第6回救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関するワーキンググループ(議事録)
医政局地域医療計画課 救急・周産期医療等対策室
日時
令和6年7月29日(月)10:00~12:00
場所
主婦会館プラザエフ カトレア
議事
- 下記のとおり
- 2024-7-29 第6回救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関する検討会ワーキンググループ
○東専門官 それでは、お時間になりましたので、ただいまから第6回「救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関する検討会ワーキンググループ」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席いただき、誠にありがとうございます。
本来であれば構成員の皆様方の御紹介と事務局の紹介をさせていただくところですが、時間の関係上、構成員名簿の配付をもって紹介に代えさせていただきます。
今回のワーキンググループにつきましては、昨年度同様、公開のワーキンググループとして実施、資料や議事録については厚労省ホームページで公開、事前に御希望があった方の傍聴あり、YouTubeライブ配信ありという形での開催としております。構成員の皆様におかれましては、この点、あらかじめ御了承ください。
今回は、会場にお越しいただいた構成員の方とウェブで参加される構成員の方がいらっしゃいます。ウェブには淺香先生、加納先生、細川先生が参加されております。また、そのほかの構成員の方には会場にお越しいただいております。
また、オブザーバーとして、総務省消防庁救急企画室の岡地室長、寺村救急専門官、また、ウェブで内閣府地方創生推進事務局の豊福参事官補佐に御出席いただいております。
まず、御発言の方法から確認させていただきます。
ウェブ参加されている構成員の方々におかれましては、御発言の際はZoom画面の下部にございますリアクションボタンまたは参加者一覧の下部から「手を挙げる」をクリックし、指名を受けてから、マイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。
続きまして、お手元の資料を御確認ください。
議事次第、出席者名簿のほか、資料1から4、参考資料1から6をお配りしております。
不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
報道の方で冒頭カメラ撮りをしている方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
それでは、児玉座長に以後の議事進行をお願いいたします。
○児玉座長 おはようございます。児玉です。
それでは、議事に入りたいと思います。
まず、議題1「令和6年度の本WGにおける検討課題について」です。
資料1について、事務局より説明をお願いいたします。
○東専門官 資料1について説明いたします。今年度の本ワーキングの検討課題についてです。
表紙をおめくりください。
今年度は、まずアナフィラキシーに対するアドレナリン(エピネフリン)の筋肉内投与について議論を進めたいと考えております。本件に関しましては、昨年度に厚労科研で観察研究を、内閣府の事業で実証に向けた体制等の検討を行いましたので、今回第6回ワーキングにその内容を報告させていただき、議論したいと考えております。
また、その下の段に移りまして、令和5年度の本ワーキングの取りまとめに基づき、超音波検査に関する提案自治体における議論・検討の進捗についても議題にするとともに、救急救命処置検討委員会からの継続事項等もございますので、それらについても厚労科研等で検討を行い、その内容が固まり次第本ワーキングにも上げていきたいと考えております。
次回以降の開催につきましては、今回の議論、また、その他の課題についての進捗を見て開催させていただき、年度終わりには今年度の取りまとめを行いたいと考えております。
資料1の説明は以上です。
○児玉座長 ありがとうございました。
今年度の検討課題につきまして、御意見または御質問のある方がいらっしゃればお願いいたします。
いかがでしょうか。特によろしいでしょうか。もしまた何か気づいたことがありましたら、また後で御意見をいただければと思います。
それでは、引き続きまして、議題2「アナフィラキシーに対するアドレナリン(エピネフリン)の筋肉内投与について」です。
事務局から資料2が、そして、参考人から資料3と4が提出されておりますので、御確認ください。
本日は、開催要綱の「3.構成員」の(3)にのっとり、本提案に関して研究代表者である坂本哲也先生に参考人として御出席いただく予定でしたが、急遽御都合がつかなくなったため、代理として、研究班にも参加されていた田邉構成員から御説明いただきます。
それでは、事務局と田邉先生、御説明をお願いいたします。
○東専門官 ありがとうございます。
まず、事務局から資料2について説明させていただきます。
皆様、資料2をお手元にお願いいたします。「アナフィラキシーに対するアドレナリン(エピネフリン)の筋肉内投与について」です。
それでは、1枚おめくりください。
まず、本提案の概要ですが、アナフィラキシーであると疑われる傷病者のうち、自己注射が可能なアドレナリン製剤、現在日本においてはエピペンですが、エピペンの交付を受けていない者に対する自己注射が可能なアドレナリン製剤あるいはアドレナリンのプレフィルドシリンジを用いたアドレナリンの筋肉内投与というものになります。
現在は、アナフィラキシーであると疑われる重度傷病者があらかじめエピペンを交付されている場合において、救命士は重度傷病者に対して同製剤を用いて投与することができるとされております。すなわち、あらかじめ製剤が交付されている者という対象の限定と、自己注射製剤を用いてという投与方法の限定2つがかかっているものになります。
本提案は、そこに関して、あらかじめ自己注射製剤を交付されていない者に対して、その適応を拡大するとともに、投与方法についてもエピペン以外の製剤を使用可能とする、対象と方法の拡大、この2つの意味を持つものになります。
次のページに行きます。
本提案に関するこれまでの経緯ですが、本件は平成30年から令和元年度の救急救命処置検討委員会で検討されてきた課題になります。その際、全国の消防本部や学会等から提案を広く受け付けたのですが、久留米市消防本部から本件に関して投与対象の拡大、そして、岸和田市消防本部から投与対象及び投与方法の拡大について提案がなされました。
そこで、同委員会の中で処置の効果、必要性、難易度等を検討した上で、下の評価の概要のところに書いてあります理由の、当該処置の実施に伴う、誤って投与された場合の危険性、知識・技術の習得や資器材の配備に要する負担、医療機関搬送までの時間の遅延等に比して、傷病者の症状の悪化を防止し、自主的状況を回避することの利点がより大きいと想定されるため、評価結果としましては、本処置を特定行為として追加することが望ましいというような結果を得ました。
ただし、一番下の付記のところにあるように、アナフィラキシーの判断基準とアドレナリン投与対象の詳細、アドレナリンの適量投与のために必要な手順等の詳細、ヒューマンエラーの防止策、新しい処置追加のために必要な講習等の詳細について、効果、安全性の両面から厚労科研等で明らかにする必要がある。さらに、アナフィラキシーに使用する場合と心肺停止に使用する場合の投与量、投与方法の区分などについて、オンラインで指示を出す医師へも周知が必要である。このようなことから、カテゴリー分類としては、処置の追加をするにはさらなる研究、検討が必要なものというカテゴリーⅡに分類されておりました。
そこで、本提案に関して研究・調査を進めてまいりました。次のページに研究についてお示ししております。
まず、令和3年から5年度の厚労科研「救急救命士が行う業務の質の向上に資する研究」において、本提案を特定行為として追加するために明らかにすべき事項のうち、アナフィラキシーの判断基準とアドレナリン投与の対象(適応)の判断基準の策定、必要な講習プログラムの策定を行いました。さらに、救命士によるアナフィラキシーの判断及びアドレナリンの適応の判断に関する精度の検証を行っております。
具体的には、令和3年度に判断基準の策定を行い、その次年度にその判断を支援する観察カードと救命士に対する研修プログラムの作成を行いました。そして、それらの実効性を検証する第1段階としてシミュレーション研究を実施しております。シミュレーション研究に関しては参考資料5につけておりますので、御参照ください。
そして、このときの結果ですが、まだ判断のエラーが多いという結果でしたので、観察カードと研修プログラムのブラッシュアップを行いまして、昨年度、実効性を検証する第2段階として、全国の消防本部・MC協議会から参加団体を募り、救命士の参加を得まして、実際の救急現場における搬送傷病者を対象とした観察研究を実施しております。
簡単に概要図を下に示しておりますが、病院前で救急救命士が傷病者と接触した際に、観察カードを用いて、搬送途上でアナフィラキシーかどうか、アドレナリンの適応があるか、この2項目についてチェックを行います。そして、同患者を搬送し、病院到着後の医師の判断、アナフィラキシーと診断したかどうか、またはアドレナリンの適応があるか、30分以内に投与されたかどうかというものを突合するという研究を行いました。もちろんこの研究におきましては観察研究ですので、実際の薬剤投与は行っておりません。
また、次のページに移りまして、昨年度の内閣府の「特区制度を活用した救急救命処置の先行的な実証に向けた調査・検討業務」の中で、救急救命処置の先行的な実証のためのプロトコル等に関する検討やメディカルコントロール協議会等の選定要件の策定を行っております。
こちらの観察研究と調査・検討業務に関しては、後ほど田邉先生から詳細に説明していただきます。
本日御議論いただきたい内容に関しては、その次のページにまとめております。
上段ですが、本処置は、救急救命処置検討委員会において、特定行為として処置に追加することが望ましいという結論を一段得ているものでございます。
ただし、さらに追加検討が必要というものでして、上記について明らかにするために、昨年度に研究・調査事業を実施しておりました。
その内容により、救急救命処置検討委員会における懸念点が解消されているか、また、処置検討委員会における評価は令和3年の救命士法改正前に決められたものですので、令和3年の救命士法改正を踏まえて、本提案に対する評価の変更や追加で検討すべき項目があるかどうかについて皆様から御意見をいただきました上で、実施体制の整った地域において、まずは先行的にこの処置の拡大を実証することについての可否を本日御議論いただきたいと考えております。
実証する場合においても法令等の改正が必要になります。そこで、次のページにお示ししますが、現行法令等におけるアドレナリンの取扱いについて、現行の救急救命士法令等におきましては、心肺停止状態の重度傷病者に対しては、医師の具体的指示の下、アドレナリンの投与が可能と記載しております。一方、非心肺停止の傷病者に対しては、具体的指示の下、投与可能な薬剤というのはブドウ糖溶液のみと記載しておりますが、ただし、あらかじめ自己注射が可能なアドレナリン製剤を交付している場合に限り、医師の包括的指示の下、当該製剤におけるアドレナリン投与が可能、この水色の丸のようになっております。
そして、今回の実証を行う際の案ですけれども、次のページに示しているように、今回の提案におきましては、非心肺停止のアナフィラキシー傷病者のうち、あらかじめ自己注射が可能なアドレナリン製剤を交付されていない場合、このピンクで斜線が引いてある部分に対して、医師の具体的指示の下、アドレナリンの投与を可能とするというふうに、このイメージに合うように法令等の改正を行って、さらに実証ですので、附則のところに適応となる期間や実施できる消防本部等を限定して実施したいと考えております。
最後のページに、本提案に関して実証に進む場合の今後の進め方を記載しております。
本年度中に、本ワーキングにおいて先行的な実証の可否について結論を得たいと考えております。さらに、その結論を踏まえて、厚生労働省内において実証について最終的な判断を行います。もし実証に進む場合は、来年度以降目途に実証に参加する地域を募集し、安全に実証を行う体制が整っている地域をまず選定します。そして、当該処置実施に関連する法令等の整備を行い、準備の整った地域から実証を開始したいと考えております。
本提案は、冒頭で申し上げたとおり、投与対象の拡大、投与方法の拡大の2つの意味を持つものになります。そこで、実証に関してもこの2つを段階的に行いたいと考えております。
まず第1段階目では、自己注射が可能なアドレナリン製剤のみを用いて投与対象の拡大、あらかじめそれらを交付されていない者に対しても投与できないかという実証を行いたいと思っております。そして、その状況を踏まえまして、また、安全性に配慮しつつ、プレフィルドシリンジの製剤を用いた実証を2段階目で行いたいと考えております。
これらの実証の結果をもって、全国的な処置拡大についても速やかに検討したいと考えております。
資料2の説明は以上になります。
○児玉座長 そうしましたら、資料3と4について、田邉構成員より御説明をお願いいたします。
○田邉構成員 救急救命東京研修所の田邉晴山です。
まず、資料3として、厚生労働科学研究について御説明したいと思いますが、先ほど御紹介がございましたとおり、研究代表者の坂本哲也先生がどうしても参加がかなわないということで、私のほうで代わって説明をさせていただきます。
資料3を1枚めくっていただきまして2ページ目ですけれども、研究の背景については先ほど東様から御紹介があったとおりでございます。エピペンの処方を受けていない傷病者にもエピペンを投与できないかということで、研究の目的はアナフィラキシーを救急救命士が適切に現場で判断できるか、あるいはアドレナリンの適用を適切に判断できるか、これを確認しようということでございます。
4ページ目ですけれども、方法は、御紹介があったとおり、処置は実施せずに判断だけを行う前向きの観察研究ということです。現場で実際に救急業務に従事している救急救命士の方に御参加いただいて、救急救命士による現場でのアナフィラキシー判断とエピペンあるいはアドレナリンの投与の必要性の判断と搬送後の医師によるアナフィラキシーの診断、あるいはアドレナリン製剤投与を実際に行ったか行わなかったか、それを照らし合わせて判断の正確性を確認するといった研究でございます。
5ページの方法ですが、活動中にアナフィラキシーを疑った場合に、救急救命士は観察カードを用いて、アナフィラキシーかどうか、あるいはエピペン(アドレナリン)が必要かどうかといった判断をして、それを病院到着前までに記録する。搬送後に、医師にアナフィラキシーと判断されたか、あるいはアナフィラキシーの病態改善を目的としたアドレナリン製剤の投与が行われたかを医師等に確認して、それを救急救命士がデータを取りまとめた上で、研究班のデータベースに登録する。その結果を確認するといった手順でございます。
6ページ目に観察カードといったものをお示ししています。これは判断フローに従って、どの救命士も一定の基準で判断できるようにということで、アナフィラキシーガイドライン2022という最新のガイドラインに従って、チェック方式で作成したものです。
7ページに詳細を記載してございますが、まずアナフィラキシーを疑った場合には、エピペンの処方を確認する。エピペンの処方がされていれば、既にエピペンの使用が可能ですから、そのプロトコルに従って実施する。エピペンの処方がない場合には、A1、A2、左側のラインとB1、B2、右側のラインをそれぞれ確認する。何を確認するかというと、皮膚・粘膜症状があるかないか。その上で、呼吸器・循環器・消化器の症状があるかないか。右側、明確なアレルゲンへの接触があるかないか。その上で、呼吸・循環器の症状があるかないか。これを確認して、いずれかの症状があれば③として、とはいえ、それ以外の可能性もございますので、アナフィラキシー以外の可能性がないかどうか確認して、それがなければアナフィラキシーの可能性が非常に高いと判断する。そういった手順になっています。
その上で、8ページ目ですけれども、アナフィラキシーの可能性が非常に高ければ、次に重度の呼吸・循環・意識の障害がないかを確認して、いずれかに障害があれば、これはエピペンの必要性が高いと判断する。こういった手順になっています。
その上で、9ページ目ですけれども、左側、アナフィラキシーであると救急救命士が判断したか、あるいはアナフィラキシーでないと救急救命士が判断したか。上の段ですけれども、医師がどのように判断したかによって、2掛ける2の表を作って、これで評価しようといった手順でございます。
10ページ目ですけれども、我々はどういった思想からこの研究を行ったかといったことを示すものですが、医師が判断するアナフィラキシーというのが外側の枠です。内側が救急救命士が病院前で判断する枠、その中にアドレナリンの対象となる人たちがいるだろうと。医師が病院に来てからいろいろな検査をした上で判断できるアナフィラキシーの範囲と、救命士が病院の前で判断できる範囲は異なるだろうと。
医師が判断するぎりぎりまでを評価しようとすると、それは11ページ目ですけれども、医師の判断になるべく近く救命士も判断しようとすると、どうしてもはみ出してしまう部分が出てくる。そうすると、アナフィラキシーでない人をアナフィラキシーと判断してしまうことになるので、これはできるだけ避けたいよねということ。
次の12ページ目ですけれども、アナフィラキシーでない人をアナフィラキシーだと救命士が判断してしまうと、その中に重度の呼吸・循環・意識障害の方も含まれてしまう。そうすると、アナフィラキシーでない人にアドレナリンが必要と判断してしまう。こういったことは避けたいよねということで、13ページのように、医師が判断できる範囲よりももう少し狭い、明らかにアナフィラキシーだと判断できるようなもの、分かりやすいアナフィラキシーを救命士が同定しよう。その中で、現場でアドレナリンを投与せざるを得ない事例に対して投与しよう。こういった形で、3つの丸がだんだん小さくなる。そんな形が理想だろうということで研究を進めたということでございます。
14ページはスケジュールでございますが、2023年の5月から参加いただく消防本部の応募をして、トレーニング等をした上で、7月から準備の整ったところから症例登録をいたしました。もう少し時間がかかるかなと思いましたけれども、多くの方に御参加いただきましたおかげで、10月末に全ての症例登録の期限を終えて、3月に最終報告という形でできました。
右側ですけれども、事前学習として140分、参加いただいたのが51の団体、消防本部数にして83団体、参加救急救命士としては3,500名の方に御協力いただいたということでございます。
その結果が15ページ以降でございますが、期間中に12万件もの搬送件数がございまして、その中で救急救命士によってアナフィラキシーの疑いがあるとされたものが986件でした。その986件に対して観察カードを使用したわけですが、エピペンの処方があって既存のプロトコルにのっとって対応したもの、あるいはこれは救命士の判断を問うものですので、医師の判断が関わったものについては除外しようということで、ドクターカー等で救急救命士の判断への医師の関与があったもの38例については除外して、また、医師の最終判断の情報がなかった152件を除外した691件が救急救命士がアナフィラキシーを判断したと。その上で、救急救命士がアナフィラキシーだと判断したのが442件、アナフィラキシーでないと判断したのが249件と、そんな流れでございました。
それを整理したものが次の16ページですけれども、結局、先ほど2掛ける2表の結果、こんな数値になりました。この数字については後から御紹介します。
救急救命士がアナフィラキシーと判断した442例の詳細は17ページのとおりですけれども、今日は割愛をさせていただきます。
その上で、2掛ける2の表の結果が18ページでございます。アナフィラキシーであると医師が判断して、救命士もそのとおり判断したというのが369件、我々がなるべく避けたいねとしたものが、アナフィラキシーでないと医師が判断して、にもかかわらず救急救命士が現場でアナフィラキシーであると判断した赤色のところ、これは73件あったという結果でございました。
感度、特異度、陽性的中率等はこの結果です。感度が74%、特異度については99.97%、陽性的中率については83.5%ということでございました。
