2024年9月12日 第16回健康・医療・介護情報利活用検討会議事録

日時

令和6年9月12日(木)14:00~16:00

場所

WEB開催

出席者

構成員(五十音順、敬称略)
オブザーバー(五十音順、敬称略)

議題

  1. (1)医療等情報利活用ワーキンググループの検討状況について
  2. (2)医療等情報の二次利用に関するワーキンググループの検討状況について
  3. (3)電子処方箋等検討ワーキンググループの検討状況について
  4. (4)介護情報利活用ワーキンググループの検討状況について

議事

議事内容

○角園企画官 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第16回「健康・医療・介護情報利活用検討会」を開催いたします。
 皆様におかれましては、御多用のところ、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の出席者について御説明申し上げます。本日の出席者につきましては、お手元の出席予定者リストのとおりとなりますが、今回から公益社団法人日本薬剤師会副会長 渡邊大記構成員と、一般社団法人保健医療福祉情報システム工業会運営会議議長 岩津聖二オブザーバーに御参画いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 また、本日は、高倉構成員、田宮構成員、齋藤オブザーバーが御欠席、利光構成員、永井構成員、山口構成員は途中退席予定となっております。宍戸構成員は遅れての御参加となります。また、公益社団法人日本看護協会の任和子構成員の代理として吉川久美子参考人に御参加いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 私、事務局を担当させていただいております政策企画官の角園でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の会議の運営に関しましては、ウェブ会議方式を採用してございますので、御発言に当たりまして、以下の点、御留意願えればと思います。
 まず、第1点としまして、御発言の意思があるときはZoomの手挙げボタンを御使用いただき、座長からの指名を受けてから御発言をお願いいたします。その際には、御所属と氏名を告げていただき、御発言いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、本日の会議は、開催要綱に基づきまして公開としておりまして、一般の方及びプレスの方につきましては、YouTubeのライブ配信を通して傍聴していただいております。
 事務局からは以上となります。
 それでは、森田座長、議事進行につきまして、よろしくお願い申し上げます。
○森田座長 皆様、こんにちは。座長の森田でございます。大変お久しぶりでございます。
 また、本日は暑い中、御参集いただきまして、ありがとうございます。
 それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。まず、議事(1)「医療等情報利活用ワーキンググループの検討状況について」につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○田中参事官 医政局参事官でございます。
 資料1「医療等情報利活用ワーキンググループの検討状況について」、御説明させていただきます。
 1枚おめくりいただきまして、2ページ。医療等情報利活用ワーキンググループでございますけれども、主として医療の提供等に伴い発生する情報の利活用に関する検討を行うことを目的としたワーキンググループでございまして、構成員、開催実績は2ページにあるとおりでございます。
 3ページが医療DXの推進に関する工程表ということで、昨年6月に第2回医療DX推進本部で決定した工程表でございますが、この中の赤字で囲っております情報共有基盤の整備、共有等が可能な医療情報の範囲の拡大、この辺りを医療等情報利活用ワーキンググループで議論を重ねてまいりました。特に、全国医療情報プラットフォームの中の電子カルテ情報共有サービスの整備というところを中心に、本日御説明させていただきます。
 4ページ、おめくりいただきまして、保健医療情報の閲覧の仕組みというふうにございますけれども、既に行われているものとしては、①マイナポータル等を通じて、健康診断や予後管理に有用な保険医療情報を本人が閲覧できる仕組みと、②医療機関間で電子カルテ情報を相互に閲覧できる仕組み、大きくこの2つに分けて閲覧の仕組みを考えています。
 ①の部分については、レセプトの情報の中でも薬剤や特定健診の情報といったものを御本人がマイナポータルを経由して閲覧できる仕組み。そして、御本人の同意の下、オンライン資格確認等システムを活用して、医療機関や薬局でこれらの情報を閲覧する環境が既に整っております。
 一方で、先ほど申し上げた、医療機関間で電子カルテ情報を相互に閲覧できる仕組みについては、現在整備中でございまして、医療機関ごとにベンダーが異なるということもあって、共有する規格やコードの標準化といったことを進めていかないと、医療機関間で情報の閲覧ができないということでしたので、そういった規格を定めて医療機関同士で情報の共有ができるような環境を今、整備しているところでございます。
 その中で、5ページにございますが、電子カルテ情報共有サービスというものの整備を新たに行っているところですが、このサービスの概要について御説明させていただきます。
 左側の上段に医療機関とございますけれども、医療機関から発生する診療情報提供書、健診結果報告書、退院時サマリー、この3文書について規格を定めて、ルールを決めて情報を登録していただきます。この情報は、基本的には健診結果報告書以外は医療機関間でやり取りをいたしますので、上の青い矢印の部分、真ん中の電子カルテ情報共有サービスを経由して、紹介先の医療機関がこの情報を閲覧できる仕組みを構築しています。
 また、傷病名、薬剤アレルギー、その他アレルギー、感染症、検査に加えて診療情報提供書に記載のある処方情報、これらを6情報として、医療機関で電子カルテ情報共有サービスに登録いただき、これをこのサービスを経由して、オンライン資格確認等システムに、臨床情報管理データベースや健診文書管理データベースといったものを整備して、御本人の同意の下、全国の医療機関やマイナポータルで御自身が閲覧できる仕組みをつくっているところでございます。
 健診結果報告書につきましては、6情報と並べて、御本人がこの結果をマイナポータルで閲覧できるようにすること。それから、医療保険者がこの報告書を閲覧できるようにするという仕組みにする予定でございます。
 6ページ、おめくりいただきまして、3文書6情報、それぞれどういったものなのかということを記載しているところでございます。文書の項目やその概要、記述仕様、宛先、添付、電子署名の有無、保存期間ということで整理させていただいております。
 健診結果報告書については、概要がこちらに書いてありますが、特定健診、事業主健診、学校職員健診、人間ドックなども対象としています。記述仕様は、こちらに書いてあるように、HL7 FHIRの記述仕様を導入しています。宛先は特段指定なく添付できる。電子署名は不要。オンライン資格確認等システムに5年間保存するというものでございます。
 診療情報提供書については、保険医療機関向けの診療情報提供書を対象にしておりまして、同じくHL7 FHIRの記述仕様。宛先の指定は必須にしています。また、添付はできる。それから、電子署名は任意ということで、電子カルテ情報共有サービスに6か月保存するというものでございます。
 退院時サマリーは、基本的には診療情報提供書の添付としての取扱いを想定しておりまして、添付なので、宛先は診療情報提供書に準じるという形でございます。電子署名は不要ということで、保存期間は診療情報提供書と同じです。
 6情報につきましては、下段の緑色の部分になりますけれども、概要はそれぞれこちらに書いてある内容のものを登録するということでございます。電子的にやり取りをすることを見据えて、主要なコードについては、できる限りコードを決めて、このコードを採用していただくということを進める予定です。
 それから、長期保存フラグというのは、長い間、保存期間を過ぎても、より効率的な医療、患者様のために必要な情報については、長期に保存できるフラグをつければ長期間残っていく。その長期保存フラグがあるのが傷病名、感染症、薬剤アレルギー、その他アレルギーというものでございます。
 それから、未告知フラグ、まだ患者さんに説明ができていない場合や、ちゃんとした病名をつける段階にない場合を想定して、未告知/未提供フラグというものを病名については登録できるようにします。
 また、顔認証付きカードリーダーでの同意の区分は、傷病名、手術情報、感染症はまとめて。それから、診療、お薬、アレルギーや検査もまとめてということで、顔認証付きカードリーダーの同意区分はできるだけ画面が少なくなるようにしています。
 保存期間については、こちらに記載のとおりでございます。
 今、申し上げたこのシステムの運用開始までのロードマップでございますけれども、7ページの上段、御覧いただきまして、現在、設計、開発~総合テストを行っているところですが、2025年1月から複数の地域で、この後お示ししますが、モデル事業を開始する予定です。その後、必要な法改正等の議論を経て、令和7年度中に本番の稼動を迎えたいと思っております。
 8ページ目、先ほど申し上げたモデル事業でございますけれども、この電子カルテ情報共有サービスに対応する、標準規格準拠対応機能を導入した医療機関を対象として、患者情報の一部を医療機関間で電子的に共有することにより、このサービスの有用性、機能検証、課題を収集することを目的としています。来年の1月から順次開始予定です。
 先ほど申し上げたように文書のやり取りが生じるということなので、複数の医療機関に御参画いただくことを条件としています。中核となる病院に加えて、連携する複数の病院や診療所の組合せを想定しています。既にオンライン資格確認システムが導入・運用されている医療機関、それから補助金を準備しておりますが、その補助金の要件として電子処方箋の導入、もしくは導入時期を明示するということなど、条件がございます。
 9ページ、御覧いただきまして、モデル事業の予定地域でございます。こちらに記載のある場所で、記載のある医療機関を中心に現在調整を進めているところでございます。
