2024年7月17日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第225回議事録

日時

令和6年7月17日(水)9:30~

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア8階

出席者

構成員等
事務局

議題

  • 令和7年度薬価改定について
  • 令和6年度医薬品価格調査(薬価調査)について

議事

議事内容

○安川部会長
 おはようございます。ただいまより、第225回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
 本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
 本日は、末松委員、岡本委員が御欠席です。
 次に、厚生労働省におきまして異動がございましたので、事務局より御紹介をお願いいたします。
○林医療課長
 事務局でございます。
 7月5日付などで事務局に交代がございましたので、御報告させていただきます。保険局内の異動でございます。
 保険局、鹿沼保険局長でございます。
○鹿沼保険局長
 保険局長の鹿沼でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○林医療課長
 榊原大臣官房審議官(医療保険担当)でございます。
○榊原大臣官房審議官(医療保険担当)
 医療保険担当の大臣官房審議官の榊原でございます。よろしくお願い申し上げます。
○林医療課長
 神ノ田大臣官房審議官(医療介護連携、データヘルス改革担当)でございます。
○神ノ田大臣官房審議官(医療介護連携、データヘルス改革担当)
 同じく審議官を拝命しました、神ノ田でございます。よろしくお願いいたします。
○林医療課長
 姫野総務課長でございます。
○姫野総務課長
 総務課長の姫野でございます。よろしくお願いいたします。
○林医療課長
 米田保険医療企画調査室長でございます。
○米田保険医療企画調査室長
 米田です。よろしくお願いします。
○林医療課長
 清原薬剤管理官でございます。
○清原薬剤管理官
 清原でございます。よろしくお願いいたします。
○林医療課長
 和田歯科医療管理官でございます。
○和田歯科医療管理官
 和田でございます。よろしくお願いいたします。
○林医療課長
 最後に私、医療課長を拝命いたしました林でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 人事異動の御報告は以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日は「令和7年度薬価改定について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。
○清原薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 お手元の資料薬-1「令和7年度薬価改定について」を御覧ください。
 2ページ目でございます。「診療報酬改定がない年の薬価改定」について御説明いたします。
 3ページ目、昨年12月に御了解いただきました、令和6年度薬価制度改革の骨子でございます。
 診療報酬改定がない年の薬価改定の在り方については、引き続き検討することとし、令和6年度の速やかに議論を開始することとするとされており、これを踏まえて今回議論を開始するものです。
 4ページ目、先月取りまとめられました骨太の方針でございます。
 赤字でございますが、2025年度薬価改定に関しましては、イノベーションの推進、安定供給確保の必要性、物価上昇などの取り巻く環境の変化を踏まえ、国民皆保険の持続可能性を考慮しながら、その在り方について検討するとされたところです。
 5ページ目、平成28年に行われました4大臣合意である薬価制度の抜本改革に向けた基本方針の内容でございます。
 左側の1ポツ(2)の2段落目の赤枠で囲まれた部分の記載のとおり、現在2年に1回行われている薬価調査に加え、その間の年においても、大手事業者等を対象に調査を行い、薬価乖離の大きな品目について薬価改定を行うとされております。
 6ページ目、診療報酬がない年の薬価改定は、これまで令和3年度及び令和5年度に実施しており、このページは、令和3年度の診療報酬改定がない年の薬価の改定でございます。
 2段落目のとおり、平均乖離率8%の0.5倍から0.75倍の中間である0.625倍、乖離率といたしましては5%を超える薬価乖離の大きな品目を対象とすることとされ、下の参考の表にお示ししているとおり、令和3年度薬価改定では約7割の品目が改定の対象になりました。
