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第27回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録
健康・生活衛生局 感染症対策部予防接種課
日時
令和6年9月4日(水) 13:00~15:00
場所
WEB会議にて開催
(厚生労働省 専用第21会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)
(厚生労働省 専用第21会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)
議題
- (1)小児におけるRSウイルス感染症の予防について
- (2)高齢者に対する肺炎球菌ワクチンについて
- (3)その他
議事
- 議事内容
- ○和泉予防接種課課長補佐 それでは、定刻になりましたので、第27回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会」を開催させていただきます。本日は、先生方及び参考人の皆様方には、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
本日の議事は公開・頭撮り可となっております。また、前回と同様、議事の様子はYouTubeで配信をさせていただきますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。
また、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラ撮りにつきましては、議事に入るまでとさせていただきますので、会場の関係者の皆様方におかれましては御協力と御理解のほどお願いいたします。
また、傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、こちらも御留意をお願いいたします。
開催に先立ちまして、事務局に人事異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。令和6年8月1日より、前田予防接種課長が着任しております。
○前田予防接種課長 予防接種課長の前田でございます。
鈴木委員長をはじめ、日頃から予防接種行政に御協力をいただいていることに改めて感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。
本日、議題としては2つ、その他も入れますと3つということでございますけれども、もちろんこれら予防接種法上の位置づけということになりますと、幾つか論点があろうかというところは皆様御承知おきのところでございますけれども、それで議論を進める中でも医学的な有効性・安全性をしっかり御議論いただくというところが一番スタート地点だと思っておりますので、本日はそれぞれにつきまして忌憚のない御意見をいただきまして、特に有効性・安全性というところは、科学的事実と国民の皆様にどういう形で訴えていくかというところが非常に重要な視点だと思いますので、しっかり御議論いただければと思っております。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
○和泉予防接種課課長補佐 引き続きまして、次に、本日の委員の出席状況を御報告いたします。
現在、委員8名のうち8名全員に御出席をいただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定によりまして、本日の会議は成立したことを御報告させていただきます。
また、本日、参考人の皆様をお呼びしてございます。福岡看護大学客員教授の岡田賢司先生、ファイザー株式会社ワクチンメディカルアフェアーズリードの伊藤修平様、ファイザーR&D合同会社医薬開発ワクチン・リサーチ部シニアクリニカルリーダーの山地雅子様、ファイザー株式会社ワクチンメディカルアフェアーズシニアマネージャーの小林康宏様、ファイザーR&D合同会社医薬開発ワクチン・リサーチ部クリニカルリーダーの庄司泰子様、サノフィ株式会社ワクチンメディカル部メディカルマネジャーの新城雄士様、MSD株式会社代表取締役上級副社長グローバル研究開発本部長の白沢博満様、MSD株式会社グローバル研究開発本部クリニカルリサーチ領域ワクチン領域上席部長の澤田美由紀様に御出席をいただいております。
引き続きまして、資料の確認でございます。
本委員会の資料は、あらかじめ送付させていただいた電子ファイル及びお手元の配付資料を閲覧する方式で実施させていただきます。番号01の議事次第及び委員名簿から番号12の利益相反関係書類までを御用意しております。資料の不足等、御不明な点等がございましたら事務局までお申出をお願いいたします。
では、申し訳ございませんが、頭撮りに関しましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○和泉予防接種課課長補佐 それでは、ここからの進行は鈴木委員長にお願いをさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○鈴木委員長 鈴木です。よろしくお願いいたします。
それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項等について報告をよろしくお願いいたします。
○和泉予防接種課課長補佐 事務局でございます。
では、審議参加の取扱いについて御報告をさせていただきます。
本日御出席いただきました委員・参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、薬事承認等の申請資料への関与、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況について申告をいただいております。各委員及び参考人からの申告内容については、番号12の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
まず、薬事承認等の申請書類作成への関与ですが、議題(1)につきましては、新城参考人よりニルセビマブについて、庄司参考人より組換えRSウイルスワクチンについて、議題(2)については、岡田参考人より沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンについて、澤田参考人、白沢参考人より沈降15価肺炎球菌結合型ワクチンについて、山地参考人より沈降20価肺炎球菌結合型ワクチンについて、それぞれ申請書類作成の申告をいただいておりますので、当該ワクチンの審議または議決が行われている間は「退室」に該当いたします。
また、ファイザー株式会社の伊藤参考人、小林参考人につきましても、利害関係を有する者として、審議参加規程第6条の規定により、第5条を準用して「審議又は議決が行われている間、審議会場から退室する」に該当いたしますので、あわせてこの取扱いについてお諮りをさせていただきます。
次に、寄附金等の受け取りの状況の報告でございますが、審議参加規程第8条の規定により「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する委員・参考人はいらっしゃいませんでした。
各委員・参考人におかれましては、繰り返しのお願いで大変恐縮ではございますが、講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますよう、引き続きよろしくお願い申し上げます。
事務局からは以上でございます。
○鈴木委員長 御説明ありがとうございます。事務局から本日の審議参加について御説明いただきました。
予防接種・ワクチン分科会審議参加規程第5条の規定では、当分科会が特に必要と認めた場合には、出席をして意見を述べることができるとなっております。
今回は当委員会より参考人の出席をお願いしていることから、審議に御参加いただき、議決の部分については加わらないということで、本委員会として議論を進めていくことでどうかと考えております。委員の皆様、この方針でよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○鈴木委員長 御首肯いただいたかと思います。
それでは、委員の皆様から了解が得られましたので、本日はそのように取扱いをさせていただきます。
それでは、本日の議事に入らせていただきたいと思います。
本日は2つの議題が上がっております。まずは1つ目です。「小児におけるRSウイルス感染症の予防について」となっております。
それでは、事務局から資料の説明をよろしくお願いいたします。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。よろしくお願いいたします。
まず、議題1の資料1-1を御説明させていただきます。
おめくりいただきまして、4ページでございます。RSウイルスワクチン等に係るこれまでの経緯ですけれども、直近、3月14日にこの小委員会において御議論いただきまして、2点、母子免疫については、疾病負荷は一定程度明らかであるが、安全性についての情報収集や抗体製剤(ニルセビマブ)の扱いが論点とされました。また、高齢者への接種については、疾病負荷が明らかでないことが論点とされました。いずれも企業からのヒアリングを含め、各論点について検討を進める方針といった議論をいただきました。
5ページ目にこの際のRSウイルス感染症の予防に関する論点の1というスライドを再掲しております。こちらにおきましては、疾病負荷に係る治験の状況について記載しております。
また、6ページですが、RSウイルス感染症の予防に関する論点の2ということで、前回の論点をお示ししております。今回は赤枠で囲っております部分を扱いたいと考えておりまして、まず論点1の部分、RSウイルス感染症の疾病負荷について、また、論点2、ワクチン等に関する有効性・安全性等に係る治験について。また、下のところ、RSウイルス感染症の予防の目的で薬事承認を得た抗体製剤についても、ワクチンと投与の目的や効果が類似していることから、その有効性・安全性、費用対効果等についての技術的検討を、本委員会で検討することとしてはどうかとされていたところ、こちらについて議論を継続したいと考えております。また、青で囲っておりますところにつきましては、今後議論させていただきたいと考えております。
7ページでございます。RSウイルスに対する母子免疫ワクチン・抗体製剤の薬事承認の状況です。我が国のRSウイルスに対する母子免疫ワクチンと抗体製剤の薬事承認の状況については、ファイザー社とサノフィ社の製品が承認済みでありまして、それぞれの効能及び効果、用法、用量等はこちらに記載のとおりでございます。
8ページが第24回のワクチン評価小委員会でいただいた委員の御意見の要約でございます。論点1の疾病負荷につきましては、新型コロナ流行開始以降、流行動態が大きく変わっているため、最新のデータを踏まえた評価が必要であるということ。また、外来受診での罹患率は過小評価されている可能性があるが、入院率については妥当であり、重症化リスクが高い疾患であると考えるということ。また、複数のデータソースや海外のデータ等も援用しながら包括的に評価することで、一定程度小児における疾病負荷が評価できる状況と考えるといった御意見。また、ぜんそくのような二次的な合併症の予防も含めた評価が重要といった御意見がございました。
論点2のワクチン等に関する有効性・安全性等に係る知見についてでございますが、現在臨床試験は健康な妊婦が対象だが、多胎、妊娠合併症、基礎疾患を持っている方の安全性の情報も必要であり、また、米国での情報や市販後の安全性の情報の収集が必要であるといった御意見。また、安全性について、様々な属性の方についての情報を蓄積し、幅広い関係者の理解を得る必要があるという御意見。また、早産や未熟児の発生とワクチンの因果関係を評価できるよう、ベースラインとしての発生状況を把握することが必要という御意見。ほかに同時接種の安全性やタイミングについても早めに検討を始めるべきという御意見がありました。
また、論点3のその他の諸論点につきましても、ワクチンと抗体製剤について、費用対効果も含め評価を行うことが重要という御意見があったところでございます。
9ページが我が国の疾病負荷、とりわけRSウイルスの発生動向の小児科定点当たりの報告数を掲載しております。こちらは前回3月の小委員会のデータから2024年のデータを追加したものでございます。RSウイルスの流行は、新型コロナの流行以前は秋冬に流行が見られましたが、令和3年以降は夏に流行のピークが見られております。
また、今回、母子免疫によるRSウイルスワクチンとRSウイルスに対する抗体製剤それぞれの有効性・安全性等について製造販売業者のファイザー株式会社とサノフィ株式会社より参考人として御出席をお願いしておりますので、参考人から御説明をいただく形としてもよろしいでしょうか。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
それでは、まず、ファイザー株式会社からお越しいただいております小林参考人から御説明をいただきたいと思います。御説明の後に委員・参考人からの御質問等の時間を設定したいと思います。
それでは、小林参考人、よろしくお願いいたします。
○小林参考人 よろしくお願いいたします。ファイザーの小林でございます。
それでは、お手元の資料、「組換えRSウイルスワクチン アブリスボ筋注用 臨床試験成績等の概要」という資料を御紹介させていただきたいと思います。
まず2ページ目でございますけれども、臨床成績の御説明の前に、RSウイルス感染症の疾病負荷と母子免疫のメカニズムについて簡単に説明させていただきます。2ページ目では、RSウイルス感染症の疾病負荷に触れさせていただきます。RSウイルス感染症による入院は生後1か月がピークで、その後、月齢とともに減少しまして、生後6か月未満が多くを占めることが知られております。また、ここで注目すべき点といたしまして、生後1か月未満の新生児においてもRSウイルス入院は多く発生しておりまして、重症化しやすいこの生後数か月の最適な予防策として、RSウイルスワクチンによる母子免疫が考えられます。
