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- 2024年7月5日 令和6年度第4回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録
2024年7月5日 令和6年度第4回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録
日時
令和6年7月5日(金)16:00~18:30
田中田村町ビル 6E会議室
(東京都港区新橋2-12-15)
議題
- (1)テーマごとの検討④(少子高齢化やデジタル化の進展等に対応した薬局・医薬品販売制度の見直し)について
- (2)テーマごとの検討②(新技術による医薬品等にも対応したリスクに基づく市販後安全性対策の強化、法違反事例を踏まえた更なる法令遵守や品質確保の取組の実施)について
議事
○重元総務課長 定刻になりましたので、ただいまから令和6年度「第4回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変御多用のところ御出席いただきまして誠にありがとうございます。
はじめに、事務局から連絡事項を申し上げます。本日は会議室における対面形式とオンライン形式を併用して本部会を進めさせていただきます。本部会につきましては、公開とさせていただきますが、一般の方の会場への入場を制限し、報道機関の方のみの入場とさせていただいております。会議の議事録は後日公開いたします。また、YouTubeでの同時配信も行っております。
厚生労働省全体の取組としまして、審議会等のペーパーレス化を進めております。本日はペーパーレスでの開催とさせていただきますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作などで御不明点などがございましたら、適宜事務局等がサポートいたしますのでよろしくお願いいたします。
続きまして、資料の確認をいたします。議事次第にお示しのとおり、資料1及び資料2、資料2に関する参考資料、各種閣議決定文書に関する参考資料、委員提出資料、参考人提出資料がございます。Web参加の委員におかれましては、事前にこれらの資料をメールにて送付しております。過不足などございましたら御連絡いただければと思います。
最後に、審議中の御意見、御質問の方法についてお知らせいたします。まず、会場にお越しになって御参加いただいている委員におかれましては、挙手をしていただき、部会長から指名をされましたら、卓上のマイクをオンにして御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたら、マイクをオフにしていただきますようお願いいたします。また、オンラインで御参加いただいている委員におかれましては、御発言をしない間はミュートにしていただきますようお願いいたします。御発言の際はZoomの挙手ボタンを押していただき、その後、部会長から順に発言者を指名しますので、マイクをオンにして御発言をお願いいたします。また、御発言が終わりましたら、ミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、カメラについては常時オンにしていただきますようお願いします。
続きまして、本日の委員の出欠状況ですが、中濱委員、山口委員より、所用により欠席との御連絡を頂いております。中濱委員の代理として、日本製薬団体連合会安全性委員会委員長、滝田諭様が代理出席をされております。
また、議題1に関連して、日本チェーンドラッグストア協会の森参考人に御出席いただいております。
続きまして、第3回の部会以降に、事務局の人事異動がありましたので御紹介をさせていただきます。はじめに、大臣官房審議官(医薬担当)の佐藤です。次に、監視指導・麻薬対策課長の小園です。次に、監視指導・麻薬対策課監視指導室長の山本です。最後に、私は総務課長を拝命した重元です。よろしくお願いいたします。
それでは冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。以降の議事進行は、福井部会長にお願いをいたします。
○福井部会長 福井です。どうぞよろしくお願いいたします。本日も様々な立場からの御意見を伺いたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ただいま事務局からのお話の中にもございましたように、中濱委員の代理として滝田参考人が代理出席されております。また本日の議題1の医薬品販売制度に関する議論の続きを行うに当たりまして、前回に引き続き、日本チェーンドラッグストア協会の森参考人に出席いただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
資料1は前回と全く同じ内容ですので、事務局からの説明は割愛させていただき、参考人の森様から提出されております、販売現場からの御意見についての説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○森参考人 ありがとうございます。一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会副会長の森信でございます。審議会の議論に当たり、当協会を参考人として、本日もお招きいただきましてありがとうございます。前回、6月6日の制度部会におきましては、私が少々感情的な発言をいたしましたことを、本当に心からお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。
それでは早速、資料3ページを御覧ください。資料を読ませていただきます。私どもは最初に参考人として参加させていただいた際に、医薬品の濫用等から国民の皆様を守るゲートキーパーとして、必要な確認等は毅然と行うことを宣言いたしました。若年層をはじめとする濫用等のおそれのある医薬品の濫用防止対策は重要な課題だと捉えております。よって、濫用等のおそれのある医薬品の販売に際して、薬剤師や登録販売者が適切に関与する必要があることは異論ございません。
5ページをお願いいたします。少々説明に時間を頂きますが、客観的なデータに基づく議論のお願いです。濫用等のおそれのある医薬品の販売につきましては、令和2年9月に、「「濫用等のおそれのある医薬品」の適正販売に向けた販売者向けのガイドラインと関係団体等に向けた提言」が発せられ、昨年令和5年にはほとんどの総合かぜ薬が規制の対象となるなど、厚生労働省により、数次にわたり通知が発出されておりますが、当協会としましても厚生労働省の取組に協力してまいりました。不足していた部分はあると思います。今般、更なる規制強化が提案されておりますが、立法による規制強化に当たっては前提としての立法事実が必要であり、「有用性と濫用のバランスは数値化できないのか」と、5月16日の制度部会におきまして、福井部会長様からの御発言もございました。
審議会におかれましては、救急搬送や中毒性を起こした若者がどの成分をどの程度服用しているのか、服用したのか。有用性と濫用のバランスの数値化はできないのか。また、2023年、昨年の4月より総合かぜ薬が濫用等のおそれのある医薬品に指定され、業界として本格的に取り組んでまいりました。「原則ひとり1個販売」の対応後の濫用状況の実態把握はされているのかというところです。こうした点に着目し、販売規制を強化すべき立法事実を客観的なデータに基づき議論いただきたく存じます。
6、7ページをお願いいたします。各ページは前のページが分かりやすいように、データだけを載せております。2020年、令和2年9月から、氏名と年齢、これは若年者への販売時のみですけれども、それから他の店舗での購入状況、適正使用のために必要な数量以上の購入希望者に対して、購入理由などの確認のガイドラインが厚労省より提言され、2023年4月1日からは、ほとんどの総合かぜ薬が対象となっております。それでは不十分であるとして、更に強化をしようとされておりますが、そもそもこのページのデータは、2019年3月までのデータでしかありません。客観的なデータには基づいていないのではないかと思います。
8、9ページを御覧ください。このデータは2014年から2022年、2020年はコロナ禍の最中です。このデータは精神科で治療を受けた10代患者において、濫用のおそれのある医薬品に限らず、市販薬を主たる薬物とする患者の割合が増加しているとありますが、2020年は、特有の要因として、コロナ禍における自粛、社会的孤立の影響が大きいと考えられます。課外活動等を含めて、学生生活の萎縮や遠隔化による孤立感等があるときでした。嶋根先生ほか、専門家の方々のこれまでの発表や報告からも、明確にコロナ感染の流行により若年者の濫用が拡大したとされております。2023年4月から、濫用のおそれのある医薬品として、ほとんどの総合かぜ薬が対象となり、先ほども申しましたように、「原則ひとり1個販売」の対応を行っているところですが、昨年の検討会では、その後のデータの提出もなされず、議論されていないと認識しております。
10、11ページをお願いします。このデータは、令和元年、2019年12月から2020年1月の2か月間のデータで、濫用のおそれのある医薬品の依存症患者調査ですけれども、あくまでもこのデータは薬局店舗販売業において、「頻回購入、複数個購入を求められた製品」ということ以上の調査ではないということです。これは依存症患者調査と販売実態調査という表題と記載内容が一致していないのではないかと思います。
次に、12、13ページをお願いいたします。このデータは2017年から2021年のデータです。本報告の過量摂取に関する相談の多い上位10医薬品のうち、本報告当時、濫用等のおそれのある医薬品として規制の対象であったのは、10品目のうち3医薬品、エスエスブロン錠、ウット、ナロンエースです。定められた濫用等のおそれのある医薬品と過量摂取に関する相談事例の多い医薬品、複数箱を摂取している医薬品との実態が一致していないデータと思われます。
14、15ページをお願いいたします。こちらは2021年5月から2022年12月31日コロナ禍のデータです。救急医療における薬物関連中毒症に関する実態調査ですけれども、中毒症状に陥る上位4成分は、無水カフェイン、メチルエフェドリン、クロロフェニラミン、ジヒドロコデイン・コデインと続いておりまして、一番多いものが無水カフェインの22.2%です。つまり鎮咳薬といったようなものに含まれている成分の商品ではなく、今、多くの人が飲用しているエナジードリンク、つまりカフェインのほうがよほどの中毒性があるのではないかと思います。その無水カフェインはそもそも濫用のおそれのある医薬品には入っておりません。この実態調査データと規制対象がずれているのではないかと考えています。
16、17ページをお願いします。こちらは2014年から2022年のデータですが、2020年の販売方法が適正であった割合が、こちらは薬局で47.1%と、赤枠の所ですが、大幅に落ちている、低下しているということですけれども、コロナ禍で来店されるお客様との会話を控えているときで、会話自体を自粛している時期の数字ですので、この期間中の数値を過大視すべきではないと思います。ここではインターネットは落ちてないではないかというデータになっていますけれども、インターネットは会話はありません。
続きまして、18、19ページをお願いします。こちらは2020年から2023年6月のデータです。本調査結果は市販薬に限らず処方薬や誤飲等が含まれている等の理由から、「医薬品の過剰摂取」が原因で搬送された事例を網羅しているものではなく、あくまでも参考値として調査したものとされています。市販薬の内容も不明です。別の報告によれば、市販薬の過量服用における濫用等のおそれのある医薬品の割合は高くないというデータもあります。縷々申し上げましたが、薬事に詳しい私どもの弁護士に相談をしまして資料を作成いただきました。データに基づいた議論でなければ業界として納得できませんし、購入者に対して説明できるものではございません。以上が客観的データに基づく議論のお願いです。データがなく立法事実が弱い中で、政策目的とそれに対する手段に合理性を欠いていると思います。
次に、21ページをお願いします。商品の陳列についてです。取りまとめの資料では濫用のおそれのある医薬品について、直接購入者の手の届く場所に陳列しないこととする、いわゆる空箱陳列が示されていますけれども、本年、武見大臣が国会で、医薬品へのアクセスを阻害しないという観点を踏まえつつ、オーバードーズにつながらないようにすることを両立させる方法を、常に考えながら審議を進めていただきたいとおっしゃっておられました。また、医薬品の濫用対策については、国民への周知啓蒙、濫用している者に対する相談対応などの支援という本質的なところを、まず徹底的にやるというのが社会問題としてのオーバードーズの問題に取り組む一番基本的な課題ともおっしゃっておられます。そこで、この空箱陳列こそが、武見大臣のおっしゃるオーバードーズにつながらないようにすることと、医薬品へのアクセスを阻害しないという観点が両立していない提案だと思います。
22ページをお願いいたします。2023年4月からの指定範囲ですが、かぜ薬の棚の商品がほぼ指定対象となり、ドラッグストアでは濫用等のおそれのある医薬品として、一般用医薬品を150~400品目取り扱っております。都市部の狭い店舗では、そこまでないとおっしゃることを耳にしますけれども、確かに私も狭い店舗に行って数えましたが、都市部の狭い店舗では100~160品目取り扱っております。調剤併設なり、薬局等でそれより狭い店においては100品目を下回っている所もあるのは事実だと思います。鍵付き什器設置の場合ですけれども、店舗面積が狭い店舗に鍵付き什器を設置することは物理的に不可能です。ガラス什器ですので、転倒防止のために、特に都市部で地震等があったときに倒れることを防止しなければいけませんので、大型什器の設置が必要となります。購入者が購入を希望するたびに鍵の開閉作業に追われ、購入者の状況確認や必要な情報提供の時間を取れない懸念が生じます。什器の設置場所の確保と、全国的に鍵付きとなれば膨大な費用が発生することも事実です。今まで手に取って見比べて医薬品を選んでこられた適切な購入者にとって、著しく不便な取扱いであって、セルフケア・セルフメディケーションの理念に正面から反していると思います。
空箱陳列の場合は購入者が購入を希望するたびに、これは想像していただければ分かると思いますが、倉庫に商品を取りに行くわけですので、多くの人員を必要とします。これが薬剤師・登録販売者がその作業に追われるとなれば、本来の役割である購入者の状況確認や、必要な情報提供が果たせなくなります。購入希望者を待たせることで、今、社会的に一番問題になっていますカスハラ被害の増大が懸念されます。ドラッグストア業界でアンケートを取りましたけれども、カスハラの大小はあったとしても、カスハラ被害を受けたことがある人ということで集計したところ、約半分の者がカスハラ被害を受けているのが事実です。それにより退社する者もスタッフの中で発生していることも事実です。新たに商品を在庫するためのスペースを店内又は倉庫に確保することは極めて困難です。特に、大多数の都市部の店舗や売場面積が狭い店舗は倉庫スペースも狭いため、対象商品を倉庫に保管することは不可能です。もしそこに保管するとなれば、どこに何を置いているかを瞬時に分かるような仕組みも要るということですが、元々そういう倉庫スペースが狭くて置けないというのが事実です。
24、25ページは前回も提出させていただきましたが、参考までに、今ある濫用のおそれのある医薬品というものを全てバック棚陳列するということをやったところ、バック棚陳列の場合、幅で90cm、高さで150cmの棚が約4本必要となります。そこに手の届かないようにすることは、オーバーザカウンターとしてカウンターが必要となりますので、バック棚を含めて約5坪のスペースが新たに必要になります。現実的に不可能です。大多数の都市部の店舗や売場面積の狭い(30~50坪程度)の店に、新たに5坪を設けることはビジネスを辞めろということです。特に、鍵付き什器の設置の場合と、バック棚陳列の場合を想像してください。鍵付き什器の場合とバック棚陳列の場合においては、適切な使用目的で購入をしようと思われていた方の手に届くことができなくなります。購入者の医薬品へのアクセスを過度に阻害するものです。本日出席の皆様方も、風邪をひかれたときは、ドラッグストアでかぜ薬を見比べながら購入された経験はおありになるのではないかと思います。このような医薬品へのアクセスが過度に阻害されるわけです。
27ページをお願いいたします。次に、販売記録です。取りまとめでは一定の場合において、購入者の氏名等の記録・保管を提案されております。
28ページをお願いいたします。購入者の情報を集めて保管することが提示されていますが、複数店舗での買い回り、これも御想像いただければと思います。購入者の情報を集めて保管することを、もし1店舗でやったとしても、ほかの店舗での買い回り、インターネットでの購入、インターネットも複数のサイトで購入することができます。複数回の購入が可能ですから、これは実効性がある対策とは言えないと思います。規制の合理性と目的と効果のバランスのいずれも適切ではございません。また、ドラッグストアにおいてはお客様の情報をお預かりすることは極めて重大な意味を持ちます。情報漏えいが深刻であることは皆様御存じのとおりです。情報漏えいの対策をしていない企業が漏えいすることもありますが、昨今、先週もありましたけれども、実名は言いませんが、大企業でしっかりした情報漏えいをしているはずの企業もハッキングの被害にあっています。企業が個人情報を集めてそれを営業目的に使っている、典型的な個人情報を使っているのであれば、仮に情報漏えいが生じたとしても企業が責任を負うことが当然ですけれども、今回の提言のように、企業としては利活用が著しく難しい情報の収集を義務付けられ、漏えいの際には責任を持てよと、責任を負わされることは合理的ではないと思っております。
また、ポイントカード等をやっているから、それに紐づけできるのではないかという御意見をされた方がおられましたけれども、ドラッグストアでのポイントカードはあくまでもポイントサービスで、これは我々大手ドラッグチェーンからの実データですけれども、氏名、住所、性別、年齢といった基本情報がそろっているのは、記入している中の17.5%にしかすぎません。更に来店されるお客様に占める割合は1割を切っております。また、ここですけれども、記載していただいた情報は本人確認のできる書類等の突合などは一切行っておりませんので、架空の名前で記載されているものが多数あるわけです。あくまでもポイントサービスの域を出ておりませんので、これを活用することは困難です。29ページに、個人情報漏えいの日経新聞の記事も載せております。
次のページを御覧ください。カスタマーハラスメントの実例を30ページに記載しております。これも1例ですけれども、カスタマーハラスメントが起こり、退社をするような者がいるのも事実です。これ以上の負荷をかけるというのは、我々業界で働いている何十万という者、いやもっと多くの者が関与している中で、カスタマーハラスメントが増えることは非常に厳しいところです。
続きまして、32ページを御覧ください。医薬品の販売区分についてですが、これは反対しているというよりも、今の分類のやり方はもう慣れていまして、販売側も購入者も慣れていて、副作用等による健康被害が生じるリスク等の程度に応じて区分されていることが一目瞭然で分かる状況なので、これをもし変えられるならば、合理的な観点から取り組んでいただきたいということです。これを大きく反対しているわけではございません。意見を述べさせていただいております。
縷々申しましたけれども、データがなく立法事実が弱く、したがって政策目的とそれに対する手段に合理性を欠いていると思わざるを得ません。実際に空箱陳列、個人情報の記録保管は不可能です。ただし、社会的責任は果たさなければいけないということは痛感しておりますので、資格者の販売に対する関与は強めていくことを決意しているところです。
35ページです。日本チェーンドラッグストア協会の意見要旨です。ここも重要なところですけれども、2014年に法改正がされ、ネット販売が解禁になった年まで薬剤師・登録販売者の管理指導の下に、一般従事者をして対面で販売させることと規定されていました。長年、一般従事者をして対面で販売させることと規定されておりましたので、2014年6月に、薬剤師及び登録販売者が販売することという規定になった中で店舗によっては資格者が医薬品コーナーあるいはレジにいることの徹底が必ずしもできていなかったということは否めません。
濫用のおそれのある医薬品の濫用防止対策は必要だと認識しておりますので、当協会として、実は新体制を本年整え、議論を重ねまして、当協会として緊急理事会も行い、統一見解を取りまとめたところです。薬剤師・登録販売者の本来の役割は購入者の状況確認や必要な情報提供を行うことであり、濫用等のおそれのある医薬品が空箱になった場合、又は個人情報の記録を参照して販売する場合、薬剤師・登録販売者が作業に追われ、本来の役割が果せなくなると、先ほど申しましたけれども、いわゆるオーバードーズの問題はより接点が増えることは考えにくく、より深刻にならざるを得ないというところもお考えいただきたいと思います。そこで薬剤師・登録販売者がしっかりと販売者の状況確認と必要な情報提供を行うことこそが、濫用防止の一番の方策だと思います。
36ページをお願いいたします。当協会におきまして、先ほど来言っていますように、2023年4月より、総合かぜ薬が濫用のおそれのある医薬品に指定されてから、お一人様1個という販売を強化してきています。今後より強化するとともに、現行法のもとでは若年者への販売に際して、氏名及び年齢を確認する義務が課されているのみですけれども、ここからが我々の意思表明でございます。制度改正の際は、20歳未満の者による購入の場合、購入者の氏名を写真付きの公的な身分証等で確認します。これは今までやっておりません。また、20歳以上のものによる複数個又は大容量製品を購入する場合であって、購入理由を確認しますけれども、そこで濫用目的や頻回購入が疑われる場合は、購入者の氏名等を写真付きの公的な身分証で確認をいたします。実際に今、身分証とまでは言いませんが、理由をしっかり確認していると、ではもう要らないということで、購入に来られなくなったという実例が多数出ているのも事実です。ですから、接客が一番の濫用防止になるというのは自信を持っているところです。
そしてこれらの確認を実行するために、医薬品コーナー又はレジ等の医薬品に関する場所に、資格者を配置いたします。以上のとおり、購入者が対象医薬品を手に取る際と、購入の際の両面において販売者の関与を強めることで、濫用目的での対象医薬品の購入には相当の心理的な抵抗が生じるというデータも出てきていますし、自信もあります。更に当協会としてはガイドラインを作成いたしまして、加盟企業が資格者研修を、特に、登録販売者は資格者研修が義務付けられていますので、研修及び更に社内研修を行い、資格者が適切に販売に関与することの周知徹底をしてまいります。
そこでこれは質問があったのですけれども、「JACDSが全部のドラッグストアにできるのか」という質問がありました。できます。なぜかと言いますと、当協会加盟者以外の所へは、先ほど申しましたように登録販売者に対しては法的な決まりでもあります外部研修制度が義務づけられております中で、外部研修機関は限られていますし、外部研修機関は全て面識がありますので、そちらに登録販売者、あるいは薬剤師が適切に販売に関与することを徹底することを入れて頂きます。そこで徹底ができます。
最後になりますけれども、医薬品の濫用対策は国民への周知啓蒙や濫用している者に対する相談や対応等の支援という本質的なところをまず徹底的にやるというのが社会問題としてのオーバードーズの問題に取り組む一番基本的な課題であると、武見大臣の言葉を先ほど紹介いたしました。昨年の6月に医師会の定例記者会見をYouTubeで拝見したのですが、宮川先生がおっしゃっておられたように、やはり本当にそのとおりだなと思ったのですけれども、私どもも一般用医薬品を使用する方への教育を社会全体としてカリキュラムに落とし込むなど、抜本的な改革が必要だと思います。例えば医療用医薬品は、処方箋を出された使用者が使うわけですけれども、あるいは購入の場合は保護者の方が購入をして説明を受けるわけですが、我々の一般用医薬品は、セルフメディケーションと申しますが、今まで長い歴史の中で安全性を基に、一般の方が使うことを目的に医薬品を提供されてきておりますので、購入者と使用者が違う場合もあります。これは置き薬等もそうですが、風邪になったときのためにとかいうことで、購入者と使用者が違うこともありますので、これも踏まえて社会全体として薬の使用についての教育が必要だと思います。
なお、使用される方にもお薬を使う責任を持つのだという社会全体の啓蒙活動も必要だと思います。中学生の保健の時間などで、医薬品のカリキュラムを入れるなり、最低限の医薬品の知識を義務教育課程において教育するなり、それ以上の専門的な知識については資格者が購入時等において情報提供をするなり、また一般的なところは添付文書を読んで、そして分からないことは専門家に相談をするという、今まで以上の取組が必要だということを認識しているところです。そういう社会全体の取組を是非お願いしたいと思います。国民・国家のための医薬品販売制度の構築にお力添えを頂きたいと願っております。
今回、私は厚生労働省様から当制度部会の委員の方と同じ立場で参加するようにということで発言の機会も頂きました。したがいまして、福井部会長様におかれましては当制度部会の論点整理の際には、私どもの意見を反映させていただきたいと願っているところです。よろしくお願いいたします。以上でございます。
○福井部会長 ありがとうございました。大変分かりやすく説明していただいたと思います。これから約50分程度ディスカッションをお願いしたいと思います。今、森参考人がお話になられた事柄、たくさんございますけれども、最初に若年者等への対応、恐らく社会全体の啓蒙活動、教育も含めてになると思いますが、まず、そのテーマについての御議論をお願いして、その後、商品の陳列、それから販売記録などに移っていきたいと思いますので、最初の若年者への対応や社会全体への啓蒙活動など、非常に重要だということを強調された点について御議論いただければと思います。森参考人については、引き続き御議論に参加いただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。それでは森委員どうぞ。
○森委員 森参考人、ご説明ありがとうございました。提出いただいている資料についての見方、捉え方というのは様々あるのではないかと思いますけれども、重要なことは、若年者を中心に年齢を問わず市販薬の濫用が増加しており、大きな社会問題になっている。そのため国民を濫用から守るために国、製薬メーカー、販売業者、国民全ての関係者が協力して、直ちに対応していく必要があると思います。販売制度だけ変えても駄目で、森参考人が言われたように啓発というものが非常に重要なことだと思っております。先ほどガイドラインというお話がありましたが、市販薬の濫用は以前から問題になっており、令和元年度厚生労働科学特別研究事業で国立精神・神経医療研究センターの嶋根先生が研究をし、その中で適切な販売の実施のためのガイドラインを作成して、関係団体等に向けて提言を行っています。そのガイドライン、提言に従って現場ではこれまで対応をしてきたと認識しています。先ほどの話の中で販売制度の実態調査の話がありましたが、厚労省では毎年、医薬品販売制度実態把握調査を行っていて、濫用等のおそれのある医薬品を複数購入しようとしたときの対応を調査して改善に向けて対応していますが、市販薬の濫用が止まらず続いています。
