2024年7月24日 第4回危機対応医薬品等に関する小委員会 議事録

健康・生活衛生局感染症対策課パンデミック対策推進室

日時

令和6年7月24日(水)17:00~19:00

場所

Web開催
事務局:航空会館5階

議題

(1)新型コロナウイルス感染症治療薬開発の振り返り等について
(2)MCMの利用可能性確保の考え方に関する研究報告

議事

議事内容
○竹下室長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、厚生科学審議会感染症部会第4回危機対応医薬品等に関する小委員会を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず御出席いただき、誠にありがとうございます。
 私、本日議事進行を務めさせていただきます、健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課パンデミック対策推進室の竹下と申します。よろしくお願いいたします。
 傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
 なお、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 本日はウェブ会議での開催となりますので、御発言の際は挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載していただき、委員長の指名の後に御発言ください。
 なお、ウェブ会議ですので、タイムラグが生じるかと存じますが、御了承願います。
 会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
 続きまして、委員の紹介をさせていただきます。
 通信の確認も踏まえて、お名前を申し上げますので、一言お返事をいただければと思います。
 五十音順に、岩本愛吉委員。
○岩本委員 岩本です。よろしくお願いいたします。
○竹下室長 大曲貴夫委員。
○大曲委員 大曲です。よろしくお願いします。
○竹下室長 加藤康幸委員。
○加藤委員 加藤です。よろしくお願いいたします。
○竹下室長 齋藤智也委員。
○齋藤委員長 齋藤です。よろしくお願いいたします。
○竹下室長 鹿野真弓委員。
○鹿野委員 鹿野でございます。よろしくお願いいたします。
○竹下室長 濵口道成委員。
○濵口委員 濵口です。どうぞよろしくお願いします。
○竹下室長 福島若葉委員。
○福島委員 福島です。よろしくお願いいたします。
○竹下室長 宮川政昭委員。
○宮川委員 宮川でございます。よろしくお願いします。
○竹下室長 横野恵委員。
○横野委員 横野です。よろしくお願いいたします。
○竹下室長 四柳宏委員。
○四柳委員 四柳です。よろしくお願いいたします。
○竹下室長 濵口委員は、新たに当委員会委員として就任いただきました。何とぞよろしくお願いいたします。
 また、中野委員は少し遅れての参加となります。
 なお、長谷川委員からは御欠席の連絡を受けております。
 本日は委員12名のうち11名が御出席となりますので、厚生科学審議会の規定により、本日の会議は成立していることを御報告いたします。
 また、本日は、議題の「(2)MCMの利用可能性確保の考え方に関する研究報告」に係る参考人として、三重大学大学院医学系研究科感染制御・感染症危機管理学教授の田辺正樹先生にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 また、事務局に人事異動がありましたので紹介させていただきます。
 7月1日付で杉原前エイズ対策推進室長の後任として佐野エイズ対策推進室長が、7月5日付で加藤前総括調整官の後任として橋本総括調整官が着任しておりますので、よろしくお願いいたします。
 冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 なお、これ以降は、写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
 それでは、議事に入る前に、資料の確認をさせていただきます。
 資料は、議事次第、委員名簿、資料1及び資料2、参考資料1、参考資料2になります。不備等がございましたら事務局にお申し出ください。
 それでは、ここからの進行は齋藤委員長にお願いいたします。
○齋藤委員長 本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入る前に、事務局から審議参加に関する遵守事項につきまして御報告をお願いします。
○竹下室長 それでは、事務局から遵守事項について報告させていただきます。
 本日御出席の委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金などの受け取り状況等について申告いただき、事務局において当該内容を確認いたしました。
 その結果、中野委員及び四柳委員に関しましては「厚生科学審議会感染症部会審議参加規程」に基づき、議題の「(1)新型コロナウイルス感染症治療薬開発の振り返り等について」においては、一時御退席をいただくこととなります。
 以上、報告いたします。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 議事の1つ目になるかと思いますが、資料1「新型コロナウイルス感染症治療薬開発の振り返り等について」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
 恐れ入りますが、中野委員、四柳委員は一時御退席をお願いいたします。
 議題が終了次第、事務局より御連絡を差し上げます。
(中野委員、四柳委員退室)
○齋藤委員長 それでは、資料1の説明をお願いいたします。
○竹下室長 資料1について説明させていただきます。「新型コロナウイルス感染症治療薬開発の振り返り等について」でございます。
 次のページをお願いいたします。
 新型コロナウイルス感染症としての開発・実用化された治療薬の振り返りを、この資料では説明させていただきたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症の発生早期には、SARS-COV2に対する治療薬は存在せず、国内外で開発の検討がされました。新型コロナウイルス感染症の治療薬について、開発された薬剤の種類や薬事承認の時期等が対策に影響しました。パンデミック発生時における治療薬の開発については、速やかに有効な治療薬の確保及び治療法の確立を行い、全国的に普及させることが重要であり、平時からそのための体制づくりを行う必要性があります。新型コロナウイルス感染症対策の治療薬の開発から現場での使用において、下記の事項を中心に振り返りを行い、今後の感染症対策の教訓としてはどうかということで、今回、議題を提案させていただいております。
 論点となり得る事項としましては、主に5つあると考えております。1つ目が、開発における薬剤(治療法)の種類。2つ目が、効能(対象患者の重症度、治療と発症抑制)。3つ目として、投与経路(注射薬、内服薬等)。4つ目が、製造における薬剤の特性。5つ目が、一般流通という観点があると考えております。
 次のページをお願いします。
 新型コロナウイルス感染症治療薬の承認の開発の流れとしましては、ここのページにあるものをひとつ御参考いただければと思います。
 抗炎症薬、抗ウイルス薬、中和抗体薬、駆虫剤、膵炎治療薬、そのほかということで、幾つかのグループの薬剤が開発の検討が行われましたが、それぞれについて承認されたかどうかをまずはここに記載しております。
 例えば抗炎症薬で言うと、デキサメタゾン、バリシチニブ、トシリズマブが承認されておりまして、抗ウイルス薬としては、レムデシビル、モルヌピラビル、ニルマトレルビル・リトナビルが承認されております。また、エンシトレルビルも承認されているものでございます。中和抗体につきましては、カシリビマブ・イムデビマブ、ソトロビマブ、チキサゲビマブ・シルガビマブが承認されております。
