令和6年7月29日 第102回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和6年度第4回薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録

日時

令和6年7月29日(月) 16:00~19:00

場所

WEB会議(厚生労働省 専用第21会議室(17階))

7月29日合同部会 議事録

○事務局 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第102回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び令和6年度第4回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきありがとうございます。
 まず、ウェブ会議を開催するに当たり、既にお送りさせていただいておりますが、会議の進め方について御連絡させていただきます。
 御発言される場合は、まず、お名前をおっしゃっていただき、座長から御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。
 会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、インスタントメッセージ、または、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
 続きまして、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
 現在、副反応検討部会委員9名のうち9名、安全対策調査会委員6名のうち6名、全員に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会及び薬事審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
 なお、全ての委員において関係企業の役員・職員等でない旨を申告いただいております。
 加えて、齋藤委員より途中で御退室される旨の御連絡をいただいております。
 また、本日は公益財団法人新潟県スポーツ協会新潟県健康づくり・スポーツ医科学センター・センター長の成田一衛参考人、川崎市健康安全研究所参与の岡部信彦参考人、国立成育医療研究センター政策科学研究部部長の竹原健二参考人にお越しいただいております。
 次に、事務局側で人事異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。
 健康・生活衛生局側の人事異動につきまして、7月5日付で感染症対策部長が佐々木から鷲見に交代となっております。
 次に、医薬局側の人事異動につきまして、7月5日付で医薬担当審議官が吉田から佐藤に交代となっております。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○事務局 本日の審議の前に、傍聴に関しまして留意事項を申し上げます。開催案内の傍聴への留意事項を必ず守っていただきますようお願いします。留意事項に反した場合は退場していただきます。また、今回、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や会議中に退場となった方については、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので、御留意願います。
 また、本日の座長につきましては、森尾副反応検討部会長にお願いしたいと思います。
 それでは、ここからの進行をよろしくお願いいたします。
○森尾座長 それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項につきまして報告をお願いいたします。
○事務局 審議参加について御報告いたします。本日御出席をされた委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況について、これまでと同様に申告いただきました。
 本日の議題において審議される品目は新型コロナウイルス、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、帯状疱疹、23価肺炎球菌、HPV、百日せき、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ、13価肺炎球菌、15価肺炎球菌、Hib、BCG、日本脳炎、B型肝炎、RSウイルス、ロタウイルス、インフルエンザの各ワクチンであり、その製造販売業者は一般財団法人阪大微生物病研究会、グラクソ・スミスクライン株式会社、KMバイオロジクス株式会社、サノフィ株式会社、第一三共株式会社、武田薬品工業株式会社、デンカ株式会社、日本ビーシージー製造株式会社、ファイザー株式会社、MSD株式会社、モデルナジャパン株式会社であり、事前に各委員に申告をいただいております。
 各委員からの申告内容については、事前に配付しておりますので、御確認いただければと思います。
 本日の出席委員の寄附金等の受取状況から、舟越委員、石井委員が第一三共株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがあるため、新型コロナ、DPT、DT、4種混合、破傷風、MR、麻しん、風しん、おたふくかぜの各ワクチンについて、意見を述べることができますが、議決には参加いただけませんことを御報告いたします。
 申請資料作成関与に係る申告でございますが、伊藤澄信委員が第一三共株式会社、KMバイオロジクス株式会社、一般財団法人阪大微生物病研究会及びデンカ株式会社のインフルエンザワクチンの申請資料の作成に関与されているため、インフルエンザワクチンの審議の際に退出するに該当いたします。
 また、宮入委員がファイザー株式会社の13価肺炎球菌ワクチンの申請資料の作成に関与されているため、13価肺炎球菌ワクチンの審議の際に退出するに該当いたします。
 なお、齋藤委員及び宮入委員より以前の申告内容の修正がございました。齋藤委員については、令和5年度にデンカ株式会社より50万円以下の受け取りがございました。宮入委員については、令和5年度に塩野義製薬株式会社より50万円を超えて500万円以下の受け取りと申告いただいておりましたが、50万円以下の受け取りと修正されております。したがいまして、この修正による審議参加及び議決への影響はございませんでした。修正後の申告につきましては、追ってウェブサイトに掲載いたします。
 引き続き各委員におかれましては、講演料等の受け取りについて通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようお願いいたします。
 以上でございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ただいま事務局から審議の参加について報告をいただきましたが、伊藤澄信委員及び宮入委員は、それぞれインフルエンザワクチン、13価肺炎球菌ワクチンの薬事承認申請資料等の作成に関与していることから、当該ワクチンの審議には御参加いただけません。
 しかしながら、規定上、申請資料の作成に関与にしている場合であっても、分科会等が認めた場合には意見を述べることができるとされております。両委員におかれましては、当該ワクチンについて深い知識をお持ちであるために、ぜひ意見を述べていただきたいと思いますが、委員の皆様、いかがでしょうか。
(委員首肯)
○森尾座長 ありがとうございます。それでは、部会として承認いただけたということで審議に入らせていただきます。
 それでは、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 審議に入る前に、本日の資料について説明をいたします。議事次第、委員名簿、座席表、資料一覧、資料1-1-1から1-8、資料2-1から34、資料3-1、3-2、資料4、資料5、参考資料1から18になります。
 資料の不備等がございましたら、事務局にお申し出ください。
○森尾座長 皆様、よろしいでしょうか。
 それでは、審議を始めたいと思います。
 議題の1「新型コロナワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況並びに接種後の健康状況に係る調査等」についてでございます。
 資料1-1-1から資料1-5について、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 資料1-1-1から1-5を用いまして、今回の集計対象期間における副反応疑い事例の報告状況について御説明いたします。
 まず、今回の集計対象期間でございますが、2024年4月21日までの報告分を対象としております。御承知のとおり、新型コロナワクチンは特例臨時接種としての取扱いを昨年度末で終了したところでございます。よって、今回の御報告につきましては、特例臨時接種として3月末までに接種した方の副反応疑い報告について、4月21日までに報告された分を集計し、御提示しているものでございます。
 資料1-1-1、医療機関からの副反応疑い報告状況について御報告いたします。
 まず、コミナティRTU筋注でございます。接種者数は2515万3438、副反応疑いの報告頻度は0.0006%、重篤は0.0003%、死亡報告数は22件でございます。
 参考として、上段に前回部会で提示した1月28日までの報告頻度を掲載しております。前回の副反応疑いの報告頻度は0.0003%、重篤は0.0001%であり、今回御報告分について、前回と比べて傾向に変化を認めてはおりません。
 続きまして、コミナティ6か月~4歳(乳幼児)用及び5歳~11歳(小児)用についてでございます。接種者数はそれぞれ8万520と15万7788であり、いずれも副反応疑い報告はございませんでした。
 続いて、同ページ下段、スパイクバックスでございます。接種者数は307万538、副反応疑いの報告頻度は0.0016%、重篤は0.0010%、死亡報告数は12件でございます。
 こちらも参考ですけれども、1月28日までの報告頻度については0.0014%、重篤は0.0008%でございますので、傾向に変化は認めておりません。
 続いて、ダイチロナ筋注についての集計でございます。接種者数は7万519、副反応疑いの報告頻度は0.0071%、今回、重篤の報告が1例ございました。
 続いて、ヌバキソビッドでございます。ヌバキソビッドにつきましては、昨年の12月25日で供用を終了しておりますので、VRSの登録修正等の誤差はございますが、基本は接種者数に変更はございません。副反応疑いの報告数等についても大きな傾向の変化は認めておりません。
 症状別報告件数につきましては4ページ以降、性別年齢別につきましては16ページ、ロット別については17ページ以降、医療機関からの副反応疑い報告についての図表を23ページ以降にまとめておりますので、御確認をお願いいたします。
 資料1-1については以上でございます。
 続きまして、資料1-2-1、製造販売業者からの副反応疑い状況についておまとめをしております。医療機関報告と全体的な傾向は変わりませんので、今回説明は省略いたします。資料について御確認をお願いいたします。
 続いて、死亡事例でございます。資料1-3-1をご覧ください。
 まず、コミナティ接種後の死亡事例について御報告をいたします。
 1ページ目、報告状況をご覧ください。今回の集計対象期間までに死亡として報告された事例は35件でございます。
 参考1として頻度をお示ししておりますが、100万回当たりは1.4件でございます。
 参考として、コミナティ起源株・2価総数における100万回当たりの頻度は6.1件となっております。
 2ページ目以降に死亡として報告された事例の一覧をお示ししております。No.27以降が今回の報告事例に該当いたします。このうち、今回の9例中5例において症例の経過自体が不明であり、その他の報告につきましても、いずれも65歳以上かつ基礎疾患を有する症例でございました。専門家の因果関係評価につきましては、いずれもγとなっております。
 事例の経過等につきまして、資料にて御確認をお願いいたします。
 続きまして、資料1-3-2、スパイクバックス接種後の死亡事例についてでございます。
