2024年7月29日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第36回) 議事録
日時
令和6年7月29日(月)13:00~14:30
場所
中央労働委員会 労働委員会会館 講堂
出席者
真野主査、五十嵐構成員、石井構成員、河村構成員、名里構成員、成川構成員、三田構成員、渡邊構成員
議事
- 議事内容
- ○事務局
ただいまから「第36回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WG」を開催いたします。事務局の政策立案・評価担当参事官室の富田です。よろしくお願いいたします。申し訳ないのですが、着座にて説明させていただきます。
構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、また、お暑い中、お集まりいただきありがとうございます。今回の会議は、対面参加の方とオンライン参加の方を組み合わせたハイブリッド形式となっております。オンライン参加の構成員の皆様への御連絡となりますが、会議中は、御自身が発言される場合以外はマイクをオフにして、音声をミュートの状態にしていただくようお願いいたします。また、質疑応答などの際に御発言の希望がある場合には、Webexの「挙手」アイコンをクリックいただくか、チャット機能を使って発言の希望がある旨を事務局に御連絡ください。事務局にて御発言の希望を確認した後、発言者を主査が指名しますので、主査から指名を受けましたらミュートを解除して御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたら、再度マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。
本WGの各構成員の紹介については、会議資料の配布をもって省略させていただきますが、令和6年度から就任される構成員について御紹介させていただきます。太田構成員の後任として就任された成川衛構成員。田宮構成員の後任として就任された渡邊多永子構成員は本日Web参加となっております。成川構成員及び渡邊構成員から一言ずつ御挨拶をお願いしたいと思います。成川構成員からお願いいたします。
○成川構成員
今回から参加をさせていただきます北里大学薬学部の成川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局
渡邊構成員、お願いいたします。
○渡邊構成員
同じく、今回から参加させていただきます筑波大学医学医療系の渡邊と申します。何とぞよろしくお願いいたします。
○事務局
ありがとうございます。本WGの出席状況について御報告いたします。本WGは、真野主査、五十嵐構成員、名里構成員、成川構成員が会場での御参加。石井構成員、河村構成員、三田構成員、渡邊構成員がオンラインでの御参加。鈴木構成員、松原構成員が欠席となっております。本年度の最初のWG開催に当たり、参事官三村より挨拶申し上げます。
○参事官(調査分析・評価担当)
本日は御多忙の中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。御案内のとおり、本WGは、各法人の業務の特性に応じた実効性のある評価を行うために有識者の知見を活用することを目的として行うものです。幅広い観点から御議論、御助言を頂きたいと考えておりますので、忌憚のない御意見を賜りますよう何とぞよろしくお願いいたします。
○事務局
続いて、本日の資料について御説明いたします。本日の資料に関してはお手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。オンライン参加の構成員の方々においては、お手元に事前にお送りしている会議資料を御準備ください。本日の資料は資料1及び資料2、参考資料1~6となっております。資料の不足等がございましたら、事務局宛てに御連絡ください。
それでは、真野先生に議事の進行をお願いしたいと思います。
○真野主査
ありがとうございます。今回は、「国立重度知的障害者総合施設のぞみの園」について「令和5年度業務実績評価」に係る意見聴取を行いたいと思っております。最初に、法人から各評価項目における評定の根拠について重点的に説明いただきます。その後、評価の内容を中心に皆様から御意見、御質問を頂きたいと思っております。会議は、おおむね1時間半を予定しておりますので、円滑な議事運営に御協力いただきますようよろしくお願いいたします。
では、早速議事に入ります。まず、先ほども申しましたが、のぞみの園の令和5年度事業実績評価について議論していきたいと思います。最初に、法人のほうから簡潔に御説明いただき、説明が終わってから質疑応答という形で進めていきます。では、法人のほう、よろしくお願いいたします。
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園総務部長
総務部長の川島と申します。座ったままで失礼いたします。私のほうから概要について説明させていただきたいと思います。資料2-1の「令和5年度業務実績評価説明資料」に沿って説明させていただきます。時間の都合上、駆け足での説明になる部分もあるかと思いますが、あらかじめ御了承願います。
資料1ページ目を御覧ください。事業体系図となっております。国立のぞみの園については、重度の知的障害者の自立のための支援、その調査と研究、支援者の養成や研修などを総合的に行う唯一の国立支援施設です。中期目標、中期計画について、また、その評価指標についても、このような事業体系に沿ってできているところです。評価指標については図の中段から記載しています。1-1、自立支援のための取組は施設運営そのものの部分になりますが、地域移行、高齢の施設入所者支援、強度行動障害、矯正施設退所者への支援などを内容としております。
次に、1-2はこのようなフィールドをいかした調査・研究、成果の発信といった目標になっており、1-3は障害者支援業務に従事する職員の養成・研修、1-4は自治体や社会福祉法人の求めに応じて行う援助・助言といった内容、1-5その他は診療所、障害児への支援などとなっており、一番下、下段ですが、業務の効率化又は財務内容の改善といった視点から項目が立てられております。
2ページを御覧ください。令和6年3月31日現在の施設入所利用者とサービスの概況です。入所者の平均年齢は61.9歳、有期の方を除くと70.7歳となっております。平均入所期間は34.9年、平均障害支援区分は5.9です。年齢は60歳以上の方が約7割を占めており、入所期間については30年以上入所されている方が約7割を占めている状況となっております。
続いて3ページを御覧ください。評価項目の1-1、自立支援のための取組については、自己評価をAとさせていただいています。中期目標の内容は①地域移行・高齢者支援、②有期限入所支援となっており、内容は記載のとおりですが、地域移行や有期限入所の受入れなどという内容になっております。この目標については困難度、重要度ともに「高」と設定されています。
4ページを御覧ください。指標の達成状況の一覧です。表の構成は左から順番に、目標、指標、令和5年度の実績値と目標に対する達成度をそれぞれ記載しております。指標に対する達成度は、一番下に記載がある医療的ケアが必要になった者の支援を除き、ほかの項目は達成度100%を超えている状況となっています。
