第17回高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ 議事録

日時

 令和6年9月4日(水)13:00~15:00

開催方法

 オンライン開催

議題

  1. 1.高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の進捗等について
  2. 2.その他

議事

議事内容
〇事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第17回「高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ」を開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところご参加いただきまして誠にありがとうございます。会議中、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、ご発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。はじめに、構成員の変更がありましたので事務局よりご紹介申し上げます。五十音順でご紹介申し上げます。川原正樹構成員がご退任になり、徳島県後期高齢者医療広域連合 高島浩規構成員にご就任いただいております。石崎達郎構成員がご退任になり、東京都健康長寿医療センター研究所研究部長 平田匠構成員にご就任いただいております。水野知宣構成員がご退任になり、島根県益田市福祉環境部長 和﨑幹弘構成員にご就任いただいております。坂本泰三構成員がご退任になり、日本医師会常任理事 渡辺弘司構成員にご就任いただいております。本日のご出席状況でございますが、遠藤構成員、平田構成員、和﨑構成員は欠席のご連絡をいただいております。なお、池田構成員は途中で一時退席されると伺っております。続きまして、お手元の資料について確認させていただきます。事前にお送りしておりますとおり、議事次第のほか、資料1_高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施について、参考資料1_第3期データヘルス計画の実際__共通評価指標一覧、参考資料2_津下構成員ご提出資料、構成員一覧、でございます。不足等ございます場合は、事務局までお知らせいただきますようお願いいたします。本会議は「公開」とさせていただき、会議終了後、録画映像をYouTube厚生労働省動画チャンネルに投稿する形で公開いたします。公開期間は、会議翌日から当省HPに議事録が掲載されるまでの期間となりますのでご了承いただきますようお願いいたします。本日の資料は、ホームページに掲載済みでございます。それでは、ここからの進行は、津下座長にお願いしたいと思います。
〇津下座長 皆さん、こんにちは。高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループの座長を務めさせていただきます津下と申します。前回よりまた一段と進捗し、色々な調査も進んでいるところですので、厚生労働省よりそれらの説明をしていただき、委員の先生方の御意見を伺いたいと考えております。それでは本日の議題は1.高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の進捗状況等について、2.その他についての2点でございます。議題の1つ目につきまして、資料の分量が多くなっておりますので、2つに分けてご意見いただきたいと思います。まず資料1の前半部分と参考資料1について事務局よりご説明をお願いいたします。
〇事務局 事務局でございます。資料1高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の進捗状況について説明させていただきます。お手元の資料3ページをご覧ください。一体的実施の実施状況です。令和5年11月時点での実施状況調査からのデータとなりますが、令和6年度中に実施予定の市町村は、1780市町村で全体の98%となります。
4ページでございます。都道府県別に実施状況をお示ししています。令和6年7月末時点で確認したところ、今年度開始を検討いただいている市町村も幾つかあると伺っております。こちら赤でお示ししている未実施市町村は離島中心の小規模町村となります。未実施の残る6広域連合にヒアリングしたところ、令和6年度中または令和7年度から開始できるよう調整中と伺っております。
5ページでございます。一体的実施における主な取り組みと実施市町村数をまとめたスライドです。上はハイリスクアプローチに取り組む1396市町村の取組状況をまとめています。健康状態不明者対策に取り組む市町村が950と最も多くなっています。下はポピュレーションアプローチでフレイル予防の普及啓発活動や運動、栄養、口腔などのフレイル予防の健康教育、健康相談の実施市町村数が最も多く、1368となっています。
6ページでございます。実施状況調査の結果を経年的に示しています。令和2年度以降実施市町村数は着実に増えております。口腔、服薬に関する保健指導ハイリスクアプローチの実施市町村が少ない状況です。
7ページでございます。ハイリスクアプローチの課題について経年で示しています。目標評価指標の設定、医療関係機関との連携・調整、事業実施後の評価・改善策の立案について課題を感じている市町村が令和3年度以降継続して5割を超えています。
8ページでございます。ハイリスクアプローチの実施上の課題について市町村規模別に示しています。実施上の課題として、目標評価指標の設定、事業実施後の評価改善策の立案、医療機関との連携・調整が多く、いずれの規模でも概ね5割を超えています。特に大規模市町村では、地域を担当する医療専門職の確保に課題があると5割の自治体が回答しています。
9ページでございます。ポピュレーションアプローチの実施項目についても、いずれも経年で増加していることが見て取れます。
10ページでございます。ポピュレーションアプローチを実施する上での課題については、目標評価指標の設定、事業実施後の評価改善策の立案に課題を感じている自治体は継続して概ね6割を超えています。
11ページでございます。ポピュレーションアプローチを実施する上での課題について、いずれの市町村規模においても「目標・評価指標の設定」「事業実施後の評価・改善策の立案」が上位でした。規模別にみると、大規模市町村の方が、「指導結果のフォロー」や「その他」を除き、より課題と感じていました。特に、「通いの場の担い手との連携」、「通いの場との関わり方」「実施場所の確保」等が、大規模市町村の方が中規模・小規模市町村に比べ、課題と感じています。
12ページでございます。これ以降のスライドでは、広域連合単位の各個別事業の実施状況をお示ししています。こちらは低栄養ハイリスクアプローチの実施市町村数となります。
13ページでございます。こちらは口腔ハイリスクアプローチの実施市町村数となります。
14ページでございます。こちらは服薬ハイリスクアプローチの実施市町村数となります。
15ページでございます。こちらは糖尿病性腎症重症化予防ハイリスクアプローチの実施市町村数となります。
16ページでございます。こちらは重症化予防、身体的フレイル等も含むその他生活習慣病のハイリスクアプローチの実施市町村数となります。
17ページでございます。こちらは健康状態不明者対策ハイリスクアプローチの実施市町村数となります。
18ページ以降はポピュレーションアプローチの実施市町村数となります。こちらはフレイル予防の普及啓発、健康教育の実施市町村数をお示ししております。
19ページでございます。こちらはフレイル予防の普及啓発の健康相談の実施、市町村数をお示ししています。
20ページでございます。こちらはフレイル状態の把握および保健指導や生活機能向上支援等の実施市町村数をお示ししています。
21ページでございます。こちらは健康に関する相談や不安等について、日常的に気軽に相談が行える環境づくり(ポピュレーションアプローチ)についての実施市町村数となります。以上が令和5年度一体的実施実施状況調査の市町村票からの報告となります。
続きまして、22ページでございます。アウトプットの指標として2点ご報告いたします。こちらは実施市町村のハイリスク事業数を広域連合単位で示したグラフでございます。平均2.7事業となっております。
続きまして、23ページでございます。一体的実施は、日常生活圏域単位に実施していただくこととしておりますが、実施市町村における実施日常生活圏域のカバー率をまとめたところ、平均82.8%となっております。
24ページでございます。こちらのスライドでは、各広域連合と各関係機関、関係団体との連携状況をお示ししています。可視化するために、「連携あり」を1点としてその合計を計上し、グラフ化しています。全てに連携がある場合は48点満点となりますが、最高40点で、現状の平均は25点となっています。オレンジは、都道府県、国保連合会、保健所。青色は、医師会、歯科医師会、薬剤師会。水色は、看護協会、栄養士会その他保健医療関係団体、病院等医療機関。黄緑色は、外部有識者となっています。以上、実施状況のご報告となります。
続きまして、25ページでございます。こちらは令和7年度以降の一体的実施の取り組みにおける高齢者保健事業について疾病の重症化予防・生活機能の低下の防止を通じた健康寿命の延伸という目標に向けて、国、広域連合、研究班等、国保中央会がこれまで取り組んできたことと、これから取り組んでいくことについて整理した図となります。一体的実施の取組については、先にご説明してきたとおり、令和6年度までには全市町村の98%で取組が実施される状況です。したがって、全市町村での実施を目指し、「一体的実施を全国に広め、標準化に取り組む」フェーズ1から、令和6年度より、第三期データヘルス計画に基づく保健事業の量の増加・質の向上を目指し「好事例を展開する」フェーズ2に移行し、令和9年度以降、取組全体の拡大化と総合的な効果検証を目指し、「医療・介護の観点から事業成果を検証する」フェーズ3に向けて進めていくこととなります。フェーズ1におきましては、データヘルスの推進やガイドラインの整備、データヘルス計画の策定、研究班による研究、国保中央会・国保連合会ではKDB活用支援ツールや実践支援ツールの開発・研修等を進めてまいりました。フェーズ2においては、国はデータヘルスの推進、標準化の推進の観点から評価・検証、中間評価に向けての検討を行なう他、既に作成した一体的実施計画書・報告書様式や集約ツールの経年評価と共に改良を行うなどに取り組んでまいります。広域連合は、効果的・効率的保健事業の実施の観点から、データヘルス計画に基づく事業実施およびモニタリングを行い、研究班には、厚生労働科学研究研究班で取り組んでいただいている事業検証を進めていただきつつ、令和7年度以降は、データヘルス標準化の検証にかかる事業にも別途取り組むべく、予算要求しているところでございます。また、国保中央会・国保連合会においては、これまでに開発いただいたKDB二次活用ツールの普及をしていただき、適宜、各種ツールの拡充や研修会の実施なども予定しております。