 1ページ目、報告状況でございます。今回、集計対象期間までに死亡として報告された事例は13件ございました。
 参考1、頻度でございますが、100万回当たりは4.2件でございます。
 こちらも参考でございますが、スパイクバックスの起源株・2価総数における100万回当たりの頻度は2.7件となっております。
 2ページ目以降に死亡として報告された事例の一覧を示ししております。
 今回の事例につきましては、No.12と13が報告症例でございます。
 No.12は95歳女性、ワクチン接種6日後に低酸素血症性呼吸不全、肝機能障害、急性循環不全、蒼白、チアノーゼ、頻脈、発熱、けいれんを生じて死亡したとする症例でございます。
 No.13は96歳の男性でございまして、接種後にアナフィラキシーショック、急性冠動脈症候群を生じて死亡したとする症例でございます。
 事例の経過等につきまして、こちらも資料で御確認をお願いいたします。
 資料1-3-2の説明は以上でございます。
 続きまして、資料1-3-3、1-3-4、1-3-5、1-3-6についてでございますが、集計対象期間においていずれも報告はございませんでしたので、説明は省略をいたします。
 続きまして、資料1-4-1でございます。コミナティ接種後の心筋炎・心膜炎の疑い事例の報告状況でございます。
 今回、コミナティ接種後の心筋炎として報告された事例が4件、心膜炎として報告された事例が1件ございました。
 資料1-4-1、7ページと8ページをご覧ください。
 まず心筋炎についてでございます。今回報告事例はNo.174以降にあります4症例が該当いたします。4例のうち2例は年齢、接種日等が不明の症例です。残る2例の中には17歳の心筋炎事例がございましたけれども、ブライトン分類4、転帰は軽快となっておりまして、専門家の因果関係評価につきましてはγと評価されております。
 次に、心膜炎の報告についてその次の8ページをご覧ください。
 No.192は70歳男性の報告でございます。7回目の接種後の8日目に心外膜炎を発症した症例でございます。こちらにつきましても、因果関係評価としましてはγとなっております。
 続きまして、資料1-4-2から1-6については、いずれも御報告はございませんでしたので、以降の説明は省略をさせていただきます。
 最後に資料1-5、乳幼児ワクチン接種後の熱性けいれんについてでございます。こちらにつきましても新たな報告はございませんでした。
 資料1-1から1-5までの説明については以上でございます。
○森尾座長 ありがとうございました。
 それでは、次に移ります。前々回の本部会におきまして、研究班から大曲参考人にお越しいただき、新型コロナワクチン接種後の症状に関する実態調査について御報告をいただきましたが、その際、IgA腎症が多く認められたことを踏まえて、前回は事務局よりIgA腎症に係る現在の状況について資料が提出されました。
 今回は、新潟県健康づくり・スポーツ医科学センターセンター長の成田先生にお越しいただいております、成田先生より新型コロナワクチン接種後に診断されたIgA腎症について御説明いただきたいと思います。
 それでは、成田先生、どうぞよろしくお願いします。
○成田参考人 成田と申します。
 本年3月まで新潟大学の腎膠原病内科というところにおりまして、2017年から6年間、厚生労働省の難治性疾患政策研究事業の難治性腎障害に関する調査研究の班長を務めておりました。
 その関係で、IgA腎症は当班の対象疾患であるということで、私どもの調査研究班で調査した結果と、それから、その概要とともにその他腎疾患に関する知見を総合して、現在の私どもの考えを述べたいと思っております。
 資料のほうは21です。ご覧いただいているでしょうか。ありがとうございます。
 IgA腎症は糸球体メサンギウムに免疫グロブリンAが沈着する糸球体の炎症でございます。原因は不明で確実な治療はなく、好発年齢30~40代、約20年の経過で無治療の場合、半分が腎不全に進行します。一部の症例では急性扁桃炎等の上気道炎後に肉眼的血尿を認めることがございます。
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 IgA腎症の病因については遺伝的な素因があって、そういう人において粘膜感染、抗原刺激に対する免疫応答の異常といったことが起こって、IgA1の免疫複合体が形成され、それが糸球体に沈着して、補体活性化を通して腎障害が発生し、進行すると考えられております。
 次のページをお願いします。
 日本人を含む東アジア人でこの遺伝的なリスクアレルの頻度が高い、有病率が高いということが知られています。2021年にIgA腎症患者においてワクチン接種後に肉眼的血尿が出現するという症例報告が複数あったことから、私どももこの調査を行うことにいたしました。
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 日本腎臓学会評議員に対して、メールでアンケート調査をまず行いました。25施設から27件の報告がございました。40歳未満、女性に多いという特徴がございました。27例中、2次調査に回答した症例が25例ございました。このうち、23例は肉眼的血尿が消失し、4例で腎生検が行われ、全例IgA腎症でございました。クレアチニン上昇を認めた症例が1件ありましたが、重篤な進行性の腎機能障害には至らなかったと報告されております。
 次のページをお願いします。
 ワクチン接種から3日以内の血尿が多く、80%以上は1週間以内に消失しておりました。
 次のページをお願いします。
 また、27例中19例がワクチン接種前に既にIgA腎症と診断されていた。13例は蛋白尿が、あるいは20例は血尿がワクチン接種前から認められておりました。
 以上を総括いたしますと、アンケート調査において27件報告がございまして、女性に多いという特徴がございました。20例はワクチン接種前から肉眼的血尿があって、19例(70.4%)は接種前からIgA腎症と診断されていました。
 2次調査に協力いただいた23例は、肉眼的血尿が改善しており、4例で腎生検が行われ、IgA腎症と診断されました。
 不可逆的な腎機能障害は認めませんでした。
 ということで、もう少し期間を長く、6か月間、そして、全国の調査をもう少し詳細に行うことにいたしました。
 次のページをお願いします。
 当班の順天堂大学の鈴木教授らが中心となって行った調査でございます。全国22施設、127例の患者さんに協力いただきました。18歳以上でワクチン後に肉眼的血尿を呈し、病院を受診した方を6か月間3ポイントで臨床情報と血清と尿を収集いたしました。
 次のページをお願いします。
 127例中37例は既に腎生検が行われており、37例中36例がIgA腎症の診断、1例がIgA血管炎でございました。腎生検が施行されていなかった90例のうち、70例が観察期間中に腎生検が行われ、69例がIgA腎症もしくはIgA血管炎の診断でございました。すなわち、全体を見ますと、98%がIgA腎症もしくはIgA血管炎であったということになります。
 患者背景では女性が73%、使われたワクチンは全てmRNAワクチンでございました。接種回数は2回目が最も多く、5回目以上の後に肉眼的血尿が認められた症例が5.5%ございました。また、肉眼的血尿の診断がついていなかった90例のうち、約70%は以前から尿所見異常が指摘されておりました。
 次のページをお願いします。
 尿蛋白と腎機能の6か月間の経過を示しております。尿蛋白は最初の受診時をピークに6か月で低下する傾向がございました。クレアチニン、eGFRはほぼ変化がないという結果でございます。クレアチニンの1.5倍か以上の増悪もしくは透析を必要とする症例は、この127例の中では認めませんでした。
 次のページをお願いします。
 腎病理及び臨床所見の比較を行っております。比較対象として、ワクチンの影響がないと考えられる2019年以前に腎生検を行ってIgA腎症と診断された症例をNon-vaccinated groupとして比較しております。患者背景で女性に多いという特徴はやはりありますが、そのほか有意な差は臨床的には認めませんでした。
 病理所見の比較が左側にございます。慢性病変を示唆する分節性硬化(S)あるいは尿細管萎縮(T)の頻度は低く、急性病変を示唆する管内増殖(E)あるいは半月体(C)病変が優位に高いという傾向も認められませんでした。
 以上から、S病変、T病変といった慢性病変が形成される以前、すなわち通常の腎生検を行うような症例よりも、トータルとしては早期の段階を観察している可能性があると考えました。
 次のページをお願いします。
 まとめますと、127例中、検査値の変化は一時的なものがほとんどでございました。
 多くの症例は新規発症ではなく、ワクチンを契機に顕在化したと考えられる経過を呈しました。
 病理的な所見では、慢性病変は少なく、より早期の病変を見ている可能性が考えられました。
 次のページをお願いします。
 ここから腎疾患領域における新型コロナウイルス感染症及びワクチンに関する総合的な知見をまとめたいと思います。
 次のページです。
 これは、日本腎臓学会が運営している総合レジストリーにおけるIgA腎症の診断頻度を示しております。ワクチン接種が開始された2021年前後でこのIgA腎症の頻度は変化しておりません。ちなみに、このレジストリーは日本全国の腎生検の約10%以上が登録されているだろうと考えます。
 次のページをお願いします。
 これが主病名の内訳でございますが、2018年から23年の間で主病名の年次推移に明らかな変化、傾向は認められませんでした。
 次のページをお願いします。
 一方、日本透析医学会の統計調査におけるIgA腎症を含む慢性糸球体腎炎が原因疾患と考えられる腎不全患者においても、明らかな変化はないというのが事実でございます。IgA腎症は慢性糸球体腎炎に含まれますが、その増加は認められておりません。
 次のページをお願いします。
 一方、新型コロナウイルス感染症の重症化及び死亡のリスクとして、CKDはとても重要でございます。現在提示しているのは、イギリスにおける1700万人余りの感染者のうち、1.1万人が死亡した時点での統計でございます。ご覧のように、慢性腎臓病(CKD)は新型コロナウイルス感染症の重症化の明らかなリスク因子でございます。そして、そのインパクトはぜんそくや慢性呼吸器疾患のインパクトに匹敵するか、それ以上に大きいということが明らかでございます。したがって、CKD患者の管理において新型コロナウイルスの感染予防はとても重要と考えております。
 次のページをお願いします。
 また、新型コロナウイルス感染で入院した患者の4分の1から半数に蛋白尿、血尿が出現し、15%近くが腎機能が低下するということも報告されており、腎機能が低下すると予後が不良であるということも明らかにされておりますし、剖検例で腎臓の近位尿細管細胞内に実際に右のようにコロナウイルス粒子が観察されるといった報告もございます。したがって、腎臓は新型コロナウイルス感染のターゲット臓器でもあるということが言えると思います。
 次のページをお願いします。
 一方、透析患者及び保存期のCKD患者におけるワクチンの感染、重症化に対する予防効果についてもたくさん報告がございます。今提示しているものは、カナダの保存期CKD患者1万8850名における効果を約1年間観察したものでございます。対照群としては1回もワクチンを接種されなかった2,400名を用いておりますが、ご覧のように、ワクチンの接種回数依存性に感染及び入院死亡のリスクが低下していたという報告がございました。これはワクチンの回数としては3回目までのデータでございますが、ご覧のようにワクチンそのものに感染及び重症化を予防する効果を認めたというものでございます。
 次のページをお願いします。
 これがまとめでございます。1次調査で報告された27例のうち、20例は接種前から血尿がありました。多くの症例で改善しており、腎機能の進行性の低下はありませんでした。
 6か月間の前向き観察研究では、多くの症例がワクチン接種前から尿所見があって、未診断であったものが顕在化したという経過を示すものがほとんどでございました。
 進行性の腎機能障害はございませんでした。
 ただし、現在のエビデンスとしては、症例報告であったり、対照群がない等の研究デザイン上の課題は残っております。したがって、新型コロナワクチン接種とIgA腎症の関連性については不明ということになります。
