第135回先進医療会議 議事録

日時

令和6年9月5日(木)16:00~

場所

オンライン開催

出席者

【構成員等】
新井座長 竹内座長代理 北脇構成員 近藤(晴)構成員 近藤(正)構成員 手良向構成員 長瀬構成員
松山構成員 山本構成員 黒瀨構成員 榎本技術専門委員


【事務局】
審議官 医療課長 医療技術評価推進室長 先進・再生医療迅速評価専門官 医療課長補佐 研究開発政策課長
研究開発政策課長補佐 治験推進室長補佐 他

議題

  1. 1 先進医療Aに係る新規技術の科学的評価等について
     (先-1)(別紙1)(別紙2)

  2. 2 先進医療実施医療機関からの報告について
     (先-2)(別紙3)
  3.  (先-3)(別紙4)
  4.  
  5. 3 その他

議事

 
16:00開会

○新井座長
 それでは、時間となりましたので、ただいまより「先進医療会議」を開催いたします。
 まず初めに、本年7月をもちまして渡辺構成員が御退任されました。
 これに伴いまして、今回より、黒瀨巌先生に新たに構成員に加わっていただくことになりました。
 黒瀨先生、一言御挨拶よろしくお願い申し上げます。
○黒瀨構成員
 皆様こんにちは。黒瀨と申します。日本医師会で常任理事を務めさせていただいております。
 このたび、本会議の構成員を承ることになりました。専門は消化器内科でございます。これから、どうぞよろしくお願いいたします。
○新井座長
 どうぞよろしくお願いいたします。
 続いて、構成員の先生方の出欠状況ですが、佐藤構成員、滝田構成員、比企構成員以外は全員御出席です。欠席されます構成員の先生方からは委任状の提出があり、議事決定につきましては座長に一任するとされております。
 また、事前評価をしていただいた榎本技術専門委員に御出席をいただいております。
 なお、事前評価をしていただきました、池田技術専門委員からは、御欠席との連絡をいただいております。
 欠席される技術専門委員の先生からは委任状の提出がありまして、議事決定につきましては、私、座長に一任するということでいただいております。
 なお、榎本技術専門委員におかれましては、議題1「先進医療Aに係る新規技術の科学的評価等について」のうち、整理番号354の技術審議が終了した時点で御退席いただいて構いません。
 それでは、資料の確認を事務局からよろしくお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 本日もどうかよろしくお願いいたします。
 頭撮りについては、ここまでにさせていただきます。
 それでは、まず、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、委員名簿に続きまして、「先進医療Aの新規技術の科学的評価等について」として先-1の資料がございます。こちらには、別紙1及び別紙2がついてございます。
 続きまして、「先進医療実施医療機関からの報告について」として、先-2、先-3の資料がございます。こちらには、別紙3、別紙4がついてございます。
 資料につきましては以上でございます。
 今回の先進医療会議におきましては、ウェブ上で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用する資料一式を事前に送付させていただいております。申請書類等については、送付させていただいた資料を閲覧していただきます。発言者は、会議資料のページまたはタブレット資料のページをあらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上、助かりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○新井座長
 資料等についてはよろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○新井座長
 特によろしいようですね。それでは、次に進みます。
 それでは、今回検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしておりますが、その結果について、事務局から報告をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 今回検討対象となる技術等に関しての利益相反はございません。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○新井座長
 ありがとうございました。
 そのほかの出席されている構成員におかれましては、このような事例はないということでよろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○新井座長