26ページでございます。令和5年度の一体的実施実施状況調査から見えた広域連合の課題を左に、右側に考え得る対応案を整理してございます。大きくは人員・体制、質向上の取組、取組状況の把握、事業評価と改善という四つの課題に整理してございます。一番上の「人員・体制」に関してですが、専門職等人員の確保や知見やスキルの不足等の課題に対しては、データヘルス計画の情報共有および関係団体への協力依頼や、さまざまな標準化を推進することで、市町村や広域連合における省力化・効率化に向けた取り組みの実施という対応を行っております。市町村の支援のあり方や相談先がない広域連合自体の質向上の取り組みが必要とされた二つ目の「質向上の取組」の課題に対しては、厚生局や広域連合単位での様々な対象に向けた各種研修会の実施やその動画の配信、ガイドラインの解説動画を作成し厚生労働省HPに掲載するなどして周知等を進めてまいります。三つ目のデータヘルスの標準化の推進や進捗管理の方法が分からない、取組状況や成果の見える化ができていないといった「取組状況の把握」の課題に対しては、標準化したことにより、各評価指標が比較可能となったことを踏まえ、見える化を進める。データヘルス計画の進捗管理の方法を整理し、提示する。一体的実施計画書・実績報告書の集約レポートによる見える化や活用方法の周知。ガイドラインに基づき、特別調整交付金の事業区分Ⅰ~Ⅲの整理。などを進めてまいります。一番下の「事業評価と改善」については、対象者抽出基準が揃わず比較が困難、好事例とする視点が分からないなどの課題が挙げられておりますが、各種研修会での説明や標準化の推進による成果の比較・提示、厚生労働科学研究による事業検証等の対応を考えております。
27ページでございます。同様に、市町村の課題とその考え得る対応案を示した資料となります。大きく「体制整備」「計画策定」「事業実施」「事業評価」という各ステップでの課題を整理しています。「体制整備」については医療専門職不足や関係団体への協力依頼の困難さ、広域連合からの標準化にかかる説明不足等が課題とされております。こちらについては、関係団体への協力依頼の推進や好事例の横展開等が対応として考えられます。二つ目の「計画策定」についてはKDB二次活用ツールと異なる抽出基準を使用する場合や取組事例の参照先が不明といった課題がありました。こちらについては、データヘルス計画による標準化の推進とともに、広域連合からの事業評価・助言、アウトプットとアウトカムを中心とした取組状況の見える化、市町村規模別の事例収集や意見交換等が考えられます。事業実施については、評価や改善策の立案自体が困難、経年での事業評価についての整理が困難といった課題がありました。こちらについては厚生労働科学研究による事業評価やその情報提供、先にも述べたガイドラインの解説動画の周知と活用推進、各種KDB二次活用ツールの活用推進が考えられます。「事業評価」については、様式の記載が煩雑で資材も多様であること、希望者が少ないため事業実施人数が伸び悩んでいること、登録データの活用が不十分であることなどが課題とされていました。これらについては、交付基準、インセンティブ等を効果的・効率的な保健事業の企画・実施につながるよう交付基準や評価指標の見直しを実施することなど、対応案として考えてございます。
28ページでございます。こうした状況を把握してきた一体的実施実施状況調査ですが、今年度も実施する予定です。調査対象はこれまでと同様、広域連合、都道府県、市町村を想定し、11月に実施予定でございます。回答者の負担軽減に配慮しつつ、一体的実施の取組の段階に応じた調査項目の設定といたします。一体的実施の取組が始まり5年目を迎えることから、取組の変化についても調査を行う予定です。また、未実施市町村に対しては、課題と検討状況を中心とし、受託中止の広域連合及び市町村には再開に向けて必要な支援を中心に調査する予定でございます。一番下、その他の事項で記載しておりますが、第3期データヘルス計画の標準化に向けた取組状況や、4月以降の運用状況等を調査する項目を加え、改訂後の高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドラインや一体的実施・実践支援ツール、集約レポートの活用状況を確認することを予定してございます。なお、データヘルス計画に基づく市町村と広域連合の調整・連携状況や工夫、第2期データヘルス計画の振り返りおよび第3期データヘルス計画への反映状況については別途ヒアリングを行う予定でございます。
29ページでございます。先ほどの見直しの観点を踏まえ、具体的な調査項目の変更、追加予定を赤字でお示ししております。こちらは広域連合票と都道府県票でございます。
30ページが市町村票の調査項目となり、変更点は赤字でお示しした状況でございます。以上が一体的実施についてのご説明となります。続きまして、第3期データヘルス計画における標準化についてご説明いたします。
32ページでございます。データヘルス計画に関しての、国での今後の検討等についてご説明いたします。第3期データヘルス計画においては標準化を進め、各広域連合間、広域連合内の市町村間の比較を可能としています。各事業の市町村間の比較・分析を可能とするため、健診受診率の計算方法や、一体的実施の対象者及び評価指標について標準化し、その実態や効果の詳細について分析するためのデータ基盤も整備しました。今後はデータヘルス計画に基づく保健事業の事業評価、進捗管理をアウトプットアウトカムも踏まえ、実施状況を把握し、方法や体制の要因分析・好事例の横展開を行うことが必要です。このため、まずは、第3期データヘルス計画の全広域連合の計画内容、保健事業の取組状況を精査・分析し、有識者による議論を踏まえ、広域連合に対して、共通評価指標や計画内容の整理について報告する予定です。併せて、進捗管理方法や中間評価への示唆等をまとめ、広域連合に適切な進捗管理を進めていただけるように進めてまいります。こちらは高齢者の保健事業のあり方検討ワーキングとは別に、データヘルス計画有識者会議を3回ほど開催予定で、報告をまとめ、次回のあり方検討ワーキングでご報告させていただく予定です。
続きまして、33ページでございます。こちらは昨年11月時点での調査結果となります。データヘルス計画の標準化や理解に向けた広域連合の取組についてまとめた資料となります。広域が各構成市町村の保健事業の標準化のために行っている取組として整理しており、「広域連合として取り組む共通評価指標および目標値の提示」が最も多く、85.1%でございます。「ハイリスク者割合等の現状値の提示」「広域連合として特に優先して取り組むべきと整理した事業内容の提示」「市町村への説明会開催」についても5~6割の広域連合が取り組んでおります。広域連合が方針等の理解を促すため市町村に対して行っている取組として最も多いのが「広域連合が開催するセミナー・研修会の機会の周知・出席依頼」が最も多く概ね半数、次いで「市町村との直接対話」、「広域連合による市町村の健康課題の分析」が多くなっております。
34ページでございます。先ほどのスライドの取組を踏まえた第3期データヘルス計画の標準化を進める際の課題と、他計画との整合性をとる際の課題について整理しています。左側で標準化を進める際の課題としてあげられているものとして「構成市町村が独自の抽出基準や評価基準を使用しているため、標準化を求める説明が困難」が最も多く挙げられております。右側のグラフで他の保健医療関係の計画との整合性を取る際の課題といたしましては、「同時並行に策定作業が進められているため、共有がしにくい」との回答が最も多くなっています。他計画と申しますのは健康増進計画、医療費適正化計画、医療計画、介護支援計画などを指しております。
35ページでございます。こうした状況の中で広域連合によりデータヘルス計画は策定されていますが、データヘルス計画に基づくPDCA管理については、今後の効率的・効果的な保健事業の実施に向け、有識者会議で以下の4点について御議論をいただく予定です。具体的には、1.データヘルス計画の標準化 2.保健事業の内容の充実:個別事業の記載が十分かどうか、市町村支援や、成果を高めるために追加すべき事項はあるか。3.評価の進め方の整理:広域連合が進捗管理する評価指標は何か、どのように市町村に伝えるのが効果的か 4.その他:計画様式や作業手順チェックリスト以外に必要な事項があるか、などについて検討を行ってまいります。
続きまして、36ページでございます。データヘルス計画における標準化の対応状況について御報告いたします。今回、統一した考え方のフレームとして提示し、各広域同じ枠組みで地域の現状・健康課題の分析評価を進めました。昨年度末時点のデータヘルス計画を全国の広域連合から収集し、取りまとめております。計画様式については、データヘルス計画策定の手引きとともに提示しており、研修の機会などで計画様式への整理・記載により、データヘルス計画そのものと取り扱えることを説明してまいりました。計画様式については、すべての広域連合が活用し、記載していただいておりますが、その記載ぶりや記述量は多様な状況でした。本来は計画様式に整理した内容をデータヘルス計画本体とする、またはデータヘルス計画本体に反映することを想定していましたが、第2期データヘルス計画を元に第3期を策定された為、考え方の整理に齟齬がないか、内容の抜けがないかについて計画様式を確認ツールとして活用されていた広域連合もございました。
