2024年2月22日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録
日時
令和6年2月22日(木)18:00~
会場
厚生労働省専用第22~24会議室
出席者
- 出席委員(17名)五十音順
-
- 石井明子
- 浦野泰照
- 大隈和
- 大曲貴夫
- ○川上純一
- ◎清田浩
- 島田美樹
- 末岡晶子
- 宗林さおり
- 登美斉俊
- 中野貴司
- 松下正
- 南博信
- 宮川政昭
- 山本俊幸
- 山本昇
- 横幕能行
(注)◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(4名)五十音順-
- 亀田秀人
- 滝田順子
- 山口拓洋
- 渡辺亨
行政機関出席者-
- 城克文(医薬局長)
- 吉田易範(大臣官房審議官)
- 中井清人(医薬品審査管理課長)
- 野村由美子(医薬安全対策課)
- 鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)他
議事
○医薬品審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催させていただきます。本日は、お忙しいところ御参集いただきまして誠にありがとうございます。本会議はペーパーレスの開催となりますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作などで御不明点がありましたら、適宜事務局がサポートしますのでよろしくお願いします。
まず、本日の会議における委員の出席についてですが、亀田委員、滝田委員、山口委員、渡辺委員より御欠席との御連絡を頂いています。このほか、浦野委員、大曲委員から遅れての御参加との御連絡を頂いています。また、松下委員がまだお見えになられていませんが、後ほど御参加されるものと思っています。本日は、現在のところ、当部会委員数21名のうち14名の委員がこの会議に御出席いただいていますので、定足数に達していることを御報告いたします。
続きまして、薬事分科会規程第11条の適合状況については、全ての委員の皆様より適合している旨を御申告いただいていますので御報告させていただきます。会議の開催の都度、御協力を賜り、誠にありがとうございます。
それでは、清田部会長、以後の進行をお願いいたします。
○清田部会長 皆様、こんにちは。清田です。それでは、本日の議事に入ります。まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、委員からの申出状況について報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日はあらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料1~14を用いますのでお手元に御用意ください。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストは資料14に記載のとおりです。これらに関する委員からの申出状況等を踏まえた薬事分科会審議参加規程第5条及び第11条に基づく各委員の審議参加に係る取扱いは次のとおりでございます。
議題1「リフキシマ」、退室委員、議決に参加しない委員、ともになしです。
議題2「ファセンラ」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は川上委員、中野委員、松下委員、山本俊幸委員です。
議題3「セプーロチン」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は川上委員、中野委員、松下委員です。
議題4「オビザー」、退室委員は浦野委員、松下委員、議決に参加しない委員は川上委員、中野委員、南委員、山本昇委員です。
議題5「ベスポンサ」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は川上委員、南委員、山本俊幸委員です。
議題6「希少疾病用医薬品の指定の可否」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は川上委員、中野委員、松下委員です。
議題7「先駆的医薬品の指定の可否」、退室委員は山本昇委員、議決に参加しない委員は南委員、山本俊幸委員です。
また、議題8についても、各委員より寄附金・契約金等の受取りの申告を頂いておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの御説明に特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、皆様の御確認を頂いたものとします。本日は、審議事項8議題、報告事項2議題となっています。
それでは、審議事項の議題に移ります。議題1について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、医薬品リフキシマ錠200mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料No.1、審査報告書のファイルをお開きください。以降の審査報告書のページ数は、審査報告書の下段に20分の幾つで記載している数字を使用します。
本剤は、抗菌薬であるリファキシミン(以下、本薬という)を有効成分とする経口剤であり、成人の肝性脳症における高アンモニア血症の改善を効能・効果として、2016年9月に承認されています。肝性脳症は、意識障害を中心とする精神神経症状が認められている疾患であり、血中のアンモニアがその代表的な誘発物質と考えられています。本薬は、経口投与してもほとんど吸収されず、腸内に存在するアンモニア産生菌に直接抗菌活性を示すことで、消化管から吸収されるアンモニア量の減少により、高アンモニア血症の改善が期待できると考えられています。
今般、小児の肝性脳症患者を対象とした本剤の国内臨床試験成績等が得られ、小児患者に対する用法・用量を追加する申請がなされました。本申請の専門委員として、資料No.13に記載の4名の委員を指名しました。
主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明いたします。審査報告書9ページの「7.R.1 開発計画について」の項の2及び3段落目を御覧ください。小児肝性脳症の患者数は極めて限られ、既承認薬がなく、脳の発達段階にある小児患者では後遺症等も懸念されることから、対照群は設定せず、少数例の小児患者を対象に国内第II/III相試験(以下、2-B試験という)が実施されました。機構の審査においては、小児患者を対象とした2-B試験の成績に加えて、既承認の成人肝性脳症患者を対象とした臨床試験成績との比較・考察も行い、小児患者における本剤の有効性及び安全性を評価しました。
まず、有効性について、審査報告書の11ページの表6を御覧ください。小児患者を対象とした2-B試験において、主要評価項目である血中アンモニア濃度は、本剤投与により、成人患者を対象とした2-A試験及び3-A試験と同様、ベースラインから低下する傾向が認められたことから、本剤の小児肝性脳症患者に対する高アンモニア血症の改善効果が期待できると判断しました。
次に、審査報告書12ページの表7を御覧ください。血中アンモニア濃度の低下幅と臨床症状の改善度合いとの関連については、個人差が大きく、統一した見解はないものの、肝性脳症昏睡度及び精神神経機能の指標であるNumber connection testにおいて、成人患者と同様に、いずれもベースラインから改善傾向への変化が認められました。
安全性について、審査報告書13ページの表8及び表9を御覧ください。小児患者における本剤の安全性について、成人患者と比較して現時点で新たな懸念を示唆する成績は示されていないことから、成人と同様の安全対策を実施することで、本剤の安全性リスクは管理可能と判断しました。なお、5歳未満の小児における臨床試験成績は得られていないことから、添付文書で慎重に投与するよう注意喚起するとともに、製造販売後の調査において情報収集することとしました。
以上の審査を踏まえ、機構は、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本剤は希少疾病用医薬品に該当すること、本申請は小児に係る新用量医薬品としての申請であり、本邦において成人に対して一定の使用経験を有することから、再審査期間は6年と1日と設定することが適切と判断しています。薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質問を承りたいと思います。いかがでしょう。よろしいですか。もう既に成人では使われているお薬だというふうに伺っています。小児に使うということになります。
よろしければ、議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
続きまして、議題2に移ります。議題2について機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料No.2、ファセンラ皮下注30mgシリンジの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、審査報告書の下段に記載している22分の幾つの数字を使用します。
本剤は、ヒトIL-5受容体αサブユニットに対するヒト化IgG1モノクローナル抗体であるベンラリズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とし、本邦では、2018年に既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の成人の気管支喘息に対して承認されています。今般、6歳以上の小児の用法・用量を追加する一変申請及び10mgシリンジの剤形追加申請がなされました。本申請の専門委員として、資料No.13に記載されている5名の委員を指名いたしました。
主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明いたします。今般の小児患者に対する用法・用量の追加に関して、審査報告書9ページ、表5を御覧ください。6歳以上の小児気管支喘息患者を対象としたTATE試験では、成人患者に承認された用法・用量で本剤を投与した場合と同程度の曝露量が得られるよう、表5に示す年齢及び体重に応じた用法・用量が設定され、薬物動態/薬力学、有効性及び安全性が検討されました。
少し戻りまして、審査報告書7ページ、表1及び表2を御覧ください。表1の小児患者及び成人患者に本剤を投与したときの薬物動態パラメータ及び表2の血中好酸球数のベースラインからの変化率の推移の結果から、小児患者では曝露量がやや高い傾向が認められたものの、成人患者で安全性が確認されている範囲であり、本薬の薬理作用である血中好酸球数の減少作用は成人と同様の傾向が認められています。
続きまして、審査報告書13ページ、表9を御覧ください。TATE試験の主な有効性評価項目である喘息増悪発現率について、ベースラインと比較して、試験期間中の喘息増悪発現回数の減少傾向が認められており、同ページの表11に記載した喘息症状及び喘息コントロールの評価指標についても、本剤投与により改善傾向が認められています。成人適応取得の根拠となった日本人を含む成人患者を対象としたプラセボ対照比較試験において、本剤の有効性が確認されていることも踏まえ、機構は小児患者に対しても本剤の有効性は期待できると判断しました。
続いて、安全性について、審査報告書15ページの表14を御覧ください。小児患者対象のTATE試験及び成人患者対象の臨床試験併合集団の成績から、小児患者に対する本剤の安全性について、現時点で新たな懸念は示唆されていないと判断したことから、現在、成人患者への使用時に行われている安全対策を、小児患者への使用時にも同様に実施することが適切と判断しました。
以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会にて御審議いただくことが適当と判断しました。本申請は新用量医薬品としての申請であることから、再審査期間は4年とすることが適当と判断しています。また、ファセンラ皮下注10mgシリンジについては、生物由来製品に該当し、製剤は劇薬に該当すると判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。以上、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問を承りたいと思います。御質問はございませんか。よろしいでしょうか。
