第8回救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ(議事録)
医政局地域医療計画課 救急・周産期医療等対策室
日時
令和6年8月8日(木)10:00~12:00
場所
一般財団法人主婦会館プラザエフ スズラン
議事
- 下記のとおり
- 2024-8-8 第8回救急・災害医療提供体制等に関する検討会ワーキンググループ
○上野補佐 ただいまから、第8回「救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして誠にありがとうございます。
本日、進行を務めさせていただきます事務局の上野でございます。よろしくお願いいたします。
議事に入ります前に、本来であれば構成員の先生方の御紹介と事務局の紹介をさせていただくところですけれども、時間の関係上、構成員名簿及び座席表の配付をもって紹介に代えさせていただきます。
また、本ワーキンググループに関しましては公開の場として実施しております。資料・議事録につきましては厚生労働省ホームページで公開済み、また、議事録については追って公開予定でございます。
事前に御希望のあったマスコミの方の傍聴が入っておりまして、YouTubeでのライブ配信ありという形で開催をさせていただいております。構成員の皆様方におかれましては、あらかじめ御了承ください。
また、御出席いただいている構成員の方々のうち、会場にお越しいただいた構成員の方とウェブで参加されている方が見えます。ウェブ上に猪口構成員、野木構成員、細川構成員、溝端構成員、横堀構成員が参加されておりまして、そのほかの構成員の方には会場にお越しいただいております。
また、横堀構成員から途中退席、田中構成員から御欠席の連絡をいただいております。
また、構成員の先生方のほかに、参考人として公立昭和病院病院長の坂本哲也先生に会場にて御出席をいただいております。
なお、事務局においては近藤救急・周産期医療等対策室長が欠席しております。
まず、発言の方法から確認させていただきます。ウェブ参加されている構成員の先生方におかれましては、御発言の際はZoom画面の下部にございますリアクションボタン、または参加者一覧の下部から手を挙げるをクリックしていただいて、指名を受けてからマイクのミュートを外して御発言をお願いいたします。御発言後は再度マイクをミュートにして、手を挙げるボタンを解除いただきますようお願いいたします。手を挙げるボタンがない、あるいは使い方が不明な場合には、代わりに画面に向かって手を挙げていただくなどのアクションで表明をお願いいたします。
続きまして、お手元の資料を御確認ください。開催要項、議事次第、座席表、構成員名簿をお配りしております。また、資料につきましては資料1番から3番、参考資料1、2をお配りしております。今時点で不足等がございましたら事務局までお知らせください。
報道の方で冒頭のカメラ撮り等をされている方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○上野補佐 それでは、議題の1「座長の選出」に移りたいと思います。
開催要項で座長は構成員の互選により選出することとしておりますけれども、あらかじめ構成員の先生方から御推薦いただき、また、御相談させていただき、大友構成員に座長をお願いしたいと思います。
大友先生、以後の議事運営を含め、どうぞよろしくお願いいたします。
○大友座長 座長に御指名いただきました大友でございます。よろしくお願い申し上げます。
それでは、早速議事に入りたいと思います。議題の2「本ワーキンググループの今後の進め方等について」です。資料1について、事務局より説明をお願いいたします。
○上野補佐 事務局でございます。資料1「本ワーキンググループにおける今後の進め方について」を御覧いただきますようお願いいたします。
3ページ、医療計画の概要をお示ししております。都道府県が国の定める基本方針に即して地域の実情に応じて、都道府県における医療提供体制の確保を図るために策定しているものでございます。令和6年度から第8次医療計画が各都道府県において開始しているところであります。
4ページ、その医療計画の中で5疾病6事業という部分がございますけれども、その中の6事業のところで、新興感染症、あるいはへき地、周産期医療、小児医療と並んで救急医療、また、災害時における医療というものを位置づけております。
5ページ、こちらは第8次医療計画策定時に、第8次医療計画等に関する検討会という検討会の下に、各分野の専門家の先生方に議論していただくべく、ワーキンググループが各領域において立ち上げられております。本ワーキンググループに関しましては、この中の一つとして、救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループということで立ち上げております。
6ページ、こちらは第8次医療計画における救急医療提供体制のポイントをお示ししたものでございます。概要の部分を見ていただきますと、救急医療機関の役割を明確化するということ、また、高齢者が自らの意思に沿った救急医療を受けられるように環境整備を進めるということ、一番下ですけれども、感染症対応と通常の救急医療を両立できるような体制を構築するといったことを記載しております。
7ページ、こちらには災害医療に関しましてポイントをお示ししております。DMAT・DPAT等の派遣や活動の円滑化、様々な保健医療活動チームの間での多職種連携を推進するということ、また、機能や地域における役割に応じた医療を行う体制の構築を進めること等を挙げております。
そういった第8次医療計画に沿って救急医療・災害医療の整備を行っておりますけれども、続いて、本ワーキンググループの今後の進め方ということで9ページ、開催要項より本ワーキンググループにおける検討事項としましては、第8次医療計画における救急医療提供体制、また、災害医療提供体制の在り方についてということを挙げております。そのほか、新興感染症との関わり、その他の救急災害医療提供体制等の在り方に関する事項についてというものを議論する場としております。
第8次医療計画が令和6年度からスタートしておりまして、今後、その中間見直し、あるいはその後には第9次医療計画の議論などもしてまいりますけれども、それに先立って今回先生方に御議論いただきたい点を下の四角囲いの中に挙げております。
1点は、新しい救命救急センターの充実段階評価についてでございます。充実段階評価については追って資料2の説明に際して詳細を申し上げますけれども、項目の見直しが必要だという意見をいただいており、厚生労働科学研究班で議論をいただいていたものの成果が一定まとまりました。また、見直しに当たっては試行調査も要するため、一定の時間を要するということもあり、今回議題とさせていただいております。
もう1点、災害薬事コーディネーターについてでございます。第8次医療計画の指針の中にも記載をしておりますけれども、こちらの職種については国による養成が始まっていくことと並行して、その活用を進める必要がございます。その活動要領等につきまして、追って先生方に御議論いただければと考えております。
資料1についての説明は以上でございます。
○大友座長 このワーキンググループの今後の進め方について説明いただきました。
このワーキンググループは開催要項にございますように、第8次医療計画が今年度から始まっておりますけれども、これに関して随時見直しをしていくというのが大事な検討項目でありますが、それに先立って、今年度は救命救急センターの充実段階評価、2018年から続いておりますけれども、これの見直しの議論、それと、災害薬事コーディネーター、これは第8次医療計画に記載されておりますけれども、国の養成が始まるということで、それに関する議論をしていきたいということが、今年度のこのワーキンググループの方針ということでございます。
何かこれに関しまして御意見はございますでしょうか。では、この方針で進めるということでよろしゅうございますか。
(一同、同意)
ありがとうございます。
次に、今申し上げました「救命救急センターの充実段階評価について」です。
それでは、資料の2について事務局から御説明をお願いいたします。
○上野補佐 事務局でございます。資料2「救命救急センターの充実段階評価について」を御覧ください。
2ページは今時点の救急医療提供体制の体系図でございます。一番上から救命救急センターをはじめとした第三次救急医療を担う施設、また、その下には二次救急、さらには初期救急を担う施設、それぞれの役割分担をしながら各医療圏、あるいは都道府県で医療提供体制を敷いていただいているところでございます。
3ページ、救命救急センターにつきましては御存じのとおり、24時間365日、救急搬送の受け入れに応じて、脳卒中、心筋梗塞、また、重症外傷等の患者など、複数の診療科にわたる重篤な救急患者を広域の災害時を含めて受け入れることが可能である施設、また、集中治療室、あるいは心臓病専門病室、脳卒中専門病室等を備えて、常時重篤な患者に対して高度な治療が可能であるといった機関を救命救急センターとしております。
4ページ、今現在の救命救急センターの整備状況を推移とともにお示ししております。右側、令和5年のところを見ていただきますと、令和5年時点で施設数にして304施設、うち高度救命救急センターが47施設、地域救命救急センターが19施設という状況でございます。
5ページ、こちらは都道府県ごとの救命救急センターの数をお示ししています。一番多いところで東京都の28か所、また、右下のほうを見ていただくと、一番少ないところでは山梨県で1か所となっております。