そうした背景から現状の規制では不十分であり、国民を守るために直ちに対応していく必要があるのではないかと考えます。その上で森参考人にご質問よろしいですか。2点質問がありまして、1つは専門家の常駐配置のところです。専門家の常駐配置に関しては、私はこれまでも常駐配置になっていると思います。その中で本日のお話で言いますと、それを確実に今後は実施していくということかどうかということを、1つ質問したいと思います。
2点目は記録のところになります。記録は確かに濫用防止のためにも必要ですが、現場では単に販売制度の義務になるから記録するわけではなくて、患者・生活者の個々の状況の把握や飲んでいる薬、そういうことを把握して適正な販売に活用するためのものです。仮に記録を取らないとすると、頻回購入をどうやって当該店舗で判断をするのかというのが1つです。
3点目はコメントなのですが、資料17ページ、実態把握調査のところです。コロナ禍で会話を控えていたので、薬局での遵守率が落ちてしまったという考察なのですが、ここで47%になってしまったのは法律事項であり、たとえどのような状況であってもしっかりと聞かなければならなかったと思っています。茂松委員もコロナ禍に診察されていたと思うのですが、患者さんとやり取りしている中で、診察に必要なことは当然控えることなくしっかりと指導してきたと思います。如何なる状況であっても適切に取り組んでいくべきだと思います。私からは以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。森参考人からお願いできますか。
○森参考人 御質問ありがとうございます。常駐配置ですけれども、こちらは今の薬機法を先生も熟知されていると思いますが、資格者に販売をさせることということはありますが、医薬品コーナーでの常駐配置ということにはなっておりません。先ほども申しましたように、2014年までは、資格者の管理の下に一般のスタッフに販売をさせることとなっていたので、管理と指導をする役目だという部分が強かったものですから、店舗には常駐しておりますが医薬品コーナーに資格者がずっと常駐の形でいること、医薬品コーナーあるいはレジにいるということは、先ほども申しましたように、実際やれていない店舗もありました。ですから、そこのところを議論に議論を重ねまして、医薬品コーナーに常駐ということは、それだけ資格者が必要になるのではないかと、例えば登録販売者なり薬剤師が店長であるという場合もあるのです。そうすると、店長がスタッフルームや店長室等で勤務のシフトを作っている、又は商品の入荷についてのチェックをやっている、そういう対応をしているときには医薬品コーナーにいることができないわけですから、登録販売者等の資格者を増員しなければいけないということは、相当、議論をいたしました。でも、我々の責任として、医薬品コーナーに常駐配置すること、販売に関与していくということであれば、必要ではないかということです。質問にお答えしますと、医薬品コーナーでの常駐はできていない店舗もありました。それで、やるということを宣言しております。
それから、2つ目の記録を取らなければ頻回購入を防げないのではないかということはごもっともでありまして、その店の頻回購入は防げるかもしれませんが、記録することによってほかの店とか、先ほど申しましたように隣の店とか、そういったことはできません。というのは、我々は自由経済でやっていますので、私の所と競合するようなドラッグストア等と情報の共有をやっておりませんので、そこは調剤と違います。調剤の場合は医療機関とマイナンバーを通してデータのやり取りを、今後やろうということですけれども、私は自由経済の中でそれをやるということは、多分無理だと思います。なぜかというと、よそで売っている商品を全部知るということになるので、これって自由経済として正しいことでしょうか。あそこはこういうものを売っているということですから、記録を取らなければ頻回購入は防げないのではないかとおっしゃいましたけれども、取っても頻回購入は防げません。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。オンラインで伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 御説明ありがとうございます。先ほど森先生からも御紹介がありました、嶋根先生の最新の研究結果が、6月17日に厚労科研の報告書に掲載されておりましたので、チャットではリンクを貼っております。後ほど事務局にも共有いたしますが、そこで紹介されている事実を御紹介したいと思います。
まず、調査は5,000人を対象に2023年10月から12月まで行われて、その中で市販薬の濫用経験は0.75%、人口推計で約65万人、医薬品も含めると74万人、うち解熱鎮痛剤が人口比にして0.84%、精神安定剤が0.47%と出ております。また、濫用経験を年代別に見ると、10代が1.46%、20代が0.59%、30代が0.69%、40代が0.2%、50代が1.24%、60代が0.51%といった年代別の集計があると同時に、かつ、入手先については薬局・ドラッグストアなどの実店舗が36%、家の常備薬を使うというのが16%、インターネットが4%、入手先が不明というのが56%という調査結果が出ております。知る限りの情報ですけれども、厚労省としては厚労科研を付けてこういう調査をいろんな研究者の方にしていただいているわけですから、もう少し網羅的に最新の研究結果を集めて、御紹介を頂ければと思います。
チェーンドラッグストアさんの説明の中で分かる部分と分からない部分とがありまして、一言で言うと、登録販売者や薬剤師などの、いわゆる人の努力でもっとやるということの重要性はもちろん理解しますし、それをやれてないからやっていきますというような決意については、大変心強いと思っているのですけれども、やはりそれは限界が恐らくあるだろうと、人の力というのが日本全国いろんなところでくまなく配置できるわけではないですし、全体の1%弱の濫用の方のために人を貼り付けるということは、必ずしも店舗経営から見ても合理的ではないという部分もあろうかと思います。ですので、先ほど空箱を置けないとか、いろいろありましたけれども、できない理由を探すというよりは、まずはやってみるということをしてみてはいかがでしょうか。
例えば全部の店舗で一律ということではなかったとしても、実験的に空箱でやってみますとか、在庫の置き方を工夫してみますとか、今どきコンビニでもちょっと単価の高いようなものは必ず空箱にして店頭で買うようになっておりますし、実際に薬局でもそのような商品もあろうかと思いますので、それと同じような形で少し対象を拡大することはできるのではないかと思います。
あと、やはりファクトベースで議論するという点では同意をしております。特に前回、事務局から頂いた資料というものが、やはり具体的にどの医薬品がそういう濫用に使われているのかという情報が十分ではなかったという印象を持っております。例えば資料1の参考資料の中では、濫用等のおそれのある医薬品6成分が掲げられておりますけれども、例えばエフェドリンやプソイドエフェドリンなどが事例で挙げられていないので、ここでは1500品目のうち10数製品の事例が載っているのみであるという部分について、もう少し、これは事務局へのお願いとなりますけれども、データを提示していただければと思います。
それから、私が所属しております規制改革の会議では、スイッチOTCの促進のときに、濫用等のおそれのある医薬品のうち、既に海外でOTC薬として認可されているものもあれば、既に米国や英国では禁止されているものもある。現在、成分的に濫用してはいけないような製品がOTCとして売られているような実態もあると。ですので、全てのOTCですとか、全てのかぜ薬等の市販薬が悪いわけではないのですけれども、やはりリスクが高いものというのは客観的に特定できるはずであるので、それについては売り手任せにせず、もちろん売り手の努力も大事だと思いますが、事務局ないし厚労省側で、もう少し丁寧な調査をしていただくべきではないかと思います。ですので、今回の議論で全てこういう方向というふうに解決を決めつけるものではありませんけれども、やはりまだまだ議論の濃淡があるというか、はっきりしている部分と、していない部分があるかと思いますので、継続的に議論を進めていただければと思いました。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは茂松委員、その後、花井委員、オンラインでお願いします。茂松先生、お願いします。
○茂松委員 日本医師会の茂松でございます。先ほど、森参考人からいろいろ説明を頂きましたが、OTCというのは、もともとオーバーザカウンターの略でありまして、これはカウンター越しに、薬剤師や販売登録者がきちんと説明をした上で、お薬を売るということになっているわけです。それが、先ほどの森参考人のご説明ではそういう方はいなくて、資格を持っていない者だけが関与して売っていたというのは、薬機法違反に該当しないのかなというのをちょっと御指摘をしたいと思っております。要は争点の骨でありますが、オーバーザカウンターできちんと有資格者が患者さんに説明をしてあげて、薬を選ぶのを手伝ってあげて売るということが本来のあり方です。それと、そのOTCと第三類の一般用医薬品や医薬部外品等との差が少しあるということは事実でありますので、ここをよく考えていただくということであろうかと思います。
それと、この制度部会が始まった第1回のときに、私は今まで様々な検討会でいろいろ議論されてきて、その取りまとめがあるということで、それをベースに議論をしていただきたいということを発言して、恐らく皆さんはそれで合意されたと思っているのです。医薬品の販売制度に関する検討会には日本チェーンドラッグストア協会も正規の構成員として参加をしておられて、そこで意見交換してきたはずなのです。今更、こういう意見をまた出してもらっても、ちょっといかがなものかなと。だから、もし議論するのであれば両論併記で問題になっているところ、そこをしっかりと意見交換をしていきたい。特に、山口委員の意見を拝見しますと、非常にまとまった御意見が書かれていると思っておりますし、山口委員に非常に賛成をしたいと思っております。この後、花井先生からお話があるか分かりませんが、昨日の厚労省の会議でも、濫用対策の議論をしているにも関わらず、国民の利便性の話が前に出てくることは、いかがなものかという発言をされておられます。そのこともしっかりと我々は同感であり、同意をしたいと思っております。
森参考人からは日本医師会のYouTubeでの記者会見のことも言っていただきましたが、我々として、やはり国民の安心、安全につながる売り方、これが重要ではないかなと思うところであります。ありがとうございます。
○福井部会長 ありがとうございます。花井委員、オンラインでどうぞ。
○花井委員 ありがとうございます。まず1つは感想なのですけれど、1つ目は、説明自体は理解するのですけれど、全体としていわゆるビジネス上の部分最適性化の話で、その意味で困難があるというところは説得力はよく分かるのですけれど、ことあるごとに患者の利便性とか、それから、カスハラみたいなお話をされていますけれども、心外な話でありまして、楽に買えることが利便性とか、空箱でも手に取ると比較できるわけですから、やっぱり何かそこで患者を人質に取るような、国民を人質に取るような言説は、ちょっと今の理論から言うと必ずしも説得力がなかったなと思いますし、あと、カスハラの事例を挙げていますけれども、例えばアディクション治療の現場では、ああいうことはよく起こる話で、つまり医薬品を扱って、それは一定程度の患者、濫用の場合はアデクションも含めてだと思うのですけれども、やっぱりそういうところに、そのいわゆるメディカル的な専門的な対応ができるから、専門資格を持っているのですから精神科のお医者さんから言わせれば、そのぐらいで何かハラスメントというと、多分、医療現場が成り立たないような話ではないかと思うので、やっぱりちょっと一般商品を売ることをおっしゃるのですけれど、医療と地続きな仕事であるということは、やっぱり御理解いただきたいという感想です。
質問なのですが、専門家と関与というのを促すために、いわゆる常駐ということを決意されておられますが、常駐しただけでは関与にならないと思います。ですから、一定程度、接点を必ず持つということになれば、これは導線を分けていただくということが絶対必要で、私もいろいろなドラッグストアに行きますけれども、レジが広ければ端っこのほうに登販の方がおられて、こっちでは複数のレジ打ちがレジを打っている状況で、関与というのは常駐していても困難な場合もあります。ということはこれはもう、接点を必ず持つためには導線を分ける以外には合理的方法はないので、常駐というのは決意いただいたので、これは導線を分けていただけるということでよろしいのでしょうか。また、導線を分けないのであれば、接点をどのように確保可能なのでしょうか。現実的に無理だと思うのですけれど。
○福井部会長 ありがとうございます。森参考人、いかがですか。何か御意見はありますか。
○森参考人 今、花井委員から質問と御意見を頂きましたけれども、花井先生、医療と人権の理事長さんということですけれども、販売の立場で、自由経済でやっていく中で、我々店頭のスタッフにも実は人権がございまして、先生がオーバードーズという話の中で、いろいろ話をされる中でカスタマーハラスメントの話も、多分、お耳にはされていると思うのですけれども、人権から考えて現場をよく御認識していただければと思うのが1つと、それから、医薬品コーナーに資格者を配置、これは茂松先生からも違反ではなかったのかとおっしゃいましたが、違反ではございません。資格者が営業時間にいるということが法律にあったわけで、ですので常駐という言葉自体もございませんでした。ドラッグストアというのは、医薬品コーナーだけで許可を取っているものではないのですね。店全体で許可を取っている所と、これは行政によって、これもまたまちまちなのですけれどね。県単位で違いますし、違うところもあるのですけれども、医薬品コーナーだけを医薬品販売の許可を下ろすというところもあります。そういうところは、先んじてこういうふうにそこに常駐することが必要ですよということをおっしゃっているのではないかなと思っています。ですから、一般論として医薬品コーナーに資格者が常駐していないことが法律違反ということはありません。
それから、先ほど我々が申しましたように、接客というところに割いている時間が少なかったという反省はあります。それから、オーバーザカウンターとおっしゃいましたけれども、私は創業して41年目ですけれども、当時はオーバーザカウンターでした。医薬品は全部カウンター越しに、全ての医薬品を置いていました。その頃は品目数も少なかったし、そういう業態でした。だから、普通にオーバーザカウンターではない所に製品を並べていいようになったのは、並べていいよという法律が改正はされていませんけれども、どうですか、法律が変わったのではないですよね。ないですよね。オーバーザカウンターだったのが、やっぱりセルフメディケーションの推進とともに、前に出していいというふうなことにもなったと。当時は、41年前は医薬品をはがき大以上の値段で書いたら、違反だったのですね。違反というか指導をされていたのです。濫用を助長すると。それから、幾ら幾らと書いても、これも絶対駄目だった。それも濫用を助長するということで、はがきを行政の保健所の方が持ってこられて、寸法を計るようなこともあったです。そういう時代もありました。それがどんどん変わってきて、今のような販売形態となっているわけですから、オーバーザカウンターだから、オーバーザカウンターだよ、OTCはというような名前を変えないといけないですね。
それから、先ほどの導線を作れないのかと言われましたけれども、やってみてください。できません。導線を作るということは、医薬品を買う方はそれに並べということですからね。その流れでしか買ってはいけないということになるわけですから。我々、うちの店でも一番大きな店は500坪の売場の店がありますけれども、そこで導線を作るということはそこに社会インフラとして、地震のときも食品をやってくれていてと、本当に褒めていただきました。コンビニでは翌日になくなったのにお宅にはあるねと言って、私は熊本地震のときに16軒被災しましたが、翌日に店を開けて、本当に助かったと言われたのですが、そういう方が食品も買いに来られている中で、医薬品を買うときには食品を買った後に全部並びなさいよというのは、それは現実的にできません。以上でございます。そういうことよりも、現場では今まで医薬品コーナーに常駐することまでは出来ていなかったということを認めているわけですから、常駐をして、まずそこを見ていただいて、そしてその後、それでも駄目ならというところで検討いただければいいのではないかと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。今の点についてでしょうか、花井委員。
○花井委員 ちょっと、店員さんの人権侵害の話をされているので論理がすり替わっていると思うのですが、つまりその導線を今は分けられないとおっしゃっていましたけれど、結局、登販も薬剤師さんも専門家なので、専門家が薬に関わるところで、強いクレームが出るところについては、専門家だから対応できるということがあると思うのですね。一般の店員さんに、そういう薬がらみのいわゆるちょっと患者さんみたいな方の対応を迫るというのは、それこそ人権というか、店員さんに対する大変な負担ということになるので、むしろ薬関係は専門家のほうに導線を持っていくことによって、逆に、店員さんの人権、それを人権と直接言っていいのか分かりませんけれど、その人権が守られるということになるので、何かちょっと論理がやっぱりちょっとおかしいし、それから、導線が分けられない今の理由の説明もちょっと。事実上1類に関しては導線が分けられているのだから、実現不可能な理由がちょっと分からなかったのですけれど、できないということは分かりました。ありがとうございます。
○福井部会長 先に森参考人、その後、北澤委員。
○森参考人 導線をなぜできないかというと、今、花井委員がおっしゃいましたけれども、1類はできるのです。棚1本で。棚1本ですから。どうにでもできるんです。薬剤師しか売りませんので、どうにでもできます。それと、販売の数字を今日はぱっと出てきませんけれども、限りなく0に近い販売数ですね。というのは当社が今380店舗ありますけれども、1類を置いている店は17店舗でございます。17店舗で、調剤を受けている店で1類を販売しておりますけれども、それはできます。1日に数人しか1類の薬は売れませんので。その辺もよく御認識いただいて、かぜ薬とか濫用のおそれというのを指定され、総合かぜ薬が指定されて品目数は莫大に増えているわけですから、それを導線を分けてやるということは、まず難しいと思います。
それから、もう1つだけ、すみません。私はできていなかったというのを過大に考えていただいたらいけないのですけれども、実際、店舗に登録販売者や資格者はおります。今までは情報提供が努力義務だったものですから、こちらから声を掛けるというのはほぼなかったですよということを言っているのですよね。今後は医薬品コーナーやレジ等において、薬を買おうとされている方には声掛けを基本的にやりますよということを言っているわけですから、大きな違いがございます。以上でございます。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは北澤委員、その後に佐藤委員お願いします。
○北澤委員 北澤です。このテーマ④は薬局・医薬品販売制度の見直しについて幾つか議題があり、事務局は「医薬品の販売制度に関する検討会」の取りまとめを基に進めていくことにしてはどうかと提案しているのですが、濫用等のおそれのある医薬品の販売時の対応のあり方に関しては、販売時点だけでは対策として限界があると思います。国やメーカーも、もっとやるべきことがあるはずで、販売の問題に集中するあまり、国やメーカーのやるべきことについて議論されないのもどうかと思って意見を述べます。
国のやるべきこととしては、まず濫用等のおそれのある医薬品のリストに2022年のパブリックコメントで寄せられた成分を加えることを検討してもらいたいと思います。パブコメを確認したところ、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、アリルイソプロピルアセチル尿素、カフェインについては複数の方々からパブリックコメントが寄せられていました。これらのものは、今のところはまだリストに加えられていません。
OTC医薬品をつくっているメーカーにもやるべきことがあると思います。国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦先生が、WEB岩波という媒体の連載記事で書いておられたのですが、濫用等のおそれのある成分が含まれている市販の漢方・鎮咳薬の中には、現在の医師なら第1選択薬にしないような昔からある古い薬。私の言葉で言い換えれば、時代遅れの成分が含まれていることがあるとのことです。
また、昨年の規制改革推進会議第5回健康・医療・介護ワーキング・グループで、濫用等のおそれのある医薬品の販売について議論されており、UCLAの津川友介先生が提出された資料によると、そもそも市販の感冒薬には、感冒に対する有効性を示す高いレベルのエビデンスがなく、動物実験レベルのものが大半だということでした。OTC薬を製造・販売する企業の側も、昔からある薬を売り続けるのではなく、現代の医学・薬学の進歩、またEBMの考え方を踏まえ、自社の薬を改良し、有効性・安全性に関するはっきりした裏付けのある薬を作る責任があると思います。その結果として、OTCの医薬品が今よりも絞られることになるかもしれませんが、それはそれで意味のあることだと考えます。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 ありがとうございます。すみません、厚労省に事実関係の確認をお願いしたいのですが、私の認識では薬局とは、薬剤師がいる所で、薬剤師がいないときは薬剤師にしか売れない薬は売れない。そういう薬に網をかけたりするものと理解しています。
店舗販売業においては薬剤師はいないけれど、登録販売者が責任者としており、登録販売者がいるときには登録販売者が売れる薬は売れるが、いないときには売れないという認識だったのですが、今の御発言を聞いていると、いなくても売れるんだというふうに聞こえたのですが、私の事実認識が間違っているのか、事実関係がどうなっているかを、すみません御説明いただけないでしょうか。
○福井部会長 薬事企画官の大原さん。
○大原薬事企画官 法律の中身を説明いたします。この一般用医薬品につきましては、薬機法の第36条9で書かれており、薬局開設者、店舗販売業者又は配置販売業者は、厚生労働省令で定めるところにより、一般用医薬品につき、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める者に販売させ、又は授与させなければならないとなっております。1つ目として、第1類医薬品は薬剤師となっており、第2類医薬品及び第3類医薬品については、薬剤師又は登録販売者となっておりますので、こうした資格者が販売することとなっているところです。
○福井部会長 佐藤委員。
○佐藤委員 登録販売者がいなければ売れない薬は、登録販売者がいなければ売れないということですよね。
○大原薬事企画官 そういうことです。
○佐藤委員 登録販売者が常駐していないときは、登録販売者しか売ってはいけない薬は売っていないという理解でいいでしょうか、森参考人。
○福井部会長 そうでしょうか。
○森参考人 あの、私の話し方がまずかったのか、いないわけではないのです、いるのです。いなければ営業できません。登録販売者なり、資格者は店舗にいます。すぐに対応できる状況ではありますが、先ほど言いましたように、店舗内の例えば医薬品コーナーではない所にいることもありましたよという話をしているわけで、いつでも来られる状況で、それともう一度言いますが、医薬品の販売業の許可を取っている店において、資格者がいないということは100%ありません。それは、なぜかというと行政がしっかりチェックしていただいていますから、タイムスケジュールを組んで、必ず営業時間に資格者がいるようにしています。
○佐藤委員 ありがとうございます。厚生労働省としては、売り場に登録販売者がいなくても、バックヤードにいればいいという御理解でしょうか。
○福井部会長 いかがでしょうか。
○大原薬事企画官 以前の運用としましては、先ほど森参考人がおっしゃった形になっていたのですが、ネット販売を機に省令が改正され、先ほど私が申し上げたような条文での運用となっておりますので、基本的に1類医薬品であれば薬剤師さんが、2類・3類であれば薬剤師又は登録販売者が販売するという形となっております。
○福井部会長 販売するという場合、手で渡す人、本人という意味でしょうか。
○大原薬事企画官 必ずしもレジ対応までするところではありませんが、そこの関与というところが薬剤師さんや登録販売者さんには求められているところです。
○福井部会長 よろしいですか。それでは先に森委員、どうぞ。
○森委員 事務局に確認ですが、私の理解では、販売時に専門家が必ず関与をする。そこで必要性があれば、努力義務であっても情報提供をするものと理解していますが、それで正しいですか。
○大原薬事企画官 そのとおりです。関与の中で情報提供が必要であれば、それは情報提供されるということです。
○福井部会長 よろしいでしょうか。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 取りあえず、その点については理解しました。
幾つか質問をします。協会としては、昨年4月から「原則ひとり1個販売」を徹底していらっしゃるということです。御指摘の中にもあったかと思いますが、中高生の名前と年齢の確認、「原則1人1包装」の販売自体は2014年からの決まりごとと理解しています。2014年から昨年4月までの間には、約10年があるわけですが、この間にどのような取組をされたのか教えてください。
○森参考人 それは、だんだんに進んできたのですが、ほとんどのドラッグストアが今はレジでアラートが立つようになっており、濫用のおそれがある医薬品をもし持ってこられたりした場合に、必ずそれは説明をしますので、若年層と複数個購入の人には待っていただいて、そして資格者が理由等の確認をやっております。
○佐藤委員 ありがとうございます。もう1点。先ほどの質問とも関係するところですが、前回の部会でも今ほども、これからは医薬品を売っている所に資格者を置いて、常に声掛け等をしてもらうように徹底するというお話でした。そのコンタクトと、そこでの利用者さんとのやり取りが重要だということは全く同意するところです。その資格者は、一般用医薬品についての知識のある人にお願いしたいところですが、どういう方を資格者として考えているのでしょうか。
○森参考人 資格者は薬剤師、あるいは登録販売者です。