 確認させていただきました。ありがとうございます。
 次に、「先進医療Aに係る新技術の科学的評価等について」の資料が提出されておりますので、事務局から御説明をお願いいたします。
 2件ありますので、1件目については事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 それでは、先-1に基づきまして御説明をさせていただきます。
 今回、先進医療Aの新規技術として御審議をいただく技術でございますが、まず、1件目、整理番号354番「腹腔鏡下卵巣がん・卵管がん・腹膜がん根治術」でございます。
 適応症につきましては、「摘出可能と判断される卵巣がん(卵管がんや腹膜がん、境界悪性卵巣腫瘍も含む)及び術前治療を行った後、摘出可能と判断される卵巣がん(卵管がんや腹膜がん、境界悪性卵巣腫瘍も含む)」となってございまして、係る費用につきましては、資料にお示ししたとおりでございます。
 今回、大分大学医学部附属病院より申請がございました。
 こちらの事前評価につきましては、松山構成員及び榎本技術専門委員にお願いしてございまして、松山構成員より「適」、榎本技術専門員より「適」の御評価をいただいております。
 続きまして、別紙1の4ページ目を御覧いただければと思います。
 こちらは、当該技術を実施するための「実施責任医師及び医療機関の要件」をお示ししてございます。
 まず、「実施責任医師の要件」でございますけれども、「診療科」は「産婦人科または婦人科が必要」、そして、「資格」は「婦人科腫瘍専門医が必要」、「当該診療科の経験年数」は「7年以上が必要」、「当該技術の経験年数」は「不要」、「当該技術の経験症例数」につきましては「3例以上は必要」、としてございます。
 また、「医療機関の要件」でございますけれども、「診療科」は「産婦人科あるいは婦人科を有するかつ病理診断科及び麻酔科が必要」、「実施診療科の医師数」は「2名以上が必要」、「他診療科の医師数」は「病理診断科、麻酔科医師が各々1名以上必要」となっております。「その他医療従事者の配置」につきましては、「臨床工学技士、診療放射線技師が必要」となっております。
 「病床数」は「100床以上が必要」。
 「看護配置」は「10対1看護以上が必要」。
 「当直体制」は「毎日必要」。
 「緊急手術の実施体制」は「必要」。
 「院内検査(24時間実施体制)」は「必要」。
 「他の医療機関との連携体制」は「必要」。連携の具体的内容としましては、「有害事象発生時、他急変時の受け入れ、ただし自施設で対応可能な場合は不要」となっております。
 それから、「医療機器の保守管理体制」は「必要」。
 「倫理委員会による審査体制」につきましては「必要」であり、審査開催の条件としましては、「臨床研究の倫理指針において、倫理審査委員会の運営に関して定められた細則を遵守すること」となってございます。
 「医療安全委員会の設置」につきましては「必要」。
 「医療機関としての当該技術の実施症例数」は「3例以上は必要」。
 「その他」の要件は「なし」となっております。
 事務局の説明は、以上でございます。
○新井座長
 ありがとうございました。
 ただいまの整理番号354に関しましては、事前評価を松山構成員にお願いしております。松山構成員より技術の内容及び評価結果について、御説明をお願いいたします。
○松山構成員
 よろしくお願いします。
 本試験は、先ほど御説明ありましたように、卵管がんや腹膜がん、境界悪性卵巣腫瘍も含む摘出可能と判断される卵巣がん、あるいは術前治療を行って摘出可能と判断される卵巣がんに対する腹腔鏡下手術に関しまして、通常の開腹手術と比較して、周術期の合併症の発生率が同等であること、さらには、術後のQOLなどの改善につながることを検討するかを目的とした試験であります。
 卵巣がんに対する根治術式自体は子宮体がんで行われている術式と同じであるため、同様の手技能力があれば、実施可能と考えられます。本医療技術としては、既に保険適用が認められています早期の子宮体がん、子宮頸がんで行われている術式とほぼ同じであって、同様の手技能力があれば、実施可能と考えられます。さらには、術後の手術合併症も減少させることが期待されています。
 研究デザインといたしましては、本来は、腹腔鏡下手術の開腹手術に対するランダム化非劣性の試験を採用すべきところですけれども、資金的に難しい、あるいは研究期間が長期にわたる、あるいはインフォームドコンセントの観点から困難であるという理由から、観察研究のデザインになっています。そのため、術式に関する症例選択にかなりのバイアスが入ることが予想されますが、傾向スコアマッチング法という方法を用いてバイアスを補正する予定になっております。
 予定対象者数は、各群の周術期の合併症の発症率が約20%と仮定して、いわゆる非劣性のマージンを10%という根拠に計算されて、各群約200名、合計400名の研究となっています。