 ワクチン接種の開始前後でIgA腎症の診断の増加傾向はありませんでした。また、これを原因とした透析導入の増加傾向も認められていないというのが事実でございます。
 新型コロナワクチン接種後に血尿を認める場合には、やはり早期のIgA腎症である可能性がありますので、医療機関への受診は重要と考えます。また、その場合の血尿及びIgA腎症は通常の腎臓内科の診療体制で対応可能と考えます。
 慢性腎臓病(CKD)は、新型コロナウイルス感染症重症化のリスク因子である。また、CKD患者においても新型コロナワクチンの有効性を示す研究結果があるということで、新型コロナウイルスの感染状況、もしくは患者の重症化リスク等に応じて適切にワクチン接種を行い、感染・重症化予防を図るというメリットは、接種後の肉眼的血尿に対する懸念を上回る可能性が現時点では高いと考えております。
 以上です。御清聴ありがとうございました。
○森尾座長 成田先生、大変詳細かつきれいなまとめを御報告いただきましてありがとうございました。
 せっかくの機会ですので、委員の方から質問がありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 長谷川委員、手を挙げていただいています。お願いいたします。
○長谷川委員 ありがとうございます。国立感染症研究所の長谷川と申します。
 お伺いしたい点が2点あるのですが、一点は、先ほど2回目接種の方が血尿及びIgA腎症と診断される例が多かったというお話があったと思いますが、この方たちの個別のCOVID-19の罹患歴というのは分かっておりますでしょうか。
○成田参考人 罹患歴については調査を今回しておりませんので、はっきり分からないです。多分ない人が多いのではないかと思います。
○長谷川委員 ありがとうございます。
 と言いますのは、ワクチンでIgGが誘導されると思うのですけれども、IgAが誘導されるにはその前に罹患があった場合が多いのかなと思ったもので、質問させていただきました。
 2点目は、COVID-19の感染によって4分の1から半数で腎機能低下が見られるというお話がありましたが、それらの方たちでIgA腎症と診断される方たちというのはいらっしゃるのでしょうか。
○成田参考人 いえ、そのデータもございません。AKIの原因は多くは尿細管障害と言われていますので、同じスライドにあったように、糸球体というよりは尿細管障害が主体なのではないかなと思います。
○長谷川委員 ありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 それでは、石井伊都子委員、お願いいたします。
○石井委員 ありがとうございます。
 2つ質問があります。私はIgA腎症はあまりよく理解していないのですが、女性が非常に発症しやすいというデータなのですけれども、そもそも女性が発症しやすいのかということと、2つ目の質問は、例えばこういう発症している方たちは発熱がひどかったとか、いわゆる副反応が何か相関するようなものがあるといった情報はございますでしょうか。
○成田参考人 まず1つ目の質問ですが、一般的なIgA腎症は性差はほぼございませんので、なぜ女性に多いかは不明なのですけれども、恐らく1次調査のときは医療機関に勤めているということでナースが対象として多かったので、それで女性に多かったのではないかと考えましたけれども、その後の6か月間の前向き調査においても女性が70%を占めたということは、その理由は私どもは今のところ分かっておりません。
 肉眼的血尿以外の副反応が多かったかどうかについては、明らかな差はなかったと聞いております。
○石井委員 差というか、ひどい発熱をした人がこういった腎症になりやすいとか、そういった情報もないということですか。
○成田参考人 今のところ、そういった情報はございません。
○石井委員 ありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 ありがとうございます。神奈川県衛生研究所の多屋です。
 大変分かりやすい御説明をありがとうございました。
 2回目に多かったということなのですけれども、接種後に肉眼的血尿を起こした方が例えば3回目とか4回目を接種する時には、何かアドバイスをしたほうがよろしいのでしょうか。
○成田参考人 これもはっきり学会としてレコメンデーションは出しておりません。分からないというのが率直なところで、肉眼的血尿が収まってしまえば、2回目で出た人が3回目をやっても何も起こらなかったという報告がございます。しかし、症例によっては肉眼的血尿が出てしまったので3回目、4回目をやらなかったという人も多いと思いますので、この辺も十分調査はされていないというのが率直なところです。
○多屋委員 ありがとうございました。
○森尾座長 重要なポイントですね。ありがとうございます。
 齋藤玲子委員、お願いします。
○齋藤委員 成田先生、ありがとうございました。
 新潟大学の齋藤玲子と申します。
 1次調査で7割がIgA腎症だったということですが、そのほかの疾患、IgA腎症以外に肉眼的血尿を呈したという疾患、この1次調査の結果で出ているものはありますでしょうか。
○成田参考人 いえ、分かっているものはほぼIgA腎症でした。全く不明だったというのがあとの3割となります。
○齋藤委員 分かりました。どうもありがとうございます。
○森尾座長 ほかにいかがでしょうか。
 成田先生、本当に詳しく教えていただきましてありがとうございました。また何かございましたらぜひよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
○成田参考人 お疲れさまです。
 では、退室してよろしいでしょうか。
○森尾座長 はい。お願いいたします。ありがとうございます。
○成田参考人 お疲れさまです。失礼します。
○森尾座長 どうもありがとうございました。大変勉強になりました。
 それでは、続きまして、資料1-6について伊藤澄信委員より説明をお願いいたします。
○伊藤(澄)委員 今日は会場に来ておりまして、会場から説明させていただきます。
 資料1-6です。大部の資料なのですが、3月31日に特例臨時接種が終了いたしましたので、今回はそれまでに接種された方のデータのリバイスです。接種から1年後までは因果関係を問わない重篤な有害事象とCOVID-19感染に関わる情報を収集し、ワクチン関連の疾患増強や呼吸器疾患増強の有無についても情報収集することになっておりますので、調査はまだ継続しておりますが、現在までに得られている情報の中間報告になります。
 第一三共社のダイチロナは、先ほどの報告でも我が国全体で約7万回と接種数が多くなかったのですが、本調査で300人が参加していただけています。
 8ページです。今回は接種3か月後までの抗体価の変化を見ています。接種前、抗N抗体が陽性か陰性かで抗体価に違いがあります。9ページは3か月後までの全てのデータがそろっている52人のデータの幾何平均抗体価倍率(GMTR)を表記しております。既感染で抗体価が高く上がる方は抗体価の下がり方が少し早いように見えますが、これは過去のほかのワクチンのデータと大きな違いはありませんでした。
 16ページをご覧いただきたいのですが、左上の発赤というグラフでDay8、接種から7日目が一番頻度が低くて、Day9、Day10と頻度が高くなっていることが分かるかと思います。
 これは、17ページのかゆみの10日目以降の症状継続の割合が少し上がっているのと呼応しています。添付文書に記載のある皮膚の遅発性反応です。
 モデルナ社の1回目の接種のときに多く見られたCOVIDアームは接種1回目に特徴的に見られて、3回目以降の追加接種時には見られておりませんでした。
 ダイチロナでは8人、頻度としては2.8%の方に見られております。
 接種者全体では女性が今回は65%と多めなのですが、この皮膚の遅発性反応は8人のうちの7人が女性でした。COVIDアームは30~50歳代の女性に多いことが分かっていますが、今回はnの数が少ないので、正確確率を計算しても性差については差がありませんでした。また、年齢も皮膚反応のある方とない方で差がなくて、リスク因子は同定できていません。
 最大だった発赤は径8センチで、持続期間は11日から35日、平均で19.3日でした。かゆみが継続していた人は、8人のうち4人でした。
 22ページは、ファイザー社とモデルナ社のXBBワクチンとの比較表を載せています。皮膚反応についてはファイザー社よりも頻度が高いのですが、発熱などの全身反応はファイザー社と同じ程度でした。
 19ページです。PMDA報告は光視症もしくは飛蚊症として1例報告いたしましたが、非該当として取り下げしています。関連のある重篤な副反応は検出されておりません。
 24ページからは、ファイザー社のXBB対応1価ワクチン1,969人の結果のリバイスです。
 32ページ、接種6か月後までの抗S抗体価、抗スパイクタンパク質抗体を接種前の抗N抗体価別かつ年齢別に示しています。年齢別では抗体価に大きな違いがないようです。
 39ページは前回も提示させていただいておりますが、XBB1価ワクチンを接種された方に文書同意を得て、過去のコホート調査に参加されていた時の記録を今回のデータと比較して横に並べています。XBB接種された方の過去のワクチン歴別のサブセットになります。過去のワクチン接種時とXBB接種時の同じ人の比較検定になるので、マクネマー検定を行っています。紫色が今回のXBBのデータです。マクネマー検定で有意差が出ても、グラフの95%信頼区間のエラーバーが重複していることもありますので御留意いただければと思います。
 1回目接種は局所疼痛以外は一般的な副反応はほとんど出ておりませんでしたので、2回目以降で比較いただければと思いますが、発熱や倦怠感などは2回目、3回目、4回目に比べてXBB接種時の副反応は低下しています。令和4年秋からの2価ワクチンとXBBワクチンはほぼ同じでしたので、2価ワクチン、XBBワクチンになると、起源株ワクチンに比べて副反応の頻度が低くなっていたということが分かるかと思います。
 47ページからはモデルナ社のXBB対応1価ワクチン1,422人の結果です。
 49ページに接種6か月までの抗S抗体価を接種前の抗N抗体価でかつ年齢別に示しているのは先ほどのものと一緒です。年齢別ではファイザー社と同様の抗体価の大きな違いがないということだと思います。
 55ページに、モデルナ社のXBB1価ワクチンの被接種者の過去のモデルナ社ワクチン接種との比較グラフを載せています。本コホート調査では、モデルナ社の初回シリーズは防衛省の職員、自衛隊の方を対象にして実施しておりましたので、XBB接種をされた方で初回シリーズの対象者はいらっしゃいませんので、モデルナ社ワクチンについて3回目以降の追加接種された方の比較になります。3回目以降ですので、一回の接種量は50µgとXBBワクチンと同じです。ファイザー社ワクチンと対象者数が違いますので、有意差がない一つの理由かもしれませんが、4回目追加接種の対象者数はほぼ違いがありませんので、XBBワクチンと3回目、4回目、令和4年春回接種とでは差がなく、逆に令和4年の秋開始接種は副反応が低かったというファイザー社とは違う結果が出ています。
 接種回数が増えるほど副反応が小さくなるのかなと当初は考えていたのですが、2社のワクチンを比較すると、一般的な仮説にはなりにくいと思っています。ファイザー社とモデルナ社の製品上の違いもあるのかもしれません。
 今回スライドにはしておりませんが、2023年10月2日から12月22日までファイザー社あるいはモデルナ社のXBBワクチンを接種されて抗体価採血をされた1,224人で、抗N抗体が陽性だった602人のうち、過去に感染されたことを自覚されている方は240人、40.2%でした。この割合は、以前から報告させていただいている4割が不顕性感染と基本的に同じ結果が出ています。また、感染既往があるけれども、抗N抗体が陰性の方が56名いらっしゃいました。この人たちを含めた感染歴があるか、あるいは抗N抗体の陽性かで過去に感染があったと推定される医療従事者は、658人でしたから、全体からみると53.8%の方が去年の秋から冬にかけての既感染率ということなのだろうと思います。
 この感染自覚がある方の抗N抗体の陰性率は、感染から採血までの期間が300日未満の方は1.3%でしたが、300日以上になると20.8%、365日以上で32.2%、500日以上になると37.7%の感染既往者の抗N抗体は陰性化していたということが分かりました。