○佐藤委員 店舗販売業においては、通常薬剤師はおいでにならないかと思うのですが、例えば、そういう所も薬剤師を置くということも考えているのでしょうか。
○森参考人 それは1類を販売しても、これは自由経済ですから、ビジネス的に合うのであれば薬剤師を配置する店もあると思います。
先ほども言いましたように、調剤をやらずして、1類だけ販売しても薬剤師の給与は賄えません。全く賄えませんので、それでも余裕があるところがやっているか、調剤併設の所が1類をやっているということが事実です。
○佐藤委員 そうすると、どのような資格の方にいていただくのか、新たに置くか置かないかも含めて、店舗の判断になるのでしょうか。
○森参考人 ちょっと意味が理解できないのですが、登録販売者がいるわけです。登録販売者という資格者がいます。
○佐藤委員 御提案としておっしゃられたのは、医薬品を置いてある場所に新たに資格のある人を置いて、声掛けを徹底する、という御意見と承っております。とてもいい提案だと思っていて、コンタクトをするということが非常に重要だというのは共有するところです。それを本当にやっていただけるのか、どういう方がやってくださるのか、ということを確認したいと思って聞いています。今、お聞きしたのは薬剤師さんがやっていただくのですかという質問に対して、いや薬剤師では経営が立ち行かないかもしれないからできないとおっしゃられたので、誰を置くのかについても、また置くかどうかについても、その店舗の経営判断になるということでしょうか。
○森参考人 販売する医薬品によります。今でも1類を販売する場合は、薬剤師がいなければいけないわけで、1類を販売しない店舗は登録販売者だけで営業をやっているわけです。
○佐藤委員 とても残念なお答えをお聞きして、何か違う回答をしていただけるのか…。
○森参考人 登録販売者が資格者というのはお分かりですか。
○佐藤委員 もちろんです。そうではなく…。
○森参考人 質問が何か、日本語になっていないのですが。
○佐藤委員 お聞きしたのは、資格のある方は薬剤師ですか、登録販売者ですかということをお聞きしたところ、ペイしないことはできない。ペイしない人は置けないとおっしゃったので、そうですかと。そうすると、どの資格の人を置いて、声掛けして頂くかというのは店舗の判断ですね。
○森参考人 いや、店舗の判断ではないです。その店舗でどのような医薬品を販売するかという会社の判断です。
○佐藤委員 もちろん、会社の判断でも結構です。その次に、実際に新たに置くか置かないかも、会社の判断ですかとお聞きしたのですが。
○森参考人 その店舗でどのような医薬品を販売するかという会社の判断です。
○佐藤委員 そうすると、協会としてやっていただけるというのは、どこまで責任をもってやっていただけるのですか。
○森参考人 質問と答えのしようがありません。
○福井部会長 ほかには、いかがでしょうか。冨田委員、どうぞ。
○冨田委員 ありがとうございます。同志社大学の冨田です。今日の前半にありました薬の服用の教育の重要性に関しては、これは皆さんが一致する重要なことだと思います。今日の議論の大きく分かれているのは、オーバードーズ対応の重要性と、もう1つ経済合理性と、相反する2つのところの視点の違いから生じるものかと思います。その中でやはりバランスを取っていく必要があるかと思いますので、オーバードーズ対応の効果の大きさや、経済合理性に関しては、薬と一般商品とは異なるものだということは重要なことですが、規制した場合の経済損失や、この今回のスライドでありましたように99%適用者という適正使用者という言葉がありましたが、そうした人たちが買い控えをすることによって影響を受ける健康へのデメリットといったような、様々なデータを出していただき、もう少し双方のバランスの議論をできればというのが本日思ったことです。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。オンラインで村島委員、どうぞ。
○村島委員 今までの議論をお聞きして、だんだん論点が分からなくなってきたのですが、そもそもこれはオーバードーズが発端だとすると、その薬の一般市民への出口からの議論ではなく、むしろオーバードーズの症例から入るべきではないか、そちらのほうが効率がいいのではないかと思っています。オーバードーズで運ばれた人たちが、どういう経路で薬剤を手に入れたということから入ったほうが効率がいいのではないかということです。何かそういうデータを厚労省の方々がお持ちであればお伺いしたいのですが。今の議論を効率面からどうなのかなという気持ちを持ってお聞きしていました。
○福井部会長 ありがとうございます。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。先程、経済損失のお話がありましたが、そもそも医薬品は生命関連商品であって、誰もが扱えるわけでもないですし、どこでも扱えるわけではないものものです。アクセスにしても、国民がアクセスできないようにしてはいけないのですが、安全性と利便性を考えたときには、やはり安全性をしっかりと重要視していくべきだと考えています。
そして、茂松委員からもご指摘がありましたが、この販売制度に関しては当初の予定よりも大幅に回数を増やし、11回にもわたって検討会を行い、そこにはJACDSからも構成員として参画し、様々な立場の人間が何名も参加して議論を重ね、その取りまとめが行われたと理解しています。取りまとめが1月に出されましたが、それから現在までの6ヶ月弱で状況は何ら変わっているわけではないと思います。
今やるべきことは何かといったら、そこでやはり専門家が議論して決めたことを、なるべく早くきちんと制度にして、国民を濫用から守ることだと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。そのほか商品の陳列、販売記録、販売区分の問題と、これまで前回の会も含めて扱ってまいりました。要指導医薬品の取扱い、遠隔管理による医薬品の販売等についても触れられてきましたが、ここで、それらの全ての項目どれについてでも結構ですが、何か御意見ございましたらお願いします。茂松先生、お願いします。
○茂松委員 ありがとうございます。先ほど森参考人が説明された資料に戻りますが、平均品目数を大体250~400品目と書きながら、店舗によっては100~160品目の所もあるという話もございました。ただ、実際に九州にある御社、都内にある他社の複数店舗を日医の宮川が調べたところ、大体100~160品目しか置いていない。そして、カウンター内に配置されている店舗もあることを考えますと、少し実態と違うようなことを発言されていることもありますし、前回のときに中島委員から東京都の調査結果のご発言がありましたが、取組については3割の店舗が置き方を考えている、売り方を考えていると言われておりました。それからいうと、少しご発言が違うような、逆に取組を阻止するような言葉になっているように思うのですが、それをお聞きしたい。チェーンドラッグの業界が一体となって、まとまった意見を出し、役割を果たしていただければ一番望ましいのですが、チェーン店によって取組が変わるということは、ちょっとおかしなことになるので、まとまっているか不明瞭な意見をこの場に出してくることは、少しいかがなものかと思います。その辺はいかがでしょうか。
○福井部会長 森参考人どうぞ。
○森参考人 今の御発言ですけれども、確かに80品目とかの店もありますし、調剤を門前等でやっている所では、この間も言いましたように、濫用も含めて48SKUだけを置いている所もあるわけです、80品目の。それは、濫用に絞ればほんの少ししかないわけです。そういう所もあるし、郊外型の場合は、数えてください。私の所は250以上ございます。それから、そういった店舗もいっぱいありますし、この間、東京都の中島委員から質問で、それから山口委員の意見書でも出ていますが、繁華街等で調べたら240件のうち80件は空箱対応していたと書いてある。これを読むと、ひどいですね。何がひどいかというと、空箱対応しているって、全部対応しているように読み取れるのですが、私は何十件も見てきました。この間で歌舞伎町をはじめ、実名を言ってもいいのかどうか、委員会だから発言して良いと判断して発言しますと、ブロンとか、本当に幾つかの、数品目の商品を空箱にしている店舗はありました。それは、以前から濫用をされてはいけないということで、咳止めの液体と錠剤がされていたので、それらについては対応している所がありますが、全品空箱にしている所は見たこともございませんので、もし対象の商品を全て空箱対応している店舗があるのであれば中島委員、御紹介ください。というデータですので、少ないデータを基にとおっしゃいましたが、もっと調べてくださいよ、日本全国。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいですか。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 ありがとうございます。実際にレジの後ろで対応するような形にした場合、どのぐらいの数が対象になるのかというのは、現実問題として重要なところだと思います。いろいろな数が出ており、恐らく何を対象にすると、どのぐらいという数も違ってくると思いますので、その点については厚生労働省にある程度、どのぐらいの点数だと、このぐらいの品目が対象になって、というような提案と、それから実際にそれぞれの薬局でどのぐらい濫用の恐れのある医薬品を置いているのかを調べていただければと思います。それが1つです。
あと、すみません、要指導医薬品についてです。前回も申し上げたことをもう一度言うような形になりますが、是非、市販の医薬品についても、対面のリアルタイムで薬剤師が服薬指導に当たる枠組として、要指導医薬品に残すというカテゴリーを作ってください。対面機能はオンラインでも構わないと思います。ただし、オンラインでも、オンタイムに、対面のやりとりによって指導する枠組が必要だと考えています。現状は、医療用医薬品の中でも薬剤師のきっちりした指導があれば一般用に転用できるものがあると言われながら、現実問題としては、要指導医薬品は、時間が経過すればネット販売ができるようになり、自己申告のテキストベースのやりとりだけで売れる状態になっているために、一般用医薬品に転用できない薬が複数ありました。要指導医薬品に残すカテゴリーを是非作っていただきたいと思います。以上です。
○福井部会長 厚労省から何かお答えはありますか、調査のことで。
○大原薬事企画官 佐藤委員、確認させていただきたいのですが、今の品目数とおっしゃられたのは、各店舗に置かれている品目数のことですか、それとも各製品に対して内容量違い等の品目が幾つあるかというところでしょうか。前者との理解で良いでしょうか。
○佐藤委員 一応、両方のつもりで申し上げました。実際、私も250~400とお聞きしていますが、どこの薬局でもそうなのかがよく分からなかったものですから。実際に取材してみたところ、地方のかなり大きな薬局の店舗に聞いたのですが、一般的に100ぐらいじゃないかなというお返事だったのです。ただ、それは私が聞いた限りのn数1の話ですので、大体どのぐらいのものを持っていらっしゃるのかというのが分かるといいと思いました。以上です。
○大原薬事企画官 そちらについては、私どもで直ちに出せる数字があるわけでもございませんし、最終的にはそこは実際の店舗を把握されているチェーンドラッグストア協会さんのほうから、もし何か数字等あれば教えていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
○森参考人 そうしたら、持っていませんので、データを集めて何SK扱っている所が何店舗あるとかというのを出すことは可能です。可能ですので、やれということであったらやりますが。
○福井部会長 いいですか、それではお願いして。オンタイムでの対面指導については何かございますか。佐藤委員から残してほしいということについて。要指導医薬品のことですね。そういう御意見があったということでよろしいですか。
○大原薬事企画官 はい。
○福井部会長 すみません、伊藤委員、オンラインで申し訳ないのですが、時間のこともございまして、簡潔にお願いしたいと思います。
○伊藤委員 ありがとうございます。要指導医薬品の販売方法については、先ほど佐藤委員がおっしゃったことと同意いたします。この事務局資料の資料1の方策の1、2、3と○で書いてある3点あるのですが、これについて、例えば1点目に関してはこの全ての要指導医薬品について、ちゃんとオンライン服薬指導で、必要な情報提供を行った上で販売することを可能とするということは残して、きちんと明記していただきたいと思います。
2点目は恐らく3点目とほとんど一緒のことをおっしゃっているのではないかと思います。適切なリスク評価を行い、適切な区分へ移行することは、一般指導医薬品に移行する場合もそうですし、逆に戻す場合も同じだと思いますので、2点目は3点目に含めて考えられてもいいかと思います。
それから、もう1つお願いしたいのが、この改正案というポンチ絵のほうなのですが、適正使用の観点から要指導医薬品にとどめることが適切なものと書いてある、この適正使用の観点からというのが、先ほど来の激論からもあるとおり、すごく抽象的な書き方にとどまっているのではないかと思います。適正使用の観点て何だということを、やはり客観的な要件として検討していただきたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。森参考人、どうぞ。
○森参考人 最後に2つあるのですが、1つは我々医薬品コーナーに資格者が販売に関与するということを申しましたが、実は業界としての質問ではなくて、私が質問してしまうのですが、ネット販売では、1類はメール等で薬剤師が対応するとなっているのですが、2類3類については向こうにテキストベースですから、資格者がいるのかというのを行政として把握されているのかと。我々の所は来ればすぐ分かるのですが、そういう法の整合性というか、そういったことをきちんとやらないと、今後、資格者がいない所での販売も認めようとなっている中で、法の抜け穴になって、これだけオーバードーズで大変だと皆さん言っている中で、ネットを通したら簡単に買えちゃうよってなったら、これは本末転倒ではないかなと思うので、そこをどのように今後チェックしていくのかというのをお尋ねしたかったということと、もう1つは、最後にこの濫用のおそれのある医薬品、どなたかの先生がおっしゃいましたが、なぜ起きているのかと。それは家庭環境なのか、学校環境なのかということも含めて、やはり全体的にやっていくことが必要で、我が国の教育は私も高校のときまで薬について習ったこともありませんし、ですから、そういう学校教育も含めて国全体としてやる。もう1つ、例えば不幸なことに自殺とかがあった場合には、すぐにニュースで流れて、ここに相談しなさいよとあるように、やはりオーバードーズについても、政府広報として何か受け皿があるような、すぐ相談できるような、そういう仕組みも作るような抜本的なところが必要ではないかと思います。以上でございます。
○福井部会長 ありがとうございます。何か厚労省からございますか。2類3類で資格者がいるかいないかを把握しているかどうか。
○大原薬事企画官 御質問ありがとうございます。インターネット販売におきましても、1類であれば裏には薬剤師が、それから2類3類であれば薬剤師又は登録販売者が対応する形となっておりまして、そういった点、薬事監視等の所では、必要な確認をされるところにはなるかと思います。
また、今回の濫用のおそれのある医薬品の関係でございますが、インターネットにおきましても、オンラインを導入いただく形となっておりますので、そういったところについて整合性は図られているかと思っております。
○福井部会長 ありがとうございます。村島先生が指摘されて、今、森参考人も指摘されましたけれども、濫用の原因解明ですね。どういうポイントで防げる可能性があるのかということも含めて、確かに全体像が分かると、よりディスカッションがスムーズになるのではないかと思いましたので、また今後、可能な限りお願いしたいと思います。
すみません、ちょっと時間のこともございまして、議題2に移らせていただきたいと思います。新技術による医薬品等にも対応したリスクに基づく市販後安全性対策の強化、法違反事例を踏まえた更なる法令遵守や品質確保の取組の実施についてです。事務局から説明をお願いいたします。
○野村医薬安全対策課長 それでは、議題2について、資料2の2ページ目から御覧ください。テーマ②として、市販後安全性対策や品質確保などにつきまして、下の記載にあります6つの事項について御議論を頂きたいと思います。3ページを御覧ください。まず、(1)リスクベースドアプローチの推進・RMP(医薬品リスク管理計画)制度の見直し、(2)RWDの安全対策への利活用の明確化について、御説明いたします。
まず、上の欄の記載にあります背景・課題です。医薬品リスク管理計画制度の見直しに関して、1つ目のポツにありますとおり、先駆的医薬品指定制度、条件付き早期承認制度の法制化などを踏まえまして、安全性に対して特に検討すべき事項をあらかじめ特定して、検出された安全性シグナルに対して迅速かつ計画的に市販後安全対策に取り組む重要性が高まっております。
また、3つ目のポツに記載をしましたとおり、RMPにつきまして、現在は再審査時に承認条件を解除するといった運用が行われていますが、このような特定のタイミングにかかわらず、医薬品ライフサイクル全体を通して、安全に関する新たな知見に対応する必要があると考えております。
リアルワールドデータに関しましては、市販後の安全監視活動として、大規模な症例数を対象とした調査や、対照群を設定した調査が容易な製造販売後データベース調査を推進すべきとの指摘を頂いております。
これらの対応として、下の検討の方向性に記載させていただいておりますが、承認時や市販後に得られた知見に基づき、必要な場合にRMPを策定又は変更して、これに基づく活動が実施されるよう、RMPの位置付けを法律上明確化してはどうかと考えております。
また、3つ目のポツにありますように、RMPに基づく計画的な情報収集を重点化することで、従来の市販後安全対策の効果を損なうことなく、リスクベースの市販後安全対策を更に効果的に実施できる制度の構築を目指す方向性についてどう考えるか。また、こうした中で安全管理責任者の重要性が増すことから、その法的な位置付けを見直してはどうかということでまとめさせていただきました。
リアルワールドデータに関しましては、現在、法律上、再審査申請時に提出すべきとされている「医薬品の使用成績に関する資料」という言葉が「使用成績調査」を想起させるというような御指摘も頂いておりまして、この規定を見直してはどうかと考えております。
続きまして、4ページから参考資料です。4ページは、RMP制度に関して海外との比較や、その運用状況を御説明したものとなっております。
続きまして、5ページです。こちらはRMP制度の見直しに関するイメージです。中央に矢印がありますが、新たな対応が必要になった際に、中央矢印の右側のようにRMPを迅速に策定いたしまして、様々な活動をこれに基づいて行ってはどうかというイメージを示しております。6ページはRMPの概要となっております。
続きまして、7ページを御覧ください。(3)安全性情報報告制度等の重点化の推進です。まず、1つ目の感染症定期報告について、資料に記載はありませんが、簡単に制度の御紹介をいたしますと、生物由来製品などに関しまして、原材料由来の感染リスクが懸念されますので、こういった観点についての報告を定期的に求めているというものです。この感染症定期報告の運用状況なども含めて、3つ目のポツにあるように、安全性に関するイベントの発生時に、都度、検討と対策が講じられるような制度にしていくべきではないかと考えております。
続きまして、2つ目の医薬品の副作用等報告に関しては、3つ目のポツにありますように、外国症例につきまして、現在は投与経路や配合成分が異なるような場合でも全て報告対象ということで義務付けておりますが、こういったものについて報告の重複を排除する観点であるとか、欧米の制度も参照して見直しをしてはどうかと考えております。
3つ目の医療機器・再生医療等製品の不具合報告については、医薬品の制度では求められていない既知重篤な外国症例の報告が義務になっているとの指摘を受けております。なお、薬機法施行規則上、既知の事象であっても、例えば発現頻度や発現条件などの傾向が変化した場合には、既知ではなく未知として取り扱われて報告の対象となること。それから、緊急報告であるとか、海外における措置が報告の対象となっていることから、これまでと遜色のない安全対策が実施できるのではないかと考えております。
8ページには、検討の方向性を示しております。特に感染症定期報告については、この枠組みは継続をしつつ、リスクの高い場合に速やかに報告を求めることとして情報収集や記録の保管はGVP省令、医薬品の製造販売後安全管理の基準に関する省令ですが、こちらに基づいて企業に査察などにも入りますので、こういった中で把握をしてはどうかと考えております。
また、9ページから参考資料です。9ページが感染症定期報告の制度の概要と実態などを御説明しております。
10ページが副作用報告の海外との比較を示しております。
11ページは、先ほど重複について御説明をいたしましたが、そのイメージの図となっております。
続いて、12、13ページは医薬品、それから医療機器・再生医療等製品のそれぞれの報告期限を示したものとなっております。安全対策については以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局の説明につきまして、御意見、御質問等がありましたら。
○佐藤大臣官房審議官(医薬担当) すみません、続きまして、14ページ以降をここで説明した後に御質問ということでお願いできればと思います。
○福井部会長 ああ、そうですか。
○佐藤大臣官房審議官(医薬担当) それでは、続きまして、監視指導関係の御説明をさせていただきます。14ページ以降になります。更なる法令遵守や品質確保等の取組の実施です。御案内のとおり、令和3年2月の小林化工に関する行政処分を始めといたしまして、前回の法改正以降も後発医薬品製造業者を中心とした不正事案が発生し、行政処分等が連続している状況が今日まで続いております。
そういった中で、この検討の方向性の部分ですが、令和元年の法改正において、医薬品等関連業者のガバナンスの強化という部分が法律上も規定されていますが、企業に対する更なる法令遵守体制の整備が必要なのではないかということ。また、企業の活動を監視する側の行政のリソースも考慮しながら、取締りの強化という観点での議論があるべきではないかということが14ページです。
15ページには、前回の法改正において、企業のガバナンス強化として体制面で規定された部分を図示しています。
16ページです。前回の法律改正の中でも1回議論をしている部分ではありますが、責任役員に対する変更命令という部分もあります。昨今の製造品質管理上の行政処分の事案においては、総括製造販売責任者の変更等を実際に命じたような事例もあります。また、不正事案の中では責任役員等の関与が認められた事案も複数存在しているような状況です。そのような中で責任役員の責任をより明確にする観点から見ても、責任役員に対しては次期法改正においても役員変更命令という部分の規定について、改めて盛り込むべきではないかといった方向性を示させていただいております。
17ページです。製造販売業者の品質管理の向上です。そういった企業の品質管理に関するガバナンス体制の強化というような状況の中で、多くの不正事案の中で製造販売業者による製造業者に対する管理監督が不十分であった事案が相当数存在していまして、この製造業者への管理監督の強化という部分を制度的にどのようにしていくかといった議論です。
現在は、薬機法上は総括製造販売責任者については、法律上も設置義務が規定されている状況ですが、総括製造販売責任者の下で品質保証を担当している品質保証責任者については、いわゆる省令レベルでの規定になっておりまして、法律的な位置付けに差があるというような状況を指摘されているところです。そのような中で検討の方向性の部分ですが、医薬品の製造販売業者における品質保証責任者において法的な責任を強化するとともに、彼らの責任をより適切に発揮していただくというような仕組みにしていく。その中で、例えば製造業者からの製販業者に対する情報の開示ですとか、また、その製造業者に対する監督責務を薬機法の中でも、より明確に規定するような必要性があるのではないかというところが検討の方向性です。
18ページです。課徴金制度の対象の見直しです。課徴金制度も、特に広告に関する違反に対して令和元年の改正で導入をされてきております。この課徴金制度については、抑止効果をもともと期待しているわけですが、業界のアンケートの中でも非常に抑止効果が期待されるといった回答も得られているところです。一定の効果がある仕組みなのだろうと我々も考えているところです。
ただ、この課徴金制度を検討する時点において、前回の改正においては、やはり、この課徴金制度は経済的利得を優先した形での制度でして、広告というものに対して、前回の改正においては導入をされたわけですが、昨今の品質製造管理上の悪質な違反行為の事例を見ていますと、やはり製造品質管理よりも製品の利益を優先するがために、そういった違法行為を犯してしまうような事例が複数挙がっているような状況です。前回の改正時点では想定していなかったわけではありますが、昨今のそういった事実を見るに当たりまして、この課徴金制度については抑止的な意味を含めて、こういった製造管理上の悪質な行為まで拡大してはどうかというのが今回の提案です。
19ページです。GMP調査情報の公表の強化です。これは運用ということですが、今、GMP違反情報については企業名を伏せて、一定程度一般化した形で行政から注意喚起のオレンジレターを行っています。米国においては、Warning Letter制度をとって企業名や個別の指導内容等も細かく公表するような仕組みを取っています。日本国内における企業のアンケート等においても、今の現状よりもより細かい、実際にどういった具体的な内容が違反だったのかといった情報を求める声もありまして、この検討の方向性という部分ですが、日本においても米国と同様のWarning Letter制度を導入したらいかがかといったところでの提案となっています。
続きまして、20ページです。医薬品等の広告に対する継続的な適正化の推進です。当部会でも花井委員からも御指摘を頂きましたが、企業において不適切な広告事例といいますか、販売情報提供活動事例で非常に片寄った情報で関係者に対して、情報や販売情報提供による誘因を行っているような状況が見られております。特に競争が激しい領域においては、ガイドラインを実際に公布をした後、監視事業等も行っておりますが、現状でも、やはり、そのような実例があるという状況です。このような部分に対して、不適切な販売情報提供活動に対する監視指導の強化を一層進めるべきではないか。また、よりきめの細かい企業に対するリアルタイム等での監視指導であるフィードバックや指導を行うべきではないかというところがあります。
また、内容は違いますが、疾患啓発広告に関する課題という部分で、疾患啓発広告を行う際に、類似薬が存在しないものに対しての制限等があるわけでして、こういったものの在り方についても、引き続き研究班等で議論をして深めてまいりたいと考えております。
