2023年12月8日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

日時

令和5年12月8日(金)17:00~

場所

厚生労働省専用第22~24会議室

出席者

出席委員(20名)五十音順
(注)◎部会長 ○部会長代理

他参考人1名出席
 
 
欠席委員(1名)五十音順

 
行政機関出席者
  •  城克文(医薬局長)
  •  吉田易範(大臣官房審議官)
  •  中井清人(医薬品審査管理課長)
  •  野村由美子(医薬安全対策課長)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 審査センター長) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。本会議はペーパーレスでの開催となりますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明点がありましたら、適宜、事務局がサポートしますのでよろしくお願いします。
 本日の会議における委員の出席状況についてですが、根岸委員より御欠席の御連絡を頂いています。また大森委員から遅れて御参加との御連絡を頂いています。また赤羽委員、髙橋委員が、まだ会議に御参加されていませんが、後ほど御参加いただけるものと思っています。
 本日は現在のところ、21名のうち17名の委員がこの会議に御出席を頂いていますので、定足数に達していることを報告します。なお本日は、審議事項の議題8に関して、国立研究開発法人国立成育医療研究センター内分泌代謝科診療部長の堀川玲子先生を参考人としてお呼びしています。
 続きまして、薬事分科会規程第11条への適合状況について、全ての委員の先生方より適合している旨を御申告いただいていますので、御報告させていただきます。先生方におかれましては、会議開催の都度、御協力を賜りありがとうございます。
 それでは、森部会長、以後の進行をお願いいたします。
○森部会長 それでは本日の審議に入らせていただきます。まず、事務局から資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、委員からの申出状況について報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日の会議に係る資料の確認をさせていただきます。本日はあらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料No.1~No.18を用いますので、お手元に御用意ください。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストは資料18に記載のとおりです。これらに関する委員からの申出状況等を踏まえた薬事分科会審議参加規程第5条及び第11条に基づく各委員の審議参加に係る取扱いは、次のとおりです。
 議題1、「レキサルティ」、退室委員は大森委員、佐藤直樹委員。議決に参加しない委員は長谷川委員、前田委員です。
議題2、「ヒフデュラ」、退室委員なし。議決に参加しない委員は川上委員、髙橋委員です。
議題3、「アイリーア」、退室委員なし。議決に参加しない委員は佐藤直樹委員、代田委員、髙橋委員、中西委員、長谷川委員、矢野委員です。
議題4、「リツキサン」、退室委員なし。議決に参加しない委員は佐藤直樹委員、髙橋委員、中西委員、長谷川委員です。
議題5、「ラパリムス」、退室委員、議決に参加しない委員ともになしです。
議題6、「レボレード」、退室委員なし。議決に参加しない委員は川上委員、佐藤直樹委員、髙橋委員、中西委員です。
議題7、「ボイデヤ」、退室委員なし。議決に参加しない委員は中西委員、長谷川委員です。
議題8、「ゾキンヴィ」、退室委員、議決に参加しない委員ともになしです。
議題9、「エヴキーザ」、退室委員、議決に参加しない委員ともになしです。
議題10、「希少疾病用医薬品の指定の可否」、退室委員、議決に参加しない委員ともになしです。以上です。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。今の御説明について、特段の御意見等はありませんか。よろしければ、皆様に確認いただいたものとさせていただきます。本日は審議事項が10議題、報告事項が3議題、そのほかの事項が1議題となっています。
 それでは、審議事項の議題に移らせていただきます。はじめに参考人をお呼びしている議題8から先に御審議いただきたいと思っています。議題8の審議の御準備をお願いしたいと思います。
 それでは、まず議題8について機構の方から概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題8、資料No.8、医薬品ゾキンヴィカプセル50mgほかの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。
 本剤は、ロナファルニブを有効成分とするハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群及びプロセシング不全性のプロジェロイド・ラミノパチーに用いる経口投与用の製剤です。
 本剤の対象疾患の一つであるハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(以下、HGPS)は、生後半年から2年の間に水頭症様顔貌、禿頭、脱毛、小顎、強皮症等の早老症状を呈し、脳卒中、冠動脈疾患、心臓弁膜症、高血圧、耐糖能障害、性腺機能障害等を合併する疾患であり、患者の約半数は8歳までに脳卒中を罹患し、平均寿命は14.5歳と報告されています。
 HGPSは、核膜を構築するタンパク質の一つであるラミンAをコードする遺伝子の変異を原因として発症すると考えられています。通常のラミンAの成熟過程では、未成熟なラミンAであるプレラミンAがファルネシル化された後、メタロプロテアーゼにより切断されます。一方、HGPS患者ではプレラミンAのメタロプロテアーゼによる切断部位が欠損し、変異プレラミンAであるプロジェリン又はプロジェリン様タンパク質が生成して、核膜に蓄積することにより核膜に異常を来すと考えられています。
 もう一つの対象疾患であるプロセシング不全性のプロジェロイド・ラミノパチー(以下、PL)は、ラミンAをコードする遺伝子又はメタロプロテアーゼをコードする遺伝子の変異を原因とし、HGPSと同様にプロジェリン様タンパク質の核膜への蓄積により早老症状を呈する疾患であり、臨床的な特徴はHGPSと重複します。
 本剤はラミンAの成熟過程において、プレラミンAのファルネシル化を触媒する酵素であるファルネシルトランスフェラーゼを阻害し、プロジェリン又はプロジェリン様タンパク質の生成を抑制することで、疾患の進行を抑制することが期待されます。
 本剤は、海外においては2020年11月に米国、2022年7月に欧州で承認され、2023年9月現在、29の国又は地域でHGPS及びプロセシング不全性のPLの効能・効果で承認されています。
 本邦におけるHGPSの患者数は約10例、プロセシング不全性のPLの患者数は2例との報告があり、本剤は希少疾病用医薬品に指定されています。
 本品目の専門協議では、資料No.17に示す先生方を専門委員として指名させていただきました。
 以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
 まず有効性の評価について、審査報告書45ページの7.R.1.1の項を御覧ください。本剤の開発では、HGPS患者及びプロセシング不全性のPL患者を対象とした非盲検非対照の第II相試験が2試験実施されました。HGPS患者では健康な小児と比較して体重増加が少ないなどの特徴に着目して設定された主要評価項目である年間体重増加率では、本剤の有効性は示されませんでした。
 一方で、副次評価項目とされた頸動脈のエコー輝度やPWVcfなどの心血管系評価項目について、ベースライン時と比較して心血管疾患を有さない集団と同程度までに改善した患者も認められました。この結果は本剤の臨床的な有用性を示唆していると考えられましたが、HGPSの重篤性や希少性等から適切な比較試験の実施が困難であったことから、既存のレジストリ等から本剤未投与患者での生存時間データを収集し、臨床試験において本剤を投与した患者集団と生存時間の比較解析が行われました。その結果については審査報告書の48ページの図の1を御覧ください。既存の未治療患者の情報としては、国際レジストリに登録された症例に加え、公表論文等から特定された患者から構成される米国のプロジェリア研究財団が有する国際プロジェリア疾患登録システムのデータが用いられ、HGPSの臨床診断及び/又は遺伝学的診断が確認され、かつ生存年齢又は死亡した年齢に関する情報が入手可能な患者が解析対象とされました。生存時間解析の結果、治療又は追跡から3年時点を打ち切りとした平均生存時間は、治療コホートでは2.828年、未治療コホートでは2.340年で、未治療コホートと治療コホートの生存時間に統計学的に有意な差が認められました。
 なお、外部データとの比較結果の妥当性を確認するために、審査報告書の48~54ページに記載した各感度分析や生存時間の比較に対するバイアスの検討を実施した結果、主要な解析結果を支持する結果が得られ、結果解釈に大きく影響を及ぼすほどの懸念はないと考えられました。HGPSは早期に死に至る疾患であり、生存時間を指標として薬効を評価することは妥当と考えられ、得られた平均生存時間のコホート間の差の大きさ等を考慮し、HGPSに対し本剤の有効性は期待できるものと判断しました。
 続いて、安全性について審査報告書54ページの表32を御覧ください。臨床試験においては、死亡に至った有害事象及び重篤な有害事象の発現も認められましたが、その多くは心血管系事象等であり、原疾患の影響と考えられる事象でした。
 また審査報告書55ページの表33を御覧ください。非臨床試験及び臨床試験結果を考慮すると、本剤のリスクとしては胃腸障害関連事象、肝機能障害、QT延長、骨髄抑制、腎機能障害及び眼障害が考えられますが、有害事象の発現により投与中止に至った被験者は、本剤が単独で投与された集団では63例中3例と限られており、ほとんどの被験者で投与の継続が可能であったことを考慮すると、適切な注意喚起を行うことで本剤の安全性は管理可能と判断しました。
 なお、日本人における投与経験が極めて限られることから、製造販売後は全投与症例を対象に製造販売後調査を実施して、本剤使用時のデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じる旨の承認条件を付すことが適当と判断しています。
 以上のとおり、機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断しました。
 本剤は希少疾病用医薬品であることから再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。では、続きまして、参考人の先生から本議題に関する御発言をお願いいたします。堀川先生、よろしくお願いいたします。
○堀川参考人 国立成育医療研究センターの堀川です。この疾患は非常に希少な疾患ということで症例数も少ないのですが、私どものセンターで3例経験しましたので、その3例の御報告を申し上げたいと思います。疾患責任遺伝子であるLMNAに遺伝子の異常が同定されています。1例は○○○○○○○○○されています。ほかの2例は○○○○○○○なのですが、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○でした。1例の非常に典型的な症例では、○○○○○診断が付いています。この症例は○○○○○○○○○○があって、○○○○○○○○○○○○○があり、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○を認めています。現在、まだ○○なのですが、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○という状況です。
 あとの2例なのですが、1例は○○○○○○○○○で、○○○○○○○○○○○○なのですが、この方は○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○を認めています。現在も○○○○○○○○○○○○○○○○を認めているという状況です。
 もう1例が○○○○○○○○○○○○○○ですが、この方も○○○○○○○○○○○○です。○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○されました。そのときに○○○○○○○○○○○○○○を認めました。現在も○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○になっています。○○○○○○○○○○○○○○では、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○何も治療法がないというのが非常に残酷な疾患かなと考えています。私どもの経験例の報告は以上です。