 順番でいきますと、2020年の一番最初の時期の5月に、まず、レムデシビルが中等症のⅠ~重症。これは酸素投与が必要ではないところからになりますけれども、こういったところに特例承認が取れました。続きまして、デキサメタゾンが7月に重症感染症として既に承認されているものに対して有効性が出たことを診療の手引の掲載という形で紹介したことになっております。
 次に承認されたのは、バリシチニブが2021年になりまして4月に通常承認という形を取っておりまして、その後、中和抗体薬が、まず、一番最初が7月にカシリビマブ・イムデビマブ。これはハイリスク患者の方で軽症~中等症Ⅰを対象に、まず、承認を取っております。続きまして、同じ中和抗体薬でございますが、ソトロビマブが同年9月に特例承認を取っておりまして、その後、11月に今度はカシリビマブ・イムデビマブがウイルス暴露後予防という形で承認の追加を発症抑制として取っております。その後、抗ウイルス薬の内服薬として一番最初に承認されたものが令和3年12月になりますが、モルヌピラビルがハイリスク患者の軽症~中等症Ⅰについて承認がされております。
 抗ウイルス薬としましては、翌年2月にニルマトレルビル・リトナビルが承認されておりまして、これも対象としてはハイリスクの軽症~中等症Ⅰでございました。この時期に、3月ですけれども、併せてレムデシビルも軽症患者への対象拡大がこの中で追加されております。また、少し前になりますが、抗炎症薬としては令和4年1月にトシリズマブが承認されております。中和抗体薬としましては、チキサゲビマブ・シルガビマブが令和4年8月に特例承認として、こちらはハイリスクの軽症~中等症Ⅰの治療と、あとはウイルスの暴露前予防ということで、主に高度の免疫異常、免疫抑制状態にあるような方々を対象として使用されることになりました。その後、令和4年11月にエンシトレルビルが緊急承認されています。これは軽症~中等症Ⅰで、いわゆる重症化リスク因子が有無にかかわらずというところで承認された薬剤でございます。こういった形で薬剤の承認されたものがありました。
 それ以外にも当初、有効性が期待されたものも幾つかございましたが、治験等で行われた結果、最終的には承認まで至らなかったものでございます。
 次の3ページでございます。
 新型コロナウイルス感染症治療薬の取扱いにつきましては、これまでの経緯としましては、新型コロナウイルス感染症治療薬について、各薬剤の薬事承認後、国が確保し、希望する医療機関へ配分を行いました。このうち、抗ウイルス薬については、一般流通が開始されたタイミングで国による配分を終了しております。中和抗体薬については、一般流通がされなかったことがございまして、国による配分を継続してきておりましたが、通常の医療提供体制に完全移行したことを踏まえて、希望する医療機関に必要量を配分した上で、令和6年5月に配分を終了しております。
 中和抗体薬は、スパイク領域をターゲットとしていたことから、ウイルス変異の影響を受けやすく、オミクロン株出現後、有効性の減弱が認められております。新型コロナウイルス感染症診療の手引等においても、中和抗体薬は現時点では「有効性が減弱していると考えられることから、抗ウイルス薬の投与を優先して検討すること」とされております。承認当時には非常に使われたのですけれども、今の段階ではそういった形になっております。
 現在、各薬剤については、不測の事態に備えて国で保管しているものでございます。
 参考資料になるのですけれども、参考資料1に新型コロナウイルス感染症治療薬開発時に検討された項目と関連する状況ということで、それぞれの開発における薬剤の種類においてどういうことが行われていたか。例えばリポジショニング後の有効性が早い段階で行われたこととか、中和抗体薬がモノクローナル抗体として承認されたこととか、そういったこととかが書いてあったりしております。
 また、効能についても、当初は酸素投与を要する中等症か重症の患者を対象とする薬剤が研究開発された上で、次に軽症~中等症の患者の重症化予防が承認されたことがございました。また、発症抑制についても有用であったということで、こういったものもニーズが非常に高かったとなっております。効能の異なる薬剤が承認されることで治療の選択肢が広がったということで、現場でそれぞれの状況に合わせて使われたとなっております。また、治験においては、ワクチンの接種率や、変異株による病原性の変化などの影響を受けるような状況の変化も認められ、開発が終了されるものもありましたので、記載をここで加えております。
 投与経路についても、薬剤の投与経路によっては、投与者や物資の確保などの投与のための医療体制の構築が必要とされたことがございました。これは、例えば中和抗体薬とかは、投与後、発熱がありましたので、そのための対応体制を構築したということがございました。また、経口薬については、その投与の簡便さから外来診療とか自宅療法の体制構築に非常に大きく貢献したとなっております。
 また、製造における薬剤の特性としましては、中和抗体薬等は、高い製造技術が必要とされ、大量製造が困難であったということで、また、流通、保管のコストについても留意が必要であったことがございました。また、低分子薬は製造や流通コストが低く抑えられたことがございまして、大量生産が可能となったことがあった。
 一般流通に関しましては、当初、世界的に供給量が限られていたことがございましたので、新型コロナの治療薬は国が確保して配分しておりましたが、一般流通することによって、やはり通常の流通ルートで医療機関や薬局等の流通ができるようになったため、患者への投与を迅速に行うためには、一定の安定供給と一般流通させることが重要であったということがございました。このようなことが参考資料で記載しております。
 すみません。資料1に戻っていただきたいのですけれども、今後の方針としましては、一般流通されている新型コロナの抗ウイルス薬の国における保有の取扱いについては、不測の事態に備えた保管を継続して、使用期限が到来したものは順次廃棄していく形で考えております。また、有効性が減弱していると考えられる新型コロナの中和抗体薬の国における保有の取扱いについては、現在の診療の手引では、抗ウイルス薬の投与優先を検討とされていることや、医療機関には希望する必要量を配分したこともありますので、国が現在保有する中和抗体薬については廃棄する方向で考えたいと思います。
 以上について御意見をいただければと思います。
○齋藤委員長 御説明、どうもありがとうございました。新型コロナの治療薬開発の振り返り等の資料をいただきました。また、論点として5点ほど示していただいております。そして、今後の方針といたしまして、国の保有する新型コロナ治療薬の取扱いについてということで案をお示しいただきました。
 こちらの御説明を踏まえまして、委員の皆様から御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 宮川でございます。
 今のいろいろなお話を伺いまして、この承認の時期とか種類を含めて教えていただきましたけれども、この場合、今回振り返りますと、臨床現場の困窮する状態から、発症予防及び重症化予防という観点から、様々な承認の形態が出てきたわけです。その中で特例承認とか、それから、緊急承認という立てつけで様々な承認の仕方が出てきました。今後、新興感染症が入ってきて、様々な薬が、海外から含めてですが、出てきた場合の承認の仕方も考えていくことが非常に重要で、それは臨床現場に届くスピード感とか安心感とか確実性とか、そういうものを考えていかなければいけない。
 もう一つの観点は、薬剤のモダリティーによっての開発のスピードが変わってくるときに、どのようなことが考えられるのか。また、それは再生医療等製品のところですけれども、今後開発される様々な薬剤の観点から、条件及び期限つき承認という薬事承認制度があるわけです。こういうものを今後、どのようにしっかりとした制度の中で薬事承認の位置づけをしていくのか。こういうことも前もって考えていかないとなりません。薬が必要となった場合に、どのような承認で臨むのか非常に混乱することもございますので、そのことも考えていただきたいと思います。