21ページです。輸入確認制度の合理化です。前回の法律改正におきまして、いわゆる昔の薬監証明制度ということで、未承認薬等を輸入する際に、輸入の段階で地方厚生局で輸入内容の確認を行う輸入確認制度を導入しております。この制度を導入する際に、薬機法違反があった企業に対しては、違反後2年以内のものに対しては輸入確認を受け付けないといった規制を設けています。通常の業務停止期間等は最長120日程度ですが、それを越えた先のところで、実際に試験研究用の原薬や未承認薬が輸入できないという状況が2年間続くというところが、非常に悪影響を及ぼしているのではないかといった御指摘もありまして、このような部分については事情によって柔軟に輸入を認めるような仕組みとしてはどうかといった提案をさせていただいております。
22ページ以降が、企業を監督する側、行政側の体制に関する部分です。全国的なGMP査察体制の構築があります。現在のGMP調査については、この表に書いてありますように、品目の区分に応じてPMDA、国と都道府県に調査権限の役割分担をしている状況になっています。
一方、これまでも指摘されてきていますが、後発医薬品に関する国内のGMP調査が都道府県で実施されておりますが、都道府県間でのリソースの差、また、調査等の経験や調査員のクオリティーという部分において限りがある場合もあるということで、こういった部分でのクオリティーの均てん化等が1つの課題になってきています。
23ページに都道府県を代表した東京都、大阪府からの御提案もありますが、1つのやり方といたしましては、都道府県間の差をより縮めていくという中で、より力のある都道府県が他の都道府県を支援していくといった枠組みを主体的に稼働していくことがあります。ただ、こういう場合であっても、県境を越えるということもありますので、例えば、さすがに東京都が他の自治体においてこの調査権限を発揮することはできず、オブザーバーという形での参加になるといった状況もあります。あとは、GMP主体において都道府県が協力するというのもありますが、PMDAがそれを補完するような仕組み、支援体制も必要ではないかといった議論があります。
次に24ページです。近年の違反事例等をこれまでレビューをしてきています。これまでも薬事検討会と呼んでおりますが、創薬力の強化、安定供給の確保のための薬事規制の在り方に対する検討会での議論も行われてきております。特に新しい品目、後発品であれ新薬であれ、新しい品目においては、品質リスクが発生しやすいといった、いわゆる上流問題もありまして、このようなものに対しての品質管理上リスクの検知を早期の段階で行っていく必要があるのではないかということもありまして、中長期的な課題といたしまして、都道府県間での体力の差等々の課題を解決するというところもありまして、都道府県の実情に応じて、PMDAが調査を実施できるような制度を含む支援体制の創設が必要ではないかといった議論がありました。
そのような中で、比較的難易度が高い調査事項ということで、例えば後発医薬品の承認申請時の新規品目に係るGMP調査や、医療用医薬品の区分適合性調査については、現在の調査主体の協力配分関係の中で、少しPMDAに寄せるということを考えてもいいのではないかといった提案をさせていただいております。
25ページです。薬機法違反と回収の関係の明確化です。現在も様々な薬機法違反において、製品の品質に影響が及ぶような場合については、当然、回収をするといったことがあります。その回収が必要以上に実施された場合に、違法性や品質への影響がない製品までも回収されることによって、医療現場の安定供給において支障が生じ、かえって保健衛生上の危害を生じるといった事態が発生している状況があります。
そのような中で、これはかなり限定的な運用になるのだろうと思いますが、違法性や品質に影響がない軽微な違反等については、回収と言っても製品の引き取りを行わずに、医療関係者を通じて患者等への注意喚起を行うことによる対応を可能としてはどうかということで、現在、研究班等による検討を進めているような状況です。監視指導・麻薬対策関係は以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。様々な課題についての説明をしていただきました。少々、頭の切替えが必要な所もありますが、ただいまの資料の2ページにありますように、大きく分けて6つの項目について御議論いただきたいということです。残りの時間も限られていますが、この順番で、まず御意見を伺ってみたいと思います。最初に、リスクベースドアプローチの推進・RMP制度の見直しの項目について、検討の方向性を含めて、何か御意見がございましたらよろしくお願いします。森委員、どうぞ。
○森委員 今、薬局でもRMPの情報を活用した処方内容の分析、それから管理指導をすることによって、より質の高い指導管理業務、そして市販後の安全対策に取り組んでいます。また最近は、RMPに基づく患者向けの情報資材を活用した指導も積極的に進めています。そうした中で、医薬品にはそもそも未知のリスクがあり、また既知のリスクを最少化することから、市販後収集された情報に基づく安全対策の実施は重要だと思っています。そして、必要な場合に、RMPの策定や変更を行い、医薬品ライフサイクル全体を通じて安全対策が実施されるよう見直すことは必要だと考えます。そうしたことで、実効性ある制度にしていただきたいと思っています。
それからもう1点、RMPの策定や変更に関する情報が、医療現場に速やかに伝達されるようにお願いしたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。オンラインで花井委員、どうぞ。
○花井委員 RMPについては、もうかれこれ10年たっていまして、その内容については、承認条件との区別とか、RMP全体が承認条件となっているようなことも増えていますし、それから、企業によって内容やそれに対する対応もばらつきが出てきていまして、非常に見直しが必要だということは全く賛同いたします。ある程度形式化してしまっている部分もありますので、やはり実践的安全対策にもっとRMPが活用されるような今回の見直しは、全く同意で賛成です。是非、そういう実践的なRMP制度にしていただけたらと思います。また、承認条件等の整備も明確にしていただくことによって、より承認条件や、いわゆる市販後報告制度も分かりやすくなるかと思います。
感染症定期報告はまだやらなくていいですか。次の議題ですか。ついでに感染症定期報告も発言しておきます。これはもう20年たっている制度で、いわゆる薬害エイズの上流規制から生まれた制度なのです。現在でも非常に有効なのですが、確かに重複して同じようなものばかりが上がってくるということで、20年たっていますので、そういう運用の部分で見直しが必要だというのは賛成ですが、この制度の重要性については、引き続き御理解いただけたらと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。村島委員、どうぞ。
○村島委員 私も、めりはりのあるRMPというのは賛成ですが、この参考資料に関して御質問させていただきます。6ページ、めりはりがあるという意味で、不要と通常と追加ということで二通りありますが、追加の措置を判定するのは、いつ、どこで、誰がというのは、これは多分まだプランだとは思うのですが、どのように考えていらっしゃるのかをお聞きしたいのです。
○福井部会長 よろしくお願いします。
○野村医薬安全対策課長 医薬安全対策課からお答えをいたします。これまでは、新薬の承認に際して、今、お話もあったとおり、承認条件ということでRMPを義務付けることがほとんど行われておりました。そういう意味では、ある程度、審査の中で安全性検討事項が確認されて、これに対して通常のもの、この通常のものはRMPの有無にかかわらず全ての医薬品について、法令などに基づいて実施をしているものになりますので、それ以上の調査なり対処法が必要だという判断がされればということになります。リスク管理計画を適宜、適切に作るような形になりましても、その中身に応じて、この追加の必要性というのは個別に判断をしていく、このような形になるかと考えております。お答えになっておりますでしょうか。
○村島委員 分かりました。これは現時点での案になりますでしょうか。
○野村医薬安全対策課長 6ページ目につきましては、既に実施をしているRMPの中身ということで、今回の改正につきましてもこの基本骨格は変わりませんが、RMPを発動するタイミングを、必要なときに機動的にできるようにと考えております。
○村島委員 分かりました。
○福井部会長 ありがとうございます。そのほかよろしいでしょうか。それでは、RWDの安全対策への利活用の明確化につきましてはいかがでしょうか。
次に、安全性情報報告制度等の重点化の推進についてです。よろしいですか、森委員、どうぞ。
○森委員 一言だけ。投与経路が異なるものについても重複報告をなくすということなのですが、安全対策上問題がないようであれば、そこに関して異論はありません。
○野村医薬安全対策課長 ありがとうございます。御指摘のように、複数の企業から同一の症例が報告されることについて解除したいと思っておりますので、漏れのないような形で、ただ重複は排除するという形で考えていきたいと考えております。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
それでは、4番目の製造販売業者による品質保証責任の明確化等による品質管理の向上は、確か6項目あったと思いますが、いかがでしょうか。滝田参考人、どうぞ。
○滝田参考人(中濱委員代理) 日薬連の滝田です。本日の議題等も関連するのですが、中濱が岐阜の工場でGMPの査察を受けておりまして、私が急遽、代理という形で参加させていただいております。まず、産業界としまして、依然として、製造管理、品質管理上の行政処分が続いていることにつきまして重ねておわびいたします。
今回、産業界からは、ドラッグラグ・ロスの解消と安定供給確保のため、国際整合性や合理性を含んだ要望を出させていただいているのですが、今回、事務局から提案いただいた検討の方向性は、基本的には規制強化というものが示されていると理解しております。もちろん、医薬品においては十分なリスク管理、安定供給においては十分な品質保証が前提となりますので、産業界としましては、この方向性で全般的に検討いただくことには異論はございません。
ただ1点だけ、現在、省令で規定されている品責と安責を薬機法に規定するというのが入っておりました部分につきまして、意見とコメントを述べさせていただきたいと思います。
現在、薬機法では、安全管理や品質保証の責任者として、原則、薬剤師という総責が規定されています。省令で総責は、品責、安責を監督し、その意見を尊重すると定められております。品責、安責を法に規定することによりまして、立場が同等になって責任が分散してしまうのではないかという危惧は持っております。むしろ、議論にもなっておりますが、責任役員と総責の責務を明確にしていく方向のほうが、法令遵守も含めた全体の製販のガバナンス強化につながるものではないかと考えております。
次にコメントです。安責の法的位置づけの見直しも言及されておりますが、昨今、副作用報告等の収集件数がものすごく増加しておりまして、収集ルートもインターネット、あるいは患者様の情報など媒体も非常に多様化しています。既に厚労省のほうで、政省令通知レベルで御検討いただいている部分もあるのですが、この機会に安責の役割、あるいは、例えば安全管理業務の委託、再委託等も含めて見直しを検討いただけたらと思います。以上が意見とコメントになります。ありがとうございます。
○福井部会長 ありがとうございます。何かしますか、よろしいですか。
○佐藤大臣官房審議官(医薬担当) 事務局です。コメントを頂きましてありがとうございます。特に責任者を法律上規定するという部分において、三役の役割に何らか役割上の重複があると、滝田委員御指摘のような御懸念があるわけで、仮にこれを法律上、三役を3人とも規定する場合においては、やはり法律の責任や役割の関係をきちんと整理して、重複がないような形でしっかり書いていくという検討を、これから詰めていかなければならないと思います。そういった詰めをする中で、また業界からも様々な御意見を頂きながら対応させていただきたいと思っております。
○滝田参考人(中濱委員代理) ありがとうございます。
○福井部会長 オンラインで花井委員、どうぞ。その後、北澤委員です。
○花井委員 今、業界のほうからもお話がありましたが、三役が全部法律事項になるということの効果は、ちょっと素人目には分からないところがあります。品責に関しては更に専門的すぎて、それでよくなるのかという、不正が減ればいいなというぐらいでしかないのですが、今あったように、安全管理の責任者、安責に関しては、やはりこれは市販後の安全対策や承認条件従事に非常に重要で、その辺は私どももいまだに不満があります。この安責が法律に位置付けられるという形式だけではなくて、今、業界からもありましたように、今の時代に合った責任の在り方や、本当に機能するかというところについて制度を考えていただけたらと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。北澤委員、どうぞ。
○北澤委員 20ページの4-5の広告に関することなのですが、今、ここで発言してよろしいですか。
○福井部会長 どうぞ。
○北澤委員 疾患啓発広告、特にワクチンのテレビCMについて意見を申し上げたいと思います。現状、当該のワクチンを作っているメーカーが、タレントなどを使ってワクチン接種を誘引するようなテレビCMが放送されていて、問題があると思っています。疾患を啓発している体裁を取っていますが、企業が広告する目的は、病気があることを啓発することによって、医療機関を受診する人を増やして自社のワクチンをより多く購入してもらうことなので、医療用医薬品の企業は疾患啓発広告をやってはいけないのではないかと思っております。
一方で、企業が発表するプレスリリースは、広告とは本来性格の異なるもので、企業が社会に対して説明責任を果たすために必要なものだと思います。これを「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」で過剰に規制して、企業が本来やるべき情報公開に後ろ向きになることのないようにお願いしたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、オンラインで山家委員、どうぞ。
○山家委員 私からも広告の部分に関して2点お願いがございます。特に課題例2としても挙がっておりますが、希少疾患などの場合に、例えば、基礎的な疾患に関わるような場合、生命に関わるような場合もあり、治療している利用者にも知られていないというケースも見聞きします。こういったときに、例えば、新しいお薬が出た場合に、過剰に規制が入ってしまうことによって、不適切な広告の規制はもちろん必要なのですが、それと同時に必要な際に、適切に広めることを妨げないような形で、今後の検討を進めていただきたいと考えております。
それから、課題例1にも関わるのですが、以前は疾患の関連団体が製薬メーカーに問合せをして、団体としてきちんとしたデータを得るということもできていたのですが、近年、そういった活動にも制限が付いてしまっていて、全て主治医に確認してくださいというように返ってきてしまう事例も見聞きしております。これは、患者・市民参画というPPIとしては後退していると思われますので、こういったことも適切な規制と同時に、適切な情報をきちんと広めていくことも併せて検討を頂きたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。三澤委員、その後は久芳委員、お願いします。
○三澤委員 すみません、ちょっと話が戻ってしまうのですが、よろしいですか。15ページの責任役員の所です。この変更について異論はございません。総括製造販売責任者、は薬剤師以外の例外規定もありますが、私は、医道審議会の薬剤師分科会で行政処分のほうも委員長として対応しており、ちょっと調べてもらったのですが、会社の中の役割として薬剤師に、この場合は総括製造販売責任者ですが、薬剤師個人としての行政処分をした例はないということなのです。薬剤師を置くということは強い立場だからで、会社の中の一員としてのガバナンス以外に、自分は薬剤師だからこれは撥ね付ける、やれと言われてもこれは薬剤師としてできませんと言うべきなのです。それが医療系の資格職の意義だと思うのです。ほかの医療系の資格職としても同様だと思います。ですから、私は、ここでの議論ではないですが、やはりきちんと医療系の資格職は責任ある立場を取るべきであるし、なおかつ、その人は、個人としての薬剤師としての責任も負うべきだと思います。いう、行政の形として、そういう不正を出した、不正をしてしまった会社の、それが悪質だった場合は、その薬剤師個人も行政処分をすることが必要ではないか、それが行政システムとしてのガバナンスを強めることになるのではないかと思います。それをちょっと発言させていただきました。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、久芳委員、その後、オンラインで花井委員、お願いします。
○久芳委員 医機連の久芳です。先ほども少し議論がありましたが、20ページの広告に関する所でコメントさせていただきます。今後の方向性ということで示していただいておりますように、医薬品医療機器等の広告の適正化に向けて、引き続き取組を進めていただくということですので、業界としても、そのような場で意見を伝えることを続けていきたいと考えております。そのときに、医療機器業界として考えていますのは、医薬品との特性の違いで、医療機器については、一般向けの広告であっても原則可能とするという考え方もあるのではないかということを提案させていただいております。そういう医薬品と医療機器の違いという観点でも、この議論の中で是非取り上げていただければと考えております。よろしくお願いします。
○福井部会長 ありがとうございます。花井委員、どうぞ。その後は森委員。
○花井委員 広告に関連して1つ申し上げておきます。前回の改正のときにもかなり強く発言した部分で、特に、限りなく広告に近い強調し過ぎた営業ツールといいますか、そういったものは何とかならないのかと議論したのですが、なかなか数が多いので難しいという話だったのです。これは業界の皆様、各社で襟を正すところはもっと力を入れていただきたいという、それはお願いです。
それからもう1つです。患者への情報提供の話は度々議論になっていまして、患者会に対する情報提供は構わないことになっているのですが、企業によってはやはり萎縮してしまって、学会で、患者会は企業ブースを通るときは真っ直ぐ見て横向くなという、そういうところとか、メーカーによってかなり変わってきてしまっているので、これは企業さんも困っていると思うのです。PPIとかPCとか言っている割には、当局に怒られないようにどう付き合っていいかということを、いわゆるおっかなびっくりやっているところもありますので、やはりちょっとここは、行政のほうである程度整理していただいて、がんの患者会の関係でも、以前に、ブース立入禁止はおかしいのではないかみたいな議論があったと思うのですが、いまだに日本において、患者会と企業との関係は、どこまで情報提供、どこまで駄目かということについては、やはり何か曖昧な感じで、企業も困っているし患者会も困っている部分があるので、行政のほうで今後検討いただけたらと思いました。
あと、課徴金の話もしていいのですか。課徴金は前回、報告だけだったのですが、拡大するのは賛成です。よく営業停止処分をするときに、営業停止すると、ショートしてしまったら現場が困る場合があるのです。今、どうしているかというと、現場で困る薬があるかどうか聞くわけです。止めてしまったら、もう本当に医療が困るような薬があったら、それはお目こぼしをするという対応だったわけです。そうすると、結果的には痛くも痒くもなく営業停止に実効性がなくなる場合もありまして、やはりペナルティ感がないというところは以前から問題だと考えていましたので、このような課徴金運用というのは極めて良いのではないかと思いました。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。森委員、どうぞ。
○森委員 まず、責任役員の変更命令についてですが、医薬品医療機器等の製造・流通・販売に関わる者の法令遵守違反は、国民の生命・健康に直結する、そして脅かすことになると考えています。役員の変更命令については前回からの継続事項であり、盛り込むことが必要だと考えます。
次に、製造販売業者の品質管理の向上ですが、製造販売業者による品質の管理は極めて重要なことだと思っています。法的責任を強化する点から、品質保証責任者について法的に位置付けることは異論がありません。
それから最後、広告なのですが、疾患の啓発というのは非常に重要だと思います。啓発なのか広告なのかということはしっかり見ていきつつ、啓発が妨げられないようにする必要があると思います。先ほど事務局から、類似薬が存在しないものに関しては制限があるということだったのですが、類似薬が存在しないことのみにより啓発ができない、妨げられることがないようにしていただきたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはよろしいですか。
それでは、全国的なGMP査察体制の構築についてはいかがでしょうか。中島委員、どうぞ。
○中島委員 東京都の中島です。資料の24ページの所なのですが、背景・課題の3つ目のポツの所で、都道府県間で対象の施設や調査員数に大きな差があり、調査経験や人数に限りのある自治体の調査能力の維持・向上が課題とあります。また同じページの方向性の案の所で、後発医薬品の新規の承認申請時の調査と、また、医療用医薬品の区分適合性調査の主体を都道府県からPMDAに見直すとの内容が記載されておりますが、この提案については反対させていただきたいと思います。なお、全都道府県に急ぎ調査をしたのですが、9割以上がこの提案については反対の御意向を示されております。その理由なのですが、この提案どおり進めた場合、都道府県の適合性調査の件数が大幅に減少するおそれがあります。現在、十分な調査体制を有している自治体においても、リーダー調査員の育成・確保が困難となり、GMP調査体制が弱体化してしまうことが懸念されます。また、GMPに詳しい職員が減ってしまえば、GMPに関する違反措置ですとか、また、製造販売業のGQP調査の実施にも支障が生じてしまいます。
都と大阪から、資料23ページにあるとおり、提案をさせていただいております。まだ検討途中のものですが、この案は、調査経験が豊富な自治体が経験や人数に限りのある自治体をフォローすることで、都道府県全体の調査体制のレベルアップを図る案となっております。GMP調査員の育成には非常に時間と労力を要しております。これまで自治体で培ってきた調査リソースを是非、有効活用していただきたいと考えております。
また、資料24ページの背景・課題のポツの2つ目と、あと、参考資料1の56ページに、製造管理上の根本原因として上流問題が挙げられておりまして、後発品の承認申請時の調査主体を見直すとの記載があるのですが、現在のGMP省令には、製剤設計を見る規定がない状況となっております。上流問題を解決するためには、調査主体の見直しよりも、製剤設計を確認する規定や仕組みを整備することが必要かと思いますので、是非、御検討をお願いします。
最後に、今回の国からの提案なのですが、都と大阪のほうには多くの自治体から説明と意見照会を求める声が届いておりますので、是非、御対応のほどよろしくお願いします。
○福井部会長 ありがとうございます。この点につきまして、たくさん手が挙がりましたので、御意見をまず伺いたいと思います。茂松委員から。
○茂松委員 今、東京都の中島委員から御意見を頂きましたが、私も大阪府から同じような意見を伺っております。確かに、GMP査察はルールが一番重要である。それはPMDAにやっていただくということは重要であると思いますが、東京や大阪府が査察体制については人材もかなり教育をしてきておりますし、応援をしてきております。PMDAでは、人員が多分40名ぐらいしかおられないということですが、全国の自治体で見ると400名おられます。その中で、東京、大阪で100名近くになるのではないかと思っておりますし、そういう人材がなくなるということは非常に大きなことではないかと思っております。また、やはり教育に時間が掛かってきますので、これは、PMDAと都道府県間でしっかりしているところが柔軟に協力し合ってやっていくことが非常に重要ではないかと思っております。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。合田委員、どうぞ。
○合田委員 22ページに書いてある、都道府県の調査能力が県によって違うというのはそのとおりだろうと思います。本当に問題なくできる県と、そうではない県があるということは実態としてよく把握しています。本当は、県にいろいろなランクを付けてできるような形というかシステムが、多分、私は一番いいのではないかと思っていたのですが、何か法律の人と話をしますと、そういう制度は非常に難しいということを言われました。そういう意味から言うと、ある程度できる県にとっては、実は、今のシステムはGMP査察も含めて、医薬品の品質管理を県の人たちが理解してくれる非常にいい制度だと思うのです。ただ、明らかに査察をうまくできない県もありますので、そういうところを考えられて、現在の検討の方向性を作られたのだろうとは思います。
24ページの下の②に医療用医薬品の区分適合性調査と書かれていますが、今、都道府県がやっているのは、医療用というのは後発医薬品です。後発医薬品の区分適合性調査であって、定期的な適合性は、一般的に都道府県では残しますよと、多分、そういうことだろうと思うのですが、少なくとも、都道府県の人が今後も引き続き経験を積んでいける制度というのは、絶対維持していかなければいけないのだと思います。茂松委員が言われてたPMDAの人数的なお話というのは、私は初めてこういう人数なのかと思ったのですが、もっとPMDAの査察に関与される人は多いのではないかと思いますが、PMDAの査察が入る際にも、常に都道府県の方が一緒に行って、常にそのことを見ているというのはすごく大事なのではないかと思いました。都道府県の方がGMPの査察について、引き続き経験を積んでいける制度というのを是非、具体的に考えていただきたいと思っています。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。もう一人、どなたか手を挙げられましたか。よろしいですか。森委員、どうぞ。
○森委員 このところ不正事案、それから薬機法違反事例が続いていて、正直、これまでの調査では法令違反を見逃していたこともあったのではないかと思います。そのため、調査の在り方の見直し、都道府県による薬事監視体制の強化の必要性があると思っています。その中では、先ほど中島委員も言われましたが、やはり都道府県のGMPの調査に関しての体制維持は非常に重要なことになってきますので、弱体化するようなことがあってはいけないと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。時間のこともありますので、最後に、医薬品医療機器等法違反と製品回収の関係の明確化につきまして、御意見がございましたらお願いします。よろしいでしょうか。オンラインでも大丈夫ですね。
