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令和6年度第5回医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録
日時
令和6年8月28日(水) 14:00~16:00
場所
厚生労働省 共用第9会議室
(オンライン会議場)
(オンライン会議場)
議事
○医薬安全対策課長 それでは、定刻になりましたので、令和6年度第5回「薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を開会いたします。
本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。
今回の会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解、御協力のほど、お願いいたします。議事録については、後日、厚生労働省ホームページに掲載いたします。
また、今回もウェブ開催としており、対面での進行と一部異なる部分があります。議事に先立ち、審議の進行方法などにつきまして事務局より説明させていただきます。
○事務局 事務局より御説明申し上げます。
まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
御意見、御質問をいただくときは、ミュートを解除し、初めにお名前をお知らせください。発言のタイミングが重なった場合には、調査会長から順に発言者を御指名いただきます。その他、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしている事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。また、もし事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合には、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので、御確認いただけますと幸いです。御不便等をおかけするかもしれませんが、何とぞ御理解、御協力のほど、お願い申し上げます。
事務局からは以上です。
それでは、ここからの議事進行につきましては、調査会長の岡委員にお願いいたします。
○岡座長 調査会長の岡でございます。座長を務めさせていただきますので、委員の皆様には円滑な議事進行に御協力をお願いいたします。
今回もウェブ開催ということで事務局から御説明がありましたが、これまでの御説明に御質問、御意見等はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議事に入る前に、委員の出欠状況等について事務局から御説明をお願いします。
○事務局 本日の委員の出欠状況について御報告いたします。現時点で6名中5名の委員に御出席いただいておりますので、薬事審議会の規定により定足数に達しているため、本日の会議は成立することを御報告申し上げます。
続きまして、本日、参考人として参加いただく先生を紹介いたします。
議題1「要指導医薬品のリスク評価について」、議題2「一般用医薬品のリスク区分について」の関係で、医療法人社団 石鎚会 京都田辺中央病院より、耳鼻咽喉科センター長 出島健司先生。議題3「アトモキセチン塩酸塩製剤におけるニトロソアミン類の検出への対応について」の関係で、国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センターより、安全性予測評価部長 増村健一先生に御出席いただいております。
以上です。
○岡座長 続きまして、審議参加に関する遵守事項について御説明をお願いします。
○事務局 本日御出席の委員及び参考人の方々につきまして、議題1、2、3の対象品目・競合品目の製造販売業者からの過去3年度における寄附金・契約金などの受取状況を報告いたします。対象品目・対象企業及び競合品目・競合企業について、事前にリストを各委員・参考人にお送りして確認いただいたところ、石井委員より、田辺三菱製薬株式会社、日本イーライリリー株式会社より50万円以下のお受け取り。岡委員より、田辺三菱製薬株式会社より50万円以下のお受け取り。柿崎委員より、大正製薬株式会社、武田薬品工業株式会社より50万円以下のお受け取り。舟越委員より、武田薬品工業株式会社より50万円以下のお受け取り、第一三共ヘルスケア株式会社より50万を超えて500万円以下のお受け取り。出島参考人より、田辺三菱製薬株式会社より50万を超えて500万円以下のお受け取りと御申告いただいております。
舟越委員におかれましては、議題1の審議中、意見を述べることはできますが、議決に加わることはできません。
舟越委員以外の委員の皆様におかれましては、意見陳述、議決のいずれにも加わっていただくことができます。また、参考人の先生につきましても、意見陳述が可能なことを確認しております。
なお、これらの申告については、追ってホームページで公表させていただきます。
続きまして、所属委員の薬事審議会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。薬事審議会規程第11条においては「委員、臨時委員又は専門委員は在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様より、薬事審議会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますことを報告させていただきます。
報告は以上となります。
○岡座長 ただいまの事務局からの御説明に対して御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
○事務局 資料はあらかじめお送りさせていただいており、議題1に関しては資料1-1~1-2、議題2に関しては資料2-1~2-2、議題3に関しては資料3-1~3-3がございます。このほか、議事次第、資料一覧、委員名簿及び競合品目・競合企業リストがございます。お手元に資料の御用意のない委員がいらっしゃいましたら、お知らせください。
なお、資料は厚生労働省ホームページにも掲載しておりますので、オンラインで傍聴されている方はそちらを御参照ください。
以上です。
○岡座長 資料のほう、よろしいでしょうか。お手元にございますでしょうか。
それでは、議題1「要指導医薬品のリスク評価について」の審議を行いたいと思います。事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料1-1「要指導医薬品のリスク評価について」を御覧ください。表に記載されている項目は、現在、要指導医薬品に指定されており、このたび、製造販売後調査期間終了見込みに伴い、一般用医薬品としての適切性を確認するためリスク評価をお願いするものです。
初めに、要指導医薬品の一般用医薬品への移行の評価手順について、簡単に説明させていただきます。2ページ目を御覧ください。「スイッチOTC薬等のリスク評価について」は、リスク評価手続について、平成25年12月に開催された医薬品等安全対策部会において決定していただいたものです。本日の御審議は、この部会決定に基づき実施していただくこととなります。
背景から順に御説明いたします。平成25年当時の薬事法改正により、適正使用のために薬剤師により対面による情報提供や薬学的知見に基づく指導が必要な医薬品として、一般用医薬品とは別に「要指導医薬品」という新たな医薬品カテゴリーが設けられました。この「要指導医薬品」のうち、スイッチOTCやダイレクトOTCには、それぞれ一定期間の製造販売後調査の実施が義務付けられており、この調査期間が経過すると一般用医薬品に移行することとなるため、移行の際には、一般用医薬品としての販売の可否を確認するためリスク評価を行う必要がございます。
2ポツのとおり、一般用医薬品としての販売可否に関する評価については、原則3年間の製造販売後調査の終了までに行うこととし、製造販売後2年以降の時点において、製造販売後調査の中間報告の結果などを基に、製造販売承認の拒否事由に該当する状況にないかを確認していただくこととなります。この確認については、3ポツに記載されているとおり、本安全対策調査会にて行っていただくこととしており、また、本日の審議結果につきましては、医薬品等安全対策部会に御報告させていただくこととしております。
次に、要指導医薬品から一般用医薬品への移行についての流れを御説明いたします。5ページ目を御覧ください。企業は製造販売開始後原則3年間の製造販売後調査を実施し、その間は要指導医薬品と区分されます。調査期間中に1年ごとに年次報告書が提出され、また製造販売開始後2年が経過し、特別調査の目標症例数、内服薬3000例、外用薬1000例を集めた時点で中間報告書が提出されます。中間報告書をもって、安全対策調査会で一般用医薬品としての販売の可否について評価いたします。
一般用医薬品への移行が認められた場合、製造販売後調査期間が終了した時点で第1類医薬品に移行します。今後、製造販売後調査終了後の1年の間に、企業から提出される最終報告などの結果を踏まえ、一般用医薬品としてのリスク区分を安全対策調査会及び部会での審議などを経て決定することになります。繰り返しになりますが、今回お願いさせていただきます評価は、5ページ目、中ほどにございます①の第1類医薬品としての販売の可否についての評価になります。
次に、資料1-2を御覧ください。オキシメタゾリン塩酸塩・クロルフェニラミンマレイン酸塩について御説明いたします。販売名は「ナシビンメディ」です。効能・効果は「鼻づまりのある急性鼻炎又はアレルギー性鼻炎による次の諸症状の緩和:鼻づまり、鼻みず、くしゃみ」です。用法・用量は「成人(15歳以上)、各鼻腔に1回2~3度ずつ、1日1~2回噴霧する。なお、適用間隔は、10~12時間以上おくこと。連続して1週間を超えて使用しないこと。使用を中止した場合は2週間以上あけること。症状が改善したら使用を中止すること。」とされています。
製造販売後調査概要を御覧ください。特別調査では、調査症例数1001症例で、副作用が10例13件ございました。このうち、重篤と判断された症例はなく、未知の副作用として、副鼻腔痛と鼻痛が各1件ずつ報告されております。使用者もしくは薬剤師からの自発報告という形での一般調査では、報告はございません。また、医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく報告ですが、報告書のデータロック後に報告された副作用はございませんでした。
2ページ目を御覧ください。本剤と類似の効能・効果を持つ医薬品は第2類医薬品として販売されております、このような製剤がございます。
3ページ目は、副作用等発現状況になります。こちらについて、一般用同一成分、医療用同一成分として記載しております薬剤は、オキシメタゾリン塩酸塩の単剤であることに御注意いただければと思います。また、医療用医薬品として販売されておりました「ナシビン点鼻・点眼液」は現在販売を中止しております。副作用の発現割合は、本剤は1%であり、一般用医薬品のオキシメタゾリン製剤の0.6%、医療用医薬品のオキシメタゾリン製剤の5.1%と比較して、特段高いわけではございませんでした。また、その内訳を見ても、副作用の出方は同様で、特に注意すべきものはございませんでした。
4ページ目の「調査結果に関する見解と今後の安全対策」を御覧ください。これは製造販売業者が作成したもので、1ポツとして「副作用発現状況に関する見解」をお示ししており、副作用の発現状況については、重篤なものはなく、承認時までの調査と比較しても特に副作用報告頻度が高いという傾向は見られないことが報告されております。
また、2ポツとして「適正使用状況に関する見解」をお示ししております。本剤の効能・効果の範囲内で使用された症例は944例で94.3%の患者で適正に使用がされておりました。
また、5ページ目の中ほどに移り、添付文書の「してはいけないこと」について、「次の人は使用しないでください」に該当する症例は認められませんでした。また、「2.本剤を使用している間は、他の鼻炎用点鼻薬を使用しないでください」に該当する症例は2例(0.2%)でした。一部の症例で、必ずしも適正使用とは言えない事例が認められましたが、これらの症例で認められた副作用は全て既知の副作用であり、調査全体の発現状況と比べ、特に注目すべき副作用は認められませんでした。
3ポツとして「今後の安全対策について」をお示ししております。以上の結果から、副作用の発現については、現時点では「使用上の注意」改訂を含む特段の安全確保措置は不要と考える。一方、適正使用については、追加の措置として、本剤を販売する販売店に対し、適正使用に関する説明を徹底してもらうよう依頼する文書を配布するとともに、社内教育等を含め、必要な対策を実施していくと報告されております。
