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第90回がん対策推進協議会(議事録)
健康局がん・疾病対策課
日時
令和6年8月5日(月)15:00~17:00
場所
オンライン開催
議題
- (1)第4期がん対策推進基本計画について
・ 評価指標のベースライン値について
・ 中間評価の進め方について(案)
(2)都道府県がん対策推進計画の策定状況について
(3)報告事項
・ がん研究10か年戦略の策定
・ HPV検査単独法による子宮頸がん検診の導入
・ がん診療連携拠点病院等の整備指針見直しスケジュール
・ エキスパートパネルの見直し
議事
- 議事内容
- ○九十九がん対策推進官 それでは、ただいまより、第90回「がん対策推進協議会」を開催いたします。それでは、まず冒頭に、事務局の異動について申し上げます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
事務局を務めます健康・生活衛生局がん・疾病対策課の九十九と申します。令和6年7月1日付でがん・疾病対策課がん対策推進官に新たに着任しております。どうぞよろしくお願いいたします。
なお、本協議会はYouTubeにおいて配信しております。委員の皆様方におかれましては、参加中、基本的にはマイクをミュートにしていただきまして、御発言の際には挙手ボタンで挙手いただきまして、事務局から、もしくは会長から指名がございましたら、初めにお名前をいただいてから御意見、御発言いただくようお願いいたします。
○鶴田がん・疾病対策課長 がん・疾病対策課長の鶴田と申します。7月5日付で着任しました。皆様方とともにがん対策の推進に全力を尽くしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○九十九がん対策推進官 また、本日、健康・生活衛生局長は、公務のために欠席とさせていただいております。
続きまして、委員の皆様の出欠状況でございますが、本日は森内委員より御欠席の連絡をいただいております。
また、本日は参考人としまして、公益社団法人日本看護協会常任理事 橋本美穂参考人。
国立成育医療研究センター外科・腫瘍外科診療部長 国立がん研究センター中央病院小児腫瘍外科科長 米田光宏参考人。
国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策研究所副所長 井上真奈美参考人。
大阪医科薬科大学総合医学研究センター医療統計室室長・准教授 伊藤ゆり参考人に御出席いただいております。
続いて、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載しております。議事次第、資料1から資料5及び参考資料1から10がございますので、御確認ください。
以上をもちまして撮影は終了とさせていただきますので、これ以降の映像等の使用はお控えいただくよう御協力をお願いいたします。
以降の進行は土岐会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○土岐会長 皆様、よろしくお願いいたします。
本日は、現在の委員、このメンバーで開催する最後の協議会となっております。ということですので、今日は最後までお付き合いをよろしくお願いしたいと思います。
それでは、早速でございますけれども、議題(1)「第4期がん対策推進基本計画について」を進めたいと思います。まず、資料1から4について、それぞれ参考人と事務局より説明いただき、最後にまとめて議論したいと思います。それでは、資料1につきまして、井上参考人より説明をお願いいたします。
○井上参考人 御紹介ありがとうございます。「ロジックモデルの各指標の定義とベースライン測定進捗状況」につきまして、指定研究班の研究代表者を務めております私のほうから御報告を申し上げます。
次のページ、おめくりいただけますでしょうか。第4期がん対策推進基本計画から取り入れられておりますロジックモデルとは、事業や組織が最終的に目指す変化や効果の実現に向けた道筋を体系的に図示したものであります。実施者が行うものとして、実施者が実際にプログラムに投資する資金や人材・設備などのインプット。それから、実際に行う教育や指導などの活動。そして、それによってもたらされる受講者数などの活動の直接の成果であるアウトプットと、そのプログラムによって最終的に対象者にもたらされる利益であるアウトカムというものを具体的に明示いたします。
次のスライド、お願いいたします。第4期基本計画におけるロジックモデルの全体像は、参考資料4から6につけております。そちらのほうで全体像を把握できますので、御参照をよろしくお願いいたします。この話の中では、資料1では特にそのごく一部をお示ししております。このロジックモデル、本当に基本の部分を示したものになりますが、アウトプット、中間アウトカム、分野別アウトカム、そして一番右の最終アウトカムに分けて提示されておりまして、それぞれについて評価指標が設定されております。
次のページ、おめくりいただけますでしょうか。もう少し詳しくお示ししたものになります。これはごくごくサマリーになりますけれども、第4期計画では、分野ごとにサブ分野というものが存在いたします。特に多岐にわたる医療の分野、予防、検診、そしてその下の医療というところになりますけれども、10のサブ分野が存在し、72の個別施策となります。そして、46の中間アウトカムが存在しております。このように数多くの指標によって、計画の達成度をロジックモデルの流れに従って評価してまいります。
次、お願いいたします。基本計画における達成度を評価するためには、指標を具体的に設定していく必要がございます。現在、指標はあくまで入手可能な公開されたデータソースがあること、そして適切な目標値の設定と評価が可能であることを条件として検討を進めております。例えば、四角の枠に囲まれた中に記述いたしましたが、死亡率や罹患率、喫煙率、検診受診率などの通常の指標は、がん登録や人口動態統計、国民健康栄養調査、また地域保健事業報告、国民生活基礎調査などによってはかられておりますけれども、一方、患者体験指標に関しましては、患者体験調査や遺族調査をデータソースとしております。この中でも、特に都道府県単位で評価ができる指標であること。また、数を必要以上に増やさないことなどをポイントとして指標の設定を進めております。
次のページ、お願いいたします。これは第4期計画の指標の一覧の一部となりますけれども、参考資料5のほうにも全体を添付しております。詳細な説明につきましては、後で幾つか事例を例示いたしますが、全体としては割愛させていただきます。
次のページ、お願いいたします。現在の検討体制です。ロジックモデルの各指標の定義とベースラインの測定につきましては、厚労科研の指定研究班が関連の検討班とも連携しながら、ロジックモデルの指標の確認とデータソースの確保、そしてベースライン値の確認などについて検討をし、厚労省へその資料を提示いたしまして、適切で実施可能な指標であるかについての議論を重ね、第4期計画の中間評価や最終評価を進めていく、このような検討体制となっております。
次のスライド、お願いいたします。令和6年6月、この6月の時点でのロジックモデルのベースライン値の指標測定状況は、このスライドのとおりとなっております。ところどころ100%でなく、達成できていない数字となっておりますけれども、これは実際にまだ調査を実施中であること、または資料の利用申請手続中であることなどがその理由となっております。現在、この指標の測定を100%に近づけるべく作業を進めております。
次のスライド、お願いいたします。ここからロジックモデルの例を幾つかお示しいたします。全体としましては、先ほどから申し上げております参考資料4を御参照ください。これは1次予防の中での感染症対策になります。最終アウトカムというのは一番右に示してありますけれども、それが75歳未満の年齢調整死亡率の減少ということになっておりますが、そのために、がん種別としては、青い部分になりますが、子宮頸がんの罹患率の減少を分野別アウトカムの指標として設定し、そのためのアウトプットとしては、HPVワクチンの定期接種の実施率を指標として上げております。
このように、ワクチン接種というアウトプットにより子宮頸がんのがん罹患率が減少するという分野別アウトカムが達成され、最終的にそれを含むがん全体の死亡率の減少を最終アウトカムとして確認するという流れになっております。
次のページ、お願いいたします。こちらは医療提供全般についての一部分を例示したものになります。医療提供全般につきましては、同じく最終アウトカムが一番右にありますがん死亡率の減少になりますが、まず、左のほうの個別施策として、患者に対するがんの告知やインフォームド・コンセント、セカンドオピニオンの提示が実施されるような体制整備を推進するというふうにあることから、アウトプット指標としましては、がん治療前にセカンドオピニオンに関する話を受けた患者の割合を持ってきております。
それが達成されているかどうかを中間アウトカムとして、緑色になりますけれども、担当医師ががんについて十分な知識や経験を持っていたと思う患者の割合。そして、その先に分野別アウトカムとして、青いところになりますけれども、がんの診断・治療の総合評価の平均点を指標としてはかることにしております。
次のスライド、お願いします。こちらは事例の最後ですけれども、緩和ケアの部分についてお示ししております。緩和ケアの最終アウトカム指標は、一番右にありますように、現在、自分らしく日常を送れていると感じるがん患者の割合としております。そのために行う個別施策としては、左になりますけれども、がん医療に携わる全ての医療従事者により、がん患者の身体的苦痛や、がん患者やその家族の精神・心理的苦痛、社会的な問題等の把握及びそれらの個別の状況に応じた適切な対応が、地域の実情に応じて、診断から一貫して行われる体制の整備を推進することとなっておりますので、そのアウトプットの指標としては、拠点病院等の緩和ケアチーム新規診療症例数といった指標を現況報告書から抽出して用いることにしております。
これを推進することにより、中間アウトカムとして、医療者はつらい症状に速やかに対応していたと感じる割合、これは患者体験調査からになります。分野別アウトカム指標としては、身体的な苦痛を抱えるがん患者の割合を抽出しております。
このようなロジックモデル、様々なアウトカム指標などを用いておりますけれども、全体にわたって指標として提示されております。
次のスライド、お願いします。今後のスケジュールですが、特に令和6年度の現況報告や国民健康・栄養調査の結果を用いる予定のため、未測定のものもございますけれども、指標の測定を速やかに完了することをまずは目標としております。
また、中間評価時の指標の公表予定が、下のほうにありますように、成人患者体験調査の場合には令和5年度に実施しておりますので、令和6年度に報告が予定されていること。それから、小児の患者体験調査につきましては、令和6年度、現在、調査を実施中のため、報告は令和7年度になるということ。そして、遺族調査は令和5年度に実施しておりますので、報告が令和6年度になる予定となっております。これらの調査の実施と報告の時期も勘案しながら、適切なタイミングに指標の測定を完了することを目標としております。
次、お願いいたします。最後のスライドになりますが、現時点における課題です。
がん医療提供体制などの指標につきましては、現況報告だけでなく、院内がん登録の情報も活用できないかどうかということを検討しております。現在、データソースで指標のよりよい把握方法についても検討しておりまして、例えば拠点の指定要件になっているために、指標としてしまうと、基本、拠点病院は100%の達成率になってしまうという項目が入っている場合に、項目を見直していく必要がございます。中間評価、最終評価の測定の時期の確認、そして都道府県レベルでの測定値の算出が可能なのかどうかについて、きちんとこちらのほうで確認を進めております。
全体としては、最終アウトカムにつながる適切な指標なのかどうかということを念頭に置いて評価を行ってまいりたいと存じます。
私からの報告は以上になります。ありがとうございました。
○土岐会長 ありがとうございます。
続きまして、資料2について伊藤参考人より説明をお願いします。また、資料3については、国立がん研究センターがん対策研究所の片野田先生より御発表予定でしたが、本日、御欠席ということなので、資料3についても、誠に申し訳ございませんけれども、伊藤参考人より併せて御説明をよろしくお願いしたいと思います。
○伊藤参考人 承知いたしました。大阪医科薬科大学の伊藤です。
がん対策における健康格差についてというところで、こちらのタイトルは令和5年9月から実施させていただいております研究班のほうの進捗状況として御紹介させていただきたいと思います。
次のスライド、お願いします。本日、短い時間でありますけれども、このような流れでお話しをさせていただきたいと思います。
次のスライド、お願いします。こちらは第80回、2年前にも紹介させていただいたのですけれども、日本やアメリカ、イギリスで、各政策の中で健康格差という言葉がどのように定義されているかということを紹介しているところです。日本では、第二次の健康日本21のときから、地域や社会経済状況の違いによる集団間の健康状態の差として定義されておりまして、その縮小を実現することが目標として定められておりました。アメリカやイギリスなどにおいても、ほぼ同様の形で定義がされているというのを示しているものです。