長い時間、御議論ありがとうございました。それでは、本日の議論はここまでということにさせていただきます。最後に、事務局から連絡事項等ありましたらお願いします。
○重元総務課長 次回の第5回の制度部会ですが、本年7月25日に開催を予定しております。詳細につきましては事務局から御連絡を差し上げますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○福井部会長 それでは、以上をもちまして、令和6年度第4回の医薬品医療機器制度部会を閉会といたします。御協力、誠にありがとうございました。
はじめに、事務局から連絡事項を申し上げます。本日は会議室における対面形式とオンライン形式を併用して本部会を進めさせていただきます。本部会につきましては、公開とさせていただきますが、一般の方の会場への入場を制限し、報道機関の方のみの入場とさせていただいております。会議の議事録は後日公開いたします。また、YouTubeでの同時配信も行っております。
厚生労働省全体の取組としまして、審議会等のペーパーレス化を進めております。本日はペーパーレスでの開催とさせていただきますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作などで御不明点などがございましたら、適宜事務局等がサポートいたしますのでよろしくお願いいたします。
続きまして、資料の確認をいたします。議事次第にお示しのとおり、資料1及び資料2、資料2に関する参考資料、各種閣議決定文書に関する参考資料、委員提出資料、参考人提出資料がございます。Web参加の委員におかれましては、事前にこれらの資料をメールにて送付しております。過不足などございましたら御連絡いただければと思います。
最後に、審議中の御意見、御質問の方法についてお知らせいたします。まず、会場にお越しになって御参加いただいている委員におかれましては、挙手をしていただき、部会長から指名をされましたら、卓上のマイクをオンにして御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたら、マイクをオフにしていただきますようお願いいたします。また、オンラインで御参加いただいている委員におかれましては、御発言をしない間はミュートにしていただきますようお願いいたします。御発言の際はZoomの挙手ボタンを押していただき、その後、部会長から順に発言者を指名しますので、マイクをオンにして御発言をお願いいたします。また、御発言が終わりましたら、ミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、カメラについては常時オンにしていただきますようお願いします。
続きまして、本日の委員の出欠状況ですが、中濱委員、山口委員より、所用により欠席との御連絡を頂いております。中濱委員の代理として、日本製薬団体連合会安全性委員会委員長、滝田諭様が代理出席をされております。
また、議題1に関連して、日本チェーンドラッグストア協会の森参考人に御出席いただいております。
続きまして、第3回の部会以降に、事務局の人事異動がありましたので御紹介をさせていただきます。はじめに、大臣官房審議官(医薬担当)の佐藤です。次に、監視指導・麻薬対策課長の小園です。次に、監視指導・麻薬対策課監視指導室長の山本です。最後に、私は総務課長を拝命した重元です。よろしくお願いいたします。
それでは冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。以降の議事進行は、福井部会長にお願いをいたします。
○福井部会長 福井です。どうぞよろしくお願いいたします。本日も様々な立場からの御意見を伺いたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ただいま事務局からのお話の中にもございましたように、中濱委員の代理として滝田参考人が代理出席されております。また本日の議題1の医薬品販売制度に関する議論の続きを行うに当たりまして、前回に引き続き、日本チェーンドラッグストア協会の森参考人に出席いただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
資料1は前回と全く同じ内容ですので、事務局からの説明は割愛させていただき、参考人の森様から提出されております、販売現場からの御意見についての説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○森参考人 ありがとうございます。一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会副会長の森信でございます。審議会の議論に当たり、当協会を参考人として、本日もお招きいただきましてありがとうございます。前回、6月6日の制度部会におきましては、私が少々感情的な発言をいたしましたことを、本当に心からお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。
それでは早速、資料3ページを御覧ください。資料を読ませていただきます。私どもは最初に参考人として参加させていただいた際に、医薬品の濫用等から国民の皆様を守るゲートキーパーとして、必要な確認等は毅然と行うことを宣言いたしました。若年層をはじめとする濫用等のおそれのある医薬品の濫用防止対策は重要な課題だと捉えております。よって、濫用等のおそれのある医薬品の販売に際して、薬剤師や登録販売者が適切に関与する必要があることは異論ございません。
5ページをお願いいたします。少々説明に時間を頂きますが、客観的なデータに基づく議論のお願いです。濫用等のおそれのある医薬品の販売につきましては、令和2年9月に、「「濫用等のおそれのある医薬品」の適正販売に向けた販売者向けのガイドラインと関係団体等に向けた提言」が発せられ、昨年令和5年にはほとんどの総合かぜ薬が規制の対象となるなど、厚生労働省により、数次にわたり通知が発出されておりますが、当協会としましても厚生労働省の取組に協力してまいりました。不足していた部分はあると思います。今般、更なる規制強化が提案されておりますが、立法による規制強化に当たっては前提としての立法事実が必要であり、「有用性と濫用のバランスは数値化できないのか」と、5月16日の制度部会におきまして、福井部会長様からの御発言もございました。
審議会におかれましては、救急搬送や中毒性を起こした若者がどの成分をどの程度服用しているのか、服用したのか。有用性と濫用のバランスの数値化はできないのか。また、2023年、昨年の4月より総合かぜ薬が濫用等のおそれのある医薬品に指定され、業界として本格的に取り組んでまいりました。「原則ひとり1個販売」の対応後の濫用状況の実態把握はされているのかというところです。こうした点に着目し、販売規制を強化すべき立法事実を客観的なデータに基づき議論いただきたく存じます。
6、7ページをお願いいたします。各ページは前のページが分かりやすいように、データだけを載せております。2020年、令和2年9月から、氏名と年齢、これは若年者への販売時のみですけれども、それから他の店舗での購入状況、適正使用のために必要な数量以上の購入希望者に対して、購入理由などの確認のガイドラインが厚労省より提言され、2023年4月1日からは、ほとんどの総合かぜ薬が対象となっております。それでは不十分であるとして、更に強化をしようとされておりますが、そもそもこのページのデータは、2019年3月までのデータでしかありません。客観的なデータには基づいていないのではないかと思います。
8、9ページを御覧ください。このデータは2014年から2022年、2020年はコロナ禍の最中です。このデータは精神科で治療を受けた10代患者において、濫用のおそれのある医薬品に限らず、市販薬を主たる薬物とする患者の割合が増加しているとありますが、2020年は、特有の要因として、コロナ禍における自粛、社会的孤立の影響が大きいと考えられます。課外活動等を含めて、学生生活の萎縮や遠隔化による孤立感等があるときでした。嶋根先生ほか、専門家の方々のこれまでの発表や報告からも、明確にコロナ感染の流行により若年者の濫用が拡大したとされております。2023年4月から、濫用のおそれのある医薬品として、ほとんどの総合かぜ薬が対象となり、先ほども申しましたように、「原則ひとり1個販売」の対応を行っているところですが、昨年の検討会では、その後のデータの提出もなされず、議論されていないと認識しております。
10、11ページをお願いします。このデータは、令和元年、2019年12月から2020年1月の2か月間のデータで、濫用のおそれのある医薬品の依存症患者調査ですけれども、あくまでもこのデータは薬局店舗販売業において、「頻回購入、複数個購入を求められた製品」ということ以上の調査ではないということです。これは依存症患者調査と販売実態調査という表題と記載内容が一致していないのではないかと思います。
次に、12、13ページをお願いいたします。このデータは2017年から2021年のデータです。本報告の過量摂取に関する相談の多い上位10医薬品のうち、本報告当時、濫用等のおそれのある医薬品として規制の対象であったのは、10品目のうち3医薬品、エスエスブロン錠、ウット、ナロンエースです。定められた濫用等のおそれのある医薬品と過量摂取に関する相談事例の多い医薬品、複数箱を摂取している医薬品との実態が一致していないデータと思われます。
14、15ページをお願いいたします。こちらは2021年5月から2022年12月31日コロナ禍のデータです。救急医療における薬物関連中毒症に関する実態調査ですけれども、中毒症状に陥る上位4成分は、無水カフェイン、メチルエフェドリン、クロロフェニラミン、ジヒドロコデイン・コデインと続いておりまして、一番多いものが無水カフェインの22.2%です。つまり鎮咳薬といったようなものに含まれている成分の商品ではなく、今、多くの人が飲用しているエナジードリンク、つまりカフェインのほうがよほどの中毒性があるのではないかと思います。その無水カフェインはそもそも濫用のおそれのある医薬品には入っておりません。この実態調査データと規制対象がずれているのではないかと考えています。
16、17ページをお願いします。こちらは2014年から2022年のデータですが、2020年の販売方法が適正であった割合が、こちらは薬局で47.1%と、赤枠の所ですが、大幅に落ちている、低下しているということですけれども、コロナ禍で来店されるお客様との会話を控えているときで、会話自体を自粛している時期の数字ですので、この期間中の数値を過大視すべきではないと思います。ここではインターネットは落ちてないではないかというデータになっていますけれども、インターネットは会話はありません。
続きまして、18、19ページをお願いします。こちらは2020年から2023年6月のデータです。本調査結果は市販薬に限らず処方薬や誤飲等が含まれている等の理由から、「医薬品の過剰摂取」が原因で搬送された事例を網羅しているものではなく、あくまでも参考値として調査したものとされています。市販薬の内容も不明です。別の報告によれば、市販薬の過量服用における濫用等のおそれのある医薬品の割合は高くないというデータもあります。縷々申し上げましたが、薬事に詳しい私どもの弁護士に相談をしまして資料を作成いただきました。データに基づいた議論でなければ業界として納得できませんし、購入者に対して説明できるものではございません。以上が客観的データに基づく議論のお願いです。データがなく立法事実が弱い中で、政策目的とそれに対する手段に合理性を欠いていると思います。
次に、21ページをお願いします。商品の陳列についてです。取りまとめの資料では濫用のおそれのある医薬品について、直接購入者の手の届く場所に陳列しないこととする、いわゆる空箱陳列が示されていますけれども、本年、武見大臣が国会で、医薬品へのアクセスを阻害しないという観点を踏まえつつ、オーバードーズにつながらないようにすることを両立させる方法を、常に考えながら審議を進めていただきたいとおっしゃっておられました。また、医薬品の濫用対策については、国民への周知啓蒙、濫用している者に対する相談対応などの支援という本質的なところを、まず徹底的にやるというのが社会問題としてのオーバードーズの問題に取り組む一番基本的な課題ともおっしゃっておられます。そこで、この空箱陳列こそが、武見大臣のおっしゃるオーバードーズにつながらないようにすることと、医薬品へのアクセスを阻害しないという観点が両立していない提案だと思います。
22ページをお願いいたします。2023年4月からの指定範囲ですが、かぜ薬の棚の商品がほぼ指定対象となり、ドラッグストアでは濫用等のおそれのある医薬品として、一般用医薬品を150~400品目取り扱っております。都市部の狭い店舗では、そこまでないとおっしゃることを耳にしますけれども、確かに私も狭い店舗に行って数えましたが、都市部の狭い店舗では100~160品目取り扱っております。調剤併設なり、薬局等でそれより狭い店においては100品目を下回っている所もあるのは事実だと思います。鍵付き什器設置の場合ですけれども、店舗面積が狭い店舗に鍵付き什器を設置することは物理的に不可能です。ガラス什器ですので、転倒防止のために、特に都市部で地震等があったときに倒れることを防止しなければいけませんので、大型什器の設置が必要となります。購入者が購入を希望するたびに鍵の開閉作業に追われ、購入者の状況確認や必要な情報提供の時間を取れない懸念が生じます。什器の設置場所の確保と、全国的に鍵付きとなれば膨大な費用が発生することも事実です。今まで手に取って見比べて医薬品を選んでこられた適切な購入者にとって、著しく不便な取扱いであって、セルフケア・セルフメディケーションの理念に正面から反していると思います。
空箱陳列の場合は購入者が購入を希望するたびに、これは想像していただければ分かると思いますが、倉庫に商品を取りに行くわけですので、多くの人員を必要とします。これが薬剤師・登録販売者がその作業に追われるとなれば、本来の役割である購入者の状況確認や、必要な情報提供が果たせなくなります。購入希望者を待たせることで、今、社会的に一番問題になっていますカスハラ被害の増大が懸念されます。ドラッグストア業界でアンケートを取りましたけれども、カスハラの大小はあったとしても、カスハラ被害を受けたことがある人ということで集計したところ、約半分の者がカスハラ被害を受けているのが事実です。それにより退社する者もスタッフの中で発生していることも事実です。新たに商品を在庫するためのスペースを店内又は倉庫に確保することは極めて困難です。特に、大多数の都市部の店舗や売場面積が狭い店舗は倉庫スペースも狭いため、対象商品を倉庫に保管することは不可能です。もしそこに保管するとなれば、どこに何を置いているかを瞬時に分かるような仕組みも要るということですが、元々そういう倉庫スペースが狭くて置けないというのが事実です。
24、25ページは前回も提出させていただきましたが、参考までに、今ある濫用のおそれのある医薬品というものを全てバック棚陳列するということをやったところ、バック棚陳列の場合、幅で90cm、高さで150cmの棚が約4本必要となります。そこに手の届かないようにすることは、オーバーザカウンターとしてカウンターが必要となりますので、バック棚を含めて約5坪のスペースが新たに必要になります。現実的に不可能です。大多数の都市部の店舗や売場面積の狭い(30~50坪程度)の店に、新たに5坪を設けることはビジネスを辞めろということです。特に、鍵付き什器の設置の場合と、バック棚陳列の場合を想像してください。鍵付き什器の場合とバック棚陳列の場合においては、適切な使用目的で購入をしようと思われていた方の手に届くことができなくなります。購入者の医薬品へのアクセスを過度に阻害するものです。本日出席の皆様方も、風邪をひかれたときは、ドラッグストアでかぜ薬を見比べながら購入された経験はおありになるのではないかと思います。このような医薬品へのアクセスが過度に阻害されるわけです。
27ページをお願いいたします。次に、販売記録です。取りまとめでは一定の場合において、購入者の氏名等の記録・保管を提案されております。
28ページをお願いいたします。購入者の情報を集めて保管することが提示されていますが、複数店舗での買い回り、これも御想像いただければと思います。購入者の情報を集めて保管することを、もし1店舗でやったとしても、ほかの店舗での買い回り、インターネットでの購入、インターネットも複数のサイトで購入することができます。複数回の購入が可能ですから、これは実効性がある対策とは言えないと思います。規制の合理性と目的と効果のバランスのいずれも適切ではございません。また、ドラッグストアにおいてはお客様の情報をお預かりすることは極めて重大な意味を持ちます。情報漏えいが深刻であることは皆様御存じのとおりです。情報漏えいの対策をしていない企業が漏えいすることもありますが、昨今、先週もありましたけれども、実名は言いませんが、大企業でしっかりした情報漏えいをしているはずの企業もハッキングの被害にあっています。企業が個人情報を集めてそれを営業目的に使っている、典型的な個人情報を使っているのであれば、仮に情報漏えいが生じたとしても企業が責任を負うことが当然ですけれども、今回の提言のように、企業としては利活用が著しく難しい情報の収集を義務付けられ、漏えいの際には責任を持てよと、責任を負わされることは合理的ではないと思っております。
また、ポイントカード等をやっているから、それに紐づけできるのではないかという御意見をされた方がおられましたけれども、ドラッグストアでのポイントカードはあくまでもポイントサービスで、これは我々大手ドラッグチェーンからの実データですけれども、氏名、住所、性別、年齢といった基本情報がそろっているのは、記入している中の17.5%にしかすぎません。更に来店されるお客様に占める割合は1割を切っております。また、ここですけれども、記載していただいた情報は本人確認のできる書類等の突合などは一切行っておりませんので、架空の名前で記載されているものが多数あるわけです。あくまでもポイントサービスの域を出ておりませんので、これを活用することは困難です。29ページに、個人情報漏えいの日経新聞の記事も載せております。
次のページを御覧ください。カスタマーハラスメントの実例を30ページに記載しております。これも1例ですけれども、カスタマーハラスメントが起こり、退社をするような者がいるのも事実です。これ以上の負荷をかけるというのは、我々業界で働いている何十万という者、いやもっと多くの者が関与している中で、カスタマーハラスメントが増えることは非常に厳しいところです。
続きまして、32ページを御覧ください。医薬品の販売区分についてですが、これは反対しているというよりも、今の分類のやり方はもう慣れていまして、販売側も購入者も慣れていて、副作用等による健康被害が生じるリスク等の程度に応じて区分されていることが一目瞭然で分かる状況なので、これをもし変えられるならば、合理的な観点から取り組んでいただきたいということです。これを大きく反対しているわけではございません。意見を述べさせていただいております。
縷々申しましたけれども、データがなく立法事実が弱く、したがって政策目的とそれに対する手段に合理性を欠いていると思わざるを得ません。実際に空箱陳列、個人情報の記録保管は不可能です。ただし、社会的責任は果たさなければいけないということは痛感しておりますので、資格者の販売に対する関与は強めていくことを決意しているところです。
35ページです。日本チェーンドラッグストア協会の意見要旨です。ここも重要なところですけれども、2014年に法改正がされ、ネット販売が解禁になった年まで薬剤師・登録販売者の管理指導の下に、一般従事者をして対面で販売させることと規定されていました。長年、一般従事者をして対面で販売させることと規定されておりましたので、2014年6月に、薬剤師及び登録販売者が販売することという規定になった中で店舗によっては資格者が医薬品コーナーあるいはレジにいることの徹底が必ずしもできていなかったということは否めません。
濫用のおそれのある医薬品の濫用防止対策は必要だと認識しておりますので、当協会として、実は新体制を本年整え、議論を重ねまして、当協会として緊急理事会も行い、統一見解を取りまとめたところです。薬剤師・登録販売者の本来の役割は購入者の状況確認や必要な情報提供を行うことであり、濫用等のおそれのある医薬品が空箱になった場合、又は個人情報の記録を参照して販売する場合、薬剤師・登録販売者が作業に追われ、本来の役割が果せなくなると、先ほど申しましたけれども、いわゆるオーバードーズの問題はより接点が増えることは考えにくく、より深刻にならざるを得ないというところもお考えいただきたいと思います。そこで薬剤師・登録販売者がしっかりと販売者の状況確認と必要な情報提供を行うことこそが、濫用防止の一番の方策だと思います。
36ページをお願いいたします。当協会におきまして、先ほど来言っていますように、2023年4月より、総合かぜ薬が濫用のおそれのある医薬品に指定されてから、お一人様1個という販売を強化してきています。今後より強化するとともに、現行法のもとでは若年者への販売に際して、氏名及び年齢を確認する義務が課されているのみですけれども、ここからが我々の意思表明でございます。制度改正の際は、20歳未満の者による購入の場合、購入者の氏名を写真付きの公的な身分証等で確認します。これは今までやっておりません。また、20歳以上のものによる複数個又は大容量製品を購入する場合であって、購入理由を確認しますけれども、そこで濫用目的や頻回購入が疑われる場合は、購入者の氏名等を写真付きの公的な身分証で確認をいたします。実際に今、身分証とまでは言いませんが、理由をしっかり確認していると、ではもう要らないということで、購入に来られなくなったという実例が多数出ているのも事実です。ですから、接客が一番の濫用防止になるというのは自信を持っているところです。
そしてこれらの確認を実行するために、医薬品コーナー又はレジ等の医薬品に関する場所に、資格者を配置いたします。以上のとおり、購入者が対象医薬品を手に取る際と、購入の際の両面において販売者の関与を強めることで、濫用目的での対象医薬品の購入には相当の心理的な抵抗が生じるというデータも出てきていますし、自信もあります。更に当協会としてはガイドラインを作成いたしまして、加盟企業が資格者研修を、特に、登録販売者は資格者研修が義務付けられていますので、研修及び更に社内研修を行い、資格者が適切に販売に関与することの周知徹底をしてまいります。
そこでこれは質問があったのですけれども、「JACDSが全部のドラッグストアにできるのか」という質問がありました。できます。なぜかと言いますと、当協会加盟者以外の所へは、先ほど申しましたように登録販売者に対しては法的な決まりでもあります外部研修制度が義務づけられております中で、外部研修機関は限られていますし、外部研修機関は全て面識がありますので、そちらに登録販売者、あるいは薬剤師が適切に販売に関与することを徹底することを入れて頂きます。そこで徹底ができます。
最後になりますけれども、医薬品の濫用対策は国民への周知啓蒙や濫用している者に対する相談や対応等の支援という本質的なところをまず徹底的にやるというのが社会問題としてのオーバードーズの問題に取り組む一番基本的な課題であると、武見大臣の言葉を先ほど紹介いたしました。昨年の6月に医師会の定例記者会見をYouTubeで拝見したのですが、宮川先生がおっしゃっておられたように、やはり本当にそのとおりだなと思ったのですけれども、私どもも一般用医薬品を使用する方への教育を社会全体としてカリキュラムに落とし込むなど、抜本的な改革が必要だと思います。例えば医療用医薬品は、処方箋を出された使用者が使うわけですけれども、あるいは購入の場合は保護者の方が購入をして説明を受けるわけですが、我々の一般用医薬品は、セルフメディケーションと申しますが、今まで長い歴史の中で安全性を基に、一般の方が使うことを目的に医薬品を提供されてきておりますので、購入者と使用者が違う場合もあります。これは置き薬等もそうですが、風邪になったときのためにとかいうことで、購入者と使用者が違うこともありますので、これも踏まえて社会全体として薬の使用についての教育が必要だと思います。
なお、使用される方にもお薬を使う責任を持つのだという社会全体の啓蒙活動も必要だと思います。中学生の保健の時間などで、医薬品のカリキュラムを入れるなり、最低限の医薬品の知識を義務教育課程において教育するなり、それ以上の専門的な知識については資格者が購入時等において情報提供をするなり、また一般的なところは添付文書を読んで、そして分からないことは専門家に相談をするという、今まで以上の取組が必要だということを認識しているところです。そういう社会全体の取組を是非お願いしたいと思います。国民・国家のための医薬品販売制度の構築にお力添えを頂きたいと願っております。
今回、私は厚生労働省様から当制度部会の委員の方と同じ立場で参加するようにということで発言の機会も頂きました。したがいまして、福井部会長様におかれましては当制度部会の論点整理の際には、私どもの意見を反映させていただきたいと願っているところです。よろしくお願いいたします。以上でございます。
○福井部会長 ありがとうございました。大変分かりやすく説明していただいたと思います。これから約50分程度ディスカッションをお願いしたいと思います。今、森参考人がお話になられた事柄、たくさんございますけれども、最初に若年者等への対応、恐らく社会全体の啓蒙活動、教育も含めてになると思いますが、まず、そのテーマについての御議論をお願いして、その後、商品の陳列、それから販売記録などに移っていきたいと思いますので、最初の若年者への対応や社会全体への啓蒙活動など、非常に重要だということを強調された点について御議論いただければと思います。森参考人については、引き続き御議論に参加いただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。それでは森委員どうぞ。
○森委員 森参考人、ご説明ありがとうございました。提出いただいている資料についての見方、捉え方というのは様々あるのではないかと思いますけれども、重要なことは、若年者を中心に年齢を問わず市販薬の濫用が増加しており、大きな社会問題になっている。そのため国民を濫用から守るために国、製薬メーカー、販売業者、国民全ての関係者が協力して、直ちに対応していく必要があると思います。販売制度だけ変えても駄目で、森参考人が言われたように啓発というものが非常に重要なことだと思っております。先ほどガイドラインというお話がありましたが、市販薬の濫用は以前から問題になっており、令和元年度厚生労働科学特別研究事業で国立精神・神経医療研究センターの嶋根先生が研究をし、その中で適切な販売の実施のためのガイドラインを作成して、関係団体等に向けて提言を行っています。そのガイドライン、提言に従って現場ではこれまで対応をしてきたと認識しています。先ほどの話の中で販売制度の実態調査の話がありましたが、厚労省では毎年、医薬品販売制度実態把握調査を行っていて、濫用等のおそれのある医薬品を複数購入しようとしたときの対応を調査して改善に向けて対応していますが、市販薬の濫用が止まらず続いています。