続いて37ページでございます。データヘルス計画における標準化対応状況として共通評価指標についてまとめています。全国の広域連合から得られた結果を基に、全国値を算出した結果を赤字でお示ししています。共通評価指標については、KDB二次活用ツールを用いた共通の手順を明示し、当該手順でハイリスク者数を抽出するよう事務連絡で依頼し、併せてKDBシステムにおける留意点、統一した健診受診率の算出方法についての周知も行いました。その他、データ抽出の時点の整理等も提示しました。共通評価指標については、担当者の理解が十分でなく、ハイリスク者数の抽出方法に誤認があり、再抽出の作業や割合の再算出を要した広域連合が複数ございました。健診受診率は、8.9%から50.2%と広域連合間の差がみられましたが、平均では27.2%となっていました。歯科健診実施市町村割合は、37%から100%と開きがありました。質問票を活用したハイリスク者把握に基づく保健事業を実施している市町村数・割合については、令和4年時点では実施なしの0%から100%までとさまざまな状況でした。
参考資料1に第3期データヘルス計画の実際・共通評価指標一覧をご用意しておりますので、ご確認をお願い致します。お手元の方が見やすい資料かと思いますが、表側には広域連合一覧、表頭に共通評価指標をお示しし、分母分子として人数または市町村数およびその割合についての記載を行っております。今後策定された第3期データヘルス計画については、別途有識者会議において整理、分析し、報告させていただきます。資料1の1と2についてのご説明は以上となります。
〇事務局 続きまして参考資料2について、厚生労働科学研究研究班の代表でいらっしゃいます津下座長からご説明をいただきます。
〇津下座長 はい、よろしくお願いいたします。先ほどの資料1の25ページにあるように、令和2年から5年は一体的実施推進のための研究ということで、進捗チェックリスト、ガイド等どう進めればいいのかをテーマにした研究班だったのですが、令和5年からは推進だけではなく、効果検証ということが求められております。そこで、参考資料の2でございますけれども、効果検証の為にはKDBデータを分析し、どのような対象者の状況であったのかを見ると同時に、市町村広域連合の事業がどのように行われていたのか、どのような取組によってどう変化したのかということが必要ですので、事業計画書・実績報告書を評価して、それを参考にしながらその効果を見ていくというようなスキームを立てています。今回ご紹介するのは、令和4年度の事業計画書・実績報告書をスコア化して、取組の状況を、実施件数だけではなく、その内容について評価してみるという試みをしましたので御紹介させていただきます。ただ、これは第三版のガイドラインが出る前の状況であること。また、このような記述を元に後で評価しておりますので、記載が不十分なところについては評価が落ちているということについて、予め御了承いただければと思っております。
まず事業評価のスコアを研究班で検討しました。実施体制としては「庁内連携」「地域連携」「健康課題分析」「取組圏域数」の割合を見ました。例えば庁内連携のところですと、それに対する記載がないところは0点。それから情報共有など連携している、連携体制のところには名前が挙がっているけれども事業としてどのように連携しているのかよく見えないというのが1点、各部局との連携が取れて事業実施の各局面において着実な連携が見られる、ガイドラインに基づくような事業がなされている場合を2点としています。さらに右側にありますように加点要素として、他の模範になると言いますか、先進的な取り組みをしている場合には3点を付けるというようなルールで採点しております。
次のページのポピュレーションアプローチについても同様です。通いの場との調整が十分できているか、専門職による介入がどうできているのか。ここでは専門職によるスポット的な介入だけではなく、住民、ボランティアなどの育成により継続的な介入ができているかどうかという視点でも評価させていただいております。それから「栄養・口腔・運動」の各プログラムについての実施の記載、通いの場に訪問して専門職が関わるだけではなく、通いの場に来ている人は比較的元気な人が多いという記述にあったこともあり、通いの場に通っていない人に対して干渉というような事業をしているという場合にそれをスコアにしています。また通いの場に来た方々への健康相談や個別フォローをしているか。個別フォローの中でも、健康相談の結果によって、ハイリスクアプローチや介護保険のサービスに繋げているかどうかという点で見ております。
このような観点で見たものが、次のページでございます。対象は愛知県と神奈川県の2広域の54市町村のデータを活用させていただいております。令和4年度の単年度で実施のスコアを見ますと、庁内連携・健康課題・地域連携共に、令和2年度から開始している自治体の方が全体的に三角形が大きい。ポピュレーションアプローチにおいても、通いの場への関わりだけではなく、通いの場への参加勧奨をするというようなことが増えているということ。
また次の4ページですが、ポピュレーションアプローチは愛知県と神奈川県でそれぞれ特徴のある伸び方をしている、というようなことが見えまして、広域連合の関わりやセミナー、近隣市町村の状況などが影響したと思われます。
5ページに各項についてまとめをしております。「実施体制のポイント」「庁内連携」としては、定期的な会議設定や、随時の担当者ミーティングも動きが見えるような形でされているところは、次年度の計画のバージョンアップというのが見られていたということ。それから事業に合わせてどのような関係者と一緒にやるかということを詳細に記載しているような自治体もございました。健康課題分析の中で、既存のデータをただ紹介しただけというところもありましたが、前年度の実施状況や後期高齢者のKDB分析など、後期高齢者にフォーカスをして事業と連携した事業計画に反映しているような記載もあれば、事業計画との関係性が見えないという自治体もございました。ポピュレーションアプローチについては、多くの自治体でされておりましたけれども、ハイリスクアプローチで関わった人をポピュレーションアプローチに繋いでいる、またはポピュレーションアプローチで課題があった人をハイリスクアプローチに繋げるというような相互の流れの意識をしている自治体は、まだ僅かかなというような結果でございました。
次のページですけれども、ハイリスクアプローチについての基準については、まずは自治体ごとに市町村ごとに取組事業数をカウントしています。それぞれについて、対象者選定基準がガイドラインに沿った質問票やレセプトを活用して、高齢者の保健事業に適した基準を使っている、などを評価しています。1は独自基準ということで、例えば重症化予防ですと、国保と同じようにヘモグロビンA1c を6.5%以上を対象としているとか、必ずしも高齢者に適していない基準を使っている場合には1を入れています。必要な項目において質問票の活用が不十分などものも1となっています。その他の項目についてもここに記載のようなスコアを付けています。
7ページですけれども、令和4年度の結果ですので、一体的実施・KDB活用支援ツールが出る前のものですので、自治体がまだ独自のものでやっているというところが多かったかなという傾向にありました。
次のページ、3年間連続して実施している自治体においては、取り組み事業数などが増えスコアが上がっているということが見えました。
次のページですけれども、低栄養、重症化予防、健康状態不明者という比較的取り組み数が多いものについてスコアの変化を見ておりますが、どの事業においても、前年度の成果を踏まえた実施状況の改善というのが見られていました。
10ページにまとめをしています。経年的に事業の拡充が見られていますけれども、服薬や口腔、それから身体フレイルを抽出してというハイリスクアプローチは、この令和4年度では実施が少なかったということになります。ハイリスクアプローチについてそれぞれコメントを記載しておりますが、自治体は工夫しながらやっているところですが、例えば重症化予防では検査値のみで判定していて、質問票を合わせた活用をガイドラインでは推奨していますけれども、質問票の活用がまだ不十分である状況などが分かりました。それから口腔と身体的フレイルは、ポピュレーションアプローチで広くなされていましたけれども、ハイリスクアプローチとしてはまだ十分な体制ではない感じがございました。健康状態不明者についてはかなり取り組みが進んでいるということが分かりましたけれども、健康状態不明者、健診データも医療レセプトも介護保険のデータもいずれもない方々に対して、健康伺いを郵送して、その結果が返ってきた方の中で心配な方はアプローチをしているという自治体が多かった訳ですけれども、いずれもない方々に対して、訪問をしていく、中には、警察や包括と一緒に訪問するなどの体制を取っている、または不明の理由によって、グループ分けをしてどのようなところに繋いでいくかという整理もしているような自治体もありました。
最後に事業評価ですけれども、このような実績報告書を見ることによって、PDCAサイクルを回してどのように事業を実施していくかというような流れが見えてきたのかなと思います。令和4年度開始組ではまだ、試してやっている段階というところだと思いますけれども、既に経験値がある自治体がどのようにPDCAサイクルを回しているかということを横展開しながら、この事業の質の向上に向けて取り組んでいく必要があるということを思いました。これは研究班の暫定的な報告ということになりますけれども、今後も取組状況の評価ということも重要なポイントかなと考えております。
ということで、ただいま資料1の前半部分、厚生労働省さんからの説明の資料、また事業計画書・実績報告書の報告をさせていただきましたけれども、委員の皆様からご質問またはご意見等をいただければと思います。ご質問ご意見がある方は、挙手をお願いします。手挙げの順に御発言いただきたいと思います。吉村先生、お願いします。