これ以降、7ページ目~18ページ目につきましては要指導医薬品製造販売後安全性調査報告書、19~20ページにつきましては添付文書、21ページ~24ページはチェックシート、25~32ページ目は製品説明書を添付しております。
説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございました。
それでは、本日御参加いただいております出島参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○出島参考人 京都田辺中央病院の出島でございます。本日はよろしくお願いいたします。
ナシビンメディにつきましては、製造販売後調査の結果を見させていただいたところ、大きな副作用もなく、要指導医薬品から一般用医薬品第1類への移行については妥当と考えます。
ただ、2点ほど発言させていただき、記録しておいていただきたいなと思う項目がございます。
報告の中の適正使用です。1週間を超えて使用された症例が8.6%、4ページの下のほうでございますけれども、あったと。中には1か月ぐらい使ったものが5例ほどあったということで、これは鼻粘膜への傷害が懸念される状況でございます。会社のほうの見解で、安全対策として、この点について触れておられまして、適正使用について、より一層の説明を徹底するということでございますけれども、その点につきましては、私のほうからもぜひ連用しないように、1週間を超えて使わないように、その辺りの説明を十二分にしていただくようにお願いしたいと思います。
もう一つは、本剤にはクロルフェニラミンマレイン酸塩という抗ヒスタミン薬が含有されております。御存じのように、このお薬は眠気を生じるお薬でございまして、一般的には、内服薬の場合には自動車の運転あるいは機械の操作などについては、条件がつけ加えられることが多い薬剤でございます。OTCの中の既に一般用医薬品第2類となっているものの中には、眠気に対する問題点を全く記載していない薬剤もあれば、アレルカットのように、乗り物または機械類の運転・操作をしないでくださいと書いてあるような薬剤もございます。今後も製造後販売調査は第1類から第3類のどれに該当するかというところの判定に向けて続行されるものと理解しておりますけれども、眠気に対する副作用について、しっかりと会社のほうも調査を十二分にしていただきたい。
以上2点、発言を加えさせていただきます。結論としましては、私は移行については問題ないと考えております。以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
事務局のほうは大丈夫でしょうか。よろしいですか。
そうしましたら、本件につきまして、委員の皆様から御意見等いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 ありがとうございます。舟越です。
まず、出島参考人にも御意見、御指導いただきたいところがございまして、私自身も先ほど出島参考人がおっしゃっていた、1週間連続して使う、超えることとか、また、再開するときには2週間空けることとか。それに対して、企業のほうが、それを空けなかったらどういう問題があるのかということを括弧書きで指導ポイントが書かれております。
ただ、今回、適正使用とされていなかった部分に、1日に1回か2回使うところの10時間から12時間空けるという部分についても、17例ぐらいでしたか、適正に使用されていなかったケースがございます。22ページ辺りに指導のポイントがあるのですけれども、そちらには10時間から12時間空けることについての、空けなかった場合にはどういうことが起きるのかということについて書かれておりません。先生の中では、10時間から12時間空けないと、また鼻汁とか鼻閉みたいなことが、逆に反発的な作用が起きるとか。それは詳細に書かれているものがありましたけれども、患者さんのパンフレット、使用者については書かれていなかったので、先生のところでは、適正使用されていない場所をより具体的に書いたほうがよろしいのでしょうかというところをちょっと御意見いただきたくて。
○岡座長 出島参考人、いかがでしょうか。
○出島参考人 御質問ありがとうございます。
お聞きになっておられるのは、日数ではなくて間隔の問題でしょうか。
○舟越委員 1週間を超えないことと、再開する場合には2週間空けることは、しっかりとその理由も書かれていました。10時間から12時間というところを空ける1日の使用間隔については、空けていなかった不適正使用事例が今回集積されているのですが、空けなかった場合についての理由が書かれていなくて、それは逆に症状を悪化させてしまう理由があるからだと思っているのですが、専門の先生からしますと空けなかった場合にはどういった有害事象等が起きるのでしょうか。
○出島参考人 連続して長く使わないことというのは、薬剤性肥厚性鼻炎の発症を恐れてのただし書きなのです。間隔につきましては、恐らく鼻粘膜からある程度吸収されますので、循環器系の疾患をお持ちの方などの場合は、あまり間隔を空けずに使用すると、不整脈等、いろいろ問題が出てくるのではないかと思います。私が想像するに、10時間ぐらい空けろと書いてあるのは、そういったことが起こらないようにということで、そういう使い方をするようにというような書き方ではないかなと理解しております。薬剤性肥厚性鼻炎との関係は、多分ないかと思います。
○舟越委員 ありがとうございます。
今回、集積の中で適正使用されていない部分に、この間隔のところもございましたので、先生の御意見をいただきたくて、この場で確認させていただきました。
製薬企業のほうの社員教育だったり、あとは我々現場での指導のポイントというリーフレットについても、今みたいな御解説を入れておいていただけると、不適正使用にならないような指導が現場でもできるのかなと思っております。事務局のほう、少し御検討いただけたらと思います。
○医薬安全対策課長 事務局でございます。ありがとうございます。
今日、お示ししている資料1-2の30ページでございますけれども、今のところ、企業側からの説明としては、10時間から12時間以上置くということについては、作用が長いということが記載されております。今、出島先生のほうから頂戴いたしました御意見も踏まえて、また企業のほうとも相談させていただきたいと思います。御指摘ありがとうございました。
○舟越委員 2点目は事務局に確認でございますが、今回の合剤について出島参考人もおっしゃっていただいたことに、私も同じ意見なのですが、クロルフェニラミンが入っていることで、安全性の集積の中では浮動性めまいということも一応報告されております。ただ、実際に消費者の指導性についても、めまいという記載は書かれていますが、これは浮動性めまいもこの中には入っているという解釈でよろしいのかということの確認と、出島参考人と同じで、もしめまいがH1ブロッカー系からのものであれば、車のそれをしないことなのか、注意して運転することを検討されているようであれば結構なのですけれども、そこの部分について検討されているかどうかということは確認したかったところです。
以上です。
○岡座長 今の点、事務局、いかがでしょうか。途中、「車の」とおっしゃったときにちょっと聞きづらかったのですけれども、車の運転についてということ。
○舟越委員 そうです。今回、合剤でH1ブロッカーのdl-クロルフェニラミンのほうからの経鼻吸収でそういったものが起きているのであれば、添付文書の車を注意して運転するよう指導することなのか、運転してはいけませんなのかというところは、他社の製品等と整合性を合わせていただきたいなと、私も出島参考人と同じ意見でございます。
以上です。
○岡座長 この点について、事務局のほう、いかがでしょうか。
○事務局 お答えさせていただきます。
初めの浮動性めまいにつきましては、添付文書上でめまいという形で注意喚起がなされておりますので、適正に注意喚起がなされているものと考えております。
○医薬安全対策課長 もう一点、クロルフェニラミンに基づく車の運転の注意でございますが、再度確認させていただきたいと思いますけれども、審査の際に、既にこの成分が入った点鼻薬がございますので、そのものとの整合性も確認していると思いますが、念のため、もう一度確認の上、不備等ございましたら対応させていただきます。
○舟越委員 ありがとうございました。
意見は以上でございます。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、委員の皆様、いかがでしょうか。
どうぞ、出島参考人。
○出島参考人 先ほど、添付文書のほうに10時間空けることについて、作用時間の問題というお話があったかと思いますが、これは多分、抗ヒスタミン薬であるクロルフェニラミンマレイン酸については、そうだと思います。それぐらいの持続時間かなと思いますが、恐らく血管収縮薬のオキシメタゾリン塩酸塩につきましては、そんなに長く作用は持たないと思いますので、10時間空けるということについて、オキシメタゾリン塩酸塩につきましては、本来はもうちょっと短い間隔でも、実際の実臨床では1日に3回とか、そういった使い方はされているとは思います。
ですから、舟越先生が懸念された点につきましては、作用機序の問題で10時間ということではなくて、もうちょっとオキシメタゾリン塩酸塩についてどうなのかというところに観点を置いていただいて、これの間隔が守られないとどういう問題があるかということをもう一度、厚労省としても一応確認されて、問題ないように、一般用医薬品としての使用を進めていただきたいなと思います。
以上です。
○医薬安全対策課長 御指摘ありがとうございました。確認させていただきます。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
そうましたら、議決に移りたいと思います。オキシメタゾリン塩酸塩・クロルフェニラミンマレイン酸塩につきましては、まとめますと2点御意見があったかと思います。
まず、適正使用についてでございますが、その期間あるいは間隔ということについて、今後の注意喚起の仕方ということについての御意見。
それから、2点目は、抗ヒスタミン成分の眠気に関して、しっかり今後の調査をしていくこと。及びその注意喚起については、ほかのお薬との整合性を確認すること。
この点を踏まえてということになりますけれども、一般用医薬品とするということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 皆様、うなずいていただいているのが確認できましたので、御異議なしとさせていただきます。
それでは、本議題に関する今後の進め方について、事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 御議論いただきありがとうございました。
製造販売後調査終了までの間、報告される副作用報告等を評価し、本日御審議いただきました結果に変更がないことを確認しつつ、一般用医薬品に移行する手続を進めてまいります。
また、本日の結果については、次の医薬品等安全対策部会に報告いたします。どうもありがとうございました。
事務局からは以上です。
○岡座長 それでは、本議題は終了したいと思います。
それでは、議題2「一般用医薬品のリスク区分について」の審議を行いたいと思います。事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局
資料2-1「製造販売後調査の終了に伴うリスク区分の検討について」を御覧ください。表に記載されている品目は、現在、第一類医薬品に指定されており、このたび、製造販売後調査の終了に伴い、一般用医薬品としてのリスク区分の検討をお願いするものです。
まず、一般用医薬品のリスク区分の評価の流れについて御説明いたします。資料2-1、7ページの「スイッチOTC薬に係る要指導医薬品から一般用医薬品への移行の流れ」を御覧ください。
本剤、タリオンARは2020年12月10日に販売開始され、その後製造販売後調査を3年実施し、昨年10月30日に安全対策調査会にてリスク評価が行われ、現在、第1類医薬品として販売されています。本日は図の②リスク区分に関して御審議いただくものです。
続いて、一般用医薬品のリスク区分を説明させていただきます。資料2-1、6ページ「一般用医薬品のリスク区分」を御覧ください。第1類医薬品は、その副作用等により日常生活に支障を来たす程度の健康被害を生ずる恐れがある医薬品であって、その使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するもの、または、新一般用医薬品として承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないものとされており、薬剤師により販売され、患者に対する文書による情報提供の義務がございます。
