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- 中央社会保険医療協議会薬価算定組織 資料令和5年度第9回、第10回
中央社会保険医療協議会薬価算定組織 資料令和5年度第9回、第10回
日時
第9回:令和6年3月19日(火)
第10回:令和6年3月26日(火)
第10回:令和6年3月26日(火)
場所
オンライン開催
出席者
<委員>
第9回
前田愼委員長、小方賴昌委員、弦間昭彦委員、幸原伸夫委員、齋藤信也委員、下井辰徳委員、田﨑嘉一委員、深山治久委員、眞野成康委員
古田淳一専門委員、堀裕一専門委員、山口正和専門委員
第10回
前田愼委員長、小方頼昌委員、弦間昭彦委員、幸原伸夫委員、下井辰徳委員、田﨑嘉一委員、深山治久委員、眞野成康委員、森山光彦委員、諸井雅男委員
古田淳一専門委員
<事務局>
安川薬剤管理官 他
議題
新薬の薬価改定について
議事
- ゾキンヴィカプセル50mg、ゾキンヴィカプセル75mg
日時:令和6年3月19日(火)
○薬価算定組織委員長
「ゾキンヴィカプセル50mg、同カプセル75mg」です。特に意見を伺う委員としては、小方先生、眞野先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
今、事務局から説明がありましたように、私も要件イの①-bとaの選び方について質問しようと思っていたのですけれども、今、事務局から説明があったので、①-aで算定ということで納得いたしました。
それから、申請者がハの③-eを希望していましたけれども、遺伝子の変異に作用するものではないということで、それは該当しないということで納得しました。
それから、市場性加算A=15%ということで、事務局案で妥当だと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
私も事務局の案が妥当だと思います。市場性加算も申請者の希望よりも高いのですけれども、やはりこれは開発が難しいという観点から、これぐらいつけてもいいと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、その他の委員の方から御意見があればお願いいたします。いかがでしょうか。
この品目は加算がたくさんついているのですけれども、結局、開示率が低いために加算係数は0なのですが、事務局、この開示率に関しては今回の薬価制度改革では何か変更はなかったのですよね。
○事務局
原価計算方式における開示率の向上というところは、今回の改革においては引き続き検討という形になってございまして、これまでどおり開示率が低いものについては加算係数を低い値で算定するという形になってございます。
本剤につきましては、加算を大きくつけても、加算係数は0で加算はゼロになってしまうのですけれども、品目の評価という意味では、どの加算に該当したということでお示しするのは意味のあることと事務局としても考えてございますし、今後、他の品目を評価する上での一つの指標にもなるかと考えてございますので、今回このような評価とさせていただきました。
○薬価算定組織委員長
開示率はなかなか難しいというか、企業と事務局との開示率の差があまりないので、こんなものなのだろうとは思いますが、もう少し上げるためにはどうしたらいいかという対策を少し打たれたほうが企業にとってもいいと思うのですけれども、なかなかこの辺は変わらないなと数年間思っているところでございます。
そのほか何か御意見はございますでしょうか。
○薬剤管理官
原価計算方式のところの課題は、中医協でも議論した結果、継続検討になっているのですけれども、輸入品目がこの2年間でも非常に多くて、結局、加算率の係数が0というのが大半でどうすることもできないなと。ただ、だからといって、厳しくやったところで多分開示は進まない。ルール改正により厳しくやってインセンティブにつながるという話ではないだろうということで、継続検討としています。あと、新しい新規のイノベーション評価の検討もどうするかということをセットにして、今後の在り方を議論するということで継続にしているという背景でございます。
いずれにしても、ゼロとはいえ、いろいろなことを評価した形跡は残りますので、令和6年度の改革の効果という意味では今後につながるのかなと思っております。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、よろしいでしょうか。
特段ないようですので、それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。
ボイデヤ錠50mg
日時:令和6年3月19日(火)
○薬価算定組織委員長
「ボイデヤ錠50mg」です。特に意見を伺う委員として深山先生、谷本先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
加算については、事務局の考え方あるいは見解が妥当だと思いますので、事務局案に賛同いたします。
○薬価算定組織委員長
それでは、委員の先生方から御意見があればお願いいたします。いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。本剤の開示率が□□□ということで、結構惜しいところまでいっているのですが、これはなかなか仕方のないことなのでしょうけれども、もったいない気がしますが、事務局、この辺は特に意見はないですよね。
○事務局
50%以上であればというところでございましたが、これは仕方がないかなと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
そのほか、よろしいでしょうか。
今回新たに、最初に説明がございましたとおり、迅速導入加算というのが該当されたということで、こういう例がこれからも出てくるのかなと思います。国際共同治験の86例中日本人が12例だったということなのですけれども、この辺の日本人の組み入れの人数とか%とかというのは何か基準があるのでしたか。
○事務局
明確に何人ですとか何%という線引きはこれまでもしてきていないところではございます。疾患の領域によって、当然組み入れ患者数、それから、その中の日本人の割合というのは難しさが異なってくるかと思いますので、ここはやはりケース・バイ・ケースで判断していくことになると考えております。
本剤につきましては、比較的人数の少ない疾患の領域の中でそれなりの数の日本人を組み入れているというところも踏まえまして、評価できるかと考えております。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
では、御意見がないようですので、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。
ターゼナカプセル0.1mg、ターゼナカプセル0.25mg、ターゼナカプセル1mg
日時:令和6年3月19日(火)
○薬価算定組織委員長
「ターゼナカプセル0.1mg、同カプセル0.25mg、同カプセル1mg」です。特に意見を伺う委員としては、森山先生、山口先生にお願いしております。
本件は、退室委員が弦間先生、下井先生です。
(弦間委員、下井委員退室)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
私も事務局案が適当であると考えております。審査上の論点に関しましても、事務局のほうから御説明いただきましたように、要件のハというのは認められないかなと思います。
○薬価算定組織委員長
それでは、他の委員の皆様から御意見があればお願いいたします。
特にないでしょうか。
事務局、特に追加はございませんか。
○事務局
特にございません。
○薬価算定組織委員長
それでは、薬価算定組織の意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。
ラパリムス顆粒0.2%
日時:令和6年3月19日(火)※企業陳述あり
○薬価算定組織委員長
「ラパリムス顆粒0.2%」です。特に意見を伺う委員として田﨑先生、古田先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
なお、本件は企業の意見陳述がございます。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
事務局案に賛成なのですけれども、一日薬価合わせ、剤形間比、あと、市場性加算の該当性については事務局どおりですが、最後の迅速導入加算についても、やはり医師主導治験のみとなると、なかなかこれを加算として認めにくいというのは妥当かなと考えています。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
有用性加算につきましては、いずれもエビデンスとして評価するにはまだ不足しているというような判断かなということで、事務局案に賛同いたします。
また、迅速導入加算についても、文章だけ読めば医師主導試験も入るように読めるのかもしれませんけれども、具体的に企業が割いたエフォートというか費用を評価するのがこの制度の趣旨ということから考えれば、医師主導治験はここに含まないというような事務局の御判断は同意できるものかなと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、その他の委員から御意見があればお願いいたします。いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは、企業の意見を聞いてからまた後ほど意見を伺いたいと思います。
それでは、事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○事務局
準備が整いました。よろしくお願いいたします。
○薬価算定組織委員長
最初に、ラパリムス顆粒0.2%についての御意見を5分以内で御説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて委員側から質問をさせていただきますので、御回答をお願いいたします。
それでは、御説明をお願いいたします。
○申請者
それでは、早速、□□□□□□の□□□□先生にラパリムス顆粒につきまして意見表明をいただきます。
では、先生、よろしくお願いします。
○申請者(専門家)
私は□□□□□□を務めさせていただきました□□□□の□□□□です。よろしくお願いいたします。
難治性脈管腫瘍、脈管奇形とは、生まれつき異常な血管、リンパ管の塊が皮膚や皮下、内臓に発生し、自然に治癒することがない難病になります。この症例のように、見た目はもちろんですが、嚢胞内の出血や感染による重篤な腫瘍、貧血、感染症、カサバッハ・メリットのような凝固異常を起こすため、時に致死的となる場合もあります。
これまでは手術による物理的に除去するという治療が主になりましたが、この症例のように、巨大病変では正常組織を障害するだけでなく、全摘はできないため、根治性はありません。
しかし、最近ではこの病変内でPIK3CAなどの遺伝子変異が起こっていることが分かってきているため、その下流で活性化しているmTORをシロリムスによって抑制することにより、この症例のように薬のみで短期間に劇的な治療効果を得られることが可能となりました。
この症例は生後間もなくから治療を開始して、現在5歳となっていますが、シロリムスはこうした患者の将来を大きく変える画期的な治療薬であり、かつ世界初の承認薬です。
本剤の臨床的意義ですが、本疾患に対して使用されている薬剤というのは、ステロイドやビンクリスチンなどの抗腫瘍薬や鎮痛薬などの対症療法薬としての治療でしたが、これまで効能・効果を有する薬剤はありませんでした。また、先ほどの例のように巨大な病変や、顔面や頚部、体幹など正常組織に浸潤している病変などは完全に切除することが困難な例がほとんどです。その中で、ラパリムスは病変に直接作用し、高い治療効果を示す新たな治療薬となり得ると考えます。
もともと患者数が限られており、海外においてもその治療効果を類似薬または手術、硬化療法など、ほかの治療と比較した試験等はございません。そもそも標準治療薬がなく、自然退縮や改善も見込めない疾患でありますが、今回実施した非盲検非対照試験によって明らかな腫瘍縮小効果が示されており、海外の報告も含め、その効果、有効性は明らかです。
そして、昨年パブリッシュされました本邦のガイドラインにおいても推奨される薬剤として記載され、標準的治療として位置づけられつつあります。
また、先ほどの例のように生まれつき発症し、大きな障害を抱えた患者は、最初にどの治療を行うかによって生涯を左右すると言っても過言ではありません。そのような患者に対し、乳幼児期から病変の縮小や症状のコントロールを行うことが可能となる薬剤です。
また、本薬はTDMを測定しながら長期に投与する薬剤ですが、顆粒剤は錠剤よりも少ない量で維持することになります。どういうことかと申しますと、添付文書においては、投与初期は体重当たりの錠剤と顆粒剤の投与量は同様ですが、実際は生物学的には同等ではなく、顆粒剤ではトラフ濃度が1.23倍高くなってしまうため、顆粒剤は錠剤の約80%の投与量となります。また、顆粒剤を使用する例は、主に乳幼児期など錠剤の内服できない小児が想定されますが、特に1歳未満児ではもともと薬物クリアランスが低いため、例えば生後3か月未満では1歳以上の4分の1程度まで投与量を減らさなければ投与できないことも分かっています。また、小児例だけでなく、気管切開や経管栄養をしているような例や、錠剤から顆粒剤に切り替えるような例もあります。
いずれにしても、顆粒剤は錠剤より少ない投与量で維持されると考えられるため、薬価もこの用量比に合わせたものが望ましいと考えています。
私からは以上であります。
○申請者
最終ページは割愛させていただきます。
以上でございます。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございました。