 開腹手術と比較して、長期の有効性に関しては、本試験では明確にはなりませんが、また、症例選択に関するバイアスをどの程度補正できるか分かりませんが、腹腔鏡下手術の安全性に関するある一定程度のエビデンスは得られるものと考えます。
 総合評価といたしましては、「適応症」として「妥当である」。「有効性」としては「従来の技術を用いるよりもやや有効である」。「安全性」は「あまり問題がなし」。「技術的成熟度」に関しては「当該分野を専門とした数多く経験を積んだ医師または医師の指導下であれば行える」。「社会的妥当性」は「倫理的に問題はなし」。「現時点での普及性」は「罹患率、有病率から勘案して、普及していません」。「効率性」は「やや効率的」。「将来の保険収載の必要性」は「保険収載を行うことが妥当」と考えて、「総合評価判定」はして「適」とさせていただきました。
 私からは、以上になります。
○新井座長
 ありがとうございました。
 続きまして、榎本技術専門委員より評価結果について、御説明をお願いいたします。
○榎本技術専門委員
 榎本から報告させていただきます。
 婦人科悪性腫瘍に対する腹腔鏡下根治術につきましては、子宮体がん・子宮頸がんに対しましては、先ほど松山先生がおっしゃったように、既に保険収載されておりまして、内視鏡手術の手技に習熟した婦人科腫瘍の専門医が属したチームの下に多くの施設で既に行われております。多数の症例が既に蓄積されております。
 婦人科のがんの場合は、例えば外科でしたら、臓器別に専門医がおられると思うのですけれども、婦人科の場合には、子宮体がん・子宮頸がん・卵巣がんという病気で、それぞれの専門医というのではなくて、それも、全ての婦人科卵巣がんを治療する専門医という形で資格が認定されております。
 今回の技術につきましては、卵巣がんに対しての標準術式であります子宮の全摘術に加えて、附属器を摘出する。それから、必要に応じて大網もしくは後腹膜のリンパ節である骨盤内及び傍大動脈リンパ節を摘出するというものですけれども、リンパ節郭清につきましても、子宮頸がんでは、通常、骨盤内のリンパ節郭清をするのが普通でございますし、子宮体がんにつきましても、腹腔鏡下の骨盤リンパ節・傍大動脈リンパ節の郭清が認められております。
 海外では、既に学会発表もありますし、多数論文発表もありますし、レトロスペクティブに腹腔鏡下手術と開腹手術を比較した論文では、腹腔鏡下手術は開腹手術とほぼ同様の全生存率・無再発生存率を示すと報告されています。
 ところが、本邦では、卵巣がんに対する腹腔鏡下手術は、保険適用となっていないために、実際のところは行われておりませんが、ほぼ同じような術式の手術は非常に頻繁に行われている状況であります。
 したがいまして、日常的に、子宮体がんや子宮頸がんに対して内視鏡手術を行っている施設では、卵巣がんに対する腹腔鏡下根治術は、基本的に子宮体がんと子宮頸がんに対して行う手術とほぼ同様の手術であるために、困難な技術ではないと考えております。
 したがいまして、適応症につきましても、摘出可能な卵巣がんに対する手術ということで、卵巣がんの場合には、たまに腹腔内に非常に播種病変が多い病変があって、そういう場合には、全部を摘出するのは不可能と考えますので、そういうのは対象にしないませんが、中には数個の播種病変だけで摘出が可能というものがありますので、そういった症例を対象としておりますし、また、初回手術で取れそうでない症例は、卵巣がんは化学療法にレスポンスがいい症例が多いものですから、術前化学療法を3~4コースあらかじめ施行することによって、、病変が小さくなるケースが多く、摘出可能となることが半数以上の症例であります。
 したがいまして、「適応症」につきましても「妥当である」と考えますし、「有効性」につきましては、特に開腹になりますと、恥骨から剣状突起までの大きな開腹が必要になって、術後は、患者さんは創部痛が強いですし、癒着等でイレウスが起こる頻度が1割近くはあるのではないかと思います。場合によっては、再開腹でイレウス解除が必要になったケースも私も経験しますし、そうでなくても、数週間の絶食とか、イレウス管の挿入とか、そのような処置とが必要になるようなこともたまにあります。
 ところが、体がんに対して、リンパ節郭清術と傍大動脈の郭清を含む根治術を行った場合には、開腹術では剣状突起までの切開が必要になるのですけれども、腹腔鏡下でやった症例を見ますと、術後にイレウスはまず起こらないので、腹腔鏡下手術は優れた技術で、有効性も高いと考えております。