3ページ目は、一般的な母子免疫のメカニズムについて説明しております。緑線でございますが、妊婦さんの妊娠週数の経過とともに母体から乳児へ移行する抗体レベルは上昇いたします。出生後の乳児では、母体から移行した抗体レベルは徐々に減少しまして、乳児の免疫機能が成熟していきます。緑線から赤線へ、妊婦へのワクチン接種により母体内の抗体レベルは上昇し、予防効果に十分な抗体の胎児への移行が期待でき、出生直後から乳児を感染症から守ることが期待されます。
4ページ目は、RSウイルスワクチン アブリスボの製品概要になります。60歳以上の者に加え、妊婦への能動免疫による新生児及び乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防を効能または効果として承認を取得している唯一のワクチンになります。RSウイルスのサブグループであるRSウイルスAとBの両方の安定化融合前Fタンパク質を抗原として含有する2価ワクチン製剤で、アジュバントを含んではおりません。
それでは、5ページ目から第3相試験、C3671008試験の紹介をいたします。
6ページでございますが、この1008試験、MATISSEは、日本を含む18か国で実施された妊娠24~36週の49歳以下の妊婦を組み入れた国際共同第3相試験です。ワクチン接種を受けた母親と出生した乳児においてワクチンの安全性と有効性を評価しております。申請資料にあります中間解析として実施した主要解析時点で7,392例の母親参加者と7,128例の乳児参加者が組み入れられました。最終解析データは学会発表されておりますので、参考資料に入れさせていただいております。詳細は割愛いたしますが、多胎妊婦やコントロール不良な合併症を有する妊婦は除外されており、比較的健康な妊婦が組み入れられております。なお、日本で組み入れられた参加者は、母親参加者が462例、乳児参加者が434例でございました。
7ページは主要解析時点での母親参加者の背景についてお示しした資料になります。本試験は1対1割り付けの二重盲検試験であるため、母親参加者の背景で不均衡は接種群間で見られませんでした。また、ワクチン接種時の妊娠週数は中央値で31.3週でした。なお、今回お示ししておりませんが、乳児参加者の背景も接種群間での不均衡は見られませんでした。
8ページ目からは安全性の結果について御紹介いたします。局所反応の発赤、腫脹、疼痛のいずれも本剤群のほうがプラセボ群より多く報告されており、本剤群で最も多く報告されたのは注射部位疼痛でした。重症度については、ほとんどが軽度から中等度で、持続日数の中央値は2~3日でございました。
9ページ目はワクチン接種後7日間に報告された全身反応の発現割合です。両群で主な全身反応は疲労、頭痛、筋肉痛でした。重症度の多くは軽度から中等度であり、持続日数の中央値は1~2日でした。
10ページではワクチン接種後1か月間に母親参加者から報告された有害事象をカテゴリー別にお示ししております。こちらは前のスライドで説明しました治験薬接種後7日間に電子日誌に報告された局所反応と全身反応を含んでおりません。各カテゴリーの有害事象の発現割合は接種群間で同程度でございました。
11ページは生後1か月間に乳児参加者より報告された有害事象を同じくカテゴリー別に御紹介しております。各カテゴリーの有害事象の発現割合は接種群間で同程度でございました。
12ページは特に注目すべき有害事象として収集しました乳児参加者の早産、低出生体重と発育遅延の発現割合を御紹介いたします。早産児の発現割合及び低出生体重児の発現割合は接種群間で同程度でございました。また、発育遅延の発現割合も接種群間で同様でございました。
13ページは日本部分集団の乳児参加者の出生転帰と発育遅延の発現割合を示しております。早産児、低出生体重児の発現割合は接種群間で同程度で、全体集団と同様の傾向でした。安全性データカットオフまでに発育遅延の報告はありませんでした。なお、御参考までに、日本の平均の早産の割合は人口動態調査で5~6%、産婦人科学会の周産期登録によりますと、13~14%の早産割合との報告がございます。
続きまして、14ページは主要解析で報告された母親参加者と乳児参加者の死亡、胎児の死亡について御紹介いたします。これらの死亡及び胎児死亡は、いずれもワクチンとの関連なしと治験責任医師より判断されております。
15ページからは有効性について御紹介いたします。有効性評価方法について御説明いたします。有効性の主要評価項目は生後90日、120日、150日及び180日以内に発現したRSウイルスを原因とする医療機関の受診に至った下気道疾患をMA-LRTIとし、高度の同じくMA-LRTIの2つを評価しております。
16ページ目は主要評価項目の結果でございます。まず、本試験の統計的な成功基準は2つの主要評価項目のいずれか一方で、生後90日時点のワクチン有効性の信頼区間の下限が20%を超えることでございました。上段がRSV陽性、高度MA-LRTIに対する有効性で、下段がRSV陽性のMA-LRTIに対する有効性です。上段、RSV陽性、高度MA-LRTIに対するワクチン有効性は、生後90日時点で統計的成功基準を満たし、生後180日までの各時点でも下限が20%上回りました。また、下段、RSV陽性、MA-LRTIに対するワクチン有効性は、生後90日で信頼区間の下限が14.7%と成功基準を満たせませんでしたが、生後180日での点推定値は51%を示し、信頼区間の下限はいずれの時点も20%を上回り、臨床的に意義のある有効性が期待できると考えられました。
続いて、17ページは副次評価項目であります。生後180日以降のRSV陽性、MA-LRTIに対するワクチンの有効性の持続について御紹介いたします。生後210日から360日の全ての評価時点で臨床的に有効である可能性が示唆されました。
18ページは、日本部分集団における有効性の結果でございます。こちらの日本部分集団での有効性の結果も全体集団と一貫しておりました。
19ページはワクチン接種時の妊娠週数別のRSV高度MA-LRTIに対する有効性を御紹介します。妊娠週数28週以降でワクチンを接種した場合、28週未満で接種した場合よりも有効性が高い傾向を示しておりました。
20ページは臨床試験成績のまとめになります。これらを主要な臨床試験成績として、本剤は妊婦への能動免疫による新生児及び乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防を効能または効果として承認を取得いたしました。
続いて、最後になりますが、21ページは市販後の安全性情報のタイムラインを御紹介いたします。海外では、米国の市販後安全性情報は、ACIPより今年の6月に報告されており、10月にも予定されております。また、弊社は海外安全性情報を安全性定期報告に添付し、定期的にPMDAに提出する予定です。なお、2024年5月30日までに海外で集積された副反応の集積状況からは、新たな安全性の懸念は認められませんでした。
国内では、市販直後調査と特定使用成績調査がありまして、市販直後調査は2024年5月31日から始まっており、7月30日までに集積された副反応の集積状況からは、新たな安全性の懸念は認められませんでした。特定使用成績調査は、中間集計を安全性定期報告にてPMDAに提出予定です。また、当局に集積された安全性情報は、定期開催の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会にて公表予定です。
なお、供給についてですけれども、仮に定期接種Aに指定され、80万人の妊婦にアブリスボが接種されたと仮定しましても、十分量を供給することが可能と考えております。
以上で弊社の発表を終わらせていただきます。御静聴ありがとうございます。御質問等ございましたら、お願いいたします。
以上でございます。
○鈴木委員長 御説明ありがとうございます。
それでは、ただいまの御発表、御説明につきまして、委員・参考人の方々から御質問、いかがでしょうか。
原委員、よろしくお願いいたします。
○原委員 よろしくお願いします。幾つか質問をさせていただきたいのですけれども、最初にメカニズムのところで抗体の移行のこととかをお話しいただいたと思うのですが、このRSウイルスワクチンに関しては、母乳からの移行とかそういう受動免疫などは考えなくてよいものなのでしょうかというのが1点です。
○鈴木委員長 では、一つ一つお願いします。小林参考人、お願いします。
○小林参考人 御質問ありがとうございます。母乳に関しての移行なのですけれども、理論的には考えられるのですが、現在、フェーズ3においては、母乳での抗体価等は調べておりませんでして、今後、リアルワールドで有効性等が明らかになる可能性はあるかと考えております。
○原委員 分かりました。ありがとうございます。
それから、10ページ目、生後日数がたてば有効率が下がってくるということなのですけれども、180日以内であれば高度の場合でも下限が20%超えていますが、それ以降になると下限が20%より下がってくる感じがありまして、3か月ぐらいまでがしっかり効いていて、そこから先はだんだん落ちてくるのかなという印象を受けたのですけれども、そこのところが説明がよく分からなかったので、もう一度お願いできますでしょうか。
○鈴木委員長 よろしくお願いします。
○小林参考人 御質問ありがとうございます。有効性の持続期間に関しましては、恐らく16ページ目と17ページ目に資料をお示しさせていただいておりまして、フェーズ3、今回の第3相試験は6か月間の有効性を検証するようなデザインになっておりまして、こちらを御覧いただきますと、6か月間の有効性を見ますと、6か月間の時点でも高度なMA-LRTIに対しては69.4%としっかりとした有効性が検証できているかと思います。それ以降の有効性に関しましては、現在の第3相試験では6か月以降を評価できるようなデザインにはなっておりませんでして、それ以降の有効性、現在ですとRSVのLRTIに対しては1年で見ると41%という有効性が17ページ目に副次評価項目で示されておりまして、ある程度、6か月を超えても一定の有効性は期待できるというふうに評価されるところでございますが、本当のその後の6か月から7か月とか、7か月から8か月の区間の有効性というのは、今後、よりリアルワールドのデータ等で明らかになっていくことかと考えられております。
もう少しデータとしてお話しさせていただきますと、学会報告レベルでは、高度MA-LRTIに対しまして、区間の有効性を見ておりまして、5~6か月の間の有効性に関しましても、7割近い有効性が確認できておりまして、6か月付近で6~7割の有効性があると考えられますと、そこから急にいきなりゼロになるというよりも、減弱しながら、ある程度有効性は期待できるかと考えております。
今回、データとして中にお示しさせていただいていなかったのですけれども、第2相試験で生まれた赤ちゃんの抗体価の推移を6か月まで見ておりまして、一応、6か月の時点での抗体価は、参考値としましたパリビズマブでの予防効果が見られた濃度と同程度の抗体価が確認できておりますので、6か月の時点である程度抗体価がありますから、7か月、8か月とどんどん減弱していくことが予想されますけれども、同じように抗体価のそういった減弱の曲線、シミュレーションと、先ほど申し上げた6か月付近での有効性を加味すると、6か月を超えても一定の効果は期待できる可能性が考えられるというところが現在の見解でございます。
○原委員 そうなりますと、例えばRSの流行のピークの終わりぐらいにお生まれになったお子さんというのは、どうしても次の流行のときにもう6か月過ぎてしまうこともあり得るのかなと少し心配になったのですけれども、流行の状態にもよるのかなといったところですかね。
○小林参考人 ありがとうございます。そこの部分に関しましても、先生方並びにアカデミアの先生の中でもディスカッションされているところかと思いますけれども、今までのRSの流行のシーズンですと、アメリカ等ですと5~6か月の流行期で、それ以外にそれほど発生しないのですけれども、日本ですとどうしても、先ほど事務局からありましたように、流行が読めなくなって遷延しているような傾向もございますので、そういう場合には、新たな投与方法としては、例えばモノクローナル抗体の併用ですとか、今後検討されていくところかなと思っておりますし、当然、弊社のアブリスボもリアルワールドで有効性の持続期間がもっと明らかになっていけば、弊社のアブリスボで守られるのみでも十分かもしれないですし、アブリスボで十分でなければ、ほかのものとの併用みたいなところも今後検討されていくところかと考えております。
○原委員 ありがとうございます。
いっぱいになってすみませんけれども、あと1つお願いします。探索的解析されていますけれども、例えば早産とか低出生体重児のお子さんも、数は少ないといっても、まあそこそこ日本人と同じぐらいの数はいるのかなと思いまして、そういうサブ解析みたいな、低出生体重児とか早産のお子さんというのは十分抗体が移行していなくて効果が低かったとか、そういう結果は出ていないのかなというのが気になりましたので、お分かりでしたら教えていただければと思います。
○小林参考人 第3相試験は、早産に関しての有効性も見てはいるのですけれども、やはりサンプルサイズに限界がありまして、早産児ですとかリスク児を評価するデザインにはなっておりません。
後ろのほうに今回入れさせていただいたのですけれども、第3相試験で抗体価を測定したデータがございまして、36ページです。参考資料につけさせていただきました36ページのものが、第3相試験で早産の方と正期産の方の抗体価を見たデータになります。まず分布としまして、後期早産、34週以上37週未満が大部分を占めるような結果になっておりまして、これは自然な配分と類似しているかと思いますけれども、こちらは正期産と早産における母親参加者と乳児参加者の分娩時と出生時の中和抗体について説明しておりまして、母親参加者においては、正期産、早産ともに頑健な抗体価の上昇がまず確認できておりまして、真ん中の図が乳児参加者の出生時の抗体価を見ておりますけれども、早産においても高い抗体価の誘導が正期産と比較しても早産においてある程度確認ができております。しかしながら、実際の有効性というのは、より大規模なリアルワールドでの検討が待たれているところではございます。抗体価的には有効性が期待できるというところが弊社の解釈ではございます。
