第162回先進医療技術審査部会 議事録

日時

令和6年6月19日(水)16:00~18:00

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア「8F」(オンライン)

出席者

竹内座長、天野構成員、一家構成員、伊藤構成員、上村(夕)構成員、北川座長代理、後藤構成員、坂井構成員、真田構成員、戸高構成員、飛田構成員、平川構成員、平田構成員、松山構成員、山本構成員、渡辺構成員、榎本技術専門委員

事務局
  • 医政局研究開発政策課長
  • 医政局研究開発政策課 治験推進室長
  • 医政局研究開発政策課 課長補佐
  • 医政局研究開発政策課 治験推進室長補佐
  • 保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
  • 医薬局医薬品審査管理課 審査調整官

議題

  1. 新規申請技術の評価結果について
  2. 試験実施計画の変更について
  3. 協力医療機関の追加について
  4. 先進医療制度の取下げについて
  5. その他

議事

議事内容
○竹内座長
 それでは、定刻となりましたので、「第162回先進医療技術審査部会」を始めさせていただきます。御多用の折、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。本日は、オンラインでの開催となります。
 本日の構成員の出欠状況ですが、上村尚人先生より御欠席の連絡を頂戴しております。また、戸高浩司先生が遅れて入室、掛江先生がまだ入室されていらっしゃいません。本日は技術専門委員として、榎本隆之先生に御出席いただいております。本日18名の構成員のうち、現在15名の構成員の先生方にお集まりいただいておりますことから、本会議が成立していることを申し添えたいと思います。
 それでは早速、配布資料と本日の審査案件の確認を、事務局よりお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局でございます。よろしくお願いいたします。傍聴者の方の撮影は、ここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 配布資料について確認させていただきます。議事次第から、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続いて、「新規申請技術の評価について」資料1-1~1-5、「試験実施計画の変更について」資料2~6、「協力医療機関の追加について」資料7-1~7-2、「先進医療Bの試験終了に伴う取下げ及び協力医療機関の取下げについて」資料8、会議資料の最終ページは66ページです。お手元の資料に乱丁、落丁等がございましたら、事務局までお知らせください。
 続いて、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局より事前に確認させていただいております。今回、整理番号141の技術、香川大学医学部附属病院からの新規申請技術に関して、北川座長代理から御報告がございましたが、50万円以下でしたので、当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いいたします。それでは、該当なしということで承知いたしました。
 今回は、資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出書類等を「タブレット資料」と御案内いたします。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は、会議資料の何ページ、若しくはタブレット資料の何ページとあらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上助かります。本日は、オンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をお掛けいたします。御発言いただく際には、はじめにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜御活用ください。以上です。
○竹内座長
 ただいま、戸高構成員が入室されたそうです。本日の議事については、新規申請技術の評価担当が戸高先生になっております。戸高先生はただいま御入室されたということで、早速ではありますが、議事に入りたいと思います。「新規申請技術の評価結果」について、まず事務局より説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料1-1の1ページを御覧ください。先進医療Bとして新規に御評価いただく技術は、整理番号141「子宮頸部内視鏡検査」です。申請医療機関は、香川大学医学部附属病院です。審査担当構成員は、主担当が戸高構成員、副担当が山本構成員、後藤構成員、技術専門委員が榎本委員です。
 資料1-5の39ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明いたします。Ⅰ番目の実施責任医師の要件ですが、診療科は内科または消化器内科、資格は日本消化器内視鏡学会専門医、当該診療科の経験年数は7年以上が必要、当該技術の経験年数は不要、当該技術の経験症例数は、実施者として2例以上が必要、その他として、研究参加前に作成アトラス及び動画を使用して内視鏡診断及び手技手順について少なくとも2回以上の講義を履修した者となっています。
 Ⅱ番目の医療機関の要件ですが、診療科は内科または消化器内科が必要、実施診療科の医師数は、消化器内科の経験年数6年以上の医師が2名以上必要、他診療科の医師数は、産婦人科系診療科の経験年数6年以上の医師が2名以上必要、その他医療従事者の配置は不要、病床数は100床以上が必要、看護配置は10対1看護以上が必要、当直体制は、内科系・外科系を問わず常勤医師1名以上とし、産婦人科常勤医師の当直またはオンコール体制が敷かれていることが必要、緊急手術の実施体制は必要、院内検査の24時間実施体制は必要、他の医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制は必要、医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は、2例以上が必要となっています。
 Ⅲ番目、その他の要件として、頻回の実績報告は不要となっています。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。いつもは、ここで皆様に医療機関の要件について御意見を頂戴しているのですが、審査担当のほうから、既に実施体制につきましてはコメントを頂戴しているということでして、先に審査担当の先生方から御評価を頂いた後に、最後の質疑応答の所で、追加で御意見があれば、医療機関の要件についてコメントを頂戴したいと思います。