 同様の解析をダイチロナの接種で抗体価採血をしている234人でもしましたが、抗N抗体陽性で感染既往がない人の不顕性感染の割合は先ほどと同様41.5%、感染自覚のある方の抗N抗体陰性の割合が、300日未満だと2.2%、300日以上だと23.2、365日以上で23.6、500日以上で27.3%と別のデータセットでも同様の結果でした。
 1年を過ぎますと、抗N抗体も2~3割陰転化するというデータで、抗N抗体陽性が既感染のゴールドスタンダードにならないという結果でした。ハイブリッド免疫で抗S抗体価が高くなることというのは以前から示しているとおりなのですが、それでも1年を過ぎると抗N抗体も陰転化するというのは、SARS-CoV-2に対する免疫は長く持続しないと考えられるのかなという結果が得られています。
 65ページから武田/ノババックスの組換えタンパクワクチンの4回目以降の追加接種147人の結果をまとめています。こちらは起源株で、昨年12月に最終接種が終了しています。
 75ページに一部の方の12か月後までの抗体価の推移を示しています。接種時の抗N抗体で大きく差があるのは他のワクチンと変わりませんが、抗N抗体陰性、すなわち感染歴がない人の、XBB1.5に対する中和抗体は、ワクチン接種しても抗体価がほぼ上がらないということが分かっています。
 次の武田/ノババックスワクチン接種はJN.1になるようですので、このワクチンではということではありませんが、起源株接種でXBBに対する交差免疫を期待するには無理があると思います。
 追加接種時の副反応については、87ページの季節性インフルエンザワクチンと比べると、それよりは副反応が高いようですけれども、mRNAワクチンよりも低いという点でメリットがあるのではと思います。
 89ページから5歳から11歳の追加接種の結果をまとめました。小児は接種後から6か月後までの結果をまとめることにしています。
 102ページは抗S抗体価です。採血量の問題がありましたので、小児と乳幼児で中和抗体の測定をしていません。
 スライドの中に起源株、BA.4-5株(2価)とかXBB.1.5株と書いてあるのは、接種したワクチン株で中和抗体価ということではないので、御注意していただければと思います。
 3つのワクチンで抗S抗体価を見ますと、大きな違いはないようです。小児でXBB1価を接種されて抗体価採血をされた11人全て抗N抗体が陽性でしたから、子供さんに関しては相当程度高い割合で感染をされたことがあるのだろうということが分かります。
 119ページから6か月~4歳の乳幼児の結果です。乳幼児の希望者が多くなくて、初回シリーズ3回接種の起源株が30人で、XBBワクチンを初回で接種していただけた子が3人でした。4回目以降の追加接種は被接種児が8人でした。
 抗体価採血に応じていただけたのは7人でしたけれども、その結果を130ページに示しています。3回目接種の1か月後の小児に比べると、抗体価そのものが少し低いかもしれません。
 発熱の頻度は132ページに示しておりますが、母数が少ないのと、37.5℃をカットオフにしていますので、頻度が高いのか低いのか結論が難しいというのは以前、説明させていただいたとおりです。
 140ページの気分変化というのが、例数が少ないので頻度が非常に高く見えておりますが、3歳のお子さんで4回目接種3日後に「お昼寝の時間が4時間ほどで長かった。朝起きる前からほぼ一日中ぐずる」という記載をMedDRAで変換するとこうなっておりますので、重篤な問題はございませんでした。
 説明は以上です。
○森尾座長 伊藤委員、いつも多量な貴重なデータをコンパクトにまとめて御報告いただきまして、ありがとうございました。後ほど質問の時間を取りたいと思います。
 それでは、次にコロナワクチンの状況について資料1-7でまとめていただいておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 続きまして、資料1-7の説明を事務局より申し上げます。
 今回も先生方の御議論に活用いただけますよう、資料1-7として御用意をさせていただきました。
 2ページをご覧ください。資料構成をお示ししております。1に副反応疑い報告全体の概要について、2に関連する調査・研究について、3に今回の審議会における論点についてまとめ、効率的に御議論いただける資料構成としております。
 4ページ目をご覧ください。ファイザー社のXBB対応ワクチンにつきまして、接種開始から本年4月21日までに副反応疑い報告として報告された事例についてまとめております。
 12歳以上では2500万回強が接種されており、副反応疑い報告は、医療機関から153例、製造販売業者から218例が報告されています。
 小児用では16万回弱が接種されており、副反応疑い報告は、医療機関からはゼロ、製造販売業者から2例が報告されております。
 乳幼児用では8万回程度が接種されており、医療機関からはゼロ、製造販売業者からは1例が報告されております。
 5ページ目をご覧ください。モデルナ社のワクチンにつきましては、300万回程度接種されております。副反応疑い報告につきましては、医療機関から50例、製造販売業者から43例が報告されています。
 武田社の従来型ワクチンにつきましては、集計期間が2022年5月からとなっております。35万回程度接種されておりまして、副反応疑い報告につきましては、医療機関から44例、製造販売業者から40例が報告されています。
 第一三共社のXBB対応ワクチンにつきましては、集計期間が2023年12月からとなっております。7万回程度接種されておりまして、副反応疑い報告につきましては、医療機関から5例、製造販売業者から4例が報告されております。
 次に7ページをご覧ください。こちらは先ほど成田先生より御発表のあった新型コロナワクチン接種後に診断されたIgA腎症について、まとめの再掲でございます。こちらの説明は省略させていただきます。
 次に8ページ目をご覧ください。新型コロナワクチン接種後の遷延する症状に関する実態調査等についてまとめてございます。
 まず、これまでの経緯として、令和3年2月1日付で都道府県に対して通知を発出し、新型コロナワクチン接種後の副反応を疑う症状に対応できるよう、相談窓口の設置と医療体制の確保について依頼しました。
 その後、令和5年2月より「新型コロナワクチン接種後の遷延する症状に関する実態調査」を行い、令和6年1月26日開催の審議会において第3報を御報告いただいております。
 また、令和5年10月21日開催の審議会において、新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査及び新型コロナワクチン追加接種並びに適応拡大に関わる免疫持続性及び安全性調査について、症状の持続期間が31日以上であったと報告された事例がどの程度存在したか、分析を行った結果を報告いただいております。
 今後の方向性として、引き続き令和6年度において「新型コロナワクチン接種後の遷延する症状に関する実態調査」を行うこととし、追加調査として、引き続き専門的医療機関を対象に調査対象の期間を延長して調査を行うこと。また、追跡調査として、これまでの同研究にて報告された症状の経過が軽快または回復以外の転帰の症例について、経過の詳細等の個別調査を行うこととしております。
 さらに、引き続き、新型コロナワクチン接種後の症状について幅広く評価を行っていく必要があることから、ワクチン接種後から症状が出現または悪化するまでの期間や持続期間が長かった症例についても、必要に応じて報告を検討する旨を改めて周知するため、遅発性の症状または遷延する症状についても必要に応じて報告を検討することを副反応疑い報告等の取扱いに関する通知に明記するということで、事務局案とさせていただいております。
 続きまして、9ページをご覧ください。こちらは新型コロナワクチンに係る国内の科学的知見として、AMED研究班による新型コロナワクチン追加接種後の死亡リスクについて、国内の自治体データを活用した接種の有無別での比較対象研究の結果についてまとめております。
 研究の概要は以下のとおりです。国内の2自治体を対象としたコホート内症例対象研究で、18~64歳の成人と65歳以上の高齢者の新型コロナワクチン接種後の死亡について調査されています。対象は成人コホート7万6730人と高齢者コホート17万1967人で、成人・高齢者の各コホート内で死亡例1人に対してコントロール症例を5人時点マッチングにより抽出しています。マッチング因子は性別、年齢、自治体となっています。マッチした日付前の21日間の新型コロナワクチン接種の有無を比較し、基礎疾患を考慮した調整オッズ比を推定しています。対象期間は2021年2月17日から2022年12月31日までです。
 結果としては、成人コホートでは431人の死亡症例に対して2,155人のコントロール症例をマッチングし、3・4回目接種後0~21日目の死亡の調整オッズ比はそれぞれ0.62、0.38でした。
 高齢者コホートでは1万2166人の死亡症例に対して6万830人のコントロール症例をマッチングし、3・4・5回目の接種後0~21日目の死亡の調整オッズ比はそれぞれ0.36、0.30、0.26でありました。
 なお、本研究においては併存疾患を交絡因子として調整していますが、死亡に関するオッズ比が小さい理由について、健康者接種バイアスが影響している可能性があるとされています。
 結果として、AMED研究班による調査では、新型コロナワクチンの追加接種後の成人と高齢者の死亡リスクについて、有意な上昇は認められなかったとまとめさせていただいております。
 次に、論点をお示しいたします。11ページをご覧ください。
 死亡例についてまとめてございます。今回、ファイザー社ワクチンで35例、モデルナ社ワクチンで13例、武田社ワクチンで3例の報告があり、第一三共社の報告ではございませんでした。
 症状につきましては、呼吸不全、発熱、肺炎等が報告されておりました。
 専門家による評価につきましては、各社のワクチンにつきまして、いずれもγ評価となっております。
 こういった点を踏まえまして、下の論点でございますが、現時点においてはワクチンの安全性に係る新たな懸念は認められないと考えてよいかというのが事務局案でございます。
 12ページをご覧ください。こちらは心筋炎及び心膜炎についてまとめてございます。
 心筋炎は、ファイザー社で7例、モデルナ社で1例、武田社から2例報告されております。また、心膜炎につきましては、ファイザー社から1例報告されております。
 12歳以上の者における新型コロナワクチンに係る心筋炎・心膜炎に関するこれまでの検討結果も踏まえ、現時点においては、ワクチンの安全性に係る新たな懸念は認められないと考えてよいかというのが事務局案でございます。
 次に13ページ目をご覧ください。こちらは小児の報告例についてまとめてございます。
 小児の副反応はファイザー社で2例報告されております。心筋炎はファイザー社で1例報告されております。また、心膜炎については、今回は報告がございませんでした。
 現時点においては、ワクチンの安全性に係る新たな懸念は認められないと考えてよいかという事務局案としてございます。
 次に14ページをご覧ください。こちらは乳幼児の報告についてまとめてございます。
 乳幼児の副反応はファイザー社で1例報告されております。なお、心筋炎・心膜炎に係る報告事例はございませんでした。
 こういった報告状況を踏まえ、現時点においては、ワクチンの安全性に係る新たな懸念は認められないと考えてよいかという事務局案としてございます。
 最後に15ページでございます。副反応につきましては、死亡、心筋炎・心膜炎、小児、乳幼児のワクチン接種後の状況、新型コロナワクチン接種後に診断されたIgA腎症について、新型コロナワクチン接種後の遷延する症状に関する実態調査等について、ワクチンの安全性に関する我が国の論文報告についてまとめてお示ししたところでございます。
 また、研究班の伊藤先生から健康状況に関する調査の状況についても御報告をいただきまして、御議論をいただくところでございます。
 これらの項目に関する検討も含め、ワクチンの安全性に係る新たな懸念は認められず、現時点において、ワクチン接種によるベネフィットがリスクを上回ると考えられ、引き続き国内外の情報を収集するということとしてはどうかというまとめとしてございます。
 これらの点について御議論いただけたらと思います。
