第16回政策評価に関する有識者会議福祉・年金WG

日時

令和6年7月22日(月)11:03~12:56

場所

省内共用第9会議室

出席者

菊池座長、岩崎委員、新保委員、平野委員、藤森委員

議事

議事内容

○政策立案・評価担当参事官室長補佐
 定刻を少し過ぎましたけれども、ただいまから「第16回政策評価に関する有識者会議福祉・年金WG」を開催いたします。本年4月から政策評価の担当をしております田中でございます。どうぞよろしくお願いいたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。なお、本日、平野委員はオンラインでの御参加となっております。
 冒頭、1点御報告でございます。政策評価に関する有識者会議委員及び医療・衛生WG委員に平成29年度より御就任いただいておりました宮﨑美砂子委員におかれましては、先月25日に御逝去されました。宮﨑委員の本有識者会議への御貢献への感謝と哀悼の意を表し、心より御冥福をお祈りするとともに、ここに謹んでお知らせ申し上げます。
 また、人事異動によりまして、今月5日に政策立案総括審議官として河野が着任しております。会議に先立ち、審議官の河野から御挨拶を申し上げます。
○政策立案総括審議官
 7月5日付けで、政策立案総括審議官に着任をいたしました河野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。御案内のとおり、政策評価の目的は、評価結果を政策へ適切に反映し、効率的で質の高い行政を実現させること、また、評価結果を公表することにより、国民に対する説明責任を果たすことです。政策評価は行政の自己評価という形で行われておりますけれども、その客観性・公平性を担保しつつPDCAサイクルを回していくためには、有識者の皆様の知見を頂戴いたしまして、それをいかしていくこと、これが誠に重要なことだと考えております。
 本日の会議は、第5期基本計画にて設定されている施策目標のうち、3項目の実績評価書案について、自己評価の内容と次期目標等への反映の方向性を中心に、幅広い観点から御助言を頂きたいと思っております。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
 本日の会議は、事前に御案内したとおり、ペーパーレスとしてタブレットでの会議とさせていただきます。資料となるファイルは、お手元のタブレットの中に格納しておりますけれども、「ファイル」と書いてある青いアイコンの中に格納されています。下にスクロールすると次のページに、横に大きくスクロールすると次の資料にまいります。ただ、格納資料のうち、資料1-2及び3-2については一部誤植がありましたため、差し替え版を紙で机上に御用意しております。恐縮ですけれども、こちらの資料1-2及び資料3-2については、紙の資料を御参照お願いいたします。
 それでは、この後の議事進行については、座長の菊池先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池座長
 おはようございます。本日も大変暑い中、御参集いただきましてありがとうございます。平野先生におかれましては、新幹線がストップしたと伺っておりますので、今日はオンラインで御参加ということでよろしくお願いいたします。本日は、先ほど御紹介がありましたが、3つのテーマの実績評価書案について御議論を頂きます。それでは、まず配付資料及び本日の議事の進め方について事務局から説明をお願いいたします。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
 議事の進め方について御説明いたします。お手元の議事次第を御覧ください。本日は、まず議事(1)の令和6年度に実施する政策評価について、議事にあるⅰからⅲの順番で御議論いただきます。テーマによって多少時間が異なりますが、まず担当課より5分から10分程度で説明を行い、その後、20分程度で御議論を頂く形で進めていただければと思います。説明を終えた課は、随時退室します。
 なお、会議資料の「概要(実績評価書(案)のポイント)」と題されたものですが、そちらの2ページ目に実績評価書の「確認すべき主な事項」をまとめていますので、こちらも適宜御参考いただいた上で、委員の皆様方から御意見を賜れれば幸いです。
 また、最後に議事(2)として、前回、今年2月の福祉・年金WGにおいて頂いた御意見等への対応状況について、事務局から御説明等のお時間を頂きたいと思います。事務局からは以上です。
○菊池座長
 それでは、早速1つ目のテーマ、施策番号Ⅶ-1-1「生活保護制度を適正に実施すること」につきまして、担当課から5分から10分程度で御説明をお願いいたします。
○社会・援護局保護課保護事業室長
 社会・援護局保護課保護事業室長の小川と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。施策目標Ⅶ-1-1「生活保護制度を適正に実施すること」につきまして、お手元の資料1-2の概要資料に沿って御説明いたします。細かい数値等々につきましては、資料1-1の実績評価書も適宜御参照いただければと思います。よろしくお願いします。
 まず資料1-2の5ページを御覧ください。本実績評価の構造です。昨年2月のワーキンググループでも御説明しておりますが、基本的にその構造を踏襲しております。「生活保護制度を適正に実施すること」という施策目標に向け、被保護者に対する自立支援と医療扶助という2つの観点で、それぞれ達成目標を2つずつ設定しております。各達成目標ごとに測定指標も幾つか設定し、それぞれの目標ごとに評価を行っている状況です。
 6ページを御覧ください。まずは、自立支援の関係につきまして御説明いたします。1つ目の目標です。就労支援の適正な実施ですが、こちらにつきましては3つの指標を掲げております。指標の1つ目としましては、ポンチ絵にはありませんが、被保護者就労支援事業等に参加可能な者の事業参加率というところで、令和5年度の目標値は65%としておりました。令和5年度の実績値は調査中ですが、令和4年度までの推移を見ておりますと、目標値の8割、つまり52%というところの達成はやや困難かなと考えており、達成状況は未達成という形にしております。指標2は、就労支援事業等に参加した方のうち、就労した方及び就労後による収入が増加した方の割合です。令和5年度の目標値は50%としております。令和5年度の実績値は、先ほどの指標と同じで調査中ですが、令和3年度、令和4年度と増えてきている状況ですので、同程度の増加というところを想定し、目標値の8割、40%ですが、こちらを達成するものと考えております。達成状況はおおむね達成という形で整理しております。指標の3つ目です。いわゆる「その他世帯」の就労率というところで、令和5年度の目標値は45%と設定しております。こちらの令和5年度の実績値も調査中ですが、就労支援員の方々からの現場の声を聞いておりますと、求人数も徐々に増加してきている状況です。令和2年度の水準36.3%まで回復することを想定しており、そうしますと目標値の8割、つまり36%を達成するものと考えており、達成状況はおおむね達成としております。
 自立支援関係の2つ目の目標です。被保護者就労準備支援事業等を活用した自立支援の取組強化を行うというところにつきまして、こちらは2つの指標を掲げております。指標4ですが、日常生活の課題がある者の状態像が改善した者の割合、令和5年度の目標としては24%です。指標5につきましては、社会生活の課題がある者の状態像が改善した者の割合で、令和5年度の目標としては26%です。いずれも令和5年度の実績値は調査中ですが、令和5年5月に新型コロナが5類に移行しましたといったところで、対面で支援をしていく、また、被保護者の方々が外出していくところにつきまして抵抗感が薄れてきつつあると思いますので、前年度以上、令和4年度以上の実績となることを想定しており、目標値の8割を達成するものと考えております。達成状況はおおむね達成という形で整理しております。
 続きまして2つ目の柱、医療扶助の関係です。こちらの1つ目の目標につきましては、頻回受診に係る適正受診指導の取組徹底・強化による改善者数の向上を行うというものです。指標としましては、頻回受診者に対する適正受診指導による改善者数の割合というものを設定しております。令和5年度の目標値は58.8%で、実績値は現在集計中ですが、令和3年度、令和4年度の実績、増えてきている傾向を踏まえますと、目標値の8割、47.0%を達成できるのではないかと考えており、達成状況はおおむね達成としております。2つ目の目標ですが、後発医薬品使用促進の取組強化と後発医薬品使用割合の向上を行うという目標です。こちらには2つの指標があります。まず、指標7、1つ目の指標ですが、自治体における後発医薬品使用促進計画の策定率です。令和5年度の目標値は100%としております。実績値は集計中ですが、令和3年度、令和4年度と続きまして100%という状況を踏まえますと、今年度も目標を達成する見込みであろうと考えており、達成状況はおおむね達成としております。最後の指標は、生活保護受給者の後発医薬品の使用割合です。令和5年度の目標値は80%です。こちらは実績値が出ており、88.2%なっております。令和4年度までから更に継続して目標値を大きく上回っている状況で、こちらの達成状況は達成としております。
 施策全体の判定としては、主要な指標は6指標あり、おおむね達成見込みが5つ、達成が1つ、それ以外の指標ですが、2指標のうち目標達成が1つ、未達成が1つとなっております。こうした状況を踏まえ、ポンチ絵の3ページ、4ページにあります評価基準に照らし、機械的にやっていきますと、目標達成度合いの測定結果としましては4(進展が大きくない)、総合判定としてはB(達成に向けて進展あり)という形かなと考えております。
 続きまして、同じ6ページの中ほどの施策の分析です。施策の分析につきましては、実績値が比較的低い自立支援の関係を中心に御説明いたします。まず、有効性の評価です。コロナ禍の影響により全体的に実績値が低調になっているものの、こうした厳しい状況の中でも、事業による支援を通じて一定程度就労につながり自立に至っているという実績が出てきております。一定程度有効に機能しているのではないかと考えている、評価しているところです。
