2024年7月18日 令和6年第3回目安に関する小委員会 議事録

日時

令和6年7月18日(木)15:00~19:20

場所

東京国際フォーラムG610号室
(東京都千代田区丸の内三丁目5番1号 東京国際フォーラムガラス棟6階)

出席者

公益代表委員
 藤村委員長、戎野委員、小西委員、首藤委員
労働者代表委員
 伊藤委員、永井委員、仁平委員、水崎委員
使用者代表委員
 大下委員、佐久間委員、土井委員、新田委員
事務局
 岸本労働基準局長、田中大臣官房審議官、篠崎賃金課長、伊勢主任中央賃金指導官、
 大野調査官、山崎賃金課長補佐、安藤賃金課長補佐、川辺副主任中央賃金指導官

議題

令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について

議事

 <第1回全体会議>
○藤村委員長
ただ今から第3回目安に関する小委員会を開催いたします。本日は、所用により伊藤委員は遅れての参加となります。まず、お手元の資料について、事務局から御説明をお願いします。
○安藤賃金課長補佐
本日も、お手元の資料の他に、各種団体からの要望書を回覧しておりますので、適宜ご参照いただければと思います。
それでは、参考資料No .1をご覧ください。第1回の目安小委員会で御説明した「足下の経済状況等に関する補足資料」のうち、更新した部分のみ抜粋したものになります。ページ番号は第1回の資料と便宜上同じにしています。
1枚おめくりいただいて、14ページは、国内企業物価指数の推移です。第1回の目安小委員会でお示しした際は、5月の速報値は対前年同月比で2.4%でしたが、6月の速報値は2.9%となっています。第2回の目安小委員会で委員からの要望により追加した指数は、5月の速報値は122.2でしたが、6月の速報値は122.7となっています。
続いて、15ページは輸入物価指数の推移です。直近の6月はこちらも速報値ですが、9.5%となっており、足下では引き続き上昇傾向です。
続いて、参考資料No.2をご覧ください。こちらも、第1回にご説明しました主要統計資料の更新部分の抜粋です。ページ番号は第1回の資料と便宜上同じにしています。
1ページは、鉱工業生産指数及び製造工業稼働率指数の5月確報分を更新しています。
2ページは、国内企業物価指数の令和6年4~6月期と、一番下の行に6月分を追加しています。
14ページは、夏季賞与・一時金妥結状況について、経団連の令和6年第1回集計を追加しました。令和6年の集計企業の前年の妥結額と比較して、総平均で4.31%の増加となっています。
参考資料の説明は以上です。
○藤村委員長
それでは、今ご説明いただきました資料の内容について、何かご質問等がありましたら、お願いします。

(質疑なし)