 臨床現場から申し上げますと、今回、様々な内服薬もありましたけれども、注射薬もございました。注射薬の場合に、皮下投与並びに筋肉内投与がありました。筋肉内投与に関しては、臨床現場がそういう意味では慣れていなかったことから、非常に混乱したわけです。しかしながら、今後、筋肉内投与、それから、皮下投与となりますと、それが混在すると副反応の報告で非常に困窮することもございますので、そういう中でどのような考え方をするのかというものも一定の、ある程度、最初から議論していくことが必要であろうかなと思います。
 それから、一般の流通のところに関わることですけれども、今回は冷凍という形で様々な薬が供給されたということでございます。それで、冷蔵なのか、冷凍なのか。そして、今回、非常に問題だったのは、そこに振動ということがありました。揺れ動くという輸送のことですが、非常に最初はそれが混乱して、臨床現場で非常に困窮したこともあります。そういうことも早期からしっかりとした立てつけを持って考えていくこともこれから重要ではなかろうかなと思って発言させていただきました。
 以上でございます。
○齋藤委員長 宮川委員、どうもありがとうございました。
 続いて、大曲委員、お願いいたします。
○大曲委員 よろしくお願いします。
 もし聞こえにくかったら、遠慮なく御指摘ください。
 僕も数点ございます。
 まず、宮川先生のおっしゃった、承認審査、承認のプロセスにおいて、制度がどう駆使されたのか。その結果、どうだったのか。国外との制度の駆使の仕方としての比較はどうだったのかというところは、ぜひ私としても振り返りをお願いできればと思います。
 そのほかの点としては、これは有事には、一、二の、三で開発を始めるということなのですが、現実には、ほかの国の状況を見ていると、その以前から問題を立案し、課題をちゃんとリストアップして、それに基づいて開発計画を立てて歩まれていたところもあるわけであります。そういうところは当然、1歩目は早かったです。それで、日本がどうだったのか。全く準備がなかったとは思っていないのです。AMED等でやられたものはあったのですけれども、それが事実的にどうだったのか。あとは、海外との比較でどうだったのかはやはり振り返りはお願いできればと思っています。
 あとは、これも宮川先生が御指摘になったのですけれども、薬の研究開発にしても、実際に出てきて承認されたお薬をロールアウトしていくにしても、それができる保健体制・医療体制はすごく重要だと思います。そういう意味では、現場で課題だったのは、特に内服薬がそうでしたが、みんなが隔離で自宅にいる中で、その自宅にいる患者さんをある意味対象にして治験をしなければいけないという、非常に矛盾というか、厳しい状況があって、それをどう実現するかは非常に苦労したことを覚えています。結果的に、ホテル療養の患者さんを治験の対象にしたりとか、そこでは地方自治体がすごく実は協力してくれたりとかがあったので、そうしたところもやはり反省というか、いい取組だったということで記載しておく必要もあると思いますし、実際にお薬を処方する段階になると隔離等々がバリアになって、体制づくりが必要だったという御指摘がありましたけれども、その辺りも挙げておく必要があると思います。
 あとは、2番の効能の話を伺っていて思ったのですけれども、患者さんの特性という観点でも、どう研究開発が行われたかは議論しておいて、必要があるのだと思います。特に小児科の先生からは、一般的にそうですが、特にこの有事のときに、急ぐときに子供向けの薬の研究開発はどうなるのだということをすごく御指摘を受けて、それは遅れるのではないかという御不安は本当にそのとおりだと思うので、その点、次のことを考えて、今回はどうだったかも見ておく必要があるかと思いました。
 私からは以上です。
○齋藤委員長 どうもありがとうございました。
 続いて、岩本委員、お願いいたします。
○岩本委員 ありがとうございます。
 一つは、今後の方針については、僕は特に異論はございません。
 2つ目なのですけれども、資料1の抗ウイルス薬のところで特に承認に至らなかったようなもの、特にリポジショニングで、リトナビル/ロピナビルとかネルフィナビルとかファビピラビルが書いてありますが、どの時期に、要するにどこまで開発が進みましたということしか書いてありません。このままの資料でずっと薬の候補が挙げられて放置されると、継続開発を続けるべきなのか、開発を辞めるべきなのかが分からなくなると思います。実際には2020年3月か4月ぐらいには感染研の渡士さんが幾つかの薬剤についてin vitroの抗ウイルス活性(IC50等)を出していました。しかし、残念ながら、どんどん臨床的に観察研究とかが行われて、in vitroのデータとの比較が全く行われていないように感じられました。
 僕は、西アフリカでエボラが流行したときに厚労省の依頼で実際にWHOの会議に2度ほど出る機会がありました。最初に候補薬はどんどん上げるのですが、NIAIDの担当者がin vitroで、例えば1μM以上のIC50のものは次のステップに進めていませんでした。次のパンデミック対策を考えるときに、候補薬のin vitroのデータを参照しつつ、開発を進めるべきだと思っています。資料には、分かっている候補薬のin vitroの効果を示しておくべきだと思います。
 それから、中和抗体なのですけれども、実際問題、感染者の血液検体からモノクローナル抗体を取る技術は、特に免疫の研究者がお持ちです。しかし、コロナの経験では、一つも日本からモノクローナル抗体薬は出なかったわけです。過去10年ぐらいの間に日本の製薬メーカーが様々なモノクローナル抗体薬を作るようになってきました。日本の製薬メーカーが恐らく手を出さないのは感染症だからだと思うのです。日本では感染症に対する医薬品を作る企業がたいへん少なくなっています。一定の感染症ではモノクローナル抗体薬の有用性は高く、いかに企業の力を早く使うか、企業と協力するかというところが大事だと思います。研究者の中だけでやっていると、時間がかかるだけで進まないと思います。
 取りあえず、以上です。
○齋藤委員長 ありがとうございました。
 それでは、濵口委員、お願いいたします。
○濵口委員 ありがとうございます。
 今、岩本先生がおっしゃっていたとダブってくるのですけれども、リポジショニングです。既存薬の活用が、この4年間を見ていると、必ずしも日本の地力を十分反映したものにはなっていなかったように思うのです。低分子化合物は非常にたくさんのライブラリーを持っておられるし、経験値も製薬会社は非常に高いものはあるのですが、それが現場になかなか持って出してこられるような統合的な解析ができなかったのではないか。ですから、もう一回、この経験をしっかり分析して、リポジショニングのシステムを戦略的に描けるような分析が必要なのではないかなと感じております。
 2番目として申し上げたいことは、やはり感染症は従来、投資が少なくて、その結果、長いこと、新しいワクチンも治療薬もなかなか開発できなかった現状があります。実際に実用化まで長い時間がかかりますし、成功率も必ずしも高くないことを考えると、持続的に予算を確保していただくことが非常に重要だと思いますので、大変申し上げにくいことなのですけれども、この結果を振り返って、ぜひ予算の確保をしっかりお願いしたいと思っております。
 3点目としては、今回の分析では治療薬中心で来ておりますけれども、意外とコロナのこの経緯を見ていると、日本は診断のところ、診断薬や診断システムのところは非常に早い段階から開発が進んで、下水を通じた感染の広がりがあるとか、いろいろな形で疫学的に分析ができたと思うので、診断薬の開発も重要ですので、同様に御検討いただけると幸いでございます。
 よろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 ありがとうございました。
 それでは、鹿野委員、お願いいたします。