5ページを御覧ください。要因分析です。達成度が120%以上又は80%未満の場合に要因分析を行うとされております。一番上、施設入所利用者の地域移行の推進は、目標2人以上に対して実績10人、達成度500%となっています。地域移行については、令和4年度から継続して、日中サービス支援型グループホームへの移行に向け、日中の体験や宿泊体験のプログラムを通じて利用者本人の意思形成を行う中、言葉だけではなく表情や態度、身振り手振りを含めた意思の表出を汲み取り、家族を含む複数の関係者が関わって利用者の意思確認を行いました。また、体験の様子を保護者に見学していただき、同意が得られた9人の方を日中サービス支援型グループホームへの地域移行につなげることができました。もう1人の方は、のぞみの園が運営する2か所のグループホームで宿泊体験を実施し、利用者の意思確認を行いながら地域移行につなげたところです。
続いて、地域生活体験の実施です。毎年度300日以上という目標に対して実績968日、達成度は323%でした。こちらについては、日中サービス支援型グループホームの移行に向けて、同グループで宿泊体験を積極的に実施したこともあり、年間の目標300日以上を大きく上回ったところです。
次、一番下は医療的ケアが必要になった者の受入れです。目標2人以上の達成に向けて取り組んできたところですが、実績は0人でした。その理由と取組状況について、初年度である令和5年度については医療的ケア利用者の受入体制の整備として、群馬県内の障害者支援施設を対象に、医療的ケアについてどのような困りごとがあるのかといったアンケート調査を実施し、また、受入規則の制定や医療と福祉の連携による受け入れ時の支援の強化を図るための生活寮への看護師の訪問など、日常を支えるための体制を整えたところです。また、群馬県内の障害者支援施設や相談支援事業所、群馬県内や近県の障害福祉団体の代表などへ、理事長をはじめ役職員による広報活動も行ったところです。
2人を受け入れる計画でしたが、初年度ということもあり法人内の体制整備等に半年程度の時間を要したため、受入れには至らなかったものの4人の方から相談があり、うち1人の方については短期入所での利用につなげることができたところです。
6ページを御覧ください。評定の根拠を3点記載させていただいております。まず、一番上の施設入所利用者の地域移行の推進についてです。利用者の平均年齢は70歳を超えており、また、年々身体機能の低下・重症化が進んでおり、保護者も高齢化又は死亡されている状況にあります。また、入所期間が長くなり、出身自治体と疎遠となってきており、当施設の環境において生活を継続してほしい旨を求める利用者や保護者の意向も強く、地域移行の同意を得ることは年々難しくなっております。
このような状況の中、保護者懇談会、グループホーム宿泊体験や見学会の実施など、地域移行に向けた取組を丁寧に進めております。また、支援面の工夫、改善点としては、利用者の支援方法等を記載したサポートブックを利用者ごとに作成し、地域移行後の事業所等に情報提供をしていましたが、新たに支援風景の写真も盛り込んで、地域移行後の事業所等の職員にとってより分かりやすくなるような改善を行いました。更に令和5年度、新たに開所した日中サービス支援型グループホームでは、高齢・重度知的障害者の地域生活をどのように支えるかについての在り方を構築するための地域生活モデルに関する検討を開始しました。
2段目、高齢の施設入所利用者に対する支援として、「ターミナルケア」の検討・実践。施設入所利用者の重度・高齢化が顕著となってきていることから、住み慣れた場所・環境で最期を迎えることができるよう「ターミナルケア」についての検討を重ね、実践に取り組みました。具体的には、ターミナルケアシステムの検討、ACP(人生会議)システムの構築、ACP委員会設置要領の作成、公認心理師も交えたメンタルヘルス対策の仕組みつくりの検討、サポートブックの導入、外部医療機関の検討、ターミナルケアに関する研修のほか、ターミナルケアの実践1件を行ったところです。
次に一番下、著しい行動障害を有する者等への支援です。能登半島地震において被災した施設利用者10名を厚生労働省の要請により有期限の利用者として受け入れました。受け入れた利用者については、近隣施設では受入れが難しい行動障害を有する重度知的障害の方であったことから、のぞみの園で受け入れることとなりました。2月中旬には職員を現地へ派遣し、厚生労働省、石川県、施設の職員と、利用者の生活環境の確認や利用者との面会、施設の被災状況、受入れに当たっての調整などを行ったところです。また、受入れをスムーズに行うために、その後ものぞみの園と関係者でオンラインによる会議を重ね、3月12日に受入れができたところです。受入れ後も関係者で利用者の状況等についての会議を開催するほか、利用者の様子を保護者に電話で連絡するなど、利用者、御家族、関係者の安心安全に努めたところです。これらのことを踏まえ、この項目については自己評価をAとしております。
次に、資料は大分飛びますが16ページを御覧ください。評価項目1-2の調査・研究です。こちらの自己評価はAとさせていただいております。また、重要度は「高」と設定されております。中期目標の内容は記載のとおりですが、外部研究者と協働した研究割合や研究成果の発信などになっております。
17ページを御覧ください。指標の達成状況になります。全ての項目で達成度は100%以上になっております。
18ページを御覧ください。達成度が120%を超えている事項の要因分析を記載させていただいております。一番上ですが、民間研究助成への応募です。目標1件以上で、それに対して実績3件、達成度300%となっております。こちらについては、多様な調査・研究の機会を得て調査・研究の実施体制の充実を図るため、民間助成金応募情報を掲載しているサイトの検索を積極的に行い、当法人の研究テーマに適合すると思われる複数の公募に応募したことにより、このような達成率になっております。次です。各種学会等での成果発表です。目標の42回以上に対して実績58回、達成度138%です。こちらについては、当法人が様々な媒体を通じた情報発信を行ってきたことや、強度行動障害者支援、高齢期の知的障害者支援といった法人で取り組んでいるテーマに対する各種学会等の関心が高まっていることから、成果発表の機会が多く得られたためと考えております。
次に調査研究の把握数です。目標4回以上に対して実績7回、達成度175%です。こちらは四半期ごとに1回の把握に加えて、研究者等の関心を踏まえた新年度の研究テーマの設定を行うために、把握の機会を3回追加したことが要因と考えております。次に、調査研究成果の被ダウンロード数と論文の被引用件数です。被ダウンロード数は、目標5,300件以上に対して実績は4万6,744件、達成度は882%です。論文の被引用件数は、目標8件以上に対して実績11件、達成度は138%になっております。いずれも、コンテンツの充実を進めたことに加えて、研究者がデータを活用しやすくするための機械可読化や論文を検索しやすくするためのキーワードの付与といった環境整備を行ってきたことが要因と考えております。
また、このページⅢの評定の根拠ですが、2つ挙げさせていただいております。国の政策課題に沿ったもので、全国の支援現場のニーズが高いものについて調査・研究を実施しているところです。具体的には令和4年度の厚生労働省が行った「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会」で示された中核的人材養成研修の開発と実施、障害者の高齢化が進む支援現場の「看取り・終末期の支援」導入マニュアル作成などになっております。