ないようですので、議決に入りたいと思います。川上委員、中野委員、松下委員、山本俊幸委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。それでは、御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
続きまして、議題3に移ります。議題3と議題8は関連する議題ですので、まとめて御議論いただきたいと思います。まず、議題3について機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料No.3、医薬品セプーロチン静注用1000単位の製造販売承認の可否等について、機構より御説明します。審査報告書のファイルの青色の通し番号5ページを御覧ください。
先天性プロテインC欠乏症は、プロテインCの産生異常や分子異常による機能欠損を特徴とする遺伝性疾患で、プロテインCの欠乏により凝固亢進状態となることで、静脈血栓塞栓症や電撃性紫斑病を引き起こします。本剤はヒト血漿から精製されたプロテインCの凍結乾燥製剤であり、先天性プロテインC欠乏症に起因する静脈血栓塞栓症及び電撃性紫斑病に対する急性期治療並びに短期及び長期補充による血栓形成傾向の抑制を目的として開発され、今般、先天性プロテインC欠乏症患者を対象とした国内外臨床試験等の成績に基づき、製造販売承認申請がなされました。
本剤は、2001年に欧州で、2007年に米国で承認され、現在40以上の国又は地域で承認されています。本申請の専門委員として、資料No.13に示す7名の委員を指名しました。
主な審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。本剤の有効性は、電撃性紫斑病やその他の血栓塞栓性事象等に対する急性期投与の効果、周術期・抗凝固療法開始時における短期補充投与による血栓形成傾向の抑制効果及び長期補充投与による血栓形成傾向の抑制効果が検討されています。
最初に急性期投与の有効性について、通し番号の22ページを御覧ください。海外第II/III相試験である400101試験の急性期投与パートの成績は、表16の本剤群の列に示すとおり、10例に発現した19件の電撃性紫斑病、表中では電撃性紫斑病はPFと記載していますが、この19件の電撃性紫斑病等及び2例に発現した5件のその他の血栓塞栓性事象に対する本剤投与の効果が、同じページの表15に示す評価基準に基づき治験責任医師により評価され、1件を除き、全てeffectiveと評価されました。また、通し番号26ページ、一番上の表19になりますが、この表19に示すとおり、国内第I/II相試験であるTAK-662-1501試験において、4例に発現した8件の電撃性紫斑病に対して本剤が投与され、先ほどと同様の評価基準に基づき、8件全てでeffectiveと評価されました。
次に短期補充投与の有効性について、同じページの表20を御覧ください。海外400101試験の短期補充投与パートにおいて、3例に対して7件の短期補充が実施され、投与期間中に電撃性紫斑病や血栓塞栓性事象等の発現は認められませんでした。また、通し番号27ページの冒頭に記載していますが、国内TAK-662-1501試験においても、1件の短期補充投与期間中に電撃性紫斑病や血栓塞栓性事象等の発現は認められませんでした。
最後に、長期補充投与の有効性について、同じページの表22を御覧ください。海外400101試験の長期補充投与パート、表中ではPart3と記載していますが、このPart3において、8例に対して本剤が投与され、投与期間中に電撃性紫斑病や血栓塞栓性事象等の発現は認められませんでした。
以上より、本剤の先天性プロテインC欠乏症患者における電撃性紫斑病やその他の血栓塞栓性事象等の急性期治療及び血栓形成傾向の抑制における有効性は示唆され、日本人先天性プロテインC欠乏症患者においても、一定程度の有効性が期待できると判断しました。
安全性については、通し番号の28ページから31ページを御覧ください。本剤の臨床試験・研究において、本剤との因果関係の否定できない重篤な有害事象はほとんど認められておらず、海外における製造販売後の安全性情報についても、本剤の安全性プロファイルに影響を及ぼす可能性のある新たな情報は得られていないことを踏まえ、本剤の安全性プロファイルは忍容可能と判断しました。また、「重篤な過敏症」を重要な特定されたリスクとして、「出血」、「原材料に由来する感染症伝播」、「インヒビターの発生」及び「ヘパリン起因性血小板減少症」を重要な潜在的リスクとして設定し、注意喚起等を行うことが適切と判断しました。
以上の審査を踏まえ、機構は、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年、特定生物由来製品に該当し、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会には報告を予定しています。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。続いて、議題8について事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題8、生物学的製剤基準の一部改正について、事務局より御説明申し上げます。資料No.8を御覧ください。今回、セプーロチン静注用1000単位の審議に際して、乾燥濃縮人プロテインCは初めての品目となりますので、生物学的製剤基準に乾燥濃縮人プロテインCの医薬品各条を追加することとしています。具体的な制定内容は、2ページから4ページに記載していますので御参照ください。以上、改正について御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。宮川先生、お願いします。
○宮川委員 宮川です。教えていただきたいのですが、この人プロテインCの原薬の製造の場所、国も含めてですが、どこで作られて、そして製剤はどこで作られているのでしょうか。
○清田部会長 お答えになれますか。
○医薬品医療機器総合機構 ちょっと資料を確認させていただきたいので、少々お時間を頂いてもよろしいでしょうか。お待たせいたしました。原薬は○○○○○○と○○○○です。
○宮川委員 ○○○○○○と○○○○ということですが、どれくらいの割合、何パーセントが○○○○○○、何パーセントが○○○○なのですか。安定供給できるというようなことですが、私は血液の方も出ていますので、安定供給できるかどうか、その原薬の問題と、それから製剤化はどこでされているのでしょうか。審査報告書に何もそのようなことが書いていないので、お尋ねしたわけです。
○医薬品医療機器総合機構 失礼いたしました。原薬は先ほど申したとおり、○○○○○○と○○○○でして、製剤化は○○○○○○でやっております。
○宮川委員 ありがとうございます。添加物のヒトアルブミンは米国ですよね。実際には、これは非献血で用いているということを明記されているのですが、米国からそのヒトアルブミンは持ってきて、そこで作られるということで了解していいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、御指摘のとおりです。
○宮川委員 では、添加物は米国から、原薬そのものは今言ったように、○○○○○○と○○○○から、そういうことでいいですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、御理解のとおりです。
○宮川委員 ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御質問はございませんか。
○石井委員 すみません、よろしいでしょうか。国衛研の石井です。今の御説明と添付文書の組成の欄について確認させてください。ヒト血漿由来成分、採血国、米国となっているのですが、これはアルブミンを指しているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えします。全てアメリカです。つまり、プロテインC、アルブミン含めてアメリカです。
○石井委員 では、米国で採血されて、精製されるのは○○○○○○と○○○○で、製剤化されるのは○○○○○○でよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、御理解のとおりです。
○石井委員 ありがとうございました。
○清田部会長 大丈夫ですか。宮川先生、特に追加はないですか。
○宮川委員 採血して、それは献血ではなく、非献血の採血は米国でやるということ、ですから原材料は米国、原薬を作るのが○○○○○○と○○○○。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○宮川委員 しっかり明記してくれないと分からないので、そのようにしてください。
○医薬品医療機器総合機構 失礼しました。
○宮川委員 原材料は米国だということ。
○医薬品医療機器総合機構 米国で採血をして、○○○○○○、○○○○に持ってきて原薬を作りまして、その後に○○○○○○で製剤化をして、日本に持ってくるという流れになります。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問はありませんか。よろしいでしょうか。
それでは、議決に入りたいと思います。議題3について承認を可としてよろしいでしょうか。なお、議題3については、川上委員、中野委員、松下委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととします。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
続けて、議題8について改正を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
続きまして、議題4に移ります。議題4ですが、浦野委員におかれましては利益相反のお申出に基づきまして、また、松下委員におかれましては利益相反のお申出及び薬事分科会審議参加規程第5条に基づきまして、議題4の審議の間、会議から御退室いただいて、御待機いただくこととします。浦野委員、松下委員は退室をお願いいたします。
──浦野委員、松下委員 退室──
○清田部会長 それでは、議題4について、機構から御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料No.4、医薬品オビザー静注用500の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。
後天性血友病Aは、膠原病や悪性腫瘍、分娩などを背景に、血液凝固第VIII因子に対するインヒビター、すなわち自己抗体が発現することにより、血液凝固能が著しく低下し引き起こされる出血性疾患です。本剤は、遺伝子組換えブタ血液凝固第VIII因子であるスソクトコグ アルファ(遺伝子組換え)を有効成分とする製剤であり、内在性のヒト型の血液凝固第VIII因子との構造の違いから、先に申したインヒビターによる失活をある程度免れるとして、後天性血友病A患者の出血に対して止血効果を示すことを期待して開発されたものです。
今般、本剤は、後天性血友病A患者における出血抑制を効能・効果として承認申請されました。本剤は、2014年に米国で、2015年に欧州で承認され、2023年11月現在、30以上の国又は地域で承認されています。本申請の専門委員として、資料No.13に示す7名の委員を指名いたしました。
主な審査内容について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。審査報告書、青字の48分の23ページ、表17、18を御覧ください。本剤の有効性については、重大な出血エピソードに対し、本剤を投与した際の治験責任医師による止血の評価等で確認され、表17及び表18の4段階又は3段階評価のうち、効果判定で「効果あり」又は「部分的に効果あり」を合わせて「反応あり」と定義し、その割合を評価いたしました。審査報告書48分の27ページ、表19を御覧ください。主要評価項目とされた本剤投与開始後24時間時点で「反応あり」と評価された重大な出血エピソードの割合は、海外OBI-1-301/301a試験、国内TAK-672-3001試験のいずれも100%でした。副次評価項目等も併せて考えると、本剤の後天性血友病A患者における止血治療に対する有効性は期待できると判断いたしました。