○鹿野委員 ありがとうございます。一応、今まで御発言いただいた先生方の御意見と重複する部分もございますけれども、気づいた点をお伝えしたいと思います。
 まず、リポジショニングなのですけれども、今、濵口先生もおっしゃいましたように、リポジショニングをするためのシステムはやはり必要だと思います。これは私の研究室で米国での開発とか承認の状況を調べてみたのですが、一番最初にリポジショニングのものの開発が進むのです。
 そのときに、既に例えばレムデシビルなどはエボラの治験のデータとかがあったのです。そのときに、どの医薬品でどれぐらいヒトでの投与経験があるのかとか、どのような効能について、どれぐらいの、どういう試験をやったのかという情報を踏まえて、次のコロナに、COVID-19に対する効果を検討する計画を立てることを考えますと、やはりそこはすぐに動けるように、リアルタイムで情報収集して対応できるような形にしておく必要があるなというのを感じております。いわゆるパイプラインに関する情報を常に定期的に整理して更新しておくのは非常に重要だと思いました。
 2つ目は、抗ウイルス薬は劇的に効くものはあまりなかったのですが、中和抗体はやはり非常に効果があるけれども、ウイルス株が変異することによって有効性がどんどん落ちていったというのがありました。
 私が気にしているのは、かなり高い技術を使って開発してもすぐ使えなくなるような印象になると、製薬企業が中和抗体の開発に後ろ向きになるのではないかという懸念を持ちましたので、そういうことがないように、そこはインセンティブを国で確保することも検討しておく必要があるかなと思いました。
 3点目なのですが、さっき濵口先生がおっしゃった診断薬は実は非常に大事で、ワクチンにしても治療薬にしても、まず、診断ができないと治験とかはできないので、診断薬の開発が最初にちゃんと動かないといけない。
 案外、世界的に見ても、WHOなどで情報をしっかり把握されていなかったのではないかという印象がありますので、診断薬についての開発情報をちゃんとチェックして、どういう診断薬が性能も含めて使えるようになっているかという情報を提供できる体制をつくっておく必要があるかと思います。
 4点目です。開発についての、いわゆる治験の状況なのですが、治験はもしかすると、この委員会とは若干所掌が違うのかもしれませんけれども、今回はアメリカとか海外で主に開発されたものを日本に導入するということで、私の理解ですが、治験自体もさほど大きな治験は組まれていないと思うのですが、海外ですと、やはりアメリカとかFDAの状況を見ると、必ず効果を見る検証試験が実施されています。それなりの大きい試験が実施されていて、特にドラッグリポジショニングについては政府主導で同時に走らせる試験をNIHで主導して実施されていました。
 もし、例えばアジア初のパンデミックとか、日本でも海外よりも先に疾患が蔓延してしまうような状況があったら、日本で率先して治験とか開発をしていかなくてはいけなくなると思いますので、それを想定すると、やはり国主導ですぐに治験を動かせるようなプラットフォームをつくっておくことが重要かなと思います。
 それと、パンデミック時には、やはり病院は、患者さんは確かにいらっしゃるのですけれども、中等症や重症の患者さんが病院にいるのですが、特に軽症とかそれほど重症ではない方に対する治験をすることは病院ではできなくなりますので、いわゆるDCT、分散型臨床試験とか、先ほどホテルでの療養を利用するお話もありましたが、そういう枠組みですか。どういうプロセスで治験をやっていくのかというのも準備しておく必要があるかなと思います。
 FDAでは、Ⅰ相、Ⅱ相、Ⅲ相を順番にやらなくて、Ⅲ相をやってからⅡ相をやってⅠ相をやるみたいな、割と変則的なやり方をしていたのです。個別に見ていくと、その理由はそれなりにあるのですけれども、ですので、先ほど小児とか、そういうスペシャルポピュレーションに対する評価などをどの時点でやるかも早めに計画を立てなければいけないこともあるので、そういうことも含めて、先ほど申し上げた、リポジショニングするときの情報、あるいはその時点で入手できている情報を素早く整理・収集して、また、共有していくという枠組みは十分準備しておく必要があるかなと思いました。
 以上です。
○齋藤委員長 ありがとうございました。
 続いて、福島委員、お願いいたします。
○福島委員 ありがとうございます。今、事務局から共有いただいている表といいますか、図といいますか、こういった包括的な絵を公的なところから出していただくと、後で引用できますので、ありがたいなと思いました。感謝申し上げます。
 今、見せていただいている、このスライドの右上に書いておられますとおり、薬事承認されたものは全てカバーされていると思うのですけれども、そのほかについてはこれ以外にも開発を断念されたものがあると理解しておりまして、そのような解釈でいいのかどうかを事務局にお聞きしたいのが一点でございます。
 そのような開発を断念したもののうちには、もちろん、臨床試験を完遂した結果、有効性が認められなかったり、安全性の懸念があったりといったものがあると思うのですが、それ以外に、臨床試験をきちんとデザインして組んだのだけれども、コロナの流行状況の変化とか、あるいはワクチンが導入されたことで、国民の多くの方が基礎免疫を持てたために、薬剤の有効性が当初のデザインでは検出されにくくなってしまったりして、そもそも、研究計画が使えないものになってしまった事例もあるかと思います。振り返りの中にそのようなものも論点として含めるかどうかは事務局で御検討いただきたいなというのがコメントになります。
 その上で、すみません。もう一枚、スライドを戻していただけますか。上の3つのポツがありまして、3ポツ目ですが、振り返りを行って、今後の感染症危機への教訓とすることは非常に重要だと思いますし、やはり経験から得たものが次に実を結ぶものと思いますので、この「振り返りを行い、教訓としてはどうか」という問いに対しては私の答えはイエスなのですけれども、この審議会として何か報告書をつくったりするのでしょうか。振り返りを行って、どこまでのものをつくろうとされているかをお聞きしたいのが2点目の質問になります。
 すみません。2つ質問と、1点がコメントでした。
 以上です。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 それでは、加藤先生まで御意見を伺って福島先生の質問に触れたいと思います。加藤委員、お願いいたします。
○加藤委員 既にほかの委員の先生と重なるところがあるのですけれども、先ほどの開発の流れというか、スケジュールのスライドのところなのですが、日本発で開発できた薬剤もありますけれども、ほとんどが欧米から導入するような形だったかと思います。欧米とのドラッグラグについて、今回は非常に短かったのではないかと私は評価しておりまして、やはり当時どのような決定のプロセスがあって導入していったかというところ、緊急承認とか、いろいろな新しい仕組みを取り入れていたものをぜひ、もう少し詳細に振り返ってもいいのかなというのが一点でございます。一方、例えばトシリズマブの効能追加などは欧米に比べると時間がかかっていたような気がしております。
 あとは剤形のところなのですけれども、パンデミックのようなときは自宅で経過を見るようなことが多いので、やはり経口薬の開発を目指していくべきだろう。ウイルス薬としては様々なウイルスに効果を示すような、今回ですとレムデシビルとか、効果は否定されましたが、ファビピラビルのような薬剤を通常の時点で開発しておくのが重要なのかなと思いました。
 また、この表には載っていませんけれども、クロロキンのようなマラリア薬も海外では臨床試験が行われていました。エボラ流行の際も抗マラリア薬に効果があるという話もありましたが、結局のところ有効性は否定されました。転用する候補薬の選定においては、何らかの基準を設けて、限られた資源をフォーカスして臨床試験を行うべきだろうというのが私の意見であります。
○齋藤委員長 どうもありがとうございます。