 それから、サイバーセキュリティ対策についても医療情報等利活用ワーキンググループでお話をさせていただいておりますが、10ページ、御覧いただきまして、令和5年4月から、医療法に基づく立入検査の中に、新たに今回、セキュリティ対策を明示したということで、こちらの議論もこの医療情報等利活用ワーキンググループで進めてまいりました。
 その中で、令和5年4月からスタートしておりますが、11ページにあるような「令和6年度版医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト」というものを公表して、このチェックリストを基に立入検査を行っていただいております。
 併せて、11ページの3ポツ目になりますけれども、薬機法の施行規則にもサイバーセキュリティを位置づけており、サイバーセキュリティ対策の項目、「薬局におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト」も公表しております。5年度において、既にチェックリストの一部項目については、6年度、参考項目として前広に皆様に情報共有しておりましたが、今年度の項目を正式にこちらで議論して決めています。このチェックリストと、そのチェックリストマニュアルについては、こちらに記載のあるサイトでも御覧いただけますので、適宜御覧いただければと思います。
 それから、12ページでございますけれども、サイバー攻撃を想定した事業継続計画(BCP)、これはこういったことを定めることで、診療への影響を最小限に抑えるというもので、非常に有効でございます。このBCPを策定するための確認表、それからそれに解説を加えました、「サイバー攻撃を想定したBCP策定の確認表のための手引き」、「サイバー攻撃を想定したBCPのひな形」といったものも作成しておりまして、公表しております。
 併せて、13ページにございますが、「医療情報システムの契約における当事者間の役割分担等に関する確認表」。毎年、幾つかの医療機関における情報セキュリティ、サイバーセキュリティのインシデントが発生しておりまして、その中で、事前に病院側とベンダー側で、それぞれのどちらがどういう役割を果たすかということについて、あまり明確に決まっていない。そのために、初動の対応や復旧に至るプロセスがスムーズに進まなかったということが幾つかの事例で明らかになったということがございますので、それを踏まえ、今回、このような役割分担等に関する確認表というのを、総務省・経済産業省・厚生労働省において「医療情報システムの契約のあり方等に関する有識者委員会」を開催して取りまとめをしております。
 13ページの2つ目の○にありますが、契約上役割分担等が曖昧な点について、可能な限り、事前に双方の役割分担等について取り決め、有事の際に即時に対応できるよう、契約の段階で合意形成文書、サービス・レベル合意書等に落とし込むことが重要です。この役割分担等を事前に取り決めて、医療情報システム全体を漏れなく俯瞰的に捉えることは、このインシデントの予防にもつながるということで、このような取組を公表させていただいております。
 医療等情報利活用ワーキンググループでは、この1年の中では、先ほど申し上げた電子カルテ情報共有サービスと、このセキュリティの対策について、主に御議論いただいたところでございます。
 以上、検討状況について御報告をさせていただきました。
○森田座長 御説明ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御報告につきまして御発言いただきたいと思いますが、本日は議事が非常にタイトでございますので、御質問、御発言はなるべく簡潔にお願いしたいと思います。
 まず、日本歯科医師会の林構成員からお願いいたします。
○林構成員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
 資料の6ページでございます。3文書6情報の概要のところですけれども、この診療情報提供書の中で、歯科医療情報の提供も含めて議論されてきているところだと思うのですけれども、この中で、情報共有に当たって、我々歯科は歯式がございますが、こういった歯式のやり取りに関して、どの程度進捗しているのかということを1点お聞きしたいと思います。
 もう一点は、12ページのサイバー攻撃を想定した事業計画のBCPですけれども、我々歯科医療機関というのは零細な歯科医療機関が多くございますので、できましたら、このBCPの内容に関しましても、零細な歯科診療所に合致するというか、取り組みやすい内容で御提供していただければありがたいと思っております。
 2点、よろしくお願いいたします。
○森田座長 ありがとうございました。
 これについて、最初のところだけ回答をお願いいたします。
○田中参事官 御質問ありがとうございます。
 歯式の標準化につきましては、工程表でも記載しておりますが、歯科や看護領域の情報共有はどのようにあるべきかということを、現在、厚生労働科学研究などを通じて必要な検討を行っているところでございます。こちらの結果も踏まえて、今後、情報共有のために、どういう情報を共有するのか、どういう形で共有するのかといったものもお示しできればと考えております。
○新畑室長 御質問いただきまして、ありがとうございます。医政局医療情報室長でございます。
 BCPにつきましては、病床規模等におきまして様々な在り方があると思っております。その中で、あくまでひな形ということでお示しさせていただいたところでございますし、診療所をはじめとした小規模医療機関というところは、団体の関係者の皆様方と連携しながら、こういった取組を進めていただきたいというふうにお願いしているところでございますので、関係者の皆様方と、この辺り、どのように周知していくかというところを御相談できればと思っております。
○森田座長 よろしいでしょうか。
 続きまして、日本薬剤師会の渡邊構成員、お願いいたします。
○渡邊構成員 ありがとうございます。日本薬剤師会の渡邊です。
 私からは2点、意見を申し上げたいと思います。
 1点目ですけれども、電子カルテ情報共有サービスで御説明があった文書情報の共有についてになります。現在、医療機関間と同様に、薬局と医療機関との間においても、ファックスが多いかと思うのですけれども、紙で文書のやり取りがなされています。その内容については、この後の電子処方箋等検討ワーキンググループの資料の中に一部記載されておりますけれども、今後、これらを電子的に運用するには、医療機関・薬局間での標準化も必要になります。
 電子カルテ情報共有サービスの協議の中では電子カルテの標準化が検討されておりますけれども、電子薬歴側においても、どのような項目を利用して一定様式の文書ファイルを生成して、それを電子カルテ側でどのように取り込むのかということについては、両者の項目の整合性や標準化という部分が必要になります。本年度の骨太の方針の中にも薬局情報の標準化について記載されているところですので、今後連携した協議が必要と考えております。お願いしておきたいと思います。
 2点目は、サイバーセキュリティに関してでございます。スライド11の3つ目に薬局のことを書いていただいたところですけれども、最後の5つ目にも、チェックリストであったり、マニュアルであったりに関しても、薬局において同様の「薬局におけるチェックリスト」であったり、「薬局・事業者向け」と明示されたマニュアルが令和6年度版が同日に改定されているところでございます。このチェックリストに記されているサイバーインシデント発生時のBCPの薬局版のひな形という部分に関しては、本年の7月に日本薬剤師会から発出しているところであります。
 薬局においても、医療機関と同様、サイバーセキュリティへの対応を要しているところでありますので、医療情報を取り扱う上において、ぜひ今後も一体的な視野でお考えいただきたいと思っていますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 私からは以上2点でございました。よろしくお願いします。
○田中参事官 承知いたしました。薬局と医療機関の間の情報のやり取り、特に薬局発の情報については、御指摘のとおり、骨太の方針の中にも明示されておりますし、今後、医薬局とも連携して御相談させていただきたいと思っています。
 サイバーセキュリティ対策については、薬局の皆様にもかなり御負担が大きいと思いますが、御対応いただいているところでございますので、引き続き周知等に厚生労働省としても力を入れていきたいと思っております。ありがとうございます。
○森田座長 続きまして、長島構成員、どうぞ。
○長島構成員 日本医師会の長島です。要望を申し上げます。
 まず、この仕組みは医療DXの中核となる極めて重要な点ですが、医療機関からは非常に対応が困難だ、負担が大きいということで、いわば悲鳴が出ているところです。したがいまして、例えば電子カルテの標準化を、医療機関の業務負担も費用負担もできるだけ小さくなるように進めていただきたいと思います。
 もう一つ、例えば電子処方箋とか介護情報の共有など、様々なものが五月雨式に来ると、医療機関あるいは開発側の負担も極めて大きいので、全体として整合性を持って、特に医療機関から見ると一本化された形で進めていただきたいと思います。
 私からは以上です。
○森田座長 これはそういうことで要望です。よろしゅうございますね。
 続きまして、高橋構成員、どうぞ。
○高橋構成員 全国老人保健施設協会の高橋です。
 5ページですけれども、2点あります。右下のほうに④患者サマリーと書いていますけれども、これはどういった標準化がされているのか。上のほうには、健診結果報告書等でXML/PDFと書いているのですけれども、特に療養上の計画アドバイスは電子カルテで、ドクターが書くところだと思いますので、そこを教えていただきたいです。
 2点目としましては、3文書なのですけれども、今後、どういったスピードといいますか、この後、透析情報とか処置とか控えていると思うのですけれども、スピード感を教えていただければと思います。
 以上です。
○森田座長 お願いします。
○田中参事官 御質問ありがとうございます。
 患者サマリーについて、すみません、先ほどあまり触れておらず失礼いたしました。5ページの左側に書いてございますが、臨床情報の6情報の電子処方箋の処方情報になりますけれども、それに加えて医師が療養上のアドバイスを書いたものを患者様にお見せするというようなものでございます。今、全体的に見える形のものはデジタル庁と相談させていただいておりますが、基本的には患者様がマイナポータル上で御自身の検査結果を含めた多くのデータを一覧できるような、そういうイメージでこの患者サマリーを今、つくっているところでございます。
