薬事審議会血液事業部会令和6年度第1回適正使用調査会議事録
日時
令和6年9月9日(月)16:00~18:00
場所
Web併用形式
日比谷国際ビルコンファレンススクエア8階 8E会議室
日比谷国際ビルコンファレンススクエア8階 8E会議室
出席者
- 出席委員(12名):五十音順、敬称略 ◎座長
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- 安達 知子
- 梶原 道子
- 上條 亜紀
- 喜多村 祐里
- 國土 典宏
- 堺田 惠美子
- 柴崎 郁子
- 野村 恭一
- ◎三谷 絹子
- 宮川 政昭
- 矢口 有乃
- 山内 正憲
- 秋田県赤十字血液センター :敬称略
-
- 面川 進
- 獨協医科大学埼玉医療センター 輸血部:敬称略
-
- 樋口 敬和
- 広島大学病院 輸血部:敬称略
-
- 藤井 輝久
- 日本赤十字社:敬称略
-
- 早坂 勤
- 鶴間 和幸
- 田村 智子
- 事務局:
-
- 岩崎 容子(血液対策課長)
- 金子 健太郎(血液対策課長補佐)
- 源 周治(血液対策課長補佐)
議題
- 1.各都道府県の合同輸血療法委員会の活動等に関するアンケート結果報告
- 2.血液製剤使用適正化方策調査研究事業について
- 3.その他
配布資料
資料ページをご参照ください。
議事
- 議事内容
-
○源血液対策課長補佐 定刻となりましたので、「薬事審議会血液事業部会令和6年度第1回適正使用調査会」を開催いたします。本日は、お忙しい中御参集いただき誠にありがとうございます。この度は、御参加いただく方の利便性等の観点から、Web併用での審議とさせていただきます。会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。また、会議はYouTubeでライブ配信を行わせていただきますので、何とぞ御容赦ください。
はじめに、今般、委員の退任があり、西脇公俊委員が御退任されることになりましたので、御報告いたします。次に、委員の就任があり、山内正憲委員が西脇前委員の後任として御就任されることになりましたので、御紹介いたします。山内委員より一言、御挨拶いただければと思います。
○山内委員 皆さん、よろしくお願いいたします。日本麻酔科学会からの派遣ということで、東北大学麻酔科で勤務しております山内でございます。周術期及び最近では周産期の輸血の使用というのは非常に大きい。適正使用、そして廃棄を少なくしようというのは、私たちの施設でもやっております。また、ここでのことをきちんと学会に持ち帰って連携したいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○源血液対策課長補佐 山内先生、ありがとうございます。なお、本日の調査会は、現時点で委員12名中11名の出席を頂き、定足数に達しましたので、薬事審議会令第9条により、本部会が成立しましたことを御報告申し上げます。なお、委員の一人である柴崎先生は、現在対応中ということで、後ほど参加されるとお伺いしております。本日は参考人として、秋田県赤十字血液センター所長の面川進先生、獨協医科大学埼玉医療センター輸血部部長の樋口敬和先生、広島大学病院輸血部部長の藤井輝久先生に御出席いただいております。また、日本赤十字社血液事業本部から早坂経営企画部次長、鶴間経営企画部供給管理課長、田村技術部学術情報課長に御出席いただいております。
続いて、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
議事に入る前に、会場にお越しいただいている委員の皆様におかれましては、本日の資料の確認をお願いいたします。タブレット上に、01の議事次第から10の参考資料までのPDFファイルが表示されているか御確認をお願いいたします。不足がある場合には、お近くの職員にお声掛けください。
本日は、Webでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行について御説明いたします。審議中に御意見、御質問がありましたら、挙手ボタン等によりお示しいただきますようお願いいたします。座長より順に発言者を御指名いただきます。指名された方は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、議事録作成のため、まずはお名前を御発言ください。御発言が終わりましたら、マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。Web参加の皆様におかれましては、議事進行中に会場の音声が聞こえづらい状況が続き審議参加に支障を来す場合には、チャット等でお知らせいただくようお願い申し上げます。
事務局に異動がありましたので、御報告いたします。血液対策課長の岩崎が、山本の後任として着任しております。加えて、金子補佐、また、先ほどより御説明しておりますが、私、源が補佐として着任しております。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
間もなく議事に入りますので、カメラ撮影はここまででお願いいたします。なお、議事の進行等について、今までの御説明に御質問等はございませんか。ありがとうございました。
それでは、以降の進行を三谷座長にお願いいたします。
○三谷座長 それでは、議事に入ります。議題1「各都道府県の合同輸血療法委員会の活動等に関するアンケート結果報告」です。事務局より御説明をお願いいたします。
○源血液対策課長補佐 事務局です。議題1「各都道府県の合同輸血療法委員会の活動等に関するアンケート結果報告」です。1ページは、各都道府県の合同輸血療法委員会の活動等に関するアンケート結果報告です。昨年度に、各都道府県の合同輸血療法委員会の活動状況を把握する目的で、アンケートを実施させていただきました。
2ページです。まずは、合同輸血療法委員会について、改めて説明させていただきます。平成17年6月に、血液対策課長通知により、血液製剤の適正使用推進にかかる具体的な強化方策として、合同輸血療法委員会の設置を提示いたしました。さらに、令和6年には、「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本方針」を一部改正し、その積極的な活用について規定いたしました。内容としては、「国及び都道府県は、医療機関において血液製剤を用いた輸血療法が適正になされるよう、合同輸血療法委員会の積極的な活用、輸血療法委員会及び輸血部門の設置並びに責任医師及び担当技師の配置を働きかける」としています。
3ページです。合同輸血療法委員会の概要です。合同輸血療法委員会は、都道府県が主催者となります。ただし、血液センター、医療機関の協力が不可欠です。参画する委員は、指導的立場のとれる医療機関の輸血責任医師、担当の臨床検査技師、薬剤師、輸血療法委員会委員長等です。討議されるべき課題は、ア~オのようにあります。開催頻度は年数回としています。少し小さいですが、右下には秋田県、埼玉県、新潟県の合同輸血療法委員会のホームページ画面を示しています。
4ページは、今回実施したアンケートの内容を示しています。調査対象は、47都道府県の都道府県薬務主管課です。調査期間は、令和6年2月29日~3月19日です。調査方法は、総務省の調査・照会システムを介してWeb上で回答入力をしていただきました。調査項目は、既に7月の第1回献血推進調査会でも、その結果を説明させていただきました。献血推進と併せて実施いたしました。合同輸血療法委員会では、合同輸血療法委員会の状況、設置の有無、開催時期、開催頻度、資料や議事の公開状況、災害時やへき地、在宅医療等における血液製剤の安定供給方策についての検討、災害時やへき地、在宅医療等の安定供給方策について、防災計画・医療計画等への記載、緊急時等の血液製剤の融通、輸血医療連携に関するマニュアル等の作成、血液製剤の適正使用に関して都道府県内医療機関の使用状況等の分析等です。
5ページは、合同輸血療法委員会等について、結果の概要です。6ページです。合同輸血療法委員会の設置ですが、「設置している」が47都道府県、「設置していない」は該当がありません。合同輸血療法委員会の直近の開催時期は、年度末が多い傾向となっています。開催頻度は、年1回が最多、最も開催数の多い自治体は4回となっています。
7ページは、委員会の構成です。3ページでは、主催者は都道府県と示していましたが、現状では、都道府県・血液センター・医療機関が37自治体、血液センター・医療機関のみが6自治体、医療機関のみが3自治体となっています。資料・議事の公開は、19自治体が公開している、28自治体が公開していない、討議されるべき課題にある血液製剤の適正使用に関する使用状況等の分析をしている自治体は、43自治体、分析していないが4自治体でした。
8ページです。災害時・へき地・在宅医療等における安定供給方策を検討している状況を確認すると、災害時は9自治体、在宅医療は7自治体、へき地については3自治体が検討されていました。災害時・へき地・在宅医療等の安定供給方策の防災計画・医療計画等への記載がされていたのは、32自治体でした。その中で、緊急時等の血液製剤の融通・輸血医療連携に関するマニュアル等の整備をされている自治体は、栃木県、神奈川県、長野県、和歌山県、広島県の5自治体でした。