また、海外の知的・発達障害者に関する調査・研究を現地の研究機関と協働により調査・研究を実施しております。具体的には、「東南アジアにおける発達障害者に対する保健・医療政策の実態把握と改善に関する研究」に、インドネシアのLSPR大学と協働で取り組み、その成果を受けて、令和5年12月の日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議の成果文書である実施計画に反映されたところです。このプロジェクトの概要は資料21ページに付けておりますが、時間の関係等で詳細な説明は省略させていただきます。
22ページを御覧ください。評価項目1-3の養成・研修です。自己評価についてはBとさせていただいております。中期目標の内容は研修会・セミナーの開催や参加者の満足度、実務研修の受入れになっております。指標に対する達成度は、いずれも100%以上となっております。
23ページを御覧ください。全ての項目について、目標値に対して120%以上又は80%未満の達成度に該当するものはありませんので、要因分析の記載はしておりません。
25ページを御覧ください。評価項目1-4、援助・助言になります。こちらは自己評価Aとさせていただいております。中期目標の内容は、援助・助言の回数、講師派遣の件数になっております。指標に対する達成度は、いずれも100%以上となっております。講師派遣の件数については、年間140件以上の目標に対して実績は186件、達成度は133%となっております。要因分析は下に記載させていただいていますが、派遣依頼の内容については、行動障害等を有する者の支援に関することや、高齢知的障害者支援に関することが多く、派遣要請が年々増加してきている中、各障害者支援施設等の要請に応じた専門性を持つ職員を、毎日の利用者への支援体制との調整を図りながら派遣しているためと考えているところです。
26ページを御覧ください。評定の根拠です。援助・助言の実施に当たっては、ホームページ等の広報媒体を活用して、高齢知的障害者の支援、著しい行動障害を有する知的障害者の支援、矯正施設を退所した知的障害者の支援、発達障害児の支援などについて紹介するとともに、調査・研究の成果や研修・養成に関する実施事業について情報提供したことを理由としております。
28ページを御覧ください。評価項目1-5、その他の業務です。こちらは自己評価Bとさせていただいております。中期目標の内容は記載のとおりです。指標に対する達成度ですが、達成度120%以上になっているものは、地域の知的障害者等の健康診断受診者数と地域の障害者の短期入所の受入れ日数の2項目となっています。それ以外の項目について、80%を下回っている項目はありません。
29ページを御覧ください。要因分析になります。120%以上のものがありますので、その要因分析になります。上段が地域の知的障害者に対する支援ということで、健康診断の受診人数です。目標150人以上に対して実績209人、達成度は139%でした。こちらについては、市内日中系サービス事業所及び共同生活援助事業所へのリーフレット送付、並びに法人ホームページに掲載をしたこと、また、群馬県知的障害者福祉協会が主催する会議の場などで各種広報活動を行ったことにより、新規事業所や個人からの申込みにつながったものと考えております。
次に短期入所の受入れです。目標1,500日以上に対して実績1,824日、達成度122%です。こちらについては、コロナウイルス感染症が令和5年5月から感染症法上の5類に分類されたことにより、感染のリスクを考慮し利用を控えていた利用者が利用を再開されたこと、また、保護者の体調や家族状況の変化等でサービスの支給量が増えた利用者の宿泊日数が増加したことが要因となっております。さらに令和5年度から、地域生活を支援するための新たなサービスとして、日中支援型共同生活援助、包括型共同生活援助において、短期入所事業の事業所登録を行い、受入れ枠の増を図ったことも要因となっております。
31ページを御覧ください。評価項目2-1です。業務運営の効率化に関する事項です。自己評価Bとさせていただいております。中期目標の内容は記載のとおりです。このページの下段に記載しております指標の達成状況ですが、下段に記載してある3つの目標については、第5期の最終年度になる令和9年度までの目標となっているものですが、令和5年度の実績を記載しております。
32ページです。引き続き指標の達成状況を記載させていただいております。それぞれ指標目標値を記載させていただいておりますが、指標に対する達成度は全て100%以上となっております。また、120%以上又は80%未満といったものはありませんので、要因分析のほうは記載しておりません。
33ページを御覧ください。評価項目3-1です。財務内容の改善に関する事項です。自己評価はBとさせていただいております。指標については、総事業費に占める自己収入率が55%以上となっておりますが、実績56%、達成度102%で目標を達成しております。
34ページを御覧ください。中段に自己収入と総事業費、自己収入の比率を記載しております。参考として、昨年度令和4年度の実績も記載しております。自己収入比率の目標を達成するために効率的な業務運営の推進、経費の節減などの取組を行ったところです。経費の節減については、例えばLED化を図って電気量の抑制等を図ったといったところです。ちなみに、昨年度と比べて自己収入の額自体は多少減っておりますが、これは入所利用者が減少傾向にある中で総事業費も減少していますので、それに伴って多少下がっている、減っているものと考えております。
35ページを御覧ください。評価項目4-1、その他業務運営に関する重要事項です。自己評価はBとさせていただいております。中期目標の内容は内部統制強化のための各種委員会の開催、情報セキュリティ、第三者評価関連となっております。指標の達成状況ですが、36ページにわたって記載しておりますが、全て達成度100%以上になっております。その中で120%を超えるものは、感染症対策委員会の開催の回数と情報セキュリティ職員研修会の回数、この2項目となっております。
36ページの下段に要因分析を記載しております。まず、感染症対策委員会の開催についてですが、目標年2回以上の開催に対して5回開催したところです。これは新型コロナウイルス感染症が5類に変更になったということから、既存の対応の見直しや入所利用者にコロナウイルス陽性者が発生した際の対応を検討するため、計5回の委員会を開催しまして、感染防止対策の情報共有徹底に努めたところです。次に情報セキュリティ職員研修会の開催です。目標年1回以上の開催に対して3回開催したところです。こちらは情報セキュリティの脅威、対策の必要性などについて丁寧な研修を行った結果となっております。
38ページを御覧ください。こちらについては、各評価項目の自己評価についてまとめたものとなっております。
大変駆け足での説明となりましたが、私からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○真野主査
御丁寧な説明をありがとうございました。では、この令和5年度の実績評価について議論していきたいと思います。オンラインの先生方も、手を挙げるなり声を出していただくという形で御参加ください。いかがでしょうか。
最初に、私から調査・研究の所で、一番上の項目は500%というすばらしいものなのですが、調査・研究もかなり学会関係がすばらしい数値を上げられたと思うのですが、具体的に各種学会の実績58回というものは、どのような学会なのでしょうか。
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園研究部長
研究部長の日詰です。学会の名称や内容でしょうか。
○真野主査
そうですね、簡単に、是非。
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園研究部長
