2024年7月30日 独立行政法人評価に関する有識者会議 国立病院WG(第12回) 議事録
日時
令和6年7月30日(火) 12:00~14:00
場所
共用第8会議室(中央合同庁舎第5号館19階)
出席者
土岐主査、亀岡構成員、河村構成員、田極構成員、根岸構成員、本田構成員、三角構成員、山口構成員
議事
- 議事内容
- ○事務局
ただいまから「第12回独立行政法人評価に関する有識者会議国立病院WG」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、また、お暑い中お集まりいただきましてありがとうございます。私は事務局を担当しております政策立案・評価担当参事官室の富田と申します。よろしくお願いいたします。着座にて失礼いたします。
今回の会議は、対面参加とオンライン参加を組み合わせたハイブリッド形式となっております。オンライン参加の構成員の皆様への御連絡になりますが、会議中は、御自身が御発言される場合以外はマイクをオフにして音声ミュート状態にしていただくようお願いいたします。また、質疑応答などの際、御発言の希望がある場合には、Webexの挙手アイコンをクリックいただくか、チャット機能を使って発言の希望がある旨を事務局へ御連絡ください。事務局にて、御発言の希望を確認した後、発言者を主査が指名しますので、主査から指名を受けましたらミュートを解除して御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたら、再度、マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。また、本ワーキングの各構成員の紹介につきましては、会議資料の配布をもって省略させていただきます。
次に、本日の出席状況について御報告いたします。本日は、土岐主査、亀岡構成員、田極構成員、根岸構成員、本田構成員、三角構成員、山口構成員が会場での御参加、河村構成員がオンラインでの御参加となっております。
本年度、最初の初ワーキングの開催にあたり、政策立案・評価担当参事官室の三村参事官より挨拶を申し上げます。
○参事官(調査分析・評価担当)
本日は、皆様におかれましては、御多忙のところ御参集いただきまして誠にありがとうございます。御案内のとおり、本WGは各法人の業務の特性に応じた実効性のある評価を行うために、有識者の知見を活用することを目的として行われるものでございます。幅広い観点から御議論、御助言を頂きたいと考えておりますので、忌憚のない御意見を承りますよう何とぞよろしくお願い申し上げます。
○事務局
資料について御説明いたします。本日の資料に関しましては、お手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。オンライン参加の構成員の方々におかれましては、お手元に事前にお送りしている会議資料を御準備ください。本日の資料は、資料1~資料3、参考資料1~参考資料6となっております。資料の不足等がございましたら、事務局宛てに御連絡ください。
それでは、土岐先生、議事の進行をお願いいたします。
○土岐主査
皆様、本日はお暑い中、お集まりいただきまして本当にありがとうございます。今回は「国立病院機構」につきまして、「令和5年度の業務実績評価」及び「中期目標期間の実績評価」に係る意見聴取を行うこととなっております。法人から各評価項目における評定の根拠について重点的に説明しますので、評価の内容を中心に皆様から御意見と御質問を頂きたいと存じます。本日の会議は、おおむね2時間を予定しておりますので、円滑な議事運営に御協力くださいますよう、よろしくお願いいたします。
それでは早速、議事に移ります。議事の1番目、「令和5年度の業務実績評価」について御議論いただきたいと思います。はじめに、法人から簡潔に御説明いただき、説明が終わってから質疑応答という流れで進めたいと思います。それでは、法人から説明をよろしくお願いいたします。
○国立病院機構企画経営部長
資料2-1について御説明いたします。資料2ページを御覧ください。令和5年度もNHOの3本柱である医療、臨床研究及び教育研修に加えて、1月1日に発生しました能登半島地震に対しまして、NHOのネットワークを活用した医療活動を行うなど、求められる役割を果たしてまいりました。各評価項目の自己評価は後ほど説明いたしますが、これらを踏まえ、総合評価はAと。
○河村構成員
音声が聞こえないのですが、開始されていますでしょうか。
○土岐主査
河村先生の声は聞えますが。
○河村構成員
聞こえるようになりました。
○国立病院機構企画経営部長
冒頭からですか。
○土岐主査
いや。
○国立病院機構企画経営部長
途中からでもいいですか。
○土岐主査
はい。
○国立病院機構企画経営部長
これらを踏まえまして、総合評価をAとしました。それでは、次のページ以降を評価項目ごとに実績のポイントを御説明いたします。
○国立病院機構医療部長
医療部長の秋野でございます。よろしくお願いします。診療事業につきましては、医療の提供、地域医療への貢献、国の医療政策への貢献の3つの評価項目がございますので、順に御説明させていただきます。
医療の提供につきましては、3ページ目の資料を御覧ください。重要度「高」、自己評価をAとしております。根拠としましては。
○河村構成員
全然、音声が聞こえません。
○土岐主査
河村先生、聞こえますでしょうか。
○河村構成員
今の声は聞こえます。
(機器不調のため中断)
○国立病院機構医療部長
それでは、医療の提供につきまして3ページ目を御覧ください。重要度「高」、自己評価をAとしております。
根拠につきましては4ページ目の上段の表を御覧ください。定量的指標である専門看護師の配置数につきましては、令和3年4月の大学院進学者が新型コロナ拡大により減少したこともあり、目標値を超えなかったものの、これ以外の指標につきましては100%を超える達成度でした。特に、特定行為を実施できる看護師の配置数は、配置病院での活動事例、効果の横展開などによりまして、各病院における理解を深め、配置を進めたことなどから、配置者数は130名増加し、達成度144.4%でした。
具体的には5ページ目の左上を御覧ください。NHOでは、患者の目線に立ち、サービスの向上を図ることを目的に患者経験価値・満足度調査を行っております。令和5年度は、新たにPX調査、これは左側中段に※書きと設問例を記載しておりますけれども、患者がどのような経験をしたのか、具体的な選択肢から問う方法です。この要素を導入しまして、より端的に患者の声を把握することが可能となるように見直しを行いました。また、従前から他の設置主体との比較ができる調査としており、日本医療機能評価機構の平均値を上回る評点という、高水準の結果となっております。調査結果につきましては本部において取りまとめ、全体結果との比較や、病院ごとに質改善の優先課題が把握できるポートフォリオ分析等を示しております。
右側です。NHOでは、従前から病院間における医療安全対策の相互チェックを実施しており、令和5年度は131病院で実施しております。これにより、医療安全対策への新たな気づきや改善が図られ、安心・安全な医療の提供につながるとともに、NHOだけでなく全国の医療機関が参照できるように好事例とともに公表し、全国の医療機関の医療安全対策の一層の充実に寄与しております。
その下です。NHOでは、令和4年度より標準的医薬品検討委員会におきまして、NHOフォーミュラリーの作成を開始しております。令和5年度は、新たに2薬効群を加えまして、計10薬効群のフォーミュラリーを作成し、令和5年度末には全140病院で1薬効群以上のNHOフォーミュラリーを導入しております。
6ページ目、左側を御覧ください。令和5年度に引き続き、クリティカルパスの活用を推進しております。その下です。令和4年度に作成しました「臨床評価指標Ver.5」により計測しました新指標29指標を含む、合計110指標での計測結果を全て公開しております。また、令和5年度もクオリティマネジメントセミナーを開催し、PDCAサイクルによる継続的な医療の質の改善を促進しております。
右上は、冒頭に御説明した内容になります。右下ですが、高度な判断と実践能力を持ち、チーム医療を提供できるJNP、いわゆる診療看護師につきましても育成、配置を進めております。
7ページ目、地域医療への貢献についてです。重要度は「高」、難易度は「高」、自己評価をAとしております。根拠としましては8ページを御覧ください。上段の定量的な指標の表です。このうち「通所事業の延べ利用者数」につきましては、新型コロナの5類移行後におきましても感染対策等の観点から従前の受入体制を確保することは困難な状況が継続しているため、令和4年度の評価と同様に、令和5年度の評価対象から除外することとしております。これ以外の指標につきましては、おおむね目標を達成することができております。
9ページ目の左側です。5疾病5事業及び在宅医療につきましては、救急車受入数、手術件数は昨年度以上となり、また、令和5年度からスタートした「紹介受診重点医療機関」として76病院が指定されており、地域で必要とされる役割を積極的に果たしております。
右下です。令和6年4月から開始される第8次医療計画に6事業目として、「新興感染症発生・まん延時における医療」が追加され、公的医療機関等に対して、①から⑤のうち、あらかじめ講じるべき措置が義務付けられております。NHOでは、今後の新興感染症等の対応につきましても公的医療機関等としての役割を確実に果たすため、可能な範囲で積極的に対応することを基本方針とし、現在、都道府県からの協議の求めに応じて各病院が協議を進めており、順次協定を締結しております。
10ページ目の左上です。NHO病院では、地域全体の感染予防・感染防止対策の向上のために、地域の連携医療機関と合同し、新興感染症の発生を想定した感染対応力向上のための訓練を複数の病院で実施しております。
右上です。医療的ケア児支援法に基づきまして、都道府県が設置する医療的ケア児支援センターについてですが、令和5年度は1病院増加しまして6病院となりました。医療的ケア児への支援につきましては、令和5年10月から福岡病院と福岡東医療センターが、ほかの医療機関に先駆けまして福岡県から小児等地域療育支援病院と位置付けられ、NICUでの治療を終えた後、転院してきた子供と家族に自宅でのケアの訓練を行うなど、在宅療養を支援しております。
その下の認知症疾患医療センターについてです。北海道医療センターにおいては、長年の貢献により、札幌市から認知症疾患医療センター設置の要請があり、令和6年3月に指定を受け、翌4月から運営を開始しております。
11ページからは、「国の医療政策への貢献」の評価項目です。重要度は「高」、難易度「高」、自己評価はSとしております。根拠としては12ページ目です。定量的指標は、おおむね達成度100%を上回るとともに、下段の評定の根拠に記載しているように、石川県能登半島地震においては、NHOのネットワークを最大限に生かすことで、医療班や医療従事者を継続的に派遣し、被災地において切れ目のない医療活動を実施するなど、質的にも顕著な成果を上げ、かつ、難易度「高」であることから、自己評価をSとしています。
具体的には13ページです。まず、本年元旦の発生直後から、NHO本部内にNHO災害対策本部を設置し、被害状況の情報収集等や医療班派遣の調整を開始しております。2日には、現地対策本部を金沢医療センター内に設置することを決定し、3日中に本部職員を現地に派遣しております。4日からは、金沢医療センター内に現地災害対策本部を設置し、5日からは、NHO医療班による避難所支援活動を開始しております。7日以降、被害の特に大きかった輪島市に医療班を派遣し、輪島市の避難所支援の中心的な役割を担い、DMAT、自衛隊等、他機関との連携を図り活動しております。また、金沢医療センターにおいては、発災直後より、被災した医療機関の透析患者や介護老人保健施設等の寝たきり状態の入所者などを積極的に受け入れました。10日からは、受入体制をさらに拡大すべく休棟病棟を開棟し、全国のNHO病院から医師、看護師を派遣し、入院患者に対応しております。加えて、国の災害救助活動にも積極的に対応しており、2日からDMATに、5日からDPATにNHO病院が参加しており、12日からは、厚生労働省からの要請に基づき、NHO病院の看護師を被災地の医療機関に派遣する広域看護師派遣に対応しております。
