2024年7月25日 令和6年度第5回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録

日時

令和6年7月25日(木)12:30~15:00

田中田村町ビル 6E会議室
(東京都港区新橋2-12-15)

議題

  1. (1)テーマごとの検討③(国民からの信頼性確保に向けた体外診断用医薬品・医療機器の規制の見直し)について
    (2)テーマごとの検討④(少子高齢化やデジタル化の進展等に対応した薬局・医薬品販売制度の見直し)について
    (3)その他の項目について
     

議事

○重元総務課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「令和6年度第5回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変御多用のところ御出席を頂き、誠にありがとうございます。
 はじめに、事務局から連絡事項を申し上げます。本日は、会議室における対面形式とオンライン形式を併用して本部会を進めさせていただきます。本部会については、公開とさせていただきますが、一般の方の会場への入場を制限し、報道機関の方のみの入場とさせていただいております。会議の議事録は、後日公開いたします。また、YouTubeでの同時配信も行っております。
 厚生労働省全体の取組として審議会等のペーパーレス化を進めております。本日はペーパーレスでの開催とさせていただきますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明点などがありましたら適宜、事務局等がサポートいたしますので、よろしくお願いいたします。
 続いて、資料の確認をいたします。議事次第にお示しのとおり、資料1~3及び委員提出資料があります。Web参加の委員におかれましては、事前にこれらの資料をメールにて送付をしております。過不足がありましたら御連絡いただければと思います。
 最後に、審議中の御意見、御質問の方法についてお知らせいたします。まず、会場にお越しになって参加いただいている委員におかれましては、挙手をしていただき、部会長から指名されましたら、卓上のマイクをオンにして御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたらマイクをオフにしていただきますようお願いいたします。また、オンラインで御参加いただいている委員におかれましては、御発言をしない間はミュートにしていただきますようお願いいたします。御発言の際は、Zoomの挙手ボタンを押していただき、その後、部会長から順に発言者を指名しますので、マイクをオンにして御発言をお願いいたします。また、御発言が終わりましたらミュートにしていただきますようお願いいたします。また、カメラについては、常時オンにしていただきますようお願いいたします。
 続いて、本日の委員の出欠状況ですが、花井委員が5分ほど遅れて御到着されると御連絡を頂いております。事前には、全員対面又はオンラインにて御出席との御連絡を頂いております。
 続いて、事務局の人事異動がありましたので紹介いたします。総務課薬局地域機能推進企画官の坂西です。
○坂西薬局地域機能推進企画官 坂西です。よろしくお願いいたします。
○重元総務課長 それでは、冒頭のカメラ等撮影はここまでとさせていただきます。
                                (カメラ等退席)
○重元総務課長 以降の議事進行を、福井部会長にお願いいたします。
○福井部会長 福井です。どうぞよろしくお願いいたします。本日も猛暑の中、御出席いただき、ありがとうございます。本日は、議題が3つ用意されております。最初の議題1に入ります。国民からの信頼性確保に向けた体外診断用医薬品・医療機器の規制の見直しについてです。事務局から説明をお願いいたします。
○高江医療機器審査管理課長 医療機器審査管理課長です。本日の議題1、資料1を御覧ください。2ページに、今回のテーマ③国民からの信頼性確保に向けた体外診断用医薬品・医療機器の規制の見直しについての概要を書かせていただいております。背景・課題として、1つ目のポツ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の中で、検査キットの需要が急速に増大する中で、市販後のその性能担保にはウイルスの変異に応じた対応が必要である等の課題が判明しているところです。このため、体外診断用医薬品の特性を踏まえた適切な規制のあり方の検討が必要だと考えております。
 また、2つ目のポツですが、医療機器に関して登録認証機関による登録認証制度というものがありますが、業務から撤退するという事案の発生がありました。この事業撤退に備えたルールの整備等、登録認証制度のより一層の改善をさせていただきたいと考えております。
 このテーマ③の中で、御議論いただきたい事項として、下に、今回4つの提案をしております。1つ目が体外診断用医薬品の特性を踏まえた制度の見直し、2つ目が医療機器の登録認証制度の安定的な運用に向けた制度の見直し、3つ目がデジタルの活用による業務改善に関する事項、4つ目が製造管理者要件等の見直しです。順に説明いたします。
 3ページを御覧ください。まず、体外診断用医薬品です。背景・課題です。1つ目と2つ目は、先ほど申し上げましたウイルスの変異に応じた性能の担保の問題です。3つ目は、体外診断用医薬品は人の身体に直接使用されないということで臨床試験自体は実施されないのですが、臨床検体を用いた性能試験が実施されます。しかしながら、この性能試験の基準等が存在しないということです。臨床試験の場合はGCPがありますが、この性能試験の基準は今はありませんのでデータの信頼性が十分ではないのではないかという御指摘があります。
 4つ目のポツですが、体外診断用医薬品は医薬品のカテゴリーですので、現在、副作用報告が求められておりますが、これも人の身体に直接使用されませんので、副作用という概念が当てはめにくいところがあります。また諸外国では、この体外診断用医薬品の報告は医療機器の不具合報告に包含されているということで、国内外の取扱いが整合されていないところが課題としてあります。
 5つ目は、感染症の検査等、公衆衛生上特に重要と考えられる体外診断用医薬品については、品目使用の性能を実地で確認することが必要ということで、製造販売承認前試験というものを昭和60年頃から実施しております。現在はPMDAで審査を行った上で、QMSによって製造管理や品質管理が担保されていることから、この承認前試験の意義が薄れてきているという指摘があります。
 この体外診断用医薬品に関しての検討の方向性を4つ挙げております。まず、新型コロナウイルスのように特に変異の多いウイルス等を検出する体外診断用医薬品については、市販後の性能担保に必要となる措置が可能となるような制度としてはどうかということです。2つ目として、臨床検体を用いた性能試験におけるデータの更なる信頼性確保のために、基準を定めてはどうかと考えております。3つ目としては国際整合の観点も踏まえて、現状の副作用報告制度から、医療機器と同様の不具合の報告制度へ移行することとしてはどうかと考えております。4つ目として、製造販売承認前試験については現在、PMDAの審査が行われ、QMSで製造管理や品質管理が担保されていることから、これは不要としてはどうかと考えております。参考として、製造販売承認前試験のスキームについて示しておりますので、お時間があれば御確認いただければと思います。
 続いて、5ページ、体外診断用医薬品の特性を踏まえた制度の見直しで、こちらは研究等の医療以外の用途を標榜する試薬の提供業者への対応です。背景・課題を御覧いただきますと、新型コロナウイルス感染症感染拡大時には一般用の体診がまだ出ていない時期に、「研究用試薬」と表示された薬事承認を受けた体外診断用医薬品ではない検査キットが販売されておりました。こちらは、医薬品医療機器法上の効能・効果を標榜しておりませんので、これに基づく取り締まりが難しかったということがあります。
 ただ、このような製品が一般用の体診が発売された後も販売自粛の指導に従わずにずっと売られ続けていたということがあり、消費者から見ると、ネット上の広告でも判別が難しいため、検査性能が確認されたものではない趣旨の一般人向けの注意喚起を消費者庁とも協力して行ってきたところです。6ページに、啓発の資材を載せております。
 5ページに戻ります。このような状況を踏まえて、規制改革推進会議等からも、薬事承認を受けた体診と紛らわしい物の販売を規制、取り締まるための制度的な対応が必要ではないかという指摘がありました。検討の方向性として、まず1つ目は、これらの製品を医薬品医療機器法に基づいて規制するためには、例えば、これらの製品については一般人への譲渡、譲受、所持を禁止し、研究機関のみに販売先を限定するということが考えられます。下に○が2つありますが、例えば、その研究用試薬を薬機法上位置付けて販売先を規制する。それから、体診と類似の製品を指定して販売先等を規制するという手法が考えられます。ただ、これは人に直接使われるものではないということで、物自体が法律でそこまで禁止するほどの危険な物品といえるのか。また、真に研究用に使用される試薬に対して過剰な規制となるのではないかという点など、こちらの方法は課題が多いと思っております。
 2つ目として、法律で流通を直接的に規制する以外の方法として、「一般人がその形態や使用方法から容易に医療機器・体外診断用医薬品と認識するもの」は、これは医療機器・体外診断用医薬品に該当する物として判断し、規制するという手法も考えられると思っております。そのため、無承認・無許可医療機器・体外診断用医薬品の取締りのメルクマールとして、医療機器・体診の該当性の判断を明確化するガイドラインを作成し、医療機器・体外診断用医薬品として、取締りを行う方向で検討してはどうかと考えております。
 その下の○は、医薬品の場合「医薬品の範囲に関する基準」により、医薬品に該当するか否かの判断基準を明確化して、判断結果を医薬品/非医薬品リストとして明示しております。医療機器・体外診断用医薬品についても同様のガイドラインを作成し、薬事該当性の考え方を明確化するとともに、例えば「研究用試薬」といいながらも製品表示や販売経路、使用方法等を総合的に勘案すると、実態としては、人の感染症を診断させる目的で提供されている抗原検査キットだということになれば、これは体外診断用医薬品に該当する事例として通知等で明示した上で、無承認・無許可の体外診断用医薬品として薬機法に基づいて取締りを行うことができるのではないかと考えております。ただし、この場合においても、真に研究用に使用される試薬の流通を妨げない規制の方法は、併せて検討していく必要があると考えております。6~9ページに関しては、先ほどの医薬品の類似の事例についての紹介です。
 続いて、10ページを御覧ください。こちらは、登録認証制度の安定的な運用に向けた制度の見直しです。背景・課題の1つ目は、厚生労働大臣が基準を定めて指定している高度管理医療機器及び体診については、大臣の承認を不要として、大臣の登録を受けた者(登録認証機関)が基準への適合性を認証するという制度があります。認証を受けた医療機器の信頼性を担保する、若しくは日本国内で認証を受けた医療機器の海外進出を促進するという観点から、登録認証機関の調査能力の維持向上と均一化が重要だと考えており、令和4年度から登録認証機関が行う実地調査にPMDAが同行し、質の確認・助言等を行う立会検査を始めているところですが、こちらは法的根拠がなく、製販業者の同意が得られた場合にのみ実施しているというのが現状です。
 3つ目として、登録認証機関の登録に関する基準は定められておりますが、認証業務を休廃止する際の届出の期限や事業承継に関する規定が薬機法上、明確にありません。事業承継先が決まらないまま登録認証機関が突然休廃止を行いますと、当該登録認証機関から認証を取得した製販業者にとっても先行きが全く見通せない状況になってしまう可能性があります。