我々が避けたいとしたこの73例は、どうしてこういう違いが起きたのかといったことをつぶさに確認したのが19ページでございます。73例の偽陽性例の検討でございますが、内容を見てみますと、初診医の判断としては、アレルギーとしたのが27件、蕁麻疹と記載されたのが19件、その他、こういった形で記載されているわけですけれども、これをよく見てみますと、アナフィラキシーというのはアレルギーの中の一部分だということで、もしかしたら先生の中にはアナフィラキシーといった細かいところまで言わずに、全体としてこれはアレルギーの一種だねというような形で診断を記載されたのではないか。
あるいは一番下のところの来院時心肺停止ということで、来られたときに心臓、呼吸が止まっていたという事例ですけれども、これはアナフィラキシーが原因で心肺停止になったけれども、診断としてはより重度の来院時心肺停止と書かれたのではないかといったことで、救急救命士と医師の判断が異なった要因として、より包括的な傷病名あるいはより分かりやすい傷病名、より重篤な傷病名を医師が記載したのではないか。あるいは、アナフィラキシーというのは症状が急に強く出たり、すぐにその症状が消えたりといったことがあって、医師の判断と救命士の判断の時点が異なるので、それによって影響を受けたのではないかと考えたわけですが、これも我々研究を実施している側で判断するというのは僣越だということで、専門医に検証を依頼して、救急救命士観察時の判断の妥当性を評価してはどうかといったことで評価をすることといたしました。
20ページは時間の関係で割愛させていただいて、21ページですけれども、21ページは我々がこれは避けなくてはいけないねと言っていたものです。どういうことかというと、救急救命士がアナフィラキシーだと判断して、エピペンあるいはアドレナリンの適応だねと判断したにもかかわらず、そもそも医師がアナフィラキシーではないよと判断した事例です。それが7件ございました。
7件をつぶさに見てみますと、こういった記載です。事例①を見てみますと、これは4歳女児で、救命士の観察としては呼吸数30、脈拍138、血圧74/48ということで下がっている。全身の蕁麻疹があって、全身性の搔痒があって、低酸素血漿と吸気性喘鳴がある。SpO2が90%以下と吸気性喘鳴がある。重度の呼吸不全と血圧が下がっている90未満ということで、重度の循環不全ということで、救命士はエピペンの適応もあると判断したわけですけれども、医師の判断としてはアレルギーという判断になっているということでございました。
また、事例の③ですけれども、先ほど御紹介した心停止の事例でございますが、救命士の観察時点では呼吸数ゼロ、脈拍ゼロ、血圧も振れない。全身性の搔痒があって呼吸困難があったということで、エピペンの必要があると判断したわけです。これはハチの刺傷後の症状でしたので、アナフィラキシーだね、エピペンの必要があったねとしたわけですけれども、医師の判断としては来院時心肺停止といった結果でございました。
この7件を見てみますと、いずれもアナフィラキシーと判断していいのではないかなと研究班として思ったところですけれども、これも我々が自分たちで判断するよりは、専門医に検証を依頼して、救急救命士観察時の判断の妥当性を評価したほうがいいのではないかということで、22ページでございますが、日本アレルギー学会専門医3名の方に対象症例の偽陽性とされた73例を見ていただいて、判定をいただきました。
ただ、これも偽陽性73名ですよという形で示すと、見ていただく先生方も先入観が入ってしまうということで、医師も救命士も意見が一致した例、真陽性や真陰性、あるいは偽陰性例も混ぜ込んで盲検化した全120例について、日本アレルギー学会の専門医の3名に御確認いただいたところ、結果、右側ですけれども、73名の中で55件についてはアナフィラキシーと判断していいのではないかといった御意見をいただきました。
その上で、日本アレルギー学会の専門医による偽陽性例の再評価を踏まえて修正したのが23ページでございますが、このように、18例が救急救命士がアナフィラキシーであると判断したが、医師がアナフィラキシーでないと判断した事例として捉えていいのではないかということでございました。
次の24ページでございますが、先ほど御紹介した我々が避けなければいけないねと判断した、当初想定していた救急救命士がアナフィラキシーと判断してエピペンも必要だと判断したけれども、そもそも医師がアナフィラキシーではないよとした事例については、日本アレルギー学会専門医の評価では、7件はいずれもアナフィラキシーとして捉えていいのではないかといった御意見をいただいたところでございます。
その上で、それを踏まえて書き直した先ほどの3つの丸でございますが、結果、医師が判断したアナフィラキシーというのは555件ございまして、救急救命士が判断したアナフィラキシーが442件あって、医師はアナフィラキシーでないと判断して救急救命士がアナフィラキシーと判断したものが18件ということで、できるだけ避けたいねとしたものは18件ございましたが、避けなくてはいけないねとした、医師がそもそもアナフィラキシーではないよと言った事例に対して救急救命士アドレナリンを適応と判断した事例といったものはなくて、救急救命士がアドレナリンの適応だと判断したものはいずれも医師がアナフィラキシーと判断したという結果を得ることができました。
最後26ページでございますが、観察研究の結果のまとめでございます。
アナフィラキシーの傷病者は、全搬送人員数の0.3%。うち、重度の呼吸・循環・意識障害を示すものは30%ということで、全体の0.1%でございました。
医師のアナフィラキシーの診断(補正後)を基準として比較した場合、救急救命士による判断の正確性について、感度は76%、特異度は99.99%、陽性的中率は95.9%、陽性尤度比というのは76でございました。
救急救命士がアドレナリンの適応であると判断した事例について、搬送先の医師もしくは事後に検証した日本アレルギー学会専門医は全例アナフィラキシーであると判断したという結果でございました。
この結果を受けて、我々研究班としては、救急救命士は観察カードなどを用いて観察すれば、アナフィラキシーやアドレナリンの適応をおおむね正確に判断できると言えるのではないか。
ただし、先ほどの18例という例については、救急救命士がアナフィラキシーと判断したものの、医師がアナフィラキシーでないと判断した事例がございましたので、これはオンラインによる医師の指示の下に処置を実施するほうがより安全、適切ではないかと考えるところです。
なお、このアナフィラキシーをおおむね正確に判断できるのではないかというのは研究班の意見でございますが、これについては、後ほど御紹介しますが、日本アレルギー学会あるいは日本救急医学会、日本臨床救急医学会あるいは全国消防長会の代表の方に今御提示したものをお示しして御評価をいただいたところ、救急救命士はアナフィラキシーやアドレナリンの適応をおおむね正確に判断できると捉えていいのではないかといった御意見をいただいたところです。
雑駁ではございますが、資料3についての御説明は以上になります。
○児玉座長 それでは、続きまして、資料4のほうも御説明をお願いいたします。
○田邉構成員 資料4については、先ほど東様から御紹介いただいた、内閣府から事業費を頂いて、日本救急医療財団のほうでその下に設置された委員会で検証した、厚生労働科学研究の結果を踏まえて、実際に複数の地域で処置を行う際に必要な準備を調査・検討した報告書ということでございます。
報告書概要版ということですが、めくっていただきまして2ページ目、概要版といえ、総論から各論①から⑩まで合計22ページですので、かいつまんで御紹介したいと思います。
まず3ページ目ですが、真ん中のところ、検討体制でございますが、構成員名簿というのを一番最後の22ページに載せております。これも坂本哲也先生の下で、先ほど御紹介した厚労科研に参加したメンバーを中心に、経験豊富な救急救命士あるいは消防機関の管理責任者、救急医学・救急医療の研究者の方々に御参加いただきまして、今日御出席いただいています佐々木構成員あるいは細川構成員にも御尽力をいただきながら議論を進め報告書としてまとめたものです。
また、アドバイザーとして全国消防長会、日本救急医学会、日本臨床救急医学会、そして、日本アレルギー学会の代表理事の皆様にアドバイザーとして御参加いただきまして、専門的な立場から助言を得ながら進めております。
また、オブザーバーについては、関係省庁の皆様あるいは団体の理事長の方に御参加いただきながら、実際の制度設計や運用に反映させやすい環境を整えるといった形で進めてまいりました。
その上で、4ページ目ですけれども、各論①で実証事業における研究デザイン・倫理審査に関する検討をまず行いました。これは救急救命士が処置を実施する、その実証をするに当たって、その効果を確認する方法として、研究として実施するのか、あるいは実施する場合の効果検証をどのようにするのか、倫理審査上問題ない方法でどうやって行うかといったことを最初に検討いたしました。真ん中のところですけれども、この実証あるいは処置の有効性について検証するに当たっては、アドレナリン製剤を投与した場合、傷病者の転帰がそれによって変わるのかどうかといった点を評価することが妥当なのだろうと思いますけれども、一方で、救急救命士によるこの処置の実施の効果や安全性については、考えてみると、既にガイドラインではアナフィラキシーに対するアドレナリン製剤の第一選択薬として長く位置づけられていて、薬効自体は既に確認されている。また、それを病院前に使うといったことについても、エピペンという形で傷病者本人が病院前で使用しているのが広く行われていて、効果、安全性についても確認されている。
また、先ほど御紹介したとおり、救急救命士の判断についても観察研究で一定程度適切に判断できるというようなことが確認できた。加えて、実証に当たっては、さらにオンラインで医師がダブルチェックを行う体制を取るよといった点、また、手技についても、既に救急救命士はエピペンを使用していますし、シリンジの使用も既に実践しているという点から考えると、改めて介入研究を実施する必要性は高くないだろうと。また、介入研究を実施するにしても、救急医療の現場で傷病者から参加承諾を得ることを前提とした研究の倫理指針に従って同意を得るといったことは、現実的には困難である。
そんなことを踏まえまして、3つ目の枠のところの1行目ですが、実証事業は、事後検証体制も含め、MC体制を確保した上で、消防機関の通常業務として位置づけて実施することとしてはどうか。通常業務として位置づけた上で、その中で検証を行ってはどうかといったことで判断をいたしました。
事後検証については最後のところですけれども、業務において収集したデータをレジストリーとして登録して、それを研究班が解析することで効果と安全性を検証する。こんな体制を取ってはどうかということで、その体制を前提にそれ以降の各論を検討したということでございます。
実際のプロトコルでございますが、幾つかページがございますが、6ページに具体的に示していますので、これで御紹介したいと思います。
通常、こういったプロトコルは救急救命士の行う措置のみを記載するのがこれまでの一般的なプロトコルでございましたが、今回、オンラインMCによる指示もより重要な役割を果たすということで、救急救命士とオンラインMCの行為を2つ並行に並べている形で示しています。
御紹介しますと、アナフィラキシーを疑うと、先ほどと同じようにエピペンの処方、所持の確認をすると。処方、処置があれば既存のプロトコルに従えばいいわけですけれども、なければ先ほど御紹介した観察カードを使用して、アナフィラキシーを強く疑って、さらに重度の呼吸等の障害がある場合、あるいは小学生以上である場合であれば、オンラインMCに指示を要請する。
右側に移りますが、指示要請を受けた医師はアナフィラキシーとアドレナリンの適応を判断して、これはアナフィラキシーである、あるいはアドレナリンの適応があると判断した場合には、アドレナリンの筋肉内注射と投与量の指示を行う。その指示を受けて、救命士側では薬品名、投与量、投与経路のダブルチェックを行った上で、アドレナリンの筋肉内注射を実施する。必要に応じて事後報告を医師に行って、医師はその報告を受けて必要な指示、指導・助言を救命士に送る。救命士は継続観察をしながら搬送する。こんなプロトコルをつくっています。
次の7ページでございますが、7ページは実際に救命士が行う手順を改めて記載したものですけれども、観察カードは厚労科研のほうで比較的いい結果が得られましたので、その観察カードを微修正した上で使用する。観察カードを使用しながらアナフィラキシーの判断を行って、重度の呼吸・循環・意識障害があれば、オンラインMCによるアナフィラキシーとアドレナリンの適応の判断の指示を得る。
最後のところ、指示の復唱とダブルチェックということで、救急救命士はMCの指示を復唱し、隊員間で共有する。MC側においても、救急救命士の復唱を聞き、自身の指示が正確に伝わっていることを確認する。その上で、救急救命士は投与の準備をした上で、薬品名、投与量、投与経路について、ほかの隊員とダブルチェックを行うという形にさせていただきました。というのは、これまで救急救命士の処置の中には投与量とかを調整するといった場面がございませんでしたので、やはりここは重要なところということで、復唱とダブルチェックといった項目を強調して記載したところでございます。
次の8ページでございますが、これは手順を示したもので、割愛をさせていただきます。
9ページでございますが、先ほど東様からも御紹介がございましたが、アドレナリンを救急救命士が投与するに当たっては2つの方法がある。一つはエピペンという自己注射製剤を使う方法と、もう一つは救急救命士が心臓機能停止に対する薬剤投与の際に用いているアドレナリンプレフィルドシリンジを用いて実施する方法の2つが考えられましたので、その長所と短所を整理いたしました。
結論を申し上げますと、9ページの右側の「結果は以下のとおり」のところですが、エピペンは操作が簡易で準備時間は短いが、投与量の調整ができずにコストが高く、有効期間が短い。一方で、プレフィルドシリンジ製剤を用いてやる方法は、投与量の調整が可能でコストが安く、有効期間も長いわけですけれども、準備に時間がかかり、針刺し事故等のリスクがやや高いということでございます。
その結果に結びつけるために細かい比較をしたものが10ページでございますが、エピペンとプレフィルドシリンジを用いたもの、有効期限については、エピペンは10か月から1年程度、もう一方のほうは3年程度ですよとか、経費については、エピペンですと救急車1台当たり2万円、ないしは2種類用意すると4万円。一方で右側のほうは230円程度ですよとか、あるいは薬剤管理がエピペンの場合は1種類増えるので、実際に消防の救命士の方は救急車に乗るたびにどんな薬剤が今手元にあるか毎回毎回確認しておられるわけですけれども、その確認の負担が増えるという一方で、投与準備についてですが、エピペンのほうは薬剤の使用期限等を確認して安全キャップを外すという形で準備ができますけれども、プレフィルドシリンジのほうは薬剤の使用期限等を確認した後に、シリンジのキャップを外して、注射針を取り付けて余剰の薬液を廃棄するといった手間がかかる。時間については、エピペンは数秒程度で簡易に実施できますけれども、アドレナリンのプレフィルドシリンジのほうでは20秒程度で、簡易ではありますけれども、エピペンに比べればやや手間がかかる。あるいは12番ですけれども、訓練については、エピペンは既に使用しているということで特段の訓練は必要ありませんが、右側のほうでは新たな訓練が必要になる。こんな差異があるということでございます。
次の11ページでございますが、小児に対するアドレナリンの筋肉内注射についても検討を行っています。救急救命士のアナフィラキシーの小児に対する使用について、容量だとか手技、適応年齢について検討したものです。
真ん中のところ、表として整理していますけれども、エピペンは0.15mg、緑色のものと0.3mg、黄色のものがございまして、適応年齢、このような形になっています。これは小児のアナフィラキシーを専門とする先生に相談しながら作成したものですけれども、こういった形で適応になっていて、また、プレフィルドを用いるものについては細かく設定できるということで、3段階で0.2mg、0.3mg、0.4mgという形で、各学年、年齢あるいは体重に応じて使うとするとこういった形になるわけです。
ただ、小児に対する穿刺の深さ、穿刺位置について検討いたしましたけれども、大体中央部の穿刺を深さ15mmとすると、体重が15kg以下の4歳未満の場合には筋肉量が少ないことから骨髄に到達してしまうとの報告があるということで、安全域を取ると6歳以上が対象になるのではないか。これはエピペンにしてもシリンジにしても15kg以上となりますが、それぞれ平均で15kgということでありますから、傷病者ごとに見てみると、安全域を取る必要があるということで、6歳以上を対象としたほうが安全だろうと。
また、小児については、例えばアレルゲンの確認をするにしても、状況聴取が難しい。あるいはシリンジを用いた投与方法では最低投与量の制限があるといった点からすると、少なくとも当初は未就学児への対応は困難であるということで、実証事業においては未就学児を除いた小児を対象とすることが妥当だろうといった結論となりました。
次は12ページですけれども、これは必要な研修教材あるいは教育体制について準備したものでございますが、観察カードを用いて判断するといったこと、あるいは実際の手順をどうするか、こういった動画等を準備した上で教材を整えました。
また、13ページには、アナフィラキシーに対するアドレナリン投与を安全に行う上で必要な追加の講習カリキュラムを整理いたしたものですが、講義については、右下ですけれども、講義については5時限。
めくっていただいて14ページですけれども、同じように実習についても5時限の追加が必要だということで、既にアナフィラキシーに対してアドレナリンのエピペンの使用というのは一定程度しているということで、基本的な知識、基本的な手技は、既に身につけているという前提の中で、さらに今回追加することとして講習5時間、実習5時間ということが必要だろうと判断したわけでございます。
その上で、15ページ以降ですけれども、今度は医師側あるいはオンライン、メディカルコントロール体制のことについても要件として触れています。
まず真ん中のところ、これは消防本部とMC協議会に求められる要件でございます。例えば2つ目です。実証の実施については、地域で適切な周知を行い、必要に応じて住民説明会等を開催できること。3つ目、本事業で作成した研修カリキュラムに基づき、実証を行う全ての救急救命士に対して研修を実施し、修了認定を行うこと。また、4つ目、救急救命士に指示を出す全てのMCに対する研修を実施し、修了認定を行うこと。また、6つ目、MC協議会が関わるインシデント、有害事象、事故等に対する危機管理の対応要領を定め、それに基づいて対応できること。7つ目、本事業で定めた各種データを収集し、レジストリーに登録できること。そんなことを消防本部とMC協議会に求められる要件としてつくらせていただきました。
また、指示を出す医師についても、オンラインMCに求められる要件として、3つ目の枠ですけれども、心停止や低血糖などの既存の処置に比べるとアナフィラキシーの判断は比較的高度である。そういった中で、救急救命士が陰性を陽性と判断するリスクがある。先ほど18例ございましたけれども、そういったリスクもございますので、オンラインMCが適切に指示、指導・助言できる体制の構築が必要で、オンラインMCには必要な研修事業を受けていただく必要があるだろうということで、オンラインMCに求められる要件として、アナフィラキシーガイドライン2020による診断基準だとか、あるいは救命士がどのように投与を行うかといったプロトコルだとか、救急救命士が使用する観察カードだとか、実際にどのように投与するのか、先ほど2つの方法があるといったことを御説明しましたが、その投与方法だとか、そんなことを医師のほうには研修として修めていただく必要があるだろうと定めています。
残りあとちょっとでございますが、16ページですけれども、今度は医師の指示記録票ということで、指示する医師側も記録を残す必要があるだろうということで、ただ、この記録を残すにしても、救命士側と同じような考え方でやったほうがいいだろうということで、救命士の観察カードに準拠したような形で医師の指示表というのを準備しています。そちらのほうはよりコミュニケーションが取りやすいだろう、あるいはミスリードが起きないだろうといったことで判断でございます。