14ページ、左側です。厚生労働省のDMAT体制の貢献としまして、石川県能登半島地震においては、発災直後からDMAT事務局員が、石川県との連絡調整や被害状況の情報収集等を行い、現地のDMAT本部等の支援等を実施しております。また、WHOからの要請があり、DMAT事務局員がエジプト、カイロに派遣されました。そこでの本のDMATの手法が活用され、ガザ地区内で活動する医療チームの情報を集約し、ガザ保健省などに報告する支援を行っています。
右側です。エイズの医療体制につきましては、全8ブロックのうち4ブロックは、NHO病院がブロック拠点病院に指定されております。令和5年度も引き続き、全科対応による総合的な診療、臨床研究、人材育成の取組を着実に実施し、HIV診療の均てん化等の拠点として貢献しております。
また、国の医療分野における重点課題への対応としまして、令和5年度も、後発医薬品の利用促進を実施しており、採用率は令和2年度から継続して後発医薬品の供給が滞る中、各施設における取組の共有、後発医薬品使用割合ランキングを配布するなどの努力の結果、数量ベースで90.5%と、計画の85%を上回っております。
○国立病院機構総合研究センター長
続きまして、臨床研究事業について御説明をさせていただきます。15ページを御覧ください。自己評価はA、重要度「高」、難易度「高」と設定させていただいております。16ページを御覧ください。指標の達成状況ですが、令和5年度は実績値が2,860本となっており、達成度106%となっております。評定の根拠につきましては、具体的に17ページで御説明させていただきます。
17ページを御覧ください。診療情報の収集・分析と情報発信機能の強化につきましては、外部のデータベースとの連携です。国の医療情報政策に基づき、令和元年度からPMDAのMID-NETと連携し、MID-NETを活用した医薬品の製造販売後データベース調査等で利用されるデータ量の充実を図り、医薬品等の安全対策の高度化に協力をしております。令和5年度は、レセプトとDPCの連携データ提供の運用を10月に開始し、これに伴い、データの利活用の前提となる情報提供のための秘密保持契約を12社と締結し、うち1社につきましては利活用に向けた審査手続の準備を進めております。
また、左の下ですが、次世代医療基盤法に基づき、認定匿名加工医療情報作成事業者である一般財団法人日本医師会医療情報管理機構へ医療情報データの提供に協力しております。一番下に示しているとおり55病院で、これは全国119機関のうち46.2%を占めているという状況です。右の上ですが、大規模臨床研究の推進につきましては、先ほどの指標の所で御説明させていただきましたように106%で2,860本の英文の原著論文が発表されております。右下を御覧ください。迅速で質の高い治験の推進ですが、NCDA等の診療情報データベースを参加意向調査などに活用することとともに、本部で治験の実施状況を継続的にモニタリングし、施設に対して進捗に関する指導や助言を行っております。
その結果、新規課題数が203課題、また、企業から依頼された治験の実施症例数が4,629例と、前年度比では647例増えるという状況になっております。臨床研究事業については以上です。
○国立病院機構医療部長
続きまして、教育研修事業についてです。河村先生、聞こえておりますでしょうか。再開させていただきます。18ページを御覧ください。自己評価はAとしています。根拠としましては、定量的指標において特定行為研修修了者数につきましては、目標を大きく上回る達成度121.5%となる164名の特定行為研修修了者を出し、また、地域の医療従事者を対象とした研修会、並びに地域住民を対象とした研修会の開催件数につきましても、それぞれ1,261件と566件で、達成度も120.2%と125.5%であり、いずれも目標を大きく上回っており、その他の指標につきましても全て目標を達成できたことなどから、自己評価はAとしております。
具体的には20ページ、左上を御覧ください。1つ目としましては、地域医療に貢献する研修事業の実施についてです。地域の医療従事者や住民のニーズを踏まえた上で研修会等を1,827回開催し、これにより地域の医療従事者、患者や地域住民への医療情報発信に貢献しております。そのうち、感染症対策に係る研修の実施件数は535件で、外部受講者として2万4,870名の参加がありました。
また、左下から右上にかけて、いわゆるポストコロナの感染症対策に係る具体的な取組事例として、病院実施分、本部実施分をそれぞれ列挙しております。
右下を御覧ください。新型コロナ禍におきまして、新たに導入したe-ラーニングシステムを効率的に活用し、職員の研修受講機会を引き続き確保するとともに、導入を契機に研修内容の共通化を進め、均質化された質の高い研修の実施に努めました。
また、コロナの5類移行後を契機とした集合研修の再開に加え、テレビ会議システムを用いての研修を併用するようにしたことで、開催形態を弾力的に変えながら効率的な研修を実施しました。
21ページの左上を御覧ください。強度行動障害医療に対し、多職種専門医療としての底上げを目的とした研修を本部で実施して83名が受講しております。また、障害者等に対する虐待防止に係る意識向上をも目的とした虐待防止研修を本部・グループで実施し、計224名が受講しております。
2つ目は、質の高い医療従事者の育成・確保についてです。質の高い医療の提供やタスクシフトに資する看護師を養成する機関である特定行為研修指定研修機関又は協力施設の拡充を進めており、本部におきまして制度についての説明会や研修指導者となる医師、看護師等への講習会の開催等に取り組み、その結果、指定研修機関数は機構全体で、3病院が増えて38病院になりました。これは全国の指定研修機関数の9.2%となる数です。協力施設につきましても46病院となりました。
また、指定施設になった後におきましても、施設間のマッチングや新たに研修担当者を専従配置できる仕組みを創設するなど、研修の受講機会を拡大する取組や研修の充実を図る取組を行った結果、研修修了者は目標を大きく上回っております。
右側に続きますが、特に在宅領域の特定行為につきましては、国も推進しておりまして、また、地域で行為者の育成の必要性もあることから、NHOでは地域の他設置主体からの受講生の受入れも除々に拡大しており、広島西医療センターなどでは、ほかの訪問看護ステーションの職員の研修受入れ、研修修了者のフォローアップ研修を行うなど、国や地域の医療提供体制構築にも大きく貢献をしております。
22ページを御覧ください。看護師のキャリアパス制度の充実としまして、NHOでは独自の能力開発プログラムを作成し、看護職員のキャリア形成を支援しております。例えば、看護学生の実習受入れの際、より質の高い教育や指導が行えるよう、実習指導者講習会を開催しております。この講習会の開催に当たりまして、カリキュラムを共通化するとともに、開催回数の増、そしてe-ラーニングを活用すること等によって、より多くの看護師が受講できる環境とし、前年度比161.5%となる344名が受講しております。このほか、看護師長や看護部長などの看護管理者につきましても、方法を工夫しながら教育研修の機会を設けております。
左下からは、医師の育成キャリア支援となります。初期研修医・専攻医などの専門医を目指す医師等を対象としまして、NHOのネットワークを活用し、各領域の専門性に秀でた指導医が講師を務め、講義と技術習得を組み合わせたセミナー形式の実地研修である「良質な医師を育てる研修」等を引き続き開催しているほか、セーフティネット分野の医師の育成のための研修も実施しており、具体的には「重症心身障害児(者)に関する研修」においては、参加者のスキルアップを図るため、実際の医療機器で呼吸管理を学ぶハンズオンセミナーや、臨床上の課題である意思決定・臨床倫理についてのグループワークなどを実施しております。
右側を御覧ください。初期研修医の積極的な受入れや、専攻医が安心して研修できる環境整備を行っております。
○国立病院機構企画経営部長
それでは、評価項目の「業務運営等の効率化」について御説明いたします。23、24ページです。経常収支率につきましては100.4%で、目標を達成し、かつ、難易度は「高」であること等を踏まえまして、自己評価はAといたしました。具体的な実績の説明は、次のページにて御説明いたします。
25ページを御覧ください。左上の○です。新たな勤務時間管理方法の導入・運用の開始です。NHOでは、1病院を除く全病院で、ICカード等を利用した勤務時間システムを導入しました。これによりまして、本部において各病院の勤務時間関連データが集績可能となりまして、病院への個別調査が削減できることとなりました。
次に、その下の経常収支です。令和5年度の経常収支は47億円の黒字、経常収支率は100.4%となる一方で、病院経営の主軸である医業収支につきましては、325億円の赤字となっております。今後も、当機構の役割を果たし続けるためには、新たに感染症対策や災害対策及び医療DXの対応などの医療機能の強靭化に取り組む必要がありますが、こうした投資を行うための資金余力が十分にあるとは言えないという状況になっています。
それから、右の収支改善の推進です。NHO病院の中で特に経営状況が良好な病院の院長を本部顧門と任命しまして、同顧門、本部及びグループが協力いたしまして、特に経営改善の必要な9病院を訪問する等、経営改善の支援を行いました。
次に、投資の促進と効率化です。医療機能の維持や地域医療構想に基づく対応等に係る投資等を着実に行いました結果、令和5年度の投資決定額は前年度から82億円増加して570億円になりました。
続きまして、26ページです。法人全体の資金の有効活用による強靭化に向けた取組です。NHOに求められる役割を果たすために、感染症対策・災害医療対策の建物整備やICT基盤整備等の取組を進めるために、病院と本部の保有資金から拠出する資金を財源とする基盤強化推進基金を令和5年度に創設し、運用を開始したところです。
次に、経費の削減です。NHOでは、機構内の病院や他法人等との共同購買に取り組んでおります。費用削減効果としては、医療材料については年間4.2億円、医療機器等については年間200億円の効果がありました。次に、右上の調達の効率化です。談合等の不正行為に係る違約金の率を契約金額の10%から20%に引き上げたところです。
次に、IT化の推進です。マイナ保険証や電子処方箋の導入等の医療DXの推進に向けて、本部から各病院に説明会を実施し、積極的な対応を求めるなど、推進に向けて取り組んでいるところです。最後に、一般管理費の節減です。平成30年度と比較しまして10.7%節減したところです。
続きまして、評価項目の「予算、収支計画及び資金計画」について御説明いたします。27ページです。定量的指標はありませんが中期目標を達成していることから、自己評価をBとしたところです。具体的な実績の説明は、次ページ以降です。
28ページの左上です。長期債務の償還です。令和5年度末の時点での残高は、4,052億円と着実に償還したところです。それから、その下の積立金の国庫納付です。独立行政法人は、現行制度上、5年ごとの中期目標期間終了に際し、積立金については、主務省庁と協議しまして次期中期目標期間の投資等のための繰越額と国庫納付額への振り分けが決められることとされています。第4期中期目標期間の積立金の国庫納付ですが、令和5年6月の我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法の施行におきまして、積立金のうち422億円を納付する義務が課されまして、令和6年3月に納付したところです。
また、厚労省との協議の上、206億円の追加国庫納付を行うこととなり、7月10日に納付したところです。先ほどの422億円と合わせて納付額は628億円となりまして、次期への繰越額は740億円となっているところです。
