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第62回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録|厚生労働省
健康・生活衛生局 感染症対策部予防接種課
日時
令和6年9月9日(月)10:00~12:00
場所
WEB会議にて開催
(厚生労働省 専用第21会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)
(厚生労働省 専用第21会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)
議題
- (1)予防接種基本計画について
- (2)その他
議事
- 議事内容
- ○溝口予防接種課課長補佐 それでは定刻になりましたので、第62回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会」を開催いたします。
本日は御多忙のところ、委員の方々には御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の議事は、公開・頭撮り可となっております。
また、前回と同様、議事の様子につきましては、YouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
なお、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラ撮りにつきましては、議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
また、傍聴される方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
次に、本日の出欠状況について御報告いたします。
本日は、伊東亜矢子委員と清元委員より御欠席の連絡をいただいております。
磯部委員は、まだ入っておりませんが、後ほど入る予定でございます。
現在、委員12名のうち、磯部先生が入りまして、10名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
また、事務局に異動がございましたので、御紹介申し上げます。
8月1日付で健康・生活衛生局感染症対策部予防接種課長に、前田課長が就任してございます。
また、本日、9月9日付で同課課長補佐に小塩補佐が着任しておりますので、よろしくお願い申し上げます。
続きまして、資料確認でございます。
本部会の資料につきましては、あらかじめ送付させていただいた電子ファイルで閲覧する方式で実施いたします。
番号01の議事次第及び委員名簿から番号08の利益相反関係までを用意しております。
資料の不足等、御不明な点がございましたら、事務局までお申し出ください。
なお、大変申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
それでは、ここからの進行につきましては、脇田部会長にお願いいたします。
○脇田部会長 皆様、おはようございます。
今日も基本方針部会をどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、最初に、いつもどおり、事務局から審議参加に関する遵守事項について、御報告をお願いします。
○溝口予防接種課課長補佐 事務局でございます。
本日の審議参加の取扱いについて、御報告いたします。
本日御出席の委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づきまして、薬事承認等の申請資料への関与・ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況について申告をいただきました。
委員からの御申告内容につきましては、番号08の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
なお、本日の議事内容に関しまして「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はおりませんでしたので、御報告申し上げます。
また、毎回のお願いで恐縮でございますが、各委員におかれましては、講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も確認していただくことにより、正しい内容を申告いただきますよう、お願い申し上げます。
事務局からは、以上でございます。
○脇田部会長 御報告ありがとうございました。
それでは、議事に入ってまいりたいと思います。
議事次第を御覧ください。
本日は、今年3月にも議論した、予防接種基本方針の見直しについて議論していきたいと思います。
その中で論点になっております「予防接種に要する費用」「予防接種健康被害救済制度」「予防接種データベース」について議論を進めてまいりたいと考えております。
最初の資料は、資料1「予防接種に要する費用について」ということであります。
こちらについて、事務局から説明していただきます。
事務局、よろしくお願いいたします。
○溝口予防接種課課長補佐 ありがとうございます。
事務局でございます。
資料1につきまして御説明させていただきます。
冒頭でございますが、現在の予防接種基本計画につきましては、接種の費用に関する記述がございまして、今回の基本計画の改定に合わせて現状や制度、過去の取組などを御説明の後に、本パートに関する記載内容と考え方について整理、御審議いただきたいと思っております。
大きく分けまして、パート1が「予防接種に要する費用の現状、制度」。
テーマ2が、これまでの取組。
テーマ3が、テーマ1及びテーマ2を踏まえての記載内容の考え方となっております。
それでは、資料について説明させていただきます。
初めに、4ページをおめくりください。テーマ1の「ワクチン行政の概要」につきまして御説明させていただきます。
ワクチン行政につきましては、大きく分けて「薬事行政」と「予防接種行政」の形になっております。
薬事行政につきましては、ワクチンに関する承認前の審査として開発・治験に関する内容、承認審査に関するもの、製造に関するもの。
また、薬事承認後も販売規制や安全対策、監視指導、副作用被害救済などになっております。
これらのワクチン行政を踏まえつつ予防接種行政として、承認されたワクチン全てが定期接種になるわけではありませんので、「定期接種化の検討」に入っていきます。
「定期接種化の検討」としましては、伝染のおそれがある疾病の発生及びまん延を予防するワクチンについて、ワクチンの安全性、有効性、費用対効果の観点から評価・検討していただき、対象者や実施方法についても検討されます。
そこで、仮に定期接種化として採用するワクチンが出た場合、現在の仕組みでは、定期接種の実施主体は市区町村、予防接種費用についても市町村が支弁という形になってございます。
また、予防接種費用の一部につきましては、地方交付税により措置されているほか、実費徴収をすることが可能となってございます。
また、定期の予防接種におきましては、A類疾病とB類疾病という形で2つの疾病分類がございます。
A類疾病につきましては、集団予防の観点から実施されるもの。
B類疾病に関しましては、主に個人の重症化予防の観点から実施されます。
また、A類疾病につきましては、定期接種を受ける努力義務がある点、市町村からの接種勧奨がある点がございます。
B類につきましては、定期接種を受ける努力義務を課していない点、市町村からの接種勧奨についても課していない点、ここの2点が大きな違いとなってございます。
その後、予防接種の副反応を疑うものがあった場合、予防接種副反応疑い報告例をPMDAに報告。
または、審議会に報告して、適正な実施のために必要な措置を講じます。
また、定期接種に伴い健康被害が生じた場合には、疾病審査会などを経て医療費・医療手当、死亡した場合の補償などをしております。
4ページ目の説明は、以上です。
5ページ目ですが、本資料は定期の予防接種の費用負担について、A類疾病、B類疾病をそれぞれ示したものになります。
A類疾病は、主にジフテリア、百日せき、ポリオ、日本脳炎、BCGなどのワクチンとなり、これらについては、接種費用の9割相当を地方交付税で措置をしている状況。
また、B類疾病は、高齢者のインフルエンザワクチン、今回の新型コロナワクチンもですが、低所得者については、法律上、接種費用を取ることができない規定になっている関係上、接種費用の3割程度について地方交付税で措置し、残り7割分については、市町村で支弁、ないし一部自己負担を取っている仕組みとなっております。
A類疾病であれB類疾病であれ、予防接種に関する費用については、公的接種として実施されており、その多くは公費による負担になっている構造になっております。
次に6ページ目でございます。
現在、定期接種化を検討しているワクチンの主な審議内容になります。
大きく分けまして「新たな対象疾病に関する検討」の内容と、既に対象疾病である疾患に関して、接種回数や年齢などに関する検討となります。
直近では、帯状疱疹ワクチンに関する検討が7月18日に基本方針部会、RSVワクチンに関しましては、9月4日に実施したところでございます。
また、既に対象疾患である内容についても、主に小児に対する肺炎球菌ワクチンや、HPVワクチンの男性への接種に関する内容について、ワクチン評価小委員会などで議論されているところでございます。
7ページ目、定期接種の実施に要する費用の関係でございます。
現在の定期の予防接種につきましては、市町村と医療機関で委託契約を結んで、そこで実施、という形となっていますが、典型例としまして「その1」、「その2」がございます。
典型例1としましては、市区町村と医療機関でワクチン代と接種費用を含めた委託単価契約を結んで、そこで実施している点。卸売販売業と医療機関の関係は、医療機関が卸売販売業からワクチンを購入し、手配している点です。
典型例2としましては、ワクチンに関しては市町村で準備して提供、医療機関との委託契約は、接種費用のみとしているパターンと、大きく分けて2つございます。
定期接種に要する費用につきましては、単価かける接種回数で、単価につきましては、ワクチン費用と予診票などの接種に要する費用、手技料などの費用に接種回数を掛ける形で構成されております。
8ページですが、現在の予防接種基本計画の記載にある内容となります。
大きく分けまして、第二と第四に記載がございます。
第二につきましては「国、地方公共団体その他関係者の予防接種に関する役割分担に関する事項」の「国の役割」に「定期の予防接種の対象疾病、使用ワクチン及び接種回数の見直しの検討を含めて、必要な財源の捻出及び確保等に努める必要がある」と記載がございます。
また、第四につきましては「予防接種に要する費用」としまして、その多くが公費により負担されている点。
そのため、国、地方公共団体その他関係者が連携しながら、ワクチンに関する価格調査の実施、公平で透明性の高い価格決定プロセス及び医学的管理の費用水準の検討等、その結果について国民及び関係者に情報提供する取組が必要であると記載されています。
また「可能な限り少ない費用で望ましい効果が得られるよう、ワクチン価格の低廉化等に向けて関係者が努力することが必要である」と、現行の予防接種基本計画上は記載されてございます。
9ページですが、令和元年11月に、予防接種基本方針部会におきまして、接種費用の内容について御議論いただいたところがございます。
そのときの主な意見について、ここに記載しております。