日本発達障害学会や社会福祉学会、主には高齢期の知的障害者への対応について。それから強度行動障害、非常に障害が重くて対処が難しい。そのことについてどういう評価を行っているのか、どのような研修を行っているのかということについて依頼があり、こちらから発表に伺ったりしているものになります。
○真野主査
ありがとうございました。研究成果の被ダウンロードもものすごい数ですから、私も100%専門ではありませんが、非常に世の中にインパクトがある調査・研究をされているのかと認識しました。では、オンラインの三田先生からお願いします。
○三田構成員
評定そのものへの異議ではなくて基本的な所を教えていただきたいのですが、例えば、資料の5ページなどを拝見していると、説明にもあったように、これだけ平均年齢が高くて地域移行、本人もそうですが家族を説得するのもかなり大変だと。そういう中で、ある程度の人数を実績として上げていただいたのがすごいと思うのですが、多分兄弟の時代に入っていると思いますが、その家族や兄弟にどのように関わって、あるいはどういう整備をして、どんなチームを作って地域移行を進めていくか。
もう1つ医療的ケアのほうでは、今年は下地づくりで、多分今後行われると思うのですが、先ほどお話を聞いていたら県内にアンケートを取ってニーズを把握して、準備に半年かかったというのも伺って、研究の分野がこれだけの成果を上げているのですが、現場の職員さんがすごく大変な思いをして動いている様子とのずれが、すごく気になってしまっているのです。ですので、例えば海外ではどうやって施設の閉鎖を決めたのかとか、地域移行を推進したのか、医療的ケア児の問題はたくさん実績があると思うのですが、支援の現場の実際の方たちと研究がどうリンクしているかが毎年見えなくなってきていると。そして、常勤職員は減っていって本当に大変になる一方だということで、研究と実際の支援の乖離のようなことになっていないのかと率直に疑問に思いましたので、御説明いただけたらと思います。
○真野主査
理事長、すみませんがお願いします。
○国立重度知的障害総合施設のぞみの園理事長
理事長の田中です。御質問ありがとうございます。研究チームの対応と現場の乖離の御心配なのですが、そこはなるべく開きが生じないようにいろいろ工夫をしているところです。内部の職員と研究班の融合したチームなども作って、日常の関わりを深めていくことに留意しております。
今回、医療ケアに関しては、必要に応じたタイミングで関わるというのが非常に重要な事業だと理解しています。実際には、周辺の施設にそういったお困りの方がいらっしゃるのかどうかをアンケート調査したということなので、これは調査・研究というよりは実態把握と御理解いただければと思っております。研究の成果が上がっている分と現場の大変さに関しては、引き続き乖離がないように努めてまいりたいと思いますので、御理解いただければと思います。
○真野主査
三田先生、いかがですか。
○三田構成員
ありがとうございます。のぞみが、どこかに先導すると書いてありましたが、いろいろな施設や地域の支援者のモデル的なことをやられているという点は、例えば研究の部分があるということは全然違うことなので、具体的に研究の一環でもいいですし、研究者がどう関わったかでもいいのですが、それがプラスアルファになったことでこんなに成果があったとか、こういうことが分かったというのを、もうこれは評定の中身とも変わってきているのですが、いろいろな所に出してほしいのです。そうすると、それが参考になって、高齢化した入所者、利用者の家族の理解が得られなくて苦しんでいる支援者や困っている人もいるので、是非そういうことをお願いしたいと思います。ありがとうございます。
○真野主査
ありがとうございました。三田先生の質問で、もう1つ働き方というか、仕事の人も減ったというお話もありましたが、その辺りはどうでしょうか。
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
働き方についても、非常に気にしており、偏った状況にならないようには工夫してまいりたいと思っております。コロナ禍のときも、寮を閉鎖しなければいけない状況に対しては、他の部署からの応援なども行ったと聞いておりますので、そういった法人全体でバランスよく進めていくということについては、かなり気を付けて進めております。
また、高齢の研究成果については、今年度から報酬改定で意思決定支援を強調し、地域移行も計画相談に乗せていくということになっております。三田委員の言われるように、全国からの求めに対して応えられるような体制を整えていくことにも留意しておりますので、引き続きまた御指導いただければと思います。
○真野主査
ありがとうございました。三田先生、よろしいですか。大丈夫ですか。次に、河村先生、お願いします。
○河村構成員
御説明ありがとうございます。新しい期で、また難しい大変な目標が課せられる中で、高い業績を上げられたのではないかと本当に敬意を表したいと思っております。私からは幾つか質問もあり、お答えいただければ有り難いのですが。1つ目は、今もお話に出ていた地域移行のところなのですが、大変高い数字が出てきて、正直こんなになるかと、人数がまとまることがあるのだという感じで、本当にびっくりしました。これは、やはりコロナの関係の影響が大分とれていったような年度に当たったことも、何か影響していたのでしょうか。いろいろと御説明もくださいましたし、資料にも書いてあるのですが、なぜ今年これだけまとまってできたのかといった辺りをお尋ねしたいです。
それから同じ指標の所では、最後に著しい行動障害を有する者への支援ということで、能登半島地震がありました。そのときの被災地の重度知的障害の方々を受け入れるためにいろいろ御尽力をされたというお話があって、こういうこともやっていただけていたのだと思いました。これは状況の質問で、あの地震が1月1日にあったわけで、今日の御説明ですと、まず、のぞみの園の職員の方が現地に行かれたのが2月15~16日で、そして受入れが翌月の3月12日と書いてありました。やはりこれぐらい、いろいろな段階を踏んで時間が掛かるのはもちろん理解できるのですが、その間、これらの方々が現地でどういう状況におかれていたのでしょうか。その辺り、やはりこういうことは、日本全国各地で、どこでこの先またこういう災害や大地震があるか分からないときに、同じようなことがあり得なくはないようにも思いますので、そういった所への備えをするということも含めて、実際に3月12日に、のぞみで受け入れられるようになるまでの間、どういう状況に彼らがおかれていたのかといった辺りを、お教えいただけると有り難いです。よろしくお願いいたします。
○真野主査
では、のぞみからお願いいたします。
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(富安)
河村先生、御質問ありがとうございます。理事の富安と申します。まず、最初の御質問について回答いたします。地域移行の数字で、令和5年度はかなり大きく数字が出ていることの原因ですが、1つ目としては、やはりコロナの影響ということで令和4年度末に宿泊体験などを計画的に実施できなかったことがあり、令和5年度にずれ込んでしまったということがあります。
もう1つは、日中サービス支援型のグループホーム、これは従来の包括型のグループホームとは違い、夜勤であるとか職員の配置基準についても包括型よりも高い基準になっております。そういったようなことも含めて、こちらの日中サービス支援型グループホームを令和5年度に法人のほうで開所をいたしましたので、そちらに移行をしていただいた方がまとまった形で出たということです。