 4つ目として、令和4年度の規制改革実施計画の閣議決定を受けて、プログラム医療機器の認証基準を作成するということで、今後も認証基準の数自体は増加することが想定されておりますので、そういった観点からも、この登録認証制度のより安定的な運用が求められていると考えております。
 検討の方向性です。1つ目は、この登録認証機関の調査能力の維持向上及び均一化の観点から、登録認証機関が行う実地調査へのPMDAの同行について、法令上明確化してはどうかということです。2つ目は、登録認証機関の休廃止における届出期限、また、第三者への事業承継時における登録認証機関の地位の承継、その他必要な規定について、法令上明確化してはどうかと考えております。
 次のページが、登録認証制度の概要、また12ページは医療機器の分類と規制です。クラスⅡとクラスⅢで基準を作っているものに関しては、第三者認証になるということです。
 続いて、13ページです。(3)デジタルの活用による業務改善等です。こちらはデジタルの活用ということで、昨今プログラム医療機器(SaMD)が非常に注目されているところです。こちらは、平成25年の法改正で薬機法上規定され、その後も、SaMDの特性を考慮した効率的な審査の枠組みとしてIDATEN制度や二段階承認制度などを導入してきたところです。SaMDは、医療機器として診断・治療等に活用されるのみならず、医療の均霑化や医療従事者・患者の負担軽減にも貢献するということで、単なる医療機器ではなく、デジタル技術の活用による業務改善にもつながるツールとして、利活用への期待が非常に大きいと考えております。SaMDの市場は、そういう観点から世界的にかなり伸びてきていますが、世界市場と比較すると国内の成長の伸びは緩やかで、骨太においてもSaMDの更なる実用化の促進が求められているのが現状です。
 検討の方向性としては、SaMDの開発予見性を向上させることを目的として、現在通知に基づいて「プログラム医療機器に係る優先的な審査等の試行的実施」をしておりますが、これを法制化して、先駆的医療機器指定制度の対象を拡充するという方向で検討してはどうかと考えております。また、クラスⅡに分類されるSaMDについて、臨床試験や臨床性能評価を要さないなど、一定の要件を満たす場合には、審査期間の短縮が可能となるよう審査の手続の迅速化を図ってはどうかと考えております。
 14ページは、参考としてですが、現在の先駆的医療機器指定制度において指定基準がいろいろあります。やはり、このSaMDの場合ですと、生命に重大な影響がある重篤な疾患、また根治療法がない等、疾患の所でなかなか先駆的に指定されるのが難しいという状況があります。
 15ページに、SaMDの優先的な審査等の施行的・試行的な実施という形で、画期性があって有用性があって、世界に先駆けて日本で開発するという指定要件を、これは毎年試行的に変えておりますが、こういった要件をきちんと定めた上で、これを法的に位置付けてはどうかということです。今まで指定品目として、下に6つ掲げているものを通知に基づいて指定をしております。
 4つ目の課題です。16ページを御覧ください。製造管理者要件の見直しです。背景・課題の1つ目は、医薬品の製造所においては、薬剤師による実地管理が原則とされております。令和元年の法改正において、保管のみを行う医薬品の製造所においては、例外的に薬剤師以外の者による実地管理を認める規定が設けられましたが、ほかの製造所では保管のみを行う製造所に関する取扱いが未整理であったところがあります。2つ目のポツですが、生物由来製品の保管のみを行う製造所ですが、実態的に保管だけですので、細菌学的知識が必要となる業務はないのですが、管理者となれる要件が医師、又は細菌学的知識を有する者その他の技術者と限定されているということで、これは過重な規制ではないかという指摘があります。
 3つ目として、今、体外診断用医薬品に活用されている技術が次世代シーケンサーやフローサイトメトリーなど従来の枠にはまらない製品が増加しております。今後、生成AIの活用など更なる新たな技術革新に対応することも必要となると考えられることから、薬剤師に加えて、そのような体外診断用医薬品に対応するために必要な要件を持つ者も管理者として容認されうる機運が高まっているのではないかと考えております。
 検討の方向性です。1つ目が、合理的な規制の観点から、保管のみを扱う生物由来製品の製造所における製造管理者要件ですが、従来の医師、細菌学的知識を有する者に加えて、大学等で化学、生物学、農学、獣医学、薬学、医学、歯学等に関する専門課程を修了した者を追加する見直しについて、どのように考えるのかを部会の皆様から御意見を頂ければと思っております。
 2つ目として、体外診断用医薬品の品目の特性や、その製造販売及び製造管理に必要な基礎知識を考慮し、体外診断用医薬品の総括製造販売責任者、また製造管理者の要件として、従来の薬剤師に加えて、医師、歯科医師、獣医師、臨床検査技師等の有資格者や、大学等で化学、生物学、農学、獣医学、薬学、医学、歯学等に関する専門課程を修了した者を追加する見直しについて、これも委員の皆様からどのように考えるのかという御意見をお伺いできればと考えております。
 17ページ以降は、現在の規定等を「参考」として添付しております。事務局から、資料1の説明は以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、御意見、御質問等がございましたら御発言をお願いしたいと思います。全般的に、これは検討の方針についての意見ですね。更に具体的な変更案というのは、実際はどこかでディスカッションする機会があるということでよろしいでしょうか。
 それでは4つテーマがありますが、最初のテーマからお願いできませんでしょうか。体外診断用医薬品の特性を踏まえた制度の見直しで、市販後の継続的な性能確保や不具合報告制度の構築など、3ページに主として記述されていることをベースに御議論いただければと思います。いかがでしょうか。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。体外診断用医薬品の性能試験結果の信頼性、それから市販後の性能の担保は非常に重要なことだと考えています。データの信頼性の点から性能試験の基準を定めることは不可欠で、また性能は承認時のみならず市販後も担保されなければ意味がないのではないかと思っています。変異の多いウイルスを検出するための診断薬は、ウイルス等の変異に応じた対応が必要と考えます。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。茂松委員、どうぞ。
○茂松委員 ありがとうございます。実態に合わせた制度の見直しというのは、これは非常に必要であると思いますし、これにつきましては賛成です。ただ1つ、コロナ禍に経験しましたけれども、研究用以外の正規の新型コロナ検査キットでも、かなり品質に差があるということが全国の医療機関から私どもの日本医師会に届いてきておりました。
 医薬品の再評価制度のような、品質・有効性の確認、承認の取消しなどの制度はないのでしょうか。また、これを作るべきではないかと思います。経験上、そういう発言をさせていただきます。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。花井委員、どうぞ。
○花井委員 花井です。全体として、本当によく練られた検討の方向性だと思います。体外診断薬についてもなるほどという感じで、いいと思います。1つだけ教えてほしいのですけれども、いわゆる生物由来製品の保管に関するというところなのですけれども、ちょっとイメージが湧かない。保管だけ行うというのは、例えば卸に一回行けば卸は保管しているわけですよね。すると、卸はそれを管理できなければ売れないわけだから、同じように卸さんに同じようになっているのかどうか。つまり逆に言えば、ここを厳しくしても卸業さんの保管がどうかという話です。
 生物でいえば、特定生物である血液が一番典型的だと思いますが、東京の場合は卸が別にあって、保管して、血小板だったら4日間で、きちんと温度管理もして振とうしているかなど、そういうのがあるわけですね。本当にそれが必要だとすると、学部生が化学を学んだだけではちょっと怪しいという気もするのです。
 一方で、卸の規制がなければ、そこがザルになっていれば意味がないと思うのですが、それでも、全体として生物由来製品の保管についてのロジスティクスの中で規制体制がどうなっているのかを教えてもらえますか。
○福井部会長 はい、これは資料16ページになるのでしょうか。
○花井委員 はい、16ページです。
○福井部会長 いかがでしょうか。お願いします。
○佐藤大臣官房審議官 どうもありがとうございます。いわゆる製造管理者の要件と、いわゆる卸売の流通のつながりというところになるかと思うのですが、基本的に卸におきましても管理薬剤師さんを置いていただいているということで、そこは流通においても適切な品質の管理というものを行うことが当然、義務付けられているわけで、そういう流れになっているわけです。
 この保管のみの倉庫というのは、これは製造販売者側の倉庫であり、卸の流通に乗る前の所です。よくあるのは、海外等から製品を輸入してきて一時的に保管をして、そこから卸さんのほうに出荷されるとか、そういった一時的な保管をするような場所ということですので、これについては、ほかの製造所における要件との整合性も含めて、管理者の見直しを図っていこうというのが今回の趣旨となります。
○花井委員 それは一応理解しています、前の段階だということで。そう考えると、もちろん実際上はそんなに問題は起こらないと思うのですけれども、生物の特定生物となると、学部生の化学、生物学、農学、学部生卒というのが、それほどのポテンシャルかというのはちょっと、問題なければいいのですけれども、そこのところは十分に検討して、要件を決めていただけたらと思います。
○佐藤大臣官房審議官 全くおっしゃるとおりで、今御指摘いただいたように本当に、ここに書いた方向性の見直しで十分なのかどうかというところも含めて、専門性も含めて、また次のラウンドでの議論に備えて、我々のほうでも議論を深めて参りたいと思っています。
○福井部会長 ありがとうございます。ただいまのテーマは、また後で戻りたいと思いますけれども、取りあえず先ほどの3ページのところにつきまして、ほかによろしいですか。もし御意見がないようでしたら、次は5頁に。
○高江医療機器審査管理課長 茂松委員から御指摘いただきました、正規の検査キットの性能には差があるということで、再評価の制度ですとか、承認の取消しとか、そういったものは検討しないのかということですが、正にそういったことを念頭に、こちらのほうで検討させていただければと考えています。
○福井部会長 よろしいでしょうか。よろしいですか。中島委員、どうぞ。
○中島委員 東京都の中島です。5ページの研究用試薬についてなのですけれども、東京都にも相談や苦情が多く寄せられていまして、大変対応に苦慮しております。一般の方が誤って診断目的で購入・使用しないよう、何らかの規制が必要と考えています。もし資料にありますとおり、該当性に関するガイドラインを作成するということでしたら、実効性を高めるためにも、取締りを担っております自治体の意見も聞いて作成していただきたいと考えています。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。久芳委員、どうぞ。
○久芳委員 ありがとうございます。医機連の久芳です。5ページの検討の方向性で示されている、ガイドラインを作成するというところの表現を見ますと、医療機器と体外診断用医薬品の全てについてというような受取りもできるような表現かなと感じています。
