2024年7月29日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第37回) 議事録
日時
令和6年7月29日(月)14:50~16:20
場所
中央労働委員会 労働委員会会館 講堂(7階)
出席者
真野主査、五十嵐構成員、石井構成員、河村構成員、名里構成員、成川構成員、三田構成員、渡邊構成員
議事
- 議事内容
- ○事務局
定刻になりましたので、ただいまから「第37回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WG」を開催いたします。着座にて失礼いたします。本WGの出席状況について御報告いたします。本WGは、真野主査、五十嵐構成員、名里構成員、成川構成員が会場での御参加。石井構成員、河村構成員、三田構成員、渡邊構成員がオンラインでの御参加。鈴木構成員、松原構成員が欠席となっております。なお、石井構成員につきましては、16時めどで退出される予定となっておりますので、あらかじめ御報告いたします。
続きまして、本日の資料について御説明いたします。本日の資料に関しましては、お手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。オンライン参加の構成員の方々におきましては、お手元に事前にお送りしている会議資料を御準備ください。本日の資料は、資料1及び資料2、参考資料が1~6となっております。資料の不足等がございましたら事務局まで御連絡ください。
それでは、真野先生、議事の進行をお願いいたします。
○真野主査
ありがとうございます。今回は、「福祉医療機構」について、「令和5年度業務実績評価」の意見聴取を行うことになっております。最初に、法人から各評価項目における評定の根拠について重点的に説明いただき、その後、評価の内容を中心に構成員の皆様から御意見、御質問を頂きたいと思っております。おおむね1時間30分を予定しております。多少のずれはあると思いますが、円滑な議事の運営に御協力いただきますようお願いいたします。では、早速、議事に入りたいと思います。福祉医療機構の令和5年度業務実績評価について議論していきたいと思います。まず、始めに法人から簡潔に御説明いただき、説明が終わってから質疑応答という流れで進めていきたいと思います。それでは、説明をお願いいたします。
○福祉医療機構企画管理部長
福祉医療機構の林田と申します。よろしくお願いいたします。私からは、令和5年度の業務実績とその自己評価について御説明させていただきます。資料2-1、パワーポイントの資料です。なお、説明に当たりまして、ページ番号については資料の右下に振っております番号で御案内をさせていただきます。
それでは、1ページをお願いいたします。独立行政法人の位置付けと福祉医療機構の事業概要です。上段の体系図のとおり、関連する社会福祉法や医療法などの各法律の目的に則しまして、国や地方公共団体により、地域共生社会や地域医療構想などの各種政策プランが策定される中、独立行政法人は国の行政活動の実施機関として位置付けられております。
それらを踏まえ、下段の事業体系図のとおり、私ども福祉医療機構におきましては、福祉医療貸付や退職手当共済をはじめとする全11事業を一体的に実施することにより、主務官庁である厚生労働省並びにこども家庭庁の政策実現に向けて取り組んでおります。これらの活動のアウトカムは、独法通則法に定められている独立行政法人の使命である国民生活の安定と社会経済の健全な発展への貢献という形で表わされることとなっています。なお、現在、第5期中期目標期間に入り、令和5年度はその初年度の業務実績となります。
2ページをお願いいたします。令和5年度業務実績の自己評価については、資料のとおり、1-1福祉医療貸付、1-2福祉医療経営指導、1-6WAM NETの3事業をA評価、そのほかについてはB評価といたしました。前年度と異なっておりますのは、1-4退職手当共済事業です。令和4年度はこちらをA評価としておりましたが、第5期からの中期目標の見直しに伴い、定量的指標の平均達成度が120%に満たなかったことから、定性的な取組を踏まえ総合的に判断の上、自己評価をBに引き下げております。なお、個別事業以外の、下段にある2業務運営の効率化、3財務内容の改善、4その他の業務運営の共通事項の項目については、通則法上の項目単位でまとめることとしまして、第5期より集約を行ったところです。その結果、評価項目については、これまで全体16項目であったものが12項目となっております。
それでは、個別の業務実績並びに評定の根拠について、事業ごとの説明資料により御説明いたします。3ページをお願いいたします。福祉医療貸付事業です。本事業は、民間の福祉医療施設の整備に必要な資金を、政策融資の役割を踏まえ「長期・固定・低利」で融資をしております。政策優先度に即して、介護サービス基盤整備、待機児童解消、地域医療構想に基づく施設整備などへの融資に加え、新型コロナ感染症拡大を契機に、感染症対策を伴う施設整備への対応、また災害復旧への融資など、様々なニーズに応じる融資メニューを提供して、地域における福祉医療施設の基盤整備を支援しております。
資料の右側のグラフを御覧ください。令和5年度末残高を福祉医療別に載せておりますが、合計では約6万3,000件、5兆2,500億円の残高となっております。このうち、コロナ融資分については、件数で約7割、金額で約4割を占めている状況となっています。
4ページをお願いいたします。福祉医療貸付事業に係る中期目標の内容です。当事業は定量目標として4つの指標が設定されています。まず1つ目は、福祉医療関係団体等との意見交換会の実施です。第4期までは制度の周知・広報を目標としておりましたが、それに替えまして、関係団体との連携強化を図る目標に変更されております。2つ目は、民間金融機関との意見交換会の実施に係る目標です。こちらも第4期までは協調融資機関数の拡大を目標としておりましたが、機関数の拡大については一定の成果を得られたことから、協調融資を更に推進するために目標が見直されたものです。3つ目は、福祉医療事業者のマネジメント技術の向上に資する取組に係る目標として、施設経営に係るアドバイスの実施が新たに設定されました。4つ目は、債権悪化未然防止のためのフォローアップです。この目標については前期から継続した設定となっています。それぞれの達成状況については、中段に記載のとおり、全ての目標項目において120%を超えて達成できました。