9ページは、合同輸血療法委員会を巡る課題と今後の対応です。今回の調査結果から、自治体間で合同輸血療法委員会の活動状況に大きな差があることが明らかとなりました。今後ますます高齢化が進む中で、へき地医療や在宅医療における血液製剤の安定的な供給と適正な使用が地域の医療政策としても重要であり、各自治体を取り巻く環境に応じた方策の検討が重要です。また、災害時の緊急時にも医療資源において滞りなく輸血療法を実施するための各種マニュアルを早急に整備する必要があります。
これらの課題について、自治体が主体的に取り組むために、厚生労働省として合同輸血療法委員会の役割を改めて整理・周知するとともに、好事例の紹介などの支援を促進いたします。以上です。
○三谷座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について、御質問、御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。今回は、合同輸血療法委員会の活動の概要について御報告いただきました。全ての都道府県で合同輸血委員会が設置されていて、一自治体を除くと、少なくとも年に1回以上の開催はなされているということです。議事録等は公開している所のほうが少ないようですが、もちろん、血液製剤の適正使用に関する使用状況等の分析は、多くの自治体で行っていただいているようです。
一方、災害時・へき地・在宅医療等における安定供給方策の検討は今後の課題として非常に重要だと思うのですが、必ずしも全ての自治体で、ここまでは手が及んでいないように思います。特に、緊急時等の血液製剤の融通・輸血医療連携に関するマニュアルに関しては、まだ多くの自治体で作成されていないということですので、今後の課題かと思います。行政として、このマニュアル作成の促進に関して、具体的にどのように取り組んだらいいとか、何かご提案はおありですか。
○源血液対策課長補佐 先生におっしゃっていただいたように、今、自然災害等が増えてきていると実感している自治体が多いかと思います。その中で、先ほど述べさせていただいた5自治体に関しては、緊急時のマニュアルを作成していただいています。ただ、それが十分かといえば、全自治体にはまだ届いていない部分もあるかと思いますので、そういった緊急時を含めて、各自のニーズにあった課題に対して解決できるようなマニュアルを作成していただきたいことと、それに対しては、こちらも協力を示していきたいと考えています。
○三谷座長 ありがとうございます。各自治体で自発的にやっていただかないといけないと思いますが、是非、御指導のほどよろしくお願いいたします。ほかに御意見、御質問等がおありの委員の先生方はいらっしゃいますか。宮川先生、どうぞお願いいたします。
○宮川委員 厚生労働省にお伺いいたします。今いろいろご説明いただきましたが、合同輸血療法委員会の主催者は、都道府県ということをお聞きしたわけです。そこの中で今お話があったように、7ページの表を見ますと、その下に主催者は都道府県と書いてあって、括弧で、(ただし、血液センター、医療機関の協力が不可欠)と書いてありますけれども、その上の表の構成という所に、「医療機関のみ」と書いてあるのですが、そこの反応というか、医療機関のみが3というのは、どのようなやり方をしていたのか実際のところは把握されているのでしょうか。
つまり、都道府県がどれだけそれをしっかり見ているのか見ていないのか、6も同じですよね。議事録がなければ、ただ、やりましたというだけで、その実態を都道府県はどのように把握しているのか。そうでなければ、今後、合同輸血療法委員会という意味合いが余りないように思いますし、最後の所で厚生労働省のほうからお話がありましたように、厚生労働省を含めてですけれども、よく好事例の収集とか、好事例の横展開とか、そういう言葉を使うのですが、今まで余り有効だったことはないと思います。好事例を紹介しても何も意味がない。だから、それをどのように取り入れるのか、できないのであれば何ができないのか、そういうことも含めて、しっかりと情報収集を、各自治体もしなければいけませんし、厚生労働省もしなければいけないだろうと思います。厚生労働省は、それをどのようにお考えなのか教えていただきたいと思います。
○三谷座長 宮川委員、ありがとうございました。それでは、厚労省のほうからコメントをお願いいたします。
○源血液対策課長補佐 御質問ありがとうございます。今、先生におっしゃっていただきましたように、一番の課題としては、合同輸血療法委員会を活性化させるということをこちらから示させていただいて、実際にどれほどの活動状況なのかを知る意味で、アンケート調査を実施させていただきました。今回、そのアンケート調査を通すことで、議事録の公開であったり、構成のほうでは、都道府県の参画、主導がなかなか得られていない事実等を知る部分もありました。なので、今回の議事を通して、47都道府県の行政側のほうには、まずこういったアンケートの結果の資料等を返させていただいて、その中で再度、見詰め直していただくということを現在は考えているところです。その中で実際に、マニュアル等の作成がされるのか、議事録の公開がされるのかというところを、また見させていただいた上で、次の方策というのを積んでいきたいと考えております。以上です。
○宮川委員 ありがとうございます。そういう意味では、今お話があったように、活性化という言い方をしなくても、1年に1回でもよいので、実際にしっかりと活動しているということが重要です。何かあったときにそこを母体にしながら、様々な方策を立てられる、そういう道筋ができる拠点になるようなことをしなければいけないので、別に活性化とかということをしなくても、とにかく事実上、何かあったときに、そこにアクションを起こしていただいたり、厚生労働省なりに、団体からでも何かしらの問合せがあったりとかというところがあればいいのです。
構成していただく自治体に構成員を含めてしっかりやっていただいて、何事もなければ何事もないという形で結構ですので、議事録とかそういう形で、何月何日にこういうことを行いました、問題ありませんでしたとか、他の都道府県のこういう状況だけは把握しましたとか、それから、先ほど言ったように、マニュアルが自分の所にはないけれども、今後検討するとか何でもいいので、そういう議事録、事実だけを残しておくということは非常に重要なことかと思います。是非よろしくお願い申し上げます。
○源血液対策課長補佐 ありがとうございます。今の御意見を頂きまして、次の対応等を考えていきたいと思います。ありがとうございます。
○三谷座長 宮川委員、コメントをありがとうございました。確かに資料、議事の公開が少し少ないですので、こちらは厚労省のほうからも積極的に御指導いただければと思います。ほかの委員の先生方から御質問、御意見等はおありでしょうか。喜多村委員、お願いいたします。
○喜多村委員 大阪府の喜多村です。今の宮川先生の質問に関連してなのですが、資料の意味がちょっとよく分からないのは、医療機関のみということは、自治体数が47都道府県あるのですけれども、構成が医療機関のみというのは自治体が参加していないと読めるのか、その辺をどう読めばいいのかが分からないのです。なぜ散見して存在するのか御説明の補足を頂きたいと思います。
○三谷座長 御回答いただけますか。
○岩崎血液対策課長 事務局です。血液対策課長の岩崎です。御質問ありがとうございます。事務局ではあるけれども構成員、いわゆる委員としてではないという場合は、そこに県が入っておりません。ですが、全ての都道府県の調査結果を確認したところ、全て事務局、やはり都道府県、あるいは血液センターと合同とか、そういった形で開催しておりますので、全く県が関与していないということはありません。
○喜多村委員 ありがとうございます。
○三谷座長 御回答ありがとうございました。よろしいでしょうか。ほかに御意見、御質問等がおありの委員の先生方はいらっしゃいますか。よろしいですか。それでは、事務局においては、本日の調査会の御質問、御意見を参考に、引き続き合同輸血療法委員会の活性化に努めてください。
続いて議題2「血液製剤使用適正化方策調査研究事業について」です。まず事務局より、本事業の概要について御説明をお願いいたします。
○源血液対策課長補佐 事務局です。資料2-1を御覧ください。血液製剤使用適正化方策調査研究事業につきましては、血液製剤の適正使用を推進する観点から、各都道府県における課題とそれに対する取組について調査研究していただくことを目的としています。各都道府県に設置されている合同輸血療法委員会が主体となって、これを行っていただき、全国で課題や取組について共有することで、血液製剤の適正使用に資する効果的な方策を推進するものです。次の2ページに一覧を記載しています。令和5年度に採択された8つの都道府県の取組のうち、今回は秋田県、埼玉県、広島県から御発表いただきます。
○三谷座長 ありがとうございました。それでは、面川参考人から資料2-2の御説明をお願いします。
○面川参考人 資料2-2の1ページを御覧いただきたいと思います。秋田県合同輸血療法委員会の代表世話人をしています、秋田県赤十字血液センターの面川でございます。よろしくお願いいたします。
