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- 第179回社会保障審議会医療保険部会 議事録
第179回社会保障審議会医療保険部会 議事録
日時
令和6年6月21日(金)14:57~16:54
場所
日比谷国際ビル コンファレンススクエア 8F会場
議題
1.マイナ保険証の利用促進等について
- (報告事項)
- 1.妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会等について
- 2.NDBデータ提供体制の見直しについて
- 3.医療費における保険給付率と患者負担率のバランス等の定期的な見える化について
- 4.子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和6年法律第47 号)の成立について
議事
- 議事内容
- ○池上課長 それでは、定刻より少し前ではございますけれども、スタートから出席予定の皆様はおそろいですので、ただいまから、第179回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の中、御参加いただきまして大変ありがとうございます。
まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は猪口委員、内堀委員、菊池委員、河野委員、原委員、横本委員より御欠席の御連絡をいただいております。また、池端委員、中村委員より途中から御出席なさるとの御連絡をいただいております。
また、本日の会議は傍聴希望者向けにユーチューブにおいてライブ配信を行っております。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御退室のほうをよろしくお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○池上課長 それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。よろしくお願いします。
○田辺部会長 まず、欠席される委員の代わりに出席なさる方についてお諮り申し上げます。
猪口委員の代理といたしまして長島公之参考人、それから内堀委員の代理として根本和代参考人、原委員の代理といたしまして池田俊明参考人、横本委員の代理として井上隆参考人。以上の出席につき、御承認賜ればと思いますが、いかがでございましょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、早速議事に入ってまいります。本日は「マイナ保険証の利用促進等について」を議題といたします。
では、マイナ保険証の利用促進等について、事務局から資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○竹内課長 医療介護連携政策課長でございます。資料1「マイナ保険証の利用促進等について」、御説明をいたします。
まず、資料の1ページを御覧いただきたいと思います。オンライン資格確認の利用状況でございます。直近5月のマイナ保険証の利用件数でございますが、真ん中の水色の棒グラフでお示ししておりますけれども、1425万件と前月に比べまして215万件の増加、マイナ保険証の利用率でございますが、7.73%となりまして、引き続き上昇傾向が続いておりますけれども、さらなる底上げが必要と考えております。
資料の2ページでございます。施設類型別のマイナ保険証利用率の推移でございます。病院、医科診療所、歯科診療所、薬局と、どの施設類型におきましても利用率は上昇傾向にございますが、特に薬局の伸びが顕著となっております。
資料の3ページを御覧いただきたいと思います。こちらはマイナ保険証利用割合、利用率ごとの施設数の分布を見たグラフとなっております。それぞれ薄い色の線が昨年12月時点の分布、濃い色の線が本年5月の時点の分布を示しております。左側のグラフ「全体」で御覧いただきますと、利用率が3%未満の施設が占める割合は昨年12月時点では49.2%でしたが、本年5月時点では31.1%と減少しております。一方で、利用率が20%以上の施設が占める割合は昨年12月時点では14.8%でしたが、本年5月時点では22.3%と増加をしておりまして、一部の施設では利用率が60%を超えるようなところも見られるところでございます。また、右側、施設類型別に見てみますと、利用率が3%未満の施設が占める割合は、本年5月時点で病院は15.6%、医科診療所は31.1%、歯科診療所は18.1%、薬局は40.9%となっております。
資料の4ページを御覧いただきたいと思います。こちらの資料は今年2月29日の医療保険部会で一度お示しした資料を時点更新したものでございます。上から順に御説明いたしますと、まずマイナンバーカードの保有状況といたしましては、4月末時点で全人口の73.7%に相当する9238万人がカードを保有しております。カード保有者のうち78.5%に相当する7255万人がマイナンバーカードの健康保険証としての利用登録をされております。また、本年5月時点でマイナンバーカード保有者の約50%がカードを携行しているとされており、Web調査によりますと、マイナンバーカード保有者の約3人に1人がマイナ保険証を利用したことがあるとされております。
最後に、一番下、利用率でございますが、マイナ保険証の直近5月の利用実績につきましては、先ほど1ページのところで御説明をしたとおりでございます。
5ページを御覧いただきたいと思います。厚生労働省が今年5月に18歳以上のマイナンバーカード保有者を対象にWebアンケートを実施した結果でございます。左上のグラフをまず御覧いただきたいと思いますけれども、先ほど御紹介いたしましたとおり、マイナンバーカード保有者の約3人に1人、33.0%が健康保険証として利用したことがあると回答されております。一方で、右上のグラフでございますが、マイナ保険証の利用意向について、約3割の方が利用に消極的な回答をされているということでございます。
さらに、右下の部分でございますけれども、マイナ保険証を利用したことがあると回答した方について見ますと、約73.9%、約4人に3人がマイナ保険証を今後も利用したいと考えているとの結果となっております。
資料6ページを御覧いただきたいと思います。医療機関における取組状況につきまして、オンライン請求を実施している全施設、約17万施設の医療機関・薬局を対象に、本年2月と5月の診療報酬請求時にアンケート調査を実施いたしました。その調査結果でございますが、「マイナンバーカードお持ちですか」などの声かけは2月時点では約4割でございましたが、5月時点では6割超に増加をしております。また、ホームページでのマイナンバーカードの持参の案内につきましては、2月時点では約17%でしたけれども、5月時点では約26%に増加をしているということでございます。一方で、何ら取組を行っていないとの回答でございますが、2月時点では約17%、5月時点では約15%ということで、ほぼ横ばいという状況でございます。
資料7ページを御覧いただきたいと思います。医療機関等への一時金の見直しについてでございます。先ほど資料3ページで御説明いたしましたとおり、利用率が20%以上の施設は昨年12月時点では14.8%でしたけれども、本年5月時点では22.3%と高利用率の施設が増加をしており、本年5月時点で一時金の上限である診療所・薬局10万円、病院20万円に達している施設も相当数あるところでございます。
こうした利用が進んできた施設に対しまして、更に利用率を押し上げるためのインセンティブが必要な状況にございます。そのため、今般、高利用施設に対する更なる利用率の向上を促すため、利用人数の増加に応じて診療所・薬局の一時金を最大20万円、病院については40万円とすることといたします。
資料の8ページを御覧いただきたいと思います。この一時金の見直しに加えまして、医療機関・薬局における顔認証付カードリーダー増設の支援について、これまでは昨年10月から本年3月までのいずれかの月のマイナ保険証の月間利用件数の総数が500件以上の機関を対象としておりましたけれども、今回、本年7月までのマイナ保険証の月間利用件数の総数が500件以上の機関を対象とするよう見直すことといたしました。
次に、資料9ページを御覧いただきたいと思います。保険者におけるデータ登録の迅速化と受診時のマイナ保険証による資格確認の円滑化に向けた対応でございます。上の四角の枠で囲っておりますけれども、本年5月、会計検査院から現状に即した医療保険給付関係情報のデータ登録が行われていない旨の指摘がなされているとともに、現在、医療機関等の現場におきましてマイナ保険証を利用した際などに新資格が登録されていないことで「資格無効」という表示が出るとのお声がございます。このような状況を踏まえまして、マイナ保険証の一層の利用促進とマイナ保険証を基本とする仕組みへの円滑な移行に向けて早期に状況が改善されるよう、保険者において以下の対策を行うこととしております。
まず、保険者におけるデータ登録の迅速化でございます。保険者におけるデータ登録の迅速化のため、チェックリスト等を参考に事務フローの点検を行い、その結果に基づく改善計画を策定した上で必要な取組を行うことを求めることとしております。
次に、受診時のマイナ保険証による資格確認の円滑化でございます。マイナ保険証により医療機関等を受診した際、データ登録が行われないまま受診することがないよう、保険者等から加入者に対しまして、データ登録が完了しマイナ保険証が使えるようになるまでに要する期間を提示することやデータ登録が完了したことを資格情報のお知らせなどを利用して確実にお知らせするなどの対応を徹底するよう求めることとしております。その上で、早期に状況が改善されるよう、1ポツの改善計画の策定と2ポツの対応状況につきましてはフォローアップ調査を実施することとしております。
資料10ページにお進みいただきたいと思います。こうした保険者における対策に併せまして、昨年7月10日付けで発出をした「マイナンバーカードによるオンライン資格確認ができない場合の対応について」の通知の周知徹底を図っていきたいと考えております。本年12月1日までの取扱いになりますけれども、改めて特にポイントとなる点を申し上げたいと思いますが、有効な健康保険証が発行されている方がマイナンバーカードを提示した際に「資格無効」「資格情報なし」と表示された場合や機器不良等のトラブルによりオンライン資格確認ができない場合には、可能であれば、マイナポータルの資格情報画面、あるいは健康保険証で資格確認を行い、それでも資格確認ができない場合、患者の皆様に被保険者資格申立書の記入をお願いすることとしております。
ただし、資格確認の下にある枠の一番下の※印にございますように、過去に当該医療機関等への受診歴等がある患者につきまして、そのときから資格情報が変わっていないことを口頭で確認し、被保険者資格申立書に記載すべき情報を把握できている場合には、被保険者資格申立書の提出を求める必要はありません。
また、レセプト請求に当たっては、資格確認の2つ右側の「レセプト請求」の箱の中を御覧いただきたいと思いますが、現在の資格情報の確認ができた場合は、その資格に基づき請求していただくことはもちろんでございますが、現在の資格情報の確認が困難な場合でも、過去の資格情報が確認できた場合には、その資格に基づき請求をお願いしております。さらに、現在の資格情報も過去の資格情報もいずれも確認が困難である場合には、保険者番号や被保険者番号が不詳のまま請求を行っていただきたいと考えております。
なお、一番右側の箱でございますけれども、中ほどの※印のところですが、過去の資格情報に基づき請求されたレセプトや資格情報不詳のままで請求されたレセプトにつきましては、審査支払機関におきまして可能な限り直近の保険者を特定しております。最終的に保険者を特定できなかった場合には、災害等の際の取扱いを参考に保険者等で負担を按分することになりますけれども、本通知が適用された昨年9月の請求以降、そうしたケースは今のところないと聞いております。不詳レセプト等の特定作業におきましては、引き続き保険者等の皆様に審査支払機関への御協力をお願いしたいと思います。