 7ページ目、令和5年度の診療報酬改定がない年の薬価改定です。
 青枠で囲まれた部分の2段落目のとおり、令和3年度と同様に、乖離率の大きいものを平均乖離率の7%の0.625倍、乖離率といたしましては、4.375%を超える品目とされました。
 また、3段落目のとおり、急激な原材料の高騰、安定供給問題に対応するため、不採算品再算定について、臨時・特例的に全品目を対象に適用するとともに、イノベーションに配慮する観点から、新薬創出等加算の加算額を臨時・特例的に増額し、従前の薬価と遜色ない水準とすることとし対応いたしました。
 下の参考の表にお示ししているとおり、令和5年度薬価改定では約7割の品目が改定の対象になりました。
 8ページ目、令和3年度及び令和5年度や改定に際して適用した既収載品の算定ルールです。
 令和3年度及び令和5年度の薬価改定では、令和5年度薬価改定の際に実施した外国平均価格調整及び臨時・特例的に実施した不採算品再算定を除き、原則として、市場実勢価格を適時に反映することとされた4大臣合意に基づき、実勢価改定と連動する既収載品の算定ルールを適用しました。
 1ポツは、実勢価改定と連動するものです。
 下の2ポツのほうは、実勢価改定と連動しないもので、令和3年度及び令和5年度の価格改定のときに適用されなかった既収載品の算定ルールは、右のほうで×で示しております。
 9ページ目、薬価調査結果の速報値のうち、直近のデータをお示ししています。
 赤枠で囲っている令和2年度及び令和4年度のデータが、それぞれ令和3年度及び令和5年度の薬価の改定で用いた薬価調査の速報値です。
 10ページ目、平均乖離率の推移でございます。
 平成5年度からのものですが、年々平均乖離率が圧縮している状況です。
 11ページ目、令和6年度の診療報酬改定等に関する大臣折衝事項です。
 赤枠で囲まれました部分の記載のとおり、薬価は医療費ベースで0.97%引き下げられました。
 12ページ、令和6年度の薬価改定の概要です。
 令和6年度の薬価制度改革では、イノベーションの評価、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロス解消に向けた対応や、安定供給の確保のための薬価上の措置を行いました。
 13ページ目からは、医薬品に関連した最近の省内の動きを紹介いたします。
 まず、薬事規制に関する最近の動きでございます。
 14ページ目、昨年7月から薬局が「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」を開催し、薬事規制の見直しの検討を進め、本年4月に報告書が取りまとめられました。
 15ページは、その報告書の概要でございます。
 令和6年度の薬価制度改革では、薬価上の措置を行った小児用医薬品の開発促進に関する事項について、成人用の医薬品の開発時に、任意で小児用の開発計画を策定し、PMDAの確認を受けられる仕組みを導入したことなどが報告書に記載されています。
 16ページ目、医薬品の安定供給に関する最近の動きです。
 17ページ目、昨年7月から医政局が「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」を開催し、本年5月に報告書を取りまとめました。
 18ページ目、報告書の概要です。
 品質が担保された医薬品を安定的に供給するため、こちらにありますような対策の方向性を示しております。
 下方にありますとおり、これらの対策を実施するため、法的枠組みの必要性も含め、検討することとされております。
 19ページ目、令和6年度薬価制度改革で、試行的に導入した企業情報の活用の仕組みに関して、安定供給が確保できる企業の視覚化に向けて、企業情報公表の仕組みを創設することとされておりました。それを踏まえた安定供給に関する企業情報の公表状況です。
 6月末までに企業ウェブサイトの公表を求めており、7月から各企業のホームページリンク先を集約したものを、当省ウェブサイトでも掲載しております。
 20ページ目、医薬品の流通に関する最近の動きです。
 21ページ目、令和6年3月に改訂された流通改善ガイドラインの概要でございます。
 22ページ目、流通改善に関する診療報酬上の対応です。
 令和6年度の診療報酬改定において、改訂された流通改善ガイドラインを踏まえた流通改善に関する取組状況について、報告を新たに求めることといたしました。
 23ページ目、令和6年5月に開催されました医療用医薬品の流通改善に関する懇談会で検討された流通改善ガイドラインの改訂前後の取引状況の把握と、過度な薬価差の偏在対応についてです。