次ページをお願いします。2ページ目です。秋田県では、1998年から県医務薬事課、血液センター、主要医療機関、これらの三者が合同で秋田県合同輸血委員会を組織し活動しています。本県の「血液製剤使用適正化方策調査研究事業」は、2006年から2023年の期間で公募実施されていますが、秋田県は積極的に応募していまして18回中16回の採択を得ています。それで安全な輸血医療の啓発も含む適正化方策の検討を積極的に行っています。
今回は、昨年度、令和5年度使用適正化方策調査研究事業の採択を受けまして、「RBC有効期間延長に伴う廃棄率減少に係る詳細調査」、「TACOに関する輸血前チェックリスト導入」などについて調査検討したので報告いたします。
次、スライドの3枚目です。令和5年度使用適正化方策調査研究事業の研究課題名ですが、「(照射)赤血球液-LR「日赤」の有効期間延長に伴う廃棄率減少に係る詳細調査および輸血関連循環過負荷(TACO)に関する小規模医療機関も含む他施設啓発と、TACO pre-transfusion checklistの導入検討」が研究課題名です。代表世話人は私が務めています。
研究課題の(1)(2)に関しましては、このタイトルの内容についてですが、併せて、 (3)周産期医療体制の再検討に伴う輸血実態調査、(4)へき地医療拠点病院とへき地該当地域における輸血実態調査もあまりデータはありませんが、この(3)番、(4)番についても検討いたしました。
次に、ファイルの4番目になります。(照射)赤血球液-LR「日赤」の有効期間延長に伴う廃棄率減少に係る詳細調査です。2023年3月に赤血球の有効期間が延長されたのをきっかけに廃棄率が減少したという報告を医療機関から受けていますので、その有効期間延長前と延長後につきまして県内の医療機関に対し、診療科別の使用単位数、輸血実患者数、在庫数がどうなったか、実際の廃棄単位がどうなったか、廃棄理由がどう変わったかということに関しまして調査検討を行いました。有効期間延長前後の半年間の使用状況について調査した結果です。
ファイルの5枚目になります。調査結果の最初ですが、RBC有効期間延長に伴う廃棄率減少に係る調査で、調査の対象は、使用と廃棄のデータが得られた22施設を対象としています。病床が300床未満と300床以上に分けての検討も行っています。回答が得られたデータは秋田県内のRBC供給総単位数の86.9%を反映していますので、かなりのインパクトのあるデータだと思います。有効期間延長前と延長後におきまして輸血単位数、輸血患者数に大きな差はありません、対象病院の合計ですが。期限切れに関しては、全施設で見ますと、1.08%であったものが0.57%と大きく減少したということです。特に300床未満と300床以上の病床数で区切って検討しますと、300床未満の所は3.12%が1.90%と、300床以上の施設では、0.68%が0.32%という減少となりました。金額ベースで考えますと、110単位の赤血球製剤の廃棄が削減されていますので、秋田県だけで示すと100万ほどの費用削減になります。
スライド6を御覧ください。上の段にグラフが2つございますが、これは有効期間の延長前と延長後で、各病院の廃棄率と、その病院の使用単位数をプロットしたものです。有効期間延長前は、どちらかというと病床数が少ないほうが廃棄率は高い傾向があります。有効期間延長前は、使用単位数がある程度の施設では廃棄率が低く、病床数が少ない所では非常に廃棄率が高いという傾向でした。しかし、マルで囲んである飛び抜けた病院もございました。これが、有効期間延長後に関しては、病院ごとの使用単位数と廃棄率が、ある程度の相関をもって得られるような形になりました。病院規模が大きいほど廃棄が少ない傾向が明確になり、病床数が少ない施設は廃棄率が高い傾向にあるということがはっきりしました。
下の左の青と赤のグラフですが、これは20施設の有効期間延長前後での廃棄率の増減を示しています。青が廃棄率の減っている施設、赤が廃棄率が増えた施設です。下のほうにいくほど病床数が多い施設で、300床以上の病床数が多い施設はおおむね廃棄は減っている傾向ですが、300床未満の施設では、廃棄が減った施設がある一方で、有効期間の延長と関係なく廃棄が逆に増えた施設もあるということです。つまり、300床未満の施設に関しての廃棄率減少については、有効期間延長だけで解決しない問題点があるのだろうということが示唆されるデータかと思っています。
スライド7を御覧ください。廃棄理由についての変化を示します。見ていただきたいのが赤で囲った所ですが、「手術準備血として確保したが使用せず期限切れ」になったのが76単位から32単位に減って半減したということです。特にこれに関しては、病床数の小さい300床未満の施設で効果が大きかったということです。もう1つの大きい廃棄の原因が「院内在庫の期限切れ」です。これは規模が大きい病院は院内在庫として廃棄になったのが非常に大きかったということですが、これが、137単位から66単位に減りました。300床以上の病院では、300床未満の施設と比較して、その減り方が顕著だったことが分かると思います。
スライド8を御覧ください。令和5年度の研究計画の2つの柱のうち、もう1つの輸血関連循環過負荷(TACO)に関する小規模医療機関も含む多施設啓発とTACO pre-transfusion checklistの導入検討についての研究結果でございます。英国では,2017年にNHSが主体となってTACOに関する大規模な輸血監査が実施されていると共に、注意喚起が行われているところです。
関連した内容で右の表ですが、英国では、2021年にTACO pre-transfusion checklistを作成して医療機関に啓発活動をしているというデータがございます。このチェックリストの導入が日本でも可能なのかどうか。日本の輸血患者に輸血前のチェックリストでの効果があるのかどうか。または、予防に対しての効果があるかどうかということを、秋田県合同輸血療法委員会で幅広く意見聴取を行い、その導入に関して検討いたしました。
スライド9を御覧ください。このチェックリストの導入の前に、TACOに関する意識調査を併せて実施いたしました。TACOの認知度に関してです。多くの輸血医療関係者はTACOに関ししっかり認識していると思います。一方、一般の診療科、輸血を処方するドクターではTACOに関する認知度がどうか、ナースはどうかということを含めまして、TACOに関する認知度、発症原因の認知度、ハイリスク患者の認知度、実際の経験があるか、症例の経験があるか、対処はどうするか、予防法はどうするか、利尿剤の投与について行っているか、といったことを県内の医療機関の輸血療法委員会所属の委員85名に質問し回答いただきました。医師が43%、看護師が24%、臨床検査技師が26%という回答割合です。
詳細は示しませんが、看護師のTACOに関する認知度が低い傾向がありました。TACOの臨床所見の設問に関しては、「呼吸音や心音等」、「胸部レントゲン所見」に関する認知度が低い傾向でした。TACOの危険因子では、「低アルブミン血症」、「低体重患者」に関する認知度が低い傾向でした。英国で示されたチェックリストの導入に関しては、導入は難しいのではないかとか、具体的にどういうことに注意するのかといったいろいろな意見が出ています。
次のスライド10をお願いします。第26回秋田県合同輸血療法委員会が今年の2月、令和5年度中に開催されていて、このときには、21施設55名(医師7名、看護師16名、薬剤師7名、臨床検査技師17名、その他8名)が参加しました。そこで教育的な講演として、TRALIとTACOに関する講演等を含めてあり、その中で、先ほど英国のチェックリストを示し、秋田県内の施設で導入が可能かどうかなどにつき議論させていただきました。
スライド11を御覧ください。その結果として、TACOチェックリスト(啓発用カード)を作成しました。白衣の胸ポケット等に入るサイズであり、秋田県合同輸血療法委員会版として作成して医療機関に配布したところです。裏表になっていて、表が患者アセスメントで、術前の患者のリスク、「低体重患者である」、「呼吸異常が以前からある」、「低アルブミン血症がある」、「高齢者である」といったチェックリストで、こういうことに注意してほしいということです。裏側、もう片面が実際に輸血した後のモニタリングはどうするか。呼吸音やレントゲン写真など、症状の一覧、TACOが起こった際の対処法、これも国内のガイドライン等を参考にして、そこに記載されているものを記載して、ダイジェストという形で医療機関に配布したのが昨年の事業でした。
スライド12を御覧ください。課題の3つ目で、周産期医療体制の再検討に伴う輸血実態調査です。秋田県内の産科を有する施設15施設のうち11施設から回答を頂きました。分娩取扱開業施設は6施設ありましたが、これらでは血液納入実績がなかったのでデータにはございません。病院として11施設の分娩総数は、秋田県内全体の分娩数の63.7%を占めていました。RBC有効期間延長との関係で調査していますが、産婦人科全体、産科施設全体における有効期間延長の前後で、廃棄率が1.40%から0.45%と大きく減少していました。大量出血症例については、延長前(期間Ⅰ)で2症例、延長後(期間Ⅱ)で3症例あり、大量出血の報告も頂いています。