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(古川)
御質問ありがとうございます。理事の古川です。後半の能登半島の受入れの周辺の事情ですが、御承知のように1月1日に能登半島において大きな地震があり、130人規模の入所施設が被災をされました。ライフラインが全て止まっているような状況が長く続いていたとは聞いておりました。我々も、何かしらできることをということで、本省を通じていろいろ準備をさせていただいていたのですが、1月の末に改めて10名の強度行動障害の棟で暮らされていた方たちの行き場所がないということで打診を頂きました。その時点でも、まだライフラインは、ほぼ止まっているような状況で、当法人の職員も2月に行かせたのですが、道路も復旧はしていない、水道は完全に止まっている。入浴も対応できなくて、中庭に急遽1つ作って1週間に1回程度しかお風呂にも入れないと。職員も被災されているものですからマンパワーも確保できない中で、各居室でほぼほぼ寝て過ごすようなかたちでしか、日中活動のプログラムも提供できないような事情がずっと続いていたようです。
食事に関しても、非常に簡素なものでしか対応できない、とにかく水が止まってしまっている、電気も止まってしまっているというところから、非常に厳しい状況であったということです。その状況については、2月以降もなかなか改善されないということで、我々も逸早く受け入れようとは思っていたのですが、あちら側からの、送ってきていただく、こちらから受取りに行くことも含めて、移送方法の決定に時間が掛かり、3月12日にバスで10時間半掛けて職員が5名付き添って、こちらまで送ってきていただくということで、ようやく受け止めさせていただいた状況です。
受け止めさせていただいた後も、御報告させていただいたように、御家族などと連絡を取らせていただいて、避難所で暮らされている御家族もいらっしゃいますので、適宜我々も何かできないかということでお声掛けはさせていただきながら、今のところここまで何とかきたという状況です。以上です。
○真野主査
河村先生、よろしいですか。
○河村構成員
御説明いただき、ありがとうございます。能登半島については、状況はやはりそういうことであったのかという感じがいたします。いろいろと調整に時間が掛かることも、もちろん理解できますし、今回の対応がどうのということを申し上げるつもりは全くないのですが、こういうことはまたあり得なくもないようなことだと思いますので、のぞみの園さんはナショナルセンターでもありますし、こういうことが起こったときにどういう対応がとれるのかといったことを、距離にもよりますが、万が一ほかの場所で、北海道や九州で起きて同じことができるかといったら、またそれはちょっと違う話かもしれませんが、少し御検討いただいてもいいのではないかと思いました。
この項目全体の評価なのですが、地域移行の所も御説明いただいて、別にコロナが明けたから、今までなかなか進まなかったことだけではないわけですよね。今お話いただいたように、日中サービス支援型グループホームの準備を進めてこられたということで、一気にうまく機能するように至ったということでもあると思いますし、なおのこと非常に高く評価できると思います。ですので、評定については全体として特に異存はないのですが、ここの項目について自己評価Aを付けていらっしゃいます。達成度が高い項目が非常に多くて、医療的ケアの所は確かにゼロですが、そこはどういう事情かということは御説明で理解をいたしました。
今回も、いつものように参考資料2が付いていて、S、A、B、Cというものをどう付けるかというのが書いてあります。S評定ですと、120%以上プラス質的に顕著な成果ということになっていて、ここの項目は難易度が付いていますから、1評定上げることができるということだと思いますので、Aとされていますが、私がいろいろな業績等を拝見させていただくと、普通に考えてAで、困難度が付いているのだからSに上げてもいいぐらいと。そこの御判断は厚労省の判断にお任せしますが、拝見していても極めてSに近い評定なのではないか、高い業績なのではないかということを、意見として申し上げさせていただきます。
もう1つだけ質問なのですが、先ほど真野先生からも御質問が出ていた調査・研究の所も、本当に高いですね。いろいろなニーズとマッチするというか、ナショナルセンターで直接手を差し伸べることができる物理的距離の問題があると思いますが、やはり、のぞみの園さんのやっていらっしゃる調査・研究は、いろいろなことを参考にしたいと思っていらっしゃる方が本当に全国各地にいらして、これだけいろいろアクセスがあったりということは、本当に前向きでいいことなのではないかと思います。これだけ評価の指標がそろって、グンと上がる形で出てくると、何か1個1個の指標が個々の要因で動いたというよりも、やはり全体的にいろいろな取組姿勢も変わったということもあったのかと思いますが、その辺りはいかがですか。単にコロナが明けたからということだけでは決してないような感じもしますが、その辺りはどのように御覧になっていらっしゃいますか。
○真野主査
いかがでしょうか。何か組織文化や組織での変化があったかという。これは、ポジティブな意味で言われていると思いますが。
○河村構成員
問題意識の持ち方、立て方、多分みんなが全国各地で知りたいと思っていることがきっとマッチするから、これだけヒットするのですよね。そう思うのですが、いかがですか。
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園研究部長
研究部長の日詰です。御質問ありがとうございました。先ほどの三田先生のお話にもあったのですが、現場と研究が乖離しないようにということは、我々も最近強く意識しているところです。先ほどの研究の1つ目のテーマも、今まで我々が情報として発信してきただけのことを、それぞれの事業所、現場できちんと行うということをセットにした研修の開発を現在行っているところです。
それから、昨年からホームページで全国の現場が知りたい、調べてほしいという研究テーマの募集をしており、例えば便こねのことを知りたいという方のテーマが幾つかありましたので、我々としてそれを新しくテーマ設定をして文献等の調査を行い、リクエストしてくださった全国の現場の方に調査結果の整理をしてお返しをしようという、現場の声を聞こうという姿勢を我々もこれまでよりも強く出しているところ、最近強化しているところです。研究の中身、変化について、以上説明させていただきました。
○真野主査
理事長、お願いいたします。
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
地域移行高齢者支援の対応、自立支援の取組の中の評価について、高い評価のお言葉を頂きありがとうございます。施設入所のほうの地域移行に関しては、先ほど富安からも説明があったように、受け皿づくりが功を奏した部分もあります。次の生活体験については、昨年度、評価委員会の中でも意思決定支援をきちんと踏まえて取り組むようにという指導がありましたので、それらを現場の職員の皆さんにもきちんと届けて、移行を踏まえた体験利用が提供できるようにということで進めてまいりましたので、そこが全体的には大きな評価につながったのかと理解しております。
また、行動障害の方たち、特に石川の皆さんの受入れに関しては、10名の方が1度に職員の付き添いなしで、移動に関しては付き添いがありましたが、その後の対応なしで受け入れるということについては、かなり受け入れるための準備も、また心構えも必要でしたが、国立施設としての役割を果たすということに関して、現場の職員にも理解を頂いて達成できたかと思っております。全体的に新しい今回の枠組みの中では、士気が上がったところかと理解しております。以上です。