次に、資料11ページを御覧いただきたいと思います。今、御説明したものとやや繰り返しになるかもしれませんが、医療機関・薬局にマイナンバーカードを持参された方の資格確認とレセプト請求につきまして、12月1日までの取扱いを図示したものでございます。一番左の流れでございますが、マイナ保険証で資格確認ができた場合、追加で健康保険証の提示は不要でございます。真ん中、何らかの事情でオンライン資格確認を行えなかった場合でも、マイナポータルの資格情報画面、あるいは健康保険証で資格確認を行い、マイナポータル画面で資格確認ができた場合については追加で健康保険証の提示は不要でございます。こうしたいずれのやり方でも確認ができない場合、過去の受診で必要情報を把握していれば、患者への口頭確認を行い、過去の受診からも確認できない場合には、被保険者資格申立書の記入をお願いすることとなります。医療機関等におかれましては、マイナンバーカードでオンライン資格確認ができなかった場合には、この取扱いを踏まえまして、患者に対して適切な自己負担分の支払いを求めるとともに、一番下の箱の部分に記載しているいずれかの方法でのレセプト請求をお願いしたいと考えております。
資料12ページを御覧いただきたいと思います。医療機関等の窓口における資格確認の取扱いについてでございます。昨今、医療機関等の窓口におきましてマイナ保険証を受け付けずに健康保険証の提示を求めることや、健康保険証を受け付けずにマイナ保険証の提示を求めるといった事例が見受けられることから、基本的な考え方等を整理したものでございます。ポイントは上の四角い箱の中に書いてございますが、医療機関等の窓口においてマイナ保険証を受け付けずに健康保険証の提示を求めることや、健康保険証を受け付けずにマイナ保険証の提示を求めることはいずれも適切ではなく、患者に対して丁寧に説明を行い、法令上、保険医療機関においてはマイナ保険証又は健康保険証、保険薬局においては処方箋、マイナ保険証、又は健康保険証のいずれかの方法により患者の資格確認を行うこととされていることを踏まえ、適切に運用していただきたいと考えており、こうした内容を速やかに周知することとしてございます。
資料の13ページを御覧いただきたいと思います。こちらは消防庁の資料になりますが、マイナ保険証を活用した救急業務の迅速化・円滑化に関する資料でございます。救急隊がマイナ保険証を活用して傷病者情報を正確かつ早期に把握することで救急活動の迅速化・円滑化を図る実証事業を今年度から実施中でございます。期待される主な効果といたしましては、まず自分の病歴や飲んでいる薬を救急隊に正確に伝えることができること、また、救急隊が病院の選定や搬送中の応急措置を適切に行えること、さらには搬送先病院で治療の事前準備ができるといったことが挙げられております。
この実証事業の今後のスケジュールにつきましては、資料14ページにお示しをしてございますけれども、全国の67消防本部、660隊におきまして、本年5月から順次開始をしております。
資料15ページ以降は参考資料となってございます。
資料1の説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等がございましたら、挙手にてお願いいたします。また、オンラインで参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせいただければ幸いです。
では、いかがでございましょう。
では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
まず、資料全体を通して、国としてマイナ保険証の利用促進に取り組んでいることはもちろん理解をしております。その中で、保険者としては迅速なデータ登録に向けた取組も当然行っております。資料25、26ページのチェックリストの内容についても既に大多数の健保組合が実施済みと考えておりますけれども、一方で健保組合における取組の格差が存在することも事実だと思いますので、その解消に向けては、今般、9ページに提案されていますフォローアップ調査も活用したいと思います。
一方で、データ登録の完了までに一定の時間がかかる、いわゆる「タイムラグ問題」が残っていることは事実だと思います。健保組合からもこのタイムラグ問題の解決に向けて国としての対応を求めたいという声が上がっておりますので、その点についてコメントさせていただきます。
まず、質問を2点させていただきたいと思います。
1点目は、マイナンバーを届出しない加入者への対応でございます。タイムラグ対応にはマイナンバーを速やかに届け出ていただくというのが何よりも重要だと思います。逆に言えば、正確なマイナンバーが速やかに提出されなければ、タイムラグの問題というのは解決できない。国としてこの記載の徹底について強制力を伴うようなことも含めてさらなる対応を行うべきだと思いますけれども、どうお考えかという質問でございます。
それから2点目は、番号法における特定個人情報の取扱いの見直しでございます。特定個人情報については番号法によって個人情報保護法よりも厳格な保護措置が設定され、また、罰則も強化されていますので、届出を行う事業者から見た場合には、「マイナンバーを直接取り扱うべきではない」という考えに基づき、個人番号の収集・管理を事業者等に外部委託しているケースが少なからずあります。また、これがタイムラグの要因になっているということが指摘されています。
また、特定個人情報に係る郵送については、「特定記録」または「書留」とすることが求められているため、より取扱いに慎重になっているという事業主も多く存在すると考えられます。
国としてマイナンバーカードを携行することの安全性をPRしていることも踏まえれば、特定個人情報の取扱いを見直す必要があると思いますので、この点についてのお考えを聞ければという質問でございます。
以上2点が質問で、それ以外の意見を3点申し上げさせていただきます。
1点目は、これまでも申し上げていますが、マイナポータル活用の推進についてでございます。タイムラグ縮小に向けて、マイナポータルの活用は必須だと思います。今後、スマホ搭載のマイナ保険証とマイナポータルの活用が基本になるのは間違いないと思いますので、マイナポータルからのプッシュ通知機能を速やかに導入いただきたいと思います。
2点目は、マスコミも含めた国民向け広報・PRの強化でございます。一部報道においてはマイナ保険証に関する否定的な記事が多く見受けられます。この部会に参加している関係当事者はマイナ保険証の利用促進ということで意を同じくしているとは思っておりますけれども、健保組合の加入者を含め、一般国民から見れば、こういう報道を見てやはり「マイナ保険証は危ないもので持たないほうがいい、使わないほうがいい」との印象を持たれ、我々からの働きかけの大きな阻害要因になっているということは否めません。一つ一つの報道に国が対応することはできないというのは分かりますが、やはりマイナ保険証が役に立っているということの事例の発表も含めてぜひ広報・PRを強化していただきたいと思います。
それから、3点目はタイムラグの解消でございます。対応案では、タイムラグは縮小するけれども解消はしません。そもそもタイムラグが発生しないような検討が必要ではないかと思います。一旦マイナ保険証として登録すれば、保険者が変わってもタイムラグなく円滑に保険診療を受けられるということのために、例えば今、既に稼動しているレセプトの振替・分割機能を活用した請求スキームの見直しなど、DXの観点からの抜本的な運用見直しも必要だと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
2点ほど御質問がございましたので、回答をお願いいたします。
○山下課長 保険課長でございます。
今、佐野委員から、マイナンバーを届け出ない加入者への対応について、強制力を伴うような内容も含めてさらなる対応を行うべきではないか、国としての考え方はどうなのかという御質問をいただきました。マイナンバーカードを健康保険証として利用していただくためには、当然のことながらマイナンバーを出していただいて、医療保険の保険者の方々がその方の情報として中間サーバーにきちんと登録し、それでもって初めてマイナンバーカードが健康保険証として利用できるということでございます。当然のことながらこのデータ登録をしっかりとするためには、保険者だけが頑張ったとしてもこれはできませんで、お一人お一人被扶養者も含めて被保険者から全ての加入した方々のマイナンバーをいただいて、事業主に提出していただいて、そしてその事業主から保険者に提出をしていただく。それでもって確実に登録がなされるというものでございます。
これにつきましては、資格取得の届出の際に被保険者、事業主、それぞれ被保険者、被扶養者の分をしっかりと保険者に出してください、マイナンバーをちゃんと出してくださいということを法令上義務づけている。これは昨年6月に法令上明確化したところでございます。当然そういった対応がなされなければ時間がかかってしまう。あなたはどういう方であって、その方のマイナンバーはどういうことなのかということを把握するために保険者の事務に非常に時間がかかってしまって登録が遅れてしまうということは、当然事務の流れとしては起きてしまいます。このため、私どもとしましても、健康保険事業を加入している一人一人の個々の方々に届けるためにも、一人一人しっかりと自分のマイナンバーを提出していただきたいと思っておりますし、また、事業主の皆様にも御協力をお願いしたいと考えております。
○竹内課長 2点目の御質問、特定個人情報の取扱いの見直しについて、医療介護連携政策課長からお答えさせていただきます。
先ほど佐野委員から御紹介がございましたとおり、いわゆるマイナンバー法におきましては、マイナンバーを含む個人情報を特定個人情報とし、個人情報保護法の特例として個人情報保護法における個人情報よりも厳格な各種の保護措置を設けているところでございます。これはマイナンバーというものが全住民に悉皆的に付番され、他の識別子に比べて識別強度が強く、情報のマッチングや集積した情報の名寄せなどの処理に長けている番号であるから、とデジタル庁において説明されていると承知をしてございます。
御指摘いただいた課題につきましては主管省庁であるデジタル庁とも共有したいと思いますけれども、今、申し上げたような性質を踏まえた議論が必要になるものと認識をしてございます。厚生労働省といたしましては、加入届に個人番号を記載していただくことを法令上明確化したところであり、また、多くの事業主においては迅速な個人番号の提出に御協力をいただいておりますことから、加入者の方々が円滑に保険診療を受診できるよう、保険者の皆様方とも協力しながら速やかな個人番号の提出への協力を求めてまいりたいと考えております。
○田辺部会長 佐野委員、よろしゅうございますか。
どうぞ。
○佐野委員 ありがとうございます。
当然ながらいろいろ難しい問題があるというのは理解しますが、マイナ保険証の利用促進やデータ登録の迅速化に向けて、先ほど申し上げた部分が大きなボトルネックになっていることは確かだと思いますので、その解消に向けて国としても前向きかつスピード感を持って検討をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。リモートから失礼いたします。
私どもはマイナ保険証を持っていてよかったということを国民の皆さんに広く実感していただくために、活用方策を広げていくということが何より大切かと思います。したがって、今日、御説明を頂戴した13ページ、14ページの消防の現場でマイナンバーカードを使おうということについても非常に有意義な取組だと思っておりまして、14ページで8月9日の下から4番目に津市消防本部も入っておりまして、一生懸命取組をさせていただきたいと思っております。