 それでは、技術の概要と実施体制の評価について、主担当の戸高構成員より御説明をお願いしたいと思います。戸高先生、よろしくお願いいたします。
○戸高構成員
 よろしくお願いいたします。子宮頸がんを早期発見するといった新技術です。妊娠適齢期である20代から40代の女性に罹患のピークがある疾患ですが、早期発見によって治療が可能な疾患です。擦過細胞診で陽性であった場合に、コルポスコピーといったものと、パンチ生検といった標準手技が婦人科の先生によって必要になるのですが、その際に、コルポスコピーを見るためにクスコ等が必要だと思うのですが、膣壁を拡げる際の痛み等があり、それをためらう方がおられて、検診を受けないということにつながっているのではないかということを申請した先生方が問題としておられます。それを軽減するために、いわゆる上部内視鏡、胃カメラの類を横臥位で挿入させていただくと非常に負担も軽く、胃の中で生検する形と同じ生検鉗子を用いて組織を採れば、同じようなことが可能ではないかという発想で始められたものと拝察いたします。
 もう1つは、ビデオ装置だと思うのですが、生体内のがんの血管を強調する画像強調機能も使えるということで、それも貢献できるのではないかというお考えがおありのようです。
 まず私のほうで評価をさせていただきました。実施体制の評価という形にはなっていますが、実質的にプロトコル、やり方の中身の評価に入らざるを得ません。「不適」ということを書かせていただいております。その理由をこれから御説明いたします。今申し上げたように、患者さんの負担を軽減する可能性がある検査法であって、無作為化並行群間比較試験で標準法との比較を試みようとする試験ではあります。それは非常にすばらしいと思うのですが、後に技術専門委員の先生からも詳しく御説明があると思いますけれども、その目的がCIN、上皮内がんや、前がん状態の見落としがないようにする、ましてや紛れ込んでいる子宮頸がんの早期のものを見落とさないようにするといった形で確実な生検を行うことが非常に大事な手技になっております。が、残念ながらそういったことを評価する計画になっておりません。
 まず、主要評価項目が、痛みが軽減できているということの優越性を標準法に対して言おうとしています。これは恐らく容易に言えるものだろうと思います。ビジュアルアナログスケールか何かでやる予定のようです。別に主要副次評価項目というのを立てております。これに問題があります。ここにそのまま引用しておりますが、「症例単位でUCEとコルポスコピーそれぞれの生検組織でCIN2+を検出する感度」ということで、これが何を意味するのか非常に分かりにくいということで問合せをいたしました。
 この「感度」というのは、それぞれの生検組織でCIN2+を検出したという事実を真の値として、それぞれの画像診断がそれを予測できたかという感度になっています。すなわち、先ほど申し上げた診療の本来の目的というよりは、この画像診断が生検で採れたCIN2+をきちんと予測できるかどうかということのみに着眼したものです。これが非劣性であればよいということをおっしゃっているのですが、後ほど技術専門委員から詳しく御説明があると思いますけれども、この鉗子を用いた生検法自体が、標準的なパンチ生検と比べて、採取部位、大きさ、深度等について懸念が持たれており、その病理組織診断結果自体を評価しなければならないと考えます。したがって、それを真の値として、標準法のパンチ生検による検査結果と同列に扱うことは、適切ではないと考えられます。
 もう1つ、この辺りも申請者の方々の考えが若干入っていると思うのですが、「CIN」という言葉について用法混乱が見られると思います。「UCE等によるCINの診断基準」などというものが画像診断で付けられておりますが、私の理解する限り、CINというのは組織学的な診断用語であると思います。ですので、ここでは、CINを疑う所見であるという画像診断上の診断になるのではないかと思います。
 ということで、(有効性に関わるものを)主要な副次評価項目とするのではなく、順番としてこちらが主要評価項目になるべきではないかと思っております。かつ、本来の(診療)目的にそぐわないのではないかということです。
 また、この計画自体が手技的に慣れておられる消化器内科医の先生が主体となってやっておられるように思います。この手技の経験が2例以上あれば試験に参加してよいといった形になっており、果たしてそういった方々が熟練した産婦人科医のコルポスコピーの先生方と同じように生検を同定、施行できるかということにも懸念があります。
 かつ、この試験の中で見逃しがあるのではないか、UCE群では見逃しがあるのではないかと申請者の先生方が若干懸念しておられる様子があります。それをカバーするために、発見できたはずの病変の発見が遅れることがないように、UCE群については必ずフォローアップの標準コルポスコピー検査を重ねて行うということが規定されています。ただ、その時期は、このように(担当医の裁量で)かなり幅があり、かつ試験の中では行われません。すなわち、試験解析に全く使われない形で行われます。したがって、ここで(見逃しが)見付かっても統計には全く反映しない形で計画が組まれております。
 このように、試験の設計にかなり問題がありますが、工夫のしようはありますので、対応した形でしっかりと組み直していただければ大丈夫ではないかと思います。が、今回は軽微なやり取りで変更が済むとは思えませんでしたので、全体として「不適」という形を取らせていただいています。
 もう1つ追加で、下の実施条件欄に書いておりますが、「滅菌」の話です。上部消化管用の軟性内視鏡は一般に滅菌はできないというのが通念であろうと思います。しかしながら、申請者の先生方はこれを「滅菌」という表現をしておられて、かつ書き方が、この場合はHPV、パピローマウイルスが特に問題になると思うのですが、「現在の内視鏡消毒機器で滅菌されるため、伝播のリスクはないとメーカーから回答を得ている」といった形で書いておられます。これはいかがなものかということで問合せをして、関連ガイドラインに書いてあるように、十分な洗浄と高水準消毒薬によって消毒することを推奨されているので、それをしっかりと励行すべきではないかということを申し上げました。かつ、これは一論文の報告なのですが、そういった形で消毒をしたとしても、HPVのDNAが一部検出されて、医原性感染を懸念すると啓発するような論文も一部出ております。一般的には、こういった高水準消毒薬で消毒をすれば、HPVについても大きな懸念はなかろうと、通常診療上は問題なかろうといった形でガイドラインは認識しているものと思っております。ただ、その徹底をしていただきたいと思います。あとは、HPV感染の検査を被検者全員に追加するといった御回答を頂きました。これは徹底していただければよいのではないかと思っております。私からは以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、続いて榎本技術専門委員より、実施体制の評価等の御評価について御説明をお願いしたいと思います。榎本先生、よろしくお願いいたします。