そうした背景から現状の規制では不十分であり、国民を守るために直ちに対応していく必要があるのではないかと考えます。その上で森参考人にご質問よろしいですか。2点質問がありまして、1つは専門家の常駐配置のところです。専門家の常駐配置に関しては、私はこれまでも常駐配置になっていると思います。その中で本日のお話で言いますと、それを確実に今後は実施していくということかどうかということを、1つ質問したいと思います。
2点目は記録のところになります。記録は確かに濫用防止のためにも必要ですが、現場では単に販売制度の義務になるから記録するわけではなくて、患者・生活者の個々の状況の把握や飲んでいる薬、そういうことを把握して適正な販売に活用するためのものです。仮に記録を取らないとすると、頻回購入をどうやって当該店舗で判断をするのかというのが1つです。
3点目はコメントなのですが、資料17ページ、実態把握調査のところです。コロナ禍で会話を控えていたので、薬局での遵守率が落ちてしまったという考察なのですが、ここで47%になってしまったのは法律事項であり、たとえどのような状況であってもしっかりと聞かなければならなかったと思っています。茂松委員もコロナ禍に診察されていたと思うのですが、患者さんとやり取りしている中で、診察に必要なことは当然控えることなくしっかりと指導してきたと思います。如何なる状況であっても適切に取り組んでいくべきだと思います。私からは以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。森参考人からお願いできますか。
○森参考人 御質問ありがとうございます。常駐配置ですけれども、こちらは今の薬機法を先生も熟知されていると思いますが、資格者に販売をさせることということはありますが、医薬品コーナーでの常駐配置ということにはなっておりません。先ほども申しましたように、2014年までは、資格者の管理の下に一般のスタッフに販売をさせることとなっていたので、管理と指導をする役目だという部分が強かったものですから、店舗には常駐しておりますが医薬品コーナーに資格者がずっと常駐の形でいること、医薬品コーナーあるいはレジにいるということは、先ほども申しましたように、実際やれていない店舗もありました。ですから、そこのところを議論に議論を重ねまして、医薬品コーナーに常駐ということは、それだけ資格者が必要になるのではないかと、例えば登録販売者なり薬剤師が店長であるという場合もあるのです。そうすると、店長がスタッフルームや店長室等で勤務のシフトを作っている、又は商品の入荷についてのチェックをやっている、そういう対応をしているときには医薬品コーナーにいることができないわけですから、登録販売者等の資格者を増員しなければいけないということは、相当、議論をいたしました。でも、我々の責任として、医薬品コーナーに常駐配置すること、販売に関与していくということであれば、必要ではないかということです。質問にお答えしますと、医薬品コーナーでの常駐はできていない店舗もありました。それで、やるということを宣言しております。
それから、2つ目の記録を取らなければ頻回購入を防げないのではないかということはごもっともでありまして、その店の頻回購入は防げるかもしれませんが、記録することによってほかの店とか、先ほど申しましたように隣の店とか、そういったことはできません。というのは、我々は自由経済でやっていますので、私の所と競合するようなドラッグストア等と情報の共有をやっておりませんので、そこは調剤と違います。調剤の場合は医療機関とマイナンバーを通してデータのやり取りを、今後やろうということですけれども、私は自由経済の中でそれをやるということは、多分無理だと思います。なぜかというと、よそで売っている商品を全部知るということになるので、これって自由経済として正しいことでしょうか。あそこはこういうものを売っているということですから、記録を取らなければ頻回購入は防げないのではないかとおっしゃいましたけれども、取っても頻回購入は防げません。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。オンラインで伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 御説明ありがとうございます。先ほど森先生からも御紹介がありました、嶋根先生の最新の研究結果が、6月17日に厚労科研の報告書に掲載されておりましたので、チャットではリンクを貼っております。後ほど事務局にも共有いたしますが、そこで紹介されている事実を御紹介したいと思います。
まず、調査は5,000人を対象に2023年10月から12月まで行われて、その中で市販薬の濫用経験は0.75%、人口推計で約65万人、医薬品も含めると74万人、うち解熱鎮痛剤が人口比にして0.84%、精神安定剤が0.47%と出ております。また、濫用経験を年代別に見ると、10代が1.46%、20代が0.59%、30代が0.69%、40代が0.2%、50代が1.24%、60代が0.51%といった年代別の集計があると同時に、かつ、入手先については薬局・ドラッグストアなどの実店舗が36%、家の常備薬を使うというのが16%、インターネットが4%、入手先が不明というのが56%という調査結果が出ております。知る限りの情報ですけれども、厚労省としては厚労科研を付けてこういう調査をいろんな研究者の方にしていただいているわけですから、もう少し網羅的に最新の研究結果を集めて、御紹介を頂ければと思います。
チェーンドラッグストアさんの説明の中で分かる部分と分からない部分とがありまして、一言で言うと、登録販売者や薬剤師などの、いわゆる人の努力でもっとやるということの重要性はもちろん理解しますし、それをやれてないからやっていきますというような決意については、大変心強いと思っているのですけれども、やはりそれは限界が恐らくあるだろうと、人の力というのが日本全国いろんなところでくまなく配置できるわけではないですし、全体の1%弱の濫用の方のために人を貼り付けるということは、必ずしも店舗経営から見ても合理的ではないという部分もあろうかと思います。ですので、先ほど空箱を置けないとか、いろいろありましたけれども、できない理由を探すというよりは、まずはやってみるということをしてみてはいかがでしょうか。
例えば全部の店舗で一律ということではなかったとしても、実験的に空箱でやってみますとか、在庫の置き方を工夫してみますとか、今どきコンビニでもちょっと単価の高いようなものは必ず空箱にして店頭で買うようになっておりますし、実際に薬局でもそのような商品もあろうかと思いますので、それと同じような形で少し対象を拡大することはできるのではないかと思います。
あと、やはりファクトベースで議論するという点では同意をしております。特に前回、事務局から頂いた資料というものが、やはり具体的にどの医薬品がそういう濫用に使われているのかという情報が十分ではなかったという印象を持っております。例えば資料1の参考資料の中では、濫用等のおそれのある医薬品6成分が掲げられておりますけれども、例えばエフェドリンやプソイドエフェドリンなどが事例で挙げられていないので、ここでは1500品目のうち10数製品の事例が載っているのみであるという部分について、もう少し、これは事務局へのお願いとなりますけれども、データを提示していただければと思います。
それから、私が所属しております規制改革の会議では、スイッチOTCの促進のときに、濫用等のおそれのある医薬品のうち、既に海外でOTC薬として認可されているものもあれば、既に米国や英国では禁止されているものもある。現在、成分的に濫用してはいけないような製品がOTCとして売られているような実態もあると。ですので、全てのOTCですとか、全てのかぜ薬等の市販薬が悪いわけではないのですけれども、やはりリスクが高いものというのは客観的に特定できるはずであるので、それについては売り手任せにせず、もちろん売り手の努力も大事だと思いますが、事務局ないし厚労省側で、もう少し丁寧な調査をしていただくべきではないかと思います。ですので、今回の議論で全てこういう方向というふうに解決を決めつけるものではありませんけれども、やはりまだまだ議論の濃淡があるというか、はっきりしている部分と、していない部分があるかと思いますので、継続的に議論を進めていただければと思いました。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは茂松委員、その後、花井委員、オンラインでお願いします。茂松先生、お願いします。
○茂松委員 日本医師会の茂松でございます。先ほど、森参考人からいろいろ説明を頂きましたが、OTCというのは、もともとオーバーザカウンターの略でありまして、これはカウンター越しに、薬剤師や販売登録者がきちんと説明をした上で、お薬を売るということになっているわけです。それが、先ほどの森参考人のご説明ではそういう方はいなくて、資格を持っていない者だけが関与して売っていたというのは、薬機法違反に該当しないのかなというのをちょっと御指摘をしたいと思っております。要は争点の骨でありますが、オーバーザカウンターできちんと有資格者が患者さんに説明をしてあげて、薬を選ぶのを手伝ってあげて売るということが本来のあり方です。それと、そのOTCと第三類の一般用医薬品や医薬部外品等との差が少しあるということは事実でありますので、ここをよく考えていただくということであろうかと思います。
それと、この制度部会が始まった第1回のときに、私は今まで様々な検討会でいろいろ議論されてきて、その取りまとめがあるということで、それをベースに議論をしていただきたいということを発言して、恐らく皆さんはそれで合意されたと思っているのです。医薬品の販売制度に関する検討会には日本チェーンドラッグストア協会も正規の構成員として参加をしておられて、そこで意見交換してきたはずなのです。今更、こういう意見をまた出してもらっても、ちょっといかがなものかなと。だから、もし議論するのであれば両論併記で問題になっているところ、そこをしっかりと意見交換をしていきたい。特に、山口委員の意見を拝見しますと、非常にまとまった御意見が書かれていると思っておりますし、山口委員に非常に賛成をしたいと思っております。この後、花井先生からお話があるか分かりませんが、昨日の厚労省の会議でも、濫用対策の議論をしているにも関わらず、国民の利便性の話が前に出てくることは、いかがなものかという発言をされておられます。そのこともしっかりと我々は同感であり、同意をしたいと思っております。
森参考人からは日本医師会のYouTubeでの記者会見のことも言っていただきましたが、我々として、やはり国民の安心、安全につながる売り方、これが重要ではないかなと思うところであります。ありがとうございます。
○福井部会長 ありがとうございます。花井委員、オンラインでどうぞ。
○花井委員 ありがとうございます。まず1つは感想なのですけれど、1つ目は、説明自体は理解するのですけれど、全体としていわゆるビジネス上の部分最適性化の話で、その意味で困難があるというところは説得力はよく分かるのですけれど、ことあるごとに患者の利便性とか、それから、カスハラみたいなお話をされていますけれども、心外な話でありまして、楽に買えることが利便性とか、空箱でも手に取ると比較できるわけですから、やっぱり何かそこで患者を人質に取るような、国民を人質に取るような言説は、ちょっと今の理論から言うと必ずしも説得力がなかったなと思いますし、あと、カスハラの事例を挙げていますけれども、例えばアディクション治療の現場では、ああいうことはよく起こる話で、つまり医薬品を扱って、それは一定程度の患者、濫用の場合はアデクションも含めてだと思うのですけれども、やっぱりそういうところに、そのいわゆるメディカル的な専門的な対応ができるから、専門資格を持っているのですから精神科のお医者さんから言わせれば、そのぐらいで何かハラスメントというと、多分、医療現場が成り立たないような話ではないかと思うので、やっぱりちょっと一般商品を売ることをおっしゃるのですけれど、医療と地続きな仕事であるということは、やっぱり御理解いただきたいという感想です。
質問なのですが、専門家と関与というのを促すために、いわゆる常駐ということを決意されておられますが、常駐しただけでは関与にならないと思います。ですから、一定程度、接点を必ず持つということになれば、これは導線を分けていただくということが絶対必要で、私もいろいろなドラッグストアに行きますけれども、レジが広ければ端っこのほうに登販の方がおられて、こっちでは複数のレジ打ちがレジを打っている状況で、関与というのは常駐していても困難な場合もあります。ということはこれはもう、接点を必ず持つためには導線を分ける以外には合理的方法はないので、常駐というのは決意いただいたので、これは導線を分けていただけるということでよろしいのでしょうか。また、導線を分けないのであれば、接点をどのように確保可能なのでしょうか。現実的に無理だと思うのですけれど。
○福井部会長 ありがとうございます。森参考人、いかがですか。何か御意見はありますか。
○森参考人 今、花井委員から質問と御意見を頂きましたけれども、花井先生、医療と人権の理事長さんということですけれども、販売の立場で、自由経済でやっていく中で、我々店頭のスタッフにも実は人権がございまして、先生がオーバードーズという話の中で、いろいろ話をされる中でカスタマーハラスメントの話も、多分、お耳にはされていると思うのですけれども、人権から考えて現場をよく御認識していただければと思うのが1つと、それから、医薬品コーナーに資格者を配置、これは茂松先生からも違反ではなかったのかとおっしゃいましたが、違反ではございません。資格者が営業時間にいるということが法律にあったわけで、ですので常駐という言葉自体もございませんでした。ドラッグストアというのは、医薬品コーナーだけで許可を取っているものではないのですね。店全体で許可を取っている所と、これは行政によって、これもまたまちまちなのですけれどね。県単位で違いますし、違うところもあるのですけれども、医薬品コーナーだけを医薬品販売の許可を下ろすというところもあります。そういうところは、先んじてこういうふうにそこに常駐することが必要ですよということをおっしゃっているのではないかなと思っています。ですから、一般論として医薬品コーナーに資格者が常駐していないことが法律違反ということはありません。
それから、先ほど我々が申しましたように、接客というところに割いている時間が少なかったという反省はあります。それから、オーバーザカウンターとおっしゃいましたけれども、私は創業して41年目ですけれども、当時はオーバーザカウンターでした。医薬品は全部カウンター越しに、全ての医薬品を置いていました。その頃は品目数も少なかったし、そういう業態でした。だから、普通にオーバーザカウンターではない所に製品を並べていいようになったのは、並べていいよという法律が改正はされていませんけれども、どうですか、法律が変わったのではないですよね。ないですよね。オーバーザカウンターだったのが、やっぱりセルフメディケーションの推進とともに、前に出していいというふうなことにもなったと。当時は、41年前は医薬品をはがき大以上の値段で書いたら、違反だったのですね。違反というか指導をされていたのです。濫用を助長すると。それから、幾ら幾らと書いても、これも絶対駄目だった。それも濫用を助長するということで、はがきを行政の保健所の方が持ってこられて、寸法を計るようなこともあったです。そういう時代もありました。それがどんどん変わってきて、今のような販売形態となっているわけですから、オーバーザカウンターだから、オーバーザカウンターだよ、OTCはというような名前を変えないといけないですね。
それから、先ほどの導線を作れないのかと言われましたけれども、やってみてください。できません。導線を作るということは、医薬品を買う方はそれに並べということですからね。その流れでしか買ってはいけないということになるわけですから。我々、うちの店でも一番大きな店は500坪の売場の店がありますけれども、そこで導線を作るということはそこに社会インフラとして、地震のときも食品をやってくれていてと、本当に褒めていただきました。コンビニでは翌日になくなったのにお宅にはあるねと言って、私は熊本地震のときに16軒被災しましたが、翌日に店を開けて、本当に助かったと言われたのですが、そういう方が食品も買いに来られている中で、医薬品を買うときには食品を買った後に全部並びなさいよというのは、それは現実的にできません。以上でございます。そういうことよりも、現場では今まで医薬品コーナーに常駐することまでは出来ていなかったということを認めているわけですから、常駐をして、まずそこを見ていただいて、そしてその後、それでも駄目ならというところで検討いただければいいのではないかと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。今の点についてでしょうか、花井委員。
○花井委員 ちょっと、店員さんの人権侵害の話をされているので論理がすり替わっていると思うのですが、つまりその導線を今は分けられないとおっしゃっていましたけれど、結局、登販も薬剤師さんも専門家なので、専門家が薬に関わるところで、強いクレームが出るところについては、専門家だから対応できるということがあると思うのですね。一般の店員さんに、そういう薬がらみのいわゆるちょっと患者さんみたいな方の対応を迫るというのは、それこそ人権というか、店員さんに対する大変な負担ということになるので、むしろ薬関係は専門家のほうに導線を持っていくことによって、逆に、店員さんの人権、それを人権と直接言っていいのか分かりませんけれど、その人権が守られるということになるので、何かちょっと論理がやっぱりちょっとおかしいし、それから、導線が分けられない今の理由の説明もちょっと。事実上1類に関しては導線が分けられているのだから、実現不可能な理由がちょっと分からなかったのですけれど、できないということは分かりました。ありがとうございます。
○福井部会長 先に森参考人、その後、北澤委員。
○森参考人 導線をなぜできないかというと、今、花井委員がおっしゃいましたけれども、1類はできるのです。棚1本で。棚1本ですから。どうにでもできるんです。薬剤師しか売りませんので、どうにでもできます。それと、販売の数字を今日はぱっと出てきませんけれども、限りなく0に近い販売数ですね。というのは当社が今380店舗ありますけれども、1類を置いている店は17店舗でございます。17店舗で、調剤を受けている店で1類を販売しておりますけれども、それはできます。1日に数人しか1類の薬は売れませんので。その辺もよく御認識いただいて、かぜ薬とか濫用のおそれというのを指定され、総合かぜ薬が指定されて品目数は莫大に増えているわけですから、それを導線を分けてやるということは、まず難しいと思います。
それから、もう1つだけ、すみません。私はできていなかったというのを過大に考えていただいたらいけないのですけれども、実際、店舗に登録販売者や資格者はおります。今までは情報提供が努力義務だったものですから、こちらから声を掛けるというのはほぼなかったですよということを言っているのですよね。今後は医薬品コーナーやレジ等において、薬を買おうとされている方には声掛けを基本的にやりますよということを言っているわけですから、大きな違いがございます。以上でございます。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは北澤委員、その後に佐藤委員お願いします。
○北澤委員 北澤です。このテーマ④は薬局・医薬品販売制度の見直しについて幾つか議題があり、事務局は「医薬品の販売制度に関する検討会」の取りまとめを基に進めていくことにしてはどうかと提案しているのですが、濫用等のおそれのある医薬品の販売時の対応のあり方に関しては、販売時点だけでは対策として限界があると思います。国やメーカーも、もっとやるべきことがあるはずで、販売の問題に集中するあまり、国やメーカーのやるべきことについて議論されないのもどうかと思って意見を述べます。
国のやるべきこととしては、まず濫用等のおそれのある医薬品のリストに2022年のパブリックコメントで寄せられた成分を加えることを検討してもらいたいと思います。パブコメを確認したところ、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、アリルイソプロピルアセチル尿素、カフェインについては複数の方々からパブリックコメントが寄せられていました。これらのものは、今のところはまだリストに加えられていません。
OTC医薬品をつくっているメーカーにもやるべきことがあると思います。国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦先生が、WEB岩波という媒体の連載記事で書いておられたのですが、濫用等のおそれのある成分が含まれている市販の漢方・鎮咳薬の中には、現在の医師なら第1選択薬にしないような昔からある古い薬。私の言葉で言い換えれば、時代遅れの成分が含まれていることがあるとのことです。
また、昨年の規制改革推進会議第5回健康・医療・介護ワーキング・グループで、濫用等のおそれのある医薬品の販売について議論されており、UCLAの津川友介先生が提出された資料によると、そもそも市販の感冒薬には、感冒に対する有効性を示す高いレベルのエビデンスがなく、動物実験レベルのものが大半だということでした。OTC薬を製造・販売する企業の側も、昔からある薬を売り続けるのではなく、現代の医学・薬学の進歩、またEBMの考え方を踏まえ、自社の薬を改良し、有効性・安全性に関するはっきりした裏付けのある薬を作る責任があると思います。その結果として、OTCの医薬品が今よりも絞られることになるかもしれませんが、それはそれで意味のあることだと考えます。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 ありがとうございます。すみません、厚労省に事実関係の確認をお願いしたいのですが、私の認識では薬局とは、薬剤師がいる所で、薬剤師がいないときは薬剤師にしか売れない薬は売れない。そういう薬に網をかけたりするものと理解しています。
店舗販売業においては薬剤師はいないけれど、登録販売者が責任者としており、登録販売者がいるときには登録販売者が売れる薬は売れるが、いないときには売れないという認識だったのですが、今の御発言を聞いていると、いなくても売れるんだというふうに聞こえたのですが、私の事実認識が間違っているのか、事実関係がどうなっているかを、すみません御説明いただけないでしょうか。
○福井部会長 薬事企画官の大原さん。
○大原薬事企画官 法律の中身を説明いたします。この一般用医薬品につきましては、薬機法の第36条9で書かれており、薬局開設者、店舗販売業者又は配置販売業者は、厚生労働省令で定めるところにより、一般用医薬品につき、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める者に販売させ、又は授与させなければならないとなっております。1つ目として、第1類医薬品は薬剤師となっており、第2類医薬品及び第3類医薬品については、薬剤師又は登録販売者となっておりますので、こうした資格者が販売することとなっているところです。
○福井部会長 佐藤委員。
○佐藤委員 登録販売者がいなければ売れない薬は、登録販売者がいなければ売れないということですよね。
○大原薬事企画官 そういうことです。
○佐藤委員 登録販売者が常駐していないときは、登録販売者しか売ってはいけない薬は売っていないという理解でいいでしょうか、森参考人。
○福井部会長 そうでしょうか。
○森参考人 あの、私の話し方がまずかったのか、いないわけではないのです、いるのです。いなければ営業できません。登録販売者なり、資格者は店舗にいます。すぐに対応できる状況ではありますが、先ほど言いましたように、店舗内の例えば医薬品コーナーではない所にいることもありましたよという話をしているわけで、いつでも来られる状況で、それともう一度言いますが、医薬品の販売業の許可を取っている店において、資格者がいないということは100%ありません。それは、なぜかというと行政がしっかりチェックしていただいていますから、タイムスケジュールを組んで、必ず営業時間に資格者がいるようにしています。
○佐藤委員 ありがとうございます。厚生労働省としては、売り場に登録販売者がいなくても、バックヤードにいればいいという御理解でしょうか。
○福井部会長 いかがでしょうか。
○大原薬事企画官 以前の運用としましては、先ほど森参考人がおっしゃった形になっていたのですが、ネット販売を機に省令が改正され、先ほど私が申し上げたような条文での運用となっておりますので、基本的に1類医薬品であれば薬剤師さんが、2類・3類であれば薬剤師又は登録販売者が販売するという形となっております。
○福井部会長 販売するという場合、手で渡す人、本人という意味でしょうか。
○大原薬事企画官 必ずしもレジ対応までするところではありませんが、そこの関与というところが薬剤師さんや登録販売者さんには求められているところです。
○福井部会長 よろしいですか。それでは先に森委員、どうぞ。
○森委員 事務局に確認ですが、私の理解では、販売時に専門家が必ず関与をする。そこで必要性があれば、努力義務であっても情報提供をするものと理解していますが、それで正しいですか。
○大原薬事企画官 そのとおりです。関与の中で情報提供が必要であれば、それは情報提供されるということです。
○福井部会長 よろしいでしょうか。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 取りあえず、その点については理解しました。
幾つか質問をします。協会としては、昨年4月から「原則ひとり1個販売」を徹底していらっしゃるということです。御指摘の中にもあったかと思いますが、中高生の名前と年齢の確認、「原則1人1包装」の販売自体は2014年からの決まりごとと理解しています。2014年から昨年4月までの間には、約10年があるわけですが、この間にどのような取組をされたのか教えてください。
○森参考人 それは、だんだんに進んできたのですが、ほとんどのドラッグストアが今はレジでアラートが立つようになっており、濫用のおそれがある医薬品をもし持ってこられたりした場合に、必ずそれは説明をしますので、若年層と複数個購入の人には待っていただいて、そして資格者が理由等の確認をやっております。
○佐藤委員 ありがとうございます。もう1点。先ほどの質問とも関係するところですが、前回の部会でも今ほども、これからは医薬品を売っている所に資格者を置いて、常に声掛け等をしてもらうように徹底するというお話でした。そのコンタクトと、そこでの利用者さんとのやり取りが重要だということは全く同意するところです。その資格者は、一般用医薬品についての知識のある人にお願いしたいところですが、どういう方を資格者として考えているのでしょうか。
○森参考人 資格者は薬剤師、あるいは登録販売者です。
○佐藤委員 店舗販売業においては、通常薬剤師はおいでにならないかと思うのですが、例えば、そういう所も薬剤師を置くということも考えているのでしょうか。
○森参考人 それは1類を販売しても、これは自由経済ですから、ビジネス的に合うのであれば薬剤師を配置する店もあると思います。
先ほども言いましたように、調剤をやらずして、1類だけ販売しても薬剤師の給与は賄えません。全く賄えませんので、それでも余裕があるところがやっているか、調剤併設の所が1類をやっているということが事実です。
○佐藤委員 そうすると、どのような資格の方にいていただくのか、新たに置くか置かないかも含めて、店舗の判断になるのでしょうか。