 流通改善ガイドラインの改訂の効果を確認した上で、さらなる流通改善の在り方を検討する必要があることから、流通関係者の協力を得た上で、必要な情報を把握し、議論を行っていくこととしています。
 24ページ目、懇談会で一緒に議論されました、薬価交渉を代行するものについてです。薬価交渉を代行するものの該当性についても考え方を整理することとしております。
 25ページ目、令和7年度、薬価改定に係る論点等についてです。
 上部の経緯について、1つ目のポツは、診療報酬改定がない年の薬価の改定の在り方について、令和6年度薬価制度改革の骨子や2024年の骨太の方針の内容を改めて記載しております。
 2つ目のポツは、先ほど御紹介いたしました関係会議において、今後の方針が示されていることを記載しております。
 最後に、論点といたしまして2つまとめております。
 1つ目は、上記の経緯等を踏まえ、令和7年度薬価改定の在り方についてどのように考えるか。
 2つ目は、今後の検討に当たっては、骨太の方針において取り巻く環境の変化を踏まえることが指摘されていることから、これまでの改定の影響も含め、関係業界から意見聴取を行いつつ、議論を深めることとしてはどうかでございます。
 以降の資料につきましては、参考資料ですので説明は省略いたします。
 なお、薬-1参考1として、現行の薬価制度基準制度についての概要資料、薬-1参考2として、創薬力強化安定供給確保等のための薬事規制の在り方に関する検討会報告書、薬-1参考3として、後発医薬品の安定供給等実現に向けた産業構造の在り方に関する検討会の報告書、薬-1参考4として、医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドラインをお配りしております。
 御説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 それでは、今の御説明に関しまして、御質問等ございましたらお願いいたします。
 では、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 薬-1の25ページの論点に沿ってコメントを申し上げます。
 まず、1つ目の令和7年度薬価改定についてどう考えるかです。
 診療報酬改定のない年の薬価改定となる中間年改定は、2年に1回の通常改定とは異なる位置づけであり、薬価改定を行うとしても、平成28年の4大臣合意に基づき、価格乖離の大きな品目について価格調整するということが、基本的な役割であるはずです。
 この価格の範囲については、様々な意見があるものの、あらかじめ基準を決めるというよりも、その時々の経済状況や財政状況、関係する医療機関、薬局の経営状況を勘案しながら、注意深く対応していくことを基本とすべきであります。
 また、医療現場では日々効率化に取り組んでおりますが、それが医療の質を落とす結果になっては、国民・患者の皆様の不利益になってしまいます。
 4大臣合意では、国民負担軽減の観点が全面に押し出されてはいますが、同時に、医療の質向上も勘案しつつ、薬価制度抜本改革を行うという趣旨が示されております。
 医療の質向上には効率化も必要ですが、財源もまた必要であります。抜本的な薬価制度改革を実施していきながら、適正な価格に引き下げることで生じた差額を全て国民に還元するという趣旨の中には、医療の質の向上という形での還元という意味も含まれていると認識しております。
 医療の質向上の観点で見ますと、薬価改定で得られた財源の一部を、診療報酬との密接な関係の中で捉えることが重要であり、これをもって質向上につなげていくということを前提とした議論を積み重ねていく必要があると考えます。
 さて、現状、医薬品の安定供給は改善されているでしょうか。品目によっては、いまだに医療現場で薬が納入されていない状況があるとの声が届いております。
 その原因は、厚生労働省の他の部局で検討されていると思いますので、引き続き改善に取り組んでいただきたいと思いますが、現実問題として、すぐに解決できない品目がある一方で、増産・安定供給に対応している品目もあります。薬価改定が行われることで、対応できている品目が再び安定供給が悪化するようでは意味がありません。
 薬価改定の対象品目は、先ほど述べました医療機関・薬局の状況に加え、具体的な供給状況を勘案するべきかどうか検討が必要であると考えます。
 また、2つ目の論点にあるとおり、関係業界等からの意見聴取も行いつつ、議論を含めることに異論ありませんが、ヒアリングでは、業界としての具体的・建設的な主張をしっかりお聞かせいただいて、有意義なものになるようにすることを強く要請したいと思います。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見等、では林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 この令和7年度の薬価改定について、歯科の立場からコメントをさせていただきます。