 「安全性」に関しましても、子宮体がん・子宮頸がんの経験から、あまり問題ないと考えており、「技術的成熟度」も、子宮体がん・子宮頸がんに対して、腹腔鏡下手術を実際に行っている施設につきましては問題ないのではないかと考え、倫理的な問題等も特にないと考えております。「現時点での普及性」は、私、最初はAとしていたのですが、それは術式という意味で判断して、腹腔鏡下の子宮全摘術+附属器摘出よくやられているから普及していると考えていますが、卵巣がんに絞って考えると、保険収載されてないので、当然ながら、「普及していない」という結果になります。「効率性」は、どう言うか難しいのですけれども、患者さんに対するメリットという意味では非常によくて、いい技術ではないかと思います。将来的には、患者さんのことを考えると、保険収載に持っていっていただきたいなと考えております。全体をまとめまして、ぜひ、この技術を先進医療として認めていただきたいなと考えております。
 以上でございます。
○新井座長
 ありがとうございました。
 ただいまの御説明について、何か御質問等ございますでしょうか。
 特にないようでございます。
 それでは、構成員の評価結果どおりに決定したいと存じますが、よろしいでしょうか。
(構成員首肯)
○新井座長
 特に異議がないということにさせていただきます。
 それでは、御参加いただきました榎本技術専門委員におかれましては、御退席いただいても差し支えございません。御協力、誠にありがとうございました。
○榎本技術専門委員
 失礼いたします。
○新井座長
 ありがとうございました。
 次に、2件目について事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 それでは、先-1を再度御覧ください。
 2件目の技術は、整理番号355番「PICSI(Physiologic intracytoplasmic sperm injection)」でございます。
 こちらは、既に先進医療Aとして実施している技術でございます。今回、申請医療機関より適応症の拡大の申請があり、通知に則って、新規技術として取り扱うこととして進めさせていただいております。
 適応症につきましては、「高度不妊治療(ART)を要する不妊治療患者」となってございます。
 係る費用につきましては、資料にお示ししたとおりでございます。
 今回、医療法人社団神徳会芝公園かみやまクリニックより申請がございました。
 こちらの事前評価につきましては、北脇構成員及び池田技術専門委員にお願いしてございまして、北脇構成員より「適」、池田技術専門委員より「適」の御評価をいただいております。
 続きまして、別紙2の4ページ目を御覧いただければと思います。
 こちらは、当該技術を実施するための実施責任医師及び医療機関の要件をお示ししております。
 まず、「実施責任医師の要件」でございますけれども、「診療科」は「産婦人科、産科、婦人科または女性診療科が必要」、「資格」は「日本産婦人科学会認定産婦人科専門医、かつ日本生殖医学会認定生殖医療専門医であることが必要」、「当該診療科の経験年数」は「5年以上が必要」、「当該技術の経験年数」は「不要」、「当該技術の経験症例数」は「不要」となっております。
 また、「医療機関の要件」でございますが、「診療科」は「産婦人科、産科、婦人科または女性診療科産婦人科が必要」、「実施診療科の医師数」は「必要」ということで、「常勤の日本産婦人科学会認定産婦人科専門医が1名以上配置されていること」、「他診療科の医師数」は「不要」、「その他医療従事者の配置」は「必要(胚を扱うことができる技術者)」となっております。「病床数」は「不要」、「看護配置」は「不要」、「当直体制」は「不要」、「緊急手術の実施体制」は「不要」、「院内検査(24時間実施体制)」は「不要」、「他の医療機関との連携体制」ということで「必要」、こちらは「連携の具体的な内容」としましては、「緊急の場合その他当該療養について必要な場合に対応するため、他の保険医療機関との連携体制を整備していること」、「医療機器の保守管理体制」は「不要」、「倫理委員会による審査体制」は「必要」、「審査開催の条件」は「倫理委員会が設置されており、必要な場合に事前に開催すること」、「医療安全管理委員会の設置」は「必要」、「医療機関としての当該技術の実施症例数」は「不要」、となってございます。
 事務局からの説明は、以上でございます。
○新井座長
 ありがとうございました。
 整理番号355の技術については、事前評価を北脇構成員にお願いしておりますので、北脇構成員より技術の内容及び評価結果について、御説明をお願いいたします。
○北脇構成員
 北脇でございます。
 それでは、総評の評価用紙の総評のところから、簡単に御説明させていただきます。
 顕微授精におきましては、いかに良好な質の精子を卵子に注入するかが、その後の受精及び妊娠予後に重要な要素となります。現在は、精子の形態によってグレードをつけまして、良好なものを選別していますが、さらに客観的な選別方法が求められています。