次のスライドをお願いいたします。こちらも80回でも説明させていただいたものなのですけれども、改めて紹介させていただきますが、健康格差に取り組む上で重要な考え方として、健康の社会的決定要因という考え方があります。これは個人個人が有している性別であったり、年齢、その遺伝的要因というような、個人で変えることができない基本的な属性であったり、あるいは個人の生活様式、つまり生活習慣といったものががんの要因と強く関連するということがこれまで報告されておりました。
これまでのがん対策や疾病対策というのは、個人個人の生活習慣を改善することで予防していこうというアプローチが長く取られていたのですけれども、こういった個人の取り得る生活習慣というのは、その人たちが属している社会・地域のネットワークに起因してくる、例えば、受けてきた教育であったり、働いている環境であったり、住んでいる地域、またその地域で受けられる保健医療サービスとか、そういった社会・経済・文化・環境の大きな枠組みによって規定されているという考え方です。
この考え方の中で大事なのは、集団全体の健康を改善する、あるいは健康格差を縮小していくというのは、個人の努力だけでは困難であって、いわゆる自己責任論では解決できない課題が多いということになります。ですので、もっと大きな枠組み、社会環境へのアプローチによって国民全体の健康状態を改善させたり、格差を縮小していくということが大切とされています。この考え方に関しては、様々な政策介入を取ったときに、どういう集団がどういう影響を受けるのかということをきちんと見ていく健康影響評価というアプローチが必須となっているという考えにもつながっています。
次のスライド、お願いします。こちらはG7各国のがん対策の、右に書いてあるドキュメントにおいて、健康格差についてどのような記載があったかということをスコーピングレビューしてもらったものを紹介しています。
次のスライド、お願いします。こちらによりますと、G7の各国、アメリカとイギリス、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツを見たところ、多くの国でがんの格差対策が重要であるという記載がきちんと盛り込まれていました。ただ、実際に格差をどうモニタリングしていくかという評価に関しては、イギリスが最も進んでいて、地域の困窮度の指標、こちらでIMDと略してありまして、詳細は後ろのほうに資料をつけておりますけれども、こういった指標を使って評価していました。
それ以外では、様々な層別化で各指標をモニターしていました。この層別化の切り口としては、性別や人種等のほか、障害の有無など、様々な視点でのモニタリングがされており、日本でもこういうモニタリングが必要ではないかと考えられます。
次の資料、お願いします。そこで、この研究班で見ているところなのですが、がん対策において誰が取り残されているのかということが、健康格差を見ていく必要のある視点になります。そのときに、どういった集団間を比較していくのかというところで、まず、個人や世帯の属性、そしてその人の住んでいる地域の属性という2つに大きく分けられます。
個人の属性に関しては、性・年齢、人種とか雇用形態、職業等々。世帯に関しては、収入や家族の構成などがあります。
地域の属性では、その地域の大きさの単位というものが様々ございます。国別の比較とは非常に重要ですが、今日は日本のがん対策ですので、特に都道府県単位、市区町村、また、より小さな地域といたしまして、最も小さい町丁字単位というものを統計で出すことができます。あるいは、昨今ですと郵便番号という単位でもデータがあります。そういった地域単位のその地域の状況を示す、地域指標というものを使って地域差について表現することが大事ではないかと考えています。34ページ目、35ページ目にこの地域指標について紹介させていただいています。
これらの様々な視点で、日本において現時点でどのようなモニタリングをしているかというのを紹介していきます。次のスライド、お願いします。もう一枚、次もお願いします。こちらは個人の属性で、左が職業別の全がんの死亡率になります。人口動態特殊統計というもので、5年に1回、職業別の死亡率が算出できるようになっております。ただ、残念ながら、これは死亡時の職業となりますので、このように、年齢が働いていた世代の人の分析に限られてしまうということと、5年に一度しか取れないという統計になります。
また、つい最近、本研究班の分担研究者でもある田中先生が行った研究では、教育歴別の死亡率を算出しています。ご存じのように、人口動態統計には教育歴というデータはございません。ですが、国勢調査という、これも全数調査ですけれども、こちらにはございます。しかし、国勢調査と人口動態統計には個人のIDがないので、それでリンケージすることはできないのですが、2つの調査で共通している性別、生年月、市区町村、婚姻状況、配偶者の年齢というようなリンケージキーを使って、何とか頑張ってくっつけたというような研究になっています。
ただし、どうしても大きな自治体さんになってきますと、それらが同じ人というのが複数存在するところのデータは使うことができないので、大きな自治体のデータは除外されて、人口全体の10%に限られたデータになってしまっているなどの限界もあり、かなり手間がかかる作業を行って算出した研究になります。
次のスライド、お願いします。こちらは都道府県単位でのデータの見せ方みたいなところで紹介しておりますが、都道府県の単位の統計値というのは非常に多くの統計報告がございます。多くの場合、全住民でのデータであることが多かったり、サンプリング調査などでも、都道府県単位で報告されるため、豊富な統計情報があります。ただ、その場合、これは私が大阪府なので示してみますと、大阪府の全体における位置づけということは分かるのですけれども、大阪府の人全員の値がこれというわけではないですし、がん対策の主役である都道府県という単位、都道府県内の格差に関してはモニタリングできないというような状況にございます。
次のスライド、お願いします。もう少し小さな地理的単位といたしまして、市区町村という単位がございます。こちらに関しても人口動態統計のデータがございます。そして、全住民のデータではかることができますし、毎年計測できるというところもあります。地理的単位が比較的小さいです。この地図ですけれども、ちょっと見慣れない日本地図ですが、人口で少し面積に重みをつけて広げているような形で、肝がんの死亡率の地域差を示しているものになります。
こういった、単に地域差を表現するだけでなく、市区町村における指標というものと関連づけると、この右のグラフのように、これも資料の34枚目に説明がある、市区町村の地理的剥奪指標と書いていますが、社会経済的な状況を示す指標と関連づけますと、困窮度の高い地域で肝がんの死亡率が高いということが分かります。こういったような形で、市区町村単位でも地域指標をくっつけて分析を行うことができます。
ただ、市区町村のデータを扱ってみて厄介なことは、市区町村合併が起こったり、市区町村と言っても人口規模が大きく異なっていたりするということもあります。また、都道府県に比べると収集している統計が少ないという問題があります。
次のページ、お願いします。もっと小さな地域の事例は、36枚目と、また要因分析のほうでも紹介したいと思います。そこで、誰が取り残されているのかというところに加えて、がん対策のどこで取り残されているのかという視点も、この研究班では大事にしております。これはかなり古い文献で恐縮ですが、2005年時点でアメリカの子宮頸がん対策において、各種のエビデンスがどの程度まで今まで論文が出ているのかというのをまとめている表です。この表のまとめ方は大変参考になるなと思いまして、右側の上の列に並んでいるのが、その各対策のフェーズになります。縦に並んでいるものが、どういった視点で格差を見ていくかというものです。
次のスライド、お願いします。そこで、この研究班の中で、予防から共生に至るまで、そして最終的なアウトカムの改善というところを見ていこうということで、格差のモニタリングと要因分析を様々なデータソースを使って行っているところです。
次のスライド、お願いします。先ほどのアメリカの表を参考にして、日本でどんな格差のモニタリングががん対策の各フェーズでできるのかということを整理してみた表になります。たくさんの情報を詰め込んだ表になってしまっていますけれども、先ほど紹介しました個人・世帯という社会経済的な要素、そして地域指標の要素で、予防からアウトカムに至るところまで、現時点で全住民をモニタリングしている悉皆的なデータで評価できるものは◎、サンプリング調査で評価できるものには○印、一部の自治体や調査で行っているものに△をつけていて、地域指標に関しては、下で見にくいのですけれども、どのような大きさの地理単位で見られるかというのを示しています。
次、お願いします。この後、がん対策の要因分析について紹介いたします。こちらはより小さな地理的単位、町丁字単位の地域の社会経済指標を使った分析になります。肺がんの患者さんにおいて、その治癒的な切除ができた患者さんの割合と、実際の純生存率、4年生存率について、その格差というものを分析しています。これらの関連性というものを、つまり、全体のアウトカムとしての生存率というものが、この治癒的切除の格差によってどの程度説明できるのかという媒介分析という手法を適用して行ったものです。
まず、その患者さんの治癒的な切除というものは、困窮度の低いところで大きく、困窮度の高いところで少ない。生存率に関しては、困窮度の低いところで生存率が高く、困窮度の高いところで生存率が低いという関係性が見られ、その関連性というのは、進行度で説明される点があるのですけれども、治癒的な切除の割合の格差によっての説明要因というのはあまり大きくなかったという結果になっています。こちらの研究は、全国がん登録を使用しているのですが、小さな単位の地理情報になりますので、例えば医療アクセス、拠点病院への距離であったり、時間であったり、あるいは、他に詳しいデータソースとリンケージすることができれば、合併症の有無等を併せた検討が可能だと考えています。
次のスライド、お願いします。また、がんの最終的なアウトカムの格差を縮小するためには、予防の部分での格差縮小というのが非常に大きな寄与があると言われています。そのため、これはサンプリング調査になるのですが、こういった個人、世帯での指標によって、喫煙率や検診受診率に格差があることが分かっていますので、こういったデータソースを様々組み合わせて、全体の格差縮小にはどういったことを見ていけばいいかというのを行っていきたいと思っています。
次のスライド、お願いします。まとめですが、今、第4期計画の中で、誰がどこで取り残されているかということをモニターして要因分析する。ロジックモデルの各指標について、どういったところで格差ができるかということについて、まとめているところで分かってきたこととしては、個人・世帯の指標はどうしてもサンプリング調査が多く、住民全体では地域の指標で評価していくことができるところになります。たくさんの指標がありますので、どのような指標でモニターしていくのがいいのかというのは、今回の協議会の委員の先生方や、研究班の班員、関連の学会等とのディスカッションが必要と思います。
私の資料2は以上になります。
続けて、3のほうに行きたいと思います。片野田先生の研究班、私も令和2年度のときからの研究班に分担研究として参加しており、その報告書の部分とも関連しますので、私から代理で紹介させていただきます。
次のスライド、お願いします。今回、海外のがん計画に関しての目標設定の事例について、まず、アメリカでは、先ほども出てきておりましたが、Healthy Peopleという、日本で言う健康日本21に該当するものですが、その中でがんの目標値というのを様々見てきました。
これまでの経緯として、1980年代から、このHealthy People 1990というのが始まり、10年おきに策定され、その都度評価されてきたのですが、目標値の設定の目標の数に関して着目してみます。
最初、Healthy People 2000のときに目標が319の項目に関して設定され、目標達成できているというのをこういった形で評価していました。また、Healthy People 2000から格差の解消というのが出てきています。Healthy People 2010に目標が467項目に増えていて、優先順位付けとして、これは最も大事であろうというLeading Health Indicatorという視点により、28項目に絞り込まれました。
Healthy People 2020のときには、視点としてあらゆるライフステージにおける生活の質であったり、健康的な行動促進だったり、先ほどから言っているように社会的な環境の整備というところが入ってきまして、非常にたくさんの目標が設定され、1271項目となって、大変な数になったということで、Healthy People 2030ではより目標の数を大幅に減らして355に絞ったというところがあります。その中でも、コア目標、開発目標、研究目標の3種類が設定されています。
次のページ、お願いします。目標設定の階層ですけれども、Healthy People 2030においては、先ほど申し上げたコアの目標というところでは、測定可能である項目ということと、政策介入によってきちんと変化し得るといった指標が掲げられています。さらに、その中で絞り込んだ23のLeading Health Indicatorというのがあります。
ほかに開発目標と研究目標とあって、先ほど井上先生からのご発表にもあったように、測れるものを中心に今回のロジックモデルを策定しましたが、本来、測っておいたほうがよいなというものも議論の中にたくさんあったと思います。そういったものがこの開発目標や、研究目標というところに入っています。