それでは、委員の先生方から何か御質問があればお願いいたします。
□□先生、何かございますでしょうか。
○□□委員
本剤の安全性についての質問なのですけれども、重篤な感染症の関連事象が見られていると書かれていたかと思うのですけれども、この辺についてコメントはいかがでしょうか。
○申請者(専門家)
ありがとうございます。
免疫抑制剤として免疫機能が低下するとは考えられておりますが、私たちは臨床的にこのシロリムスを投与していても、多くの場合は重篤な感染症を起こしたという例は経験がございません。
海外でも最近レビューが出ていまして、例えばニューモシスチス肺炎を起こしたという例はありましたが、通常このシロリムスにステロイドとか抗がん剤といったものを併用する症例に重篤なことが起こったということで、水泡剤の内服等をしながら私たちは投与しています。
○□□委員
ありがとうございます。
○薬価算定組織委員長
それでは、□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
ありがとうございます。
非常に難治性の疾患において新しい薬ということで、大変すばらしいことかと思って拝聴しました。
標準治療が現状ほぼないというか、標準的に効果を有するものがほとんどないという状況だと思うのですけれども、有用性加算においては類似薬に比したということで申請いただいていますけれども、よって立つ標準というのが定かでない状態で、しかも、非盲検非対照試験でこういうような有効性や安全性を類似薬に比して高いとおっしゃった理由などがあれば教えていただきたいと思います。
○申請者(専門家)
標準治療薬というものはございませんが、最近もこういった難治性疾患の観察研究を行っていまして、いわゆる自然経過も含めたものですけれども、半年、1年たってもほとんど症状の改善が得られないというところが私たちの非盲検非対照のときにも比較したものになります。ただ、恐らく今行われているような手術、硬化療法以外で薬剤としてもこういった標準的な治療はなくて、先ほど申しましたように多くは対症療法と考えています。
○□□委員
ありがとうございます。
○薬価算定組織委員長
そのほかいかがでしょうか。何かございますでしょうか。
今回、医師主導治験ということだと思うのですけれども、ここに理由が書かれているのですが、改めて今回企業治験ではなくて医師主導治験として行った理由をお聞かせ願いたいのですけれども。
○申請者(専門家)
もともと前に承認されましたシロリムス製剤のリンパ管疾患の研究班でした。以前からこのシロリムスの治療効果、リンパ管疾患から治療効果があると海外でも報告されていますので、私たち研究班主体で最初に医師主導治験を行い、今回の難治性脈管腫瘍の研究においても同一の研究班で医師主導治験を行ったということになっています。
○薬価算定組織委員長
企業としては、企業主導でというのは行わなかったということなのですか。
○申請者
ノーベルファーマの□□でございます。
本疾患は非常に希少疾病で、しかも、非常に難しい疾患であるということ、それから、弊社自体がこういった疾患に弊社の製剤であるラパリムスが効くということすら、□□先生から御紹介があるまで知らされていませんでした。□□先生からぜひ医師主導治験を実施したいというお話がありまして、それに御協力をさせていただいたという次第です。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
事務局、何かございますか。
○事務局
特にございません。
○薬価算定組織委員長
それでは、よろしいでしょうか。
特にございませんので、それでは、企業の意見聴取を終了したいと思います。企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
それでは、企業の意見を踏まえ、御意見をお願いしたします。
□□先生、改めていかがでしょうか。
○□□委員
特に新しいことはなかったかなと思いますので、そのままでよろしいと思います。
○薬価算定組織委員長
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
事務局案どおりでよろしいかと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、委員の先生方から何か御意見がございましたらお願いいたします。
事務局、先ほども説明の中にありましたけれども、医師主導治験の考え方というか評価の仕方というのは、我々としてもこれまであまり例がなかったのですけれども、基本的な考え方というのは、事務局としては先ほど企業が汗をかいていないということで、単純にそうだと思うのですけれども、その辺をどういうふうに評価するかというのは、何か方針なり方向性があったら教えてください。
○事務局
御指摘をいただきましたとおり、企業が汗をかいていないというところに尽きると思います。薬価で評価するということはどういうことなのかというところを考えますと、やはりそれは企業の収入になって、それは開発費用等をペイするというところにつながるのだと思います。そういう観点でいきますと、やはり自ら汗をかいていないのに薬価上の加算という形で評価をするというのは、この薬価制度の中でなかなかなじまないのではないかなというのが事務局の基本的な姿勢でございます。
もちろん医師主導治験という形であっても企業は何らか協力しているとは思うのですけれども、やはりそこはぜひ企業としての治験を実施して開発していただくというほうが当然に臨床現場に対する負担という形でも少ないと思いますので、そういう観点からも評価する上では、企業の姿勢というところも含めてこのような考え方になるのかなと考えてございます。
○□□委員長
ありがとうございます。
□□先生、どうぞ。
○□□委員
事務局の御意見に反論があるわけではございませんが、今の点に関しては、やはり最近ドラッグ・ロスが問題となっていて、日本での開発を飛ばしてくるというところがあるので、薬剤が開発されない分を頑張って医師主導治験でやっていこうという数少ないやる気ある医師がAMED等の研究費の中で頑張って開発するというのもあって、それをやるためには企業が協力してくれなくてはいけないというところもあるとは思うのです。ですので、結局なかなかうまくいかずこのままドラッグ・ロスが進んでしまって、せめて医師主導治験でやるのだったら協力するよというような世の中に進んでしまった場合には、今回のような事例も日本で開発してくれることはありがとうということで、最終的には日本国民への受益になるというところを含めて評価され得るというところはあるけれども、今の時点では評価し難いというような認識があるのかなと思っております。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
現場ではなかなか企業が協力してくれないけれども、一生懸命頑張っている医師も結構いて、薬価制度によるかどうか分かりませんけれども、企業がこういうことを協力しても全くもうからないということになると、医師主導治験にすら協力しないという企業も出てくるかもしれないというのは□□先生も恐らく感じられているかなと思いますので、なかなか薬価制度で評価は難しいと思いますけれども、ドラッグ・ロス等を防ぐためにはこういうのもこれから出てくるのではないかなと思いますので、何かしら評価方法も変わっていくといいなとは思いますけれども、今回のことに関しては全く反対意見はないです。
○薬剤管理官
この御指摘の点は重要というか、新しい項目がゆえにどこまでを評価するかというところは、我々も何か確固たるものがあるわけではないのですけれども、ただ一方で、きちんと開発に取り組んだという姿勢を、今回、評価の充実の観点はその辺りをしっかりやっているわけです。国際共同治験に協力したとか、いろいろ大変なことをやったとかというところも一つの要素なので、医師主導治験はそうではないということを言い切る話ではないのですけれども、一旦そういった考えの下で判断していくというところを進めていってはどうかということかなと思っています。
ただ一方で、御指摘のとおり、ドラッグ・ロスの解消のための対応を企業がやるときに、どういうふうに開発を進めていくのか。その中でどういうふうに薬価のほうで評価するのかというのは、多分いろいろな開発手法があるでしょうし、業界もあれだけドラッグ・ロスの品目がたくさんあると様々な場面で主張されているので、きっと今後は企業は海外で開発されたものをしっかりと国内導入に結びつけるような取組をしていただけると思っているのですが、それに向けての開発で評価をどうするかということについては、いろいろなことを考える余地はあるのかなと考えています。ただ、その辺りは、薬価制度の議論の中で、ロス解消に結びつく評価は何が適当かいうところを今後の課題として意識しながらやっていくべきものなので、今回はこういう判断で一旦やって、今後それを検証していくことかなと思っているところでございます。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
そのほか、何か御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。
ラパリムス顆粒0.2%
日時:令和6年3月26日(火)※企業陳述あり
○薬価算定組織委員長
「ラパリムス顆粒0.2%」です。特に意見を伺う委員として田﨑先生、古田先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、説明をお願いいたします。
なお、本件は企業の意見陳述がございます。よろしくお願いします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する意見をお願いいたします。
まず□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
基本的には事務局案どおりでよいかと思います。有用性加算を付け加えるという点も理解はできるものです。
○薬価算定組織委員長
それでは、□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
添付文書に記載の用量が錠と変わらないという点で、これは当初の案どおりということでよろしいかと思います。
また、新たに主張してきた点については、確かに乳幼児にこそ必要な患者さんが多いと思いますので、顆粒ということの有用性が高いということで評価することについて賛成いたします。
○薬価算定組織委員長
それでは、他の委員の先生からいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。まずは企業の意見を聞いてから、また意見を伺いたいと思います。
それでは、事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
最初に、ラパリムス顆粒0.2%についての御意見を10分以内で御説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて、委員側から質問をさせていただきますので、御回答をお願いいたします。
それでは、よろしくお願いします。
○申請者
ノーベルファーマの薬事本部の□□でございます。
早速、意見表明をさせていただきたいと思います。
本日は、こちらの2点につきまして意見表明をさせていただきます。
まず、1点目の本剤の一日薬価合わせについて説明させていただきます。
こちらは、1回目の算定組織で意見表明をさせていただいたときのスライドでございます。ベースの主張はこちらと変わりませんが、新たなデータも加え、詳細を説明させていただきます。
一日薬価は、御承知のとおり、算定基準に提示されておりますとおり、承認された用法・用量に従って、通常最大用量を投与した場合における一日当たりの平均的な費用の額とされております。
そして、通常最大用量は当該薬剤の用法・用量から読み取られております。
しかしながら、本剤には用法・用量から読み取れる通常最大用量は明確に規定されておりません。このような場合の通常最大用量は用法・用量からの読み取りではなく、新薬も比較薬も治験、使用成績調査、民間企業データ等に基づく平均投与量を使用した算定事例が散見されております。
最近の算定事例を拾い上げました。ソグルーヤ皮下注、これは比較薬がMDVデータ、民間データを使っています。それから、タバリス錠、比較薬が使用成績調査、新薬側が国内フェーズⅢの用量を使われています。このように最近の事例がございます。本剤の一日薬価合わせもこれらの算定事例のようにすべきではないかと考えております。
本剤の算定そのものには使用していない新たなデータをお示しいたします。特定臨床研究において、本剤の算定比較薬ラパリムス錠の平均投与量は1.67mgに対して、本剤(顆粒剤)の平均投与量は1.27mgで、その用量比率は1対0.76でした。これは1回目の薬価算定組織における血中トラフ濃度に基づく用量比の主張でございます1対0.8を裏づけるものでありました。
後ほど開発の□□より詳細を説明させていただきます。
さらに、本剤と比較薬の用法・用量は同一となっておりますが、審査報告書24ページに記載されておりますとおり、あくまで医療現場の混乱回避のための策でございまして、この用法・用量から通常最大用量を読み取り、1対1の用量比を用いて一日薬価合わせをされることは不合理と言わざるを得ないと考えております。
弊社は医師主導治験の出口企業としての御期待に応え、小児用医薬品を開発したにもかかわらず、今回の内示薬価では錠剤から本剤(顆粒剤)に切り替えますと、おのずとおおむね約20%の売上げ減となります。上市自体も厳しい状況になりますので、ぜひ御再考いただきたいところでございます。
○申請者
では、ここからは□□が説明させていただきます。