 今回、申請のPICSIは、正常に成熟した精子には、ヒアルロン酸レセプターが発現していることを利用して、固相化したヒアルロン酸に接着した精子を選別するという技術です。
 本研究は、令和4年に先進医療Aの下に開始されておりますが、現在に至るまで、症例登録がほとんど進んでいないのが実情です。その原因として、適応疾患を「胚移植を受ける不妊症患者の中で、胚移植後に反復して流産を認めた者、あるいは奇形精子を伴うものに限る」と、その範囲を強く限定しているためと推測されます。
 今回、適応疾患を「高度不妊治療を要する不妊治療患者」とし、顕微授精を行うほぼ全ての症例に拡大していますので、症例登録が進むものと期待できます。
 本技術は、市販されたキットを使用する確立されたものであり、既に国内外で広く施行されています。ただ、前回、申請時点での格式あるRTC論文におきましては、PICSIは、従来法の顕微授精に対して、妊娠率や出産率の有意な改善は見られておりませんでした。しかし、その後、英国での大規模研究において、PICSIの十分な優位性は認められていなかったものの、流産率の低下や高齢患者への有効性が示されております。今回、申請の研究計画の下に、一定期間に十分な症例を確保し、その成績に基づく日本初のエビデンス構築が望まれております。
 ということで、その前のページの評価のところでございますけれども、「適応症」に関しては「妥当」ということでございます。
 池田技術専門委員におきましても、妥当であると述べておられます。
 「有効性」に関しましては、「B」の「やや有効」といたしましたけれども、池田技術専門委員に関しましては、同程度という、この前の報告がその程度でありましたので、そちらの「C」にされておられますが、今申し上げたとおりです。
 「安全性」は「問題なし」。
 「技術的成熟度」は「A」といたしました。これは、池田技術専門委員は「B」とされていますけれども、先ほども御紹介ありましたように、生殖医療専門医であることが条件になっておりますので、その点で対応できるかと思います。
 「倫理的問題」は「なし」。
 「普及性」ですけれども、症例数としましては、現在、既に自費での部分がありますので、ある程度普及している「B」と考えております。
 「効率性」に関しましては、「やや効率的」の「B」といたしましたが、前の論文からしますと、同程度ぐらいという「C」であるかもしれません。
 「将来の保険収載の必要性」は「A」「将来的に保険収載を行うことが妥当」とさせていただきました。
 全体としまして、「適」とさせていただいております。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○新井座長
 ありがとうございました。
 続きまして、池田技術専門委員より評価結果についてでありますが、池田技術専門委員は本日御欠席ですので、事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。別紙2の3ページ目を御確認ください。
 先ほど、北脇構成員から御説明いただきましたので、簡単に説明させていただきます。
 「適応症」については「A」、「有効性」については「C」、「安全性」は「A」、「技術的成熟度」は「B」、「社会的妥当性」は「A」、「現時点での普及性」は「C」、そして、「効率性」は「C」、「将来保険収載の必要性」は「A」と判定していただいております。
 「総合判定」は「適」としていただいておりまして、コメント部分でございますけれども、「本治療はエビデンス構築が求められている。その視点から本研究計画は妥当と考える」。とのことでございます。
 事務局からは、以上でございます。
○新井座長
 ありがとうございます。
 ただいまの御説明について、何か御質問等ございますでしょうか。
 特にないようでございます。
 それでは、構成員の評価結果どおりに決定したいと存じますが、よろしいでしょうか。
(構成員首肯)
○新井座長
 ありがとうございます。
 それでは、御確認をいただきましたので、そのようにさせていただきます。
 続きまして、事務局から「申請医療機関からの報告について」の資料が提出されております。御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 それでは、資料先-2、別紙3、先-3、別紙4に従いまして御説明をさせていただきます。
 こちらは、東京医科歯科大学病院における先進医療の事案につきまして、前回の会議に引き続き、当病院から報告があったものでございます。
 まずは、先-2を御覧ください。こちらは事務局の資料でございます。