6ページ、こちらは人口100万人当たりの数をお示ししています。順番が少し変動しまして、左上を見ていただきますと、一番多いところですと島根県、あるいは佐賀県というところで、それぞれ6か所、5か所あまり、また右下、埼玉県、山梨県というところで、それぞれ1.5か所、1.3か所といったようになっております。
7ページ、こちらは救命救急センターの充実段階評価について概要をお示ししております。平成11年より救命救急センターの質の向上を図ることを目的として充実段階評価がなされるようになりました。直近では、先ほど大友先生からもいただきましたけれども、平成30年に各検討会での議論を重ねた上で新しい充実段階評価として改正をしております。その後、新型コロナウイルス流行下におきましては、一部の項目を評価対象から外す、あるいはコロナウイルスへの対応を行っていた医療機関に、その影響についてヒアリングをするといった特例措置も行っておりましたけれども、大きな項目としましては平成30年を最後に変更はしておりません。
今現在、令和4年から6年の間の地域医療基盤開発推進研究事業の中で、厚生労働科学研究班において、その評価項目の内容について検討をいただいておるところであります。
充実段階評価につきましては、厚生労働省のホームページでその結果を施設ごとに公表することのほか、一部財政的なインセンティブにも関わっておりまして、左下を見ていただきますと、診療報酬の点数につきまして救命救急入院料というものがございますけれども、そちらにつく加算で救急体制充実加算1から3というものがございまして、それぞれに充実段階評価のS、A、B評価でこちらにお示ししているような点数がつくというものがございます。
また、右側を見ていただきますと、医療提供体制推進事業費補助金という救命救急センターの運営等に係る補助金でございますけれども、こちらの交付額を算定するに当たって充実段階評価の結果に応じた係数を乗じているというものでございます。
8ページ、こちらは今現在の救命救急センターの充実段階評価の項目でございます。45項目、合計100点満点になっておりまして、赤字でお示ししているのが、前回平成30年の見直しにおきまして新規追加、あるいは一部細分化をした項目でございます。また、番号にオレンジ色がついておりますものが是正を要するか否かというものを判断する項目になっております。
こちらを用いまして、9ページの上の表の縦軸を見ていただきますと、合計点数ごとにs、a、b、cの評価がつきまして、また、横軸を見ていただきますと、是正を要する項目が幾つあるかということでそれぞれ評価がついております。それらを総合的に勘案した上で、この表のようにS評価からC評価までをつけるものになっております。
下の表を見ていただきますと、評価区分ごとの施設数の推移をお示ししております。一番右側に令和5年をお示ししておりまして、S評価の施設が98施設で32%、A評価の施設が200施設で約66%、B評価の施設が6施設で約2%という配分になっております。
10ページ、今回議論していただくに当たって、現状の救命救急センターにおける取組状況、あるいは厚生労働科学研究班の評価項目の見直しに係る検討も踏まえて、この令和6年中に評価項目の見直しに関する取りまとめを行い、令和7年、つまりは令和6年の実績を評価するものになりますけれども、令和7年の評価で試行調査を行った上で、令和8年、つまり令和7年実績を評価するところから、新しい項目によって評価することとしてはどうかとしております。
下の表を見ていただきますと、試行調査というものは前回の見直しの際にも行っておりますけれども、今回新たに追加する、あるいは変更する項目につきまして、まずは各施設にそれぞれの状況を確認した上で、その結果も踏まえて、最終的に新たな項目案を決定するという流れを想定しております。
11ページ以降は厚生労働科学研究班の成果報告書から引用させていただいておりますけれども、今現在の項目について各施設の充足状況を抜粋した資料でございますので御参考でございます。
資料2については以上でございます。
○大友座長 救命救急センターの充実段階評価の改訂について、再来年に改訂になりますが、それに向けての項目の検討ということです。
引き続きまして、厚生労働科学研究でこの評価の改訂案を議論していただきました坂本参考人から御説明をお願いしたいと思います。
○坂本参考人 参考人の坂本でございます。資料3に基づきまして救命救急センター充実段階評価の改訂案について、厚生労働科学研究での検討結果について御報告をいたします。
この内容は、令和5年度の厚労科研の横田裕行研究代表者のもとで行われた「地域医療構想を踏まえた救急医療提供体制の充実に関する研究」の中の分担研究として行っております。この分担研究では毎年厚生労働省で集計していただいている充実段階評価の分析を行うとともに、次の段階で求められる新しい充実段階評価の改訂案について、救命救急センターの今後の在り方を含めて検討しております。
具体的な概要ですけれども、今回は第8次医療計画に合わせて救急医療の体制構築に係る指針の改訂版、従来からの救急医療対策事業実施要綱、第8次医療計画で救急・災害医療の体制をつくるに当たって行われたワーキングにおける意見の取りまとめ等を公表されている資料として用いました。これらによって示されている救命救急センターに求められている機能を救命救急センターの今後の在り方に合わせて整理をした上で、全国の救命救急センターに対するアンケートを令和4年度に実施をいたしました。このアンケートで、現在の評価項目に対する御意見、あるいは新たに取り入れていただきたい評価項目についての御意見をいろいろと挙げていただきましたので、それらを精査した上で研究班で議論して、新たな充実段階評価の改訂案として提案をいたしております。
3ページ、具体的な内容ですけれども、まず、新規として救急外来における専従看護師の配置に対する評価を加えたらどうかということがございます。入院に関しては病棟の看護師に関しては様々な施設基準で7対1等々がございますけれども、救急外来においては特化した明確なものがなく、一般外来の看護師が交代で救急外来に来ればよいというような体制を取っているところもございました。しかし、救急外来に救急専従の看護師がいることは、救急外来での救急医療の質を高めるためには必要であろうということで、今回この項目を加えました。
救急外来に常に専従の看護師を配置しているということによって1点、そして、それに加えて救急医療に関する専門性が高い看護師、これは下のところで類型となる資格等を挙げておりますけれども、これらの看護師が少なくとも1人常勤として40時間以上救急外来に勤務していることによって2点というように配点を考えてございます。
4ページ、これは充実段階に関するピアレビューの実施ということで、これも従来から意見があったものでございますけれども、この充実段階評価に関しましては、それぞれの項目の記入方法について厚生労働省からガイドが記載されておりますけれども、それぞれの医療機関で採点基準等が実はある程度ばらばらである、解釈が一定していないという問題点もございました。この充実段階評価の妥当性を保証するためにはピアレビューを行って、その評価の方法を標準化していく必要があるだろうということで、ピアレビューを今回は提案してございます。
具体的には、第三者によるピアレビューとして自施設以外の救命救急センターの職員、それから、搬送に当たっている当該施設が所在する消防機関の職員、そして、行政として各都道府県の職員などを指しておりまして、この三者全てがレビュアーとなって、実際に例えば当直表であるとか、あるいは救急患者の応需記録等々、実際のデータを見て評価をしていくというようなことを提案してございます。
5ページ目も新規でございます。重症外傷に対する診療体制整備に関する評価ということで、昨今の国際情勢を考えると必要性が高まっており、あるいは我が国でも安倍首相の狙撃事件等もございました。テロ災害の発生への懸念ということが高まっていると考えられます。これに対して、厚生労働省としては外傷外科医等養成研修事業を実施するなどの対策を実施しておりますけれども、最終的にこれらの受け皿となる救命救急センターにおいて、この重症外傷に対しての診療体制が構築されているかどうかというのは、重要な評価ポイントではないかと考えられました。
具体的に評価項目としては2つ挙げております。
まず、大量輸血プロトコール(Massive Transfusion Protocol)、これは血液型の判定前に出血性ショックの者に対しては、救急外来に備蓄しているO型の赤血球等を用いるような院内ルールがきちんと構築されていて、その適用や保存方法の担保などができているかどうかというようなこと、これが1点でございます。
それに加えて、施設内に外傷外科医等養成研修の受講者がいるということで、この受講者に関してはインストラクターとしての参加も可ということ、それから、厚生労働省の研修会以外に、外傷診療体制の構築を講習の中に組み込んでいるSSTTコースも可とするということを参考として記載をしてございます。
6ページ、4番になりますけれども、これについては変更、もしくは追加ということになります。これは従来から充実段階においては第三者評価として日本医療機能評価機構の評価、もしくはISOの評価を受けることで点数化をしておりましたけれども、今般、Joint Commission Internationalの日本版ということで、日本医療機能評価機構だけではなくて、こちらのJCIのほうも、例えば特定機能病院の第三者評価では認められているというようなこともございますので、これも同等にみなそうということで、JCIの評価も可とするということで追加をして、これも2点とさせていただきました。
それから、最後の5番目になりますけれども、診療データ登録制度への参加と自己評価ということになります。これにつきましては、従来は疾患別の診療データの登録制度ということで、具体的にはその実例として日本外傷データバンクのみを上げていたわけですけれども、これに加えて、昨今自殺に対しての登録が非常に重要ではないかという意見が出て、厚生労働省でもその推進を行っております。