5ページをお願いいたします。評定の根拠です。まず1段目、政策融資の取組として、国の福祉医療政策と連携して、医療・介護の総合的な確保を推進する整備や新子育て安心プランをはじめとする各種プラン等に基づく政策優先度に即した効果的かつ効率的な政策融資を実施しました。また、災害対応におきましては、今年1月に発生した能登半島地震に際して、災害復旧融資による優遇融資を迅速に開始するとともに、現地調査や相談会により被災状況及びニーズの的確な把握に努めました。
更にコロナ対応と今後の感染症流行への備えとして、新型コロナウイルス対応支援資金融資を令和5年9月まで実施し、累計実績では約4万5,000件、2兆900億円の融資を実行いたしました。また、今後の対応として、今回のコロナ感染拡大を機に、感染症対策を伴う整備事業について優遇融資を実施するとともに、コロナ資金の残高を有する施設が、施策に基づく老朽整備や耐震化整備、また報酬改定等による機能変更など、必要性の高い整備がコロナ融資を理由に滞ることのないよう、本来必要な施設整備が推進できるようにするための優遇融資を新たに創設いたしました。
2段目です。民間金融機関等への情報提供に係る取組として、民間金融機関による福祉医療施設の金融支援が円滑に行われるよう、勉強会の開催や機構が保有するデータ提供を行いました。また、福祉医療関係団体との意見交換会においては、近年の社会情勢や経営環境等を踏まえた融資制度への意見や要望を聴取し、融資メニューの見直しや創設につなげております。さらに、地方公共団体の施設整備担当部署に対して、足元の施設経営の動向や審査のポイントなどの情報提供を行い、行政サイドからの福祉医療施設への支援体制作りを後押ししております。このように福祉医療を取り巻く周辺の関係機関全体での支援体制を構築するために、機構はそれぞれとの連携強化に努めております。
3段目です。適切な期中管理の取組です。新型コロナの影響を受けた既往貸付先への対応として、当初の6か月の返済猶予に加え、6か月経過後は個々の経営状況を勘案して猶予の延長に対応することと併せ、貸出条件緩和等の返済相談の早期開始に取り組んでおります。また、コロナ資金を含む債権悪化の未然防止として、事業報告書や決算書による全ての貸付先のモニタリングに加え、リスク特性を踏まえたフォローアップ管理を徹底し、信用リスクの悪化を最小限に抑えるよう努めております。リスク管理債権化の恐れが高い先へのフォローアップ調査の拡大を行うなど、効率的なフォローアップを実施しております。
また、③のコロナ融資により急増した貸付債権への対応として、債権管理回収業務の一部をサービサーに業務委託するなど、アウトソーシングの有効な活用や業務の効率化により、債権管理態勢の強化を図っております。来年7月にピークを迎えるコロナ融資の元金償還開始を見据えて、将来のリスクを予見しつつ、膨大な債権量に対応し得る態勢の強化・整備に取り組んでおります。
以上のとおり、定量指標の達成に加え、コロナ融資後を見据えた対応など質的な充実にも取り組んだことと併せ、令和5年度における福祉医療貸付事業の自己評定はA評定といたしました。
6ページをお願いいたします。こちらは定量指標の参考資料です。説明しますのは資料の右側、4のコロナ対応とアフターコロナに向けた適切な期中管理の項です。(1)の①、コロナ融資については、令和5年9月まで実施しまして、3年半で最終的に4万5,221件、2兆931億円を貸付実行いたしました。また②、コロナの影響により減収した既往の貸付先に対して正常化に向けた支援に取り組んでいますが、リスク管理債権の貸出条件緩和債権については、コロナ融資の元金償還はいまだ本格化していないものの、コロナ禍以降、グラフでお示ししたとおり増加傾向です。ただし、令和5年度においては、金融支援や改善支援策を講じたことにより返済再開に至ったケースが見られております。条件緩和債権については対前年度比、全体で525億円、コロナ猶予の要因分で451億円減少しており、リスク管理債権比率は前年度比4.81%から0.39ポイント低下し4.42%となっております。
7ページをお願いいたします。こちらは、コロナ融資で増加した貸付先への対応として、債権管理態勢強化の取組に係る参考資料として取りまとめたものです。第5期中期目標策定時の総務省独法評価制度委員会において、コロナ融資による貸付債権の増加に伴う機構の債権管理態勢の強化が留意事項とされたこと、また、こちらの会議の場におきましても、今後の対応方針や態勢整備などについて御議論や意見を頂きました。来年度の令和7年度にコロナ融資の元金償還開始がピークを迎えることから、現在までの貸付債権の急増への対応方針や態勢強化の取組の状況について、今回、御報告させていただきます。
まず、ページ上段です。令和5年度における具体的な取組として、コロナ融資で増加した貸付債権の適切な期中管理を実施するため、先ほども説明いたしましたが、サービサーを活用することとし、量に対応できる態勢を構築したことが挙げられます。サービサーの活用に当たりましては、福祉医療基盤の維持・存続を前提として、機構の十分な管理のもとで効果的・効率的な債権管理を推進できるよう運用ルールを策定いたしました。この結果、上段右側にありますが、アウトソーシングの有効な活用により、機構は重要性の高い債権管理回収のコア業務に重点化できるように備えております。
資料の下半分がコロナ資金の債権管理回収の流れを図示したものです。特にサービサーに委託する業務と機構の役割を明確にするため、サービサーへの委託範囲は二重線で囲ってお示ししています。まず、資料の一番左、債権悪化の未然防止の取組として、貸付実行後は、前年度の事業報告書の収集・分析、イエローランクの付与からフォローアップ調査まで、貸付先全件のモニタリングを徹底しております。
次に約定償還が始まり延滞が発生した場合、図では赤の矢印で下におりていただきますが、初期延滞対応としてサービサーに支払確認業務を委託し、短期間で処理できるシステムやノウハウを活用して、限られた時間で一定量の業務に対応できる態勢を整えました。支払確認により延滞解消した先は、青の矢印で上段の約定償還に戻ることとなります。解消されていない延滞継続先については、赤の矢印で右上に移っていただき、延滞管理・回収業務に移行いたします。ここでは、既に事業廃止しているケースにおいては、サービサーによる実態調査等を行った後、法的措置を講じることとなりますが、交渉が可能な先については、サービサーによる訪問交渉を終え、また赤の矢印で下段に下りていただき、貸付先支援に移行いたします。ここで再建計画の精査や助言、行政や金融機関との連携などの経営改善支援や金融支援として貸出条件緩和措置を講じた上で、正常化に向けた経営再建を進めることとしております。なお、その際の機構とサービサーの分担については、機構は行政との調整が必要な複雑な事案や地域の福祉医療基盤への影響が大きい事案を担当することとし、サービサーはそれ以外の機構の管理下で定型的な対応が可能な事案に対応することと役割を明確にしております。
