長
事務局、医療技術評価推進室長でございます。
中医協資料総-6に基づきまして御報告いたします。
先進医療の科学的評価結果についての御報告となります。
第130回先進医療会議が令和6年3月に開催されましたものでございまして、先進医療Aの科学的評価結果を御報告いたします。
技術名としまして、自家骨髄単核球移植による血管再生治療となっております。
適応症等につきましては、閉塞性動脈硬化症に伴う包括的高度慢性下肢虚血、申請医療機関につきましては、京都府立医科大学附属病院となっておりまして、費用は記載のとおり、また、総合評価として適となっております。
御報告は以上となります。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑は、このあたりとしたいと思います。
続きまして「DPC対象病院の退出に係る報告について」を議題といたします。本件も報告事項です。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長でございます。
総-7を御覧ください。「DPC対象病院の退出に係る報告について」でございます。
DPC制度におきましては、診療報酬改定以外の時期に、緊急にDPC制度から退出する場合は、退出の可否について保険局医療課において確認を行い、必要に応じて中医協において審査・決定いただくこととしております。
今般、下の表にあります医療法人マックシール巽病院、社会医療法人ONEFLAG牧病院、社会医療法人垣谷会明治橋病院及び医療法人聖真会渭南病院の4病院から、病床機能の転換を理由としたDPC制度からの退出に係る申請書が提出されました。
保険局医療課において確認を行い、DPC制度からの退出について、可とする旨を決定いたしました。
医療法人マックシール巽病院は、11月1日付で、その他の3病院は、12月1日付で退出することとなります。
御報告は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑は、このあたりとしたいと思います。
続きまして「保険医が投与することができる注射薬について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
資料総-8を御覧ください。
保険医が投与することができる注射薬における効能・効果の追加に伴う対応についてでございます。
「1.背景」を御覧ください。
ビメキズマブ製剤につきまして、一部変更承認が承認を可とされ、今後、厚生労働大臣によって承認される見込みとなっております。
この製剤につきましては、これまで4週間に1回投与する場合に限り、保険医が投与することができる注射薬として承認されております。
ただ、今般、承認可とされました同製剤の用法・用量につきましては、2週間に1回投与の用法が追加されております。
関係学会から、今般承認見込みである用法・用量につきましても、在宅医療において使用可能とすることを希望する要望書が提出されているところでございます。
次のページの対応案でございますけれども、こうした運用基準、学会からの要望書等を踏まえまして、このビメキズマブ製剤につきましては、一部変更承認後、その承認日に合わせて、この投与間隔について保険医が投与することができる注射薬についても対応可能となるように、これまで4週間ごとに投与する場合に限っておりましたけれども、今後は、4週間を超える間隔で投与する場合を除くと変更してはどうかということをお諮りしたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。特に御質問等ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
続きまして「令和6年能登半島地震による被災に伴う被災地特例措置の今後の取扱いについて」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長でございます。
総-9「令和6年能登半島地震による被災に伴う被災地特例措置の今後の取扱いについて(案)」を御覧ください。
本年1月1日に発生いたしました令和6年能登半島地震による被災に関しましては、翌1月2日から診療報酬上の特例措置を実施しております。
特例措置の内容につきましては、次の2ページ、3ページ目にお示しをいたしております。
これらの特例措置につきましては、現行、当面の間実施することとしてお示しをしております。
本年末に発災から1年が経過することを踏まえまして、今後の対応についてお諮りするものでございます。
この特例措置につきましては、その期限を一旦、令和6年12月末までと設定した上で、当該特例措置を活用している保険医療機関数等をアンケートにより把握し、その結果を基に、期限を延長するかどうかを、この場でまた検討いただくこととしてはどうかと考えております。
具体的には、この期限を一旦定める事務連絡を発出させていただき、10月頃にアンケートによって、特例措置を活用している保険医療機関数等を調査させていただくことを考えております。
こうして得られた結果を基に、12月に中医協にお諮りをし、これらの特例措置の延長の有無について御判断いただきたいと考えております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
長島委員、お願いいたします。
○長島委員
今回示された対応案に異論はありませんが、まずは、被災地の現状把握をしっかり行うべきです。
被災地では、復旧・復興に時間を要しているため、避難先から戻りたくても戻れない方々が、まだまだ2,000人もいらっしゃると聞いております。
現地の医療機関では、地域医療を継続するため、建物や医療機器などのハード面だけではなく、医療従事者の確保にも懸命な取組が現在行われております。
被災者が家に帰りたいと望まれても、その地域に医療が残っていなければ、結局お戻りにつなげることができません。
被災地の医療機関に対しては、地域医療の継続、ひいては被災された方々、避難された方々の生活の継続・再建のために、引き続き、幅広く特例のニーズを確認して、しっかりと復旧の後押しとなるよう、必要に応じた継続を御検討いただきたいと考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
まずは、被災地におきまして医療を提供していただいている医療機関の方々を含め、関係者の方々に敬意を表するものでございます。
事務局からの御提案の内容に異論はございません。
今回のアンケートは、特例措置の取扱いを検討するための重要な調査という位置づけになりますので、特例措置を活用していただいております医療機関の方々につきましては、御負担はあるかと思いますけれども、回答への御協力をぜひお願いしたいと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。ほかに御質問等ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
本日の議題は以上となります。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたします。
それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。