この中で、WHOからも自殺というのは初回企図ではなくて再企図によって亡くなる方も非常に多いということで、自傷・自殺未遂等に関してはきちんと登録をした上で、再発を防いでいくようなシステムが必要であろうということで、今現在、日本臨床救急医学会と一般社団法人いのち支える自殺対策推進センターによってレジストリーの構築がされて、運用が開始されております。実際に複数の救命教育センターでこの登録が始まっております。
一方で、日本外傷データバンクの登録は救命救急センターのうちの8割程度、240施設程度が既に参加をしているということもございますので、従来、外傷データバンクだけで2点だったものを外傷データバンクは1点として、さらに自殺・自傷のレジストリーの登録を行うことによって、もう1点追加して2点とするということを提案してございます。
今回、そのほかにも様々な議論がございましたけれども、最終的に新規及び変更としてこの研究班から提案をさせていただいたのは、この5項目ということになります。
以上です。
○大友座長 ありがとうございました。
救命救急センターの充実段階評価の見直しに関して、厚生労働科学研究での議論の内容について御説明いただきました。
一つは、救急外来における専従看護師の配置、それから、この充実段階評価、これはあくまでも自己評価であって、その内容の妥当性が保証できるのかという、かねてからの懸念があったのですが、これに関し、ピアレビューをすることを評価するということ、それから、重症外傷の診療体制を評価する、あと、第三者による医療機能の評価、それと、診療データ登録制度の参加に関して評価していこうという5つの御提案がございました。
これも含めまして、この充実段階評価の見直しに関しまして御意見をいただきたいと思います。
加納構成員、お願いいたします。
○加納構成員 まず、そもそも論から少し確認したいと思います。
資料1の6ページの左側に、二次救急医療機関は高齢者救急をはじめ、地域で発生する救急患者の初期診療と入院治療を主に担うなど、地域の救急医療機関の役割を明確化するということで、第8次医療計画においては二次救急医療機関が今言われている高齢者救急をメーンに行いながら頑張っていく、それに手に負えないというか、高次の患者さんが出た場合は、しっかりと三次救急がそれを補填するということが明記されたかと理解しております。
その中で、例えば参考資料の1の10ページに、三次救急、二次救急の数の推移が書かれているかと思います。先ほどの一番手前の報告では300を超す三次救急がつくられているということで、一方、これから高齢者救急を担わなくてはいけない二次救急が減っているという数字が出てきております。三次救急というのはそもそも論でいきますと、先ほども都道府県別の数字が出ておりましたが、100万人に1か所つくるという形で、全国で120か所になるのでしょうか、100万人で割れば、そういう数になるかと思うのですが、それを3倍とまではいきませんが、非常に大きな数が出来上がっている。その中で限られた救急専門医が働いているわけでありますし、三次救急の数を減らすという議論も今回の評価においてやっていくというような方向性を出す必要が出てきているのではないかなと思う次第であります。それに対する方向性の中で、こういった形での評価が必要になってくるのではないかなと思います。
小児に関してはいろいろな意見が出て、今、周産期、小児等には集約していく方向性が出てきたと思うのですが、三次救急もそういう方向性で、これからの高齢者救急で何が一番大事かとなると、二次救急医療をどうやって運営させていくかということ、そこを支えるのが三次救急という役割の明確化をしていくべきかと思います。そういう意味での充実段階評価になればと思うわけです。
一方、今までの充実段階評価に関しましては、本当にSとAにあらずんばになってしまっている。これではいかがなものかなと思う次第で、そうしたら減らしていくにはどのように条件的に厳しくいくかという方向性が見られないような感じで、その結果、どんどんまた増えているという、それはなぜかといいますと、運営的に補助金が出たりとか、評価が高くなれば診療報酬も高くなり、そういった結果で多分増えているのだと思います。経営的に厳しかったら増えるわけがありませんので、そういう意味でも何か考えていかないことには、やたらめったら三次救急ができて果たしていいのかどうか、高齢者救急に対して本当にいいのかということを議論すべきではないかと思う次第であります。
その中で、また今回、1から4が出てきました。
最初の専従看護師の配置に対する評価、これは例えば今までですと、ここにわざわざ救急外来という言葉で書いているところも気になるのですが、今回は救命センターの救急外来ということに限られているのだとは思うのですけれども、外来看護師の基準が上に書いてありますように人員配置で30対1、これを守りながら、いろいろな形で救急現場は頑張っていると思うのです。
ここに専従という言葉を使ってしまうと、各病院で非常に負担が出てくるのではないかということを懸念する上で、さらに専門性が高い看護師を評価するような形が出てきているのは、今いわゆる救急の認定看護師さんは1,200人ぐらい全国でいらっしゃるかと思うのです。1,200人ぐらいの方をまた取り合いしなくてはいけないという変な形が出てくるような評価になってしまうのではないかなと、結果的にこういう形で出してしまうには、まだまだ時期尚早ではないかなということが一つあるかと思います。ここはもう少し慎重に議論すべきではないかなと思います。
あと、3番の重症外傷に対する診療体制整備に関する評価というところでありますが、これに関しましては、地震等の災害もありますが、今、台湾有事も考えられますし、確かに今回、第8次医療計画の中には三次救急の役割として、銃創、爆傷創とか、そういった本当にテロ等も備えた対策が書かれたと思いますので、ここはしっかりと対応していくべきではないかと思います。
一方で、外科医が減っているという中で、そういった意味でもここらも含めて、より先鋭化された三次救急をつくるためには、三次救急の集約化をしっかりとした言葉として出していくべきではないかなと思っております。
以上です。
○大友座長 加納構成員から非常に重要な御指摘がございました。
1点目は、高齢化社会に向けて二次救急の役割は非常に大きくなっていて、今後活躍していただかなくてはいけないけれども、実態としては数が減ってしまっているという一方で、三次救急がどんどん増えていってしまっている。なので、三次救急の数に関しての見直しも今後必要だろうという御意見でございました。
2点目の救急外来の看護師のお話、それと、重症外傷の評価に関して、しっかりと体制を組むためには集約化も必要なのだろうというようなお話だったと思います。
坂本参考人、お願いします。
○坂本参考人 加納構成員、ありがとうございました。
研究班として、今の御質問に対して答えられる部分に関してお答えをしたいと思います。
まず、充実段階評価に関しましては、それぞれの救命救急センターが本来その役割を果たすべきにはどのような機能を持つべきかという観点でつくっておりますので、救命救急センターの数を幾つにすべきかということに関しては、直接の議論の対象とはしておりません。しかし、救命救急センターの役割を明確にしていけば、その中で必要な数というものが出てくる。それは単に人口当たりというだけではなくて、アクセスの問題もありますので、人口の少ない地域ではアクセスを考えて数が必要になってくるということもありますので、そこはまた別途議論が必要かと思っています。
それから、加納構成員からございました第8次医療計画の中での二次医療機関で高齢者等を診て、本来、救命救急センターは重篤で高度な医療が必要な者のみを診るのが役割である、確かにそのとおりでございます。
その一方で、搬送困難事例に対する社会のセーフティーネットとして、最後の砦として、たとえ重篤でなくても高齢者の搬送困難事例等、近隣の複数の二次救急医療機関に断られたら最後は救命救急センターで見なくてはいけないというルールを決めている地域もございます。今回の充実段階評価で、そのような搬送困難事例の受け入れということを評価項目にするかどうかということは、かなりの議論をしました。
しかし、これは救命救急センターの本来の役割ではない、重篤で高度な専門性の高い患者を見るのがより大事であるということを重視し評価項目には入れませんでした。そういう対応が必要な地域が存在するのは確かです。東京でも例えば都心部では救命救急センターを有するような病院しかないので、救命救急センターを有する病院が東京ルールの受け皿となっていることがございます。ただ、多摩地区に行くと、二次医療機関がかなりそれを担っていることもございますし、また、大阪では別の状況と聞いております。
これに関してはそれぞれの二次医療圏、もしくは都道府県で、医師会、そして、救命救急センター、行政等できちんと話し合って、それぞれの役割、その二次医療圏、あるいは都道府県の中では、そのような搬送困難例に対して、救命救急センターがどのような役割を果たすべきかということをきちんと議論していただいて、その中でその役割を果たしているかどうかをピアレビューで検討していただければいいのではないかと考えております。
それから、3つ目ですけれども、救急外来における専従の看護師のことで、専従で常にいるということの定義はどこまでを言うのかということに関しては、実はかなり幅があります。救急外来に交代で誰かが24時間いればいいのか、あるいは少なくとも1人は救急外来での仕事をもっぱらとする、業務のほとんどを救急外来で行うような看護師、中心的な役割の看護師が救命救急センターでは必要ではないかということが議論されました。