○森部会長 堀川先生からの御発言を頂きました。堀川先生、もし可能でしたら、本剤に関する御意見も頂いてよろしいでしょうか。
○堀川参考人 全く何も治療法がないという点で、診療していても、なかなかいつ亡くなるかという危険を感じながら、患者及び家族、それから医師側も本当になすすべがないというところが非常に辛いところなのですが、初めて進行を遅らせることのできる治療法があるということで、表現型も改善する可能性があるかもしれないということも考えますと、非常に期待が持てるというふうに考えています。
○森部会長 堀川先生、症例は非常に限られていますが、今、得られているデータを先生が御覧になって、本剤の有効性について患者さんに説明する際には、有用なものだと御理解いただいてよろしいでしょうか。
○堀川参考人 治す、治癒が期待できるなど、そういうものではないということは患者さんに説明しなければいけないとは思いますが、進行を遅らせることができるということは説明して、そういった点では期待ができるとお話したいと思っています。
 それから、もう一つ、このハッチンソン・ギルフォードあるいはプロジェロイド症候群にしても、この遺伝子変異によって後に悪性腫瘍が発生する。比較的長期生存ができたとしても、悪性腫瘍が発生する可能性があるということでフォローが必要なのですが、本剤の作用機序からいって、少しその点についても予防が期待できるのではないかと個人的には考えています。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました、そうしますと本剤が実臨床で使用された際の長期的な予後についても、詳細に今後追跡をして、その有効性を確認するということも必須だということでしょうか。
○堀川参考人 それは必須だと思います。
○森部会長 先生、御発言どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見、御発言がありましたらお願いいたします。
○前田委員 大変大切な薬だと認識しましたが、ヨーロッパとアメリカで承認されたときのデータについてお伺いしたいのですが、今回は頸動脈のサロゲートエンドポイントと観察コホートによる生命予後の分析で、今回承認するかどうかの議論になっていますが、ヨーロッパあるいは米国で承認されたときには、どのような資料から承認をされたのでしょうか。その点をお伺いしたいと思っています。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より回答します。米国及び欧州においても、基本的には本邦で用いられたデータと同じデータが用いられています。もともとの開発の経緯としては、米国を中心にして開発が行われており、今回、実施された生存解析はFDAとも協議の下、実施され、その結果に基づき米国、それに続いて欧州で承認されております。
○前田委員 ありがとうございます。
○森部会長 そのほかに御発言はありませんか。
○柴田委員 この申請資料に含まれている臨床試験の解釈についてお伺いします。40/71の表24に評価資料が二つ書いてありますが、もともとの臨床試験としては体重増加等を見たときに、プライマリーエンドポイントでは条件を満たさなかったけれども、生存時間を解析して効果が示唆されるということから、承認に至る、有効性が示されているというロジックだと解釈してよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただき、ありがとうございます。機構より回答します。臨床試験として実施された試験としては、こちらの表24に記載されている2試験になります。これらの試験で主要評価項目とされた体重に関する評価項目では有効性を示唆する結果は得られませんでしたので、これらの試験に組み入れられた患者集団での生存時間に関するデータと、既存の本剤が投与されていない患者集団での生存時間のデータを比較する、いわゆる外部対照との比較となりますが、そういった解析に基づいて、今回、有効性について判断したということとなります。
○柴田委員 結論としては全く異存はありません。添付文書の情報なのですが、ここはまずはプライマリーエンドポイントに設定したものでは、条件を満たしていないということは一言書いておく必要があるのではないかなと思いますが、それは書いてあるのですか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。添付文書の臨床成績の項においては、基本的には本剤の承認の主たる根拠を記載することとなることから、今回の場合、生存時間の解析を中心として記載しているところです。
○柴田委員 実際には、本剤の有効性を何によって主張するのかというところの詰めは厳密にはできていなくて、この感度解析もされているので結論自体はいいと思いますが、どういうエビデンスがあって、この薬をよしとしたのかについては、少し補足する情報があった方がいいのではないかなと思って、コメントさせていただいた次第です。文章が長いですし、ここに書く必要性の議論というのはまた別途あるとは思いますので、少なくともインタビューフォームや情報提供資材の中には、こういう結果であったということは書かれることは必要ではないかなと思った次第です。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。実施された臨床試験の結果についても、情報提供するよう申請者と協議したいと思います。
○森部会長 今の柴田委員からの御発言について、堀川参考人から少し御意見を伺ってもよろしいでしょうか。添付文書に含めるべき情報として、今回の臨床試験でもともと設定されていた評価項目の成績についても、実臨床上に有益な情報であれば含めるべきだという考えもあるかと思いますが、いかがでしょうか。
○堀川参考人 確かに臨床上、その成長障害というのは本人にもご家族にも負担が大きいものですので、体重増加が見られなかったということは、一言書いておく方がフェアであるかもしれないとは思いました。
○森部会長 これは恐らく臨床上、期待されていたパラメータではありましたが、実際の臨床試験では確認されなかったということについて、これは大変貴重な情報だと思いますので、柴田委員の御発言、また堀川参考人の御発言も踏まえて、臨床成績の所に追記することを御検討いただくことは可能でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。そうしますと、添付文書の17項において、何らか記載することを検討させていただきたいと思います。
○森部会長 柴田委員、いかがでしょうか。
○柴田委員 ありがとうございます。
○森部会長 また詳細な情報については、インタビューフォーム等で公開ということで、主要成績の中に一部その記載を追記していただくことでいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 承知しました。
○森部会長 そのほか委員の先生方から御発言はありませんか。堀川先生、特に追加の御発言はありませんか。よろしいでしょうか。
○堀川参考人 特にありません。
○森部会長 ありがとうございます。それでは議決に入らせていただいてよろしいでしょうか。それでは、本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。堀川参考人、御発言どうもありがとうございました。どうぞ御退室ください。
○堀川参考人 ありがとうございました。
──堀川参考人 退室──
○森部会長 それでは引き続きまして、議題1に移らせていただきます。今、大森委員は御参加されていらっしゃいますか。大森委員におかれましては、薬事分科会の審議参加規程第5条に基づきまして、また佐藤直樹委員におかれましては利益相反のお申出に基づきまして、議題1の審議の間、会議から御退室いただき待機していただくことになっています。まだ大森委員が御参加されていませんので、佐藤直樹委員については御退室をお願いいたします。
──佐藤直樹委員 退室──
○森部会長 それでは、議題1について機構から概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、医薬品レキサルティ錠1mg、同錠2mg、同OD錠0.5mg、同OD錠1mg、同OD錠2mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料No.1の審査報告書を御覧ください。審査報告書の一番下、全47ページの通し番号で5ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。本薬は、本邦では2018年1月に統合失調症の効能・効果で承認されている抗精神病薬です。今般、国内臨床試験の成績等に基づき、既存治療で十分な効果が認められない場合のうつ病・うつ状態についての効能・効果及び用法・用量の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。海外では、本薬は2023年9月現在、大うつ病性障害の補助療法として、米国を含む25の国又は地域で承認されております。
 本申請の専門委員として、資料No.17に記載されている4名の委員を指名しております。
 本品目の審査の内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。まず、有効性について、審査報告書の通し番号13/47ページ、表10を御覧ください。プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験として実施された国内第II/III相試験(00058試験)において、主要評価項目である「二重盲検期終了時におけるモントゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)合計スコアのベースラインからの変化量」について、抗うつ剤との併用下で本剤1mg群及び2mg群は、プラセボ群と比較して統計学的に有意な低下が認められ、プラセボに対する本剤の優越性が検証されました。以上の結果等から、うつ病・うつ状態の日本人患者に対する抗うつ剤併用時の本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
 次に、安全性について、審査報告書の通し番号22~31/47ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。提出された臨床試験成績等から本剤投与に当たっては、アカシジアを含む錐体外路症状、体重増加、自殺関連及び敵意・攻撃性関連の有害事象の発現に注意する必要があると考えます。これに加えて、審査報告書の通し番号38~41/47ページの「1.2 安全性について」の項を御覧ください。遅発性ジスキネジアは国内外の臨床試験では認められなかったものの、一般的に抗精神病薬の長期投与により発現する可能性があることから、うつ病・うつ状態に対する、本剤投与による遅発性ジスキネジアの発現は否定できないと考えます。遅発性ジスキネジアは治療に難渋する事象であることも踏まえ、リスク最小化のために本剤投与を必要最小限とすることが重要であり、当該内容を含めて適切な注意喚起の下で使用されることで、うつ病・うつ状態の日本人患者における本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。
 用法・用量について、審査報告書の通し番号42~44/47ページの「1.5 用法・用量について」の項を御覧ください。00058試験の結果等から、本剤の用法・用量のうち、開始用量及び推奨用量を1mgと設定することは妥当であると判断いたしました。本剤の用法・用量に2mgへの増量を含めることについては、専門協議では、一般的に本剤を含む抗精神病薬の長期投与で遅発性ジスキネジアの発現リスクが高まること、00058試験では本剤1mg群よりも、本剤2mg群でアカシジア等の錐体外路症状の発現割合が高い傾向が認められていること等を踏まえると、00058試験から本剤2mg投与時の症状改善の効果が、本剤1mg投与時の効果を上回っている結果が得られていないにもかかわらず、2mgを使用可能とすることは適切ではないとの御意見、本剤の投与対象は複数の抗うつ剤を投与しても十分な効果が認められない、いわゆる難治例であり、日常診療では、忍容性がある患者であれば2mgへの増量も検討される可能性は否定できないとの御意見、薬物治療に対する反応性の個体間変動が大きいといったうつ病特有の状態を踏まえれば、効果不十分例では安全性に十分留意しながら2mgへの増量を許容してもよいのではないかとの御意見等が示されました。