〇吉村構成員 どうもありがとうございます。おまとめありがとうございました。先生のご発表の中の令和4年度ハイリスクアプローチ6ページの対象者選定基準というところなのですが、独自基準が国保基準と高齢者に適応する基準が異なっている場合の加点について質問がございます。例えばヘモグロビンA1cなどです。高齢者の基準について、例えば高齢者糖尿病の取り扱いについて、日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会が「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標について」が発表されたのは承知しており、そこでは75歳以上で低血糖が懸念される投薬を行なわれている患者についてはコントロール目標がヘモグロビンA1c 8.0%未満を目指すとなっております。しかしながら、私の理解する範囲では、高齢者以上だと低血糖になると転倒のリスクが増すというのが理由の一つであり、必ずしも糖尿病あるいは糖尿病性腎症のハイリスクアプローチの観点から8.0でいいとなったわけではない、というふうに自分としては理解しているのですが、今回のハイリスクアプローチもこの数字でいくということについて、コンセプトというか、考え方をご教示いただければと考えております。
〇津下座長 ありがとうございます。まずは先生がおっしゃるように老年医学会、糖尿病学会のコンセンサスに沿った形での数字決めになっております。これは健診の後に一人一人に対して結果を返す時に8.0%でいいですよと言っている訳ではないです。これは保健事業として、わざわざ対象者を更に抽出して働きかけるというマンパワーをかけることになりますので、マンパワーの優先順位を考えていく必要があるということと、それから高齢者の特性に合わせた配慮として、とくに低血糖が心配されています。そのため高齢者では7%前後でコントロールされている方も多くて、その方達に保健師さんが糖尿病が怖いですよと言って医療機関に行っていただいて、そこで、いやこれぐらいでいいんだよって言われた時にですね、かけたマンパワーは無駄になるだけではなく、その信頼関係を損なうことにもつながります。医療の中では、認知機能とかADLとか、併存疾患の状況とか、総合的に検討してコントロール目標を決めていくことが推奨されている中で、一律に例えば6.5とか7で切った場合に、齟齬が起きる可能性が高いと思います。受診勧奨事業については8としていますけれども、基礎疾患があってフレイル状態にある方、質問票で痩せてきた、転倒、または外出頻度が減ったなどの方々については、7以上で抽出しできるだけ通いの場に繋げるようにという、事業を提案しています。血糖を下げるだけを目的としない関わりをしてほしいということのメッセージを出しております。重症化予防においても質問票を確認しながら働きかけをしていただきたいというのが、有識者会議など色々な場であり、やり過ぎない、保健事業としてはこの範囲かなと。血圧についても140の90だともう健診の場だとちょっと高かったっていうことがあるので、わざわざ働きかける範囲としてはもう少し高めの数字、160の100などの数字をおいている、ということであります。その数字でなければ大丈夫ですと言っている訳ではないと。この基準はあくまでも保健事業、実施者が判断する為の基準であって、対象者に8未満だからいいですよという基準ではない、というご理解を進めていかなければいけないかなと考えているところですが、いかがでしょうか。
〇吉村構成員 よくわかりました。先生ありがとうございます。
〇厚生労働省 厚生労働省でございます。一点補足させていただきますと、令和6年3月に糖尿病性腎症重症化予防プログラムを改訂してございます。また、同じタイミングで、高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドラインを改訂してございます。その中で保健事業の実施にあたってというところで、国保保健事業の対象範囲と高齢者の保健事業の対象範囲ということでお示ししておりまして、まだもしかしたら、都道府県プログラムを改訂作業中の都道府県もあると伺っているところもございますので、医療機関の先生方に十分周知できているか、また、市町村の皆様に十分伝わっているかというところは十分でない部分もあるかもしれません。引き続き、当課としては普及に努めてまいりたいと考えております。以上です。
〇津下座長 それでは国保中央会の池田さんお願いします。
〇池田構成員 ありがとうございます。中央会の池田でございます。津下座長の資料の中でも一体的実施KDB活用支援ツールのお話に触れていただいておりますけれども、私どもも連合会と一緒になって、今後ともKDBデータの利活用推進促進のために、引き続き厚生労働者をはじめとする関係者の皆様と一緒に対応してまいりたいと考えているところでございます。それから一点、これはPRになってしまうのかもしれませんが、現在中央会では厚労省の老健局さんからの依頼に基づきまして介護情報を医療情報などと一緒に電子的に共有できる仕組みを作ろうということで、介護情報基盤の構築というものに着手しております。今のところ令和8年度稼働の予定ではございますけれども、KDBデータの利活用促進ということに加えまして、高齢者保健事業の推進に資する事業としてこの介護情報基盤の構築についてもしっかり対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。そういうこともやっているということでご紹介をさせていただきました。
〇津下座長 ありがとうございました。現在、一体的実施でKDB分析と言いましても、健診データやレセプトでは、各疾患の治療状況、服薬数や薬の種類がわかるとか、介護については、介護認定を受けているかということは把握できるのですが、詳細な情報は把握できない状況かなと思いますので、令和8年度にその介護情報基盤が充実してくれば更により適切な対象者選定など、事業評価に活用できる可能性が期待されると思います。使い易いシステムの構築を是非お願いできればと思います。ありがとうございました。それでは薬剤師会の村杉先生お願いします。
〇村杉構成員 日本薬剤師会の村杉でございます。この度は実施市町村がかなり増加しておりますし、開始の見込みもあるということ、さらに膨大なデータの解析ですとか分析評価をいただきまして、分かりやすくおまとめいただきました関係者の努力の賜物と改めて敬意を表します。ありがとうございます。まず、最初の資料1の6~7ページぐらいのところに、3年間にわたっての経年的な事業の実施状況をまとめていただきまして、それから実施上の課題というところでご指摘いただいたというところなのですが、特に我々は薬剤師ということもございますので、ハイリスクのところでの服薬にかかわる相談件数が少ないという部分が気になります。ただ津下先座長のおまとめいただいた資料の10ページに少しコメントとしていただいておりますけれども、例えば、糖尿病の重症化予防、あるいはフレイル、健康状態不明者に介入をしていたとしても、服薬に関連している患者や地域住民というのは割合としてはそれほど少ないわけではなく、むしろ関連しているところは多いと思います。やはりハイリスクにしても、ポピュレーションにしても、介入した時に、地域のかかりつけ薬局や、地域の薬剤師会と市町村との間で連携が取れているのが一番良いのですが、それらがあまり十分でなかった場合についても、ぜひこれからかかりつけ薬局、薬剤師などを起点として様々な一体的実施を効率的に見守っていくとか、フォローアップをしていくとか声掛けをしていくとかというような関わりができればいいと考えております。その点を考えていきますと3000を超える日本全国の健康サポート薬局ですとか、数万人いると言われている健康サポート薬局の研修を終了した薬剤師もおりますので、ぜひ市町村と連携ができるように日本薬剤師会でも地域の方に伝達をして共有をしてまいりますので、引き続きそういった連携が図れるようにご検討をお願いしたいと思います。また、好事例の発信や共有について日本薬剤師会としても、全国に様々な好事例を発信してまいりますので、合わせてよろしくお願いいたします。ここまでが一点でございます。それから津下座長の資料はわかりやすいなと思って改めて感心をしていたのですが、私も地元でこのような保健事業や介護予防事業に携わっておりまして、継続することの重要性を感じているところです。1年目よりも2年目、2年目よりも3年目に庁内連携なども良くなっていくのを実感しています。今回津下座長にお示しいただきましたので、ぜひこれが広がっていくといいなと思いました。そして、その上でですが、やはりこのような一体的実施保健事業や介護予防事業というのは、地域住民の意識が変わっていくことというのが大事だと思います。提供していくだけではなくて、当事者は地域住民ですので地域住民の意識を変えていくためには、地域の自治組織、例えば自治会とか町内会とかまちづくり協議会等があると思うのですが、そういうような地域の自治組織を支援していくとか、このような事業をやっているということをしっかりと連携していくような形を取っていくと非常に良いと思います。そのような地域自治組織については、場合によっては地域包括支援センターであったり地区医師会であったり地区薬剤師会が関わっているケースも多いので、課題になっているような地域の医療専門職の確保といったところにも連動性、連携が生まれていくのではないかなと思いますので、ご検討いただければと思います。以上でございます。
〇津下座長 はい、ありがとうございました。厚生労働省から何かありますか。
〇厚生労働省 様々ご意見いただきありがとうございます。関係団体の皆様方にもいつもご支援をいただいておりますが、健診の受診勧奨であるとかフレイル等の普及啓発においても、ぜひ薬剤師の先生方のご支援を賜りたいと考えています。好事例の横展開についても、各関係団体の皆様に引き続きお願いしたいと思います。以上です。
〇津下座長 はい、ありがとうございます。今おっしゃったように、広域の研修会などで事例発表などをされるんですよね。事例をまとめてプレゼンテーションする、どういう課題があって、どういうふうにしてきたかというプロセスを共有している自治体が増えてまいりました。それが取組の質の向上をもたらしたり、また後から始められるところに対しては非常に分かり易いメッセージになっているのかなと思います。そして、ご指摘いただきましたように、薬剤だけで入るよりも例えば慢性疾患+フレイルの中でお薬が複数の医療機関で重なっている状況とかそのような方を個別に見つけてアプローチをしている事例もありましたので、どんなやり方がいいかまだまだ研究が必要だと感じた次第です。今後ともよろしくお願いいたします。それでは、歯科医師会の野村先生お願いいたします。
