- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 人材開発統括官が実施する検討会等 >
- 技能実習評価試験の整備に関する専門家会議 >
- 技能実習評価試験の整備等に関する専門家会議(第80回)議事要旨
技能実習評価試験の整備等に関する専門家会議(第80回)議事要旨
人材開発統括官海外人材育成担当参事官室
日時:令和6年8月23日(金) 10:00~11:00
場所:Web会議
出席者:岩崎委員、漆原委員、後藤委員、當間委員、花山委員、堀委員
厚生労働省人材開発統括官付海外人材育成担当参事官室、出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課、外務省領事局外国人課、外国人技能実習機構
(座席シート縫製職種関係)日本ソーイング技術研究協会、経済産業省生活製品課
(かばん製造職種関係)日本鞄協会、経済産業省生活製品課
議題
(1)座席シート縫製職種の試験の実施・運営状況の報告について
(2)かばん製造職種(かばん製造作業)の職種追加について(職種の概要等の確認)
【概要】
(1)座席シート縫製職種の試験の実施・運営状況の報告について
○ 座席シート縫製職種の試験の実施・運営状況の報告について、日本ソーイング技術研究協会から報告があり、主として以下のような説明・質疑が行われた。
・過去専門家会議で指摘された、試験当日に出題する製作等作業試験の課題を事前に公表することについて、試験開始1か月前の受検票送付時に当日出題する製作等作業試験の課題を通知する取り組みを8月24日試験実施分から行っているとの説明があった。
・会員と非会員の受検料の差をなくすとの説明があったが、同一にするということかとの質問があった。これに対し、会員と非会員の差は極力なくしていく。金額については、前回の決算の状況、これからの予算状況を確認して計算をし、受検料の査定をしている。受検料の改定の時期は協会の会計年度(4月から3月)に合わせて実施するとの回答があった。
○ 報告の結果、座席シート縫製職種の技能実習評価試験について、試験実施機関は会議で受けた指摘に対応していることが確認されるとともに、より一層適切な実施に努めることとされた。
(2)かばん製造職種(かばん製造作業)の職種追加について(職種の概要等の確認)
○ かばん製造職種を移行対象職種として技能実習評価試験及び審査基準を整備することについて、日本鞄協会から説明があり、主として以下のような質疑が行われた。
・技能実習制度を通じてではなく、日本でJICAの研修等を活用し技能移転できないかJICAに相談したところJICAでは対応できないとの説明だったが、モンゴル政府が求めている案件であれば、なおさらJICAが行う案件ではないのか。また、JICAの市民参加協力課に相談した結果とのことだが、なぜ市民参加協力課に相談したのか。本案件については、モンゴル政府が在モンゴル日本大使館を通じて、日本政府やJICAに技術支援をお願いをするべきではないかとの質問、意見があった。これに対し、JICAの本部に相談したところ、製造関係の技術指導の担当部署として市民参加協力課を案内され、長期間にわたる専門家の派遣はできないとの回答だったとの回答があった。これに対し、モンゴル国政府や在モンゴル日本大使館に確認すれば、技能実習制度の活用以外にもっと効果的な技能移転の手法があるのではないかとの意見があった。
・海外の実習ニーズの説明ではベトナム、モンゴルの例を挙げているが、他の国からの受入れについて想定はされているのかとの質問があった。これに対し、インドネシアからのニーズがあることは少し聞いているが、実数までは把握していないとの回答があった。
・必須業務は裁断と縫製になっているが、鞄を作るにあたっては、その前の工程である、鞄のデザインをし、型紙を起こすところのほうが重要なのではないか。必須業務が裁断から縫製までであれば、既存の移行対象職種にある各種の衣服製造と鞄製造との明確な違いは何かとの質問があった。これに対し、衣服と鞄の縫製は非常に似ているが、まずは製品の厚みが異なる。鞄の場合には、中に何枚も芯材があったり、補強があったり、裏地が付いていたりしており、その革の厚みも一定ではなく、厚い所と薄い所で大きな段差がある。一方、衣服の場合には、薄いものが多い。また、鞄の場合は、少しの縫いずれで変形したいびつさが製品に残ってしまう等、求められる縫製精度も衣服と異なる。なお、求められる縫製スピードは衣服の方が速い、との回答があった。これに対し、説明資料の中に、そのかばん製造の特徴を書いたほうが良い。また、今後作成する技能実習評価試験においても、厚みのある生地を縫製する技能の有無を明確に判断できるような内容にした方が良いとの意見があった。
・外資系企業はベトナムからさらに人材コストの低い国へ生産拠点を移管し始めているとの説明があったが、出ていってしまった後の工場とその従業員たちはどうなっているのかとの質問があった。これに対し、ベトナムにある外資系企業の工場でもハイブランドの鞄製造は残すなどしているようにみえるが、その下請工場は閉鎖しているとの回答があった。