サービサーへの業務委託におきましては、中期目標で示されている、地域における福祉医療基盤の維持及び存続を最優先に貸付債権の適切な期中管理を行うこととされていることを踏まえ、機構が主体性を持って十分な委託先管理の下で行う必要があることから、資料の下段右側に記載のとおり、手続の承認プロセス等のマニュアル化による明確化、また、定期的なモニタリングの実施などによる品質管理の徹底など、基本方針に基づいて実施することとしています。
以上のとおり、サービサーの活用により機構は優先度の高い再建支援に注力することができ、急増した債権数の対応と効率的な債権管理の実施に備えております。以上が福祉医療貸付事業となります。
8ページをお願いいたします。福祉医療経営指導事業です。概要図のとおり、本事業はリサーチ、セミナー、コンサルティングの3つの業務を用い、全国の福祉医療施設の経営の安定化・効率化を支援しております。具体的には、貸付先から毎年御提出いただく事業報告書に基づき施設の経営状況を分析の上、その分析結果をリサーチレポートやセミナーという形で広く全国の福祉医療施設の経営者に向けて情報発信をしております。さらに、個々の経営課題等に対し、個別のコンサルティングプログラムにより、施設経営の安定化を支援しています。
9ページをお願いいたします。中期目標の内容です。中期目標の1つ目として、セミナーの内容の充実度を測る指標として、セミナーのテーマ数を新たに設定しております。第4期まではセミナーの受講者数を目標としておりましたが、コロナを契機にオンラインセミナーが主流となり、集合形式での受講者が見込めないことから、第5期より見直しが行われました。そのほか、リサーチレポートのマスコミへの引用回数と個別経営診断件数の第4期から継続する指標と合わせ、3つの指標が設定されています。指標の達成状況については、中段に記載のとおり、こちらも全ての目標において120%を超える達成度となっております。
10ページをお願いいたします。評定の根拠です。まず1段目、セミナーの内容の充実に係る取組です。ニーズに沿ったセミナーテーマの設定ということで、令和5年度は災害・感染症発生時のBCP、医療DXや介護ICTの対応、また外国人の介護人材など、時宜を得たテーマによりオンラインを中心にセミナーを開催した結果、ログイン受講者は約1万1,500人、利用者アンケートでも97%を超える有用度を得るなど、非常に高い評価を頂いております。
2つ目、独自の取組による安定的かつ効率的な経営支援の取組です。リサーチレポートや外部研修会への講師派遣など、多様な方法により機構独自のノウハウや知見を提供することにより、福祉医療施設の経営を支援するとともに、近年の社会情勢を踏まえ、原油価格や物価高騰などの影響を調査・分析した上で、リサーチレポートで公表するなど多様な方法で積極的な情報発信に努めました。さらに、社会福祉法人のガバナンスや財務規律の強化に向けて行政の役割が大きくなっていることから、地方公共団体の社会福祉法人の監査担当者を対象としたセミナーを、3つの自治体で開催いたしました。
3段目です。国や地方公共団体等の業務受託を通じ、福祉医療基盤の安定化や効率化を支援いたしました。令和5年度は前年度から継続している厚生労働省医政局からの受託分を含め4自治体から業務を受託し、これまでの業務で得たデータやノウハウを活用し報告・提案を行っています。
以上のとおり、定量指標の達成に加え、福祉医療施設の経営支援に資するよう関係する機関・団体へのノウハウ等の提供を行ったほか、行政担当者向けセミナーを実施するなど、質的な充実に向けても取り組んでいることから、自己評定は昨年度に引き続きA評価といたしました。
少し飛んでいただき、18ページをお願いいたします。こちらは福祉保健医療情報サービス事業です。本事業では、福祉・保健・医療に関する制度や施策等を一元的かつ正確に情報提供する総合情報サイトを運営しております。国が進めるデジタル・ガバメント計画を踏まえ、情報セキュリティ対策をしっかりと講じた基盤により事業を行っております。ページ右側、事業の特徴ですが、②を御覧ください。近年、独立行政法人としての信用力を活かし、「社会福祉法人の財務諸表等電子開示システム」をはじめとする国の施策に基づく公表制度に係る4つのシステムを、WAM NETの基盤上で管理・運営しております。さらにこれらに加え、厚生労働省医政局からの要請を受け、医療法人経営情報データベースの開発も行っており、令和6年度から運用を開始いたしました。
19ページをお願いいたします。中期目標の内容については、第4期から継続している提供情報の整備充実や機能見直しへの取組と年間ヒット件数の2項目に加え、第5期から新たに、提供情報の質や利用者の利便性の向上を図るため、コンテンツの利用者満足度が設定されています。
その達成状況については中段です。まず、提供情報の整備充実及び機能見直しについては、情報の質の向上を図るため、新たなコンテンツを立ち上げるとともに、既存のコンテンツについては利便性の向上を図るため不断に見直しを行い、毎年度目標8件以上のところ実績10件で、達成度は125%となっています。また、年間ヒット件数は、提供情報の質及び利便性の向上に継続的に取り組んだことに加え、国の施策に基づく情報公表システムを安定的に運用していることなどから、年度目標値を大きく上回る約3億700万件のヒットとなっており、達成度は146%と、情報を必要とされる多くの方々に御利用いただいております。3つ目の新たな目標であるコンテンツの利用者満足度は80%以上の目標のところ、実績は88.6%と110%の達成度となっています。
以上のとおり、3項目の目標のうち、コンテンツの利用者満足度は120%には届きませんでしたが、目標全体平均においては120%を超える達成度を上げることができました。