安全性について、審査報告書の48分の30ページ、上から2段落目を御覧ください。本剤の海外OBI-1-301/301a試験及び国内TAK-672-3001試験において報告された有害事象は、多くが軽度又は中等度でした。海外OBI-1-301/301a試験では、死亡及び中止に至った有害事象が認められましたが、抗ブタ血液凝固第VIII因子インヒビター検査陽性を除き、本剤との因果関係は否定されました。また、国内TAK-672-3001試験で認められた重篤な有害事象も、本剤との因果関係が強く疑われるものではありませんでした。したがって、本剤は忍容可能と判断いたしました。
なお、本剤の作用機序及び海外における製造販売後の報告を踏まえ、ショック・アナフィラキシー、血栓塞栓症及びインヒビターの発生については、添付文書等で注意喚起が必要と判断いたしました。臨床試験における日本人症例数は限られておりましたので、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とする使用成績調査の実施が必要と判断し、承認条件としております。
以上の審査の結果、機構は本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会には、報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ないようですので、議決に入りたいと思います。川上委員、中野委員、南委員、山本昇委員におかれては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで待機されている浦野委員、松下委員をお呼びください。
──浦野委員、松下委員 入室──
○清田部会長 続いて、議題5に移ります。議題5について、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料番号5、医薬品ベスポンサ点滴静注用1mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明いたします。資料5、審査報告書の44分の4ページを御覧ください。本剤は、CD22に対するヒト化モノクローナル抗体であるイノツズマブとN-アセチルカリケアマイシンがリンカーを介して結合しているイノツズマブオゾガマイシン(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤です。
現在、本剤は、再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病(ALL)の効能・効果で承認され、成人患者に対する用法・用量が設定されています。今般、当該効能・効果に対する小児患者の用法・用量を追加する一変申請がなされました。令和5年12月時点において、小児患者の用法・用量が承認されている国又は地域はありません。なお、本剤は、平成29年2月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されています。本品目の専門協議には4人の専門委員に御参加いただきました。詳細は資料13を御覧ください。
以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明します。審査報告書8ページを御覧ください。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、再発又は難治性のCD22陽性のALLの小児患者を対象とした国内第I相試験(ALL-1試験)及び海外第I/II相試験(059試験)の成績が提出されました。
有効性については、まず9ページを御覧ください。ALL-1試験における寛解率は83.3%でした。次に059試験について10ページを御覧ください。主要評価項目とされた寛解率は78.6%であり、事前に設定された有効性の判断基準を満たしました。以上の結果等から、再発又は難治性のCD22陽性のALLの小児患者に対する本剤の一定の有効性は示されたと判断しました。
安全性については、14ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時に特に注意を要する有害事象は、成人に対する審査時に注意が必要と判断された事象(VOD/SOSを含む肝障害、骨髄抑制、感染症等)と同一であり、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。
以上のような審査の結果、機構は、再発又は難治性のCD22陽性のALLの小児患者に対する用法・用量を承認することは可能と判断しました。本剤は、希少疾病用医薬品ではあるものの、再発又は難治性のCD22陽性のALLの成人患者に対して既に承認を取得し、本邦において一定の使用経験を有すること等を踏まえ、再審査期間は6年1日とすることが適当と判断しました。薬事分科会には報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方に御質問を頂きたいと思います。いかがでしょう。大丈夫ですか。宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 宮川ですが、教えてください。添付文書案の小児の1サイクル目、2サイクル目と、試験のときの1サイクル目、2サイクル目というのは、少し日数が違うというか、添付文書案の用法用量は1サイクル目を含めてサイクルは最長42日間まで延長可能というのは、1サイクル目も最初は試験のところは延長していると理解しています。しかしながら、添付文書案での原則の方は、1サイクル目は原則21日間、2サイクル目は原則28日間ですが、その差はどこから出てきたのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より回答いたします。今回、試験として海外試験、国内試験がありまして、先生が御指摘のように、サイクル期間は試験によってそれぞれ違っているという状況がありました。今回は、結論としては、海外試験の設定をベースに、用法・用量のところでサイクル期間を設定したことになります。
○宮川委員 それは、機構としてこれが最善であるという認識でよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。よりサイクル期間を長く取った方が次の治療には行きやすくなるとか、そういったところも加味して、企業からの提案もありましたし、我々としてもそういった判断が妥当と考えました。
○宮川委員 それで、1サイクル目をなるべく簡潔にして、ある程度次の2サイクル目に移れるようにという形で設定したということですよね。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおりです。
○宮川委員 分かりました。
○清田部会長 ほかに御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
では、ないようですので、議決に入りたいと思います。川上委員、南委員、山本俊幸委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
続いて、議題6に移ります。議題6について、事務局から概要の御説明をお願いします。
○事務局 希少疾病用医薬品の指定の可否について御説明いたします。まず、個別の品目の御説明の前に、希少疾病用医薬品の指定の要件について、少し運用の変更を行っておりますので、その点について御説明させていただきます。
事務局より、引き続き説明をさせていただきます。今、申し上げたとおり、運用の見直しを行っておりまして、具体的には本年1月16日に通知の改正を行っております。今回の見直しを行いました背景と、具体的にどのような見直しを行ったかについて説明をさせていただきます。
資料No.6のうちの参考資料01を御覧ください。「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」というものを、昨年7月から開催をしております。
次のページです。この検討会で様々な薬事規制の見直しを進めているわけですが、その背景としましては、昨今、問題として指摘をされているドラッグロスの拡大ということを受けております。このドラッグロスの問題については、検討会に先立って、令和4年9月から昨年6月にかけて、厚労省で有識者検討会を開催し、御議論いただきました。その取りまとめにおいて様々な課題が指摘されておりますが、その中で、薬事上の取扱いについても指摘をされております。次のスライドの3枚目が具体的な指摘事項ですが、時間の関係でスキップをさせていただきます。
4枚目、ドラッグラグ、ドラッグロスの実態ということで、この左の表で、日本での開発未着手となっている86品目が具体的なロスとなっているものの数です。この内訳を更に右側で分解しますと、ベンチャー由来のもの、特に海外のベンチャー由来のもの、それからオーファンや小児など、市場性の小さいものがロスとして多く含まれているということが読み取れます。
次のスライドです。それを受けて、具体的に薬事上どのような見直しができるかということを議論いただくため、検討会を開催しております。右下のスケジュールに記載したように、昨年7月から第1回を開催しまして、月1回のペースで様々なテーマについて御議論を頂いております。この後、今年度内、3月を目標として一通りの議論を終えて、取りまとめをすることを目指しております。ただ、各テーマについて結論を得られたものに関しては、順次運用を開始することとなっておりまして、具体的な検討事項については、左下に記載があるように、これから御説明申し上げる希少疾病用医薬品の指定のあり方、そのほか、小児用医薬品の開発促進に関する審査のあり方や承認審査における日本人データの必要性等について議論をしていただいております。
スライド6枚目は、今申し上げた各テーマをより詳細に記載しているところですが、時間の関係上省略させていただきます。
7ページのスライドですが、この検討会のメンバーの一覧をお付けしております。清田先生に座長をお務めいただいております。また、本部会の委員でもいらっしゃる石井先生、川上先生、宮川先生にも構成員として御参加いただいております。
スライドの8枚目ですが、先ほど申し上げた各検討テーマについて、既に結論を得たもの、現在議論中のものなどの状況をまとめております。
本日は、オーファンについて引き続き詳しい説明を差し上げたいと思っております。参考資料02を御覧ください。先ほど申し上げた検討会の中で、オーファンの指定のあり方についても御議論いただき、見直しの方向性を御了解いただいております。
少しスライドをスキップして、6枚目のスライドまで移動していただけたらと思います。6枚目には、オーファンドラッグの指定承認件数として、日米欧の比較を記載しております。三つのグラフがありまして、青い棒グラフがオーファンとして指定された件数、赤いグラフがオーファンとして承認に至った件数です。まず、青い方を比較しますと、米国・EUに比べますと、日本の指定件数が大幅に少ないことが見ていただけます。具体的には、米国の10分の1程度、EUの5分の1程度となっております。一方、承認件数については、青いグラフほど大きな差はないのですが、結果として、米国に比べると承認までに至ったものが少なく、EUと比べますとそれほど大きな差はないというところです。こうなっている背景としては、日本ですと、第II相試験で良い成績が得られたという、それくらいの段階で指定をしておりますので、その結果として件数は少ないのですが、一方で、そのうち承認まで至るものが多いというのが日本の特徴となっております。