 併せて、3文書の後のスケジュールについては、3ページの工程表で赤く囲ってございますけれども、診療情報提供書・退院時サマリーの共有の後に順次共有する医療情報を拡大と書いてございますが、何年からということはここには明示がございませんけれども、今、厚生労働科学研究等で標準規格化を進めておりまして、この標準規格ができて情報共有ができるような形になった場合に、先ほど長島構成員からも御指摘ございましたが、医療機関などの負担も考えて、一定程度、医療機関への導入やそれ以外の施設への導入については、まとめていろいろな改修ができるだけ少なくなるような形で、このサービスの中に入れ込んでいきたいと思っています。現在、いつ、何がということがまだ明確にお示しできる状況ではございません。
○森田座長 よろしいでしょうか。
 続いて、山本構成員、どうぞ。
○山本構成員 ちょっと技術的なお話で恐縮なのですが、電子カルテ情報共有サービスでHL7 FHIRという記載がございまして、中身を見てみると、文書形式でJSONを使うHL7 FHIRという意味で、HL7 FHIRはそれ以外にそれぞれの交換のインタフェースも規定されていますが、それはREST APIを使うことになっています。REST APIはプロトコルじゃなくてガイドラインですので、実際にこれを実装していこうとすると、早めに準備して、どこまでやるのかみたいなことで合意していかないといけないと思うのですね。
 それと、やってしまうと、REST APIのほうがはるかに軽いインタフェースですし、これから先の実装においても多分社会的なコストも下がってくると思いますし、今みたいなSOAPならともかく、ソケットを直接つないでいるような実装をしていると、後になればなるほど非常にコストが上がってくるという気がしますので、早めにHL7 FHIRのフル実装ということでREST APIの検討を始めていただければと思います。よろしくお願いします。
○森田座長 それでは、そういうことでよろしくお願いします。
 では、お答えください。よろしいですか。
 続きまして、葛西アドバイザリーグループ長、どうぞ。
○葛西アドバイザリーグループ長 ありがとうございます。
 ちょうど山本構成員からREST APIの話が今ありましたので、それを補足する形で私の意見を言いたいのですが、実は今、日本で運用されている多くの医療機関の電子カルテの状態は、そのままではREST APIがつながらない状態になっています。なので、簡単に言うと、今の医療機関側の電子カルテをどう入れ換えていくか。それはもちろんクラウドアーキテクチャーとかにシフトしていくことも必要でしょうし、今あるWeb APIというやり方はちょっと古いかなと。HL7 FHIRのフル実装にはなりませんからという。そうすると、今まで使われている旧来の電子カルテをどういうふうにトランスフォーメーションするのかという戦略が必要になるので、これは早期に立てないと、厚生労働省だけがREST APIでと言っても誰も受け取ってくれなくなってしまうのが1つ気になっています。
 もう一つが、REST APIである限り、オープン化がある程度前提になります。軽いですから、インターネットにゲートウェイして簡便にネットワークに接続できるということが可能になるわけですが、現状のセキュリティが、今日、御説明のとおり、全部人間が紙で管理するようになっています。インターネットにゲートウェイするものについては、段階的にテクノロジーを使って、セキュリティオペレーションセンターなどを使って対策を打ちつつあるのですが、人間よりもっと速いスピードで攻撃が起きますから、もう少しテクノロジーでどう防御するかというテクノロジーのリファレンスをつくらないとまずいのではないかなという2つの意見でございます。
 以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
 この点については何かご説明はございますか。
○田中参事官 ありがとうございます。
 御指摘のとおり、今、我々が進めているのは、そもそものオンライン資格確認等システムを拡充して、まずは情報共有をするという世界を実現すると。ただ、山本構成員や葛西アドバイザリーグループ長のお話にあるとおり、将来的にはより良いシステムに変えていくことが必要で、そのためには今、既に入っている医療機関の電子カルテをどういう形にしていくかという議論が必要だということは承知しておりますし、今後、そういったことをお示ししていく必要があると考えています。
 また、ネットワークのお話についても同様だと思っておりまして、まずは、今回の電子カルテ情報共有サービスを含めて、処方箋もですけれども、今あるオンライン資格確認等システムの仕組みの中で、いかに情報共有を進めて、より質の高い医療を提供するかということに我々、まず第一歩を踏み出したと。ただ、これだけでは今の新しい技術にマッチしていないという状況は理解しているところでございますので、引き続き不断の見直しをしてまいりたいと思っております。
○森田座長 それでは、山口構成員、お願いします。
○山口構成員 ありがとうございます。
 この医療機関で情報の共有をしてほしいというのは、かねてより多くの患者の願いだったと思うのですけれども、今、御説明があった3文書6情報というのが一体何を指すのかを知っている国民自体、まだまだ少ないと思っています。確かに6情報と患者サマリーは、マイナポータルで患者も閲覧することができるわけですけれども、まだマイナンバーカードを持っていない人はマイナポータルを見ることもできないという現状がございます。
 7ページにロードマップが書かれているのですけれども、これを拝見しますと、今年4月から来年3月に向けて国民向けの広報というスケジュールになっています。もう始まって半年ぐらいだと思いますけれども、どんな方法で広報されていて、進捗状況はどういう状況なのかということを教えていただきたいと思います。
 以上です。
○森田座長 お願いいたします。
○新畑室長 医療情報室長でございます。
 大変重要な御示唆をいただきまして、ありがとうございます。国民向けの広報というところでございますけれども、今、どのように広報をしていくかというところ、委託事業等を通して整理しているところでございまして、システムを開発して、今後、こういったモデル事業を通しながらシステムリリースしていくというタイミングで、また国民の皆様方にこういったシステムを安心して使っていただけるような効果的な広報をしたい。そういったところで準備を進めているところでございます。
○山口構成員 いろいろなことに取り組んだとしても、国民に届かなければ全く意味がないと思いますので、そこのところは力を入れていただきたいと思います。
○森田座長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、まだ御発言の御希望あるかと思いますけれども、後でまとめて時間を取りたいと思いますので、そのときにお願いいたします。
 続きまして、議事(2)「医療等情報の二次利用に関するワーキンググループの検討状況について」につきまして、これも田中参事官から御報告をお願いいたします。
○田中参事官 資料2を御覧いただきたいと思います。
 2ページ、医療等情報の二次利用に関するワーキンググループでございますが、先ほどお話ししております医療DXの推進に関する工程表、それから昨年6月にあった規制改革実施計画の中で、医療情報の二次利用のさらなる促進のために検討するということが書かれました。このため、2ページにあるような構成員の皆様の御協力を得て、昨年11月から本ワーキンググループを開催し、5回の議論を進めてきたところでございます。
 3ページ、おめくりいただきまして、医療DXの推進に関する工程表における記載、それから規制改革実施計画における医療情報の記載について参考で載せております。
 4ページは、今年の骨太の方針でございますけれども、赤字にあるように、当該プラットフォーム、これは全国医療情報プラットフォームでございますが、ここで共有される情報を新しい医療技術の開発や創薬等のために二次利用する環境整備、医療介護の公的データベースのデータ利活用を促進するとともに、研究者、企業等が質の高いデータを安全かつ効率的に利活用できる基盤を構築するということが書かれております。
 5ページが、今年の8月30日に、厚生労働大臣から近未来健康活躍社会戦略というものをお示ししておりますけれども、その中の一部、医療・介護DXの更なる推進ということで、こちらの紙をお示ししております。その中でも、医療情報の二次利用の促進ということで、2つ目の大きな柱になっておりますけれども、こちらに記載してあるような内容について進めていくということが明示されています。
 6ページ、この医療情報の二次利用の推進に向けた対応方針ということで概要を書かせていただいております。
 左側に現状と課題がありますけれども、まずはカルテ情報に関する二次利用可能な悉皆性のデータベースがないということ。この課題への対応方針としては、先ほどお話をさせていただきました電子カルテ情報共有サービスで共有される電子カルテ情報について、二次利用を可能とするということ。
 それから、左側の2つ目、データ利活用が進んでいる諸外国では、匿名化情報だけでなく、仮名化情報の利活用が可能となっており、さらにそれら仮名化情報のデータを連結解析することが可能になっています。
 また、我が国では、厚生労働大臣が保有する医療・介護関係のデータベースで匿名化した情報の利活用を進めてきていますが、より研究利用で有用性の高い仮名化情報の利活用を進めるべきというのを課題として御意見をいただいたところでございます。
 また、民間の部門では、次世代医療基盤法の令和5年の改正において、仮名加工医療情報の利活用を一定の枠組みで可能とする仕組みが整備されたところでございます。
 これらの課題に対しては、公的データベースについても仮名化情報の利活用を可能とし、臨床情報等のデータとの連結解析を可能とするといった方針を進めていきたいと思っています。
 さらに、4つ目、公的データベースについては、データを操作する物理的環境に関して厳しい要件が求められているなど、研究者等の負担が大きいこと。それから、様々なデータベースが分散しているということで、研究者や企業、それぞれに利用の交渉・申請を行わなければならないと、研究者の負担が大きいという課題がございました。これについては、公的データベース等に研究者・企業等がリモートアクセスし、一元的かつ安全に利用・解析を行うことができるVisiting環境の情報連携基盤を構築すること。そして、公的データベース等の利用申請の受付、利用目的等の審査を一元的に行う体制を整備することで、利用者目線に立った対応をしていきたいと思っております。