 それでは、ここで一旦区切りまして、先ほど福島委員から2点質問がございましたが、こちらは事務局からお答えいただけますでしょうか。まず1つ目は、ほかに開発断念をしたような薬剤がこのリストに載っていないものがあったかということと、2点目は、今回の振り返りを最終的にどういう形でまとめていくかという御質問があったかと思いますが、いかがでしょうか。
○竹下室長 ありがとうございます。
 まず1つ目の御質問ですけれども、ほかに開発を断念したものがあったのかということで言うと、先ほど加藤先生からも御発言がございましたが、実際に開発の対象になっていたものはございました。あくまでもここに、上に書いてありますけれども、代表的なものを少し出させていただいている形になっております。
 また、開発のところでは、参考資料1の1枚目の「2.効能」の一番最後の◆で書いているのですけれども、まさに治験においては、ワクチンの接種率や変異株による病原性変化などの影響を受けるような状況の変化も含めて、開発が終了されるものはあったところを記載させていただいておりますが、こういった影響もあって開発が影響したのではないかというのは、そういう開発をしている企業からもヒアリング等々から出ておりました。こういったところも確かに環境の変化としてありましたので、こういったことも次のパンデミックのときとかにも影響はしてくるところはあるのではないかと考えています。
 報告書をつくるのかということでございましたが、今回、こういった形でまずは流れを出させていただいておりまして、先生方からいただいた御意見等も踏まえた上で、このMCM小委員会として、今後の課題を議論していく上で、今日いただいた、例えば先生方からも、この後もまたいただきたいと思ってはいるのですが、例えばリポジショニングのスキームをどうつくるのかとか、中和抗体薬は非常に重要なのだけれども、これをどういう形で、例えば製薬会社が後ろ向きにならないようにどうやっていけばいいのかとか、そういった内容とかが幾つかございました。
 例えば、今、臨床研究ネットワークとかで来期、国主導のプラットフォームをつくるような検討もされていますけれども、その進捗を報告させていただくとか、今日いただいた内容を個別にそれぞれ深掘りして、今後、議論をこのMCM小委員会で進めていく形として使わせていただきたいと考えております。
○齋藤委員長 今の答えでよろしいでしょうか。
○福島委員 ありがとうございます。よく分かりました。
○齋藤委員長 それでは、そのほか、先生方から御意見はございますでしょうか。
 私からコメントさせていただきますと、コロナの中での振り返り、コロナの経験での振り返りも大事ですけれども、その上で、先ほども委員からもお話ありましたが、仮に今回、子供が中心だった場合、子供が重症化するような場合があったとしたらどうなるのかといったお話もございましたが、コロナみたいな感染症に限らず、違うものも含めて、今後あり得るものも含めて、広く捉えて問題を検討していく必要があるかなと思っています。
 あと、リポジショニングの際の最初のスクリーニングで、いわゆるラボでの、細胞レベルでのスクリーニングもそうですが、実験動物での検証といった部分のキャパシティーの検討も必要なのかなと思いました。
 今、また濵口委員より挙手いただきましたので、お願いいたします。
○濵口委員 すみません。お時間をいただきます。
 薬が期限になると廃棄するというお考えをお聞きして、論理的にはもっともなことだと思うのですけれども、現実にこのコロナの治療薬は結構高額なのですよ。しかも、一番リスクの高い方は65歳以上、高齢者で、年金生活者の方が多い。そこにこの高額の治療薬を使うのは現実的には結構厳しい環境にあるように思うのです。
 もし可能ならば、そういう方々に、廃棄する前に、変な言い方ですけれども、少し余裕を持って、もう少し低額で投与・提供できるようなシステムは成立しないのかなと、ふと思いついたものですから、発言させていただいた次第です。御検討願えれば幸甚です。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 ただいまの御意見に関しまして、事務局から何かございますでしょうか。
○竹下室長 ありがとうございます。
 現時点では、今、持っているものに関しましては、薬自体は一般流通しておりますので、不測の事態に備えて保管している形になっております。
 また、患者負担軽減のためにということでございますが、新型コロナが5類感染症に移行したことに伴い、無償配分の根拠となっていた新型インフルエンザ等対策特別措置法の適用がなくなったことがございまして、患者負担軽減のための活用は現時点では難しいと考えております。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 それでは、おおむね御意見も出尽くしたかと思いますが、いろいろな、非常に様々な観点から振り返りについての御意見をいただきましてありがとうございました。
 それから、保有薬についても、特に事務局の方針で御異論がないということでよろしいでしょうか。
 もしよろしければ、このまま、本日御報告いただいた方向で対応を進めていただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、事務局は、中野委員、四柳委員へ入室の御案内をお願いいたします。
 少々お待ちください。
(四柳委員入室)
○齋藤委員長 今、四柳委員にお入りいただきました。
○竹下室長 齋藤先生、中野先生はちょっと遅れるということです。
○齋藤委員長 分かりました。
 それでは、次の議事に入りたいと思います。
 次の議題は、三重大学の田辺先生より「MCMの利用可能性確保の考え方に関する研究報告」になります。
 それでは、田辺先生、お願いいたします。
○田辺参考人 よろしくお願いいたします。三重大学の田辺と申します。我々研究班で検討した内容につきまして御紹介させていただければと思います。
 1ページおめくりください。
 こちらですけれども、先生方御承知の重点感染症のリストです。こういった感染症が起こったときにどのように対抗するかということで、治療薬とワクチンを利用可能な状態にしていくのがこのMCMの考え方となろうかと思います。
 こちらにありますように、先ほどから議論のあるコロナウイルスあるいはインフルエンザといった、パンデミックを起こして非常に患者数の多いものがある一方で、例えばGroup Bでありますエボラ出血熱やラッサ熱、あるいはSFTSなど、それほど患者数が多くないものも混じっておりまして、なかなか、これをどのようにMCMを確保していくかという考え方は難しいかなと感じております。また、これをどのように整理していくかということで検討した報告となります。
 では、次のスライドをお願いいたします。
 こちらが我々が検討した概要図になろうかと思います。米国のこういったMCMの考え方がありますので、そちらを参考に、日本の現状も合わせながら考えたものになります。
 これは軸が、横軸で見てみますと、Step1、Step2、Step3、Step4という形で考えてはどうかということになります。まず、Step1が発生シナリオとリスク評価。Step2が、そういった発生した場合の対応、それのシナリオを考えて、それでMCMの必要性・必要量を検討する。右側へ行きまして、Step3で、現実的にMCMの必要量を検討して、最終的に確保していく流れを考えております。
 これを考えるに当たって、今度は左からになるのですけれども、インプット情報があって、それをもってアウトプットを出していく考え方をお示ししております。
 まず、Step1のインプットです。例えばエボラを考えた場合、国内の発生状況はどうなっているのか、実際に発生した場合の致死率がどうなのか、感染経路とか潜伏期間、あるいは基本再生産数、感染症によっては国内にベクターがあるないということで、こういった既存の情報があろうかと思います。