 ただ、実際には医療機器の場合、非常に多岐にわたるものですから全てについてというわけにはいかないだろうと考えています。こういった検討をする場合には、是非、その範囲を明確にした上で進めるということをお願いしたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。佐藤委員どうぞ。
○佐藤委員 産経新聞の佐藤です。ありがとうございます。同じく5ページについて発言させていただきます。本来、検査というのは診断の補助として、治療があるときに行われるものであると承知しています。コロナ禍では、そうではない使われ方もされまして、当初は両者の間で考え方の対立もあったように思います。全体の中にどのぐらいの患者さんがいらっしゃるかによって検査の目的は違ってくるわけですけれども、コロナ禍においては、後者の治療のためではないニーズが大勢を占めたものと思っています。このほど出ました政府の行動計画でも、何のために検査をするのかということは明確にはされていませでしたが、検査体制を整えるということは書かれていて、世の中のニーズに合った方向で検査体制を整えていくということだろうと理解しています。
 そうしますと、今までとは大分違って、一般の方が、症状のない段階で検査キットを使うということになりますので、精度が担保されないものが市場に流通すると、混乱が起きるということだと思います。5ページの方向性として、一定の精度が保たれたものを流通するようにしていくことが、必要だと思います。
 1番と2番がありますけれども、2番の方向性が、全体のボリューム感からしても妥当だと思っています。よろしくお願いしたいと思います。以上です、ありがとうございます。
○福井部会長 ありがとうございます。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。この問題はできる限り早く対応すべきだと考えています。新型コロナウイルスが感染拡大したときに、研究用のキットが店頭で山積みになっていました。またインターネットでも販売されていて、当時、私もネット事業者のホームページに入ってみましたけれども、一般用と研究用の区別がつかなかったことが一つと、一般用を探してもなかなか見つかりませんでした。研究用ばかり出てきて、見付かりませんでした。
 また、今も、ネット販売業者で研究用キットが販売されていて、一般の人が購入できるようになっています。まだそのような状況ですし、また、一般の人からは、一般用と研究用では、研究用のほうが精度が高いと考えてしまう人も、いるかもしれません。
 事務局でいくつか対応策をお示しいただいておりますが、どのような方法が適当かを含め、制度的な対応をできるだけ早くしていただきたいと考えます。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。オンラインで山家委員、どうぞ。
○山家委員 概ね、この検討はなるべく早く対応が必要なことと理解しています。検討の方向性(案)の2番目の○ですが、「医薬品の場合」から始まる文章の所で、こちらに「抗原検査キットについては」と書いてありますけれども、これまでのコロナウイルスの件に関しては抗原検査キットだと思うのですが、今後、類似の事態が出てきたときには、抗原検査キットだけではなくて、例えば抗体検査だったり、その他のものが必要になることも考えられると思いますので、そういったところは類似のものとか、状況的に類似になるようなものについては、入れ込むような形で考えたほうがいいのではないかと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいですか、今の点につきまして。
○佐藤大臣官房審議官 事務局でございます。コメントを頂きましてありがとうございます。今の点は、例えばということで例示ですので、当然のことながら抗体検査とか、その他のモダリティのものについても同様に、一般の人がその形態や使用方法から、容易に体外診断薬と認識されるものについては同様に規制するという考え方です。
 あと、先ほど医機連の久芳委員からも御質問頂いたのですが、実際にコロナ禍で、この体外診断用医薬品だけではなくて、例えばパルスオキシメーターとか、そういうものも相当の紛い物がネット上に氾濫したという状況があります。そういうものに対しても同様に、このような考え方が適用できるのではないかというのが今回の御提案となっています。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいですか。
○花井委員 先走りして、すみませんでした。検討の方向性としては、2番の方向性がリーズナブルだと思っているのですけれども、現状でも、脱法的に明らかにそういうニーズで売っているような表現があれば、現行法でも多分、違法だと思うのです。今度ガイドラインを作ったからといって、急に違法だと言うのは、裁判されたら負ける可能性もあるかなと思いました。
 だから、やはり法自体に書かないと、細かい話で恐縮ですけれども、今は、本当は違法だけれども取締りまではしていなかっただけという整理になるのかどうかは分かりませんけれど、そうなると思うのですね。うまく売れば捕まらない程度の売り方と、明らかに踏み込んで今でも違法な売り方が混在していると思うのです。
 それは現行法上の線をはっきりするという趣旨とは思うのですけれども、それで大丈夫かなとちょっと心配なので、その辺の方針をお尋ねしたいです。
○佐藤大臣官房審議官 コメント頂きましてありがとうございます。花井委員がおっしゃっているところは、正にそのとおりだということなのですけれども、何が法規制上に該当するのかどうかという、その考え方をやはり示していくということが大事でありまして、これまではその考え方なり目安というものが不明確であったがために、先ほど御指摘いただいたような混乱が起きたということだと思いますので、あくまでこのガイドラインというのは、そういった考え方を明確にしていく。
 何が法的に触れるかということを明確にするようなものということで、そこは今回の件で改めて明らかにするということですので、その辺りは様々な議論があるかと思いますけれども、方向性としては、我々がやっていかなければいけないことではないかと思っています。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは10ページ(2)、医療機器の登録認証業務の撤退時のルールの整備など、登録認証制度の安定的な運用に向けた制度の見直しについて、いかがでしょうか。このページも、やはり背景・課題と検討の方向性が示されています。山口委員、どうぞ。
○山口委員 ありがとうございます。山口でございます。全てにおいて、検討の方向性については、おおむね私も賛成なのですけれども、10ページのところで、同意を得られた場合のみ「PMDAが同行して」と書いてあるのですけれども、実際には、同意が得られない例がどのぐらいあるのかということと、同意が得られないことによるマイナス面がどういうことなのか。そして、今回それを法令上明確化することで、どんなことが改善されるのかということが具体的に分からなかったので、そこを教えていただければと思います。
○高江医療機器審査管理課長 医療機器審査管理課です。大体、おおむねなのですけれども、半分ぐらいが同意を得られる。逆にいうと、半分ぐらいは同意が得られないという形になります。これは法制化すると、すべからく全ての登録認証機関の実地調査にPMDAが一緒に行けるということになりますので、やはり質の均てん化という形では、そこの効果がかなりあるのではないかと考えています。
○山口委員 ということは、同意しないところというのは、明らかに見てくださいという体制が取れていないということでもあるのですか。
○高江医療機器審査管理課長 そこは製販業者の判断として、これを決めるのは登録認証機関ではなくて登録認証機関が認証を得ている製造販売業者が判断するという形になっていますので、そこのところで別にそんな、言うなれば余計なことをしていただかなくてもいいというお考えの下で、お断りされているというところがあるのかなと思っています。
○山口委員 それを一律に法的に定めることによって、きちんとしていこうという方向性ということで、よろしいですか。
○高江医療機器審査管理課長 正に、そういうことです。
○福井部会長 多いですね、断りが半分というのは。久芳委員、どうぞ。
○久芳委員 ありがとうございます。産業界の立場でも、今示していただいている2つの点について、法令上明確にしていこうという方向性については賛同するものです。その上で、今も少し議論がありましたけれども、PMDAのいわゆる立会検査ということに関しては、現状で企業の立場では、PMDAが立ち会うということによって調査そのものに影響があるのではないかという感触を持つことがあろうかと思います。
 実際には、これはあくまでもPMDAが登録認証機関に対する立会検査をするという位置付けだと思っていますので、法令上その辺りを明確にするにあたり、企業に対する調査に影響を与えることを目的としているわけではないのだといったことも含めて明確にしていただければ有り難いと思っています。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。もしないようでしたら、13ページの(3)デジタルの活用による業務改善等について、いかがでしょうか。茂松委員、どうぞ。
○茂松委員 茂松です。ありがとうございます。SaMDについては、やはり言葉が悪いですが、ピンからキリまでということがあろうかと思います。やはり製品の性能を慎重に検討していって、その安全性の確認など、その辺を最重要視していくということと、その信頼性を徐々に積み重ねていくということが非常に重要だろうと思っています。
 ただ1つ、問題なのは二段階承認の中で選定療養費を使って拡大していくという中には、その製品の性能にかなり差がある中で、患者さんが不利益を被るのではないかということを感じています。そこはきっちりと整備をしていただければなと思っています。
○福井部会長 ありがとうございます。オンラインで北澤委員、どうぞ。
○北澤委員 北澤です。聞こえますか。
○福井部会長 はい、聞こえています。
○北澤委員 この点について、今日、意見を出させていただきました。先ほどの御意見と共通するところもあるのですが、この二段階承認という仕組みなのですが、有効で安全なものなのか、まだ十分に分かっていないようなプログラム医療機器、典型例はアプリの類だと思いますが、それが医療現場で使われること、さらに、それが患者の全額自己負担になること、つまり、保険外併用療養費制度で患者の全額自己負担になることについて、私は疑問を持っています。国は、どのぐらいの条件を満たせば二段階承認制度の第一段階承認を与えていいと思っているのか、その辺をもう少し明確にしていただきたいと思っていますので、お尋ねします。
 また、このプログラム医療機器に関する議論は、厚労省の医療機器体外診断薬部会の下にあるプログラム医療機器調査会という所でも行われています。私もその委員をさせていただいているのですが、一昨年以降の議事録が全く公開されていないことに疑問を持っています。議事録はなるべく早く公開して、この中でどういう議論があったかということを市民が知ることができるようにお願いしたいと思います。
○福井部会長 ちょっと途切れていますが、大丈夫でしょうか。
○北澤委員 大丈夫でしたか、聞こえていませんか。
○福井部会長 今、ちょっと途切れたと思いますが、大丈夫でしょうか。一番最後の所。
○北澤委員 議事録を早く公開してくださいということを発言させていただきました。
○福井部会長 了解です。いかがですか。
○高江医療機器審査管理課長 医療機器審査管理課です。茂松先生、北澤先生、御指摘をどうもありがとうございます。この二段階承認の考え方なのですが、医療機器というものが改良、改善をどんどん加えて、より良いものにしていく。かつ、多様なその内容を含むというところがありまして、これは従前からプログラム医療機器以外の医療機器についても、導入されている考え方です。品目に応じて、その必要となるデータは当然異なってきますので、一律にリアルワールドデータだけで承認するなどという制度では、まずありません。きちんと一定のデータを、治験なりで得た上で行うということを考えています。