救急外来を専従の看護師のみで24時間カバーすることが理想かもしれませんけれども、今現在の体制では、救命救急センターであってもそこまでの体制を組むのは難しいのではないかという議論が出ましたので、どの程度までを求めるかということに関しては、これを評価する段階で説明が必要かと思っております。
以上です。
○大友座長 ありがとうございました。
猪口構成員、お願いいたします。
○猪口構成員 全日病の猪口です。よろしくお願いします。
最初に、加納構成員から救急医療界全体で、二次、三次の働きを考えながらという話がなされておりました。ここで坂本参考人の出している評価のいろいろな新しい組み立てというのはもっともだなというようなところではあるのですけれども、救急医療界全体のバランスを考えてこういうものを決めていかないと、さらに二次救急にしわ寄せが来る。
例えば専従看護師の話なのですが、今、全国で地域医療構想というものをやっておりますけれども、東京では基準病床数、それから、必要病床数に合わせて病床を今検討しているところですけれども、二次救急病院の病床が開棟できないというところが結構目立ってきております。それは何かというと、看護師不足なのです。看護師不足で病床が開けないところが結構ありまして、そこをどうするか。その一方で、基準病床は高齢者が増えるので増え続ける。要するに従業員、看護師だとか専門の医療人が不足しているにもかかわらず、数字がどんどん独り歩きしているギャップに現場が悩まされているわけなのです。
こういう場合に、専従看護師が何人いなくてはいけないということによって、また、力の強い三次救急が看護師の取り合いをすることによって、二次救急、それから一般のもっと慢性期や回復期を担うような病院というのは看護師を取りづらくなる。職員、医療専門家たちの数がしっかり足りているということを抜きにして、しかも三次救急の部分だけを取り上げて計画がどんどん進んでいくのはいかがなものかなと思いますので、医療界全体を考えて、バランスを考えながら、ぜひ決めていただきたいと思います。
以上です。
○大友座長 分かりました。
次に、横堀構成員、お願いいたします。
○横堀構成員 日本医科大学の横堀です。
先ほど猪口先生のお話にもございましたけれども、マンパワーの問題は非常に大事かなと思っております。本年から始まりました医師の働き方改革、これによって特に宿日直許可を取っているような救命センターがあるとすると、そこは救急入院料、あるいはその加算が取れないというようなものが、6月からの診療報酬改定で明記されてきたところであります。そうすると、先ほど加納先生がおっしゃったように、三次救急でも数を制限したほうがよいのではないかという話もありましたが、実際、今年以降、ややもすると三次救急医療機関が立ち行かなくなってくる可能性もあることが危惧されます。したがって、これは冷静に考えていかなければいけないかなというのが一つです。
もう一つは、二次救急医療機関も多くの病院が宿日直許可を取って運用されているという現実があります。なので、例えば三次救急が機能しなくなった、あるいは三次救急の一部分を二次救急医療機関が肩代わりをする、こういった構造をつくるとすれば、三次救急と二次救急の両輪ともしっかり支援をしていく必要がある。先ほど全体を考える必要があると猪口先生がおっしゃいましたけれども、まさにそのとおりで、三次だけではなくて、二次救急医療機関への対応も、両方考えていく必要があるのかなと思いました。
以上です。ありがとうございます。
○大友座長 それでは、溝端構成員、お願いいたします。
○溝端構成員 大阪公立大学の溝端です。
まず、今回提案いただいた5つの項目について、項目自体は特に異論があるものではないのですけれども、少し確認とお願いということを申し上げたいと思います。
まず一つは、救急外来における専従看護師の配置です。救急外来にきちんと看護師を配置する方向に進めないといけない、このことについては全く異論があるものではないのですけれども、救命救急センターというのは主には重篤な患者を受け入れる施設でございますので、常時救急外来に患者がいるといった、いわゆる二次救急病院の救急外来とは大分様相が違うように思います。そういった救急の外来部門に専従する看護師を配置するというのは、逆に看護師の無駄な使い方を生んでしまうと思いますので、救命救急センターの外来に専従して、患者がいるときに勤務できるような看護師がいるとか、できるだけ無駄のないような形で、この部分の評価をしていただくように検討いただきたいと思います。
あと、3の重症外傷に対する診療体制整備に関する評価です。こちらのほうは、まず、大量輸血プロトコールということで、その整備の点を1点としておりますけれども、先ほどの御説明では、救急の初療にOプラスを保存しているか、あるいはそのOプラスをどう使うかといったようなところが主に述べていただいたかと思います。MTPというのは、繰り返し一定時間ごとに一定量の血液製剤がその部門に供給される、さらに血液製剤だけではなくて、ほかのカルシウム製剤であったり、そういったものも定期的に投与するといったこと全てを含めたプロトコールであると思います。項目の文章としてはこれでいいかもしれないのですけれども、正しくMTPというものが整備されるような形での評価としていただいたほうがいいかと思っております。
あと、今回の項目の追加、あるいは修正の中には入っておりませんけれども、従来から内因性疾患への診療体制や外因性疾患への診療体制というものが評価項目の中に入っておりまして、内因性疾患でありますと、循環器科、脳神経内科及び消化器内科においてオンコールで呼べれば1点、常時院内にいれば2点、また、外因性に対しては一般外科、脳神経外科及び整形外科、この全てが常時院内にいれば2点という形での評価になっています。こちらのほうも医師の働き方改革が進む中で、従来、全診療科を院内に当直させていた診療体制がかなり難しくなってきております。
実際、当院でも昨年までは全診療科が各科当直という形で常に院内におりましたけれども、今年度からはそれができないという状況になっております。こういったことは、当院だけではなくてほかの医療機関でも同じような状況かと思いますので、少しこの辺りの内容を今の働き方改革への対応の中で、救命救急センターの質が落ちるではないかとおっしゃられるかもしれないのですが、少し状況を見据えた評価内容としていただければありがたいと思っています。
私からは以上です。
○大友座長 本多構成員、どうぞ。
○本多構成員 本多でございます。
今まで加納構成員をはじめ、問題提起されていた部分が大きな課題としてはあるのかなという印象はお持ちしましたけれども、私のほうからは行政からの立場として、先ほど参考人の坂本先生から搬送困難事例の問題について指摘がありました。
これについて、加納構成員がおっしゃっていたように、今後に向けて必ずしも高度な専門医療が必要かという事例ばかりではない部分もあるので、二次救急の先生方に受けていただく役割分担を進めるというのは非常に大事な問題だという前提があると、前提としては受け止めますけれども、坂本先生からありましたように、現実問題としては、地域によっても大分違いますし、三次救急で最後のフォローをしていただかないといけない事例が毎年の傾向としてあるのも実際のところだと思います。三次、二次の整理の仕方としては、形の上で大枠はこうなるかと思いますけれども、搬送困難事例について現実的に今後どのような役割分担をして、集約化するのかどうかも含めて検討が必要な時期になってきているのかなという印象が、まず一つございます。
その上で、外来に専従の専門看護師を置くかという議論についてでございます。ある程度将来を見据えて医師以外も含めてチームの専門機能の向上を図っていくというのを三次機関が引っ張っていくという方向性は必要だと思いますので、御意見を既にいただいていますけれども、専従とかいうそこの解釈を現実に合わせてある程度柔軟に対応、あるいは持続可能な範囲で検討する必要があるのかなと思うところでございます。
あと、ピアレビューにつきましても方向性としては大変大事なことだなと思いますけれども、どのような会議でどのように進めていくかという辺りは、継続可能な視点で実務的な意味でも整理した方向性が必要と思いました。
以上でございます。
○大友座長 ありがとうございます。
幾つか論点がありました。まず、1番の救急外来の看護師の配置のところです。今回は三次救急の基準ということなのですが、それだけでは済まない、二次にも大きな影響があるというお話でございましたけれども、専門性の高い看護師も全国で1,200しかいない、それはどうなのだということと、そもそも救急に配置する看護師が足りないので二次救急病院の救急の病床が確保できないのだという話もございました。
井本構成員、よろしくお願いします。
○井本構成員 日本看護協会の常任理事の井本でございます。様々な看護師配置に関わる御意見をありがとうございました。
現在、本会が情報収集している中で、三次救急に勤務している救急外来の看護師が非常に難易度の高い対応を求められていて、特に非入院患者さん、御自宅に帰られるような方に様々な支援をすることや、今般の働き方改革に対応して、国が示しております救急外来での様々な包括的指示の推進を担っていく必要があると思っております。
本会は、こういったことから、かねてより救急外来で専従的というか、常時対応できるような体制について、災害救急在り方検討会が設置された折から発言させていただいていたところですので、この研究班の御提案については、今後の救急看護の質の向上に当たって大変期待したいと思って受け取っていたところでございます。