実は今日午前中に津市長定例記者会見で、もう一つマイナ保険証に関わる話で発表をしておいたのですが、パブリックメディカルハブ(PMH)というのを使って福祉医療費の資格証明をマイナ保険証に入れ込んでいこうということを始めさせていただきます。これは実はシステムが必要ですので、いましばらく準備に時間がかかりますが、全国153の自治体でデジタル庁さんの指定を受けてシステム改修を国のほうでやっていただく。これができると具体的にどうなるかといいますと、子ども医療費やひとり親、障害者といった医療費は自治体が自己負担分を助成したりしているのですが、これの資格証明、資格確認をマイナカード一枚でできるということになります。現在はどうしているかというと、保険証と共に受給資格証を出してもらっています。そして、医療機関のほうでそれを言わば登録していただいているということになるのですが、これは自治体のほうで受給資格情報を登録すると、医療機関のほうにその提供がされるということになります。もちろんパブリックメディカルハブにつなぎ込んでいただくことは病院・薬局のつなぎ込みのシステム改修をしていただかなければいけませんが、この点についてもデジタル庁から周知が始まっていると伺っておりますので、ぜひこういうことが進んでいけば、事実上マイナ保険証でできることが増えていくことによって様々なマイナ保険証への移行が国民にとって実利ある形で進んでいくのではないかなと考えておりますので、これは我々自治体としてもしっかり取り組んでまいりたいと思います。皆様方の御協力もよろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、井上参考人、よろしくお願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。
まず9ページ目、保険者におけるデータ登録の迅速化につきましては、私ども経団連といたしましても、採用時に資格取得から5日以内にマイナンバーを記載した届出を健保組合に届け出るように事業主への周知・徹底を図っているところでございます。また、先般も保険局、健保連を招いて説明会などを行いました。引き続き保険者と連携して取り組んでいきたいと思っています。
次に、7ページの促進策ですけれども、これは促進をするに当たって特に利用件数の割合の少ない医療機関、3%未満というところが多いのですけれども、そこへの対応が急務ではないかなと感じるところでございます。今回のこの見直しというのはどちらかというと既に利用があるところをさらに伸ばそうということでございますけれども、利用件数の少ないところへの対応というのが重要ではないかなと思います。
あと、これは質問ですが、5ページ目にマイナ保険証の利用意向のアンケートの結果が載っておりますけれども、約3割がマイナンバーカードを持っている方でも利用に消極的だというアンケート調査になっております。この消極的な理由のようなものがもし分かっていれば、教えていただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございます。
では、よろしくお願いします。
○中園室長 データ企画室長です。御質問ありがとうございます。
5ページ目に、本年5月に厚生労働省が実施しましたWebアンケート調査の内容についてです。5ページ目の右側に約3割の方が利用に消極的という御回答をいただいております。こちらは本日の資料としてはお出ししていないのですが、この3割の方の回答についてクロス集計で分析したところ、まず約95%に該当する方がマイナ保険証を使ったことがないとのことでした。そうした中で、例えば特定健診や医療情報などの情報提供についてのメリットについてはあまりそのように感じてらっしゃらない傾向にあるということでした。
また、マイナ保険証として御利用された経験はない一方で、カードリーダーの操作に不安な印象を持たれている傾向にあるということでした。
そのようなクロス集計の結果を踏まえ、まずはマイナンバーカードの保険証利用のメリットについて分かりやすく周知・広報を行っていく必要があるということと、顔認証付カードリーダーの簡単な操作が分かるような広報ツールのさらなる開発・提供といったものが重要ではないかと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 井上参考人、よろしゅうございますか。
○井上参考人 ありがとうございます。
やはり利用者にとってのメリットというのは注視していくことが非常に重要だと思いますので、よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょう。
では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。
マイナ保険証については薬局での利用率の向上に取り組んでおり、スライドの2ページ目、3ページ目にあるように全体的な広がりを持って効果的な結果が出てきていると考えております。薬剤師会としても情報の活用等を含めて今後もさらなる利用促進に働きかけていきたいと思っています。
その上で少し確認なのですが、今もスライドの4ページ目、5ページ目の意識調査の結果が出ていましたが、患者さんにマイナンバーカードの持参を確認している現場感からすると、実際の携行率に関してこれだけ高いようにはあまり思えません。この結果における利用率に関しても、実際に使ったことがあるというのが33%となっていますけれども、スライドの1ページ目の実際の数字からいくとこれは7%となっています。この結果のスライドの5ページ目にWebアンケートで実施と書かれているかと思いますが、一定のITリテラシーのある方が答えられているので結果が少し片寄っているかと思います。その辺を考慮した上でこの結果を扱っていただかないと現場と乖離するかと思いますので、今後の調査等に関して、その辺の部分に関しては地域間格差があるということも踏まえてお願いしておきたいと思います。
それと、スライドの11ページ目にマイナンバーカードを持参されたときの資格確認とレセプトに関する部分のフローがありますが、このスライドの一番上に12月1日までと書かれていますが、これは健康保険証の発行の終了を指している期日かと思います。それまでに発行されている保険証の活用に関してはもう1年間の経過措置を持っていたかと思いますが、現場の感覚として12月2日で現行の健康保険証が使えなくなるという感覚を持たれている方が多いような気がします。12月2日を迎えた段階で現行の健康保険証が使えなくなるのではなかったのかというトラブルが現場で起こらないように、あらかじめ情報の周知等々をお願いしておきたいと思います。
それともう一点、現場として懸念を持っているのが、今後の啓発の中でマイナンバーカードの電子証明書は5年で更新を迎えると思いますが、普段から医療等にかかられていない若い方々の中には更新もせずに置いていた状態でマイナンバーカードだけを持って受療行動をされた場合、顔認証付カードリーダーで認証できず、マイナポータルも使えないという状況が生まれるかと思います。先ほど被保険者資格申立書の説明がありましたけれども、このような現場での煩雑な対応が起こらないように、5年以上経過して顔認証付カードリーダー等で認証ができなくなる、保険証として使えなくなる状況になることは事前に国民への広報・周知を図っておいていただきたいと思います。
安定した制度の定着・普及へは最大限協力していきますので、現場でトラブルになる前に、先を見越して早い段階からの対応をお願いしておきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、横尾委員、お願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
ずっと説明を聞いていろいろ取組をしていただいている成果が徐々に出てきて促進が図られているのだなと改めて思いましたし、特に医師の先生方をはじめお声かけをしていただいている効果も着実に出てきていると感じているところです。
順にページを追って少し意見を申し上げたいと思います。まず5ページですけれども、左上のグラフを見ると、利用したことがない方が18.8%、その他1.5、あわせて20.3%の方があまり利用されていないのかなと読み取れるのですが、その下のマイナ保険証の利用者につきましては73.9%が今後も使いたいと回答されており、また、右上のグラフで見ますと41%が利用についてはポジティブな反応をされていると思いますので、より促進を図るような広報や啓発をしていかないといけないと改めてここで感じたところです。
先ほどから、ほかの委員の方々の意見も拝聴していて感じたのは、例えばメリットが分かりにくいということです。一つの方法としては、高額な医療費がかかる場合、術後などの支払いのときに限度額認定証がありますけれども、これについても実はマイナンバーカードの保険証でやれば非常にスムーズにできるのだということをもっと知っていただくといった具体的なメリットもお知らせしたらいいかなと感じておるところです。
次に6ページですけれども、促進の取組に感謝をしているわけですが、ただ、取組をしていないというところが医療機関と薬局等で17%が15%ぐらいになっているということであまり伸びていないのですね。ということは、同じところで滞りが生じているということなので、これは重点的にお声かけをしていただく、働きかけをしていくのが重要かと思いました。
次に、7ページではインセンティブのことが書かれています。一時金を給付して図るということです。これについてはこういった仕組みで努力をしようということなのですが、参考までに海外の方の意見をたまたま聞いたのでお知らせしておきます。これは複数の方で、最近だけではなくて以前からおっしゃっています。「なぜ日本人は自分たちが便利になる仕組みなのにお金をもらわなくてはやらないのか」という意見です。ここはむしろ、そういったことではなくて、「みんなで負担して、みんなで協力して、みんなで利用率を高めてやるのだから、そういうことを理解してもらえればそんなものは必要ないのではないか」という意見をヨーロッパの方からも、アジアの方からも聞いたことがありますので、参考までに共有したいと思います。
続いて11ページ目ですけれども、図示をしていただいていてとても分かりやすいフォローになっているなと思っています。この場合はこうですよ、最終的にはこうしますよといったことを、より多くの方に知っていただいて、いずれの立場になってもちゃんとケアしてもらって、「医療サービスについては心配がないな」ということをよく知っていただく必要がありますので、こういった図示することを含め、見えやすく分かりやすいものを基に、より啓発や周知を今後図っていただきたいと思います。厚生労働省の広報または政府広報などをはじめとしてやっていただきたいし、場合によっては、番組名を言うといけないのかもしれませんけれども、いろいろな解説番組がありますけれども、そういったところでも取り上げていただいてよりよく分かっていただく必要があると思っています。
これに関連して13ページでございまして、私も市長をやっていますので、自治体としては危機管理上非常に重要なものだと思っています。危機、あるいは有事、そして災害時についての対応として、マイナンバー保険証、マイナンバーカードは極めて重要と思っています。安否確認や健康状態のケアなどを図ることができますので、その有効性について、今、政府も注目されていると思います。よりよくこのことを広く知っていただく努力が極めて大切だと思っています。
例えば、避難所で具合が悪くなって救急隊が来たときに、マイナ保険証ありのケースと、ないケースで調べてみたらいいと思うのですね。実際に調べなくても過去の経験値がありますので、それで数値を出したらいいと思うのです。一つはマイナンバー健康保険証を持っている方が具合が悪くなって倒れた、そこに救急隊が来た場合です。恐らくすぐにマイナ保険証を活用してデータを解析して、過去のことを検索する。投薬の状況、体調の状況、どこに通院していたかということも含めて全部分かって対処が始まります。もうひとつのマイナ保険証のないケースは、そのようなデータ確認ができないときです。この場合、マイナンバーのアクセスもできないのです。この場合どうなるかというと、恐らく患者の血液検査から始まると思うのですけれども、ここで時間がかかると絶命していくことになるのですね。こういったリスクが早く回避できて、より適切な医療にアクセスできるということが明確なのですけれども、この時差がなかなか分かっていないので、可能だったら調べていくか、シミュレーションでこれだけ時間が違うのだと分析する。その短い時間だけでも、「その時間で救急隊の初動が変わってあなたに関する命を守ることが変わりますよ」ということを具体的に数字に語らせたほうがいいのではないかなという印象を持っているところです。こういった救急救命におけるマイナ保険証の有用性、またはここに書いてありますが、迅速化・円滑化ということを含めてよりよくこれをアピールする必要があると思っています。