○原委員 分かりました。ありがとうございます。
以上です。
○鈴木委員長 そのほかいかがでしょうか。
大藤委員、お願いします。
○大藤委員 御説明ありがとうございます。私も2点ほど教えてほしいのですけれども、妊婦さんの中にはインフルエンザワクチンとかコロナワクチンとかそういったほかのワクチンと同時接種した人がいたのかどうかということと、もしいたのだったら、そのときの有効性とか安全性に関してのデータは何かあるのかどうかということを1つ教えていただきたいと思います。
もう一点が、参考資料の35枚目のスライドなのですけれども、接種してから分娩までの期間がすごく短かった人で胎盤移行率が低かったというようなデータかと思うのですけれども、こちらの解釈を教えていただけたらと思います。
○鈴木委員長 小林参考人、お願いします。
○小林参考人 まず1点目なのですけれども、他のワクチンとの同時接種に関して、第3相試験ではプロトコルに規定されておりませんでして、同時接種に対しての評価は行っておりません。しかしながら、他の試験において、他のワクチンとの同時接種は検討しておりまして、例えば第1/2相試験、C3671001試験におきましては、本薬と季節性インフルエンザとの同時接種の試験を行っておりまして、その際、インフルエンザワクチンの抗原に対する抗体価の低い傾向が認められてはおります。しかしながら、同時接種時の安全性は忍容可能でございました。
他のワクチンですと、ほかには百日せき菌の防御抗原含有ワクチン、Tdapとの同時接種について検討したC3671004試験もございまして、こちらは本薬の単独接種とTdapとの同時接種において、安全性は忍容可能でありました。本薬の抗体価の上昇にも影響はなかったのですけれども、百日せき菌の防御抗原の一部に関して免疫応答が低下する結果が見られております。しかしながら、この免疫低下の臨床的意義は不明であるというところから、ワクチンとの同時接種は禁止されず、添付文書において相互作用の欄での情報提供を行うこととなっておりまして、医師の裁量で同時接種は可能な添付文書に現在なっております。また、コロナワクチンに関しましては、現在までに同時接種を検討したような試験データはございません。
そういうデータ状況ではあるのですけれども、基本的には添付文書上は他のワクチンとの同時接種というのは、医師の裁量でできることになっております。
また、世界的には、アメリカですとかオーストラリアではインフルエンザや百日ぜき含有ワクチン、コロナワクチンとは同時接種可能となっておりまして、フランスですとか欧州のSmPCは、百日ぜき含有ワクチンの抗体価の低下の報告がございますので、14~15日ですとか間隔を空けた接種が推奨されております。ここが1点目に対する回答なのですけれども、回答になっていますでしょうか。
○大藤委員 よく分かりました。ありがとうございます。
○小林参考人 すみません。2点目のところを私がきちんと聞き取れていなかったのですけれども、もう一度2点目の御質問をいただけますでしょうか。
○大藤委員 参考資料でいただいている35ページ目のところで、ワクチンを接種してから分娩までの期間が短かった人で乳児への経胎盤移行率が低かったというような数字かなと思うのですけれども、この解釈を教えていただけたらと思いました。
○小林参考人 ありがとうございます。こちらに関しまして、まずデータの解釈としましては、このとおりといいますか、母親参加者に関しましては、14日未満から30日以上に関しましても抗体価がワクチン群で上がっておりますけれども、乳児参加者に関しましては、14日未満ですと30日以上ですとか14日から29日のものと比べると低い傾向が見られております。胎盤移行率に関しましては、我々のデータの解釈としましては、まずそこまでが解釈になります。乳児における抗体価は14日間未満よりも、2週間以上たって、かつ1か月以上たつほうが高い傾向がある。胎盤移行率に関しましても、これは胎盤の移行性を見ているものでございまして、分子が乳児の抗体価、分母が母親の抗体価でございまして、通常は1以上に高くなる傾向があります。正期産ですと1から1.2ぐらいが示されるようなものでございますけれども、早産の場合ですと低い傾向がありまして、考え方としてはここに差があるところで、もう少し時間がたてば上がってくる可能性が考えられる点ではございます。
これと別に、弊社のグローバルチームが行っている早産の際のRS抗体価の推移を見たプリセロスタディというものが学会報告されているのですけれども、そちらでも正期産の場合の児ですと1.2ぐらいまで上がっておりまして、後期早産ですと1、もう少し早産が早いと0.8とか0.9とかの辺り、低くなる傾向が見られておりまして、この胎盤移行率は子供への移行抗体の指標として取られているものでございます。
○大藤委員 ありがとうございます。そうしますと、接種から分娩までが14日未満だった人でも、乳児参加者の抗体の高さというのは、シナジスとかの接種と同じぐらいというふうに考えられますでしょうか。
○小林参考人 弊社の第3相試験では、接種から分娩までの期間が14日間未満であったものに関しては解析集団から除外されておりますので、2週間未満の出産だった場合には有効性は明らかになっていないところでございます。いろいろなガイドライン等では、2週間未満であった場合には、そこにはモノクローナル抗体の接種を検討するというようなガイドラインもあるようでございます。
○大藤委員 ありがとうございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。
氏家委員、お願いします。
○氏家委員 1点だけお伺いしたいのですが、MATISSE試験で1名妊婦さんが亡くなられていると思うのですが、医学論文への報告ですと、接種された方が分娩後の出血でhypovolemic shockで亡くなられたというふうに記載があると思います。特定のワクチンとの因果関係が推定されるような内容ではありませんし、担当医での評価が既にあるということですが、もし可能であれば、ワクチンとの因果関係をできるだけ明確に否定するために、通常、先ほどお話しがあったように接種から4週間以上経過してから分娩というのが一般的な経過だと思いますけれども、当該者は接種から1か月以上の期間が経過しているかどうかが分かれば教えていただけたらと思いました。
以上です。
○小林参考人 そちらに関しましては、今手元のほうにはっきりとした資料がございませんので、調べて回答させていただければと思います。学会発表レベルですと、接種から2か月頃の事象であったというふうに記憶しているのですけれども、きちんと調べて回答させていただければと思います。
○氏家委員 ありがとうございます。
○鈴木委員長 そのほかいかがでしょうか。
森野委員、お願いします。
○森野委員 ありがとうございます。御説明ありがとうございました。
私からは、21ページ、安全性情報の今後の予定についてお尋ねさせていただきたいと思います。市販後調査、特定使用成績調査、それぞれに対象者の方の具体的なところをお伺いできればと思います。あわせて、その予定のフォローアップ期間がお伺いできればと思いました。よろしくお願いいたします。
○小林参考人 まず、市販直後調査でございますけれども、こちらは通常の副反応疑いの自発報告でございまして、対象集団はアブリスボを接種した集団でございます。報告されるのは、因果関係が否定できない有害事象でございます。推定被接種者数としましては、売上からの換算ですけれども、6,611例の接種が推定されておりまして、そこから現在までのところ、新たな安全性の懸念は報告されていないというところになります。
特定使用成績調査に関しましては、第3相試験ではコントロール不良な妊娠合併症ですとか多胎妊娠の妊婦さんを除いておりますので、実際にリアルワールドでの使用実態の安全性の収集になっておりまして、特に厳しい除外基準などを設けているような試験ではございません。ですので、特定使用成績調査、市販直後調査もリアルワールドでの有害事象を自発的に拾ってくるのが市販直後調査で、登録してきちんと拾っていくのが使用成績調査になります。すみません。こちらの部分はきちんと明確に回答できていないかもしれないのですけれども、こちらも必要であればプロトコルを確認し後ほど情報提供させていただければと思います。
○森野委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○鈴木委員長 そのほかいかがでしょうか。
菅沼委員、お願いします。
○菅沼委員 よろしくお願いいたします。御説明ありがとうございました。
先ほど妊婦さんの件で触れたのですけれども、死亡例が十数例いらしたというのが分かっていますが、これはなかなか難しいのかもしれませんが、一般的な死亡率と比較した場合、先ほど早産、低出生体重児の割合を教えていただいたのですが、それと比較して高いものなのか、低いものか、そういったところの評価がもしあれば教えていただけるとありがたいです。
○小林参考人 すみません。こちらに関しましても、今手元に正確な死亡の頻度はございませんでして、申し訳ございません。現段階で言えることは、このプラセボ群での死亡率が参考になるかというところでございます。
○菅沼委員 ありがとうございました。
○鈴木委員長 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、幾つか委員から質問等がありましたので、小林参考人におかれましては、追加でもし情報がありましたら、事後で結構ですので、共有いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○小林参考人 承知いたしました。ありがとうございました。
○鈴木委員長 小林参考人、どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、サノフィ株式会社からお越しいただいております新城参考人から御説明いただきたいと思います。新城参考人、御準備よろしいでしょうか。
○新城参考人 ありがとうございます。改めまして、委員の先生方、事務局の皆様、本日は貴重な機会をいただきありがとうございます。サノフィの新城と申します。本日は、サノフィとアストラゼネカ社で共同開発されたRSウイルス感染症に対するモノクローナル抗体製剤であるニルセビマブの臨床試験成績等を紹介いたします。
早速2ページ目、製品概要に参ります。販売名はベイフォータス、一般名はニルセビマブとなっております。
添付文書から抜粋した効能または効果になりますが、2つの対象に分けて承認されております。まずは1の発症抑制の部分ですが、重篤なRSウイルス感染症のリスクを有する児とあるように、ハイリスク児を対象としております。こちらは下の段の関連する注意点に記載のとおり保険給付対象となっており、今年の5月から既に医療機関等で処方が開始されております。もう一つの適応が次の2番、通常のワクチンと同様の表現である予防の適応になります。これは1のハイリスク児以外の全ての新生児、乳児、つまり1歳未満のお子さんを対象としております。まずはハイリスク児に対して現行保険ベースで使用が開始されましたが、サノフィとしては、今後できるだけ早く2の適応を含む全ての1歳未満のお子さんに届けることで公衆衛生に貢献したいと考えております。
続きまして、3ページ目、効能または効果に関連する注意点ですが、具体的なハイリスク児のリストがございます。
下の段、用法・用量としては、流行期に1回筋肉内注射となっております。
続きまして、4ページ目。先生方には釈迦に説法になりますが、予防接種には大きく分けて2つあり、抗原を接種し免疫を誘導する一般的なワクチンのような能動免疫と、抗体などを注射して免疫を受動的に付与する受動免疫があります。受動免疫は新生児・乳児など能動免疫で免疫を十分に誘導できない者において遅延なく効果を発揮するための方法になります。ただ、モノクローナル抗体のような受動免疫は、能動免疫が開発された当時は存在せず、これまでは作用時間の制限がありました。
5ページ目ですが、この制限を克服したのがニルセビマブになります。ニルセビマブは、完全ヒトモノクローナル抗体製剤で、YTE substitutionというアミノ酸の配列変更を加えることで半減期を大幅に延ばしております。また、RSウイルスのFタンパクのsite 0というエピトープに結合しますが、これに結合する抗体は中和活性が高いとされています。このシェーマの赤の部分になります。実際の使い方としては、pre-filled syringeとなっており、既に薬剤が充塡されているため、通常のワクチン以上に簡便に使用することができると考えます。
6ページ目になりますが、ニルセビマブにおいては複数の臨床試験が行われており、その経時的な実施状況をまず示しております。ポイントは、早産児や基礎疾患を有する児だけでなく、健康な正期産児を対象としても開発されている点です。今回紹介するのは、主に健康な正期産児で行われた一番右上の第3相MELODY試験と一番右下のHARMONIE試験になります。第3相MELODY試験については、日本も含めた国際共同試験になります。
7ページ目、MELODYのデザインになりますが、3,000名を対象に2対1でニルセビマブまたはプラセボにランダム化しております。主要評価項目は、受診を要したRSウイルスの下気道感染でした。副次評価項目として、RSウイルス感染による入院や安全性等になります。
8ページ目ですが、主要評価項目である下気道感染の定義です。まずはPCR検査でRSウイルスが陽性で、かつ胸部聴診で下気道所見があり、重度の呼吸器疾患の臨床兆候があることが下気道感染に合致するという条件になります。