まず、「ワクチン価格について」の1番目の御意見ですが、ワクチン価格については、競争市場で決まるとはいえ、定期接種となったワクチンについては、市町村がどのような価格であっても購入する必要があるため、売手側に有利なメカニズムになっている。市場がきちんと機能していない限りは、価格は何らかの形でコントロールする必要があり、国が介入するのも一つの方法ではないか、とのお話がございました。
また、定期接種化の対象にするには、財政的影響や費用対効果の点から、一定の上限額を決めて、それを超える場合に、経済的に定期接種は難しいのではないかとの判断もあり得るのではないかという御意見がございました。
○の2番目ですが、自治体の規模や状況などから、予防接種にかけられる費用も様々である点。
また、全国で統一的にこれを定めるのは難しい面もあり、自治体の運営上、なかなか苦労があるという点を理解いただきたいというお話がございました。
○の3番目ですが、これは当時ワクチンメーカーの参考人の方からの意見ですが、ワクチン単価が高いというお話が議論の中でありまして、その中で、スケールメリットや改良、薬事規制の対応なども必要であること、古いワクチンの中には、決して高いと言えないワクチンもあることを御理解いただきたいというお話がございました。
○4、当時の川崎市の例でございますが、ワクチンを行政で買い上げて医療機関に提供しているところ。これらの取組については、できる自治体はかなり限られるのではないか。
また、このような取組をしても、なお、他の市町村と比べて、さして購入価格が下がらないというところで、なかなか運用が難しいという御意見がございました。
下段になりまして「ワクチンの費用対効果」に関する内容ですが、これも既に審議会で導入されておりますが、非常に必要な取組であるという点。
各国でも導入されているので、日本でも積極的に進めていく必要があるという御意見がございました。
以下が、テーマ1に関する内容でございます。
続きまして、テーマ2の内容でございます。
11ページを御覧ください。
テーマ2に関しましては、これら基本計画の内容に沿った形で、過去にワクチン価格調査を実施したことがございまして、それの御紹介となります。
10年以上前になりますが、平成24年度に自治体と医療機関との委託契約について、全自治体、当時の全てのワクチンについて調査を行っております。
12ページは、そのときの調査の報告例の一例になります。
一方、当時のワクチン価格調査では、委託単価以外にワクチン価格と手技料、問診料を別に調査しております。
総勢80ページぐらいになりますので、ここでは詳細については割愛させていただきますが、当時の報告資料につきましては、当時の審議会にも載せてございますので、今回参考資料2に添付しておりますので、御参照いただければと思います。
13ページですが「自治体における取組事例」ということで、今回の審議に際しまして、いくつかの自治体に取組事例をお伺いし、その結果について、簡単ですが、事例紹介をさせていただきます。
A市、B市いずれも資料の典型例2のケースになります。
「A市における取組」としましては、A市市内の医薬品の卸売業者から複数見積りを取得して、その中で最も安く提示した業者と随意契約の形でワクチンの調達の契約をし、市と卸売業者が契約して、医療機関にワクチンを提供している点。
効果につきましては、1社と長年取引するのではなく見積りを複数取得するため価格が抑えられているのではないか、というお話でございました。
「B市における取組」につきまして、もう少し進んでおりまして、卸売業者を対象に入札を実施しまして、そこで一番安い価格の卸売業者と契約する、企業からの入札額や市の予定価格についても公表しているところでございます。
これらを公表していることで価格の透明性の確保が図られているのではないかという点、
価格面においても一般競争をした上で入札しておりますので、安価に抑えられているのではないか、というお話でございました。
その他、複数の卸売業者に毎年度価格を聞いた上で、委託単価を設定しているなどの取組の工夫があったところでございます。
最後15ページですが、今、お話しさせていただきましたテーマ1及びテーマ2を踏まえまして、予防接種費用に要する現状と、予防接種基本計画の改定に当たって、記載の考え方について記載してございます。
まずは、前段の「現状」についてですが、予防接種に要する接種費用につきましては、ワクチン価格は薬価のような公定価格ではなく、市場競争原理に基づいて価格が決定されている点。
定期接種の実施に当たる委託契約については、市区町村と医療機関間の契約であること。
また、医療機関のワクチン購入についても、卸売業者との民民契約であることなどとなっている点から、国が接種費用のプロセスに対して、直接的に関与する仕組みになっておりません。
○2、定期接種の検討に際しまして、厚生科学審議会においてワクチンの安全性、有効性とともに、費用対効果を確認した上で検討が行われている点。
○3、定期接種について、接種費用の一部については、地方交付税による地方財政措置が講じられている点。
○4、予防接種費用の見える化、適正化の取組の一助としまして、過去に市町村や医療機関などを対象にした価格調査を実施し一部公表しているところが現状でございます。
これらの現状を踏まえまして、以下が「予防接種基本計画の記載に係る考え方」となってございます。
現行の予防接種基本計画は、平成26年度に改定されたもののため、当時は、ワクチン・ギャップをどう解消するかが主題でした。
その後、我が国の定期接種化されるワクチンについては大分増えたこともあり、ワクチン・ギャップについては解消されつつあります。
一方、定期接種となるワクチンの種類や接種回数の増加に伴う自治体への影響については、財政面をはじめ、その影響について現状小さくない状況でございます。
これらの状況を踏まえまして、今後も公的接種として継続的かつ安定的に予防接種行政を進めていくために、また、「ワクチンで防げるものはワクチンで防ぐ」という施策を行っていくためには、以下の取組について、基本計画に明記し、定期的に予防接種費用の見える化、透明性の確保を図るとともに、接種に要する費用の適正化についてもつなげることとしてはどうかと考えてございます。
具体的には、下の1ポツ、2ポツでございまして「ワクチンに関する価格調査等の実施」。
先ほど紹介しました、各自治体の定期接種のワクチン別の委託契約単価の調査及び公表。
または、接種委託医療機関のワクチン価格調査もできれば行えればと思ってございます。
「2.国民及び関係者への情報提供の実施」。
○1、1で実施した調査及び接種費用の適正化に取り組む自治体の事例につきまして、調査した結果について、厚労省のホームページや審議会、自治体説明会などを通じて情報提供を行う形としてはどうかと考えてございます。
その他、これ以外に公平で、透明性が高い価格決定や接種に要する費用の適正化に向けて、どのような取組を考えることができるか、本日、先生方から御意見やお知恵などをいただければと思ってございます。
資料1に関する御説明については、事務局からの説明は以上になります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
予防接種基本計画の改定に向けての論点ということで、予防接種に要する費用についての資料を御説明いただきました。
例えば3つありましたが、基本的には、限られた予算で定期接種を実施しますから、可能な限り少ない費用で望ましい効果が得られるよう、ワクチン価格の低廉化に向けて、関係者が努力することが必要であるという基本的な考えがあるところですね。
その上で、自治体の価格の状況、報告を見ますと、費用についてはばらばらというか、かなり差があるところも御説明いただき、取組事例も御説明いただいたところで、今後、改定に向けてどのようなことを記載していくかというところで、最後のページに、ワクチンに関する価格調査の実態、情報提供の実施を記載してはどうかという報告でした。
それでは、委員の皆様から御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
坂元委員、伊藤委員、笹本委員の順番でお願いいたします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
第1点ですが、確認ですが、5ページのB類の定期接種については、市町村が予防接種にかかる費用の3割相当を地方交付税で賄うとなっています。
これは当然、予防接種法28条の趣旨にのっとってですが、その3割とは、経済的に困難な状況にある、つまり、低所得者を無料にするための地方交付税による負担額に相当しているという解釈でよろしいのかということです。
また、市町村によっては、低所得者の解釈とその比率は、多分、様々だと思うのですが、総務省が低所得者を3割と計算した根拠がお分かりになれば、お教えいただければと思います。これは厚生省のマターではなく、総務省でございますので、今、お分かりにならなければ、後日でも結構です。
また、7ページにあります、地方交付税の算定根拠にある、予防接種の市町村による医療機関への委託単価に相当する接種単価、つまり、総務省がどのような計算で行っているかということは、市町村側に公表されていないので、その実態が分からないことも付け加えさせていただきたいと思います。
2点目ですが、ワクチン単価について、川崎市は、先ほど行政が直接と言いましたが、今では、行政が薬剤師会に委託して入札で一括購入しています。ある意味で行政が関与している点においては変わりありませんが、一括購入して、ワクチンの現物を医療機関に現物配布しております。
しかし、入札を行っても、市場価格は他都市の価格ではなく、正確には、市場価格の数パーセントしか価格が下げられていない現実があることも事実です。
しかし、7ページにありますように、多くの市町村では、予防接種にかかる費用は、市町村と医療機関との契約で、医療機関に支払うワクチン代と、手技料などの接種費用を決めております。これらを合わせて、先ほどの委託単価と呼ばれております。
仮に、問屋さんが医療機関に1,000円でワクチンを販売しても、医療機関と市町村との契約で、医療機関に2,000円支払うという契約になっていることも想定されると思います。これが、先ほどの各自治体の接種費用が非常にばらばらになるところではないかと思っております。
もちろん、市町村によって様々な事情があるとは思いますが、手技料に関しても、診療報酬で決められている初診料にさらに上乗せしたり、乳幼児加算とか様々な項目を加算して、接種費用として支払っている市町村もあります。
お示しいただいた平成24年の調査でも明らかなように、これがワクチン代や接種費用に数倍の差が市町村間で出る大きな原因ではないかと思います。
川崎市の事例から考えると、これは市場価格で販売されているワクチン価格によるものではないと考えるのが妥当ではないかと思います。
市町村が医療機関に払う接種委託単価は、当然、税金で支払われますので、本来、これは公開対象になると思われます。したがって、国が全国の市町村を定期的に調査して、市町村ごとに幾ら使っているかということを市町村ごとに公表しても、法的には何ら問題ないと思います。
このページの中でも、ワクチン調査を今後行っていくと書かれておりますので、市町村としても、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
私からは以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