第2類医薬品につきましては、その副作用等により日常生活に支障を来たす程度の健康被害を生ずる恐れがある医薬品(第1類医薬品を除く。)であって、厚生労働大臣が指定するものとされております。薬剤師又は登録販売者により販売され、情報提供については努力義務とされております。また、第2類医薬品のうち、特別な注意を要するものとして厚生労働大臣が指定するものについては、指定第2類医薬品とされており、販売や情報提供については第2類医薬品と同一ですが、薬局開設者等は、情報提供するための設備から7メートル以内の範囲に陳列する、指定第2類医薬品を購入する場合は、禁忌を確認すること及び専門家に相談することを勧める旨を、購入者が確実に認識できるようにするなどの措置をとることとされております。
第3類医薬品は、第1類医薬品、第2類医薬品に分類されないもので、薬剤師又は登録販売者により販売され、情報提供の義務がないものとなっております。
続いて、今回御審議いただくベポタスチンベシル酸塩について御説明いたします。資料2-2を御覧ください。販売名は「タリオンAR」及び「タリオンR」です。「タリオンAR」と「タリオンR」は、販売名が異なるだけで同一の製剤ですが、「タリオンR」は販売されておりません。効能・効果は「花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:くしゃみ、鼻みず、鼻づまり」とされています。用法・用量は「15歳以上の成人に対して、1回1錠を1日2回、朝夕に服用する。」とされています。
同じページ下の製造販売後調査概要を御覧ください。特別調査とは、個別に薬局と契約して、モニター店舗でアンケート調査票を配布し、アンケートによる調査を実施するものです。この特別調査では、調査症例数は3556症例で、副作用が99例126件ございました。このうち、重篤と判断された症例はなく、未知の副作用として、鼻閉及び異常感各3件、耳下腺炎、化学物質アレルギー、悪夢、眼瞼刺激、咳嗽、鼻乾燥、くしゃみ、高粘稠性上気道分泌物、皮膚乾燥、そう痒症、関節痛、頻尿、心拍数増加及び体重増加各1件が報告されました。
続いて、使用者もしくは薬剤師からの自発報告という形での一般調査では、副作用は11例16件の報告がございました。このうち、重篤と判断された症例はなく、未知の副作用として、口内炎、上咽頭炎、排尿異常各1件が報告されました。
4ページ目を御覧ください。これまで御説明した副作用発現状況をまとめたものとなっております。一番左が本剤で、参考として本剤と同様の効能効果を有する一般用の抗ヒスタミン薬、医療用のタリオン錠を掲載しております。副作用の発現割合は、一般用の同種同効薬及び医療用のタリオン錠と比較して同程度であり、その内訳を見ても、特に注意が必要な副作用は認められません。
続いて、5ページ目以降に、製造販売業者が作成した「調査結果に関する見解と今後の安全対策」についてお示ししております。「1.副作用状況に関する見解」については、先ほど御説明したとおり、重篤な副作用はなく、非重篤な副作用の中に、一部未知の副作用はありますが、いずれも本剤との関連性は明確でないことから、現時点において追加の安全対策を講じる必要があるものはなく、引き続き情報収集、検討を行い、必要に応じて安全確保措置を講じていくこととしております。
続きまして、6ページの「2.適正使用状況に関する見解」について御説明させていただきます。「してはいけないこと」に該当する患者が使用していた例や、「用法・用量」や「効能・効果」外の使用が一部で認められましたが、これらの症例における副作用の発現状況は調査全体の発現と同様の傾向であり、また特に注目すべき副作用等は認められておりません。
このような逸脱事例について、企業は社内の一般用医薬品医療情報担当者に対して、本剤の適正使用に関する研修を適宜実施しており、納入した薬局全店に対して、チェックシート、使用者向け説明書などを同梱した「適正使用セット」により提供使用に係る情報提供を行うとともに、併せて、一部の小売企業においては、製造販売後安全性調査の手順動画を企業内で共有いただき、適正使用並びに安全性に関する情報を提供しています。また、引き続き適正使用状況等を注視しながら、これらの情報提供については継続して実施していくものとしています。
9~29ページは製造販売後調査報告書、30~31ページは添付文書、32~33ページは適正使用のためのチェックシート、34ページ目以降は使用者向けの説明資材を添付しております。
最後に、2ページ目に戻りまして、リスク区分につきましては、添付文書上、特に注意が必要な記載がなく、副作用発現頻度も特段高くないこと、また、同種同効薬も第2類医薬品に指定されていることから、本剤を第2類医薬品に指定してはどうかと考えております。
事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございました。
それでは、出島参考人より、本件につきましても御意見をいただけますでしょうか。
○出島参考人 出島でございます。
ベポタスチンベシル酸塩につきましては、実臨床において非常に多く処方された、我々も使用経験の大変多い薬剤でございます。今回の製造販売後調査の内容を見ますと、一般用医薬品第2類への移行につきまして、特別にそれを妨げるような事象はなく、他の類似医薬品、抗ヒスタミン薬、内服薬が第2類であることを鑑みますと、本剤、ベポタスチンベシル酸塩の一般用医薬品第2類への移行は妥当と考えます。
以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
それでは、本件につきまして、委員の先生方から御意見、御質問等いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 舟越です。
私のほうも出島参考人と同じように、ベポタスチンベシル酸塩についてのリスク区分事務局案については妥当と判断しております。
1件確認したいことが事務局にございます。資料2-2について、本剤はたしか使用期間の上限はないものの、2週間を超えて使用する場合は、医師・薬剤師に相談することとされていると思います。この資料2-2について、当局の評価として7ページ目でしょうか、基本的に箱単位で、販売包装単位の5日分での使用と書かれておりますけれどもね。
○岡座長 すみません、舟越委員、今、聞きにくかったので、ちょっと戻っていただいて、7ページ辺りからもう一回お話し。すみません。
○舟越委員 いえ、とんでもないです。大丈夫でしょうか。
○岡座長 今、大丈夫です。
○舟越委員 7ページ目で販売包装単位の5日間の使用が多かったと見解は書かれておりますけれども、677日間の使用などのような情報はどのように評価されているのか、ここのページではうかがえませんでした。他の疾患に使用されていることなども含めてですけれども、ちょっと外れ値みたいな、こういったものについては、どのような評価をされているかを教えていただきたいと思います。
以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
事務局のほう、いかがでしょうか。
○事務局 事務局から回答させていただきます。
最大値として677日使用された例につきましては、企業から副作用は生じていないと報告を受けております。こちらの患者につきましては、ハウスダストによる通年性のアレルギーがあったことから、長期で服用されたものと考えており、購入の都度、薬剤師等のチェックを受ける手順となっていることから、薬剤師との相談の下、継続使用したものと考えられています。
事務局からの説明は以上になりますが、こちらの回答で大丈夫でしょうか。
○舟越委員 薬局での販売指導については、適切にされているということは確認できました。また、2年間、ずっとOTCを買いながら治療されているのだなというところが、いきなりですが、出島参考人とか、何かコメントございますでしょうか。すみません。
○岡座長 出島参考人、いかがでしょうか。
○出島参考人 出島でございます。
実臨床では、600日どころか、2年も3年もずっと抗ヒスタミン薬を飲んでいる。例えば、ベポタスチンベシル酸を数年にわたって飲んでいる方もおられます。このお薬、当然治癒するお薬ではないですね。対症療法ということで、飲んでいるときだけ効果があるということです。患者さんが完全に治すとか、病気に打ちかつということを考えるのであれば、舌下免疫療法とか手術とか、いろいろあるのですけれども、取りあえず症状を抑えていきたいということであれば、薬剤、こういった対症薬が長きにわたって投与されるという事象は、実臨床でも結構見受けられるところで、かつ、それによって大きな医学的な問題、副作用もあまり見聞きするところではありません。
したがいまして、もちろん効果がなければとか、いろいろ書いてはあります。また、第2類に移りますとネットでも買えるわけですから、どんどん続けていくということもあり得るかも分かりません。しかしながら、そこのところについて、今回、第2類への移行を妨げるほどの問題は、私はないのではないかなと考えております。
以上です。
○舟越委員 ありがとうございました。症状を緩和するための部分であってということで、根治的な部分になった場合には、私も病院に勤めていますので、そういった舌下免疫を含めた治療があるということについても、そういう場合には医療機関に相談とか医師に相談ということについて見解をいただけましたので、ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしましたら、議決のほうに移りたいと思います。一般用医薬品のベポタスチンベシル酸塩のリスク区分については、「第2類」とするということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 皆さん、首肯していただいていることが確認できましたので、御異議なしとさせていただきます。
それでは、今後の進め方について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 御議論いただき、ありがとうございました。
本日御審議いただきました結果に基づいて、パブリックコメントの実施の手続を進めさせていただきます。その後、本日の審議結果及びパブリックコメントの結果を踏まえ、次の医薬品等安全対策部会において御審議いただく予定です。
事務局からは以上です。
○岡座長 それでは、本議題は終了したいと思います。
出島参考人におかれましては、貴重な御意見をいただき、誠にありがとうございました。これ以降、御意見を求める予定はございませんので、途中で御退席いただいても差し支えございません。どうもありがとうございました。
○出島参考人 ありがとうございました。
○岡座長 それでは、議題3「アトモキセチン塩酸塩製剤におけるニトロソアミン類の検出への対応について」の審議を行いたいと思います。事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 議題3について説明いたします。
初めに、本日お配りしている資料について御説明させていただきます。資料3-1は本件のあらましと本日の調査会で御審議いただきたい事項をまとめたものです。資料3-2及び資料3-3は、審議対象となるアトモキセチン塩酸塩製剤の製造販売業者から提出された評価報告書及び企業説明資料となりますが、主な内容は資料3-1に包含されますので、本日は資料3-1に沿って説明させていただければと存じます。
それでは、資料3-1を御覧ください。「2.経緯」にお示ししましたとおり、現在、医薬品におけるニトロソアミン類の混入リスクについては、厚労省から通知を発出し、各製造販売業者等に自主点検を依頼しております。なお、自主点検の実施期限は、進捗状況等を踏まえまして令和7年8月1日までとしております。
今般、「1.品目概要」に挙げました、注意欠陥/多動性障害に対する効能を有するアトモキセチン塩酸塩製剤のうち、日医工株式会社から、製剤の原薬から有効成分由来のニトロソアミン類の一種であるN-ニトロソアトモキセチンが検出されたとの報告がございました。一方、別途、日本イーライリリー株式会社からN-ニトロソアトモキセチンの限度値の相談を受けており、日医工株式会社が採用した限度値よりも緩慢な値が設定されており、その後の対応に違いが認められております。そこで本日は、N-ニトロソアトモキセチンの限度値の妥当性と限度値を踏まえた対応について御審議いただきたいと考えております。
「3.N-ニトロソアトモキセチンについて」に記載のとおり、アトモキセチンは第2級アミンであるため、ニトロソ化剤が混入した場合に、N-ニトロソアトモキセチンが生成される可能性がございます。日医工株式会社が使用している原薬製造所において、NOx高濃度下で粉砕が行われた場合に、N-ニトロソアトモキセチンが顕著に増加するという知見が得られております。また、N-ニトロソアトモキセチンの1日許容摂取量について、欧米を含む各規制当局は、構造が類似する化合物の毒性データに基づく試算、いわゆるリードアクロス法に基づき100ngと公表しております。
次に4ポツとして、日医工株式会社及び日本イーライリリー株式会社の限度値に関する検討結果と健康への影響評価等について説明いたします。