 資料1-7に関連した事務局からの説明は以上でございます。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 それでは、事務局から報告をいただきましたこれまでの副反応疑い事例、健康状況に関する調査等について、論点に沿って議論を進めていきたいと思います。
 まずは、副反応疑い事例に関して、新型コロナワクチンの安全性評価につきましては、まず1.死亡事例について、2.心筋炎及び心膜炎について、3.小児、乳幼児接種についてと議論させていただきまして、そのほかの論点のところでIgA腎症、遷延する症状、伊藤澄信委員からの御報告、今日御紹介いただきました死亡リスクのデータなどについて議論がありましたらお願いできればと思います。4番目としまして、全体のまとめと今後の論点についてという順で議論をお願いいたしたいと思っております。
 それでは、まず死亡事例についてでございます。資料1-7の11ページにまとめを行っていただいておりますけれども、そちらについて議論を行いたいと思います。
 死亡事例の論点につきまして、こちらに事務局から挙げられておりますけれども、ワクチン接種と副反応疑い報告との観点で、ワクチンの安全性に関わる新たな懸念についてどう考えるか。まとめについて御意見、御質問がありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 このまとめでよろしいですか。
 どうもありがとうございます。それでは、こちらのまとめを引き取りたいと思います。
 それでは、続いて心筋炎及び心膜炎事例についてでございます。こちらは資料1-7の12ページにおいて事務局から挙げていただいております。これまでの検討結果も踏まえ、現時点においては、ワクチンの安全性に係る新たな懸念は認められないと考えてよいだろうかということでございますが、認められないと考えてよいという方向性での御議論をいただきたいと思いますが、いかがですか。何か御質問、御議論がある方はいらっしゃいますか。よろしいですか。
 どうもありがとうございます。それでは、このまとめをいただきたいと思います。
 続いて、小児と乳幼児接種についての議論でございますが、こちらは13ページにまとめていただいているのが小児の接種の論点ということでございます。現時点において、ワクチンの安全性に係る新たな懸念は認められないと考えてよろしいでしょうかというような問いかけでございます。
 14ページは同様に乳幼児ワクチンでございまして、新たな懸念は認められないと考えてよいかということでございますが、こちらについて何か御質問、御議論がある方がいらっしゃいましたらお願いいたします。
 ありがとうございます。それでは、この形で新たな懸念は認められないのではないかということでまとめさせていただけたらと思います。
 それでは、そのほかの論点でございまして、新型コロナワクチンの安全性に関連するこれまでの論点以外からの観点ということでございますが、こちらはIgA腎症、遷延する症状、伊藤澄信委員の御発表、そして、死亡リスクの論文等、何でも構いません。質問、御意見がある方がいらっしゃいましたらお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
 ございませんか。
 伊藤先生、ダイチロナのCOVIDアームなのですけれども、これはスパイクバックスと成分とか用量だとか、何か類似点があって発症していると思われるかどうか、そこは何かありましたら教えていただけたらと思います。
○伊藤(澄)委員 これに関しては、全く想像の域を出ないのですけれども、スパイクバックスで起きたいわゆるモデルナアームは1回目の接種のときだけでした。3回目以降では、発赤が最初は出ないのが後になって出てくるというケースはなかったのです。ただ、モデルナアームを一回起こした人というのは、2回目接種直後から発赤が出てきていました。
 今回、300人なのでよく分からないのですけれども、接種直後に発赤が出ている人もいらっしゃったのですけれども、鎮静化してからモデルナアームと同じように1週間してから発赤が出ている人が8人いました。国産ワクチンなので、他にデータがないのでどうしたものかと思いますけれども、発赤がある一定程度長く続いてしまっている人がいるので、あまり気持ちのいいものではないなというのは正直ベースです。ただ、これは治験でも同じように出ていますので、既に報告されているものをこの調査でも追認しましたということで御理解いただければと思います。
○森尾座長 どうもありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、これまで議論された内容をまとめさせていただきたいと思います。
 これまで確認された内容といたしましては、まず集計期間における副反応疑い報告の傾向でございますが、対象期間における新型コロナワクチンの副反応疑い報告については、副反応疑い事例全体の報告状況や年齢、性別の報告状況、ロット別の報告状況に動向の大きな変化はないとまとめさせていただいております。
 死亡事例、心筋炎・心膜炎、小児、乳幼児に関する副反応疑いの報告の状況について整理し、議論を行ったところ、これらの論点については、現時点においてはワクチンの安全性に係る新たな懸念は認められないと考えられるとまとめさせていただきました。
 続いて、IgA腎症についてでございます。これまでの論点を踏まえ、本日、新型コロナワクチン接種後に診断されたIgA腎症について成田参考人から御説明をいただいた。これはこの御説明いただいたという形でまとめさせていただいております。
 続いて、新型コロナワクチン接種後の症状についてでございますが、新規新型コロナワクチンを含むコホート調査並びに副反応シグナル全国調査とともに、新型コロナワクチン接種後の遷延する症状について、引き続き実態調査を行わせていただくという形でまとめております。
 続いて、ワクチンの安全性に関する我が国の論文報告、今日御報告いただいてございますが、AMED研究班による調査では、COVID-19 mRNAワクチンの追加接種と成人と高齢者の死亡リスクについて有意な上昇が認められなかったことが報告されました。
 最後に、報告状況のまとめでございます。ファイザー社、モデルナ社、武田社、第一三共社ワクチンの接種については、これまで継続的に注視し、議論してきた内容も踏まえると、ワクチンの安全性に係る新たな懸念は認められないと考えてよいのではないかということでまとめております。
 このようなことでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○森尾座長 皆様の首肯いただいたと認識いたしました。
 以上、今回報告のありました具体的な事例などを踏まえ、新型コロナワクチンについて現状の取扱いを変更する必要があるかどうか、御意見がありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、御審議いただいたワクチンについては、これまでの副反応報告によって、その安全性において新たな懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○森尾座長 皆様、うなずいていただいたと認識いたしました。どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、資料1-8について事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 新型コロナワクチンに係る合同部会資料について、資料1-8をご覧ください。
 新型コロナワクチンについては、特例臨時接種としての取扱いを令和5年度末で終了し、令和6年度以降は定期接種として実施することとされたところでございます。また、特例臨時接種終了に伴いまして、ワクチン接種記録システム(VRS)の運用も終了し、令和6年度以降の接種記録の登録は行われないことになった等、このような接種環境の変化等を踏まえまして、改めて本合同部会の資料の構成等について見直しを行う必要がございます。
 そこで、今後の新型コロナワクチンにおける評価資料について、今回その御提示の方法についてお諮りをしたく、資料1-8として御提示をするものです。
 まず変更点についてでございますが、新型コロナワクチンにおいて、これまで迅速性等の観点から死亡事例以外で行っていなかった医療機関報告と製造販売業者からの報告の名寄せ作業について、他の定期接種のワクチンと同様、今後は行っていくこととしてはどうかとしております。
 一方、新型コロナワクチンの安全性については、特例臨時接種終了後も依然として高い関心が寄せられており、これまでと同様に丁寧な評価を行っていくという観点からも、定期接種及び任意接種の報告状況につきましても、原則は特例臨時接種において提示した資料構成を継続していくこととしてはどうか。
 ただし、接種者数の算出については、VRSの新規登録終了に伴いまして、今後は他のワクチンと同様、製造販売業者によるワクチンの出荷量に基づく接種可能延べ人数として提示すること、あわせて、従来実施してきた性別年齢別評価は、性別・年齢別の接種者数の把握が困難となるため廃止するという方向で考えております。
 具体的な資料構成案につきましては、この枠内に囲っております記載のとおりでございます。
 なお、この資料構成案につきましては、今年度からの定期接種及び任意接種についてのものでございまして、3月末までに接種されました特例臨時接種分の報告状況につきましては、次回の部会でも名寄せを行わない現在の資料構成により御提示する予定としております。
 また、次ページ以降でございますが、2019年、2020年から本部会で用いております定期接種ワクチンの資料作成ルールにつきまして、現在の運用に合わせて記載整備を行っておりますので、参考として添付をしております。修正点につきましては、訂正線又は下線部でお示ししております。
 以上でございます。
○森尾座長 ありがとうございました。
 特例臨時接種が終了し、また、VRSの運用が終了するということで、少し資料構成案を変更するということでございます。ただ、定期接種に移行するものの、できるだけ丁寧に見ていくということで、資料構成は今まで引き継がせていただくところを提示していただいたと認識しております。
 委員の皆様から何か御質問や御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、事務局からいただいた案のとおりで進めさせていただけたらと思います。どうもありがとうございました。
 新型コロナワクチンに関する議論は以上でございます。
 それでは、議題の2「新型コロナワクチン以外の各ワクチンの安全性について」に入りたいと思います。
 それでは、事務局から資料2-1から資料2-34の説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、新型コロナワクチン以外の審議対象の全てのワクチンについて、2024年1月から3月末までにおける副反応疑い報告の報告状況について御説明いたします。
 資料は2-1から2-34及び参考資料18になります。
 資料数が多く、また、委員の先生方には事前に資料を配付しておりますので、本合同部会における説明では、特筆すべき点や専門家評価対象となっている症状の報告状況を中心に御説明させていただきます。
 初めに、今回の報告対象期間中に5種混合ワクチン及び高齢者に対するRSウイルスワクチンの接種が開始となっておりますので、資料2-18及び資料2-25として新たに資料を作成しておりますが、集計対象期間中の副反応疑い報告はなかったことを御報告させていただきます。
 続いて、今回の審議会においては、資料2-11としてHPVワクチン接種後の失神関連副反応疑い報告についても御報告させていただいておりますが、これまでの報告と比較して傾向の変化や頻度の増加などはございませんでした。
 また、HPVワクチンであるシルガード9は、承認条件である医薬品リスク管理計画書にて規定された全例登録による強化安全監視活動を行っており、令和5年1月20日開催の審議会において中間報告書が提出されたことを御報告させていただいております。
 今回、製造販売元であるMSD社より最終報告書が提出されましたので、資料2-10-2として参考にお示ししております。委員の先生方には事前に共有させていただいておりますので、詳細な説明は省略させていただきますが、32ページ目からの企業見解書には報告書の概要がまとめられております。MSD社からは、新たな安全性の懸念は認められなかったとの見解が示されており、事務局としましても同様の見解と認識しております。