○榎本技術専門委員
 まず、私のコメントのほうに書いておりますように、子宮頸がん検診、それから子宮頸がんの前がん病変の治療につきまして、皆様方にお話させていただきたいと思います。まず、子宮頸がんは、若い30代の方が好発されます。その前がん病変は当然20代ぐらいから起こってきます。現在は最初のお産をする年齢が30歳を超えていますので、妊娠した時点でこのがん検査を初めて受けて、それでCIN、あるいは浸潤癌が診断されることも結構臨床ではあるようながんです。ですから、一般的な消化器のがんとは発症年齢がずっと若いということをまず御理解いただきたいと思います。
 子宮頸がんのスクリーニングとしまして、がん検診が行われるのですけれども、それは子宮頸部から擦過細胞を取って、その結果細胞診の異常があった場合には精密検査に回します。精密検査ではコルポスコピーをしまして、異常所見があった場合にその箇所の生検を行います。生検の結果としましては、細胞診では異常が見つかったけれども、異常がない、それからCIN、Cervical Intraepithelial Neoplasiaという意味ですけれども、それのグレードとして1、2、3というように分けられ、それからあと、浸潤がん、あるいは浸潤がんを疑う必要があるという形で診断されます。
 診断された結果、どのような対応をするかと言いますと、CIN1というのは、通常HPVの感染によって起こる病変で、いわゆる前がん病変の中でも消えることもあるような病変ですので、CIN1の場合HPV検査をまず行って、ハイリスクのHPVの感染があるかどうかを診た上で、多くの場合は経過観察をします。CIN2の場合は、HPV検査を行い、ハイリスクのHPVに感染している場合でも経過観察をする場合もありますし、CIN2が何回も続く場合にはレーザー蒸散とか、LEEPと言いまして頸部の上皮を薄く削る方法、あるいは円錐切除術で円錐形に頸部を切除するという方法が選択されます。CIN3になりますと、いわゆる上皮内がん、あるいは高度異形成と言われる病変になりますので、円錐切除を勧めることが多いのですけれども、まだこれからお子さんを産みたいという方の場合には、円錐切除をすることによって子宮頸管が狭窄して不妊症になったり、あるいは月経血が流れにくくなって、腹痛、月経困難症になるとか、それから実際妊娠しても、子宮の頸部というのも妊娠の継続のためには必要ですので、そのために流早産の原因になったりすることがございますので、精検ではできるだけ正確な診断をすることは不必要な円錐切除をふせぐためにも重要です。CIN3以上の病変を疑う場合でも病変の広がりがそれほど大きくなく、浸潤がんが潜んでいる可能性が少ないと判断されるときには、場合によっては円錐切除術を省略して妊娠を継続するということも十分現場では行っておりますので、そうした病変の広がりとか、それから浸潤している可能性がある部位とかもきちんと確認した上で、治療方針を決める形になっています。
 ですから、精密検査は非常に重要でありまして、生検の標本が十分採取できていなかった場合には、underdiagnosisになる危険があります。どうしてかと言いますと、要するに浸潤がんがあるかどうかというのは扁平上皮細胞が基底膜を超えて浸潤しているということですから、バイオプシーが小さければその浸潤している部位が採取できないために正確な診断ができないことになりますので、ですからしっかりとした標本を採る必要があります。
 そういったことの上でこの申請書を拝見しますと、まず、内視鏡の鉗子による組織のサンプリングの病理学的信頼性につきましては非常に問題があると考えています。細胞診の結果は、ここに示していますように、ASC-US、ASC-H、LSIL、それからHSILというような形で分類されます。それから細胞診の結果明らかにがんを疑わないといけないような場合も当然出てきます。コルポスコピーの精密検査に患者さんが回ったときに、やはり患者さんが一番望んでおられることは、正確に診断してもらうということで、痛みがともなわないこととかそういうことが最重要では多分ないと思います。そのコルポスコピー検査が痛いという話は、それが正しいかどうかも後でまた議論したいのですけれども、HPVに感染している方ということは、少なくとも初交を経験されている方ですので、細胞診ができた方はクスコ診が通常にできた方ということになりますので、コルポスコピーする場合でもそのクスコ診で子宮膣部を観察するだけですので、特に、コルポスコピー検査の痛みは細胞診の時と同じぐらいの痛みで、それほど差がなく、多くの人にはそれほど苦痛ではないと思うのです。
 コルポスコピー検査は、細胞診の結果ASC-US、ASC-H、LSIL、HSILと判定された方に行うわけですが、このような要精検対象者のなかに、いわゆるCIS、上皮内がん以上の病変というのが含まれることがあります。いわゆる浸潤がんが含まれる可能性があるということです。ASCUSではその頻度は少ないですけれども、特に、ASC-HあるいはHSILといったものになりますと、場合によっては10%ぐらい浸潤がん、あるいは微小浸潤がんが含まれる可能性があります。
 CINか微小浸潤がんがあるかを生検標本で判定するためには、当然ながらコルポスコピーというのは上皮の表面しか見てないわけですから、間質部分を含めてしっかりバイオプシーをする必要があるのですけれども、申請者がこの内視鏡鉗子による組織サンプリングの病理学的信頼性について報告したというDiagnostics誌のデータについて問い合わせたところ、そのバイオプシーの大きさが、幅が内視鏡の生検では1.7mmで、パンチ生検が5.1mmということです。普通は幅より深さのほうが小さいですから、深さに関しては非常に少ないバイオプシーしかできないということになります。だから全く間質が採れてない、あるいは採れているといってもごく僅かで、間質浸潤の有無については評価ができないようなバイオプシーが多いのではないかというふうに感じました。
 問い合わせに対する回答には間質組織を採取できている標本の割合はコルポ生検の検体と差がないと書いているのです。しかし、コルポスコピー下の生検は、保険請求上は当然、産婦人科医であればもちろん誰でもできるわけですけれども、いわゆる不妊症を専門にしているような産婦人科医でもしようと思ったらできるのですけれども、実際にコルポスコピー下の生検が必要な患者さんが紹介されるのは日本婦人科腫瘍学会認定の婦人科腫瘍専門医がいる施設、しかもやはりコルポスコピーを習熟した先生の所に紹介されることが多いのです。だからコルポスコピー下の生検に習熟した医師が採った場合に、間質組織が採れていないというのが13%もあるというのはちょっと普通考えにくいので、この辺のところを応募者に照会しますと、「確かにパンチ生検は、適切に実施すればその鉗子の機器形状から深度も含めて十分な検体が採取できることは理解している」と。「我々の先行研究でこのような低い数字が出たのは検者の手技的要因が関与している可能性は否定できません」ということで、「今回の臨床試験では検者の手技的要因のバイアスを最小限化するため検者基準を設定しています」というように、自ら自分たちのデータを否定するような返事が返ってきています。