○真野主査
河村先生、よろしいですか。
○河村構成員
ありがとうございました。調査・研究も、A評価が妥当だと思います。以上です。
○真野主査
私も事前ヒアリングでチラッと申し上げたかもしれませんが、今の河村先生と同じ意見で、最初の地域移行を含んだ所はどのように評価するかは、もう少し上がって、要はSという意味ですが、それでもいいのかと思っております。目標をどう見るかはあるにしても、500%というのはなかなか達成できるものではないので、逆にこれで評価が普通ですと、ほかでそこまでのパーセントが上がらなくてもSになっている所があるかもしれませんので、是非検討いただければと思ったりもしております。
ほかの先生方、いかがでしょうか。名里先生、お願いします。
○名里構成員
自立支援のための取組の医療的ケアの所ですけれど、ごめんなさい私、計画立ての所で、もう少しどういう具体的な内容だったかというのを認識できてなければいけなかったと思うのですが、余りできてなかったなと今思うのです。これは来年からも、もう何年か2人以上の目標でやっていくということですよね。それでこのターゲットが支援施設に今回アンケートしているけれど、支援施設に入所している人で、医療的ケアが必要になった人のことをどのように対応するかを検討されるという意味なのか、それはそこの支援施設でずっと暮らし続けるためなのか、こちらの重要度の説明の所では、地域で生活を営むためのモデルとなる支援内容を構築するとあるので、地域で暮らしている、グループホームとかで暮らしている方で医療的ケアが必要になってきた方のことをどのようにできるかということなのか、ちょっとそこら辺が、両方なのか分からないですけれど、私の感覚としては、やはりグループホームとか地域で暮らしていたけれど、医療ケアが必要になって、もうグループホームで対応できないというふうになってしまっている人が結構いらっしゃると思うので、そこら辺を是非モデル的にやっていただけるといいかなと。非常にハードルが高いと思うのですけれど、そのように思います。
○真野主査
お願いします。
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
御指摘ありがとうございました。医療ケアに関しては、有期限の利用ということで、やはり戻るあてがある人からやっていくという段取りで今回は進めておりまして、今、名里委員のおっしゃるとおり、潜在的な需要も含めてアプローチしていく必要もあるかなと思っております。そのためにも診療所の改革をして、現場で看護師の方が支援員として働けるような対応の中で、日常生活に沿った医療的なケアが届くようにということを、体制として新年度から具体的に展開することができましたので、在宅の状況に置かれている方たちも、受け止めてから地域移行を考えるということも含めて踏み込んで進めていく必要があるかと思っております。少し周辺事情も含めて、どのような策があるかについて考えながら、まずは現在施設を利用している方の状況からアプローチしていく。次の段階でどこまで行くか。御指摘も踏まえて検討してまいりたいと思います。
○真野主査
よろしいですか。ほかはいかがでしょうか。お願いします。
○成川構成員
成川です。丁寧な御説明ありがとうございました。私、全体の評価については特に異論はありませんで、2点ほど確認というか質問させてください。1つが、自立支援の所、今話題に出た医療的ケアの所ですけれど、これは令和5年度からの中期計画で新しく入ったものという理解をしております。そのために何と言いますか、のぞみの園さんのほうで、受入れ体制の整備というか、その辺り、どんなことをされてきたのか、あるいはこれからも続けていかれるのか、ちょっと具体的なところを伺いたいのが1点です。
もう1点が、2番の調査・研究の所の、研究成果のダウンロードというのはすばらしい数字が出ていて評価をしたいと思うのですけれど、基本的なところでこれ、成果のようなものが、のぞみの園さんのWebサイトとかに掲載されていて、それがダウンロードされるという理解でいいのですか。となりますと、どういう方がアクセスしているとか、ログを取ったり、あるいはどんなバックグラウンドの方が興味もっていらっしゃるかとか、そのようなことをもし把握されていたら教えていただけますか。以上の2点です。
○真野主査
お願いします。
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(古川)
ありがとうございました。最初の医療的ケアの受入れについて御説明させていただきたいと思います。まず、医療と言いますか、いわゆる病院とか診療所とかで支えるということではなくて、やはり生活の場で、暮らしの中で支えていくというところがこの事業の中心になるかと思っています。そのために先ほど理事長からも説明させていただきましたが、この4月から看護師を各生活寮のほうに配置をしまして、暮らしの中に改めて医療がアクセスできる仕組みを整えました。ただ、これもまだ始めたばかりですので、更にいろいろな医療に対応できるような仕組みを考えていかなければいけないと考えています。
もう1点は、うちに来ていただいて、うちで人生を終わっていただくということであってはいけないと思っていますので、御本人が帰りたい場所、住みたい場所にどうやって戻っていただけるかというところも含めて、今まで培ってきた地域移行のノウハウもありますので、そこら辺はいろいろ活用させていただきながら支えていきたいと考えています。どうしても全国的に見ると制度・仕組みが相当まちまちなものですから、取りあえず、まず近隣から始めて、きちんと実績を積んだ上で、改めて事業としては拡大していきたいと考えているところです。
○真野主査
よろしいですか。では、追加をお願いします。
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園研究部長
研究のダウンロード数のことについて、この数字を把握しているのはのぞみの園のホームページではなくて、J-STAGEという研究論文の検索サイトの所で数字が分かるようになっています。誰がというのは、我々もまだきちんと把握できていないのですが、いろいろな研修会等で、「ダウンロードしてくださった方いますか」とお聞きすると、現場の支援者の方が圧倒的に多いようです。最近問合せが多いのは大学の学生さんで、「なかなかほかにこういう論文をまとめたものがないのでダウンロードさせていただきました」というので、追加の質問の形で連絡が最近はとても増えてきているところです。以上になります。
○真野主査
大丈夫ですか。J-STAGEからということになるとちゃんとした所、ホームページがちゃんとしてないという意味ではないですけれど、非常に評価はますます高いのかなと思ったりもしますね。ありがとうございました。ほかの方は。
○五十嵐構成員
研修会の24ページの資料ですが、強度行動障害支援者養成って、これはかなり重点が今後高いのではないかと推察するのですが、その割には参加者が少ないような気がいたしまして、満足度も高いのですが、これは参加するに当たっての敷居が高いとかそういうことはないのでしょうか。
○真野主査
では、どなたからでもお願いします。
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園研究部長