 では、有効性の蓋然性というものがどの程度かというところですが、いろいろな医療機器がありますので一律に示すのは困難なのですが、探索的試験成績において、原則として特定の症状緩和、若しくはその状態の改善ということが統計的な有意差を持って確認できるということだと考えています。こちら二段階承認に関するQ&Aを6月に発出させていただいています。その中で、この具体的な内容についてお示ししているという状況です。
 北澤先生の御意見の中で、自社製品の有効性と安全性を検証する責任は製販業者だというのは、それは正に先生の御指摘のとおりですので、今、申し上げたようなクライテリアにきちんと従って、適切に二段階承認が進んでいくような形で、申請内容や試験データが適切かどうかなど、こちらはPMDAにおいて事前相談、あとその承認申請の過程でしっかりと確認させていただきまして、両委員がおっしゃられた患者さんの不利益ということが起こらないような形で、二段階承認制度が適切に運用されるように対応していきたいと考えています。
○福井部会長 いかがでしょうか。
○北澤委員 北澤です。一言よろしいですか。今のお話は理解はできるのですが、だとすると、保険外併用療養費制度、いわゆる国が認めた混合診療で、第二段階目の承認に至る検証、言い換えれば有効性と安全性の確認をするという点、つまりどうして患者が自腹で払わないといけないのかというところが、今一つよく分からないのです。その点はいかがでしょうか。
○高江医療機器審査管理課長 お答えします。そこは自腹かどうかというのは、その企業がどのような形で開発を進めるかという、その体裁によると思います。正に、扱いとしては治験の扱いと同じ形ですので、研究の一環、若しくはその事業の開発の一環として、その被験者への支払いという形でどうするのかという考え方と同じような考え方が、こちらにも適用されるのではないかと考えています。
○福井部会長 よろしいですか。
○北澤委員 はい。つまり、患者の全額自己負担になる部分を、企業が負担するという、そういう意味ですか。
○高江医療機器審査管理課長 それは企業の判断ではないかということです。
○北澤委員 分かりました。
○福井部会長 ありがとうございます。茂松委員、どうぞ。
○茂松委員 ありがとうございます。(3)のデジタルの活用による業務改善等の所の検討の方向性で、「先駆的医療機器指定制度の対象を拡充していく」と書かれていますが、今般、再生医療等製品の中で、コラテジェンとハートシート、1つは企業側から申請を取り下げてきたもので、もう1つはPMDAの審査の中で治験の結果が出ていないということで承認されなかったわけです。そのような現状の中で、何も慌ててこのような制度を拡充していく必要もないのかなという気はするのですが、その辺はいかがでしょうか。
○高江医療機器審査管理課長 今、茂松先生がおっしゃられていたのは、再生医療等製品の条件期限付き承認のお話で、こちらの先駆的医療機器指定制度とは趣旨と立付けが異なると考えています。こちらは拡充するということを、まだ完全に決めたわけでもありませんので、そこは慎重に運用が回るような形で引き続き検討をさせていただければと。
○茂松委員 確かに条件及び期限付き承認制度と、これは違うと言われますが、患者さんからすると一緒なのですよね。やはり、そういう視点も大切かなというふうに思って発言をさせていただきました。
○高江医療機器審査管理課長 ありがとうございます。
○福井部会長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。久芳委員、どうぞ。
○久芳委員 ありがとうございます。この(3)のデジタルの活用についてという所ですが、SaMDについて、その特性を踏まえた規制になるように見直しをしていこうと、そういう方向性を示していただいていると理解しています。それについては賛同するものです。
 ただ、そのときに、いわゆる一般の医療機器の規制との整合性という観点、これについても十分な配慮が必要なのだろうと考えています。典型的な例で少し申し上げますと、14ページに示されている先駆的医療機器指定制度ですが、現状の指定基準、生命に重大な影響がある疾患、あるいは根治療法がない疾患ということに対して、仮にですが、SaMDについてだけは15ページにあるような指定要件、ここに①、②、③と示されていますが、これに変えていくというようなことがあったとすると、SaMDであればこの①、②、③に合致して、この制度に該当するということがあった場合でも、全く同じ機能を持ったプログラムをハードウェアにインストールして提供するといった場合を想定しますと、途端に非該当になるという、非常に不合理なことが起こってしまうのではないかと考えます。そういった例も踏まえて、全ての見直し項目について、医療機器全体を対象とした検討を是非、お願いしたいと考えています。以上です。
○福井部会長 はい、いかがでしょうか。
○高江医療機器審査管理課長 事務局です。当然、今みたいにプログラムのCADは先駆的になるけれども、機械のCADはならないというのは、それはちょっとバランスを著しく欠くと思いますので、当然、今、久芳委員がおっしゃられたことは念頭に置きながら検討を進めさせていただきます。
○福井部会長 よろしくお願いします。ほかにはいかがでしょうか。
 それでは、16ページの(4)製造管理者要件等の見直しについては、いかがでしょうか。花井委員が最初の所で触れられましたが、森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。体外診断用医薬品の総括製造販売責任者と製造管理者の要件についてですが、総責にしても、医薬品の製造管理者にしても非常に重要な管理者だと理解をしています。知識と技能を有して、しっかりと職責を果たすということから、これまで薬剤師とした経緯があると考えます。医療技術は常に進歩していて、治療モダリティの多様化や従来の枠にはまらない製品というものが出てきていますが、そうしたことは時代の変化に応じて対応すること、学ぶことではないかと考えています。私が薬学部時代には、バイオ医薬品も抗体薬もなく、それらは卒後に学んできました。総責は時代の変化や技術革新に伴って常に新しいことを学ぶことが必須で、個人の努力もそうなのですが、ここは会社の責任としても、そうした学ぶ環境を整備していく必要があるのではないかと思っています。
 また、現行の体外診断用医薬品について不具合報告制度へ移行するといった御提案がありますが、本来は医薬品というよりも医療機器というカテゴリーのほうがなじむのではないかとも考えます。まずはそういったことから検討を行っていくべきで、管理者の在り方についても、その中で併せて考えていくべきではないかと考えます。従来の枠にはまらない製品等が増加しているからといって、これまでの総責等の要件を変更するのではなくて、総責等は時代の変化に応じて職責を果たすことができるようにすべきと考えます。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。川上委員、どうぞ。
○川上委員 16ページの検討の方向性の2つ目です。私も、森委員と同じように、総括製造販売責任者及び製造管理者の要件として、薬剤師要件を外すことはいかがなものかと思っています。もちろん、世の中の科学の進歩に応じて学び続けることは重要なのですが、そもそも、なぜ薬剤師を要件としているかという趣旨は、体外診断用医薬品も医薬品ですので、医薬品に関して責任を持つ職種として薬剤師が指定されていると理解しています。生物、化学、物理など基本的なサイエンスに関する内容に加えて、薬事に関する法律や倫理、また医薬品の販売や使用に関する臨床現場を実習等を通じて学んでいることを国として認めている資格だからこそ、薬剤師という資格があるわけです。製造販売業者においては、そういった職種の方をきちんと雇用して確保し、生涯研修等を通じて学ばせることは大事なことなのではないかと思う次第です。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。茂松委員、その後、久芳委員、どうぞ。
○茂松委員 ありがとうございます。近年、医薬品モダリティは変化してきています。保管に必要な知識や環境も変わってきています。しかるべき知識を持った人が管理していくということは必要であろうと考えますが、ただ、薬剤師さんの養成もかなり進んできています。その職能をいかしていくことは大変重要であると思います。現場においても、薬剤師さんの皆さんに同じ医療従事者として敬意をはらっていただく、ある程度、尊重していただくという考え方が本当に必要ではないかなと考えています。
○福井部会長 ありがとうございます。久芳委員、どうぞ。
○久芳委員 ありがとうございます。示されている検討の方向性については、いずれも国際整合の観点、あるいは実務的な管理といった観点から産業界の立場としても賛同します。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。中濱委員、どうぞ。
○中濱委員 ありがとうございます。エーザイの中濱です。合理性、それから変わりゆく品目特性という観点から、今回、御提案いただいた要件を見直すことについて、私も賛同します。やはり変わりゆくモダリティに関することについて、専門課程を学んでいること、さらに現場での従事経験、そういった経験をいかしたもので、この製造責任者になれること、そのように範囲を広げていただきたいなと考えています。
 また、1点、要件に追加する専門課程に関してなのですが、理学と工学も含めて御検討いただきたいと考えています。その背景として、昨今、大学教育において生命科学分野も、生命理学、生命工学、生物工学といった従来の領域の融合分野など多様化している状況があるためです。後に詳しい検討、あるいはこの記載の中の「等」などに含まれるかもしれませんが、コメントさせていただきました。ありがとうございます。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。オンラインでの山家委員、どうぞ。
○山家委員 私も検討の方向性(案)の2点とも、賛同したいと考えます。特に、先ほどから議論に出ていますが、やはりしっかりと管理をしていただく、特に新しい物事、それから背景・課題の3つ目にあるように、次世代シーケンサーやフローサイトメトリーなど非常に工学的な知識も併せて必要なものというのが増えていると考えています。こういった部分をきちんと製造者、若しくは販売業者さんが管理していくためには、従来の枠だけではなく、きちんとその後を、企業の側も、知識をフォローしたり、若しくはそれをフォローしているということを確定する必要があると考えます。そういったためには、従来の学部がどうというところだけではなく、新たな知識がきちんと入っているということをむしろ証明していただきたいなと考えています。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。三澤委員、どうぞ。
○三澤委員 ありがとうございます。議論をお伺いしていて、体外診断用医薬品というものには、いろいろなものがあるなと思いました。最初にコロナ診断薬の話が出ましたし、今は次世代シーケンサーであったり、フローサイトメトリーであったりの話が出てきました。それらを全て一括りにして議論するのはなはだ乱暴な議論だと思います。例えば、医療機器に分類されている手術用のはさみやメスですが、それらはよく切れるかどうかというのが非常に重要ですが、手術現場でお医者さんが使う目的から、きちんとした基準を決めて制度上位置付けることが重要になります。同じような議論で、結局いろいろな機器を誰がどのような目的で使うのか、そこが重要になってくると思います。この議論は、次世代シーケンサーを作るときに薬剤師さんが機械的なことをどこまで理解しているかというような議論ではないと私は思います。ですから、森委員が最初に発言されていましたが、体外診断用医薬品というものの定義自体を十分に考えて、それから規制を考えるべきだと私は思います。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、オンラインで村島委員、どうぞ。