続いて、飛んで24ページなのですけれども、ここにはPRや広報に関しての集中取組月間等についての計画が書かれています。最近の情報伝達の状況を見ていくと、特に若い世代はそうですし、年配の方も利用している方が多いですけれども、SNSを活用することは意味があると思います。若い人で新聞読んでいる人は少なくなり、極めて購読率が減っていると聞きます。一方ではSNSにアクセスして、そこで受け取ることのできるニュース情報はよく御覧になっているし、ユーチューブでも御覧になっているし、動画も見ている。例えばそういうところにちゃんと情報として提供していくようなアクセスも必要と思っています。
あと、これはアメリカ等で世論調査を踏まえて地域の方に情報をいかに伝えていくかというマーケティング手法を活用した事例として有名な例ですけれども、伝えたい相手の特性を把握して、その特性に合うメッセージをつくってアンケートを取ったり、働きかけをされます。何が違うかというと、同じ経費をかけても数パーセントしかない反応が1~2割反応してきます。これはメッセージの書き方でも変わりますけれども、相手の心に響く、心のひだに感じてもらえるアプローチがあるということも科学的に聞いていますので、そういったことはちょっと面倒くさいかもしれないけれども、本当に伝えていくという意味ではそういった階層を分けるとか、特性を分けたメッセージの出し方ということも一方では考える必要があるのかなと感じています。
いずれにしろ、ポイントとしては、さっき申した救急救命の具体的な行動、あるいは前半にもありますように関心がなかなか高まらない方が2割ぐらいいらっしゃいますけれども、ここに集中的に働きかけるといったことをぜひしていただいて、早くみんなが使って、みんながお互いの健康を認識し、お互いに協力しながら家族みんなそろって元気で、あるいは地域の人もみんな健やかでといったことが分かち合えるような、データに基づくデジタルガバナンス、その中でヘルスリテラシーの向上ということが実現できるようにぜひ進めていただきたいと思っています。特に年配の皆さんがいらっしゃいますので、リテラシーについてはいきなり片仮名ばかりでは難しいでしょうから、分かりやすくするなどの工夫は必要ですけれども、ぜひそういった配慮もされながら努力していただくところからお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、袖井委員、よろしくお願いします。
○袖井委員 12ページのところですけれども、医療機関等の窓口においてマイナ保険証を受け付けず健康保険証の提示を求めることや、健康保険証を受け付けずマイナ保険証の提示を求めることはいずれも適切ではないと書いてありますが、医療機関によってはマイナ保険証を出した人を優先的に取り扱うというところもあると聞いています。それで健康保険証を出した人は順番が遅くなるという差別的な扱いは絶対にしないように注意していただきたいということです。
それからもう一つ、4ページですけれども、全人口の73.7%がマイナンバーカードを取得しているということですけれども、一番のネックは、マイナンバーカードを取得するかどうかというのが任意なのですね。だから、この法律を変えない限り一定数の人は絶対に取らないと思うので、この辺をどうするかですね。誰一人取り残さないためには資格確認書を持たないといけない、その辺をどうするのか。デジタル庁あたりとお話し合いなさるのかもしれませんが、カードを取るのが任意であるということなのどうしても全体に広がらないと私は考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、長島参考人、よろしくお願いします。
○長島参考人 日本医師会の長島でございます。日本医師会では医療保険と医療DX全般を担当しております。
日本医師会の医療DX及びマイナ保険証に対する基本姿勢はこうです。医療DXは国民・患者の皆様に対して安全・安心で質の高い医療提供に資する。もう一つが、医療現場の負担の軽減に資する。したがって、日本医師会としては全面的に協力してまいります。また、医療DXの基盤となるのがマイナ保険証であるということで、マイナ保険証の普及にもこれまでもこれからも全面的に協力してまいりたいと思っています。
ただ一方、注意すべき点もございます。スピード感は極めて重要ですが、スピードを重視するあまりに拙速になってしまうと、様々なトラブルや混乱が現場に起こります。それが結局国民・患者の皆様や医療現場の不信・不安を招く。実はそれが最大のブレーキになる。したがって、スピード感は重要ですが、丁寧に進めていくということが実は最も早道だろうと思っています。
その観点からいくつか意見を申し上げます。資料の1ページ、オンライン資格確認の利用状況の上の真ん中のグラフ、マイナ保険証の利用率です。このグラフを見ますと、昨年4月は6.3%、ところがその後、ずっと下がっていました。これは何かと申しますと、当然ながら保険証の資格の紐付け誤りなどに端を発する国民・患者の不信・不安が最大の影響を及ぼしたと思っております。その後、再発防止や誤り訂正に対して適切でしかるべき対策が行われ、最近はマスコミ報道などでもそのような不安を生じるようなものが大分減ったということは非常によいことかと思いますが、ただ、本当に不安が払拭されたかと申しますと、まだまだではないかと思いますので、今後も様々な対策をしたというだけではなくて、その対策の結果こうなっていますよと具体的に分かりやすく、もうこういうことをしたから新しいトラブルは起こりませんよということをきめ細かく分かりやすく繰り返し繰り返し伝えていくことは極めて重要であると思います。恐らくそれなくして12月2日の保険証の廃止というのはなかなか国民の理解が得られにくいのではないかと思いますので、そこのところは国として今後どのような丁寧な周知・広報を考えていらっしゃるのか、一つ教えていただければと思っております。
もう一つです。このグラフで最近急上昇はしておりますが、これはスケールの最大が8%です。これを100%にしてみますといかがでしょう。月1%。このペースでよろしいのかということも考える必要があるだろう。そのためには、当然不安払拭に加えて様々な働きかけが必要であると思うというところで、このところも非常に工夫が必要かと思っております。
その観点から言いますと、2ページ目のグラフを見ますと、黄色の医科診療所というのがまだなかなか増えていないところがあるというところで、そのハードルになっているものは何なのかというところは丁寧な検証が必要であるかと思います。
また、薬局のところが急上昇しているところは非常に好ましいことですけれども、そこで急ぐあまりに何かトラブル等が起こらないかということは後ほどの8~9ページのところにありますけれども、ここも丁寧な対策が必要ではないかと思っております。
続いて、3ページです。上の欄、病院を見ますと、病院は20%以上、40%、60%と非常にパーセントが高いところが大きく伸びているというところで、病院は利用件数が非常に多いので、ここが全体の利用率を引っ張り上げているということが考えられます。一方、その右側の医科診療所を見ますと、高い割合のところはほとんど増えていない。非常に低い1%、2%というのが減って、3%、4%に移動しただけというところで、ここの診療所をどうやって増やしていくかというのは極めて重要なテーマだろうと思っています。
4ページ目、ここは先ほど御指摘がありましたが、Webアンケートということでかなり強いバイアスがかかっているということは考慮して考えるべきではありますが、やはりマイナンバーカードを持ってきていただかないことには医療機関としてはどうしようもない。そのためにはまずは携行していただくことですが、これはそもそも最初のときに金庫に大切にしまっておきましょうというすり込みがかなり強く行われているので、それがなぜ変わったのか、なぜ安全なのかということをもう一回分かりやすく説明していただかないと、ここの考えを変えていただけないと思います。若い人はいいのですけれども、比較的高齢の方の考えを変えるためにはもう一度なぜ安全になったのですか、最初に言ったこととなぜ変わったのですかという説明がないと難しいのではないかと思っているところです。
続きまして、その次の5ページですけれども、マイナ保険証は一度利用していただけるとメリットや必要性を御理解いただけるということですので、まずはとにかく医療機関に持ってきていただく。最初のところは医療機関からなかなかアプローチが難しいところですので、この辺りは保険者の方々を含めて国としてしっかり対応をお願いできればと思っているところです。
それから6ページの院内掲示などですけれども、これは今回、令和6年度の診療報酬改定で6月から施行されましたが、その中の医療DX推進体制整備加算の施設要件の中にこのような院内掲示をすることとされましたので、6月以降はこの割合がかなり増えるのではないか。それがどのような影響を与えるのかということもしっかり把握していただければと思います。
続きまして、7ページです。ここにインセンティブと書かれていらっしゃいますが、多くの医療機関からは、この支援を目的に利用率を上げると思われることは大変心外であると。そのために私たちはやっているのではないと。やったことの結果が評価されているということであればいいけれども、このためにやっているのだと思われることは極めて心外であると、皆さんある意味怒っていらっしゃいます。この辺りの表現や影響というのは十分お考えになっていただきたい。お金もうけのためにやっていると思われることは非常にセンシティブなことでありますので、御理解いただければと思います。
続きまして、マイナ保険証に関する不安の払拭としてもう一つ重要なことが、実際にマイナンバーカードを持っていったけれども使えないという状況をいかに減らすかです。1つ目が9ページのタイムラグをいかに減らすかです。ここのところはこのような形でぜひ続けていただきたいと思います。
もう一つが、有効な保険証が発行されているという前提の中でマイナンバーカードを持っていけば必ず保険が使えますという状況であるということを明確にしていただくことが患者さんにとっても医療機関にとっても安心につながるということです。10ページに書いてあるような順番でやれば、マイナンバーカードさえ持ってきていただければ必ず保険が使えるという流れになっていますので、ここのところはもう一度分かりやすく医療現場と患者の皆様に周知していただきたいと思います。こういう流れでやれば、マイナンバーカードを持ってきて、仮にその場で資格確認が何らかの理由でできなくても、きちんと保険が使えて10割負担ということはないのですよということで、この辺りが10割負担になってしまうという報道もかなりされましたので、恐らくそのようなことがまだ続いているという誤解もかなりあるかと思います。このような仕組みがあることでそのような不安は払拭されているということを分かりやすく強調していただければありがたいと思います。
それから12ページですけれども、原則は紙の保険証かマイナ保険証のいずれかで資格確認をすればいいのだというところをもう一度明確なメッセージを出していただければと思います。中には不安だからマイナ保険証で確認しているけれども、紙の保険証も出してもらっているというところもあるとお聞きしますが、これは二度手間で大変な負担になります。マイナ保険証で確認すれば、仮にそこで何かが後々あったとしても、それは医療機関には一切不利益にならないということを明確にしていただかないと、もう一度紙で確認するということがあり得ますので、ここのところを明確にしていただくということ。
それから、マイナ保険証と紙の保険証でレーンを分けるということは効率的に行うためにもあり得る。結果として例えばマイナンバーカードのレーンに並んだほうが早くなるということはあり得ますが、そこのところがもしかすると誤解を生む可能性もあるので、そういうことはあり得るのだということはきちんと御説明いただいたほうがいいかと思います。
最後です。13ページですけれども、マイナ保険証の一番明確なメリットが命と健康に直結するところで役に立つということですので、ここの救急現場で役に立つということは非常に重要かと思います。また、今年1月の能登半島地震におきましても、避難されてきた方の薬剤情報をオンライン資格確認の仕組みを使って見ることで非常に役に立ったということは被災地の先生からよくお聞きしているところです。また、災害時でも情報を閲覧できることは非常に役に立つということで、このような非常に分かりやすいメリットというのを整理して、ぜひ周知していただきたいと思います。