 それで今回の試験はどのような方が実際にコルポスコピーをするかというものを、改めて計画書を見てみますと、計画書の30ページの所に、コルポスコピー群に、検者は日本産婦人科学会専門医を有し、コルポスコピー検査例20例以上の経験を有する者としたと。産婦人科の専門医だと誰でもよくて、コルポスコピーの経験人数が20人以上と。例えば、今、私の所属している病院ではこれから産婦人科の専門医を取る専攻医が2人いて、私は彼らにコルポスコピーによる診断・生検を指導していますけれども、それぞれ既に20例以上は経験しているし、1人はすでに40例ぐらい経験していますけれども、彼らは未だ産婦人科専門医の資格を取得していませんが、そういう医師でもこの試験のコルポスコピーができてしまうということで、そんなのでいいのかと、本当に考えてしまいます。非常に甘い検者要件と言いますか、コルポスコピー検査では病変の診断、それから検体の採取技術が非常に大事なのですけれども、その辺に対する配慮が全然できていないというように考えております。
 したがいまして、まず、調べなくてはいけないのが、この内視鏡鉗子でサンプリングすることできちんと診断できるに足る組織が採取できるかどうかということについては、やはりしっかりと検定すること。ただ単にCIN2以上の病変を対象とするというのではなしに、例えば細胞診でHSILという診断をされた症例中に、精密検査の結果微小浸潤がん以上の病変を疑わないといけないような症例をきちんとピックアップできるかと、その辺のところをちゃんと評価しなければいけないと思うのです。実際には浸潤がんといったものが余り紛れ込まないようなASC-USのようなものも含めてトータルで150例をそれぞれの群で割り当てて調べるという、非常にいい加減な研究計画になっていると思います。
 それから、あとは、こういった前がん病変の診断と、CINの診断というのは、病理医の間での診断の一致率が高くないということは知られておりまして、そういう論文も幾つか発表されています。また論文によっては、アメリカの病理学の非常に有名な雑誌に、同じ病理医でも、同じ標本を日にちを変えて検鏡したら異なった診断になることがあると、そのように発表されているほど客観的にCINの病理診断をするというのは難しいことです。ですからやはり中央病理診断ということは考えるべきだと思いますし、少なくとも内視鏡による生検は、検体のサイズが小さくて間質が採れていないということもありえますから、検体の妥当性の診断の中にコルポスコピーに非常に習熟した婦人科腫瘍の専門医を入れて、こうしたバイオプシーが標本として適切かどうかという評価をきちんと行うべきだと思います。内視鏡による検体は上皮のみが採れているが多いようなので、そのような検体で診断すると不適切な検体標本で診断をすることになりますので、その検体の妥当性と言いますか、そういうことも評価するべきだと思います。そういった点が非常に配慮に欠けていると思います。
 「修正すれば適としてよいものは、その内容を記載ください」のところにいろいろ書いておりますけれども、これにつきましては、一番懸念になるのは、浸潤癌は否定できるという病理学的な検査がきちんと十分にできる可能性はあるのかというようなところが、やはり非常に思慮が欠けていると。どちらかというと応募者の先行論文も取りあえず検査をしてデータを集めることをメインに考えてやっていて、実際に本当にこれで正確な診断ができるかということを十分検討したような論文にはなってないと思います。病理検体の適切性については30例の検討のみで行っていますので、30例だけでは、例えば30例すべてがHSILとしても、その中で浸潤がんが紛れ込む可能性というのはせいぜい2例か3例ぐらいしかないので、そういうものでは紛れ込んだ浸潤がんを正確に検出できるかという検討ができない。したがって、やるのだったら、150例、150例、あるいは300例、300例、内視鏡群とコルポスコピー群それぞれに集めて、検討をしていただきたいと思います。私のコメントの内容は大体こういうことがメインでございます。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。大変詳細に、かつ分かりやすく丁寧に御説明いただきました。
 続きまして、副担当の後藤構成員より、倫理的観点からの評価について御評価をお願いいたします。
○後藤構成員
 後藤からお話させていただきます。今、戸高構成員と榎本委員から詳細に御説明がありましたように、プロトコル自体が適切であるかについて、かなりの疑義があるということはお分かりいただけたと思います。本来説明同意文書の役割は、適切なプロトコルを患者さんにどのように適切に伝えるかということにありますので、もともとが適切ではない場合には、いかに適切に伝えたとしても、適切だと評価することはできません。そのため、説明同意文書が適切だということの判断を、私は今回することができませんでした。申請時のプロトコルに関連しては、必要なことはほぼ説明はされていると思いましたけれども、プロトコル自体が適切ではないのに、幾ら説明をしても、その説明同意文書が、この研究において適切ということは言えないと思います。
 主要評価項目が「痛み」という話になっているのですけれども、それでは問題だということは戸高構成員からもお話がありました。先ほど言った滅菌の話もありましたが、コルポスコピーとUCEの差がないという説明がずっと私はよくわかりませんでした。差がないのであれば、なぜコルポスコピーを後でもう一回やらなくてはいけないのかというのが、どうしても最後まで理解ができませんでした。今日、いろいろご説明を改めて伺ってやっと理解ができました。その理解を前提にすると、差がないということは、適切ではないと思います。したがって、プロトコルを書き換えていただいて、それを前提として同意説明文書を作っていただき、きちんと対応しているかどうかを評価するということしか私はできないということで、今回は適も不適も評価をすることができませんでした。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございます。それでは続きまして、副担当の山本構成員より、試験実施計画書等の評価につきまして、御評価をお願いいたします。
○山本構成員
 山本でございます。私からは、プロトコルの評価ということで、今、画面に映していただいているとおり、評価をさせていただきました。内容としては、戸高構成員、榎本技術専門委員の先生方からもお話いただいたとおりで、幾つか科学的に評価する上で問題と思われる点がございました。