スライドの9ページ目、基本属性になります。1点注意点として、第3相MELODY試験においては、2019年に開始されましたが、コロナパンデミックの影響で各当局と相談の上、一時中断されて、その後再開されて、完了しました。そのため、左からパンデミックによる中断前、中断後、それから右側に前後を合わせたものの解析結果が示してあります。月齢については3か月以下が60%弱、在胎週数については正期産で生まれたお子さんが90%弱、体重は5キロ以上のお子さんが60%で、傾向はありませんでした。
次のページ、属性の続きで人種になります。日本人を含むアジア人は159人含まれており、この大多数、99名が日本人になります。
次に、スライド11ページ目、有効性の結果になります。COVID-19パンデミックの前後及び合わせた解析をそれぞれ下気道感染と入院に対してのアウトカムで示しておりますが、下気道感染に対して一貫して75%程度の高い有効性を認めております。
入院についても、パンデミック前のプライマリーコホートでは発生数が少なく、信頼区間は広いのですが、パンデミック後及び前後を合わせたコホートでは75~85%となっております。
続いて、12ページ目、安全性の結果になります。注目していただきたいのは、下の箇条書きのところになりますが、治療関連有害事象の頻度は1.5%弱で、対照群のプラセボと同様でした。これは通常のワクチンによる能動免疫とは異なり、受動免疫であるために、治療関連有害事象、ワクチンで言うところの副反応の程度が低いというところもあろうかと存じます。
続いて、13ページ目、重篤な有害事象となります。ニルセビマブ群では、治療関連の有害事象は認めませんでした。死亡に至った事例については、ニルセビマブ群で4例ありましたが、全てニルセビマブに関連しないと治験責任医師により判断されております。
続いて、14ページ目、MELODY試験においては、たまたま南アフリカでパンデミックの影響でRSウイルスのシーズンが大幅に遅れてきたため、5か月目以降の下気道感染の発生率を見ることができました。こちらはニューメリカルなものになりますが、50%の発生率の減少が示唆されております。ただし、あくまでも探索的な解析であり、統計学的検定は行われておりません。
続いて、15ページ目、MELODYにおいては中和抗体価も見ております。ニルセビマブ接種群においてベースラインと比較すると接種360日後においても7倍程度の抗体価を維持しておりました。
続いて、16ページ目、第3相のHARMONIEに移ります。こちらはフランス、ドイツ、英国の欧州の3か国で行われました。オープンラベルの試験で、健康な正期産児と後期早産児8,000名を1対1でニルセビマブまたは介入なしにランダム化しております。主要評価項目は入院を要する下気道感染になります。
17ページ目に基本属性を示しております。注目いただきたいのは、一番下の段を見ていただくと、正期産児で生まれたお子さんが85%程度を占めているというところになります。
続いて、18ページ目、基本属性の続きになりますが、体重は5キロ以上が60%でした。また、HARMONIE試験で特徴的なのは、実際の季節性の運用を模倣して、シーズンを通して組み入れが行われたことになります。そのため、シーズン中に生まれたお子さんが半数含まれております。このような児では、出生されて退院される直前にニルセビマブが接種されるというような運用を取っております。
続いて、19ページ目の有効性の結果になります。RSウイルス感染による入院に対しては83.2%の有効性を示し、酸素需要のある症例に対しては75.7%の有効性でした。
続いて、20ページ目、安全性になります。こちらの表は全有害事象で、こちらは投与30日目までの検討になります。
続いて、21ページ目、安全性の続きですが、比較対照が介入なしなので、これだけでは解釈が難しいのですが、治療関連の有害事象の発生率は2.1%とMELODYと類似しておりました。治験薬に関連するとされた重篤な有害事象はニルセビマブ群で1例認められましたが、想定される自然発生率の範囲内と考えられました。また、死亡は報告されておりません。
続いて、22ページ目、全体的な結果のまとめになりますが、健康な正期産児及び早産児で下気道感染や入院に対して一貫して70~80%の有効性を示しました。今回は時間の関係上説明を省きましたが、基礎疾患のあるお子さんや29週未満の早産児を対象に行われたパリビズマブとのMEDLEY試験においても同様の有効性が血中濃度や抗体価から期待されます。安全性についても対照群であるプラセボと類似した結果になっております。
続いて、23ページ目、米国やフランス、スペインでは、既に昨年のシーズンからニルセビマブが定期接種プログラムのような形で導入されておりますが、その後、実際のリアルワールドの研究結果についても出てき始めております。米国CDCが実施した2つの研究では、入院に対する有効性が90%を超えておりました。ヨーロッパからの複数の報告においても、入院とのアウトカムにおいて70~90%の有効性でした。これらのリアルワールドでの研究結果というのは、臨床試験の有効性を裏づけるものとなっております。
最後、24ページ目、まとめになります。本予防接種は、ハイリスク児だけでなく、健康な正期産児を対象として開発されております。したがって、我々もできるだけ早く全ての乳児をRSウイルス感染症から守り、我が国における公衆衛生的な貢献をできればと考えております。
お示ししたとおり、有効性・安全性の観点から、有用性は高いと考えます。また、健康な正期産児を含めた集団における費用対効果については、今後検討されると考えております。また、仮に定期接種化された場合でも、安定供給を行うことを目指して準備を進めております。
サノフィからの発表は以上になります。
○鈴木委員長 新城参考人、どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、委員から御質問ございますでしょうか。
原委員、お願いします。
○原委員 御説明ありがとうございました。私から1つ質問ですけれども、19枚目のところでシーズン中に生まれたお子さんとシーズン前に生まれたお子さんを合わせた解析結果を示されたと思うのですけれども、両群で違いはあったのでしょうかというところを教えていただければと思います。
○新城参考人 ありがとうございます。それについては現状データを持ち合わせていないのですが、追って確認してお答えできればと思います。
○原委員 ありがとうございます。
○鈴木委員長 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
1つ私から質問ですが、事実確認として、適応は先ほど前半でお話がありました、母体に対するワクチンを接種しているかどうかにかかわらず、抗体製剤は適応になるという理解でよろしいのでしょうか。
○新城参考人 御質問ありがとうございます。臨床試験が行われた際には、母子免疫ワクチンを接種した者というのは除外されていたのですが、いわゆる母子免疫ワクチンとの運用については、今後どのように使い分けるかというのは検討されていくものと考えます。
○鈴木委員長 分かりました。ありがとうございます。
そのほかよろしいでしょうか。
よろしければ、新城参考人、どうもありがとうございました。
○新城参考人 ありがとうございました。
○鈴木委員長 それでは、引き続き、事務局から資料の説明をよろしくお願いいたします。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。
それでは、13ページ、14ページにただいま御発表いただいた企業の発表内容をまとめております。こちらは割愛させていただきます。
15ページでございます。米国における母子免疫ワクチンの安全性評価、2024年6月28日のACIPにおける報告をまとめております。上段、VAERSへの報告の評価ということでございまして、VAERSは我が国の副反応疑い報告に類似した安全性情報を収集する体制でございますけれども、こちらによりますと、6月3日時点で121例の有害事象が報告され、報告されている中で最も多いのは局所症状、全身症状と早産などの妊娠経過に関連した事象であったということでございます。米国のCDCのまとめとしては、妊娠経過に関連した事象は妊娠32~36週の妊婦に対して推奨されるワクチンについて想定されるものであるとなっております。
また、CDCはVAERSに接種後の局所反応や全身症状について報告された内容は、薬事承認前の安全性プロファイルの内容と一貫していると判断したといった記載がございました。
また、VSDにおける観察結果を下段に示しております。VSDは、CDCと全米にある13施設のサーベイランスネットワークでありまして、こちらにおいては2023年から24年の流行期において妊娠30~37週の妊婦に対してファイザー社の母子免疫ワクチンが1万295回接種され、接種者のうち早産が427例であったと、その発生率は4.1%だったということでございます。ワクチン導入前に想定された在胎週数32~36週の早産の発生率である3.1~6.1%の範囲内であるといった分析がなされておりました。なお、こちらについてはCDCのほうで現在、急性に発生する事象や早産等の出産に関する事象の頻度について、接種者と非接種者を1対1でマッチングさせて比較した分析が進行中であるということでございまして、本年の後半に活用可能ということが報告されておりました。
16ページが母子免疫ワクチンの費用対効果についての知見でございます。こちらはファイザー社の試験研究による研究であることに留意が必要でございますけれども、社会及び支払者の立場から行った費用対効果分析において、パリビズマブ単独の予防接種戦略と比較して、母子免疫ワクチンとパリビズマブを組み合わせた戦略の費用対効果分析を実施したところでございます。結果としては、母子免疫ワクチンの費用対効果が良好となる価格を算出したということでありまして、下線部にありますとおり、母子免疫ワクチンの価格が2万3948円以下の場合に、ICERが500万円以下となったといった結果が報告されております。
18ページ以降がまとめでございます。18ページの上段、疾病負荷の大きさにつきましては、これまでの知見をまとめておりまして、また、論点のところには前回の議論の内容を書いております。
下段、有効性のところでございますけれども、ファイザー社の母子免疫ワクチンについて、また、サノフィ社の抗体製剤について、企業からの発表の結果をまとめております。論点といたしましては、まず、ワクチン及び抗体製剤については、RSウイルスによる下気道感染症に対する予防効果が確認されているというところ。また、ワクチン及び抗体製剤の有効性についてどのように評価できるかというところが論点と考えております。
19ページがまとめの2でございますけれども、安全性について、こちらもファイザー社、またサノフィ社の発表の内容をまとめております。論点といたしましては、まず、ワクチン及び抗体製剤について、臨床試験の知見のみならず、市販後の安全性の情報について、我が国における早産等のベースラインを確認しつつ、評価を行う必要があるのではないかということ。また、母子免疫ワクチンについては、市販直後調査や特定使用成績調査が計画されており、こうした情報の収集や、先んじて接種を開始している米国等の情報なども踏まえて検討してはどうかということ。また、その他、安全性に関する知見についてどのような情報が必要と考えられるのかということが論点と考えております。
また、費用対効果につきましては、論文を1つ御紹介しておりますが、ワクチン及び抗体製剤の費用対効果に関する知見について、どのような情報が必要と考えられるかというところを論点と考えております。
上記を踏まえまして、事務局案でございますけれども、乳幼児におけるRSウイルスの予防については、乳幼児での疾病負荷やワクチン及び抗体製剤の有効性については一定の知見が認められると考えてよいかということ。一方で、ワクチン等の安全性については、諸外国における議論や、国内知見が限定的であること、また、企業によると、安全性情報の収集が計画されていることから、引き続き、可能な限り国内の知見を確認してはどうかと考えております。
このような状況を踏まえまして、知見等をさらに収集した上で、ワクチン等の評価に必要な情報が一定程度集積した段階で、RSウイルス感染症に関するファクトシートの作成に進むこととしてはどうかと考えている次第でございます。
事務局からは以上です。
○鈴木委員長 事務局、御説明ありがとうございました。
それでは、これまで参考人から御説明をいただいた内容、それから事務局の資料を踏まえまして、委員の皆様と議論をしていきたいと思います。
資料の18ページ、19ページの事務局側でまとめていただいた論点を踏まえて、委員の皆様から御意見いただければと思います。よろしくお願いいたします。
大藤委員、お願いいたします。
○大藤委員 ありがとうございます。RSに関しては、やはり乳児の疾病負荷がかなり大きいというところでありまして、今回、ワクチンによる母子免疫、あと乳児への抗体製剤の成績も見せていただいたのですけれども、両方とも結構乳児のRSウイルス感染症を予防する効果が高い製剤だと思いました。
前回の議論でワクチンの安全性に関して、早産への影響があるのではないかとか、そういったことも懸念されていたことがあったかもしれないのですけれども、米国で先行して接種が進んでいるその状況を見てみると、そういった妊娠経過への影響はなさそうだというところで、安全性に関しても結構安心したデータが蓄積されてきたのではないかなと私は考えておりまして、事務局案で示していただいたように、国内の知見を集めるということも重要かと思いますけれども、ファクトシートの作成に進むというところで私は異論ありません。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。
原委員、お願いいたします。
○原委員 私も有効性・安全性に関する部分では大藤委員と同じような意見になります。費用対効果のところに関しては、今現在、パリビズマブ単独に対してワクチンとパリビズマブの場合の費用対効果が見られていたので、ニルセビマブも含めた評価も必要になってくるかなと思いました。ただ、どのように接種をしていくのかということまで考えた上で費用対効果を考えていく必要があるのかなと思いましたので、それをこの委員会の中で話し合っていくのかどうかとか、そういった点もちょっと気になりました。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