国庫納付制度の課題等ですが、今回の経営努力認定においては、コロナ禍において危険を顧みず最前線で対応した職員7万人の尽力や、これまでの投資抑制等の努力は認められなかったということです。診療事業等によって得た利益は、本来は患者に還元することが求められますが、今回の国庫納付によって十分に活用できなかったということであります。
それから、国からのNHOへの運営費交付金は、令和3年度以降ゼロになっておりまして、長期借入金7,600億円を償還し続ける必要があります。こういった現行制度では、中長期的に予見可能性をもって病院運営を続けることが難しいと思っております。NHOが今後も、その役割を十分に果たせますよう、各種制度の見直しに向けて各方面の理解が得られるよう努めてまいりたいと考えております。
続きまして、29ページを御覧ください。令和5年度の経営状況について、項目ごとに令和4年度と比較したグラフです。詳細な説明は省略いたします。
次に、評価項目の「その他主務省令で定める業務運営に関する事項」について御説明をいたします。30ページです。定量的指標はありませんが、中期目標を達成していることから、自己評価はBとしました。具体的な実績の説明は、次ページ以降です。31ページの左上です。医師確保対策としての各種制度の実施です。定年を迎える医師の蓄積している専門知識の更なる浸透及び短期間勤務が可能な医師の確保を目的として、各種制度を引き続き運用しているところです。その下ですが、看護師の離職防止・復職支援策の実施です。看護師のキャリア形成支援などによる離職防止・復職支援に引き続き取り組んだことで、令和5年度の離職率は、全国の病院看護実態調査と比較しまして、NHOの方が低いという結果になっています。
次に、その下の障害者雇用に関する取組です。令和5年度の基準日時点の障害者雇用率は、2.84%と法定雇用率を上回っているところです。右上の技能職の削減です。技能職は不補充とし、アウトソーシングを進めることで85名の削減を行ったところです。
○国立病院機構医療部長
続きまして、コンプライアンスの徹底についての取組です。令和5年12月に大牟田病院において、障害福祉サービス利用者に対する虐待事案が発覚しました。事案発覚後、速やかに自治体へ通報し、その後一部の事案については自治体より虐待認定されております。本事案につきましては、法人として重く受け止めており、全病院長に対し、全職員への虐待防止や人権擁護への意識の徹底を図るように指示するとともに、臨時の病院長会議を開催し、改めて全病院が当事者意識を持つこと、また、各病院の虐待防止に係る取組事例を共用するなど、法人一体となって虐待防止に取り組んでおります。現在、大牟田病院が設置した第三者委員会によって原因等の調査が進められており、調査結果がまとまり次第、当該結果を踏まえた再発防止策を講じていくこととしております。
その一方で、既に大牟田病院におきましては、全職員に対する研修を実施し、今後、利用者との交流の場の整備などにも取り組むこととしております。また、既に本部におきましても、虐待に係る相談・通報を受け付ける窓口を職員や患者・家族等に改めて確実に周知するように各病院に指示するとともに、当該窓口の周知状況に係る病院間での相互チェックを令和6年度から行うべく、医療安全相互チェックの項目を緊急的に追加しております。
更に今後、第三者の参画を得ながら、教育研修体制の強化を図るとともに、虐待防止に係る病院の取組体制や、虐待疑い事案の通報状況についてモニタリングする仕組みを整備することとしております。
○国立病院機構企画経営部長
続きまして、32ページの左上の「勤務環境に係る取扱いの明確化について」です。「勤務環境取扱いハンドブック」を各病院に配布しまして、全職員に制度や勤務環境に係る取扱いへの理解を共有するとともに、プロジェクトチームにより必要な対応の提言を行い、各病院の実態に即した更なる勤務環境の充実を図ってまいります。
次に、情報セキュリティ対策の強化です。国等からの要請等に基づいた取組を行うとともに国の医療分野における情報セキュリティ対策に貢献しております。それから、右側の広報に関する事項ですが、能登半島地震での被災地におけるNHO病院や現地災害対策本部等の活動状況を継続的に発信するなどの広報に取り組んでいるところです。令和5年度業務実績の説明は以上です。
○土岐主査
それでは、ただいまの令和5年度の実績評価について、構成員の皆様から御意見、御質問等をお受けしたいと思います。Webの方はWebで、そのほかの方も、もしありましたらよろしくお願いしたいと思います。どうぞ、順番にいきますか。
○山口構成員
山口です。御説明どうもありがとうございました。コロナが昨年5月に5類になったとはいえ、すごいスピードでいろいろなことを元に戻していかれていることと、さらに推進されているということを実感しています。特に能登半島地震が元旦に起きたときも、これまでの経験をいかされて、とても迅速な活動をされたということもよく分かりました。それから、特に後発医薬品が供給不安定な中で90.5%維持されているのは、驚異的なことではないかと思ってお聞きしていました。
その中で、幾つか質問したいことがあります。まず5ページの患者目線に立った医療の提供ということで、患者経験価値・満足度調査をされたということで、1例として金沢医療センターでこういった患者サービス向上を図っているということが書かれているのですが、どういった問題がこういったPXを使うことによって問題が見えてきたのかということや、全体的に取り組まれた項目などが、もう少し分かるように出していただけると具体的なことが分かるのではないかと思いました。次回以降で結構ですが、その1例だけではなくて全体的にどんな改善が図ることができたのかというようなことも含めて出していただけたらと思います。今回、そういった傾向を、もしお伝えいただけるのであれば幾つか教えていただきたいというのが1つ目です。
2つ目として、20ページの所に患者や地域住民を対象とした研修ということで、とても充実した研修を行われたということが書かれているのですが、病院が患者や地域住民を対象とした講演会を実施される場合、例えば認知症など、そういう病気のことについての講演会をされることが多いと思いますが、具体的にどんな項目でされているのでしょうか。と言いますのも、やはり患者を取り巻く医療の環境は今、ものすごく大きく変わってきていて、例えば医療機能の分化や、かかりつけ医機能ということも含めて、疾患以外のことで一般の方に知っておいてもらいたいことが結構あると思っています。そういったことも研修の中に盛り込まれているのかどうかということが、少し気になったことと、それから開催するだけではなくて、できれば、それによって患者の受診行動がどう変化したかなど、例えば検診の受診率が上がったなど、そういった効果を、できれば今後で結構ですが、計るようなことも同時に進めていただくと、よりいいのかなと思いました。具体的にどんな内容をされているのかということを、お尋ねしたいと思います。
それから最後に、28ページの所ですが、これは昨年も申し上げたのですが、閣議決定されたとはいえ、コロナの患者さんを診て補助金を得ていたのは、国立病院機構とJCHOだけではなくて、きちんとコロナの患者を診たことに対しての正当な補助金だったわけですが、それを医療のことではなく防衛費に使われるということに対して、私はやはり今でも非常に疑問を抱いたままでいます。今回、ここの右側に書かれているように、5年経過ごとに国庫納付額が決められる現行制度ということが、「予見可能性をもって病院運営を続けることが難しい」と書いてあるのですが、これは分かりやすく言うと、稼げる独法が不利になるというようなことだとお聞きしています。コロナの補助金もそうですが、NHOの中で老朽化している病院がかなり多い中で、そういったところにお金を使うということが必要ではないかと私は思いますが、この5年ごとの国庫納付額が決められているという制度というのは、どうすれば見直していくことができるのか、それは機構にお聞きすることではないかもしれないのですが、ここはやはり一生懸命に頑張れば頑張るほど不利になるということは何とかしないといけないのではないかなと思っていますので、是非、有識者会議でもそういう声が上がったということを、どこかに届けることができればと思っています。以上です。
○国立病院機構医療部長
御質問ありがとうございます。まず、1点目ですが、患者経験価値・満足度調査のことなのですが、今、iPadの資料の5ページ目のスライドを見ていただけますか。
○土岐主査
資料の番号は。
○国立病院機構医療部長
失礼しました。資料2-1になります。そちらの左下のほうに、ポートフォリオ分析等のイメージ図を載せています。患者経験価値・満足度調査は令和5年度に初めて実施した調査です。このように右側の図のような型で、まず縦軸に機構全体のスコアとの比較という軸と、それから総合的な満足度との相関というものを横軸に設けまして、これは140病院全て個別に、総合評価と相関があって、例えば機構全体のスコアとの比較において悪いといった場合には、右下のような「優先改善領域」だというような形で、病院が改善に取り組む項目が分かりやすいような形で分析したレポートを出しています。今後、病院においては、こういった情報を参考に、PDCAサイクルを回していただいて、また今年度も同じような調査をしていますので、着実にPDCAを回し続けるという取組を進めたいと考えています。
それから、もう1点目は研修に関する分野です。教育研修事業については、委員に御指摘いただきましたように、地域住民を対象とした研修会、例えばヘルスリテラシーの向上について、地域住民が自治体の発信する情報やマスメディアの報道等により、自ら意識を向上させるということが考えられるので、個別のNHO病院による研修会の開催によって、どのくらいの効果があったということを示すのは難しいのですが、ヘルスリテラシーの向上や、それから生活習慣病の改善、検診の受診率に関わるような、そういった項目での講演はしているところです。
○国立病院機構副理事長
防衛費財源の積立金の国庫納付の関係について、お答えさせていただきたいと思います。ここに書いたとおりで、5年たった段階で、そのとき積立金が残っていたら、それについて厚生労働省と協議しながら納付額が決定されるというようなプロセスになっています。私どもは、そもそも国庫返納制度というものが、通常の独立行政法人ですと、運営費交付金というものを国から頂いて、それをベースに事業が運営されて、それを頑張って節約すれば、その節約して残った積立金の幾ばくかが独立行政法人のほうにも残してもらえるということで、国から頂く交付金を節約するインセンティブになるということで、そういう努力を評価しつつ、しかし、もともとの財源は国からの交付金なのだから、それは余ったらきちんと返すべきだという趣旨で、この制度はもともとは作られているのだろうと思います。私どもは、運営費交付金で事業を賄っているというわけではなくて民間の医療機関と同様に、その診療報酬財源で事業を運営していることから、そこは通常の独法とは違った形での御配慮をいただかなければならないのだろうということです。特に診療報酬で事業を行っていて、毎年、毎年の収支の問題はありますが、長期的な50年先を見据えた病院の建替えなどについても、きちんと財源を確保していかないと、いずれ建替える時期が来ますので、それは昔だったら運営費交付金を頂いて建て替えるということが可能でしたが、今日では、我々が頑張って積み立てていって、それを将来の建替えの資金にしていくという仕組みになっていると考えるものですから、その点も加味した上で、国庫返納制度というものの在り方を考えていただきたいと考えています。この点については、厚生労働省、あるいは財務省、そういった関係機関の御理解を頂けないと制度そのものの問題ですので、我々だけでは何ともし難いということで、御理解いただけるように、政府には我々の事情について丁寧に説明していきたいと考えています。以上です。
○山口構成員