 こういった情報を基に、今度はアウトプットですけれども、日本で実際に発生するとすると、その感染拡大の経路はどうなのか、スピード感がどうなのかといった感染拡大のシナリオを検討して、想定されるような患者数、リスク集団として濃厚接触者数を求めていく。この辺がなかなか、数字として出すのは非常に難しいのですが、一定数の数字を出さないと、MCMをどれぐらい確保したほうがいいかという検討が難しいので、まず、こういったリスクシナリオから患者数や濃厚接触者数の仮で試算するのがStep1となります。
 続きまして、Step2なのですけれども、実際に発生した場合、まず、公衆衛生対応が行われるかと思います。中には検疫を強化したりとか、患者さんに入院していただく、濃厚接触者の方に対応する、あるいはベクターコントロールをする。これらの効果ということで、MCMの必要性が減る場合もあろうかと思います。こういったパラメーターも入れつつ、続いて、MCMの対応で、今回、検査を除いて、治療薬と予防薬(ワクチン)で考えております。
 それがあるないというのがあろうかと思いますが、このMCMがある前提の下で、下に行きますと、理想的な対応シナリオです。先ほど求めた患者数から、例えば治療薬であれば、どれぐらいの数が必要か。それは誰にどのように使うかで変わってくるかと思います。ワクチンは一般的に治療薬よりも必要量が多くなろうかと思うので、濃厚接触者数を求めて、そこからワクチンがこれぐらい要るのではないかという必要量を検討するのがStep2になります。
 続きまして、そこに壁があるのですけれども、MCMがある場合、ない場合があろうかと思います。なければ研究開発という形になろうかと思いますが、あったとしてもそれで終わりではなく、必要な場合はさらに研究開発をしていくことになろうかと思います。
 続きまして、Step3で、現実的なMCMの必要量を考える段階なのですけれども、発生後の調達可能性です。例えば国内で流通しているものであれば、それがどれぐらいあるのか。国内で流通していないけれども、備蓄薬としてあるもの。既存備蓄としてどれぐらいあって、それがどれぐらいのペースで供給できるのかといった調達スピードといった概念が次に入ってくるかと思います。
 その後の、国内流通量だけで賄えないとなると備蓄する発想になるわけですけれども、そのときに備蓄目標をどうするのかが観点になってこようかと思います。先ほども、もちろん、治療薬やワクチンは効能が高いほうがいいわけではありますが、今度は効能といった視点だけではなくて、備蓄となってきますと、それぞれの製品特性も踏まえて、備蓄に向いているものか、向いていないものかを検討する必要もあって、保存期間や剤形なども考えて備蓄必要量を考えていくのがStep3です。
 そして、Step4で、実際のMCMを確保しようと考えた場合なのですけれども、先ほど挙げましたように、重点感染症は様々ございます。それの中で、また治療薬やワクチンも様々ある中で、どのように優先順位をつけていくのかも検討が必要です。
 では、買おうというか、調達しようと思った場合も、その調達方法も幾つかのものがありますし、調達時期をどうするのか、契約をどうするのか、保管方法をどうするのかを考える必要があるということで、この重点感染症(MCM)のものを考えるに当たって、これぐらいのStepを順序立ててやっていってはどうかということで提案させていただいたところになります。
 1ページおめくりいただきまして、Step1、Step2はふだんの臨床の中でのシナリオの中である程度見当がつくところかと思います。Step3、Step4は少し違った視点もございますので、少し説明を追加させていただきたいと思います。
 1ページおめくりください。
 Step3の備蓄薬を考えたときなのですけれども、例えばある感染症に対して2種類の治療薬なりワクチンがあるということで、効能が高ければ、もちろん、効能の高いほうを確保したいわけですが、その視点は除いて、そういった薬理的な側面ではなくて、剤形や用法の側面から備蓄適正の評価も必要ではないかといった提案でございます。
 左側に項目がございますけれども、1から5までで、1つ目は保存期間。もちろん、保存期間が長いほうがコスト面を考えてもいいわけなので、保存期間という要素が一つあるだろう。
 2つ目は薬剤の性状で「Powder」と書いてありますが、粉など、液体でないほうが破損リスクは少ないだろう。あるいはそれがどういった形でパッケージされているかということです。箱のほうが貯蔵庫内での整理整頓がしやすいとか、パッケージの大きさとかということで、どの程度の倉庫を準備するかということで、この箱というか、そういった薬剤の性状といった観点も必要ではないか。
 3つ目は保存温度といった視点もあって、今回、ワクチンでありましたように、非常に低温なものとなりますとディープフリーザーが必要という形になってきますので、室温に近いほうが保存には向いている。
 4番目は投与回数で、1クールの治療に要する投与回数が少ないほうがそれは望ましい。量が減るということです。
 そして、投与方法ということで、その後の使い方を考えると、なるべく簡便な方法で、経口薬のほうが注射に比べて楽ですということで、こういった視点も考える要素としてあるのではないかということになります。
 次のスライドをお願いします。
 最後、Step4で、さて、調達ということを考えた場合に、既存でふだん流通しているものだといいのですけれども、有事に備えて準備するということで、どれぐらいの量を、どれだけの期間をかけて確保するかを考えると、契約形態もなかなか難しい問題としてございます。
 一般的なものがAで、購入契約というものです。これは国が備蓄用に購入するということで、予算を立てて、備蓄用に大量に購入して、一括で納品を受けるか、複数年で納品を受けるかというところはあろうかと思いますが、こちらが一般的な方法かと思います。
 ただ、パンデミックの場合は非常に数が多い。一方で、試算してみてもなかなか満タンにならないような感染症も多いわけです。そういった中で、どれぐらい備蓄というか、確保できるようにするかを考えたほかの方法として、Bとしてはサブスクリプションモデルということで、流通量を減らしながらも、製薬企業に開発費用を保証するためということで、国が製薬会社に固定報酬を払って、必要時に必要量の納品を受ける。こんな考え方で、これは抗菌薬の例がございます。
 それで、Cが供給予約契約で、国がパンデミック時に自国分のワクチンを確保するための契約ということで、将来の供給量を予約しておくといった考え方。
 そして、Dとしまして買取保証といった考え方で、国が製薬企業に増産要請するための契約、国の責任で一定量を買い取る契約を結んで、増産を要請するということで、こういった調達の視点も踏まえつつ、MCMの準備が必要かと考えまして、このような資料をつくらせていただきました。
 説明は以上でございます。
○齋藤委員長 田辺先生、どうもありがとうございます。研究班での成果ということで、利用可能性確保のStep、考え方、それから、調達方法まで検討の成果を御発表いただきました。
 ただいまの御説明を踏まえまして、委員の皆様から御意見、御質問等をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 いかがでしょうか。
 それでは、濵口委員、お願いいたします。
○濵口委員 ありがとうございます。
 ワクチンのことに関して気になっていることがございまして、パンデミックを起こすようなウイルスは大体が呼吸器感染症で、インフルエンザとかコロナとかスパイクを持っていて、こういうウイルスは最近、この経験から、やはりmRNAワクチンが効果的であるのは非常にはっきりしていると思いますし、準備期間も短くて済む。
 ただ、心配しておりますのは上流です。ヌクレオチドとかポリメラーゼの確保が十分でないと、現場がひょっとして動かなくなってくるかもしれない。BARDAは既に、今回のH4N1の問題でヌクレオチド確保のためのファンディングを始めたといううわさを私は4月にBARDA側から聞いているので、少し上流のところをまず押さえていただくのが非常に大事だと思うのですけれども、MCMの調達方法は一義的に必要な部分で、それが固まったら上流も少し検討していただくことがいろいろな意味で現実性が高くなってくる対応になると思いますので、ぜひお願いしたいなと思って手を挙げた次第です。
