第36回 社会保障審議会企業年金・個人年金部会 議事録

日時

令和6年7月31日(水)10:00~12:00

場所

全国都市会館 3階 第1会議室

出席者

(オブザーバー)

議題

  1. DC制度の環境整備について
  2. 「経済財政運営と改革の基本方針2024」等について(報告)
  3. アセットオーナープリンシプル(案)について(報告)
  4. その他

議事

議事内容
○森戸部会長 皆さん、おはようございます。
 定刻よりちょっと早いのですけれども、ただいまより第36回「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を開催いたします。
 お忙しいところ、皆様、お集まりいただきありがとうございます。
 本日ですが、山口委員、渡邊部会長代理はオンラインで御参加いただいております。
 御出席いただきました委員の方が3分の1を超えていますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
 議事に入る前に、前回の部会から事務局に異動がありましたので、事務局から御報告をお願いいたします。
○海老企業年金・個人年金課長 事務局の異動について御報告いたします。
 橋本年金局長に代わりまして間年金局長が着任しております。
○間年金局長 年金局長を拝命いたしました間でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 森戸部会長をはじめ、委員の先生方の御議論を踏まえて、年末に成案が得られるようにしっかり取り組んでまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 それでは、議事に入らせていただきたいと思いますが、まずは事務局から資料の確認をよろしくお願いいたします。
○海老企業年金・個人年金課長 資料の確認をさせていただきます。
 本日の資料といたしましては、資料1「DC制度の環境整備」、資料2「『経済財政運営と改革の基本方針2024』等について」、資料3「アセットオーナー・プリンシプル(案)」、資料4「その他」として金融経済教育推進機構(J-FLEC)に関する資料。参考資料1「企業年金・個人年金部会委員名簿」を御用意しております。御確認ください。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 それでは、議題に入りたいと思います。
 カメラの方は、恐縮ですが、ここで退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
○森戸部会長 では、本日は、先ほど御紹介した資料に基づき、議題1から議題4を議題といたします。
 まず、議題1について、事務局から説明をお願いいたします。
○海老企業年金・個人年金課長 資料1について御説明いたします。資料1「DC制度の環境整備」を御確認ください。めくっていただいて、中小企業による私的年金の活用促進ということについて御説明いたします。
 3ページ、「中小企業における私的年金の活用の状況とこれまでの取組」になります。
 スライドの4ページ、企業年金の実施状況についてというところで、こちらは過去にもお出ししている資料ですけれども、企業年金の実施状況を見ますと、従業員規模が小さいほど退職年金制度の実施割合が低いというところで、赤点線で囲ってある300人以下のところは非常に低いという状況になっております。
 5ページ、企業型確定拠出年金の導入の障害というところで、これも過去の資料ですが、企業型確定拠出年金の導入の障害、実施中の課題についてお伺いしたところ、「財政的負担」に次いで、「加入者への投資教育の負担」「手続上の負担」、こういったものが挙げられているというデータがございます。
 こうした状況を踏まえて、6ページにおいて、これまで行ってきた企業年金の普及に向けた中小企業の取組というものをまとめております。確定給付企業年金、確定拠出年金、それぞれ中小企業が取り組みやすいような支援策というところで、受託保証型確定給付企業年金や簡易基準に基づく確定給付企業年金、簡易型確定拠出年金、中小事業主掛金納付制度、こういったものを用意して支援策を実施してきたというところでございます。
 7ページ、簡易型DC制度及びiDeCoプラスの創設の経緯というもので、これは前々回の改正の際に、中小事業においては、企業年金を実施する上で事務負担が大きな課題であると指摘されており、こうした点を踏まえて事務負担の点で取り組みやすい制度設計を検討することが必要というところで、簡易型DC、あるいはiDeCoプラスといったものが設けられたという経緯がございます。
 8ページになります。前々回の改正の際にそういった制度が取り組まれ、前回令和2年の改正においては中小企業向けの簡易型DC・iDeCoプラスに関しては対象範囲を拡大するというところで、制度を実施可能な従業員規模を100人以下から300人以下に拡大するといった改正を行ってきたというところです。
 9ページは中小企業におけるDCの取組状況というものをまとめてございます。先ほど御説明いたしました簡易型の確定拠出年金というものに関しては、これまで実施実績がないという状況です。それから中小事業主掛金納付制度、いわゆるiDeCoプラスと呼んでいるものに関しては、実績のところを見ていただきますと、これまで約7,400事業所、4万7000人の方々が御活用いただいているという状況になっております。
 あと、「いわゆる『総合型DC』」と書いてございますが、中小事業主の方々がDCに入られる際に、複数の事業主が1つの規約の中に集まって実施をされている企業型DCに入られているという状況があるようであるということで、我々のほうで規約などを確認したところ、推計値と書いてございますが、約160規約、約2万7000事業所、約89万人で活用されているということでございます。
 ここまでがこれまでの状況です。
 本日御議論いただきたい点の1つ目、簡易型DCについてです。11ページは、簡易型DCについての制度経緯と本部会でのこれまでの議論をまとめたものです。簡易型DCに係る経緯に関してはこれまで御説明したとおりですけれども、3月の中間整理においては、2018年に創設された簡易型DCについては、利用実績がない背景として、従業員全員を対象にしなければいけないという条件があり、簡易である一方、加入要件に関する規制となってしまっているのではないか。見込んだ効果がないならば制度を廃止してはどうか。こういった御意見があったというところでございます。
 12ページ、簡易型DC制度の概要をまとめてございます。簡易型DCは制度条件を一定程度パッケージ化された制度とすることで、設立時に必要な書類等を削減して設立手続を緩和するといった設計になっているところでございます。
 次のスライドはDC全体に必要な提出書類です。
 14ページ、本日御議論いただきたい点で、簡易型DCについてです。簡易型DCは、中小企業が取り組みやすい制度設計が重要であるというところで、2018年に創設されたものでございます。中小企業が取り組みやすい制度設計として、設立条件のパッケージ化や、設立時に必要な書類の削減等を行うということで、設立手続の緩和を行ってきました。このうち、設立条件のパッケージ化については、手続の負担軽減を行うための要件の簡素化というのが、個々の中小企業のニーズと必ずしも一致していなかった。また、設立手続の緩和というところに関しては引き続きニーズがあるものと思われる。
 このため、簡易型DCで適用された手続の簡素化のうち、一部については通常の企業型DCに適用することで、通常の企業型DCについて中小事業主を含めた事業主全体が取り組みやすい設計に改善し、簡易型DCについては通常の企業型DCに統合することについてどのように考えるか。こちらについて御議論いただきたいと思っております。
 次のページに移ります。次はiDeCoプラスに関してでございます。スライドの16ページ、iDeCoプラスに関するこれまでの状況をまとめているものでございます。iDeCoプラスは、300人以下の事業主向けというものでできているものでして、現在のところ、棒グラフとしては右肩上がり、7,400事業所、4万7000人の方々に御活用いただいているというものでございます。
 17ページは、前回令和2年改正の際に、iDeCoプラスに関しては100人から300人というところで人数要件の拡大を図っているところでございますが、その際に、中小事業主の範囲等について、ほかの要件も含めて検討をしていくといった検討規定が盛り込まれていることに関するご説明でございます。
 また、昨年の部会においてもiDeCoプラスに関しては様々御議論いただいたところでございまして、スライドの18ページ、中間整理においては、上から3つ目の丸、iDeCoプラスの300人以下という要件に関しては、導入企業の成長、適用拡大等によって、300人を超えるとiDeCoプラスが実施できないところ、人数制限を外すことができないかといった意見があった一方で、それなりに規模が大きくなった企業は、事業主において責任を持つべきだといった話。あるいは事業所数ベースでも総事業所数の99.4%がカバーされているといった実態を踏まえると、対象の範囲の拡大は慎重に検討すべきといったこと。あとは、まだまだ規模の小さい会社でもiDeCoプラスの実施率が低くて、まずは現行の範囲でもっと普及を推進するべきではないかといった御意見。あと、給付水準が総合型DBでは十分ではないことも考えられるため、DBを実施していてもiDeCoプラスを実施できるようにしてはどうかといった御意見がありました。また、iDeCoプラスに関しては、普及促進のために中立的な立場で相談できる場を用意していってはどうか。こういった御意見をいただいていたところでございます。
 次にめくっていただいて、iDeCoプラスの実施状況になります。iDeCoプラスの1か所当たりの加入者数は平均6人程度、実施事業所のおよそ6割が加入者4人以下というところで、小さな事業所において御活用いただいているという状況が見てとれるのかなというところでございます。
 20ページ、iDeCoプラスの対象範囲に関してです。先ほど申し上げたとおり、既に事業所数ベースで99.4%、厚生年金被保険者ベースで55.4%という対象範囲がカバーされているといった状況になっております。
 DBとiDeCoプラスの併用に関してというのが21ページでございます。中間整理においても記載があるとおり、昨年の議論の中でも御提案がありましたが、昨年のヒアリングの際にiDeCoプラスに関してDBの実施事業主でも導入できるようにしてはどうかといった御意見。また、地方銀行に事務局のほうでヒアリングをする中でも、一定のニーズがあるのではないかといった御意見があったというところでございます。
 22ページ、23ページは、国民年金基金連合会と企業年金連合会における取組についての御紹介になりますが、国民年金基金連合会におけるiDeCoプラスの普及促進のための取組というところで、iDeCoプラスの相談窓口の整備・周知について記載がございます。日本商工会議所さんとか全国社会保険労務士連合会さんなどに協力をいただいて、DCプランナーかつ社会保険労務士の方のうち、国民年金基金連合会の研修を受けた方を「iDeCoプラス相談員」として選任して、こういった方々を御紹介するような取組を始められるといったこと。他にもiDeCoプラスの手続を簡素化する。オンラインのセミナーの開催。こういったことを取り組んできていただいているところでございます。