 中間年における薬価改定の議論のキックオフということで、事務局から示されました資料や薬価調査の方向性につきましては、おおむね賛同いたします。また、意見も先ほど長島委員が申しましたとおりでございます。
 その上で、歯科は医科に加えて薬を多く使うということはございませんが、最近は、これまで処方していた薬剤、特に歯科にとって汎用性の高い抗生物質等が品薄状態で手に入らず、大変困っているということを聞いております。
 これは歯科に限らず、医科でも小児の抗生物質が供給不足になっているということと同様の事態が生じているものと理解しております。
 患者さんの年齢や状態に即して必要な投薬を行うということを第一に考えれば、いつも投薬している薬がないとなると、安心・安全な歯科医療提供に過大な影響を及ぼします。
 この安定供給の問題につきましては、実態把握や幅広い視点での問題解決が喫緊の課題であり、検討会等で議論され、報告はいただいておりますが、解決はしておりません。早期の解決策を第一に取り組んでいただきますよう、お願いしたいと考えております。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかに、では、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 25ページ目に示されている論点に沿って、コメントいたします。
 論点1つ目の令和7年度薬価改定の在り方についてですが、骨太の方針では、取り巻く環境の変化も踏まえて検討していくことが示されており、4大臣が合意された8年前と比べ、医療を取り巻く環境は大きく変化していることを踏まえて、実施の可否を含めて検討すべきと考えます。
 医薬品の供給問題、物価高騰、賃上げ対応、円安の進行などによる影響が、サプライチェーン全体に深刻なダメージを与えており、特に中小の薬局では、経営的な限界を迎えています。
 また、平均乖離率も平成29年度、9.1%だったものが、令和5年度には6%にまで圧縮しています。薬局でも、持続的な物価上昇や、賃上げに対応しなければなりませんが、公定価格で運営される保険調剤においては、通常の販売業と異なり、仕入れに要する経費上昇を販売価格に反映できません。市場実勢価格を適切に薬価に反映するという趣旨は理解しいたしますが、薬局において薬剤費は保険収入の約7割を占めており、消費税改定も含めて、7年連続の薬価改定によって、薬局などの資産価値は目減りしております。
 また、毎年の薬価改定の実施は、我が国の医薬品製造、流通にとって運営上負担の限界を超えるものとなっており、これ以上の過度な負荷は、生産体制の確保の漏れや、人材不足に拍車をかける結果となるおそれがあります。
 頻回の薬価改定を廃止することが望ましいですが、令和7年度薬価改定については、少なくとも現下の状況を踏まえて、その実施を延期するなど、実施の可否を含めた慎重な検討が必要です。
 次に、論点2つ目の関係業界からヒアリングを行い、議論を深めていくことについて異論はありません。令和6年度の薬価制度改革が行われたばかりですので、まずはドラッグ・ラグ/ロスの解消を見据えた新薬開発、安定供給に与える影響について、業界からドラッグ・ラグ/ロス等への決意を伺うとともに、中間年改定が医薬品流通などの観点からどのような影響を及ぼしているのか、具体的に示していただけることを期待いたします。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますでしょうか。
 鳥潟委員、先にお手が挙がりましたので、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
 ありがとうございます。
 令和7年度薬価改定につきましては、医薬品業界の構造的課題等の根本的課題について丁寧な議論を積み重ねていく必要があると認識しております。
 特に医薬品の安定供給問題は、医薬品業界の構造的な課題に端を発するものであり、診療報酬上の評価による対応では問題の根本的な解決にはつながらないと考えております。
 今後、関係業界等からの意見聴取等も踏まえ、実態をしっかりと把握しながら議論を積み重ねていきたいと思っております。
 ドラッグ・ロス/ドラッグ・ラグに対する本質的な課題が一体どこにあるのかというところが、いまだ見えていない実情もあると思いますので、ぜひ今回は、その辺りを細かく見ていきたいと思っております。ありがとうございます。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 続いて、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 今回キックオフということもありますので、いささか長くなりますが、御容赦いただきたいと思います。