 機構は、以上の専門協議における議論を踏まえ、2mgへの増量を試みたいという医療現場のニーズが一定程度存在している状況であることに加え、本剤を含む抗精神病薬による抗うつ効果の増強療法の対象は、複数の適切な抗うつ剤による治療でも管理が困難な患者であること等も考慮すると、1mg投与よりも2mg投与で、副作用の発現割合が高くなる一方で、高い有効性が発揮されるかは不明ではあるものの、少なくともプラセボに対する優越性は検証された2mgへの増量を、用法・用量に含めた上で、本剤の投与量や投与期間は必要最小限にすること等の注意喚起を行うことにより、本剤の適正使用を徹底していくことの方が妥当であると判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新効能医薬品、新用量医薬品であることから、本申請に係る効能・効果及び用法・用量の再審査期間は4年とすることが適切と判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。委員の先生方から御質問等がございましたらお願いいたします。堀委員、お願いします。
○堀委員 ありがとうございます。まず1点目は、薬剤の供給状況についてお尋ねしたいと思います。私が確認した時点においては、2023年7月4日以降、このレキサルティ錠の1mgと2mgが販売中止であって、それで2024年6月以降、OD錠に移行するような情報があったのですが、実際に今回承認された後でも、この1mg、2mgが確実に供給できるのかどうか、お聞きになっていらっしゃいますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 現行流通している錠剤の流通を中止して、OD錠のみに切り替えていくことについての御質問かと思いますけれども、現時点で、機構は錠剤からOD錠への販売切替えに関して状況を把握しておりません。申し訳ございません。
○堀委員 いいえこちらこそ。今、販売中止になっていることは確かではないということでよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○堀委員 はい、ありがとうございます。あともう1点お尋ねしたいのですけれども。先ほど1mgから2mgへの増量の件で詳しく御説明を頂いたのですが、どうしてもこのお薬に関しては、うつ病とうつ状態について、要するに希死念慮が考えられるということで、患者の家族にしてみますと、この1mg~2mgに変わることは、非常にどっちを取ったらいいかということをすごく悩むところだと思うのです。ここに書いてありますように、有効性及び安全性の結果を熟知した上でということで、そこの判断は主治医の先生に託すしかないということでよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 今おっしゃっていただいたとおり、まずは主治医に、本剤の有効性・安全性の情報を熟知していただいた上でお使いいただくしかないと考えております。
 また、希死念慮に関しましては、抗うつ治療全般的に懸念があるものですので、本剤にかかわらず、うつの診療に携わっていらっしゃる医師は気にされて注意深くお使いになっていると理解していますので、そういう意味では本剤が投与されることによって、懸念が増えるところがあるとは考えておりません。
○堀委員 ありがとうございます。あと最後1点ですが、7.R.6の所で、1mgから2mgに増量を試みる場合には、開始後6週間を目安にと書いてありますが、これの根拠はあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 この6週間の根拠ですけれども、うつの診療ガイドラインでは大体4週間、6週間を目安に治療効果を判定されるということが書かれていますので、そういう意味で6週間投与した上で治療効果を判定して、増量の要否を考えていただければと考えています。
○堀委員 ありがとうございます。用法・用量の統合失調症のところでは、1mgから2mgに変わる場合は4日以上の間隔を開けてということでしたので、質問させていただきました。分かりました。どうもありがとうございます。私から以上です。
○森部会長 そのほか御質問、委員の先生方からございませんでしょうか。
 では私から一つ、本剤はSSRI若しくはSNRIで治療中の方が効果不十分の場合に併用するという位置付けになっていまして、その併用する際の元の基礎薬の差については余り大きな違いはないというように、報告書の19ページの下から4行目の所に、オーバービューされていらっしゃるかと思います。この点少し追加の御説明を頂いてよろしいでしょうか。表17になります。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の通し番号19~20/47ページにわたり、併用された抗うつ薬別の有効性の評価項目の結果を表17に掲載しております。御提示した表でお分かりになるとおり、評価例数が抗うつ剤の種類によって少ないところもあるので、考察には限界があるところですけれども、おおむねプラセボ群との群間差で本剤群の方がより改善の傾向が見られているのではないかと、機構としては考えております。
○森部会長 どうもありがとうございました。あと全体としての有効性に関する検討はされていらっしゃいますけれども、実際、実臨床ではいずれかの基礎薬の上に併用されるという背景もありますので、臨床に提供すべき情報として、一考に値する情報ではないかと考えております。その提供方法についてどういう可能性がございますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 併用抗うつ剤別の有効性については、資材で情報提供をさせていただくことを考えております。
○森部会長 分かりました。もし可能でしたらインタビューフォームにも追記いただくように、依頼者の方に交渉の方にお願いしたいと思っています。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘を踏まえてインタビューフォームにもこの情報を掲載するように申請者に依頼いたします。
○森部会長 症例数は少ないですけれども、その本剤と併用した場合に、1mg、2mg別に有効性に関する情報がこの内容で一部確認できますので、是非追記をお願いしたいと思います。ありがとうございました。脳神経、精神領域の委員の先生方から追加の御発言がもしございましたらお願いいたします。特段ありませんですか。よろしいでしょうか。はい、それでは議決に入らせていただきます。
 なお、長谷川委員、前田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決の参加を御遠慮いただくこととなっております。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 ロビーに待機されています佐藤直樹委員をお呼びください。
──佐藤直樹委員入室──
○森部会長 続きまして、議題2に移ります。議題2の概要説明について、機構の方の御準備をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料No.2、医薬品ヒフデュラ配合皮下注の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料No.2の審査報告書を御覧ください。はじめに、審査報告書の一番下、全55ページの通し番号で6ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。重症筋無力症は、神経筋接合部のシナプス後膜上にあるアセチルコリン受容体等に対する自己抗体によって、神経から筋へのシグナル伝達が阻害されることにより生じる骨格筋の筋力低下と、易疲労性を特徴とする自己免疫疾患です。このうち、全身型重症筋無力症(以降gMGと略す)は、運動、発語、嚥下及び呼吸障害等、全身の随意筋の筋力低下による所見が認められます。
 本剤は、エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)と、ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)、(以降、エフガルチギモドとボルヒアルロニダーゼと略す)を配合した皮下投与製剤です。エフガルチギモドは、胎児性Fc受容体を標的とするヒトIgG1抗体のFcフラグメントであり、病原性IgG自己抗体を含むIgG抗体濃度を減少させることで、gMGに対して有効性を示すと考えられており、本邦では、静脈内投与製剤が「全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分奏効しない場合に限る)」を効能・効果として、2022年1月に承認されています。また、ボルヒアルロニダーゼは、結合組織におけるヒアルロン酸を加水分解するヒトヒアルロニナーゼであり、配合することで皮下組織における薬液の浸透性が増加し、エフガルチギモドの一定量の皮下投与が可能になることが期待されています。
 今般、国際共同第III相試験の成績等に基づき、製造販売承認申請が行われました。本剤は、米国では本年6月、欧州では本年11月にそれぞれ承認されています。また、本申請の専門委員として、資料No.17に記載されている4名の委員を指名しています。
 本品目の審査の内容について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。審査報告書の通し番号36ページを御覧ください。申請者は、希少な疾患であるgMGに対して、既承認のエフガルチギモド静注製剤がある中で、エフガルチギモド製剤の皮下投与製剤である本剤を開発する上で、MG-ADL総スコア等の臨床効果の指標を用いて検証的試験を行うことは実施可能性がないと考え、薬力学的指標である総IgG濃度の変化率を主要評価項目として、エフガルチギモド静注製剤に対する本剤の非劣性を検証する国際共同第III相試験を計画・実施いたしました。機構は、実施可能性を考慮すると、総IgG濃度の減少率を主要評価項目とした国際共同第III相試験を実施したことはやむを得なかったと考えますが、本剤の有効性の評価に当たっては、副次評価項目とされたMG-ADL総スコアやQMG総スコア等の臨床効果の指標の結果も踏まえて総合的に評価することといたしました。この本剤の評価方針については、専門委員からも支持されています。
 有効性について、審査報告書の通し番号33ページの表39を御覧ください。gMG患者を対象に、国際共同第III相試験として、既承認製剤であるエフガルチギモド静注製剤を対照とした無作為化非盲検並行群間比較試験が実施されました。第III相試験の主要評価項目である、総IgG濃度のベースラインから4週目までの変化率について、最小二乗平均の群間差の95%信頼区間の上限値が非劣性マージンである10%を下回ったことから、総IgG濃度について本剤群のエフガルチギモド静注製剤に対する非劣性が検証されました。
 次に、同33ページの表40、また38ページの表47を御覧ください。表40にお示しする第III相試験の副次評価項目である、MG-ADLレスポンダー及びQMGレスポンダー、38ページ表47に示しているMG-ADL総スコア及びQMG総スコアのベースラインからの変化量の推移についても、本剤群でエフガルチギモド静注製剤群と同様の改善傾向が認められています。
 また、日本人部分集団における有効性の結果は、審査報告書の通し番号37ページの表46、38ページの表48のとおりであり、日本人部分集団において外国人集団と同様の有効性の傾向が認められています。
 以上より、本剤は日本人gMG患者に対して、エフガルチギモド静注製剤と同様の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性について、審査報告書の通し番号40ページから始まる「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤の作用機序等も考慮して、提出された臨床試験成績等を検討した結果、本剤の投与に当たっては、感染症、注射部位反応を含む過敏症反応等に特に注意する必要があるものの、これらの事象について適切な注意喚起の下で使用されることで、日本人gMG患者における本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤であるものの、新有効成分に該当するボルヒアルロニダーゼは既承認の他社製剤に含有されていることから、再審査期間はエフガルチギモド静注製剤の残与期間、生物由来製品に該当し、製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。なお、原体のうち、ボルヒアルロニダーゼは毒薬及び劇薬に該当しないと判断済みであり、エフガルチギモドは劇薬として指定済みです。薬事分科会には報告を予定しています。御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見はいかがでしょうか。堀委員、どうぞ。