・有名なブランドもベトナムを中心にバッグを作っていると聞いている。既に現地に熟練労働者が多くいて、実習生を日本が受け入れなくても、現地で一定の教育を実施することは可能ではないか、また、日本で育成しないと修得できない技能があるのかとの質問があった。これに対し、日本の鞄の良さは機能性にあり、外から見える機能の他、内側の機能、芯材の機能により、例えば鞄を非常に軽くすることもでき、そういった機能性のある鞄を製造する技能を日本で身につけることができる。また、ベトナムには熟練労働者がいるが、少ない工程で、低コストで多くの鞄をつくるという技能をもっていることが多く、日本における鞄製造に必要な技能とは異なる部分がある。さらに、検品についても、単に縫えているか否かだけではなく、日本では仕上がりの良さを確認することが求められるとの回答があった。これに対し、機能的な鞄の製造や美的感覚は設計やデザインの工程で修得できるものであり、必須業務の裁断や縫製の工程で修得できるものではないように思えるので、実習生に修得させる技能について再度整理することとの意見があった。
・技能実習法の改正法案が既に成立していて、技能実習生を受け入れられるのはあと3年かと思うが、あえて今回3号技能実習まで行うこととしていることの背景は何かとの質問があった。これに関連して、事務局から、改正法の施行時点で2号技能実習を1年間実施している実習生であれば技能実習3号の終わりまで実習できるので、当該職種の技能実習を開始する時期にもよるが、3号技能実習を整備しても受けられる可能性が全く無いことはないとの補足説明があった。
・教育スケジュールについては、日本人労働者でも、適性や技能修得能力により個人差があり、多少の前後があるとの説明があったが、実習生に対して、3年間あるいは5年間という限られた期間の中で、個人差にどのように対応していくのかとの質問があった。これに対し、ミシンに関する治具をうまく使うことによって個人差なく縫製ができるようになるので、治具の使用方法も含めて教えるとの回答があった。これに対し、外国人の場合、日本語が不慣れなこともあり、慣れない機器を扱うことにより、日本人よりも教育に必要な年数が多くなるのではないかとの質問があった。これに対し、作業マニュアルなどでは言葉の問題はあるが、実際に縫ってみせることで伝わるよう、丁寧に実習することでカバーできるとの回答があった。これに対し、日本人の教育テキストがないため、まずは日本人向け教育テキストを作成した後、外国人向け教育テキストをつくり、その中に日本語修得についても含めるべきではないかとの意見があった。これに対し、業界内の公式テキストはないが、各社ともに概ね同じ教育スケジュールを設定しており、各社で教育に必要な資料は作成しているとの回答があった。これに対し、技能実習評価試験に対応できるように、技能実習において言語・習慣の違いに対応できる実習内容や技能実習指導員の選任基準、実習実施者の要件、また、それらをどう周知して実効性を高めるのか検討すべきではないかとの意見があった。これに対し、ご指摘を踏まえて検討するとの回答があった。
・検品が関連業務に位置付けられているが、関連業務は、技能実習評価試験の項目には入らない。検品は重要だとの説明があったため、検品は必須業務にして、技能実習評価試験で技能の習得を確認するべきではないかとの意見があった。これに対し、御指摘を踏まえて検討するとの回答があった。
・必須業務について、裁断と縫製だけでは、与えられた型紙に従って作業を淡々とこなすだけなので、機能性付与に関する業務、例えばトートバッグのような単純な鞄の型紙の起こし方やポケットを1個付けるときの型紙の起こし方など、基本となる型紙の起こし方等を少しでも必須業務に追加できないかとの質問があった。これに対し、2、3年目は部分的なパーツを完成させることが目標になっており、内側のポケットの難しい作り方なども学ぶことにしている。型紙作り、パターン作りについては、日本人でもなかなか1、2年で習得できるものではないので、縫製の実習を行う中で型紙を確認することで型紙のことを覚えていくこととし、今回の技能実習の対象から外したとの回答があった。
・これまでの議論を大まかに総括すると、技能実習制度の改正法案が成立し、技能実習生を受け入れられるのはあと3年である中、別の効率的な技能移転を行う方法がないのか、なぜ技能実習制度の中で行うのかを整理すること、次に、技能実習の体制、環境、方法の明確化とそれらの実施をどう担保していくのかを整理すること、また、鞄製造に特有の必要な技能として、衣服製造に必要な技能との違いを明確化するとともに、日本でなければ鞄製造の技能を修得できないことを明示すること、最後に、技能実習評価試験で評価することを踏まえ、必須業務、関連業務、周辺業務を整理すること、が必要であるとされた。
○ 検討の結果、かばん製造職種(かばん製造作業)については、次回以降、引き続き、議論が行われることになった。
(以上)