スライド13をお願いします。周産期医療でハイリスクの妊婦さんには、自己血輸血・採血を行うケースもあると思いますが、自己血単位数が有効期間延長前後の期間で調査したところ、自己血輸血実施施設が増えたというデータもございます。
最後の課題の「へき地医療拠点病院とへき地該当地域における輸血実態調査」を行いましたが、秋田県内は、へき地医療拠点病院5施設を窓口に、当該病院の輸血療法委員会、輸血管理部門に対して、当該調査に関連する項目がないかという聞き取り調査をしました。しかし、該当する施設での輸血実施は確認されませんでした。そもそも秋田県では、在宅輸血等も非常に少ない所ですので、へき地診療所での輸血実施も積極的には行われていない可能性が考えられます。
スライド14を御覧ください。まとめです。RBC有効期間延長により廃棄率が半減し、大きなインパクトを与える結果となりました。しかしながら、300床未満での廃棄率は減少した群と増加した群に大きく分かれました。300床未満で廃棄率が下がらなかった施設の特徴としては、二次救急があり、血液内科なし、院内在庫なし、血液センターからの所要時間1時間前後で、消化器外科の使用等での廃棄率が多いのではないかという印象です。300床以上では、廃棄率は有効期間延長で下がりきった感がありますが、その他、取扱い不備などでの廃棄も依然としてありますので、そこら辺の取組を検討する必要があるということです。RBC有効期間延長は、各合同輸血療法委員会が関与しながら各医療機関が院内管理体制を再考すべき転換点であろうと思います。300床未満の施設に関してはこれ以上の方策が必要かと思います。TACO pre-transfusion checklistに関しては、運用に関する医師の業務負担の増加、具体的な評価基準の調整等がありますが、一応、昨年度の事業としては、本邦のガイドライン等も考慮してチェックリスト用のカードを作成し、県内で配布したところです。周産期医療、へき地医療に関しては、先ほど御報告したとおり、大きな成果と言いますか結果が得られなかった調査です。
以上でございます。ありがとうございました。
○三谷座長 面川参考人、ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして御質問、御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。御質問、御意見がおありの委員の先生方、いらっしゃいますか。そうしましたら、私のほうから何点か教えていただきたいのですが、今回、赤血球製剤の有効期限が延長されたということで、特に300床以上の大きな病院では廃棄血が減ったということで大変望ましい結果かと拝見しましたが、在庫の変化に関してのデータを少し教えていただけますでしょうか。
○面川参考人 ありがとうございます。在庫に関しては、実は今回報告はしていませんが、詳細の報告書には記載しております。1施設のみ在庫数を増やした施設がございましたが、他の施設は血液センターからの距離等を勘案して、以前と同数の在庫数のようです。1施設のみ、O型とA型だったと思いますが、在庫数を増やして緊急対応等に備えても、廃棄はそう増えないのではないかという考えの上での在庫数増加でした。以上です。
○三谷座長 ありがとうございます。有効期限が延長されると在庫は少し減らせるのかと思いましたが、そういうことではないということですね。
○面川参考人 そうですね。減らすというよりは逆に、増やしています。
○三谷座長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等がおありの委員の先生方、いらっしゃいますか。このTACOに関する取組も非常に興味深く拝見したのですが、今一度、TACOの発症率と死亡率を教えていただきたいのと、あと、スライド9ページの円グラフに、今回、調査に御協力いただいた職種別の人数の比率を示されていて、看護師さんの認知度が少し低かったというお話もあったのですが、職種別の認知度に関して、もう少し教えていただいてもよろしいでしょうか。
○面川参考人 TACOの発症率等に関しては、日赤の医薬情報関係のデータとして報告されていると思います。今、私はその数値を正確に把握していませんので恐縮ですが、そちらを参考にしていただくか、日赤の血液事業本部からの出席者がいれば、そちらから御回答いただければよろしいかと思います。
それから、TACOの認知度に関する調査に関しては、ベッドサイドで見ている看護師も85名中、24%に回答いただいたのですが、ベッドサイドで見ている看護師が、TACOの症状があったときに身近で見ている医療職だと思います。医師は認知度が高いところがあるのですが看護師は認知度が低いところがあるので、ここら辺をどう啓発していく必要があるのか。各医療機関の輸血療法委員会等でチェックリストを配布した際に、TACOに関する勉強をしていただく機会を設けるとか、それに合同輸血療法委員会がどう関わっていくかというところが非常に重要かなと思っています。御質問の意図と多少ずれているかもしれませんが、以上が回答でございます。
○三谷座長 ありがとうございました。なかなかTACOの正確な発症率を出すのは難しいのかと思いますけれども、日赤のほうで何かデータはおありですか。
○日本赤十字社血液事業本部田村技術部学術情報課課長 学術情報課の田村でございます。今、手元に資料がないので正確な数値はお伝えすることができないのですが、ちょうど先月、血液センターに報告された副作用の発生率とか副作用の件数をお示しした情報媒体「輸血情報」をお出ししていますので、そちらのほうを御参照いただければと思います。申し訳ございません。
○三谷座長 ありがとうございます。なかなか専門家でも正確な数字を把握していなかったりすることがあるかと思いまして質問させていただきました。最後に、このTACOのチェックリストカードはとてもよくできていると思うのですが、面川参考人、今後、これは秋田県の合同輸血療法委員会だけでなく全国に配布していただいて、TACOに関する認知度を上げていただく御予定はおありですか。
○面川参考人 そうですね、秋田県合同輸血療法委員会はホームページがございます。そこに今回のチェックリストをアップしていると思いますので、そこからデータ等をダウンロードしていただくことも可能ですし、チェックリストのカード自体は大量に作成して県内医療機関等に配布していますが、当然、残もありますし、御希望いただければ、もちろんオープンになっているカードですから御自由にお使いいただきたいと思います。
○三谷座長 ありがとうございました。ほかの委員の先生方、御質問、御意見等はよろしいですか。國土委員、お願いします。
○國土委員 ありがとうございました。秋田県は広い県で、非常に距離があり、へき地医療で大変御苦労されていると想像いたします。私、消化器外科医なので気になったのですが、まとめの2つ目に、消化器外科での使用のケースが多いということですけれども、これは、こういうへき地医療を担う消化器外科としては、やむを得ないとお考えなのか。何か、もう少し対策が可能と考えているのかお知らせください。
○面川参考人 國土先生の御指摘は、300床未満での廃棄率が下がらなかった病院の特徴として消化器外科があるということですが。病床数が多いということは使用量が多いですから、1つの科、手術で未使用になった血液であっても、血液内科等で使用していただくということで、融通はいくらでも利くから廃棄率が低いと思います。しかし、300床未満程度の病院でも、消化器外科等ありますので、こちらで血液を確保して未使用になった場合、それがどうしても残ってしまうことが直接的な原因だと思います。
ですから、消化器外科の中でどう対応していくかということが重要です。手術であまり出血しないときは輸血しないでしょうし、出血するときは出血するということですから、それは理解していますので、準備せざるを得ないというところです。かといって、在庫ゼロ、院内在庫ゼロ、準備ゼロで緊急時に対応するのもリスクが伴うということですから、これは致し方ないところがどうしてもあると思います。
それから、特徴として挙げただけであって、消化器外科があることが全ての責任ではないということは御理解いただきたいと思います。
○國土委員 了解しました。ありがとうございます。
○三谷座長 ありがとうございました。ほかの委員の先生方、追加の御発言はおありでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、面川参考人、ありがとうございました。
次に、樋口参考人から資料2-3の説明をお願いします。
○樋口参考人 埼玉県合同輸血療法委員会の樋口です。よろしくお願いいたします。スライドの2枚目から始めます。「輸血療法の実施に関する指針」により、輸血療法を行う医療機関内に院内輸血療法委員会を設置することが求められておりますが、その具体的な活動等については各施設に任されています。今回の調査の目的は、埼玉県内医療機関の院内輸血療法委員会の実態を明らかにすることと、埼玉県内医療機関の院内輸血療法委員会の課題を注出して、委員会活動を改善・適正化・活性化することにより「安全かつ適正な輸血療法」を更に推進することの2点です。今回、この目的のためにアンケート調査を行いました。