日医工株式会社は、1つ目の中黒に示した原薬中のN-ニトロソアトモキセチン量の実測値の結果を踏まえた上で、欧州医薬品庁の最新のガイダンスに基づき、リードアクロス法に基づく100ng/dayを限度値として採用し、限度値を上回る原薬が使用された出荷済みの製剤ロットの自主回収を行っております。また、アトモキセチンの最大用量120mgを毎日服用した場合の理論上の発がんリスクの上昇の程度は、N-ニトロソアトモキセチンの含有量として、各原薬のロットの実測値の平均値を用いて試算すると、およそ13万9000人に1人が生涯で過剰にがんを発症する程度のリスクに相当すると試算されております。ICH-M7ガイドラインにおいては「おおよそ10万人に1人の増加」のリスクは許容可能とされておりまして、その発がんリスクは許容される程度に収まっていると考えます。
一方で、日本イーライリリー株式会社は、N-ニトロソアトモキセチンの限度値について、ニトロソアミン類の作用機序、量子力学モデル及びin silicoモデル等を用いた証拠の重みづけによるアプローチを使用した検討結果を説明しておりまして、リードアクロス法で用いられるがん原性試験結果のTD50ではなく、in vivo遺伝子突然変異試験におけるベンチマーク用量信頼区間の下限値を用いて算出した限度値4400ng/day、若しくは、N-ニトロソアトモキセチンがICH-M7ガイドラインに示されたcohort of concernに該当しないとして、限度値1500ng/dayを提案しております。
次に、「5.海外におけるこれまでの対応」として、アトモキセチン塩酸塩の承認以降に発がんに関連する外国措置報告は4件あるものの、いずれもニトロソアミン類に関する当局のQA発出等にかかる報告であり、現時点で回収等の措置を行ったとの情報は確認できておりません。
また、6ポツとして、本剤の発がんに関連する国内副作用症例報告が7件報告されておりますが、いずれも因果関係は明確ではない状況であり、また発がんに関連する研究報告は報告がない状況となります。
最後は「7.今後の対応」となります。(1)のN-ニトロソアトモキセチンの限度値につきましては、日医工株式会社から提示された限度値100ng/dayは、現在のレギュレーションに沿った対応となっておりまして、科学的にも妥当性の認められた最新のリスク管理を行うことができると考えております。一方で、日本イーライリリー株式会社から提案された限度値4400及び1500ng/dayは、以下に示した3つの点で、現在のレギュレーションに合致しておらず、課題があると考えております。
1点目としましては、N-ニトロソアトモキセチンは、警告構造としてN-ニトロソ基を有し、企業実施のAmes試験及びin vivo突然変異試験が陽性であることを踏まえると、ガイドラインではクラス2の変異原性不純物質に該当し、1500ng/day以上の限度値の設定は困難であること。
2点目としては、ガイドラインのQ&Aに以下記載されておりまして、特に下線部において、in vivo遺伝子突然変異試験のエンドポイントは突然変異であって発がん性ではないことから、現在のところ、これらの試験のみで直接的に発がんリスクを評価できるかは検証されていないとされていること。
3点目は、N-ニトロソ構造を有する変異原性物質は、極めて強い発がん性を示す可能性があるcohort of concernに該当するとされており、限度値は1500ng/dayよりも著しく低い値となることが見込まれ、リードアクロス法に基づく限度値の個別設定が求められていること。
次に、(2)の(1)の限度値を踏まえた対応となりますが、日医工株式会社の製剤につきましては、これまでの自主回収事例と同様に、健康影響評価の結果を医療機関等に情報提供するとともに、患者の自己判断により服用を中止しないよう説明すること等を周知するための事務連絡を発出したいと考えております。
日本イーライリリー株式会社の製剤につきましては、限度値100ng/dayで管理し、必要に応じてリスク低減措置の実施を検討するよう指示したいと考えております。
なお、今回取り上げられた2社以外に、複数社がアトモキセチンの後発品を製造販売しておりますので、他の製造販売業者に対しても同様の対応を指示することを考えております。
説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。
それでは、本件につきましては、増村参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○増村参考人 国立医薬品食品衛生研究所安全性予測評価部の増村です。
本件ですけれども、ニトロソ不純物の名前はN-ニトロソアトモキセチンですが、このN-ニトロソアトモキセチン自体の発がん性試験のデータがないということで、この化学物質の発がん性試験に基づいたAI、許容摂取量の設定というものができないというようなシチュエーションになっております。このような場合には、ICH-M7等のやり方によりますと、ニトロソアトモキセチンと類似構造を持っているような物質の発がん性試験の結果を利用して、そこからリードアクロスという手法でもって限度値を算出するという手法が行われてきております。
今回は、日医工のほうではそのようなやり方に従いまして、NNKという構造類似物質の発がん性試験の結果から、リードアクロスによってAI=100ng/dayを設定しているところでございます。このやり方につきましては、米国FDAとかヨーロッパのEMAのほうでも同様のやり方をしていまして、同じように構造類似物質のNNKを使いまして、リードアクロスで100ng/dayと設定して公表しているところでございます。
一方で、イーライリリーのほうにつきましては、類似化合物の発がん性データではなく、N-ニトロソアトモキセチン自体を使ったin vivoの突然変異試験の結果から定量的な指標を算出して、そこから限度値を設定するというような試みをしているというところが一番大きな違いかと思っております。こうした手法は、研究レベルでは議論がないわけではないのですけれども、現在のところ、規制のレギュレーションの中で実際に使われている例というのはございません。
資料3-1の4ページに、先ほど事務局から説明もあったのですけれども、黒い3つのポツのうちの真ん中ですけれども、現在のICH-M7でも、Q&Aの中でin vivoの遺伝子突然変異試験のエンドポイントというのは、あくまで突然変異であって、発がん性ではないということを言っておりまして、このために、今のところ遺伝子突然変異試験の結果というところから、直接的に発がんリスクを評価できるかどうかというのは検証されていないというところをQ&Aで回答しているところでございます。
ですので、これらの状況と情報を総合しますと、先ほど事務局から説明がありましたとおり、日医工のほうで算出した100ng/dayという値が国際的にも通用する一般的な手法で設定されている値と考えられますので、このN-ニトロソアトモキセチンのAIについては、限度値100ng/dayという形でコントロールするということが妥当ではないかと考えております。
以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
それでは、本件につきまして、委員の皆様から御意見等いただきたいと思いますけれども、柿崎委員、お願いいたします。
○柿崎委員 柿崎です。
参考人の先生の意見をお伺いしまして、事務局案に異論があるわけではないのですが、日医工株式会社はN-ニトロソアトモキセチン量の実測値を平均値523ppbと出しているのですけれども、日本イーライリリー株式会社のほうの製剤に関する実測値等のデータとかはあるのでしょうか。
○岡座長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 事務局から回答させていただきます。
日本イーライリリーから、最新の情報ではないのですけれども、以前に一部製剤ロットを抽出して実測した結果が示されておりましたが、今回、イーライリリーから主張されている限度値より十分に低い値であったことから、その後の最新の製剤に関して実測は行っていないとの回答を得ているところとなります。
○柿崎委員 分かりました。ジェネリック医薬品も含めて、今後、そういった実測を行っていくという方向でよろしいのでしょうか。
○事務局 はい。基本的には、製剤での実測値を基準に検討されるものですので、各製販に実測を指示したいと考えております。
○柿崎委員 分かりました。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
舟越委員、お願いします。
○舟越委員 舟越です。
事務局に確認になるのですけれども、資料3-1の7の今後の対応についての黒丸3つ等は、私は妥当だと思いますので、異議とか異論はございません。
この資料3-1の2ページ目、粉砕時にNOxが環境下で高濃度だというところが、実際に日医工のほうでも7月17日にプレスリリースされているところでございますが、こちら、実際に今までインクだったり、製造、合成過程だったり、分解するところで、幾つかのニトロソアミン類については発生する理由が幾つかあったのですが、NOxが高濃度だと、というところについては、何かGMP等で規制とかかかっているのか。また、これは高濃度にしている理由というか、なぜ高濃度だったのかというところについて、何か製造工程でそういったものについて、どういったことがあったのかということを教えていただければと思います。
○岡座長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 事務局から回答させていただきます。
御質問の内容ですけれども、GMP省令においては、医薬品に係る製品の製造所の構造設備については必要な規定を設けているところですけれども、大気中の窒素酸化物やNOxを捕集する構造設備までは求めていないところになりますので、この事象をもって、今回の日医工の事象が直ちにGMP違反となるような事象ではございません。
○岡座長 どういった原因でNOxが高かったのかみたいなことについていかがですか。
○事務局 日医工株式会社で使用する原薬製造所における企業の考察なのですけれども、資料3-2の3ページの中ほどにその詳細が書かれております。申し訳ありませんが、3-1のほうでは説明を省略しておりました。実際に粉砕場所については、2021年1月までとそれ以降で作業場所が異なっていたということとなります。旧粉砕場所では、周囲をフォークリフト等が往来しており、作業室の空調用のエア取込み口付近のフォークリフトの通常停止位置があることから、排気ガスが流入する可能性が高いと考えられましたということで、こういった作業室外の外的要因によってNOxの濃度が高まったのではないかという考察がされております。
以上になります。
○舟越委員 ありがとうございます。
今回のことですぐにどうこうすべきだというコメントは持ち合わせておりませんけれども、作業環境でこういったことが起きるんだなということも、まだ考察レベルだと思いますけれども、今後、こういったものについての製造設備規制関係も、来年の8月まで、他社の他の薬剤でも出てくるようなことがあるのであれば、少しそういったところまでを考えておく必要もあるのかなということを意見として述べさせていただきました。
以上でございます。
○事務局 御意見ありがとうございました。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、委員の皆様、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしましたら、議決に移りたいと思いますけれども、本件につきましては、資料3-1で事務局より提示いただいた今後の対応のとおりで進めるということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 皆さん、首肯していただいていることが確認できましたので、そのように進めさせていただきます。
それでは、本議題に関する今後の進め方について、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 御議論いただき、ありがとうございました。
今後の対応に記載したとおり、日医工株式会社の製剤につきましては、医療機関等に対し、健康影響評価を情報提供するとともに、患者の自己の判断のみにより本剤の服用を中止しないよう説明してほしいこと等を周知するための事務連絡を発出いたします。
日本イーライリリー株式会社の製剤につきましては、限度値100ng/dayで管理し、必要に応じてリスク低減措置の実施を検討するよう指示するとともに、ほかの製造販売業者の製剤についても同様の対応を指示したいと考えております。
事務局から以上となります。
○岡座長 それでは、本議題は終了したいと思います。
増村参考人におかれましては、貴重な御意見、どうもありがとうございました。
それでは、予定していた議題は以上ですけれども、事務局から何かございますか。
○事務局 特にございません。