○堀委員 薬剤投与時の注意、14.2.2を御覧ください。こちらは自己注射ができるお薬と判断しており、今回、通常30秒から90秒かけて投与することと書いてあります。自己投与する場合、医療従事者の方ではない御家族の方とか、御本人が注射する場合、30秒から90秒かけてゆっくり投与するというのは、かなり難しいかと思いますが、それに関連して何か情報提供とか、患者向けの資材とかお作りになる御予定はありますか。
○医薬品医療機器総合機構 臨床試験では自己投与を適切に習得したことが確認できた被験者で自己投与が可能という規定で実施されており、審査報告書の通し番号48、49ページにお示ししておりますとおり、1回以上の自己投与が可能であった被験者は73.2%であって、結果として有効性、安全性に大きな問題がなく自己投与可能であったことが説明されております。添付文書の14.2.2項では30秒から90秒かけて投与するよう注意喚起しておりますが、自己投与の資材を作成し、そちらで詳しい投与方法に関して情報提供する予定です。
○堀委員 ありがとうございます。性状を確認したのですが、シリンジタイプではない普通のタイプだと思うのですけれども、シリンジですと割と簡単に投与が可能かと思いますが、皮下注といえども一般の方は、普通の注射はかなり難しいかと思いますので、是非、主治医から指導を徹底していただけたら有り難いと思いました。
○医薬品医療機器総合機構 申請者にもコメントを頂いた旨を申し伝えまして、資材に関して十分に作成するようにしたいと思います。
○堀委員 どうもありがとうございます。以上です。
○森部会長 私からも一つ、製剤見本は、バイアルは拝見いたしましたが、実際、自己注射する場合には、5.6mLの皮下注射ということで、どういったデバイスを用いて注射するのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 申請者からは、○○○○○○○○○○○○○○などを作成・配布する予定と聞いておりますが、○○○○○○○○○○○○に関しては、現在、厚生労働省の○○課とも相談中と申請者からは聞いております。
○森部会長 注入に用いるデバイスは、既に患者さんに使用されているものでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおりです。通常の針などを用いて投与される予定です。
○森部会長 通常というのは、本剤以外の日常診療で用いられている注射器と注射針を使うと、そういうことでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そのとおりです。一般的な注射針、一般的なシリンジを用いて投与がなされる予定です。特殊なデバイスが作成されるという意図ではなく、一般的に日常診療の中で使用されている注射針などを用いて投与がなされる予定です。
○森部会長 今、何か具体的にそういった資料をそちらの方でお手元にお持ちですか。というのは、5.6ccの皮下注射というのは、余り実臨床では行われていないので、何ゲージ針を使うのか、そういったこととか情報はございますか。
○医薬品医療機器総合機構 注射針の太さに関しては、今、回答が難しい状況ですが、3分から5分かけて投与するような既承認の皮下注バイアル製剤もありますので、それらと同じように一般臨床で使用されている針が使われるものと考えております。
○森部会長 分かりました。それも含めて資材で提供いただけるということですね。
○医薬品医療機器総合機構 そのとおりです。
○森部会長 分かりました。そのほか、先生方から御質問はございますか。では、議決に入ってよろしいでしょうか。なお、川上委員、髙橋委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。では、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議はないようですので、本議題の承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 続いて、議題3に移らせていただきます。議題3について、機構からの説明の御準備をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、アイリーア8mg硝子体内注射液114.3mg/mLの製造販売承認の可否等について、機構より御説明させていただきます。資料No.3の審査報告書を御覧ください。審査報告書の一番下、通し番号3/48ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。本薬は、ヒト免疫グロブリンG1のFcドメインにヒト血管内皮増殖因子(以下、VEGF)受容体の細胞外ドメインの一部を結合した遺伝子組換えタンパク質であり、本邦において、本薬40mg/mLを有効成分とする製剤(以下、既承認製剤)が2012年9月に、中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性(以下、nAMD)が適応として承認されて以降、2014年11月に糖尿病黄斑浮腫(以下、DME)が追加適応として承認される等、現在に至るまで様々な眼科領域の疾患に対して承認されています。
 nAMD及びDMEに対する本薬を含めたVEGF阻害薬の硝子体内注射の有用性については、日本のみならず国際的にも確立されているところですが、定期的な硝子体内注射は患者等の大きな負担になっています。したがって、治療に当たっての注射回数を減らすという観点から、既承認製剤の維持期における投与間隔を延長することを目的として、本薬濃度を既承認製剤の40mg/mLから、より高濃度である114.3mg/mLに変更し、1回当たりの本薬の投与量を2mgから8mgに増加させることを可能とする新製剤として本剤が開発されました。本邦では、20○○年○月から臨床試験が開始されて、今般、申請者は、国内外の臨床試験成績によりnAMD及びDMEに対する有効性及び安全性が確認されたとして、本剤の製造販売承認申請を行いました。
 海外では、本剤は、2023年8月に米国でnAMD及びDMEを含む適応症で承認されており、欧州では2023年11月にnAMD及びDME適応症で承認勧告を受けています。本品目の審査に関して、専門委員として資料No.17に記載されている4名の委員を指名いたしました。
 本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。審査報告書の通し番号14/48ページの表13を御覧ください。今般の承認申請に当たり、nAMD患者を対象とした国際共同第III相試験及びDME患者を対象とした国際共同第II/III相試験が、いずれも既承認製剤を対照とする無作為化二重遮蔽並行群間比較試験として実施されました。これらの試験では、本剤群として本薬8mgを4週ごとに計3回硝子体内投与した後、12週ごとに硝子体内投与する群(以下、HDq12群)と、16週ごとに硝子体内投与する群(以下、HDq16群)がそれぞれ設定されました。なお、本剤群における4週ごとに計3回硝子体内投与した後の投与間隔については、基本は12週又は16週とされましたが、眼科所見に基づいて治験担当医師が適宜調節することが可能とされました。また、対照群としては、本薬2mgを4週ごとに、nAMDの試験では計3回、DMEの試験では計5回それぞれ硝子体内投与した後に、8週ごとに硝子体内投与する群(以下、2q8群)が設定されました。
 まず、nAMD患者を対象とした試験の有効性の結果について、審査報告書の通し番号16/48ページの表16を御覧ください。主要評価項目とされた48週目の最高矯正視力(以下、BCVA)のベースラインからの変化量の最小二乗平均値の群間差に関する95%信頼区間の下限値は、HDq12群と2q8群の比較では-2.87文字、HDq16群と2q8群の比較では-2.97文字で、いずれも非劣性マージンである-4文字を上回ったことから、HDq12群とHDq16群の2q8群に対する非劣性がそれぞれ検証されました。また、主な副次評価項目とされた60週目の評価においても、同様の結果が得られました。
 DME患者を対象とした試験の有効性の結果について、審査報告書の通し番号20/48ページの表19を御覧ください。主要評価項目とされた48週目のBCVAのベースラインからの変化量の最小二乗平均値の群間差に関する95%信頼区間の下限値は、HDq12群と2q8群の比較では-2.26文字、HDq16群と2q8群の比較では-3.27文字で、いずれも非劣性マージンである-4文字を上回ったことから、HDq12群とHDq16群の2q8群に対する非劣性がそれぞれ検証されました。主な副次評価項目とされた60週目の評価においても、同様の結果が得られました。
 以上から、nAMD及びDMEに対するHDq12群とHDq16群の有効性は、いずれも示されていると判断いたしました。なお、HDq16群に割り付けられた被験者のうち、nAMD患者を対象とした試験では67.8%の被験者で、DME患者を対象とした試験では79.8%の被験者で、60週目まで16週間隔投与で治療が継続できていたこと、また、硝子体内注射は患者等の負担が大きいこと等を踏まえて、用法としてはnAMD及びDMEいずれも、患者の症状に応じて担当医師が投与間隔を適宜調節することが可能と規定した上で、維持期の投与間隔については16週間を推奨することが適切と判断いたしました。
 続いて、安全性について御説明いたします。nAMD及びDMEそれぞれを対象とした試験の治験対象眼における有害事象の発現状況を、審査報告書の通し番号30/48ページの表28に示しており、眼以外における有害事象の発現状況については、審査報告書の通し番号31/48ページの表29にそれぞれ示しております。いずれの有害事象についても、HDq12群及びHDq16群では、2q8群とおおむね同様の結果でした。既承認製剤投与時における既知のリスクである眼障害の発現状況については、審査報告書の通し番号33/48ページの表31に示しており、VEGF阻害作用に関連する全身性の有害事象の発現状況については、通し番号34/48ページの表32にそれぞれ示しており、いずれも本剤のリスクが既承認製剤のリスクを上回ることは示唆されていないと判断いたしました。
 以上から、本剤投与に当たっては、既承認製剤投与時のリスクとして、既知の有害事象については同様の注意を要するものの、既承認製剤と同様に、網膜疾患に関する専門知識を有し、硝子体内注射の投与手技に関する十分な知識・経験のある眼科医のみが本剤を投与することを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会にて御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は新剤形医薬品であることから再審査期間は4年、生物由来製品に該当し、製剤は劇薬に該当すると判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。委員の先生方から御質問等がございましたらお願いいたします。本日は、根岸委員は御欠席ですね。では、特段御質問はないようですので、議決に入らせていただきます。なお、佐藤直樹委員、代田委員、髙橋委員、中西委員、長谷川委員、矢野委員におかれましては、利益相反のお申出に基づき議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議はないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 続いて、議題4に移らせていただきます。議題4の概要説明の御準備をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題4、資料No.4、医薬品リツキサン点滴静注100mg、同点滴静注500mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について機構より御説明申し上げます。資料については、資料No.4、リツキサン点滴静注100mg、同点滴静注500mgの審査報告書を御覧ください。
臓器移植後の拒絶反応は、移植臓器の機能不全や廃絶の主な原因であり、拒絶反応を抑制するために術前に原因抗体を減少させること、拒絶反応が発現した場合には適切に治療することが重要です。拒絶反応のうち、抗体関連型拒絶反応(以下、ABMR)は患者が有する抗体と移植臓器の抗原による抗原抗体反応を介した補体活性化による内皮細胞の障害により、血栓形成、出血、梗塞、壊死等が惹起され、移植臓器が傷害される反応であり、ABMRがコントロールできない場合には、移植臓器の廃絶に至ります。