一方で、先ほど加納構成員から、救急、専門性の高い看護師については1,200人ほどだということで、本会の認定看護師の登録者数などを把握し、御意見をいただきましてありがとうございます。研究班の結果として書いていただいている救急看護全般の専門領域について認定を取っている者は、ほかにもここに書いてあるクリティカルケア領域ですとか、集中ケア領域ですとか、小児救急看護領域ですとか、あと、特定行為研修修了者の中の救急パッケージ修了者ですとか、急性・重症患者看護専門看護師などがおりまして、これは3,000人弱ぐらいに総計ではなるところでございます。ですので、こういったところ、先ほど本多構成員の御意見にあったように、できましたならば、三次救急でそういったいわゆる医師との協働により質を担保しながら引っ張っていくという意味では、2点目の専門性の高い看護師に関しての検討もぜひお願いしたいと思っております。
1点目の専従看護師に関して、これは令和2年の厚生労働科学研究の中で、全国の二次、三次救急の状況を実態把握していただいているときにも示されておりましたが、病院側は工夫をいただいているところになると思いますけれども、常時看護師を1名は配置されている状況があり、三次救急に当たっては1名以上配置されているという状況がありました。さらに三次救急に当たっては、救急外来に看護師を配置しているといった報告も半分を超えてありましたことから考えますと、当然、全体の医療を考えて議論していくべきことだということは分かっているのですが、今後の三次救急での看護のケアの質の担保に当検討を進めていくというところで御理解いただければと思っているところでございます。
以上です。
○大友座長 この救急外来の看護師の配置というのは、前からの懸案事項だと思うのですけれども、特に三次救急で救急診療をやっている立場からすると、座長の立場を離れて意見を申し上げますけれども、看護師さんがいないとどうにも回らないところがあって、そこのところを含めて救急救命士が救急外来で働くようになったというのもあるのですが、ただ、看護師さんがいないと回らないのは明らかでありまして、しっかり配置していただくのが非常に重要なことだと思っております。
何人かの構成員から、そもそも数が足りないではないかという話なのですけれども、ここのところは病院としてインセンティブを与えないと、救急の看護師を増やそうとなっていかないので、こういうことやらないと、救急外来で働く看護師を増やしていけないのではないか。看護師数が増えてから、これをやるべきだとなると、いつまでたっても増えないような気がするので、ここをぜひ進めていただきたいなと、一構成員として思っておりました。
あと、専門看護師は定義が必要かなと、どういう人を専門性が高いというのかというのもきちんと整理する必要があるかなと思って聞いておりました。
この救急外来の看護師の配置に関して、追加で御発言はございますでしょうか。
加納構成員、お願いします。
○加納構成員 確かに令和2年度の実例として配置の話が出ておりますが、実は先ほど猪口構成員がおっしゃったとおりで、今、令和5年、6年と看護師さんが本当に都会でも足りない、恐らく地方でも大変な状況になっているのではないかなという状況下で、外来どころか病棟が開けないという現状の中で、看護師さんの専従化が出てくることは少し違うのではないかなというのが意見であります。まして、救命救急センターを充実していくことは非常に大事だと思うのですが、私は集約して充実すべきではないかなと思っておりますし、今、座長もおっしゃったとおり、看護師さんがいないから、ある意味で救命士の方も救急外来で働けるようになったという過程もありますし、実は救急救命士さんの評価というのは外来ではゼロなのです。そういうことも踏まえて、根本的なことを考えながら進んでいかないと、現実的ではないのかなという感じがします。
専門の看護師さんが非常にたくさんできていると、足せば3,000人と今お言葉が出ましたけれども、多くの方が実は、救急が好きな看護師さんは熱心にいろいろな専門性を取って、1人で幾つかのところをやっていますので、実際に数えてみたら1,200人程度かなという可能性もあるわけなので、そこらを慎重にやっていくべき、今はそういうことを考えてやるべきではないかなということでの発言でございます。御理解いただけたらと思います。
○大友座長 御危惧されているところはよく理解しております。猪口構成員からもそのことを心配して、三次救急にどんどん引っ張られていってしまったら、二次救急は回らないのではないかというような議論もございました。
ただ一方で、この充実評価の中で、薬剤師とか臨床工学士の配置も見ているわけなのです。そうすると、看護師は何で要らないのだという話にもなるので、これはすぐさま診療報酬どうこうということでもないので、一定の項目を新しく入れるということは大事な一歩ではないかなと私は思います。
坂本先生、その辺はさじ加減を調整いただければと思います。
○坂本参考人 厚生労働科学研究はあくまでも救命救急センターとして、その機能を果たすためにはどうするべきかという視点でしたので、もちろん行政としては救急医療全体、あるいはより広く医療全体の中での資源の再配分をどうするかという観点で、これを考えていただければいいと思います。そのような点で猪口構成員、加納構成員からの救急医療全体への影響を考えろというのは、当然の御意見だと拝聴いたしております。
○大友座長 猪口構成員、どうぞ。
○猪口構成員 坂本先生、本当にありがとうございます。
そのとおりでありまして、途中、搬送困難症例の受け皿であるというようなことで、また三次救急が肯定的にこれを支えているとなっているのは、まさに議論としては違った方向に行っていると私は思います。三次救急が高齢者、しかも治療として何をやるのかというのがないような、三次救急としていた適用のないような患者も運ばれているのが搬送困難症例でありまして、こういった患者さんたちは二次救急でしっかり見ていく。そういうことも大事なのであって、三次救急の受け皿というのは、これは本当に違った方向に行ってしまうと私は思いますので、救急は全体で考えていく、その視点の中で、ぜひ質の向上を目指す。
そのために、これまで医療界は縮小ということがなかなか考えられてなかったのですけれども、縮小というか集約的になっていくという加納構成員のおっしゃっていたようなことも含めて、しっかり考えていく必要があるのではないかなと思います。
以上です。
○大友座長 この二次と三次の議論は非常に根深いところがあるのですけれども、結局、坂本先生の話としては、二次が受けてくれないからしようがないから三次に来ているのですという話だと思うのですけれども、一方で、ですから、もっと二次の体制強化が必要だという話だと思うのです。そういったところまで、最重症の患者さんだけを見る三次の本来の役割だけやればいい話なので、そうでないところもやらざるを得ない状況になっているという話だと思います。
先ほどの二次の病院が減ってきてしまって三次がどんどん増えてしまって、対人口当たり100万人の話が今はもう30万人に1件ぐらいになってしまっているではないかという話だと思います。これは前から議論があったところなのですが、行政、県として、救急診療で頑張っている病院に何らかの財政的な支援をしたいというときに、二次だとそういう支援がなかなかやりにくい、三次にすれば補助金もあるし、診療報酬でも財政的な支援が可能になるということで、過剰に三次を指定している実態がある。ですから、もっと二次に対する何らかの行政からの財政的な支援という仕組みがあれば、もっと二次病院が頑張れるのではないかと思うので、これは前からの議論なので、ここはぜひ厚労省のほうで検討いただかなくてはいけないかなと思います。この点に関して御意見をお願いいたします。
○上野補佐 ありがとうございます。事務局でございます。
冒頭、加納先生から、また、猪口先生からもいただきましたように、救命救急センターは今現在徐々に増えておりまして、300施設あまりということになっております。高齢化、あるいは人口の減少とともに周産期医療なども例示いただきましたけれども、一定、高次な医療を提供する施設というところは、ある程度集約化に向けた議論も進めていかなければならないということは、まさにおっしゃるとおりかと思います。
他方で、アクセスの問題というところ、坂本先生からもいただきました。その落としどころというと少し曖昧な表現にはなってしまいますけれども、適切な集約化の仕方というところは、引き続き先生方と議論しながら進めていければと考えております。
その中で、例えば仮に三次救急を一定集約化していくのだというときに、今現在、特に問題になっているような高齢者の救急、あるいはその搬送困難症例というものを引き受ける二次救急への支援の在り方、特にその数が減っているというところもございましたので、そういったところへの支援の在り方については、限られた財源にはなりますけれども、三次救急への支援、それから、二次救急への支援、両輪で適切な配分、あるいは在り方で行えるようにというところは、我々としても引き続き検討させていただければと思います。
○大友座長 よろしくお願いします。
次の論点として、重症外傷の診療体制ということで、現状、高度救命救急センターは中毒と熱傷と四肢再接着という、何で高度なのかよく分からないところがある中で、優れたというか、高度な体制を整えている状況を表しているのは重症外傷の診療体制ではないのかなということも、前の坂本先生の別の厚労科学研究でも指摘されていた話だと思うのですが、そこで重症外傷の診療体制ということで項目が出ておりました。
この中で、溝端構成員からMassive Transfusionに関して、そのプロトコールにも今いろいろ解釈があるのだけれども、本来のMassive Transfusionの体制であることをきちんと評価しなくてはいけないのではないかという御議論でございました。ここに関して御意見をお願いいたします。