〇野村構成員 よろしくお願いいたします。日本歯科医師会の野村でございます。令和2年からの一体的な取り組みについて、令和6年度では98%の市町村で実施されるということで非常に充実してきていると感じております。歯科の立場として、口腔に関する取り組みも徐々に増えてきていることに関係者のご協力に感謝を申し上げます。そして、特に今後は栄養や運動との取り組みが一体的に進んでいくことを期待しております。オーラルフレイルというような形のものも出てきておりますので、しっかりとまた対応していただきたいと思っております。やはり高齢になると何らかの形で食事、口腔の問題というようなことが出てきます。様々な調査でいろいろと明らかにはなってきておりますが、どうしても口の問題というのはなかなか表に出ない顕在化しづらいという一面もございますので、引き続き口腔というものをどのように絡ませて効果的にもっていくのか。確かに口腔に関しては、ポピュレーションアプローチで口腔プログラムは実施されているけれども、なかなかハイリスクにつなぎにくいというところがございます。やはりここらあたりが一つの課題かと思っております。資料の37ページに指標も出していただいておりますが、特に歯科健診の市町村の実施数は8割を超えていてかなり高い状況です。しかしながら、受診者数は歯科健診自体がそんなに多くないのではないかというふうに認識はしております。歯科についても、好事例や受診率の高い地域の取り組み等があれば、ぜひご教示いただければと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。私の方からは以上でございます。
〇厚生労働省 ご意見いただきましてありがとうございます。ご指摘いただいた通り、栄養・口腔・フレイルは一体的に実施することで、限られた医療専門職でも効率的効果的に保健指導に携わることができるのではないかと考えております。職種を超えてもしくは職種連携の上で、地域のハイリスクの方に指導が行き届けば良いというふうにも考えています。そういったところを推進できるよう事業検証等も進めていきたいと考えています。また、ご指摘いただきました歯科健診の受診率でございますけれども、現状は5%程度とかなり低い数字でございますので、歯科健診からのスクリーニングというよりは、健診の際に活用する高齢者の質問票を用いた口腔ハイリスク者・歯科診療が必要な方を着実に歯科診療につないでいくということを進めてまいりたいと考えています。様々な保健指導、チャネルがございますので、こういったサービスが地域で提供されているということを関係団体の皆様にご共有いただいた上で、確実に着実に指導やサービスにつなげていく、医療に繋げていくということが重要だと考えています。以上です。
〇津下座長 はい、ありがとうございました。この一体的実施KDB活用支援ツールで口腔については、咀嚼または嚥下で症状があるけれど歯科には罹っていないという人を抽出しています。実際にこの事業で、例えば義歯がずっと調整していなかったなど色々な方が発見されているので、このあたりも通いの質問票の結果を返す時に歯科に診てもらった方がいいよと言うなど、一つ一つの事例は増えてきているのではないかと感じているところでございます。ありがとうございました。鈴木先生お願いいたします。
〇鈴木構成員 はい、ありがとうございます。現在までの進展状況や課題など非常に綺麗にまとめていただいてありがとうございます。大変なご尽力だったと思って感謝しております。その上で、一つだけお聞きしたいのは、市町村などでも結局、効果の検証をどうするかというところが、なかなか見えないというかわからない、どういうものを評価指標にするのかちょっと困っているところが多いのかなという気もいたします。25ページに今までの取り組みと現在の取り組みそして今後の取り組みがよく書かれていて、今我々がどこにいて何が課題なのか、厚労省がやっていること広域連合がやっていること研究班、KDBを中心に扱っておられる国保中央会とか国保連合会のやっている状況が非常によく俯瞰的に見えて良いのですが、この中で、研究班の今の現状というのは一体的実施効果検証のための研究と書いてあります。確かにこの効果検証のための研究は大事だと思います。なぜかというと多くの市町村さんが効果をどのように考えるかが大きな課題だとしていて、課題設定のところの課題とは何かというアンケートや調査の中で多くのところがそこにこだわっていることが明らかで、そこにタイアップした良い研究だと思うのですが、表の一番右に「疾病の重症化を予防し、生活機能の低下を防止し健康寿命の延伸をする」という大目標がありますが、そういうことも絡めて、この効果とは一体どこに設定をするのか、特にアウトカム評価をどこに設定するのかというのが、市町村さんにもう少し明確に伝わるようなメッセージがあるとそれに向けてやりやすいのではないかと思います。そういったことを思いながらデータヘルスの方も聞いておりまして、今データヘルスの中で一番重要な課題は共通評価指標を明確にしようという道筋にいると私は理解しました。そうすると、この共通評価指標を明確にすることがまず最初の今この事業をやっている最初のアウトカムになっているということなのでしょうか。それともこれを通じた上で、さらに例えば、共通の評価指標を設定し、それを広域連合や市町村に明示した上で、何かを改めてアウトカム指標とするということをメッセージとして伝えようとしているのか、その辺のところはどのようにお考えになっておられるのか、教えていただければありがたいと思います。以上です。
〇厚生労働省 ありがとうございます。37ページにお示ししておりますのが、データヘルス計画の共通評価指標の今現状で置いている指標となります。先生ご指摘のアウトカム指標については、最も総合的な指標としては平均自立期間、これが健康寿命とほぼ同義になると考えています。平均自立期間・健康寿命の延伸が最大の目標になるというふうに考えています。その上で、ハイリスク者数・割合を確認し、取組区分ごとに低栄養・口腔、身体的フレイル、重症化予防、健康状態不明者、このハイリスク者を減らす、もしくは前期高齢者から流入してまいりますので、伸びを抑制していく、維持していくといった目標を各広域連合がデータヘルス計画の中で記載しております。この目標を広域連合が市町村にしっかりとお伝えいただいた上で、ではその為にハイリスクの個別事業として何をどれだけ実施するのか、また、ポピュレーションアプローチとして前期高齢者も含め、どのような取り組みを進めハイリスク者を増やさないようにするかという戦略を練っていただくことになります。ですので、今年度データヘルス計画について、各広域が策定されたものを取りまとめ、有識者会議で検討し、各広域連合が市町村支援するにあたり、もっとこのようなツールがあった方が良い等のご意見もいただきながら、ツール等も拡充していきたいと考えております。国としてのメッセージは、こちらの共通評価指標をまずセットされて、今まで物差しが揃っていない状況でしたので、物差しを揃え評価基準を揃え、それを広域連合から市町村に伝えていただくということを想定しています。
〇鈴木構成員 あの、すみません。その37ページ、これは総合的な評価資料というか、共通評価指標を用いた時に現れている、例えばアウトカムの一番下のところですけども、割合ということで理解してよろしいんでしょうか。これは共通評価指標を用いたときに、例えば、低栄養は0.9%でした。全国の平均になりますよね、47広域連合あるいは1700いくつの市町村ですから。ということは、もう共通評価指標がこれは用いられてできた数字というふうに理解していいのでしょうか?
〇厚生労働省 津下先生の資料(参考資料2)の7ページに、一体的実施KDB活用支援ツールによる対象者抽出条件というのをお示ししておりまして、これを用いて各市町村にハイリスク者がどれぐらいいるのか、各広域連合でハイリスク者がどれぐらいいるのかということを国に提出していただいています。その広域から提出されたものを取りまとめた結果が今こちらにお示ししている、(資料1の)37ページの赤字の全国値になります。各広域のデータについては、参考資料1でお示ししたものになります。
〇津下座長 あの、本当に鈴木先生がおっしゃるように効果検証をどのようにしていくのかというのは日々頭を悩ませながらディスカッションしているところでございます。このハイリスク者割合ですけれども、例えば加入者を分母にしていると思うのですが、実は低栄養は質問票の実施者を分母にしなきゃいけないので実際には5%ぐらいになるかなと思います。例えば、服薬・多剤のように加入者全体でレセプトを見てというものであれば加入者を分母におけるのですけれど、質問票を実施しないと取れないものについては分母を質問票実施者にしないといけない、質問票をKDBに登録した数にしないといけないので、この数についてはまだ本当は修正が必要かなと研究班では考えているところになります。
研究班ではこの数字について、例えば男女、5歳刻みで該当率を出しておりますので、その増減がどうなったかというのは一つの評価になり得ますし、それから前年度該当した人がその保健事業に参加して翌年度回答率がどう変化したかという同じ対象者を追跡して非該当となった割合というのを見ると、ハイリスクアプローチの効果が見えてくるのかなと。また、ポピュレーションアプローチの中で、前年度非該当の人がハイリスクの方に移行した人の割合を見ていくと、それまでは問題がなかった人が悪化していくというのを食い止められたかどうかということになります。例えば、数年前に非該当だった人が2年後に該当に移るような割合というのを見ていくとか、様々な指標を取っていくというのを今検討しているところになります。後は自治体としての取り組みの濃度によって動くもの、動かないものは何なのかということを見ていくというのも必要なのかなというふうに考えておりまして、今その数年後に評価できるようにデータを整理しているというところになっております。
〇鈴木構成員 いろいろなそういった分母の標準化の問題とか、この割合を見ていても非常に大きく揺れ動いていると思うんです。例えば、腎機能の不良未受診者は非常に我々としては少ないけれど、ただ、これは医療費という視点から見ると非常に看過できない問題だというようなことなど、それ一つ一つについてどういう意味を持っているのかということは、やっぱり広域連合なり市町村なりに示していくと。そして共通評価指標というのは、例えばこの抽出条件に基づいて基本的には考えているんだとか。市町村さんがその成果とか効果というものを考えたり、検証したりするときの大きな柱と言いましょうか、そういったものをぜひどうぞ明確にメッセージとして、発信していただければありがたいなと思います。ありがとうございました。