さらに、医療機関側でも救急閲覧ということで命に関わるような情報をより迅速に正確に閲覧できるということも始まりますので、このような非常に分かりやすい情報、あるいは電子処方箋におけるリアルタイムの併用禁忌、あるいは重複投薬のチェックということも分かりやすいメリットだと思いますので、そのようなことを丁寧に進めていただくことが重要かと思います。
もう一度申しますけれども、スピード感は重要ですけれども、拙速に進めるのではなくて丁寧に、そして分かりやすく、何度でも繰り返し周知していただく。その結果として国民・患者と医療現場の不安を払拭することが最も重要かと思っていますので、よろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
広報全般についてどうするのというクエスチョンがございましたけれども、いかがでございましょうか。
どうぞ。
○中園室長 データ企画室長です。御質問、御指摘ありがとうございます。
前半部分で御質問いただいておりました今後の広報の戦略、方向について簡単に御答弁させていただきます。まさに今、集中取組月間として5月、6月、7月にかけて、政府広報や健保連に作成いただいたCM動画の展開、様々な広報媒体での展開等を行っているところです。
他方、この集中取組月間が終わった後においても、引き続き政府を挙げた集中的な広報展開はなお一層実施していく必要があると考えております。集中取組月間に作られた様々な広報コンテンツを医療現場や国民の皆様にお届けしていくような展開を引き続き実施していきたいと考えています。
その点で、御示唆がありました、特にカードの携行率を上げていくという視座はとても重要なものだと考えております。前回の医療保険部会においても御指摘いただきましたが、例えば救急現場における利活用の取組を広報展開しお示しすることは、普段からカードを持ち歩いていただくことがその方の安全・安心につながるといったメッセージの発信にも資すると思います。
本日いただいた広報に関する御指摘、あるいは救急現場における取組など今後の展開のイメージが患者の皆様や医療現場により明確に届けることができるよう、なお一層の広報展開を進めていきたいと考えております。
○田辺部会長 長島参考人、よろしゅうございますか。
○長島参考人 はい。ありがとうございました。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょう。
では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。各委員の皆様の御意見と多少重複しますが、申し上げます。
これまでもこの会議で申し上げておりますとおり、マイナンバーカードは非常に重要な個人証明書であり、マイナ保険証は命のカードだと私は常に申しています。金庫に置いたままではいけないということです。先ほど、救急対応についてのご発言がありましたが、私も実際目の前で面談している方が意識を失われて、救急車の対応をしなくてはいけないことがありました。その際に、個人情報が分からないために大変難儀したという経験を持っております。
そのときに議論しましたが、そのような方に限ってマイナンバーカードの仕組みや安全性というのをあまり理解されず、単なる印象で不信感を持っているということもあります。例えば、カードを持って使うと情報が政府に抜かれてしまうのではないか、と心配されるようです。しかし、もともとマイナンバーというのは、カードを持つかどうかに関係なく既に国民に割り当てられており、逆にカードを持つことによって、行政が自分自身の個人情報をどのように使っているのか、自らチェックするということが国民の責任ではないかというぐらいに思っております。このようなことを講演等で申し上げますと、経営者の皆さんには理解を得られるという経験があります。ぜひ政府を挙げて国民に丁寧に説明して、正しく理解していただくことが必要ではないかと思います。
それから、マイナ保険証の利用促進のため、医療機関等への支援策を拡充するという御説明がございました。確かに先ほどの御意見のとおり、誤解がされているのではないかと思います。以前申し上げましたが、ネットの情報は、どれが正しい情報かの判別が難しく、報道機関の考査を経た情報が信じられる、ということを分かっていただくことが必要かと思います。
もう一点ですが、来年度にはスマートフォンにマイナ保険証の機能が搭載可能になり、iPhoneも含めて、別途、カードを持ち歩かなくてもよくなることで格段に利便性が向上すると伺っております。問題点はあると思いますが、実施しないよりもメリットは遥かにあると考えられますので、早期の着実な実装を期待しております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。
日本歯科医師会としても、会員等への周知につきましては様々な取組を行っていたところであり、今回、令和5年12月と比較して全体的に底上げが進んでいる状況が示され、改善している部分も見られました。
しかし、4ページに示されているように、4月末時点のマイナンバーカードの保有率及びマイナ保険証の登録状況は、1月末時点と比較するといずれも僅か0.6ポイントしか増えておらず、いまだに国民の方々のおよそ4人に1人は保有していない状況であることから、この部分の改善策が喫緊の課題であると考えております。より一層国民に対して分かりやすく丁寧にマイナ保険証の利点を周知し、国民の意識改革につながるよう、しっかりと取り組んでいただければと思います。特に在宅で療養を行っている方々、施設に入所されている方々に対するマイナンバーカードの取得の支援について、関係各所と連携していただき、もう一段の取組の推進をお願いいたします。
今回、新たに示されました、利用が進んできた施設に対する支援の拡充やカードリーダーの増設支援の延長についてはセンシティブな状況でございますけれども、日本歯科医師会としましては会員への周知を行っていきたいと思っております。
また一方で、岸田首相により5月末にiPhoneへのマイナンバーカード機能の搭載についての言及がございました。スマートフォンへの搭載が進むことによって便利になることはマイナ保険証の利用促進にとっても有用ですし、国民としてもカードとスマホの両方を常時持つより便利になると考えますが、医療機関は今後どのような対応が必要になるのかなど、どこまで議論が進んでいるのか、具体的な内容があまり見えてきません。分かっている情報がありましたら、早めにお知らせいただきたく思います。
また、オンライン資格確認の仕組みについては、保険者間の振替機能やオンライン資格確認を行えなかった場合の不詳請求において保険者が特定できているなど、有効に機能しているところはあり、医療機関としては助かっていると感じています。
しかし、9ページの丸の1つ目にあるように、資格情報の変更などがあった場合の保険者におけるデータ登録に時間を要していることも少なからずあります。保険者におけるデータ登録の迅速化の取組を進めていただくとともに、受診時のマイナ保険証による資格確認の円滑化に向けた対応もしっかりと行っていただくよう、ぜひともお願いを申し上げます。
最後になりますけれども、参考資料の16ページに都道府県別のマイナ保険証の利用実績が示されています。上位の富山県の12.52%から下位の沖縄県の3.42%まで地域差が生じており、今後はこの点も加味した利用促進策が必要ではないかと思います。
また、先ほど渡邊委員からもありましたが、マイナンバーカードの5年の有効期限の問題が今後、また新たに出てくると思われますので、より一層の国民への周知を御検討いただければと思います。
私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。私からは2点申し上げたいと思います。
今の大杉委員からの御指摘にも絡むところでございますが、9ページの受診時のマイナ保険証による資格確認の円滑化に向けた対応ということに関連いたします。協会けんぽとしましても、今、この対応の徹底に取り組んでいるところでございますが、円滑な事務処理のためには、まず大原則であります省令上の義務となっている届出書へのマイナンバーの記載が徹底されることが何より重要なファクターであると認識しております。この部分さえきちんと100%に向けていくことによってスピードアップということは自動的に達成できると考えておりますので、これについての関係者の御尽力を我々も期待したいなと思っております。
といいますのも、現在、マイナンバー未記載の届出書でありましても、誤情報が記載されていれば受付が行われており、その場合、J-LIS照会などで時間を要して保険者によるデータ登録が遅くなり、マイナンバーがそもそも取得できないということが発生しているわけでございます。今後はマイナンバーによる届出を前提とするよう、さらに事務フローの見直し等を御検討いただければ幸いであります。
もう一点は前回の会議でも申し上げましたけれども、協会としましても今後のマイナ保険証の一層の普及に向けましての周知・啓発に取り組んでいるところでございますが、本年12月から本格的にマイナンバーカードと保険証の一体化ということに向けた資格確認書等の新たな仕組みがスタートいたします。これに向けての準備に今、精力を傾けているところでございますので、ぜひこの制度設計の詳細等、さらなるスピードアップに向けた御当局の御尽力もお願いしたいなと思っているところでございます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
スライドの5ページ目についてです。先ほど井上参考人から、マイナ保険証の利用意向について、3割の方が消極的と回答しているのは、どのような理由があるのかと御質問がありました。私も同じような問題意識を持っておりまして、その点について先ほどクロス集計をしたということで御紹介がありましたが、もし今後もこのようなアンケートを取られるのであれば、クロス集計だけではなく、もう少し理由を聞くということも検討いただいたほうがよいのではないかと思いました。
また、先ほど来、分かりやすい広報が重要だということで、様々工夫されるというお答えがございましたが、「ああ、そうなんだ」と思えることは、個別具体的といいますか、エピソードというのはかなり響くものがありまして、先ほど藤井委員がおっしゃったようなエピソードは大変分かりやすく、メリットに感じると思って聞いておりました。あまり抽象度を上げてしまうと意識の上でもスルーされてしまうこともありますが、いろいろなエピソードが並んでいれば、その中の1~2つは響くものがあるかと思いますので、広報の際にも工夫をいただければと思っております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、兼子委員、よろしくお願いします。
○兼子委員 ありがとうございます。
私もマイナカード、あるいはコンピューターでいろいろな情報が処理される、あるいは紐付けなど、なかなかよく理解できていない一人なのですけれども、高齢者が置き去りにならないような今後の進め方をお願いしたいと思うのですね。例えばマイナカードについて先ほどもお話がありましたけれども、当初は義務ではなかったわけですけれども、保険証を利用するということによって実質義務化された形になったかと思います。また、後を追いかけるように最近、免許証を持っている人はマイナカードを利用するということで言われているわけですけれども、そういった形で当初言われたことが少しずつ変わっていく。
あるいは普及の問題でも、かなりマイナカードを持っている方は増えたわけですけれども、今日、いろいろ議論されたように、丁寧に分かっていくという以前にポイントの付与ということでかなり取られた方も多いようです。高齢者の中にはそのポイントについても、もらったのはいいのだけれどもどう使えるのか、そのまま使えないということでいろいろと周りの人とのつながりがある人がいろいろな形で教えられてそれを使ったということもあるわけですけれども、私が申し上げたいのは、今日、議論があったようにこのマイナカードがどう本当に生かされるのかを高齢者も含めてよく分かる形で丁寧に、ある意味では時間が少しかかるのだと思いますけれども、そのような進め方をしていただかないと、例えばスマホの問題でも高齢者はそんなにスマホを十分使っていない人が結構多いわけですし、まだスマホではなくて前のガラケーという言われ方をしているものを使っている方も多いわけですので、高齢者がきちんと理解してこれが利用できるというテンポもよく考えていただいて進めていただく必要があるのではないかと思っております。今日の出された御意見を伺いながらそんなことを痛切に思ったわけです。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、池端委員、よろしくお願いします。