次のスライド、お願いします。この23項目のLeading Health Indicatorに関して、これは全般的な健康に関してのものなのですが、赤文字の部分ががんに関連するところになっています。
次のスライド、お願いします。また、Healthy People 2030においての、先ほどの359項目の中のがんに関連するものとして、こういったものを掲げており、多くは日本の指標とも重なると思います。
次のスライド、お願いします。また、アメリカでは、日本と同じなのですけれども、がん対策を実際に実施していくところは州ということになってきますので、実際により詳しいがん計画は州単位で策定されています。カリフォルニア州のがん計画を事例として紹介しますが、疾病負担としての罹患率・死亡率、サーベイランスに関して、セクシュアルマイノリティや性自認に関するカテゴリーのように、今まで取られていなかった測定を検討したり、データのリンケージにも言及しています。がん登録データは、日本でも同じ問題に直面しておりますが、カリフォルニア州では様々なデータとリンケージすることをサーベイランスの目標に掲げているのも非常に重要なところです。
一番下の公平なアクセスという点は、先ほどの格差の内容にもつながりますが、公平にアクセスできているかというところを評価に入れています。
次のスライド、お願いします。次は1次予防に関してですけれども、このように多様な視点で、こういったものが全てはかれていることもすばらしいのですけれども、ワクチン接種のことや、非常に多様に入れてあるところになります。
次のスライドもお願いします。こちらは検診と検査です。もちろん検診受診割合や早期診断の割合というのが出ていますけれども、検査に関してはゲノムの検査が全ての肺がん患者へ適用ということが掲げられているのが特徴的だと思いました。
次のスライド、お願いします。また、治療・サバイバーシップ・研究という項目に関して、臨床試験参加、臨床試験へのアクセシビリティというところに多様な集団が参加できているかというところを見ていたり、昨今、日本でも大変重要視されている経済的な困難、経済毒性と呼ばれるものに関しても、きちんとモニターして目標として見ていきましょうということが掲げられています。
次のスライド、お願いします。この図は、ここまで説明したものを、肺がんを例にこのような関連性で検討していこうというものです。全体として、コミュニティエンゲージメントと書いてありますけれども、コミュニティ参加型の研究によって、マイノリティの方も参加して、きちんと取り組んでいくということが示された図も掲載されています。
次のスライド、お願いします。次に、モニタリングと進捗評価について紹介しています。これはHealthy People 2030のホームページに掲載されているモニタリングですが、先ほどもありましたように、Healthy People 2030では、目標の達成程度をモニターするためにデータベースをきちんと整備して、誰もがアクセスできるような状況になっていて、全体だけでなく、このように様々な層別で見ていくことができるデータベースがホームページで公開されています。
次のスライド、お願いします。イングランドは、皆さんも御存じと思いますけれども、各地域で診療委託されている、1次医療を担う地域の医療圏というものがありまして、clinical commissioning groupという単位ごとに生存率の推移がモニターされていて、イングランド全体と比べてどうかというものが評価できるようになっています。
次のスライド、お願いします。日本のお話に移りますが、健康日本21ではこのように掲げられているのですけれども、特にここで取り上げているのが、目標設定に加えてアクションプランの提示というものが必要ではないかという点です。実際に自治体が健康の取組をしていく上で、どういったアクションを取るとどういう反応があるかについて、ロジックモデルに関連するところですが、片野田先生らが中心となって「健康教育学会誌」のほうでアクションプランについて紹介されています。
次のスライド、お願いします。日本でもアメリカと同様に、実施主体となっている都道府県単位で、この後も紹介があると思いますが、これは大阪府のがん対策推進計画、4期のものです。このように各フェーズにおける目標値、モニタリング指標というものが設定されて、全体目標に向かっていくというような流れのものが制定されています。
次のスライド、お願いします。これで最後になります。このように各国、特にアメリカでどのように指標が集約されていったのかというお話も紹介させていただきました。私の発表ともつながるのですけれども、がん対策のCancer control/care continuumの全てのフェーズにおいて目標値が設定され、様々な多様な階層で見ているというところが印象的だと思います。
日本においても、非常にたくさんの指標が今回設定されていますけれども、計測可能性であったり、格差という視点も含め、集約化したり、階層化していくことも大事だと思います。そして、指標を設定するとともに、モニタリングすることで、進捗介入していく、アクションプランをどうしていくかということの議論の資料にできるのではないかと思います。
以上となります。
○土岐会長 伊藤参考人、ありがとうございました。
それでは、ただいまの資料1から資料3までの御説明について、参考人に質問がある方は挙手ボタンにて挙手のほうをよろしくお願いしたいと思います。
どうぞ、久村委員。
○久村委員 久村です。
井上先生、伊藤先生、大変分かりやすい御報告をどうもありがとうございました。
私からは、2点、格差研究に関する質問がございます。1つは、多くの評価指標のデータソースになっている患者体験調査の分析方法に関することと、2つ目は、格差のモニタリングに関する質問になります。
まず、1点目なのですけれども、今回の患者体験調査の速報版というのを見させていただいたのですけれども、前回と同様に、希少がん、若年がん、一般がんの3つのグループの分析結果を示されていましたけれども、特に共生分野に関しましては、少し別の観点で格差を見ていく必要があるように思っております。第80回の協議会で伊藤先生が、患者さんの離職率とか経済的な理由による治療変更の割合というものを、性別、年代別、それから雇用形態別に示してくださっていましたけれども、そのような切り口で今回も分析していただけると、社会的な課題というものが明確になって、支援の改善にもつながりやすいように思います。
私がソーシャルワーカーとして患者さんの相談に乗っていますと、がん体験というのは患者さんの性別とか雇用形態とか、あるいは家族構成などでかなり違いがあるように思っております。例えば、性別に関しては、家庭の中や会社の中では男女の役割や地位というものはかなり違いがありますし、がん医療の現場でも、主治医は男性が多くて、相談員は女性が多いといった違いがあります。そのような患者さんの社会的な背景の違いというものは、がん医療や相談支援に対する満足度とか、身体的な苦痛や精神・心理的な苦痛といった主要な評価指標のデータにどの程度影響しているものなのかというのは大変気になるところです。
患者さんの性別とか、雇用形態、家族構成といったような観点から患者体験調査の経過を分析していただけますと、評価指標のどこで誰が取り残されているのかというのが明確になって、がん医療や緩和ケアの質の改善にも役立つのではないかなと考えています。そのような切り口で分析していただく予定というのがあるのでしょうかというのが1点目です。
2点目は、格差のモニタリングに関する質問です。格差指標の設定とモニタリングというのは、今後のがん対策でとても重要な取組になると思います。モニタリングの結果をタイムリーに公表していただいて改善につなげていくということが、特に大切だと思っています。
一方で、私は昨年から伊藤先生の研究班に参加させていただきまして、班員の先生方の研究報告を伺う中で、統計データの入手とかひもづけなど、本当に大変な作業をしているという印象を持っています。それで、どのようにすると、このがん対策における格差の研究とかモニタリングの実施というものが、よりスムーズに進みやすくなりますでしょうか。現在、ボトルネックになっている課題というものは何でしょうか。あと、モニタリングの結果というものを実際にどのようにがん対策に生かしていくといいのかということについて、重要なポイントのようなものがありましたら、ぜひ教えていただけるとありがたいと思います。
以上です。
○土岐会長 ちょっと回答を考えていただいて、もうお一方、谷島委員、どうぞ。
○谷島委員 ありがとうございます。
資料2について、伊藤参考人にお伺いしたいことと、提案が1つございます。
質問なのですが、健康格差、様々お示しいただきましたが、この健康格差の解消がなされると、我が国であったり、基礎自治体の医療経済全体に与える影響などというのは試算されておりますでしょうかという質問です。
なぜこういう質問をさせていただくかというと、昨今、我が国ではどうしても自己責任論が蔓延しているような気がしております。不健康な生活を送るやつが悪いのだと。そうじゃなくて、健康格差の問題の解消によって我が国の医療課題も解決されて、全ての国民の負担が軽減されますということを我々国民が意識することができれば、全国民が自分ごととして対策が進めていけるような気がしております。なので、もしまだであれば、ぜひこれから研究を進めていただきたいと思い、質問をさせていただきました。よろしくお願いいたします。
○土岐会長 では、伊藤参考人、申し訳ございません。久村委員と谷島委員からの御質問に対しまして、何かコメント等、加えられることはございますでしょうか。
○伊藤参考人 大変重要な視点での御質問、ありがとうございます。
まず、久村委員からの御質問で、今回、共生に関する部分、ほとんど紹介できなかったのですけれども、患者体験調査で80回のときに示させていただいたのは平成30年度の調査で、私がその詳細分析を担当させていただいておりましたので、ああいった形でお示しするのがいいのではないかということで集計した結果になっています。
その研究班の中で、昨年度実施された調査票というものがディスカッションされて、この委員の先生方の中でも参加していただいて御意見を出していただいたと思うのですが、前回の調査から抜けていた家族構成の部分などを新たに含むことができています。まだ速報という形で令和5年度の調査結果は出ている段階なので、今、久村委員がおっしゃられたような視点での解析というのは、共生分野で見ていく指標として非常に重要なところだと思います。研究班の中でもそういった部分を、私の格差班もそうですし、この調査を実施している指標班というところと協働して、おっしゃられたような視点でまとめていただけるようにお願いしたいと思います。
また、モニタリングのデータ利用の難しさとかボトルネックの部分ですが、私の研究班は始まって、まだ1年たたないところなのですけれども、主にデータ利用の申請であったり、それに必要な書類を整えたりを行いました。もっと様々な、先ほど示した表にもあるように、例えば医療の分野やサバイバーシップ(共生)の部分に関しての情報というのは、あまり情報の粒度が細かく出てこないという課題があります。
海外でデータ利用が進んでいるところは、各種の公的統計や、カルテなど医療情報をリンケージして、モニタリングや研究に活用するということが進んでいるので、がん登録の法律の改正が今後、視野に入ってくると思います。政策にきちんと活用できるようなデータづくりにつながるといいなと思っています。
モニタリングした結果を生かしていくというのも非常に重要なポイントでして、ただ単にはかるだけではなくて、どういう方が取り残されているのか、どの地域で取り残されているのか。要因分析とも絡めてということになりますけれども、そういうことが分かってくると、そこに対して介入を行うと反応があるのではないか、例えば、がん検診を受診できていないのは、金額が問題なのか、行われている場所が少な過ぎることが問題なのか、などが分かってくると、自治体が実際に政策介入を行って、またその後の結果を様々な視点、地域指標や個人的な指標で測っていくことによって、それが政策としてうまくいったかを見ることができると思います。ありがとうございます。
谷島委員からの御質問、大変重要なことで、そもそも健康格差が大きいと全体の健康が悪いというような報告は、メタアナリシス、システマティックレビューなどに出ておりますけれども、そういった視点もあって、健康格差を放っておくわけにはいかないというところがあります。格差を解消すると全体としてどうなるかということは、なかなか難しいところではあるのですけれども、これは別の文部科研の研究班で行って、厚労科研でその後、引き継いでいくような形でマイクロシミュレーションモデルというものを使おうとしています。それは、がんに関するデータベース、日本では(すべてのデータが含まれている)完璧なものはございません。
ですので、様々なデータソースで何とかうまくシミュレーションベースでつないでいって、どの部分で一番格差が起こっているか、例えば、がん検診をみんなが受けられるように変わったら、全体の格差がどう変化するかというのをシミュレーションベースで評価するというものをつくると、がん対策のどこに注力すると格差が縮小して全体の死亡率を下げることができるのかというのを見ることができるアプローチになります。ただ、これも手の込んだものになり、データがたくさん必要なため、この4期の中間評価には間に合わないかもしれないですが、5期の計画のときには、そういったものに基づいた計画を立てる、モニタリングができる、介入ができるようなモデルをつくっていけるといいなと思っています。
ありがとうございます。