臨床現場での投与量の調整方法を簡単に説明します。まず、添付文書に記載の開始用量を1日1回、1~2週間投与します。大体1~2週間たつと血中濃度が安定してくる。その頃に血中トラフ濃度を測定いたします。トラフ濃度が5~15ngの範囲であれば、以後その用量の投与をずっと継続します。それよりも低い用量であれば増量、高い用量であれば減量するというような形で、5~15ng/mLの範囲に収まるように用量を継続します。
そのような形で投与した結果でございます。承認申請時に審査された119例の本剤投与量の結果では、錠剤を投与された患者さんの平均投与量は1.67mg/dayでした。顆粒剤の平均投与量は1.27mg/dayでした。これらの患者さんは、先ほど説明した方法により用量が調整された結果です。この結果では、錠剤、顆粒剤の用量比は錠剤1に対して顆粒剤は0.76倍という結果でした。
弊社が収集した患者さんの1,282検体のデータを母集団薬物動態解析という手法を用いて解析しました。そして、そのデータから錠剤から顆粒剤に切り替えたときの血中シロリムス濃度の推移をシミュレーションしてみました。
左の図は、錠剤と顆粒剤の用量比を1対1としたときです。錠剤、ブルーの枠から顆粒剤に切り替えた赤の枠の血中ピーク濃度は上昇しまして、一番下の濃度なのですけれども、トラフ濃度はほぼ2ng/mLほど上昇しました。
一方、右の図に示すとおり、錠剤と顆粒剤の用量比を1対0.8としたとき、錠剤から顆粒剤に切り替えてもトラフ濃度やピークの変動はほぼ同程度であることが分かりました。
治験中に実際に錠剤から顆粒剤に切り替えたときの実例を示します。患者さんには錠剤を2mg/day、3mg/day、4mg/dayと投与し、トラフ濃度を見ながら血中濃度が4mg/dayまで増量された結果を示しております。その後、顆粒剤を錠剤の0.7倍にしたとき、すなわち2.8mg/dayを投与したところ、血中トラフ濃度は錠剤4mg/dayとほぼ同程度に維持されました。
なお、治験では顆粒剤は錠剤の0.7倍が等価と当初考えて実施していましたが、0.8倍のほうがより妥当と分かりましたのは、承認申請時の母集団薬物動態解析の結果から得られた時点となります。
なお、顆粒剤が投与される年齢層というのは、乳幼児から小学校低学年ぐらいまでの5~6歳です。それ以降はほとんどは錠剤に切り替わります。
○申請者
ノーベルファーマの□□でございます。
次に、加算要件についてお話をさせていただきます。
次のスライドをお願いいたします。
加算要件ロの主張に関しましては、このたび該当しないとの御判断であると伺いました。こちらに関しましては、本剤の有用性自体が否定されるものではないと当社では考えております。これまでの主張と変わらず、本剤は3つの有用性を有しておりまして、こちらは要件ロとハの③-aで重複していると考え、これまではロのみを主張させていただいておりましたけれども、このたびはハの③-aを主張させていただきたいと考えております。
以降は、□□□□の□□先生より詳細についてお話しいただきたいと思っております。
○申請者(専門家)
よろしくお願いします。
本剤の臨床的位置づけを示します。既存治療である外科的切除や硬化療法、放射線治療で治癒が困難な難治例の中でも、錠剤が使用できない乳幼児例や気管切開、経管栄養をしている例が対象となります。特に生まれつき病変が大きく、顔面や頚部、四肢など正常皮膚組織や内臓に浸潤している例などは、乳幼児期から外科的治療を行うことが困難であり、ラパリムスが第一選択の治療となります。ラパリムスによって病変を縮小させ、臨床症状を改善させることができる上に、切除可能な大きさとなれば、その後に外科的切除につながることもできます。
次をお願いします。
また、10年前に研究班で実施した全国疫学調査の結果からは、実際は難治症例の多くが切除術、硬化療法を選択することもできないほどの重篤なケースであることが判明しています。すなわち、これらの症例に対してラパリムスは新たなアプローチになるだろうと期待しています。
次をお願いいたします。
また、手術不能な症例に対する各種薬剤については、このような既存薬剤であるステロイド、ビンクリスチンなど、これらとシロリムスの有効性が比較されていますが、圧倒的にシロリムスの改善率が高いということが分かっていますし、これらに代わる第一選択の薬剤になると考えています。
以上です。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございました。
委員の方々から御質問等があれば、よろしくお願いいたします。
□□先生、何かございますか。
○□□委員
錠剤1mgと顆粒剤0.8mgの同等性を証明したデータはありますか。
○申請者
同等性を直接証明したデータはございませんが、母集団薬物動態解析の結果から有意に1対0.8であるということは確認されております。
○□□委員
2つ目の質問なのですけれども、資料の8ページ目です。顆粒剤0.7で投与した場合に0.8がベストということなのですけれども、0.7の顆粒剤にした場合にトラフの濃度が下がっていくことはありませんかという質問です。
○申請者
この図では若干下がり気味な結果が得られております。やはり1対0.8がほぼベストだろうというのが、これまで得られたデータを全て集めて解析した結果が1対0.8ということになります。この治験のときには1対0.7でやっておりまして、実際に少し下がり気味という結果になっております。
○□□委員
ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
そうしましたら、今回、2歳未満では特に有用性が高いというお話を教えていただいたのですけれども、実際に例えば現在予想される患者さんの数としては、今回新たに顆粒が出たことによって、単に錠からの切り替えというのではなく、今まで錠では治療できなかった方、顆粒でないと治療できるようにならなくてようやくできるようになった方というのはどれぐらいの数を見込まれているのか、教えていただいてよろしいでしょうか。
○申請者
本剤の投与の数に関しましては、大体全体の患者さんのうちの900人前後ということで、4分の1程度の患者様であると考えております。
○□□委員
ありがとうございます。
○薬価算定組織委員長
そのほかいかがでしょうか。
それでは、私からですけれども、先ほどトラフ値のデータを見せていただいたと思うのですが、あれは平均ではなくて一例ですよね。
○申請者
そうでございます。
○薬価算定組織委員長
ですので、ある意味チャンピオンデータかなという気もするのですけれども、年齢とか、病状によっても多少異なるというか、人によってトラフ値のばらつきというのは結構あるものなのでしょうか。
○申請者
ございますので、血中濃度をしっかり測定しながら投与量は調整していく必要はあるのですけれども、今、全体の119例のデータをお示ししましたけれども、それで見たところの平均値としては、やはり1対0.8と。人によってもちろんばらつきがあって、1対1のケースもありますし、1対0.6というようなケースもございまして、平均が1対0.8ということでございます。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございました。
そのほか、委員の先生からいかがでしょうか。
○□□委員
PMDAから同等量にするように指導されたと今お伺いしたのですけれども、最初に申請されたときはそうではなかったということですか。
○申請者
申請した時点は、当然1対0.8のデータに基づいた添付文書の用法・用量を申請させていただきました。ただ、最後の最後の段階で、添付文書でやはり臨床現場で混乱するというお話がありまして、1対1にしてほしいということをPMDAのほうから指導されました。
○□□委員
要するに、PMDAとしては0.8が本当は妥当だけれどもというニュアンスなのかどうかということなのですけれどもね。だけれども、混乱が起こるリスクが高いという判断だったのかどうかということです。
○申請者
おっしゃるとおりでございます。ただ、あくまでもPMDAは初回投与量、最初の1~2週間だけの話なので、その後は用量を調整しながら見ていくということなので、最初が1対1でも大丈夫だろうというようなことでコメントをいただいております。
○申請者
今回のスライドの4ページの2ポツ目のところに小さい文字にしてあるのですけれども、そちらのところに審査報告書からの抜粋で書いてあるとおりでございまして、本薬は全血中本薬トラフ濃度に応じて用量調節することから、過剰量が長期継続投与される懸念は低いことも踏まえ、本薬錠剤と同一の用量とすることも含めて再度検討するようにという御指示がPMDAからございまして、このような同一の用法・用量に変わっております。TDMを実施することが必須となっておりますので、PMDAもそこから考えて、過剰投与にならない以上は1対0.8に落ち着くという認識で審査されていると考えております。
○薬価算定組織委員長
そのほかいかがでしょうか。
トラフ値はどれぐらいの頻度で測ることになっているのでしょうか。
○申請者
治験などのときもそうなのですが、最初に投与してから大体1~2週間後に定常状態という形に落ち着きます。なので、投与開始から1~2週間後にまず1回測っていただく。そこでもしまだ投与量を増やしたり減らしたりというようなことがあれば、さらにその投与をしてから1~2週間ごと。安定すれば測定は3か月とか6か月に1回程度でいいだろうと。TDMは3~6か月の間に1~2回でいいだろうと考えています。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
そのほか、委員の先生からいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
事務局からは何かございますか。
○事務局
特にございません。
○薬価算定組織委員長
それでは、特に追加の質問はないようでしたら、これで企業意見の聴取を終了したいと思います。企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
それでは、企業の意見を踏まえ、御意見をお願いいたします。
まず□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
0.8らしいのかもしれないですけれども、それを証明するものがやはりないのかなと思いました。0.8で安定するという確証もまだ得られていないと思いますので、そういった意味では、最大用量の考え方については事務局案どおりでよろしいかなと。補正加算のほうは有用性加算15%でよろしいと思います。
○薬価算定組織委員長
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
特に追加の意見はございません。
○薬価算定組織委員長
そのほかの委員の方からいかがでしょうか。
○□□委員
僕は今の話を聞いていて、確かに初回の投与量についてそういうふうな指示があったと言っている。PMDAが本当にそういう意図だったとしたら、実際に使用された最終的な量がそのように調整されていたのだったら、要するにリアルワールドでそうだったということですから、リアルワールドではないですが、治験の世界だけれども、そうだったということだから、一定の企業の主張の合理性はあるように僕は思います。
○薬価算定組織委員長
いかがでしょうか。
初期投与量が1mgということで、先ほどのトラフ値を測定する頻度もあると思うのですけれども、あと、落ち着いたら恐らく0.8には近づくであろうということで、治験も0.7mgで行われているのですかね。ですので、この辺をどういうふうに考えるかだと思うのですけれども、事務局、これは審査報告書の読み取りが結構難しいのですけれども、事務局としては同等であるという審査報告書の読みなのですか。先ほど企業が言われたように、やはりトラフ値を見て0.8に落ち着くから、実態はそうなるであろうという報告書なのでしょうか。
○事務局
本剤の用法・用量の設定については、薬事の審査の中ではまず本剤と比較薬、顆粒剤と錠剤とで生物学的同等性が取れていないというのが大前提にございます。その中で、顆粒剤の投与によって得られる血中濃度はやや変動が大きいというような所見が述べられておりまして、本剤については、企業も主張していましたけれども、投与した後に血中濃度を見て調整していくというものでございますので、最初は同じ用量を投与して、あとはその後の血中濃度を見て調整すればよろしいという評価になってございます。ただ、その評価結果が0.8ぐらいになるというようなところを証明するものはございませんので、あくまで変動が大きいと思われるのでしっかり見ていきましょうというような形で、注意喚起の意味も込め、今の添付文書でも血中濃度の取り方というところについては注意喚起がされているところでございます。
○薬価算定組織委員長m
これは恐らく投与対象とか年齢とかによってかなり変わるのかなという気はするので、その辺のデータが審査報告書にないということですので、評価できないというのが正しいかなという気はするのですけれども、いかがでしょうか。
○□□委員
今おっしゃられたとおりだと思うのですけれども、1対0.8である証明が多分されていないのだと思うのですよね。もしかしたら0.8ではない。0.85かもしれない。分からないところなので、分からないときというのは1対1になるという理解でいいですか。そのように書いてあったように思ったのですけれども、それは大丈夫ですか。
○薬価算定組織委員長
事務局、いかがですか。
○事務局
まさに御指摘いただいたとおりでございまして、1対0.8だという証明が全くなされていないというところで、PMDAの審査におきましても、企業の主張はずっと1対0.8だということを言い続けているのですけれども、そちらについては評価していないという形になってございます。
○薬価算定組織委員長
どうぞ。
○□□委員
という理解で、私は1対1というか、このままでいいと思っています。恐らく顆粒剤のほうがAUCなども高いのかなと思うのですけれども、その証明がなされていない点と、こういったルールからすると、また、これはTDMをやって調整する薬剤ですので、そもそもばらつきの大きいものだと思いますので、そういった意味から事務局案を支持させていただきました。