続いて、氏家委員、お願いいたします。
○氏家委員 ありがとうございます。まず、RSVは非常に乳児に対して疾病負荷の高い疾患ですので、2013年の予防接種法の改正に基づく基本計画の中でRSVの予防ワクチンの開発が国からも要請されて、それがかなう状況になったということは非常に望ましいことだろうと思います。一方で、現時点で中和抗体製剤、ワクチンともに任意か健康保険による使用のみというところで、費用負担を軽減できる健康保険もハイリスク者に限っての適応ということになるので、まだ健常な乳児に対する予防というところでは十分な対応ができていないため、この検討が重要となると認識しています。
RSVのワクチンに関して、中和抗体製剤も含めて、安全性・有効性のデータ自体はかなり臨床試験ではよい結果が出ているところでありますが、説明もありましたとおり、日本で初めて妊婦に対して承認がされたワクチンで、特徴としては、ワクチンの接種のリスクを妊婦さんが負うけれども、そのベネフィットとしてのRSV感染症の予防効果は妊婦さん自身ではなく、その子供が受益するというちょっと特殊なワクチンであるとは言えると思います。ですので、接種者は産婦人科で、直接患者さんを診るのは乳児のRSV感染症という意味では小児科になりますから、一連の予防対策の中で2つの診療科が連携して一体となった対応が求められるという、ちょっと特殊な新しいタイプのワクチンということはそのとおりなのかなと思います。
1つは、今後出てくる安全性のデータに関してなのですけれども、米国は日本と違って承認が妊娠32~36週の妊婦ですから、事務局の資料にあるような米国の情報を踏まえて検討という観点ではかなり限られた週数での評価しかできないだろうと思います。ワンシーズンもうすでに米国で製剤が使用されていますから、そこのデータでは問題ないということが示されたところは事務局からも提示があったところだと思います。日本ですと妊娠24週から接種を受けられるということで、ヨーロッパ、EUとかイギリスですと、もうちょっと高い週数から打っていると思いますが、日本だとかなり幅がありますから、そういった観点で安全性をしっかりと見ていくことは大事だと思います。
一方で、評価する情報は未接種の妊婦と同じ条件で比較する、ランダマイズド・コントロール・トライアルではないですから、生じた副反応との因果関係までの評価は難しい。市販後調査は自発報告とかに依存するような形になりますし、企業が前向きに安全性を評価する調査についても未接種の妊婦と比較するわけではないですから、いろいろなほかの要因にも影響を受ける形になるので、取れる安全性というのは、質の高い情報が今後たくさん出てくるよという状態ではないことは理解しておく必要があるのかなと思います。
そういったことを踏まえて、社会的な調整や安全性の確認というところで、個人的にはできるだけ早く検討自体は進めていくことが望ましいと思いますけれども、安全性と有効性のバランスを加味して検討は行っていくべきだろうと思います。
また、ファクトシートの作成による、具体的な検討に進むに当たっては、気をつけたいことを2点だけ挙げておきたいと思うのですけれども、費用対効果のところで価格設定ですね。特に中和抗体製剤が今、保険点数ですと2つ、50ミリグラムだと大体45万円ぐらいで、体重が5キロ以上の乳幼児への接種だと倍量なので90万円ぐらいの価格設定になっていると思います。一方で、実際のアメリカでのCDCプライスなんかで価格を家訓すると400ドルぐらい、確か395ドルだったと思いますけれども、非常に価格差がありますから、実際の流通したときの価格がどういう設定になるのか。一般的なワクチンの全対象者に対する価格ですと、日本ではそういった参考価格がありませんので、流通価格をある程度推定して評価することが必要だと思います。
また、ワクチンは妊娠しているときしか打てないですけれども、中和抗体製剤ですと、ハイリスクの乳児に対して2回目の追加投与が規定されているかと思います。ですので、出生時だけやるのか、それとも追加投与までやるのかによっても費用対効果がまた大きく変わってくると思いますので、そういった費用対効果の設定をきちんと議論して、評価のときに困らないように考えておくべきなのではないかなと思います。
すみません。長くなりました。以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。
それでは、森野委員、お願いいたします。
○森野委員 ありがとうございます。今、氏家委員がおっしゃってくださったところと重なる部分がございますが、私もこのRSウイルスに対する予防の手段が日本でも広く用いることができるような環境が得られる可能性というのは非常に切望していた部分であったと思いますので、この議論が進むことというのは大きな意味があるかなと思っているところです。
その中で幾つか大切に思っております点としまして、これも氏家先生がおっしゃってくださったとおり、日本において母子免疫ワクチンというものが比較的新しいコンセプトで、母体を診てくださっている産婦人科の先生方、そしてお子さんを診てくださる小児科医の先生方という形で両方に関わられる医療者の方々をはじめとして、母子免疫ワクチンに関する共通意識や受け入れ接種体制を拡充していくということは一つ大切な点になってくるのかなと思います。これに関しては、それぞれの学会から考え方や文書をお示しくださっていることを承知しているところではありまして、その拡充という意味合いで発言をさせていただきました。
そのほか様々な体制の整備等も必要な状況にあるかと思っておりまして、その安全性の観点に関しては、接種を受けられた妊婦さん、お母様と胎児、異なる方になりますので、その妊娠経過を含めて継続的に安全性評価、見守る体制というのも強化が望まれるところかなと思います。
そして、母子免疫ワクチンと抗体製剤を併せて議論するに当たっては、先生方からもコメントがありましたように、制度的な整理、広く基礎疾患のない正期産児の方も含めて抗体製剤を受けることができる体制としてどんな形が考え得るのかといったことも、費用対効果分析にも直結して、この議論に並行して、あるいは先だって必要な要素になるのではないかなと考えるところです。
そして、これも氏家先生がおっしゃってくださった、米国で先行して接種が開始されているところですが、妊娠32~36週の妊婦さんが対象であるということで、日本で接種を添付文書上24~36週、そして28~36週の場合、有効性の面で望まれる期間というふうにされている状況で、接種を受けていらっしゃる対象が多少異なる可能性があって、国内のデータ、安全性の情報というものもやはり大切にしたいところなのではないかなと思ったところです。その点では、先ほど企業様から御紹介をいただいた臨床試験の中では含まれていなかった多胎妊娠の方、基礎疾患、合併症等をお持ちの方のデータも含まれてくるというところも大切なのかなと思っております。対照群がないデータであるということは大切な点であるというふうに認識しつつ、議論の中では大事な情報ではないかなと思うところです。
すみません。長くなりました。以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
それでは、菅沼委員、お願いいたします。
○菅沼委員 私も皆さんと同じ意見ですが、特に先ほどからお話しされているとおり、母親に打って子供にベネフィットが得られるというワクチンになりますので、特に母親における安全性というのは重要になると思いますので、ほかの委員からもお話があったように、健康な方が多く試験に組み入れられているということでしたけれども、情報として基礎疾患がある方について、実際そのワクチンを打ってどうだったかというところの情報がある程度得られるというのはとても重要ではないかなと思いました。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
たくさん御意見をいただいております。
岡田参考人、お願いいたします。
○岡田参考人 ほかの委員の先生方が終わった後で結構ですけれども、今よろしいですか。
○鈴木委員長 いいです。よろしくお願いいたします。
○岡田参考人 事務局にお尋ねですけれども、19ページ目の事務局案の2ポツ目の1行目の最後のところです。ワクチン等の評価に必要な情報が一定程度集積した段階でファクトシートの作成を感染研にお願いするという文章がありますけれども、具体的にはどのような情報が集まった時点で感染研にファクトシートをお願いするということになっているのでしょうか。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
それでは、一旦ここで区切りまして、たくさん委員の先生方からの御意見、それから今の岡田先生からの御質問がございましたので、事務局のほうから答えられる部分があればよろしくお願いいたします。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。
まず、御質問という形でいただきましたのは最後、岡田参考人の御質問かと思いますけれども、一定程度集積した段階でというところにつきましては、現状、国内の市販後の安全性の情報というのは非常に限られているわけですけれども、今後予定されているところとしましては、副反応検討部会で、まず最初には10月と聞いておりますけれども、任意接種で打たれたワクチンの安全性の評価の情報が出ていく。以降3か月ごとに出ていくということ。また、市販直後調査についても、ファイザー社の発表によりますと、初回は9月でございますけれども、今後も11月中旬頃というところで、だんだん数が増えていくということ。まずはこういったものが当面出てくるということでございますから、こういった結果を踏まえて、また、その時点時点での米国等の情報も含めて、先生方にもう一度、ファクトシートの作成について御議論いただこうかと考えていた次第でございます。
○岡田参考人 ありがとうございました。
○吉原ワクチン情報分析専門官 引き続きまして、ほかの先生方は基本的には御意見が多かったかと思っております。特に先生方から複数いただきました御意見としては、費用対効果分析の際の前提でありますとか打ち方といったことを御発言いただいたかと思っておりまして、こちらにつきましては、まずは今後のワクチンの有効性・安全性、費用対効果の評価に資する分析、一定のバリエーションを持って費用対効果分析をしていこうと思っておりますので、ここは研究班の先生とも相談していきたいと思っております。
その上で、制度上の観点といいますのは、ここというよりかは基本方針部会になるかと思いますので、まずここでは、費用対効果分析に関する技術的な議論ができるように一定の幅で費用対効果をやっていきたいと考えております。
事務局からは以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。ファクトシートの作成となりますと、同時に費用対効果分析の作業も始まってくるということになります。そうなると、パラメータをどう設定するのか。それは先ほど氏家委員から指摘もあったように、そのコストの部分も入ってきますし、さらに加えて複数の委員から指摘がありましたように、どういったシナリオを考えるのか。今回非常に複雑なシナリオになるかと思いますので、その辺りも小委員会として完全にかっちり固める必要はないと思いますけれども、一定程度、委員の間でも議論はあらかじめしておいたほうがいいのかなと思っております。
氏家委員、お願いいたします。
○氏家委員 私のほうから事務局に1点だけ確認しておきたいと思うのですけれども、現時点で議論している定期接種化に関して、予防接種法で規定されていると思いますが、中和抗体製剤はワクチン製剤ではないですので、現段階において制度上は定期接種化の対象になっていないと理解しています。この議論をする前提条件として、費用対効果とか基本方針部会を含めた定期接種化のような、広く健常児にも使用することが望ましいという一定の審議会の意見をもってして、法改正等を検討するという話なのか、それとも、それとは別に、法改正等になると非常に時間とかもかかりますので、そういった広く読めるような制度の見直しというのは並行してやりつつ、審議も併せて行っていくという方針なのか、どっちの方向なのかなということだけ教えていただければと思います。
○鈴木委員長 事務局、いかがでしょうか。
○和泉予防接種課課長補佐 事務局でございます。
氏家先生、ありがとうございます。
法律上の解釈をどう考えるかというところは、現在、事務局のほうでも精査をしておりますので、現状どうなるかというところはお示しすることができない状況です。一方で、前回の3月の御議論で、いずれにしても技術的な検討は進めていくということをお諮りして御了解をいただいたところでございまして、現にワクチンと抗体製剤を健常児に対して打つということで、同様の効果を持つということで技術的な検討は可能だという御判断をいただいているという理解です。まずはそちらの技術的な検討をぜひこの場で、ある種先んじてさせていただくという方向でございますので、お尋ねのところには、現状明確にお答えができないのですけれども、いずれにしましても技術的な検討を進めたいというところが現在の方向性だと思っております。
○氏家委員 ありがとうございます。分かりました。つまり、結論が出ないとやらないというわけではなくて、並行して検討は続けていますということで理解しました。ありがとうございます。
○和泉予防接種課課長補佐 事務局、同じように考えております。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
そのほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