 それでは、資料の薬-1、25ページの論点に沿ってコメントいたします。
 まず、令和7年度薬価改定の在り方につきましては、診療報酬改定がない年ということで、薬価制度そのものについて大きな改革は行われないという認識を持っております。
 ただし、診療報酬改定のある年、ない年にかかわらず、市場実勢価格に連動するものだけでなく、政策的なルールを含め、現行の制度にのっとって、毎年粛々と薬価改定を実施するというのが、私どもの基本的なスタンスでございます。
 一方で、骨太の方針2024では、イノベーションの推進、安定供給確保の必要性、物価上昇などの取り巻く環境の変化を踏まえ、国民皆保険制度の持続可能性を考慮しながら、その在り方を検討するとされております。
 この政府方針を踏まえ、直近の状況を見ながら、令和7年度の薬価改定をどのような形で行うかということについて、丁寧に議論することも重要だと考えております。
 そうした観点から、令和6年度の薬価制度改革を振り返りますと、新薬については、イノベーションの評価がかなり充実したという認識を持っております。
 また、安定供給を確保するために、不採算品再算定の特例を実施し、後発医薬品につきましては、企業指標を試行的に導入いたしました。開発品目の増加や、供給不安の解消といった目に見える形で効果が現れるまで時間がかかることは当然ですけれども、少なくとも企業マインドにどのような影響が出ているかは、検証可能だと思います。
 論点の2つ目とも関連いたしますが、こうしたことは、業界ヒアリングの中で、ぜひ具体的にお示しいただければと考えております。
 具体的な課題としては、5ページにございます。平成28年の4大臣合意で国民負担の軽減とあるように、物価高騰や安定供給問題があるとしても、値引き販売が行われている品目については、その薬価差を確実に国民に還元することが必要です。
 また、新薬創出加算の累積額控除を令和7年度に適用することも強く求めます。以前に業界団体からは、加算の控除時期はイノベーションの評価とセットで検討すべきという御趣旨の発言がございました。
 令和6年度改革において、加算の要件を緩和したことを踏まえれば、特許が消えたら速やかに累積額を控除するということは当然だと考えております。
 これまでも主張してきたとおり、仮に診療報酬改定のない年は、実勢価改定と連動するものを原則とする場合でも、新薬創出加算は、そもそも実勢価改定を猶予する仕組みですので、累積額控除も実勢価改定と関連するものとして適用すべきです。
 次に、物価高騰や安定供給問題の対応につきましては、不採算品再算定の特例を2年連続で実施し、かなりの多くの品目について薬価を引き上げました。こうした品目については、値引き販売が実施されていることは、さすがにないとは思いますけれども、意図した効果が出ているのか、しっかり検証し、特例措置の繰り返しとならないようにお願いいたします。
 また、後発品の企業指標については、令和6年度改定では、評価が可能な指標から適用することになりましたが、その後、情報開示等が進んでいるものもあると思いますので、最新の状況を反映した評価にバージョンアップすべきだと考えます。
 最後に、薬事制度や安定供給などに関係するほかの会議体との関係について要望です。13ページ以降に紹介されておりますけれども、中医協以外での議論を参考にすることはやぶさかではございませんが、動向は注視しつつも、最終的には中医協で議論して判断することは、前提として強く主張させていただきます。
 あと、論点の2つ目でございますが、長島委員、森委員等からもございましたけれども、業界のほうから建設的な御意見が出ることを期待しております。
 私からは以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 では、佐保委員、お待たせしました。お手が挙がっておりますので、お願いいたします。
○佐保委員
 御指名ありがとうございます。
 私、この後、どうしても外せない用があり、途中退席いたしますことを御容赦いただければと思っております。
 私からも、資料1の25ページの論点に沿ってお話をさせていただきます。
 まず、1つ目の論点でございますが、患者被保険者の立場から医薬品の安定供給、薬の安全性は重要ですので、そうした観点からの生産現場だけではなく、流通を含め、サプライチェーン全体の状況を踏まえた丁寧な議論をお願いしたいと思っております。