20ページをお願いいたします。評定の根拠です。まず1つ目、提供情報の質及び利便性の向上に向けて、令和5年度は政策動向や利用者の要望を踏まえ、厚生労働省医政局と連携して「医療法人経営情報データベースに基づく経営分析結果」の公表コンテンツの開発を行いました。また、国民健康保険中央会及び厚生労働省老健局と連携した「ケアプランデータ連携システム利用状況」コンテンツの開発なども行っており、新たに5つのコンテンツを立ち上げたほか、利用者の利便性の向上を図るために、利用者目線での既存コンテンツの機能改善を行った結果、利用された方からのアンケート調査では97%を超える満足度を頂くなど、非常に高い評価を頂きました。
2段目が、国の施策に基づく情報システムの運用・管理です。現在、社会福祉法人財務諸表等電子開示システムをはじめ、記載の4システムについて安定的な運用と効率的な管理を行っております。また、(1)の枠内に赤字で記載していますが、社会福祉連携推進法人の財務諸表等電子開示にも対応できるよう、令和5年度から運用を開始しております。
さらに、4つのシステムの下に記載をしていますが、医療法人経営情報データベースについて、厚生労働省医政局からの要請を受け連携して開発を進めており、令和6年度運用開始に向けて、準備を進めてきたところです。なお、システムの本格運用に先行しまして、医療法人決算の経営情報について、先ほど新規コンテンツで御説明しました「医療法人経営情報データベースに基づく経営分析結果を公表するためのコンテンツ」を整備し、令和5年度末に公表を行いました。国のシステムについて安定的かつ適切な運用管理を行い、全ての利用者が信頼性の高い正確な情報を安心して一元的に入手できる環境を整えております。
以上のとおり、定量指標の達成に加え、質的な充実に向けた取組により、WAM NET事業については前年度に引き続き自己評定をA評価としております。
21ページをお願いいたします。WAM NET事業の参考資料です。ページの左側を御覧ください。まず、提供する情報の質の向上を図るため、5つの新規コンテンツを立ち上げるとともに、利用者の利便性の向上を図るための既存コンテンツの機能見直しと併せ、計10件の取組を行いました。そのうち、新規コンテンツの中で主なものを2点こちらで御紹介させていただきます。まず上段、医療法人経営情報データベースの分析結果公表サイトのコンテンツです。医療法人経営情報データベースについては、令和6年度の運用開始に向けて開発を進めてまいりましたが、データベースを活用した分析結果を公表するためのコンテンツについても要請がありましたので、WAM NET上に新規コンテンツを設けるとともに、政府の掲げる新経済・財政再生計画の改革工程表に基づき、データベースの本格運用に先行する形で分析結果の公表をいたしました。
もう1つは下段になります。ケアプランデータ連携システム利用状況の閲覧コンテンツです。国民健康保険中央会が居宅介護支援事業所等でのケアプラン作成に係る事務負担軽減を図るために構築・運営しているケアプランデータ連携システムについて、当システムの更なる普及・利用の促進を図るため、国保中央会並びに厚生労働省老健局と連携し、システムを利用している事業所が、地図上やリストで確認できるコンテンツをWAM NET上に新たに開設し、令和5年度より運用を開始しております。
以上が福祉保健医療情報サービス事業です。自己評定をA評価としましたのは以上です。
その他の事業並びに共通事項については、中期目標に定められた目標を着実に実施しておりますので、前年度同様、B評定といたしました。今回、個別の説明は省略させていただきますが、1点だけ、共通事項のうち経費の削減について定量指標が設定されておりますので、その実績について説明させていただきます。
25ページをお願いいたします。業務運営の効率化に関する事項のうち、3つ目、経費の節減については、運営費交付金を充当する業務の一般管理費を令和4年度比で15%程度、また業務経費を5%程度削減する目標が設定されています。各年度において年度換算では一般管理費で3%、業務経費で1%ずつ削減する計画となっております。その達成状況は、中段に記載のとおり、一般管理費は年度目標6,400万円のところ、同額で達成度は100%。業務経費については年度目標2億6,700万円のところ2億6,600万円で達成度100.4%と、いずれもぎりぎりではありますが、年度目標を達成しましたのでB評価としております。
第5期における経費削減の取組につきましては、国の施策に基づくシステムの受託など、新たな業務が増加する中で、業務の質を確保しつつ削減目標を達成することは非常に厳しい状況にはありますが、前期からの取組を継続するとともに、令和5年度においては不断に経費削減に取り組み、業務の質の確保に留意して効率的な執行に努めたことにより、一般管理費、業務経費ともに年度目標値を何とか達成することができたところです。
以上が福祉医療機構の令和5年度業務実績と自己評価でございます。よろしくお願いいたします。
○真野主査
ありがとうございました。それでは、構成員の皆様、何か御質問等いかがでしょうか。河村先生、お願いします。
○河村構成員
御説明くださり、ありがとうございます。例年のことですが、福祉医療貸付だけではなくて、WAM NETの所なども新しいお仕事も入ってきたわけですよね。今までの分もありますし、大変多岐にわたる分野について、国民の生活の安定や医療とか福祉を安心して受けられるような環境の整備に大変な貢献をされており、敬意を表したいと思います。
私からは、大きく2分野で御質問をさせていただきます。まず、福祉医療貸付の所なのですが、今年はこういうことでいろいろと目標も達成されていますし、別に評定などに特に異存はないのですが、焦点は今日細かく御説明くださった6、7ページの辺りですよね。来年からコロナ貸付の元金の返済が始まるということで、いよいよこれだけボリュームを大きく増やして貸し付けなされたものの元金返済が始まるということで、そこにどうやって対応していくのかが、非常に大きな焦点になってくるのではないかと思います。
先ほど御説明いただきましたが、リスク管理債権比率も少し下がって4.42%とおっしゃいましたか。やはり、それなりの水準があると思いますので、決して手を緩めることがなくというか、気を緩めることなく、きちんとやっていただきたいと思っております。特に、ここはいろいろと御質問をしながら意見を言わせていただきたいのですが、焦点は7ページのアフターコロナに向けた対応の所で、これだけボリュームが増えた所にどうやって対応していくのか。サービサーなども使いながらやっていくということで、それは理解できますし、よろしいと思いますが、いろいろと問題もあるという感じがしており、少しお尋ねさせていただきます。