 次に、効率性の評価です。限られた予算の中ではありますが、就労支援員の確保、増員を図ってきております。特に事業の効果がダイレクトに現れてくる指標2です。こちらは、実績値が上昇傾向であることを踏まえますと、効率的な取組が行われてきているのではないかということで評価をしております。一番右の有効性・効率性の評価を踏まえた現状分析です。コロナ禍の影響が大きい中でも、有効・効率的な取組を進めています。今後、徐々にコロナ禍前の状況を取り戻していくことが想定される中で、被保護者の方々の経済的自立、日常生活自立、社会生活自立をより一層サポートしていく必要があるのではないかと考えているところです。
 最後に、一番下の次期目標等への反映の方向性です。字が多くて大変恐縮ですが、少し概要を説明します。今年4月に、生活保護制度は法改正をしております。自立支援関係、目標1、2の関係ですと、今年4月の法改正で被保護者就労準備支援事業を法定化しております。また、生活困窮者向けの就労準備支援事業につきまして、保護の実施機関が必要と認める場合には、被保護者も活用できる形で見直しを行っております。来年4月から施行されるところです。こうしたことに伴い、これまで事業を実施してこなかった機関におきましても新たに事業を開始することが想定されるところですので、目標達成に向け、一層の取組を実施していきたいと考えております。
 次に、医療扶助の関係、目標3、4の関係です。同じく法改正におきまして、都道府県が市町村に対して、データ分析を通じて医療扶助の適正化等に関する目標設定・評価など必要な助言を行っていくという仕組みを創設したところです。こちらも来年4月施行です。こうした仕組み、枠組みもしっかり活用し、目標達成に向け、一層の取組を実施していきたいと考えております。当方からの御説明は以上です。
○菊池座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、委員の皆様から御意見、御質問などを願いたいと思います。いかがでしょうか。藤森委員、お願いします。
○藤森委員
 御説明ありがとうございました。コロナ禍の期間は大変だったと思いますが、少し上向いてきたという状況かと思います。本当に御苦労されて成果も上げられてきているところだと思います。3点ほど御質問させていただきます。
 「就労支援の支援事業の参加者」「就労準備支援の事業の参加者」「就労増収者」で、事業の参加率に随分と違いがあると思います。この事業を行うについて、指標ではこれらの参加者をまとめて数字を挙げられていると思いますが、ここのウエイトと言うのでしょうか、重点の置き方に違いがあるかどうかをお伺いしたいと思います。全体の実績値をみると比較的この指標は横ばいに推移しているということかと思いますが、例えば、就労準備支援事業の方々が増えてきているという状況においては、なかなかこの数値は上がりにくいということがあり得るのかなかと思います。この点、ウエイトの置き方、対策として力の入れ方の違いみたいなところがあるのかどうなのか、1点目としてお伺いしたいと思います。
 2点目として、指標2について先ほどお話を頂きまして、「就労した者」及び「就労による収入が増加した者」の割合が、コロナ禍においても増加していることが示されています。先ほどの御説明では、予算が減少する中でも就労支援員の数が増えているところが効率性という点で評価できるとしてご指摘されていました。具体的にどのような形で予算が減る中で就労支援員を増やしたのかという点について、お話を聞かせていただければと思います。
それから、指標2についてはコロナ禍でも上がっているのですが、逆に、指標3は下がっています。「その他の世帯」は現役世代が多いと思いますが、その中の就労率は下がってきています。おそらく、コロナ禍で就労の機会がなかなかなかったからという要因ではないかと思いますが、指標2のほうは上がり、指標3のほうは下がっているということについて、何か御説明があれば頂きたいと思います。
 最後の質問は、資料1-1の4ページの指標7と指標8、資料1-1の4ページです。近年、指標7のほうは100%の目標で、令和3年度、令和4年度と100%達成できています。この目標はほぼ達成できていて、次の目標に移る段階ではないかと感じた次第です。指標8も同様のことが言えるのかなと思いましたが、その点についてお話を頂ければと思います。以上です。
○菊池座長
 いかがでしょうか。
○社会・援護局保護課保護事業室長
 ありがとうございます。まず、1つ目の御質問、被保護者就労準備支援事業と被保護者就労支援事業の力の入れ方と言いますか、ウエイトの掛け方というところかなと思います。こちらについては、少し対象者像が変わるかなと思っておりますので、どちらの事業にウエイトを置くかというよりは、対象者を見た上で、どちらの事業でしっかりと支援していくのが適切かというところでやっていく、どちらかによりという形ではないかとは思っております。
 2つ目については、予算がなかなか確保できない、削減と言いますか、少なくなっている中で、どういうふうに就労支援員を増加させているのかというところです。今、手元にどういう形で具体的に増やしているのかというところまではないのですが、限られた予算の中でもしっかり有効に活用していただくと言いますか、就労支援員の方々をしっかりと付けていただきまして、増員だけではなくて、その方々にしっかりと支援してもらうという、そこのところが非常に大事かと思いますので、そこも含めて、現場の中で頑張っていただいているという認識です。
 3点目は、指標3の「その他の世帯」の方々の就労率のところです。ここは、どちらかと言いますとアウトカム、支援を行った結果がダイレクトにというよりは、やはり労働市場全体の影響とか外部的な要因が結構大きいかと考えております。そういう中で、先ほども少し御説明申し上げましたが、求人の数が定量的にありませんが、就労支援員の方々からのヒアリングの状況でいきますと、少し求人も増えてきている、コロナ禍を少し脱却した中で増えてきているという話もございますので、そういう中で指標3も増加傾向になっていくのではないかと考えているところです。
 最後に、医療扶助の関係で指標7と指標8です。こちらについては、継続して達成してきている状況ですので、医療扶助は次のポイントがどこにあるかというところをしっかり見極めた上で、新たな目標設定も含めて、しっかり検討していく必要があるかと考えております。
○藤森委員
 指標3について、今御説明いただいたところですが、私のほうで気になったのは、上のほうに参考1として2017年度の所が40.4%という数字が出ていて、コロナの前から比較的低下傾向に来ているのかなと。もちろんコロナの影響はあるとは思いますが、そこの点が少々気になっていたところではあります。コロナ前から下がり始めているというのは、何か考えられる要因はありますか。
○社会・援護局保護課保護事業室長
 指標3のところは、コロナ前でいきますと令和元年度が39.3%、平成30年度が38.7%、その前が40.4%というところなので、減少傾向というよりは、少し増減があるようなところなのかなとは見ております。コロナがまた明けてきた中で、どういった求人が出てくるかとか、コロナ前と全く同じような求人の状況になるのかどうかというところも、少し見極めが、被保護者の方々にしっかりと紹介していけるような求人が出てくるのかどうかというところも含めて、少し様子を見ていかなければいけないところかとは思っております。委員の御指摘のとおりだと思います。
○藤森委員
 分かりました。
○菊池座長
 ありがとうございます。数字だけを追うのではなく、被保護者の中身というか、実態というか、そこの分析がないままに、ただ数字を追いかけていても、何のために下がっているのかというところです。やはり難しい方が増えているかもしれません、その辺りの分析というのが本来は。
○社会・援護局保護課保護事業室長
 そうですね。ここもしっかりと施策を進めていく中でさせていただきたいと思います。法律も改正法も通りまして、やはり就労のところはしっかり力を入れていかなければいけない状況ですので、被保護者の方々の状況が、コロナを踏まえて、きちんとコロナ前のような状況に戻るのかどうかというところもあります。もう一方で、出てくる求人、仕事の状況も非常に重要かと思っております。これは徐々に徐々に社会の情勢が変わってきますと、出てくる求人が変わってくる可能性もありますので、これもよく見ながらしっかりマッチングしていくところが大事かと思っております。
○菊池座長
 ありがとうございます。いかがでしょうか。岩崎委員、お願いします。
○岩崎委員
 岩崎です。よろしくお願いします。御説明をありがとうございました。今の議論に関連するところですが、達成目標1、2、3の辺りとかで、私も疑問に思うのは、どういう方たちが本当に対象なのかというところが見えにくい中で、この評価の数字だけを見て厳しい数字と申し上げるのも、とてもしんどいような気がしています。私は障害者領域の人間ですが、やはり、定着の問題というか、就職しましたというところで終わりではなくて、その人たちが生活保護にもう一回戻ってきていないのかどうか、あるいは、非常に長い期間、生活保護を受給していた人が、支援員さんたちの活動によって就労に結び付いたとか、なかなかこれは全国的に数字で出すのは難しいと思いますが、しかし、そういった好事例とか、何かそういうことを少し紹介していただくと、頑張りみたいなものが目に見えるのではないかと思ったということが1点です。しかし、そういう定着率とか、そういうことが今のところデータ化されていない、データ化されていたら教えていただきたいと思いますが、それが1つです。
 それから、指標4、5のところで、日常生活に課題がある方の状態像が改善したというところの評価軸というのはすごく難しいと思いますが、現状、これはどういうふうに評価をして、上がってきた数字になるのか。とても難しい方たちを対象にして、非常に辛抱強くサポートされていらっしゃるのだと思うのです。その辺を具体的に教えていただきたいと思いました。