本日たくさん御意見、また御質問をいただきました。母子免疫ワクチン、それから抗体製剤ともにエビデンスとしてはそろってきてはいるけれども、安全性のデータについてはもう少し市販後調査の結果も踏まえて議論をしてはどうかといったような御意見、それから、費用対効果分析について幾つかシナリオを設定していく必要があるけれども、それについてもう少し整理をしてはどうか、こういった御意見があったかと思います。これらを踏まえながら、もう一度事務局のほうでも整理をしていただいて、引き続き小委員会で議論をしていくという方針で委員の皆様、よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○鈴木委員長 それでは、事務局のほう、そういった方針で進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
ちょっと時間が押しております。申し訳ございません。議題2のほうに移りたいと思います。議題2「高齢者に対する肺炎球菌ワクチンについて」です。
こちらについて、それではまず、事務局から資料の説明をよろしくお願いいたします。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。
それでは、資料2に沿って御説明させていただきます。おめくりいただきまして、4ページでございます。高齢者に対する肺炎球菌ワクチンのこれまでの経緯でございますけれども、平成26年10月、高齢者の肺炎球菌感染症が定期予防接種のB類に追加され、PPSV23、23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチンが使用されてまいりました。
また、令和4年9月、PCV15、沈降15価肺炎球菌結合型ワクチンの高齢者に対する使用が薬事承認されており、令和5年12月に第21回ワクチン評価小委員会で御議論いただいた際には、PPSVよりも優れた有効性が期待できるPCVについて、多価ワクチンの開発や薬事申請の状況等を踏まえ、ワクチン開発企業へのヒアリングや、ファクトシートの改訂要否に関する検討等を行うこととされたところでございます。令和6年8月にPCV20の適用が高齢者に拡大されたといった状況の変化もございます。
5ページに第22回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会でいただいた委員の御意見の内容を要約しております。PCVに関する結論としましては、先ほど書かせていただいたとおり、ワクチン開発企業のヒアリングやファクトシートの改訂要否に関する検討を行うとされたところでございます。
その際いただいた御意見といたしましては、有効性の観点ではPCVのほうが高いだろうと考えられ、多価PCVについて評価が必要。また、カバー率が同じであれば、PCVに移行するのが自然といった御意見をいただきました。
7ページが15歳以上における侵襲性肺炎球菌感染症の疾病負荷に関するデータでございます。こちらは1道9県から報告されております侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の罹患の状況、15歳以上人口10万人当たりでございます。こちらは青い線が全血清型、赤い線がPCV13のカバー血清型、黄色い線がPPSV23のうちPCV13のカバー血清型を除いた線でございます。新型コロナ流行前において15歳以上におけるIPD全体の年間の急性期罹患者数は、高齢者におけるPPSV23の定期接種化後も減少していなかった現状でございます。また、新型コロナ流行後の2020~2022年については、ワクチンでカバーされる血清型かどうかにかかわらず、2018年、2019年と比較して約4割に減少しました。新型コロナ対策による感染症伝播の減少といったワクチン以外の要因が考えられるとされております。
また、8ページに各血清型のカバーの状況が書かれておりまして、9ページがそれをまとめたものでございますけれども、15歳以上におけるIPDの症例から検出された肺炎球菌の血清型において、現在利用可能なPCV13、15、20及びPPSV23でカバーされる血清型の割合を比較すると、PPSV23とPCV20でカバーされる血清型の割合は比較的高いということでございます。また、PPSV23でカバーされる血清型の割合の推移を見ますと、PPSV23でカバーされる血清型のうち、PCV13に含まれる血清型の割合が大幅に低下している一方で、PCV13でカバーされない血清型の割合の低下は比較的小さいという現状でございます。
また、今回、PCVの有効性、安全性等について製造販売業者のMSD株式会社とファイザー株式会社より参考人として御出席をお願いしておりますので、参考人から御説明いただく形でもよろしいでしょうか。
○鈴木委員長 それでは、まず、MSD株式会社からお越しいただいております白沢参考人、澤田参考人から御説明をいただきたいと思います。御準備よろしければ説明をお願いいたします。
○澤田参考人 では、MSD、澤田より、15価肺炎球菌結合型ワクチン、バクニュバンスについて御説明いたします。
2ページに行きまして、製品概要となっております。本剤は2022年に成人適応が承認されました。その後、小児適応が追加されまして、本年4月より小児の定期接種ワクチンとして使用されております。成人での用法・用量は1回0.5ミリリットルの筋肉内投与です。
3ページは本邦成人におけるIPDの肺炎球菌血清型に関するデータを示しています。左は生方らのデータで、2010年から16年の血清型割合の変化を示しています。背景としまして、PCVはもともと小児向けのワクチンとして本邦でも2010年からPCV7の公費接種が始まって、小児IPDが激減しました。肺炎球菌は主に乳幼児の鼻咽頭に保菌されて伝播しますので、御覧のとおり成人でも、成人の定期接種導入前の時点で間接効果によりPCV7タイプのIPDが大きく減少しております。一方で、非ワクチンタイプによるIPDの割合が増加しています。
右は明田班による2014年から2023年までのデータですけれども、2013年に小児定期接種に導入されたPCV13タイプによる成人IPDは経年的に減少し、同じ血清型を含むPCV15、つまり本剤やPCV20、PPSV23タイプの血清型の割合も年々減少して、どのワクチンもカバー率は現在の時点で50%を切っています。
一方、資料の後ろに参考資料としてつけましたとおり、PCV13タイプの中でも血清型3など残存しているものもございます。弊社はこのようなIPDの疫学変化に着目しながら、小児には小児のPCV、成人には成人のPCVが必要と考えて、成人ではCDCのデータでIPDの80%以上をカバーする製剤を開発し、先日、日本でも申請したところでございます。本日は、特に血清型3の疾病負担に着目して開発したV114の成人データを御紹介いたします。
4ページに行きまして、V114の成人開発プログラムの全体像を示しております。多くは50歳以上の成人を対象として、この後紹介するPCV13対照のピボタル試験である019試験のほか、インフルエンザワクチンとの同時接種やPPSV23との連続接種などの検討を行っております。
5ページに行って、019試験の結果に移ります。本試験は50歳以上の成人を対象としてV114の安全性と免疫原性をPCV13と比較した国際共同試験となっております。
6ページに試験デザインを示しておりますが、肺炎球菌ワクチン未接種の50歳以上の成人、約1,200例を1対1の比でV114またはPCV13に無作為に割り付けました。日本からは65歳以上の245例が参加しております。免疫原性は接種前及び接種後30日目の時点で測定し、安全性は日誌を用いて事前に規定した注射部位の有害事象を接種から5日間、全身性の有害事象は14日間、重篤な有害事象は試験期間を通して収集いたしました。
7ページ、全集団と日本人集団における有害事象の要約を示しております。いずれの集団でも注射部位の有害事象の発現割合はV114群で高く、全身性及び重篤な有害事象の発現割合は接種群間で同程度でした。各群で1例ずつ死亡が報告されましたが、これらを含め重篤な有害事象は全て治験薬との因果関係が否定されております。
8ページに行きまして、左に全集団、右に日本人集団での事前に規定した有害事象の発現割合を示しております。最も多く報告された注射部位の疼痛の発現割合はV114群で高く、ほかの事象の発現割合は接種群間で同程度でした。有害事象は多くが軽度から中等度で、3日以内に回復いたしました。
続いて、9ページ、本試験の免疫原性の評価に移りますけれども、免疫原性はOPAを主要評価項目として、PCV13との共通型では非劣性、V114の固有型である22F及び33Fでは優越性を検証しました。また、血清型3についても副次評価項目として優越性を評価しております。
10ページに全集団における共通型に関するOPAの結果を示します。共通型の全てについて、V114とPCV13のOPA GMT比の信頼区間の下限は規定のマージンを超えておりまして、非劣性が検証されました。血清型3については、規定の優越性マージンを超えまして、優越性が確認されております。
11ページは固有型に関するOPAの結果です。いずれの評価項目におきましても、2つの固有型ともに信頼区間の下限が規定のマージンを超えておりまして、優越性が検証されました。
12ページに日本人集団におけるOPA GMTの結果を示しております。V114は日本人集団においても共通型ではPCV13と同程度、固有型及び血清型3ではPCV13より高い免疫応答を誘導いたしました。
13ページは019試験の結果のまとめになりますけれども、本日は割愛させていただきます。
14ページに行きまして、PPSV23との連続接種及びインフルエンザワクチンとの同時接種試験の結果をまとめております。V114とPPSV23の連続接種の忍容性は良好で、15血清型に対して免疫原性を示しました。インフルエンザワクチンとの同時接種の忍容性は良好で、非同時接種と同様の安全性プロファイルであり、免疫原性を示しました。資料は参考として後ろにつけております。
その他、V114はリスク者など幅広い成人集団における安全性、免疫原性が確認されています。
15ページはV114の成人試験での血清型3に対するOPA応答の結果をまとめました。評価した全ての成人集団におきまして、V114は血清型3に対する強固な免疫応答を一貫して誘導し、成人での疾病負担によりよく対処できる可能性があると考えております。
最後のスライドですが、以上をまとめますと、V114の成人での忍容性は良好で、免疫原性については、PCV13に対して共通型では非劣性、固有型では優越性を示しました。さらに、成人での疾病負担が大きい血清型3に対して高い免疫応答を誘導することが示されました。
供給に関しましては、弊社は現在の成人定期接種ワクチンであるPPSV23の安定供給に努めており、V114についても成人定期接種に指定された際は安定供給に努める所存です。
一方で、弊社は疫学変化に合わせて開発した新規成人用PCVを申請中でして、これも併せまして、弊社の成人向け肺炎球菌ワクチンの供給に関しては、今後の委員会での議論を踏まえつつ、適切に計画していきたいと考えております。
発表は以上です。ありがとうございました。
○鈴木委員長 御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、委員・参考人の皆様、御質問はございますでしょうか。いかがでしょうか。
私から1つ質問させてください。先ほど説明いただきました15ページ、血清型3に対する免疫応答がPCV13に比べて高かったという結果を御説明いただいております。これは小児においても同じだったのかどうかというのを確認させていただきたいのが1つと、あともう一つは、このメカニズムについてどういった説明があるのかについてもお聞かせいただきたいと思います。
○澤田参考人 御質問ありがとうございます。まず、小児におきましても、同様に3型に対しては優越性の検証を行っておりまして、優越性が示されております。
あと、このメカニズムについては、明確に説明することは難しいかと思いますが、各社ともにPCVと申しましても製造工程等が違っておりまして、弊社は免疫原性を、これは3型以外の点に関しましても高めるために、その製造のプロセス、結合のプロセス等に改良を加えて製剤開発してきた経緯がございますので、こういったところが寄与している可能性が考えられるのではないかというふうに考えております。
○鈴木委員長 分かりました。ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。
特によろしければ、それでは、御説明どうもありがとうございました。
続きまして、ファイザー株式会社からお越しいただいております伊藤参考人から御説明いただきたいと思います。御準備よろしければ、よろしくお願いいたします。
○伊藤参考人 よろしくお願いいたします。それでは、私のほうから資料2-3のプレベナーの臨床成績について紹介させていただければと思います。
おめくりいただきまして、2ページ目にはプレベナー20の製品概要をお示ししております。
3ページ目はプレベナー20に関する情報ですけれども、以降PCV20と呼ばせていただきますが、PCV20はPCV13の確立されたプラットフォームを基盤として開発された結合型ワクチンでございます。PCV13と同様に、肺炎球菌莢膜ポリサッカライドをT細胞依存性抗原であるCRM197に結合させ、アジュバントとしてリン酸アルミニウムを添加しております。
PCV20の臨床開発におきましては、この豊富なPCV13の臨床成績に基づいて計画されております。
4ページ目は上段に肺炎球菌ワクチンがカバーする血清型をお示ししております。先ほどからありましたとおり、課題でありました血清型のカバー率に関しまして、PPSV23と比べた血清型カバー率に関しましては、事務局の資料にございましたとおり近年は同様でございます。
5ページ目は成人を対象としたPCV20の臨床開発プログラムに含まれる第3相試験の一覧をお示ししております。本日はこの中で一番上のB7471009試験を私のほうから紹介させていただきたいと思います。