○森参考人 ちょっと意味が理解できないのですが、登録販売者がいるわけです。登録販売者という資格者がいます。
○佐藤委員 御提案としておっしゃられたのは、医薬品を置いてある場所に新たに資格のある人を置いて、声掛けを徹底する、という御意見と承っております。とてもいい提案だと思っていて、コンタクトをするということが非常に重要だというのは共有するところです。それを本当にやっていただけるのか、どういう方がやってくださるのか、ということを確認したいと思って聞いています。今、お聞きしたのは薬剤師さんがやっていただくのですかという質問に対して、いや薬剤師では経営が立ち行かないかもしれないからできないとおっしゃられたので、誰を置くのかについても、また置くかどうかについても、その店舗の経営判断になるということでしょうか。
○森参考人 販売する医薬品によります。今でも1類を販売する場合は、薬剤師がいなければいけないわけで、1類を販売しない店舗は登録販売者だけで営業をやっているわけです。
○佐藤委員 とても残念なお答えをお聞きして、何か違う回答をしていただけるのか…。
○森参考人 登録販売者が資格者というのはお分かりですか。
○佐藤委員 もちろんです。そうではなく…。
○森参考人 質問が何か、日本語になっていないのですが。
○佐藤委員 お聞きしたのは、資格のある方は薬剤師ですか、登録販売者ですかということをお聞きしたところ、ペイしないことはできない。ペイしない人は置けないとおっしゃったので、そうですかと。そうすると、どの資格の人を置いて、声掛けして頂くかというのは店舗の判断ですね。
○森参考人 いや、店舗の判断ではないです。その店舗でどのような医薬品を販売するかという会社の判断です。
○佐藤委員 もちろん、会社の判断でも結構です。その次に、実際に新たに置くか置かないかも、会社の判断ですかとお聞きしたのですが。
○森参考人 その店舗でどのような医薬品を販売するかという会社の判断です。
○佐藤委員 そうすると、協会としてやっていただけるというのは、どこまで責任をもってやっていただけるのですか。
○森参考人 質問と答えのしようがありません。
○福井部会長 ほかには、いかがでしょうか。冨田委員、どうぞ。
○冨田委員 ありがとうございます。同志社大学の冨田です。今日の前半にありました薬の服用の教育の重要性に関しては、これは皆さんが一致する重要なことだと思います。今日の議論の大きく分かれているのは、オーバードーズ対応の重要性と、もう1つ経済合理性と、相反する2つのところの視点の違いから生じるものかと思います。その中でやはりバランスを取っていく必要があるかと思いますので、オーバードーズ対応の効果の大きさや、経済合理性に関しては、薬と一般商品とは異なるものだということは重要なことですが、規制した場合の経済損失や、この今回のスライドでありましたように99%適用者という適正使用者という言葉がありましたが、そうした人たちが買い控えをすることによって影響を受ける健康へのデメリットといったような、様々なデータを出していただき、もう少し双方のバランスの議論をできればというのが本日思ったことです。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。オンラインで村島委員、どうぞ。
○村島委員 今までの議論をお聞きして、だんだん論点が分からなくなってきたのですが、そもそもこれはオーバードーズが発端だとすると、その薬の一般市民への出口からの議論ではなく、むしろオーバードーズの症例から入るべきではないか、そちらのほうが効率がいいのではないかと思っています。オーバードーズで運ばれた人たちが、どういう経路で薬剤を手に入れたということから入ったほうが効率がいいのではないかということです。何かそういうデータを厚労省の方々がお持ちであればお伺いしたいのですが。今の議論を効率面からどうなのかなという気持ちを持ってお聞きしていました。
○福井部会長 ありがとうございます。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。先程、経済損失のお話がありましたが、そもそも医薬品は生命関連商品であって、誰もが扱えるわけでもないですし、どこでも扱えるわけではないものものです。アクセスにしても、国民がアクセスできないようにしてはいけないのですが、安全性と利便性を考えたときには、やはり安全性をしっかりと重要視していくべきだと考えています。
そして、茂松委員からもご指摘がありましたが、この販売制度に関しては当初の予定よりも大幅に回数を増やし、11回にもわたって検討会を行い、そこにはJACDSからも構成員として参画し、様々な立場の人間が何名も参加して議論を重ね、その取りまとめが行われたと理解しています。取りまとめが1月に出されましたが、それから現在までの6ヶ月弱で状況は何ら変わっているわけではないと思います。
今やるべきことは何かといったら、そこでやはり専門家が議論して決めたことを、なるべく早くきちんと制度にして、国民を濫用から守ることだと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。そのほか商品の陳列、販売記録、販売区分の問題と、これまで前回の会も含めて扱ってまいりました。要指導医薬品の取扱い、遠隔管理による医薬品の販売等についても触れられてきましたが、ここで、それらの全ての項目どれについてでも結構ですが、何か御意見ございましたらお願いします。茂松先生、お願いします。
○茂松委員 ありがとうございます。先ほど森参考人が説明された資料に戻りますが、平均品目数を大体250~400品目と書きながら、店舗によっては100~160品目の所もあるという話もございました。ただ、実際に九州にある御社、都内にある他社の複数店舗を日医の宮川が調べたところ、大体100~160品目しか置いていない。そして、カウンター内に配置されている店舗もあることを考えますと、少し実態と違うようなことを発言されていることもありますし、前回のときに中島委員から東京都の調査結果のご発言がありましたが、取組については3割の店舗が置き方を考えている、売り方を考えていると言われておりました。それからいうと、少しご発言が違うような、逆に取組を阻止するような言葉になっているように思うのですが、それをお聞きしたい。チェーンドラッグの業界が一体となって、まとまった意見を出し、役割を果たしていただければ一番望ましいのですが、チェーン店によって取組が変わるということは、ちょっとおかしなことになるので、まとまっているか不明瞭な意見をこの場に出してくることは、少しいかがなものかと思います。その辺はいかがでしょうか。
○福井部会長 森参考人どうぞ。
○森参考人 今の御発言ですけれども、確かに80品目とかの店もありますし、調剤を門前等でやっている所では、この間も言いましたように、濫用も含めて48SKUだけを置いている所もあるわけです、80品目の。それは、濫用に絞ればほんの少ししかないわけです。そういう所もあるし、郊外型の場合は、数えてください。私の所は250以上ございます。それから、そういった店舗もいっぱいありますし、この間、東京都の中島委員から質問で、それから山口委員の意見書でも出ていますが、繁華街等で調べたら240件のうち80件は空箱対応していたと書いてある。これを読むと、ひどいですね。何がひどいかというと、空箱対応しているって、全部対応しているように読み取れるのですが、私は何十件も見てきました。この間で歌舞伎町をはじめ、実名を言ってもいいのかどうか、委員会だから発言して良いと判断して発言しますと、ブロンとか、本当に幾つかの、数品目の商品を空箱にしている店舗はありました。それは、以前から濫用をされてはいけないということで、咳止めの液体と錠剤がされていたので、それらについては対応している所がありますが、全品空箱にしている所は見たこともございませんので、もし対象の商品を全て空箱対応している店舗があるのであれば中島委員、御紹介ください。というデータですので、少ないデータを基にとおっしゃいましたが、もっと調べてくださいよ、日本全国。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいですか。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 ありがとうございます。実際にレジの後ろで対応するような形にした場合、どのぐらいの数が対象になるのかというのは、現実問題として重要なところだと思います。いろいろな数が出ており、恐らく何を対象にすると、どのぐらいという数も違ってくると思いますので、その点については厚生労働省にある程度、どのぐらいの点数だと、このぐらいの品目が対象になって、というような提案と、それから実際にそれぞれの薬局でどのぐらい濫用の恐れのある医薬品を置いているのかを調べていただければと思います。それが1つです。
あと、すみません、要指導医薬品についてです。前回も申し上げたことをもう一度言うような形になりますが、是非、市販の医薬品についても、対面のリアルタイムで薬剤師が服薬指導に当たる枠組として、要指導医薬品に残すというカテゴリーを作ってください。対面機能はオンラインでも構わないと思います。ただし、オンラインでも、オンタイムに、対面のやりとりによって指導する枠組が必要だと考えています。現状は、医療用医薬品の中でも薬剤師のきっちりした指導があれば一般用に転用できるものがあると言われながら、現実問題としては、要指導医薬品は、時間が経過すればネット販売ができるようになり、自己申告のテキストベースのやりとりだけで売れる状態になっているために、一般用医薬品に転用できない薬が複数ありました。要指導医薬品に残すカテゴリーを是非作っていただきたいと思います。以上です。
○福井部会長 厚労省から何かお答えはありますか、調査のことで。
○大原薬事企画官 佐藤委員、確認させていただきたいのですが、今の品目数とおっしゃられたのは、各店舗に置かれている品目数のことですか、それとも各製品に対して内容量違い等の品目が幾つあるかというところでしょうか。前者との理解で良いでしょうか。
○佐藤委員 一応、両方のつもりで申し上げました。実際、私も250~400とお聞きしていますが、どこの薬局でもそうなのかがよく分からなかったものですから。実際に取材してみたところ、地方のかなり大きな薬局の店舗に聞いたのですが、一般的に100ぐらいじゃないかなというお返事だったのです。ただ、それは私が聞いた限りのn数1の話ですので、大体どのぐらいのものを持っていらっしゃるのかというのが分かるといいと思いました。以上です。
○大原薬事企画官 そちらについては、私どもで直ちに出せる数字があるわけでもございませんし、最終的にはそこは実際の店舗を把握されているチェーンドラッグストア協会さんのほうから、もし何か数字等あれば教えていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
○森参考人 そうしたら、持っていませんので、データを集めて何SK扱っている所が何店舗あるとかというのを出すことは可能です。可能ですので、やれということであったらやりますが。
○福井部会長 いいですか、それではお願いして。オンタイムでの対面指導については何かございますか。佐藤委員から残してほしいということについて。要指導医薬品のことですね。そういう御意見があったということでよろしいですか。
○大原薬事企画官 はい。
○福井部会長 すみません、伊藤委員、オンラインで申し訳ないのですが、時間のこともございまして、簡潔にお願いしたいと思います。
○伊藤委員 ありがとうございます。要指導医薬品の販売方法については、先ほど佐藤委員がおっしゃったことと同意いたします。この事務局資料の資料1の方策の1、2、3と○で書いてある3点あるのですが、これについて、例えば1点目に関してはこの全ての要指導医薬品について、ちゃんとオンライン服薬指導で、必要な情報提供を行った上で販売することを可能とするということは残して、きちんと明記していただきたいと思います。
2点目は恐らく3点目とほとんど一緒のことをおっしゃっているのではないかと思います。適切なリスク評価を行い、適切な区分へ移行することは、一般指導医薬品に移行する場合もそうですし、逆に戻す場合も同じだと思いますので、2点目は3点目に含めて考えられてもいいかと思います。
それから、もう1つお願いしたいのが、この改正案というポンチ絵のほうなのですが、適正使用の観点から要指導医薬品にとどめることが適切なものと書いてある、この適正使用の観点からというのが、先ほど来の激論からもあるとおり、すごく抽象的な書き方にとどまっているのではないかと思います。適正使用の観点て何だということを、やはり客観的な要件として検討していただきたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。森参考人、どうぞ。
○森参考人 最後に2つあるのですが、1つは我々医薬品コーナーに資格者が販売に関与するということを申しましたが、実は業界としての質問ではなくて、私が質問してしまうのですが、ネット販売では、1類はメール等で薬剤師が対応するとなっているのですが、2類3類については向こうにテキストベースですから、資格者がいるのかというのを行政として把握されているのかと。我々の所は来ればすぐ分かるのですが、そういう法の整合性というか、そういったことをきちんとやらないと、今後、資格者がいない所での販売も認めようとなっている中で、法の抜け穴になって、これだけオーバードーズで大変だと皆さん言っている中で、ネットを通したら簡単に買えちゃうよってなったら、これは本末転倒ではないかなと思うので、そこをどのように今後チェックしていくのかというのをお尋ねしたかったということと、もう1つは、最後にこの濫用のおそれのある医薬品、どなたかの先生がおっしゃいましたが、なぜ起きているのかと。それは家庭環境なのか、学校環境なのかということも含めて、やはり全体的にやっていくことが必要で、我が国の教育は私も高校のときまで薬について習ったこともありませんし、ですから、そういう学校教育も含めて国全体としてやる。もう1つ、例えば不幸なことに自殺とかがあった場合には、すぐにニュースで流れて、ここに相談しなさいよとあるように、やはりオーバードーズについても、政府広報として何か受け皿があるような、すぐ相談できるような、そういう仕組みも作るような抜本的なところが必要ではないかと思います。以上でございます。
○福井部会長 ありがとうございます。何か厚労省からございますか。2類3類で資格者がいるかいないかを把握しているかどうか。
○大原薬事企画官 御質問ありがとうございます。インターネット販売におきましても、1類であれば裏には薬剤師が、それから2類3類であれば薬剤師又は登録販売者が対応する形となっておりまして、そういった点、薬事監視等の所では、必要な確認をされるところにはなるかと思います。
また、今回の濫用のおそれのある医薬品の関係でございますが、インターネットにおきましても、オンラインを導入いただく形となっておりますので、そういったところについて整合性は図られているかと思っております。
○福井部会長 ありがとうございます。村島先生が指摘されて、今、森参考人も指摘されましたけれども、濫用の原因解明ですね。どういうポイントで防げる可能性があるのかということも含めて、確かに全体像が分かると、よりディスカッションがスムーズになるのではないかと思いましたので、また今後、可能な限りお願いしたいと思います。
すみません、ちょっと時間のこともございまして、議題2に移らせていただきたいと思います。新技術による医薬品等にも対応したリスクに基づく市販後安全性対策の強化、法違反事例を踏まえた更なる法令遵守や品質確保の取組の実施についてです。事務局から説明をお願いいたします。
○野村医薬安全対策課長 それでは、議題2について、資料2の2ページ目から御覧ください。テーマ②として、市販後安全性対策や品質確保などにつきまして、下の記載にあります6つの事項について御議論を頂きたいと思います。3ページを御覧ください。まず、(1)リスクベースドアプローチの推進・RMP(医薬品リスク管理計画)制度の見直し、(2)RWDの安全対策への利活用の明確化について、御説明いたします。
まず、上の欄の記載にあります背景・課題です。医薬品リスク管理計画制度の見直しに関して、1つ目のポツにありますとおり、先駆的医薬品指定制度、条件付き早期承認制度の法制化などを踏まえまして、安全性に対して特に検討すべき事項をあらかじめ特定して、検出された安全性シグナルに対して迅速かつ計画的に市販後安全対策に取り組む重要性が高まっております。
また、3つ目のポツに記載をしましたとおり、RMPにつきまして、現在は再審査時に承認条件を解除するといった運用が行われていますが、このような特定のタイミングにかかわらず、医薬品ライフサイクル全体を通して、安全に関する新たな知見に対応する必要があると考えております。
リアルワールドデータに関しましては、市販後の安全監視活動として、大規模な症例数を対象とした調査や、対照群を設定した調査が容易な製造販売後データベース調査を推進すべきとの指摘を頂いております。
これらの対応として、下の検討の方向性に記載させていただいておりますが、承認時や市販後に得られた知見に基づき、必要な場合にRMPを策定又は変更して、これに基づく活動が実施されるよう、RMPの位置付けを法律上明確化してはどうかと考えております。
また、3つ目のポツにありますように、RMPに基づく計画的な情報収集を重点化することで、従来の市販後安全対策の効果を損なうことなく、リスクベースの市販後安全対策を更に効果的に実施できる制度の構築を目指す方向性についてどう考えるか。また、こうした中で安全管理責任者の重要性が増すことから、その法的な位置付けを見直してはどうかということでまとめさせていただきました。
リアルワールドデータに関しましては、現在、法律上、再審査申請時に提出すべきとされている「医薬品の使用成績に関する資料」という言葉が「使用成績調査」を想起させるというような御指摘も頂いておりまして、この規定を見直してはどうかと考えております。
続きまして、4ページから参考資料です。4ページは、RMP制度に関して海外との比較や、その運用状況を御説明したものとなっております。
続きまして、5ページです。こちらはRMP制度の見直しに関するイメージです。中央に矢印がありますが、新たな対応が必要になった際に、中央矢印の右側のようにRMPを迅速に策定いたしまして、様々な活動をこれに基づいて行ってはどうかというイメージを示しております。6ページはRMPの概要となっております。
続きまして、7ページを御覧ください。(3)安全性情報報告制度等の重点化の推進です。まず、1つ目の感染症定期報告について、資料に記載はありませんが、簡単に制度の御紹介をいたしますと、生物由来製品などに関しまして、原材料由来の感染リスクが懸念されますので、こういった観点についての報告を定期的に求めているというものです。この感染症定期報告の運用状況なども含めて、3つ目のポツにあるように、安全性に関するイベントの発生時に、都度、検討と対策が講じられるような制度にしていくべきではないかと考えております。
続きまして、2つ目の医薬品の副作用等報告に関しては、3つ目のポツにありますように、外国症例につきまして、現在は投与経路や配合成分が異なるような場合でも全て報告対象ということで義務付けておりますが、こういったものについて報告の重複を排除する観点であるとか、欧米の制度も参照して見直しをしてはどうかと考えております。
3つ目の医療機器・再生医療等製品の不具合報告については、医薬品の制度では求められていない既知重篤な外国症例の報告が義務になっているとの指摘を受けております。なお、薬機法施行規則上、既知の事象であっても、例えば発現頻度や発現条件などの傾向が変化した場合には、既知ではなく未知として取り扱われて報告の対象となること。それから、緊急報告であるとか、海外における措置が報告の対象となっていることから、これまでと遜色のない安全対策が実施できるのではないかと考えております。
8ページには、検討の方向性を示しております。特に感染症定期報告については、この枠組みは継続をしつつ、リスクの高い場合に速やかに報告を求めることとして情報収集や記録の保管はGVP省令、医薬品の製造販売後安全管理の基準に関する省令ですが、こちらに基づいて企業に査察などにも入りますので、こういった中で把握をしてはどうかと考えております。
また、9ページから参考資料です。9ページが感染症定期報告の制度の概要と実態などを御説明しております。
10ページが副作用報告の海外との比較を示しております。
11ページは、先ほど重複について御説明をいたしましたが、そのイメージの図となっております。
続いて、12、13ページは医薬品、それから医療機器・再生医療等製品のそれぞれの報告期限を示したものとなっております。安全対策については以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局の説明につきまして、御意見、御質問等がありましたら。
○佐藤大臣官房審議官(医薬担当) すみません、続きまして、14ページ以降をここで説明した後に御質問ということでお願いできればと思います。
○福井部会長 ああ、そうですか。
○佐藤大臣官房審議官(医薬担当) それでは、続きまして、監視指導関係の御説明をさせていただきます。14ページ以降になります。更なる法令遵守や品質確保等の取組の実施です。御案内のとおり、令和3年2月の小林化工に関する行政処分を始めといたしまして、前回の法改正以降も後発医薬品製造業者を中心とした不正事案が発生し、行政処分等が連続している状況が今日まで続いております。
そういった中で、この検討の方向性の部分ですが、令和元年の法改正において、医薬品等関連業者のガバナンスの強化という部分が法律上も規定されていますが、企業に対する更なる法令遵守体制の整備が必要なのではないかということ。また、企業の活動を監視する側の行政のリソースも考慮しながら、取締りの強化という観点での議論があるべきではないかということが14ページです。
15ページには、前回の法改正において、企業のガバナンス強化として体制面で規定された部分を図示しています。
16ページです。前回の法律改正の中でも1回議論をしている部分ではありますが、責任役員に対する変更命令という部分もあります。昨今の製造品質管理上の行政処分の事案においては、総括製造販売責任者の変更等を実際に命じたような事例もあります。また、不正事案の中では責任役員等の関与が認められた事案も複数存在しているような状況です。そのような中で責任役員の責任をより明確にする観点から見ても、責任役員に対しては次期法改正においても役員変更命令という部分の規定について、改めて盛り込むべきではないかといった方向性を示させていただいております。
17ページです。製造販売業者の品質管理の向上です。そういった企業の品質管理に関するガバナンス体制の強化というような状況の中で、多くの不正事案の中で製造販売業者による製造業者に対する管理監督が不十分であった事案が相当数存在していまして、この製造業者への管理監督の強化という部分を制度的にどのようにしていくかといった議論です。
現在は、薬機法上は総括製造販売責任者については、法律上も設置義務が規定されている状況ですが、総括製造販売責任者の下で品質保証を担当している品質保証責任者については、いわゆる省令レベルでの規定になっておりまして、法律的な位置付けに差があるというような状況を指摘されているところです。そのような中で検討の方向性の部分ですが、医薬品の製造販売業者における品質保証責任者において法的な責任を強化するとともに、彼らの責任をより適切に発揮していただくというような仕組みにしていく。その中で、例えば製造業者からの製販業者に対する情報の開示ですとか、また、その製造業者に対する監督責務を薬機法の中でも、より明確に規定するような必要性があるのではないかというところが検討の方向性です。
18ページです。課徴金制度の対象の見直しです。課徴金制度も、特に広告に関する違反に対して令和元年の改正で導入をされてきております。この課徴金制度については、抑止効果をもともと期待しているわけですが、業界のアンケートの中でも非常に抑止効果が期待されるといった回答も得られているところです。一定の効果がある仕組みなのだろうと我々も考えているところです。
ただ、この課徴金制度を検討する時点において、前回の改正においては、やはり、この課徴金制度は経済的利得を優先した形での制度でして、広告というものに対して、前回の改正においては導入をされたわけですが、昨今の品質製造管理上の悪質な違反行為の事例を見ていますと、やはり製造品質管理よりも製品の利益を優先するがために、そういった違法行為を犯してしまうような事例が複数挙がっているような状況です。前回の改正時点では想定していなかったわけではありますが、昨今のそういった事実を見るに当たりまして、この課徴金制度については抑止的な意味を含めて、こういった製造管理上の悪質な行為まで拡大してはどうかというのが今回の提案です。
19ページです。GMP調査情報の公表の強化です。これは運用ということですが、今、GMP違反情報については企業名を伏せて、一定程度一般化した形で行政から注意喚起のオレンジレターを行っています。米国においては、Warning Letter制度をとって企業名や個別の指導内容等も細かく公表するような仕組みを取っています。日本国内における企業のアンケート等においても、今の現状よりもより細かい、実際にどういった具体的な内容が違反だったのかといった情報を求める声もありまして、この検討の方向性という部分ですが、日本においても米国と同様のWarning Letter制度を導入したらいかがかといったところでの提案となっています。
続きまして、20ページです。医薬品等の広告に対する継続的な適正化の推進です。当部会でも花井委員からも御指摘を頂きましたが、企業において不適切な広告事例といいますか、販売情報提供活動事例で非常に片寄った情報で関係者に対して、情報や販売情報提供による誘因を行っているような状況が見られております。特に競争が激しい領域においては、ガイドラインを実際に公布をした後、監視事業等も行っておりますが、現状でも、やはり、そのような実例があるという状況です。このような部分に対して、不適切な販売情報提供活動に対する監視指導の強化を一層進めるべきではないか。また、よりきめの細かい企業に対するリアルタイム等での監視指導であるフィードバックや指導を行うべきではないかというところがあります。
また、内容は違いますが、疾患啓発広告に関する課題という部分で、疾患啓発広告を行う際に、類似薬が存在しないものに対しての制限等があるわけでして、こういったものの在り方についても、引き続き研究班等で議論をして深めてまいりたいと考えております。
21ページです。輸入確認制度の合理化です。前回の法律改正におきまして、いわゆる昔の薬監証明制度ということで、未承認薬等を輸入する際に、輸入の段階で地方厚生局で輸入内容の確認を行う輸入確認制度を導入しております。この制度を導入する際に、薬機法違反があった企業に対しては、違反後2年以内のものに対しては輸入確認を受け付けないといった規制を設けています。通常の業務停止期間等は最長120日程度ですが、それを越えた先のところで、実際に試験研究用の原薬や未承認薬が輸入できないという状況が2年間続くというところが、非常に悪影響を及ぼしているのではないかといった御指摘もありまして、このような部分については事情によって柔軟に輸入を認めるような仕組みとしてはどうかといった提案をさせていただいております。