 ここまで御説明させていただいた資料を除く資料2-1から2-28に関してですが、今回の集計対象期間におきまして、各ワクチンの副反応疑いの報告頻度はこれまでに比べて特段高いということはございませんでした。
 なお、Hibワクチン、13価肺炎球菌ワクチンの6か月間における死亡例の報告頻度につきましては、資料2-19、資料2-20の1ページ目下段にお示ししているとおり、いずれのワクチンにつきましても急ぎの検討が必要とされる10万接種当たり0.5を下回っている状況でございます。
 資料2-29は、インフルエンザワクチンについてです。今シーズンのインフルエンザワクチンについて、2023年10月から2024年3月末までの結果をお示ししております。接種可能延べ人数は約4900万人となっています。製造販売業者からの報告は24例、医療機関からの報告は75例、うち重篤なものが43例です。製造販売業者からの報告頻度は0.000049%、医療機関からの報告頻度は0.00015%となっております。
 2ページ目からは、報告について内訳別の集計結果を示しております。
 3ページ目の下段では、参考として2021年から2022年のシーズン、2022年から2023年のシーズンを記載しておりまして、今回の報告頻度は過去と比べて特段高いという状況ではございませんでした。
 続いて、専門家評価対象となっている症状の報告状況について御説明いたします。
 まず、資料2-30、ワクチン接種後の後遺症報告一覧でございます。
 今回の集計対象期間におきましては、ワクチン接種後に後遺症が生じたとする報告が対象期間前の再評価の症例で1例、対象期間内に3例ございました。因果関係評価の結果につきましては、いずれも情報不足などにより評価できないとされております。
 続いて、資料2-31、ワクチン接種後のADEM疑いの報告一覧でございます。
 今回の集計対象期間におきましては、報告対象期間前の再評価の症例で3例、報告対象期間内に4例ございました。因果関係評価の結果につきましては、いずれも情報不足などにより評価できないとされております。
 続いて、資料2-32、ワクチン接種後のGBS疑いの報告一覧でございます。
 今回の集計対象期間におきましては、報告対象期間前の再評価の症例で1例、報告対象期間内に6例ございました。報告対象期間内の症例は、いずれもブライトン分類4、因果関係は評価できないとされておりますが、再評価の症例はブライトン分類1、因果関係が否定できないとされております。
 次に資料2-33、ワクチン接種後のアナフィラキシー疑いの報告一覧でございます。
 今回の報告対象期間におきまして、アナフィラキシー疑いが生じたとする報告が、対象期間前の再評価の症例で8例、対象期間内の症例で21例ございました。因果関係評価の結果につきましては、このうち7症例におきまして、ブライトン分類がレベル3以上かつ因果関係が否定できないとされております。
 最後に資料2-34、ワクチン接種後の死亡事例の報告一覧でございます。
 報告対象期間内に報告された症例は8例あり、現在調査中であるNo.20を除き、因果関係評価はγと評価されております。また、対象期間後の報告につきまして、2024年7月8日までに12例が報告されており、そのうち、No.7、No.8、No.9については、因果関係評価はγと評価されております。調査中の症例につきましては、次回以降の本部会にて評価を行う予定となっております。
 新型コロナワクチン以外のワクチンに関する資料2は以上になります。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 また、委員の皆様におかれましては、いつも大部の資料を読み込んでいただきましてありがとうございます。
 今回、2-25のところでRSウイルスワクチンが初登場だと思います。副反応報告はなかったということでございました。
 それでは、事務局からの報告、説明につきまして質問、意見がありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 よろしいですか。どうもありがとうございます。
 それでは、これまで議論された内容をまとめさせていただきたいと思います。御一緒ください。
 これまで確認できた内容といたしましては、副反応疑いの報告頻度はこれまで検討したワクチンに比べて特段高いことはない。
 インフルエンザワクチンに関しては、副反応疑い報告数、死亡数、アナフィラキシーの発生頻度等については、昨シーズンのそれらと同等程度であり、大きな変化はなかった。
 後遺症の報告では、対象期間前の症例を含め4例が報告され、いずれも専門家の評価では情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係を評価できないとされた。
 ADEMの可能性がある症例は、対象期間前の症例を含め7例報告され、いずれも専門家の評価では情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係は評価できないとされた。
 GBSの可能性のある症例は、対象期間前の症例を含め7例報告され、対象期間前の再評価症例についてワクチンと症状名との因果関係は否定できないものとされた。そのほかの症例については、いずれも専門家の評価では情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係は評価できないとされた。
 アナフィラキシーの可能性がある症例は、対象期間前の症例を含め29例報告され、4種混合ワクチン、Hibワクチン、13価肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンの同時接種の症例等の7例についてワクチンと症状名との因果関係は否定できないものとされた。そのほかの症例については、いずれも専門家の評価では情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係は評価できないとされた。
 死亡症例は、2024年7月8日時点までに20例報告された。現在調査中の症例を除き、いずれも情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係は評価できないとされた。
 13価肺炎球菌ワクチン、Hibワクチンの6か月における死亡例の報告頻度は、いずれのワクチンも急ぎ検討が必要とされる10万接種当たり0.5を下回っていた。
 このようなことでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○森尾座長 ありがとうございます。
 この内容を踏まえまして、新型コロナワクチン以外の各種ワクチンについて、現状の取扱いを変更する必要があるかどうか、御意見がありましたら承りたいと思います。
 ありがとうございます。
 それでは、御審議いただいたワクチンについては、これまでの副反応報告等によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○森尾座長 皆様うなずいていただいたと認識いたしました。どうもありがとうございました。
 それでは、議題3「HPVワクチンについて」に移りたいと思います。
 事務局より資料3-1の説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
 では、引き続きまして、HPVワクチンの実施状況について、資料3-1と書いてある縦の紙をご覧いただければと思います。こちらについて御報告させていただきます。
 この実施状況につきましては、前回は、今年1月の本合同部会におきまして、令和5年度の上半期の状況について御報告したところでございます。
 今般、令和5年度1年間の接種状況について、HPVワクチンの定期接種の実施状況を各都道府県を通じまして全市町村に調査を行いまして、その結果を資料におまとめをしているところでございます。
 表がございますが、こちらに従来の定期接種とキャッチアップ接種とに分けて実施状況、接種者数等を記載してございます。
 また、従来の定期接種の上のほうの欄には、全国の年間実施率としてパーセンテージをお示ししておりまして、今回、令和5年度における実施率については、初回の接種は62.1%、第2回は40.1%等となっているところでございます。
 計算方法等については、ページ中段以降の留意事項のところに記載してございますので、適宜御参照いただければと思います。
 簡単ではございますが、3-1の御説明でございます。よろしくお願いいたします。
○森尾座長 ありがとうございました。
 それでは、これまで御発表いただきました資料3の説明について、委員から御質問、御意見はいかがでしょうか。
 キャッチアップ接種もそろそろ終了という状況でございますが、よろしいですか。
 どうもありがとうございます。それでは、特段の御意見がないものと認識いたしました。
 続いて用意させていただいたものは、「HPVワクチンの安全性に関するフォローアップ研究(研究代表者:岡部信彦先生)」についての経過報告を行っていただくということにしております。
 本日は研究分担者である竹原参考人に御説明をお願いする予定になっておりますが、お入りでしょうか。
○竹原参考人 はい。国立成育医療研究センターの竹原です。
○森尾座長 早くなりまして失礼いたしました。竹原先生、ありがとうございます。
 それでは、お時間を使っていただきまして、説明をよろしくお願いいたします。
○竹原参考人 ありがとうございます。
 では、資料3-2に関して御報告をさせていただきます。
 「HPVワクチンの安全性に関するフォローアップ研究」ということで、岡部先生の研究班の中で分担課題として実施させていただいております。
 タイトルの次のスライドに進んでいただきまして、HPVワクチン接種後に症状を呈した患者のサーベイランスについて、2022年の4月以降、HPVワクチンの積極的な勧奨が再開された後、HPVワクチン接種後の体調不良を主訴として協力医療機関を受診した患者数の推移を把握させていただいているもので、これまでもこちらの検討部会で何回か報告をさせていただいたものの続報となります。
 こちらは各医療機関を受診した患者数のウェブアンケート調査で、毎月1回、何人ぐらいHPVワクチン接種後に何らかの症状を訴えて協力医療機関を受診したのかということを全国規模で把握しているものでございます。
 次をよろしくお願いします。その次もよろしくお願いいたします。
 こちらが2022年度の数値になります。積極的接種勧奨の再開の前の2022年の3月分というのを1行目の一つのコントロールという位置づけとして見て、その後、積極的接種勧奨再開後にどのようになったのかという形で、毎月1回数を収集して整理しているという段階になります。
 まずこちらのスライドが2022年度の状況、次のスライドをお願いします。こちらが2023年度、そして、もう一個次もお願いします。こちらが最新の2024年度の状況となります。
 では、最後をお願いいたします。
 サーベイランスは3年目に突入しましたが、積極的勧奨再開前の2022年の3月時点と比べて、再開後、新規受診患者数は大体1月当たり5~21人、継続受診患者数は30~40人程度で推移をしておりました。今年度、最初の2か月間に関しては30人程度で推移しており、全体を通じて新規・継続受診者数のいずれにも顕著な変化は認められていないということを御報告させていただきます。
 こちらの結果に関しては、ブロック拠点病院のほうでも定期的に御報告をさせていただいておりますので、引き続きそういったサーベイランスとその結果の現場への速やかな報告というのを続けてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上になります。
○森尾座長 ありがとうございました。
 大変重要なサーベイランス調査でございますが、委員の皆様から質問、コメント等がありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 よろしいですか。どうもありがとうございます。
 それでは、これはまだ継続して行っていただくということと理解しておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 竹原先生、どうもありがとうございました。