それでは、7ページになります。本試験では、日本、韓国及び台湾の肺炎球菌ワクチンの接種歴がない60歳以上の成人にPCV20を接種したときの安全性と免疫原性の評価をしております。登録時にPCV20/生理食塩液群またはPCV13/PPSV23群に1対1の無作為化割り付けをしております。こちらの治験参加者は、1回目接種時に無作為化された後、1回目にPCV20を接種した治験参加者は2回目には生理食塩液を接種、1回目にPCV13を接種した治験参加者は2回目接種時にはPPSV23を接種しております。PCV13とPCV20の13共通血清型については来院2回目のところで比較しておりまして、7追加血清型に関しましてはPCV20/生理食塩液群の来院2回目とPCV13/PPSV23群の来院3回目、こちらの2点で比較をしております。
8ページ目はPCV20の免疫原性の評価について紹介しております。非劣性の比較に関しましては、13共通血清型に対するPCV20の免疫応答がPCV13の免疫応答に対して非劣性であること、並びに7追加血清型に対するPCV20の免疫応答がPPSV23の免疫応答に対して非劣性であることを検証しております。このように、こちらのPCV20に関しましては、成人のほうではPPSV23がございますので、有効性の考察に当たりましてはPCV20は全ての血清型に対して肺炎球菌感染症に対する予防効果が確認されているPCV13またはPPSV23と比較がされております。
9ページ目は治験参加者の内訳とベースラインの特性についてお示しした資料です。安全性解析集団における人口統計学的特性及び喫煙歴は接種群間でおおむね同様でありました。
10ページ目は安全性の結果についてです。上段が1回目接種後10日間における局所反応の発現割合で、下段が1回目接種後7日間における全身反応の発現割合です。局所反応及び全身反応を報告した治験参加者の割合は、接種群間で同程度でした。また、重症度に関しましては、ほとんどが軽度または中等度でございました。
11ページ目では免疫原性の主要評価項目のデータを紹介しています。こちらは左側、13共通血清型は全て非劣性が示されておりまして、右側の7追加血清型に関しましては血清型8を除く6血清型で非劣性が示されております。血清型8に対するOPA GMRでございますけれども、点推定値0.58、95%の信頼区間の下限が0.50ということで、こちらは0.5を上回るという非劣性基準をわずかに満たしませんでしたけれども、その他の6血清型ではOPA GMRの両側、95%の下限を見てみますと、0.97以上となっております。
12ページ目は小児のプログラムでも紹介させていただきましたけれども、こちらのプログラムでも免疫原性の評価における総合的な評価がされておりまして、3つの追加の評価を紹介しております。血清型8においても他の血清型と同様にOPA GMTは接種前と比較して顕著な上昇が見られておりますし、また、大部分の被験者において、本剤接種によるOPA抗体価が接種前と比較して4倍以上、及び定量下限以上になっております。
以上のことにより、血清型8においても、主要評価項目以外の有効性評価項目を含めた総合的な考察に基づき、PCV13及びPPSV23同様の免疫応答が示唆されたことから、本剤の接種による有効性が期待できると考えております。
13ページ目は全体を通してのまとめとなります。本日弊社のほうでは供給に関するスライドは用意しておりませんけれども、仮に定期接種に指定された場合でも十分供給できるように準備を進めております。
弊社の発表は以上になります。ありがとうございました。
○鈴木委員長 御説明ありがとうございます。
ただいまの御説明につきまして、委員・参考人の皆様から御質問はいかがでしょうか。
大藤委員、お願いいたします。
○大藤委員 御説明ありがとうございます。免疫原性とか安全性に関してはPCV13と同じぐらいだったということで理解しました。
この治験で有効性とかも追跡して見ていく予定なのかどうかを教えてください。
○鈴木委員長 いかがでしょうか。
○山地参考人 ファイザーの山地です。
御説明しました臨床試験で、その後、有効性等の追跡調査の計画はございません。
○大藤委員 ありがとうございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。
それでは、私からですが、先ほどの資料11ページで血清型8に対するOPAの上昇がPPSVと比べて明確に非劣性を示すことができなかったという結果があったかと思います。一般的なメカニズムからいっても、PPSVに比べてPCVのほうが抗体応答はよろしいというのが一般的なコンセンサスかと思いますけれども、これはちなみに今回のトライアルではこういった結果でしたが、海外でそのほか行われたものにおいても同様の結果であったのでしょうか。この辺りについて、もしデータをお持ちでしたらお知らせいただければと思います。
○山地参考人 ファイザーの山地です。御質問ありがとうございます。
まず、今回と同様に対照ワクチンとの非劣勢を評価した試験が海外にございます。アメリカとスウェーデンで実施された第3相試験がございますけれども、こちらも今回御説明しました1009試験と同じく、13共通血清型については全て、7追加血清型については血清型8を除く6血清型で対照群との非劣性が示されており、血清型8につきましては、今回の試験と同様にわずかに非劣性基準を満たさなかったという同様の結果でございます。
今回の試験と同じように、ほかの評価項目、副次評価項目につきまして、血清型8を含めて全体的に評価した結果、総合的に本剤を接種することで血清型8を含む全血清型で十分な免疫応答の上昇が認められるというところで、臨床的な有効性が期待できると判断しております。
○鈴木委員長 御説明ありがとうございました。
そのほか御質問、御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、御説明ありがとうございました。
引き続き、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。
それでは、12ページ以降を御説明させていただきます。12ページがPPSV23と比較したPCV13の有効性でありまして、以前の資料の再掲でございます。
PCV13はPPSV23と比較して、カバーする血清型においてはより強い免疫原性を示すことが確認されております。疫学的な有効性についても、カバーする血清型のIPDについては、PCV13でより高い有効性が報告されているところでございます。
13ページは費用対効果についての知見でございまして、支払者の立場から行った費用対効果分析において、PPSV23を接種するプログラムと比較して、PCV15またはPCV20を接種するプログラムはいずれも費用対効果が高く、PCV20のほうがより費用対効果がよいと結論づけている論文でございます。
また、14ページも費用対効果の知見でございますが、社会及び支払者の立場から行った費用対効果分析において、PPSV23を接種するプログラムと比較して、PCV15または20を接種するプログラムはいずれも費用対効果が高く、PCV20はいかなるシナリオにおいても費用対効果が良好であったと結論づけられております。ただし、こちらの論文はファイザー社の資金提供による研究であることに留意が必要でございます。
15ページが各国の推奨状況でございます。米国、英国、カナダ、フランス、ドイツにおいて、高齢者の肺炎球菌ワクチンとしては全ての国でPCV20が推奨されております。一方で、PPSV23は米国、英国、カナダで推奨されており、このうち、米国とカナダではPPSV23を選択する場合はPCV15との連続接種が推奨されております。また、米国においてはPCV21が推奨されているところでございます。
17ページがまとめと今後の方針でございます。疾病負荷の大きさのところ、これまでの知見を記載しておりまして、論点としましては、IPDの疾病負荷はPPSV導入後も継続して確認されており、一定の疾病負荷があると考えてよいかどうか。また、ワクチンの評価に必要な疾病負荷の知見は一定程度得られていると考えてよいかということでございます。
また、ワクチンの有効性につきましては、企業から御発表いただいたところでございますが、論点としましては、両ワクチンの有効性についてどのように評価できるかということ。また、ワクチンの安全性についても、安全性に関してどのように評価できるかというところを論点としております。
また、費用対効果として2つの論文を御紹介しておりますけれども、改めて国において様々なパターンで費用対効果分析を実施してはどうかというところを論点としております。
事務局案でございますけれども、現時点で得られている疫学的な知見や企業からの報告等を踏まえて、疾病負荷、ワクチンの有効性・安全性、費用対効果について、ワクチンの評価に必要な知見が一定程度集積していると考えられるかということ。また、ワクチンの評価に必要な知見が一定程度集積していると考えられる場合には、本日の御意見も踏まえ、疾病負荷、PCV15及び20の有効性・安全性、費用対効果について、ファクトシートの作成を国立感染症研究所に依頼し、それを踏まえて再度議論を行うこととしてはどうかと考えております。
事務局からは以上です。
○鈴木委員長 事務局、御説明ありがとうございました。
それでは、今、17ページの下段で事務局案として提示いただいておりますけれども、これまで現状を踏まえて疾病負荷、ワクチンの有効性・安全性、それから、費用対効果の分析はこれからすることになるわけですが、それを進めるに当たって十分なデータがそろっていると言えるのかどうか、こういったことも含めて委員の皆様から御意見あるいは御質問をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
原委員、お願いします。
○原委員 ありがとうございます。疾病負荷のところに関して質問というか疑問点なのですけれども、事務局で用意していただいた資料の8ページ目に血清型の分布のグラフがあるわけなのですけれども、これで見ていくと、15歳以上のというところなので、まずこれが高齢者においても同じような分布であるのかというのがちょっと気になった点と、これでいきますと、やはり血清型3というのが依然高いという点から、15と20と両方、免疫原性を見た際に15のほうがちょっと3に対してはよさそうだというのが少し違いだったのかなと思いました。その一方で、カバー率という観点から見ると15よりも20が大きいということで、その辺りはどのように、高齢者での血清型まで加味して考えていくのかどうかというところを考えなければいけないのかなと思いました。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。
氏家委員、お願いいたします。
○氏家委員 ありがとうございます。肺炎球菌に関するデータについては、2013年から侵襲性感染症として血清型まで含めた、研究班での評価データというものがあるところですので、海外、そして国内における一定の知見というのは、これまでの蓄積も含めて評価するのに必要なデータではあると思います。一方で、もうかなり小児、高齢者での定期接種が実施されている段階ですので、実際の有効性の評価を見ていくことは今では非常に難しくなっている状態だと思いますので、こういった免疫原性を踏まえた評価を進めていくことに関しては妥当性があると考えます。
一方で、ファクトシートで評価する際にちょっと検討しておいたほうが良いのではないかなという技術的な観点だけ幾つか挙げておきたいと思いますけれども、まず、MSDから発表があったように、今後、血清型のカバー率を広げた21価というワクチンがアメリカでは既に承認されて、接種が推奨されている状況です。日本でも今申請しているところなのですけれども、過去のファクトシートの作成では、帯状疱疹ワクチンのシングリックスについてhは、まだ薬事承認がされていない段階においてファクトシートのデータを集めて、併せて評価をしていくというような対応を実施したこともありますが、今回のファクトシートの中では、既に海外で一定の知見があり、国内での開発が進められているワクチンを併せて評価する必要があると考えるか、それとも、そういうことまで考えていないかということを明確にしておく必要があろうかと思います。
次に、これまでも肺炎球菌の高齢者への定期接種に関する評価は行われているわけですけれども、過去のファクトシートでは、PPSV23の費用対効果が非常に高い評価を得ていたと思います。その理由としては、丸山先生などの実施された高齢者施設での肺炎予防効果の評価結果を一般高齢者に対して広げて評価したこととか、その評価時点ではPCVの減衰率などがはっきり分かっていなかったところ、鈴木先生などが実施された長崎の経時的な有効性の減衰率の評価もデータが出ているところですので、PPSV23についても改めて最新のデータに基づいた評価をするということでないと、有効性がPCV20でどうかみたいな、直接的な評価は難しいところもあるかもしれませんけれども、ちょっと工夫をしないと、過去の評価との比較だと、なかなか費用対効果の評価が難しい部分が出てくるのかなと思いました。
あとは、ここは多分難しいと私も思っているのですけれども、一応言っておくと、肺炎球菌は小児であれば結合型ワクチンは保菌予防効果として二次感染予防につながるということは明確なエビデンスがあるのですけれども、そういったことをもってA類疾病として定期接種が実施されているところだと思います。高齢者における保菌予防みたいなデータはおそらくないと思うので、難しいのかなと思うのですけれども、小児でA類疾病として使用しているワクチンですから、二次感染予防効果がデータとしてあるのかないのかというのは、きちんと評価した上で、小児ではA類疾病で打つけれども、高齢者ではB類で接種するというところの根拠をしっかりと明確にしていくことが必要なのではないかなと思います。
併せて考えると、B類疾病というのは7割が自己負担で接種費用を負担する前提での制度になりますから、費用対効果に関してもワクチンの価格のみならず、そういった制度を設定するときの投資に関するデータというのは、ワクチン価格がそのまま投資には、制度を設ける公衆衛生施策の実施者から見ればならないという部分があると思いますので、定期接種化を議論するための費用対効果の在り方みたいなことについてもきちんと議論をした上で設定するべきではないのかなと思います。