研究部のほうで、我々がカリキュラムとかテキストを作って実施しているものです。我々が行っているのは、都道府県で指導的な立場にある方だけを対象に招いて行っている指導者研修という形になります。指導者研修なので、持ち帰って自分の県で実施をされる方が受講されるので、受講態度も熱心というか真剣ですし、我々からも、このように都道府県での実施時には説明をしてくださいという指導者向けの説明をお話しているところがありますので、そのあたりが評価につながっているのではないかと思います。以上です。
○五十嵐構成員
そうすると直接の人の養成というよりも、それを更に指導する人のという、一段階上のという、そういうことですか。そうすると、裾野を広げる意味では、受けた人が今度これからどうするかというところにかかってきているということですね。その辺は、のぞみの園さんのほうでその後の状況などをウォッチしたりはされるのですか。
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園研究部長
都道府県で我々の作った研修を広げてくださっているけれども、受ける方は全国でもかなり多いのですが、研修を受けた後、現場に帰るとなかなか実践につながっていないという声はたくさん聞こえてきます。そのようなことがあるというのを我々も厚労省にお伝えし、それであれば単なる研修ではなくて、職場に戻って実践できる新たな研修を追加しなければいけないということで、今はその次の実践型の研修というのを中核的人材養成研修のために開発することを厚労省と話し合って進めているところです。
○五十嵐構成員
よく分かりました。ありがとうございます。よろしくお願いします。
○真野主査
そんなに人数は多くなくても、そもそもそういうものだということですね。
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園研究部長
はい。
○真野主査
ありがとうございました。ほかはいかがですか、よろしいですかね。ちょっと私から、以前私の所へ、五十嵐先生がされているわけですが、お金の話のところで、診療所の、事前には私、お聞きしているのですけれど、診療所の赤字うんぬんという話があったと思うのですが、そこで改善の兆しが見られると聞きましたので、ちょっとそれを御報告いただけますか。
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(富安)
診療所につきましては、今、利用者の方々がかなり高齢になって、診療所に寮から通うのもなかなか難しい状況になって、車椅子を使用されていたりとか、そういう状況もございますので、特に日常の中で、先ほどもちょっと話がありましたけれども、健康管理とか医療の面をどういった形で充実していくのかというようなことがあります。そういう中で、法人の置かれている状況としましては、経営の効率化であるとか改善というのももちろん求められていると。そういう中で、今回、令和5年度の中頃から診療所の改革プロジェクトというものを法人内で立ち上げまして、その中で議論を進めていった結果、入院病棟を廃止し、今まで入院されていた方や医療が必要な方も寮のほうで生活をしていただいて、そこに看護師さんを配置したり、そういう形に変えました。これが令和6年4月から施行になります。
これにより財政的な効果としてはこれからですので、はっきりとした数字はまだ述べられないところではあるのですが、今まで入院病棟に夜勤ということで看護師さんが常時ついていかなければいけない、また宿直医をずっと確保しなければいけないところがありましたので、そういったことについて基本的には必要がなくなり改善が見込まれるということで、そういう方向で進めているところです。
○真野主査
ありがとうございました。決して利用者の方を蔑ろにするのではなく、そこはケアをきちんとした上で、今のような改革に着手されたということだと理解しました。ありがとうございます。ほかはいかがですか、よろしいですか。河村先生もちょっと言われていましたけれど、今回、ちょっと失礼な言い方かもしれませんが、我々は有識者会議で、評価ではないのですけれども、いろいろな取組が功を奏してきていて、来年もしかするとその診療所の改革も効果が出るかもしれませんし、非常にいい感じかなと思っておりますので、厚労省のほうにも、河村先生もうなずいていただけると思いますが、是非いろいろお考えいただければと思ったりもしております。それではよろしいですか。
では、質疑が終わりまして、ちょうどお時間ですけれども、法人の監事及び理事長から、年度・中期目標期間における目標の達成状況等を踏まえ、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂ければと思います。最初に法人の監事から、続いて法人の理事長からお願いいたします。
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園監事(渡辺)
のぞみの園の監事の渡辺でございます。隣におりますのが、同じく監事の五十嵐でございます。着座にて失礼いたします。まず年間の監査を通じまして、法令遵守、内部統制、役員の業務執行、財務等、全般にわたり適正である旨、6月25日付けで作成しました監査報告を厚生労働省に提出しているところです。また、有限責任監査法人トーマスから財務監査の結果適正である旨の報告も受け検証しております。
次に、監事としての意見ですが、法人の業務におきまして、令和5年度の目標達成に向けて、先ほどから出ております自立支援のための取組、調査・研究、そして援助・助言には特段の成果を上げることができたと私たちも評価しております。特に著しい行動障害を有する者の受入れに際しましては、アセスメントを慎重に実施し、他の施設での受入困難な特性を緩和させ、相応の移行も実現できたこと。また、先ほどもお話がありました中核的人材の育成へも、法人として積極的に取り組んだことは、のぞみの園としての役割を十分に果たすことができたと考えております。
今後の課題としては、旧コロニーからの利用者の減少や有期限利用者の増加に備えた支援者を含めた受入体制の構築だと考えております。また、令和5年度に、これも先ほどお話がありましたが、医療との連携強化を目的とした診療所改革プロジェクトチームを立ち上げまして、今年度、病棟を廃止し、同時に財政改革へも取り組んでいるわけですが、こちらも評価できるものと考えております。
最後に、法人の長としてのガバナンスについてです。私ども監事が日頃、幹部会議等重要な会議に参加させていただいておりますが、理事長のこれまでの知識、経験に裏付けされた的確な指導により、トップマネージメントが発揮されており、内部統制が図られていると思っております。また、理事長を支える両理事においても、内部管理、施設管理に積極的に取り組んでおり、適正な法人運営に寄与されているものと思います。今後も、重い障害があっても豊かな暮らしが送れるように、深い愛情と熱意を持って、そして確かな支援スキルを身に付けて、全国の知的障害者福祉の向上のために取組を進めていただきたいと期待しているところです。以上でございます。
○真野主査
ありがとうございました。では、理事長、お願いします。
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
本日、委員の皆様には大変貴重な御意見、御指摘を頂きまして、誠にありがとうございました。令和5年度は、のぞみの園が独立行政法人として20年の節目の年であり、第5期中期目標中期計画の初年でした。今後の事業展開についてお伝えします。自立支援のための取組ですが、独立行政法人化以前からの施設利用者の平均年齢は70歳を超え、在籍者数も130名を切りました。加齢により重度化される方が年々増えています。高齢の入所利用者には、今後も意思決定支援から計画相談、個別支援計画の取組を重視して、調整機能と専門性を高め、利用者の暮らしぶりの向上につながるよう、法人全体で一層の連携を図っていきます。本人の尊厳と意思を尊重し、より良い暮らしとなる支援を工夫します。地域移行については、引き続き様々な体験を提供し、本人の意思を反映した支援を続けます。