WAMさんが実際に関わる所というのは、非常に重たい所や、なかなかサービサーに任せ切れない所に集中してやるということで、サービサーを使うことはいいのですが、そういう方向で、ほかになかなかやりようもないですし、それでよろしいとは思うのですが、サービサー対応にするかWAM対応にするかの分け方をどうするのかということで、7ページの真ん中の下に書いていただいておりますが、行政との調整が必要な複雑な事案とか地域の福祉医療基盤への影響が大きい施設等は、WAMさんが御自分で自ら対応なさると。サービサー対応というのは、定型的な対応ができるような事案であれば、サービサーに頼むと。そこに、「入所系事業以外」とあるのですが、これはどういうことですか。というか、そんなに簡単にこの通所・訪問事業等をポンとサービサーに任せてしまっていいのかというか、今はこういった所は倒産してしまうような事業者が増えている。この前の介護報酬の改定は、やはりいろいろと問題があったのではないかと私も思っておりますし、そういう報道もたくさん出ています。ここを、どうして入所系事業以外だとサービサー対応で済ませてしまうのか、そこを最初にお尋ねできますか。
○福祉医療機構企画管理部長
福祉医療機構です。基本的には、今回サービサーへ業務を委託するに当たり、機構とサービサーの間で一定の業務の区分、分担を明確にする必要があるであろうということがあり、7ページに記載のとおり、大まかな括りで機構としては行政との調整が必要なものであるとか、地域の福祉医療基盤への影響が大きい施設の中に病院や入所系の施設が含まれると考えています。それに対し、サービサーへの委託は、それ以外のものということになりますので、通所や訪問事業等を区分けしたということです。ただし、個々の案件について内容を精査した上で行っていくこととしておりますので、一概にこの基準だけをもって分けていくということは考えておりません。
○河村構成員
分かりました。是非とも、よろしくお願いいたします。ここからは、意見として言わせていただきます。ここの部分ですが、これからどうやっていくのか。これだけボリュームの多い案件を抱えていて、本当に大変だと思うのです。しかも、元金返済が始まってどれぐらい回っていくのかということで、正念場ですよね。ここで一番大事なのは、きちんと返済が正常になされていくかどうか、それから条件変更に応じるのかどうかとか、本当に微妙ないろいろな判断があると思うのですが、いろいろな意味での歪みや問題が全部この政策金融の所に来てしまうようなことにならないように、やはりきちんと、金融というものは何でもかんでもお金を貸して、そのまま貸しっ放しにすればいいということでは決してありません。非常に大事な機能を担っていらっしゃると思いますので、そこはくれぐれも心してやっていただければと思います。
今、御質問させていただいた通所や訪問事業などで、経営が厳しい所が結構出てきているという話もありますが、そういう所が返済し切れなくなったときにどうするのかということで、ある意味問題を覆い隠すための負担がWAMさんのほうに来る、国のほうに、こういう政策金融を甘くするという形で、国に来てしまうのも正直言っておかしい話だと思いますし、やはり本省にも介護報酬の所をお考えいただいたほうがいいところは私もあるのではないかと思っています。そういう所に歪みがいかないように、政策金融として粛々ときちんとした対応をやっていただきたい。
それを可能にするためにも、例えば来年のこの会議でどういう状況になっているかを詳細に御説明いただきたいのです。透明性が極めて大事だと思います。来年のこの会議のときに、7月から返済が始まってまだ半年ちょっとですので、件数が集計中で分かりませんということでは、正直言って困ります。どれぐらい、きちんとお返しになられる所があるのか、できていない所がどれぐらいあって、どういう状況になっているのか、それはWAMさんが自ら手掛けていらっしゃるかサービサーに委託しているかどうかを問わず、きちんと詳細情報開示をして報告をするような形で、国民に対する情報開示、透明性を徹底していただきたい。以上が、この分野に対する私の意見です。
続けて、WAM NETの所で御質問させていただきます。もともとWAM NETさんの福祉医療情報は本当に充実していて、国内でもいろいろな方面から評価が高いですし、敬意を表したいと思います。子育てなどのポータルな所もやっていらっしゃいますし、とてもよいと思います。焦点は、今度は20ページで説明いただいた医療法人経営情報データベースシステム、やはりWAMさんにきましたねというか、厚労省としてもお願いするならWAMさんだったのだろうと思いますし、国内のほかの分野からも、やはりWAMさんにお願いするのがというように考えていた所が結構あると思うのです。ここなのですが、いろいろ新しい追加的な負担がかかって本当に大変だと思うのですが、この分野はきちんとした社会保障、医療分野の改革を進めていく上でも、医療法人の経営情報がきちんと国民に分かるように開示されることは大変重要なことだと思っております。ですから、是非WAMさんにしっかりとお願いしたいと思っています。
これは質問なのですが、WAMさんで新設された専用サイトもチラッと拝見はしてみたのですが、これは都道府県別などでまとめていらっしゃいますが、集約したのも医療法人の合計というと、診療所と病院を全部一緒にしてしまったら、正直いって何が分かるのかと。そういった所をきちんと分けて数字を出していただかないといけないのではないかと思いますが、その辺りはどのような考え方でやっていらっしゃるのか。WAMさんの考えで公表していらっしゃるのか、これは本省の考えか医政局の考えがあって公表していらっしゃるのかもしれませんが、どのような考え方でやっていらっしゃるのか。それから、個々の医療法人の経営情報というのは私たちも見ることができるようになるのか、その辺りも含めて御説明いただければと思います。
○福祉医療機構企画管理部長
福祉医療機構です。福祉医療機構の立場からお答えいたします。医療法人経営情報データベースについて、今、河村先生から御指摘のあった公表内容ですが、今回は先ほど説明の中でも申しましたとおり、令和5年度末までに改革工程表に基づいて公表される事項が決められておりましたので、その改革工程表に従って、医療法人の法人単位でのグルーピング分析をして、公表したということです。今、御指摘のありました病院や診療所、施設別の収益、費用等につきましては、今後本格稼働した後に公表をしていくこととして私どもも承っておりますので、その準備を進めているところです。