先ほどの患者や住民への研修ですが、例えばアンケート1つをテーマに合わせて、受講する前にはどういう意識で、受講した後で何か変わったのかということのアンケートを取るだけでも、やはりちょっと違ってくると思いますので、そういったことを工夫されてはどうかと思いました。
○土岐主査
先に河村先生、お願いします。
○河村構成員
聞こえていますか。恐れ入ります。御説明くださってありがとうございます。大変ないろいろな業務環境の中で、本当に今年もなのですが、本当に国民のいろいろな局面のところに、本当にいろいろな立場の方が、NHOの方々が尽くしてくださって、そのおかげで本当に日本全国各地の国民が医療サービスを手厚く受けられて暮らすことができていると思いますので本当に感謝申し上げますし、高く評価できると思います。
特に10ページの所で御説明くださった地域医療構想などでも、地元の自治体からいろいろ御依頼が来ているわけですね。福岡のほうでは小児地域療育支援病院と位置付けられたなど、それから札幌で認知症疾患医療センターになってもらいたいという、そういう依頼が来たとか、そういう各地域でも本当にNHOさんは評価されているということの表れなのではないかなと思っています。
評価項目については、ちょっと順番に申し上げます。最後の4-1の所はちょっと意見を言わせていただきますが、それ以外の所については、この自己評価されたところについて、こちらからは異存は特にありません。大変高い実績を示されたと、本当に高く評価できると思っています。
まず、経営状況の所で幾つか御質問させていただいた上で、私からの意見を少し言わせていただければというふうに思います。まず、25ページの所でいろいろ経営環境が厳しいところを御説明くださったのですが、今年度はコロナ要因が剥落した中で、経常収支は何とかすれすれですがプラスになったので、本当によかったと思います。本当にいろいろ御尽力があったからこういう結果が出たのではないかなと思っています。ただ、やはり一方で、この医業収支を見ると、なかなかまだまだ厳しい。これを抱えて、この先どうやっていかれるとお考えなのかというところを、もう少し御説明いただければと思っています。25ページの所で御説明くださいましたが、熊本医療センターが経営状況が良いということで、そこの院長先生が中心になって、いろいろ経営改善の必要な病院を訪問されたりしているというお話なのですが、質問が幾つかあります。熊本医療センターの経営状況が良好とおっしゃるのは、何でなのでしょうか。どういった側面、例えばどういう御尽力があるから抜きん出ているなど、そういうところが、もしあればお教えいただきたいこと。
それから9病院を訪問されて、その経営改善の支援はどういった側面での支援をなさったのか。それから、令和5年度は16病院についても議論なさっていると。その16病院について、どういう議論をなさっているのかといった辺りと合わせながら、今後の医業収支をどういうふうに持っていく方向で御尽力していらっしゃるのかというところを、お尋ねさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○国立病院機構企画経営部長
熊本医療センターのほうから御説明させていただきます。経営状況が良好な理由として考えられるものは、まず1つ目として、救急患者の受入体制について、救急医だけではなくて全科のバックアップ体制を構築しておられるというふうに承知しています。時間内の救急患者への初療は、救急医が行いますが、その後は各診療科へ転科して、時間外は全科の当直医と救急科で対応するということをしています。
2点目としては、地域の医療機関からの紹介患者については電話で迅速に予約可能な体制を構築しているということがあると考えています。
それから、3つ目としては、救急隊との症例検討会、あとは地域の医療機関への訪問などの連携を密にしていることなど、救急医療の充実と地域医療の貢献を通じて入院患者の確保を積極的に行うことによりまして、高い病床利用率を維持されているということが考えられるのではないかと承知しています。
もう1点、9病院と16病院についての具体的な議論や討論の内容ですが、経営悪化の主要因というのは入院患者の減少と費用増加です。いかに入院患者を確保して、高い病床利用率を維持するか。確保できない場合には、病床数を見直すなどの検討などについて議論を行っているところです。具体的には先ほどもちょっと触れましたが、救急の受入体制に問題がないか、地域からの紹介患者の受入れがスムーズに行われているか、あとは人件費や材料費等の費用について削減余地がないかなどについて議論を行っているところです。以上です。
○河村構成員
ありがとうございます。救急の所を中心というのは、私は部外者の人間ですので意外でした。もっと経営の本丸的な所の何か、すごい取組があるのかなと思ったのですが、そうでもないのですね。そういうところで工夫される余地があって、それで病床が埋まる率がアップしていけば経営にプラスの影響があるということなのですね。よく分かりました。
こういったところの側面をいろいろいかしながらやっていかれるということだと思いますが、まだまだちょっと医業収支の所では、機構全体とすれば大変だと思いますので、是非、御尽力を頂ければと思います。
それを受けて、先ほどもちょっと話が出ていたのですが、国庫納付金の所で、これは意見です。言わせていただきます。本当に御説明もありましたし、先ほど山口委員からの御意見もありましたし、本当にごもっともな点というのは多々あると思います。私は財務省の側の財政制度等審議会の委員などをしている立場でもありますが、ちょっと防衛財源のところは政治的な決定でなかなか言えないところもありますが、やはりいろいろなことを皆さんお感じになったり、いろいろな意見がおありになるのもすごくよく分ります。
ただ、一般の国民の意見からすると、例えば25ページの所に、経常収支のグラフが出ていますが、このコロナの時期に経常収支の赤を埋めて、これだけ残るわけです。やはりこれにちょっと疑問を抱く国民がいるのも、一方では事実です。ですから病院の関係の方、医療の関係の方々からすれば、あれだけ過酷な状況の中で、あれだけのコロナ禍の中で国民のために尽くしてやったのだからということで、これぐらいと思われる方がいらっしゃるのも、それも承知しますが、一方ではそうではない。必要なお金はもちろん国費から、税金から出すのは当然だけれども、やはりいくら何でもちょっと出しすぎたのではないか。出し方にいろいろ制約があったから、とにかく「えいっ」という感じで、お金をばっと出さなければいけなかったというところもあるのだけれども、ちょっと多すぎたところもあったのではないのという意見があったことも一方で事実ですので、やはりそこもちょっと受け止めていただければというか、その辺。ですから、なお説得力があるようにするためには、要するに、どれだけ積立金が積み上がっていったのかというのは、例えば要因別に積み上げ棒グラフなどで示して、それでどういう要因で、どういうふうに寄与してきたのかというところをお示しになるのも、外部に対して説明する上での説得材料には、ひとつなるのではないかなというふうに思います。
本当にいろいろな独法がある中で、NHOは本当に特別会計から独法に移行されたときに、基本的に収支相償でやるということで、正直に言って厳しいですよね。何でこの国は、このNHO病院に対して、国立病院に対してこんなに厳しいのか。しかも長期の借金も自力で返せというのでしょう。こんな厳しい扱いを受けている独法は、正直に言って、ほかにはないと思います。それぐらい厳しい。でも、そこを乗り越えて立派にやってらしたからということで、すごくやはり国全体の中で、独法の中でも一番、みんなに尊敬されているというところもありますので、本当に厳しい、特に設備を更新しなくてはいけない中で、こういう扱いは幾ら何でもとおっしゃるのも分かる気もします。是非、そういった辺りのデータの見せ方、説明の仕方も工夫しながら、これからいろいろ各部署とも、これは本省のほうだと思いますが、交渉していっていただけたらと思います。以上は意見です。
この後、もう1つ、4-1の所、31ページの大牟田病院の所について、ちょっと御質問させていただいた上で意見を言わせていただきたいと思います。本件については、私も報道で拝見しました。東京に住んでいる人間ではありましたが、報道で拝見しましたし、大きく報じられていました。あとで、いろいろ検索すると、これは別に九州のメディアだけではなく、本当に全国のメディアで大きく取り上げられていたということが大変よく分かるのではないかというふうに思います。
お尋ねしたいのは、本件について今も、まだ何か第三者委員会で調査中というふうにあるのですが、やはり世論のほうからは、かなり厳しい指摘が出ています。そこをちょっと引用しながら、どの程度どう対応されているのか、もう少し詳しく御説明いただきたいというふうに思います。私がいろいろ見ていますと、例えば5月12日の西日本新聞さん、これは普通の記事ではなくて社説で出ています。これは本当に重たいと思います。どういうことを書いていらっしゃるかというと、女性患者の方で被害者の方、被害者の一人は怖くて拒否できなかったと言ってらっしゃると。それに対して、記者会見を受けた病院側の説明は釈然としない。院長は記者会見で、職員が介護や医療行為の一環と考えていた可能性があり、どうして行ったのかはっきりしないと述べた。介護と虐待の間にはグレーな部分があり得るとの見方も示した。認識が甘いのではないかというふうに書かれています。この点について、どういうふうにお答えになるか、ちょっとこの場で御説明いただきたいと思います。
同じ西日本新聞の社説では、病院の管理体制には重大な不備があると、虐待の多くは夜間に1対1の状況で起きたと、同性同士や複数人で患者に対応する原則が徹底されていなかった。そういうところが不備だったのではないかということが書かれています。
それから、続けて5月15日には全国紙です。読売新聞も、これを社説で取り上げています。やはり重たいと思います。患者への虐待、弱みにつけ込む卑劣な行為だという社説が読売新聞に出ています。この読売新聞でも同じように、こういう職員への研修を拡充することが重要だなど、入浴の介助やおむつ交換は同性の職員が担当し、患者と職員が2人きりにならないようにチームでケアするといった体制整備を徹底してほしいと書かれています。こういう指摘が出ていますし、しかも、両方とも社説です。全国紙を含む社説はやはり、これが国民の声だと思います。読売新聞は、必要に応じて職員の刑事告発も検討すべきと、そこまで書いています。これは国民の声だと思います。こういうところについて、現状どのような対応をしていらっしゃるのかというところを御説明いただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
○国立病院機構医療部長
どうもありがとうございます。医療部長です。本事案については、法人として大変重く受け止めています。大牟田病院、そして鈴鹿病院におきましては、既に患者、それから家族の皆さん、関係者に対して謝罪をするとともに、第三者の協力を得ながら徹底した原因究明と再発防止策を講ずるように取り組んでいるところです。本部においては、全病院長に対し、全職員への虐待防止や人権擁護への意識の徹底を図ること。それから、虐待に係る相談通報を受け付ける窓口を、職員、患者、家族等に改めて確実に周知をするよう、各病院に指示をしていまして、当該窓口の周知状況に関する病院間での相互チェック等を行うべく準備をしています。さらに、今後は第三者の参画を得ながら教育研修体制を強化するとともに虐待防止に係る病院の取組体制や虐待疑い事案を把握した際に、自治体への適切な通報が徹底されるように、モニタリングをするような仕組みを整備することとしています。引き続き、機構一体となりまして、虐待防止対策の更なる徹底に全力で取り組みまして、患者、家族の方、そして国民の皆様の安心と信頼の回復に努めていきたいと考えています。
○河村構成員