○村島委員 この方向性としては賛成します。そう言いますのも、本当に対応する仕事が多様になってきていますので、薬剤師さんという資格にとらわれる時代ではないのだろうと思います。製造管理要件を広めた以上は企業がしっかり責任を持って対応してもらえるように、今後は、細かいルールなどが必要になってくるのだろうなとは思います。
 基本的に要件を、門戸を狭めるのではなく、広げていかない限りは、これだけ多様になっている世の中で対応し切れないのではないかなというのが、私の意見です。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、議題の1はここまでとさせていただいて、議題の2、少子高齢化やデジタル化の進展等に対応した薬局・医薬品販売制度の見直しについてに入ります。事務局から説明をお願いいたします。
○大原薬事企画官 事務局です。資料2の2ページを御覧ください。テーマ④少子高齢化やデジタル化の進展等に対応した薬局・医薬品販売制度の見直しのうち、本日は、この赤枠で囲っております「調剤業務の一部外部委託の制度化」について御検討いただきたいと思っております。
 次のページ、スライド3ページです。こちらの1枚目で御説明します。後ろに参考として各種資料を付けておりますので、説明の中で、適宜、参照させていただきます。背景・課題としては、薬局薬剤師の対人業務を充実させるというところに当たり、医療安全が確保されることを前提として、対物業務を効率化して対人業務に注力できる環境の整備が必要ということで、調剤業務の一部外部委託が、その一つの手段となっているところです。
 この調剤業務の一部外部委託については、規制改革要望として提案されたことを受けて、「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」で議論し、令和4年7月に、とりまとめを公表したところです。とりまとめの概要自体は次のページに書いてあります。外部委託の目的は、対物業務の効率化を図り、対人業務に注力できるようにすることです。この外部委託を行うことにより、患者の医療安全(医薬品の安全使用)や、医薬品アクセスが脅かされてはならないこと等を基本的な考えとして、委託業務の範囲を「一包化(直ちに必要とするもの、散剤の一包化を除く)」とし、委託先を「同一の三次医療圏内の薬局」とすることとしております。
 また、医療安全の確保のため、手順書の整備、適切な情報連携体制の構築、記録の保管等を考慮した基準の検討や、患者に十分な説明をして同意を得た上で実施すること等についても提言がなされております。当該とりまとめを踏まえ、厚生労働科学研究において、医療安全確保と適正実施のためのガイドラインを作成するなど、制度化に向けた検討を進めてきたところです。
 また、この検討と並行して、令和5年には大阪府・大阪市・民間事業者から国家戦略特区における実証事業の提案があり、この提案を踏まえ、関係省令の整備やガイドラインを踏まえた実施要領通知の発出等を行ったところです。当該事業については、現時点では大阪で実施する区域計画が認定されていて受付を行っているところです。まだ開始はしていませんが、こういった状況になっております。
 検討の方向性ですが、調剤業務の一部外部委託については、現行の薬機法、薬剤師法では想定されていないことから、法令上の制度として明確に位置付けることとしてはどうかと考えております。また、制度化に当たり、先ほど御紹介したワーキンググループでのとりまとめを踏まえた委託業務、委託先とした上で、患者の安全確保のために必要な基準を設定することとしてはどうかと考えております。また、制度化に当たり、その際の委託元、委託先における薬剤師の義務や責任について整理し、必要な規定の見直しを行うこととしてはどうかというところです。簡単ですが説明は以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局の説明について、御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。最初に、森委員、お願いします。
○森委員 ありがとうございます。事務局から示されている検討の方向性については、概ね賛成です。調剤業務の一部外部委託ですが、まずは、安全性の担保を前提として、何のための、そして誰のための一部外部委託なのかを考えることが重要だと思っております。
 その上で、ワーキンググループのとりまとめ及び現在、実施の検討が進められている実証事業で得られた結果などを踏まえて慎重に進めることが必要だと考えております。厚生労働科学研究のガイドラインにも記載されておりますが、患者への安全な医療提供が確保されることが前提で、その上で対人業務の向上がなされることを目的に導入されるものだと理解をしております。
 調剤業務の外部委託に関しては、これまでにない仕組みであり、他の店舗、他の法人に委託することになり、現在、高齢化等に伴い、調剤内容が複雑化しています。そうした中、十分に検証を行い、実施の可否、課題等を整理する必要があると考えます。安全性が確保できるのか。それから、実際に委託元の薬局の効率化につながり、対物業務が軽減されたのか。対人業務の充実となったのか。確実な調剤や安全な配送が行えたのか。また、患者及び地域医療にどのような効果・影響があったのか、需要があったのか。また、経済性の点も含めて、様々な視点からの検証が重要になると考えます。実証実験を行った上で一部委託の実施の可否を判断し、その上で、実証実験で課題となったこと等を整理して、法令上の制度としての位置付け、薬機法、薬剤師法の義務、責務等の規定について検討すべきと考えます。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。山口委員、どうぞ。
○山口委員 私も、このワーキンググループで議論に参加してまいりました。そのときに、薬剤師や薬局の立場の方が、このことについて、どちらかというと歓迎していないというか、効率化するので是非、外部委託を進めてくれと意見された方がほとんどいなかったということがとても印象に残っております。ここに規制改革要望として提案がなされたことが書かれておりますが、正しく、そのとおりだと思っています。
 患者の立場からしても、そこで出てきた案を聞いていると、例えば、処方箋を持って行くと、通常、薬が調剤されて1回で終わるところを2回行かなければいけなくなる。あるいは、もし配送されるとしたら費用負担はどなたがするのですかとお聞きすると、それは明確になっていないと。今は運送業が2024年問題で、結構、人手がない中で、送料も高騰化するのではないかということを考えたときに、そのことも明確にしないまま進めていいのかなと、正直、感じていたところです。
 最終的に、この一包化に取りあえず限定して、まずは進めてみようと。一包化でやってみて本当に効率化につながるのかといったことを検証するところで、議論が収まったという経緯がありました。ですので、今ここですぐに法制化してしまうことが、果たして、法制化しないとできないのであれば、それはまた別ですが、やはり慎重に進めていただいて、本当に対物業務を対人業務に移行できるのか。あるいは、患者にとって本当にプラスなのかというところがしっかりと見極められた上で進めていただきたいと私は思っております。
○福井部会長 ありがとうございます。基本的なことで申し訳ないのですが、その現在の薬局で対人業務にかなり改善の余地があるというのは、これはもう、皆さんのコンセンサスが得られていることなのでしょうか。例えば、どのようなところが対人業務に改善の余地があると思われますか。
○山口委員 やはり、まだまだ、薬剤師さんが薬局の中に留まっていて、ベルトコンベアのように調剤だけを回しているような所が多いです。私の周りでも、例えば在宅に来られている薬剤師さんというのは、患者の状態も把握した上で的確なアドバイスをしてくれたり、質問をする。ところが、薬局の場合は、取りあえず質問はされるけれども、それに答えてもそこで終わってしまうというようなことで、十分に患者と向き合うことができていないという現状があります。多くの場合が医薬分業の意義ということをまだまだ感じとれていない現状があるところから、対物業務を効率化して、対人業務を重視する必要があると理解しています。
○福井部会長 すみません。ありがとうございます。いかがでしょうか。茂松委員、どうぞ。
○茂松委員 処方箋を出す側からしますと、やはり、ベルトコンベアのように業務が回ってしまうと、本当に信頼が薄れてしまうといいますか、医師はこの患者さんにこの処方をしたのだから、その患者さんを知っている薬剤師さんが、気持ちに寄り沿ってきっちり調剤していただけると、そのように送り出していると私は考えています。ですので、このように外部委託になると、その信頼が薄れてしまうような気がして、少し不安です。もし、やるとしたら、安全性がしっかり担保されていることが確実になるということ。それをしっかりと検証していただくことが非常に大事だと思いますし、もし、誤ったときに、責任がどこにあるのかということをはっきりとさせていただきたいと思うところです。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。川上委員、どうぞ。
○川上委員 検討の方向性としては、現行の薬機法、薬剤師法では想定されていないので、対応を取られるということなのでよろしいかと思います。既に、ワーキンググループでのとりまとめを受けて、ガイドラインに沿って実施していく点についてはよろしいかと思います。ただし、この資料2の3ページ「背景・課題」に書いてある、これまでの議論ですが、果たして、こういった外部委託が対物業務を効率化し、対人業務に注力できる環境整備につながるのかというところには少し疑問があります。
 そもそも、薬剤師の業務は、以前にもこの部会で申し上げたことがあるのですが、対物業務と対人業務は、決して切り離されるものでもないと私自身は思っております。例えば、第三者から見ると、ただ物を取り揃えているように見える行為を通じてでも、その処方内容が患者にとって適切なのか、現在、自分が手にして取り揃えている薬剤が包装も含めて確実な状態なのか、剤形等が患者さんに適したものなのか、どのように患者さんに説明しながら薬剤を交付しようかと、いろいろなことを考えながら、実際に薬剤師はその任務に当たっているので、対物業務と対人業務は一体的に提供されていると思います。
 また、第三者的に見ると、対物中心の業務と見られている薬剤調整を実施しながらも、例えば処方箋をお出しになった処方医の先生方に確認しなければいけないことが、その時点で出てきたりするなど、様々な業務プロセスを行ったり来たりしています。必ずしも、処方箋を受け付けて、薬剤を取り揃えて、ただ交付しているわけではないので、背景や課題の説明についても、薬剤師の業務を実際に実施していない人にあたかも誤解を与えるような説明に基づいて検討が進んでいくことには、私自身は疑問を感じている次第です。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。花井委員、どうぞ。
○花井委員 ワーキンググループで取りまとめられた方向性なので、何とも言い難いのですが、よく分からないというか、そもそも、その調剤料というのは、処方箋を受け取った薬剤師が、調剤料とともに、いわゆる薬価に基づいた薬で、そこでお金をもらうわけですよね。