スライド7ページについては、指定要件の差についてまとめております。特に日米欧で見たときに、日本の場合、開発の可能性というところで、日本の独自の要件があるというのが特に大きな違いとなっております。こういった違いについて、ドラッグロスとの関係を申し上げますと、やはり開発の早期、開発リスクの高い段階から支援をしていくことが必要であるというのが一つです。また、事業者などへのヒアリングをしますと、特にベンチャーにとっては、その国でオーファンの指定を受けるということが、その国の政府から開発のバックアップをされているという位置付けになって、シーズとしての評価も高まりますし、企業価値も高まるということで、このオーファンの指定を受けるということが、その国で開発をする一つのインセンティブになっているという話も聞いております。
こういった背景を受けて、具体的な見直しを進めてまいりました。具体的な見直しの中身についてはスライドの9ページ以降になります。時間の関係で簡単に説明させていただきます。
まず、10ページです。「輪切り」要件の明確化というのが一つ目の見直しです。「輪切り」と申しますのは、ある病気の患者さんの数が、全体としては5万人を超える場合であっても、その中の一部だけを取り出して、5万人未満であるとカウントすることです。この場合に、特にその一部だけを切り出す合理的な医学的理由がないのにもかかわらず、一部だけを切り出すことは「輪切り」として認められないという取扱いになっております。一方で、実際の開発におきましては、特定のサブグループ、特定の属性を持った患者群のみを対象として開発する場合や、一部の患者群から段階的に開発をステップアップしていく場合もあります。ですので、この点を明確化するということで、右側に記載しているように、三つ目のポツですが、例えば年齢層、治療ライン、リスク分類、投薬の必要性等を含め、医学薬学上の検討に基づき、高いアンメットニーズがありつつも開発が進んでいない範囲に限定した対象疾患に対して製造販売をしようとしているのであれば、そういった場合については「輪切り」には該当しないという形で整理しております。
11ページ、2点目の見直しが、医療上の必要性の要件の明確化です。こちらも右半分が見直した方向性です。まず、1点目が代替療法の考え方です。代替する適切な医薬品等があるかどうかというのが、このオーファンに指定される一つの要件となっております。この点についても、今回明確化を図りまして、既承認薬が全くない場合だけではなく、何かしらの治療薬があったとしても、充足性という観点で足りない場合、あるいは医療環境、投与環境などから、既存の薬では投与できない患者群がいる場合などについても、代替性の要件は満たすということの明確化を図りました。
また、下半分ですが、従来ありました既存の医薬品等と比較して著しく高い有効性・安全性ということについて、従来ですと、直接比較をした臨床試験において、著しく高いという結果を示すことが求められていましたが、この点についても明確化といいますか、今言ったケースに限らず、例えば国際的に認められているガイドラインにおいて、治療の選択肢上高い優先順位が位置付けられている場合とか、あるいは直接比較した臨床試験だけではなく、論文等の異なる試験の結果を比較するといった場合も含めて、有効性・安全性が高いということを示す根拠として活用できるというように見直しを行っております。
続きまして、12ページです。三つ目、最後の見直しのポイントですが、指定の早期化と取消し要件の明確化になります。先ほど申し上げたとおり、日本の特徴として指定する時期が遅いということが指摘されておりました。これについては、従来、第II相試験以降に指定を行っていたところですが、まだ臨床試験が実施されていない非臨床の結果の段階であっても、有望なものについては指定ができるという形で運用を見直しております。一方で、早い段階で指定をした場合、その後の開発の進捗に伴って、当初期待された高い効果が見られないとか、あるいはより優れた他の医薬品が先に承認されるなど、当初の期待値が下がっていくということもありますので、そういった場合には取消しをするということも含めて、今回見直しを行っております。
以上が大きな見直しですが、これに付随してスライドの14ページを御覧ください。今、申し上げた見直しに伴いまして、オーファンとして指定される件数が従来よりも増えることが予想されております。この場合、従来はオーファンに指定されたものは全て優先審査として取り扱っておりましたが、現行の機構の体制で、優先相談も含めて、優先審査の取扱いとすることは難しいという状況があります。これについては、体制の強化も引き続き検討してまいりますが、当面の間については、オーファンに指定されたものであっても、そのうち優先審査の対象となるものは、従来のオーファンの指定対象となっていたものに限定するという当面の運用をさせていただくこととしております。したがいまして、今後オーファンの指定可否について御議論いただく場合に、オーファンとしては指定はされますが、優先審査には該当しないものというものが含まれてきうるという形になりますので、御承知いただければと思います。以上、事務局からの説明となります。
○清田部会長 ありがとうございました。
○事務局 続きまして、今回御審議いただく品目の御説明をさせていただきます。資料6-2の事前評価報告書を御覧ください。品目名は「talquetamab」、申請者は「ヤンセンファーマ株式会社」です。予定される効能・効果は「多発性骨髄腫」で、推定患者数は約2万9,000人と推計しております。
未治療の多発性骨髄腫に対する治療は、自家造血幹細胞移植、多剤併用化学療法が行われる場合がありますが、これらの治療を実施した場合であっても根治に至ることはなく、再発することがあります。また、再発又は難治性の多発性骨髄腫に対する治療は、プロテアソーム阻害薬等を用いた多剤併用化学療法等が実施されます。しかし、再発又は難治性の多発性骨髄腫に対して、全生存期間の延長を示した標準的な治療は確立されておらず、いずれの治療法によっても根治に至らず、予後不良であります。このような状況より、多発性骨髄腫は未治療、再発、難治、いずれに対しても新たな治療法の開発は望まれており、医療上の必要性が高いと考えております。
開発の可能性に関しては、現在再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした国際共同第III相試験、未治療を対象とした臨床試験が計画中又は実施中となっております。以上より指定要件を満たすと考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。今の御説明に対して御質問はありますか。よろしいですか。
それでは、議決に入ります。川上委員、中野委員、松下委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
続きまして、議題7に移ります。山本昇委員におかれましては、薬事分科会審議参加規程第5条に基づきまして、議題7の審議の間、会議から御退室いただいて、待機していただくこととします。山本昇委員は御退室をお願いいたします。
──山本昇委員 退室──
○清田部会長 よろしいですか。それでは議題7について、事務局から概要の御説明をお願いします。
○事務局 資料7を御覧ください。先駆的医薬品の指定の可否についてです。今回の品目名は「brigimadlin」です。予定される効能・効果は「進行・再発の脱分化型脂肪肉腫」、申請者は「日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社」です。
まず、指定要件の一つ目、治療薬の画期性についてです。本剤は、murine double minute2と結合する低分子化合物であり、がん抑制遺伝子産物であるp53との結合を阻害することで、p53の分解を阻害し、細胞周期の停止及びアポトーシスを誘導することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられており、悪性腫瘍に対する治療薬としては新作用機序となります。
二つ目の指定要件、対象疾患の重篤性についてです。本疾患は、予後不良であり、生命に重大な影響がある重篤な疾患と考えております。
三つ目の指定要件、対象疾患に対する極めて高い有効性についてです。進行・再発の固形癌患者を対象とした国際共同第Ia/Ib相試験の成績によりまして、既存の治療薬に比べて有効性の大幅な改善が見込まれると考えております。なお、化学療法歴のないmurine double minute2遺伝子増幅陽性の進行・再発の脱分化型脂肪肉腫患者を対象とした国際共同第II/III相試験が実施中です。
最後に指定要件の四つ目、世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思・体制についてですが、これは世界に先駆けて又は同時に本邦で申請を行う予定と説明されております。
したがいまして、この四つの要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。御質問はございますか。よろしいでしょうか。
○南委員 南ですが、確認させてください。これはMDM2と呼んでいただければいいのですが、このMDM2阻害薬の作用機序として、p53が正常に作用していることが必要だと思うのですが、そういう視点で開発されているかどうか注意していただければと思います。要するに、p53も変異を起こして機能しなくなっていれば、MDM2をいくら阻害しても効かないということになりますので、有効性の観点から、申請されているデータが、対象患者の腫瘍のp53を野生型に限定しているかどうか注意していただければと思います。これはお願いです。よろしくお願いいたします。
○事務局 御指摘の点、今後注意してまいりたいと思いますが、今の時点で機構から何かありますか。
○新薬審査第五部長 御指摘いただきまして、どうもありがとうございます。もしこれが先駆的医薬品として指定がなされれば、審査マネジメント部の方が開発の過程を見ていくと、コミュニケーションを取りながら開発を進めていくということになりますので、御指摘いただいた事項を注意しながら進めていきたいと思います。ありがとうございます。
○南委員 よろしくお願いいたします。今、MDM2の阻害薬はたくさん開発されているのですが、p53が野生型であることを条件としているものもあれば、ないものもあるようです。理屈の上からは機能が温存されていることが大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 南先生、ありがとうございます。それでよろしいですか。ほかに御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、議決に入りたいと思います。南委員、山本俊幸委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、別室に待機されている山本昇委員をお呼びください。
──山本昇委員 入室──
○清田部会長 続きまして、報告事項の議題に移ります。報告事項議題1及び2について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項について御説明いたします。資料No.9を御覧ください。
まず、議題1、希少疾病用医薬品の指定の取消しについてです。資料No.10の関係です。名称は「パノビノスタット乳酸塩」、予定される効能・効果は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」として、希少疾病用医薬品の指定を受けておりました。本品目については、当該効能・効果に対する本剤の需要が減少し、代替薬も市場に存在することから、承認整理することとされており、それに伴って製造販売を中止するため、希少疾病用医薬品の指定についても取り消すこととしております。
続いて、報告事項議題2、優先審査指定品目の審査結果についてです。こちらは資料No.11の関係です。対象品目は「パドセブ点滴静注用」と「キイトルーダ点滴静注用」です。これらは併用して使われるもので、それぞれ申請者から申請が実施されており、予定される効能・効果は「根治切除不能な尿路上皮癌」です。こちらですが、適応疾患の重篤性につきましては、生命に重大な影響がある疾患に該当すると判断しており、また、医療上の有用性につきましては、対照群に対して、この併用におけるPFS及びOSの統計学的に有意な延長が認められていることから、医療上の有用性もあるということで、優先審査品目に該当すると判断して、2月8日に優先審査の対象として指定をしております。 以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質問はございますか。よろしいでしょうか。ないようですので、報告事項については御確認いただいたものといたします。