 あともう1つは、これは今の話と全然関係なくて、先ほどの法改正のこととつながるのですが、法改正があったところで、是非、居住支援のところとか子どもの貧困の問題とか、すごく今後に大きく影響するものだと思いますので、新たな指標としてくみ上げていっていただけると有り難いと思いました。以上です。
○菊池座長
 お願いします。
○社会・援護局保護課保護事業室長
 最後の居住支援、子供の貧困なども含めての法改正のところですが、こちらはまず施行をしっかりとやっていくというところを様々な方々から言われている状況ですので、しっかり施行していくというところと、先ほども少しおっしゃっていましたが、好事例と言いますか、いろいろな取組みがこのように進んできているというところが分かりやすくというか、見えやすくなるように、私たちもしっかり取り組んでいきたいと思っております。
 最初の御質問で、定着など、どういった方々を就労支援しているのかとか、あとは1回就労した後にその方はどうなっているのかというところです。我々の就労支援事業の中では、まずマッチングしてそれで終わりではなくて、その後の定着支援も行っておりますし、日常生活自立にしっかり力を入れているというのは、単にマッチングするだけではなくて、やはりその基盤となる日常生活の生活の仕方と言いますか、そういうところの習慣がしっかり改善されていかないと、もう一度同じことが起こってしまうということがありますので、そこは委員の御指摘のとおり、同じ思いでしっかりと取組みを進めているという状況です。定着率という形で明確な数字はありませんので、今後、そういったものが取れるのかどうかというところも含めて、私たちの中でも精査していく必要があるかと思っております。
 4つ目と5つ目の指標の関係で、日常生活の自立と社会生活の自立というところですが、この課題をクリアしているかどうかを評価するというのはなかなか難しいのではないかという御質問かと思っております。「日常生活自立とは」というところでいきますと、「身体や精神の健康を回復・維持し、自分で自分の健康・生活管理を行うなど日常生活において自立した生活を送ること」と定義しております。他方で、「社会生活自立」のほうは、「社会的なつながりを回復・維持し、地域社会の一員として充実した生活を送ること」と定義をしておりますが、この定義自身がなかなか重なる部分もありますので、ここはパキッと分けてやるのが難しいのですが、問題意識としては全く同じです。現場の方々も、しかも全国的にいきますと、かなり難しいのではないかとは思っております。
 他方で、やはり一定、日常生活、社会生活というふわっとしたものかもしれませんが、こういう2つの中で、どちらのほうに課題が大きいのかというところを、被保護者それぞれの中でしっかり評価していくというところは重要かと思っております。これは政策評価ではありますが、そういった評価というのは現場の中でしっかりやっていただくことは重要かと思っております。
○菊池座長
 よろしいですか。
○岩崎委員
 ありがとうございます。最後のところは、私たちが現場にいても、自分たちが提供しているサービスの質を評価するということ自体も非常に難しくて、それでは何で測定するのかというようなチェックリストとか尺度だとか、いろいろあることはあるのですが、しかし、それが本当に周りから見て合理性があるというか、皆様が納得してくださるような出し方は難しいので、大変なお仕事になろうかと思いますが、是非、可視化していただく。現場の方が可視化してくださる努力をするというか、つまり、そういうことを目指しているのだということが分かりやすく提示されて、そこに向かっているということを、支援されている皆さんに共通に認識いただけるということはとても大事だなと、お話を伺っていて思いました。ありがとうございました。
○菊池座長
 最後の御質問には、今後に向けた新たな指標の設定の検討といったお話も含まれていたと思いますので、今年の法改正を踏まえて。
○社会・援護局保護課保護事業室長
 そうですね。そこの指標の設定というところも、しっかりとどういった指標が設定できるのかというところと、施策全体の中でバランスを取りながらというところも必要になってくるかと思いますので、一度こちらのほうでまた検討させていただきたいと思います。
○菊池座長
 それでは、新保委員、お願いします。
○新保委員
 新保です。政策評価の取組みを進めてくださり、本当にありがとうございます。私からは、今後に向けて、質問ではなく、2つほどの意見になります。
 まず第1は、先ほどの岩崎委員の発言にも重なるかもしれませんが、生活保護に限らないのですが、政策評価を行う上での前提として、厚生労働省が現在何を評価指標として生活保護の適正実施に向けた取組を行おうとしていることを、実施機関や担当職員が知っているということがとても重要ではないかと思いました。特に実務に当たっているケースワーカーがそのことを知っているかどうかは、例えば先ほどの達成目標2のような変化を把握するということに影響します。の中、やはり実践の中で意識して、それをきちんと記録化することが求められます。それぞれの日常生活自立、社会生活自立の変化をどう捉えるのかという手掛かりになる指標を保護課のほうで出していただけると、こういう評価が進んでいくのではないかと思いました。
 第2ですが、新たな評価指標の設定ということで、やはり、藤森委員からもお話がありましたように、既に達成できた目標もあるのではないかと思います。今回の法改正の概要については、資料1-2の11ページにあるとおりですが、例えば子どもの貧困への対応のための措置の1にあるような事業として、子どもの進路選択支援事業が法定化されています。事業の実施率というのも指標の1つとなり得ると思いますが、事業そのものは必須ではなく任意に実施されるものだと思います。ですので、例えば、ケースワーカーが子どものいる世帯の状況を把握できているのかどうか、進路について早期から子どもが検討できるような関わりができているかどうか、というような実施率なども指標の1つになるのではないかと思います。
 また、資料1-2の3の3にあるような連携強化のための会議体である調整会議の設置も法定化されています。この会議体が法定化される背景ですが、法律の見直しの議論において、「生活保護世帯の支援に当たって、関係機関から、ケースワーカーがいれば支援のすべてをケースワーカーがやるであろうという認識の下で、協力が得られていない」「多様で複雑な課題を抱える被保護者に対する家族的機能とか専門的な相談支援を、全部ケースワーカーが抱え込まざるを得ず、結果として、被保護者やケースワーカーが孤立するリスクがあるのではないか」という課題を解消する方策として、法定化されたものと理解しています。
 これらの法改正された事業は、生活保護制度を適正に実施するための課題解決として生み出された方策ですので、こうしたところに着目した政策評価も是非御検討いただきたいと思います。
 最後に、第13回の本委員会において、生活保護における評価について意見を述べさせていただいたのですが、最新の被保護者調査によりますと、被保護世帯は、高齢世帯が55.5%、傷病者・障害者世帯が24.9%で、双方を合計しますと80.9%です。これが現在の生活保護世帯の現状と考えたときに、こうした現状の中で、基本目標を達成するために、何をどのように評価するのかということは、是非検討を続けていただきたいと思います。以上です。
○菊池座長
 ありがとうございます。最後かなり大きなお話まで、いろいろ具体的な御提言も含めてお話がございましたが、いかがですか。
○社会・援護局保護課保護事業室長
 ありがとうございます。まず、評価指標は、厚生労働省本省の中で評価するだけではなくて、やはり、それを現場の方々も認識しているからこそ、それを意識した取組みもできますし、私たちはこれを重視していますよというメッセージにもなるという御指摘かなと思います。評価指標については、主管課長会議などで我々のほうからも周知しているところですが、やはり、今のいろいろな御指摘も踏まえて、私たちも評価指標を見直していったりとか、その思いというのは変わってくる可能性もありますので、そういうところはしっかりとコミュニケーションが取れるようにしていきたいと思っております。
 その上で、どういった指標を実施していくのがいいのかということについては、法改正も踏まえたという御指摘を改めて頂いたかと思っております。どういうアウトプット、またアウトカム、数を取れるところがどういった指標があるのかというところは、今の御指摘も踏まえまして幅広く検討させていただければいいかと思っております。
○新保委員
 ありがとうございます。
○菊池座長
 今、新保委員から非常に重要な御指摘を頂いたと思いますが、政策評価は何のためにやるのか。数値が達成できたか、できなかったかというのはもちろん大事ですが、やはり、1つ重要なのは、所管課が一体何をこの政策で達成しようとしているのか、どういう方向で何をやろうとしているのかというのを、政策評価の指標とか目標を通じて示すという、それは大事な役割なので、非常に根源的な御指摘を頂けていると思いますので、それも踏まえて御対応をお願いします。よろしくお願いします。それでは、平野委員、何かございますか。
○平野委員
 ありがとうございます。時間がないと思いますので、簡単にコメントしておきたいと思います。効率性の評価のところ、スライド6ですが、先ほど藤森委員も御質問された就労支援員の数の増加ということ自体は、頂いた資料の中にはどこにもなかったので、もしデータがあれば。職員はどちらかと言うと会計年度職員のような扱いの方が多いのではないかと、財政制約の中で増加させる意味でも、そうなっているのではないかということもあるので、就労支援員の増加については、インプットなり、アウトプットのデータとして、できれば今後とも検証の1つとして使っていただくと有り難いかと思っております。
 もう一点は、そのことも含めてですが、次期の目標に関して、私としては、生活困窮者の制度の就労準備と制度をまたぐ利用が可能になっていくということなので、それに関する評価指標というのを、所管課が当然変わるかと思いますが、所管課が変わる中で、両方に分かれる中で、どういった形でそれぞれの事業の推進の中で作っていくかということも、是非御検討いただければと思っております。以上です。