 論点の2つ目については、異論はございません。ほかの委員からも御意見がございましたように、今後の議論が深まるよう、医薬品供給の実態や原材料の状況等、より詳細な資料を御提示いただき、具体的な御説明を求めたいと考えております。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 では、奥田委員、お願いいたします。
○奥田委員
 ありがとうございます。
 本日は、これからという初回の議論でもありますので、少し大きな視点で意見を述べておきたいと思います。
 本件につきましては、平成28年の大臣合意を踏まえ、令和7年度の薬価改定に向けては、皆さんからの意見でも御指摘がありましが、骨太の方針2024の記載にあるとおり、引き続き、国民負担とイノベーションの推進双方をいかに両立していくか、これが非常に重要であると考えております。改めて認識をしておきたいと思います。
 なお、直近の令和6年度薬価改定で、イノベーションの適切な評価に配慮した改定が行われているわけですけれども、令和6年度の改定を踏まえた、製薬業界の対応状況について、今後のヒアリングを通じて具体的な状況を説明いただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかに委員のほうから御意見ございますでしょうか。
 今、2号委員、1号委員より、いろいろと御意見がありまして、若干の懸念であったり、御提案のようなものも出されていたかと思いますが、事務局から、もし、御応答などがございましたら、お願いいたします。
○清原薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 2号側、1号側、幅広い御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 これらの御意見をしっかり踏まえて、次からの議論を深めていきたいと思います。
 松本委員が、御懸念と言われました、ほかの会議体で進められている議論についでですが、議論を参考としつつ中医協でしっかり薬価については決めるということについては、当然でございます。
 ですから、今後、ほかの会議体で中間報告あるいは報告がまとまりまして、薬価に関するものがございましたら、こちらのほうで御提示させて御検討いただきますが、あくまでも薬価に関するものは、こちらのほうで御検討いただいたものということになっておりますので、そこは御安心いただければと思います。
 あと、業界ヒアリングに対して、令和6年度の改定で、イノベーションの評価あるいは不採算品の対応とか幅広くしていただいたということもあり、それに対する業界側の考え、あるいは今の状況等についてしっかり具体的にというお話がありましたので、そちらのほうも対応をしていきたいと思っております。
 以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 安定供給とか、あと企業マインドの影響といったお話も出ましたので、その辺りも踏まえて、もし、専門委員のほうからも御意見がございましたら、お願いいたしますが、いかがでしょうか。
 では、お願いいたします。
○石牟禮専門委員
 専門委員の石牟禮でございます。
 ただいま委員の皆様方より、特に陳述に向けての、いろいろと御要望もいただいたと認識をしておりまして、なるべく御要望にお答えできるよう、また、今後の議論に資するような形での陳述となりますように、業界として準備を進めたいと考えておりますし、私も専門委員として、御要望について業界に伝えて、準備ができるように努めたいと考えております。
 以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。
 ほかに御意見、御質問等ないようでしたら、本件に係る質疑は、このあたりといたします。次回の薬価専門部会において関係業界からのヒアリングを行うこととするとともに、今後事務局におかれましても、本日頂戴いたしましたいろいろな御意見等を踏まえて、御対応をいただきますようお願い申し上げます。
 続きまして「令和6年度医薬品価格調査(薬価調査)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。
○水谷医薬産業振興・医療情報企画課長
 医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。資料薬-2「令和6年度医薬品価格調査(薬価調査)について」に沿って御説明申し上げます。
 1ページでございますが、先ほど来御議論いただいてございますとおり「経済財政運営と改革の基本方針2024」におきまして、2025年度薬価改定に関しては、イノベーションの推進、安定供給確保の必要性、物価上昇など取り巻く環境の変化を踏まえ、国民皆保険の持続可能性を考慮しながら、その在り方について検討するということが決定されてございます。