本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告はありますか。
○事務局 次回の部会は、令和6年3月4日(月)午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、今日はこれで終了とさせていただきます。どうもお疲れさまでした。ありがとうございました。
まず、本日の会議における委員の出席についてですが、亀田委員、滝田委員、山口委員、渡辺委員より御欠席との御連絡を頂いています。このほか、浦野委員、大曲委員から遅れての御参加との御連絡を頂いています。また、松下委員がまだお見えになられていませんが、後ほど御参加されるものと思っています。本日は、現在のところ、当部会委員数21名のうち14名の委員がこの会議に御出席いただいていますので、定足数に達していることを御報告いたします。
続きまして、薬事分科会規程第11条の適合状況については、全ての委員の皆様より適合している旨を御申告いただいていますので御報告させていただきます。会議の開催の都度、御協力を賜り、誠にありがとうございます。
それでは、清田部会長、以後の進行をお願いいたします。
○清田部会長 皆様、こんにちは。清田です。それでは、本日の議事に入ります。まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、委員からの申出状況について報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日はあらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料1~14を用いますのでお手元に御用意ください。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストは資料14に記載のとおりです。これらに関する委員からの申出状況等を踏まえた薬事分科会審議参加規程第5条及び第11条に基づく各委員の審議参加に係る取扱いは次のとおりでございます。
議題1「リフキシマ」、退室委員、議決に参加しない委員、ともになしです。
議題2「ファセンラ」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は川上委員、中野委員、松下委員、山本俊幸委員です。
議題3「セプーロチン」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は川上委員、中野委員、松下委員です。
議題4「オビザー」、退室委員は浦野委員、松下委員、議決に参加しない委員は川上委員、中野委員、南委員、山本昇委員です。
議題5「ベスポンサ」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は川上委員、南委員、山本俊幸委員です。
議題6「希少疾病用医薬品の指定の可否」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は川上委員、中野委員、松下委員です。
議題7「先駆的医薬品の指定の可否」、退室委員は山本昇委員、議決に参加しない委員は南委員、山本俊幸委員です。
また、議題8についても、各委員より寄附金・契約金等の受取りの申告を頂いておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの御説明に特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、皆様の御確認を頂いたものとします。本日は、審議事項8議題、報告事項2議題となっています。
それでは、審議事項の議題に移ります。議題1について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、医薬品リフキシマ錠200mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料No.1、審査報告書のファイルをお開きください。以降の審査報告書のページ数は、審査報告書の下段に20分の幾つで記載している数字を使用します。
本剤は、抗菌薬であるリファキシミン(以下、本薬という)を有効成分とする経口剤であり、成人の肝性脳症における高アンモニア血症の改善を効能・効果として、2016年9月に承認されています。肝性脳症は、意識障害を中心とする精神神経症状が認められている疾患であり、血中のアンモニアがその代表的な誘発物質と考えられています。本薬は、経口投与してもほとんど吸収されず、腸内に存在するアンモニア産生菌に直接抗菌活性を示すことで、消化管から吸収されるアンモニア量の減少により、高アンモニア血症の改善が期待できると考えられています。
今般、小児の肝性脳症患者を対象とした本剤の国内臨床試験成績等が得られ、小児患者に対する用法・用量を追加する申請がなされました。本申請の専門委員として、資料No.13に記載の4名の委員を指名しました。
主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明いたします。審査報告書9ページの「7.R.1 開発計画について」の項の2及び3段落目を御覧ください。小児肝性脳症の患者数は極めて限られ、既承認薬がなく、脳の発達段階にある小児患者では後遺症等も懸念されることから、対照群は設定せず、少数例の小児患者を対象に国内第II/III相試験(以下、2-B試験という)が実施されました。機構の審査においては、小児患者を対象とした2-B試験の成績に加えて、既承認の成人肝性脳症患者を対象とした臨床試験成績との比較・考察も行い、小児患者における本剤の有効性及び安全性を評価しました。
まず、有効性について、審査報告書の11ページの表6を御覧ください。小児患者を対象とした2-B試験において、主要評価項目である血中アンモニア濃度は、本剤投与により、成人患者を対象とした2-A試験及び3-A試験と同様、ベースラインから低下する傾向が認められたことから、本剤の小児肝性脳症患者に対する高アンモニア血症の改善効果が期待できると判断しました。
次に、審査報告書12ページの表7を御覧ください。血中アンモニア濃度の低下幅と臨床症状の改善度合いとの関連については、個人差が大きく、統一した見解はないものの、肝性脳症昏睡度及び精神神経機能の指標であるNumber connection testにおいて、成人患者と同様に、いずれもベースラインから改善傾向への変化が認められました。
安全性について、審査報告書13ページの表8及び表9を御覧ください。小児患者における本剤の安全性について、成人患者と比較して現時点で新たな懸念を示唆する成績は示されていないことから、成人と同様の安全対策を実施することで、本剤の安全性リスクは管理可能と判断しました。なお、5歳未満の小児における臨床試験成績は得られていないことから、添付文書で慎重に投与するよう注意喚起するとともに、製造販売後の調査において情報収集することとしました。
以上の審査を踏まえ、機構は、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本剤は希少疾病用医薬品に該当すること、本申請は小児に係る新用量医薬品としての申請であり、本邦において成人に対して一定の使用経験を有することから、再審査期間は6年と1日と設定することが適切と判断しています。薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質問を承りたいと思います。いかがでしょう。よろしいですか。もう既に成人では使われているお薬だというふうに伺っています。小児に使うということになります。
よろしければ、議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
続きまして、議題2に移ります。議題2について機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料No.2、ファセンラ皮下注30mgシリンジの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、審査報告書の下段に記載している22分の幾つの数字を使用します。
本剤は、ヒトIL-5受容体αサブユニットに対するヒト化IgG1モノクローナル抗体であるベンラリズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とし、本邦では、2018年に既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の成人の気管支喘息に対して承認されています。今般、6歳以上の小児の用法・用量を追加する一変申請及び10mgシリンジの剤形追加申請がなされました。本申請の専門委員として、資料No.13に記載されている5名の委員を指名いたしました。
主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明いたします。今般の小児患者に対する用法・用量の追加に関して、審査報告書9ページ、表5を御覧ください。6歳以上の小児気管支喘息患者を対象としたTATE試験では、成人患者に承認された用法・用量で本剤を投与した場合と同程度の曝露量が得られるよう、表5に示す年齢及び体重に応じた用法・用量が設定され、薬物動態/薬力学、有効性及び安全性が検討されました。
少し戻りまして、審査報告書7ページ、表1及び表2を御覧ください。表1の小児患者及び成人患者に本剤を投与したときの薬物動態パラメータ及び表2の血中好酸球数のベースラインからの変化率の推移の結果から、小児患者では曝露量がやや高い傾向が認められたものの、成人患者で安全性が確認されている範囲であり、本薬の薬理作用である血中好酸球数の減少作用は成人と同様の傾向が認められています。
続きまして、審査報告書13ページ、表9を御覧ください。TATE試験の主な有効性評価項目である喘息増悪発現率について、ベースラインと比較して、試験期間中の喘息増悪発現回数の減少傾向が認められており、同ページの表11に記載した喘息症状及び喘息コントロールの評価指標についても、本剤投与により改善傾向が認められています。成人適応取得の根拠となった日本人を含む成人患者を対象としたプラセボ対照比較試験において、本剤の有効性が確認されていることも踏まえ、機構は小児患者に対しても本剤の有効性は期待できると判断しました。
続いて、安全性について、審査報告書15ページの表14を御覧ください。小児患者対象のTATE試験及び成人患者対象の臨床試験併合集団の成績から、小児患者に対する本剤の安全性について、現時点で新たな懸念は示唆されていないと判断したことから、現在、成人患者への使用時に行われている安全対策を、小児患者への使用時にも同様に実施することが適切と判断しました。
以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会にて御審議いただくことが適当と判断しました。本申請は新用量医薬品としての申請であることから、再審査期間は4年とすることが適当と判断しています。また、ファセンラ皮下注10mgシリンジについては、生物由来製品に該当し、製剤は劇薬に該当すると判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。以上、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問を承りたいと思います。御質問はございませんか。よろしいでしょうか。
ないようですので、議決に入りたいと思います。川上委員、中野委員、松下委員、山本俊幸委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。それでは、御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