○河村構成員
はい、分かりました。では、是非しっかりとよろしくお願いいたします。国民としても大変期待しているところだと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。私からは以上です。
○真野主査
追加でありますか。
○福祉医療機構理事
補足だけさせていただきます。担当理事の榎本と申します。今の河村委員の御指摘ですが、今回3月に情報公表させていただいたのは、まず第1段階ということで、法人の決算ベースでの情報ということで公開をさせていただいたものです。おっしゃるように、診療所、病院単位でどうなのかというところも当然関心があるわけですが、それは次の経営情報を公表する中で具体的に整理をしてお示しをしていきたいと考えておりますので、引き続きウォッチを頂ければ有り難いと思っております。よろしくお願いいたします。
○河村構成員
よろしくお願いします。
○真野主査
河村先生、よろしいですか。
○河村構成員
はい。ありがとうございました。
○真野主査
ありがとうございました。ほかの構成員の方、いかがでしょうか。ちょっと私から念のための確認ですが、去年は退職手当の所がAで、今年はBということですよね。これはB評価でしたが説明がなかったと思うのです。これはどういうことでしょうか。
○福祉医療機構企画管理部長
申し訳ございません。退職手当共済事業につきましては、資料の15ページをお願いいたします。退職手当共済事業の中期目標の内容となっております。本事業の目標については3項目設定されています。退職金の給付までの平均処理期間短縮と退職届作成システムの利用促進につきましては、前期からの継続となっています。3つ目の退職共済制度を広く周知するための広報先数の拡大が第5期から新たに設定されたところです。
それぞれの達成率を見ていただきますと、まず処理期間については42日のところを40.7日で、達成度は103%になっております。2つ目の退職届作成システムについては、毎年度45%以上のところが実績では57.4%ということで、達成度は120%を超える127%となりました。新たに設定された制度の周知広報について、こちらは新規広報先を毎年度20件とするところを21件ということで、達成度でいいますと105%となっております。この3項目について平均すると、111%となり、結果として、目標全体で120%の基準を超えておりませんので、事業の評価としては昨年度のAから今年はBに引下げたところです。
○真野主査
ありがとうございました。それは、もちろんそうなのですが、そうなった理由はありますか。
○福祉医療機構企画管理部長
この事業については、今回、退職手当共済制度の周知広報が目標として新たに追加されており、全体的な平均値を引き下げる要因としては、この新たな目標項目の追加と、もう1つはシステムの利用割合の達成度が今回は127%となったことがあげられます。システム利用率の目標値が、第4期の実績を踏まえて第5期から引き上げられ、達成度が前年度ほど高くクリアできなかったということで、平均値自体を押し下げる形になっておりますので、全体平均値が下がったことを踏まえて自己評定をBに引き下げているところです。
○真野主査
分かりました。では、何かあったというよりも、よく議論されている目標値の設定がどうなのだという、そこが少し上がったということも大きいということですね。
○福祉医療機構企画管理部長
そうですね、何かが大きく達成できなかったというよりは、第5期からの目標見直しがあった関係で、その新しい目標の達成基準と比較すると、従来ほどの達成度をクリアできなかったということです。
○真野主査
はい、ありがとうございました。それから、もう1つ、参考として経営の調査が利用されたというところですが、9ページの特にイでしょうか。分析や調査結果が論文等に引用されたということですが、これはもちろんすばらしいことですが、ちょうどたまたま1つ前に評価した所で同じような話が出たのですが、これは福祉医療機構がどこかの論文に投稿したのかではなくて、ホームページなどに公表しているデータが論文などに引用されたという理解でいいですか。
○福祉医療機構企画管理部長
今、先生から御質問の件は、福祉医療経営指導のマスコミ引用回数でよろしいですか。
○真野主査
そうです。
○福祉医療機構企画管理部長
私ども福祉医療経営指導事業のリサーチ業務の中で、調査・分析を行ってリサーチレポートを公表し、それをプレスリリースしています。そのプレスリリースを見たマスコミ等から直接取材を受けたり、記事引用について問い合わせがあり、実際に記事として取り上げていただいたものを実績としてカウントをしているところです。
○真野主査
もちろん、機構の目的にも絡む所なのだけれども、調査・分析という表現ですから、研究というか、論文を投稿したりということはしていないということでいいのでしょうか。
○福祉医療機構企画管理部長
論文といいますか、経営指導事業で調査・分析をしたレポートをリサーチレポートと呼んでおりますが、このリサーチレポートのことを調査・分析結果として取り扱っております。
○真野主査
なるほど。ですから、機構がプレスした、あるいはホームページに載せたものに対しての問い合わせということですね。
○福祉医療機構企画管理部長
そうです。
○真野主査
分かりました。ありがとうございます。ほかの方はいかがですか。まだ時間が結構ありますが、どうでしょうか。
○名里構成員
今のお話に関連していると思うのですが、ちょっと自信がないのですが、例えばこの3月に今年度からの報酬改定がいろいろ3つ同時にあったりして、その影響で事業をやめましたという所なども出てきているのですが、もちろん今回の報酬改定の影響は、まだ数箇月なので今は出ていないと思うのですが、そういうことも医療機構さんで分析というか、このことの影響でこういう経営上の問題が出ている所が多いというようなことは、何かまとめられたりされるのでしょうか。
○福祉医療機構企画管理部長
今、名里先生から御質問のありました、今回の報酬改定の影響は、先生の御質問のとおり、まだ改定してから日がたっていませんので、実際にはこれから経営指導事業のリサーチ業務の中で調査をして、リサーチレポートとして情報発信をしていきたいと思っております。
一方で、こういう情勢の影響につきましては、例えばこれまでも経営指導事業の中では、水道光熱費や物価高騰の影響といった社会情勢の変動影響等を動向調査やアンケート調査を行い、分析してリサーチレポートとして発信しているところです。