○土岐会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
時間が大分押していますので、先に資料4についても説明していただきまして、そこから、資料1から4まで全体について、もう一度質問をお受けいたしますので、先に資料4について事務局より説明をよろしくお願いします。
○九十九がん対策推進官 事務局でございます。
お手元の資料4を御覧ください。こちらの資料では「中間評価の進め方」について御説明いたします。
1ページ、おめくりください。こちらは皆様御承知の第4期がん対策推進計画の概要でございまして、骨格となるがん予防、がん医療、がんとの共生の柱は第3期から維持したままでございますが、具体的に変わったポイントとしましては、がん予防に関しましては、受診率の向上の目標が50から60%にアップというところでございます。また、がん医療に関しましては、妊孕性温存療法という柱が立ったこと。また、ドラッグ・ラグ等の課題を念頭に置きまして、(5)新規医薬品、医療機器及び医療技術の速やかな医療実装という項目が立っております。また、がんとの共生に関しましては、アピアランスケアについてという項目が立ったところでございます。
また、これらを支える基盤としまして、(4)がん登録の利活用の推進、(5)患者・市民参画の推進、(6)デジタル化の推進というところが新たに項目として立ったところでございます。
次のページ、お開きください。第4期がん対策推進計画のスケジュールに関しまして、こちらは前回、令和5年7月の本協議会で案として提示したものでございます。
次のページを御覧ください。こちらですが、基本計画の中間評価について、まず背景・現状でございますが、第4期がん対策推進基本計画は、計画の実行期間を令和5年度から令和10年度までの6年を目安としまして、3年を目途に中間評価を行うこととしております。令和7年夏から秋頃より議論を開始し、令和8年夏頃に評価を公表する予定と考えております。
がん対策の評価に当たりましては、ロジックモデルを活用することとしておりまして、各指標のベースライン値を測定し、今回のがん対策推進協議会で公表しております。具体的には、先ほど井上参考人より御説明がありました。また、参考資料6に具体的な値を示しているところでございますので、御確認いただければと思います。一方で、基本計画において、数値目標の設定について引き続き検討を行うこととされておりまして、本協議会におきましても、がん対策において目標値をどのように設定していくか議論すべきといった御意見があったところでございます。
また、地域の取組等の比較ができるような指標を設定すべきといった御意見があったところでございます。
次のページを御覧ください。こちらは中間評価に係る対応方針(案)となっておりますが、中間評価について、以下の2つを中心に進めてはどうかという御提案でございます。
1つ目は、先ほど資料3について、伊藤参考人より海外おけるコア指標の選定についてプレゼンテーションいただきましたが、1番、メリハリのある分析・評価のためのコア指標の選定ということと、2つ目は、都道府県ごとのがん対策の進捗状況の測定・公表と好事例の横展開の推進としております。
具体的に、1つ目のメリハリのある分析・評価のためのコア指標の選定でございますが、これは全ての指標を漫然と分析・評価するのではなく、重要な指標に絞ってメリハリをつけて分かりやすい分析・評価をすることとしてはどうか。また、具体的には、コア指標というものをあらかじめ選定しまして、その他の指標については測定結果のみを提示して進捗を把握することとしてはどうかという御提案でございます。このコア指標については、今後、要検討でございますが、指標としての質が高く、アウトカムへの影響も大きい指標として、例えば年齢調整死亡率/罹患率、がん種別早期がん割合、検診受診率などがあるのかなと考えております。
目標値につきましては、中間評価を踏まえて、どのように設定することが適切かを検討してはどうかと考えております。
2つ目、都道府県ごとのがん対策の進捗状況を評価するために、都道府県ごとにコア指標を可能な限り測定して公表してはどうか。併せて、都道府県のがん対策を見える化しながら、地域の実情に応じたよりよい取組が横展開しやすくなるように取組を進めてはどうかという御提案でございます。
今後の進め方ですが、コア指標につきましては、中間評価前、これは令和7年度春頃の協議会で指標案を事務局から提示しまして議論してはどうか。また、令和7年度春頃をめどに、都道府県単位での評価指標のベースライン値を公表して、協議会に報告することとしてはどうかと考えております。
次のページを御覧ください。こちらは今後のがん対策推進協議会の検討スケジュール(案)でございます。現在、第90回、令和6年8月でございます。先ほど研究班の先生方より、評価指標のベースライン値の公表であったり、がん対策における健康格差、海外のがん対策計画における目標設定について御説明いただきました。現在、こちらの議題で中間評価の進め方について(案)を御説明しておりますが、後ほど都道府県がん対策推進計画の策定状況を別途御説明いたします。
スケジュールとしまして、令和7年春頃に第91回を開きまして中間評価に向けたスケジュール案をお示しし、また評価指標のベースライン値の公表を都道府県単位で行う。また、コア指標(案)を御議論いただくといったことを考えておりまして、具体的な中間評価の議論に関しましては、令和7年夏から令和8年夏頃に行ってはどうかというような御提案でございます。
資料4は以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
話を続けると、格差のところにどうしても話が行ってしまいがちなのですが、我々、きちんとした中間評価を進めていくというミッションがございます。そんな中で、今、事務局より新しい提案もいただいております。こういったものも全て含めまして、資料1~4全般を通じて、もちろん参考人に対してでも結構でございますし、事務局へのお願いでも結構でございます。改めて皆様から御質問をお受けしたいと思います。
画面の順番で申し訳ないですけれども、松田委員、どうぞよろしくお願いします。
○松田委員 よろしくお願いいたします。松田です。
井上参考人にまず御質問したいと思います。今、事務局からも御説明があったのですが、私が専門としているがん検診に関して言うと、がん検診の受診率がコア指標に上がっていて、国民生活基礎調査で求めると書かれています。井上参考人も、入手可能なデータソースを基にということを言われたのですが、現行の国民生活基礎調査によるがん検診の受診率では、職域の検診が正確に把握できないということと、職域における精検受診率等が全く分かりません。
現行では仕方がないのかもしれませんが、がん検診に関して言うと、もう少し精緻なデータベースが必要になるのだろうと思います。健保組合等の集計でもいいので職域におけるがん検診の状況を正確に把握して受診率を求め、それで最終アウトカムの死亡率減少につなげるというような観点が必要ではないかと思うのですが、井上参考人、いかがでしょうか。
○土岐会長 もうお一方、行きたいと思いますので、井上参考人に少し考えていただけたらと思います。
○松田委員 先生、もう一つよろしいですか。
○土岐会長 結構です。
○松田委員 失礼しました。
伊藤参考人に先ほどのお二人と同じようなことなのですが、格差の解消は非常に重要だと思います。第4期がん対策推進基本計画では、誰一人取り残さないというふうに言っているので、格差が今あるのか、どこにあるのか、モニタリングしてアプローチすることが非常に重要だと思います。現在、日本ではまだまだ格差の話は始まったばかりで、研究ベースなのか、あるいは自治体によっては、その格差をモニタリングしてアプローチしているのか。あとは、カリフォルニアでも公平なアクセスということをうたっているので、カリフォルニアはどうしているのかということを伊藤参考人にぜひお聞きしたいと思います。
以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
続きまして、樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございます。樋口です。
私のほうからは、お二方、1つずつ質問させていただきたいのですけれども、まず井上参考人からよろしいでしょうか。先ほどロジックモデルの指標の中で、指標を設定して評価につなげるという、5ページ目のスライドの中で、都道府県単位で評価できる指標が望ましいということをおっしゃっていたと思います。その中で、今回、都道府県ごとにがん対策を、都道府県の中でも指標に関してかなり設定の幅があって、推進するとか検討するという気持ちベースで記載がある都道府県と、しっかり評価を指標として表そうとしていると書かれていたと思います。
そういうときに、設定ができないからといって無理だというほうに合わせると、本当は必要な指標でもなかなか反映されなくなると思うのですけれども、そういうときには指導であったり指示という形で、このように測定できるなどといった説明だったり、指導という形で入ることもあるのでしょうかということが1点です。
あと、伊藤参考人にお願いします。スライドの中では13ページになると思うのですが、サンプリングに関してです。格差が計測できない指標に関して、現在、Bのほう、計測方法の提案及び検証という形で書いてあります。私のほうも看護師として、ふだん特記すべきようなことがあって患者さんに介入するときに、がん患者指導管理料を測定させていただいています。その際にSTAS-Jを使っているのです。その指標は恐らく全国の病院が測定するために使わないといけないので、現在、全国ベースで使われていると思うのですが、かなり曖昧な表現とかかけ離れているような表現が多くて、分かりにくい形になっております。
なので、もちろんそれを測定するために使うのですが、また別にモニタリングとかスクリーニング指標として独自にだと思うのですが、全国でなかなか把握できないと思うのです。なので、そのようなことを踏まえて、全国ベースで測定できるような一律の形のものを検討されているのかということをお聞きしたいです。
以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
それでは、ちょっとまとめたいと思いますが、まず、井上参考人のほうに松田先生の検診の件、そして、今の樋口委員からの全国統一の指標の件ですけれども、いかがでしょうか。
○井上参考人 どうもありがとうございます。両方とも大変重要な御指摘で、むしろ今後の御意見として、我々のほうとしましても指標を出していく中で取り入れたい重要な課題だと思っております。
実際には、職域の検診、松田委員とは検診の在り方のほうでもよく議論になりますけれども、職域のほうでどの程度達成されているのかという指標が全く取れないという現状がございます。それにつきましては、検診の仕組み自体を変えなければいけないのか、あるいは今の職域検診の中でいかに推奨されている検診をちゃんと受けているかという、そこの部分の正しい数字を出していくような指標を我々のほうである程度設定して、それを職域のほうで出していただくという仕組みをつくるのか、なかなか難しい、簡単な結論が出ない点ではないかと思っております。
ただ、先生のおっしゃるポイントは非常に重要な点だと私のほうでも認識しておりますので、今後、指標班のほうで持ち帰り、また厚労省とも相談しながら、重要な、かなり多くの部分を占めている職域が漏れないようにどうしていったらいいのかという工夫を今後考えていきたいと思っております。ありがとうございます。
それから、ロジックモデルで都道府県別の指標がなかなか出せない、あるいは都道府県別に出したとしても、それがかなっていないような都道府県があって、そこのところをどうしていくのかというお話ですけれども、全く出さないというのはよろしくなくて、指標として重要なものについては、こちらのほうで出して、都道府県によって出せないところが出てくるかもしれない場合には、先生おっしゃいましたように、指導的に、何かこういう方法をすれば出していけるということをお伝えして、出していただけるように、こちらのほうで少し支援していくとか、それもできるのではないかと思いますし、全部出せればいいのですけれども、もちろん全ての都道府県で出せないものもありますし、様々なパターンが存在すると思います。
ですので、我々としましては、この御意見をしっかり受け止めまして、都道府県別に出せないものについては、どのように対応していくかということを、取り残さないようにきちんと前向きに議論して解決策を見出していきたいと考えております。
どうもありがとうございました。
○土岐会長 それでは、伊藤参考人、2つの質問がございました。はい。
○伊藤参考人 ありがとうございます。
まず、松田委員からの御質問で、そもそも格差のモニタリングをしてアプローチするということを自治体ベースでやっているところがあるのかというご質問だったと思います。日本において、まだ研究ベースでの自治体との共同研究という形になるのですけれども、私が関わった研究になってしまうのですが、ある自治体さんから、こういった格差に対する取り組みということで、HPVワクチンの接種情報を、住所情報に基づいてどういうエリアの方が接種できているかというようなことをモニタリングして、医療アクセス、つまり接種医療機関への距離などのアクセスのしやすさ、その地域の困窮度との関連というのを見て、実際に明確な格差がありました。
その結果を各地区の担当保健師さんに見ていただいて、御自身の地区でどういうふうに取り組んでいくかみたいなディスカッションをして、今後どういうことをしていくかということを考える取組は、一部ではありますけれども、始まっています。