○菊池座長
 ありがとうございます。いかがでしょうか。
○社会・援護局保護課保護事業室長
 まず、1つ目の御質問の支援員の数の増加のところです。パワーポイントのほうに載せておりませんで大変恐縮です。資料1-1、実績評価書の本体と言いますか、そちらの5ページの中ほど、効率性の評価、達成目標1の所に記載があります。予算額が64.1億円から55.7億円、令和3年度予算額で64.1億円、令和4年度予算額で55.7億円と減少している中で、就労支援員数は令和3年度3,047名から令和4年度3,102名に増加しているという状況です。この実態、どういうふうな形で増えているのかというところは、つぶさに私たちもまだ把握できていないところで、大変恐縮ですが、先ほど御指摘がありましたように、恐らく会計年度任用職員の方々がメインであろうと。そこはそうではないかというふうに思っております。どういうふうな形で効率的に実施されているかというところは、私たちも実際の皆様とコミュニケーションを取る中で把握をしていきたいと思っております。
 2つ目、生活困窮制度と保護の制度でまたいで支援を受けられる方々の実態につきまして、今回の法改正で措置された生活困窮の制度を被保護者の方も利用できるというところで、これは跨ぐというところももちろんですし、両方の事業をやられている中でまたぐこともあろうかと思いますので、その辺はしっかりと把握できるかどうか確認しながら、可能な限りしっかり把握できるようにしていきたいと思っております。
○平野委員
 ありがとうございました。
○菊池座長
 ありがとうございます。委員の皆様、ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。委員の皆様からおおむね私の感じたことも御発言いただいているのですが、少し補足させていただきます。数字の立て方について、指標1、2、3については、KPIに合わせて令和7年度に達成する目標ですが、例えば指標1だと、令和3年度から65、65、65という、本気で令和7年度段階でやろうと思っているのですかという話です。ある政策目標があって、令和7年度までに達成するとなれば、そのために何をどういう戦略で、どういうプロセスで達成していくかという考え方というか、哲学が全く読み取れないということです。その点、指標4とか5は段階的にやるつもりなのだなというのはうかがえるのですが、この辺りもちょっと工夫というか、本気でやろうと思っているのであれば、やはり、何をどう段階的にやっていくのかということが見えるような数値の立て方をしたほうがいいのではないかと感じたのが1つです。
 あと、指標7、8は、藤森委員からもお話がありましたが、80%の意味、80は達成したから100を目指すのかどうかという、この辺りです。医療保険の場合は強制するわけにはいかないので、一応、8割になっていると思いますが、法令上の縛りは多分ないと思います。生活保護法には法律で原則とすると書いているので、そこは財源も違いますし、では100にするのですかという話ですが、そこも高ければいいのか、80を達成していればいいのか、この80の意味は今の時点で何なのかという辺り、ここは今お答えいただかなくてもいいのですが。例えば医療保険と医療扶助とは意味合いが違うのですが、違うから、では100のほうがいいのかどうかという辺りも踏まえて、では80の意味とは何だろうということを少し改めて考えて、80を引き続き指標として立て続けるのか、それとも、もっと数値上上げるのか、やめるのかという辺りは検討されるといいのかなと感じました。コメントが何かありますか。
○社会局
 ありがとうございます。先ほどから評価指標の置き方はすごく大事だという御指摘も頂きましたし、今のところは、数字をどういうふうに置くかというところも我々のメッセージが出るところという御指摘かと思いますので、そこはしっかりと踏まえながら、100にするのかどうかというところはまたあれかもしれませんが、少し検討させていただきまして、今後しっかり踏まえた設定をしていきたいと思っております。
○菊池座長
 よろしくお願いします。それではよろしいですか。ありがとうございます。それでは、担当課におかれましては、本日のこの御議論を踏まえ、実績評価書への必要な反映をお願いいたします。どうも御苦労さまでした。ありがとうございます。
 それでは、次のテーマに移らせていただきます。続きまして、施策番号Ⅶ-3-1「戦傷病者、戦没者遺族等への援護、戦没者の遺骨の収集等を行うこと」について、担当課から5分から10分程度で説明をお願いします。
○社会・援護局援護企画課長
 社会・援護局援護企画課長の石塚です。よろしくお願いいたします。Ⅶ-3-1の戦傷病者等への援護、戦没者の遺骨の収集等を行うことの施策目標でございます。
 まず、パワポの5ページの現状という所です。これについて、達成目標を5種類掲げています。1番目は、戦傷病者、戦没者遺族等への援護ということで、軍人軍属等の方の御遺族等に遺族年金などを支給しています。課題としては、請求者の高齢化、迅速な裁定などを考えています。そのための目標として、請求に対する迅速・適切な裁定ということで、指標としては、援護年金及び弔慰金について請求の受付後6か月以内に裁定を行った件数の割合というものを示しています。
 2番目は、次世代への継承ということです。国におきましては「昭和館」、「しょうけい館」という、戦中戦後の様々な労苦を伝える施設を2つ、主に持っています。課題については、戦中戦後の労苦を実際に体験された方が減少している中で、いかに次世代に伝えていくかということと考えています。そのための目標の指標として、昭和館、しょうけい館の累計入館者数というものを挙げております。
 3番目は、遺骨収集事業、慰霊巡拝事業です。先の大戦で亡くなった方、海外の戦没者は多数ございますが、何十万柱という単位で遺骨がまだ残っています。現地調査や遺骨収集を現在行っています。また、遺族の方には慰霊巡拝ということで、政府主催の現地の追悼式等を行っています。これについては、課題にありますが、いまだ多くの戦没者の遺骨が収集されてないので、いかに進めていくかということで、測定指標としては、慰霊巡拝の参加者の満足度の指標、そして戦没者の遺骨が残されている諸地域に職員等を派遣した回数を挙げております。
 4番目は、中国残留邦人等への支援です。中国残留邦人等の方々は、生活習慣の違いや言語の違いという問題を抱えているのに加えて、高齢化というところもあります。それらへの対応というのが課題と考えており、目標としては、言葉の問題、高齢化が進む中国残留邦人等の自立支援を充実させるということです。指標としては、自立支援通訳派遣事業の通訳派遣実績、そして自立指導員派遣事業での指導員派遣実績を挙げております。
 5番目が、陸海軍の様々な名簿等を引き継いでいますので、それに関連する業務として、軍歴証明、恩給進達、抑留者関係資料の調査というものがあります。これについても迅速な処理を行うということで、下に掲げられております3つ、履歴証明の受付後の処理の期間、恩給請求書の総務省への進達期間、そして抑留者に係る資料の照合の終了した割合を掲げています。
 6ページが評価です。達成目標の遺族年金、援護年金等の迅速な裁定については、おおむね99%で達成をしています。
 また、達成目標2の昭和館、しょうけい館の充実については、コロナ等の期間がありましたが、前年度に比べて昭和館については118%の達成、しょうけい館については48%ということで未達となっています。それについて、下の施策の分析の所に記載しています。しょうけい館について未達となっていますが、昨年度は所在地区の再開発計画に伴い移転期間が3か月程度あったことや、その期間において毎年ほかの施設と連携したスタンプラリーを行っており、そこでかなり新規入館者を見込んでいたのですが、そこが閉館期間でできなかったということがあります。このような要因がありましたので難しかったということがありますが、来年度以降はコロナ前の水準を目指して進めていきたいと考えています。
 達成目標3の遺骨収集事業については、おおむね達成、慰霊巡拝に参加された方の満足度については、おおむね達成をしています。また、遺骨収集の回数、職員を派遣した回数についても厳密な数字が出てますが、目標85回のうちの73回行っているということで、おおむね達成としています。
 また、達成目標4の中国残留邦人等の関係については、自立支援通訳そして指導員の派遣、いずれもまだ数字が出ておりませんが、近年のトレンドの関係で見ると、おおむね達成していると考えています。
 達成目標5の抑留者関係資料の取得等については、いずれも目標を達成して100%というところです。
 一番下の次期目標等への反映の方向性です。達成目標1については、引き続き時間の短縮、事務の改善を図ってまいりたいと考えています。昭和館、しょうけい館については、コロナというところで過去数年間低い時期がありましたが、小中学生に対する働きかけなど、特に来年以降、戦後80年というのもありますので、周知に力を入れていきたいと思います。なお、累積目標で最終目標値を記載していますが、これについてはコロナを踏まえた微修正を考えています。達成目標3については、引き続き取組を進めていきたいと考えています。達成目標5については、おおむね100%を達成している所が多いので、指標10については来年度少し増加が予想されるため維持したいと思いますが、指標11、12については、期間を短縮したり、別の目標を、抑留者の特定候補者を選定した数ということで設定したいと考えています。説明は以上です。
○菊池座長
 ありがとうございます。それでは、皆様から御意見、御質問などを頂ければと思います。いかがでしょうか。藤森委員、お願いします。
○藤森委員
 御説明ありがとうございました。1点、次世代への継承というところで、今回、達成目標2につきまして、昭和館、しょうけい館の来館者数について、特にしょうけい館で工事が行われていて、再開発計画によって移転があったということ、それから、コロナ禍でなかなか来れなかったということもあったと聞きました。お話を聞きながら思ったのは、次世代への継承を目的にしているのであるならば、もちろん来館者数も1つの目標だと思うのですが、それだけではなく、戦中・戦後の国民生活の労苦を伝えるということは、例えばホームページでもできることではないかと思っております。それは、コロナ禍があったからというだけではなく、地方に住んでいる若者や学生も見られるようにするという点においては、ホームページの閲覧数をもっと増やしていくといった目標の設定の仕方もあるのではないかなと考えましたが、いかがでしょうか。