2021年度~2022年度に血液製剤の供給実績のある埼玉県内の437医療機関全てに調査依頼を郵送して、Formsを用いたアンケート調査を行いました。調査内容が非常に多かったので、駆け足になることを御容赦ください。
スライドの4枚目です。送付437施設中155施設から回答が得られました。回答率は、全体で35.5%でした。300床以上の規模の施設からの回答率は100%でしたが、送付した施設の77.1%を占めた99床以下の比較的小規模の施設からの回答率は、21.4%にとどまりました。
5枚目です。回答を頂いた155施設中96施設が、輸血療法委員会を設置していると回答しました。これらの施設からの回答について検討しました。6枚目です。この96施設の輸血療法委員会の病床数による分布です。無床の2施設を1~99床の施設の中に含めて、99床以下の施設として検討を行いました。
7枚目です。まずは、委員会の構成ですが、85.4%の委員会が医師、看護師、臨床検査技師、薬剤師の4職種の委員を含んでいました。5番目の2施設においては、赤十字血液センター職員が委員会メンバーに加わっていました。委員長は、内科系、外科系の医師がそれぞれ約半数ずつを担っていました。
8枚目です。年間の委員会の開催頻度を示しています。委員会の開催頻度は、年間6回開催している施設が61.5%と最も多く、年間7回以上開催している施設も31.3%あり、2施設は毎月開催していました。病床別で見ると、100床以上の施設が1施設以外全て年6回以上開催していました。また、99床以下の施設の44%が、年間7回以上開催していました。
9枚目です。委員会の平均開催時間は、15~30分が43.8%で最も多かったです。1時間以上開催している施設も1施設あり、開催時間15分以内の比較的短い施設は、病床数が比較的少ない施設に多い傾向がみられました。
10枚目は、委員の平均出席率を示します。出席率は、おおむね60%以上で、比較的規模の小さい施設の出席率は高いという傾向がみられました。
11枚目は、委員会の決定内容を院内ルールとする仕組みを示します。決定事項を委員会の決定のみで院内ルール化されている施設は24%で、他の施設では委員会以外の承認などを経てルール化されていました。
続いて、「輸血療法委員会の活動内容」に移ります。13枚目を御覧ください。全体として、輸血の適応について検討している施設と、検討していない施設は、ほぼ半数ずつでした。施設規模別で見ると、500床以上の施設では80%の委員会が輸血の適応を検討していましたが、100~299床の施設では68.8%の委員会が検討していませんでした。
14枚目です。輸血の適応についての検討内容です。1項目だけ選択していただく形で回答いただきました。指針に合わない使用事例を提示し検討を行っている施設の委員会は約半数の54.5%、赤血球輸血患者の輸血前Hb値のデータを提示し検討している委員会が約30%で、この2つが多くの委員会で検討されていました。
これを施設規模別で見たものが、次の15枚目のスライドです。施設規模別で見ますと、「赤血球輸血患者の輸血前Hb値のデータを提示し検討をしている」と回答した委員会は99床以下の施設に多く、病床数がより多い施設からは「指針に合わない使用事例を提示し検討している」との回答が多かったです。
次に、適正使用の推進についてです。16枚目です。69.8%の委員会が適正使用を推進していました。その適正使用を推進している場合の内容は、17枚目です。これも、1項目だけ選択していただく形で回答いただきました。46.3%の委員会が、FFP/RBCの比率が高い診療科や使用量が急に増えた診療科の使用状況を検討していました。そして、31.3%の委員会が、大量輸血事例を提示し適正に使用されたかを検討していました。この2点が、適正使用推進の主な内容でした。
次に18枚目です。54.2%の委員会が、適応と適正使用に問題があると判断された場合にフィードバックを行っていました。施設規模別で見ますと、299床以下の施設ではフィードバックを行っていない委員会が多い傾向がみられました。
次に19枚目です。フィードバックを行っている52施設で、フィードバック後の改善状況を確認しているかということですが、フィードバック後の改善状況を確認しているのは52施設のうちの69.7%にとどまっていました。
20枚目です。67.7%の委員会が輸血に関する全てのインシデントを把握していました。21枚目、インシデント防止対策を協議しているのかということについては、70%の委員会が協議していました。22枚目は、輸血副反応事例を把握しているかということですが、77.1%の委員会が全ての輸血副反応事例を把握していました。
23枚目は、輸血マニュアルについてです。輸血マニュアルは全ての施設で作成されていました。24枚目です。しかし、輸血マニュアルを遵守されているかを確認しているという施設は約20%にとどまっていました。25枚目は、他の医療施設の委員会と情報交換を行っているかという質問なのですが、これについては21.9%の委員会が他の施設の委員会と情報交換を行っていました。
続いて、輸血療法委員会の課題について質問しました。27枚目を御覧ください。非常に細かい記載で申し訳ないのですが、その他を含む17の項目から複数選択可で回答いただきました。課題がないと回答した委員会から、13もの項目の課題を挙げた委員会までありましたが、委員会当たり平均3.6項目の課題が挙げられました。
その内容ですが、全体としては委員からの活発な意見・発言がないという課題が最も多く、40施設が挙げていました。次いで、2~4番目の学会認定看護師、認定輸血検査技師、輸血領域に詳しい看護師や薬剤師がいないなど、輸血に詳しいスタッフが不在であることを課題として挙げた施設が30%以上ありました。ほかに多かった課題として順に見ていきますと、多い順に「委員会内で適正使用についての議論ができていない」、「各部門からの輸血療法に対する要望が委員会へ上がってこない」、「適正使用を疑われる事案に対して全例対応することができていない」、「各部門で発生している輸血に関する困りごとが委員会に意見として上がってこない」、「委員会活動が技師中心で他職種の協力が得にくい」、「輸血管理料施設基準のために開催している・形骸化している」などが、20以上の委員会から課題として上げられました。
28枚目を御覧ください。施設規模別の課題について検討しました。非常に細かいスライドで申し訳ないのですが、結論だけ申しますと、各委員会の課題数は100~299床の施設で多く、500床以上の施設で少ない傾向がみられました。しかし、有意差はみられませんでした。
29枚目です。施設規模別の課題の内容について見てみますと、500床以上の施設では、8番目の「各部門で発生している輸血に関する困りごとが委員会に意見として上がってこない」ことが多く、100床未満の施設では、1番目の「委員からの活発な意見・発言がない」ことを挙げた施設が多くみられました。大規模施設では規模が大きい施設に内在する特性に関連してみられると予想される課題が、その他にも多く、より小規模な施設ではスタッフの不在に関する課題が多く挙げられました。
30枚目です。埼玉県の地域区分別に検討しました。輸血療法委員会が設置されている施設が県内の医療施設の地域分布を反映して県南部に多く、県北西部に少ない分布でした。秩父地方で輸血療法委員会がある施設は1施設のみでした。
31枚目です。こちらは、地域別の委員会の課題ですが、これは地域により課題の数に有意な違いはありませんでした。地域別に課題に違いがあるかを見てみたのが32枚目です。課題の内容は、東部地域でスタッフの不在が目立ち、西部地域では「活発な意見・発言がない」ということを挙げた委員会が目立ちました。しかし、地域による明らかな違いとして言えないという結果でした。
まとめです。今回の調査で、埼玉県内の医療機関の輸血療法委員会の現状、活動内容、課題などについて初めて明らかにすることができました。本調査結果は、各医療施設の輸血療法委員会活動に関する貴重な情報が多く含まれており、これらは、合同輸血療法委員会が「より多くの医療機関で輸血療法委員会が設置され活発に活動できるように支援する」ための貴重な情報と考えられます。
34枚目です。今回の調査結果を活用することによって埼玉県内の安全かつ適正な輸血療法の推進につながることが期待できます。埼玉県合同輸血療法委員会として、各輸血療法委員会活動がより円滑に行われるように、積極的に働きかけていく計画です。今回の調査に御協力いただきました埼玉県内の医療機関に深謝いたします。御清聴ありがとうございました。以上です。
○三谷座長 樋口参考人、御報告をありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について、御質問、御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。山内委員、お願いします。
○山内委員 東北大学、日本麻酔科学会の山内です。病床数別の分類ということで、適正使用の問題点や委員会の開催の内容で、タイプ別があるということは非常に興味深く、貴重な研究、調査だと思いました。その中でお伺いしたいのは、17枚目に適正使用を推進する場合、どのようなことを推進していますかということで、これについては、病院によって適正使用の問題点というのも違うと思うのですが、適正使用とは何ぞやみたいな、基準のような、こういったマニュアルに逸脱しているかどうかということを定義付けて質問されたのか、今の現状をランダムに出していただいたのか、そこをお伺いできますか。