〇津下座長 どうもありがとうございました。ご意見を参考にまた研究班でも進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。他にいかがでしょうか。それでは、看護協会宮崎委員お願いします。
〇宮崎構成員 ありがとうございます。日本看護協会の宮崎です。よろしくお願いします。いただいた資料やまとめていただいたものに対してのご意見という感じではなくて、私どもの進捗のご報告という感じになってしまうかと思いますけれども、今回たくさんの情報をいただきこれまでの実績や評価の部分も含めわかりやすくまとめていただきましてありがとうございました。その中で私どもとしての課題認識というかそのあたりのところをご説明しつつ進捗と思っているのですが、まずは広域連合のところの関係機関との連携というところにつきましては、今までも何度か資料はいただいており、看護協会との連携状況というのは少しずつ増えてきているかと思っているのですけれども、まだまだ少ない状況だということは認識しております。もう一つ、やはりこの実施の課題の面に関して、各医療専門職の人員確保の難しさというところがずっと続いているかと思うのですが、それに関しても、この保健事業実施については、多くの専門職が関わって相互に協力してやることが効率的で効果的でもあるというふうに考えているのですが、看護職については幅広くそれに対応できるであろうというところと、保健師に限らず看護師というところも、地域の実態を捉えて、ハイリスクアプローチもポピュレーションアプローチにも貢献ができるのではないかと思っています。今看護職が様々な地域で様々な場所で活躍する人たちが中心になって、通いの場を作ってきているなということは、私たちも認識をしておりますが、本会としては、地域で健康を支える看護の機能強化というのを目指していて、地域の看護職と自治体保健師の連携、協働によって地域全体の健康支援、それから重症化予防も含めた療養支援の仕組みづくりということを進めることを考えています。そこに看護職の力を発揮していきたいと思っているところです。このタイミングで何かお示しできるものがあると一番良かったのですが、こういったその地域の看護職と自治体保健師が連携協働して地域全体のことを、健康支援の仕組みづくりをしていくということに関して、ポイントをまとめて情報を周知したいと、これを元に好事例の周知をさらに進めていきたいと思っております。高齢者の保健事業の実施についても役に立つものかなと思っておりますし、そういった内容も、冊子の中には情報としては今回の一体的実施のことも含めて作っておりますので、そこを活用していきたいと思っています。地域の状況はやはり都道府県看護協会の方がより深く状況をわかっているものですので、地域の看護職の活用というところについては、ぜひ各県の看護協会にお問い合わせをいただいて、医療専門職による取り組みをさらに進めていけるといいかなと思っております。私たちも引き続き情報周知には努めていきたいと思っていますし、先ほど申し上げたようなそれぞれの看護職がやられているような好事例については、引き続き情報を広めていくということは努めていきたいと思っております。よろしくお願いします。ありがとうございました。
〇事務局 ありがとうございました。
〇津下座長 ご意見ということで承らせていただければよろしいでしょうか、ありがとうございます。それでは西村先生お願いします。
〇西村構成員 日本栄養士会の西村でございます。我々栄養士会もこの夏に実は7ブロックでそれぞれの地区会長会議がございましたので、この中で、今回もこの高齢者の保健事業と介護の一体的な取り組みについて各県からいろいろな報告を受けております。やはり県の方が中心になって今かなり全国で動き始めておりますので、今回すごく丁寧におまとめいただいてわかりやすくなっているんですけども、ここに我々の方も少し情報提供させていただければと思っております。ブロックの会長会議の資料がまとまりましたら、また提出させていただきたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。以上でございます。
〇津下座長 ありがとうございます。ご意見、また資料提供等よろしくお願いいたします。そうしましたら、議題1についてはこの辺りでよろしいでしょうか。それでは、次に資料の後半部分の説明に入っていただいて、最後に皆様からまた総括的なご意見をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇事務局 続きまして、その他の事項についてご説明申し上げます。資料39ページでは、行政事業レビュー、公開プロセスについて、後期高齢者医療制度の保険者インセンティブ見直しの方向性案について、一体的実施に係る特別調整交付金交付基準の見直し方針案について、令和7年度予算概算要求について御説明申し上げます。
39ページでございます。公開プロセスの概要についてお示ししています。毎年、各府省庁において各事業について自己点検を行いますが、そのうちのいくつかの事業について、外部の視点を活用して、公開の場で自己点検を行うことを公開プロセスといいます。この公開プロセスにおいて、外部の視点である外部有識者と、事業担当部局が公開の場で議論し、外部有識者の共通意見がコメントとしてまとめられ、次年度の予算の概算要求に反映などを行います。今年度、高齢者保健事業について健診の事業効果、検証の必要性等を論点として示され、それらについて議論いたしましたので御報告申し上げます。
40ページでございます。これ以降は公開プロセスでご説明した内容を抜粋してご報告させていただいております。75歳以上の後期高齢者の健診事業の概要についてまとめたスライドでございます。
続きまして、41ページでございますが、健診だけでなく、保健事業の全体像についてお示ししております。保健事業は図の通り健診が起点となり、健康上のリスクに応じて保健事業を実施することを流れとしてお示ししています。健診を受けた方だけでなく、健診未受診者に対しても、健康状態不明者対策等により必要な保健指導が行われる仕組みとなっております。
42ページでございます。健診事業は保健事業の入り口として重要な事業となっていることから、その考え方についてご説明を行いました。
43ページでございます。健診受診率については、令和6年度より算出方法の定義を統一したこと、またそれを踏まえた算出結果として30%以上を目標とすると、保険者インセンティブ制度において設定したことをお示しいたしました。
44ページでございます。公開プロセスにおいては、論点の一つ目に、「健康増進や医療費適性化といった事業効果の検証」「事業規模の検討」が挙げられております。これまでは対象者の抽出基準や評価指標などが自治体間で標準化されておらず、単一市町村での小規模な検証にとどまっておりました。そこで見直しの方向性としては、今年度から始まるデータヘルス計画において、これらの標準化が進んだことから、現在研究班において、効果検証に向けた取り組みを始めていること、今後、まずは先行して標準化が進んでいる地域を対象にKDBシステムの医療データや健診データを活用し、アウトカムやアウトプットについて、広域連合単位での比較分析や時系列分析を行っていく考えであることを御説明いたしました。
45ページでございます。論点の二つ目といたしましては、「健診受診率向上に向けた要因分析、効果的な方策の検討」が挙げられました。これまで健診受診率は自治体によってばらつきがあり、各広域連合では要因分析を行い、受診率向上に取り組んできた状況がありましたが、受診率の算出方法が広域連合によって統一化されておらず、相互に比較分析することが難しい状況でした。今年度からは健診受診率の定義が統一化されたことを踏まえ、地域を超えて健診受診率の分析、効果的な方策の検討を行うとともに、保険者インセンティブ指標に30%以上という目標値を追加し、受診率の底上げを図ることとしていることを御説明してございます。
46ページでございます。健診受診率向上に向けては、国においては、左の表でお示しした通り、具体的な目標を設定しておりまして、令和7年度分から新たに「受診率30%以上」という目標を設定しています。右側には広域連合や市町村による取り組みとして、健診の周知方法、受診、勧奨、利便性向上やみなし健診等の取り組みについてお示ししてございます。
47ページでございます。こちらの状況についてご説明及び議論した結果、有識者の共通意見としてとりまとめられた結果がこちらでございます。「保健事業については、本事業による医療介護費用の削減効果について現在行われている高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施にかかる研究の成果も踏まえ、一層の検証を進めるべき」、「今期のデータヘルス計画において標準化される評価指標に基づく保健事業と医療費等の分析やランダム化した介入実験による効果検証を行い、適正な事業規模についても検討を行うべき」などのコメントがなされました。健康診査事業については、有効な健康診査受診はどのようなものかといった効果検証を行い、効果的な方策の検討や好事例の横展開を行うべきなどのコメントがなされました。以上が公開プロセスのご報告となります。
48ページが高齢者医療制度の保険者インセンティブの見直しの方向性についてでございます。三点お示ししておりますが、一体的実施の推進、データヘルスの推進に伴い評価指標の見直しを行う予定です。医療費適性化基本方針、骨太の方針の記載も踏まえ直しを行うことで進めてまいりたいと考えています。なお、評価指標については、秋以降に広域連合代表からなるインセンティブ実務者検討班にて検討し、次回の高齢者の保健事業のあり方検討ワーキングにご報告する予定でございます。
49ページ以降はご参考までに、経済財政運営と改革の基本方針骨太の方針等において、高齢者保健事業に関連する事項を抜粋してお示ししております。黄色マーカーを付けているところが高齢者保健事業関連でございます。
53ページでございます。こちらは特別調整交付金交付基準の改正事項です。過去の経緯からまとめて記載してございます。令和7年度においては一体的実施が概ね全市町村で実施されることを踏まえ、区分Ⅰの一体的実施、区分Ⅱの広域連合が行う保健事業、区分Ⅲの長寿・健康増進事業等ということで再整理を行い、高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン第三版の内容を踏まえ、効果的・効率的な保健事業の企画実施につながるよう、事業区分Ⅲ 1の推奨事業例を提示する予定でございます。