次回の開催につきましては、改めて御連絡いたします。
事務局からは以上となります。
○岡座長 それでは、本日の調査会を閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
※なお、石井委員が会議冒頭で入室され、委員全員出席となった。
本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。
今回の会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解、御協力のほど、お願いいたします。議事録については、後日、厚生労働省ホームページに掲載いたします。
また、今回もウェブ開催としており、対面での進行と一部異なる部分があります。議事に先立ち、審議の進行方法などにつきまして事務局より説明させていただきます。
○事務局 事務局より御説明申し上げます。
まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
御意見、御質問をいただくときは、ミュートを解除し、初めにお名前をお知らせください。発言のタイミングが重なった場合には、調査会長から順に発言者を御指名いただきます。その他、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしている事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。また、もし事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合には、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので、御確認いただけますと幸いです。御不便等をおかけするかもしれませんが、何とぞ御理解、御協力のほど、お願い申し上げます。
事務局からは以上です。
それでは、ここからの議事進行につきましては、調査会長の岡委員にお願いいたします。
○岡座長 調査会長の岡でございます。座長を務めさせていただきますので、委員の皆様には円滑な議事進行に御協力をお願いいたします。
今回もウェブ開催ということで事務局から御説明がありましたが、これまでの御説明に御質問、御意見等はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議事に入る前に、委員の出欠状況等について事務局から御説明をお願いします。
○事務局 本日の委員の出欠状況について御報告いたします。現時点で6名中5名の委員に御出席いただいておりますので、薬事審議会の規定により定足数に達しているため、本日の会議は成立することを御報告申し上げます。
続きまして、本日、参考人として参加いただく先生を紹介いたします。
議題1「要指導医薬品のリスク評価について」、議題2「一般用医薬品のリスク区分について」の関係で、医療法人社団 石鎚会 京都田辺中央病院より、耳鼻咽喉科センター長 出島健司先生。議題3「アトモキセチン塩酸塩製剤におけるニトロソアミン類の検出への対応について」の関係で、国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センターより、安全性予測評価部長 増村健一先生に御出席いただいております。
以上です。
○岡座長 続きまして、審議参加に関する遵守事項について御説明をお願いします。
○事務局 本日御出席の委員及び参考人の方々につきまして、議題1、2、3の対象品目・競合品目の製造販売業者からの過去3年度における寄附金・契約金などの受取状況を報告いたします。対象品目・対象企業及び競合品目・競合企業について、事前にリストを各委員・参考人にお送りして確認いただいたところ、石井委員より、田辺三菱製薬株式会社、日本イーライリリー株式会社より50万円以下のお受け取り。岡委員より、田辺三菱製薬株式会社より50万円以下のお受け取り。柿崎委員より、大正製薬株式会社、武田薬品工業株式会社より50万円以下のお受け取り。舟越委員より、武田薬品工業株式会社より50万円以下のお受け取り、第一三共ヘルスケア株式会社より50万を超えて500万円以下のお受け取り。出島参考人より、田辺三菱製薬株式会社より50万を超えて500万円以下のお受け取りと御申告いただいております。
舟越委員におかれましては、議題1の審議中、意見を述べることはできますが、議決に加わることはできません。
舟越委員以外の委員の皆様におかれましては、意見陳述、議決のいずれにも加わっていただくことができます。また、参考人の先生につきましても、意見陳述が可能なことを確認しております。
なお、これらの申告については、追ってホームページで公表させていただきます。
続きまして、所属委員の薬事審議会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。薬事審議会規程第11条においては「委員、臨時委員又は専門委員は在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様より、薬事審議会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますことを報告させていただきます。
報告は以上となります。
○岡座長 ただいまの事務局からの御説明に対して御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
○事務局 資料はあらかじめお送りさせていただいており、議題1に関しては資料1-1~1-2、議題2に関しては資料2-1~2-2、議題3に関しては資料3-1~3-3がございます。このほか、議事次第、資料一覧、委員名簿及び競合品目・競合企業リストがございます。お手元に資料の御用意のない委員がいらっしゃいましたら、お知らせください。
なお、資料は厚生労働省ホームページにも掲載しておりますので、オンラインで傍聴されている方はそちらを御参照ください。
以上です。
○岡座長 資料のほう、よろしいでしょうか。お手元にございますでしょうか。
それでは、議題1「要指導医薬品のリスク評価について」の審議を行いたいと思います。事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料1-1「要指導医薬品のリスク評価について」を御覧ください。表に記載されている項目は、現在、要指導医薬品に指定されており、このたび、製造販売後調査期間終了見込みに伴い、一般用医薬品としての適切性を確認するためリスク評価をお願いするものです。
初めに、要指導医薬品の一般用医薬品への移行の評価手順について、簡単に説明させていただきます。2ページ目を御覧ください。「スイッチOTC薬等のリスク評価について」は、リスク評価手続について、平成25年12月に開催された医薬品等安全対策部会において決定していただいたものです。本日の御審議は、この部会決定に基づき実施していただくこととなります。
背景から順に御説明いたします。平成25年当時の薬事法改正により、適正使用のために薬剤師により対面による情報提供や薬学的知見に基づく指導が必要な医薬品として、一般用医薬品とは別に「要指導医薬品」という新たな医薬品カテゴリーが設けられました。この「要指導医薬品」のうち、スイッチOTCやダイレクトOTCには、それぞれ一定期間の製造販売後調査の実施が義務付けられており、この調査期間が経過すると一般用医薬品に移行することとなるため、移行の際には、一般用医薬品としての販売の可否を確認するためリスク評価を行う必要がございます。
2ポツのとおり、一般用医薬品としての販売可否に関する評価については、原則3年間の製造販売後調査の終了までに行うこととし、製造販売後2年以降の時点において、製造販売後調査の中間報告の結果などを基に、製造販売承認の拒否事由に該当する状況にないかを確認していただくこととなります。この確認については、3ポツに記載されているとおり、本安全対策調査会にて行っていただくこととしており、また、本日の審議結果につきましては、医薬品等安全対策部会に御報告させていただくこととしております。
次に、要指導医薬品から一般用医薬品への移行についての流れを御説明いたします。5ページ目を御覧ください。企業は製造販売開始後原則3年間の製造販売後調査を実施し、その間は要指導医薬品と区分されます。調査期間中に1年ごとに年次報告書が提出され、また製造販売開始後2年が経過し、特別調査の目標症例数、内服薬3000例、外用薬1000例を集めた時点で中間報告書が提出されます。中間報告書をもって、安全対策調査会で一般用医薬品としての販売の可否について評価いたします。
一般用医薬品への移行が認められた場合、製造販売後調査期間が終了した時点で第1類医薬品に移行します。今後、製造販売後調査終了後の1年の間に、企業から提出される最終報告などの結果を踏まえ、一般用医薬品としてのリスク区分を安全対策調査会及び部会での審議などを経て決定することになります。繰り返しになりますが、今回お願いさせていただきます評価は、5ページ目、中ほどにございます①の第1類医薬品としての販売の可否についての評価になります。
次に、資料1-2を御覧ください。オキシメタゾリン塩酸塩・クロルフェニラミンマレイン酸塩について御説明いたします。販売名は「ナシビンメディ」です。効能・効果は「鼻づまりのある急性鼻炎又はアレルギー性鼻炎による次の諸症状の緩和:鼻づまり、鼻みず、くしゃみ」です。用法・用量は「成人(15歳以上)、各鼻腔に1回2~3度ずつ、1日1~2回噴霧する。なお、適用間隔は、10~12時間以上おくこと。連続して1週間を超えて使用しないこと。使用を中止した場合は2週間以上あけること。症状が改善したら使用を中止すること。」とされています。
製造販売後調査概要を御覧ください。特別調査では、調査症例数1001症例で、副作用が10例13件ございました。このうち、重篤と判断された症例はなく、未知の副作用として、副鼻腔痛と鼻痛が各1件ずつ報告されております。使用者もしくは薬剤師からの自発報告という形での一般調査では、報告はございません。また、医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく報告ですが、報告書のデータロック後に報告された副作用はございませんでした。
2ページ目を御覧ください。本剤と類似の効能・効果を持つ医薬品は第2類医薬品として販売されております、このような製剤がございます。
3ページ目は、副作用等発現状況になります。こちらについて、一般用同一成分、医療用同一成分として記載しております薬剤は、オキシメタゾリン塩酸塩の単剤であることに御注意いただければと思います。また、医療用医薬品として販売されておりました「ナシビン点鼻・点眼液」は現在販売を中止しております。副作用の発現割合は、本剤は1%であり、一般用医薬品のオキシメタゾリン製剤の0.6%、医療用医薬品のオキシメタゾリン製剤の5.1%と比較して、特段高いわけではございませんでした。また、その内訳を見ても、副作用の出方は同様で、特に注意すべきものはございませんでした。
4ページ目の「調査結果に関する見解と今後の安全対策」を御覧ください。これは製造販売業者が作成したもので、1ポツとして「副作用発現状況に関する見解」をお示ししており、副作用の発現状況については、重篤なものはなく、承認時までの調査と比較しても特に副作用報告頻度が高いという傾向は見られないことが報告されております。
また、2ポツとして「適正使用状況に関する見解」をお示ししております。本剤の効能・効果の範囲内で使用された症例は944例で94.3%の患者で適正に使用がされておりました。
また、5ページ目の中ほどに移り、添付文書の「してはいけないこと」について、「次の人は使用しないでください」に該当する症例は認められませんでした。また、「2.本剤を使用している間は、他の鼻炎用点鼻薬を使用しないでください」に該当する症例は2例(0.2%)でした。一部の症例で、必ずしも適正使用とは言えない事例が認められましたが、これらの症例で認められた副作用は全て既知の副作用であり、調査全体の発現状況と比べ、特に注目すべき副作用は認められませんでした。
3ポツとして「今後の安全対策について」をお示ししております。以上の結果から、副作用の発現については、現時点では「使用上の注意」改訂を含む特段の安全確保措置は不要と考える。一方、適正使用については、追加の措置として、本剤を販売する販売店に対し、適正使用に関する説明を徹底してもらうよう依頼する文書を配布するとともに、社内教育等を含め、必要な対策を実施していくと報告されております。
これ以降、7ページ目~18ページ目につきましては要指導医薬品製造販売後安全性調査報告書、19~20ページにつきましては添付文書、21ページ~24ページはチェックシート、25~32ページ目は製品説明書を添付しております。
説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございました。