 コメントとしては、ここに今、記載しているとおりなのですが、大きく2つあります。1つは、いわゆるコルポスコピーに比べて内視鏡検査のほうが受容度が高いということで、少なくともそうすることで、より2次検査を受けてくれるということを申請者らは期待されているというところで、個人的には、その考えがまず成り立つというような所をチェックされたいというのは受け入れ可能なのかなというように考えたのですけれども、そこが、結局、優越性という形で述べられなければ診断性能うんぬんという話には進まないというような階層手順を組まれておりましたので、考え方自体は、受け入れられるかなと考えました。
 ただ、受容度を評価する際に、今回、階層手順を用いているというところで症例数設計をされているのですけれども、受容度のほうの優越性を述べるために必要な症例数は、基本的に80%の検出力で230例と算出されているのですが、もう1つの非劣性のほうを述べるために280例ほど必要というところで、脱落を見込んで、更に上乗せで合計310例というところを見込んでいますので、主要評価項目とされている受容度の評価においては、かなりのオーバーパワーな状態で検定するというところに懸念があるということで、コメントを出させていただきました。
 申請者から返ってきた回答としましては、もしかしたら私の伝え方もうまく伝わっていなかったのかもしれませんが、大きな問題はないというようなコメントだったのですけれども、今回、VASで評価するという受容度について、痛みですね、そこの部分が臨床的に意味のある差が13mmという形でプロトコルには書かれているのですけれども、オーバーパワーの状態ですと、もうちょっと少ない差しかなくても有意差は当然出てくる可能性がありますので、その点、もし小さくなった場合にはどう解釈されますかというところに適切な回答は得られなかったというところもありまして、まだそこに少し問題があるかなと。
 それから、主要副次項目とされています、いわゆる診断性能、プロトコルでは「感度」と書かれていますけれども、そちらに関しても、いわゆる感度の所を見るにしても、その真の部分での検査の性能が統一されていないというところで、そもそも評価項目設定、それから、その真の評価として適切ではないような形で組まれているというところが、やり取りを経て、まだ解決されていないところで、評価項目の設定にも問題があるのかなということ。それと、非劣性試験を診断性能については組まれるところなのですけれども、非劣性マージンに関しても十分に妥当な回答が得られていない状況で、コルポスコピーを7%ほど感度として下回っても許容できるようなことが書かれているのですが、やはりそこの根拠は、まだ十分にやり取りでは払拭されていないというところで、これらの科学的観点からしますと、まだ実施の妥当性には科学的に懸念があるかなという形で評価をさせていただきました。私からは以上になります。
○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、これまでの御説明を踏まえまして、1~16の総評について、主担当の戸高構成員より御説明をお願いしたいと思います。戸高構成員、よろしくお願いいたします。
○戸高構成員
 よろしくお願いいたします。若干、繰り返しになりますけれども、発想としては、非常に面白いといいますか、意義のある方向性の研究ではあろうかと思います。しかしながら、その試験の設計が標準法と同等、非劣性であるということを検証するとおっしゃっていますが、そのための試験計画になっておらず、私が先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが、UCE法群の見逃しの検証は行わず、婦人科担当医が、検査当日から検査後84日目、これも医師の裁量の範囲でやると言っているのですが、期間内でコルポスコピー検査にて必ずフォローし、仮に見落としたとしても病変が急速に進行する可能性は低く、3か月以内にコルポスコピー検査を行うことで診療上、被検者に不利益になることはないと考えられる、と書いてございます。
 臨床的な意味は私は余り分かりませんが、ただ、少なくとも、これは臨床試験計画としては、甚だ遺憾であるというように思います。しっかりと臨床試験の中で組み込んで検証すべきではないかと思います。そういったことも含めまして、技術専門委員の先生からは、大分厳しい御意見を頂いていると思いますが、こういったことが、そもそも子宮頸がん早期発見の今やられている診療に沿ったものになっているのか。それから、この試験計画を許した場合、この評価、彼らが「感度」と呼んでいるものを、彼らなりの解釈をして、それなりに発信をされると思いますので、その影響に重大な懸念を持ちます。したがいまして、試験計画の抜本的な改善が必要と現時点では思われ、一旦、出直していただくことが妥当であり、今回の申請では総合的に不適と判定せざるを得ないと思います。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。最終的に総合評価は「不適」、そしてコメント欄にその理由を記していただきました。それでは、ここから委員の先生方からコメントを頂きたいと思いますが、榎本委員の手が挙がっていますが、何か追加コメント等がおありですか。
○榎本技術専門委員
 3か月以内にコルポスコピーを行うことで、診療上、被検者に不利益にならないということに関しましては、浸潤がんであっても、上皮だけを採った場合というのは、これはCIN3とかCIN2とか、診断される可能性は十分あるのですよね。それで3か月浸潤がんを放っておれば、かなり不利益になります。だからこのコメント自体を読むだけで、やはりこの人たちは子宮頸がんに対する知識がないのではないかと。怖さを知らないのではないかと本当に考えます。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。後藤構成員から手が挙がっておりますので、後藤先生、お願いします。
○後藤構成員
 すみません、私、先ほど評価できないと申し上げましたけれども、今日いろいろ、また改めて皆さんのお話を聞いて、やはり不適という判断だとさせていただきたいと思います。特に、補償内容については問題はないのですが、不適という判断をしないと責任放棄というように思いましたので、この4と5を「不適」という判断にさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○竹内座長
 ありがとうございました。天野構成員から手が挙がっております。天野先生、お願いいたします。
○天野構成員