坂元先生から市場調査をするという話があって、それは必要なのかと思いますが、イギリスでは、国が入札して、価格だけでなくて、納入の期間も保証してワクチンを決めていて、2009年のH1N1インフルエンザワクチンのときにも、多額の費用を日本政府が外国の企業に補償している事例もありますし、今回の接種でも同様の事案があったと思いますが、これについては、生産・流通部会で、定期接種化の要望とともに、長期契約についても要望を外国企業から受けています。
個人的には、現行の様式でそれほど悪いとは思っていないのですが、自治体の負担を考えますと、薬価と同様に、国である程度目安を提示してしまうのはどうかと思います。納入のボリュームが少ないところでは、地方自治体の事務負担が大変大きいので、それらを軽減するためには、国としてある程度目安を出したほうがいいのではないか。
費用対効果を検討するために、企業からもともと納入予定価を聞いているわけですから、薬価を決めるのと大して変わらない作業量はその段階でもあるわけで、そういう意味で、国としてある程度コントロールしてあげるほうが、自治体の負担を取る上でいいのではないかと思うので、そういった検討がされているかどうかについても御回答いただければと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
続いて、笹本委員、お願いします。
○笹本委員 日本医師会の笹本でございます。
ありがとうございます。
ただいまの資料につきまして、参考資料2を拝見いたしますと、平成24年度の調査は、大変詳細に検討されていることが分かりました。
平成24年のデータの影響はどうだったのか、検証は行われたのか、その後のワクチン価格や接種の単価につきまして、ぜひ教えていただきたいと思います。
もう一点ですが、調査を実施するのであれば、その目的とともに、検査項目の検討と十分な周知期間をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
続きまして、白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。
よろしくお願いいたします。
そもそもなのですが、価格の話にも関係していますが、価格というか、費用負担について、自治体が予防接種行政の主体だという原則は、当面、変わらないというか、そういうことなのか、確認したいと思いますが、特にB類で言われる個人の重症化予防につきましては、一部、医療の一環ではないかと思えるところもありますし、新型コロナワクチンのときもそうでしたが、ハイリスクの方を優先することがあっても、自治体としては、基礎疾患を持っているような方を把握できないのです。
そういう意味で、高齢であるとか、65歳以上であるとか、そういった形で定期接種の範囲にすることを考えてきたと思うのです。
今後、いろいろな自治体からの定期接種にしてくれという要望がたくさんあると思うのですが、その場合、成人とか大人のワクチンが増えることについて、その年齢層もかなり多いですから、自治体での費用負担はかなり増えると思っていますので、そもそもの自治体が主体であるところを崩せないのかとか、医療の一環として、予防医療という意味での保険適用であるとか、基礎疾患を有する人に限ってということになるかもしれませんが、そういうことも考えながら、自治体の費用負担がどこまで軽減されるかとか、そういうことも考える必要があると思いました。
以上です。
そういう考え方の御検討が国からもあるのであれば、少しお知らせいただきたいと思います。
お願いします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
宮入委員、お願いします。
○宮入委員 ありがとうございます。
基本的に、定期接種を進めていくという考え方には非常に賛成でありまして、そのための価格の公表、あとは、伊藤先生がおっしゃったように、公定価格に近い基準のようなものを示すのは一つの在り方かと思います。
その一方で、これを全国津々浦々で実施するためには、それぞれの自治体や医療機関における流通や人的なリソースの違いも背景にあり、地方自治体によってはより多くの費用がかかるような事情があることも考慮しなければなりません。
もう一点は、価格をどんどん下げていったときに、せっかく開発されたワクチンメーカーの開発努力やその制度の維持という観点で、そこの意欲をそがない前提も必要かと思っております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
次に、中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。
ありがとうございます。
まず、基本的なこととして、資料にも記載いただいた価格の透明化、見える化には非常に賛成でございます。
他の国と我が国とでは、医療制度、予防接種制度も異なるので、単純に比較はできませんが、米国などは、CDCのウェブサイトを見ますと、各種のワクチンにつきまして、CDCプライスという公的機関で接種する場合の価格と、プライベートセクターという価格が公表されています。価格そのものを公開することが、より価格が上がってしまうことにつながるのだと。
確かに非常によくないと私は思いますが、今、我が国は、ワクチンに関しては、定期接種に関しては全部公費で賄われていますので、どれだけの費用がどのようにかかっているか、国民の皆様に結構分かりにくいと思うのです。
そういたしますと、今日は、予防接種法に関係したワクチンのお話でしょうが、任意接種のワクチンは非常に割高感があって、予防のための手段であるにもかかわらず、任意接種の扱いだと、我が国ではワクチンがほとんど普及しません。
その辺りが、予防接種基本計画の基本として書かれている、ワクチンで予防できる疾患は予防することにいま一つ合致できていないところもあって、いろいろな方法があると思いますが、基本的には見える化、透明化に賛成でございます。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
続きまして、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
既に多くの委員からありましたが、基本的に、私も価格調査の実施とその公表の方針については賛成です。
ワクチン政策は、国際的に見ても、費用対効果分析が非常に重要になってきていると認識しています。
特に新しいワクチンが次々と開発されていて、その多くのワクチンは非常に高額です。
また、新型コロナのパンデミックも踏まえて、国際的なワクチンの不均等、それを是正していくワクチンエクイティーという観点も非常に重視されている中で、各国で実施する費用対効果分析はとても重要になってきていると認識しております。
ただ、費用対効果分析を実施するときに、当然、公的負担はこの程度であると想定して計算するわけですが、実際に始めてみると、現場ではコストが違うというのであれば、費用対効果分析の意義も減じてしまうこともありますので、我が国においてもきちんとワクチンの価格、手技料が完全に均一化できるかどうかはともかく、ある程度の標準化に幅を持って取り組んでいく必要があるのではないか。その重要性がますます重要になっているのではないかと認識しています。
公表によって、どこまでそれを図ることができるのか、その実効性を担保する必要があると思いますが、まずはワンステップとして、調査・公表を進めていく意義については十分にあるのではないかと考えています。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、一通り御意見をいただいたと思いますが、私からも。
私も基本的に、この調査をして透明化を図る、公表していくことに関しては賛成したいと思います。
基本的には定期接種のお話で、限られた予算の中でなるべく効果を得られるようにということで、関係者が努力するということで、もちろん、メーカーにも努力していただいて、厚労省にも、自治体にも努力してもらって、その価格をなるべく下げていくところはあるわけです。
ただ、坂元先生がおっしゃったように、自治体の努力では、ワクチン価格に関しては数パーセントしか効果がないと。
一方で、実際の調査によると、かなりばらつきがあると。
それぞれどうしてばらつきがあるかというと、地域によって定期接種をきちんと進めるために、そういった費用が必要になってくるという自治体ももちろんあるかもしれません。
ただ、そういったところはきちんと調査して、どうしてそういった費用がかかるのかということに関しても、定期接種を広く進めていく上で、国民の皆さんに定期接種を届けるということで必要なことがあるのだと。
一方で、そういうものがない場合であれば、そういったところは費用を低廉化していくことも可能になる可能性がありますので、そういった調査と公表、透明化は非常に重要であると考えております。
というところで、それでは、事務局から、今、委員の先生方から御意見と、御質問もございましたので、レスポンスできるところはお願いしたいと思います。
よろしくお願いします。
○前田予防接種課長 予防接種課長でございます。
御意見ありがとうございます。
後ほどの資料2、資料3にも少しつながる話で、ぜひ御意見をいただきたいところでございますが、本日の議題自身は、予防接種法に基づいて、予防接種基本計画をどういう形で進めていくのがよいかというところについて、皆様に議論いただきたいと思っております。
今いただいた御意見の中で、法改正を伴うようなお話も多数いただいたかと思うのですが、できますれば、まず、現行法に基づいて、どういう形で計画を進めていくべきかという形で御意見を賜った上で、法改正に関する事項に分けて、ぜひ御意見をいただければ大変ありがたいと思っております。
そういう意味では、法改正事項については、まず、現行の法制度の中で御議論いただければ大変ありがたいところが1点でございます。
個別の質問については、事務局からお答えできるところは、逐次、お答えしていこうと思っております。
○溝口予防接種課課長補佐 事務局でございます。
いろいろな意見をいただきまして、ありがとうございました。
全てお答えが届くかですが、坂元先生の御意見からお話ししたいと思います。
まず、お話のあったB類接種の3割措置相当なのですが、まずは先生の御理解のとおりでございまして、法律上は低所得者に対して実費を取ることができないことになっておりますので、それに関する内容について、地方交付税の措置料が3割となってございます。
あと、低所得者を3割とした根拠でございますが、平成25年度にこの仕組みができておりますが、当時の議論、当時の割合として、3割程度でなかったのではないかという御議論があったのかとは思いますが、詳細についてはすぐに分かりませんので、そこは事務局で調べさせていただければと思います。
あと、平成24年度の調査でございますが、当時、大分詳細に実施させていただきました。
これにつきましては、笹本先生からも御意見をいただいてございますが、今回、この調査がベースにはなるのですが、調査の内訳や内容については、いろいろな関係者や方々が関わるところがありますので、公表の仕方とか調査内容については改めてまた点検・検討させていただきたいと思ってございます。
一方、公的な接種としてやっている以上は、何らかの調査やそれに基づく公表が必要ではないかと事務局として思っているところでございます。
あと、伊藤先生からお話がございました、令和元年にも議論がございましたが、ある程度国でワクチンを一括で入手したり、あるいは提示してはどうかという御意見ですが、これも今、課長からお話しのとおり、現行の枠組みの中でどのようなことができるかというところでございますので、すぐに善し悪しをお話しすること、あるいは予防接種検討部会、基本部会の中で議論をやるのはなかなか難しいと思ってございますが、御意見として受け止めたいと思います。