分かりました。ただ、ほかの記事などを見ますと、この事案に関わられた職員の方は処分されていないのではないかという指摘もあります。ただ、退職はされているのですが、処分はされていない。先ほどの院長の記者会見の報道などを見ても、何か介護行為と、そういう虐待行為で何かグレーな所があって線引きができないなど、そういうお答えもされていたようなのですが、この辺はどうですか。処分というのはなさらない。それで、世の中が納得しますか。
○国立病院機構副理事長
今の御質問に十分なお答えになっているかどうか自信がないのですが、若干の背景も含めてお答えしたいと思います。まず大牟田病院ですが、この大牟田病院というのは障害福祉サービス利用者が利用される病院、例えばお子さんのうちから重度の障害を抱えた患者さんが、そこで医療的ケアを受けながら、ずっと生活をしていて、その病院で看護師さんとその患者さんの関係が医療的ケアだけではなくて生活の様々な支援も含めて、長い時間を掛けて提供するということで、少し普通の急性期病院でイメージされるような患者さんと医療従事者の関係とは少し、まず様相が異なるという部分があります。
院長が、その虐待と介護の境目がはっきりしない部分があるというようなことをどういう趣旨で言ったか正確なところは分かりませんが、例えば考えられるものとしては、ナースコールに対応する時間にすごく長い時間が掛かってしまったという場合に、ほかの患者さんの対応に追われていて、呼ばれた患者さんの所へすぐには行けなかった。それは本当に申し訳ないことなのですが、それをネグレクトであるというふうに捉えますと、サービスの質が低いという問題なのか、15分待たせると虐待になるのか、20分待たせると虐待になるのか、そういった線引きがはっきりしない部分は確かにあります。多分、そういうことで虐待と介護のサービスの水準の問題の境目が分からなくなるようなこともあるというようなことを言ったのではないかなと思います。そういった虐待とサービスのあり方の関係には非常に難しいところがあって、同性介護も、我々はなるべく進めていますが、やはり人員の関係上、どうしても同性同士だけの対応ではできないということもあります。これもやはりサービスの限界なのですが、同性介護ができないから、それは虐待であるとまで言われてしまうと、率直に言うと、なかなかそれだけの体制を整備できるだけの報酬上の措置もありませんし、限界があるのではないかなと考えています。
この資料にもありますが、現在は自治体への報告をして、これが虐待であるかどうかの認定を頂くというのを待っている、一部の事案については自治体の認定を受けているのですが、受けていない事案もまだ多くあります。多分、自治体のほうも今、申し上げたようなことで、どこまでが虐待で、どこまでがサービスの不十分さなのかの判断がなかなか付かない部分もあるのではないかなと思います。そういうことで、私どもは職員の処分については規定にのっとりまして、患者虐待であれば処分の対象になりますが、虐待認定をまだ頂いていない状態なので、自治体の認定を踏まえて、その後、処分を厳正に行うということで、処分を行わないということでは決してありませんので、その点は御理解いただければと思います。以上です。
○河村構成員
副理事長、お話ありがとうございました。だた、私は東京に住んでいる人間ですが、朝日新聞の記事も読んでいますが、報道とちょっと違うところもあるのではないですかね。大牟田病院は筋ジストロフィーの患者さんなどが、長期にわたって入院などされているところが多い病院だということですよね。それで何かナースコールで来ないから虐待だという話では、これはなかったのではないですか。私はこういう会議の場で正直に言って、この読み上げることもはばかられるような内容が新聞に書いてあるので、読み上げませんでしたが、ちょっとだけ申し上げると、朝日新聞の5月3日の記事ですが、「同院によると、2023年12月に入院患者から下半身を触られたとの訴えが病院にあった」ということが書いてあります。細かいところを読み上げるのは本当にちょっとはばかられるので止めますが、患者の中には体を動かせない人も多く、直接拒否することは難しかったとか、調査は怖かった、思い出したくないと伝えているという、職員側は病院の調査にスキンシップのつもりだった、通常の医療、介助の行為と話しているということも書いてありますし、病院は4月下旬に被害患者の家族らに説明会を開いて謝罪したが、家族会のほうからは虐待ではなくて犯罪だという声も出たと、そういう、あくまで報道ベースですね、朝日新聞は書いているのですが、そういう見方も出ています。やはりちょっと、ここはよく受け止めていただきたいというふうに、もっと重く受け止めていただきたいと思います。
国立病院機構さん、本当にたくさんの病院を多く抱えていらして大変でらっしゃると思います。それはよく理解できるのですが、そのうちのたった1病院の出来事だからということには、私は決してならないと思います。やはり今後、きちんと対応していただきたいということ、この評価項目4-1の自己評価はBになっていますが、私はこれはBは難しいと思います。C評価が妥当だと思います。以上です。意見です。
○国立病院機構副理事長
御指摘ありがとうございます。先生のおっしゃるとおりで、私どもも最初に医療部長が申しましたとおり重く受け止めています。ちょっと言い訳がましく聞こえたところがあった点はおわびいたします。
事案の詳細については、発表されていること以上のことが申し上げられませんが、先ほどはナースコールへの対応という話で例を挙げて御説明しましたが、同様のことは例えば入浴介助中に、どこまで患者さんの体に触わっていると本人の意に反する接触になるのか、ならないのか。そういうところで、やはり線引きが難しいという問題はありまして、いずれにしましてもこういったことが再発しないように、我々としてはしっかりと対応するということは医療部長から説明があったとおりで、最大限の努力をしたいと考えています。以上です。
○土岐主査
河村先生、ちょっと時間もありますので次に移りたいと思います。ほかに、御意見はありますか。
○亀岡構成員
亀岡です。どうもありがとうございました。いろいろな構成員から話がありました。私のほうからは2つほどお願いしたいと思います。
1つは説明資料の26ページに、基盤強化推進基金の創設があります。評価書の152ページを見せていただくと、当該基金の額が約1,000億円とされています。説明資料の25ページの左下の下から4行目に「資金調達に関する法的制約があること、また、現下の厳しい医業収支の状況などを踏まえると、医療機能の強靭化を含め、これらの投資を行うための資金余力が十分にあるとは言えない状況である。」とあります。これはそのとおりであると思います。今、創設基金の額が約1,000億円とされていますが、運用というと、運用益を想定しますが、約1,000億円から出てくる運用益は、そんなにたくさんの運用益はないと思うのです。ですから、基金そのものを使われようとしているのかどうかということと、今は十分とは言えないのだとおっしゃっていますけれども、そもそもどういう目的で資金が必要性で必要な資金の金額の総額はいくらなのか、その中にあって1,000億円の位置づけはどうなのか、そもそも具体的な計画はあるのかどうかというのが1つ目です。
2つ目は、先ほどから言われている積立金の国庫納付です。説明資料の28ページの左側に、積立金の国庫納付について説明があります。具体的には、法人の自己収入から生じた利益については10割繰越せますと、それ以外に、運営交付金で賄う経費の節減から生じた利益については5割繰越せますと、ただ、先ほどの御説明だと、運営交付金は頂いてませんということですので、もしかしたらコロナの関係でいただいた補助金が入っているのかなと思うのですが。その点については、私は先ほど山口構成員が言われた意見に同意します。今後、コロナというのを除けば、運営交付金が入らないとすれば自己財源で頑張るしかないのかなということで、このルール自体がおかしいことになれば、ちょっと話は別ですけれども、これは一般的なルールなのかなという気はしています。
その上で、当初、事前説明を伺ったときに何か、こういうような状況で頑張っても、5年ごとに取られてしまうのであれば、経営努力のインセンティブは働かないみたいなことであったのですけれど、今日はもう少し軟らかく書かれているので、変わったのかなと思ったのですけれど、実はこの評価書の180ページを見ると、全然変わってないのですよね。この評価書を見ると、「コロナ禍において危険を顧みず最前線で対応した職員7万人の尽力により一般医療とコロナ患者の受入れの両立を図った実績や、これまでの投資抑制等の努力は認められておらず、経営努力のインセンティブが働かない」とあります。
言っていることはよく分かるのですけれども、やはりNHOさんの置かれている役割、使命というのを考えてみると、非常にすばらしいことを行っていると私は思っていますので、インセンティブが働かないというのなら、何とか、その中で、より努力していって国民のために更なるインセンティブを働かせていただいて、その中で、そういう姿を見て、いろいろな方たちの支援がまた始まっていくのではないかなということも考えますので、むしろ主体者のほうがインセンティブが働かない、制度が悪いんだみたいなことを思っているというスタンスというのは、分からなくはないですけれども、どうなのかなと。もっと主体的に、その中をやっていくんだというような思いを頂きたいなと、国民はそれを期待しているのかなと思います。この点についてご意見をお願いいたします。
○国立病院機構企画経営部長
1,000億円の使途と目的についてのお尋ねだと思いますが、用途はもう大まかに決まっております。内訳を申しますと、感染症対策と災害医療療対策を含めた建物整備に対する支援というのが500億円で、医療機器整備に対する支援というのが80億円、国の医療DX等への対応を見据えた診療系新プラットホームの構築に200億円。それから、これはちょっとまだ少しペンディングの部分はあるのですが、医療機能強化、それから、効率化を図るために全病院にスマートフォンを導入することも検討していて、これが80億円、医療人材の派遣機能強化と地域医療構想への対応強化に100億円ということで、具体的に大体もう用途は考えておりまして、これを次期中期目標期間にもう入っていますが、5年間で執行していくということを考えているところです。
○亀岡構成員
それは運用益でやるのですか、それとも。
○国立病院機構企画経営部長
運用益ではなくて、基金。
○亀岡構成員
基金そのものでやる。そうすると、ちょっと表現の仕方が「運用」と書かれているので。通常、運用だと基金は崩さないで、基金を投資、つまり、運用をしてその運用益を使用するかのように読めました。実際、「投資」と書いてあるので。
○国立病院機構企画経営部長
ではなくて。1,000億積み上げて、それを5年間を掛けて使っていく。
○亀岡構成員
分かりました、すみません。それをお聞きしたかったのです。では、そういう文章にしてください。
○土岐主査
よろしいですか。手短にお願いします。
○国立病院機構副理事長
こちらの概要資料と評価書の本体の表現がずれていたことに関しては、概要版の資料のほうに合わせたいと思います。申し訳ございません。
○土岐主査
田極構成員、どうぞ。
○田極構成員
資料の御説明ありがとうございました。非常によくまとまって、分かりやすく説明いただいたと思います。構成員の方からも既にいろいろと御意見は頂いているところですが、重なる部分もありますが、2点ほど。
まず、フォーミュラリーについては、140病院で1つ、薬効群を導入できたというところについては非常に評価できることではないかなと思っております。これは国としても必要な取組と思っております。これに関連して、後発医薬品については、国で80%以上という目標を立てながら、国立病院機構の中では85%と高い目標を立て、更に90%と大幅に上回ったと。しかも、後発医薬品だけではなく、医薬品全体の供給不安の中で、これだけの数字を達成できたということは非常に高く評価していいことだと思っております。これは国策としても進めているところですので、非常に貢献できたのではないかと思っております。