 まず、経緯を簡単にまとめております。経緯の概要としましては、先進医療A告示番号7「多項目迅速ウイルスPCR法によるウイルス感染症の早期診断」、告示番号15「タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養」、告示番号23「子宮内細菌叢検査1」、告示番号24「子宮内膜受容能検査1」の4技術について、令和6年8月2日に、当該医療機関から先進医療事務局に、本先進医療に係る事案について報告がなされた。
 当該報告を受けて、同事務局は、新井座長に報告の上で、当該医療機関における当該先進医療の新規組み入れの中止について伝達し、同日から新規組み入れ中止とした。
 8月8日に開催された第134回先進医療会議に第1報があり、当該報告に基づき審議を行った。
 このたび、先進医療会議からの指摘事項を踏まえ、当該医療機関から2回目の報告があった、ということで、2番目に報告の内容が別紙の3のとおりとさせていただいております。後ほど説明させていただきます。
 そして、「今後の対応について」というところで、「本事案について、内容に関して確認すべきことはないか。」、それから、「今後の対応についてどう考えるか。」というところで御審議いただければと思います。
 次に別紙3を御確認ください。
 こちらが、今回、追加で報告のあった資料内容となります。ポイントを絞って御説明させていただきます。
 まず、当該要請を受け、本医療機関では、本件に関し、詳細を調査すべく、8月13日に調査委員会を立ち上げ、現時点において調査した結果について以下にまとめる。
 まず、本先進医療に関する詳細の報告についてということでございます。
<先進医療A告示番号7>「多項目迅速ウイルスPCR法によるウイルス感染症の早期診断」。
 実施期間は、2016年2月1日からで〔本技術の症例実績〕は135例となっております。
次に、〔経緯〕についてでございます。
 2016年1月、先進医療既評価技術への参加について、医療支援課で書類を確認し、関東甲信越厚生局へ申請した。
 同年2月、承認通知を受領し、同月開催の病院運営会議の承認を受けた。
 同年10月、申請機関である神鋼記念病院の実施計画書等を参考に、当院の実施計画及び同意説明文書の作成をし、診療録等審査管理委員会に審査申請し、承認を受け、先進医療Aとして本検査の実施を始めた。
 2024年3月、本先進医療の体制変更があり、さらに通知の改正を受けて、改めて本学医学部倫理審査委員会(以下、「倫理委員会」という。)への申請について検討する中で、以下について判明した。
 選択基準を満たさない患者に対して先進医療として検査が行われていた事例が6例、2ページ目にお移りいただきまして、選択基準を満たすものの適切な同意取得が行われなかった事例が8例(うち2例は事後にて文書同意取得)となってございます。
 次に、<先進医療A告示番号15、23、24>の3技術につきまして、まとめて御報告いただいております。
 実施期間は、2022年4月1日から、〔本技術の症例実績〕は、告示番号15の技術については114例、23及び24の技術につきましては1例となっております。
 こちらの〔経緯〕でございます。
 2022年4月、生殖補助医療に関して、一部保険適用となることを機会に、関東甲信越厚生局へ先進医療A既評価技術としての実施届出を行った。
 同年6月、本院が上記技術の参加機関となることを病院運営会議において承認された。
 同年8月、先進医療実績報告の際に、診療としてではなく研究スキームに乗せるべきという意見があり、本技術に関する研究同意説明文書を作成し、倫理委員会の承認を受けることとした。
 2024年1月、研究同意説明文書が倫理委員会の承認を受けた。
 同年7月、倫理委員会で承認された研究同意説明文書には、先進医療に関する説明や費用負担が記載されていないことが判明した。
 一方で、倫理委員会には審査されていないが、先進医療に関する説明や費用負担の詳細が記載されている説明文書を用いて説明されていることも確認した。
 とのことでございます。
 続きまして、当該医療機関の先進医療に関する管理体制についての御報告でございます。
 当院医師が先進医療Aを実施する場合の手続は、以下の手順となっている。
  • 申請書類及び費用算定について各診療科担当医師より医療支援課に相談。
  • 同意説明文書については、<研究として実施される場合>「研究計画及び研究同意説明文書を倫理委員会で審査」。<診療として実施される場合>は、「実施計画及び同意説明文書を院内のインフォームドコンセント委員会(もしくは診療録等審査管理委員会)で審査される」。
 ただし、医療支援課としてはあくまでも同意説明文書の準備は診療科で行うものであり、さらに、各委員会への付議が必要なものという認識もなかった。
※研究として実施するか、診療として実施するかの判断は、実施責任者の医師に委ねられており、当院内における先進医療Aの実施方法については、統一的なルールがなかった。③ 必要書類がそろった段階で医療支援課より届出。