それでは、本日御参加いただいております出島参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○出島参考人 京都田辺中央病院の出島でございます。本日はよろしくお願いいたします。
ナシビンメディにつきましては、製造販売後調査の結果を見させていただいたところ、大きな副作用もなく、要指導医薬品から一般用医薬品第1類への移行については妥当と考えます。
ただ、2点ほど発言させていただき、記録しておいていただきたいなと思う項目がございます。
報告の中の適正使用です。1週間を超えて使用された症例が8.6%、4ページの下のほうでございますけれども、あったと。中には1か月ぐらい使ったものが5例ほどあったということで、これは鼻粘膜への傷害が懸念される状況でございます。会社のほうの見解で、安全対策として、この点について触れておられまして、適正使用について、より一層の説明を徹底するということでございますけれども、その点につきましては、私のほうからもぜひ連用しないように、1週間を超えて使わないように、その辺りの説明を十二分にしていただくようにお願いしたいと思います。
もう一つは、本剤にはクロルフェニラミンマレイン酸塩という抗ヒスタミン薬が含有されております。御存じのように、このお薬は眠気を生じるお薬でございまして、一般的には、内服薬の場合には自動車の運転あるいは機械の操作などについては、条件がつけ加えられることが多い薬剤でございます。OTCの中の既に一般用医薬品第2類となっているものの中には、眠気に対する問題点を全く記載していない薬剤もあれば、アレルカットのように、乗り物または機械類の運転・操作をしないでくださいと書いてあるような薬剤もございます。今後も製造後販売調査は第1類から第3類のどれに該当するかというところの判定に向けて続行されるものと理解しておりますけれども、眠気に対する副作用について、しっかりと会社のほうも調査を十二分にしていただきたい。
以上2点、発言を加えさせていただきます。結論としましては、私は移行については問題ないと考えております。以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
事務局のほうは大丈夫でしょうか。よろしいですか。
そうしましたら、本件につきまして、委員の皆様から御意見等いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 ありがとうございます。舟越です。
まず、出島参考人にも御意見、御指導いただきたいところがございまして、私自身も先ほど出島参考人がおっしゃっていた、1週間連続して使う、超えることとか、また、再開するときには2週間空けることとか。それに対して、企業のほうが、それを空けなかったらどういう問題があるのかということを括弧書きで指導ポイントが書かれております。
ただ、今回、適正使用とされていなかった部分に、1日に1回か2回使うところの10時間から12時間空けるという部分についても、17例ぐらいでしたか、適正に使用されていなかったケースがございます。22ページ辺りに指導のポイントがあるのですけれども、そちらには10時間から12時間空けることについての、空けなかった場合にはどういうことが起きるのかということについて書かれておりません。先生の中では、10時間から12時間空けないと、また鼻汁とか鼻閉みたいなことが、逆に反発的な作用が起きるとか。それは詳細に書かれているものがありましたけれども、患者さんのパンフレット、使用者については書かれていなかったので、先生のところでは、適正使用されていない場所をより具体的に書いたほうがよろしいのでしょうかというところをちょっと御意見いただきたくて。
○岡座長 出島参考人、いかがでしょうか。
○出島参考人 御質問ありがとうございます。
お聞きになっておられるのは、日数ではなくて間隔の問題でしょうか。
○舟越委員 1週間を超えないことと、再開する場合には2週間空けることは、しっかりとその理由も書かれていました。10時間から12時間というところを空ける1日の使用間隔については、空けていなかった不適正使用事例が今回集積されているのですが、空けなかった場合についての理由が書かれていなくて、それは逆に症状を悪化させてしまう理由があるからだと思っているのですが、専門の先生からしますと空けなかった場合にはどういった有害事象等が起きるのでしょうか。
○出島参考人 連続して長く使わないことというのは、薬剤性肥厚性鼻炎の発症を恐れてのただし書きなのです。間隔につきましては、恐らく鼻粘膜からある程度吸収されますので、循環器系の疾患をお持ちの方などの場合は、あまり間隔を空けずに使用すると、不整脈等、いろいろ問題が出てくるのではないかと思います。私が想像するに、10時間ぐらい空けろと書いてあるのは、そういったことが起こらないようにということで、そういう使い方をするようにというような書き方ではないかなと理解しております。薬剤性肥厚性鼻炎との関係は、多分ないかと思います。
○舟越委員 ありがとうございます。
今回、集積の中で適正使用されていない部分に、この間隔のところもございましたので、先生の御意見をいただきたくて、この場で確認させていただきました。
製薬企業のほうの社員教育だったり、あとは我々現場での指導のポイントというリーフレットについても、今みたいな御解説を入れておいていただけると、不適正使用にならないような指導が現場でもできるのかなと思っております。事務局のほう、少し御検討いただけたらと思います。
○医薬安全対策課長 事務局でございます。ありがとうございます。
今日、お示ししている資料1-2の30ページでございますけれども、今のところ、企業側からの説明としては、10時間から12時間以上置くということについては、作用が長いということが記載されております。今、出島先生のほうから頂戴いたしました御意見も踏まえて、また企業のほうとも相談させていただきたいと思います。御指摘ありがとうございました。
○舟越委員 2点目は事務局に確認でございますが、今回の合剤について出島参考人もおっしゃっていただいたことに、私も同じ意見なのですが、クロルフェニラミンが入っていることで、安全性の集積の中では浮動性めまいということも一応報告されております。ただ、実際に消費者の指導性についても、めまいという記載は書かれていますが、これは浮動性めまいもこの中には入っているという解釈でよろしいのかということの確認と、出島参考人と同じで、もしめまいがH1ブロッカー系からのものであれば、車のそれをしないことなのか、注意して運転することを検討されているようであれば結構なのですけれども、そこの部分について検討されているかどうかということは確認したかったところです。
以上です。
○岡座長 今の点、事務局、いかがでしょうか。途中、「車の」とおっしゃったときにちょっと聞きづらかったのですけれども、車の運転についてということ。
○舟越委員 そうです。今回、合剤でH1ブロッカーのdl-クロルフェニラミンのほうからの経鼻吸収でそういったものが起きているのであれば、添付文書の車を注意して運転するよう指導することなのか、運転してはいけませんなのかというところは、他社の製品等と整合性を合わせていただきたいなと、私も出島参考人と同じ意見でございます。
以上です。
○岡座長 この点について、事務局のほう、いかがでしょうか。
○事務局 お答えさせていただきます。
初めの浮動性めまいにつきましては、添付文書上でめまいという形で注意喚起がなされておりますので、適正に注意喚起がなされているものと考えております。
○医薬安全対策課長 もう一点、クロルフェニラミンに基づく車の運転の注意でございますが、再度確認させていただきたいと思いますけれども、審査の際に、既にこの成分が入った点鼻薬がございますので、そのものとの整合性も確認していると思いますが、念のため、もう一度確認の上、不備等ございましたら対応させていただきます。
○舟越委員 ありがとうございました。
意見は以上でございます。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、委員の皆様、いかがでしょうか。
どうぞ、出島参考人。
○出島参考人 先ほど、添付文書のほうに10時間空けることについて、作用時間の問題というお話があったかと思いますが、これは多分、抗ヒスタミン薬であるクロルフェニラミンマレイン酸については、そうだと思います。それぐらいの持続時間かなと思いますが、恐らく血管収縮薬のオキシメタゾリン塩酸塩につきましては、そんなに長く作用は持たないと思いますので、10時間空けるということについて、オキシメタゾリン塩酸塩につきましては、本来はもうちょっと短い間隔でも、実際の実臨床では1日に3回とか、そういった使い方はされているとは思います。
ですから、舟越先生が懸念された点につきましては、作用機序の問題で10時間ということではなくて、もうちょっとオキシメタゾリン塩酸塩についてどうなのかというところに観点を置いていただいて、これの間隔が守られないとどういう問題があるかということをもう一度、厚労省としても一応確認されて、問題ないように、一般用医薬品としての使用を進めていただきたいなと思います。
以上です。
○医薬安全対策課長 御指摘ありがとうございました。確認させていただきます。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
そうましたら、議決に移りたいと思います。オキシメタゾリン塩酸塩・クロルフェニラミンマレイン酸塩につきましては、まとめますと2点御意見があったかと思います。
まず、適正使用についてでございますが、その期間あるいは間隔ということについて、今後の注意喚起の仕方ということについての御意見。
それから、2点目は、抗ヒスタミン成分の眠気に関して、しっかり今後の調査をしていくこと。及びその注意喚起については、ほかのお薬との整合性を確認すること。
この点を踏まえてということになりますけれども、一般用医薬品とするということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 皆様、うなずいていただいているのが確認できましたので、御異議なしとさせていただきます。
それでは、本議題に関する今後の進め方について、事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 御議論いただきありがとうございました。
製造販売後調査終了までの間、報告される副作用報告等を評価し、本日御審議いただきました結果に変更がないことを確認しつつ、一般用医薬品に移行する手続を進めてまいります。
また、本日の結果については、次の医薬品等安全対策部会に報告いたします。どうもありがとうございました。
事務局からは以上です。
○岡座長 それでは、本議題は終了したいと思います。
それでは、議題2「一般用医薬品のリスク区分について」の審議を行いたいと思います。事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局
資料2-1「製造販売後調査の終了に伴うリスク区分の検討について」を御覧ください。表に記載されている品目は、現在、第一類医薬品に指定されており、このたび、製造販売後調査の終了に伴い、一般用医薬品としてのリスク区分の検討をお願いするものです。
まず、一般用医薬品のリスク区分の評価の流れについて御説明いたします。資料2-1、7ページの「スイッチOTC薬に係る要指導医薬品から一般用医薬品への移行の流れ」を御覧ください。
本剤、タリオンARは2020年12月10日に販売開始され、その後製造販売後調査を3年実施し、昨年10月30日に安全対策調査会にてリスク評価が行われ、現在、第1類医薬品として販売されています。本日は図の②リスク区分に関して御審議いただくものです。
続いて、一般用医薬品のリスク区分を説明させていただきます。資料2-1、6ページ「一般用医薬品のリスク区分」を御覧ください。第1類医薬品は、その副作用等により日常生活に支障を来たす程度の健康被害を生ずる恐れがある医薬品であって、その使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するもの、または、新一般用医薬品として承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないものとされており、薬剤師により販売され、患者に対する文書による情報提供の義務がございます。
第2類医薬品につきましては、その副作用等により日常生活に支障を来たす程度の健康被害を生ずる恐れがある医薬品(第1類医薬品を除く。)であって、厚生労働大臣が指定するものとされております。薬剤師又は登録販売者により販売され、情報提供については努力義務とされております。また、第2類医薬品のうち、特別な注意を要するものとして厚生労働大臣が指定するものについては、指定第2類医薬品とされており、販売や情報提供については第2類医薬品と同一ですが、薬局開設者等は、情報提供するための設備から7メートル以内の範囲に陳列する、指定第2類医薬品を購入する場合は、禁忌を確認すること及び専門家に相談することを勧める旨を、購入者が確実に認識できるようにするなどの措置をとることとされております。