ですので、今御指摘の報酬改定の影響等につきましては、これから調査の計画をすることになろうかと思います。
○福祉医療機構理事長
理事長の松縄です。補足させていただきますと、今回の報酬改定の影響が出るのは今年度決算になりますので、その集計を待っていると1年半後ぐらいにしか公表できませんので、取りあえず年度途中に現場に対してアンケートを取ろうかと思っています。ただ、正確な数値に基づいたものになるかどうかは分からないのですが、そういった現場の感覚のようなものは適宜出していきたいと思っております。
それから、最初に河村先生からリスク管理債権比率が下がっているというお話がありましたが、確かにそういう説明をさせていただいたのですが、実はリスク管理債権比率が下がっているのは、これまで建築資金で融資していたけれども、コロナで資金繰りが苦しくなったので猶予してほしいというお客様が割と頑張ってくれて、返済を再開してくれたのが一番大きな影響になっております。
一方で、コロナ融資をした所の倒産は徐々に増えつつありますので、まだこの辺りは楽観できるような状況にはないという認識を持っております。以上です。
○真野主査
今ちょうど言っていただいたので、私もちょっと聞こうかと思ったのですが、名里先生のお話もそうですし、医療機関なり介護施設の経営が悪化しているということは、普通に考えるとリスクの割合が上がるということなので、そこがどうかと思ったのですが、今よく分かりました。ありがとうございました。
それから、少し妄想のような話ですが、これも名里先生の御質問にもありましたが、今、医療施設の実態調査などは、そのような医療経営の実態の調査などもやられることはあり得るのでしょうか。
○福祉医療機構理事
担当理事の榎本です。今、主査に御指摘いただいたような大々的な調査という形になると、私どもの対象としている所は基本的に医療法人や社会福祉法人ですから、どうしてもその範疇に限られるという面があります。私どもとしては、当然そういった貸付けを受けられた所の経営状況などをウォッチさせていただきながら、先ほどの経営サポートセンターなどでしっかり分析をしてレポートをするようなことをやっております。そういった中で、特に直近の状況がどうなっているのかということに、多分先生方は関心が高いのだろうと思うのですが、そういった点については、四半期ごとにそれぞれ幾つかサンプルを頂き、DI調査のようなことを行って公表しております。そういったものを見ていただきながら、肌感覚として、このような状況になっているのだということが把握できるように、私どもとしてもお手伝いさせていただいている状況です。
○真野主査
ありがとうございました。成川先生、お願いします。
○成川構成員
成川と申します。御説明ありがとうございました。私も余りベースの知識がない状況でのお尋ねになるのですが、例えばWAM NET事業などで経営分析の結果を公表されているという御説明が21ページにあって、これはとても興味深いというか、貴重な情報なのだろうと思って聞いていたのですが、もともとのデータのソースというか、どういう所から情報を取って、つまり代表性などについて少しベースの御説明を頂けると有り難いと思うのですが、いかがでしょうか。
○福祉医療機構理事
担当理事の榎本です。今の成川委員の御質問ですが、経営分析というのは、私どもがこの前3月に初めて出しました医療経営情報データのことを念頭に置いておられるということでよろしいですか。あのデータについては、各都道府県に医療法人が必ず毎年決算データを報告しなければいけないということになっており、その決算情報を基に分析をしております。
今般、昨年の全世代型社会保障の法律改正により、経営情報も併せて今後取って分析をしていくことが法律上の枠組みとして整いましたので、それに対応できるように今回私どもでシステム整備をさせていただき、まずは、そのデータ自体は現在各法人から県を通じて厚労省に報告を頂いて、それを私どもに頂くような流れになっておりますので、それが出そろうまで若干お時間を頂戴することになりますが、そういったものも頂いた上で、先ほど河村委員からもお尋ねがありましたが、経営情報をしっかりと分析をして、またその公表に努めていきたいと考えております。
○成川構成員
よく分かりました。ありがとうございます。
○真野主査
ありがとうございました。ほかの先生方はよろしいですか。河村先生、追加はありませんか。大丈夫ですか。五十嵐先生も大丈夫ですか。では、大した質問ではないのですが、私からもう1つだけ。10ページに、セミナーをされて受講実績が1万1,513件であったと。これは、当然いいセミナーだったからこういう結果になったと思うのですが、受講実績というのは受講者数という意味ですか。
○福祉医療機構企画管理部長
現在、ほとんどオンラインによるセミナーにしておりますので、ログイン数をカウントし、1万1,513件が令和5年度の実績になります。コロナ前までは集合形式にしておりましたが、コロナ禍を機にオンラインに切り替えています。令和2年以降、オンラインでは1万件を超えるログイン数を維持できており、そのぐらいの御利用を頂いている状況になっています。
○真野主査
そうすると、人数としては、もっと多いかもしれないということですね。ログイン数ですから、1つの施設でたくさんの人が聞いている可能性もありますよね。
○福祉医療機構企画管理部長
はい。
○真野主査
もちろんオンラインとリアルを比較するのが正しいかどうかは分かりませんが、少なくとも件数としては相当増えたということですよね。
○福祉医療機構企画管理部長
集合形式で実施するときよりは、ある程度広がっていっているのかと、感覚として受け止めております。
○真野主査
ありがとうございました。御活躍の一環かと思います。では、質問がなさそうですので、少し早いですが取りあえず議論は一度終わらせていただいて、この後、法人の監事及び理事長から、年度・中期目標期間における目標の達成状況を踏まえ、今後の法人の業務運営についてコメントを頂ければと思います。
最初に法人の監事から、続いて法人の理事長からよろしくお願いいたします。
○福祉医療機構監事
福祉医療機構の監事の砂田です。令和5年度の監事監査結果などの当機構の業務運営の状況等について御説明申し上げます。