○薬価算定組織委員長
いかがでしょうか。
□□先生、いかがですか。
○□□委員
最初に生物学的同等性はないということを前提に議論したということを言っていたので、そういう中で実際に使われた量がそうだったのなら評価してもいいのではないかなと僕は思ったのですけれども、そういうときには、あやふやなデータだったらそれは1対1でやるというルールというか、そういう慣習があるのだったらそうせざるを得ないかなとは思います。もちろん実際の証明があるわけではないと思いますから。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
事務局、例えばこれを再び評価するという機会は基本的にはないですか。
○事務局
用法・用量の一日薬価の設定のところでございますので、ここは一度評価してしまうと、今後見直すというところは基本的にないと考えております。
○薬価算定組織委員長
それから、もう一点、補正加算に関しては、皆様、事務局案に対して御意見はありますでしょうか。特にこちらに関しては反対意見はないというか、賛成でよろしいでしょうか。
どうぞ。
○薬剤管理官
この点、有用性のところは悩ましい点もございました。小児の開発をどういうふうに考えるかということでございまして、今回は加算をこういった主張にのっとって有用だろうということにしています。ただ、この辺りは、錠剤が飲みにくいから剤形を変えました、飲みやすくなりましたとなってしまうと、あらゆる剤形変更のパターンに加算がつくのかということにもなりかねないところもあって、その辺りをどうするかは悩んだのですけれども、ただ、今回このお薬の特性と疾患領域から考えて乳幼児がかなり多いということであれば、ここまで開発をしたということに関する評価というのはあってもよかろうということで判断したものです。こういった剤形開発の全てにおいて今後の薬にも適用されるかどうかは別にして、個別判断として評価ができるのではないか、小児の開発を応援するという今回の制度改革の趣旨にも合致しますので、そういった点を踏まえて評価するという判断に至ったものでございます。
○薬価算定組織委員長
何か御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。ありがとうございました。
フィコンパ点滴静注用2mg
日時:令和6年3月19日(火)
○薬価算定組織委員長
「フィコンパ点滴静注用2mg」です。特に意見を伺う委員として幸原先生、田﨑先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
私が経口剤と注射剤のことで頭が混乱していたのは臨床試験への小児の組入れで、注射剤は結果として全く組み入れていないということであれば仕方がないなと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
一日薬価合わせは事務局の言われているとおりだと思いますし、それ以外は同じですので、特に変更する点はないと思います。事務局案でよろしいかと思います。
○薬価算定組織委員長
それでは、その他の委員の先生から御意見があればお願いいたします。
よろしいでしょうか。一日薬価合わせと小児加算についてということだと思いますけれども、特に事務局算定案で問題はないかと思いますし、御意見もないですか。よろしいですか。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、御意見はないようですので、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。
アイリーア8mg硝子体内注射液114.3mg/mL
日時:令和6年3月19日(火)
○薬価算定組織委員長
「アイリーア8mg硝子体内注射液114.3mg/mL」です。特に意見を伺う委員としては、齋藤先生、堀先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員
それでは、事務局算定に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
意見書にも書きましたが、事務局案と申請企業の希望が全く一致しておりますので、全く問題ないと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
事務局案で妥当だと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、その他の委員から御意見があれば御発言をお願いいたします。
よろしいでしょうか。
それでは、御意見がないようですので、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。
エヴキーザ点滴静注液345mg
日時:令和6年3月19日(火)
○薬価算定組織委員長
「エヴキーザ点滴静注液345mg」です。特に意見を伺う委員としては小方先生、諸井先生にお願いしておりますけれども、諸井先生は本日欠席でございます。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
基本的に事務局案が妥当だと思いますけれども、1つだけ、有用性加算の③-fについて、本剤によってQOLの向上があるとはやはり判断できないのでしょうか。
○事務局
③-fにつきまして、代表としてQOLの向上が挙げられておりますところ、御質問をいただいたかと思いますが、本剤について、審査報告書上におきまして、QOLの向上というところが比較薬との比較も含めて特になされていないことから、現時点ではQOLの向上があるとまでの判断は難しいだろうということで、今回③-fについては該当しないと判断した背景がございます。
○□□委員
ありがとうございます。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、その他の委員から御意見があればお願いいたします。
○薬剤管理官
補足をさせていただければと思います。先ほどの令和6年度薬価制度改革における薬価算定に係るルールの新しい観点にもありますけれども、このQOLのところですが、先ほど担当のほうから説明したとおりでございます。結果的には副次的評価項目でちゃんと示されているかどうかがポイントになるのですが、やはり前提となるのは臨床試験における承認審査の評価がどうだったかというところが基本になると思います。
QOLに関しては、項目として追加されたことはやはり結構大きな判断要素かと思います。ただ一方で、何も根拠がないまま我々の中で評価できるかというと、その難しさがあるので、基本は承認審査の中でちゃんと副次的評価項目を設定し、審査報告書の中で何らかの言及がきちんとあるというところが前提になるのかなということで、このような形での判断をさせていただきました。
今後、いろいろなことの要素が積み重なった中で何か判断できる可能性もあるかもしれませんが、今回はこういった形で判断し、この考え方を踏襲しながら進めていくべきなのかなと思っているところでございます。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。
レブロジル皮下注用25㎎、レブロジル皮下注用75㎎
日時:令和6年3月19日(火)
○薬価算定組織委員長
「レブロジル皮下注用25mg、同皮下注用75mg」です。特に意見を伺う委員として下井先生、谷本先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
ありがとうございます。
特に私のほうは異論はございませんで、要件イの①-b、①-eといったところで、今回の令和6年4月以降適用される加算のところに関しましても、9年4か月というようなお話でございました。
一方で、今回そもそものMDSの中でも非常に低リスクで、白血病とかに移行するには大分時間がかかって、輸血依存もあまりすぐには起こさないような特殊な事例に対しての標準治療として、今回新たに2つの国際フェーズⅢ試験で有効性が出されて、これまでの適宜輸血するか、エリスロポエチン製剤を投与するか、もしくはラピッドに進行するような場合にサリドマイドとかを投与するかというような様々な標準というような対応方法の中からしますと、今回プラセボ対照の試験もあるのですけれども、やはり有効性がかなり高いということで標準治療に位置づけられ、ガイドライン上も指定されているというところはございますので、経過観察、プラセボ、そこに対する優越性を示しているという点からも評価の項目に該当すると感じたところでございます。
これらの点から、事務局案に対して特に異論はございません。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、その他の先生から御意見はいかがでしょうか。
特にございませんでしょうか。人数的にはこんなものなのですか。あまりファミリアな疾患ではないので、この約2,700人というのが、□□先生の今の話はそんなにいなさそうな気がするのですけれども、そんなものなのですか。特によろしいでしょうか。
事務局、何か追加はございますか。
○事務局
特段追加事項はございません。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。
イブグリース皮下注250㎎オートインジェクター、イブグリース皮下注250㎎シリンジ
日時:令和6年3月19日(火)※企業陳述あり
○薬価算定組織委員長
「イブグリース皮下注250mgオートインジェクター、同皮下注250mgシリンジ」です。特に意見を伺う委員として弦間先生、古田先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
なお、本件は企業の意見陳述がございます。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
まず投与間隔ですけれども、用法・用量部分になお書きが書かれているので、4週を主張するのは無理があるかと思います。基本的には2週にせざるを得ないと思っております。
また、有効性等を評価する比較アームについて、プラセボアームであり、基本的にはこのままでいいと現時点は思っております。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
今、事務局から御説明いただきまして、まず通常と書いてある基本的な用法で算定すべきであるということは私も十分納得して賛同いたします。
また、やはり期間延長できたほうがいいだろうといって患者さんやドクターに、「間隔が長いほうがいいですよね」と聞けば、それはみんな「そう」と言うわけなので、それだけを根拠に薬価を高くするというのはやはり難しいのかなと。
あと、小児加算につきましては、今までも過去の事例等を拝見いたしましても、治験で確認した症例数であるとかエビデンスの強固さによっても小児加算の強弱をつけるというようなことだったかなと思いますので、5%というところも妥当かなということで賛同いたします。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、委員の先生方からこの時点で何かございましたら御発言をお願いいたします。
よろしいでしょうか。
それでは、企業からの意見聴取を行いたいと思います。事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
最初に、イブグリース皮下注についての御意見を5分以内で御説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて委員側から質問をさせていただきますので、御回答をお願いいたします。
それでは、御説明をお願いいたします。
○申請者
イブグリースの意見陳述をいたします。
薬価算定方法はアドトラーザとの類似算定になります。
訴求ポイントは大きく2点あり、1点目は他剤にはない4週間隔投与を有している点です。赤字で示しておりますが、一日薬価合わせにおいて2週間隔投与と4週間隔投与の中間に当たる3週間隔投与と同等の単位数量を使っております。さらに、マーケットリサーチにおいて、約□割の医師や患者様が4週間隔以上の投与を望まれているという点について加算を訴求しております。
こちらにつきましては、後ほど□□□□の□□先生より、この薬が臨床現場でどのように使われるようになると考えられているか御説明をいただきます。
2点目は小児加算に関する点で、私のほうから説明させていただきます。
小児加算について、本剤は4月から施行される新ルールの成人と小児の同時開発に係る評価に該当し、加算率をより高く評価いただけると考えております。本剤は、令和2年に成人と小児に対してPMDA相談を実施しており、また、薬事承認について日本は欧州と同時期に承認されています。
□□先生より、この薬が臨床現場でどのように使われるようになると考えられているか、御説明いただきます。よろしくお願いいたします。
○申請者(専門家)
□□□□の□□です。
実臨床の面から、このお薬が発売された後、実際にどのように使うかについて見ていきたいと思います。
同種同効薬に関しては2週間隔ですが、イブグリースに関しては2週間隔と4週間隔を維持期において選択できるということが示されています。
まず、有効性と安全性の面から見ていきたいと思うのですけれども、有効性に関しては16週におけるレスポンダーにおいて、2週間隔でそのまま続けた場合と4週間隔にした場合で有効性がほとんど変わらないというデータが示されています。
ここにデータは示されていませんけれども、安全性においても2週間隔と4週間隔で変わらないというデータがあります。