 では、一体、在庫リスクというのは、この委託先が持つのですか。しかも、対人業務に特化するといっても、調剤料をもらっている受付薬局が一包化したものが正しいかどうかを確認しないと調剤料をもらっている仕事をさぼることになるので、そうすると、もう一回、元の受付薬局に帰って来て、きちんと一包化されていると確認する業務をしたら、何をしているのか分からなくなります。
 恐らく、先の薬剤師の責任として、その調剤料の一部、つまり、きちんと一包化して間違いないという仕事は一部受けるわけですよね。そうすると、いわゆる物流的に、経済でいえば大量にそこでストックして、そこの薬価差で利益を上げるというビジネスモデルにしたとしても、そこの処方箋の調剤料の一部として仕事をするのかどうかについて、それを山分けするみたいな業務になってきて、これは経済だけで考えるとよく分かる話なのですが、今の保険療養制度と薬機法等の法制度で考えると、甚だナンセンスな話をしているように見えます。
 どのようなビジネスモデルを想定しているのかが、実は規制改革会議は経済なので、ビジネスモデルとしての想定があるのだと思うのです。それが伝わらずに、薬事上の整理を説明されているので、こちらはピンとこないのだと思います。それも今後の検討だとおっしゃるなら、それはそれでいいのですが、具体的に、自分の場合は、3か月か2か月に1回の複雑な薬だと、一包化希望患者とボトルで欲しい患者がいるのです。私はゴミが増えるのが嫌なのでボトル派です。そうすると同じ薬局が、その特殊な患者さんを見ているわけですよね。その一包化の患者さんは、どこそこから送りますよと。ボトル患者は、私の所にストックがあるから、これを渡しますみたいな話になると、先ほど、川上先生がおっしゃったように、対人業務と対物業務はそこで分離することによって、本来の薬剤師の職能が損なわれる可能性すらあるのではないかと。そこで、きちんとかかりつけ薬剤師として話をするわけですからね。ちょっと、何がしたいのか、これだけでは分からないというのが正直なところです。もう少し経済というか、在庫はどちらが持つのか、どうなっているのかということはあります。そもそも、ビジネスモデルとして受けるのはどうなのでしょうか。
○福井部会長 いかがですか。
○大原薬事企画官 花井委員の御質問ですが、資料の8ページに、この特区における事業の概要を記載しております。川上委員の御質問にもつながるところではありますので、まとめて御説明いたしますと、お金の面、診療報酬については、この委託薬局が一部負担金の支払いを受けて請求を行う形になりますので、受託される側の薬局のほうは関与いたしません。この外部委託を実施する場合、この委託薬局と受託薬局の間で契約が締結されることになります。費用についても、この契約の中で決定がなされると考えております。
 一包化に係る診療報酬については、外来服薬支援料2(一包化加算)が該当しておりますので、その範囲内で現実的には契約がなされることが想定されるところです。特区の中で、この実証事業において、経済性についても検証を行う予定と聞いているのがビジネスモデルというところでの御回答になろうかと思います。
 一方で、我々も、これまで対物業務を効率化して対人業務の充実化と言ってきているところですが、これは対物業務を疎かにしてよいというお話ではございません。川上委員がおっしゃるように、この委託薬局では、しっかり調剤設計や監査、服薬指導も行います。こういった中で、対物業務の効率化に加えて対人業務の充実化につながるかというところについても、併せて、この特区の中でも見ていきたいと考えているところです。
○福井部会長 ありがとうございます。森委員、どうぞ。
○森委員 最初に、山口委員から薬剤師は余りこの話に乗り気ではなかったとのことですが、薬剤師としては、自分の患者さんの薬は自分で責任を持って作りたいという気持ちがあるのが1つ。それから、一包化にしても、今、分包機がない薬局はありません。どこの薬局でも分包機があって自分の所でできる。そのようなことから、乗り気ではないのだと考えています。
 それから、薬剤師は物に責任を持つのが当然だと思っています。ですから、対物業務というのは非常に重要な仕事だと思います。それを基盤とした上で対人業務をどう充実していくか。特に、私が薬学部を出た頃は、服薬指導が始まった頃だったのですが、今は処方日数も延びてきて、卒業した頃は長くても14日の投与だったのが今は平均で27、28日になっています。投与した後にどのような状況になっているのか。
 切れの鋭い薬も出て来て、2週間後に発熱性の顆粒球減少が起きることがあり、そのようなことをきちん管理することを期待されていて、そうしたことを充実するために実証をすると理解しています。一部委託することにより、そのようなことの充実につながるのかをきちんと見ていっていただきたいと思います。以上です。
○福井部会長 オンラインの村島委員、どうぞ。
○村島委員 私も処方する立場から、ここまで効率化して誰にメリットがあるのかなと疑問を持っています。在宅医療に薬剤を提供しているような薬局の場合には時間にも余裕がありますので、一番合うのかなと思うのですが、クリニックだとか、病院の近くにある調剤薬局の場合には、一番そぐわない仕組みではないかと思っています。これでメリットを受けるのは、先ほど申し上げた在宅医療と、高齢者の多剤併用している人に調剤する薬局、あとは大型のチェーン薬局ではないかなと思います。
 無駄と言っては何ですが、効率化されきらない所に、いろいろな間違いへの気付きがあるというのが、医療の特徴だと思います。先ほど、薬剤師会の先生もおっしゃったとおり、ただ、左から右に流すだけでは気が付かないようなことがあると思います。効率化によってそのようなことができなくなり、従来だと気付けることに気付けなくなることに私は危惧を感じております。ですので、これは慎重にゆっくりと時間をかけて検討すべき課題かと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。中島委員、その後、茂松委員、お願いします。
○中島委員 東京都の中島です。もし仮に、外部委託で違反や事故が起きた場合、行政で適切に措置・監視指導ができるように、安全確保上で重要な基準はきちんと法令に位置付ける必要があると考えております。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。茂松先生、お願いします。
○茂松委員 今、在宅医療のほうでとご発言がありましたが、いわゆる高齢者の施設を中心に考えると本当に効率よくできるのだろうと思います。そのような所に関与した所が、このような業務委託を進めようとしているのだなと感じます。恐らく大阪の戦略特区も、そのような背景で始まっているのではないかと思っているのですが、ただ、一般の薬局にに当てはめたら、少しどうなのかなと思っております。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。様々な御意見を頂きました。それでは、議題3に移りたいと思います。その他の項目についてです。事務局から説明をお願いします。
○大原薬事企画官 事務局です。資料3「その他の項目について」です。まず、2ページです。1つ目ですが、その他項目として、(1)薬局機能情報提供制度に関する事項について御検討いただきたいと思っております。
 最初に、4ページを御覧ください。薬局機能情報提供制度の概要を示しております。これは、平成19年より開始されている制度で、薬局に対して、その薬局企業に関する情報、具体例が右側に書いてありますが、そういった情報を都道府県へ報告することを義務付け、さらに、報告を受けた都道府県が住民・患者に対して分かりやすい形で情報を提供するという制度です。
 その中で、2ページですが、この「報告先について」が1つ目の論点です。背景・課題としまして、薬局機能情報提供制度は先ほどお話したように、薬局がその機能に関する情報を都道府県知事に報告するということを義務付けており、都道府県知事は、その情報を公表することとなっております。一方で、薬局の開設と許可権者の報告先は、都道府県知事に加えて保健所設置市の市長、又は特別区の区長となっており、保健所設置市等にある薬局においては、許可権者と薬局機能情報の報告先が異なっている状況です。薬局機能情報提供制度におきましては、これまでは都道府県知事が報告・公表システムを構築する必要がありましたが、令和6年から全国統一システムを導入しており、報告システムは「G-MIS」、公表システムは医療情報ネットという形になっているところです。全国どこの薬局でも同じシステムを利用して報告ができる形となっております。そうしたところも踏まえて、検討の方向性ですが、この全国統一システムの導入により、保健所設置市や特別区においても独自のシステムを新たに構築することが不要になったということがありますので、円滑な制度運用のために薬局機能情報提供制度の報告先を薬局開設の許可権者と同一とすることとしてはどうかというものです。導入後のイメージは、5ページにお示ししておりますので御参照いただければと思います。
 続きまして、3ページです。同じく、この薬局機能情報提供制度に関する2つ目の事項です。「都道府県知事から厚生労働大臣への報告等について」です。こちらの背景・課題といたしましては先ほど御説明申し上げたとおり、現在の薬局機能情報提供制度では、薬局が都道府県知事に報告して都道府県知事が公表することとなっております。一方で、医療機能情報提供制度は、医療機関、医療施設に対して、こういった情報提供制度があるのですが、こういった制度では、医療機関は医療機能情報を都道府県知事に報告して都道府県知事から厚生労働大臣に報告するという形になっており、厚生労働大臣は、都道府県の区域を超えた広域的な見地から必要とされる情報の提供のために都道府県知事に必要な助言、勧告その他の措置を行うこととされております。
 検討の方向性ですが、この薬局機能情報提供制度による情報を適切に活用するため、医療機能情報提供制度と同様に、広域的な見地から都道府県知事に必要な助言・勧告等の措置を実施することが可能となるよう、厚生労働大臣への報告を求めることとしてはどうかということです。
 続きまして、10ページに移ります。処方箋等の保存期間についてです。薬剤師法におきましては、調剤済みの処方箋及び調剤録については、3年間保存することとされております。この保存期間ですが、調剤後の安全性に係る問題への対応、それから紙の運用を前提とした薬局における実施可能性という観点を考慮して設定されており、昭和35年の薬剤師法の制定以来、改正がなされていません。
 一方で、近年は電子媒体での保存というのも可能となっておりますし、処方箋についても電子処方箋等の活用により保管が容易となってきているところです。また一方で、医療機関の診療録につきましては、医師法等により5年間保存するということが規定されており、今後、薬局と医療機関間でのUDXを踏まえた情報共有というところが想定されていく中で、保存期間の不整合の解消を図っておくことが重要だと考えているところです。「参考」として記載しておりますが、薬局については、他法令等の観点で5年間保存している場合もあります。電子処方箋については5年間保存するサービスを提供しているところです。
 以上を踏まえて、検討の方向性になりますが、この調剤済み処方箋及び調剤録について、薬剤師法に規定する保存期間を5年に延長することとしてはどうかというところです。なお、処方箋につきましては、現状は紙での保存がなされている場合も多いと承知しておりますので、実施に当たってはこういった電子的な保存の伸展も踏まえつつ、現場に無理がないような準備期間とともに検討を進めることが適切であると考えているところです。こちらについては以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。これは、12ページはよろしいですか。