○竹原参考人 ありがとうございました。
○森尾座長 それでは、議題の4に移らせていただきます。議題の4は「新たに定期接種に位置づけられるワクチンに係る副反応疑い報告基準について」でございます。
 事務局より資料4の説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料4をご覧ください。
 小児に対する肺炎球菌ワクチンに係る副反応の疑い報告基準についてということで御説明させていただきます。
 小児に対する肺炎球菌ワクチンについては、現在13価と15価のワクチンが用いられております。今般、20価のワクチンが薬事承認され、定期接種での使用に向けた議論がなされておるところでございます。
 今回、本部会では、定期接種で20価のワクチンが使用されることになった場合、副反応疑い報告基準をどのようにすべきかということについて御議論いただくものでございます。
 それでは、資料3ページをご覧ください。
 まず初めに、副反応疑い報告の制度について御説明を申し上げます。
 制度の趣旨としましては、副反応疑い報告制度は、予防接種後に生じる種々の身体的反応や副反応等について情報を収集し、ワクチンの安全性について管理・検討を行うことで、広く国民に情報を提供すること及び今後の予防接種行政の推進に資することを目的としております。
 報告の義務につきましては、予防接種法の第12条において、また、報告の要件は施行規則第5条に規定されてございます。
 次の4ページは副反応疑い報告基準設定の考え方についてということで、平成25年の予防接種部会において整理されたものでございます。
 次のページは参考になりますけれども、報告対象、報告事項につきましては、こちらのページにあるとおりでございます。
 現行の副反応報告基準につきましては、6ページ、7ページにございます。
 8ページは疾病分類・定期接種の対象についてということでございまして、小児の肺炎球菌感染症については、対象者が生後2か月から60か月に至るまで、標準的接種期間としては、初回接種が生後2か月から7か月、追加接種が初回接種の終了後60日以降、生後12から15か月に至るまでとされてございます。
 次の9ページでございます。こちらが20価の沈降肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20)についての製品概要でございまして、赤字が現行の13価の製品との違いになってございます。
 次の10ページでございます。こちらは、今月の18日に開催されました予防接種基本方針部会の検討の結果でございます。下のピンク色の枠のところをご覧いただければと思いますけれども、基本方針部会の結果といたしましては、現行のPCV20の規定や小委員会での議論を踏まえ、PCV20を定期接種に用いるワクチンに位置づける。当面の間はPCV15も使用できることとするが、PCV13についてはPCV20の発売と同時に供給を停止する意向が示されているため、PCV13の供給停止後に定期接種に位置づけられるワクチンから除くというようにされております。
 11ページ目は接種対象者等のまとめとなってございます。
 12ページ、まとめでございます。
 PCV20の安全性につきましては、薬事審査において評価されており、ワクチン小委員会や基本方針部会においてこうしたデータを確認し、PCV20は現行のPCV13及びPCV15と安全性に差がないと考えられております。
 今後、PCV20を予防接種法の定期ワクチンとして追加するに当たり、当面の間はPCV15の接種も実施されることを踏まえ、副反応疑い報告制度における報告基準を整備する必要があるところです。
 事務局としましては、PCV20につきましては、このスライドの表にありますとおり、現行のPCV13、PCV15と同様の副反応疑い報告基準とすることでいかがかと考えております。
 御審議をよろしくお願いいたします。
○森尾座長 ありがとうございます。
 皆様の記憶どおり、PCV15が認可されて間もないのですけれども、副反応疑い報告について御審議いただきまして、今般、PCV20が認可されたということで、副反応に係る取扱いをどうするかということで事務局から論点をいただいているということでございます。
 委員の皆様からいかがでしょうか。何か質問、御意見がありましたら承りたいと思いますが、よろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、沈降20価肺炎球菌結合型ワクチンの副反応疑い報告基準については、事務局案どおりとさせていただくことでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○森尾座長 どうもありがとうございました。それでは、皆様首肯いただいたということで、そのとおりにさせていただきたいと思います。こちらは今週行われる予防接種・ワクチン分科会のほうで副反応検討部会の意見として提出させていただくことになると思います。どうもありがとうございました。
 それでは、議題の5「予防接種データベースについて」に入りたいと思います。
 事務局より資料5の説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料5を説明させていただきます。
 おめくりいただきまして、3ページでございます。
 予防接種データベース利活用に関するこれまでの経緯から御説明させていただきます。
 4ページ、予防接種基本計画における現在の記載でございます。
 第6のところ、予防接種の有効性及び安全性の向上に関する施策を推進するための基本的事項といたしまして、科学的根拠に基づくデータを収集し、予防接種及び安全性を向上するという記載がございます。
 こちらにつきまして、5ページに詳細を記載しておりますけれども、具体的な記載については赤線を引いている部分でございますが、副反応として報告される症状について、レセプトデータの活用についての記載がございます。
 6ページでございますが、こちらは「予防接種基本計画の見直し等にかかる論点について」という資料でございまして、令和5年3月のワクチン分科会の資料でございます。
 下の事務局案の2マル目のところでございますけれども、予防接種の基本計画の見直しの議論を進めることとなっておりまして、こちらの合同部会における副反応検討部会としての議論における議論の内容も反映していきたいと考えているところでございます。
 また、7ページが現在の副反応疑い報告の仕組みについての表でございます。こちらは既存の資料でございます。
 また、8ページでございますが、ワクチンの安全性評価につきましては、令和2年の予防接種基本方針部会において議論されたことがございます。
 上の記載の2マル目でございますが、副反応疑い報告は、因果関係にかかわらず広範に報告を収集することで、ワクチン接種後の有害報告の発生頻度モニタリングし、まれな副反応等を察知する機能に優れているというものでございます。下の絵の左側、リスクの探知のところに副反応疑い報告等と記載しております。
 一方で、右側、リスクの検証におきましては、ワクチン接種群と非接種群におけるリスクを比較して安全性を評価するといった取組が求められておりまして、別途疫学調査等が実施されているというところでございます。
 一方で、9ページでございますけれども、こちらも令和2年の基本方針部会の資料でございますが、ワクチンのリスクを検証するために必要なワクチンの接種歴及び有害事象の発生に関する情報は、現在、国や市町村、保険者等、各主体が個別に保有しているものでございまして、連結して用いることは容易ではないというのが現状でございます。
 こちらは令和2年の基本方針部会でいただきました委員の御意見を要約しておりますけれども、要約しますと、米国においては、予防接種記録と診療の記録を結合したVSDと呼ばれる仕組みがございますけれども、こういった仕組みと類似の仕組みの必要性について指摘されたところでございます。
 11ページでございますが、令和4年度に法改正をしておりまして、詳細については12ページ下、(2)の【予防接種データベースの整備】のところでございます。データベースにつきましては、こちらの2点について規定が設けられたところでございまして、一つには、予防接種の有効性お呼び安全性の向上を図るための調査・研究を行うために、自治体の予防接種の実施状況や副反応に関する疑い報告に係る情報を含む匿名予防接種データベースを整備し、レセプト情報等のデータベース等との連結解析を可能とするというところ。また、下のポツですが、研究機関等への提供に関する規定、いわゆる第三者提供というところでございますが、こちらの整備も行うということとなっております。
 13ページにつきましては、予防接種事務のデジタル化等を踏まえて、この法改正によってどういったことが可能となるかということでございます。
 13ページの改正後の右側のマル2でございますけれども、一番下に記載しておりますとおり、法改正を踏まえまして、予防接種の有効性・安全性に関する調査・研究の充実といったことがデータベースの構築によって可能となるというところを考えております。
 14ページが予防接種法を改正したときの条文でございます。
 15ページが、予防接種事務のデジタル化を行った後にデータベースとしてどういったデータを活用できるかという概念の将来像でございます。こちらにつきましては、既に分科会、また、部会等で御提示させていただいているものでございますけれども、予防接種の記録につきましては、接種記録という形で匿名のデータとして予防接種データベースに格納されます。また、予防接種副反応疑い報告についても、PMDAから副反応疑い報告として匿名で格納されます。また、NDB(レセプト情報・特定健診等データベース)の情報とこの予防接種データベースに格納されている情報を連結しまして、予防接種の有効性・安全性を調査・研究することができるということが法改正によって可能となったところでございます。また、こちらについて、第三者提供の形で連結して解析可能な状態で提供できるということでございます。
 16ページは予防接種データベースの整備イメージでございまして、昨年9月にこの合同部会の場で御議論いただいたところでございます。データベースに格納する内容につきましては既存の情報を利活用するところでございますが、自治体から予防接種の実施状況に関する情報、また、PMDAから副反応疑い報告に関する情報を格納するという方向性で検討を進めるといったことを昨年この場で御議論させていただいたところでございます。
 17ページが、昨年9月の合同部会においてお認めいただいた方向性の内容でございます。上のワクチンの安全性評価全般についてのところの方向性でございますけれども、令和4年12月の予防接種法の改正に基づき、市町村や保険者等が保有しているワクチン接種歴等の情報を活用し、ワクチンの安全性評価におけるリスクの研修について取り組む方向性で検討するということ。また、この取組に向けまして、予防接種データベースに格納する情報、情報の分析手法や施策への反映の在り方等については、関係の専門家(国立感染症研究所、PMDA、レセプト情報に関して知見を有する研究者等)と連携し、技術的検討を進めるという方向性でございます。
 18ページが、その後、令和6年3月の予防接種基本方針部会でいただいた委員の御意見の要約でございますが、まず一番上にデータベースの活用について、諸外国の情報提供してほしいということ。また、ほかにレセプトの病名についての課題があるのではないかといった御意見をいただいたところでございます。
 19ページが政府の計画等における記載というところでございまして、この予防接種データベースを整備するということについては、上の箱については、いわゆる骨太の方針と言われるところにも記載がございますし、下の箱、新型インフルエンザ等対策政府行動計画におきましても、予防接種データベースを活用した有効性・安全性に関する調査・研究について、準備期からの対応として記載があるところでございます。
 20ページは少し話が変わりまして、予防接種データベースについてのユースケースでございますけれども、20ページのデータにつきましては、特定の自治体で予防接種歴とレセプトのデータをひもづけた解析の例の一つでございまして、国内における新型コロナのmRNAワクチン接種後一定期間とそれ以外の期間のリスク、リスクについては論文の要約の中の箱に書いてあるとおり、急性心筋梗塞等のリスクでございますが、こちらについて自己対照ケースシリーズ分析を用いた比較解析により、新型コロナmRNAワクチンは一般的に安全であると報告されたという例がございます。