そういったときに、有効性と安全性が変わらない。あと、2週間隔と4週間隔が選べるという薬剤において、医師、患者さんに有効性、安全性が同じだったとしたら2週間隔と4週間隔のどちらがいいですかというアンケートをした場合、得られた結果を見ていくと、医師のほうも2週間隔よりも4週間隔、または8週間隔のほうがいいのではないか。患者さんにおいても、2週間隔よりも4週間隔のほうが好まれるという結果が出ています。
やはり月1回だと予定が組みやすい。また、患者さんにとってこの注射薬というのは痛いということがありますので、同じ有効性で同じ安全性が得られるのであれば、2週間隔よりも4週間隔がいい。
そして、受診の機会ということも、アトピー性皮膚炎の患者さんは若い患者さんが多くて、働き盛りの患者さんも多いですので、そういった面からも、やはり2週間隔と4週間隔で安全性と有効性が変わらないのであれば、通常、どう考えても4週間隔を選ぶというのが実際かと思います。
なので、こういった安全性、有効性の面から、そして、利便性の面から、実際にこの薬が発売されると多くの医師、患者さんは4週間隔を選ぶことが想像されますし、私もそうなると思います。
あともう一つ、この添付文書のところに2週、4週、なお書きで4週と書いていますけれども、この薬剤において添付文書だけを読んで処方するような医師というのはほとんどいないと思います。というのは、この薬剤は最適使用推進ガイドラインにも書かれていますし、必要条件をレセプトの適用欄に書かなくてはいけないので、そう簡単にこの文章だけを読んでさっと出せるような薬ではないのです。なので、MRさんからちゃんと説明を受けて有効性とか安全性を理解した上で、やはり処方する。アレルギーに精通した医師が処方するということになりますので、この文書だけで2週間隔の処方が多くなるとはあまり考えられない。きちんと有効性、安全性を理解する機会を得た医師が処方することを考えると、多くの医師が4週間隔を選ぶということは想像に難くないとは思います。
以上です。
○薬価算定組織委員長
それでは、委員の先生方から質問をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
なお書きのところと、新たにいわゆる達成維持割合の表、グラフなどが出ていますけれども、これは統計的にはどんな感じになるのですか。
○申請者(専門家)
レスポンダーのところで2週を続けた場合と4週を続けた場合において、この有効性の差というものは68週においてもこれは統計をかけていないです。
○申請者
維持期の場合は、導入期と比べて2週と4週を比べるデザインにはなっておりません。ですので、ぱっと見ていただいたときに、これに差がありそうに思えるかというところのほうになると思います。
○□□委員
有効性の根拠としてはそのような状況なのですね。
○申請者
はい。
○□□委員長
それでは、□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
今、2週と4週で統計学的に同じかどうかというのは検定されていないということで拝聴したのですけれども、今プレゼンテーションをいただいたように、ぱっと見変わらない。実臨床で患者さんや医者に2週と4週はどちらがいいかと聞いたら4週と答えるのはそれはそうだろうと思うので、であれば、なぜこの用法・用量で基本は2週間隔で、なお書きで4週となさったのか、そこの考え方、理由を教えていただけたらと思います。
○申請者
日本イーライリリーとPMDAの両方間で協議を行った結果、こちらの結果となりました。
○□□委員
分かりました。
○薬価算定組織委員長
そのほかいかがでしょうか。
それでは、私から。2週か4週かということなのですけれども、この薬剤が類似薬等と比較して4週に延ばせるといった、例えばIL-13のシグナル伝達抑制作用が強いとか、あと、皮下注における血中濃度が高いのが長く続くとか、何か根拠があって長く投与間隔を延ばせるということがあってこういう4週というところを目指したのでしょうか。その辺、科学的根拠があればお願いいたします。
○申請者
ありがとうございます。
まず結合能力が他剤に比べて高いということが分かっております。
もう一つは半減期です。こちらのお薬は半減期が21日となります。ですので、普通に考えていただいても4週間隔で全く問題がない半減期を持っております。
その2点が一つは大きいかなと思っております。
あともう一つ、海外の試験にはなりますが、アドボケート1と2の試験は16週が終わった後、プラセボに移行するアームがあります。こちらに示しておりますスライドは、2週間隔投与、4週間隔投与のみが書かれていますけれども、もう一つここにプラセボ投与というアームがあります。こちらのほうは、16週を超えてプラセボを投与された方でも、4週、16週と同じように効果を保っているというデータがあります。そちらをもって、こちらのお薬は4週間隔投与もしくは8週間隔投与でも可能だったのではないかということで訴求させていただきました。
以上です。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
そのほか、委員の皆様からいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
事務局、何かございますか。
○事務局
特にございません。
○薬価算定組織委員長
それでは、特に質問もないようですので、これにて終了したいと思います。企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○□□委員長
それでは、企業の意見を踏まえ、御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
大体想定されたプレゼンテーションだと思いますので、私は変わらない意見です。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
事務局案に賛同いたします。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、その他の委員からいかがでしょうか。
特に説明を聞いた感じでは、これを変更する根拠はないかなとは思いましたので、よろしいでしょうか。
事務局、特に御意見はよろしいですか。
○事務局
特にございません。
○薬価算定組織委員長
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。
ヒフデュラ配合皮下注
日時:令和6年3月19日(火)※企業陳述あり
○薬価算定組織委員長
「ヒフデュラ配合皮下注」です。特に意見を伺う委員として幸原先生、眞野先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に御説明をお願いいたします。
なお、本件は企業の意見陳述がございます。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
今の事務局の説明はよく分かったのですけれども、イノベーションのことと利便性ということはイコールというわけではないようにも思うのですが、いかがなのでしょうか。
○事務局
この有用性評価の大枠は、革新的な医薬品に対して薬価の上乗せをするというところでございまして、その革新性の一つとして利便性の向上というところの評価項目が設けられているものと理解してございます。その革新性というのは、やはり最初のものは評価できるのかなとも考えてございますので、初めての製剤であったダラキューロについて③-cというのをつけるのは申し分なかったと思いますけれども、ボルヒアルロニダーゼを配合しただけで皮下注製剤にできるという特性上、今後もこういったものは出てくるように考えてございます。今後、どんどん出てくるこのボルヒアルロニダーゼを配合した製品について、この③-cというのが無条件でついてしまうというのは、イノベーションの評価という有用性加算の基本的な考え方のところと相入れないのではないかなと事務局としては考えて、今回は加算をしないという案を提案させていただいてございます。
○□□委員
だから、そういう方針というのは確固としてあるのであればというか、そういうふうにここで合意しているのであれば、私はそれでいいと思うのですけれども、利便性というのは曖昧ですからね。イノベーションの側面があるということが大切な論点の一つなわけですね。了解しました。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。
どうぞ。
○□□委員
これもこれまで何度も御指摘いただいている点ですので、理解はしているつもりなのですけれども、今回のお話が、□□委員からもありましたように、製剤工夫による有用性というところでの④-bというところにも今回のようなものは実際は該当しないという判断で今後いきましょうということでよろしいでしょうか。というのも、企業さんにとってはどちらかというと一つの製剤が、今後出てくる皮下注製剤というのは、ボルヒアルロニダーゼを使うことによって点滴から皮下注にして、ジェネリックが出てくるのに対する対抗策としてやっていくという側面が強いのかなと思って、生き残り戦略でもあるのかなとは思うのですけれども、そこのところを利便性が上がったというところまで評価するかどうかというのは、点滴製剤がどれだけ苦痛だったか、そして、来院頻度がどれだけ大変だったかというのが改善するかというところによると思いますので、物によって変わり得るけれども、今回の製品に関しては④-bには該当しない。そういう御判断になるか、一律対応しないよという感じになるのか、そこのところだけ少し気になっていまして、基本的には私は前者で申し上げたような今回の製品は該当しないけれども該当するものもあり得ておかしくないよねと。例えば投与時間がすごく長いとか、患者さんで移動がすごく大変な方に対するものだと。そういうところに関しては④-bに該当し得るのかなと思ったので、御意見をお伺いしたいと思いました。
○事務局
御指摘をいただきましたイ、ロ、ハ、ニのニの観点につきましても、この③、イ、ロ、ハのハの観点でございますけれども、これと同様に有用性の評価という観点では同じかと考えておりますので、本剤のボルヒアルロニダーゼ アルファの配合剤というのは基本的には評価をしないというのが原則かなと考えてございます。ただ、御指摘をいただきましたとおり、疾患の特性ですとか元の静注製剤の負担の程度等がございますので、そこは個別の判断になろうかとは考えてございますけれども、やはり事務局としては基本的にはつけないスタンスで臨むことになろうかと考えてございます。
○薬価算定組織委員長
そのほかいかがでしょうか。
事務局、例えばこういう利便性とか、QOLもそうですけれども、いわゆる副次評価項目の中に入れて、きちんと科学的にという言い方はあれですが、これは企業は恐らくデータを出してくると思うのですけれども、臨床試験の中の副次評価にも入っていないようなアンケートの中からのデータが出てくるかなという気はしているのですけれども、そういうような科学的に最初から計画されて、これは利便性が上がるだろうというところを評価項目に入れた場合というのは、また考え方が変わってくるということですか。
○事務局
御指摘ありがとうございます。御指摘いただいたように、QOLの評価項目のところもそうでございますけれども、事前に計画を立てて、その評価を得て、さらにそれが何らかの形で審査報告書において言及されている、PMDAの評価を受けているというような形であれば、評価の俎上に上がるとは考えてございます。
また、利便性に関しましては、便利なほうはより使われるだろう、市場において選択されるだろうという観点もございますので、必ずしも薬価で評価をすべきものかどうかというところも一つの判断要素になろうかと思います。
○薬価算定組織委員長
よろしいでしょうか。
それでは、まず企業から意見を伺いたいと思いますので、事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
最初に、ヒフデュラ配合皮下注についての御意見を5分以内で説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて、委員側から質問をさせていただきますので、御回答をお願いいたします。
それでは、よろしくお願いいたします。
○申請者
本日は説明の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
アルジェニクスジャパン財務・経営企画の□□及びメディカルアフェアーズの□□のほうから説明をさせていただきます。
比較薬としましたウィフガート点滴静注は、弊社の今の唯一の製品でございまして、米国で承認されてからわずか1か月で承認をいただいております。
一方、今回収載予定のヒフデュラ配合皮下注につきましては、ウィフガート承認からわずか2年で承認されまして、患者さん及び医療従事者の皆様の大幅な負担軽減を早期に可能にした製剤でございます。
こちらはウィフガートと本剤の比較でございます。
本剤は有効成分にボルヒアルロニダーゼを含んでおります。
用量につきましては、ウィフガートが10mg/kg、つまり体重によって処方バイアル数が変動します。実際の臨床の現場では2バイアルを処方されるケースが圧倒的に多いということです。一方、本剤につきましては、体重にかかわらず1バイアルを使い切るということになります。
御覧いただくように、投与時間につきましては大幅に軽減が期待できます。
○申請者
本剤の利便性について、ウィフガートは週1回の投与を4週続けるため、1サイクル4回の通院が必要でしたが、本剤は1サイクル1回の通院を可能にするため、通院回数を最大75%減らすことができます。
ここで、本剤の臨床的有効性について、□□□□□□でいらっしゃいます□□□□の□□□□先生より、専門家の観点からコメントをいただきます。
では、□□先生、どうぞよろしくお願いします。
○申請者(専門家)
□□□□の□□です。
先ほどの企業からの説明に関して、私は専門家の立場から補足させていただきます。
本剤を投与される患者さんは難治性の重症筋無力症であり、その筋力低下は四肢筋、構音、嚥下、呼吸筋にも及びます。また、疾患の特徴として病的な易疲労性を伴います。