その上で、17ページ、18ページはアドレナリンを投与することで実際に生じる副反応等をまとめていまして、また、19ページのところ、救急救命士が地域でアドレナリンの投与を行うに当たっては、やはり事故等が発生する可能性が残る。そういった中では、この新しい処置以外でもそういったことが起こり得るといった中で、起きたときに危機管理としてどのように対応するかといった要領あるいはフローチャートの例といったものを示して、各地域にそういった体制を整えていただくといったことをまとめているものでございます。
最後、⑨と⑩でございますが、やはり効果を確認するに当たっては、それぞれの地域で行っていただくことと併せて、研究班なりが全国的にデータを収集して効果あるいは安全性について確認する必要があるということで、各地域で参加するメディカルコントロール協議会あるいは消防本部にはここに記載してあります必要なデータが確実に登録できる体制をつくっていただく。その上で御参加いただくという形が検証のためには必要だろうということで、具体的な必要データ項目等を記載しています。
残りの⑩、最後のところですが、やはり住民についての広報も重要だろうということで、研究として行うものではなくて事業として行うものでございますが、それでもなお、傷病者となり得る住民には御理解いただく必要があるということで、研究班でポスターとか、あるいはホームページといったものを用意して、こういった形で住民の理解を求めていただく。そんな準備を整えたところでございます。
ということで、長く説明をさせていただきましたけれども、先ほどの22ページのこのメンバーで、実際に各地域で実証を行うに当たって必要な準備について調査・検討をいたした、その報告書を御紹介させていただきました。
以上でございます。ありがとうございました。
○児玉座長 田邉構成員、丁寧に御説明いただきありがとうございました。
それでは、構成員の皆様から御意見を伺いたいと思います。
進め方ですが、まず資料全体への質問や、事務局資料2の5ページにありますように、この御議論いただきたい内容ですけれども、救急救命処置検討委員会での懸念点が解消されたか、また、救命士法の改正を踏まえて、本提案に対する評価の変更や追加で検討すべき項目があるかについて御意見をいただきたいと思います。
手順ですけれども、一通りまず御意見をいただきたいと思います。その後、2順目で先行的な実証の今回の提案の可否について御意見を伺いたいと考えておりますので、そのようによろしくお願いいたします。
また、御発言の際には、議論を円滑に進める観点から、御意見か御質問か、質問の際はどなたに対する御質問かを明確にして御発言をお願いいたします。オンラインの方も含めてどうぞよろしくお願いします。
いかがでしょうか。
では、本多構成員、お願いいたします。
○本多構成員 意見ということで、まず全般的な話から確認という意味で話をします。
ガイドラインとか、医療事故とか死亡統計とかで、どれぐらい年間アナフィラキシーで亡くなっているということをまず御存じかどうかということですけれども、構成員の方で大体イメージは分かりますか。
答えを先に言うと、統計とかにあったとおり、恐らく50~60人前後だと思います。ただ、それは避けられるというか助けられたかもしれないというものなので、多分こういった事業が始まったということなので、限られた数をやるということに対してこれだけの労力をするということはかなり急ぐのではないかなと思っています。
あとは、私は救急医ですので、どれくらいの頻度かと。これは後からまたプロトコルとかの話が出ると思いますけれども、経験数で言えば非常に少ないと思います。私自身も数えられるぐらい実際にアナフィラキシーショックで打っている人がいます。数は全体的な経験にすれば当然ありますけれども、そういった中でこれだけ救命士が頑張ってやろうというところというよりも、今回、社会的に必要な、年間100人ぐらい亡くなっている。実はもっと多いのかもしれませんけれども、その数をとにかく減らしたいということでやっているということをまず我々もやっていることを理解してもらって、そうなると、どういう方針で行くかという形になってきたときに、やはりやらないよりやったほうがいいだろうという感覚、我々救急の治療などは、振り返ってあのときやっておけばよかった、しておけばよかったというときに、迷ったらやっておくというのは、助けられない、時間は遡れませんので、そういった意味からすると、今回の形を進めるに当たって、条件をどんどん厳しくするのではなくて、事後検証をしっかりして進めていくという形を追加でやっていけばいいかなということになります。
やる前にこういう条件づけをしたとしても、結果、今まで救命士は国家資格を持っていますので、さっき田邉構成員がおっしゃったとおり、アドレナリンの知識等は学んでいるはずだし、研修にしていって追加講習とか処置拡大とかと言っていますけれども、もともと持っているものをやるというので手順を追加するという形なので、現場の医師としての救急医からの意見とすれば、安全というのはとても大事かもしれませんけれども、やはりやらないで亡くなった人のほうが多かったという事実はここでお話しして、私の経験でもやはりもっと早く打っておけば助かったのにとか、動物咬傷であったり、いろいろなアレルギーがあるのです。それも到着までに心停止になってしまうと、それは助けられないので、やはり現場で打てるということはかなり、そういった中でこの議論が進めばいいかなということで、救急医としての全体の意見として、方針ですかね。そういった形で、一般の医師、救急以外の医師とか、現場で目の前でアナフィラキシーで亡くなった人を見たことがないとか、そういう経験が少ない方があまりにも多いものですから、今日ここでこの話はしておいたほうがいいかなということで、伝えたいと思います。
以上です。
○児玉座長 貴重な御意見をありがとうございます。資料2の5頁にあります、御議論いただきたい内容の一番最初にも、①が効果で、②が頻度という話がありまして、資料3の一番最後の26頁にあります観察研究の結果のまとめのほうにも、アナフィラキシーの傷病者は、今回の観察研究では救急搬送人員の約0.3%で、うち重度の呼吸・循環・意識障害を示すのは約30%という話があって、私も頻度やどのぐらいの方が亡くなっているのか、どのぐらいこれが重要な研究かというのを示しておくのは非常に重要だと思います。ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。どなたでもお願いいたします。いかがですか。
加納構成員、よろしくお願いします。
○加納構成員 質問になるかと思うのですけれども、田邉先生に教えていただきたいと思うのですが、資料3の18ページで救命士と医師の判断の比較という形で、最終比較の専門医を入れたものの比較の丸グラフが出ていたのですが、ここの丸グラフはわざと外してあったのか、出ていなかったのですけれども、いわゆるBのところで、Cはさすが医師が判断したという判断で非常にいいことだと思うのですが、残念ながら専門医に見せると、73人中75%はアナフィラキシーだった、特に1人は亡くなっているという状況下で、これを上げるために、多分先ほど説明があった資料4の16ページ等ですかね。オンラインMCの指示記録票という形で、実際的には今回使った観察カードというのが非常になかなか正確性があったのではないかなと思うのです。これと同じように、オンラインMCが記録票という形で使ってチェックするという形で十分カバーできるということですか。それとも、オンラインMCにはこれ以外にもレクチャーするような講習を受けるという話が出ていましたけれども、ほかにどういうことをするのか教えていただけたらと思います。
○田邉構成員 ありがとうございます。
確かに医師にどこまで研修を求めるかといったところでもございますが、まずは救命士がどんな手順で判断しているのかといったところを御理解いただくということと、医師によってはアナフィラキシーのガイドラインが時々変わっているといったところに気づいておられない方もおられますので、アナフィラキシーガイドライン2022とか、あるいは今後更新されるのであれば、その内容について確認いただくというようなことを想定しています。
お答えになりましたでしょうか。
○児玉座長 加納構成員、もし追加で御質問があればお願いいたします。
○加納構成員 ありがとうございます。
この観察カードと同じような記録票を使うことによっても、かなりフォローできるという判断もあったということでよろしいでしょうか。この結果、救命士の方がこういった形で拾い上げていただいていたと認識しますと、やはりこのやり方はなかなかいいと判断して、医師もちゃんとこういうふうにやればさらなるいい結果が出るよという形で今回使うのではないかなと私は思ったのですけれども、そういう理解でよろしいのでしょうか。
○田邉構成員 そのとおりでございます。今回、救急救命士ののみの判断でもそれなりの一定の評価が出た。ですので、その評価が得られた観察カードを医師も基本的には使っていただく。さらに、そこに医師のそれ以外の知識も反映させた上で指示をしていただくという形が一番効率的あるいは安全かなと判断したところです。
○加納構成員 ありがとうございます。
○児玉座長 ありがとうございました。
ほかの御意見はいかがでしょうか。
では、喜熨斗構成員、お願いいたします。
○喜熨斗構成員 田邉先生、御説明ありがとうございました。
今の点で、MC医師への研修内容なのですけれども、救急救命士としましても、MCの医師の先生方に救急救命士の活動について御理解いただけることは非常に重要なことだと思うのですが、一方で、研修を必須にすることによって処置が実施できない地域も出てくる可能性もあると思うのですが、研修は大体どれくらいの内容、ボリュームをお考えか、もしお分かりになれば御説明をお願いします。
○田邉構成員 ありがとうございます。
これも悩ましいところで、なるべく研修していただきたいと思うと、ボリュームが増えてしまう。そうすると、それを皆さんにやっていただくといったことが難しくなる。そういった中で、1時間、2時間程度を想定していたと思います。後ほど調べて確認したいと思いますが、1時間、2時間程度のものを予定しているということでございます。
○喜熨斗構成員 ありがとうございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
では、淺香構成員、お願いいたします。
今、ちょうどオンラインの接続が落ちるというか、いらっしゃらなくなりましたか。では、ほかの方を先に優先したいと思いますが、ほかの方、何か御意見はありますでしょうか。
横野構成員、お願いいたします。
○横野構成員 先ほど御紹介いただいた資料4に関連して、田邉先生に1つお伺いしたいのですけれども、レジストリーにデータを登録するという計画が含まれていました。これは、これまであったものを活用するのか、あるいは今回新たにレジストリーをつくるということなのかということをお伺いできればと思います。
○田邉構成員 ありがとうございます。
基本的にいつ出動したとか、現場に到着するまでどれぐらいかかっただとか、医師の最終的な判断はどうだったかとかという既存にあるデータもございますし、この処置によって新たに追加しなければいけないデータ、具体的には傷病者のそのときに見られた症状だとか、あるいはどれぐらいの量のアドレナリンを使ったのか。そんなことについては新たにデータベースとして整える必要があると考えています。
○横野構成員 ありがとうございます。
そうしたデータを検証するということは、先ほど事後検証が重要だというお話もありましたけれども、今後ほかの処置等に関しても必要になってくることかと思っております。いろいろ倫理指針の関係がありまして、一般性を持たせた形でレジストリーを構築するということは実際はかなり大変な作業になるのではないかなと思っているのですけれども、可能であれば将来的にも様々な形でデータ利活用ができるような形というのが想定できるといいのではないかなと思いました。
以上です。
○田邉構成員 ありがとうございます。
御指摘のとおりで、既にいろいろな形で現場の救急隊、救命士の方はいろいろなデータを求められて入力している。それに新たにこういった形のものが加わるわけですから、もし我々がするとしたら、そこは効率的に消防庁の皆様にも御相談しながら進めていけたらなと思っています。
○児玉座長 ありがとうございます。レジストリーをどういうふうに作って運営していくかということで、非常に重要な御指摘かと思います。
ほかはいかがでしょうか。
淺香構成員、お願いいたします。
○淺香構成員 ありがとうございます。
確認になります。今回、一番最初のときに、事務局のほうから、まずは対象の拡大の検証、そして、その次に方法の拡大ということだったかと思うのですが、田邉先生からプロトコルをこれからに向けてお話しいただく中では、両方が一遍に入っていたかなと思いますが、まずは処方がされていない方への拡大ということが最初にあって、その次にプレフィルドの方法を含めた対応という形になっていくということでよろしいかの確認が一点。
もう一つが、それに伴って、資料の中にプレフィルドのシリンジの使用に当たっては、既に新型コロナウイルスワクチンの接種の経験がおありだということで、手技についても確認が既に実施されているということがあるのですけれども、計画の中にはやはり筋肉内注射のトレーニングも含まれていましたので、改めてこういった静脈路注入、静注にならないようなトレーニングが実際にされるのかどうかということ、その2点について確認させていただければと思いました。よろしくお願いいたします。
○児玉座長 よろしくお願いします。田邉構成員、よろしいですか。
○田邉構成員 1点目については、それぞれ一長一短ある中で、予算がどれぐらい確保できるかといったこともございますので、我々としては、この方法とこの方法があって、それぞれこんな特性があるよねといったところまで示させていただいたというところで、実際にどういう手順でやるかといったのは、この場の議論あるいは厚生労働省の判断で決まっていくのかなと私としては捉えています。
○児玉座長 エピペンとプレフィルドをどういう形で進めていくかというのは、このワーキンググループで議論すべき論点だという話かと思います。
2点目はいかがでしょうか。注射の練習について、訓練についてというのは。
○田邉構成員 ありがとうございます。
訓練についても、今、エピペンを使った方法についてはやっている。アドレナリンの筋注については、ワクチンのことの流れの中で一部経験した者がいるということです。これは全員ではございませんので、やはりもう一度その部分は改めて学んでいただく機会を設ける必要があるのではないかなとは思っています。
○淺香構成員 ありがとうございます。多分ワクチンの接種と大分部位とかもろもろの違いが出てくる可能性があるのかなと思いましたので、御検討いただければと思いました。
○田邉構成員 御指摘のとおりで、肩と大腿といった場所の違いといったものもございますから、やはり全員に受けていただく必要があるかなと思っています。ありがとうございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
加納構成員、お願いします。
○加納構成員 もう一度よろしいでしょうか。時間の確認なのですけれども、資料3の17ページに書いています観察カード使用-病院到着ということの時間が13分と書いてあるのですが、これは上の現場出発-病院到着、どこと比較すればいいのでしょうか。何をもってこの観察カード使用-病院到着が13分になったということなのでしょうか。
○児玉座長 資料3の17ページの左下のほうですかね。観察カード使用-病院到着13分というところ。
○田邉構成員 これは観察カードを使用して記載をし終わってから病院に到着するまでの時間が13分だったということです。
○加納構成員 これは観察カードを書き出したのは現場を出発していると判断していいのでしょうか。上の10分と比較して13分、3分ほど観察カードを書くのに延びてしまったよとか、そういう意味であったら、それは時間的には負担しているという考えなのでしょうか。この13分というのはどこと比較したらいいのかなと思って。
○田邉構成員 ありがとうございます。
基本的には、現場に行って、救命士が観察カードを記録しながら、いつ判断したよといったところの時刻を記載する形になっています。というのは、病院に到着してから記載したという形になると、医師の判断をした上で救命士の判断を書くという形になると、それは研究の設定上避けたいと考えましたので、基本的には病院に到着する前に判断してくださいねという研究にしています。とはいえ、そういう時間がないときにはやむを得ないです。そのときには記載をしなくてもいいよといった前提で研究を進めてきたところでございます。
○加納構成員 というのは、カードに書く、チェックするのに意外に時間を取っておれば、余計に生命に大きな影響を与えている可能性がありますので、そういうリスクを考えているかどうかという意味で調べられたのかなと。カードを書かない人と比べてどれだけかという比較をしないと時間的なものは分からなかったので、多分現場を出発する前にも書き込んでいるよということ、これは上で現場出発-病院が10分になっていますから、少なくとも13分ということを考えれば、3分間は現場で記載しているのかなということですかね。上との比較なのですけれども。
○田邉構成員 これは基本的には現場、その場で記載していただく。記載していただいた後にいろいろなそれ以外の手続をした上で出発するといったことがあるので、必ずしも記録をするために遅れてしまったといったことを示しているものではないのですが、ただ、御指摘のとおり、少しでも実際に記録することでいろいろなことが遅れてしまうというわけにはいきませんから、どんな形でそこを短くできるかといったことはもう一回検討する必要があるかなと思います。ありがとうございます。
○加納構成員 ちょっと気になったのは、これは全症例なされているので、期間中の全救急搬送の人数になっていますので、一旦はアナフィラキシーの疑いがあるかないかで、疑いがなければ瞬時に記載には入っていないということでいいわけですよね。それだとほとんど時間的に考えなくていいかな。全症例、この2万7000人かの人でこんなことを全部やっていたわけではないということでいいわけですね。
○田邉構成員 そうですね。これはアナフィラキシーだと疑って観察カードを使った人だけこういう形の時間経過を書かせていただいているということです。
○加納構成員 分かりました。
○児玉座長 貴重な御意見をありがとうございます。
ほかの方はいかがでしょうか。
では、井本構成員、お願いいたします。
○井本構成員 日本看護協会の井本でございます。
質問させてください。まず、事務局に先ほどの淺香構成員の質問に関連してお伺いしたいのですが、事務局提案ですと最初にエピペンの対応をし、その後にプレフィルド製剤の対応ということでした。その前提に立って今この研究を聞いていたのですが、エピペンは誰にでもエラープルーフになっていると思うのですけれども、プレフィルド製剤については、要は針をつけて薬液を捨てるということが発生するというようなことも含めて、手順等の詳細がこの中では具体的に説明があまりなかったような気がしています。これについて今の御検討状況を教えてくださいということ。あと、救命すべき症例ということは私も当然そう思うのですが、一方でヒューマンエラーの防止、特に静注の誤薬などは非常に注意が必要な対応だと思っています。観察カードには静脈注射は禁止と書いてあるのですが、されど、救命をすべき症例が目の前にいるときにいろいろなことが起こるだろうと思いまして、そういったときにどういう防止策を考えておられるのかということを聞きたいと思いました。
3点目が、救急車に搭載されているプレフィルド製剤というのは、私が認識している限り、これ以外の薬剤はないのかと思っているのですけれども、ブドウ糖液とかがあるのかもしれないとか思ってみたり、そこを教えてください。
あと、4点目ですが、先ほどダブルチェックとおっしゃったのですけれども、我々看護の世界でもダブルチェックは様々な方法がございます。どういった方法を想定されているのかということをお伺いしたいと思います。
4点、よろしくお願いいたします。
○児玉座長 田邉構成員、よろしいでしょうか。
○田邉構成員 ありがとうございます。