54ページ以降は、令和7年度概算要求で高齢者の保健事業に関する経費、スライドでまとめてございます。健診、歯科健診、一体的実施の横展開事業、データヘルスの標準化の一体的な事業検証に係る事業として要求してございます。なお、一体的実施を中心とした保健事業に係る経費は、主に特別調整交付金を活用しております。
最後55ページでございます。54ページとは別に、高齢者の保健事業のあり方検討事業として、あり方検討ワーキングの議論に必要な経費、実施状況調査等を含めた経費はこちらで要求し、保健事業の検討を継続的に行ってまいります。以上、資料1のご説明となります。
〇津下座長 はい、ありがとうございました。公開プロセス、行政事業レビューの対象として、高齢者の健診事業というのが該当して対応されたと、そのコメントについてのご報告、さらには、これからということで、インセンティブや特別調整交付金についてのご説明がありました。特に公開プロセスの取りまとめが47ページにございますけれども、このコメントに対して構成員の皆様からご意見をいただければと思っております。特に事業検証や健診受診率についての御指摘がありましたので、その辺りについて、ご御意見等を賜われればと思いますが、いかがでしょうか。吉村先生お願いします。
〇吉村構成員 はい、吉村です。この公開プロセスで、特に効果検証についてはもっとやるべきだというのは確かにその通りだとは思うのですが、その中の例としてランダム化した介入実験による効果検証等と書かれているんですけれども、このような健診についてどうやってランダム化するのかの理解が少し難しいと思っております。ランダムでいって、じゃあどう割り振るのかという話になるので、実際にこのようなご意見いただいた時に、どの程度まで例えば、私だとこのランダム化はちょっとできないんじゃないかって言いたい気持ちになるんですけども。このようなコメントが上がってきた時に、それはできないんじゃないかとお答えすることが可能なのか、それともコメントを尊重して少しはちょっと小さなところで少しやってみるってことをやらないといけないのか、このような公開プロセスについて、私は理解が乏しいものですから、どのような対応を実際に取るべきなのかというのを少しお教えいただければと思います。
〇津下座長 私も全く同感で、こうやって国がガイドラインを出して保健事業として予算請求もしているものに対して、この自治体は対照群に割り当てられたからやらないということが、倫理上できない可能性が高いんじゃないかという意見は持っていたんですけども、厚生労働省としてどう受け止め、どう対処するかというところとか、他の構成員の皆様いかがでしょうか。この件についてご意見ございますでしょうか。西村構成員お願いします。
〇西村構成員 栄養士会の西村です。実は私も全く吉村先生と同感で、書くのは簡単なんですけれど実際できるのかなというのは本当に思っておりますので、あの意見としてあげさせていただきます。
〇津下座長 はい、ありがとうございます。平田先生からも事前にご意見いただいています。他よろしいですか。
〇事務局 本日ご欠席の平田先生からのご意見をいただいておりますので、読み上げさせていただきます。公開プロセスの事業検証について。健康状態不明者を除くハイリスクアプローチの対象となる高齢者の中には、複数の疾患を併存し医療機関に定期通院している者が多く見受けられる。医療機関に定期通院しているハイリスクアプローチの対象者に対して保健指導を実施している市町村の状況を概観すると、実施者数が必ずしも多くない現状がある。ハイリスクアプローチの対象者における保健指導の医療費・介護費削減効果を検証する場合、医療費や介護費に大きな影響を与えると予想される医療機関定期通院者の保健指導実施者数が少ないことに加え、対象者の有する疾患の治療状況が医療費や介護費に直結するため、ハイリスクアプローチの対象者における保健指導の医療費・介護費削減効果を検証することは実質的に困難であると思われる。また、ハイリスクアプローチの対象者における受診勧奨の医療費・介護費削減効果を検証する場合においても、短期間では対象者が有する疾患の治療開始に伴う外来医療費の増加が予想され、医療機関受診率が向上しても医療費の削減効果は十分得られない可能性が高い。ランダム化比較試験の必要性について述べられているが、ポピュレーションアプローチによる保健事業やハイリスクアプローチの対象者に対して保健指導を実施するタイプの保健事業の効果検証を目的とする場合には、保健事業の内容が標準化されていないことに加え、事業の質も実施市町村によりさまざまであるため、ランダム化比較試験で十分な効果が得られなかったとしても、保健事業実施の可否を判断する材料にはなり難く、保健事業の内容の標準化や保健指導の質の向上を図る方向性に向かうことが予想される。という御意見をいただいています。二つ目の、「公開プロセスのコメント 健診受診率」についてのご意見でございます。健康診査率の到達目標を達成するために、各市町村で「みなし健診」を推進することは不可欠であり、今後、医療機関との連携のもと、「みなし健診」を推進する体制を整備する市町村が増加することが予想される。ただし、健康診査率の向上が単独で健康寿命の延伸につながるわけではなく、保健指導等による対象者の行動変容や受診勧奨後の医療機関における適切な疾患管理が伴うことで初めて達成しうるものであるため、保険者インセンティブ等により健診受診率の向上が過度に強調されることのないよう注意を払う必要がある。という御意見をいただいております。
〇津下座長 はい、ありがとうございます。いかがでしょうか。公開プロセスで、健診だけでは効果検証は難しいので、その後の保健事業も含めた効果検証というスキームを書かれていますので、方法論としては色々検討する余地はあるかなと。ランダム化にこだわらなくてもよければありがたいかなと思います。既にランダム化されて研究された色々な知見を元にこの事業展開しているのが本事業です。エビデンスを実現するための事業であってですね、どこでも一般的に通じる抽象化された検証をする訳ではないという認識をしておりますので、この事業にあった効果検証の方法をしっかりと行っていければと感じております。はい。鈴木先生いかがでしょうか?
〇鈴木構成員 そうですね。今津下先生がおっしゃった通りで、そもそも吉村先生はじめ多くの先生が思ってらっしゃるように、これはランダム化研究に不向きの、行政で実施している全国展開のものですので、その中でランダムにやったところとやらないところを割りつけるというのは、そもそもができないので有識者の方どうお考えなのかと思うのですけど、これはやはり無理だと思います。そもそもがこれはランダム化研究を積み重ねたシステマティックレビューとかメタアナリシスがこういった事業をすることによって、少なくとも自立とかあるいは疾病の発症を遅延させるとか、そういったことは多くのRCTから導かれたものをベースにして組み立てている政策展開なので、ここでランダム化は必要がないだろうというのが多分大事なことだと思います。ただ一つはですね、先ほど申し上げたんですけど、このアウトカムにどう寄与しているのかというところが出てきているので、先ほど私が質問させていただいたそのアウトカムというのを、わかりやすくそして誰もが納得できる形での設定や見せ方というのは大事なのかなと思います。以上です。
〇津下座長 はい、ありがとうございます。効果検証にあたって自治体で今までいろいろな切り口で事業をされていましたけれども、やはり標準化ということで一定の物差しで対象者数をある程度確保しつつ、その経過を見ていくことは必要ということはあるので、この辺り、広域連合・市町村の皆様にもご理解をいただかないといけないと思いました。事業自体が結局ばらばらな対象者にばらばらにやっていて、何を結果として見ていいか分からないということになりかねないという危機感を持っております。そのあたりについてもなぜ標準化が必要かということも繰り返し伝えていく必要があるのかなと感じました。はい、お願いします。
〇厚生労働省高齢者医療課長の安中です。今日の会議につきましては、前段参加が遅れまして申し訳ございませんでした、予算の会議の方で失礼をしておりました。今の公開プロセスのところから皆様方の議論を拝聴しておりました。公開プロセスで選考の有識者の方々と、いろいろと議論をさせていただいていた者として、当時の状況も含めて少し、皆様方ご疑問に持っていらっしゃるところもありますので、補足をさせていただきたいと思います。確かに私どももこの取りまとめコメントというのが会議の最後の場面で出てきて、ランダム化したというところに非常に目が行ってしまったというところで、正直戸惑っている部分はありますけれども、議論の全体の流れとしましては、やはりその健診事業でこれだけ成果が出たとか、これだけたくさんの方が来られたといったところが、どうもここの取りまとめコメントにありますが、セレクションバイアスがかかっているのではないかと。健康な方がよりたくさん来ているのではないか、むしろそこから、漏れた人の方をケアすべきではないか。そのような問題意識が委員の先生方には共通してあったのではないかというふうに受け止めております。それをバイアスを排除するというご提案の中で、ランダム化という言葉が出て、それを事務局でまとめられた取りまとめコメントにはそれがそのまま出てきているのかなと思っておりまして、私どもとしては必ずしもそれに、こだわるわけではないのではないかというふうに受け止めております。今日まさに皆様方からご議論いただきましたように、なかなか方法論として難しい、あるいはなじまない、そういったところもあろうかと思いますので、そのあたりにつきましては、津下先生はじめ研究班の皆様ともよくご相談しながら、どのようなことができるのかというのを考えていきたいと思います。ただ、鈴木先生のご指摘もありましたように、このアウトカムへの寄与、あるいはその高齢化が進み、医療費が増えていく中で、高齢者の健康づくりをどのようにしていくのかというところは非常に関心が高まっているというふうに受け止めてございます。今回、令和6年度から標準化も進んでまいりましたので、そこら辺りはよくよく意識しながら、より効果的な、保健事業のあり方というのはどういうものなのかということは、考えていきたいというふうに思っております。そういう意味で、最後の資料の中にございましたけれども、その新たな研究事業としまして、データヘルスの標準化の一体的な事業検証ということでも、新たな予算要求をしておりまして、ぜひこういったものも実現をさせていきたいと考えてございます。また皆様方から、そういった専門のお立場からのご知見いただければ大変ありがたいと思っております。以上です。