 詳細な御説明をありがとうございました。これだけ厳しい御指摘が相次いでいて、かつ抜本的な見直しが必要とされている状況ですので、その上で何かコメントすることはどれだけ意味があるのかという思いでありますが、あえて、2点コメントさせていただきます。1点目は、そもそも検査の有用性自体が重要であって、病理診断の正しさであるとか、そういった部分がないがしろにされては意味がないという御指摘は、全くもってそのとおりだと思いますし、被検者受容度を副次的評価項目とすべきという御指摘もそのとおりであろうと思うのですが、ただ、患者さんのお話を聞いていると、この検査について、やはり苦痛を訴える方が一定程度いらっしゃるので、被検者受容度を軽減するという観点は、決して研究としておかしいものではないのではないかということだけは、あえて申し述べたいというのが1点目です。
 2点目は、技術専門委員の方からも御指摘があった部分で、被検者への説明文書について、技術専門委員の方から、コルポスコピーでは検査時の痛みや体位による羞恥心のため、検査を避ける方も多くおられますという文章は不適であり、これは削除すべきではないかという御指摘があったかと思いました。私はこの部分について、女性特有のがんの患者団体の方々に、こういった指摘はあり得るのかという御質問をさせていただいたのですが、確かに羞恥心というのは、かなり個人的な主観が大きいので微妙ではあるのですが、検査時の痛みのことに関しては、やはり検査時にリラックスしていることはないので、緊張している方も多いですし、また検査を行う術者の方の差も大きいと思うのですが、検査時の痛みがないということは、正直、ないと。多くの方は痛みを訴えている状況があることを伺いました。実際、技術専門委員の御指摘のとおり、この記載をよく読むと、検査を避ける方も多くおられますというのは、では、多くおられるというのはどの程度なのかとか、それに対してエビデンスがあるのかという御指摘になってくると、確かにそのとおりだと思うので、この記載をそのままにすることは難しいと思うのですが、ただ、検査時の痛みを訴えている女性の方が一定程度いらっしゃるということは、あえて患者の立場から申し添えたいと思います。私からは以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。大変貴重なコメントを患者さんの立場の面から頂きました。榎本先生の手が挙がっておりますので、どうぞ。
○榎本技術専門委員
 天野先生、コメントありがとうございます。おっしゃるとおりで、一定数はそういった羞恥心はもちろん、ああいう体位ですので、女性にとっては恥ずかしい体位だと私も感じております。けれども、それが多いという言い方がやはり不適当なので、ここはやはり「避ける方もおられます」だったら納得いくのですけれども、そういう方ばかりだということではなしに、我々臨床の場で考えますと、患者さんにとって、やはり本当にがんがあるかどうか調べてほしいという人が一番多いと思うのです。だから「多く」という言葉を抜いた文章はいいと思います。そういう形の変更は可能だと思いますけれども、これは明らかに、何かこの検査は非常に問題が多いという、そういう感じに取られる文章だと思いますので、そこのところは変更いただきたいと思います。
○竹内座長
 ありがとうございます。榎本先生、1点、確認なのですが、細胞診のときはコルポスコピーを使って細胞診をするという認識でいいのですか。
○榎本技術専門委員
 いや、細胞診のときは、いわゆる体位としては全く同じになります。細胞診を採るときもコルポスコピーの時のと同じクスコという同じ膣鏡を使います。だけれども、それに関しては、それ以外の方法は今のところなくて、実際には、例えばHPV検査の自己採取法を外国で行っている所もありますけれども、そのエビデンスは日本ではまだ十分に議論されていませんので、実用化されていないという状況です。
○竹内座長
 ありがとうございます。改めて患者さん側からの御意見として、やはりコルポスコピーというのは負担も苦痛も少なくないということで、何らかの新しい技術的進歩というのが患者さん側から期待されているというのは、この場のコンセンサスとしてよろしいということでいいですか。
○榎本技術専門委員
 はい。だから、この内視鏡による検査につきましても、少なくともコルポスコピーよりは詳細に観察できる可能性もあるわけですから、やはりメリットは十分ある可能性はあると思いますけれども、ただ、やはり消化管の内視鏡用の鉗子を使ってバイオプシーするという点がまずいと思うのですよね。もう少し鉗子を産婦人科、婦人科の腫瘍専門医とか、病理の、特に婦人科に強い病理医の先生方の意見を聞きながら、子宮頸部用に新たに開発し、これぐらいの標本の大きさが採れるような鉗子だったら、十分に実用化できるというようなことを検討上でコルポスコピーとの比較検討を行うのだったらいいと思いますけれども、ただ単に消化管のバイオプシーの器械を使って、それをそのまま持ってきて、どうだ、と言われるのは、やはり実用化に向けての検討・考察が十分できていないのではないかと思うのです。
○竹内座長
 ありがとうございました。追加のコメント等はございますか。天野先生、コメントはございますか。大丈夫ですか。
○天野構成員
 大丈夫です。今の技術専門委員からの御指摘でよく納得いたしました。ありがとうございます。
○竹内座長
 ありがとうございます。コメントがないようでしたら、総合評価は今回は「不適」とさせていただきました。ただ、患者さんからのニーズを皆さんも御理解いただきました。その上で、申請者のほうで幾つかの技術的な課題について検討いただいた上で、必要となれば、また再提出いただくという手続きになろうかと思います。このような形で今回は不適ということでよろしいですか。一家先生の手が挙がっています。どうぞ。
○一家構成員
 今、座長のおまとめに異存はありません。その上で確認したいことがありまして、発言させてください。資料1、一番始めのページに、香川大学のCRBで審査をしたと書いてありまして、その承認日が2月7日となっているのです。私は今日の会議の前に先生方の御意見を拝見して、厳しいですが適切な御意見がいろいろ付いていて、どういった審査がなされているのだろうということが気になったので、そういうことを確認してみようと思いました。
 まず、この1ページに、香川大学で2月7日に審査された、承認された、と書いてあります。その上でなのですが、資料1の78ページに、ここから研究計画書が始まるのだと思いますが、この研究計画書のバージョンが2月21日作成版と書いてあるのです。これはCRBで承認された後に直されたものが、ここに出ているということなのでしょうか。
○竹内座長
 事務局のほうで分かりますか。タブレット資料ですね。
○一家構成員
 タブレット資料の資料1です。274分の78ページです。
○竹内座長
 タブレット資料1、確かに同意説明文書も含めて資料には2月21日と書いてありますね。
○一家構成員
 
全部、2月21日作成バージョンになっていて、CRBで審査した、承認した内容と我々の審査資料として出てきたものとの関係がどうなっているのだろうかというのは、まず気になったことの1つ目です。