○小園監視指導・麻薬対策課長 続きまして、(3)医療用麻薬の流通の合理化につきまして、監視指導・麻薬対策課から御説明いたします。資料の説明に先立ち、前回の部会の資料に関する御質問についてフォローアップさせていただきます。前回の部会において、資料2にありました全国的なGMP査察体制の構築に関して、山口委員から2点の御質問を頂いておりました。時間の関係で回答できなかった状況で、個別に委員へは御回答をいたしましたが、共有のためにこの場でも御紹介いたします。1点目の御質問です。「「全国的なGMP査察体制の構築」資料2の24ページに、①後発医薬品の承認申請時の新規品目に係るGMP適合性調査と②医療用医薬品の区分適合性調査のGMP調査主体については都道府県からPMDAに見直してはどうかという提案がなされています。もし、そのような見直しがなされた場合、「製造業の許可」と「一般用医薬品の区分適合性調査」は都道府県が行うことになります。また、PMDAが違反を見つけた場合でも、違反措置は都道府県が行うことになると思います。そのような場合、GMP調査や区分適合性調査に都道府県が関わっていないことから起きる情報不足や一体的な指導体制が組めないことへの対応はどのようにする考えか」ということで御質問を頂いておりました。
 この点につきましては、部会の資料において、GMP調査主体の都道府県からPMDAへの移管対象として御提案した調査は、現在都道府県が行っている調査のうち、後発医薬品の新規承認時の適合性調査と医療用医薬品の区分適合性調査のみです。そのため、後発医薬品に係る調査のうち、一部変更承認申請に係る適合性調査と承認品目ごとの定期適合性調査につきましては、引き続き都道府県が調査を実施することになります。
 また、生物学的製剤等を除く医療用医薬品の承認品目ごとの定期的な適合性調査につきましても、引き続き都道府県が実施することになります。区分適合性調査については、前回の法改正において、承認品目ごとの適合性調査の申請に加え、製造業者による品目の区分ごとの適合性調査、区分適合性調査の申請も選択できるように導入された制度です。令和3年の施行から令和5年度までの都道府県における調査件数は累計25件です。第3回の部会において御議論いただきました基準確認証制度の合理化が行われた場合であっても、多くの施設が区分適合性調査に移行することは考えづらいため、都道府県が、医療用医薬品に係る適合性調査を行う機会がなくなるということではないと考えております。
 なお、製造所におけるGMP省令の適合状況を確認するために実施する立入検査も、引き続き都道府県に実施していただく予定です。法違反があった場合の違反措置に関しましては、新規品目の承認の可否は厚生労働大臣が決定しているため、仮に新規品目に係るGMP調査において違反が見つかった場合には、その結果に基づいて厚生労働大臣が不承認等の措置を行うこととなります。
 また、製造所に対する違反措置につきましては、現行制度においても、新医薬品については、国内の製造所に対する承認時の適合性調査はPMDAが調査主体となっている一方で、当該品目に係る製造業者に対する処分権限は都道府県が有している状況です。御指摘と同様の制度となっておりますが、特段の問題は生じていないかと考えております。
 こうしたことからも、管内の情報の把握に支障はなく、製造業者に対する指導も適切に実施できるのではないかと考えております。
 もう1点質問を頂いております。「この問題については、医薬局で実施をされていた「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」でも議論され、2024年4月24日に報告書が取りまとめられております。報告書33ページには、GMP適合性調査について「GMP適合性調査において重点的に調査すべき事項を整理し都道府県へ周知を図る」、都道府県における薬事監視の体制の強化として「都道府県がPMDAと連携することで重点的かつより高度な立入検査を可能とするとともに、都道府県調査員に対してPMDAの実践的な調査能力を習得する機会を提供する」と記載されています。このとりまとめ内容と今回の提案は整合性が取れていないように思いますが、方針が変更になった理由とどこで議論が行われたのかを明らかにしてください」ということです。これにつきましては、御指摘の検討会において、GMPの調査主体の見直しについても検討がなされており、報告書の中では、「中長期的な課題として、現状都道府県が調査主体となっている品目であっても、都道府県の事情に応じてPMDAが調査を実施できるような制度を含む、都道府県の支援体制の創設についても議論を行うべき」とされております。都道府県の支援を行うに当たっては、単に当該都道府県のGMP調査の実施を支援するだけではなく、昨今の後発医薬品の製造管理に係る不正事案の発生を踏まえ、後発医薬品の製造所、特に新規承認時のGMP調査の監視の強化の観点が必要であると考えております。そのためには、専門性が高く、かつ、医薬品の承認審査を担うPMDAが後発医薬品の新規承認時のGMP調査も一体的に実施するべきであると考え、後発医薬品の新規承認時の適合性調査と、比較的難易度の高い医療用医薬品の区分適合性調査の調査主体をPMDAに見直す提案をした次第です。また、御指摘のありました「GMP適合性調査において重点的に調査すべき事項を整理し都道府県へ周知を図る」「都道府県がPMDAと連携することで重点的かつより高度な立入検査を可能とするとともに、都道府県調査委員に対してPMDAの実践的な調査能力を習得する機会を提供する」等、報告書において対応することとされた事項につきましては、既に取組を実施しており、今後も継続して実施してまいりたいと思います。長くなりましたが、以上が御紹介です。
 続きまして、(3)の資料の説明に入りたいと思います。「医療用麻薬の流通の合理化」です。資料の12ページを御覧ください。麻薬の流通の合理化につきましては、前回の改正に向けた検討の中でも御議論いただき、その議論を踏まえて、令和3年には流通の合理化を図るべく麻薬小売業者間の譲渡要件の緩和等を行ったところです。背景・課題の所に書いておりますが、麻薬は、がん性の疼痛等に有用である一方で、濫用により濫用者本人のみならず社会に対しても悪影響を及ぼすおそれがあります。こういったことから、麻向法上、①及び②にありますように、都道府県単位、一方通行とすることで流通を厳格に管理しているところです。
 2つ目のポツです。他方で、①ですが、麻向法上、例えば麻薬卸売業者は、同一の都道府県内の卸売業者、麻薬小売業者、麻薬診療施設の開設者、麻薬研究施設の設置者にしか麻薬を譲り渡すことができないということになっております。県境付近に所在する麻薬卸売業者であっても、同一県内の麻薬小売業者等にしか譲り渡すことができないという状況です。2つ目の②です。麻薬小売業者が麻薬処方箋の所持者以外の者に麻薬を譲り渡すことや、麻薬診療施設の開設者が患者への施用以外の目的で麻薬を譲り渡すことは原則禁止をされております。医療用麻薬が有効に活用されることなく不動在庫という形で廃棄されている状況もあります。こうした状況は、効率的な流通の観点から課題があるという指摘もあるところです。
そうした中で、令和3年には麻薬小売業者間の譲渡要件の緩和を行っているわけですが、以上のような状況を踏まえて、検討の方向性(案)として、麻薬の適正な流通管理等に配慮しつつ、こうした課題への対応について検討が必要ではないかということでお示ししております。現時点では問題提起にとどめた形となっておりますが、御意見を伺い、更に実態やニーズ等も踏まえた上で検討していきたいと考えております。
 13ページは、参考として現行の麻向法に基づく譲渡規制の現状を表しております。ただいまの御説明で触れた①②に関連して、認められていない流れを×としております。長くなりましたが、以上です。
○中井医薬品審査管理課長 続きまして、(4)後発医薬品等の承認審査におけるパテントリンケージ制度の運用改善について説明申し上げます。パテントリンケージ制度、いわゆる後発品の承認審査における特許への対応については、平成21年の二課長通知ということで資料15ページに概要がありますが、先発医薬品の特許と後発医薬品との関係性に係る見解を双方から聴取した上で、承認の可否の判断を現在やっております。。
 しかしながら近年、関係当事者双方の見解に大きな隔たりがあるということで、厚労省における確認が困難なケースが増えてきているという状態です。
 特許抵触の有無の判断というのは、訴訟等において、裁判所が基本的に行うものということでありますが、昨年の知財高裁判決によれば、後発品の承認前の段階では、後発品が先発品関連特許を侵害していないことの消極的確認訴訟は訴えの利益を欠くとして却下されております。承認審査の過程で司法判断を参照することはなかなか難しい状況になっているというところです。こういった中で検討の方向性ですが、1つ目です。以下の事項ということで後発品の承認審査で考慮される「物質特許」及び「用途特許」の定義・範囲、特許抵触の有無を確認するための手続や後発品の承認可否判断の基準、医薬品特許の専門家の意見を反映させる仕組みということについて検討するために、研究班を設置して国内外の文献情報や裁判例、学説等を調査・分析してはどうかということを考えています。
 2つ目は、その調査研究の成果をもとに、パテントリンケージ制度について、専門家への意見照会制度の導入についての検討を進めていくということについてはどうかということで整理しています。説明は以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは説明していただいたページごとに、御意見を伺いたいと思います。最初に2ページ、薬局開設者の報告先についてはいかがでしょうか。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。薬局機能情報制度の報告先なのですが、報告先がどこになろうとも、薬局機能情報は地域住民、それから患者が使えること、そして国・都道府県・市区町村行政等もこれまでどおり使えることが重要だと、まずは考えます。
 その上で、許可権者が保健所設置市等の場合に、都道府県と情報がきちんと共有されるかということが1つです。それから、県によって薬局機能情報提供制度で定められている項目以外のもの、県独自のものを収集・公表している所があります。ですから、そういう情報を今後どうしていくのかということ、その枠組みが残せるのかということ。県の中での医療提供体制等を踏まえて、県が独自の項目を設定していると思っていますので、そういうものは残せるような仕組みが必要ではないかと思っています。
 また、先ほどお話しましたが、機能情報提供制度は薬局機能を地域住民に周知することはもちろん、医療計画を踏まえた地域の医薬品提供体制構築のための基礎的な重要なデータとなります。報告先が変わることにより、各種計画や施策等の検討、策定ができないことがあってはならないと考えます。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 産経新聞の佐藤です。薬局機能情報提供制度の報告先を、許可権者と同一とすることについて賛成です。機能を持った薬局をいかに地域の中で配置していくかということを考えていく時期に来ていると思います。地域医療計画には、薬局は明確に規定されていないわけですが、先ほど出ましたように、在宅に携わる薬局や機能に応じた薬局が適切に地域の中で配置されることが必要と考えます。今回の保健所設置市や特別区に報告をするようになるということは、そういうことができる環境を整えていくという面でも有効かと思います。
 また、人口が減る中で、薬局がない地域というものも多分、出てくるかと思いますが、そういった所にどのように薬を届けていくかということも、併せて考えていく必要があると思います。そういう議論を加速化していくことが必要だと思います。以上です。ありがとうございます。
○福井部会長 ありがとうございます。中島委員、どうぞ。