続きまして、議題3に移ります。議題3と議題8は関連する議題ですので、まとめて御議論いただきたいと思います。まず、議題3について機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料No.3、医薬品セプーロチン静注用1000単位の製造販売承認の可否等について、機構より御説明します。審査報告書のファイルの青色の通し番号5ページを御覧ください。
先天性プロテインC欠乏症は、プロテインCの産生異常や分子異常による機能欠損を特徴とする遺伝性疾患で、プロテインCの欠乏により凝固亢進状態となることで、静脈血栓塞栓症や電撃性紫斑病を引き起こします。本剤はヒト血漿から精製されたプロテインCの凍結乾燥製剤であり、先天性プロテインC欠乏症に起因する静脈血栓塞栓症及び電撃性紫斑病に対する急性期治療並びに短期及び長期補充による血栓形成傾向の抑制を目的として開発され、今般、先天性プロテインC欠乏症患者を対象とした国内外臨床試験等の成績に基づき、製造販売承認申請がなされました。
本剤は、2001年に欧州で、2007年に米国で承認され、現在40以上の国又は地域で承認されています。本申請の専門委員として、資料No.13に示す7名の委員を指名しました。
主な審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。本剤の有効性は、電撃性紫斑病やその他の血栓塞栓性事象等に対する急性期投与の効果、周術期・抗凝固療法開始時における短期補充投与による血栓形成傾向の抑制効果及び長期補充投与による血栓形成傾向の抑制効果が検討されています。
最初に急性期投与の有効性について、通し番号の22ページを御覧ください。海外第II/III相試験である400101試験の急性期投与パートの成績は、表16の本剤群の列に示すとおり、10例に発現した19件の電撃性紫斑病、表中では電撃性紫斑病はPFと記載していますが、この19件の電撃性紫斑病等及び2例に発現した5件のその他の血栓塞栓性事象に対する本剤投与の効果が、同じページの表15に示す評価基準に基づき治験責任医師により評価され、1件を除き、全てeffectiveと評価されました。また、通し番号26ページ、一番上の表19になりますが、この表19に示すとおり、国内第I/II相試験であるTAK-662-1501試験において、4例に発現した8件の電撃性紫斑病に対して本剤が投与され、先ほどと同様の評価基準に基づき、8件全てでeffectiveと評価されました。
次に短期補充投与の有効性について、同じページの表20を御覧ください。海外400101試験の短期補充投与パートにおいて、3例に対して7件の短期補充が実施され、投与期間中に電撃性紫斑病や血栓塞栓性事象等の発現は認められませんでした。また、通し番号27ページの冒頭に記載していますが、国内TAK-662-1501試験においても、1件の短期補充投与期間中に電撃性紫斑病や血栓塞栓性事象等の発現は認められませんでした。
最後に、長期補充投与の有効性について、同じページの表22を御覧ください。海外400101試験の長期補充投与パート、表中ではPart3と記載していますが、このPart3において、8例に対して本剤が投与され、投与期間中に電撃性紫斑病や血栓塞栓性事象等の発現は認められませんでした。
以上より、本剤の先天性プロテインC欠乏症患者における電撃性紫斑病やその他の血栓塞栓性事象等の急性期治療及び血栓形成傾向の抑制における有効性は示唆され、日本人先天性プロテインC欠乏症患者においても、一定程度の有効性が期待できると判断しました。
安全性については、通し番号の28ページから31ページを御覧ください。本剤の臨床試験・研究において、本剤との因果関係の否定できない重篤な有害事象はほとんど認められておらず、海外における製造販売後の安全性情報についても、本剤の安全性プロファイルに影響を及ぼす可能性のある新たな情報は得られていないことを踏まえ、本剤の安全性プロファイルは忍容可能と判断しました。また、「重篤な過敏症」を重要な特定されたリスクとして、「出血」、「原材料に由来する感染症伝播」、「インヒビターの発生」及び「ヘパリン起因性血小板減少症」を重要な潜在的リスクとして設定し、注意喚起等を行うことが適切と判断しました。
以上の審査を踏まえ、機構は、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年、特定生物由来製品に該当し、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会には報告を予定しています。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。続いて、議題8について事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題8、生物学的製剤基準の一部改正について、事務局より御説明申し上げます。資料No.8を御覧ください。今回、セプーロチン静注用1000単位の審議に際して、乾燥濃縮人プロテインCは初めての品目となりますので、生物学的製剤基準に乾燥濃縮人プロテインCの医薬品各条を追加することとしています。具体的な制定内容は、2ページから4ページに記載していますので御参照ください。以上、改正について御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。宮川先生、お願いします。
○宮川委員 宮川です。教えていただきたいのですが、この人プロテインCの原薬の製造の場所、国も含めてですが、どこで作られて、そして製剤はどこで作られているのでしょうか。
○清田部会長 お答えになれますか。
○医薬品医療機器総合機構 ちょっと資料を確認させていただきたいので、少々お時間を頂いてもよろしいでしょうか。お待たせいたしました。原薬は○○○○○○と○○○○です。
○宮川委員 ○○○○○○と○○○○ということですが、どれくらいの割合、何パーセントが○○○○○○、何パーセントが○○○○なのですか。安定供給できるというようなことですが、私は血液の方も出ていますので、安定供給できるかどうか、その原薬の問題と、それから製剤化はどこでされているのでしょうか。審査報告書に何もそのようなことが書いていないので、お尋ねしたわけです。
○医薬品医療機器総合機構 失礼いたしました。原薬は先ほど申したとおり、○○○○○○と○○○○でして、製剤化は○○○○○○でやっております。
○宮川委員 ありがとうございます。添加物のヒトアルブミンは米国ですよね。実際には、これは非献血で用いているということを明記されているのですが、米国からそのヒトアルブミンは持ってきて、そこで作られるということで了解していいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、御指摘のとおりです。
○宮川委員 では、添加物は米国から、原薬そのものは今言ったように、○○○○○○と○○○○から、そういうことでいいですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、御理解のとおりです。
○宮川委員 ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御質問はございませんか。
○石井委員 すみません、よろしいでしょうか。国衛研の石井です。今の御説明と添付文書の組成の欄について確認させてください。ヒト血漿由来成分、採血国、米国となっているのですが、これはアルブミンを指しているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えします。全てアメリカです。つまり、プロテインC、アルブミン含めてアメリカです。
○石井委員 では、米国で採血されて、精製されるのは○○○○○○と○○○○で、製剤化されるのは○○○○○○でよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、御理解のとおりです。
○石井委員 ありがとうございました。
○清田部会長 大丈夫ですか。宮川先生、特に追加はないですか。
○宮川委員 採血して、それは献血ではなく、非献血の採血は米国でやるということ、ですから原材料は米国、原薬を作るのが○○○○○○と○○○○。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○宮川委員 しっかり明記してくれないと分からないので、そのようにしてください。
○医薬品医療機器総合機構 失礼しました。
○宮川委員 原材料は米国だということ。
○医薬品医療機器総合機構 米国で採血をして、○○○○○○、○○○○に持ってきて原薬を作りまして、その後に○○○○○○で製剤化をして、日本に持ってくるという流れになります。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問はありませんか。よろしいでしょうか。
それでは、議決に入りたいと思います。議題3について承認を可としてよろしいでしょうか。なお、議題3については、川上委員、中野委員、松下委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととします。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
続けて、議題8について改正を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
続きまして、議題4に移ります。議題4ですが、浦野委員におかれましては利益相反のお申出に基づきまして、また、松下委員におかれましては利益相反のお申出及び薬事分科会審議参加規程第5条に基づきまして、議題4の審議の間、会議から御退室いただいて、御待機いただくこととします。浦野委員、松下委員は退室をお願いいたします。
──浦野委員、松下委員 退室──
○清田部会長 それでは、議題4について、機構から御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料No.4、医薬品オビザー静注用500の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。
後天性血友病Aは、膠原病や悪性腫瘍、分娩などを背景に、血液凝固第VIII因子に対するインヒビター、すなわち自己抗体が発現することにより、血液凝固能が著しく低下し引き起こされる出血性疾患です。本剤は、遺伝子組換えブタ血液凝固第VIII因子であるスソクトコグ アルファ(遺伝子組換え)を有効成分とする製剤であり、内在性のヒト型の血液凝固第VIII因子との構造の違いから、先に申したインヒビターによる失活をある程度免れるとして、後天性血友病A患者の出血に対して止血効果を示すことを期待して開発されたものです。
今般、本剤は、後天性血友病A患者における出血抑制を効能・効果として承認申請されました。本剤は、2014年に米国で、2015年に欧州で承認され、2023年11月現在、30以上の国又は地域で承認されています。本申請の専門委員として、資料No.13に示す7名の委員を指名いたしました。
主な審査内容について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。審査報告書、青字の48分の23ページ、表17、18を御覧ください。本剤の有効性については、重大な出血エピソードに対し、本剤を投与した際の治験責任医師による止血の評価等で確認され、表17及び表18の4段階又は3段階評価のうち、効果判定で「効果あり」又は「部分的に効果あり」を合わせて「反応あり」と定義し、その割合を評価いたしました。審査報告書48分の27ページ、表19を御覧ください。主要評価項目とされた本剤投与開始後24時間時点で「反応あり」と評価された重大な出血エピソードの割合は、海外OBI-1-301/301a試験、国内TAK-672-3001試験のいずれも100%でした。副次評価項目等も併せて考えると、本剤の後天性血友病A患者における止血治療に対する有効性は期待できると判断いたしました。
安全性について、審査報告書の48分の30ページ、上から2段落目を御覧ください。本剤の海外OBI-1-301/301a試験及び国内TAK-672-3001試験において報告された有害事象は、多くが軽度又は中等度でした。海外OBI-1-301/301a試験では、死亡及び中止に至った有害事象が認められましたが、抗ブタ血液凝固第VIII因子インヒビター検査陽性を除き、本剤との因果関係は否定されました。また、国内TAK-672-3001試験で認められた重篤な有害事象も、本剤との因果関係が強く疑われるものではありませんでした。したがって、本剤は忍容可能と判断いたしました。