○池端委員 ありがとうございます。ちょっと遅参して申し訳ありませんでした。
冒頭の御説明を聞いていないので質問が二重になるかもしれませんけれども、今、皆さんの御意見を聞いて本当にそれぞれごもっともだと思います。特に長島委員からは網羅的に医師会として取り組むことを非常に全般的にお話しいただいたので、私も納得したところです。
ひょっとしたら御案内があったかもしれませんけれども、なぜかと言ってしまったら語弊があるかもしれませんけれども、診療所を中心にマイナ保険証の利用率が非常に高いということで、福井県医師会として、先日わざわざ福井にまでいらっしゃって副大臣から表彰をお受けしたのですけれども、それを契機に広報するということをしなくてはいけないということでしっかりさせていただいています。私自身も窓口で声をかけていただく先方にいろいろ私も聞き取り調査をさせていただいたのですけれども、声をかけると持っている方がいらっしゃって、一旦利用したら必ず次に利用するということを本当に実感して、いろいろな先生方にお聞きしてもそういう形なので、隣が何しているかなと思うと自分も今度は持っていこうかなということが窓口で話題になりつつあるということで、ここから一気に増えることを非常に期待したいと思います。
それから、横井委員がおっしゃったと思うのですけれども、メリットの中で非常に私が大きく感じるのは、高額医療費が本当に便利に利用できて、2~3か月後ではなくてその場で負担がぐっと減ったお支払いで済むということがあるので、これは非常に有用だということを強調していただくとよりいいのかなと思いました。
それから1点確認ですけれども、お答えがあったかもしれませんけれども、5月までにスマホのほうに搭載するということですけれども、スマホに搭載したものは今の顔認証式カードリーダーの端末を特に変えなくてもそのまま使えるような立てつけでのスマホ搭載ということで理解してよろしいかを質問させていただきたいと思います。
以上、よろしくお願いします。
○田辺部会長 この点、いかがでございましょう。
○中園室長 御質問ありがとうございます。データ企画室長です。
5月末に総理、デジタル大臣から、現時点では、Androidのスマートフォンには電子証明書が搭載されておりますが、iPhoneにも電子証明書の搭載がなされる予定との発表がございました。来年春の実装を目指しているとのことです。私ども、先日の医療保険部会においても御質問いただいたところですが、スマートフォンの電子証明書の機能を医療現場に簡便かつ円滑な形で実装していくのかといった観点での検討が重要であると考えております。今は顔認証付カードリーダーをお使いいただきまして、約95%以上の施設においてカードリーダーの利用やオンライン資格確認の運用が進んでおります。こうした現場の実態をしっかりと踏まえた上で、医療現場において、なるべく簡便な形でスマートフォンの電子証明書を読み取り、それを顔認証付カードリーダーの操作と組み合わせるような形で実施できる方法を、現在、検討しているところです。開発の検討内容などが一定程度まとまってまいりましたら、部会においてそのイメージや方向性についてお示ししていきたいと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 池端委員、よろしゅうございますか。
どうぞ。
○池端委員 ということは、現時点ではまだ今の顔認証付端末で読み取れることを想定しているとは言い切れない、何らかのもう一段の仕掛けが必要になる可能性もあるという理解でよろしいでしょうか。
○中園室長 データ企画室長です。
現在の顔認証付カードリーダーにおいては、メーカーによっては筐体の造りからスマートフォンのJPKI、電子証明書をそのまま読み取るのがなかなか難しいといった形のものもあろうかと思います。そういったものについては、例えば市販の汎用カードリーダーなどとの組合せによって、スマートフォンの電子証明書の読み取りのところを、例えばかざしてピッという形で簡便に読み取ることができないか、そのような組合せが実装に当たって簡便な形として考えられるのではないかと考えているところです。
そのような実現性についてもしっかり検討し、お示ししていきたいと考えております。
○池端委員 ありがとうございました。
補助金まで頂いて各医療機関に端末を置いたのですけれども、それをまたもう一回差し替えなければいけない、あるいは付属の設備をつけなくてはいけないというと、これがまた一つのハードルになってしまうので、技術的な問題もあると思いますけれども、できるだけ簡便な方法でできることで、それから病院などは1~3台ではなくて各診療科にも置かなくてはいけないということがあるので、ここは自己負担になってしまうので、それも含めてできるだけ簡便な形で搭載できるようなことを御検討いただけるといいかと思います。
以上です。ありがとうございました。
○田辺部会長 横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 関連でございますけれども、実はエストニアというのはデジタルガバナンスでトップリーダーで走っている国なのですね。もちろん日本と比べて人口が少ないなど、いろいろな違いがあるのですけれども。そして、これはコロナに入る前ですけれども、エストニアから来た講師の方といろいろ話をしていたら、「マイナンバーカードがいよいよ日本でもスタートしますよ」という話をしていた時のことですけれども、当時ですら既にエストニアではカードも交付されています。当時も始まっていたのは、実はスマホへの搭載なのですね。ですから、ほかの国では既にこういった分野の取組みをやっているところがありますので、国として協力を求めるとか、教えてもらうことを求めるなどをぜひしたらいいと思うのです。人類の経験値に学びながらやっていかないとロスばかり出ますし、それは全部コストになりますし、そして先にされたところが工夫されたこと、あるいは苦労されたことも分かりますので、ぜひ情報収集されたほうがいいと思います。遠くに行くのが大変だというなら都内にエストニア大使館もありますし、そもそもサイバー上で、あるいはネット上でやればいろいろなことができるので、ぜひそういった情報収集をしていただきたいと心からお願いしたいと思います。
本当に日本は遅れているので、早く頑張らないといけないと思います。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見がなければ、本議題につきましてはこれまでとしたいと存じます。
次に、事務局から別途報告事項があるということですので、まずは保険課長から報告をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○山下課長 保険課長でございます。
資料2をお開きいただきたいと思います。1枚おめくりいただきまして、1枚目のスライド、5月30日に「出産なび」ということでこの医療保険部会でも御議論いただいて、各分娩施設でのサービスや費用といったことがどうなっているのか、妊産婦の方々がそれぞれ検索できるように、また、各分娩施設の状況が分かるような一覧性のあるサイトを作ってほしいという御指摘を踏まえまして、5月30日にこのような形で公開されているということになります。
あわせて、2枚目のスライドなのですけれども、これも昨年9月7日の医療保険部会で、保険者と産科医療、分娩をやっている方々との意見交換ができる検討会を設けることについてご指摘をいただいたことを受けまして、妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会を設置するということでございます。以前の医療保険部会では検討会を設置しますということをお伝えしておりましたけれども、このような形の構成員の御参画を得て、右下にございますが、来週6月26日に第1回を開催するということでございます。
報告は以上になります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、報告事項ではございますけれども、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。
では、横尾委員、お願いいたします。
○横尾委員 これはこれで大切なことだと思うのですけれども、ぜひ厚生労働省に力を尽くしていただきたいと思うのは、地方では産科医院が減ってきています。つい数日前ですけれども、産科の専門医の方と偶然お会いしたのですけれども、そのことをぜひこういった場で皆さんの話題としていただきたいし、テーマとして政府に取り組んでいただきたいという強い御希望を直接聞きましたので、お伝えさせていただきたいと思います。この産科医師の確保のことをしていかないと、人口減少問題のことや地域での医療の確保についてもとても大切なので、ぜひ将来のことも含め検討や対策をお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 本件、出産育児一時金や出産手当金など、健康保険における出産に関する給付を担う保険者としましてこの検討会の議論に大変注目しております。分娩が地域でどのように行われているのか、検討会の議論を通して加入者にも広く伝えていただけるということを祈念しております。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見がなければ、続いて医療介護連携政策課長から報告をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○竹内課長 医療介護連携政策課長でございます。資料3、NDBデータ提供体制の見直しについて御説明いたします。
本議題については、3月に御報告をいたしましたNDBデータの原則7日での提供に向けた検討内容につきまして、当部会の下にある専門委員会でさらに検討が進みましたので、改めて御報告するものでございます。
まず、資料1ページを御覧いただきたいと思います。3月の段階では、下の「HIC」と書かれた緑色の枠囲いの部分にございますトライアルデータセット、通年パネルデータセットといったサンプリングされたプリセットのデータセットを迅速に提供していく方向性をお示しいたしました。上の1点目のポツを御覧いただきたいと思いますけれども、その後、様々な研究者の先生方の御意見などを伺った結果、希少疾患や薬剤安全性の網羅的調査等のニーズに応えるために、サンプリングを行わない全数を含むデータも必要だと分かってまいりましたので、NDBの全量データも迅速に提供できるようにしたいと考えております。この全量データを「NDB-β」と便宜上名づけております。
2つ目のポツにございますように、NDB-βにつきましては、個人の特定につながり得るような一部の項目をあらかじめマスクすることによりまして審査を簡易にできるようにし、迅速なデータ提供を実現したいと考えております。
資料の2ページを御覧いただきたいと思います。迅速に提供可能なデータごとの特徴について表にまとめております。一番左の列がNDB-βについてお示ししたものでございます。レセプト全件を含みますので、約1億2000万人の性別、年齢階層、傷病名、受診や検査の有無、医療費等が俯瞰的に調査できるようになっております。一方で、迅速な審査を可能とするため、年月より細かい日の情報、地域の情報、医療機関を識別し得る情報をマスクいたします。このデータによりまして希少疾患の記述疫学研究、医療費の全国的推移の調査、慢性疾患を長期追跡する縦断的分析、薬剤等の安全性評価等といった研究のニーズを満たすことができるものと考えております。
3ページ以降は参考資料でございます。
資料3の説明は以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