 23ページ、企業年金連合会の事業ですが、こちらは中小の企業年金も含めて全ての企業年金が活用できるものというところになっておりますけれども、投資教育の事業や、あるいは会員支援サービスに関してもトライアルの利用が可能になっていたり、こういったことで御活用いただけるような仕組みを整えていただいているというところです。
 次のスライド、研修とか相談、コンサルタント、こういったものについても御活用できるようになっているというところです。
 次のスライドは、本日御議論いただきたい点として、iDeCoプラスに関してでございます。iDeCoプラスに関しては、実施要件のところについてどのように考えるかというところで、2つ目の丸のところ、iDeCoプラスを実施できる中小事業主の範囲について。制度の創設趣旨や、現行の要件は公的年金の99%をカバーしているということを踏まえて、まずは普及促進や加入者数の増加を優先し、従業員300人以下という規模要件について緩和しないということについてどのように考えるか。
 あと、企業年金を実施していないという要件について、制度上、DBとDCの併用は可能だというところです。実際には中小事業主はそれらを組み合わせて退職給付などを整えているといった現状を踏まえて、選択肢の拡大のためDBを実施する中小事業主がiDeCoプラスを実施できるよう、DBとの併用を認めることについてどのように考えるか。こうした点を御議論いただきたいと思っております。
 また、普及促進についてどのように考えるか。こうした点について、iDeCoプラスに関する御議論をいただければと思っております。
 次はいわゆる「総合型DC」についてでございます。
 先ほどの資料と同じになりますが、いわゆる「総合型DC」というものが中小企業においても御活用されているという実態があるということの御紹介になります。
 28ページ、総合型DCと書いてございますが、「いわゆる」とついておりますとおり、企業型DCは制度上、総合型DCという形での制度は設けられてございません。二以上の事業主が1つの企業型DCを実施している場合には、代表事業主が規約の承認・変更申請等を行うような仕組みというものがございまして、こういったものを活用して総合型DCというものがあるということになります。このうち、代表事業主が広く加入事業主を募っているような例が存在しているというところでございます。
 29ページ、総合型DBというのは既にございますので、こちらは御参考でつけております。一番右側の企業相互間の人的関係が密接でないものを「総合型DB」と呼んで、ガバナンスなども図ってきているというところでございます。
 次のスライドは本日御議論いただきたい点でございますが、いわゆる「総合型DC」についてというところで、総合型DCについて、中小企業においても活用が広がっているというところでございます。いわゆる「総合型DC」の現状を踏まえて制度として対応すべきことがあるかどうかといったところについて、例えば、いわゆる「総合型DC」の法令上の位置づけ等々について御議論いただければと思っているところでございます。
 最後、確定拠出年金(DC)の自動移換についてというところでございます。
 32ページ、現状のDCにおける自動移換の仕組みの概要でございます。左から見ていただいて、退職された方本人が基本的には御手続をいただくということになるわけですが、6か月たって手続をされていない方に関しては自動的に自動移換ということで、国民年金基金連合会のほうに移換されていくという仕組みになってございます。
 こちらは自動移換者、令和4年度末の数字で、資産がある方で約66万人、資産額で約2800億円という数字になっているというところでございます。
 33ページ、現状の仕組みをフローで見たものになります。御本人が手続をしていただくのが退職後6か月以内。手続をしなかった場合には関係機関でまず情報連携をして、ほかに企業型DCに入っていないか、あるいはiDeCoに入っていないか、こういったことを確認した上で、入っている場合には御本人から申出がなくても資産が移換されていくと。そこで見つからなかった場合には国民年金連合会に移換される。その後も関係機関で情報連携はしておりますので、再就職先で企業型DCに入った、あるいはiDeCoに入った、こういったことが確認されると資産が移換されていく。このような仕組みになっているところでございます。
 自動移換に関しては昨年も御議論いただいたりしているところであり、昨年もお出ししている資料ですが、34ページ、これまでも様々取り組んできましたということでまとめている資料になります。まずは御本人がちゃんと移換手続を行うような取組というところで、事業主あるいはRKで退職者に対する説明・勧奨を行うといったこと。あるいは移換された後も年に1回ちゃんと御本人に通知が行くような仕組み。こういったことをやってきたというところです。それに加えて、先ほど御説明をしたように、御本人から申出がなくても企業型DCあるいはiDeCoに入っていることが確認された場合には資産が移換されていくような仕組みを入れてきた。さらに、そういったものを法令上も位置づけて、きちんと取り組んできている。こういった状況になっています。
 全体を図示したのが35ページになります。左側、申出がなかった場合も含めて移換がされていくような仕組み。各フェーズで御本人に対して通知を行っていく。このような取組をしてきております。
 そうした状況を踏まえて、36ページ、今の自動移換者の現状ですが、令和4年度末の数字です。自動移換者、資産がある方は約66万人。令和4年度において年間で見ていくと、新規で自動移換される方が15万人ぐらい。移換戻しという形で企業型あるいはiDeCoに出ていく方が約5万人というところ。あとは死亡とか脱退とか、年齢到達で出ていく方がいらっしゃって、トータルで自動移換者として増えていくのが10万人ぐらい。資産額にして230億円ぐらい。こういった方が自動移換されてきているという状況でございます。
 37ページ、現状の手数料になります。月額で52円。新規移換時に3,300円と1,048円なので、4,500円弱ぐらいの手数料がかかるという仕組みになっています。
 38ページが脱退一時金についてでございます。脱退一時金に関しては、これまでも例外的な措置として支給を受けるような仕組みがございますが、企業型DCあるいは個人型の脱退一時金の要件というものを書かせていただいております。前回の改正において中途引き出し(脱退一時金)の改善をしておりまして、外国籍の方が帰国される際には、公的年金と同様にDCの脱退一時金を受給できるような形に制度改正がなされているところでございます。
 39ページ、御本人への通知というのは御参考です。
 40ページも御参考ですけれども、転職者等に対して、事業主においても説明義務がありますというところを御紹介させていただいております。
 41ページ、自動移換者の動向ですけれども、こちらの数字としては先ほど御説明したものですが、徐々に増えてきているというところと、赤丸で書いていますが、資産のところを見ますと、25万円以下という金額の方々が約6割を占めている。こういった状況が見てとれるというところです。
 42ページを見ていただきまして、ヒアリングの際に国民年金基金連合会のほうからも実務的な対策では限界が明らかなので、制度的な対応も検討するべきではないかといった御意見をいただいているところです。
 こうしたことも踏まえて、昨年の御議論として、43ページ、中間整理において、自動移換については、「自動移換の課題について」というところで、事業主による周知の徹底、管理手数料の引上げ等の対応を強化するなどしていってはどうかといった御意見。それから、米国を参考に、事前に企業型DCの規約に資格喪失後に移換するiDeCoの管理運営機関を規定するなどの対応をしていってはどうかといった御意見。このような御意見をいただいていたところでございます。
 44ページは、アメリカにおける退職時に手続を行わない企業型DCの加入者への対応というところです。図を見ていただきながらのほうがいいかもしれませんけれども、アメリカにおいては、引き続き企業型DCのプランに残す、デフォルトIRA口座に移換する、現金で払い出す、3つの対応を取ることができるような仕組みになっております。
 デフォルトIRAに移換する、マル2とマル3に関しては一定の資産額の条件というものがあって、マル2のデフォルトIRAに移換すると7,000ドル以下。現金で払い出すのは1,000ドル以下。こういったルールになっている。
 デフォルトIRAの移換先は事業主が指定する。デフォルトIRAのプランは元本確保型商品である必要がある。このような仕組みになっているというところです。
 事業主は、従業員に対して退職の一定期間前に、移換するかどうかの決定を求めて、きちんと説明をするようなルールというものがあります。
 日本と違いまして、退職後に1か所に資産が集まっていくような仕組みというのは現状制度としては存在していないのですけれども、民間企業においてそういうDC資産の移換を円滑にするようなサービスが近年導入されてきているといった取組があるということです。
 45ページ、本日御議論いただきたい点(自動移換)というところでございます。自動移換に関しては、先ほど御説明をしてきたとおり、現代の自動移換の仕組みというのは、手続を行わなかった退職者の資産について国基連が一元的に管理を行うといった意義がある一方で、国民年金基金連合会には資産処分の権限がないというところもあり、運用がされず手数料負担により資産が目減りして、将来の年金受給が十分に確保できなくなる等のことから、加入者の保護に欠ける結果につながるといった点も指摘をされてきたというところでございます。
 これまでも御紹介したとおり、きちんと事前に説明をする、あるいは年に1回通知をする、本人の申出がなくても資産を移換できるような仕組みにする、このような取組をしてきたというところです。
 これによって、自動移換者の中から毎年約5万件、資産額にして約300億円が企業型DC、個人型DCに移換戻しというところで出ていっています。それでもなお自動移換者に関しては毎年一定数の流入が続いていて、既存の自動移換者数と資産額というのは増え続けているという状況にあります。
 こうした状況を踏まえて、企業型DCに加入していた人が退職した際の取扱いについて、以下の2点についてどのように考えるかという点を御議論いただければと思っております。1つ目、自動移換者の新規発生を抑制するための方策についてというところです。企業型DC加入者が退職した際に、DC法の趣旨を踏まえて、当該加入者の意思を可能な限り尊重しつつ、より加入者の資産保護に資する運用、制度的対応としてどのようなことが考えられるか。2つ目、既存の自動移換者の対策についてというところで、既存の自動移換者を減らすためにどのような取組が考えられるか。この2点について御議論いただければと思っております。
 長くなりましたが、説明としては以上です。よろしくお願いします。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 それでは、議題1について、委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。どなたからでもよろしくお願いします。では、谷内委員、お願いします。
○谷内委員 私からは、簡易型DC、iDeCoプラス及び自動移換の3点についてコメントします。