○中島委員 東京都も中島です。報告先を薬局の許可権者と同一にすることですが、報告先に合わせまして、公表の主体も薬局の許可権者にすることで、住民の皆様への薬局情報の公表を、より迅速に実施できるようになると考えています。
 ただし、区や市では、新たな業務を担うことになりますので、人員や予算の対応が必要になり、また、県によっては条例改正等の対応が必要になるところもあると思いますので、調査等で各自治体の状況を御確認いただいて、十分な準備期間を設けていただく必要があると考えています。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
○大原薬事企画官 すみません、事務局からコメントをよろしいでしょうか。様々な御意見をありがとうございます。この本質としましては、関係者間で必要な情報が円滑に共有されることが大前提です。いただいた御意見を踏まえまして、どういった流れでやっていくのがよいかを含めまして、関係者の意見も聞きつつ詳細は詰めていきたいと考えています。ありがとうございました。
○福井部会長 3ページについてはいかがでしょうか。これは薬局機能情報提供制度を医療機能情報提供制度のようにするということなのですね。先に、森委員から。
○森委員 ありがとうございます。先ほど佐藤委員からもありましたが、今後の医薬品提供体制をどうするかということを考えると、公益的な見地からの活用について賛成するところです。
○福井部会長 中島委員、どうぞ。
○中島委員 3ページの、知事から大臣への報告と、あと大臣から知事への公表に関する助言、勧告等についてですが、市や区が報告先・公表主体となる場合には、知事のほかに市長、区長も加える必要があると考えています。御検討をお願いいたします。
○福井部会長 いかがでしょうか。
○大原薬事企画官 ありがとうございます。論点を分けてしまったので、そういった形になってしまいましたが、いただいた御意見を踏まえまして検討させていただきたいと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはよろしいですか。
 それでは10ページ、処方箋等の保存期間、これは3年間を5年に延長することという内容でした。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。患者さんにとって重要な情報を適切な期間保存することは必要なことだと考えます。今、電子処方箋、それから医療情報の電子化、医療DXの推進、そして医療・調剤情報の共有ということを考えれば、現行の保存期間について医療情報との整合を図ることは、ある意味、当然ではないかと考えます。一方、事務局からもありましたが、現状は紙媒体で保存されている情報もあること、調剤録に関しては調剤済み処方箋を活用している薬局がほとんどではないかと思います。具体的な運用に当たっては、そうした現状、それから電子化の状況等を踏まえながら、現場にとって過剰な負担が掛からないように慎重に対応していただきたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。これは、そもそも3年にした理由は何なのでしょう。
○大原薬事企画官 調剤後の安全性に係る問題というところへの対応ということと、実際、その薬局において、当事もそうですが、紙での保存というところもありましたので、そういった実施可能性というところと、承知しています。
○福井部会長 花井委員、どうぞ。
○花井委員 ありがとうございます。花井です。この保存期間については、薬害被害の救済のときに、カルテなどの記録がないことで救済を受けられないということが起こりました。2002年の血液法改正のときには、生物由来は20年の記録保管というものを実装して、一応、そういうスローウイルスに対応ということを考えました。プリオンなど、非常に長い期間を掛けて病原体が影響を及ぼす場合には、そういうものが必要だということで、薬機法上はそうなっているのです。今度は、そういう被害救済という面もそうなのですが、福祉的な制度でも、障害などを申請するときに最初の初回診察時のカルテを出さなくてはいけないなど、そういうことが起こって、いろいろな医療情報がやはり永久に保管されるというのは理想と考えています。もちろん、今回はこれでよろしいのですが、日本の医師会のほうの倫理要綱でも電子媒体になったものは永久に保管すべきだと、日本医師会のほうにも書かれていますし、紙ものはいいのですが、ゆくゆくは全部電子化するので、電子になれば永久保管というインフラを当然のように、リアルワールドやPHR、マイナンバーなど、いろいろなことが統合していくと思いますが、そういうことを踏まえた形で、理想的には電子的に永久保存という方向を見据えた上で、今は規定なので、これが妥当かなと思います。電子化したら、もう永久でしょうということを重ねて申し上げてきます。
○福井部会長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。厚労省から、今の御意見については。
○大原薬事企画官 ありがとうございます。この長さについては、いろいろな意見があると認識しているところですが、実施に当たりましては診療録やほかの医療情報の動きも横目に見つつ、一方で紙媒体での保存がされていることもありますので、十分な準備期間を取るなど、現場の負担等も考慮しながら考えていきたいと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、12ページ、医療用麻薬の流通の合理化について、最初にこのページのことについてお願いします。ちょっと何分間か、山口委員からの質問に対しての御説明をされましたが、それはちょっと後でということで、最初にこのページについての御意見を伺いたいと思います。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。医療用麻薬の流通は、都道府県知事から麻薬の免許を受けた医薬品卸、薬局などによる厳格な管理の下、同一都道府県の範囲内で行うことが現在認められています。また、医療用麻薬の薬局間の譲渡や譲受は基本的に認められていませんが、一定の条件の下、届出を行ったグループ間に限り譲渡・譲受が認められているなど医療用麻薬の流通については厳格な管理、トレーサビリティの確保が重要です。今回、検討課題の1つとして提示されている県境付近の施設での越境対応の取扱いについては、確かにそのような地域に所在する薬局にとっては便利なところがあるのは事実だと思います。私の所も栃木県なのですが、群馬県との県境ですので、実態としてはそういうことがあるのではないかと思います。
 ただ一方で、同一都道府県内での厳格な管理、それからトレーサビリティの確保によって医療用麻薬の流通がこれまで適正に管理されてきたという側面があるのも事実です。隣接する都道府県間での医療用麻薬の流通について検討するのであれば、その見直しによって厳格・適正な管理が形骸化することのないよう慎重に対応することが必要であると考えます。これが1点です。
 それから関連で、麻薬の使い方が以前と随分変わってきており、初期から積極的に高用量を使うようになってきています。高齢化社会を迎えて様々な施設で暮らす高齢者が増えてきている中、施設でも麻薬を使用することがあるのですが、例えば使わなくなったとか、残念ながらお亡くなりになった際に麻薬を回収しに伺ったときに、現行のルールでは非常に運用が難しいところもありますので、そのようなことも踏まえて整理をしていただければと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。小口委員、どうぞ。
○小口委員 日本医薬品卸売業連合会の小口です。卸の立場から少し意見を言わせていただきたいと思います。まず、方向性としては、是非、検討していただきたいという前提です。ここ数年前より、もう少し前ですね。もう10年程前より、その規制緩和という一環で、県境を越えた麻薬卸売業の麻薬の譲渡についてということで意見を求められ、厚生労働省に何回か意見は提出させていただいています。まず、バックグラウンドですが、今般、医療用医薬品全体に、製造販売業者から製品を発送先の集約を求められています。卸側としては、受入拠点の限定をしているところです。これは麻薬も同じで、広域卸中心にではありますが、医療用麻薬においても卸売販売業者が麻薬元卸売免許を別途取得し、在庫管理及び流通を行うようになってきています。
 また、後発品の発売等々により品目数、アイテム数がかなり増加しているのが現状です。卸の現場においては麻薬金庫のスペースの狭隘、これによる在庫不足、あるいは廃棄が増えるという傾向にあります。
 目的としては、医療機関への、患者様への安定供給及び不動在庫による麻薬廃棄の削減、これらを目的として検討をしていただきたいと考えています。卸側の要望としましては、届出等々をした上で同一法人内における麻薬卸売業者間の県境を越えた譲渡・譲受を可能とする方向で検討いただきたいと考えています。麻薬は取締法により、厳しく規制されていますので、逸脱や不正利用につながるような事案が発生した場合は、企業の存続に関わることになります。厳格な管理下で、今までも行われていますし、また引き続き行っていかなければならないというのは肝に命じています。そういったことをトータル的に考えて、麻薬に関しても原材料の問題等を含め他課題もありますので、廃棄を減らすという方向にて検討していただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。これまで、こういう麻薬について、何か検討会で既に話し合ったなど、そういうことは、まだないのですか。全く今まで。
○小口委員 検討会という段階まではいってないと理解しています。いろいろな場で検討される中で、卸の意見を少し聞きたいという形で意見を求められたということは過去にあります。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかに、この点についてはいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、14ページの後発医薬品等の承認審査におけるパテントリンケージ制度の運用改善について、いかがでしょうか。何か御意見、御質問等がありましたらお願いしたいと思いますが。二課長通知に基づいてということですが、よろしいですか。このような方向性で検討を進めていくということですが、さすがに2時間たつと、皆さんもお疲れだと思いますが、すみません。なかなか最初の頃のような御意見が出てこなくなりましたが、よろしいですか。それでは、この方向でということでよろしくお願いします。
 それでは、先ほどちょっと山口委員からの質問から始まって、課長が随分、説明された内容についてはどうですか。
○山口委員 時間を取って御回答いただいてありがとうございました。特にそれ以上はありません。
○福井部会長 ありがとうございます。もしほかにないようでしたら、本日は、いつもより少し早めに会議を終わることになりますが、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。
 最後に、事務局から連絡事項等がありましたらお願いいたします。
○重元総務課長 次回の第6回制度部会の日程については、別途、事務局から御連絡をさせていただきます。また、これまでの議論で出された御意見について整理をした資料を、次回に提示する予定です。こちらについては、各委員の先生方、またヒアリング先の各団体の方にも、事前に御確認を事務局からお願いする予定ですのでよろしくお願いいたします。私からは以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、以上をもちまして令和6年度第5回医薬品医療機器制度部会を閉会とします。御協力、それから非常に貴重な御意見をたくさんありがとうございました。以上です。