これも報告事項ではございますけれども、御意見、御質問等がございましたら。
では、長島参考人、よろしくお願いします。
○長島参考人 データ利用者側にとっては7日で利用できるというのは非常に望ましいことであります。ただ、迅速性や利便性は極めて重要でありますが、もっと重要なのが安全性です。このビッグデータ提供における安全性というのは個人識別のリスクをいかに下げるかということです。今回のNDB-βに関しては個人識別につながるような日、地域等の全ての情報がマスクされるので、恐らくこれ単独ではリスクは極めて小さいと思いますが、もしほかのデータと組み合わせたときのリスクがどうなるかというのはやってみないと分からないというところもありますので、ここは審査の段階で丁寧に検証していただくことが重要かと思っています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
私も今の御発言と同様の懸念を持っておりまして、NDB-βについて個人の特定につながる部分はマスク化しているということですが、ほかの情報と組み合わせることで個人が識別できてしまうのではないかということもありますので、そういったことはないように十分配慮いただきたいと思っております。
以上です。
○田辺部会長 では、横尾委員、よろしくお願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。
海外の事例なのですけれども、こういったNDBのようなもの、つまりデータを蓄積して、さらにそれらデータの経年変化を捉えて、AIであるかないかはいろいろな方法があると思うのですけれども、そこにAIなどの技術も関連させていって、「実はあなたの今回受けた人間ドックや健康検査のデータから予測していくと、あなたは5年後、あるいは10年後にはこういった病気になる可能性がありますよ」ということを分析して、それを御本人に通知をして健康増進の啓発をするというところにつなげている国があります。そういったことも技術的に十分可能なことなので、ぜひNDBの蓄積とその分析のみならず、その先に国民の健康を増進するようなことも戦略に入れてぜひやっていただきたいと思うのです。その辺の可能性はいかがでしょうか。まだ早過ぎますか。
○田辺部会長 なかなか難しいクエスチョンだと思いますが、何かコメントがあれば、お願いいたします。
○横尾委員 お時間がかかりそうなので、後で聞きますからいいです。
○長島参考人 よろしいですか。
○田辺部会長 では、長島参考人。
○長島参考人 NDBそのものは完全に個人が特定できないように匿名化されていますので直接は使えませんけれども、NDBのデータを蓄積してそれを個人のデータに還元するということは十分可能ですので、ここのところをしっかり蓄積して、それを個別のオーダーメイドのところで役立てるということは十分可能ではないかと思っています。
○横尾委員 とおっしゃっていますので、可能性ありということで、ぜひ活路を見いだすためにも頑張っていただきたい。そういう効果があると、このNDBに関する効果性、あるいはそのことをマイナンバーカード、マイナンバー保険証でアクセスして自分のことをよりよく知れるということになっていくと本当に大きなメリットなので、有効にいろいろなことが回っていくだろうと思っています。よろしくお願いします。
○田辺部会長 では、井上参考人、よろしくお願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。
このNDB-βは今後の研究開発、あるいは政策の立案の上でもEBPMの上でも非常に重要な項目だと思います。よく日本は非常にデータリッチなのだけれどもインフォメーションプアだという指摘もございますので、当然のことながら個人情報等の取扱い、安全性の配慮は十分にした上で有効に活用するように、データ基盤の構築を進めていただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、中村委員、よろしくお願いします。
○中村委員 今日は講義のため、遅れて参加して大変申し訳ございません。
想定されるユースケースの中にあまり政策効果の検証というのが入っていないように思われまして、NDB-βにつきましてもトライアルデータにつきましても通年パネルデータセットについてもあまり明確に政策効果の検証というのが入っていないのが少し気になりました。
それから、こちらは通年パネルデータセットには地域に関わる情報が入っているということでしたけれども、それ以外はNDB-βのデータにも地域情報は含まれないということだったのですけれども、日本の場合、政策効果のある様々な施策が都道府県であったり市区町村レベルで行われているようなこともございまして、そういう効果をきちんと検証するためには地域情報が必要なので、もちろん個人が特定されないということは非常に重要ではございますけれども、都道府県レベルであったり、それから政令指定都市のような大都市についてはもう少し地域に関わる情報があったほうがその地域の取組の効果であったりその地域特有の問題であったりというものが明らかになって、よりよい政策につながるのではないかと思いました。
それから、比較的高価とか、比較的安価ということについても目安のようなものを示していただけるとより分かりやすいのではないかなと思いました。どうぞよろしくお願いいたします。
今、もしどれぐらいの費用かということにつきまして簡単に御説明いただければ、お伺いしたいのですが、よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 利用料の目安というか、どのくらいになりそうだというのは手元に数字等はございますか。
○竹内課長 NDB-βについてはデータ量が極めて大きいということでございますので、スムーズに分析を行うためにはトライアルデータセット、あるいは通年パネルデータセットの利用環境と比較して大容量の環境が必要になるということで、その構築、あるいは提供にかかる利用料については一定程度高額になる見込みだと思っております。
ただ、実際の手数料につきましては運用のコストを鑑みながら利活用の障壁とならないように、今後、検討してまいりたいと考えております。
○田辺部会長 中村委員、よろしゅうございますか。明確な数字はまだという感じです。
○中村委員 ありがとうございます。承知しました。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
ほかに御意見等がなければ、次に進んでまいりたいと思います。調査課長から報告をお願いいたします。
○鈴木課長 調査課長でございます。
資料4の医療費における保険給付率と患者負担率のバランス等の定期的な見える化につきまして御説明をさせていただきます。こちらの事項につきまして、そもそも経緯としましてどういった経緯でこのようなものを始めたのかというのが1ページ目でございます。従来の医療保険制度におきましては、医療費の動向を定期的に公表していましたり、また、医療保険部会等で制度改正等の財政影響等をお示ししたりといった形でその都度その都度数値を公表して御説明をしておるわけでございますけれども、もっと広く国民の皆様に対して医療保険の財政、特に皆様が負担いただいている保険料、そして公費、そして患者負担といったもののバランスを分かりやすくお示しする必要があるといったことで、こういったものをお示しすることで国民の皆様に医療保険制度をより深く理解していただき、そして安心して利用していただくということで、令和2年度よりこの医療保険部会の場で御説明をさせていただいた上で、毎年厚生労働省のホームページ上で公表させていただいているところでございます。
2ページでございます。こちらは最初の令和2年度の際に医療保険部会の中で整理いただきました対応方針でございまして、ここにあります①~④が具体的なお示しする内容ですけれども、ここにお示ししている内容について年1回、この医療保険部会において御報告をしまして、ホームページ上で公開をします。資料については分かりやすさを重視したものとするという形で御整理いただいたものでございます。
次のページ以降が今回御用意させていただいた見える化の資料となっております。まず、4ページでございます。こちらは医療費全体の財源構成という形になっております。こちらは括弧書きで令和3年度となっておりますけれども、今回の資料は全て令和3年度の数字という形になっております。こちらの図の一番上、医療費全体ですけれども、全体が42.1兆円。こちらは医療保険全体ということですけれども、左のほうに書いておりますけれども、中で自己負担が14.5%。医療費から支払われる額の割合は「実効給付率」と私どもは申し上げておりますけれども、85.5%という形になっております。この85.5%のうち公費が32.5%、保険料が53.0%という形になっております。この自己負担14.5%ですけれども、下に後期高齢者と後期高齢者以外という形で分けさせていただいていますけれども、例えば後期高齢者であれば自己負担額の割合は8%、後期高齢者以外であれば19%という形になっておりまして、これはいわゆる定率負担の1割や3割といったものよりも低くなっておりますけれども、それが高額療養費制度等の影響という形になっております。
続きまして、5ページでございます。こちらは制度別に財源の構造を見たものとなっております。矢印がいろいろとついておりますけれども、医療保険制度でありますと、制度別に年齢構成の違い等がございまして、各制度間で支援金や前期調整といった形で調整が行われている。こういったものを示しているものがこの図という形になっております。去年までは4制度でお示ししておりましたけれども、今年からは共済も加えまして5制度の図という形になってございます。
続きまして、6ページでございます。先ほど実効給付率が全体で85%程度と申し上げましたけれども、それを年次推移で見たものが6ページの図という形になっております。緑色のラインが医療保険全体という形になっております。実行給付率はいろいろと上下しておるわけですけれども、基本的には高齢化等の進展によりまして上昇傾向という形になってございます。令和3年度に若干下がっておりますけれども、令和3年度はコロナ感染症の影響が若干ございまして、そういった影響も受けて令和3年度は若干下がっているという形になってございます。
7ページでございます。今、御説明しました実効給付率について、これを保険料と公費に分けましてどういう影響があるかといったものでございます。こちらも制度改正であったり、例えば被用者化が進んで国保の方が減少していくといったいろいろな要因で上がったり下がったりというのもございますけれども、令和3年度の一番右を見ていただきますと、保険料の部分がプラス0.5%で、公費の部分がマイナス0.5%ということで、若干保険料の割合が増えておりますけれども、こちらは先ほど申し上げたコロナの影響で令和3年度に少し若い方の医療費が増えたという傾向がございます。若い方は相対的に公費の入る割合が少ないですので、若い方の医療費が増えると少し公費の割合が減って保険料の割合が増えるということで、この辺りはコロナによる特殊要因があるとお考えいただければと思います。
続きまして、8ページでございます。こちらは少し目線が変わりまして、年齢別で医療費がどのように違うかというものでございます。上の青い部分が年齢別の医療費、下に出ている赤の斜線の部分が自己負担、そして緑の部分が保険料という形になっております。上のほうを見ていただくと当然年齢が上になっていくごとに一人当たりの医療費が高くなるという形でございます。
続きまして、9ページでございます。こちらは生涯医療費という概念を説明したものになっております。生涯医療費というのは平均余命のようなものとお考えいただければと思うのですけれども、0歳の方が平均的に生涯でどの程度医療費が必要になるかという金額を表したものとなっております。
10ページに行っていただきまして、これが実際の生涯医療費の数値を表したものという形になります。直近では生涯医療費は2698万円となっております。約2700万円でございまして、そのうち約85%に当たる2300万円が医療保険から賄われるという形になっております。