 まず、簡易型DCについて、通常の企業型DCに統合するとの方針には、賛同します。
 資料1の5ページには、企業型DCの導入の障害として様々な事由が列挙されており、3番目に「手続上の負担」が挙げられています。このハードルを引下げる観点から、2018年に簡易型DCやiDeCoプラスが創設されたと認識していますが、恐らくここで言う手続上の負担というのは、導入時だけでなく導入後の制度運営に関する手続の負担も含まれているものと考えます。その点では、簡易型DCの導入時はそこそこ負担が軽減されるのでしょうけれども、導入後の制度運営を考慮するといま一つ魅力に欠けてしまい、運営時の手続負担を軽減する機能は総合型DCの方に一日の長があったのかなと考えます。
 一方で、簡易型DCは米国のSIMPLE 401(k)プランか何かをモデルにしたと思うのですが、かの国ではそこそこ機能していた制度が日本では機能しなかった要因については、追って分析して今後の政策の議論の際に反映いただきたいと考えます。
 2点目、iDeCoプラスと確定給付企業年金との併用を認めるとの方針について、こちらも賛同します。とりわけ、中堅・中小企業における総合型DBの普及との兼ね合いを考慮すると、有効な施策ではないかと考えます。ただし、今年の12月から他制度掛金相当額が導入されますので、他制度掛金相当額によりiDeCoへの掛金拠出がいくらまで可能なのかといった情報の連携などは、もう少しサポートしていく必要があると考えます。
 3点目、自動移換につきまして、私ごとで恐縮ですが、私、この4月に転職しまして、前職の企業型DCの資産を先日ようやくiDeCoに移換することができました。移換の手続の際は擦ったもんだがありまして、今日はここでは申し上げませんが、いずれにしましても心が折れそうになる局面もありました。資料1の44ページに、退職時に手続を行わない際の米国における対応例が記載されています。そもそも確定拠出年金制度自体がポータビリティを売りに創設されたという経緯は存じ上げておりまして、44ページの措置を実行するということは、創設時の主張からは整合が取れない面が生じますが、もはや背に腹は代えられません。自動移換を放置することによるデメリットを解消するという観点からは、44ページのいずれかの施策について実施する方向で議論すべきと考えます。
 いずれにしましても、自動移換を放置してはイカン、これを放置することはじつに遺憾であるとの決意を新たにする所存です。
 以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 自動移換にしてみましたと言うのかと思ってドキドキしたのですけれども、手続していだいたようでよかったです。ありがとうございます。
 では、小林洋一委員、お願いします。
○小林(洋)委員 ありがとうございます。私のほうから4点申し上げます。
 まず、1点目です。資料の14ページに示された、通常の企業型DCを改善した上で、簡易型DC制度を通常の企業型DCに統合することについて、基本的に、方向性の異論はございません。手続の煩雑さが改善されることを期待します。
 他方で、iDeCoプラスとDBとの併用を認める案を25ページで御提示いただきました。拠出限度額や税制上の管理を合算して行うことになると思いますが、企業が実施主体の制度と個人が主体の制度を組み合わせた管理や実務が複雑になり、事業主の事務負担が増えることはないのでしょうか。もとより、iDeCoプラスはDBなど企業年金を導入するのが難しい中小企業にも、社員の福利厚生充実策の一環として考えられた仕組みであると認識しております。その辺りの整合性も含めて御教示いただければ幸いです。
 2点目です。いわゆる「総合型DC」について中小企業の利用が広がっていると見られる、とのことですが、ということは、実際にどのような普及状況なのかは分からないということなのでしょうか。実態がよく分からないという中では、何が課題なのかといったことも必ずしも明確でないということであり、さらに普及させるということが難しいのではないかと思います。DB制度を参考に、例えば委託先に報告を義務づけるなどにより実態把握を進め、御報告していただければと思います。
 3点目です。自動移換について、新たな自動移換者が出ないよう様々な対策をしていること、自動移換者への通知や資産管理の事務負担等が国基連の負担になっているということを理解いたしました。対策として、44ページのアメリカの例を参考に、少額であれば現金で払い出し、その際には拠出時に控除された税金を賦課する方向性がよいのではないでしょうか。これならシンプルであり、税制上の整合性も取れると思います。
 4点目です。今回の議題からは外れてしまうかもしれませんが、1点提案をさせてください。これまでも申し上げてきましたが、5ページにあるように、特に中小企業が企業年金を導入する前提として財源の問題が高いハードルになっており、まずはその原資を確保しなくてはいけません。企業年金の掛金は退職金の先払いのようなものであり、目の前の資金的な余力のない企業にとっては、検討を始めることすら困難です。そのため、企業年金を始めるための資金負担を軽減するための支援措置を設けていただければありがたいです。例えば企業が賞与を支払うとき、手元にキャッシュがない場合に金融機関から融資を受けることがあります。同じように、一定期間、企業年金の運営・管理に必要な資金について、融資を低利で受けられるようにすれば、これまでやる気はあっても手が出せなかった事業主が、勇気を持って第一歩を踏み出しやすくなると思います。そういった中小企業に配慮のある支援の御検討もお願いできればと思います。
 以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 最後の点も広い意味で制度の普及に関わる御意見だったかと思います。
 様々御意見をいただきましたが、2つ目のiDeCoプラスの点について、コメントを事務局からいただいたほうがいいかなと思いますので、よろしくお願いします。
○海老企業年金・個人年金課長 御質問ありがとうございます。
 iDeCoプラスとDB併用についてです。これを入れることで事業主の負担が増えるのかどうかという点。あとは、そもそもDBを実施していることと、iDeCoプラスの制度趣旨との関係をどう考えるのか。こういった点について御質問いただいたと思いますが、まず御負担に関しては、通常のDB、DC実施併用というところとあまり変わらないというところなのかなと思っております。他方、ほかのところでどういう御負担が生じるのかどうかというのは、事務の仕組み方次第というところもあるかと思いますので、できるだけ御負担がないような形で考えていくということかと思っております。
 企業年金が実施できないところにiDeCoプラスというものを実施することはファーストステップだということで実施したというところと認識しております。他方、ここをどのように考えるのかというところで、企業年金を実施できないということで、iDeCoプラスを実施することにしたという経緯かと思いますが、実際の事業主さんの場合、DBとDCというものを併用されていたり、あるいはその中で総合型のDBと、あとDCをやるときにiDeCoプラスのほうが活用しやすいというお声があるということと思っておりますので、そのようなところを踏まえて、選択肢の拡大という点でどのように考えていくのかということを御議論いただきたい点と考えております。
 以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 では、島村委員、お願いします。
○島村委員 御説明いただきましてありがとうございます。
 私からも議論の点について発言させていただければと思います。
 まず、簡易型DCについては、通常に入れて発展的に解消していくという方針に賛成です。iDeCoプラスとDBの併用についても賛成いたします。
 iDeCoプラスを、企業規模が拡大する事例もあるので、中小企業以外にも認めていっていもいいのではないかという発言をしたのは私だったと思うのですけれども、今でもその思いはちょっとあるものの、現状はまだ普及し切っていない中小企業のほうに焦点を当てて普及促進を目指すという方針には全く異論はございません。
 その上で、iDeCoプラスから始めて企業型DCに移行していく道というのを当然想定している道として事業主の方々に示していけるとよいのではないかと思っております。そのためには、iDeCoプラスのときと企業型DCのときとでは事業主が果たすべき責任とか義務にどのような違いがあるのかというところを明確化していただいて、精査しておいたほうがよいのではないかと思います。事業主の義務を整理するということは、もう一つの課題である総合型DCの在り方を考える上でも必要な作業ではないかと思っております。
 質問になるのですけれども、総合型DCの場合、DC法第22条の運用指図にするための基礎的な資料の提供を継続的に講ずる努力義務とか、今日御説明があった労働者が退職する際に自動移換にならないようにするポータビリティに関する説明義務というのは、代表事業主という概念はあったとしても、各事業主に係るという理解でよいのか、総合型の場合の関係を確認させていただきたいと思います。
 関係当事者が多いと紛争が生じやすいかと思いますので、権利義務関係を法律で明確にする必要があるのではないかと思います。
 あと、事業主の義務を軽くするほど手を挙げてくださる事業主が増えると思いますので、普及はしそうでよいのかなと思う一方で、事業主が運管の選定とか評価とか、積極的に関わっていただくこともこれまでの制度においては求めてきていたかと思いますので、どこまで事業主の関わりを求めていくのか、ちょっと難しい話ではあるのですけれども明確にしていく必要があるのではないかと考えております。
 自動移換等の関係では、私も少額なら引き出し可能とするのも、苦渋の決断ではあるのですけれども、認めてもよいのかもしれないと思っています。ただ、そのときには、先ほど小林委員からもあったように、DCだからこそ老後の所得保障に資するからこそ受けられてきた運用益に関する非課税とか優遇分については課税するなどの措置を取る必要があるのではないかと考えています。ただ、もう既に脱退一時金はあって、そこは課税なしで動いているのかなとも思うので、そこをどう説明するかはまた難しいかなとも思って悩んでいるところです。
 長くなりすみません。以上でございます。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 様々な御意見をいただきました。特に300人をiDeCoプラスで維持する前提として、であれば、本来企業型DCなりやってくれということであれば、そちらへ移行する道なりをちゃんとつけるべきではないかというのは、まさにそのとおりかと思いました。
 御質問がありましたいわゆる総合型DCについて、事業主の義務というのはいろいろありますが、それが法的にどういうつくりになっているのかということだと思いますが、お願いします。
○海老企業年金・個人年金課長 ありがとうございます。
 28ページのところに代表事業主ということで書いておりますが、制度上、総合型DCというのも通常のDCと変わりませんので、事業主の責任というのは、現状の制度上も通常のDCにおける事業主の責任と変わらないということになります。