 7ページが、申し上げたような対応方針のイメージの図になっております。厚生労働大臣が保有する医療・介護関係のデータベースについて、仮名化情報の提供を可能とするとともに、利用申請の一元的な受付、それから研究者がリモートアクセスして効率的に利用・解析できるクラウドの情報連携基盤を整備する方向で検討してまいります。
 8ページ以降が、このワーキンググループで実際に取りまとめをした内容の概要でございますけれども、今、申し上げた論点について詳細を記載してございますので、お時間がおありの際に御覧いただきたいと思っております。
 また、9ページの5.今後の検討ということで、必要な法整備や情報連携基盤の構築、データの標準化・信頼性確保の取組等を、スピード感を持ちつつ、計画的に進めていくことが必要。個人情報保護法の見直しの議論や改正次世代医療基盤法の施行の状況、諸外国の動向等を踏まえ、医療等情報の二次利用の推進に向けたさらなる法整備の必要性やその在り方についても検討を継続していくことが重要との御意見をいただいたところでございます。
 ワーキンググループでの取りまとめ等についての御報告は以上でございます。
○森田座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの報告について御発言をお願いいたします。利光構成員の御発言は事務局で後ほど確認いたします。
 長島構成員、どうぞ。
○長島構成員 6ページに示された医療等情報の二次利用の推進に向けた対応方針について(案)について、全体としては特に異論はありませんが、特に重要なのが、医療現場や患者・国民の理解を得るということです。つまり、二次利用は、意義とかメリットとともにリスクがある。ただし、リスクを減らすためにしっかりと対応する。この理解がない限り、これは十分に進まない。かえって反発や混乱を起こすと思いますので、このところを十分に丁寧にお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 林構成員、どうぞ。
○林構成員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
 先ほど長島構成員からもございましたが、7ページでございます。匿名化だけではなくて、仮名化でデータ提供ということで、データベースの利活用にとっては重要な課題だと思っております。ただ、最初の患者情報の同意に関しましては、国民はこういったことをあまり理解せずにされているというところもございますので、しっかりと国民に周知していただきまして、仮名といえども個人が特定されるものではないということ。そういった同意の下、オプトアウトが出ないようにしっかりと対応いただきたいと思っております。
 以上でございます。
○森田座長 ありがとうございました。これも御意見ということで承っておきます。
 それでは、ほかにいかがでしょうか。
 葛西アドバイザリーグループ長、お願いいたします。
○葛西アドバイザリーグループ長 ありがとうございます。
 二次利用の領域はあまり意見が出ないかなという気もするのですが、私がちょっと気になっているのは、実はこのワーキンググループ自体は私も同席させていただいて、経緯は何となく聞いているのですけれども、Visiting環境というところですね。これは昨今の技術では、当初議論していたのは、Desktop as a Serviceと言われる、仮想マシンを使って遠隔から遠くにあるパソコンに入り込むような技術を考えていたのですが、最近はそうではなくて、ウェブだけで、ウェブオリエンテッドなウェブの画面だけでコホートもつくれますし、ゲノム解析ですらできるという技術にシフトしています。なので、二次利用は国際的に情報基盤の在り方がかなり変わってきているところがあるので、これは留意していただきたいなというのが1つです。
 それから、もう一個、実はこの分野、どちらかというと医療DXというか、研究DXと言ったほうがいいでしょうか。標準の在り方が、ヨーロッパの場合、非常にうまくできていて、EHDSなんかのヨーロッパの法令上、考える中でも、SNOMED-CTという国際医療用語集をベースに考えることがもう当たり前のようになっているのですね。ところが、日本の場合には、当然日本語のSNOMED-CTはありませんから、日本語のグロッサリーとして一番近く使えるものがあるとすると、研究分野ではOMOPになるだろうなと。
 問題はHL7 FHIRで、まず標準的に医療現場の標準化を行っていながら、研究分野の国際ハーモナイゼーションではOMOPで研究を進めていくことがだんだん進むだろう。実は、この分野のゲノムも私、担当して設計しているのですけれども、そうなると医療用語も国際的に合わせていく部分と国内的なものを死守する部分の整理が必要になります。ここはあまり研究が進んでいなくて、一足飛びにSNOMED-CTのグロッサリーを流用するというのはできませんから、日本固有の用語という言葉に対して、例えばOMOPのマッピングをして、その上で、例えばHL7 FHIRで一次共有されたものを二次利用してOMOPで活用するというような、そういう実際に用語の標準化というのがあまり進んでいません。
 これと日本の場合にもう一個ややこしいのが保険という分野です。保険という分野での用語があります。これは厚生労働省の中では局が違いますので、保険の用語の考え方、医療の用語の考え方、研究の用語の考え方ということが総合的に運用できない状態になっています。なので、この辺りもちゃんと局をまたいで用語の管理をし、その精緻化をしていかないと研究DXには行かないという問題があるので、これは今後大きな課題ですけれども、ぜひ御検討いただきたいなという内容でございます。
 以上です。
○森田座長 かなり重要な御指摘だと思いますけれども、田中参事官。
○田中参事官 9ページの4のところに、かなりふわっとした記載になっていますけれども、御指摘の標準化や各種コードの普及、そして各種コードを紐づけるマスターの整備ということで、取組の重要性については認識しておりまして、その国際的な視点というのも御意見いただいたところでございますので、今後、こういったことをどう進めるかということを、調査事業などもうまく活用しながら進めてまいりたいと思っております。
 また、Visiting環境についても、どういうVisiting環境がまさに今のトレンドになってきているのかということも含めて、最新の情報がしっかりと反映できるような形で、まずは調査等を進めてまいりたいと思っております。
○森田座長 よろしいでしょうか。
 それでは、ほかに御発言がないようでございますので、次のアジェンダに移りたいと思います。次は、議事(3)「電子処方箋等検討ワーキンググループの検討状況について」につきまして、事務局からお願いいたします。
○猪飼企画官 医薬局企画官の猪飼と申します。
 私から資料3に基づいて御説明させていただきたいと思います。
 2ページにございますとおり、電子処方箋の機能拡充等に係るシステム開発や運用ルールに関する検討を行うことを目的としまして、電子処方箋等検討ワーキンググループを設置してございます。その構成員としましては、病院団体、医師団体、薬剤師団体、またヘルスケアベンダー団体、保険者代表、消費者代表といった皆様方になっていただいてございます。過去1年強に5回にわたりまして検討を重ねてまいりました。
 3ページですけれども、電子処方箋につきましては、今年度末、すなわち来年3月末までに、おおむね全ての医療機関・薬局に導入いただくという目標を掲げておりまして、それに向かって普及を進めている最中でございます。この9月1日時点の普及状況につきましては、全国で3万強の施設、割合にしまして15%です。内訳としましては、医療機関で数%、薬局で45%の普及状況となってございます。
 そして、4ページ、5ページですけれども、その普及をさらに拡大するために様々な手法を取ってございまして、例えば公的病院への導入要請とか電子処方箋の導入補助金の拡充、また診療報酬上の対応といったことをもって普及を図っている次第でございます。
 6ページですけれども、ここにワーキンググループでの議論が全て要約されてございます。電子処方箋等検討ワーキンググループで検討してまいりました追加機能につきましては、議論・開発も終えて、既に実装いただいている技術と、議論は終えたけれども、開発中の技術、そしてまさに今、議論継続中の技術に分かれるわけでございますけれども、一番上のリフィル処方箋、重複投薬等チェックにおける口頭同意、マイナンバーカードを活用した電子署名の3つは、議論いただいたことを踏まえまして、具体的な実装方法も公開して、今、まさにヘルスケアベンダーさんから、各医療機関・薬局にサービスが提供されている技術となります。
 その詳細に関しましては、リフィル処方箋は、令和4年度診療報酬改定時に定められた制度でして、既に電子処方箋の開発が進んでいたところなので、電子処方箋を運用開始した時点では、この機能がついておらず、追加機能として開発したものでございます。
 続きまして、重複投薬等チェックにおける口頭同意は、電子処方箋における情報、すなわち患者の薬剤履歴を、患者さんがマイナ保険証を持参いただくことによりまして、医師・薬剤師の皆さんにこの情報を見ていただけるということが大原則としてございますけれども、この電子処方箋は、重複投薬または併用禁忌に当たる処方をしようとしたときには、安全のためにアラートが出る仕組みを実装してございまして、このアラートが鳴った際には、マイナ保険証を持参していただいていない場合においても、その情報を一部開示できるという仕組み。これは実際に医療現場からの強い御要望を踏まえて実装した機能でございます。
 3つ目、マイナンバーカードを活用した電子署名は、医師の皆様が処方する段階、または薬剤師の皆様が調剤結果を登録する段階で電子署名を要求してございますけれども、この電子署名に当たりましては、日本医師会等が運営されているHPKIシステムに則って行うわけですけれども、基本的にお医者さん1人、薬剤師さん1人につき1枚、HPKIカードが必要になる前提でした。このHPKIカードが、グローバルな半導体の不足によりまして発行が遅延したという状況が続いてございましたので、物理的なHPKIカードがなくてもマイナンバーカードをもって署名ができるといったシステムを公開した。いずれも、国としまして昨年12月末に公開している技術でございます。