あとは、笹本先生からお話しいただいた、平成24年に実施・公表したデータの使われ方でございますが、当時の議論は詳細に分からないのですが、当時、公表して、その後、これについて価格が下がったのか、上がったのか、あるいは何らかの形で価格が収れん化されたかというフォローアップ的な調査や検証などはしていないところでございます。
今回調査を実施するに当たって、今後定期的に実施するところ、あるいは新しいワクチンが増える、あるいは接種回数とか、いろいろなものがある中で、10年刻みとか5年刻みという形ではなくて、ある程度の短い期間で定期接種の調査とするところと、そこら辺の公表の仕方についても検討したいと思います。
あと、お話しのとおり、調査をする以上は、当然目的、あるいはそれをどのように公表していくかという点でございますが、一方、ワクチンの価格は市場価格に委ねている点もございますので、調査内容については、公表については、例えば高くするために導く、あるいは低くするために導くという形ではなくて、あくまで中立的であるべきと考えてございますので、その公表の仕方も、当然中立的である。
価格調査を公表すれば、当然比較して、高いところは安くしろ、安いところは高くしろみたいなことは起きると思うのですが、それを統一的に一番大きい母集団に導くような形の意図を持った資料という作り方は難しいので、そこら辺も含めて、また検討させていただきたいと思います。
また、白井先生からお話があった、自治体が実施主体となるのは当面変わらないのか。という話でございますが、まず、現行の予防接種法に、予防接種事業については、市町村が実施主体であること、あるいは市町村の支弁で実施する明記してございますので、法律上、ここに書いてある以上は、現行の仕組みの中で工夫する形になります。
あとは、宮入先生からお話があった、価格はいいけれども、逆に安い内容に引っ張られることによって、ワクチンメーカーが生産や供給に関する意欲を失ってしまうのではないかというところでございますが、決して安いばかりではないので、そこら辺のバランス感覚というか、研究開発部会との議論等もございますが、この価格調査は、あくまで中立的な内容としてお話を上げていくものと検討してございます。
中野先生の議論とも関連しますが、現行の予防接種費用に関する内容について、価格がなかなか見えづらい、あるいは透明化、決定プロセスが分かりにくいという御意見をいただいてございまして、それについて、どのような形でお答えしていくかというお話も、今回いただければと思っていたところです。
価格の見える化、透明化は、時代的にも内訳とかそういうものをできるだけ公表する時代でございますし、この調査も、それらの内容の手がかりとすることができればと思ってございます。
あとは、鈴木先生からお話しいただいた、同じような話でございますが、ワクチンの関係で、ある程度標準化が必要ではないかという点でございますが、お話しのとおり、この調査自体で価格の標準化を最初から狙ってやるものというよりは、あくまで全国的にどのような形で価格が分布されているかというところをまずはお示しするところでございます。
その中で、いろいろな関係者の方、自治体の方も含めて、どのように実施していくかは、正直、これからというところでございますが、そこら辺を目指しつつも、この資料に関しては、まずは見える化、透明性を高めるという観点を第一主眼に置いて調整させていただければと思ってございます。
私からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
今、事務局からレスポンスをいただきましたが、当然、現行法でできる範囲の話と、今後、法改正をしなくてはいけないといった議論は切り分けて話をしていただきたいと、冒頭に課長からお話がありました。
それでは、レスポンスいただきましたが、さらに委員の先生方から何か確認しておきたいこと、さらなる御意見はございますか。
池田委員、お願いします。
○池田委員 池田でございます。
今御説明いただいて、私の疑問といいますか、気になっていたこともおおよそ理解できたのですが、先ほどイギリスやアメリカのお話が委員の先生方から御紹介がありましたが、このようにワクチン価格を見える化している国は、日本で定期接種化を考える上で、諸外国のいろいろな状況などの提供もいただいているわけですが、その中で、こうした価格を公表、あるいは見える化しているような国がどの程度あるか。
逆に、それを公表しないことで価格をより有利に下げるような対応をしている国もあるように理解しておりますが、もし事務局のほうで諸外国の状況などが分かりましたら、教えていただきたいと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 先ほど日本医師会の笹本先生から、平成24年の公表のときに、どういう影響があったかというお尋ねですが、当時、私もまだ予防接種部会の委員をやって、これが公表されたのは非常にインパクトがあって、それぞれの市町村が、おたくは幾ら払っているのと、盛んに情報交換をやって、特に政令指定都市間は、かなり情報を密にやっていたので、かなり医療機関への委託単価が収れん化した事実はあったようで、この調査はかなり大きな効果があったのではないかと、当時の担当として、そのように思っております。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
情報提供ということで、非常に貴重な情報でした。
それでは、今、池田先生から御指摘で、何か把握されていることがあれば、事務局からお答えいただけますか。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。
ありがとうございます。
諸外国の価格公表の事例という点につきましては、事務局としても、米国において価格公表の取組があることは把握しております。
その他諸外国は、網羅的に把握していないところでございます。
○脇田部会長 それでは、そちらは情報がもしあれば、できるだけ調査して、また我々にも教えてほしいと思います。
よろしくお願いします。
そうですね。価格を公表しないことでうまくコントロールするというやり方もあるかもしれませんが、少し時代の流れに合うか、合わないかというところもあるかもしれません。
ほかにいかがでしょうか。
大体よろしいですか。
では、この件は、また事務局で引き続き整理を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、議題1のままですが、資料2の説明に参りたいと思います。
資料2が「予防接種基本計画における予防接種健康被害救済制度の検討について」でございます。
それでは、事務局から説明していただきます。
よろしくお願いします。
○佐々予防接種課課長補佐 事務局でございます。
資料2を御覧ください。
まず、2ページ目をおめくりください。
3つのテーマについて、御説明いたします。
3ページ目をおめくりください。
「予防接種基本計画」、及び令和6年7月に閣議決定された「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」において、健康被害救済制度に係る部分を抜粋しております。
こちらの記載では、健康被害救済に係る円滑な運用、健康被害救済制度の周知及び広報が求められているところでございます。
4ページ目をおめくりください。
4~6ページ目までは、予防接種健康被害救済制度の説明となっております。
こちらの4ページですが、予防接種健康被害救済制度の概要となります。
制度の趣旨ですが、予防接種の副反応による健康被害は、極めてまれであるが、不可避的に生じるものであることを踏まえ、接種に係る過失の有無にかかわらず、迅速に幅広く救済することになっております。
5ページ目をおめくりください。
予防接種に係る健康被害に対する給付額の比較を表にお示ししております。
6ページ目をおめくりください。
予防接種健康被害救済制度の審査の考え方についてですが、その認定に当たっては「厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とする」という方針で審査が行われております。
7ページ目をおめくりください。
7ページ目、8ページ目は、広報・周知になっております。
国民への広報・周知については、救済制度に係る専用ホームページにて案内を行うとともに、保護者向けリーフレットにおいても、救済制度の周知を行っております。
8ページ目をおめくりください。
自治体への周知については、例えば新型コロナウイルス感染症がB類疾病の定期接種に位置づけられるに当たり、新型コロナワクチン接種に係る救済制度の取扱いについて、自治体説明会にて必要な周知を行っております。
9ページ目をおめくりください。
9ページ目、10ページ目は、救済制度の円滑な運用についてです。
感染症・予防接種審査分科会の審査体制については、こちらにお示ししておりますが、赤枠にありますとおり、新型コロナワクチンに係る膨大な進達件数に対応するために、体制を強化する必要があったことから、第一・第二・第三部会を令和5年1月から6月に設置しております。
10ページ目をおめくりください。
新型コロナワクチンの予防接種健康被害についての審査実績となっております。
新型コロナワクチンの救済制度について、審査実績をお示ししておりますが、新型コロナワクチンに係る審査につきましては、審査会の開催頻度の増加、審査会の増設、事務局機能の増強の取組により審査の迅速化に努めております。
11ページ目をおめくりください。
まとめになります。
現行の基本計画では、健康被害救済制度に係る円滑な運用、健康被害救済制度の周知及び広報が求められているところでございます。
2ポツ目ですが、予防接種の副反応による健康被害は極めてまれであるが、不可避的に生ずるものであることを踏まえ、予防接種に係る過失の有無にかかわらず、こちらの救済制度は迅速に幅広く救済しております。
なお、健康被害救済制度の認定に当たっては、医学的見地等から個別に審査を行った上で、厳密な因果関係までは求めず、接種によることが否定できない場合も含めて認定を行っております。
救済制度の国民への周知・広報については、リーフレットにて行うとともに、新型コロナワクチンの定期接種が開始されるに当たり、自治体説明会でも、自治体に対して必要な周知を行っております。
新型コロナワクチンに係る審査については、膨大な進達件数への救済制度の円滑な運用のために、第一・第二・第三部会を令和5年1月から6月に設置し、開催回数を月1回から月4回へ増加することで、迅速な審査に努めております。
今後の感染症危機においても、円滑な運用が可能となるよう、政府行動計画でも求められているところとなっております。
以上を踏まえて「予防接種基本計画の記載に係る考え方(案)」でございますが、1、新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、現行の基本計画の周知及び広報の観点は重要であることから、国民にとって分かりやすい制度の周知及び広報の充実に引き続き取り組む旨の記載としてはどうか。
2、今後の救済制度における申請者が急増した場合には、新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、体制強化を図り、迅速な救済に取り組む旨を新たに記載してはどうかと考えております。