22ページ以降が、企業を監督する側、行政側の体制に関する部分です。全国的なGMP査察体制の構築があります。現在のGMP調査については、この表に書いてありますように、品目の区分に応じてPMDA、国と都道府県に調査権限の役割分担をしている状況になっています。
一方、これまでも指摘されてきていますが、後発医薬品に関する国内のGMP調査が都道府県で実施されておりますが、都道府県間でのリソースの差、また、調査等の経験や調査員のクオリティーという部分において限りがある場合もあるということで、こういった部分でのクオリティーの均てん化等が1つの課題になってきています。
23ページに都道府県を代表した東京都、大阪府からの御提案もありますが、1つのやり方といたしましては、都道府県間の差をより縮めていくという中で、より力のある都道府県が他の都道府県を支援していくといった枠組みを主体的に稼働していくことがあります。ただ、こういう場合であっても、県境を越えるということもありますので、例えば、さすがに東京都が他の自治体においてこの調査権限を発揮することはできず、オブザーバーという形での参加になるといった状況もあります。あとは、GMP主体において都道府県が協力するというのもありますが、PMDAがそれを補完するような仕組み、支援体制も必要ではないかといった議論があります。
次に24ページです。近年の違反事例等をこれまでレビューをしてきています。これまでも薬事検討会と呼んでおりますが、創薬力の強化、安定供給の確保のための薬事規制の在り方に対する検討会での議論も行われてきております。特に新しい品目、後発品であれ新薬であれ、新しい品目においては、品質リスクが発生しやすいといった、いわゆる上流問題もありまして、このようなものに対しての品質管理上リスクの検知を早期の段階で行っていく必要があるのではないかということもありまして、中長期的な課題といたしまして、都道府県間での体力の差等々の課題を解決するというところもありまして、都道府県の実情に応じて、PMDAが調査を実施できるような制度を含む支援体制の創設が必要ではないかといった議論がありました。
そのような中で、比較的難易度が高い調査事項ということで、例えば後発医薬品の承認申請時の新規品目に係るGMP調査や、医療用医薬品の区分適合性調査については、現在の調査主体の協力配分関係の中で、少しPMDAに寄せるということを考えてもいいのではないかといった提案をさせていただいております。
25ページです。薬機法違反と回収の関係の明確化です。現在も様々な薬機法違反において、製品の品質に影響が及ぶような場合については、当然、回収をするといったことがあります。その回収が必要以上に実施された場合に、違法性や品質への影響がない製品までも回収されることによって、医療現場の安定供給において支障が生じ、かえって保健衛生上の危害を生じるといった事態が発生している状況があります。
そのような中で、これはかなり限定的な運用になるのだろうと思いますが、違法性や品質に影響がない軽微な違反等については、回収と言っても製品の引き取りを行わずに、医療関係者を通じて患者等への注意喚起を行うことによる対応を可能としてはどうかということで、現在、研究班等による検討を進めているような状況です。監視指導・麻薬対策関係は以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。様々な課題についての説明をしていただきました。少々、頭の切替えが必要な所もありますが、ただいまの資料の2ページにありますように、大きく分けて6つの項目について御議論いただきたいということです。残りの時間も限られていますが、この順番で、まず御意見を伺ってみたいと思います。最初に、リスクベースドアプローチの推進・RMP制度の見直しの項目について、検討の方向性を含めて、何か御意見がございましたらよろしくお願いします。森委員、どうぞ。
○森委員 今、薬局でもRMPの情報を活用した処方内容の分析、それから管理指導をすることによって、より質の高い指導管理業務、そして市販後の安全対策に取り組んでいます。また最近は、RMPに基づく患者向けの情報資材を活用した指導も積極的に進めています。そうした中で、医薬品にはそもそも未知のリスクがあり、また既知のリスクを最少化することから、市販後収集された情報に基づく安全対策の実施は重要だと思っています。そして、必要な場合に、RMPの策定や変更を行い、医薬品ライフサイクル全体を通じて安全対策が実施されるよう見直すことは必要だと考えます。そうしたことで、実効性ある制度にしていただきたいと思っています。
それからもう1点、RMPの策定や変更に関する情報が、医療現場に速やかに伝達されるようにお願いしたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。オンラインで花井委員、どうぞ。
○花井委員 RMPについては、もうかれこれ10年たっていまして、その内容については、承認条件との区別とか、RMP全体が承認条件となっているようなことも増えていますし、それから、企業によって内容やそれに対する対応もばらつきが出てきていまして、非常に見直しが必要だということは全く賛同いたします。ある程度形式化してしまっている部分もありますので、やはり実践的安全対策にもっとRMPが活用されるような今回の見直しは、全く同意で賛成です。是非、そういう実践的なRMP制度にしていただけたらと思います。また、承認条件等の整備も明確にしていただくことによって、より承認条件や、いわゆる市販後報告制度も分かりやすくなるかと思います。
感染症定期報告はまだやらなくていいですか。次の議題ですか。ついでに感染症定期報告も発言しておきます。これはもう20年たっている制度で、いわゆる薬害エイズの上流規制から生まれた制度なのです。現在でも非常に有効なのですが、確かに重複して同じようなものばかりが上がってくるということで、20年たっていますので、そういう運用の部分で見直しが必要だというのは賛成ですが、この制度の重要性については、引き続き御理解いただけたらと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。村島委員、どうぞ。
○村島委員 私も、めりはりのあるRMPというのは賛成ですが、この参考資料に関して御質問させていただきます。6ページ、めりはりがあるという意味で、不要と通常と追加ということで二通りありますが、追加の措置を判定するのは、いつ、どこで、誰がというのは、これは多分まだプランだとは思うのですが、どのように考えていらっしゃるのかをお聞きしたいのです。
○福井部会長 よろしくお願いします。
○野村医薬安全対策課長 医薬安全対策課からお答えをいたします。これまでは、新薬の承認に際して、今、お話もあったとおり、承認条件ということでRMPを義務付けることがほとんど行われておりました。そういう意味では、ある程度、審査の中で安全性検討事項が確認されて、これに対して通常のもの、この通常のものはRMPの有無にかかわらず全ての医薬品について、法令などに基づいて実施をしているものになりますので、それ以上の調査なり対処法が必要だという判断がされればということになります。リスク管理計画を適宜、適切に作るような形になりましても、その中身に応じて、この追加の必要性というのは個別に判断をしていく、このような形になるかと考えております。お答えになっておりますでしょうか。
○村島委員 分かりました。これは現時点での案になりますでしょうか。
○野村医薬安全対策課長 6ページ目につきましては、既に実施をしているRMPの中身ということで、今回の改正につきましてもこの基本骨格は変わりませんが、RMPを発動するタイミングを、必要なときに機動的にできるようにと考えております。
○村島委員 分かりました。
○福井部会長 ありがとうございます。そのほかよろしいでしょうか。それでは、RWDの安全対策への利活用の明確化につきましてはいかがでしょうか。
次に、安全性情報報告制度等の重点化の推進についてです。よろしいですか、森委員、どうぞ。
○森委員 一言だけ。投与経路が異なるものについても重複報告をなくすということなのですが、安全対策上問題がないようであれば、そこに関して異論はありません。
○野村医薬安全対策課長 ありがとうございます。御指摘のように、複数の企業から同一の症例が報告されることについて解除したいと思っておりますので、漏れのないような形で、ただ重複は排除するという形で考えていきたいと考えております。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
それでは、4番目の製造販売業者による品質保証責任の明確化等による品質管理の向上は、確か6項目あったと思いますが、いかがでしょうか。滝田参考人、どうぞ。
○滝田参考人(中濱委員代理) 日薬連の滝田です。本日の議題等も関連するのですが、中濱が岐阜の工場でGMPの査察を受けておりまして、私が急遽、代理という形で参加させていただいております。まず、産業界としまして、依然として、製造管理、品質管理上の行政処分が続いていることにつきまして重ねておわびいたします。
今回、産業界からは、ドラッグラグ・ロスの解消と安定供給確保のため、国際整合性や合理性を含んだ要望を出させていただいているのですが、今回、事務局から提案いただいた検討の方向性は、基本的には規制強化というものが示されていると理解しております。もちろん、医薬品においては十分なリスク管理、安定供給においては十分な品質保証が前提となりますので、産業界としましては、この方向性で全般的に検討いただくことには異論はございません。
ただ1点だけ、現在、省令で規定されている品責と安責を薬機法に規定するというのが入っておりました部分につきまして、意見とコメントを述べさせていただきたいと思います。
現在、薬機法では、安全管理や品質保証の責任者として、原則、薬剤師という総責が規定されています。省令で総責は、品責、安責を監督し、その意見を尊重すると定められております。品責、安責を法に規定することによりまして、立場が同等になって責任が分散してしまうのではないかという危惧は持っております。むしろ、議論にもなっておりますが、責任役員と総責の責務を明確にしていく方向のほうが、法令遵守も含めた全体の製販のガバナンス強化につながるものではないかと考えております。
次にコメントです。安責の法的位置づけの見直しも言及されておりますが、昨今、副作用報告等の収集件数がものすごく増加しておりまして、収集ルートもインターネット、あるいは患者様の情報など媒体も非常に多様化しています。既に厚労省のほうで、政省令通知レベルで御検討いただいている部分もあるのですが、この機会に安責の役割、あるいは、例えば安全管理業務の委託、再委託等も含めて見直しを検討いただけたらと思います。以上が意見とコメントになります。ありがとうございます。
○福井部会長 ありがとうございます。何かしますか、よろしいですか。
○佐藤大臣官房審議官(医薬担当) 事務局です。コメントを頂きましてありがとうございます。特に責任者を法律上規定するという部分において、三役の役割に何らか役割上の重複があると、滝田委員御指摘のような御懸念があるわけで、仮にこれを法律上、三役を3人とも規定する場合においては、やはり法律の責任や役割の関係をきちんと整理して、重複がないような形でしっかり書いていくという検討を、これから詰めていかなければならないと思います。そういった詰めをする中で、また業界からも様々な御意見を頂きながら対応させていただきたいと思っております。
○滝田参考人(中濱委員代理) ありがとうございます。
○福井部会長 オンラインで花井委員、どうぞ。その後、北澤委員です。
○花井委員 今、業界のほうからもお話がありましたが、三役が全部法律事項になるということの効果は、ちょっと素人目には分からないところがあります。品責に関しては更に専門的すぎて、それでよくなるのかという、不正が減ればいいなというぐらいでしかないのですが、今あったように、安全管理の責任者、安責に関しては、やはりこれは市販後の安全対策や承認条件従事に非常に重要で、その辺は私どももいまだに不満があります。この安責が法律に位置付けられるという形式だけではなくて、今、業界からもありましたように、今の時代に合った責任の在り方や、本当に機能するかというところについて制度を考えていただけたらと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。北澤委員、どうぞ。
○北澤委員 20ページの4-5の広告に関することなのですが、今、ここで発言してよろしいですか。
○福井部会長 どうぞ。
○北澤委員 疾患啓発広告、特にワクチンのテレビCMについて意見を申し上げたいと思います。現状、当該のワクチンを作っているメーカーが、タレントなどを使ってワクチン接種を誘引するようなテレビCMが放送されていて、問題があると思っています。疾患を啓発している体裁を取っていますが、企業が広告する目的は、病気があることを啓発することによって、医療機関を受診する人を増やして自社のワクチンをより多く購入してもらうことなので、医療用医薬品の企業は疾患啓発広告をやってはいけないのではないかと思っております。
一方で、企業が発表するプレスリリースは、広告とは本来性格の異なるもので、企業が社会に対して説明責任を果たすために必要なものだと思います。これを「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」で過剰に規制して、企業が本来やるべき情報公開に後ろ向きになることのないようにお願いしたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、オンラインで山家委員、どうぞ。
○山家委員 私からも広告の部分に関して2点お願いがございます。特に課題例2としても挙がっておりますが、希少疾患などの場合に、例えば、基礎的な疾患に関わるような場合、生命に関わるような場合もあり、治療している利用者にも知られていないというケースも見聞きします。こういったときに、例えば、新しいお薬が出た場合に、過剰に規制が入ってしまうことによって、不適切な広告の規制はもちろん必要なのですが、それと同時に必要な際に、適切に広めることを妨げないような形で、今後の検討を進めていただきたいと考えております。
それから、課題例1にも関わるのですが、以前は疾患の関連団体が製薬メーカーに問合せをして、団体としてきちんとしたデータを得るということもできていたのですが、近年、そういった活動にも制限が付いてしまっていて、全て主治医に確認してくださいというように返ってきてしまう事例も見聞きしております。これは、患者・市民参画というPPIとしては後退していると思われますので、こういったことも適切な規制と同時に、適切な情報をきちんと広めていくことも併せて検討を頂きたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。三澤委員、その後は久芳委員、お願いします。
○三澤委員 すみません、ちょっと話が戻ってしまうのですが、よろしいですか。15ページの責任役員の所です。この変更について異論はございません。総括製造販売責任者、は薬剤師以外の例外規定もありますが、私は、医道審議会の薬剤師分科会で行政処分のほうも委員長として対応しており、ちょっと調べてもらったのですが、会社の中の役割として薬剤師に、この場合は総括製造販売責任者ですが、薬剤師個人としての行政処分をした例はないということなのです。薬剤師を置くということは強い立場だからで、会社の中の一員としてのガバナンス以外に、自分は薬剤師だからこれは撥ね付ける、やれと言われてもこれは薬剤師としてできませんと言うべきなのです。それが医療系の資格職の意義だと思うのです。ほかの医療系の資格職としても同様だと思います。ですから、私は、ここでの議論ではないですが、やはりきちんと医療系の資格職は責任ある立場を取るべきであるし、なおかつ、その人は、個人としての薬剤師としての責任も負うべきだと思います。いう、行政の形として、そういう不正を出した、不正をしてしまった会社の、それが悪質だった場合は、その薬剤師個人も行政処分をすることが必要ではないか、それが行政システムとしてのガバナンスを強めることになるのではないかと思います。それをちょっと発言させていただきました。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、久芳委員、その後、オンラインで花井委員、お願いします。
○久芳委員 医機連の久芳です。先ほども少し議論がありましたが、20ページの広告に関する所でコメントさせていただきます。今後の方向性ということで示していただいておりますように、医薬品医療機器等の広告の適正化に向けて、引き続き取組を進めていただくということですので、業界としても、そのような場で意見を伝えることを続けていきたいと考えております。そのときに、医療機器業界として考えていますのは、医薬品との特性の違いで、医療機器については、一般向けの広告であっても原則可能とするという考え方もあるのではないかということを提案させていただいております。そういう医薬品と医療機器の違いという観点でも、この議論の中で是非取り上げていただければと考えております。よろしくお願いします。
○福井部会長 ありがとうございます。花井委員、どうぞ。その後は森委員。
○花井委員 広告に関連して1つ申し上げておきます。前回の改正のときにもかなり強く発言した部分で、特に、限りなく広告に近い強調し過ぎた営業ツールといいますか、そういったものは何とかならないのかと議論したのですが、なかなか数が多いので難しいという話だったのです。これは業界の皆様、各社で襟を正すところはもっと力を入れていただきたいという、それはお願いです。
それからもう1つです。患者への情報提供の話は度々議論になっていまして、患者会に対する情報提供は構わないことになっているのですが、企業によってはやはり萎縮してしまって、学会で、患者会は企業ブースを通るときは真っ直ぐ見て横向くなという、そういうところとか、メーカーによってかなり変わってきてしまっているので、これは企業さんも困っていると思うのです。PPIとかPCとか言っている割には、当局に怒られないようにどう付き合っていいかということを、いわゆるおっかなびっくりやっているところもありますので、やはりちょっとここは、行政のほうである程度整理していただいて、がんの患者会の関係でも、以前に、ブース立入禁止はおかしいのではないかみたいな議論があったと思うのですが、いまだに日本において、患者会と企業との関係は、どこまで情報提供、どこまで駄目かということについては、やはり何か曖昧な感じで、企業も困っているし患者会も困っている部分があるので、行政のほうで今後検討いただけたらと思いました。
あと、課徴金の話もしていいのですか。課徴金は前回、報告だけだったのですが、拡大するのは賛成です。よく営業停止処分をするときに、営業停止すると、ショートしてしまったら現場が困る場合があるのです。今、どうしているかというと、現場で困る薬があるかどうか聞くわけです。止めてしまったら、もう本当に医療が困るような薬があったら、それはお目こぼしをするという対応だったわけです。そうすると、結果的には痛くも痒くもなく営業停止に実効性がなくなる場合もありまして、やはりペナルティ感がないというところは以前から問題だと考えていましたので、このような課徴金運用というのは極めて良いのではないかと思いました。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。森委員、どうぞ。
○森委員 まず、責任役員の変更命令についてですが、医薬品医療機器等の製造・流通・販売に関わる者の法令遵守違反は、国民の生命・健康に直結する、そして脅かすことになると考えています。役員の変更命令については前回からの継続事項であり、盛り込むことが必要だと考えます。
次に、製造販売業者の品質管理の向上ですが、製造販売業者による品質の管理は極めて重要なことだと思っています。法的責任を強化する点から、品質保証責任者について法的に位置付けることは異論がありません。
それから最後、広告なのですが、疾患の啓発というのは非常に重要だと思います。啓発なのか広告なのかということはしっかり見ていきつつ、啓発が妨げられないようにする必要があると思います。先ほど事務局から、類似薬が存在しないものに関しては制限があるということだったのですが、類似薬が存在しないことのみにより啓発ができない、妨げられることがないようにしていただきたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはよろしいですか。
それでは、全国的なGMP査察体制の構築についてはいかがでしょうか。中島委員、どうぞ。
○中島委員 東京都の中島です。資料の24ページの所なのですが、背景・課題の3つ目のポツの所で、都道府県間で対象の施設や調査員数に大きな差があり、調査経験や人数に限りのある自治体の調査能力の維持・向上が課題とあります。また同じページの方向性の案の所で、後発医薬品の新規の承認申請時の調査と、また、医療用医薬品の区分適合性調査の主体を都道府県からPMDAに見直すとの内容が記載されておりますが、この提案については反対させていただきたいと思います。なお、全都道府県に急ぎ調査をしたのですが、9割以上がこの提案については反対の御意向を示されております。その理由なのですが、この提案どおり進めた場合、都道府県の適合性調査の件数が大幅に減少するおそれがあります。現在、十分な調査体制を有している自治体においても、リーダー調査員の育成・確保が困難となり、GMP調査体制が弱体化してしまうことが懸念されます。また、GMPに詳しい職員が減ってしまえば、GMPに関する違反措置ですとか、また、製造販売業のGQP調査の実施にも支障が生じてしまいます。
都と大阪から、資料23ページにあるとおり、提案をさせていただいております。まだ検討途中のものですが、この案は、調査経験が豊富な自治体が経験や人数に限りのある自治体をフォローすることで、都道府県全体の調査体制のレベルアップを図る案となっております。GMP調査員の育成には非常に時間と労力を要しております。これまで自治体で培ってきた調査リソースを是非、有効活用していただきたいと考えております。
また、資料24ページの背景・課題のポツの2つ目と、あと、参考資料1の56ページに、製造管理上の根本原因として上流問題が挙げられておりまして、後発品の承認申請時の調査主体を見直すとの記載があるのですが、現在のGMP省令には、製剤設計を見る規定がない状況となっております。上流問題を解決するためには、調査主体の見直しよりも、製剤設計を確認する規定や仕組みを整備することが必要かと思いますので、是非、御検討をお願いします。
最後に、今回の国からの提案なのですが、都と大阪のほうには多くの自治体から説明と意見照会を求める声が届いておりますので、是非、御対応のほどよろしくお願いします。
○福井部会長 ありがとうございます。この点につきまして、たくさん手が挙がりましたので、御意見をまず伺いたいと思います。茂松委員から。
○茂松委員 今、東京都の中島委員から御意見を頂きましたが、私も大阪府から同じような意見を伺っております。確かに、GMP査察はルールが一番重要である。それはPMDAにやっていただくということは重要であると思いますが、東京や大阪府が査察体制については人材もかなり教育をしてきておりますし、応援をしてきております。PMDAでは、人員が多分40名ぐらいしかおられないということですが、全国の自治体で見ると400名おられます。その中で、東京、大阪で100名近くになるのではないかと思っておりますし、そういう人材がなくなるということは非常に大きなことではないかと思っております。また、やはり教育に時間が掛かってきますので、これは、PMDAと都道府県間でしっかりしているところが柔軟に協力し合ってやっていくことが非常に重要ではないかと思っております。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。合田委員、どうぞ。
○合田委員 22ページに書いてある、都道府県の調査能力が県によって違うというのはそのとおりだろうと思います。本当に問題なくできる県と、そうではない県があるということは実態としてよく把握しています。本当は、県にいろいろなランクを付けてできるような形というかシステムが、多分、私は一番いいのではないかと思っていたのですが、何か法律の人と話をしますと、そういう制度は非常に難しいということを言われました。そういう意味から言うと、ある程度できる県にとっては、実は、今のシステムはGMP査察も含めて、医薬品の品質管理を県の人たちが理解してくれる非常にいい制度だと思うのです。ただ、明らかに査察をうまくできない県もありますので、そういうところを考えられて、現在の検討の方向性を作られたのだろうとは思います。
24ページの下の②に医療用医薬品の区分適合性調査と書かれていますが、今、都道府県がやっているのは、医療用というのは後発医薬品です。後発医薬品の区分適合性調査であって、定期的な適合性は、一般的に都道府県では残しますよと、多分、そういうことだろうと思うのですが、少なくとも、都道府県の人が今後も引き続き経験を積んでいける制度というのは、絶対維持していかなければいけないのだと思います。茂松委員が言われてたPMDAの人数的なお話というのは、私は初めてこういう人数なのかと思ったのですが、もっとPMDAの査察に関与される人は多いのではないかと思いますが、PMDAの査察が入る際にも、常に都道府県の方が一緒に行って、常にそのことを見ているというのはすごく大事なのではないかと思いました。都道府県の方がGMPの査察について、引き続き経験を積んでいける制度というのを是非、具体的に考えていただきたいと思っています。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。もう一人、どなたか手を挙げられましたか。よろしいですか。森委員、どうぞ。
○森委員 このところ不正事案、それから薬機法違反事例が続いていて、正直、これまでの調査では法令違反を見逃していたこともあったのではないかと思います。そのため、調査の在り方の見直し、都道府県による薬事監視体制の強化の必要性があると思っています。その中では、先ほど中島委員も言われましたが、やはり都道府県のGMPの調査に関しての体制維持は非常に重要なことになってきますので、弱体化するようなことがあってはいけないと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。時間のこともありますので、最後に、医薬品医療機器等法違反と製品回収の関係の明確化につきまして、御意見がございましたらお願いします。よろしいでしょうか。オンラインでも大丈夫ですね。
長い時間、御議論ありがとうございました。それでは、本日の議論はここまでということにさせていただきます。最後に、事務局から連絡事項等ありましたらお願いします。
○重元総務課長 次回の第5回の制度部会ですが、本年7月25日に開催を予定しております。詳細につきましては事務局から御連絡を差し上げますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○福井部会長 それでは、以上をもちまして、令和6年度第4回の医薬品医療機器制度部会を閉会といたします。御協力、誠にありがとうございました。