まず1つ目でございますが、私のほうで説明を割愛させていただきましたけれども、資料4の8ページ、アドレナリンの準備と記載している②のところですが、どのようにプレフィルドシリンジを使用するかということで、アドレナリンシリンジ、23ゲージ針、酒精綿の3つを用意して、清潔操作に留意しながらプレフィルドシリンジに注射針を接続する。その上で、押し子を軽く引いた後に慎重に押して余分な薬液を破棄しながら、医師の指示した投与量に設定するということでしています。これについては、動画も用意して見ていただけるようにしているということでございます。
押し子を軽く引くと言ったのは、押し子とシリンジのところが新しいものは固着している、くっついてしまっているところがあるので、そのまま押してしまうと勢い余って余計に排液してしまう心配がありますから、少し引いてくっついてしまっている部分を外した後に押して設定量にする。そんなことを動画あるいは報告書として手順を記載しています。
○児玉座長 1点目のところはプロトコルにも関わるのかなと思ったのですけれども、1点目に関しては今のお答えでよろしいですか。
○井本構成員 プロトコルの流れで。
○児玉座長 6とか7ページのほうには、特にここのプロトコルにはエピペンとプレフィルドのどちらを使うのかとか、どちらだけを使うのかみたいな話はまだこちらにはないということでよろしいですよね。
○本多構成員 今、議論がかなり細かいところまで行ってきていて、全体の話が見えなくなってきているのですけれども、恐らく今話をしなくてはいけないことは、資料2の8ページですかね。めどと書いてある①、まず、自己注射が可能なアドレナリン製剤のみを用いて実証を始め。②、その後、①の条件を踏まえということで、今議論になっているのは、恐らくエピペンの操作とプレフィルドシリンジの操作であって、これは医師の立場からも考えると、恐らくプレフィルドは事故あるいは誤投与はやはりあります。特にこういう現場だと、救急外来でもあります。そうすると、我々医療従事者の中では懸念事項がかなり高いので、できれば①を先にやったほうが早いかなと実は思っています。なぜかというと、②はクリアするハードルが多過ぎて、実際に静脈注射した例もあります。生命への危険というところがあります。そういった中でゼロでないし、ましてこれだけ医師の指示の下にとか、看護師さんたちはやっていますけれども、その確認に関しても、量をちゃんと吸ってやったかどうかというのは、人間がやることですから絶対はないのです。そうすると、0.2が間違ってそのまま1に行ってしまったこととか、聞き間違いで0.1のつもりが1行ってしまったとか、そういう本当にあり得ないでしょうということが実は起こっている中ですると、かなりハードルが高いこと。さらに、現場から離れているオンラインメディカルコントロールですけれども、そうすると、先にエピペンのほうのものをどんどんまず配備してもらって、予算化してもらってやったほうが安全ではないかなと。その後のトラブルシューティングではないけれども、起こったことに対する対応とかその手間を考えたら、それもちゃんと全国の消防本部に配って、それをちゃんとするということで、当然コストはかかるかもしれませんけれども、これは必要なコストとしてやる。
今の話を聞いていると、あるものでしかできないからやろうとしていると、実際に助けられるものも助けられないので、これだけの数を過去何人も亡くなっている方がいる中で助けようとすることに関して言えば、当然必要なものは投資する、使うという形のほうがいいかなと思うので、できればアドレナリンのエピペン等をちゃんと全救急車に整備してやる。そうすると、まず早くこれが進むのではないかなと。当然これからいろいろな行為、確かにいろいろな薬とかが入っていますけれども、まずその第1段階ができていないのであればこの①のことをまずしっかりやってもらう。
僕はさっきも何度も言いましたが、また後から言おうと思っていましたけれども、事後検証ですね。やったことに関する、さっき加納先生がおっしゃったとおり、それがちゃんとできているかどうかというのは、実はドクターも経験が少なかったり、やったことがない人、ましてアナフィラキシーの注射をしたことない人はいっぱいいます。そういった中で、それをどうするかという議論を遡ってくると、初期臨床研修のときにちゃんと救急外来に行って研修して、アナフィラキシーを2年間のうちに必ず経験して注射を打つなり、あるいは現場を見るとか、そういうことを義務づけた上でないと、MCの医師も育ちませんので、恐らく指示するにしたって、今、内科学会だけが唯一JMECCという緊急時の対応をするトレーニングコースをつくっていますので、そこの中でしかアナフィラキシーの話が出てこないのですよね。そこで教えたりしているときに、経験したことはほとんど皆無ですし、打ったこと、やったことがない人がいっぱいいる中で細かいことをやるぐらいだったら、事後検証の話の前にまず①を進める。そして、事後検証をしっかりするという話がいいのかなと思ったので、時間がかかりますので、そういった話でどうでしょうということで。
○児玉座長 ありがとうございます。
そういう形で順番にという話で、プロトコルの話ではなかったと思うのですけれども、そういう形で今回実証を認めることができるかということを最終的には議論できればと思っております。
よろしいですか。
○井本構成員 事務局提案の①、②で①をまずやるという話で聞いていたところ、研究の結果は当然両方だと思ったのですが、先ほどの御回答が両方あり得ると私には聞こえたので、だとしたら、より細かい手順ですとかエラー防止対策が、特にプレフィルドシリンジから薬液を破棄するというやり方については必要だと思ったからです。ダブルチェックとプレフィルド製剤のことだけ、もし今大丈夫であればお答えいただければと思います。
○田邉構成員 まず、現状で使っているプレフィルドについては、アドレナリンとブドウ糖の2つでございます。
その上で、ダブルチェックの方法ですが、12ページに写真が幾つか出ていますが、写真の一番下のところ、アドレナリン等が出ている左側から2つ目のものですが、御紹介があったとおり、プレフィルドシリンジは2つございますから、ブドウ糖のほうではなくてアドレナリンですよと。それに青色の23ゲージの針をつけた上で、ちょっと見えづらいのですが、右と左がちゃんと設定したとおりに量になっているか。その上で、下のところ、これは筋注ですよということで、右側は文字が重なっていますが、バツとなっていますよね。このバツのところはまさに静脈路から投与するというような形になっていないかといったことを確認する。だから、絵と文字を見ながら2名でそのとおりになっているかということをチェックを入れながら確認するといった手順を想定して作っています。
○井本構成員 すみません。この資料をよく見られていませんでした。
ダブルチェックは言葉だけだといろいろな方向、7つぐらいのタイプがあり、これだと2人連続方向型と言われるものだと思います。そういったことが共通理解されないと、最後の量だけを確認するとかということも一部でダブルチェックの概念は入っているので、こういったものがまさにしっかりあったほうがよいというつもりで質問させていただきました。
○児玉座長 ありがとうございます。
そうしたら、植田構成員が先に手を挙げられているのでお願いします。
○植田構成員 日本臨床救急医学会の植田です。よろしくお願いします。
今、ダブルチェックの話が出ましたので、その件につきまして、今回救急救命士が薬剤の量についてもチェックをしなければならないということになると思うのですが、この救急救命士以外の隊員でも可能というところが少し気になりまして、これはなぜかといいますと、救急隊員の資格ですね。250時間の勉強をすると救急隊員になれるわけですけれども、この方々の扱っている救急隊員標準テキストの中には、こういった薬剤の量といったものについては何も記載されていないです。そういった方々をダブルチェックの対象としていいのかどうかというところがこの検討の中でされたかどうかというところについて、少し説明していただければと思います。
○田邉構成員 ありがとうございます。
検討いたしました。というのは、もちろん救急救命士同士でダブルチェックをし合う。これが理想なわけですけれども、実態としては救急車の中に救急救命士が2名乗っている状況ではない場合が多いといった中でどうするか。そういった中で、高度な医学的な判断が求められる部分、何mgにするだとかそういった部分は医師と救命士の間でのダブルチェックという形にして、その上で、医師から指示を得た内容について、量だとか、薬品の種類だとか、あるいは投与経路については、先ほど御紹介したようなダブルチェックの表を順にお互いに見ながらしていく。単純だけれどもとても重要な部分については、表を見ながら救急隊とでするといったことであれば対応できるのではないかなと。もちろん理想は救急救命士だけれどもといったところでございます。
○植田構成員 ありがとうございます。
今、既に救急救命士が2名体制で乗っているところも多いと思いますが、まだ1人で活動されているところも多いということを伺っていますので、先ほど医師の教育というものも出てきましたけれども、一緒に活動している救急隊員の教育というものもやはりこれから必要なのかなと思いました。ぜひよろしくお願いします。ダブルチェックシートカードというものも今拝見させていただいて、こういったものを使えば間違いは起こり得ないのかなと思いましたので、ぜひよろしくお願いします。
○児玉座長 ありがとうございます。
では、佐々木構成員、お願いいたします。
○佐々木構成員 仙台市消防局の佐々木です。
今の発言に重複しますが、救急現場の現状についてです。投与経路のダブルチェックの方法にチェックリストは必須だと思っています。その理由は、今、植田構成員の発言にもありましたが、救急車に乗車する隊員の資格について、皆さんご存じのとおり救急需要が増加しており、特に夏の期間は臨時の救急隊を追加編成して数に対応しているのですが、そのメンバーの資格内訳は、可能な限り救急救命士を1人乗車させているものの、そのほかの隊員は救急資格を持った救助隊員若しくは消防隊員です。よって、有資格同士のチェックができない状況にあります。医療機関のように口頭でのダブルチェックというのは難しく、チェックリストを使って資格のない隊員間でも間違いなくチェックできるようにとの趣旨で作ったリストだと思います。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
では、先に深澤構成員、お願いします。
○深澤構成員 ありがとうございます。
先ほど来から救急救命士さんのお仕事の状況とか非常に大変な状況とかをお聞かせいただきました。その中で、私はチーム医療推進協議会の代表として出ておりまして、私どもの加盟している団体からのお話もさせていただきたいと思うのですけれども、今回、先ほど本多先生のほうから、今回の議論はエピペンの仕様だけについて使用拡大をということでお話をいただいたと思います。救急救命の現場の中でこういったものに関して言うと、エピペンの使用に関して言えば、救命措置は非常に高いものかなと私たちも思っております。
ただ、そういった意味で、エピペンの使用に関して言えば、私どもの団体からも非常にそこまでのリスクという事故、針刺しの事故とか、例えば余分な溶液、そういうアドレナリンは劇薬扱いということでございますので、その辺のところ、廃棄する方法の確立とか、そういったものですね。非常に医療事故もそういったところに増えるのではないか。そういうものを確立しなくてはならないという煩雑さもある。その中で、本当に業務の大変な救急救命士さんにそこまでのことが果たしてできるのか。そこを考えると、まずはエピペンの拡大を考えた上で進めていくというのがいいのかなと私たちも思っているところでございます。そういった意味で、ある意味私の加盟している団体の一意見として少しお話をさせていただきました。そういう意味では、そこのところも踏まえて御検討いただきたいということもございます。
あと一点なのですけれども、ここで言う話かどうか分からないのですが、今回、私はこの検討会の中に入らせていただきまして、救急救命士さんの業務の拡大というものについて様々な提案がなされているところなのですけれども、救急救命士さんは今は医療現場のほうにも入って、私たちと一緒に患者さんの命を救っているということを考えると、ここで話すことではないかもしれないですけれども、やはり教育年限についても厚労省として考えていただきたいかなと。そういうことを踏まえて、しっかりとチーム医療を推進していくような状況をつくっていただければと思っております。
以上です。意見でございました。
○児玉座長 ありがとうございます。
では、喜熨斗構成員、お願いいたします。
○喜熨斗構成員 よろしくお願いします。
先ほどのダブルチェックを含めた医療安全の面なのですが、救急救命士の資格を保有しない救急隊員の方も含めてダブルチェックをしていくということですが、今、救急隊員の生涯教育は2年間で128時間を実施するというような一定の基準があるかと思います。その中の指針で、これはぜひ消防庁に御検討いただきたいのですが、必須で生涯教育として実施しなさいという項目と、幾つかの項目がある中でその中から選択して研修しなさいという項目があるかと思います。その選択の中で、ここで言う医療安全にも関わってくると思うのですが、安全管理が選択項目になっているかと思います。今後、こういった救急救命士を含めた処置拡大で救急隊員の方と一緒に連携をしながら活動していくという中では、医療安全をより高めていくということが非常に重要かと思いますので、ぜひ生涯教育の128時間の安全管理の部分を必須項目のほうに入れていただけるように、どうか御検討いただきたいと思います。
あとは、先ほどヒューマンエラーの件なのですけれども、インシデントが起きてしまうことはあり得るかと思います。その中で、インシデントの報告については、救急救命士個人の心理的安全性が保たれた中で報告できるような体制も含めて御検討いただきたいと思っております。
以上です。
○児玉座長 貴重な御意見をありがとうございます。
オブザーバーで消防庁の方がいらしておりますでしょうか。もし何か御発言がありましたら、ぜひお願いいたします。
○寺村オブザーバー(総務省消防庁) 消防庁でございます。
御意見ありがとうございました。ただいまいただきました生涯教育関係のお話につきましては、どういった課題や方法があるのかも含めて、必要に応じ、検討できればと考えております。御意見ありがとうございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
そうしましたら、時間がもう30分を切っておりますので、この先行的な実証の可否について、ワーキンググループとしての御意見を伺いたいと思っております。時間が短くなっておりますので、簡潔に御意見をいただきたいと思います。先ほど非常に重要な点としましては、やはりエピペンだけの拡大か、プレフィルドのものも含めて認めるのかという点も含めて、ぜひ皆さん、先行的な実証の可否について御意見をいただければと思います。どなたからでも結構です。よろしくお願いします。
では、植田構成員、お願いいたします。
○植田構成員 私からは、この先行的な実証をすることについては賛成です。
ただ、事務局に確認をしたいことが1つあるのですが、よろしいですか。先ほどエピペンのほうから実証をしていくということだったのですがプロトコルについての質問です。資料2の7ページについて、既にエピペンが処方されている方は包括的な指示ということですが、例えば処方されているけれどもその日持っていなかった場合は、どちらに当たるのか。この場合、救急車内にエピペンがあった場合は包括的な指示で行けるのか、それとも具体的な指示が必要という特定行為のほうに移行するのか。
それともう一つは、今までの文献を見ますと、エピペンを処方されてから更新されていない、使用期限が切れてしまっている方がある一定程度いると報告されていますが、その場合はどちらに当たるのか。処方されているけれども使用期限が切れている場合に、救急隊が持っているエピペンを使用する場合には包括的な指示のほうで行けるのか、それとも具体的な指示のほうに移行して特定行為として行うのか。この辺のすみ分けはどういうふうに考えているかというところをお聞きしたいと思います。
○児玉座長 ありがとうございます。
事務局、よろしいでしょうか。
○東専門官 今、通知で記載しています、「あらかじめ自己注射が可能なエピペン製剤を交付されている」、この交付に関しては、「処方され、かつ現に所持している」ということを意味して交付と記載しております。したがって、処方はされているけれども現に所持していない、本人が処方されていると言っているのみというのに関しては、今回は具体的指示を用いて、しっかり医師に確認をした上で投与するというふうに想定しております。
○植田構成員 そうすると、処方されている場合であっても、場合によっては、直接的な指示を受ける行為に変わってくるということですね。
○東専門官 そうです。医師の指示は基本的にはもらうと。
○植田構成員 同じ行為をするけれども、特定行為に入るか、包括的なほうに入るかというのは変わるということですね。
○東専門官 そのとおりです。どちらもエピペンを使うというものなのですけれども、やはり現に所持している、交付されているというのは、一段医師の指示が既にあるものと解して包括的指示に入れているのですけれども、そうではないものに関しては、劇薬ですので、やはりしっかり医師の指示を得た上で投与する。
○植田構成員 エピペンを使う場合であってもですか。
○東専門官 エピペンであっても医師の指示はもらうと考えております。
○植田構成員 非常に指示体制が複雑になるのかなというところは懸念があるところですが、実証をするということには賛成です。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
ほかの構成員の方はいかがでしょうか。どなたからでも。
では、佐々木構成員、お願いいたします。
○佐々木構成員 仙台市消防局の佐々木です。
エピペンを進めていくことに消防としては賛成ですが、進め方に1つ提案があります。資料4の15ページ中頃⑥について、実証事業に求められる要件に、MC協議会が関わるインシデント、有害事象、事故等に対する危機管理の対応要領を定め、これに基づいて対応できる。と記載がある。例示が19ページに載っていますが、これは消防として少しハードルが高い部分なのではないかなと思っています。もしこれを参加の要件にするのであれば、一度全国の消防本部にどの程度こういったものが作成されているのか調査した方がいいのではないかと提案します。
この理由ですが、危機管理要領は、市町村で行政組織として消防長、市町村長に報告する要領や報道対応要領というのは存在し、いざ事故が起きると、搬送先医療機関の医師やMCの医師がコメントする地域もありますけれども、他方、私が知っている範囲だとMCが中心になって危機管理要領をつくっている消防本部はあまりない。再来年度公募した際に、これがなければ応募できないとなると、応募できる消防本部が非常に少なくなるのではないかと危惧しています。
地域MCにこういったものがないこと自体が問題であり、可能であればアンケートを取り、この機会に必要に応じて全国の地域MCで危機管理要領が作成されるよう、この会が主導となって促していければ、公募の際にも多くの消防本部が参加できるのではないかなと考え提案させていただきます。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
よろしいですか。
では、本多構成員、お願いいたします。
○本多構成員 今の件ですけれども、実は私がいるMCは、私が安全管理部会の部会長をしているのですけれども、今の話を聞くと、僕自身は全国のMCが流れてきていて権利規定でつくりなさいという指示が既に出ているものだと思っていて、その指示はまだ全国のあれには出ていないのですか。僕にしてみれば、感覚からすると、つくってくださいと言われて、各消防本部は動いていてやっているものかなと思ったので、比較的たくさんあるとは言いませんけれども、ただ、1個だけ懸念があるとすれば、消防本部とMCが一緒だったりすると、役場の中にある危機安全管理とかぶるからつくらないとかあるのですけれども、メディカルコントロール協議会としてつくりなさいというのは必要だと思ってやっていいと思うのですけれども、そこまでまだできていないというような認識でよろしいですか。僕などの感覚からすると、ずっと何年か安全部会をやっていましたので、有害事象とか特定行為の処置の検証とか、事故発生予防をMCの協議会から各消防本部に流して、そこの対応を促すという仕組みは一応できているのですけれども、そういうのがまだ未熟ということですね。
○佐々木構成員 市町村と地域MCの権限がリンクしていないので、MCはそこまで成熟していないと思う。