事務局からは以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
予防接種健康被害救済制度に関しまして御説明いただきましたが、最初はその制度について、現在の取組、今後の検討ということでありますが、委員の先生方から御意見をいただきたいと思います。
伊藤澄信委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
特例臨時接種に関わる予防接種健康被害救済制度については、リスク・ベネフィットが明確でない中での全国民への接種勧奨でしたから、議論すべきではないと思いますが、90歳代のワクチン接種後に亡くなられた方に対して、4000万円を超える死亡一時金が払われていることについて違和感を持たれている方が多くいらっしゃることも承知しています。
今後は、5ページにあるように、B類になりますので、このようなことがないことは理解しておりますが、今後、妊婦の母子保健、母子免疫に対するRSウイルスワクチンの接種の定期化を考えるに当たって、類似のワクチンでは早産が多くて、開発が中止されているものもありますので、早産に伴う出生時とか、お子さんの障害や死産なども予想されるので、それらの補償を考える際に、A類として捉えるのが難しくなるのではないかという懸念があります。
A類についても、損害保険と同様の逸失利益の考え方を導入することが考えられるのではないかと思ったりもするのですが、行政当局として、そういったことを考えているかどうかについて、教えていただけますでしょうか。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
続きまして、中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。
ありがとうございます。
健康被害救済という考え方が予防接種法の中に定められたのは、法律ができて20~30年かかったと思います。
結構時間がかかったわけでございますが、今日の資料にも書いてございますように、ワクチンには必要なことでございますので、その制度の周知等を図ってもらうことには、もちろん賛成でございます。
それに関係してなのでございますが、ワクチンとの厳密な因果関係までは認めず、ワクチンとの関与が否定できない場合には救済するという現行の考え方にも私は賛成でございます。それも今日の資料に書いてあると思いますが、賛成ではあります。
ただ、さっきの伊藤委員の意見とも少し重複するところがあるかもしれませんが、何らかの基礎疾患を持つ方とか御高齢の方に対するワクチン、体調がよくない方に対するワクチンもこれから増えてきますし、そういった方々を病気から守ることはもちろん大切でございます。
そういたしますと、基礎疾患をお持ちの方とか御高齢の方に接種するということは、それによって、接種後に因果関係は確定できないまでも、体調不良が生じる頻度が増すことは、ある意味間違いない、回避できないことだと思うのです。
現行の法律に基づいてそれを救済していくことは、もちろん継続すべきであると思っておりますが、その中での予算の枠組みとか、いろいろなことを今後考えていかなければならない課題の一つかと思っています。
これも制度が異なるので、海外と単純に比べてはいけないと思いますが、国の制度として、救済の制度で幅広く接種後の救済が認められているのも、我が国はかなりの数救済していただいているほうではないかと理解しておりますので、今度のコロナのことで部会を3つ増やしていただいて、制度を充実させていただいたことは、厚労省の御苦労も、関係者の御苦労もかなり大きかったとは思いますが、それは評価させていただけると考えております。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
続きまして、白井委員、お願いします。
○白井委員 お願いします。
この件につきましては、自治体を経由して、保健所でも健康被害調査会を開きながら、国に申請しているわけなのですが、この件数から見ても、今は大分私たちのところも減ってきていますが、かなりたくさんの書類を提出させていただいたと思っています。
その中で、因果関係が否定できないことにつきましては、大体申請させていただいているのですが、どうしてもこれは違うのではないかという方については、こちらでも整理させていただいているところもあるのですが、国のほうでも処理された結果、これは関係ないのであろうという形で処理されたこともあると思うのですが、またそういう方々から不服申立てが出て、もう一回審査をするような件数もかなり多かったのか、その辺の割合とか、そのような事情がありましたら、お知らせいただきたいと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
続いて、磯部委員、お願いします。
○磯部委員 磯部です。
いろいろとコメントしたいことがあったのですが、最初に、先ほど事務局からお話があった、今回は計画の見直しであって、法律事項には口を出さないでほしいということについてですが、結論がどうなるかはそちらで決めていただくしかないのですが、私は、その区別は一旦無視して、しゃべりたいことをしゃべろうと思っています。
というのは、私はそれほど専門家でもありませんし、法律の下で法律の趣旨に反する不十分な計画ができているときに、それでは不十分ではないかということはコメントすべきでしょう。
他方で、そもそも法律の立てつけが十分でないと思うときに、その不十分な法律のまま計画がつくられていることを前提に、なお計画についてしかコメントできないというのも不合理だと思うからです。
ですので、そこは自由にしゃべらせていただきたいということですが、一つは、健康被害救済制度についての位置づけなのですが、法律では「第五章」と1章を設けて制度をつくっているにもかかわらず、計画の中では一つの項目も立てていないのです。「予防接種の適正な実施に関する施策を推進するための基本的事項」というところに、予防接種に要する費用と予防接種記録の整備との横並びで入ってくる。もともとその位置づけで十分なのだろうかということ自体が、私はかなり疑問に思っているところです。救済制度が法律上、1つの章を設けて、予防接種施策の柱の一つとして位置づけられている以上、もうちょっと充実した中身を書くべきではないかというのが基本的なスタンスです。この点は、予防接種基本計画に含める事項について定めた、予防接種法3条2項に対する不満と言ってもよいかもしれません。
しかし、その上で、救済制度がしっかりとしていることが一つの安心材料となって、予防接種施策は適正に実施できるという意味なのだろうと善解するならば、周知徹底は重要だといった、今書いてある中身については特段問題なく、今回新たに書き加えようとしていることについても異論はございません。
ただ、コメントが3つほど。
前置きが長くてごめんなさい。
幾つかあるのですが、私は、PMDAの「健康被害救済制度の運用改善等に関する検討会」にいたことがあるのですが、あちらでは、周知徹底をもっとするべきだ、コマーシャルをやるべきではないかとか、出前講座をやりましょうとか、いろいろなことを言っています。それは、PMDAだから、制度の立てつけにはあれこれ言えないので、運用改善にしか口が出せないところでそう言っているのです。
でも、その中で十分にいろいろな指摘がされていますので、ぜひこの見直しに当たっては、PMDAの検討会の成果も踏まえていただきたいということになります。
とりわけ被害者代表の方でいらっしゃった栗原委員が一貫しておっしゃっていたのは、現場の方が申請資料を準備するのは大変だと。それはお医者さんがお忙しいとか、書類が多いこともある。
ただ、それはやむを得ないことは分かってはいるのですが、例えば副反応疑いがあったときに報告しますね。その報告をするのだったら、報告する医療従事者は、例えば救済制度もありますよということを患者さんに直接教えてあげることも、情報提供する以上、セットでそういうことを言ってあげるような責務はないのですかとか、あるいは申請に協力すべきとか、協力することが望ましいといったこともひとつ条文に入れてはどうかという指摘がなされていました。救済制度の手続が円滑に進むように、関係者にしっかりと御協力いただくことが、被害者にとってはとても大事なのだということが目に見えて分かるような形で、せめて計画の中に書き込んでいただけないかというのが私の意見です。
といいますのも、長くなってごめんなさい。法律では国の責務ということで、23条でいろいろな条文があります。医療従事者も、それに協力する責務があるという書き方になっているのですが、23条の中には、健康被害の話は出てこないのです。健康被害については、発生状況の調査をするとかは出てきますが、被害救済の給付の手続に関する話は書いていないので、それは法律のほうを変えたほうがいいのではないかという意見にもなりますが、そのようなことで、健康被害救済制度に固有の問題をきっちり捉えて向き合おうとすることが、法律にも、計画にもそれとして示せるようになってほしいということを申し上げたいと思います。
もっとあったような気がしますが、ここまでにしておきます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そのほかは大丈夫ですか。
そうしましたら、また事務局からレスポンスいただければと思いますが、ここまででいかがでしょうか。
○前田予防接種課長 まず、再び予防接種課長でございます。
今いただきました磯部委員の御指摘、ありがとうございます。
これは、大変申し訳ない状況ではございますが、釈迦に説法ではありますが、我々は、まず、現行法に基づいて、どういう形で基本計画をつくっていくかというところは、焦眉の急というところもございまして、限られた時間の中で、どういう形で見直していくのがよいかというところは、ぜひ最優先で御意見を賜れればと思っております。
他方、これは非常に重要な御指摘で、必ずしも現行法が全てを適切に反映できているかというのは、専門家の皆さんの御意見、現場の皆さんの御意見の中から違和感があるところも当然あろうかと思っておりますので、できれば、ぜひ2つに議論を分けさせていただいて、基本計画をどうするか、それで解決し得ないところはどういうところがあるかというところは、ぜひ御意見をいただきたいと思っております。私の先ほどの説明が悪くてすみません。
ぜひ法改正のほうも御意見をいただきたいのですが、そういった限られた時間、議題の中でということで御容赦を賜れればと思っております。
私からは以上でございます。
○脇田部会長 では、そのほか、意見に関するレスポンスをお願いできますか。
○佐々予防接種課課長補佐 事務局でございます。
まず、伊藤委員と中野委員からいただきました件についてですが、金額に関しましては、御意見として受け止めさせていただきます。
また、個別の疾患の事例については、今回の基本計画の議論の中ではなく、別のところでの議論が必要と認識しております。
続いて、白井委員からありました、再度の申請件数等についてですが、再度の申請の全国件数などにつきましては、申請自体は、厚労省に進達されてから把握するものでございますので、厚労省としては、全体の件数は把握しておりません。
以上となります。
○脇田部会長 最後の磯部委員の御意見についても様々ありました。
PMDAの運用改善検討会での指摘事項を把握して踏まえてほしいということもありましたし、医師の協力については、法改正が必要でしょうね。
そういうことを検討してほしいというところで、そこはお願いしたいと思います。
○前田予防接種課長 予防接種課長でございます。
ありがとうございます。