○樋口参考人 ありがとうございます。御指摘のとおりで、全くこの内容で質問させていただき、非常にランダムな内容になっております。
○山内委員 ありがとうございます。今後、多分アルブミンの使用が一時大きく不適正使用というのがありましたし、この回答にあるような、Hb値をきちんと評価して輸血しているかとか、適正使用ということの大きな頻度の多い不適正なパターンというものを、今後まとめていくといいのかと。私たちの施設であったり、私は周術期中心ですが、少し頭の中にインプットさせていただきました。どうもありがとうございます。
○樋口参考人 どうもありがとうございました。
○三谷座長 ありがとうございました。それでは、堺田委員、お願いします。
○堺田委員 千葉大学の堺田です。大変膨大なアンケート調査で、御苦労さまです。とても貴重な調査研究だと思いました。私がお伺いしたいのは、スライドの24、25枚目にありましたマニュアルを遵守されているかどうかを調査しているかという設問なのですが、これは案外と各施設で輸血マニュアルを遵守しているかどうかという監査は非常に難しいという施設が多いのではないかと思うのです。先生、これは遵守されているかを監査しているのかは、PDCAサイクルを回すのに非常に有用だと思うものですからお聞きしますが、施設の規模や輸血療法委員会の構成員は施設によって様々だと思うのですが、そういった他職種が関わっているかとか、何か特色が見えてくるようなデータはありましたでしょうか。
○樋口参考人 どうもありがとうございます。今回、実はマニュアルは全施設で作っているのですが、そのマニュアルの内容というか、作り方で、どこが作ったか、どのような形で作られているかが非常に違いまして、そちらのほうが大きいのではないかと考えています。確かに御指摘のとおりだと思うのですが、規模よりも、どういう人がマニュアルに関わっているかが大きいような印象を受けておりますので、それについては、また改めて調査したいと思っております。
○堺田委員 ありがとうございます。もう1点だけ申し訳ありません。その次のスライドの、各施設の委員会との情報交換というのも、先ほどの御説明と同じく、その職種職種同士のインタラクションということでよろしいでしょうか。そういうことが多いということで。
○樋口参考人 どうもありがとうございます。これは、実は回答していただいた方の大部分が臨床検査技師さんです。これは推測なのですが、恐らく臨床検査技師さんの間でされていると思うのです。この調査を始めた最初のモチベーションというかきっかけは、ほかの施設は何をやっているか全く分かっていないのではないかということがありましたので、正直言いまして20%以上が情報交換を行っているというのは、実は意外な結果だったのです。ですから、それについては、これ以上は質問していませんのでお答えできないのですが。
○堺田委員 ありがとうございます。私も非常にアクティブな活動だと思って、拝見しました。
○三谷座長 それでは、続いて宮川委員、お願いします。
○宮川委員 宮川です。大変貴重な発表を頂き本当に勉強になりました。今お話があったように、発注実績として、437の埼玉県内の医療施設の中に、無床診療所と、1~99床の診療所という形で、その中にも詳細が書かれています。実際にゼロという診療所、いわゆる無床診療所の場合は、こういうものを作ろうという形になっても、回答されている医療機関は多分、詳細を見ましたら、医師、看護師、事務職の3人で作っていたり、2人で作っているという所が回答されているのだろうと、思いました。このように、無床並びに、ごく小さな医療機関が、このようなマニュアルをどうやって作るのかということも、そのマニュアルの最低の構成要素というものを、ある程度、どこかで示していかないと、そのような小さな医療機関がなかなか参加できないというか、実質作れないということが見てとれるのではないかと思います。何らかの形で、定型というものを作っていただいて、より小さな医療機関がどのようにこういうものを作り、そして活用するかも含めて、今後これは埼玉県だけにお願いするわけではなく、やはり厚生労働省も含めて、そのような事例を作っていただくことが、今後も重要なことになってくるのではないかと思って発言いたしました。以上です。
○樋口参考人 どうもありがとうございます。実は、無床の施設の中には院内輸血療法委員会がないが、無床施設の輸血療法委員会は何をしたらいいのかという質問も実際にありました。合同輸血療法委員会としては、そのような施設に対して、今、何か働きかけができないかと模索しているところです。御指摘ありがとうございました。
○三谷座長 ほかに委員の先生方、御質問、御意見等はありますか。ないようでしたら、私も少し質問させていただきます。まず、スライドの10枚目の輸血療法委員会の出席率です。医療監視などがありますと、輸血療法は直接生命に関わるので、この出席率は100%に近いものでないといけないと、かなり厳しい御指導を頂くのです。埼玉県の各施設で、この出席率を上げるための何か努力などはされていらっしゃるのでしょうか。
○樋口参考人 すみません、音声が途切れてしまって聞こえませんでした。
○三谷座長 すみません。出席率に関する質問なのですが、医療監視等では輸血療法委員会はとても大事な委員会なので出席率は100%、あるいは95%以上ないといけませんというような指導を受けるのですが、埼玉県の結果ですと、100%が13.7%で、80%以上が32.5%という御報告なのですが、各施設でこの出席率を上げるために、どのような努力をされているかというようなことは、今回の先生の調査結果で何か見えていらっしゃいましたか。
○樋口参考人 ありがとうございます。その点については、今回は全く触れませんでしたので、お答えできません。申し訳ございません。
○三谷座長 ありがとうございます。それから、スライドの11枚目なのですが、輸血療法委員会での決定内容の周知に関してですが、輸血療法委員会での決定事項が病院全体の会議などを経て決定になる場合や、病院長の承認が必要という場合は比較的分かりやすい手順かと思うのです。一方、輸血療法委員会のみでルールが改変されているような場合、現場への周知はどのような形でなされていますか。
○樋口参考人、すみません、それについても調査しておりません。申し訳ございません。
○三谷座長 難しいでしょうか。ありがとうございました。ほかに委員の先生方、御質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。それでは、樋口参考人、膨大なデータをありがとうございました。
○樋口参考人 どうもありがとうございました。
○三谷座長 それでは、最後に藤井参考人から、資料2-4の御説明をお願いいたします。藤井参考人、お願いします。
○藤井参考人 よろしくお願いします。YouTube配信されているということですので、できたらパワポでやりたいと思いますので、パワポを準備させてください。もし何か不都合がありましたら、途中でお知らせいただければ、止めてPDFのほうで説明させていただければと思います。今、御覧いただいておりますでしょうか。では、始めたいと思います。
私ども広島県合同輸血療法委員会で昨年度、採択いただいた課題名は、「災害時等における医療機関間の輸血用血液製剤の譲受・譲渡(融通)の実効性の向上について」ということになります。広島県は、御存じの方も多いかもしれませんが、結構地盤が緩い所でございまして度々豪雨災害が起きております。令和2年度に、この度にもちょっと関連するのですが、血液製剤使用適正化方策調査研究事業に応募させていただきまして、「災害時等における医療機関間の輸血用血液製剤の融通に関する指針の作成」ということで行いました。
広島は数年前、平成30年4月に西日本豪雨災害がございましたが、その4年前も、これは本当は広島市なのですけれど、実はそちらのほうも災害がありまして、広島大学は広島市にございますが、そこの職員の家も潰れたとか、いろいろなことを経験しています。このような災害があったことで、災害等における輸血用の血液というものが、血液センターから供給されない場合、どのように対応するかということは、実際、非常に喫緊の課題ということでありまして、この平成30年のときの西日本豪雨災害は、広島市と呉市の交通路が分断されまして、血液製剤を船で運んだと、実際そういう例もありましたし、そのときに呉の医療機関内で血小板製剤の融通を行ったこともあったということです。
このように、平成26年の豪雨災害のときには、広島市のマル1の所で、平成30年のときには呉市が大問題ということになったわけなのです。実際にはあまりニュースにはならなかったのですけれど福山市もこのときは水浸しになりましたし、あとは、広島県は雪も実は多い所でございまして、北部のほうでは雪とかで遮断されるというのも、ある意味、毎年起きるということですので、こういった所の地域において、交通遮断が起こり得る、あるいは起こった場合にはどのようにするべきかということを考えていかないといけないということでした。