まず、令和5年度の監事監査の結果は、お手元の資料の2-4、監査報告に記載のとおりです。こちらは主務省令に定められた記載事項に準拠して、総務省発出の記載例等を参考に作成しております。私ども監事としましては、役員会、経営会議、ガバナンス委員会等、ほかの融資決定の場である審査会、監査など主要な会議や委員会に出席して、監事の立場として意見を述べるということをしております。また、全ての理事長決裁文書の内容確認等を通じて当機構の意思決定過程、非常に多岐にわたる業務執行状況を常に確認をしております。その中でも、特に当機構の業務は法令等に従って適正に実施されているか、中期目標のために効果的・効率的に実施されているか、更には、私ども監事の仕事の重要な部分である業務の適正を確保するための内部統制システムが機能しているかということに着目しまして、会計監査人と内部監査部門と協力して重層的な監査を実施しております。
先ほど申し上げました役員会、経営企画会議、ガバナンス委員会を軸とした適切なガバナンス体制の下、業務運営がなされていると思っております。目標に対する業務の進捗や実績管理を、理事長のリーダーシップ、また、経営陣のマネジメントの下、各部門それぞれが求められる役割を適切な形でしっかり成果に結び付けていると、監事監査等を通じて評価しております。
なお、当機構のお客様である社会福祉法人や医療法人等は、コロナウイルスの影響が引き続き継続して、また、職員の採用難や建築費など、諸物価の高騰などにより総じて厳しい経営環境が続いていると思います。当機構においては、今年度より新しく経営理念と行動指針を策定しまして組織運営の根幹とし、地域の福祉医療基盤の維持存続を最優先のミッションとして、併せて信用リスク管理も注力していると思います。当機構の各部門が連携・協力して、今後、福祉医療を取り巻く環境の更なる変化をいち早く捉えまして、それらの情報の発信などにより、福祉医療事業者を総合的に支援する体制を一層強化していくことが引き続き課題であり、必要であると思っております。
以上、簡単ではございますが、監事としての意見とさせていただきます。
○真野主査
ありがとうございました。理事長、お願いします。
○福祉医療機構理事長
福祉医療機構理事長の松縄です。本日は、令和5年度の業務実績に関しまして、皆様から大変貴重な御意見、御助言を賜りまして誠にありがとうございました。頂きました御意見、御助言に関しましては、今後の福祉医療機構の運営にいかしていきたいと思っております。
さて、私が福祉医療機構の理事長に就任してから1年が経過しました。その間、福祉医療機構の全役職員が力を合わせて真剣に業務に取り組んできた結果、本日御報告させていただいたような一定の成果を報告できたことに大変安堵しております。
一方で、就任2年目である今年度は、来年度、すなわち令和7年度に向けての準備の年と考えております。準備を進めている一番大きなイベントは、先ほどからいろいろお話もありましたが、令和2年から実施したコロナ融資の大量償還に向けた対応です。コロナ融資の大部分は、元本返済の据置期間が5年に設定されています。融資実行が最も多かった令和2年度貸付けの元金償還の開始は、令和7年度に一斉に迎えることとなります。本日の説明にもあったように、貸付先等の増加に対して効果的・効率的な債権管理を行い、より重要性の高い業務に注力する観点から、サービサーへの外部委託を活用するなど、債権管理に係る各種の準備をこれまで着実に進めてきました。今回の診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬のトリプル改定については、おおむねプラス改定となりましたが、福祉医療現場の置かれている経営環境は厳しい状況が継続していると考えています。引き続き現場に寄り添いながら、返済に苦慮している法人等に対して丁寧な対応を行っていきたいと考えております。
2つ目は、国が進める医療・福祉分野の見える化への対応です。昨年度から医療法人経営情報データベースを構築し、現在はデータの蓄積を行っております。そして、今年度中には集計結果を公表する予定としております。また、子どもや障害分野の見える化対応も現在進めておりまして、児童や障害福祉施設の経営状況を具体的な数値として把握できるよう、来年度からのデータ収集に向けて現在システム開発を進めています。これらの領域は、国の政策の効果測定や今後の展開のため、非常に重要な役割を果たしていくものと考えており、しっかりと準備を進めてまいります。
3つ目は、退職手当共済システムのリニューアルです。共済契約者である法人や退職者個人の利便性の向上や事務の効率化等を目指し、来年1月のカットオーバーに向けて準備を進めてまいります。以上、3つの準備を進めていますが、もちろんその他の業務も非常に不可欠な大切な業務です。しっかりと今後進めていきたいと考えております。
最後になりますが、今年度はトリプル改定が実施され、処遇改善に一定の効果が見込まれますが、依然として物価高騰や人材確保難など、福祉医療事業者をめぐる経営環境は厳しい状況が続いています。我々福祉医療機構としては、単に融資だけにとどまらず、的確な現状分析や有益な情報提供など、福祉医療の現場を総合的に支援する活動を継続していきます。引き続き、有識者会議の構成員の皆様方の御指導を賜り、国や福祉医療に関わる事業者、利用者の力になれるよう、我々も全力を尽くしてまいります。本日は、ありがとうございました。私からは以上です。
○真野主査
ありがとうございました。それでは、今の大きく2点ですが、何か御質問や確認、いかがでしょうか。時間は、何度も言いますように多少ありますが、よろしいですか。授業と違って、私が当てる性質のものではないものですから。少し早いですけれども、これで終わらせていただきたいと思います。
それでは、事務連絡を事務局からお願いいたします。
○事務局
今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただきました福祉医療機構の「令和5年度業務実績評価」につきましては、この後、本WGにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえまして、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに、公表します。決定したそれぞれの内容につきましては、後日構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上となります。
○真野主査
ありがとうございました。それでは、今日のWGはこれで終了とさせていただきます。長時間にわたりいろいろ御議論いただいて、ありがとうございました。それでは、また、よろしくお願いいたします。