第3類医薬品は、第1類医薬品、第2類医薬品に分類されないもので、薬剤師又は登録販売者により販売され、情報提供の義務がないものとなっております。
続いて、今回御審議いただくベポタスチンベシル酸塩について御説明いたします。資料2-2を御覧ください。販売名は「タリオンAR」及び「タリオンR」です。「タリオンAR」と「タリオンR」は、販売名が異なるだけで同一の製剤ですが、「タリオンR」は販売されておりません。効能・効果は「花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:くしゃみ、鼻みず、鼻づまり」とされています。用法・用量は「15歳以上の成人に対して、1回1錠を1日2回、朝夕に服用する。」とされています。
同じページ下の製造販売後調査概要を御覧ください。特別調査とは、個別に薬局と契約して、モニター店舗でアンケート調査票を配布し、アンケートによる調査を実施するものです。この特別調査では、調査症例数は3556症例で、副作用が99例126件ございました。このうち、重篤と判断された症例はなく、未知の副作用として、鼻閉及び異常感各3件、耳下腺炎、化学物質アレルギー、悪夢、眼瞼刺激、咳嗽、鼻乾燥、くしゃみ、高粘稠性上気道分泌物、皮膚乾燥、そう痒症、関節痛、頻尿、心拍数増加及び体重増加各1件が報告されました。
続いて、使用者もしくは薬剤師からの自発報告という形での一般調査では、副作用は11例16件の報告がございました。このうち、重篤と判断された症例はなく、未知の副作用として、口内炎、上咽頭炎、排尿異常各1件が報告されました。
4ページ目を御覧ください。これまで御説明した副作用発現状況をまとめたものとなっております。一番左が本剤で、参考として本剤と同様の効能効果を有する一般用の抗ヒスタミン薬、医療用のタリオン錠を掲載しております。副作用の発現割合は、一般用の同種同効薬及び医療用のタリオン錠と比較して同程度であり、その内訳を見ても、特に注意が必要な副作用は認められません。
続いて、5ページ目以降に、製造販売業者が作成した「調査結果に関する見解と今後の安全対策」についてお示ししております。「1.副作用状況に関する見解」については、先ほど御説明したとおり、重篤な副作用はなく、非重篤な副作用の中に、一部未知の副作用はありますが、いずれも本剤との関連性は明確でないことから、現時点において追加の安全対策を講じる必要があるものはなく、引き続き情報収集、検討を行い、必要に応じて安全確保措置を講じていくこととしております。
続きまして、6ページの「2.適正使用状況に関する見解」について御説明させていただきます。「してはいけないこと」に該当する患者が使用していた例や、「用法・用量」や「効能・効果」外の使用が一部で認められましたが、これらの症例における副作用の発現状況は調査全体の発現と同様の傾向であり、また特に注目すべき副作用等は認められておりません。
このような逸脱事例について、企業は社内の一般用医薬品医療情報担当者に対して、本剤の適正使用に関する研修を適宜実施しており、納入した薬局全店に対して、チェックシート、使用者向け説明書などを同梱した「適正使用セット」により提供使用に係る情報提供を行うとともに、併せて、一部の小売企業においては、製造販売後安全性調査の手順動画を企業内で共有いただき、適正使用並びに安全性に関する情報を提供しています。また、引き続き適正使用状況等を注視しながら、これらの情報提供については継続して実施していくものとしています。
9~29ページは製造販売後調査報告書、30~31ページは添付文書、32~33ページは適正使用のためのチェックシート、34ページ目以降は使用者向けの説明資材を添付しております。
最後に、2ページ目に戻りまして、リスク区分につきましては、添付文書上、特に注意が必要な記載がなく、副作用発現頻度も特段高くないこと、また、同種同効薬も第2類医薬品に指定されていることから、本剤を第2類医薬品に指定してはどうかと考えております。
事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございました。
それでは、出島参考人より、本件につきましても御意見をいただけますでしょうか。
○出島参考人 出島でございます。
ベポタスチンベシル酸塩につきましては、実臨床において非常に多く処方された、我々も使用経験の大変多い薬剤でございます。今回の製造販売後調査の内容を見ますと、一般用医薬品第2類への移行につきまして、特別にそれを妨げるような事象はなく、他の類似医薬品、抗ヒスタミン薬、内服薬が第2類であることを鑑みますと、本剤、ベポタスチンベシル酸塩の一般用医薬品第2類への移行は妥当と考えます。
以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
それでは、本件につきまして、委員の先生方から御意見、御質問等いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 舟越です。
私のほうも出島参考人と同じように、ベポタスチンベシル酸塩についてのリスク区分事務局案については妥当と判断しております。
1件確認したいことが事務局にございます。資料2-2について、本剤はたしか使用期間の上限はないものの、2週間を超えて使用する場合は、医師・薬剤師に相談することとされていると思います。この資料2-2について、当局の評価として7ページ目でしょうか、基本的に箱単位で、販売包装単位の5日分での使用と書かれておりますけれどもね。
○岡座長 すみません、舟越委員、今、聞きにくかったので、ちょっと戻っていただいて、7ページ辺りからもう一回お話し。すみません。
○舟越委員 いえ、とんでもないです。大丈夫でしょうか。
○岡座長 今、大丈夫です。
○舟越委員 7ページ目で販売包装単位の5日間の使用が多かったと見解は書かれておりますけれども、677日間の使用などのような情報はどのように評価されているのか、ここのページではうかがえませんでした。他の疾患に使用されていることなども含めてですけれども、ちょっと外れ値みたいな、こういったものについては、どのような評価をされているかを教えていただきたいと思います。
以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
事務局のほう、いかがでしょうか。
○事務局 事務局から回答させていただきます。
最大値として677日使用された例につきましては、企業から副作用は生じていないと報告を受けております。こちらの患者につきましては、ハウスダストによる通年性のアレルギーがあったことから、長期で服用されたものと考えており、購入の都度、薬剤師等のチェックを受ける手順となっていることから、薬剤師との相談の下、継続使用したものと考えられています。
事務局からの説明は以上になりますが、こちらの回答で大丈夫でしょうか。
○舟越委員 薬局での販売指導については、適切にされているということは確認できました。また、2年間、ずっとOTCを買いながら治療されているのだなというところが、いきなりですが、出島参考人とか、何かコメントございますでしょうか。すみません。
○岡座長 出島参考人、いかがでしょうか。
○出島参考人 出島でございます。
実臨床では、600日どころか、2年も3年もずっと抗ヒスタミン薬を飲んでいる。例えば、ベポタスチンベシル酸を数年にわたって飲んでいる方もおられます。このお薬、当然治癒するお薬ではないですね。対症療法ということで、飲んでいるときだけ効果があるということです。患者さんが完全に治すとか、病気に打ちかつということを考えるのであれば、舌下免疫療法とか手術とか、いろいろあるのですけれども、取りあえず症状を抑えていきたいということであれば、薬剤、こういった対症薬が長きにわたって投与されるという事象は、実臨床でも結構見受けられるところで、かつ、それによって大きな医学的な問題、副作用もあまり見聞きするところではありません。
したがいまして、もちろん効果がなければとか、いろいろ書いてはあります。また、第2類に移りますとネットでも買えるわけですから、どんどん続けていくということもあり得るかも分かりません。しかしながら、そこのところについて、今回、第2類への移行を妨げるほどの問題は、私はないのではないかなと考えております。
以上です。
○舟越委員 ありがとうございました。症状を緩和するための部分であってということで、根治的な部分になった場合には、私も病院に勤めていますので、そういった舌下免疫を含めた治療があるということについても、そういう場合には医療機関に相談とか医師に相談ということについて見解をいただけましたので、ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしましたら、議決のほうに移りたいと思います。一般用医薬品のベポタスチンベシル酸塩のリスク区分については、「第2類」とするということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 皆さん、首肯していただいていることが確認できましたので、御異議なしとさせていただきます。
それでは、今後の進め方について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 御議論いただき、ありがとうございました。
本日御審議いただきました結果に基づいて、パブリックコメントの実施の手続を進めさせていただきます。その後、本日の審議結果及びパブリックコメントの結果を踏まえ、次の医薬品等安全対策部会において御審議いただく予定です。
事務局からは以上です。
○岡座長 それでは、本議題は終了したいと思います。
出島参考人におかれましては、貴重な御意見をいただき、誠にありがとうございました。これ以降、御意見を求める予定はございませんので、途中で御退席いただいても差し支えございません。どうもありがとうございました。
○出島参考人 ありがとうございました。
○岡座長 それでは、議題3「アトモキセチン塩酸塩製剤におけるニトロソアミン類の検出への対応について」の審議を行いたいと思います。事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 議題3について説明いたします。
初めに、本日お配りしている資料について御説明させていただきます。資料3-1は本件のあらましと本日の調査会で御審議いただきたい事項をまとめたものです。資料3-2及び資料3-3は、審議対象となるアトモキセチン塩酸塩製剤の製造販売業者から提出された評価報告書及び企業説明資料となりますが、主な内容は資料3-1に包含されますので、本日は資料3-1に沿って説明させていただければと存じます。
それでは、資料3-1を御覧ください。「2.経緯」にお示ししましたとおり、現在、医薬品におけるニトロソアミン類の混入リスクについては、厚労省から通知を発出し、各製造販売業者等に自主点検を依頼しております。なお、自主点検の実施期限は、進捗状況等を踏まえまして令和7年8月1日までとしております。
今般、「1.品目概要」に挙げました、注意欠陥/多動性障害に対する効能を有するアトモキセチン塩酸塩製剤のうち、日医工株式会社から、製剤の原薬から有効成分由来のニトロソアミン類の一種であるN-ニトロソアトモキセチンが検出されたとの報告がございました。一方、別途、日本イーライリリー株式会社からN-ニトロソアトモキセチンの限度値の相談を受けており、日医工株式会社が採用した限度値よりも緩慢な値が設定されており、その後の対応に違いが認められております。そこで本日は、N-ニトロソアトモキセチンの限度値の妥当性と限度値を踏まえた対応について御審議いただきたいと考えております。
「3.N-ニトロソアトモキセチンについて」に記載のとおり、アトモキセチンは第2級アミンであるため、ニトロソ化剤が混入した場合に、N-ニトロソアトモキセチンが生成される可能性がございます。日医工株式会社が使用している原薬製造所において、NOx高濃度下で粉砕が行われた場合に、N-ニトロソアトモキセチンが顕著に増加するという知見が得られております。また、N-ニトロソアトモキセチンの1日許容摂取量について、欧米を含む各規制当局は、構造が類似する化合物の毒性データに基づく試算、いわゆるリードアクロス法に基づき100ngと公表しております。
次に4ポツとして、日医工株式会社及び日本イーライリリー株式会社の限度値に関する検討結果と健康への影響評価等について説明いたします。