これに関連して申し上げると、これからは、対象疾患は限られておりますが、バイオシミラーをこれから普及させていかなければいけないというところについても国立病院機構のほうで果たす役割は非常に注目に値するところだと思いますので、引き続き取り組んでいただけたらと思います。
2点目ですが、臨床研究については毎年毎年、非常に取組が着実に行われていて、なかなか評価する意見も出にくいところではあるのですが、執筆、論文や学会発表にしても、インパクトファクターにしても、非常に大変な中、着実に取り組んでいただいているということについては、日本の臨床研究において大きな役割を果たしていると思いますので、こちらについても引き続き頑張っていただきたいと思います。
3点目、すみません。国庫納付制度ですが、やはり、山口構成員や河村構成員、亀岡構成員がおっしゃるところですが、ここについては、改善がいろいろ非常に難しい問題があることは承知しておりますが、医療に使われているお金について、皆さんが努力されたものについて、経営努力というのをどこまで認めるのかという問題がある。そこで、河村構成員がおっしゃったように、分かりやすくする工夫は必要だとは思いますが、なるべく、医療の中で再投資ができるような仕組みが必要ではないかと思います。医療現場で働く方々は、コロナの中で非常につらい思いをされてきたというところを忘れてはいけないと思います。国立病院機構の職員の方たちは、ワクチンの最初の接種にしても非常に貢献されてこられましたし、入院、外来をはじめ、本当にいろいろ取り組まれたことについて忘れてはいけないと思いますので、こういったところについて、ちょっとまた、運営交付金がゼロであるというところも強調して、この点、改善に向けていろいろな所に働きかけていくことが必要ではないかなと思っております。これが医療を知る国民の1つの声だと思っていただいて取り組んでいただけたらと思います。私からは以上です。
○国立病院機構理事(笠松)
医務担当理事の笠松です。御質問ありがとうございます。フォーミュラリー、後発医薬品、バイオシミラーにというところも含めてということですが、こちらは医療の質を向上すると。患者さんの医療の選択を制限せずに、かつ、140の病院で1つの均てん化をしていくという医療の質への貢献ということと、経営努力というか、効率的な病院運営という両方の観点から非常に重要であると思っており、御指摘いただいたとおりだと思います。
バイオシミラーについても、やはり患者さんへの医療の質の向上ということと、選択肢を持ちつつということですが、医療の質の向上と、より効率的な医療を提供していくという観点から、国のバイオシミラーに向けて、今後の国の動向なども踏まえながら、私どももどのようなことができるかという観点で考えてまいりたいと思っております。
また、臨床研究のほうも御指摘ありがとうございます。私どもも、研究を通じて、医師あるいは医療従事者が、より良い医療を提供していくというのが、研究をしていく中で、そういったマインドが反映されるということもあります。また、臨床研究という営みを通じて、最先端の医療あるいは医療の質、NHOが専ら、あるいは中心となって、国の医療の中の分野によっては私どもの機構が中心となって提供しているという分野がありますので、そういったことをしっかり研究していくことで医療の質を高めるということにつながっていくと思いますので、そういったところはしっかりと評価をしながら進めてまいりたいと思っております。
○土岐主査
よろしいですか。それでは、本田構成員、どうぞ。
○本田構成員
本田です。御説明ありがとうございました。多くの構成員の先生方がおっしゃっていることと重なってしまうことが多いのですけれども、一応、意見として申し上げて、最後に1つだけ質問させていただきたいと思っています。
本当にすばらしい御尽力を頂いているのですけれども、まず1つ、これは山口構成員もおっしゃっていましたが、5ページの患者経験価値・満足度調査の所は大変興味深いと思います。多くの病院で患者満足度調査というのはされてはいますけれども、それを一体、どういかしているのかというのが大変疑問で、ずっとありました。いろいろなことで先進的な治療をされている所もありますが、国立病院機構という大きな舞台で、こういうことをポートフォリオ分析までされて、更にここを改善していこうという前向きな姿勢はとてもすばらしいと思っております。本当にお忙しい中で、こういうきめ細かな所をやっていただけているということに対して大変感謝いたしますし、認識というものを大変評価したいと思っております。それが1つです。
もう1つは、皆さんがおっしゃっていた納付金の所なのですけれども、いろいろな意見があるかと思うのですけれども、私自身は、先ほど田極構成員がおっしゃっていましたが、やはり医療の中で再投資できる仕組みというのが必要だと思っています。確かにコロナのことはいろいろあったと思いますし、河村構成員がおっしゃったように、補助金の出し方はどうだったのだろうという疑問は、確かに国民としてあると思います。メディアとしてもそういうことを感じておりました。ただ、実際の医療現場で働いている方々、特に看護師の方々など、本当に、初めの頃は差別とかいろいろなことがあった中で、本当に頑張っていらして、諸外国の医療の現状なども見る中で、やはり日本の医療者の頑張りというのはすごいと思うのです。やはり、そういうことが当たり前になってしまっている日本で、そういうものは本当にすばらしいんだよということが分かるような仕組み、そういうものを更に醸成していけるような応援というものもあってもいいのではないかというように考えます。
もちろん、何と言うのですかね、過度に優遇しろとか、多分そういうことはできない世の中だと思うのですけれども、運営交付金もない中で努力されたものを、皆さんもおっしゃっていますけれども、国立病院の設備は古い所も多いと思いますし、そういうところを、ちゃんと計画的に再整備していくという、そういう計画を見える化していただいて、そのために、こういうように資金を貯めていかないといけないんだということも分かるようにしていただいて、きっちり医療に再投資できる仕組みが必要なのではないかということが、こういう委員会から意見があったということも明記していただければいいかなと私は思っています。
最後に、1つ質問なのですが、去年も一昨年も、去年もそうだったかと思うのですけれども、コロナによって患者さんの受療行動が変わったといったことが、いろいろな病院の機構や病院グループなどでもお話があるかと思うのですけれども、国立病院さんはその後、どういうような状況になっているのかということが、ちょっと私、資料を読み込めていなくて、その辺がちゃんとあるのかどうかというのが分からないので教えていただきたいのと、そもそも1ページの組織の規模の所で、昨年度に比べて病床のベッド数が減っているのはそれに関係してのことなのか、それともコロナのために、まだ準備をしておかなければいけないなど、違う理由なのかということをちょっと教えていただければと思います。
○国立病院機構副理事長
御質問ありがとうございます。コロナ後の受療行動の変化ですが、国立病院機構の全体のデータで分析すると、外来も入院も患者数がコロナ前に戻っていないという状況です。したがって、我々、むしろこれからのトレンドとしては、やはり人口減少の影響や受療行動の変化といったものはコロナ前に戻らないという前提で、これからの経営というものを考えていかないといけない状況にあるのではないかというように考えております。
病床数が減ったのは、各病院は経営状況をそれぞれ見ながら、患者さんの減に応じて病床を休棟したりしている過程で、各病院で少しずつ減らしているので、トータルで700以上の病床数は減っているということになっているかと思います。
○本田構成員
はい、ありがとうございます。
○土岐主査
ちょっと時間こともありますので、中期目標の所を先に話していただいて、その後、令和5年度と中期目標を併せて、もう一度御質問を受けたいと思いますので、よろしいですか。では、先に。
○国立病院機構企画経営部長
資料3-1の2ページを御覧ください。第四期中期目標期間の評価については、昨年度、見込み評価として、令和元年~4年度までの実績は既に説明済みのため、評定の根拠及び令和5年度の実績に絞って説明いたします。
まず、表の下の総合評価についてです。次のページ以降の各評価項目の自己評価は後ほど説明いたしますが、新型コロナへの対応、一般医療との両立、能登半島地震への対応等の実績を踏まえて、A評価といたしました。それでは、次のページ以降で、評価項目ごとに実績のポイントについて説明いたします。
○国立病院機構医療部長
それでは、診療事業について、4ページを御覧ください。医療の提供についてです。重要度「高」、自己評価をAとしております。自己評価の根拠については、5ページを御覧ください。上段に記載している客観的指標のうち、特定行為を実施できる看護師の配置数については、全年度で目標を達成しております。そのほか、新型コロナ対応について、国や自治体からの病床確保、そして看護師派遣等の依頼に対して一貫して協力しながら、一般医療についても、徹底した感染防止対策を講じて患者を受け入れることにより、新型コロナ対応との両立を実現しました。また、オンラインによる診療・面会等の拡大により、新型コロナ禍においても患者が安心して質の高い医療を受けられる体制の構築を進めたことなど、質的に顕著な成果を上げ、自己評価をAとしております。具体例は6、7ページにありますが、昨年度の見込み評価のものに、令和5年度の分の実績を追記したものになります。
続いて、8ページを御覧ください。地域医療への貢献についてです。重要度「高」、難易度「高」、自己評価をSとしております。自己評価の根拠については、9ページを御覧ください。中段に記載しておりますが、先ほどの説明にもありましたが、短期入所及び通所事業については、入院患者の安全のために、コロナ禍において受入れを一時的に中止・制限せざるを得ない状況があったことから、評価対象から除外させていただきます。この2つの定量的な指標以外の定量的な指標についてはおおむね達成し、新型コロナ禍にあっても、地域から求められている救命救急センター・周産期医療等の機能を維持しつつ、院内の病床についてはゾーニングなどによる運用を行い、NHO病院間の職員派遣など人員の調整を図りながら新型コロナ患者を受入れることで、どこよりも多くの病床を確保し、国や自治体からの要請に応え続けたこと。さらに、極めて厳しい人員体制の中、令和3年8月に沖縄県看護師派遣を実施したことなどをはじめ、宿泊療養施設やクラスターの発生した地域等への積極的な看護師派遣を行ったことなどを質的に顕著な成果として自己評価をSとしております。具体例は10~12ページにありますが、説明については割愛させていただきます。
13ページを御覧ください。評価項目の「国の医療政策の貢献」についてです。重要度「高」、難易度「高」、自己評価はSとしております。この根拠については14ページを御覧ください。上段の客観的指標について、最上段のBCP(事業継続計画)の整備については、令和2年度までに全て達成をしております。このほかの項目についても、おおむね目標を達成できております。
また、機構法第21条第1項の規定に基づき厚労大臣から要求された新型コロナ病床の確保や医療従事者の派遣など、国からの要請に全て応え、令和4年4月には臨時医療施設を開設し、NHOの特色であるセーフティ系医療を提供する病院からも医師や看護師を派遣したことで、特に認知症や知的障害を有する患者を多く受け入れるなど、地域の様々なニーズに応じた医療を提供するなど、質的に顕著な成果を上げたことから、自己評価はSとしております。こちらも具体例については紹介を割愛いたします。
○国立病院機構総合研究センター長
それでは、臨床研究事業について説明いたします。18ページを御覧ください。自己評価はS、重要度「高」、難易度「高」としております。19ページの一番上を御覧ください。指標の達成状況ですが、英語の論文掲載数は前年度において目標を達成しております。評定の根拠については、次ページ以降で説明いたします。ポイントだけにさせていただきます。20ページを御覧ください。右上の下線部を御覧ください。特にコロナに関しては、NHOが分析したデータから、国が入院から宿泊・自宅療養への移行や後方支援病院への転院について目安を設け、全国で病床が逼迫していた状況を改善することにつながったということがありました。