特にこの救済制度自身、非常に注目されているところですし、今回、コロナの経験を踏まえまして、現行の記載の中で迅速な体制を講じるとか、そういった記載が必ずしも十分ではなかったということで、本日、御提案を申し上げたところがございますので、そこのめり張りは、本日の意見を踏まえまして、もちろん、計画の基本的な構成は、法の中で規定がございますので、その中でどういった工夫ができるかというところは、またお預かりさせていただきたいと思います。
ありがとうございます。
○脇田部会長 ということで、今、レスポンスいただきましたが、さらに御意見、御質問等があれば、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 嫌われそうなのですが、この基本的な計画の中に、今出てきているような意見も含めて、法改正も含めての意見みたいなところを書き込むことはできないのでしょうか。
それだけでもどこかに残さないと、こういった議論をしていること自身が意味を持たないのかなという気がするのですが、いかがでしょう。
○脇田部会長 事務局、いかがですか。
○前田予防接種課長 再び予防接種課長でございますが、今回、冒頭も申し上げましたとおり、予防接種基本計画ということで御意見をいただきたいというのが主の狙いでございます。
他方、今の予防接種基本計画は、項目としては、大きく1~8ということで法第3条の中に規定してございまして、基本的には、現行法に基づいて、具体的に施策をどう進めていくかという記載ではありますが、全般的、包括的に「その他」に、どういう形で推進していくかというくだりもございますので、そういったところをうまく活用しながら進めていきたいと思っております。
また、本日の御意見自体は、当然、議事録に残させていただきますし、予防接種法は、皆様御案内のとおり、複数回改正させていただいている際には、法改正そのものは議論いただいていない場合でも、過去に御発言いただいたものを活用させていただいて、今、法改正で事務局、あるいは厚労省として、課題のあるところ、それに対する専門家の意見ということで、当時の議事録を参考にしながら進めさせていただいた経緯もございますので、その2つをうまく活用して、今回の計画をどうするか、また、次の法改正のタイミングはなかなかお約束はできませんが、そういったときに活用させていただくかというところは、ぜひ整理させていただきたいと思っております。
私からは以上でございます。
○脇田部会長 磯部委員、お願いします。
○磯部委員 ありがとうございます。
審議会での議論の記録をどう残すのかということであれば、諮問を受けて答申を出すとかであれば、分かりやすいのでしょう。
今回の計画の直前に出された部会の答申みたいな形で、その意見がまとまることもあるのかもしれませんが、どうもこの部会の運用としては、そういうことはあまりなさそうで、議事録にきちんと残していただくしかないように思います。
ただ、伊藤先生が言ってくださったように、このような議論が鉱脈に埋もれたまま誰も発掘してくれない、どこにも見えないということになるともったいない気がしますが、究極的にはホームページで公開されていればいいのかなと思います。
一応、私も、喫緊のおっしゃった計画の見直しにちょっと手を加えれば満足できるような工夫は何かないかということは考えようとは思います。ただ、例えば申請者の負担をできるだけ減らしながらということなども、要するに、それも「迅速な救済」の中に含まれるのだと幾ら言っても、外から見えないと意味がないので、そこは被害者の負担軽減とかをどこかに書き込むことをお願いしたいと思っています。
細かい上手な作文は、事務局にお願いします。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
今回の論点に関する意見を様々委員の先生方からもいただいて、この後、事務局で整理していただいて、さらに改定の案文が出てくることになるので、その際にも、また再度、議論していただくということであろうかと理解しております。
その上で、今日の議論については、もちろん、議事録に残りますし、今、YouTubeで公開しながらやっているところもございますので、先ほど前田課長からもありましたとおり、基本計画の中の枠組みといいますか「その他」があるので、そこを活用していきたいという意見がありました。
我々としては、委員の意見を十分に取り込んで改定に向かってほしいということと、法改正が必要な意見も多数あるのだというところも我々は十分に理解しているし、事務局も理解されているということですので、そういったことも、基本計画の改正の中にどれだけ取り込むことが可能かは分かりませんが、そこも十分に検討していただきたいということが委員の先生方からの意見だったと理解していますので、そのようにお願いしておきます。
それでは、さらにいかがですか。
そろそろ大丈夫ですか。
ありがとうございました。
そうしましたら、今申し上げたとおり、今日出ました意見も踏まえまして、引き続き整理を進めていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
続きまして、最後の論点です。
「予防接種データベースについて」は、資料3で事務局から説明をお願いいたします。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。
それでは、資料3「予防接種データベースについて」御説明いたします。
2ページが、現行の予防接種基本計画の概要でございます。
この中の「第6 予防接種の有効性及び安全性の向上に関する施策を推進するための基本的事項」において、1点、科学的根拠に基づくデータを収集。有効性及び安全性を向上すること。
また、定期接種の副反応疑い報告については、審議会において定期的に評価、検討及び公表する仕組みを充実といった記載がございます。
3ページが、予防接種基本計画の現行の記載の抜粋でございますが、データに関する事項としましては、三でございますが、具体的な記載として、赤字を引いておりますが、データベースに関連する記載でございます。
1点目、接種率を把握するためには、予防接種を受けた者の割合に関するデータベースを整理する必要があるという記載。
また、副反応として報告される症状に関して、国が保有するレセプトデータ並びにその他各種調査及び統計の活用を図るよう努めるといった記載が既にございます。
4ページは「政府の計画等における記載」でございまして、上は「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」令和6年7月の閣議決定でございます。
この中で「準備期」からの対応としまして、まず、JIHSは、ワクチン導入後の有効性及び安全性の評価の実施について、検討を行うということ。
また「DXの推進」としまして、国は、情報の流出防止、その他国民等のプライバシー情報の管理を徹底した上で、予防接種の接種記録及び副反応疑い報告が格納された予防接種データベースとNDB等の連結解析を推進し、ワクチンの有効性及び安全性の向上を図るための研究等に利用可能な基盤の整備を行うという記載がございます。
また「対応期」の記載としましても「予防接種データベースを活用した調査研究の実施」の記載とか「予防接種データベースの情報の提供」すなわち、国は、予防接種データベースに格納された情報について、国による調査研究のほか、相当の公益性を有すると認められる業務を実施する者に提供するという記載がございます。
また、下段でございますが「国立健康危機管理研究機構の創設に向けて~感染症に不安のない社会を実現するために~」という文章、令和6年4月でございますが、この中にも「新機構が担うべき機能」の中に、情報収集・分析・リスク評価の記載とか、医療DXの取組、ワクチンの接種状況などを即時に入手・分析し、その結果を日々政府に提供できる情報インフラについての記載がございます。
5ページが「予防接種データベースに係るこれまでの議論の経緯」でございます。
令和2年1月に、この基本方針部会において、副反応の情報収集と評価について御議論いただきました。
この際、安全性評価のために、接種記録と連結した医療記録を活用する必要性等について意見がございました。
また、令和4年9月の分科会におきまして、予防接種データベースの整備等に係る予防接種法の改正案について報告し、令和4年12月に、予防接種データベースの整備等に係る予防接種法等の改正案が成立しました。
また、令和5年9月には、副反応検討部会において、予防接種データベースの整備を踏まえたワクチンの安全性評価及び副反応疑い報告の現状と今後の方向性について議論いただきました。
この際、接種歴等の情報を活用し、ワクチンの安全性評価における「リスクの検証」について取り組む方向性で関係の専門家と連携し、検討を進めることが了承されました。
また、令和6年3月の基本方針部会において、予防接種事務のデジタル化及びデータベースの構築・活用の検討状況や、副反応検討部会における議論を報告させていただいた次第です。
令和6年7月には、副反応検討部会において、データベースを活用した安全性評価の方向性について議論いただきまして、以下の方向性を了承いただいております。
まず、予防接種データベースを活用して、リスクの検証を行う方向性で、研究班等における検討を行いつつ、関係の専門家の協力も得て対応すること。
また、予防接種データベースや連結可能な公的データベースの情報の性質等を念頭に、実施可能な分析の範囲や結果の制約を考慮すること。
また、予防接種データベースと連結解析するNDBの特性を踏まえ、適切に解析可能な疾病に絞り込んで解析すること。
さらに、解析対象とする疾患の範囲を定め「疾患の定義」や解析手法について検討するということでございます。
6ページが「予防接種データベースに係るこれまでの議論における主な意見」を記載しております。
7ページでございますが「予防接種事務のデジタル化等」に係る令和4年の法改正において規定された事項でございます。
「改正後」の赤枠の部分でございますが「データベースの構築による効率的・効果的な調査・研究を可能とする」でございます。
1ポツ目には、自治体は、予防接種の実施状況を厚労大臣に報告しなければならないこととするという規定。
また、予防接種の実施状況・副反応疑い報告の匿名データベースを整備し、NDB等との連結も可能となったところでございます。
8ページ目でございます。
現行の基本計画に記載されております、副反応として報告される事象の自然発生率について、レセプトデータを活用するとされていることに関しまして、実際に活用された事例でございます。
○の1つ目でございますが、新型コロナワクチンの副反応疑いとして報告された心筋炎・心膜炎の発現率について、レセプトデータ(NDB)から算出した、ワクチン接種が実施される以前の人口における心筋炎・心膜炎の発現率と比較・検討を行っております。
その結果、10代及び20代の男性において、一般集団と比べて報告頻度が高いことが示され、これらの結果は、新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎に係る添付文書改訂につながったということでございます。
9ページ目「予防接種基本計画における記載内容の検討」でございます。
上段の「これまでの経緯・議論」でございますが、現行の予防接種基本計画において記載されている、副反応の分析に係るレセプトデータの活用については、新型コロナワクチンの安全性評価において、リスクの検証に活用するなど、取組が進んでおります。