続きまして、11ページでございますけれども、生涯医療費は0歳の方の平均的な生涯の医療費ですけれども、それを特定の年齢でスタートしたときに見たときにどうなるかといったものがこちらの資料になってございます。こちらは0歳から100歳までありますけれども、例えば50歳の方であれば50歳のところの棒グラフを見ていただいて、2057万円といったところが50歳の方の今後平均的にかかる医療費という形になっております。
以上、こちらの資料につきまして、去年同様厚生労働省のホームページに掲載させていただければと考えております。
御説明は以上でございます。
○田辺部会長 説明ありがとうございました。
これも報告事項ではございますけれども、御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。
では、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。協会けんぽの立場で一言だけコメントさせていただきたいと思います。
少子高齢化が急速に進行しておりますので、医療保険財源が直面している厳しい現状について国民に分かりやすい形で公表していくということは大変重要だと考えております。特に自己負担につきまして、一般に3割負担ということで理解されておりますけれども、この資料にありますように高額医療費制度等によりまして実際には15%にとどまっています。国民皆保険制度、また、日本の医療制度の非常にすばらしい面についてもっと広く周知していただきたいと考えております。私どももそういった活動はぜひ取り組んでいきたいと思っておりますが、今回のホームページでの公表にとどまらず、機会を捉えて広く周知・啓発を図っていただきたいと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
池端委員、よろしくお願いします。
○池端委員 今、お見せいただいた令和3年度の生涯医療費ですが、毎年この資料を見せていただいているかと思うのですけれども、過去のものが今ここにないもので、経年的にここ数年どういう傾向に変わってきたというのが何かありましたら、参考までに教えていただきたいです。
○田辺部会長 いかがでございましょう。
○鈴木課長 調査課長でございます。
生涯医療費は基本的にはその年の年齢階級別の一人当たりの医療費と、あとは平均寿命、死亡率を基に計算させていただいております。死亡率はだんだん下がっていって、寿命が長くなっているわけですけれども、医療費は毎年少しずつ上がっていくという形になっておりますので、基本的には生涯医療費も毎年少しずつ上がっていくという形の傾向になっております。令和3年度も令和2年度の生涯医療費と比べると若干上がっているという形になっております。
○池端委員 ありがとうございました。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
ほかはいかがでございましょう。
ほかに御意見等がなければ、続きまして、こども家庭庁長官官房参事官から報告をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○田中参事官 こども家庭庁参事官でございます。資料5に基づきまして、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律につきまして御報告を申し上げます。
資料の1ページに概要を載せてございます。この法律案につきましては3月14日の医療保険部会で報告をさせていただいたところでございますが、その後、国会での御審議をいただきまして、6月5日に参議院の本会議で可決・成立をいたしまして、12日に公布がされております。
その次の2ページから3ページにかけては衆議院の特別委員会での附帯決議、また、4ページから5ページにかけましては参議院の委員会での附帯決議を載せさせていただいております。それぞれ赤囲みをしております4項目が支援金制度の関係での附帯決議ということでございまして、これらの附帯決議を踏まえまして対応を講じてまいりたいと考えてございます。
法律の成立を受けまして、支援金制度につきましては令和8年度の施行ということになります。その施行に向けまして、まず政府省令や制度、事務の詳細の検討がございます。また、システムの整備や、各自治体におきましては条例等の整備を行っていただく必要がございますので、保険局の各課ともよく連携をいたしまして、保険者をはじめ関係団体と御相談をしながら円滑な施行に向けて準備を進めてまいりたいと考えてございます。
その際、支援金制度につきまして国民の皆様に御理解いただきますよう、周知・広報につきまして、国としましてしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。
御報告につきましては以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
これも報告事項ではございますけれども、御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。
では、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 御説明ありがとうございました。
今回の附帯決議は衆議院、参議院両方を拝見して、特に目が行きましたのは囲んであるところではなくて一番上の部分でございまして、「結婚や出産への希望を持ちながら」と書いているところであります。実際、今回の法改正の中では例えば産後ケアであるとか、あるいは妊婦等包括相談支援事業などが入っているわけですけれども、翻って考えてみますと、医療保険制度というのはまさにこういった出産などに希望を持てるようなことも入っているわけでありまして、御承知のように今までも例えば不妊治療というのが給付の中に取り込まれたりしておりますので、そういった点ではこの附帯決議というのは医療保険側から見ても非常に重要ではないかなと私は思っております。
そういう点で改めて考えてみますと、医療保険は保険給付もありますけれども、保健事業というのが柱でありまして、特定健診、あるいは特定保健指導ということで私の印象としてはどちらかというと中高年のほうにシフトしておりますけれども、今回の附帯決議を見ますと、若い人たち、子育て世代にも何か保険事業として裨益するようなものがあれば、今後、積極的に取り組むべきではないのかなと思った次第であります。
実際、いろいろな保険者の中では取り組んでいる例も承知しておりますけれども、やはり制度全体としてもう少し若い世代に光を当てたらいいのではないかと思った次第であります。
ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、根本参考人、よろしくお願いいたします。
○根本参考人 ありがとうございます。子ども・子育て支援金制度に関しまして3点発言させていただきます。
まず1点目でございますけれども、こども未来戦略において子ども・子育て支援金制度の構築に当たっては国民に実質的な負担を生じさせないこととされております。子ども・子育て支援納付金につきまして、低所得者の過度な負担増とならないよう、国による十分な財政措置をお願いいたします。
2点目でございますが、子ども・子育て支援納付金の導入に伴い、今後、保険料徴収や窓口対応、関連システムの改修等が必要となります。人件費をはじめ新たに必要となる費用に対し医療保険者に財政負担が生じないよう、国の責任において財政的支援をお願いいたします。
最後の3点目でございますが、子ども・子育て支援納付金は保険料と併せて徴収されるものであるため、被保険者の理解が不可欠であると考えます。支援金の目的や使途、負担の在り方等、制度の概要について被保険者の理解が十分得られるよう丁寧な周知・広報をお願いいたします。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
附帯決議の衆議院の4番と参議院の5番で、保険者に対してこの支援金は医療保険料とは異なるものであることを周知することとおっしゃっていただいておりまして、これはまさに被保険者かと読んでいたら、保険者なのですね。つまり、私どもに周知しなさいと。この審議会でずっとこれは保険の話とは違うよねという話をずっとしてきたのが国会に聞こえていたのか、そうであればいいのですけれども、保険者に言えば被保険者に伝わるだろうなと国会が思って書いておられるとすれば、これは大変な問題であるわけでありまして、もちろん制度の趣旨からして保険料と一緒に集めなければいけないのですが、子ども・子育て支援金の制度を主管される所管官庁が主体的に被保険者に、つまり国民に伝えていただくということを口を酸っぱくして申し上げたいと思います。そうしないと、被保険者からなぜこの支援金を保険料と一緒に払わなくてはいけないのという問いに保険者が答えなくてはいけないとなると、これは大いなる問題でございます。今日もこども家庭庁の参事官が国民に対して広報をしっかりやりますとおっしゃっていただいたので、その言葉を信じて、くれぐれも保険者が戸惑うようなことがないように、ぜひ令和8年に向けてお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
何かコメントはございますか。
○田中参事官 こども家庭庁参事官でございます。
御指摘を踏まえましてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょう。
では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
スライドの4ページ、参議院の附帯決議についてでございます。7番目に「子ども・子育て支援金率、使途等を検討する際は、労使など複数の拠出する立場の者が参画した上で検討し、その結果に応じて必要な対応を講ずること」とございます。このように支援金の在り方については労使などが参画して検討する場を早期にかつ確実に設けていただきたいと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 では、横尾委員、よろしくお願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。
今回のは大きなフレームで国民の中で子供・子育て、特に子供たち、そして子供さんを抱えていらっしゃる御両親をはじめ御家族をサポートするという大きな趣旨の下に実行されていると思うのです。けれども、文言としてはまだ明確に入っていないかもしれないのですが、気になるところがありまして、それは今回は項目に入らなくても、今後入ってくると期待していることでもあります。それは医療的ケアを必要とする子供たちのことです。今、有志の首長で医療的ケア児のことを勉強して、今後、制度なり何か対策なりをもっと高めていくべきではないかなという活動を始めたところです。そこで現状を関係の御家族などのお声としても聞いたことがあるのですけれども、本当に改めて発見する思いで聞かせていただくのは、医療的ケアを必要とするお子さん、幼児が大変なだけではなくて、実は親御さんがもっと大変な部分があるのですね。極端に言うと24時間目を離すことができなかったり、24時間誰かが交代してそばにいなくてはいけなかったり、もちろんそこに専門的な医療機器などもあるのですけれども、そういったことをサポートするというのはなかなか容易ではないと思います。けれども、そういった弱い立場にある方、尊い命をいただいてもそういう困難に立ち向かっているお子さん、あるいは御家族をサポートすることができることも福祉国家として大切なことですし、そのためなら自分の負担も少し出して、みんなが幸せになるようなことの一助になるならいいよということを思うことも大切なことだと思うのですね。
ぜひそういったことも一方では考えていただいて、今後の制度の充実の中でそういった弱い立場にいらっしゃるお子さんや大変難儀されている御家族があることもぜひ知って、今後の対策の充実に生かしていただいたら幸いと思っています。よろしくお願いします。○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見等がないようでございますので、本日はこれまでとしたいと存じます。
次回の開催日につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
本日は御多忙の折、御参加いただきまして誠にありがとうございました。
それでは、散会いたします。