 続けさせていただきますと、審査資料には当然ないのですが、香川大学のCRBのホームページを見まして、議事録を見てみたのですけれども、そうしたところ、確かに2月7日に審査されて、承認はされているのですが、新規の研究課題1件と軽微変更2件の審査を20分で終わっています。新規の特定臨床研究の審査が20分未満で終わるというのは、あまりないことだろうと自身の経験上では思います。ちなみに議事録を見ると、医学系の委員と法律社会科学系の委員からは意見がなく、一般の委員から少し発言があって、やり取りはあって、その結果、承認という結果が出ています。仮に、本番の対面会議の審査時間が短いとしても、事前審査でしっかり論点を解消したと言えるのかなと思いましたら、この計画がCRBの事務局に出ているのが1月26日となっていますので、審査日が2月7日ですから、2週間弱というのは事前審査の期間としては短いような気がします。つまり、そういったことを総合的に考えますと、果たしてこれはCRBできちんと審査されたのだろうかという疑義が生じます。その結果、本日の先生方の御意見のようなことになってしまった、そういった研究計画が出てきているのではないかと思いますので、事務局の方も多分、今は御説明することは難しいと思いますので、少し調べていただきたいと思いまして発言しました。もちろん私のほうで事実誤認があるかもしれませんので、もしそういうことがあれば、おわびして訂正したいと思います。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございます。大変貴重な点を御指摘いただきました。こちらのほうは事務局で調べていただいて、対応をさせていただきたいと思います。それ以外に何かお気付きの点はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、今回は「不適」ということで、コメントを付して、これまでの皆様の御意見をまとめ、併せて今の一家先生のポイントも含めて、フィードバックをさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、ここで榎本技術専門委員におかれましては、以降、御退席いただいて結構ですので、本日は、大変お忙しい中御出席いただきまして、また、大変貴重なコメントを頂きまして、誠にありがとうございました。
(榎本技術専門委員 退席)
○竹内座長
 それでは続きまして、「試験実施計画書の変更」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明します。資料2の41ページを御覧ください。国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院からの申請で、告示番号19、プローブ型共焦点レーザー顕微内視鏡による胃上皮性病変の診断です。適応症は胃上皮性病変です。御審議いただく主な変更内容につきまして、42ページを御覧ください。主な変更内容として、研究期間の変更となっており、登録期間が4年8か月から4年10か月に変更、解析期間が1年から10か月に変更となっております。
 変更申請する理由としましては、現時点の15例/月のペースを維持した場合、予定どおりに症例登録可能と考えられますが、種々の要因から、時期により登録数に変動があり、登録期間内に予定する登録数を達成できない可能性があるため、2か月の登録期間延長し、登録期間を4年10か月に変更しました。そのため、解析期間を10か月とし、総研究期間の延長は行いません。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。本内容につきまして、何か御意見、コメント等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、告示番号19番の変更については、お認めすることといたします。
 続いて、次の試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明します。資料3の45ページを御覧ください。横浜市立大学附属病院からの申請で、告示番号32、自家骨髄単核球移植による血管再生治療です。適応症は全身性強皮症です。御審議いただく主な変更内容につきまして、46ページを御覧ください。主な変更内容としまして、登録期間及び研究期間の延長とございまして、被験者登録期間及び研究実施期間がそれぞれ2年延長とされます。
 変更申請する理由としまして、2024年5月31日時点で1例の治療が施行されているが、症例登録期間内に12例に到達しない可能性が高い。その原因として、研究開始時期と新型コロナウイルスの流行期間とが重なり、臨床研究に関する医療機関の様々な制約により、研究において患者の登録が滞ったことが考えられる。また、院内クラスターの発生への対応や感染防止対策、試験運用に必要な各種の詳細な手順書の作成に時間を要した点や、共同研究機関の先進医療の開始準備に時間を要した点も一因として挙げられる。現在、上記の臨床研究の制約状況や手続上の課題は解決されており、患者登録を促進するために近隣の医療機関へ患者紹介の依頼を進めていきながら、患者の認知度を上げる対策も実施することにより、残り11例を、今後参加5施設で年間1施設当たり1例のペースで治療を施行することを想定している。その場合、現在設定している研究期間に加えて、さらに2年間の研究期間の延長が必要となるとございます。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。本変更内容につきまして、何かコメント、御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。御意見はございませんので、それでは、告示番号32番の変更についてはお認めすることといたします。
 続いて、次の試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明します。資料4の47ページを御覧ください。国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター病院からの申請で、告示番号38、反復経頭蓋磁気刺激療法です。適応症はうつ病です。御審議いただく主な変更内容につきまして、48ページを御覧ください。主な変更内容として、被験者登録期間と試験期間の変更とあり、登録期間が9か月、試験期間が11か月の延長となります。