日医工株式会社は、1つ目の中黒に示した原薬中のN-ニトロソアトモキセチン量の実測値の結果を踏まえた上で、欧州医薬品庁の最新のガイダンスに基づき、リードアクロス法に基づく100ng/dayを限度値として採用し、限度値を上回る原薬が使用された出荷済みの製剤ロットの自主回収を行っております。また、アトモキセチンの最大用量120mgを毎日服用した場合の理論上の発がんリスクの上昇の程度は、N-ニトロソアトモキセチンの含有量として、各原薬のロットの実測値の平均値を用いて試算すると、およそ13万9000人に1人が生涯で過剰にがんを発症する程度のリスクに相当すると試算されております。ICH-M7ガイドラインにおいては「おおよそ10万人に1人の増加」のリスクは許容可能とされておりまして、その発がんリスクは許容される程度に収まっていると考えます。
一方で、日本イーライリリー株式会社は、N-ニトロソアトモキセチンの限度値について、ニトロソアミン類の作用機序、量子力学モデル及びin silicoモデル等を用いた証拠の重みづけによるアプローチを使用した検討結果を説明しておりまして、リードアクロス法で用いられるがん原性試験結果のTD50ではなく、in vivo遺伝子突然変異試験におけるベンチマーク用量信頼区間の下限値を用いて算出した限度値4400ng/day、若しくは、N-ニトロソアトモキセチンがICH-M7ガイドラインに示されたcohort of concernに該当しないとして、限度値1500ng/dayを提案しております。
次に、「5.海外におけるこれまでの対応」として、アトモキセチン塩酸塩の承認以降に発がんに関連する外国措置報告は4件あるものの、いずれもニトロソアミン類に関する当局のQA発出等にかかる報告であり、現時点で回収等の措置を行ったとの情報は確認できておりません。
また、6ポツとして、本剤の発がんに関連する国内副作用症例報告が7件報告されておりますが、いずれも因果関係は明確ではない状況であり、また発がんに関連する研究報告は報告がない状況となります。
最後は「7.今後の対応」となります。(1)のN-ニトロソアトモキセチンの限度値につきましては、日医工株式会社から提示された限度値100ng/dayは、現在のレギュレーションに沿った対応となっておりまして、科学的にも妥当性の認められた最新のリスク管理を行うことができると考えております。一方で、日本イーライリリー株式会社から提案された限度値4400及び1500ng/dayは、以下に示した3つの点で、現在のレギュレーションに合致しておらず、課題があると考えております。
1点目としましては、N-ニトロソアトモキセチンは、警告構造としてN-ニトロソ基を有し、企業実施のAmes試験及びin vivo突然変異試験が陽性であることを踏まえると、ガイドラインではクラス2の変異原性不純物質に該当し、1500ng/day以上の限度値の設定は困難であること。
2点目としては、ガイドラインのQ&Aに以下記載されておりまして、特に下線部において、in vivo遺伝子突然変異試験のエンドポイントは突然変異であって発がん性ではないことから、現在のところ、これらの試験のみで直接的に発がんリスクを評価できるかは検証されていないとされていること。
3点目は、N-ニトロソ構造を有する変異原性物質は、極めて強い発がん性を示す可能性があるcohort of concernに該当するとされており、限度値は1500ng/dayよりも著しく低い値となることが見込まれ、リードアクロス法に基づく限度値の個別設定が求められていること。
次に、(2)の(1)の限度値を踏まえた対応となりますが、日医工株式会社の製剤につきましては、これまでの自主回収事例と同様に、健康影響評価の結果を医療機関等に情報提供するとともに、患者の自己判断により服用を中止しないよう説明すること等を周知するための事務連絡を発出したいと考えております。
日本イーライリリー株式会社の製剤につきましては、限度値100ng/dayで管理し、必要に応じてリスク低減措置の実施を検討するよう指示したいと考えております。
なお、今回取り上げられた2社以外に、複数社がアトモキセチンの後発品を製造販売しておりますので、他の製造販売業者に対しても同様の対応を指示することを考えております。
説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。
それでは、本件につきましては、増村参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○増村参考人 国立医薬品食品衛生研究所安全性予測評価部の増村です。
本件ですけれども、ニトロソ不純物の名前はN-ニトロソアトモキセチンですが、このN-ニトロソアトモキセチン自体の発がん性試験のデータがないということで、この化学物質の発がん性試験に基づいたAI、許容摂取量の設定というものができないというようなシチュエーションになっております。このような場合には、ICH-M7等のやり方によりますと、ニトロソアトモキセチンと類似構造を持っているような物質の発がん性試験の結果を利用して、そこからリードアクロスという手法でもって限度値を算出するという手法が行われてきております。
今回は、日医工のほうではそのようなやり方に従いまして、NNKという構造類似物質の発がん性試験の結果から、リードアクロスによってAI=100ng/dayを設定しているところでございます。このやり方につきましては、米国FDAとかヨーロッパのEMAのほうでも同様のやり方をしていまして、同じように構造類似物質のNNKを使いまして、リードアクロスで100ng/dayと設定して公表しているところでございます。
一方で、イーライリリーのほうにつきましては、類似化合物の発がん性データではなく、N-ニトロソアトモキセチン自体を使ったin vivoの突然変異試験の結果から定量的な指標を算出して、そこから限度値を設定するというような試みをしているというところが一番大きな違いかと思っております。こうした手法は、研究レベルでは議論がないわけではないのですけれども、現在のところ、規制のレギュレーションの中で実際に使われている例というのはございません。
資料3-1の4ページに、先ほど事務局から説明もあったのですけれども、黒い3つのポツのうちの真ん中ですけれども、現在のICH-M7でも、Q&Aの中でin vivoの遺伝子突然変異試験のエンドポイントというのは、あくまで突然変異であって、発がん性ではないということを言っておりまして、このために、今のところ遺伝子突然変異試験の結果というところから、直接的に発がんリスクを評価できるかどうかというのは検証されていないというところをQ&Aで回答しているところでございます。
ですので、これらの状況と情報を総合しますと、先ほど事務局から説明がありましたとおり、日医工のほうで算出した100ng/dayという値が国際的にも通用する一般的な手法で設定されている値と考えられますので、このN-ニトロソアトモキセチンのAIについては、限度値100ng/dayという形でコントロールするということが妥当ではないかと考えております。
以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
それでは、本件につきまして、委員の皆様から御意見等いただきたいと思いますけれども、柿崎委員、お願いいたします。
○柿崎委員 柿崎です。
参考人の先生の意見をお伺いしまして、事務局案に異論があるわけではないのですが、日医工株式会社はN-ニトロソアトモキセチン量の実測値を平均値523ppbと出しているのですけれども、日本イーライリリー株式会社のほうの製剤に関する実測値等のデータとかはあるのでしょうか。
○岡座長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 事務局から回答させていただきます。
日本イーライリリーから、最新の情報ではないのですけれども、以前に一部製剤ロットを抽出して実測した結果が示されておりましたが、今回、イーライリリーから主張されている限度値より十分に低い値であったことから、その後の最新の製剤に関して実測は行っていないとの回答を得ているところとなります。
○柿崎委員 分かりました。ジェネリック医薬品も含めて、今後、そういった実測を行っていくという方向でよろしいのでしょうか。
○事務局 はい。基本的には、製剤での実測値を基準に検討されるものですので、各製販に実測を指示したいと考えております。
○柿崎委員 分かりました。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
舟越委員、お願いします。
○舟越委員 舟越です。
事務局に確認になるのですけれども、資料3-1の7の今後の対応についての黒丸3つ等は、私は妥当だと思いますので、異議とか異論はございません。
この資料3-1の2ページ目、粉砕時にNOxが環境下で高濃度だというところが、実際に日医工のほうでも7月17日にプレスリリースされているところでございますが、こちら、実際に今までインクだったり、製造、合成過程だったり、分解するところで、幾つかのニトロソアミン類については発生する理由が幾つかあったのですが、NOxが高濃度だと、というところについては、何かGMP等で規制とかかかっているのか。また、これは高濃度にしている理由というか、なぜ高濃度だったのかというところについて、何か製造工程でそういったものについて、どういったことがあったのかということを教えていただければと思います。
○岡座長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 事務局から回答させていただきます。
御質問の内容ですけれども、GMP省令においては、医薬品に係る製品の製造所の構造設備については必要な規定を設けているところですけれども、大気中の窒素酸化物やNOxを捕集する構造設備までは求めていないところになりますので、この事象をもって、今回の日医工の事象が直ちにGMP違反となるような事象ではございません。
○岡座長 どういった原因でNOxが高かったのかみたいなことについていかがですか。
○事務局 日医工株式会社で使用する原薬製造所における企業の考察なのですけれども、資料3-2の3ページの中ほどにその詳細が書かれております。申し訳ありませんが、3-1のほうでは説明を省略しておりました。実際に粉砕場所については、2021年1月までとそれ以降で作業場所が異なっていたということとなります。旧粉砕場所では、周囲をフォークリフト等が往来しており、作業室の空調用のエア取込み口付近のフォークリフトの通常停止位置があることから、排気ガスが流入する可能性が高いと考えられましたということで、こういった作業室外の外的要因によってNOxの濃度が高まったのではないかという考察がされております。
以上になります。
○舟越委員 ありがとうございます。
今回のことですぐにどうこうすべきだというコメントは持ち合わせておりませんけれども、作業環境でこういったことが起きるんだなということも、まだ考察レベルだと思いますけれども、今後、こういったものについての製造設備規制関係も、来年の8月まで、他社の他の薬剤でも出てくるようなことがあるのであれば、少しそういったところまでを考えておく必要もあるのかなということを意見として述べさせていただきました。
以上でございます。
○事務局 御意見ありがとうございました。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、委員の皆様、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしましたら、議決に移りたいと思いますけれども、本件につきましては、資料3-1で事務局より提示いただいた今後の対応のとおりで進めるということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 皆さん、首肯していただいていることが確認できましたので、そのように進めさせていただきます。
それでは、本議題に関する今後の進め方について、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 御議論いただき、ありがとうございました。
今後の対応に記載したとおり、日医工株式会社の製剤につきましては、医療機関等に対し、健康影響評価を情報提供するとともに、患者の自己の判断のみにより本剤の服用を中止しないよう説明してほしいこと等を周知するための事務連絡を発出いたします。
日本イーライリリー株式会社の製剤につきましては、限度値100ng/dayで管理し、必要に応じてリスク低減措置の実施を検討するよう指示するとともに、ほかの製造販売業者の製剤についても同様の対応を指示したいと考えております。
事務局から以上となります。
○岡座長 それでは、本議題は終了したいと思います。
増村参考人におかれましては、貴重な御意見、どうもありがとうございました。
それでは、予定していた議題は以上ですけれども、事務局から何かございますか。
○事務局 特にございません。
次回の開催につきましては、改めて御連絡いたします。
事務局からは以上となります。
○岡座長 それでは、本日の調査会を閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
※なお、石井委員が会議冒頭で入室され、委員全員出席となった。