○齋藤委員長 濵口委員、御指摘ありがとうございます。
 田辺先生から何かございますか。
○田辺参考人 ありがとうございます。
 研究開発と、また、備蓄といった視点で、既にあるものと新しいものを開発していくことは2つ、スキームは違うかなと思っておりまして、この調達のところでは少し合流するところもあろうかと思いますが、今回は既存のものをどう整理するかを主眼に置かせていただきましたので、引き続き、研究班の範疇かどうかというところもあろうかと思いますけれども、どのような形で進めていくかは検討したいと思います。どうもありがとうございました。
○齋藤委員長 それでは、鹿野委員、お願いいたします。
○鹿野委員 大変興味深い御説明ありがとうございます。
 2枚目のスライドでお示しいただいている、このスキームなのですけれども、私が聞き逃したのかもしれないのですが、Step1、Step2はもちろん、パンデミックが発生する前に想定されることかと思うのですが、例えばStep1のインプットで、国内発生状況とか致死率とか、いろいろな情報は割とパンデミックに至る前の段階でも刻々と変わっていく状況かと思うのですけれども、そういうものはやはり割と定期的に見直して更新していくような前提になるのでしょうか。
○齋藤委員長 田辺先生、お願いします。
○田辺参考人 ありがとうございます。先生の御指摘のとおりでして、研究班としても今ある情報の中で数値は検討させていただきました。
 1ページ目をおめくりいただきますと、この重点感染症は、こちらにありますように、本当に様々なものがありまして、このGroup Aの中で、今、皆さんがイメージされているようなインフルエンザ、コロナというと、何千万人といったスケールの話と、一方で、このGroup Bの既存のもの、特にRSですと一定数があるのですけれども、それ以外のものですと、日本で実際に、例えばデングでおったときの事例とか、エボラだと基本的にアフリカであるのが先進国に時々持ち込まれたときにどれぐらいあるのかという形で計算していったのが、Step1、Step2になります。
 なので、今回は既存のもので、特にパンデミックを起こす、パンデミックがどれぐらいの規模になるのかはあまり、今まであるような新型インフル、今回の新型コロナの中の数字があろうかと思うので、今回、我々が検討したのは、どちらかというとGroup Bのようなものを行いまして、その中でも既存のものがあるもので、Step3、Step4を整理していった中になりますので、パンデミックを起こすようなもので、Step1、Step2でどれぐらいの規模になるのか。それを、今ないものを、先ほどのmRNAの話もあるのですけれども、未知のものに対してどのように研究開発を進めていくのかというのは、またそれもすごく大事です。
 ただ、今回はそこまではやっていないところになりますので、今後、重点感染症をどうしていくかという話があろうかと思うので、そういった中で、今のリスクを踏まえて、このStep1あるいはStep2、MCMもどんどん新しいものが開発されていきますので、Step1、Step2に関しては随時、情報をアップデートしていく必要があろうかと思います。どうもありがとうございます。
○鹿野委員 ありがとうございました。
○齋藤委員長 そのような形で、どの感染症に対してどれを入手するというのも、日々、リスク評価が必要かと思いますが、あと、状況に応じて、どの段階まで入手の準備を進めておくかという議論も入ってくるかなと思います。例えばワクチンを実際に製剤化するところまで行くのか、その前の段階まで加工しておくのかとか、そういったStepの議論もあるかと思います。
 では、岩本委員、お願いいたします。
○岩本委員 田辺先生、御説明ありがとうございました。
 田辺先生の御説明への質問ではないのですけれども、私、週1度ほどまだ診療しておりまして、5類になってもコロナは非常に強い喉の痛みと高熱が出る患者さんもいるわけで、そういういわゆる鎮痛解熱剤とかたん切りとか鎮咳剤が枯渇していたことがあるということと、それはもちろん、製薬メーカー側の問題もあったのかもしれませんが、そういう問題が一つ。
 もう一点は、非常にベーシックな、特に第一世代のペニシリンとかセファロスポリンとか、要するに、そういう薬が薬局にないということがまだ続いていたりしますので、それは今、原末が中国でほとんど作られていて、そこから製薬メーカーが作ろうとしても原末が入ってこないということもあるらしいのですが、重点感染症の薬を使う前のベーシックな薬に関して、やはり備蓄をしろとか、そういうつもりはないのですが、情報共有というか、今、こういう問題であれしているのだけれども、こうなっていきますとか、あるいはもっと使えるOTCを使うようにとか、何か国民に少し分かりやすいような情報共有をしていただけるとありがたいなというのは事務局へのお願いです。感染症対策部の問題ではないのかもしれないですが、すみません。
 以上です。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 それでは、宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 宮川でございます。
 今、岩本委員からお話がありましたように、この基礎のいろいろな薬に対しての安定供給の問題は非常に大きいわけです。私も現場におりますので、今でも困窮している状況があります。それで、患者さんの症状を少しでも楽にすることが回復を少しでも早めることもあるわけですから、もともとのMCMということもあるのでしょうけれども、今、岩本委員がおっしゃったように、国の医薬品の安定供給がなければ様々なものに関して困窮する状態が来ることが一つ。
 それから、今、岩本委員がOTCのお話をしましたけれども、OTCの薬の精度を上げることが非常に重要なのですが、これは後発品の医薬品よりもさらにいろいろな国の審査体制ができていない状況があるので、これも問題で、会社の自主点検のみで任せているものもあります。これも非常に国に対しては問題があるのだろう。私たちはそれを、医薬品をしっかり区別して考えることが重要であろうかなと考えます。
 それはそれとして、今、岩本委員からお話があったので、少しコメントとして、今、お話ししましたが、先ほどの2ページでございますけれども、やはり水際対策も含めてなのですが、検査薬の問題も今回、非常に大きな困窮する状況でありました。先ほどの冒頭で検査薬のお話がありましたけれども、検査薬はそういう意味では公衆衛生学的には非常に重要なポジションだろうと思うので、これはしっかりとした確立をしていただきたいと考えております。そうでなければ、その後の対策がどうしても立てられない形になります。隔離も医学的な管理も含めてですが、できない。
 しかしながら、今回反省しなければいけないのは検査薬の精度でございました。今回、非常に困窮したために検査薬全てが、精度の悪いものが市中を含めて出たこともあります。私は薬の承認のところにいましたので、検査薬に対しても様々なところで対応に当たったのですが、どうしても国民が困窮する状況の中で、検査薬の精度まで行き切れなかった。精度の悪いものが市中に出てしまった。それで、精度の高いものは何とか医療機関の中に使えるようにしたいということで、その中で非常に取り回しが難しかったのですが、かえって精度の悪いものが市中に出たために、市中では様々な検査所ができて、そこでかえって混乱を起こして、医療現場が逆に困窮する状態ができた。