 他方、実態として例えば投資教育や移換時の説明がどのように行われているかという点に関しては、実態は様々だろうと思いますが、投資教育などは運営管理機関のほうで様々メニューを提供されて、それを御活用されていたり、あとは実際の退職時の説明も含めて、そういったものをパッケージでご支援いただいているような例もあるということで承知しております。
 以上です。
○島村委員 どうもありがとうございます。
 特に退職時の説明は事業主の方にも自覚を持ってやっていただくことが大事かと思いますので、その点を強調させていただければと思います。ありがとうございます。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 では、大江委員、お願いします。
○大江委員 ありがとうございます。
 御説明もありがとうございました。
 中小企業に関する件で3点、自動移換について2点申し上げたいと思います。
 まず、簡易型を企業型DCに統合する形で対応するということには賛成です。
 2点目、iDeCoプラスについてですけれども、企業規模要件はそのままに、DB制度を導入している企業でもiDeCoプラスを利用できるにようにしていくということについて、基本的には賛成です。ただ、限度額管理が2.3万円一本で済んでいる部分が、他制度掛金額によって変わるので天引きでというような実務面も考慮すると、相当システム面、オペレーションの負荷が発生するのではないかという点は危惧をちょっとしています。国基連さんで負担が増えるということは、iDeCoに関わる人みんなの負担が増えてしまいます。
例えば総合型DBをされている事業所というのは厚生労働省さんのほうで把握されていると思うので、緊急アンケート的に、本当にこれはニーズがあるのかというところとか、把握した上で判断してもいいのではないかと考えております。
 また、総合型DCについてはパッケージになっていて、事業主として自ら商品とか関係機関などを決めなければいけないことが少ないという意味では、中小企業さんとして導入がしやすい制度だと理解しております。ただ、過去に私どものNPOで実施させていただいた調査では、掛金だけ出せばいいと勘違いしている事業主さんも少なからずいらっしゃいました。事業主さんが責務として商品とか運営管理機関のモニタリングをしなければいけないのだとか、加入者に加入時、運用時、退職前にちゃんと情報提供しなければいけないことを認識し、それができるのかというところは気になるところです。
 ですので、そういうところはウォッチしていく必要がありますし、そもそも今の器が大丈夫なのか、例えば高コストの商品が並んだラインナップが、事業主さんがそのことへの関心が低いがために放置されていて、結果的にはそこにいる加入者の方の運用がベストな状況にないということがあるのではないか、と懸念しています。できれば何らかの枠組みを決めて、健全な運営が行われているかを確認する仕組みを入れられないものでしょうか。その上で、健全だと確認できた総合型DCの一覧を厚生労働省のホームページなどで公開していただいて、これまで議論した見える化の一環として中小・小規模な企業さんがその存在を容易に知ることができるような形にできればと思います。
 自動移換についてですが、44ページで御紹介いただいたアメリカで広がっている引き続き企業型DCのプランに残すという方法の背景には、そのプランの残高が多いほど事業主が運営管理機関との費用交渉で有利になるという企業側のメリットもあって広がっていると聞いております。
 一方で、日本の企業型DCにおける関係機関との契約について、全てを知っているわけではないですけれども、知り得るところで言うと、一般的に多くは加入者人数ベースの費用テーブルであって、資産管理機関との契約の一部だけが残高ベースというのが実態かと思います。だとすると、企業さんにとってこれを入れる誘因がそれほど強くないのではないかと思っています。
 個人で考えた場合、何も手続をしなくても従来の商品で運用し続けられるということは、中途退職者にとっては最も楽な方法で、その意味では残りやすいというか、老後資産運用としては続けやすいという現実的な対策であるとは思います。けれども、残りやすいだけに複数のDC資産を持つという人が比較級数的に増えて、60歳以降の給付のときに各所に散らばっている状況が起きそうです。
 そうなると、受け取るときはそれを一旦取りまとめるという手続が本人は必要かもしれませんし、給付裁定をする資産管理機関とか運営管理機関側もデータを集めて受け取り忘れがないかチェックする必要が出て、裁定手続にかかる時間が長くなりそうです。
 さらに、少額であれば少額であるほど本人はどうでもいいと思って放置する可能性があって、75歳までの長期間、企業型DCに資産を置いておくということを中途退職者に認めた場合には、企業さんとしては、一時いらっしゃった中途退職者と75歳までお付き合いすることになり、管理負荷が発生するというところも気になりました。こういった制度運営実務を意識して制度改正をしておかないと、将来的な禍根になるのではないかと思っています。
今回の自動移換対策でいけば、移換手続をしないという人のために、ちゃんと移換をした人も制度運営関係者もそれなりの費用と負担を負ってまで全員が年金資産として受け取ってもらう必要性がどこまであるのかという視点も必要ではないでしょうか。谷内委員もおっしゃっていた通り、DCは制度メリットとしてポータビリティをずっと言ってきた部分はあるのですけれども、少額の資産については中途退職時に精算するという道を少し広げてもいいのではないかと思います。具体的には脱退一時金の1.5万円というものをちょっと引き上げるような形で資産を引き出せるようにするというものです。ほかに施策があればもちろんそのほうがいいのですけれども、ほかの施策と併せて検討してはどうかと思います。
 なお、自動移換後の管理費用については、従前から申し上げていますように、現行の10倍ぐらいまで引き上げていただいて、正規の移換先であるiDeCoの運用指図者の口座管理料よりも十分に高い水準に設定をすべきだと思います。
 長くなりました。すみません。以上です。
○森戸部会長 いろいろ、こうなるのではないかというのをイメージがつく形でお話を伺えました。ありがとうございます。
 では、金子委員、お願いします。
○金子委員 大江さんの次なので少し長くなっても皆さん許してくれるかなと思って、大江さんが話すのを待っていたところです。私ももしかすると長くなるかもしれないのですが、なるべく手短に簡潔になるようにお話ししたいと思っています。
 まず、最初に思ったのは、資料1の4ページ目の図です。これは毎回見る資料ですけれども、ここに掲載されているグラフを見るたびに思うことですが、従業員規模の小さい企業、299人以下の企業ですが、退職年金制度の実施割合が著しく低下して、何らかの対策が必要なのだろうなということ。これはここにいらっしゃる皆さんが一致した意見ではないのかなと思っています。
 こういうことを前提に、いろいろその後のことを考えていくのですけれども、まず簡易型DC制度ですが、これも小さな企業への特別な対策として実施したということですけれども、これは以前もお話ししたように、一応考えてやったのだけれども、見込んだ成果が得られないというのは、政策として時々あることだと思います。見込んだ成果が上がらないのならば、見切りをつけて早めに廃止したほうが、その後の行政コストを考えるといいのではないかと思っております。
 次に、iDeCoプラスについてですが、企業年金を実施している企業で、今後インフレの対応として年金給付の増額について検討していくところも増えていくのかなと思っております。その際に、企業は、既存の制度の給付の増額だけでなく、別の制度の新設も含めてトータルの退職給付制度、全体の給付を上げていくという選択肢を当然考えていくと思います。このような状況を想定しますと、小規模な企業に対してもより取り組みやすい選択肢を今、このタイミングで提供すべきで、DBを実施している中小事業主がiDeCoプラスを併用できるようにすることは、そういう意味では意義があるのかなと思っております。
 また、総合型DCについてですが、これはこの前に大江さんも御指摘されていたことと基本的には同じ意見ですが、小規模な企業へのDCの普及を考えると、iDeCoプラスに加えて総合型DCというのは期待したいところであろうと思います。ただ、総合型DBでも、参加事業者の牽連性が薄いために企業の当事者意識が希薄になりやすいと指摘がされていたと思うのですが、総合型DCも構造は同じはずで、例えば結果としては、これも大江さんが御指摘された話だと思うのですが、商品選択など加入者の利益が十分に考慮されていないようなケースも出ているのではないのかなということを懸念しております。
 一方で、総合型をうまく進めることによって企業型DC全体の加入者を増やすことにもつながると思っていますので、健全に増やしていくために、まずは実態把握をした上で、過度な負担を要求することのないレベルで増やしていけるような方向性に導いていけたらいいのではないかなと思っています。
 最後、自動移換についてですが、確かに自動移換者が年々増えていまして、恐らく国基連さんに大変な負担になっているということだと思います。自動移換の新規発生を限りなくゼロに近づけることを目標にするのであれば、確かに米国のような取組を参考に、デフォルトプラン方式みたいなものを検討していくべきなのかなと思っています。
 ただ、よくよく考えてみますと、例えば自動移換者を無理やりiDeCoの運用指図者にしても、何も考えずに元本確保型だけで運用する人を増やすだけになりかねません。そんなことを想定すると、本質的に何も問題が解決していない気がしています。これは国基連さんには自動移換という形で、形式的にはいなくなってしまうのですけれども、だけど、民間の運管のほうに移って、ほとんど何も考えずに元本確保型で、大した利回りも出ないものに口座管理料を払い続けるということなので、本質的には何も変わっていないのだろうなという気がして、そこが気になっているところです。
 ですから、根本的には資産形成に対する加入者の関心を高めていくことが大事で、そういった資産形成の機運を高めることが自動移換の新規発生の抑制につながるのではないかと思います。そういった目で国基連さんが公表されている統計を改めて見てみますと、2020年度以降、新規自動移換者数は高い水準にはあるのですけれども、頭打ちになっているように見えます。それに代わって自動移換よりも新規運用指図者が増えてきているという感じに数字上はなっております。これは世間で資産形成に対する関心が高まったことも関連しているのではないかなと思います。そういう意味では、資産形成に対する加入者あるいは国民の関心を高めていくことが根本的な解決なのかなと思っております。
 ただ、資産形成に関心を持つといっても、そこにある一定の資産規模がないと関心の持ちようがないと思います。極めて少ない金額しかなければ、運用を真面目に考える気にならないでしょうから、そういう意味では、関心を持っていただくということも大事なのですけれども、関心を持ちようがないレベルの資産しかないような場合には、これは大江さんもほかの方も御指摘されていましたが、現金で引き出す道を与えるべきではないかなと感じております。