なお、本剤の作用機序及び海外における製造販売後の報告を踏まえ、ショック・アナフィラキシー、血栓塞栓症及びインヒビターの発生については、添付文書等で注意喚起が必要と判断いたしました。臨床試験における日本人症例数は限られておりましたので、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とする使用成績調査の実施が必要と判断し、承認条件としております。
以上の審査の結果、機構は本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会には、報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ないようですので、議決に入りたいと思います。川上委員、中野委員、南委員、山本昇委員におかれては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで待機されている浦野委員、松下委員をお呼びください。
──浦野委員、松下委員 入室──
○清田部会長 続いて、議題5に移ります。議題5について、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料番号5、医薬品ベスポンサ点滴静注用1mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明いたします。資料5、審査報告書の44分の4ページを御覧ください。本剤は、CD22に対するヒト化モノクローナル抗体であるイノツズマブとN-アセチルカリケアマイシンがリンカーを介して結合しているイノツズマブオゾガマイシン(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤です。
現在、本剤は、再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病(ALL)の効能・効果で承認され、成人患者に対する用法・用量が設定されています。今般、当該効能・効果に対する小児患者の用法・用量を追加する一変申請がなされました。令和5年12月時点において、小児患者の用法・用量が承認されている国又は地域はありません。なお、本剤は、平成29年2月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されています。本品目の専門協議には4人の専門委員に御参加いただきました。詳細は資料13を御覧ください。
以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明します。審査報告書8ページを御覧ください。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、再発又は難治性のCD22陽性のALLの小児患者を対象とした国内第I相試験(ALL-1試験)及び海外第I/II相試験(059試験)の成績が提出されました。
有効性については、まず9ページを御覧ください。ALL-1試験における寛解率は83.3%でした。次に059試験について10ページを御覧ください。主要評価項目とされた寛解率は78.6%であり、事前に設定された有効性の判断基準を満たしました。以上の結果等から、再発又は難治性のCD22陽性のALLの小児患者に対する本剤の一定の有効性は示されたと判断しました。
安全性については、14ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時に特に注意を要する有害事象は、成人に対する審査時に注意が必要と判断された事象(VOD/SOSを含む肝障害、骨髄抑制、感染症等)と同一であり、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。
以上のような審査の結果、機構は、再発又は難治性のCD22陽性のALLの小児患者に対する用法・用量を承認することは可能と判断しました。本剤は、希少疾病用医薬品ではあるものの、再発又は難治性のCD22陽性のALLの成人患者に対して既に承認を取得し、本邦において一定の使用経験を有すること等を踏まえ、再審査期間は6年1日とすることが適当と判断しました。薬事分科会には報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方に御質問を頂きたいと思います。いかがでしょう。大丈夫ですか。宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 宮川ですが、教えてください。添付文書案の小児の1サイクル目、2サイクル目と、試験のときの1サイクル目、2サイクル目というのは、少し日数が違うというか、添付文書案の用法用量は1サイクル目を含めてサイクルは最長42日間まで延長可能というのは、1サイクル目も最初は試験のところは延長していると理解しています。しかしながら、添付文書案での原則の方は、1サイクル目は原則21日間、2サイクル目は原則28日間ですが、その差はどこから出てきたのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より回答いたします。今回、試験として海外試験、国内試験がありまして、先生が御指摘のように、サイクル期間は試験によってそれぞれ違っているという状況がありました。今回は、結論としては、海外試験の設定をベースに、用法・用量のところでサイクル期間を設定したことになります。
○宮川委員 それは、機構としてこれが最善であるという認識でよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。よりサイクル期間を長く取った方が次の治療には行きやすくなるとか、そういったところも加味して、企業からの提案もありましたし、我々としてもそういった判断が妥当と考えました。
○宮川委員 それで、1サイクル目をなるべく簡潔にして、ある程度次の2サイクル目に移れるようにという形で設定したということですよね。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおりです。
○宮川委員 分かりました。
○清田部会長 ほかに御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
では、ないようですので、議決に入りたいと思います。川上委員、南委員、山本俊幸委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
続いて、議題6に移ります。議題6について、事務局から概要の御説明をお願いします。
○事務局 希少疾病用医薬品の指定の可否について御説明いたします。まず、個別の品目の御説明の前に、希少疾病用医薬品の指定の要件について、少し運用の変更を行っておりますので、その点について御説明させていただきます。
事務局より、引き続き説明をさせていただきます。今、申し上げたとおり、運用の見直しを行っておりまして、具体的には本年1月16日に通知の改正を行っております。今回の見直しを行いました背景と、具体的にどのような見直しを行ったかについて説明をさせていただきます。
資料No.6のうちの参考資料01を御覧ください。「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」というものを、昨年7月から開催をしております。
次のページです。この検討会で様々な薬事規制の見直しを進めているわけですが、その背景としましては、昨今、問題として指摘をされているドラッグロスの拡大ということを受けております。このドラッグロスの問題については、検討会に先立って、令和4年9月から昨年6月にかけて、厚労省で有識者検討会を開催し、御議論いただきました。その取りまとめにおいて様々な課題が指摘されておりますが、その中で、薬事上の取扱いについても指摘をされております。次のスライドの3枚目が具体的な指摘事項ですが、時間の関係でスキップをさせていただきます。
4枚目、ドラッグラグ、ドラッグロスの実態ということで、この左の表で、日本での開発未着手となっている86品目が具体的なロスとなっているものの数です。この内訳を更に右側で分解しますと、ベンチャー由来のもの、特に海外のベンチャー由来のもの、それからオーファンや小児など、市場性の小さいものがロスとして多く含まれているということが読み取れます。
次のスライドです。それを受けて、具体的に薬事上どのような見直しができるかということを議論いただくため、検討会を開催しております。右下のスケジュールに記載したように、昨年7月から第1回を開催しまして、月1回のペースで様々なテーマについて御議論を頂いております。この後、今年度内、3月を目標として一通りの議論を終えて、取りまとめをすることを目指しております。ただ、各テーマについて結論を得られたものに関しては、順次運用を開始することとなっておりまして、具体的な検討事項については、左下に記載があるように、これから御説明申し上げる希少疾病用医薬品の指定のあり方、そのほか、小児用医薬品の開発促進に関する審査のあり方や承認審査における日本人データの必要性等について議論をしていただいております。
スライド6枚目は、今申し上げた各テーマをより詳細に記載しているところですが、時間の関係上省略させていただきます。
7ページのスライドですが、この検討会のメンバーの一覧をお付けしております。清田先生に座長をお務めいただいております。また、本部会の委員でもいらっしゃる石井先生、川上先生、宮川先生にも構成員として御参加いただいております。
スライドの8枚目ですが、先ほど申し上げた各検討テーマについて、既に結論を得たもの、現在議論中のものなどの状況をまとめております。
本日は、オーファンについて引き続き詳しい説明を差し上げたいと思っております。参考資料02を御覧ください。先ほど申し上げた検討会の中で、オーファンの指定のあり方についても御議論いただき、見直しの方向性を御了解いただいております。
少しスライドをスキップして、6枚目のスライドまで移動していただけたらと思います。6枚目には、オーファンドラッグの指定承認件数として、日米欧の比較を記載しております。三つのグラフがありまして、青い棒グラフがオーファンとして指定された件数、赤いグラフがオーファンとして承認に至った件数です。まず、青い方を比較しますと、米国・EUに比べますと、日本の指定件数が大幅に少ないことが見ていただけます。具体的には、米国の10分の1程度、EUの5分の1程度となっております。一方、承認件数については、青いグラフほど大きな差はないのですが、結果として、米国に比べると承認までに至ったものが少なく、EUと比べますとそれほど大きな差はないというところです。こうなっている背景としては、日本ですと、第II相試験で良い成績が得られたという、それくらいの段階で指定をしておりますので、その結果として件数は少ないのですが、一方で、そのうち承認まで至るものが多いというのが日本の特徴となっております。
スライド7ページについては、指定要件の差についてまとめております。特に日米欧で見たときに、日本の場合、開発の可能性というところで、日本の独自の要件があるというのが特に大きな違いとなっております。こういった違いについて、ドラッグロスとの関係を申し上げますと、やはり開発の早期、開発リスクの高い段階から支援をしていくことが必要であるというのが一つです。また、事業者などへのヒアリングをしますと、特にベンチャーにとっては、その国でオーファンの指定を受けるということが、その国の政府から開発のバックアップをされているという位置付けになって、シーズとしての評価も高まりますし、企業価値も高まるということで、このオーファンの指定を受けるということが、その国で開発をする一つのインセンティブになっているという話も聞いております。
こういった背景を受けて、具体的な見直しを進めてまいりました。具体的な見直しの中身についてはスライドの9ページ以降になります。時間の関係で簡単に説明させていただきます。