 また、その次の調剤済み処方箋の保存サービスは、薬局で調剤済みの処方箋を保存するに当たりまして、有料でこちらの電子処方箋管理サービスにて保存いただけるサービスを提供してございます。こちらは国としましては、7月にその機能を公開したところでございまして、今まさにヘルスケアベンダーさんにその実装に向けて開発いただいている最中ということでございます。
 電子処方箋につきましては、基本的に今、行っているものは院外処方箋、すなわち医療機関から出された処方箋を、患者さんが薬局に行って調剤を受けるといった前提の処方箋のみに対応してございますけれども、院内処方、医療機関の中で薬の手渡しまで完結する場合の情報も入れていただくことが、特に患者さんの重複投薬等のチェックに当たっては非常に有用だということで、この機能を追加する方向でございまして、こちらにつきましては、このワーキンググループで議論を重ねた結果、6月末に技術解説書、すなわち末端の医療機関の皆様に対して、ヘルスケアベンダー企業様が改修する際の仕様書を公開済みでございます。
 その他、今まさに議論中のものとしまして、重複投薬等のチェック機能の向上等とか、また一番下、薬局起点の情報、どのような薬局で入力いただいている情報を医療機関に共有することが有益かどうかといったところから議論を始めているという状況にございます。
 私からの説明は以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
 ただいまの御報告につきまして御発言がございましたら、どうぞ。
 長島構成員、どうぞ。
○長島構成員 電子処方箋のメリット、意義に関しては、件数が増えるにつれて、併用禁忌あるいは重複投薬のチェックもかなり増えたということ。もう一つが、能登半島地震において、オン資のレセプト由来の情報だと1か月少々のタイムラグがありますが、電子処方箋では直近のデータが分かるということでメリットがあるということで、メリットに関してはだんだん普及してきたと思います。
 ただ、現実に、導入に関しては医療機関側の負担が極めて大きいということが最大のハードルとなって、3ページを御覧ください。現在の9月時点の導入状況を見ると、0.25%から1.92%、4.47%なのです。これがあと半年後、来年3月におおむね全ての医療機関、いわば100%になるということは、どう考えても不可能です。様々な施策を講じても無理です。したがいまして、現実的な目標を再設定して、そこに向けて堅実に進めていくべきと思っております。もう一度、目標について再設定すべきと考えます。
 以上です。
○森田座長 御質問にお答えお願いします。
○猪飼企画官 事務局でございます。
 今、いただきました目標が非常に高いということ自体は我々も認識してございますけれども、まず、目標を再設定すること自体、この利活用検討会のマンデートを超えているということと、非常に高い目標であっても、それを実現するために最大限の対策を講じていくということが我々の現時点でのスタンスだということだけ申し上げたいと思います。
○森田座長 ありがとうございました。
 続いて、渡邊構成員、どうぞ。
○渡邊構成員 ありがとうございます。日本薬剤師会の渡邊です。
 3点ほど意見を申し上げたいと思います。
 1点目ですけれども、長島構成員からもありましたけれども、スライド3にお示しいただいているように、薬局においても電子処方箋の応需体制という部分での構築を進めています。ただ、電子処方箋という仕組みを推進するのであれば、患者さん、そして発行する医療機関、応需する薬局の全体として取り組む必要が生じてまいります。そのために、各都道府県においても、まず薬務主管課が医務主管課と連携して動いていただかないと、医療機関にはなかなか普及しないということになります。
 併せて、スライド4にも示されていますけれども、補助金の活用に関しても現在19都府県だと思いますので、これに関しても各都道府県にバックアップしていただく必要があるのかなと思います。
 そして何より、電子処方箋は希望する患者さんに発行するものとなっていますので、国民への周知・啓発がないと、ほぼ認知されていない状況かと思っています。各施策がばらばらではなくて、マイナ保険証のように周知・広報を併せて行っていくのか等々、一体的な動きというのはどういうふうにしていくのかということは考えていく必要があると思っています。その上で、各都道府県における連携や、補助金の活用を促していただくことが必要になりますので、御対応よろしくお願いしたいと思います。これが1点目です。
 2点目は、スライド7に示されている院内処方の情報に関してです。左側の枠に外来患者に関する院内処方が記されていますけれども、先ほど御説明があった部分以外に、この中には外来でがん化学療法等がされたときに使用されている抗がん剤等のデータが入っています。これに関しては、リアルタイムで共有することが非常に重要で、必要な情報なのですが、現在、電子的に扱うことができない情報になっています。
 がん化学療法で、院内で投与された注射薬等々と併せて、同時に院外で発行された処方箋を応需した薬局にとっては、院内で投与されてきた抗がん剤の情報というのは大変重要な情報になります。各病院のシステムでデータの取扱いが様々に異なる中で、このデータを利用していくというのはなかなか難しい部分であるのですけれども、今後協議を進めていただきたいと思っています。
 最後、3点目ですけれども、これは先ほど意見しましたスライド8にある薬局起点の情報になります。これも上の2つ目の○のところに電子処方箋のコメント機能が記載されているのですけれども、これは医師・薬剤師間でのコミュニケーションツールとして、簡易に用いることができる大変有効なツールだと考えています。しかし、これはあくまで1つの枠に書き込むテキスト情報ですので、用途を整理した情報として取り扱えるわけではないのです。ですので、今後、電子カルテ、電子薬歴等のデータの相互連携等を可能とするには、先ほどのような標準化等と併せた、連携した協議が必要になると思いますので、ここは重ねてお願いしておきたいと思います。
 私からは以上です。
○猪飼企画官 事務局でございます。
 まず、1点目、今後、医務主管課等も含めて連携を取るべきということにつきましては、これまで厚生労働省内でも、医政局も含めて、この電子処方箋の推進を都道府県の医務主管課も含めて対応いただくような通知を出す等の対応をしてございますけれども、今後も一層、そのような連携を進めてまいりたいと思います。
 補助金の都道府県数につきましては、ここには19都道府県、正式に決定したものしか記載してございませんけれども、今後、9月議会等でさらに複数の都道府県が実施予定でございますので、それも今後、情報をアップデートして公開していきたいと思います。
 国民への周知・広報につきましては、今後、さらに強化してまいりたいと思いますし、マイナ保険証と一体となった広報も具体的に検討して進めている最中ですので、より皆様の認知度向上につなげたいと思います。
 2点目の院内処方につきましては、すみません、私の説明がミスリーディングだったかもしれませんけれども、外来患者に限るものというふうな前提にはしておらず、入院中のもの等を含めて対象にしてございますので、医療機関においてしっかりと登録・入力していただけるように周知を行ってまいりたいと思います。
 3点目の薬局起点の情報につきましては、ここにいただいた御意見等も踏まえまして、引き続きこちらのワーキンググループにおいて具体的な検討を進めてまいりたいと思います。
 以上です。
○森田座長 よろしいでしょうか。
 続きまして、林構成員、どうぞ。
○林構成員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
 私からも同じなのですけれども、3ページの電子処方箋システムの導入状況についてでございます。電子処方箋の活用によるメリットというのは、歯科医師会においても会員に周知しているところではございますが、ここに記載のとおり、6万483施設のうち、まだ150施設ということで、0.25%ということでございます。これに対応できる歯科ベンダーの数も、7月の時点で使用しているベンダーの半数ぐらいしか対応できないということでございまして、なかなか推進できていないというところが実情です。導入コストが高いということは自明ではございますが、この辺りの現場の状況をしっかり理解していただきまして、国の補助ないしは都道府県の補助、今後の対応について、もう一度目標設定を見直していただきたいと思っております。
 以上でございます。
○猪飼企画官 御要望として承りましたけれども、現場の状況については、よく御相談させていただければと思います。
○森田座長 よろしいでしょうか。
 それでは、山口構成員、どうぞ。
○山口構成員 私も導入状況のところですけれども、電子処方箋の受入先である薬局が約半数に近づいている中で、医療機関、歯科診療所はまだまだ非常に少なくて、これは今、経済的な負担というお話があったのですけれども、医科で見ますと、診療所が4.47%で病院は1.97%ということで、さらに少なくなっています。ですので、これは電子処方箋が始まっているということを患者が知ったとしても、それを希望してもほとんど出してもらえないというのが現状かと思います。
 先ほど長島構成員が、早期に実現することにはかなりいろいろ必要な対策があるとおっしゃったのですけれども、できれば長島構成員、林構成員から、どのような支援があると、これが早期に進んでいくことになるのか、具体的な現場の御意見としてお聞かせいただきたいなと思います。
○森田座長 それでは、長島構成員、林構成員から順番にお答えいただけますか。
○長島構成員 長島です。
 まず、費用負担に関しても最初からずっと言っています。全額補助にしないと無理です。全額補助にしない限り、画期的に増えないと思います。
 もう一つ、ベンダー側の対応ということですが、五月雨式に出ているのでベンダー側の対応も大変。その結果、医療機関側の業務も増えているので、このところは現在想定されている標準型レセコンとか標準型電子カルテに一体的に取り組まれることで、電子カルテを導入すれば電子処方箋も自動的に医療機関の負担なく導入できるという仕組みにすべきですが、それには開発にかなり時間がかかるということです。現実的な負担を減らすことで、自然と導入を増やしていく。
 もう一つは、費用負担。これしかないと思います。
○森田座長 林構成員、どうぞ。
○林構成員 長島構成員からのお話のとおりでございますが、歯科にとりましては、電子処方箋、いわゆる処方箋の内容ですら追いついていないというところでございます。これから対応できるベンダーを増やすということ、それなりに補助の延長とかがあれば、この重要性は分かっておりますので、電子処方箋の推進につながっていくのではないかと思っております。少なくとも補助の延長というのは望んでいきたい。