利用者の高齢化は全国の施設でも大きな課題となっています。高齢の利用者に対する専門性では、終末期に対応するターミナルケアについて、プロジェクトチームを設置し検討を進めています。高齢入所利用者に対する専門性の高い支援では、令和4年度から継続している4つの班、1.高齢者支援、2.医療ケア、3.機能低下、4.認知研究をターミナルケアプロジェクトチームで継続して実施し、法人内マニュアルの改訂や、ACP(人生会議委員会)の立ち上げを行い、実践に資するように取り組みます。ターミナルケアに関しては、第三者委員に弁護士を迎え、医療同意などのリーガルチェックをしていきます。
行動障害に関しては、支援方法、人材育成、支援体制の整備、調整のノウハウが着実に蓄積されつつあります。著しい行動障害等を有する者の支援については、令和5年3月に、厚生労働省による「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会」の報告書がまとめられました。検討会は、状態が悪化した者に対する集中的支援の体制作りを、国、都道府県、市町村が取り組むことを求め、のぞみの園においては、現行の強度行動障害支援者養成研修に加え、中核的人材、広域的支援人材の育成を進めるよう求めました。これを受けて、のぞみの園が中核的人材育成研修と集中的支援に関わる広域的支援人材の調整機能を担い、行動障害に携わる際の標準的な支援が国内のスタンダードになるよう展開していきます。
令和6年度の国による報酬改定においては、のぞみの園の研究部で令和4年度から取り組んできた厚生労働科学研究の内容が評価され、中核的人材と集中的支援に報酬が付きました。現在は、のぞみの園だけで開催している中核的人材の育成研修ですが、今後は、全都道府県で実施できるように、援助・助言等を通して、著しい行動障害を有する者への支援の質の向上に寄与していきます。行動障害を有する者などの受入れでは、令和6年1月1日に発生した能登半島地震により被災した障害者支援施設の利用者10名を、厚生労働省の要請により、有期限の施設入所利用者として令和6年3月12日に受け入れました。当面は、被災後の辛い経験が癒され、普段の生活が送れるよう支援しています。石川の皆さんの地域移行に関しては、現地の回復状況を見ての移行となりますが、送り出し先の施設の対応を待つだけでなく、本人の意思と被災された御家族の意向を踏まえて、有期限の利用者と同様に、個別にも調整していきます。
医療ケアについては、有期限入所の新たな取組として、医療ケアが必要になり、施設利用を断られた方へ、利用継続が可能となるような調整をモデル的に始めました。日常の生活環境の中で、医療的ケアの支援が提供できるよう支援を整えていきます。緒に就いたばかりですが、法人の潜在能力、特に4月より強化した福祉と医療、支援と看護の連携を活用して展開します。この事業は、利用者が医療ケアを必要とする事態となったときに、サービスが受けられなくならないように支援することが重要ですので、必要な方に出会えるアンテナを張り続け、要請に応えられるようにします。
診療所については、令和5年度に診療所改革プロジェクトチームを編成し、高齢化、重度化に対応する支援の質を高めることに重きを置き、更には、経営効率による安定した施設運営に資することも念頭に検討を進めました。目指したのは、利用者が身近な生活の場面で適切な医療と支援が受けられる体制です。そのために病棟を廃止し、生活寮として運用することとし、看護師を生活寮へ配置転換しました。今後は、支援員と看護師の連携を図り、医療の専門性が利用者の日常生活においていかされるよう調整していきます。
矯正施設を退所した知的障害を持つ方への支援では、外部専門家によるコンサルテーションを継続し、支援の向上を図ります。一方で、令和4年6月13日に成立した刑法等の一部を改正する法律案では、新たな自由刑として拘禁刑を設けることとなっており、その内容が本事業にもたらす影響を注視して今後の事業展開を検討していきます。
援助・助言では、障害者支援施設をはじめとする福祉関係機関や自治体からの相談、問合せ内容は、行動障害を有する者の支援に関すること、発達障害児の支援に関すること、高齢の知的障害者の支援に関することが多くを占めます。今後は、行動障害を有する者の支援に関することについて多くの問合せが寄せられることが予想されますので、事業企画部と研究部の連携を強化し調整機能を高めていきます。
養成・研修では、行動障害関連のみならず、必要な研修を他機関とも連携し進めていきます。研修やセミナーの開催方法については、コロナ禍より得た知見を活用して、Webでの開催が有効な面は継続し、Webでは、研修効果が薄い研修は対面研修に切り替えて実施します。
調査・研究においては、内外のフィールドに着目して進めていきます。国内においては、一般の方からの公募に応じて得た研究テーマを扱うなどし、全国の施設の日々の実践に資する取組について検討していきます。
また、国外においては、東南アジア諸国と発達障害に関する連携を深めており、知的発達障害に対する保健医療政策の改善に資するよう連携体制を強化していきます。ここ数年施設運営に大きな支障となってきた新型コロナですが、令和5年5月8日に感染法上の位置付けが5類となりましたので、法人内における対応について見直しました。利用者と保護者の面会、外出などについては、感染対策に留意し、場所などに制限を設けながらも規制を緩めました。入園時のマスク着用、手指消毒など、基本的感染対策は継続して行っています。のぞみの園においては、高齢者や基礎疾患のある方も多いため、感染症対策は継続していきます。
最後になりますが、のぞみの園が国立機関として障害福祉行政に資する事業を推進しつつ、重度知的障害者の総合施設として機能するよう展開していきます。利用者の減少により縮小とならざるを得ない財政事情を常に意識し、業務運営の重点化と効率化に努め、知的発達障害分野の国立機関と連携して事業展開に工夫をしていきます。引き続き皆様には、御指導、御鞭撻くださいますよう、よろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございました。
○真野主査
ありがとうございました。今の2つについて、何か御質問とか御意見とかございますか。よろしいですか。ありがとうございました。では、以上で、本WGの議事は終わりになります。
最後に、事務局から少し説明をお願いします。
○事務局
今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただきました国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の「令和5年度業務実績評価」につきましては、この後、本WGにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえまして、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに、公表いたします。決定したそれぞれの内容につきましては、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。
事務局からは以上となります。
○真野主査
ありがとうございました。それではちょっと早いですが、十分な議論ができたかと思いますので、本WGはこれで終了とさせていただきます。熱心な議論をどうもありがとうございました。