リツキシマブ(遺伝子組換え)(以下、本薬)は、B細胞上に発現する膜貫通型糖鎖不含タンパクであるCD20に対するモノクローナル抗体であり、CD20に特異的に結合してB細胞を傷害することで、抗体産生細胞への分化を抑制し、ABMRの原因となる抗体産生を抑制することから、ABMRに対する有効性が期待されます。2023年3月現在、海外では、本薬は米国及び欧州を含む約140か国で承認されており、臓器移植におけるABMRの抑制又は治療に係る効能・効果で承認されている国又は地域はないものの、各国のガイドラインに沿って、ABMRの抑制及び治療に本薬が用いられています。
 本邦における本薬の「腎移植における抗体関連型拒絶反応の治療」及び「抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作」に係る開発については、日本移植学会から厚生労働省に対して開発要望が提出され、平成30年3月23日開催の第34回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、医療上の必要性が高いと判断され開発要請が行われました。
 今般、腎移植患者を対象とした国内臨床試験が実施され、その結果及び日本移植学会が実施した使用実態調査の結果、公表文献等を基に、臓器移植におけるABMRの抑制及び治療に関する製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。
 本品目の専門協議では、本日の配布資料No.17に示す専門委員を指名しております。
 それでは、本薬の有効性及び安全性について、臨床成績を中心に説明させていただきます。
 有効性に関しては、審査報告書、通し番号14ページ、表14を御覧ください。ドナー特異的抗体陽性又は抗HLA抗体陽性の生体腎移植患者を対象とした国内第III相試験(T2試験)において、主要評価項目である移植24週後時点の腎生着率は91.7%、移植24週後時点の腎生着率が、公表文献から推定された移植24週後時点の腎生着率の95%信頼区間下限である74.9%を下回る事後確率は0.1%であり、腎移植におけるABMR抑制に関する本薬の有効性が示されました。
 また、審査報告書、通し番号16ページ中ほどの「有効性について」で始まる段落を御覧ください。生体腎移植又は献腎移植後にABMRを発現した患者を対象とした国内第III相試験(T3試験)において、主要評価項目である本薬初回投与後1か月時点の血清クレアチニン値がABMR治療開始時の血清クレアチニン値の最悪値以下となった被験者の割合は76.0%であり、有効性の達成基準値とされた50%を上回ったことから、腎移植におけるABMRの治療に関する本薬の有効性が示されました。
 腎移植以外の臓器移植については、国内患者数が非常に限られており、臨床試験の実施が困難であること、作用機序から腎移植と同様の有効性が期待できることから、国内使用実態調査や特定臨床研究の結果、国内外の公表文献等に基づいて評価を行いました。審査報告書、通し番号17~31ページに記載したように、国内外の診療ガイドラインや国内使用実態調査、特定臨床研究の結果、公表文献から、移植臓器にかかわらず本薬がABMRの抑制及び治療に使用され、有効性が認められていることを踏まえ、肝移植、心移植、肺移植、膵移植及び小腸移植においても、腎移植と同様にABMRの抑制及び治療に関する本薬の有効性は期待できると判断いたしました。
 安全性に関しては、審査報告書、通し番号37ページ、表39を御覧ください。ABMRの抑制に関する本薬の安全性について、ABMRの抑制を検討したT2試験における有害事象の発現状況を記載しています。T2試験において、既承認のABO血液型不適合腎移植患者を対象としたT1試験の結果と比べて、新たな安全性上の懸念は認められませんでした。また、その他の臓器移植についても国内使用実態調査、特定臨床研究及び国内外の公表文献から、本薬の安全性に臨床上大きな問題はないと考えました。ABMRの治療に関する本薬の安全性について、審査報告書、通し番号17ページ、表18を御覧ください。ABMRの治療を検討したT3試験において、認められた有害事象及び副作用について、これまでに認められている事象の種類及び発現状況と異なる傾向はなく、その他の臓器移植においても、国内使用実態調査や特定臨床研究の結果及び国内外の公表文献から、本薬の安全性に臨床上大きな問題はないと考えました。
以上、機構での審査の結果、腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植における抗体関連型拒絶反応の抑制及び治療に対する本薬の有効性が示され、認められたベネフィットを踏まえると、安全性は許容可能と考えたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。
 なお、本申請に係る本薬の再審査期間は、追加される効能が希少疾病用医薬品に指定されていることから、10年と設定することが適切と判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。機構からの説明は以上です。御審議の程どうぞよろしくお願い申し上げます。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問等ありましたらお願いします。特にありませんか。それでは、議決に入らせていただきます。なお、佐藤直樹委員、髙橋委員、中西委員、長谷川委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことになっております。本議題につきましては、承認を可としてよろしいですか。御異議はないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。続きまして、議題5に移ります。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料No.5、医薬品ラパリムス顆粒0.2%の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。
 脈管腫瘍及び脈管奇形は、主に小児期に発症する血管やリンパ管の形成異常を呈する疾患群です。本薬は、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質の阻害により、脈管腫瘍や脈管奇形の増殖を抑制すると考えられており、本邦においては、錠剤が脈管腫瘍及び脈管奇形のうち「難治性リンパ管疾患」を対象として2021年に承認されています。
 今般、錠剤に加えて、申請者が新たに開発した顆粒剤を用いて、難治性リンパ管疾患だけでなく、他の難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形も対象とした医師主導治験における本薬の有効性及び安全性に係る成績を基に、顆粒剤の製造販売承認申請及び錠剤の製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。
 本薬は、難治性脈管腫瘍・脈管奇形を予定される効能・効果として、令和2年11月25日付けで希少疾病用医薬品に指定されています。
 なお、2023年3月現在、本薬は海外において110の国又は地域で承認されていますが、脈管腫瘍及び脈管奇形に係る適応で承認されている国又は地域はありません。
 本品目の専門協議では、本日の配布資料No.17に示します専門委員を指名しております。以下、本薬の有効性・安全性について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。
 有効性について、審査報告書、通し番号13ページの表11を御覧ください。難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形患者を対象とした医師主導治験において、主要評価項目である投与後24週後の標的病変の奏効率は53.8%であり、95%信頼区間の下限値が事前に規定した閾値である5%を上回りました。以上より、難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形に対する本薬の有効性は期待できると判断いたしました。
 安全性について、審査報告書、通し番号13ページの表12を御覧ください。医師主導治験に組み入れられた症例数は限られておりますが、示された安全性プロファイルから、難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形患者において、新たなリスクは示唆されておらず、既承認の難治性リンパ管疾患に対する注意喚起と同様、脈管腫瘍、脈管奇形の診断や治療に精通し、本薬の作用とリスクを十分に理解した医師が使用すれば、本薬の安全性は管理可能と判断いたしました。
 なお、国内での治験症例数が極めて限られていることから、製造販売後に、全症例を対象とした一般使用成績調査を実施し、本薬投与後の安全性情報等を収集することを承認条件とする必要があると考えました。
 機構での審査の結果、難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形に対する本薬の有効性は示され、得られる有効性を考慮すれば、安全性は許容可能と考えられました。以上を踏まえ、医薬品リスク管理計画及び全例調査に係る承認条件を付した上で、本申請を承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。
 本薬は、難治性脈管腫瘍・脈管奇形を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されていることから、本申請に係る効能・効果の再審査期間は10年と設定することが適当と判断いたしました。また、顆粒剤については、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問がありましたらお願いいたします。よろしいですか。それでは、議決に入らせていただきます。本議題につきまして承認を可としてよろしいですか。特に御異議はないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。続きまして、議題6に移ります。
○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料No.6、医薬品レボレード錠12.5mg、同錠25mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。資料につきましては、資料No.6、レボレード錠12.5mg、同錠25mgの審査報告書を御覧ください。
再生不良性貧血(以下、AA)は、末梢血における汎血球減少と骨髄の低形成を特徴とする骨髄不全症候群の一つであり、労作時の息切れ、動悸及びめまい等の貧血症状、皮下出血斑、歯肉出血及び鼻出血等の出血症状、感染症等が認められます。AAの治療は年齢、重症度、ドナーの有無等により決定されますが、40歳以上や40歳未満でもドナーが得られない場合等に、抗ヒト胸腺細胞免疫グロブリン(以下、ATG)とシクロスポリン及びエルトロンボパグ オラミン(以下、本薬)の3剤併用が推奨されています。
本薬は、トロンボポエチン受容体作動薬であり、巨核球及び骨髄前駆細胞の増殖及び分化を促進させ、多系統の血球を増加させる作用を有します。本邦では、2010年に承認され、2017年8月に再生不良性貧血の効能・効果が追加承認されています。今般、ATG未治療のAA患者を対象として、日本人患者も参加した国際共同臨床試験における本薬の有効性及び安全性に関する成績等を基に、医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。
本品目の専門協議では、本日の配布資料No.17に示す専門委員を指名しております。
 本薬の有効性及び安全性について、臨床成績を中心に説明させていただきます。
 有効性に関しては、審査報告書、通し番号13ページの表12を御覧ください。ATG未治療のAA患者を対象とした国際共同臨床試験(G2201試験)には、18歳未満の日本人患者が5例組み入れられましたが、5例中1例で完全奏効(表中では「CR」と表記しております)、3例で部分奏効(表中では「PR」と表記しております)がそれぞれ認められ、奏効率は80.0%でした。日本人成人患者における成績と比較するため、日本人成人AA患者を対象としたE1202試験で使用された判定基準を用いて奏効率を算出したところ、E1202試験の判定基準での奏効率は60.0%であり、E1202試験における奏効率70.0%と大きく異ならない結果が得られました。また、審査報告書、通し番号14ページ、表15を御覧ください。外国人の小児AA患者における試験成績とも比較したところ、ATG未治療のAA患者を対象とした海外150試験の18歳未満の集団における奏効率は68.0%であり、G2201試験の日本人集団における結果と大きな違いはありませんでした。以上より、ATG未治療の日本人小児AA患者における本薬の有効性は期待できると判断いたしました。