 以上です。
○山口構成員 ありがとうございます。
 今のお二方の御意見を踏まえて、事務局、少しでも実現の可能性というのはどうなのでしょうか。
○猪飼企画官 ありがとうございます。
 費用負担全額というのは、非常にハードルの高い御要望かなと思いますけれども、そのベンダー企業各社により早期に開発をお願いする、その他、まだ知られていない歯科医師の方がいらっしゃるといったようなことがあれば、喜んで御説明に伺いたいと思いますので、できる限り加速するような対策をよくよく御相談させていただきたいと思います。
○森田座長 この件、よろしいでしょうか。
 田中参事官。
○田中参事官 長島構成員からお話がありました標準型の電子カルテにつきましては、今、医科診療所向けにデジタル庁において開発を進めているところでございます。α版のリリースが今年度中にできるかどうかというところでございまして、イメージとしては、お話にありましたように、国が進めている医療DXに関するシステムが最初にワンパッケージで入っていますというような、ちょっとお手軽なものを想定しているところでございます。
 ただ、これだけでは、国のやっているシステムだけでは診療が成り立たないので、加えて様々な必要な機能をつなげることができるような、そのような電子カルテの開発を今、進めているところでございますが、実際にこれが最終的な本格版というものに開発が進んで、皆様に胸を張って提供できるまでには大分かかるかなというところでございます。イメージとしては、今まだ電子カルテが入っていないところに対して、情報共有をするため、患者さんの医療の質を上げるために入れていただくものという目的で開発を進めています。そういったものを活用することで、より電子処方箋の普及がわっと広がるということは十分に考えられるかなと思っていますが、全ての医療機関を対象にしたものではないということだけ、まずお伝えさせていただきたいと思います。
○森田座長 よろしいでしょうか。
 それでは、電子処方箋に関しまして、さらに御発言ございますでしょうか。
 渡邊構成員、どうぞ。
○渡邊構成員 すみません、ありがとうございます。
 今、医療機関の話が出たので、少しだけ薬局について補足したいと思うのですけれども、薬局において、現在、ここまで数字を上げていることに関しては、日本薬剤師会として発信しているのは、電子処方箋の仕組み全体が動いていなくても、薬局から上げられる調剤情報をリアルタイムに使うために、薬局には電子処方箋のシステムを入れていただいて、ぜひリアルタイムに調剤情報を上げていただきたいということの周知・広報の中で、各現場で頑張っていただいているところでございます。
 電子処方箋のデジタルでの運用の部分に関しては、実は薬局の中でも課題を抱えています。これは薬局の業務そのものが、まだまだ紙で運用するスキームになっていることです。ですので、処方箋という紙が電子化されて入ってきたとしても、結局、それを紙に打ち出して対応しなければならない等々の局内の事情を抱えています。ですので、薬局業務としてデジタル化していく必要がある部分に関しては、さらなるコストが必要になって、これにはまだ対応できないという状況があります。これに関しても、ランニングを見ていく部分の中であったり、しっかりとした支援体制、補助金体制というのを改めて私からもお願いしたいと思いますので、意見とさせていただきます。
 以上です。
○猪飼企画官 事務局です。ありがとうございます。
 薬局のペーパーレス化につきましては、タブレットを導入する等して投資額を上回るような費用削減を達成しているような薬局さんの事例なども、私どもは認識してございますけれども、全国の薬局の皆様におかれまして直面されている問題、そして、その電子処方箋の運用に当たって障害となるものにつきましては、子細に意見交換させていただきまして、できる限りの対策を我々も講じてまいりたいと考えてございます。
○森田座長 この件、よろしいでしょうか。
 それでは、次に移りたいと思います。次が最後になりますが、議事の4番目で「介護情報利活用ワーキンググループの検討状況について」につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○渡邊室長 老健局老人保健課介護保険データ分析室長の渡邊と申します。
 資料4を用いまして、介護情報利活用ワーキンググループの検討状況について御説明させていただきます。
 めくっていただき、2ページですけれども、介護情報利活用ワーキンググループの検討状況についてでございます。本ワーキンググループは、健康・医療・介護情報利活用検討会の検討事項のうち、主として介護の提供等に伴い発生する情報の利活用に関する検討を行うことを目的として設置されまして、利用者自身や介護事業者等が閲覧・共有することが適切かつ必要な情報の選定や記録方法の標準化。そして、利用者自身や介護事業者等が介護情報を閲覧・共有するための仕組み等について検討を行うこととされております。
 これまで右下の3.開催実績のとおり検討を進めてまいりまして、令和6年3月29日に厚生労働省に対する提言という形でワーキンググループの中間取りまとめをしております。こちらの内容については、追って御説明させていただきます。構成員の方々は、資料のとおりとなってございます。
 3ページ、医療DXの推進に関する工程表、医療情報ワーキンググループの御説明でお示ししたものの再掲でございますけれども、赤枠の右にありますとおり、介護情報基盤については、令和8年度から運用するスケジュールとなっております。
 4ページ、介護情報基盤の活用イメージでございます。左側の図が、関係者の間で様々な書類が行き交っている現在の状態をお示ししております。介護情報基盤の稼動により、右側の図ですけれども、各主体が基盤にアクセスすることにより、電子的なやり取りが可能になるということでございます。
 5ページ、介護情報利活用ワーキンググループの中間とりまとめの概要でございます。これまでのワーキンググループでの議論のとりまとめとしまして、令和6年3月29日に中間とりまとめをしてございます。その内容は、以下の6つの論点について報告がされております。本内容を踏まえまして、令和6年7月8日の介護保険部会より議論を始めており、引き続き介護保険部会において議論することとさせていただいております。
 6ページ、介護情報基盤による介護情報の共有範囲をまとめた星取表となります。要介護認定情報、請求・給付情報、LIFEの情報、ケアプラン、住宅改修費利用等の情報につきまして、介護情報基盤で情報共有する関係者を列挙しております。また、★マークが情報を作成されている方々、○マークが現在既に共有されて閲覧いただいている方々です。そして、◎マークが介護情報基盤ができることにより、新たに電子的に共有する対象となると考えている方々になります。
 7ページ、同意、個人情報保護の観点から必要な対応についてでございます。
 同意の取得の機会等についてですが、利用者自身の介護情報を共有することへの利用者の同意につきましては、各介護事業者が利用者の資格確認を行う契約時に行うこととしております。これは現在の業務フローを妨げないように行うことがよいのではないかという観点でお示ししているものです。また、当該者に係る情報について一括して同意を取得することとされておりますが、個別の同意を望む方もいるため、同意取得方法については引き続き検討中となっております。原則として、取得した同意は、当該介護事業所等を利用している期間は有効なものとすることとしています。
 同意の撤回、各情報のオプトアウト等につきましては、今後、他分野の状況を踏まえて検討するべきであるとさせていただいています。
 同意に係る利用者への説明につきましては、分かりやすい説明資料や統一された同意様式を用いて、各介護事業所等において実施することとするとしております。
 なお、説明に当たっては、通常業務で用いることのほか、介護情報の電子的な共有の目的・効果や留意事項等について伝えることとしております。
 次に、下の箱、(2)同意の取得が困難な場合についてです。本人からの同意の取得が困難な場合は、他分野での対応を踏まえながら、同意の法的な位置づけ等について論点をもう少し整理させていただいた上で、引き続き検討すべきであるとさせていただいております。
 本人以外が情報共有の同意をする場合につきましても、なりすまし対策等の観点から、マイナンバーカードを用いる等の方法も含め、対応することとするとしております。
 8ページ、情報セキュリティの担保の観点から必要な対応についてでございます。
 (1)、上の箱、基本的な考え方のところですが、介護サービス利用者の要配慮個人情報を含む情報であるという観点から、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を踏まえ、介護事業所におけるシステムの運用の実態等を考慮し、取り扱うこととするとしております。
 (2)、下の箱、対応方針ですけれども、まず、介護情報基盤を活用する介護事業所において、情報セキュリティの担保ができるような手引の作成等を検討するべきであるとしております。これはより分かりやすくセキュリティが担保できるような手引を作成するという趣旨でございます。
 次に、介護事業所における導入負担を考慮いたしまして、介護事業所と介護情報基盤の情報連携は、インターネット回線を用いて行う方式についても検討するべきであるとしております。
 また、3ポツ目、インターネット回線を用いる場合についてですけれども、先ほどのガイドライン等も踏まえて、医療情報の共有に係るネットワークの検討と整合を取りながら、クラウド技術に適用できるネットワークの方式について今後検討するべきであるとしております。
 9ページ、情報共有に係る技術的事項についてでございます。
 まず、(1)PMHの活用につきましては、自治体・医療機関間で医療費助成・母子保健・予防接種の情報を連携するシステムであるPublic Medical Hub(PMH)というのがデジタル庁で検討されております。このPublic Medical Hubを介して、自治体や医療機関、利用者と介護情報基盤に格納される情報を連携することが実現できるようになりますので、この介護情報基盤の構築に当たっては、PMHを活用して自治体や医療機関と連携することを検討しております。
 (2)、下の箱、介護情報基盤に保存されるデータの保存期間につきましては、医療情報の共有における検討も踏まえ、介護情報基盤に保存される介護情報の保存期間は当面5年間を目安とし、利活用の状況に応じて適切な保存期間を検討すべきであるとさせていただいております。