カリフォルニアはどうしているという事例に関して、大変申し訳ありません。カリフォルニアに特化した状況はよく存じ上げていないのですけれども、アメリカでは、移民の方は言葉が分からないので、がん検診を受診できていないということがあって、ナビゲーターというのを活用して、元医療職だった方がボランタリー、有償ボランティアと聞いていますけれども、そういった移民の方とか、サポートを受けにくい、受けに行くのにちょっとヘジテート(躊躇)してしまうような方をサポートするような取組で格差縮小に向けているというのは、文献的には拝見したことがあります。
樋口委員からの御質問で、私はSTAS-Jとなどの指標に関する専門ではないのですけれど、様々、はかっていく指標で、STAS-Jは恐らく海外で開発されて、国際的にバリデーションが取られている調査方法、質問項目だと思います。それを日本語版にされてバリデートされたものなので、それを広く使うということで取り入れられていると思うのですけど、実際にそれを使うことで本当に患者さんの利益になっているのかどうかというところまで、まだ検証されていないのかもしれないと、樋口委員のお話を聞いて、ふと思ったわけです。
ですので、今、実際にSTAS-Jを使ったデータが各医療機関に蓄積されていると思いますので、それによって適切なきちんとした支援につながったどうかという分析は、リアルワールドのデータで行えると思います。もしこの項目でうまくはかれないのであれば、より日本の現状にフィットしたような指標を開発するということも必要ではないかと思っています。
ありがとうございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
それでは、できる限りポイントを絞っていただいて質問を続けたいと思います。
阿久津委員、どうぞ。
○阿久津委員 阿久津でございます。
井上先生、ありがとうございます。懸念していたとおりの感じだなと、このロジックモデルのデータを都道府県で活用するということに関して、お二人から伺って問題点というのが出てきているなと考えております。この後、出てくるかもしれませんけれども、私のいる北海道を含め、ロジックモデルに関して設定困難というふうに判断した自治体が多くあります。これは自治体側がアウトプットとかアウトカムの指標の見直しの際に、分かりやすく、使いやすく、検討しやすく、まだなっていないのかなというところが大きいのかなと思っております。
懸念点としては、回答数が少ないというイメージがあるということのようなのです。特に北海道はそのように御回答されていると聞いておりますけれども、お二人に御質問なのですけれども、データが少ないのではという不安に対して、ポジティブにこれは使えるものですよとなっていただけるような解決策ですとか、何か方法、分析案などがあるのかどうかというのを伺いたいと思っております。
先ほど伊藤先生の発表でお示しいただいたモニタリング可能なデータがこんなになるのだということが、まず明らかになっていて、そこを実感していただくことも大事なのかもしれませんけれども、ここは第4期の計画の一つとしてDXというのも非常にテーマになったのですけれども、簡単に一覧性を持って全国のものを確認できるサイトをつくるというのを検討してはいかがかなと思います。神戸市が人口の移動と就労状況をやったダッシュボードをおつくりになっていて、これ、全国各地、どなたでも使えるようなシステムになっています。こうしたものの医療版が確実に必要な段なのかなと。多分、現場の都道府県の皆さんは、それを自分たちの中で分析したり、自分たちでロジックをつくるというのが非常に困難なのではないかなと思います。
今回、コアという御提案をいただいたので、このコアの指標に関しては、かなり国のほうから提供ができるような状況を整えるなど、対策をしていただきたいというふうに意見として申し上げたいと思います。
以上です。
○土岐会長 もうお一方、それでは大井委員、どうぞよろしくお願いします。
○大井委員 大井です。いろいろ発表ありがとうございます。
伊藤参考人に御質問させていただきます。意見の中で格差ということでした。今まで均てん化ということで、提供側がイコーリティ、公平にどう社会に展開するかということを考えても、受け手となる人たちの意識や知識に格差があり、エクイティ、公正という言葉になると思いますが、そういった概念の中で考えたときに、意識が高い人たち、この構成員であったり、他の協議会のメンバーであったり、様々な学会、患者の団体の人たちの意見というのは非常に意識が高い意見になってくると思います。
この公正性の格差ということになった場合、そういった声が発信できないとか、自分の問題を問題としてとらえられないとか、いろいろな問題を抱えた声なき声をどう拾っていくかということが、恐らくアメリカのカリフォルニアの例で出ていたと思いますけれども、アメリカではエクイティという概念の中で格差をどうするかということが議論されているかと思います。日本では、いわゆるマイノリティとは言いませんけれども、公正性の格差を抱えて発信できない人たちに対して、意見をどう吸い上げていくかということをお考えでしょうか。
○土岐会長 ありがとうございます。
では、最初の質問、お二方ということでしたけれども、データが使えるのが少ないときにどう考えるかということですけれども、井上参考人、何かございますか。
○井上参考人 私のほうから。
今のお話で、確かにデータが少ないのでというのが、実際にそのデータ自体が都道府県で存在していないのか、あるいは人数が少ない都道府県のために、どうしてもデータとして揺れてしまうというのと、二通りのものがあるかと思うのですけれども、それも一定のこういうふうにやっていくというような考えが今、定着しているわけではなくて、今後、個別に見ながら考えていかなくてはならない内容だと思っております。
ただ、我々のほうでできることとしましては、国のほうで都道府県別に出せる調査なども当然ありますが、それについても、小さい数字で人口が少ないと揺れてしまうようなものが存在しています。実際には、その揺れも経時的な揺れと都道府県間の分布などもきちんとこちらのほうで事前に情報をよく見て観察しまして、揺れが不安定な数字になってしまうようなものに関しては、その都道府県別のものがどうしても必要になるのか、あるいは国全体のものである程度様子を見られてしまうものなのか、現状、把握できてしまうものなのか。そういうことも我々、プロとして情報をきちんと解析して、そういう情報も提供しながら、さあ、ないところをどうしていくのかということを一緒になって考えていくことが必要じゃないかと考えています。
あまり結論が出るようなお答えではないのですけれども、我々が今、考えられることはそのようなことではないかと考えています。
○土岐会長 ありがとうございます。
それでは、伊藤参考人、大井委員からの御質問に対しましていかがでしょうか。
○伊藤参考人 大井委員の御質問、大変重要なポイントでして、聞き取りというところで先ほど書いてあったように、こういう協議会のような場で議論するとか学会でとなると、おっしゃるように、よく分かっている方々というか、そういうところからしか意見が出てこない。すごく重要な視点だと思います。また、サンプリングサーベイのような自己回答式の調査には、そういった声が発信できない方が答えていないと思います。患者体験調査なども、まさにそのとおりではないかと思うのです。本当に困窮度のある経済的に苦しいような方が、実際、ああいうアンケートに答えるかというとなかなか難しいかもしれません。
そういう方々の実際の声を拾うという作業は本当に大切なところで、幾つかやり方としてあるかなと思うのですけれども、私もどうしてもデータとか分析の専門なので、悉皆データがあればきちんと見ることができるというのは、まず1つあります。ただ、それもデータがないものに関しては、質的な研究となるのですけれども、そういう方々に何とかアプローチして、どうして受診できていないかとか、そういった聞き取りをするということ、質的な研究と量的な研究を併せた両方のアプローチ、混合研究と言いますが、そういったアプローチが非常に大事ではないかなと思っております。
ありがとうございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
続きまして、前田委員、どうぞよろしくお願いします。
○前田委員 御発表ありがとうございます。
私も格差の問題については、すごく重要な問題だと思っています。
連携についての質問です。厚労省の国民生活基礎調査などで相対的貧困率など、もう既に出しておられるデータがあるかと思います。そうした部門とがん対策についての連携があるのでしょうか。データの分析がすごく大変ということをおっしゃっていたので、実際に地域格差や、そういう分類を調べておられる部署とがん対策がデータの共有やデータを踏まえた対策などしているのかというのが1点と。
もう一つ、そういったデータは未来予測というものをされていらっしゃると思います。例えば、地域によって高齢者や若者が10年後、20年後、どういうふうな分布になって変化していくのかというのは、ある程度見通しや予測ができていると思います。そういった地域には、モニタリングだけではなくて、対策も同時に始めていかないといけないと思う。格差が広がることが分かっているところを食い止めるという意識も必要かなと思うのですが、そうした未来予測を踏まえた連携や、対策というのは考えていらっしゃるのか教えてください。
○土岐会長 それでは、先にもうお一方、谷口委員、どうぞ。
○谷口委員 島根県の谷口です。
井上先生、伊藤先生、大変貴重な話、ありがとうございました。
都道府県の立場からですけれども、ここにありますように、国が今後の中間評価に向けてということで、都道府県ごとのがん対策の進捗状況の測定・公表というのは大変重要なことだと考えております。そういった意味で、コア指標を設定されるときに都道府県ごとにこういうものを出していく必要があると思いますけれども、例えば死亡率とか罹患率とか、がん登録もやっていますので、かなりの部分は都道府県でも独自に出すことは可能なのですけれども、多くの指標が患者体験調査とか、ああいった調査に委ねられているところがあって、島根県なんかは拠点病院が5つあるのですけれども、そのうちの2病院はいろいろな事情があって患者体験調査を実施できなかったという背景がございます。
それで、あまり協力してくれなかったところは、島根県だけかもしれませんけれども、全国的にはそうでないかもしれませんが、拠点病院ぐらいは、少なくとも患者体験調査に協力して、それでいろいろなデータを出していくということが必要になろうかと思います。そういった意味では、今の調査のやり方が本当にいいのか、もう少し客体数を取るために、今は事前にがん登録か何かで抽出した人を、国立がんセンターかどこかから、こういう人、調査をお願いしますみたいな感じで言っておられるような気がするのですけれども、例えば病院の退院時に何らかの形で、全数なのか、何人かに1人なのか、病院が少しお願いして、データをがんセンターに送れるような仕掛けをつくるとか、患者体験調査の在り方そのものを少し検討していただくと、都道府県ごとにいろいろなデータが出せるような気もするのですけれども、その辺りはいかがでしょうか。
以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
では、まず最初に、連携、未来予測は伊藤先生のほうですね。データの連携も含めまして。はい。
○伊藤参考人 前田委員の御質問は大変重要でして、特に健康格差に取り組む上では、健康の部門だけでは絶対解決できないですね。なので、おっしゃったように、貧困の家庭があるとか、そういったところを把握しているような部署と連携して、健康のデータと、そういった経済的なデータ、何らかの扶助を受けている家庭を支援する部門ときちんと連携してやっていくというところが大事だと思います。
それは、できているのかというところが、私も多くの自治体の方に伺いたいなと思うのですけれども、幾つかの自治体ではそういったことに着目して取り組まれている事例などもあるので、そういった好事例を支援していくことで、全体的に取り組んでいけるのではないかと思います。
あと、将来推計のお話はとても重要なところで、まさにモニタリングをして要因分析をするというところの次のステップとしてやっていくべきところだと思います。どういう方が、例えば困窮に陥りやすくて、それで健康状態を害しやすいことが分かってくると、人口の分布や様々な状況で、この地域はその要因によってすごく格差が広がりそうだ、全体の死亡率も高くなりそうだという予測ができる。地域別にそういった予測ができるようになれば、例えばそういうところに積極的に国や県が資金を投入して重めに介入するとか、そういった取組ができるようになるので、非常に必要な取組だと思います。ありがとうございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
そして、患者体験調査、拠点の話でしたけれども、井上参考人、お願いできますか。
○井上参考人 患者体験調査についてですけれども、国立がん研究センターのほうで数年に一度、調査をしてということで行っているのですけれども、確かに非常に手間のかかる調査でして、様々な問題点も出てきているということで、今日、さらに大変重要な御指摘いただきまして、そもそもやるのが非常に大変な調査ではあるのですけれども、その打開策として、1つ大変いいアイデアをいただいたと思いました。可能性の改善で、そもそもの方法を見直してはというお話でしたけれども、見直しできないかということで、先ほどいただいた意見も併せながら少し検討していきたいと考えております。
どうもありがとうございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
それでは、次に行く前に、実は中間評価の進め方についてはあまり御質問がなかったのですけれども、もう一度、資料4の最後の1つ手前のものを出していただけますか。これが今回、事務局からの御提案で上がっておりました、2つの中間評価の進め方に関する提案でございます。1番が、メリハリのある分析・評価のためのコア指標の選定。2番目が、都道府県ごとのがん対策の進捗状況の測定・公表と好事例の横展開の推進ということで、こちらに関しましては、皆様、御了解いただいたということでよろしいでしょうか。
谷口委員から手が挙がりましたので、意見をお伺いします。
○谷口委員 すみません、島根県の谷口です。
先ほども都道府県ごとの測定・公表は大変重要だという話をしましたけれども、項目によっては、全国一律で出してもらったほうがいいような項目もあると思います。そうしないと比較ができないので、全国一律で出す項目と、都道府県の独自性で出す項目とか、幾つかそういった仕分けをして比較できるようにしていただくと、都道府県もどの辺が足りないかとか、そういうことが分かりやすくて、力を入れる項目が見えやすいので、そういった方法について検討していただければと思います。
以上です。
○土岐会長 谷島委員、どうぞ。
○谷島委員 簡潔なお願いだけなのですが、今回、誰一人取り残さないようにするために、たくさんの指標が設けられたと思いますので、コア指標ができることによって、逆に取り残される部分が出てこないようにだけお願いしたいなと思っております。
以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
事務局のほう、2つ御指摘いただきましたけれども、いかがでしょうか。
○九十九がん対策推進官 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。
まさに都道府県ごとの公表も重要ですが、かといって、都道府県から見たときに全国と比べてどうかという見方も大事だと思いますので、そういった出し方については、引き続き研究班と相談しながら検討していきたいと思っております。
また、最後の、コア指標が出ることによる影響についても、格差に対する影響を出す際には、事務局でもしっかりと検討してから慎重に出していきたいと思っております。
以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
それでは、議題(2)に移りたいと思います。「都道府県がん対策推進計画の策定状況について」、資料5について、事務局より御説明をよろしくお願いいたします。
○九十九がん対策推進官 事務局でございます。
それでは、1ページ、おめくりください。第4期がん対策推進基本計画が令和5年3月に閣議決定されております。その後、各都道府県におきまして、都道府県がん対策推進計画を策定いただいているところでございます。また、国は、都道府県説明会を開催する等、都道府県に対して必要な情報提供を行ってまいりました。今回は、現時点での各都道府県の策定状況についてお示しいたします。
調査時期は令和6年7月でありまして、調査方法ですが、事務局において各都道府県のホームページで公表されている都道府県計画を確認しまして、計画の基本的事項に加え、評価体制、また基本計画との対応等について整理、集計した上で、この集計結果につきましては、都道府県に確認を依頼したものでございます。
1ページ、おめくりください。都道府県計画の策定状況であります。ほぼ全ての都道府県で都道府県計画を策定いただいておりまして、一部の県においては医療計画等と一体的に策定いただいております。2つの都道府県に関しまして、未策定というところでございますが、その理由としまして、新潟県ですが、現在、次期計画の策定作業中であり、今年度中に公表予定ということと、石川県におきましては、現在、計画(案)についてパブリックコメントが終了し、公表に向けて準備中というような回答をいただいております。
次のページを御覧ください。ロジックモデルの活用状況・目標値の設定についてでございます。多くの都道府県でロジックモデルを活用していただいており、また目標値も設定いただいております。先ほど阿久津委員から北海道でロジックモデルを活用していない理由について触れていただきましたが、この理由につきましては、13ページ目にまとめております。例えば、愛知県の回答ですが、国の基本計画同様、計画本文には掲載していないが、計画骨子を決める際の有識者会議の資料において、ロジックモデル(案)を示し検討するなどの方法で活用しているといった回答がございました。
次に、5ページ目にお進みください。科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実に関しまして、こちらはおおむね記載いただいておりますが、一部記載いただいていない自治体もありまして、こちらについても13ページにまとめてありますので、御確認ください。
6ページ目にお進みください。がん医療の提供体制等に関しまして、均てん化や集約化、また支持療法に関しまして、一部記載のない自治体がございますが、こちらに関しましても14ページに理由をまとめておりますので、御確認いただければと思います。
7ページ目にお進みください。こちらは同じくがん医療の提供で、新規医薬品、医療機器及び医療技術の速やかな医療実装につきましては、記載している自治体が少ないところでございます。こちらにつきましては14ページ目を御覧いただきたいのですが、栃木県です。新規医薬品等の医療実装は、県の取り組むがん施策よりもがん診療連携協議会等や臨床試験や治験を実施している医療機関を中心として推進していくことが適しているからというような回答をいただいております。
次のページへお進みください。8ページ目です。がんとともに尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築ということに関しましても、一部の自治体において記載のない項目がございますが、こちらについては15ページ目にまとめておりますので、御確認いただければと思います。
続きまして、9ページ目を御覧ください。これらを支える基盤の整備としましてまとめていますが、研究に関する記載があるのは、現在、半数程度になっておりまして、その他、一部の自治体で記載のない項目がございます。
こちらの理由に関しましては、16ページ目にまとめておりますが、栃木県のところですが、研究を充実させることは、県の取り組むがん施策よりもがん診療連携協議会等の臨床現場の医療従事者やヘルスケア分野の民間企業を中心として推進していくことが適しているからというような回答がございました。
続きまして、10ページ目を御覧ください。その他の事項としまして、一部の自治体におきまして、所管地域の取組、例えば地域間や医療機関間の差であったり、所管市区町村のがん対策のモニタリングを行っているというような回答がございました。
11ページ目、今後の予定でございますが、ロジックモデル・評価指標を用いたモニタリングに加えまして、引き続き、都道府県におけるがん対策の進捗状況についてもモニタリングしていくというところでございます。
以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
それでは、事務局の説明を踏まえて、委員の先生方から御質問をお受けしたいと思います。
久村委員、どうぞ。
○久村委員 ありがとうございます。久村です。
私からは2点、コメントと提案をさせていただきたいと思います。
まず、1点目ですけれども、こちらの資料、大変貴重な資料だと思いました。特に、地域間や医療機関による格差のモニタリングを実施していく自治体があるということが分かりましたので、中間評価の際には、ぜひ好事例として、その取組について公表していただけたらいいなと思いました。
もう1点目で、この資料を拝見いたしまして、私が非常に気になりましたのは、各自治体でのがん対策推進計画の策定のプロセスの実態についてです。例えば、がんの患者さんや御家族などを代表する人が、検討会の構成メンバーのどの程度の割合を占めていたのかとか、構成員のジェンダーとか年代、それから障害者が含まれていたのかといった多様性が確保されていたのかといったような患者・市民参画の実態についてです。もう少し申し上げますと、検討会に当事者の委員が一定の割合で含まれていたとしても、その自治体のホームページには構成員の名簿、開催日時、議事録とか会議資料も全く公表されていない。会議自体も公表されていないというケースがあります。
少なくとも検討会の開催日の前には、開催日時と構成員のメンバーの名簿が公表されていないと、患者さんや御家族の困り事であるとか自治体への要望を、いつ、誰に届けていいのか全く分かりません。このままですと、この自治体レベルでの患者・市民参画がとても形式的なものにとどまってしまう可能性があるのではないかということを危惧しております。今後、自治体レベルでの患者・市民参画を実質的なものにしていくために、例えば中間評価指標の中に、検討会の開催日の前に開催日時や構成メンバーを公表したのかどうなのか、あるいは議事録や配付資料を公開しているのかどうかといったような指標も取り入れていただけるとよいのではないかと思います。
以上です。
○土岐会長 事務局のほう、いかがでしょうか。
○九十九がん対策推進官 貴重な御指摘ありがとうございます。
プロセスのところ、御意見いただきました。こちらにつきまして、ただいま御提案いただきましたので、都道府県様の御事情も伺いながら、このような指標が出していけるかについて、事務局で検討していきたいと思います。
○土岐会長 では、対応していただけるということで、どうもありがとうございます。よろしいでしょうか。
それでは、報告事項ということで4点ございますので、参考資料7から10までになりますけれども、こちらのほうは続けて事務局のほうから紹介していただくようお願いいたします。
○九十九がん対策推進官 事務局でございます。
参考資料の御説明でございます。基本的には、前回の協議会から主ながん対策に関わる施策の変更があった点について、主な内容を御説明するというところでございます。
資料7-1を御覧ください。こちらは「がん研究10か年戦略(第5次)の概要」でございます。これは令和5年12月25日に内閣府、文部科学省、厚生労働省、経済産業省の大臣に確認いただいたものでございますが、令和5年3月に閣議決定されました第4期がん対策基本計画におきまして、がん研究は計画の3本柱である「がん予防」「がん医療」「がんとの共生」を支える基盤として位置づけられているところでございます。この戦略の目標に関しましては、がん対策推進基本計画の全体目標であります、「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」を達成することを目指すとしております。
今後推進すべきがん研究・開発の柱としましては、「がんの予防」に関する研究、「がんの診断・治療」に関する研究、「がんとの共生」に資する研究、ライフステージやがんの特性に着目した研究、がんの予防、がんの診断・治療の開発、がんとの共生を促進するための分野横断的な研究という構成となってございます。
続きまして、参考資料8を御覧ください。こちらは「HPV検査単独法による子宮頸がん検診の導入」の御報告でございます。
市町村が実施する子宮頸がん検診につきましては、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」におきまして、20歳以上の女性を対象に2年に1回の細胞診を行うことを推奨してまいりました。今般、「がん検診のあり方に関する検討会」の議論を踏まえ、指針を改正し、HPV検査単独法を追加しております。これは令和6年4月1日から適用となってございます。
この改正後の内容としまして、四角の右の枠のところでございますが、記載の一定の要件を満たした自治体に関しまして、HPV検査単独法を5年に1回。この際、追跡検査対象者は1年後に受診というような枠組みとなっております。
3ポツ目ですが、このHPV検査単独法は、検診結果によって次回の検査時期や検査内容が異なるなどの複雑性がありまして、適切な受診勧奨等が行われなければ期待される効果が得られないことから、市町村や検診実施機関等における精度管理が重要であるとされております。
次のページを御覧ください。こちらに従来のがん検診を上に記載しておりまして、下側にHPV検査単独法について示しているものでございます。先ほど述べましたように、下側のフロー、検診結果によって検査の時期や検査内容のフローが異なるために、市町村等による精度管理が重要となるところでございます。
次のページを御覧ください。この「HPV検査単独法の導入に対するメリット」でございますが、2ポツ目です。受診者側の視点で、現行の細胞診の検診間隔は2年ごとでありますが、HPV検査単独法では受診者の約8~9割が5年ごととなることから、全体として受診行動の負担軽減が期待できるところでございます。
次のページを御覧ください。一方で、事業の目的の2ポツ目ですが、このHPV検査単独法は、検査結果によって次回の検査時期や検査内容が異なるのは先ほど説明しましたが、アルゴリズムが複雑であることから、子宮頸がん検診を行う市区町村等がHPV検査単独法を導入し、円滑に運用できるよう支援する必要があるところでございまして、これは令和6年度から新規の事業で、HPV検査単独法導入に向けた精度管理支援事業というのを行っておりまして、事業のスキームは2つ目の箱を御覧ください。都道府県、市区町村、また検査実施機関に対しまして、アルゴリズムに沿ったHPV検査単独法による子宮頸がん検診の精度管理について研修を行っているところでございます。