〇津下座長 ありがとうございました。課長からランダム化についての回答も賜り、ちょっとほっとしたところでございますけれども、この事業に見合った効果評価をしっかりやっていくということは、揺るぎのないところだと思います。それでは、まだ全体を通じてですね、ご意見いただいていない構成員の先生方に、では田中和美先生お願いします。
〇田中構成員 はい、ありがとうございます。私も研究班の一員でございますので、今のことをしっかり肝に銘じていきたいと思います。よろしくお願いいたします。私の方からは、これは本当にかなりきちんと進んでいった事業で、自治体の方と関わっておりましても感謝される評判のいい事業だということを肌身を持って感じておりますので、ますます推進されていけばよいかなと思っております。低栄養のことで申し上げますといろいろ感じることはあるのですが、やはり前期高齢者からの流れ込み、そこも無視できないというのがありまして、介護保険介護予防のところかも地域支援事業のところかもしれませんが、そことの連携も密にしていくと更に良いかと。前期のところは、これも自治体など自分がかかわって思うことですが、疾患と絡んだ栄養が多いんですね。機能低下による低栄養というのはどちらかというと後期高齢者の方が割と顕著で、疾患入退院などそういう疾患に絡んだ低栄養が割と前期の方にも見られます。それをそのまま後期のほうに引っ張り込んでいるケースもよく見られるなと思いますので、その辺の連携をさらに深めていけば良いのかなと思っております。以上です。
〇津下座長 ありがとうございました。今回ここは後期高齢者を対象としている検討ワーキングではありますけれども、74歳までは国保事業等として、一般的には特定健診の質問票でどちらかというとメタボ系統の質問票になっています。併用しているところも増えてきましたけれども前期高齢者にはこの後期でやっている質問票も一部活用していただくといいのかなと個人的には感じているところなんですけれども、またこの辺りについては、国保側との共有をお願いして、前期高齢者のあり方の検討なども進めていただければなと私自身も感じるところでございます。ありがとうございました。
〇事務局 健康増進計画上も高齢者のBMIに着目した低栄養の割合について、目標値で設定されているところですので、健康生活衛生局や国民健康保険課等、関係課とも連携した上で進めていければと思います。ご意見ありがとうございます。
〇津下座長 はい、ありがとうございます。そうしましたら徳島県後期高齢者医療広域連合の髙島構成員、お願いいたします。
〇髙島構成員 徳島県後期高齢者医療広域連合の事務局長の高島でございます。日頃はいろいろ各種団体の方、ご協力いただきましてありがとうございます。私も市町村から出てきておりますので、やはり一番懸念しておりますのは、専門職の人材の体制が非常に難しいようなところがございます。数の面でも難しいところはございますし、マネジメントができるような専門職と言いますか、保健師にしましても専門的なことはできるんですが、いろいろな団体との協力体制を構築したり等事務的なところが非常に難しい。それは我々これまで人材育成ができていなかった面もあるんですが、今一番、やはり人材体制の確保は非常に難しいようなところがございます。顕著なのが徳島県におきましては公共交通機関が非常に発達しておりませんので、この資料で見ていただきましても、糖尿病性の重症化予防や生活習慣病のハイリスクアプローチについては、もうほとんどの市町村でやっております。と言いますのも、県を挙げてこれまでも実施しておりましたので、その引き続きでできておるようなところが多いような面が明らかになっておりますので、これからも県をはじめ、いろいろな関係団体の方々のご協力をいただいて積極的に進めてまいりたいと思いますので、引き続きお願いしたいと思います。以上でございます。
〇津下座長 はい、ありがとうございました。専門職として求められる能力の育成、これは重要な課題で、今回は本当にいろいろな他部局の方々との連絡調整等求められるということで、対人サービスだけではないという立ち位置がございます。これからの行政の課題になるかと思いますけれど、いかがでしょう。
〇事務局 はい、一体的実施に係る研修会等については国としても引き続き取り組んでまいります。また、専門職の育成に関しましては、関係団体の皆様のご協力もいただきながら進めていければと考えております。ありがとうございます。
〇津下座長 はい、ありがとうございます。最後になりますけども日本医師会の渡辺構成員、お願いできますでしょうか?
〇渡辺構成員 渡辺です。今回初めて出席させていただきました。質問というか意見感想だけですけれど、最後の今ご議論になっておられた公開プロセスのコメントというのが、このワーキングの中でどのような位置づけを持つのかというのが理解できなくて、単に参考意見として出されるというイメージなのか、ある程度この事業に対しての影響があるのかという重み付けがよくわからなくて、こういう意見もあると受け止めるのか。ある程度これを参考に対応しなきゃいけないのかというのがわからなくて、お聞きしていたところです。ランダム化というのも委員の先生方がおっしゃったように、わかってお話をなさっておられるかという議論があったように、健診事業は本来は健康寿命の延伸が目的だろうと思うのですが、医療介護費の削減効果っていうのが割と強調されているのですけれども、もともと予防医学健診という事業は医療費の削減には結びつかないというのが一般的な研究か、今までのエビデンスが基本ではないかなと思っており、これを強調されるのであれば、本当は健康寿命の延伸とともに平均寿命との差がなくなれば確かにそうですけど、平均寿命も一緒に延びてしまって、健康寿命との差が大きくなればなるほど、今度は医療費は減るはずがないということになりますので、このあたりの文脈と先ほど申し上げた公開プロセスの意味付けがどの程度の重み付けがあるのかというところがちょっとわからなくて聞いておりました。単純な意見でございますので、質問ではないので、また今後協議を聞きながら、意見を述べさせていただければと思います。ありがとうございます。
〇津下座長 ありがとうございます。
〇厚生労働省 高齢者医療課長です。ご指摘ありがとうございます。この公開プロセスは冒頭申しましたように、行政事業レビューということで、この保健分野に限らず厚労省が所管している各分野の各予算事業について実施しているものでございます。その中で、毎年数個の事業を取り上げて、公開プロセスという形でやっておりまして、それ以外の事業につきましては、事前に立てた目標がどの程度達成できたかというのを書面で報告整理しているというものでございます。そういう意味で、予算のレビューという中での議論ということでございまして、私としてはこの取りまとめコメントも念頭に置きながら、次年度の予算をしっかりと要求していくということがまず求められてございます。こちらのあり方検討ワーキングとの関係で申しますと、制度的にこの取りまとめコメントに何か拘束されるというものではございませんので、こちらはこちらでそのまさに保健分野の専門の皆様方のご意見を踏まえて、どのようなことが現実的でかつ効果的なのかというところを見極めて事業を進めていく、そのための検討会だという理解をしております。ですので、私どもとしては、この公開プロセスの方で言われた取りまとめコメントを受けて、さっき申しましたような新たな効果検証のため、データヘルスの一体的実施の事業検証に向けた予算0.8億円でございますが、こちらを要求するなど予算上の対応を今考えているというところでございます。以上になります。
〇津下座長 はい、ありがとうございました。渡辺先生がおっしゃったように、本当に健康寿命の延伸と言うか、高齢者が自立して自分らしい生き方を住み慣れた地域でできるということの目的の為にこの事業を進めていて、そういう中で予防可能なこと、高齢者自身が年だからと諦めちゃったり、それから必要なサービスに繋がっていないなどの理由で、放置になってしまっている人が一人でも減るように事業を進めていくという基本的なところが非常に重要で、そこはぶれないようにしながらも、外部的には当然効果検証が求められているということを意識しながら、より良い事業、または効果検証が少しでもできるような事業に繋げていくということが重要なのかなと受け止めた次第でございます。
〇事務局 高齢者の保健事業の目的ですが、できる限り長く自立した生活を送ることのできる高齢者を増やすことであり、効果的な保健事業の実施により、生涯の健康の保持増進・生活の質QOLの維持および向上が図られ、結果として医療費の適正化や評価後、認定率の低下や介護給付費の減少に資すると考えられるということで進めているところでございます。高齢者の保健事業のあり方検討ワーキングにおいても、継続的に健診事業のあり方や、事業検証のあり方について、ご意見を賜る機会と受け止めております。引き続き、ご支援ご指導の程どうぞよろしくお願いいたします。
〇津下座長 はい、ありがとうございました。他に全体的なご意見がもしなければ、本日予定していた議題については終了となります。いただいた御意見は非常に貴重ですし、それからこのように令和2年度から急ピッチで全国に広がり、そして質の向上を目指すという段階になってきた。公開プロセスのコメントについては参考にしつつも方針が変わる訳ではないというか、求めていることはぶれずにやっていくということを伺いました。研究班としても少しでもお役に立てるような研究ができればと考えております。本日は色々と御意見を賜りましてありがとうございました。事務局にお返ししたいと思います。
〇事務局 本日は活発なご議論を賜りありがとうございました。構成員の皆様方からのご意見を踏まえまして、今後検討を進めてまいりたいと思います。次回の開催日程につきましては、追ってご調整等させていただきたいと思います。それでは本日も長時間にわたりありがとうございました。