 10ページ、今後の二次利用を見据えた情報共有の在り方についてでございます。今後の二次利用を見据えた情報共有につきましては、介護情報基盤を通じ、新たに収集されるケアプラン情報、主治医意見書、医療機関・介護事業所間で連携する介護情報について、二次利用できる形で共有させていただきたいと考えておりまして、データの処理や管理の方法について、「医療等情報の二次利用に関するワーキンググループ」において整合性を確保することとしております。
 11ページ、今後の検討課題についてでございます。これまでのとりまとめを踏まえまして、介護情報基盤のシステム開発等に取り組むこととしておりますが、今後の検討課題を以下のように整理しております。
 1点目は、介護情報基盤をさらに周知していく必要があるということで、利用者をはじめとする各主体者がよりその目的・効果を感じられるような情報の活用方法や、具体的な介護情報基盤の利用方法について、幅広い関係者に理解を得られるようにするべきであるとしております。
 2点目、本人からの同意の取得が困難な場合について、他分野での対応を踏まえつつ、同意の法的な位置づけ等について論点を整理するべきであるとしております。
 3点目、医療・介護間で連携する情報の内容について、医療機関、介護事業所及び市町村等のニーズの観点や、情報連携に必要な技術的な課題について整理を行うべきであるとしております。
 4点目、介護情報基盤で用いるネットワークの方式につきまして、介護事業所における導入負担を考慮し、クラウド技術に適用できるようなネットワークの方式について、医療情報の共有に係るネットワークの検討を踏まえるべきであるとしております。
 最後に、介護事業所において情報セキュリティを担保する方策につきましては、介護情報基盤を活用する介護事業所において、情報セキュリティの担保ができるような分かりやすい手引を作成することを検討するべきであるとさせていただいております。
 以上、介護情報利活用ワーキングの検討状況について御報告させていただきました。ありがとうございます。
○森田座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして御発言をお願いしたいと思います。
 長島構成員、どうぞ。
○長島構成員 医療機関も情報を提供したり、閲覧したりする。つまり、医療情報も扱われるという観点からしますと、まずは、この介護情報基盤が医療DXに占める位置、特に医療情報の連携基盤との関係というのをもう少し明確にしていただく必要があると思います。
 もう一つ、医療機関が既に導入済みのオンライン資格確認等システムなどのシステム、あるいは電子処方箋、今後導入する電子カルテの共有サービスとの整合性をしっかり取ってもらって、医療機関が新たなシステムを導入しなければいけないとかネットワークが必要になるとか、新たな負担とか不便あるいは混乱が生じないということで、特に先行する医療DXと上手に連携を取る、整合性を取るということが極めて重要であります。
 また、情報セキュリティに関しては、分かりやすく、使いやすくすることは重要ですが、レベルを下げるということは決してあってはならないと思いますので、そこのところを十分に御注意いただきたいと思います。
 私からは以上です。
○森田座長 ありがとうございます。
 お答えありますか。
○渡邊室長 医療情報の中での位置づけとか医療機関での負担に配慮してという御指摘として承りたいと思います。今後の検討になると思いますけれども、整合性を取って進めていきたいということと、セキュリティについてもレベルを下げない形で進めていきたいと考えております。
○森田座長 ありがとうございました。
 続いて、吉川代理、どうぞ。
○吉川代理 日本看護協会の吉川です。
 私からも、長島構成員がおっしゃったことと全く同じことですが、今、御説明いただきました介護情報基盤の活用のイメージと、さきに御説明いただきました電子カルテの情報共有サービスとの関係性が分かりづらいので、もう一度教えていただきたいところです。医療では電子カルテ情報共有サービスで進められていて、介護ではこの介護情報基盤等で検討が進められているということですが、これらは両方とも全国医療情報プラットフォームの中に、例えば電子カルテの情報共有サービス、オンライン資格確認等システム、そして介護情報基盤等という、全体の中にそれぞれ位置づけられていくと考えていいのかどうか。そこのところの関係性が分からないので、教えていただきたい点です。
 さらに、運用方法がそれぞれ違うと思いますが、先ほど長島構成員からもありましたが、整合性を取って使いやすくしていただきたいと考えますので、まずは関係性をもう一度教えていただきたいと思います。
○渡邊室長 関係性といいますか、まず老健局から介護情報基盤についてでございますけれども、介護情報基盤については、資料4の6ページに示されているような介護に係る情報、要介護認定情報とか、そういったものを共有するための基盤というふうに捉えていただければと思います。それが医療の全体の情報の中でどう位置づけられるかというところは、今後の検討というところもあるかと思います。
○吉川代理 分かりました。そうしますと、今はまだ介護は介護だけで介護情報基盤の中に集めるような形で、まずはそこをつくっていく、ただそこだけということになるのでしょうか。
○田中参事官 すみません、医政局参事官でございます。
 4ページの右側、基盤稼動後というのは、多分、介護の部局で作成しているところだと思うのですが、長島構成員、吉川代理の御懸念は、右側の医療機関から介護情報基盤等に矢印が出ているものが、今、我々がつくっている電子カルテ情報共有サービスとどういうふうに関係しているものなのかという御指摘かなと思っています。
○吉川代理 そうですね。
○田中参事官 現時点で、この介護情報基盤、それから医療情報基盤、PMHを含む行政の情報基盤、これ全体を併せて全国医療情報プラットフォームと呼びましょうという概念的なものをお示ししているだけで、この基盤同士の連携については、現在、まさに内部で検討しているところでございます。その上で、これからこの介護情報基盤に、例えばここで書いてある主治医意見書などを電送する際にどういう対応が必要かということは、先ほど御指摘のあったように、医療機関の負担とか、先行して進められている取組を参考に、介護部局と医療の部局でよく相談しながら進めていきたいと思っています。
 基本的に扱う情報やネットワーク、セキュリティ、それから規格といったことを、これからできる限り齟齬のないような形で進められるように連携していきますが、ここの4ページに書いてあるような将来像を目指していくということで、今回、お示ししたものでございます。明確にこうやっていきますということを今、お示しする段階ではないので、引き続き、先生方から御指摘いただいた観点を踏まえ、検討を進めてまいりたいと思います。
○吉川代理 ありがとうございました。使う側も使いやすく、ぜひ御検討いただければと思います。ありがとうございました。
○森田座長 よろしいですか。はい。
 それでは、渡邊構成員、どうぞ。
○渡邊構成員 ありがとうございます。日本薬剤師会の渡邊です。
 1点質問をさせていただきたいのですが、薬局においても在宅患者への対応があり、この介護情報については、今後、薬局で電子的にどのように取り扱っていくのかが、とても分かりにくい状況にあります。介護情報利活用ワーキンググループに薬剤師会が入っていないこともあるのかもしれないのですが、今、参事官からもあった全国医療情報プラットフォームの全体像においては、Public Medical Hubに関してはオンライン資格確認等システムの基盤に連結して記載されています。
 在宅において、医師、歯科医師、薬剤師、そしてケアマネジャー等の介護関係者の間での情報共有というのは欠かせないものになっておりますが、今後の介護情報の利活用の協議において、薬局における情報等々の取扱いが、もちろん4ページの図の中にも描かれていないのですけれども、どのように考えておられるのか、お伺いしたいです。
○渡邊室長 4ページのところには、御指摘のとおり薬局については記載がないところです。ただ、御指摘のように、薬局の中でも介護の情報を扱うところは我々も承知しているところでございます。介護情報基盤において、薬局も含めて情報の連携を行っていく必要があるということも重々承知しているところではございますけれども、現時点でその検討がまだ進んでいないというところでございますので、いただいた御指摘を踏まえまして、今後検討してまいりたいと考えております。
○渡邊構成員 すみません、渡邊です。ありがとうございます。
 重ねてのお願いになりますが、今後、この協議を続けていかれる中で、医療機関であったり、薬局であったり、図中にしっかり示したものをつくっていただいて、資料を見たときにシステムの構想が分かるように資料作成をお願いしたいと思いますので、重ねてお願いしたいと思います。
 以上です。
○森田座長 よろしいですか。はい。
 続いて、葛西アドバイザリーグループ長、どうぞ。
○葛西アドバイザリーグループ長 ありがとうございます。
 私は、背景が全く分からないわけではないのですが、状況としては、もともとデータヘルス改革に関する工程表上、医療関係の情報共有から大体1年遅れで介護が始まるということになっていたと思うのですね。医療は、逆にもうサービスが始まるところですから、今から介護の情報のシステム設計とかインフラストラクチャーの設計をするとなると、2年遅れになります。なので、少しスピードを上げないとまずいのではないかなというのが気になっている点の1つです。
 それから、もう一つ、私も厚生労働省の各局とお会いしてお話しすることがあるのですけれども、恐らく老健局の中だけで1つの基盤をつくるという能力は、技術的にちょっとないのではないかなと思います。これは当然ながら、長島構成員もおっしゃいましたけれども、医療のプラットフォームを拡充していき、そして介護と医療、そもそも人間は医療と介護と分かれていませんので、そういう意味で言うと、インフラストラクチャーを最適化しなければいけない。個々個別につくる必要はないのではないかなというのがまず1つ目です。
 それから、PMHが時々出てくるのですが、PMHはあくまである種手続系統が中心となっているものなのですが、老健局でも一応認識されている、その下の医療情報の共有を含め、介護情報基盤をつくるということと、LIFEは二次利用の基盤と連携するとなっているという、この方針は間違えていないと思います。問題は、二次利用の基盤をこれからつくっていく際にも、当然ながらLIFE側をどう活用するか。これは介護情報のデータをクレンジングしたりしないと確実な研究はできませんので、そういった運用上の課題を老健局だけで何か考えようというのはなかなか無理があると思いますので、そろそろ医療と介護で壁のないように検討を進めないと、まずネットワークは1つにしていく必要があると思いますから、そこはそのように進めてもらいたいというのが1つです。