 これまでの経緯でございますけれども、平成28年の、いわゆる4大臣の決定に基づきまして、現在、2年に1回行われている薬価調査に加え、その間の年においても、大手事業者等を対象に調査を行い、価格乖離の大きな品目について、薬価改定を行うということが決定をされてございます。
 その後、中医協で御議論をいただいたことを踏まえ、令和2年度、令和4年度の薬価調査につきましては、販売サイドの調査について、全ての医薬品卸から3分の2の抽出率で抽出された営業所等を対象に、また、購入サイドの調査につきましては、本改定に向けた薬価調査実施時の半分の規模を対象に、それぞれ調査が実施をされているところでございます。
 こうしたことを踏まえまして、本日論点といたしまして、一番下の箱でございますけれども、本年度の薬価調査については、別紙のとおり、令和2年度及び令和4年度の薬価調査と同様の方法により実施することとしてはどうか。
 その上で、本年度の薬価改定の在り方は、まずは薬価専門部会において議論した上で、総会に報告することとしてはどうか。こうした形で、論点として掲げさせていただいてございます。
 2ページにお進みいただけますでしょうか。
 2ページには「令和6年度薬価調査の概要(案)」としてお示しをしてございます。
 2の「調査期間」のところでございますが、令和6年度中の1か月間の取引分を対象として調査を実施するということ。
 「3.調査の対象及び客体数」でございますが、先ほど申し上げましたとおり、販売サイドの調査につきましては、この医薬品卸売販売業事業者の営業所等を対象に、3分の2の抽出率で抽出した調査としてはどうかというものでございます。
 購入サイドの調査につきましては、本改定に向けた薬価調査実施時の半分の規模ということでございますので、病院、診療所、保険薬局について、それぞれ40分の1、400分の1、120分の1の抽出率としてはどうかというものでございます。
 調査事項につきましては、販売サイドは品目ごとの販売価格、販売数量、購入サイドにつきましては、品目ごとの購入価格、購入数量、それから購入先の医薬品卸売販売業者情報としてございます。
 調査の方法といたしましては、厚生労働省から調査客体に調査票を配付し、回収するといった形で行うこととしてはどうかと思ってございます。
 以上、簡単ではございますが、私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関して御質問等ございましたら、お願いいたします。
 では、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 令和6年度の薬価調査なのですけれども、1点、事務局に確認させていただきたいと思います。
 あくまでも令和7年で薬価改定の実施の可否については、今後の検討として薬価改定を実施する前提ではないという理解でよろしいでしょうか。
○安川部会長
 事務局、いかがでしょうか。
○水谷医薬産業振興・医療情報企画課長
 医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。
 先ほど私から御説明申し上げたとおり、骨太の方針を踏まえました改定の具体的な在り方については、これは、今後、中医協で御議論を行っていただくものと考えてございます。
 そのような意味において、現時点でどのような在り方に落ち着くかということは、当然未定でございますが、仮に市場実勢価格を用いた改定を行うこととなった場合の改定作業に支障を来すことのないよう、各品目の市場実勢価格を把握しておく必要があるため、まずは、本日薬価調査の実施について、中医協の委員の皆様の御意見を伺うこととしているというものでございます。
 以上です。
○安川部会長
 森委員、よろしいでしょうか。
 ほかに、御意見、御質問はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。ほかに御質問等ないようでしたら、本件につきましては、薬価専門部会として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○安川部会長
 ありがとうございます。
 それでは、本件につきましては、薬価専門部会として承認されたものとし、私から総会に報告することとしたいと思います。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
 それでは、本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。皆様、どうもありがとうございました。