 以上でございます。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 いろいろ貴重な御指摘がたくさんありましたけれども、おっしゃるように、国基連にあるのが自動移換として問題になっているわけだけれども、これがほかに移ったら、よかったねということにはならないということですね。別に同じ金額が同じようにほったらかされていたら同じかもしれないですね。逆に言えば、今、国基連銀行にみんな預けていると思えば問題ではないのかもしれないなとも思ったりもしまして、非常に重大な御指摘をいただいたと思います。ありがとうございました。
 では、岩城委員、お願いします。
○岩城委員 ありがとうございます。
 私もちょっと長くなります。すみません。3点申し上げます。
 まず、簡易型のDC制度についてですけれども、こちらは書いていただいたように、通常の企業型DCをより使いやすくした上で、簡易型DC制度を通常の企業型DCに統合するという案に賛成です。
 2点目は、iDeCoプラスについて3点述べさせていただきます。まず、従業員300人以下という要件については、現状実施可能な事業所でも99.4%カバーされているということを見れば十分であると思いますし、規模が大きくなった企業については、事業主において従業員の処遇に責任を持つべきという方向性に賛成します。
 ただ、企業の成長で従業員数が増えたり、被用者保険の適用拡大で第1号厚生年金被保険者が増加して、300人以下という要件を満たさなくなった場合というのは、通常の企業型DCへの移行の可能性が生じることになります。従業員等から制度を移行したいという希望があって実現した場合、例えば運用資産をそのまま移換できるようにすることができるのか、できないのかという話が出てくると思います。制度移行によって生じる従業員の不利益を極力小さくするためにはどうすればいいのかということをしっかりと考えておく必要があると思います。
 2つ目は、規模の小さい会社にiDeCoプラスをもっと普及、推進すべきという点についてですが、私の相談事例で、従業員の方がiDeCoプラスという制度を知って、事業主に直談判して制度を導入してもらえたというケースを聞きます。ですので、iDeCoの加入者にこそiDeCoプラスという制度を知ってもらうという取組も効果的なのではないかと思います。
 3つ目は、給付水準が低い総合型DB実施企業がiDeCoプラスを実施できるようにすることについてですが、これはiDeCoプラスよりも通常の企業型DCのほうがいいと思います。冒頭申し上げたように、企業型DCを使いやすい制度にすべきという方向性ならば、なおのことDCとの併用を実施していただくようにしていただいたほうがいいと思います。理由は、iDeCoプラスの導入要件が企業年金を実施していない従業員300人以下の事業主であることというのを踏まえるべきであるというのと、仮に企業の成長とか適用拡大で300人以下という要件を満たさなくなった場合は、さきに申し上げたように、iDeCoプラスの要件を満たさなくなって、代わりにDC制度を持つことになった。それならばDCへ移換したいという希望が従業員から生じた場合、現状では一旦現金化することや投資先の変更等による運用の中断が考えられます。運用を中断するということは、従業員にとってはより不利益なことです。そのような可能性が生じることを考えると、初めからiDeCoプラスよりもDCを併用してもらうことを訴求するほうが合理的ではないかと思います。
 3点目はいわゆる「総合型DC」についてです。拡大の背景では、いわゆる給与切り出し型の選択型DCが増えていることがあると感じています。実際弊社にも「会社負担の社会保険料の大幅削減の御案内のための御提案」というセールスがたびたび来ます。そこで提案されているのは「社会保険料劇的削減スキーム」というもので、まさに給与切り出し型の選択型DCなのです。事業主の社会保険料削減というのが制度導入のインセンティブとして使われているというのは本末転倒で、大変残念なことです。
 そこで、2点お願いしたいのですけれども、実態把握を進めて、導入企業に追加報告を求めていただきまして、ぜひ御報告をお願いしたいと思います。
 もう一つは、そもそもなぜ社会保険削減ができるというスキームが誕生したのか、そのきっかけとなったのはどういう経緯があったのかということをぜひ御調査いただければと思います。
 続きまして、論点について3点御意見を申し上げたいと思います。1点目は、総合型DCについても法律上の定義を総合型DBの定義に準じた形で明確にすべきだと思います。たくさんの委員の方がおっしゃっているように、やはり従業員本意の制度であるべきですし、事業主の責任意識が希薄になりやすいとか、代表事業主が運管の関連会社になっているなど、こういったものは非常に問題があると思います。
 2点目は、導入時の従業員への説明も社会保険料の削減がメリットであるかのような説明をすることがないよう、将来の厚生年金が減ることとか、健康保険や雇用保険で行われる給付にも影響することなど、説明項目についてしっかりとしたルールを設けることなどを検討していただきたいと思います。
 3点目が、いま一度給与切り出し型の選択型DC、併せて選択型DBについて、社会保険料が削減できる制度となっていることについて、本当にこのままでよいのか、慎重に議論する必要があるのではないかと思っております。
 最後に、DCの自動移換についてですが、米国の制度を参考に考えたアイデアベースではあるのですけれども、ちょっとお話をさせていただきたいのは、まず1つ目は、少額ならば現金で払い出すということ。2つ目は、一定期間内に手続をしない場合というのは、iDeCoの定期預金などの元本確保型に払い出すという仕組みを企業ごとに規約の中で定めてはいかがかなと思います。これを企業型DCに加入するときにしっかり従業員の方に説明して、そういった入り口で対策をすることで自動移換者を増やさないことにつながるのではないかと思います。
 企業型DCを導入しているということは運管とも関係があるということで、iDeCoを自動移換先にするというのは、そんなに企業にとっても手間にはならないと思いますし、iDeCoに移換した後に従業員の方がちょっとリテラシーを高めて、運用してみようとかいうことになったら、より手軽にリスク商品を将来的に選択するのにもよい環境だと思いますので、このようなことを御提案申し上げます。
 以上です。
○森戸部会長 ありがとうございました。
 1点確認ですけれども、iDeCoプラスのところで岩城委員の御意見は、企業型DCとも併用できるようにしろという御意見ですか。そうではないですか。
○岩城委員 iDeCoプラスを併用するのではなくて、DC制度を併用するように考えてくださいというふうに訴求してはどうかということです。
○森戸部会長 では、DBとの併用はむしろ消極的な御意見でしょうか。
○岩城委員 いえ、これは総合型DB実施企業がという前提ですね。給付水準が低い総合型DBがiDeCoプラスを実施できるようにするのはどうかという御意見に対して、iDeCoプラスでなくて、企業型DCを併用してはどうかということです。
○森戸部会長 分かりました。失礼しました。
 事務局、何か発言ありますか。
○海老企業年金・個人年金課長 1点だけ補足の御説明です。iDeCoプラスで300人を超えてしまった場合のお話ですが、iDeCoプラスは、あくまでもiDeCoを従業員が空けていただいて、そこに事業主から掛金を御本人の掛金のところに入れていくような仕組みなので、そこから仮にやめますという話になっても、iDeCo口座を閉じなければいけないというものではなくて、御本人がこれまで積み立てたものは積み立てたiDeCoとして残っていくということになります。そこから企業型をどうするのかというところについては、制度としてどう仕立てていくのかというところ、境目のところでの御議論ということかと思います。
○岩城委員 ありがとうございます。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 ほかにも興味深い御意見、実務・現場からの御意見もいろいろいただいて、コメントもいっぱいしたいところですが、先に行きたいと思います。
 では、松田委員、お願いします。
○松田委員 ありがとうございます。2点意見を申し上げたいと思います。
 まずは中小企業における私的年金の活用の状況についてです。4ページにあるように、従業員規模が小さいほど企業年金の実施割合が低いこと、有期・パート等の労働者の適用割合が低いことは課題として認識しております。これまで連合として、春季生活闘争方針に掲げ、さらなる普及促進に向けて取り組んできたところですが、これまで以上に次年度の春闘においても取組を進めたいと思っております。
 続きまして、自動移換対策についてです。43ページの中間整理にありますように、事前に企業型DCの規約に資格喪失後に移換するiDeCoの運管を規定すること、あるいはアメリカのように、資格喪失後のデフォルト商品などを設定することが対策として考えられます。これらは自動移換者を増やさないために有効な対策の一つと考えますが、手続をせずに自動的に移換されることで、労働者の意思が十分に反映されない懸念を踏まえると、導入は慎重に検討すべきと考えます。
 まずは加入者行動を分析するとともに、労働者の理解促進に取り組み、仮に運管を規定する際には、企業型DCを実施する企業の労使による丁寧な合意形成を担保する仕組みを設けるべきと考えます。
 以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 では、冨樫委員、お願いします。
○冨樫委員 ありがとうございます。私からは2点意見を申し上げたいと思います。
 まず、iDeCoプラスについてです。iDeCoプラスはあくまでも企業年金制度導入のステップと理解しております。企業規模が拡大し、企業年金を導入しようとする当該労使の意思を阻害しないためにも、従業員300人以下という要件の拡大をしないことについて、賛同いたします。
 一方、DBとの併用について、仮に福利厚生を充実させたいという意思があるのであれば、それはDBの拠出を引き上げることを基本的な考え方とすべきと考えます。iDeCoプラスの位置づけや、当該企業の全ての従業員がiDeCoに加入しているとは限らないことからも、DBとiDeCoプラスの併用を認める必要性は低いと考えます。
 もう一点は、いわゆる「総合型DC」についてです。労働組合としては、DBの導入促進をすべきとの考え方ですが、中小企業が企業年金を導入するに当たり、いわゆる「総合型DC」を活用することは有効であると考えます。今後さらなる普及のために、法令における位置づけを明確化するとともに、先ほど御紹介がありましたが、代表事業主と事業主の関係性、それから代表事業主や事業主それぞれが加入者に負うべき責任についても、ルールを整備していく必要があると考えます。
 以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 では、原田委員、お願いします。
○原田委員 ありがとうございます。各項目について少しずつお話をさせていただければと思います。
 まず、簡易型DCは、方向性は全くそれでいいのではないかと思っております。ただ、内容について一般のDCにも反映できるものは反映して、手続を簡素化していただけるといいと思います。
 iDeCoプラスについては、人数要件については拡大の必要は現時点でないと思っております。一方でDBとの併用については考えてもいいのではないかと思っておりまして、ただ、御意見であったとおり、企業型DCを主としてやってもらいたいというのはもちろんそうだと思います。DCを実施するのであれば、企業型DCを第一順位に考えてもらうということは当然だと思っていますので、それを促進するための手だてというのは必要だと思いますけれども、一方で、運営負担が重いことを考えると、第一歩としてiDeCoプラスというのはありなのではないかと思います。