 それから、逆に医療側に関して言うと、実は医療側はエンタープライズ系のネットワークを使っているのですね。いわばある程度成立した企業、成熟した企業たる病院がつながっていますが、介護の事業所というのは全部が成熟した大企業ではありません。すごく小さなところもありますね。そうすると、オープンなネットワークじゃないと、接続するのに一々お金がかかるようでは、介護事業者は到底使わなくなってしまうという、この辺りの温度差もありますから、ネットワークのオープン化というのは介護を中心に考えていかないとまずいのではないか。
 さらに言うと、私も介護をしていたのですけれども、訪問でいらっしゃる先生とか訪問の看護の方の情報というのは、非常に日々重要になりますから、そういったところも含めて情報が共有できないと、介護を受ける方にとってメリットがあまりないということになりますので、行政文書の共有だけに閉じないようにしていただきたいなと思います。
 以上です。
○森田座長 お答えいただけますか。
○渡邊室長 まず、スケジュールのところで御指摘をいただきましたが、現時点では3ページにお示ししたような工程表に沿って、このスケジュールに合致するような形ということで進めていきたいと考えております。
 それから、老健局だけでできるのかというような御指摘もいただきましたが、介護情報基盤については介護の情報を共有していくためのものということになりますので、これは老健局で責任を持って進めていくということになるかと思います。ただ、御説明いたしましたように、当然、医療での検討状況も踏まえて、そこは関係部局と連携するということも当然していきたいと考えておりますし、また、そもそも介護だけで完結するのか、という観点もあり、図の中にも医療機関が出てきておりますけれども、そういった部分でも関係部局との連携というのが非常に重要だと考えております。
 現時点で共有する情報についてはお示ししたとおりでございますけれども、今後、どういうふうに役立つものを共有していくかというところの御指摘をいただいたと認識しておりますので、そこは今後の検討課題というふうに考えさせていただければと思います。
○森田座長 葛西さん、よろしいですか。
○葛西アドバイザリーグループ長 しっかりやっていただければと思います。
○森田座長 それでは、高橋構成員、どうぞ。
○高橋構成員 全国老人保健施設協会の高橋です。
 先ほどから出ていますPMHですけれども、裏返すと、PMHを活用しない場合は介護情報と医療情報がつながらないという認識でいいのか。その場合、ネットワークをつなげると、これは新たに私たちの負担はかからないのかどうかというのが第1点。
 第2点は、少し細かな質問になるのですけれども、6ページ、情報共有の範囲。情報の種類の上から3つ目、LIFE情報ですけれども、このフィードバック票は事業所と利用者、2つあると思うのです。利用者というのは利用者さんの情報ですけれども、この右のほうに縦で利用者が◎になっています。ということは、これは利用者さん並びに家族が、この利用者フィードバック票を随時見ることができるのか。その場合はマイナポータルというものを利用してなのか、そこをちょっと教えていただければと思います。
 以上です。
○渡邊室長 医療と介護の連携についてPMHを用いてというところは御指摘のとおりですが、どういうふうにしていくかというような細かいところは、今後の検討課題と考えております。
 それから、利用者票の◎のところですけれども、整理としましては、利用者にも共有されるということで◎にしておりますが、どういったところで、マイナポータルを使ってなのかどうかというところは、今後の検討課題と考えております。
 1つ目にいただいた御質問としまして、介護情報基盤にアクセスするときに事業所に負担があるのかというところですけれども、こちらもすみません、負担の在り方も含めてどのように運用していくかというところは、これも今後の検討課題という認識でございます。
○森田座長 高橋構成員、よろしいですか。
○高橋構成員 はい。
○森田座長 続きまして、小林構成員、どうぞ。
○小林構成員 ありがとうございます。日本介護支援専門員協会の小林でございます。
 今までの御発言の中で、もういろいろ出たのであれなのですけれども、ほかの先生方がおっしゃっておられたように、医療基盤のほうが先にでき上がって、介護のほうが後になっている状況の中で、先ほど情報基盤の在り方がどんどん変化しているというお話もありましたし、医療情報基盤が先にでき上がってきている中での介護ということになりますと、先行してしまうものと後からできていくものとの整合性というのを図っていかないと、介護だけということをやっていても、最終的に併せたときに連携がなかなか難しくなっていきますので、ぜひ整合性を図りながら早めに進めていっていただければいいなというのが、今までの先生方のお話にもあったかと思います。
 介護基盤の今のお話の中では、今まで紙媒体でやり取りしているようなプランとか認定情報といったものが、お互いに連携というか、早めにデータの中で見られるという環境が整ってくるというような、介護の情報の連携をどうするかということだけに話が、スタートの段階なので行きがちなのですけれども、先ほど利活用で言った部分で、医療のほうでは研究といった部分についての利活用ということも検討されていた状況の中で、介護のほうにつきましても、LIFEとか、認定情報の中でもいろいろな疾患でどんな認定が起きるといったこともあります。
 そういったところも含めて、介護の分野でも、その先にある研究とか公衆衛生的な部分というか、予防といったところにも、医療情報と連携することによって見えてくることもあるかと思いますので、介護基盤と連携させることによって見えてくる、その先の予防とか公衆衛生といった部分についても研究していけるような先のものも見込みながら、介護基盤というのも考えていけるといいなと思っております。
 感想になってしまいますけれども、以上です。
○森田座長 ありがとうございました。特にコメントはよろしいですか。ありがとうございます。
 続きまして、小泉構成員、どうぞ。
○小泉構成員 全国老人福祉施設協議会の小泉でございます。
 まず、このシステムを導入するに当たりまして、先ほどもお話が出ておりましたけれども、福祉施設というのは本当にセキュリティが甘いところが多いと思います。システムもピンからキリまであると思いますので、その辺りは最初にきちんと指導なり、ガイドラインなりを示していただいて、情報の漏えい等のないように、しっかりと誘導していただきたいと思います。
 医療と介護の連携については、今回の報酬改定でも非常に重要なポイントの一つと言われておりまして、その中でLIFEとかも医療の情報の中に入っていくということであれば、なおさら、そういったシステムをきちんと整備しておく必要があると思っております。また、こういったことがこれから起こるということすらも理解していない事業所もかなり多いと思います。現実的には、ケアプランデータ連携システムなどもほとんど稼動していないところが多いです。そういった意味で、いろいろな連携をするときには非常にネックになって御迷惑をおかけするのではないかと心配しておるところであります。
 また、マイナンバーカードすら、作成率が5%とか3%。施設ではそんなものだと思います。そういったことから克服していかないといけないと思っておりますので、何度も申し上げますが、事前の周知とガイドラインの作成、その辺りをどうかよろしくお願いいたします。
 以上です。
○森田座長 では。
○渡邊室長 セキュリティについては、11ページの下にお示ししているように、手引の作成等、検討したいと考えております。また、セキュリティも含めて介護情報基盤などの周知というのをしっかりしていかないと、あまり役に立たないのではないかということかと思いますけれども、周知については今後検討していきたいと思います。
○森田座長 よろしいでしょうか。
 ほかに御発言ございますでしょうか。
 特にないようでございますが、それでは一応、4つの議事につきましては御意見いただきましたので、最後に何か全て併せてでも構いませんし、これまで言わなかったことで、ぜひこの際、御発言したいことがございましたら、御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 長島構成員、どうぞ。
○長島構成員 ありがとうございます。
 今まで言ったことをまとめることになりますが、ばらばらではなくて、一体的、総合的整合性をもって、しっかり進めていただくということと、全体像の中でそれぞれがどんな位置とか関係があるかということを明確に示していただきたい。
 それから、何よりも国民の理解、それから医療現場の理解を十分に得ながら丁寧に進めていただきたい。
 また、導入のための費用負担も含めて、しっかりとした支援が必要だと。
 以上でございます。
○森田座長 ありがとうございました。これはそういうふうに承っておきます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、時間になりましたので、議事を事務局にお返ししたいと思いますが、本日、いろいろな御意見をいただきましたので、それを踏まえて引き続き取組を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局、どうぞ。
○角園企画官 本日は活発な御議論いただきまして、誠にありがとうございます。先ほど座長からもありましたとおり、本日いただいた御意見の内容を踏まえまして、それぞれの取組を進めてまいります。それぞれ整合的にという御意見、最後に頂戴いたしましたので、そういう点もしっかり考慮して進めてまいれればと考えておりますので、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
 なお、本日の議事録につきましては、作成次第、発言者の皆様方に御確認いただき、その後公開させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
○森田座長 それでは、本日は非常に御協力を得まして、時間どおりに閉会となりますので、これで閉会とさせていただきます。
 本日は御参加いただきまして、ありがとうございました。