 こちらの報告につきましては、こちらの合同部会において既に報告しているものでございます。
 また、21ページは、令和5年3月の基本方針部会でお示しした解析の例でございますけれども、こちらも自治体が保有する予防接種記録と国民健康保険等に係るレセプト情報、また、新型コロナウイルス感染症等の把握情報や管理支援システム(HER-SYS)の情報を組み合わせて解析することにより、予防接種歴の有無別で比較したイベントの発生率を評価することが可能となったという解析の具体例でございます。
 また、22ページにつきましては、基本方針部会でも委員から意見があったところでもありますが、NDBを活用して特定の疾患の患者数を集計する上での課題と必要な内容をまとめております。
 課題につきましては、既に御指摘はされているところでありますけれども、レセプト情報(NDB)につきましては、医療機関から保険者への請求情報であり、傷病名や投薬・処置等の記録は含まれますけれども、以下のような課題がございます。
 1つ目には、レセプト上の傷病名は疑い病名を含む複数の病名が付与されるため、患者の真の病態を反映した病名以外の病名が付与される可能性があるということ。
 また、2つ目には、疾患によってNDB上での集計のしやすさが異なるということでございます。
 こちらの対応につきましては、まず、接種者と非接種者の比較分析で活用する場合には、両群に一定のノイズが含まれても、評価上、大きな問題とはなりにくいと考えられるということ。
 また、2点目に、NDB上での疾患の定義に当たり、複数の傷病名や検査等を組み合わせて定義の精度を高めることや、推計結果を我が国の各疾患の患者数等の既報と比較するといった評価を行う必要があると考えております。
 また、3点目に、上記のこれらの点も含めまして、レセプト解析の専門家や臨床の専門家と検討し作成することが必要であると考えております。
 23ページ以降は、海外におけるデータベースを活用した安全性評価でございます。
 24ページは、米国、英国、フランスにおいて、自動的なサーベイランスシステムによるシグナル検出に加えて、予防接種記録と診療記録や健康保険データを活用したワクチンの安全性評価の枠組みが実装されているということの御紹介でございます。
 米国においてはVSD、英国においてはCRPD、フランスにおいてはSNDSと呼ばれるデータがございまして、これらは接種記録と診療に関する記録等を連携したデータベースでございます。
 25ページは米国、英国、フランスにおける診療記録と接種記録を連結したデータベースの概要でございます。こちらにつきましては、まず米国、英国、フランスにおいてこういったデータベースが構築されて、安全性の評価に利用されております。そのうち、米国とフランスにおいては費用請求のデータ、いわゆるレセプトのデータが連携されております。また、米国と英国では電子カルテ情報も参照することができるということでございます。
 26ページは、米国におけるワクチンのモニタリング・安全性評価についての御紹介でございます。こちらは令和2年の基本方針部会でもお伝えしているところでございますが、上の文章の2マル目でございますが、効率的にワクチンのモニタリング・安全性評価を実施するために、検討を要する有害事象を検知するための体制、VAERSと呼ばれるものと、検知したリスクを検証するための体制(VSD)をそれぞれ整備しているところでございます。
 米国のVSDにおきましては、右側下の記載でございますが、集約したデータを基に後ろ向きまたは前向きに特定のワクチンの接種群/非接種群における有害事象の発生率を比較することができるということでございます。
 27ページでございますが、こちらは米国におけるVSDを活用した安全性評価の例でございます。米国の予防接種に関する安全性評価において、VSDは主に以下のような目的で利用されているというところで、2つの例を御紹介しております。
 下の箱の左側、青色の部分につきましては、自動的サーベイランスであるVAERSで検知したリスクについて、VSDを用いてリスクの検証を行うという例でございまして、ロタウイルスワクチンの例を記載しております。
 また、右側、赤色の部分は、関心のある一部の疾患に対してVSD-RCA(Rapid Cycle Analysis)として週単位の迅速なリスクの評価を行うという分析の例がありまして、こちらについては新型コロナワクチンの例をお伝えしております。
 29ページが、ワクチンの安全性評価に関する予防接種データベース活用の方向性についてでございます。
 2023年の9月の本合同部会の議論を踏まえまして、予防接種データベースを活用して、接種者と非接種者におけるリスクの比較(リスクの検証)を行う方向性で、研究班等における検討を行いつつ、関係の専門家、こちらについては国立感染症研究所やPMDA、レセプト情報に関して知見を有する研究者等の協力も得て対応したいと考えております。
 また、幅広い解析を可能としつつ、解析結果の疫学的妥当性を可能な限り担保するために、予防接種データベースに格納される接種歴やワクチンに係る情報のほか、予診票の情報といった予防接種法の規定を踏まえて収集可能な情報を活用していきたいと考えております。
 その際、予防接種データベースや連結可能な公的データベース、NDB等の情報の性質等を念頭に、実施可能な分析の範囲や結果の制約は考慮していきたいと考えております。
 また、予防接種データベースと連結解析するNDBの特性を踏まえて、適切に解析可能な疾病に絞り込んで解析することとしまして、副反応疑い報告基準やワクチンの科学的知見を踏まえ、解析対象とする疾患の範囲を定めたいと考えております。
 解析対象とする疾患はNDBを用いて適切に集計するために、我が国で利用可能なデータに基づいて、諸外国の取組状況も参考に、一定の妥当性が担保できる疾患の定義を定めたいと考えております。また、NDBによる分析に係る先行研究等も踏まえ、データベースの統計学的な解析手法についても検討をしていきたいといった方向性を考えております。
 事務局からは以上です。
○森尾座長 詳細なプレゼンテーションをありがとうございました。
 言うまでもなく、予防接種の有効性や副反応の解析や評価に有用かつ重要なデータベースになると認識しておりますが、いかがでしょうか。今までも御議論いただいてきた内容ではございますが、今回、方向性ということでまとめていただいております。この機会に何か質問、御意見、コメント等がありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 恐らく期待があり、要望も多いのではないかと思いますが、非常によく聞かれる質問で申し訳ないのですけれども、解析には、迅速に解析するということと、その後に詳細に解析するという2つの重要な課題があると思うのですけれども、前者の迅速性という点に関して、現時点で何かお考えがあれば教えていただきたいと思います。いかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。
 解析を迅速にするための体制の整備というのは重要と考えております。まだこちらはデータベースを現に構築している段階でございまして、今後実装するに当たっては、そういった迅速にデータを参照して、また、解析するにはどうしたらいいかといったことも含めて検討してまいりたいと考えております。
○森尾座長 ありがとうございます。
 これはNDB側の迅速なデータ提供というところも必要になると考えてよろしいですか。
○事務局 おっしゃるとおりでございまして、NDBに情報が早く連結できなければ、連結した解析というのは難しいところでございます。種々の制約もある中でございますが、できるだけ早くするにはどうしたらいいかというところを検討してまいりたいと考えております。
○森尾座長 ありがとうございます。
 山縣委員、お願いいたします。
○山縣委員 ありがとうございます。
 今、座長が言われたように迅速に構築されることを期待したいと思うのですが、それと同時に、なるべく多くの人というかオープンになって活用できたほうがいいと思うのですが、その辺り、今後どういうふうに進んでいくかということについてはいかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。
 こちらは第三者提供という形で、一定の審査は必要かと思いますけれども、公益的な研究に対してデータを提供していきたいと考えております。先行するNDB等のデータにおいても、第三者提供のガイドラインといったものを定めて対応していることかと思いますけれども、こちらの予防接種データベースの取組においてもそういったルールといったものを検討した上で、第三者提供ができるように準備を進めていきたいと考えております。
○山縣委員 ありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
伊藤澄信委員、お願いします。
○伊藤(澄)委員 教えていただきたいのですけれども、こういった新しいシステムを入れることで、従来からやられていた調査とかが省略される、もしくは中止される予定とかはあるのでしょうか。それとも、これは単純に上乗せでデータを取ることを考えておられるのでしょうか。
○事務局 事務局でございます。ありがとうございます。
 そこの辺りはまだ検討段階ではあるのですけれども、基本的には今までやってきたことというのはまさに必要があって調査・検討を研究班等も含めてやっていただいていたことであって、プラスアルファとしてこういった研究ができるということでございますので、これまでのものを廃止するということは基本的には想定はしていないところだと思います。
 また、今回事務局からお答えしたとおり、このデータベースを活用した解析というのは一定のリミテーションもあるのだろうと思っているので、何でも解決できるというところは難しいこともあろうかと思いますので、そういった意味で言うと、これまでの取組に加えてさらに評価できるのではないかというところで構築していくというところがメインになるかなと思っております。
 以上です。
○森尾座長 宮入委員、お願いいたします。
○宮入委員 ありがとうございます。
 皆が待ち望んでいる展開だと思いますが、具体的なタイムラインなどについて、何か考えられていることがありましたら教えていただけますか。
○事務局 ありがとうございます。
 この予防接種データベースを利活用可能とする法律の施行としましては令和8年度ということではございますけれども、我々、その後に準備をいたしまして、活用可能なところから始めていきたいと思っております。具体的にいつからといったところについては、今後詰めていきたいと考えております。ありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 ありがとうございます。
 29ページに方向性ということで5点まとめていただいております。もし特段の御異議がなければ、提示された方向性についてお認めいただいたと認識させていただければと思います。よろしいですか。
(委員首肯)
○森尾座長 ありがとうございます。
 恐らく要望や期待は非常に多く、また、大きいものだと認識しておりますが、ぜひ事務局におかれましては、本日委員から出た要望、意見も踏まえまして、引き続いて検討をお願いいたします。どうもありがとうございました。
 皆様の御協力をいただきまして、本日の議題は以上で終了でございます。
 全体を通じて何か質問、御意見等がございましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、最後に、事務局より次回の開催についてよろしくお願いいたします。
○事務局 本日は、長時間にわたりまして活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。
 次回の開催につきましては日程調整の上、日時について御連絡をさしあげます。
 以上でございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 それでは、本日の会議はこれで終了いたします。活発な御議論をどうもありがとうございました。