参考資料8については以上でございます。
続きまして、参考資料9を御覧ください。こちらは令和5年12月1日に行われた「がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ」の資料でございますが、「エキスパートパネルの見直し」について検討を行っております。
エキスパートパネルの現状・課題ですが、がん遺伝子パネル検査の保険適用から4年以上が経過しておりまして、がんゲノム医療中核拠点病院等の枠組みや関係学会の取組により、がんゲノム医療提供体制の整備は一定程度進んできているところでございます。
がんゲノム医療連携病院の中には、がんゲノム医療中核拠点病院・がんゲノム医療拠点病院に指定されなかったものの、がんゲノム医療について一定の経験と知識を蓄積したがんゲノム医療連携病院も存在しているところでございます。
一方で、がん遺伝子パネル検査の実施件数の増加に伴いまして、エキスパートパネルで検討が必要な症例数が増加しており、エキスパートパネルの結果報告書の返却時期が遅くなる可能性が出てきてございます。
こちらに関しましてワーキングで議論いただきまして、主な変更点としまして、3番目の矢印のところでございますが、一定の要件を満たしたがんゲノム医療連携病院でのエキスパートパネルの実施をすることが可能とされてございます。
2ページ目は省略しまして、3ページ目へお進みください。こちらの薄い緑の一番下の枠の真ん中のほうの濃いところですけれども、エキスパートパネル実施可能ながんゲノム医療連携病院を新たに設置しておりまして、がんゲノム医療連携病院の指定を受けた病院から中核拠点病院又は拠点病院が選定するというところと、2ポツ目の、自施設の症例に限ってエキスパートパネルを実施することが可能というふうに変更されたところでございます。
続きまして、参考資料10を御覧ください。こちらは「がん診療連携拠点病院等の整備指針見直しスケジュール」についてでございます。がん診療連携拠点病院等の整備指針の見直しサイクル、現在4年間でございますが、こちらを基本計画の見直しスケジュールと合わせまして6年間としてはどうかという議論でございます。また、これに併せて、がん診療連携拠点病院等の次の指定期間を2年間として、その後は6年間の指定期間とすることとなっております。こちらは御報告でございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
報告事項ですので、本日の議事は以上となります。
今日は、このメンバーでの最後の協議会ということで、これは今日の最初から考えていたのですけれども、皆様からぜひお一言ずつお言葉を頂戴したいと思っております。時間が大変限られておりますけれども、その中でコメントをいただけたらと思います。名簿の上のほうから私が順番に指名させていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。
まず最初に、阿久津委員、どうぞよろしくお願いします。
○阿久津委員 本当に皆様お疲れさまでございます。
特に、地域格差と女性にまつわる正規雇用・非正規雇用などの格差と地域格差、そして望む方にはかなえてさしあげたい治療と両立支援について多くの意見を述べてまいりました。先人の患者参画委員の皆さんのお力と御努力の積み重ねに、改めて本当に敬意を表するとともに、本日もそうですけれども、先生方におかれましても分かりやすく御説明、御意見をいただきまして、取り入れてくださったことに非常に御礼申し上げたいと思っております。事務局の皆様の細かなお気遣いにも感謝いたします。
過剰な検診を愁う一方で、高濃度乳房の中の領域であろう乳がんのエコー検査の精度管理ですとか、今日も話題に出ましたけれども、職域での検診のデータをどう取るのかなど、死亡率が改善されない限りはエビデンスが出るまで何も変わらないということではなくて、どこかの段階でそこに踏み切る、未来を予測して踏み切るということも、もう大切な時分になってきているのではないかなというふうに私自身は感じております。本当は、この結果を見届けたいなという思いもございますが、次の皆様へバトンを渡すことで、さらに多くの患者さんの声がこの場所に届いてほしいと思っております。がんと生きていく時代になってきたからこそ、科学、治療の進化を知らないとジャッジもチョイスもできない時代なので、私もこの後は、大人がん教育とか、お子さんへの生きるための健康教育などにも尽力を重ねたいと思っております。
貴重な機会をありがとうございました。
○土岐会長 ありがとうございます。
続きまして、宇野委員、どうぞ。
○宇野委員 日本放射線腫瘍学会の宇野隆でございます。
この協議会では、非常に多くの方の様々な意見を聞かせていただいて、勉強する一方でございました。私どもは今、厚労科研の御支援をいただいて、放射線治療の全国的な提供体制に関する研究を行い、より多くの国民の方々に高精度治療あるいは緩和的治療を提供できるようにしていきたい。これも1つの格差の解消が必要かなと思っている次第であります。
非常に多くの点で勉強させていただきまして、本当にありがとうございました。これからもまたよろしくお願いいたします。
○土岐会長 ありがとうございます。
続きまして、大井委員、どうぞ。
○大井委員 いろいろありがとうございました。
これまでのがん対策は、2006年のがん対策基本法の成立から始まって様々な議論がなされてきました。様々なテーマが取り上げられ、そのテーマがどのように進んでいるかという検証がようやく第4期がん対策推進基本計画からスタートすると思っています。その検証に用いるロジックモデルによって、どれぐらい進んだのか、どれぐらい満たされたのかというのが次の世代に委ねられる課題になるのではないかと思っています。またがんというものは2006年、疾患を冠する基本法としては一番初めに成立しました。その後に、アレルギーであったり、肝炎であったり、脳卒中と循環器病、昨年は認知症という同じような立てつけの基本法が成立していますが、それらの範になるよう、第4期がん対策推進基本計画が進められていくことを願っております。
本当にありがとうございました。
○土岐会長 ありがとうございます。
続きまして、大賀委員、よろしくお願いします。
○大賀委員 日本小児・血液がん学会の理事長として、この会議に参加させていただきました。成人の領域といろいろ比較させていただきながら、小児の特殊性を改めて実感することになりましたし、どういうことが課題であり、これからどのように進めるかということを小児・AYA世代のところで発言もさせていただきました。私自身が九州大学で九州におりますので、地域での状況と全国での状況を考えながら、それから世代を超えた形での成人の領域を勉強させていただきました。本日、参考人として入っておられます次期理事長 米田光宏先生におつなぎして、ますます御指導のほど、よろしくお願いしたいと存じます。
皆様、どうもお世話になりました。ありがとうございました。
○土岐会長 ありがとうございます。
続きまして、小原委員、よろしくお願いします。
○小原委員 小原でございます。
この期に皆様と御参加できて、本当にいろいろと学ぶ一方、私、社会福祉学が専門でございますので、1点目が、誰一人残さないがん対策というテーマ設定ができ、そこをみんなとともに考えることができたというのを非常にうれしく思います。
もう一つは、国の政策の中に評価というような視点を今回、取り入れてくださって、ロジックモデルできちんと実践をしたことがアウトカムとして出ていく。そのプロセスをどうしていくのかということまで議論ができたと思い、非常に有益であり、これから中間評価、それから第5期というところにバトンを渡していけるというのは、私も非常にうれしく思います。
それから、特に今回、健康の社会的決定要因のお話がありましたけれども、がん対策の格差対策ということで、特に私の専門であります社会福祉士は、非正規労働、それから生活保護の受給、住居の不安定なホームレス、シングルマザー、アルコール依存症、障害を持っている方々や高齢者の領域、こういったいわゆる社会の周縁に位置しやすいリスクを持っている方々にも、どうやってこのがん対策のところに取り入れていくのかといったところの議論も今回できたこと、本当に有益に思います。ぜひ誰一人残さないというがん対策を全体で盛り上げていっていただけたらと思います。
今回は、皆様とともにこうやって議論ができたことを本当に感謝申し上げます。ありがとうございました。
○土岐会長 続きまして、木澤委員、よろしくお願いします。
○木澤委員 よろしくお願いします。木澤です。緩和医療学会も代表して参加させていただきました。皆様、2年間御指導いただき、ありがとうございました。
私、2つだけ申し上げさせていただきたいと思います。EDI(エクイティ・ダイバーシティ・アンド・インクルージョン)の観点から、リソースが足りないところ、過疎化が進んでいる地域もあるわけで、緩和医療の専門医も数が足りていないわけですので、専門家がいないところでどうやって質の高い緩和医療を展開していくかということを、これから考えていかなければいけないなと思っています。努力していきたいと思いますので、皆さん、また御助力いただければと思います。
もう一つ、声なき声という点で言うと、亡くなっていった人は声を持たないわけです。その人たちの医療の質をどう改善するかということに、これからも尽力していきたいと思います。
御指導、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○土岐会長 それでは、黒瀨委員、よろしくお願いいたします。
○黒瀨委員 日本医師会の黒瀨でございます。本協議会の委員の皆様、特に土岐先生をはじめとする皆様と、そして事務局の皆様に大変お世話になりました。ありがとうございました。
このがん対策というのは、医療の進歩だけではなくて、社会環境の変化、特に我が国における場合には、人口構造の変化と、そして実は医師も高齢化しているのですね。よく言われる医師の地域偏在ということもありますけれども、地域偏在だけじゃなく、実は年齢もかなり大きく関わってきているということを私たちは常に意識しております。こういったことも含めて、がん対策というのは、我が国の社会保障の今後の在り方を考える上で非常に重要な点だと考えておりますので、皆様方と社会保障の面でも何か一緒にお仕事ができればなというふうに思っています。
どうもありがとうございました。
○土岐会長 ありがとうございます。
齋藤委員、よろしくお願いします。
○齋藤委員 皆様ありがとうございました。企業の1人として委員を拝命しまして、本当に勉強になりました。ありがとうございます。
がんとの共生の中でのテーマで、私は意見を申す役割だったというふうに感じておりますけれども、全体的に共生分野についてのお話がちょっと少なかったのかなと感じておりまして、今後、また第5次になったときに共生の部分も、ぜひサバイバーシップ支援の議論がたくさんできることを望んでおります。特に、この原因としては職域のデータが少ないということが、影響して影響しているのかなと感じております。
本当にありがとうございました。
○土岐会長 それでは、谷口委員、よろしくお願いします。
○谷口委員 島根県の谷口です。都道府県の立場から、この会に参加させていただいておりました。
ここで国が計画を立てて、実際やるのは都道府県だったり、市町村だったり、あと病院が個別にいろいろなことをやられるわけですけれども、地方の1県ではありますけれども、そういった立場でいろいろ意見を言わせていただきましたし、また委員の皆さんがいろいろな立場でこうやって熱心に意見交換、私、今回、初めて委員に参加させていただきましたけれども、意見を言われる姿を見ながら、すごくいい会だと思いながら話を聞いておりましたし、こういう会が島根県でも協議会としてできるといいなと思いながら、ずっと参加しておりました。一部はそういったものを還元させていただきましたし、また、ほかの都道府県にも衛生部長会を通じていろいろ還元させていただいたところであります。
本当にいろいろ勉強になりました。ありがとうございました。
○土岐会長 ありがとうございます。
続きまして、鶴岡委員、よろしくお願いいたします。
○鶴岡委員 皆様、お疲れさまでした。つるかめ診療所の鶴岡です。在宅医療に携わる臨床医として参加させていただきました。
がん拠点病院以外の地域でどんな医療がなされているのかということを皆さんにお伝えできたことはよかったと思っています。また皆様のすごく多方向から示唆に富む御意見をいただけて、大変勉強になりました。日本在宅医療連合学会の代表として参加しておりますので、これからも勉強させていただき、一緒に考えていければと思っています。
今日の話題、格差の問題についてですが、格差の縮小ということが大きな課題となっていました。もし高い水準のものと低い水準のものがあるとしたら、高い水準を落として格差を縮小するのではないのだというところは、どこかで確認しながら進められるといいのではないかなと思いました。
どうもありがとうございました。
○土岐会長 ありがとうございます。
続きまして、中釜委員、よろしくお願いいたします。
○中釜委員 国立がん研究センター理事長 中釜です。
今回、第4期のがん対策推進基本計画の策定に向けて、この協議会の中で様々な委員の先生方の御意見を伺うことができて、私自身も大変勉強になりました。第4期の基本計画そのものは、第3期の基本計画をある程度踏襲する形で、早期発見、予防、医療、がんとの共生という形ですけれども、第3期の成果を踏まえて、かなり詳細に精緻化された内容になったかなというふうに個人的に思っています。