 安全性に関しては、審査報告書、通し番号16ページ、表16を御覧ください。G2201試験の日本人集団における有害事象の発現状況について、G2201試験の全体集団や日本人成人AA患者を対象としたE1202試験、外国人AA患者を対象とした海外150試験の18歳未満の集団における有害事象の発現状況と大きな違いは認められなかったことから、ATG未治療の日本人小児AA患者において、既知の安全性プロファイルと比較して、新たな安全性上の懸念はないと判断いたしました。
以上、機構での審査の結果、ATG未治療の小児AA患者における本薬の有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。
 なお、追加される効能・効果は、希少疾病用医薬品に指定されていますが、AAの効能・効果で、成人の用法・用量が2017年8月に承認され、本邦において一定の使用経験を有すること等から、小児の用法・用量に関する10年にわたる使用成績を基に再審査を実施する必要まではないと判断いたしました。そこで、本品目の再審査期間は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条の4第1項第1号イの規定に基づき、「6年を超え10年を超えない範囲」として、6年1日と設定することが適切と判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。機構からの説明は以上になります。御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問がありましたらお願いします。1点、私から質問します。専門協議で話題に上がっておりましたが、本剤のG2201試験での主要評価項目に関して、CRに関しての比率が、当初の設定よりも低かったことについて、少し説明の補足をお願いしてよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構よりお答えさせていただきます。審査報告書、通し番号21ページを御覧ください。1.1有効性についての項の下の段落に書いておりますが、G2201試験では、海外の150試験の成績に基づいて、CR率を44.0%と仮定しておりましたが、G2201試験全体のCR率は16.7%と、乖離が認められております。この理由としては、150試験では併用するATGとして、ウマのATGを使用していましたが、G2201試験では、参加国で承認されているATGの関係で、ウサギのATGを使用しておりました。ATGの種類別の有効性に関して、ウサギのATGよりも、ウマのATGの方が有効性が高いことを示唆する報告が複数あり、海外の診療ガイドラインでは、ウマのATGの方が第一選択薬として推奨されております。このようなことから、併用したATGの種類が異なったことが影響した可能性があると考えられます。一方で、CR率は低かったものの、CRとPRを合わせた奏効率は、150試験の成績と同程度です。また、輸血に関する評価項目からも有効性が示唆される結果が得られておりますので、全体の結果を踏まえると、本薬の有効性は期待されるものと考えております。
○森部会長 ただいまの機構の御説明で、専門委員の先生方も御了解されているということです。特に、そのほか先生方から御質問、御意見はありますか。よろしいですか。それでは、議決に入ります。川上委員、佐藤直樹委員、髙橋委員、中西委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づいて、議決への参加を御遠慮いただくことになっております。本議題につきまして、承認を可としてよろしいですか。特に御異議はないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。続きまして、議題7に移ります。議題7の御説明の御準備をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題7、資料No.7、医薬品ボイデヤ錠50mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。資料につきましては、資料No.7、ボイデヤ錠50mgの審査報告書を御覧ください。
 発作性夜間ヘモグロビン尿症(以下、PNH)は、赤血球表面上の終末補体制御因子CD55及びCD59の後天的な欠損により溶血を来す疾患で、補体C5阻害剤が現在の標準的な治療薬ですが、一部の患者では補体C3を介した血管外溶血が認められており、治療上の課題となっております。
 ダニコパン(以下、本薬)は、Achillion社(現Alexion社)により創製された補体D因子の阻害作用を有する化合物であり、補体第二経路の律速段階である補体B因子の開裂を触媒する補体D因子のセリンプロテアーゼ活性を阻害し、補体第二経路の活性化及びC3フラグメントのPNH赤血球への沈着を抑制することで、補体C5阻害剤が投与されたPNH患者の一部に認められる血管外溶血に対する効果が期待されます。
 今般、補体C5阻害剤で効果不十分なPNH患者を対象とした本薬の国際共同第III相試験における有効性及び安全性に係る成績を基に、製造販売承認申請が行われました。
 なお、海外では、本薬は2023年10月現在、米国及び欧州で承認申請されていますが、承認されている国又は地域はありません。
 本品目の専門協議では、本日の配布資料No.17に示します専門委員を指名しております。
 本薬の有効性及び安全性について、臨床成績を中心に説明させていただきます。
 有効性に関しては、審査報告書、通し番号39ページ、表41を御覧ください。補体C5阻害剤であるラブリズマブ又はエクリズマブで効果不十分なPNH患者を対象として、ラブリズマブ又はエクリズマブに本薬を上乗せ投与したときの有効性及び安全性を検討した国際共同第III相試験(301試験)において、主要評価項目である投与12週時点のヘモグロビン値のベースラインからの変化量は、本薬群2.94±0.21g/dL、プラセボ群0.50±0.31g/dLで、群間差は2.44g/dL、95%信頼区間が1.69~3.20g/dLであり、本薬のプラセボに対する優越性が示されました。また、日本人集団における結果については、審査報告書41ページ、表43を御覧ください。日本人症例数は限られているものの、全体集団と同様の結果が認められました。以上より、補体C5阻害剤で効果不十分なPNH患者に対する本薬の有効性は示され、日本人患者においても有効性は期待できると判断いたしました。
 安全性に関しては、審査報告書、通し番号39ページ、表42を御覧ください。301試験における有害事象の発現状況について、プラセボ群と本薬群で大きな違いは認められませんでした。また、日本人集団での有害事象の発現状況については、症例数が限られており、結果の解釈に限界があるものの、2例以上に認められた有害事象はなく、日本人特有の安全性上の懸念は認められませんでした。
 次に、審査報告書、通し番号45ページ、「7.R.2.2.1 髄膜炎菌感染症」の項を御覧ください。本薬は補体D因子を阻害し、補体介在性の感染防御機能の一部を阻害することから、髄膜炎菌感染症の発症リスクが想定されます。したがって、301試験における対応と同様に、本薬の投与前に髄膜炎菌ワクチンの接種歴を確認し、接種が確認できない場合又は追加接種が必要な場合はワクチンを接種できるよう、添付文書で注意喚起することが適切と考えております。なお、同じ莢膜形成細菌である肺炎球菌及びインフルエンザ菌については、301試験ではワクチン接種を必須とはしていなかったこと、本薬を投与しても古典経路及びレクチン経路による感染症への免疫機能は維持できると考えられることを踏まえると、本薬投与前に必ず肺炎球菌及びインフルエンザ菌に対するワクチンを接種することまでは必須ではないと考えております。以上及び専門協議における議論を踏まえ、添付文書の「警告」の項に審査報告書、通し番号53ページに示した内容を記載すること、審査報告書、通し番号56ページに示した承認条件を付すことが適切と判断いたしました。
以上、機構での審査の結果、発作性夜間ヘモグロビン尿症に対する本薬の有効性は示され、認められた免疫等を踏まえると、安全性は許容可能と考えられたことから、前述の承認条件を付した上で承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。なお、本薬は希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原薬及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会では、報告を予定しております。機構からの説明は以上になります。御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○森部会長 御説明、ありがとうございました。では、委員の先生方から御質問ございましたらお願いいたします。御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○佐藤直樹委員 佐藤直樹ですけど、一つだけよろしいでしょうか。
○森部会長 お願いします。
○佐藤直樹委員 添付文書の中に今のワクチンの話は、ちょっと見た限りなさそうなのですけれど、これは記載がなくてよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問、ありがとうございます。機構よりお答えさせていただきます。添付文書の1ページ、1の警告の欄を御覧いただければと思います。警告の1.1.2の項に、髄膜炎菌ワクチンの接種歴を確認し、接種が確認できない場合又は追加接種が必要な場合は、原則本剤投与前にワクチンを接種すること。必要に応じて、本剤投与中のワクチンの追加接種を考慮することと記載しております。
○佐藤直樹委員 すみません。見落としました。ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 また、髄膜炎菌ワクチンについては、警告の他に、添付文書の5.2項にも記載しております。
○森部会長 大変重要な点でございますので、警告と5.2でも更に注意喚起ということでございますね。ありがとうございました。そのほか、先生方から御質問、御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、議決に入らせていただきます。なお、中西委員、長谷川委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決参加を御遠慮いただくこととなっております。本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 それでは、議題9に移らせていただきます。議題9の御説明につきまして準備をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題9、資料No.9、医薬品エヴキーザ点滴静注液345mgにつきまして機構より説明させていただきます。資料No.9-1の審査報告書を御覧ください。
審査報告書の一番下、全77ページの通し番号で5ページ、「1.起源又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料」等の項を御覧ください。ホモ接合体家族性高コレステロール血症(以下、HoFH)は遺伝性疾患であり、低比重リポタンパクコレステロール(以下、LDL-C)の顕著な増加が認められ、若年での心血管疾患の発現及び死亡のリスクが高いと考えられています。本剤はエビナクマブ(遺伝子組換え)を有効成分とし、脂質代謝の調節に関与するアンジオポエチン様タンパク3に選択的に結合し阻害することで、LDL-Cを低下させる高コレステロール血症の治療薬です。
今般、国際共同試験成績等を基に、本剤の製造販売承認申請がなされました。なお、本剤は2023年9月現在、欧米を含む四つの国及び地域で承認されております。また、本剤はHoFHの適応症について、希少疾病用医薬品に指定されています。
 本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。審査報告書の通し番号42ページ、7.3項を御覧ください。既存の脂質低下療法で効果不十分な12歳以上のHoFH患者を対象とした国際共同第III相試験であるCL-1629試験が実施され、本剤15mg/kg又はプラセボが4週間に1回静脈内投与されました。