この度は県北のほうで、実際に譲受(融通)のシミュレーションをやろうということになって、やったということです。これにつきましては2年前でしたか、3年前でしたか、この会で少し動画をお見せしたと思うので、ちょっと今回は字面だけということになるのですが、基本的には、こういう災害が起きたときに輸血をしないといけない、欲しいという譲受医療機関のほうが、譲渡していただく医療機関に対してお願いをするというところから始まります。
そして、お願いされた医療機関のほうに、その製剤が存在し、かつ責任医師、こちらの病院では院長先生になるのだそうですけれど、そちらのほうで可能であるという判断を受けたら、即座に出庫処理にいくということになります。譲受する医療機関のほうが取りに行くという形になりますので、いついつ誰が取りに来るかというようなところを連絡し合って、場所も指定ということになります。そして、譲受医療機関が譲渡依頼書を持参して、搬送者に頼んで、搬送者が医療機関を出発するということになります。
そして、譲渡医療機関のほうに着きますと、そこで血液製剤の譲渡証明書を基にダブルチェックを行いまして、製剤を出庫して、搬送者が譲受医療機関のほうへ向かっていくということになります。最終的には、医事処理とか、こういったことも行わないといけないのですが、緊急事態ですので、これは後日行うということです。
実際にシミュレーションをやりましたところ、このぐらいの気温だったのですけれど、少し冬が始まる頃の気温だったのですが、この時期に搬送容器ですが、ATRを用いていません。通常の製剤搬送をするような容器なのですけれど、そういったものに、この温度になるように保冷剤を入れて搬送したということであり、この温度も適正な温度をモニタリングして確認ができているということです。
ということで、「では、これでいいか」ということなのですが、病院間だけで、この血液製剤の融通だけで済むのかと、大災害になったとき、やはり在庫数も余り多くありませんので。本院の場合は740床の病院ですけれど、MTPをやっている関係上、O型はやや多めですけれど、ほとんどの製剤は4単位から6単位ぐらいしか在庫していないですね。なので、そうなった場合は融通だけではなく、やはり血液センターから、ちゃんと製剤の供給ができるようにも考えないといけないということで、令和4年度には、先ほど冒頭でも御紹介いただきましたが、防災ヘリ等を利用した災害時における輸血用血液製剤の搬送ということも視野に入れて、実効性の向上ということで、その指針の改定を行うということにしました。
輸血用血液製剤は、平時は、このように広島県赤十字血液センターのほうから、こういった所に運びますし、福山にも出張所があるのですけれど、こういう形で搬送していたということなのですが、これが実際の道路マップになりますけれど、道路でいうと、この太い所が国道になるのです。この辺り、う回路等が特に潰れることも当然あり得ますので、そうなったら、やはりヘリ等でこういった地域に運ばないといけないだろうということになります。
広島県では別に、災害拠点病院というのはどこの県もあると思うのですが、災害拠点病院の中でヘリポートがある病院を選定させていただいて、この7病院ですが、そちらのほうに搬送するということを考えました。実際にどういうことになるかということですが、通常、病院のほうから製剤を血液センターのほうに頼んだ場合、まずは災害拠点病院に製剤を送るということになります。そして、災害拠点病院で一旦、ここに入庫という手続になります。これは本当の意味でいうと、矢印は逆になるのではないかと私は思っているのですが。災害拠点病院のほうから各病院や診療所のほうに、それが融通されるということになります。
ここでの問題点は、ヘリには優先の条件があるということと、先ほども言いましたけれど、本来ならば使う病院が取りに行くというのが原則なのですが、それをやってしまうと、交通でいうと往復しなければいけないわけで、逆に時間が倍も掛かってしまうのです。ですから、緊急事態にはちょっと対応できない。このように搬送に来ることができないという場合も当然あるだろうと思うのです。人手の問題もあるでしょうし。ですから、多めの製剤オーダーになって実際には使わないということで、製剤の廃棄が起こると災害拠点病院が丸損ということになってしまうので、ちょっとこれはどうだろうという問題が持ち上がりました。
今までのお話に関連するのですけれど、フローチャートという形で、最後のほうに参考資料で出てくると思うのですが、現在は田中班のほうで、この辺りも今検討されているようです。それによく酷似しているようですが、広島県版の場合は最終的に、そこは広島県が費用を持とうということになっています。
では、具体的にどうするかということですが、まず事前に協定を結ぶということですね。医療機関間で、この場所に取りに行くといったような、そのような所を最初から決めておこうということになります。やはり、この辺りのところを決めておかないと、どこから来るか分からないみたいなことでは困るので、医療機関内で協定しておこうということです。
あとは、赤血球だけではなく、先ほどMTPの話もしましたが、FFPの融通もきちんとできるようにということで、昨年度は、この2つを柱に指針の中に追加して実効性の向上を図ったということになります。
先ほど、費用に関して言ってしまいましたけれど、取りあえず災害救助法が適用される場合であれば県が負担するということになるので、ここに関しては災害拠点病院の先生方は、安堵したということになりました。そういったことで、取りあえず費用の損はないだろうとなったということであります。ただし、事前協定が必要ということになっていますので、先ほどの協定書、病院間の協定書と似たような協定書を作成するということで、やっていくのではないかということになっています。
もう1つはFFPですが、先ほどと同じ医療機関、譲受と譲渡する医療機関が、赤血球と同じように、これは凍った状態で製剤を搬送して、実際に使用するというシミュレーションをやってみたということです。温度は、-20℃以下にしないといけませんし、凍ったものを運びますので、バッグの破損ということもありますが、シミュレーションしたら同じように搬送容器内は-20℃未満という形で搬送ができましたし、バッグの損傷もなかったとのことです。
この度のこういったシミュレーション、いわゆる模擬訓練ですが、こういうことを受けまして、指針の改定を下記のとおりに行ったということでございます。どうも御清聴ありがとうございました。
○三谷座長 藤井参考人、御説明ありがとうございました。先ほど、厚労省からも御報告があったのですが、広島県では災害時等における融通に関する指針、それから、航空運送マニュアル等を作成していらっしゃって、今後求められる先駆的な取組をしていただいていると思います。ありがとうございます。
それでは、ただいまの藤井参考人の御説明について、御質問、御意見をいただきたいと思いますが、委員の先生から何かおありでしょうか。山内委員、お願いします。
○山内委員 日本麻酔科学会の山内です。非常に継続性が必要なことを非常に丁寧に推進されていると聞かせていただきました。その中で、13ページのフローチャートにありますように、災害拠点病院から各医療施設へとありましたが、多分、これは昨年までに議論、検討は終わっているかとは思うのですが、逆方向の矢印をされない理由というか、そこが難しいということをもう一度教えていただけますでしょうか。
○藤井参考人 ありがとうございます。13ページのように災害拠点病院から搬送するというような形になっていると思います。
○山内委員 逆方向というか、先ほども、万が一、送ったけども使わないこともあり得るということでしたので、いろいろな理由で、やはり災害拠点病院でたくさん使いたいとか、そのようなこともあるかとは思うのですが、その逆方向を行わない理由というか、そこを教えていただければと思いました。
○藤井参考人 逆方向というのは、製剤の逆方向という意味ですか。
○山内委員 ええ、病院Aから災害拠点病院へ何らかの理由で戻すという。
○藤井参考人 はい。これは多分、血液センターが、いわゆる一旦、病院に入れたものを回収しない方針ということと同じ理屈ということになります。ですから基本は、やはり一旦、災害拠点病院に入庫という形を取りますので、その中で完結してもらいたいのが血液を供給される血液センターの立場ということなので、逆方向ができないということになると思います。
○山内委員 ありがとうございました。
○三谷座長 ほかに、委員の先生方、御質問、御意見等おありでしょうか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 宮川です。先生、ありがとうございました。昔から広島県というのは、ブラッドローテーションに関しては非常に先駆的に取組をされております。先ほどお話があったように、雪が降ったり、様々な災害があるということで、いろいろ先駆的な取組をされてきた。非常に、私にとっても勉強になる事象を教えていただいてありがとうございます。
しかしながら、これは県単位で話すだけではなくて、今後は南海トラフも含めて考えていくことであろうかと思います。県の取組だけではなく、これは広範囲な取組というのが今後のブラッドローテーションに関しては非常に重要な形になってくるということです。県の中で災害救助法を含めて、同法が適用された場合に、その費用分担などについての県の考え方というのは、広島県というのは定まっているという形だろうと思いますが、今度、県をまたがる場合、大規模な災害があった場合にどう考えていくのか。