○社会・援護局援護企画課長
 ありがとうございます。御指摘のとおり、しょうけい館、昭和館は東京にありますので、来館してもらうとなると、修学旅行等でそういった場面もありますけれども、どうしても地理的な課題があるのかなとは考えております。昭和館、しょうけい館ともにホームページの充実も図っておりまして、かなりライブラリーは見ることができることにはなっていますので、ホームページの閲覧は、今後、課題として考えていきたいと思っております。
 ただし、しょうけい館につきましては、実は場所が移ったというのがありまして、それに伴って入館者の誘致を今後進めていかないと、力を入れないといけないと考えておりますので、まずは入館者を見た上で、ホームページがどういった状況になっているのかも、現状も確認しながら今後考えていきたいと考えております。
○藤森委員
 来館者数の目標がいけないということでは思っておりませんけれども、それに加えて、地方に住む若者や学生にとっては、ホームページで見られるということは、次世代への継承という点では有意義なことではないかと思いますので、それもご検討いただければと思います。
○菊池座長
 ありがとうございます。岩崎委員、お願いします。
○岩崎委員
 岩崎です。今のお話に関連するのですけれど、私はコロナのときにハンセン病の資料館も見学に行きたいと思ったのですけれど、なかなか授業自体もままならない状況もあったものですから、お願いしたらオンラインで見学させてもらえたのです。リアルタイムで、カメラを持って館内を案内してくれたのです。ただ、規模が違う部分もあったりとか、なかなか難しいことがあるかと思うのですけれど、そういったこともリアルタイムで御紹介していただいて、その場で質疑応答とかもしていただいて、とても有り難くて、コロナが終わったら終わりになるのかなと思って、去年お尋ねしたら、コロナが終わってもオンラインで見学してもらえますと言われて、やっていただきました。なかなか授業時間中、これは内々の話なのですけれど、前後の授業があって移動する時間などを考えると、ほかの授業を休んでという、最近、いろいろな諸般の事情で私たちも苦しいのですけれど、そこがうまく解消できたりとかする。今の学生は、本当に戦争があったことすら多分余りイメージできないような世代にもなっているのですよね。ですので、是非、それを進めていただけると、私も申し込みたいなと思いますけれど。
 もう1つ、中国残留邦人等の問題も、全然、若い世代の人たちは現実感を持っていないと思うのです。これも、いろいろな形でいろいろなデータもWeb上で見られるようにもなっているのでしょうか。もし、なっていらっしゃるとしたら、そういうのも是非、積極的に御紹介していただけたりすると、うれしいなと思いました。以上です。
○菊池座長
 いかがでしょうか。
○社会・援護局援護企画課長
 ありがとうございます。最初のアイディアにつきましては、こちらの体制などもあるかもしれませんけれども、ヒントとして共有はしたいと思います。中国残留邦人等についても、私も1年前にここに来て、こういうこともまだやっているんだと言うとあれですが、なかなか若い方は御存じないなという思いはありつつも、今の施策の中では、中国残留邦人等に特化したと言いますか、中国残留邦人等をターゲットにした承継的なものは施設としては確かに余りないものですから。ただ、国としては、語り部活動と言って、中国残留邦人等の方の経験などを伝えていただく語り部を育成する事業を実はやっておりまして、各学校に派遣しているというものがあります。まずは、そこを今後は力を入れていきたいと思います。
 啓発についても、一般的な先の大戦の労苦を伝えるだけではなくて、そういった中国残留邦人等に関する啓発と言いますか、広報的なものも今後は進めて力を入れていけたらなと思っております。
○菊池座長
 平野委員、何かありますか。
○平野委員
 結構です。
○菊池座長
 分かりました。新保委員、お願いします。
○新保委員
 ありがとうございます。私も、次世代への継承ということは、是非、力を入れていただけたらと思ったところでした。1つ、測定指標1の援護年金及び弔慰金についてですけれども、請求後6か月以内の裁定ということなのですが、この6か月というものをもう少し短縮することはできないのかどうかというところです。対象者の方が高齢化されているということもありますので、指標として6か月なのですけれど、短縮が検討できないのかどうかということが1つです。
 目標値、実績値を見ますと、かなり高い数値と言いますか、達成しておられるので、この目標値をこのまま継続するのかどうかというところも教えていただければと思います。以上です。
○社会・援護局援護企画課長
 ありがとうございます。今、過去の平均で8割強、9割弱のところ、87%ぐらいはできているというところなので、6か月を短くできるかは、逆に都道府県、各自治体との関係などもあるので、なかなかすぐに目標を短くするかというところは難しいのですけれども、なるべく早く実績を上げるような取組は御指摘を踏まえて進めていきたいと考えております。一応、6か月以上掛かるというのは、やはり遺族年金、戦傷病者ですと医学的な知見を聞いたり、そういった専門的な知見が必要だったりというところもありますので、それぐらい掛かっているというところはありますので、御指摘も踏まえて、なるべく早い取組は進めていきたいと考えております。
○菊池座長
 ありがとうございます。委員の皆様から、インターネット、SNS、オンラインがこれだけ進んだ現代にあって、施設に行かなければいけない、全国に1つしかない、そこに行かなければいけないというところを、人員、組織、予算の制約はありながらも、いろいろな工夫ができるのではないかという、余地はあるのではないかという御示唆だと思いますので、その辺りを踏まえていただければと思います。
○社会・援護局援護企画課長
 そうですね。建物を持っているというのは、なかなか厚生労働省の中でもそんなに多くはないところで、どうしても近隣の地域などに目が行きがちなのですけれども、ホームページの活用など、これから力を入れていきたいと考えております。
○菊池座長
 それでは、よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、今も課長からお話がありましたが、本日の議論を踏まえて実績評価書への反映をお願いいたします。どうも、ありがとうございました。
 それでは、次のテーマに移りたいと思います。続きまして、施策番号Ⅹ-1-2「高齢者の在宅生活に必要な生活支援・介護予防サービスを提供するとともに、生活機能の維持向上によって虚弱を防ぎ元気で豊かな老後生活を支援すること」につきまして、担当課から5分から10分程度で御説明をお願いいたします。
○老健局認知症施策・地域介護推進課長
 まず、老健局認知症施策・地域介護推進課より、施策目標の生活支援・介護予防サービスの提供に関する部分について御説明をさせていただきたいと思います。
 資料については、令和5年度実績評価書(案)の概要です。施策目標Ⅹ-1-2ということで、「高齢者の在宅生活に必要な生活支援・介護予防サービスを提供するとともに、生活機能の維持向上によって虚弱を防ぎ元気で豊かな老後生活を支援すること」ということです。
 まず現状です。これは皆様もよく御案内のところですが、高齢者を取り巻く状況ということで、1ポツの右側に少し書いてありますが、特に現状で我々が着目しているのは、認知症の高齢者も含めまして、世帯主が65歳以上の単独世帯、夫婦のみの世帯というのが増加をしてきているということです。その上で、高齢者の方々の生活機能ですが、いわゆる純粋な介護ということだけではございませんで、身の回りの動作などは維持されていても、買物、外出等の生活活動に課題というか難しさを感じていらっしゃる方が増えてきているという現状認識です。
 そうしたことを踏まえ、施策目標の1つ目の柱として、日常生活支援や介護予防をしっかり行政としてサポートしていくということです。2つ目のポツに書いていますが、単身世帯などの増加、支援を必要とする軽度の高齢者の方々が増えているという状況を踏まえ、在宅での生活を支えるために、ボランティア、NPO、民間企業、これまで介護サービスについては社会福祉法人などが中心になってきたわけですが、それにかかわらず、ボランティアやNPO、民間企業も含め、多様な主体が高齢者の方々の多様な生活支援、介護予防のニーズを地域全体で支えていくという体制を作っていく必要があるということです。
 そのために、2-1、2-2ということで、大きく2つの柱で施策を整理しています。まず、2-1は、介護予防・日常生活支援総合事業ということで、個別のいわゆる介護の給付ということではなくて、地域の状況、実情に応じまして、高齢者の方々の多様な生活支援、あるいは介護予防を地域の中で総合的にサポートしていく、そういう体制の整備をするという大きな柱です。そのために、ここで現状を少し書いていますが、いわゆる訪問ですとか、在宅でサービスを提供する形、あるいは通所で高齢者の方々から通いでサービスを提供するような形など、様々なサービス提供をしてきています。コロナの影響もあって、通いの場というのは一時期減少してきているわけですが、再び通いの場というものも増えてきているという状況です。
 そうした中で、課題1に書いてありますが、冒頭少し申し上げましたが、高齢者の単身の方が増えてきている状況、生活支援に関わるニーズというのは非常に多様だというようなことです。他方で、何でもかんでもサービスを受けるということではなく、御本人の生き甲斐というか、役割を持って生活できるというようなこと、そのための居場所と出番を作っていく、そういうアプローチも大事になってきているという状況かと考えています。