 審査報告書の43ページを御覧ください。主要評価項目は治験薬投与24週後のLDL-Cのベースラインからの変化率とされ、表28に示しますように、本剤群のプラセボ群に対する優越性が示されました。主解析の結果に加え、HoFH患者におけるLDL-Cの管理目標値を達成した患者の割合がプラセボ群より本剤群で高かったこと、本剤の効果はCL-1629試験の非盲検投与期間及び長期投与試験であるCL-1719試験においても持続したことなども踏まえ、本剤の効果には臨床的意義があると判断し、専門協議においてこの判断は支持されました。
 日本人集団の成績については、審査報告書の通し番号45ページ、表31を御覧ください。日本人集団においても、本剤によるLDL-C低下効果が認められたことなどから、全体集団との一貫性が示されたと判断いたしました。
 次に審査報告書の通し番号52ページを御覧ください。5歳以上11歳以下のHoFH患者については、小児のHoFH患者の希少性を考慮し、非盲検非対照試験として、海外第Ⅰb/III相試験が実施され、12歳以上の患者を対象とした第III相試験と同一の用量である、本剤15mg/kgが投与されました。
 審査報告書の通し番号53ページの表39に示しますように、5歳以上11歳以下の患者においても、12歳以上の患者と同様に、本剤によるLDL-C低下効果が認められました。以上の結果に加え、母集団薬物動態/薬力学解析の結果から、5歳以上11歳以下の日本人患者でも、成人の患者と同様のLDL-C低下作用が得られると推定できること、HoFHは遺伝性疾患であり、年齢による本質的な病態の差異は考え難いことなども考慮し、5歳以上11歳以下の日本人患者でも、本剤により臨床的意義のあるLDL-C低下効果が期待できると判断し、専門協議において、この判断は支持されました。
 続きまして、審査報告書の通し番号62ページから記載している「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。安全性については、infusion reactionを中心に検討しました。7.R.3.1項に示しますように、本剤の臨床試験及び海外製造販売後において、本剤との関連性が示唆される重篤なアナフィラキシーを含むinfusion reactionが認められていることから、添付文書の重大な副作用の項で発現時の対応を含め注意喚起することが必要と判断しました。
 ここで資料No.9の添付文書案のファイルをお開きください。事前に部会委員より、添付文書案の2ページ、11.1項の記載につきまして、アナフィラキシー発現が疑われる際の対応として、注入速度の減速、投与中断、投与中止のいずれかのみを行うように読める旨の御指摘がございましたので、機構の方で記載を検討いたしまして、必要に応じてアナフィラキシーに対する治療も行う必要があることが明確となるように、「異常が認められた場合には」以降の記載につきまして、「異常が認められた場合には、注入速度の減速、投与の中断又は中止し、適切な処置を行うこと」と、記載を改めることが適切と判断いたしました。
 再度、審査報告書のファイルにお戻りください。最後に製造販売後の調査計画について御説明いたします。審査報告書の通し番号72ページ、表51を御覧ください。国内での治験症例が限られていることから、全投与症例を対象とした使用成績調査を実施することを承認条件とし、infusion reactionを含む有害事象の発現状況、小児のHoFH患者における安全性及び有効性の評価等を行う予定です。以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。
本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。なお、資料No.9-2に示しております原薬等登録原簿に関する審査報告書(別添)に誤記がありましたので、修正表のとおり訂正いたします。本修正につきましては、審査へ影響がないことは確認しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。では、以上の説明から御質問、御意見ございましたらお願いいたします。
○佐藤直樹委員 佐藤ですが、よろしいでしょうか。小児で投与されるのですけれども、これは長期的にはどれくらい安全性が確認されているのか教えていただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。確認いたしますので少々お時間ください。
○森部会長 代田委員からも御質問ございますので、先にそちらからよろしいでしょうか。
○代田委員 ありがとうございます。これは海外で皮下注も検討されたことがあったかと思うのですが、その皮下注のデータというのは、国内では検討されていないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございました。皮下注のデータにつきましては、第II相試験で検討しております。審査報告書で言いますと、通し番号の37ページでございます。この試験は海外で行われておりまして、日本人は参加しておりませんので、御指摘のとおり日本人での皮下投与の検討をしたデータはございません。
○代田委員 ありがとうございます。小児に使うとなると、実際に打つときには皮下注の方が、よりアクセスしやすいかなと思ったのでお聞きしました。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 コメントありがとうございます。今回、皮下投与が開発されなかった経緯を御説明させていただきます。先ほど御紹介いたしました海外第II相試験の詳細なデータを審査報告書には載せてはいないので、簡単に結論を申し上げますと、4週に1回の静脈内投与と同じ有効性を得るためには、皮下投与は1週間に1回行う必要があるということが分かり、速やかな効果の発現と、投与頻度の少なさを考慮いたしまして、皮下投与ではなくて静脈内投与の方が選択されたという経緯がございます。
○代田委員 ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 したがいまして、皮下投与の製剤の開発予定はないというように申請者より聞いております。
○代田委員 ありがとうございました。了解しました。
○医薬品医療機器総合機構 あと、すみません。その前に頂いていた佐藤先生からの御質問について、小児の投与経験は、今のところ得られているデータとしては、48週程度となっております。
○佐藤直樹委員 小児ですので、ずっとコントロールするためにはかなり長期に投与せざるを得ないケースもあると思うので、どこまで安全性が担保されているか確認したくて質問させていただきましたが、その後の調査で、ある程度追跡をして確認をしていく必要があるかなというようにお聞きしました。ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。そうですね。おっしゃっていただいたように、機構としても小児のデータを収集していきたいと思っています。日本だけで集められる症例はなかなか限りがありますので、海外の情報等も含めて、検討を続けていくことを申請者は計画しておりまして、機構としてもその計画は妥当と考えているところです。
○佐藤直樹委員 よろしくお願いいたします。
○佐藤陽治委員 佐藤陽治です。先ほどの御質問と関係するのですけれども、表の51番の観察期間が市販後2~5年間と幅があります。これはどういうような基準で最終的にその期間を決められるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。組入れが一度に進むということはなかなか考えにくく、再審査の期間等を踏まえると、最後、終了するタイミングというのが患者さんごとに異なると考えておりますので、早く入った患者さんはその分長く観察できるのですが、なかなか順調に入るとも限らないので、今回こういった形で観察期間に幅がある設定となっております。
○佐藤陽治委員 ありがとうございます。
○森部会長 そのほか御質問、御意見いかがでしょうか。機構から御提案いただきました、添付文書のアナフィラキシーを含むinfusion reactionに関する記載については、機構の提案の修正案の方でお認めしてよろしいでしょうか。分かりました。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
○森部会長 資材等でも、具体的な対応について少し詳細に記載いただくように、是非お願いしたいと思っております。
○医薬品医療機器総合機構 はい、分かりました。
○森部会長 特にその他、御意見ございませんでしょうか。
 それでは、議決に入らせていただきます。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議はないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 続きまして議題10に移らせていただきます。議題10につきまして事務局から御説明をお願いします。
○事務局 議題10、希少疾病用医薬品の指定の可否について御説明いたします。今回1品目のみですので、資料10-2の事前評価報告書を御覧いただければと思います。品目名が「テプロツムマブ(遺伝子組換え)」ですが、予定される効能・効果が「甲状腺眼症」、申請者が「アムジェン株式会社」です。推定患者数が最大約4万8,830人と推定しておりまして、5万人以下の基準を満たすと考えております。
 続いて、医療上の必要性ですが、甲状腺眼症の活動期は眼窩組織における炎症の客観的兆候に伴い、眼球突出、斜視及び複視等の視力を損なう症状が認められることもあるとされております。失明や顔貌の変化を引き起こす場合もあり、QOLが著しく低下するとされております。現時点におきましては、本邦において甲状腺眼症に係る効能・効果を有する薬剤はなく、ステロイドパルス療法や眼窩部放射線外照射療法が行われておりますが、眼球突出に対しては効果が低いなど、治療法は限られており、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。また本剤は海外の臨床試験に基づきまして、米国では承認されております。日本においても国内第III相試験が実施中であることから、開発の可能性はあると考えております。以上より希少疾病用医薬品の指定要件を満たすと考えております。御審議のほどをよろしくお願いします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。御意見ございましたらお願いいたします。特にございませんでしょうか。
 では、議決に入らせていただきます。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。特に御異議はないようですので、指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 続きまして、報告事項及びそのほかの事項に移らせていただきます。では、報告事項の議題1~3及びそのほかの事項、議題1につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 まず、報告事項の議題1~3について御説明します。資料は、資料No.11のまとめの表を御覧ください。まず報告事項の議題1、資料12の関係です。販売名は、「ミオMIBG-I123注射液」、申請者は「PDRファーマ株式会社」です。申請の概要は、パーキンソン病及びレビー小体型認知症の診断における心シンチグラフィに係る効能・効果及び用法・用量の追加を行うものです。
 続いて、議題2、資料13関係です。プログラフとグラセプターの関係です。申請者は「アステラス製薬株式会社」です。こちらは、腎移植における拒絶反応の抑制に関する用法・用量について、腎移植の3日以上前より投与可能とすることを目的とした用法・用量の変更に関する申請があったものです。
 議題3、資料14の関係です。「ジェノトロピン」です。申請者は「ファイザー株式会社」です。こちらはプラダー・ウィリ症候群における体組成異常に係る効能・効果、用法・用量の追加を行うものです。
 いずれの品目におきましても、機構における審査の結果、承認して差し支えないとの結論に至っております。以上が報告事項議題1~3です。
○森部会長 では、一旦ここで。ありがとうございます。資料14につきまして、ジェノトロピンのプラダー・ウィリ症候群の体組成の改善に関する効能追加ということですが、本効能追加は、成人で承認されている国は、現在、ニュージーランドのみという状況でして、世界的にまだ十分な有効性・安全性に関する情報が集積されていない点があります。このたび、本邦で臨床開発が行われまして、一定期間の臨床試験の結果、有効性があることが確認された背景です。