○本多構成員 分かりました。多分消防庁のほうからとか総務省のほうから各メディカルコントロール協議会にそういった指示とかは出ていないということでよろしいのですか。安全部会でつくりなさいとか、多分出ていたはずだと思うのですけれども。
○児玉座長 お願いします。
○寺村オブザーバー(総務省消防庁) 消防庁でございます。
そういったものが消防庁から過去出ているかどうかについては、この場では持ち合わせておりませんので、調べて追って御回答させていただきます。
○児玉座長 では、ぜひ事務局のほうでも確認いただいて、それで、今、お話があったようにアンケートを実施してはどうかということを検討いただければと思います。
貴重な御意見をありがとうございます。
○佐々木構成員 もし可能であれば、しっかりとしたひな形を出していただかないと、全国津々浦々の消防本部が独自に作成していくのはなかなか難しいと思いますので、よろしくお願いします。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
本多構成員のほうも、この先行的な実証の可否についてもし御意見がありましたらお願いいたします。
○本多構成員 実証研究に関しては、冒頭にお話ししたとおり、進めるべきだと思っています。
さっきのリスクのことだけ話をしますと、静脈内投与という話が出ましたけれども、多分これはプロトコルの問題であって、恐らくアナフィラキシーショックということであれば、当然救命士の特定行為でショックのプロトコルがあるのですけれども、ルートを取る前に多分これを打つのだろうなという状況がありますので、そういったプロトコルを明確にすれば、筋注の手順が決まれば、その辺のところも担保できるかなと。
最後に、さっきも言いましたとおり、事後検証と医師の研修が非常にネックだと思うので、これは医師側の問題だと思うのですけれども、初期臨床研修等でちゃんと研修する。あるいはMCの先生がアナフィラキシーを診たことがないということであれば、ちゃんと明確にして、それをちゃんと教えるなりできる人をつくるなり、あるいは指示ができる体制をメディカルコントロール協議会の中で地域でつくっておくということが必要かなと思います。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
では、横野構成員、お願いいたします。
○横野構成員 私は基本的にはこの実証を進めるということについては賛同いたします。
そして、これまで厚労科研等で様々な検証が行われてきている中で、実証する上での課題がいろいろと指摘されておりまして、今もいろいろ御指摘がありましたけれども、そうしたものをきちんとした検討をしながら準備を進めていくためには、かなり時間的、それから、エフォート的なコストというものがかかると思いますので、実証するという方針については、基本的な方針はできるだけ早期にここで決定して、準備をしっかりできるような形が望ましいと考えます。
また、過去の厚労科研等に参加された消防本部が、今後実証の中で主たる参加主体になっていくのかなと思いますが、あまりそこで間が空いてしまいますと、これまでの経験等が生かされないという形にもなっていきます。また、先ほどの資料4の各論⑩の中にありましたが、地域への周知、広報というのも重要だと思いますので、そうしたことも考えて、全体の方針としては早期に決定をして、その中で具体的なプロトコルの在り方等についてはさらに検討するという形で進めていくのがよいかと思います。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
ほかは御意見はいかがでしょうか。オンラインの方も、ぜひこの先行的な実証の可否について御意見をいただければと思います。
淺香構成員、お願いいたします。
○淺香構成員 ありがとうございます。
大筋というか、2段階の方法でやっていくということで、エピペンをまず広げて、その状況で実証をして、それを確認しつつ、その検証をしながら、そして、また必要な研修なども進めつつ広げていくといった形であれば、いいのではないかなと思っております。大筋として私も賛同したいと思っております。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
ほかの構成員の方、いかがでしょうか。
では、喜熨斗構成員、お願いいたします。
○喜熨斗構成員 ありがとうございます。
今回の提案と進め方については賛成でございます。既に救急救命士は、アナフィラキシーも含め、循環不全に対して静脈路確保及び輸液も実施しており、既存のプロトコルがありますので、今回の新たな実証のプロトコルが加わることで既存のプロトコルに混乱が生じないように進めていく必要があるかと思っております。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
ほかの構成員の方、いかがでしょうか。
加納構成員、お願いいたします。
○加納構成員 私も今回の実証に関しましては、こういう形で進めていくのは賛成であります。エピペンで行くという話もありますが、確かに注射液を使ってというのも非常に大事なことだと私も思いますので、ここはしっかりと、経費のこともコスト的な効率化というのもやはり救急場面では非常に大事だと私も認識していますので、効率よく使われるような状況下で実証をお願いしたいと思っております。
○児玉座長 ありがとうございます。
細川構成員、お願いいたします。
○細川構成員 お疲れさまです。
日本医師会としても、今回のこの実証に関しては賛成いたしますので、慎重にやっていっていただきたいと考えているところでございます。
あと、これとは別に、最後にその他のところで1分ほどお話しさせていただきたいなというようなことがありますので、最後の最後で結構ですので、またよろしくお願いいたします。
○児玉座長 承知しました。ありがとうございます。そうしたら、一番最後にもう一度その他のところでお話しいただければと思います。
そのほか、よろしいでしょうか。
ほかにもしよろしければ、先ほど2段階という話がありましたけれども、まずエピペンのほうのみ先行的な実証として行うということで御承認いただければと思います。プレフィルドに関しましては、引き続き行うかどうか検討するということでよろしいですか。
(首肯する構成員あり)
○児玉座長 皆様ありがとうございます。
そうしたら、よろしければ、細川構成員、その他ということでぜひ御意見を頂戴いただければと思います。
○細川構成員 ありがとうございます。本当にウェブで失礼いたします。
今回の救急救命士の処置についてのことでございまして、少し話題提供という形で、せっかくの機会でございますので、話をさせていただきます。
先日ではございますけれども、日本医師会のほうに日本産婦人科医会のほうからお話をいただいたことでございますが、現在、救急救命士の救急救命処置については、通知で産婦人科領域の処置の項目の中で墜落産児、墜落産の処置として臍帯の結紮、切断、胎盤処理、新生児の蘇生などの一連の処置が認められているところだと思います。
ごくまれになのですが、産科救急において、妊婦さんが破水をせずに、胎児が羊膜に包まれた状態で産まれるというケースがあります。これを「幸帽児」という言い方で、「幸せ」と「帽子」の「帽」ですね。あと、「小児科」の「児」という形で、幸帽児と言われるケースになりますが、娩出された胎児に関しては肺呼吸になります。急いで膜を破ってあげないと、羊水で窒息してしまうという形で、重い障害や死亡などにつながってしまうという例が、まれではございますが、実際にあるようでございます。ここで羊膜を破るだけで通常の処置に戻すことができるようなのですが、もともとケースが少ないこともあり、現場の救急救命士の方は現場で処置が認められているのかどうか戸惑ってしまうケースがあると聞いております。
ここで、厚労省、また、消防庁にもですけれども、今回、この件について整理してお示しいただけると、現場がスムーズになるかと思いますので、それについて話題提供をさせていただきました。
医師会からは以上でございます。どうぞよろしくお願いします。
○児玉座長 ありがとうございました。
幸帽児破膜というのですかね。そのことについて承りました。事務局のほうでも現状を確認していただくようにお願いできればと思います。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
お願いします。
○井本構成員 事務局に質問ですけれども、ここで幾つか検討してくださいという意見があったと思います。厚生労働省のほうでこの実証に対しての決定をしていくと資料にはありましたけれども、そういったことは、今後ワーキングでは共有はしていただけるのでしょうか。安全な体制とか、そういった辺りのこと、幾つか質問があったと思っているのですけれども。
○東専門官 今回の検討においては、プレフィルドシリンジではなく、まずはエピペンを用いて対象の拡大をする、それで実証するということについては、皆様から了をいただいたものと認識しております。プレフィルドシリンジを用いてやるときには、さらにほかのプロトコルとの整合性だったり、ヒューマンエラーの防止策をもう少し詰める必要があるということで、今回幾つか課題をいただいたと思っておりますので、それに関しては引き続き検討したものを本ワーキングで報告したいと思っております。
○児玉座長 ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、本日いただいた御意見に関しては、基本的に今回進めていくということで、座長一任としていただいて、事務局と調整して必要な修正を行った上で、実証に進むということで取りまとめたいと思っています。
先ほどありましたように、もし何か連絡、皆さんと共有すべき情報があれば、また共有させていただければと思います。
最後に事務局から何かありますでしょうか。
○東専門官 今後につきましては、事務局より改めて皆様へ御連絡させていただきます。
○児玉座長 それでは、これにて本日のワーキンググループを終了いたします。
長時間にわたりましたが、皆様、お忙しい中ありがとうございました。○児玉座長 ありがとうございます。
加納構成員、お願いします。
○加納構成員 もう一度よろしいでしょうか。時間の確認なのですけれども、資料3の17ページに書いています観察カード使用-病院到着ということの時間が13分と書いてあるのですが、これは上の現場出発-病院到着、どこと比較すればいいのでしょうか。何をもってこの観察カード使用-病院到着が13分になったということなのでしょうか。
○児玉座長 資料3の17ページの左下のほうですかね。観察カード使用-病院到着13分というところ。
○田邉構成員 これは観察カードを使用して記載をし終わってから病院に到着するまでの時間が13分だったということです。
○加納構成員 これは観察カードを書き出したのは現場を出発していると判断していいのでしょうか。上の10分と比較して13分、3分ほど観察カードを書くのに延びてしまったよとか、そういう意味であったら、それは時間的には負担しているという考えなのでしょうか。この13分というのはどこと比較したらいいのかなと思って。
○田邉構成員 ありがとうございます。
基本的には、現場に行って、救命士が観察カードを記録しながら、いつ判断したよといったところの時刻を記載する形になっています。というのは、病院に到着してから記載したという形になると、医師の判断をした上で救命士の判断を書くという形になると、それは研究の設定上避けたいと考えましたので、基本的には病院に到着する前に判断してくださいねという研究にしています。とはいえ、そういう時間がないときにはやむを得ないです。そのときには記載をしなくてもいいよといった前提で研究を進めてきたところでございます。
○加納構成員 というのは、カードに書く、チェックするのに意外に時間を取っておれば、余計に生命に大きな影響を与えている可能性がありますので、そういうリスクを考えているかどうかという意味で調べられたのかなと。カードを書かない人と比べてどれだけかという比較をしないと時間的なものは分からなかったので、多分現場を出発する前にも書き込んでいるよということ、これは上で現場出発-病院が10分になっていますから、少なくとも13分ということを考えれば、3分間は現場で記載しているのかなということですかね。上との比較なのですけれども。
○田邉構成員 これは基本的には現場、その場で記載していただく。記載していただいた後にいろいろなそれ以外の手続をした上で出発するといったことがあるので、必ずしも記録をするために遅れてしまったといったことを示しているものではないのですが、ただ、御指摘のとおり、少しでも実際に記録することでいろいろなことが遅れてしまうというわけにはいきませんから、どんな形でそこを短くできるかといったことはもう一回検討する必要があるかなと思います。ありがとうございます。
○加納構成員 ちょっと気になったのは、これは全症例なされているので、期間中の全救急搬送の人数になっていますので、一旦はアナフィラキシーの疑いがあるかないかで、疑いがなければ瞬時に記載には入っていないということでいいわけですよね。それだとほとんど時間的に考えなくていいかな。全症例、この2万7000人かの人でこんなことを全部やっていたわけではないということでいいわけですね。
○田邉構成員 そうですね。これはアナフィラキシーだと疑って観察カードを使った人だけこういう形の時間経過を書かせていただいているということです。
○加納構成員 分かりました。
○児玉座長 貴重な御意見をありがとうございます。
ほかの方はいかがでしょうか。
では、井本構成員、お願いいたします。
○井本構成員 日本看護協会の井本でございます。
質問させてください。まず、事務局に先ほどの淺香構成員の質問に関連してお伺いしたいのですが、事務局提案ですと最初にエピペンの対応をし、その後にプレフィルド製剤の対応ということでした。その前提に立って今この研究を聞いていたのですが、エピペンは誰にでもエラープルーフになっていると思うのですけれども、プレフィルド製剤については、要は針をつけて薬液を捨てるということが発生するというようなことも含めて、手順等の詳細がこの中では具体的に説明があまりなかったような気がしています。これについて今の御検討状況を教えてくださいということ。あと、救命すべき症例ということは私も当然そう思うのですが、一方でヒューマンエラーの防止、特に静注の誤薬などは非常に注意が必要な対応だと思っています。観察カードには静脈注射は禁止と書いてあるのですが、されど、救命をすべき症例が目の前にいるときにいろいろなことが起こるだろうと思いまして、そういったときにどういう防止策を考えておられるのかということを聞きたいと思いました。
3点目が、救急車に搭載されているプレフィルド製剤というのは、私が認識している限り、これ以外の薬剤はないのかと思っているのですけれども、ブドウ糖液とかがあるのかもしれないとか思ってみたり、そこを教えてください。
あと、4点目ですが、先ほどダブルチェックとおっしゃったのですけれども、我々看護の世界でもダブルチェックは様々な方法がございます。どういった方法を想定されているのかということをお伺いしたいと思います。
4点、よろしくお願いいたします。
○児玉座長 田邉構成員、よろしいでしょうか。
○田邉構成員 ありがとうございます。
まず1つ目でございますが、私のほうで説明を割愛させていただきましたけれども、資料4の8ページ、アドレナリンの準備と記載している②のところですが、どのようにプレフィルドシリンジを使用するかということで、アドレナリンシリンジ、23ゲージ針、酒精綿の3つを用意して、清潔操作に留意しながらプレフィルドシリンジに注射針を接続する。その上で、押し子を軽く引いた後に慎重に押して余分な薬液を破棄しながら、医師の指示した投与量に設定するということでしています。これについては、動画も用意して見ていただけるようにしているということでございます。
押し子を軽く引くと言ったのは、押し子とシリンジのところが新しいものは固着している、くっついてしまっているところがあるので、そのまま押してしまうと勢い余って余計に排液してしまう心配がありますから、少し引いてくっついてしまっている部分を外した後に押して設定量にする。そんなことを動画あるいは報告書として手順を記載しています。
○児玉座長 1点目のところはプロトコルにも関わるのかなと思ったのですけれども、1点目に関しては今のお答えでよろしいですか。
○井本構成員 プロトコルの流れで。
○児玉座長 6とか7ページのほうには、特にここのプロトコルにはエピペンとプレフィルドのどちらを使うのかとか、どちらだけを使うのかみたいな話はまだこちらにはないということでよろしいですよね。
○本多構成員 今、議論がかなり細かいところまで行ってきていて、全体の話が見えなくなってきているのですけれども、恐らく今話をしなくてはいけないことは、資料2の8ページですかね。めどと書いてある①、まず、自己注射が可能なアドレナリン製剤のみを用いて実証を始め。②、その後、①の条件を踏まえということで、今議論になっているのは、恐らくエピペンの操作とプレフィルドシリンジの操作であって、これは医師の立場からも考えると、恐らくプレフィルドは事故あるいは誤投与はやはりあります。特にこういう現場だと、救急外来でもあります。そうすると、我々医療従事者の中では懸念事項がかなり高いので、できれば①を先にやったほうが早いかなと実は思っています。なぜかというと、②はクリアするハードルが多過ぎて、実際に静脈注射した例もあります。生命への危険というところがあります。そういった中でゼロでないし、ましてこれだけ医師の指示の下にとか、看護師さんたちはやっていますけれども、その確認に関しても、量をちゃんと吸ってやったかどうかというのは、人間がやることですから絶対はないのです。そうすると、0.2が間違ってそのまま1に行ってしまったこととか、聞き間違いで0.1のつもりが1行ってしまったとか、そういう本当にあり得ないでしょうということが実は起こっている中ですると、かなりハードルが高いこと。さらに、現場から離れているオンラインメディカルコントロールですけれども、そうすると、先にエピペンのほうのものをどんどんまず配備してもらって、予算化してもらってやったほうが安全ではないかなと。その後のトラブルシューティングではないけれども、起こったことに対する対応とかその手間を考えたら、それもちゃんと全国の消防本部に配って、それをちゃんとするということで、当然コストはかかるかもしれませんけれども、これは必要なコストとしてやる。
今の話を聞いていると、あるものでしかできないからやろうとしていると、実際に助けられるものも助けられないので、これだけの数を過去何人も亡くなっている方がいる中で助けようとすることに関して言えば、当然必要なものは投資する、使うという形のほうがいいかなと思うので、できればアドレナリンのエピペン等をちゃんと全救急車に整備してやる。そうすると、まず早くこれが進むのではないかなと。当然これからいろいろな行為、確かにいろいろな薬とかが入っていますけれども、まずその第1段階ができていないのであればこの①のことをまずしっかりやってもらう。
僕はさっきも何度も言いましたが、また後から言おうと思っていましたけれども、事後検証ですね。やったことに関する、さっき加納先生がおっしゃったとおり、それがちゃんとできているかどうかというのは、実はドクターも経験が少なかったり、やったことがない人、ましてアナフィラキシーの注射をしたことない人はいっぱいいます。そういった中で、それをどうするかという議論を遡ってくると、初期臨床研修のときにちゃんと救急外来に行って研修して、アナフィラキシーを2年間のうちに必ず経験して注射を打つなり、あるいは現場を見るとか、そういうことを義務づけた上でないと、MCの医師も育ちませんので、恐らく指示するにしたって、今、内科学会だけが唯一JMECCという緊急時の対応をするトレーニングコースをつくっていますので、そこの中でしかアナフィラキシーの話が出てこないのですよね。そこで教えたりしているときに、経験したことはほとんど皆無ですし、打ったこと、やったことがない人がいっぱいいる中で細かいことをやるぐらいだったら、事後検証の話の前にまず①を進める。そして、事後検証をしっかりするという話がいいのかなと思ったので、時間がかかりますので、そういった話でどうでしょうということで。
○児玉座長 ありがとうございます。
そういう形で順番にという話で、プロトコルの話ではなかったと思うのですけれども、そういう形で今回実証を認めることができるかということを最終的には議論できればと思っております。
よろしいですか。