21ページを御覧ください。左上の大規模臨床研究の推進です。これは、新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)等への対応です。ここに示しておりますとおり、いろいろな研究において多くの施設、多くの人員が研究に協力しており、健康日誌の記載及び副作用情報の報告などを行って、ワクチンの安全性や接種状況などの国民への情報発信に貢献したという点です。私からは以上です。
○国立病院機構医療部長
続いて、教育研修事業についてです。22ページを御覧ください。自己評価はAとしております。評価の根拠としては、下段に客観的指標を記載しております。特定行為研修修了者数は、全年度を通じて目標を高いレベルで達成しました。23ページを御覧ください。国から地域の新型コロナの感染拡大防止や対応能力の向上を図る役割を新型コロナ対応の知見を有するNHOが担うことを求められ、NHOのみならず地域の医療機関等を対象として研修を実施しました。そして、令和3年度にはNHO各病院の研修の取組について、外部への積極的な情報発信を行うための外部ポータルサイトを立ち上げ、さらに、eラーニングシステムの導入における研修を令和4年度から行うなど、引き続き質の高い医療従事者の育成・確保に取り組んだことを質的に良好な成果として、自己評価をAとしております。以上です。
○国立病院機構企画経営部長
続いて、27、28ページです。「業務運営等の効率化」について説明いたします。定量的指標である経常収支率については、全ての年度で目標を達成し、かつ、難易度が「高」であること等を踏まえ、自己評価はAといたしました。具体的な実績の説明は次ページ以降ですが、見込み評価の実績に、先ほどの令和5年度の実績を反映させたものであるため、省略いたします。
続いて、32ページです。「予算、収支計画及び資金計画」について説明いたします。定量的指標はありませんが、中期目標を達成していることから、自己評価はBとしております。具体的な実績の説明は次ページ以降ですが、こちらも見込み評価の実績に、先ほどの令和5年度の実績を反映させたものですので省略いたします。
最後に34ページです。その他主務省令で定める業務運営に関する事項について説明いたします。こちらについても定量的指標はありませんが、中期目標を達成していることから、自己評価はBとしております。具体的な実績の説明は次ページ以降ですが、こちらについても見込み評価の実績に、先ほどの令和5年度の実績を反映させたものですので、省略いたします。第四期中期目標期間の実績の説明は以上です。
○土岐主査
令和5年度の業務実績、そして第四期中期目標期間の評価を含めて、根岸委員、お願いします。
○根岸構成員
藤沢タクシーの根岸です。よろしくお願いいたします。御説明ありがとうございました。機構の理念に基づいて、令和5年度も多くの課題に取り組まれて、そしてすばらしい成果もみられたと思います。お疲れさまでした。
細かいところは割愛いたしますが、1点だけ、お願いと質問があるのですが。看護師の離職防止の所なのですが、先ほどの資料では令和5年度は31ページ、ただいまの資料では35ページになるかと思います。35ページでは余り説明がなかったと思うのですが、看護師の離職率は確かに全国をずっと下回ってきているという評価で、これはいいと思います。だとしても、やはり1割の人は辞めてしまうと。概要の所に書いてあるのですが、附属の養成所で令和5年度には1,700名以上の卒業生が出ているということです。そのうちの約1割の新卒者の人が退職に至ってしまうということが資料から分かるのですが、何とか卒業生が定着するようにしていただきたい、したいと思うのです。そうすると、なぜ新卒の人が1割も辞めてしまうようなことになってしまうのか。どういったところに理由があるのか。そこに着目をして、何とか1人でも退職する人が減るようにしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○国立病院機構理事(石橋)
御質問ありがとうございました。看護担当理事の石橋と申します。今、御質問いただきました新卒の看護師の1割弱の離職についてですが、パーセンテージ的にいきますと、少しずつ下がってきているという認識はあるものの、先生御指摘のように、お一人お一人を何とか、うちを選んで入っていただいた人たちを継続させていくというところは本当に大きな課題だと受け止めております。
やはり、その中でコロナ禍においては、病棟の中においてのコミュニケーション不足が大きく指摘されたところです。先輩方と昼食時に雑談もできないような状況、あるいは時間外のアフター5でのいろいろな食時会等のコミュニケーションの機会が大きく損なわれてしまったことは、コロナ禍での離職を助長したことの1つであると考えております。
ただ、令和5年度においても9.6%ということですので、今、私どもで行っているのは、指導的なスキルの高い者を育成するということに力を入れております。これは看護学生だけではなくて、新卒で入られた看護師に対しても、やはり相手のレディネスを考えながら指導を展開していくという意味で、大事なことだと思っております。現場としては、どうしても即戦力を求めがちで、少し性急にできることを早く増やしたいというような関わりが、御本人に対して非常に大きなプレッシャーになって不適応を起こすというようなことも散見されております。よって、私どもは実習指導者講習会を、従来の2倍の受講ができるようなeラーニング等を使った研修体系に変えて、その受講者を増やしております。そうすることによって、看護基礎教育を受けている学生にとっても、新卒者にとっても、その方の歩調に合わせながら指導をしていく、それが離職を食い止める大きな要因になるかと考えており、そのような取組をさせていただいております。以上です。
○根岸構成員
ありがとうございました。看護師の果たす役割というか、活躍は本当に大きいものがあると思います。もちろん日常の医業もそうですし、今回のコロナの対応、あるいは今日何回か出ましたが、特定行為の実施ができる看護師の配置といったこともあります。(看護基礎教育においても)育てるほうも恐らく3年間を掛けて一生懸命育てていると思います。是非、更なるきめ細かな対応をして、1人でも辞める人が少なくなるように、看護師の定着をよろしくお願いしたいと思います。以上です。
○三角構成員
済生会の三角です。今日はありがとうございました。去年1年間のお話を聞いていて、ちょうど我々済生会とNHOを比較すると、NHOは病院数が140、済生会は83ですので、いろいろなデータは、我々済生会全体の倍の実績を出されているかと思います。やられている内容もセーフティネットや不採算部門であるとか、それぞれの病院の置かれている立場、地位、場所、外部環境が違う中で、トータルとしてこれだけの数字を出されていることは、すばらしいことだと感じました。
1つだけお伺いしたいのは、今年度、来年度、こういうプランを全体として立ててということは、我々も済生会の中でも考えてやっているのですが、結局、やる現場は個々それぞれの病院になるわけで、それをどうやってプロモーションしていて、それぞれの病院が行うような仕組みを持ってやっているのかということを少し教えていただければと思います。
○国立病院機構理事長
理事長の新木です。御質問ありがとうございます。先生がおっしゃるように、本部で我々が立てる計画を、また各病院において院長が立てる計画を、どうやって現場で実質化していくかは大変大きな経営の課題だと思っております。
今、我々は幾つかのアプローチをしております。まず第1には、いろいろなデータを見える化して、示すこと。私としては、将来的には例えば済生会さんと比べたり、いろいろな病院とベンチマークをしていきたいと思います。まず、いろいろなデータを見える化していき、特に重要なデータはKPI(キー パフォーマンス インジケーター)として示していくということです。やはり、現場は非常に理性的な人が多いですから、データを見せることによって頑張ってもらうというのが1つだと思っております。
もう1つは、頑張りに応じて、インセンティブが必要です。先ほど来、基金の話が出ておりますが、幸い、どこの医療現場もそうだと思いますが、我々の所も個人にフィードバックされなくても組織として、例えば新しい医療機器を買うとか、改修をすることによって、やる気を出してくれる。そういう意味では、大変有り難い職員がそろっているのだと思っておりますので、そのような報いる方策を考えていくというのが1つだと思っております。
そして、そうやって個別の医療機関にいろいろと働き掛けておりますが、その上で、やはり思わしくない病院というのがどうしても出てきます。そういう所に対しては、重点的に支援、指導をしていくと。場合によっては、厳しいことも言わなければならなくなりますが、そのようなことも併せてしております。このようなことを去年辺りから始めております。これらを従来の取り組みに併せて現場の職員一人一人がやる気を出してくれることが一番重要だと思います。
目標の実質化と申したらいいのでしょうか、そういうことをいろいろな手段で図っていきたいと思っております。なかなか難しいところがありますので、引き続き先生方からいろいろなアドバイスを頂いて、改善をしていければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○三角構成員
ありがとうございます。
○土岐主査
最後に私からも1点お伺いしたいのですが、これから日本の人口が減っていきますので、やはり集約化が何よりも必要だと思っております。中期目標の11ページの診療事業の所に、集約化に関する様々な試みが記載されております。我々の地域などでよくあるのは、病院を建て直すときに病院を統合すると、国から支援が4割ぐらい出るということで、これはかなり活用されているのですが、ここにあるものを見ると、NICUだけとか周産期だけとか、部分的な機能を国立病院が受け入れるというプロジェクトが幾つかあるようですが、こういうときに国から支援的なものがあるのかということが1つです。
もう1つは、これをやるときに給与体系ですが、大体国立病院のほうが給料が安いことが多いと思うのですが、それをうまく統合できるのかというのがあります。こういうものをどんどん進めてほしいのですが、どういう工夫があると、これからどんどん日本全体でこういうことが広がるのか、その辺りの見解も含めて何か御意見を頂けたらと思います。
○国立病院機構副理事長
まず1点目の国からの援助につきまして、一部の補助金が出る場合はありますが、基本的にはありません。ほかの病院と同じです。そういうときに、この具体例に上がっている徳島の場合のように、国立病院機構の病院同士でしたら、給与水準などには問題は生じないので、そういう場合には割とスムーズに調整を行い得ます。一方、最近では、地域医療構想の議論の中で、他の公立病院、あるいは民間病院との役割分担、連携という議論もこれからは重要になってくるだろうと思います。そういう場合には、全国統一的に何かできるというわけではなくて、それぞれの地域の事情に応じて、各病院の都合で判断していくことになります。そういうときに国立病院ですと、例えばある病院を閉鎖するときに、近隣の国立病院で職員や機能を移すことが可能なので、スケールメリットをいかせる部分はあると思います。基本的には個別個別に対応していかなければならず、地域の事情もあってなかなか容易ではないのですが、先生がおっしゃるとおり、国全体としての人口減少の状況に応じて、地域医療構想の中での議論に積極的に対応するということを考えております。
○土岐主査
河村先生から御意見を頂戴できそうなので、河村先生、よろしくお願いいたします。
○河村構成員
よろしいですか。
○土岐主査
はい、どうぞ。
○河村構成員