 今回の適応追加の添付文書案を拝受しておりますが、その記載整備について、特に、長期的な有効性・安全性に関する情報がまだ十分でないということについて、どう記載整備をするかについて、委員の先生方に御意見を伺った経緯です。今回、委員の先生お一人から、長期投与について、「長期投与に関する臨床試験データが存在しないことから、慎重に判断すること」等の文言の付記について、この部会で、先生方の御意見を聞いてはいかがかという提案がありましたので、少しここでお時間を取って、御意見を伺いたいと思っています。この点につきまして、委員の方から御発言ありますでしょうか。機構の方、もし、これを追記する場合、どういった所に追記をすることが可能でしょうか。厚労省と御相談になるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えさせていただきます。今回、長期にわたる投与経験という意味では、非常に情報が限られているところに関して御指摘いただいているところですが、もともと長期の投与に大きな懸念はないと考えていた背景としては、今回実施された試験の期間も12か月であり、さらに継続期も入れれば2年以上投与した際の試験成績が得られていたこと、それに加えて、4年とか8年とか投与された別の疾患での臨床試験成績ですとか、骨端線閉鎖を伴わないプラダー・ウィリ症候群における低身長に対しての投与期間、製販後調査の4年以上の投与期間の成績もあって、基本的には長期投与に大きな問題はないと考え、特段の注意喚起は不要かと考えていたところです。
 一方で、非常に長期にわたる投与経験は、海外ではニュージーランドのみの承認ということもあり、グローバル全体で見ても必ずしも十分あるわけではないのではないかという御指摘もそのとおりかなと思うところもあります。添付文書における注意喚起を行う場合、「成人においての長期投与の経験は限られる」といった内容となると考えていますが、そういった内容を注意喚起するかどうかというのを検討するか否かかなと考えているところです。
○森部会長 確認ですが、本適応症の追加については、小児では30か国以上で承認されているという現状でして、成人での承認がニュージーランド1国というのが、現状です。したがって成人での適応症での使用実績が、やはり世界的にも余り多くないことが背景にございます。もちろん、ガイドライン等々の対応等で、各国で個別の方に使用されているケースもあるかと思いますが、承認という形で広く使用されている実績が世界的に少ないということを鑑み、また、プラダー・ウィリ症候群の症例では、多くの方が、成人後に高度の肥満を呈され、かつ、生活習慣の改善がなかなか困難で苦慮されている。そういった中で、本剤の使用によって体組成の改善が期待される一方、耐糖能の悪化等のリスクや、長期的に使用した場合の有効性・安全性に関する情報が、やはり余り確立されていないといった背景があります。今回は、患者さんの団体からも御要望があって、適応追加の検討をされているという背景を鑑みますと、患者さんからの御期待も大きい薬剤かと思います。医師が処方する際の添付文書の内容として、客観的な状況についても付記しておくことが検討されるべきではないかと考えていますが、委員の方の御意見はいかがでしょうか。
○宮川委員 宮川ですが、今の森部会長のおっしゃったとおり、そういう考え方でしっかりとした明記があった方が、投与する医師として、医療者側としては適切な情報になるのではないかなと思っております。
○森部会長 今回、赤羽委員から御発言いただいた経緯ですが、赤羽委員、何か追加の御意見はございますでしょうか。
○赤羽委員 機構の方で慎重に検討されて、しかも、実際には本当に専門の知識を持った先生が使用されるということは重々承知した上ですが、やはり今、御説明いただいたようなことは、一応、付記しておくこと自体は意味があるのではないかと思いました。きちんとそういった慎重な検討を踏まえた上で、実際に承認されているということも含めて、そういう文言を一言入れておくことは重要ではないかなと思いまして発言させていただきました。宮川先生から、今、御説明いただいたとおりだと思います。よろしくお願いします。
○森部会長 ありがとうございました。
○宮川委員 部会長、よろしいですか。
○森部会長 どうぞ、宮川委員。
○宮川委員 体組成を扱う医師はそれほどたくさんいないのです。私ども、そういう研究とかそういうのをしていたので、やはりそういうところは気付きとしてあった方が明確になるのではないかと思ったもので。そのときの疾患の状況、それから、糖のいろいろな代謝も含めてですが、非常に動くものですので、そこのところの配慮はあった方ががいいのかなとは私も思いました。以上です。
○森部会長 ありがとうございます。委員の先生の中で、成人のプラダー・ウィリ症候群の患者さんの診療に当たられたことのある先生がいらっしゃいましたら御発言いただくことは可能でしょうか。特に御発言がないようですか、分かりました。それでは、本件の対応につきましては、機構で御検討いただき、当局の方と御相談いただいた上で御対応いただくという方向でよろしかったでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構としても、成人における長期投与の経験が限られている事実はありますので、その事実に関しての記載について検討させていただきます。
○森部会長 ありがとうございました。
 それでは、そのほかの事項、議題1に移っていただいてよろしいでしょうか。
○事務局 その他事項、議題1、SMO(治験施設支援機関)によるGCP違反について、事務局より説明いたします。資料15-01を御覧ください。経緯です。SMO(治験施設支援機関)である株式会社メディファーマに関する公益通報を受け、医薬品医療機器法第80条の2の第7項及び第80条の5第1項の規定に基づき、令和5年8月29日、30日に無通告の立入検査を東京本社・大阪営業所に対して実施しました。また、同年9月4日に、大阪府内の医療機関に対しても同様に立入検査を実施しました。立入検査の結果、GCP違反が確認されました。現在、違反の詳細等については精査中です。
 続いて、現時点で確認されている主な違反の概要を説明します。(1)治験データの改ざんに関してです。少なくとも7試験において、治験薬投与時間や採血時間等の改ざんが確認されています。(2)呼吸機能検査の不適切な実施についてです。呼吸機能検査について、意図的に吐く息の量を減らすよう誘導し、呼吸機能の悪化を偽装していました。その結果、組入れ基準に合致しない被験者が治験に組み入れられていました。(3)医師・施設スタッフ・CRCのID・パスワード共有、トレーニング代理受講については、治験に必要なトレーニング及び電子署名等のID・パスワードを社内で共有していました。さらに、医師・施設スタッフが受講すべきトレーニング等をメディファーマ社員が代理受講しておりました。(4)治験薬保管不備の隠蔽については、治験薬の保管温度逸脱の隠蔽や保管温度の記録の改ざんが確認されています。
 株式会社メディファーマが関与した試験の範囲及び影響についてです。資料15の02に詳細を表でまとめています。医薬品で116試験、医療機器で7試験、合計123試験に株式会社メディファーマが関与していました。うち、承認済みの品目に関係する試験は、医薬品で製造販売後臨床試験も含め34試験、医療機器で2試験、合計36試験となります。これらを品目数で集計したものが下段になります。承認済みの医薬品23品目、医療機器2品目、合計25品目に株式会社メディファーマが関与していることが確認されました。本事案に関係する123試験について、現時点で健康被害等の報告はありません。また、実施中の試験について、被験者の意向を確認した上での試験参加中止など、被験者保護を最優先に対応するよう指示済みであります。
 試験ごとの違反の有無及び詳細については精査中でありますが、株式会社メディファーマが関与した症例を除外しても、有効性評価及び安全性評価が変わらないこと。又は試験データの信頼性を検証して、信頼性が担保できることを個々の試験ごとに確認することにより、承認済みの品目全てにおいて有効性及び安全性の結果への影響はないと判断しました。なお、確認結果も踏まえ、承認済みの品目について、公衆衛生上の危害が生じる可能性がないこと。現時点では、製造販売業者において違反等の不適切な行為が確認されていないこと。また、品目名の公表による臨床現場への影響等を考慮し、関係する製造販売業者の名称及び品目名等に関しては、引き続き非公表の取扱いとさせていただきます。本事案については、薬事・食品衛生審議会の関係する他の部会においても、本日と同様に順次御報告していることを申し添えます。事務局からの説明は以上になります。
○森部会長 御説明承りました。本件は、御意見を委員の方から伺ってよろしいのでしょうか。はい。では、もし御意見がございましたらお願いします。
○代田委員 代田ですが、よろしいでしょうか。
○森部会長 お願いします。
○代田委員 これまで承認してきた結果には影響がなかったということは、極めてよかったように思いますが、こういうことが起こっていたということの背景と、やはり再発の予防ということは極めて重要だろうと思うのですが、その対応については、どういう部門が、どういう形で進めていくのでしょうか。
○事務局 事務局より回答いたします。今回、起こった原因につきましては、現在、メディファーマに対して報告を求めているところでして、詳細については精査中ではあります。ただ、現時点で確認している範囲ではありますが、今回は、違反の概要にありますとおり、まず一つ目の治験データの改ざん及び四つ目の治験薬保管不備の隠蔽に関しては、いわゆるプロトコールの逸脱、これを隠したかったという意図があったと聞いております。また、二つ目の呼吸機能検査の不適切な実施につきましても、それは、症例を、被験者を集めるためにこのような不適切な行為をしたという形で報告を受けておりまして、一応、そういうことが原因であったと現時点では報告を受けているところではあります。
 二つ目の御質問で頂いた再発防止等につきましては、原因等を究明、精査の方向も進めさせた上で、今後、検討する形にはなりますが、現在、関係する業界団体などとも本件につきましては意見交換等を進めているところでもありまして、再発防止策については、引き続き検討を進めていきたいと考えております。以上となります。
○代田委員 ありがとうございます。やはり、日本のこういう治験の体制全体を揺るがすような、信頼性を揺るがすようなことだと思いますので、しっかりと対応いただければと思います。以上です。
○森部会長 そのほか御意見ありますでしょうか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 私も審議会をたくさん出ていまして、もう、複数回以上この報告を聞いていますが、その度に、いろいろなことを、いろいろな委員からいろいろな御提案とかを伺いますが、私としては、2の(3)の所が非常に心を痛めているというか、この(3)の所には、自ら、私の立場もそういうところにあるのだろうなと思います。これは、現場としては襟を正していくべき話で、決して背けてはいけない事柄だろうなと思いますので、そういうことがあったということは、しっかりと携わる人間たちに伝わるようにしていただくことがやはり非常に重要かなと。これは襟を正していくと、会社だけの責任ではないということは、私たちも重々理解しながら対応しないといけないものだろうなと考えております。以上です。
○森部会長 そのほかいかがでしょうか。代田委員からの再発防止の対策に関する御質問がありましたが、治験は本来こういった違反が起こらないような仕組み作りがなされている中で、こういう違反が起こったということもありまして、どのような抜け道を介したのかということも詳細に確認を頂いて、臨床試験が患者さんにとって安全かつ有効な薬剤を提供するという本来の機能を持つには、治験の科学性と安全性が不可決ですので、今回は、厚労省の方にも十分お力添えを頂きまして、本事案の詳細な状況の解明と、更には、再発防止につながる対策につきましても講じていただきますように、切にお願いしたいと思っております。
 それでは、今、報告事項の議題1~3及びそのほかの事項議題1につきまして説明を頂きました。本内容につきまして、そのほか御質問、御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本報告事項につきましては確認いただいたものとさせていただきます。本日の議題は以上です。
 事務局から、何か御報告等ございますでしょうか。
○事務局 次回の部会は、令和6年1月26日(金曜日)午後2時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○森部会長 本日も長時間御議論いただき、どうもありがとうございました。これで失礼します。ありがとうございました。
( 了 )
 
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬局

医薬品審査管理課 課長補佐 松倉(内線2746)