それでは、配付資料に関する議論は以上といたします。 
○藤村委員長
前回第2回の小委員会では、労使双方から今年の目安審議に対しての基本的な考え方を表明いただきました。それをご紹介していきたいと思います。
まず、労働者側委員の主張です。今年の春季生活闘争は、デフレマインドを払拭し、経済社会のステージ転換をはかる正念場との認識で取り組み、33年ぶりの5%台の賃上げ結果となった。労働組合のない職場で働く労働者も多く、最低賃金の大幅な引上げを通じ、今年の歴史的な賃上げの流れを社会全体に広げていくことが必要である。最低賃金法第1条にある法の目的を踏まえて議論を尽くしたい。
2点目、産別の基幹労連での賃上げや、中小企業での初任給引上げの動向を見るに、大企業と比較して中小企業経営は人に頼る部分が大きく、まさに経営は生き残りをかけて、人材確保に向けた「人への投資」を決断している。
3点目、最低賃金は生存権を確保した上で労働の対価としてふさわしいナショナルミニマム水準へ引き上げなければならない。まずは2年程度で全都道府県において1000円以上、その上で中期的には一般労働者の賃金中央値の6割という水準を目指す。本年の審議では昨年以上の大幅な改定に向けた目安を提示すべき。
4点目、現在の最低賃金は絶対額として最低生計費を賄えていない。昨年の改定以降の消費者物価指数は3%前後の高水準で推移しており、とりわけ最低賃金近傍の労働者の暮らしは極めて苦しい。
5点目、地域格差は地方部から都市部へ労働力を流出させ、地方の中小・零細企業の事業継続・発展の厳しさに拍車をかける一因となる。昨年のCランクの引上げ実績を踏まえて今年の目安額を検討する必要があり、下位ランクの目安額が上位ランクを上回ることも含め、中賃としてのメッセージを示し、地方審議における額差縮小に向けた審議の端緒とすべき。
6点目、有効求人倍率等の雇用情勢の現状に鑑みれば特に地方における労働需給がひっ迫している状況や、現行の各地域の最低賃金で採用するのは既に困難である現状は明白であり、最低賃金の引上げは妥当である。
7点目、最低賃金の引上げと雇用維持とは相反しない。ここ数年の最低賃金の引上げ幅はかつてない上げ幅であるが、倒産件数との相関は見出しにくい状況であり、最低賃金の引上げによって企業の倒産が増える、と言える客観的なデータは存在しない。むしろ人口流出や人手不足が顕著な地域、中小・零細事業所において、人材確保・定着の観点からも最低賃金を含む賃上げは急務である。
最後の点、企業の経常利益は堅調に推移しており、賃金支払能力については総じて問題ないが、中小・零細事業所へも賃上げを広げるためには、賃上げのための環境整備やより広範な支払能力の改善・底上げが重要である。政府は「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の実効性のさらなる向上やパートナーシップ構築宣言の普及・促進等を早急かつ徹底的に進めるべき。政府の各種支援策の利活用状況や効果の検証を踏まえた一層の制度拡充と利活用の推進を求めたい。
以上が労働者側の主張でございました。
次に使用者委員の主張です。まず1点目、成長と分配の好循環実現に向けて賃上げは極めて重要だが、全ての企業に例外なくかつ罰則付きで適用される最低賃金の引上げは、各企業の経営判断による賃金引上げとは意味合いが異なる。
2点目、目安審議にあたってはデータに基づく納得感ある審議決定を引き続き徹底し、目安額の根拠となるデータをできるだけ明確に示す等、納得性を高め、地方での建設的な審議に波及させることが極めて重要である。「10月上旬」の発効に間に合わせるために目安審議のリミットを切ることなく、少なくとも例年同様、公益委員見解を各地方最低賃金審議会へ提示する場合には労使双方やむなしとの結論に至るよう審議を尽くすべきである。
3点目、今年度の目安審議にあたって、最低賃金決定の三要素の状況を総合的に示す「賃金改定状況調査」の結果、とりわけ「第4表」の賃金上昇率を重視するとの基本的な考えは変わらない。
4点目、生計費について、消費者物価指数は引き続き高い水準にあり、最低賃金近傍で働く人の可処分所得に対する物価の影響を十分考慮すべきである。賃金について、賃上げの動きは着実に広がっている。企業の賃金支払能力について、業況判断DIで大きな改善は見られず、原材料・商品仕入単価DIは依然高い水準にある。
5点目、こうした三要素の状況や賃金改定状況調査の結果等から、今年度の最低賃金を一定程度引き上げることの必要性は十分理解している。しかし、賃上げの対応は二極化の傾向が見られ、さらに業績改善がない中で賃上げを実施する企業は6割になっている。
6点目、中小企業を圧迫するコストは増加する一方で、小規模な企業ほど価格転嫁ができず、賃上げ原資の確保が困難な状況である。企業規模や地域による格差は拡大しており、最低賃金をはじめとするコスト増に耐えかねた、地方の企業の廃業・倒産が増加する懸念がある。さらに、最低賃金引上げの影響率は21.6%に達し、現在の最低賃金額を負担と感じる企業も増加している。
7点目、最低賃金の審議にあたっては、全体の平均値の賃上げ率とともに、賃上げに取り組めない・労務費等のコスト増を十分に価格転嫁できていない企業が相当数存在することも十分に考慮すべきであり、価格転嫁や生産性向上の過渡期にある中で、「通常の事業の賃金支払能力」を超えた過度の引上げ負担を負わせない配慮が必要である。地域の中小企業・小規模事業者は、地域住民の生活と雇用を支えるセーフティネットでもあり、従業員の処遇改善と企業の持続的発展との両立を図る必要がある。
最後の点、中小企業の賃金支払能力を高め、最低賃金はじめ賃金引上げが継続的に実施できる環境整備を一層進める必要があり、団体協約の仕組みや活用事例の周知や後押し、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の浸透度の実態調査による検証、下請法の遵守強化等、具体的な施策をさらに進めていくことが必要である。
 使用者側からは、以上の点が主張されました。
労使双方の皆様には、私から御紹介いたしましたそれぞれの主張についての補足意見があればお願いしたいと思います。よろしいですか。

(意見なし)

 今日は第3回目ということでより具体的な議論に入っていく必要があるかと思います。この後は、公労・公使で別々に御主張を伺いながら、さらに考え方を深めていきたいと思いますが、よろしいですか。

(異議なし)

 それでは、本日は、公使会議から始めたいと思いますので、事務局から連絡事項をお願いします。
○安藤賃金課長補佐
それでは、まず公使会議から行うとのことですので、労働者側委員の皆様は控え室へご案内させていただきます。

(労働者側委員 退出)
 
それでは、傍聴者の皆様は御退出ください。

(傍聴者 退出)
 
<第2回全体会議>
○藤村委員長
ただ今から、第2回目の全体会議を開催いたします。
 本日は本年度の目安の取りまとめに向けて、個別に意見を伺いながら、鋭意調整を進めてまいりました。
 しかしながら、重視すべき点について双方の主張に隔たりがあり、そうした中、取りまとめに向けて、公益委員として何が論点かを整理し、労使双方にお示しをしました。これを元に次回以降の議論を進めたいと思います。従前から申し上げておりますとおり、どうしてこの引き上げ額となるのかというより明確で納得できるものとして、データに基づいた議論を行い、さらなる丁寧な議論を尽くしていきたいと考えています。
 また、配付資料について、公労・公使で協議をした中で、消費者物価指数を丁寧に議論するという観点で、2つの資料を追加で事務局に準備いただくこととなりました。
1つは、「電気・ガス価格激変緩和対策事業」の消費者物価への影響、すなわちどの程度、電気・ガス価格激変緩和対策事業が物価の押し下げ効果をもたらしているのかについての試算に関する資料、もう1点は、「頻繁に購入」する品目の消費者物価指数に関する資料、以上、2つを事務局から提出いただくことになりました。事務局は準備をお願いします。
○篠崎賃金課長
次回までにご用意するようにいたします。
○藤村委員長
それでは、次回の日程と会場について、事務局から連絡をお願いします。
○安藤賃金課長補佐
次回の第4回目安に関する小委員会は7月23日火曜日14時から、厚生労働省19階共用第8会議室で開催いたします。
○藤村委員長
それでは、本日の小委員会はこれをもちまして終了といたします。