まず、10ページです。「輪切り」要件の明確化というのが一つ目の見直しです。「輪切り」と申しますのは、ある病気の患者さんの数が、全体としては5万人を超える場合であっても、その中の一部だけを取り出して、5万人未満であるとカウントすることです。この場合に、特にその一部だけを切り出す合理的な医学的理由がないのにもかかわらず、一部だけを切り出すことは「輪切り」として認められないという取扱いになっております。一方で、実際の開発におきましては、特定のサブグループ、特定の属性を持った患者群のみを対象として開発する場合や、一部の患者群から段階的に開発をステップアップしていく場合もあります。ですので、この点を明確化するということで、右側に記載しているように、三つ目のポツですが、例えば年齢層、治療ライン、リスク分類、投薬の必要性等を含め、医学薬学上の検討に基づき、高いアンメットニーズがありつつも開発が進んでいない範囲に限定した対象疾患に対して製造販売をしようとしているのであれば、そういった場合については「輪切り」には該当しないという形で整理しております。
11ページ、2点目の見直しが、医療上の必要性の要件の明確化です。こちらも右半分が見直した方向性です。まず、1点目が代替療法の考え方です。代替する適切な医薬品等があるかどうかというのが、このオーファンに指定される一つの要件となっております。この点についても、今回明確化を図りまして、既承認薬が全くない場合だけではなく、何かしらの治療薬があったとしても、充足性という観点で足りない場合、あるいは医療環境、投与環境などから、既存の薬では投与できない患者群がいる場合などについても、代替性の要件は満たすということの明確化を図りました。
また、下半分ですが、従来ありました既存の医薬品等と比較して著しく高い有効性・安全性ということについて、従来ですと、直接比較をした臨床試験において、著しく高いという結果を示すことが求められていましたが、この点についても明確化といいますか、今言ったケースに限らず、例えば国際的に認められているガイドラインにおいて、治療の選択肢上高い優先順位が位置付けられている場合とか、あるいは直接比較した臨床試験だけではなく、論文等の異なる試験の結果を比較するといった場合も含めて、有効性・安全性が高いということを示す根拠として活用できるというように見直しを行っております。
続きまして、12ページです。三つ目、最後の見直しのポイントですが、指定の早期化と取消し要件の明確化になります。先ほど申し上げたとおり、日本の特徴として指定する時期が遅いということが指摘されておりました。これについては、従来、第II相試験以降に指定を行っていたところですが、まだ臨床試験が実施されていない非臨床の結果の段階であっても、有望なものについては指定ができるという形で運用を見直しております。一方で、早い段階で指定をした場合、その後の開発の進捗に伴って、当初期待された高い効果が見られないとか、あるいはより優れた他の医薬品が先に承認されるなど、当初の期待値が下がっていくということもありますので、そういった場合には取消しをするということも含めて、今回見直しを行っております。
以上が大きな見直しですが、これに付随してスライドの14ページを御覧ください。今、申し上げた見直しに伴いまして、オーファンとして指定される件数が従来よりも増えることが予想されております。この場合、従来はオーファンに指定されたものは全て優先審査として取り扱っておりましたが、現行の機構の体制で、優先相談も含めて、優先審査の取扱いとすることは難しいという状況があります。これについては、体制の強化も引き続き検討してまいりますが、当面の間については、オーファンに指定されたものであっても、そのうち優先審査の対象となるものは、従来のオーファンの指定対象となっていたものに限定するという当面の運用をさせていただくこととしております。したがいまして、今後オーファンの指定可否について御議論いただく場合に、オーファンとしては指定はされますが、優先審査には該当しないものというものが含まれてきうるという形になりますので、御承知いただければと思います。以上、事務局からの説明となります。
○清田部会長 ありがとうございました。
○事務局 続きまして、今回御審議いただく品目の御説明をさせていただきます。資料6-2の事前評価報告書を御覧ください。品目名は「talquetamab」、申請者は「ヤンセンファーマ株式会社」です。予定される効能・効果は「多発性骨髄腫」で、推定患者数は約2万9,000人と推計しております。
未治療の多発性骨髄腫に対する治療は、自家造血幹細胞移植、多剤併用化学療法が行われる場合がありますが、これらの治療を実施した場合であっても根治に至ることはなく、再発することがあります。また、再発又は難治性の多発性骨髄腫に対する治療は、プロテアソーム阻害薬等を用いた多剤併用化学療法等が実施されます。しかし、再発又は難治性の多発性骨髄腫に対して、全生存期間の延長を示した標準的な治療は確立されておらず、いずれの治療法によっても根治に至らず、予後不良であります。このような状況より、多発性骨髄腫は未治療、再発、難治、いずれに対しても新たな治療法の開発は望まれており、医療上の必要性が高いと考えております。
開発の可能性に関しては、現在再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした国際共同第III相試験、未治療を対象とした臨床試験が計画中又は実施中となっております。以上より指定要件を満たすと考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。今の御説明に対して御質問はありますか。よろしいですか。
それでは、議決に入ります。川上委員、中野委員、松下委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
続きまして、議題7に移ります。山本昇委員におかれましては、薬事分科会審議参加規程第5条に基づきまして、議題7の審議の間、会議から御退室いただいて、待機していただくこととします。山本昇委員は御退室をお願いいたします。
──山本昇委員 退室──
○清田部会長 よろしいですか。それでは議題7について、事務局から概要の御説明をお願いします。
○事務局 資料7を御覧ください。先駆的医薬品の指定の可否についてです。今回の品目名は「brigimadlin」です。予定される効能・効果は「進行・再発の脱分化型脂肪肉腫」、申請者は「日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社」です。
まず、指定要件の一つ目、治療薬の画期性についてです。本剤は、murine double minute2と結合する低分子化合物であり、がん抑制遺伝子産物であるp53との結合を阻害することで、p53の分解を阻害し、細胞周期の停止及びアポトーシスを誘導することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられており、悪性腫瘍に対する治療薬としては新作用機序となります。
二つ目の指定要件、対象疾患の重篤性についてです。本疾患は、予後不良であり、生命に重大な影響がある重篤な疾患と考えております。
三つ目の指定要件、対象疾患に対する極めて高い有効性についてです。進行・再発の固形癌患者を対象とした国際共同第Ia/Ib相試験の成績によりまして、既存の治療薬に比べて有効性の大幅な改善が見込まれると考えております。なお、化学療法歴のないmurine double minute2遺伝子増幅陽性の進行・再発の脱分化型脂肪肉腫患者を対象とした国際共同第II/III相試験が実施中です。
最後に指定要件の四つ目、世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思・体制についてですが、これは世界に先駆けて又は同時に本邦で申請を行う予定と説明されております。
したがいまして、この四つの要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。御質問はございますか。よろしいでしょうか。
○南委員 南ですが、確認させてください。これはMDM2と呼んでいただければいいのですが、このMDM2阻害薬の作用機序として、p53が正常に作用していることが必要だと思うのですが、そういう視点で開発されているかどうか注意していただければと思います。要するに、p53も変異を起こして機能しなくなっていれば、MDM2をいくら阻害しても効かないということになりますので、有効性の観点から、申請されているデータが、対象患者の腫瘍のp53を野生型に限定しているかどうか注意していただければと思います。これはお願いです。よろしくお願いいたします。
○事務局 御指摘の点、今後注意してまいりたいと思いますが、今の時点で機構から何かありますか。
○新薬審査第五部長 御指摘いただきまして、どうもありがとうございます。もしこれが先駆的医薬品として指定がなされれば、審査マネジメント部の方が開発の過程を見ていくと、コミュニケーションを取りながら開発を進めていくということになりますので、御指摘いただいた事項を注意しながら進めていきたいと思います。ありがとうございます。
○南委員 よろしくお願いいたします。今、MDM2の阻害薬はたくさん開発されているのですが、p53が野生型であることを条件としているものもあれば、ないものもあるようです。理屈の上からは機能が温存されていることが大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 南先生、ありがとうございます。それでよろしいですか。ほかに御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、議決に入りたいと思います。南委員、山本俊幸委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、別室に待機されている山本昇委員をお呼びください。
──山本昇委員 入室──
○清田部会長 続きまして、報告事項の議題に移ります。報告事項議題1及び2について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項について御説明いたします。資料No.9を御覧ください。
まず、議題1、希少疾病用医薬品の指定の取消しについてです。資料No.10の関係です。名称は「パノビノスタット乳酸塩」、予定される効能・効果は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」として、希少疾病用医薬品の指定を受けておりました。本品目については、当該効能・効果に対する本剤の需要が減少し、代替薬も市場に存在することから、承認整理することとされており、それに伴って製造販売を中止するため、希少疾病用医薬品の指定についても取り消すこととしております。
続いて、報告事項議題2、優先審査指定品目の審査結果についてです。こちらは資料No.11の関係です。対象品目は「パドセブ点滴静注用」と「キイトルーダ点滴静注用」です。これらは併用して使われるもので、それぞれ申請者から申請が実施されており、予定される効能・効果は「根治切除不能な尿路上皮癌」です。こちらですが、適応疾患の重篤性につきましては、生命に重大な影響がある疾患に該当すると判断しており、また、医療上の有用性につきましては、対照群に対して、この併用におけるPFS及びOSの統計学的に有意な延長が認められていることから、医療上の有用性もあるということで、優先審査品目に該当すると判断して、2月8日に優先審査の対象として指定をしております。 以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質問はございますか。よろしいでしょうか。ないようですので、報告事項については御確認いただいたものといたします。
本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告はありますか。
○事務局 次回の部会は、令和6年3月4日(月)午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、今日はこれで終了とさせていただきます。どうもお疲れさまでした。ありがとうございました。
( 了 )
- 備考
- 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。
照会先
医薬局
医薬品審査管理課 課長補佐 松倉(内線2746)