あともう一つだけ。PPSVは導入されたときに65歳以上全ての方に接種を行っているわけですけれども、アメリカなんかですとPCV20が過去に13価を打った方とか、23価を打った方も接種対象として推奨されているというような形で使用されています。費用対効果を評価する上で、65歳だけで打つのか、それとも65歳以上全員を想定するのかで、設定によっていろいろ評価が変わってくると思いますので、その辺りも現時点でどういう評価をするつもりがあるのか、それともそこまで要らない前提なのかみたいなところをある程度決めておかないと、事前に設定しておかないと、ファクトシート作成後に検討すべきでしたということが生じないよう、今の時点である程度議論しておいたらいいかなと思ったので、発言させていただきました。
私からは以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
原委員、氏家委員からかなり具体的にファクトシートの作成、あるいは費用対効果分析についての御質問あるいは御意見をいただいています。ひとまずここまでのところで事務局から何かレスポンスできるところはありますでしょうか。
○吉原ワクチン情報分析専門官 ありがとうございます。
まず、原委員から最初の血清型のところ、年齢についての御意見でありますとか、ちなみに、こちらについては今、事務局として数字を持っておりませんので、情報収集していくということでございますけれども、またこれも含めて、次の氏家先生からいただきました費用対効果分析等に係る様々な観点を御議論いただきました。こちらについても感染研の先生方と相談しまして、どういった情報があるのかということを検討してまいりたいと思います。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
そうですね。我々感染研にも関わってくることですので、私も少しコメントしておきたいと思いますが、まず最初の原委員から、資料8ページ目の血清型分布、こちらは研究班から15歳以上のデータを持ってきているものと思いますけれども、当然ながら高齢者のみに絞っての解析というのも可能ではあろうと思いますので、そちらのほうはデータを入手できるのかなと思っています。
それから、氏家委員から結構たくさん御提案といいますか、検討すべき課題について御意見いただいています。これはぜひ、ほかの委員の先生方の見解ももしできればいただく必要があるのかなと思います。例えば、PPSV23の費用対効果分析ももう一回やり直すべきではないのかとか、あるいは小児に対するPCVの導入による間接効果、必然的に考慮することになるのだと思いますけれども、それも明示的に組み込んで費用対効果分析をする必要があるのか。それから、65歳以上全員に打つというシナリオなのか、65歳のみで打つようにするのか。これは分析をした後にまた追加で分析となると、なかなか時間がかかりますので、もし現時点で明確にこういったやり方ですべきではないかという御意見があるようであれば、ぜひこの場で共有いただければと思いますが、いかがでしょうか。
あるいは氏家先生、最後に御指摘があった65歳以上全員で打つシナリオと65歳のみで打つというのは、どちらが好ましいと現時点ではお考えでしょうか。
○氏家委員 恐らく評価自体はデータを見てみないと分からないので、評価される池田先生、近藤先生などが関わって評価を実施されると思うので、無理のない範囲であれば、評価項目自体は広く取ったほうが議論の余地が残るという観点で、評価自体は両方やるほうが説明がつきやすいのかなという気はしています。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
近藤先生、お願いします。
○近藤委員 近藤です。
限られたところでしかコメントできないのですけれども、今日は、肺炎球菌ワクチンについては私どもの論文が一応費用対効果ということで紹介されていたのですけれども、こちらの論文でやる場合にも、PPSV23のことにつきましては、当然のことながら、それはベースラインなのですけれども、ベースラインのモデルのほうには新しい疫学知見が組み込まれていて、昔のもののデータを使っているわけではなくて、できるだけ最新のもので、現状のほうですので、そちらのほうは組み込んでいてということになっております。それは通常、費用対効果分析をやる場合は、当然のことながら、そのやっている時点で最新の情報で組むことになりますので、そこは普通されるのではないかなと思っております。
それから、前半のRSウイルスとも関わるのですが、打ち方問題はおっしゃるとおりで、複雑なことがいろいろ考えられる場合は、私どもがやる場合は想像される主な選択肢ということでやるわけですけれども、今まさしく議論されているように、そういうことをやって研究をまとめたところで、違ったアイデアのことはどうなんですかと言われると、そこについてはとやってみないと分からないということになります。そういう意味では、感染研のほうでファクトシート等を作成する中で、またいろいろもんでいただくということなのですが、ただ、それについて、少なくとも私の立場からは、今どういうパターンがありますかということについては特段の強い意見があるわけではございませんが、一応簡単なところだけお答えさせていただきました。
○鈴木委員長 近藤先生、ありがとうございました。
そのほかいかがでしょうか。想定されるシナリオはあらかじめ網羅する形で分析をするということになろうかと思いますけれども、例えば資料の15ページ、海外で、特に米国、カナダでPCV15プラスPPSV23、こういったプログラムも実際にされているわけですけれども、我が国においてもPCV15プラスPPSV23をやるという想定も含めて分析をすべき。その可能性を考えて分析することができると思いますけれども、ぜひすべきだとお考えかどうか、氏家先生、いかがでしょうか。
○氏家委員 価格設定が多分各国でいろいろ違っていて、日本の場合はPCV13を入れたときの価格がベースで、15価、20価と基本同じ価格で来ているので、恐らく20価と15価プラスPPSV23ですと、20と15が同じ価格になるので、そのまま費用対効果で勝つことがまずないということになってしまうので、今までも日本は両方のワクチンを接種するという制度がなかったということもありますし、なかなか考えにくい対応なのかなと思いました。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
菅沼委員、お願いいたします。
○菅沼委員 米国のほうで示されているいわゆる連続接種ですけれども、大分以前からこれは学会ベースで連続接種、ガイドラインとかにも書いてあったと思うのですが、実際問題はあまり体感としては進まなかったのかなというイメージがあって、それと、これに関する接種のルールといいますか、間隔とか、そういったものについて出たわけですけれども、かなり煩雑なところもあって、やはりなかなか打ちにくいなというところがあって、1回で1種類でという形のほうが現実的ではないのかなと考えております。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。
池田先生、お願いします。
○池田委員 池田でございます。
費用対効果分析のほう、我々の研究班でも進めてまいりたいと思いますけれども、幸いにしてこのグループでの大変よい研究もありますので、それらも参考にさせていただいて、まずモデルはいろいろな選択肢に対して比較できるように組んでまいりまして、その中で少し打ち方が海外の事情とかも含めて絞られてきましたら、それについての比較のデータをお示しし、追加でこういう比較ということであれば、それにもできる限り対応できるように、モデルは組んでまいりたいと思います。
ただ、日本に適用できる新しい有効性等のデータが必要になってまいりますので、それらに関しましてのアベイラビリティーについては、ぜひ感染研の先生方などにも御指導いただきながら進めてまいりたいと思います。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
そのほか御質問、御意見はいかがでしょうか。
それでは、現在の論点としましては、事務局案、17ページの下のほうにありますけれども、ファクトシートの作成を感染研に依頼してはどうかということですが、これについて委員の皆様から特に異論はなかったかと思うのですが、この方向でよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○鈴木委員長 御首肯いただいているかと思います。
それでは、事務局におかれましては、感染研と十分に連携をしながらファクトシートの準備を進めていただくという方向に行きたいと思いますが、事務局のほうから何かコメントは追加でありますでしょうか。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。
特に追加のコメントはございません。感染研の先生方とよく相談していきたいと思います。ありがとうございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
それでは、議事は以上となります。
事務局、いかがでしょうか。
○和泉予防接種課課長補佐 事務局でございます。
本日も活発な御議論をいただきまして誠にありがとうございました。少し時間がオーバーしてしまいまして申し訳ございませんでした。
次回の開催につきましては、追って御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。本日の会議は以上となります。活発な御意見をありがとうございました。お疲れさまです。
会議後事後追記(令和6年10月3日)
ファイザー社の企業説明に対する委員からの質問に対して、ファイザー社より事後的に以下の回答が示されました。
質問1:妊婦死亡例は接種後何日に起きたのでしょうか。
回答:治験期間中に本剤群で報告された、分娩後出血および循環血液量減少性ショックによる母体死亡の1例は、ワクチン接種後58日目に報告されました。なお、本死亡例と治験薬との因果関係は否定されています。
審査報告書
https://www.pmda.go.jp/drugs/2024/P20240112002/672212000_30600AMX00014_A100_1.pdf[1.5MB]
Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee May 18, 2023
https://www.fda.gov/advisory-committees/advisory-committee-calendar/vaccines-and-related-biological-products-advisory-committee-may-18-2023-meeting-announcement
質問2:治験で報告された乳児死亡率は、自然死亡率と同程度なのでしょうか。
回答:安全性データカットオフ時点までに報告された、全体集団の乳児参加者の死亡は本剤群で0.1%(5/3568例)、プラセボ群で0.3%(12/3558例)でした。
日本の乳児参加者の死亡はプラセボ群に認められ、0.2%(1/434例)であり、WHOが公開している2022年の日本の乳児死亡率は、0.17%(1000人当たり1.7)でした。
なお、治験で報告された乳児死亡は、いずれも母親が接種した治験薬と因果関係は否定されました。
審査報告書
https://www.pmda.go.jp/drugs/2024/P20240112002/672212000_30600AMX00014_A100_1.pdf[1.5MB]
World Health Organization, The Global Health Observatory Explore a world of health data
Infant mortality rate (between birth and 11 months per 1000 live births) (who.int)
質問3:市販直後調査と特定使用成績調査の対象患者、フォローアップ期間とスケジュールについて。
回答:ファイザー社は、本剤の接種を受けた妊婦とその出生児の両方の全般的な安全性情報を収集することを目的に下記に示す計画のもと、市販直後調査ならびに特定使用成績調査を実施いたします。いずれも使用実態下で幅広い被接種者から情報を収集します。
1.市販直後調査(実施中)
•実施期間:2024年5月31日~2024年11月30日
•実施方法:
頻度:納入後2カ月間は2週間に1回、それ以降は4週間に1回
収集方法:対面面談、Web面談、電話(代替手段として、e-mail、ダイレクトメール、FAX等)
•報告:2024年9月2日(第1回)、2024年11月中旬(第2回)、2025年4月以降(最終報告)(詳細は未定)
2.特定使用成績調査 [C3671015(実施中)]
•調査期間:1 例目の登録妊婦の登録日から最終出生児の観察期間終了日まで
•調査デザイン:本剤の接種を受けた妊婦(被接種者)およびそのすべての出生児を対象とする多施設共同コホート調査
•観察期間:[妊婦(被接種者)]本剤接種日から分娩後 28 日まで(分娩日を1日目とする)、[出生児]出生日(1日目)から出生後 28 日まで
•目標症例数;安全性解析対象例として妊婦450例およびそのすべての出生児
•調査方法:中央登録方式
•報告:中間集計は、安全性定期報告にてPMDAに提出予定
[安全性定期報告は、2024年8月(提出済)から2026年2月(予定)までは6ヵ月ごと、以降は1年ごとに提出予定]
アブリスボ筋注用に係る医薬品リスク管理計画書
https://www.pmda.go.jp/RMP/www/672212/e71d8a58-f17e-4fc3-b3ad-8ebef52418bf/672212_631350AE1028_004RMP.pdf[440KB]
ファイザー社資料:第27回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 2024年9月4日
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001299542.pdf[1.7MB]