○井本構成員 事務局提案の①、②で①をまずやるという話で聞いていたところ、研究の結果は当然両方だと思ったのですが、先ほどの御回答が両方あり得ると私には聞こえたので、だとしたら、より細かい手順ですとかエラー防止対策が、特にプレフィルドシリンジから薬液を破棄するというやり方については必要だと思ったからです。ダブルチェックとプレフィルド製剤のことだけ、もし今大丈夫であればお答えいただければと思います。
○田邉構成員 まず、現状で使っているプレフィルドについては、アドレナリンとブドウ糖の2つでございます。
その上で、ダブルチェックの方法ですが、12ページに写真が幾つか出ていますが、写真の一番下のところ、アドレナリン等が出ている左側から2つ目のものですが、御紹介があったとおり、プレフィルドシリンジは2つございますから、ブドウ糖のほうではなくてアドレナリンですよと。それに青色の23ゲージの針をつけた上で、ちょっと見えづらいのですが、右と左がちゃんと設定したとおりに量になっているか。その上で、下のところ、これは筋注ですよということで、右側は文字が重なっていますが、バツとなっていますよね。このバツのところはまさに静脈路から投与するというような形になっていないかといったことを確認する。だから、絵と文字を見ながら2名でそのとおりになっているかということをチェックを入れながら確認するといった手順を想定して作っています。
○井本構成員 すみません。この資料をよく見られていませんでした。
ダブルチェックは言葉だけだといろいろな方向、7つぐらいのタイプがあり、これだと2人連続方向型と言われるものだと思います。そういったことが共通理解されないと、最後の量だけを確認するとかということも一部でダブルチェックの概念は入っているので、こういったものがまさにしっかりあったほうがよいというつもりで質問させていただきました。
○児玉座長 ありがとうございます。
そうしたら、植田構成員が先に手を挙げられているのでお願いします。
○植田構成員 日本臨床救急医学会の植田です。よろしくお願いします。
今、ダブルチェックの話が出ましたので、その件につきまして、今回救急救命士が薬剤の量についてもチェックをしなければならないということになると思うのですが、この救急救命士以外の隊員でも可能というところが少し気になりまして、これはなぜかといいますと、救急隊員の資格ですね。250時間の勉強をすると救急隊員になれるわけですけれども、この方々の扱っている救急隊員標準テキストの中には、こういった薬剤の量といったものについては何も記載されていないです。そういった方々をダブルチェックの対象としていいのかどうかというところがこの検討の中でされたかどうかというところについて、少し説明していただければと思います。
○田邉構成員 ありがとうございます。
検討いたしました。というのは、もちろん救急救命士同士でダブルチェックをし合う。これが理想なわけですけれども、実態としては救急車の中に救急救命士が2名乗っている状況ではない場合が多いといった中でどうするか。そういった中で、高度な医学的な判断が求められる部分、何mgにするだとかそういった部分は医師と救命士の間でのダブルチェックという形にして、その上で、医師から指示を得た内容について、量だとか、薬品の種類だとか、あるいは投与経路については、先ほど御紹介したようなダブルチェックの表を順にお互いに見ながらしていく。単純だけれどもとても重要な部分については、表を見ながら救急隊とでするといったことであれば対応できるのではないかなと。もちろん理想は救急救命士だけれどもといったところでございます。
○植田構成員 ありがとうございます。
今、既に救急救命士が2名体制で乗っているところも多いと思いますが、まだ1人で活動されているところも多いということを伺っていますので、先ほど医師の教育というものも出てきましたけれども、一緒に活動している救急隊員の教育というものもやはりこれから必要なのかなと思いました。ぜひよろしくお願いします。ダブルチェックシートカードというものも今拝見させていただいて、こういったものを使えば間違いは起こり得ないのかなと思いましたので、ぜひよろしくお願いします。
○児玉座長 ありがとうございます。
では、佐々木構成員、お願いいたします。
○佐々木構成員 仙台市消防局の佐々木です。
今の発言に重複しますが、救急現場の現状についてです。投与経路のダブルチェックの方法にチェックリストは必須だと思っています。その理由は、今、植田構成員の発言にもありましたが、救急車に乗車する隊員の資格について、皆さんご存じのとおり救急需要が増加しており、特に夏の期間は臨時の救急隊を追加編成して数に対応しているのですが、そのメンバーの資格内訳は、可能な限り救急救命士を1人乗車させているものの、そのほかの隊員は救急資格を持った救助隊員若しくは消防隊員です。よって、有資格同士のチェックができない状況にあります。医療機関のように口頭でのダブルチェックというのは難しく、チェックリストを使って資格のない隊員間でも間違いなくチェックできるようにとの趣旨で作ったリストだと思います。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
では、先に深澤構成員、お願いします。
○深澤構成員 ありがとうございます。
先ほど来から救急救命士さんのお仕事の状況とか非常に大変な状況とかをお聞かせいただきました。その中で、私はチーム医療推進協議会の代表として出ておりまして、私どもの加盟している団体からのお話もさせていただきたいと思うのですけれども、今回、先ほど本多先生のほうから、今回の議論はエピペンの仕様だけについて使用拡大をということでお話をいただいたと思います。救急救命の現場の中でこういったものに関して言うと、エピペンの使用に関して言えば、救命措置は非常に高いものかなと私たちも思っております。
ただ、そういった意味で、エピペンの使用に関して言えば、私どもの団体からも非常にそこまでのリスクという事故、針刺しの事故とか、例えば余分な溶液、そういうアドレナリンは劇薬扱いということでございますので、その辺のところ、廃棄する方法の確立とか、そういったものですね。非常に医療事故もそういったところに増えるのではないか。そういうものを確立しなくてはならないという煩雑さもある。その中で、本当に業務の大変な救急救命士さんにそこまでのことが果たしてできるのか。そこを考えると、まずはエピペンの拡大を考えた上で進めていくというのがいいのかなと私たちも思っているところでございます。そういった意味で、ある意味私の加盟している団体の一意見として少しお話をさせていただきました。そういう意味では、そこのところも踏まえて御検討いただきたいということもございます。
あと一点なのですけれども、ここで言う話かどうか分からないのですが、今回、私はこの検討会の中に入らせていただきまして、救急救命士さんの業務の拡大というものについて様々な提案がなされているところなのですけれども、救急救命士さんは今は医療現場のほうにも入って、私たちと一緒に患者さんの命を救っているということを考えると、ここで話すことではないかもしれないですけれども、やはり教育年限についても厚労省として考えていただきたいかなと。そういうことを踏まえて、しっかりとチーム医療を推進していくような状況をつくっていただければと思っております。
以上です。意見でございました。
○児玉座長 ありがとうございます。
では、喜熨斗構成員、お願いいたします。
○喜熨斗構成員 よろしくお願いします。
先ほどのダブルチェックを含めた医療安全の面なのですが、救急救命士の資格を保有しない救急隊員の方も含めてダブルチェックをしていくということですが、今、救急隊員の生涯教育は2年間で128時間を実施するというような一定の基準があるかと思います。その中の指針で、これはぜひ消防庁に御検討いただきたいのですが、必須で生涯教育として実施しなさいという項目と、幾つかの項目がある中でその中から選択して研修しなさいという項目があるかと思います。その選択の中で、ここで言う医療安全にも関わってくると思うのですが、安全管理が選択項目になっているかと思います。今後、こういった救急救命士を含めた処置拡大で救急隊員の方と一緒に連携をしながら活動していくという中では、医療安全をより高めていくということが非常に重要かと思いますので、ぜひ生涯教育の128時間の安全管理の部分を必須項目のほうに入れていただけるように、どうか御検討いただきたいと思います。
あとは、先ほどヒューマンエラーの件なのですけれども、インシデントが起きてしまうことはあり得るかと思います。その中で、インシデントの報告については、救急救命士個人の心理的安全性が保たれた中で報告できるような体制も含めて御検討いただきたいと思っております。
以上です。
○児玉座長 貴重な御意見をありがとうございます。
オブザーバーで消防庁の方がいらしておりますでしょうか。もし何か御発言がありましたら、ぜひお願いいたします。
○寺村オブザーバー(総務省消防庁) 消防庁でございます。
御意見ありがとうございました。ただいまいただきました生涯教育関係のお話につきましては、どういった課題や方法があるのかも含めて、必要に応じ、検討できればと考えております。御意見ありがとうございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
そうしましたら、時間がもう30分を切っておりますので、この先行的な実証の可否について、ワーキンググループとしての御意見を伺いたいと思っております。時間が短くなっておりますので、簡潔に御意見をいただきたいと思います。先ほど非常に重要な点としましては、やはりエピペンだけの拡大か、プレフィルドのものも含めて認めるのかという点も含めて、ぜひ皆さん、先行的な実証の可否について御意見をいただければと思います。どなたからでも結構です。よろしくお願いします。
では、植田構成員、お願いいたします。
○植田構成員 私からは、この先行的な実証をすることについては賛成です。
ただ、事務局に確認をしたいことが1つあるのですが、よろしいですか。先ほどエピペンのほうから実証をしていくということだったのですがプロトコルについての質問です。資料2の7ページについて、既にエピペンが処方されている方は包括的な指示ということですが、例えば処方されているけれどもその日持っていなかった場合は、どちらに当たるのか。この場合、救急車内にエピペンがあった場合は包括的な指示で行けるのか、それとも具体的な指示が必要という特定行為のほうに移行するのか。
それともう一つは、今までの文献を見ますと、エピペンを処方されてから更新されていない、使用期限が切れてしまっている方がある一定程度いると報告されていますが、その場合はどちらに当たるのか。処方されているけれども使用期限が切れている場合に、救急隊が持っているエピペンを使用する場合には包括的な指示のほうで行けるのか、それとも具体的な指示のほうに移行して特定行為として行うのか。この辺のすみ分けはどういうふうに考えているかというところをお聞きしたいと思います。
○児玉座長 ありがとうございます。
事務局、よろしいでしょうか。
○東専門官 今、通知で記載しています、「あらかじめ自己注射が可能なエピペン製剤を交付されている」、この交付に関しては、「処方され、かつ現に所持している」ということを意味して交付と記載しております。したがって、処方はされているけれども現に所持していない、本人が処方されていると言っているのみというのに関しては、今回は具体的指示を用いて、しっかり医師に確認をした上で投与するというふうに想定しております。
○植田構成員 そうすると、処方されている場合であっても、場合によっては、直接的な指示を受ける行為に変わってくるということですね。
○東専門官 そうです。医師の指示は基本的にはもらうと。
○植田構成員 同じ行為をするけれども、特定行為に入るか、包括的なほうに入るかというのは変わるということですね。
○東専門官 そのとおりです。どちらもエピペンを使うというものなのですけれども、やはり現に所持している、交付されているというのは、一段医師の指示が既にあるものと解して包括的指示に入れているのですけれども、そうではないものに関しては、劇薬ですので、やはりしっかり医師の指示を得た上で投与する。
○植田構成員 エピペンを使う場合であってもですか。
○東専門官 エピペンであっても医師の指示はもらうと考えております。
○植田構成員 非常に指示体制が複雑になるのかなというところは懸念があるところですが、実証をするということには賛成です。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
ほかの構成員の方はいかがでしょうか。どなたからでも。
では、佐々木構成員、お願いいたします。
○佐々木構成員 仙台市消防局の佐々木です。
エピペンを進めていくことに消防としては賛成ですが、進め方に1つ提案があります。資料4の15ページ中頃⑥について、実証事業に求められる要件に、MC協議会が関わるインシデント、有害事象、事故等に対する危機管理の対応要領を定め、これに基づいて対応できる。と記載がある。例示が19ページに載っていますが、これは消防として少しハードルが高い部分なのではないかなと思っています。もしこれを参加の要件にするのであれば、一度全国の消防本部にどの程度こういったものが作成されているのか調査した方がいいのではないかと提案します。
この理由ですが、危機管理要領は、市町村で行政組織として消防長、市町村長に報告する要領や報道対応要領というのは存在し、いざ事故が起きると、搬送先医療機関の医師やMCの医師がコメントする地域もありますけれども、他方、私が知っている範囲だとMCが中心になって危機管理要領をつくっている消防本部はあまりない。再来年度公募した際に、これがなければ応募できないとなると、応募できる消防本部が非常に少なくなるのではないかと危惧しています。
地域MCにこういったものがないこと自体が問題であり、可能であればアンケートを取り、この機会に必要に応じて全国の地域MCで危機管理要領が作成されるよう、この会が主導となって促していければ、公募の際にも多くの消防本部が参加できるのではないかなと考え提案させていただきます。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
よろしいですか。
では、本多構成員、お願いいたします。
○本多構成員 今の件ですけれども、実は私がいるMCは、私が安全管理部会の部会長をしているのですけれども、今の話を聞くと、僕自身は全国のMCが流れてきていて権利規定でつくりなさいという指示が既に出ているものだと思っていて、その指示はまだ全国のあれには出ていないのですか。僕にしてみれば、感覚からすると、つくってくださいと言われて、各消防本部は動いていてやっているものかなと思ったので、比較的たくさんあるとは言いませんけれども、ただ、1個だけ懸念があるとすれば、消防本部とMCが一緒だったりすると、役場の中にある危機安全管理とかぶるからつくらないとかあるのですけれども、メディカルコントロール協議会としてつくりなさいというのは必要だと思ってやっていいと思うのですけれども、そこまでまだできていないというような認識でよろしいですか。僕などの感覚からすると、ずっと何年か安全部会をやっていましたので、有害事象とか特定行為の処置の検証とか、事故発生予防をMCの協議会から各消防本部に流して、そこの対応を促すという仕組みは一応できているのですけれども、そういうのがまだ未熟ということですね。
○佐々木構成員 市町村と地域MCの権限がリンクしていないので、MCはそこまで成熟していないと思う。
○本多構成員 分かりました。多分消防庁のほうからとか総務省のほうから各メディカルコントロール協議会にそういった指示とかは出ていないということでよろしいのですか。安全部会でつくりなさいとか、多分出ていたはずだと思うのですけれども。
○児玉座長 お願いします。
○寺村オブザーバー(総務省消防庁) 消防庁でございます。
そういったものが消防庁から過去出ているかどうかについては、この場では持ち合わせておりませんので、調べて追って御回答させていただきます。
○児玉座長 では、ぜひ事務局のほうでも確認いただいて、それで、今、お話があったようにアンケートを実施してはどうかということを検討いただければと思います。
貴重な御意見をありがとうございます。
○佐々木構成員 もし可能であれば、しっかりとしたひな形を出していただかないと、全国津々浦々の消防本部が独自に作成していくのはなかなか難しいと思いますので、よろしくお願いします。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
本多構成員のほうも、この先行的な実証の可否についてもし御意見がありましたらお願いいたします。
○本多構成員 実証研究に関しては、冒頭にお話ししたとおり、進めるべきだと思っています。
さっきのリスクのことだけ話をしますと、静脈内投与という話が出ましたけれども、多分これはプロトコルの問題であって、恐らくアナフィラキシーショックということであれば、当然救命士の特定行為でショックのプロトコルがあるのですけれども、ルートを取る前に多分これを打つのだろうなという状況がありますので、そういったプロトコルを明確にすれば、筋注の手順が決まれば、その辺のところも担保できるかなと。
最後に、さっきも言いましたとおり、事後検証と医師の研修が非常にネックだと思うので、これは医師側の問題だと思うのですけれども、初期臨床研修等でちゃんと研修する。あるいはMCの先生がアナフィラキシーを診たことがないということであれば、ちゃんと明確にして、それをちゃんと教えるなりできる人をつくるなり、あるいは指示ができる体制をメディカルコントロール協議会の中で地域でつくっておくということが必要かなと思います。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
では、横野構成員、お願いいたします。
○横野構成員 私は基本的にはこの実証を進めるということについては賛同いたします。
そして、これまで厚労科研等で様々な検証が行われてきている中で、実証する上での課題がいろいろと指摘されておりまして、今もいろいろ御指摘がありましたけれども、そうしたものをきちんとした検討をしながら準備を進めていくためには、かなり時間的、それから、エフォート的なコストというものがかかると思いますので、実証するという方針については、基本的な方針はできるだけ早期にここで決定して、準備をしっかりできるような形が望ましいと考えます。
また、過去の厚労科研等に参加された消防本部が、今後実証の中で主たる参加主体になっていくのかなと思いますが、あまりそこで間が空いてしまいますと、これまでの経験等が生かされないという形にもなっていきます。また、先ほどの資料4の各論⑩の中にありましたが、地域への周知、広報というのも重要だと思いますので、そうしたことも考えて、全体の方針としては早期に決定をして、その中で具体的なプロトコルの在り方等についてはさらに検討するという形で進めていくのがよいかと思います。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
ほかは御意見はいかがでしょうか。オンラインの方も、ぜひこの先行的な実証の可否について御意見をいただければと思います。
淺香構成員、お願いいたします。
○淺香構成員 ありがとうございます。
大筋というか、2段階の方法でやっていくということで、エピペンをまず広げて、その状況で実証をして、それを確認しつつ、その検証をしながら、そして、また必要な研修なども進めつつ広げていくといった形であれば、いいのではないかなと思っております。大筋として私も賛同したいと思っております。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
ほかの構成員の方、いかがでしょうか。
では、喜熨斗構成員、お願いいたします。
○喜熨斗構成員 ありがとうございます。
今回の提案と進め方については賛成でございます。既に救急救命士は、アナフィラキシーも含め、循環不全に対して静脈路確保及び輸液も実施しており、既存のプロトコルがありますので、今回の新たな実証のプロトコルが加わることで既存のプロトコルに混乱が生じないように進めていく必要があるかと思っております。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
ほかの構成員の方、いかがでしょうか。
加納構成員、お願いいたします。