 そうしたことを踏まえて、達成目標1ということで我々が掲げておりますのが、要支援者の方々が住み慣れた地域で暮らし続けることができるように、多様なニーズに応じた多様なサービスが利用できる、そういう体制を市町村に作っていくということ、その中で、特に通いの場というようなことを重視して、つながりを通じて参加される方が継続的に広がっていくような、そういう地域づくりを目指すということ。これらを達成目標1ということにしております。そのための測定指標といたしましては、訪問型なり通所型なり、いろいろな多様なサービスを提供している事業所数を増やしていくということ、その中でも特に通いの場に着目しまして、参加率を高めていくということ、これらを測定指標としております。
 大きな2つ目の柱として、2-2の真ん中の部分ですが、地域で多様なニーズに応えるということを考えたときに、関係者間の連携を確保する必要があるということです。そのために、我々としては、関係者が集まる地域ケア会議を市町村で開催するというようなことをやってまいりましたし、生活支援コーディネーターの配置を増やしてきたということです。
 こうしたことについて引き続き取組を続けるということで、達成目標2の所ですが、生活支援コーディネーターや協議体を活用して、多様な主体が定期的に連携を図っていくということ。地域ケア会議についても、開催の頻度や件数を確保した上で、個別の課題の積み重ねをしていくということで、下の3から8まで、枠囲みに書いてありますような指標を掲げています。具体的には、地域ケア会議の開催市町村の数、生活支援コーディネーターの配置人数、協議体の数等々をアウトプットの指標として掲げています。
 では、今現状がどうなっているのかというのが、6ページの実績評価書(案)ということです。総合判定ということで、達成目標1の部分につきましては、多様なサービスの事業所数、通いの場への参加率ということですが、それぞれ達成、おおむね達成というような状況です。
 それから、達成目標の2ということで、関係者間の連携に関しても、地域ケア会議の開催、コーディネーターの配置等については達成、一部判定が難しい指標7のようなものもありますが、達成というような状況です。
 最後、次期目標への反映の方向性としては、引き続きトータルの最終的な目標の達成に向けて取組を進めていくということで、達成目標1、達成目標2それぞれしっかりと取組を着実に進めていくということを、次期目標に向けて考えていきたいということです。
○健康・生活衛生局健康課長
 続きまして健康課でございます。5ページをもう一度見ていただいてよろしいでしょうか。介護予防の観点におきましては、5ページ右側3.の健康づくりとの関係が重要になってくると考えていますので、それにつきまして達成目標等を設定しておりますので、その取組状況を御紹介いたします。5ページの右側の所ですが、今お話させていただいたとおり、生活習慣病対策を健康づくりと一体的に実施していくことが重要だということで、右下の達成目標3として、適度な運動、適切な食生活などにより、運動器障害や低栄養を予防し、社会機能の低下を予防するということを目標とさせていただいています。
 具体的な目標としては、日常生活における歩数、低栄養傾向にある高齢者の割合ということで、BMIが20未満という痩せの方の割合、12番としてフレイル予防の啓発ツールを活用している市町村の割合、これらを目標に定めて取組を進めさせていただいております。
 6ページを御覧ください。取組状況です。右上の達成目標3の指標10、11、12の所を見ていただければと思います。指標10と11は、国民健康・栄養調査というのがデータソースになっているのですが、コロナの影響等で公表が遅れておりまして、申し訳ございませんが、今はその評価が判定不能という状況で報告させていただければと思っております。指標12のフレイルの予防普及ツールを使った市町村数については、令和4年度ベースで半分以上の市町村で使っていたことを目標としていましたが、それが23.9%と、判定結果としては×という形で報告させていただいております。
 施策の分析、評価を今後どのようにしていくのかということにつきましては、6ページの中段右側、効率性の評価の所です。我々は一旦パンフレットを作成し、その後、特別に普及用に予算計上をしているわけではないのですが、そうした中でも市町村に働きかけをして、使っていただいている市町村が増えてきておりますので、やはり科学的に取り組んでいただくことが重要だと思っています。たんぱく質の摂取等々について分かりやすく解説しておりますこのツールを継続的に使っていただけるように、働きかけを継続していきたいと考えています。私からは以上です。
○菊池座長
 ありがとうございます。それでは、ただいまの説明について御意見などございましたら、お願いいたします。藤森委員、お願いします。
○藤森委員
 御説明ありがとうございました。私のほうでは、指標1の介護予防・日常生活支援の多様なサービスというところで、身寄りのない方がこれから増えていく中では、このサービスはとても重要になってくると考えています。
 そこでお伺いしたいところとしては、概要の12ページを御覧ください。この多様なサービスは様々あって、訪問型、通所型、その他生活サービスとあります。恐らくこれから身寄りのない方が増えていく中では、多分これまで家族がやってきた、一緒に暮らす中で様々な必要な支援に気付いて、そして公的サービスにつないでいくという機能が、身寄りのない高齢者は難しくなってくると思います。その点で、見守りを重視していくということはとても大事だと思うのですが、この12ページを見ると、今、見守りを実施している自治体の割合は7.6%という形で示されていて、これを一体どのように評価していくのかという点を教えていただければ幸いです。また、配食のほうは2割で、見守りが7.6%となっています。一方、こちらの指標を資料3-1の3ページを見ると、「その他生活支援サービス」というのがここに該当するところだと思います。前年度の事業所というところでは、前年度以上という所が△になっているのですが、自治体の中で実施する所が7.6%だとすると、ここは非常に低い水準にあるのではないかとも思っていて、ここの評価のところを聞きたいのが1つです。
 2つ目に、目標の設定の仕方として、事業所数というところではなくて、自治体の中でどの程度実施しているのかという目標を定めて、この割合を高めていくことを目標にすることがあるのではないかと思いました。見守りを頻度よくやりながら、気付いていくというところが必要かなと思ったところが1点目です。
 それから2つ目、指標2のところで、通いの場への参加率を高めていくということを目標にされていて、これも非常に重要なところだと思っています。一方、なかなか難しいと思うのは、孤立している人ほど通いの場に参加していないという課題があるだろうと思います。ここに対しての施策というのはどんなことを考えられているのかという、この2点をお伺いできればと思います。以上です。
○菊池座長
 お願いします。
○老健局認知症施策・地域介護推進課長補佐
 ありがとうございます。労健局認知症施策・地域介護推進課の岸と申します。まず、この12ページのデータの見守りの7.6%という数字なのですけれども、こちらは、介護予防・日常生活支援総合事業に位置付けた上で行っている自治体の割合となっています。これがどういう意味かと申しますと、総合事業というのは対象者がまず限定されています。要支援者、あるいはそれに相当する方です。さらに、その方々に対して訪問型、通所型を提供し、それを一体的にやる場合の見守り事業というものの実施割合が7.6%であるということなので、実質的に市町村の中で地域支援事業、ほかの事業とかも活用しながら見守りをやられている自治体というのは、おおむね多くの市町村ではやられている。ただ、総合事業のお金を充てているかということになると、ちょっと低いということになりますので、ちょっとその点がデータとして見えづらい部分かなと思っています。
 あと、御指摘いただいた少し減っているという部分なのですけれども、令和4年のときに少しデータが減っているというところなのですが、こちらについても見守りの実施割合が少し減少としては多く出ていて、これは恐らくなのですけれども、見守りをやられている方は地域住民の方とかが多くありまして、コロナとかで少し見守り活動が停滞したというのも一因ではないかと思っています。これから、様々な孤独・孤立対策とかもございますので、この辺りをいかに支援していくかというのは重要な課題と認識しています。
 また、通いの場、特に孤独・孤立の方に対するアプローチという部分については、この政策評価には出てこないのですが、地域包括支援センターというものが市町村の中にそれぞれ置かれていて、そこで孤独・孤立の方に対するアウトリーチですとか個別訪問とかの対応を行っているところです。これについても孤独・孤立施策計画のほうで推進していくということになっていますので、この政策評価とはちょっとずれる部分なのですが、進めていきたいと考えています。以上です。
○藤森委員
 今1点目で御説明いただいた点なのですけれども、この見守りの7.6%というのは、訪問型、通所型と一体でやっている見守りで、だから低い水準だと。では、この一体でやっていない見守りとして、3ページのその他生活支援サービスとして出されているところでは、どのぐらいの自治体が実施されているかという数字はお持ちでしょうか。
○老健局認知症施策・地域介護推進課長補佐
 その他生活支援サービスとしてやっているものが、これぐらいになります。地域包括支援センターが、総合事業のお金を使わず、対象者も限定せず、65歳以上の高齢者皆さんに対してやっている見守りの数となると、すっと出てきませんが、我々が取っている調査の中では、8割9割ぐらいは自治体として事業化されているというデータは把握しているところです。
○藤森委員
 なるほど。では、9割の自治体はこの見守り事業を実施しているということですね。あと、どのぐらいの頻度で行っているのかというところが。
○老健局認知症施策・地域介護推進課長補佐
 そこまで細かい実施状況については、データとしては取っていません。
○藤森委員
 恐らくこれから大切になってくるのは、見守りの頻度というところは身寄りのない方の中では大事になってくるので、そんな指標もあれば、これからまた見ていくことができるのではないかと思います。