 総合型DCについては、私も一つ心配というか、懸念点があるのは、商品選定もそうですが、投資教育の部分で誰がどういう主体性を持って加入者に対して行っているのかというところについて、若干不安があるかなと思っています。一般の単独のDCであっても、継続教育など、動画を見て終わりとか、そういうふうになってきてしまっているのが実情ではないかと思うのですが、多くの事業所が入っている場合に、例えば代表事業主がそういうコンテンツを用意したとしても、各事業所の加入者にそれが届いているのかどうか。そういったところは注意深く見ていく必要があると思います。
 また、脱線してしまいますけれども、先ほど岩城委員から給与切り出し型の話があったと思うのですが、私の記憶では、当時DCでマッチング拠出ができなかったときに、マッチング拠出的なことをするためにどうしたらいいかということを考えて、だったら、給与を減らしてDCの掛金に回そうというアイデアがあったことは事実です。ただ、その線引きがなかなか難しい。純粋に会社の退職金制度として前払い退職金というのがありますので、それとの色分けがなかなか難しい面があると思います。
 自動移換のところについては、今までの取組というのはすごいと改めて思ったのですが、大江委員がおっしゃっていたとおり、自動移換しても結構いけるじゃんということ、手厚過ぎるのではないかという点は若干感じたところもありまして、やはり自動移換がないように、実施している事業主が加入者に対してきちっとした手続の説明や、背中を押すということが一番大事だと思うのですが、自動移換したら得をしない、損をするよね、だからちゃんとやろうと思わせる示し方。自動移換に関しての対策というか、問題点の解決にはそういったところが必要なのかなと。先ほど移換の手数料が高くなるとかおっしゃっていましたが、私もまさにそのとおりだなと思いました。
 あとは箱の問題で、どこかの箱にあるならそれでいいのではというように金子委員もおっしゃっていましたが、それはDCの根本的な問題だと思っていますので、そもそも企業型DCの加入者でも、あることを忘れているぐらいの人も中にはいらっしゃるので、従業員、加入者の方の意識を高めていくということは永遠に取り組んでいくしかないと思っております。
 感想めいたことばかりですけれども、以上でございます。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 では、藤澤委員、お願いします。
○藤澤委員 ありがとうございます。2点コメントしたいと思います。
 1点目、簡易型DCですが、ほかの委員の方と同じで、見込んだ効果がないということで、廃止の方向でいいと思います。その上で、5ページのアンケートですが、2018年に実施したものとございます。こういったアンケートを定期的にやったほうが政策の効果も検証できると思うので、定期的な実施を検討いただきたいと考えております。
 2点目、DCの自動移換のところですが、ここは大江委員と同じ意見で、管理手数料の引上げを検討したほうがいいのではないか、例えばシステムの維持コスト等は引き上がっている可能性がございますので、少なくともインフレ対応分は上げるということを検討すべきではないかと思っています。引き上げると書くだけで関心がある意味高まって、それで移換先を検討するという効果もあると思います。そういう層も一定程度出てくる可能性もございますので、手数料の引き上げというディスインセンティブも検討いただければと思っています。
 44ページのアメリカの事例で、引き続き企業型DCのプランに残すという選択肢ですが、カナダの事例も調べましたが、同様に元いた企業型DCに残すという選択肢がございました。日本はDBの場合、年金受給資格があればDBに残るということで、金額で区切るのか、加入期間で区切るのか、10年以上とか、そういった形で区切るという選択肢もあると思っています。
 会社によっては、今、アルムナイ採用という、出戻りの採用を行っている会社も少しずつ出てきていると思っています。中途退職した場合でも緩くつながるというニーズが企業にもあるかもしれないので、DCというプラットフォームを通じて緩くつながることを支援する。人事戦略の対応としても、DCが施行したときの状況と少し変わっていると思っていますので、その辺りを含めて検討する必要があると思っています。
 以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 では、小林由紀子委員、お願いします。
○小林(由)委員 ありがとうございます。私からはいわゆる「総合型DC」と自動移換の2点について、幾つか意見を申し上げたいと思います。
 まず、いわゆる「総合型DC」についてですが、資料の27ページに示された制度の実施状況を見ると、既に多くの事業所での実績もあり、企業年金の普及促進の観点では有効な仕組みではないかと考えます。
 その一方で、先ほど来お話が出ているように、いわゆる「総合型」の制度に関しては、特にガバナンスの面で特有の課題があると思われます。まずは制度の実態について確認、検証、整理を行って、DC制度運営の一形態としてきちんと定義づけるべきであると考えます。その上で、総合型の確定給付企業年金や厚生年金基金におけるこれまでのガバナンスの議論も踏まえながら、加入者利益の確保という観点で、運営の見える化等の必要な措置を検討すべきと考えます。
 続いて、DCの自動移換についてですが、今後に向けた対応を検討するに当たっては、まず自動移換の実態について、より具体的に事実を把握する必要があると考えます。例えば資料の33ページで示された平成28年の改正に関しても、法改正の狙いがどの程度有効に機能しているのか、詳細な分析が必要と考えます。36ページにある年間の移換件数なども単年度の絶対数だけを見るのではなく、企業型の資格喪失者数の全体に対して、自動移換の発生率がどのように変化しているのか等、時系列で示していただきたいと思います。
 また、自動移換者の属性という観点でも、分析を深める必要があると考えます。例えば自動移換された後の公的年金への加入状況や保険料の納付状況を把握することで、対象者が引き続き企業型DCあるいはiDeCoの加入資格を有しているのかどうかを分析し、対応策の検討につなげることもできるのではないかと考えます。
 自動移換の大半を移換資産額ゼロ、あるいは25万円以下の者が占めているという実態もある中で、問題の所在を特定して真に必要な対応策やその優先順位を見極めるためには、まずは自動移換の実態を明らかにすることが必要であり、限られた情報からの推論で結論を出すことは避けるべきではないかと考えます。具体的な事実に基づいて議論ができるように、さらなる情報の分析と開示をお願いしたいと思います。
 最後に、資料の43ページに記載がある、米国を参考にして、事前に企業型DCの規約に資格喪失後に移換するiDeCoの運営管理機関を規定するという対応案に関してですが、これは加入者本人の責任において運用を行うというDC制度の基本的な考え方、あるいは現行法令の枠組みに照らして適切かどうかという観点で是非を検討する必要があると考えます。具体的には、個人型DCの運営管理機関については、「個人型加入者が自ら指定する」旨が法第65条に規定されています。また厚生労働省のQ&Aにおいても、企業型DCの実施事業主が「特定の個人型運営管理機関を紹介すること」は問題ないとされていますが、「事業主があらかじめ個人型の運営管理機関を選定し、その中から加入先を選択させることは不可」とされています。また、企業型DCの実施事業主が個人型の運営管理機関を紹介する場合も、専ら加入者等の利益の観点から、サービスの内容、手数料、運用商品等について適正な評価を行った結果である等の合理的な理由が必要とされており、安易には行えない枠組みになっています。
 事業主においても、国基連さんと同様に資産処分の権限はありませんし、元社員とはいえ所属員ではない、かつ既に個人に帰属している資産を企業が長年管理をし続けることには課題が多いと考えます。こうした企業型DCと個人型DCの関係性を含め、自動移換については、制度の根幹に関わる議論であることも踏まえて慎重に対応を検討すべきと考えます。
 以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 では、オンラインのほうでもし御意見があればと思いますが、山口委員は何かありますか。
○山口委員 ありがとうございます。それでは、2点お伝えさせていただきます。
 これまでの皆様の御意見と重なるところがあるかもしれませんけれども、1点目は総合型の広がりという点です。今回事務局で初めて幅広くお調べいただいたということですが、今はいろいろなところで一緒にやっているけれども、事業者の構成など、特段決まりはないということで、もしかすると、広がっている背景としては、管理とか運営の代行的に使われているという可能性があるのかと思います。総合型と言うと、DBでもそうだと思うのですけれども、共同で実施という趣旨や、これが総合型DCの場合というのはどういう意味を持つかということはまたあると思うのですが、これも皆様おっしゃられていますけれども、忠実義務を踏まえて、加入者の利益になるようにどういうふうにガバナンスを効かせられるかということが、今のままだとよく分からないということがあります。
 そのような意味では、一定の規律は何か必要だろうということで、法令上の定義づけを行うこと、総合型DCの枠組みを生かして適正な管理運営をしていくために、透明性の確保は必要かと思いますので、法的な枠組みとして今後考えていただけるとよいのではないかと思っております。
 2点目は自動移換です。これまでずっと自動移換の件数とか資産額が増え続けている状況で、国基連が年1回通知をするとか、いろいろな対応を続けられているということです。その対応については、既存のものとこれからについて分けて考える必要があるかと思っております。これまでのものは少額のものが5年など、年数はよく分からないのですけれども、長期間積み上がっていて、例えば御連絡をしているけれども加入者の追加的な対応を促せていないということも含めて、これまで積み上がったものについては、どちらかというと精算する方向に考えていくといいのかと思います。払い出す、脱退ということを、考えてよいかと思っております。
 この間、適用拡大とかポータビリティの拡充ということで、制度がどちらかというと段階的につくられてきたというところもあります。そういう中で、iDeCoも大体誰でも入れるようになっているとか、今までと状況が変わってきているのですけれども、これまでに加入している方はそれらに関係しない中で自動移換が起こっているようにも見えます。国基連の事務負担の大きさとの関係で、これからまた増え続けるということに対しては均衡が取れないのではないかということがありますので、そういう意味では、業務として国基連や国の側が対応するということではなく、精算することが考えられないかと思います。
 今後については、投資教育をこれから充実させていくとかいう方向にもありますし、どちらかというと自動移換を防ぐ方向にいろいろな制度的な取組がシフトしてきていると思います。こういった施策を徹底して転職・退職時の説明をしっかりやるという形で、それらの手続をきちんと取ることを念頭に考えていけるといいのかと見ております。