 これは苦肉の策で、国がこういう精度の悪いものを出してしまったことは確かにあろうかと思いますが、今後、感染に対する対応という形の中で、幾らよい薬があっても、それが届かない。それから、それがヒト・ヒト感染を進めてしまう。検査薬が十分でないこともありますので、検査薬の精度に関しては非常に考えていただいて、それから、検査体制も考えていただくことが大事です。今回、様々なところで国の予算がないということで、いわゆる保健所等も含めてですけれども、人員も、それから、保健所の数も非常に少なくなってしまったことの中で検査体制がなかなか組めなかったところもありますので、そういう初期対応も、このMCMの利用可能な確保の前段階として非常に必要ではなかろうかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、こういうワクチン等のアナウンスのところなのですが、先ほど後段で田辺先生が貴重ないろいろなお話を整理していただいたので皆さんが分かりやすくなったと思うのですけれども、ワクチンは海外から来る場合に海外との契約があって、海外から国に輸送なりなんなりして国内での確保があって、それで確保した段階で、それから、薬が国内に入ってきた段階で現場への供給という3つの段階があるのですが、それを国のいろいろな関係者が国民に対して説明するときに、何十万本用意できましたと言ったときには、海外との契約の段階でそれを何十万本確保しましたと高らかに宣伝するわけです。
 しかしながら、現場には届いていない。そうすると現場が、何をもたもたしているのだ、なぜ打てないのだということを直接言われてしまうことがある。それも、報道機関がそういうことを理解しないで、そういうところを現場に、そういう意味では非難することがあって、非常に問題があったところもありますので、海外との契約の段階で確保できたものだ。それが国内にちゃんと物も持ってきて確保できた段階。そして、現場への供給ができて、何万本ができたということもしっかりとこの中で落とし込めれば、その中で次のStepとしての薬の投与という、ですから、国民に対する供給がはっきり分かっていくので、この2ページの表の中の裏方にある状況もしっかりと見えるようにしていただければ幸いかなと思っております。
 田辺先生、ありがとうございました。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 それでは、大曲委員、お願いいたします。
○大曲委員 ありがとうございます。田辺先生の研究班へ入れていただいて、現場の観点から少しお手伝いさせていただきました。
 僕の言うのは、コメントといいますか、感想に近いところなのですが、実は我々がどういう対応をしているかといいますと、この資料の1ページ目で言うところのGroup Cに入るような非常にまれな菌の感染症とか、Group Dに入るようなものでもマラリアのような、日本で数は多くないけれども、時に重大性の高い、要は重症の方でいらっしゃって、治療しなければならないという場合があって、そこにどう対応するかということをやっております。
 こういう感染症は、重大性が高いような人たちは死亡率が高いのですけれども、多くの場合は患者数がそれほど日本では少なくとも多くなかったりして、そうすると、海外であって、中には日本には治療薬がないことは現実にあります。それで海外に求めに行くわけなのですが、実は海外でも開発というか、供給自体のパイは少なくて、実際に持ってこようとすると非常に困難だったり、希少疾患の常にあることで、やはり薬がそもそも経済的な予見性が低いので開発に手がつけられていないとかというものがあります。
 でも、そういう病気でも、患者さんは突然発生するので、我々は何とか準備と対応が必要なのです。そのときのバリアがどんなものがあるかがなかなか分からなくて困っていたのが、このように整理していただけると本当に分かりやすくなりますし、準備ができるようになると思います。特に資料のStep4のところの調達方法、特にお金のところとか、これは実はすごく大事で、要は何もしなければ経済的な予見性がないから開発もされないし、持ってもこられないことになるわけなのですけれども、そこをどう解決するのかという観点でこうした整理は非常に重要だと私も参加して思いましたので、コメントいたしました。
 以上です。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 それでは、中野委員、お願いいたします。
○中野委員 中野でございます。私も研究班のメンバーで、どちらかというと質問というよりはコメントなのですけれども、本日、委員の先生からたくさんのコメントを頂戴して、非常に勉強になりました。
 まず、田辺先生とメンバーの先生方と一緒にこれをつくっていたときは、いろいろな疾患を想定して、私はワクチンに主に携わりましたが、例えば感染拡大の速度がどれぐらいかとか、あるいはどの範囲の人に、どれだけ、何本必要かとか、いろいろ試算しながらつくったわけですけれども、このように考えてこの数になったことが大切かなと思いながらつくっておりました。
 なので、シナリオは当然変わり得るわけで、それもしっかりと気に留めておかなければいけないなと思っていたのですが、今日いただいた御質問で思ったことは、このような重点感染症以外に、上流下流の様々なベーシックな問題、例えば今回、コロナの際に、コロナのワクチンのこと以外でも、ほかのワクチンでもいろいろなものが足らなくなった話は幾つか耳にしています。それはワクチンそのものというよりも、ささいなワクチンを梱包する何かとか、何かに使うものとか、そんなことも聞いておりますので、本日のコメントを聞かせていただいて、もう一回、しっかりと引き続き考えてまいりたいと思います。
 どうもありがとうございます。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 では、岩本委員、お願いいたします。
○岩本委員 すみません。短く終わります。
今、重点感染症のリストを見て思いついたのですけれども、Group Dに生物毒が書いてあります。最近、ヤマカガシにかまれたときの話が新聞によく出ていますが、いまだに動物の血清で北里柴三郎の時代の治療をやっていることに驚きます。確かにこれも製薬メーカーにとってなかなかインセンティブが出ない治療薬かも知れませんが、鳥取の押村先生が作った、ヒトの抗体を作るマウスとか、いろいろな形で人間の抗体を作れる時代だと思います。国民の安全を考えても、ちゃんと製品化された抗体薬を用意しておくべきだと思いますので、そのことだけ申し上げておこうと思います。患者数が少ないというのであれば、蛇毒等、世界中の抗毒素を揃えた研究所が一つあってもいいのではないでしょうか。
 以上です。 少ないというのだったら、そういう研究所で世界中のものをやってもいいと思うのです。
 以上です。すみません。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 それでは、宮川委員、お願いします。
○宮川委員 宮川です。手短にお話しします。
 注射薬の場合には当然、シリンジが重要になってまいります。今回、国内にあったシリンジは非常に様々なシリンジがあった。それから、国外から買ってこなければならないシリンジも多かったわけです。その中で、デットの少ないシリンジを選ばなければいけないこともありました。最後はそういうものがあったのですが、最初はなかなかなくて、希釈しながら微量なものを投与するところに非常に困窮したので、そういう周りのところも含めてですけれども、薬だけではなくて、それを投与する様々な器具等も含めて、この危機対応の中に入れていただきたいと考えてございます。
 よろしくお願いします。
○齋藤委員長 ありがとうございました。
 おおむね一通り御意見を伺えたと思いますが、田辺先生からもし御返答等がありましたら。
○田辺参考人 いろいろとコメントいただきましてありがとうございます。
 また、いただいた意見で、我々で検討できることは検討してまいりたいと思います。どうもありがとうございました。
○齋藤委員長 そのほか、よろしいでしょうか。
 それでは、御質問、御意見がなければ、議題2はこれで終わりにさせていただきます。田辺先生、御発表どうもありがとうございました。
 本日の議題は以上となります。
 最後に、事務局から連絡事項があればお願いいたします。
○竹下室長 本日は、活発な御議論をいただき、大変ありがとうございました。
 委員の皆様の御意見を踏まえ、今後の対策を進めさせていただきたいと思います。
 また、次回日程につきましては、事務局より改めて御連絡させていただきます。
 本日は、お忙しい中、誠にありがとうございました。