また私から、座長の立場から離れて意見を申し上げるのはあれですけれども、Massive Transfusion Protocolの体制そのものは重症外傷を診療する体制の一部なので、本来、緊急手術を要する方がきちんと適切な時間内に適切な緊急手術ができる体制とか、そういうのも含めて全体の中での外傷診療体制だと思うので、これだけを抜き取って評価するのでいいのかなと思ったところでございます。
それと、厚生労働省の外傷外科医等養成研修ですけれども、これは私が日本外科学会の中で、この研修をやらせていただいているのですけれども、希望者が非常に多くて、毎回3倍ぐらいの応募があった中から受講生を選ぶ、そういう状況になっているので、もし、これが充実段階評価の項目に入ってしまうと、さらに希望者が激増して受けきれないのかなというところが1点危惧されるところです。
あと、これだけでいいのかと、坂本先生としてはSSTT等々の院内体制の整備を教育内容に含めているものを選んだということでしたけれども、この辺に関して、溝端構成員は御意見があるように思うのですが、お願いいたします。
○溝端構成員 最初の大量輸血プロトコールという、この1項目だけを外傷診療体制の整備ということで挙げていいのかということについては、これは決して十分であるとは言えないと思います。
今現在、日本外傷学会のほうで、外傷診療施設の機能評価を進めておりまして、これは外傷診療体制がどの程度整っているかということを網羅的に評価しようとしているものでございます。大変広く、また、必要とされる機能を含めた評価となっております。それは実際の機能を照らし出すものとして、いい評価内容だと思っておりますけれども、そういった学術団体が行っている評価内容を、こういった厚生労働省の充実段階評価に入れていいかどうかということは、また議論が必要かと思いますが、広く外傷診療体制を評価しているという点では、そのような日本外傷学会の評価内容というものも参考にいただいてもいいと思います。
あと、2点目の外傷外科医等養成研修等の受講者についてですが、これは大友座長がおっしゃられたように、まだ十分な数を提供できるほどの研修事業ができているわけではなくて、たしか今年度で8年目でしたか、毎回30チームずつということですので、医師でも240~250人、看護師も同じぐらいということになります。
また、そのことを考慮されてSSTTコースを入れられておりますけれども、同じようなものとして、ほかにもATOMコース、あるいはDSTCコース等もございます。厚生労働省が提供している事業以外のコースも入れていこうということであれば、ぜひそういったオフ・ザ・ジョブのコースについても御検討いただければと思っています。
以上です。
○大友座長 外傷学会で様々に外傷診療体制の必要な要件を整理していますので、それもまた参考いただきたいという御意見でございました。
もう一つは、働き方改革でいろいろな診療領域、非外傷のところ、常時専門領域の医師が院内にいることを求めるのは難しくなるのではないかという御意見でございました。これもまたごもっともな意見のように思いますので、検討いただければと思います。
坂本先生、お願いいたします。
○坂本参考人 まず、今の外傷診療体制の評価に関して、Massive Transfusion Protocolだけで評価するのはどうかという議論は研究班の中でも出ておりました。ただ、外部から客観的に評価可能な指標であるということと、それから、それが充実することによってアウトカムがよくなるという、ある程度エビデンスがあるということから、外傷診療体制の典型例の一つとしてこれを選んだということなので、ここについてはよりよい総合的な指標があれば、切り換えていくということは必要かなと思います。
それから、働き方改革に伴って評価項目の11番、12番、内因性と外因性のところで、医師の院内での常時勤務を求めるということで、これは恐らくこのまま文言を取ると宿日直許可のある勤務のみでは駄目だということになる可能性もあるというところなので、ここに関しては今後これを満たすことが厳しくなるのではないかという議論が当然出ました。
一方で、救命救急センターの本質的な役割として、このような脳卒中や心筋梗塞、あるいは外傷、急性浮腫などに対して即時手術ができるという体制を構築しておくことは非常に重要なことなので、この項目については、是正を要する項目としてまで求めてなくて、達成していれば2点ということで、どちらかというとプラス点としての評価なので、そこに関してはボーナス点的なところで残してもいいのではないかと議論しました。
ただし、今後、そのような体制が維持できる救命センターが減っていくのではないかということは注視する必要がある。そして、働き方改革に合わせて、新たな体制も考えていくべきだという議論になっています。
以上です。
○大友座長 分かりました。
例えばMassive Transfusion Protocolでも、自分でやっていますと申告してみても本当かどうかは、また別の話なので、これに関してはピアレビューをやるということなので非常にいいなと思っています。
猪口構成員、お願いします。
○猪口構成員 今の評価の仕方を否定しているという話ではなくて、これだけでいいのかというような御意見がございましたけれども、この充実段階評価の全ての項目が、ほとんどストラクチャーに偏っているのです。こういうストラクチャーを出すことによってどういう結果を出したいのか。そのアウトカムを評価していくというものが、今、医療界全体に求められることなのではないかなと私は思っています。
物すごくストラクチャー、特に医療人のドクターの数だとか、ナースの数だとか、そういう数によって規定されたストラクチャーのみを求められることによって、今のものすごく一気に増えていく高齢社会に対応できない構造になっていっているような気がしますので、ここを見てもそれ以外の診療報酬の体系にしてもストラクチャーに偏りすぎている。この結果として、どのようなアウトカムを求めているのかというようなことを真剣に考えて、そのアウトカムをある程度評価するような時代になっていくべきではないかなと思っていますので、意見させていただきます。
○大友座長 ストラクチャーだけでアウトカムの評価が少ない、少ない中では重症の救急患者の受入件数とか、そんなところしかないのは問題ではないか、との指摘です。
坂本先生、お願いします。
○坂本参考人 今の猪口構成員の意見ももっともで、研究班の中でもアウトカム、あるいはもっとプロセスを入れるべきだということで、アウトカムについての議論が出ました。今、実際には重篤患者数のところでそれぞれの死亡率が出ていますので、重篤患者の病態別に死亡率を単純比較することはできるのですけれども、ただ結局、そうすると背景となっている患者の重症度の標準化というところが外傷以外では極めて難しいので、より重症な患者を中心に取っているところは、より厳しい評価になってしまうところもあって、なかなか充実段階評価に耐え得るようなアウトカム評価がまだできない、それなりのデータを取るためには、実は症例のレジストリーシステムをきちんとして、レジストリーの中でアウトカムを見ていかないと、単純に何人見て何人助かりましたというだけでは、背景があまりにも異なってしまうという問題点があるので、これは次の世代への大きな課題だと思っております。
以上です。
○大友座長 猪口構成員、どうぞ。
○猪口構成員 大変難しいのです。ただ、例えば回復期リハビリでは、FIM係数を見てみたり、要するに回復度合いを見るということはやっているのです。いろいろなベンチマークの取り方は結構出ていて、手術に持ち込むまでの時間はどのぐらいだとか、そういうものもあるだろうし、いろいろなことを考えればできないこともないと思いますので、ちょっとずつ、すぐに全部というのは絶対無理だとは思っていますが、ちょっとずつそういうところも見ていかないと、マンパワーがどんどん減る時代において、常にストラクチャーで縛り続けるのは首を絞めているようなものだと思いますので、ぜひ考えていただきたいなと思います。
○大友座長 坂本先生、それはもう次世代ということですか。
○坂本参考人 今回も検討したけれども、現時点では適切なアウトカム指標を見つけることができなかったというのが答えです。アウトカム指標についてさらに検討を続けることが必要だと思いますし、今、猪口先生がおっしゃったように、単にアウトカムだけではなくて、そのプロセスとして検査までの時間であるとか、手術までの時間なども今後考えていきます。
○大友座長 ありがとうございます。
本間構成員、どうぞ。
○本間構成員 日本災害医学会の本間です。
先ほどの議論を聞いていまして、救命救急センターの絶え間なき質の向上が求められている。そうすると、例えば専従看護師の配置をしたか否かという視点に加え、例えば専門性の高い看護師を配置し、いわゆる救命救急センターの質の向上に寄与しているとか、あるいは専門性の高い看護師を配置し、ピアレビューの資料を作成しているとか、そういう何か質改善のアクションをについての評価加えてあげることによって達成が可能なような意見を持ちました。
以上です。
○大友座長 やっている、やっていないではなくて、そういうアクションをしているかどうかですか。
○本間構成員 質改善の努力をしているということを示してくださいというような形のほうが、将来的な発展があるのかなと感じました。米国ではいわゆるナースコーディネーターという人が外傷センターの質を管理するみたいなことを、クオリティー・インプルーブメントの活動としてやっているというようなことがベースにあります。
○大友座長 質の改善、質の向上というところの考え方も取り入れたらどうかという御意見だと承りました。