 次のページでございます。
  •  先進医療として受理された内容は、諸料金規則の改正として病院運営会議に諮られて承認されるが、実施計画の内容や同意説明文書は病院運営会議には諮問されない。
  •  先進医療として診療費用請求は医事会計システムを通じて行われるが、同意説明の内容や同意書の取得については確認されることなく患者へ請求が行われる。
 ということで、現在の管理体制についてということで報告をいただいております。
 次に、「今後の再発防止策について」でございます。
 今回判明した不適切事案である4技術の調査に加え、当院で実施中の先進医療Aについて全件調査を行っているところ。
 当院で実施中の先進医療Aは、ほかに2技術あり、それらについても同意取得に不備があることが確認されたため、御報告させていただきたい。こちらは、【告示番号5】と【告示番号6】の技術でございます。本件技術に関する事案の概要は、次の資料で御説明させていただきます。上記を踏まえ、上記2技術に関する調査結果も含め、全ての不適切事案に関する詳細の御報告とともに、再発防止策を含めた報告書を次の先進医療会議までに提出させていただきたい。
 なお、本件を受け、当院で実施されている先進医療Bについても全件調査を行ったところ、下記4技術が実施中のものであり、全ての技術において適切に同意取得がなされていることを確認した、ということで、先進医療B4技術行っていただいておりまして、確認した内容が表に示されております。
 こちらは、東京医科歯科大学病院の藤井病院長からの御報告でございました。
 続きまして、先-3の資料を御説明させていただきます。
 こちらが、先ほどお伝えした、新たに報告された2技術についてということでございます。
 まず、「1.当該技術について」ということで、まず1技術目、告示番号5、告示日は平成26年1月1日で、医療技術名は「ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法)」でございます。適応症は、豚脂様角膜後面沈着物もしくは眼圧上昇の症状を有する片眼性の前眼部疾患(ヘルペス性角膜内皮炎又はヘルペス性虹彩炎が疑われるものに限る。)又は網膜に壊死病変を有する眼底疾患(急性網膜壊死、サイトメガロウイルス網膜炎又は進行性網膜外層壊死が疑われるものに限る。)でございます。
 医療技術の概要ですけれども、ヘルペス性角膜内皮炎、ヘルペス性虹彩炎が疑われる片眼性の前眼部疾患、急性網膜壊死、サイトメガロウイルス網膜炎、進行性網膜外層壊死が疑われる網膜壊死病巣を有する眼底病変は、ヒトヘルペスウイルスが原因と疑われる。このような症例の前房水を前房穿刺、あるいは硝子体液を手術時に採取して、これらの眼内液からDNAを抽出し、本診断法により、こちらに記載のあるとおりの項目のDNAの同定と定量を行う。この診断に基づいて適正な抗ウイルス治療を行う、となっております。
 次に、告示番号6、告示日は平成26年1月1日で、医療技術名は、細菌又は真菌に起因する難治性の眼感染症疾患に対する迅速診断(PCR法)でございます。適応症は、前房蓄膿、前房フィブリン、硝子体混濁又は網膜病変を有する眼内炎でございます。
 医療技術の概要につきましては、内眼手術直後からの眼痛、前房蓄膿、硝子体混濁を呈する外因性眼内炎や体内に感染巣があり、眼痛、前房蓄膿、硝子体混濁を呈する内因性眼内炎では、早急に細菌感染を疑い、検査をする必要がある。このような症例の前房水を、前房穿刺、あるいは硝子体液を手術時に採取して、これらの眼内液からDNAを抽出し、本診断により細菌16S rDNAの定量を行う。この診断に基づいて適正な抗生剤投与、硝子体手術を行う、というものでございます。
 2.の「経緯、医療機関側の対応について」というところでございますが、1ポツ目、2024年8月8日に報告した先進医療A告示番号7、15、23、24における不適切事案について、当該医療機関が調査を進める中で、当該医療機関で行っている他の先進医療Aの技術についても全件調査を行った。
 その結果、告示番号5については、同意書の保管がされていない症例が14例、倫理審査委員会で承認を受けていない同意書を用いた症例が3例あることが判明した。また、告示番号6の技術については、同意書の保管がされていない症例が9例あることが判明した。
ということでございます。
 ページをおめくりいただいて、2ページ目。「3.先進医療会議としての対応」としましては、2024年8月20日に当該医療機関から先進医療事務局に対して第一報の連絡がありました。既に、当該医療機関における当該先進医療の新規組み入れは中止しているとのことを確認した。上記報告を受けて、同事務局は新井座長に報告した。