○老健局認知症施策・地域介護推進課長補佐
 ありがとうございます。
○菊池座長
 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。平野委員、どうぞ。
○平野委員
 私のほうから、2点質問させていただきます。1つは、今回の地域ケア会議と生活支援コーディネーターの配置人数というのが、結構重要な役割を示していますし、さらに、地域ケア会議の中身というか、その辺りが1つの指標として活用されていると思います。ただ、いずれもかなり高い達成状況になっていますので、今後新しい指標化に向けて、いよいよもう少し展開を図る必要があるのではないかと感じている次第です。
 そこで、指標7のデータ、資料3-1のほうで見ていただくと5ページになるかと思いますけれども、指標7の出典の所に、保険者機能強化推進をされると交付金が出ますよという、文字通りインセンティブ交付金のことが出ているかと思います。1つは、このインセンティブ交付金自体が成果を出しているのかという議論は、どうしてもあるのではないかと思います。今日は、政策目標として一体何を実現していくのか、あるいは、その手段がそれに有効に作用しているのかという点でいうと、これは文字通り、ある意味でインセンティブを与えて政策を達成しようというプログラムだと思うので、その中のデータを使って、指標7を明らかにしようとしているということだと思います。もし可能ならば、このインセンティブ交付金をめぐって、どういうようなそれの有効性みたいなことが議論になっているかということに触れていただけると、今後の指標に活用できるかどうかも見えてくるのではないかというのが、1点あります。
 それともう1つ、先ほど最初に申しましたように、配置人数であるとか会議の開催数に代わって、今申しましたインセンティブ交付金以外に、何か所管課のほうで検討可能な指標みたいなものの展望をお持ちであれば、少しそれも関連してお聞かせ願えれば助かります。以上です。
○菊池座長
 ありがとうございます。いかがでしょうか。
○老健局認知症施策・地域介護推進課長補佐
 ありがとうございます。インセンティブ交付金、保険者機能強化推進交付金については、令和4年の介護保険部会でも御議論いただいた内容になります。やはり、いかにアウトカムというものについて実質的に評価していくか、あるいは、膨大な指標群の中にどの程度効果というものに相関があるものが存在しているかというところについて、今、正に議論を深めているところと思っています。
 他方、アウトカムというところについて、例えば要介護度の悪化などの部分、改善悪化などの部分になりますと、単純に単年度の比較は難しく、中長期的な視野で見ていかなければいけない。では、交付金の仕組みとどう組み合わせていくのか。その辺りも含めて、よりアウトカムに特化した内容にインセンティブ交付金をいかに見直していくのかというのが、介護保険全体の議論として存在していることは承知しています。
 また、政策評価の指標群の中にある、今我々がお示ししている指標については、基本的にアウトプットの部分、ストラクチャーの部分が近いのかなと思っています。こちらについては、例えば地域包括支援センターの評価指標というものを、今年度これはまた別の指標になるのですけれども、見直させていただいて、達成しているか否かだけではなくて、段階的に市町村の取組を評価できるような見直しをしたなどの取組を行っているところでして、また引き続き第10期に向けて検討を進めていくものと承知しています。以上です。
○平野委員
 生活支援コーディネーター関係で、何か新しい指標化に向けての議論があるかどうかについても、ちょっとお願いします。
○老健局認知症施策・地域介護推進課長補佐
 ありがとうございます。生活支援コーディネーターの評価については、こちらも昨年の総合事業の充実に向けた検討会の中で、どのような行為を評価していくのかというのは、全体の議論として宿題として残ったと承知しております。今ですと、実際に居場所を作るだけではなくて、住民からやりたいことを引き出すとか、それをどう地域に展開していくのかとか、生活支援コーディネーターは幅広い業務になっていますので、その中で何を評価するのか、一律に定めることが適当であるのか、住民の活動を阻害しないように、どういう評価指標があるべきなのかということについて、今検討を進めている状態になっています。
○平野委員
 ありがとうございました。これはコメントだけですけれども、非常に定着率が悪いという議論も現場のほうから聞いています。つまり、比較的早期に募集して応募されて辞められるという現実がかなりあるということも聞いておりますので、その辺も含めてかなり自由度の高い人材を配置する、私の立場からすると、唯一の事業ではないかと思っておりまして、是非、それが定着し、かつ一定の成果を生むような、指針ともなるような指標みたいなものも御検討いただければと思った次第です。よろしくお願いします。
○菊池座長
 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。岩崎委員、どうぞ。
○岩崎委員
 御説明ありがとうございます。高齢者は専門ではないので、とんちんかんなことをお尋ねするかもしれないのですけれども、フレイルのことは今すごく話題になっていて、地域でもサロン活動を始めるとか、いろいろな動きはあると思うのですけれども、これは単に栄養の問題なのでしょうか。もちろん行動の問題もあると思うのですけれども、お痩せになっている状況というのが、栄養が偏っているとかそういう問題ということで、栄養士さんうんぬんという話になっている感じなのでしょうか。
 何か貧困ということ、つまり、余り日本は生活保護の捕捉率がうんぬんという話がよくあって、実際には生活保護基準を下回るような状況で暮らしている高齢者の方が結構多いですよね。そんな中で、栄養がただ単に偏って好き嫌いとか、そういう理由だけなのか。それとも、やはり貧困ということが背景にあるという見立てというのは、そちらの担当課でされているのかどうなのかを、1つお伺いしたいと思います。
 もう1つは、この課題はものすごく大きなことで、そんなに簡単にアウトカムが設定できるようなことではないということは承知していますけれども、私は障害者領域の仕事をしていて、ピアサポーターの方たちに随分活躍してもらっているのです。そういう意味で地域のボランティアという意味では、高齢者の方の活用というのも、かなり実態としてそういう現実があるのではないかと思うのですけれども、その辺をもっと、高齢者の人たちの当事者性みたいなものを、もっと表に。私なんかも一歩ぐらい踏み込んでいますけれども、いずれ自分たちも同じように面倒を見ていただくという立場になるわけで、そういう良い意味での循環というのを、高齢者の人たちのピアサポート活動みたいな感じで展開してもらえたら、うれしいなと思いました。以上です。
○菊池座長
 ありがとうございます。いかがですか。
○健康・生活衛生局健康課長
 資料18ページを御覧ください。御質問への直接の回答になっていないかもしれないですが、栄養が十分摂れていない背景に貧困があるのでないかというのは、個々の事案によっていろいろあると思っていまして、一概にお答えすることが難しいことは御理解いただいた上で、我々としてはフレイル予防で3つポイントがあると考えています。
 やはり先ほど申し上げたたんぱく質も含め栄養がきちんと摂れていない場合や、身体活動が足りていない、また、これを何らか予防にいかせないかということで、2つ挙げています。さらに、今お話いただいたとおり、ボランティアとして自らが参加していくことは、我々としても重要だと思っていて、そうした参加をしていること自体が、様々な面でフレイル予防につながっていくと思っていますので、この3点を中心に取組をしている状況です。恐らく直接的な回答になっていないと思うのですけれども、今の状況です。以上です。
○菊池座長
 ありがとうございます。私からは1点、いつも同じテーマについて言っているような気がするのですけれども、目標値が「前年度以上」というのが極めて多いですけれども、「前年度以上」というのは政策目標と言えるのかという基本的な疑問です。これは、所管課もそうですが、事務局にもお尋ねしたいのですけれども。KPIでも前年度以上というのがあったかどうか、ちょっと分からないのですけれども。
 やはり、ある政策に関して目標があって、なぜ、いつまでに、どこまで達成するのか。なぜそれが目標なのか、可能なのかと、いろいろなことを考えながら、施策というのを立てていくと思うのですけれども、「前年度以上」と言ってしまうと、極端に言うと何も考えていないに等しいのではないか。「以上」ですから前年度と同じでもいいのですよね。それでいいのですかということになるわけです。特段の事情があればやむを得ないかもしれないですけれども、やはり、こういう目標値の立て方というのは、せっかくの大事な政策を考えていくに当たってのツールですから、それをみすみす逃しているということになるのではないか。そうすると、政策評価の意義が減殺されてしまうのではないかと思うのです。
 その辺りを今後に向けて基本的にお考えいただけないかということと、あとは、これは事務局に対してですけれども、ほかにもこういった指標の立て方をしているのが少なからずある、まだあると思いますので、こういったものをどう考えるか。これは所管課というか事務局の方針にもなっていくのですけれども、いかがでしょうか。
○調査分析・評価担当参事官
 事務局でございます。おっしゃるとおり、「前年度以上」と書かれているものが幾つかございます。表現としては前年度の取組を後退させないということで、いわゆる維持と言いますか、そういう性質のものについて、「前年度以上」と掲げているものが見られると認識はしておりますけれども、おっしゃるとおり、果たしてそういう設定でいいのかというものについて、座長から御指摘いただいたところも踏まえ、私ども事務局全体として、今回はこちらのワーキングですけれども、全体の政策評価についても、その対応ですとか、果たして適切になっているかというところについては、今後しっかり検討してまいりたいと考えています。
○菊池座長