このピアレビューという新しい項目で、実施するのが地元の消防職員、これは非常に適切だと思います。あの病院はA評価、S評価だけれども、実際はどうなのかなというのは一番認識しているのは消防の方なので、消防の方がピアレビューするというのは、私は非常にいい評価者だと思っておりました。この点に関して御意見があったらお願いしたいと思います。あとは行政の方と自施設以外の救命救急センター職員、これも厳しいです。そういう第三者の評価というのは、ピアレビューをしたら、点数が大きく変わったりしたらどうなのかなと思ったりしました。この方向でよろしいですか。ピアレビューを担当する方は適切だと私は思っておりましたけれども、よろしいですか。
ほかにこの件に関して、もしくは救命救急センター、それから、二次救急に関して何か御意見はございますでしょうか。
織田構成員、お願いします。
○織田構成員 織田でございます。
皆さんにほとんど言っていただいたところかと思うのですけれども、今、ピアレビューの話が出ていました。この3種類の方がおられましたら、どのようなレビューの結果が出てくるかというところは、やってみないと分からないところがあるのですけれども、これはむしろピアレビューを試行してみて、そこで出てきたものがどんなものかというのを見ていくと、むしろ興味深いのでは、何かヒントが出るのではないかなと思いました。ですので、これを新規でやってみるということには賛成です。
自施設以外の救命救急センター職員というのはどのように選ばれるのかというところです。最初の想定としては、自施設がどこか自分のところで考えてお願いをするという想定になっているでしょうか。これは坂本参考人にお伺いしたいところです。
○坂本参考人 同一都道府県内というのを一応考えてはおります。その中でどのようなペアリングをしていくかということに関しては、今、織田構成員のほうからあったように、その施設で選ぶのか、あるいは行政のほうで強制的に割り当てをして、毎年それを組み替えて、同じところ同士にならないようにしてもらうのかというようなことに関しては、工夫を考えたほうがいいと思います。
ピアレビューに関しては、もちろんレビューすることも大事ですけれども、レビュアーが自分のところでやっていない取組などについて学んで、レビュアーが自分の施設をよくすることにも資するということも非常に重要ですので、そういう面で、できれば毎年組み合わせを変えながらやっていくのがいいのと思っております。
○織田構成員 ありがとうございます。よく分かりました。
これを始めるときに、いきなり非常に厳しいところから始めるのではなくて、地域で事情のよく分かるところを指名するのもいいのかもしれないなと思いました。
あと、診療体制の整備のところで、確かに私も常日頃、三次救急だからストラクチャーが大事ということで今まで評価されてきたかと思うのですけれども、例えば施設内に外傷外科医等養成研修等の受講者が書いてあると、大体目に見えるようですけれども、みんなが慌てて受講だけして、これで2点で大丈夫だというような形だけ整える、まさにストラクチャーぽいものだけを整えることになるのが目に見えているので、外傷ということに関して言いますと、本当はJTDBの登録もありますので、ああいうものでどれぐらい実力があるかというところが間接的に現れてくると思います。ただ、ああいったレジストリーは外傷のところしか今のところ重症度が入るものはないので、どのように全般に広げていくかというところは、これからの課題かなと思いました。
ただ、MTPのプロトコールを整備しているでありますとか、あるいは看護師の配置などもそうなのですけれども、角度を変えてみますと、本質的ではないかもしれないのですけれども、必ずしも救命センターのある病院というのが救急にものすごく力を入れているといいますか、救急部門がその病院の中でものすごく力を持っているという病院だとは全然限らないところも多々ございます。
例えばMTPのプロトコールというのが、MTPを定めたいと思っても、なかなか院内の調和が取れなかったり、あるいは専従の看護師さんというのを置いてほしいと思っても、院内でなかなか認めていただけなかったりというところで、苦労している救急部門というのは非常にたくさんあるのではないかなと思います。
ですので、院内での救急部門へもうちょっと力を入れてくださいということを院内でお願いするために、こういった評価というのは非常に重要でございまして、例えば看護師さんなどだと、もっと点数のつくところには配置するけれども、救急は看護師さんを置いても1点にもならないでしょう、みんなが交代でやればいいでしょうというような扱いをされているところもあるように聞いています。そういうところを院内で要望しやすくなるという点で非常に大事かなと思われました。今回MTPを1個だけ取り出していますけれども、大事なものだと思っております。
結果として、ひょっとしたらそういう面もあるのかもしれないのですけれども、二次救急から何か剥がすというようなものではなくて、院内でのより適切な配置をお願いするための足がかりとして、私は1番も3番も、そういう面からは非常に意義のあるものだなと期待もするところです。
以上です。
○大友座長 非常に重要な御指摘だと思います。
救急のほうで要望しても病院の中でなかなか認めてもらえない項目があるわけですけれども、MTPもそうです。輸血部がなかなかうんと言ってくれないときに、充実段階評価であるのでぜひお願いしたいというと、では、やろうかという話になると思いますし、看護師さんの配置も必ずしもほかの病院から引っ張ってくるのではなくて、病院の中で救急部門に配置をしていただく。そういう後押しになるということもあるので、そういった意味もあると、院内のパワーバランスを調整する上で非常に有効かなという話だと思います。
先ほどのピアレビューの話ですけれども、これは来年の令和7年、試行調査の中でやっていくのでしょうか。これをやってみるのですか。
○上野補佐 先ほどレビュアーをどこに頼むのかという話もありましたので、こちらに関して始め方、どういった体制で始めるかというところを含めて御相談かなと思います。例えば今既に行っているところがあれば、そこをまず見てみるということもあろうかとは思いますし、始め方を検討させていただければと思います。
○大友座長 織田構成員が言ったように、やってみないと分からないところもあるように、この話を聞いていて思います。やたら厳しい評価をされて点数が激減してしまって、病院の収入まで激減したみたいな話になったらまずいと思うので、人によって点数が違わないように、標準的に評価してもらえるように、試行的にやってみないと、なかなか分からないこともあるのではないかなと思っております。
本間構成員、どうぞ。
○本間構成員 ピアレビューは全ての施設がやるべきで、やったところが2点もらって、やっていないところは点数が何か増えているという構造は本質的ではない。2点の価値以上のものがあるように個人的に思います。
以上です。
○大友座長 本来そうだと思うのですけれども、全て適切に申告しているということの下に、いろいろな行政的な評価や診療報酬に反映されているわけなので、そうあるべきなのですが、なかなかこれが今まではそうなっていなかった。この充実段階評価を始めた頃の厚労省の担当だった、土居補佐は相当昔ですけれども、後で申告の内容が誤っていることが判明したら、これは公文書の偽造だというようなことも言っていました。そういう前提でやっているわけですけれども、なかなかそうでないところもあるだろうということで、まだ全部が評価を受ける体制ではないので、前向きにこれをやった人を点数で評価してあげましょうということ、まずはそれで始めましょうということだと思います。いずれは全て評価、ピアレビューが終わってなくてはいけないということになっていかなくてはいけないのかと思います。
織田構成員、どうぞ。
○織田構成員 まさにそうだなと思いました。公文書偽造というよりは、今や診療報酬と関わるところになってきているので、届け出た内容に過誤がありますと、非常に具合が悪いということになるというのは、私もそのとおりだと思います。
今回挙げていただいた5つの項目の中で、実は2、3、4、5は頑張ればできる内容なのですけれども、実は1番だけは原資がないとできない内容かなと思います。この構造として1ができないと、もし、これで点数が何点かを切ってしまって、SがAになり、AがBになりますと、収入がむしろ下がるわけです。本来だったら配置するためにお願いを病院などにすると、原資がないと言われるのが落ちだなというところがございます。
まずはこのように評価項目として大事なのだということを今回はこういった形で示していくのですけれども、将来にわたっては、専従看護師がいることがそれこそアウトカムに非常に関係してくるということが判明するまでには、何らかの診療報酬なり補助金なりという原資と関わるところに将来的にはつなげていかないと、持続しないものになるのかな。これは三次救急のみならず、二次でも同様のことが言えるのではないかなと思いました。
以上です。
○大友座長 ただ、逆にこれをやらないとS評価がAになってしまい病院の収入が減ってしまうので、ぜひ看護師をつけてくださいという言い方もできるのかもしれないなと思います。
○織田構成員 ただ、やらないと収入が減りますだと、原資がないと思われる方も多いかなと思われて、そうすると、救急部門を止めようかなというところはないと思うのですけれども、モチベーションそれで下がってしまっても、これから救急がますます需要が増してくる中では、少し考慮したほうがいいのかなと思います。
○大友座長 少ない人数を取り合うので、実現するのには集約化するべきだというのが加納構成員の御意見だったと思います。
松原構成員、お願いいたします。
○松原構成員 今までの全体の話に関することを2点、違う視点で1点、計3点について簡単に述べさせていただきたます。
1点目は、加納構成員もおっしゃっていたように、人口減少が急激に進む中では、三次救急についても人口に合わせて減らしていく仕組みは必要だと思います。その際に、一方で二次救急の充実をいかに図るか、セットで検討していく必要があると考えます。