それは、先ほど血液を戻せないという様々な問題のお話があったように、血液法の中にも問題はありますし、その他の全ての法律が関わってくるわけですが、これに関して、厚生労働省、日赤が、このブラッドローテーションを広範囲に適用する場合の法的な問題がどうなのか、費用分担がどうなるのか、そのようなことをもっと真剣に考えていくべきところに来ていて、広島県のように先駆的な工夫という形にしてしまっては、大変、申し訳ないことです。ここには、費用分担やら、その工夫に対する代償、それから法的な問題、様々、関わってくるのですが、それに対して厚生労働省や日赤がどのようにこれを今後考えていくのか。早急に考えていかないと、間に合わない事象が出てくるのではないかと昔から思っているのですが、それに関して、厚生労働省や日赤は、どのような御見解なのかをお聞かせいただきたいと思います。
○三谷座長 宮川委員、ありがとうございました。それでは、厚労省から何らかの御回答はおありですか。
○源血液対策課長補佐 ありがとうございます。先ほど、冒頭にもありましたように、災害時に、へき地、離島等、その産科的な領域のことに関して、それぞれにある問題というものは気になるものと理解しております。そうした中で、この後に御説明させていただこうと思っていますが、その他の議題に含まれる特別研究事業でも、そちらの検証等は考えている部分もございます。
なので、災害時だけに限らず、そういった法的な部分の前の検証などは進めている部分もございます。それ以外に関しても、もちろん、今、広島県でお示しいただいた内容に関しては、こちらでも、再度、重く受け止めて考えていきたいと思っております。
○岩崎血液対策課長 血液対策課長の岩崎です。補足いたします。先生がおっしゃるとおり、これから少子高齢化が進む中で、県単位で何かを考えていくのが難しくなるし、それは医療提供体制も含めて、もう全てです。したがいまして、方策事業もそうですが、今は県単位でしかやっておりませんが、なるべく地域単位で方策事業を考えていくということを今後は進めていきたいと思っております。
また、厚労省としても、地域単位も含めて、どのようなことができるのかですが、まずは、県単位で、少なくともマニュアル、広島県のようなものを作り、更に、地域単位でそれを広げていくことも順々に進めてまいりたいと考えております。以上です。
○宮川委員 ありがとうございます。そのような意味で、県単位でやるのであれば、全ての都道府県がやらなければ、国としては、県同士の融通、もっと広範囲な融通も含めてできないという御回答であると理解してよろしいのでしょうか。
○岩崎血液対策課長 すみません。説明が足りなかったかもしれませんが、融通自体は県単位など、単位で区切られているものではなく、あくまでも、その機関間で融通はできることになっております。それは法的に薬機法上は特に問題はございません。ただ、広島県が細かく協定書を結ばれているように、お金のやり取りとか、いろいろな責任の所在など、そういったものは事前にきちんと協議をしておく必要があるので、そういったものの体制整備を引き続きできるように支援していきたいということです。
○宮川委員 分かります。ただ、大規模災害のときに、事前に協定書をどうやって結ぶのですか。誰かが決めなければいけないですよね。大規模災害として、南海トラフがあったことを想定したときに、協定書がなければ融通できないということではなくて、国がどのような範疇で対応を考えているのか。これが法的なところは整備ができているというのであれば、どのような運用方法を結ぶのかということを、ある程度、国が予想していかないと、その場でバタバタしても仕方がないのです。血液に関しては待ったなしの状況が想定されるということで、感染症のように、じわじわ広がるのではなくて、ドーンと全体的に広がってくる可能性があるので、それをどのように構築するのかということで御質問いたしました。
○岩崎血液対策課長 ありがとうございます。こちらで進めさせていただきたいと考えております。
○宮川委員 よろしくお願いします。
○三谷座長 ありがとうございます。日赤からも何かコメントはおありですか。
○日本赤十字社血液事業本部鶴間経営企画部供給管理課課長 日本赤十字社の供給管理を担当させていただいております鶴間です。今、御質問のあった件ですが、ブラッドローテーションについては、現行で島などを対象に準備を進めているところです。今、血液対策課からお話がありましたとおり、県をまたいでの検討ということにおいては、日本赤十字社としても、まだ、そこまではいっていないところです。厚生労働省と協議を行い、対応策等々を考えさせていただきたいと思います。
○宮川委員 ありがとうございます。そういった意味では、国民のいろいろな医療体制全部に関わってくることなので、議論というか、そのようなものをなるべく早く進めていただいて、皆さんにお示しいただければ幸いだと思います。よろしくお願いいたします。
○三谷座長 宮川委員、貴重な御意見をありがとうございました。ほかに、御質問、御意見等がおありの委員はいらっしゃいますか。藤井参考人に一点教えていただきたいのですが、輸血が必要な被災者が多数出るような災害に直面したことがないのですが、そのような場合に、血液製剤の譲渡を受けた医療機関の中での血液製剤の転用や融通みたいなものは、どのように考えたらよろしいのでしょうか。
○藤井参考人 御質問ありがとうございます。譲渡してしまった以上というのは失礼ですが、行ってしまった以上、それを実際に患者さんに使うのか、やはり、その人には使えないし、次の人がいたということであれば、それは、その病院内で対応すればいいと思います。ここで問題なのは、やはり、先ほどのチャートに示していたかどうか忘れましたが、もともと血液センターは譲渡する医療機関に、この人用のものですという形で納入されるはずなのです。
ですから、もし、何か副作用等が起きたときには、このAさんという人ではなく、譲渡した医療機関のBさんが使ったのだということをきちんとフィードバックする必要があります。ですから、そこのところをきっちりやっておくことも、本日、時間の関係で説明はしていませんが、指針の中には、「誰に譲渡したか」あるいは「譲渡医療機関の誰に対して使用したものか」ということがフィードバックされるような形には、一応、なっているということを御理解いただければ。
○三谷座長 よく分かりました。ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等がおありでないようでしたら、議題2に関しては以上としたいと思います。藤井参考人、ありがとうございました。それでは、事務局においては、本日の調査会の御質問、御意見を参考に、引き続き適正使用の推進に努めてください。
最後に、議題3、その他です。事務局から何かおありでしょうか。
○源血液対策課長補佐 事務局です。参考資料1を御覧ください。厚生労働科学特別研究
「へき地・離島等での血液製剤の有効利用のための研究」について、本年度より実施していただいておりますので、要点のみ御紹介いたします。令和6年度厚生労働科学特別研究として「へき地・離島等での血液製剤の有効利用のための研究」を田中朝志先生を代表として、調査研究していただいております。
概要です。へき地・離島等の医療機関においては、緊急輸血が必要な場合に血液センターから血液製剤の搬送に時間がかかるため、備えとして余剰在庫をかかえ廃棄率が高いという課題があります。また、緊急避難的な血液製剤の融通を行ったことがある施設でも、その取扱い方法が整理されていた施設は少なく、内容も不十分でした。
地域の医療連携体制のもとで、Blood Rotation(BR)を運用するに当たり、情報の記録等も含めた血液製剤の適切な保管管理、血液製剤の品質を維持できる適切な輸送の方法等、血液製剤の取扱いに関するノウハウや費用対効果の高い運用方法等の知見が不足しています。本研究は、へき地・離島等の実状に基づいたBlood Rotation(BR)のマニュアル等の作成と輸血療法の医療連携を推進するための提言作成を目的としています。
下にも示していますように、「研究担当グループと事業内容」としては、1.離島での実態調査を行い、提言を作成いただく。2.へき地での実態調査を行い、提言を作成いただく。3.産科施設での実態調査を行い、提言を作成する。4.へき地・離島のある地域での医療連携の推進に関する検討、合同輸血療法委員会での検討や現場視察に基づいて、望まれる輸血医療連携体制を検討する。5.血液製剤取扱いに関するマニュアル作成、先行研究や問題事例を踏まえて血液製剤の緊急避難的融通についてのマニュアルを作成していただく予定となっております。事務局からの説明は以上です。
○三谷座長 ありがとうございました。それでは、本日の議題は以上となります。ほかに何か御意見等おありの委員の方はいらっしゃいませんか。よろしいでしょうか。それでは、事務局に議事進行をお戻ししたいと思います。
○源血液対策課長補佐 三谷座長、ありがとうございました。次回の適正使用調査会の日程は、別途、御連絡させていただきます。これにて、血液事業部会令和6年度第1回適正使用調査会を終了いたします。ありがとうございました。
(了)