これらの筋無力症状の増悪時には通院の負担が大きくなってしまいますが、現在の点滴製剤であるウィフガート治療を施行してきた患者さんに本剤を用いることによって、通院の頻度を減らす、あるいは点滴により拘束される時間が削減されることのメリットは大きいと考えています。
外来で点滴治療を行う際には、点滴スペースの確保あるいは点滴の準備のために患者さんを待たせてしまう状況があり得ますが、本剤では点滴ベッド等が不要であり、患者さんの肉体的な負担を軽減できると考えています。
最後に、重症筋無力症は社会的な活動性が高い年代に多いという医学的特性があります。すなわち、仕事をしている患者さんや子育ての方が多いので、通院の負担が減るということは、本人だけではなく、患者さんの御家族に対してもメリットがあると考えております。このように、生活の質の維持ということに対しての大きなインパクトがあると考えております。
補足は以上です。
○申請者
□□先生、ありがとうございました。
続きましては、本剤の希望薬価算定の概略となります。
比較薬であるウィフガートの一回の使用バイアル数を2バイアルとして算定しております。これはウィフガート薬価申請時の原価計算における算定と同じものでございます。
本剤における類似薬効比較の計算においても、ウィフガートの一日薬価を週2バイアルで計算しております。その結果、希望薬価は□□□□円、有用性加算□□%を含めますと、最終的には□□□□円となります。
海外との価格差でございますが、海外との価格差は深刻な状況になります。ウィフガートにつきましては、薬価収載時に参照国の価格がなかったことで、外国平均価格調整の適用もありませんでした。現在、ウィフガートの薬価は参照国のわずか□□%、本剤が希望薬価になったとしても□□%にすぎず、海外との価格差は縮まることはありません。ぜひとも慎重な御審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
説明は以上でございます。ありがとうございます。
○薬価算定組織委員長
それでは、委員の皆様から御意見があればお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
今、患者さんの利便性ということで、私も神経内科医ですから、非常に同意するのですけれども、これについて実際に治験のときにデータというのは取っているのですか。つまり、例えば患者さんの利便性スコアとかそういうふうなものなのですけれども、あるいはこの薬を使ったことによってどのぐらい楽になったとか、楽にというのは通院とかそういう手間ですよね。そういうふうなデータみたいなものはあるのでしょうか。
○申請者
臨床試験ではいわゆるIV製剤とSC製剤、今回のウィフガートとヒフデュラの比較試験を非劣性試験で行いました。今、延長試験をやっているのですが、延長試験はIV製剤からSC製剤に移行している方がいらっしゃいます。なので、延長試験の中でSC製剤の利便性、いわゆるPatient Reported Outcomeの結果を出していく予定であります。
現在のところ継続試験を継続中なので結果はございませんが、今後そういった結果が出てくる予定です。
○□□委員
どうもありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
そのほかいかがでしょうか。
○□□委員
今の海外との格差がかなり大きいという話なのですけれども、そこはやはり薬価の計算方式が随分違うということでこういう結果になっているのですか。
○申請者
諸外国の薬価制度というのは多種多様で、ヨーロッパなどは当局との交渉で決まるケースも多いかと思います。一方、アメリカに関しては企業が価格を決定できる。日本とはやはり薬価制度というものが大きく違うという点は一つ挙げられるのではないかなと考えております。
あともう一つは、先ほどお話ししましたように、外国平均価格調整という非常にすばらしい制度があるにもかかわらず、残念ながら弊社のウィフガートに関しては、タイミング的に先行して承認をいただいたものですから、参照国での価格というものが存在しなかったということもあり、そういった恩恵に恵まれなかったという点もあろうかなと思います。
○□□委員
米国の価格が高いのは、今までも僕らも見ていてそう思うのですけれども、ヨーロッパの価格が思いのほか高いなと思ったのが、どういうふうに決定されたのかなと少し疑問に思った点なのですが、分からない面も多いと思いますから、分からなければそれでも結構ですけれども。
○申請者
詳細は持ち合わせていないのですけれども、やはり先行して販売したのが米国というところで、米国価格の参照ということも少し行われたのかなと。またヨーロッパの国によっては、事前にHTA(医療技術評価)が必要な国もあると聞いております。そういったところで適正に価格が算定されたと認識しております。
○薬価算定組織委員長
そのほかいかがでしょうか。
では、私から。自己注射になりますと、いわゆる注射製剤であってもコンプライアンスというかアドヒアランスが若干落ちたりするのではないかなと思うのですけれども、この疾患の要するに年齢とか活動性とかにもよるかなとは思うのですが、その辺は何か検討したデータなりはございますでしょうか。
○申請者
私から1つ申し上げられることは、投与コンプライアンスに関しましては、今のところ、まだ本剤ヒフデュラに関しては臨床での実績はもちろんございませんので、何とも言えないところだとは思うのですが、ウィフガートは静注製剤ではあるのですが、いわゆるアドヒアランスの率は非常によくて、今のところ95%前後のアドヒアランスという形で臨床では使われているということです。
一方、皮下注製剤に変わったことにより、当然のことながら、アドヒアランスが低下するということは恐らくないのではないかなとは考えておりまして、恐らくウィフガートと同程度もしくはそれ以上の投与コンプライアンスが得られるのではないかなとは考えられるかと思います。
何か補足がありましたら。
○申請者
申し訳ありません。最初の先生からいただいた質問のところなのですけれども、私、継続試験の結果でよりはっきりしますとお伝えしましたが、今、途中経過の結果がございまして、その結果を見ますと、IV製剤とSC製剤を両方投与された方に質問しているのですが、あなたはヒフデュラを好みますか、もしくはどちらでもいいですか、好まないですかという3つの質問の中で、ヒフデュラを好みますと答えた方が258人中190例、73.6%の方がそう答えております。また、ヒフデュラ、IV製剤でもSC製剤でもどちらでもよいと答えた方が68例なので、26.4%という結果が、得られております。補足させていただきました。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
□□委員、どうぞ。
○□□委員
大変分かりやすい御説明をありがとうございました。
私の質問は今の御回答に対する追加でございまして、点滴のほうを希望した方というのは、御説明はなかったのですけれども、ゼロだったということなのでしょうか。
○申請者
今のところ、点滴を希望しますという方、SC製剤はどうしても嫌ですという方は今のところの調査の中ではいらっしゃらない状況です。
○□□委員
分かりました。ありがとうございます。
○薬価算定組織委員長
そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
事務局、よろしいですか。
○事務局
特にございません。
○薬価算定組織委員長
それでは、これで企業意見の聴取を終了したいと思います。企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
それでは、企業の意見を踏まえ、御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
類似薬効比較をしながら、本剤は外国との薬価調整にはならないということなのですね。
○事務局
外国価格調整への該当性でございますが、まず静注製剤のウィフガートが収載されたときには海外の価格がございませんでしたので、参照できる価格なしということで対象になっておりません。
本剤につきましては、薬理作用類似薬がゼロの場合に外国価格調整ができるというルールですので、既にウィフガートが収載されており、薬理作用類似薬がございますので、本剤については外国価格調整というのが発動しないというルールになってございます。
したがいまして、現在ヒフデュラは外国の価格がございますけれども、外国価格調整、つまりは引上げの調整は行わないというルールになってございます。
○□□委員
でも、これを見るとその差が激しい。
○薬価算定組織委員長
大分安いですね。
○□□委員
確かに。だから、これは企業はやはりそう思うのはもっともだなとも思うのですけれども、これは多分同じ会社の同じ薬だからこういうことになってきてしまっているのだと思うのですが、どうなのでしょうね。ルール上できないと言ったら仕方がないのかもしれませんけれどもね。
○薬価算定組織委員長
委員の皆様、いかがでしょうか。
これは日本で一番最初に収載されたからなのだと思いますけれども、そうすると、海外企業が日本で最初に収載されるのを嫌になるというか、やめたくなるような事例でもあるかなと思ったりしますけれども、この辺、事務局はなかなか意見が難しいかもしれないですけれども、見るとそんな感じがしますが、どうでしょうか。
○事務局
以前から日本での薬価というのは世界に比べて安くなる傾向があるというような指摘は業界からされているところではございますけれども、そういったところも含めまして、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消というような観点も踏まえまして、今回、令和6年度薬価制度改革という中で、迅速導入加算というところですとか、あとは小児加算などに限ったところではございますけれども、世界と遜色ないスピードで開発してくれれば加算率を多く見積もるというような改革がなされたというところでございまして、こういうところは今後は一定程度改善されるのではないかなと事務局としては考えております。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
いかがでしょうか。
今回、海外でウィフガートとヒフデュラの価格差というのは大体2倍ぐらいに皆さんなっているのですけれども、この辺はやはり利便性というかそういうところが評価されているということなのでしょうか。今、薬価をつけるとすると、これはほとんど同じ値段というか、□□万円ぐらいしか日本では上がらないことになってしまいますけれども、企業的にもこれを見ると日本はどうなのと思ってしまうのが普通かなと思うのですが、その辺は海外での皮下注の評価というのが我々とは違うということでよろしいのですか。
○薬剤管理官
先ほどの企業の説明を踏まえていろいろな意見が飛び交っているところでありますけれども、海外との比較における価格の安さというところは、当然、一律に常に安いというわけではないのですが、この品目はこういった形で評価しています。一方で、外国と比べて低いからといって今回この加算をしてほしいという要望に基づきポイントをつけますかというと、それはそもそもの評価としての在り方に関してどうなのかなと思います。剤形工夫とかいろいろ改善した結果、単に皮下注になれば全てのものに加算がつくのかという話に極論としてはなってしまうのですけれども、そういったところは本来は切り分けるべきだとは思っています。ただ、この品目として企業の意見とかを踏まえてどういうふうに考えるかという判断の余地は全くゼロではないのかなと。それは、まさに個別にディスカッションして整理するようなポイントなのかなと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
難しいですよね。加算に関しては、やはり加算なしでしようがないのかなという気はしています。企業の希望薬価にするには、どうしてもこの一日薬価合わせのところを何かしらしないといけないのではないかと思いましたけれども、何も言わなかったのですよね。なので、どうしても事務局案のほうに収束してしまうしかないのかなと。多少加算がついたところであまり変わらない価格になってしまうので、仕方がないのかなという気はしています。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
今言われたとおりのような気がしますが、そのほか御意見は。
□□先生、どうぞ。
○□□委員
私のほうは今の点に関してはあまり意見はないというか、なかなか評価するのは難しいと思っております。
○薬価算定組織委員長
そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
いろいろ議論はあるかもしれませんが、今までの議論を総合すると、特に事務局の案を覆すような御意見はなかったかと思うのですが、何か追加で御意見はよろしいでしょうか。
それでは、ないようですので、薬価算定組織の意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。
ヒフデュラ配合皮下注
日時:令和6年3月26日(火)※企業陳述あり
○薬価組織算定委員長
「ヒフデュラ配合皮下注」です。特に意見を伺う委員として幸原先生、眞野先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に御説明をお願いいたします。
なお、本件は企業の意見陳述がございます。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