2点目は、質の評価について、ドナベディアンはじめ、皆が納得するアウトカム評価というのはないといえます。そういう中で、補足する形で、このピアレビューというのは非常にいい取組だと思います。特に消防機関の職員のピアレビューは大変いいことだと思っています。その際に、失敗すると許さないという文化が日本にはあると思いますけれども、トライアンドエラーを許す、いろいろチャレンジして、失敗したらすぐにまた軌道修正して直していけばいいという文化を共有しながら、新しい評価項目にチャレンジしていったらいいと思いました。
3点目は、全く別の視点なのですけれども、石川県の災害のとき、いつもいつもDMATをはじめ、戦場のようなところで命を張ってやってくださっている医療従事者の方々には大変頭が下がり、心から感謝を申し上げたいと思います。
一方で、災害時に医療以外の部分でもDMATはいろいろ指示をします。能登半島では福祉施設にいる利用者は全員避難すべきだと、別の場所に連れていくということが起きました。そうすると、その地域で福祉の提供者がいなくなってしまって、福祉を提供することができなくなってしまうわけです。途中でそれはまずいと思ったのか、全員避難を止めていったのですけれども、全員避難をしてしまった施設は、もう二度とそこには戻れないことが起きています。
何が言いたいかと申しますと、命に関わる部分以外の生活に関わる部分についても、災害となれば、医師が決めていく場面が出てくるのですが、生活に関わる場面についてはぜひ福祉・介護現場の人たちの意見をしっかり聞くという仕組みをつくる重要性を御認識いただければと思います。それは日頃の教育がここに反映されると思いますので、常日頃からそういう福祉・介護の現場の意見を聞いたり、また医療側からも教育して、お互いに教えあう、そういう場の設定が今後、高齢者がますます増えていく中で非常に重要ではないかと考えております。
以上です。
○大友座長 非常に客観的な立場から重要な御指摘をいただきました。
3点目のところはちょっと誤解があるのかもしれないです。福祉施設からの避難に関しては、そこにいると餓死する、凍死するという状況の人だけを選んで避難させたと聞いておりますので、全員避難させてしまうと、そこの施設がなくなってしまうので、それは全員ではなくて残す方向でやっていたのだと私は聞いておりました。多分、この状況を確認いただくと、また誤解が解けそうかなと私は思いました。
○松原構成員 現地資料では全員避難という資料があったので、またそのように福祉現場から聞いておりました。
○大友座長 重要なことだと思います。
それから、老健施設、介護施設も含めてしっかり対応しなくてはいけないということは強く認識されておりまして、県庁に設置している調整本部、もともとは医療だけだったのが保健医療、生活者に対する医療支援に加えて福祉も入れています。ですから、保健医療福祉調整本部となっておりまして、福祉に関しても一応しっかりと考慮した対応をしましょうと、仕組み上はなっております。
今日は救急医療の特に二次救急、三次救急の議論でしたけれども、日本医師会の立場で何か御意見はございますか。
細川構成員、急に当ててしまいましたけれども、御発言があればお願いいたします。
○細川構成員 日本医師会として言えば、初期救急という形が主になろうかと思います。今回のこのワーキンググループの中で、8次医療計画の特に救急災害医療の体制の部分に関しては、今後も初期救急の部分で日本医師会はいろいろなことで参画させていただこうと思います。
本日は、積極的な活発な御意見・課題等をいただきまして大変参考になりました。
こちらのほうからは以上でございます。ありがとうございます。
○大友座長 ありがとうございます。
野木構成員、お願いいたします。
○野木構成員 日精協の野木です。お世話になります。
ここの議論とは違って、発言するべきか悩んでいたのですけれども、我々精神科病院としましては精神科救急というのがあるのですけれども、精神科救急は基本的に全県1区で、大体輪番制という形で取っているところが多いと思います。この議論はあまり国でされてなくて、都道府県が中心にやっていて、都道府県によって全然違う部分があるので、これは医政局の地域医療計画課がするべきことではないという意見もあるのですけれども、何らかの形で精神科救急についても考えていくべきではないかと、第8次医療計画の中では思っています。
それと、第8次医療計画の6事業の中で新興感染症がありまして、先ほどの老健とか特養などもそうなのですけれども、なかなか新興感染症に関しては、精神科病院で発症した患者さんはなかなか転院先が見つからなかった。というのは、精神科病院も老健もそうなのですけれども、40とか50人単位で発症しますので、どこの病院も取ってくれないのです。日頃からそうなのですけれども、精神科疾患については、どこの病院も救急病院は取ってくれないというところがあります。
その辺り、自傷・自殺未遂等でコンサルトを受けることはあるのですけれども、精神科病院からお願いすると、なかなか取ってくれないという現実があるということを考えていただきたい。そういう中で、我々としても二次救急病院などと連携を取って、例えば新興感染症で転院できないけれども、いわゆる指導いただけるとか、そういう連携を持てる病院をつくっていただきたいと思っています。
先ほどピアレビューという話が出ていたのですけれども、私がピアレビューはなかなか難しいなと思っているのは、評価する側の人が変わるとピアレビューは変わってくるので、評価が悪かったら非常に低い点数になってしまったと、自分のところはちゃんとやっているのにという、評価する人の主観によって評価が変わり客観的評価と言えない。評価の整合性をどう保つかというところに疑問があります。他の評価項目として、地域の精神科病院とか老健との連携について評価するとか、そういう評価手法をつくっていただくと、我々も非常にありがたいという気はしました。何かそういう手法をピアレビューの場合はつくらなければならないという気がしましたので、ここでの検討課題であるかどうかは別ですけれども、意見として言わせていただきました。
○大友座長 ありがとうございます。
精神科救急に関してはここでのあれではありませんが、新興感染症のワーキンググループの対応に関しては重要な検討課題ですけれども、精神科の患者さんの受け皿がなかったと、コロナ関係のときにお話がありました。
ピアレビューに関してはやたら厳しい人がいるとか、そういうことにならないように、誰がやっても同じ結果になるような標準的な評価方法というのを坂本先生の研究班で御検討いただければと思います。
精神科救急に関してありますか。
○上野補佐 ありがとうございます。
救命救急センターにおいてというところでは、ここに搬送されてきた患者様に関して精神科との連携というところはもちろん、このワーキンググループも含む議論かと承知しております。精神科救急というところに関しましては、野木先生におっしゃっていただいたように、医療計画の中にも位置づけられておりまして、5疾病の中に精神疾患が入っておりますけれども、そちらの議論と併せて、齟齬がないように進めていくということかと承知しております。
○大友座長 一通り御意見をいただけたと思いますが、追加で何か御発言はございますか。
本間構成員、お願いいたします。
○本間構成員 日本災害医学会の本間です。
先ほど松原構成員からあった能登半島地震のお話ですが、本ワーキンググループにおける今後の進め方についての資料の7ページの真ん中に2つの図がありますけれども、先ほどありましたように、保健医療福祉調整本部ができて、いわゆる保健医療のみならず、保健医療福祉が一体に、そこにDMATが関与したので、結果的に多くの老健施設の入所者も含めて広域避難になった。これは恐らく間違いないと思います。ただ、地域差がありまして、例えば輪島市のある一つの地域(門前町)は以前の災害のノウハウがあったのか、高齢施設は避難しなかったという地域差があるようです。
その原因はなぜかというと、その図の右側で、災害の拠点となる病院が会議しましょうということですが、こういう事前計画の段階で保健福祉のプロバイダー等々が入っていないので、災害が起こった後は、こういういわゆる保健医療福祉一体運用になるのですけれども、平時の計画の段階では、一体運用の計画になっていない、いわゆる縦割り構造での計画になっていますので、災害が起こって高齢者施設や福祉施設にDMATが行くと、(十分な事前計画が明確でないので)何となく全部避難してしまうという形になってしまったのかなと思います。このワーキングとしては、この事前計画の段階で福祉、保健の方々を地域の災害計画の会議体の中に構成員として入れてほしいというメッセージを各都道府県地域に伝えることが非常に重要かなと思います。松原構成員の指摘を受けて、そう思いました。
以上です。
○大友座長 災害が起きれば、福祉も含めて調整が検討されるけれども、事前の計画の段階では、福祉がには入っていない場合があるだろうと、そこも入れておくべきだろうという御意見でした。ありがとうございます。
よろしいですか。それでは、一通り御意見をいただいたと思います。
今日もまた、大変貴重な御意見を多数いただきました。今日いただいた御意見も参考にしながら、引き続き必要な対応を事務局にお願いしたいと思います。
それでは、事務局のほうにお返ししたいと思います。
○上野補佐 本日はありがとうございました。
次回以降のワーキンググループに関しましては、日程等が決まり次第、お知らせいたします。
そのほか、全体を通して特に御意見等がございませんでしたら、以上とさせていただきますけれども、よろしいでしょうか。
それでは、これにて本日のワーキンググループを終了いたします。長時間にわたり、ありがとうございました。