 以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 では、渡邊部会長代理、ありますか。
○渡邊部会長代理 ありがとうございます。
 御説明、いろいろありがとうございました。
 まず、簡易型DCについてですが、私もほかの委員の方の御意見と同じように、通常の企業型DCに適用しても差し支えないような、そういった手続の簡素化などの措置については、そちらのほうに積極的に取り入れて、簡易型DC自体は終了といったような方向性に賛成したいと思います。
 iDeCoプラスの企業規模要件については、制度趣旨からしても、カバーされている実際の事業所の割合からしても、現状維持で問題ないと考えております。
 また、企業型DBとiDeCoプラスの併用ということについては、iDeCoプラスの制度趣旨とか企業年金の導入にマイナスの影響があるかもしれないといったことを考えますと、併用といったことについては慎重に対応する必要があろうかと考えております。
 さらに、iDeCoプラスの普及促進ということについては、既に御意見の中にございましたが、iDeCoプラスを事業主のほうに働きかける労働者側にもっと知っていただく必要があるのかなということを考えますと、iDeCo加入者に対しての広報といったところにもう少し力を入れていってもいいのではないかと思いました。
 いわゆる「総合型DC」に関しては、やはり実態把握が必要だと思っております。実態把握をするためにも定義づけが必要ということになりましたら、その定義づけをする必要がございますし、また、ガバナンスの面などにおいて問題が考えられると思いますので、その問題に対処できるような規律の在り方を考える必要があろうかと思っております。
 最後に、自動移換といった問題に関しては、自動移換後の対応というのはかなり進められていると考えております。したがって、自動移換の問題に今後対処していくといった点からは、入り口部分での対応がやはり必要になるだろうと思いますので、今回の資料の参考にも出ておりましたが、アメリカ型のようなものの対応を考えていかなければいけないと思っております。その中では一定金額以下のものに関しては払い出しが必要ではないかといった点も含めて、検討していく必要があろうかと思いますし、さらに、既に移換されているといった人に対しての対応策として、管理手数料の引上げなどは効果的だと思っておりますので、そういった点も含めて対策を検討する必要があるだろうと思います。
 以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 オブザーバーのほうからはいかがですか。では、国基連は当事者ですけれども、よろしくお願いします。
○松下国民年金基金連合会理事長 実務を担う当事者という立場で大きく2点申し上げたいと思います。
 まず、DBとiDeCoプラスの併用についてどう考えるかというところでありますが、本件につきましては私どもとしても驚いているというか、戸惑っているというのが正直な感想であります。今までお話がございましたように、もともとiDeCoプラスは、企業年金導入が困難な事業者に対して、比較的少ない負担で従業員の福利厚生を図る、こういう目的を趣旨とした制度であると理解しておりますので、この制度趣旨をDBとの併用ということをやる場合にどう整理していくのかといったところについては、もう少し確認をさせていただきたいなと思っています。
 そもそも論として導入を検討される可能性のある事業所側にこういうニーズ自体が存在するのか、というのが、私どもは正直計りかねているところでありまして、事務局のほうでどのようにそのニーズを確認されたのかというところについて、根拠を明らかにしていただきたいと思います。
 それから、ニーズというところとも絡むのですけれども、仮にDBとの併用を行う場合には、令和2年度の制度改正によりまして、iDeCoの拠出限度額の管理は他の年金制度と合算して管理するという仕組みに現在なっているというところにも十分御留意をいただきたいと思います。仮にDBとiDeCoプラスの併用を認めるに当たって、iDeCoプラスの事業主掛金も合算管理の対象に含まれるといった可能性も生じる場合には、中小事業主側に非常に複雑な限度額管理の仕組みを御理解いただいた上で、各種届出等の実務を担っていただくということが必要になってくるのかなと思っています。したがって、こういう負担を十分考慮した上で、費用対効果として考慮して、それでも導入のニーズがあるということなのかどうかというところをぜひ確認をさせていただきたいということです。
 当然私ども連合会としても仮に導入するということになりますと、大がかりなシステム改修が必要になってくるということもありますので、現時点ではDBとiDeCoプラスの併用につきましては、私どもとしては慎重に考えたいというのが結論でございます。
 2点目の自動移換ですけれども、これも皆様から御意見が出ていますように、実際に自動移換者が発生してからの実務の対応という意味では、私どもとしてもこれまでできることをやってきたつもりでおりますが、残念ながら自動移換者の発生自体に歯止めをかけることはできていないというのは、昨年のヒアリングでも申し上げたとおりでございます。
 したがって、何らかの制度的な対応をお願いしたいという要望を出させていただいていますが、制度的な対応ということの意味は、先ほども委員のほうからございましたように、いわゆる入り口対策として、企業型DCに入るとき、あるいはやめるときにあらかじめデフォルトファンドを御指定いただいて、結果として自動移換者の新規発生をさせないということ、あるいは現金化ということも含めてストックを減少するような対策も実施するということを意味しております。
 資料の中にも御案内いただいたようなアメリカの例を拝見すると、対策の方向性として、新規発生をさせないとか、少額の移換者に対して解約を認めるという方向性自体が非常に明確ではないかと思っていまして、我が国における対策もそういう方向性にのっとって行うべきではないかと考えています。
 今日は従来よりも一歩踏み込んだ言い方をさせていただきたいと思っているのですが、私どもとしては、自動移換者問題は企業型DCの問題だと理解しております。これはiDeCoの問題ではありません。したがって、ポータビリティ機能が十分に発揮されていないという現状をこのまま放置していいのかという観点から、企業型DCの問題として捉えて、その対策を検討していただきたいというのが私どもの思いでございます。
 確かにDC制度の趣旨として、加入者本人の意思を尊重してといった面は一定の配慮が必要かと思いますけれども、これはデフォルトファンドを指定する場合にも、当然御本人の意思で指定をしていただくという前提に立てば十分クリアできることではないかなと考えております。
 いずれにしましても、新規の自動移換者を発生させないということを最大の優先順位に置いていただいて、効果的な対策を御検討いただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 以上です。
○森戸部会長 ありがとうございました。
 まさに本当の現場からの貴重な御意見だったと思います。ありがとうございます。
 企業年金連合会さんはよろしいですか。
○鮫島企業年金連合会理事長 はい。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 議題1について一通り御意見をいただきました。私から特にまとめではないですが、簡易型DCに関しては、大体皆さん、御意見が一致していたかなと思います。iDeCoプラスに関しては、300人維持というのは大体意見が一致していたかなと思います。
○大江委員 すみません。1つだけいいですか。
○森戸部会長 どうぞ。
○大江委員 今、松下理事長の話を聞いて、データ的に今後の検討のためにお示しいただければと思ったところがあります。事業主さんによって退職時とかの説明がどれだけ徹底できているかというのは濃淡があると正直思っていますので、資格喪失者における自動移換者の割合が例えば6割、8割、9割みたいな事業主さんがどれだけあるのかというところ。そういう説明が形式上はなされているということになっているけれども、実態としてなされていない。またはそういった特徴、業態なのか、転職率か分かりませんけれども、そういうところの傾向みたいなものがあるのかとか、企業型の問題だと言われてちょっと思ったのは、そこの部分というのは本来事業主がやるべきことでもありますし、数字的に現状把握ができるものをお持ちだと思うので、お示しいただけるといいかなと思いました。
○森戸部会長 事務局、それは御検討いただけますか。
○海老企業年金・個人年金課長 どういった形で分析ができるのかということも含めてちょっと検討させていただければと思います。ありがとうございます。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 途中でしたが、iDeCoプラスの話は、300人維持というのは、大体皆さんおっしゃっていましたが、ただ、DB併用については御意見が分かれていた。消極的な意見もそれなりに強くあったかなと思います。
 総合型DCに関してはいろいろな御意見をいただきました。実態把握が必要だというのは、皆さんがおっしゃるとおりだと思います。確かに個別事業主としては大分楽な面があって、それで制度が普及したというところもありますから、そういう流れに水を差すようなことはしたくないし、してはいけないのだと思いますが、ただ、個別事業主の負担が軽くなるのであれば、その分代表事業主のほうにもうちょっと厳しく言わなければいけないのかもしれない、規制をかけなければいけないのかもしれません。規制をかけるというのは、総合型というのを法律上正式なものにしてちゃんと規制するのか、それとも大江さんがおっしゃったように、見える化ではないですが、お墨つきを与えるみたいな、ソフトロー的なアプローチをするのか、そこは検討の余地があるのかなと思います。
 いずれにしても、総合型DB、古くは総合型厚生年金基金などでもあったガバナンスの問題で、要するに、自分のところの労働条件という問題として捉えないのではないかという問題は同じようにありますので、そこをきちんと実態把握とともに対応しなければいけないと思います。
 1点だけ、個別事業主については、労働法上の規制、個別事業主が自分のところの労働条件として捉えてもらうというところは、労働法上のルールとの関係で連携もできたらいいのかなとちょっと思いました。
 自動移換問題に関してもいろいろ御意見をいただきました。少額だったら払い出しを認めてもいいのではないか、苦渋の選択とかいう御意見もありつつ、やむを得ないのではないかという意見も結構強かったというのは印象的です。それから、今の手数料をもうちょっと上げたほうがいいのではないかという御意見についてはこれもそうかなと私も思います。
 あとは、企業側としてやめた人の分をずっと、それこそ75歳まで管理するのかとか、懲戒解雇したやつの分を管理するのかとか、それから残していたら、今度企業がM&Aで組織が変わってしまってどうなるのだとか、想像したらいろんな大変な問題が起きそうで、そういうのは避けたいし、あまりよくないなと思いますが、他方で、辞めた後の人の面倒を見ろとは言わないから、でも、辞める前、自分の従業員であるときにはその人を送り出すときにしっかりやってくれというのは言わなければいけないだろうと思いました。そこをどの程度企業にやってもらうかというのは考えどころかなと思います。