○加納構成員 私も今回の実証に関しましては、こういう形で進めていくのは賛成であります。エピペンで行くという話もありますが、確かに注射液を使ってというのも非常に大事なことだと私も思いますので、ここはしっかりと、経費のこともコスト的な効率化というのもやはり救急場面では非常に大事だと私も認識していますので、効率よく使われるような状況下で実証をお願いしたいと思っております。
○児玉座長 ありがとうございます。
細川構成員、お願いいたします。
○細川構成員 お疲れさまです。
日本医師会としても、今回のこの実証に関しては賛成いたしますので、慎重にやっていっていただきたいと考えているところでございます。
あと、これとは別に、最後にその他のところで1分ほどお話しさせていただきたいなというようなことがありますので、最後の最後で結構ですので、またよろしくお願いいたします。
○児玉座長 承知しました。ありがとうございます。そうしたら、一番最後にもう一度その他のところでお話しいただければと思います。
そのほか、よろしいでしょうか。
ほかにもしよろしければ、先ほど2段階という話がありましたけれども、まずエピペンのほうのみ先行的な実証として行うということで御承認いただければと思います。プレフィルドに関しましては、引き続き行うかどうか検討するということでよろしいですか。
(首肯する構成員あり)
○児玉座長 皆様ありがとうございます。
そうしたら、よろしければ、細川構成員、その他ということでぜひ御意見を頂戴いただければと思います。
○細川構成員 ありがとうございます。本当にウェブで失礼いたします。
今回の救急救命士の処置についてのことでございまして、少し話題提供という形で、せっかくの機会でございますので、話をさせていただきます。
先日ではございますけれども、日本医師会のほうに日本産婦人科医会のほうからお話をいただいたことでございますが、現在、救急救命士の救急救命処置については、通知で産婦人科領域の処置の項目の中で墜落産児、墜落産の処置として臍帯の結紮、切断、胎盤処理、新生児の蘇生などの一連の処置が認められているところだと思います。
ごくまれになのですが、産科救急において、妊婦さんが破水をせずに、胎児が羊膜に包まれた状態で産まれるというケースがあります。これを「幸帽児」という言い方で、「幸せ」と「帽子」の「帽」ですね。あと、「小児科」の「児」という形で、幸帽児と言われるケースになりますが、娩出された胎児に関しては肺呼吸になります。急いで膜を破ってあげないと、羊水で窒息してしまうという形で、重い障害や死亡などにつながってしまうという例が、まれではございますが、実際にあるようでございます。ここで羊膜を破るだけで通常の処置に戻すことができるようなのですが、もともとケースが少ないこともあり、現場の救急救命士の方は現場で処置が認められているのかどうか戸惑ってしまうケースがあると聞いております。
ここで、厚労省、また、消防庁にもですけれども、今回、この件について整理してお示しいただけると、現場がスムーズになるかと思いますので、それについて話題提供をさせていただきました。
医師会からは以上でございます。どうぞよろしくお願いします。
○児玉座長 ありがとうございました。
幸帽児破膜というのですかね。そのことについて承りました。事務局のほうでも現状を確認していただくようにお願いできればと思います。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
お願いします。
○井本構成員 事務局に質問ですけれども、ここで幾つか検討してくださいという意見があったと思います。厚生労働省のほうでこの実証に対しての決定をしていくと資料にはありましたけれども、そういったことは、今後ワーキングでは共有はしていただけるのでしょうか。安全な体制とか、そういった辺りのこと、幾つか質問があったと思っているのですけれども。
○東専門官 今回の検討においては、プレフィルドシリンジではなく、まずはエピペンを用いて対象の拡大をする、それで実証するということについては、皆様から了をいただいたものと認識しております。プレフィルドシリンジを用いてやるときには、さらにほかのプロトコルとの整合性だったり、ヒューマンエラーの防止策をもう少し詰める必要があるということで、今回幾つか課題をいただいたと思っておりますので、それに関しては引き続き検討したものを本ワーキングで報告したいと思っております。
○児玉座長 ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、本日いただいた御意見に関しては、基本的に今回進めていくということで、座長一任としていただいて、事務局と調整して必要な修正を行った上で、実証に進むということで取りまとめたいと思っています。
先ほどありましたように、もし何か連絡、皆さんと共有すべき情報があれば、また共有させていただければと思います。
最後に事務局から何かありますでしょうか。
○東専門官 今後につきましては、事務局より改めて皆様へ御連絡させていただきます。
○児玉座長 それでは、これにて本日のワーキンググループを終了いたします。
長時間にわたりましたが、皆様、お忙しい中ありがとうございました。○児玉座長 ありがとうございます。
加納構成員、お願いします。
○加納構成員 もう一度よろしいでしょうか。時間の確認なのですけれども、資料3の17ページに書いています観察カード使用-病院到着ということの時間が13分と書いてあるのですが、これは上の現場出発-病院到着、どこと比較すればいいのでしょうか。何をもってこの観察カード使用-病院到着が13分になったということなのでしょうか。
○児玉座長 資料3の17ページの左下のほうですかね。観察カード使用-病院到着13分というところ。
○田邉構成員 これは観察カードを使用して記載をし終わってから病院に到着するまでの時間が13分だったということです。
○加納構成員 これは観察カードを書き出したのは現場を出発していると判断していいのでしょうか。上の10分と比較して13分、3分ほど観察カードを書くのに延びてしまったよとか、そういう意味であったら、それは時間的には負担しているという考えなのでしょうか。この13分というのはどこと比較したらいいのかなと思って。
○田邉構成員 ありがとうございます。
基本的には、現場に行って、救命士が観察カードを記録しながら、いつ判断したよといったところの時刻を記載する形になっています。というのは、病院に到着してから記載したという形になると、医師の判断をした上で救命士の判断を書くという形になると、それは研究の設定上避けたいと考えましたので、基本的には病院に到着する前に判断してくださいねという研究にしています。とはいえ、そういう時間がないときにはやむを得ないです。そのときには記載をしなくてもいいよといった前提で研究を進めてきたところでございます。
○加納構成員 というのは、カードに書く、チェックするのに意外に時間を取っておれば、余計に生命に大きな影響を与えている可能性がありますので、そういうリスクを考えているかどうかという意味で調べられたのかなと。カードを書かない人と比べてどれだけかという比較をしないと時間的なものは分からなかったので、多分現場を出発する前にも書き込んでいるよということ、これは上で現場出発-病院が10分になっていますから、少なくとも13分ということを考えれば、3分間は現場で記載しているのかなということですかね。上との比較なのですけれども。
○田邉構成員 これは基本的には現場、その場で記載していただく。記載していただいた後にいろいろなそれ以外の手続をした上で出発するといったことがあるので、必ずしも記録をするために遅れてしまったといったことを示しているものではないのですが、ただ、御指摘のとおり、少しでも実際に記録することでいろいろなことが遅れてしまうというわけにはいきませんから、どんな形でそこを短くできるかといったことはもう一回検討する必要があるかなと思います。ありがとうございます。
○加納構成員 ちょっと気になったのは、これは全症例なされているので、期間中の全救急搬送の人数になっていますので、一旦はアナフィラキシーの疑いがあるかないかで、疑いがなければ瞬時に記載には入っていないということでいいわけですよね。それだとほとんど時間的に考えなくていいかな。全症例、この2万7000人かの人でこんなことを全部やっていたわけではないということでいいわけですね。
○田邉構成員 そうですね。これはアナフィラキシーだと疑って観察カードを使った人だけこういう形の時間経過を書かせていただいているということです。
○加納構成員 分かりました。
○児玉座長 貴重な御意見をありがとうございます。
ほかの方はいかがでしょうか。
では、井本構成員、お願いいたします。
○井本構成員 日本看護協会の井本でございます。
質問させてください。まず、事務局に先ほどの淺香構成員の質問に関連してお伺いしたいのですが、事務局提案ですと最初にエピペンの対応をし、その後にプレフィルド製剤の対応ということでした。その前提に立って今この研究を聞いていたのですが、エピペンは誰にでもエラープルーフになっていると思うのですけれども、プレフィルド製剤については、要は針をつけて薬液を捨てるということが発生するというようなことも含めて、手順等の詳細がこの中では具体的に説明があまりなかったような気がしています。これについて今の御検討状況を教えてくださいということ。あと、救命すべき症例ということは私も当然そう思うのですが、一方でヒューマンエラーの防止、特に静注の誤薬などは非常に注意が必要な対応だと思っています。観察カードには静脈注射は禁止と書いてあるのですが、されど、救命をすべき症例が目の前にいるときにいろいろなことが起こるだろうと思いまして、そういったときにどういう防止策を考えておられるのかということを聞きたいと思いました。
3点目が、救急車に搭載されているプレフィルド製剤というのは、私が認識している限り、これ以外の薬剤はないのかと思っているのですけれども、ブドウ糖液とかがあるのかもしれないとか思ってみたり、そこを教えてください。
あと、4点目ですが、先ほどダブルチェックとおっしゃったのですけれども、我々看護の世界でもダブルチェックは様々な方法がございます。どういった方法を想定されているのかということをお伺いしたいと思います。
4点、よろしくお願いいたします。
○児玉座長 田邉構成員、よろしいでしょうか。
○田邉構成員 ありがとうございます。
まず1つ目でございますが、私のほうで説明を割愛させていただきましたけれども、資料4の8ページ、アドレナリンの準備と記載している②のところですが、どのようにプレフィルドシリンジを使用するかということで、アドレナリンシリンジ、23ゲージ針、酒精綿の3つを用意して、清潔操作に留意しながらプレフィルドシリンジに注射針を接続する。その上で、押し子を軽く引いた後に慎重に押して余分な薬液を破棄しながら、医師の指示した投与量に設定するということでしています。これについては、動画も用意して見ていただけるようにしているということでございます。
押し子を軽く引くと言ったのは、押し子とシリンジのところが新しいものは固着している、くっついてしまっているところがあるので、そのまま押してしまうと勢い余って余計に排液してしまう心配がありますから、少し引いてくっついてしまっている部分を外した後に押して設定量にする。そんなことを動画あるいは報告書として手順を記載しています。
○児玉座長 1点目のところはプロトコルにも関わるのかなと思ったのですけれども、1点目に関しては今のお答えでよろしいですか。
○井本構成員 プロトコルの流れで。
○児玉座長 6とか7ページのほうには、特にここのプロトコルにはエピペンとプレフィルドのどちらを使うのかとか、どちらだけを使うのかみたいな話はまだこちらにはないということでよろしいですよね。
○本多構成員 今、議論がかなり細かいところまで行ってきていて、全体の話が見えなくなってきているのですけれども、恐らく今話をしなくてはいけないことは、資料2の8ページですかね。めどと書いてある①、まず、自己注射が可能なアドレナリン製剤のみを用いて実証を始め。②、その後、①の条件を踏まえということで、今議論になっているのは、恐らくエピペンの操作とプレフィルドシリンジの操作であって、これは医師の立場からも考えると、恐らくプレフィルドは事故あるいは誤投与はやはりあります。特にこういう現場だと、救急外来でもあります。そうすると、我々医療従事者の中では懸念事項がかなり高いので、できれば①を先にやったほうが早いかなと実は思っています。なぜかというと、②はクリアするハードルが多過ぎて、実際に静脈注射した例もあります。生命への危険というところがあります。そういった中でゼロでないし、ましてこれだけ医師の指示の下にとか、看護師さんたちはやっていますけれども、その確認に関しても、量をちゃんと吸ってやったかどうかというのは、人間がやることですから絶対はないのです。そうすると、0.2が間違ってそのまま1に行ってしまったこととか、聞き間違いで0.1のつもりが1行ってしまったとか、そういう本当にあり得ないでしょうということが実は起こっている中ですると、かなりハードルが高いこと。さらに、現場から離れているオンラインメディカルコントロールですけれども、そうすると、先にエピペンのほうのものをどんどんまず配備してもらって、予算化してもらってやったほうが安全ではないかなと。その後のトラブルシューティングではないけれども、起こったことに対する対応とかその手間を考えたら、それもちゃんと全国の消防本部に配って、それをちゃんとするということで、当然コストはかかるかもしれませんけれども、これは必要なコストとしてやる。
今の話を聞いていると、あるものでしかできないからやろうとしていると、実際に助けられるものも助けられないので、これだけの数を過去何人も亡くなっている方がいる中で助けようとすることに関して言えば、当然必要なものは投資する、使うという形のほうがいいかなと思うので、できればアドレナリンのエピペン等をちゃんと全救急車に整備してやる。そうすると、まず早くこれが進むのではないかなと。当然これからいろいろな行為、確かにいろいろな薬とかが入っていますけれども、まずその第1段階ができていないのであればこの①のことをまずしっかりやってもらう。
僕はさっきも何度も言いましたが、また後から言おうと思っていましたけれども、事後検証ですね。やったことに関する、さっき加納先生がおっしゃったとおり、それがちゃんとできているかどうかというのは、実はドクターも経験が少なかったり、やったことがない人、ましてアナフィラキシーの注射をしたことない人はいっぱいいます。そういった中で、それをどうするかという議論を遡ってくると、初期臨床研修のときにちゃんと救急外来に行って研修して、アナフィラキシーを2年間のうちに必ず経験して注射を打つなり、あるいは現場を見るとか、そういうことを義務づけた上でないと、MCの医師も育ちませんので、恐らく指示するにしたって、今、内科学会だけが唯一JMECCという緊急時の対応をするトレーニングコースをつくっていますので、そこの中でしかアナフィラキシーの話が出てこないのですよね。そこで教えたりしているときに、経験したことはほとんど皆無ですし、打ったこと、やったことがない人がいっぱいいる中で細かいことをやるぐらいだったら、事後検証の話の前にまず①を進める。そして、事後検証をしっかりするという話がいいのかなと思ったので、時間がかかりますので、そういった話でどうでしょうということで。
○児玉座長 ありがとうございます。
そういう形で順番にという話で、プロトコルの話ではなかったと思うのですけれども、そういう形で今回実証を認めることができるかということを最終的には議論できればと思っております。
よろしいですか。
○井本構成員 事務局提案の①、②で①をまずやるという話で聞いていたところ、研究の結果は当然両方だと思ったのですが、先ほどの御回答が両方あり得ると私には聞こえたので、だとしたら、より細かい手順ですとかエラー防止対策が、特にプレフィルドシリンジから薬液を破棄するというやり方については必要だと思ったからです。ダブルチェックとプレフィルド製剤のことだけ、もし今大丈夫であればお答えいただければと思います。
○田邉構成員 まず、現状で使っているプレフィルドについては、アドレナリンとブドウ糖の2つでございます。
その上で、ダブルチェックの方法ですが、12ページに写真が幾つか出ていますが、写真の一番下のところ、アドレナリン等が出ている左側から2つ目のものですが、御紹介があったとおり、プレフィルドシリンジは2つございますから、ブドウ糖のほうではなくてアドレナリンですよと。それに青色の23ゲージの針をつけた上で、ちょっと見えづらいのですが、右と左がちゃんと設定したとおりに量になっているか。その上で、下のところ、これは筋注ですよということで、右側は文字が重なっていますが、バツとなっていますよね。このバツのところはまさに静脈路から投与するというような形になっていないかといったことを確認する。だから、絵と文字を見ながら2名でそのとおりになっているかということをチェックを入れながら確認するといった手順を想定して作っています。
○井本構成員 すみません。この資料をよく見られていませんでした。
ダブルチェックは言葉だけだといろいろな方向、7つぐらいのタイプがあり、これだと2人連続方向型と言われるものだと思います。そういったことが共通理解されないと、最後の量だけを確認するとかということも一部でダブルチェックの概念は入っているので、こういったものがまさにしっかりあったほうがよいというつもりで質問させていただきました。
○児玉座長 ありがとうございます。
そうしたら、植田構成員が先に手を挙げられているのでお願いします。
○植田構成員 日本臨床救急医学会の植田です。よろしくお願いします。
今、ダブルチェックの話が出ましたので、その件につきまして、今回救急救命士が薬剤の量についてもチェックをしなければならないということになると思うのですが、この救急救命士以外の隊員でも可能というところが少し気になりまして、これはなぜかといいますと、救急隊員の資格ですね。250時間の勉強をすると救急隊員になれるわけですけれども、この方々の扱っている救急隊員標準テキストの中には、こういった薬剤の量といったものについては何も記載されていないです。そういった方々をダブルチェックの対象としていいのかどうかというところがこの検討の中でされたかどうかというところについて、少し説明していただければと思います。
○田邉構成員 ありがとうございます。
検討いたしました。というのは、もちろん救急救命士同士でダブルチェックをし合う。これが理想なわけですけれども、実態としては救急車の中に救急救命士が2名乗っている状況ではない場合が多いといった中でどうするか。そういった中で、高度な医学的な判断が求められる部分、何mgにするだとかそういった部分は医師と救命士の間でのダブルチェックという形にして、その上で、医師から指示を得た内容について、量だとか、薬品の種類だとか、あるいは投与経路については、先ほど御紹介したようなダブルチェックの表を順にお互いに見ながらしていく。単純だけれどもとても重要な部分については、表を見ながら救急隊とでするといったことであれば対応できるのではないかなと。もちろん理想は救急救命士だけれどもといったところでございます。
○植田構成員 ありがとうございます。
今、既に救急救命士が2名体制で乗っているところも多いと思いますが、まだ1人で活動されているところも多いということを伺っていますので、先ほど医師の教育というものも出てきましたけれども、一緒に活動している救急隊員の教育というものもやはりこれから必要なのかなと思いました。ぜひよろしくお願いします。ダブルチェックシートカードというものも今拝見させていただいて、こういったものを使えば間違いは起こり得ないのかなと思いましたので、ぜひよろしくお願いします。
○児玉座長 ありがとうございます。
では、佐々木構成員、お願いいたします。
○佐々木構成員 仙台市消防局の佐々木です。
今の発言に重複しますが、救急現場の現状についてです。投与経路のダブルチェックの方法にチェックリストは必須だと思っています。その理由は、今、植田構成員の発言にもありましたが、救急車に乗車する隊員の資格について、皆さんご存じのとおり救急需要が増加しており、特に夏の期間は臨時の救急隊を追加編成して数に対応しているのですが、そのメンバーの資格内訳は、可能な限り救急救命士を1人乗車させているものの、そのほかの隊員は救急資格を持った救助隊員若しくは消防隊員です。よって、有資格同士のチェックができない状況にあります。医療機関のように口頭でのダブルチェックというのは難しく、チェックリストを使って資格のない隊員間でも間違いなくチェックできるようにとの趣旨で作ったリストだと思います。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