2点目、令和4年の予防接種法等の改正により、予防接種事務をデジタル化するとともに、予防接種記録等の情報を格納した予防接種データベースを構築し、公的データベースと連結することが可能となり、現在、国においては、こうした基盤の構築に向け、必要な検討等を進めております。
次に、予防接種に関するデジタル基盤を活用し、以下のような効果が期待されると議論されてきました。
1点目には、予防接種率の把握・分析の効率化。
2点目に、予防接種データベースを活用し、予防接種の安全性評価において、接種群と非接種群における接種後に生じた疾患等の頻度を比較したリスクの検証。
また、その他、予防接種の有効性・安全性に関する調査研究の充実です。
一方で、例えば予防接種データベースや連結可能な公的データベースの情報の性質を踏まえた検討が必要であり、関係の専門家の協力を得つつ、対応を進めていく方向性でございます。
また、今後設置される国立健康危機管理研究機構(JIHS)が担うべき機能として、感染症に係る情報収集、分析が挙げられており、JIHSと連携した対応が求められるところでございます。
下段の「予防接種基本計画の記載に関する考え方」でございます。
予防接種データベースの活用に係るこれまでの検討を踏まえ、令和8年度以降の予防接種データベースの稼働開始を念頭に、予防接種事務のデジタル化の取組を進め、接種事務の効率化や、接種対象者の利便性の向上、接種率の迅速な把握等を行うこと。
また、有事においても的確に分析できるよう、平時からNDBと連結した予防接種データベースを活用し、有効性・安全性評価の観点で詳細な分析を行う等、一層の取組を行うこと。
また、安全性評価について、接種者と非接種者における副反応疑いとして報告される疾患等の発生率の比較を、副反応疑い報告制度に基づく評価の追加的評価として、必要に応じ実施する方向性で技術的検討を進めることを新たに記載してはどうかと考えております。
また、これらの取組に当たり必要な技術的事項について、関係する専門家と連携して検討し、進めることを新たに記載するとともに、特にJIHSの役割は重要でありますことから、予防接種に関するデータの分析を充実するために、JIHSに求められる具体的な役割について、新たに記載してはどうかと考えております。
さらに、予防接種データベースを用いた分析を実現するためのデータベースの設計・開発等、国の取組についても記載してはどうかと考えております。
事務局からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
ただいま御説明いただきました「予防接種データベースについて」の記載についてのこれまでの状況といいますか、それを御説明いただいて、最後に、記載に関する考え方も報告していただきました。
それでは、御意見をいただきますが、磯部先生、先ほどから手が挙がっていますが、これはいいのですね。
では、坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
予防接種のデータベース化は、私は大いに賛成だと思います。
そこで、データベース化に当たって、現在、市町村の予防接種台帳は5年保管となっていますが、保管年限を長くしないと、活用できる範囲が限られてしまう。 例えば今、帯状疱疹が仮にピンポイントで65歳から開始して、一生に1回とすると、65歳の人が亡くなるまではその記録を取っておかないと、その人が自分は受けたのか、受けていないのかが分からなくなるという意味で、相当期間保管していないと、実際には使えないということと、予防接種データベースの利用においても、匿名化で使うとか、研究用に使うとか、そういうルールも同時にしっかりと設けて、例えばこれをこういう研究目的で使いたいというときに、誰が審査して、それにオーケーを出すのかとか、いろいろな意味で非常に有用なデータベースができるかと思います。
ただ、現実のところ、予防接種は御本人、もしくは保護者の同意を持って行うという建前があるので、市町村に署名の入った予診票の写しが送られてくるところにはかなりタイムラグがあることも含めて、そこら辺も電子化みたいなことができないかということも検討しないと、市町村によっては、翌月10日までの支払いとか、提出期限になっているので、場合によると1か月以上タイムラグが生じるということで、緊急時にそういう調査はできないので、その辺の電子的なシステムも今後考えていく必要があると思います。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
続きまして、白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。
お願いいたします。
確認とお願いがあるのですが、データベース化につきましては、私も賛成です。
ただ、どこまでデータベースが活用されるかということは、これから具体的に検討されることだと思うのですが、定期接種をしている方のデータを使うことについては、その接種の時点で包括同意ができるということで、先ほど坂元先生もおっしゃいましたが、予診票の中でということで、配られた中でそれができるような形になっているのかということを確認したいです。
あと、副反応調査につきましては、データベースでもいろいろと取っていくということなのですが、現在、厚労科研だったかどうかは分からないのですが、例えば小児の予防接種の副反応報告については、以前、小児の健診を利用して、保護者の方々に、このワクチンについては、副反応で何か気になることはありましたかとアンケートをして、調査を求めていたことがあったと思いますし、副反応ではないのですが、有効性のほうでは、抗体保有状況の調査などが血液検査とかで、どこかで行われていると思うのですが、そういうものとデータベース化がどこまでリンクするのか、それはまた別に並行して行っていくのか、確認したいと思いました。
それと、JIHSとの連携ということでぜひお願いしたいのですが、特に、先ほど私は、自治体がいつまで設置主体であるかと言いましたが、現在、法律上、自治体が実施主体となっている場合には、いろいろなことの確認とか、技術的な問題についての窓口をぜひJIHSにも持っていただきたいと思いますので、予防接種についても、自治体が聞ける窓口をつくっていただくような部署は、こちらにお願いするのかは分かりませんが、要望としてというか、お願いしたいと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
続いて、笹本委員、お願いします。
○笹本委員 日本医師会の笹本でございます。
デジタル化を踏まえた予防接種基本計画につきましては、医療機関において、可能な限り負担の少ないシステムの開発・運用と、対応できない医療機関が生じないようにするための支援及び柔軟な対応ができますよう、ぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
続きまして、鈴木基委員、お願いします。
○鈴木委員 JIHSに求められる役割を記載していく点については、我々は当事者に相当するわけですが、総論的には賛成しております。
細かいところですが、資料の9ページの下段です。
「記載に関する考え方」の上から3ポツ目に「接種者と非接種者における副反応疑いとして報告される疾患等の発生率の比較を、副反応疑い報告制度に基づく評価の追加的評価として」云々と記載があります。
ただ、恐らく、事務局は十分に承知と思いますが、副反応疑い報告は、当然ながら、接種後のデータのみであって、比較対象として非接種者のデータは、どこか別のところから持ってこなくてはいけないということになります。
それは、たとえ副反応疑い報告を予防接種データベースに格納したところで変わらないわけですので、それが前提で基本計画に書き込むのだとすれば、ぜひそこを踏まえた記載にしていただきたいのが1点目です。
もう一つは、予防接種法に基づいて、副反応疑い報告は、一義的にまず、PMDAに報告されることになりますので、基本計画に書き込む際には、ぜひPMDAと厚労省、JIHSの役割分担についても明確に記載いただきたいと考えております。
私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
宮入委員、お願いします。
○宮入委員 ありがとうございます。
データベース化については賛成でありますし、様々なデータが出てくることに非常に期待を持っております。
非常に重要なデータになりますので、こちらについて、詳細や吟味等が必要かと思いますが、公表に当たってのデータの活用の仕方に加えて、公表の在り方についても同時並行で御検討いただければと思っております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
一通り御意見をいただきましたが、私も、鈴木基先生が御意見をおっしゃったように、厚労省とJIHSの役割分担をきちんと記載したほうがいいのではないかというところで、これはJIHSの役割として、こういったデータベースの構築・運用があることは明らかなわけで、私も現在、当事者みたいな形になっていますから、そこは重要だと思うのです。
ただ、これはJIHSだけでできるわけではありませんから、国の取組とか、国の役割といった記載をある程度していただいていますが、そこも十分に書き込んでいただいて、これは本当に国にとって重要なデータベースになりますので、そこはきちんと実現できるようなことが求められると思っていますので、言葉は悪いのですが、それをJIHS単体に押しつけるということではなくて、国もしっかりとそこをサポートというか、主体的に取り組むことをきちんと記載していくべきだろうと思っています。
というところで、一通り意見はいただきましたので、事務局からまたレスポンスいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○鈴野予防接種対策推進官 事務局でございます。
坂元委員から何点か御質問や御意見をいただきました。
まず、接種記録の保存年限の話がございました。
これにつきましては、たしか3月の基本方針部会だったと思いますが、延長の方針についてはこの部会で御了承いただいておりまして、現在、どれぐらいの年限まで延ばすかという検討について事務局の方で預かっている状況でございます。
これを改めて整理いたしまして、保存期間の延長は省令改正につながりますので、今後、諮問・答申等もお願いすることになると思っております。
加えて、接種記録自体は、自治体で保存いただく記録になりますが、一方で、予防接種データベースとして格納するデータの保存も別途ございますので、それについても併せて整理が必要と考えておりますが、いずれにしても、また改めて御説明させていただきたいと思います。
2点目が、第三者利用の観点で、こちらについては、宮入委員からもコメントがあったものと重なるところかと思いますが、これからJIHSにデータベースを運用していただく中で、第三者利用、研究者の方々が利用するに当たって利便性を高める、効率的に運用を図っていく必要があると思っております。また、それはJIHSに全部任せるということではなくて、システム、仕組みづくりから厚労省も関わって、使いやすいデータベースにしていくことは、当然、重要な課題と考えておりますので、今後、検討していきたいと思っております。その際に、宮入委員から、公表の在り方についてもご指摘がございました。これは、第三者利用を希望される方に、どのようにアウトリーチしていくかということとも関わることかと思いますので、そういった点も含めて考えていきたいと思います。
あと、坂元委員からの3点目ですが、タイムラグの話は、紙の予診票ですと、現在は、医療機関から自治体に郵送いただいて、1~2か月後ぐらいに記録が登録されるため、それをマイナポで確認できるようになるには、相応の時間がかかっているのが現状でございます。