 アメリカでこうやっているというのもいろいろ参考にはなりますし、日本でもみんなが共通にiDeCoなりIRAなりを持っていれば、そこに全部移行すればいいでしょという話があり、理想はそうなのですが、現実にそうではないので、そういう中でどうしていくかというのを考えていかなければいけないのかなと思います。
 まとめというわけではありませんが、一応私の感想も一言申し上げました。
 事務局は、議題1については特によろしいですか。
○海老企業年金・個人年金課長 はい。
○森戸部会長 本当にいろんな御意見が出ましたので、これを踏まえて再度事務局のほうでまとめていただければと思います。
 ありがとうございました。
 それでは、終わりではありませんで、議題がまだございます。議題2から4については報告事項ですが、まとめて事務局に御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○海老企業年金・個人年金課長 資料2から資料4までまとめて御報告をさせていただければと思います。
 まず、資料2「『経済財政運営と改革の基本方針2024』等について」。いわゆる骨太の方針等について閣議決定などがされておりますので、そちらの御報告でございます。スライド2ページ目です。いわゆる今年の骨太の方針において、「資産運用立国」というパートの中にアセットオーナー改革の推進について記載されています。あと、「iDeCoの拠出限度額及び受給開始年齢の上限引上げについて、2024年中に結論を得るとともに、手続の簡素化など加入者・受給者の負担軽減に取り組む」、こういった文言が盛り込まれているところです。
 次のスライド「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」というもの。これも6月に閣議決定されておりますが、こちらについても、資産運用立国の文脈の中で、企業年金・個人年金の改革といった形で企業年金・個人年金の関係が書き込まれております。
 3ページと4ページに分かれて抜粋しておりますが、内容としてはこれまで部会でも御報告をさせていただいておりました資産運用立国実現プランの実行というところで、資産運用立国実現プランの中に盛り込まれておりましたDB、DCの改革それぞれに関すること、あるいは見える化についても書き込まれております。4ページ、iDeCoの改革というところで、iDeCo制度に関するお話として、先ほどの骨太にもありましたような加入可能年齢の上限引上げだけでなくて、拠出限度額の引上げ等々についても「大胆な改革を検討し、結論を得る」という形で書き込まれているところです。
 また、私的年金の普及促進に関しても書かれております。
 それから、アセットオーナー・プリンシプルの策定というところも盛り込まれておりまして、こちらはこの後御紹介いたしますけれども、このプリンシプルについて取組を進めていくというところになってございます。
 次に資料3を御覧いただければと思います。アセットオーナー・プリンシプル(案)ということで、前回5月の部会で4月25日の第3回アセットオーナー・プリンシプルに関する作業部会の資料です。前回はアセットオーナー・プリンシプルの骨子について御紹介をさせていただいたというところです。その後、6月3日にその作業部会で議論をして、本文として取りまとめられておりますので、今回御報告をさせていただいております。この案に関してはパブリックコメントが実施されておりまして、今後その回答の公表とともに最終化をされてくるという予定と承知しております。
 骨子案からの主な変更点としては、めくっていただきまして、まず前文が文章として追加をされています。あとは各原則として、先日5原則の内容だけを御紹介させていただいたのですけれども、そこの下に補充原則という形で文章化をされているというところです。
 DBに関しましては、法令やガイドライン等において加入者等のための忠実義務、各種の規定というものが整備をされております。これまでもアセットオーナー・プリンシプルの内容に整合的に運用されているものと我々としては理解をしております。そうした中、本プリンシプルは法令やガイドラインと性格が異なり、アセットオーナーにおいて受益者等の最善の利益を追求するために備えがあることを自ら点検し、それぞれのステークホルダーあるいは対外的に示すことで理解や対話、協働につなげ、運用力の向上を図っていくと。こういったことで活用いただくと。これまでの取組を定着、底上げするということで加入者等の利益につなげていくということが期待されているものと理解しております。
 今後、本プリンシプルの受入れに関する具体的な表明の方法等々については、最終化された後に関係省庁と足並みをそろえながら適切に周知などに取り組んでいきたいと考えております。
 資料3の説明としては以上でございます。
 「その他」で資料として御用意しておりますけれども、金融経済教育推進機構(J-FLEC)の事業の御紹介でございます。これまでもこちらの部会においても私的年金の普及促進に当たっては、金融経済教育というところとの連携というのはとても大事だというお話をいただいているところでございます。J-FLECはこの4月に発足いたしまして、8月から事業のほうを本格的にスタートしていくと伺っておりますので、そちらの事業の御紹介を簡単にできればということで、資料をおつけしております。
 めくっていただいて、J-FLECの事業概要ですけれども、事業としては5個柱として書いておりますが、講師の派遣事業、イベント・セミナー事業、無料体験のお話だったり、クーポンを配ったり、学校への支援、こういった様々な取組をこの8月から順次スタートしていくと聞いているところでございます。
 次のスライドです。8月以降にJ-FLECのホームページにおいて標準講義資料というところで一般公開をスタートするということを聞いております。左側にあるように、学校向け、職域向け、一般向け、様々活用できるような形で公開するというものを用意していると。また、非公開ということで、講義等で活用するものとしてテーマ別の資料というのもつくっていくということで聞いているところでございます。
 次のスライドです。連携・広報活動というところで、地方を含めて、全国で金融経済教育の機会を提供していくということでスタートしているところでございますので、いろんなところに通知をするというのもそうですし、あと金融業界、あるいは日商・全国の商工会議所への説明というのも書き込まれておりますが、個人だけではなくて、そうした職域も含めて広く周知をするというところを取り組んでいるというふうに承知しております。
 8月以降、具体的な内容が少し見えてきましたところで、我々のほうとも連携いたしまして、企業年金、DB、DCどちらも周知をしていきたいと思っているところです。
 最後は組織の概要ですので、御参考です。
 説明としては以上になります。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 J-FLECというのは、略語として霞が関ですっかり定着しているのですか。
○海老企業年金・個人年金課長 J-FLECという愛称を普及すべく活用させていただいております。
○森戸部会長 分かりました。積極的に使いたいと思います。
 時間がそんなにありませんので、今の資料2から4ですが、もし何か御質問、御意見があればお伺いしたいと思います。それでは、オブザーバーの企業年金連合会、お願いします。
○鮫島企業年金連合会理事長 アセットオーナー・プリンシプルに関連して少し申し上げたいと思います。まず、アセットオーナー・プリンシプル、そのほかにも資産運用立国関係の施策があるわけですが、これらが決定されましたら、まずは全国1万2千のDBに対してしっかり周知することが重要であると思っています。この点については今後厚生労働省において所要の措置を講じられることと思いますけれども、私どもとしましても周知に向けて努力してまいりたいと思います。
 アセットオーナー・プリンシプルについては、受入れ表明の状況について、政府において整理・公表するとされておりますけれども、今後実際に企業年金が受入れ表明するとしましても、基金型のDBであれば、代議員会での機関決定を要するケースが多くなります。その場合には、これが8月に決定されるということであれば、早くても来年1~2月以降ということになります。また、そこで議論がまとまらなければ、さらに時間を要するということもあり得ます。代議員、事業主、加入者の十分な理解を得ることは、この点についても非常に重要であると思いますので、政府におかれてはそうした手続や議論に要する時間についても御認識、御配慮をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 では、大江委員お願いします。
○大江委員 ちょっとちゅうちょしましたが、J-FLECのほうで運営委員として関わっている部分もあり、8月以降本格稼動して、具体的にどのように企業年金、企業型確定拠出の継続教育などに活用できるかというところについては、もう少し用意されているコンテンツについても、精査していきたいと思っています。今は随分ボリューミーな標準資料なので、現場的に使えるようなものを私の立場としては用意してもらえるように意見もして、皆さんの職場で使っていただけるようなものになるようにやっていきたいなと思っています。
 企業型の確定拠出年金という面で言いますと、既に企業年金連合会さんが継続教育の共同実施という形でライブセミナーとかeラーニングといったツールもあるので、どちらかというとJ-FLECは全国に講師がいて、対面でセミナーに行けるというところがすみ分けというか、違いとしてあると思うので、うまくいろいろなものを使い分けていただいて、事業主さんとしてなるべく負担を下げつつ、やるべきことをやる手段というふうに活用いただけると存在意義があるのかなと思います。
 以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 大江委員には両方の間の橋渡し、板挟みアンド橋渡しをぜひよろしくお願いしたいと思います。企業年金・個人年金と金融教育とのうまい連携が取れるというのは非常に重要だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ほかにいかがでしょうか。オンラインのほうの委員の方、特に意見はよろしいですか。
○渡邊部会長代理 はい。
○山口委員 はい。
○森戸部会長 ありがとうございます。
 事務局からもよろしいですか。
○海老企業年金・個人年金課長 はい。
○森戸部会長 では、無事何とか時間内に終わらせられそうです。ありがとうございました。
 予定の時間よりちょっと早いですけれども、本日の議事は以上で終了といたしたいと思います。非常に貴重な御意見をいっぱいいただきましたので、これを踏まえて事務局に再度検討いただきたいと思います。
 では、今後の予定等について、事務局からお願いいたします。
○海老企業年金・個人年金課長 次回の議題や開催日程につきましては、追って御連絡をさせていただきます。
○森戸部会長 ありがとうございました。
 それでは、第36回「企業年金・個人年金部会」を終了いたします。御多忙の折、お集まりいただきまして大変ありがとうございました。では、皆さん、お水をお持ちの上、お帰りいただければと思います。ありがとうございました。