 「今後の対応について(案)」でございますけれども、本事案に関する詳細な報告の要請。それから、これまでに報告のあった事案と併せて、今後の再発防止策について、当該医療機関における検討の要請、とさせていただいております。
 別紙4につきましては、こちらは、医療機関から提出いただいた報告書の速報でございます。こちらも、東京医科歯科大学病院藤井病院長より御報告をいただいております。
 この技術につきましては、まず、不適切な事案があったことについて、同医療機関から先進医療会議に対して、まず、緊急の御報告があったものでございます。
 資料につきましては、以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○新井座長
 ありがとうございました。
 この問題は、前回のこの会議でも取り上げさせていただきました。今回、当該施設の病院長からの報告がございました。
 初め、先進医療Aの1つの事例について問題があったわけですが、結局、最終的には6件のプロジェクトでそういう問題があったと。
 一方、Bについては4件、大きな問題はなかったという御報告だったと思います。
 この件に関して、何か御質問等ございますでしょうか。
 黒瀨先生、よろしくお願いいたします。
○黒瀨構成員
 こんにちは。黒瀨でございます。御指名ありがとうございます。
 本不適切な事案に関しましては、複数の技術にわたるもので、また、複数の診療科にわたるものということで、非常に深刻に受け止めております。徹底的な原因究明と、そして、改善案を提出いただきたいと望んでおるわけですけれども、一方、先進医療を受けられるはずの患者さんが、今、この新たな組み入れを中止しているということで、その技術のメリットが享受できないという希望もございます。そういったことも考えますと、丁寧かつ慎重な原因究明と対応策を立てるとともに、スピード感を持って、できるだけ早くこの技術がまた再開できるように補完をいただきたいということをお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○新井座長
 ありがとうございました。貴重な御指摘だったと思います。
 できれば、10月の会議で何とか当該施設から調査結果、再発防止策をいただきまして、今、御指摘のあったとおり、本来、享受を受けるべき患者さんが受けられないという、そういう問題も早急に対応する、解決するといったようなことを図りたいと思っております。
 ほかに何か御質問はございますでしょうか。
○近藤(晴)構成員
 よろしいでしょうか。
○新井座長
 よろしくお願いいたします。
○近藤(晴)構成員
 近藤でございます。
 この事案は、昨年問題になったNCGMにおける事案と同じものが対象になっているかと思うのですね。平成26年に始まって、感染のウイルスを早くチェックするという意味で意義のあるものだと思うのですけれども、その間に、多分、関わる医師がどんどん替わっていっているということがあって、こういったことが起こりやすくなっているのだろうと思います。
 前回、NCGMの事案については、非常に迅速に真摯に対応されましたので、それを参考にして今後の対策を練っていただくことを言っていただけるとよろしいのかなと思って拝聴しておりました。
 以上です。
○新井座長
 ありがとうございます。
 この点、事務局は何かよろしいですか。
 仰せのとおりでございますので、そのようにさせていただきたいと思います。
 ほかはよろしいでしょうか。
 それでは、引き続き医療機関におきまして、先進医療実施例について調査をいただいて、先ほど申し上げましたように、10月の会議でそれらの調査結果及び再発防止策について報告を求めたいと思います。そこで一定の結論が出ればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 こういったようなことでよろしいでしょうか。
(構成員首肯)
○新井座長
 ありがとうございました。
 それでは、そのようにさせていただきます。
 本日の議題は残り「その他」となっておりますが、事務局からは何かございますでしょうか。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局では、特にございません。
○新井座長
 構成員の先生方から、何かございますでしょうか。
 特にないようです。
 それでは、本日の議論は以上としたいと思います。
 次回の開催について事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 次回の開催については、令和6年10月3日(木)16時からを予定しております。場所については、別途御連絡をさせていただきます。
○新井座長
 ありがとうございました。
 それでは、第135回の「先進医療会議」を、これをもって終了といたします。
 御協力に心から御礼申し上げます。ありがとうございました。