これについては、3月の基本方針部会でも説明させていただいたかと思いますが、基本的にはデジタル化を目指しまして、その場合には、医療機関の方でそのデータを登録していただきますと、今、デジ庁で開発しておりますPMHに即時にデータが格納され、それをマイナポータルを使って御本人もすぐに見られることを目指しておりますので、それを利用いただければ、予診票を使っての紙の運用からは随分と期間が短縮されることになると想像しています。
なお、具体的な運用としましては、登録された後、自治体の方で医療機関が登録された接種記録について、審査というと少し大げさですが、確認するという行為が生じますので、そういった場合には修正が入る可能性もございますが、医療機関から登録された際に、まずは即時にマイナポータルで確認できるようにすることを目指しているということでございまして、これは、白井委員からも同じような御質問があったかと思いますが、基本的には大幅に期間が短縮されて、即座に確認できるようにしたいとと思っております。
また、笹本委員からは、医療機関にデジタル化を導入する、デジタル化に対応いただく際に、可能な限り負担のないようなシステムの開発でありますとか、医療機関に対する支援等、柔軟な対応をお願いしたいという御要望、御意見をいただきました。
こちらにつきましても、当然対応すべきことと考えておりまして、現状、システムの開発に取り組んでいるところでございますが、先行事業なども行いながら、医療機関の御意見を聞いて、できる限り現状の運用に支障がないような形でシステムが導入できるように設計を考えていきたいと思っておりますし、実際に全国の医療機関でデジタル化を進めていくに当たっては、新たな接種記録の電子的な登録を医療機関にお願いすることにもなりますので、そうした際に、円滑に導入いただけるように、どういった支援が必要なのか、何ができるのかということは、国としてこれからしっかりと考えていきたいと考えております。
私からは以上でございます。
○脇田部会長 お願いします。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。
引き続き、いただきました御意見について、回答いたします。
白井委員から、副反応について、例えば研究班で実施しているアンケートやその有効性についての抗体保有状況の調査との関係性というところでございましたが、アンケートは、個別の研究班のことでございますので、いろいろとあるかと思います。
また、有効性に関する抗体調査についても、マクロな数字を見るところで、個別の対象者についての何かを把握するといいますか、マクロとして全体の疫学状況を見ている調査かと思いますので、今回、取組を進めておりますデータベースと連結すると、ああいった類いの調査とはまた性質として異なるのかなと考えております。
複数の研究所があることは重要なことかと思っておりまして、有効性に関する抗体の保有状況も確認し、また、今回のデータベースの取組においても、どういったことが可能か、検討していく必要があるということかと考えております。
また、鈴木委員から2点御意見をいただきましたが、1点目は、非接種者のデータも含めなければ、特に副反応に関する分析は難しいのではないかという御意見かと思います。
こちらについても、御指摘のとおりと考えておりまして、接種した者のみならず、接種対象となる者についても、データベースとして対応できるか、検討を進めているところでございます。
2点目の特に安全性の対策において、PMDAや厚労省の分担ということかと思います。
こちらは、どのように安全対策を制度上、運用していくかということにもつながりますので、引き続き検討していく課題と考えております。
また、宮入先生の意見は、先ほど鈴野が申し上げたとおりでございます。
また、脇田先生からも、鈴木委員の御発言に通じるかと思いますが、国の役割や取組について記載すべきという御意見をいただきました。
こちらは、現在の事務局の案にも、予防接種データベースを用いた分析を実現するためのデータベースの設計・開発等を国の取組においても記載してはどうかと書いておりますとおり、国の役割についても記載するところで、具体的な検討を進めていきたいと思っております。
事務局からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
今、レスポンスいただきましたが、委員の先生方からさらに追加の御意見等がありましたら。
中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。
今までのやり取りとちょっと違う観点からの御質問で失礼いたします。
予防接種のデジタル化は、もちろん、有効性とか安全性の見える化、国としての情報の発信という意味で非常に役に立つと思いますし、予防接種の記録という点でも、将来にずっと残る記録として非常に有効と考えておりますので、今までにいろいろと出ております御意見に私は賛成です。
私の御質問はちょっと違う観点と申し上げたのは、0歳児とか1歳児の毎日は、予防接種もあれば、体重の増加もあれば、成長発達の記録もあれば、我が国では、第二次世界大戦後に、母子手帳が非常に大きな役目を果たしてきたわけです。
そして、現在、予防接種記録も、母子手帳の一定のページを割いて記録されているわけでございますが、海外でも、母子健康手帳と同様のものが使われている国もあれば、Growth Chart、成長曲線と体重の記録とワクチンをカードで使っている国もございます。
子供の成長発達はとても大切なことだと思いますし、だからこそ予防接種の記録は、小児期には、今のところは母子手帳にきっちり書き留められて残っておりますが、今後の方向として、予防接種記録は、母子健康手帳から離れていくのかとか、そういったことは、きっと恐らく、厚生労働省の他の部署とも御相談されて進めていかなければならないことかもしれませんが、現状でもし何かお考えとかがあれば、お聞かせいただきたいと思います。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そのほかになければ、今の中野先生の御意見、御質問に、事務局から何らかレスポンスをいただけますか。
○鈴野予防接種対策推進官 事務局でございます。
母子健康手帳の電子化につきましては、現在、こども家庭庁の方で検討を進めていると伺っております。
具体的には、今、ガイドライン等の検討を行っていると聞いておりまして、その検討には、厚生労働省も参加させていただいております。
母子健康手帳の中には、予防接種の記録も省令で定める様式に記載がございますので、電子化した母子手帳の中で接種記録をどう扱うかというところは、当然、こちらとしてもこども家庭庁と一緒に考えていく必要があると思っております。今後の方向性としては、先ほどの説明で申し上げましたとおり、予防接種の電子的な記録については、現在、デジ庁が開発しているPMHに記録が入っていくということで進めておりますので、それと電子版母子健康手帳をどうつなげていくかが課題と考えております。
これは、今後の話ですので、具体的、確定的な話ではございませんが、実際に今、現場では、電子版の母子健康手帳アプリを様々な民間企業の方々が開発されて、使われていると認識しております。
そのため、技術的な話になりますが、そういったアプリとPMHをAPI連携させて、民間のアプリからPMHにつながって、PMHの接種記録をアプリで見られるようにしていくことを目指すしております。具体的なことはこれからですが、目指している方向性としては、電子版母子健康手帳で市町村が記録した接種記録を見られるようにしたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
中野先生、いかがですか。
○中野委員 ありがとうございます。
基本的なお考えとして、一つの形でまとめていこうという方向を目指しておられるということで、それは、例えば海外に子供さんが出かけるとき、企業による赴任で2年とか3年出かけるといったときも、記録として残るとともに、子供の成長発達の記録としてずっと使えるということで、ぜひそういったものを目指していただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そのほかにいかがでしょうか。
伊藤委員、お願いします。
ミュートになっている。
○伊藤委員 すみません。
医療従事者は、任意接種で、今後は、新型コロナもそうでしょうし、自分自身もおたふくワクチンの接種を受けたり、通常のインフルエンザにしても、医療従事者がワクチン接種を受けたりするのですが、これは任意接種なので、定期接種ではないという位置づけですが、そういったものについては、データベースの中に入ってくる予定があるのでしょうか。それとも、入ってこないことが前提なのでしょうか。質問です。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
その点は、いかがですか。
事務局からもしレスポンスがあれば。
○鈴野予防接種対策推進官 度々、事務局でございます。
現在、令和8年度以降を目指していますデジタル化のシステムとしましては、3月のときに説明したか記憶が定かではないのですが、現状は、まずは自治体に行っていただいている予防接種を対象にシステム化しようということで、法律上の定期接種と臨時接種を念頭に置いたシステムを設計しております。
加えまして、自治体が行われている予防接種ということで、任意接種の中でも、自治体が助成の措置、助成制度を設けていらっしゃるような予防接種もございますので、まずはそういったものから広げていこうということで、任意接種も一部対象に入れて検討しているところでございます。
一方で、自治体の関わりがないトラベラーズワクチンや、直接御本人様が医療機関と相談して行われる任意接種まで広げていけるかというところは、その次の課題と考えておりますので、検討課題の射程の範囲には入っておりますが、これから考えていくべき課題と認識しております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
現状は、自治体が行っている接種が対象というところで、医療機関あるいは本人自身の任意による接種は今後の課題ということでありました。
そのほかにいかがですか。
そうしましたら、今日は論点が3つありましたので、全体的にいかがでしょうか。
もしここを聞き忘れたというところがあれば、まだ少し時間があります。
大丈夫ですか。
そうしましたら、ただいまデータベースの議論がありましたが、こちらについても、今、委員から様々な御意見、御質問がありましたので、その点も踏まえまして、引き続き整理を進めていただきたいと思います。
それでは、本日の部会で予定していた議題は以上となりますが、事務局から何かございますか。
○溝口予防接種課課長補佐 特にございません。
○脇田部会長 そうしましたら、事務局にお渡ししたいと思います。
○溝口予防接種課課長補佐 ありがとうございます。
事務局でございます。
本日も活発な御意見、御議論をいただきまして、ありがとうございました。
次回の開催につきましては、追って連絡させていただきます。
事務局からは以上になります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
今日も委員の先生方、活発な御意見、御議論をありがとうございました。
また次回もよろしくお願いいたします。
今日はこれで終了いたします。
ありがとうございました。