では、先に深澤構成員、お願いします。
○深澤構成員 ありがとうございます。
先ほど来から救急救命士さんのお仕事の状況とか非常に大変な状況とかをお聞かせいただきました。その中で、私はチーム医療推進協議会の代表として出ておりまして、私どもの加盟している団体からのお話もさせていただきたいと思うのですけれども、今回、先ほど本多先生のほうから、今回の議論はエピペンの仕様だけについて使用拡大をということでお話をいただいたと思います。救急救命の現場の中でこういったものに関して言うと、エピペンの使用に関して言えば、救命措置は非常に高いものかなと私たちも思っております。
ただ、そういった意味で、エピペンの使用に関して言えば、私どもの団体からも非常にそこまでのリスクという事故、針刺しの事故とか、例えば余分な溶液、そういうアドレナリンは劇薬扱いということでございますので、その辺のところ、廃棄する方法の確立とか、そういったものですね。非常に医療事故もそういったところに増えるのではないか。そういうものを確立しなくてはならないという煩雑さもある。その中で、本当に業務の大変な救急救命士さんにそこまでのことが果たしてできるのか。そこを考えると、まずはエピペンの拡大を考えた上で進めていくというのがいいのかなと私たちも思っているところでございます。そういった意味で、ある意味私の加盟している団体の一意見として少しお話をさせていただきました。そういう意味では、そこのところも踏まえて御検討いただきたいということもございます。
あと一点なのですけれども、ここで言う話かどうか分からないのですが、今回、私はこの検討会の中に入らせていただきまして、救急救命士さんの業務の拡大というものについて様々な提案がなされているところなのですけれども、救急救命士さんは今は医療現場のほうにも入って、私たちと一緒に患者さんの命を救っているということを考えると、ここで話すことではないかもしれないですけれども、やはり教育年限についても厚労省として考えていただきたいかなと。そういうことを踏まえて、しっかりとチーム医療を推進していくような状況をつくっていただければと思っております。
以上です。意見でございました。
○児玉座長 ありがとうございます。
では、喜熨斗構成員、お願いいたします。
○喜熨斗構成員 よろしくお願いします。
先ほどのダブルチェックを含めた医療安全の面なのですが、救急救命士の資格を保有しない救急隊員の方も含めてダブルチェックをしていくということですが、今、救急隊員の生涯教育は2年間で128時間を実施するというような一定の基準があるかと思います。その中の指針で、これはぜひ消防庁に御検討いただきたいのですが、必須で生涯教育として実施しなさいという項目と、幾つかの項目がある中でその中から選択して研修しなさいという項目があるかと思います。その選択の中で、ここで言う医療安全にも関わってくると思うのですが、安全管理が選択項目になっているかと思います。今後、こういった救急救命士を含めた処置拡大で救急隊員の方と一緒に連携をしながら活動していくという中では、医療安全をより高めていくということが非常に重要かと思いますので、ぜひ生涯教育の128時間の安全管理の部分を必須項目のほうに入れていただけるように、どうか御検討いただきたいと思います。
あとは、先ほどヒューマンエラーの件なのですけれども、インシデントが起きてしまうことはあり得るかと思います。その中で、インシデントの報告については、救急救命士個人の心理的安全性が保たれた中で報告できるような体制も含めて御検討いただきたいと思っております。
以上です。
○児玉座長 貴重な御意見をありがとうございます。
オブザーバーで消防庁の方がいらしておりますでしょうか。もし何か御発言がありましたら、ぜひお願いいたします。
○寺村オブザーバー(総務省消防庁) 消防庁でございます。
御意見ありがとうございました。ただいまいただきました生涯教育関係のお話につきましては、どういった課題や方法があるのかも含めて、必要に応じ、検討できればと考えております。御意見ありがとうございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
そうしましたら、時間がもう30分を切っておりますので、この先行的な実証の可否について、ワーキンググループとしての御意見を伺いたいと思っております。時間が短くなっておりますので、簡潔に御意見をいただきたいと思います。先ほど非常に重要な点としましては、やはりエピペンだけの拡大か、プレフィルドのものも含めて認めるのかという点も含めて、ぜひ皆さん、先行的な実証の可否について御意見をいただければと思います。どなたからでも結構です。よろしくお願いします。
では、植田構成員、お願いいたします。
○植田構成員 私からは、この先行的な実証をすることについては賛成です。
ただ、事務局に確認をしたいことが1つあるのですが、よろしいですか。先ほどエピペンのほうから実証をしていくということだったのですがプロトコルについての質問です。資料2の7ページについて、既にエピペンが処方されている方は包括的な指示ということですが、例えば処方されているけれどもその日持っていなかった場合は、どちらに当たるのか。この場合、救急車内にエピペンがあった場合は包括的な指示で行けるのか、それとも具体的な指示が必要という特定行為のほうに移行するのか。
それともう一つは、今までの文献を見ますと、エピペンを処方されてから更新されていない、使用期限が切れてしまっている方がある一定程度いると報告されていますが、その場合はどちらに当たるのか。処方されているけれども使用期限が切れている場合に、救急隊が持っているエピペンを使用する場合には包括的な指示のほうで行けるのか、それとも具体的な指示のほうに移行して特定行為として行うのか。この辺のすみ分けはどういうふうに考えているかというところをお聞きしたいと思います。
○児玉座長 ありがとうございます。
事務局、よろしいでしょうか。
○東専門官 今、通知で記載しています、「あらかじめ自己注射が可能なエピペン製剤を交付されている」、この交付に関しては、「処方され、かつ現に所持している」ということを意味して交付と記載しております。したがって、処方はされているけれども現に所持していない、本人が処方されていると言っているのみというのに関しては、今回は具体的指示を用いて、しっかり医師に確認をした上で投与するというふうに想定しております。
○植田構成員 そうすると、処方されている場合であっても、場合によっては、直接的な指示を受ける行為に変わってくるということですね。
○東専門官 そうです。医師の指示は基本的にはもらうと。
○植田構成員 同じ行為をするけれども、特定行為に入るか、包括的なほうに入るかというのは変わるということですね。
○東専門官 そのとおりです。どちらもエピペンを使うというものなのですけれども、やはり現に所持している、交付されているというのは、一段医師の指示が既にあるものと解して包括的指示に入れているのですけれども、そうではないものに関しては、劇薬ですので、やはりしっかり医師の指示を得た上で投与する。
○植田構成員 エピペンを使う場合であってもですか。
○東専門官 エピペンであっても医師の指示はもらうと考えております。
○植田構成員 非常に指示体制が複雑になるのかなというところは懸念があるところですが、実証をするということには賛成です。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
ほかの構成員の方はいかがでしょうか。どなたからでも。
では、佐々木構成員、お願いいたします。
○佐々木構成員 仙台市消防局の佐々木です。
エピペンを進めていくことに消防としては賛成ですが、進め方に1つ提案があります。資料4の15ページ中頃⑥について、実証事業に求められる要件に、MC協議会が関わるインシデント、有害事象、事故等に対する危機管理の対応要領を定め、これに基づいて対応できる。と記載がある。例示が19ページに載っていますが、これは消防として少しハードルが高い部分なのではないかなと思っています。もしこれを参加の要件にするのであれば、一度全国の消防本部にどの程度こういったものが作成されているのか調査した方がいいのではないかと提案します。
この理由ですが、危機管理要領は、市町村で行政組織として消防長、市町村長に報告する要領や報道対応要領というのは存在し、いざ事故が起きると、搬送先医療機関の医師やMCの医師がコメントする地域もありますけれども、他方、私が知っている範囲だとMCが中心になって危機管理要領をつくっている消防本部はあまりない。再来年度公募した際に、これがなければ応募できないとなると、応募できる消防本部が非常に少なくなるのではないかと危惧しています。
地域MCにこういったものがないこと自体が問題であり、可能であればアンケートを取り、この機会に必要に応じて全国の地域MCで危機管理要領が作成されるよう、この会が主導となって促していければ、公募の際にも多くの消防本部が参加できるのではないかなと考え提案させていただきます。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
よろしいですか。
では、本多構成員、お願いいたします。
○本多構成員 今の件ですけれども、実は私がいるMCは、私が安全管理部会の部会長をしているのですけれども、今の話を聞くと、僕自身は全国のMCが流れてきていて権利規定でつくりなさいという指示が既に出ているものだと思っていて、その指示はまだ全国のあれには出ていないのですか。僕にしてみれば、感覚からすると、つくってくださいと言われて、各消防本部は動いていてやっているものかなと思ったので、比較的たくさんあるとは言いませんけれども、ただ、1個だけ懸念があるとすれば、消防本部とMCが一緒だったりすると、役場の中にある危機安全管理とかぶるからつくらないとかあるのですけれども、メディカルコントロール協議会としてつくりなさいというのは必要だと思ってやっていいと思うのですけれども、そこまでまだできていないというような認識でよろしいですか。僕などの感覚からすると、ずっと何年か安全部会をやっていましたので、有害事象とか特定行為の処置の検証とか、事故発生予防をMCの協議会から各消防本部に流して、そこの対応を促すという仕組みは一応できているのですけれども、そういうのがまだ未熟ということですね。
○佐々木構成員 市町村と地域MCの権限がリンクしていないので、MCはそこまで成熟していないと思う。
○本多構成員 分かりました。多分消防庁のほうからとか総務省のほうから各メディカルコントロール協議会にそういった指示とかは出ていないということでよろしいのですか。安全部会でつくりなさいとか、多分出ていたはずだと思うのですけれども。
○児玉座長 お願いします。
○寺村オブザーバー(総務省消防庁) 消防庁でございます。
そういったものが消防庁から過去出ているかどうかについては、この場では持ち合わせておりませんので、調べて追って御回答させていただきます。
○児玉座長 では、ぜひ事務局のほうでも確認いただいて、それで、今、お話があったようにアンケートを実施してはどうかということを検討いただければと思います。
貴重な御意見をありがとうございます。
○佐々木構成員 もし可能であれば、しっかりとしたひな形を出していただかないと、全国津々浦々の消防本部が独自に作成していくのはなかなか難しいと思いますので、よろしくお願いします。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
本多構成員のほうも、この先行的な実証の可否についてもし御意見がありましたらお願いいたします。
○本多構成員 実証研究に関しては、冒頭にお話ししたとおり、進めるべきだと思っています。
さっきのリスクのことだけ話をしますと、静脈内投与という話が出ましたけれども、多分これはプロトコルの問題であって、恐らくアナフィラキシーショックということであれば、当然救命士の特定行為でショックのプロトコルがあるのですけれども、ルートを取る前に多分これを打つのだろうなという状況がありますので、そういったプロトコルを明確にすれば、筋注の手順が決まれば、その辺のところも担保できるかなと。
最後に、さっきも言いましたとおり、事後検証と医師の研修が非常にネックだと思うので、これは医師側の問題だと思うのですけれども、初期臨床研修等でちゃんと研修する。あるいはMCの先生がアナフィラキシーを診たことがないということであれば、ちゃんと明確にして、それをちゃんと教えるなりできる人をつくるなり、あるいは指示ができる体制をメディカルコントロール協議会の中で地域でつくっておくということが必要かなと思います。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
では、横野構成員、お願いいたします。
○横野構成員 私は基本的にはこの実証を進めるということについては賛同いたします。
そして、これまで厚労科研等で様々な検証が行われてきている中で、実証する上での課題がいろいろと指摘されておりまして、今もいろいろ御指摘がありましたけれども、そうしたものをきちんとした検討をしながら準備を進めていくためには、かなり時間的、それから、エフォート的なコストというものがかかると思いますので、実証するという方針については、基本的な方針はできるだけ早期にここで決定して、準備をしっかりできるような形が望ましいと考えます。
また、過去の厚労科研等に参加された消防本部が、今後実証の中で主たる参加主体になっていくのかなと思いますが、あまりそこで間が空いてしまいますと、これまでの経験等が生かされないという形にもなっていきます。また、先ほどの資料4の各論⑩の中にありましたが、地域への周知、広報というのも重要だと思いますので、そうしたことも考えて、全体の方針としては早期に決定をして、その中で具体的なプロトコルの在り方等についてはさらに検討するという形で進めていくのがよいかと思います。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
ほかは御意見はいかがでしょうか。オンラインの方も、ぜひこの先行的な実証の可否について御意見をいただければと思います。
淺香構成員、お願いいたします。
○淺香構成員 ありがとうございます。
大筋というか、2段階の方法でやっていくということで、エピペンをまず広げて、その状況で実証をして、それを確認しつつ、その検証をしながら、そして、また必要な研修なども進めつつ広げていくといった形であれば、いいのではないかなと思っております。大筋として私も賛同したいと思っております。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
ほかの構成員の方、いかがでしょうか。
では、喜熨斗構成員、お願いいたします。
○喜熨斗構成員 ありがとうございます。
今回の提案と進め方については賛成でございます。既に救急救命士は、アナフィラキシーも含め、循環不全に対して静脈路確保及び輸液も実施しており、既存のプロトコルがありますので、今回の新たな実証のプロトコルが加わることで既存のプロトコルに混乱が生じないように進めていく必要があるかと思っております。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
ほかの構成員の方、いかがでしょうか。
加納構成員、お願いいたします。
○加納構成員 私も今回の実証に関しましては、こういう形で進めていくのは賛成であります。エピペンで行くという話もありますが、確かに注射液を使ってというのも非常に大事なことだと私も思いますので、ここはしっかりと、経費のこともコスト的な効率化というのもやはり救急場面では非常に大事だと私も認識していますので、効率よく使われるような状況下で実証をお願いしたいと思っております。
○児玉座長 ありがとうございます。
細川構成員、お願いいたします。
○細川構成員 お疲れさまです。
日本医師会としても、今回のこの実証に関しては賛成いたしますので、慎重にやっていっていただきたいと考えているところでございます。
あと、これとは別に、最後にその他のところで1分ほどお話しさせていただきたいなというようなことがありますので、最後の最後で結構ですので、またよろしくお願いいたします。
○児玉座長 承知しました。ありがとうございます。そうしたら、一番最後にもう一度その他のところでお話しいただければと思います。
そのほか、よろしいでしょうか。
ほかにもしよろしければ、先ほど2段階という話がありましたけれども、まずエピペンのほうのみ先行的な実証として行うということで御承認いただければと思います。プレフィルドに関しましては、引き続き行うかどうか検討するということでよろしいですか。
(首肯する構成員あり)
○児玉座長 皆様ありがとうございます。
そうしたら、よろしければ、細川構成員、その他ということでぜひ御意見を頂戴いただければと思います。
○細川構成員 ありがとうございます。本当にウェブで失礼いたします。
今回の救急救命士の処置についてのことでございまして、少し話題提供という形で、せっかくの機会でございますので、話をさせていただきます。
先日ではございますけれども、日本医師会のほうに日本産婦人科医会のほうからお話をいただいたことでございますが、現在、救急救命士の救急救命処置については、通知で産婦人科領域の処置の項目の中で墜落産児、墜落産の処置として臍帯の結紮、切断、胎盤処理、新生児の蘇生などの一連の処置が認められているところだと思います。
ごくまれになのですが、産科救急において、妊婦さんが破水をせずに、胎児が羊膜に包まれた状態で産まれるというケースがあります。これを「幸帽児」という言い方で、「幸せ」と「帽子」の「帽」ですね。あと、「小児科」の「児」という形で、幸帽児と言われるケースになりますが、娩出された胎児に関しては肺呼吸になります。急いで膜を破ってあげないと、羊水で窒息してしまうという形で、重い障害や死亡などにつながってしまうという例が、まれではございますが、実際にあるようでございます。ここで羊膜を破るだけで通常の処置に戻すことができるようなのですが、もともとケースが少ないこともあり、現場の救急救命士の方は現場で処置が認められているのかどうか戸惑ってしまうケースがあると聞いております。
ここで、厚労省、また、消防庁にもですけれども、今回、この件について整理してお示しいただけると、現場がスムーズになるかと思いますので、それについて話題提供をさせていただきました。
医師会からは以上でございます。どうぞよろしくお願いします。
○児玉座長 ありがとうございました。
幸帽児破膜というのですかね。そのことについて承りました。事務局のほうでも現状を確認していただくようにお願いできればと思います。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
お願いします。
○井本構成員 事務局に質問ですけれども、ここで幾つか検討してくださいという意見があったと思います。厚生労働省のほうでこの実証に対しての決定をしていくと資料にはありましたけれども、そういったことは、今後ワーキングでは共有はしていただけるのでしょうか。安全な体制とか、そういった辺りのこと、幾つか質問があったと思っているのですけれども。
○東専門官 今回の検討においては、プレフィルドシリンジではなく、まずはエピペンを用いて対象の拡大をする、それで実証するということについては、皆様から了をいただいたものと認識しております。プレフィルドシリンジを用いてやるときには、さらにほかのプロトコルとの整合性だったり、ヒューマンエラーの防止策をもう少し詰める必要があるということで、今回幾つか課題をいただいたと思っておりますので、それに関しては引き続き検討したものを本ワーキングで報告したいと思っております。
○児玉座長 ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、本日いただいた御意見に関しては、基本的に今回進めていくということで、座長一任としていただいて、事務局と調整して必要な修正を行った上で、実証に進むということで取りまとめたいと思っています。
先ほどありましたように、もし何か連絡、皆さんと共有すべき情報があれば、また共有させていただければと思います。
最後に事務局から何かありますでしょうか。
○東専門官 今後につきましては、事務局より改めて皆様へ御連絡させていただきます。
○児玉座長 それでは、これにて本日のワーキンググループを終了いたします。
長時間にわたりましたが、皆様、お忙しい中ありがとうございました。