 変更申請する理由として、目標症例数の確保を確実とするため、被験者登録期間の延長と、それに伴い試験期間を延長したく存じます。施設追加が予定より遅れたことが大きな原因と考え、2024年10月までに計24施設前後となるように施設追加を行い、症例組み入れスピードを改善します。また、今後予定されている市販後調査の結果を踏まえた必要症例数の再検討を考慮に入れ、被験者登録期間を9か月延長することで、目標症例数を確実に確保したいと思います。上記と合わせ、データ解析期間、総括報告書作成期間等を再検討し、試験期間として11か月の延長を申請いたします。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。本変更内容につきまして、御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。御意見はないようですので、それでは、告示番号38番の変更につきましては、認めることとさせていただきます。ありがとうございました。
 続いて、次の試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明します。資料5の49ページを御覧ください。国立研究開発法人国立成育医療研究センターからの申請で、告示番号41、タクロリムス投与療法です。適応症は不妊症です。御審議いただく主な変更内容につきまして、50ページを御覧ください。主な変更内容としまして、除外基準の変更とあり、不妊症治療として、下記の免疫抑制剤による治療歴がある患者という記載に、「ただし、最後の投薬から6か月以上経過している場合は除く」という記載が追加となります。
 変更申請する理由としまして、ここに挙げた薬剤の添付文書に表記されている半減期は10日以内であるという理由から、免疫抑制剤による治療歴があっても前回投与薬剤の影響が無くなる程度の十分な期間をあけた場合、選択基準を満たした症例は組み入れに問題ないと考え追記を行ったとございます。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。何か御意見等ございますか。よろしいでしょうか。御意見はございませんので、告示番号41番の変更についてはお認めすることとさせていただきます。
 続いて、次の試験実施計画の変更について、説明をお願いします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 資料6の53ページを御覧ください。順天堂大学医学部附属順天堂医院からの申請で、告示番号45、自家濃縮骨髄液局所注入療法です。適応症は、特発性大腿骨頭壊死症です。御審議いただく主な変更内容につきまして、54ページを御覧ください。主な変更内容としまして、同意説明文書の、この研究への参加により予想される利益と起こるかもしれない不利益の<起こるかもしれない不利益>に、「このうち、本研究に参加した患者さんにおいて、術後一定期間が経過してからレントゲンで通常の経過とは異なる所見(大腿骨頭から大腿頚部におよぶ骨透亮像)が1例で確認されています。」という記載が追記となります。
 変更申請する理由としまして、術後観察期間中に認めた非典型的なレントゲン的変化に関する記述を追記したため。今回、術後1年時のレントゲンで、一般的な自然経過とは異なるレントゲン所見を認めた。最終的に感染や腫瘍形成は否定され、本再生医療の術後経過に生じうる画像的変化として結論づけられたが、厚生労働省・再生医療等評価部会及び特定認定再生医療等委員会の御意見も踏まえて、同意説明文書に今回生じた事象の記載を追記する経緯となった。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございます。いかがでしょうか。御意見、コメント等ございますでしょうか。よろしいですか。御意見がないようですので、それでは、告示番号45番の変更につきまして、お認めすることといたします。
 続いて、先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 資料7-1の57ページを御覧ください。告示番号35について1施設、告示番号51について2施設、告示番号52について1施設の協力医療機関の追加申請がありました。また、自家骨髄単核球移植による血管再生治療については、本年2月の当部会で「適」となり、その後、先進医療会議でも「適」となりまして、現在、先進医療の告示への準備を進めております。こちらについても、1施設の協力医療機関の追加申請がありました。
 資料7-2の58ページ以降を御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていることを確認しました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ、手続を進めていただきます。以上です。
○竹内座長
 
よろしいでしょうか。それでは、事務局で手続を進めていただきますようお願いします。
 続いて、「先進医療Bの取下げ及び協力医療機関の取下げ」につきまして、説明をお願いします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明します。資料8の66ページを御覧ください。先進医療の取下げとして、告示番号6の1件申請がございました。取下げ理由としては、令和6年度診療報酬改定に伴い、当該技術が保険適用となったため先進医療に係る届出書を取り下げます。登録済みの被験者に関しては、試験実施計画書に則り、最終登録から3年の観察期間、1年の解析期間を経て研究を終了し、総括報告書を提出します、とございます。
 また、協力医療機関の取下げとして、告示番号42の1件の申請がございました。静岡県立静岡がんセンター、広島大学病院、独立行政法人国立病院機構九州がんセンターの3施設を協力医療機関から取り下げることとなりました。理由としましては、目標症例数を達成し、症例登録が終了した、当医療機関では本先進医療を実施する対象者がいないため取り下げるとございます。
以上につきまして、特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。以上です。
○竹内座長
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、事務局で手続を進めていただきます。ありがとうございました。
 本日の議題は以上ですが、構成員の皆様、全体を通して何か御意見、御質問、コメント等ございますでしょうか。大変深く議論を頂きまして、ありがとうございます。それでは、次回の日程を事務局からお願いします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 次回は、令和6年7月11日(木)16時から18時までの予定で、詳細につきましては別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第、構成員の皆様に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、これをもちまして、第162回先進医療技術審査部会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
(了)