 よろしくお願いします。もちろん一人も取り残してはいけない、一人も漏れがあってはいけないというのだったら、100%を常に維持するという、それはそういう目標設定で非常に合理性があると思うのですけれども、それはやはり一つ一つ吟味する必要がありますよね。その辺は御検討いただければと思います。ほかにはよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、議論を踏まえ、担当課におかれましては、実績評価書への反映をお願いします。どうも御苦労さまでした。
 それでは、続きまして議事(2)に移らせていただきます。事務局から説明をお願いします。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
 資料4「第15回政策評価に関する有識者会議福祉・年金WGにおける御意見等への対応状況」について御説明いたします。こちらは、本年2月に開催した福祉・年金WGで頂きました個別の御意見等につきまして、事務局で議事録を基に御発言内容から御意見・御指摘内容を抜粋いたしまして、担当部局に現在の対応状況等を照会したものでございます。
 表紙の部分、全体として29個の対応状況を記載させていただきました。そのうち、「対応」と区分していたものは37.9%、「今後検討」が41.4%、「対応困難」が3.4%、「事実関係の照会等」が17.2%という形で整理させていただいております。幾つか具体的な対応状況について御説明させていただきます。
まず2ページ目、3ページ目は施策目標Ⅶ-1-2「複合的な課題を抱える生活困窮者に対し、就労、家計、住まい等に関する包括的な支援を行うことにより、その自立を促進すること」という目標に関する御意見等を記載しております。こちらにつきましては3ページ目を御覧ください。こちらの番号9、平野委員より「生活困窮者支援は自治体ごとに特性がある事業であるため、自治体が自ら評価に取り組んでいる割合等について、今後、指標等に追加いただくとよいのではないか」との御意見を頂きました。
 右側の欄の対応状況でございますが、「現状では、毎年度、自治体に調査を行う必要があり、指標に設定することは直ちには困難と考えている」ということで、区分としては「対応困難」としております。「なお、令和5年度に実施した調査研究事業で、福祉事務所設置自治体にアンケートを行ったところ、回答があった560自治体のうち約6割で必須事業である自立相談支援事業の自己評価に取り組んでいることが分かった」とのことで、その旨付記しております。
 なお、本施策目標Ⅶ-1-2につきましては、そのほか頂いた御意見等を踏まえ、全体を見直し、課題や達成目標の追加、指標や目標値の見直し等を行い、概ね「対応」となっております。
 続きまして4ページ目を御覧ください。4ページ目は、施策目標Ⅶ-1-5「自殺総合対策大綱に基づき、自殺対策を推進すること」に関する御意見等でございます。こちらの一番上、番号12、菊池座長より頂きました御意見でございます。「政策評価の意義の一つは、所管行政機関が、どういう考え方で、どこに力を入れ、何を推進しようとしているのかを発信することにあり、こうした意義を踏まえ指標の設定等を検討いただきたい。子どもの自殺対策など、他省庁の所管との重なりがある場合でも、力を入れて推進している施策については、達成目標や測定指標として立てることが必要」との御意見を頂きました。
 右側の欄の対応状況でございますが、「厚生労働省がこどもの自殺対策として実施する事業の実施状況等について、測定指標として設定することを検討していきたい」として、対応区分として「今後検討」とさせていただいております。
 最後に5ページ目を御覧ください。こちらは、施策目標Ⅷ-1-1「障害者の地域生活や就労を総合的に支援すること」に関する御意見等でございます。こちらにつきましては、番号20から25まで、地域移行、達成目標にして1、測定指標ですと1から4に当たりますが、こちらに関する御意見を多く頂いたところでございます。こちらにつきましては、右側の対応状況欄、「次回の基本指針の策定に向けて引き続き検討を進めていく」としております。
簡単ではございますけれども、資料4に係る説明は以上でございます。
○菊池座長
 ありがとうございます。ただいま御説明いただいた事項、あるいはそれ以外の事項でも構いませんので、更に皆様からの御意見なり御質問なりがあればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。会場からは特によろしいですか。平野委員、何かございますか。
○平野委員
 1点だけ。先ほど菊池座長から「前年度以上」という指標が本当に妥当なのかという御指摘がありました。それから、100%達成とか、かなり高い達成の場合に新しい指標をどうしていくのかというような議論も今日少し含まれていたと思いますので、特に「前年度以上」については、先ほど事務局からお答えもありましたけれども、いろいろな意味でこの有識者会議の役割でもあろうかと思いますので、是非、事務局にも的確に御判断いただければいいかなと思った次第です。菊池座長と全く同じ意見なので、私もそのことを感じていたこともございまして、ちょっと繰り返した次第です。以上です。
○菊池座長
 ありがとうございます。平野委員の「対応困難」という回答があった事項がありますけれども、これについては何かございませんでしょうか。
○平野委員
 最初の自治体の自己評価についてのデータは少し紹介していただきましたけれども、ある意味で、ちょっとそれるかもしれませんが、ここの有識者会議の一つの役割として、市町村に評価の文化を普及させるというような意味合いもどこかあるようにも思っております。そういう点では、審議官のほうから最初に説明がありましたように、基本的には国の自己評価ということがこれのベースにあるわけですけれども、同時に市町村の自己評価も促進していくというような視点を我々が持ったほうがいいのではないかというような意味も込めて、独自性のある事業だったものですから、そういう発言をさせていただきました。定期的にその指標を把握できないというコメントだったとは思いますけれども、何らかの形で、市町村の自己評価の促進という問題を我々全体としても検討していったほうがいいのではないかというように感じました。以上です。
○菊池座長
 貴重な御指摘、ありがとうございます。いかがでしょうか。事務局として今の政策評価の在り方というか意義をどう考えるかということと、また所管課にこういった意見があるということをお伝えいただくということ。お伝えいただくにはどう伝えるかという話もあるので、正に政策評価の在り方そのものにも関わってくるところなのですが、いかがでしょうか。
○調査分析・評価担当参事官
 ありがとうございます。おっしゃるとおり、先ほどから御指摘いただいている「前年度以上」が多かったり、目標が100%でとどまっているものが多かったりというところは、他の部局から出てきているものにもございまして、その辺りは我々のほうでも事前に資料等を取りまとめしている中で確認しております。一方で、そもそも政策評価の意義でございますとか、そういうところも、おっしゃるとおり、やはり改めてしっかり確認をしていくことが必要かと思います。また、政策評価が何なのかというところにつきましては、先ほどもお話がありましたとおり、特に厚生労働行政につきましては地方自治体で実際に実施しているもの等もございますので、各政策でどういう目的を持って、どのように測定していくのか、まさにPDCAサイクルと言いますか、そういう観点でどういうように政策評価に取り組んでいくのかというところにつきましては、私どもも含めまして、関係者、また政策評価書を作る各部局において、しっかり改めて認識できるような取組を、御指摘も踏まえて考えてまいりたいと思います。会議でありました御指摘につきましては、しっかり各局にもフィードバックさせていただいておりますので、それに加えて、御指摘も踏まえて、追加の取組というものも考えてまいりたいと思います。ありがとうございます。
○菊池座長
 平野委員、いかがでしょうか。
○平野委員
 くどい意味ではないのですが、どういう指標を設定するかということになってくると、それを市町村から吸い上げるということに当然なっていくと思います。吸い上げるという意味で、その吸い上げる指標自体が市町村にとっての自己評価を促進するという関係がうまく展開できるといいのではないかというように思ったことも、ちょっと補足させていただきました。よろしくお願いします。
○菊池座長
 ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、事務局におかれましては、ただいま出た御意見も踏まえてフィードバックなり今後にいかしていくなりお願いできればと思います。
 それでは、本日予定しておりました議事は終了いたしました。本日も有意義な御意見、御審議を頂きまして、どうもありがとうございます。では、事務局から本日の議論の取扱いについて説明をお願いします。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
 本日頂きました御意見等の取扱いですが、まず、実績評価書(案)の記載に関する御指摘等につきましては、担当課室において必要な修正をするとともに、評価書の「学識経験を有する者の知見の活用」欄に反映状況を記入させていただきます。実績評価書(案)につきましては、当室で取りまとめの上、総務省への通知及び厚生労働省ホームページでの公表手続を進めさせていただきます。また、併せて皆様にも最終版を送付させていただきます。
 また、今後の目標設定等に関する御指摘等のうち、中長期的な検討課題となるもの等につきましては、事務局で整理の上、担当部局にて検討の上、進捗状況を今後の会議で皆様に御報告をさせていただきます。
 なお、議事(1)、(2)ともに、本日の会議の場で伝えきれなかった御意見等がございましたら、1週間後、7月29日(月)までに事務局まで御連絡いただければと存じます。説明は以上でございます。
○菊池座長
 それでは、これをもちまして本日の会議を終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。