その中で、今回、初めて採用されたロジックモデルというものを通して、アウトカム、アウトプットという具体的な指標を設けて進めていくという意味で、さらには、先ほど厚労省から紹介がありました第5次がん研究10か年戦略においても予防、治療、共生という観点で設定されていますので、がん対策・がん医療の課題を研究に落とし込む、あるいはその研究から得られた成果を政策として反映するという関係性がうまくできているのかなと思います。これをしっかりと先ほどのロジックモデルの数値目標のところを意識しながら、具体的な研究と対策の連携が進めていけるのではないか。その成果を今後6年の実施計画の中で、我々、がん医療、がん研究に携わる者として求められているのだと思います。
それから、様々な医療格差の問題、健康格差の問題も非常に重要だと改めて認識していまして、医療提供体制においては、恐らくそういう視点も含めながら見ていく必要があるのかなと思いました。今回の協議会の中で非常に多くの方々からの様々なご意見を伺い、がん対策そのものが社会全体の課題であるということを再確認し、がん対策・がん医療の推進においてはその課題を意識しながら進める必要があることを改めて認識しました。
本当に皆さん、どうもありがとうございました。
○土岐会長 中釜先生、ありがとうございました。
続きまして、樋口委員、よろしくお願いします。
○樋口委員 ありがとうございます。富山のAYA世代の患者会代表で、看護師として活動している樋口です。
今回、すごくタイトなスケジュールではあったのですけれども、協議会に参加している期間、多くの方が次期の計画に期待して、委員の方はもちろん、事務局だったり、その道の専門家の方であったり、がんに関わるたくさんの方が思いを寄せてくださっているのを知りました。なので、続けてこられたというのもありましたし、私は富山で活動しているので、富山に戻ると、何だかここでの話題がちょっと別世界のような、なかなか到達しない話題のようなこともあって、その悔しさから絶対地域に下ろすのだという思いでやってきたと思っています。こうやって患者の市民参画という形で、自分が日本のがん対策に関わることができる環境にいるということがすごく貴重で、感慨深いことだなと思いながら参加しておりました。
しかし、期待とかいろいろな患者さんの願いとか、亡くなった患者さんの思いとかを知っているからこそ、本日が最後の会でありますが、諦め切れない部分がもちろんあります。これでよいのか。計画が都道府県に下りたときも、患者であったり、国民の皆さんが恩恵を受けて、今よりも環境が改善するのか。件数だけではなく、患者さんの実感として体感できるのかということを見守り続けて、できる部分からこれからも考えていきたいと思っております。
今までありがとうございました。
○土岐会長 続きまして、久村委員、よろしくお願いします。
○久村委員 久村です。委員の皆様、それから事務局の皆様には大変お世話になりました。
私は、2期4年間、委員を務めさせていただきました。私自身は大変微力ではございましたけれども、当事者としての様々な御経験や、専門家としての高い見識を持つ委員の皆様と一緒に、誰一人取り残さないという新しい視点を取り入れた基本計画の策定に携わることができまして、大変光栄でございました。
議論の過程で大変印象的だったのが、様々な患者さんの団体から提出された要望書の内容でした。要望書には何度も目を通させていただきました。とても切実な問題ばかりで、ソーシャルワーカーとして患者さんや御家族の問題を本当に十分に理解していなかったということに改めて気づかされました。多くのことを学ぶ機会をいただきましたことを、本当に心より御礼申し上げたいと思います。この経験を今後もソーシャルワーカーとしての実践と、それからリサーチにも生かしていきたいと思っております。
どうもありがとうございました。
○土岐会長 それでは、前田委員、よろしくお願いいたします。
○前田委員 働く世代のがん患者支援を京都でしております前田と申します。
患者の立場で委員を拝命して、本当に幅広く様々な問題が日本にはまだまだあるのだということを知って、どんな対策が必要なのかと眠れずに必死で考えた日々もあったなと思い出しました。的外れな発言もあったと思いますが、土岐会長をはじめ、委員の皆様、厚労省の皆様も、拙い私の意見を丁寧に酌み取って尊重してくださり、本当に心から御礼申し上げます。
この委員での経験があったから、昨年は地元の京都でもがん対策についてのワークショップを開いて要望書を作成し、行政に出向いたり、自分たちも社会や未来をつくる1人なのだということを仲間と共有することができました。今後、各地、各分野でも患者・市民参画が進んで、さらによりよいがん対策が構築されていくことと信じています。
また、今日の片野田先生の資料でHealthy People 2030にウェルビーイングを追加したという文言がありました。今後は、日本でもウェルビーイングを目指したがん対策にしてほしいなと私は思っています。ウェルビーイングはWHOの健康の定義で、肉体的、精神的、社会的に全てが満たされた状態といわれており、そういう状態を目指したがん対策をしてほしいなと思っています。
今後もこうした議論を次の方がつないでくださりながら、よりよいがん対策になっていくことを願っています。ありがとうございました。
○土岐会長 松田委員、よろしくお願いします。
○松田委員 福井県健康管理協会の松田でございます。私は、日本消化器がん検診学会の役員、今は役員を退いていますが、そして、がん検診の研究、そして福井県内で行われている全てのがん検診を統括する立場で参加させていただきました。
たびたびがん検診について発言させていただきましたが、がん対策においてはがん検診も極めて重要な位置を占めていると思います。しかしながら、今日、格差のお話があったのですが、受けられない人たちがいる。誰が受けているか、正確な受診率を我々は知らない。職域におけるがん検診は全く分からない。このような状況では、最終アウトカムの死亡率減少には結びつかない。諸外国よりも日本のがん死亡率とりわけ子宮頸がんや大腸がん死亡率は高いということを私たちは認識しないといけないということを繰り返しお話ししました。そのためには、全ての人が受けられるがん検診、組織型検診として誰が受けていて誰が受けていないか、リアルタイムに把握できるようなシステムにしないといけないなと、つくづく思っております。
私は3期、委員を務めさせていただきましたが、土岐会長をはじめ、委員の皆様、そして事務局の皆様、大変お世話になりました。ありがとうございました。
○土岐会長 ありがとうございます。
続きまして、間野委員、よろしくお願いいたします。
○間野委員 日本癌学会の理事長の間野博行です。前理事長の佐谷秀行先生の後任として参加させていただきました。
私は、がん研究を追求して、新たながん医療、がん予防を生み出すということに従事していますけれども、がん対策はがんの疫学も予防も研究も医療も、その全てが重要という、いわば日本の総合力が問われる領域だと思います。同時に、日本から発信した指針が世界のがん医療を変えるチャンスもあると考えています。
今後とも皆様と一緒に力を併せて頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
○土岐会長 間野先生、どうもありがとうございます。
続きまして、南委員、どうぞ。
○南委員 皆さん、こんにちは。日本臨床腫瘍学会の南です。今回は、私、今期初めてにもかかわらず、前の会議を抜け出せなかったものですから、遅れてしまい、すみませんでした。
実は、久しぶりの参加なのですが、以前に比べて患者さんの発言が非常に活発で、大変うれしいというふうに感じています。その中で格差の問題が今回、大きく取り上げられていましたけれども、これは非常に重要な問題だと思います。日本よりも格差が大きい国では、このがんケアの格差を扱うような学会もあるようですので、非常に活発な議論が行われていますので、日本でも重要な問題として取り上げていければと思います。その中で、現状の把握のみならず、これはいろいろな交絡因子が多いと思うのですが、原因解明につながるようなアプローチをしていただいて、原因が分からないと対策が打てないと思いますので、ぜひお願いします。
それから、サバイバーシップの問題は、大賀先生がいらっしゃるところで私が言うのも恐縮ですが、小児がんのサバイバーのフォローアップ体制が日本はまだまだ全然できていないというのが現状だと思っています。海外の調査も行われるようですが、ぜひうまくいっている国ではどういう体制でやっているのか。患者数という数だけではなくて、体制まで日本が参考にできるような調査を進めていただければと思います。
私は、これからの参加という形になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
○土岐会長 それでは、谷島委員、よろしくお願いいたします。
○谷島委員 ありがとうございます。私は、新たな治療を待ち望んでいる闘病中の患者の立場で参加させていただきました。最近、また再発転移がありまして、先週まで治療で入院しておりました。まだ手術の糸も抜けていないのですが、最後の協議会に出席できてよかったです。
私の願いは、この第4期の計画の全体目標にある、誰一人取り残さないというSDGs的な目標と、全ての国民をという多様性を意味する言葉に集約いただいていると思っています。でも、この誰一人取り残さないというのはとても難しいですよね。私は、この4期の計画は、いわば「仕方ない」撲滅計画だと勝手に解釈しております。がんだからとか、数が少ないからとか、若いからとか、年だからとか、非正規だからとか、障害があるからとか、田舎だからとか、お金がないからとか、そんな様々な「仕方ない」というのをなくしていく。そのためには、まず、現在、またこれから進められる様々な取組というのが、ちゃんと必要とする全ての人に届いているのか、そこを重視して計画を進めていっていただきたいと願っております。
そして、最後になりますが、がんの課題というのは、医療の進歩と社会の変化に伴って、より個別化、多様化、高度化、複雑化して、医療の枠を超えた社会的課題も増えていると感じております。ですので、ぜひこれからは患者・市民参画、さらにはもっと広く社会の多様なリソースを掛け合わせて、立場と業界を超えた協働により、新たな価値を共につくっていく。いわば社会共創の視点がより重要になってくると考えています。私もその一員として、今後もこの誰一人取り残さないがん対策の実現に向けて、医療の専門家とはまた別の角度からアプローチしていけたらと思っております。
改めて、支えていただいた皆様、共に計画をつくってくださった委員の皆様、事務局の皆様に深くお礼申し上げたいと思います。貴重な機会をありがとうございました。
○土岐会長 ありがとうございました。
それでは、最後になりますが、私からも一言だけ、大変手短に発言させていただきたいと思います。私は、日本癌治療学会の代表で来ておりまして、いわゆる外科医でございます。ですので、この協議会は全く違った世界でございました。私としては、とにかくできる限り皆様の意見を拾い上げたい。特に、医師以外の方の意見を、なかなか理解が難しいときもあるのですけれども、できる限り丁寧に聞き取りたいという、それだけを心がけてまいりました。
そんな中で、第4期基本計画の中の全体目標、誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指すというのは、今までの全体目標の中でも一番メッセージ性が強いのではないかと感じております。本当にいいものができたなというふうに、委員の皆様には感謝申し上げたいと思います。今後、この基本計画は、都道府県、そしてロジックモデルという形で実行に移されて、中間評価として皆様の批評を受けることになると思います。しかし、この委員の思いは、きっと後の世代にも伝わっていくものと感じております。
あと、1臨床医としては、医療情勢の変化が激しいです。もちろん、がんの医療というのは非常に高度化して進歩しています。一方では、人口減少とか経済の悪化といった問題で、必ずしも医学の進歩が享受できる状況にはないというのもたしかでございます。こういったことをいかにバランスよく国全体に広げていくというのが、これは医療としての我々の課題の一つだと思っております。
いずれにせよ、皆様と大変議論を重ねることができましたのをうれしく思っております。コロナでほとんど現地でお会いできなかったのが大変残念でございまして、何人かの委員の方々には学会場とかでお会いさせていただいたのですけれども、本当は一堂に会ってお話ししたかったなという思いがございますけれども、これも時代の流れで仕方ないかなと思っております。
このような協議会を支えていただきました厚労省の事務局の皆様、本当に感謝を申し上げます。今後は、委員の皆様方がこの協議会で得た知識、知見、そしてこの情熱をそれぞれの皆様の活躍の場で生かして、がん対策を推進していかれることを私からは切に願っております。
簡単でございますけれども、私からの挨拶にさせていただきます。どうも皆様、長い間、ありがとうございました。
それでは、本日の議事は以上となりますので、進行を事務局のほうにお返ししたいと思います。事務局、よろしくお願いします。
○九十九がん対策推進官 本日は活発に御議論いただきまして、誠にありがとうございました。また、最後に、土岐会長をはじめ、委員の皆様、お一人お一人に大変示唆に富む御発言をいただきまして、本当にありがとうございました。事務局を代表してお礼いたします。
次回以降の日程につきましては、追って御連絡させていただきます。本日はありがとうございました。
照会先
健康局がん・疾病対策課
代表03-5253-1111(内線2066)