この前のときも言ったのですけれども、個人的に私はこういうふうな患者さんをたくさん診ているので、大体働き盛りの人が多くて、外来に通院するのも結構大変というような人で、こういう薬を使っているとコントロールが結構うまくできるというような人が多いので、実際には臨床の現場では相当な利便性はあるとは思うのですけれども、ただ、その方法自体に革新性がないということと、今までそういうものには、最初の頃はつけたのですかね。よく分かりませんけれども、つけてこなかったということなら、これは仕方ないないかなと思います。あとの2つの加算については妥当だと思うのですけれども、気持ち的にはちょっと引っかかるのですが、つけてもいいのではないかなと思います。
○薬価算定組織委員長
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
体重のところもちゃんとデータが□□□人分ぐらい出てきていますので、そこはそれでいいのかなと思っていますし、また、新薬創出等加算についても、おおむね5年以内というところから考えても妥当かなと思いますので、事務局案でよろしいのではないかと思います。
○薬価算定組織委員長
それでは、その他の先生方からいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
では、企業の意見を聞いてからまた御意見を伺いたいと思います。事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
最初に、ヒフデュラ配合皮下注についての御意見を10分以内で御説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて、委員側から質問をさせていただきますので、御回答をお願いいたします。
○申請者
アルジェニクスジャパンでございます。
本日は、ヒフデュラ配合皮下注に関しまして不服意見陳述の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
私、財務・経営企画の□□、それから、メディカルアフェアーズの□□のほうから説明をさせていただきます。
本日ここに記載させていただいております3点につきまして、不服意見を述べさせていただきます。
1つ目は、有用性加算が認められなかったことについての再考のお願い。
2つ目は、新薬創出加算についてのルールの再確認のお願い。
そして、3つ目は今回の内示薬価での算定方法、特に一日薬価算定における患者体重についての再考のお願いについてでございます。
○申請者
まずは有用性加算についてです。弊社としては有用性加算(Ⅱ)ハ③-cの使用に際しての利便性が著しく高いという部分を改めて主張させていただきます。
利便性が著しく高い点として、在宅自己注射による通院頻度の大幅な削減を挙げることができます。ウィフガートは、以前も述べさせていただいたように、週1回の投与を4週続けるため、1サイクル4回の通院が必要でしたが、本剤は1サイクル1回の通院を可能にするため、通院回数を最大75%減らすことができます。また、投与についても、ウィフガートは1時間の点滴時間を必要としておりましたが、本剤は1分半程度の皮下注投与でございます。
次に、本剤の投与が想定される患者さんの年齢層ですが、それはウィフガートが投与されている患者さんとほぼ同じと考えております。ここに示しているグラフですが、ウィフガートの投与年齢構成を示しております。特に□□代から□□代の患者さんが多いことから、本剤もこのような年齢層での投与が想定されます。
先回、□□□□の□□先生から、重症筋無力症の患者さんには子育て、介護、実際に仕事をしている方が多いため、通院頻度や病院で過ごす時間の短縮は患者さん及びその家族に大きなメリットがあるとのコメントをいただきましたが、まさに本剤は通院頻度を大幅に削減し、投与時間を1分半程度にすることから、病院で過ごす時間を短縮するなど、子育て世代や生産年齢人口の患者さんに特に貢献すると考えております。さらに、本剤は皮下注のため、ベッド等を不要とするので、重症筋無力症の患者さんのみならず、ほかの病気で点滴を受けている患者さんにもメリットがあると考えております。
以上より、本剤の著しく高い利便性を鑑み、少なくとも有用性加算(Ⅱ)ハ③-cについて再考いただきたいと思います。
○申請者
続きまして、2つ目のポイントになります。新薬創出加算についてでございます。
弊社からの当初の申請においては、有用性加算取得を前提として新薬創出加算の適用を想定しておりました。今回内示をいただいた段階において、有用性加算が認められず、また、新薬創出加算にも該当しないとの通知を受けております。しかしながら、有用性加算が認められなかったとしても、今、スライドでお示ししております11個の要件の中の11番目、⑪に本剤が該当すると考えております。今回、本剤の新薬創出加算についての適用の可否を再度御確認いただきたく、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
続きまして、いただいた内示薬価の算定に関する不服意見となります。
こちらは内示いただいた算定薬価の内容でございます。一日薬価□□□□円、算定薬価□□□□円という内容でございます。比較薬の一日薬価算定におきましては、このいただいた内示においては、一回の投与量を体重50kgと換算して投与量500mgを計算に使用されております。この体重50kgですけれども、他の新薬の薬価算定等で用いられているということは認識しておりますが、本剤における重症筋無力症の患者さんの臨床実態を反映しているものではありません。
今回、本剤の薬価算定に当たりましては、比較薬としたウィフガートは同じく弊社の製品でございます。一般的には比較薬は他社製品であることも多く、実際の臨床実態を反映した体重が一体何kgなのかということを知ることができない状況も多いというのは事実かと思います。ウィフガートが弊社製品ということもあり、市販後調査のデータなども弊社としては把握できる状況にございます。本年2月現在におきまして、市販後調査の調査票は□□□例を超えておりまして、これらの患者さんの平均体重を集計いたしますと、□□kgという結果が出ております。本剤の薬価算定におきましては、この市販後調査データを用いることが臨床実態を最も反映した非常に適切な算定方法と考えます。
その結果、加算前の薬価の状況で□□□□円、□%の加算を含め、□□□□円という結果となりました。今回、この算定薬価を採用いただくことを強く希望させていただきます。
比較薬でありますウィフガートの市販後調査についての補足情報でございます。平均体重を求めるに当たって、特定使用成績調査の登録票を全て集計いたしております。症例数は本年2月現在で□□□例、体重データが確認できた症例数は□□□例、これを用いて平均体重を算出いたしました。結果としまして、□□kgとなっております。
先週の薬価算定組織での意見陳述でもお示ししました海外価格との比較でございます。その際の希望薬価は□□□□円、参照国平均価格の□□%にすぎないということを前回お話しさせていただきました。今回は想定をはるかに下回る内示薬価となりましたが、今回適正体重を使用する提案をさせていただいております。その結果、ここにお示ししましたように、外国平均価格との乖離はさらに広がり、わずか□□%という状況でございます。ぜひともさらなる慎重な御審議のほど、よろしくお願いしたいと思います。
本日の不服意見の陳述は以上となります。どうもありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございました。
それでは、企業の意見を踏まえて御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
前回も外国薬価との差が大きいという話を聞いたのですが、これは発売してどのぐらいなのか分からないのだけれども、アメリカはちょっと別としても、英国とかドイツでの使用数というのは日本と比べてどうですか。使用人数が、日本は割とこういうのを使うのは、保険の関係もあると思うのですれども、割と割合は低いと思うのですが、要するに実際の数はどのぐらい出ているのかということがもし分かりましたら教えていただきたいです。
○申請者
ありがとうございます。
ヨーロッパでウィフガートが使用されている患者数という理解でよろしいでしょうか。
○□□委員
はい。
○申請者
詳細は正直に申し上げて把握できておらず、ヨーロッパは、個人情報の観点からですけれども、特に日本よりもいわゆる患者数という意味での把握が極めて難しい状況がございます。ただ、売上げの物量等を鑑みまして、ヨーロッパで一番使われている国はドイツだと思います。ドイツに関しましては、使用本数に関しましては日本より若干下回っているという状況は把握しております。発売開始がドイツでの発売が昨年9月だったかと思います。詳細がもう一つ把握できておらず、申し訳ございません。
○□□委員
これだけ価格差がついているのが、日本でのほうがたくさん使われるというか、逆にヨーロッパではやはり使う量が少ないのかなと少し思ったので尋ねてみたのですけれども、ドイツのことから言うとそうでもなさそうということですか。
○申請者
人口比で比較しますと当然日本のほうが多いということと、もう一点、適応症の範囲が、日本の場合はアセチルコリン受容体抗体陽性と陰性両方とも適応症がありますけれども、欧米に関しましてはアセチルコリン受容体抗体の陽性のみという適応になっているということも一つ原因になっているのかなと考えられると思います。
○□□委員
ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
ウィフガートの点滴静注を今使っている人がこの皮下注に切り替わっていくのは、大体どれぐらいだと想定されていますか。
○申請者
今のところ市場規模予測で提出させていただいておりますけれども、□年後を目安に約□割、□□%が静注から皮下注への切り替えという形で想定をしております。
○□□委員
切り替わらないその□割の人は、どういうケースを考えていらっしゃいますか。
○申請者
専門医の先生等を含めて我々の想定をお話しさせていただきますと、まずは、投与の際に、やはり皮下注射なので、投与した部位の反応というところを気にされる患者さんはそのまま静注を継続されるかもしれないということを専門の先生はおっしゃっておりました。考えられるデメリットとしてはそれぐらいです。
○□□委員
ありがとうございます。
○薬価算定組織委員長
それでは、その他の委員からいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、私から。体重に関してなのですけれども、ウィフガートの市販後調査ということですが、今回の治験で、国際共同だと思うので、日本人の治験患者での平均体重というのはどれぐらいだったのでしょうか。
○申請者
日本人は14名で、平均が□□kgです。
○薬価算定組織委員長
大体実態に即した感じですかね。
○申請者
おっしゃるとおりです。
○薬価算定組織委員長
それから、ウィフガートから今回のヒフデュラへの開発という点においては、イノベーションという点においてだと思うのですけれども、ボルヒアルロニダーゼを使用しているということなのだと思うのですが、この辺の新規性というか、この薬剤を作るのに当たってかなり苦労されたものなのか、それとも、ほかでも皮下注製剤にするのに結構使われている薬剤というか成分だと思いますけれども、その辺の革新性みたいなものがあれば教えていただきたいです。
○申請者
ありがとうございます。
患者さんというところを中心に考えたときに、重症筋無力症の患者さんがこの投与頻度、つまり1週間に1回病院に通うというのは非常に大変なことだろうといったことを考えまして、やはり在宅自己注射ができるような剤形が望ましい。そういったところからスタートして、皮下投与にアプローチしておりました。ただ、単に蛋白製剤だけを投与しても血中濃度が上がっていかなかったので、ボルヒアルロニダーゼという選択肢を利用させていただいたという経緯がございます。ただ、□□□□□□□□□□□□□□□□□聞いております。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
その他の委員からいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
事務局からは何かございますか。
○事務局
特にございません。
○薬価算定組織委員長
それでは、よろしいでしょうか。
それでは、企業意見の聴取を終了したいと思います。企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
それでは、改めまして□□先生、御意見はいかがでしょうか。
○□□委員
1番目と3番目の問題はこれでいいと思いますし、問題の2番目だけはちょっと気になったのですけれども、よく考えてみたら、これも今の医薬全体の流れの一つですから、特別ここでも加算を入れるということは適当ではないなと私もやはり思いましたので、この事務局算定でいいのではないかなと思います。
外国との価格差はどうもよく理解できないのですけれども、それだけがいまだに釈然としませんけれども、ただ、これはさっき言っていたようにかなりの人が大きく変わるから、実質的には企業にとっては値上げみたいなものにはなるとは思いますので、そこはうまいことを言っているだけで、それなりに大丈夫かなとは思っています。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
やはり先ほど体重の件も治験のデータともかなり似通っているので、□□kgを使うというのは妥当だなと思いましたし、今、□□先生がおっしゃっいましたし、先ほど企業の方も□割切り替わるとおっしゃっていたので、そういう意味では売上げはかなり上がるのだと思いますので、もちろん通院頻度が減って利便性が上がるというのはそのとおりだと思いますけれども、これまでと同じような扱いで、有用性加算はつけずに、このままでよろしいのではないかと思っていますので、今回の事務局の案が妥当だと考えます。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、その他の委員の先生からいかがでしょうか。
特にないでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、新薬創出等加算と体重のところはお認めいただくということで、有用性加算に関しては前回と同じということだと思いますけれども、特によろしいでしょうか。
事務局からよろしいですか。
○事務局
加算のほうについて補足させていただきますと、議論の中にも出てきましたとおり、ボルヒアルロニダーゼを配合することで皮下注製剤にできるというのは自明でございますので、ここはなかなか評価は難しいかなと考えておりましたので、このような案とさせていただいたところでございます。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、よろしいでしょうか。
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。
ゾコーバ錠125mg
日時:令和6年3月19日(火)
○薬価算定組織委員長
それでは、次は「ゾコーバ錠125mg」となります。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
○□□委員
意見ではないのですけれども、市場規模が上振れしているというお話でしたが、実際に使われたというのはどのぐらい使われたのですか。
○薬価算定組織委員長
事務局、いかがでしょうか。
○薬剤管理官
参考資料7を御覧ください。
これは中医協で御審議いただいた際の資料でございます。ここで方向性として薬価算定組織で議論してもらうということが了承されたのですが、そのときに状況を報告していまして、使用実態は11ページ目にございます。
11ページ目のところで市場規模があるのですが、1年前の収載時にはどういう予測だったかというと37万人、192億円。実際にどのぐらい使われたかというのが、企業が公表している市販後の対応ということで、一般流通が開始してから2月11日までに約100万人に使われたということになります。ですから、当初の想定よりも多めに使われている。ただ、内訳を見ますと、自己負担なしの時期とありの時期がありまして、10月1日から自己負担がありになって、そこでかなり投与患者数が減っています。企業の公表情報なので、ずれはあるのですが、おおむねこういった自己負担なし、ありの期間で大きく違うということで、収載当初は自己負担がなかったのでちょっと上振れするような患者推移だった。そこから以降は、自己負担が増えるとそんなに多くないということで、中医協で示しているのは、自己負担が生じてからの期間を単純推計で年間にすると同じぐらいの程度ですねというような形にしていますが、どちらにしても再算定を適用するほどの患者数の増大までは至っていないという状況でございます。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
そのほかいかがでしょうか。
○薬剤管理官
私のほうから補足で説明すると、本剤は1年前に緊急承認され、それで薬価をつけました。そのときは、データがなく分からないけれどもという話もいただきながら、算定根拠も含めて御了承いただき、中医協でも了承されたというところでございまして、今回、改めて本承認で通常承認を得たという段階になって、薬価としては、結果的には何も位置づけが変わっていない状態なので、争点としては中医協のほうでも特に強い御指摘もなかった。恐らくそういったところでそんなに御意見をいただいていなかったのもあるのですけれども、一方で、緊急承認の在り方というのは、今回、臨床試験の評価したデータが、同じデータをそのまま使ったがゆえに、結果的にプラスアルファの情報もなかったということになるのですけれども、それが結果的に同じ評価だったということになります。
ですので、この緊急承認というのは、もともとはデータが限られている中で評価をして薬価算定をすべきものであり、今回本承認というか通常承認のときにはきちんとデータを整えて改めて評価して、どう位置づけが変わるか、記載が変わるかというところがある。そこで本来の価値判断をしてみましょうということなので、評価の在り方というか、本来は評価が変わってしかるべきだし、それによって薬価が上がるのか下がるのかというところは、本承認の通常承認を得たときの評価の仕方というのになるのかなというのもありながら、そういう事例があればちょうどよかったのですが、そうでもなかった。もともとは有効性が推定されていた状況下の判断と、今回有効性が確認されたということで、薬機法の位置づけとしては大きく変わっているというときに、改めてどう評価するのかなというところに関して、先生方はどう感じておられますかということをお聞きしたかった点です。
これは今回の品目がどうなるかという話はともかく、緊急承認品目等の薬価の在り方については、今回は淡々とやっていますけれども、そのときの価格を維持していていいのかどうかというところは個別にしっかり考えなくてはいけない課題ではあるのかなと感じてはいるところはあるのですけれども、算定に携わっている先生方のお考えとか思いとか、その辺はどんな感じかなと。せっかくの機会なので、お聞かせいただければありがたいなと思っています。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
いかがでしょうか。何か御意見はどうでしょうか。
□□先生、何か御意見はございますか。
○□□委員
難しいなと思います。そもそもこういう状態になるのは感染症が多いわけですけれども、感染症は情報の多寡ばかりでなく、その時々状況がすごく変わるので、難しいとしか言いようがない。例えばある時期減少したとか、変異した場合、過去の情報がこの薬剤を今後どう使っていくかということに本当は参考にならないと思う。やはり感染症という対象でこそこういう評価がより望まれるという意味では、非常に薬価は難しいです。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
○薬剤管理官
非常に答えにくい質問を投げかけてしまってすみません。
御指摘のとおりで、感染症というのは、新型コロナも今回はコロナと括ってはいるのですけれども、結局ウイルスのタイプによって状況がずっと変わっていく中で、そのときにやった臨床試験で結果が変わってくるという前提もあるわけです。その中で価値判断とは何だろうというところが、試験をうまくやれば評価が高くなるかもしれないとか、いろいろあるかもしれませんし、その中で有効性を推定するとは何ぞやとか、そういったところもあって、結構難しい判断もあるのかなと思ってはいたのですけれども、率直に薬価を判断してくださいと問われた先生方の印象というか、そもそも緊急承認はどこまで本当に薬価算定としてきちんとできるものなのかというところは悩みましたとか、改めて振り返ってみてどうだったのかなということで意見があれば、今後の在り方としての我々の検討課題なのかなと思っているのです。特に緊急承認のような有効性が推定されている段階の中での薬価というのは、確定できない事項で、だからこそ、今回も1年前に改めて見直しましょうと言っていますけれども、やはり薬価制度の中でも推定されている範囲内というのはどこまで確固たるものなのだろうというのはずっと課題なのかなと思いつつ、提案をさせてもらいました。
○□□委員
伺いたいのですけれども、要するに薬効があるかということは、どちらかというとPMDA的なことですよね。ここは薬価を決めていくわけですけれども、例えばこの薬はこれだけ推定されるということで市場に出て、市販後調査とかそういうことはされてきて検証していくという過程はあるのですか。
○事務局
本剤についても、ほかの医薬品と同様に上市した後の市販後の調査は行われておりまして、ただ、その解析結果というところまでは現時点ではまだ上がってきていないという状況でございまして、今回の本承認に当たっても、当初提出されていた試験の解析とその評価が終わったということで、有効性が確認されたという形で通常承認が行われた、という状況でございます。
調査は行われておりますけれども、その結果はまだ出てきていないという状況でございます。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
どうぞ。
○□□委員
一般的な医薬品に限らず、医療機器もそうだと思うのですけれども、いわゆる迅速承認と申しますか、まだ十分なデータがない中で医薬品、医療機器が承認されて、その後にまた本承認を得るという手続があると思いますので、そういったものと似ていて、仮免許をもらって、実際に有効性データの追加によって本承認に至るというのと似てはいるのだけれども、今回のような緊急性がある話だとそこと同じようには判断できないなということなのかなと思いました。
そして、ほかの代替薬がある中での追加の医薬品の位置づけや、さらに、今回のように日本発の医薬品をとにかく支援して開発してもらわなくてはいけない緊急事態というような複合的な要素によって、例えば類似薬の比較というお話の中でも、同じような薬が海外から入ってきていると、似たようなものでも評価できうるということだとは思うのですけれども、緊急事態ではない限りは、PMDAや厚労省の方々も当たり前だとは思うのですけれども、有効性に関するしっかりとした確定的なデータがないのに承認して薬価をつけてあげるなんていうのは正直ないのかなと思います。
具体的には、抗がん剤で言ったら、抗がん剤治療で腫瘍マーカーが下がるだけで特に臨床的な有用性が評価されていないのに、承認して薬価をつけてあげて、ほかの抗がん剤と同じようなお値段にしましょうなんていうのは想定しづらいものですから、やはり今回も非常にサロゲートとして確立していないようなもので承認まで至って、さらに薬価をしっかりつけてあげたのを未承認でも維持するというのは難しいところかなと思っております。
ただ、逆に言うと、どこまで本承認で下げるかというのも、実際に有効性がその後に示されたから、どのぐらいの値段に上げるか下げるか、そこのところの基準点も実際にはないところでありますので、この後、緊急承認のものが続々と来ますよということではないので、一つの前例というところまでにとどまるのかと思うのですけれども、基本的な考えとしては、有効性に関する暫定的なデータによって承認を得て、本承認を得たというときには、そのときに既存の有効性よりもさらに追加の有効性に関してのデータや、より安全性に関するしっかりとしたデータ、さらにほかの類似薬との比較のデータが出ると、加算とかを考える対象も十分あるよというところかとは思いますので、仮免許と実際の本承認というところの差分のデータによって評価を都度していくというところは一緒なのかなと感じたところでございます。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。
○薬剤管理官
御指摘ありがとうございます。
改めて整理というか考え方なのですけれども、たしかに治験の中で、様々、最近、オーファンも含めて限られたデータで評価しなくてはいけない状況で、有効性を確認している、そういった前提のものが結構あるのですが、薬事の中の審査、結果、承認の仕方の中では、通常いろいろなレベルであっても、有効性が確認されて承認するというのが通常承認のルートになっていて、多くのものは基本そのルートなのですが、唯一、有効性を推定した形で、一旦いいよと。その後、ちゃんと検証してデータ評価をしましょうといって、承認する仕組みというのが、今回の緊急承認品目であり、あとは、その再生医療等製品の条件期限付き承認、こちらのほうも仮免許みたいな推定ということで整理されていると。
あと、そのほか条件つき承認みたいな、早めに承認しましょうという承認制度もあるのですが、この場合はもう承認の枠自体は有効は確認されたものということでやっていると。そういったところで、まず入り口でそういう切り分けができるのかなと思いますし、さらに、先ほどの抗がん剤の話もそうですけれども、その真の有用性なのだというところが後々分かったことの評価というのは、薬価でも改定時にいろいろ評価していますけれども、そういったことの段階を踏みながら評価を高めにつけるというのがあったりするのかなと思いますし、そういうような有効性のステージの中での薬事上の整理というところと、その後のいろいろデータが分かった後の価値としての判断と、もちろん、その後、費用対効果もあるかもしれませんけれども、そういったようなことが段階的にいろいろなものが出てくるのかなと思いながら話を聞いていました。
以上です。
○薬価算定組織委員長
どうぞ。
○□□委員
私が難しいと言ったのは、対象がどんどん変わっていくので、どんなにきちんとやったデータも、そのときだけのことであって、現在のものには役に立たないということだと思う。要するに、この薬のこの領域というのは、例えばワクチンは、またいろいろされていますけれども、結局、きっちりしたデータというのが、きっちりやろうとすると、なかなか本当は難しくなってしまって、今までの国内生産ワクチンみたいなことが、実際はいいかげんと言ってはあれなのですが、結構知恵なのかもしれないと思ったりして、そこの対象が変わるということをお話ししたのですけれども。
○薬剤管理官
まさに感染症は、そういう状況を秘めているというか、確実にそれで影響が出ていますので、この品目のこの評価の仕方とかがあるので、やはりその辺は悩ましい課題というか、そこをどういった範囲の中で、評価として有効性を認めていくかとか、あと、それを薬価上の価値判断をどのように捉えるかという整理なのかなと。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
そのほかに御意見、御質問等はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、御意見がないようですので、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。