第四期中期目標期間の所で質問です。昨年固めた見込み評価に対して、今回の実績評価を上げられた項目があると思うのです。評価項目1-1-1の医療の提供、それから1-1-2の地域医療への貢献なのですが、それぞれ見込み評価がBからAへ、見込み評価がAからSへと上げられています。昨年から今年度になって、1年間でこのように判断を変えられたところを、もう少し細かく御説明いただければと思います。
○国立病院機構企画経営部長
評価項目1-1-1の医療の提供については、定量的指標である特定行為を実施できる看護師の配置数の達成度が、全ての年度において100%を大きく超えていると。それとともに、その他の指標についても、おおむね100%を超えているということです。
それから、5ページに記載しましたとおり、新型コロナ対応について、国や自治体からの病床確保の依頼に対して、一貫して協力しながら一般医療との両立についても実現したということ等を総合的に勘案して、顕著な成果であると判断して自己評価をAとしたところです。
それから、評価項目1-1-2の診療事業(地域医療への貢献)については、定量的指標だけですとAとなりますが、こちらについても新型コロナへの対応で、国や自治体からの要請に応えながら極めて厳しい人員体制の中で、宿泊療養施設やクラスターの発生した地域等への積極的な看護師派遣を行ったこと等も総合的に勘案し、顕著な成果であると判断して実績評価においても自己評価をSとしたところです。
○河村構成員
この点に関して意見を言わせていただきます。両項目とも高い水準の業績を達成されて、おかげで国民はこれまで何とかやってこられたところがあると思います。高い業績であることに異論はないです。ただ、この中期目標期間中の5年間の評価の付け方として、やはり5年間をごちゃ混ぜにして捉えることもなかなか難しい。今回の評価資料の2ページにお書きくださっていますが、特に1-1-2の地域医療への貢献については、5年間各年度にどういう評価が付いたのかを見ると、S評価が付いたのは1回だけなのですね。令和4年度は付いているのですが、ほかの年度はAであると。それについて、この5年間について、では期間全体でSというのは、私は少し無理があるのではないかと思います。見込み評価をそのまま維持するほうがいいのではないかということを特に強く思います。
評価項目の1-1-1については、5年間を振り返ると、Bであった期間が3年間あって、2年間がAということですね。ここは少し微妙な所で、1-1-2よりは少し微妙な判断になるところもあるのかと思いますが、やはり私は、ここは見込み評価どおりBでいいのではないかと思います。以上、意見です。
○土岐主査
ほかには、よろしいでしょうか。それでは、続きまして法人の監事及び理事長から年度及び中期目標期間における目標の達成状況を踏まえ、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂けたらと思います。最初に法人監事から、続いて法人の理事長よりお願いしたいと思います。
○国立病院機構監事(戸田)
監事の戸田と申します。よろしくお願いいたします。もう一人藤川監事とともに、この7月1日から当機構の監事に就任しております。よろしくお願いいたします。
まず、令和5年度の監査結果につきまして御報告したいと思います。資料の中を読み上げませんけれども、本日御用意いただいている資料2-4の3ページ目に前年度の監査報告がございます。その記載のとおりでございます。特に問題はないと認識をしております。
次に、令和5年度の業務運営の状況について申し上げたいと思います。国から負託を受けました公的医療機関として、理事長のリーダーシップの下、自らの病院機能を維持する傍らで、前年度に引き続き地域医療の担手として様々な課題に取り組んでおりました。特筆すべきは、やはり能登半島沖地震への対応だと思っております。当機構のネットワークを最大限に生かし、被災地において切れ目ない医療活動を実施しましたことを高く評価したいと思っております。
収支につきましては、医業収支が4期連続の赤字になりました。ここも先ほど御質問いただきましたけれども、新型コロナ第5類以降においても、なお患者数が減少した状態が続いていることなどによるものだと思っております。一方で、コロナ関係の補助金が大きく減少したにもかかわらず様々な工夫で、経常費用を削減いたしました。その結果として、経常収支の黒字を維持できたことにつきましては、国や自治体の期待に応えることができた証左ではないかと感じているところです。なお、こちらも先ほど来、御意見を多々頂戴いたしました積立金の国庫納付につきましては、当機構が今後も役割をしっかりと果たせるように関連制度の見直しに向けて各方面の理解を得るべく努めていく必要があると認識しております。
それから、コンプライアンス徹底の取組についても触れておきたいと思います。昨年12月に発覚しました入院患者への虐待事件につきましては、誠に遺憾な事案だと感じております。監事としても、今後講じられる再発防止策の徹底状況等、注意深くフォローしてまいりたいと思っております。
最後に、今後の課題について申し上げたいと思います。今年が初年度となります第5期中期目標期間におきましては、コロナ禍で発揮されました強みを最大限にいかしながら、公的医療機関として地域医療構想の中で、地域から求められる医療の提供をしっかりと継続していくこと、冒頭申し上げたような災害や、新興感染症への備えに主導的に取り組んでいくこと、職員が安全・安心、かつ意欲をもって働くことのできる環境を実現していくこと、医療DXへの取組を着実に進めることなど、様々な課題に取り組んでいかなければならないものと認識しております。これらの課題に対応しつつ、やはり業務運営に係る改善の取組を継続し、安定的な法人運営を行っていくことが重要であると考えております。監事からは以上でございます。
○国立病院機構理事長
理事長の新木でございます。この4月から東京医療センターの院長から理事長に就任いたしました。よろしくお願いいたします。本日は、大変いろいろな御意見を頂戴してありがとうございます。当機構の業務実績について、また説明するお時間を頂戴しましたことにお礼を申し上げます。
振り返ってみますと、第4期中期計画期間ですけれども、この5年間、まずは新型コロナへの対応と一般医療の両立に取り組んだことがあげられるかと思います。第4期中期計画の見込評価の資料に、新型コロナに対する当機構の主な対応を時系列にまとめておりますけれども、具体的に主な所は、武漢オペレーションへの対応、ダイヤモンドプリンセス号で発生したクラスター対応と乗客等陽性者の受入れ、東京医療センターでの国内初の新型コロナワクチンの接種、国立病院機構法に基づく大臣からの要求に応じた病床確保や医療従事者の派遣、東京都臨時医療施設の設置・運営など、当機構がワンチームとなりまして、新型コロナへの対応に取り組むという大方針の下で、国や自治体からの前例のない様々な要請に的確に応えようと努力してまいりました。この間、当機構の職員は最前線に立ちまして、自ら率先してコロナ患者の対応に尽力してまいりました。このような新型コロナへの対応は、国や地方自治体等の関係者から高い評価を頂いております。当機構といたしまして広範囲、かつ、質的に重要な役割を果たすことができたのかなと考えております。
また、こうした新型コロナへの対応とともに、重症心身障害児・者、神経筋疾患、筋ジストロフィー、結核、心神喪失者等医療観察法に基づく精神科医療など、セーフティネット分野の医療を着実に実施するとともに、都道府県が策定する医療計画を踏まえ、5疾病5事業、災害や新興感染症等の国の危機管理に際して求められる医療及び在宅医療などの地域医療の向上に積極的に取り組むなど、一般医療との両立を努力してまいりました。そして、今年の1月1日に発災した能登半島地震に際しましては、発災直後からNHO医療班を現地に派遣し、避難所支援活動や市立輪島病院の運営支援に対応するなど、NHOのネットワークを最大限にいかすことで、被災地において切れ目のない医療活動を実施してまいりました。
経営面の状況について申し上げますが、第4期中期計画の経営状況を振り返りますと、令和元年度から5年間、経常収支は単年度、累計ともに黒字であり、全ての年度で定量的指標を達成し、第3期に生じた繰越欠損金は、令和3年度に解消することができました。また、令和2年度以降は先ほど申し上げましたように、コロナ医療と一般医療との両立を図りながら、各病院は費用削減につながる取組を進めたこと等により、第4期中期計画目標期間は収支改善できたと考えております。
一方で、お話にも出ましたが、令和5年6月には、防衛財源確保法が施行され、当機構の積立金のうち422億円を納付する義務が課され、令和6年3月に国庫納付しました。さらに、第4期中期計画期間終了時点の積立金である1,368億円につきましては、厚生労働省と協議の上、206億円の追加国庫納付を行うこととなり、今年の7月10日に納付いたしました。合計いたしますと、628億円の国庫納付を行ったことになります。
このように5年経過ごとに国庫納付額が決められる現行制度では、NHOが医療機能を維持・継続しながら、今後の新興感染症や災害有事に備えるための投資を行っていく等の、中長期的に予見可能性をもって病院運営を続けることは難しい面があると感じております。今年の4月からは、第5期中期目標期間が始まっておりますが、当機構に求められる役割を果たしていくためには、速やかに医療機能の強靱化に向けた取組を行っていくことが必要ですが、一定の仮定をおいて計算しますと、改修による機能維持で対応するにしても、次期中期計画期間で数千億円程度の資金が必要となると見込んでおります。
このために今般、各病院の理解を得つつ、法人全体の資金を最大限活用する基金を創設いたしました。まずは、この基金を活用して、今できる可能な限りの医療機能の強靱化に向けた取組を進めてまいります。
また、新型コロナウイルス感染症収束後の患者数の減少や、労働力人口の減少、諸物価の高騰など、医療を取り巻く環境が大きく変化している中で、NHOとして持続可能な法人運営を行うために、法人全体の経営戦略の策定にも取り組む予定にしております。そして、将来を見据え、地域の医療需要の変化への自主的な適応や、拡大する介護や福祉ニーズに対応するための在宅医療との連携等を更に進め、地域包括ケアシステム及び地域医療構想の実現に向けて、職員一同、努力を重ね、厚生労働大臣から示される中期目標の内容にも達成できるように取り組んでまいりたいと考えております。
我々は今後とも、国立病院機構の使命である医療の提供、臨床研究、教育研修を継続的に、かつ的確に果たし、我が国の医療の向上に貢献してまいりたいと考えております。引き続き、本会議の先生方の御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたします。
○土岐主査
ありがとうございました。ただいまの御発言内容につきまして、御意見、御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。よろしいですか。
それでは、以上で本ワーキングの議事を終了いたします。最後に事務局からお願いいたします。
○事務局
まずは、本日音声の調子が悪くて開始が遅くなったこと、大変申し訳ございませんでした。今後の流れについて御連絡させていただきます。
本日、御議論いただきました国立病院機構の「令和5年度業務実績評価」及び「中期目標期間実績評価」につきましては、この後、本ワーキングにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメントを踏まえまして、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに、公表させていただきます。決定しましたそれぞれの内容につきましては、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上となります。
○土岐主査
それでは、本ワーキングはこれで終了とさせていただきます。長時間にわたり、熱心な御議論を頂きまして、また、円滑な議事運営に御協力いただきましてありがとうございました。